1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月二十二日(月曜日)
午前十時十八分開議
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○議事日程 第十号
昭和四十二年五月二十二日
午前十時開議
第一 所得税法の一部を改正する法律案、法人
税法の一部を改正する法律案、相続税法の一
部を改正する法律案及び租税特別措置法の一
部を改正する法律案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
議事、日程のとおり
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001・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01019670522/1
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002・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(趣旨説明)。
四案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。水田大蔵大臣。
〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01019670522/2
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003・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、及び、租税特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
政府は、さきに経済の安定的成長に即応する税制のあり方とその具体化の方策につきまして、税制調査会に諮問いたしたところでありますが、本年二月に同調査会から、当面改正を必要とする事項について、「昭和四十二年度の税制改正に関する答申」が提出されました。政府といたしましては、当面の経済情勢と、これに対応する昭和四十二年度財政金融政策の基本的なあり方と関連し、この答申を中心として、昭和四十二年度の税制改正につきまして、鋭意検討を行なってまいったのであります。その結果、最近における国民負担の状況及び経済情勢の推移を勘案し、国民生活の安定と企業の体質の強化等をはかることを目的として、所得税の減税を中心とし、これに加えて、相続税の減税、企業減税、印紙税・登録税の全面改正、税制の簡素化、その他、当面要請される諸施策に対応する税制改正を行なうことといたしたのであります。
以上の考え方に基づく今回の税制改正による減税額は、国税で平年度一千五百五十億円余にのぼるのであります。各税につきましての所要の法律改正案は、逐次御審議を願うわけでありますが、今回は、そのうち、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、及び、租税特別措置法の一部を改正する法律案を提出いたした次第であります。
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まず、所租税法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
この改正案におきましては、さきに申し述べました考え方に従い、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかることをその要点としております。このため、基礎控除、配偶者控除、扶養控除及び給与所得控除の引き上げを行なうこととしており、これによりまして、夫婦と子供三人の給与所得者の課税最低限は年収七十四万円程度まで約十万円引き上げられることになります。また、退職者の老後の生活の安定に資するため、退職所得の課税最低限を大幅に引き上げることといたしております。さらに、中小企業の体質強化に資する見地から、個人の青色申告者の事業専従者につき、昭和四十三年からいわゆる完全給与制の実現をはかることとしております。また、障害者控除等の税額控除を所得控除に改め、少額貯蓄非課税制度の適用要件の緩和をはかるほか、所要の規定の整備を行なうことといたしております。
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次に、法人税法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
この改正案におきましては、法人の清算所得に対する法人税課税の仕組みを改め、法人の解散、合併の場合には、清算に伴って生ずる法人所得についてのみ法人税を課税することとし、清算分配金は、これを受け取る株金の段階において配当所得として課税することに改めるほか、税制の簡素合理化をはかる見地から、所要の規定の整備を行なうことといたしております。
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次に、相続税法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
この改正案におきましては、昨年度の改正に引き続いて、被相続人の配偶者に対する相続税の負担を軽減することがその要点でありますが、そのため、現行の配偶者の相続税の半額課税の制度を全額免税の制度とすることといたしております。また、生命保険金及び死亡退職金につきまして、相続人の総体ではそれぞれ百万円または五十万円に相続人数を乗じた金額まで非課税となるよう、その限度額を改めることとしております。その他、相続税の納付税額の計算の簡素化をはかることとしております。
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最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
この改正案は、最近の経済情勢と当面の政策上の要請にこたえて、税制上の特別措置について、新設あるいは整理合理化、適用期限の延長等を行なうものであります。
まず、特別措置を新設したもののうち、主要なものについて申し上げます。初めに、企業の体質改善を促進するための措置として、資本の自由化に即応して、国内技術の開発の緊要性に顧み、試験研究費が増加した場合の税額控除制度を新設するほか、紡績業・織布業の構造改善対策及び石炭鉱業の再建整備対策の一環として、それぞれ所要の措置を講ずることとしております。次に、中小企業の体質強化という面におきましては、右の措置に加えて、中小企業の協業化の促進、中小漁業の振興、肉用牛の緊急増産等の要請にこたえて、新たに特別の措置を講ずることとしております。また、輸出の振興につきまして、手続の簡素化による利用の促進等、制度の充実をはかる一方、社会開発の促進をはかるため、公害防止施設、都市交通緩和のため私鉄の都心乗り入れ施設等について特別償却制度を新設する等の措置を講ずることとし、土地対策及び住宅対策の関係におきましては、収用等の場合の譲渡所得課税について一千二百万円の特別控除を行なうこととするほか、住宅貯蓄控除の創設等の措置を講ずることとしております。
さらに、日本万国博覧会に出展する企業についての出展準備金、特定の森林施業計画に基づく山林の伐採等についての森林計画特別控除または計画造林準備金を新設する等の措置を講ずることとしております。このほか、税制においても、金融政策と並んで景気調整措置の採用が必要とされる状況に顧み、景気過熱の期間においては、一定の基準により法人税の延納利子税率の引き上げや合理化機械の特別償却の停止繰り越しを行ない得ることとしております。
次に、特別措置の整理合理化、適用期限の延長等について申し上げます。
まず、利子所得及び配当所得に対する課税の特例につきましては、貯蓄へ及ぼす影響等を考慮しつつ漸進的な措置を講ずることとし、特例税率をそれぞれ五%引き上げて、その適用期限を三年間延長することとし、また、この改正と関連して、新たに割引債券の償還差益について発行町に五%の税率による所得税の源泉徴収を行なうこととしております。また、交際費の節減をさらに速めるために、交際費の損金不算入制度につきまして、交際費が前年同期より増加した場合には、一定部分につき課税を強化する一方、減少した場合には、減少相当額を否認対象額から控除するという合理化を加えた上、その適用期限を二年間延長することとしておれます。さらに、適用期限の到来するその他の特別措置については、新規の措置に吸収することにより、あるいはまた、航空機の国内乗客に対する通行税の軽減措置等、他の政策上の必要等に基づき廃止するものを除いて、実情に応じ簡素化ないしは合理的改定を加えた上、あるいは現行制度のまま、その適用期限を延長することとしております。なお、以上のほか、利益処分による特別償却及び準備金の設定等、所要の規定の整備合理化を行なうこととしております。
以上、四法律案の趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01019670522/3
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004・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。戸田菊雄君。
〔戸田菊雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01019670522/4
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005・戸田菊雄
○戸田菊雄君 私は、日本社会党を代表して、所租税法、法人税法、相続税法の三法、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の政府の趣旨説明に対し、質問を行なうものであります。
初めに、現在の税制に対する基本的問題について若干質問をいたしたいと存じます。昭和二十五年のシャウプ勧告以来、歴代の自民党政府は、繰り返し大幅減税を宣伝してまいりましたが、実際の事実は全く逆になっております。国税と地方税を合計した税金総額は、昭和二十五年から四十二年までの十七年間に、何と七倍に近い状況にふくれ上がっております。税金の代表的なものとして所得税について見ましても、シャウプ税制以後、その体系は徹底的に国民大衆収奪の方向に切りかえられ、その結果は、かつて日本の軍国主義のきわめて野蛮な弾圧政治下にあったところの昭和十年においてさえ、所得税納税者の数は六十八万人にすぎなかったものが、昭和三十年にはこれが一躍一千百が人にはね上がり、さらに四十二年の見込みでは一千七百八十三万人となっているのであります。これは実に人口約五人に一人という割合で所得税をとられているという驚くべき数字であります。その反面、独占資本に対しては特別措置を講じ、昭和三十年以降四十一年までに、実に一兆六千億という膨大な減税措置をとっていると、政府は大蔵省の資料でも明らかにしているのであります。
この一例をもってしても現在の租税構造の特徴は、所得税構造では、勤労所得重課税、資産所得優遇のシステムを強め、法人課税においては、中小企業軽視、大企業優遇のシステムをますます強化しているところにあるといわなくてはなりません。しかも、税制改正のたびごとに、税執行の面においては弱い者いじめの様相が顕著になりつつあります。したがって、昭和四十二年度の税制改正の重点は、当然、物価高の中で生活難に悩む国民勤労大衆の税負担をいかに軽減するか、資産及び所得の格差が拡大している中で、税負担の不公平をいかに解消するかに最重点を置かなければならないものと思うのでありますが、佐藤総理の基本的な考えをお聞かせ願いたいと思います。
さらに、この際、地方財源に対する政府の明らかな所信をお伺いしておきたいと思います。公債発行による地方公共事業の拡大等に伴い、地方財政規模が増大され、地方自治体の負担が従前にも増して増加される傾向にあることは、政府はすでに御承知のことと存じます。そこで、一つは、地方制度調査会答申の、所得、酒、法人各税プラス公債の二三%交付を実行する考えはあるのかどうかであります。いま一つは、これと関係して、勤労者の関心事であります地方税についてであります。住民税は低所得者層にも市税を押しつけ、所得税と地方税の諸控除格差は拡大し続けているのが現状であります。現行法では、給与所得課税最低限は標準家族で六十三万円であり、住民税は約四十二万円、その差、約二十万円であります。四十二年度の改正が行なわれると、さらにこの差は約六万円も拡大することになるわけであります。地方税の課税最低限をこのように低い水準に押えているのは、公債発行政策のもとで国の財政を地方財政に肩がわりさせているためであり、一方で国税である所得税の減税を云々しながら、他方では、応益負担の原則をたてに大衆負担の増大へとしわ寄せをしている政府の基本姿勢そのものによる、と言っても差しつかえないのであります。
法人の住民税は、国税の法人課税額が基準となっており、租税特別措置等による減税や法人税減税が直接的に住民税にまで及ぶシステムになっているのでありますが、勤労者に関係する個人住民税は、国税と遮断され、国税の減税効果は及びにくいシステムになっているのであります。国税にせよ、地方税にせよ、納入者のさいふは同じなのであります。この不公平と格差を是正し、住民税の課税最低額をわが党の主張する七十万円に早期に引き上げるべきではないかと思うのであるが、政府関係者の御所見を明らかにしていただきたいと存じます。さらに、自治大臣に、かつて総理は「電気ガス税は悪税である」と言明しているのであるが、一体それでは、ほんとうに総理のことばどおりこれを廃止する意図があるかどうか、この点を含めて見解を明らかにしていただきたいと存じます。
さて、以下各税法改正についてお尋ねしてまいりたいと思います。
第一は、所得税の課税最低限についてであります。昭和四十二年度改正案によると、それは標準家族では七十四万円、給与所得者では約二十六万七千円と、若干の引き上げを行なっておりますが、しかし、この相次ぐ物価値上げ政策の中では、生活費にまで食い込んで課税されている実情は一向に解消されないであろうことは、だれの目にも明らかであります。総理府の統計によっても、人口五万人以上の都市における消費支出総額は、昭和四十二年度では五人家族では百万をはるかにこえるものと推定されるのであります。しかも、個人分配国民所得は、すでに四十一年度で百十万、四十二年度では百二十万をこすと見られるのであります。このことからも、生活費には課税しないという原則を考えると、「課税最低限を百万円に引き上げるように」との衆議院予算委員会附帯決議第一項目の趣旨は、まことに当然としなくてはなりません。この決議の取り扱いについて、総理は、五月九日、わが党の広沢君の質問に答えて、「政府はこの附帯決議を尊重するつもりである」と言っているのでありますが、一体、具体的には、いつごろになると考えているのかを明らかにしていただきたいと思います。また、その際、課税最低額の算定についてでありますが、これまでたびたび討論されてまいったところでありますが、一体、政府はどのような実生活を考えていられるのか、あらためてお尋ねいたしたいと思います。高校を卒業して就職すれば、すぐさま納税者の仲間入りをしなければならないという、戦前に比べましても、また諸外国に比しても、不当に低くなっている現状であります。一体、二百五円という大蔵メニューによる実生活が、この諸物価値上がりの現在、どのようなものと考えておられるのか、総理大臣の口から一言答えていただきたいと思うのであります。
さらに、所縁税課税最低限百万円という所得額については、これの実現までの諸物価の変動等に当然スライドされるべきであると考えるのであるが、この点、大蔵大臣はどのように考えておられるか、明らかにしていただきたいと思うのであります。
第二は、租税特別措置法についてであります。租税特別措置は、もともと時限立法であり、制限が至れば当然廃止されるべきものであると考えなければならないと思います。とりわけ、一つの特別措置が、次々と連鎖反応のごとくに、新たな特別措置を誘発し、それがあたかも既得権化し、その弊害は税体系それ自体をも破壊するまでに顕著になるに至っていることは、きわめて重大なことと考えます。税制調査会でも、これまでたびたび、租税特別措置は、負担公平の原則や租税の中立性を阻害し、総合累進税率構造を弱め、納税者のモラルにも悪影響を及ぼし、多くの短所があるから縮小すべきであると、その廃止を強調しているのでありますが、政府改正案は、これに逆行し、なしくずし延長を企図し、矛盾を拡大する方向にあることは、全くもって言語道断と言わざるを得ないものであります。ことに、昭和四十一年十二月末、すでに期限切れとなっている配当所得の確定申告不要制度については、期限が切れるや、今度は通達を、出してその存続を指示し、現にその取り扱いが実施されているがごときは、明らかに「法による行政」の趣旨に反し、法の趣旨を行政官庁が恣意的に拡大解釈した結果の違法行為と習うべきであり、立法府たる国会に対する軽視もはなはだしいと言わざるを得ないものであります。このいきさつと今後の対策について、まず、総理大臣と大蔵大臣の御所見を承っておきたいと思います。
租税特別措置による平年度減税見込み額は、昭和四十一年度に国税二千二百億、地方税に及ぶ減収額が六百四十億になっており、このほかに、貸し倒れ引き当て金等のように、本法に組み込まれ、一般減税に振りかえられたものさらに七億という実情であります。しかも、租税特別措置の約八割は、全企業数の一%余の資本金一億円以上の法人に適用される大資本資産所得優遇に不当に片寄った悪法であることは、いまさら申し上げることもないと存じます。政府は、税制調査会の答申どおり、縮小に向かって努力すべきであり、できるだけ早い時期に廃止すべきであると考えますが、総理、大蔵、両大臣の御所見を承りたいと存じます。
ことに、利子配当優遇措置は直ちに廃止すべきであると考えます。わが国の所得税構造は総合累進税率を原則としながら、これが、租税特別措置によって次々と破壊されてきているのであるが、その元凶の一つは利子配当優遇措置にあることは、言うを待たないところであります。利子所得については、昭和二十八年以降、貯蓄奨励の名目で現行のような分離課税となり、昭和三十年、三十一年は非課税、三十九年五%の分離を経て、現行一〇%分離課税となっていることは、すでに御承知のとおりでありますが、さらに、配当所得についても四十年度から一五%源泉選択制がとられたわけであります。利子配当優遇措置に対する批判は各方面からきびしく、税制調査会の答申でも、「利子配当課税の特例等資産所得に対するものは、一部の高額所得者を不当に優遇するものであり、弊害を償うに足るほどの政策効果を実証し得ないので、廃止すべきである」と、具体的に指摘しておるところであります。税負担の不公平を拡大し、徴税の民主制を破壊する利子配当優遇措置をはじめ、各種特別措置の縮小、廃止の方向に踏み切ることは、いまこそ絶好の機会であると考えるのでありますが、答申尊重の立場から大蔵大臣の御所見を承りたいと存じます。
最後に、この際、あらためて総理にお尋ねいたしておきたいと思うことがございます。
シャウプ勧告によって、戦前のわが国の税制に比べても、はるかに国民大衆にとっては苛酷な税制に道を開いたものであり、以来、歴代自民党政府は、一貫して、この大衆収奪、資本蓄積のための租税制度を守り続けてきたのであるが、その一方、「安保条約第六条に基づく施設および区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」には、在日米軍とその御用商人に対しては至れり尽くせりの免税特権を規定しているわけでありますが、その第十一条では、米軍と米軍人が使うものを日本に輸入する場合には、輸入関税をかけない。第十二条で、物品税や電気ガス税、揮発油税、通行税をかけない。第十三条で、米軍が日本で使用している財産に対しては、固定資産税等一切の税金をかけない。そして米軍御用商人に対しては、彼らが輸入したものには関税が免除され、彼らの所得には法人税も所得税もかけない。こうして税制面から考えられる限りの特権を認め、日本国政府の名においてこれを守り続けてきたのであります。この米軍は、現在インドシナ半島において南北ベトナム民衆の上にあらゆる爆弾の雨を降らし、考えられる限りの残虐な侵略行為を行なっているのであります。すでに御承知のとおり、米軍の北ベトナム爆撃は無差別的にますます拡大され、ついに最後の聖域とされていた非武装地帯にまで侵略を始めたのであります。かつて何度か、総理自身、ベトナム戦争に反対を言明してきたと記憶しておりますが、事実は全く逆に進んでいるのであります。総理が、そのことばどおりに、ものごとを考えられるというのであるならば、この米軍の侵略行為にはっきりと反対し、日本における米軍の特権は他に先んじて廃棄さるべきものと考えるのでありますが、佐藤総理の確信ある御所見をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01019670522/5
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006・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
税制の基本的な考え方についてお尋ねでございます。御承知のように、わが国の税制、これは戦後いわゆるシャウプ勧告によって始まったと、かようにいわれておりますが、しかし、その後の数回の改正によりまして、シャウプ勧告による税制の内容はよほど変わってまいりました。ただいま御指摘になりましたように、二十五年以来、減税をいたしました額は一兆六千億に達しておる。しかも、この一兆六千億は所得税を中心にして減税が行なわれたのであります。実に七五%は所得税の減税であります。したがいまして、このシャウプ勧告の当時とは現在よほど変わっておる。その事情をまず考えていただきたいと思います。
ただいまお話にありましたように、所得税の納税者、これは非常に数がふえてきておる。このことがあるいは増税になっているのではないか、こういう御指摘でありますが、私はさようには思いません。わが国の国民構造、しかも、その資産内容等を見ますと、いわゆる中産階級の方がよほどふえておる。他国に見るような貧富の差のはげしい国ではございません。そういう意味で、この所得税を納める方が非常に多いと思います。いままでいわれております例を申し上げますと、国民所得はまず世界で二十一番目だ、かように申しておりますが、しかし、その上位にある国におきまして非常に貧富の差のはげしい国があります。これはいま石油など産出しておるようなところ、こういうところではきわめて少数の者がその富を占めておる、大衆はまことにみじめな生活をしておる、こういう状況でございます。そういう国と、二十一番目ではあるが、日本の人口構成の内容、資産構成の内容、これは格段の相違でありますから、そういう点も十分考えていただきたいと思います。私は、こういう現状をもってこれで十分だと申すわけではありません。したがいまして、各党の共同決議による百万円減税、これを早く実現する、こういうことに私どももいろいろ努力しておるのである。百万円、これは四十五年までにこれを実現するように努力するのであります。一そうの御協力を願いたいと思います。
そこで、もう一つ問題になりますのは地方税との関係であります。これは行財政の配分が現状において、はたして適当なりやいなや、こういう問題がありますので、地方制度調査会におきましてのその答申を待ちまして、そうして行政の配分、同時に、その財源を配分していく、こういうことで地方税の適正化をはかっていく考えであります。
次に、この国民負担の問題についてお触れになりましたが、わが国は御承知のように累進税制を採用いたしております。これは、全部がひとしいものではございません。いわゆる所得、同時にまた資産の内容、さらに消費の段階の相違によりまして、たくさん所得や資産のある者、消費の多い者、こういう者には税が多いという、いわゆる累進税制でございます。そういう意味でこれがやられておりますので、一そう運用におきまして厳正公平を期してまいりたいと、かように考えておりまして、国民の負担の均衡という点では十分注意しておるつもりであります。
次に、二百五円の問題についてお触れになりました。これは、しばしば他の委員会等におきまして詳細に関係大臣から御説明をいたしたと思いますが、いわゆる成人の場合に二千五百カロリーを摂取する、そういうメニューをつくりまして、そうしてそのメニューが一応承認された、その後の物価の騰貴等によるものを今度は現在に引き直して計算してみた、まあそういう意味の単純な計算でございますので、私はこの二百五円そのものが直ちに国民生活をあらわしているものと、かようには思っておりませんが、必要な二千五百カロリー、これを摂取するに足る十分な献立はできておる、かように思っております。
次に、最後の問題で、税制調査会の三つの答申の問題でございます。これは、御承知のように、税制は長期にわたる計画を立てろということ、また、税の規定をもっと簡素化しなければならない、また、本年はどういう点に重点を置いて軽減しろと、こういうふうな三つの答申であります。答申はもちろん尊重するのが政府の態度でありますし、ただいま税の問題は国民に関するところ非常に大きいのでありますから、民主的な結論を得てこれを実施に移す、これが政府の態度であります。その観点に立ちまして、いわゆる租税特別措置、これについてのいろいろの御批判がございます。本来、この特別措置は、御承知のように、政策的な、その目的達成のために必要だという減税でございます。したがいまして、この特別措置の政策的な目的を十分果たした、効果があがった、もうこれは存在の意義がなくなった、こういうものもあり、また、効果があがらない、こういうふうなものにつきましては、もちろん注意していかなければなりません。したがいまして、この特別措置については、政府が流動的に、絶えずこれを見て処置していく、こういう態度を今後とも引き続いて堅持するつもりでございます。
最後に、安保条約に基づく、いわゆる米軍並びにその関係者に対する特別措置についてお尋ねがございました。これは、私が申し上げるまでもなく、この種の場合も、国際慣習に基づいて、そうしてその国際慣行に沿って、また、わが国も特別な措置を講じておるのでありまして、これは特別なものではございません。そういう意味でございますから、私はこの制度のあることは、これは当然である、国際慣例上これは当然のことだ、かように思っております。さらに、この問題から、ベトナム戦争についての批判を求められましたが、これはもう、しばしば私が申し上げておりますので、この機会にはベトナム戦争の批判はいたしません。(拍手)
〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01019670522/6
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007・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 全部の項目について総理がお答えになったようでございますが、昭和二十五年からの減税の総額一兆六千億円のうちで、所得税の減税が一兆二千億ということでございますから、資本蓄積にだけ比重を置いたというようなことにはなっておりません。
それから租税特別措置について、税制調査会の答申の尊重をやっているかということでございますが、新設にあたっては、緊急を要するものに限るということにいたしますし、既存の措置については、政策上の効果を検討して流動的に改廃を行なうということをやっておりまして、本年度の改正におきましても、先ほど御説明いたしましたように、新設において約二百億円、既設の改廃によって三百億円の整理をいたしたという次第でございます。で、御指摘になりました配当課税の問題も、この答申の線に沿って漸進的な改善を加えたというものでございます。
それから課税最低限百万円までの引き上げ、この目標は、最近の状態から見て物価が異常に今後上がるだろうということを前提としたものではございません。しかし、これを急がないというと、実質、名目いろんな問題を起こしてまいりますので、問題をなくするためには、何としても早くこれを実現することが必要だと考えますので、ここ二、三のうちにこの百万円までの最低限目標というものは、私ども実現したいと考えております。(拍手)
〔国務大臣藤枝泉介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01019670522/7
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008・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) 公債発行下の地方財政につきましては、御指摘のとおり、従来の国と地方との財源の配分のバランスがくずれたわけでございますから、国の財源を地方に配分する場合に、単に地方財政需要の積み重ねばかりではなくて、国と地方との配分のめどをまず立てて、そうして配分していくという地方制度調査会の考え方を、今後踏襲してまいりたいと考えております。住民税は所得税と違いまして、地方需要を地方の住民が広く分に応じて分担するという性格を持っておりまするので、所得税とすべていろいろな控除を右へならえということではないと存じますが、国民の税負担の現況にかんがみまして、最低限の引き上げにつきましては今後努力してまいりたいと思います。さきの衆議院地方行政委員会においての附帯決議等は十分尊重してまいりたいと思いますが、御提案の、いま直ちに七十万円まで引き上げるということは、なかなか困難ではないかと存じます。電気ガス税は、御案内のとおり六百億をこえておりまして、市町村税の中核をなすものでございますので、よきかわりの財源を見出すことに努力をいたしまして、これが整理に努力をいたしてまいりたいと存じます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01019670522/8
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009・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 中尾辰義君。
〔中尾辰義君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01019670522/9
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010・中尾辰義
○中尾辰義君 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外三法に関しまして、私は公明党を代表いたしまして、総理並びに関係大臣に若干の質疑をいたすものであります。
まず、税法の質疑に入る前に、課税負担全般の問題についてお尋ねをいたします。国民が税金に対しまして負担感を抱くのは、必ずしも個人の支払う納税額の多少によるばかりでなく、税金の取られ方、税金の行くえ、税金が公平であるかどうか、こういった点を国民が十分納得し得るかどうかに問題がかかってくるのであります。かような観点より、最近、相次いで発生している大口脱税事件を見てまいりますと、昨年来、騒がれました共和製糖事件にからむ巨額の脱税、政界との黒い霧問題で論議の的となった台湾バナナの輸入業者による十六億円の不正申告、六億五千万円の大口脱税、また、最近では、東京一のせんべい屋日乃本米菓の九千万円にのぼる脱税等が摘発されておりますが、さらに、バナナの脱税で浮いた利益は、一部政治献金に流れて、政治家の所得申告に対しても、とかくの疑惑の目で見られているさなかに、先般、国税庁発表による所得番付によると、一国の総理としての佐藤首相の年間所得九百三十五万円をはじめ、政界を動かす実力者の所得申告が意外に低いのに国民は不審を抱いておるのであります。世間では、給与所得、事業所得、農業所得の課税の割合をごろ合わせをして九、六、四と呼んでおりますが、これに、不可解なる政治家の所得を一と見て、九、六、四、一というような新語さえ生まれ、国民の納税意欲を阻害しております。一方では、財源不足を理由に、毎年膨大なる赤字公債を発行し、片方では次々と大口脱税を見のがしている政府の徴税行政に対して、国民は大きな不満を持っておりますが、佐藤総理は、現存の納税道義の退廃の原因はどこにあると思うのか。また、今後いかように対処していくのか、お伺いをしたいのであります。また、佐藤総理の九百三十五万円の申告所得が事実であれば、国税、地方税合わせて五百万円近くの税金を差し引かれ、手元には四百数十万円ぐらいしか残らないと思われますが、あなたの申告は間違いありませんか、お伺いをいたすものであります。
第二に、政治家の所得、政治資金の課税についてお伺いをいたします。
政界にまつわる黒い霧を除くには、政治資金規正法を改正して政治献金の使途を明らかにすべきであり、すでに選挙制度審議会の答申も出されておりますが、政府は今国会に提出する意思があるのかどうか。また、政治家個人への政治献金については、ことしから雑所得として必要経費を認めていくとのことでありますが、政治活動必要経費とはいかなる費用をさすのか。また、調査研究費あるいは会議費と称して、料亭やバー、キャバレー等の飲食代等は政治活動費とみなすのかどうか。あるいは課税の対象となるのかどうか。また、政治活動費として認めるならば、政治献金を受けておらない政治家の政治活動費も認められるのかどうか。むしろ政治献金は全額課税対象にすべきと思うが、この点、総理、大蔵大臣にお伺いをいたします。
第三に、四十二年度の歳入予算と減税規模についてであります。
四十二年度の歳入予算額は四兆九千九百八十四億円、前年度予算に比して一五・八%の伸びを示し、減税総額は、初年度で一千百三億円、うち租税特別措置の整理及び印紙・登録税等の増税を差し引くと、初年度の減税はわずか八百三億円にすぎないのであります。これは七千三百二十五億円にのぼる租税自然増収のわずか一一%にすぎず、昨年度の二千九十億円の減税に比べ大幅な後退を示しているのであります。四十二年度の自然増収が昨年に比し約七倍にも伸びている割合に、減税額がきわめて低いことは、歳出増加に重点を置いたのか。公債発行量を極力抑制したために減税にしわ寄せをしたのか。いずれにしても減税に冷たい歳出予算と言わざるを得ないのであります。国民が減税を望み、中でも所得税の大幅減税を期待しているのは、現行所得税の課税最低限が国民所得の割合にきわめて低く、最低生活に食い込んでおります。最近はまた納税人員が倍加をし、新規学校卒業者では、中学出の者は就職第二年目でその七例が所得税を課せられ、高校出の者は就職初年度において、はや、その七割が所得税を課せられ、第二年目には一〇〇%課税されているのが現状であります。まして、年々における諸物価の値上がりや名和税目の間における課税のアンバランス等、所得税の減税に重点を置かねばならない大義名分が明らかでありますが、新年度の七千三百億円の租税自然増収は、歳出予算にどのように配分をされているのか。また、自然増収が大きい割合に所得減税額がきわめて低いのは、いかなる理由に基づくのか、総理、大蔵大臣にお伺いをいたします。
また、第四番目には、課税最低限についてであります。ただいまも質問がありましたが、所得税に対する質疑となりますと、やはりこの点に触れざるを得ないのであります。四十二年度の課税最低限は、標準五人家族で六十三万二千円より七十三万九千円に引き上げられておりまするが、その基礎になっている基準生計費は、成年男子の一日分の食糧費を二百五円二十四銭として、これをエンゲル係数によって除して算定したものであります。この二百五円二十四銭は、昭和三十九年に作成された献立表に、単純に消費者物価指数を乗じて生計費を計算する簡便法によったものであります。すなわち、三年前のメニューを基礎にしたものでありまするが、これは第一に、生活水準の自然の向上に伴うメニューの変更、食糧の質の向上が織り込まれておらないという欠陥があり、消費者物価の上昇分だけを乗じただけで消費支出を算定するという矛盾をおかしているのであります。これでは、国民所得の消費水準の実質的な増加も織り込まれず、しかも三年前のメニューを基礎にしたものであり、誤解と混乱を招くだけで、国民を惑わすものであると言わざるを得ないのであります。何ゆえこのような三年前の古いメニューを基礎にして算定をしたのか、大蔵大臣に私はお伺いをいたします。
今年度はまた、消費者米価の連続高騰あるいは健康保険料等の値上げ、そのほか食料品等の値上がりが予想され、物価上昇の今日、親子五人七十三万九千円の最低限では、健康で文化的な最低生活を保障しているとは言えないのであります。しかも、地方税の課税最低限は四十三万三千円にしかすぎず、地方税では完全に生計費に食い込んでいるのであります。わが公明党は、以前から課税最低限を百万円に引き上げることを主張しておりますが、総理は選挙中に、この点にも触れられておるように思われますが、いつ具体化するのか、また標準四人世帯までの場合はどうなのか。なお、地方税と所得税の課税最低限の額を同額にする意思はないか、総理、大蔵、自治大臣にお伺いをします。
最後に、租税特別措置について、お伺いをいたします。
毎年毎年、租税に対する特別措置が新設され、現在四十数項目に及び、税体系をますます混乱さしております。これらの特別措置は、年々二千三百億円の租税の減収を生んでおり、何のために特例を設けたのか、その効果がどうなっているのか、はなはだ疑わしいのであります。特に、毎年議論を呼んでおります利子配当の特別措置は、本年は期限到来とともに当然廃止をすべきであったはずでありまするが、金融資本や金持ちに奉仕するため、税率を少々手直しして利子配当所得の分離課税をそれぞれ一〇%から一五%に引き上げ、しかも期限を三年も延長しているのであります。今日、国民の貯蓄が増加したといいましても、それは経済の成長に従い、国民所得の増大によるもので、特例措置のためとは思われないのでありますが、いつになったら廃止するのか。
さらにまた、今年度は新設の特例措置として肉牛の譲渡所得については、四十二年度から五カ年間免税の特例を設けております。これは肉用牛の不足を補い、増産対策を講ずるためと思われるのでありますが、税金をまければ牛がふえるということは、いまだかつて聞いたことがないのであります。現代の珍問答といわなければなりません。いまに、牛ばかりでなくて、豚や鶏まで特別減税措置ができるかもしれないことを、私は危惧するものであります。税金さえまければ何でもできるような感覚は、政治の無為無策の典型といわざるを得ないのであります。このような特例措置は一般国民の歓迎できるものではありません。政府は、税の公平負担の大原則に立って、このような特例措置に抜本的に再検討を加える用意はないか。総理、大蔵大臣の答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01019670522/10
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011・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
国家財政の中心をなすものが税である、国民の支払う税である、これは御承知のことだと思います。そういう意味で、この国民の納税意欲を高めなければいかぬし、国民の積極的な協力を狩ることが最も大事なことでございます。そういう意味から、ただいま言われますように、もしも税そのものがその取られ方において不公平であったり、また、その納めた税の行くえが間違っていたり、不正があったりするということならば、これは国民の納税意欲を弱めるものであり、これはたいへんなことだと思います。そういう意味で政府は、どこまでも厳正公平に税のあり方をきめていかなければならない、かように思っております。そこで、いろいろの脱税事件が起こります。まことに私は残念なことのように思います。このことで国民の納税意欲をそこなうようなことがあってはたいへんだと思っております。そういう意味で、この脱税、これはその摘発につきましても、また、その後の処置につきましても厳正を保つ、そうして国民の納得がいき、また国民の積極的協力を得るようにいたしたいと、かように考えております。
そこで、一般政治家の所得申告につき、また私の所得申告につきお尋ねがございましたが、私は絶対に間違いはございません。申し上げておきます。
次に、政治資金の問題についてのお尋ねであります。これは、だいぶん専門的になりますが、いままでの考え方では、これは公的の政治活動に使われるもの、私的な資産の形成をするもの、あるいは私的消費のものと区別すべきだというのが大体の考え方でございまして、そういう意味の取り扱い方をいたしております。政治活動の面で非常にそのはっきりしたものは、たとえば、政治活動に専念する秘書の給与の問題であるとか、あるいは政治活動の場である事務所の借り上げ賃だとか、あるいは政治活動をいたします会場等の会場費、これなどは大体所要の経費としてこれを引くという扱い方を、いまいたしておるようであります。これらの点につきましては、しかし、一般に納得のいくような処理がとられることが望ましいと私も考えます。
次に、ことしの減税問題についてお触れになりまして、いかにも金額が少ないではないかというお話であります。これは見方でございますが、私は、ことしの減税は一千百億国税においていたしたと思います。八百三億ではないのでございます。このこともひとつ念頭に置いていただきたいし、また、昨年四十一年の減税がたいへんな大幅でございまして、本年にその影響を及ぼしますもの約一千億、そのようなことを考えますと、やはり減税は一年だけで考えないで、二年ぐらい一緒に考えてしかるべきじゃないかと思います。過去十年間の減税は、大体一六%程度の減税になっておりますが、四十一、四十二、この両年で計算してみますと三四%、これはたいへんな大幅減税を実施したということであります。これらの点も全体として考えていただきたい。
また、いわゆる所得百万円までの減税、これをいつ実施するか。——先ほどお答えいたしましたように、四十五年度までにはこれを実現したいということで努力しておるわけであります。
租税特別措置あるいは利子配当等についての御意見も、ただいま詳細にお話がありました。大蔵大臣から先ほどもお答えいたしたのでありますが、これらの問題は、絶えず流動的に、その効果のほどを十分見きわめまして、そして、これに対処する、しかも、これは漸進的であるべきである、税制調査会などの答申もさように申しております。さような立場でこの問題に取り組んでまいるつもりであります。(拍手)
〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01019670522/11
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012・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 二百五円という、いわゆる基準生計費の問題は、過去に算定されたものについて、物価の推移だけを考慮して推算した資料でございまして、この資料はございますが、いわゆる課税最低限の引き上げというものは、これを単純に根拠としているものではございません。御承知のように、今回の課税最低限の引き上げ率は一八%でございますが、この資料をもとにして引き上げたものではございませんで、現実の計算には狂いがあるということを御了承願いたいと思います。
それから、独身者についての減税率の問題がございましたが、いままでの税制改革のときには、もっぱら、やはり世帯者中心の減税であったということは、はっきり言えると思います。したがって、独身者の納税人員が非常にふえているということから、本年度は、一般は一八%の最低限の引き上げであったのでございますが、独身者については、特に二一%引き上げをやりましたために、本年度の税制改革によって、相当独身者の納税人員は少なくなると思いますが、この方向でさらに一、二年、私どもは努力をしたいと考えております。
それから、食肉牛に対する税の措置でございますが、これは私も、御指摘のとおりであって、補助制度、金融制度、いろいろな角度から対策を立てるのが本筋だと思いますが、本年は、物価との関係もあって、やはり研究を要する問題として、税の免除によって増産の刺激をすることが一番近道であるという御意見が非常に強かったために、こういう措置をとったのでございますが、これはやはり、ごく短期の措置として限らるべきものでございまして、将来これを検討する意思は十分にございます。できるだけ早くこういうのはやめたい、ほかの措置をもって増産を実現したいというふうに考えます。(拍手)
〔国務大臣藤枝泉介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01019670522/12
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013・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) 住民税につきましては、先ほどお答え申し上げましたが、性格の違いというか、所得税と住民税が各種控除において必ずしも右へならえをする必要はないと考えますが、しかしながら、国民負担の現況にかんがみまして、住民税の課税最低限の引き上げにつきましては、今後も努力をしてまいりたいと存じます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01019670522/13
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014・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01019670522/14
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