1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月十四日(火曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 大野 市郎君
理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君
理事 徳安 實藏君 理事 福井 勇君
理事 山村新治郎君 理事 小川 三男君
理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君
阿部 喜元君 大竹 太郎君
小渕 恵三君 菅 太郎君
菅波 茂君 中川 一郎君
西村 英一君 水野 清君
井上 泉君 板川 正吾君
神門至馬夫君 内藤 良平君
渡辺 芳男君 沖本 泰幸君
松本 忠助君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 中曽根康弘君
出席政府委員
運輸省海運局長 堀 武夫君
運輸省船舶局長 佐藤美津雄君
運輸省観光局長 深草 克巳君
委員外の出席者
内閣総理大臣官
房参事官 杉浦 喬也君
文部省社会教育
局社会教育課長 林部 一二君
通商産業省通商
局農水産課長 平井 清士君
専 門 員 小西 真一君
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五月十四日
委員近江巳記夫君辞任につき、その補欠として
松本忠助君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(
内閣提出第三六号)(参議院送付)
観光施設財団抵当法案(内閣提出第七八号)(
参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/0
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001・大野市郎
○大野委員長 これより会議を開きます。
臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。神門至馬夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/1
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002・神門至馬夫
○神門委員 時間が三十分しかないようですから、四点ほど申し述べますので、簡潔にひとつお答え願いたいと思います。
臨時船舶建造調整法の持っている三つの調整機能の中で、船腹需給調整機能関係についてひとつお尋ねしたいと思うのです。この船腹調整機能関係についての具体的な対象としては、特定の航路における適正な船腹量、またそこの輸送品目に適応する船質の調整を行なう、これがこの法律の持っている機能である、こういうふうになっております。
そこで具体的にひとつ例を出してお尋ねしたいのですが、この調査室から出しております四月の調査室資料の中にも、木材輸入ブームの非常な高揚によって船腹建造要請が集中してきたので、そこに自主的調整を行なわすことに成功したというようなことも書いてあります。私は特に、その内容が南洋材を対象とするものであったようにあとから聞きましたので、北洋材の輸入関係にしぼってお尋ねをしたい。
との北洋材の輸入を見ますと、木材輸入ブーム全般の増加率と同じように、輸入が非常に増加をいたしております。運輸省から取り寄せました資料を見ますと、たいへんな倍数になっておる。昭和三十六年から四十一年の資料が出ておりますが、約二・六倍にはね上がっております。ところがその中で、米材と北洋材の日本船と外国船の積み取り比率を見ますと、米材の場合が、昭和三十六年で日本船が百六十五万八千立米、外国船が五十七万七千立米であります。四十一年になりますと、日本船の積み取り量は五百七万七千立米になっている。約三倍に輸送量が上がっておるのであります。ところが外国船は、その半分の二十七万七千立米に落ちている。米材の場合は、このように日本船の積み取り比率というものがぐっと何倍かはね上がっておるのに、片方はおりて、非常に外貨を獲得するという計画造船なりあるいは開銀の利子補給が目的とする政策にかなっている結果をもたらしております。
ところが北洋材になりますと、同じ昭和三十六年と四十一年の比率を見ると、日本船の三十六年が七十四万二千立米に対して、四十一年は百三十一万三千立米で一・七倍に割合はふえております。ところが外国船になりますと、三十六年に五十五万六千立米であったものが、四十一年になりますと二百十万六千立米、約四倍にはね上がっておるのであります。そして四十二年度になりますと、さらにこの差が大きくなっております。日本船は百四十四万九千立米の輸送量に対して、外国船になりますと三百十一万立米というふうな、日本と外国船の積み取り比率の割合は約二対一の割合になっております。
この数字が示しますように、日本の船腹が不足しておるがゆえに、このように北洋材の場合には、輸入木材、日本で買う木材について外国船の積み取り比率が日本船の倍にもなっているのかどうか。またそういうふうな絶対的な船腹が不足しておるとするならば、本法が持つところの調整機能を発揮して、そこに行政指導を行なわれる義務がある。これはこの法律と非常に矛盾する。あるいはこれまで開銀の計画造船に対する利子補給というふうな、いろいろな、わが党が反対するような、外貨の獲得という課題についても全く逆現象になっておる。この辺について一体運輸省は、この法律に基づいてどのような監督なり調整機能を発揮されたのか、こういう点について説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/2
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003・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 木材の近海船の建造調整につきましては、昭和四十年の末ごろ以来非常にフィリピンとかサラワク、そういうところの南洋材の輸送対象が急増いたしまして、それに対する建造の意欲が非常に急増したわけでございます。この背景には荷動きの増加とか、それから内航海運の船腹調整、それから地方銀行の資金の余裕ですか、そういうものが働いていたわけでございます。しかしそのときの問題は、先生が先ほどおっしゃいましたように、建造段階では、南洋材が主体でございます。このまま船主の建造希望を認めていきますと、四十一年度中には大体五、六十万総トンの建造規模にもなる。当時の、四十一年の近海船全部については百万総トンくらいのワクでございまして、非常に大きなワクを占めるということでございまして、船腹の著しい過剰を来たすおそれがあるというふうに認めましたので、政府としましては四十一年度の半ばから、近海船建造の繰り延べあるいは建造規制、そういうことを行なったわけでございます。
北洋材については、そういうことでございまして、何ら制限しなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/3
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004・神門至馬夫
○神門委員 いや、そういう南方材が輸入木材の八割を占めておる関係上、そこに焦点が当たったということはよくわかるけれども、北洋材の場合を見ると、歴史的に見まして、非常に——これは海運局のほうがいいだろうと思う。さっきの質問、わかりましたか。——それならそれに対する御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/4
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005・堀武夫
○堀政府委員 米材とか南洋材がどんどん伸びる、そして日本船の積み取り比率がどんどん伸びておることは、先生御指摘のとおりであります。それに反しまして北洋材のほうは、荷物がふえておるにもかかわらず、日本船の積み取り比率がだんだん下がっておる、それはどういうわけか、こういう御質問だと思います。これは一番大きな原因は、ソ連船の商船隊の整備がどんどん進んでおる。それでそのために、ソ連材を輸出するにあたっては、ソ連側といたしまして、船積みする船を指定する権利を向こうが持っておる。それでFOB契約というものをだんだん少なくして、そして自分の船で運ぶ分をだんだん多くしていく、こういう傾向が見られるわけであります。これも要するにソ連側の船がどんどんふえてきたために、自分の船に積ませるようにやっておるという結果が、一番大きな原因だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/5
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006・神門至馬夫
○神門委員 そうすると、ソ連船はふえておるけれども、日本船は不足しておる、そういう需給関係に対応するソ連と日本の保有船の割合がそういう結果になったのだ、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/6
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007・堀武夫
○堀政府委員 いまの、ソ連がどの船に積ます——日本船に積む場合はこういう条件、ソ連船に積む場合はこれだけ輸出を認める、こういうようなかっこうになっておるわけです。FOB契約を認めるならば、日本船に積むことができるわけであります。それでもし、そういうFOBの契約が多ければ、日本船としてもどんどん船をそっちへ回す。その場合には、船が足りなければ建造する、こういうことになると思いますが、ソ連船がどんどん出てくるために、ソ連政府としてもそういう割り当てといいますか、それをやっておるのではないか、そういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/7
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008・神門至馬夫
○神門委員 そうすると、北洋材の輸出国であるソビエト側が配船については完全な主導権を持っておる、その配船の権利は独占しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/8
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009・堀武夫
○堀政府委員 お説のとおり、ソ連側が主導権を握っておりまして、日本船の積み分のワクを向こうがその前の月に指定をしてくる、こういうかっこうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/9
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010・神門至馬夫
○神門委員 運輸省のほうから取り寄せました資料を見ますと、日本船の配船というのは五月から十一月まで七ヵ月間に限られて、あとの五ヵ月間というものは、配船が完全にゼロなんですね。そうしてこの四十二年度の分も、先ほど申し上げたように積み取り比率の倍率がどんどん変わっていって、二対一以下に日本船の割合が下がっている。これに対する日ソ間の貿易協定の中に、積み取り比率をどのようにするかという点について約束ごとがあるのじゃないだろうか、こういうふうに思うが、通産省のほうはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/10
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011・平井清士
○平井説明員 御説明いたします。
ソ連材を輸入いたします当初のころの商社と向こうの公団との契約には、そういうことが書いてあったようでございますが、最近に至りましてはそれが載ってないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/11
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012・神門至馬夫
○神門委員 そうしますと、海運局のほうで外貨の獲得という非常に大きな——利子補給してまで貿易外収支の防衛をしたい、外貨の獲得をしたいという課題と、いましり抜けになって、完全に日本側に配船のコントロール権がない、調整権がないというふうなこの実態とについてはどのように考えておられるのか、あるいは措置としては何らかの措置をおとりになったのか、この点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/12
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013・堀武夫
○堀政府委員 先ほどの、夏場だけしか配船してないじゃないかということ、これは夏場になりますと、ソ連船自身が北極海方面にどんどん配船されますので、こっちのほうから船をはずしていくわけです。その穴埋めに日本船をよけい割り当てをしてくれる、こういうかっこうになっておりますので、日本船が夏場だけというのは、そういうところからきております。
それで、いまの、政府との話し合いか何かをやる必要があるのではないかという御意見だと思いますが、四年ほど以前から、ソ連との貿易交渉においては、常に日本側は、北洋材に関して年間を通じての日本船の配船あるいは積み取り比率につきまして、ソ連側の好意的な配慮というものを要求をしてきておりますが、いまだ十分な話し合いの成果が得られないというのが実情でございます。今後もその努力は続けたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/13
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014・神門至馬夫
○神門委員 局長、努力をされておるのにかかわらず、この積み取り比率の割合というものはだんだん日本が少なくなっている。これは努力の結果が全然出てないどころか、逆のことになっておるわけですね。これはしかし、対等貿易じゃないのじゃないか。いわば配船に対する権限というのが、日本には全くない。全く向こう側ベースで行なわれているということ、これは非常に問題があると思うのです。この調整機能そのものから、その法律の立場に立つ監督権を持つ運輸省なり海運局としては、これはどうも私らは解しかねる問題だと思う、努力されておるにかかわらず、その比率が減っておるということは。それではそういうようなことが、日ソ貿易協定が毎年行なわれるわけですが、これで通産省のほうで問題になったことはないのですか。そのような努力をされた事実はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/14
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015・平井清士
○平井説明員 御説明申し上げます。
この件につきましては、毎年の日ソの貿易会談におきまして、先ほど運輸省のほうから御説明がございましたけれども、たびたび、契約上そういうような話になってなくても、考え方としてはそうあるべきだということで再三申しておりますけれども、まだはっきりそれに対するどうこうという返事がこないように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/15
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016・神門至馬夫
○神門委員 時間がないから、まだお聞きしたいのですが、次に移ります。
そのように日本船による配船、FOBそのものが七カ月の季節稼働になっている。それで御承知のように、一万立米の商いをしますと、二億円程度要るのですね。そのものを一ぺんに持ってこられたら、大商社は別として、中小商社というものはどうしても維持できない、金繰りができないという問題が出ます。その話し合う対象としては日本の商船会社、この場合十一社が当たっているようですが、そこと話し合ってコントロールをする以外にはないようです。ところが私の聞いておるところでは、この船主十一社、この船会社と系列商社、この辺がどうもうまくつないでいて、他の商社が割り込む余地がない。こういうふうなことを聞いているのです。それでしょうがなしにはみ出して、ソビエト船の冬期間北洋のほうから回ってきた船に頼むと、今度は一ぺんに何万立米というものを、いわゆる需要調整、市場の需要度とは関係なしに、向こうの船の都合で一ぺんに持ってくる。そうすると、それを一ぺんに支払いをしなくちゃならぬというような、商業ベースとしては全くどうにもこうにもならないような問題が起きている。こういうような事実を御存じですか。運輸省としては、あるいは公正取引委員会としては御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/16
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017・堀武夫
○堀政府委員 北洋材の輸入につきましては、従来十一社の、いま御指摘の会社でもって輸入協定を結んで、秩序ある輸入、輸送を行なうという体制にしてやってきております。そこで、四十三年度の協定では、いまの十一社が十七社に数をふやして新しい会社も入れることにいたしております。それで、いま小さな業者といいますか、そういうものが割り込むことができないようになっておる。その点は、いわゆるロットが小さいと、船の大きさに合わない場合には船会社はあまり喜ばないわけでありまして、そういうととが原因になって、そういう事態が起こる場合があるんではないかということは想像されます。それで従来、いろいろと事情を聞いてみますと、小さな商社はその権利を大きな商社に売っておる。それはどうしても小さなロットではそういう船積み関係でいろいろ不便もあるし、いろいろやりにくい点があるというので、小さな商社もほかに権利を売って金をもらったほうがいいということで、一方では売り一方では買うということもあって、比較的大きな商社だけがやっておるというような形になりつつある。その後非常に木材のブームが来まして、また小さな商社もやり始める、こういうようなかっこうで、いざ入ろうとなると、いま言ったようないろいろな事情がありまして、なかなか入りにくい、こういうような点が、先生の御指摘のとおり若干あるような実情だと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/17
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018・神門至馬夫
○神門委員 それでまだ極端になりますと、その契約をした商品を、いわゆる木材をある商社に売れば配船をしてやろう——あなたがおっしゃるように、近海船ですから三千トン級です。それに満載をするに足りないような小口の材を集めて扱わないとできないような場合があるでしょうけれども、これはやはり二万トン、三万トンくらいの契約をした商社においても、そういうはじき出しを受けておる。そうして、それをある商社に売りなさい、売れば船を回してやるぞというのが、実際問題として話し合いがされている。こういうような事実があるというように、私は直接聞いておるのです。ですからそうなってくると、明らかに海上運送法の第三十条の違反になるし、公正取引委員会としても公正取引を阻害している事実として当然取り締まり対象にもなるだろう。こういうふうに思うのです。ですからこの辺の事実関係に対しては、運輸省のほうに出されているこの報告書の様式というものは、いわゆる定められた内容に整うような内容として報告をされておるから、あるいは運輸省は知らないとおっしゃるかもわからないけれども、そういうことになってくると、これは相当問題になることだというふうに思うのです。それで、その辺はひとつ、これまで質問する段階で、運輸当局のほうといろいろ話を聞いてみると、積極的にその辺について取り組んでおいでになるようです。放置されておいでにはならない、そういうことのないようにということにはなっておるようですから、その点は私も了解するわけですので、きょうは時間がないので大ざっぱな質問をしておいて、あらためて今度国政調査の質問の時間にお聞きしたいと思うのです。ですからそういうようなものをもう一つきびしく、船会社、いわゆる系列別船会社と商社の結託によって不正な商行為が行なわれる、正当な取引が行なわれていないというようなことが起きないように、これは調整法上のもう一つの機能としてたいせつな問題ではないかというように思うのです。
そこで大臣にお聞きしたいのですが、いまのような、私が申し上げたような問題があるのです。具体的に表面に出ているのは、日本船と外国船、特にこれはソビエト船ですね。CIFと申しましても、この場合に関する限りソビエト一国なんです。その積み取り比率というものが年々拡大をしていっておる。拡大をしていっているけれども、その積み取り比率を調整するあるいは監督するという機能は、省としては運輸省しかどうもないようです。運輸省のほうでチェックしている。ところが根本的には外務省チャンネルの貿易協定、条約の中に協定事項としてこれが入らないと、いまのように非常に日本船の配船というものは全く向こうペース、全くこっちには口出しのできないというような問題が出ている。これはただ調整機能という面からではなしに、海運全体の問題として、いま海運業の育成という、利子補給の一面から申しましても、この前の法案審議の段階で問題になったように、この目的とは全く逆の方向にいっているのです。そうしますと、根本であるこの条約を締結する段階にそのものがきっちりと整理されないと、問題が解決されないということになります。そういう点についてどのようにお考えになっておるのか。
もう一つは、これは一面に出た問題ですが、全く不平等な内容、配船だけを見ても不平等な内容のこのようなものについて、すでに御承知なのか。知っておいでになるとすれば、どのような措置をとろうとお考えになっておるか。この辺をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/18
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019・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 木材輸送における邦船の積み取り比率が低下しておることは、御指摘のとおりでありまして、この点は大いに是正を要するところであると思います。日ソ間の問題は、漁業問題とか航空協定の問題とか、シベリア開発であるとか、いろいろ利害関係がふくそうしている問題もありますので、総合的な外交交渉の一環の中にこれを入れてもらいまして、改善していくように努力してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/19
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020・神門至馬夫
○神門委員 それでは通産省のほうにも、課長ではどういうようにするというようなことは答えられないかもわからないが、いま運輸大臣のほうから話があったような、この問題については非常に変則的な現実の姿も出ておるのです。この点について、こちらでも調整権があるように、対等な通商協定を結ぶように、ひとつ努力してもらうというようにお伝え願いたいと思うのです。またこの次のときに、続いてもう少し詳しく質問を続けたいと思います。
きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/20
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021・大野市郎
○大野委員長 本案に対する質疑はございませんか。ほかに質疑もないようでありますので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/21
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022・大野市郎
○大野委員長 次に、観光施設財団抵当法案を議題として審査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。山下榮二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/22
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023・山下榮二
○山下(榮)委員 大臣も時間がないようでございますから、簡単に二、三伺いたいと思うのであります。抵当法案の審議に入るに先立ちまして、まず観光基本法についてお伺いいたしたいと思うのであります。
昭和三十八年の六月に観光基本法が施行されて以来、一体国はこの法に基づいてどういう具体的な施策を実施してきておられるか、その点を伺いたいと思っておるのであります。そこで、特に第二条の「国の施策」での八項それぞれを検討してみましても、政府は観光施策の実現のためにこれまで努力してこられたとは思われないのでありますが、一体いかなることを実施してきておられますか。このことについて政府としてとってこられた具体的な施策について、大臣からお答えをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/23
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024・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 具体的には観光局長から答弁せしめますが、一つは外国人旅行者を日本に誘致するということ、それから観光ルートを設定するということ、それから国立公園等の美観維持のために諸般の施策を行なうことというようなことを、いろいろ努力してまいったつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/24
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025・深草克巳
○深草政府委員 御指摘の観光基本法第二条に基づいてどういった施策を講じたかという御質問でございます。先ほど大臣が申されましたように、第二に書いてございます「国際観光地及び国際観光ルートの総合的形成を図ること。」これは次官レベルの観光対策連絡会議で決定いたしまして、閣議に報告をいたしております。
それからいろいろな法的措置でございますが、今回提案いたしております財団抵当法も、これの一つの具現でございます。そのほか税制の問題あるいは観光地におきます宿泊施設の整備の問題、あるいは休憩施設の問題、あるいは青少年旅行のためのユースホステルの問題、それから直接私どもが所管をいたしておりませんが、家族旅行その他健全な国民大衆の観光旅行の容易化、これにつきましては厚生省のほうで国民休暇村、国民宿舎、こういったものも建設をいたしておるわけでございます。
法律につきましてはいろいろ議論もございまして、日本の場合には諸外国に比べまして比較的観光関係の法律は整備をいたしておると私は思っております。ただ冒頭に申し上げました国際観光地及び国際観光ルートの整備及び形成、これは方針はきまりましたけれども、予算がなかなかつきにくいという点もございまして、法律をもって促進したらいいじゃないかという一部の意見もございます。この点につきましては、総理府の観光政策審議会に御検討を願っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/25
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026・山下榮二
○山下(榮)委員 いま御答弁になりましたようなことは、別に基本法という法律がなくとも当然行なわなければならない事柄だと思うのであります。それでは、予算云々と言われましたが、本年度の予算を見てみましても観光基本法にのっとった国の施策を実現する意図が見られるような予算が一体どこに出ておりますか。私はこれらに対して予算上から考えまして、基本法はできたけれども、政府みずからが、いま大臣の言われたような外国人の観光客をお招きするという熱意に私は欠けておるのじゃないか、こういう感じを持つのであります。こういうことに対してそうではない、実はこうこうこうだ、こういうことが何かありますれば、ひとつ大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/26
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027・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 率直に申し上げまして、ことしは予算が硬直をいたしておりまして、大蔵省がなかなか金を出し渋りまして、その点は新しい強力な施策が展開されていませんことはまことに遺憾な次第でございます。今後もっと大いに努力してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/27
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028・山下榮二
○山下(榮)委員 この財団抵当法の制定は、これはやはり観光施設の上から考えましても一歩前進だ、こう思っておるのであります。観光のすべてをこの法で足れり、こういうことではとても、民間にまかせ切りというようなことではとうてい目的を達成することは不可能である、かように考えるのであります。私は政府の意図がそういうところにあるのじゃないかということを、はなはだ遺憾に思っておるのであります。観光は単なる民間の企業では決してございません。いま大臣も言われましたように海外のお客さんを招く、いわゆる外貨獲得という点から考えましても、あるいはまた外人に日本を理解してもらう、国際親善という点から考えましても、これを国策の重点に置くということはきわめて重大なことではなかろうか、かように考えておるのであります。こういう点から考えまして、この抵当法というこれで観光施設の完璧が期せられるのだ、こういう考え方はいささか私は軽率に過ぎるのじゃなかろうか、こう思うのであります。
したがいまして、過般井上議員も質問の中に申されておったと思うのでありますが、法律はつくるが、抵当法で抵当は拡大はされるが、それでは一体銀行から金を借りる場合の原資というものを用意をするのかどうか、こういうことになると、これはもう一つそこまでは進んでいない、こういう感じがするのですが、ここまでいかれるなら、民間にまかせる、抵当を拡大する、こういうことでありますならば、政府のほうで原資も通じて考えられるべきじゃないか、これは大臣、一体いかようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/28
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029・深草克巳
○深草政府委員 先般もお答え申し上げましたが、この法律は民間ベースでのこういった施設をする人と金融機関との間の話し合いをできるだけ、たとえば抵当の問題にしましても拡大をしていこうという趣旨でございます。御説のとおり、これでもって足りるというふうなことは毛頭私どもも考えておりません。ただし、こういった種類の観光地開発はいわゆる政府関係金融機関のべースに乗るかどうかという問題は、今後の問題だと思っております。観光基本法の中でたとえば、低開発地域における観光のための開発というような観点に立ちますれば、そういったプロジェクトのもとに政府関係金融機関からの融資が考えられることもございます。それから開発銀行あたりでも最近非常に広域的な観光開発について、宿泊施設とは離れまして、観光地開発というプロジェクトで融資を考えてみようかというような空気にもなっておりますので、私どもは先生も申されましたような方向に、できるだけ政府関係の金融機関からも理屈のつくところには出してもらうように今後努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/29
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030・山下榮二
○山下(榮)委員 いまそういうところだろうと思うのですが、それではなかなか思うように金融の道が開かれるとは私は考えないのであります。そこで、それでは国は観光基本法という法律まで制定をしておるのですが、今後具体的に一体いかなる観光施設の国策としての施策を立てられる方針をお持ちでありますか。その点をちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/30
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031・深草克巳
○深草政府委員 現在、これは総理府からお答え願ったほうがいいかもしれませんが、総理大臣の諮問機関で観光政策審議会というのがございます。これに、特に私どもいままでとかくないがしろにしておりました、しかし需要が非常に張ってまいりましたいわゆる国内観光の問題、これにつきまして今後どうしていくかということでございますが、国会におきましても総理に対する質問がございまして、国内観光についての長期計画を樹立する考えはないかということに対しまして、総理もぜひやるという御答弁がございまして、それに立脚いたしまして現在総理大臣から、国内観光の方向をどうするかという問題について現在諮問をいたしております。それには開発の問題もございます。あるいは勤労者の休暇制度の問題、そういった問題も含めまして、全般的に国内観光をりっぱな方向に誘導していこうというねらいのもとに、現在専門の方の御審議を願っておりまして、それが答申をいただきましたら、各省にまたがってはおりますけれども観光対策連絡会議にさらにかけまして、私どもとしては閣議決定まで持っていって実行してまいりたいという決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/31
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032・山下榮二
○山下(榮)委員 それでは、総理大臣までさようなことばを述べられて熱意を傾むけておられる、そういうほどのことでございますならば、今度の一省一局削減に伴う観光局の部への格下げは、一体何を意味するのでございますか。これがわれわれにはちょっと理解に苦しむところであります。観光行政の軽視そのもののあらわれではなかろうか、こうも考えられるのであります。これについて大臣はどうお考えになっておりますか、大臣の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/32
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033・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 観光局を部に下げるということは、もっと強力な一元化された機関を内閣レベルでつくるということが約束ができておりましてやるので、観光政策が後退しているというわけではございません。むしろ一歩後退二歩前進という形でこれを実行していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/33
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034・山下榮二
○山下(榮)委員 なかなかことばは巧みで、一歩後退二歩前進というその二歩前進の姿は、それじゃ一体どういう前進でありますか。そのあらわれが出ていないのであります。こういうふうにやるからこれが一歩後退したけれども二歩前進になるんだ、こういう具体性がなければならぬ。しかも観光というのはただ一時的なものじゃないのでありまして、三百六十五日あるいは永遠にわれわれはこれを持続し、これをさらに発展せしめていかなければならぬ、こういう段階において、そのほかの問題とは事が違うと思うのですが、その二歩前進の内容をひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/34
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035・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 総理大臣も議会で、観光行政を一元的に強力に統合するという答弁をしております。私と木村行管長官との間におきましても、現在の一省一局削減等の関係法案が成立次第、直ちに一元化の法案を策定してこれを議会に出してくれ、そういう約束になっております。その一元化の法案がどういう形がいいか。向こうからもお尋ねがありまして、われわれのほうからも二、三素案ともいうべき考え方を提出してあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/35
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036・山下榮二
○山下(榮)委員 まあそれじゃ二歩前進は一元化される、こういうことにいまのところでは了承をいたしておきたいと思うのですが、昭和四十年の十二月の閣議に報告された国際観光地及び国際観光ルートは決定されたとはいえ、その後の行政措置というものが何ら整備の方針を打ち出しておられない、こう思うのですが、これは法律ができたまま放置されていると申し上げても過言でないような感じがいたすのであります。これは業務上の非常な怠慢じゃないかとも私は、極言すれば考えられるのですが、これに対して一体いかようなお考えをお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/36
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037・杉浦喬也
○杉浦説明員 御質問の観光行政につきましては、四十年の末に観光対策連絡会議で決定をしたのであります。四十一年から五カ年計画でその内容を実施するという形で進んでおるのでございます。先ほど観光局長のお話にもありましたように、毎年予算のつど各省で、この観光対策連絡会議の決定に従って予算を獲得するように努力をしておるわけでございます。私どものほうも関係各省の総合的な予算という立場からこれを把握しておりますが、必ずしも所期の五カ年計画のとおりに進捗はしてないことは、御指摘のとおりでございますので、今後ともそのように努力してまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/37
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038・山下榮二
○山下(榮)委員 ちょっと聞き取れなかったのですが、五カ年計画で計画を定めてやる、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/38
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039・杉浦喬也
○杉浦説明員 はい。昭和四十一年から昭和四十五年度までの五カ年計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/39
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040・山下榮二
○山下(榮)委員 それじゃ、次に観光の基本は観光基本法に明示されているごとく、国の施策であることはもう言うまでもないことでございます。ここに本抵当法が民間の観光事業の促進に役立つことは、大いに歓迎するところでございます。それとともに、国が強力に公共基盤施設すなわち道路、自然公園等の利用施策等を整備されることがきわめて必要だ。先ほどルート云々と大臣は言われたのですが、これらの点についていま言われました五カ年計画にのっとった線で進められるものであるが、いままでの観光施設という観点から考えて、いま私が申し上げたような点についてはこれという目ぼしい手がつけられていない、こう考えておるのであります。したがいましてこういう点については、国が非常に強力な力でこれを推進をしていかなければならぬ。そのために基本法ができたのだ、こう私は理解をいたしておるのですが、そのとおりでしょうか。計画の方針は一体どんなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/40
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041・杉浦喬也
○杉浦説明員 昭和四十年の末に決定されました計画自体は、全国を十ルートに国際観光ルートをきめまして、そのルートに沿いまして、具体的に観光基盤施設、道路、鉄道、航空等をはじめとしまして、観光地の各種の施設についての具体的な内容が盛られておるわけでございますが、これが全国的な範囲できめた関係上予算に反映させるということが非常に困難であります。毎年各省で連絡を取り合っておるわけでございますけれども、最初にきめました決定の線に進捗を見ていないという実情は否定できないわけでございますが、努力しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/41
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042・山下榮二
○山下(榮)委員 それでは時間もないようでありますからこれで終わりますが、いずれにいたしましても、観光はわが国の外貨獲得に重要な役割りを果たしていることは論をまたないのであります。しかし、海外にわが国を紹介し、理解してもらう、こういうことには縁のほど遠い施設の姿でありまして、海外から来られるお客さんに対しまして、真に日本という国の理解を深めてもらうためには、観光施設の完全な整備、完全な確立がなければならぬ、こう思っておるのであります。どうか基本法の精神にのっとって政府は今後鋭意その施策を進めていただくことを希望いたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/42
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043・大野市郎
○大野委員長 木部佳昭君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/43
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044・木部佳昭
○木部委員 時間がありませんから、簡潔に答弁をしていただきたいと思います。
ただいまも山下委員から御質問がありましたが、五カ年計画をどういうふうな経緯で推進をされてきたかということについて、第一番に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/44
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045・杉浦喬也
○杉浦説明員 四十一年から始まる五カ年計画でございますが、総理府の諮問機関であります観光政策審議会にそのつど諮問をして毎年の計画を練れという附帯決議もあったわけでございますが、予算との関係で正式な諮問はできませんが、一応事前には基本的なあり方というものにつきまして御審議を願い、また予算の進行につきましては観光審議会にこれを反映しつつ意見を聞きながら、翌年度の計画を考えていくという形で従来進行しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/45
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046・木部佳昭
○木部委員 審議会もたいへんけっこうなんですけれども、私は国際観光、国内観光というものの展望というものを考えたときに、総理府のほうが各省にまたがる総合調整をする立場でいろいろ問題があるかもしれませんが、申し上げれば、総理府として観光基本法にのっとった強力な調整と推進というものをあらわしていかなければ何にもならぬじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。特に世間に言わせれば、いろいろな基本法が国会に上程されるが、観光基本法なんというものは、あれは何の肉づけもない、こう言って一番最初にその話が出るというような状態を振り返ってみましても、そろそろそういう強力な施策の推進をする、こういう立場にある。なおまた、将来の展望等をどういうふうにするかということを考えていかなければならぬじゃないか。これが先ほど観光基本法の改定の問題、いろいろ話が出たわけでありますが、そういう点について総理府の決意を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/46
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047・杉浦喬也
○杉浦説明員 将来の観光施策という問題につきましては、ただいまの御指摘のとおり相当重大ないろいろな問題が含まれており、また長期的な展望に立つ必要があるということが重要な点であると思います。現在、われわれのほうといたしましては、審議会を通じましてまず十年先、二十年先の長期的な予測を数量的に把握したい、これをもとにいたしまして長期政策を樹立したいというふうに考えておるわけでございます。
この内容といたしましては、当面の問題としまして、国際観光の赤字の改善の問題、それから国内観光の問題といたしまして、非常に大量の観光需要が今後発生する、現在も発生しつつあるわけでありますが、こうした大量の観光需要に対しまして、健全な観光のために観光施設をどのようにしたらいいかという諸点、それからもう一つは観光資源の問題でございますが、最近の各種の産業開発の発展に従いまして、観光資源との間で摩擦を生じ、あるいはその観光資源が棄損されるというような事態もございますので、この観光資源の保護と各種の社会開発をどのように調和的に発展させていくか、以上、大体三点につきまして、審議会を通じて昭和四十三年度中に一つのビジョンが打ち出されるように検討したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/47
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048・木部佳昭
○木部委員 当面の問題として赤字の解消、それから自然の保護の問題、いま国際観光の長期的な展望ということを言っておられるわけでありますが、四十三年度中にそういうものをまとめていきたい、こういうお考えのようでありますが、具体的にはどうされようと思っておるのでしょうか、その辺を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/48
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049・杉浦喬也
○杉浦説明員 具体的な政策を立てる方法論というふうにお聞きしたわけでございます。審議会に従来専門委員という制度がございまして、これを必ずしも従来十分に活用しておらなかった状態でございますが、今後はその専門委員を十分活用いたしまして、それぞれの立場の専門分野の知識、経験を生かしていただいて、いま申し上げました諸点についてそれぞれの委員に早急に検討をしていただく、これを各部会——三つ部会がございます。国際観光部会、長期展望部会、観光開発部会、この三つの部会にそれを集約いたしまして、審議会としてまとめ上げる、こういう方向を考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/49
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050・木部佳昭
○木部委員 私の言っておるのは、審議会は権威があるわけですから、それはそれとしまして、やはり私は運輸省の観光局なり、内閣の、いまの総理府ですか、杉浦参事官なんかのところでみずから、この変貌する——たとえば国際観光に例をとってもそういうことが言えると思います。昭和四十五年には超大型の旅客機が就航するというような、そういう事態というものを私はもっと真剣に取り上げなければならぬと思うのです。たとえば、私はこれも夢ではないと思うのでありますが、将来、中国なんかが窓をあけた場合に、一体どうなってくるかというようなことなんかも考えていかなければならぬと思うのです。たとえば、日本の場合には、東京へおりれば何かニューヨークの小型みたいな感じで、たいして見るところがないじゃないかというような点があります。いままで観光基本法というような施策を審議会なんかを中心にやってこられたわけでありますが、やはり政府として、そろそろそういう国際観光を一体どうするか、せめて十年くらいの展望に立たなければいかぬと私は思う。そういう施策が何にもないから観光基本法にも審議会にも権威が出てこない、こういうふうに実は平素から私は理解をしておるわけです。
それから国内観光を見てみましても、たとえばあと十年くらい先には、日本だって週五日制になると私は思うのです。そういう場合に、去年あたりは七億五千万人くらい旅行されたようでありますが、週五日制ということになれば、国民が健全な観光というものを求めて、もっと進んで旅行するようにもなっていくわけです。そういう場合に、たとえば厚生省を見てみましても、国立公園局なんか一年間に五億くらいしか予算がない。私がいま申し上げましたように、国内観光も高速道路や何かの出現によって多元化をされていく。いままでのように、一カ所に集中して観光地が繁栄するなんということはないのじゃないか。多元化する方向にいくだろう。同時に、たとえば高速道路ができますと半径二、三百キロ以内のところなんか、みんな自動車で旅行するようになる。おそらく昭和六十年くらいを計算してみますと、大体四人半に一台くらいになるだろうというふうに私は理解をするわけです。そうなってまいりますと、いま申し上げましたように、非常に多元化されてくる傾向にある、その際の受け入れ体制は一体どうなっていくのだろうかという展望も、国内観光においてもないのじゃないかという気持ちが私は実はいたしておるわけであります。たとえば最近の傾向は、旅行する場合でも団体旅行、グループ旅行をしようというような傾向に変化してきているのじゃないかと思う。でありますから、これからはたとえば観光農業であるとか観光漁業なんということも、当然国内的に考えていかなければならぬ。外国の場合には海洋開発ということが非常に熱心に推進されているというような点を考えてみましても、この国内観光というものも、いま申し上げましたように週五日制、それから四・五人に自家用車一台ということを考えてみますと、よほど思い切った展望と抜本的対策がなければ、健全な国民の体育の向上や健全な保養ということは成り立っていかないのじゃないか、実はこういう気持ちが私はいたすわけでありますが、そういう点について観光局長はどう考えておりますか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/50
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051・深草克巳
○深草政府委員 まず国際観光でございますが、御指摘の中国という大きな場所がございまして、これにつきましては先ごろ大臣からも特命がございまして、中国の観光価値といった観点をそろそろ調査をすべきではないかというお話がございまして、現在国際観光振興会あるいは中国関係を取り扱っております旅行あっせん業者にも依頼をいたしまして、調査をさしておるわけでございます。
それから国内観光につきましての先生の御説は、そのとおり私どもも受けとめておりまして、週休二日というような問題、あるいは所得が増加をいたします問題、それから国民生活が非常に緊張してくる、これをぜひ週休二日で回復しなければいかぬという観光の生活的な需要の問題、こういったもろもろの問題がございます。それから観光対象地にいたしましても、御説のとおり、場所の問題がございます。観光基本法にも、一カ所の観光地へ集中することを緩和しなさいということも書かれております。それから御説のように、観光対象が非常に変わってきます。いままでのような名所旧跡ばかりじゃございませんで、特に都会の人は、農村を見たこともないというような人間もおります。そういった人に農村を見させる。そういうことになりますと、農村自体が一つの観光対象になるわけでございます。そういったもろもろのことをどういうふうに組み合わせていくかという問題が、先ほど私が申しましたいわゆる国内観光の展望の問題で、いま作業を進めておるわけでございますが、そのほかに私どもとして考えておる問題がございます。
一つは、国内の観光地が非常に集中的に込んでいることを何とかなくさねばいかぬという問題、それから日本は外国よりも比較的観光シーズンの波がないのはあたりまえでございますが、休暇制度の問題もございまして、シーズン、オフシーズンがございます。こういったものをならさなければいかぬ。したがいまして場所的な集中の問題、時期的な集中の問題、これを何とかしてならすという作業を進めなければいかぬわけでございます。このためには、たとえば休暇の問題にしましても、企業者と労働者側との協定によりまして、たとえば夏の休暇なんかをきめておるわけでございますが、企業者側にも労働者側にも呼びかけまして、これをできるだけ年間を通してならしてもらえないか。しかしシーズンでないときに行く人は非常に不利になりますので、その際は若干宿泊側あるいは交通機関に割引をしてもらって、つまり旅行経費を選ぶか旅行の時期を選ぶかという選択をしていただいてやっていただく。外国でソーシャルツーリングが非常に盛んでございます。こういったシステムを私どもとしてはぜひとも近い機会に、一つの国民運動の母体として結成をしたいという考えで、いま準備を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/51
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052・木部佳昭
○木部委員 観光局長のお話もよくわかるのですが、私が先ほど申し上げましたように、去年七億五千万人ぐらい旅行して、三億ぐらいは国定公園や国立公園にドライブしたり、行楽を楽しんでいる。この予算が五億だ。それから海外の宣伝費にいたしましても、たとえばフランスの七分の一ぐらいしかない。それからオランダの二分の一だというようなことで、そういう点が、私は冒頭に申し上げましたように基本法と逆な方向に行っておるという感じを痛感するわけなんです。
観光地が非常に集中的に込むというようなお説もあるわけですが、たとえて申し上げれば、観光地の場合でも遊興飲食税の還元をしてくれというような意見もあるようです。私は、日本のような場合は、国際観光といっても国内観光といっても、外国人が来た場合でも国内の人が旅行した場合でも、あまり見るところはないと思うのです。ないしは、たとえば下水道だとか、駅前の整備だとか、いまも申しました海洋開発の問題なんかにいたしましても——たとえば、夜人口がふえるわけですね。それをみんないまの税制やいまの行政機構では、地域の自治体が負担しているわけです。私はいまの税制のもとで、すぐ料飲税を下げろ、還元しろということは非常にむずかしいと思うのですが、せめて国内観光の場合でも、各自治体なり県なりが全体の開発、整備ができるような基盤を培養してやらなければいかぬと思うのです。そういう点をいま観光局長などは、一体どういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/52
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053・深草克巳
○深草政府委員 観光地の還境の整備でございますが、消防の問題衛生の問題、道路の問題、いろいろございます。私どもかねてから主張いたしておりますのは、実際に料飲税を納めておる者はよそから来た観光客の人でございますので、それをぜひ観光客の利便のために使ってくれないかということでございまして、先生も御承知のように、料飲税はもともと市町村税であったものが県税に取り上げられたというような経緯もございますので、一挙にもとへ戻すのもなんでございましょうが、少なくともとりあえず三割程度を市町村に還元してくれないかということを、自治省にも要望いたしております。この点につきましては、観光政策審議会のほうからもそうすべきだという建議も出ておりまして、私どももその線に向かって努力をいたしたいと思います。ただ、非常に御熱心な県は、実質的な還元措置はとっておりませんけれども、そういったことにつきまして一〇〇%以上、いわゆる料飲税以上に環境整備に使っておるような市もございまして、例をあげますと奈良市でございますが、そういったところもあるということも御承知おき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/53
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054・木部佳昭
○木部委員 これは政務次官にお尋ねいたしたいと思いますが、この間から意見が出ておりますように、一省一局削減ですか、これは国民的視野に一立って考えても私はたいへんけっこうなことだと思うのです。しかし、先ほど大臣も答弁されておりましたが、一歩後退二歩前進、やはりこういう機会を通じて観光行政の一元化をはかるため、ある場合には観光基本法の肉づけというものをしていかなければならぬ、実はこう私は思うわけであります。
〔委員長退席、福井委員長代理着席〕
そういう点で、前進させるためにはこうした機会を通じて——まあ申し上げれば、たしか十一省くらいにまたがっておると思います。それから直接の政策費としてことし二百億くらいしかたしかないんじゃないかというふうに記憶するわけなんでありますが、そういう意味で、私は、新時代にふさわしいような国内観光、国際観光というものを推進するためにも、ちょっと悪いけれども、総理府では荷が重いんじゃないかという気持ちが実はいたしております。でありますから、こういう機会に一元化をはかると同時に、観光基本法の肉づけをしなければいかぬ、ある意味でいけば裏づけをしなければいかぬ、そういうふうに考えます。そういう点について、政治的な問題でありますから、政務次官からお答えいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/54
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055・金子岩三
○金子政府委員 木部先生の御意見はまことに適切な御意見でありまして、観光行政をできるだけまとめて、そして今後内容の充実した観光行政が樹立されますように、機構改革に大いに取り入れてひとつ考えていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/55
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056・木部佳昭
○木部委員 抵当法の内容に入ることにいたしまして、文部省の方にちょっとお伺いしたいと思うのです。
文部省の外郭団体で、日本博物館協会というものがあるようなんです。それから、その博物館協会の下部組織として日本植物園協会、また日本水族館協会というものがあるそうなんでありますが、これに一体どのくらい補助金を文部省は出しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/56
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057・林部一二
○林部説明員 文部省から社団法人日本博物館協会に対しましての補助金でございますが、四十二年度におきましては二十万円、四十一年度も二十万円、四十年度は六十六万円程度でございます。四十三年度の要求は出ておりますけれども、いま検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/57
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058・木部佳昭
○木部委員 私は、補助金の内容についてはよくわかりませんから、それについて触れようと思いませんが、たとえば植物園協会ないしは水族館協会、そういうものに加盟している団体が幾つございますか。
〔福井委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/58
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059・大野市郎
○大野委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/59
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060・大野市郎
○大野委員長 速記を始めて。
次回は、明十五日、午前十時理事会、午前十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02519680514/60
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