1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月十五日(木曜日)
午前十時四十二分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 豊田 雅孝君
理 事
石原幹市郎君
八田 一朗君
稲葉 誠一君
北村 暢君
委 員
源田 実君
柴田 栄君
田中 茂穂君
船田 譲君
三木與吉郎君
森 八三一君
山本茂一郎君
伊藤 顕道君
中村 英男君
前川 旦君
山崎 昇君
多田 省吾君
中沢伊登子君
国務大臣
厚 生 大 臣 坊 秀男君
政府委員
厚生大臣官房長 梅本 純正君
厚生省環境衛生
局長 舘林 宣夫君
厚生省医務局長 若松 栄一君
厚生省社会局長 今村 譲君
厚生省児童家庭
局長 渥美 節夫君
厚生省年金局長 伊部 英男君
社会保険庁年金
保険部長 網野 智君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
説明員
厚生省環境衛生
局公害課長 橋本 道夫君
社会保険庁総務
課長 松下 廉蔵君
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本日の会議に付した案件
○厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
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001・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に続き本案の質疑を続行いたします。関係当局からの御出席は、坊厚生大臣外政府委員の方々であります。御質疑のある力は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/1
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002・稲葉誠一
○稲葉誠一君 今度の設置法の中で、公害部を設置するということが重要な眼目になっておる。公害基本法を提案されておるわけですけれども、いままでだいぶいろいろ質問があったのですが、関連をしたことでお聞きをしたいのですが、四日市の公害問題ということについて、厚生省がいままでどういうふうに取っ組んできたかということですね。一応の経過というか、そうしたものを御説明願いたいと、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/2
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003・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 四日市の公害は、わが国の都市公害、都市産業に基づく公害としては最も顕著なものの一つということであります。で、これが非常に重要な問題に発展してまいりましたのは数年前でございますが、厚生省としましては、通産大臣と厚生大臣と共同で、昭和三十八年秋に特別調査団を編成いたしまして、四日市地区における大気汚染の実態の調査をいたしました。さらにその調査の結果に基づきまして、三十九年の三月に十項目にわたるこの改善策による勧告が出されたわけであります。その勧告に基づきまして、厚生省は通産省と共同で各種の指導をしてまいったわけであります。それと同時に、昭和三十九年にこの地区をばい煙規制法に基づきます指定地域といたしまして、排出するばい煙の濃度の規制をいたしてまいっております。
それから、この黒川調査団の調査に基づく勧告の結果が、どれくらい生かされており、その後の事態がどうなっておるかということを再調査してもらうために、昭和四十一年十二月に再び黒川調査団に依頼をいたしまして、四日市地区の調査をいたしてきております。で、これらの専門の調査団の指導に基づきまして、国としては四日市地区に緩衝地帯を設けるというような政策を打ち立てることにいたしまして、国の公害防止事業団の事業といたしまして、緩衝地帯を設ける、さらに油の共同廃油処理施設を設けるというような措置を漸次講じてまいっております。それから公害の患者に対しましては、四日市地区に対しまして、特別の厚生省としましては、昭和三十九年、四十年にわたりまして、調査をいたしまして、その結果、四日市地区は他の汚染のない地区に比べて慢性気管支炎の患者が多い、その容態を詳細に調査いたしました。四日市市といたしましては、そのような実態に基づきまして、公害病患者の捕捉のために特別審査機構を設けて、公害病患者を選び出して、それに対して公的な措置として特別治療をするということで、四日市市内の二つの病院に特別病室を設けて、患者の治療に当たらしておりますが、これらの患者の治療の一端として、本年度から国におきましても治療研究費を組むことにいたしております。以上が国の今日までの四日市に対します対策の要約でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/3
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004・稲葉誠一
○稲葉誠一君 厚生大臣は四日市へ行って、この公害の実態というようなことを視察されたことは当然あると思うのですけれども、それでどういうようなことをお感じになられたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/4
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005・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 四日市は私の選挙区ときわめて近いところでもありますので、しばしばあそこを通過いたしております。そこで四日市に非常な産業、工業が集まってまいりまして、私はもうずいぶん長い間あそこを通っておりますが、だんだんと産業がいんしんをきわめておるという反面におきまして、あそこの、その産業に伴う必然的な公害というものが漸次これは激化してきておるということは、私もこの目をもって見、このはだでもって感じてきているのでございまして、その後、厚生大臣に就任したわけでございますが、この地域についていろいろ事務当局からも状況を聞いてもおりますし、しかし、何といたしましても、ことに公害基本法といったようなものを御審議願うということになっており、現在日本が公害の除去、公害の予防、防止ということに対しまして、政策的に全努力を傾けなければならないことになっておりますが、それにつきましても、まずどこもここも、それはどこを重く見、どこを軽く見るというわけではございませんけれども、四日市のごとく、特別にそういったような地域から、何とかそのことに対する防止、予防の施策をとっていかなければならないということを痛感いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/5
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006・稲葉誠一
○稲葉誠一君 四日市の公害の中で、いわゆるぜんそく病というのが非常に多いというようなことをお聞きするわけなんですが、これの実態はどういうふうにいまなっているかということと、その原因がどこにあるかということ、このことについてはどういうふうに調査をし、考えられておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/6
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007・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 昭和三十九年度並びに四十年度にかけまして、厚生省が四日市の特別調査をいたしました結果によりますと、訴えといたしまして、せきやたんが多い諸種の慢性気管支炎症状を呈する者が、四日市以外の地区に比べまして三倍程度多い現状でございます。このようなせきやたんが多いというものをさらに進みまして、器質的な変化があるか、あるいは閉息性の気管支炎を起こしておるという調査は、一応いままでの調査によると、そのような器質変化を起こすまでには至っていない、こういう結果が判明いたしております。で、ただいま申しましたように、昭和三十九年度から四日市市が公害病患者といたしまして、四日市の市の医師会あるいは保健所、三重大学、この三者に委託をいたしまして、特別審査委員を編成いたしました。その特別審査委員が判定をいたしまして、一応疫学的配慮も加えて公害病患者としてある程度治療を続けてきておりますが、その数は今日まで三百三十名ほどございます。で、今日までのこの累積の患者数でございますが、そのうちすでに八名ほど死亡いたしておりますが、それらの死亡者の中身は交通事故で死んだりなどしまして、この病気そのもので、慢性気管支炎その他病気で死亡した者は四名、このような報告を受けておりまして、実態は多くの患者が気管支炎で非常に苦しんでおるという事態があるわけであります。これらの三百三十名程度の患者の一部が入院治療を受けております。この入院治療の場所は四日市市内の二つの病院でございまして、その病院内に特別病室を設けまして、空気調節を行なって治療に当たっておる、こういう現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/7
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008・稲葉誠一
○稲葉誠一君 どうしてそういう病気が起きるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/8
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009・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 四日市ぜんそくといわゆるいわれておりますこのような慢性気管支炎の患者の原因は、排出されるガスの中に含まれる亜硫酸ガスSO2あるいはSO3の形になったもの、このようなものがおもな原因であろうといわれております。もちろんそれ以外にも排出ガスがございまして、何がしかそれらのものも影響があるかとも思われますけれども、現在のところは主として亜硫酸ガス系統のものが障害を与えておるのではなかろうか、かようにいわれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/9
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010・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そういうふうなことがわかっていて、そしてなおかつそれに伴う病人が出るということは、一体どこに責任があるわけですか。国に責任があるのかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/10
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011・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 公害を起こし、公害によって人に障害を与え、あるいはその他の各種の害を引き起こすということにつきましては、第一義的には発生源者の責任である、かようなことに思っております。もちろんそれを防止する諸種の施策を講ずる責任は国なり地方公共団体が有しておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/11
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012・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その企業の名前は、どういう会社なんでんか、これは通産省かな、厚生省じゃあんまりわからないのかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/12
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013・橋本道夫
○説明員(橋本道夫君) コンビナート関係の企業の全部の名前を現在手に持っておりませんが、おもなものを申し上げますと、中部電力、昭石四日市、石原産業、大協和石油あるいは三菱油化と、こういったようなコンビナートグループが、この場所のばい煙の排出について大きな影響を持っておるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/13
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014・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、それらの企業に対して——これは通産省ですか、厚生省ですか、そういうふうな亜硫酸ガスが出ないようにしろというふうなことを命令したりしたことが何回かあるわけですか。これはどこがやるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/14
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015・橋本道夫
○説明員(橋本道夫君) ばい煙規制法に関係した施設について申し上げますと、基本的には権限は都道府県知事にございます。ただ、電気、ガスの関係につきましては通産大臣にございますので、行政上の指導は地方通産局がいたすという形になっております。これはばい煙発生施設についてのみでございますが、先ほど局長が申し上げました黒川調査団の報告は、ばい煙規制法の規制施設以外のものでもガスに関係のあるもの等につきましては、できるだけの勧告をいたしておりますので、そういう点につきましては、具体的技術としては、通産省の技術陣がこれに対していろいろアドバイスをしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/15
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016・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは厚生省関係なんで、その点はここの問題とちょっと離れるかもわかりませんけれども、あるいは公害対策委員会がありますから、そこで論議するのが筋だとこう思います。きょうは通産省呼んでいませんからね。具体的にどういうような措置を通産省側が講じたのか、ここら辺のところが問題だと思うんですが、そういうような措置を講じたにかかわらず、なおかつ亜硫酸ガスが出てきて、病人が絶えないということになれば、一体、こういうような指示というふうなものをどれだけ守っているのかという点なんかが一つの問題になると、こう思うのですがね、これはじゃあ厚生省側ではわからないわけですか、そこら辺のところは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/16
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017・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 公的の強制措置といたしましては、先ほど私が申し上げましたように、ばい煙規制法に基づく特別指定地域にいたしまして、〇・一八%のSO2の排出規制をいたしております。その〇・一八%の規制という濃度は、東京あるいは大阪などに比べてはるかに強い濃度の規制をいたしておるわけでありまして、しかし、このような規制をいたしましても、これは個々の施設に対する規制でございまして、四日市のように狭い場所に多数集まっておりますと、個々の規制だけでは全体がよくならないということで、今回の基本法の中で環境の基準をきめて、それ以上悪くしない措置を講ずるということをいたしておるわけでありますが、それと同時に、このような一定地域の広がりを持ったものの平均値の高さを押えるということ以外に、ある特殊の施設が、比較的近い場所に風の向きで吹きつけが起こるというようなことによりまして、かなり限局された地域に障害者を起こすというような事態もあるわけであります。したがいまして、これらを総合して、四日市におきましては、煙突の高さを高くするとか、場合によりましては一部の地域の人に移転をしてもらって、あとはグリーンベルトにするとか、そういう措置を通産省と共同でいたしておるわけでございます。
詳細につきましては課長から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/17
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018・橋本道夫
○説明員(橋本道夫君) 工場側に対しまして実施しました概要を申し上げますと、まず、ただいま局長の申しましたばい煙規制法の規制基準は、特定施設、つまり石油関係あるいはガス関係の施設でございますが、特定施設につきましては、一般が〇・二八容量パーセントのものが、〇・二二容量パーセントという、少し下げた基準にしております。それからそのほかの一般の場合の発生施設につきましての濃度につきましては、東京、大阪等では〇・二二容量パーセントのものを〇・一八容量パーセントのところに下げております。これは法律で定められた基準でございます。
具体的に工場で実施しましたおもなものを申し上げますと、まず、先ほど申し上げました中部電力関係でございますが、中部電力では当初五十九メートルの煙突四本ございました。これを百二十メートル煙突ということに、百二十メートル煙突二本に集約いたしまして、ノズルアップをいたしましてスピードを速く煙を出すということをいたしております。そのうちのボイラーは何基ございましたか、私詳細に覚えておりませんが、半分のボイラーは操業停止をしております。それから冬場の問題の多い季節におきましては、重油をたかずに、含有量におきましては、約三分の一の含有量になります石炭を使用するという措置をとっております。
それから次は、昭石四日市の工場でございますが、ここの工場におきましても、従来かなり低い煙突でございましたものを百十メートルの高煙突に集約をいたしました。また、従来は硫黄回収ということをいたしておりませんので、これによっていろいろな問題を生じておったわけでございますが、水添脱硫の方式によりまして、この硫黄回収ということをいたしております。
それから先ほど申し上げました石原産業でございますが、これは酸化チタンの製造工場でございますが、硫酸の密度等が非常にございまして、非常に集じんがしにくく、機械がつぶれるという問題がございましたが、その点につきましては、公害事業団の融資もいたしまして、非常に特殊な湿式電気集じん装置をつけまして、現在その半分は完全な集じんが行なわれ、あと残りがすぐ完成するという段階に至っております。
そのほか小さな工場等の問題もございましたが、これは燃焼方法等の改善によって対処いたしております。
以上がおもなるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/18
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019・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その公害病の患者の人々に対する治療制度に関連して、ことし厚生省が考えたというのは、具体的にどういうことなんですか。全体の金額としては幾らくらいの金額ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/19
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020・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 全体の金額としては百万円でございまして、それは現在大部分は通院治療を受けておる、ごく一部の者が入院治療を受けておりますが、これらの者はほとんど全員社会保険あるいは生活保護の治療を受けておる。したがって、自己負担分だけが本人負担になるわけでございまして、その分に該当するものを企業と県と市と国が持つということにいたしまして、全体の半額を企業、残りの半額を市、さらに残りの部分を国と県とで折半する、このようにいたしまして、百万円計上いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/20
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021・稲葉誠一
○稲葉誠一君 百万円というのは、どういう根拠から出てきたわけですか。いまの自己負担分でしょう。何人くらいを大体考えてどういうふうなことから出したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/21
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022・橋本道夫
○説明員(橋本道夫君) 四十二年度の予算要求を編成いたしました場合の原則を申し上げますと、四十一年六月現在におきまして二百六十一人の患者がおったわけでございます。一カ月平均四人増加するということによりまして、四十二年度の当初におきましては三百二十一人になる。それに対して、従来の入院と通院ということの実績値におきましては、入院が一七%、通院が八三%という数字が出ておりますので、入院患者五十五人、通院患者二百六十九人といたしまして、それに対しまして、従来の医療実績から、個人負担分を割り出しまして出したわけでございます。入院分の四十年度の実績は一人当たり年一万二千四百九十円でございますが、通院分につきましては、一人当たり千三百四十円というのが昭和四十年度における実績でございます。それを出しますと、この補助金の所要額は八百万円になります。その八分の一ということで百万円というような計上をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/22
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023・稲葉誠一
○稲葉誠一君 国の予算で百万円という予算は私も初めて聞いたのですけれども、いまあなたが言われるような根拠だと言われれば、その根拠の内容についてはこれはまた議論のあるところですね。しかし、それはまああれとして、そこで問題となっておるのは、企業が半分負担するということになっているのでしょうが、そういうふうにきめたんだけれども、それを何か承知しないできまらないのだというのじゃないですか。そこら辺の経過はどういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/23
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024・橋本道夫
○説明員(橋本道夫君) 今日に至りますまでの企業負担の問題の経過について申し上げます。
まず、昨年の秋でございますが、衆議院の産業公害特別委員会におきましてその問題が取り上げられまして、何かこれに対する対策をするようにというようなお話もございまして、やはり厚生省のみならず通産省、自治省におきましても、やはり企業は特別の汚染地区の公害対策に対して費用を負担すべきであろうというような見解を申し述べたわけであります。それによりまして、通産省側がコンビナート各社を本省に呼びましてこれに協力をするように申し入れをいたし、厚生省側は、省議によって決定いたしました予算要求の際、こういう方針でいくということで、その点につきまして通産省とも連絡の上、関係各企業、市及び県を回りまして、こういう方式でいこうということを出したわけであります。それに対する企業の返答は、否定的な返答はございませんでした。措置としてはきわめて穏当な措置だというような印象の表現をいたしておったわけであります。ただごく最近のニュースにおきまして、企業側の負担ということになればこの責任者ということが問題になるので、協力費として寄付するならばというような論議があり、また、市として、この企業に対して要請をどういうぐあいにするかという点で若干苦慮しておるというようなニュースが出ておりますが、この点につきましては、私どもも企業に対して今後とも働きかけますが、地元の問題としてもこれを解決していきたいという方法で処理していくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/24
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025・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、この企業負担ということについて、厚生省は四十二年度の予算を要求しているわけですね、そうして予算を取ったわけでしょう。そのときに国会に対してどういう説明をしているのですか。そこまでの質問がなかったかもわからぬけれども、どういう資料を出したのですか。私の聞きたいのは、企業が一体半分を負担するということを国会に対して報告しているのか、あるいはそれはよくわからないのだ、負担ではないのだというようなことで説明をしているのか。それはどういうふうにやっているのですか。四十二年度予算を要求したときの資料があるわけでしょう。これは金額が少ないからそこまで説明はなかったのかもしれませんけれども、どういうような説明を出しているのですか、国会に対して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/25
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026・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 今日まで市が全額持ってこの治療に当たっておったわけであります。これに対しまして県も出す、国も出すということで、国は直接的には県にこの金を補助するという形で予算書はつくられておるわけでございますけれども、その考えの底には、やはり企業側が患者の自己負担分の半額を持つ、半分を持つということを予定してこの予算が組まれておるわけであります。もちろんその分を従来であれば市が全額持っておりますから、同じように、企業側の持つものを市が持ったからといって、国が持ち分を持たないという結果には必ずしもなるわけではございませんけれども、この国が持ったゆえんのものは、この医療費の半額は少なくとも企業側が持つということで解決いたしたいということで、この予算を計上してあるわけであります。なお、この場合にこれらの予算を、負担というような支出の義務がある、その義務は五〇%というようなこまかい割り切りでこのような構想をまとめたものではございません。と申しますのは、これらの患者が全員、先ほど申し上げましたように、正確に器質的な変化が認められ、そしてその原因が明確に公害以上の何ものでもないということではっきり科学的に証明された患者であるわけではございませんので、疫学的判断も加えまして、一応これらを公害病患者として捕捉いたしまして、行政的に治療措置を講じているわけでございます。したがって、それらの中には、公害によらないで、その患者がいなかにたとえおりましても慢性気管支炎の発生した者も一部はあるいはあるかもしれません。そのような一つの集団に対して全部の二分の一を企業が負担をするという制度をここで打ち立てるという意味合いではございませんで、これをことばとして負担ということばを使うことがいろいろ問題を起こすことはそのとおりであろうと思いますし、今日の段階でこのようなものの負担区分をこのような割合に固定するということを私どもは必ずしも考えているわけではございませんで、やはり四日市のこの患者の処置は、患者の負担分について半分を企業側に持ってもらい、残りの半分を云々とこういうような扱いで処置いたしたい、かようなことで予算を計上いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/26
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027・稲葉誠一
○稲葉誠一君 もちろん予算書の中には、国から県に行く百万円が載っているだけで、企業がどういうふうに負担するかということは載っていないわけです。これはあたりまえの話なんだけれども、当然それについての話というものが確定していて——これは通産省がやったのかもわかりませんが、予算を組む、予算を要求したのは厚生省がやったわけでしょう。当然企業側との話が確定していて、そして組んだのなら私は話がわかると思うのです。企業側が出すのか出さないのかわからない形の中で組むというのは、何かきわめて不確定なような感じを与えるわけです。それはもちろん全体の予算を計上して、その中でこの企業の負担分は幾らだという形の予算の組み方ではありませんから、それとは違うから、だから企業の負担分とかなんとかいうことは直接予算に関係ないと言えば関係ないんです。これはわかりますけれども、基本的に企業が公害の発生責任というものは企業にあるものだと、だから企業は当然負担するのが原則なのだと、こういう考え方なんでしょう。そこら辺が何かこうあいまいになってくるのですね。それでは当然一〇〇%を持っていいわけですよ、企業が。そうでなくてはおかしいですよ。そこのところはどういう考え方を持っているのですか。これは厚生大臣どうですか、基本的な問題ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/27
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028・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) おっしゃるとおり、公害が起こった場合には発生原因者がこれは全責任を持つべきものであります。ところが、四日市の場合は、先ほどからも説明がありましたとおり、幾つかのコンビナートの方式でもってやっておるので、そこでたとえばぜんそくが発生した、そのぜんそくの発生原因が、甲乙丙丁の工場で、そこの煙突で甲が幾らこれに作用した、乙が幾ら作用した、丙が幾ら作用したということも、これは非常に判定ができない。また、そこにコンビナートを設置するということにつきましては、地元である四日市市というのがそこへそういった工業、工場というものを誘致してきている。それからまた、立地としましては、そこに、たとえばこれはばい煙だけの問題ではございませんけれども、都市計画といったようなものが、その工場が集中しておる土地に対して、それにふさわしく都市計画といったようなものもできておりませば——それは公害があったかもしれません、あったであろうけれども、幾らか公害が緩知をせられておったというような点も考慮されまして、そういった点から今度のぜんそくが発生した、そこで原因の発生者というものが責任を持つべきでありますけれども、これはもう八〇%、九〇%までは私は持つべきものだと思います、概括的に申しまして。ところが、いろいろな角度からながめてみますと、やはりその地元あるいは県、あるいは国といったようなものにも、これは全然何にもないのだということも考えられないといったようなこともあろうかと思うのです。ところが、はっきりと一つの工場がありまして、その一つの工場の煙突が作用いたしまして、そうして公害を発生したといったような場合とは少しニュアンスが違うのじゃなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/28
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029・稲葉誠一
○稲葉誠一君 国にも責任があるというのは、四日市の場合、国がどういう責任があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/29
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030・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 国に責任——かたい意味においての責任ということではないかもしれませんけれども、要するに、産業というものを日本で発展せしめていく産業政策、これは国が、国だけではないが、国がそういう政策をとって、この政策に応じて企業が行なわれておるというようなことから考えてみますと、そういったような被害が出た場合に、これに対して国が責任というと少しかたくなろうと思いますけれども、国の政策に従ってやっておるというようなことでございまして、そこで国といたしましては、そういったような公害、あるいはぜんそく病なり、そういったような公害に対処する策については、これはやっぱり国としても若干の援助をするというようなことで、これは国としては全然知らないのだということでもなかろうかと考えるのであります。(「責任あるよ。」と呼ぶ者あり)責任というよりも、対策を立てるにあたりまして、国はこれに対して幾らかの援助をするということも考えなければならないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/30
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031・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはあなたの言われたとおりですね。国が高度経済成長というふうなことを、かりに高度でなくてもこれは当然責任を負うべきことですわね。計画経済の場合と自由主義経済の場合とその責任の負い方が多少違うかもしれませんけれども、それはあなたのおっしゃるとおりなんですが、そこで、それでは一つの工場があって、そこからの被害で病気になった場合には、その工場が全面的に責任を負うのだ、発生主義で責任があるのだ。幾つも幾つも工場があると、大きな工場が一ぱいできてくると、どこがどうやって責任を負うのかはっきりしない。ですから、そうすると、各会社とも責任を負わなくっていいのだということになってくると、話がおかしくなってくるのですよ。たくさんコンビナートで工場ができたところでは、そういうふうな亜硫酸ガスなら亜硫酸ガスを出して、公害病というか、ぜんそくというか、そういうものに原因を与えているものが、つまりニュアンスの違い、濃度の違いはあったとしても、あるわけですから、それらものが共同して不法行為をしているということになれば、何らかの連帯して賠償の責任があるというのはあたりまえの話なんですよ。訴訟を起こすという話も出ているようですね。新潟の場合なんか、起きていますけれども、だからたくさん工場があるというと、責任の所在がはっきりしなくなって会社が責任を負わなくなってくる。おれのほうではない、おれのほうではないといって、結局わけがわからなくなって責任を負わなくなってくる。一つだけの工場の場合はそこだということで責任を負うということになってくると、筋がおかしくなってくるのですね、現実問題として。これは考えなくちゃいけない問題だと私は思いますがね。そこでその問題、おそらくこれは訴訟の問題なんかになってくるのじゃないかと、こう思うのですが、結論的には一体こういうふうな公害病が出ているということについて、厚生省としては、企業に大半責任があるのだ——法律的な責任があるのですね。あるのだというふうに当然考えているのでしょう。通産省は考えないかもしれないけれども、厚生省としては考えているのでしょう。それでなくちゃおかしいですね。そこら辺はどうなんですか。どの企業が——いまの説明によるとわからぬのですが、原因を与えているところが十のうち八つかもしれぬけれども、あとの二つは関係ないかもわからない。少なくともこういう結果を生んでいるのに、直接間接の因果関係があるものね。当然法律的な責任があるわけでしょう。この点は間違いないわけでしょう。ところが、今度は金を出さないというのはおかしいですよね。どうして金を出さないのですか。これに対して厚生省としては、いやそれは企業のほうの問題だから通産省でやることなんで、厚生省はそこまでとてもタッチできないんだということで、ノータッチということになるんですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/31
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032・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 数多くの公害発生源があって、そうしてそれが公害を発生して、たとえば病気になるといったような場合でございます。そういったような場合に、数が多いからそこでこれには金を出さないんだ、あるいはこれには責任がないんだと、こういうようなことを申し上げておるのではございません。これは数多くの場合に、その一つの工場なり、一つの煙突から生じました公害あるいは病気といったような結果に対して、一つのものが一〇〇%影響力があったと、こういうことは言えない。そこで一つの煙突があった場合に、これはまだ公害にはならなかった、病気にもならなかった、しかし、人間には悪影響を与えなかったけれども、それでもやはりその程度に至らざる公害はたしか出しておったには違いない。ところが、そのほかに二つになり、三つになりということになりますと、この公害の性質が質的な変化をいたしまして人間に悪影響を及ぼす、こういったような結果となるということは、これはまあ当然のことでございます。そういったような場合に甲乙丙の事実、一体これはこの病気に対してどういう何%ずつの原因があったかといったようなことは、これはなかなかむずかしい問題でございますけれども、しかし、むずかしいからといって、数多くの原因者から発生したんだから、これは何らの責任にも任じないんだ、そういったようなことを考えておるのではないのでございまして、それはやはり最も大きい原因者として三つなり、四つなりのこういった煙突なり工場というものを原因者としてそれをとらえなければならないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/32
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033・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これはあまりこまかいことを言っていますと、現実には科学的にはわからないんでしょうね。どこの工場の煙突から病気になったのかといっても、こういうことはなかなかわからないことですからね。そういう関連のある企業というものの全体の、一種の団体みたいなものをつくっているという考え方で、そこでの一つの共同的な不法行為だというような考え方に立たなければ、これは個別的なあまり考え方に立っていたんではとても解決できないですよね。これは新しい法理論というものをつくらなければ、これは無理ですね。それはそのとおりですね。だけれども、本件のような場合は、なぜ企業の側が出さないのかということですね。出さないでしょう。とにかく出すことに話がきまったようなんだけれども、何か出さない。出さないのは、自分のほうが悪いんじゃないということなんですね。悪くないから出さないというんでしょう、結局。悪くないから責任がないということですよね。責任がないから出さないということなんでしょう。それに対して一体厚生省としてどうするのかということなんですよ。いや企業が金を出す出さないということは通産省の管轄だから、自分のほうは関係ない、ノータッチだと、こういうことになるのかと、こういうことを言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/33
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034・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 今度の百万円の予算計上、先ほどからも御説明申し上げたとおりでございますが、きちんと予算書にはどこの会社が幾らと書いてないにしましても、これは当然その原因者であるところの企業が金を出すべきものだというたてまえの上に立ってですね、このことにつきましては通産省も了承しておることでございますから、もし出さないというようなことであるならば、これは厚生省から通産省にも連絡いたしまして、必ずそこは善処してもらいたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/34
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035・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ほんのわずかなお金ですよね、ほんのわずかなお金なんだけれども、結局あれでしょう、自分のほうが責任があるということにとられてしまうと、あとあとでたいへんな問題が起きてくると、会社側としては。それなんで何とか出さないで済ませよう、済ませようとしておるわけでしょう。だから名目にこだわるわけですね。負担ということになると、自分のところに責任があるんだ、だからそうじゃない、寄付するんだという形でいこうということでしょう。それはいまのあなたの答弁でわかりましたから、これ以上聞きません。ほんのわずかなお金を出さない会社なんかけしからぬと思うんですよ、これは。社会的に何かこういう問題についてそういう会社なんか名前あげてぼくは徹底的にやっつけなくちゃいかぬと思うんですよ。
そこで大臣にお伺いしたいのは、この公害病というか、ぜんそくのあれを苦にして、きのうですか、おとといになりますかね、お菓子製造をやられておる大谷さんという方が首つり自殺をされたと、こういうふうなことが出ておるわけですね。こういうことについて大臣としてはどういうふうにお考えになりますかね。こういう新聞記事を見たときにどういうふうにお考えになったかということをまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/35
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036・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 四日市の大谷一彦さんがぜんそくを苦にされて自殺をされたということは新聞でも私は承知していたしております。遺書がございませんので、遺書によって本人の意思というものがどういう気持ちであったかということはわかりませんけれども、しかし、客観的に見まして四日市ぜんそくと認定されておった患者でございますし、まあ、そのぜんそくを苦にして自殺されたのであろうと、私もそう考えます。そこでこういったような方々が、万が一にもそのぜんそくを苦にして死んだんではないということである、万が一にもあるかもしれませんけれども、とにかくそのぜんそく病というものは非常に大ぜいの人々がこれに苦しんでおるという事実は、これはもうおおうべくもない事実でございまして、私はこういったような事実に対しましては寸刻も早く、まず第一には、そういったような病人が今後ふえないような、つまり公害をできるだけ希薄にして、薄くしていくというような、公害を予防していくということと、もう一つは、現にそういったような罹病者に対しましては、いまもいろんな措置は講じておりますけれども、できるだけの措置を講じてまいるべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/36
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037・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまの結論的には、だからぜんそく病ということで一般論的に話を持っていかれたような印象を受けたのですけれども、私のお聞きしているのは、四日市における公害の問題に関連してのことですからね。私もそういうふうにいま聞いたつもりで、あなたの答えもそういうふうにとりましたけれども、何か一般論的に持っていかれたような感じを受けたのです。そうすると、そこでこの公害予防とそれから罹病者に対する今後の対策ですか、二つ、いま大臣言われたわけでしょう。そこでその二つの問題に対する厚生省としての具体策は一体どうするんですかね。気持ちはもうそれはわかりますよね。じゃ具体策は一体どういうふうにしていくんだ。これはどういうふうなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/37
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038・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 予防につきましては、これはただいま御審議を願っておる一般的な問題としての公害基本法等を成立さしていただきまして、この基本法に伴っていろいろの具体的な施策を講じていく。で、まあこれは一般的な予防なり、一般的の防止ということを密にやっていくということでございます。現に、公害によって病気になられたといったような方々に対しましては、今日も健康保険及び自己負担分に対しましては、一定の方式でもってお金がかからないようにしまして、そうしてあるいは入院なり治療なりをしていただいておりますが、そういったようなことを、とにかく病気がなおってもらうためには、これは何といったってお医者さんにかかり、入院をし、薬を飲んで治療をやってもらうよりほかにしかたがないのでございますから、そういったような治療がよりよく行なわれるように、これは病院の施設にも関係がございましょうし、いろいろなことがございましょう、そういったようなことを整備していく、こういうことでやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/38
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039・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いま一つの例であげたように、企業が、発生原因が自分のところにありながら、ほんのわずかな金すら払わないのですから、八百万円のうち四百万でしょう。半分なんです。それを何だかんだいろいろな理屈をつけて払わないわけですね。そういうふうなことは、今度の公害基本法で経済との調和をはかっていくのだということになるとますます出てくるんじゃないですか。経済との調和をはかるということは、結局企業の立場を尊重して、企業の何といいますか、一定目的の範囲内で公害予防をやるということになってくるんじゃないですか、現実問題として。だから、公害の予防ということを中心として、そのほうをまず基本的に考えるというんじゃなくて、企業と同列なり、あるいは企業の繁栄ということの範囲内の問題として公害問題をとらえているというふうに結局なってくるんじゃないですか。それじゃあいかぬわけです。いかぬわけだけれども、この四日市のいまのわずかな八百万の半分の四百万の例一つとったところで、企業のごきげんをとっているわけじゃないですけれども、それに刃向かって、反抗して何もやっていない。実にぼくはあいまい、あいまいというか、何といいますか、形だけ公害基本法をつくる、あるいは公害部をつくると、いかにもやったふりをするけれども、何のことはない、大産業から言われれば頭を下げてしまって適当にお茶を濁してしまうということにならざるを得ないんじゃないかという感じがしますよね。ぼくは厚生省の人はそう考えていないと思います。厚生省の人は、ほんとうにまじめに公害部をつくってほんとうに取っ組みたいと思っているけれども、通産省なり何なりというところが企業を中心に考えるから、ウェートがそっちのほうにかかってしまうということに結局なってしまうというふうに考えるのです。それじゃいかぬわけでしょう。そういうことを絶対にしないのだ、そういうふうじゃないのだ、おれのほうが中心になって公害対策をしっかりやっていくのだ、企業がわんわん言ったって、いろいろそれを押えてやっていくのだというところの決意を、厚生大臣、ひとつきちっと出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/39
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040・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) こういったケース、まさにおっしゃるとおりだと私は思うのです。わずかのお金を出し渋るということは何ら——何らということではありませんが、経済的の関係よりも、先ほど御指摘になったような関係もあって、それで金を出していないということは私知らないのでございますけれども、出していないというようなことは、おそらくは御指摘になったような関係であろうと私は思います。そういったようなことを、これを何とかして一般的に救済していく、そういうようなことに考えるということを救済する、メンツだとか、あるいは自分が最後のそういう責任者だということになってしまうということを考えて、そうしてなかなか金を出し渋るということであるならばそういう心理状態を救済していく……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/40
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041・稲葉誠一
○稲葉誠一君 救済というのはおかしいですね、ことばが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/41
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042・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) そういう心理状態にならないようにしていくという方策、方途が、これは私は非常に今後の公害の対策として大事なことだと思います。そういったような、いままだ私ども練ったわけでもなんでもございませんけれども、何らかのそういう措置を考えていかなければ、御指摘になったようなことが、今後の公害の処理をしていく際に非常に頻発いたしまして、なかなか、そういったようなことにぶつかって、それで所期の目的を達成できないというようなことがおそれられます。だから、そこいらの点につきましては、何とか、救済と申し上げたのははっきりした概念でないかもしれませんが、そういったような心理状態になるということを救済できるような措置をひとつ慎重に考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/42
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043・稲葉誠一
○稲葉誠一君 お話をお聞きしていますと、私もいろいろ意見があります。率直に言えば、厚生省は善意だと思っております。非常によくやっていらっしゃると思うのだけれども、まあ率直に言えば、公害に対する取り組みが、基本態度があいまいというか、そういうような点が十分感じられますけれども、それはいまあなたそういうふうにおっしゃるんですから、あなたのお人柄を信頼して、そうしてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
そこで、この四日市の公害病を苦に自殺をされている人が去年も出、ことしも出ておられるわけですね。そこで厚生大臣、あなたは直接現地に行って、四日市だけではありませんけれども、一つの例として四日市の公害の実態というものをあなた自身がはだで感じてこられて、そうしてそういう病気でいま悩んでおられる方が三十三人も入院しておられるわけでしょう、通院の人もおられますね。そういう人にちょっとお会いになって、そういう人の声も聞き、悩みもいろいろお聞きをしてくるということがぼくは大事だと思うんですね。そういうことをあなたがおやりになって、そうして今後の厚生行政の中に生かしていきたいということをお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/43
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044・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 私は常にそう考えております。ただ国会開会中でございまして、与野党の方々が非常に御熱心に、公害はじめいろいろなことについて御審議を願っておる折りに、どうも私がはずすということもどうかと思っておりますが、私は機会があればこれはぜひ四日市はじめ川崎、川崎は近うございますけれども、あるいは阪神方面、これを一ぺん現実に私は見せてもらいまして、親しく公害の被害者にも会いまして、そうしていろいろな話を承りたいと、この間NHKでは、私は全国の方々にお目にかかりましてなまの声をお聞きしたところでございますが、そういったようなことを契機といたしましても、私自身現地へ一ぺん参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/44
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045・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そういう御答弁ですから、それ以上のことは私もあれしませんが、ぜひそういうのを、国会の会期中でもいいわけですから、ぼくは公害部をつくるというのなら、その前に当然そういうことをやっておられたと思うんですがね。そうしたら、そうじゃないというから、そこまで、内容まで介入するわけにはいきませんから、あなたのことばを信頼して、ぜひそういう形で現地を見られる、ここだけじゃございませんけれども、病気に悩んでいる方々に直接お会いして声を聞いて、そうして行政の中に生かしていただきたいということをお願いしておきます。
そこで公害関係はひとつそれで終わりまして、この前からいろいろ定員の増の問題をお聞きをいたしておるのですけれども、それに関連をした中で重症心身障害者対策として二百五十二人の増員が見込まれているわけですね。その増員の内訳というものを御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/45
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046・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 国立療養所に併設いたしました重症心身児の収容施設が十四カ所を予定しております。その十四カ所に対して、一カ所十八名ずつということでこの増員が組まれております。この一カ所十八名の内訳は、行政職(一)表による職員が一名、行政職(二)表による職員、たとえば看護助手、洗たく婦という者が五名、医療職(一)の医師が一名、それから理学療法士が一名、それから看護婦が十名、計十八名がこの積算の根拠でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/46
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047・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは二百五十二人ふやすというのは、ベッド数幾らについて幾らという形ですか。どういう計算の根拠になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/47
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048・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) ただいま申し上げました重症心身障害児の収容施設を一応四十床単位に考えております。四十床単位の収容施設を十四カ所つくろう、それで一施設にただいま述べました十八名、それで十八掛ける十四という数がただいまの増員の数になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/48
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049・稲葉誠一
○稲葉誠一君 四十一年度の補正のときですか、四十床当たり二十七名という計算したわけでしょう、二十七名というのは十八名に何と何と何が加わって二十七名になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/49
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050・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 十八名と最終的に予想されます二十七名の差は、行政職(一)の職員といたしましてただいま一名と申し上げましたが、これがさらに二名ふえます。つまり保母一名と児童指導員一名をさらにふやす。また、行政職(二)の職員につきましては、ただいま五名と申しましたが、そのうちの看護助手四名を八名に、洗たく婦一名はそのままですが、さらに保清婦及び炊婦をそれぞれ一名ふやして十一名にする。さらに医療職(二)の関係では栄養士をさらに一名増員する。看護婦はもともと十名でございます。それだけの職員がふえて二十七名になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/50
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051・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、ここでは十八名だけ計上していて、あとの九名は増員の中に入れてないわけですか。これはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/51
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052・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 国立療養所は患者数も逐次減っておりますし、そして定員それ自体も年々減少いたしております。それで、病院、療養所というものは人の動きの激しいところでございまして、看護婦その他が非常にたくさんやめたり就職したりいたします。それで、結果的には、この施設が動き出すのは大体一月以降でございます。十二月までに相当の欠員が出る。それがある程度凍結されたままでおりますが、その凍結職員をある程度十二月の時点で解除してもらって、そしてこの不足分を補わせようというのが現在の構想であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/52
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053・稲葉誠一
○稲葉誠一君 あなたの説明も何だかあまり具体性がないですね。もう少し具体的に数字をあげて説明してください。本来二十七名なんでしょう。それが十八名しか計上してなくて、あとの九名は計上しなくてもいいんだというような、いまのあなたのお話では——抽象的にはわかりますよ、抽象的にはわかるけれども、なぜ、じゃあその九名というものを計上しなくても済むのかということが、具体的な数字となってあらわれてこないんですね、いまのお話は。だから、国立療養所の患者はどの程度減るのか、減って、そうして何か転換させるのですか。それから凍結を解除するとか、いろんな話がありましたね、そこのところもう少し数字に基づいて説明してくれませんか。お話を聞いていると、それはあなた方のほうはおわかりになるけれども、聞いているほうではわからないのですね、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/53
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054・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) ただいま差額が一施設に九名あるということを申しましたが、その九名分、十四カ施設の総員が百二十六名になるわけでございます。その百二十六名が現在定員化してないわけでございますが、これが私どもの見込みでは、年末までには百数十名の欠員が生じ、これがいわゆる充足を凍結される数が出るわけでございます。そういう不足、凍結された定員を凍結解除していただいて、そうして百二十六名を充足するという予定だということを申し上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/54
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055・稲葉誠一
○稲葉誠一君 だから、百何十名か欠員が出るという根拠があるわけでしょう。それが一つと、それから凍結になったものを解除してもらうと言ったって、九割の場合と、五割の場合とあるわけでしょう。それでこういう人数が出てくるのかということと、それからもう一つは、そうすると結局ふやさないんですね。その分についてはふやさないで済ましちゃうというわけでしょう、それでだいじょうぶなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/55
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056・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 従来の実績から申しましても、十二月までには定員内でやめていって、その充足ができなくて、行政職(一)でありますと五割、医療職につきましては九割ということに対しましては、充足いたしますけれども、その残りの分が凍結されてしまうわけです。そういう職員の数が数百名にのぼってくると、したがって、十二月までは定員内であっても凍結されて、実際に使えない職員が出てくるわけです。それが年々数百名ございますので、十二月の時点にはそういう凍結された職員を、凍結解除してもらって動き出させる。そうして一月の時点で不足分を埋めていくと、こういうことでございます。したがって、現実には一月には、当初見込んでおいた十八名と、凍結解除による増員九名を合わせまして二十七名を充員して、その仕事を発足させると、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/56
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057・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、四十一年度の補正のときに、四十床当たり二十七名という形で計算して、あれですか、人員ふやしたのですか、どういうふうにしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/57
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058・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 四十一年度におきましても、当初十八名の予算で組んでおきまして、そうして不足分は十二月に行政管理庁と相談をいたしまして、凍結職員は解除いたしまして、二十七名にいたしたわけでございますが、それと同じやり方を本年度もやりたいという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/58
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059・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、それは行管のほうでも了解しておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/59
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060・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 大体了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/60
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061・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、十二カ所は今度ふやすんですか、いまあるのは足利と新潟ですか——どういうふうになっていますか、いま幾つですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/61
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062・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 現在、四十一年度に設置したものが十カ所でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/62
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063・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そこで、無資格という、そのことばはちょっとあれですけれども、看護助手というのは何人くらい使っておりますか、いままでは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/63
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064・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 予算上は一施設二十七名という場合には、その内訳の中に看護助手という者が八名含まれております。これがいわゆる無資格といいますか、看護婦とか保母とかいう特定の資格のない者でございまして、これがある程度育児の経験のある母親とか未亡人とかいうような方々をお願いして実際の子供の世話をしていただくということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/64
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065・稲葉誠一
○稲葉誠一君 足利の療養所の場合は、あれは八十人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/65
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066・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 八十人定員でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/66
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067・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そこで無資格——無資格ということばは悪いんですが、看護助手というのは何人おりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/67
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068・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 予算上からいえば十六人いるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/68
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069・稲葉誠一
○稲葉誠一君 実際は二十人いるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/69
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070・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 予算上は十六名でございますけれども、実際に有資格の保母が得られなかったり、あるいは看護婦に著しい欠員を生じたりというような場合に、暫定的にそのような職種で穴埋めすることがあるので、足利の場合あるいはそのような状態だったかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/70
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071・稲葉誠一
○稲葉誠一君 八人、八人で十六人でしょう。それで予算は何で組んであるんですか、賃金で組んであるんですか、どうなんですか、その範囲内で人がふえても全体のワクは動かさないで人数がふえてくれば割るんですか、どういうふうにやるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/71
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072・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 当然できるだけ予算にきめられた職種でやることが理想でございますけれども、そういうことが完全にできない場合、やはり業務上のロス、欠陥を少なくするために暫定的に他の職種を流用して採用いたします。もちろんその場合に、俸給の多寡が予算と違ってくる場合もあり得るわけでございます。しかし、国立病院、療養所——この場合療養所でございますが、総数で二万数千名の職員がおりますので、その辺のところを現実的には国全体のプールの中で操作されますので、実際上の支障はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/72
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073・稲葉誠一
○稲葉誠一君 看護助手の給料の支払い方法はどういうふうになっておりますか、どこに出てくるんですか、予算では。どういう項目で出てくるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/73
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074・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 当然正規の職員でございますので、職員俸給という欄に計上されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/74
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075・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、看護婦なり准看護婦のほうの人数が足らないと、そこで払うべき給料は、看護助手のほうが人員が多いとそっちに流用してしまうんですか、そういう形で現実にやっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/75
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076・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 一つの施設から見ればそういうことになります。全体の、たとえば国立療養所でございますと、職員が二万数千名おりまして、そのうち看護婦の定数が一万数千人ございます。また、看護助手の定数は数千人でございます。したがって、これは一つの施設から見ますと多少のでこぼこがございます。それがたとえば地方医務局、関東地方全部で施設が四十くらいございますが、全体として見、あるいは国全体として約百六十の施設全体として見れば、ほとんどその全体が大体そのワク内でおさまっていくということが通常でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/76
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077・稲葉誠一
○稲葉誠一君 看護助手なら看護助手という定員があるわけでしょう、関東とか関西によってでこぼこがあって、関東では定員より多いが、関西のほうは少ないということで、看護助手なら看護助手の場合をとってみれば、結局定員どおりにいっているんだということですか。看護助手が定員より少ないということはないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/77
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078・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 関東地方あるいは関西地方、あるいは国全体というふうに、全体にプールされますので、凹凸はある程度消えてしまう。しかし、看護助手がいつでもオーバーしているかどうかということになりますと、これは一時看護婦不足という事態がありますと、確かに看護助手が若干オーバーするということもあり得ることであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/78
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079・稲葉誠一
○稲葉誠一君 お聞きしているのは、それほど重要でないかもしれませんけれども、看護婦が不足しているからということで、看護助手というものを実際に使っているということが常識的に考えられるわけですが、看護助手の人は、全体としての人数は予算書にあらわれているよりも少なくはないんでしょう。何人予算書にあらわれていて、現在何人いるんですか。そこまでわからなければ、あとでもいいですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/79
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080・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 現在重症施設だけについて実情がどうなっているかということについては、既設のものについては、四十一年度設置したものについては一番近い時点で調査すればわかることでございますが、現在手元に資料を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/80
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081・稲葉誠一
○稲葉誠一君 あなたのお話をお聞きしていますと、私よくわからないもんですからあれなんですが、看護助手なら看護助手だけのものの給与というものが、定員よりも看護助手のほうがぼくは何か多いようにも思うんですがね、調べてみないとわかりませんけれども。それを看護婦さんや何かが全体として減っているから、全体として少ないから、それのほうの減っている分とこっちのふえている分をプールして何か間に合わしているというふうに聞こえるもんですから、そういうことがいいのか悪いのかということを疑問に思って聞いているわけですね、一つは。あるいはそうじゃないと、看護助手の場合は地域的にふえているところもあるし、少ないところもあるから、看護助手だけをプールしていけば同じになるんだということと、そうでなしに、看護婦と看護助手とを全体まぜてのプールということとは考え方が違うわけですね。そこのところがどういうふうになっているかということを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/81
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082・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) これは当然各職種ごとの定員内でまかなうべき性質のものでございます。しかし、実際には地方医務局ごと、あるいは国という全体の段階まで上がってきますと、最終的に過不足ということはわかりますけれども、現場ではある程度、そういう施設単位に見ますと、でこぼこがある場合も、実際の業務の必要上それを承認して、そうしてその地方医務局、関東地方なら関東地方で間に合わせようという努力をいたしております。しかし、ある時点で、そういう施設がたくさんございますので、集計してみると、案外一人二人オーバーしたとかなんとかいうことは事実上あり得ることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/82
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083・稲葉誠一
○稲葉誠一君 事実上あり得るとかなんとかいろいろありますけれども、現在看護助手は定員が幾らで、何人いるんですか、どういうふうに把握しているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/83
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084・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) これは重症心身施設だけの数はいまわかりませんが、大体看護助手というのは国立療養所全般として約三千名程度ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/84
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085・稲葉誠一
○稲葉誠一君 約三千名はいいんですけれども、ぼくの聞いているのは、予算定員は幾らで、実際はそれより多いのか、少ないのかということを聞いているんです、看護助手は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/85
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086・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) ただいまのように全体をプールしてみると、大体予算のワク内に近い状態であるというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/86
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087・稲葉誠一
○稲葉誠一君 大体はいいんですけれども、きょう法案をぼくのほうはぜひ上げようと思って努力しているんですから、ぼくらの気持ちも察してもらいたい。そんなものは調べればわかるんじゃないの、あとでいいですよ。だから看護助手がたとえば三千名いて、それが三千二百人いるかどうかわかりませんが、それで払い切れないから、看護婦さんが減っているから、看護婦さんのほうのものと看護助手のものをプールして流用してやってるんじゃないかと思われるから、そうすればそういう流用は一体会計法上いいのか悪いのかということが問題になってくるでしょう。と思うからそれを聞いてるわけなんですよ。それはあとでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/87
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088・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 要するに、予算的に見ますと、予算上は人件費は一本でございまして、職種ごとに流用できないということではございません。しかし、それはどこまでもやはり予算を立てた以上はその筋を守っていくのが私どもの義務でございます。そういう意味でできるだけこの予算のワク内の定員でやり繰りするという努力はいたします。しかし、現実にはただいま申しましたように、若干のズレがあることは現実ございます。看護助手の実人員について資料を出せというお話でございますので、できるだけ近い時点の実数を調査の上、お知らせいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/88
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089・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その看護助手というのは無資格無資格と言いますね。これは具体的にはどういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/89
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090・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 無資格ということばがおかしいんで、私ども看護助手と呼んでおりますわけで、看護婦は正規の資格を持った看護婦であり、また保母はそれぞれ資格を持った人々でありますので、そういう保母でもない、看護婦でもない、しかも看護婦や保母の仕事の援助をするという仕事をしておりますのを看護助手と言うわけでございます。看護婦というような、あるいは保母というような、特定の教育を受けて特定の技能を持った者が非常に単純な雑用的な労務に従事することは、これは非能率的でもございますので、比較的雑用的な単純な労務についてはそういう専門家でなしに、看護助手という名称で呼んだ非専門家といいますか、そういう方たちにお手伝いをしていただいてるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/90
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091・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、その看護助手を、たとえば定員を変えて——定員もきまってるんですか、これは、法律で定員化して、百名なら百名ふやそうというときには国会に定員法改正で承認を得ることになってるんですか、それはどうなってるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/91
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092・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 定員は厚生省は一本できめられておりますので、看護助手が何名という、これはどこまでも内訳でございまして、看護助手が何名という定員法できめられたものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/92
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093・稲葉誠一
○稲葉誠一君 具体的にはこの看護助手という人は何をやってるんですか、それが一つと、それから足利の療養所ではこれらの人に夜勤をやらせるという計画があるらしいんですね。こういうふうな計画があっていいのかどうかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/93
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094・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) この重症身障児施設が御承知のように、非常に手のかかる大きな子供がたくさんおりますので、夜中でもおむつの取りかえをしなきゃならぬ場合もございますし、泣き出せばついていなければならぬ場合もたくさんございます。そういう意味で、ある意味では母親がわりをやるわけでございますので、一般の病院等における看護というもののほかに、母親的な仕事が相当ございます。そういう意味で看護助手等で現実にそういう育児の経験があったりというような方々に実際には夜も泊っていただいて、夜のお手伝いをしてもらうということがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/94
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095・稲葉誠一
○稲葉誠一君 夜泊ってやるという場合には、現実には看護婦さんの仕事と同じようなことが起きてくるわけでしょう、必要が。そういうときに、看護助手の人であっては非常に困ることが起きるのじゃないですか。そこはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/95
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096・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) これは当然看護婦も宿直しているわけでございますから、自分の手に負えないものは当然看護婦に連絡して、看護婦にやってもらうということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/96
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097・稲葉誠一
○稲葉誠一君 新潟療養所のあれですが、心身障害者の中で、去年ですか、ことしですか、何か二名子供さんがなくなったのですか。これはどういうふうなことからなくなったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/97
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098・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 新潟で二名死亡したのは事実でございまして、一人は急性肺炎、もう一人は急性心臓麻痺ということで、というのは母親が帰り、非常に興奮状態にあって、そうして母親の帰宅後にストレスが強いというか、心臓麻痺を起こした例でございます。これは先生、事実上患者をごらんになればおわかりのように、非常に重症な、ほんとうによく生きていると思われるような患者が相当たくさんございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/98
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099・稲葉誠一
○稲葉誠一君 各その施設で、これには小児科の専門医というものがいることになっているのですか。どうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/99
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100・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 各施設に医師一名の定員が配置してあるわけでございまして、したがって、できるだけ専任の医師を置いていただきたいということでございますが、現実に専任の医師を得ていない場合もございますので、やむを得ず非常勤という形で大学病院等から特にそういう疾患に経験のある方をお願いするというような例がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/100
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101・稲葉誠一
○稲葉誠一君 小児科専門医がいるところといないところと、どういうふうになっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/101
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102・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 現実には専任のものと嘱託のものとがおりますが、現に医師のそういう嘱託あるいは専任を置くにかかわらず、医師がいないというところはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/102
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103・稲葉誠一
○稲葉誠一君 小児科の専門医で非常勤の人がいるのはどのくらいあるのですか。なかなか確保できないわけですね、現実問題として、それはよくわかりますけれども、非常にその確保がおくれるものですから、入っている人も不安になってきているのじゃないですか。なかなか確保むずかしいことはわかりますけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/103
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104・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 実は重症心身障害児というのは、非常に多種多様な障害の子供でございますので、重症心身障害児の専門医というようなものはいまはないわけでございまして、とにかく小児科の医師ということで、その小児科の医師の中にも特に神経系のことに興味のある医師もありますし、あるいは特に呼吸器系のものに興味のある医師もございます。したがって、重症身障専門医ということはございませんが、現在、昨年設置いたしました十カ所のうち、専任の医師のいない施設が三カ所ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/104
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105・稲葉誠一
○稲葉誠一君 このお医者さんは確保はなかなかたいへんでしょうから、これはわかりますけれども、いないというので非常に入っている子供やお母さんたちが不安に思うようですね。それと各地にできておる施設ですね、これはあれですか、その県の人をある程度優遇——入れるのに対してたくさん入れたいというふうになっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/105
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106・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 最初の専任医師のいないために患者あるいは家族が不安ではないかということでございますが、もちろん専任医師がいなければそれだけ不安でございましょうが、その点は独立の施設としないで、国立療養所に併設してありますので、万一の場合は、療養所の医師がある程度のめんどうは見れるというたてまえで療養所に併設をいたしておるわけでございます。
なお、収容する患者につきましては、一応児童局がこの仕事を担当しておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/106
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107・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 御承知のように、重症心身障害児施設はただいまのところ、国立施設が十カ所、それから国がつくりまして日本肢体不自由児協会に委託しております施設が一カ所、そのほか民間の施設が十二カ所、現在のところ二十三カ所ございまして、ベッド数が二千六百床程度でございます。したがいまして、そういった二千六百床の施設に現在まあ家庭で養育されております重症心身障害児の方を入れていかなくてはならないということでございます。で、とうてい施設の数が現在のところ少ないので、私ども医務局と共同いたしまして、施設の拡充をはかっているわけでございますが、そういった非常に少ない現状でございますので、その施設に入れまする子供の割り当てと言いますか、ことばはちょっと悪うございますが、そういうふうな選定を行なわざるを得ないわけでございます。そこで、先ほども死亡事故のことで問題がありましたように、なるべくおかあさんが住んでいるところの近くの施設に子供さんを入れるということも必要なことになっておりますので、そういう現状におきまして、その施設がございまする県の子供さんをやや優先いたします。もう少しはっきり申し上げますと、たとえば四十床の定員でございますと、そのうちの二割、八床は当然その子供さんのおる県に割り当てをする、残りの八割につきまして人口割りに応じまして、その近県の子供さんを入れるという方法をこの四十二年度においてはとらざるを得ないということであったわけでございます。しかしながら、こういう方法も施設がだんだんと拡充してまいりますれば、もっと実情に合うように是正をしていきたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/107
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108・稲葉誠一
○稲葉誠一君 区切りをつけるので、午前中の質問を終わりたいと思うのですけれども、施設に入っている人はある程度恵まれている形になるわけですけれども、入りたくても入れない人が一ばいいるわけでしょう。そういう人に対する、重症心身障害児の場合は、具体的に厚生省としてはどういうふうにしているわけですか。どの程度ですか、割合は。希望者のどの程度が入れることになっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/108
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109・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 私ども昭和四十年の八月、一昨年の八月にこういった重症心身障害児あるいは十八歳をこえる重症心身障害者の実情調査を全国的に行なったわけでございますが、その際のデータといたしまして、約一万九千三百名のそういった重症心身障害の状態にある方がいるということが把握されたのでございますが、その中でやはり家庭において養育したいというふうな御希望の家族の方もいらっしゃいます。また、施設に収容するに至らないだろうというような方もいらっしゃるので、このうち施設に収容しなければならないであろうというふうな方が一万九千三百名の中で一万六千五百名という数字を把握したわけでございます。したがいまして、いま私が御説明しましたように、現在のところ二千六百床程度でございますので、たいへん少ないわけでございます。私どもといたしましては、昭和四十六年までに八千床を確保する、つまりこういった方々の半数を四十六年度までに施設に収容してあげるという対策をつくりまして、この対策はいまのところ順調に進んでいるわけでございますが、したがいまして、現実の姿、いまの姿からいいますれば、まだ四分の一、五分の一というふうな状態でございます。したがいまして、家にいらっしゃる子供さんあるいは重症心身障害者が非常に多うございますので、いま在宅の方々につきましては、児童相談所あるいは保健所等から専門の職員を家庭に派遣いたしまして、おかあさんに対しまして子供を扱う方法なりそういったことを教える、いわゆる訪問指導等を実施いたしております。そういうふうなことでやっておりますが、何せ施設が足りないので、この計画、施設の整備計画を早く実現するということに最大の力を払っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/109
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110・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) それではこの程度にいたし、午後は一時半より再開いたします。
暫時休憩いたします。
午後零時十六分休憩
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午後一時四十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/110
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111・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 内閣委員会を再開いたします。
午前に引き続き、厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、本案の質疑を続行いたします。御質疑のある方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/111
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112・稲葉誠一
○稲葉誠一君 身体障害者の問題に関連してお尋ねをしたいと思いますが、今度身体障害者のほうの改正がいま出ているわけですけれども、これは大要四つの点になっておりますけれども、要点は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/112
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113・今村譲
○政府委員(今村譲君) ただいま国会のほうにお願いいたしております改正の内容点、大きいものは四つでございます。そのほかこまかいものがございますが、第一点は、対象範囲の拡大ということで、現在は肢体不自由、それから聴力、視力、それから脊髄不自由というようなものが、外形的なものがありますが、今度は呼吸器、それから心臓病というような内部疾患者も、やはり社会生活上非常に不自由であるということで、内部障害者を対象に入れようという点が一点でございます。それから第二点は、施設は現在いろいろの種類のものがありますけれども、全部収容だけだというので、必要ならば自宅から通えるような人も訓練施設なり、授産施設なりに通わせるというふうな通所制度をつくりたいというのが第二点でございます。それからその次に、居宅の人に、現在は施設中心で家におる人についての手がまだ不十分であるというので、身体障害者の家庭奉仕員、非常に重度の人であって家族の援護なんか十分受けられないという人が相当ありますので、そういう場合の家庭奉仕員というふうなものの制度を設けたいというのが第三点でございます。それから身体障害者の相談員というので、本年度は二千名お願いしてございますけれども、都道府県知事が、身体障害者に対して非常に熱心な、世話をやいてやろうというふうな人がたくさんおられますので、そういう人に委嘱しまして、身体障害者の役所との連絡とか、あるいはいろいろな相談の受け付け、あるいはある程度の指導とかというふうなものをやらしてもらいたいということで、身体障害者相談員を設置する。この四本の柱でございます。そのほかに小さい問題でありますが、いままで施設で十八歳以上しか収容されておらなかったものを、義務教育終了しました者につきまして十五歳以上という人についても施設に入れて、どうせ社会に出るなら早く訓練したほうがいいというので、十五歳以上の者も収容できるというふうに直したわけでございます。それからこれは技術的な問題でありますが、結核が内部障害ということで身障法の対象になるということでございますので、現在法律も何もなしにアフターケア施設というのが二十数カ所ございますが、これは国庫負担二分の一ということでやっておりますが、これを身障法諸施設に組み入れて、国庫負担八割というふうに切りかえるというふうな小さい点がございます。以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/113
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114・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これはこれに伴っての増員関係は出てこないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/114
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115・今村譲
○政府委員(今村譲君) これは大体が都道府県知事のほうで身体障害者の手帳を出したり、施設を直営したり、あるいは民間の施設を監督したり、そういうふうなものにつきましては、全部都道府県あるいは市町村ということになっておりますので、厚生省のいわゆる国家公務員については、増員は出ておりませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/115
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116・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、地方公務員関係での増員とかということは、大体の見込みはわからないのですか、法の改正に伴って。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/116
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117・今村譲
○政府委員(今村譲君) 直接的には出てまいっておりませんが、県庁のほうでも施設の増強というふうな場合には若干出てまいりますが、ここで言います内部障害の認定業務とか、あるいは身障相談員を設置する場合の多少の事務量の増加とかというもので若干あろうかと思いますけれども、これで直接的に県の公務員が何名というふうなものには、普通の行政事務でございますので、出てきにくいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/117
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118・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、身体障害者の福祉対策として国自身が持っているものとか、国自身がやりたいと考えているのは何なんですか、ほとんどこれは府県へ委任しちゃうんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/118
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119・今村譲
○政府委員(今村譲君) お答えいたします。これは国自身で直接やっておりますのは、失明者の、昔光明寮といいました、いまは視力障害センターといっておりますが、全国で四カ所ございまして、それから今度九州地区に一カ所増設したいという予算を出しておりますが、それが一つ。それからろうあ関係では、東京第一病院の裏側のほうにあります国立の百名収容の施設をもっている。それから身体障害者センターも百五十名収容能力を持っております。そういう直轄施設は持っておりますが、それ以外の部分につきましては全部行政上の問題——都道府県知事が実施なり指導なりやっておるという体系でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/119
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120・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その身体障害者福祉法ができたのは昭和二十四年ですか、その後何回ぐらい改正になっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/120
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121・今村譲
○政府委員(今村譲君) 昭和二十四年にできまして、二十五年からたしか施行になったと思いますが、その間にほとんど、申しわけないですが修正ございません。二十九年に更生医療といいまして、もう少し手術をして手を切り直せば手が動くようになるというような部分の医療関係の部分を追加したのでございますが、そのほかは、その体系のままできております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/121
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122・稲葉誠一
○稲葉誠一君 身体障害者福祉審議会の答申が出ましたが、これは去年の十一月ですか、その答申の中のどの程度のものが今度の法の改正の中に取り入れられておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/122
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123・今村譲
○政府委員(今村譲君) これは昨年の一月から、答申があった十一月の二十四日まで六十回ほどやっておりまして、これは何も厚生省だけの範囲じゃなくて、労働行政、いわゆる雇用行政あるいは文教行政、建設行政あらゆるところで総合的に検討しようというので、答申も非常に膨大なものが出てきております。項目にしましても厳密にいいますならば五十項目ぐらいあるであろうというふうに思いますので、私どもこれは当然一年限りで全部実現というわけにはなかなかまいらない。各省の関係もあるし、それから都道府県、市町村等の行政事務の配分もあるし、あるいはその負担割合の問題もあるしというふうな問題がございますが、とりあえず緊急を要して、わりあいに早くまとまるというものを四十二年度に打ち出したいということで、先ほど申し上げました四本、小さいものを入れれば六、七本というものを出したわけでありますが、このパーセンテージといいますのはちょっとはっきりわかりませんけれども、ここ二、三年ぶっ続けに改正改正でいきたいと、こういうふうな気持ちだけは持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/123
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124・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはここ二、三年ぶっ続けに改正改正でいきたいということは決して悪いことじゃありませんけれども、そうすると、身体障害者福祉審議会の答申に基づいて身体障害者福祉行政というものを具体的にどういうふうにやっていくのか。年度的に、これは大体こまかいことはあれとして、何年ぐらいにどういうふうな方向でやっていきたいのかということ、こいうことについてのおおよそのことは大臣どうなんですか、おおよそのことです、あとこまかいことは局長でいいですけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/124
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125・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 御承知のとおり、審議会の答申は、きわめて広範で非常なたくさんの事項を含んでおりますので、そこで、これを厚生省といたしましてはもちろん尊重してまいるのでございますけれども、全般的に、もっともほかの省に関係することもございます。厚生省に関する限りのことをやっていくためには、なかなか一年や二年では、いろいろな問題等からんでまいりまして、財政等の問題もございますので、一時にこれを実施ということにはまいりませんけれども、私どもといたしましては、せっかく受けた答申でございまするから、ただのんべんだらりじゃなく、少なくとも五年以内にとるべきものはとって実現してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/125
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126・稲葉誠一
○稲葉誠一君 五年以内なら五年以内ということで一つの大体の計画というものがあってしかるべきだと、こう思いますがね。なるほどこまかいことは無理でしょうよね。だが、それがないから、結局、大蔵省あたりに行くときも、何か場当たり場当たりになっちゃうんじゃないですか。おおよそのものはあっていいんじゃないですか。そこはどうなんですか。それが大臣の仕事だものね。それを立てて強力に推進していくというのが大臣の仕事なんだから、こまかいことは大臣はする必要はないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/126
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127・今村譲
○政府委員(今村譲君) 答申の中には、たとえば施設に収容しなければならないと思われる人が約三万人ぐらいおる、現在は七千人ぐらいしか収容しておらない。それを一気にというわけにもいかないので、施設関係は十カ年以内に完了するようにしろとかいうふうに長いのもございますし、それからこれは行政機構の問題でありますけれども、現在、厚生省の内部でも医療と職業訓練、それから医療といろいろな機能訓練、それと労働省の職業訓練とのいわゆるリンクがうまくいかない、こういう行政の根本問題というものは、早くリハビリテーション局をつくるとか、何か行政機構で早急に解決せよというふうに強いことばを出されておるところもありますし、ものによっていろいろニュアンスが違っておりますが、少なくとも私ども考えておりますのは、都道府県の第一線の身体障害者の相談所、それから全国に約一千カ所ほどございます社会福祉事務所というふうなもの、それからそれとの関連で先ほど申し上げました身体障害者更生相談員、これは知事の委嘱でありますが、そういうふうな行政部門の確立、いつでもそこへ相談に行けばすぐに処方が書けるというふうな機構の問題については、それは五年とか十年とかいう問題ではなしに、できる限り早急に進めてまいりたい、こういうふうに考えております。それからたとえばその中にも、イギリスなどにありますね、レンプロイといいますか、イギリスでは全国に八十カ所の工場を持って、約八千人ぐらいの身体障害者を雇っておる身体障害者保護のための特殊法人といいますか、そういうふうなものがあるわけです。たとえばそういうふうなものも考えろというふうなのがありますが、こういうものなんかにつきましては経済の動向とかあるいは相談所とかいろいろなものがありますので、来年中に片づけるというふうにいかないのじゃないかという気持ちがいたしますが、大体の気持ちは行政面をまず先に、いつでも相談できるというものをまず先にする、それから施設はそれに並行して、相当膨大なものになると思いますけれども、十カ年を待たずに数年の間で片をつけたい、その辺所信は持っておりますけれども、ちょっとはっきりした個々についてのあれはちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/127
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128・稲葉誠一
○稲葉誠一君 去年の十一月に答申が出たわけでしょう。答申は結論を出したのでしょう。大臣は、失礼ですけれども、答申は読まれましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/128
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129・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 読みました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/129
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130・稲葉誠一
○稲葉誠一君 読んでどういうふうにお感じになったのですか。ずいぶんいいことが書いてあるなあという程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/130
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131・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 読みまして、いま全部は私は覚えておりません。読みまして、その中の四十二年度にこれだけは取り上げるべきだということで、先ほど局長が申し上げましたような事項につきまして、それから実現をすべく四十二年度の予算で要求をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/131
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132・稲葉誠一
○稲葉誠一君 たいへん失礼なことを申し上げて悪いのですけれども、恐縮ですからことばが悪い点はおわびしますが、今度国がやろうとしていることは国の仕事じゃないのでしょう。全部府県がやることなんでしょう。府県にやらせることなのか、そういうことなのでしょう、違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/132
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133・今村譲
○政府委員(今村譲君) これはまあどちらがいいかいろいろ問題はあると思います。しかし、国が全部リハビリテーション施設なりあるいは職業指導施設なりというふうなものをやるというたてまえをとっておりませんで、原則としては都道府県知事あるいは地方公共団体、あるいはものによっては民間もありますけれども、そういうふうなものにやらせて、国はたとえばそのうちのモデル的なものを中心に、まあ実験場といっちゃおかしいのですが、実験的にこういう運営をするというふうなものを若干持つという二十五年当時からの方針で、聾唖センター、身障センター、光明寮というものを若干持っておるわけで、実際は都道府県の行政でやらないと百四万人いる身体障害者というものを全部国でやれません。主力はやはり都道府県と。やはり問題はそれをやりやすいように財政的な措置なり法制的な措置なり国が考える、こういうかっこうにならざるを得ないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/133
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134・稲葉誠一
○稲葉誠一君 答申が出ていますね。答申の中で、これは厚生省の社会局で出した参考資料ですね。これは社労へ出した資料でしょうけれども、答申要旨という中で、身体障害者福祉法関係というのは(1)から(18)までありますね。なるほどこの中で取り入れられたものも今度ありますよ。これをどういうふうに取り入れていくつもりなんですか、今後。一つ一つ、簡単に、説明していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/134
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135・今村譲
○政府委員(今村譲君) それじゃ、逐一、申し上げます。
一の内部障害者のとり入れ。これは本年度お願いしたいということで、法案でお願いをしてございます。
それから二番目の重度障害者のための家庭奉仕員制度の創設及び住宅改造。その中で、家庭奉仕員制度は、四十二年度しょっぱなでありますので、二百六十人とったつもりでございますけれども、とにかく制度としての柱を立ててまいる。それから住宅改造は、これはいろいろな問題がございまして、四十二年度では成立しませんでした。これはまた機をあらためてということです。
それから三番目の重度障害者の施設収容。これは、各府県とも、相当熱を入れて、だいぶできてきつつありますが、やはり専門のお医者さんとかというような職員の充足ということで、これは制度としてはあるわけです。全国で十カ所ですか、あるわけですが、これを都道府県に一カ所くらいずつふやしていく。これは量的な拡大の問題。
それから四番は、先ほど申し上げましたように、身体障害者相談員の設置。これは二千人で、まだ不足でございますけれども、出発をする。それから五番目の身体障害者の地域活動の振興。これは四十一年度から若干、三百万でございますが、予算を入れてございます。それで、いろいろな団体の、たとえば点字の講習会とか、刺しゅうというか、ろうあ者の指先でやる編みものの講習会とかというようなものを、各都道府県に二分の一の補助を出しております。
それから身体障害者のスポーツの振興。これも全国大会、都道府県ごとのスポーツ大会というものをすでにやらしておりまして、若干の補助をいたしております。これも内容を強化するということだと思います。
それから七番目の補装具支給。これは四億三千万ということで、現在、予算が入っておりますが、これもいろいろの日進月歩の機械を取り入れられるように、量的な拡大、それから対象品目の拡大ということになろうかと思います。
それから施設整備計画の樹立。これは、答申では十カ年以内を目途としてやれ、こういうふうに書いてございますが、これは極力進めていく。
それから九番の更生援護施設における医学的リハビリテーションの充実。これは各都道府県にいろいろ更生援護という機能訓練施設があるわけでございますが、残念ながらほんとうの専門のお医者さんなり、専門のいわゆるPT、OTといいますか、ああいうふうな理学療法士といいますか、作業療法士というような資格を持った人が少ない。それを充実していきたいということでございます。
それから十番目の通所制度の新設。これは本年度の予算に入れてもらって、これから審議をお願いをしたい。それから入所年齢の引き下げは、十五歳まで。それは先ほど申し上げました。
それから結核回復者後保護施設の法定施設化。これも内部障害が身体障害者の対象となりましたに応じて、身体障害者福祉保護法の法律の施設として八割国庫負担、これは実現してございます。
それから社会復帰促進手当の支給、これが非常に難物でございまして、少なくともリハビリテーションの施設に入ったら、そこにおける何といいますか、生活費、訓練費一切について相当の手当を出してもらいたい、家計の心配とかなんとかなしに、訓練にいそしめるように金銭的補助をしてもらいたい、こういう審議会の答中でありますが、これはいろいろな問題がございまして、本年度、四十二年度予算のときに要求するに至らずということでございますが、これも詰めなければならぬというふうに存じます。
それから授産事業の近代化。これは抽象的なものでありまして、各府県に全部授産事業というものはありますけれども、非常に原始的な、いわば手工業的なものをやっておりますので、これの機械融資、機械に関するいろいろな設備融資というようなものも考えたらどうか、こういうことでございます。
それから十四番目に、先ほど申しました療養収容所における更正の施設、イギリスのレンプロイの例を申し上げましたが、ああいうふうな保護、国立あるいは特殊法人による身障者保護工場というようなものを考えております。これは労働省ともいろいろ関係がありますので、今後、技術的にそういうことはどの程度まで確信をもってやれるかということをいま進めつつある段階で、成算までに至っておりません。
それから更生福祉局の設置。リハビリテーション局の設置、これは厚生省で言いますと、いままで医務局は医療だけ、それから社会局は訓練だけ、それから職業補導は労働省というふうに、てんでんばらばらでは困るじゃないかという御意見ですが、実際は職業補導で見てみますと、よその省の所管までまいりますので、そこが非常にむずかしい。せめて厚生省内部だけでも医療からさらに訓練まで一貫してやれるような行政体系を考える。そのためには一番いいのは、まとまった一局をつくるのである、こういう御趣旨のようでありますが、これも省としては検討事項でございます。
それから十六番目は、厚生、文部、建設、労働のあらゆる当局がてんでんばらばらでは困るというので、身体障害者というものは結局、一人の身体障害者をあらゆる行政機能がリレーションをなくすることにあるのだ、こういうふうなものを、法的な措置をつくっておいても、あるいは行政上の手段によってでもこういう連絡を確保しなさい、こういうことでございます。これはよりより各省と相談中でございます。
それから身体障害者福祉司の必置制。これは現在各福祉事務所千四十カ所に一人ずつおることになっておりますが、兼務が半数くらい、専務が半数というふうに非常に人がいにくいということで、非常に弱いわけです。これは確実に置きなさい、それから県は必置制でありますが、市の場合には福祉事務所を持っておっても、置かなければならないという義務づけがないので、市の福祉事務所にも全部置いてもらいたい、こういうことでございます。
それから費用徴収制度の合理化。現在は施設に入りますときに、家庭の経済状況に応じて若干の費用の徴収をやっておりますけれども、その分をもっと合理化しなさい、こういうことに一応なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/135
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136・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この十八点を、これはもちろん、大ざっぱな計算しかできませんが、国の予算として、やっぱり、やり方によりますからね、厳密には言えませんけれども、国の予算としてこれを完全にやるためにはどの程度の金がかかるのか、大ざっぱでいいですよ。そのくらいのことがわかっていなければ厚生省とは言えないでしょう。だらしがない、その点がわかっておらないから厚生省はだめなんです。全く受け身なんだな。積極的にものをやろうという気がまえがない。役人がおとなし過ぎるのです、厚生省は人がよ過ぎるのかもしれぬけれども、どうもそういう点が足らないですね、ファイトが。具体的にこれをやられる、やるつもりがあるのですか。やるつもりがあるならば、大ざっぱに幾らくらい余がかかるかということくらいは、目の子算でもわかっていなければならない。やる気がないからわけがわからない。聞かれて、ああというふうなことを言っている。幾らくらいかかるのですか、大ざっぱに言って。ほんとうに大ざっぱに言って。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/136
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137・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 十八項目ございますので、これをやると申しましても、負担をどういうふうに負担をしていくか、また、その範囲、スケールといったようなものをどうしていくかというようなことで、また非常にこれに対する支出というものが変わってくると思います。やる気がないからわからないとおっしゃいますけれども、やる気があってやろうといたしますと、一つの事項につきましてもいろいろな私は、ファクターを考えてみなければならない。そこで、この十八項目をやるにあたって、目の子算でも腰だめでも一体、どのくらいかかるか、という御質問でございますが、非常にこれはむずかしい御質問でございまして、いまここでこれは大体、およそ目の子算でどのくらいかかるということはお答えいたしかねますが、しかしながら、これはおまえやる気がないからわからぬのだろう、こうおっしゃるが、決してそうではございません。これはやるつもりでございますけれども、そのやり方等につきまして検討を要する事項でございまして、御質問に対するお答えをはっきりと出すことができないことは、非常に申しわけございませんけれども、事柄の性質上、ここで数字的に目の子算、腰だめで幾らということを申し上げることはできない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/137
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138・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは国の予算に関係のないことももちろんありますから、だから一がいにどうこうはできないとしても、こういうような答申が出て、それについて検討しているでしょう、厚生省では。なるほどいろいろなファクターありますよ。負担部分の割合が四分の三か、三分の二か、半分かによっても違うのだから、そういうような一つ一つを検討しているのですか、ほんとうにこれ。しているのなら、本日現在でどういう検討したのか、一覧表にして出してくださいと言いたいところなんだけれども、そこまで言っても悪いからね、あれですがね、ほんとうに検討しているのですかな。答申というのはただ出たからという程度でしまって置くわけじゃないですか、これは大内さんの会長の答申を見ますと、「今回の施策は身体障害者福祉について一歩前進したものであることは認めるが、各種福祉施策のうち最もたちおくれている部門であるから、一層その拡充、強化につとめられたい。」こういっていますよね。一番おくれている部門だということをいっておるわけですから、こまかい点はいいとしても、具体的にどういうふうにやるかという検討を、ぼくはやはり五カ年なら五カ年間くらいのひとつプログラムを大ざっばにつくって、この程度の金がかかるんだからこうだということを立ててないと、大蔵省の折衝なんかにも弱いし、外部的にも少しもアピールしないのじゃないかとこう思いますがね。大臣としては、こまかい金銭の計算は別として、とにかくこれを実施したい、五カ年なら五カ年計画の中に、大ざっぱに五カ年計画というものを組みたいという気持ちはあるわけなんですね。組みたいとすればどういうふうに、いつごろまで大体組むのか、大体のことですよ、そんなこまかい計算が出てきますから、一々できるというわけにいきませんからね。結局ことしやったのは一番政府の関係ないようなこと、一番政府が手を抜いていいというと語弊があるけれども、父兄がやるようなことを四つやりましたというようなことで、これを見ると一番やさしいことだけじゃないですか。一番やさしくて政府としては手を抜いていていいところだけやったやったというだけの話で、どうもそういう印象を受けるのですがね。だから大臣どうなんですか、具体的に、五年間に限るわけじゃありませんが、行政のことですからぼくら関与するあれじゃありませんが、何年後はやりたいのだ、そこら辺のところはひとつきちっと元気出して言ってください。何か元気ないような感じを受けるので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/138
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139・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) せっかくの答申でございますし、非常にこの点についてはウイークポイントだということも御指摘のとおりに、指摘されておるということでございますし、私といたしましては、この答申の趣旨をできるだけすみやかに、これはいろいろな複雑な事項もございます。しかし、やるべきものはこれはできるだけすみやかに実現をする、こういう決意でもってやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/139
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140・稲葉誠一
○稲葉誠一君 2の「関連制度関係」で、(1)は「病院における医学的リハビリテーション体制の確立」、これは前にも出ておったことですね。ですからこれは省きますが、その次の「障害年金の充実」ですね、それから「身体障害者雇用促進法の再検討」、「障害発生予防対策の強化」、「税制、国鉄運賃法等における身体障害者への配慮の徹底」、「身体障害者住宅(公営住宅)の建設」、これは厚生省だけでもちろんできないこともありますね、関連の制度といっているのですから。そうすると「障害年金の充実」以下について大臣としてはどういうふうにお考えなんでしょうかね。どこにどういう問題があるのですか、これは。こまかい点は政府委員でけっこうですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/140
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141・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) いずれにいたしましても、この国民年金が、今日の国民年金は非常に、むろん成熟していないという点もございますけれども、まだ日本の国民年金制度というものは非常に低位と申しまするか、十分のものでないということがございまするので、そこで、この国民年金制度一般につきましては、近く厚生年金の改訂の時期が参っております。国民年金は少しおくれることに相なりまするけれども、その厚生年金の改訂の時期、それにあまりおくれないように繰り上げてやっていこうと、そういったような際に、当然この障害年金というものについては触れてまいりたいと、国民年金全体の問題として考えてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/141
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142・稲葉誠一
○稲葉誠一君 「身体障害者雇用促進法の再検討」というのは、これはできていますね法律が。これは労働省ですか、厚生省……、できておるのでしょうけれども、その再検討というのはいろいろな問題があることはぼくらわかりますけれども、具体的にどういう問題があって、どうしようというのですか、これは法の改正まで必要としろというような意味に答申をとって、厚生省としてはどういうふうにしたいということになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/142
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143・今村譲
○政府委員(今村譲君) これは労働省所管でこの法律がありまして、現在問題点二つございます。一つには、たとえば官庁あたりは非現業が一・五%であるしあるいは特殊法人なり現場は一・三と、率がございます。民間なら一・七とか一・三とかこういうふうに書いてありますが、その率が低過ぎる、現在雇用促進法で雇用されておるのが、労働省の報告によりますと、官庁が約三万七千人、それから特殊法人と民間が七が五千人ということで、大体合計十一万ちょっとこすというふうな統計ありますが、これがまだ低いのではないか、もっと強めろ、こういうふうな意見が一つと、もう一つは、これは強制雇用になっておらないわけです。するように配慮しなければならないというふうな、いわゆる、いわば倫理規定のようなかっこうになっておる、この二つを審議会そのものは厚生大臣の諮問機関でありますが、労働大臣にも建議ができる、各省大臣……、そういうことで建議をしたい、意見具申をしたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/143
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144・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはわかるのですけれども、あなたのほうはどう考えているのかということです。どういうふうだということを聞いているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/144
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145・今村譲
○政府委員(今村譲君) これは実は二十四年、二十五年にこの法律をつくりますときに、実は私、若い事務官で、実はそれの担当、鉛筆をなめておった人間でして、その当時から身体障害者だけは別だから強制雇用にしろという議論があったわけです。ところが、やはり職業の自由とかいろいろな問題がありまして、それがつぶれてしまったわけでありますけれども、現在この問題については労働省のほうでやっておりますが、少なくとも私どもは、率をもう少し上げてもらわなければならぬじゃないかというような気持ちは持っておりますけれども、ただ審議会の中に労働省の代表も入っておりますし、各省代表も入っておりますので、その場でもう少し詰めてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/145
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146・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その率を上げるということになってくると、やはり法の改正ということになってくるわけですね。法の改正はしなくてもいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/146
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147・今村譲
○政府委員(今村譲君) 政令だったと記憶します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/147
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148・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いずれにしても、どうも話を聞いてみると、一生懸命やっているのでしょうし、外部から見れば批判するのは簡単だから、それは批判は幾らでもできるので、実際の行政をやってみればなかなかそうはいかぬということは実際問題わかりますけれども、どうも全体何か取り組みが足りない感じを受けますね。「税制、国鉄運賃法等における身体障害者への配慮の徹底」ということは、これは具体的に何をいうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/148
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149・今村譲
○政府委員(今村譲君) 税制で申し上げますと、現在働いておる人は所得税の税額控除、四十一年までは六千円というのが今度の税法改正でいわゆる所得から差っ引く部分が七万円と、いわゆる所得控除七万円というふうに変わりましたが、これをなるべくもっと高率なものにしていただきたいというふうな問題が一つございます。
それから地方税をこれと同じような、関連の——税額控除制度はありますけれども、これをなるべく多くしてもらいたい——やはり六千円でありますが、という要望を大蔵省といろいろ話し合いをしております。
それから国鉄運賃の問題は、これは二つ分かれておりまして、重度と、いわばそれ以外の者というふうに分けまして、重度の場合には、たとえば旅行する場合には何キロでも距離制限なしに、一等、二等とも、それから急行料金まで、夫婦で行くとしますならば、それで合わせて一人分、要するに、五割控除、こういうことになるわけであります。ところが、軽いほうは、百キロ以上でなければその割引券を出さない、それから本人だけであるというふうないろいろ制限があります。これで運輸省のほうといろいろ相談をしておる、こういう状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/149
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150・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまの国税のほうはそれで所得控除という形で、この改正が出ているんですか。それで地方税のほうはこれは関係ないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/150
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151・今村譲
○政府委員(今村譲君) ちょとうっかりしておりまして、地方税の税額控除六千円、同じだと申し上げましたが、これは間違いでございまして、税額控除一千円、それから二十四万円以下の障害者、これは非課税、それから障害者である納税義務者については税額控除一千円ということで、所得控除というかっこうにはいまのところなっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/151
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152・稲葉誠一
○稲葉誠一君 所得控除になっているかなっていないかという意味じゃなくて、所得控除の場合と税額控除の場合とどっちが本人に有利だというのは、場合によって違いますから一がいに言えないのですが、いま言うのは、国税のほうは今度、法は改正になるんですか。それに伴って地方税のほうは、身体障害者の場合の税の控除はないのですか。そこのところを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/152
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153・今村譲
○政府委員(今村譲君) どうも不勉強で申しわけございません。税額控除一千円は地方税は変わらない、そして先ほど申し上げましたように、地方税は二十四万円未満は非課税というのを、二十六万円未満に直しておる、それが第一点。それからその恩典を受けられる者が、身体障害者福祉法の別表でいう一級という一番重いものから四級までというのがほとんど制限がはずされまして、手帳さえ持っておれば六級まで——これはほとんど全部入りますけれども、六級までがこの恩典を受ける、こういうしかけになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/153
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154・稲葉誠一
○稲葉誠一君 国鉄はそれでわかりますが、バスはどうなっているんですか、普通のバスは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/154
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155・今村譲
○政府委員(今村譲君) 民間についてはそういうのはございませんが、たとえば東京都とか名古屋市とか、それぞれに応じてしかるべき額の割引をやっているというような状況でございますが、制度としては民間に全部こいつをやってもらうというところまでは行っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/155
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156・稲葉誠一
○稲葉誠一君 バスの場合の割引について、身体障害者の連合会や何かから再三厚生省なんかに陳情が行っているんじゃないですか。何回も行っているはずですよ。国鉄並みにしてくれということを言っているんじゃないですか、地方バス。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/156
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157・今村譲
○政府委員(今村譲君) 要望は出てまいっております。それで結局地方の個々のバスになりますと、中央のほうから交渉という筋にもまいりませんので、陸運のほうにも話をしたり、県の内部でいろいろそういうふうな折衝をしてもらいたいということを県にも頼んであります。たとえば東京都のような場合、大阪市というような場合に、身体障害者に、直営する電車とかあるいはバスとかいうものにそれぞれ割引をつくっております。それに準じたようなものを民間にも頼んでくれということを言っておりますけれども、まだ統一的に中央のほうから何かバス協会のようなものにかけ合うというところまではいっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/157
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158・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは身体障害の人が汽車に乗って百キロ以上行くとかいうこと、それはほとんどないということはないけれども、少ないし、バスのほうが多いでしょうね。バスの割引ということももっと考えてくれということを再三言っておるわけですね。それから電車の場合も、これはきょう設置法の問題でやっておりますのであまり深入りするのはなんですが、これは連合会の人たちや何かからずいぶん出ていますからね、よく内容を検討してください、今度ね。まだ社労で聞く機会があると思いますが、そこで問題になりまするのは、こういう身体障害の人たちに対する施策というものをやっていくのに施設をつくりますね。それも一つのいいことなんですが、施設は相当金がかかるわけでしょう。そこに入れる人は人数が非常に少ないわけですよね。たとえば身体障害者の指導所みたいなのがありますね。ああいうところに入る人などで人数とそれから経常費と、こう比べてみると相当かかるわけでしょう。それだけのお金をそちらへ使うなら——使ってもいいのですよ、それは。そのほかにそこへ入れない人たちの対策、それをどう埋めるかということが非常に問題になってくると、こう思うのですよね。じゃ大体身体障害者の指導所とかいろいろなところに入っておる人についてどのくらいの経常費がかかっておると見ていますか、各県ですね。国は直接の資料を持ってないかもしれないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/158
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159・今村譲
○政府委員(今村譲君) これは工場、いわゆる訓練施設とかいろいろなことは県や民間でやらしておりますが、その経費の八割は国が持っております。結局、国に全部はね返ってくるというかっこうでございます。それで一人収容しますと、施設によっていろいろ違いますけれども、いろいろな訓練、人件費と——ちょっと施設ごとに違いますから、すぐ調べます。ただ問題は、そこに入っておる人が大体いま、結核も入れますと九千八百人、約一万人足らずと、ところが、身体障害者、内部障害以外で大体入ったほうがいいというのは約三万人くらい、したがって、二万人くらいは入っておらないというふうなかっこう、これは内部障害を入れますともう少しふえる、こういうことになりますので、居宅に対する対策をどうするかということが今度の、審議会でも片手落ちにならないようにと、そこに出てまいりましたのがホームヘルパーのような家庭にサービスをするというふうなものとか、あるいは義手、義足とか、補聴器とか、そういうふうなもののサービスをよくする、それから更生寮のように——ちょっとこれは運営が違いますけれども、そういうふうなもの、そっちのほうを強化していく。それから住宅の改善補助金とか、何か居宅対策が非常に手薄だ、こういうことを指摘されておりまして、それを強化していかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/159
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160・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そこで在宅の人へは多いわけでしょう。そういう人に対するホームヘルパーもいいのですけれども、そういう人たちがほんとうに入れなくて困っておる、それに対する援護という形は、これはもういま言ったように、ほとんど府県へまかせっぱなしですか、それはどうなっておるのですか。国としてはあまり金を出してないでしょう。どうなっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/160
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161・今村譲
○政府委員(今村譲君) それはこういうことでございます。施設に入れるということは、ただめしを食わせるだけじゃなしに、そこでいろいろな訓練なり職業指導なりをするということで、居宅におきましては、その部分については労働省の職業補導所にでも通うようなものは別としまして、その部面については、サービスの提供のしようがないという問題でございます。したがって、それ以外の何といいますか、通所とか、あるいはホームヘルパーというような、あるいはまた、住宅改造とか居宅の人へのサービスは行なうけれども、最後的には施設に入れてサービスを提供するというよりほか方法がないのじゃないか。どうも折衷案といたしまして、施設を若干拡充いたして通所制度をやる。全国に訓練施設が百二十くらいありますけれども、それにたとえば二十人でも三十人でも通ってきて、これは定員増みたいな折衷案でございます。そういう制度をとりあえずことし始めたわけであります。そうして在宅において訓練を受けられない人をなるべく少なくしていきたいと同時に、本格的には収容施設をふやしたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/161
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162・稲葉誠一
○稲葉誠一君 施設をつくることは非常にいいことなんですよ。いいことであるにそのほうが非常に目立つわけですね。非常に目立つらから、いかにも役所は仕事をしたように見えるわけです。それを非常にやりたがるのですけれども、そのことは決して悪いことじゃない。いいことなんですが、そこにそれだけの費用をかけると同時に、在宅の障害者に対する援助のやり方をもっと考えなければいけないんじゃないかということを考えるわけです。これはいまあなたの言われるとおり、今後もやっていかなければならぬ。そこで一つの案として、そういう費用を在宅の人に対して何らかの形で援助するということは考えられないんですか。援助のしかたはいろいろ問題だと思いますが、よく話を聞きますのは、こういうことです。各県に身体障害者の連合会ができておるわけですね。そこに対するいろいろな面での援助の費用ですね、こういうふうなことを県なり市が出しておることは出しておりますけれども、国から県へ渡して県でそれをふくらましてやるとか、そういうような形のことはとれないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/162
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163・今村譲
○政府委員(今村譲君) それは非常にそのはしりみたいなことは去年から手をつけておるのであります。といいますのは、県ごとに身体障害者の団体というものがありまして、その下に盲人の団体とか、ろうあとか、いろいろなものがあります。しかし、県でまとまっておりますときに、一県当たり約二十万弱でありますが、国が出しまして、県がそれを倍につけまして三、四十万になると思います。それをところによっては団体へ金を出していろいろな講習会をやってくれ、教養講座をやってくれ、ときにはレクリエーションをやってくれ、こういうふうなことをやっておるところが全国的に三、四十万の規模でやっております。ただそれでは不十分だろうと私のほうでは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/163
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164・稲葉誠一
○稲葉誠一君 身体障害者の問題をお聞きしてまいりますと、こういう答申が出されておるのに、それを実施するについてのこれからのプログラムとかなんとかまだたくさんの問題があると思いますので、まだまだ熱が足りないように思いますので、これはしっかりやっていただきたいと思います。
もう一つの問題は、心蔵病の子供の問題が近年非常に大きな問題になっておるわけですね。これに対しては、厚生省としてはどういう予算措置をとり、人員などをどういうふうに配置してやっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/164
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165・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 先天性の心臓疾患の子供に関しまして、昭和三十九年でございますが、児童福祉法によりまする育成医療の給付という制度にのっとりまして、そういった子供たちに対する手術でありますとか、あるいは入院の費用、こういった費用につきまして公費の負担をいたしておるわけでございます。こういった子供たちの数につきましては、なかなか学者の間におきましても議論が分かれておりまして、どのくらいおるかという点につきましては、むずかしい課題でございます。一応いまのところは出生千に対しまして二ないし三、あるいは学者によりまして千につきまして六というふうなこともいわれておりますが、いずれにいたしましても、二ないし三万程度の子供たちがおるんじゃないか、かようにいわれております。
そこで、昭和三十九年からこの育成医療の給付を実施し始めたのでございますが、制度が発足いたして間もない期間でございましたので、なかなかその充実がはかれなかったのでございますけれども、本年度昭和四十二年度予算におきましては、この公費によりまする給付の対象となる件数を約五百件、それから入院及び手術等に要するいわゆる育成医療の費用総額を、一人一件につきまして二十四万五千円という程度に予算化をいたしておるわけでございます。したがいまして、公費負担のうち国で持ちます分が八割でございますから、予算といたしましては総額四千四百十二万という、ふうな金額に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/165
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166・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、こういう子供さんは全国で、いろいろな計算のとり方にもよりますけれども、大ざっぱに見て推定でどのくらいいるという、ふうに見ておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/166
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167・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) いま触れましたように、学者によりまして非常に差がございます。ある学者は出仕数千に対しまして二程度じゃないかという学者もございますし、千に対して六ぐらいの率があるのではないか、こういう学者もおります。ただ現実の問題といたしまして、こういった子供さんは、大体生後一カ月程度以内におきまして約出生の子供さんの三分の一が死亡する。それから一年以内まで生きられるという数がやはり三分の一程度である。したがいまして、一歳以上生存される子供さんの数は出生者の約三分の一程度ではなかろうかと、こういう意見が学者の間では支配的であると、かように思っております。したがいまして、そういった数を年齢別に積算してまいりますと、現在二万ないし三万の子供さんが先天性の心蔵のいろんな疾患を持っておられるのではなかろうかと、かように考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/167
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168・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それらの子供の親御さんたちが非常に心配されておるわけですね。それでよく厚生省のほうへいろんな要請に来ておられると思いますね。国会にも請願が出ているわけですがね。それぞれのほうから要請されている点は、教育の問題もありますけれども、これは文部省関係ですからちょっと別にして、厚生省関係ではどういう点ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/168
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169・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 大きく分けますと二つぐらいあるんじゃなかろうかと思います。第一は、児童福祉法によりまする公費の負担の基準額が非常に少ないという点が一点あろうかと思います。もう一点は、そういった非常にむずかしい手術をいたすわけでございますので、そういった手術をされる医師あるいは医師陣といいますか、そういった方々の確保といいますか、養成といいますか、そういう問題ではなかろうかと思います。
第一点につきましては、確かにこの四十二年におきまして、いま御説明いたしましたように、基準の単価も大体実情に合うように引き上がったわけでございます。と申しますのは、昭和四十一年度におきましては、この心臓疾患の入院、手術、治療等に要する単価自体が七万円程度だったわけでございます。それを四十二年度では二十四万五千円というふうにきわめて大幅に上げたわけでございまして、従来の七万円程度でありますと、自己負担分といいますか、それが非常に多かったわけでございます。したがって、本年の四十二年度におきまする基準単価が大体実情に沿うようになったので、第一のおかあさん方の御心配というものが相当程度といいますか、大部分解消されたというふうに私は考えております。なお、こういった内臓外科、特に心臓手術等につきましては医者が非常に足りませんし、また、手術にあたりましては人工心肺装置等も使うわけでございまして、そういった機械の入手等につきましてもまだ行き届いておりませんので、こういった医学陣の充実というものが今後の問題であろうかと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/169
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170・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いま子供さんは二万か三万くらいですかおられる、そうして手術で国が組んでいるのは五百というのは非常に少ないんじゃないですか、そこらはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/170
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171・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) いま御説明いたしましたように、この二万ないし三万子供さんがいらっしゃいますが、この症状によりまして比較的軽い方もいらっしゃいますし、非常に重篤の方もいらっしゃいます。そういうふうな意味で数が二万ないし三万と言いましたが、そのうち症状の程度におきましてさらにこれを分析しなくちゃいけないと思っておりますが、現在それは行なうことがまだできておりません。そういう問題と、それから年間五百で非常に少ないじゃないかという仰せでございますが、いま申し上げましたように、この手術をすることができる病院等が非常に少ない、お医者さんも非常に少ないということで、実績といたしましては昭和三十九年度に、始めました年でございますが、その年の件数が八十三件、昭和四十年度におきまして、これもまだ集計中でございますが二、三百件というふうな程度でございまして、五百件ということは対象の子供さんに対しましては非常に少ないのでございますけれども、いろいろな点から、能力から考えまして昨年の二百九十件を五百件、倍近くまで増加いたしましてやりたい、かように思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/171
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172・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この心臓病の子供さんの親御さんたちがいろいろ要請しているというか、そういう点についてはいまの点が一番私はあると思いますが、それで満足というものではないと思いますが、一応いまのお答えがありました基準額の点がそういうふうに上がってきたということによって、はたしてそれで十分なところまで皆さんが考えているのかどうか、こういう点など、その他いろいろな問題については、これはまた別な機会にその問題だけで少し時間をかけていろいろお聞きをしたいと思います。私のところへもいろいろ資料が集まってきておりますけれども、時間の関係がありますから先へ進むといいますか、いまの心臓病の子供さんのこの関係では、そのものに関連する厚生省関係の定員ということはどうなっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/172
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173・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 厚生省の児童家庭局におきましては、母子衛生課という、お医者さんが課長でありますが、課がございます。そこでこの仕事を担当しているわけでございますが、先ほど社会局長からお話しありましたように、この仕事も都道府県知事に機関委任をしておりまして、国におきましては公費負担の八割分を流しておるというふうなことでございまして、特にこの育成医療だけ、心臓疾患に対する育成医療の給付だけについては定員は確保されておりませんが、母子衛生課全体におきましてこれらの仕事をつかさどっておるということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/173
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174・稲葉誠一
○稲葉誠一君 こういう子供さんを手術するということは、どこでするわけですか。国立の特別なこういう施設というか、専門のお医者さんが国立関係にいるというふうな、配置ですね、それはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/174
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175・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 育成医療を受けられる希望を持たれる方は児童相談所に参りまして、児童相談所におきましては、さらに県の担当の課等におきまして申請をするわけでございますが、その場合に、その医療機関は育成医療の指定医療機関というのがございまして、そういった指定医療機関である病院または診療所において手術を行なうわけでございます。ただし、この手術はむずかしゅうございますので、診療所は行なえないと思います。したがいまして、病院において行なう、ただしその病院におきましても、心臓手術ができるような病院というのは非常に少のうございまして、現在全国で四十ないし五十程度ではなかろうかと思っております。国立病院なりあるいは大学病院なりあるいは専門医療施設、専門病院において行なうのが慣例でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/175
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176・稲葉誠一
○稲葉誠一君 国立の専門の、これだけの専門の一つの病院というふうなものは現在ないわけですね。ないのですか。そういう施設は特別にどうなんですか、一般の民間のいいお医者さんとか、いい病院ではあれでしょうけれども、小さなところではできないわけでしょう。特別むずかしい手術だと聞いておりますが、大学病院というと厚生省じゃない、文部省か。厚生省関係で特別にそういう子供さんの手術をするというような国立の機関、こういうようなものをつくるような考え方はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/176
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177・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) こういった手術は人工心肺装置等、非常にむずかしい最新の医学を応用した施設、設備等が要りますし、お医者さんも非常に高度の専門的な知識、技術が要るわけでございます。したがいまして、大学病院、これは国立大学病院のみに限りません。たとえば東京女大医大等は非常に有名でございますが、そのほか国立病院等において行なっている。ただこういった子供さんに対する心臓疾患だけの専門の病院というものはありませんし、おそらく他の疾病等を手術する方々が心臓を手術するというふうなことにもなっておろうかと思います。もちろん、専門的な施設としましては、先ほど申し上げました東京女子医大の心臓血圧研究所といいますか、そういったところの病院におきましては専門的におやりになっていただいているということでございます。なお、国立につきましては、国立の幾つかの病院なりあるいは国立小児病院、こういったところにおいても行なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/177
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178・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ちょっとお尋ねをしておきたいのは保育所のことに関連するのですけれども、保育所の、近来、必要性が非常に叫ばれているわけですね。保育所については官公立、官はないでしょうが、公立とそれから民間と現在割合はどういうふうになっているか。それじゃどういう方向へ厚生省としては進んでいきたいというふうに考えていますか、その割合といいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/178
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179・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 保育所の増設は目下の私どもにおきまする非常に重要な問題でございます。現在、と申しましても、昨年の十二月一日現在におきましては、保育所の総数が一千六百五十五カ所でございます。このうち公立は七千百九十七カ所、私立、これは社会福祉法人立、財団法人立、あるいは宗教法人立、あるいは個人、こういうものを含めまして四千四百五十八カ所ございます。そこにおきまする定員でございますが、全数が九十二万五千五十九人の子供が保育されるということになっておりますが、このうち公立が五十七万七千五百十人、民間の方々にお願いしているものが三十四万七千五百四十九という数字になっておりまして、大体六対四というふうなことで、公立が六で私立が四ということになっております。今後私ども緊急にあと三十万人程度の子供さんを保育所に通わせてあげたい、そういった計画を持っているわけでございますが、この場合におきまして、公私併存というようなことで進めてまいりたい、したがって、公立がいままでややともすると優先的な取り扱いをしておったのでございますが、こういった緊急対策におきましては、民間の方々の協力を得て実施したい、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/179
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180・稲葉誠一
○稲葉誠一君 中央児童福祉審議会の保育制度特別部会というので、第二次の中間報告を出しているわけですね。これはいま保育所に必要なものというので、保育制度についてと、保育内容について、保母の身分について、大体これが中心ですね。三十九年の十月八日ですか、この答申の主たる点ですね、主たる点を説明願って、それに対して、厚生省としてどういうふうに対処してきたかと、今後どういうふうに対処していきたいかと、こういう点をひとつ御説明を願いたい。本来ならば一問一答でやっていくのですが、ほかの関係もありますし、ですからまとめてひとつあなたのほうで答弁していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/180
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181・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 中央児童福祉審議会におかれまして、「いま保育所に必要なもの」というふうな第二次の中間報告が行なわれておりまして、その内容が、第一点が保育制度の問題、第二点が保育内容の問題、第三は保母の身分の問題、こういうふうな三つの点につきまして、中間報告という形式におきましての御意見をちょうだいしておるわけでございます。
そこで第一点の保育制度につきまして、これが四つに分かれておりますが、簡単に御答弁申し上げますと、第一点の「保育所のない市町村をなくすべきである」というのがございます。現在市町村数三千四百のうち、八百以上の町村がまだ保育所を持っていないというのが現状でございます。したがいまして、私どもの保育所緊急整備計画におきましては、こういった町村を主として対象といたしまして、その整備費の補助を実施したい、かように考えております。したがいまして、約八百弱の無保育所町村を大至急なくしていきたいというふうなことでございます。
それから第二点の「保育所の運営に必要な経費の適正化を検討すべきである」こういう点につきましては、保育所の運営につきまして、そこにいらっしゃる園長なり保母さんなりあるいは各種の事務的な職員の経費、あるいは子供さんの保育に必要な経費、こういった経費がもちろん十分ではございません。したがって、これは毎年の予算におきまして、たとえば保母さんの処遇の改善でありますとか、あるいは保母さん一人が受け持つ子供の数を少なくしていく、あるいは保育材料等の費用の増額をはかっていく、こういうふうな点について予算措置を講じておるわけでございます。
それから第三点が、無認可保育所に対する指導の問題でございますが、現在無認可保育所が、私どもの調査によりますと、二千二百カ所ございますが、この中ではどうしてもやはり必要に応じて、認可を受けないで保育施設を建てられておるという方もいらっしゃるわけでございます。したがいまして、この無認可保育所対策につきましては、数年来いろいろと検討しておるわけでございますが、なかなかこの無認可保育所の実態が千差万別、これは農村、都会におきまして、いろいろと変わっておりますので、この徹底的な対策ということがむずかしいのが現状でございます。しかしながら、四十三年予算の編成も間近い現在におきまして、無認可保育所対策は何とかやってみたいというふうなことで、これは目下検討中ということでございます。
それから第四の農山漁村の保育事業の充実強化の問題でございますが、これはいわゆる正規の保育所ではございませんが、僻地におきまして必要な保育事業を行なわせるように僻地保育所制度というものを持っているわけでございますが、この僻地保育所の数は毎年二百四、五十ずつふやしていくということで対処したいと思っておるわけでございます。
それから大きな第二の問題でございますが、保育内容の問題でございます。これは主として保育所におきまする、児童に対する保育要領の作成の問題でございます。特に最近におきましては、いろいろと教育学等進んでまいってきておりまして、そういった意味でも保育内容の向上という問題が大きな問題でございます。したがいまして、これは一昨年の八月に保育所保育指針というものを関係の学識者の御意見を伺いまして作成いたしまして、この保育所保育指針というものを地方に対しまして流しまして、これによって保育を実施させるようにいたしておるところでございます。
それから第二の保育所の整備充実の問題でございますが、この問題につきましては、保育所の増設——保育所自体の増設というふうな問題が大きな問題でございまして、ここに書かれてあるかと思いますが、いろいろ保育用の資材整備、そういった点についてはまだ実は行き届いていないというふうに思っております。なおしかしながら、共同募金なりあるいはそのほかの地域におきまする社会資源を利用いたしまして、保育所の整備というものもはかるようにしておるわけでございます。
そのほか保育所の指導制度あるいは保育所の査察指導の充実の問題でございますが、これらは都道府県の担当の部局あるいは児童相談所あるいは福祉事務所、こういうふうなところからいろいろとこういった指導を行なっておるというのが実情でございます。
それから次に、大きな第三の保母の身分でございますが、これはまた非常に重要な問題でございまして、保育所を幾らつくりましても、中で働いていただく保母さんの身分の確立がなければなかなかりっぱな保育ができないということでございます。したがいまして、保母さんの社会的評価を高める、あるいはインサービストレーニングを拡充するとか、したがって、研修所をつくるとか、こういうふうな問題が重要になってくるわけでございますが、こういった点につきましては、各都道府県におきまして、いろいろと保母の研修会を行なって、その資質の向上をはかるようにしておりますが、特にまた本年になりまして、中央児童福祉審議会の中に、施設職員に関する特別部会というものを設置いたしまして、保母の資格の問題でございますとか、あるいは保母の養成の問題、こういった問題につきましていま御検討をいただいておるところでございます。
それから第三の保育所職員の勤務の合理化を進め、勤務時間など勤務条件の改善をはかること、第四としまして、保母の給与等待遇の改善を強力に行なうべきである、こういった点につきましては、先ほど触れましたように、たとえば保育所に働く職員に対する毎年のベースアップのほか、保母一人に対する受け持ち児童の数を減らすというふうなことで、予算の時期になりますと、予算の中におきまして絶えずこういった点については最重点的に考えて予算化をはかっていくということをやっておるわけでございますが、しかしながら、いずれにいたしましても、まだ不十分なところが相当ございますので、さらに努力をいたしたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/181
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182・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その中で一つの大きな問題になっているのは、保母の数の問題があるんですね。これはどういうふうに変化してきたんですか、三歳未満児と三歳児とに分けて説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/182
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183・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) その保母の受け持ち定数の改善という問題につきましては、昭和三十七年の七月に中央児童福祉審議会から御意見をいただいたわけでございます。そのときの御意見によりますれば、保育所においては三歳以上の子供につきましては三十人に一人の保母さんという現状を改めて、四歳以上の子供については三十人に一人、それから三歳児につきましては二十人に一人の保母さんの配置とすべきである、という意見の具申をいただいたわけですけれども、なお、三歳未満の子供さんにつきましては、その当時は九人に一人であったのでございますが、これを子供六人に対して保母一人というふうにすべきであるという意見具申がなされたのでございます。その後、この中央児童福祉審議会の意見具申に沿いまして、毎年予算化をはかってまいってきておりますけれども、本昭和四十二年度の予算におきましては、三歳以上につきましては、まだ答申の線にお沿いすることができず、依然として子供三十人に対しまして保母さん一人という予算の状況でございます。しかしながら、三歳未満の子供さんにつきましては、中央児童福祉審議会の意見具申に沿いまして、子供六人に対しまして一人ということが昭和四十二年度におきましては予算化されたのでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この昭和三十七年七月に出されました意見具申の線を一刻も早く実現したいと、かように考えておるところでございます。端的に申し上げますと、三歳児につきまして予算上現在三十人に一人でございますが、これを二十人に一人に早い機会に改善をするということを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/183
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184・稲葉誠一
○稲葉誠一君 私も三歳児未満と三歳児というものが、何と言いますか、発育なり何なりで、そんなに違うということはよくわからなかったのですが、実際見たり説明を聞いたりしていましてわかってきたのですが、三歳児が三十名ではとても保育にならないというのが保母さんたちの前々からの訴えなわけですね。結局保母さんが非常な三歳児三十名かかえているとしわ寄せを受けてきて、からだも精神的にもすっかり参ってしまうというのですね。たとえば食事や休息の時間も十分とれなくて疲労は非常に蓄積して、常にいらいらした気分でゆとりをもって保育ができない、職員同士が話し合う時間もないし、健康を害してしまう、声帯を害したり、胃腸障害が多くなってしまう、非常に疲れて、研究の時間がなくなってくるということで、とにかく非常なしわ寄せを受けている。三歳児が三十名では保育にならないというのが再三な訴えなわけですし、これは三十七年からでしょう、三歳児二十人について一人にしろという審議会の答申が出ておりますね。あなたのいまの答弁では近いうちにしたいという話なんですけれども、具体的にどういうふうにしたいのですか、どういう目安があるのですか、これは局長だけそうしたいと言っても、大臣のほうで熱意がなければ困る。大蔵省に熱意がなくても困るわけですが、そういうところはどういう目安ですか。必ず答申に沿って、五年前の答申でしょう、三歳児は二十人に一人、保母会では十五人に一人といっておるのです。答申は二十人に一人ですから、これは答申の線にだけにでも近づけるようにどのようにして努力するのか、その辺はっきりしてください。いつごろを目安にするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/184
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185・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 中央児童福祉審議会の意見具申は先ほど申し上げましたように、いまから五年前でございます。ただこの児童福祉審議会の意見具申は、いわゆるこういった計数の改定につきまして児童福祉施設十種類の施設に及びまして、非常にたくさんの点につきましての改善を内容としたものであったわけでございます。したがいまして、昭和三十八年度予算編成以来たくさんこういった審議会の具申された内容につきまして、毎年逐次その改善をはかってまいったのでございます。たとえばこの保育所の三歳未満児の問題につきましてちょっと変化を申し上げますと、昭和三十七年意見具申が出ましたときには、三歳未満児につきましては子供九人に対して一人であったわけでございます。それを三十九年におきましては八人に一人に改善をいたしました。それから昭和四十一年には七人の子供に対して一人ということに改善いたしまして、本年四十二年におきまして、六人に一人というふうに中央児童福祉審議会の意見具申どおりに今年ようやくなったということでございます。したがいまして、私どもといたしましては、三歳児につきましては、むしろ三歳未満児を優先させて予算化をはかる方針をとってきたために、いま申し上げましたように、三歳未満児については意見具申どおりになったのでございますが、三歳児につきましてはそれがおくれておったということでございます。したがいまして、来年度の予算編成におきましては、どうしても、この残されておりまする三歳児の三十対一を二十対一にするということで、予算化について全力をあげなければならない、また、そういった順序にきているというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/185
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186・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その点はどうですか、大臣のお考えは。当然だと思いますけれども、大蔵省なり何なりに対して、もっとしっかりした態度でやっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/186
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187・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 先ほどから、局長からお答えを申し上げましたが、いままで三歳児未満につきましては、大体その要請が満たされた。いよいよこれからは、私は、三歳児については、非常に大事なものだと思います。人間が成長していくに際しまして、もちろんこの乳児も、それから幼少のときの保育と申しますか、教育と申しますか、これが将来まで影響するということで、その幼少のときの保育ということが非常に大事だと、さような意味におきまして三歳児未満については大体いま片づいた、そこで今度は四十三年度からは、この三歳児に対して全力をあげまして、できる限りに私も予算等の措置を善処してまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/187
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188・稲葉誠一
○稲葉誠一君 保育料が非常にだんだん上がってきておりますね。いまは公立と民間とありますけれども、どうなんですか、保育料の負担というものは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/188
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189・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 保育料につきましては、これは保育に要する経費につきましても、そのうちから、保護者につきまして、経済的な余裕がある方からは保育料をちょうだいしておる。それで、保育料をちょうだいできないような方々からは全然これをとらないで、全額公費負担にするという制度と相なっているわけでございますが、この保育料につきましても、先ほどの問題に関連いたしまして三歳未満児を預けていらっしゃるおかあさんに対する保育料の額と、三歳児以上の子供さんを預けていらっしゃるおかあさんに対する保育料で格差があるわけでございます。これは保母さんの数が違う、あるいはまた、食料費、おやつ代、こういったものが違うわけでございますので、どうしても三歳未満児と三歳以上の子供を預けている方、おかあさんから、父兄からとる保育料は違っているわけでございます。本年度の実情を申し上げますと、たとえば生活保護世帯あるいは市町村民税の非課税世帯については、こういった保育料は全然いただいておりません。それから、次に市町村民税のうちの均等割りのみの課税をされている世帯につきましては、三歳以上児につきましては月に九百円、それから三歳未満児につきましては千三百五十円という保育料をちょうだいしているわけでございます。しかしながら、この九百円なりあるいは千三百五十円という額につきましては、子供さんが給食であるとかあるいはいろいろ色紙やなんか使うというような保育材料費、つまり、子供さん自体に使われる費用に比べますと、この保育料はそれよりも額が下回っているというのが実情でございます。それからまた、いろいろ階層が中にございますけれども、一番多く保育料をちょうだいしておるというふうな父兄について申し上げますと、三歳未満児の場合におきましては、六千六百円を徴収するというふうなことになっております。しかしながら、私どもの予算の積算からまいりますると、この三歳未満児の場合におきましては、保育に要する経費が八千六百三十五円かかることになっております。したがいまして、最も高く保育料を納めていただいている方につきましても、公費で負担する部分は二千円になるというふうなことでございます。こういった保育料は、子供たちに要するいろんな給食代でございますとか、保育材料費等は上がりますけれども、その上がり分よりも押えてまいっておるのでございます。しかも、経済的にゆとりのない方からは、たとえば保母さんなり園長さんなりの処遇に要する俸給、そういったいわゆる事務費につきましても一切いただいていない。子供に使われる額よりも少ないものをちょうだいしているというふうな方針でやってまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/189
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190・稲葉誠一
○稲葉誠一君 前には子供さんが二人保育所に行くと、二人目の子供はただだったのでしょう。それは二人目の子供はいま半額ですか。全額でしたか。前に一ぺんただになったことがあったのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/190
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191・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 先生御指摘のように、二人の子供さんが保育所に通う場合におきましては、昭和三十六年度と三十七年度におきましては、二人目の子供さんにつきましては、保育料は半額でやったわけでございます。ただ、それが三十八年以降その半額が取りやめになりまして、二人の子供さんにつきましては、二人分取るというふうなことに相なったのでございます。これは先ほど申し上げましたように、子供さんの保育につきましてのいろいろな保育給食費でありますとか、保育材料等におきましてどうしても二人分かかるというようなことで、昭和三十八年以降そういうふうに制度が改まったのでございますが、ただ、私どもの気持ちといたしましては、やはり相当多額の保育料が徴収されるということは、家庭におきましての大きな負担にもなるような場合もございますので、こういった点につきましては、今後昭和三十六年、三十七年のような二人目については半額負担というふうな制度について、もう一度よく検討してみたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/191
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192・稲葉誠一
○稲葉誠一君 二人目の子供は全額ただだったことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/192
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193・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) そういうことは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/193
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194・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いずれにしても、これは前に二年ほど二人目の子供さんが半額だったことがあるのですから、それを直して元に戻してしまったということもおかしな話なんですね。ですから、同じうちで二人行く場合に、せっかくそういう制度があったのですから、保育料の軽減という意味からも、その制度を今後存続するような形にひとつ検討を願いたいというふうに思うわけです。いまあなたのほうからお話があったものですから、一応お聞きしておきます。
その他、保育所の問題については、いろいろな問題があるのですが、これは設置法の問題の中でその関係の定員増がここに出ているのではないので、あまりここで触れないで、この程度にしておきます。本来、社労委員会でやるのがほんとうでしょうから。それで、前に戻り、いまさっき午前中聞いた公害の問題に返って、それから締めくくって私の質問を終わりたいと思うのです。
午前中に聞いたときの、公害の病気と認定された四日市の患者の方の数ですね。これは三百六十三人というふうに、新聞なりNHKの放送なんかではそういうふうに言われておるのです。もうさっきは三百三十人と言ったのか、ぐらいと言ったのですか、数字がちょっと違うようにも思うのですが、その違いはどこから出ているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/194
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195・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 先ほど申し上げました百万円の予算を積算するときには、おおむね三百三十名を使いましたが、今日の患者は、先生御指摘のように、三百六十三名でございます。
ちょっと申し上げ方が不適当で、もう一度申し上げますが、最近の認定患者数は三百六十三名、うち入院を要すると思われる者三十三名でございます。それで、予算書の認定に使いました数字は三百二十一名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/195
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196・稲葉誠一
○稲葉誠一君 公害の調査を黒川調査団というのが行ってやりましたね。そのときの調査はどういうふうな方法でやったわけなんですか。ということは、こまかい点はいいですよ、公害対策委員会ではありませんからね。どういう調査なんですか、個々の企業についてやっているわけですか。ということは何かと言いますと、個々の企業からだけの害だけでなくて、たくさん企業があるわけでしょう。何というか、亜硫酸ガスがたくさん出てきますね。出てきたものが上空で化合して、そうして結局、何といいますかね、新しい一つのガスというか、有害なガスをつくるのだということが言われておるわけですね。いろいろなものが化合して新しいものができるわけです。そんなものですから、どういう調査をやったのかということを聞きたいことが一つ。
それからさっきの答弁に関連してですが、たくさん企業がある。その各企業の煙突なら煙突から出たものが直接病気の人にどういう害を与えたかということで、十あるうちの八つはやっているかもしれない、あと二つはやっていないかもしれない。八つの企業のうちどれがどういうふうな害を与えているかわからない。そうでなくて、出たものが上空で化合して一つのものをつくっているとなると——第二次公害ということばで呼んだようですね。そうなってくると、結局全体の企業がその病人に対して責任があるという形になるわけですよ。そこら辺のところの第二次公害というものをどういうふうに把握されているかということなんですね、お聞きしたいのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/196
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197・橋本道夫
○説明員(橋本道夫君) 四日市の公害の調査の問題でございますが、午前中お答えいたしました黒川調査団の場合には、各種の専門家が寄りまして、ある一定期間現地におりまして、現地の工場を個別に回りまして、また現地の工場より原料、工程等の資料を収集いたしまして、それによる個々の企業の汚染に対する貢献度、単にある期間の量的な問題だけでございますが、それだけについての貢献度を調べ、それに対していろいろな対策を検討したということが一点でございます。
それからもう一点は、この環境上の問題でございますが、環境上の問題につきましては、それを調査している最中に調査したのもございますが、そのほか昭和三十五年以来地元におきましていろいろ環境汚染の調査を自治体が経常的にいたしておるものもございます。経常的にいたしておりますもののデータと、それ以降各種の特別な調査をいたしております。一つは、ある特定の発生源というものを評価するために、気象関係者、産業関係者、衛生関係者等が寄りまして特殊の大規模の調査をして、あるいは先生がいま御指摘ございました空気中で一体どういうことがあるのか、これは完全なメカニズムはわかりません。ただ、空気中にどういうものがあるのかということにつきましては、非常にこまかなガス分析、粉じんの分析をすべていたしております。それから患者のほうにつきましては、一つはスクリーニングという形で面接をいたしますことと、それから簡単な診断主義をそれに入れまして、それによってふるい出しをかけていきますことと、それから次に問題になったものを今度は具体的な診断にかけるということでございます。前二段階におきましては診断は下されません。そういうことで有症の割合を調べるのみでございます。しかしながら、最後の一人ずつの患者を診断するという場合に初めて診断が下るわけでございます。で、それだけの発生源に関する調査と環境に関する調査と、また影響に関する調査というものを総合いたしまして判断するわけでございますが、御指摘のありましたように、空気中でどう変わるかという点につきましては、確かに空気中で変えるような要素がある程度あるだろうと思っております。まあ特殊な触媒の作用をなすものもございますが、ただ、それがどれだけ悪いのかということにつきましては、定性定量的には見当がつかないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/197
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198・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ですから、いまの点なんかまだ研究として完成してるわけじゃないと思うんですけれど、そうすると私が考えるのは、さっき大臣が答えたように、何というのか、その、あるコンビナートならコンビナートの中の一部分のものだけが害を特定の人たちに与えてるという場合ももちろんございますけれども、それと同時に、それらのたくさんの工場から出てきたものが大気中で化合しているというんですか、何というんですか、いわゆる第二次公害というようなものをつくっていて、それが害を与えてるという形になれば、特定のそのコンビナートの中のある一部だけではなくて、全体のものが一つの企業集団として病人に対して原因を与えてるという考え方が当然そこで出てくるのではないか、そのほうが常識的というか、合理的ではないかというようなことも考えられるわけですね。厳密に科学的に言うとむずかしくなってきてわからなくなってくると思いますがね、これは。だから、企業責任という考え方からいけばそういう考え方が常識的ではないか、そういう形のつかみ方でないというと、本質的な企業責任というものが何かつかみ方が失われていくのではないかということも考えられたんで聞いたわけなんですが、その点はまあ一つ、今後の研究課題でもありますがね。
それからもう一つお聞きしたいのは、公害審議会がありますね。公害審議会にお医者さんが入ってないとかいうんで、だいぶ非難をする人がありますね。これはどういうんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/198
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199・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 公害審議会には、臨床の面の先生と衛生学の面の先生と、専門家が入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/199
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200・稲葉誠一
○稲葉誠一君 公害審議会ですよ。何か、お医者さんが入ってないとかいって、だいぶ反対してる人がいるんじゃないですか。誤解かな。入ってるのは厚生省の役人をやった人が一人入ってるだけだというふうな話、これは誤解ですか。——ぼくが言うんじゃないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/200
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201・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 公害審議会は、たぶん役人の経歴のある人と言われるのはおそらく前厚生次官のことをさすかと思いますが、医師の専門家といたしましては、国立がんセンターの総長、それから慶応大学の医学部の専門家の教授という方が入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/201
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202・稲葉誠一
○稲葉誠一君 公害関係に専門というと語弊がありますが、そういう関係のお医者さんがお医者さんの中から入ってないということを言う人がいるのですよ。厚生省から入っているのは楠本さんではないですか。別の方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/202
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203・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 一人言い落としましたが、そのほうの専門家で前国立公衆衛生院の院長、これは日本全国の大気汚染防止協議会という医学の方面の専門の先生のグループがございますが、そこの協議会の委員長をしておられる方も入っております。なお、御指摘の点は、元の厚生省の環境衛生部長をさしておられると思いますが、確かに御指摘のように、役人の前歴の人が入っておりますけれども、現に専門の公害——国立がんセンターの総長が入りましたのは臨床面から公害がガンを起こすとか、あるいは慢性各種疾患を起こすというような臨床的な見地から入っておりますし、また、慶応大学の公衆衛生学の教授は、各種の公衆衛生的な視野から検討する、ただいま申しました全国の協議会会長は全国の協議会会長としての知識、あるいは小児のぜんそくというような面から入っておられる専門の方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/203
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204・稲葉誠一
○稲葉誠一君 何でこんなことを聞くかと言いますとね、あるところでこういうことを言っている人がいるのです。公害審議会というのがあるけれども、あれには東大からも慶応からも医師会からも医師は一人も入っていませんよ、とにかくふざけているのだ、元公衆衛生局長をしていた、選挙に出て落っこった楠本さんが一人医者では入っているきりです、あとは一人も医者はいません。こう言っているのですよ。何かの間違いですか、これは。ぼくも何か間違いだと思えばいいのですがね。相当権威のある人がはっきり言っているものですから、まただれが言ったか別ですよ。これは間違いですね。間違いなら間違いでぼくもいいのですがね。そういうことをはっきりあちこち言って回っている人がいるからわざと確かめたのですがね。
その問題はそれとして、それじゃ最後に締めくくりとして厚生大臣にお伺いしたいのは、いまの、いろいろ、設置法ということに関連しないでもいいのですよ。厚生行政全体としての大きな問題、いろいろありますね、どういう点が大きな問題なのか、それに対して厚生大臣としてはどういうふうにしたいのか、こういう点をひとつまとめてお答え願って、締めくくりとして終わらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/204
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205・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) たいへん大きな問題でございますが、厚生省がやっている厚生行政の中には社会保障の問題、それからいろいろ福祉行政の問題、その他環境衛生とかいろいろございますけれども、そういったような問題がございますが、これらの内容、これを向上し、これを充実さしていくということが、これは厚生省があずかっている仕事の中の一番大きな問題だと思います。そこで社会保障の問題を考えてみますと、これはまあ大きく分けまして、医療保障、所得保障の問題等もございます。いずれもこれは皆保険、皆年金というような、一応の姿は整えておりますけれども、その内容をながめて見ますと、先ほど来、稲葉委員からもいろいろ御指摘があったように、所得保障の問題にいたしましてもまだ非常に十分でない。もちろんこれはスタートを切って、今日の段階においては成熟していないということも大きな原因でございますけれども、そういうことを離れましても、欧米先進国に比べましては非常に低い水準にあるということは、いなめない事実だと思います。そういったようなことをできるだけすみやかに整備充実していく、所得保障を整備充実していくということと、それから御承知のとおり、医療保障につきましては、いまほんとうに危機に逢着しているというようなことでございまして、この医療保障についてはさしあたっては御審議を願う緊急対策という問題がありますけれども、それはそれとしてぜひお願いするとともに、できるだけすみやかに医療保障の根本的な建て直しをやっていくということが大事なことであろうと思います。さらに、そういったような問題のいわば根本ともなるであろうと言われておりますところの生活保護といったような問題を、これをでき得る限り日本の国民生活とその保護というものとの格差を、これは一ぺんにはできませんけれども、できるだけ格差を縮めていくといったような問題、それからまた、先ほどからもいろいろお話がございましたが、児童福祉、老人福祉、身体障害者対策、それから精神衛生対策、さらにはまた……、いろいろそういったような福祉、まあ最近の問題といたしましては救急医療の問題とか、これはほんとに数えあげることができないほどたくさんの問題がございますが、そういったような問題に対する対処策を充実していくということをやっていかなければならない、私はそういったような問題と正面から取り組みまして、そうして厚生行政の充実整備をはかってまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/205
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206・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまお話を承りまして私非常に気強い感じがするのですが、全体、いままでの厚生省に対する質疑を聞いておっての私の感じですけれども、私は、厚生省というのは、これは資本主義社会にあっても社会主義社会にあっても非常に重要な役所だと思うのです。非常に重要な仕事だと思うのですが、どうも質問している中で感じますことは、厚生行政全体についての長期計画、展望を持った長期計画というものが何だかないような感じを受けるのですよ。その場で、とにかくやれるものからやろうと、しかもやれるものの中でも一番簡単なものからちょっとやっていこうというような印象を受けるのですけれどもね。私だけの印象ならばそれで杞憂みたいなものなんですけれどもね。全体としてのやはり長期にわたる展望を持って、その中でことしはこれをこういうふうにやっていきたいのだ、来年はこうなんだという形のものを段階的にしっかり持っていかないと、やはり外部に対する折衝なり何なりのときに弱くなっていくのじゃないかという感じを受けるのです。
それからいろいろ基礎資料とかいろいろな問題をお聞きしますと、不十分な点があるのはこれは無理もない点もあります。私の要求したものも無理な点も感じられますから、きょうはそれはあまり言わないですけれども、とにかくそうした形のものをしっかり持って、とにかくたくさんの問題がありますから、今後しっかり取っ組んでいただきたいと、こう思うのです。これは党派というものをこえて厚生行政全体というものをもっと議員が関心を持ってもっとバックアップしなければならない問題だと、こう思うのです。これは私の考え方です。おそらく皆さんもそういう御意見だと思のですが、とにかく、たくさんこういう問題がありますから、大臣以下しっかりとして大蔵省なり何なりとぶつかるとか、そういうような形でしっかりとした態勢で厚生行政全体が長期的展望を持った中で取っ組んでもらいたいということを私は要望をいたしまして、私の質問は終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/206
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207・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 御親切なる激励をいただきまして非常にありがとうございます。御意見の線に沿いまして、全力をあげてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/207
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208・伊藤顕道
○伊藤顕道君 もう時間もあまりありませんから、問題を幾つかにしぼって、前回の引き続きを行ないたいと思います。
その前に、先ほど稲葉委員から質問のありましたいわゆる幼児教育の一環としての保育所の問題ですね。これはいまは幼児教育はいろいろな角度で重要視されておるわけです。文部省の所管の幼稚園と厚生省の所管の保育所、これを比べてみますると、公立については厚生省のほうの保育所が幾分普及しておるわけです。だからといって厚生省をほめるわけにはいかぬ。文部省があまりにも怠慢過ぎるわけで、程度が非常に低いわけですね。厚生省も低いが、文部省の公立のそれに比べると確かに公立の保育所のほうがいいわけです。だが、しかし問題があまりにも多いわけです。先ほど稲葉委員からも御指摘ございましたが、一学級の園児が多過ぎる。外国の進んだところでは、私もこの目で見てまいりましたが、もう四、五人について有資格の保母さんが二人もついている。五人ぐらいしか担当していないわけですね。日本のは法規を超えているのが大部分、そういう問題。それから保母さんの待遇が非常に悪いのでなり手がない。これも同じく厚生省所管の看護婦さんが非常に逼迫しておる。病院はできたが看護婦さんがいないで運営できない、そういうところもあるわけですね。これは待遇を改善すれば看護婦さんが集まってくるわけです。また、保母さんも待遇さえよければ集まってくる。骨ばかり折れてろくな処遇をしないから有利なところへ行く、これは人情の常です。特に、幼稚園も非常に大事なわけですけれども、私どもとしては保育所のほうが一そう大事であろうと思います。いま日本の若い夫婦の方々は、多くの方々が共かせぎをやっておる。小さなお子さんがあってはどうも共かせぎできない。その点は外国では非常に進んでおって、朝から晩まで、朝出勤の際に保育所に預けて、退庁と同時に子供を受け取ってわが家へ帰る。日本のはもうほんのわずかの時間保育しているだけ、こういう点でも非常におくれておる。まあいろいろ問題は多いわけですが、ここでお伺いしたい点は、やはり先進国のそれにならってひとつもう少し幼児教育を重視されて、重視はしておるのだろうけれども、結局予算が足らないから思うにまかせないというのが実情であろうと思うのですね。そういうことをひとつ今後、幼児教育をただ口で大事だ大事だというだけでなく、具体的に予算を相当とって、まず保母さんの優遇策を講ずる。施設、設備、それと時間の延長。短時間ちょっとやってすぐ帰してしまうのじゃあまり効果はない。特に先ほど御指摘申し上げた若い夫婦の方々が共かせぎするためにはどうしても保育所、まあ託児所というのがまた別にあるわけです。託児所または保育所、そういうことはいま当面最も重要な問題ではなかろうかと思うのですね。これに対していますぐというわけにはまいりませんけれども、そういう面についても厚生省はひとつ年次計画を立てて、ひとつ前向きの姿勢で着々これを整備してもらいたいと思うのです。このことに対する大臣のお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/208
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209・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘のとおり、日本の経済社会の発展、それから流動というような事実に伴いまして、外へ出て働くということが、かつては男が働いて女は家を守るというようなものでございましたけれども、いまはそういったようなことから女が外へ出て働く。そういう傾向になってきたということに相なりますと、子供をどういうふうにして育てていくかということが、昔に比べまして非常に大きな社会の問題として浮き上がってきておる。そういったような事態に対処いたしまして、御指摘のように、保育所というものを整備充実していかなければならないという事態が今日非常に強くなってまいっておりますが、将来ともにそういったような傾向が増大していくということはもう見通せられることでございますので、そういったような情勢に対処いたしまして、でき得る限り保育所といったようなものも充実をはかり、かつまた、その保育所に従事する人たちも、できるだけ大ぜいの方々に従事をしてもらうというような方向の施策をとっていかなければならないと思っております。現在保育所は一万一千六百八十九カ所ぐらいのものが整備されておりますけれども、調査の結果、まだ四千カ所ばかりがどうしても不足だというようなことでございますので、現在の事態においてそういうことでございますが、さらにそういったことが私は必要度が加わってくるであろうと思います。そういうようなことに対処してやっていくことが、厚生省としては鋭意力を入れてまいらなければならないことだと思っておりますが、詳細なこまかい点については、担当の局長からお答えをいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/209
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210・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 大臣から御答弁申し上げましたように、保育所の整備の問題は、保育所の個所数を整備するという問題と、保育所に働く方々、職員を確保充実するという大きな二つの問題があろうかと思います。
第一の保育所の個所数をふやすという問題につきましては、いま大臣から御答弁申し上げましたように、現在約一万一千六百の保育所がございまして、約九十万人弱の子供たちが通っております。ところが、私ども昭和三十九年に調べました調査によりますと、この五カ年間の間にさらに三十万人程度の子供さんを保育所に通わせてあげなくてはならないという数字が出てまいっております。したがいまして、本年から、昭和四十六年を目途といたしまして、約三千九百四十カ所の保育所を整備いたしたい、それによりましてその三十万人の子供さんの保育をすることができるわけでございます。そういった計画を持っております。それによりますと、本年度におきましては約七百四十カ所程度の保育所をつくりたい、かように思っておりまして、そのうち、先般成立いたしました予算におきましては、四百五十カ所程度の保育所を国費をもって補助してつくるということと、残りの約三百カ所程度につきましては、たとえば国民年金の還元融資でございますとか、あるいはお年玉のお金であるとか、こういった社会資源を活用いたしましてつくっていきたい、かように思っております。したがいまして、こういった年次計画によりましていま緊急に必要な保育所を増設したい、こう思っております。
それから第二の職員の方々の確保の問題でございますが、これは何といいましても、職員の方々の処遇の改善でございます。処遇の改善につきましては、第一点といたしましては、やはり給与を上げるという問題でございます。毎年毎年こういった給与の改善につきましては、人事院のベースアップを見込んで改善をいたしてきておりますとともに、先ほど稲葉先生の御質問にもお答えいたしましたように、受け持ちの子供の数を減らしてまいる。そういうことによりまして労働条件が緩和するわけでございます。特に本年におきましては、三歳未満の子供につきましては、従来までは子供七人について保母さん一人という状況でございましたが、本年度からはそれを六人の子供に対しまして保母さん一人というふうに改善をしたのでございますが、なおまだそういった受け持ち児童数の改善につきましては残された問題がございますので、さらにこれは努力をしてまいりたい、かように思っております。
御指摘いただきました勤務時間が非常に長いとか、あるいは設備等が悪いとか、こういうふうな問題はございますが、こういった点につきましても、いろいろ地域におきまする援助等も、地域におきまして協力を仰ぐというふうな方法も一つの方法かと思いますが、改善のための指導をさらに充実してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
なお、公立に比べまして民間の保育所が、いろいろと経費等の問題につきまして劣悪な条件にございます。したがいまして、本年度におきましては、民間の施設に対しましては、その経営の調整をはかるために、公立のものに比べまして五%の加算を見込みまして補助をするということにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/210
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211・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは、一応この問題はその程度にいたしておきます。
この前、公害についてお伺いしたわけですが、この公害の問題については各委員から相当——相当とは言いませんけれども、ある程度申し上げられておるようでありますので、極力重複を避けて、別の角度から二、三お伺いしたいと思います。厚生省としては、公害発生の問題地域については監視体制をつくったり、あるいは公害防止策の研究を続けたり、あるいは公害専門職員の養成、こういうことについて計画を進めておられると思うんです。そこで、ここでお伺いしたいのは、本年度厚生省が持っておられる実行計画ですね。こまかいことはけっこうですから、その概要について、と同時に、この長期的な計画についても、そのごく骨組みを簡明にひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/211
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212・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 最初に、本年度計画いたしております監視体制並びに技術者の養成計画について申し上げますと、長期計画的に、公害に対する番人といいますか、監視を強化する、あるいはその監視網が公害の各種対策の調査もするというような意味合いから、監視網を充実することがさしあたって当面する重要施策の一つである、かように考えまして、数年来監視網の整備に努力をしてまいっております。その一つの方法としまして、全国二十カ所に、自動記録計を備えた監視ステーション、気象台で言えば地方気象台のようなものをつくりまして、そこで常時公害の資料をつくっておる、大気の状況も調べるということで、そういうところのデータを中央に集めまして分析し、今後の対策に資する、こういうことで二十カ所を予定いたしております。そのうちの二カ所を本年度整備する。すでにいままで五カ所整備してまいりましたが、本年度さらに二カ所を整備する、段階的に今後も整備してまいりたい、かようにいたしております。
次に、地方自治体に監視網を整備させようということで、本年度から新たにテレメーター方式の自動監視装置を整備させることにいたしたわけでございます。それは公害を公害検査自動車のようなもので測定して歩いたり、あるいはその他の方法でときに応じて調査をするということでは公害の実態がわかりませんので、常時記録装置を設けて、中央へ自動的に集まってくるというようなテレメーター方式というのを整備することにいたしまして、本年度から枢要な県あるいは大きな市にこれを整備させるということで国がこれに対して助成金を出す、こういう措置を講ずるわけでございます。それからまた、各種公害の有害物質の究明、あるいは公害患者が発生した場合の発生原因を探求するというような調査をする場合に、今日の機械装備等におきましてはなお不十分なものがございまして、地方にそういう面を充実させる必要があるということで、こういう装置を整備する場合には助成金を出すということで、これも特に本年から特別の費用を計上いたしまして整備することにいたしております。
このようにいたしまして、今後ともに公害の監視網は十分張りめぐらすということで、とりあえず大気汚染に対してただいま申したような整備をはかっているところでございますが、水に対する監視網は必ずしも十分ではございませんで、御承知の阿賀野川の問題といったようなものが発生いたしております。今後は水に対しましても監視網の充実をはかっていきたい、かように計画をいたしております。
それから公害の防止事業は、実体的には地方公共団体が当面して当たっていくわけでございますが、それに従事する専門職員というのは、この分野の学問が未発達であったこともありまして、現在非常に不足しているということで、政府ともどもそういう学問をいまから勉強し、相互に研修につとめていく必要があるという状態にあるわけであります。もちろん大学等にそういうものの特別の学科等があるわけじゃございませんで、そういう意味合いから、国立公衆衛生院に本年度からそういう職員を特別に養成するための担当の公害部という部を設けることにいたしまして、その公害部がそういう専門職員の養成に当たる特別なコースを設けまして養成に当たる、かように措置することにいたし、その公害部の中に三つの室を設けて、あわせて公害に関する教育上に必要な研究もする、こういうようなことでようやく発足いたしたわけであります。これを今後さらに拡充してまいりたい、かよう思っております。
それからこのような高度の大学を卒業した専門家を養成するということのほかに、促成的に数カ月あるいは数週間のコースによりまして講習会をするなり、あるいは公害の特別調査をする場合に、調査の前にそれに必要な技術のテクニックを教えておくというような短期的な講習を、別個に環境衛生センターというところに委託をいたしまして、国が助成をいたしまして実施をいたします。これはごく短期的な促成栽培的な措置でございます。以上のようなものが国としまして、ただいま御質問のございました公害に関する監視、調査並びに職員の養成の問題でございますが、その監視ということばのほかにさらに実態調査という面はもっと別個に非常に詳細に計画を持っておりますけれども、これは御質問の監視というものに当たらないかと思いますので、一応監視並びに職員の養成の点だけを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/212
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213・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、いわゆるいうところの有機性の公害問題、いわゆる自動車の排気ガス、これについて法的規制があるのは運輸省令の一部にあるわけですね。ほかにはほとんど見当たらない。それだけだと思うのですが、これは私が言うまでもなく、排気ガスは一酸化炭素とか炭化水素とか、非常に人体に悪影響を与える重大な問題があるので、アメリカでもたしかニューヨーク州とかカリフォルニア州、こういう州では法的規制を考えておるわけですね。だから日本でもいますぐしなさいということではなくて、外国でもそういう方向にどんどん前向きで対策を講じているので、いわゆる国民保健の立場から厚生省としても当然こういう問題についても早く規制を整備しておく必要が緊急の問題であろうと思うのですね。この問題について厚生省としては、どういうことをいま考えておるのか。ただ考えておるだけでは意味がないので、どういう方向で対処しようとしているのか、簡明にお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/213
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214・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 御指摘のように、現在自動車の機械装置の面では、道路運送車両法がありまして、排気ガスをあまり出さないような装置をするようにという取り締まりをやっております。それらの自動車の運行に際しては、道路交通法によって黒い煙などは取り締まっておりますけれども、しかし、それらの集積状態が起こります道路上の排ガスの悪い状態、たとえば大原町のような状態はまだ規制が行なわれていないわけでございます。これに対しましては、近い将来に大気汚染防止法というような方向で環境基準的なものをつくりまして、その基準を越えないように環境を維持するという面から規制をいたしたいというので検討をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/214
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215・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それではほかにあと一点だけお伺いしておきますが、例の騒音ですね。騒音については、地方公共団体の条例などではある程度規制をしているわけですが、この騒音に対して直接規制の法規というものはないわけですね、いま考えてないと思うのです。そこでやはり騒音も程度によっては相当われわれに重大な悪影響があるものであるので、やはり法制化をするとか、いろいろの対策が立てられてしかるべきだと思うのですね。この問題について厚生省としては、どういうふうに考えておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/215
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216・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 御指摘のように、現在騒音に関しましては、軽犯罪法で軽度のものを取り扱っておりますけれども、騒音防止を目標とした法律はございません。そこで厚生省といたしましては、これに法的規制を行なうべく、いま検討をいたしておるところでございまして、できるだけ早い機会に騒音防止法というような種類の法律をつくりたいということで努力をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/216
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217・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは最後に一点だけお伺いいたしますが、臨時行政調査会は、行政改革を対象に改革意見を各省庁に対して勧告しておるわけですね。改革意見として勧告している。これに対して、各省庁は、即答できるものについては賛成とかあるいはできないものについては検討を要するとか、そういうような方向でそれに対して答えておるわけです。
そこでまず、基本的な問題は、大臣にお答えいただきたいわけですが、臨調のこの行政改革に対する改革意見に対して、厚生大臣としては基本的にどういうふうにこれを受けとめておるのか、基本的な問題についてまずお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/217
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218・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 臨時行政調査会の答申につきましては、厚生省といたしましては、これはでき得る限り尊重いたしてまいりたい、こういう態度でございます。
そこで、その臨時行政調査会が要請しておるものは、行政について、たとえば許認可の手続の問題であるとか、あるいは行政の配分の問題だとか、あるいは機構の、各行政庁の機構の問題とか、あるいはそれに属するところの審議会の統合整備の問題とか、いろんなものがございますが、そういったような問題につきまして、すでに厚生省がその要請の線に沿っていろいろ実施したものもございますし、ただいま検討しておるものもございますし、そういった具体的な各事項につきましては、いま担当官から御説明をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/218
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219・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私がお伺いしたいのは、臨調はかつてない規模で、しかも、長期間を要して、相当国費を使って、いわゆる審議を重ねてきておる。これは池田内閣のときであったわけですが、時の池田総理も、これを受け継いだ佐藤総理についても、臨調の答申についてはこれを尊重して、その実現に最大限の努力を払う、そういう意味の意思表示をされておるわけです。ところが、臨調が答申してから、もう一、二年たっておるわけです。何らこれは前向きの姿勢で前進していないということは遺憾のきわみと言わざるを得ない。これを一言にして言うと、各省庁ごとに、自分の省あるいは庁のいわゆるその行政範囲の拡大するようなことについてはもう問題なしに賛成の意を表する。いささかも縮小される、機構の縮小、統合、廃止、こういう問題については真っ向から反対しておる。ごく例外は数えるほどしかない。原則的に言えることはそういうことである。いわゆるもっと卑近なことばで言うと、各省庁はなわ張り根性で、依然として、旧熊依然として、なかなか、これを行政改革の方向へ向かうように、前向きの努力が見られぬわけです。これは先ほど申し上げたとおりでして、臨調の答申が池田・佐藤両内閣において十分確認されて、尊重する方向で具体化していかなければならぬ。いまでも、公社、公団の問題とか、行管を中心にしていろいろ問題が多く出ておるわけですね。
そこで、具体的に一つ、二つの問題だけにしぼってお伺いするわけですが、ここに膨大な資料があるわけですから、これをやっておると、どうしてもきょうは間に合いませんから、また来週の火曜日あたりになるやも知りません。明確にお答えいただければ、あと膨大なものはこれは資料にとどめておきたいと思います。
たとえば臨調側の厚生省に直接勧告しておる中で、こういう具体的な問題は、大臣はおわかりにならないだろうから、政府委員でけっこうです。
国民年令関係について、拠出制——国民年金業務のうち、手帳の作成、交付、訂正等は市町村長に機関委任、過年度の未納保険料の徴収を市町村長に機関委任、そういう方向を臨調は答申しておるわけであります。で、医務、薬務関係ですね、医務、薬務関係については、医薬品製造業者に対する許可、製造品目の許可は知事に機関委任すべきである、それから保健婦、助産婦、看護婦に関する事務は試験以外は知事に機関委任というふうに行政の効率化、簡素化、こういうようなたてまえから臨調が各省庁に勧告しておるわけです。
そこで、一つ、二つの問題をいま摘出してお伺いしたいわけですが、こういう答申に対して厚生省は、二年間も経過しておりますから、こういう問題に対して、先ほど大臣も、この臨調の答申については十分関心を持っておる、という意思表示があったわけですから、それから二年間経過しておるわけですから、何らかの前進の姿が見えなければならぬと思うのであります。そこでお伺いしておるわけですが、こういう問題はどういう程度に検討をされておるのか、その方向をお聞かせいただきたいと思います。
それでは、時間の関係もありますから、一定の猶予をしますから、これは保留にしておいて、次の問題をお伺いいたします。
同じく臨調は、国立病院、国立療養所のあり方について再検討すべき旨のいわゆる改革意見を厚生省に出しておるわけです。この臨調の意見に対する厚生省のお考えをひとつ一口にまとめてお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/219
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220・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 国立病院並びに国立療養所の問題につきましては、臨調の御指摘があり、
これに対して私どもが対処しております基本的な考え方を申し上げます。
国立病院は御承知のように、旧陸海軍病院等を引き継いだものもございまして、それらが主体でございますが、そういう国立病につきましては、一般病院でございますので、国立病院として一般の国立以外の病院との任務の競合を避けて、そうして国立病院でなければやれないような性格の病院を主にしてやっていくべきであるという基本的な考え方には全面的に賛成でございまして、そういう意味で私どもは、一般病院として経営されておりました中でも、国の医療政策に協調する意味で、たとえばガンの専門的な診療施設をつくる、一般病院ではできないような高度の機械設備あるいは人員等を備えた施設としてのガン診療施設としてガンセンターをつくる、あるいは小児の結核というものはいままで単一に小児結核というようなことばで……その中で非常に専門分化が発達してきたにかかわらず、それを総合して見る機関がないということから、国立小児病院をつくるというような形で、そういう国でなければできないような特殊な任務を持った病院をやっていくという方向に転換し、また、その他の一般病院につきましても、国がガンに対する医療設備の整備を進めるという方針に沿いまして、国立病院の中で四十七カ所につきましては、高度の機械設備等を中心にいたしましたガン診療施設をつくりまして、また近年におきましては、急救医療機関がきわめて不足しているというところから、これも採算ベースからいうときわめて困難な部門でございますので、そういうような部門につきましては、国立の医療機関が積極的に協力するという立場から、全国的な配置状況にかんがみまして、都道府県の衛生部局とも協議をいたしまして、急救医療機関を国立病院の中に整備をしていくというような方針で整備をはかってまいりました。また、現在国立病院の中には、そのような必ずしも特殊な任務にふさわしくない病院もございます。といいますのは、現実に新たに特殊な目的を持って国立病院を設置したわけではなくて、現にあったものをそのまま引き継いだという成り立ちの性質からいって、現に地方における一般医療機関として必須の状態になってきているというようなものについては、それぞれその性格に応じて整備をしていくというようなことで、国立病院についてはそういう基本的な方針のもとで全面的に整備を行なってきたわけでございます。
国立療養所につきましては、これは国立療養所が初めもっぱら結核医療の中核でございまして、これはもとの傷痍軍人療養所であるとか、あるいは医療団の施設を引き継ぎまして、国立療養所を整備したのでありますが、当初昭和二十一年に引き継ぎましたころは、四万ベッドに足りない数でございましたけれども、国の結核対策に協力するという観点から、逐次ベッドを増加し、さらに国立病院の一部を結核対策に協力する意味から国立病院をどんどん結核療養所に転換いたしました。そして結核対策に協力いたしましたが、昭和三十六年ころを境にいたしまして、結核ベッドが漸次空床になってまいりました。逆に現在は六万床以上の入れものを持っておりますけれども、患者は四万程度という状況になってまいりましたので、これらの状況に即応しまして、たとえば慢性疾患であるとか、あるいは交通傷害のリハビリテーション、あるいは精神病床というような、現在不足している性質の病床に転換をいたしまして、そしてできるだけ空床その他をなくし、新しい需要に応ずるように性格転換をはかっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/220
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221・伊藤顕道
○伊藤顕道君 たいへん御熱心に御答弁があったわけですけれども、三十九年の十月、行政改革本部が、各省の次官との連絡でその当時厚生省の事務次官がいまの問題に対する意見としてはこういうふうに言っておられるわけです。国立病院と国立療養所の運営管理に関しては、これを現業部門として一般医務行政と分離し、現業部門の管理体制はさらに強化する方向で検討する、とあるわけですね。これはあなたの省の事務次官が行政改革本部でお答えになっておるわけです。そのとき、いま申し上げたように、さらに強化する方向で検討する、とはっきり明言されておるので、実は検討の結果について承りたいということなんです。検討しておられますか。一言でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/221
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222・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) これは現業部門の分離については、きわめて熱心に検討いたしておりまして、近く結論が出るはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/222
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223・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、地方医務局を基幹国立病院に併設すべき旨の意見を出しておるわけです。この行政改革に関する厚生省の御意見はいかがですかとお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/223
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224・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) この意見につきましては、私どもはむしろ反対でございまして、監督機関を監督される施設に併設しておくということは、事務の性格からいっても適当でないということから、また地方医務局は多数の医療機関を監督しておりますので、一つの医療機関に併設するというのは適当でないという意見で、それには反対をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/224
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225・伊藤顕道
○伊藤顕道君 このことについては、その当時の厚生省の事務次官は、両者の機能は本質的に違うのだ、そういうたてまえから反対の理由としてこれをあげておるわけですね。
それと、あと一、二お伺いいたしますが、保険局と、年金局を統合して、社会保険局、これは仮称ですが、そういうものを、いわゆる統合する必要があろうという改革意見を出しておるわけです。これに対して、厚生省はどのようにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/225
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226・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) 保険局と年金局を統合したらという臨調の勧告を受けておりますが、わが国の医療保障制度と、所得保障制度が、社会保障制度の中核をなしておりますが、保険局におきましては、医療保障制度を担当いたしております。年金局におきましては、所得保障制度を担当いたしておりまして、行政の質におきましても、取り上げるべきポイントにおきましても、非常に異にいたしております。年金制度が、中央におきまして、長期にわたる将来の見通しの上に立脚しまして、制度の細部にわたって、精密な、技術的組み立てを検討する必要があるということに対しまして、医療保険制度におきましては、国民の医療を担当する医療担当者の側と、医療費を担当する国民の側との関連を、十分に考慮して、この見地から、保険診療のあり方、適正な診療報酬の額を決定すべきものでございまして、両者を同じようにするということにつきましては、問題があるというふうにわれわれは考えております。
それから加えまして、国民皆保険、国民皆年金の達成には、事務量が著しく増大されておりまして、とうてい一局においてこの所得保障と、医療保障の年々増大していく事務につきまして、一局で所管するにつきましては、少しいま荷が重いのではないかというふうな考え方でございますし、特に最近の点におきましては、健康保険におきまして膨大な赤字が生じておりまして、保険局におきましては、わずかな人数におきましてこの事務をかかえておるわけでございます。一方厚生年金、国民年金の充実ということにつきまして、両局とも非常に鞅掌をきわめております。そういう意味におきまして現実の問題におきましても、両者を統合するということにつきまして問題があるというふうに考えておりますが、臨調の御答申もございますので、ただいま検討をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/226
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227・伊藤顕道
○伊藤顕道君 で、この問題さらに幾つか続けたいのですが、とても本日のところ終わりそうもございませんし、また、御答弁必ずしも満足すべきものではございませんけれども、非常に熱心に御答弁になった、こういう点もございますので、先ほどの保留にいたしました問題だけをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。先ほど保留にいたしました問題、明確にお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/227
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228・松下廉蔵
○説明員(松下廉蔵君) 御質問のうちで、国民年余の手続、権限の問題につきましてお答えいたします。
一つは、過年度の未納保険料の徴収の権限が、現在社会保険事務所の所掌事項になっておるけれども、これが二重行政であるから、市町村長に委任すべきであるという臨調の指摘についての質問でございますが、二重行政になっているという意味は、現年度の保険料徴収が市町村長になっておりますために、それとの関連での御意見かと思いますけれども、御案内のとおり、現年度の保険料の徴収はこれは印紙の貼付とそれに対する検認という方法によっておりまして、過年度の保険料の徴収は、これは直接現金による納付でございます。したがって、納付の方法等も全然違っておりますし、また、過年度と申しましても、これは時効等との関係もございましてかなりさかのぼることも考えられまして、これをそのまま市町村に委任いたしますときには、現在でも相当な手数をかけております市町村にかなり負担をおかけするというようなおそれもございますので、むしろ私どもといたしましては、現年度の徴収につきましてできるだけ法律のたてまえの示しますとおり、現年度の徴収を十分にいたしまして過年度の徴収というような異例のことがないようにいたしまして、市町村と社会保険事務所との事務の処理が円滑に行なわれることができますような方向に指導いたしたいというふうに考えております。
それから次に、国民年金手帳の検認報告の問題でございますが、制度の発足当初、これは事が国民の保険料を納付するという問題でもございますので相当念を入れまして、そのために各市町村の事務にかなり御迷惑をかけておったことはここで指摘されているとおりでございまして、その後いろいろと市町村の実情等も調べ、また各社会保険事務所の実績も洗ってまいっておりますので、昨年から相当の範囲におきましてこの問題のみならず、ひっくるめて市町村、それから社会保険事務所の事務の軽減、仕事の能率化というような点について検討いたしまして、ここであるいは御指摘のとおりではないかもしれませんが、全体的な問題につきまして相当市町村の事務を軽減し得るような事務の改善をすでに行なっておりますし、また、今後もそういった改善は引き続いて続けていくようにいたしたいと、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/228
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229・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) 医薬品の認可関係を都道府県知事におろしたらどうかということでございますが、御承知のように、最近の医薬品につきましてはいろいろと問題が起こっております。安全性の問題、そういう問題がございまして、また、一定の品目を整理するということにつきましても学問的にいろいろ問題があるわけでございます。そういう意味で臨調の勧告がございましたけれども、いま直ちに都道府県知事におろすのが適当であるかどうかということにつきまして相当疑問を持っておりまして、ただいま審議会におきましてこの問題を検討をいたしていただいている状況でございます。
次に、看護婦、保健婦、助産婦の登録事務を都道府県知事に下げたらどうかという問題でございますが、御承知のように、看護婦、保健婦、助産婦は国家試験を行なっております。そういう関係からいたしましても、この登録事務だけを都道府県に下げるということにつきまして、やはり試験を、国家試験を行なって身分が確定した場合に、やはり中央官庁においてこの登録事務を一括して、現在不足に悩んでおりますこの種の重要な技術職員に対する行政を進展していきたいということでございまして、都道府県知事におろすということにつきましてもまだ、もう少し検討をいたしてみたいという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/229
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230・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは、先ほどの保留の問題、一応それで了承しておきますが、最後に大臣にお伺いしておきたいと思うのですが、先ほど繰り返し申し上げたように、臨調がああいう各省に対して真剣な答申をしておる、歴代の内閣がこれを受けて尊重の方向で前向きに検討しておる、そういう経緯もありますので、臨調の厚生省に対する改革意見をそのままうのみにしろとは申していないわけであります、十分検討して、できるものはどんどん実現に移していく、なお検討を要するものは熱心に検討を続ける、とにかく前向きの姿勢で、尊重ということをいつも頭に置いて、できることをどんどん実際に移していく、そういうことでなければ何か意味ないと思うのですね、せっかくああいう膨大な予算を使って長い間真剣な審議を続けたことが全く無意味に終わってしまうということになろうと思うのです。われわれとしては、臨調の答申に対しては、まだまだ不十分だという点で満足はしておりませんけれども、一応方向として賛成しておるわけです。したがって、その尊重すべき臨調の答申が何ら実現に移されぬということになると、これはもう全くそこに問題が残るわけですから、ひとつそういう臨調の意見に対して今後の決意についてひとつ厚生大臣としての所信をはっきりこの際さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/230
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231・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 臨調の答申を受けまして、行政管理庁でその答申の趣旨に沿って行政管理庁が実行案をつくっておるわけでございます。いままでその行政管理庁がつくりましたものの中には、お説のとおり、これは一つの必ずこれをやれというものと、こういったようなものという例示のものと、両方あるというふうに政府は解釈をしておる。その中にはどうしてもそれはもうやらねばならぬものと、それから必ずしもそれを実現しなくてもいい例示のものがあるわけです。それからさらにはまた、御指摘のとおり、それではなお足りないといったようなものも私はあろうと思います。いずれにいたしましても、厚生省といたしましては、答申されたもの、そういったものは、これは先ほど来係官から御答弁申し上げましたように、やるべきものは、これはもう絶対に前向きでやる、しかし、まあ、その中には検討を要するものもある、検討の結果これはもうやらないのだといったような検討でなしに、まじめな意味において前向きの検討をやってまいりまして、そうして、これこそはやらねばならぬのだというようなものはできるだけそれを実現しようと、こういう考えで進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/231
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232・北村暢
○北村暢君 私は、ここに質問を用意してきたのですけれども、もう時間ですからやめますが、ただ、いま伊藤委員が基本的な問題について臨調答申に対する態度をお尋ねしているわけでありますが、私は、厚生省はどちらかというと、戦後の役所であり、古い役所から比べれば機構その他において整備はまことに行き届いておらぬ、相対的に言ってそういうことが言えるだろうと思うのです。また、新しい時代の要求に従う行政需要というものは厚生省の場合非常に多くなってきておる、こう思うのです。しかしながら、いまの状態ではなかなか思うように人員その他増加するということができない状況のようです。したがって、厚生省の各職員は相当無理をして仕事に当たっているということは、もう相対的に言ってそういうふうに言い得るのではないか、このように思います。したがって、そのためにむやみやたらに機構を膨張させるだの、人員を増加させろということは言いませんけれども、実際に各古い官庁から比較すれば充実されていない面が多いのでありますから、この点は、ひとつ厚生大臣は、やはり思い切って円滑な行政ができるように十分配慮していただきたい、このことを要望しておきます。
それからこれに関連して、公社、公団、事業団というものについて、先ほど来質問もございますが、臨調の答申を尊重すると言うけれども、今度の環境衛生金融公庫においては全く当初の予算要求において厚生省は出しておらないものが突如として出てきた。これは予算委員会において何回もやったことでありますから、そのこと自体については質問いたしませんけれども、どうも臨調の答申を尊重すると言いながら、実際には悪い面だけが出てくるという感じが非常に強いのであります。そういう点で環境衛生金融公庫が新設されるにあたって、医療金融公庫というものは検討すべきであるという臨調の答申が出ているわけなんです。そういう点について、ふやすだけふやして、減らすほうについては何ら配慮がなされていない、こういう結果になっているように思われる。しかもこのいただきました資料によりますというと、厚生省監督下にある公庫、事業団等の幹部、役員はすべて古手役人で、民間人はたった一人、しかもそれは医療金融公庫の総務部長が公害事業団の理事になっておりまして、これも民間人とは言えない、どちらかと言えば役人出といってさしつかえない。そういう意味において公庫、事業団等の運営についても、官庁の非能率をそのまま持ち入むようなまことに悪い例がはっきり出ておる。厚生省あたりは外郭団体が余りないから古手役人を収容するのにだいぶ苦労してこういうものをつくられたのかもしれないが、今度新しくできる環衛金融公庫等についても、おそらくそういう人事になると思うのですけれども、そういうことでなく、民間人の能率的な人を持ってきてやれるという自信が大臣におありかどうか、そこら辺の腹がまえをひとつ聞いておきたい。これは質問をまとめていたしますから、一つはいまの点。
それから環衛金融公庫については、どうもできたいきさつが非常に政治的であり、圧力団体に屈したと言われておりますが、そういういきさつからして、さらに環営法そのものが成立するときにどうも私ども納得いかないものがありましたけれども、この金融公庫について、この公庫を通じて、環営法の適用になっている業種等の協同組合の編成にあたって、まあ脱退その他任意になっております任意団体であるが、これについて一方のものに加入しないというと金は貸せません——貸せないわけじゃないが、入っていたほうが便利ですよという、暗にそういうことでもって協同組合に加入することを強制するかのごとき行動が、現に行なわれておるということを私ども聞いておるわけです。したがって、こういう業界はなかなかまとまりにくいわけでありまして、独裁的な協同組合の幹部についていけないというのです。やはり自主的に協同組合をつくっておるそういうものについて、一方的にきわめて不利なような行動を行なうということについては、それが行き過ぎるというと私は弊害が出てくると思う。したがって、この環衛金融公庫の運用の面において、これはあくまでも融資は個人が、あるいは協同組合が事業目的のために借りるのでありますから、その金を貸すことを理由にして加入団体の自由というものを強制するようなことがあっては私は運用上まずいのじゃないか、そういう運用上の面についてひとつ所見を伺っておきたい。
それからもう一つは、公害防止事業団というものがようやく軌道に乗ってきておりますが、これの資金計画はどうなっておるのか、これを若干説明を願います。その資金計画はおそらくいろいろな種類の金が来ているのじゃないかと思いますが、特に公害防止事業団は中小企業等の近代化、高度化というものと非常に密接な関係がありますもので、そういう点からいって、今度できます中小企業振興事業団というものの貸し付け条件、特に利子でありますが、そういうものとの均衡がとれておるのかどうかという点について、おそらくとれておらないと、こう思っておるのですが、そういう面について今後いかように対処せられるのか、そういう数点についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/232
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233・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) まず最初に、厚生省につきまして非常に御理解ある御意見を承りまして、この点厚くお礼を申し上げます。
それから臨時行政調査会の答申と関連をしていろいろの公団、公社についてお触れいただいたのでありますが、その中で新たにできた環衛公庫、それから公害防止事業団、医療公庫といったようなことについてお触れになったわけでありますが、環衛公庫の必要性といったようなものにつきましては、それは担当局長から御答弁をいたさせますが、その人事等につきましてお触れになりましたので、厚生大臣といたしましては、その人事などについては目下のところ、白紙でございます。そこで一般論を申し上げますと、やはり環衛公庫というものは環衛営業をやっておる方々に対する金融の機関でございまして、そこで厚生省には環衛業の運営の適正に関する法律というものが、これが厚生省所管として、その法律がありまして、その法律に基づきまして日本の環衛業の適正なる進歩向上ということを、これを指導し、また取り締まりをしていこうということでございます。今度できました環衛公庫というのは、そういったような環衛業に対する融資をやっていくという目的でもってできたものでございますので、一面から申し上げますと、これはやはり行政と金融の一体化と、行政と金融とをそこに乖離のないように運営していくという点から申しますと、私はその法律を所管しておる厚生省、何も厚生省の官僚というわけではございませんが、そういうような関係がこの環衛公庫の運営に当たっていくということが、さような面から申しますとこれは私は適当だと思います。ただしかし、先ほどから御指摘になったような、官僚が非常に非能率であってそういうものにやらしちゃいけない、私は全面的に御意見を認めるわけではございませんけれども、官僚の諸君というものにはえてしてそういうことも私はないとは言いません。言いませんが、そういう面を強調して考えますと、これは官僚が適当じゃない、こういったような意見も出ておることは私はいなめないことだと思います。そこらのところをどう調整していくか、官僚といえども、官僚はすべてがこれは非能率でもう話にならぬ、私はそういうことを考えておりません。官僚の中にも非能率な人もありましょうけれども、まあ大体においては非常な秀才が大ぜいいる、官僚の前だからそう言うわけじゃございませんが、集まっておるということも言える。これは両方の面から考えていかなければならない。それからまた、環衛公庫ができるにあたって何か圧力がかかったというようなお話でございますが、さようなことは全然ございません。これは前々から環衛公庫をつくるべしという議論と、そういうものは必要がない、つくるべきじゃない、この議論の私は両方とも傾聴すべきものがあろうと思います。たとえば環衛公庫に対しまして、これは国民の保健衛生のためにはいろいろ先ほども申しました環適法によって指導取り締まりをやっておりまするから、いろいろの指示を、国民の保健衛生上指示をいたしまして、そういったような施設ではいかぬじゃないか、もっと保健衛生上遺憾なき施設を、設備をやるべしといったようなこれは指示をしなければならない。それからまた、その指示を受けた環衛業が、御承知のとおり、これは大きな企業ならば、これは私はそういったような指示を受けて自分でもってそういったような設備の改善等も行なうことができますけれども、大体においてこの環衛営業というものは非常に立ちおくれました中小企業の中でも、特にその力の弱いといったような人々がこれに従事しておるといったような点から考えまして、国民保健衛生上の指示を受けて、そうしてその指示に基づいたいろいろな設備をやっていくという上におきましては、何らかのこれに便宜を与えてやらなければならない。そのためには中小企業金融公庫やあるいは国民金融公庫があるじゃないか、こういうお話もありますけれども、そういうことを詳しくあとで御説明させますから、これは必ずしもぴったりといかない、こういうことで環衛公庫が必要である、ただしそういうものをつくる必要がないという御意見の中には、私は大きな観点からいたしますと、日本の国のこの金融というものをそんなに多元化すべきものではない、金融というものはこれは一本、本来は原則として一元的にやっていってこそ、これは金融の円満なる運営ができるのである、多元化すべきではない、こういう議論があろうと思います。しかし、現状といたしましては、その金融がだんだんとあるいは中小企業あるいは農業あるいは輸出入あるいは開発といったような、こういう政府機関といったようなものもできておりまして、その一元がだんだんと多元化してきておるというようなことで、さらに環衛公庫まで一元化する必要はないじゃないか、こういう御意見も私はあろうと思います。しかし、そういったようないろいろな意見がだいぶ前から両論がございまして、そうしてこれが相戦われておったわけでございますけれども、今度は、どうしても環衛公庫というものをつくることによって環衛営業者に対して何らかの突っかい棒を、金融上の便宜を与えてやろうじゃないか、こういうような意見に落ちつきまして、今度の環衛公庫というものが生まれたわけでございますが、そういったような、もし本国会におきまして法律が御承認願えれば、そういったような観点から私どもはこれを運営してみたい、かように考えております。
なおいろいろの広範多岐なる御質問がございましたが、それらの点につきましては担当局長が参っておりますから、担当局長から詳しく御答弁をいたさせます。
なお、公害防止事業団につきましても、担当局長から御答弁をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/233
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234・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 環境衛生金融公庫の運用の面で御注意がございましたが、本年度国民金融公庫の一部といたしまして環衛業に対して特別融資をいたしておりまして、その実施の状況から御指摘があったかと思われるわけでありまして、確かに御指摘のように、この資金は環衛同業組合のみに貸すわけではございませんけれども、ややもすると組合員でなければ貸さないとか、あるいは組合を結成しなければいけないとかいうようなことにされるおそれが、十分警戒する必要があるわけでございまして、今後とも公庫ができました暁には、それらの点は十分戒心いたしまして、組合員たらざるものが非常に圧迫を受けるというようなことのないようにいたす必要があると、かように考えておる次第でございます。
それから公害防止事業団の資金計画でございますが、本年度は財政投融資は五十億でございまして、そのほかに二十五億の債務負担行為のワクを持ちまして、合わせまして七十五億の事業量を持っております。この五十億の財政投融資の半分が年金の金でございまして、残りは一般の財投の金であります。それから利子は中小企業が六分五厘、大企業が七分でございまして、これは三年間、その後は五厘ずつ両者上がる、こういうことでございまして、御指摘の中小企業振興事業団におきましては、公害分が本年度分で二億五千万円ございますが、それは利子付きでございます。したがいまして、公害防止事業団のこれらの事業に対比いたしまして非常に不均衡でございまして、むしろこれが公害防止事業団の事業の円滑な遂行に影響しやしないかということさえわれわれはおそれておるわけでございまして、本来の公害防止事業を行なうべきこの事業団の利子は何としても引き下げる努力をすべきである、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/234
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235・北村暢
○北村暢君 大臣の答弁は私必ずしも了承しませんけれども、もう時間ですからやめますが、ただ、厚生省所管のこういう事業団、公庫というものがこのようにあるわけで、特に公害防止事業団は、これは非常にまあ利権といってはあれですけれども、事業と密接な関係がある。したがって、こういう事業団に対しては、やはり相当監督の立場でやっていないというと、先ほど私が申しましたように、汚職、疑獄というものが出てこないとは限らない。業者との関連非常に密接なわけであります。でありますから、この監督が十分に行かなければならない。ところが、監督をすべき厚生省の環衛局の公害課、これはまあ発足当初ですから、事業団も公害課も一緒になって、どっちが事業団かわからないほど注文取りをやって歩かなければならない、こういう実態なんです。したがって、私はやはり事業団とこの行政機関とは、明らかにやはり責任分担というものははっきりしているのですから、そういう面を明らかにして、そしてやっていかなければならない。各省はこういう事業団について監理官制度というものを持って、そしてきちんとやっておるわけなんです。監督をしておるわけなんです。厚生省にはそういうものがないですね。先ほど私言ったように、新しい役所なものですから、そういうものがなかなか取れない、課を部にするだけで精一ぱいというところですから、そういうような状態ですからね。私はそういう新しい事業をやる場合に、十分やはり今日の事情というものをはっきりさせる意味において、責任分担をはっきりさせる意味において、今後この事業団に対する監督機構というものをやはり明確にしておく必要がある、このように思うのです。そういう面についてひとつ大臣の所見を承りまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/235
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236・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 非常にごもっともなる御意見でございます。御意見を拳々服膺いたしまして、万が一にも御心配になっていらっしゃるような事態が起きないように、私は全力をあげてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/236
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237・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 他に御発言もないようでございますから、本案の質疑は尽きたものと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/237
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238・八田一朗
○八田一朗君 私は自由民主党を代表して、ただいま議題となりました厚生省設置法の一部を改正する法律案について、修正案を提出いたしたいと存じます。
修正案の内容は、お手元にお配りいたしました印刷物で御承知願うこととし、朗読は省略さしていただきます。
修正の趣旨は、原案の施行期日である六月一日がすでに経過いたしましたので、これを公布の日に改めようとするものであります。
右修正部分を除く原案に対しましては賛成いたしまして、私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/238
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239・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
それではこれより厚生省設置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
まず、討論中にありました八田君提出の修正案を問題に供します。八田君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/239
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240・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって八田君提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/240
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241・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって修正部分を除く原案は、全会一致をもって可決されました。
以上の結果、本案は、全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/241
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242・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十六分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514889X01719670615/242
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