1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年四月十八日(火曜日)
午前十一時二十七分開会
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委員の異動
三月二十三日
辞任 補欠選任
多田 省吾君 柏原 ヤス君
三月二十四日
辞任 補欠選任
柏原 ヤス君 多田 省吾君
三月三十日
辞任 補欠選任
二木 謙吾君 源田 実君
四月三日
辞任 補欠選任
源田 実君 二木 謙吾君
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出席者は左のとおり。
委員長 大谷藤之助君
理 事
楠 正俊君
中野 文門君
秋山 長造君
鈴木 力君
委 員
北畠 教真君
玉置 和郎君
内藤誉三郎君
吉江 勝保君
小野 明君
小林 武君
鶴園 哲夫君
北條 浩君
林 塩君
国務大臣
文 部 大 臣 剱木 亨弘君
政府委員
文部政務次官 谷川 和穗君
文部大臣官房長 岩間英太郎君
文部大臣官房会
計課長 井内慶次郎君
文部省初等中等
教育局長 斎藤 正君
文部省体育局長 赤石 清悦君
文部省文化局長 蒲生 芳郎君
文化財保護委員
会事務局長 村山 松雄君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 猛君
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本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
(昭和四十二年度文部省の施策及び予算に関す
る件)
○著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○オリンピック記念青少年総合センター法の一部
を改正する法律案(内閣提出)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/0
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001・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
教育、文化及び学術に関する調査中、昭和四十二年度の文部省の施策及び予算に関する件を議題といたします。
まず、文部大臣の説明を求めます。剱木文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/1
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002・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 第五十五国会において、文教各般の問題について御審議をいただくにあたり、文教行政に関する所信の一端を申し述べたいと存じます。
文教のことは、申すまでもなく、国政の基本であり、国家興隆の源泉であります。わが国の教育は、長い伝統と関係者の熱意と努力によって、世界的にも高い水準に達しておりますが、なお改善充実につとめなければならない課題がいろいろとあると思います。
今後における学校教育の拡充整備と質的向上については、新学制実施後すでに二十年を経た今日、また今後における産業、経済の発展と国民生活の向上を考え、世界の趨勢も考慮し、現行制度を基盤としながら、長期的視野に立って十分慎重に調査、検討を進めてまいりたいと考えております。
一方、文教年来の施策は、これを地道に、きめこまかく充実、発展させつつ、国民の期待と要望にこたえたいと存じます。
第一に、教育の充実、振興と普及の問題に触れてみたいと思います。青少年の健全な育成をはかることは、重要な課題であり、この意味において、青少年が将来、国家、社会の成員としての責任を自覚し、それぞれの個性を生かし、能力を十分に発揮することができるようにすることを念頭に置きながら、知識の習得はもとより、思考力や創造力を伸ばすとともに、意思の鍛練や道徳性の涵養、体力の増進などについて一段と配慮していきたいと思います。また、学校教育のみならず、家庭、社会を通じての青少年の健全育成に一そうの力を注いでまいる必要があると存じます。
次に、義務教育の充実と後期中等教育の拡充整備についてでありますが、今後とも、教育環境の整備につとめ、教職員の資質の向上と処遇の改善について十分配慮していかなければならないと存じておりますが、また、教育費の父兄負担の軽減をはかる趣旨も含めて、義務教育諸学校における教材整備を年次計画で促進する等の施策を推進してまいりたいと存じます。
後期中等教育については、先般の中央教育審議会の答申の趣旨に沿って、その多様化をはかり、また勤労青少年のための教育施設を充実整備するとともに、各種学校制度の改善をはかりたいと存じます。さらに、公立高等学校の学級編制と教職員組織の改善をはかっていく所存であります。
高等教育の充実につきましては、国立大学の拡充整備を一段と推進し、また、新たに商船高等専門学校を設置するなど高等専門学校の拡充をはかる所存であります。
次に、今日の私学の問題は重大な段階にきていると思うのでありまして、わが国の教育に占める私学の役割のきわめて大きいことにかんがみ、私といたしましても私学振興についてできる限りの努力をいたしてまいったつもりでございますが、今後とも臨時私立学校振興方策調査会における審議とあいまって最善の努力を払い、私学の健全なる育成振興を期してまいりたいと思っております。
さらには、経済的に、身体的に、あるいは地域的に恵まれない子弟のために、育英奨学事業を拡充し、特殊教育、僻地教育の振興については一そうきめこまかい施策に意を用いてまいりたいと存じます。
第二に、学術の振興について述べます。最近における科学、技術の進歩はまことに目ざましいものがありますが、時代の進展に即応する学術研究の推進をはかっていくことは、国家社会の発展のためにきわめて重要なことであります。この趣旨にかんがみ、学術審議会の設置、特殊法人日本学術振興会の設立等、学術体制の整備をはかり、大学及び研究所の充実を期するとともに、重要基礎研究を一段と推進してまいりたい所存であります。
第三に、文化の振興と普及について述べます。わが国のすぐれた伝統ある芸術文化の普及発展を推進し、新しい文化の創造を援助して、芸術文化の振興と普及をはかっていくことは、国民生活を豊かにし、人類の福祉に貢献するゆえんであると考えます。この趣旨にかんがみ、新人の育成、地方文化の振興、青少年のための芸術活動の促進等について必要な援助を行ない、また、従前に引き続き文化財の保存、活用について一そうの努力をしてまいりたいと考えます。また、教育、学術、文化の国際交流の促進についてもさらに努力を重ねてまいる所存であります。
最後に、申すまでもないことながら、文教施策の推進は、ひとり文教行政当局だけでよくなし得るものでなく、国民全体の理解と協力に待つところがきわめて大きいのであります。皆さまの一そうの御協力をお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/2
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003・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) この際、谷川文部政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。谷川文部政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/3
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004・谷川和穗
○政府委員(谷川和穗君) 文部政務次官を拝命いたしております谷川和穗でございます。もとより不敏の身でございますが、本委員会の皆さま方の御叱正と御鞭撻をいただきまして、大過なくこの役を全ういたしたいと念願をいたしております。どうぞよろしくお願いいたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/4
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005・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 引き続いて、昭和四十二年度の文部省予算に関し、文部大臣の御説明を求めます。剱木文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/5
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006・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 昭和四十二年度文部省所管の予算案につきまして、その概要を御説明申し上げす。まず、文部省所管の一般会計予算額は五千八百四十五億八千六百二十九万円、国立学校特別会計の予算額は二千二百七十二億八千六百四十八万一千円でありまして、その純計は六千二百二十九億六千九十二万八千円となっております。この純計額を前年度当初予算と比較いたしますと、およそ八百三億円の増額となり、その増加率は一四・八%となっております。
以下、昭和四十二年度の予算案におきまして特に重点として取り上げました施策について御説明申し上げます。まず第一は、教育費の負担軽減と育英奨学事業の拡充であります。このことにつきましては、かねてから努力を重ねてまいったところでありますが、明年度は特に父兄負担の軽減に留意し、教材整備の促進、教科書無償の推進、学校給食の普及充実、就学援助の強化、遠距離通学費補助の拡充につとめましたほか、地方公共団体の超過負担の解消を促進し、育英奨学事業の拡充を行なう等の施策を進めることといたしました。
そのうち、まず教材整備の促進につきましては、国庫負担の対象となる教材基準の設定を行ない、当該教材基準の七〇%までの充実を十カ年計画で整備充足することといたしました。また、教科書無償につきましても国、公、私立学校を通じて、中学校及び特殊教育諸学校の中学部の第二学年までの児童、生徒に対して教科書の無償給与の措置を拡大することにいたしました。
次に、就学援助の強化につきましては、要保護、準要保護児童生徒の就学奨励として、通学用品費を新たに支給品目に加えるとともに、学用品費の補助単価の改訂を行なうことにいたしております。
次に、遠距離通学費につきましては、対象人員を一万人増加いたしましてその拡充につとめました。
次に、地方公共団体の超過負担の解消の促進につきましては、公立文教施設の単価の引き上げ及び構造比率の改善に特に配慮し、また、義務教育費国庫負担金の給与費のうち、政令都府県の給料定額の是正をはかることといたしました。
また、育英奨学事業の拡充につきましては、大学院奨学生及び大学特別奨学生の増員を中心として引き続き事業を拡充し、また、大学特別奨学生で私学に進学した者について特別な配慮を加える等全体で二十五億円余を増額いたしております。
第二は、義務教育の充実と後期中学教育等の拡充整備であります。まず、僻地教育の振興につきましては、僻地の教育環境の改善等のため、引き続き各種の施設、設備の充実をはかりましたほか、給水施設の補助、眼科医の派遣、一、二級僻地学校給食の特別措置等、新しい試みを加えて総合的かつ重点的に施策を推進することといたしております。
次に、特殊教育の振興につきましては、養護学校及び特殊学級の計画的な普及と就学奨励費の内容の改善のため必要な経費を増額いたしますとともに、特殊学校担当教員の待遇の改善を行ない、また、社会生活への適応性を一そう助長するため職業教育の充実をはかり、さらに特殊教育の振興に資するため新たに特殊教育の総合的調査、特殊教育推進地区の設置及び心身障害児総合実態調査を行なうことといたしております。
次に、後期中等教育の拡充整備につきましては、引き続き定時制教育及び通信教育の振興をはかるとともに、新たに定時制通信制併置高等学校を設置し、高等学校教育の多様化に対処するための施設及び設備等に必要な経費を計上しております。
次に、理科教育設備及び産業教育の施設設備の充実につきましては、引き続き新基準による計画的な改善充実を行なうことといたしましたほか、自営者養成のための農業高等学校の整備をはかり、また、新たに高等学校の衛生看護科教育に対し施設費の補助を行なうことにいたしております。
次に、学級規模の適正化と教職員定数の充足の推進につきましては、学級編制の基準を原則として、小・中学校いずれも最高四十六人に改めるとともに、特殊学級の増設、充て指導主事の充実等のための増員をはかっております。また、給与の改善につきましては、管理職手当、特殊学級担当教員の給料調整額、旅費の増額等を行ないました。
次に、幼児教育の重要性にかんがみ、父兄の要望にこたえて、引き続き幼稚園の普及整備のために必要な助成を強化いたしますとともに、所要の教員を確保するため、公、私立大学及び短期大学の教員養成課程に対する設備の補助を行ない、また、新たに私立幼稚園に対し施設費の補助を行なうことにいたしました。
また、公立文教施設につきましては、引き続き既定計画の線に沿ってその整備を進めることとし、公立文教施設整備費二百九十五億円を計上いたしました。このほか、前年度に引き続き、教育課程の改善、道徳教育及び生徒指導の充実並びに教職員の研修及び研究活動の推進に必要な諸経費を計上いたしております。
第三は、大学の整備拡充と高等専門学校の拡充であります。国立学校特別会計予算につきましては、前年度の当初予算額と比較して三百十九億円の増額を行ない、約二千二百七十三億円を計上いたしました。その歳入予定額は、一般会計からの繰り入れ千八百八十九億円、借り入れ金二十五億円、付属病院収入二百四十七億円、授業料及び検定料五十六億円、学校財産処分収入二十八億円、その他雑収入二十六億円であります。歳出予定額の内訳は、国立学校運営費千七百五十七億円、施設整備費四百九十八億円などであります。
国立大学の拡充整備につきましては、まず、大学入学志願者の急激な増加を予想して、大学及び短期大学の入学定員の増加をはかり、三千九百八十五人の増募を行なうことにいたしました。このため大学について、二学部の創設、三文理学部の改組、三十一学科の新設及び十九学科の拡充を行ない、短期大学について、一医療技術短大の創設及び一学科を新設することにいたしました。
なお、昭和四十三年度から九州芸術工科大学を設置することとし、これが準備のため必要な経費を計上いたしました。
次に、教官当たり積算校費、学生当たり積算校費、設備費等各大学共通の基準的経費につきましても、引き続きその増額をはかっております。また、新制大学における大学院修士課程の拡充、付属病院、付属研究所の整備につきましても特段の配慮をいたしておりますが、特に付属病院につきましては、三公立医科大学付属病院の国立移管、五歯学部付属病院の創設及び病院教官の増員等の措置を講じております。
次に、専門的技術者育成のため一工業高等専門学校の創設及び既設六校に学科を新設する予定であります。このほか、船舶職員の資質の向上をはかるため、既設の五商船高等学校を転換して、商船高等専門学校を創設することにいたしました。
次に、国立学校施設の整備につきましては、財政投融資資金及びその他の収入を財源の一部に含めて予算額を四百九十八億円と大幅に増額し、一段とその整備の促進をはかることといたしておりますが、なお、施設整備の円滑な実施をはかるため、後年度分について、百八十五億円の国庫債務負担行為を行なうことができることといたしております。
第四は、私学の振興であります。私立学校の振興は、今後の文教政策の課題であり、その基本的な助成方策につきましては、なお慎重に検討中でありますが、現下の状況等にかんがみ、昭和四十二年度の予算案におきましても特に重点として取り上げたところであります。まず、私立学校振興会に対する政府出資金及び財政投融資資金からの融資につきましては、合わせて二百六十億円に拡大し、私学全般の施設の改善充実に充てることといたしました。また、私立大学理科等教育設備整備費助成及び私立大学研究設備整備費助成につきましても合わせて四十四億円を計上し、前述の私立大学特別奨学に関する特別な配慮、その他私立幼稚園に対する施設費の補助の新設等の施策を講じております。
第五は、家庭教育、社会教育の振興と青少年の健全育成であります。青少年の教育問題は、近時ますますその重要性を加えており、これに対処するためには、学校教育及び社会教育の両面にわたって深く意を用いるべきところであると存じます。まず、社会教育は、国民の教養の向上に大きな役割りを果たすものであり、その普及振興は学校教育の充実とともにきわめて重要なものであります。このため社会教育指導者の養成確保に一段と意を用い、社会教育主事等の講習会のほか、各般の指導事業の充実強化につとめ、国立社会教育研修所の整備充実を行なっております。また、特に家庭教育を重視して家庭教育学級を充実強化する等の措置を講じました。
次に、青少年に団体宿泊による研修、訓練の場をより多く与えるため、国立第六青年の家を新設いたしますとともに、公立青年の家につきましても、その機能の拡大を考慮して整備を進めることといたしております。また、青少年の団体活動を一そう促進するため、青少年団体等の育成も強化したいと考えております。このほか、青少年に対する映画、テレビの影響力にかんがみ、積極的に優良な映画、テレビ番組の制作の奨励及び普及を促進することといたしました。また、社会教育の施設につきましては、青少年施設のほか、公民館、図書館、博物館等の施設、設備の整備を一そう推進することといたしております。
次に、体育・スポーツの普及につきましては、広く青少年一般にスポーツを普及奨励し、その体力の向上をはかるため、水泳プール、体育館、運動場及び柔剣道場等の整備を促進し、また、スポーツテストの普及、スポーツ教室等の実施、スポーツ団体・行事の助成、指導者養成等について、引き続き必要な経費を計上いたしております。このほか、登山研修所の設置、オリンピック記念青少年総合センターの建物の整備、本年度開催されるユニバーシアード東京大会の実施のための経費、及び昭和四十七年度開催予定の札幌オリンピック冬季大会の準備経費等、それぞれ必要な予算を計上いたしております。
次に、学校給食の普及充実につきましては、完全給食の実施を目途として、引き続き単独校及び共同調理場の給食施設、設備の充実をはかるほか、夜間定時制高等学校の食堂の設置、栄養職員の増員等の施策を行なっております。さらに小麦粉及び脱脂粉乳につきましては、従来のとおり補助を継続することとし、所要の補助金を計上いたしております。
第六は、学術研究の推進であります。
わが国の学術の水準を高め、ひいては国民生活の向上に寄与するため学術研究の推進につきましては、引き続き努力をいたしております。昭和四十二年度予算につきましては、まず、科学研究費の拡充を行ない、特にガン特別研究費は一段と増額をはかっておりますほか、引き続き研究所の新設、整備を行ない、また、ロケット観測、南極地域観測及び巨大加速器の基礎研究及び建設に伴う準備研究等につきましても、それぞれの目的に応じて必要な経費を計上いたしました。なお在外研究員の派遣のための経費についても増額計上いたしております。
第七は芸術文化の振興であります。すぐれた芸術を広く国民に普及し、また、わが国の伝統的な文化財を保存いたしますことは、国民生活の向上の上からもきわめて必要なことであります。まず、新しい試みとして新人芸術家の開発育成につとめ、地方文化施設費の補助及び青少年のための芸術活動の推進等を行なうために必要な予算を計上するとともに、芸術団体に対する助成を行ない、さらに国立の美術館、博物館の整備を進めることといたしております。
次に、文化財保存事業につきましては、文化財の修理、防災施設の整備等を一そう充実することといたしておりますが、特に最近国土開発の急速な進展に伴ってその必要性を痛感されております史跡、埋蔵文化財の保護につきましては、特段の配慮を加え、平城宮趾の買上げ及び発掘調査につきましても必要な予算を計上することといたしました。さらに、無形文化財の保存活用等につきましては、引き続きその強化をはかることとし、わが国古来の無形文化財である歌舞伎、文楽等の保存と振興をはかるための国立劇場に対する助成につきましても、万全を期するよう配慮いたしました。
第八は、教育、学術、文化の国際交流の推進であります。まず、外国人留学生教育につきましては、その受け入れ体制の強化をはかっております。また国際学術文化の交流を促進するため、新たに日米間の文化教育に関する人物交流の促進をはかるとともに、引き続き教授、研究者の交流を推進することといたしました。なお、最近、特にアジア、アフリカ諸国に対する教育協力の要請が高まってまいりましたおりから、教育指導者の招致、理科設備の供与及び指導者の派遣等を行なうために必要な経費を計上いたしております。
さらに、ユネスコ国際協力につきましては、国内ユネスコ活動普及促進事業の実施、国際大学院コースの継続等、一段とその事業の推進をはかることといたしました。
以上のほか、沖縄の教育に対する協力援助費につきましては、これを大幅に増額し、別途、総理府所管として計上いたしております。
以上、文部省所管予算案につきましてその概要を御説明申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/6
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007・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 次に会計課長の補足説明を求めます。井内政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/7
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008・井内慶次郎
○政府委員(井内慶次郎君) お手元にお配りいたしております昭和四十二年度予算要求額事項別表に基づきまして、大臣の説明を事務的に補足説明申し上げます。
第二ページをお願いいたします。重要事項の第一といたしまして、教育費の負担軽減と育英奨学事業の拡充でございますが、その第一として、教育費の負担軽減につきましては、大臣から御説明いたしましたように、特に重点的に予算を計上いたしました。すなわち、教材整備につきましては、義務教育費国庫負担金の教材費につきまして、新たに国庫負担の対象となる教材基準の設定を行ない、その七〇%を昭和四十二年度より十カ年計画で整備充実することといたしまして、前年度より十五億九千万円増の四十三億九千万円を計上いたしました。養護学校教育費国庫負担金の教材費につきましても、同様の措置を講じまして、前年度のほほ倍額を計上いたしております。
次に、教科書無償につきましては、約十六億七千万円増の百八億円を計上いたしております。この内容は、昭和四十二年度の小学校一年から中学校一年までの児童生徒の後期用及び転学用の教科書と昭和四十三年度の小学校一年から中学校二年までの児童生徒の前期用教科書の購入費などであります。
次に、就学援助の強化であります。まず、要保護、準要保護児童生徒の就学援助につきましては、その対象はそれぞれ全児童生徒の三%及び七%で従来と変わりませんが、児童生徒数の減少等により若干金額の下回っているものもございます。しかし、その内容におきましては、学用品費の単価増一〇%、通学用品費の新設などの改善を行なっております。また、夜間の定時制高校の就学援助につきましては、引き続き給食施設の整備と夜食費の単価の引き上げを行なっております。また、遠距離通学費補助につきましては、対象人員を一万人増加いたしまして、その拡充をはかっております。
五ページにまいりまして、地方公共団体の超過負担の解消の促進でございます。この点につきましても、大臣から御説明いたしましたように、特に意を用いたところでございますが、まず、公立文教施設整備費につきましては、建築単価について、小中の校舎で申しますと、鉄筋六・三%、鉄骨七・四%、木造九・七%の引き上げを行ない、また、鉄筋、鉄骨の構造比率におきましても平均約五%の改善を行なっておりますほか、新産都市、産炭地等に対する負担率のかさ上げを引き続き行ない、地方公共団体の超過負担の解消に資することといたしております。また、僻地の教員宿舎、高校産業教育施設につきましても同様に建築単価の引き上げを行なっております。政令県の給料定額につきましては、義務教育費国庫負担金の給与費において、政令四県について定めております国庫負担の最高制限給料定額を改訂して、今後三カ年間で国立学校教員の標準的な給与までこれを引き上げることといたしまして、その所要額を計上いたしております。
次は、育英奨学事業の拡充でございます。日本育英会への貸し付け金は約二十四億円増の約百二十一億円でありますが、このほか返還金からの充当が約三十二億円ほど見込まれますので、事業量総額は約百五十三億円となる予定であります。また、その内容については、一般貸与につきましては、大学院の奨学生の増員及び貸与月額の改訂、特別貸与につきましては大学学部の奨学生の増員に重点をおいております。なお、後者につきましては、後ほど私学振興の項で御説明する予定でありますが、私立大学学生に対して特別な扱いが認められたのが目立っております。
七ページにまいります。義務教育の充実と後期中等教育等の拡充整備でございます。まず、教育内容の改善充実につきましては、道徳教育、生徒指導、教育課程などについて、前年度に引き続き研究推進校の設置、指導資料の作成配布、講習会の開催などを行なうことといたしております。また、教育研究団体の助成につきましても所要の増額を行なっております。
次に、八ページの僻地教育、特殊教育の振興のことでございますが、僻地教育につきましては、約三十六億円を計上いたしました。その内容としては、教員宿舎の一部につきまして、一戸当たりの面積をふやして内容の改善をはかりましたこと、スクールバス、ボート、ジープの台数を増加したこと、新たに給水施設整備費、眼科医派遣費に対する補助を加えましたこと、寄宿舎居住費のうち食費、日用品費の単価の引き上げを行なったことなど、全般的にきめこまかく改善を行なうことといたしております。
十二ページの特殊教育の振興につきましては、総額で約十七億円を計上いたしております。まず、特殊学級担当教員の待遇につきましては、俸給調整額を現行の四%から八%に引き上げてこれを改善いたしました。また、養護学校十六校、特殊学級千二百学級の増設をはかりましたほか、新たに特殊教育推進地区の設置、特殊教育の総合的研究調査、盲学校弱視用教材複製設備の補助、心身障害児総合実態調査を行なうことといたしました。さらに、就学奨励費につきましても、その内容の充実をはかるとともに、新たに小中学部の通学用品費、高等部の学用品購入費をその対象に加えております。
次に、十六ページになりますが、同和教育の振興につきましては、前年度から開始いたしました高等学校等進学奨励費補助の補助対象人員を大幅に増員したほか、社会教育関係におきましても事業の拡充をはかっております。
次に後期中等教育の拡充整備でございます。まず、定時制教育及び通信教育の振興につきましては、中央教育審議会の答申に沿って、勤労青少年の生活実態に即した教育をねらいとして、定時制通信制併置高校三校を設置することといたしましたほか、定時制及び通信教育手当を受ける実習助手の範囲を拡大し、新たに夜間定時制高校の食堂施設の補助を行ない、給食費の単価を引き上げるなど、計十二億円を計上いたしております。
また、すぐあとで御説明いたしますように、高等学校産業教育施設設備費補助金によりまして、高等学校教育の多様化に対処することといたしております。
二十ページの理科教育及び産業教育の充実のことでございますが、まず、理科教育の設備費につきましては、前年度設定いたしました基準により整備することといたしまして、前年度より一〇%増の約十二億七千万円を計上いたしております。
産業教育の充実につきましては、まず、一般設備費及び一般施設費につきましては、前年度設定いたしました新基準に基づく年次計画による整備といたしまして四十二億九千万円を計上いたしております。
このほか、昭和二十七年度から二十九年度までに購入した設備の更新費一億円、高等学校衛生看護科施設費二千万円を新規に計上いたしました。また、実習船につきましては、大型七隻、中型一隻、農業自営者の養成につきましては、二年計画により整備するA類型五校、単年度で整備を行なうB類型三校をそれぞれ補助対象といたしております。以上、産業教育関係施設設備費の総額は五億円増の五十二億六千万円となっております。
二十三ページにまいりまして、教職員の勤務条件の改善等のことでございます。本年度ば、義務教育諸学校においては約四十一万人の児童生徒数の減少が見込まれておりますので、学級編制の基準を標準法実施の計画に従い、四十七人から四十六人に引き下げることによる増員を見込みましても、なお三千百八十三人の減が見込まれるのでありますが、反面、養護教員、事務職員の増千三百八十九人、特殊学級増設による担当教員の増千五百五十八人、充て指導主事の増二百人を行ないますので、全体で教職員定数の減員は三十六人となるわけであります。また、教職員給与の改善といたしましては、旅費単価、校長、教頭の管理職手当、特殊学級担当教員の給料調整額の引き上げを行なうとともに、新たに特殊教育学校の部の主事について管理職手当一〇%を支給することといたしております。以上の措置を行ないました結果、義務教育費国庫負担金の給与費は、総額では前年度より三百三十三億円増の二千八百九十一億七千五百万円となっております。
次は、幼稚園教育の推進であります。二十五ページでございます。公立の幼稚園につきまして、引き続き計画的に新増設をはかるため百五十園の新設と百学級の学級増に必要な施設設備費の補助を行なうことといたしておりますほか、新たに私立幼稚園につきましても施設設備費補助として、一億円を新規計上いたしております。
次は、公立文教施設の整備でございます。昭和四十二年度は第二次五カ年計画の第四年目として、既定計画に従って整備が進められるわけでございまして、四十五億円増の二百九十五億円を計上いたしております。このうち建築単価及び構造比率については、さきに御説明いたしましたような改善を行なっておりますが、事業量につきましても、小学校屋体及び中学校屋体については二〇%増、統合学校校舎については一〇%増するなど、平均約八%増の措置を講じております。なお、定時制高校建物のうちには、さきに触れました定時制通信制併置高校三校分が含まれております。
次に、二十九ページにまいりまして、大学の拡充整備と高等専門学校の拡充でございます。まず、国立大学の拡充整備のうち、学生入学定員につきましては、前年度に引き続き入学志願者の増加を背景としてかなり大幅な定員増を行ないまして、大学で三千六百五十五人、短大で三百三十人、計三千九百八十五人の増となっております。その具体的な内容といたしましては、北海道大学及び九州大学の歯学部の創設、東京工業大学理工学部及び横浜国立大学経済学部の分離による学部増、山形、茨城、富山の各大学の文理学部の改組、三十一学科の新設、十九学科の改組、大阪大学医療技術短期大学部の創設、夜間短大の一学科の新設等があります。このうち学科の新増設等に伴う三千七百四十五人につきましては、四月一日より増募し得るように暫定予算で措置願ったところであります。
次は、教官、学生当たり積算校費等基準経費の増額でありますが、学生当たり積算校費のうち大学院博士課程について二五%増、修士課程について一五%増、学部学生について一〇%増、また、教官当たり積算校費につきましては一〇%の増額を行なっております。
次は、付属病院の関係でございます。公立大学の国立移管に伴ないまして、岐阜、神戸、山口の各大学に医学部付属病院を新設するほか、北海道大学等五大学の歯学部付属病院の新設、十四診療科の新設などを行なうことといたしております。また、付属病院管理の円滑化及び研究生の指導体制の確立に資するための病院教官百人の増及び研究生等が実際に診療に従事する場合の診療協力謝金一億円が新たに計上されております。
次に、高等専門学校につきましては、工業高等専門学校一校を千葉県木更津市に新設するほか、既設校に六学科を増設することといたしておりますが、さらに高等専門学校制度を拡充して商船教育にまで及ぼすこととし、現在の国立商船高等学校富山、鳥羽、広島、弓削、大島の五校を転換し、その内容を充実して外航船舶職員の資質向上を期するため、新たに商船高等専門学校五校を設置することといたしております。
次に、国立学校施設の整備でございますが、前年度より七十八億円増の四百九十八億円を計上して、さきに御説明いたしました学生増募その他に対処することといたしております。このうち不動産購入費は前年度の二十七億円に対しまして約倍額の五十一億円となっております。このほか国庫債務負担行為限度額として、四十三年度分約百八十五億円が認められております。
次は、三十二ページの公立大学の助成のところでございますが、理科設備の助成を千六百万円、公立大学の研究設備の助成を四百五十万円増額しております。その次の能力開発研究所に対しましては、電子計算機レンタル料の補助を行なうことといたしております。
大事項の第四は、私学の振興でございます。まず、私立学校振興会に対する政府出資金は三億円増の十五億円でありますが、このほか財政投融資資金からの融資が六十五億円増の二百四十五億円、自己調達資金が五十億円見込まれており、貸し付け資金総額は三百十億円となっており、これによりまして学生の増募に伴う施設の拡充及び既設大学等の施設整備などに遺憾なきを期しております。
次に、教育研究設備補助等につきましては、私立大学研究設備及び私立大学理科等教育設備を合わせまして約七億円を増額し、昭和四十二年度から図書購入費の補助を新たに行なうことといたしております。
次に、日本育英会特別貸与私学奨学生でございますが、日本育英会の特別奨学生のうち私立大学に進学する者につきまして、昭和四十二年度入学者から貸与月額を五〇%引き上げ、自宅七千五百円、自宅外一万二千円とし、また、採用予定数を千二百人増の四千六百人といたしております。
第五は、家庭教育、社会教育の振興と青少年の健全育成でございます。まず、社会教育指導の充実をはかり、社会教育全般の振興に資するため、各種の社会教育活動に対する指導強化として、文部省及び都道府県教育委員会から指導者を派遣し、資料を作成配布する等に必要な経費千六百万円を新規計上いたしました。その他引き続き社会教育主事講習等、社会教育指導者の養成を行なうことといたしております。
次の家庭教育、婦人教育につきましては、家庭教育学級一学級当たりの補助額を従来の一万円から二万円に増額し、学級の充実改善に資することとしたのが、そのおもなるものでございます。
次は、青少年教育の推進充実であります。まず、青年の家につきましては、国立第六青年の家を兵庫県淡路島に新設するとともに、引き続き既設の国立青年の家の整備充実につとめ、公立青年の家に対する助成を行なうこととしております。また、引き続き青年学級、勤労青年学校等について補助いたすこととしております。なお、最後の社会教育関係団体補助につきましては二千九百万円の増といたしましたが、このうちにはボーイスカウト第十二回世界ジャンボリーに対する補助三千万円が含まれております。
次は、三十七ページの社会教育施設設備でありますが、公民館につきましては十一館増のほか、設備としてビデオコーダーを新規に計上いたしました。また、図書館については三館増とブックモービル三台増といたしております。さきに御説明いたしました青年の家関係を合わせまして約三億六千万円増の十五億円を計上いたしております。
次の映画テレビの健全活用では、テレビ番組の改善向上のため新たに教育テレビ放送の実施委託を行なうこととして五千三百万円を計上いたしております。
次は、三十八ページの体育、スポーツの普及であります。まず、青少年体育、スポーツ施設等の整備につきましては、水泳プールを五百四十二カ所から六百カ所に、国民体育館を二十三カ所から二十五カ所にそれぞれ拡充し、新たに国民柔剣道場十カ所を設置するなど、体育施設整備費補助として十一億六千万円を計上いたしております。また、国立競技場、オリンピック記念青少年総合センターにつきましても、ユニバーシアード東京大会等とも関連して施設整備を進めることとし、さらに、昭和四十二年六月から富山県立山に登山研修所を開設するための予算を計上いたしております。
次の体力増強施策の進進のうちでは、壮年層体力調査費約二百万円が新規予算であります。次の青少年スポーツ組織の育成と指導者の養成につきましては、国民体育大会補助として一千万円増の四千五百万円を計上する等、増額につとめておりますが、その内容はおおむね前年度どおりであります。また、スポーツの国際交流につきましては、冬季オリンピック大会選手団派遣等、スポーツの国際的な大会に要する経費約四千七百万円を計上いたしました。
次の四十三ページの青少年の安全、保健につきましては、児童生徒の交通安全のために研究協議会を開催する等、学校安全の普及充実を推進するほか、さきに御説明いたしましたように、僻地学校における保健対策について重点的に措置いたしております。
次に、四十四ページの学校給食の普及充実でございますが、八十二億七千万円を計上いたしております。すなわち、まず準要保護児童生徒給食費の補助については、単価の引き上げのほか、従来、貧困市町村の設置する三級以上の僻地の学校について認められていた特別措置を、一級及び二級の僻地学校にまで拡大しております。次に、給食の施設設備については、単価の引き上げ、共同調理場の個所数の増、夜間定時制高校の食堂十校分の新規計上などの措置を講じております。また、次の高度僻地学校児童生徒パン、ミルク給食費及び夜間定時制高校夜食費につきましては、それぞれ単価の引き上げが認められております。また、学校栄養職員につきましては、共同調理場、単独校合わせて三百八十八人を増員いたしました。さらに、学校給食用物資につきましては、前年度に引き続き脱脂粉乳に対する百グラム当たり四円六十銭の補助、小麦粉に対する百グラム当たり一円の補助を継続することにいたしております。なお、義務教育諸学校の生乳の使用につきましては、これを百二十六万石に増加することとして必要な経費を農林省予算に計上いたしております。
次のユニバーシアード東京大会及び札幌オリンピック冬季大会につきましては、大臣から御説明申し上げたとおりでございます。
第六に、五〇ページの学術研究の推進でございます。まず、学術行政体制の整備をはかることとして、現在ございます学術奨励審議会を学術審議会に改組するほか、財団法人日本学術振興会を特殊法人として学術研究の進展に対応することといたしました。
次に、科学研究費につきましては、約四億円増の四十一億八千万円を計上いたしましたが、特にがん特別研究費、研究成果刊行費は二〇%増となっております。
次に、重要基礎研究の推進であります。まず、研究所につきましては、新たに新潟大学脳研究所、金沢大学がん研究所、京都大学霊長類研究所の三研究所を新設するほか、既設の研究所の整備充実をはかっております。その他第九次南極地域観測に要する経費約七億八千万円、科学衛星及びロケットによる宇宙空間の観測に要する経費約三十四億円、巨大加速器の基礎研究及び建設準備研究に要する経費五億円を計上して、これらの重要な研究を推進することといたしております。
第七に、五二ページの芸術文化の振興でございます。今回は文部省に文化局が設置されてから実質的に最初の予算編成となったわけでございますが、注目すべきものとしては次のとおりでございます。まず、芸術団体の助成につきましては前年度より二千二百万円が増額されております。次に、新人の開発育成として、新たに新人賞を設定し、また、芸術家の長期在外研修を行なう等、新人芸術家の開発育成につとめることといたしました。次に、地方芸術文化の振興、青少年への芸術普及として地方文化施設整備費補助六千万円、また、青少年のためにオペラ、新劇などの地方公演に要する経費二千万円をそれぞれ新規計上しております。
次に、昨年十一月開場いたしました国立劇場に対しましては、一般管理費等、その運営に要する補助金三億九千万円を計上いたしております。次に、国立博物館、美術館につきましても、施設設備、陳列品購入の増などを行ない、その充実につとめることといたしておりますが、特に東京国立近代美術館において、在米接収戦時映画のプリントを三カ年計画で行なうこと、京都国立近代美術館が東京の分館から独立することが目立っております。
次は、文化財の保護の推進であります。まず、国宝等の保存修理、防災施設の充実につきましては、引き続きこれらに必要な経費の増額をはかり、三億円増の約十四億七千万円となっておりますが、このうち特に史跡の買い上げに重点を置き、一億五千万円増の約三億円を計上いたしております。また、平城宮跡については、昭和四十一度までに相当部分の買い上げを終えておりますが、残余の必要地域を二年計画で購入する経費、発掘調査費等が計上されました。次の無形文化財の保存活用のうちでは、重要無形文化財保存特別助成金五百万円が増額されました。
第八は、教育、学術、文化の国際交流の推進でございます。まず、留学生教育の拡充につきましては、前年度と大きく変わるところはございませんが、日本国際教育協会に対する補助のうちには、関西留学生会館の増築に対する補助が含まれております。
次の国際学術文化交流の促進については、外国人のための日本語教育の事業として、日本語教育の実態調査及び視聴覚教材の作成が新たに認められたほか、諸外国との人物交流の一環として、日米間の文化教育に関する人物交流の促進千五百万円が計上されましたのが目立っております。
次の海外勤務者子女教育につきましては、新たに在外日本人の子女教育施設の教官用の図書費、帰国子女教育協力研究指定校等が新規に認められました。なお、ユネスコ国際協力につきましては、引き続きユネスコ教育科学発展計画への協力のための諸事業等を行なうほか、新たに国内ユネスコ活動普及促進事業委嘱費三百万円が計上されております。
最後に、その他といたしましては、中央教育審議会の充実のための同審議会の専門委員の増員、長期的展望に立った教育計画を検討するための長期教育研究会の設置に要する経費などを計上いたしました。
以上で補足説明を終わらしていただきます。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/8
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009・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 以上で文部大臣及び政府委員の説明は終了いたしました。
本件に関し質疑のある方は順次御発言願います。
なお、政府側より剱木文部大臣、斎藤初等中等教育局長、村山文化財保護委員会事務局長、井内文部大臣官房会計課長が出席いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/9
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010・小林武
○小林武君 私の質問はきょうは一つだけでございますけれども、その前に、質問に関係しないことで、委員長並びに文部大臣に特に申し入れておきたいのでありますが、もうだいぶ前でありますが、中村文部大臣のときに、ドランとデュフィの作品を西洋美術館に入れた。それについて要点を申し上げれば、そればにせものである疑いがあるという、そういうことが一点であります。価格の点について法外に高価であるという質問をやりまして、これにつきましては、文部省側並びに西洋美術館側に対して、後刻、本委員会において報告をするということを約束したわけであります。なおその際、当時の文教委員長に対しましても、そのお取り計らいをお願いをして御承諾をいただいた。ところが、その間に大臣が二人かわったけれども、一向そのことについて御報告がない。やめたらどうかというふうな私的なお話もございましたけれども、私はやめる意思がないので、これは国民全体に、やはり将来のこういう文化関係に対することの考慮をいたしますというと、いわゆる自信がありますならば明らかにすべき問題であるという態度でおったのであります。しかし、いろいろな事情で私も催促をあまり何度もしなかった。これについてひとつ早急に本委員会において御報告をしていただきたいということを、まずこれは文部大臣、それから委員長に対しましてはそれのお取り計らいをいただきたい。これをお願いしたいわけであります。この問題については、もう文部省の関係の方々は御存じだと思う。私が指摘したような事実が日本でなくて、フランス並びにアメリカにおいてその問題が非常な刑事問題になっている。司直の手に渡るというような重大な問題に発展していることに関連があると考えられる。私はその資料を十分持っているわけであります。私の資料が誤りであるか、あるいは文部省が自信を持って、私の質問のあれは間違いがないから、安心せよというような御報告をいただけるか、やはりこれは明らかにしなければいかぬ。そのお取り計らいをしていただきたいと思う。これは早急と申しましても、特別に開いてということはございません。委員会が開かれたときにやっていただけばけっこうでありますから、まああしたやれとか、あさってやれという意味ではございませんから、そのお約束はしていただきたい。
もう一つ前に戻りまして、ただいまも文部大臣並びに担当の課長さんから御説明があった中の平城宮の問題については、これは文部省はすでに御存じのとおりだと思いますが、東一坊大路のところの道路が、調査によって多少食い違って、実際はもっと別にそれが折れ曲がっておるというようなことが明らかになっている。したがって、従来の文献上における場合の史跡というものが変化をきたしておることが明らかになっておるように思う。それらについて文部省としては、文部大臣からもお話しのように、非常にそういう史跡その他について大事にしなければいかぬというお考えのようであるが、何か対策があるのか。
それから藤原宮の問題については、バイパスの問題があるわけですね。これについても手を打ってないことはございませんけれども、これもすでにトレンチを入れて調査してみれば、バイパスはその内裏と推定されるところの約この四分の一くらいのあれを通っているわけですが、それはどういうことになっているのかということであります。しかし、これはいまここで答弁を特に必要といたしません。なおあとでひとつ文化財保護委員会等でどうやったかということについて、後刻私のほうでお伺いして、わかればけっこうなことでありますから、その点はまあいま特にここで質問やると、早く終わっていただきたいという意見もございますので、それは二つはもうあとでけっこうです。ただ、文化財保護委員会に行きましたら、あれはこうなっておるという事情だけは、そのときはっきり説明していただきたい。それからひとつ質問をしたり、あるいは文部大臣にお願いをした場合には、またそれはそのときのことにする。こういうことにしたい。
それで私の質問のことでございますが、これは文部大臣にお尋ねしたいんですが、話は一つです。日教組の代表と話し合いをするかしないか。私は中村文部大臣のときに、このことについて予算委員会でも質疑をいたしましたし、その際の文部大臣の、いま速記録をここに持ってきておりませんけれども、御意見は必ずしも会わないというんじゃない。文部大臣のおっしゃることには、大体こういうことだったんですね。いままでとにかく会ってみた、会ってみたけれども、あまりこまかいことをいろいろ言われるというと、わしが出なくてもいいように考える、だから、それはその事務的なあれでやってもらったらどうか。それで、まず今度会うときには、まあ委員長、書記長ぐらいのところで、ひとつ大きな話を少しやるということを一度やったらどうか、こういう話だったのです。それで私は、これから会うときは委員長と書記長としか会わないのだということになるとぐあいが悪いが、そういうことかと言ったら、それはいろいろ経緯はございますけれども、最終的には、そういうことじゃありません。しかし、いままで何々部長とか何とかたくさん来ていろいろやってみた、やってみたけれども、今度はそろそろ委員長、書記長だけと話したいという気持ちを自分は持っている、それをやったらどうかというようなことで、私はそのとき、そういうことを中にはさむこともけっこうだけれども、日教組全体として、委員長ばかりでなく、そのほかの関係の者も来て話し合いをするということについてはお認めになったらいいでないかといったら、それに対しては、あえて別に反対するという考え方はないということを私に答弁された。それは私との関係です。
それからもう一つ、日教組の代表の話し合いについては、昭和四十年の十一月六日に、中村文相から、倫理綱領の再検討、教師の政治的中立の確保、実力行使の廃止の三項目は、文部省としての強い要望であり、話し合いの前提条件ではないということが確認をされている、こういうのです。だから、何かこういう三項目を認めない限りにおいては日教組と会いませんという、そういうことではないということを、ここでひとつ中村さんが日教組側と了解をしておる。それから憲法第九十九条の精神にのっとり、憲法の諸原則及び教育基本法を共通の土俵として文部大臣のイニシアチブによる合意の上、年数回、話し合うことを文書にして双方合意しておる。この場合の年数回というのは何回のことなんだ、具体的に何回かというと、五、六回の意味であるということを、日教組側の質問によって文部大臣の御意向というものを明らかにした。こうなっている。そこで、私は実は前大臣、有田さんの場合にこのことについて話し合ったことがありますが、どうも有田さんもあいまいなんです。あまり早くやめられちゃって、十分話し合う機会がなかったわけでありますが、今度、剱木文部大臣になられましたら、この中村さんの約束というのはほごになったのかどうかということです。それから踏襲されて、やっぱりいまのような文部省と日教組の約束というものは守られているのかどうか、このことをひとつお尋ねいたしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/10
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011・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 先ほどの小林君から委員長に対する要望の点につきましては、いろいろいままでの経緯もあるかと思いますから、委員長及び理事打合会でも検討し、なお関係当局にも連絡しまして、しかるべき時期に善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/11
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012・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 私は、日教組でありましても、どんな教育者でも、意見は十分聞いていきたいという気は十分持っているわけです。しかし、日教組との関係につきまして、中村文部大臣の当時からのいきさつ、有田文部大臣当時のいきさつを十分承知いたしておるのでございますが、また、中村文部大臣が三つの条件を出しまして、これは会見をいたすための前提条件ではないけれども、しかし、相当重要な条件である、だから、これに対しましてある程度の誠意ある日教組側のほうの考え方を要望しておられたことは事実だと思います。
それから憲法、教育基本法の共通の広場において話し合いをしようじゃないかという問題も承知いたしておるのでございます。また、有田文部大臣のときに、この三つの条件が会うための前提条件ではないけれども、しかし、日教組の事実の行為におきまして、それに対して考慮する意思がないというような状況にあるときにおいて、自分はそれに会っても教育的効果をあげることができないから会わないという態度でおられたということも聞いております。
私が、たとえば教育基本法の共通の線においてと、こう申しましても、やはり日本の教育者として、日教組がわが国の憲法並びに議会民主政治あるいは法治主義、これらの原則の上に立って処置される限りにおきましては、中村文部大臣の出した重要な前提条件というのは当然なことだと私も考えております。したがいまして、やはり日本の教育者としての立場において、当然にこれらのことは日教組も考えていただくべき問題だと思いますし、この態度について、明確な態度を日教組が示されない限りにおきましては、私もまた前大臣と同じように、現段階においてお会いをいたしましても、教育的効果をあらわすわけにはいかない。ただ、事務的な問題につきましては、いつでも、ひとつ事務当局に行ってお話をしていただけばいいのでありまして、私の考え方としましては、日教組の基本的な態度をひとつはっきりしていただきたい。それを明確にわれわれが出しましたのは当然のことでありまして、それをひとつこの際、日教組として考慮してお聞きをいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/12
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013・小林武
○小林武君 当然のことというのは、何か勘違いなさっておるのじゃないかと思う。話し合いの前提条件ではないと言っておるそのときの言い方について少し補足して説明しますと、これは、私は日教組側から聞いたわけですから、ぼくはつけ加えておかなければならないと思いますが、倫理綱領の再検討、教師の政治的中立の確保、実力行使の廃止というような問題について、これについて文部大臣の言いなりにならなければなんといった場合に、そんなことで話し合いはいつまでたってもつくわけがないでしょう。そうでしょう。だから、そういうことではなしに、一体こういう問題についての相互の理解の違い、誤解もあるだろう、そういうことで、このことについては早晩話し合いをしていけば、だんだん明らかにされることだから、こういうことをまず前に出してきて話し合いをやらないということは、日本の教育のためにうまくないのではないかという、そういうことでこれは前提条件にならないということになったのだと私は承知しております。それで、やるといったら、どういうことかといったら、憲法や教育基本法というのは、もうこれは教育の上において一番大事な問題であるということだけは文部大臣はよく御存じだ。その憲法や教育基本法を土俵にして、そのワク内で話し合いをしていこうということをきめたのであるから、その点は誤解のないようにしていただきたいと思います。
そこで、これはそうすると、文部大臣は文書交換をやったものについても、それは大臣の代がかわれば知ったことではない、こういう意味ですか、簡単に言えば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/13
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014・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 私も憲法や教育基本法の共通の場という問題において共通であるという判断がつけばいつでもお会いしてもいいと思うのです。ただ、私ども先ほども申しましたように、憲法の範囲と申しますのは、われわれはやっぱり議会民主主義、それから法治主義で、法律に従うということが前提条件である。ですから、たとえいま三条件の中で一つきり申し上げましても、この法律で実力行使は禁止されておるわけです。それを話し合いの前提、話し合いをしても並行線であり、これを文部省が押しつける、こういうふうなお考えでは、これは話にならぬのでございまして、やはり憲法のもとにおいて、当然にそれをもとに、その範囲内においてやるという前提に立たなければ、それを無視した行為、これは憲法の共通の場で話をするというわけにはいかないと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/14
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015・小林武
○小林武君 説明のしかたが悪いのか、あなたの理解が悪いのか知らぬけれども、憲法と教育基本法を土台にしてやれば、どっちが間違っているということが明らかになりませんか、そういう問題の話し合いをしている。なりませんか。あなたの立場でいえば、日教組のやることは憲法違反であり、教育基本法違反だということになるでしょう。それから日教組の側からいえば、いや文部省の考え方のほうが憲法違反で教育基本法違反だということを言う。しかし、それも相互の間でその土俵の中で話し合いをすれば、相互理解に達する、そしてこれからも話し合いするということもできるかもしれないし、あるいは全く理解し合えないで終わるかもわからぬけれども、私はそういう先の先は、もう、てんで話をしてもだめなんですからというようなものの言い方で会わないということは、文部大臣あるいは政府としてはとるべきことではない、教員組合も何と言っているかというと、憲法や教育基本法を一つの土俵としてやりましょう、ということは、これにひとつ合うようにやりましょうということでしょう、あなたの言う法治主義、その上に立ってやろうというのです。だからあなたは、お前らが何のかんの言うけれども、それは間違いだということを主張なさったらいい、会わなければ、その食い違いは直らぬじゃないですか。だからこそ話し合いが必要じゃないですか。国と国とのあれだって同じことです。佐藤さんが、ベトナム問題が出ると、すぐ話し合いをやれと、こう言う。まず話し合いのテーブルに着くことが前提問題ですと、こう言う。あなたはテーブルにつかせない。そういうことになりませんか。その論争はやめましょう、その結論は別の角度から聞きますから。そこで、あなたに聞かなければならぬ。あなたは会うのか会わないのか、それからそういう文書の交換は認めるのか、認めないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/15
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016・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 私は要するに、いかなる団体といえども、また教育者なんかの意見も十分聞くという気持ちを持っておる。ただ、日教組と会うのか会わないのかといえば、日教組が私どもの共通の基盤に立つような考えにならなければ、あなたはいま話し合いによってその食い違いは直せる、こうおっしゃいますけれども、はっきり法律に書いていることを違反するという立場におって、それを直そうとしないところは共通の基礎にはなり得ないと思う。これは何も法律に違反した行為を違反しないようにしろということを文部省が押しつけるということでなくて、これははっきり法律に書いてあるものであります。法律に従ってきたらどうか、こういう法律に違反することを、話し合いでそれを是認するかどうかということ、話すという余地はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/16
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017・小林武
○小林武君 そこで、あなたのお考えはわかったが、その文書を交換した、文書の双方が合意に達した件については認めないのか認めるのか、それから会うのか会わないのか、これだけでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/17
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018・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 交換した事実は認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/18
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019・小林武
○小林武君 いやそうじゃなくて、文書交換した内容を認めるのか、認めないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/19
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020・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 文書交換で、そういうことが載っておったということは認めます。ただ、認めるけれども、共通の場であるかどうかということは私が判断いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/20
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021・小林武
○小林武君 何だか少しおかしいと思うな。あなたは文書交換の事実は認めたとすれば、文書交換によって両者が合意に達したことは、道義的に言っても、これはやはり実行するというようなことがたてまえであります。これをやらなかったら、一切の労働運動であろうが、それから政党同士の話合いであろうが、何であろうが、文書交換をしたものを認めないと言ったらどういうことになるのですか。それこそ議会政治の本旨にもとるではありませんか。そうすると、文書交換したことの事実は認めるけれども、それを実行する意思はない、こういう御答弁ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/21
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022・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 憲法や教育基本法の場において、それの前提の中においてやれば、共通の場になると思うのですが、それを否定した形において、共通の場というものはあり得ないのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/22
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023・小林武
○小林武君 だからそのことを書いておるのじゃないですか。二項目に、「憲法第九十九条の精神にのっとり、憲法の諸原則および教育基本法を共通の土俵として、文部大臣のイニシヤチブにより合意のうえ年数回話し合う」。だから、もしかりに日教組がこの土俵の中ではずれたことを言ったら、あなたのほうではこれはおかしいと言えばいいでしょう。あなたのほうがおかしかったら、日教組が、それはちょっと文部大臣おかしいじゃありませんか、こうなる。しかし、そういう取りきめをしておっても、あなたは日教組というものを信頼しないで、とにかく何を言うかわからぬということで、あなたが会わないということは、これはちょっとおかしいと思うんですよ。ただ、あなたはこの文書交換した当事者じゃありませんからね。これは私は責めるつもりはない。前大臣のあれを踏襲する。佐藤内閣ですから、佐藤内閣の政治のもとで、政府のもとでやっている限りでは、何ぼ大臣がかわっても、踏襲しなくてもいいものかどうかということがひとつあります。ひとつありますけれども、あなたは踏襲する意思がないならないと言ってください。そうすれば、ぼくは別の質問をやる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/23
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024・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 共通の土俵での話というものは、憲法やら教育基本法という土俵の中でやることじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/24
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025・小林武
○小林武君 そうですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/25
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026・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) ですから、私ははっきり、日教組が教育基本法の土俵の中においてやられることであれば、いつでも会いますけれども、現に土俵の外に出ているじゃございませんか。土俵の外に出ておるものを、土俵の中で相撲をとるということは考えられないことでしょう。まず日教組が、われわれの言うように、教育基本法の土俵の中に入ってきていただいたら、私はいつでもお会いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/26
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027・小林武
○小林武君 そうすると、逆に第一項に戻っていって、そういうことの議論をしていては、いつまでたっても両者が接近することができません。これはそうですよ。国際間の問題であろうが、これが一企業と企業の話合いであろうが、みんな同じですよ。政党の派閥の問題でも同じですし、それはその土俵の違いばかり言っておってもしょうがないので、その点については中村さんの場合においては、三項目は文部省の強い要望であると言っている。その解決をしてもらいたいという要望はしているけれども、それを言ったってしようがないから、とにかく要望はしておるけれども、話合いの前提条件にはしないでいこう。ただし、お互いにどこを土俵だと言ったら、憲法や教育基本法だぞ、これをはずれたようなことを主張したり、言ったりするのではだめですよということを双方で言い合っている。そうであったらこれは筋はきわめてすっきりしていると思う。会うべきだ。それで、中村さんはお会いになった。お会いになったら、その土俵は違っておったとは、こうはおっしゃらない。これは質問に対する答弁ですから、土俵は違っておったとはおっしゃらない。やっておったけれども、どうも大臣に話し合いをするにはどうもちょっとこまごまし過ぎて、ああいう話ばかりしていたのでは、わしが出なくてもいいようなものだ。だから宮之原、槇枝というようなものであればいい、そういうふうにひとつやってもらいたい、こう言った。ところが日教組側は、それをやったら、大臣というものは宮之原や槇枝というものじゃないと会わないというのじゃ困るということを心配している。だから、そういうことかといって、ぼくがいろいろお伺いをしてみたら、いや、そういうことではないけれども、とにかくいまのところたくさんの人と会ってみたが、宮之原と槇枝というあれと一ぺんこの次はやりたいと思っているのだと、こう言われる。それならばぼくは日教組側にも会いなさいとぼくは言ってやるし、そうなったらひとつ会って、その次にはたくさんにも会うということもあるということで、文書交換やられたらどうかと言ったら、それには御異議なかった。御異議なかったが、大臣どうもやめられてしまったからこれはしようがない。そこで、あなたが先ほど来言っていることからいうと、会わないという理屈はちょっといまの答弁から出てこないですよ。それからあなたの考えている土俵が同じであるならば、会うということならば、土俵を同じにしてやろうということなんですから、日教組側の考え方としては九十九条の精神にのっとって、とにかく土俵は同じだ、憲法と教育基本法だ、こういっている。しかし、そんなこといっても、あいつらやっていることはということになれば、日教組側にもあるんですよ、あなたのほうでも裁判やって負けたことがあるでしょう。そう言えば、下級裁判だからまだまだおれのほうはやれるぞとおっしゃるかもしれないが、同じことじゃないですか。あなたのほうにもある。だから、そういう理屈を言わないで、ぼくはなるたけ穏やかに会えないものか、われわれもそういう演説をとんでもない初めのほうにやって、皆さんから早くきょうあたり帰りたいというときにやるのもいやだし、どうなんですか、そこはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/27
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028・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 私もやはり文部大臣としまして学校の教師の方々とひざを突き合わして会いたいという気持ちはいっぱいです。だが、この問題につきましては、やはり私だけの問題でなしに、歴史的に過去のずっといきさつから申しまして、もちろんその三つの条件は前提条件ではないと中村さんは申しましたが、しかし、この前の有田さんのときでもはっきり言っておりますけれども、やはりこれは重要な私は日教組としてお考えいただかなければならぬ問題だと思います。その問題に対して実力を、実際の実行をもってはっきりこれに従わないという意思表示をされたときに、私はなおかつそういう要求が日教組にある場合にお会いして、教育的に相当のいい効果が出るとは思っておりませんから、私はまあその点については日教組も十分御反省願いたい、御反省願って、やはりざっくばらんに、共通の場ができるような形でお会いする日がくることを熱望いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/28
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029・小林武
○小林武君 それでは大臣のお話は、その文書の交換というようなものは認めない、こういう御意向ですね、そう理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/29
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030・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 文書の交換などということは認めますし、また、共通の場であり得るならばいつでもそれに従いますけれども、現段階では共通の場にはなり得ない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/30
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031・小林武
○小林武君 しかし、あなたがおかしいのか、こっちがおかしいのか、ちょっとわからぬけれども、大臣、ちょっとおかしいですよ。文書交換すれば、文書交換というものはその線に沿って実行するということと同じ意味なんですよ。そうでしょう、約束したら実行ということがあるんですよ。そんなことを道徳教育の親方が忘れては困る。あなたは道徳教育の親方なんです。約束したんですから、文書で交換したんですから、これは口約束じゃない、文書の交換、だから実行しなければいけない。中村さんのときではなくなったから、あなたがお約束になったのじゃないから、とにかく私になったら違いますということを言うなら言うてください。それなら別のことを別のところがら聞きたいことがある。もっとさかのぼって聞かなければならないところがあるから別に移りますよ。あなたは文書の交換は認めますと言って、だけれどもとよけいなことを言うからいかぬ。文書の交換は、実施するという約束なんです。これは労働組合の場合ならば当然やらなければならないことですよ。文書交換でやっておいて、やらないなんというのはたいへんなことですよ、不当労働行為ですよ。だから、どういうことですか、そこはどうなっておりますか。あなたのときにはこの文書は無効になって、自分が大臣になったら関知しない、そこらを言ってください、そんならそれでいいですよ、ぼくはあなたの考え方を認めるわけじゃないけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/31
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032・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) それは中村文部大臣が文書交換したというようなことは事実として私認めますけれども、しかし、それは中村大臣がお約束なさいまして、そしてそれで何が何でもそれで会え、会わなければ不当労働行為だと言われるかもしれませんが、私はいわゆるそこに書いてあるのは共通の土俵の場ということが非常に疑義があると思いますし、これはそれを共通の土俵の場と認めがたき場合には、同じ土俵の上に乗っていくという意味がないと思います。ですから文書をやったことは事実でございましても、共通の土俵の場と認めるかどうかは私の判断にまかしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/32
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033・小林武
○小林武君 私はとにかくさっきから始まる前から皆さんになるべく早くやめてくれろという御注文がありまして、なるべく端的にものを言っているのですが、そんなことを言わないで、中村さんはそういうお約束なさったけれども、私はそれを実行する気持ちもない、こうおっしゃっていただければいいのですよ。大臣がお出しになった、交換したことは、局長その他から聞いてあなた御理解になっていることはよろしい、そういうことを言っているのじゃないのですから。私の言うのは、それを一体引き継いで実行するのかしないのかということです。それでしたら、あなたはこの文書についての中村さんとのあれを踏襲する気持ちはない、こう判断してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/33
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034・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 私はいま一ぺん言いまして、文部大臣が同じ土俵の場になり得るのだったら、いつでも文書の交換どおり会ってよろしい、ただ、私は土俵の場になり得るかどうかの判断は私にまかしていただかなければならぬ、何でもかんでも土俵の場にならぬのに、土俵の外でもやれということじゃ足しになりませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/34
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035・小林武
○小林武君 どういうことかね、委員長わきからあれしてください、私の問いに対して答えておらぬ。これをやっておったら長くかかりますよ。水ちょっと用意してください、委員長。ほんとうですよ、ぼくはたとえばいまの土俵の場でも、日教組に対する注文でもあるでしょうし、日教組側から大臣に対する注文でもあるのです。あまりかけ離れたものの考え方に立っているなら話し合ってもだめだということがあるから、話し合うなら日教組側も憲法、教育基本法の土俵からはずれないのだということを言っている。それから文部省のほうでもそういう考えがある。そうすると、そこへ入ってみて、一体どっちがはずれているのだということが出てくるかもしれない。そのときこそお互いに話し合って、おまえ、ここがはずれているということをやれば、そこの話し合いの中からほんとうの建設的なものの考え方が出てくる。それを何も共通の話し合いもしないで、おまえはおかしいぞということをやっておったのでは、いつまでたっても理解のあれに達しない、こう言っているのですよ。それを中村さんがお考えになって文書交換して、なるほどということでやった。宮之原日教組委員長も、それならば第二項の土俵を同じにして、そのワクからはずれないということで話し合いをしようということできめたわけでしょう。ですから、二項目めというのは両方とも謙虚になったものの言い方ですよ。そして自分のものの考え方がどこにあるかということを明らかにしている、限定しているのです。しかし、人間のやることですから、自分たちは正しいと思っても、正しくないということがあるでしょう。それはそうでしょう。そうすると、再軍備の問題だってそうです。憲法の九条の理解についても、日本国民が全部が全部同じにならない。しかし、お互いに憲法九条を守ろうとする人間は、たくさんある。日本社会党もそうだし、自由民主党もそうでしょう。解釈のしかたはいろいろあるけれども、憲法九条を守らないという政党はないはずです。だから私はそんな大げさな問題でないから、日教組とあれの問題なら、その舞台の上で話し合いましょうというのだから、あなたは最後のほうへいくと迷惑でもあるような話でもあるし、ないような話ですから、すっきりしてください。私はそんなことはどうでもいいのです。それについてお聞きしたい。もう会いませんということであれば、こう言い切ってくれれば、そうすれば、別なところでのあれであなたのお考えをぜひ確かめておかなければならぬことがあるから別なところへ移ります。これに関係してですよ。とんでもないことを聞くわけじゃない。だから、そこのところどうですかね、はっきりしてくれませんかね。そうでないと進めないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/35
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036・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 時間がかかりますから……。
ただ、私は中村文部大臣がしたことは認めますけれども、現段階においては私はある程度やむを得ません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/36
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037・小林武
○小林武君 わかりました。あなたのおっしゃることは、中村さんがそういう約束をなさったけれども、私はその約束を認めるわけにはまいりませんと、こうおっしゃる。そうすると、一つまた手続的なことでちょっとお尋ねしておいたほうが将来ためになると思いますからお尋ねいたしますが、文部省はこれから、たとえばあれですか、日教組と話し合いをすることもあることだと思いますが、そういう際の約束は、もう大臣がかわれば全然これは約束というものは何の役にも立たぬということになりますか。そうなりますね。大臣がかわればもう前のあれは全然だめだ。 そうすると、ほんとうのことか信頼できない。その人の在任中だけだ。あっという間にやめてしまう人と何を約束してもだめだ、そういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/37
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038・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) これはやはり文部省としまして一貫性がなければなりませんけれども、しかし、絶対的に前の人の言ったことを何でも守っていかなければならぬという問題でもないと思います。やはり私も独立の文部大臣としてなった以上は、私は私なりの判断でやるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/38
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039・小林武
○小林武君 たいへんそこですっきりしてきました。それではお尋ねいたします。たいへんこの中で教育の中立性のことをあなたおっしゃっている。中立性のことを言えば、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法ですか、という法律がありますね。あそこのところの第一条というのは、中立性の問題についてだんだん具体的になってきていると思いますが、あの中で、この中立性というのは「教育基本法の精神に基き」、教育本基法のところへいくというと「憲法の精神に則り」、と、こうある。憲法、教育基本法、中立性、こう書いてある。その中の大きな目的の一つに「党派的勢力の不当な影響又は支配から守り」、こういうことがありますね。「党派的勢力の不当な影響又は支配から守り、」教育の政治的中立を確保するということ、同時に、「教育職員の自主性を擁護する」ということ、これが第一条で目的ですから、教育の中立性ということはこういうことだと私は判断しているんです。
そこであれですか。与党と野党というものがあるわけですが、あなたのほうはどのくらい影響または支配をできると思っていらっしゃいますか。この法律ができたときはいろいろな御議論があったことはよく私も知っておりますけれども、あなたのほうと野党とは違いますか、どうですか、どのくらい違いがありますか。野党と与党というものは教育の影響、支配というか、何でもいい、こういうことについて何か差がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/39
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040・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 法律の問題でありますので、局長から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/40
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041・小林武
○小林武君 だめです。これは政治的なものですからだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/41
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042・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 条文のことですから…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/42
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043・小林武
○小林武君 条文じゃない。与党、野党として、あなたは与党、野党のことまで答弁できない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/43
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044・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 第一条は、いま先生お読みになったように、党派的勢力の不当な影響、支配ということを言っているわけでございます。これは要するに、いまの議会制民主主義で与党が政府を構成され、そしてその権限に基ついてやられる政策というもの自体は、これは不当な支配ではないと思います。これはむしろこの法律の精神であって、中心は教育基本法の八条にいう政治的中立という問題は、教育の中身というものについて、その一党一派に偏する中身というものを幼少な児童生徒に一方的に注入すること、そのこと自体は禁止している。それを担保するためにこの法律があって、職員の団体を通してそういう教育基本法の八条に違反するような教育をなからしむるというのがこの法律の制定の趣旨だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/44
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045・小林武
○小林武君 あなたは政党のあれみたいなことを言ったけれども、ぼくの質問は大臣でなきゃだめなんです。与党と野党というものがある。私は野党ですよ。あなたは与党。そうすると、与党と野党というものについて不当な支配はともかく、不当か不当でないかということは一つの限界があって、そこまでは不当で、ここまでは不当でないというのがあるわけです。おのずからそれはある。そうすると、与党と野党ではどのくらい違いがあるのかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/45
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046・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 不当ということばは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/46
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047・小林武
○小林武君 不当ではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/47
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048・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 解釈は、やはり教育に対しましては正規の方法によってきめられたことをやるということであって、いわゆる教育的に考えますと、与党であれ野党であれ、これはどっちにも偏してはいけない問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/48
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049・小林武
○小林武君 それはあいまいだ。斎藤さんはさっき具体的に言った。斎藤さん、やはり与党の言うことは、とにかくこれはぼくもそう思っているのです。与党と政府との一体の関係というものは、やはりこれはある程度認めるわけです。社会党だって政権をとったらそうだ。これは与党と政府と一体にならなければおかしいでしょう。なかなか話わかるでしょう、ぼくの話は。そういうことを言っているのだから、どこらまでだということをあなた具体的にはっきり言ってください。斎藤さんに聞いているのではない。文部大臣に聞いている。あなたが答えるのはおかしい。あなたは条文上のことで行政的なことを答えればいい。そういうことは政治家同士の話だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/49
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050・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 私はこう解釈しているのですがね。「不当な影響又は支配から守り、」ということは、不当というものは何かということですが、これは正当になされない影響または支配だと、正当な支配というのは、私はこの法治国家におきましては、国会の法律並びに法律に基づく処分によって行なわれなければならない。ですから与党という場合においては、この民主政治でありまして多数決の原理によりますれば、それは法律をきめます場合に、与党の立案する立法が多くの場合通る、これはしかし正当に国会を通りました法律によって受けられた場合は不当とは言い得ない。だから、国会の当然の民主政治の原則によりまして多数決原理である限りは、与党が多数であれば与党の意見が通っていく。ただし、いかなる場合におきましても正当に国会というものによってなされた立法行為によって支配するものである。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/50
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051・小林武
○小林武君 そうすると、与党ではどのぐらいのことを、たとえば一つの政策をきめると、あなたのほうの解釈というのは私のほうの解釈とはだいぶ違うのですから、政党が違うのですから。そうすると、あなたのほうはとにかく立案の過程に、どこまであなたのほうでは食い入っておるわけですか。私のほうは出てきたものについて、法律として出たり、あるいは行政的にやったりするようなことについて、かくかくの具体的な事実についてはおもしろくないのではないか、間違いではないか。それこそ教育というものをほんとうの意味、中立ということばの意味、どっちの政党とかということでなくて、日本人全体のためとか、日本の民族の将来のためにとか、国の発展のためにとか、あるいはいま生きている子供たちのしあわせのためにとかという条件から見れば、それはお間違いではないですかということを言う、そうして反対する。しかし、われわれは反対するだけだけれども、あなたのほうは政党できめれば、それをどんどん持ち込むわけでしょう。そのことはどうなんです、認めるでしょう。一体、野党と与党ではどこらまで違うんですか、そこを聞きたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/51
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052・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 野党の提案されたことでありましても、それをみんなが賛成をして国会を通れば、それは正当な支配だと。ですから与党の提案したことでも、国会を正当に通れば、これは多数決原理によってそれは当然に正当な影響のある支配になってくる、私はそう解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/52
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053・小林武
○小林武君 それで剱木さんに一つお尋ねしますが、どうですか、剱木さんは戦前も文部省におられたわけだと私は思うのですが、私は戦前も教員をやったし、戦後も教員をやった。そういう立場からものを言わしてもらえば、一体、戦前の教育というようなもので、どうですか、全然間違いなかったと、こうお考えになりますか。私はそのことでいま全面的に教育がどうだこうだという議論は長々とやるつもりはありませんが、たとえば戦前の教育に問題点があるということは憲法の中にも書いてあるのじゃないですか。憲法には、戦争を起こしたのは政府だというように書いてありますよ。これは憲法を見たらそういうふうに受け取れませんか。前文の中に。どうです。憲法の前文を見るというと書いてありませんか。「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」というところに。政府の行為によって戦争の惨禍が再び起こることのないようにと。だから、あなたのおっしゃることは形式的にはそういうことをおっしゃるのはけっこうなんです。そこで、教育というものは中立性というようなことは、文部省というようなもの、従来の文部省というようなもの、それから従来の教育の行政というようなものでやるというとあやまちが多いから、戦後のものの考え方には教育委員会というようなものをつくったり、さらには説をなす人は、三権分立ではなくて、四権分立というような考え方も出てきたんではないですか。私は中立ということを言うならばそこまで考えにゃいかぬことだと思います。私はほかの行政の問題でも何でもいろんな議論が立てられると思いますけれども、教育というものはそこまでやっぱり考えていかにゃならぬものではないですか。平和の問題について、あなたの考え方ならば、平和の問題について政府が再びこういうあやまちを犯すようなことのないようにということを教員が考えることは、はなはだもってふとどきしごくということになりますか。こういう教育をやらされていったら最後はそういうことになるんじゃないかということを心配する人や、そういうことを憂えて、教育のことで、一体、文部大臣、これはどうですかというようなことを言う人があったら、これはあやまちだと言い切れないでしょう。憲法にも書いてあるんだから。ここに中立性という問題は相当謙虚にならなければだめですよ、だれでも。おれの言うことは正しい、おまえの言うことは正しくないというようなものの考え方に立ってやったらだめだということを、憲法から教育基本法、教育基本法から出ていっていろいろな法律に出ているんですよ。教育の政治的中立性確保に関するなんていうあんなものは大したことないと言いたいぐらい。しかし、法律だからそんなことは言わぬことにして、そのぐらいに議論されたんじゃないですか、たいへんな議論だったでしょう、当時あなたも御存じのように。そういうことになるというと、あなたはいまのようなあれをどう考えられますか、あなたのような議論ならそういうことを平気で言われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/53
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054・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 小林委員は、何か戦前の教育が全部私が正しいと主張している前提条件で言われておると思いますが、私はそういうことはまだ申し上げたことはありません。ただ、終戦後におきまして、民主主義教育ということでわれわれ立ち直ったわけでありまして、そうして現在、その民主主義の政治形態におきまして、国会を通じて立法措置がなされておるわけです。ですから、これはいま終戦後において日本が民主主義教育をやったときの立法措置が、戦争前にやった立法措置のようなお考えでこれは守るに足らぬとおっしゃるべき筋合いのものじゃない。私は民主国家として立ち直った日本において立法措置をやりましたら、戦前の教育は悪かったから、いまの法律に従う必要はないというような考え方は、これは私は現代国民としては許さるべきことじゃないと思います。ですから、私は現代の法律によって日教組といえどもこれに従うのは当然のこれは義務であるというように思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/54
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055・小林武
○小林武君 それこそあなた妙な言いがかりをつけては困りますよ。私は憲法を守るべきだということを言っておる。政府、政府とおっしゃっても、その政府のやることもなかなか誤りの多いものだということを憲法の前文に書いておるでしょうと、こう言っておる。特に教育の問題になりますというと、国の将来の問題について大きな影響を与えるようなことですから、国家百年の大計なんていうことをよく言う。それからまたその教育を受ける人の一生を支配するいろいろな問題があるわけですから、教育の政治的中立なんということを言うからには、そういうことを配慮しなければならぬでしょうと、こう言っておる。それをあなたのほうの与党が法律をつくって、それに反対するやつが少なければしかたがないといったような議論だけではうまくないんじゃないか、少数の意見でもこれはやっぱり耳を傾けるというような考え方がなければならぬのではないか、教育の問題だけは。そうでなかったら教育の政治的中立というようなことを言ってもおかしなことになりますよ。そうでしょう、あなたのほうの与党の人がみんな集まって、一体あれでしょう、文部省から、もしかりに――役人が自分だけの考えでかりに持っていったとしても、だめだと言ったらそれでだめでしょう。そういう法律が出てきますか、だめだと言ったら出されないでしょう。結局、与党の意向に従うんじゃないですか、その間のことはあなたがどんな答弁をなさっても、世の中の人みんな知っていることだ。また当然あり得べきことでもあるし、私はそのこと自体をいま責めるとか何とかいうことじゃない、やっぱり政党政治も弱みもあればいろいろなあれがあるんですから、議会政治といえども。そういうことも、しかしそれが全部誤りでないから行なわれてもけっこう。ただしかし、それを行なうにあたって少数の意見であろうが何であろうが、事教育の問題に関しては政党とか何とかということでなく、考えの違う人の意見も聞いて冷静に判断しなければならぬということがなかったら、教育の政治的中立というものはだめなんだ。だから、あなたのほうでやったことでも、文部省はこれだけの権限がありますよといって、裁判所でだめだと言われたことがあるでしょう。まだ上級裁判にいくから負けたんじゃないぞということを言っていても、これはだめですよ。裁判所だってやっぱりそういう判決を下しているんですから。だから、そういう論争になっていったらこれはもうだめだと思うんです。そういう論争をしていこうとするから、さっきのような約束に、日教組は悪者でおれのほうは正しいんだというような考え方があるから、同じ土俵でやろうじゃないかというような文書交換しても守る気持ちは全然ございませんというようなことを言い出す。そのことはひとつあなたの気持ちがわかりましたからいいです。
次のあれですが、教師の自主性というのはどういうことですか、教職員の自主性というのはどういうことです。これも文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/55
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056・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) これは字句の解釈ですから、いろいろ言い方はありましょうが、やはり他から不当な支配を受けないでみずから意思を決定するということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/56
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057・小林武
○小林武君 ここになると文部大臣を責めるのもお気の毒ですから、斎藤さん、ひとつあなたに説明していただきたいのですが、教育の自主性ということを、法律がきまれば、今度はあなたのほうが皆さんに要求するわけですから、その場合の自主性ということは、どういうふうに行政的にはごらんになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/57
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058・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) この法律に書いてありますのは、教育職員がその職務であります教育を施す仕事をいたします場合に、不当な外部の影響から動かされ、不本意なことをしない、自分の信念を持って教育をするということだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/58
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059・小林武
○小林武君 あなたに聞くと、また今度は妙なまるであれだが、そうすると、文部省でこの面の答弁をする説明員はいないんですか。教員の自主性というのはほかのことじゃないのですね。酒飲みたいとか、楽しみだいとかいうことじゃないのです。自主性といったら、教室の中で何を教えるかという自主性です。そのことが中心です。だから、これについてあなたのような説明なら聞かぬほうがいい。学校の中にいて不当な圧力というのはどういうことだ。何かむちでも持っているやつがいてやるのか。不当な圧力、不当な圧力というけれども、これはみんな、いま大学教育を受けているんだからあれですよ。師範学校の教育を受けたって相当いろんな考えを持てるんです。大学教育を受けて、いろいろ学問というものを身につける、そういういまの教師に望むのに、不当な圧力というのはどういうことなのか。その答弁をやる人だれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/59
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060・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) この法律の文言で言われれば、私がこの法律を起案した一人ですから、私がお答えするのが一番いいと思います。先生がおっしゃいましたのは、実際に先生が教室の場で教育をされる場合のその行動の限界というものと自主性ということとの関係だというふうに受け取りますれば、これは国民教育でありますから、法律あるいは憲法その他の自余の法令、諸法規というものの限界はもちろん守っていただきますが、その限界の中で、できるだけ子供の教育に役立つように、創意くふうをこらし、活発な授業を行なうために努力するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/60
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061・小林武
○小林武君 どうもやっぱりほんとうに教育をしたことのない人は――あなたあるね。あなたあるけれども、当時のことはよくわからないらしいんだ。あなたの専門は国文学ですか。国文を教えるということについても、やっぱりそれはあるんじゃないですか。ぼくがこの間テレビを見ておったら、黒板勝美さんの話をだれかがしてましたよ。研究室の中で古事記、日本書紀というようなものを見られてね、これはこれを書いた時代の哲学なり何なりでやったんだが、しかし、事実は何とかということを言って、そこでは、ただし外部へ行って言うなよ、外部へ行って言えばおまえがやられるんだからというようなことを言って、それで当時の学生は、そのことを言ったら自分がやられるからということで言わないでおいたということをテレビで言っていたが、これは師範学校の歴史の教師もそれぐらいのことは言わぬと、歴史を勉強したあれにならぬものだから。そういうことが自主性をそこねるということになりますか。正しいものの見方、学問としての正しさ、二本立ては別ですよ。紀元節の問題でもこの間論争したけれども、たとえば、教育といっても、一つの科目ばかりではないですから、理科を教えるにしろ、何を教えるにしろ、一つの哲学があるわけですから、ものごとを教育していって、しっかりした、将来、日本のためになる人間をつくろうということになったら、教師は自分の信ずるところ、信念に従ってやる。そのときに、厳然としてあるのは真実です。これと取り組まない教師はだめ。それにワクをはめるということは、自主性のとられたことにならぬですか。それにワクをはめられた場合、どうですか。たとえば国文の場合でも、歴史の場合でも、自然科学をやっている人でも、自然科学をやっていればやっているだけにそういうものがありますわ。そういうことではなくて、ほんとうに自分が人間をつくろうとすれば、自分の考え方――ただし、教育をやるのですから一人よがりは困るということをお互いに考えなけりゃいかぬ。そのことを相互に研修して、対象としての子供の研究と、教育する者との間というものはどういう間柄でなければならぬか。憲法や教育基本法にのっとっていくというより、そのワクを越えよう、これが一つの土俵だというそのワクを越えて、全然野方図にやろうというようなのはないです。しかし、その大きなワクの中にありながら、憲法や基本法はそれを保障していますからね。そのワク内でやるということはどうですか、自主性でしょう。それにワクをかけたら、あなたの言うように、ここでこうきまっているからこうです、ああですというのでは、指導要領というのはずいぶん無意味なものだと私は思っている。とにかくあんなにこまかくきめたものは外国にありませんという研究者の話を聞いてそうだと思っている。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/61
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062・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 二点問題があると思います。第一点は、真理を追求する――学問上の真理でございますが、学問をやりますれば非常に謙虚になって、この説があり、この説がありというふうに、ある段階になれば説くというのが自然でございまして、研究者として発表いたしますならば、自分はこの学説だということがございますけれども、教育の場で次代の国民を育成する、しかも、次代の国民の自主性を育成するという観点に立ちますれば、そこにおのずから教育としての抑制があるということは、これは直ちに自主性をそこなうものであるというより、むしろ、次代の国民の自主性を発展させるために必要なことだと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/62
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063・小林武
○小林武君 それは斎藤さん違う。斎藤さん、あなたそれ違うのじゃないか。ぼくら勉強していけばいろんな学説があります。いや、学説なんて言わぬわな、小さい子供に言うときには。一年生には言わぬけれども、ちょっと理屈がわかれば、こういうことを言う、言うているのもある、こういうあれもありますと、しかし、ぼくはこう思っているのだと、ぼくの考え方はこういう考え方ですということを言うだろうと思う。単なる紹介だけでは教育じゃないんですよ。吉田松陰の松下村塾というのは、紹介ばかりしたのじゃない。おれはこうだ、激動期の日本はこうこうだということを松下村塾で言ったのです。えらい人材が出たと言って自民党の皆さんはたいへん感心しているでしょう。あれが感心できて、どうしてこのごろのものが感心できないかと思っているんですけれども、たとえば、そういうものがあったら、あなたはそれにぶつかって、こういうあれがある、こういうあれもある、文部省のあれはこう言っていますというようなことを言って、私はこう思いますと言ったら、これは違反ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/63
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064・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) それは学校の生徒の段階と、事柄によっての限界で、一々そこを私がお答えできるほど簡単なものじゃないと思います。それは高等学校の生徒で相当基礎的なものがあれば、学理、学説がある、私としてはこの学説をとりたいというようなことも出てまいりましょう。それから、幼時にあまりそういうことを言ったらこんがらかって何かわからぬというようなこともありますので、これは一がいに申せぬと思います。ただ、私がお答えいたしたいのは、二つあって、研究者として、真理であろうというそれを教育の場で教える場合には、一定の抑制がなければならぬということも一つでございました。それから、今度は、真理と申しましても、いま、教科は広範な学科を背景として出てきているわけでございますから、一々のものを見れば、自分がこれが絶対のものだというようなことだけで全部公の教育を推し進めることは危険性がある。それは松下村塾のように一人の先生を慕ってきゅう然と集まってくるということと、いまの国民は好むと好まざるとにかかわらず、その地域の学校に行かされる、それが国民教育でございますから、その点の違いはこれはやむを得ないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/64
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065・小林武
○小林武君 それは答弁のがれだな。ぼくは思うのだけれども、あなたはそういうことを言うけれども、こうじゃないですか。いろんな説があるといっても、いろんな説があるというようなことを言うのに年齢があることはあなたよりも学校の教師のほうがよけい配慮しているのです。年齢に応じて物事を教えるのです。そうしたらどうですか。こういうのもある、こういうのもある。文部省の解釈はこうです。文部省の解釈のあれがとにかく標準になるということはできないですよ。そのとおりのこともあるけれども、そうでないこともあるのですから。ただ、ぼくは文部省が民主教育が出発したときのように、教師の自主性というものを重んじて、そして教科書等もこれは参考の程度であるというようなことで、指導要領その他についてはとにかくかなり教師の自主性を生かしたやり方でやった時代はたいへん教育がうまくいった。いまはあなたのほうで少しでも間違ったものがあったら許さないという態度でしょう。官報に出して法律できまったものだ、許さない、それは少しおかしいのじゃなかろうか。だから教師の自主性とは何かということをもう少し考えなければならない。教師の自主性というのはそういう抑制されたものだけを教える自主性ですか。これなら昔と変わらないじゃないですか、その態度は。そりゃ昔は大学の教授までそう言ってきたのですよ。これはほかへ行って言ってはいけないのだよ、こう言った。まあ小学校の先生はわりあいに正直だからそこまでは言わなかった。このとおりです、こう教えていた。それであなたのほうのあれも書いてあるでしょう。文部省のだれが書いたか知らぬけれども、ぼくはいつでも引き合いに出すが、大蛇のしっぽから剣が出たとか、神風でいくさが勝ったとかいうことを学校の先生が教えたものだから日本の国民に合理的精神がなくなって、そしてどえらい戦争に国民をぶち込むようなことになったといって罪は全部われわれがかぶった。しかし、私はかぶって、なるほどそうだなと思った。そういうことを教えた、文部省がおこるのは無理ないと思ったけれども、このごろはがらっと態度を変えて、文部省の抑制をきかないものはとにかく間違っておるというものの言い方をしたら前と同じじゃないですか。そういうことが教師の自主性では私はないと思うのですがね。外部の者が一体どうやることが――外部というのは文部省じゃないですか、国じゃないですか、与党じゃないですか、そうなったら外部というのは。そういうことになるのじゃないですか。そのほかの外部というのは何だということになる。外部の圧力ということを言っておるが、外部の圧力は文部省だということになる、最後は。政府だってあやまちをおかすということは憲法の中に書いてある。前文を見なさい。そう書いてある。「再び戦争の惨禍が」と書いてあるでしょう。それを取ってしまわないで、あなたたちはそういうことをぼくに言われるのですか。どうですか。政府だって誤りはあるのですよ。教育的良心というようなものは、自主性というものをほんとうにいうならば、教師が教育的良心に従ってやるということに対して責任を負わすべきですよ。憲法の九十九条によって憲法のあれを守ってとにかくいくのだということを徹底すれば、それと子供に対する愛情というものを強調すればこれはいくのですよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/65
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066・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) むしろ指導要領がどこまでこまかくきめ、それが限界を越えておるかどうかという問題だろうと思います。指導要領をお読みになっておればわかりますように、かなり、どういうふうに教授上くふうするかというような余地があり、またそのねらいを書いて具体的な行為というものはゆだねておるというのが実際だろうと思います。指導要領など、極端な言い方をすれば、授業におけるはしの上げおろしのようなことまで書いてあるはずはない。私が抑制と申しますのは、私はおのずから限界があるということを言っておるわけです。その限界がいかなるものが適当であるかというのは国民常識で判断していただかなければならぬので、法律的な論争では私はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/66
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067・小林武
○小林武君 しかし、あなたたちそう言うけれども、ぼくはこの間、ある教員養成をやっているたいへんりっぱな方の話を聞いた。一つのある産業的にたいへん疲弊したところの教育に従事している教員が、この状況を見るに忍びない、だから、ここの生産を高めるように、もっと意欲的になるように、その中で育っている子供たちがもっとそれに対して将来一生懸命困難を克服して発展していくようなやり方を教えなければならぬ、そういう一つのカリキュラムに従ってやってみたところが、赤だということで大騒ぎになったそうですね、教育委員会は赤の系統だと。具体的に名前をあげれば一番いいんですが、それは差し控えます。大騒ぎになってどえらいものになった、教員はぶったまげた、そういう例は戦前にやっぱりあったんです。つづり方事件というのがそれでした。あのときよくぼくらつづり方事件に関連した連中のものを見たんですけれども、あの人たちの考え方は当時の貧乏な生活に子供がうちひしがれないで、その中からとにかく貧乏でなくなるためにどうしたらいいかというような意図のものだった、これはどこから考えても危険思想でも何でもない。自民党の衆議院議員をやった弁護士がその弁護をやって一冊の本を書いた。その中に、ばかばかしい話だと書いてある、この弁護にあたってこんなばかばかしい話でたくさんの教員がやられたことはまことにつまらない話だ、こう書いてある。そういう種類のことにいまなりつつあるんじゃないですか、あなたたちの抑制があるから、抑制に従わなければいかぬのですよと、こう言うから。それはやっぱり行き過ぎたら、だれだってどっちだって非難さるべきですよ、教育というものは一方的で独善的なら。日本の国民全体というのはやっぱり共通の広場がなければならぬですよ、保守とか革新とかいうことは別にして。教育基本法だとか憲法だとかいうワクの中で、それから教育というものは少なくとも真実を教えるということについてやはり制限があって、真実ならざることを自分の独断でやるというようなことは許さるべきではない。そういうあれは教師は厳として守る責任があるんですよ、そういう教育を自主性というべきでないですか。文部大臣にこんなにくどく言ったのは、私はあなたの言う日教組に対するやり方が気にくわないからですよ。あなたは文部大臣ならば堂々と会って、こういうことはけしからぬじゃないかということを言ったらいいじゃないですか。一ぺん話してだめならその次の機会に、年に五回でも六回でも会っていいんですから、それで何べんおまえらの話を聞いても私はとにかく理解できないということをあなたたちのほうでやったらいいじゃないか。すぐ頭にきて、かっかしても困るから、両方冷やしながらやる、そうして時間をかけて共通の広場をつくるというようなことを中村さんはとにかく文書化した、それをあなたは認めない。こういうやり方は間違いですよ。
これはここらでやめましょう。検討しておいてください、これは終わったのではございませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/67
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068・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/68
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069・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、文部大臣から提案理由の説明を聴取いたします。剱木文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/69
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070・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 今回、政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
昭和三十七年以来、文部省は、著作権制度の全面的な改正作業を進めてまいりましたが、この間、改正作業中に著作権の保護期間が終了する著作権者を救済するため、二回にわたり保護期間の暫定延長が行なわれ、現在、著作権の原則的な保護期間が著作者の生存間及びその死後三十五年とされていることは御承知のとおりであります。
著作権制度改正に関する著作権制度審議会の答申は、四年間にわたる慎重な審議を経て昭和四十一年四月に提出されました。文部省におきましては、この答申を基礎として鋭意法文化につとめ、昭和四十一年十月には、試案として「著作権及び隣接権に関する法律草案」を取りまとめ、それを公表して、関係者その他の意見を聴取するとともに、政府案の作成に努力をいたしているのでありますが、著作権制度の全面的改正という事の性質上、なお成案の決定には日時を要する事情にあるのであります。
また、国際的には、来たる六月から一カ月間ストックホルムにおいて、わが国が現に加盟し、現行法がその基礎といたしております文学的及び美術的著作物保護に関するベルヌ条約の改正会議が二十年ぶりに開催されることとなっており、この改正会議の動向いかんによっては、国内法をさらに検討する必要が生ずることも考えられます。
これらの事情から、いましばらくの日時をかり、さらに慎重な検討を重ね、適切妥当な成案を得て、著作権制度の全面的改正についての国会の御審議をいただくことが適当であると考えるに至りました。よって、この際、従来二度にわたる暫定措置の趣旨にかんがみ、著作権制度の全面的改正の実施されますまでの期間を考えまして、さらに保護期間を暫定的に延長することといたしたいと考えます。
本案の内容は、以上の理由により、現行著作権法第五十二条により五年間暫定的に著作権の保護期間が延長されている著作物に関し、従来の措置の趣旨に沿ってその著作権の保護期間をさらに二年間再延長し、当分の間三十七年とするものであります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/70
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071・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 以上で本法律案についての提案理由の説明聴取は終了いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/71
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072・小林武
○小林武君 ちょっと一言、実はちょっと正確にあれしなかったけれども、非常に私、まああとで速記録を調べてみますが、その中に、日教組は憲法違反であるというようなことを――という団体だというような御発言があったとすれば、そういうふうに何かぼくは聞いたのだけれども、これについて、そういう意味のことを文部大臣言われましたか、憲法違反の問題。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/72
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073・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 憲法違反と直接言った考えはないのでございますが、速記録を調べまして、もしそのようなことがございましたら訂正いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/73
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074・鈴木力
○鈴木力君 ちょっとつけ加えますが、長いこと言いませんが。憲法違反ということばを使わなくとも、憲法と教育基本法のワク内にない。大臣、そういう意味の発言はしてありますね。
それから、さっきの不当な支配という解釈が、与党のやったのは不当でない。野党のは不当だということは、そういうことはわからない。そういう考え方で新しい文部大臣が文部行政をやるとすれば、これは、われわれとしても法律案審議についてよほど配慮しなければなりません。そういうことで、速記録を調べますけれども、あとで、これらの問題についてあなたに私質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/74
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075・小林武
○小林武君 先ほども言いましたように、これはこの次にやるわけでありますが、速記録を調べて、いささか穏当を欠くようなことがあれば、私はこれはもう了承できませんから、どうぞひとつ。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/75
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076・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) オリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、文部大臣から提案理由の説明を聴取いたします。剱木文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/76
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077・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) このたび政府から提出いたしましたオリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
御承知のように、オリンピック東京大会の際使用された選手村の施設を青少年のために利用することを目的として設立されたオリンピック記念青少年総合センターは、昭和四十一年一月にその業務を開始して以来、青少年の宿泊研修の場としてその成果をあげつつありますが、今後ますます宿泊研修の需要が増大することが考えられ、さらに、本年八月に開催されるユニバーシアード東京大会の選手村として使用されることにもなっておりますので、施設設備の拡充整備をはかる必要があります。そこで、この際、第四十八国会において同法案の御審議の際、衆参両議院において附された決議に基づき、隣接の国有の建物六棟及びその敷地を同法人に出資することとし、オリンピック記念青少年総合センターの機能を一そう充実しようとするものであります。
以上が、この法律案の提案理由及び内容であります。何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/77
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078・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 以上で本法案についての説明聴取は終了いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/78
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079・内藤誉三郎
○内藤誉三郎君 一言発言させていただきたいのですが、いだいま鈴木先生から、何か与党のほうは不当な支配があってもいいという御発言があったが、私は与党、野党を問わず、不当な支配はいかぬと思う。ただ、いかなる場合にも法律、命令の範囲内である。その点は脱線した場合は、これは与党であろうと、野党であろうと私は違法と思う。その点、文部大臣にもはっきりお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/79
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080・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) いま内藤委員の言われたとおり私は申し上げたつもりでございますが、まぎらわしいことがあれば、あとで速記録を見て訂正いたしますが、はっきり、与党であろうと野党であろうと、正式に正当なものとして私が支配をし得るのは、国会において法律によって決定し、また、その法律に基づきますところのいろいろな処理、これのみが正当の支配だと思います。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/80
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081・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 以上二法案に対する質疑は後日に譲り、本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十九分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00219670418/81
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