1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月二十日(火曜日)
午前十時四十分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 大谷藤之助君
理 事
楠 正俊君
中野 文門君
秋山 長造君
鈴木 力君
委 員
北畠 教真君
近藤 鶴代君
内藤誉三郎君
吉江 勝保君
小野 明君
小林 武君
千葉千代世君
柏原 ヤス君
林 塩君
発 議 者 鈴木 力君
国務大臣
文 部 大 臣 剱木 亨弘君
政府委員
文部大臣官房長 岩間英太郎君
文部省初等中等
教育局長 斎藤 正君
文部省社会教育
局長 木田 宏君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 猛君
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本日の会議に付した案件
○国立及び公立の学校の教員に対する研修手当の
支給に関する法律案(鈴木力君外一名発議)
○公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数
の標準等に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/0
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001・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
国立及び公立の学校の教員に対する研修手当の支給に関する法律案を議題といたします。
まず、発議者から提案理由の説明を願います。鈴木君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/1
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002・鈴木力
○鈴木力君 ただいま議題となりました国立及び公立の学校の教員に対する研修手当の支給に関する法律案について、提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
一般的にいって、教育においては、教える人の問題がまことに重要であり、教育の発展が個々の教員の人格及び教育的、技術的資質に依存するものであることは申し上げるまでもありません。そして、これらの資質を向上させるためには、教員の研修が欠くべからざるものであることもまた多言を要しないところであります。したがいまして、すべての教育計画は、教員が自主的、積極的に研修を行ない得るよう十分な機会の提供がはかられるとともに、専門的職務への集中を可能ならしめる措置が含まれるものでなければなりません。
わが国においても、このことはつとに認識され、教育公務員については他の一般公務員制度の特例としての教育公務員特例法が昭和二十四年に制定され、特別の研修制度がしかれております。すなわち、他の一般公務員が当局の行なう研修を受動的に受けるのに対して、教育公務員の場合は、能動的にみずから研修することを義務づけられているのであります。教育者の本質、使命からして当然のことでありましょう。
しかしながら、このような教育者の使命もしくは義務の遂行も、教育者に対する待遇の考慮、研修費の提供、研修施設、設備の整備等の諸条件が確立されなければ、十分に期待できないこともまた言うをまたないところであります。かような点の理解があったればこそ、教育公務員特例法制定時においても、国会では、研修費に対する財政の裏づけの問題が真剣に討議され、法案修正の方針をきめたのでありましたが、当時は占領下のこととて、遺憾ながら国会の意思は貫けなかったのであります。
その後、十数年を経ましたが、その間の文部省の研修に対する施策を見ますと、文部省講習会の開催、教育研究団体に対する補助金の支出、教育会館、教育センターの設立等、文部省なりの努力のあとがうかがえますが、これらの予算や施設はほんの一部の教員が利用し得るのみで、すべての個々の教員が研修に打ち込む予算の裏づけ、機会の提供からはほど遠く、むしろ、今日、教育学界において問題になっている教育課程の統制的押しつけ、画一的な天下り教育研究の推進以外に何らの意味がなく、現場の大多数の教師にとってきわめて大きな不平不満の要因になっております。その結果は教育界に沈滞の風潮を招来し、日本の真の教育発展に対して大きな不安を与えているのであります。
今日、教育公務員の待遇は、他の公務員と比較しても決してよいとは申せません。また、研修費についても、国立大学には相当額の講座研究費や教官研究費が予算化されておりますが、高等学校以下には全然ありません。ところが、私どもの最近の実態調査では、高等学校以下の教員が、研修のために毎月自分で購入する図書の費用は約二千円という事例が最も多いのであります。また、各種の研究会、講習会への参加や見学、研究のための出張、旅行等に要する費用と労力も相当なものにのぼっております。なお、旅費については、予算上は、教員一人当たり年間平均八千円程度でありますが、これは、赴任旅費や校長、事務職員の事務連絡旅費等にほとんど食われてしまい、修学旅行、臨海学校、林間学校、対外試合等の付き添い旅費はPTA負担に依存している状況で、研修のための旅費は事実上皆無に近いのであります。
このような実情を考慮いたしまして、教員のすべてに研修を積極的に行なってもらうためには、この際、ぜひとも研修手当を支給する必要があるとして、本法律案を提出した次第であります。
本法律案の内容といたしましては、第一に、国立の高等学校以下の常勤の教員に対して月額四千円を研修手当として支給すること、第二には、公立学校の教員の研修手当は、国立学校のそれを基準として定めること、第三には、施行期日を昭和四十二年九月一日としていること、第四には、附則において関係法律の改正を行ない、市町村立学校職員給与負担法の改正にともなって、義務教育諸学校の教員の研修手当の半額は国庫が負担することになることを特に付言いたしたいと思います。
以上でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/2
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003・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 以上で本法案についての提案理由の説明聴取を終わります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/3
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004・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、文部大臣から提案理由の説明を聴取いたします。剱木文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/4
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005・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) このたび政府から提出いたしました公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
高等学校は、後期中等教育を担当する学校として、中学校からの進学率も年々上昇し、わが国の学校教育においてまことに大きな役割を果たしております。公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律は、このような高等学校教育の重要性にかんがみ、昭和三十六年に制定されたのでありますが、この法律に定める学級編制及び教職員定数の標準並びにそれに基づく国の財源措置は、各都道府県における高等学校教育充実のためには重要な役割りを果たしてまいったのであります。しかしながら、法律制定後、高等学校生徒の急増期も過ぎた今日におきましては、今後の生徒数の推移も勘案しつつ、さらに検討を加えて、その改善をはかり、高等学校教育水準の一そうの向上を期する必要があると考えるのであります。
このたびの改正は、高等学校の学級編制の標準の改善をはかること及び教職員定数の標準について一そうの充実をはかることを主眼としており、なおこの際、特殊教育諸学校の高等部にかかる学級編制及び教職員定数について新しく法律上の規定を整備しようとするものであります。
高等学校の教職員定数の標準の充実につきましては、高等学校における職業教育の充実、勤労青少年教育の振興、学校の管理運営、生徒指導の充実、学校保健、学校図書館事務の強化、高等学校教育の多様化に伴う定数配置等について特に配慮しました。
盲学校、聾学校及び養護学校の高等部にかかる学級編制及び教職員定数につきましては、従来、学級編制についてのみ文部省令による標準があるという実情でありましたので、この際、これら高等部の学校編制及び教職員定数の標準について法律上これを明定するとともに、あわせてその改善をはかり、これら特殊教育諸学校の高等部における教育水準の向上をはかることといたしました。
次に、この法律案の内容の概要を申し上げます。まず第一は、公立高等学校の学級編制の標準の改善であります。すなわち、現行法によれば、普通科、商業科及び家庭科等の一学級の生徒の数は五十人を標準としておりますが、これを全日制の課程にあっては四十五人、定時制の課程にあっては四十人として、教育効果の一そうの徹底をはかることとしたのであります。
第二は、公立高等学校の教職員定数の標準について、職種別に標準となる数の改善をはかったことであります。すなわち、その一は、農業、水産及び工業に関する学科における専門教育を充実するため、全日制課程に置かれるこれらの学科について、専門教科担当教員及び実習助手の定数の充実をはかるとともに、商業科及び家庭科についても同様の趣旨で実習助手の定数の充実をはかったことであります。その二は、教頭及び定時制主事並びに生徒指導等を担当する教諭について、それぞれの職務の遂行をより容易ならしめることを考慮し、教員定数の算定について配慮したことであります。その三は、通信教育の充実をはかるため、通信制の課程の教員定数を改善し、また通信制主事の定数を新たに加えたことであります。その四は、高等学校における保健管理の充実のため、養護教員の定数を改善したことであります。その五は、高等学校における学校図書館の事務量を考慮し、事務職員定数の改善を行なったことであります。その六は、今後における後期中等教育の拡充に伴う高等学校の学科の多様化を考慮し、政令の定めるところにより、特定の学科については教職員の加算等が行なえるよう規定の整備をはかったことであります。
第三は、公立の盲学校、聾学校及び養護学校の高等部にかかる学級編制及び教職員定数の標準を新たに規定したことであります。その一は、学級編制の標準について、小学部及び中学部のそれと同様標準となる数を十人としたことであります。その二は、教職員定数の標準について、教員の基礎定数の算定方法を定めるとともに、専門の学科及び養護学校の機能訓練関係の教員等並びに実習助手、寮母及び事務職員の定数の算定方法について定めたことであります。
さらに、第四は経過措置についてであります。この法律案は、昭和四十二年度から施行することといたしておりますが、その実施については必要な経過措置を設けることといたしました。まず、公立高等学校の学級編制の標準につましては、今後の生徒数の減少及び学校施設の整備の状況等を考慮しつつ、昭和四十六年度を目途として新しい標準に達することができるようその間の必要な経過措置を政令で定めることといたしました。また、公立高等学校の教職員定数の標準につきましても、今後の生徒数の減少及び公立高等学校に置かれている教職員の総数を考慮しつつ、原則として五カ年の年次計画により新標準を達成することができるよう必要な経過措置を政令で定めることとした次第であります。次に、盲学校、聾学校及び養護学校の高等部にかかる学級編制の標準につきましては、昭和四十二年度から新標準を実施することとし、一方、教職員定数の標準につきましては、高等学校におけるそれと同様の趣旨により、五カ年の年次計画による新標準の達成について必要な経過措置を設けることといたしたのであります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/5
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006・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 引き続き、政府委員から補足説明を聴取いたします。斎藤政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/6
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007・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 大臣の説明を補足して、法律案の内容について御説明申し上げます。
この法律案の内容の第一は、公立高等学校の学級編制の標準の改善についてであります。学級編制の標準につきましては、現行法第六条において、全日制の課程及び定時制の課程を通じ、普通科及び商業または家庭に関する学科等は五十人、農業、水産または工業に関する学科等は四十人と定められておりますが、改正案におきましては、普通科及び商業または家庭に関する学科等について、全日制の課程にあっては四十五人、定時制の課程にあっては四十人といたしました。これは、教育効果の一そうの徹底をはかるためでありますが、定時制の課程については、生徒のほとんどが勤労青少年であること等の実情も考慮したものであります。なお、農業、水産または工業に関する学科等につきましては、従来どおり四十人を標準としておりますが、これらの実験実習を伴う学科については、実験実習がより徹底できるよう教員や実習助手を配置することが肝要でありますので、この際、教員等の定数の充実をはかることといたしております。
この法律案の内容の第二は、公立高等学校の教職員定数の標準の改善についてであります。まず、第九条関係、教諭等の数についてであります。第九条第一号第一表中、全日制の課程及び定時制の課程についての改正は、学級編制の標準の改善に伴い、生徒数に対する教員の数の比率の改善をはかったものであります。同表中、通信制の課程についての改正は、勤労青少年教育の充実の見地も考慮し、面接指導及び添削指導の充実を期するため、各学校において平均二人の教員増となるよう措置したものであります。
第九条第二号の改正は、農業、水産及び工業に関する学科にかかる専門教科担当教員の充実についてであります。これらの学科にあっては、現行法は、普通科等の場合に比し学科ごとに一人または二人の教員を加算することとなっておりますが、この改正案におきましては、これらの学科における実験実習の班別指導をより充実することを考慮し、全日制課程でその生徒数が一定規模以上となる学科については、教員一人をさらに増加することとし、また、工業に関する学科については、以上のほかさらに一人を加えることといたしました。
第九条第三号の改正は、小規模分校に対する教員加算の改正についてであります。生徒の数が百人に達しない小規模の分校であっても、地域の実情等により、必要なものは今後もこれを充実する必要がありますので、その教員の配置について、従来よりもさらに一人を増加することとしたものであります。
第九条第四号の改正は、教頭及び定時制主事並びに生徒指導等を担当する教員に関してであります。現行法においても、これらの管理的職務などを担当する教員についての定数算定上の配慮がなされているのでありますが、この改正案では、これらの職務の遂行をより容易ならしめるため、定数加算の改善を行ない、特に生徒指導担当の教員についても考慮いたしました。なお、大規模学校について教員一人の加算を行なうこととしましたが、これは大規模学校における教員数の算定がその授業時数からみて、他の場合よりもややゆとりが少ない状況でありましたので、均衡上その是正をはかったものであります。
第九条に新しく第五号を設けましたのは、通信制の課程の充実施策の一環として、第九条第一号による教員定数の改善に加えて通信制主事のための定数の加算を行なうこととしたものであります。
次に、第十条関係は、養護教諭等の定数標準の改善についてであります。学校の保健管理をさらに充実する見地から、このたびの改正案におきましては、養護教諭等を配置する学校の規模の下限を引き下げることとし、九学級程度から配置できるよう改善をはかることといたしております。
次に、第十一条関係は、実習助手の定数標準の改善についてであります。第十一条第一号の改正は、学級編制の改善に伴う措置であります。第二号の改正は、実験実習を伴う農業、水産及び工業に関する学科につきまして、実験実習に必要な授業時数の状況を考慮し、従来の実習助手の定数加算を増加するとともに、従来、実習助手の定数加算のなかった商業及び家庭に関する学科についても、実習等の授業時数が多くなる十五学級程度以上の場合は、実習助手の加算を行なうことといたしました。これらは、いずれも実験実習における専門教育の充実のための措置であります。
次に、第十二条関係の事務職員定数の改善について申し上げます。第一号の改正は、学級編制の標準の改善に伴う措置でありますが、このたび新しく一号を設け、高等学校における学校図書館の機能の充実をはかるため、その事務量が相当多くなる十八学級以上の規模の学校に事務職員一人を加算することといたしました。
次に、第十三条関係は、教職員定数算定に関する特例規定の改正についてであります。この改正は、今後における後期中等教育の拡充整備に伴い、高等学校の学科の多様化を考慮したものであります。すなわち、今後、従来例を見ない新しい学科を設け、あるいは既存の学科でも教育課程の編成上従来とは異なる新しい分野の内容を盛る必要が生ずることも考えられるわけであります。このような場合、教職員定数につきましても、その算定上若干の特例が必要となってまいることが考えられます。このような事態につきましては、現在の時点においてすべてを予定することは困難でありますので、教職員算定の特例を設けるべき学科の指定や特例の内容については、必要に応じ政令で定めることとする規定を設けたものであります。現在のところ、この場合に該当するものとしては衛生看護科を考慮しており、政令において、教員及び実習助手の必要な加算を行なうことを予定いたしております。
この法律案の内容の第三は、公立の盲学校、聾学校及び養護学校の高等部にかかる学級編成及び教職員定数の標準の新設についてであります。まず、高等部の学級編制の標準につきましては、従来、学校教育法に基づく文部省令において一学級を十五人とする標準が規定されていたのでありますが、この改正案においては、高等部における教育効果の一そうの徹底を期するため、学級編制の標準となる生徒の数を十人と定めたものであります。
次に、高等部にかかる教職員定数の標準についてでありますが、まず、校長及び養護教諭等につきましては、小・中学部を置く特殊教育諸学校の場合は義務教育の標準法ですでに定数が算定されておりますので、この法律案では、高等部のみを置く特殊教育諸学校について定数を算定することといたしました。
次に、教諭等の定数につきましては、高等部の生徒数五人につき一人の教員を基礎教員数といたしましたが、特殊教育諸学校における専門教育の充実をはかるため、専門教育を主とする学科については、所要の教員定数の加算を行なうこととし、また、養護学校の高等部の普通科についても、商業及び家庭に関する教科を専門学科並みに行なっている実情にありますので、専門学科に準じ教員定数を加算することといたしております。なお、肢体不自由生徒を収容する養護学校の高等部については、特に機能訓練関係教員を配置することといたしました。
次に、実習助手につきましても、専門教育を主とする学科及び養護学校の高等部普通科については、教員の定数加算の趣旨と同様の趣旨により、所要の実習助手を置くことといたしました。また、寮母の定数につきましては、寄宿舎の高等部の生徒数六人につき一人とし、義務教育の標準法における小・中学部にかかる寮母定数の算定と同様といたしております。さらに、事務職員につきましては、高等部における事務量を考慮し、部ごとに二人の配置といたしました。
以上が公立の高等学校及び特殊教育諸学校の高等部にかかる学級編制及び教職員定数の標準等に関する本則規定の改正内容でありますが、なお、現行法制定時の附則規定につきまして、今回の改正に伴う所要の改正をいたしております。
次に、この法律案の附則中の経過措置について申し上げます。まず、公立高等学校の学級編制の標準に関する経過措置につきましては、今後の生徒数の減少及び学校施設の整備の状況等を考慮しつつ、昭和四十六年度の入学者からは改正標準による学級編制とすることができるよう、その間は、この標準に漸次近づけることを旨として、毎年度標準となる数を政令で定めることといたしました。昭和四十二年度の入学者にかかる標準につきましては、生徒数が急激に減少する都道府県にあっては四十八人とし、それ以外の都道府県にあっては四十九人とする標準を政令で定める予定であります。
次に、公立高等学校の教職員定数につきましても、今後の生徒数の減少及び公立高等学校に置かれている教職員の総数を考慮しつつ、原則として昭和四十六年度までの五カ年の年次計画により新標準が達成できるよう、その間、漸次改正標準に近づけることを旨として、毎年度標準となるべき数を政令で定めることといたしました。昭和四十二年度の定数標準につきましては、旧法による定数と改正法による定数との差の五分の一に相当する数の充足をはかる予定であります。なお、ここ一、二年は生徒数が増加する都道府県もあり、これらの都道府県につきましては、教職員定数の改善が後年度にずれることが予想されますので、教職員定数の経過措置期間について、これら特別の事情のある都道府県につきましては、昭和四十六年度以降二カ年の延長を行なうことができるよう措置いたしました。
次に、公立特殊教育諸学校の高等部にかかる学級編制の標準につきましては、昭和四十二年度から直ちに実施することといたしますが、教職員定数の標準につきましては、五カ年の年次計画により昭和四十六年度から改正標準が完全に実施できるよう、その間は経過措置として毎年度政令で標準を定めることといたしました。昭和四十二年度の標準につきましては、昭和四十一年度の実数と昭和四十二年度の定数の差の五分の一に相当する数を充足するよう定数標準を定める予定であります。
以上、この法律案の内容について、補足して御説明いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/7
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008・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 以上で本法案についての提案理由の説明聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
なお、政府側より、剱木文部大臣、斎藤初中局長、清水大学学術局審議官が出席いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/8
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009・秋山長造
○秋山長造君 今回の改正内容は、いまも御説明がありましたとおり、相当広範囲にわたって重要な改正点を含んでおるわけでございます。したがいまして、いきなり法案の内容に入って各条文について御質問する前に、現在の高校教育をめぐる幾つかの重要な問題について、簡単に文部大臣あるいは当局の御見解を承っておきたい。
まず第一にお伺いしたいのは、中教審の問題です。中教審の委員の任期が切れて、新しい委員の任命が行なわれたと思うんですが、新委員の任命はもう終わりましたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/9
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010・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) お尋ねのとおり任期が切れまして、新しい委員の任命をいたすことになっておりますが、目下慎重に新委員につきまして検討、考慮を加えておるわけでございますが、大体新しい委員の任命は七月の上旬を目途としましていま選考中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/10
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011・秋山長造
○秋山長造君 いままでの委員のうち、ほとんどの方が任期切れになっているそうでありますが、この任命は何ですか、一人一人任命していくのでなしに、一応、名簿をそろえて七月の初めに一斉に任命される、こういう順序になるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/11
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012・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) そのつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/12
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013・秋山長造
○秋山長造君 委員の人選方法なり顔ぶれ等は従来より相当変わりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/13
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014・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) まあ、いま目下いろいろ選考中でございますけれども、できますならば、やはり中教審は相当老齢に達した方が多いものですから、もう少し、できたらその顔ぶれもお若いところで新鮮な空気を幾らかあらわしたいと思っておりますけれども、相当多くおられるわけでございますので、必ずしも人選がそういうふうになるとは限りませんけれども、できるだけそういう考慮を払ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/14
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015・秋山長造
○秋山長造君 七月の初めに新しい中教審の構成ができましたら、さっそく活動を始めることになるだろうと思うんですが、新しい中教審に対しまして、大臣としてどういう態度でお臨みになるのか、参考のためにお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/15
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016・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 中教審の委員が決定いたしましたら、できるだけ早い時期に、任命するとほとんど時間的にはそうおかないで新たに諮問をいたす予定でございます。その諮問につきましては、しばしばこの委員会でも私申し上げたと存じますが、現在の学制につきまして、幼児教育から大学院までを通しまして長期的な視野で検討を開始していただくというような意味合いの諮問をいたしたいというので、ただいまその諮問のしかたにつきまして、あるいは諮問のあらわし方及び内容等につきまして、いま取り急いで検討いたしておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/16
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017・秋山長造
○秋山長造君 幼稚園から大学に至るまでのあらゆる教育問題についての長期的視野の検討ということですから、おそらく中教審という制度ができて以来、文部大臣の諮問事項としては一番内容の大きい諮問になるのじゃないかという気がするのですが、今度の新しい委員の人選なんかも、そういう予定されている諮問事項の内容、その問題の深さ、広さ、そういうようなものを前提にしての人選でなければならぬだろうと思うのですが、そういうことでやっておられると了解しておってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/17
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018・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 問題が非常に広範でございますので、中教審そのものの人選につきましても十分考慮いたしますと同時に、これに相当数の専門委員、臨時委員を任命することができるようになっておりますが、特に臨時委員及び専門委員につきましては相当少壮な有為な方々、特にこれは中教審が構成されますと、その専門委員等につきましては中教審等とも相談をいたしまして人選を進めていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/18
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019・秋山長造
○秋山長造君 その諮問事項についてはただいまおっしゃったわけでございますが、その場合に、やはりこの前も、一月ばかり前に一度お尋ねしたことがあるのですが、今度はいよいよ問題が間近かに迫ってきましたので、もう一歩突っ込んでお尋ねしてみたいと思うのですけれども、結局、幼稚園から大学までの全部についてということですから、ある意味ではやはりいまの現行の学制、あるいは俗にいう学制改革というようなことにまで発展しかねない問題だと思う。その場合にすぐ出てくるのは、いまの学制是なりや否なりや、六三制是なりや否なりや、こういう問題になってくると思うのです。その問題につきましては、前回私ちょっとお尋ねしたときにも、大臣はあくまで六三制、現行制度を一応是認した上で、現行制度の上に立ってのよりよき改善策という形で、改善策いかんという方向で諮問したいという御答弁であったと思うのです。それはもう今日も動かない大臣の御信念と承ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/19
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020・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) この前もお答えしましたように、六三制そのものの学校制度としまして、私どもこれが絶対に現在の情勢に合わない、こういう予定をもって諮問をいたすことはいたしません。もちろん現在の、しかし長期的な視野に立ちまして、学制全般につきまして検討を始めていただく以上は、現在の六三制が評価さるべき現状について論議が行なわれることは当然でございますが、と同時に、日本の急激な国情の変化と申しますか、これらに対応して六三制において、やはり制度として改善すべき点はないかということもまたこの検討の対象になり得ると思います。ただ、六三制を必ず変更するという予定のもとにこういう諮問をいたすのではございませんが、実はその検討さるべき対象は、やはり相当この中教審におきまして広範囲にわたって論議をさるべき問題だと思います。そういう意味を含めて諮問をいたしますから、諮問の形式におきまして相当考慮を要する面がございますので、いまどういう表現においてこれを諮問するかということにせっかく検討を加えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/20
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021・秋山長造
○秋山長造君 この点は、私から申し上げるまでもなく大臣もよく御承知なさっておると思うのですが、学制の問題であるとか、あるいは学制に限らず教育問題を論ずる場合、いまのはだめだ、変えなきゃいかぬという議論にすぐいってしまう例が多いのです。従来も、前の有田文部大臣にしても、あるいはその前の中村文部大臣にしても、それぞれ若干の違いはありますけれども、やっぱりいまのはいかぬ、何とか変えなきゃいかぬというような方向の発言があったと思うのです。それとは違って、剱木文部大臣は、あの六三制発足当時文部省におられて、そうしてつぶさにその当時の実務に当たられた方であるだけにきわめて慎重にかまえておられる、また、六三制そのものについても軽々にこれをいじくるということでなしに、あくまでこの六三制そのものの功罪といいますか、今日まで果たしてきた役割りというものをとことんまで十分確認した上でなければ、そう軽々にこれをどうこうするということに進むべきでないという御態度なんですが、その点はもう私らも全く共鳴をするわけです。ただ、また世間にはそういう文部大臣のお考えに対して批判も相当ある。聞くところによれば、党内の方面でも相当批判といいますか、反発も相当あるようですが、しかし、そういうものがあっても、大臣としては従来から再々言明されてきたとおりの、また、いまも言明されたような方針、信念というものをあくまで貫いておいきになる御決意だろうと思うのですが、そのように承ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/21
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022・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) この問題につきましては、教育問題についてはいろいろ意見がございますことは、これは当然だと思います。ただ、六三制に対しますいろんな批判の中で、いま六三制を変えなきゃならぬというその説の中で、これを詳細に具体的に検討してみますと、六三制そのものが、制度そのものが悪いという場合と、むしろ六三制の持っております現在の——まあ具体的に申しますと、この教育学科、課程、教育内容に対する批判でございますとか、あるいはいまの入学試験の制度でございますとか、こういったようないわゆるそのものを改善すれば、六三制そのものの制度としての問題ではなしに、そういうこの六三制のあり方の問題、内容の問題の改善によって解決できる問題、これらが相当たくさんある、そういうことから六三制そのものがいけないという批判をしたりしているものが相当あるのです。制度として六三、たとえば中学校の教育が三年では短いとか、あるいは高校が三年では短いとか、こういう説もございますけれども、しかし、本質的な意味において、六三制そのものが必ずしも現在の制度ではだめだという結論には私ならないと思います。そういう意味から申しまして、むしろ私どもの考えますのは、将来、日本の国情の進展に伴って、はたして将来に向かって六三制でいいかどうかということは考慮しなければなりませんけれども、しかし、現在の批判がいろいろあるからといって、直ちにこの六三制を変えるということを予定いたしまして諮問をするということはあまり早計ではなかろうか。だが、もちろん現在の事情、六三制の評価といいますか、現状の把握ということも必要でございますが、その論議は相当広範囲にわたりまして自由に論議してもらうということが正しいのじゃなかろうか。私たちとしては現在そういう態度をもって臨みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/22
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023・秋山長造
○秋山長造君 きわめて重要なことですから重ねてお伺いしますが、そういたしますと、結局、今度の文部大臣の中央教審に対する諮問は、あくまで現行制度の上に立ってその改善策なり、あるいは補完といいますか、足らざるを補う補完といいますか、改善といいますか、そういう方向の諮問ということであって、巷間一部で議論されるように、現在の学制を何らかの意味で否定をして、あるいはこれを再検討するといいますか、あるいは手直しをして何か新しくやり直すのだ、そういうニュアンスといいますか、意味合いを持たない形で諮問をされるおつもりだと、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/23
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024・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) この六三制をそのままの姿で、これを是認した前提においてこの改革案というものを要求しないという、この固定した考え方を持って諮問するつもりはございません。たとえば、現在非常に問題になっております幼児教育ですね、就学年齢低下の問題とか、あるいはまた日本でいま義務教育が九年でございますが、これを諸外国のごとくなお延長する必要はないか、いわゆる義務教育の年限延長の問題、これらも当然論議してもらう態勢になると思いますし、もし義務教育年限を延長する場合にはどういう制度でこれを学制として持っていったらいいか。でございますから、私はもちろん現在の六三制を当然に否定しているものではございませんけれども、中教審の検討に当たりましては、やはりそういう制度の問題も含めて広範な形で自由に討議していただく、ただし、その結論は、早急にいま差し迫ってこれを変革するということでなしに、十分慎重な態度で長期的視野に立って討議をしていただきたい、こういう気持ちで諮問をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/24
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025・秋山長造
○秋山長造君 大臣のおっしゃるお気持ちはわかるような気がするのですけれども、ことばとして聞きますと、そこらにやはり多少、先ほど来、大臣がきっぱりおっしゃっておったことと違って、多少、大臣はいろいろな意見を聞かれて気迷いなさっておるような節があるのじゃないかというような気も、私の邪推かもしれませんけれども、そういう気がするのですが、私の質問のしかたがちょっと……。六三制という現行制度の上に立っての改善方策、改善策というものを諮問されるのか、こういうように端的に申し上げたらいいのかもしれません。おそらく私は大臣もそうだというおつもりで先ほど来御答弁されているものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/25
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026・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) これは現在の六三制度が終戦後二十年でありまして、義務教育が各市町村において九年の義務教育を担当するという形で残っておるのでございますが、この形をそう簡単に、ただ机上プランのように、中学校を四年にするとか、高等学校を四年にするとかということは、これは非常に大事業だと思うのです。ですから、現段階におきまして六三制を簡単に変えられるというような考え方は、これは持ち得ないことじゃないか。ただ、これを根本的に、たとえば幼児の就学年齢を切り上げるとか、あるいは義務教育を十二年にするとかということになりますと、これはよほどの大事業でございまして、そう一朝一夕にできる問題ではないと思います。でございますから、やはりこれはあくまで基礎は六三制に置きまして、相当慎重な態度で、全く私の申しますように長期的な視野に立ってこれを検討していただく。これでないと、早急にいますぐ六三制を変革するというようなことをかりに答申になりましても、これはなかなか国として大事業でございますので、それにまた一応変革しましたら、そう長年月にわたってしばらくこれをいじられるものじゃないのですから、私はそういう意味で論議はいたしてけっこうでございますけれども、この結論は相当慎重にやっていただきたい、これが私の気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/26
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027・秋山長造
○秋山長造君 よくわかりました。
そこで、この御質問をいたす機会に、もう一つ長期的視野に立って検討してもらうというおことばですが、もちろん長期的というのですから、二年や三年というようなことを考えておられず、もっと長い期間という意味だと思う。そうしますと、別にあらかじめ大体何年以内ぐらいに結論を出してほしいというような諮問のしかたでなしに、諮問をするときからして、すでに問題が問題だから、十分時間をかけて急がずにじっくりやってほしい、こういうことになるわけですか。大体、長期的といっても、じゃ二十年でも三十年でもというわけでもないでしょうけれどもね、どこら辺を考えておられるのですか、大臣。
それからもう一つは、どうせ長期的ということになれば、その間に次々と委員の顔ぶれも変わっていくことも予想されるわけです。それからまたこういう根本的な長期にわたる審議を必要とするような問題とは別に、ときどきといいますか、もっと短期の問題が出てくるということは十分予想されるのですが、それはもうその必要なときに随時、この根本的な諮問事項とは別に、あるいはこれと並行して諮問されるということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/27
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028・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) いま私の構想が固まっているわけじゃございませんけれども、この中教審全体としての一つ諮問をいたしまして、その中に幾つかの分科会を設けていただきまして、分科会によりまして専門的な、段階的な検討をしていただくわけでございますが、その分科会の中におきましては、これはこのとおりするかどうか別としまして、一例を申し上げますと、いま私ども考えておりますのに、私学、私立学校の助成方策というのが答申に近いうちになると思います。きのうも新聞に発表になったようですが、たとえば私学の振興方策の中におきましても、問題点は、おそらくあの答申では解決できないで残される面があると思います。それは大学のあり方でございますね、大学がいわゆるどう将来あっていいのか、その大学の中で私学の位置づけはどうなっていくか、これが基本的な方針がきまりませんと、なかなか私学の助成ということについても大きな影響を持っている。でございますから、学校制度の中におきましても、いわゆる大学のあり方だとか、今後のあり方という問題につきましては、あるいは大学の分科会におきまして、それだけは特別に早期にいわゆる解決を、答申をしてほしいというような、大きな大ガッコの中での一部分としまして、そういうことを中教審にお願いする場合はあり得ると、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/28
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029・秋山長造
○秋山長造君 この前、後期の中等教育ですね、去年すでに一応の答申が出ておるわけですけれども、高等学校の段階の後期の中等教育というのはどうですか、もう去年一応答申が出たから、これだけは抜けるのですか、今度諮問から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/29
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030・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) この後期の中等教育も含めて、答申の中には学制全般にわたりまして研究して討議をしてもらいますけれども、答申の出ました後期中等教育につきましては、やはりさしあたりの問題といたしましては、その答申の線に沿って、これをやはりできるだけ実施してまいるというつもりでございまして、そのことが、今度の全体の答申が出なければ前の答申をやらないとは考えておりません。やはりそれまでの間にできるだけの答申の線に沿って実施してまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/30
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031・秋山長造
○秋山長造君 これは中教審の点についてはこの程度で一応打ち切りまして、次にお尋ねしたいのは、さっきも大臣が六三制の評価についておっしゃった中に、たとえば六三制そのものの欠陥ということでなしに、たとえば入学試験とか何とかいうような問題を全部六三制のせいにしたような、みそもくそも一緒のような批判論というものは受け取りがたいという意味のお話があった。事ほどさように、やっぱり入学試験問題というのが、いまの学制、あるいはいまの学制のもとで行なわれておる教育というものを非常にゆがめておる、歪曲しておるということはこれは何人も否定できぬと思う。それだけに入学試験問題というのは、これはもうただ文部省だけじゃございません。これはお互いにもうすべてのものが全く対策に悩んでおる問題だと思うのです。しかし、まあやはり文部行政の最高の責任を引き受けておられる大臣、あるいは文部当局に何とか解決をする努力をしてもらわなければいかぬと思うのです。この間、去年の秋出た中教審の答申でも、これはもう大臣はよく御承知のとおりですけれども、「わが国の高等学校教育を著しくゆがめている最大の要因は、現行の大学入学者選抜制度である。このために、高等学校における本来の教育と学生生活の正常な展開が阻害され、この重要な時期における人間形成に深刻な問題が生じている。」というように、これはもう最高度のことばが使ってあるわけですね、したがいまして、学校教育法の中でうたわれておる高等学校の教育の目的、あるいは目標というものは、これは大きく入学試験問題によってゆがめられておるということは否定できぬと思う。さらにまた、高等学校はちょうどサンドイッチのような形になっておるので、上のほうでは大学の入試という問題でゆがめられておるし、また、下のほうでは今度は高等学校自体の入試問題ということで相当わずらわされておると思うのですね。それだけ入試問題が重大なんで、文部省自身も従来この問題につきましてはしばしば通達を出されたり、まあいろいろ指導助言をやられたり、いろいろな権威を持った発言をされてきておるわけでございますけれども、どうもそれほど簡単に問題が片づいておらぬ、依然として高等学校進学率あるいは大学進学率等がどんどん上昇するに従って、入試問題がただ解決せぬどころでなしに、ますますむずかしくなってきているというのが事実じゃないかと思うのです。そこで、しかし、むずかしいからといっても、何とかこれを少しでも改善の努力を期してお互いにやらなくちゃいかぬわけです。
まず、高等学校自身の入試制度の問題ですね、これについて若干お伺いしたいのですが、一体、進学率ということが、今度の法律改正につきましても、生徒数とか、進学率とかいうようなことが相当大きな要素になっておるのですが、進学率の現状、あるいは今後この法律改正の完全実施されるまでの五カ年間ですか、その間にどういうように進学率が動いていくのかということですね。それから、この標準法ができましたのはたしか三十六年の秋だったと思うのですが、おそらく三十八年か、その翌年か翌々年くらいから始まるベビーブームの急増期に備えたわけだったと思うのですが、この標準法ができた当時から今後五カ年間くらいまでの進学率の大体推移というものは、もちろんこれは過去のことははっきりしておりますが、将来のことは、これは神ならぬ身でわからぬわけですね。しかし、これはやっぱり一つのあなたのほうに想定されておる率、数字というものはあるわけだろうと思うのです。それをちょっと御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/31
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032・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 中学校の卒業生が高等学校にそのまま入っていく実態につきましては、昭和三十六年は中学校の卒業生が六六・三%進学しているとなっております。その後、六六・三から六五・二、六七・九、七〇・六、七二・三、七四・三というように率が上がってまいりまして、四十二年度を七五・五というふうに踏んでおります。その後の推移でありますが、これが標準法を考えます場合に、四十六年までの推移につきましては、さらにそれが七七・四、七九・三、八〇・六、八一・五、四十六年度におきまして八一・五というものを全国の平均としては想定をいたしております。これを想定いたしますのには、府県ごとの大体の見通しというものを一つの基礎にいたしまして平均化してまいりました。ただ、これが全国の各府県にあらわれる様相というものは実はまちまちでございまして、青森県のように非常に低いところが順次上がっていくところと、それから山陽地区とかいうように、比較的地区として早く八〇%のほうに近づいているところがありますが、平均化しますと、そういうふうに推定をいたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/32
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033・秋山長造
○秋山長造君 三十六年から四十六年までちょうど十カ年間ですね。この十カ年間に一五%以上の上昇率を示しているわけです。そうしますと、急増期が過ぎて、そうして絶対数というものは中学卒業生が減ってくるわけですけれども、しかし、これは一五%以上も進学率が上昇しますと、これは逆に高校志願者の実数というものはやはり減らぬわけですね、その点はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/33
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034・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 実はそれが、こういうふうに大幅な上昇を見込みましても、絶対数の減の影響を受けまして減るわけでございます。こういうふうな進学率を掛けてみまして、四十一年度の時点と四十六年度との対比を見ますと、この高校生、国公私立を合わせました入学者数というものは、これは二十六万三千人の減という数字が立つのであります。なお、四十八年に至るまで卒業生の絶対数が減少してまいりまして、さらに進学率がなお徐々に上がりましても減って、四十八年度以降安定した状況に進学率の伸びを見ても達するというのが高等学校教育の対象者の推移でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/34
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035・秋山長造
○秋山長造君 いまの御答弁を聞いて私ちょっと少し感違いをいたしていましたが、四十八年になると、ほぼ安定してくるというのは、どの線で安定してくるのですか、大体。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/35
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036・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 四十六年から四十八年にかかります推定というものが、一つは進学率の限界に近いような形になりますから、ここは予測として非常にむずかしいのでございますが、私は東京都とか、神奈川とかというような実情から見まして、四十六年に八一%をこしましても、なお逐年四十八年までのぼりまして、一応われわれは八四という数字を推定いたしました。それでありましても、入学者数といたしまして四十一年度との比較において入学者数について三十万人の減、それから在学者数にいたしまして四十一年度と四十八年度とを対比いたしまして五十二万五千人の減、これが逆に進学率を見ましても、絶対減の影響というものは相当及ぶわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/36
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037・秋山長造
○秋山長造君 五十万幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/37
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038・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 失礼いたしました、公立で六十二万五千でございます。もし国公立を合わせますと、四十一年度と四十八年度の差は百万でございます、高等学校の生徒の人口総数といたしまして。ですからここに百万の開きがある。もう少し大づかみに申しますと、昭和三十年、十年前で二百五十万からピークのときには五百万、それからまた百万減って四百万以下のところで安定をしてくるというのが、高等学校の教育人口の将来の推移でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/38
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039・秋山長造
○秋山長造君 高等学校の志願者に対する入学者の割合ですね、入学率といいますか、進学率と同じような意味で使われる場合もあるようですし、また別な意味で使われる場合もあるようですが、入学率というのはどういうように推移していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/39
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040・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 志願者と入学者数の比率、平均いたしまして九七%、ほとんど入るという実態です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/40
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041・秋山長造
○秋山長造君 それは、さっきの四十八年度に至るまでずっと大体毎年そういう数字が想定されているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/41
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042・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 実はその点は過去の推移を私承知しておりませんが、この二、三年の傾向は九七、九六と、その付近になっておるわけでございまして、そう推移をいたしておりません。と申しますのは、高等学校というものが相当設置が拡充されました結果、特定の学校の問題を除きますれば大体志願者は入っていく、そういう結果になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/42
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043・秋山長造
○秋山長造君 まあこのこまかい数字は口頭で質疑応答を繰り返していてもわずらわしいから、あなたそこにいい表を持っておられるようですが、それをひとつ資料としていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/43
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044・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 高等学校の進学率及び在籍生徒数の実績と将来の見込みというのを、全国をプールして考えましたものを資料としてお出しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/44
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045・秋山長造
○秋山長造君 こういう今後の進学率の推移、あるいは生徒数の推移ということによって、いわゆる入試問題というものは今後どういうように推移していくとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/45
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046・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) これは、都道府県で高等学校入試についてとります施策との関係が生ずると思いますが、私どもはやはり高等学校については、志願者が志願時におきまして数校を選ぶ可能性があるということが私はいいと思っておるわけでございまして、文部省も従来その意味で学生の指導をいたしてまいりました。その際に、進学の進路指導というものと、それから高等学校における内申書の評価というものについて実績がだんだん出てまいりますれば、従来のように試験で一発勝負でものごとがきまっちゃうという偶然性は排除されるというふうに考えるわけでございます。これは高等学校の入学試験につきましては、各府県の中学校教育に及ぼす影響を勘案しながら、逐次、昨年以来改善の方向に踏み出しているというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/46
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047・秋山長造
○秋山長造君 その試験の制度の内容については、ちょっと一口に片づかない問題があると思うんです。内申を非常に重視するということをおっしゃっておるんですが、それと並行してはやっぱり学区の問題ということが一つありますね。それからもう一つは、特に内申をどの程度重視するかという問題と密接に関連するのは科目の問題です。科目数を幾らにするかです。ちょっと話がこまかくなるようですけれども、実は高等学校の入学試験の問題では、もう一番関心の集まる問題だと思うんですが、学区というものは一体文部省はどうあるべきだとお考えになっておられるんですか、また、どういう御指導をなさっていらっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/47
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048・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 学区につきましては、昭和三十八年度に高等学校問題について、試験問題を含めまして通知をいたしておりますが、その中では、通学区域は一つの通学区域内に数校の高等学校が含まれることが適当であるという指導をしておりました。文部省の考え方は極端に小学区、極端に大学区というものを排して、いわゆる中学区というものが妥当であろうという指導をいたしておりまして、その状況は現在も続いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/48
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049・秋山長造
○秋山長造君 そうしますと、文部省は三十八年の八月二十三日の初中局長の通達ですね、これが今日も生きておるだけでなしに、積極的にこの指導を続けてやっておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/49
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050・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 実はこの中で、三十八年度の通牒のうち学区制については続いておる、その他の部分は昨年、四十一年の七月十八日に改善の方向を出しましたのですが、学区制についてはその当時の指導精神をそのまま受け継いでおるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/50
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051・秋山長造
○秋山長造君 それが何ですか、地方で実際に行なわれておるんですか、そのとおり。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/51
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052・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) これは中学区制というものが中心になっていることの意味では指導が行なわれております。それに一部大学区制的なものを加味するということでありまして、平均してみますならば、中学区制というものの考え方を基礎にして、各府県でそれに変化を持たしているというのが大体の府県の実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/52
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053・秋山長造
○秋山長造君 大学区、中学区、小学区、あるいはそれらの組み合わせ、いろんなことをそれぞれの都道府県の教育委員会でやっておられるようですから、これは一口に説明しにくいと思うんですが、この大学区をやっておるのが何県あるか、中学区をやっておるのが何県あるか、小学区をやっておるのが何県であるかということは、一番最近の数字はわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/53
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054・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 実はこの大学区、中学区も集計したものがありますけれども、ややこの定義のしかたに、実は昨日も議論いたしまして、問題がありますが、いままでの分け方から申しますと、小学区のみをとっているものが一つの府、それから中学区のみが六、大学区のみが十一、小学区と中学区の併置が十一、小学区と大学区の併置が一県、中学区と大学区の併置が十四、小学区と中学区、大学区の併存しているものが二県ということになっております。ただ、ここで言う中学区という意味が、二校から六校までぐらいを中学区という定義をして分けましたので、実はその機械的な分け方も都道府県の人口とかを考えますと、同じ六校ありましても意味が違うわけでございますから、この分け方がいいかどうかということはありますけれども、便宜われわれが以上のような形に分けまして報告を求めたのは、いまのように分布しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/54
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055・秋山長造
○秋山長造君 やはりここ数年間の長期的、あるいは数年間でなくても十年ぐらいでもいいんですが、ですから何年間かの推移を検討してみると、大体、大学区がふえているんじゃないですか。学区制をやった最初は相当厳格に、むしろ小学区あるいは小学区に近い中学区というものが非常に多くて、あるいはほとんどだったかもしれぬ。それがだんだん大学区のほうへ移っていっている傾向があるんじゃないか。で、このままほうっておきますと、三十八年の通達は生きておるとおっしゃいますけれども、事実上その通達があるにかかわらず、大学区のほうへずっと移っているんじゃないかという気がするんですが、どのように見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/55
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056・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 御承知のように、学区制の当初におきまして、小学区あるいは非常に小さい中学区から順次校数の多い区域に転化していったのがいままでの実態であります。しかし、それではこのまま放置すれば今後も大学区に移行していくかというと、そうではございませんで、むしろ極端な小学区というものについては、理屈は別として、いろいろな問題が生じまして、その修正が行なわれてきておったというのが実態でありまして、その傾向がどんどん伸びていくような改正が行なわれるという実情ではないと私どもは判断しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/56
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057・秋山長造
○秋山長造君 まあことしの大学区は十一県ということですが、この十一県については、大学区にすればやはり大学区のいろいろなまた入試競争が激しくなるとか、受験競争が激しくなるとか、あるいは特に普通科の高校についていえることでしょうけれども、有名校へ集中して受験競争が激しくなったり、また学校格差が拡大するという、従来私どもの最もおそれてきた傾向が非常に助長されるんじゃないか、むしろ受験難というものを緩和していこうという時代の要請に逆行する実態になってくるんじゃないかというような問題があるんじゃないかと思うんですが、この大学区制をとっている十一県というものについては、それぞれ多少のローカルカラーというものはあるんでしょう、いろいろローカルな特殊性というものはあるかもしらぬけれども、文部省としてはそういうところに対してはどういう対策を考えておられますか、ほったらかしなんですか。やっぱり中選挙区——中選挙区じゃない、まあそれに似たようなものですが、中学区がやっぱりあくまでいいという信念を持って、そういう通達まで出して指導しておられるならば、やはりあいなるべくんば、そこに少しでも学区を小さくしていくということが格差の解消にも通じ、また受験難の緩和ということにも通じていく。したがって、中学教育の正常化ということにもなるんじゃないかと私は思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/57
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058・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 学校格差という点は確かに解消しなければならないのでございますが、真剣に考えました場合に、格差という意味を社会的にどうとるかということがないと、現在におきましても、同年齢層の者の七五%が就学する。で、私どもは八〇%をこす者が高等学校に行くという場合のその高等学校の教育のあり方というものを考えますれば、むしろ特色のあるというもの、そうしてこれは単に職業だけでなくても、そういうような教育課程において特色があり、その特色に適合するということをもって考えなければ、単に非常な都会地で行なわれておりますような部分的な競争が激しいとかというようなことだけをもって、その高等学校の政策を全部振ることは私はかなり危険があるんじゃないかと率直に思うのでございます。でございますから、私どもはその数校を府県の実情で選択し得るという規模、それをやはり十分に判断して定めてもらう。で、大学区と申しましても、全県全部非常にたくさんのものを取っ払うというようなことはわりあいにないのでございまして、六校がいいのか、それとももう少し出たほうがいいのか、引っ込んだほうがいいのかというようなことは、その府県の実情にゆだねていいことではないかというふうに思うのでございます。この学区の問題では、高等学校に関する限り入学試験をますます激化をしていくというふうに全般の問題としては判断をする、ますます悪くなっていくというふうにだけは私は考えなくてもいいものじゃないか。しかし、局部的にはそういうことも起こりますから、そういうことは私ども十分推移を注意しながら、指導すべき点は指導するのにやぶさかではございませんけれども、全県十把一からげに指導すること自体は、高等学校の進学の状況というようなものをみますと、むしろ政策といたしましては、都道府県が展開します高等学校というものに特色を持たして、その特色に合ったように選択をしていくということが、前期中等教育の段階で、進路指導というものを着実にやりながらいくというほうがいいんじゃないかと思うのであります。しかし、このことは理屈の部分も相当ございまして、現実がすべてうまくいっているということを申すわけではございませんけれども、方向としては、そういうふうに努力すべき問題だろうというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/58
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059・秋山長造
○秋山長造君 そうしますと、あなたのほうは中学区が一番よろしいという方針で中学区の指導をやってきておられるわけです。ところが、それとは別に大学区というものを十一——今後どうなるか知らぬけれども、十一県がやっておる。それはそれで意味のあることだから、それはそれでほっておくんだということでは、私はあなたの局長通達まで出されて、そうして依然としてそれは中学区がよろしいという方針をとってこられたこととちょっと矛盾するように思うのですけれども、局長のいまおっしゃる、それぞれの学校の特色を持たしていくというようなことも無視できぬとおっしゃる意味はよくわかります。だから、やはり私の言うこととさっき局長のおっしゃることとの妥協点として、結局、中学区制というものを文部省もいろいろあれこれ考えられた末に打ち出されたのじゃないかと思うのですよ。いろいろな事情がそこへ集約されてきておるのじゃないかと思う。だから、現状での考え得る妥協点はここらじゃないか——妥協点といいますか、最大公約といいますかね。だから、中学区というものがまあまあ一番いろいろな要求をある程度満たしながら、しかも、ある程度弊害をできるだけ押えていくという点じゃないかというので出て来たと思うのですよ。もしそうであるならば、もちろん、この学区をきめることは何も文部省の権限ではないでしょうから、府県教委の権限できめられることではあるけれども、しかし、指導助言という形でこの方針を立てられている以上は、それをやはり積極的に推進をされるという努力はされてもいいのじゃないかというように思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/59
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060・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 私どももできるだけ選択制のほうが、極端であれば、いいという角度でどんどん大学区制度に移行していくということは現実に弊害が起こる面もございますから、その点は十分に注意してまいりたいと思いまして、方針としてはやはり中学区というものの考えを中心にいたしまして今後も指導してまいりたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/60
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061・秋山長造
○秋山長造君 大臣にお伺いしますが、この春から東京都ではいわゆる学校群の制度をとったわけですが、この学校群の制度は、東京都という首都の入試制度としてとられただけに非常に全国的に注目をされ、またこれについての賛否の議論がいまだに絶えないのですが、文部大臣としては、この東京都のとった学校群という制度はどう評価されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/61
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062・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) これは東京都で相当考慮の結果、学校群という入学試験の制度をやったと思いますが、現在まず根本的に申しますと、中学校から高等学校へ入りますのはほとんど志望者が九〇%、大部分入っておる。でございますから、これは私は一番問題点は、いわゆる名門校に入るとか、いわゆる高等学校の学較差というものに対しまする入学の問題がもし解消すれば、中学校から高等学校に入る入学試験の問題というのは、あとは進学指導でやれば大体片づくものだ、でございますから、東京都が今度やりましたのは、そのことに対する一つの私は努力の表現として行なわれたものじゃないかと思います。行なわれた結果によりまして、もちろんいろいろな批判もあるようでございますが、私としては、東京都でそういう努力をいたしましたことについてはむしろ敬意を払っておるのでございまして、その結果は私は相当の成果をあげたものと評価をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/62
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063・秋山長造
○秋山長造君 文部大臣としては学校群の制度は高く評価をし、今後もこれを続けていくべきものだというようにお考えと受け取ってよろしいでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/63
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064・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) これをほかのところの県でもこういうようにやれとか、これを続けていけというように私どもから言うことは差し控えたいと思いますけれども、これは東京都自体が考慮していくべき問題だと思いますが、しかし、その努力ですね、要するに、いま一番日本で欠陥といたしますところは、いま高等学校については、まあ私どもの郷里なんかの関係を見ましても、公立の高等学校についての学較差というのは次第になくなってきていると思いますが、ただ、歴史とか、名門校だとかいうようなことに父兄等が、まあ不必要に私はそういうものにあこがれるというか、入れさせるということをやっておるように思うのです。ですから、それを一応解消するという意味合いの努力としては、私はその努力を評価していいんじゃないか。ですから、続けるようにせよと言うわけにはいきませんけれども、私は現在の問題の解決にやはり努力は払っておるということだけは高く評価していいんじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/64
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065・秋山長造
○秋山長造君 所管の局長であります斎藤さんはどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/65
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066・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 学校群制度は、東京都は全国と違った状況があるわけでございます。公立学校の定員の問題と志望者との関係、それから従来の八学区というものが公設しております学校数の数が他の府県における相当の大学区よりももっと大きいとかいうような一種の大学区の中間的な修正という意味も一つはある。それからもう一つは、何といいましても非常な名門校というのが三つか四つあって、それが鋭角的にそこだけが問題になっている。第一段としてややその鋭角的なものを緩和しようという意図があったと思うのであります。その意味で東京都がこれをとられましたことにつきましては、私どももその東京都の努力として賛意を表します。ただ、そのとき問題になりましたのは、東京都でやるんだからというようなことで他の府県にどうかということになりますと、私はそれには簡単には賛成をいたしませんでした。これは府県の実情というものがあるし、また、教育委員会自体も、自分の県にとっては学校群がどうだというようなことは非常に意見がございましたので、これはやはりそれぞれの府県の実情に即して改善をし、そしてやってみて、それがまた弊害が出るならばまたそれを直していく、入学試験の問題というのはそういう面がございまして、何か固定しておって一挙に万全だという策はないので、ある意味で極端に言うと、明治以来、試行錯誤を積んできたというようなことがありまして、現実の弊害というものが中学校教育にどう及ぼすかということで現実の弊害を逐次直していくという態度に私は出るべきものだと、その意味で、都道府県に対してその改善方をそれぞれについてその努力を願っておるようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/66
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067・秋山長造
○秋山長造君 次に移りますが、時間がだいぶ経過しましたので。もう一つは、学区の問題、内申の尊重という問題と並んで教科目の問題がなかなかこれ大問題だと思うのですが、これにつきましては、先ほど斎藤局長もちょっと触れられたように、三十八年の八月二十三日の初中局長の通達の中に、学力検査は中学校の必修教科の全体にわたって出題することが望ましいという、つまり九科目ですね、ということを一たん出された。それが四十一年の七月十八日の斎藤局長の通達で事実上撤回された形になっていますね。で、今後は教育委員会の自主性にまかすということになっておるんですが、わずか三年の間にこういうように急変したのはどういうわけなんですか。それも私ちょっと当時の速記録を調べてみたのですが、あまり行き届いた調べ方をする余裕がなかったのですけれども、去年の三月二十九日に、あなた、この委員会で松永忠二君の質問に対して、この三十八年の夏の局長通達、つまり九科目全体にわたって出題をすることが一番望ましいのだという通達について、「中学校の教育の正常を害しないためにということで十分理論的な根拠を持って」この通達を発したのでありますということをここで答えておられるのですがね。そこまで確信を持って断言され、そういう指導を各府県教委に対してやられたのが、もうそれから三カ月たつかたたぬうちにその方針を変更されておるわけですね。これはどういうわけでこうなったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/67
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068・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 三十八年の通達の線というものは、その趣旨は、ある教科を選べば中学校である教科だけ授業に熱を入れて他の教科をおろそかにするのじゃないかという配慮で長い問続けられてきた思想であります。しかし、この弊害というものは実態論でありまして、まあ理論的にはそういうことが言えますけれども、東京都のように、まあ受験準備というのが過熱してきた場合に、九科目を一列横隊に受験準備をする、そうすると、試験という性質上実技を伴うようなものが実技が軽んぜられて、どうしても試験になじむような領域だけに力を注ぐとか、いろいろな実態上の弊害が出てきた。そして私どももこの七月に通牒を出すまでに、関係者相当集まってもらいまして、この研究会をつくりまして議論をした結果、むしろ全国一律にこの九科目のほうがいいんだということは実態に即しないのじゃないかということで、それはむしろ教科の数は各府県、あるいは各府県における学校の種類というものに即して都道府県で判断してきめるというほうがよかろう、それが少なくとも現時点ではその弊害を除去することになるであろうということであります。そういうことでこの通牒を出したわけでありまして、その一面におきましては、ある時期には九教科をやることがむしろ中学校における教科のつまみ食いにならぬという意味ではすぐれた面もあるわけですけれども、実態上、全体に押しつけることはいけないので、むしろ少数の教科でやって、あといろいろな内申書等のほうを加味していくということがむしろ弊害が及ばないというところが相当あるわけでありまして、そういうふうに実態としても推移しているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/68
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069・秋山長造
○秋山長造君 そうしますと、九教科という通達を変更されたということは、必ずしも九教科を続けることが適当でないと判断されたわけじゃないんですか。九教科でもかまわぬが、そういうことを、何教科ということを文部省のほうできめてかかるのが適当でない、だから九教科でもよろしい、少ないところ、それは全然地方の自主性にまかせる、こういうことなんですか。九教科は適当でない、もう少し減らせという意味は含まれておりませんか、この新しい通達に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/69
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070・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) その点がまさしく研究会でも非常に議論になったところでありまして、何教科、いわゆる基礎教科の三教科が、東京都のようにそういうふうなことが標準だと定めるべきかどうかということを議論したのでございますが、この入学試験問題、高等学校に対する入学試験問題というのは、府県によって、またこうした高等学校の配置の状況によって入学試験自体はそう問題になっていないところがあるわけでございます。極端な問題になっていないところでは、九教科をやるか、ある教科を選ぶかということは、本質的に入学試験問題に影響を及ぼさないという県があるわけでございます。でございますから、議論としてはございました。そんなに多くやる必要があるかどうかということがございましたけれども、その際に九教科をやるのは悪いのだというだけの根拠もない、そういう何でもやって差しつかえないところもあるわけでございますから、その意味で、むしろそれは府県の判断にゆだねることが、現実問題として入学試験問題の改善になる、こう判断したわけでありまして、何教科をやれという思想はこの通牒にはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/70
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071・秋山長造
○秋山長造君 そこのところ、九教科、必修教科全部にわたって試験をするということになれば、中学校の教育の正常化、正常さが害されるということはなしに済むだろう、それから中学校の教育の正常化、正常さというものを中心に考えた結果が、必修科目全部を通じてやったがよろしい、こうなったと思うのです。ところが、それがいずれにしても九教科をやめろという意味じゃないとおっしゃっても、いままで九教科がよろしいとおっしゃったのを、とにかくそれをやめたのですから、だから、その反面の解釈としては九教科は多過ぎるのだ、こうなると思うのですが、事実上、そうなると三つなり五つなりとこうなった場合、英語とか、数学とか、国語とか、受験科目の学科はいいですが、受験科目からはずれた学科のほうはどうしても軽んぜられるということになるでしょう。事実上。そうなると、さっき三十八年の局長通達の必修科目全部にわたって試験をするのが望ましい、それが中学校の教育の正常化のためだというその趣旨というものは、今度はそれほどウエートを占めぬことになりますね、今度の通牒では。私が聞くのは、どうもちょっと私回りくどい聞き方で恐縮ですけれども、私の意味はわかっていただけると思うのですが、そこまで文部省が一部の教科に限るということは、やはりほかの教科を軽んずるというか、一部の受験科目だけに中学校の力が集中するようなことになっておもしろくない結果が出てくるということを心配されて、全教科にわたって漏れなくやったがよろしいということを三十八年に決定をされただけでなしに、四十一年、去年の三月二十九日のこの委員会でもそういう説明をきっぱりやっておられたのに、それから四カ月たつかたたぬ間に、今度はそれがぐらっと変わったわけですね。つまり科目を減らしても別に中学校の教育の正常さ、正常を害さないという判断に変わられたわけだろうと思うのですよね、そこら辺どうも私、あるいは七月十八日の新しい通達を出される前ごろに東京の学校群の問題が出てきて、学校群をやるということが一応きまって、そしてそれに関連して東京都が九科目から三科目に減らしたわけですわね。そういうことが何か新しい方針に変えた、新しい通牒、通達を出された大きな要因になっているのじゃないかというような感じもするのですがね。もしそういうことだと、さっきおっしゃったように、学校群というのは東京だけの特殊な問題であって、この方針で地方に及ぼすべきものじゃないという局長の御発言とまた抵触してくるのじゃないかというふうに思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/71
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072・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 私、説明が十分でございませんで、九教科全部やることが中学校の教育の正常化のためにいいと判断して従来推移してきたものが、理論的にはなるほどそうだけれども、実態として、要するに実技なり何なり、ほかでそういう領域に主を注ぐべきものが、受験準備というような形で正常でないことも出てきている面もあるわけです。ですから、九教科を維持するということだけが、むしろ逆に、場所によっては中学校教育に悪い影響を及ぼしているという判断の実態もあるわけでございますから、そこで、それはむしろ府県なりの実態に即して考えるほうがいいということであります。これはむしろ理論的な問題というよりは実際の問題でありまして、じゃ、このまま推移していった場合に将来どういうものが出るかということで、またいまのようにいろいろな問題が出てまいりますれば、教科の問題がまたもう一度爼上にのぼるという時期があるわけでございまして、ただ、九科目で相当試験が過熱しているというところでは、ややもすれば九教科をやることがむしろ理論的には平等に取り扱うといいながら、実際に日常の教育が曲げられるおそれがあるということも実態としてあったわけでございますから、その点は考え方としては矛盾をしないのであります。しかし、一面において、九教科という方針を立てながら、そこについては、県によりましては実情としてそうふぐあいを来たさないという判断のところは、九教科を捨てろということをまた指導する必要もない。要するに、千編一律に各府県の実情を考えないで、およそ九教科をやれとか、九教科をやるなという指導は、高等学校の入学試験問題については、やはりむしろ実情に即さないのじゃないかという判断に立ちましたので、教科についての選択を都道府県にゆだねた、こういう経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/72
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073・秋山長造
○秋山長造君 そうすると、これはもう率直にお尋ねしますが、前の三十八年の通達は適当でなかったということですね。全教科をやれという通達があったのは必ずしも適当でなかった、誤まって改むるにはばかることなかれということで新しい通達を出されたということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/73
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074・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) それまでそういう方針をとったことは意味があったのであります。しかし、それはだんだん推移して、実態としてふぐあいなところが出てきたから改正をしたということであります。教科について、教科を幾つにするかということは、正直なところ便宜論の域を出ないのです、入学試験については。でございますから、それはやっぱり実態に応じて考えるべきだ、今回の通牒もそこは固定するなという趣旨が出ております。ですから、かりに教科を三教科とったところで、そうしてそれを毎年府県によって固定させることがいいか、同じ府県であっても逐次新たに教科を毎年一つ加えていくのがいいか、後退させるのがいいか、その辺はやはりくふうすればいいのであり、そう固定的に考える必要がない、全国斉一に行なわなければならぬものでもなかろうというのが、この考え方の基礎にあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/74
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075・秋山長造
○秋山長造君 便宜という話があったのですが、それはやっぱり試験をするほうからいえば、それは一つの、だれをパスさせるかという便宜かもしれぬ。しかし、やっぱりこれはさっきからしつこく言いますけれども、それは全教科にわたってやるか、それとも英語、数字、国語にわたってやるか、極端なことを言えば、英語なら英語だけをやるか、中学校の教育にとっては便宜の問題じゃないんじゃないかと思うのですね。やはりそれは三十八年の局長通達を出されたときの趣旨というものは、やはり私は間違ってないんじゃないかと思うのですよ。間違ってないと思うのですよ。やはりそれは試験科目にはまろうがはまるまいが、はずれようがはずれまいが、中学校では別にそんなことは差別なしに、すべての教科にわたって公平にやられるんだと、そうあるべきでしょうけれども、実際にはそうなりませんよ。それはやはり三になれば三に集中されるんです。これは授業時間でも何でもそういうようになりますよ、それは事実上。そうすると、それはそれにはずれた科目の先生というのはやはりそれは何かにつけて影が薄くなる、発言権も少なくなるということは、これはやむを得ぬ事実です。だから、そこらにやはり正常な中学校の教育というものがまたその面から害されるおそれはないかということを、まあ私はどうもそういうように思えてならぬからしつこく言っているんです。単なる便宜の問題じゃない、これは高等学校にとってはそうかもしれぬけれども、中学校にとっては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/75
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076・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 便宜ということばは取り消しますけれども、ただ、この通牒が試験の実施科目ということだけを言ったわけではなくて、一面においては中学校の要するに学習活動というものを評価するということを一面言っておりまして、そしてそれは具体的にどういう配分を加えるかというのは府県にゆだねておりますけれども、この通牒の——通牒のというよりは、この考え方というものに基づきまして、この学力検査の不実施の教科の扱い方につきまして、それぞれ中学校における学習の実態というものを高くするとか、いろいろなくふうを加えておるわけで、全部の問題としてみていただくということであります。で、まあ便宜ということばは適当じゃありませんけれども、しかし、たとえばおよそ国語と数学と英語だけでいいというような論理もないのでありまして、それにあるときにもう一つ四を加えるほうがいい、そして逐次増すほうがいいというような考え方も成り立ち得るわけでありまして、五とか三とかいうもの自体に理論的に根拠を求めることは困難であるという意味で私は申し上げたのであります。しかし、一面におきまして、先ほど申しますように、九教科を一列横隊に全部やることについての問題が出てきておりますから、それがこの通牒の趣旨であろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/76
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077・秋山長造
○秋山長造君 まあ局長のお考えは大体わかりますが、これはどうですか、いま局長のお話では、文部省のほうが何科目にしろとか、するなとかいうような指示をすることが適当でないから、ああいう通牒にかえたと、こうおっしゃるのですが、ところがその通牒が出た——過去のことばかり言いますが、通牒の出た一カ月ほどあとに、当時の有田文部大臣が大阪で記者会見をやられて、高校入試の科目数については、文部省として一定の基準を設けたいという発言をしておられるのですね。これは御記憶ですか、それはどういう関係になるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/77
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078・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 大臣がおそらく地方に出られまして、何か府県の判断によってやるということでなくて、おおむね共通のワクがあったほうがいいかという御質問があったときのお答えだったと思うのですけれども、私どもはこの通牒の考え方をいまのところ変えておらないのであります。それは教科の実施につきましては、これは府県の判断でいいというふうに現在考えております。これがまたその実施状況というものについて非常な弊害がそういう方向に出てまいりますれば、これはまたその時点で判断すべきことでありますけれども、現在のところ教科が、あるところは九教科が残っており、あるところは五教科があり、あるところは四教科であり、あるところは三教科であるという現在の府県の実態というものは、私は何かそれは全部一律に矯正しなければならないほど弊害が現在の時点であるとは思わないのであります。ですから、この通牒の考え方は、終始現在まで変わっておりません。ただもう一つは、やはりこれは試験の教科の問題じゃなくて、この通牒で言っておりますように、内申書を重視する、そしてその内申書というものは、中学校教育の全教育活動というものをできるだけ選抜で重視するということが基本の考えである。その基本の仕組みというものを一律にきめる段階ではまだないので、それはもう最大限に府県で努力をしなさいということで、その効果は逐次出てきておるわけでございますから、私はこの通牒というものを現在の時点で改変することは適当でない、むしろ、いい芽が伸びてきておるというふうに考えていいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/78
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079・秋山長造
○秋山長造君 結局その学科が、課目が減った面は内申書の重視ということで補っていけるのじゃないか、それから両方抱き合わせばそう片寄ったことにはならぬ、正常な教育をそこなうことにはならぬじゃないかと、こういうお考えだと思うのです。そこで問題は内申書ですね。内申書を重視しろ重視しろということをずいぶん通達でもおっしゃられたけれども、いまもずいぶんおっしゃっておるのですが、この内申書の評価法というものが一体どれだけ信憑性を持っておるのかということですね。どれだけの客観性を持っておるのかということですね。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/79
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080・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 私はやはりいまいろいろ論議されておりますけれども、やはり六三制で一番の問題は入学試験の問題であろうと思います。現段階において中学校から高等学校に入ります場合は、九七%とかいうぐらいに、相当学校の選択いかんによりましては大体志願者が入学できるという状況になっておりまして、ここで入学試験の問題がまあいろいろ論議されておりますけれども、やり方によっては、中学校から高等学校に行く場合は入学試験の問題は相当解決できる方向に向かっておると私は思います。その一番大きな入学試験に対します欠陥を是正するのは、やはり何と申しましても内申書を重視する、私この一点に限られておると思うのです。でございますから、いわゆる中学校当局が、ほとんど相当なものが上級学校に入りますから、個人に向かって虚偽の内申書を出すということは考えられません。したがいまして、まあ学校における内申書は、一応これは正当な内申書と信じていいのじゃないか。問題になりますのは、内申書のそれじゃ学校差というものについてどう考えるかという問題でございますが、私はいま学区制度が大体きまっておりまして、ある高等学校に入学する中学校というのは限定された中学校が入ってくるのでございますから、高等学校自体において私はこの内申書の結果と、それからその後におきまする高等学校の成績をずっと追跡をいたしまして、長期にわたって学校がそれだけの努力を払えば、そのある学校の内申書というものに対する信憑性というものがおのずからその学校については私は発見できると思うのです。ですから、それだけのいわゆる努力をすることによって内申書の評価に対して学校自体である程度の評価をいたすことは私はできるんじゃなかろうか、そう内申書そのものを率直に甲も乙もずっと同じ価値として受け入れるという態度でなしに、ある程度の学校差というものを追跡することによって、私は評価のいわゆる位置づけができるのじゃないか。これを直すことによりまして、大体これができる。ところが、入学試験を内申書を重視してなぜやるかということは、私に言わせれば、入学試験をやることは、科目によって試験することによって内申書とそれを比較検討してみて、内申書はどの程度にいわゆる評価できるかという一つの判断の材料になる。そこで、それでは九教科を全部やるかというと、それにはやはり科目を幾つか選んでやることによってでも、内申書の評価と入学試験の結果との対比によりまして相当の評価はできるんじゃなかろうか。まあそういう意味で局長は学科目については便宜的だという説明をしたようですけれども、それはいわゆる入学試験というものだけが絶対に信憑性がある、そしてそれだけでやるという場合は、これは学科目について九科目全部やってやらなければならぬということになると思いますが、いわば内申書を主として考えて入学試験はその成績を参照するというような立場に立ちますと、その科目についてはある年には何をやる、ある年には何をやるということで、必ずしも九科目全部をやらなくてもいいんじゃなかろうか、こういう入学試験の場合が一番困難な問題でございますが、結論としては私は内申書をいかに重大な入学試験の素材にするかということが問題ではないかと思います。で、私は、実は私も自分でこの問題、入学試験問題についてずいぶん苦しんでまいりました。そしてこれを検討してみたことがございますが、入学試験の結論と、それからその学校に入ったあとの成績とは非常に差が違ってくる。入学試験のときの成績というものは、中に入りましたときと大きな違いが起こってくるのが普通でございます。それはおそらく一回の試験でやるよりも、何回も何回も、いわゆる在学中に繰り返された成績のほうが信憑性が多い。そういう意味において、この内申書の重視ということが入学試験に一番大事なことじゃないか。だから、入学試験の科目をきめるとかいう問題は、入学試験だけを最高の入学基準として考えるというところに入学試験問題について一番誤りがある。また、そのことが入学試験のいわゆる弊害というものをいま起こしておるのでございまして、どうしても内申書を最重視するという方向に入学試験は当然に行くべきものである、その信憑性についてはやはり高等学校、受け入れるほうもこれに対して十分な努力をしていくべきだと、こう考えるのです。これはなかなか解決策じゃございませんけれども、まだそれのほうが現在の入学試験の弊害を除去する意味において私は正しい方向でなかろうかと、私自身は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/80
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081・秋山長造
○秋山長造君 よくわかりますし、それから内申書を重視するという趣旨はけっこうだと思う。ただ、いまも大臣がおっしゃるように、それに客観的にどれだけの評価の価値があるかということだろうと思うんです。それで、それについて追跡調査云々という話がありましたが、その追跡調査というものはやっぱり府県教委でやっておるのですか、どうですか、実際はどうなんですか。追跡調査は、内申書重視ということを言い出されてからだいぶ長いのですが、やらしておるのですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/81
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082・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 追跡と申しますか、過去の実績を参酌して、ある一種の補正的な措置を講ずる府県も出ておるわけでございます。それから、いまおっしゃいました内申書の客観性のために処置をどうとるかということについて、あるいは神奈川県のように部分的な内申書と中学校時代の標準学力調査というものを併用しておるところもございますし、一定の限界、下位のほうについて特に中学校時代の成績を非常に重く見るというようなことをやっておるところもございます。それからもう一つは、客観的な意味でございますけれども、高等教育と違いまして、高等学校に入るということは、若干のたとえば客観性の論理性にたえなくても、中学校教育の正常化を維持するために、ある程度のところははしょっても中学校の内申書を重視するというような政策を府県によってはとり得ることでございまして、そういうようなことの現在の各府県の利用のしかたというのは、まだまちまちでございますが、それぞれその内申書を重視するということで逐年進んでおることは事実でございますので、その方向を進めるようにわれわれとしても努力してまいりたいと、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/82
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083・秋山長造
○秋山長造君 もう結論を急ぎますが、そういうようにして、とにかく激烈なこの受験競争を少しでも緩和し、そうして中学校の教育を正常化していくという努力をされておるわけで、それは一そう積極的に努力していただかなければならぬと思います。そういう努力と並行していつも問題になる補習授業の廃止ということですね、これはどうですか。実態は、日教組あたりでも、これは断然やめるという決議まで再三行なわれておるような状態なんですが、事実上どうなっておるのですか、補習授業は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/83
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084・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 入学試験のための補習教育というものがまだ残っておることは、おそらく中学校につきましても、高等学校につきましても、なお残っておる実情があると思います。私どもは、これは逐次、ほかの問題との関連もございますけれども、要するに、学校につきましては児童生徒の本来の教育のために集中していっていただいて、他の要因というものはできるだけ整理していくという方向で努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/84
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085・秋山長造
○秋山長造君 積極的に補習授業をやめろということを指導しておられるわけじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/85
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086・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) この点につきましては、こういう問題を担当いたします指導部課長会議におきまして、それぞれ具体的にどういうふうにやっていくかということを論議をしながらその考えを進めていっておるわけでございまして、通牒等で、ただ補習授業をどうこうという表現はいたしておりませんけれども、いろいろな実態があります。それを分析しながら、担当の会議においてその性格の方向にわれわれとしては努力していく、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/86
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087・秋山長造
○秋山長造君 日教組が再三これを断然やめるという決議をされ、また、あなたのほうでもいろいろな機会にこれをやめさすという努力をされながら、先ほどの御答弁のように、まだまだ地方の実態で見れば、補習授業というものがそう簡単にやまってないということは、やっぱり端的に入試問題というものがなかなか解決がむずかしいということをあらわしておると思うのですよ。先ほどおっしゃったように内申書を重視していく、そうしてまた、内申書の客観性というものをさらに高めていくというようなことによって受験難を緩和していけるんだというお話ですけれども、それならば、それにそれだけの効果があるならば、やはりもう少し受験準備教育、補習教育というものがやまっていいように思うんですけれども、これはあなた方ばかり幾ら責めても解決するものじゃないけれども、しかし、やはりもう少し積極的にやめろという指導をさるべきじゃないか。それから同時に、この内申の重視ということについても、ただ内申を重視しろということだけでなしに、また重視に値いする内申の制度というものをやっぱり確立しなければならぬわけですから、そこらの指導と努力をもっと積極的にやらるべきじゃないかという気がするんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/87
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088・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 単に入試問題だけでなくて、実は中学校における、すなわち前期中等教育における進路指導の問題というものが、ことしのわれわれの研究の一つの重要な課題になっております。中教審の答申もこれに触れておりまするし、実は今回の予算でこの答申に関連する研究会を設けます一つの部門は、中学校における進路指導の問題、それに対する観察、評価というものに一つ力点があるわけでございまして、そういう問題と合わせながら御質問の趣旨の実現に努力をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/88
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089・秋山長造
○秋山長造君 これで終わりますが、将来の問題ですが、さしあたっては、来年の入試の問題ですね、これはもう昨年の七月に出されたあの局長通達というものをそのまま適用しておやりになるおつもりですか、これをもう変更するおつもりはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/89
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090・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) あらためて通牒を出す考えを持っておりません。と申しますのは、この通牒の方向で、従来、内申書を同等という表現を、同等という限定を付さないで重視するということに表現を変えまして、そうしてその結果といたしまして、同等でないものは同等の線に、それから同等の実績があって、さらに強化するものは強化する方向に進んでおりますので、私はことしの試験のために通牒を新たに出すというよりは、現在の進むべき方向に改善の方向を府県で進めていただくということで現在の段階はいい。むしろ、いろいろなことを改変するよりは、改変した通牒を出すよりは、そのほうが実効が上がるという判断をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/90
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091・小林武
○小林武君 それに関連してひとつ。いままでの問題に関連したことについてひとつだけ質問したいわけです。それは中教審の会議の記録の公開ですね、このことについては、中村文部大臣のときに、この記録の公開をするという約束をしておる。ただし、記録の公開をすることは認めたけれども、私のほうとしても大臣の希望を入れたわけです。どういう希望を入れたかというと、それをやるにしても、記録の公開はするけれども、やはり中央教育審議会の皆さんの了解をとっておく必要があるからという御意見だった。その点については、私はごもっともだと了解したわけです。だから、剱木文部大臣になってもこの点は間違いがないかどうか。これは前の大臣の約束だから、私の時代になったら公開はやめますと、こうおっしゃるのかどうか。公開といっても、私はそこらじゅうにみんな出すということじゃないんですよ。われわれが見れるかどうか。私は見たいところがいま出ましたから、それでもこの点について確かめておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/91
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092・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) これはもちろん中教審が審議されることですから、中教審の委員の御了解を得なければならぬと思いますけれども、普通、非公開という面はほとんどないと思いますし、了解を得まして、できるだけ公開という形をとってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/92
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093・小林武
○小林武君 先ほどもお話があったように、今度のあれでは若返りをやって、だいぶかわられるらしい様子でございますが、前から、ずっと中教審ができて以来のことを考えると、前の委員でなっていない人もだいぶあるわけですから、一々それは公開しないといって、前の人の分まで御了解を得なければならぬこともないと思うので、一応あの場合には突如出てきたといっては悪いけれども、突如ここで言われたことだから、大臣としてはそういう点、配慮されたと思う。ですから、一々そういう了解を得るとか何とかということでなくしてもらいたいと思います。
それから、これはあとで聞けないものですから、ここで一つ二つ別のことをお聞きしますが、小学校、中学校、まあ高等学校でもけっこうですが、天水を飲んでいる学校というのは、一体どのくらいあるんですか。別に答弁なくても、あとでけっこうですから、それを調べてもらいたいということと、その中で、近くの所から普通の飲料水を運ぶ可能性のないところもありますけれども、可能性のある離島というようなもの、離島といっても瀬戸内海のようなところで、持っていけば飲めるというような可能性のあるものが一体どのくらいあるのか、それをお尋ねしたい。
それからもう一つは、スクールバスとか、スクールボートですね、これを毎年ふやしていますが、これはけっこうだと思うが、ところが、大体ここにやったらよろしいという県のあれがあってやって、市町村で人件費その他困るから、県がもらったらいいだろうといっても引き受けられませんというようなものがどのくらいあるのか。実はこの間、私のところに、県は了解したけれども、どうしても町の経済の事情でとてもできないといって困り切っているんだという先生があったわけです。そういうものが、全国的にそういう調べができるかどうかわからぬけれども、断わられたというようなのがわかったら、その数もあとで知らせてもらいたい。これはいまここでなくてもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/93
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094・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 前段の点は体育局とよく相談いたしまして——天水の問題ですね。それから後段の問題に関連しては、われわれが知っている限りのことでございまして、実はその実情というものをなかなか知りにくいものでございますので、どの程度の御答弁ができますか、調べましてお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/94
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095・千葉千代世
○千葉千代世君 いまの中教審の委員についての関連ですけれども、委員の選定については何か基準があるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/95
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096・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 文部省設置法によりますと、「中央教育審議会は、人格が高潔で、教育、学術又は文化に関し広く且つ高い識見を有する者のうちから、文部大臣が内閣の承認を経て任命する」、法律上の要件として、そういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/96
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097・千葉千代世
○千葉千代世君 人格高潔、高い識見というのは、文部大臣がそれを認めればよろしいんですか、だれが認定するんですかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/97
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098・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 任命権者であります文部大臣が、この法律の趣旨に照らして判断するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/98
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099・千葉千代世
○千葉千代世君 たいへん失札な質問ですけれども、政府機関の審議会の委員ですね。そういう委員の中には、悪いことばで言えば、たいへん御用的な存在が多い委員会がかなり多いというわけなんです。それで、文部省の審議会の委員にはそういう方はないと思うんですけれども、文部省のよそで言うことですね。たいへん人格、識見が高潔過ぎて、政府の御提案の中に、たとえば人間像の問題から始まって、まあいろいろの政策について、いままでの実績を見ますというと、大体、文部省で案をお立てになったものが中教審に諮問をかけられると、そうすると、骨子としてはそれがゆがめられないまま、ゆがめられるといいますか、そのままの答申がなされてくる例外が多かったというんですけれども、いままで文部省のほうで骨子として出されたものが、諮問された内容が反映されないで、自主的な審議会の運営の中で答申されたものは何と何があったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/99
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100・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) その文部省の諮問する事項は、文部省が一つの答申を予測しまして、文部省自体はこう考えるから、それに裏づけをしてくれというような意味合いの審議会のあり方ではないと、私、確信しております。でございますから、その審議会におきまして自由な討議の結果、答申をいただくというのでございますから、文部省の、この人は文部省の言うことをきくであろうとかいうことを選択の基礎にはいままでもしてないと、私は確信いたしております。たとえば、まあ、かりに最近でありますと、私学の助成の調査会にいたしましても、それはもう自由な討議をされておりまして、まあ結論が一応こうというのは、きのう委員長が新聞発表したようでございますが、なおかつこれは最後の答申を得る前にどう変わっていくか、私どもとしては予測をしていないのでございます。いわゆる学科課程の審議会にいたしましても、こういうふうにしてほしいというような注文を出してやっておるわけじゃございません。そういう次第でございますから、ある一つの、政府が結論を予測しまして、そして答申を求める場合と、文部省の場合は相当あれは違うと思うんでございます。まあその点は、私ども文部省の意思のとおりになるからこの人を選ぶとか、そういう考え方は絶対に持っておりません。御了承ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/100
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101・千葉千代世
○千葉千代世君 それはまあ審議会の性質そのものが、いわゆる諮問されれば、お互いに委員が全知全能をしぼって自主的に相談し合ってよい意見を答申して、そして文部大臣がそれを採択するしないは、まあそれはいろいろありましょうけれども、それは当然の道筋でございますけれども、実際的には、やはり人格、識見も高潔でありますし、頭のいい方がそろっておりますから、やはりいろいろ巷間にうわさされるところによりますと、文部省の委員の方はたいへんお行儀よくって、そういう点がなかなかつうつうだということは言われているんです。したがいまして、何年でございましたか、委員のメンバーを発表していただいたことがございましたね。そして、一人々々履歴を調べていただいて、そしてまあこの人格識見高潔だということはどこで判断したかといったときに、教育経験者だけということは決して申し上げません。いろいろな視野からというのですから、電気会社の社長さんもけっこうですよ。石油会社の社長さんもけっこうでしょう。財界もけっこうでしょう。いろいろな方法があってけっこうだと思いますけれども、やはりいろいろな日本の教育を長期的にあらゆる視野から検討する場合に、それにはそれ相当の教育に対する理想そのものがお互いあってしかるべきじゃないかと思われるのですけれども、それにかなり遠いような方もあるわけなのです。その方たちの御発言というものが、小林委員が内容を公開して欲しいと言った理由もそこにあるんじゃないかと思うのですけれども、なかなか御無理ごもっともな発言も多いのじゃないかと思いますし、発言も公開できないような場面があるんじゃないかと思うのです。私はそれはだれがどう言ったということは全然存じ上げないからこういうようなことを申し上げるのですけれども、そういう意味でいま委員が発表になっていないから申し上げるのですけれども、要は、お願いは、若い方でやっぱり人材を委員のメンバーにお選びくださることですから、そういう批判もあるということを、私が聞き間違いであればたいへんけっこうなことですけれども、どうかひとつ民主的なよい運営ができて、そうしてよい見識を持った、文字どおり人格識見の豊かな方が選ばれるような方法、民主的な、もっと具体的に言えば、現場の教員がその中に入れられるような方法を考えていただきたいということです。それを要望しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/101
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102・秋山長造
○秋山長造君 私きょうはこれで質問終わりますが、ちょっと資料をこの次にお願いしておきたいのは、大学学術局のほうで、五月三十日に来年の入試要綱の通知を出されましたね。あれをあさってのこの委員会に間に合うように提出していただけませんか。それからもう一つは、斎藤局長へお願いしておきたいのですが、この標準法の改正案についてのいろいろな資料、衆議院あたりで出された資料ありますね。何かあるようですが、これはもう一々そのつど要求しなくてもいいように、できるだけ出す資料があったら出しておいていただきたいと思うのですがね。この二つお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/102
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103・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/103
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104・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/104
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105・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。
他に御発言もなければ、本法案に対する本日の質疑はとの程度にいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時十八分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01419670620/105
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