1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月二十一日(水曜日)
午前十時三十八分開議
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○議事日程 第十八号
昭和四十二年六月二十一日
午前十時開議
第一 失業保険法及び労働者災害補償保険法の
一部を改正する法律案(趣旨説明)
第二 航空業務に関する日本国政府とシンガ
ポール共和国政府との間の協定の締結につい
て承認を求めるの件(衆議院送付)
第三 千九百二十八年十一月二十二日にパリで
署名された国際博覧会に関する条約第四条を
改正する議定書の締結について承認を求める
の件(衆議院送付)
第四 農業共済基金法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第五 森林病害虫等防除法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
第六 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部
を改正する法律案(内閣提出)
第七 中小企業信用保険法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
第八 商品取引所法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
以下 議事日程のとおり
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/0
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001・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 諸般の報答は、朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/1
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002・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
この際、おはかりいたします。
林塩君から海外旅行のため十日間請暇の申し出がございました。
これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/2
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003・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/3
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004・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第一、失業保険法及び労働書災害補償保険法の一部を改正する法律案(趣旨説明)。
本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。早川労働大臣。
〔国務大臣早川崇君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/4
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005・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 「失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案」につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
失業保険法及び労働者災害補償保険法は、いずれも、昭和二十二年に制定されて以来、数次の改正により、逐次その内容を整備してきたところでありますが、現在までのところ、両保険とも、労働者五人未満の事業所の大部分については未適用のままとなっており、これらの零細企業に働く恵まれない労働者に再保険を全面的に適用し、その福祉の増進をはかることは、労働行政の多年の懸案であったのであります。
また、失業保険につきましては、低所得層を中心に給付内容を改善し、失業者の生活の一そうの安定をはかる必要があると考えるのであります。
さらに、失業保険におきましては、近年、いわゆる季節的な短期循環受給者が著しく増加し、昭和四十年度において五十八万人、給付額は三百億円に達しております。全被保険者の三%にすぎない五十八万人の人々が全給付額の三割を受けるという不均衡な状態が毎年繰り返され、他の被保険者及び使用者に多大の負担をかけるという状態にあるわけであります。したがって、この際、このような不均衡を是正するために、短期循環受給者の生活に激変を与えないよう十分配慮しつつ、給付日数の合理化をはかる必要があると考えるのであります。なお、最近、不正受給が著しく増加し、かつ、悪質化しておりますので、この際、その防止をはかる必要があると考えるのであります。
このような事情にかんがみ、政府といたしましては、ここに失業保険制度及び労働者災害補償保険制度の適用の拡大、失業保険における給付内容の改善及び短期循環受給者にかかる給付日数の合理化等を行なうことを主とした「失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案」を提出いたした次第であります。
次に、この法律案の内容の概略を御説明申し上げます。
第一は、失業保険及び労働者災害補償保険における適用の拡大であります。
まず、失業保険につきましては、労働者五人未満の事業主に雇用される者を当然被保険者とするとともに、あわせて、従来、必然被保険者とされていなかった教育、研究または調査の事業に雇用される者も、政令で定める場合を除き、新たに当然被保険者とすることといたしました。なお、労働者五人未満の事業であっても、短期間の臨時的なもの等、保険制度を適用するに適していないものについては、政令により、当分の間、当然適用としないことといたしました。
次に、労働者災害補償保険につきましては、労働者を使用する事業は、すべて当然適用事業とするものでありますが、失業保険と同様に、政令で定める事業は、当分の間、任意適用事業とすることとしております。
第二は、失業保険における給付内容の改善であります。
その一は、一般失業保険の失業保険金の日額の引き上げでありまして、配偶者にかかる扶養加算の日額を現行の二十円から三十円に引き上げることといたしました。また、告示の改正により、賃金の比較的低い等級の日額を十円引き上げることといたしております。
その二は、日雇失業保険における給付の改善でありまして、現行の二段階制の失業保険金の日額を二段階制に改め、新たに第一級七百六十円の日額を設け、これに伴い、保険料の日額及び保険金日額の等級の決定方法等について所要の改正を行なうことといたしました。
第三は、失業保険における給付日数等の合理化、不正受給を防止するための新たな制度の創設等であります。
その一は、短期循環受給者、すなわち、一年に満たない程度の短期間の雇用を三同繰り返し、一回目及び二回目について保険給付を受けたことがある者の所定給付日数は、現行法では、通常の場合には、九十日となりますが、これを三回目から四十五日とすることとして、他の被保険者との均衡をはかることといたしたことであります。しかしながら、すでに短期循環受給をしている者については、その生活に激変を与えないため、従来どおりの給付を行なうこととするとともに、今後新たに短期循環受給者となる者についても、季節的に失業者が多発する地域に居住し、かつ、就職が特に困難な者、すなわち、三十五歳以上の中高年齢者及び三十五歳未満の扶養親族を有する者については、四十五日を限度として給付日数を延長することとして、実質的に給付の減少とならないよう配慮しているのであります。なお、この措置により所定給付日数が四十五日となる者の就職支度金についても、所要の改正を行なうこととしております。
その二は、被保険者であった期間が通算して二十年以上である場合の所定給付日数を、現行の二百七十日から三百日に改め、これらの者の生活の安定をはかることといたしたことであります。なお、これに関連して、広域職業紹介地域にかかる給付日数の延長措置を受ける者について、受給期間を延長することといたしました。
その二は、詐欺その他不正の行為によって保険給付の支給を受けた者がある場合には、現行の不正堂給金の返還命令制度に加え、その給付を受けた者に対して、その詐欺その他不正の行為によって支給を受けた金額の二倍以下の金額を納付すべきことを命ずることができることとし、また、その不正受給について事業主にも責任が認められる場合は、その事業主に対しても本人と連帯して、その金額の納付を命ずることができることといたしたことであります。
その四は、失業保険における健全な運用を確保するため、被保険者期間の算定の基礎となる賃金支払い基礎日数を、現行の十一日から十六日に改めることといたしたことであります。また、これに伴い、五ヵ月以内の期間を定めて雇用される季節的労働者を被保険者から除外することといたしました。
次に、この法律案の施行期日につきましては、失業保険及び労働者災害補償保険の適用の拡大は、実施準備に万全を期するため、この法律の公布の日から起算して二年をこえない範囲内で政令で定める日から施行することとし、一般失業保険の失業保険金の日額の引き上げ等は昭和四十二年六月一日から、日雇失業保険における給付の改善は七月一日から、失業保険における給付日数等の合理化は昭和四十二年十一月一日から、それぞれ施行することとしております。
以上のほか、本改正案の附則におきまして、国家公務員等退職手当法及び炭鉱離職者臨時措置法について所要の改正を行なうこととしております。
以上が、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案の提案の趣旨でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/5
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006・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。佐野芳雄君。
〔佐野芳雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/6
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007・佐野芳雄
○佐野芳雄君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました「失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案」について、総理並びに関係大臣に若干の質疑を行ない、その問題点を指摘しながら、政府の見解を明らかにいたさんとするものであります。
終戦後、打ち続くインフレと経済混乱の中で、社会不安と深刻な失業問題に直面した政府は、昭和二十二年、失業保険制度を創設し、社会保障の一環として労働者の福祉向上に貢献してきたのであります。失業は、労働者の暗い運命を示すものであるが、それは決して偶発的に労働者にふりかかるものではなく、個々の労働者の責任の範囲をこえての政治的、経済的、社会的な諸要因により、資本の利潤追及の結果として、必然的に生み出されるところの資本主義社会における犠牲というべきであります。したがって、労働者が失業してその所得の源泉を喪失した場合、保険制度により一定期間その所得の保障を行ない、失業労働者の生活の安定をはかるとともに、産業に必要な労働力の維持保全をはかるのでありますから、基本的には国と資本家の責任において行なうべきものであります。憲法第二十五条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定し、第二十七条は、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」ものと規定しているのであります。したがって、労働者が失業した場合、その生活保障を実行するのは、政府の当然の責務と言わなければなりません。したがって、失業保険法を改正するに際しては、政府は当然、憲法の精神の上に立って改正すべきものであります。にもかかわらず、このたびの改正案は、あまりにもその本旨から逆行していると強く指摘せざるを得ないのであります。
さて、このたびの改正案は、毎日のように起こっている企業倒産の対象となり、最も失業の危険にさらされている従業員五人未満の零細企業事業所に対して失業保険制度を適用しようとするのでありますが、それは、社会保障審議会や雇用審議会が、機会あるごとに答申や意見書でその必要性を強調しているのでありまして、むしろおそ過ぎたとさえいえるのであります。だが、五人未満事業所に対する強制適用と給付内容の若干の改善を引きかえに、季節労働者に対する失業保険金の受給制限を行ない、不正受給者に対する追徴金新設をはかろうとする欺瞞性は、改正の名における改悪として断じて容認できないところであります。
問題の第一は、いわゆる均衡論であります。全被保険者千八百万人の三%にすぎない季節労働者が三〇%の保険額を受給し、金額にして三百億円を占めていることは、保険財政を悪化させ、不均衡であるとしているのでありますが、この政府の考え方の基底にあるものは、一貫した財政主義と保険主義にほかなりません。失業保険法は、生活保護と同じように、憲法第二十五条との関係において考えていく必要があるのであって、しかも、農村の貧困、農業政策の貧しさから季節労働者として出かせぎをせざるを得ない現状の背景こそが問題なのであります。しかも、失業保険制度は、一般の保険制度と異なり、その運用の責任は政府であります。その加入が強制されるいわゆる強制保険方式であって、その負担についても、政府、労働者、資本家の三者負担方式がとられているのでありますから、失業保険は、労働権の裏づけとしての生活保険として、労働力の維持保全のたてまえからも、その家計を維持し狩る給付内容を持つように、社会保障的見地から運用されるべき性質のものであります。
第二の問題は、不正受給者に対する罰則措置でありますが、もちろん運営の健全化をはかる立場で、不正防止に実効的な措置をとることは何ら反対すべきものではありません。しかし、「その他の不正受給者」というあいまいなきめ方により、出かせぎ農民や女子離職者を失業保険から締め出してきた従来の例から見て、不当な妥結制限が行なわれることが予想され、しかも、社会保障制度内に追徴金を課するというのには問題があると断ぜざるを得ないのであります。
第三に、かねてから国会で論議され、強い要求のある農林水産業がこのたびの改正でも除外されていること、第四に、季節労働者の給付日数の削減が行なわれていること、第五には、等級及び低所得者の給付率、使用主負担額の引き上げと、国庫負担率を三分の一に引き上げること等、昨年の国会で決議された主要な諸要求が全く無視されていることであります。私は、季節労働者の失業保険打ち切りは、単に季節労働者のみではなく、次には女子労働者から労働者全体へと拡大される危険性を指摘せざるを得ません。今回の失業保険法改正は、失業保険打ち切り政策によって、農業基本法による貧農と不安定労働者を都市に流出させるための、いわゆる労働力流動化政策の一環としてのねらいを持つ、きわめて悪質な改正案と考えるのであります。私は以上の観点を踏まえながら、以下若干の質問を行なうものであります。
まず、総理にお尋ねします。
その第一は、ただいま申し述べたように、失業保険法は生活保護と同じように憲法第二十五条の関係において、また、憲法第二十七条の勤労の権利の関係において考えるべきだと思うが、常に社会開発と人間尊重を強調せられている総理の御所見をお伺いしたいと思います。また、現在までの受給者は既得権として認めるとしても、同じ条件下の国民に対して、受給権を制限したり、その制度の適用を受けさせないのは、憲法第十四条における平等性に疑義が生ずることになると思うが、どうですか。
第二は、第五十一国会の衆議院社会労働委員会で採択された附帯決議の四十二年度を目途として、失業保険法を、憲法第二十五条に従って、社会保障の理念に基づき、大幅に改善すること、国民及び被保険者に対し、不利なことは一切盛らない改正をすること、さらに、低賃金層に対する給付率の増率、給付期間の延長、日雇い失業保険の改善と国庫負担及び使用者負担額を引き上げることなど、当然改正案に盛り込まれるべきものがすべて無視され、逆に部分的にしろ制度的な後退が行なわれて、労働者の生活権が侵害されているのでありますが、いやしくも与野党満場一致で決定された附帯決議を全く無視したこのたびの事態について、総理はどのように考えるか、明確にお答えを願いたいと存じます。
次に、大蔵大臣にお尋ねいたします。
失業保険の給付の増大についてでありますが、大蔵大臣は、失業保険の財政は毎年相当額の黒字で、国庫負担の割合を引き上げる必要はないと言われますが、従業員五人未満の零細企業は、仕事の性質上、比較的短期間でやめたり、職場の移動率、所要事務費の増大等が十分に予想され、赤字要因の可能性があると考えられるが、その対策をどのように考えているか、伺いたいと存じます。
次に、厚生大臣にお尋ねします。
出かせぎをしなければ生活のできない半失業状態にある農家の状況に対し、何らの生活保護対策もないまま、保険財政のワク内における財政論で受給制限を行なうことは、社会保険から社会保障制度に努力すべきである国の責任を放棄するものであると思いますが、社会保障制度の大きな後退を意味するものと思うがどうか、御答弁を願いたい。
次に、労働大臣にお尋ねします。
出かせぎ季節労働者の問題は、農村の貧困、農業政策の貧しさから生じたものであるから、農業政策において、あるいは社会福祉の面で解決につとめるべきであります。それらの根本的施策のないまま受給者を締め出すことは、生存権の否定につながり、断じて行なうべきでないと考えます。したがって、それらの根本的政策で事態の改善が行なわれない限り、現状を継続さるべきものと考えるがどうですか。また、現金収入の少ない農民は、農繁期にさえ農村を離れ、出かせぎ収入にたよる以外、生活を維持できないのが実態であります。しかるに労働省では、失業保険受給者の七一%は世帯主で、これは農業に従事するより保険で暮らすほうが割りがよいから、という皮相な見方をし、農民の農業に対する勤労意欲の問題を、あたかも季節労働受給者がこの制度を悪用しているかのごとく考えているようであるが、それは農村の置かれている生活苦の実態をあまりにも無視し、かけ離れた理解をしていると思うがどうですか。この際、出かせぎ者に対する当面の保護対策を強化するために、出かせぎ対策機関等を設置をし、農家の出かせぎ実態の調査、就労経路の正常化、就労条件の明確化、技術訓練、留守家族の保護対策等の総合対策が必要と思うが、労働大臣にその考えはないか、お聞きをいたします。
次に、給付率についてお尋ねします。給付の基礎となるべき賃金水準が絶対的に低い上、国民生活全般から見て、賃金所得が生活確保の前提を満たしていないことであります。このような実態の中で、政府はわずかながら扶養加算の政善をしたとしているが、現在の六〇%給付水準では、とうてい当然社会保障本来の機能はおろか、最低生活の維持さえ困難であります。したがって、給付内容の改善と給付額を含めて大幅な給付率を引き上げる必要があると思うがどうですか。あわせて、附帯決議でも述べているが、労使の負担区分のうち、使用者負担を引き上げる必要があると思うが、それを改正する考えはないか、お尋ねをいたします。
次に、失業保険を必要とする五人未満の企業にも適用範囲が拡大されたことは、当然でありますが、現在すでに強制適用の対象でありながら、実際にはまだ適用されておらない数多くの事業所があるが、それらの強制適用できない原因と対策についてお伺いをいたします。
不正防止の徴収金の制度についてお尋ねをいたします。不正受給者から不正受給分の罰金を取る徴収金制度の新設については、中央職業安定審議会も、なお慎重な検討を要すると答申しております。しかし、政府は、納付命令制度に名称を変えただけで、事実上、罰金制度の新設に踏み切っているが、法制上、行政罰にはなお疑義はないか。
さらに、不正受給に対し何らかの行政措置をとることは必要としても、行政罰として二倍までの徴収金を科することは、失業保険制度の性格上、また他の社会保険制度との均衡上からも、制裁方法としては不適当であります。行政指導の強化と返還命令制度の活用につとめて、現行法の運用で防止すべきであると思うがどうか。
さらに、今回の改正にあたって何ら触れられていないが、当然、農林水産業など全事業所も含めるべきで、失業保険の適用に不利な取り扱いをすべきではないと思うが、適用範囲に入れなかったのはどういう理由であるか、お聞きをいたします。もし将来的な問題として考えているならば、具体的に方向を示してほしいと思うのであります。
最後に、農林大臣にお尋ねしますが、出かせぎ農民は、すべて、不安定な臨時雇いや事故率の高い土建業など劣悪な労働条件と危険な重労働に従事しているのであります。何よりも重要な問題は、出かせぎによって農家経営を破綻させ、農業の生産性を停滞させていることに対して、出かせぎ対策としてどのような対策を行なってきたか、具体的に説明してほしいと思います。また、出かせぎを固定化しないためには、自立農家の育成、経営の近代化、地元産業の育成などをはかることが出かせぎをなくする恒久的対策と思うが、今後出かせぎをなくする方法として、どのような施策を考えているのか、明らかにしていただきたいと存じます。
以上で私の質疑を終わりますが、失業保険法は、国民にとって、しかも、適用をされるべき低所得者層の失業している労働者にとっては、生活権の確保の立場からその大幅な改善は切実な願いであります。むしろ、祈りに近い気持ちでいるだけに、このたびの改悪案にはわが党は絶対に容認できないのであります。どうかこの国民の願いに対して政府は深く反省し、本改正案を撤回して、もっと前向きの姿勢で改善策を検討されんことを強く要望いたしまして、本案に対する私の質疑を終わります。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/7
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008・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま担当大臣から御説明いたしましたように、今回の改正は、いわゆる五人未満の零細企業所、そういうところにも労働保険を全面的に適用しようと、こういうのを主眼にしております。そうして、失業保険の利用が一部に片寄っておる、こういう点を是正しようとする改正案でございます。先ほどの提案理由のとおりでございます。
そこで、憲法二十五条、二十七条あるいは十四条、これらとの関係に触れますが、私は、全然憲法違反ではないと思っております。ことに二十五条、これは生存権に関する規定でございますけれども、ただいま議題になっておりますものはどこまでも保険制度でございます。いわゆる生活保障、無拠出による生活保障制度とは違うのでございますから、二十五条の問題ではございません。また二十七条の勤労権の問題、これとは直接は関係はございません。十四条の問題は、法のもとにおける平等、こういうことを規定しておりますが、合理的な差別はこれを禁止しておるものではございません。したがいまして、十四条にも違反しているものではない、はっきり申し上げておきます。
また、在来から支給されておりました季節的な受給者に対する問題でございますが、これは今回の改正におきましても引き続いて従前どおり支給するのでございますから、その点の御心配はないようにお願いしたい。
また、五十一回国会の衆議院における社会労働委員会における附帯決議の問題でありますが、これも第一は、労働保険を全面的に適用拡大しろということ、さらにまた、給付内容を改善しろということ、この二つが骨子でございます。これらの点を十分勘案して、今回の改正をいたしたものでございます。どうぞ御了承願います。(拍手)
〔国務大臣早川崇君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/8
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009・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 第一の私に対する御質問は、季節労働者の問題で、本来、農業政策、社会福祉政策で解決さるべきだが、そのつなぎとして現状を継続しろ、こういう御主張のような質問でございます。この問題は、結局、こういうことになっておるのでございます。現在、東北、北海道を中心とした季節的出かせぎ労働者の数は約六十万人、しかも、保険料を納める金額は約八億円でございまするが、保険金を受け取るのは三百億円、約四十倍、保険料の四十倍を保険金として受け取っておるわけでございます。しかも、それが必ず毎年繰り返していくわけでありまして、こういうことがはたして保険に合うというものであるかという問題がございます。諸外国でもこういった繰り返し季節労務は除外いたしておるのも、そういうところでございますが、政府としては、保険の理論からいえば、こういうことは、結局、ほかの人の負担になるのでありますから、不合理でありますけれども、佐野さんの御指摘の線に沿いまして、どうしても一挙に農業問題は片づきませんから、われわれといたしましては、そういった出かせぎ労働者のために、今回の改正におきましては、既得権はそのとおり尊重して、継続して保護していく、新たにそういう季節繰り返し労働に入る方に対しましても、三十五歳以上の中高年の人は従来どおりといたしましょう、さらに、三十五歳以下の若い人にも、家族持ちの方は、これはひとつ従来どおりに、保険料の四十倍の保険金を毎年繰り返し払ってあげましょうと、しかし、それ以外の若いひとり者は、結局、一回、二回は従来どおり四十倍払いますけれども、三回目からはその半分、すなわち、二十倍程度で、ごしんぼう願いたい、そうして、いま人手不足ですから、どこでも職業はいけるわけでありますから、この程度の合理化というものは、保険料を納めておるほかの労働者、それから国民、使用主という人たちの負担の均衡から見ましても、これはやむを得ないんじゃないか、かように考えておるわけであります。
二番目の、農業に従事するよりも保険もらって食ったほうが割りがいいじゃないかという考えで労働省でやっておるのはけしからぬ、こういう御意見でございますが、これは実際の姿が、現在のこの出かせぎ労働者は、農繁期に出ていくのであります。それが八四%、そうして、あと農閑期に帰ってくると、こういう実態をさして申したのでありまして、決して他意があっての考え方はないということを御了承願いたいと思います。
三番目には、出かせぎ対策に対してどう考えるか。労働省といたしましては、今回の予算におきまして、出かせぎ者を受け入れる地域に、出かせぎ者の相談所を東京と大阪に設置することにいたしました。また、出かせぎ者が出る地域につきましては、関係機関に出かせぎ対策協議会を設けまして、就労経路の正常化とか、あるいは賃金の不払いのないようにとか、いろいろな施策を講ずることにいたした次第でございます。
第四番目には、給付率の六〇%は、いまの賃金からいって低過ぎはせぬか、こういう御質問でございます。しかし、諸外国とも大体六〇%、それから、ほかの厚生省関係の保険も大体六〇%でございます。大体この六〇%給付というものは妥当な給付率だと考えておるわけでございます。
それから、保険料の労使折半という問題にお触れになりましたが、これまた諸外国でも労使折半、日本はそのほかに国庫の負担が四分の一ございます。これも、いま特に改正する必要がないことだと考えております。
次に、未適用事業所が現在の失業保険にも三割あるじゃないかという御質問でございます。現在、労働者数にしますと九六・五%まで失業保険が強制適用されておりまするが、事業所別にすると、なるほど御指摘のように、現在の失業保険の適用事業所も把握できないところがございます。しかし、これは五人未満事業所との境目の事業所に多いものですから、今回の改正によりまして五人未満の事業所も全部強制適用ということになりましたならば、事業組合の制度の活用とか、あるいは労災保険、失業保険の事務の一元化を通じまして、この把握率はうんと高まるものと考えておる次第でございます。
六番目には、徴収金制度を設けたのは憲法違反ではないか、法律違反ではないかという御指摘でございまするが、佐野議員も御承知のように、健康保険法でも、保険料を納めない者はその二倍以上の納付を命ぜられまするし、鉄道営業法におきましても不正乗車にはすでに同様な制度があるわけでございまして、これは不正で、しかも詐欺で保険金を取った者に対しては、現在不正受給がどんどんふえておりますので、そのまま放っておきますと、現状におきましては保険の破壊に導くおそれがございますので、これは法律上の問題がございまするので、今回この徴収金制度を設けた次第でございます。
最後に、農林漁業に対しても強制適用を考える意思はないかという御質問でございます。農林漁業におきましては、御承知のように、季節的な労働が主でございまして、しかも、雇用条件、雇用形態が、事業所につとめる勤労者と違っております。そういう関係で、この問題は、現在任意適用、はっきり雇用関係ができている農林漁業には任意適用の制度を設けている次第でございます。これを全部強制適用にすると、たいへんな財政の負担にもなりまするし、その雇用関係も明確でありませんので、今後の課題として検討してまいりまするが、現状におきましては、任意適用の制度をさらに十分活用をいたしてまいりたい。雇用形態のはっきりした農林漁業につきましては、失業保険、労災保険も適用する道が開けているわけでございます。それを行政的に活用してまいりたいと考えている次第でございます。(拍手)
〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/9
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010・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 失業保険の適用拡大によりまして、適用事業所の数は約百万ヵ所も増加いたしますので、御指摘のように事務量は非常に増大いたしますが、これに対しましては、労災保険との徴収事務を一元化するということ、それから労災・失業両保険の機構の統合と事務の機械化をはかるというような施策によりまして、できるだけ事務量を軽減することにつとめたいと存じます。
また、職場の移動率が約一五%ぐらい高くなることを予想しておりますが、いま労働大臣が説明されましたような短期循環受給者の給付を合理化するというようなことができますれば、いまのところは、失業保険の財政の健全性というものは十分維持される見通しでございます。(拍手)
〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/10
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011・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 私に対する御質問にお答え申し上げます。
低所得の出かせぎ世帯につきましては、生活保護その他社会福祉の施策の中で、その生活の援護が行なわれておるということは、御承知のとおりでございます。今回の失業保険法の改正は、趣旨説明にも明らかにされておりますとおり、家族をかかえている出かせぎ者などについては、特別の配慮を加えながら、失業保険事業の合理化による事業総体としての健全な発展を期して、所管省が企画されたものでありますから、社会保障の後退を意味するものではないと考えております。(拍手)
〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/11
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012・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 出かせぎについてお話がございましたが、出かせぎは、御承知のように、その態様が非常にたくさんあると思います。で、ただいまのお話の出かせぎは、多分長期的な出かせぎのことだと存じますが、これはもう御指摘のように、農業従事者が出かせぎに参るということについては、やはり出かせぎに行かなくても、その農業所得を確保するようにいたすことは、当面最も大事なことであります。そのためには、農業の近代化をはかり、その所得をふやすと一いうことに真剣に取り組まなければなりませんが、私は長期的に見ますというと、御承知のように、たとえば、二反歩とか三反歩とかしか田畑を持っておらない農家が、それで一年の生計を立てるというところに非常に無理があります。そういうことと、もう一つは、先ほどお話のありましたように、日本の産業がだんだん成長いたしてまいって、労働力不足を訴えておる反面がございます。そういうこと等を総合して、政府といたしましては判断をいたしまして、やはりそういうところにおいては、農業のほうでは規模を拡大することによって、日本の農業を国際競争力を持てるしっかりしたものにつくりあげる反面において、やはり一方においては、その農業に依存しなくてもよい立場の農村の人々に向かっては、農家のその方の家計の所得をふやすような方向に、やっぱり援助していくべきではないか、長期的にはそういうことが必要であると思いますが、当面はただいま御指摘のように、やっぱり農業委員会の組織等を通じて、川かせぎの家庭のめんどうを見てあげる、あるいは生活環境についてお世話をしてあげるというふうにしなければなりませんが、この問題は、私はやっぱり日本の産業構造全体の中で、真剣に取り組むべき、最も近い将来に大きな問題になると思いますので、そういう角度で、政府部内で相談をいたしてやってまいりたいと思っております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/12
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013・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/13
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014・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第二、航空業務に関する日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件。
日程第三、千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約第四条を改正する議定書の締結について承認を求めるの件。
(いずれも衆議院送付)
以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/14
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015・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。外務委員長赤間文三君。
〔赤間文三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/15
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016・赤間文三
○赤間文三君 ただいま議題となりました条約二件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、シンガポールとの航空協定について申し上げます。
わが国航空企業のシンガポールヘの運航は、日本・マレイシア航空協定に基づいて行なわれてまいったのでありまするが、シンガポールがマレイシアより分離独立いたしましたために、シンガポールとの間に、新たな航空協定を締結する必要が生じたのでございます。
本協定は、わが国とシンガポールとの間の定期航空業務について取りきめることを目的といたしまして、業務の開始及び運営についての手続と条件を規定するとともに、両国の航空企業の運営路線を定めたものでございまして、わが国が、これまでに締結いたしました多くの航空協定と、形式、内容ともに、ほぼ同様でございます。
次に、国際博覧会に関する条約第四条を改正する議定書は、近年、国際博覧会の開催の頻度が増加の傾向にございまして、参加国の負担が過重となるおそれがありまするので、国際博覧会開催頻度の規制を強化しようとするものでございます。
なお、昭和四十五年にわが国で開催をせられまする万国博覧会につきましては、この議定書の開催頻度に関する規定は適用されないこととなっております。
委員会は、両件につきまして慎重審議を行ないましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
六月二十日、質疑を終えまして、討論、採決の結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/16
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017・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、航空業務に関する日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/17
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018・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本件は承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/18
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019・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 次に、千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約第四条を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/19
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020・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/20
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021・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第四、農業共済基金法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)。
日程第五、森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案(内閣提出)。
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ君あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/21
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022・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長野知浩之君。
〔野知浩之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/22
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023・野知浩之
○野知浩之君 ただいま議題となりました二法律案について、委員会の審査の経過及び結果を報告いたします。
まず、農業共済基金法の一部を改正する法律案は、農業共済基金の融資能力を拡充するため、その資本金を増加することができることとし、これに伴う政府及び会員の追加出資の規定等を整備するものであります。
委員会の審査におきましては、基金の増資と将来の収支見通し、基金の融資業務の内容、共済連合会の事業過不足金とたな上げ措置の経過、新種共済等を含めた共済事業運営の実情等が問題となりました。
質疑を終わり、討論、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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次に、森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案は、最近における森林病害虫等の発生及び防除の状況に対処して、薬剤防除を命ずることかできる範囲を拡大し、緊急時における駆除命令の手続を簡素化する等の改正を加えようとするものであります。
委員会の審査におきましては、マツクイムシ等のおもな森林病害虫獣の被害と対策、早期発見、早期駆除に必要な措置、防除体制の整備、試験研究の充実等が問題となりました。
質疑を終わり、討論採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
続いて中村委員から、自民・社会・公明三党共同をもって、防除体制の充実強化を促した七項目の附帯決議案が提出され、全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。
右報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/23
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024・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、農業共済基金法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/24
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025・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/25
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026・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 次に、森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/26
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027・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/27
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028・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第六、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長浅井亨君。
〔浅井亨君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/28
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029・浅井亨
○浅井亨君 ただいま議題となりました司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案について、法務委員会における審議の経過と結果を報告いたします。
本法律案は、司法書士会、司法書士会連合会、土地家屋調査士会及び土地家屋調査士会連合会を法人とするとともに、その会則及び役員に関する規定等を整備しようとするものであります。
委員会においては、司法書士会、土地家屋調査士会等の現状、法人化を必要とする事由、司法書士の業務と弁護士及び行政書士との関係、司法書士等の監督と懲戒、司法書士の志願者と選考方法、土地家屋調査士の業務と測量士との関係等について、各般の質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知を願います。
質疑を終わり、討論には別に発言もなく、次いで採決の結果、全会一致をもって、本法律案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
以上報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/29
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030・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/30
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031・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/31
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032・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第七、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)。
日程第八、商品取引所法の一部を改正する法律案(内閣提出)。
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/32
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033・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。商工委員長鹿島俊雄君。
〔鹿島俊雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/33
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034・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 ただいま議題となりました二法案につき、商工委員会における審査の経過並びに結果を申し上げます。
まず、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案は、信用保険制度の整備拡充をはかるためのものでありまして、臨時措置として設けられ、去る三月末に三ヵ月間期限を延長して実施されております無担保保険及び倒産関連保証の特例措置を恒久化するため、本法のうちに取り入れることとし、その際、無担保保険において保険に付し得る限度額を五割増額し、それに伴い、従来の第二種保険は名称を普通保険と改め、やはりその保険に付し得る限度を五割増翻し、あわせて、近代化保険についてもその対象範囲を拡大しようとするものであります。
本委員会におきましては、特別小口保険の運用状況、保証料率の引き下げ、保証付貸し出し金利の優遇の問題等について、熱心な質疑応答が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終わり、討論に入りましたが、別に発言もなく、採決いたしました結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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次に、商品取引所法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案は、取引所における売買取引について委託者と商品仲買人との間に紛議が頻発し、さらに仲買人の倒産等により委託者が損害をこうむる事例が増大している現状にかんがみ、その弊害を是正するため、次のような諸点を改正しようとするものであります。
第一に、商品仲買人の資質向上をはかるため、これが登録制を許可制に改めるとともに、これを商品取引員という名称に改めていくこと。
第二に、仲買人から受託業務保証金を取引所に預託させ、委託者に優先権を与え、債権保護を強化すること。
第三は、不当勧誘などを禁止し、外務員に対する監督を強化すること等であります。
本委員会におきましては、特に参考人の出席を求めて意見を聞くとともに、農林水産委員会との連合審査をも行ない、慎重に審査いたしました。その質疑のおもなるものは、商品取引所の設置数、上場商品の流通高と出来高との関係、その適格性と過当投機の問題、特に委託者保護という観点からは、委託証拠金の分離保管、仲買人の倒産事例、受託業務の許可基準等について、また、特に問題の多い農産物の取引について、取引所の価格決定機能と農業生産との関係、指示価格制度と取引所投機の問題に及ぶなど、商品取引所制度全般についても活発な論議が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して小柳委員より、原案に賛成するとともに各派共同提案の附帯決議案が提案されました。次いで、自由民主党を代表して近藤英一郎委員から、また、公明党を代表して矢追委員から、それぞれ本法律案及び附帯決議案に賛成する旨の意見が開陳されました。
討論を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定し、さらに、附帯決議案も全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
決定されました附帯決議は、
一、政府は、改正法の運用にあたっては、商品取引所制度が、その本来の目的より逸脱しないよう運用するため、投機取引の商品別適正配分等、格段の努力をすること。
二、政府は、商品取引所制度の根本的改善のために、今回の法改正で取り上げられなかつた諸問題についても、引き続き検討し、成案を得るように努力をすること。
という内容でありますが、これに対し、管野通産大臣及び久保農林政務次官から、それぞれ善処する旨の発言がありました。
以上報告を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/34
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035・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/35
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036・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/36
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037・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 次に、商品取引所法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/37
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038・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515254X01819670621/38
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