1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月十八日(木曜日)
午前十時四十三分開会
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委員の異動
五月十七日
辞任 補欠選任
北條 雋八君 北條 浩君
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出席者は左のとおり。
委員長 大谷藤之助君
理 事
楠 正俊君
中野 文門君
秋山 長造君
鈴木 力君
委 員
北畠 教真君
近藤 鶴代君
内藤誉三郎君
吉江 勝保君
小野 明君
成瀬 幡治君
林 塩君
国務大臣
文 部 大 臣 剱木 亨弘君
政府委員
文部大臣官房長 岩間英太郎君
文部省初等中等
教育局長 斎藤 正君
文部省体育局長 赤石 清悦君
文部省文化局長 蒲生 芳郎君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 猛君
説明員
文部省文化局審
議官 安達 健二君
参考人
オリンピック記
念青少年総合セ
ンター理事長 北岡 健二君
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本日の会議に付した案件
○著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○参考人の出席要求に関する件
○オリンピック記念青少年総合センター法の一部
を改正する法律案(内閣提出)
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001・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
委員の異動について報告いたします。
昨五月十七日、北條雋八君が委員を辞任され、その補欠として北條浩君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/1
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002・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続きこれより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
なお、政府側より剱木文部大臣、蒲生文化局長、安達審議官、佐野著作権課長が出席いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/2
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003・秋山長造
○秋山長造君 議題に入ります前に、ちょっと資料を要求したいと思うんですが、その第一は、先般来、東大の宇宙航空研究所の経理、あるいはその運用等をめぐって、乱脈じゃないかという問題が、会計検査院からも指摘をされ、また、予算委員会等でもずいぶん問題になってきているわけです。
それからもう一つは、アメリカの陸軍から、物理学会、あるいは各大学研究所等へ資金援助が相当長期間にわたってあったという事実が明るみに出まして、またこれも新聞等でも大きく取り上げられたり、さらに、予算委員会等で現に質疑が続けられておる。特に、その資金を受けておる研究の内容が軍事目的に利用されるんじゃないかという疑惑が非常に持たれている。これは容易ならぬ問題だと思うんですが、ただ、この肝心の文教委員会という場所でなしに、ほかのところで先に問題が表面化しているわけです。しかし、われわれとしてもこれは重大な関心を持たざるを得ぬ問題です。文部大臣あるいは文部当局としても同様であろうと思う。そこで、これらの問題の内容、また、それに対する文部当局の対策というようなものをまとめた資料をひとつこの委員会に至急出していただきたいということが第一点です。
それから、第二点は、一般的な資料の問題ですが、これは皆さんも御記憶だと思うのですけれども、この委員会でも、従来しばしば、文部省で発行されておる資料をもっと積極的にこの委員会へ出していただきたいということを要求してきているわけです。そのつど、今後は積極的にやりますという約束にはなっておったのですけれども、やはり依然として、率直に言いましてあまり資料の出ぐあいはよくない。どの資料を出して、どの資料を出さぬかというその判断がなかなかつかぬということも、それはあるかもしれぬけれども、それにしても、ほかの役所に比べてわりあい資料を積極的に出されぬ。その点に関する限りは非常に消極的なように思うのですよ、文部省は。たとえば、具体的に申しますと、文部省でかつては私どもに提供されておったのですが、「教育委員会月報」というのを月々出しておるのです。これなんかは私自身でも三回くらいこの委員会で正式に要求したことがあると思うのですけれども、出す出すと言われて、まだ今日ただいままで全然もらったことがない。それから「文部時報」という雑誌が出てますね。これなんかも全然私どもの手には届かぬわけなんでして、そういうものはひとつもっと積極的に資料を提供してもらいたいということを、大臣がかわられたので、また新しく重ねて申し上げるんですが、この二点についての資料の要求をいたしますから、それに対して大臣、お約束いただけるのかどうか、ちょっと念押しをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/3
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004・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 第一の問題でございますが、宇宙航研の経理並びにそれに対する対策の問題でございますが、これは委員長よろしゅうございますか、——委員長を通じまして……。
それから第二の米国陸軍の極東研究開発局から援助を受けております問題につきましては、御承知のように予算委員会で資料の要求がございまして、いまその作成中でございます。もう近日中にできる予定でございますが、予算委員会に提出いたしますと同時に、本委員会にも必ず提出いたします。
それから資料につきまして、私もちょっと承りまして、まことに申しわけなかったと存じます。率直におわびを申し上げます。今後できるだけの資料を提出するようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/4
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005・小野明
○小野明君 著作権法の一部改正について若干質問を申し上げたいと思うのでありますが、なお、私はまだ大臣の所信表明に対する質疑を行なっておりませんので、それについて必ずひとつ時間を設定をしていただきますように、この質問に入ります前に委員長にお願いをしておきたいと思うのです。よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/5
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006・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) たまたまきょう大臣見えておりますが、冒頭にそれをおやりになってやられることは、質疑の運びにぐあいがよければけっこうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/6
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007・小野明
○小野明君 あと、あまり質問がありませんから、あとでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/7
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008・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/8
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009・小野明
○小野明君 それでは著作権法の一部を改正する法律案、この提案理由を見ますと全面改正を近くやるのだ、こういうことが所々方々に出ておるわけです。それで、なるほどこの法律の制定が明治三十二年ですか、非常に古いものであることはわかるわけでありますけれども、全面改正をしなければならないものか、あるいは不適当な部分について部分改正でいいものかどうか、非常に議論の分かれるところであろうと思うのであります。私はむしろ私の見解から申し上げますならば、不適当な部分、これについて部分改正でもって処置をしていくほうがむしろ時宜に適したやり方ではないだろうか、このように考えておるところであります。それにいたしましても、近く全面改正をやるのだ、こういう理由が述べられておるのでありますが、全面改正をしなければならない理由でございますね、これと全面改正はいつごろおやりになるのか、そのめどでございますね、こういった問題についてまずお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/9
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010・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) ただいまのお尋ねでございますが、おっしゃいますように、現行の著作権法は古く明治三十二年に制定されまして、その後、部分的あるいは技術的には多少修正もなされておりますけれども、基本的には変わっておらないことは御承知のとおりであります。しかし、その後いろいろ時代の趨勢にかんがみまして、著作権関係のいろいろな面におきまして情勢が非常に変わってまいっておるのは当然であります。したがって、この際、部分改正でなくて全面改正をすべき時期にすでに到達しておるということからいたしまして、去る三十七年に著作権制度審議会が設置されて、全面改正の線に沿うて今日まで審議を続けてまいってきたわけでございます。したがいまして、また国際条約等におきましても、その後改正も相当な改正が行なわれてきておりますので、国際的な関係におきましても、ただ部分改正では相済まない事態に至っていると私は思っております。したがいまして、部分改正ではなくて、全面改正に踏み切ろうというただいまの状態に立ち至っております。なおこの全面改正をいつの時期においてするかということにつきましては、先般も大臣が申されましたように、ただいま提出しております法案では、今後さらに二年延長ということに、保護期間を延長するということにいたしておりますけれども、全面改正につきましては、できるだけ早い機会に、具体的に申しますならば、ぜひ次の国会にはこの全面改正の法案を提出いたすべく努力をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/10
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011・小野明
○小野明君 この御説明によりますと、情勢が変わっておると、時代の趨勢によって。そういう点が一つと、それからこの問題についての国際条約の改正というものが行なわれておる、これが二つの理由といいますか、改正の理由になっておるようであります。全面改正のですね。それでは、この著作権法を改正しなければならぬ情勢と、こういうものは一体どういうものか、あるいは国際条約の改正というのは、この著作権法のどこどこが変えられておるのか、そういった点については、この理由の中には述べられておらないわけですね。その点をひとつ御説明をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/11
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012・安達健二
○説明員(安達健二君) まず、現行の著作権法の最初につくられた時期は、まだ著作物といたしまして、いわゆる代表的なものとして書籍というか、そういうものを中心にした著作権法という考え方でございます。その後ラジオというようなものが出てまいりまして、昭和六年にその関係の改正がございました。しかしながら、最近におきまするテレビというような新しい著作物の複製手段というようなものが出てまいりました。あるいはさらに最近におきましては、リコピー、写真複製というようなものが非常に発達をしてまいっておる、あるいはまたマスコミの非常な発達に伴いまして、著作物の利用機会が非常に増大しておる、出版文化の面ではもとよりのこと、いわゆる実演の機会もございますし、あるいは放送あるいは興行、上映の利用という点で非常に利用の機会が増大をしておる、こういうことが言えるわけでございます。そういう面からいたしますと、現行法の態勢が、基本的には出版物というものを原則といたしまして、それにラジオ、放送等を加えておりますけれども、そういう先ほど申し上げましたような利用機会という面では、はなはだ不足している面があるということが言えるのであります。
それから国際条約との関連から申しますると、日本が入っておりまするところのベルヌ条約、これに基づいて現行の著作権法が作成されておるわけでございますが、現行の著作権法は一九二八年に成立いたしましたベルヌ条約のローマ規定というものに基づいておるわけでございます。ところが、そのベルヌ条約は一九四八年にベルギーのブラッセルにおいて改正が行なわれました。この際は、日本は占領下のためにその会議に列席することができなかったというのでございまするが、しかしながら、これはベルヌ条約国の大部分の国がすでにブラッセル規定に加入しておるということでございますが、さらにそのベルヌ条約のブラッセル規定は、この六月から開かれますところのストックホルム会議におきまして、さらに改正が加えられようとしておるということでございます。したがいまして、現行の著作権法は一九二八年のまだ改正にのっとった法律であるということが言えるのでございます。そういう面で、こういう新しい国際条約に即応したものを考えなければならないということになるわけでございます。
それから、またもう一つ、現行では著作物の一つといたしまして「演奏歌唱」というものを入れておるわけでございます。しかしながら、「演奏歌唱」というようなものを著作権法で保護しておる国は日本だけでございまして、多くの国におきましては、これを別な法律、あるいは別な権利といたしまして保護をいたしておるわけでございまして、そういう面におきまして、実演家とレコード製作者と放送事業者を保護するためのローマ条約というものが、昭和三十六年にこの条約が形成されたわけでございます。もちろん、この条約にはまだ日本は入っておりませんけれども、そういう「演奏歌唱」を著作物で保護するのではなくて、実演家、それからレコード製作者、あるいは放送事業者を含めましたそういうものを、隣接権といたしまして保護するための条約ができておるわけでございます。そういうことからいたしまして、そういう新しい条約に沿って、実演家、レコード製作者、あるいは放送事業者をも含めた保護の体制を考えなければならない、こういうようになってくるわけでございます。そうなっているということと、それから世界の文明国のほとんどすべての国が、すでに戦後、著作権法につきまして全面改正をいたしております。一番最近では、ドイツが去年の一月から新しい著作権及び隣接権に関する法律を制定いたしたわけでございます。また、そのほかに、イギリス、フランスあるいは北欧諸国などはすべて戦後全面的な法律改正を行なっております。それからアメリカにおきましては、一九四八年に全面改正が行なわれましたが、さらにそれを全面改正するための法案が国会において審議中でございまして、先日、下院を通過いたしまして上院に回付されておる、こういうような状況でございまして、各国ともすべて古い著作権法を、一部改正という形でなしに全面改正という形で行なっておる。こういうような状況でございますので、やはりこの際はそういう新しい社会情勢に応じ、また国際情勢に応じまして全面改正をすることが妥当である、こういうような考えになろうかと思いまして、昭和三十七年に文部省におきまして、政府から著作権制度審議会を設ける旨の文部省設置法の改正法案を出しました際も、そういうような基本的な考え方に立って提出をいたしたものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/12
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013・小野明
○小野明君 何を全面改正といい、何を部分改正というかということについては、いろいろ問題なり見解の分かれるところであろうかと思うのですが、テレビができた、あるいはリコピーができた、こういうことについてはこの著作権の趣旨を生かしながら追加をすればいいわけでありまして、しかし、おっしゃるような事情もよくわかるわけです。六月からベルヌ条約の改正会議というものが開かれるそうでありますけれども、これはどうですか、いま御説明になりましたような点が全部会議の案件として上がるわけですか。草案というものを送ってきているのではないですかね。そういうものをひとつ説明してもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/13
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014・安達健二
○説明員(安達健二君) この草案は、文部省で先般公表いたしました草案なり、あるいはその基礎となりました著作権制度審議会の答申は、ベルヌ条約との関係からすれば、一九四八年にできましたブラッセル規定の考え方はほとんどすべて取り入れるとともに、この六月から開かれまするところのストックホルム会議での議題について予想されるものについては、ある程度織り込みをいたしているわけでございます。ただし、ストックホルム会議の規定はまだきまっておりませんから、それがどうなるかということによって法案の再検討ということが当然でございますけれども、大体そういうようなことで、特にこのストックホルムの会議において議題とすべく事務局のほうから提案されている問題点といたしましては、たとえば映画の権利関係につきまして国際的な基準を設ける。映画の国際流通を円滑にするための規定を設ける。それから著作権の基本的な内容といたしまして、複製権のことについて規定する。現行著作権の一番基本的なものでございます著述を印刷にして出すというような、そういう権利が条約上の権利として定められていない。それについて今度は複製権についての規定を設ける。それとともに、その複製権の例外の場合を許されることを条約上で明らかにするというようなことが議題となっております。それから第三点といたしましては、保護の基準として、国籍主義及び住所地主義を導入するということでございますが、これは日本人の著作物であればそれがどこで発行されようと保護しよう。現行では日本人の著作物がイギリスで保護されるためには、他の同盟国、フランスとか、ドイツで発行されなければならないということになっておりますが、それがかりにソビエト連邦のようなベルヌ条約の同盟国でない国において発行されたものについてまで保護を及ぼすというような考え方を導入しようというようになっておるわけでございます。それから第四点といたしましては、新興国がベルヌ条約に加入しやすくする、あるいはベルヌ条約に加入している国がなるべく容易に外国の著作物を、先進国の著作物を利用できるようにするというような意味において、保護年限を半分にするとか、あるいは翻訳についての特別の規定を置くとか、そういうような新興国のための特別措置を定める議定書を定めよう、こういうような点が著作権の内容として特に議題になっておる点でございますけれども、同時に会議では、各国からそれぞれ原案にない提案がいろいろございますから、そういう点についての議論のあるところは、その結果によりまして、なお現在考えております草案にも、これに再検討を加える必要も生じてくるだろうと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/14
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015・小野明
○小野明君 大体わかりました。それでこの中には、私がずっと読んだ限りでは、やはり写真が十年しかないと、こういう点が一番問題であるように思うわけですね。それで写真の保護年限というのは各国でどのように扱われておるのか、それがおわかりであればひとつ書籍等の関連で説明をいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/15
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016・安達健二
○説明員(安達健二君) 写真の著作権の保護期間につきましては、まず諸外国を申し上げる前に若干その基礎になっておりまする条約関係を申し上げさせていただきたいと思います。
現在、日本が入っておりまするところのベルヌ条約のローマ規定、あるいはさらに一九四八年にできましたブラッセル規定におきましても、一般の著作物の保護期間は死後五十年に対しまして、写真については各締約国の定めるところによるということで、各国の自由になっておるわけでございます。それから日本がもう一つ入っておりまするところの、アメリカ等の国の関係において入っておりまするところの万国著作権条約につきましては、写真の保護期間は十年より短くてはならないと、こういう規定ができておるわけでございます。それから、今度ストックホルム会議で提案されておる内容によりますると、写真の保護期間については制作後二十五年より少なくてはならない、少なくてはいけないというように最低制作後二十五年というような案が出されておると、こういうのがいわゆる条約関係でございます。それに対しまして、諸外国、特に先進国の例を見ますると、まず日本と同じような方式を要しない——著作物の保護について方式を要しない国の体制でございますると、一般の著作物と同様に死亡時から五十年といたしている国にフランスがございます。その他の国は大部分は、イギリスは一般の著作物の保護期間が死後五十年というのに対しまして、写真については発行後五十年、それからドイツは一般の著作物の保護期間が著作者の死後七十年というのに対しまして、写真は発行後二十五年というようになっております。それからイタリー、オーストラリアなども発行後二十年あるいは二十五年というようなふうになって、一般的に写真の著作物の保護期間は一般の著作物に比しまして短い期間が定められておる。そして大部分の国が著作者の死亡時起算ではなくて、発行後、あるいは公表後、あるいは制作後起算するという体制になっておるわけでございます。ただ、イタリーにつきましては写真の制作のときから二十年、それからオーストリーは撮影のときから二十年というようになっております。それからトルコが公表されたときから二十年、それからスウェーデンが制作されたときから二十五年というように、いろいろ各国によって定め方が違っておるというようになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/16
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017・小野明
○小野明君 きょう、暫定延長措置を講じない理由、「写真の保護期間について暫定延長措置を講じない理由」というのを配ってもらったんですが、これはどうですか、もう説明をしたんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/17
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018・安達健二
○説明員(安達健二君) しておりません。内容についてはございますが、これについては説明してないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/18
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019・小野明
○小野明君 ああそうですが。それをひとつそれなら説明をしてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/19
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020・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと済みませんが、その前にいまの御答弁に関連して。
死後起算の国はもうほとんどない、フランスぐらいのものだというお話をこの前も聞いたんですがね。もっと、だいぶあるんすね、これは。実はここに私持っておる資料はこれは昭和三十一年の資料なんです。だから、その後も相当改善をされているんではないかと思うんですけれども、その三十一年の資料でも、たとえばポルトガル、スペイン、ブラジル、フランス、ベルギー、レバノン、ルーマニアというようなところはみんな死後起算ですね。ポルトガルは永久ですね。できれば、この著作権関係の法令集をいただいておる中のしまいのほうに一般著作物の保護期間はあるんですけれどもね、写真についての保護期間の何か一覧表みたいなものを、あなたのところで資料ができれば、あるいは持っておられれば、ちょっと至急にもらいたいと思うんですがね、ということと、それからアメリカで新しい著作権法が最近下院を通過したというお話ですが、そのアメリカの新しい著作権法の内容では、やっぱり死後起算ということになっておるように聞くんですけれども、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/20
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021・安達健二
○説明員(安達健二君) アメリカについてはちょっといま資料を持ち合わしておりませんので、調べました上でお知らせいたしたいと思いますが、なお、私先ほど申し上げました中で、オーストリーにつきまして写真の保護期間は撮影のときから二十年で消滅するというようになっておりますが、もう一つ写真美術の著作物という、写真をまた二種類に分けておりまして、それは一般の保護期間、生存間及び死後五十年ということでございますから、私の説明が不足しておりましたので、その点を訂正さしていただきます。
なお、他の国の資料につきましては、いまちょっとここには持ち合わしておりませんが、あとでまたお目にかけたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/21
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022・小野明
○小野明君 それではこの説明をちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/22
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023・安達健二
○説明員(安達健二君) それではお手元の資料につきまして、「写真の保護期間について暫定延長措置を講じない理由」ということで、読みながら説明さしていただきたいと思います。
第一番目は、「著作権の保護期間を暫定的に延長する措置は、特別な例外的措置であると考えられる。」、つまり新しい著作権法ができるまでの間のつなぎというような意味でございますからして、したがいまして、それは特別な例外的な措置であって、原則といたしましては例外は少ないということが言い得るかと思います。そういう観点から見ますと、「今回の暫定延長措置は、前々回および前回の暫定延長によって保護期間の延長された著作物について、引き続き同趣旨の保護を図ろうとするものであり、あくまでも、当初の特別な立法措置を継続する性格のもので」あって、新しいものを加えるという、そういう考え方ではない。つまり、そういう基本的な点があるということを第一点で説明しておるわけでございます。
それから第二番目に、当初の暫定延長措置は、これは衆議院の議員提案として行なわれたわけでございますが、その理由とするところは、「著作権制度の全面的改正までの間に著作権の保護期間の終了する著作権者、とくに早世した著作者の遺族に対する救済を図ることが時宜に適するものである」という、そういう遺族救済というような観点があったと伺っておるわけでございます。で、「このような観点も考慮して、発行時を起算点とする写真や著作者の死亡の考えられない団体名義の著作物については暫定延長の措置がとられなかったのである。」、こういうようなことではなかろうかと思われるわけでございます。
それから第三番目に、「暫定延長措置の対象とされた著作物は、ベルヌ条約(ブラッセル規定)上、著作者の死後五十年または公表後五十年の保護期間が義務づけられているものに限定」する。すなわち国際的にもう標準がはっきり確立しておる、そういうようなものについては、やはりそれを前提としつつ、それの切れるその関係のものを調整しようというところを基本的な出発点にしておるわけでございますが、先ほど御説明申し上げましたとおり、写真等は条約上その保護期間を国内立法の定めるところにゆだねておるということで、なお国際的な基準が明らかでないというような点があるわけでございますので、それは著作権制度の全面改正の時期まで待つべきであるというような考え方で、そういう国際水準の明確なものに限って延ばしておるということが言われるかと思うのでございます。
それから第四番目に、「現行法における写真の著作権については、嘱託写真の著作権の帰属その他に関し検討を要する点が多く、それらの問題の適切な処理とともに保護期間の延長を図ることが適当と考えられる。」で、嘱託写真の著作権の帰属と申しますのは、ある人が写真家に頼んで自分の肖像写真をとってもらった場合におきまして、その肖像写真の著作権は、写真家ではなくて頼んだ肖像本人が著作権を持っておるという態勢でございます。これはイギリスにもその例がございますけれども、著作権制度審議会等でこれをいろいろ議論いたしました結果は、やはり著作権は著作者たる写真家に譲るべきである、こういうようなことが出ておるわけでございます。あるいは文芸の著作物に写真を入れていたしますると、その写真の著作権は文芸の著作者の著作権の中に吸収される、こういうような規定もある。これも写真家にとってはもちろん不満な点であるわけでございます。その他こまかい点もございますが、そういう写真の著作権の内容自体に、やはりいろいろな問題がある、したがって、保護期間の問題とあわせて、そういうものの内容を、むしろ著作者のような点を十分考えて内容を整備するということ、あるいはまたそういう著作権の制限についても必要な制限も加えて、そして写真の著作権が非常に現代に適しない点が多いから、それらを直して、そして内容なり制限なりを整備して、そして保護期間も一緒に延ばすということがより妥当である、こういうようなことが考えられるということでございまして、たとえば嘱託写真でございますると、いま嘱託写真の著作権を延ばしますと、たとえば私が写真家に頼んだ私の肖像写真の著作権は、これからずっと二年延びると同時に、その間、新しい著作権法ができれば、それに乗り移るわけでございますから、たとえば五十年とすれば、私が五十年間持ってしまうというようなことになるような多少の不合理もあるわけでございまして、そういうような点を考えますると、やはり内容と一緒にこれは整備したほうがいいというようなことが言われるのでございます。それから第五番目に、「かりに写真の保護期間について暫定延長措置を講ずるとすると、現在暫定延長措置の対象外としている団体名義の著作物、」、これについては暫定延長の措置がされていないわけであります。ところが、この写真について、かりに講じますると、写真については個人のものも団体のものも十二年ということになって延長がはかられるわけでございますが、写真以外の団体名義については三十年でとまるということで、その間、写真の団体名義のものと、その他の団体名義のものとの間に不均衡を生ずるというようなことで、やはり写真に手を触れると、団体名義にも、これは法律の体制からいたしまして、権利の均衡上、やはり手を触れざるを得ないという問題が発生してくるということが言えるわけでございます。それから演奏歌唱と録音物につきましては、これは隣接権のほうにこれを移すというような関係になっております。しかも、その期間はむしろこれを現在の三十年を二十年にするというような内容にもなってくるわけでございますが、そういうような関連の問題も、やはり考慮しなければいけないということが出てくるわけでございます。そういうように暫定措置の問題は、やはりいろいろの点に引っかかってくる。
そこで、第六番目に、「著作権制度全面改正の成案を得る日の近いことが」、先ほど局長から説明いたしたように、次の通常国会には出すべく最善の努力をするというようなことになっておるようで、「ほぼ確定的である現段階においては、以上の諸点から判断して、写真の保護期間については、全面改正」の機会に、権利の内容、権利の制限等もあわせて総合的に処理するのがより適当であると考えると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/23
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024・小野明
○小野明君 御説明についてはよくわかりましたが、団体名義の著作物、あるいは隣接権というようなものは、これは新たに生じたものだと思うのですね。それで、はっきりしているのは、普通の著作物が三十年——三十五年ですか、それから写真が十年、写真が十年で不合理であるという点は、これはきわめて明確であると思うのですね。この点が十年になっておるということは不合理でないかどうか、あなたはどういうふうに考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/24
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025・安達健二
○説明員(安達健二君) まず団体名義について関連して申し上げますと、団体名義も現行法は公表のときから三十年、それに対しまして今度の著作権制度審議会の答申、あるいは文部省の草案では公表後五十年というふうになっておるわけでございます。したがって、写真と団体名義とは、ほぼといいますか、実質的には同様の関係にあるということが言えるわけでございます。それから演奏歌唱と録音物につきましては、現在は一著作権法上、一般の著作物と同じ期間、保護されることになっているわけでございますけれども、今度、隣接権に移りました場合は、その権利の内容をふやす。つまりレコードの二次使用権を隣接権者にも与えるということで、その保護期間を国際的な基準に合わして二十年にして、むしろ減らすというような案が出ているわけです。したがって、これを暫定延長するということは、ちょっといまの段階としてはむずかしいと思うのであります。したがって、暫定延長というのは、あくまで現在切れんとしているものをつなぎに延ばすということでございまして、将来の問題とは一応切り離す。将来の問題も予想しつつではございますけれども、そういう意味でやはり団体名義の問題もこれは当然考慮しなければならない問題であろうと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/25
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026・小野明
○小野明君 どうですかね。先ほどから説明を聞きますと、国際水準というようなものはかなり説明の中でははっきりしておりますね。それで、大体、文部省文化局の態度というものは、著作権及び隣接権に関する法律草案、こういう態度なんでしょう。そうすると、片一方は死後五十年とする。片一方は公表後五十年とするというようなことで、大体まとまっているようなんですがね。それで、なお暫定的に必要ならば団体名義の問題も、あるいは演奏歌唱の問題も、合わせて暫定的に何年か延長していく、こういうことはできないものか。というのは、切れて困る人が多いわけですね、これは。著作権だけに限らぬ、写真の問題も非常に多いと思うんです。それはできないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/26
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027・安達健二
○説明員(安達健二君) 法律的に可能、不可能ということでなくて、実態的に適切でないということを申し上げておるわけでございます。すなわち写真につきましては、従来からの継続によりまして本法の改正と一緒に考えると、こういうことを前提にして、前回、前々回の改正措置が行なわれてきておるわけでございまして、かりにその制度改正の機会がずっと先になるとかというようなことであれば別としましても、すでにその改正草案、改正の案の国会提出が間近に迫っておるということであるから、しばらくの間のお待ちを願いたいと、これは従来もそういうことでお願いをしてきたわけでございますから、その意味で従来の措置の延長という面で今回も考えていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/27
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028・小野明
○小野明君 それはその程度で終わりたいと思うんですが、ぜひ私としては、この写真の暫定延長について御考慮を願いたいという要望をしておきたいと思います。それから、この文化局試案という中でちょっと二、三お尋ねをしておきたいと思うんですが、これの三十六条のところですね。まあ全面改正も近く次の通常国会に出すということですが、「(教科用図書への掲載)」ですか、この項に、「学校教育の目的上必要と認められる限度において、」と、この著作物を教科用図書に掲載する場合は、その旨を著作者に通知をすればいい、こういうことになっておるわけですね。通知をすればいい、それと文部大臣が必要と認める適当な金を払えばいい、しかも、学校教育の目的上必要と認められるこの判定というのは、もちろん文部大臣がやるようになると思うんですがね。ただ単に著作権を持っている人に通知をすればいいんだと、こういうことは私はどうだろうかと思うんですね。著作人格権というようなものもあるわけですから、そういった面が非常に薄いと思うんですが、この点について、ただ単に通知という措置でいいものかどうか、この点をひとつお尋ねをしてみたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/28
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029・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) 教科書のために最も適当な著作物を利用するということが必要であることは、これはどなたも異論がないと思います。そのために著作者の権利をある程度制限することもやむを得ないではないかということは、これはベルヌ条約もすでにその趣旨も認めておるところでございますし、日本の現行法も、また各国の著作権法におきましても、そのために必要な規定を現在も持っております。で、現行法で見ますと、いま申しましたような点につきましては、この普通教育上の修身書、読本に著作物を利用することは、著作権者には無断かつ無償でできるというふうに現行法はなっておりますが、教科書の範囲をただこういうふうな点だけに限定することは、現在あまり合理的でない、また一方全く無償で使用ができるということも妥当ではないと考えております。こうした観点からいたしまして、改正文部省案におきましては著作権制度審議会の答申を受けまして、検定教科書及び文部省の著作教科書に著作物を使用することにつきましては、著作者の許諾を要しないというふうにいたしますとともに、著作者の保護も考えまして、使用にあたっては著作者に文部大臣が適当と定める額の償金を支払わなければならないというふうに考えたわけでございます。で、この規定が著作物の権利の制限として行き過ぎではないかという意見も、当初はこの権利者側にあったのでございますけれども、同時にまた使用者側におきましては、各国の立法例に広く見られますように、無許諾無償の使用を認むべきであるという意見がございます。で、草案のいまの考え方といたしましては、その中間と申しますか、中庸を得たものであると考えておりますし、現在では関係者の大方の理解を得ておると私ども考えております。なお、権利者側には、この規定が著作者の人格権を制限して、これによって改変自由なるかのごとく誤解しておられる傾向がないんでもないのでありますが、この制限は財産権としての著作権の制限でありまして、人格権を制限するものではございません。人格権は、用字、用語の変更などの教育上やむを得ない変更は別といたしまして、教科書に使用する場合でも十分これは保護されております。また、著作者に払うべき償金の額を文部大臣が定めるにあたりましては、著作権制度審議会の意見を聞き、妥当な額を定めるような措置を講じたいというふうにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/29
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030・小野明
○小野明君 この文部大臣が定める額というのは、これは大体どういう基準できめるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/30
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031・安達健二
○説明員(安達健二君) 先ほど局長から御説明がありましたところをちょっと補足させていただきますと、つまり基本的に、教科書には子供に最もいい教材を与えたい、そういう意味において著作者に御協力願うというのが基本的にあるわけでございます。ただし、その場合に全くあいさつをせずに、あるいは全然ただでということでなしに、そこに通知をし、あるいは償金を払って使うようにしよう、こういう案でございます。ところで、いまお尋ねの償金の額につきまして、現在、文芸家協会と教科書協会との間で覚え書きが交換されておりまして、これは年間百五十万円という程度のものが文芸家協会所属の会員の分として教科書協会から支払われております。それから音楽につきましては年間百二十五万円というようなものが、日本音楽著作権協会と教科書協会との間で支払われておると、こういうようなのが実態でございまして、そのほかの著作物については特にこういうような団体間での覚え書きというものはございませんで、それぞれの慣行でやっておられると思います。したがいまして、今度、文部大臣が、かりにこの法案が通過した場合において償金を定めるにつきましては、そういう現行のこれらの実態を踏まえて妥当な金額を定めるようにいたしたいという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/31
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032・小野明
○小野明君 やはりその書かれたものが教科書に載るということであれば、大多数の人は、それはいかぬ、こういう人はあまりいないだろうと思うんですね。しかし、それをただ単に通知をするだけで載せていいのだ、この点の考え方というのはどうも私は著作人格権の侵害ではないかという気がしてならぬのです。それで、これは例としてちょっと適当でないかもしれませんけれども、五十九条のところには肖像写真の著作物の場合、これは著作権者が著作物を利用する場合には同意を得なければならぬ、こういうふうに書かれているわけです。この点は私はむしろ、「同意を得なければならない。」と書くこと自体が、ほかの法律で人格権というものは保護されておりますから、必要ないではないかと思うんですけれども、やっぱり一方的に教科書に載せる場合に通知だけでよろしい、あるいは額も文部大臣がきめるだけでよろしいのだという教科書用図書への掲載のものの考え方はちょっとどうかな、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/32
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033・安達健二
○説明員(安達健二君) 現行法は先ほど局長から申し上げましたように、教育読本と修身の本には全然自由に使っていい、こういうふうになっているが、それではどうかということからこの話が持ち上がってきたわけです。そこで、教科を国語とかそのようなものに限らないで、すべての教科について及ぼす。そのかわりその金を払うようにするというようになったわけでございますが、なお、「通知」という意味につきまして少しく御説明させていただきたいと思います。現在、草案の三十六条で制限をいたしておりますのは、財産権としての著作権でございます。財産権の著作権については、その著作権者の許諾を得ることなく教科用図書に利用できるというのが三十六条の一番大きな意味でございます。その場合でも、著作者の人格権、自分の著作物を無断で変更されない権利というような人格権というものとは関係がないわけでございます。「通知」と申しますのは、あなたの著作物を使いますよ、使いましたよということを通知するということでございます。したがって、通知をしたらどんなに改変してもいいというわけではないわけでございまして、通知は単なる通知であって、通知によって人格権侵害が適法になるわけではございません。人格権は依然として脈々として生きておるということでございます。人格権が制限されますのは、あとのほうの関係におきまして、先ほど御説明がございましたように、用字、用語の改変とか、教育上真にやむを得ないそういう改変についてはできる、こういうことでございまして、たとえば、それでは必要やむを得ないということで、かってにやってよろしいかというお考えがあろうかと思います。それはおのずから客観的なものさしというものがあるわけでございまして、かりにそのものが文部省で検定に合格したといたしましても、これは裁判所で人格権侵害の有無は争い得るわけでございまして、最終的には裁判所の判断にゆだねられておるわけでございます。これはいわゆる公法と違いまして、私法でございますから、当然個人の権利を公の目的によって、ただかってにその目的上できるというわけではない。そういうような余地は、そういう、できるということは書いてあるけれども、それが具体的にどこまでであるかということについては客観的に公正なものでなければならないし、その判断は裁判所において最終的に決定されるべきものである、こういうことでございます。したがって、よく通知をすればそれでもう人格権はどのようにしてもいいというような誤解があるといけませんが、そういうことではなく、通知は、使いましたよということを念のために知らせるだけでございまして、通知をしたからといって人格権の侵害が適法になるものではない、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/33
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034・小野明
○小野明君 こだわるようですが、修身とか何とかの教科書には黙って使っていいんだ、こういう考え方は、明治三十二年ごろの考え方じゃないかと思うんですね。それでやはり通知をするということばに私はこだわるんですけれども、あなたの説明を聞いておると、著作の財産権にせよ、公的なものがあるならば、かってに公的なものが優先して、この著作財産権というのはかってに自由侵害してよろしいと、ことばは少し激しいかもしれませんけれども、そういう感じがしてならぬ。それがやはりひとつ。前はかってに使っておったけれども、今度は通知だけでいいんだと、こういう表現になっておるのではないかという気がしてならぬ。それから、著作人格権というのは脈々として生きておるというんですけれども、私がずっと読んだところでは、あまり生きておるように感じないわけですね。この点はまた長くなりますから、やめるといたしましても、この通知をするというのは、どうも私の質問に明確に答えていない、私は納得できないわけですがね。もう一回説明をしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/34
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035・安達健二
○説明員(安達健二君) 「通知」というのは、財産権とは直接の関係がないということが一つでございます。で、それは人格権との関係でございます。人格権というのは、草案の二十条で、「学校教育の目的上やむを得ないと認められる改変」を除きましては改変することができない、こういうことでございまして、実はそれだけでもいいともいえるわけでございます。しかしながら、著作者が自分のものがどこで使われたかということ、あるいはそれにもし人格権の侵害がないかどうかということを調べるといいますか、監視するというような意味において、そういうものを発動させる手がかりとして通知をする、こういう制度でございます。それから、なお、教育目的のために、特に教科書等のために著作物を利用する権利につきましては、先ほども御説明ありましたように、ベルヌ条約にはっきりとした規定がございまして、各国とも何らかの形での制限をいたしておるわけでございます。たとえばドイツで、先ほど申し上げました昨年の一月から実施されました新しい著作権法では、原案では、日本がいま草案でとっておりますような通知と、それから償金を払うというような考え方で、強制許諾で償金を払い、通知をするという案でございましたが、国会ではそういうような制限をする必要はないということで、むしろ教科書については自由に使ってよろしいというのが、ドイツでは国会修正でそういうふうになったわけでございます。そのほかイギリスにいたしましても、そういうような、いろいろ技術的には違いますけれども、そういう制限があります。あるいはイタリアでは、日本の草案がとっておりますのと同じような案が出ておるわけでございます。でございますから、教育目的、特に教科書等につきましては、本来的にいうならば、その教育目的以外に著作物として利用されておって、いわば二次的な使用であるということが基本的にあるわけでございますが、それと同時に、その教育のためにやはり著作者に協力していただく、子供のために協力していただくというやはり基本精神がそこにあるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/35
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036・小野明
○小野明君 これで終わりたいと思うんですけれども、まあ通知をするということは著作人格権の尊重のスタートである、こういう説明なんですがね、それからいろいろ出発して、中身についても本人が検討するだろう、こういう過程が考えられる。しかし、著作人格権を尊重するということであるならば、またそれを制限しないという意味からも、同意をするというふうに改められないんですか。改めたらどういう弊害があるのか、どうして改められないのか、それをひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/36
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037・安達健二
○説明員(安達健二君) 教科書の利用について、すべて著作権が動くということになりますると、まず教科書にこの人の作品をぜひ載せたいといった場合に、自分はもう教科書に載るのはこんりんざいいやだからといってお断わりになれば、それは載らないわけでございます。でございますから、ぜひあなたの作品を載せていただきたい、子供にはその当時の代表的な作品としてぜひ見せたいという教育上の必要がある場合に、やはりそれを可能にする措置が設けられなければならない、こういうことは基本的にあるわけでございます。それからもう一つ、人格権のことから申しますると、基本的には、教科書に使用する場合でもその人格権を尊重して変えないということは原則でございまして、ただ、教育上どうしても変えなければならないという場合があっても、どうしてもその許諾を得なければならないということでは教育の目的が達成しがたいと、こういうことがあるわけでございます。したがって、一方では、著作物を使用するという観点からすれば著作権を制限する、いわゆる財産権としての著作権を制限して、教育の目的上必要だという作品はいつでも掲載できるようにする、そして、そのまま変えないで出すことについてはそれでいいわけでございますけれども、原則は変えないけれども、目的上どうしてもやむを得ないというものについては変えることができるようにすると、こういうのが草案の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/37
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038・小野明
○小野明君 まあ通知をするというふうに書いてもその著作権者には拒否権があると、こういうふうに説明なさったように思いますが、そのとおりですか、そうじゃないんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/38
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039・安達健二
○説明員(安達健二君) 著作権者が、通知をした場合に、これは使ってもらっては困るということは言えない。ただし、教育の目的上必要でないような改変をしたいという場合は、たとえば、もう少し短くしたいということが、特に学校目的じゃなくて、その教科書の特別な必要によるような場合は、これは当然著作者の許諾を得なければならない。その場合に、一応そのまま使うならば何も断わる必要はないけれども、通知だけはしておきます。それから変える場合には、目的上必要な改変を除いて、その他についてはすべて著作者の人格権としての許諾権は働くと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/39
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040・小野明
○小野明君 改変をする場合はこれを拒否することができる、これはどこにあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/40
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041・安達健二
○説明員(安達健二君) 十九条でございます。ちょっと読んでみますと、「著作者は、その著作物又はその著作物の題号の変更又は切除及び著作者の名誉声望を害する方法によるその著作物の使用を禁止する権利を専有する。」という原則がございます。それに対して二十条で、「著作者は、その著作物又はその著作物の題号について次の各号の一に該当する改変を拒むことができない。」とありまして、その改変の一つといたしまして、「用字用語の変更その他学校教育の目的上やむを得ないと認められる改変」は拒むことはできないけれども、それ以外のものについては当然禁止権があると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/41
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042・小野明
○小野明君 いまの説明の最後の項がやっぱり問題だと思うんですね。結局、学校教育の目的に沿う、沿わせるということになるならば、多少の改変はやむを得ないというふうに説明を承ったんですが、そのとおりですね。——それで、私はこの問題にあまり時間を費やすのもどうかと思いますけれども、やっぱり通知をするという表現では適当でない。人格権の尊重という意味からも、やはり同意というふうなことばを——通知をするということだけではなくて、同意と、このように改められないものであるかどうか、私はいまの御答弁では納得をいたしません。それで、いずれこの法案が来国会ですか、次の国会にこういった草案が提案されるということでありますから、その際にまたあらためて質問なり意見を申し上げたいと思っております。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/42
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043・鈴木力
○鈴木力君 関連して。だいぶ時間が過ぎておりますから、全般にはわたらずに、特に私がこの前の委員会でお願いした資料に基づきまして、写真の問題に限って若干伺いたいと思います。まず一つは、この前、私が伺いましたときに、これは大臣の答弁にもありましたが、写真の著作権を今度延長をすると他のほうとの関係で不公平が起こる、そういう趣旨の説明があったと思うんです。その他の方面との不公平という意味を、この前は、たとえば文芸作品なら文芸作品には、延長措置によってもすでに切れたものもある、そういうものがあるときに、写真を全部延長していくと不公平になるから、いま写真を二カ年の暫定延長はできない、そういう趣旨の答弁があったと思うんですけれども、これは大臣に言うよりも局長さんに伺ったほうがいいと思うんですけれども、そこでお願いいたしまして、文芸関係のあれをとりましたら、過去においてすでに著作権が切れてしまったものがある、これは今度の延長措置によっても救われないものがある、このことは確かにわかりました。しかし、今度は、その同じ文芸関係でも、切れないで、この暫定延長によって継続をするものがあるわけですね。今後のものは大部分は継続をするわけです。その間については不公平と判断をなさるのか、不公平と判断なさらないのか、まずそれをひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/43
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044・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 私がこの前答弁いたしましたことは、これはやはり法律改正上、当然起こることでございまして、それが今度の延長しないという理由にはならないと、この点はこの前の私の答弁は誤りがございましたから、この際訂正さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/44
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045・鈴木力
○鈴木力君 そうしますと、私が聞きました意味で、写真のほうを二カ年暫定延長することによって他との不公平は起こらない、そう確認してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/45
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046・安達健二
○説明員(安達健二君) 大臣のきのう申されましたのは、この前の暫定措置のときに保護期間が切れそうなものが死んだと、今度やったものだけが助かった場合に不均衡が起こるのじゃないかというお話でございまして、これは実態的にはそういうことがあり得るわけでございますけれども、純法律的に見ますると、法律によって保護期間を延長すれば、いずれのときにもそういうことが起こり得るわけでございますので、純法律的な面からいいますと、やや困難ではないか、こういうことでございまして、他の不均衡というのは、ここにございますように、団体名義の著作物、そういうものとの関連が出てくるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/46
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047・鈴木力
○鈴木力君 いまの問題の、たとえば、このあとの理由の中の第五項ですか、この第五項に書かれてある、この中の不公平という意味は、これはわかります、写真だけを延長すれば。これ以外のところの不公平というのはいまの御答弁のように確認をしたいと思います。
そこで、もう少し、今度はこの理由のほうについて伺いたいんですが、まず第一に、いままでの暫定延長をしてきたという趣旨は、これはもう何べんも伺っておりますように、いわばつなぎという意味だと、そういうふうに審議官もお答えになっておると思うのでありますが、要するに、いま切れようとしているものを暫定延長をしないことによって抜本的な今度の法改正ができ上がるまでの期間に切れようとするものを救済しようとしておる、これはそう確認をして間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/47
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048・安達健二
○説明員(安達健二君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/48
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049・鈴木力
○鈴木力君 そこで、その前提に立って、この説明と、それからいま、あとで小野委員の質問に対する御答弁と合わしたものに対して若干念を押しておきたいのは、これはどうも私はよくわからぬのですが、それはまず第一に、二項にもそういう意味のことが書いてありますが、「全面的改正までの間に著作権の保護期間の終了する著作権者、とくに早世した著作者の遺族に対する救済を図ることが時宜に適するものであるということであった。」だから、写真は暫定延長しないのだと、こういうことになりますと、写真のほうは十カ年で切れることによって、早世した著作者の遺族というものは写真にはないという前提で写真を除外するといっておるのか、そこをひとつ伺いたいわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/49
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050・安達健二
○説明員(安達健二君) ここに書いてございますことは、この三十一年の延長の際に理由とされましたことを書いたわけでございまして、その際に特に問題となりましたのは、早死にした遺族を保護したい、そういうことになれば、当然死亡時起算のものが問題になる、こういうことでございます。写真についても、たとえば発行後十年前になくなられた場合にはあり得るということが当然あるわけでございますけれども、そういうことよりも、すでにその著作物自体が、死亡時起算ではなくて、発行時起算であるということで基本的に出発点が違っておるということでございまして、もし、それをやれば、遺族救済ということじゃなくて、写真そのものの期間を延長するということになりますね。ですから、その観点が違ってくると、観点は要するに遺族の保護ということでございましたから、遺族の保護ということになれば、当然にその死亡時起算のものが問題になる。そうして、その写真について問題にすれば、単に遺族の問題でなくて、生きている人の問題にも当然つながってくるわけですね。ですから、そこのところが違うということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/50
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051・鈴木力
○鈴木力君 よほどわかってきた。結局ですね、もう少し聞いてから申し上げましょう。いまのことは、審議官の気持ちはわかりました。あとでまた申し上げますが、その次にもう一つ伺いたいのは、三項にある、これはこのベルヌ条約ですか、ここでずっと書かれてある。その中に写真等は条約では、「保護期間を国内立法の定めるところにゆだねている」、こう書いてあるのですね。だから、写真は入れないのだと、こういうふうに読めるのですけれども、これは写真を暫定延長に入れない説明ですからね。しかし、これは条約は国内立法にまかしてあるというものは、その国内で暫定的に次のほんとうの法律案ができるまでのつなぎを講ずることを禁止しているのかどうか、そこを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/51
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052・安達健二
○説明員(安達健二君) 条約上は禁止しているということじゃなくて、ここで言っておるのは、条約上の義務の問題ではなくて、つまりベルヌ条約が一般の著作物については死後五十年というのを各国の義務にしているほど、それほど保護期間については国際的に一致したものがある。その国際的に一致したものがあるならば、当然、新法でもそういうものが考えられるだろうから、それを一応前提にして、それまでに切れるものを保護しようということでございます。ところが、そのほかの著作物、特に写真等につきましては、各国の自由にまかされているから、まだ国際的な基準がない。ですから、それは十分これを検討し、写真の著作権の内容なり、制限の内容とも関連して明らかにすべき問題であるからして、それは本法のときまで譲るべきだと、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/52
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053・鈴木力
○鈴木力君 少なくともですね、かりにですよ、かりに日本の国内法で、いま提案されている法律に、写真も同時に二年を延長すると、こういう法律的に規定をした場合は、条約上は何ら差しつかえないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/53
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054・安達健二
○説明員(安達健二君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/54
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055・鈴木力
○鈴木力君 それからもう一つ伺いたいのは、国際的基準が明らかでない、こうおっしゃっていますがね。この審議官のおっしゃる国際的基準というのは、何をさしているのか、ちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/55
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056・安達健二
○説明員(安達健二君) 一般の著作物につきましては、要するに死後五十年ということがベルヌ条約の義務規定になっており、ブラッセル規定に入っている国はすべて死亡後五十年というものをとっているわけです。したがって、これは国際的基準ということが言えるということを申し上げたわけであります。これに対して、写真につきましては、いろんな国によってもちろん死亡時起算のところもあるし、発行時もあるし、公表時もあるし、いろいろすでに出発点から違う。それから年限については五十年あり、三十年あり、二十五年あり、二十年あり、非常に区々である。だから、国際的にその起算時をいつが一番いいか、いいというより妥当であるかという評価がきまってない。年限についてもこれがおおよそ妥当な線であるという評価がまだ出ていない。だから、日本がかりに草案のように発行後五十年とすれば、世界の基準からすれば相当に上回ることになるわけでございます。したがいまして、そういうことで写真の内容、それから写真の制限、そういうものを全体的に考えて、また利用の問題等も考えて、総合的に考慮すべき問題である、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/56
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057・鈴木力
○鈴木力君 いまの件、もう少し伺いますがね、どうも少し先に言ってしまえば、何となく文部省の説明は、どんな理屈を使って写真を差別するかというところに全努力をあげているように聞こえてしょうがない。そういうふうにしか聞こえないのですよ、ほんとう。たとえばいま国際基準が明らかでないといえば、それはへ理屈がつく。しかし、皆さんのほうで、私のほうでも、この資料を見ますと、大体十五年以下というのは幾つあります、いま。写真の保護期間を各国で国内法でやっておる、十五年にならないという短期間の保護を与えている国は幾つありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/57
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058・安達健二
○説明員(安達健二君) 十五年とか、十五年以下の国はあまりないと思います。ちょっといま資料を持ってきませんでしたので、はっきりとは申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/58
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059・鈴木力
○鈴木力君 私のお聞きしたいのは、いま私は抜本的な法改正の議論をしているのじゃありませんよ。ここのところを審議官も局長も大臣もはっきりして聞いてもらいたいのです。これは時間がないですからね。答申案とか、抜本的な今度提案されるであろう法律の中身まで、そこまで予想していま私はものを言っているわけじゃない。具体的に写真を二年を延長の中に乗っけるという、そういう希望をもってものを申し上げているわけですから、そこは御理解いただかなくてはならない。そこで、国際的基準が明らかでないからこの写真を延ばすのはあとにすると、こういう言い方をなさるけれども、たとえば国際基準といっても十五年以下というのはほんのわずかです。私の持っている資料では八つくらいしかありません。八つくらいのものが、それがあるから二カ年延長できないという言い方をするなら、われわれのほうからすればもっと別の理屈も成り立つ。たとえば生存間を著作権を与えて、それから死後まで与えているものも六つとか七つとかある。アメリカも入れれば八つある。すでに八つの国は生存間はもちろん、死後も著作権を写真に与えているわけです。あなたの言う国際的基準が明らかでないからこれは延長することができませんと。本来は国際的な趨勢からいったら、ほぼ同じくらいのものが死後著作権を与えているという事実に基づけば、これは死後与えてもいいではないかという理屈も成り立つ、機械的な論議からいえば成り立つわけでしょう。だから、私はこのことについての答弁は要らないですが、どうも審議官の考え方は、いかにして写真を切ろうかというところに努力をして、そのための理屈をそっちこっちから拾い上げてつなぎ合わせている、こういうふうにしか聞こえない、こういうことなんです。特にその国際水準と言っても、さっき説明を聞きますと、万国条約でも十年より短くてはならないとある。そうすると、日本の今日は、十年というのは最低なんでしょう。それから今度、ベルヌ条約ですか、どっか、改正後のあれでは二十五年より短くてはならないともある。そうすると、大体これが水準だとすれば、最低でも二十五年になるという見通しはついているわけでしょう。そうすると、写真家の著作権というのが、私に言わせれば、いま十年だ。しかし、国際情勢もすでにそう変わっているのだから、抜本的法律を今度提案をしてきめるときでも、あるいは条約がどう変わるか知れないけれども、少なくとも二年延長してそれで困るという理由は、もう出てはこないのじゃないですか、国際的な情勢からいっても。それからもう一つは、国内法からいっても、これは国内法は条約と抵触をしないのだ。それはもちろん将来改定をすることであるけれども、そこへ持っていくつなぎに、どうして写真家を入れることができないのか。その辺は審議官から——審議官からといいますか、文部省から出されたこれの答弁によっては、この理由によっては絶対に回答する理由にはならないはずなんです。どうですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/59
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060・安達健二
○説明員(安達健二君) 私どもは一般に写真の著作権の保護を現行法でいい。将来の問題として、そういう意味で申し上げているわけではなくて、現在の暫定延長をどうするかということに焦点を合わせて申し上げていることを御理解いただきたいと存じます。その場合に、この写真について最初の暫定延長の措置のときに写真が取り上げられなかったのは、先ほど申し上げましたように、国際的水準が明白なものだけ取り上げて、そのほかのものは取り上げなかったというそのことを申し上げているわけです。そして今度はその措置を引き継いだものであるから、その措置として、例外措置として考えられるものであるから、従来のその考え方をとって、そうして抜本的な法改正はこれはできるだけ早い機会の本法に譲りたい、こういうことだけでございまして、写真家を特に不利にすべくというような意味で申し上げているわけでないことだけはひとつ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/60
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061・鈴木力
○鈴木力君 そこをはっきり、混同しないようにお考えいただきたい。私はこの前にも申し上げたけれども、写真とその他のものとの差がつく、これはまあ国際的趨勢だとか、いろいろな資料がありますから、これはこれとして、十年というのは現実に差がついているわけですね。現実に差がついている。十年というのがついている。それからこの前の暫定延長によって、三十五年——死後三十五年、発行後十年、それだけの差はついておりますよ。ついてはおるが、日本のいまのこの著作権法という法律がそういう状態で認められておるわけでしょう。これを今度延長しなければ、法改正ができないから、できないことによって著作権が切れるという人が出てくるわけですから、その切れるのを救済しようとして二カ年延長しようとする、そういうことでしょう。そのときになぜ写真を捨てるのかという説明はいまの説明ではわからない。先に手をかけなかったから今度手をかけません——たとえば、まま母がまま子に対して、最初に、「お前はかわいくない」と言ったから、だから、その次に日干しになろうとしても、最初のときに「かわいくない」と言ったら、今度日干しになろうとしても最後まで食わせるわけにいかない、こういう論理と同じじゃないですか。そういうことではなしに、暫定延長によってこちらは三十五年、こちらは暫定延長の措置はしないが十年という現状にはある。しかし、将来の見通しを立てれば、およそ、答申にも出てくるように、発行後と死後は問題があるにしても、答申によっては発行後五十年と出ているでしょう。あと四十年延びるというのが法改正の趣旨になっている、いわば。あるいは国際的な水準はどうなるかは別として、ベルヌ条約会議を経なければわからないと、そう言うだろうけれども、映画にしても最低二十五年は下っちゃいけないと、こう書いてあるでしょう。だから、法改正をすればどうしたって十年で切るというのが趣旨じゃないでしょう、全体の写真に対する。そこははっきりされているのでしょう。それを何か技術論みたいな、ことばをこね回して——写真だけはここでは船には乗っけていませんよ。あとで助けることを講ずるけれども、しばらくはこうするけれども、いま死ぬやつは死になさいと、こういう言い方をしておる。それではとても、なるほどそうですかということにならぬじゃないですか。この法律の改正の趣旨からいっても、先に手をかけなかったということがもし理由ならば、先に手をかけなかったのが誤りであって、ほんとういったら、先に手をかけておくべきだった。それを、手をかけないでおって、いまじゃんじゃん写真家協会のほうから言ってきておる。それをなぜ強引にどうしても突っぱって、ここで十年で一たん切って、殺して、それからあとで助けることを考えましょうと言うのか。その辺をもう少し率直に私は御答弁をいただきたいということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/61
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062・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) 提出いたしましたこの写真の保護期間について、ここに六つほど掲げておりますが、これは提出する前にいろいろ理由として考えられ得ることをここに掲げております。で、いま御説のように、写真家協会のほうでも、今回の暫定延長に乗せてほしいという強い要望のあることも存じております。ただ、率直かつ端的に申し上げますならば、最初に衆議院のほうから議員提案になりまして、その趣旨を再三繰り返しますけれども、その前々回、前回の趣旨を受け継いで、その面に限って今回暫定延長の措置をしたということ、それからこの四項に書いておりますように、これも何べんも御説明いたしましたように、写真の著作につきましては嘱託写真の問題とか、それに伴いまして著作権の取得の問題とか、なお検討を要するということ、したがって、それと合わせて、ひとつ今度は画期的な保護期間を考えようということ、それからさらに写真の著作権と密接な関係のございます団体名義の著作物という関係からいたしましても、ひとつ最後に書いておりますように、この成案を得るのがあと一年か、せいぜい長くても二年というふうに私ども考え、その時点に最大の努力をいたそうという気持ちでございますので、いま申し上げましたように、写真につきましては、はなはだ説明が納得がいかないとおっしゃいましたが、そういう点を考えて、今回は写真をはずしていただきたいと、こういう気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/62
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063・鈴木力
○鈴木力君 おこって言うわけじゃありませんが、生まれつきですからお許しをいただきたいのですが、納得いかないけれども通してくれという言い方は、これは私ども審議している者に対して提案者が言うのはちょっと理解がいかないのですよ。どういうことなんですか。その真意を、これは大臣に聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/63
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064・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 私も実は著作権法につきましては、非常にむずかしい法律で研究が十分足りておりませんが、保護期間を延長いたします場合において重大な法的な困った問題がたくさん起こってくるという場合は、これはなかなか容易でない問題だと思います。しかし、多少理由にあげております四の不均衡とか、あるいは写真そのものの著作権についていろいろな問題を考えなければならぬという問題もあると思いますが、これは二年のときに写真を入れるべきじゃないかという、党内におきましてもいろいろの論議がございました。しかし、私どもが、この写真を入れないで提案いたしました一番大きな理由は、この第一回に延期をいたしましたときに、写真もやはり論議の対象になったと存じますが、衆議院のほうで議員提案でなされましたときに、写真を省いて二年延長ということで提案になったわけです。その状況がございまして、そのことを延長二回繰り返してまいりまして、今度三回目の延長になりますときに、衆議院で提案をされましたときの意思を変えて出すべきものかどうか、この問題は私どもはだいぶ考えなければならぬ問題だと思います。一応、国会においてそういう決定をされて、それが通ってきたものですから、ですから、私はこう思うのでございますが、写真は、延ばしましたところで二年でございまして、これはいろいろな不合理な点がありましても、法規上は国内法が今度改正になりますれば、五十年に延長しようというときでございますから、これを暫定的に延長いたしましても、法律的にそうたいした——われわれが写真を二年延長するというのはこの際やめてくださいということを、るる理由を出して言ってはおりますけれども、その理由をつけまして写真をストップかけましても、またあるいはこれは延長の中に入れても法律的にはたいした問題じゃないんじゃないか。そうしますと、一番私は大きな問題は、国会の側の意思が一応そうなっておりますので、私どもはその意思をわれわれが変更した形で出すということは、これは国会に対して、かえって、その後なぜやったかと、こういうことについての説明がなかなかつきにくいことがありますので、それで、その点はひとつ私どもも十分御相談申しまして、研究さしていただきたい。かたくなに、二年、写真を延長しないということでがんばり通していくという気持ちはございません。国会の御意思が決定になれば、私どもはそれに従うことにやぶさかでないのでございます。まあそういうことで提案をいたしましたから、いかにも写真の二年にわれわれが固執しているように申されますけれども、これはどうしても提案者といたしまして、やはり原案を支持するという意味でいろいろ理由を申し上げるのは当然だと存じます。この点はもう少し研究さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/64
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065・鈴木力
○鈴木力君 いまの大臣の御答弁でだいぶわかってまいりました。ただ、大臣にお願いしたいのは、局長さんも審議官もえらい人には間違いないけれども、大臣は慎重に審議してくださいと、これを提案理由にも述べて説明しているのですから、あと途中から、理屈は納得できないだろうが、早く通してくれというような、そういうものの言い方だけは慎しんでいただきたい。ひとつ要望しておきたいと思います。
それからもう一つだけ大臣のいまの御答弁の趣旨、だいぶよくわかりましたので、これから私どもまた審議いたしますが、もう一つだけ念のために聞いておきたいのは、全面的改正の時期まで、写真も嘱託写真とか、いろいろ問題がある、問題もあるから、全面的改正までやらないということなんですけれども、この説明ではよくわからぬですね、言い方が。というのは、全面的改正というのは、写真だけ問題があって全面的改正するんじゃないんでしょう。全部にいろいろ問題があって全面的改正するんだから、その問題点は全面的改正のところで整理すればいいわけですね。写真が十年という趣旨で出発してきたものが全面的改正でどうなるかは別として、それまでの間は、ここで十年で切れるというのは、何年がいいかわかりませんけれども、これを救済するためにやはり二年延長していくべきだ、これは私の考え方なんです。そこで、全面的改定というのは写真だけに問題があるんじゃないと思うが、どうですか、そこだけ聞いて私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/65
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066・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) その点はおっしゃるとおりでございます。ただ、繰り返して申しますならば、今度の暫定延長が前々回並びに前回の趣旨を受けて、暫定延長になっているものについてのみ引き続いて暫定延長をやるということでございますので、いまおっしゃいますように、写真についてだけ問題があるからこれを直すという趣旨ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/66
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067・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 他に御発言がなければ、本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/67
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068・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/68
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069・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
オリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、参考人として、オリンピック記念青少年総合センター理事長北岡健二君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/69
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070・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/70
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071・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 続いて、オリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本法案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
なお、政府側より剱木文部大臣、赤石体育局長が出席いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/71
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072・秋山長造
○秋山長造君 ごく短時間になりますけれども、ちょっと序の口の質問をさしていただきたいと思うんですが、きのうも実は私ども現地をちょっと見せてもらってきたんですが、この現地を見せていただいた感じとしては、全国に国立青年の家というのが何カ所かありますが、その国立青年の家と似たり寄ったりの内容のように見受けたんです。ただ、名前は、オリンピック村の施設をそのまま引き継いだ関係もあって、オリンピック記念青少年総合センターということになっておりますが、青年の家と、いま議題になっております青少年総合センターというものとはどういう関係になっているんですか、関係があるんですか、ないんですか、あるいは青年の家があちこちあって、その中のセンターとして東京にこういうものがあるという関係になるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/72
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073・赤石清悦
○政府委員(赤石清悦君) ただいまお尋ねの青年の家との比較でございますが、私どもはこういうふうに理解いたしております。青年の健全育成といったような包括的な目的については私どもは大体同じものをねらっている、こう考えております。ただ、先生御承知のように、青年の家は社会教育局が所管いたしております。それからオリンピック記念青少年センターは体育局で所管いたしております。それから大きな違いは、青年の家は、あれは政府が直接運営する、つまり国立青年の家でございます。ところが、青少年総合センターは国が出資したり、年々予算で援助はいたしておりますけれども、これは特殊法人でございます。したがって、その援助の体制、それから指導監督の度合いにおいて国立機関であるか、特殊法人であるかといったような違いはございます。したがって、そういう基本的な違いがますので、細部にわたって一、二申し上げますと、非常に収入をあげなければ経営ができないという面があったり、それからまあこの辺で適当にやりなさいといって国がある程度突っぱねるわけじゃございませんけれども、青年の家ほどどうしても援助の手が差し延べられないといったようなこまかい点で少しづつ違ってまいっております。ただ、一番最初に申し上げましたように、やはり日本の青年のためにいい施設にしようという点においては全く青年の家と同じだ。できるだけ青年の家のいい点も入れたり、また、青年の家以上に特色のある味わいを出そうなどといったようなくふうはこらしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/73
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074・秋山長造
○秋山長造君 同じことをねらっておって所管が違うということですが、そのことのいい悪いはいま申しませんが、去年の一月に業務開始されまして一年あまりたったわけですが、大体この一年間で軌道に乗ったのですか、どうでしょうか、ばく然とした質問ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/74
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075・赤石清悦
○政府委員(赤石清悦君) ここには理事長も見えておられますけれども、まあ軌道に乗りつつあると申し上げていいと思いますが、完全に軌道に乗ったとはちょっとまだいいにくい事情があるのじゃないかと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/75
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076・秋山長造
○秋山長造君 もう時間がありませんから資料を、この一年間の利用状況、何か表にしたようなもの、できませんか。簡単にできればちょっとこの次までにいただけませんか。この一年間の、ちょっと見たら大体の状況がわかるような。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/76
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077・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/77
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078・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/78
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079・赤石清悦
○政府委員(赤石清悦君) ただいま先生の資料につきましては、用意しているものもございますので、次回までにさっそく調整いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/79
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080・中野文門
○中野文門君 ちょっと関連して。いま秋山委員のおっしゃった青少年総合センターが発足してもう大体一年たちますね。幸いに理事長お見えですから、ごく簡単に、資料もちょうだいしたいわけですが、ちょっと簡単にここで御説明願えませんか。一年間の経緯、どういう実績になっているか。何かこのうち、新聞によりますと、何か事業成績が期待はずれだということが出ているのですが、簡単でよろしい。いずれ資料によってまた……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/80
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081・北岡健二
○参考人(北岡健二君) お許しを得まして簡単に申し上げます。
四十一年の一月から利用を始めましたのですが、四十一年の一月から三月まで、つまり四十年度におきましては、合計で一万六千八百七十四名の利用者がございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/81
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082・秋山長造
○秋山長造君 ちょっともう一度数字を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/82
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083・北岡健二
○参考人(北岡健二君) 一万六千八百七十四名程度でございます。それから、四十一年度に入りまして四月から三月までの団体の数にしまして千二百二十九団体で、延べ人員が十五万五千七十五名、これは宿泊した人員でございます。延べ宿泊数と申しますか、人員、これの内訳でございますが、四十一年度のはちょっと集計のしかたを変えておりましたので一応ございませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/83
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084・中野文門
○中野文門君 私の場合、四十一年に限って一年間の、ちょうど四十一年度中だけにしぼってけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/84
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085・北岡健二
○参考人(北岡健二君) 四十一年度中におきまして、社員といいますか、企業体のほうの関係が約七万七千、それから青少年団体が一万九千、スポーツ団体の研修が六千六百、大学生の団体が一万一千、それから高校生が五千六百ばかりと、中学生が千四百、それからおとな、少し大きくなりますが、おとなのほうが二万三千、外国人の団体が八千九百、これでただいま申し上げました十五万五千という大体の数字になるわけでございます。大ざっぱに申し上げますと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/85
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086・中野文門
○中野文門君 これは収容人員の数字だけだけれども、もうちょっと肉づけして、一年間の運営とか、いろいろなことを簡単に言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/86
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087・北岡健二
○参考人(北岡健二君) 財政面におきましては、最初の四十年度、この三カ月間でかなりの赤字が出ました。これは一万六千程度の宿泊では足りませんのです。その結果、約千二百万円程度の赤字でございます。それから四十一年度一年間におきまして、やはりこれ予定の七〇%程度の収入にとどまった結果、一千万円の不足を生じました。したがって、累積した赤字が合わせて二千二百万円、こういう状況でございます。これは一年間やってみまして気がつきましたことは、季節的に非常に出入りがあるということ、使用の状況が非常に違うということでございます。四月は非常に多いのですが、五月にがたんと落ちます。それから六、七、八とだんだんふえてまいりまして、九月にまたがたんと落ち、そうして十月、十一月とかなり入ってくるのですが、十二、一、二とがたっと落ちてまいります。三月にまたふえてくる。そこで、こういう実態に対応して、今年度におきましてはあいている端境期と申しますか、普通で入ってこない部分をどうやって利用させるかという問題をいろいろ考えまして、今年度はまた新しく方向を開きたい、こんなふうな考えでございます。今年度の三月末から四月までの状況を申しますと、ちょうど新入社員の研修が行なわれるという関係で非常に多く申し込みがありまして、大体定員の倍くらいの人数になります。そういう非常に集中した状況のときと、それから非常に閑散の状況のときと季節的に非常に波があるということが発見された。ほかの青年の家などに比べてこの波がひどいようでございます。これは都市にある一つの特性ではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/87
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088・楠正俊
○楠正俊君 関連。国立青年の家は、大体景色がいいとか環境が非常にいいとかいったような場所に置かれておるけれども、ああいう都心にあってどういう魅力を青年がそれに感じてそこを利用するのか。また、現在使われている利用者の状態ですね。どういうように利用しているか。たとえば研修会をやるとか、ただそれだけのための施設なのか、私よく見てないからわからないのですが、そこを説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/88
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089・北岡健二
○参考人(北岡健二君) このセンターは宿泊研修施設ということでございますが、宿泊施設は非常に豊富な程度のよい宿泊施設を持っております。その点は自信を持っておりますが、これに見合う研修施設のほうが少しアンバランスでありまして、現在までのところは宿泊室と同じものを改造して研修文教の部屋にしておりました結果、非常に細長い部屋ができたり、柱のある部屋ができたりというようなことで、小規模の研修には使いやすいが、大規模の研修には使いにくい、こういう状況ができまして、きのう開館いたしましたスポーツ研修館というところへは、そこで、そういう点を直すために、規模の大きい百人、二百人の団体が研修に使えるような研修室をつくったようなわけでございます。
それから、センターでは宿泊を条件といたしておりますので、宿泊しないで研修活動をやろうという場合に使えないからというので、本年度はその方面に道を開拓したいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/89
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090・楠正俊
○楠正俊君 たとえば、その研修の合い間に青年が魅力を感じるようなスポーツ施設とか、そういうものはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/90
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091・北岡健二
○参考人(北岡健二君) レクリエーションの施設が当初——ああいうところでございまして、建物が並んでおりますが、広場とか、それから屋内の運動場とか、そういうものを持っておりませんでしたので、とりあえず、むねとむねの間にスポーツの施設をつくって、去年の秋からそれが多少使えるようになりましたが、秋口にかかってしまったものですから、あまり利用されないで、本年度に入って非常に利用されるようになりました。それから、そのほかにまだ文化的な活動のためにいろんな設備をしてやらないとまずいと思うのでございますが、そのほうまではまだ手が及びません。ただ、非常に評判がよろしいのは、音楽関係の練習をするのに非常に好都合だというので、これはかなり世間に広まって、学校のクラブや会社のクラブなどが音楽の練習に、合唱や器楽やオーケストラまでやってきております。これは、ああいうところでございますから、ほかにじゃまにならないで思う存分できるという長所だろうと思います。そういう面でくふうして新たに開いていく面が非常に多いというふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/91
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092・秋山長造
○秋山長造君 さっきお願いした資料に、さらにできればいろんな行事ですね。朝、何時に起きて、どういうふうなことをして、夜、消灯までこういう行事をしたとか、やっておられるでしょう。いろいろそういうことも合わせた資料をひとつ出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/92
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093・北岡健二
○参考人(北岡健二君) よろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/93
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094・秋山長造
○秋山長造君 それだけお願いして、きょうはこれでやめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/94
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095・中野文門
○中野文門君 いま、秋山委員の資料要求ですがね、あなたのほうにいろいろとPRの印刷物等あるでしょう。そういうようなものを、参議院の文教委員会の次の機会に、ひとつあるものだけ皆さんにちょうだいしたいですがね。ちょっと宣伝しなさいよ。こういうところにも。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/95
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096・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) いま中野委員から発言がありましたけれども、なるべくPR用に文教委員会にも資料をひとつ出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/96
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097・中野文門
○中野文門君 それと、いろいろとあなたのほうの赤字問題とも関係するわけですが、東京を中心に全国からやってくる修学旅行の学生の宿泊について、何かお考えになったことがあるかないか、ちょっと一口だけ聞かしていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/97
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098・北岡健二
○参考人(北岡健二君) 従来、実は宣伝不足というおことばのとおり、多少、行政機構を通じてだけ修学旅行誘致ということを考えておりました。それだけではどうしてもネックがあるようですから、本年度から旅行あっせん業者の信用のできる部分と契約して、来てもらうようにやるということを考えたのですが、これがそういう話にしてやりましても、大体、修学旅行というのがかなり先の計画を立てておりますので、一年半か二年ないと効果はあらわれてこないだろうというような状況でございます。ことに、五月の端境期、これをそういうので充足するように考える、したがって設備においても、修学旅行に適するような、たとえば、朝一斉に湯を水筒に詰められるような設備とか、そういうものも考えなければいけない。で、本年度の工事の中でそれを進めておいて、その間にも、このごろは新しい修学旅行の形というのがぼつぼつその線で参っております。従来の大きいのが、いまのような形でやる、そういう方法をとっている、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/98
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099・中野文門
○中野文門君 いずれその問題は、あらためてまた次の機会にお尋ねしたいと思いますが、修学旅行の学生をあなたのほうにお世話しても、定款で受け入ればできるようになっているのでしょうね。それを心配しておったのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/99
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100・北岡健二
○参考人(北岡健二君) その辺は全然御心配ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/100
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101・中野文門
○中野文門君 修学旅行の学生が普通の旅館に泊まりますね、狭いところに。ああいう学生をあなたのほうにお世話しても受け入れても差しつかえないような組織になっておりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/101
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102・北岡健二
○参考人(北岡健二君) 修学旅行の団体では、正面切ってではございませんが、何か気にしていらっしゃるようなふうが見えます。センターが修学旅行生を受け入れる問題といいますか、進出し過ぎては困るというふうな懸念を持っていらっしゃるようですが、それほどの能力ございませんですらか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/102
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103・中野文門
○中野文門君 いや、私のお尋ねするのは、修学旅行の学生は受け入れても、あなたのほうの定款といいますか、それには差しつかえありやなしやということをお尋ねしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/103
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104・北岡健二
○参考人(北岡健二君) たてまえ上ちっとも差しつかえないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/104
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105・中野文門
○中野文門君 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/105
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106・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 他に御発言もなければ、本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十八分散会
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X00619670518/106
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