1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月十九日(金曜日)
午前十時二十分開議
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○議事日程 第九号
昭和四十二年五月十九日
午前十時開議
第一 国務大臣の報告に関する件(昭和四十二
年度地方財政計画について)
第二 地方交付税法の一部を改正する法律案及
び昭和四十二年度における地方財政の特別措
置に関する法律案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
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001・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/1
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002・河野謙三
○副議長(河野謙三君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、国務大臣の報告に関する件(昭和四十二年度地方財政計画について)、並びに、
日程第二、地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案(趣旨説明)
を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/2
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003・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
自治大臣の報告及び趣旨説明を求めます。藤枝自治大臣。
〔国務大臣藤枝泉介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/3
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004・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) 昭和四十二年度の地方財政計画の概要並びに地方交付税法の一部を改正する法律案、及び昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
昭和四十二年度の地方財政におきましては、給与関係経費等の義務的経費がかなり増加するほか、社会経済情勢の変化に即応して、地域の特性に応じ実施しなければならない事業費等の経費を増額する必要があります。
一方、最近の経済は順調な回復を示しており、地方税、地方交付税等の一般財源はかなりの増収を期待することができるのでありますが、昨年度の地方財政対策の決定の際の経緯等から、特別事業債の廃止等、事後処理を要するものもあり、さらに市町村における道路財源のように、財源確保の必要性の生じてきているものもあります。
このような情勢にかんがみ、本年度の地方財政につきましては、地方団体が財政の健全化を促進しつつ、地方行政水準の引き上げをはかり、地方財政の自主性を高めることができるよう、所要の措置を講ずることといたしたのであります。
まず、地方財政計画について御説明申し上げます。昭和四十二年度の地方財政計画策定の方針及びその特徴といたしましては、
第一に、地方独立財源の充実をはかりつつ、地方税負担の軽減合理化を推進するため、一、昭和四十一年度の第一種臨時地方特例交付金にかえ、たばこ消費税の税率を四・四%引き上げ、二、事業専従者控除及び事業主控除の引き上げにより、個人の事業税及び住民税の負担を軽減する等、地方税負担の合理化をはかることといたしました。
第二に、道路整備五カ年計画等の各種長期計画に基づく昭和四十二年度の事業の円滑な実施を確保するために、所要の措置を講ずることといたしました。
第三に、地方財政の現況を考慮して、昭和四十一年度に臨時に設けられた特別事業債を廃止するとともに、地方団体がその地域の特性に応じて実施する事業の財源を確保するため、単独事業債等の地方債を増額することといたしました。
第四に、昭和四十二年度に限り、臨時地方財政交付金百二十億円を交付することといたしました。このうち、九十五億円は特別事業債の償還財源等、昭和四十一年度の地方財政対策の事後処理的な趣旨をもって、また、二十五億円は市町村の道路財源に充てる趣旨をもって、それぞれ配分することといたしております。
第五に、地方行政水準の向上をはかるため、基準財政需要額の算定方法を改善するとともに、特に投資的経費にかかる基準財政需要額を充実することにより、地方交付税配分の合理化を推進することといたしました。
第六に、零細補助金の整理統合、超過負担の解消等、国庫補助負担金の合理化をはかるとともに、財政秩序の確立につとめることといたしました。
なお、第七に、地方公営企業の財政再建をさらに促進するとともに、その経営基盤を強化するため、必要な措置を講ずることといたしました。
以上の方針のもとに、昭和四十二年度地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は四兆七千七百十四億円となり、その前年度に対する増加は六千三百六十六億円、一五・四%となるのであります。
次に、地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
まず、地方交付税法の一部を改正する法律案の要旨でありますが、その一は、基準財政需要額の算定に用いる単位費用の改定であります。行政水準の引き上げ、給与改定の平年度化、生活保護基準の引き上げ、その他制度改正等による経費の増を基準財政需要額に算入し、また、特別事業債の廃止に伴う財源措置、道路事業費等公共事業の増加等に伴う財源の充実等をはかるため、関係費目の単位費用を改めることといたしております。
その二は、基準財政需要額の算定に用いる費目、測定単位、補正の方法等に関する改正であります。
「道路費」及び「橋りょう費」を統合して「道路橋りょう費」とし、また、「清掃費」及び「都市計画費」の一部をもって新たに「下水道費」を設けること等により、基準財政需要額算定の適正化及び簡素化をはかるとともに、新たに態容補正の一種として、投資的経費の必要度に応じて財政需要の算定を行なうための補正を設ける等、所要の改正を加えることといたしております。
次に、昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案の要旨でありますが、
総額百二十億円の臨時地方財政交付金のうち、九十五億円を第一種交付金とし、二十五億円を第二種交付金といたしております。そのうち、第一種交付金は、普通交付税と合わせて算定し、交付することといたしており、また、第二種交付金は、市町村道の整備に要する財源の充実をはかるため、市町村道の延長にあん分して、市町村及び特別区に対して交付することといたしております。
以上が、昭和四十二年度の地方財政計画の概要並びに地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案の趣旨であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/4
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005・河野謙三
○副議長(河野謙三君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。林虎雄君。
〔林虎雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/5
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006・林虎雄
○林虎雄君 ただいま提案されました昭和四十二年度地方財政計画外二法案に対しまして、私は、日本社会党を代表して、総理並びに関係大臣にその所信をお伺いいたしたいと存じます。
その前提として最初に総理にお伺いしたいことは、地方自治のあり方についてであります。地方自治については、憲法第九十二条以下の条章で明らかにされてはおりますが、このわかりきったことをあえてお尋ねすることは恐縮でございますが、実は不審にたえない点が一つあるからでございます。
そのことは、中央政治と地方自治との関係についてであります。近ごろ、まあ近ごろというよりは、かなり以前から、政府の閣僚あるいは与党たる自民党の幹部の中に、ややもすると地方公共団体を国の従属機関視するような印象を与える言動が、あまりにも多く見聞されるからであります。(拍手)特に地方選挙などに応援に出向かれた自民党幹部諸氏が、中央直結という、あいまいな、しかも何か利益誘導的な言動が乱発されて、自由な意思によって投票しようとする選挙民に心理的に錯覚を与え、公正であるべき選挙がゆがめられておりますことは、民主政治を確立するために重大な問題であると考えるのであります。(拍手)私も、かつて地方首長の選挙に立候補した経験がございますが、そのおりにも、当時のさる大臣が応援に見えられて、林が当選するようなことになれば地方交付税を減らすかのごとき演説をされ、特に、交付税のように法的に配分がきまっているものまで大臣が左右できるかのような、無責任な放言をされて、心ある選挙民のひんしゅくを買ったことが、いま思い出されるのであります。中央政党が地方選挙に関心を持ち、その与党を勝たせたいと願うことは、これは当然のことでもありましょう。ただ、私が申し上げたいことは、地方選挙等に応援の場合は、その与党を勝たせるためには、具体的な地方政策をもって選挙民に訴え、その選挙を相争うべきが本質ではないかと私は思うのであります。それを、あいまいな、抽象的な表現で選挙民に重大な錯覚を与えるがごとき言動は、厳につつしむべきものであり、基本的には民主主義の否定につながるものであると思うのであります。本年初頭に、全国知事会で発行されました府県政白書があります。この府県政白書がいみじくも同じことを指摘しておるのであります。すなわち、「中央に直結する県政の推進という標語は、保守系候補にとって有利なきめ手であると考えられているようであり、それはある程度事実でもあるが」、として、「しかしながら、そのこと自体、選挙民の中央への依頼心に訴えるものであり、かつ、わが国の行財政の運営における病弊を自認するものとしてきびしく批判さるべきである。」と、こういうふうに述べ、さらに、中央直結は、はたして有利であるかどうかという点について、「交付税の算定、各種補助金等の財政措置、道路、橋梁その他の公共事業費等について、その実態は特に有利という結論は出ていない。そして、選挙民に対するこのようなアピールは、地方自治の否定につながるものであるという見解はゆえなきことではない。」、このように全国知事会の白書は述べておるのであります。
そこで、賢明なる総理は、このことはすでにお認めになっているようでございますが、今後、政府与党は中央直結なる表現は一切タブーとすべきであるということを、この際、あらためて総理からの言明として承りたいと思うのでございます。
次にお尋ねしたいことは、地方財政の危機に対する対策についてであります。政府の昭和四十二年度地方財政計画は、四十一年度よりの本格的国債発行政策のもとで、公共投資の増大に伴う財政膨張と国税の減収の地方税収入へのしわ寄せによって、財政の構造的な危機を深めている実情に対し、何ら根本的な対策がとられておらないのであります。地方財政は、昭和三十六年度を境にして急激に悪化の一途をたどっておりますことは、御承知のとおりであります。とりわけ、都市の自治体では産業と人口の急激な集中により、農山漁村の自治体では人口流出に伴う構造変化により、いずれも不況に直面しているのであります。このような地方財政の悪化の中では、少し経済変動が起きれば財政は破綻を生ずるのであり、昭和四十年度の経済停滞による財源難がそのあらわれであります。しかるに、政府は昭和四十年度においては、地方債資金の増額、交付税の減額補てん、交付税の先食い等で急場をしのぎ、本格的な国債発行政策に移行した昭和四十一年度におきましても、千二百億円の特別票業債の発行等、一連の臨時措置によって、ようやく収支のつじつまを合わせたのであります。昭和四十二年度におきましては、一般財源の補てん策も臨時的応急的な措置にすぎず、地方自主財源の充実には手を触れず、地方税の自然増収の児積もり増や経費の節減により不足財源をまかなうべきであるとの態度をとり、補助金政策と関連させて帳づらを合わせているにすぎないのであります。地方財政計画の策定方針では、明確に「自主財源の強化等、財政の健全化を促進しつつその自主性を高める」としているのでありますが、今日の地方自治の危機を打開するには、小手先の応急策ではなく、抜本的対策の樹立が望まれるのであります。このため、国と地方との間の行政責任を明確にした事務の再配分と、地方の自主財源を充実し、地方間の格差是正と財政需要に応ずる財源を付与するための、抜本的な対策を樹立すべきであります。この際、中央への財源集中を排して、地方が独自の施策を行ない得るよう、どのような施策をとり、行政事務と財源の再配分をどのように進めつつあるか、その所信をお伺いいたしたいのであります。
この際、これと関連をいたしまして、市町村の道路財源についてお聞きしたいのであります。市町村の道路財源の充実は多年にわたる懸案であります。国は、主要幹線道路の整備にはきわめて熱心である反面、住民の生活道である市町村道の財源措置については、これまであまりにも冷淡でありました。都道府県と六大市を除く市町村には、ガソリン税等の目的財源は全く配分されない状態であります。その結果、市町村道はいまなお舗装率三・七%、改良率二・四%という、きわめて貧弱な状態のまま放置されております。しかるに、本年度は、臨時地方財政交付金の中でわずかに二十五億の、本年度限りの応急手当てがなされたにすぎないのであります。これでは、総理のいう人間尊重の社会開発とはほど遠いものがあるといわざるを得ません。
さらに、総額六兆六千億円の新道路五カ年計画の財源確保はどうするのか、計画のうち一兆一千億円を市町村の単独起債事業に上積みするものとすれば、市町村財政をさらに圧迫する重大な事態を引き起こすことは必至であると思います。この際、揮発油税の地方移譲と地方道路譲与税の標準税率の引き上げ、譲与基準に市町村道を加えるお考えがあるかどうか、お答えいただきたいのであります。
次にお尋ねいたしたいことは、補助金制度の合理化、特に超過負担の解消についてであります。昭和四十一年度における地方団体の超過負担は千四百四十三億円と推計され、そのうち三百三十一億円を解消したとしておりますが、千百十二億の超過負担が未解決のまま残されているのであります。政府の重点施策である公共投資の増大も、結局は地方負担を圧迫し、住宅、公害、交通対策も、地方団体に超過負担を押しつけることになると思うのであります。超過負担は明らかに地方財政法違反であり、これを解消することなくして、政府に自治体を指導する資格なしといわなければなりません。(拍手)しかるに、昭和四十二年度は昨年度を下回る二百六十六億の解消しか行なわず、全く政府の誠意を疑わしむるものがあります。公営住宅建設費、義務教育施設費などの投資的経費のほか、補助職員の単価の是正等きわめて不十分であり、今日なお一千億円をこえる超過負担が地方財政を圧迫しております。たとえば東京における第一種公営住宅の一戸当たり超過負担額は七十万円となり、住宅政策上重大な問題を投げかけておるのであります。二百六十六億円の解消策といっても、一年間の物価の上昇等を考慮すれば、負担はあまり減少していないのではないかと思われます。政府の施策に伴う公共事業等については、当然安定した財源を付与し、地方財源の食いつぶしを排除しなければなりません。政府は四十三年度以降計画的に解消をはかると言っておりますが、直ちにその解消をはかるべきものであります。いつまでに完全解消をはかる計画なのか、その具体策をお伺いいたしたいと存じます。
次に、人口、産業の都市集中に伴う過密、過疎対策についてであります。
まず、大都市及びその周辺への人口と産業の集中に対し、どのように対処されているか。いわゆる過密化問題は、単に人口、産業の集中化傾向だけでなく、それを受け入れる大都市の諸施設の不十分さとの関連で考えなければならないのであります。大都市の財政対策は、義務教育と下水道についての大都市差等補助負担の解消措置がわずかに行なわれたにとどまり、産業、人口の集中など、構造的変革に見合う対策はとられておりません。早急に対策をとらなければならないが、その施策をお伺いいたしたいのであります。
また反面、農山漁村及び離島の人口流出による過疎状態に対し、どのように対処するかは、に措置されなければならない深刻な問題であります。山村振興、離島振興、慢性不況地域開発対策等に、政府はどのように対処されているか、伺いたいのであります。特にこれらの地域開発については、地方自治体は真剣に取り組んでおりますが、これには地方財政に十分な自主財源を与えるとともに、政府の施策が必要とされるのであります。変動する社会経済情勢に対処し、地方交付税の配分方式、地方起債の長期的対策、地方への独立財源の移譲など、どのように対処されているか、その方針をお聞きいたしたいのであります。
また、都市問題と関連して、地方公営企業の基本問題は、ほとんど解決されておらないのであります。独立採算制のワクを緩和し、公営企業再建債の増額、起債ワクの拡大、償還年限の延長等、抜本的対策を講ずべきではないか。特に自主的起債能力の高い大都市には、地方債制度の自由化を進める考えはないかどうか、あわせてお伺いをいたしたいと存じます。
最後に、地方公務員のベースアップに伴う財源対策についてお伺いいたします。国家公務員に対する人事院勧告に伴い、その完全実施と、それに準ずる地方公務員の給与引き上げに対する財源対策をどのように進められておりますかが、重要な問題となっておりますが、とりわけ、本年度の一般財源の補てん策が、臨時的応急措置にすぎず、その結果、地方行政水準の切り下げや自治体職員の労働強化にしわ寄せされる可能性が強まっておりますときに、その財源は国が完全に措置すべきであると存じますが、この点について政府のお考えを承りたいと存じます。
以上、要点のみ質問いたしました。総理及び関係大臣の御答弁をお聞きいたしまして、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/6
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007・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
私に対するお尋ねは、地方自治に対する基本的な考え方についてでありますが、林君はみずからも仰せられたように、長野県の知事を三期もしておられますから、地方自治のエキスパートだと、かように私も思っております。したがいまして、この経験から、政府がどういう地方自治を考えているか、よく御承知のことだと思います。私はしばしば申し上げるのでありますが、地方自治こそは民主政治の基盤である、また国政進展のこれも基盤である。そういう意味で、政府は地方自治を尊重し、またこれの地方財政を強化いたしまして、この地方自治の確立強化に努力する、これは当然のことでございます。かような立場であらゆる努力をいたしておりますから、この点は十分御承知がいただけるものだと思います。
そこで、いろいろ具体的な問題でお尋ねがありました。いわゆる中央直結という問題について御批判を交えてのお尋ねであります。確かに過去の選挙等におきまして、私自身も批判を受けております。十分注意いたしておるのでありますが、この中央直結という意味は、いわゆる御承知のように、ただいまの行政が国並びに地方団体がそれぞれ機能を分担し合う、そうしてお互いに協力し合ってりっぱな行政をいたしておるのであります。いわばこの連絡を緊密にし、そうしてお互いに協力し合うと、こういうことを中央直結と、こういうことで表現しておると思います。したがいまして、いろいろの御批判はございますが、こういうことについて誤解のないように今後とも努力してまいることにいたします。また、林君自身が御承知のように、交付金の交付や、あるいは補助金の算定等において、政党的の利害で行動するようなことは絶対にございません。これは府県政白書で示しておるとおりでございます。(拍手)
〔国務大臣藤枝泉介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/7
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008・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) お話のように、四十二年度におきましては、地方税の伸び、地方交付税等の伸びから、やや好転したやに見える地方財政ではありまするけれども、決して根本的に好転したわけではございませんで、財政は相当苦しいものと私も判断をいたしております。四十二年度におきましては、たばこ消費税の税率の引き上げ、市町村の道路財源等を賦与いたしましたが、根本的には国と地方を通ずる行政事務の再配分並びにそれに伴う財源の再配分をいたしていかなければならないと存じまして、近く開かれまする地方制度調査会の御審議を待ちまして、この点を強力に進めてまいりたいと存じております。市町村の道路財源につきましては、ただいま申し上げましたように、わずか二十五億でございますが、本年組みましたが、新しい道路五カ年計画の詳細な策定にあたりまして、単独事業一兆一千億を含む地方の道路財源の確保についてつとめてまいりたいと存じます。
超過負担の関係につきましてはお示しのようなことでございますが、本年各省が共同いたしまして実態調査をいたし、昭和四十三年度の予算編成を目途にいたしまして、計画的な解消をはかりたいと存じております。特に、政府が全額負担すべきもの、地方公共団体が負担すべきでないものを負担しているというようなものを、まず最初に解消してまいりたいと思います。
過密過疎対策でございますが、先ほどの地方財政計画でも申し上げましたように、過密補正、過疎補正等を交付税制度におきましてもいたしまして、これに対応いたしておるわけでございますが、今後とも交付税制度の合理化、あるいは起債ワクの拡大等に努力をいたしてまいりたいと思います。
公営企業につきましては、たとえば水道の起債の利子を引き下げる等いろいろな方法を考えております。昨年の地方公営企業法の改正によりまして、企業体の負担と一般会計の負担区分を画定するなど、その育成につとめております。また赤字公営企業につきましては、再建整備の計画を出させまして、もっぱらそれの確立をはかっておるような次第でございます。
地方公務員の給与は国家公務員の給与に準ずるわけでございますから、国家公務員の給与の改善が行なわれた際には、それに準じて地方公務員の給与が改善されるよう、財源措置につきましても十分、国として考えてまいりたいと思います。(拍手)
〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/8
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009・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 地方公共団体の超過負担の問題につきましては、ただいま御指摘がありましたように、昨年度三百三十一億円の解消措置を講じまして、引き続き本年度は公共文教施設費、公営住宅建設費、国民健康保険事務費というようなものについては、補助単価を改正いたしまして、総額二百六十六億円の解消措置を講じました。二年間で約六百億円の措置を講じましたが、まだこれで超過負担は解消しておりませんが、問題は、実態がいままで明らかでなかったということでございますので、単独事業につきまして、これがどうなっておるか、この限界もはっきりしておりませんし、また、補助金の配分方法の不適正というようなこともございますので、その実態を今年中に、大蔵、自治及び関係省で調査をして、その上で、この徹底的な解決策を立てよう、こういうことになって、目下調査中でございます。
それから、道路計画に関連して、財源についてのお尋ねでございましたが、揮発油税を上げるとか云々ということでございましたが、まだこれはいまのところ、結論を得ておりません。こまかい内容をきめて、財源をきめる作業をいまやっておりますが、一般会計からどれくらい持って出るとか、それで足りない場合には、揮発油税の増額をはかるかどうかというようなことは、いま政府部内で検討中でございまして、結論を現在得ておらない状態でございます。(拍手)
〔国務大臣松平勇雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/9
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010・松平勇雄
○国務大臣(松平勇雄君) 行政事務再配分の問題につきましては、臨調が答申を出しましたその翌年、すなわち、四十年の九月に、地方制度調査会からも、臨調の意見を取り入れて、相当広範にわたって改善の意見が出されております。もともと、行政事務の配分処置をとるにあたりましては、ただいま林議員が仰せられましたとおり、これに対応する十分な財政措置を講じなければならないところでございまして、これにつきましては、目下地方制度調査会において審議中と聞いております。したがって、これらの結論を待って、自治省はもとより、関係各省とも十分連絡をし、臨調の答申の趣旨の実現をはかる所存でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/10
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011・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 原田立君。
〔原田立君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/11
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012・原田立
○原田立君 私は、公明党を代表して、昭和四十二年度の地方財政計画、並びに、地方交付税法の一部を改正する法律案、昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案について、政府の所信をお尋ねしたいと思います。
地方財政が健全だというためには、まず第一に、住民の福祉が確保されておらなくてはなりません。第二に、地方自治制度が中央集権支配から独立し、その財政的基礎が、自主財源の強化によって裏づけられていなければならないのであります。しかるに、政府には、このような住民の福祉と民主的財政基盤を強化していこうという姿勢が認められないのであります。
昭和四十二年度の地方財政計画によりますと、歳入総額四兆七千七百十四億円のうち、国から地方へ出す財源は、約二兆五千百億円となっており、歳入総額の半分以上になっております。このことは、実に地方財政が国から強い統制を受けているということであり、地方自主財源の喪失は、地方自治の破壊につながることであります。また、住民の福祉の面で言えば、東京では、夫婦に子供三人の標準世帯が生活していこうとするには、どんなに低く見積もっても月額四万五千円ぐらいは必要最低限であります。しかるに、住民税の所得割りは、四十二年度は三万五千円ぐらいのものから課税しているし、均等割りに至っては、極端な言い方をすれば、ほとんどの住民に課税されております。これは大衆課税であり、最も好ましからざる状態であります。
また、公営企業は膨大な累積赤字をかかえていますが、これは、政府がみずからの都市政策の貧困や国土開発政策の立ちおくれを顧みなかった結果であります。住民の利便を無視して料金の引き上げによる赤字の解消策を推進しようともしております。私は、地方財政収支の帳じりを合わせるには、これらの必要な政策、すなわち、減税や住民の福祉政策を確立した上で、足らざるところは税源配分等を通じて不足財源を充足することによってのみ行なわれなくてはならないと思うのであります。このような観点に立つと、政府の政策に、はなはだ不満足なものを感ずるのであります。
また、補助金行政が中央集権化の道を開き、地方自治の確立の上から見て望ましくないことは、かねてから識者の指摘するところであります。国庫支出金は年々増加し、政府関係機関において、税源の移譲等をはかって自主財源を強化すべしという意見が出ても、これは積極的に取り上げようという姿勢が見られないのであります。このようなことで、はたして地方財政が健全化しつつあると言えるでしょうか。私は、断じて、いなと言いたいのであります。
以上のような観点に立って、以下若干の質問をいたしたいと思います。
第一、国債発行下の地方財政についてであります。
昭和四十一年度は、経済の極度の不振ということから、国は公債発行に踏み切ったのでありますが、その結果、地方交付税制度を中心としてとられてきた一定のバランスがくずれ去った。当時、四十一年の地方財政対策について、「国も借金をするから地方も借金をしろ」式の、千二百億円にのぼる特別事業債の発行等の臨時的措置がとられたのであります。第十一次地方制度調査会の答申は、国から地方に配分される財源のめどを、国税及び国債収入の二三%とすることが適当である旨を述べておりますが、この答申の趣旨を四十二年度地方財政計画の中でどのように尊重したか、お伺いしたい。
第二に、財源再配分と国庫支出金についてであります。
国庫支出金の地方歳入に対する割合は約三〇%であり、また、その対前年度伸び率は年々一五%から二〇%となっております。現在の地方財政法は、以前と異なり、地方団体の事務に要する経費は、利害関係の帰属によらず、当該地方公共団体が負担するものとしております。この件で、地方制度調査会は、行政事務の再配分についてすでに答申を行ない、現在、その答申に伴う財源配分について検討しておるやに聞いておりますが、政府は、これらの事務配分、財源配分等につき積極的に取り組むつもりであるのかどうか、お伺いしたい。私があえてこのような質問をするのは、この種の問題について政府の態度は非常に消極的であり、せっかく答申がなされても、これを無視するのが常識のようになっていると思えるからであります。断じてそんなことはないようにいたしてもらいたい。
第三に、補助金の整理合理化についてであります。この問題は、毎年度政府予算編成方針に示される看板であります。四十二年度に整理された零細補助金はわずか五億円にすぎません。従来、補助金の獲得は地方団体にとって財源補強の手段であるかのごとく考えられておりましたが、昨年秋の全国知事会が「零細補助金の合理化の要望」を提言いたしております。基本的にいって、補助金は、むしろ財源問題としてよりも、地方自治の健全なる姿勢の問題として解決さるべき要素を持っていると見ても過言ではないのであります。このような認識から、補助金合理化の姿勢は強く打ち出されなければ、地方団体にとっての自主財源の増強も実現しにくいことであると考えますが、今後どうなさるのか、お伺いしたい。
第四、住民税についてであります。地方税法案はすでに衆議院の委員会で可決され、住民税については課税最低限度額を大幅に引き上げるよう、附帯決議がついたと聞きますが、来年度は住民税の大幅な減税を行なう意思がほんとうにあるのかどうか、お伺いしたい。なお、均等割りは廃止すべきだと思うが、あわせてお答え願いたいのであります。
第五に、地方公営企業についてであります。地下鉄、水道等については、借り入れ金の元利負担が公営企業経営を圧迫しておりますが、根本的な国の助成策を確立し、都市開発を推進すべきだと思います。安易な料金値上げによらざる確たる方向を示されたい。
以上、五点について質問いたします。明確なる回答あられんことを希望いたします。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/12
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013・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのお尋ね、特に御指名はございませんでしたが、この地方自治体の財政の問題、この点は私からお答えし、その他の点については藤枝君からお答えするようにいたしたいと思います。
御承知のように、この地方自治、これを健全に育成強化するためには、何といっても、その地方財政が充実し、これが強化されなければなりません。そういう意味で、いろいろくふうされてまいっておりますが、ことしの状態は、もうすでに原田君も御承知のように、地方税あるいは交付税等の自然増収がよほどあります。また、たばこ消費税の税率も引き上げ、あるいは臨時地方財政交付金等がございますので、私はたいへん本年はいわゆる健全化の方向に向かっておるのじゃないかと、かように喜んでおりますが、しかしながら、なお、国におきまして公債を発行したと、そのために、地方としては、これに見返るようなものは出てこないじゃないか、こういうので、たいへん困っておられると、かようにも伺っております。で、この公債発行下における地方財政、こういう点については、ただいま地方制度調査会におきまして、その問題点をそれぞれ指摘しておるような状況でございます。これがさらに明確になりまして、政府は、その線に沿ってこういう問題を解決していく、かようにいたしたいと思います。また、これは公債発行ばかりではございません。地方の行財政の分配が適正でなければなりませんから、そういう点が全般的に地方制度調査会において審議されております。いずれ、そういうことで、地方に対する行政の分配、同時に、その裏づけの財政の分配と、こういうことを十分検討してまいる考えでございます。
また、具体的の問題として、住民税を軽減しろと、こういうお話でございます。ただいまこれは、私ども政府としては、前向きの方向でこの問題を検討したい、かように思っております。
ただ、お話になりました個人の均等割りの問題でありますが、これは、ただいまのところ、私ども、廃止する考えはございませんので、これまた委員会等におきまして十分説明をお聞き取りいただきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣藤枝泉介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/13
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014・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) 国債発行という状態におきまして、国と地方との財源配分のバランスがくずれたことは、御指摘のとおりでございます。そういう観点から、地方制度調査会では、税と国債との合計額の二三%程度をめどにという答申をされたわけでございます。しかし、四十二年度におきましては、地方税及び地方交付税の伸びが相当大幅でございます。あの答申にもある、特別な事由ということも言えるかと思います。ただ、あの答申の目ざしておる一つの問題は、国が使うだけ使って、お余りを地方に渡すというようなことでなくて、初めからある種のめどを立てて、地方に財源を配分すべきであるという趣旨だと存じまして、今後もそのような方向で地方財政を見てまいりたいと存じております。
行政事務の再配分並びにそれに伴う財源の再配分につきましては、先ほども申し上げましたように、地方制度調査会の御審議を待ちつつ、これを強力に進めてまいりたいと存じます。そうして、その方向は、やはり国の国庫支出金を減らして、それを地方の自主財源に回すという方向であろうかと存じております。
住民税につきましては、昨日の衆議院地方行政委員会におきまして附帯決議が決議されまして、その線に沿って努力をいたしたいと存じます。
公営企業につきましては、昨年の地方公営企業法改正によりまして、企業と一般会計との財源負担区分を確立する等の処置を講じました。また、都市の地下鉄等については、国が助成をするという方向で本年は予算が組まれておるのでございます。今後も公営企業の健全化のために努力をしてまいりたいと存じます。(拍手)
〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/14
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015・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) お答えがございまして、私への質問は、住民税の課税最低限の引き上げをほんとうにやるかどうかという質問だけが残されたようでございますが、これは、いまどうしてもやりたいという方向で検討しておりますので、一度にやるというわけにはまいりませんが、国の所得税の課税最低限が徐々に上がっていく、これに対応して、やはり住民税の課税最低限は引き上げらるべきものだということで、いま作業をやっておる最中でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/15
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016・河野謙三
○副議長(河野謙三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X00919670519/16
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