1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月二十九日(木曜日)
午前十時三十六分開会
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委員の異動
六月二十三日
辞任 補欠選任
宮崎 正雄君 田中 茂穂君
六月二十九日
辞任 補欠選任
竹田 現照君 鈴木 強君
津島 文治君 和田 鶴一君
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出席者は左のとおり。
委員長 鹿島 俊雄君
理 事
井川 伊平君
近藤英一郎君
柳田桃太郎君
阿部 竹松君
委 員
上原 正吉君
重政 庸徳君
津島 文治君
横井 太郎君
小柳 勇君
竹田 現照君
椿 繁夫君
矢追 秀彦君
国務大臣
通商産業大臣 菅野和太郎君
政府委員
通商産業政務次
官 栗原 祐幸君
通商産業大臣官
房長 大慈彌嘉久君
通商産業省重工
業局長 高島 節男君
通商産業省鉱山
保安局長 中川理一郎君
中小企業庁長官 影山 衛司君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
説明員
通商産業省重工
業局航空機武器
課長 加藤 博男君
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○産業貿易及び経済計画等に関する調査
(鉱山保安に関する件)
○中小企業振興事業団法案(内閣提出、衆議院送
付)
○航空機工業振興法等の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/0
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001・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員の変更について御報告いたします。
今月二十三日、宮崎正雄君が辞任され、その補欠として田中茂穂君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/1
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002・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、鉱山保安に関する件について調査を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/2
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003・阿部竹松
○阿部竹松君 前々回の参議院の本会議で、一酸化炭素に関する法案審議の際に、総理はじめ各大臣の御答弁がございましたが、たまたま菅野通商産業大臣の大橋議員の質問に対する答弁の中に、炭鉱労働者の保安の確保について、保安センターを設けて、保安の万全を期すというような御答弁の内容でございましたが、これは予算化され、もうすでに決定しておることなんですが、いかなることに相なっておるか。その点を第一にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/3
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004・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 鉱山保安センターは北海道と九州に設置するということで、大体予算もいただいておるのでありますが、それをいま具体的にどこへ設けるということはまだ決定しておりません。しかしながら、だんだんともう煮詰まってまいりましたので、なるべく早い時期にひとつ決定したいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/4
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005・阿部竹松
○阿部竹松君 この件は菅野通商産業大臣の御就任前から計画がございまして、二年も三年も通商産業省の保安局で検討され、あるいは石炭経営者あるいは労働組合等からも強い要望がありまして、それぞれ九州、北海道の石炭産炭地域、特に保安の教育ですね、保安監督官の指導あるいは従業員の保安教育、こういうことでこれを遂行しようということで、一切国で負担して、国の力によって保安の確保をはかるのだということがまあ三年前から計画され、ようやく本年実施ということになり、予算化された。ところが、聞くところによればですね、なかなか大蔵省が了承しなかったような向きもあるようですが、石炭経営者から何分の一かの金を出して、国で出すほうの金額が少ないというようにも承っているんですが、その内容はいかなる理由でそういうように転向してきたか、その点を次にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/5
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006・中川理一郎
○政府委員(中川理一郎君) 保安センターの計画を進めてまいりましたが、趣旨その他はただいま阿部先生からお話しのございましたとおりでございまして、多年の懸案であり、かつ関係者一同、特に中央鉱山保安協議会の全員の強力な推薦と支持を受けて進めてきたプロジェクトでございます。ただ、今年度予算の予算折衝の段階におきまして、通産省側の要求原案といたしましては、北海道と九州の二カ所の保安センターについて、全額国の経費によるセンターの設立という要求で出たわけでございますけれども、鉱山労働者等の教育という事柄が主体でございますので、企業側と申しますか、関係者側もある程度の協力をすべきであるという趣旨等からいたしまして、今回成立をいたしました予算では、国が三分の二の補助金を交付いたしまして、労働災害防止協会にこのセンターを設置させるということにきまったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/6
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007・阿部竹松
○阿部竹松君 炭鉱経営者から全額とは言わぬでも、炭鉱経営者に金を出させてその保安を守るなどということがなかなか容易に行なわれぬということで、国でやりましょうということで出発しておるわけでしょう。しかし結論は、いま保安局長の御答弁のように、炭鉱経営者から金を出させて、国も出しておるわけですが、保安を守るのだ、初めの出発ともう全然違っておるんですね。斜陽産業といわれる石炭産業ですから、なかなか保安のほうに炭鉱経営者の手が回らないので、保安をさぼる。意識的であるか無意識的であるかは別として、経済ベースを保つためには保安をさぼるということではこれはいかぬということで、通産省では炭鉱警察というか、保安警察と言おうか、そのくらいの力を持たせて、それぞれの経営者の協力を得て、りっぱな保安係員あるいは炭鉱従業員をつくろうというのに、全然方針が変わって、炭鉱経営者から金を出させて、そうして保安の確保をやる。それは私きわめて遺憾に思いますが、決定していることですから、これ以上申し上げません。ところが、通産大臣にお伺いしたいことは、今日まだどこに建てるかということがきまっておらない、そんなはずはないんですがね。砂上の楼閣を建てると同じですね。これは私うまい表現できませんから、こういう極端な表現を使うわけですが、少なくともこれは大蔵省当局に予算をこれこれ組んで要求する場合は、どこに建物を建てて、土地代が幾らで、建築費が幾らで、あるいは中の施設費は幾らだというような予算を組んで通産省が大蔵省に要求するものだと私は考えておった。ところが予算化され依然としてどこに建てるかわかりませんということで日を送っているということは、本会議では通産大臣は全くいい答弁であったが、中身が伴わない。私は本会議で壇上にかけ上がって、それは違うというような緊急質問をしようと思ったが、そういうわけにもいきませんので、この席を借りて、委員長にお許しを願って質問しているわけですが、予算化されてまだ今日どこに建てるかわかりませんということはないでしょう。また金を出す経営者も経営者です。これは何も大臣を責めているわけじゃない。金を出す経営者も、どこへ建てて何をするかわからないというところに金を出す炭鉱経営者も、私はそれを考えてまことに遺憾だと思うわけですが、今日までどこに建てるかわからない、いつきまるのですか。その点を大臣にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/7
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008・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) まあ経過をそのまま申し上げますと、私は鉱山保安センターをどこへ設けるかという具体的な相談を受けたのはごく最近です。これは予算のときには、北海道と九州ということで私は承知いたしておったのであります。さてどこへ設けるかという話を聞いたのはごく最近であって、そこでこれは申すまでもないことでありますが、やはり各鉱山が集合するための交通というようなことも考えなければなりませんし、講師の招聘ということも考えたり、交通の便利のよい所というようなことを考えたり、あるいは産炭地振興というようなことも考えて、また地元の協力というようなこと、諸般の条件を考えて最後的に決定したい、こう私思っておるのでありまして、正直申し上げれば候補地は二つあります。しかし、いま申し上げたような見地でひとつ決定をしたい、こう考えておりますが、一応はやはり中央鉱山保安協議会でひとつ協議してもらって、そこで意見もまとめてもらったほうがむしろ公平じゃないかというふうに考えおりますので、保安協議会の意見も徴してその上で私は決定したい、こう存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/8
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009・阿部竹松
○阿部竹松君 大臣から直接御答弁いただいておるか、あるいは保安局長さんだったかわかりませんけれども、その当時は通産省で決定するんですよと、こういう御答弁をいただいておるんです。北海道と九州というばく然たるようなことではなかった、当時は。ですから、予算を大蔵省に要求するときに、大体その地域を指定し、土地代が幾らかかって、建築費が幾らかかってというようなことで大蔵省へ予算を要求なさっていると思う。中身はかくかくで、こういうことをやるんですよと、ここに日本一の企業家の大正製薬の上原先生がおられるが、御本人を前に置いて参考に申し上げるのはたいへん恐縮ですが、上原さんが大工場をたとえば建てるというときに、初めは埼玉県がいいとか神奈川県がいいとかいうことをお考えになっていろいろと検討なさるでしょうが、さて予算を組んで工場をいよいよ建てるというときは、この土地代が幾らで建築費がそこに建てたら幾らということはやはり検討なさると思うんですよ。これは一億何千万円だから、さて一億何千万円をきめて、これから十万坪買って、一万円のところに建てるか六千円のところに建てるかと、そんなばかなことはやりませんよ。ここに薬の工場を建てるのは、薬の費用が安くて、やすい工員を使ってと、上原さんだったらそういうふうにやっていくと思いますが、それにもかかわらず、あなたのほうでは全然砂の上にうちを建てるような話、しかしまあそれは言いませんけれども、しからばどういう所に建てれば一番保安の確保になるとお思いですか。二度と言いませんから、大臣としてはどういう所にお建てになる決意ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/9
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010・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) どういう所に建てるといういまの基準は、いま申し上げましたとおり、各鉱山から集合するための交通の便宜のいいという所、あるいは講師を招聘するのに便利のいいというようなそういう環境条件、あるいは産炭地振興ということもあわせ考え、あるいは地元の協力という点を考えて、諸般のこれらの条件を考えて最善という所へ決定したいと、こう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/10
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011・阿部竹松
○阿部竹松君 これは大臣の話を聞くと、ちょっと異なことを感じるわけですがね。産炭地振興のためにこの保安センターというもの、これは間接的にはそういうことになるかもしれませんけれども、石炭山がなくなったから保安センターを持っていくということは私は邪道だと思いますよ。ですから前段のほうの交通の便がよくて、各地から保安係員とかあるいは保安監督官とか一般従業員を集めやすい所、そういう所に持っていく、それからおそらく通商産業省からいつもりっぱな監督官なり局長が行って御指導なさるわけではないのですから、北海道の場合にはやっぱり札幌大学とか北海道大学、こういうところからそれぞれの担当の権威者の先生を呼んで指導あるいは研究をなさると思う。九州の場合は九州の大学からやっぱり先生の御協力をいただいて、そこでまあ専門の先生もおるかもしれませんけれども、そういうところで研究、勉強なさると思うんです。そうすると、おのずから場所がきまるわけですね。それを、聞くところによると地方自治体とか、あるいは中央の大物と称せられるものも関係しているということで、これはゆがめられておるということで、地方自治体がわんわん言っているわけですよ。ですから一刻も早くほんとうの研究機関として、ほんとうのりっぱな保安が確保できるような立場で選んでもらいたいわけです。したがって、どういうものができるか、これは事務的な問題ですから、保安局長ひとつどういうような設備をして、どういうようなことをおやりになるのか、承りましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/11
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012・中川理一郎
○政府委員(中川理一郎君) 保安センターを考えていきます場合の事業の内容でございますが、一つは救護隊員の訓練ということでございます。これは救護隊員に新しくなろうという人に対して所要の訓練を行なうことのほかに、絶えず保安の技術的事項も変わってきておりますので、既存の救護隊員の再訓練ということも含めて、救護隊員の訓練を行なうというのが一つの目的でございます。もう一つは、教育担当スタッフ、係員、リーダーというような、各鉱山で教育の企画、実施の中核的な役割りを果たす者の養成、教育を実施するということでございます。第三番目には、専門技術者を養成するための新技術を中心とする高度の保安技術教育を実施する。その他従来行なっております保安技術講習所において行なう保安技術職員、またはこれになろうとする人に対しての保安教育の実施、あるいは付帯的には、私どもの内部の問題でございますが、新しく監督官を養成するというような訓練にも資したい、こういうのが目的でございまして、施設は、それに必要な教室、それから訓練坑道、所要の機材、こういったものを整備し、それぞれの保安センターで一回に四十人が泊まれるような宿泊施設を準備いたしまして、年に二百日動かし得ると考えまして、四十人の二百——年間八千人程度の教育を一カ所において行なう、こういうことを考えておるわけでございます。
そこで、施設といたしましては、本館——これには教育と救護訓練の教室、それから付属の事務室、先ほど申しました宿泊設備というようなものをつくる。それから救護訓練館と申しますものをつくりまして、温度と湿度と煙の調整ができるような模擬坑道を設置して、それにこの教育に必要な保安機器館というものをもう一つ設けままして教育器材を収容する。そのほか本館に必要な備品、教育用の保安機器といったものを整備いたす予定でございまして、これを四十二年度と四十三年度の二カ年度にわたる計画といたしまして、北海道、九州に一個ずつつくる。並行してスタートをさせますので、北海道の場合は、今年度で本館と保安機器館と本館備品、教育用保安機器というものに充当し、九州におきましては、本館と救護訓練館もことし手をつけようと、こういうことで、保安機器館のほうは九州は来年回しという組み合わせで、いま検討して準備をしておるわけでございます。
補助金といたしましては、四十二年度分に対応します設置費二億二千五百万円に対しまして、一億五千万円の補助金を用意しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/12
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013・阿部竹松
○阿部竹松君 これは局長を責める意味で私申し上げておるんではありませんが、あす、あさってで七月ですよね。北海道は九月になると霜が降って雪が降りますよね。そうすると、実際にまだきまらぬのですから、来年まで竣工という計画があるようですが、六カ月間休まにゃならぬのです。予算が組んでないというのだったら、声を荒立てて言いませんけれども、予算を組んでおって、北海道の地理的条件を全然考慮に入れておらない。事務怠慢と言いたいところですが、そこまで言うと言い過ぎになると思いますので、そこまで言いませんが、北海道の地理的条件を考えれば、昨年の暮れからやっておることですから、そんなに候補地がたくさんあるわけではございませんよ。したがって、もうずばりときめれるはずなんです。産炭地振興といって山のなくなった炭鉱地帯に持っていっても、これはいうならば、国の建物ではないけれども、これから税金を取ることはできないし、そこへ何人かの人が常住しておるでしょうけれども、それはほとんど、さいぜん申し上げましたように、一緒に研究する、指導する、あるいはものを教えるという人は、学校の先生なり中央から行かれる皆さん方の下僚ですから、十人か十五人しかそこにおらぬでしょうね。ですから、炭鉱の休・閉山によって滅びた町なり村なりに建てても、税金を取れませんし、したがって、さいぜん菅野通産大臣のおっしゃったような協力——協力ということは何をさしているのか、地方自治体の協力とおっしゃるかわからぬけれども、水道の問題とか、あるいは家まで全部建てるわけにいかぬから、暫定の間、市で建てた住宅を何とか貸せとか、その程度のものでしょう。したがって、そういうことを考えれば、もう、とうにきまっておらなければならぬ、それをまだ建てぬいうのはどうも理解できないわけです。何か政治的圧力でも大臣あるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/13
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014・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) この保安センターの問題は、北海道に限らず、九州でもまだ決定いたしておりません。そこで政治としては、やはり地元の人が皆さん意見が一致して、地元の皆さんの御協力を得てやったほうが設立の目的を達成することになると思いますので、私としてはできるだけひとつ皆さん方で話し合って、一カ所にまとめてもらいたいという意見を持っております。しかし、まとまらないときには、私の判断で最後の決定をいたします。あくまで公正な考えで私は決定したいと思います。もちろん決定すれば、まあ設置されないほうから非難は出るかもしれませんが、それは私甘んじてその非難を受けるつもりでおります。しかし、できれば話し合って、皆さんがほんとうに協力してやってもらいたいというのが私の念願でございますからして、いまそのようにひとつ話し合いをできるだけやってもらいたいという希望で、ぐずぐずしておりますが、しかし、北海道のことでありますからして、早くやらぬと工事が間に合わぬということも私ども懸念いたしておりますから、その工事に差しつかえないような時期にひとつ決定したいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/14
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015・阿部竹松
○阿部竹松君 広く意見を聞くということもけっこうですし、あるいは皆さんの意見によっておきめになるということもけっこうであります。ただ、これは大臣率直に申し上げておきたいわけですが、経済論争とかなんとかいうのと違うわけですよ。それは大臣は通産大臣になる前に、前回の委員会でもお話しいたしましたが、経済企画庁長官をやっておられまして、あの当時、高度成長経済、それから今度は安定経済だということで、経済だったらいろいろ消極的な論争もありましょうし、積極的な論争もあるでしょう。これは最後はなかなか意見が合わぬときは、見解の相違ということで相打ちになって別れることもあるが、この保安センターに限ってはそういうことでなしに、純然たる学問的な問題なんです。そういう右か左かという要素がないわけですよね、見解の相違ということで。思想問題でもなければ経済問題でもない。これは少しこの問題を研究した人であれば、ここがよろしいということになる。これは私と一緒に商工委員をやっておる大矢正君、同じ夕張市の出身です。したがって、夕張市長からこの間、夕張市に何とか保安センターを大矢、阿部両議員の力によって持ってきてくれと言われたのですが、市長さんこれはだめですよ、将来北海道で発展するのは、夕張だけの炭鉱では北海道の石炭産業はあり得ないわけだから、夕張から参議院議員が二人出ておって持ってこれないということは遺憾だと思うでしょうけれども、もう立候補やめなさい。これは純然たる、いかにして炭鉱の従業員を守るかという一語に尽きるのだ、最も勉強のしやすい、先生もやすやすと来てくれる、集まりやすい、こういうところに断定しなければならぬわけですよ。ですから、意見を聞くことはけっこうだけれども、もうとっくに一カ月も二カ月も前に大臣のわしが断定を下すと、こういうのが出ておらなければならぬと思う。そういうのが出ておらぬですからね。これは小柳先生がおいでになったから、もうとうとい時間を使いませんけれども、そこのところを、ほんとうにこの問題を具体的に処理していただきたい、こう考えてお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/15
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016・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 学問的というか、公正な立場でこの保安センターを設けなければならぬという考えをしておりますので、しかし、いろいろの政府の機関を設けますにつきましては、これはこの保安センターばかりじゃありません。ほかにもいろいろ問題がありますが、そこでみんなが公正な考え方でひとつ話し合って、意見の一致を見るようにしたいというのが私の念願であります。まあいろいろの個人々々の利害関係で主張せぬように、やはり全体の大所高所から設置の目的にかなうようにひとつ皆さん方が考えてもらうというようにしてもらいたいというのが私の念願であります。そういうことで、いましばらく時期を置いていただきたいし、また、いまの鉱山保安協議会の意見などが、これは各方面のみな公正な人が集まっておりますから、その人たちの意見をひとつ聞いて、そうして決定すれば一番公正な決定になるのじゃないか、こう存じておりますので、鉱山保安協議会の意見をまず一応われわれとしては尋ねるのが順序だと、こう考えておりますので、この協議会の決定によって私ども決定したいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/16
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017・阿部竹松
○阿部竹松君 大体いつころ大臣御決定なさるのですか。来月の二十一日で国会が終わるから、国会のやかましい議員が全部くにに帰ったあとで判こを押すなどというような、通産大臣はおりっぱな人ですから、考えはないでしょうね。
それからもう一つ、さいぜんおことばの中にございました地方自治体の協力を得なければならぬということ、私も申し上げましたが、水道の水は特に便宜をはからってくれとか、地域の自治体が建てた住宅を幾つか貸してくれとこういう程度の協力であればけっこうですが、その土地を供出せよなどとかということでおやりにはならぬでしょうね。それからもう一つは、自治体から何がしかの寄付を仰ぐ、こういうこともないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/17
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018・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 地元の協力という意味は、私はもう広い意味に解釈しておりまして、先ほどお話しのとおり、炭鉱経営者方の御協力もまた得なければならぬ、こう考えております。また地元のどこに設けるかということになれば、その土地を無償でひとつ貸してもらうというような御協力も願いたい。また地方団体の寄付なども、これはできれば寄付してもらいたいと思いますが、それもひとつ任意でお願いをしたいと、こう思っておるので、まあひとつ、あちこちから御協力を得て、りっぱなものをつくりたいというのが私の考えで、そういう意味で地元の御協力をお願いしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/18
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019・阿部竹松
○阿部竹松君 最後にもう一点お尋ねしておきますが、北海道の美唄の隣に妹背牛というところがあります。滝川の次ですが、そこである検査所を建てた、その検査所が、農協とかあるいはそういうところから土地を寄付して北海道で大問題になった。したがって、その検査所とこれとは若干性格が違いますけれども、この種のものはやはり大臣もおっしゃるとおりお世話になる、御援助願うというのはけっこうだけれども、ほどほどにしておかぬと、これは大問題になります。したがって、そういうところの規制を厳に慎んでもらいたい。ということは、私は自分が直接聞いたわけではないので、現地から各地方自治体の代表が来て、私の部屋でいろいろおっしゃるわけですが、ここの市では、建ててくれた場合に、うちをどうするとか、あるいは土地をどうするとか、いろいろな受益者負担という美しいことばで、大臣の耳まで入っているかどうかわかりませんけれども、盛んに運動なさっておる。ですから、そのあたりは大臣は全般を見ておられるから、これに集中して御検討なさることが不可能でしょうけれども、最後の責任は大臣にあるわけですから、大臣の確たる方針を要請したい。もう一つは、保安局長は大臣を補佐しなければならぬわけですから、私は責任を持ってひとつやっていただきたいと思うわけです。ただもう一つ、くどいようですが申し上げておきたいことは、産炭地振興と石炭産業の安定と違うわけです。ということは、いかに石炭産業がこれから安定しても、いままでの産炭地域が振興されると限っていない。これから新鉱開発し、鉱区がたくさんあって、埋蔵量があるところは、これは石炭産業の安定が即産炭地振興になりますけれども、廃山、閉山になったところに持っていっても、石炭産業は安定しても、そこは全然だめです。ですから、そこを石炭産業安定即産炭地振興などというふうに理解していただかぬで、十分検討していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/19
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020・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 他に御発言もなければ、本調査はこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/20
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021・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 次に衆議院送付の中小企業振興事業団法案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、本日は、まず政府委員からその補足説明を聴取いたします。影山中小企業庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/21
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022・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 中小企業振興事業団法案の補足説明を申し上げます。
中小企業構造の高度化を促進するために、政府といたしましては、従来から各種の施策を実施してまいりましたが、最近におきまする中小企業をめぐるところの内外の経済環境のきびしさに対処いたしまして、わが国の中小企業をより一そう振興するためには、中小企業の構造改善を推進するための指導と助成を総合的に実施する専門的な機関が必要であると考えられます。中小企業振興事業団は、このような要請にこたえるために、現行の中小企業高度化資金融通特別会計と特殊法人日本中小企業指導センターを発展的に解消し、両者を統合して一つの総合的な機関とすると同時に、その業務の拡充をはかろうとするものであります。
次に、本法案が規定するところの中小企業振興事業団の概要を御説明申し上げます。まず、事業団の資本金といたしましては、一般会計からの出資金約百四億円のほか、中小企業高度化資金融通特別会計の貸し付け金債権等約百四十億円と、日本中小企業指導センターへの出資金約六億円を引き継ぎまして、合計で約二百五十億円を予定いたしております。そのほか本事業団は、政府保証債の発行等により事業資金に充て得ることとなっております。さしあたり四十二年度は五十八億円を予定いたしております。役員につきましては、理事長以下七名を予定いたしております。
次に、事業団の業務といたしましては、中小企業構造の高度化を促進するために必要な事業を総合的に行なうことといたしておりますが、これを法案に即して御説明申し上げますと、まず第一は、指導事業であります。中小企業の構造改善を促進するためには、大企業の場合と異なりまして、何よりも親身になって相談に応じ、適切な助言を行なうことが大切でございます。事業団が都道府県と協力いたしまして、中小企業者の依頼に応じて必要な指導を行なうことといたしております。
第二は、資金の貸し付け、あるいは施設の譲渡事業であります。事業団は都道府県の助成を前提に、都道府県と協力して、工場団地、商業団地、共同工場、共同スーパーマーケット、ボランタリーチェーン等、中小企業者の事業の共同化、協業化を中心とする構造高度化事業に対して、長期、低利の資金の貸し付けを行なうとともに、さらに中小企業者の依頼に応じまして、これらの事業に必要な施設を造成建設いたしまして、分割譲渡を行なうことといたしております。また織布業の構造改革事業も本事業団の業務の対象に予定をいたしております。本事業団対象事業の融資条件は業務方法書で定めることといたしておりますが、次のとおりでございます。工場団地、商業団地等の一般案件につきましては、助成割合は事業団が四〇%、都道府県が二五%、合計六五%でございます。金利につきましては、事業団から三・五%で都道府村に融資をいたしますが、都道府県の無利子の金と合わせまして中小企業者に対する助成条件としての金利は二・二%になるわけでございます。償還期間は従来の十年の償還期間を十五年にいたします。ただ共同施設につきましては十二年でございます。また共同工場、公害施設につきましては、助成割合は事業団が四〇%、県が四〇%、おのおの無利子の金を出しまして、八〇%の助成割合で中小企業者に対しまして無利子で助成をいたすということになるわけでございまして、償還期間は十五年でございます。それから予定をいたしております織布業の設備の近代化事業につきましては、七〇%の助成割合でございまして、事業団が六〇%、都道府県が一〇%。金利は事業団が三%、それから都道府県は無利子の金を一〇%出すわけでございまして、償還期間は十二年ということになるわけでございます。
第三の事業は研修事業であります。企業の発展をささえるものは何よりも人でございまして、本事業団は中小企業の経営管理の合理化や技術の向上をはかるために都道府県等の指導の担当者を養成いたしますとともに、中小企業者またはその従業員に対する研修にも力を注ぐことといたしております。
事業団は以上の業務のほかに、これらの各業務を行なうための基礎となるところの中小企業の情報の収集や調査研究を行ない、中小企業施策を小規模事業者のすみずみまで啓蒙し普及する事業を行なうことといたしておる次第でございます。
以上、この法案について補足説明を申し上げました次第でございます。何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/22
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023・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) それではこれより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/23
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024・小柳勇
○小柳勇君 大臣に質問いたしますが、先般の本会議でも私質問しましたように、公団、公社の設立については私ども基本的に反対であります。にもかかわらず、中小企業振興事業団をこの国会でつくらねばならぬ一番大きな理由を大臣から再度お聞きしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/24
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025・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 公団、公社につきましては、政府は大体これを整理するという方針でやってきておるのでありますが、しかし公団、公社の設置が必要であるという場合には存続してもいいという考え方を政府はいたしておるのでありまして、そこで今回も公団、公社は大体新設しないという政府の方針でもちろんあったのでありますが、しかし、通産省といたしましては、石油開発公団と、そしてこの中小企業振興事業団と二つ特殊法人として認めてもらったわけでありますが、石油開発公団のことはまた次の機会に申し上げるといたしまして、中小企業の振興事業団というものは、これは従来ありました高度化資金の問題とそれから指導センターと、これをあわせるというので、従来存したものを、それを二つを一つにするということで、しかもそれを一つにしたほうがより多く効果的であるということで、政府もこの事業団を設けることを認めた次第でございまして、私たちも従来二つあったけれども、これを一つにしたほうが中小企業の振興のためにより有効であるという確信を持ちまして、政府に説得したりし、そして設けることにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/25
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026・小柳勇
○小柳勇君 原則的なものはわかりましたが、二つのものを一つにしたほうが効果的だとおっしゃいますが、どういうところですか。もう少し具体的に大臣からお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/26
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027・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 私は抽象的に観念的に申し上げますが、従来この高度化資金ということがいつも皆さん方から御非難をこうむっておるのでありますが、高度化資金が運用がうまくいってないということ、まあそれは不景気であったということも原因でありますが、一つは私も指導が足りなかったと思うのです。そこで、せっかく皆さん方の御賛同を得たこの高度化資金が、これが不要に帰すようなことでは本来の目的を達しないわけでありますからして、そこで一方では中小企業の指導センターを設けて指導しておりますけれども、この指導と、それから近代化にしても高度化にしても、そういうような資金の融通あるいは高度化についてのいろいろの指導というようなことをあわせてやったほうがより有効だというように考えた次第でありまして、別々の機関で別々でやるよりも、一つに合わせてやるほうが有効であるということで考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/27
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028・小柳勇
○小柳勇君 大臣、政府の方針は総理大臣もたびたび答弁されるように、公社、公団は縮小しなければならないと政府の方針をあらゆる機会に述べておられるでしょう。その政府の方針があるにかかわらず、事業団をつくるなれば、閣議でもあるいは大蔵省に対してでも、その他大臣が説明しておられるはずなんですよ。だから言われたようなことで政府が納得し、大蔵省などもこの事業団設立に納得したとは私は思えない。私は納得できないですよ、そういうことでは。どういうふうに閣議などで説得をされたのか、大臣からもう一ぺんお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/28
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029・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 小柳委員も御承知のとおり、中小企業の振興ということが現内閣の重要政策であります。そこで中小企業の振興のためにはこの事業団をつくることが必要であるということをわれわれそれを強調し、また、したがって大蔵大臣も総理も中小企業の振興ということが政府の重要施策の一つであるからして、それを達成するためには事業団を設けたほうがいいということで賛同を得たわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/29
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030・小柳勇
○小柳勇君 ちっとも答弁にならぬですよ。具体的に中小企業の振興をするのは、もちろん政府もその方針であろうし、私どももそれは大きな方針です。ただ、中小企業を振興するために事業団をつくらなければならないというだけでは納得しないですよ。これによってどういうふうにそれでは変わりますか。現在この高度化資金特別融資会計がありますね。指導センターがあります。研修所があります。それを指導センターを解消して一緒にするとどう変わりますか、大臣。大臣は責任者なんだから、大臣から答弁してくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/30
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031・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 具体的なことは局長から申し上げますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/31
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032・小柳勇
○小柳勇君 そこが一番大事なことですよ。大臣から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/32
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033・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 局長のほうが適切な御答弁ができると思うのでありますが、私といたしましては、中小企業振興事業団を設ければ、構造改善、体質改善、そういうことが中小企業の振興の基本でありますからして、したがいまして、体質改善なり構造改善ということを達成するがためには、事業団を設けたほうがいいという考えでやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/33
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034・小柳勇
○小柳勇君 大臣の答弁といたしまして納得できないですよ、そういうことでは。衆議院ではどういうふうにお答えになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/34
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035・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 衆議院では、いま申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/35
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036・小柳勇
○小柳勇君 衆議院では、ただそれだけの答弁で通ってきたこの法律を——ぼくらは納得できないですね。ひとつ長官から、現在の組織を整理統合して事業団をつくれば、どういうような具体的な利益があるのか、本部の組織、地方の組織を具体的に説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/36
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037・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 振興事業団の設立の必要性でございますが、従来高度化資金特別会計を通じまして、中小企業構造の高度化の工場団地あるいは商業団地その他の施策を推進しておったわけでございますが、この高度化資金融通特別会計だけでは指導啓蒙という点に欠けるところがございます。そこで従来の方式だけでは小規模層までこの施策を浸透して、共同化、協業化というものを進めるわけにいかない状態になったわけでございまして、そこで啓蒙指導の面も両者を合わせまして、小規模事業団の端々までこの共同化、協業化を啓蒙指導しながら、また片一方では事業団から助成をいたしながら進めていきたいということが事業団設立に踏み切った一つの理由でございます。
それからもう一つは、従来の中小企業高度化資金の助成割合は、これは一般会計だけから出てきておりますので、従来五〇%でございました。ところが、いろいろな制約もございまして、実質は三五%程度の助成割合にしかなっていなかったわけでございまして、今度は一般会計の金と同時に財政投融資の金も入れまして、実質的には六割五分、六五%の助成割合に引き上げるということにいたしたわけでございます。また助成対象につきましても拡充をいたしまして、それからまた償還期間につきましても、先ほど補足説明で御説明申し上げましたように、大幅な延長をいたしたような次第でございまして、先生御承知のように外資の自由化、あるいは後進国からの追い上げというような事態に対処いたしまして、中小企業構造の高度化を急速に進めていかなければいけない。それも従来の高度化資金だけの実情でできておった層ではなくて、小規模層にまでこれを徹底していかなければいけないという趣旨によりまして、この事業団を設立することにいたしたわけでございます。
それで、地方組織との関係でございますが、この事業団はできるだけ強力、簡素な組織にいたしますと同時に、また都道府県も地元に密着をいたしておりまして、中小企業の指導振興という仕事をやっておるわけでございます。できるだけ都道府県と協力をしてこれを行なうということで、窓口は都道府県にいたすということにしておるわけでございます。ただ従来のもう一つ高度化資金でできなかったのは、単県——一つの県だけの事業でございますと、高度化資金でできたわけでございますが、最近の情勢は、東京都からたとえば茨城県あたりに移っていくというような場合には二つの都道府県にまたがるわけでございます。そういう場合には従来の高度化資金方式ではできない。またボランタリーチェーンあたりにつきましても、本部が東京にございまして、それから小売り店が各県にばらまいてあるという場合も、単県の高度化資金特別会計方式ではできないということで、これは各県から必要資金を事業団に融資を、金を入れまして、事業団が今度商工中金等を窓口として金を出す、ただしその際におきましても、各都道府県の診断、指導というものもあわせ行ないまして、都道府県とも協力をしていくという方式にいたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/37
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038・小柳勇
○小柳勇君 いま長官がおっしゃいました答弁の中で、まあ肯定できる、なるほどそれも一つの理由だなと思うのは、単県のものを複県にする、二県以上にまたがるものに対して統一して指導していきたい、あるいは融資していきたいというもの、それから都道府県の調査指導などがまあまあ考えられます。その他のことは指導啓蒙にしたら指導センターを強化してもいいし、融資条件の拡大緩和だったら現在のものを手直しすればいいわけでしょう。それから地方組織は現在よりも強化しない。だから商工中金が扱うし、また県の指導は県の商工部が主体であると。政府の大きな方針は公社公団を整理統合する、整理統合するということは少なくするということだ。その方針を変えてまで事業団をつくらなければならぬということは、いまの長官の答弁では、そうだと、なるほどというような大きな理由を私は感じないのですがね。現在の融資特別会計とそれから指導センターとを統合しなければならぬ理由をもう一回ひとつ述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/38
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039・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) お答え申し上げます。従来の中小企業高度化資金特別会計におきましては、二つの都道府県にまたがるものができないと同時に、単県のものにつきましても、これは啓蒙指導ということが一体になることができなかったわけでございます。また従来の中小企業指導センター、これは指導者の学校でございました。そこでこの指導者の学校であっただけの指導センターを今度高度化資金特別会計の機能を合併をいたしますことによりまして、日本中小企業指導センターも指導の面に乗り出していけるようにこれも改善をいたしたような次第でございます。
それと同時にもう一つ、この従来の中小企業高度化資金でできなかった今度の事業団の新たな事業は、造成譲渡の事業があるわけでございます。共同工場であるとか、あるいは団地というようなものを、やはり小さい中小企業の人たちは自分の自己負担において自分の責任において造成をし、それからこれを建設するということがなかなかむずかしい場合もございまするので、事業団の直接事業、ただしこれは県の開発公社あるいは市町村というところにも業務の委託をやる場合もございますけれども、直接事業といたしまして造成、建設、譲渡事業を行なうということ、これは先ほどちょっと御説明を漏らした点でございますけれども、そのためにはやはり権利義務の主体としての事業団というものが必要であるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/39
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040・小柳勇
○小柳勇君 いま最後の土地なり工場団地などの造成譲渡の事業をやるとおっしゃった、これはまあ肯定できますね。いままでこれはやってないんだから。それにしてもいま役員の話だけありましたが、本部の職員あるいは出先機関の人員の拡充、あるいは予算の裏づけなど、どういうふうになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/40
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041・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 本部におきましては、従来の指導センターの人間が百二十五名ほどおったわけでございますが、それに今度四十名をプラスいたしまして、百六十五名という人員にいたすわけでございます。それから地方組織は、これは地方自治制度との関係で衆議院でも非常にやかましい議論があったわけでございますけれども、地方自治の関係もございまして、もっぱら都道府県のほうにお願いするということを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/41
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042・小柳勇
○小柳勇君 土地造成譲渡などの事業をどのくらいの規模でやろうと考えておられるのか。ただいまの説明では指導センターの現在が百二十五名、だからこれにわずか四十名プラスして百六十五名が本部の陣容になるようです。いままで研修所もあったのですね。それから融資特別会計などの指導もあったと、いままでも事業をやっているのですから、それにしてはあと造成譲渡の事業を年間一体どのくらいの規模でやろうとするのか。それとその仕事をほとんど地方自治体にまかせようとしているが、地方自治体はこの法律が通ればいやおうなしにかぶっていかなければならぬのか、そういう点は一体どう考えているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/42
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043・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 建設譲渡事業につきましては、初年度の事業でございますので、これはまだ直ちに大幅にやるということは予定いたしておりませんけれども、共同工場の建設貸与事業というものがあるわけでございます。これは大体四十二年度におきましても二十二工場程度を予定いたしておるわけでございますが、これは主として県のほうへ金を流して建設譲渡を行なってもらうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/43
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044・小柳勇
○小柳勇君 二十二工場に対する資金及び県のそれらの仕事に対する補助など、どういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/44
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045・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 全体で二十二工場につきまして二十二億の助成規模になるわけでございまして、これが全体で事業費の八〇%でございます。それからその中で二十二億の半分が県の負担でございますんで、大体十一億が県の負担かと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/45
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046・小柳勇
○小柳勇君 これは一つの事業団をつくられる理由になるでしょうが、全般的にいいまして、政府の方針を変えて、ここで事業団をつくるということについては、もう少しまだ理由が私は薄弱なように思うわけです、これでも。たとえば指導センターというものがいままでは指導員の養成であったならば、その人はこれから十分指導できるはずでしょう。そうすると、指導育成の仕事はそれを強化してもよろしいし、またこのいまの土地造成の助成金二十二億円にいたしましても、ほかのところの各省がやっておりますように、事業団をつくらなくてもこれはできるはずですし、事業団をつくったから、特に県が動くということにはならぬのではないかと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/46
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047・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) この事業団を設立しますところの一つのみそは、これが指導と助成とを同時に行なっていくということにあるかと思うわけでございますが、そのコンサルタントにつきましては、従来もちろん指導センターにも五十三名ほどおったわけでございますが、これは学校の先生あるいは教務的な仕事をやっておったのが主でございまして、そこでこの中からもやはりそういう経験のある人を一部は使いますけれども、それでは学校の業務というものも残るわけでございます。それでは不十分でございますので、新たに今度四十名を増加するうち二十名をコンサルタントとして雇い入れる。あるいはさらに学識経験者の中でそういうコンサルタント的な能力のある人を三十名ぐらい委嘱するというようなことで、この中小企業の高度化あるいは協業化という仕事は非常に高度な経営管理技術あるいは適正規模とか、あるいは工場のレイアウトであるとか、団地のつくり方というような非常に高度な知識が必要なものでございます。そういう点で県だけの段階では、まだまだこれは不十分な点もございますので、そういうふうな有能なコンサルタントを集めまして、県を指導しながらやっていくというところが一つのみそでございます。そういう点でこの指導もあわせ行ない、従来の指導センターは学校だけであったわけでございますが、今度はその事業団をつくります際に、そういう高度の指導事業も行ないたいということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/47
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048・小柳勇
○小柳勇君 最後の問題はあとで質問したいんですが、いまの指導ですね、指導に非常に重点を置いて答弁されましたので、その問題だけ質問しておきますが、中小企業振興事業団の中に指導部門にエキスパートが何人か配置される、その人は直接その工場団地やあるいは店舗などの指導をするのでなくて、県の商工課など各地方自治体を指導するような体制ではないかと考える。その人が直接たとえば工場団地の造成、土地造成なり、譲渡なり、そういうものを指導するにしては人員が足りなすぎるわけですね。どういうふうな構想なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/48
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049・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 原則としては都道府県に総合指導所というものを設けますので、また従来から設けておりますので、そこでやっていただくわけでございますが、ただ先ほど申し上げましたように、相当高度化、協業化という面の経営管理等は高度のものが必要でございます。中小企業振興事業団におきますところのコンサルタントが必ずこの都道府県が行ないます場合には参加をして指導をするという形が一つと、それから今度は新たにそういう道が開かれたわけでございますが、指導センターも中小企業者から相談の依頼がございました場合には、これに応じて指導をし、助言をすることができるということにいたしておるわけでございます。そういう点につきましては、そういう事前の指導でありますとか、あるいは従来の高度化資金特別会計時代には行なわれておりませんでしたアフターケアも必要なわけでございます。そういうふうな指導も中小企業者のほうの依頼を受けまして相談に応ずるということもやはり考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/49
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050・小柳勇
○小柳勇君 もう一つ、この具体的な問題ですが、現在までの指導センターの職員は公務員が主体じゃないかと思うんですがね。国家公務員、そうじゃございませんか、いままでの指導センターの職員。今度は中小企業振興事業団になりますと、事業団の職員になりますが、現在の指導センターの人たちの身分、それから将来この事業団ができました場合の身分の移行などはどういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/50
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051・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 中小企業指導センターは特殊法人の中小企業指導センターでございます。その特殊法人の指導センターの職員でございまして、国家公務員ではございません。ただこの指導センターの職員は、全面的に今度の同じく特殊法人中小企業振興事業団へ移っていくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/51
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052・小柳勇
○小柳勇君 通産省の指導ももちろん当然必要なんですが、その監督のもとに指導センターがあって、その指導センターがいままで中小企業振興のためにいろいろ指導してこられた。もちろんいままでいわゆる指導者を養成する機関であったでしょうが、あと中小企業振興事業団を通産省がもちろん監督する、その中小企業振興事業団の職員が県の商工課などに——窓口は県の商工課ですから、県の商工課などを指導してまいるということを考えまして、その公社公団になりますと、指導体制というものは弱まってまいるのじゃないか、中間にありますから、通産省からももちろん指導はされるでしょうが、人員が足りませんからね。指導体制についてはどういうように考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/52
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053・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) この指導体制等につきましては、振興事業団をつくります際に各県の商工部長の人たちとも数回にわたりまして、立案段階においていろいろ相談をいたしまして、そういう心配のないという確信を得た上で設立に踏み切ったわけでございます。この中小企業振興事業団のコンサルタントであるエキスパートをたくさん養成してもらったほうが、むしろ県のほうとしてもやりやすいというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/53
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054・小柳勇
○小柳勇君 最後の問題はあとで長官にまた質問しましょう。
大臣に御質問いたします。けさの日経で見ますと、役員の人事などまだきめかねておる。衆議院の本会議では附帯決議がつけられまして、民間人から選ぶことを基本に中小企業対策問題に詳しい人、そのため大企業からでなく、中小企業分野から選ぶ、こういう条件が附帯決議としてついておりますが、法律が通りまして、一カ月ぐらいいたしますと発足しなければなりませんが、役員人事につきましては、先般来、議運の委員会でも天下りとか何とか非難がございますが、この衆議院本会議の附帯決議などを勘案して大臣はどういうふうに役員を選ぼうと考えておられるか、見解を聞いておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/54
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055・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) この中小企業の振興という問題は重要な問題でありますので、私の希望としては、中小企業に挺身してやる人、そういう人をさがしたいとこう思っておるのであります。でありますからして、なおもう一つ欲をいえば、いままで中小企業者として苦労しておる人、そういう人がいろいろ体験を持っておりますからして、そういう人で将来理事長としてりっぱに働き得る人、そういう人を私としては選びたいと、こう考えております。ただ月給もらってやるというような人じゃなくして、中小企業の振興のために挺身したいという人、だからして、衆議院でもお願いしたんですが、皆さん方のほうでもそういう適任者があったら御推薦をお願いしたいと思います。私もあっちこっちいろいろと物色しておる最中でございます。そういう適任者があるかどうかわかりませんが、私の希望としてはそういう考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/55
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056・小柳勇
○小柳勇君 もう一回聞いておきましょうかね。大臣、もうちゃんと腹案がありましてぼかしながら言ってるんじゃないかと、そういうふうな話を私どもしてるんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/56
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057・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 腹案は全然ありません。それははっきり言っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/57
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058・小柳勇
○小柳勇君 いままでの大臣並びに長官の答弁で、事業団にどうしても移行しなければならないということは、私はまだ問題がありますけれども、一応それはそれとして、質問を先に続けていきますが、長官のさっきのことばの中に、資本自由化、あるいは発展途上にある国が進出してまいっておる、したがって、日本の中小企業というものをうんと指導育成しなければならぬ、また協業化しなければならぬ、そのためにこの事業団をつくるんだということでありますが、資本自由化がいま中小企業に与える影響及びこの後進地域の進出が日本の中小企業に与える影響を、具体的にはどのように把握しておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/58
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059・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 外資の自由化が全面的に実施されますというと、中小企業の分野には相当な影響があらわれることは事実でございます。そこでこの資本の自由化、特に中小企業の分野における資本の自由化は慎重に行なうという方針で、今度七月一日から発足しますところの第一段階の自由化というものの中には、中小企業業種は入っていないと申し上げてもいいかと思うわけでございます。しかしながら、この外資の自由化という趨勢は、世界の仲間入りをしたわけでございますので、当然これは避け得られない前提として考えていかなければならない。だから、たとえば五年なら五年という一応の目標を置きまして、その間に、まず第一に、中小企業の業種ごとにこれが国際競争力が十分つき得るように持っていく。これは中小企業振興事業団等を中心にして施策を講ずるわけでございますが、そういう体制が整ったものについては自由化を進めるというようなことを考えておるわけでございます。
それから後進国からの追い上げの問題でございますが、これは韓国であるとか台湾であるとか、そういうところの軽工業化が進んでまいりまして、直接日本国内にこれが入ってきて影響を与えておるというよりも、現在の段階では、第三国市場において貿易——輸出が、日本が後進国から侵食されてきておるというような状態が出てきておるわけでございまして、そういう影響は雑貨の部門とか繊維の部門とかいうようなところへ現実に徐々に出てきております。そういう産地の人たちが非常にこの問題を心配して、自分たちで何とかしていかなければいけないという相当の熱意と希望があるわけでございます。そういう大勢に応じまして、やはりこの振興事業団等の啓蒙、指導を中心にいたしまして、業種別に、産地ごとにそういう中小企業者の構造改善をはかりまして、中小企業のむしろ後進国に負けないところの合理化をはかるとか、あるいは高級品に転換をしていくとかというようなことをやっていかなければならないというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/59
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060・小柳勇
○小柳勇君 資本の自由化のほうから少し質問いたしますが、直接に外国資本が入るということについては、いまおっしゃったとおりだと思うわけです。ところが、下請企業の親企業に外国資本が入りまして、第一、第二下請に自然的に間接的に入ってくるものがあると思うのです。そういうものに対して何か法的な保護なり、税上の保護なり、あるいはまあ手形でもいいわけですが、何か商取引の保護はしておかなければ、表面的でなくて間接的に外国資本というものが侵食してくると考えるが、こういうものに対して政府としてはどういう保護をするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/60
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061・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) そういう御心配に対しまして、実はきょうの閣議で、政令で決定いたしまして、そういうようなことのないように方針を立てた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/61
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062・小柳勇
○小柳勇君 ちょっとそれを概略でいいですから説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/62
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063・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) たとえば日本の円で小会社の、下請会社の株を買うとかいうようなことをして、そうして下請会社を自由に支配するというような場合について、きょう政令で決定したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/63
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064・小柳勇
○小柳勇君 では、この次の機会にその政令につきましてはまた質問をすることにいたしますが、下請企業がいま一番影響があると思うのです。それから単独の企業ってなかなかないですけれども、中小企業といいましてもほとんどが下請企業ですから、その問題については十分政府としても考えておいてもらいたいです。
それから第二の発展途上にある国の進出ですが、韓国や台湾などいわゆる日本に影響のあるそういう国に対しましては、国際的には日本も少しめんどう見てくれよという声が非常にあるわけですね。それと、考えてみまして、いま日本の中小企業というものがそんなに力があるかというと、私はないと思うんです。日本の経済全体は、発展途上にある国々に対してもう少し援助をせよという国際的な声がある。ところが、中小企業自体をずっと分析をしてみますと、決して発展途上にある国の中小企業と比べて力があるとは考えられない。したがって、日本の中小企業などが主として製造しあるいは販売し、取り扱っているような品物については、やはり特別な保護をしておかなければならぬ、そういう国に負けないようにですね。したがって、それは具体的でなければならぬと思うのです。抽象的にいいましてもこれは援助にならぬと思うのだが、中小企業振興事業団ができたために特別にどうすると、こういうような何か方策がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/64
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065・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 中小企業振興事業団を中心といたしまして、そういう配慮からいたします施策といたしましては、やはり産地ごとにその実態に応じたところの指導をやっていかなければいけないわけでございまして、たとえば手袋だとかあるいは綿・スフあたりも、産地ごとに今度は構造改革までやっていこうということを考えておりまして、そういうふうな産地ごとに商工組合あるいは協同組合等が中心になりまして、自分たちの団結の力あるいは組織の力でこの問題を解決していこう、あるいは共同工場を立てていこう、あるいは共同の技術の研究をしていこうというような場合には、振興事業団がそういう共同施設につきましても指導をしながら、貸し付けを行なうということをいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/65
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066・小柳勇
○小柳勇君 協同組合や協業組合からその貸し付けを申請する場合に、私の国の品物は、たとえば台湾や韓国の商品と競合するから特別に融資をめんどう見てくれというようなことを申請すれば、優先してこれを考えると、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/66
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067・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) たとえば繊維等でも考えておりますように、共同で新しい機械をスクラップ・アンド・ビルドで入れかえていこうという共同事業を行なうというような場合には、優先的に考えていきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/67
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068・小柳勇
○小柳勇君 次に、その発展途上の国が、特恵関税などを盛んに用いておるようであるが、日本の政府としては一体どういう考えを持っておられるか、これを通産大臣から聞いておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/68
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069・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 特恵関税の恩恵については、これは日本の中小企業に非常な影響を及ぼしますので、この点については慎重に考慮したいと考えておって、まだ具体的にはどうするということは考えておりませんが、慎重にひとつこれを考慮しようということで一応の話し合いはしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/69
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070・小柳勇
○小柳勇君 その一応の話のところをもう少しひとつお話し願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/70
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071・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) まだ具体的な話し合いが出ておりませんから、具体的に話し合いが出たときにはそれは具体的にきめますが、まあこの問題については慎重にひとつ考慮してやるべきだという話し合いをしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/71
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072・小柳勇
○小柳勇君 いま長官からも手が上がりましたが、長官の考えも聞いておきたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/72
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073・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 特恵関税問題につきましては、特にこれは先生御指摘のように中小企業に及ぼす影響が非常に強いので、少なくとも通産省内部におきましても、中小企業庁としては非常に慎重にこれは対処すべきだということを主張しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/73
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074・小柳勇
○小柳勇君 次にもう一つ問題は、ケネディ・ラウンドによる日本の中小企業の近隣諸国の中小企業との競争の問題がありますが、その問題についての日本の政府の見解を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/74
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075・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) ケネディ・ラウンドのことにつきましましては、詳細は明日発表することになっておりますが、大体関税は三〇%まあ減少すると、現行率よりも三〇%減少するということになっておる。これはまあ日本の輸入、輸出ともに三〇%でやるということで明日詳細な発表になると思っております。したがいまして、日本の大企業、たとえばアメリカあたりへの鉄の輸出あるいは綿製品の輸出など、そういう点においては三〇%下げられることが非常に有利になるというように考えておりますが、輸人については大体は日本は原料品の輸入が多いので無税品が大体多数を占めております。そこで中小企業についてその関税の引き下げがどれだけ影響あるかということについていろいろわれわれのほうでも考えておるのでありますが、もし急激に中小企業が影響を受けるような場合には、中小企業に対して特別のひとつ考慮を払うべきであるというように考えておるのでありまして、目下中小企業局のほうでもその具体案を研究しておると思うので、政府委員からその点はお答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/75
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076・小柳勇
○小柳勇君 何か具体的にあれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/76
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077・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) ケネディ・ラウンドにつきましては、ケネディ・ラウンドの交渉の際に中小企業品目につきましては、できるだけこのケネディ・ラウンドのこちら側の影響が少なくなるようにという配慮で品目ごとの交渉をいたしたような次第でございまして、多少この中にも中小企業品目も入っておりますけれども、条件品目の中にも入っておりますが、大体まあこの程度でございますならば、特別の影響はないというふうに私どもは考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、このケネディ・ラウンドというものをきっかけに先ほど大臣がお話しになりましたように、国際競争というものは一そう激化するわけでございますので、中小企業の国際競争力、体質の改善ということは、これをきっかけにさらにやはり前進をさせなければいけないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/77
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078・小柳勇
○小柳勇君 もう一つ、これは原則論なんですが、協業化あるいは共同化といいますが、現在の日本の中小企業の皆さんはなかなか好んでないんですよ。政府並びに私どもも、協業化並びに共同化することで中小企業はよくなるのだと、こう考えておりますけれども、そのやる人たちはあんまり好まない。ただ金を借りなきゃならぬからしなけりゃならぬという人もありましょうし、どうもはたから見ておりまして、この種類の仕事は協業化したほうがよかろうと思いますものでも、やっぱり自分が社長でやる、あるいは自分が代表でやるほうがおもしろいんでしょう。また資本金をどのくらいにしたほうが一番日本の中小企業としてやりいいかなどということは具体的には計算ができぬのではないかと思うのです。業種もありましょうし、土地柄もありましょうしね。だからこの高度化資金というものが協業化並びに共同化などを中心に考えておるが、一体日本の現在の中小企業というものはそれで早急に振興できるであろうかという疑問を私は常に持っておるわけです。そのもう一歩手前に、現在の中小企業それぞれのものが、金が足らなければ金を、人が足らなければ人を、まず協業化する前にそのおのおのの事業に手を入れなければ、倒産などを防止できぬのではないかと私考える。で、その問題とこの中小企業振興事業団というのは一体どういう関連があるかお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/78
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079・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 先生御指摘のように、日本の中小企業は過当競争、過小、過多性があるわけでございますが、できるだけ共同化、協業化に持っていかなければならないと思いますが、どうも一国一城のあるじの考え方も多いのでございまして、なかなか持っていけないと思います。そこでこの振興事業団をつくりまして、そういう特に小規模事業の層の人たちに対しまして啓蒙をしながらいろいろと資料も流し、それから指導もいたしながら、そのために近く広報課というものも一つ特別につくろうかと思っておりますが、そういうふうに、今度事業団をつくりました一つの使命も、そういうふうな人たちのものの考え方を変えていこうというようなことも一つのねらいでございまして、共同化、協業化というもの、これが非常にむずかしいからこそ、この振興事業団をつくってまで助成をしていきたいと考えておるわけでございまして、この振興事業団が、そういう意味におきまして小規模零細層が共同化、協業化やりやすいようにこれを持っていきたいということを考えておるわけでございますが、ただこれに乗り得ないところの小規模零細層の人たちの個別企業対策はそれではどうするのかという問題でございますが、これにつきましては、やはりこれは小規模零細層対策としての一つの観点からの中小企業対策の大きな柱があるわけでございまして、その点につきましては、昨年度以来設備近代化補助金のほかに機械類の貸与制度も行なっております。あるいは特別小口保険あるいは無担保保険というような制度もありますし、あるいはことしから完全給与制の税制上の特別措置にも踏み切ったような次第でございまして、そういう点におきまして、小規模零細企業対策という一つの柱につきましても十分に施策を講じた上で、やはり事業団というものの設立にも踏み切ったというような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/79
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080・小柳勇
○小柳勇君 その問題、少しまだ議論がありますが、商業団地や工業団地をつくり、そしてこれを売る。そこまでやりますと、その近隣にある零細企業ですね、小規模企業というものがまた非常に影響され圧迫されてまいります。それで、その商業団地及び工業団地を造成し、これを譲渡することについても、もちろん私ども賛成である。またこれにはその地域における規模をどのくらいの標準でやったら一番いいか、経営しやすいか、あるいはその品物が販売しやすいかという規模も必要であろう。それは将来の問題として論議しますけれども、その商業団地や工業団地をつくって譲渡いたしますというそのりっぱなアイデア、いま私が申し上げるような現在その辺にある小規模零細企業の諸君との競合ですね、こういう問題は非常にたいへんな問題じゃないかと思うわけです。したがって、そういう問題もこれはPRだけで済まぬ問題でありますから、だからここに工業団地、商業団地のりっぱなものをつくるならば、その前にその周辺にある零細企業や小規模企業の育成なり援助をしておかなければならぬのじゃないか、こういうことも考えるわけでですがね。だから、りっぱな商業団地、工業団地をつくるその前に、この地域の育成強化をやるというようなことについてはどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/80
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081・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 御指摘の点非常に大事な点でございまして、私どもも昨年以来、零細企業対策というものをまず充実しようではないかということから、先ほど申し上げたような施策を講じたわけでございます。今後の行き方としましては、やはり地域全体というものをながめまして、そこの地域全体の零細企業層も含めての高度化事業をどうするかというところから入っていかなければいけない。個別の工場団地の各個ばらばらな申請だけを頭に置いてはむずかしい問題でございますので、そういう点で今度事業団をつくりまして、もう少し広域的な見地、広い見地からも指導をいたしていきたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/81
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082・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) なお御質疑はあろうと存じますが、午後一時に再開することにいたしまして、これにて休憩いたします。
午後零時二分休憩
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午後一時二十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/82
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083・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) それではこれより商工委員会を再開いたします。
先刻委員の変更がございました。竹田現照君が辞任され、その補欠として鈴木強君が選任せられました。
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084・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 休憩前に引き続き、中小企業振興事業団法案の質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/84
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085・小柳勇
○小柳勇君 午前中に引き続いて質問いたしますが、地方公共団体に仕事が余分にかかってまいるわけです。それで地方公共団体のほうにしぼって少し質問をいたしますが、いままでも県の商工課などが中心で中小企業を育成し強化してまいったのでありますが、この中小企業事業団ができて、相当量の仕事がふえてまいると思うのですが、中小企業庁としてはどのくらいに見ておられるか、仕事がふえていく割合を数字的にどのくらいに見ておられるか、ひとつお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/85
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086・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 融資関係の事業につきまして、四十一年度が助成規模で百六十七億でございましたが、今度二百六十六億になりますので、約百億の増加というふうなことになるかと思います。それと同時に、診断指導事業もそれに伴って増加していくというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/86
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087・小柳勇
○小柳勇君 そのための地方公共団体に対する国の補助などは全然ないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/87
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088・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) そのためにつきまして、診断指導事業費の中で、従来診断指導員が四百四人でありましたけれども、これを五百八十四人に増加いたしまして、それに必要な事業費を補助いたしております。それからまた総合指導所も十六県一市でございましたのを、今度はさらにまた十五県二市ほどふやすことにいたしました、それについての補助金もふやすことにいたしておりまして、大体診断指導事業費で従来よりも一億くらいの増加を見込んでおるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/88
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089・小柳勇
○小柳勇君 県の診断指導員のほかに、たとえば民間の指導員などを強化する意思はないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/89
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090・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 中央会あるいは商工会、商工会議所の指導員につきましても、おのおの増員をいたしておるような次第でございまして、たとえば商工会、商工会議所の経営改善指導員につきましては、現在四千四百四十人でございますけれども、これを四千七百十二人に指導員をふやすというような増加もいたしておる次第でございます。それから県の中央会につきましても、指導員は四百十四人でございますが、これを今度四百六十人にふやすというような増加をいたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/90
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091・小柳勇
○小柳勇君 これに対する財政的な援助はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/91
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092・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 小規模事業対策費はベースアップ等も含めまして、商工会、商工会議所につきましては、昭和四十一年度が二十一億でございましたが、今度二十五億にふやすわけでございます。それから中央会関係は、ベースアップを含めまして四十一年度で一億七千三百万円でございますが、今度一億九千七百万円にこれをふやすというふうなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/92
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093・小柳勇
○小柳勇君 中小企業振興には、いわゆるお役所の指導だけではなくて、民間の協力も必要だと思いますから、この中小企業振興事業団ができた機会に、民間のそういう指導員なりを増加される方向に今後考えてもらいたい。これは私の希望ですが。
次に融資の関係で、県が第二類で四〇%、それから第一類は二五%の負担になります。で、弱小県では、これが二五%も四〇%も、県の負担がたいへんだから、もう少し国でめんどう見てくれないかという要望が出ておるのですが、先般予算委員会でも私質問したのですが、その後どういうふうなことで政府部内として意見が統一されておるか、見解を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/93
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094・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 従来、高度化資金時代におきまして、都道府県の負担分は二五%でございまして、国が二五%で五〇%にいたしておったわけでございますが、それを今度は都道府県の負担割合二五%は据え置きにいたしまして、国の負担分をさらに一五%ふやして四〇%にしたような次第でございますが、そういう点で負担割合につきましては、都道府県のほうの負担分は増加をいたしておりません。それから織布関係につきましては、これはむしろ一〇%にいたしたわけでございます。これは非常な負担の軽減になるかと思うわけでございます。ただ、それと同時に、財政の負担力が弱いところの都道府県につきましては、自治省と協議をいたしまして、地方交付税の算定根拠になる基準財政需要に十分な算定根拠を見込んでもらうというふうなことで、地方財政力のてこ入れもいたしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/94
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095・小柳勇
○小柳勇君 各県から中小企業庁などに資金の問題で陳情などきていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/95
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096・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) この問題につきましては、この事業団を設立いたします際にも、都道府県の商工部長を数回会議に招集いたしまして相談をいたしたわけでございまして、そのときにも、地方交付税の算定基礎というようなものも十分見込んでほしいというような要望はあったわけでございまして、それを受けまして、自治省ともそういう点に達したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/96
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097・小柳勇
○小柳勇君 次は、この商工中金で使うわけですが、商工中金でも仕事がまたふえてまいる。ただ商工中金の場合、金融を申し込みましてもなかなか簡単に決裁ができない。これは銀行と同じ悩みがございますけれども、せっかく張り切って中小企業振興事業団をつくりまして、なるべく簡単に融資したいということでいきますが、商工中金のほうもたくさん仕事があるものですから、これだけにかかっておるわけにまいりませんでしょう。で、いま現地のほうの希望としては、県にしても商工中金にしても、もっと手続を簡単にして、そして早く決着がつくようにしてくれぬかという希望がたくさん出ておるわけですが、商工中金などいままでの様子を見ておって、これからどうしようとされるか、聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/97
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098・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 商工中金におきましても、今度中小企業振興事業団ができましたのを機会に、この協業化事業にも積極的に協調いたしていきたいという方針を固めておりまして、先生御指摘のように、事務手続等の簡素化、あるいは協業化の指導という面につきましては、特別に商工中金の中に協業課という課を新設いたしまして、そういう点で万遺漏のないように全体のめんどうを見ていくという方向をいままで進めておるような次第でございます。そういう点で先生御指摘のように、事務手続の簡素化ということは、たとえば商工中金を窓口にするものは商工中金の窓口に行きますならば、それで手続は済むというようにしたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/98
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099・小柳勇
○小柳勇君 今日までの協業化、共同化の融資申し込み、これに対して商工中金で扱いました実績はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/99
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100・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 商工中金におきましては、三十九年度におきまして、工場団地と商業団地を合わせまして三十七億六千九百万円ほど融資をしております。四十年度におきましては三十七億五千三百万円、それから四十一年度が三十三億二千万円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/100
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101・小柳勇
○小柳勇君 この申し込みに対する融資の割合はどういうふうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/101
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102・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 大体におきまして、融資割合は全体の実績で見まして一六・八%程度、これは工場団地、商業団地、あるいは共同施設、店舗共同化等全部ひっくるめて商工中金一六・八%ぐらいの実績になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/102
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103・小柳勇
○小柳勇君 これは大臣にお聞きしておかなければなりませんが、三十九、四十、四十一ですね、この四十年から四十一年度は融資の金額は三十七億から三十三億に減っておりますし、しかもその融資率は一六・八%ではですね、せっかく意欲を焼やして中小企業を振興しようとしても、これではなかなか共同化、協業化はできませんが、今後どういたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/103
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104・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいまお話しのような実績にかんがみまして、今度事業団をつくった機会に、一そうひとつその事業が発展するように努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/104
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105・小柳勇
○小柳勇君 これができまして、振興事業団ができましたあとの融資の申し込みと貸し付けの率をどのくらいに踏んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/105
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106・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 一般のケースが、助成が六五%でございますので、あとの三五%は商工中金で大部分協調融資をしてもらいたいというふうに考えておるわけでございます。助成割合六五%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/106
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107・小柳勇
○小柳勇君 融資を申し込みましてですね、実際貸し付けるその融資割合はどう見ていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/107
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108・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) ただいまのところ、まだそういう点につきましては検討をいたしておりませんけれども、先ほどの自己負担分をほとんどもう商工中金あたりで見てもらうというふうな方式で算定をしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/108
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109・小柳勇
○小柳勇君 三五%の自己負担は商工中金が融資するというようなことで計画立てておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/109
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110・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 一応たてまえといたしまして、商工中金あるいは中小企業金融公庫も入りますけれども、そういう政府関係の金融機関でできるだけめんどうを見ていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/110
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111・小柳勇
○小柳勇君 今度の融資割合が、第一類の場合に事業団が四割、都道府県が二五%、自己負担三五%になっておりますが、その扱いは、事業団のこの四〇%の扱いを商工中金が扱っていくということでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/111
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112・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 商工中金の役割りでございますが、一つは、六五%を事業団と県が出しますが、そのあとの三五%を協調融資をする場合が一つと、それから事業団が今度対象にいたします場合には、事業団から都道府県への金を流す場合と、それから二県以上にまたがるような場合、あるいは繊維のような場合には、都道府県から事業団に金を出しまして、事業団が今度は直接融資をするというような場合があろうと、これはまあ例外的な場合でございますが、そういう例外的に事業団が直接融資をするという場合に、一応債権管理であるとかその地金を流す場合の事務の一部を商工中金に委託をして窓口にするという仕組みになっておるわけでございます。だから二つの商工中金は役割りを果たすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/112
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113・小柳勇
○小柳勇君 そうすると、自己負担のこの三五%を借りる、その場合の担保なり、いわゆる商工中金の貸し付け条件については現状どおりですが、緩和されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/113
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114・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) できるだけこれは国の施策に協調していくわけでございますので、担保等につきましてもきびしいことを言わない、そのためにこそ協調融資であるというふうに私も考えておりますけれども、商工中金も先生御承知のように半官半民ではございまするけれども、一応独立採算制をとっておりまするので、ある程度の担保の徴求はいたすものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/114
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115・小柳勇
○小柳勇君 この自己負担の三五%をいまの業者は非常に問題にしているわけですね。事業団あるいは都道府県で六五%を持ってもらう、貸し付けてもらうということについては一歩前進である。ただあとの三五%なり、第二類が二〇%自己負担せなきゃならない。これがまたたいへんだというので、衆議院でも附帯決議をして、現在持っている敷地などを国が買ってくれないかというような手続もここにいまついておるようですけれども、この自己負担のものについて、いまの衆議院の附帯決議についているような現在の店舗なり、あるいは土地を国が買い上げる、あるいは特別の担保の条件を持つことにするなど、こういうことを考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/115
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116・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) その旧施設、あと地等を事業団が買い上げてはどうかという要望も非常に強くあったわけでございますが、この点につきましては私どももいろいろと検討をいたしてみたわけでございますが、どうも従来建設省関係でも、あと地買い上げを東京都あるいは大阪府等にもやってもらっておりますけれども、いろいろな問題が出ておりますようでございまして、にわかにこれにまだ踏み切るわけに至らなかったわけでございます。そこで、まあこのあと地あるいは旧施設の買い上げというものを、なぜそれでは必要となるかということは先生御指摘のように、これをまあ見返りにして融資を受けたいと、自己資金の調達をしたいということになるわけでございますので、商工中金等が協調融資を自己負担分についてやってもらいます場合にもそういう点を勘案いたしまして、これを担保をとるとかいうようなことで問題の解決をはかっていきたいと思うわけでございます。このあと地の買い上げの問題は今後の問題としても検討したいというふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/116
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117・小柳勇
○小柳勇君 その前のまあ自己資金の商工中金から特別に融資するというやつですね、こういうところが一番みそだと思うんです。だからそのことは商工中金のほうにもよく通達をしておきまして、皆さまのほうからの連絡を密にしてもらわなきゃならぬですが、この融資を申請する手続、それからそれを決裁して実際手元にその決裁の通知が来て、いよいよ共同の店舗をつくるというようなことの作業ができるようになるまで、なるべく短時間のうちにできなければならぬものですが、大体標準的にはどう考えていますか。A、B二方式あるようですけれども、A方式でいいです。県の商工課に申し込み、そして中小企業振興事業団と県が事業診断をやる、そしてこれはいい、これは悪いと決裁します。そしてあと貸し付けは商工中金などあるいはその他の銀行でも扱いますが、その場合、それでいよいよ金のほうがOKになる、そして団地をつくって商売になる。そういうようなものを大体期間的に見てどのくらいの見当、標準のものをどのくらいの見当にしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/117
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118・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 事業によって違うわけでございます。中小企業団地あたりでは、中小規模の人たちが郊外に集団移動するわけでございますので、これは大事業でございます。そこでこのあたりも十分計画診断等で指導するということも必要でございますので、必ずしも拙速をとうとぶというよりも、十分指導した上でというものの場合がいい場合もあるわけでございます。従来そういう診断まで入れまして、大体団地関係は六カ月ぐらい。それから共同施設関係はこれは簡単でございますので、三カ月ぐらいに決定をして貸し付けをしておるわけでございます。いずれにいたしましても、中小企業者の実態をよく見ながらこれは十分な計画診断等をやりますと同時に、必要な金はできるだけ早く出してあげるというようなことをこれからも、そのためにこそ事業団ができたわけでございますので、やっていきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/118
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119・小柳勇
○小柳勇君 融資の問題については、あとお金をもう少しふやしてもらいたい。衆議院の附帯決議もついております。「財政投融資資金の大幅導入等により、」と、具体的に金の出どころまでちゃんと書いてございますが、通産大臣からこの今後の政府出資の増額の問題について決意を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/119
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120・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 大幅の出資の増額については、われわれのほうもできるだけひとつ今後は努力したいと、こう思っておる次第でございます。これは衆議院でもそういう御希望もあったことでもありますので、この点については特に努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/120
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121・小柳勇
○小柳勇君 少しまた具体的に、逐条的にはこの次もやりますが、残りました指導啓蒙の問題で、もう少し頭を整理するために具体的に説明を求めたいんですが、中小企業振興事業団の中に指導センターを置いて、中小企業庁と連絡とりながらこれから進めたいということですが、その指導啓蒙の体制というものは地方のほうでは県の商工課なりあるいは指導課なりがやります。その人たちも人員に限りがありますが、その先のいわゆる店舗とその県などの出先機関との間のパイプは、大体人員どのくらいでどういう経費で指導体制が組まれていくのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/121
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122・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 県の段階におきましては、県の商工課あるいは従来の商工指導所というところがありましたわけでございますが、これをさらに総合的に充実をする必要がございますので、総合指導所というものを今度設立をすることに、昨年から出発をいたしたわけでございまして、十六県一市昨年つくりましたが、今度は十五県二市、これも追加をすることにいたしておりまして、人員の増加をいたしますが、そういうふうに、それと診断指導員も全国で四百四人おりましたのを五百八十四人までふやすというふうに、地方におきましては総合指導所という指導機関がございます。そこと、それから中小企業振興事業団とがパイプをつなぎまして、お互いの協力関係におきまして中小企業者を診断をし、あるいは指導していくということになる。それから横の関係では中央会あるいは商工会議所というものも地方で指導しておるわけでございます。そこの県の総合指導所あたりが中心になってやはりそこをまとめていくという形になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/122
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123・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は本日のところこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/123
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124・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、航空機工業振興法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、先般提案理由の説明をすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/124
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125・阿部竹松
○阿部竹松君 ただいま議題となりました法案につきましては、まだ衆議院で可決決定を見ておりませんので、参議院におきましては予備審査になろうかと思いますので、衆議院で可決決定後、参議院に送付され、本審査になった場合には、この航空機の使用監督をしておる運輸省の当該局の責任者を呼んで、あわせてお尋ねしてみたいと思うわけですが、まず第一点のお尋ねは、このYS11の飛行機をつくりましょうということで国会で論議したのは二十八国会だと記憶しております。古い以前の国会のことですから、はっきり記憶しておりませんけれども、その当時の大臣は前尾繁三郎さん、私どもがお聞きし、論議したときには、昭和三十八年までに二十五機まあ国内及び海外に輸出して、端的に言うとドルをかせぎます、こういうことで私どもも賛成いたしました。ところが、法案の提案説明を菅野通産大臣からお伺いしたのですが、現在まだ二十九機しか渡しておらぬという、年数にして五年も違うわけですが、台数は確かに当時の私どもがお伺いした機数から見ると四機多いわけですが、年数が、私どもが国会で論議し、時の通商産業大臣前尾さんからお伺いしたその御計画とは相当数開きがあるわけです。したがいまして、将来の問題は後刻論議するといたしまして、なぜそのようなことに相なっておるのかという経過をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/125
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126・高島節男
○政府委員(高島節男君) お答え申し上げます。
二十八国会の数字上の見通し、ちょっと正確に記憶は——資料に基づいて存じておりませんが、いま御指摘のように輸出が二十五機でございました、という予定くらいのところをあるいは考えていたかと思います。大体百五十機を全体で売ってYSを完結するという構想で進んでおったように私承知いたしておりますが、その後内需が百二十機、輸出が三十機、合わせて百五十機程度売ってYS11のプランが完了するのだというように、だいぶ年代を経ておりますが、政府として見通しを比較的いまから近い時期に立てておりますように承知いたしております。で、その間われわれが今回需要の見通しをやってみますと、非常にその点違ってきておるように思います。一つは内需がそこまではなかなかいかないのではないかという感じを抱いてまいりました。それから輸出のほうは、現在までいろいろと商談がございますが、去年のちょうどいまごろデモンストレーション・フライトをやりまして、そのあと様子を見ておりますと、南米あるいは米国等に有益な引き合いが非常に出てまいりまして、したがって、国内需要に入れかわって輸出がむしろ伸びるのではないか、こういった感じを目下抱いておるわけでございます。内需が予想外に伸びませんでしたのは、これは運輸省のほうの国内航空の需要というものが、ローカルラインの動きを見ておりますと、当時予想しておりましたよりもどうも需要の伸びが低いようでございます。その点が見込みが違ってきたことが一つ。それからさらにYS11の試作をやっておりまして、これは先生御承知のように、若干、一年くらいでございましたか、非常に国内のほうの需要がちょうどある時期をはずしたと申しますか、その時期に間に合わない状態になって、輸入機に依存せざるを得なかったという時代がございまして、国内のほうがそれだけ伸び悩みの状態で、現在私どもの頭に描いておりますのは、今後大体五十五機見当のところが国内の民需、官需の合わさったところではないか、輸出はいろいろに状況はございますが、比較的かた目に見まして六十五機程度、合わせて百二十機程度が手がたい製作の基礎になる見通しとして今日確立されるのではないか、こういう気持ちを持っております。御指摘の二十五機の輸出という点につきまして、ちょっと正確に資料に基づいた知識がございませんので、まことに申しわけございませんが、現在の需給の変化のラインは大体そういうことではなかろうかというように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/126
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127・阿部竹松
○阿部竹松君 私どもがだまされたかどうか、通産省が法律を通すためにカムフラージュをして御答弁、あるいは御解明なさったとは私は思いませんが、しかし計画と現実とあまりかけ離れておるわけですね。たとえば当時のいろいろ論議の過程で、終戦後進駐軍の意向もあったことなので、まあ日本には航空機製造を禁止されておった十年間、非常なブランクがあるわけですから、なかなか、さてこれからそういう飛行機をつくるといっても容易なことではない、私どもはせっかく飛行機をつくるのであれば、エンジンまでつくってはどうですか、こう言いましたところが、政府は日本ジェットエンジン株式会社でいま研究させております、しかしながら三十八年まで二十五機、三十八年から二十五機以上つくって出発するのであるから、いまボデー、計器、こういうものが一切でき上がったときに、まだまだエンジンのほうはできません、したがって、一基七千万円のエンジンを、これはイギリスのロールスロイスですか、そこから購入してやるんだが、やがては、いま申し上げましたジェットエンジン株式会社で試作をしているんで、それが三年後、つまり三十八年からですから四十一年ですね、四十一年以降全部国産機になりましょうと言って、前尾さんなり当時のいまの高島さんの立場にあった岩武さんが答弁している。まだ日本のエンジンじゃないでしょう。これは一つ一つ、こう言ったがいまこうだというようなことは言いませんけれども、それが現実の姿なんですから。それだから再度国費を出すにあたって私も疑問に思う。はたしてこの前こういうことであったから今度もこうなんだろうと端的には言いませんけれども、三年あるいは四年、五年もかかるのですからね。半年や一年おくれたなら別問題ですよ。しかし、三年も四年も五年もおくれてしまってまだ軌道に乗っておらない。ですから、こういう点についてもう少しお調べ願って御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/127
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128・高島節男
○政府委員(高島節男君) 阿部先生御指摘のように、当初政府側でいろいろと計画をいたしておりました計画と今日の実態との間に非常にズレがございますと申しますか、おくれた面、試作でおくれた面で内需が確保できなかった点、それからエンジンの開発が進みませんで、この点はまだまだ国産でやっていくという段階にはないという面、そのあたりはいかにも御指摘のとおりであろうかと思います。ただ、非常に言いわけめきまして恐縮でございますが、当時は、これからどういう段取りで飛行機の内容も設計等が本格的に固まって、本格生産段階に入っていって、そして片方需要にうまく乗りながら売っていくという時代でございまして、まだ需要先の確保やその他について非常にコンクリートにつかまえていくということができなかったのではないかとまあ推察されるわけでございます。そして、ただ現在の私どもの感じでは、内需について見方が甘かったようであるけれども、輸出については最近いろいろな意味での諸方面の応援を得ました結果でございますが、幸いにして相当の機数がこれは確保できる段階になって、いわば需要が内需と輸出と入れかわったような形になりまして、ベースの需要機数が確保される、こういうような感じになってきたように思います。エンジンの点は、これは非常に難問でございまして、御指摘のように、ジェットエンジン株式会社でやりましたのも、結果においては成功をいたさないままで今日になってまいっております。そして先生これは御承知のように、エンジンというものはいよいよ飛行機が新しく設計されますときには、もう一歩先にほんとうはできていないと、それを基礎に設計をいたすのでございますから、エンジンがきまらないままで飛行機の新しい型の設計にはいき得ないというのがこれは技術的な常道であるようでございます。したがって、この点は非常におくれておりますので、私どもも根本からエンジンの開発ということについては考え方を新たにして、本格的に政府において取っ組むべき問題ではなかろうか。その点は従来の形の試作ということでは非常に不十分な体制であるのではなかろうかという点を深く反省しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/128
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129・阿部竹松
○阿部竹松君 高島局長さんからこれはもう弁解ばかりお聞きしておって、ちょっと質問やりにくいのですが、それがたまたま参議院の社会党の椿会長もここの委員ですから、出席されたんですが、椿会長も当時やはり商工委員の一人として前尾さんにお尋ねして、いま論争している二十五機の問題について、二十五機ですかという当時の椿委員の質問に対して、いやいや二十五機と限定しておりません、二十五機を最低限としてそれ以上伸ばして運ぶのですよ、こう言って答弁している。ところが、また国から金を出さなければならぬということになっておる。あの当時の計算でいくと、半年や一年ずれてもこれはまあやむを得ない、さいぜん申し上げましたとおり、十年間の製造に関するブランクがあったわけですから。しかし、今日高島局長さん、まだ金を出してやらなければならぬというようなことは、これは私は得心いかぬわけですよ。特にあなたの先輩である通産省から有力な前局長、最高幹部がそこに重役として行っておるのですから、その点も私ちょっと問題になるわけですから、それは議運がやるからあれですが、そこでこれは大臣にお伺いしたいわけですが、全日空輸と日本航空と合併するといって、私ども新聞記事の範囲内で承知しておるわけですが、合併すると言っている。ところが、全日空輸のほうは全くの赤字で、内閣総理大臣の佐藤さんも前社長やめなさいということで社長の交代をさせましたね。何で日本航空と全日空輸の経営的の差があるかということになると、それはローカル線を持っておるとか、あるいは国際線を持っておるからという関係もありましょう。しかし一番問題は、この全日空輸が使っているYS11の事故ですよ。もちろん昨年の二月四日の墜落と、727は日本でつくったのではない、アメリカの飛行機ですが、727が落ちたのも原因でしょう。しかし松山沖の問題から、あるいは国内航空で使っている、YS11通産大臣の故郷である大阪で足が出なかったという問題、全部YS11ですよ。ですからこれは、あなた笑って話をしておるが、これはたいへんな問題ですよ。ですから日本航空は満ぱいであっても全日空輸には人が乗らない、飛行機がYS11だから。そうすると、これは運輸省の監督している航空局長でもあるいは運輸大臣でもおいでを願って本格的審議になったらお聞きしなければなりませんが、こういうところに問題がたくさんあるのですね。国が追加十二億でやって、はたして一〇〇%これが安心して飛べるような飛行機ができるかどうかということ、いま言ったとおり日本ジェットエンジン株式会社でつくりますと言ったのが十年たってもできない。三年前にこう言ったじゃないか、三年たってもまだできぬと、こう言って高島局長責めても、それはまだまだですよとこう言われるけれども、十年間たってもまだ飛行機のエンジンができない。こんなばかな話ありますかあなた。あなた通産省の最高幹部として平気ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/129
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130・高島節男
○政府委員(高島節男君) 役所の行政は一環性を持ってまいりますので、当然そういった見込み違いと申しますか、見通しが甘かったと、これは私が通産省を代表して深くおわびをいたさなければならぬ点であろうと思います。ただ、これから先のYSの姿、予想ということを考えてみますと、不幸にして事故もございました。そのほか小さな事故も起っております。その原因の関係等はこれは運輸省のほうでいま責任を持って御調査に相なっておりますから省略いたすことといたしまして、現在の輸出の見通しと申しますか商談、これだけはひとつ非常に明るい材料になってきたということを御強調申し上げたいと思います。当初YS11の需要というものは確かに内需、国内ラインにウエートを置いた形で考えておったようでございます。それから輸出の二十五機ということを申し上げたようでございますが、それもおそらくは東南アジアあたりを頭に浮べて説明をしたのではないかというように思います。私もおそらく、そのころの担当ではございませんでしたが、その当時の立場に立って先行きを見通しました場合に、そういう計数を描き出すのも無理ではないような感じが弁解ではございますが一ついたします。ただ、いよいよYS11をつくりまして、航空機の需要というものをとくと見ておりまして感じますことは、このYSの、六十人乗れて比較的短距離の旅客輸送に便利で、スピードはないが滑走路の比較的短いところでやれる、いわば軽便なローカルライン型という点の強みというものは、今日非常に世界的に認められてきつつあって、ちょうどこれから二、三年間の売り込みの最盛時期にあたりまして、これにこういった分野の競争機というものもわりあいに少ない感じでございます。その点から申しまして、今後輸出に六十五機、残念ながらいままでの輸出は二十五機と申しましたのが十機未満くらいにとどまっておりますが、現在の状況から見ますと、商談がいま非常にデリケートな段階になっおりまして、それぞれ引き合いの最中のものが多うございますけれども、六十五機程度、南米、北米等を中心にいたしまして、東南アジアも含めていき得るのではないかという予想は、私としては相当手がたい計数になってくるのではないかという気がいたします。これも全体のYSの生産期間及びその販売の予定期間というものの成熟をしてきて、一つの見通しが立ってきたので、今日こういう予測を申し上げることができる感じでございますが、何ぶんにもまだ最初のうちはいろいろと不安定の要素があり、そこにまた政府も乗り出して出資もし、やっていかなければならぬという点があるわけでございますが、その後いろいろとコストの面その他でさらに一段のここで政府として肩を入れなければならぬ要素もはっきりいたしてまいりましたが、それをやって百二十機売るということは、手がたく考えて実現でき得るものではないかというところに到達いたしたわけでございます。そのときどきの需要の見通し、先行きの問題、新しい産業でございますだけに、当事者も非常にこの見込みについては苦心をし、結果的に申しまして、まさに御指摘のような点において非常に残念な結果も出てまいりました。しかしその努力というものは、少し違った形で今日結実しようとしておりますので、その点御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/130
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131・阿部竹松
○阿部竹松君 高島局長さんは、通産省を代表しておわびしますと言っても、お隣りに大臣と、その隣りに次官がおるのだから、あなた通産省を代表する資格はないよ。菅野さんが言うんだったら私は得心するが、それは言い過ぎだから、あなた訂正しなさい。
そこでおことばを返すようですが、量産して二十五機以上というのは、年々ですから、あのときの話によりますと、二百二十五機ぐらいできていなければならぬ筋合いです。それから東南アジア一辺倒の答弁をなさるけれども、アメリカ、それに加えて北アメリカとおっしゃるが、アメリカが当時の対象だった。あなたのほうのお考えはアメリカが対象なもんですから、私どもこう申し上げた、私どもしろうとですから、日本がこれから飛行機をおつくりになって、国内では供給源が少ないからどうするんですか、アメリカに売ります、もちろん東南アジアから北アメリカ、南アメリカ等も言っておりました。ブラジルからアルゼンチンまで。しかしその中でアメリカを対象にしておった。時の通産相は、アメリカはあれだけの膨大なとにかく航空工業の発達しておる国であるから、日本がこれから出発したってとても競争に勝てませんよ、こうようような議論を私どもがいたしましたときに、そんなことありません、アメリカはいまや大型時代で、日本のいまつくらんとするYS11のような飛行機には目もくれません、したがってアメリカがとにかく売り渡しの一番いい市場でございます、こういうことであった。東南アジアだけ目標に置くと、ドルが足らぬから、飛行機は売れぬでしょう、売れぬ、ドルが足らぬから。国際収支上ここだけ目標にしてはおきません、こういうことでした。ですから私どもも、アメリカは確かに大型化していくわけです。なるほどそういうことかということで理解したわけです。しかし航空機をつくるわけですから、自転車製造会社をつくっても三年や四年の見通しを持たなければならぬわけですよ。ましてや膨大な国費を使ってこれからやろうというのに、見通しもないわけですから、当時あなたは何課におったかわかりませんけれども、ですから、これはただ当時のあり方がこうだったから今度こうだということは言いませんが、あまりにでたらめなことには賛成できませんよ。あなたのお話のとおりにいくのだったら、いま国から十二億もう少し出せよということにならぬでしょう。みずからの力で十何年やってきたわけでしょう。みずからの力でできるはずなんです。できないわけでしょう。したがって、私はその製造会社の経理状況をあなたの御承知おきの限りお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/131
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132・高島節男
○政府委員(高島節男君) さきに御質問のございました需要の見通しについての経緯とからみまして、現在、日本航空機製造株式会社が立てております経理的なポイントにつきまして申し上げてみたいと思います。年間二十五機で、これが数年にわたって二十五機ぐらいで輸出がふくれていくということは、当時どういう趣旨において言ったか、私もちょっとこれ把握できておりませんので、これは後ほどよく調べてみたいと思いますが、阿部先生御指摘のように、単に東南アジアだけでなく、世界全体に向けまして相当に有効需要が強いと、こういう考え方も相当あったと思います。それから内需につきましても、かなり手近な問題として有効需要がかなりあると、こういう気持ちでやっておったことも事実でございます。ところが、それがそういった予定とは非常に狂いまして、現在までの売り出しは予定よりもずっとおくれた形でやってまいりましたので、その間の資金繰りは政府保証債を発行しつつやってまいりまして、今日までその限度の拡大等をしながら、主として内需にいくものとして四十年ごろまでは予測を立てて会社の経理をまかなってまいったという気配ではないかと思います。で、これから先の経理状況をいまの時点に立って過去、将来とに分けて見てみますと、過去においては、まず先生御承知のように、何といっても開発試作に非常に大きな金を入れました。これは従来の資本金が五十五億円でありましたが、その大部分というものが試作開発に使われまして、これが出資という形で株主の勘定として残っております。当然にこれはゼロになるものではない、コストに入ってくる形で残っておりますことが一つ、それから製造いたします場合に、金利の負担をしながらやってまいっておるわけでございまして、保証債の借り入れ金といった形で金利負担が相当大きくなってまいっておりまして、この二つがこの会社のいわばまあ難点、泣きどころといった感じの経理構造になっておるわけでございます。そういった実態を踏んまえまして、実は今回私も赴任早々ではございましたが、非常に心配な事態でありますので、何かこれは基本的な将来の行き方というものを根っこから考えてみなければいかんと思って、航空機工業審議会の小委員会を開催いたしてもらいまして、本格的にこれに対する対策、経理の立て直しの方向をとらえようといたしておったわけであります。ちょうどそのとき、積極的にむしろ営業活動をしていく必要もございますので、アメリカに対してデモンストレーション・フライトをやりました。続いて南米にやったと、その結果がそれだけの結果とも申せませんが、ちょうどその時期から日本のYS11というものの非常な利用価値が世界的に認められてまいりまして、中南米、北米において具体的な引き合いが活発になってきたということになります。それで今後幾らぐらいそういう事態を踏まえて売れるのかということの予測でございますが、先ほど申し上げましたように輸出六十五、国内、これは大部分引き渡し済みが多うございますが、五十五といった程度のところが手がたい今後の売れ行きの機数でございます。当初は百五十ぐらいは売れるであろうということでスタートをいたしておりましたが、もういよいよあと数年でこの飛行機の生産も一段落という時期になっておりまして、そのときに政策を立てる基礎としては、売れる機数はやはりそこはかた目に見まして百二十機ということで押さえたい、それを押さえるのが審議会においても妥当な見通しではないかという感触でございましたので、これをまず需要の基礎といたして考えました。同時にそういうことになってまいりますと、量産段階に入ってから先には出資はいたさない計画に当初はなっておりました。これは先生御記憶のところかと思います。今回の改正もそれにからんでおりますが、出資はしないというたてまえでおりましたが、量産段階に入ってもやはり政府出資をここでしてもらう、そして同時に民間のほうも出資をしていただくということで、両方からそれぞれの出資をしてもらいまして、結局資本金を七十七億円まで上げていく。資金コストのゼロの段階が量産段階でも二十二億ほど調達をされてくるという形にいたしまして、その採算をよくしていく。さらに今回五億円ほどの助成金を予算としてちょうだいいたすことに要求をして通りまして、その結果、たとえばアメリカに売ります際には貨客混合の形のものを改造して出さなければいかぬとか、床厚をもっと強いものにしなければいかぬという形の御要求が具体的にございますので、それに相応じていくような作業をしますための援助を具体的に出していくという等の処置を講じましてやってまいりますと、売れるのが百二十機であれば、これは百二十機が完了したときに採算はとれていくというところがねらいとして出てまいったわけでございます。したがって、一番問題の所在点は、冒頭御指摘のありましたように、予測というものが当たるかどうかということになってまいると思います。先輩諸氏やあるいは当時の大臣がお見通しをなさったとき、非常に見通しがしにくかった段階であろうかと思いますが、悪い面も出ましたと同時に、市場開拓をすれば、世界的にこの飛行機が南米や北米に売れていく可能性が出てきたということは、これは見込み違いはとにかくといたしまして、全体のためには非常に幸いなことである。したがって今後、まだ契約が確定したわけではございませんので、このとらえました商機をよく利用いたしまして、外国に対する輸出が確実になっていくように努力をいたしたいと思いますが、見通しとして考えました場合に、百二十機の見通しは手がたいところではないか。そうすれば今回お願いいたしておりますだけの出資と若干の補助金とがございましたら、百二十機の売り渡しは済む。そのほかいろいろの企業努力等も取りまとめまして、収支としてはとんとんのところで上がっていくのではないか。これが大体YS11の四十四年から五年くらいまでの総体の機数の売り上げの完了するまでの経理の見通しとなっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/132
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133・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/133
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134・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/134
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135・阿部竹松
○阿部竹松君 局長の御答弁、御説明を聞いても、また長々と書いたこの提案説明を読ましていただいても、ただ金を出せという以外に、美辞麗句を並べてもこれはないのですね。ですから、さいぜんも申し上げましたが、次から次へと事故が起きる。全日空で二回、国内航空で一回、全日空でチャーターしたのが飛び上がった瞬間、やらかして、乗員三名死亡しておりますね。これは全部YS11ですよ。そこで私は航空力学だとか、エンジンがどうだとか、そんなことはわかりませんけれども、これはしろうとはしろうとなりに判断いたしまして、さいぜんも申し上げましたが、エンジンはイギリスから持ってくるわけです。ロールスロイスから持ってくる。ボディーは川崎でつくるとか、計器ははるかかなたの栃木県の宇都宮にある富士がつくるとか、あらゆるところに、日本国内に全部分散して、そして三菱が責任を持って全部集めてきて組み立てている。これじゃやはり——それは密接なる連携をとってやっておるでしょうから、これは何ともないと御答弁なさるかもしれませんけれども、少なくとも一カ所に集中して、三菱も金を出しなさい、あるいは日立も、あるいは川崎も富士も同じである。国もてこ入れしましょう、こういうようなそちらこちらにちりぢりばらばらになっておって、一カ所に集めて組み立てるといっても、研究するためにもやはり時間と金がかかるわけですから、そういうふうに国が金を出すことになったから、こういう方法で製造方法を改めますということであれば私どもも得心するのですよ。しかしそんなことは全然ないわけです。製造工程についても製造方法についても何にもないわけですよ。したがって事故のみがわれわれのあまりにも目につくものですから、事故が起これば必ず犠牲者が出るから目につくものですから、私のような意見になるかもしれませんけれども、そういうところは全然ないのですね。エンジンはあまり高くならぬから——これは十年前私ともに、今後は日本で研究し、日本のやつを使いますよといったのだが、あまり高くなっておらぬからエンジンはこのままだというような方針に切りかえたかもしれませんけれども、もう少し高島局長さん、製造工程においてくふうがないものだろうかというようなことを、私はしろうとですからはっきりわかりませんけれども、とにかくそういうふうなことは全然ないのですよ。幾ら読んでも、あなたの説明を聞いても、見通しがどうだったとか、これからどうするとかいうようなことで、ちょっと怪しくなってくると、阿部先生御承知のとおりと言うから、私もあまりものを言われぬけれども、製造工程とか機械の進歩について少しお聞かせ願いたいのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/135
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136・加藤博男
○説明員(加藤博男君) いまの点にお答え申し上げます。先ほど先生御指摘の大阪の事故は、幸いにして死傷者がございませんでしたので、いずれにしても二度事故を起こしておりまして、非常にとしてYSとしても恐縮いたしておりますが、この辺の事故につきましては、私どもも運輸省その他から報告が出ておりますので、御紹介申し上げてもよろしゅうございますが、さしあたって、いまの後半の御指摘の工場分散に基づく問題点につきましてお答え申し上げたいと思います。
YSをああやって日本のメーカーが全体で分散してつくろうということになりました事の起こりは、YS11というものを日本の航空工業の全力をあげていきたいということでございますし、ねらいはそういうところであったわけでございますが、実は分散に基づく技術上の問題点というのは、ただいま御指摘のような事故その他とからめて考えましても、分散のためにということではないように私どもは考えております。実はこれは日本だけの例でございますと、ほかの例があまりございませんので、若干外国の例を申し上げさしていただいて恐縮でございますが、YS11とちょうど競争関係にございましたオランダのF27というターボプロップの輸送機がございます。これも実はエンジンはイギリスのロールスロイスのものを使っておるわけでございます。それから各計器につきましても、これはアメリカでもそうでございますが、機械メーカーが機械、計器その他を全部つくっておるという例はむしろまれでございまして、それぞれ専門メーカーがやっておるわけでございます。それで問題点は機械メーカーが分散しておるところだろうと思いますが、これは図面できちんとそれぞれの規格をきめてやっておりますので、そのために接合部が不ぐあいが起こるということはいままでもございませんし、今後もそういう点の心配はなかろうと思います。と申しますのは、たとえ、ある社が全部つくりましても、それは特定のグループで最初から終わりまで、主翼から尾翼まで全部つくるのではございませんで、やはり各社内におきましても、グループ生産で別々につくって最終的に組み立てるものでございますので、図面自体にそういう厳密性がございませんと、たとえ一社でつくっても飛行機はいいものはできないわけでございまして、一号機と十号機目とは違ってくるというようなことも起こってまいりますので、飛行機の場合にはそういう互換性については厳重な規格のもとにやっておりますので、分散に基づく御心配というものはさほどないと思います。技術的な御質問の点だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/136
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137・阿部竹松
○阿部竹松君 あんた一年や二年武器課長をやって、何がわかる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/137
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138・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 他に御発言もなければ、本案の質疑は本日のところこの程度にいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時三十分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X01319670629/138
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