1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年七月四日(火曜日)
午前十時四十二分開会
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委員の異動
七月四日
辞任 補欠選任
玉置 和郎君 米田 正文君
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出席者は左のとおり。
委員長 大谷藤之助君
理 事
楠 正俊君
中野 文門君
秋山 長造君
鈴木 力君
委 員
北畠 教真君
近藤 鶴代君
内藤誉三郎君
二木 謙吾君
吉江 勝保君
小野 明君
小林 武君
千葉千代世君
成瀬 幡治君
発 議 者 鈴木 力君
国務大臣
文 部 大 臣 剱木 亨弘君
政府委員
文部大臣官房長 岩間英太郎君
文部省初等中等
教育局長 斎藤 正君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 猛君
説明員
外務省国際連合
局専門機関課長 木村 敬三君
日本ユネスコ国
内委員会事務局
教育課長 彦坂 春吉君
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本日の会議に付した案件
○へき地教育振興法の一部を改正する法律案(鈴
木力君外一名発議)
○公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数
の標準等に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○教育、文化及び学術に関する調査
(教員の地位に関する勧告に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/0
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001・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
へき地教育振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、発議者から提案理由の説明を願います。鈴木君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/1
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002・鈴木力
○鈴木力君 ただいま議題となりましたへき地教育振興法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
わが国には、山間地、離島その他の地域にあって、交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない、いわゆる僻地が散在しております。
この僻地に、昭和四十一年五月の調査によりますと、五千九百五十二校の小学校及び二千二百四十六校の中学校があり、全国の公立小中学校のうち、僻地小学校は二三・四%、僻地中学校は一九知の割合を占め、その児童生徒数は小学校五十四万七千九百二十一人、中学校二十五万九千九百二十人であります。これらの僻地学校には小学校三万二千三百八十一人、中学校一万七千百三十六人の教員が勤務しているのであります。ところが、僻地学校は一般的にいって小規模学校が多いこと、学校の施設、設備が貧弱であること、児童生徒の通学条件が悪く、かつ困難であること、要保護、準要保護児童生徒が多いこと、保健衛生の状況が悪いこと、教員の配置に困難が伴うこと等、その教育条件はきわめて劣悪であります。
このような劣悪な教育条件の下にある僻地学校に対しては、教育の機会均等の理念に基づき、平地学校以上のきめこまかい行財政上の配慮が必要であります。
以上のような理由から、昭和二十九年の第十九回国会において僻地教育振興法が制定され、さらに第二十八回国会には同法の一部改正が行なわれ、僻地教育の改善充実は着々と進められてまいりました。
しかしながら、僻地の一部は交通機関の発達により、交通条件等に多少の緩和が見られますものの、なお全体的にみれば、その生活文化水準及び教育水準は他に比べて一そう格差を生じつつあるのが現状で、僻地教育の振興施策は特段に徹底される必要があると信ずるものであり、ここに本改正案を提出した次第であります。
次に、改正案の内容のおもな点について申し上げます。
まず第一点は、僻地学校の定義についてであります。すなわち、現行法におきましては、「交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない山間地、離島その他の地域に所在する公立の小学校及び中学校をいう。」とありますが、今回これを「交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれず、他の地域に比較して住民の生活文化水準が著しく低い山間地、離島」云々と改めたことであります。近年における交通機関の発達と、テレビ、ラジオの普及等は、僻地の状況に多少の変化を与えておりますが、僻地における地域住民の生活文化水準は依然として低く、その上産業開発のおくれと人口の漸減等の理由により、僻地市村町財政の悪化も加わり、平地との生活文化水準の格差は一そう開いております。これが学校教育の面に対しても大きな影響を与えていることは当然であります。したがって、僻地学校の定義を「その地域住民の生活文化水準の低い山間地、離島その他の地域に所在する小中学校」と改めたものであります。
第二点は、市町村の任務として、学校給食に関する規定を新たに掲げて、その任務を明確にしたことであります。学校教育の一環としての給食を特に必要とする僻地学校における給食の実施状況は、一昨年より高度僻地の特別対策として、パン、ミルク給食を開始した結果、その実施率は相当に上昇いたしましたが、完全給食については全国平均小学校では六二・八%に比し、三七・五%といまだ低い現状にあります。申すまでもなく、僻地における給食の普及率の低いことは市町村財政の貧弱と地域住民の貧困がおもな原因であります。それゆえに、ここに学校給食に関する規定を定めて、学校給食の普及を一そうはかろうとするものであります。なお、その実施にあたっては、年次計画をもって逐次整備するものと考えております
第三点は、市町村の任務として、僻地学校の児童、生徒の通学を容易にするための必要な措置を明確に規定いたしました。
僻地における通学条件を改善するための一つとして、バス、ボートの整備が必要であることは御承知のとおりでありますが、その運営費も年間相当額にのぼり、財政力の貧弱な市町村にとっては過重な負担となっておりますので、これを国庫補助の対象とするよう改めております。また、寄宿舎設置についての市町村の任務を明らかにし、これに要する経費に対して国庫補助の対象とするよう法の整備を行ないました。なお、これが設置の計画といたしましては、僻地の四、五級地の最も条件の劣悪なところから年次計画をもって設置すべきものと考えております。
第四点は、僻地学校の級別指定の基準を定める場合に僻地条件の程度とともに市町村の財政状況をも考慮することといたしたことであります。
僻地学校の級別指定の基準には、僻地条件の程度によって級別指定が行なわれることは当然のことでありますが、当該市町村の財政力の貧弱度が学校の施設、設備その他の面においておくれを招き、ひいては学校教育に大きな困難をもたらすことを考慮して、これを特に級別指定の要素とするように措置したものであります。また、僻地に勤務する教職員に対して、僻地手当の支給割合を従来よりも最低二%から最高五%まで引き上げるとともに、特に僻地性の高い五級地については保健、医療その他の衛生に関する環境の程度に応じて一種から三種までに分け、これらの級地別の最低保障額を設けることによって、教職員の待遇改善を行ない、人事移動を円滑にし、有能な教職員を配置したいと考えております。
第五点は、市町村が行なう事務に要する経費のうち国の補助率を現行の二分の一から十分の八に引き上げております。僻地の市町村は財政力が貧弱であり、昨年の調査によれば、僻地を持っている千五百九十八市町村中その財政力指数二〇%未満が四百一団体、二〇%以上四〇%未満が七百八十六団体であって、実に七四%以上の市町村の財政力指数が四〇%以下となっている現状であり、これがため積極的に僻地教育振興のための諸施策を促進させるには、国の二分の一の補助をもってしては実効をあげえない現状でありますので、補助率を大幅に引き上げて僻地における教育の充実向上をはかりたいと考えております。
なお、附則におきまして、施行期日を昭和四十二年九月一日とし、国の補助に関する規定につきましては、昭和四十二年四月一日から適用することといたしております。
また、昭和四十一年以前の予算にかかる国庫補助金については、従前の例によることといたしております。
以上が、この法案の提案理由及び内容の概要でございます。
何とぞ、慎重御審議の上すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/2
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003・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 以上で本法案についての説明聴取は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/3
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004・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続いてこれより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
なお、政府側より劔木文部大臣、斎藤初中局長が出席いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/4
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005・鈴木力
○鈴木力君 これからこの法案について御質問申し上げてまいりますが、まず第一に、これはちょっとくどいようでありますけれども、やはり学級編制の基準について、この前に秋山委員の御質問に対しての御答弁をいただいておるわけでありますけれども、どうもはっきりしない点がございますので、重ねてこの点をお伺いいたしたいと思います。
つまり、それは五年後に高等学校の学級編制が四十五人という規定でありますけれども、一体この四十五人を決定される前に、文部省が高等学校における一学級の生徒数はどの程度であることが適正であるのか、そういう角度からの検討をなされたかどうか、お伺いいたしたいのであります。つまり、これは高等学校の教育様式にも関係すると思いますけれども、そういう観点から御検討されたと思いますが、その検討された上での四十五人となさった基礎を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/5
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006・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 本改正法案によりまして、正確に申しますならば、学級編制を四十五人にするものと、それから定時制それから全日制を通じまして、職業教育は四十人、四十五人と四十人の学級編制を予定をしておるわけでございます。そこで、普通科及び商業課程におきまして、現行法が五十人でありますものを四十五人に引き下げたのはどういう検討の結果であるかという御質問のようでありますが、私どもは、主として今回の、この法律の持つ実質的な意義というものが財源を確保するという観点にあるものでございますから、そういう角度から検討いたしまして、現在並びにその近い将来にわたる間の高等学校の展開のしかたとしては四十五人ということにとどめておいて、まあ教職員の組織をくふうをするということがいいという観点に達したものでございます。むしろ実態上の財源措置ということを主にいたして検討をいたしたわけでございます。御質問の教育プロパーの問題として研究上どうかということまでに触れずに、むしろ財源措置としてこの法案の持つ意味を考えまして、ああいうふうに決定した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/6
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007・鈴木力
○鈴木力君 財源上処置のためにその各度から四十五人にしたと、これは職業課程でありますとか、四十人のところもございます。そういう財政上の理由から四十五人、しばらくの間それでいくんだ、こういう考えであれば、これはまあそれでわかると思います。やはり文部省といたしますと、どうしてもそういう面からだけ、いつでも追いかけていくわけにはいくまいと私は思うのですが、つまり高等学校の設置基準ですか、設置基準は何かの面でやはり文部省としては高等学校の一個学級の収容生徒数というのは大体この程度のところが適正である、こういう検討は必要だと思うのです。つまりこれは小中学校の場合も同様なのでありますけれども、かって文部省でも検討されたと思うのです。いまの教室の広さと児童生徒数の収容の度合い、これを環境衛生上から検討してみたり、あるいは会前列の距離とか、光線の関係からの検討をいたしましたり、教育学界ではいろいろ定説がいま出ておるわけでありますけれども、そういう面の検討から、財政上の処置というのは財政がゆとりが出てきますと、理想に向かって一歩でも二歩でも前進するというそういう前提のもとだと思いますけれども、そういたしますと、いまの段階で、ここまでいかなければならないというものがあると思うのです。それが設置基準に示してある四十人というふうに解釈してもいいのかどうか。その辺についても承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/7
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008・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 設置基準は御承知のように、四十人以下、特別の事情がある場合に例外を設けるということでございますから、その考えはそれできちっとしているわけでございます。ただ私どもは先回から申し上げましたように、この法律の持つ意味が、財源の措置に対する効果を持つのであるということと、それからそれじゃまあ高校基準というものを全然頭に入れないで、われわれが考えたかと申しますと、そうではなくて、これも先回お答え申しましたように、生徒と先生の比率においては、標準規模の学校については高校基準四十人の計算というものと同等ないしは若干の教員数のプラスというところまでの努力をしたということで、この御提案の態度というものは御了承になっていただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/8
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009・鈴木力
○鈴木力君 そういたしますと、いまの設置基準に示されておる数というのは、これはいつになるか別といたしましても、やはり財政的事情が許せば、そこにいかなければならない数字であると、そういうことはそういうふうに理解してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/9
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010・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) その点と、それから要するに教職員との相関関係を、どっちをウエートをもって考えたほうがいいかという問題が一つあるわけです。そういうことを勘案しながら将来は検討していくべきものだと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/10
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011・鈴木力
○鈴木力君 そこで、もう一ついまの点について伺いたいのは、教職員との比率といいますか、相関関係全体の生徒数と、それから教職員数との比率を上げるということが一つのねらいである、こういうふうにいま伺ったのでありますけれども、それは私も、少なくともほんとうの教育効果をあげるという場合に、最後にやっぱり生徒数と教職員数との比率というところに相当の意義があるだろうと思いますから、いまのその局長の考え方も私はそれはだいぶ理解できると思います。ただいまの高等学校のこの教育のシステムが、これは何と言ってもホームルームだけで教育をやっておるということにはならないと思うんですけれども、しかし、かりに五十人から四十五人と将来なるわけでありますが、四十五人という一つの学級の単位というものが、たとえば数学をやる場合にも四十五人が一つの単位になって数学の研究をやっておる、理科をやる場合にも四十五人が一つの単位となって学習をされておる、こういうように学習の基礎が四十五人であるという場合には、かりに全校の教師全体と生徒数全体との間の比率がどうなっていても、授業だけが教育でないと言われればそれまでの話ですが、一つの授業を考えてみる場合に、やはり一人の教師に四十五人の生徒という比率はこうなってくるわけですね。だからそこのところが私はいまの教育の生徒対教師の相関関係と言いますか、その相関関係の一番重要なところだと思うのです。だから全体の教師と生徒の比率を相関的に見たというこの局長の考え方、私はそれなりに理解はいたしますけれども、それだけではいまの高校の教育のシステムからいって何か救われないような気がするのです。だから高校四十人なら四十人の基準に近づかなければならない、やはりそういう考えがいっでもあった上でのこの法案なのか。そういうことであれば理解ができるのですけれども、この前の委員会のときには、大臣の答弁も多分私がいま申し上げたような御答弁に伺っているのですけれども、何となしに生徒と教師の相関関係というのが多く出てしまいまして、いまの教室環境なり、高校の教育システムというものからなりの一個学級の収容生徒数がどれぐらいかということに対しては、どうも御検討が、承った限りにおいてはどうも理解ができないようなのでして、その点が少ししつこいようですけれども、伺いたい点なのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/11
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012・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 前回の御質問のときにも私その点については、やや検討の課題というものがいろいろあるので、御答弁申し上げなかったのですが、先生のおっしゃるように、確かに一時間なら一時間におけるその生徒の集団というものがどのくらいの規模であるかというようなのも一つの将来の検討の課題でありますし、また従来あまり言われておりませんでした一人一時間の値ではなくて、全体として何人を担当しているかというようなことも、また高等学校になりますと、教科によっても非常な重要な要素になります。これはあまりいままでは議論されておらなかったのでありますが、そういういろいろの研究課題がございますから、われわれといたしましては、まず妥当な、現状においては妥当な比率、国際比較をいたしましてもそう劣らないというところをねらいまして、その高等学校自体の授業形態、あるいはそういうようなことは今後の課題にいたしたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/12
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013・鈴木力
○鈴木力君 どうもくどくて申しわけないのですけれども、どうも引っかかるのは、現状においては妥当だという局長さんの御答弁ですね。それは財政上から妥当だと言われると、これはまあ私どもも財政上の事情もいろいろわかりますから、まあ妥当だというよりは、財政上から言うなら、当面この程度がぎりぎりだと、財政上の理由でそういう意味なら私も理解できると思うのです。それからまた教師と生徒の相関関係というそういう面からの検討をされたと、このことについても私はこれは必要な検討であったと思うから、なおさらに、さらに検討しなければいけないと思うのです、今後。しかし私が引っかかるのは、いまさっき申し上げましたような、現状においては妥当だというこの四十五人というこの規模ですね、これはもうどちらかと言いましたら、学校全体の生徒数と教職員数の相関関係を追及するより先に、いまの高等学校の教育形態からすれば、一つの教室に収容する生徒の数とその教室で授業する先生との比率がどうなのかということが、何かその検討のほうが先に必要なような気がするのです。そこでたとえば、局長がいまおっしゃった国際的に見ても、相当に日本のこの相関関係から見れば、比率から見れば劣っていない、こう局長はおっしゃるのですけれども、伺いたいのですが、学校全体として一つの学校の教師と生徒との比率、こういうことではなしに、一つのクラスルームに入っておる生徒と授業の形態から言う教師との比率、いわば学級の生徒数と、こう言ったほうが簡単なわけなんですけれども、その生徒数からみますと、それでもやっぱり国際的に日本の四十五人というのが上位にある、こういうことを局長さんがおっしゃったのですが、念のためにその諸外国の一個学級の生徒数のいいところを伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/13
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014・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 学級編成の標準なり基準を見ますと、日本の四十五人というものはフランスの標準とされているものと同じでありまして、あと英米、それから独というものはもっと下がった少ない規模でいっております。ただ上位と申しますのは、一面別の比較で教師一人当たりの生徒数ということを見ますならば、改正法によって十八人に一人ぐらいということになりますから、これはかなり上のところになる。これは一がいにどっちの要素をもっても比較できない。学校のカリキュラムのあり方とか、授業形態とか、いろいろありますから、私どもは別に一人当たりの生徒数がこういうふうになっているから最上のものだというような断定のしかたは毛頭いたしておりませんけれども、いろいろな比較の方法があるということを申したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/14
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015・鈴木力
○鈴木力君 それでは大臣に伺いたいのですが、いまの学級編成の基準を定めた法律というのは、いま審議しております法律以外にはないと私は考えておるわけでありますので、そこでこの設置基準のほうは省令でありますから、そういたしますと、法律で基準という場合に、財政的な理由からの標準だ、こういうことがはっきりすれば、そのときの法律でありますからあれですけれども、いまのような教育効果をほうとうに考えていく場合の標準、こういうようなものについては私はやはり検討の順序が少し何と言いますか、本末転倒しているとまでは言いませんけれども、現在の日本の高等学校で行なわれている機能から言うと、どうしてもそういう標準に、これでいいかどうかということはもっと真剣に取り組まなければならないのじゃないかという感じが私はするのですけれども、ところが、いま読んでみますと、先ほどからの議論といいますか、御答弁を伺いますと、省令のほう、いわゆる設置基準のほうでやや理想的なものを出してある。そうして法律のほうは財政的なということで、説明からすると、いろいろそっちに行ったりこっちに行ったりということで次々に出ている。この関係もどうも私はよくわからないのでありますけれども、これは多様化の問題とからんでそういう気がするのですが、本来法律と省令という関係は、いまの説置基準とそれからいま審議しておる法案の関係からいうと、どういうふうに見ればいいのか、大臣の見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/15
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016・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 省令で学校基準をきめまして、四十人として、それはやはり高等学校の学級のあり方についての一つの理想的な姿を打ち出し、それに到達するまでやむを得ない事情があれば、この四十人でなくても差しつかえないというあれを出しておりますが、私はやはり教育的な見地から考えますと、これは正確に一学級何名が一番正しいという学問的な結論はまだ定説として出ていないと思いますが、しかし私ども旧制の——旧学校制度におきまして私ども旧制の高等学校で学んだのでありますが、旧制高等学校においても学級は四十名でございました。一応この四十名というのが一つの理想的な形態ではないかと思います。これは局長からも申しましたように、今度の定数の改正は主として財源的な見地から考えまして、いままで五十名でございましたものを、学級編制を四十名にするということは、相当教室等の具体的な施設その他の関係におきましても急激な変化を来たしますし、またそう五十名から一足飛びに四十名にするということは財政的な面から言いましても非常な飛躍になるおそれがございますので、一応この四十五名という数字をとりまして、しかも、実際上はこの四十名にしたときとそう変わらない、もしくはそれ以上ぐらいの生徒と教員との比率におきましては相当考慮いたしまして、先生の人数を増していったというのがこの法案の趣旨だと思います。しかし将来におきましては、一つの学級編制のあり方としては、やはり四十名が理想でございますし、いま国際的に申しますと、今度の定数改正で国際水準には劣っていない程度まで到達したと存じますけれども、教育の理想から言えば、何も国際水準にこだわる必要はございませんので、より以上の定数と申しますか、これを高等学校教育の振興のためにはやってもいいのでございますから、われわれの将来の目標といたしましては、四十名の定員に目標としてやるべきだ、ただこれが当分の間はこの定数をきめましたことによって、実質的には四十名にした場合と定数的関係においてはそう劣っていない。しかし一学級の教育の場におきまして、教育の理想的な形態はやはり一学級は四十名ぐらいを適当とするんじゃなかろうか、その方向に向かってやはりわれわれが努力いたすべきだと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/16
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017・鈴木力
○鈴木力君 だいぶわかりました。そういたしますと、いまの大臣の御答弁で、四十五名というのは、現状の五十名から一足飛びに四十名にいくというのは財政的にも非常に困難だ、したがって今回は四十五名にしたのであるけれども、どういう事情になるかわからないが、将来事情が許せば四十名までいこうと、そういう意思があっての一つの段階的に四十五名ということにしたんだと、そう確認してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/17
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018・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 理想的形に近づくべきだと存じまして、四十五名が永久で変わらないというものではないと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/18
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019・鈴木力
○鈴木力君 もう少し伺いたいのですが、永久に変わらないものじゃないという言い方でなしに、さっき大臣がおっしゃったような、四十五名は財政的なものであって、これは事情が許せば、という前提がなければいけません。いつまでにどうするというわけにいまのところはいかない、いまのところは四十五名しかいかないという、そういう前提だったと思いますけれども、情勢が変われば一日でも早く四十名のところに近づけるべきものである、そういう御意図だというふうに大臣の御答弁を理解したいのですけれども、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/19
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020・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 鈴木委員の申されるとおりと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/20
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021・鈴木力
○鈴木力君 この点についてはわかりました。
その次に、今度は高等学校の規模について若干伺いたいのですが、これはまあ全日制と定時制とか、いろいろ高等学校のそういうものによっても大体どういう規模がいいとか悪いとかいうことについては議論がたくさんあると思いますが、現状から言いますと、これは私も統計は持っておらないのではっきりしたことは言えないのですけれども、何か非常に大き過ぎるような高等学校もいま最近出ておるような気がいたします。逆に、これは情勢上やむを得ないと思いますけれども、いわゆる小規模学校と言われておる高等学校もある、こういう規模に対していろいろの手当てをされているのでありますから、特に何学級くらいが適正の規模かというような議論は、これは私もいまするつもりもございません。ですけれども、ちょっと気になるのは、法律の第五条なんですけれども、この第五条の中に、現行法では「本校又は分校の別に従い、本校にあっては三百人、分校にあっては政令で定める数を下らないものとする。」、こういうふうにございます。これはまあ今度改正案では二百七十人と、こうあるわけでありますけれども、その「分校にあっては政令で定める数を下らない」、最下限がそこに出ておるわけです。おそらくこの政令というのは二百十五号をさすのだと思いますけれども、そういたしますと、この法律と政令との関係はどうなっておるのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/21
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022・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 五条の改正は、いま御指摘のとおり、まあ学級数に言えば六学級以上というのがたてまえであるということで、だから学級編制を変えましたために人数が変わったというわけです。それからただ分校にありましては、現行政令ですべての学年の生徒を収容する分校については百人、それからいわゆる前期だけやるそれ以外の分校については六十人ということを、それを四月一日から施行すると、こういうことになっております。この点につきましては、考え方としては学校規模の下限をこういうふうにとっておいて、できるだけ実情に合わせながらそういうふうにいったほうがよかろうという考え方はございますけれども、一面また真に必要な小規模学校というものも整理されたあとに残っておりますから、この小規模分校につきましては、現状も考えながら定数上のむしろ加算の措置も若干講ずることによって、真に必要なものは充実していうこという考え方をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/22
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023・鈴木力
○鈴木力君 いまの局長のお答えでもほぼわかるような気もしますけれども、この政令二百十五号で、分校は全学年を収容するのが百人以上、それ以外のものは六十人とありますが、この政令は実は私の見間違いであればいいのですけれども、四十二年、ことしの四月一日が期限じゃなかったかと思うのですが、もしそうだといたしますと、改正法の政令で定める数を下らないという政令は、何か準備をなさらなければいけないような気がするのです。あるいは二百十五号の政令を変更されるのか、この政令といまの法律との関係をまず伺いたいということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/23
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024・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) いまの点は、法律の問題と現実にどういうふうな措置をするかという態度の問題でございますが、先ほど申しましたように、この政令の定めは四月一日から施行する形になっております。これはまあこの考え方を出しますのは、どっちかと申しますと、戦後必要以上に分校という形で残存しておったものを適正規模に改めるという意味で非常に意味があったわけでございます。今回はもう大体そういう行政努力というものも実情に合って行なわれて、そして、ことにこれは定時制高校が主でございますから、もう山間僻地、農山漁村等におきまして真に必要なものが残っておるという認識に立ちまして、この従来掲げておりました方針の例外として、むしろこれをほんとうに充実すべき点は充実してやろうという考え方で、この改正の際に実は定数の加算もさらに行なったということでございまして、この政令がありましても、従来建てられておって、そして真に必要なものについては及ぼすという考え方でなく、新たに設置する場合におきましては、この考え方で適正の配置を考えたらよかろうというのが私たちの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/24
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025・鈴木力
○鈴木力君 率直に申し上げるのですけれども、私がいまこれを御質問申し上げておる意図は、はっきり申し上げますと、政令二百十五号のうちのいまのここの百人、六十人の項は、何か期限がもうきてしまう、そうすると、いまもしそのとおりに読めば百人未満あるいは六十人未満というところがもうこの限りにおいて全部廃止されるのではないかという不安が非常に出ているということです。ですから私はここで局長に確かめておきたいのは、いま局長から伺いましたように、今日残っておるのはそれぞれ地域の実情なりいろいろな事情があって残っておるわけですから、その残っている実情というのを認めて今後政令によって処置をする、そういうふうに解釈してよければこの項はそれで私のほうも了解できるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/25
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026・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 真に必要なものは小規模であっても存置をするという考え方でございます。ということは行政指導もいたします。そういう考えがありますからこそ、われわれはまた小規模学校につきましても、定数の改正の際に加算の措置を講ずるということでございますから、御心配の点はないように配慮いたします。行政指導もいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/26
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027・鈴木力
○鈴木力君 あとで教職員の定数の問題についてはさらにまたこの条項についても伺いたいことがありますけれども、一応考え方だけを伺いまして、きょうは進みますが、その次に、この前の秋山委員の御質問にもお答えはちょうだいしておるのですけれども、やはりどうも私はまだはっきりわからぬのですが、この多様化という問題です。やはり多様化というのは一体どういうことなのかということは、非常に簡単にああだ、こうだとも言えないような非常にむずかしい問題もあると思いますけれども、私はどうしても多様化というところで気にかかってならないのは、さっき大臣にもちょとお伺いいたしたのですが、この多様化の限界といいますか、多様化の具体的なあれは何か省令である設置基準でどんどん出ていくような気がしてならないわけです。そうすると、本法では、法律では何も規定するものがなくて、そしてぽかぽかどこまでも出ていく、それは地域の希望によるとか、あるいはそういうような形でどんどん出ていくといたしますと、いろいろな問題が出てくるのではないか、こういうふうにも感ずるのであります。この点については非常にたくさんのいろいろな問題があると思いますから、そこでひとつこの問題について、いまというわけじゃありませんけれども、この次の委員会までにひとつ資料をちょっとお願いをいたしたい。それは職業課程のうち、いわゆる多様化と言われるように分割しているのは大体どれだけあるのか、全部というわけにまいりませんでしょうが、どういう形でいま教育されておるのか、そういう二、三の例を静岡県あたりの例にされてもよろしいのですけれども、お願いを申し上げたい。それからやはり多様化から出ていると思いますけれども、衛生看護科ですか、この衛生看護科が置かれておる高等学校はいま何校になっているのか、そうして衛生看護科を置いている高等学校の教育が何をしているのかというとぐあいが悪いですけれども、どういうカリキュラムで教育をやっておるのか、卒業した場合にはその生徒はどういう進路を選ぶのか、それから衛生看護科の教師ですね、有資格教員は何名で、無資格教員は何名で、どういう状態で教員を配置しておるのか、こういう点の資料をお出しいただきたいと思います。それらの資料によってこの次に御質問申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/27
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028・小野明
○小野明君 関連になりますが、局長、先ほどの政令二百十五号の関係ですね、これが通りますと法律は四月一日から発効と、政令としてははっきり百名をこえ、あるいは六十名をこえると、こういう数字になっておる。しかし真に必要なものは残すように措置をする、こういうように答弁がありました。具体的にはどういう措置をなさるのか、具体的な手続というものが説明がありませんと、このまま適用された場合にはみんなばったばったと切られるということになりますから、その点をちょっとお尋ねをしておきたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/28
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029・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) この点は、三十六年でございますか、本法成立のときの経緯からいたしまして、いたずらに小規模学校を非能率においておかないというようなことの経緯があって、最低規模の問題が出てきたわけでございますが、私どもは、これも今回の措置だけでなくて、考え方といたしましては、新たにそういうものをどんどん設置認可をするということを避ける必要があるという考え方をとっておりますが、既存のもので真に必要なものというものは、これはこの規定の施行によって否定されるものではないという解釈をとりまして、そして、今回の法改正につきましてもそういう前提で実は財源に対する折衝をしたのでございます。その趣旨は府県でよくわかっております。また、本法成立後もまたその趣旨を担当者に指導いたしますから、御懸念のように必要なものまでも廃していくというような状況にはなっておりません。その点は十分に注意して指導いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/29
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030・小野明
○小野明君 どうも具体的な——府県にはわかっておると言いますけれども、政令なり法律にはきちっとこうあるわけでしょう。それを政令の二百十五号を適用しないというようようなことになれば、また新たに修正をする政令か、それをもってやらなければ、適用されると全部落とされてしまうんじゃないですか。あなたの答弁だけで全部いってしまうということはどうも私は理解できぬのですがね。だから、そういう新たに政令を出すなら出すと、あるいは修正をするならすると、既存のものについてはどうだと、こういう手続がありませんと、しっかりしたものじゃないんじゃないですか。残すという約束にならぬのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/30
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031・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 既設の分校につきましての存立というものは御心配ないようになっておるわけです。実態もそれほど心配はないのでございます。むしろ先生のおっしゃるのは、理論として、今度真に必要なものという観点で設置される場合の問題として理論上どういうことが起こるかということでございますから、その点はよく検討してみたいと思いますけれども、廃止という方向に向かっていくというおそれがある必要なもの、そういう実情ではないか、そういうことで考えますならば、小規模分校の場合に、この際新たな措置をするというようなことは考えないわけでございます。そうじゃなくて、真に必要なものは存置をし、なお充実してやるという観点でこの財源上の措置を講じたのでございますから、その気持ちは設置者たる府県なり市町村によくわかるわけでございますから、先生のおっしゃるような心配は起こらない。ただ、先生のおっしゃるのは、理論的に、今後政令とそれから新たに真に必要なものとの設置の関係がどうなるかということが御質問の要点だろうと思います。その点についてはなお検討いたしますけれども、ただ、そうかと申しまして、一面この原則をただはずしてしまうということもまた危検性もございますから、その点はまた一面慎重に考えなきゃいけないところでございますが、実態といたしまして困らないような指導を十分いたしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/31
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032・鈴木力
○鈴木力君 いまの問題ですね、またあいまいになってくるとぐあいが悪い。私がさっきお伺いをしてわかったというのは、はっきり言うと、政令二百十五号というのは、ことしの四月一日に廃止になる、この条項ですね。そうだとすると、しかも前提は、さっき局長の答弁で私がそれならわかると言ったのは、いまある百人以下の分校、それから現在ある六十人以下の分校、これはこういう政令があったにもかかわらず、地域の実情や、あるいはいろいろな実情によって必要な学校である、そう認めるということを、さっきそういう意味で御答弁をいただいたと思うのです。だから、そじゃらを廃止をしないのだ、逆にそれらを充実をさせていくんだ、そういうことになりますと、ここの政令がなくなる機会にもしこの法案が通ったら、それぞれの手続できちっとしないと、どんな形になっていくかわからぬわけですから、そのことは、私がさっき言ったように、「政令で定める数を下らないものとする」。という意味は、政令なりでいま申し上げたような趣旨で処置をする、そういうふうに理解をしたのですが、それが違うとすれば、これは大問題になりますが、どういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/32
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033・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 実はこの政令は本年の三月三十一日まで施行が延期されている、そういう関係なんで、そこが小野先生の質問と先生の質問が違っていた。いまの御質問は、これがぴしゃっときまると、すでに施行されておるわけでございますけれども、それで真に必要な小規模分校というものが、必要であるにもかかわらず廃止される危険性がないかということが焦点でございますから、私どもはそうではなくて、こういう原則は掲げておくことは必要であるけれども、しかし、小規模分校百人未満の分校について現状で申し上げますれば、百六十五、六十人未満のものが八十三あるわけですが、ほんとうに真に必要なものはむしろこれを充実してやるということも必要であると思う、定時制等の場合には。そういう観点で、小規模分校についても、これが明瞭に施行されるにもかかわらず、財源措置をしてあるから、それは御心配のような分校が廃止されるという方向にはならない、真に必要なものは。それだから、政令自体を変えるかどうかという問題になりますと、これは適正規模というものをどうゆうふうに考えるか、これがまた問題になる。現在たとえば高等学校の設置が人口十万以上であるということが本則であるといっても、必要なものは廃止している実態でもない。そういう規範と、それから例外として既存のものを充実していくことは別個に考えてもいいんじゃないかというのが私どもの考えなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/33
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034・小野明
○小野明君 最後に、法令に基づかないで、必要なものという判断の基準がないでしょう、それはどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/34
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035・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) だから、これは設置された既存のものについて厳格に適用しないということで推移してきた実態があるわけですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/35
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036・小野明
○小野明君 それは明文化されておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/36
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037・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) それは政令の運用問題でございますから、そういうふうに、たとえば高等学校の設置規模等につきましても、現に存するものというものについては、現実に厳格に適用しないということの経緯で進んできたのでありますから、今回それを先生のおっしゃるように、厳密に解して、このとおりだから既存のものをやめろというふうに考える必要もない。むしろ必要なものはなお残しておくし、財源措置をすることになるわけでございますから、しかも、財源措置はむしろ現状よりも改善をしてやるわけですから、その態度というものは、おのずから行政の実態に響くであろうというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/37
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038・小野明
○小野明君 これはひとつ大臣にお尋ねをしたいのですが、その運用でもってそういうふうにやるということなんですがね、ところが、政令のほうにはそのことがぴしゃっと載っておらぬ。これではあいまいで、局長の答弁だけでは私は信用せぬというわけではないのですが、しかし、やっぱりその残すという明確な根拠というものがないと、どうも私は不安でたらまぬわけです。この点についてひとつ大臣の所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/38
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039・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 理論的には小野委員のおっしゃるとおりと思います。この問題はいろいろ行政上の考慮があって、それの政令の措置をしなかったようでございますが、この問題についてとくともう一回私に研究させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/39
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040・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 先ほどの資料の点はいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/40
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041・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 先ほど鈴木委員から職業教育における多様化の実態というものと、それから衛生看護科における教育内容、教員の組織というようなものの資料の御要望がございましたが、さっそく準備して提出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/41
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042・千葉千代世
○千葉千代世君 いまの鈴木委員の要求の資料に関連してでございますけれども、看護科の卒業後の進路等についてという要求がございましたね。私もそれについての要求でございますが、やっぱり卒業して、その行き先が知りたいということと、それに関連しますことというのは、なぜ看護科を設置したかと言えば、やはり必要だから設置したのだと思うのです。そうすると、あそこを卒業しますと、准看護婦の免状をもらえるわけです。現在看護婦がたいへん不足している。実際に働く方々が不足しているのと、免状を持ちながら働かないでいる方もあるわけなんです。ですから、実際に准看護婦の免状を持った者、それから国家試験を受けて看護婦の免状を持った者がどのくらいあって、それから実際に働いている者がどのくらいあるのか、需給関係ですね、それは厚生省のほうでしょうけれども、その資料をいただきたいということ。
それから便宜的な養成のような感じがするわけなんです。このカリキュラムの編成ということの中にあると思いますが、たとえば実習なんかの問題についても、知りたいことは一つですけれども、実習なんかは大学病院にどのくらい行くかということもひとつ詳しく調べてみたいと思うのです。というのは、いままで看護婦の地位がたいへん低くて、社会通念として職業的に非常に低く見られておった。それでは困るというので、看護婦と医師が対等の立場で患者を中心としてやるというような方向で進む、こういう方向で、日本の医療が進むということで、こういう中で保健婦、助産婦、看護婦法というものが戦後できて、そうして、女学校を卒業して三年の修業をされて、それから国家試験を受けて看護婦の資格をとる、こういうのが正規になってきたわけですね。中学を卒業して二年の過程を経て准看護婦、そうして、今度は准看護婦に経験年数を加えて、講習をし、国家試験を受けて普通の看護婦になるという、こういうような経過的な処置が戦後とられて何べんか改正されたわけですね。ところが、また最近足りないからという名目でたいへん問題になっているわけなんです。そして准看護婦の養成の設置が急務だという機運が医者側からたいへん要請されてきた。人が足りないからというて便宜的な、社会的要求だからということが強くなってきて、これは社労委員会でたいへん問題になったわけなんです。そういう意味で、便宜的な要請に高等学校が多様化の一端をになっていくということについては、私たいへん問題があるのじゃないかということを考えたので伺いたいことと、もう一つは戦前でしたか、やはりこういうときがあったように記憶するのです。従軍看護婦が足りなかったり、救護看護婦が足りなかったと、そういうときにやっぱり速成的になされた経験があって、これは短かったと思いますが、そういうことがやっぱりあったと思います。それから先生が足りなかったときには、私どもが若いときには、女学校卒業と同時に裁縫の専科の教員の免状をくれたり、いろいろそのときそのとき便宜的にされておったのですけれども、やっぱり教育の場で、高等普通教育ともなれば、やはり基本的なものをしっかりしていくという中で、先ほどから定数の問題をこんなにやかましく述べられておったし、しかも養護学校の問題についても、内容的に見ていけばやはりこれはもっと本腰を入れなければならないような定数減のような問題も出てきますね。アンバランスの問題もあるようですから、やはりここらで本格的な取り組みが必要じゃないか。そういうときに看護科設置、多様化の一端をになっていくということは問題があるのじゃないかというふうなことを考えますので、資料を加えていただきたいということを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/42
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043・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) ちょっと資料のことでお伺いしておきたいのですが、看護婦の需給問題というのはこれはあれでございましょうか、高等学校の衛生看護科に関係なく、全般の需給状況というものを御要望でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/43
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044・千葉千代世
○千葉千代世君 そうです。というのは、高等学校に准看を設置して、准看の免状をくれるわけでしょう。准看護婦の免状をくれるわけなんです。看護科を設置してただ出すのじゃない、見ましたら資格をくれるわけですから。そういうことになっているわけです、看護料を出ますと。そういうわけですから、日本全体の場合、看護婦さんの数、その中に二つ種類あるわけですから。その免状を持ちながら働いていない人があるんです。いろいろと家庭に引っ込んでいる方もあって、それで総体的に足りないということが圧倒的にいま患者側から、医師側から困って、速成的に養成しろという、名古屋の准看護婦養成所その他でもってずいぶん問題なわけですわ。そういう関連がありますので、それにこたえているものなのかどうなのか。ただ単に便宜的にこれをやったらよかろうという多様化の一つとしてやるという、たとえば職業専門的な一つの道の一歩だというので簡単に解釈してやっているのか、どうなのかというようなこともわかりませんために伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/44
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045・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) ただいまの資料は、まあ厚生省からとればひとつお出しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/45
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046・千葉千代世
○千葉千代世君 とれればでなくて、とっていただきたいのです。きっとあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/46
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047・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) それからもう一つは、高等学校衛生看護科卒業生進路とおっしゃいましたけれども、たまたま第一陣である二俣川の高等学校だけが本年度卒業生を出したわけでございます。これは卒業生が百九人でございます。そのうち准看護婦試験を受けたい希望者が、二名だけ身体の状況で看護婦を志望しないというので百七名受験いたしまして、百五名が東京、神奈川で受験に合格しております。それからそのうちの八十一人が短期大学に進んでおります。これが実態でございますが、資料としていま申したものを出してもよろしゅうございます。それだけでございます。その実状は一つだけでございますから、まだこれからの問題です、全体としましては。それからもう一つは高等学校でありますから、各種学校の准看養成所と違いまして、基本的な一般教養に関するものとやって、そうして専門教育として看護に関する基本原理と実習をやるわけでございますので、これはむしろ一面から見れば、看護婦さんの需給状況に対応する一面においては、これは就職してもしなくても、その女子教育としての任務を負うということでございますから、これは高等学校の性質上おのずから多様化といいましても限界があることでございます。この限界を守って、なおかつ専門教育をどういうふうにしていくかという課題でございますので、全部が需給状況というものと関連しなくとも十分に存立の意義があるから、いろいろなものを設置してきたのでございます。しかし一面においては、現実の社会的要請として、できるだけそれだけの資格がある方が本看護婦さんとして活躍される、これはもちろん望ましいことでございます。しかし、就職しないから、高等学校のこういうものの価値がないというふうには私は断定できないのじゃないか、こう思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/47
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048・鈴木力
○鈴木力君 多様化の問題は、非常に問題が多いと思いますので、御質問を申し上げると、たいへん時間がかかるので、資料をちょうだいしてから次回に質疑さしてもらいたいと思います。きょうはこの程度で質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/48
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049・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 他に御発言もなければ、本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/49
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050・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) この際、委員の異動について報告いたします。
本日、玉置和郎君が委員を辞任され、その補欠として米田正文君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/50
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051・大谷藤之助
○委員長(大谷藤之助君) 教育、文化及び学術に関する調査中、教員の地位に関する励告に関する件を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言願います。
なお、政府側より劔木文部大臣、斎藤初中局長、彦坂日本ユネスコ国内委員会事務局教育課長、木村外務省国際連合局専門機関課長が出席いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/51
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052・小林武
○小林武君 外務省の専門機関課長にお尋ねいたしますが、この教員の地位に関する勧告は外務省の所管でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/52
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053・木村敬三
○説明員(木村敬三君) 外務省と文部省の共管でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/53
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054・小林武
○小林武君 共管というのはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/54
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055・木村敬三
○説明員(木村敬三君) 外務省はユネスコ及びILOの外交関係について責任を持っております。文部省は国内体制と申しますか、国内の法制との関連において、この勧告に関係を持っております。こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/55
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056・小林武
○小林武君 それでは外務省は、この教員の地位に関する、日本に持ってきての実施以外のILOとか、ユネスコとかに関係のある場合には、これは外務省が主管する、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/56
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057・木村敬三
○説明員(木村敬三君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/57
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058・小林武
○小林武君 そうしますとあれですか、その教員の地位に関する内容、そういう面については外務省は責任を持っているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/58
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059・木村敬三
○説明員(木村敬三君) 教員の地位に関する勧告の内容の実施に関しましては、国内の法制の問題との関係でございますので、これは外務省の問題ではないと考えております。ただユネスコ及びILOに関連する部分につきましては外務省の責任であると、こういうことでございます。
〔委員長退席、理事中野文門君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/59
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060・小林武
○小林武君 したがって、その内容に関するたとえば第何項の内容というようなものについては、あなたのほうの責任でしょうね。責任というのは、それに対する解釈、その内容の持っている具体的な事項、そういうものはあなたのほうでつかまえていなかったら、これは責任を果たしたことになりませんわね、そうでしょう。そういうことははっきりしていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/60
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061・木村敬三
○説明員(木村敬三君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/61
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062・小林武
○小林武君 その面についての国内の実施に関しては文部省がこれを所管する、こういう意味ですね、あなたのおっしゃることは。もう一ぺん確認しておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/62
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063・木村敬三
○説明員(木村敬三君) いま先生のおっしゃったとおりでよろしいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/63
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064・小林武
○小林武君 日本ユネスコ国内委員会の事務局の責任者は事務総長ですが、きょう来られない理由は、いかなる理由でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/64
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065・彦坂春吉
○説明員(彦坂春吉君) お答え申し上げます。本日国内委員会の非常に大事な選考委員会というものがございまして、事務総長がそれを主宰いたさなければならないという事情がございまして、やむなく欠席いたしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/65
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066・小林武
○小林武君 たいへん重要で、こっちは重要でないようなお話ですが、あなたはそういうことをおっしゃっている意味ではないと思うけれども、一応そういうことはわれわれのほうに通知すべきですね。どうして一体そういうことを通知しないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/66
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067・彦坂春吉
○説明員(彦坂春吉君) 私の伺いましたのは、課長が出てこいというふうなお話がございまして、出て参ったわけでございますが、総長の出席を求められたということは私は存じておりませんでしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/67
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068・小林武
○小林武君 委員長にひとつ私から申し上げますが、委員長は代理だから困るだろうと思いますが、私は課長出てこいと言ってものを頼んだことはない。この場合にはILOの関係で申し入れて、これは来られなかったけれども、ユネスコの国内委員会のことについて出席を求めておるのだ、だれなんということは言っていない。その点は今後のこともございますから、ひとつ課長なんという指名をして私は指示をしてやったわけではないですから、間違えないようにやっていただきたい。文教委員会だからという軽視する気持ちはないだろうけれども、そういうことのないようにしてもらいたい。
それから彦坂さんにお尋ねいたしますが、もし事務総長が出席すべきだということであれば来られたのに、特に課長であるということで、そういうふうに理解したものですから来たということですか。それは確かめておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/68
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069・彦坂春吉
○説明員(彦坂春吉君) 私は昨日まで別の会議をしておりまして、そこへ出席しておったわけでございますが、夜分になりまして、ただいま申し上げたような事情で課長が至急この委員会に出席するようにといったような命令がございましたので、出席させていただいたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/69
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070・小林武
○小林武君 それではあなた話が違うでしょう。事情があって、あなたのほうで総長が出られないから課長がひとつ出て行ってこいということでしょう。それなら当然あなたのユネスコ国内委員会においては、それだけのやはり手続をとらなければいかぬでしょう。ほかの方ならみな手続をとるのです。あなたのほうだけだ、そういうのは。あなたは上司から命令を受けたということだが、われわれはそんなことを要求したわけではない。いまそんなことであまり時間をとってもしようがないから、これでやめておきましょう。
それでしょう。それであなたにお尋ねしたいのは、日本ユネスコ国内委員会というものは、一体教員の地位に関する問題というようなものが出た、勧告が出たという場合に、どういう一体これについてかかわり合いを持つのですか。私は国内委員会のあれについては若干読んでみましたけれども、法律は。どういうことをやるということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/70
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071・彦坂春吉
○説明員(彦坂春吉君) ユネスコは各国に対して、いろいろな国際的文書をつくりまして、それを各国に勧告するというふうな一つの任務があるわけでございまして、その一環として、数年前からユネスコが世界的な教員の不足に対応しまして、質、量を改善するという意味で寄り寄りILOと協議をして準備を進めてまいってきたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/71
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072・小林武
○小林武君 具体的に国内委員会は教員の地位に関する勧告というものが出れば、それに対して、外務省の場合は、これはよその関連については勧告をするとか、条約であれば条約の中身等について責任を負う、文部省はこれを実施する、国内で実施面について責任を負うということになれば、あなたのほうは具体的にこれにどんな一体関係を持ちながら、どんな仕事をしていくのかということを説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/72
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073・彦坂春吉
○説明員(彦坂春吉君) ユネスコで採択されました勧告その他につきましては、憲章の第四条に規定がございまして、その規定に基づきまして各国のそれぞれの権威ある当局に提出するという規定がございます。その規定に従いまして、ユネスコ総会で採択されましたものは、それぞれの権威ある当局に提出するというところまでが国内委員会の任務でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/73
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074・小林武
○小林武君 ちょっとわからないが、具体的に国内の教員の地位に関する勧君というものが出た、そうすればそれをどうするんです、具体的に。あなたのほうは出てしまえば何もやることがないのか、何かやることがあるのかどうか、こういうことです、簡単に言えば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/74
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075・彦坂春吉
○説明員(彦坂春吉君) その権威ある当局に提出するというところまでが国内委員会の仕事でございまして、それから先はそれぞれ日本のみならず、各加盟国のそれぞれの地位の適当な権限のある当局の判断にお任せしまして、実施に当たっていただくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/75
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076・小林武
○小林武君 そうすると、あなたのほうは、ユネスコという上部機関ですね、上部機関から教員の地位に関する勧告というものが出たということが、きめられたということが明らかになる、そうすれば、それをあなたは国内の権威ある機関に流すわけですか。それが使命だと、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/76
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077・彦坂春吉
○説明員(彦坂春吉君) ただいま申し上げましたように、ユネスコ憲章第四条の規定に従いまして、採択されましたものは、直接には外務省にそれがユネスコから通告されているわけでございまして、それが外務省を通じましてそれぞれの権威ある当局に渡されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/77
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078・小林武
○小林武君 あなたのほうは何するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/78
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079・彦坂春吉
○説明員(彦坂春吉君) 私どものほうは、この勧告に関して申し上げますと、昨年一月の十九日から十日ばかりジュネーブでもってILOとユネスコとの共同の会議がございました。それに専門家として人を送り、その内容について審議してほしいといったような呼びかけがございまして、それに応じまして、日本ユネスコ国内委員会の委員である京都大学の相良教授に出席していただきました。そして内容の審議をするといったところが国内委員会の任務であると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/79
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080・小林武
○小林武君 たいへん時間を取るので、あなたとやりとりをするとぐあいが悪いのですけれども、もう少しまとめてお話しいただけないかと思うのですよね。それはいいですよ。第何条によってそういう場合に政府代表を選任する仕事があるというようなことは法律にありますよね。法律にある。そうすれば、そういうものが今度はでき上がった場合には、あなたのほうではどういうことをやるのか。たとえばこれについて、国際連合教育科学文化機関憲章というものの第七条、国内協力団体というようなところには、「国内委員会又は国内協力団体があるところでは、これらは、この機関に関係がある事項について総会における各自国の代表団及び自国の政府に対して助言的資格で行動し且つ、この機関に関係があるすべての事項について連絡機関としての任務を行うな。」、こういうようなことが書いてある。さらには三項もあるわけでありますが、時間の関係上読まないとして、たとえばこういうことが書いてあれば、国内委員会というものは具体的にそれでは出てきたものについて何をやるのかということをはっきりしてもらえばいいのです。たとえばもうあなたのほうで政府の代表だけ送れば、相良さんを送ればもうそれで任務は終わったというならそれでいい、何もないことを言ってくれと言っているわけじゃないのだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/80
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081・彦坂春吉
○説明員(彦坂春吉君) この日本ユネスコ国内委員会の性格と申しますのは、実施機関ではございません。国内の連絡調整に当たるのがもっぱらの任務でございます。したがいまして、ユネスコの総会で決通されましたものは、それぞれの担当の主務官庁、主務機関に連絡をしてその実施に当たっていただく、あるいはその普及に当たるといったようなことが私どもの任務になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/81
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082・小林武
○小林武君 それでは、あなたのほうのことはよくわかりませんから、いずれ今度ひとつ来ていただいて時間が幾らでも取れるときにひとつ御説明をいただきましょう。
それでは外務省にお尋ねいたしますが、先ほど来の話を聞きますと、外務省はきめられたものをそれぞれ各種の団体に配付する手続まではやるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/82
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083・木村敬三
○説明員(木村敬三君) おっしゃったとおりでございます。配付までは私どもがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/83
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084・小林武
○小林武君 する……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/84
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085・木村敬三
○説明員(木村敬三君) いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/85
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086・小林武
○小林武君 お尋ねいたしますが、そうすると、その配付する先の決定は外務省でするということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/86
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087・木村敬三
○説明員(木村敬三君) ただいま申し上げましたことをちょっとつけ加えますと、ユネスコ憲章上権限ある機関に、権限ある当局にこの勧告を提出するということがきめられております。それでこの権限ある機関についての決定を行ない、そこに提出を行なうのは外務省でございます。さらに関係のある団体に提出するということがこれはILOのほうの決議できまっておるわけでございますが、これにつきましては、どこの官庁がということははっきりしておりません。ただ私どもは、これは最も適当なのは、むしろユネスコの国内委員会がそれをきめて配付するということではないかと現在考えておりますが、はっきりとした決定はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/87
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088・小林武
○小林武君 いや、そこがわからぬのでね。これはだれが配付するのかというと、あなたは権威ある機関——ということになると、それは政府とかなんとかということでしょう。それは何と何ですか、権威ある機関というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/88
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089・木村敬三
○説明員(木村敬三君) ユネスコ憲章及びILO憲章上権限ある機関、権限ある当局、そこに提出すべきところの権限ある当局といわれておるものにつきましては、ユネスコでも非常に問題になりまして、各総会ごとにこれはどこでやるかということが問題になっているわけでございますが、結論的に申し上げますと、これは各国にまかせるということが結論になっております。これをどこにするかということは各国の法制上、その他各国の特殊性からきまるものだという結論が出ております。ただそれについてのユネスコの前回の総会の際の法規委員会の、これは非常に権威のある発言ではございませんけれども、一応の決定は、やはり法令その他に関連のある事項については一応国会だ、立法府だという趣旨の大多数の意見がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/89
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090・小林武
○小林武君 それではあなたのほうでは国会にだけ配付したわけですね。伝えたわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/90
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091・木村敬三
○説明員(木村敬三君) ユネスコ及びILOのたてまえから申しまして、勧告は成立した後一年以内にその各国の権限ある当局に提出するということになっております。この勧告が成立いたしましたのは、昨年の勧告が成立いたしましたときの条件は、一年以内と申しましても、一九六七年の十二月一日までに提出するという条件がついておるわけでございます。したがいまして、われわれはほかの作業のスケジュールその他もございますので、それまでにはもちろん提出するつもりでおりますけれども、現在まだ提出しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/91
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092・小林武
○小林武君 どうもすっきりしないね。外務省ならすっきりすると思ったけれども。その権威あるというのと、いまあなたがおっしゃった十二月何日までとかいうのを何か混同しているのじゃないですか。これはもう各団体も含めての話じゃないですか。これはモースという事務総長の演説の中にあるのじゃないですか、報告の中に。だから、あなたがおっしゃるのは、ぼくがあなたの立場みたいなことを言ってたいへんおかしいけれども、あなたが権威あると特に言ったのは、おそらく政府とか国会とかいうようなことじゃないかと、こう理解して——何もあけ足をとるとかなんとかいうのじゃないのですよ。外務省の関係でそういうことだけは外務省がやる、それから先ほどあなたがおっしゃった中に、その他の団体とかなんとかいうのはILO国内委員会が配付すべきものだろうと思うと、そういうことがはっきりしていないとぐあいが悪いのですね。あなたがおっしゃる権威あるというのは政府とか国会ということでしょう。そこにもまだ出していないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/92
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093・木村敬三
○説明員(木村敬三君) 権限ある当局と申しますのは、私どもの解釈ではいま申し上げたとおり、場合によっては立法府、場合によっては政府というふうに考えております。そこに対して提出する場合に、法令上、これは条約ではございませんけれども、非常に重要なものとわれわれ考えておりますので、法制局その他の意見も聞いてりっぱなやつをつくりたい、そんなことを考えているわけです。それでそのために、ほかのスケジュールもございますので、とにかく十二月までには必ず出すというスケジュールを組んでいるわけでございます。それからこれとは全然別の問題でございますけれども、その他の関係のある団体に提出すべきことと、これはILOのほうの決議できめられたわけでございますが、これにつきましては、われわれがこれをきめるということは私どもの考えでは筋違いじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/93
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094・小林武
○小林武君 わかりました。そうすると、あなたのおっしゃることは、国会かあるいは政府がいまの外務省の見解としては権威ある当局というふうに理解しているというわけですわね、教員の地位に関する問題については。ただし、いまのところそれらにはまだ提出はしておらない、こういうお話ですね。そして各種団体についてのことであるならば、それはILO国内委員会がおやりになることだろうと、こういうことですね。そういうことでしょう、あなたの御答弁はね。そうじゃないの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/94
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095・木村敬三
○説明員(木村敬三君) 大体先生のおっしゃったとおりでございますが、ILO国内委員会ではございませんで、私どもの考えておりますのは、やはりこの教員の問題につきましては、文部省が考えてきめることだというふうに了解しておりますし、また考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/95
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096・小林武
○小林武君 そこで共管の話が出てきたのだね。先ほどの共管の話が出てきた。それでわかりました。わかってきたけれども、そうするとこうですね、もう一ぺん確認しておきたい。これはあとでごたごたするといかぬから。あなたのおっしゃることは、これは条約にしろ、ILOでもユネスコでも何でもかまわない、条約あるいは勧告、勧告に準ずべきもの——これは勧告に準ずべきもの、この内容に関しては、外務省は少なくとも一国を代表して行かれているから、詳細にこの条項はこういうこと、この証はこういう意味を持っているということについてはもう十分に責任をとり得るものであって、その能力も持っているし、とり得る責任も持っている、こう理解してよろしいですね。それから文部省は、そのきめてきたことについて、これを実施する段階ですから、段階を受け持つわけですから、文部省はそれを実施することについて流すということ、こういうことですね。この理解はどうでしょうか。文部大臣にも御異議でございませんか。先ほど来やりとりやっている中で、私は外務省と文部省との共管というのを結論的にそうまとめたわけです、御答弁の中から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/96
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097・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) その御見解で異議ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/97
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098・小林武
○小林武君 ああそうですか。それでは外務省にちょっと簡単に御説明をいただきたいわけでありますが、これができ上がるまでにどういう手続、これはあまり長いこと要らぬです。たとえば何年の何月にどういう委員会があってとか、あるいは調査があってとかいうようなことをここで御説明いただきたいと思います。もうほんとうに項目別でけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/98
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099・木村敬三
○説明員(木村敬三君) 教員の地位に関する勧告採択の経緯でございますが、これはまず最初に、一九六六年の九月二十一日及び十月五日までの間に、ILOとユネスコの共催におきまして、ユネスコの木部で、パリにおいて特別政府間会談というものが行なわれました。この会議におきまして、大体双方の立場からの教員の地位に関する勧告をつくっておくことの必要性と申しますか、望ましい、そういうことが議論にのぼりまして、その際に、具体的な草案の準備その他が行なわれたわけでございます。この以前に、実はこの草案のまだ萌芽の段階におきまして、考えようという動きがあったわけでございますが、その際に、わが方からは京大の相良教授が出席いたしまして、大体の草案の作成、これはほんとうにラフなものでございますが、作成に当たったわけでございます。これは一九六六年の春だったと思います。その後、いま申し上げました九月に至りまして、ユネスコの主宰によりユネスコとILOの特別政府間会議という特殊な名前を持った会議が開かれました。この年の春につくられた草案について審議したわけであります。そこにもわが方からは文部省の今村審議官を主とする代表団を出席せしめました。ここでこの勧告の採択が行なわれまして、この採択と同時に、時期を同じくして開かれておりましたユネスコ総会におきましては、この採択後直ちにユネスコの名前におきまして、この勧告に関する決議を成立させたわけでございます。その決議の内容は、第一に、先ほど申し上げましたとおり、一九六六年十二月一日から一年以内に各国はその権限ある当局にこの文書を提出すること。それからILOとの協議を行なって、そのあとに各国は勧告についてとった国内措置について定期的に報告すること。それから最後に、加盟国からの報告を検討するために、ILO半分、ユネスコ半分といいますか、構成員の半分ずつを双方で選出するところの混合委員会を設置する。さらにこれはちょっと申しおくれましたが、この決議を実施する、この点は勧告の実施を、正確に申し上げますと…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/99
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100・小林武
○小林武君 いやそれでけっこうです。大体その経過はわかりましたから。政府間会議で正式に国際文書になったということについては、草案が当然なければならない。その草案を決定したのは、あなたがおっしゃるように一九六四年の五月のユネスコの教員専門家会議、ILO、ユネスコの両理事会の決定に基づいて両中務局が共同で作成した草案があなたのラフということばで表現されるのかどうか知りませんけれども、勧告草案というものがあって、その勧告草案はさらにさかのぼれば一九五八年、六三年の二回にわたって開かれたILO教員専用家会議、一九六一年から六四年にかけてユネスコが行なった教員の地位に関する国際的調査、こういう調査に基づいて、そうしてさらにそれが専門家会議によってつくった草案、それを今度は政府間の会議においてこれができ上がった、こういうものでありましょう。あなたの大体の御説明を私はこう聞いたのですが、そうだとすると、この政府間会議は外務省からどなたか出て行かれたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/100
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101・木村敬三
○説明員(木村敬三君) 代表は先ほど申し上げた今村審議官、文部省の審議官でございます。その下に外務省のユネスコ常駐政府代表中村参事官が出席いたしました。さらにジュネーブから同じく同姓の中村書記官が、三等書記官でございますが、出席しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/101
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102・小林武
○小林武君 それで大体どなたが出て行ったかということがわかりましたから、お尋ねをするわけでありますが、勧告の性格の問題が、これが文部省のことばをかりて言えば、日教組は勧告の性格、趣旨、内容に対する理解を欠き、または誤解をしておる。ところが、こういうふうに日教組側が、教員の団体のほうの側が受け取っている勧告の内容に対する解釈、これは文部省側から言わるとそういう状況ですね。日教組側から言わせると、これはとんでもないと言う、われわれのほうが正しい考え方だ、日教組のほうのものの言い方を御紹介申し上げると、これは『日本政府は、従来このような国際勧告については、屡々「国情の違い」を口実にその実施をなおざりにしてきた例があります』と、これはいままでのことを言っているわけです。『こんどの勧告は、その前文にも明らかなように「異なった国々における教育のパターンおよび編成を決定する法令および慣習の違い、また国公立と私立学校教員の適用法律の違いがあるにしても、今回の勧告作成の目的は、教員の地位に関してすべての国々で同じような問題が起っていることから一連の共通基準および措置の適用を必要としていることから……以下の勧告を採択した。」』と、したがって、「法令の改正を含めて速かに実施に移さなければならないものと考えます」と、まあこの勧告に対してそういう解釈をしているわけです。法令の改正を含めて速かに実施しなければならぬものだと、実施についてのわが国の態度というものをとっているわけです。この食い違いがものすごくあるのですね。そこで、あなたのほうが内容について全面的に責任をお持ちになるということになれば、これは内容は一つ一つについてやるということはできませんから、きょうはとにかく全面的なということではなしに、一体この文部省の見解と日教組の見解が違うのはどういうことだろう。端的に言えば、文部省が誤解しているのか、日教組が一体誤解しているのか、この点をひとつ明らかにしていかなければならぬと思うのです。
その前に、あなたにお尋ねしておきたいのですが、これは一体、勧告というのはどういう、国際的な関係からいえば条約とか協約とかいろいろなものがあります。勧告、特にこの場合にはILOの理事会でモース事務局長は、本勧告はILO憲章の定める勧告とは違うが、これに準じて扱うべきものであると、こうなっております。この間のことを外務省としてははっきりここにひとつどういうことか説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/102
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103・木村敬三
○説明員(木村敬三君) まず第一に、この勧告がILOないしユネスコそのものの勧告ではないということを申し上げておきます。これは先ほど申し上げましたように、特別の政府間委員会というものが設立されまして、そこで採択された勧告でございますので、いわゆるユネスコ憲章及びILO憲章にいうところの勧告ではございません、正確に申しますと。その意味で、いま先生のおっしゃいましたモース局長の発言があるわけでございます。
それから次に、勧告の国際法的な性格でございますが、これは、はっきりと申しまして法的な拘束力はございません。この点につきまして、この採択の際の報告者のリポートというものがつくられておるわけでございますが、それを念のためにその個条につきまして読みますと、「一般討論の際、また詳細の討議を行なった際、ときどき勧告と国際条約の差異が指摘された。勧告は、厳密にいえば法的拘束力を有しない。それは異なった国情に正当な考慮を払いながらも、真剣に努力すべき到達目標を示すものである。またそれは、その実施と立法に影響を与えようとするものである。また、相当な政治的、道徳的比重を持つものである。さらに勧告は、政府ばかりでなくその他の団体にも向けられている。」と、そういうことがこの報告書のリポートに書いてございます。これは単なるリポートでございますから、何ら権威のあるものではございませんが、一応この勧告の性格について、その勧告を作成する当事者がどういうふうに考えておったかということを示す文書として参考になると思います。したがいまして。つまり厳格な意味の正確なコミットメントではない。一応それに到達する一種の道徳的な要請として勧告されている、そういうふうに了解していただいてけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/103
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104・小林武
○小林武君 外務省の扱いとしてこれは道徳的なものであると、こういう理解で、それではあれですか、あなたのほうで国内実施はそれは文部省におまかせいたしますと、こう言うが、それでは外務省としてはどういうあれですか。もうどんなにおやりになってもこれは御随意ということなのか、勧告の成立までのさまざまな討論、決定ということを扱ってきた外務省としては、しかも外交関係を主管する省でありますから、この中においてこの勧告に対してどういう態度をとるべきかということは、これは申し伝えなければならぬ、そういう際の勧告に準ずべきというのはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/104
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105・木村敬三
○説明員(木村敬三君) 勧告はあくまで法内な拘束力はございませんけれども、先ほど申し上げましたように、それに向かって到達するように努力すべき努力目標だということはわれわれも考えますし、また、そういう報告者の報告がございます。そこでわれわれといたしましては、やはりこの精神は守るべきであり、できればわが国の法律、国内制度が許せば、これの実現に向かって進んでいくということがこの勧告の趣旨を実践する道だ、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/105
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106・小林武
○小林武君 このことについては、だんだん質問していくといたしまして、あなた先ほどリポートの話が出ましたが、これはそれと同時に教師の地位に関する特別政府間会議の報告書、ウィリアム・G・カー総括責任報告書とか、あるいは教師の地位に関する勧告実施のための措置に関する決議、それから百六十七回ILO理事会における事務総長報告、こういうものとこのリポートというものはどういう関係にあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/106
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107・木村敬三
○説明員(木村敬三君) いま先生が列挙されましたものの第一のカー博士の報告書、これはいわゆる会議の際にラポルツールというものを任命いたしまして、会の進行ぶりを記録されるわけでございます。記録者に指定された名前、これがカー博士でアメリカ人でございます。そのカー博士の報告書、正式に申しますと記録責任者の報告書ということで出されておるもの、これを私が引用したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/107
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108・小林武
○小林武君 この報告書を全部お読みになって、道徳的と御判断になったのですか。私も文書を持っている。ただし日本訳ですしから、これは訳した者のあれによって違うところがあるかもしれませんけれども、このカーという人は私も知っております。何回か会った人ですけれども、その人の書いたものをとにかく一項からこれは実施の五十七項に至るまであるわけです。この中に法的なあれではないが、とにかく道徳的な責任があると、守っても守らぬでもいいという意味がいまのあなたのおことばにあるかどうか知らないが、そういう種類のものとは私は読まないのですがね。これは。これは文部省も同じこのリポートだということを言っているのですがね。先ほども言ったように、それについての勧告実施のための措置に関する決議、さらには事務総長の報告書といったものを一括して見て、あなたのほうで——私も確かにこれは勧告ではない、勧告に準ずべきものだと事務総長は言っている。しかしながら、少なくとも、その日本の解釈するように守っても守らなくてもいいのだというような種類のものではないと私は思う。その点について、解釈も厳格でなければならないと同じように、その実施についても責任を負わなければならないと、本文にだって書いてあるでしょう、実施の面について。だからどうですか、こういうことについてあなたのお考えは、きわめて軽いものだというふうに御理解になっていらっしゃるのかどうか。そうお読みになったのかどうか、この内容を。そうとすれば、これからだんだんやりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/108
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109・木村敬三
○説明員(木村敬三君) ただいま申し上げたことをもう少しふえんさしていただきます。国際法上の約束であるという意味ではこの勧告はございません。その意味を私は申し上げたつもりでございます。さらに勧告と申します場合に、ユネスコないしILO自体の勧告であるか、あるいはそれとは別の勧告であるかということが一応判断の基準になると思います。ユネスコないしILO自体の勧告であれば、その二つのものの勧告でない場合、つまり特別のものを設立してそこで採択した勧告よりも比重は強い、どのくらい強いかということは、これは何も基準がございませんけれども、ただ比較の問題といたしましては、ユネスコ自体については、ユネスコのメンバーである日本としてはもちろんユネスコの勧告には道義的な責任も持ちますし、その勧告の実現に対して努力するということが要請されているわけであります。それでこの勧告につきましては、ユネスコの勧告ないしILOの勧告に準ずるものというふうにいわれているわけであります。でございますから、どの程度の比重と申しますか、それを申し上げるのはむずかしいわけでございますが、正確に私どもちょっと伝えにくいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/109
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110・小林武
○小林武君 あなたがむずかしいと言うことはよくわかります。あなたここでものを言うときにはむずかしいですよ、それは、一方を立てれば一方が立たずだから。それはわかるけれども、とにかくこれはもう最終的に草案が一つのものにまとまったということは、特別政府間会議でしょう、そうでしょう、政府との間の会議できまった。でありますから、私はそれの受け取り方にあいまいなところがあっちゃいかぬと思います。私はこの次に文部省に聞きますけれども、文部省は単にこれは共通の目標を示したということ、その目標というのは、どういうことか私は聞かなければわかりませんけれども、それがもう文章のうしろのほうまで読んでみるというと、大体目標というのはあってもなくてもいいようなもので、やってもやらなくてもいいような意味で私はとられているように私はこの文章を見るわけです。外務省は、少なくとも政府間会議まではとにかく責任があるわけです、きまって済むまで。そういうあなたがむずかしいというのじゃ困るのです。それは文部省の見解なんか言ってもらわなくても、それは実施のほうだから、あなたのほうが一体外務省としてどういう見解を持っているか、言ってもらわなければだめです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/110
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111・木村敬三
○説明員(木村敬三君) 法的な意味のコミットメントは、拘束力はないとこう申し上げました。これがまず第一の事実でございます。
次に、それでは何らかの意味で、つまりそれに準ずるような性格を持つかどうかということでございますが、これにつきましては、われわれはやはり道義的ということばを使うのは問題かもしれませんけれども、道義的な意味ではこれに向かって努力していくべき努力目標であるというふうに考えるべきじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/111
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112・小林武
○小林武君 あなた、もうさっきのウィリアム・G・カーの報告書が、いわゆるあなたのほうのリポートだ、その五十七には、勧告の実施に関して会議は短い決議をあげたと書いてある。それはこう書いています。最後のほうだけ読みます。相互協議の後に緊密な協力精神のもとで、この二つの組織が、これはILOとユネスコですね、それぞれの規定に定めるところに基づいて、教師の地位に関する勧告を実施するための措置を講じるよう希望を表明する、こういう決議をあげておる。その前のほうは省略した。だからあなたのほうでは少なくともそういうことは言わなければいかぬと思います。それは法内拘束力を持つとかなんとかというような問題じゃないと、こう言っておる。実施についてこれだけの決議をあげているわけです。でありますから、あなたのおっしゃることを聞いていると、何かどこかを気にしたり、急に仲間意識が出て縄張り根性がなくなったのかどうか知らぬけれども、まことにどうもはっきりしないことをおっしゃる。
それはそれとして、文部省にお尋ねいたしますが、これは劔木文部大臣、目標というのはどういうことですか。掲げておいて、毎日見ておって、そうしてそのうちやれたらやるわという、そういう目標なのか。実施というものを決議にあるように前提にして早く到達しようという目標なのか、この二を読んでみればそんなことわからぬことはないのだけれども、一応文部大臣にお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/112
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113・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 教員の地位に関する勧告は、いままで論議しておられたとおりに、世界各国におきまして教員が非常に不足しておりますので、この教員の地位を向上して教員の不足を補うという意味におきまして、世界共通の悩みとして各国間においてこれが論議され、ILOとユネスコの共同の決議としてまあ各国に勧告がなされたわけでございます。法的な意味におきましては、外務省でいま御説明になったとおりでございますが、その趣旨におきましては、日本政府もこれに参画をいたしまして、決議に加わっておるのでございまして、もちろん多少の点につきまして留保条項もあったようでございますが、しかし、その結論の到達します教員の地位の向上という面につきましては、われわれもこの勧告を十分尊重いたしまして、この実際上の施策の上に、あるいは具体的な待遇改善でございますとか、あるいは法的な改善でございますとか、そういう面については十分この趣旨を尊重して施策に取り入れてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/113
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114・小林武
○小林武君 文部大臣の御見解は、これは法的拘束力はないにしても、実施を前提としてこの目標に到達するように努力すべきだというお話、私は文部大臣の見解は正しいと思うんですね。そこで、そういたしますというと、どうですか、この内容ですね、この内容はやろうとすれば百四十六項あるわけですね、この百四十六項の各項目を御検討になったとすれば、これはわが国の従来とっている教育政策を改めなければならぬようなことは起きませんか。ただしこの中の、あれはそんなことを書いておっても、私のほうではやりませんというのならまた別ですよ。しかしこの百四十六なり七なりの条項の中に、これをそのまま実施するということになれば、わが国の教育政策の面において、あるいはその手続の面において、あるいはその手続の面において、さまざまな点で改めなければならないものがあるというふうに私はなると思うんです。あるいは日教組という組合に対して、あなたたちが態度を改めなければならぬようなこともあると思う。これを労働省のことばで言えば、労働政策に関する態度の変更もしなければならぬところがあると思うんだが、そういうところはございませんか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/114
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115・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) それは先ほど外務省から話がございましたが、外務省のほうでこの勧告の完全なる確定訳というものを作成中でございます。われわれは仮訳をちょうだいしておるんでございますが、やはりこの確定訳をいただきまして十分検討して、まあ具体的には制度上において変えなければならぬものがあるかどうか、十分検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/115
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116・小林武
○小林武君 それは文部大臣、このあなたの出した文章と違いますよ、それは。あなたの出した文章は、そんなこと書いてないです。これはおそらく日教組の委員長が出した文章でしょうが、その中にはっきりと書いているところは、「わが国の制度の発展の歴史や現状を無視したものである。」という、こういう断定を下している限りにおいては、あなたのほうは改める必要はないと意思表示をしているわけです。だからこの中について検討なさったものだと私は見ている。ただ私は改めるかどうかということを聞いているのじゃないのですよ。この百四十幾つある項目一つ一つやっていけば、これを実施するということは、改めなければならぬようなことにぶつかるのではないかと、こういうことを聞いているのです。だからあなたがやるとかやらぬとかいうことを聞いているのじゃない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/116
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117・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 先生がお読み上げになっておりますわが方のメモの趣旨、これを申し上げないといけないと思います。日教組が、いまお読み上げになりましたように、大臣あてに勧告について早急に実施ということをわれわれに要望されております。そのときに実はこの勧告については、先ほど申しますように、外務省が申されましたように権限ある機関ということも実は一年の余裕を置いておる。だから何かそこに一年間にいろいろな両機関に対する実施状況の報告というような時期でもない。われわれはこの問題はまだ将来の問題だから、私どもは国際機関のことを正式に文部省の意見として回答する時期でもない。これは私が申したのです。ただ、せっかくこう言ってこられたのだから、これは一体担当者が、特に特別委員会におきまして政府代表の地位を持って行った人間が一番事情を知っているし、自分が行動したことも知っているから、そこでひとつ話をよくニュアンスを聞いてみたらどうかと私が提案して、私自身が答えることは一つだけ的確に答えられる。それは関係団体を、事実上国内団体に送付するかどうかという点は、われわれは正式の文章ができれば、外務省でできればこれは送る、これだけは私から言える、その他の点はこの文書自体について文部省が担当局長の責任において言うべき段階でもない、まだ先の話だ、だけれども、せっかくのお申し出であるから、今村君のところで、ニュアンスを話してみたらよかろうということでやったのであります。しかし、それもことばだけではあれだから、それをメモに書いてくれないかということだから、その要旨をメモという形でやったわけで、この文書自体の性格も御議論になっていただいて、私がいまの段階で正式に答えることは、あなたの方にも、およそ教育研究団体に、各種の団体に、もちろん日教組も入れて、この報告書というか勧告の正文ができたならばお送りいたしますということだけが正式の回答でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/117
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118・小林武
○小林武君 ちょっと、この文章の内容とあなたのおっしょることとはだいぶ違うのだけれども、大臣、それでは一つ明らかにしておくことは、正式な文書は文部省にないわけですね、まだ。外務省は正式な文章をつくる責任者ですね。そうではありませんか。それはいつでき上がるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/118
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119・木村敬三
○説明員(木村敬三君) この定約でございますが、これは八月に作業をいたしまして、八月以降九月にはでき上がる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/119
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120・小林武
○小林武君 それでお尋ねいたしますが、これは今度の場合は草案ではなくて決定したものに対する文章が日本文になれば、それぞれの関係方面に、文部省まだやっていないわけですから、やるわけですね。そうすると、この前に、外務省にお尋ねいたしますが、一九六五年の四月に勧告草案が各国政府に送付された。その勧告草案が送付されたときに、問題の性格からして、それぞれの国内の教育団体にも連絡してその意見を寄せる配慮をされたいという公文書が出ているはずです。それを外務省は受け取られたと思うのです、公文書ですから。その際にあなたのほうは草案に対してどことどこへ送ったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/120
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121・木村敬三
○説明員(木村敬三君) その当時外務省から、私実際知らなかったのでございますけれども、文部省にその草案を送りまして、検討を依頼したわけでございます。それ以外には送っておるということは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/121
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122・小林武
○小林武君 しかし、その公文書の中には、教育団体みんなに送ってということでしょう。この問題の性格は先ほどあなたに念を押したように、草案ができ上がるまでにはどういう手続を経たかということを明らかにしたのでしょう。そうして教員の専門会議が二度も開かれているということを申し上げたのでありますから、この問題については、草案がいよいよ案として固まったときも、その以前においても、教育団体についてこれを配付して、その意見を聴取するようにという外務省に対する公文書がきているのですよ。これは私どもは、たとえばここに出席したナタラジャンにしても、あるいはパンデモーテルにしても、ウィリアム・G・カーにしても、われわれが知っている人、そういう会議に出た連中が、いずれもそういうことになっているとこう言っているんですから間違いないでしょう。これは私は日教組から聞いたんじゃない、ナタラジャン、この間来ておったんですから。一体どうしてそのときに外務省はそういうやり方をやったんですか。教育団体というのは文部省だけだと御理解になったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/122
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123・木村敬三
○説明員(木村敬三君) 私どもは決して責任のがれするつもりじゃございませんけれども、そのときの考え方は、おそらくは外務省といたしましては、どこに送るべきかという実質的な判断は文部省がやるべきだ、われわれのほうでどういう教育団体があるかということをつまびらかにいたしませんし、またそれを判断することはむずかしい、そう考えたのじゃないかと思います。私その当時おりませんので推測にすぎませんが、私はそう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/123
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124・小林武
○小林武君 そのときはあれですか、文部省ではそれでは実施機関としてどういうところへそれを配付いたしましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/124
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125・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 私当時その仕事を担当しておりませんでしたが、経緯を聞きますと、教育全般についていろいろな関係のある教育長協議会等に送付をしたということを承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/125
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126・小林武
○小林武君 教育長協議会、それから教育委員長会議ですか、そこだけ送ったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/126
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127・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 府県の教育長の協議会、それから都市の教育長の協議会、町村の教育長の協議会、この三種類の団体に送付したというように承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/127
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128・小林武
○小林武君 そういう解釈はいかなる見解でなされましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/128
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129・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 当時おそらくこの意見に早急に対処するというような事態がありまして、いろいろな関係の教育問題を総括的に取り扱っているところがよかろうということで、以上申しました団体に送付した、かように承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/129
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130・小林武
○小林武君 あなたも御存じのように、いまは所管の局長ですからおわかりのように、これ見なさいよ。草案にしろ何にしろ、これ教育長に関係のあることよりかも教員に関係が多いのですよ。教育長の中には、元料理屋の主人だってやれるのですから、あなたの言う専門職ではない人が、たくさんいますよ。むしろ教育委員会なんというようなそういうところよりかも、これは教員の団体にもやれということじゃないですか。それはあなた教育長もけっこうなんですよ。私はやるなとは言わない。あなたは当時責任がないから、考えてみるとそうだろうと、こうおっしゃる。しかし、あなたもそんなことはわからぬわけはないだろうと思う。どういうあれですか、本音を吐きなさい、本音を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/130
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131・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 当時の事情は早急にいろんな意見を聞く必要があって、いろんな教員の問題も行政的な問題もあげて、給与にしましても勤務条件にいたしてみましても、総括的に当たっておる団体を選んで早急に見解を求めることが適当であるという判断で以上申しました団体の意見を求めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/131
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132・小林武
○小林武君 当時の事情は早急ということに尽きておったわけですね、どのぐらいの時間がそれありましたか。どのぐらいの時間が必要だったんですか。いつ来ていつ出さなきゃならなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/132
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133・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 当時一九六五年七月十五日までに所見を送付するようにということでございまして、おそらく五月の半ばを過ぎてから文部省としては行動する、そういう短い期間であったので、そのような措置をとったというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/133
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134・小林武
○小林武君 外務省の課長さんに申しわけございませんけれども、外交上のいろいろな文書というものは、たとえばこの種のようなものですね、検討を要するようなものは、五月によこして七月の十五日——これは私は七月の十五日だって配付できないことはないと思いますが、これはどうですか。そういう忙しいことをやるものですか。日常の茶飯事なんですか。慣例を聞いているんです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/134
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135・木村敬三
○説明員(木村敬三君) 慣例では、そういう種類の各国の意見を聞く場合でございますが、大体二ヵ月ないし三ヵ月の余裕をもって聞くことが通例でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/135
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136・小林武
○小林武君 そうだと思うんですがね、どうしてそんなに——これも一ヵ月ちょっとぐらいありますわね。これで私は斎藤さん、当時の事情というのに了解できないのは、それは急を要したということで了解できないのは、それはたとえば日教組とあなたのほうとやりとりをやっているから言うんだけれども、日教組はそばですわね、都内で近いですよ。あなたのほうで鹿児島県へやるよりかは東京の都内へやれば、下部の末端機構があるわけですから、教員のあれは幾らでもやれる。また、そういう機構もできているわけです。だから事情が別にあったんでしょう。その事情が別にあったのが「文部省の回答」という文章の中に出ている。これは違うとおっしゃれば別だけれども、幸いだけれども、「日教組は形式的にはこの勧告でいう教員団体ではあるが、実態は教員団体というイメージとは同一でない一というよりはなはだしく懸隔があるようである。日教組はいわゆる教育闘争に明け暮れてきたことは周知のことである。だから、これはどうも勧告でいう教員団体に見立てるのは勧告に対する理解を欠いているように思われる。」、こう書いてある。これは言った覚えありませんか。あなたのほうで口から出した覚えありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/136
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137・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) いまお読みになったところは、この話をした際のメモとして書いてございます。ただ、先生おっしゃるのは、その次に、「勧告文書の送付については関係団体に送付する予定である。」と書いてあります。それはさらに立ち入って、私の正式な責任ある答えだと、日教組を含めて関係団体に送付いたしますと、外務省で詳訳が出ましたらお送りしますと言っていますから、先生の御質問のところと違っております。この関係の団体へ送ること。しかし、日教組が当時持ってきましたのは、早急に、たとえば教育政策についてどうこうするとか、具体的なことを持ってまいりましたから、そのこと自体をやれるのには、形式的には団体である、しかし団体であるけれども、実質的のイメージが異なっているから、そこで直ちにその政策決定や何かについてそれを要望されても、それはいまの段階で認めるわけにはいかぬということの趣旨をお話したメモがいま先生お読みになったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/137
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138・小林武
○小林武君 それは斎藤局長あれですか。それはあなたの私的見解とでもいうものですかね。それとも、それはあなたのほうでは、談話を発表する場合でも、われわれが談話ということとは違って、談話を発表するには省議にかけなければならないと、なかなかむずかしいことを言われるわけですけれども、あなたのお話になったあれは、斎藤個人の考えを述べられたのか。日教組に関するところですよ、それはどうですか。それともそれは劔木文部大臣もみんな含めてのそういう御意向ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/138
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139・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 先ほど申しましたように、文部省がこの勧告全体について、いまの時点ですべての見解を正式に公にすべき時期ではないというのが私は日教組に第一に申した点であります。それはなお今後のわが国の勧告の趣旨というものと、わが国独自の教育政策ということを考えながら順次検討が進められるべきことである、いま早急に求められるべきじゃない。しかも、国際文書に対する法的な拘束があるかどうか、勧告でありますから、国際文書に対することでありますから、その点は私としてもいま直ちに言うことはできない。できることは、関係の団体に送付するということで、あなたのほうに送付しますということであります。それからその実質につきましては、もちろん私はく今村君がこれを話すにつきまして、あるいはメモにつきましても、私も責任がございます。それからこういう趣旨でわれわれがアプローチをするということは上司にも報告をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/139
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140・小林武
○小林武君 その点について、あなたのおっしゃることは、私の問いに対して答えていないけれども、あまり追及することはちょっとやめて、ひとつあれしますが、あなたのほうはそうすると、これから文書を配付するということは、ILO並びにユネスコできめられたこと、決定されたこれについて、日教組も教育団体として勧告文書を送付するということは間違いないのですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/140
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141・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) そういう趣旨です。私はこれだけは正式に答えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/141
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142・小林武
○小林武君 これはもう一つ文部大臣にお尋ねしたいのですがね、文部省と日教組との関係というのはなかなかむずかしいことは私もよう知っております。よう知っていますけれども、これはどういうことですかね。口で言ったのか、文章に書いたのかよくわかりませんけれども、形式的には勧告で言う教育団体だけれども、実体は教育団体でないというのですね。こういうことは、これは私は言うべきじゃないと思うのですがね。これはもうILOでも何でも、労働団体といった場合には、戦闘的な組合であるからそれは除外するとか、御用組合だからそいつは入れてやるとかいう、そんなあれはないのですよ。だからもしそういうお考えがあるなら、私はここではっきり言ってもらいたい。そうでないならば別ですけれども、どういうことなんですか、これは一体。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/142
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143・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 勧告の中には、私は率直に申しまして、日教組のように対立的と申しますか、そういう団体を予想して勧告しているのじゃなしに、常に教育者の団体としてこれはもう世界的な問題でございましょうが、日教組のような政府のやることに対して常に反対的な立場に立ってやるという団体は、おそらくこの勧告の精神には予想していなかったのではないか、私は日教組にも、やはりこの勧告する団体に対しても、そういう申し入れをしておるのでございまして、そういう教育上において私どもは協力のできるような団体に日教組が一日も早くなることをむしろ切望してやまないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/143
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144・小林武
○小林武君 そういうことをあなたおっしゃいますけれども、争議権を議論されたときに、ユネスコ当局からこういう答弁をしているんです。ILO八十七号条約、九十八号条約は、筋肉労働者であろうと知能労働者であろうと、ひとしく適用される、ここではどんな労働者も適用されると書いてある。したがって、教師もこの二つの条約の適用を受ける職業であり、団結権、団体交渉権、団体行動権はともに保障されなければならないという法律的説明がされておる、これは当時のあれですよ。外務省もし異議があったら言ってください、そういうことを言っていないなら。言っている。そうしてその中にいま文部大臣が言われた協力関係というもの、協力をするということが書いてあります。協力ということも書いてあります、ちゃんと条章の中にある。専門職はこういうものだ、協力する、その協力というものの理解も文部大臣はよく考えてもらいたい。これは新しい憲法でも何でもみんなごらんになってもあれでしょう、ILO条約のあれからみても書いてありますよ。この法律の前のほうにも書いてある。政府のやることは何でも正しいというこんな考え方はないですよ。だから戦争を避けるというような意味で、われわれは努力しなければならないということを書いておりますよ。そういうたてまえからいった場合に、教師の協力ということは、こういうことがあるのじゃないですか。劔木文部大臣はきっとあの当初のころだから御存じだと思うんです。あの当時、日本の教席が戦後にどういう批判を受けたかというと、何でもとにかく上からの命令を下に通ずるというような教師をやっているからだめだと、教師の自主性というものがないからこういうことになったということを言われたじゃありませんか。そういうことからいえば、一体協力というものは、政府が間違ったり、文教政策が間違ったりした場合に、それは間違いですと、こうするべきじゃありませんかというのも協力じゃありませんか。御無理ごもっともが協力で、その他は協力ではないというそんなばかなことはない。だからそういう意味では私はもっと協力ということを教育的立場から、正義というようなものや真理というものが正しくつかまえられるというような、そういう協力のしかたというものを教師に要求しなければだめですよ。だからそういう意味で私は考えていただきたい。しかしながら、そのほかのときはなるべく私も考えますよ。文部省と日教組が対立関係ばかりやっていてはだめだ、協力すべきところは協力する。しかし、お互いぐあいの悪いところはお互いに指摘し合って、そうして正しい方向にいくということをやらなければ進歩発展はどこにありますか。そういう考え方に立ってもらいたいと思いますが、これは長々と議論してもしようがありませんからやめますが、私は大臣に非常に何といいますか、安心感を持っているのは、予算委員会の分科会のときに私がいろいろと申し上げたら、あなたは、過去のことは言わぬようにしようじゃないか、これからお互いにひとつ協力しながらやっていこうじゃないかとおっしゃったから、私は相当いきりたったやつを全部質問をやめて、私はそうしましょうと、あのときは言った。そういう意味で私は文部大臣の考え方はきわめて妥当だと、こう思っているんです。そういう観点に立ってやってもらわぬと、これじゃ困るんですよ。しかし斎藤さんのいろいろなお話を聞いてみると、この文書を直ちに全部そのままというわけにはいかぬらしい。まださっきの御答弁だというと、ちょっとあれだから、これはこれでやめます。
そこで、外務省にお尋ねいたしますが、これで終わりますが、八十四項の解釈をひとつ聞かしてください。それはどういう解釈ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/144
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145・木村敬三
○説明員(木村敬三君) この八十四項の成立につきましては、わが国の代表団といたしまして特別の経緯がございます。これは今村審議官が出席いたしました政府間委員会におきまして、日本は正式に修正案を提出したわけでございます。その修正案の内容は、日本の代表がこの会議で八十四項の審議の際に申しましたことは、日本代表団といたしましては、この八十四項は、教員に対して適当な他の手段または代償的な手段が与えられている場合には、争議権を与えるという内容のものではないと解釈する、そういう留保を提出したわけでございます。それでそのことは、このカー博士の報告書の中に第四十五項として記載された次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/145
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146・小林武
○小林武君 あなたの留保という意味はどういう意味か知らないが、留保というのは別じゃないの。修正案を出したんでしょう。留保というのは修正案ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/146
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147・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) いろいろな各国の動きがございまして、結局この最終案文で採択されるにあたりまして、わが代表といたしましては、そこに留保をいたしたわけでございます。簡単に申しますと、これがその争議権を含むという趣旨にわがほうとしては解しないということの留保をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/147
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148・小林武
○小林武君 外務省にお尋ねいたしますが、これは修正案を出したことは、私どもは修正案の内容も知っているんです、修正案は否決された。これは私は外交舞台はよく知らないのですが、大体修正案を否決されたらこれはだめだということです。国会でも労働組合の大会でもみんな同じです。修正案が否決されてだめなら、原案が通るんです。それで外交上留保ということはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/148
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149・木村敬三
○説明員(木村敬三君) 条約その他の署名に際しまして留保する場合、二つございます。一つは署名に正式に留保を書く場合でございます。署名する際におきまして、その留保を何らかの文書にして出す、しかもそれを公文書として各代表団に配付せしめる、つまり公文書の一部をなすという留保でございます。それから今回の留保のごとく、これは解釈上の留保と申しますが、この項についてはこう解釈するということを申しまして、それを議事の公式の記録にとどめしめるという留保がございます。今回はその後者のほうの留保のしかたでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/149
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150・小林武
○小林武君 そこで留保のことはわかりましたが、八十四項はどういうことですか、内容だけ説明してください、あいまいですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/150
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151・木村敬三
○説明員(木村敬三君) この八十四項の後段でございますが、問題になりますのは、この後段が教員団体に対して争議権を与えるかどうかという点にあると思います。この点につきましては、わがほうは先ほど申し上げたような留保をしたわけでございますが、会議はこれについて何らの決定をしなかったわけでございます。でございますから、この条項についての統一的な見解ないし統一的な解釈というものは会議に関する限りございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/151
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152・小林武
○小林武君 あなたは何とおっしゃっても、これは留保をやったところで八十四項というのは通ったのです。そうしてそれがとにかくいろいろなカー博士報告とか、実施に対する決議をやって、満場一致これがきまったんじゃないですか。それはおかしいですよ。満場一致可決したとしたら、一体これはどういうことか。実施についても決定を見ているでしょう。そうすると、八十四項というのは生きているということですよ。そうでしょう。ただ、日本の場合否決されたから、それに対していまのようなあなたの弱い留保を一応言って帰らなければ、帰ってからしかられるかどうかしらぬけれども、そういうことでやったんでしょう。それは一応は国の代表としてそういう意思表示をやった。それはともかくとして、この八十四項というものはどういうことかといったら、教員団体は、他の団体がその正当な利益を保護するため普通持っているような他の手段、というのは争議権のことでしょう。あなたのおっしゃるように、争議権を持つところの権利を持たなければならぬと、こう書いてある。そういうことでしょう、そうでありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/152
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153・木村敬三
○説明員(木村敬三君) 正当な利益を守るために通常他の団体に開かれているような手段というものが争議権を含むかどうか、私どもの判断をこえている問題でございまして、ここに書いてあること以上ではないとしか私は申せません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/153
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154・小林武
○小林武君 では普通の持っている団体の手段というのは何ですか。何かあなた頭の中であれかな、これかなということはありますか。どうにもならぬ、行き詰まったんですよ。これは行き詰まってからやることです。それで、時間の経済上言いますけれども、先ほど私が読み上げましたように、そのときユネスコ当局から法律的説明が行なわれたのです。ILO八十七号条約、九十八号条約は、筋肉労働者であろうと知能労働者であろうと、ひとしく適用されると。したがって、教師もこの二つの条約の適用を受ける職業であり、団結権、団体交渉権、団体行動権はともに保障されなければならないというこの労働三権の適用は、これは争議権を抜かれたり、団体交渉権を抜かれたりする現在から見れば、完全に与えろということです。その説明がユネスコ当局からあったわけです。あなれそれを否定されたら困りますよ、外務省ですからね。あなたがもし違うと、そんな説明なかったというんなら、きょうというのはなかなかやれないだろうから、反論してください。私はいっでも反論受けますよ。だけれども、そういう説明があって、教員も最後的手段としてのストライキ権は当然保障されなければならないという見解に統一されて、第八十二項として次の規定——これは四項になったけれども、四項として次の規定がされたと、こういう記録があるのですよ。だから、私はあなた妙なことを言わないで、これは今後どうするかこうするかという問題を、ここであなたに聞いているのじゃない。この八十四項というのは、そういう内容を持ったものであるということを言わなければ、だれも言うてくれるものはないのです。そうでしょう。文部省がそれを言うあれもなければ、ユネスコもだめだ、ILOの東京支局はかんべんしてくれと言って逃げるし、外務省だけですよ、ここではっきり言えるのは。どうですか。斎藤さんさっきからもじもじしているけれども、あなただめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/154
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155・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/155
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156・小林武
○小林武君 あなただめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/156
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157・中野文門
○理事(中野文門君) 斎藤さん……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/157
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158・小林武
○小林武君 委員長なんだ、おかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/158
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159・中野文門
○理事(中野文門君) 木村課長答弁されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/159
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160・鈴木力
○鈴木力君 こっちで質問しているのは、文部省の解釈がどうもおかしい。そういうことで外務省に質問しているのだから、解釈がおかしいほうが答弁かわってやったらどういうことになります。その辺はっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/160
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161・木村敬三
○説明員(木村敬三君) 先ほど申し上げましたように、この八十四項の後段は、はっきりと争議権を認めるとも認めないとも言っていないわけでございます。それでわれわれといたしましては、つまりこの会議に出席いたしました日本の政府代表といたしましては、認めるというふうに解釈される余地もあるから、日本としてはそうじゃないというふうに解釈したいのだ、そういうことを記録にとどめしめた、そういう経緯でございます。それ以上のことは、私残念ながらここで申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/161
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162・小林武
○小林武君 外務省の木村課長さん、あなた外務省の方だから、もう少しやはり国際的に通用するような話をしてもらいたいのですよ。そうでしょう。修正案が出たのですよ。これは争議権を書いているからだめだ、こう言って出したので、出したらそれに対して否決されたのですよ。しかも、その際ユネスコ当局から法律的解釈としての答弁があるのですよ。けれども私は反対だと言っているわけじゃないから、それらのいろいろなあれを読んで、そうしてあるいは聞いたりして言っているのですから、あなたのほうでそういう反論が用意されれば、私が納得するような反論の用意があれば、それは幾らでも受けますと言っている。しかしこの場合においてこの八十四項というのは、一体何をやることありますか。行き詰まってどうにもならなくなったら、これはなぐり合いとかなんとかということになりますか。そうでもないのでしょう。まさか一体ユネスコとあれがなぐり合うとか、そうして勝ったものがあれをしたとか、そんなばかなことを言っているわけでもない。普通の持っている手段をどうしてもやれないという場合に、労働関係の場合においてはこれは争議行為になる。そのことについて労働関係と無関係かというと、そうじゃない。このことについてはILOその他のあれが適用されるということを全面的に述べているでしょう。それもあなた認められませんか。認めないなんということはできないと思う。こういうあれをあなた考えながらひとつ答弁してくださいよ。そんなこと言わないで、これはあなたのほうが、ただこう書いているということを認めればいいのですから、そのことがあなたのほうで確定できなかったら、われわれのほうで議論することできないでしょう。いまあなたにそういうふうにきめなさいということを言っているのじゃないんです。会議の中で議論されたことをそのまま言いなさい。外務省としてそういうものを持ってきて、そうしていま飜訳に移るのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/162
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163・木村敬三
○説明員(木村敬三君) ここに書いてあります文言でございますが、その正当なる利益を守るために、通常他の団体に開かれているような手段の権利を有する、これは各国の法制——各国におきまして事情が違うと思います。それでその解釈、これはどういうふうに考えるかということにつきましては、この全体の勧告の趣旨からいたしまして、これは各国にまかせられておるということがまずあると思います。
それから次に、通常こういうことがストライキ権につながるかどうかの判断でございますけれども、これは実は私どもがお答えする立場にはないのじゃないかと、そういうふうに考えるわけなんでありますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/163
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164・小林武
○小林武君 私はね、あなたにお伺いするのは、それでは、私はこう言うなら納得するのですよ。あなたがここのところを読んで、他の団体が、その他その正当な利益を保護するため普通持っているような他の手段というのは、こういう手段とこういう手段を言っているのですと、指摘しているのですと、これは決して争議行為ではございませんと、こうおっしゃるなら、これは話はわかるのです。それは私は賛成しなくても、あなたの説明には一つの合理性がある、会議の決定がそうだということになるならば。しかし、あなたはそれを説明しないで、逆にぼくのほうがユネスコ当局の法律的な解釈としてそれを述べている。それもあなたお認めにならないで、そうしていまのようなことをおっしゃるのは、それはいけません。それはおかしいですよ。あなたのほうで修正案を出して、それを否決されて、留保のあれをなぜやったのですか。争議権があるからこそそれをやったのでしょう。何を留保したのです。何を留保したのか。何もないことを留保したのですか。それはだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/164
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165・木村敬三
○説明員(木村敬三君) たびたび申し上げるわけでございますが、この条項が争議権を認めるものであるかどうか、それははっきりしないわけでございます。それについての決はとられなかったわけでございます。しかも私は、これはある程度これを作成した人の意図にあると思うのでございますけれども、その点ははっきりさせないということが、そういう意図をわれわれは感ずるわけでございますが、いずれにしましても、はっきりしたことがない。非常にあいまいなものであるために、われわれの代表団は、われわれとしてはこういうふうに解釈する、そういうことで留保したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/165
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166・小林武
○小林武君 教員のストライキ権について議論が行なわれたのですよ、ここのところへきて。当時の八十二項について議論が行なわれた。その議論を行なわれたら、いろいろな議論が出た。教員は労働者である、労働者固有の権利は当然保有すべきであるという意見と、いやそうじゃない、教員がストライキすれば子供が困るのではないかと、こういう意見も出た。そこで、その意見に対してユネスコ当局が法律的解釈をしたわけです。それはILO八十七号条約、九十八号条約は教師もまたこの適用を受ける職業だということを述べています。そうして団結権、団体交渉権、団体行動権はともに保障されなければならないという法律的解釈を述べた。そうしてでき上がったものなら、これは争議権は含まれているでしょう。それだからこそ、またあなたのほうでは修正案出したのでしょう。これは留保もしたのでしょう。だから私の言うことが違っていれば別ですよ。私はそこへ行っていた代表じゃないのですから、だからもしそういうことになれば、私のほうでも代表で出ておられた方をひとつ出してもらってやるということになりますけれども、しかしそういうことでしょう。いまここではあなたのほうでそれを引っくり返すあれがない限りにおいては、この文面はそういうことを意味しているということを言わなければいかぬです。そんないいかげんな解釈を外務省でやられるということはいかんですよ。ただし、外国文章で書いているから、お前の持っている訳は違うということであるなら、これはまた私はあなたの意見をそうかといって、あとでそれを私に対して見せてくれということになりますよ。だからだめです。言を左右にしないで、そういうことでしょう。私のほうが理屈が合っているでしょう。まあしかし私から一つ提案をしましょう。ここであなたも当事者でもない者にそういうこと言われて、こっちのほうは用意してきていろんなことを言う。あなたもお困りでしょうから、後刻ひとつ原文を見られて、それからなお現地に出られた方もおありでしょうから、そういう方の御意見も聞かれて、この解釈はどう解釈するか、私が納得するように説明していただければ、きょうはここでこれからまた長々とそうだこうだと言ってみたって、水かけ論になりますから、そういうことでいいですから、よろしいですから。
そこで文部大臣に私申し上げたいのですが、私はこの種の問題についてなぜ——ここだけじゃないのです。私は質問したいのはこのほかにたくさんあるのですけれども、きょう特にここのところが重大と考えましたのは、あなたも御存じのように、きょうは日教組では委員長、書記長、その他東京都の委員長、第一回の公判に行っているわけです。まさか文部大臣はいい気味だという気持ちはお持ちにならないでしょう。あなたのような人格の方であれば、やはりたいへんなことだと思われるだろうと思う。私のほうもこれはたいへん重大なことだ。しかしながら、これはもうとにかく一面また私の個人的な意見を述べれば、公判廷で徹底的にこのことを明らかにするという時期もきたと私は思う。そういうこととこの問題をひとつ照らし合わして、国際的な標準というのは一体どこにあるかということをいろいろお考えになって、ひとつこの問題については御検討いただきたい。特に文部省の見解として、これは教育団体として日教組もこれからそういうことに報告を求めてやるというようなことですから、これは非常に一歩も二歩も十歩も前進したと私は思います。そういう中からひとつこの解釈を、闘争の果てにできた解釈ということではなしに、日本の教育を前進させるという角度から、両者が十分検討し合って、そして報告をしてもらいたいという希望を申し述べておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/166
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167・中野文門
○理事(中野文門君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/167
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168・中野文門
○理事(中野文門君) 速記起こして。
他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515077X01819670704/168
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