1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月二十日(火曜日)
午前十一時五分開会
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委員の異動
六月二十日
辞任 補欠選任
田中 一君 亀田 得治君
大矢 正君 野々山一三君
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出席者は左のとおり。
委員長 浅井 亨君
理 事
後藤 義隆君
田村 賢作君
久保 等君
山田 徹一君
委 員
梶原 茂嘉君
木島 義夫君
久保 勘一君
斎藤 昇君
松野 孝一君
大森 創造君
亀田 得治君
山高しげり君
国務大臣
法 務 大 臣 田中伊三次君
国 務 大 臣 藤枝 泉介君
政府委員
警察庁警備局長 川島 広守君
法務省民事局長 新谷 正夫君
法務省訟務局長 青木 義人君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
警察庁警備局警
備課長 三井 脩君
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本日の会議に付した案件
○司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正
する法律案(内閣提出)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(東京地裁の決定に対する内閣総理大臣の異議
申し立てに関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/0
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001・浅井亨
○委員長(浅井亨君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
本日、田中一君及び大矢正君が委員を辞任され、その補欠として亀田得治君、野々山一三君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/1
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002・浅井亨
○委員長(浅井亨君) 次に、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案を議題とし、本案に対する質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/2
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003・久保等
○久保等君 司法書士法の第四条のところで、司法書士となる場合には「法務局又は地方法務局の長の選考によってする認可を受けなければならない。」、こういう規定になっておるわけなんですが、この選考というものは具体的にどういう方法でやられておるのか御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/3
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004・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 司法書士法の第四条にございます司法書士認可のための選考は、本来個別的に個々の人につきまして能力、人柄、そういったものを具体的に調査しあるいはテストいたしまして、司法書士となるのに適する人であるかどうかということを十分検討いたしまして、この認可をするかどうかということをきめるべきものでございます。ただ、最近司法書士の希望者が非常に多くなっておりまして、現在約三千人くらいの人が司法書士の認可の希望を年々出してこられるわけであります。これにつきまして各法務局長あるいは地方法務局長におきまして個別的にそのつど選考するということになりますと、非常にこれは手数もかかりますし、また各希望者にとりましても、不均衡を生ずるおそれもないではないということを危惧いたしまして、現在におきましては、一応各種の法律につきまして、司法書士となるに必要な関係の法律、あるいは手続上の実務の問題、こういったものを試験の形式にいたしまして、各法務局、地方法務局でアンバランスのないような試験を実施いたしまして、これに合格した人を一応能力のある者と認めまして選考をいたしているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/4
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005・久保等
○久保等君 調査士の場合には、これは法務省の中に何か試験委員みたいなものを任命して統一的に一元化してやっておられるからあまり問題ないと思うんですけれども、この司法書士の場合には、この第四条に規定されているように、一カ所で統一的にやるわけではもちろんなく、ある程度の基準は、いま局長の御答弁で、ある程度アンバランスの起こらないような配慮はしているようですけれども、しかし、現実には法務局ごとにあるいは地方法務局ごとにやられるとすれば、試験の問題はもちろん違う場合もありましょうしするから、どうしても一本でやるようなわけにはまいらないと思うんですが、ですから学科試験なんかもどういったような科目についてやるということになっているんですか、なっておればその科目を具体的に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/5
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006・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 司法書士認可に関しまして選考のために試験を実施いたしておりますが、その科目を申し上げますと、たとえば昨年の六月に実施いたしました選考試験でございますが、これによりますと、民法、刑法、商法、さらに不動産登記法、供託法、司法書士法、そういった科目のほかに、さらに手続上の問題もございますので、民事訴訟法とか、商業登記法、あるいは供託法、こういったものにつきましてそれぞれ問題を出しまして、さらにまた具体的な問題を提起いたしまして、それに基づいて申請書も作成してもらう、こういうふうな各種の問題を提出いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/6
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007・久保等
○久保等君 昨年の六月というのは、それはどこでやった試験ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/7
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008・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) これは各法務局、地方法務局におきまして実施いたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/8
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009・久保等
○久保等君 そうすると、試験問題の具体的な問題は、各一本で全国的に同一日時にやるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/9
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010・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 現在は、同一日時に同一の問題を各法務局に配りまして、これによって実施いたしております。昨年は六月十九日に全国一斉に実施いたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/10
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011・久保等
○久保等君 そういう形でやっておられれば、あまりアンバランスとかなんとかという問題は出ないと思うのですが、ただしかし、四条の法文からいきますと、たてまえとしては、何かきわめて自主的に各法務局あるいは地方法務局ごとに、しかも適当な時期にやればいいというふうに普通はこれ解釈されますね。そこで私は、そうするといろいろ不便なりあるいはアンバランスな問題が出てくるんじゃないかという感じがしたからお尋ねしたんですけれども、実際にやっておられることは、そうすると調査士法と、調査士の試験の場合と変わらないような一元的にやっておられるということになりますね。そうなると、法のたてまえが、法のほうがむしろ私はそういう点では不備ではないかというふうに感じているんです。しかも、ここに試験とはなっていないんで、特に筆記試験があるとは明確に——この条文から見ますと、選考だから、面接して適当に、まあ人柄がその場でわかるかわからないかは別にして、とにかく学力なり何なりをある程度テストするというぐあいに、あくまでも選考という現在の法文上のたてまえからすると、まあどちらがおかしいということになれば選考のほうがおかしいということになると思うんですけれども、法文のたてまえからいくと、だいぶ実態はかけ離れていますね。そのことについてどんなふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/11
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012・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 確かに、法律上は、各法務局長あるいは地方法務局長におきまして個別的に認可の申請をしたものにつきまして選考すべきたてまえになっておるわけでございます。しかし、最近、先ほど申し上げましたように、希望者が非常に多くなっておりますことと、また全国的にその選考の方法がまちまちでありますと、司法書士制度そのものにもこれが影響いたしまして、司法書士の素質の低下というふうなことも考えられるわけでございます。そういったことから、選考の一つの方法といたしましてこの試験の形式をかりておる。それも問題をできるだけ全国的に均一にいたしますほうがよろしいわけでありますので、問題を不均衡にしないためには、やはりその試験の期日を同一に、一斉に実施するということのほうがよろしいわけでありますので、先ほど申し上げたような実際の運用といたしましては、原則的に全国一斉に試験をやりまして、それによって選考をしておるということでございます。ただしかし、この法律のたてまえは、ただいま仰せのように、個別的に選考するということが法の精神であろうと思います。また、実際問題といたしまして、司法書士の場合におきましては、都会にもちろん希望者が多いわけでございまするが、やはり山間僻地におきましても司法書士の需要がございます。公共団体におきましても、あまり経済取引等の活発でない地域におきましても、ぜひ司法書士さんを置いてもらいたいというふうな要望が現に出ておるわけでございます。そういう場合に対処いたしますためには、この一斉試験だけではやはり必ずしもその需要に応じ切れないだろうということも考えられるわけでございます。そこで、法律のこの選考の趣旨から申しますなら、そういった特殊な場合には個別的にその選考もする必要があろうということで、そこはある程度弾力性を持たせまして選考をいたしております。この場合とても、やはり現在では、一応試験問題をつくりまして、先ほど申し上げましたようないろんな科目につきまして試験問題を作成いたしまして、そういう緊急の需要にこたえるだけの用意はいたしておるわけであります。数はあまりございませんけれども、どうしても年度の途中におきましてそういう必要性が出てくるという場合もございますので、そういう場合には個別的な選考の方法もとっておるというのがし実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/12
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013・久保等
○久保等君 なかなか試験問題も、先ほどの御説明にもありますように、科目も非常に多いんですね。それから、実際、受験者とそれから合格したという数を見ても、相当な競争率になっていますね。大体一割ぐらいしか合格しないというようなことが、いままでやった試験の結果からも出ているのですがね。そうなると、単なる選考という程度の問題じゃなくて、これは堂々たる筆記試験でもあるようですからね。そうだとすれば、現在の、現行法のようなあいまいな選考という程度じゃなくて、試験をやるんだと、それで試験に合格した人は初めて司法書士としての資格があるものと認定するというような形にきちっとして、さらにその資格のある者が登録をした場合には初めて業務が行なえるんだというように制度をきちっとしたほうが、現状にも合うし、それから受験をする立場からいえば、選考だといっておるものの実態はなかなか——非常に多い科目について相当勉強しなきゃならぬと、なかなか簡単にパスはしないということであって、むしろ制度そのものをきちっと制定したほうが、制度として確立をしたほうが、受験する立場からいっても非常に受験しやすい。受験科目そのものもだからきちっとしたものを公示して、この科目について試験をやるんだというような、もう少し権威のあるものにしたほうがお互いの便利じゃないか。それからまた、一般の国民の立場からいえば、一つの資格を持った司法書士が誕生してもらえば非常にけっこうであるし、受けるほうも、あいまいになっているがなかなか事実は試験はむずかしいのだというようなことになると、準備をするのについても不利不便じゃないかという感じがするのですね。そういう点で、現行法が現実からむしろ離れたような形になっているので、だから、資格というところには比較的ゆるやかな規定があり、それでその次へ、その資格ある人間が選考を受けて認可を受けるのだとなっているが、選考がどうしてなかなか単なる選考じゃなくて、いま御説明があったような形で相当なむずかしい試験だということになっておるようですね。それならば逆に、この試験にパスした人は資格のあるものとし、そうしてあと登録手続を経れば初めて業務が開始できるというふうにしたほうが、むしろ現実に合うのじゃないか。それから、片や調査士なんかと比べてみても、制度的にもほとんど同じような制度になる。どうもこの司法書士法というものの試験制度というものが確立されておらない。試験制度は表向きは何かないような形になっていますね。これはむしろ現実離れがしているのじゃないか。だから、実態に合わせる意味からも、試験制度を確立したらいいんじゃないかというふうに考えますが、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/13
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014・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 確かに、久保委員の仰せのような、調査士法がはっきりした試験制度をとっておりますのに対しまして、司法書士におきましては選考という形をとっている。受験する側からいたしましても、またこの制度の関係から申しましても、はっきりした試験という形に統一するほうがすっきりしたものになると、これはもう仰せのとおりだとわれわれも思っております。いずれはそのような方向に向くのではないかと思いますが、先ほど申し上げましたように、現在まだなかなか、この司法書士さんの浸透の状況と申しますか、地域的に非常に偏在しておるのが実情でございます。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、ある地方公共団体の理事者の方からも陳情を受けたわけでございます。町には司法書士さんが大ぜいおられるけれども、山間へ行くと、この仕事をやっていただく専門の方がおられないので、住民も非常に困惑しておる、何とかして早くこれを山間の地域にも置いてもらえるような方法はないものだろうかということが申し出られたわけなんです。現在のところ、そういった地域が、全国的に見ますと、かなりあるわけでございます。ことに、ダムの建設とか、道路の建設、こういったことが都会地以外の地域においてもかなり大幅に行なわれております。そういたしますと、登記事件等も勢いそういった地域においてもたくさん出ておるわけでありまして、司法書士の方の力をかりなければならないという事態が多くあるわけであります。これが司法書士さんの事務所がある程度全国的にまんべんなく各地に設けられるというふうな状況になりますれば、国民もさして不便を感じないだろうと思うのでございますが、現在のところ残念ながらまだそういう状況に至っておりません。そういたしますと、やはりそういった特殊な事業等が行なわれる場合、特に司法書士になりたいという希望者がありましても、一年の間の一定の期日の試験が来るまでそれを待っていていただきたいというわけにもまいらない場合があるわけでございます。こういった場合には、やはりこの選考という方法によって個別的に審査をいたしまして司法書士の認可をするかどうかということをきめる必要が現実にはまだまだあるわけでございます。それで、いま一挙に試験制度に踏み切ってしまうということについて、私ども若干ちゅうちょを感じておるわけであります。いま少しくこの司法書士制度というものが普及いたしまして、事務所がある程度各地に、全国津々浦々にまで設けられて、国民の不便がなくなるというふうな時期が参りますれば、確かに御説のように、一律試験制度にすることも一考に値するものであろうということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/14
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015・久保等
○久保等君 しかし、試験の現在の状況を見ても、合格者が受験者の約一割程度にしか及ばないという状況からすると、試験そのものは、そんな僻地のような場合には相当選考基準を下げて合格をさせるかということになると、なかなか簡単にそうもいかない。また、反面問題があるだろうと思うのです。だから、筆記試験を一律的にやる問題については、最低のレベルはある程度確保しなければならぬという意味で、一つの試験制度をつくり、それから第一次試験にパスした人間に対して、今度選考で——それこそほんとうの司法書士としての資格を与えるという第二次試験ともいうべきその選考のところでそういう地域的な問題を勘案して考慮していくという方法もあるだろうと思うのです。そうしないと、現在のような選考、選考とは言っているが、その実態はなかなかむずかしい試験制度になっておりますからね。いま局長は御答弁で、何かそういうところについては特殊な考慮を払いたいと言うが、しかし実際問題として、この試験制度とおよそかけ離れてしまった特別の選考方法で認定をして資格を与え認可をする、そういう方法で司法書士になることを認可するという形にはなっていないでしょう。統一的な基準から、よほどまた別個の事情を酌量した扱い方をしているというわけじゃないのでしょう。実施の時期を、たとえば一年に一ぺんやっているのを、また別個に二度なり三度なり、その地域地域の実情によって試験の回数を多くするとかというふうなことで、統一的な基準を大幅に下、げているという選考じゃないのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/15
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016・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 全国一斉に行なっております試験につきましては、本省におきまして問題を統一いたしまして、各地にこれを配りまして、試験を行なっておりますが、先ほど申し上げましたような特殊な場合におきましては、そういう方法をとることが実際問題として困難でございます。しかし、すでに法務局におきましても、過去数年にわたりましてこの試験を実施してまいりました経験もございます。ですから、どうしても緊急に選考をしなければならないという特殊な場合におきましては、従来の問題をも考慮に入れまして、レベルのあまり差異のないような問題をそのつど現地のほうでつくりましてその試験をやってもらっているというのが実情でございます。全く同じ問題を出すわけにはもちろんまいりません。現地でつくります問題でございますので、こちらで考えておりますものと全く同程度かという御質問に対しまして、そのとおりでありますというお答えはちょっといたしかねますけれども、大体従来の試験問題の程度の問題を各地でつくりましてやっておるというような実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/16
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017・久保等
○久保等君 それから、現在のたてまえとしては、自分がその事務所を設けようとするその地域を管轄する法務局で認可をしてもらわなければならないというたてまえになっていますね。そうだとすると、場所を変えて事務所を開設しようとすれば、そのつどそれを所管する地域の法務局に認可の申請をする。まあそうすれば、それに対して当然選考認可ということになるわけですね。だから、この法律のたてまえからいけば、何べんでも選考試験を受けなければならぬというようなたてまえになっておると思うのですね。しかも、いまも言ったような全国統一的な試験問題について同じ日時に試験を行なうとすれば、何も事務所を開設するたんびに選考認可を受けなければならない——まあ認可は受けなければならぬとしても、選考認可を受けなければならぬということは、これまた現状に少し合わないのじゃないか。そこら辺の点も考えて、やっぱり試験を全国統一的にやり、しかも、それに対しては資格をきちっと与えて、あとは登録を自分が事務所を開設しようとする法務局に届け出るというような制度にしたほうが、実際の運用上非常にやりやすいのじゃないかという気がするのですね。この法律のたてまえからいうと選考という形になっているのだから、自分が事務所を移転した場合には、移転した場所の法務局に届け出て、申請をして認可をしてもらわなければならぬ。その認可そのものは、認可と選考というものがくっついた形になっておりますね、現在のたてまえは。そこがむしろ現状に合わないような形になっているのじゃないか。したがって、試験は全国統一的にやられたらどうか。それからまた、選考というものは、ほんとうの筆記試験とは別の選考というものを第二次試験的な形でやっていったほうがいいんじゃないかという気がしますね。それから、法務局がかわるごとに選考認可を受ける手続そのものも、少し現状からすると不便であり、また現状に合わないのじゃないかというように思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/17
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018・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 確かに、現在の司法書士法の四条の規定によりますと、事務所を設けようとする地を管轄する法務局または地方法務局の長の選考認可をそのつど受けなければならないということになっておりますので、一度ある法務局におきまして試験に合格いたしました者も、他に事務所を設けようとする場合には、たてまえ上は他の法務局であらためて選考を受けて認可を新しく受けるということになるわけであります。しかし、先ほど申し上げましたごとく、司法書士の素質の向上、資質の充実をはかるという趣旨から、できるだけ能力のある人を司法書士にしたいという気持ちからこの一斉試験を実施いたしております。一斉試験でありますからには、どこで受けましてもその合格者は合格者と言わざるを得ないのであります。したがいまして、この試験に合格した者であります限りは、たとえば甲の法務局から乙の法務局に事務所を移転しようという場合におきましては、その法務局相互間で連絡をとりまして、その試験は実際問題としてはいたしておりません。ただ、その能力が十分試験によってテストされておるわけでございますから、新しく設けようとする地の法務局長が面接をいたしまして、事実上もう少し簡易な選考の方法によりましてこの移転を認めておるというのが実際の運用でございます。したがいまして、御心配になりますような点は、現在でも一斉試験をやっておりますことと並行いたしまして、法務局としても司法書士の方々の御不便のないような運用をやっておるつもりでございますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/18
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019・久保等
○久保等君 まあ運営上はそうならざるを得ないと思うのです。だから、その運営上そうならざるを得ないとすれば、その実態に合ったような法律制度にむしろきちっとしたほうがいいのではないか。一次試験の筆記試験のところは、これは最低の全国的に統一された資格を持つ。それから地域によってなかなか人が集まらない、実際司法書士がほしいのだけれどもなかなか来手がいないというようなところは、いま言ったような選者のところでその地方に合ったような扱い方をしてゆるやかにしていけば、都会では一次試験はパスしたが二次試験はなかなかむずかしいという人でも、そういう地域に行けば選考で比較的ゆるやかに認可をもらえるというようなことであれば、実情に即していくということになる。だから、運用の妙を発揮する上からも、選考というのはほんとうに一次試験にパスした人々の選考を各地域地域の実情に応じて選考をして認可を与えるというたてまえにして、そのことをきちっと法制的にも行なったほうがいいのではないかと思うのですがね。この条文だとどうも現実離れしたような条文になっているのですが、お話を聞くと、まことにそのとおりに運用されるであろうと思われるような運用がされているので、私も特別現在の運用をとやかく申し上げませんけれども、むしろ法律のたてまえがおかしいのではないかというふうに考えますね。まあこの条文を見ましても、ちょっとおかしいと思うのは、第二条のところが資格となっていますね。しかし、資格というのは、要するに受験資格があるという程度の資格で、ほんとうの司法書士になれる資格ではない。むしろその選考、認可——第四条の認可のところが、これは実は試験を受けなければ司法書士になれない、司法書士となるには試験を受けてパスしなければなれないということなのですから、むしろこの第四条のところが資格と言うべきであって、第四条で要するに試験を受けてパスした者が司法書士となることができるというならば、だからこの条文の認可のところが認可ではなくて実は試験であり、その試験にパスしなければ司法書士になれないということを第四条の認可のところで規定している。だから、ここらも条文のきめ方が私はおかしいと思うのです。だから第二条は資格ではなくして受験資格ですね。選考受験資格とでも言うべき資格であって、司法書士法にいう第二条第一号の「裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官又は検察事務官の一又は二以上に在ってその年数を通算して五年以上になる者」、それから第二号でもって「前号に掲げる者と同等以上の教養及び学力を有する者」、これがまあ資格を持っているということになっているのです。これは資格ではちっともない。書類によって今度は選考試験を受けなければならないということになるのです。これは受験資格みたいなことですわね、実際は。だから、そういった点ももう少しきちっと制度を現状に合ったように改正をする必要があると思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/19
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020・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) たしかに司法書士法の二条あるいは四条との関係は、いま仰せのとおりだと私どもも思っております。もう少し司法書士という制度が普及いたしまして、いまのような突発的な需要、そういったものが起きないような状態、あるいはある程度現状が緩和されたような状態になりますれば、そういう方向に持っていくことが司法書士制度の向上発展のためにもいいことであろうというふうに考えておるわけであります。行く行くは試験制度というものを確かに考える必要があるであろうということは考えているわけでありますけれども、現在の実態は、先ほど申し上げておりますように、地域的に非常な特殊な事情が起きる場合もございますために、一律にそれに踏み切ってしまうということは現段階においてはいかがであろうかということで、多少ちゅうちょを感じているわけであります。もう少しこの制度の発展の状況等をにらみ合わせまして、御趣旨のような方向で検討はいたしてまいりたいというふうにはかねがね考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/20
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021・久保等
○久保等君 ここ二、三年、地域の特殊事情に基づく試験を何回ぐらいどこでやっているか、具体的にそれでは御説明願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/21
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022・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) これは各法務局でそのつどそういう需要が出ましてやっておりますので、全国的に各地でどの程度やっているかということをいまその回数等を申し上げる資料は持ち合わせておりません。しかし、これもかなりの数があるように思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/22
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023・久保等
○久保等君 手元にもらっておるこの資料の中には、そういったものを含めてのこれは受験者数だとか合格者数になっているのですか、このわら半紙の印刷物は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/23
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024・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 差し上げました資料の中にございます受験者等の調べは、これは一斉試験による受験者、合格者の数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/24
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025・久保等
○久保等君 そういったものの資料をもらわなければならぬと思うのですが、これはあとでけっこうですから、全国的に一体それならば、法務局ごとに、地方法務局ごとにどういった試験を——まあ科目は筆記試験の場合には必ずある一定の科目についてはやらなければならぬということになっているのだとすればけっこうですが、そうでもない、ところによっては五科目でやり、あるところでは六科目でやってみたりというようなことがあるならば、そういった内容についても、それから日時ですとか、各法務局のやっているところのここ二、三年間のそういったものの具体的な状況を資料で出してもらえませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/25
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026・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) すぐまとめるということは困難かもしれませんけれども、一応調査いたしましてできるだけ資料として差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/26
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027・久保等
○久保等君 そういう問題もすぐ把握できなかったり、それから答弁願えないところにも、何か試験制度そのものが、非常にこの資料だけで見るとむずかしい試験のようでもあるし、どうも法務省自体があまりタッチしていないというか、ある程度はタッチしているかもしれませんが、こまかいところまではわからない。自主性といえば自主性にまかせているという面もあるわけですね。だからそこらが、試験制度そのものが確立していない、現在は法律上からいえば選考という程度ですから。だから、やはりもう少しきちっとした制度にする必要があるのじゃないかというふうに考えます。したがって、その状況について各地方法務局なら法務局ごとの状況をひとつ具体的な資料で後ほど提出をしてもらいたいと思います。本来ならば、法律案の審議中に出してもらって、それを見てからでなければ法案も通せないというところなんだけれども、私が少し勉強する意味で、後ほどでけっこうですからぜひ出してもらいたいと思うのですよ。いずれにしても、いまのような状況であればあるほど、私は試験制度というものを明確に内外に向かってきちっとしたものをやはり確立しておく必要があるのじゃないか。それで地域地域の特殊事情というものを勘案していこうとすれば、二次試験とも言うべき選考の中でその地域地域に合ったように選考していけばいいのであって、最低限度の筆記試験で求める基準というものは、年に一ぺんであろうと年に二へんであろうと、統一的に同一日時でやる、同一問題についてやるということにしたほうが、試験制度そのものを権威あらしめるゆえんじゃないかと思うのですね。したがって、局長の先ほど来の御答弁だと、現在そこまで一挙にいくと地域の特殊事情に基づく特殊性に応じ切れないという御答弁なんだけれども、しかしそれはそれで十分即応できると思うのです。いまのような条文にしておいたほうが現在に合うというならばいいけれども、現状がむしろこの法文とはだいぶかけ離れた実態になっている。私に言わせれば、実態は万やむを得ざる実態なんで、運用もこまかいことは別として大筋としてはけっこうだと思うのです。しかし、法律制度から見ると、法律制度がむしろ現状にマッチしていない、かけ離れている。したがって、もう少し常識的に改正をする必要があるのじゃないかというふうに、先ほど二条なり四条の問題を具体的にあげてお尋ねしたわけですから、まあそういった改正問題についてもひとつ今後検討していただくというふうにお願いしたいと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/27
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028・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 確かに、将来の問題といたしましてこの選考制度を試験制度に改めていくということは、われわれとしても検討いたさなければならない課題でございます。まあ現在の実情とのかね合いもありまして、しばらく現行のままでという気持ちでいっておるわけでありまして、早晩久保委員仰せのような試験制度に持っていこうということも具体的に取り上げて検討いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/28
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029・久保等
○久保等君 私がいま申し上げたようなことは、司法書士会のほうからの意見としては、従来別に何も出ていませんか。現行こういう制度の形になっておることに対して、特別意見は出ておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/29
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030・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 司法書士会連合会からの正式の意見としてはありませんけれども、一部の会からは、司法書士制度の充実という観点からもっとしっかりした国家試験制度にすべきじゃないかという意見も一部にあるわけでございます。これは法務局側の意見としても、そういう意見もないではございません。ただ、いろいろの現在の実情がこれにからんでまいりますと、いま一挙にそこまで行くことはどうかというので差控えておるというのが偽りのない実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/30
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031・久保等
○久保等君 ぼくは事新しく、特に司法書士そのものの資質をこの際思い切ってひとつ引き上げたらどうかということを申し上げているわけじゃないのです。むしろ現状そのものがこの法文から見るとかけ離れている。法文のほうが現状に合ってないということを申し上げているわけです。だから、司法書士そのものの資質を現在よりも思い切って充実する云々の問題は将来の問題として、さしあたって現状に合ったような形にこの試験制度そのものを書き改めたらどうかということを申し上げているわけです。まことにどうも、この条文から見ると、選考そのものはきわめて安直にやれるような選考の形になっておるのだけれども、実際はなかなかむずかしい、十人に一人しか受からないような筆記試験をやっているということを聞いて、現在の法文そのものを別に現状に合ったような形で法改正する必要があるんじゃないかというようなことを申し上げているわけですから、これはひとつぜひそういう立場で検討願いたいと思います。
私の質問は以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/31
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032・亀田得治
○亀田得治君 二、三点ちょっとお聞きしておきたいと思います。
今度の法改正のねらいですね、これはどこにあるのか。ただ現在ある司法書士会法人格を与えてて、そのほうが便利だ、そういうことが書いてあるわけですが、単にそれだけのことなのか、もう少し司法書士制度に対する基本的なことを考えておるのか、その辺をまず御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/32
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033・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) すでに御承知のように、現在の司法書士会、またその連合会は、団体ではございますけれども、法人格を持っておりません。法律的に申しますれば、これはもう私から申し上げるまでもないことでございますけれども、権利義務の主体になり得ないということが何としても会の運営上に非常な支障が生じておるということが前から言われてきたわけであります。これは、単に不動産を持ち、あるいは電話加入権を持ち、あるいは債務を負担するというふうな場合に、その法人としての責任においてそれがやれるというだけの違いではないかということになりますと、さしたる意味もないようにも思えるのでございますけれども、しかし、せっかくここまで司法書士会が会の充実あるいは制度の発展のためにその中心母体となって会員を指導してまいっております際に、ただ単なる団体であって責任者がだれであるかわからないというふうな形のままでこういった会の運営をやっていくことにつきまして、会員そのものからいろいろの批判の声も出てくる。そうなりますと、司法書士会として会員の指導育成に当たる責任を与えられておるとは申しますものの、何らの疑念もなく会としての活動ができるような形に持っていけるものならば、より一そうそれの本来の趣旨を発揮する上にも大いに役立つであろうということを前々から考えられてきたわけであります。そういったことのほかに、さらにこの司法書士の数がだんだん多くなってまいります。毎年三千人くらいの人が試験を受けまして、その一割の人が司法書士として新しく発足していくということになりまして、現在約一万二千人の会員を擁しておる次第であります。そうなってまいりますと、会といたしましても、会員の将来あるいは現在の私生活、そういったものも何とかして安心できるような仕組みに会として考えていかなければならぬということを考えついたわけであります。いわば一種の共済的な事業も会を中心にしてやっていきたいというふうなことをせっかく念願いたしておるわけであります。そういった考え方に立ちますならば、現在のような法人格のない単なる団体という形ではこれは責任のある仕事はできませんから、どうしても法人格を与えてすきっとした形にして会の本来の目的を遂行できるような形にしたいということでございます。単なる財産権の主体になるということは、法律の一つの問題点でございます。それ以上にさらに司法書士会あるいは土地家屋調査士会としては、将来の発展を期するためにどうしても法人格にしていただくことが必要ではないかと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/33
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034・亀田得治
○亀田得治君 司法書士会に入らなくても、この司法書士の営業はできるのですね。現行法上はそういうことでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/34
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035・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 現行法の司法書士法第十九条によりますと、「司法書士会に入会している司法書士でない者は、第一条に規定する業務を行ってはならない。」、こういうふうに規定されております。
同様の規定は土地家屋調査士法にもございまして、同じく土地家屋調査士法の十九条でございます。「調査士会に入会している調査士でない者は、第二条に規定する土地又は家屋に関する調査、測量又はこれらを必要とする申請手続をすることを業とすることができない。」、こういうことになっておりますので、それに入会することが司法書士としての活動をする要件ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/35
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036・亀田得治
○亀田得治君 これは現行法でそういうふうになっておるものであれば、いままでに当然こう法人格を与えていなきゃおかしいですね。私は、いままでそういう法人格じゃないというから、その点は弁護士などの場合と違っているのだ、こう思っていたのですが、十九条を見ると、司法書士をやろうとすれば必ず加入しなければならぬことになっておるわけです。それなら当然それは、加入の対象になる団体というものは責任者も明確できちんとしたものじゃなくちゃいかぬですね。なぜこんなことがいままで放置されたのか。今度法人格になると、それはいいことだ。しかし、そういうことなら、もっと一歩進めていま指摘したような点も整理してほしいと思って言ったのだが、そちらのほうが先に整理されているのはこれはおかしいじゃないですか。強制的に入れと言いながら、入る相手が実はずっと検討していくと責任があってないようなものだと、ちょっと解せぬわけですが、なぜ強制加入をきめるときにそういうことが同時にきめられなかったのか、法人格を与えることに非常に反対論でもあったのか、その辺の御説明どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/36
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037・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 司法書士会あるいは土地家屋調査士会は、いわゆる強制加入制度を採用いたしましたのは昭和三十一年の法律十九号による改正によってそのようになったわけであります。これに至るまでの間にも、会の発展、制度の発展のために、いろいろ会としても努力してまいったわけでありますが、どうしても強制加入制度にしなければ会の運営、制度の充実がうまくいかないというようなことから三十一年の法律改正が行なわれたように私どもは理解いたしておるわけでございます。
ただ、この当時、ただいま申し上げましたような相互扶助的な共済制度、あるいは財産権の取得、そういったところまでまだ具体的な問題として切実に考えていなかったのではあるまいかというふうに考えるわけでございます。この昭和三十一年の改正と申しますのは、これ実は政府提案で改正したのではございませんで、議長提案で改正された経緯がございます。亀田委員の仰せのように、これを強制加入制度にするのであれば、その時点において法人にすべきであったのではないかということも、確かに十分に理由のあることであろうと思うのでありますが、当時の実態といたしまして、とにかく強制加入として会長を十分に把握していく、また会員でなければ仕事ができないことにするということが、その当時における司法書士制度あるいは土地家屋調査士制度の実情として何よりもまず必要でなかったかということと思うのであります。現在のようにこれを法人にすることによって得る利益ということが現在ほど痛切に感ぜられていなかったのではあるまいかと、これは私の想像でございますけれども、そういうふうに理解せざるを得ないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/37
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038・亀田得治
○亀田得治君 財産ができたり、あるいはそういう財産的な関係の仕事がふえてきたので、そういうところから法人格というふうな問題に発展してきたようでありますが、これは私ははなはだ不可解だと思うのですね。法人格を与え、そうして強制加入制度をとるということは、それはなるほど財産の運営には便利かもしれぬが、司法書士の営業が公的に間違いのないようにお互いやっていこうということが基礎になっていると思いますね。そういう間違いのない営業という立場、公の立場、そういう立場がちゃんとあるものなら、そういう立場があってこそまた強制加入ということも意味が出てくる。だから、財産の問題が起こるまでぼんやりしているというのは、私は制度本来の趣旨というものをどうも軽く考え過ぎておる、こういうような感じを持つのですがね。したがって、今度の改正が行なわれた後においても、ただ財産のところだけに目をつけるというのではなしに、やはり司法書士という営業、これは何といっても弁護士などと同じように個人の権利義務に非常に関係の深い仕事でもあり、また司法行政上もこういう面がスムーズにいくということは非常にいいことなんでして、そういう面をやはり私はもっと高く考えてほしいと思うのですね、この法人格を与えるという根拠として。
そういう立場からもう一つお聞きしたいのは、たとえば懲戒制度すでね、これは役所によって懲戒される、こうなっておるわけですね。しかし、これは強制加入だということになれば、司法書士会から除名されれば営業ができないことになるわけですね、私はそういう、面をもう少し重く見るべきじゃないか。最初の出発点として、法務省のほうで監督して、そうして懲戒権を発動する、そういう経過などは一応理解はできますが、こういうふうに司法書士会そのものを一つの独立のものとして育てていくという立場が出てくるのであれば、懲戒制度についても何か検討の余地があるんじゃないか。司法書士会の会則自身にはもちろん取り上げてきめておると思いますが、しかし、それと司法書士法にきめておる懲戒規定との関連ですね、私はこっちのほうは簡単なのでいいと思うんですよ、法律のほうは。何か基本的なことをきめればいいので、あとは司法書士会というものが自主的に相当論議をして、お互いにもうよくしていくという体制をとるのが私はやはり筋だと思う。これはもう民主主義のやはり原則だと思うんですね。じゃお前会則なり現行法をどういうふうに改正しろというのかという、そういう具体案を私いま持ち合わせておるわけじゃありませんが、そういう角度からやはり検討すべきじゃないか。何事も経過がありますから、一挙に理想案をつくられても、あるいは現実にそぐわない。そういうことのために非常にルーズになって、あっちこっちでいろんな事犯が起きたということじゃ、これまた私の本意でもないわけですが、ともかくその点の検討をこの際法人格を与えたこの機会にやはりしてみるべきじゃないかと思っているんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/38
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039・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 確かに、仰せのごとく、この司法書士会あるいは土地家屋調査士会というものを法人にいたしました場合、その会の本来の目的でございます、司法書士なり土地家屋調査士の品位を保持し、あるいは業務改善をはかりますために会員の指導連絡を行ない、その会の事業そのものをより強固な基盤の上に立って行ない得るということになることは、申すまでもないと思います。
さらに、懲戒の問題につきましても、会として司法書士の品位の保持等を目的といたします以上、会自体としてもやはり常に会員の動向等について注意を払っていかなければならないわけであります。現に、各会におきまして綱紀委員会というふうな委員会を設けていまして、司法書士の品位等のことがございますればその委員会の議に付して、さらにそれを法務局に連絡いたしまして、懲戒権の発動を必要とする場合は懲戒するというふうなことを緊密な連絡のもとにやっておるわけでございます。これが法人格を与えられますならば、より一そう責任を持って、会といたしましてもそういう方向で、司法書士制度全般のために会の目的を達成できるような方向で一そう充実した活動ができることになろうと思うわけであります。この法律の十五条の四にもございます「司法書士は、その所属する司法書士会の会則を守らなければならない。」という規定がございます。これは司法書士法の十五条の四の規定に、そういう規定が出ております。この法律の規定をさらに受けまして、十二条では懲戒の規定がございまして、この法律に違反したときには懲戒処分を受けるということになっております。法律の規定ももちろん、会則の規定にも会員は違反することはできない。のみならず、会自体も、先ほど申し上げましたように、懲戒委員会等の活動によりまして、一そう内部の所属の会員の素質の向上、品位の保持というふうなことに心がけておるわけであります。法人格を与えられたことによりまして、一そうそういった責任を感じ、従来以上にそういった活動が活発に行なわれるということを十分期待できるだろうと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/39
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040・亀田得治
○亀田得治君 たとえば司法書士会の会則にしても、これは司法書士会自身が中身はやはりきめていかなければならぬことなんですね、守ることについても。現行制度では、そのことが法律にたよっているわけですね、その根本の権威を。全然離れてしまっていいという意味じゃありませんが、やっぱりその辺にちょっとぴったりせぬものがある。だから、そこら辺を含めて、やはりこの際前進的にひとつ検討を私はしてほしいと思うのです。そのかわり、司法書士会に責任を持たす、何か非常な不都合があれば。したがって、司法書士会の責任者に対して、法務省としてはきちっとした責任をとってもらう。その点はきびしくあっていいと思います。だけれども、一つ一つのことについては、やはり自主的な考え方をさせる。そのほうが能率的なんですからね。何かいろいろな不始末があると、現状ではずいぶん役所のほうでこまかいことまで調べたり、司法書士会の意見を聞いたり、いろいろやっていますがね。私はああいうことは本来は会自身が自発的に処理していくべきことであってと実は思っているようなことがよけいあるわけですが、これは研究してください。
最後に一つ、お触れになったようですから、今度は会館を持つと、財産上のそれが一番大きな原因だったようですが、そういうことがあるようですが、固定資産税は私はこういうものには免除すべきものだと思っておるのですが、現行法ではやはりかかることになりますか、固定資産税は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/40
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041・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 会がかりにこういう不動産を持つということになりますと、現行法上は固定資産税を課せられることになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/41
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042・亀田得治
○亀田得治君 地方税法の結局これは三百四十八条ですね、「固定資産税の非課税の範囲」というものがここに書いてあるのですがね。この中に商工会議所とかいろいろなものが書いてありますがね。こういう法律の運用では、税法のことですから私はできないかと思いますが、何か検討の余地があるように思いますがね。弁護士会などでも、これは問題になっているのじゃないですか。弁護士会館をつくる——まあいままでは国の所有地を借りて建てているのが多いようですが、その上に建てた弁護士会館は大体非課税になっているのじゃないのですかね。ところが、土地を持つと、土地を持ってそうして会館を建てるというふうな計画があるところもありますね。そういう土地については、どうも固定資産税をかけなければならないのだというふうな意見のようですが、私はこういうものは三百四十八条にいろいろ書いてあるものと比較したら、当然この免除を受けるべきものじゃないかと思うのですが、そのかわり、弁護士会館も、あるいは司法書士会館も、それなりのやはり公的な性格を持つような運用、そういうふうに心がけていく。現行法でどうしても間に合わなければ、やはり何か研究して、自治省あたりともやはり交渉してもらいたい問題だと思いますが、ちょいちょい陳情を受けておるが、ちょうど司法書士が会館を持つというから、同じ問題と思って聞いているわけですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/42
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043・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 先ほど申し上げましたように、司法書士会におきまして会館をかりに持つといたしますると、現在の法制上は固定資産税を課せられるということになるわけでございます。ほかの各種の法人団体との均衡、あるいは制度の類似性、そういったものを検討いたしまして、固定資産税を免除の方向へ持っていくべきであるということも、確かに検討に値する事項ではないかと思います。自治省のほうの所管でございますが、各種の法人との振り合いの問題もございますので、そちらのほうとも十分連絡をとりまして、今後の課題といたしまして研究させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/43
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044・亀田得治
○亀田得治君 弁護士会館の問題も含めて、ひとつ御検討願いたいと思います。法務大臣どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/44
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045・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) ごもっともなことであると考えております。法律を改正しないでやれる便法は何かなかろうかと、どうしてもないということであれば、これは均衡がとれないわけでございますから——現に免除となっておるものとの間に均衡がとれなくなるわけでございますから、こまかいことでも、次の機会には改正の道を講ずる以外にない、何か改正する道はなかろうか、この点をひとつ検討させてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/45
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046・浅井亨
○委員長(浅井亨君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/46
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047・浅井亨
○委員長(浅井亨君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/47
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048・浅井亨
○委員長(浅井亨君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/48
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049・浅井亨
○委員長(浅井亨君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/49
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050・浅井亨
○委員長(浅井亨君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
午後一時まで休憩いたします。
午後零時九分休憩
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午後一時二十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/50
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051・浅井亨
○委員長(浅井亨君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、東京地裁の決定に対する内閣総理大臣の異議申し立てに関する件の調査を行ないます。
御、質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/51
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052・亀田得治
○亀田得治君 私は例の国会周辺のデモの問題につきまして少しく質問いたしたいと思います。
まず、法務大臣の見解を明らかにしてほしいのですが、行政事件訴訟法の第二十七条の第六項で「内閣総理大臣は、やむをえない場合でなければ、第一項の異議を述べてはならず、また、異議を述べたときは、次の常会において国会にこれを報告しなければならない。」、こういう規定になっておるわけですね。この規定の意義をどういうふうに理解するのか。後段のほうですよ。前段のほうはこれまたおいおい質問いたしますが、やはり立法の趣旨からいって、国会開会中に総理大臣の異議ということが行なわれた場合には、当然その国会に対して総理大臣がきちんと報告をすべきものだ、これは国会開会中でないことを前提にして規定しておると理解しなきゃならぬと私は思う。その点はどういう理解のしかたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/52
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053・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 文字をそのままに無理をせぬように読みますと、次の国会と書かずに、「次の常会」と表現してありますね。そこで、臨時国会のような一定の目的を持った短期間の国会で出すことはよくないのだ、時間のゆっくりある会期の豊かにある通常国会で出せという趣旨で通常国会ということを特に文言にあらわしたものではなかろうか、こう思うのでございます。しかしながら、「次の」とはなっておるけれども、いま先生お説のとおりに、本来この法律をつくりましたたてまえは、国会閉会中ということを念頭に置いて、それを前提としてそういう明文をつくったものでございましょうから、国会が開会中であれば、言わずと知れたその開会中の当該国会に直ちに報告するということが法律の精神からいえば一番当たるのではなかろうか、こう考えるのでありますが、特に常会とうたってある点にかんがみて考えると、すでに会期も半ばを過ぎておる、会期の延長をしなければあと間もなく会期は終わる、こういう事情にあるものといたしますというと、会期が十分でない臨時国会でさえいけないというておるのでありますから、会期の不十分な、もうすぐ会期が終わりそうになったこの通常国会へ出すということは法律の精神上どうであろうか、こういう意見も一方で出てきそうな気がいたしますので、もう明文に書いてあるとおり、「次の常会」というのだから、次の常会に出すことにしたらばどうか、これならば文句を言う余地はなかろうというふうな解釈を現在のところしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/53
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054・亀田得治
○亀田得治君 しかし、何か間が抜けてしまいますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/54
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055・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) ええ、間が抜けますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/55
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056・亀田得治
○亀田得治君 私はこういう解釈はちょっとおかしいと思うのです。議論も全部済んでしまって、そして十二月か来年の一月には総理大臣があらためて本件について御報告申し上げます、これは私は法の精神でなかろうと思うのです。したがって、「次の」ということは、最も近い機会においてやれという意味にやっぱり理解すべきだと思うんですね。そうすれば、そのような総理大臣の異議という問題が起きた、すでに国会中であれば、数日後この報告をするということでなければ筋通らぬと思うんですよ。この点について、行政事件訴訟法が国会に提案されたときに、あるいは私もその点質問したかどうか記憶がないんですが、どういうふうになっているかちょっと明らかにしてほしいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/56
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057・青木義人
○政府委員(青木義人君) この行政事件訴訟法の立案にあたりましては、私も関与さしてもらった一人であります。この「次の常会」、こういうことについての解釈は、国会では特に御論議の対象にならなかったと思うわけでございます。立案の段階におきましては、こういうことを申し上げてはいかがかと思いますけれども、途中の段階では年一回国会に報告しなければならぬ、こういうような案になっていた。ところが、年一回というのもいかがなものであろうかというので、財政法に「次の常会」という先例もあったもので、「次の常会」と、こういうふうに規定したようないきさつだと記憶しておるわけでございます。解釈といたしましては、一応「次の常会」とこうありますので、国会閉会中に起こった案件はもちろんでありますが、開会中でもやはり次の常会と、こういう形の上ではそう言わざるを得ないのであります。他方いまお話がありましたような点もありまして、先般来いろいろ私どもも研究いたしておるわけでございます。ただいまのところでは、やはり「次の常会」とこうありますから、次の常会に、こういうことに解釈すべきであろう、こういうところでいまの段階では考えておるわけであります。特に現在この国会が特別会でありますので、通常会の性格も現在の国会にありませんので、いずれにしろ次の常会に報告と、こういうことになるんじゃなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/57
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058・亀田得治
○亀田得治君 こういう総理大臣の異議というようなことは、そんなにしばしばあるものでもないはずだし、こういう条文は改めぬといかぬのじゃないですかね。最も近い機会に国会に報告しなければならないというふうに私はしなければならぬ。そうすれば、臨時会も、それから開会中の国会も全部含むわけでして、そうしないと、当然そういう問題が起これば質問が出る、質問が出れば事実上報告が済んでしまうわけですね。それをまるでビールの気が抜けてしまったような報告を一年先になってしておるというのは、この制度の趣旨からいっておかしいと思います。ほかの財政関係のように、いろいろな数字をまとめて報告するとか、そういう問題じゃないんだから、やはり何といっても司法と行政との関係の政治問題ですからね、これは最も近い機会において国会に報告しなければならない。こういう問題が起こらなければぼくらも気がつかなかったのですが、何か先だって、佐藤総理が答弁をしながら、次の通常国会に報告するというような意味の答弁をしておるから、答弁しておって、次の国会にまた報告するというのは、きわめて矛盾したことです。政治は生きものなんですからね。こういうものは私は当然この機会に改めるべきだと思うのです。大臣、どうですか。研究の余地が私はずいぶんあると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/58
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059・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) ごもっともでございます。これは検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/59
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060・亀田得治
○亀田得治君 それじゃ、そういう立場でひとつ御検討を願います。この問題は、もうすでに両院の本会議あるいは関係委員会等で相当掘り下げた議論等もなされたようです。私も、非常に重大な問題であるので、多少違った角度からじっくりひとつ質問もしてみたい。いきなり本件の措置が適当であったかどうかという、そういうことじゃなしに、この制度本来の趣旨というふうなものもお互い明らかにして、その上でこれが適当かどうか、こうならぬと、やはりほんとうの批判に私はならぬと思うのです。また、今後の運用上の御参考にもしてもらえないと思うのです。そういうことから、多少迂遠なことになるかもしれませんが、最初に聞きたいのは、総理大臣の異議の制度ですね、これが行政事件訴訟特例法第十条ですね——旧法ですが、その十条を受け継いで現行法にも入ってきているわけですが、そもそもこの特例法十条に総理大臣の異議の制度が入ってきたこの経過ですね、理由ですね、これをひとつ明らかにしてほしいのです。これは質問するからというふうに申し上げておいたはずなんでして、お調べ願っておると思いますが、その点からひとつ振り返って明らかにしてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/60
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061・青木義人
○政府委員(青木義人君) 旧法である特例法十条がどういういきさつでかような制度の規定ができ上がりましたか、法務省のほうにはその当時の的確な資料が残っておりませんので、残念ながら私ども明確にいたすことができないわけであります。ただ、この規定が制定される前に平野国務大臣の公職追放の問題がありました。そういう案件がこの条文が置かれた一つの動機であったのじゃないかと、かような一般の文献も散見いたしておるようでありますが、その辺の的確ないきさつは私どもはっきりいたさないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/61
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062・亀田得治
○亀田得治君 この行政事件特例法ですね、旧法。これができたのは昭和二十三年の七月でありますが、その前に日本政府のほうで立案したものがあるはずですね。その案には総理大臣異議の制度というものはなかったはずです。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/62
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063・青木義人
○政府委員(青木義人君) いま申し上げましたように、私どものほうの手元にその当時の経過の資料がございませんので、的確に申し上げかねるのでありますが、さようなこと——いまおっしゃいましたような経過ではなかったかとも思われるわけですが、どうもはっきりいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/63
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064・亀田得治
○亀田得治君 私が言うような経過であったかとも思うというのですか、なかったかと、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/64
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065・青木義人
○政府委員(青木義人君) その辺がどうも的確に、私ども資料がありませんし、私自身もその当時この問題には全然タッチしておらなかったものですから、残念ながら明確にいたすことできないのであります。この行政事件訴訟法の現行法の立案の過程におきましても、その特例法当時の制定の経過の資料はないかといろいろさがしてみたわけでありますが、不幸にしてその辺の資料を入手することができなかったものでございますから、残念ながら明確にいたすことができない、かえって先生のほうがその当時の経過をわれわれ以上に御承知じゃないかと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/65
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066・亀田得治
○亀田得治君 そんなことないですよ。私らは皆さんの部門の人から聞いておるだけであって、昭和二十二年十月二十八日案、あるいは二十二年十一月十一日案、そういう案が出ておるわけですよ。日本の裁判官の人が中心になってつくられた案なんです。それには、こんな総理大臣異議制度なんというものはもちろんないわけなんです。そんな案が、私は一つも散逸して、ないというようなことは、おかしいと思うのですよ。これは現在の行政事件訴訟法の審議のときにも、私はそれを出してほしいという要求をしたのですが、あるとかないとか、不明確だとかというようなことを言うてお出しにならなかったわけです。だけれども、大体そういうようなことであったらしいという意味のことは言われるわけなんですけれどもね。まあないものをどうしても出せと言うわけにもいきませんけれども、これはやはり調べてほしいと思いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/66
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067・青木義人
○政府委員(青木義人君) 繰り返し申し上げますですが、現行法の制定の際にも、特例法時代の制定の資料はないかと思いまして、いろいろ手を回して、そのころタッチした人とも連絡をとってみて、いろいろ資料の収集に努力いたしてみたわけでありますが、不幸にして的確な資料を入手することができなかったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/67
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068・亀田得治
○亀田得治君 いま訟務局長からお答えになりました平野農林大臣のケースですね、これは裁判上はどういう経過をたどりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/68
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069・青木義人
○政府委員(青木義人君) 東京地方裁判所で仮処分によりましてその行為の効力を停止する、こういう決定をみたのであります。その結果、総司令部のほうから裁判所のほうにもいろいろ申し入れがあったようでございます。さような一つの当時大きな政治問題であったと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/69
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070・亀田得治
○亀田得治君 それは日付でいうといつですか、東京地裁のいま申された決定のあったのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/70
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071・青木義人
○政府委員(青木義人君) ちょっといま、決定の日付は、ここに資料を持ち合わせませんので明確にすることができません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/71
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072・亀田得治
○亀田得治君 私の調べでは、それは昭和二十三年の一月のことですね。まあきちんとした日までは私ちょっと覚えておりませんが、一月なんです。そうすると、結局二十二年の末にこの行政事件に関する日本の裁判官の皆さんがつくられた案ができた。ところが、その後、年が明けて二十三年に入って、GHQとの折衝に入ったわけですね。あのころはほとんど法案はそういうかっこうでしょう。その過程で出てきた、その過程で。そうして、GHQでこの総理大臣異議という制度を押し込まれて、それでこれが二十三年七月に成立したわけですよ。いきさつはそういうことなんです。これはもう間違いないんですよ。それは結局、米軍がそういう規定を主張したというのは、新憲法が前の年にすでにでき上がっているわけですね、発効しているわけです。で、これはなかなか世界的にもまれな、基本的人権を守る、そういう意味では非常に強い憲法ですね。で、軍のやることはどうしてもこれに抵触するものがやはり予想される。これはどういう場合でも、やっぱり占領軍がおればそういうことになるでしょう。その観点から出てきたんですよ、GHQのほうから。そこへもってきて、平野農林大臣追放と、その処分——まあ裏にはいろいろな動きがあるようだが、軍が指示したとか、いろいろあるでしょうが、ともかくそれに対して東京地裁がその執行を停止したと、仮処分で停止したと、こういうことから急速にこれがこの法案の中へほうり込まれてきたんですよ。だから、この経過を私はほんとうにしっかりつかんでおいてもらわぬといかぬと思うんですよ。これは法務大臣も、公安委員長も——田中さんは非常に博識な方ですから大体そういう経過は知っておられるんだろうと思うんですが、これは私は後ほどぼつぼつ御質問をすることに関連しますので、どういうことなんでしょうか。田中法務大臣はその経過は御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/72
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073・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) いや、私は博識ではないし、私ほどものを知らぬ男ないんですが、私はほんとうにこれを知らぬのです。平野事件は非常にやかましい事件でありまして、これは頭脳に残っておるんですが、この法律が前後どういう理由でことにこの二十七条があらわれたのかというようなことは、ほんとうに知らないんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/73
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074・亀田得治
○亀田得治君 藤枝さん、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/74
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075・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) 私は、まだ国会にも出ていないころでございまして、全然わかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/75
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076・亀田得治
○亀田得治君 それは国会にも出ておらなければやむを得ませんがね。この点だけはぜひ佐藤総理にもひとつお伝えしておいてほしいと思うんですよ。まあその経過で、じゃあこの間やったやつがどうとすぐそこへ結びつける——若干は結びつけるつもりですが、すぐそこへ直結する意味でもないけれどもね。やっぱり歴史は歴史、経過は経過として、十分最高責任者のほうで使われる権限ですから理解しておいてほしいと私は思います。法務大臣から、あるいは藤枝さんから、総理大臣に御説明、御進講いただくことを約束していただけますか。——いいでしょうな。
それから、行政事件訴訟法——現行法、これができるときに、裁判官、裁判所側からの批判が非常に強かったわけなんです。その模様は御存じでしょうか、これは両大臣からひとつ。これはもう藤枝さんも国会議員になっておられたと思いますから。事務的なことは局長のほうでけっこうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/76
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077・青木義人
○政府委員(青木義人君) 立案中に最高裁判所のほうから各裁判所に一応の意見を徴されたことがあるようでありますが、その際には、各裁判所多数のものが、この制度には賛成しかねると、かような回答が参ったと、こういうことを伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/77
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078・亀田得治
○亀田得治君 これは裁判所にとっても非常に重大問題ですから、特に地方の各地裁などの意見を徴された。異例のことです、政府のやる立法についてそういう意見を徴するというのは。で、一々回答があがってきているわけでして、その多数のという中身ですね、どんな数になっておるか、反対意見、賛成意見、それからまん中というふうに分けますと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/78
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079・青木義人
○政府委員(青木義人君) いまそれについての資料を持ってまいっておりませんので、数は的確なことを申し上げかねるのでございますが、いま申し上げましたように、過半数はこの制度に反対だと。それについての理由はいろいろ各種あったと思うんですが、理由は何ら記載なしに、ただ結論だけの点について回答を求められたらしいんです。さような意味合いにおきまして、その理由ははっきりいたしませんでしたようですが、数におきましては、全体の過半数の裁判所はこの制度に賛成できない、若干の裁判所はこの制度でけっこうだと、こういうような回答があったと、こういうふうにいま記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/79
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080・亀田得治
○亀田得治君 この制度でいいというのはほんのわずかでしょう、そういう回答をよこしたのは。それから、反対が過半数と言うけれども、賛成意見と非常に近づいておるといったような数じゃないわけでしてね。これに賛成の回答をよこしたのは幾つですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/80
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081・青木義人
○政府委員(青木義人君) いま数字は、ここに資料を持ってまいっておりませんので、的確に申し上げかねるのでございますが、その反対と賛成の意見の差はかなり大きく開いておったように記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/81
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082・亀田得治
○亀田得治君 じゃあ、まあ的確な数字はいずれまた調べてお答えいただくことにして、非常にすいておるのです、これは。十けたまでいかぬですよ。賛成意見というのはほんのわずかなんですよ、これは。だから、そういう状態で特例法ができ、そうしてまたこの現行法もできてきたわけでして、これは非常にこの占領下における異例な状態というものを引き継いだのですよ。だから、このことは当然運用上私は十分考えてもらわなければいかぬと思う。外国に一体こういう制度ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/82
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083・青木義人
○政府委員(青木義人君) この内閣総理大臣の異議、そういう制度そのものは、外国の立法例には見当たらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/83
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084・亀田得治
○亀田得治君 全くこれは異例なことなんです。それは、国会周辺なり裁判所の周辺のデモを規制するという立法は、これは御存じのようにあるわけですね、若干。だけれども、内閣総理大臣が司法裁判所の決定に異議を出してとめる、こんなことはここだけですよ。それは国会周辺のデモ規制法がほかにあるということとごっちゃにして、何かこうこんなものはあってもいいように誤解される向きも若干またあるやにもいろいろな議論聞いていて思うのですが、こんなことは全く異例のことなんですよ。だから、私はこういうことは廃止すべきだと思う。どこにもないのですから。いや外国にはなくても日本は日本である、もちろんその考え方はあります。しかし、もうともかく反対を押し切って、そうして出発点は軍の力で押し込められたものである。軍の政策としてそれを受け継いできておるというのは、しかしこういうものはめったに使われぬだろうというふうに言われるものだから、まあ現行法がつくられるときでも曲がりなりにも通っていっているわけですけれども、私はこんなものはさっぱり廃止すべきだと思うね。そのほうが裁判官のほうもより真剣に今度は考えるでしょう、真剣に。自分が決定しても、あと総理大臣がまた適当にやるというふうなものが一つあるということは、それは裁判官自身の意欲というものは減殺しますよ、何といっても。おれの決定がこれが最後だ、これは軽々しくやれない、十分検討しなければならぬ、当然そうあるべきなんですね。この点どうですか。これ非常に大きなまあ改正になりますけれどもね。しかし、アメリカにしても、イギリスにしても、どこだって文明国でこんなものはないですよ。ぼくらまあ盲腸みたいなものだというようなつもりで軽く考えていたところが、この盲腸が動き出すのだものね。これはじっとしておってくれれば何ともない。私はこれはやはり再検討してもらわなければいかぬと思うのですね。ほんとうにいかぬものならいかぬで、立法措置をやればいいでしょう。そういうことをやらないで、デモ規制法を出しなさいという意味で言っているのじゃないですよ。それ自身が問題がある。しかし、ほんとうに筋の通ったことであればそれは立法措置で考えるべきことなんで、こんな野蛮なものを残して、そうしてこれは司法の分野じゃない、本来行政の分野だからというような理屈をつけておやりになっているのですね。だからことばでそう言うだけであって、そんなことはやっぱりちょっと通らぬですよ。そう言わなければ説明にならぬものじゃから、現行法の説明のときでもそういう説明をずっとされてきておりますがね、それは無理ですよ。それは私権の侵害が行政機関によって行なわれる、その侵害を救うのは司法裁判所の新しい責務だ、こうなっているのですからね。権利の侵害があったかないか、基本的人権の侵害があったかないかという部分は、まさしくこれは司法の分野ですよ。それをことさらに行政事件だからといったような概念に解消してしまっているわけですね。それは説明のために無理な理屈をつけているということはわかるのですけれども、それじゃ、それほど自然なものなら、一つや二つ外国の例があっていいですよ。ないですよ、外国には。どういうふうに、こういう立法をいいものだと、合理的で今後これは続けていかなければならぬというふうなやっぱり考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/84
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085・青木義人
○政府委員(青木義人君) いまおっしゃいましたように、この総理大臣の異議の制度につきましては、他の外国にはまあ制度はこれと同じようなものはそれ自体はありませんですけれども、ただ、それぞれの国におきまして、裁判制度そのものなり、その訴訟の内容なり、あり方というものが、それぞれ異なっておるわけであります。かような行政と司法との間の関連の問題につきまして、諸外国はこのような制度そのものはありませんですけれども、それはやはり、その国々の訴訟全般の制度なり、あるいは裁判所の構成なり、その他の各般の問題等の関連において考えていかなければならぬのだと思っておるわけであります。現行法がやはり必要として総理大臣の異議がそのまま規定されましたのは、制定の際にいろいろだいへんな御論議があったことは承知いたしておりますが、その御論議の結果、現行法として二十七条が置かれておるわけであります。その二十七条の存在意義も、いまのような観点から、私どもも将来にわたって必要な制度であろうかと、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/85
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086・亀田得治
○亀田得治君 現行法を批判するだけの役人がおれば、これはなかなか見上げたものじゃと私は思うのだが、なかなかしにくいことでしょう。現に総理大臣もいまお使いになっておるものだから、問題になっておるものだから、その根拠規定を批判するというようなことは、これはよほど優秀な役人でなければ——青木さんもずいぶん優秀なほうでしょうけれども、なかなかできがたいことだという気持ちはわかります。だけれども、これはほんとうに研究してください。皆さんが考えておる政治的な目的なりそういうことは、こういうことがなくたって私はやる方法は幾らでもあると思うのです。それを間違った手段を使って、そうしておやりになるということは、これは私はいかぬと思うのです。これは研究課題として十分ひとつお考えを願いたいと思います。
特例法と行政事件訴訟法の違いですね、これはどういう点にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/86
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087・青木義人
○政府委員(青木義人君) 特例法時代の総理大臣の異議の規定は非常に簡単でありました。いろいろ疑義もありました。さような意味合いにおきまして、事柄を明確にすると、こういうような点と、さらにまた、この内閣総理大臣の異議は、司法権と行政権との交錯する場面の問題でありますから、特にその運用の慎重を期していただくと、こういうことで、やむを得ない場合だけでなければ出せない、また出せば国会に——次の常会に報告しなければならない、かような規定が新たに設けられまして、かような点が相違いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/87
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088・亀田得治
○亀田得治君 いま御指摘のとおりでしてね。特例法の総理大臣の異議の制度というのは、全くこれは乱暴な制度です。わしが気に食わぬと思ったらもうそれでしまい、こういうこれは言い方ですからね。まあ理由は明らかにしなければならぬことになっておるのだが、それは理由はもう適当につければいい。とにかくわしがいかぬと言ったら、それはもう裁判所の決定はいつでもひっくり返せるのだ——全くこれは乱暴な規定なんです。そんなものは占領政策なり占領下でなければ入り得ない規定なんですよ。むき出しにことばづかい自身がそうなっていますわね。今度行政事件訴訟法のほうは、そうじゃない。公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれ、そういうものを示してやらなければならぬ、あるいはやむを得ない場合でなければいかぬとかといったような制約的なものがついています。それは法律家から見れば、そんなものはあってもなくても当然だと言われるかもしれませんがね。これは特例法をつくったときの気持ちは、そうじゃないですよ。ともかく政策遂行に支障のあるものはとめる、そういう考え方が優先的に出ておるのですよ。何と言ったって、これは乱暴な規定です。多少の制約は現行法ではついておりますけれども、もとがそういうものなんですからね、それは直りようがないんです。だから、ぜひこういう角度でひとつ研究を私要望しておきます。
この特例法時代と現行法になってからの運用の実績ですね、これをひとつこの際明らかにしてほしいと思います。具体的にやってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/88
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089・青木義人
○政府委員(青木義人君) 特例法時代におきまして、二十四年から三十年にわたりまして、合計十八件につきまして、内閣総理大臣の異議が出されておるわけであります。三十一年以後今回のこの案件までは、ずっと総理大臣の異議が出された事例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/89
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090・亀田得治
○亀田得治君 二十四年から三十年まで十八件あったが、執行停止が裁判所で行なわれたけれども異議は出なかったという案件というものはどれくらいありますか。だから、この十八件というのは、全体の何件の中の十八件になるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/90
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091・青木義人
○政府委員(青木義人君) 二十四年から三十年ころにかけましての執行停止の件数は、ちょっと手元に資料持ってまいっておりませんので、明らかにすることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/91
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092・亀田得治
○亀田得治君 それじゃ、その点はおそらく調査がついていると思いますが、後刻調べて調査の結果を出してください。それからなお十八件の中身がわかるように、それから執行停止があり総理大臣の異議が出なかった案件の中身ですね、大体項目を書いてもらえばわかりますから、題目で大体想像いたしますから、わかるような資料にしてほしいと思います。よろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/92
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093・青木義人
○政府委員(青木義人君) 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/93
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094・亀田得治
○亀田得治君 それから、三十一年以後は総理大臣の異議の申し立てがなかった、そうすると本件が全くただ一つのケースということになるわけですが、一体その間において執行停止の裁判所の決定、どういう案件がどの程度出ておるのか、これも同時にひとつ調べてほしいと思います。よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/94
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095・青木義人
○政府委員(青木義人君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/95
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096・亀田得治
○亀田得治君 こういうわけでしてね、それは両大臣、これは全く異例中の異例のことをやっているのですよ。せんだって総理大臣が、私は初めて今回の措置で責任を果たしたような気がするというような答えを参議院の本会議で言っておられましたが、私はあれは甘い過ぎだと思うのです、ああいうことは。そんなことを言うなら、いままでほかのことで責任果たせなかったのかというくらいの言いがかりをつけたくなるくらいでね。何か非常にこのことに執念を持ってやっておられますけれども、そんなものじゃない。そういうことは、いま出された資料などをおいおい調べていきますと、私はよけいはっきりしてくると思うのです。本来ならば、もっとこういう問題については出してもいいのじゃないかという案件があるのじゃないかと思うのです。そういう場合でも、遠慮しているのだと思いますね、できるだけ。ところが、今回のような実害が何も予想されないような——実害か発生するかもしれぬ、そこは見方の違いですけれども、一般的にはそういうふうに考えられる、本件は。ところが、それよりももっと切迫しておるので、執行停止になる、それに対して総理大臣の異議のない件数が、比較してみれば私は相当出てくると思う。具体的な材料でやらなければいかぬから、これは資料を待ってひとつ論議したいと思います。
あとわずかの時間ですので、藤枝さん、政治資金規正法その他でお忙しいようで、なかなかこっちへ来れぬようですから、あなたに対してだけ若干きょうぜひ聞いておかなければならぬ点をひとつ確めておきたいと思います。
東京都の公安委員会がデモのコースを決定したわけですけれども、この決定は、実際はだれがおやりになっているのですか、決定経路をちょっと説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/96
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097・川島広守
○政府委員(川島広守君) お答えいたします。今回の東京護憲の申請にかかります集団示威運動でございますが、実際に杉並警察署に申請書が参りましたのが六月五日の午後四時でございます。これを受けまして、通常の場合でございますれば、御案内のような都内のいろいろな交通事情、あるいはまたその他、他の行事との見合い等もございますので、通常はそこで何らかの双方でいろいろいわゆる話し合いと申しましょうか、事情説明と申しましょうか、いろいろなことが行なわれるわけでございますが、今回の場合は全然そのようなことは必要ない、こういうふうに申請者側のほうから申されましたので、申請書を受け付けただけでございます。それを受け付けましてから、六月の八日、これは臨時の公安委員会でございますが、午前十一時から開かれました。そこで、ただいま亀田委員からお話しのような条件をつけまして、第三条第一項第六号によります路線変更——進路の変更という条件その他九つの条件をつけまして、許可処分が決定されたわけでございます。そのようにしまして、許可書が主催者——申請人のほうに交付されましたのは、翌六月九日の午前八時十四分に杉並警察署の課長を通じまして許可書が交付された、こういうふうな経緯に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/97
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098・亀田得治
○亀田得治君 その後の経過はどうなってますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/98
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099・川島広守
○政府委員(川島広守君) ただいま申しました許可書の交付に先立ちまして、これは地裁のほうから連絡を受けてわかったのでございますが、六月八日の夜に行政訴訟の提起と執行停止の申し立てが東京地裁で行なわれた、こういうような経緯があったようでございます。そこで、翌六月九日の午前十時半に東京地裁から電話連絡で、東京都公安委員会に対しまして、訴状の写しをいただき、さらにまたこの執行停止についての意見書を出すようにというふうに連絡がございました。そこで、九日は東京都公安委員会の通常の委員会が開かれる日でございましたので、午後零時半から東京都公安委員会が開かれました。ここで提出する意見書の内容等についての審議が行なわれ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/99
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100・亀田得治
○亀田得治君 八日ですか、九日ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/100
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101・川島広守
○政府委員(川島広守君) 九日でございます。九日の午後零時半から開かれました。これは定例の公安委員会でございますが、ここでいま申しました意見露の内容等についての審議が行なわれ、さらに訴訟代理人等が決定された運びでございます。実際に意見書を東京地裁民事第二部へ提出いたしましたのは同九日の午後四時でございますが、次いで同日の午後九時十五分に地裁民事第二部において執行停止の決定があったということが東京都公安委員会の訴訟代理人に送達がございました。以上のような経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/101
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102・亀田得治
○亀田得治君 九日の午後四時に東京都公安委員会より最初に意見書を出されたようですが、これはどういう意見書ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/102
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103・川島広守
○政府委員(川島広守君) 意見書の詳細を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/103
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104・亀田得治
○亀田得治君 詳細は資料でいただくことにして、中身、端的に言うて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/104
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105・川島広守
○政府委員(川島広守君) 端的に申し上げますと、趣旨におきましては、内閣総理大臣の異議申し立て陳述書とほぼ同一でございます。違います点は、ただいまちょっと触れました許可書を交付する前に相手方のほうから行政訴訟の提起を執行停止の申し立てがございましたので、その点は違法ではないかというふうな意見は入ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/105
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106・亀田得治
○亀田得治君 それは参考にちょっと資料として御提出願います。
そうすると、いまの説明からいきますと、九時十五分に停止の連絡があった。それまでは東京都公安委員会として全部処理していたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/106
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107・川島広守
○政府委員(川島広守君) お尋ねのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/107
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108・亀田得治
○亀田得治君 総理大臣の異議が裁判所に提出されたのは何時ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/108
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109・川島広守
○政府委員(川島広守君) 九日の午後十一時四十五分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/109
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110・亀田得治
○亀田得治君 たいへんプライバシーにわたるようなことになるかもしれませんが、法務大臣はそのころにどこにおられたんですか。差しつかえがあるようでしたら、明確におっしゃらぬでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/110
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111・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 差しつかえはないです。宿舎の寝台の上に寝ておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/111
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112・亀田得治
○亀田得治君 国家公安委員長はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/112
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113・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) 自宅におりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/113
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114・亀田得治
○亀田得治君 自宅におられた、あるいは寝台におられたとお答えになるんですが、総理大臣が一存でああいう権限発動はできぬわけですわね。国家公安委員長が東京都の公安委員会からの連絡を受け、法務大臣と相談をされ、そうして総理大臣のところへ行くんでしょう。そうすると、時間的にも私はこれは無理だと思うんですがね。まるでうのみにしておるような感じを受けるんですが、
一体藤枝さんは、九時十五分停止決定があるまで、これは東京都の公安委員会でずっと扱ってきた、こう言われるわけですが、それまではタッチしておられぬわけです。それでどうしてこれほど重要な問題の意思決定ができるのか、私はこの辺がちょっと納得がいかぬのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/114
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115・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) 九時十五分過ぎに警察庁のほうから東京地裁の執行停止の決定のあった報告を受けまして、直ちに警察庁に対しましてその執行停止の決定に対して総理大臣の異議の申し立てをすべきかどうか検討を命じたわけでございます。で、警察庁といたしましては、法務省と連絡の上、異議申し立てしかるべしという結論になりまして、そうして両大臣から総理大臣に連絡をいたしまして、その方向でやるような指示をいただきまして、手続をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/115
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116・亀田得治
○亀田得治君 私は、こういう問題は、担当大臣がやはり一切の書類を点検して、そうして自分の責任で決定するのでなければ、法の運用が間違うと思うんですよ。ただいまの御説明を聞きますと、結局警察庁に命じて法務省と折衝させた。警察庁ですから、相手は当然法務省の事務当局になるんでしょう。そこできまってきたと、それを了承したという意味のようですが、法務大臣はどういう経路でその二、三時間の間にこの問題にタッチされたことになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/116
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117・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 私も、この異議申し立ての書類のまとまりまする前の段階で、数回にわたって電話で警察庁との連絡のありました事項について報告を受けました。そうして、最終的に書類ができ上がったときは、警察と最終的な打ち合わせができたならば、それでは出そうという決定をする前に電話連絡をせよ、いま寝台で本を読んでおるからなということで、それで電話がかかってまいりました。申し立て書に陳述の理由と書いた場所がございます。これは一つ、二つと分けて、項目は二項目にわたっております。しかし、電話で読ましてみて感ずる内容的には三段に分かれておる。第一段は、警察庁がこういうことでこういうふうにしたということが書いてある。第二段は、集団示威運動なるものはこういう危険があるのだという一般論が書いてある。その一と二をあわせて一項と、こうやっておったようですけれども、第三段には、それゆえに今回のこの場合においては国会の審議のじゃまになる、よって公共の福祉の上に重大な影響があるものと認めるからこの申し立てに及ぶのだということが結論として第三段ができておる。それを電話で同じことを二度読ませました。この局長が読んだのであります。二度それを読ませまして、よかろうと、むずかしい複雑な法律であるけれども、それだけ頭をひねっておればよかろうということで、私は文書を二度読ませまして同意をいたしましたわけでございます。したがって、この申し立て書の全部について法務大臣の私に責任がある、こういうふうにただいまも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/117
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118・亀田得治
○亀田得治君 この辺が非常に大事なところでして、こういう世界にもまれに見る権限の発動ですから、本来ならば総理大臣みずから——まあそこまでは無理だとしても、担当大臣が私は責任を持った処理をしなきゃいかぬと思うのです。そういうことを言うまでに、両大臣は、電話だけじゃ、ともかくこれ不備でしょう。藤枝さんは裁判所の決定書は手に取ってごらんになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/118
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119・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) 最初には電話で正確に報告をさせました。後に受け取ったわけでございます。最初の電話の報告を十分読みまして、私の判断といたしましては、残念ながらこの地裁の執行停止の決定につきましては異論があるという結論を私自身もいたしておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/119
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120・亀田得治
○亀田得治君 その中身は次回にやりましょう、中身の批評は。最終的には決定書を受け取ったというのは翌日でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/120
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121・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) さようでございます。その当日は電話で読ましたものを私が控えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/121
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122・亀田得治
○亀田得治君 法務大臣は裁判所の決定書を現実に手に取って見たのはいつなんですか。やはり翌日でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/122
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123・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 私も翌日だったと思います一しかし、これも電話で二度も三度も読ませました。そして了解をしたわけでございます。それから、いま先生仰せのように、こういうものというものは、電話なんていうことでは何となく心もとないということなんです、電話でこういう大事なものを読むというのは。ところが、午後の十時、十一時、十二時と、一夜明けるとデモが済んでしまうのだと、裁判所では宿直が電気つけて待っているのだというような状況のごとくに説明を聞いた、それを持ってこい、持ってこなければオーケーしないということもどうも言いかねる。そこで、くどいけれども、何度も読ましてみるとよく内容というものはわかります。それで責任をとれますので、よしそれでよかろうということになりましたので、しかし文書の文字を手に取って読みましたのはやはり私も翌日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/123
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124・亀田得治
○亀田得治君 警察庁と先ほどから藤枝さんおっしゃるのは、ここにいらっしゃる川島さんのことですね。それから法務大臣の言われるのは青木さんのこと。それから、現行法作成の過程でも問題になったんですが、担当大臣が、総理大臣に直接持っていかないで、こういうものは必ず法務大臣と一緒に総理大臣の決定を求めると、このルールというものはちゃんと動かないであるわけでしょうね。まあ実例からいうと、これ一つらしいけどね。その点はどうなんですか。これは大事なことですから、確認しておかなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/124
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125・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) そういう経路は確立いたしておるわけであります。警察側といえば、まず国家公安委員長たる大臣が総理府の長たる総理大臣に上申をいたしまして、総理府の長官たる総理大臣と法務大臣とが内閣の長たる内閣総理大臣に上申をするという形になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/125
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126・亀田得治
○亀田得治君 それは政令か何かでちゃんと規約化されているんですか。何か確認事項というようなことでもあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/126
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127・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) これは二十五年——日付を覚えておりませんが、たしか二十五年に、妙な形でございますが、次官会議の決定という、それをいま藤枝大臣が仰せになったような方法で、意味的にいいますと——ことばまで記憶しておりませんが、当該担当大臣とそれに法務大臣が一枚加わりまして、両大臣が共同の責任で総理大臣を補佐する、そしてやらすことをやらすという決定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/127
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128・亀田得治
○亀田得治君 もう一つ手続的な面を確かめておきますが、総理大臣はそのころどこにおられたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/128
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129・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) 鎌倉で静養されておられたようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/129
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130・亀田得治
○亀田得治君 総理大臣に連絡されたのは何時ですか。その方法はどういう連絡の方法ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/130
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131・三井脩
○説明員(三井脩君) 当時の自分は、国家公安委員長に直ちに御報告申し上げるとともに、内閣官房副長官——官房長官代理でございます木村副長官、それから同時に石岡副長官に電話をし、木村副長官から総理に直ちに御報告をされた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/131
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132・亀田得治
○亀田得治君 その時間は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/132
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133・三井脩
○説明員(三井脩君) 九時十五分に受け取りまして、おそくとも九時半ごろであったというように記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/133
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134・亀田得治
○亀田得治君 内閣総理大臣は鎌倉におられて、そうしていつ返事が来たわけですか。返事が来なければ、書類出せぬでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/134
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135・三井脩
○説明員(三井脩君) 折り返し木村副長官から返事をいただいたように記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/135
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136・亀田得治
○亀田得治君 折り返しというと、十分か二十分ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/136
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137・三井脩
○説明員(三井脩君) 十分か二十分程度であったと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/137
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138・亀田得治
○亀田得治君 その木村副長官からの電話を聞かれたのはあなたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/138
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139・三井脩
○説明員(三井脩君) 私が直接承りました。私としては直接承りましたが、木村副長官は私以外の方にも御連絡なさったか、その辺は記憶しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/139
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140・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) 木村官房副長官から私にもその後直接連絡がございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/140
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141・亀田得治
○亀田得治君 総理大臣のところには本件に関して結局電話だけの連絡ですね、書類などは一つも行っておりませんね。いま先ほどからの経過ずっと判断すると当然そうなるのですが、そうなりますね。これは大臣からひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/141
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142・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) 書類そのものは総理大臣のお目にはかけておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/142
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143・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、私はまあこれで大体その経過が明らかになりましたが、非常に遺憾ですよ、これは。明日に切迫しておるから急いでやらなければならぬ、そういうことも政治をやる者の立場からは必要かもしらぬが、しかし、間違ってはならぬということも、これはたいへんなことなんですね。何も明日に、あなた、間に合わなきゃ、裁判所の決定によってデモが一回行なわれたというだけに終わるだけで、何ちゅうことはないのですよ。ところが、世界にもまれなるこういう権限を行使した、それが後世から批判を受けるような行使であったとすれば、これは取り返しがつかないことになる。私は、いまずっとお聞きしたようなかっこうで大事な権限が使われるということは、はなはだ問題があると思う。これはいずれ、そういう書類も見ないで大臣方がこの下僚の意見に従って処理され、最後の総理大臣までがわずかの時間で電話で判断されると、こういうやり方については、これはどうしても了承できない点がある、できない点が。それが明日に迫っているからということでは済まされないと私は思うのです。だから、次は藤枝さん来られないかもしれませんので、大体いままでこの制度の経過なり、今度の事件の一応の経過わかりましたので、次回は中身についての論議をひとつする場を理事会のほうで持たしてほしいし、それから、これは初めて、きょうのお答えでもわかるように、一回しか使われなかったケースなんですからね、非常に大事だと思うのです。私はぜひ、裁判所側の意見、最高裁の諸君どう見ているのか、そういうこと、それからまた、世間でも非常な論議が起きておるわけですが、公正な法律学者などの意見もこの法務委員会において聴取願って、あの政府がやったことを攻撃するというだけでなしに、十分ひとつ掘り下げた論議をこの法務委員会で私はお願いしておきまして、きょうは時間の都合もありますので、これは一応中止しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00919670620/143
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144・浅井亨
○委員長(浅井亨君) ほかに御発言もなければ、本件の質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
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