1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月二十六日(火曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 大野 市郎君
理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君
理事 徳安 實藏君 理事 福井 勇君
理事 山村新治郎君 理事 野間千代三君
阿部 喜元君 大竹 太郎君
加藤 六月君 菅波 茂君
中川 一郎君 西村 英一君
福家 俊一君 水野 清君
井上 泉君 神門至馬夫君
内藤 良平君 矢尾喜三郎君
米田 東吾君 沖本 泰幸君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 中曽根康弘君
出席政府委員
運輸政務次官 金子 岩三君
運輸省海運局長 堀 武夫君
委員外の出席者
日本開発銀行理
事 松永 勇君
専 門 員 小西 真一君
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三月二十六日
委員板川正吾君辞任につき、その補欠として河
野密君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員河野密君辞任につき、その補欠として板川
正吾君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二十五日
臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(
内閣提出第三六号)(予)
同月二十六日
港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案(
内閣提出第九九号)
同月二十二日
鹿児島県西桜島村、鹿屋市間国鉄自動車路線を
根占町まで延長に関する請願(橋口隆君紹介)
(第二九三五号)
国鉄の定期運賃値上げ反対に関する請願(阪上
安太郎君紹介)(第三〇一二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補
給臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一七号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/0
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001・大野市郎
○大野委員長 これより会議を開きます。
日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。砂田重民君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/1
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002・砂田重民
○砂田委員 海運の集約化と開銀利子補給、これはこういう助成政策を中核として海運界の再建整備を続けてきたわけでありますが、その再建整備計画があと一年を残しているだけでまさに終わろうとしているわけでありますが、今日この委員会に配付されましたこの資料によりましても、その整備計画がどのように進んできたかということがある程度うかがい知れる数字も私たちに示されております。
この機会にまず海運局長から、再建整備法の法律の目的という角度から、この再建整備の成果がどういうふうに進んできているか、大略まずそれを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/2
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003・堀武夫
○堀政府委員 再建整備に関する法律は三十八年の七月一日に公布、施行になっておるわけでありますが、この法律の目的と申しますか、それは御承知のとおり日本海運は、戦争によりましてほとんどの船腹を喪失いたしたわけであります。それで戦後、計画造船によりまして漸次苦しい中にも船をつくってまいりましたが、やはり資産のほとんどを失ったという痛手から、自己資金というものがほとんどない状態で、急速な船腹の拡充を行なってきたわけであります。世界の海運市況も必ずしもいいときばかりではございませんで、わずかにスエズブームあるいは朝鮮戦争直後のブーム、そういうときだけが若干息づくという程度でございまして、そのほかの時代はほとんど、非常に苦しい、市況の悪いときを過ごしてきたわけであります。そのために、本来非常に弱い体質であったわけでございますが、それがスエズブーム以後の非常な不況のために、何といいますか、非常な危機に直面をしておったのが昭和三十五、六年ころでございます。
とのようなことでは日本海運は非常にあぶないということで、何か抜本的な政策を施さないと立ち直らないという声が非常に強くなりまして、三十六年に海運造船合理化審議会に、抜本的な海運対策というものを諮問をいたしたわけでございます。この前後にいろいろと議論をなされ、どうしても抜本策をやるべしということでもってこの再建整備法というものが三十七年の五月に国会に提出されたのでありますが、そのときのいわゆる第一次案とでも申しますか、その案はまだ抜本的ではない、手ぬるいというような議論がありまして、この最初の案は継続審議のまま廃案になったという経緯になっております。そうして三十七年の十二月に、海運造船合理化審議会からその抜本的な対策に対する建議があり、そうして三十八年二月の国会に第二次案とでも申しますか、現行法ですが、それが提出をされたわけであります。そしてその六月に成立をいたしまして、七月から公布、施行されておるわけであります。
いま申しましたような経緯でございますので、この法律の目的は明らかに日本海運の再建ということが目的であるというふうに思うわけでございます。
その再建整備を行ないました以後の状態でございますが、再建整備と申しますのは、御承知のとおり、三つの柱からできておるわけであります。一つは集約体制をつくる。いままで非常に過当競争で規模が小さかった、そういうものを是正するために集約体制というものをつくる。それから、これを前提にいたしまして、過去における利子の猶予ということ、いわゆるたな上げでございますが、これが第二の柱でございます。それから、第三の柱といたしましては、そのとき以後における新造船に対する利子の補給を強化する。この三つの政策が立てられたわけでございます。
このような対策によりまして、その推移を見ますと、非常に成功裏に推移しておるのではないかというふうに私たちは見ております。と申しますのは、償却不足が、当初六百六十二億という額にのぼっておりました。これは集約参加会社のうち整備計画を出した会社四十一社の償却不足の額でございますが、これが去年の九月末では三十一億に減少をいたしております。それからまた、元本の約定延滞額の解消状況は、当初九百三十四億の巨額にのぼっておりましたものが、昨年の九月末で百十八億まで減ってきております。
このように順調に整備計画が進捗いたしておりまして、あと一年残っておりますところの再建整備期間には、おそらくこの残っておる償却不足も全部解消できるのではないかというふうにわれわれは見通しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/3
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004・砂田重民
○砂田委員 大局的に見て成功裏に進んできていることは、私も認めるところですが、内容をもう少しこまかく見ると、やはり中核六社中心の再建整備計画である、そう言えるのではないかと思う。現に系列会社、専属会社についてはよくなってきているけれども、いま海運局長が言われたように、百十八億の元本約定延滞額の解消をしなければならないものが残されている。あと一年でやり切れるかどうか、ちょっと疑問に思うところです。やはりこの計画立案の当初の事情から考えれば、集約化という非常に大きな問題をかかえてきただけに、オーナー対策もあわせて、完ぺきなものを期してこれなかった点もあるだろうと思うのですが、あと残された一年間でオーナーの問題が解決するかといえば、ちょっとこれはむずかしいのじゃないか。今後の問題として、系列会社、専属会社、系列会社、専属会社に属していない中小海運企業、そういったものの、特にオーナー対策について、基本的な運輸省の考え方というものを、きょうすぐここで明らかにしろとは言いませんが、十分ひとつ検討を続けていっていただきたいと思います。
それから、大局的に見れば、この数字を見ても集約が予期どおりに進みまして、再建整備スタート時の主たる目的であった償却不足解消という企業救済的な意図は達成できる見通しと承知をするのですが、ここで見過ごしてならないことが一つあるのは、再建着手のころは借金経営の解消が先決問題であって、船腹の大量建造ということは経営の重荷をふやすだけだというふうな批判的な意見が一部にあったのですが、今日までの再建の実績を見てみますと、船腹拡充という問題と借金経営の解消という二つの問題が、並んでともに成果をあげつつ進んできたということ、このような好結果をもたらした要因としては財投、利子補給等の助成と結びついて異常なまでに力強かった日本の造船力の問題、あるいは船員の質が非常にいいものであったという問題、さらにもちろん海運界自身の企業努力等もありましょうが、何よりも大きな力となったものは、わが国自身の輸出入貨物の大幅な伸びにささえられた、これが最も大きな要因だったんじゃないだろうか、こう私は考えるのです。わが国輸出入貨物の非常に大きな伸びということは、ことばをかえて言えば、日本経済の伸びである。さらにことばをかえて言えば、日本経済が貿易と密着しているという構造的な宿命、あるいは宿命的な構造といいますか、こういったものが海運企業に要求したその力にささえられて、これだけの整備計画を、しかも大量建造をあわせてやっていくことができた、こう考えます。
そこでもしお手元に数字がありますならば、最近の世界海上輸送の荷動きの中に占める日本関係貨物の割合、パーセンテージをお示し願いたいと思います。海上貨物の全部のものというととてもたいへんですから、海上貨物の大宗でもあるし、わが国として供給源を外国に求めざるを得ない日本経済の基幹的な原材料の石油、石炭、鉄鉱石、この三つぐらいについて数字がおわかりならば示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/4
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005・堀武夫
○堀政府委員 世界における荷動きの中で日本関係の輸出入物資の輸送量に占めるシェアと申しますか、そういうものの地位はどういう数字になっておるかという御質問でございますが、ただいまもお話しございましたように、日本経済の急速な伸びに従いまして、原材料の輸入というものはいま非常な伸びを示しておるわけであります。量が伸びておるということに加えまして、原料を積み込むいわゆる輸入源と申しますか、それが非常に遠いところにある、そのために輸送距離が非常に伸びておるという二つの要因とをわれわれは十分注意しなければならないわけであります。そういう意味から量とその距離をかけ合わせたトン海里というファクターも十分注目する必要があると思います。
それで、ただいまおっしゃいましたように、鉄鉱石、石炭、燐鉱石という主要な三つのものについてこれを見てみますると、たとえば昭和十一年で鉄鉱石の輸入量というものは三百九十万トンぐらい、約四百万トンでございましたが、これが四十一年で見ますと、四千六百万トンというふうに物量そのものがふえております。したがって、倍率で見ますと十一倍半というふえ方をいたしておるわけでございます。それで、たとえばいま申しましたトン海里というものについて見ますと、昭和十一年では八十四億トン海里であったものが、昭和十一年では二千八百二十六億トン海里、これは倍率で見ますと三十三倍強になっております。このように非常にふえておる。鉄鉱石の世界の輸送量の中に占めるシェアを見ますと、輸送量で二五・七%、トン海里で見ますと四四・三%という非常に高い率になっております。すなわち、世界における鉄鉱石の荷動きのうちで日本の輸入にかかる鉄鉱石の割合というものは、距離を勘案してみた数字で見ますと四四%が日本への輸入の量である。非常に高い率を示しているわけであります。
これを同じように石炭について見ますと、昭和十一年から四十一年の輸入量の伸びを見ますと、約四倍にふえております。トン海里では約十倍にふえております。平均距離を見ますと、昭和十一年の四倍ぐらいの平均距離になっております。これを同じように世界の中におけるシェアというもので見ますと、輸入量では二八・九%、それからトン海里で見ますと四〇・七%、やはり同じように非常に高いシェアを示しております。
燐鉱石についてこれを見ますと、輸入量につきましては、昭和十一年から四十一年には約三倍にふえております。トン海里で見ますと、三倍半弱にふえております。これを世界の中における日本のシェアという観点から見ますと、輸入量では九・三%、トン海里で二一%というふうになっております。
なお、原油についてこれを見ますと、世界の中におけるトン海里のシェアというのは一二・七%を占めております。このように日本を中心とする海運というものの重要度は、非常に高まっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/5
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006・砂田重民
○砂田委員 いま伺いますと、膨大な貨物量がわが国を中心に動いておる。さらにその貨物が日本経済をささえていることが明らかでありますが、今後の経済発展を考えましたら、ますますこの量はふえていく。しかも、世界の中でのシェアを考えても、おそらくこのパーセンテージもまだまだふえていくんじゃないかと思う。
そういたしますと、輸出振興という問題と同時に、邦船によるわが国関係貨物の積み取り比率の改善ということも、またそれによって貿易外収支を改善させていくということが非常に大きな問題になってくると思うのです。この貿易外収支の赤字を慢性化させておいてはならない。これは運輸省の重大な一つの使命であると思うし、今後も――今後というよりは、一度再建整備計画も終わるこの時期にこそ、よほど腹をきめて取りかかられなければならないことだと思いますが、その再建整備の一つの目的である企業救済的なそういう仕事は一応終わっても、船腹の大量建造は引き続いて、こういう観点から考えてもやっていかなければならない。
そこで、四十三年度で再建整備計画が終わるわけです。いろいろな再建整備計画をやるための財政的なあるいは税制的な助成策なども、四十三年度で大体済んでいってしまう。今日私たちが審議しておりますこの法律も、再建整備計画の年次に利子補給を一年だけ延ばして合わせていこうということであって、これも四十三年度で切れてしまう。
そこで、四十三年に再建整備計画が終了したあとの、四十四年度からの新しい海運政策、これはどうあるべきものなのか。再建整備計画ではなくて、国民経済の長期的展望に立っての今度は海運の発展計画はどうあるべきか。おそらく運輸省でも相当検討しておられることと思いますが、そういうことについて、審議会等にこれから手続をそれぞれ済ましていかなければ明確な答えは出てこないと思うのですが、この機会にひとつ海運局長としての基本的な、四十四年度からの新しい海運発展政策はどうあるべきかという点を聞かしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/6
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007・堀武夫
○堀政府委員 現在進めております再建整備計画があと一年で終わるわけでありますが、その後はどうするのかという問題につきまして、すでに昨年の九月に、海運造船合理化審議会に対しまして運輸大臣から諮問が発せられておる次第でございます。昨年の十二月に中間答申の形でとりあえずの、利子補給を継続すべきやいなやということにつきましての答申が出ておるわけであります。それ以外の問題につきましては、現在さらに総合的な立場から海運造船合理化審議会で検討されるという段階に相なっておるわけであります。われわれは、その海運造船合理化審議会の、言うならば事務局といたしましていろいろ勉強をいたしております。もちろん、まだ固まった政策というものはできておりませんが、途中の段階ではございますけれども、大体の考え方として、われわれが事務局としていろいろ研究をしておる考え方というものを若干申し上げてお答えにしたいと思います。これは海運造船合理化審議会で議論をされて、しかる後に固まるものでございまして、最終的なものでないことはもちろんでございます。また、いまから申しますことも、そんなに具体的なことまで固まっておりませんので、あまり具体的なことを申し上げることはできませんので、ひとつ御了承をお願いいたしたいと思います。
われわれの考えております海運新政策というものは、まず従来の、いま行なっておりますところの再建整備というものは、この目標はいわゆる危機に瀕した日本海運の再建ということであったのでありますが、一応、体力はまだ十分ついていないとはいえ、とにかくこの五年間で再建したという前提で、今後どうするか。今後の目標といたしましては、再建から発展へ、基本的にそういう考えで進めていくということに相なるわけであります。
それで、その発展と申しますのは、先ほど砂田先生からもおっしゃいましたように、世界一の造船業と優秀な船員というものを持っております日本海運といたしましては、やはり成長基幹産業としての条件を備えておるものとしてこれを発展せしめ、しかもこの日本海運は日本の異常な経済発展に伴うところの輸送需要の伸びというものにささえられておりますので、十分発展の素質があるというふうに思われるのであります。一方、国際収支改善ということもこれからの日本経済発展のためには欠かすことのできないことでありまして、これは従来からも日本海運を再建するための一つの理由であったわけでございます。そういう観点から見ますと、日本経済発展の規模が非常に大きいだけに、それをささえていくところの日本商船隊の拡充ということも、これから大いに取り上げなければならぬと思うのでございます。そういう意味から申しまして、やはり大量建造ということをさらに引き続きやっていく必要があるということは言えるのではないか。その大量建造計画というものが、言うならば海運の発展計画ということになっていくものと思われます。しかしその発展計画の中では、定期船をさらに拡充をしていく、あるいは輸送革命といわれますところのコンテナ船の建造をさらに推進をしていくとか、それから無保証船の建造というものをこれからどんどんふやしていく。これはいままでの船の建造は長期契約による船を重点にしてきましたが、やはりスポット船と申しますか、そういうものをもって世界をまたにかけていくという、将来の日本海運発展のためにはどうしてもこういうような船をつくる必要があるというふうに考えるわけでございます。それによって三国間輸送というものが拡充されていくだろうと思います。また、原料輸入というものがまだどんどん伸びているという立場から、専用船とかタンカーの建造というものも今後進めていかなければならぬ、そういうようなことが当然海運発展計画の内容として考えられると思うのであります。
このような海運発展計画をささえていくためには、国際競争力というものをどうしても日本海運は持つ必要があるわけでございます。それで、その国際競争力といたしましては、企業としての体力というものを充実するということが一つ。それから一船別の競争力というものを持つことが一つ。この二つの面がどうしても必要ではないかと思われるのであります。企業としての体力というものを充実していくためには、いわゆる企業体制というものをどうして維持していくかということが一つのテーマとなると思います。現在集約体制というものを維持しておるわけでありますが、この体制は今後も続けられるべきではないか、少なくともこれを解体すべきではないというふうに考えるのであります。逆に、いろいろな面で集約を強化する必要というものもあるのではないか。どのような方法でそういうことをやるかということは、十分これから検討する必要があると思いますけれども、従来の、いわゆる法律をもって強制するというやり方はとるべきではないのではないかというふうに考えております。
さらに、企業体力の充実という点からもう一つ大事なことは、内部留保というものを充実する必要がある。海運界の再建が順調に進んでおるとはいいましても、内部留保という面から見ますと、外国の海運企業に比較いたしまして、まだはなはだしく劣る点がございます。そういう方面を充実していくというためには、税制によるささえというものをさらに続けていく必要があるのではないかというふうに考えます。
それから一方、一船別の競争力というものを充実していく、強化していくというためには最小限、輸出船と同じような程度の待遇を考えるべきではないか。と申しますのは、世界における毎年の建造力の半分くらいが日本の輸出船でございます。それでこの輸出船は、輸銀による輸出金融ということで相当な競争力を持った船になっていくわけであります。少なくともそれと同じような待遇にいたしませんと、そのハンディキャップがつくということになりますし、国民感情としても納得できないということになります。この輸銀の制度というのは、いわゆる世界の船舶建造条件の大体の相場ということになっておりますので、日本の輸出船と同じような待遇にするということは、世界において大体諸外国と同じような競争力を獲得できるという条件にもなると思います。そういう観点から、これが輸出船と同じような程度の条件によって船を建造することができるようにしてやるということが、一つの大きな目標になるのではないかというふうに考えます。したがいまして、自己資金の投入というのをある程度義務づけていく。従来の建造方式というのは、まるまる借金でやっておるわけでございます。開銀の融資と市中の融資。やはりこれからは自己資金の投入を義務づける、漸次自己資金の量をふやしていくという形に持っていくべきではないかと思います。いま言いましたような観点から、財政の融資比率とか船主の負担金利とかいうものを考えていくべきではないか、そのように考えております。その他外貨獲得という観点から、三国間助成というものを強化をするというようなことも、一つの方策ではないかというふうに考えております。
大体の方向のようなお話の程度でございますが、まだこれからいろいろ検討をしていく必要があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/7
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008・砂田重民
○砂田委員 事務当局の方向づけといいますか、大体のお話を承りました。まだいろいろたくさん伺いたいことがあったのですが、時間がありませんので、ひとつ私が伺いたいことを取りまとめて申し上げます。
いま海運局長から私ども御説明を承ったような方向で、四十四年度からの新しい海運発展計画というものを運輸省がこれから考えておいでにならなければなりません。そこで申し上げておきたいと思いますことは、自己資金投入の義務づけ等考えておられるようでございますが、いずれにしても大量建造の国家的な要請といいますか、日本経済全体の要請といいますか、これは海運企業がその企業自身の利益追求、あるいはその内容を充実さしていくということだけで考える、それ以上の大量建造、そういう要請が日本経済全体から、あるいは国家要請として私はあろうかと思う。そういうことから、新しい四十四年度からの新政策についても、いろいろな助成をお考えになることと思うのですが、それがどういう形の国家助成であるにしても、一企業界に相当膨大な財政の投入なり、あるいは補助金が出るのか、税制上の措置があるのか、利子補給がまたあるいは違う形であるかもしれません。内容は違うかもしれないけれども、利子補給も何か考えられていくのか。いずれの形の利子補給にいたしましても、私は一つの企業界へ膨大なそういう国の助成があるということは、その企業の内容、本質、特異性、こういったことが十分全国民的な理解の上に立った助成でなければ断じてならない、そういう気持ちがいたします。たとえば海運企業というものの日本経済の中での特殊な性格、特異な体質を国民の前にもっと明らかにする必要があるのではないか。たとえば国民経済全体の中で、貿易外収支改善ということがどのような問題なのであるか。貿易外収支改善のための海運界の使命というものは、どういうところにあるのか。貿易外収支改善に海運界がどういう働きができるのか。そのことが大企業といわず、中小企業といわず、他の日本の産業全体にどのような影響をもたらすのか。この海運という企業は国際競争そのものであって、配当はできるようになったものの、現在の企業の体力というものはまだ不十分なものであるのだ、その内容。あるいはまた、自己資本率が高く、充実した体力を持っている上に、直接補助金等の制度を含みましたそれぞれの助成措置を受けている、日本のコンぺティターである各国の外国船との国際競争力、これとの戦いというものは、いままでも利子補給や税制上の措置や、そういう国家助成を受けてかろうじて保ち得てきた、この姿。こういった問題についてのこれからの見通し、あるいはまた海運業というものは、他の製造業に見られるように技術や商品の品質による競争、そういう度合いが非常に小さい。設備金利がそのまま競争力の強弱に結びついている、そういう度合いが非常に大きい、こういう特殊性。また海運界は、国際競争を弾力的に調整をするような国内市場というものを持っていない。国内市場でいいかげんトレーニングをされて国際競争力をつけて国際社会に出ていくということではない、この企業は。そういう特殊性。さらに、さっき局長からもお話がありましたようなコンテナ化に必要な巨大な投資がこれから必要だ、あるいはまた、つい先般のUNCTADの会議によってもうかがい知れる発展途上国の進出、また共産圏の海運の進出による競争激化、こういったいろいろなこの企業の持っております特殊性、特異性、日本経済全体に及ぼすいろいろな影響、こういったことについて全国民的な理解を得るための努力が、四十四年度からの新しい海運政策を立てていくについて運輸行政上も絶対必要なことである。このような努力を伴った四十四年度からの新しい海運発展計画の樹立を強く要望しておきたいと思います。集約化に払われたのと同様な企業努力が続けられて、政府の海運の発展のための助成が適切でありましたならば、ごく近い将来に、造船と並んでやはり世界一の海運国という立場をわが国がとっていけるんじゃないか、そういう確信が持てるような環境にも恵まれていることでございます。もし海運も世界第一位になれないとするならば、それは政府の海運政策が悪いのか企業努力が足りないのか、どちらかであろう。どうぞそういった意味合いから運輸省の一そうの御奮闘を要望いたしまして、先ほど海運局長から私が答弁いただきました新しい海運政策等についての政務次官の御決意のほどを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/8
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009・金子岩三
○金子政府委員 砂田先生の御意見はまことに適切でありまして、海運業というのは非常にむずかしい。これは国全体の経済の動きの見通しを立て、そして日本の海運をいかにすべきかといったような見通しがおのずから立ってくるのでありますが、戦後壊滅に瀕した日本の海運が世界一の船腹を所有した国になるべきだ、こういう御主張でありますが、いま第五位を占めており一千六百八十八万トン、あるいは建造能力は世界の第一位をもう七、八年持続しておるというような海運、造船については非常に強い力を持っているわが国の海運を、四十四年度からどういう方向づけをするかということは、これは非常に大きな問題でありましょう。国民全体が納得のいくような海運政策、こういう考え方でいきますと、この日本の経済の将来の見通しにマッチした、いずれの方面から見ましても、日本の海運を今後第一位にまで成長させるのには、これはまことに適切だ、国民の税金をこの程度使ってもいいのだといったような理解のいくような方向づけをすることは、たいへん努力が必要であろうと思います。先生の御意見なり御要望を十分尊重いたしまして、ひとつ慎重に検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/9
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010・大野市郎
○大野委員長 内藤良平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/10
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011・内藤良平
○内藤(良)委員 今回の法案の条文はきわめて簡単でございますけれども、歴史的には非常に古い経緯があると、私もいろいろ調べてわかってまいりました。そこで、これは私たちも勉強でございますけれども、政府、運輸省でいろいろ海運に関しましては助成をしておるわけであります。私の知っている範囲でも、外航船舶の建造の融資利子補給及び損失の補償、それから今度の一部改正のこの法律、海運業の再建整備に関する臨時措置法、これは海運助成の三法とかといわれておるそうでありますが、この沿革といいますか、移り変わりといいますか、歴史的なものですね、これをひとづかいつまんでお話し願いたい、こら思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/11
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012・堀武夫
○堀政府委員 利子補給の沿革と申しますか、そういうものについてお話ししろということでございますが、日本海運は、先ほど申しましたように、戦争によりましてまる裸になった。そして戦時補償というものも打ち切りになった。全く裸になった形で建造資金も何も持っていなかったわけでございます。したがって、この裸になった日本海運を再建するということは、そのめんどうの見方というものは、結局長期低利の建造資金を補給してやるということが一番大事な政策になる。この利子補給という考え方は、戦前からもあったのです。しかし戦後におきましては、特に長期低利の建造資金の供給ということから非常に大きな意味を持ってきたのであります。これは計画造船とうらはらになる。長期低利の建造資金と申しますと、建造資金は財政投融資による計画造船でございます。そしてその低利という面は、利子補給ということによって低利なものにする。この二つの柱によって戦後の海運の再建というものがなされてまいったわけでございます。
利子補給という考え方は、沿革といたしましては、これは利子補給つき造船資金貸し付け制度、こういうものが制度としてすでに昭和五年からあったわけでございます。これが昭和十四年に船舶建造融資補給及損失補償法という法律になって存在いたしました。との内容が、大体今日の利子補給法の骨格になっております。したがって、利子補給制度というものは戦前からある考え方であるということであります。
それで終戦後、海運再建ということになりまして、計画造船が、二十三年でしたかから始まったわけでございますが、いろいろやってみましても、終戦後の金利というものは非常に高い、一割以上の金利でございました。外国の船舶建造の金利と比較しますと、問題にならぬぐらいに違いがあったわけでございます。これでは日本海運というものは世界市場において太刀打ちできない、少なくともその金利のハンディキャップというものを何とかしてやらなければいけないということになりまして、昭和二十八年一月五日に公布になった法律が外航船舶建造融資利子補給法という法律でございます。このときは、補給率は七分五厘をこえる分ということになっておりました。この法律が二十八年の一月に通ったのでありますが、これではだめだ、まだ不十分であるということで、さらに追っかけ二十八年のその後の国会におきまして、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法という形でもう一度提出されまして、八月十五日に公布されておるのであります。これがいまありますところの市中銀行に対する利子補給法ということになって、いまも残っておる法律でございます。二十八年の八月に公布されたこの利子補給法は、市中に対する利子補給と、それから開銀に対する利子補給とが両方できるたてまえになっておったのであります。市中に対しましては五分をこえる分、それから開銀に対しましては三分五厘をこえる分を補給する、こういう形になっておりました。それがその後開銀に対する利子補給のほうは、いわゆる利子猶予という形で若干の期間やっておったのでありますが、二十九年から停止されております。この制度で計画造船が三十二年まで進められたのでありますが、三十年の秋から三十一年にかけて、いわゆるスエズブームというものによりまして海運市況が非常によくなりました。そのために海運企業も経理内容がよくなりまして、配当をする会社が相当に出てきたという状況になりました。そこで、配当する会社がこんなにたくさん出てきたし、非常に市況もよくなった、経理内容もよくなった、もう利子補給はいいんではないかという議論が起こりまして、三十二年から、利子補給の法律はありましたが、実際の予算措置というものはとられませんで、利子補給が停止されたのであります。ところがスエズブームの直後から非常に海運市況が悪化をいたしまして、見る見る間に海運会社の経理内容が悪くなってまいりました。いい時期というものはほんのしばらくであったわけであります。やはりこれではいけないというので、三十五年からさらに市中に対する利子補給というものを復活をいたしたのであります。それから三十六年に至りまして、市中に対する利子補給だけではまだ不十分であるということで、やめておりましたところの開銀に対する利子補給というものを何とか復活したいというので、三十六年から、開銀に対する利子補給の法律によりまして開銀に対する利子補給をやることになりました。それで三十六年にできました日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法というのがいま御審議をいただいておりますところの法律でございます。
その後この再建整備に関連をいたしまして、日本海運を再建する抜本策の一つといたしまして、利子補給の強化ということを行なうことになったわけであります。それでそれが三十八年の改正によりまして、従来五分をこえる分ということになっておりましたのを、四分をこえる分ということで補給率を強めたわけであります。それが現在の開銀に対する利子補給法でございます。
こういう大体の経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/12
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013・内藤良平
○内藤(良)委員 そこで政府の施策ですね、これは戦後ずいぶん古くから、あるいは戦前からやっておるということでありますが、海運ということで、これは国家的な要請といいますか、また海国日本、あるいは貿易国日本、そういうことで国策として進めておるものという感じをいまのお話では持ちます。ところが、この会社は私企業なんですね。それで不況の場合にはたいへん影響が大きいといいますか、痛手を受けてしまう、そこでてこ入れをする、こういうことですが、どっちが重点なんでしょうか。いまの海運国策という使命のためか、それとも私企業の会社の内容が悪くなったのでこれを救済しようというのか、どちらがいわゆる政府の中心になっておりますか、それをちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/13
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014・堀武夫
○堀政府委員 企業救済か国家要請かという問題でございますが、もちろん日本海運というものは海運企業がになっておるわけでございまして、海運企業そのものがつぶれたのでは、結果として日本海運がつぶれるということに相なるわけでございます。そういう意味からは、どうしても海運企業というものを健全な形で育成していくということが、すなわち日本海運の育成ということになるかと思うのであります。いまおっしゃったように、海国日本の将来、それから貿易立国という観点からも、あるいは国際収支改善という面からも、どうしても日本海運というものを健全に拡大をしていくということが、明らかに国家の要請であります。したがいまして、海運企業の健全な育成がすなわち日本海運に対する国家要請を達成することになるという点があると思います。結果的には目的は一致するのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/14
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015・内藤良平
○内藤(良)委員 そこで、企業の性格といいますか、歴史的なものもあるでしょうけれども、私の知っている範囲では、外航の場合は、自由といいますか、これが非常に強い。一つの例を申し上げると、この仕事は免許とかというものが要らないでしょう。きわめて自由な情勢なんですね。国際的な関係から私はそういうこともあると思いますけれども、その企業の性格、また別の意味では、船成金ということばがありましたね、あの第一次欧州大戦当時は。相当荒っぽい金もうけをした。お札に火をつけてげたをさがしたというような伝説なんかもあったという話もありますが、そういう荒っぽい企業性格といいますか、そういうものがある。あるいは、自由に国際的にいろいろ走り回ってかせぐ。そういう性格があるということ。間違っていますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/15
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016・堀武夫
○堀政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、外航海運というものは本来自由企業でございまして、いわゆる価格原理と申しますか、そういうものによって世界市場というものを自由に歩き回るという性格のものでございまして、最近自由化ということがよくいわれますが、外航海運の面におきましては、もう本質的に自由化されておるわけでございます。ですから、そういう海運の自由というものは本来の性格でありますので、決して間違っておるとか、そういうことではないと私は思います。
それで、昔の考え方から見ますと、そういうような海運市況によって――波に乗りますと非常な大もうけをする。いわゆる海運というものは水商売で、十年一山論といいまして、十年に一回当たれば大体やっていけるというような考え方もだいぶあったようであります。しかし、だんだん経済というものがいろいろ計画的に行なわれるようになりますと、そういう十年一山論というものが地位を失ってまいります。最近におきましては、長期契約ということで、十年なり十五年なり、同じ荷物、同じ航路で積み取るという契約を荷主とやるというような、非常に安定的な輸送をやるということがだんだん多くなってきております。もちろん、スポット物といいまして、昔からも、自由に荷物を積み取って歩くというような面もありますが、最近の傾向ではそういう安定輸送という面が一方において多いと思います。そういうような長期契約ばかりで海運企業をやっておりますと、これはまたあまりおもしろみのない、硬直化したような形になってきます。したがいまして、この二つの面の両方を持った、調和のとれた形を持った海運というものが一番いい形であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/16
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017・内藤良平
○内藤(良)委員 やはりそういう荒っぽい業界の気風があるんじゃないか、伝統的なものが。それに対して健全な育成を政府、運輸省当局は長年やってきたわけですね。いろいろ成果もあがっておると思いますし、船腹はたいへんふえましたし、日本の貨物を日本の船で運ぶ、この率も高まってきておる。貿易外の収支の面もこういう面で改善していく。そういうことで、そういう意味の成果はあると思いますが、一つ健全育成の面で私の言いたいのは、単なる届け出制――届け出ればいい業種なんですね。内航船なんかの場合は免許などのなかなかうるさいものがあるが、大型船、の場合、外航の場合は届け出だけですね。政府なり運輸省としては、結局金の面でセーブするだけですか。それ以外にはいわゆる健全育成をするに有効な何かあるのですか、手だては。免許のようなものをもってやるというようなことはないわけですか。育成はしたいと言うけれども、実際どういうぐあいにやっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/17
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018・堀武夫
○堀政府委員 おっしゃるとおり、外航海運というものは免許制にはなっておりません。なるべく助長行政。というのは、できればそういう免許とか許可ということなしで行ければこれにこしたことはないというふうに、私どもも思っております。免許制によって規制していくという必要がどうしても出てくれば別ですけれども、海運というものは国際的に自由である、しかも国際産業である、一国だけの考えでもって規制するということは、どうもなじみにくい点があるのではないかと思います。そういう点から考えまして、直接的に免許とか許可ということなしに、つまり助成策というもののさじかげんによって健全に発達をしていくようにしたほうが、よりスムーズではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/18
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019・内藤良平
○内藤(良)委員 それで、健全育成の面でひとつとんでもない話を、これは古い話だけれども持ち出したいと思うんですが、造船疑獄の話、二十八年で、もう十数年前のことですが、これはいまだに忘れがたいことですね。このいろいろな記録をひもといてみますと、なかなか荒っぽい業界なんですね。役人に簡単に三十万、五十万、金をくれるのです。ですからね、もらう役人も役人だけれども。私、ここに書いてあるのをちょっと読んでみますけれども、これは計画造船にも関係があるわけですね。これは次官や局長、ちょっといやな気持ちかもしれませんが、私はそういうことで言っているのじゃないですから、誤解なく。
山下汽船が獲得した計画造船、山春丸ですか、これは船価は十一億七千万円、船主の山下汽船が発注先の日立造船から受け取ったリベートが千五百万円、これは東京地裁の一審の判決書に出ておるわけです。当時の官房長が幾らもらったか、これは問題にならないのですけれども、これは山下汽船が第五次の計画造船以来、政府から八隻の割り当てを獲得している、いわば全額国家資金と市中金融でつくったこの船の価は全部で六十五億円、造船所から山下汽船が受け取ったリベートの金は、捜査当局が確認しただけで船価の約一・六%、一億三百万円、こういうぐあいに述べられております。このリベートのことなんです。このときの裁判の公判の中に出ておりますが、リベートの比率は飯野海運で約一・八%、播磨造船で約五・六%、これらを平均すると船価の二、三%程度ですね。これは当時の日本経済新聞に出ておる。リベートの総額は約四十億から六十億くらいになるのです。こういうことを述べております。これは裁判のあれにも出ておるのですが。あれからもう十何年たっておりますけれども。このリベート問題は、当時の会社の責任者は、三十三年ごろに結審になりまして、無罪にはなっているのですねただ多額のリベートが二十八年当時、いまから十何年前だけれども、その後、業界の中にこういうことがあるのかないのか、これは局長としてどういうぐあいに見ておりますか。あるいはつかんでおりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/19
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020・堀武夫
○堀政府委員 いまのお話にありました、あの当時の事件というものは、われわれとしても、非常に愉快でない思い出でございます。業界の幹部の方も非常に肝に命じておるわけでございます。その後の業界の考え方というものは、非常にきびしくなっておるものとわれわれは考えております。それで、そういう事件がありましたので、その後監査体制というものを確立をいたしておりまして、海運局の中に海運監査室というものを特に設けて、監査官というものを置きまして、各船会社に厳重な監査をいたしております。それで一々、一船ごとに発注から支払いまで全部チェックいたしております。出た金、入った金、きびしくチェックをいたしておりますので、その当時そういう事実があったかどうか存じませんけれども、いまはそういうことはない、このように確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/20
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021・内藤良平
○内藤(良)委員 私の言いたいのは、海運業界というのは、相当荒っぽい業界じゃないかということですね。これはさっき局長も一応是認されたようなかっこうだと思います。十何年たちましたし、また無罪ということになっていますからね。私は、リベートはないだろうと思うということで、局長が終わっておるとすれば、ちょっと甘いのじゃないか。この際も運輸省なりに業界からは贈っていなかったんですね。全然別のところから出てきたんですね。このリベート問題はわからなかったわけです。ただないと思いますだけで―あなたの主観でしょう。客観的な何かありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/21
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022・堀武夫
○堀政府委員 ただいま申し上げましたように、監査室で各社ごとに、しかも一船ごとに、造船所にどのくらい金を払っているか、それで出所不明の金が会社にまた戻っているかいないかということは、厳重にチェックいたしておりますので、われわれのそういう監査の結果では、そういうものはないというふうに信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/22
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023・内藤良平
○内藤(良)委員 あまり私はこれを追及するような立場ではないのですけれども、こういうことはどうでしょうかね。第六次計画造船で山下汽船がつくった船のレセプションのときに、たくさんの芸者を総揚げをした。朝から晩まで船上の宴が続いて、芸者が出払って、各花柳界は全部閉店であった。一回のレセプションが一千万円であった。これもだいぶ古い話ですよ。最近こういうことはどうですか。監督する立場かどうかわかりませんけれども、こういう業界の風習とかいうものはあるかないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/23
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024・堀武夫
○堀政府委員 そのときの気風と申しますか、たとえば進水式に、そういう盛大な宴を張ったというような、いまお読みになったような、そういうムードといいますか、そういうものとはいまの業界の気風というものは全く一致しておるというふうに、私そういう印象を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/24
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025・内藤良平
○内藤(良)委員 それじゃ、そういう招待も受けたことはないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/25
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026・堀武夫
○堀政府委員 進水式というようなものは、最近大量建造をやりますので、船の建造が非常に多いわけであります。進水式なんか非常に事務的に行なわれまして、私たち進水式なんというものは見向きもしない。それで、そういうようないろいろお祝いとかなんとかというものの数からいきましても、私たちあまり記憶に残っておるものがないぐらいに自粛されておる、そういうふうに考えます。そういう意味からは、いまお読みになったような気風というものは全く変わっておるということが言えると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/26
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027・内藤良平
○内藤(良)委員 こういう話であまり気分を悪くしないでもう少し答えてください。私はしろうとなんですから……。
それから計画造船、これは船主が割り当てをもらうというのは、いまだに狭き門ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/27
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028・堀武夫
○堀政府委員 計画造船につきましては、当初非常に希望者が多くて、資金量というものが限定されておりますので、一番最初、くじ引きでやったようなときもございますし、その後、一括審査といいまして、入学試験の発表みたいなやり方でやったような時期もございました。しかし、こういうことの弊害といいますか、そういうものも考慮いたしまして、漸次やり方を変えてきております。それで、いわゆる一せいに審査をするのじゃなしに、雨だれ建造方式といいまして、これは開銀が金を貸すわけでございますので、通常のいわゆる金融判断と申しますか、そういうもので、受け付けたものの順番から金融の判断をもって、これの建造を認めるか認めないかということをきめていく、銀行という立場から非常に事務的に、公平に、その企業の体力等を十分勘案してきめていく、そういう方式になっておるわけでございます。ただ定期船につきましては、これは定期航路に関する政策的な面からの検討も必要でありますので、これは運輸省が推薦権を行使するということになっております。それで運輸省から推薦をするということでやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/28
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029・内藤良平
○内藤(良)委員 また少々立ち入ったあれでありますが、しかし、運輸省でも、海運とか船舶の両局長さんとか幹部の方は、やはりこの船種決定の場合はタッチするわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/29
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030・堀武夫
○堀政府委員 先ほどは選考のやり方をお話し申し上げたわけでありますが、競争率といいますか、そういうものを申し忘れたのでありますが、最近は大量建造ということで、三十九年からそういう時期に入っておりますので、そういう競争がほとんどない。と申しますのは、あらかじめ予算要求のときに、どういう船をつくらねばならないか、各企業からその希望を出させまして、そして、われわれとしては、審査の基準を長期契約、いわゆる積み荷保証、荷物が現にある、必ず十年なり十五年なり荷物がある、だからこの船をつくらなければならぬ、こういうような観点から審査をいたしておりまして、大体、来年度はタンカーが幾ら、専用船が幾ら、定期船が幾ら要るという見当をつけまして、それに基づいて予算要求をいたしております。そして、財政当局も、大体その要求に合わせて予算の査定をいたしてくれますので、そういう選考についての競争というものはほとんどなかったわけであります。ただ、二十四次船と申しまして、いま進行中の計画造船につきましては二百二十万トン、四十三年度の建造ワクでございますが、それに対して三百三十万トンありまして、約百万トンとちょっとはみ出している。これはことしの特別な事情でございまして、これについては、定期船につきましては、運輸省が、航路政策という立場から推薦をして開銀に回す。その他の種類の船につきましては、開発銀行が金融判断というものでもって審査する。そうして運輸省から、何か政策的な観点から、たとえばオーナー対策をもっと加味すべきではないかというような、そういう意見があれば申し上げるというやり方で現在やっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/30
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031・内藤良平
○内藤(良)委員 それじゃ、海運造船合理化審議会というのがありますね。いまあなたのほうで、委員長の植村さんに大臣から諮問しておりますね。この資料もいただきました。この審議会もやはり船種決定には発言権を持っておると聞いていますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/31
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032・堀武夫
○堀政府委員 船種決定には、個別的審査には全然関与しておりません。海運造船合理化審議会は、政策的なこと、方針的なことをおきめ願っておるものでありまして、どの船をどうする、どの船をつくらすべきかいなかというような、そういう個別審査には全然かかわりございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/32
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033・内藤良平
○内藤(良)委員 それじゃ、現在のこの審議会の委員の名前をちょっとお知らせ願えませんか。これはそんなに数は多くないでしょう。委員の職業と名前ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/33
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034・堀武夫
○堀政府委員 委員の定数は五十名でございます。これは海運の面と造船の面と二つの面で非常に広い活動分野を持っておるために、こういう数になっております。それで、この審議会の中にはいろいろな部会がございまして、たとえば造船部会、海運対策部会、内航部会、離島部会あるいはコンテナ部会というふうにいろいろな面がございますので、こういう定数になっております。
それで、ごく最近、委員の任期が切れた方もございますので、ここにあるのはその前の名簿でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/34
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035・内藤良平
○内藤(良)委員 ちょっと委員長、発言の途中ですが、人数が多いようですから、資料としてお出しいただけませんか。そういうぐあいにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/35
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036・堀武夫
○堀政府委員 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/36
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037・内藤良平
○内藤(良)委員 ただ、ここでちょっと確認といいますか、聞きたいのは、この海運会社の社長さん方も入っておるのでしょうか。――入っておるのですね。何人ぐらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/37
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038・堀武夫
○堀政府委員 海運会社の社長さんとして、一企業の代表という形では入っておられません。これは、たとえば船主協会の会長とか、あるいは内航関係の海運会社の団体の会長というような形で若干の方が入っておられますが、そう多い数ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/38
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039・内藤良平
○内藤(良)委員 きょう、銀行の方来ていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/39
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040・大野市郎
○大野委員長 開発銀行の理事がおられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/40
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041・内藤良平
○内藤(良)委員 それではちょっと質問いたしますけれども、いま局長から、金融ペースで選考されるということでございましたが、これは疑い深いような質問で恐縮ですけれども、確かにそのとおりであるかどうか、それをひとつ銀行の方からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/41
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042・松永勇
○松永説明員 お答え申し上げます。先ほど海運局長からお話がありましたとおり、定期船については運輸省のいわゆる推薦というか、そういう形で行なっておりますが、それ以外のものにつきましては開発銀行が貸し主として企業を審査して貸すということになっております。その場合に開発銀行といたしましては、計画として出された輸送物資の国民経済的見地からする重要度、それから保証契約の確度、さっき申しました十年とかの長期の契約が行なわれることになっておりますが、その当該船について確実にそれが行なわれるかどうかという確度の認証を受けるという点、それから荷主側における設備の新増設の事情あるいは積み荷、揚げ地の港湾事情がいいかどうか。それから企業の態度、そういう面を審査いたしまして、なお運輸省から連絡をすべき、いまのような事情について私のほうから聞きたいようなことは運輸省にもいろいろお聞きした上で決定する、こういうことに取り運んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/42
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043・内藤良平
○内藤(良)委員 銀行の方に、さっきリベート問題で局長はちょっとわからないと言っていましたけれども、あなたたちはお役所と違って業界にはいろいろよく事情おわかりだと思うのですが、どうですか。船会社と造船所との関係で、発注によるリベート、十何年前はあったわけですね、二十八年ごろ。最近はそういうことはない、ある、どうです、これはおわかりになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/43
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044・松永勇
○松永説明員 私実はその審査には担当の理事といたしましてはタッチしておりません。しかし私、部内でそういう話をいろいろ担当者から聞いておりますところでは、そういう事実は全然ないというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/44
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045・内藤良平
○内藤(良)委員 これはなかなか表面に出てとないでしょうね。ただ、私たちですと、これは疑わざるを得ないといいますか、今回の法案そのもの、一年延ばそうというのが出てきたわけでしょう。なぜだろうかということで、そういう角度からいま聞いているわけですから、いまのような質問にもなるわけです。それじゃリベートということは、これはなかなかっかみがたいし、なかなかわからないのじゃないかと思いますが、私はせっかく利子補給しても、肝心の会社側でリベートをとっておるような状態なら、政府の親心が何にもならぬということになるわけでしょう。そうじゃないですか。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/45
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046・堀武夫
○堀政府委員 先ほども、われわれは一船ごとに厳重な監査をいたしておるということを申し上げました。その結果では、そういう事実はないというふうに確信をいたしております。もちろん、そういうしりが抜けておるというようなことになれば、それはせっかくの助成も非常に効果が少なくなるということは、これはお説のとおりでございますが、そういう事実はないと私たちは確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/46
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047・内藤良平
○内藤(良)委員 それでは、これは与党の方にちょっとぐあいが悪いけれども、関係会社から政治献金はありますか。たとえば日本船主協会とか日本造船工業会とか、あるいは銀行協会、これは局長知っていますか、これは自治省のほうに出るわけでしょうが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/47
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048・堀武夫
○堀政府委員 船主協会等から政治献金があるかという御質問でございますが、その点についてはいま資料を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/48
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049・内藤良平
○内藤(良)委員 これは、健全なる育成ですね先ほど来言っておられる。政治献金も合法的なことになるでしょうけれども、その程度のことはやはり把握しておかなくちゃならぬじゃないですか。健全なる育成をされる。しかも利子補給を二十何年もやっておられるし、今度また一年やられると今後十年間利子補給をやられるわけでしょう、その点どうですか。私の聞いておるのは、全然無関心でおったかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/49
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050・堀武夫
○堀政府委員 われわれのいままで聞いておる限りでは、そういうものはそうたくさんあるというふうに聞いたことはございません。それは先ほど申しましたように、そういうものを調べた資料をいま持っておりませんので、もし調べてわかりましたら、またお答えをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/50
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051・内藤良平
○内藤(良)委員 私は資料で要求もします。運輸省としては当然持っておくべきじゃないですか、海運局として。だから資料をひとつ要求しますけれども、それと同時に、健全な育成をされるというたてまえで長年やっておられて、関係業界で、たとえ合法的であっても政治資金規正法によってどの程度献金をしておるかなどということを、どうして把握しておらなかったのですか。(「怠慢だ」と呼ぶ者あり)その点はどういうわけですか。いま不規則発言で、怠慢ということばも出ましたけれども、そういうぐあいにも考えられますね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/51
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052・堀武夫
○堀政府委員 そういう観点からも十分監督すべきであるという御説は、ごもっともだと思います。今後そういう点、遺漏のないようにやっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/52
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053・内藤良平
○内藤(良)委員 最近は業界が好転してきたということで喜んでおられるでしょうが、配当も復活された、資料もいただいております。例の集約会社ですね、こういう関係は絶えず運輸省としてはにらんでおるわけですね。配当、業績、会社のそういう状態は絶えずつかんでおられる。しかし政治献金の問題については、全然いままで無関心、心がそこに及ばなかった、あるいは心がけておったけれどもやらなかった、どっちなんですか、これは全然関係ないことなんだ、そういうぐあいに考えておったのですか。その会社の業績には非常に注意を払っているわけでしょう。しかし会社から政治献血というのは、これは例の造船疑獄の二十八年ごろは相当問題になったことなんです、当時の記録を見ますと。ですから、これはさっき私申し上げたように、荒っぽい気風のある業界ということから、こういう点までやはり十分に注意をしておくのが至当ではなかったかと思いますけれども、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/53
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054・堀武夫
○堀政府委員 先ほど申し上げましたように、最近の海運業界というのは非常に気風が変わってきておりまして、非常に地道な気風になってきております。配当は、最近若干の会社、十三社ぐらいでございますが、できるような段階にはなりましたけれども、これは監査室というところで会社の経理内容を十分見て、配当していいかどうかということを判断いたしております。この配当といいましても六分の配当でございまして、一般の会社の配当から見れば非常に少ない配当でございます。これも増資その他の観点からやむを得ないものだと思っております。そういうような非常にじみな、非常にきびしい態度で海運経営がなされておる。特に再建整備という非常にきびしい環境に置かれておりますので、当然そういう政治献金というようなものはそんなに余裕がないというふうにわれわれ信じておりますので、あるいはそういう方面についての注意が足りなかったかもしれませんが、あまりそういう点に重点を置いてなかったという点は、これはまことに申しわけないと思います。今後そういう点にも十分目を光らしていきたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/54
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055・内藤良平
○内藤(良)委員 先ほどのお話の中で、利子補給をやめた時代がありましたね、三十二年から三十四年ごろ、好景気のために。これは業界から、あるいはあなたのほうで、双方の話し合いで、法律はありますけれども、予算は措置しなかった、こういう時代がありますね。今度もし政治献金があった場合には、やはりそれだけ余裕があるということで、三十二-三十四年の当時、業界が好景気だから、法律はあるけれども予算措置はしない、業界も自発的にこういうことを、あるいはあなたのほうで話をしたのか、いずれにしろやらなかったでしょう、状態がいいから。もし、調べてみて政治献金があった場合は、同じような状態になるのじゃないですか。政治献金するほど余裕があれば、これはやらなくてもいいということになるのじゃないですか。そこら辺どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/55
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056・堀武夫
○堀政府委員 三十二年に利子補給を打ち切ったときの事情というものは、スエズの動乱によりましていわゆる海運ブームといわれるものがあったわけであります。したがいまして、そのときの状況というものは、非常に急激に会社の経理内容がよくなって、そして配当も、一割以上でなかったかと思いますが、できるような状態になりました。そのために、予算編成のときにいろいろ、そういう利子補給をやる必要がないのではないかという強い批判がありまして、海運業界自体もこれは辞退をしてもいいという空気になりました。それですでに契約済みである利子補給の分についても辞退をするという形で、利子補給の打ち切りというものが行なわれたわけでございます。そこで、政治献金を少しでもやっていたらもう利子補給をやる必要がないじゃないかという御議論のようでございますが、前の三十二年のときといまとでは非常に状況が違います。政治献金という……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/56
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057・内藤良平
○内藤(良)委員 ちょっと、発言中だけれども、少しと言っても、あなたわからないと言ったでしょう。政治献金が少ないか多いかということは言えないのじゃないですか。いまの場合、それはわからないということで資料要求しているわけですね。私言うのは、もし多かった場合は要らぬじゃないか、こういうことなんですよ。わからないということを少しというぐあいに断定して云々ということは、われわれとしては困るわけだ。私の言うのは、政治献金、これは何年かことしまでの間に自治省の発表になるのがあるわけでしょう、それをもしあなたが見て相当な額が出ておった場合は、三十二年の例もあるから、そのケースで言うならば、こういう利子補給を特にやらなくてもいいような状態になるのじゃないか、そういうことに対してはどうかとあなたの答えを求めているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/57
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058・堀武夫
○堀政府委員 いま、少しということを申しましたが、それはいままで海運業界の政治献金は近ごろ多いぞという批判を私聞いたことがございませんので、それでついそういうことばが出てしまったのではないか、不用意にそういうことを言ったわけでございますが、もちろん調べてみなければわからないと思っております。
私は政治献金ということにつきましては、あまりほかの業界とかそういうものの状態がよくわかりませんので、比較をするにはいろいろほかの業界の事情あるいは献金のしかた、そういうものも見なければ判断できないと思います。いま先生の申された趣旨に従いまして、よく調べてからお答えをいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/58
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059・内藤良平
○内藤(良)委員 ただ、やはり業界側のふところぐあいがいい場合はしいてやらなくともいい、これは一般的に言えるわけですね、過去の例を見ても。そういうことになるでしょう、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/59
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060・堀武夫
○堀政府委員 利子補給の目的は何かといういわゆる根本論は、実はいろいろあるのでございます。利子補給というものは国際金利へのさや寄せであるという議論からいたしますと、これは状況にかかわりなくやるべきであるという議論もあるわけであります。利子補給の目的にはいろいろ考えられますが、いま言いましたような国際金利へのさや寄せというのも、はっきり一つの目的であろうかと思います。それにこの法律の成立の経緯から見ますと、いわゆる不況対策といいますか、救済的な意味も確かにあったかと思います。そしてまたもう一つは、いわゆる海運企業の採算の面から見ますと、利子補給をしなければ市中金融というものはついてこない。そういう市中金融を導入するために利子補給政策というものをとったというのが、この法律成立のときの経緯から見まして、そういう事情もあったかと思われます。そういうようないろいろな議論がございますので、会社が政治献金ができるくらいの余裕が出たらもういいんじゃないかという考え方もございますが、やはり一船ごとの競争力という観点から見ますと、やはり外国との比較において競争力を確保するという観点からも、どうしてもこれを考えていかなければならぬのではないか。それはやはり三十二年当時のような非常にいい景気内容になった場合は利子補給をやめるということもあり得るかと思うのですが、直接政治献金の問題だけにからめてこれを判断するのはむずかしいのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/60
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061・内藤良平
○内藤(良)委員 私も、政治献金だけというぐあいには考えません。やはり業界が力がついてきた場合は、これはおのずとそうなるのではないか。一般的に政治献金だけではなくして、企業に力がついてくる、配当の場合もありますし、献金の場合も一つの例になるでしょう、客観的に言った場合ですよ。海運業の立ち直りの現状、これは政府のてこ入れでずっと直ってきている、成果があがっているわけです。現状はどういうぐあいになっていますか。たとえば元本約定、こういうものを払わないでおったわけでしょう。九百何十億円の金を持っておったわけですね。それが最近どういうぐあいにうまく消化されたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/61
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062・堀武夫
○堀政府委員 再建整備計画の目標でありますところの減価償却の不足の解消という観点から見ますと、集約の当初ありました減価償却不足が六百六十二億、これが昨年の九月末に三十一億というところまで減っております。さらに、元本約定延滞の解消状況という観点から見ますと、当初九百三十四億あったものが、昨年の九月末で百十八億というふうに減っております。こういうところから見ますと、順調に立ち直りが行なわれておる、もう一息だということが言えるわけでありますが、しかし内容的に見ますと、日本の償却制度、これは耐用命数を非常に長くとっております。十八年とっておりますが、外国の船会社の耐用命数を見ますと、十年ないし十二年というのが相場のようになっております。それと比較しますと、実質的にはまだまだ安心できないということが言えるのではないか。外国並みの耐用命数でこの償却というものを考えますと、まだ相当な不足があるという勘定になってまいります。立ち直りの指標としていろいろの財務比率もございますけれども、たとえば自己資本比率というものを見ましても、一三%ぐらいでございまして、日本の国内産業の平均の半分くらいでございますし、外国の海運企業に比較いたしますと、外国はおおむね五〇%以上の自己資本率を持っております。その面からしますと、まだまだ体力は十分ではないということは言えると思います。しかし、どん底からとにもかくにもここまではい上がってきたということは、われわれとしても非常に喜んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/62
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063・内藤良平
○内藤(良)委員 業界が好転していっておる。そうして、たとえばスエズのああいう動乱の好況のあとに不況がきた場合とか、そういう非常に高い低いの状態が最近はないわけです。ずっとコンスタントに上昇してきておる、こういうぐあいに理解していいわけですか、最近の状態は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/63
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064・堀武夫
○堀政府委員 海運市況そのものは、やはり上がり下がりはございます。ただ日本の海運業は、行き方としまして、専用船とかタンカーとか、そういうものにつきましては、いわゆる長期契約という形で安定した運賃でもって契約をいたしておりますので、日本の海運に関する限り、その上がり下がりを受ける率が少ない。もちろん定期船市況も上がり下がりがございますし、不定期船市況も上がり下がりがございます。そういうものの波をかぶる率が少ないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/64
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065・内藤良平
○内藤(良)委員 そういうことで業界が平均して上昇になってきておる。こういういまの時点で、一応四十二年度で利子補給というものは終わりだったのですね。それを一年延長しよう、こういう法改正ですね。ですから突発的な事故じゃなく、ずっと前々から計画を立ててこの問題は見てきておる問題ですね。しかも好転してきておる。こういう時期に、なお一年延長してなぜ利子補給をやらなくてはならぬのか。業界自体の力がだいぶ出てきておるわけでしょう。その点をひとつ簡単でいいですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/65
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066・堀武夫
○堀政府委員 再建整備という方策は、一つは利子の猶予、一つは利子補給の強化、そしてそれは集約ということを前提としてやる、こういう骨組みになっておるわけでございます。再建整備計画は五年間ということで、その間にこの二つの政策を車の両輪として実施する、こういうことで進んできたわけであります。ところがスタートのところで、海運集約ということは非常にたいへんなことでございまして、三十八年度中に集約を終わるという考えであったものが、三十九年にずれたわけであります。ところが利子補給の強化のほうは、三十八年度の時点ですでに予算を取りまして、それから五年間ということで、終期の確定日をはっきりさしておったわけでございます。ところが一方、いま申しましたように、集約の確認日がずれましたために、利子補給の契約をできる期間の終期が一年早くきた、こういうびっこな形になってまいったわけでございます。それで先ほど申しましたように、再建整備計画は順調には進んでおりますものの、まだ完全には減価償却不足も全部解消していない。やはりここで油断をしてはならない。五年間の再建整備期間として、いま申しました車の両輪である二つの政策をそろえて、とにかく五年間やる、そこで一ぺん締めくくろう、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/66
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067・内藤良平
○内藤(良)委員 どうしても利子補給をこれで一年やはり延長しなくてはならぬ、こういう御主張ですね。しからば、これより方法がないわけですか。いわば業界の助長、海運の助長ということについて。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/67
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068・堀武夫
○堀政府委員 最初に先生に申し上げましたように、戦後における海運政策というものの基本と申しますか、終始一貫した政策というものは、長期低利の建造資金の供給であることを申し上げたわけでございます。そして一方で計画造船をやる、一方で利子補給をやるということが、いま申し上げました長期低利の資金の供給ということに完全にマッチしたやり方であるわけであります。ほかにもいろいろやり方はあるかもしれませんが、やはりこの一貫した政策を続けることが一番いい方法であるというふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/68
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069・内藤良平
○内藤(良)委員 それはやはり、さっき資料提供を求めました例の審議会からも、これを存続してもらいたいという答申がありましたね。それを取り上げたのがやはり大きな原因ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/69
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070・堀武夫
○堀政府委員 審議会の答申を尊重するというのは政府としてもたてまえでございますし、政府においてもこれが一番いい方法だという判断をいたしました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/70
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071・内藤良平
○内藤(良)委員 これは疑えば切りがないわけですけれども、利子補給の関係に固執するといいますか、いままでやってきたからといいますか、業界の有力な方々も入っていると思われます審議会からもそういう答申が出ておる。いままでやってきたからそれを存続していきたい。何かそこにまた私たちも、リベートの問題じゃありませんけ、表面に出ない何かがあるのじゃないかと疑いたくなるわけでありますけれども、別の方法としていま輸出入銀行では金利そのもの、補給じゃなくてずばり金利そのもので安くしているのじゃないですか。そういう方法なんかはこの場合には考えられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/71
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072・堀武夫
○堀政府委員 輸出船の場合は輸銀が造船所に対して四分の金を貸しておる、そういう形になっております。造船所が外国の船主に延べ払いでもって船をつくる、こういう形になっておるわけであります。それと同じように、開発銀行の金利を四分にしたらどうか、こういう議論はいろいろな面からあるわけでございます。ところが開発銀行の資金というものは、六分五厘の財政資金でもってまかなわれておるわけでありますから、この六分五厘の資金コストを割って四分の金利でやるということになりますと、どうしても無利子の一般会計からの資金か何かをつぎ込まない限りはできないわけであります。輸出入銀行が四分でやっておりますのは、六分五厘の財政資金のほかに相当多額の一般会計からの無利子の出資がございます。それでそういう無利子の金と六分五厘の財政資金とをまぜ合わせて、そうして低金利ということで融資をしておるわけであります。開発銀行につきましてもそれと同じようなやり方で無利子の金を政府から導入してきて、そして六分五厘の金とまぜ合わせて使えば、あるいは四分という金利はできるかもしれません。しかしこれはやはり一般会計から金を持ってこなければならぬという点になりますと、利子補給と結果的には財政負担という点においては同じような結果になるわけであります。それでもいいじゃないかという御議論もあるかもしれません。その点につきましては、きょうは開発銀行がおいでになっておりますので、開発銀行から直接お話を願ったほうがいいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/72
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073・松永勇
○松永説明員 利子補給にかえて開発銀行の金利を下げて四分にして貸すことがいいかどうかという議論でございますが、ここのところは非常に議論としては問題のあるところであろうと思います。開発銀行は開発銀行法によって独立の法人として、一つの独立した企業体と申しますか、形につくられております。もちろん開発銀行は日本の経済の再建、産業の復興のための融資を行なうところでございますが、経営としては健全なる経営を行なってまいっております。したがいまして従来から、いわゆる資金コストを割ってより低い融資を行なうということはやってまいっておりません。また開銀法十九条にもそういう趣旨、すなわち貸し出し金利はコストを償うものであるべきだということが規定されております。大体従来から経営の方針といたしまして、そういうコストを割らない、すなわち健全なる金融ということで心がけてまいっております。政策的に通常の金利よりも低い金利をもって貸し出すべき政策が樹立される場合には、そういう政策として打ち出していっていただきたいということで、従来から現在の利子補給法が成立しているのであろうと思います。今後もそういう形で運営さしていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/73
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074・内藤良平
○内藤(良)委員 それは結局は国の金が出るわけですから、回りくどい話は抜きにして、簡素化するということになると、いまの輸銀のようなやり方のほうが省自体としても手間が省けるのじゃないですか。それでいろいろな措置は必要でしょうけれども、結局輸銀の場合でもそれは国で充当しているわけでしょう。埋めているわけでしょう、出資なり穴埋めという形で。同じようにこの場合もそういうことでいかれたほうが――先ほどのいろいろな計画造船の場合でも最終的な決定は輸銀の経済ベースといいますか、現行のベースできめてしまうというお話もありましたね。運輸省が特にこのことでいろいろな面でタッチしなくとも、そういう面はどうなんですか。かえってタッチすることでいまのようなリベートであるとか、あるいは政治献金であるとか、あるいは運輸省も何か幾らかうまいしるを吸っているのじゃないかというようなことを疑われるだけでもいやじゃないですか、利子補給をやるというようなことから……。そういうことはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/74
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075・堀武夫
○堀政府委員 どっちの方法がいいかということになりますし、どっちがやりやすいかという問題だと思うのです。それで今後の海運政策につきましては、そういう補給というやり方じゃなしに、金利そのものを下げるという方法があるかないか、これはやはり今後の対策として検討の余地があると思います。そういうことも含めまして、今後十分検討いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/75
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076・内藤良平
○内藤(良)委員 それから、肝心の業界の皆さんはどうなんですか、こういうことに対しては。さっきも申し上げた自由な海運、免許も受けないで、いろいろ世話は受けるけれども気持ちはほんとうに自由にやりたいというたくましい業界の皆さん、こういういろいろな措置、金融措置あるいは政府でやっておるこういうことに対して、業界の皆さんはぜひやってほしいという強い要望があるのですか。ずっと連綿とあるもんですか。これは、好景気の場合は中間で何年かやめた場合もあるでしょう。そういう関係はどうです。現状ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/76
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077・堀武夫
○堀政府委員 船会社といたしましては一船ごとの競争力、したがって収益力というものが経営の基礎でございます。したがいまして、世界の海運市場で外国船と競争をするために同じ条件でやりたいわけですね。金利とかいろいろな面でハンディキャップがもしあれば、それを政策としてカバーしていく、そして同じ条件にさえしてもらえれば、自分らの力で国際市場で戦える、そういう状態にしてもらいたいという気持ちは一貫してあるわけであります。それで今後のことにつきましても業界では、外国船と同一条件で戦えるようにしてもらいたい、こういう希望は当然あると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/77
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078・内藤良平
○内藤(良)委員 だから利子補給のようなことではなくして、たとえば輸銀のような形になった場合、これは業界として歓迎すべきじゃないのですか。その点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/78
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079・堀武夫
○堀政府委員 業界としては利子補給の形でなければならないとか、あるいは金利そのものを下げてもらいたいとか、いろいろ議論はあるかもしれませんが、むしろやり方よりも効果といいますか、そういうものがあればいいんでございまして、特に業界から利子補給という方法を続けてくれ、そういうことではないと思います。そういう効果が出ればいいという考え方なんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/79
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080・内藤良平
○内藤(良)委員 そこで、効果の問題になってきましたね。ところが非常にまずいといいますか、輸出船といまの利子補給関係の場合で、これをいまの効果について見ますと、これは輸出船のほうがずっと有利なんでしょう。そうじゃないのですか。計数的に御説明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/80
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081・堀武夫
○堀政府委員 輸出船と計画造船とどちらが有利になっておるかという比較の問題でございますが、これはいろいろ融資条件が異なっておりますし、輸出船の場合、いわゆる自己資金として投入する金の性質というものにも関係がありまして、一がいに単純に比較はできないと思います。いろいろの場合を想定して計算をすると輸出船よりも日本船のほうが不利なケースもございますし、大体とんとんになるというケースもございます。それでわれわれの見方では、いろいろな融資条件が違いますが、いまのやり方で大体とんとんのような形になっておるんではないかというふうに判断をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/81
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082・内藤良平
○内藤(良)委員 ケースによって違うのですか。あまり差がないというのですが、はっきり輸出船のほうが有利で、いまのこっちの計画造船のほうが不利というような、取り方によって違う、ケースバイケースで違う、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/82
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083・堀武夫
○堀政府委員 いまおっしゃいましたように、いろいろなケースがございますので、一がいには判断しにくいのでありますが、概括的に申しまして、いまのやり方でもって、大体輸出船と国内船と同程度というふうに見ていいんではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/83
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084・内藤良平
○内藤(良)委員 せっかく大臣もお忙しいところをお見えになったので伺いたいのですが、大臣、おいでになる前に、古い話ですが、造船疑獄のことからリベートのことを話し合っておったところです。局長は、リベート問題はなかなかつかみがたいという意味の御発言でございました。これは船会社と造船所の関係です。昭和二十八年の造船疑獄のころは、これがはっきり調べられて出ているわけであります。大体一%か二%くらいのリベートが会社に返ってくる。ああいう疑獄事件でだいぶ騒ぎましたので、あれ以来十何年になっておりますから自粛自戒して、ないんじゃないかというお考えなんですが、この海運業界というのはぼくたちのような者の知っている範囲内でも、非常に荒っぽい業界だ。船成金というような時代もあった。最近は違っておるという御答弁でしたけれども、そういう業界でありますので、いまから十何年前にああいう大事件がありまして、それ以来自粛自戒しておりますからほとんどないんじゃないかということだけでなくて――リベートのようなことがあればおかしいわけです。利子補給をするということは非常にナンセンスになるわけであります。リベートのようなことをやっておるということがあったならば、利子補給なんということはきわめてナンセンスな施策になってしまうわけでありますから、そういう点について大臣としてもう少し、リベート的なことがあるかないか。局長はわからぬと言うのですけれども、それを突き詰めて、利子補給の施策を政府として自信を持ってナンセンスにしたくないんだ。知っている方から見ると政府がばかなことを言っているとせせら笑われるようなことのないように、われわれは期待しておるわけです。そういう意味でひとつ大臣のお答えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/84
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085・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 過去のことは私は法務当局ではありませんからよく存じませんが、今日におきましては監査体制が確立されておりまして、利子補給法の施行規則第六条の規定による確定建造船価報告書、それから建造資金受払明細報告書等により、財政資金融資による利子補給対象船舶については一船ごとに厳重なチェックをしております。そういう事実は全くございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/85
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086・内藤良平
○内藤(良)委員 それからもう一つそれに関連して、それじゃリベートはかりにないにしても―それはわからぬわけですけれども、関係会社から、船会社とかあるいは造船会社とかあるいは銀行関係から、政治献金がないか。自民党の皆さん、与党の皆さんには申しわけないけれども、与党の皆さんに政治献金がないか、こういうことを話していただきたいと言ったのですが――ここには反主流派の方が多いから、心配ないですか。ところが局長はわからないということですが、全然無関らでおったのか。ところがこれほどいろいろ業界をめんどう見て、政府で金を注ぎ込んで、そうしてようやく最近業界も配当するようになった。そういう点喜んでおったわけです。そういう業界がはたして政治献金をやっておるかやってないかもわからないということ自体も、全然ピンぼけじゃないか、そういう意味のことになったわけです。そういう点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/86
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087・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 法に違反するような政治献金というものはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/87
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088・内藤良平
○内藤(良)委員 それで私は政治献金はいまのところ、資料要求しますけれども、政治献金が相当あった場合は、利子補給のようなことはナンセンスじゃないか、そういうことを局長にも問うたわけでありますけれども、大臣、そう思いませんか。これほどいろいろめんどうを見ておる。ところが一方、相当多額な政治献血をする。それだけ業界に余裕があるということなんですよ。そういう場合には利子補給をやめてもいいじゃないか、こういうぐあいに私問うているわけでありますけれども、大臣、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/88
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089・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 あなたの御意見は正論でありまして、私も同感です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/89
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090・内藤良平
○内藤(良)委員 委員長、それでは、いまの大臣の御答弁で、最後に、海運業者、造船業界などの政治献金の状況を、自治省、運輸省とともに調査して、資料を明日までに出していただくようにひとつお手配を願いたいと思います。調査の対象は、四十年、四十一年、四十二年、この三年くらい、こういうぐあいにひとつ希望します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/90
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091・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 その調査は非常にむずかしいと私思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/91
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092・内藤良平
○内藤(良)委員 自治省の発表の分だけでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/92
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093・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 その自治省の発表が、客体がいろいろな政治家の名前で出ていないのですね。そういうので、赤澤自治大臣も、国会の資料提出については、いつもわかりませんと言ってお断わりしておるのです。そういう情勢で、政治家の名前でも直接出ておればわかるのですけれども、そうでない場合が――ほとんど大部分がそういう関係なので、何とか研究会とか何とか講座とか、そういうのが多うございますので、私非常にむずかしいと思いますので、できたらごかんべん願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/93
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094・内藤良平
○内藤(良)委員 これは受け取るほうでなくて、出す先です。出しているほうです。内藤がもらっているにしても、内藤の名前は要らない。たとえば造船業界とか海運業界とか、あるいは銀行関係とか、そういうお金を出した側です。これは自治省のほうもわかるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/94
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095・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 できるだけ、わかるだけやってみましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/95
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096・大野市郎
○大野委員長 一言委員長から申し上げますが、政治資金関係は純粋の政治問題にもなりますので、後刻理事会でひとつ御相談をして善処をさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/96
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097・内藤良平
○内藤(良)委員 それでは、この法案が通った場合に、四十三年度では二億六千万程度の予算計上です。しかし、法の第二条によりますと、「十二年度以内」云々、これは現状では実際は十年間ということになっておるようですね。この利子補給の総額は百八十九億円くらいになるというのですが、これは大体それくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/97
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098・堀武夫
○堀政府委員 債務負担の限度額というのが出てくるわけでございますが、これは将来十年なりにわたって利子補給をするのでありますから、その限度額というものが予算書に出てきます。これは日本開発銀行については百八十九億、市中金融機関については四十二億ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/98
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099・内藤良平
○内藤(良)委員 そこで、一年だけ延ばされるということですけれども、実際問題として十年の長い期間利子の補給をされることになるわけです。こういう点からも、今度の法案は条文としてはきわめて簡単な条文でございますけれども、私たちなかなかこれが了解されない。特にさっきの審議会の答申、こういうものから見ても、どうも何か陰にあるのじゃないか、こういう疑いを持たざるを得ないわけであります。くどいようですけれども、この点ひとつほんとうに、これはこの法の精神によれまして、一年間延長という先ほど来の話でありましたが、計画造船その他がずれたために、こういうことだけでの法案の改正なのかどうか。この点何か、ぼくらの場合は、審議会の答申にもあって、そうしてこれを一年延長するということが中心になっておるのではないか、業界の皆さんの強い要望ということにも受け取れるのですけれども、ほかに特別な理由はないということを言明できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/99
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100・堀武夫
○堀政府委員 ほかに理由はないというふうに確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/100
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101・内藤良平
○内藤(良)委員 それでは、また、私の知りたいことでちょっと角度をかえてのことでございますけれども、先ほどの輸出船と計画造船との比較のことで、さしたる差がない、ケースバイケースで、必ずしも計画造船のほうが不利ではない、こういうような御答弁でございましたが、これも一つの例になると思いますけれども、十二万トンのタンカーの十年間の収支のようなもの、こういうものを一つの計数としてとった、これはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/101
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102・堀武夫
○堀政府委員 先ほど、いろいろのケースがありますので一がいに比較するのは非常にむずかしいというふうに申し上げたのでありますが、ただいま十二万トンのタンカーの十年間の収支ということで比較した資料がないか、これは手元にあるので御説明をいたします。
開発銀行の船主負担金利、これは現行の利子補給をいたしますと、船主負担が四分になるわけでございます。この場合と、たとえばいま一番いいイギリスの場合と、それから日本からの輸出船の場合、この三つの場合を比較してみたいと思います。
十年間の収支計算というのは、各国によっていろいろ要素が違うわけでありますが、一応その国の金利というものをそのまま適用し、その国の助成策あるいは直接補助というような場合があればそれを入れて比較して、船員費その他一切の条件は同じということで計算をいたしてみますと、十年後の償却前利益はどれぐらい出るかということで見ますと、イギリスの場合は船価の二五%補助というのがございますから、これが非常にききまして四十四億という償却前利益が出ます。これに比較しまして、開発銀行の分で船主負担が四%の場合を見ますと、三十一億の償却前利益ということになりまして相当の開きがございます。日本からの輸出船の場合、イギリス以外の国に出した場合、これはいま言った償却前利益は三十四億ぐらいになります。だからこの場合は若干悪いことになりますが、これは輸出船の自己資金コストをゼロとして計算した場合でございます。ほんとうの手金、金利のかからない手金でもって外国の船主が日本の造船所で船をつくった場合は、開発銀行の四分の金利の場合よりも若干いい、こういうことになってまいります。したがって、この自己資金コストがほかの銀行から三分なりあるいは五分なりの金利で借りてきた場合のことを考えますと、大体同程度になっていくのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/102
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103・内藤良平
○内藤(良)委員 それから冒頭にも企業の救済か、あるいは国際競争のための措置か、こういうことで御質問しました場合に、双方が含まっておる、ある意味では双方こん然一体になっておる、いわゆる企業救済の面と国際的な海運の二つの面、これをどっちにも割り切らないのだ、双方の問題があるのだ、こういう意味の御答弁でしたね。
ところで、それじゃこの国際関係ですね、国際海運の中で日本の競合ということになりますと、これはイギリスとかアメリカとかあるいはオランダとか、そういうことになるわけですか。日本の最も強い相手方ですね、それはどこになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/103
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104・堀武夫
○堀政府委員 やはりイギリス、それからノルウェー、そういうようないわゆる主要海運国ですね。アメリカは船価とかあるいは運航費でもって巨額の補助をして、それで対抗しておるという形でありますので、これは別でございますが、世界の海運国としての英国、それからその次がノルウェー、そういうところが一番大きな相手国だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/104
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105・内藤良平
○内藤(良)委員 たとえばノルウェーあるいはイギリスですね、こういうところは海運の助成策としてどういうものをやっておるか、その特徴的なものをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/105
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106・堀武夫
○堀政府委員 まず最初に英国について申しますが、これは投資奨励金という制度がございまして、船価の二五%を直接補助をいたしております。これは非常に手厚い助成策でございます。船を四はいつくれば一ぱいがただでつくれる、こういう厚い補助であるわけでございます。それから同じくイギリスでは自由償却制度というものをやっておりまして、もうかったときにはいつでも償却していいという制度でございます。したがいまして、全部償却するまで税金を払わぬで済む、こういうような形になっているわけであります。これも非常に大きな助成策でございます。それから造船所の延べ払い制度というもの、輸出船と同じような効果があがる延べ払い制度をやっております。
それから次にノルウェーでございますが、ノルウェーの行き方は、大体外国の輸出金融を利用していくというやり方で、日本にも大量の船舶の注文をいたしております。金利も、船舶金融としては六%。それから償却制度では、非常に短い償却をやっております。これは大体耐用命数十二年の定額償却をやっております。それから投資準備金という制度をやっております。これも、もうかったときに金をためておいて、税金を払わぬようにして船をつくる、こういう制度をやっております。いま御質問がありましたのはイギリスとノルウェーということでありましたので、二国について申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/106
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107・内藤良平
○内藤(良)委員 それから、これは将来のことですけれども、集約をやりましたね、編成がえをやりまして、中核が六社ですか、これがこのままで国際的ないまの状態の中で相呼応して競争していけるかどうか。たとえばもう少し強力にする再編成といいますか、そういうことは、業界なりあるいは運輸省なりで考えておられることですか、そこら辺ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/107
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108・堀武夫
○堀政府委員 現在の六社の中核体の体制で今後戦っていけるかということでございます。企業体制というのは強ければ強いほどいいと思いますが、すでに四年前に大手術をいたしておりますので、そうたびたび大手術をするわけにまいりません。したがって、前にも申しましたように、法律でもって強制するような再編成ということは考えておりません。自主的に経営者自体の判断でもって今後企業体制というものを強化するという考えがあれば、それが適当なものであれば、それを援助していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/108
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109・神門至馬夫
○神門委員 関連して。この助成措置ですが、この答申の中に出しておるように、国策遂行上、特に国際収支をよくするために、こういう至上課題がありますね。そしていま説明があったように、世界の海運国がそれなりの助成をしておる。特にいま輸出造船なり計画造船、そして外航海運に対する造船段階における利子補給、こういうことが各国で競争して国策遂行上の国際収支改善のために、外貨を獲得するためという課題になっておる。特に造船段階においては、わが国が過半数を占めておるということも答申の中に書いてある点です。そうすると、これが私企業の助成によっての国際収支の改善という結果になるわけです。私企業の改善によって国際収支をよくする、こういうことになってくると、この国際競争力という課題からすれば、この利子補給という国の助成措置は永久に存続するものではないか。過去十年間の実績が示しますように、ほんの少しの段階にはこの利子補給が打ち切られたことがあったとしても、今後私企業の経営状態にかかわらず、国策遂行上という至上課題からこれを永久に継続していく、そしてその相手の国の助成措置を見て、それを上回る助成をしていきさえすればこの競争には勝つということになる。その辺の矛盾はどのように考えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/109
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110・堀武夫
○堀政府委員 各国が競って助成をしておる。いうなれば、この国際競争は助成競争ということになるわけでございます。これは各国とも非常に戒めるべきだということで、OECDなんかの加盟国は互いに話し合って、抜けがけをやらないように話し合いをしておるというのが最近の状況でございます。
それで、この利子補給というものは、そういう国際競争ということがある限りは永久にしなければならぬのだというごもっともな御質問でございます。それでわれわれは、この助成というものはそう永久にやるべきものではない、やはり海運自由、そして海運企業が自力でもって戦えるようにする、それを目標にすべきだというふうに考えております。しかし、いま申しましたように、相手があることでございますから、相手国の助成の成り行きというものも十分考え合わせますとともに、現在の日本の海運業自体の体力というものも十分考えまして、漸次ほんとうの自立、助成がなくともやっていける日本の海運というものを目標にしてやっていくべきだ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/110
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111・神門至馬夫
○神門委員 もう一つ。たとえばそういう観点からの助成措置に、具体的には利子補給という措置が講ぜられておる。ところがその輸銀を使っての輸出造船のときには、すでに世界の過半数を占めている、そのような実績から言うならば、いま局長がおっしゃったような目標はすでに常識の段階からはこえているのじゃないのか。いわゆる世界の三割とか、あるいは四割とかというふうなものが目標なのか。過半数を輸出造船しておっても、それがなおかつ現在続けられている、いわゆる一般予算をもって財投の利子補給を国家がして、そうして輸銀の窓口から四分の利子でまかなっておるのだというお話があった。そうなってくると、その辺はすでに矛盾しておるのではないか、あなたのおっしゃっておること自体に。事実もう早くから、この輸出造船の場合には世界の過半数を占めている、目標はもう達しておるのじゃないか。そうすると、そのような目標というものはあってないことになりやしないかということになるのです。いつまでも助成して、先ほど言ったように、もう際限なく国際収支の改善という課題をかかえてこの制度をやめることはできなくなる、このことを示しておるのではないかと思うが、その点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/111
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112・堀武夫
○堀政府委員 輸出政策としての船舶輸出に対する輸出金融の問題と、いわゆる海運政策としての助成策の問題とこの調整の問題、これは非常にむずかしい問題であるとともに、非常に微妙な問題でございます。
先ほど申しましたように、各国の輸出政策というものは助成競争の形になってきております。話し合いによりまして、これはだんだんスローダウンしてくるのだと思います。日本だけでその船舶の輸出政策をゆるめるということになりますと、いま世界一の造船国といわれて安心しておるわけにまいりませんので、これはやはり世界の大勢というものをリードしながら、しかもそれと調整しながらスローダウンしていくことになっていくのだろうと思います。それに見合って海運政策というものも調整していくということになっていくんじゃないか、こう考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/112
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113・内藤良平
○内藤(良)委員 もう時間もないようですが、いま神門先生のおっしゃるように、四十六年度の貿易量というものを一つの経済社会の発展計画でも見ているわけですね。積み取り比率もだんだん上げていこうというぐあいに計画があるわけですね。四十六年までには二千二百万トンぐらいにしようというような計画があるわけですよ。こういうぐあいにいろいろ計画があって、そうして国際収支もこの面で改善していこうということなんですが、神門先生のおっしゃるように、計画は計画だけれども、実際は何か際限がないんじゃないかという感じもしますけれども、そこら辺はどういうぐあいに考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/113
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114・堀武夫
○堀政府委員 先ほども申しましたように、永久に利子補給をするというようなことでは、これは国民が納得しないであろうと思います。それで、やはり助成策の目標というものは、裸で世界の海運市場で戦える、そういう企業の体力をつくるということであろうかと思うのでございます。それで、そういう裸で戦えるという段階になればもう要らないわけでございますが、そういう事態に持っていくためにはどうしたらいいか。それで、再建整備期間と申しますのは、言うなれば頻死の状態にあった日本海運が病院に入っておる期間、こういうふうに俗に言えば言えるわけでございます。これがもうあと一年で退院できる、こういうのがいまの段階だと思うのでございます。それで、あと一年で病院を出たとたんに世界の荒波にもまれるということになっていくわけですが、荒波にもまれても耐えていける、戦っていける、こういうことにするためには、やはりある程度の期間何らかのつっかえ棒が要るのではないか。その方法はどういう方法がいいかということは、これからの新海運政策というものの検討にまたなくちゃならぬ、こういうふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/114
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115・内藤良平
○内藤(良)委員 時間もないようですけれども、しかし、どこか矛盾しているのですね。たとえば、いま国際収支の面でもまたこれは問題になっているわけでしょう。四十一年度は約五・九億ドルくらいの赤字だ。そこで積み取り比率を上げていこうということで、いまの四十六年くらいの計画では、四十一年度の輸入が四七・三彩の比率を六三まで上げようという計画もあるわけでしょう。かりにこういうぐあいにしていっても、その時点になっても、概算でなお四億ドルくらいは赤字だということがいわれておりますね。そうすると、一〇〇%の積み取り比率というものは実際問題としてはできないことなんでしょう。何かここいら辺になると、さいの川原の石みたいに、いつまでも切りのないようなことになる。いま局長は裸で戦える私企業の充実を主張しておりますけれども、日本の海運全体のいわゆる国策的な面から見ると、これは切りのない話になるわけですね。こういう矛盾点というものをあなたのほうでどういうぐあいに調整するというように考えているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/115
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116・堀武夫
○堀政府委員 何ぼ一生懸命に助成をしても海運の国際収支というものは赤字がなくならぬではないかというお話でございますが、これはもうそのとおりでございまして、海運収支の赤字をゼロにするということは非常にむずかしいのでございます。これはお説のとおりでございます。なぜかと申しますと、これは日本の貿易構造というものに由来をいたしております。と申しますのは、日本の貿易構造あるいは生産構造と申しますか、そういうものは非常に多量の原料を輸入して、そして輸出をしてバランスを保つ、こういうかっこうでございます。そうしますと、輸入するための船腹というものは非常にたくさん要るわけでございます。それで一方、IMFの国際収支の計算方式から見ますと、外貨の純粋な受け取り関係のみを計算をするということになります。それで技術的にプラスになってあがってくるのは輸出部門だけがあがってきまして、輸入部門で日本船がかりに運んだといたしましても、それは結局外国の輸出業者に払う運賃でありますので、相殺計算をしまして、非常に膨大な輸入に従事した日本船の分、外貨節約というものは計算上あらわれてこない。そのために、相当船をつくってやっても、海運の国際収支の赤字がすぐなくならないという結果に計算上なるわけであります。したがって、船腹のほとんど九〇%くらいに近い積み取り比率にしない限りは、なかなか海運収支はとんとんにならない。九〇%の積み取り比率にするということは、ほとんど外国船をシャットアウトするということになります。そういう事態をつくるということは非常に困難なことであります。そういう意味では、国際収支をゼロにすることはなかなかできませんが、しかし現在の横ばいでもっていく。船腹を拡充しないでほっていきますと、国際収支の赤字がどんどんふえていきます。そういうものを防いでいくということを目標にしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/116
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117・内藤良平
○内藤(良)委員 そうしますと、その点はやはりコンクリートした方策はなかなか立てがたいから、その時期、時代、あるいは年々歳々を見ながらやっていくということになりますか。いまここでこういう方策でがっちりしてやれるんだ、もう国際収支本黒字になれるんだとか、そういうような計画がなかなかできない、政府としては、やはり年々歳々、そのときの動き、国際的な動きを見ながらやっていく対策よりないんだ、そういう結論になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/117
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118・堀武夫
○堀政府委員 われわれとしては、日本の今後の経済の伸びがどのようになっていくかということを想定しまして、それに伴いまして貿易量がどのようになっていくか、そしてそれに相応ずるためには船腹拡充をどのようにやっていかなければならぬか、そしてその船腹拡充をささえるためにどのような施策が必要であるか、そういう長期的な見通しのもとに政策を立てるべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/118
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119・内藤良平
○内藤(良)委員 そうしますと、この一年だけ延長するということも、いままでの話を聞いていますと、何かとりあえず一年延長というようなことで、あまり根拠もないような感じですね。何となく一年延長するというところもあるようなぐあいに受け取れますが、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/119
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120・堀武夫
○堀政府委員 長期的な計画に基づく今後の政策というものは、いま申しましたような観点から、これから立てていくようにいま検討しておるわけでございますが、再建整備計画というものは五年間でやるということで暫定立法ができておるわけでございます。そしてその再建整備というのは、利子猶予と利子補給の強化というこの二つの政策からなっておるのでありますから、この五年間は少なくともこの両輪である政策を続けていく、こういう考えが最も妥当である、こういうことで進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/120
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121・内藤良平
○内藤(良)委員 以上、途中でだいぶあれでしたが、きょうはこれで一応終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/121
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122・大野市郎
○大野委員長 次回は明二十七日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X00919680326/122
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