1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月三十日(火曜日)
午前十時四十三分開会
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委員の異動
五月二十六日
辞任 補欠選任
稲葉 誠一君 加瀬 完君
五月二十九日
辞任 補欠選任
岩間 正男君 野坂 参三君
五月三十日
辞任 補欠選任
小沢久太郎君 内田 芳郎君
木島 義夫君 横山 フク君
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出席者は左のとおり。
委員長 浅井 亨君
理 事
後藤 義隆君
田村 賢作君
久保 等君
山田 徹一君
委 員
内田 芳郎君
梶原 茂嘉君
中山 福藏君
松野 孝一君
横山 フク君
大森 創造君
加瀬 完君
亀田 得治君
山高しげり君
国務大臣
法 務 大 臣 田中伊三次君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総長 岸 盛一君
最高裁判所事務
総局総務局長 寺田 治郎君
最高裁判所事務
総局総務局第一
課長 大西 勝也君
最高裁判所事務
総局人事局長 矢崎 憲正君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
法務省民事局参
事官 貞家 克已君
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本日の会議に付した案件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
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001・浅井亨
○委員長(浅井亨君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、本案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/1
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002・亀田得治
○亀田得治君 大体いろいろな角度からこの法律案も質疑がやられてしまったあとだと思いますが、私からも若干この際確かめておきたいと思うのです。
順序として、今度の増員の中の職員四十七名、これの配置、内訳ですね、これをちょっと——この点もすでに御説明があったのだと思いますが、いまからの質問を続ける立場から、ちょっとおっしゃっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/2
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003・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) ただいま亀田委員からお話のございました、今回増員をお願いしておる分の配置の計画の点でございますが、まず裁判官の関係は、これは借地借家事件が新たに六月一日から新しい形で出てまいります。それに対処するものでございます。そこで、これは、地裁の関係で判事四人、簡裁の関係で簡裁判事三人をお願いしておるわけでございますが、これは当初もう少し大きな数でということもいろいろ打ち合わせたわけでございますが、充員関係その他でかような数字に落ち着きました。そこで、結局ただいまの腹案といたしましては、大都会、特に東京及び大阪に配置するという計画を立てております。事件の性質上、おそらく東京、大阪が中心に起こるであろうということで、さような考えでございます。あるいは一人ないし二人ほかのほうへ回る余地が出てまいるかと思いますが、いまのところ大体東京、大阪が中心という考えでございます。
それから次に、一般職員裁判官以外の職員の関係でございますが、その中でまず裁判所の書記官の関係、それから事務官のうちの一部、これはやはりいまの借地借家事件の新しくできます関係の増員でございますので、ただいま申し上げましたと同じ趣旨で、東京、大阪中心に配置する予定でございます。ただこのほうは、あるいは若干名古屋その他の大都会にも一人ずつぐらいは回せるかという見通しを立てておるわけでございます。
それから次に、地方裁判所の調査官の増員が四名ということになっておりますが、これは御承知のとおり、昨年の国会で制定していただきました裁判所法の一部改正に伴いますいわゆる鉱業所有権、租税事件等の調査の関係でございまして、昨年は六人でございましたが、そのうち租税の関係の二人を東京、一人を大阪、それから鉱業所有権の関係は全部東京というような配置になったわけでございます。本年の場合は、鉱業所有権の関係が大阪にこれまでございませんでして、要望が非常に強いので、大阪のほうに二名配置する予定でございます。あとの二名は租税の関係で、これは東京、大阪に一名ずつという腹案になっております。
それから次に事務官の関係で、先ほど申し上げました以外の六名ばかりは借地借家関係でございますが、残り二十名は、これまた亀田委員御承知の執行吏制度の改革に伴います執行官制度の発足に関連いたしまして、従来金銭の出納その他をすべて従来の執行吏自身がやっておりましたのを、新しい法律では裁判所でやるというような形になっておるわけでございます。ただ人員の充足その他の関係で、経過規定で増員ができるに伴って逐次そういうふうに移行していくというような趣旨の法律になっておりますので、現在のところはまだ一応執行官自身がやっておるわけでございますが、この二十名の増員をお許しいただきますれば、これを全国の裁判所に配置いたしまして、これが執行官の関係の金銭の出納を担当する、かような手はずになるわけでございます。もう大きな庁では一人では無理でございますので、事務官を二、三人配置しなければならないというふうに考えておりますし、小さな庁では一人くらいということで、現在のところ八、九庁くらいをひとつモデル・ケース的にやってまいる、そうしてその実積を見ながら逐次来年度以降において充実してまいりたい、かような腹案でございます。まだこの点については最終的にどこというところを確定するまでには至っておりませんけれども、現在のところ関西で考えますれば、たとえば京都とか奈良というようなところでやっていく予定をしておるわけでございます。大阪は何分大きな世帯でございますので、もう少し実績を見まして、そうしてその職員の増員も十分手当ていたしてやることにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
それから家裁調査官でございますが、家裁調査官五人お許しいただきますれば、これはやはり大体いまの少年事件の多いところ、したがって東京、大阪等ということになるわけでございますが、まことにわずかな数でございますので非常に不十分でございますが、一名ずつでも大都会に配りたい、かような腹案でございます。一応そういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/3
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004・亀田得治
○亀田得治君 職員がこれ全部で四十七名じゃなかったのですか、もうちょっとありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/4
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005・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 裁判官を含めますと五十四名でございます。そうして、裁判官七名でございますので、お話のとおり、一般の職員は四十七名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/5
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006・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、いま説明されたもののほかにまだないといかぬですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/6
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007・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) お手元に参っております、法務省から出しております参考資料の四ページに、「裁判官以外の裁判所職員の新旧定員内訳」というのがございます。一番右端の列が増減の欄でございます。この合計が一番下にございます四十七でございます。一番上の裁判所調査官四人、それから裁判所書記官十二名、これが借地借家の関係でございます。それから家裁調査官五名、それから事務官二十六人、この中の六人が借地借家の関係で、二十人が執行官の関係、こういうことでございます。先ほど書記官のときに十二という数字を申し上げませんでしたので、ちょっとその点をお含みおき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/7
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008・亀田得治
○亀田得治君 そこで、今回は、速記官ですね、
これはふえないのですね。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/8
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009・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは増員いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/9
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010・亀田得治
○亀田得治君 速記官はずいぶん不足して困っているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/10
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011・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これはいろいろ見方があるわけでございまして、先般のこの委員会でもいろいろお話が出たわけでございますが、確かに東京等では若干不足の面がございまして、そういう関係は、いわゆる外部速記と申しますか、つまり外の速記にたよっている面もあるわけで、ございます。こういうものをすべて裁判所の職員でまかなうということを目ざすといたしますれば、さらに増員が必要になるわけでございます。
ただ、この速記制度につきましては、実は私どものほうでも数年来いろいろ研究をいたしておるわけでございますが、一面では、速記による逐語調書というものは非常にいいものであってすばらしいという意見もありますとともに、他面では、現実の交互尋問の実態からまいりますと、少し調書が冗長に過ぎる場合があります。もちろん、これは速記官の責任ではなくて、尋問なり訴訟指揮の問題でございますが、現実はそうでございます。そういたしますと、むろん重要な事件、非常にむずかしい事件につきましては当然速記でございますが、しかし、簡単な事件あるいは簡単な証人については、かえって逐語調書でなくむしろ要領調書のほうがいいという意見も、特に高等裁判所関係等には前々からあるわけでございます。そういう点で、つまり、速記の使用基準いうものをどこに置くかということに一つの問題があるわけでございます。
もう一点は、現在録音というものの制度が非常に発達しておるわけでございまして、録音機というものをどういうふうに裁判に活用してまいるかという点、そういうことの研究もあわせてやっておるような状況で、そういう点では、私どもが速記官制度を——もう十年前でございますが、計画いたしました時点における一つの見通しとして、大体この程度という数の定員はいまいただいた形になるわけでございます。九百名前後というのが
一つのめどとして考えておったわけでございます。そういうことで、ここで速記のほうをどんどん充員するということではなくて、むしろその実質を充実し、そうしてさらにこれをどういうふうに発展させていくかということの研究の過程でございますので、そういうことで本年は速記の増員はお願いしなかったわけでございます。そうして、いろいろ不十分な点は外部速記その他も併用し、また場合によっては録音機等も活用しながら研究を進めてまいりたい、かようなつもりでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/11
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012・亀田得治
○亀田得治君 現在は九百三十五ですか、これは全国的にどういうふうな配置になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/12
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013・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 速記官の全国配置のこまかい数字はただいま手元に持っておりませんが、これは定員上は地方裁判所配置ということになっておるわけでございます。したがいまして、全国の地方裁判所に配置になっておりますし、当然東京、大阪等に比較的多数いるわけでございます。ただ、実際上は高等裁判所におきましても速記の必要がないわけではございませんので、そういう関係から、地方裁判所を本務としながら、実際上ある程度高等裁判所で仕事をされている方も若干おるわけでございます。まあ大まかなところの配置はさようなことであるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/13
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014・亀田得治
○亀田得治君 地方裁判所で速記官のおらないところはないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/14
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015・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 本庁ではおらないところはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/15
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016・亀田得治
○亀田得治君 所属は地方裁判所ということになっておるが高等裁判所でも仕事をする場合があるということですが、ほかの地方裁判所に応援にでかけていく、そういったようなことはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/16
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017・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは裁判官自体がいわばほかの地方裁判所の管轄区域内に出張尋問するような場合にはむろん同行いたしますが、速記官が独立して多庁に応援しに行くというようなケースはいままで生じていないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/17
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018・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、一つの地方裁判所で速記官が足らぬという場合には外部速記を臨時に入れる、こういうことになるわけでしょうが、それはどの程度入っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/18
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019・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 先ほど外部速記のことを申し上げましたが、これは主として東京の問題でございまして、いなかのほうへ参りますと、なかなか外部速記と申しましてもそう簡単には入らない面があるわけでございます。そういうことで、いなかのほうでは大体やっぱり速記官が中心に運用されておるわけでございます。したがいまして、その速記官がある庁で不足する場合にどうするかという当然のお尋ねになるわけでございますが、その点は結局いろいろな形でくふうされておりますが、そもそもが速記というものがどうしてもこれだけのパーセントを速記に付さなければならぬということでもございませんので、その辺のところを勘案して裁判長のほうで考える場合もございましょうし、それから場合によれば、これは好ましいことではございませんが、期日が若干延びる場合もあろうかと思います。そういうようないろいろなやりくりをしておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/19
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020・亀田得治
○亀田得治君 それで、東京が主のようでありますが、東京ではどの程度入っておりますか。たとえば昨年度の実績は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/20
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021・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) ただいま手元に詳細な数字を持っておりませんが、大体三百万円見当というふうなもののようでございます。正確ではございませんので、一応その程度とお含みおき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/21
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022・亀田得治
○亀田得治君 三百万円というと、人数にするとどういうふうなことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/22
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023・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) その点、恐縮でございますが、すぐ調べまして御説明申し上げます。恐縮でございますが、ちょっと待っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/23
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024・亀田得治
○亀田得治君 じゃ、それはまたあとからお知らせ願いたい。
そうすると、被告人なり弁護人からの、きょうの法廷は重要だと思うからひとつぜひ速記をつけてほしいというふうな要請があれば、技術的にはそれに応じ得るというような体制になっておるのですか。もちろんそれは、そういう要請があっても、裁判官のほうでそこまでの必要はないだろうと認定をされる場合は、これは別ですよ。裁判官も、なるほどそうだ、そう思うのだけれども、事務の体制からいって応ぜられないというようなことはないんだというふうにはっきりお答えできるわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/24
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025・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) ただいまお尋ねの点は、その事務の都合で速記には付せられないということは申し上げていないと思います。そういうことにはなっていないと思います。ただ、若干そこに問題がございますのは、これはその速記の使用方法という点にもいろいろ問題がございまして、つまり、亀田委員よく御存じかと思いますが、たとえば大阪のような場合で申し上げますと、各部に配属になっておる速記官と、それからある程度裁判所でプールをしております速記官と、両方あるわけでごございます。これは、いろいろな研究の結果、そいうようなことをやっておるわけでございます。そういたしまして、そのプールいたしております速記官のつまり派遣を求める、当該部へ派遣を求めるというかっこうになりますので、その場合に速記を付することをお断わりするということはあり得ませんけれでも、その関係で考えておったよりも若干期日があとになるということは、どうも実際問題としては起こっておるようにも聞いております。その点は、各部に配属になっておりますとわりあい裁判官の手元でやりくりもいいように、これは私も速記を使ってみましてそう感じたわけでございますが、そうかといって全部を各部につけてしまうことも非常にこれは窮屈な面がある。そこで、両方を併用しながらたとえば大阪等ではやっておるわけでありますが、その関係で期日よりも若干おくれるということは場合によるとあるというふうにも聞いております。若干そこには問題があるようでございます。全然速記をつけないということは、それはないように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/25
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026・亀田得治
○亀田得治君 速記、録音機と併用して検討しておるというお話でしたが、事務能率からいうとどちらがいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/26
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027・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、現在の録音機の発展段階から申し上げますと、率直に申し上げまして、一長一短であろうと思います。と申しますのは、法廷は大体において一問一答で行なわれますから、したがって録音機もちゃんといい場所に置いてあれば大体入っておるわけでございます。しかし、場合によりますと、同時発言というものもあるわけでございます。その場合に、録音機は全部録音してしまう。それに対して速記官は、いろいろ心得がありますから、その際によく聞き分けて、この段階では、こちらの発言を録取すべきものだというふうなところの判断がわりあいにうまくいくわけでございます。そういう点では、かなり速記のいい面があるわけでございます。ただ、一面速記は、何といっても人間の耳でございますから、やはり聞き間違えるということも絶無ではないわけでございます。録音機のほうは、機械でございますから絶対確実で、ときによりますとやはり速記の内容について争いが起こる場合も絶無ではございません。録音の場合ですと、ちょっとこれは争ってみても機械なんですから問題にならないということで、そういう意味では録音機のほうがすぐれているわけでございます。ただしかしながら、現在の法廷の実際からまいりまして、いまの録音機で直ちに速記に代替するということは、私はちょっと容易なことではないのではないか。ただ将来、いろいろ聞いておるところによりますと、録音機から直ちに文章が出てくるようなものもぼつぼつ外国でも研究されてもおるようでございますから、そういうようなことになってくるとまた問題は変わってくるかと思いますが、現在の段階ではやはり私どもは速記制度を守っていくべきものというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/27
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028・亀田得治
○亀田得治君 録音を使うやり方は、どの程度使っているのですか、速記に比較して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/28
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029・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、それぞれの裁判所なり、それぞれの裁判官なり、さらにはそれぞれの書記官等によってもいろいろ違うようでございます。場合によりますと、非常に重要な事件の場合には、速記官自身が録音機を併用して、自分の速記と録音とを照合してやるという、これはきわめて慎重な場合でございますが、そういうこともあり得るわけでございます。それから、中には、書記官自身が自分の考えで、自分はどうも筆がおそいから、ともかく録音を一応入れておいて、法廷で録取した要領とその録音とをあとで照合をしながら自分で調書をつくるという場合もあるわけでございます。これはちょっとパーセントでどのくらいということを申し上げる資料もございませんし、またこれは裁判所なり裁判官によっていろいろ取り扱いの事情もございます。また当事者の御意向にもいろいろ違いがあるように聞いておりますが、そういうような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/29
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030・亀田得治
○亀田得治君 そういう際の録音機は、もちろん速記官の負担じゃなしに、速記官の希望によって裁判所が設備しているのだと思いますが、ちょっとその辺が何か速記官によって設備したりしなかったりという印象を受けるのですが、事実はどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/30
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031・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 録音機は裁判所の備品として毎年計上されておるわけでございます。たとえば本年度予算で申し上げますと、二十数台、更新が約六十台というものが予算で入っておるわけでございます。それを購入いたしまして、全国の裁判所に配るわけでございます。そうして裁判所に備えつけてあるわけでございます。それをどういう事件でどういう際に利用するかということは、当該裁判所に一応まかしてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/31
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032・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、録音機がどの程度使われておるかは裁判官の指揮によって違うわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/32
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033・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) こちらからどういう形で使えという指示はいたしておりません。しかしながら、あるいはこれは調べますれば実際の実績というものはわかり得ると思いますので、あとででも調査して御報告申し上げますが、こちらからこういう際に使えという指示はいたしておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/33
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034・亀田得治
○亀田得治君 たいへんこまかいことですが、何といっても法廷は真実を発見するということが中心なんでして、そういう意味で速記とか録音機、それは非常に大事なんですから、配付されたものがどういうふうに使用されておるのか——それがいい悪いじゃないですよ、現状、あとからでもいいですから、お調べの上、御報告願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/34
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035・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/35
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036・中山福藏
○中山福藏君 関連してちょっと。私ただいまの亀田委員の御質問に関連してちょっとお尋ねしておきたいと思います。
それは、裁判所の法廷で録音並びに速記を併用しておられるということは私ども十分知っておるのですが、いま人権擁護という立場から私は、犯罪捜査も、いわゆる司法警察官が刑事被告人を取り調べるときに、一番大難なことは、正確を期する上からいって、最初の刑事被告人の答弁というものを録音しておく必要がある。そうすると、今度法廷に出まして裁判官の直接審理を受けるとき、質問を受けるときに、警官がこうこういうひどいことを言ったからで、私はこれはこの法廷では否認しますと言うことがままある。そうすると、裁判所だけで、法廷だけで録音をとっても、一方のほんとうかうそかは、刑事被告人として最初司法警察官が調べたときのことはちっともわからぬですね。これは両方のほんとうの真実というものを発見するためには、一番最初の供述が大事だと見ているのですがね。そういうことを抜きにして法廷だけの録音並びに速記というものは意味をなさぬと実は考えておるのですが、その点についてはお考えになったことはありませんか。これは法務省としてひとつお答えを願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/36
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037・貞家克已
○説明員(貞家克已君) 私、所管ではございませんが、聞くところによりますと、検察庁におきましても一応録音機を配付しておりまして、若干の事件につきましてはそれを補助的に使用しているという状態だそうでございます。もちろん、調書は別に作成いたすわけでございまして、原則的に公判廷に提出いたします証拠といたしましては調書が主体になるわけでございますが、任意性を争う、争われるというような場合に、録音そのもの自体を証拠として提出するという場合もあるようでございます。警察におきましても、やはり、同じように補助的に録音を使用している。ただし、それは必ずしも、非常に数が多うございますから、非常に多くの事件につきましてそういう方法を併用しているという状態ではないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/37
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038・中山福藏
○中山福藏君 そこで私ども、実際裁判に当たってみますというと、大体、刑事被告人を調べた刑事が証人として、否認した場合に、検事から申請されて出てる。そうすると、ことごとくその被告の言うことと違うのですね。ところが、それを録音にとってないから、どちらがほんとうかうそかわからぬ。刑事被告人というのは、公判廷で正しいことを言って助かると思っている人が相当多いわけですね。ところが、その公判廷に刑事、いわゆる司法警察官が証人として呼ばれたときには、たいがい、決してひどい目にあわせて調べたものではない、私のやったことは正しいのですという証言をする。ことごとく軌を一にしている。私は、いま法務局の方がお答えになったが、この場合は検事廷におけるところの調べを言っているのではないのです。一番危険なのは司法警察官の取り調べなんですね。多くの場合任意性をじゅうりんされることです。これは少し法律案とは飛び離れておるかもしれませんが、そこで私は国務大臣としての法務大臣にひとつこれはお尋ねしておきたい。この閣議に最高裁判所の人が直接に参画して、予算の編成に口ばしを入れることはできないわけです。そこで、何らかの形で、十分人権尊重の上から調査をする場合に、録音機を備えつけるとかなんとかいうことで、相当の予算を取ることは必要だと思うのですよ。それを国務大臣としてお考えになって、どういうふうな処置をしたら増額予算というのを法務省あるいは最高裁判所、そういう方面にたくさん回されるかということについての方途を講ずることができるかどうか、ひとつ国務大臣として田中法務大臣の御意見を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/38
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039・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) ごもっともな、所に対してたいへん御理解のあるおことばをいただきまして、ありがとうございました。裁判所の長官は三権分立のたてまえ上閣議に参加しておらないことはおことばのとおりでございますが、裁判所は独立して大蔵省に対して予算の折衝を行なっておる。その折衝がどうしても意に満たざる場合は、いわゆる二重予算の制度を活用いたしまして要求することも可能なごとくに法制上措置ができております。そういうことでございますが、従来までのところ二重予算制度というような荒々しい方法を講じなくても、裁判所の御要望は政府においてできるだけこれをいれるように苦心と努力を払って今日に至っております。したがって、御要求を満たすほど十分ではございませんが、そこそこの、財政の事情に応じましてがまんを願うことができる程度に御要望に応じて今日に至っております。そういう事情でございますので、詳しい数字は存じませんが、各地検にも録音機を若干配付をして用意いたしておりますような次第でございます。裁判所のそういう御要望に対しては、今後ともこの御要望を極力いれ得るように、国務大臣といたしましては、私が裁判所に一番近い大臣でありますので、御要望をいれるように努力していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/39
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040・中山福藏
○中山福藏君 私はその点非常にふだんから遺憾に考えておりますので、幸い田中法務大臣におかれまして、十分閣議に列して堂々と要望することができない立場にある最高裁判所の、いわゆる今日までの人員の不足とか、あるいは公舎の不整備とか、いろいろな問題を私どもは如実に見ておるわけですから、どうかひとつ十分御努力を賜わりますようお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/40
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041・亀田得治
○亀田得治君 そこで、速記甘ですね。だいぶん過労等のために、いわゆる職業病しいうのですか、そういったものにかかっておる人が多いのじゃないですか。どんな状態ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/41
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042・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) ちょっとただいまの亀田委員のお話にお答え申し上げます前に、先ほどのお尋ねで資料が参りましたので御説明申し上げたいと思いますが、東京地方で外部速記に出しております金額が約三百万ということを先ほど申し上げましたが、これは大体一時間三千円くらいの見当でやっておるようでございます。したがいまして、大体千時間分ということになるわけでございます。ただちょっと注記として申し上げておきたいと思いますが、この千時間と申しますのは、あくまで法廷で立ち会いまして実際に速記をしておる時間が千時間ということでございますので、反訳に大体八倍ないし十倍近い時間が要るとも言われておりますので、そうなりますと、ほんとうの労働時間はそれの八倍ないし十倍ということになるわけであります。法廷立ち会いとして千時間くらいというふうに申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/42
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043・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) ただいま速記官について、公務上のいろいろな、身体上の差しつかえが起きているのではないかという御質問でございますが、現在のところ速記官から公務上の疾病ということで申請が出ておりますのが、男が四名、女が十八名、合計二十二名の者につきまして、それが公務災害であるかどうかということについて調査しておる実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/43
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044・亀田得治
○亀田得治君 調査中の者が二十二名、それから公務災害ということを認定されて事実上休養しておるといったようなのはどのくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/44
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045・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 現在まで公務上の災害として、書痙につきまして四名、公務災害を認定いたしておる者がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/45
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046・亀田得治
○亀田得治君 速記官以外の職員の方との比率などはどういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/46
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047・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 邦文タイピストが、女性八名からやはりこの種の申請が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/47
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048・亀田得治
○亀田得治君 タイピストのことはまたあとから聞くつもりもしていたのですが、ちょうど出たから一緒に聞いているのですが、タイピストの場合は八名の申請が出ておる。速記官の場合には男女合計二十二名の申請が出ておる。認定した者が四名ということですか。ちょっとその説明だけでもずいぶん速記官の方が多いように思いますが、どうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/48
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049・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 申請につきましては、速記官の方が多いのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/49
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050・亀田得治
○亀田得治君 タイピストのほうは、八名は申請中という意味に聞こえたのですが、認定されたのはどういう数字ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/50
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051・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) タイピストにつきましてはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/51
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052・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、速記官とタイピストの定員の総数はほぼ同じですね。若干、百名ほど、一割ほど速記官が多い程度ですね。ところが、職業病の関係でははるかに違うという数字が出ておるわけですけれども、だからやはり速記官は相当労働過重になっているのじゃないかと私たち思うのですがね。先ほどの説明ですと、一時間法廷に立ち会うと、その八倍のあとの仕事が要るというふうに御説明がありましたが、そうすると、一日八時間労働という基準を設けて考えると、法廷の立ち会い一時間というところですね。しかし、私たちがいろいろな事件で立ち会ってみた経験からいいますと、相当長くやっているように思いますがね。そういう人は翌日あるいは翌々日また休むのだというようなことになるのかもしれませんが、実際はどうなんでしょう。相当無理がかかっているようなことを聞くのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/52
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053・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは確かに、先ほど人事局長から御報告申し上げましたように、実際に発病者が出ております以上は、何らかの無理があったというふうな御批判を受ける
こともまたやむを得ないというふうに考えまして、この点は今後とも十分善処してまいりたいと考えておるわけでございますが、ただ、いま亀田委員からのお話の、一時間速記に立ち会えばあと八時間労働ではまかなえないというお話の点は、これは実際上、いま亀田委員御自身でおっしゃいましたような、つまり翌日以降に整理をするわけでございます。多くの場合、一日の法廷が一時間で終わるとは限りません。むしろもっと長い場合もしばしばあるわけでございまして、そういうことになりますと、場合によりますと一週に一日だけ立ち会いをして、あとの五日は全部その反訳にかける場合もないわけではないようでございます。要するに、そういう大体立ち会い時間が何時間ということで、週に何時間というようなことでやっておるわけでございますので、その点はできる限り無理のないように運用いたしてはおるつもりでございますが、実際に病人が出た以上は、そこに無理があったということもあり得るわけで、これは十分戒心して善処しなければならないと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/53
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054・亀田得治
○亀田得治君 これは各速記官について全部記録があるわけでしょうから、たとえば東京、大阪、特に忙しそうなところ、全国といっても資料を整えるのがたいへん手間でしょうから、東京、大阪というようなところの資料を整えてひとつ参考に出してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/54
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055・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) ただいまの御質問の御趣旨でございますが、大体東京地裁におきましては一人の速記官が一週間に大体三時間立ち会うということにいたしておるわけでございます。したがいまして、そのときの都合によりまして、三十分交代で立ち会う場合もございますし、あるいは引き続いて午前中ずっと立ち会うということもあって、まちまちの状況のようでございますけれども、ともかく一週間に三時間は立ち会う。大体それをめどにいたしまして、それ以外の分につきましては、先ほど総務局長からお話し申し上げましたように、外部速記に委嘱をして、外部速記を東京では使っておるというのが実情であるわけでございます。
それから、速記官とタイピストとの間で発病の状況が違うじゃないかというお話があったわけでございますが、大体東京地裁におけるタイピストは、大体のところでございますが、一日六千四百字くらい、タイプにいたしますと七枚になるわけでございますが、この標準職務量といいますか、これは菅沼タイプライター株式会社の調査の結果では、これは裁判所なんかは入っていないのでございますけれども、大体一日二百四十分の仕事の時間で、八千字程度をタイプするというのが大体の標準だろうというようなところが出ておるわけでございますけれども、まあ、この菅沼タイプライターの調査がはたして全体について完全にそのように間違いないものであるかどうかという点は、これは別問題といたしまして、東京地裁では六千四百字くらい、大体七枚程度をタイプするというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/55
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056・亀田得治
○亀田得治君 速記官の四名公務災害を認められた人、それから二十二名の申請、これは場所はどこでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/56
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057・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 京都地裁、それから東京地裁、札幌地裁、それから東京地裁ということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/57
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058・亀田得治
○亀田得治君 それはどっちですか、認定されたほうですか、申請中のほうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/58
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059・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 認定したほうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/59
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060・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、一名ずつということですが、その二十二名申請中というのはどういう場所ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/60
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061・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 東京地裁が、速記官が二十名、それから邦文タイピストが一名申請がございます。それから速記官としましては、横浜の地裁、それから広島の地裁でさらに一名ずつでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/61
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062・亀田得治
○亀田得治君 やはり東京のほうが相当過重なんじゃないですかね。外部速記も使うのはほとんど東京のようなお話でしたが、外部速記を使うという場合、やはりどうしても控え目に普通はなるような気がするわけで、やはりこういう公務災害等が発生しないような努力をしてほしいと思うのです。法務大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/62
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063・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) おことばのとおり、十分留意してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/63
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064・亀田得治
○亀田得治君 それから録音機ですね、録音機の要求は各裁判所からはないですか、もっとよけいくれという要求は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/64
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065・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これはずいぶん古くからやっておりまして、全国で五百台以上になっておるかと思いますが、そういう関係で、更新の要求はいろいろあるように承知しておりますが、特に増設ということについてはあまりないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/65
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066・亀田得治
○亀田得治君 それから、タイプがやはり実際は相当おくれておるというのが実情じゃないんでしょうか。判決を言い渡しても、なかなかタイプができ上がらぬので送達がおくれるとか、そういうことはよく聞くことなんです。実際はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/66
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067・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これも確かに、亀田委員御指摘のとおり、そういう場合なり場所も間々あるわけでございます。これは非常にまたむずかしい問題になってくるわけでございますが、御承知のように、判決がわりあい時期的に波がある場合があるわけでございます。と申しますのは、たとえば大きな判決はどうしても夏休みを利用して書くというようなことにならざるを得ない実情がかなりあるわけでございます。特に大都会ではそうなるわけでございます。そうなりますと、自然夏休み直後にかなりタイピストの仕事が多くなるというような面がございます。年間通すれば大体平均化していくのであるけれども、そういう時期に非常に仕事がふえて、したがってややおくれるということが場所によってはあるようでございまして、そういう場合に、たとえば当事者の方から判決がなかなかでき上がらないという御批判を受ける場合になるように見受けられるわけでございます。その点がなかなかむずかしいところで、そうかと申しましてその地方にほかから抜いてきて増員するということも、年間を通じますとそうでもないということもあって、その辺がなかなかむずかしいところで、できる限りそういう場合には、たとえば事務局のほうのタイピストも動員してというようなことをいろいろ指導はいたしておりますけれども、それも円滑にいっていない面もございまして、御迷惑をかける場合があるいはあるかと思いますが、全体といたしますれば、そうタイプの仕事がたまっているとは考えないわけでございます。と申しますのは、最近では判決以外の関係は、御承知のたとえばリコピーとか、あるいはゼロックスというようなものがかなり裁判所にも入っておりまして、謄本類その他はそういうものを利用いたしておりますので、結局タイピストの中心的な仕事は裁判では判決だけということになりますので、それほど全体としてたまっているわけではございませんけれども、部分的にはあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/67
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068・亀田得治
○亀田得治君 判決言い渡し後どの程度でこの判決文が送達されているかというふうな調べばできているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/68
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069・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは数年来調査もし、またやかましく注文もつけているわけでございます。これは民事の場合は、原本ができ上がらなければ言い渡しができない法律の規定でございますので、これは絶対にそれを厳守するように指導いたしておるわけでございます。刑事の場合は必ずしもそうではございませんが、しかし原稿はでき上がっているはずでございますので、あとはそれの浄書だけの時間ということになるわけで、その点はいろいろ調査もし、それから指導もいたしておる実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/69
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070・亀田得治
○亀田得治君 非常にたくさんタイプの仕事がたまったものを、一時的に外部に出して、そうして早く片をつけていくと、ちょうど速記の場合はそうであるわけですね。そういうことはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/70
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071・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは判決書に関します限りは、やはりいろいろ秘密性その他から申しましても非常に困難であろうと思います。ただ、しかしながら、ほかのほうのものをそういう方法により、あるいはリコピーその他の方法をできる限り最大限利用して、そうして判決書に重点を置くということは可能でありますし、さらにまた各所長の判断でしかるべくやっていただいておるものと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/71
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072・亀田得治
○亀田得治君 言い渡し後外部に渡すわけなんですから、別に支障があるとは思わないのですが、支障ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/72
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073・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) まあ刑事の関係は、言い渡し後でございますから、必ずしも支障はないかと思います。私は先ほど民事を中心に申し上げたわけでございます。その辺は、一つの研究の問題であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/73
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074・亀田得治
○亀田得治君 まあ、ともかくできるだけ早くつくるように事務体制を整えなければいかぬですよ、それは。一番忙しいときにそれがスムーズにいくように、しかし忙しくないときには若干ひまになると、これはしかたがないですよ。一年じゅう込みで仕事がいくわけじゃないんですからね。繁閑の差はあっても、一番忙しいときを標準にしてやはり陣容を整えていく、そうでなければほんとうのサービスにならぬと思いますね。そういう目標でタイプ等についてもこれは計画はあるのですか。ことしは増員要求をしておらぬようですね、要求したけれども認められなかったということじゃなしに。要求したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/74
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075・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 実は、ことしも二十人ばかりは、要求と申しますか、当初要求の中には入っておったわけでございます。これは借地借家事件の関係で裁判官や書記官をふやします一連のものとして要求したわけでございますが、その裁判官、書記官等の関係がいろいろな関係から当初要求よりも少ない数字で計上されることになりましたので、それに伴ってタイピストの点は今回は増員を見合わせるという、そういう勘定になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/75
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076・亀田得治
○亀田得治君 速記官とタイピストの問題はこの程度にしておきまして、それから家庭裁判所の調査官のことですが、昨年は百三名ですか、増員要求されて、二十五名認められたと、そうでしたね、昨年。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/76
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077・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/77
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078・亀田得治
○亀田得治君 そうしたら、ことしは少なくともこの百三名から二十五名引いた七十八名を要求しなきゃいかぬわけですがね、昨年認められなかったのだから。それをことしは三十五名ですか、増員要求したのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/78
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079・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/79
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080・亀田得治
○亀田得治君 だから、そういうことが、それじゃ昨年の百三名の要求はでたらめだったと——でたらめとはまあちょっと言い過ぎかもしれぬが、水増しというか、少し上品に言えば、そういうふうなことになるわけでして、いやこれはとても七十八名というようなものを出しても歯が立たぬから、こっちからもうそこそこにしたのだということなのか、その辺はどうなんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/80
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081・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) まことにごもっともなお話でございますが、これは前回の委員会でもちょっと御説明申し上げた点でございますが、二つの点から御説明申し上げたいわけでございます。
一つは、この調査官そのものが年次計画で要求しておるわけでございます。三十五名本年度要求いたしましたが、これは三十五名ぽっきりということではなくて、二年計画で要求いたしました第一年度と、こういうことでございます。それじゃなぜもっと一年で全部要求しないかというお話になるかと思いますが、これは決してそんなに入りそうもないというのではなくて、家庭裁判所の調査官は調査官研修所で養成をいたしておりますので、その養成計画等との関連もございまして、まあそういうところからつまり現実的な要求をしたいということでいろいろやりまして、一応そういう年次計画の第一年度という形にしたのが第一点でございます。
それからもう一点は、昨年までは家庭裁判所調査官というものは、あくまで家庭裁判所調査官だけのものとして要求してまいったわけでございますが、これはいろいろ資格なり待遇等とも関連いたしまして、やはりこの大幅な増員ということにはいろいろむずかしい問題もございますので、調査官の仕事の中で比較的単純な事務的なものは一般の事務官のほうの仕事に落としていく、つまり調査官が現在やっておりますることの中でも、必ずしも調査官みずからするを要しない比較的軽度の事務的なこともございますので、そういうものは事務官で要求するというふうな点がございまして、その関係で事務官を相当数要求したわけでございますが、その二点で昨年と少し変わった要求のしかたをしたわけでございます。しかしながら、この点は確かにいろいろ問題でございますので、また来年度の場合には十分そこを大局的に検討して考えてまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/81
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082・亀田得治
○亀田得治君 それは要求するほうがきちっとしておらぬと、いくらあなた法務大臣が突っかい棒を加えようと思ったって、もとのほうがきちんとした数字で一貫しておらなければ、それは私はいかぬと思うのですよ。まあこういうことは、これは家庭裁判所の調査官だけじゃなしに、いろいろな部署について言えるわけですけれどもね。やはり一たん数字を出した以上は、あくまでもこれは必要なもので、その裏づけをもって出す。出した以上はやはり引っ込めないという立場で、出すまではやはり慎重、出した以上はがんばるということでやってもらいませんと、やはり裁判所関係の予算というものはなかなか充実していかぬと思うのですわ。ことに、真実を追及するところですからね。あなた、裁判所の要求が前年度とことしじゃまるっきりこう違うというのじゃ、これは私は、ちょっとわれわれも何か力の入れぐあいがないという感じがするんですよ。こんなものはやっぱり勢いですからね。認めても認めぬでも、やはりちゃんとこれは筋の通った数字なんだという本のは、簡単に訂正するということのないようにひとつ今後ともやってほしいと思う。これは要求しておきます。
それから次に、裁判官の関係ですが、この春の定期異動というんですか、配置転換等で、一度に裁判官がかわって裁判に支障を起こしておる。たとえば大阪などのことは、当時新聞に書かれましたね。合議の三人の裁判官が一ぺんにかわってしまった。こんなようなことが相当あったようですが、これはちょっとまずいんじゃないですかね。どうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/82
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083・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 大阪では、ただいま御指摘のとおり、地裁では約三分の一の裁判官の異動がございました。したがいまして、そこに訴訟遅延等の問題が若干生じたことはいなめないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/83
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084・亀田得治
○亀田得治君 大阪以外にはないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/84
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085・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 東京も相当数の異動が、ございまして、大裁判所になればなるほど異動の人員は多いというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/85
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086・亀田得治
○亀田得治君 三人の合議体で三人とも一度にかわったというのは、具体的にはどことどこなんですか、そんなケースは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/86
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087・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 私どものほうには、三人が三人とも完全にかわってしまったというところは、何か大阪に一つか二つあったような話も聞いておりますけれども、それ以外のところでは全然耳にいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/87
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088・亀田得治
○亀田得治君 一つか二つといいますけれども、これは非常に重要なことですわね。そういうことは最高裁ではちゃんと把握できておらぬわけでしょうかね。ちゃんと異動の前にそういうことはわかっておらなきゃならぬと思うんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/88
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089・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) この春に大体毎年定期異動という異動があるわけでございます。そして、その定期異動の前に、全国の高裁長、官、それから高裁の事務局長が最高裁に集まりまして、二回ほど異動愚の名簿についてそれぞれ意見を交換するわけでございます。この異動者は、もう三年ぐらい前から、だれが異動するということは、ほぼ確定とまで申しては語弊があるかもしれませんけれども、大体そのリストはできているわけでございまして、したがいまして、異動期に当たりました者の名簿を全部作成いたしまして、そして高裁長官と事務当局と個々的に折衝いたしまして、そしてその上で裁判官会議にはかりまして、裁判官会議でも慎重な検討を経た上で発令になると、こういうような内部的な手続を相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/89
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090・亀田得治
○亀田得治君 三人ともかわったのが一、二あるとお答えになるくらいですから、三人のうち二人かわったというのも相当あるんだと思いますが、これは幾つぐらいあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/90
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091・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 二人かわったというようなことにつきましては、実は私どものほうでは聞いておらないわけでございまして、大体その庁、その庁で、ただいま御説明申し上げましたように、この年はこの者が異動する、来年になればこの者が異動するというようなことかはっきりつかめるものでございますから、その組み合わせについて、その庁の所長、所長代行、それから常置委員会等で十分検討いたしましてその部の構成をきめるというのが通常とられているやり方でございます。したがいまして、一部の中で二人かわったのがどの程度あるかということにつきましては、私どものほうでは報告等には接していないわけでございます。その庁、その庁で転入した者等につきましてそれぞれの組み合わせをやって自治的に部の構成をきめているというのが実情であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/91
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092・亀田得治
○亀田得治君 これは裁判官の皆さんが自主的にきめていくことなんでしょうから、あまり批判がましいことを言うつもりもないんですけれども、この春の定期異動で三人全部かわったところ、三人のうち二人かわったところ、これは事務的に聞いてもらえばわかるわけですね。一応真相を明らかにしてください。新聞ではいろいろ書いていますわね、数字まで。いいですね、それはわかりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/92
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093・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) それは問い合わせればわかることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/93
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094・亀田得治
○亀田得治君 そこで、私は、合議部の三名が一度にかわるというようなことは、これはいくら裁判官が自分たち同士でやっていく人事かもしらぬけれども、おかしいと思うんですよ。それは刑事問題にしても、民事問題にしても。こんなことは、当事者にとっても非常にたよりない感じ与えますよ、国の裁判というものに対して。私はこの点だけはぜひ改めてもらわなきゃいかぬと思いますな。それはなるほど前からの約束で、どの裁判官はいつになったら転任するというふうな約束等があったんだろうと思いますよ。しかし、そんなことは事務的に私はやるべきことじゃないと思う。そうなっていても、しかしいまそのとおりやるとこれは全部かわるんだと、これじゃ関係者に非常な迷惑を与えるじゃないか、じゃ三人の中で君はひとつもうちょっと残れぬかとか、そこは相談で私はやれることだと思う。そんなことはできぬということは、私は絶対にないと思いますよ。これは最高裁の長官にでも私は聞いてみたいと思っていたことなんですが、ともかく一つか二つはどうもあるらしいけれども、はなはだ私は遺憾だと思うんですがね。どうですか、事務総長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/94
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095・岸盛一
○最高裁判所長官代理者(岸盛一君) まことにこもっともな御意見と思います。ある裁判所のある部門の構成員全部がかわるというようなことは、これは避けなきゃならぬことであります。それがこちらの人事当局にわかっておりますれば、時期をずらすとか、そういうことができたと思いますけれども、先ほど人事異動の手続として人事局長が御説明いたしましたように、その当該管轄の長官、事務局長と人事局とがいろいろ相談しておりまして、その相談のありましたときに、これとこれとを動かすとこういう結果になるということがわかれば、これは善処できますが、今後やはりそういう方向で、人事異動の際には今回のようなことが起こらないように十分気をつけたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/95
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096・亀田得治
○亀田得治君 これは再度こういうことが起こらぬようにぜひやってほしいと思うんです。これは弁護士会からも何か抗議的な要請があったようでありますね。これは当然だと私は思います。法務大臣どう思いますか、ちょっと法務大臣の立場でそういう問題の発言はお困りかもしれませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/96
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097・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 私の立場では、裁判所の人事異動に関してとかくの意見を差しはさみがたいのでありますが、道理といたしまして判断をいたしますと、ただいま事務総長からお答えのとおりと存じております。また、御意見のとおり、趣旨のとおりであると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/97
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098・亀田得治
○亀田得治君 これは刑事事件で、検察官は法務大臣のほうの関係ですから、検察官でも私は困ると思うんですよ。せっかくやってきて一人も残らぬというのは、たいへんなことですよ。やはりそういう立場から、法務大臣としても注意をする権限は私はあると思うんです、利害関係者なんですから。
もう時間がございませんので、最後にこの交通違反の反則金制度、これが出てきておるわけですが、道交法の改正として、これに対して最高裁のほうでは、否定的といいますか、賛成しがたい、そういうふうな意見があるようでございますが、その辺ちょっと考え方をですね、御説明願いたいと思います。事務総長からひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/98
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099・岸盛一
○最高裁判所長官代理者(岸盛一君) この間最高裁の長官が大阪へ行かれまして記者会見をされたときの記事に、ただいまお尋ねのような印象を与えるようなものが載っておりました。しかし、あの記事は、全部で十五分間ぐらいの記者会見のうち、反則金制度についてはわずか一、二分の問答だったそうでございます。そのために、十分意を尽くすということもできなかったわけでございますが、最高裁判所といたしまして、この日増しに激増する交通事故の対策はやはり何か考えなければならぬということにつきましては、全く同感であります。決してこの反則金制度そのものに反対意見を持っているわけではございませんで、いずれ法案が正式に審議され、そして、裁判所の意見をお尋ねがございましたら、所管の局長から裁判所が問題点としているところを詳しく御説明いたす機会もあろうかと存じますが、ごく簡単に申しますと、まあ長官談に、反則金の性格がはっきりしないということがございまして、それで最高裁判所はあの制度に反対しているという誤解を招いたものと思います。その中でその反則金の性格がはっきりしていないという趣旨は、まあ反則金というものが任意に払うとされておりますけれども、しかし、払ってもいいし払わぬでもいいというものではなくて、払わないと刑罰を科せられるという性格のものであります。そうなりますと、反則金の通告処分というものが行政処分であるかどうかということが、当然そういう問題が起きてまいります。それにつきましては、行政処分であるという考え方と、いや行政処分でないという考え方とが、両方二つ相対立いたしておるのが現在の状態でございます。この点をはっきりしておきませんと、かりに行政処分であるということになりますと、取り消し訴訟の対象となる。と同時に、反則金を払わないために刑事手続が開始される。同じ違反に関して行政訴訟と刑事訴訟とが並行して行なわれるということは手続の混乱を招くおそれがありますので、そういう点を立法の際にはっきりさせてもらいたい。事裁判所に関することでございますので、そういう意見を事務当局としては持っておりますし、また関係庁にもそういうことを申し上げておるわけで、結局はこれはいずれ正式審議の際に国会の審議を仰いで決定されるべきものであります。その機会がございましたら、裁判所側のその点の疑問点と申しますか問題点を、所管の局長から詳しく申し上げる機会があろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/99
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100・亀田得治
○亀田得治君 まあちょっとそろうまで五、六分、もうちょっとお尋ねしますが、裁判所の意向としては、もう少し軽いものだけにしぼったらいいじゃないか——そういう法的性格の問題はもちろんありますが、もう少し軽いものだけにというふうな見解もあるわけですか。まあ警察自体もこれは軽いものだけだと言うているんだが、全体の約五百万といわれる違反件数の中の七割、この反則金を取れるという見当のようです。裁判所のほうで、もう少ししぼったらどうか、そうすればいろいろな多少の無理があってもまあよかろうというふうな考え方があるようですが、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/100
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101・岸盛一
○最高裁判所長官代理者(岸盛一君) 現在の法案のたてまえから申しますと、警察の認定できまってしまう。そうなりますと、いろいろの問題も起こり得るわけでありますので、いっそのこと反則行為の範囲をもう少し確立せんならぬ。事実について、将来争いの起こる余地のあまりない、そういう範囲にとどめてはどうかというのが意見でございます。しかし、これもまたいろいろ正式に法案として御審議があります際に申し上げるのが適当かと存じますので、まだ正式に審議されないときに、私ども所管の局長もおりませんので、私から大ざっぱなことを申し上げるのは、ちょっと御遠慮申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/101
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102・亀田得治
○亀田得治君 反則金制度の本格的な論議というか審議は、これまた別な機会にしまして、ただまあ現在の交通裁判ですね、あれに関与している裁判官の方々、これは弔う機械的でね、おもしろくない。せっかくの人材をそういうところに相当くぎづけしておるわけですね。そういう面から見ると、私は相当助かるんじゃないか、裁判所としても——というふうな、これは別な立場ですが考えるんですが、そういうことは最高裁として検討しておりませんか。もし、だから、かりに警察がいま提案しているような立場でやると、最高裁としてはどの程度の負担が軽減されるか。これは検察官のほうも同じことだと思いますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/102
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103・岸盛一
○最高裁判所長官代理者(岸盛一君) これはこまかく法案について御審議いただくときに正確なことを申し上げるべきだと思いますけれども、お尋ねがございますので申し上げますと、やはり裁判所としても、現状ではいけない、何か対策を講じなければいけない。それにはやはり、反則金制度というものに対しては、裁判所も前向きの姿勢でおります。ただ問題は、七〇%あっちに移してしまうか、あるいは、さしあたり一つの試みですか、五〇%程度の範囲でまずやってみて、それの結果を見てまたさらにだんだん範囲を広めてもいいんじゃないかということを考えておりますが、しかし結局はいろいろな各方面の御意見や資料に基づいて国会でおきめ願うほかはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/103
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104・亀田得治
○亀田得治君 最後に法務大臣から、いま反則金問題についていろんな意見が出ておるわけですが、これはやはり検察官のほうにも響いてくる問題ですから、法務大臣としての考え方というか、大まかなところをひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/104
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105・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 性格が幾らかあいまいなところがあろうというこの間の新聞記事が出ましたので、それに関連をして、その限度で申し上げますと、私は、既成の類似した、似た制度と比較をいたしまして、似た制度にはめようとすると性格があいまいに見える。たとえて申しますと、似たものには罰金、科料という制度のものがございます。罰金、科料とは違う。それから、いま先生のおことばにも出ましたように、国税犯則通告処分というものがございますが、これとも違う。どういうものなのかというと、罰金でも科料でもない、犯則処分でもない。それはいま申します交通反則金制度という別個の、いままでの類似のものと違う性格を持ったものである。本人が承知をすれば行政処分でいけることになるが、承知をしなければ刑事訴訟手続に移行するんだ、こういう一つのはっきりとした、いままでの既成観念にない一つの観念である、そういう反則金なんだ、こういうふうにお考えをいただきますと、性格はあいまいであるとの考え方も幾らか救済されるのではなかろうか、こういうふうに実は考えておりまして、ただいま七割というおことばがございましたが、七割以上、七割五分、八割に近いような数字にのぼって適用されるものではなかろうかというふうにも、正確な根拠はございませんが、大体の推測ができる、たいへん大問題の新しい制度でございます。新しい性格を持った新制度なんだ、過去の類似のものとは違うという考え方に立てば、国会もお許しが願えるのではなかろうかというふうに実は考えておるわけでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/105
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106・浅井亨
○委員長(浅井亨君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、小沢久太郎君、木島義夫君が委員を辞任され、その補欠として内田芳郎君、横山フク君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/106
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107・久保等
○久保等君 簡単に一、二お伺いしたいと思うのですが、すでに亀田委員のほうから質問をせられたようでありますが、この裁判所の職員の中で特に速記官あるいはタイピスト等にいろいろからだの故障を訴える人が非常に多いような話を聞いておるんですが、要員の確保をはかってまいらなければならないという問題もあるでしょうが、同時に、現在の職員の使い方、勤務の問題、ここらに考慮を要する問題があるんじゃないかと思うのです。現実にいろいろ腱鞘炎その他の職業病等が発生いたしておるようですが、最近東京地裁だけの中で調べたところによっても、からだのあっちこっち故障を訴える人たちが約八割程度いるといったような話も聞いているんですが、はたしてそれが正確に医者が診断した場合に病気と言えるのかどうかといった問題もあるだろうと思うのですが、いずれにしても、そういったようなからだの故障を訴える人たちが非常に多いというような問題については、これは一日も放置できない問題だと思うのです。したがって、特にタイピストあるいは速記官といったような、そういう職種に携わっている人ちたに対して特別計画的健康診断をやるとか、あるいは勤務時間の中で速記する時間の調整をはかるとか、あるいはまた反訳時間の問題、休憩時間の接配等について考慮を払うといったような措置を具体的にやっておられるのかどうか、要するに対策を具体的に講じておられるのかどうか、そういったことについて状況を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/107
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108・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 裁判所の中では定期健康診断というものを一斉にやっておりまして、それが年二回全職員について行なっているわけでございます。そのほかに速記官、タイピスト等につきましては、昭和三十二年以後でございますけれども、全国の速記官、タイピストにつきまして、ただいま申し上げました定期健康診断とは別に、特別の定期健康診断を行なっているわけでございます。それは上肢、特に指の機能検査、それから目の検査、それは視力の測定と、輻輳検査というふうに申しておりますが、これを半年に一回以上ずつ実施するようにというようにいたしまして、現にそれを行なっているわけでございます。東京の地裁につきましては、ただいま申しましたもののほかに、定期健康診断を昨年四月に行なったわけでございますが、その際に、これは問診の程度で最初やったわけでございますが、八割と申しますか、八十一名が肩や手等に少し異状があるということを申し出たわけで、ございます。これは本人が申し出たわけでございます。そこで、その者たちに第二次の健衆診断を行ないましたが、八十一名申し出ましたけれども、第二次の健康診断に出てきたものは七十五、六名だったそうでございますけれども、その者たちにっきましては、いわゆるタッピング、それから皮膚の温度、それから疎血検査、聴力、血圧、それから問診等を行ないまして、そうしてそれを済ませたあとまでまたさらにからだ全体につきまして第三次の検査を四十名等につきまして行なっているのが実情であるわけでございます。もちろん十分御承知のことと存じますけれども、人事院規則で職業病というものを五十六種掲げているわけでございます。この五十六種掲げられております職業病につきましては、これは反証がない限りは公務上の障害というふうに認定されることになっているわけでございます。ところがそれ以外のものは、公務に起因することが明らかであると認められる病気に限って公務上の障害と認めるということに相なっているわけでございますが、そこで五十六種の病気の中で書痙——いわゆる手首のけいれんあるいは書痙については職業病ということで掲げられておりますけれども、先ほど来問題になっております腱鞘炎とか、頸肩腕症候群とか、斜角筋症候群というようなものにつきましては、人事院のほうで職業病としては掲げていないわけでございます。したがいまして、公務に起因することが明らかな腱鞘炎であるかどうかということが問題の中心になってきたわけでございますけれども、これは何ぶん、御承知のように、非常に医学的な専門知識を必要とするものでございます。実は、私初めて人事局長になりましたときは、仕事に関連して手がふるえたりなんかすれば、当然公務上の災害だというふうに、ちょっと素朴に考えたわけでございますけれども、なかなかそうではなくて、医学的にいろいろ問題がございまして、医者の鑑定によりまして、公務と、手がふるえるなら手がふるえる、それから肩が痛むなら肩が痛むということの間に明らかな因果関係があるという医師の鑑定と申しますか、認定が出てまいりませんと、私どものほうとしては、直ちにそれを公務上の災害と認めることは非常に困難だというのが、一般的な公務上災害の扱いだということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/108
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109・久保等
○久保等君 ただいまのお話ですが、これは確かに因果関係があって、公務とそういった症状との関係をはっきりと関係づけるということはなかなかむずかしいと思いますが、しかし、それも相当な年月をかけ、しかも、実際の仕事以外に、手がしびれたり、あるいはまた、肩が特別こることの原因がほかにあるかといって調べてみても、別に特別変わったことをやっているということでないならば、これは常識的に考えても相当因果関係があるというように判断できると思うんですが、ただ医師が精密に、一体公務と症状との関係について因果関係があるかどうかということになると、これは科学者の立場からきわめて慎重に扱うことは当然だと思うんだけれども、そこのところは、扱い方としてはできるだけ本人に有利になるような解釈をすべきじゃないかと思うんです。すなわち、特別そういう症状が起きるような何かはかに原因があるというようなことが的確につかめない限り、仕事によってそういったような故障が出てきたということがほぼ推測がつく場合には、それこそいま言ったように、明らかな反証があげられる場合は別として、そうでない場合には、公務上の故障だというある程度の認定が調査をやってもらえば出てくるんじゃないかと思うんですよ。そこらのところ、運用の問題ですから、ここで的確にどういう場合には公務災害だとかなんとかということをはっきりと一つの基準を示すことはむずかしいと思いますが、もう少しそこらの運用の問題については、できるだけ本人に対してあたたかみのある措置をとってやってもらいたいと思うんです。
それからもう一つは、先ほどもちょっとお尋ねしたんですが、勤務上の問題について特別の考慮を具体的にお払いになったのかどうか、あるいは職場の環境等の問題についても改善をはかるとか、そういった具体的な対策をほかにお立てになっておられるのかどうか。立てておられないとするなら、もう少し積極的に——百人のうちに大体一人とか二人とかというんじゃなくて、相当数の人たちがそういう故障を訴えるということになってくるならば、これは人事管理上からいっても放置できない重大な問題だと思うんです。しかも、主として御婦人の方が多いだろうと思うんです。そうすると、若い、二十過ぎ、あるいは三十才前後の御婦人の方たちが、手がしびれるとか非常な痛みを訴えるとかというような問題になってくると、人道上も特に私は放置できない問題じゃないかと思うんです。だから、そこらの問題について、ぜひ具体的な対策を積極的にお立てになってもらいたいと思うんですが、そこらの措置、もよう等について、どういう状況にあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/109
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110・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 最初の第一点につきましては、これは腱鞘炎とか頸肩腕症候群等がこの五十六種の職業病の中に明確に規定されれば、反証のない限り公務上の障害と認められるわけでございますけれども、規定がない場合には、先ほど申し上げましたように、公務に起因することが明らかと認められる場合に初めて公務上の障害ということに相なるわけでございますが、しかしながら、これはいろんな資料に基づきまして十分慎重に検討いたしてまいりたいと存ずるわけでございます。
それから、女性のタイピスト等が肩が痛い、手が非常にしびれるというような場合に、それじゃどういうようにしているかというような御質疑でございましたが、そういうような場合には、その庁、その庁におきまして、その者をタイプのほうから休ませまして、差しつかえない範囲で事務のほうに使いまして、そうして別に、タイピストは、仕事が非常に繁忙な場合は、日当で来てタイプを手伝ってもらうというような措置をとりまして、できるだけタイピスト等について無理のいかないような方法を講ずるようにはかっているわけでございます。なお、御趣旨は非常にごもっともなことでございますので、十分検討いたしたいというように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/110
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111・久保等
○久保等君 いまの御答弁ですが、前者のものについても、単に人事院規則でこういう定めになっておるから、それに該当しない者はだめなんだと、これはいかにも法律家らしい答弁ですけれども、その人事院規則そのものを改正させるなり、あるいはいま言った腱鞘炎というようなものを追加させるなり、そういったようなことを、それぞれの諸官庁で、そういう一つのデータに基づいて人事院に働きかけなければ、人事院のほうは実情はわかりませんよ。だから、特に腱鞘炎の問題については、ひとり法務省なりあるいは裁判所だけじゃなくて、一般に最近、例のパンチャーなどの場合に、腱鞘炎があちこちで出て、これは非常に問題になっているわけなんです。しかし、それもいま言われるように、短期間にこれがはたして公務に基づく腱鞘炎であるのかどうかという認定が非常に困難なので、したがって、まだ制度が改正されるところまでは行っていないですが、一般にあちこちに問題が続発しているんです。したがって、裁判所の問題も、ぜひそういった状況について人事院に訴えて、制度の改善の問題について積極的に働きかけられるという努力をしてもらわないと、これは人事院の規則に定めておりませんからだめですという程度では、人事管理の立場にある当事者としては、非常に怠慢だと言われてもいたし方がないと思う。だから、ぜひそういう努力をしてもらいたい。
それから、後者の問題ですが、これはひとりタイピストに限らず、特に速記者の場合にも、聞いてみますと、二時間でも三時間でも連続して速記をやらせるというような勤務体制といいますか、状況だという話も聞いているんですが、そうすると、速記を二時間も三時間もぶっ通しにやられたら、しかも一言一句聞き漏らすまいとして非常に神経をとがらして速記をされるような場合には、これはわれわむしろうとにわからない苦痛だと思うのです。そこらのところは、これまた全国的にやっておられる実際の状況等をお調べになってみれば、三十分程度にしてすぐ交代させるというようなやり方をすれば、非常に疲労なり肩の痛みなんかも予防できるのじゃないかという気がするわけです。それを漫然と二時間も三時間も法廷に立ち会わして速記をやらすというようなやり方は、非常に私はまずいと思うのです。だから、そこらに対するくふうといいますか、配慮というような問題について、やはり積極的に取り組んでいく必要があるのではないか。人によってもあるいは違いましょうけれども、その大体の基準、そういったものはつくれるのじゃないかと思うのですが、タイピストの問題もさることながら、特に速記官などの問題は、これは非常に長時間にわたって連続速記をさせることは、われわれが考えたって非常に酷なやり方だと思うのです。そういったことについて、腱鞘炎なり何なり、そういったからだの故障を訴える人たちが多くなっている問題、しかもこれはきのうきょうの問題じゃないのです。よほど前からあるのでしょうから、過去の実績等に徴して、勤務体制の改善等について格段の努力をする必要があると思うのです。そういったことについて、今日までやってこられたことが具体的にあるのかないのか、そこらもお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/111
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112・矢崎憲正
○最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 速記官につきましては、大体、東京の地裁では、週三時間の立ち会いを原則にいたしております。そうして、あとの日にちは全部反訳に充てるということに相なっておるわけでございます。そうして、原則としましては、ただいま御指摘のとおり、大体三十分程度で交代というのが原則に相なっておるわけでございますけれども、場合によりますと、速記官によりましては、一日の午前中全部立ち会って、そうしてあとは反訳に充てるとかというようなことを希望する者もなきにしもあらずでございまして、したがいまして、まれに三十分立ち会うというような原則を破りまして、三時間なら三時間、二時間なら二時間ぶっ続けでやりたいというような速記官も中にはいるようでございます。しかし、御趣旨のようなことは十分注意をいたしてまいりたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/112
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113・久保等
○久保等君 最後に、要望を含めて言っておきたいと思うんですが、要するに人員の不足といったような問題が一つには根本的な原因であると思う。それらの問題については、前の委員会でも指摘をしておきましたように、もう少し要員の確保の問題について、裁判官しかり、それから裁判官以外の職員しかりですが、大蔵当局に対して、あるいは大蔵当局というよりも政府でしょうが、政府に対して要求されている人員と実際に予算化されている人員との間にあまりにも大きな懸隔があり過ぎる、一割程度の要員しか認められていないということについて、何かやはり裁判所は、これは法務省の場合も同じようなことが言えるんですが、もう少しやっぱり当局として努力する余地があるのではないかと思う。半分程度認められたとかなんとかいうようなことなら、これは一般的常識からいってもまあまあというところだと思うんですが、百人要求して十人足らずしか認められないというようなことでは、われわれから見れば、よほど水増しして要求しておるのか、さもなくば全くむちゃくちゃに大なたをふるわれて査定されて、それに甘んじておるということについて、いささかどうもふに落ちないんです。したがって、必要な要員については、もう少し積極的に確保していく必要があるのではないか。そのことは、単に事務上の支障のみならず、職員にもただいま指摘したような形でしわ寄せが出てまいっておる。だから、そういった要員確保について一段と努力してもらいたいと同時に、現在の要員の問題について、欠員補充の問題なんかも、先般の委員会でも申し上げましたように、もう少しくふうをする必要があるのではないか。欠員のあとの補充の問題についてももう少しくふうをすれば、そういった大量に欠員の状態が放置されておるといったようなことがなくて済むんじゃないかというようにも考えますし、同時に職業病といわれるような身体の故障を訴えるというようなことも、これまた放置しておくというようなことは重大な人道上の問題でもある。したがって、そういったようなことについても、日常の勤務の配置その他について格段の努力をしてもらって、改善をしてもらいたいというふうに考えるわけですが、総括的に強い要望を申し上げて、これに対しまして事務総長のほうから御答弁を願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/113
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114・岸盛一
○最高裁判所長官代理者(岸盛一君) 先ほどからの御意見、十分拝承いたしました。裁判官についてもそうでありますが、裁判官以外の一般職員の確保ということは、これは裁判の迅速を期する上からいっても必要なことであり、また職員の負担が過重にならないためにも必要なことでございます。最近数年、政府の方針といたしましては、増員については非常にきびしい抑制を加えてこられました閣議決定がございます。しかし、裁判所は閣議に人が出ておりませんので、閣議には拘束されませんが、国全体の財政からできるだけの協力はいたさなければならないと思いますけれども、しかし裁判所にとって必要やむを得ない最小限度の人員確保については今後とも十分努力を続けてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/114
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115・浅井亨
○委員長(浅井亨君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/115
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116・浅井亨
○委員長(浅井亨君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/116
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117・浅井亨
○委員長(浅井亨君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の力の挙手を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/117
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118・浅井亨
○委員長(浅井亨君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/118
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119・浅井亨
○委員長(浅井亨君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00619670530/119
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