1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月十六日(火曜日)
午後四時十七分開議
出席委員
委員長 床次 徳二君
理事 臼井 莊一君 理事 小渕 恵三君
理事 本名 武君 理事 川崎 寛治君
理事 美濃 政市君 理事 永末 英一君
大村 襄治君 竹下 登君
古屋 亨君 箕輪 登君
山田 久就君 中谷 鉄也君
西風 勲君 斎藤 実君
出席国務大臣
国 務 大 臣
(総理府総務長
官) 田中 龍夫君
出席政府委員
総理府特別地域
連絡局長 山野 幸吉君
外務省北米局長 東郷 文彦君
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四月十二日
委員穗積七郎君が解任された。
同月十六日
委員伊藤惣助丸君辞任につき、その補欠として
斎藤実君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
沖繩島那覇に駐在する諮問委員会の委員となる
日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案
(内閣提出第七五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/0
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001・床次徳二
○床次委員長 これより会議を開きます。
沖繩島那覇に駐在する諮問委員会の委員となる日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。大村襄治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/1
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002・大村襄治
○大村委員 私は、ただいま議題になりました暫定措置法案につきまして、若干のお尋ねをいたしたいと思います。
第一にお尋ねいたしたいことは、この暫定措置法案の内容となります諮問委員会の役割りあるいは設置の意義について、総務長官にお尋ねいたしたいのであります。すなわち、私は、沖繩の現状にかんがみまして、本土との一体化をはかるため、沖繩の社会的、経済的福祉の増進をはかることは、本土復帰の不可欠の前提をなすものであると考えております。この意味におきまして、さきに合意されました佐藤・ジョンソン・コミュニケに基づきまして今回設置されます諮問委員会に日本政府が代表の委員を送りまして、一体化の積極的な推進をはかることは、沖繩の本土復帰のために明るい見通しを約束するものではないかと考えるのであります。政府はこの点についてどのようにお考えになっているか、どのように評価されているか、お尋ねいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/2
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003・田中龍夫
○田中国務大臣 御指摘のごとくに、佐藤・ジョンソン会談によりまして新たに諮問委員会が設置せられたのでございますが、高等弁務官に対して助言と勧告をいたすということから、先般沖繩に参りました際におきましても、非常に新時代ということばを使っておりまして、従来とは全く段階を異にして、新時代が来たのだ。その新時代においては、この諮問委員会が中心になって、今後の一体化を進める。弁務官におきましても、この諮問委員会を非常に高く評価いたし、またこれを活用しようと考えております。
これが従来と違いますことは、日本政府の代表として諮問委員が出ておるという点でありまして、日本政府の意向が直接、あるいは民政府に、あるいは琉球政府に伝えられるという点で、私は非常に大きな意義があると存じます。同時にまた、これは高等弁務官のもとに置かれた隷属的な、諮問に答えるだけの機関ではございませんで、諮問委員会は弁務官に対して助言もし、勧告をする。そういう点では、在来日本の国内において使っておりまする諮問委員会とは形の異なったアドバイザリーコミッティーだ。同時にこれは国際機関的な意味を持った重要な機関である。私どもはこれに対して大きな期待をかけておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/3
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004・大村襄治
○大村委員 政府が高く評価されていることはよくわかったのでありますが、巷間往々にしまして、この諮問委員会の任務がわかりにくいために、固定的ではないかと言う向きもございます。また既存の機関、たとえば東京の日米協議委員会あるいは那覇の南方連絡事務所などと権限が重複するおそれがあるんではないかと、いろいろ申される向きがある。この点につきまして、総務長官はどのようにお考えか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/4
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005・田中龍夫
○田中国務大臣 日米協議委員会は、日本とアメリカとの間の特に経済社会問題につきまして、一体化のために活動いたしますけれども、この諮問委員会の場合におきましては、日米琉三政府の合意によりました案件につきましては、高等弁務官に対して意見も述べ、助言もいたすという点で、日米協議委員会とは非常に性格を異にいたしております。なおまた、高等弁務官の権限外の事項に関しまして諮問委員会の議が行なわれました場合におきましても、当然高等弁務官のほうから日米協議委員会のほうには通報連絡がございますので、それに基づきまして、日米協議委員会の議題として取り扱うこともできるわけでございます。それから南方連絡事務所というものも、今回は日本政府の代表機関として、現地機関として置かれたわけでございますが、従来のような、いわゆる渡航手続事務といったようなものだけでなく、この権限も強化いたしまして、地元におきまして、あるいは民政府なり何なりと協議をいたすことができる、折衝いたすことができる機構にいたしたわけでございまして、この点は諮問委員会と並びまして、沖繩におきまする本土一体化の大きな役割りを演ずるだろう、かように期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/5
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006・大村襄治
○大村委員 諮問委員会の諮問ということばは、素朴な常識ですと、何か受け身のような印象を受けます。日本では、諮問に応じて答申するとか、いろいろ言われております。ところが、この法律の第一条に「助言し、及び勧告することを目的として」と書いてあります。また佐藤・ジョンソン共同コミュニケにおきましても、「勧告を案出する」と書いてあります。さらに一月十九日の諮問委員会の組織及び任務に関する交換公文の(二)の中には、「助言しおよび委員間で合意された勧告を行なうこととする。」と書いてありますので、必ずしも諮問があった場合には限られない、積極的に助言や勧告を行なうことができるようにも解されるのであります。この点について総務長官はどうお考えか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/6
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007・田中龍夫
○田中国務大臣 御指摘のとおりに、日本におきまする諮問委員会というのは諮問事項に対して答申をいたすといったような、隷属的なまたそれに対しては拘束力のない非常に低い存在のようでございます。日本語の訳が諮問委員会となっておりますので、はたしてこれが適訳かどうかわかりませんが、アドバイザリーコミッティティーといたしまして、高等弁務官のもとにあるのではなくて、「高等弁務官に対して」とあるごとく、高等弁務官とは独立した機構といたしまして、これに勧告もし注意を促す、助言もするといったようなものであります。そしてこれを一体いかに活用し、いかに運営していくかということは今後の問題でございますが、われわれはいたずらに高等弁務官に隷属するような低い扱いをいたしたいとは思っておりませんで、むしろ高等弁務官に対して堂々と主張もし、またその運用の段階におきましても、非常に広い視野から、高い立場の勧告もいたすように活用してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/7
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008・大村襄治
○大村委員 関連しまして、少しこまかくなりますが、先ほど申し上げました組織及び任務に関する交換公文の日のところを見ますると、「委員会に代わって調査を行なう契約を民間の機関と結ぶことができる。」と書いてあります。この民間の機関とはどういうものをさすのか、またこの場合、日本側の機関を活用すべきであると思いますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/8
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009・田中龍夫
○田中国務大臣 その問題につきましては、担当の特連局長からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/9
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010・山野幸吉
○山野政府委員 ここにございます個人または民間の機関といいますのは、たとえば今回沖繩の長期経済計画を立てる場合に、民政府から日本経済研究センターの大来佐武郎さんのところに調査の委託がございました。そういったように、経済計画等を立てます場合には、いろいろな専門家あるいは専門の団体等に委嘱して調査をするというようなことも十分考えられますので、そういう場合をさすと思います。
なお、その運用にあたりまして、できるだけ本土のそういう調査機関等を利用すべきだという御趣旨は私ども十分わかりますので、検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/10
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011・大村襄治
○大村委員 それでは次に委員会の任務についてお尋ねしたいと思います。
暫定措置法案の第一条は「復帰に備え、本土との一体化を進めるとともに、沖繩の住民の福祉等を増進するため、沖繩の社会的経済的諸問題及びこれに関連する事項に関し、」云々と規定しておりますが、交換公文の口の第二節におきましては、「同諸島における経済社会生活の行政的、組織的および構造的な面が一層日本本土と一体化されるような方法を探究することに努力する」と書いてございます。私は経済的社会的問題の一体化、これも重要でありますが、今日の福祉国家の現状におきましては、経済的社会的問題の基礎をなす行政的構造的な面におきましても、一体化が必要であると思うのでありますが、この委員会の任務の中には、そういった制度や行政組織の合理化の問題も含まれるものと解してよいかどうか、この点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/11
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012・田中龍夫
○田中国務大臣 一体化と申しますものの前提には、当然そういうものが含まれるわけでございます。一例を申し上げますと、まず琉球政府と日本政府との会計年度の違い、日本は四月一日からでございますが、向こうのほうは七月といったような会計年度の違いでございますとか、あるいはまた特に琉球政府というものは国政と自治体の行政等がごっちゃになって入っております。こういうふうなものも本土との一体化にあたりましては、自治体の相当県との比較検討をいたします場合におきましても、国政がごっちゃに入っておるような場合におきましてはその検討ができない。やはり行政事務も国政と県政、町村政といったようなものに、日本と合いますように分類もいたしておかなければなりません。ことに学校問題、教育問題には、日本にはない学校教育区というものがございます。こういうふうなものも、一体化の場合におきましては、まず制度から、行政機構からこれを検討し調整してまいりませんと、ほんとうに経済的な面、社会的な面あるいはまたいろいろな福祉的な面等々の協力もできない、こういうことでございまして、当然御質問の点は前提として入ると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/12
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013・大村襄治
○大村委員 本土との一体化を推進するためには、どうしても行政構造のレベルを合わせることが必要だと思います。ただいま長官のお話しになりました学校教育の教育区の問題あるいは生活保護の配分の問題、こういった点が本土と大きな隔たりがあるようでありますが、これをすみやかに一体化するように、この委員会の委員を通じて積極的に働きかけることを要望いたします。
なお、あわせて行政構造についてお尋ねいたしたいのでありますが、昨年私はこの特別委員会の視察団の一員として加わりまして現地に参ったのでありますが、町村会の代表の方々のお話を伺いますと、現在沖繩の町村の数は、人口が九十一万そこそこで、五十九ある。かなり数が多いような気もいたします。また町村で人口が三、四千人のものも少なくないようでございます。そこで一体化の前提として市町村の行財政力を高める必要がある、そういうことで合併の推進をはかるような問題について、長官はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/13
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014・田中龍夫
○田中国務大臣 御指摘のごとくに、非常に零細な町村が多いのでございますが、また沖繩の特殊な事情もございまして、そういう問題をまず日本のほうからぶっつけてどうこういうことには、ちょっとやはり時間的な問題があろうと存じます。同時にまた、そういうふうな町村合併の問題は、琉球政府自体の問題でもございますので、われわれといたしましては、それは内地の非常に零細でありました過去の姿から、今日経済単位に合併いたしました例から見ますと、確かにお説のとおりでございますが、これはやはりある程度まで向こうの自治能力にまかせて、向こうの自治体でございますから、琉政のほうで検討さしたい。またそれだけの時間的な余裕が必要だろう、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/14
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015・大村襄治
○大村委員 次に、長期経済計画についてお尋ねしたいと思います。
交換公文の口の末尾に「高等弁務官に対して長期経済計画に関する勧告を行なうものとする。」と、委員会の任務として明確に規定しております。そこでこの長期経済計画の性格はどういうものであるか、これは本土との一体化促進の上できわめて重要な意味を持ちますので、長官のお考えを伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/15
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016・田中龍夫
○田中国務大臣 この点に関しましては、先般沖繩に参りました際におきましても、この本土との一体化の基幹計画あるいはまた長期の見通し、散発的な思いつきでなく、やはり計画的に一体化を進めてまいらなくてはならない、こういうふうなことから、その計画の必要性を主張いたしたのでございます。同時にまた、日米琉の三政府からなる諮問委員会におきましても、最初にその問題が俎上に上がりまして、日本側の本格的な調査を期待いたしているような状態でございます。これらの問題につきましては、各省庁本格的な計画に移りますにつきまして、今月の中旬でも特連局長が打ち合わせに参ることになっておりますが、ひとつ山野局長からさらに詳細にお答えいたさせたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/16
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017・山野幸吉
○山野政府委員 ただいま御指摘になりました沖繩の長期経済計画の問題ですが、沖繩の施政権返還という問題にアプローチしていく内政的な面で一番大きい問題は、沖繩の経済の将来をどうするかという問題でございます。それで、ただいま琉球政府、民政府では、先ほど申し上げました大来さんに沖繩の長期経済計画の調査を依頼しまして、それが三月一日に弁務官に報告がございました。それをもとに諮問委員会で検討されることになっております。政府のほうといたしましても、明年度の予算に沖繩の経済計画を日本政府の立場からどういうぐあいに見るかというための調査費を計上しておりまして、適当な機会に日本政府から今度の五月派遣の一体化の調査団とは別個に、経済の調査のための調査団を送る予定でございます。
それから、ただいま総務長官からもお話がございましたように、沖懇でも経済の検討をやっておりますし、それから民間でも検討をしております。いずれにいたしましても、問題の中心は、現在沖繩の総生産五億ドルの中に基地経済の占めている二億五千万ドルのこの経済をどういうぐあいに見ていくかということが最も根本的な問題でございます。
それからさらに、一体、沖繩の経済を振興するというが、それはどういう点を振興するのか。たとえば畜産なら畜産、観光なら観光、そういう将来の沖繩経済伸展の方向をどこに求めるかということが一つの次の問題であります。
そうして、短期的な経済計画がかりに策定されたといたしましても、将来長期的に基地経済がどうなっていくのか、その場合にどう対処するかという長期的な経済計画の視点もあるわけでございます。これは言うはやすいのですが、簡単にはなかなか結論は出ないと思いますが、ただいま長官の御答弁にありましたように、私ども諮問委員会の日本政府代表を通じまして、沖繩の経済計画の策定にいろいろな面から協力してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/17
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018・大村襄治
○大村委員 経済計画については、いろいろお尋ねしたいのでありますが、時間の制約がありますので、二点ほど要望しておきます。
その一つは、奄美群島復興計画、これを物価その他で換算いたしますと、十カ年で約千六百億円となるのでありますが、こういったものを参考としながら、短期計画でなく、長期計画をしっかり策定していただきたい、これが第一点であります。
それともう一つは、ばらばらでない総合的な計画をぜひ樹立していただきたい。いままで本土からの援助が行なわれておる事業を見ましても、いろいろな制約があった関係もありましょうが、港湾とか道路とか、あるいは土地改良事業におきましても非常にばらばらである感が強い。新しい計画はどうしても総合的であることを要すると思いますので、この二点を要望しておきます。
次に、長期経済計画に関連いたしまして、日本政府の沖繩援助費について、二、三点お尋ねいたしたいと思います。
四十三年度の援助費は百三十四億円であり、前年度に比して五十二億円、非常にふえております。またこの中には新たに産業開発資金等融資が二十億円も計上され、また市町村交付税の増額の財源とするための市町村財政充実費が十億円計上され、非常に新味が盛り込まれておる。この点は評価するにやぶさかでないのであります。しかしながら、沖繩の現状を直視し、また徳島、島根、高知等の類似県の現状から見ますると、まだまだ本土からの援助が不十分ではないかという気がいたすわけであります。詳しい点は省略いたしますが、そういった類似県の比較をしさいに検討して、本土の水準に近づけるようにさらに援助費の総額を今後とも増額するお考えがあるかどうか。
それから関連した質問だけで終わります。
市町村の財政充実費を今回十億円計上されましたことは画期的であります。しかし、その算定の要素を見ますると、いろいろくふうはされておりますが、類似県に対する財政需要の見方が足りない。行政構造の違う点も関係はありましょうが、相当割り引いておられます。こういった点はなお今後しさいに検討して、復興途上にある沖繩でありますから、あんまり割り引きでなく、当然相当するものの差額の増額をはかるべきだと思いますが、この点についてどうお考えであるか。
以上二点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/18
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019・田中龍夫
○田中国務大臣 まず沖繩の現状、百五十三億円が今度計上されましたが、内地の相当県との間にどうであろうか。これは佐賀県等五県の平均をとってまいりますと、これら日本国内におきましては四百四十四億円が出ておるわけでございます。これに対しまして沖繩の場合におきましては現在の段階は四百三十一億円、かようになっておりますから、ほぼ近いように外観は見えます。しかしながら、その沖繩の四百三十一億円という中におきましては、先ほど申しましたように、国政事務、県政事務といったようなものがごっちゃになっておりまして、国政事務に相当するものが百十億円だけ入っておる、かように考えますと、四百三十一億じゃなくて三百二十一億、こういうふうになります。結局本土の場合と比較いたしまして六割、七割といったような非常に援助費自体も低いのでございます。
それからこういうふうな構造の問題を考えてまいりますると、今度十億円の市町村に対しまする援助費が出ましたけれども、これとてもまだまだ低い。でございますが、これらのことは地方自治体に対しまする行政経費、国としての援助費の比較でありまして、それ以外の沖繩自体の経済力というものを考えてまいりますと、これは内地とは非常な格差があるのでございます。かような次第で、少なくとも行政経費だけでも何とか本土並みに早く達しますように今後とも日本政府の援助を続けていかなければならぬ、増額していかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/19
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020・大村襄治
○大村委員 沖繩の援助につきましては、産業開発資金でありますとか、あるいは病院医師の不足対策あるいは教育施設の充実等いろいろお尋ねしたいことがありますが、時間がございませんので次回に譲ることにいたしまして、私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/20
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021・床次徳二
○床次委員長 中谷鉄也君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/21
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022・中谷鉄也
○中谷委員 諮問委員会の権限についてお尋ねをいたしたいと思います。
去る四月五日の衆議院本会議において、この問題について総理の答弁を求めました。具体的に基地の問題、土地接収の問題、基地公害などに対する補償の問題米軍人軍属の犯罪に対する裁判権ないしは逮捕権の問題、さらにまた渡航制限の問題、いま一つつけ加えるならば行政命令の改正の問題、これらの問題が諮問委員会の権限事項であり得るかどうか、この点をひとつ率直に御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/22
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023・田中龍夫
○田中国務大臣 いまのお話の中で、御質問のように大統領行政命令の問題が諮問委員会の話題の内容になるか、こういうふうな取り組み方でおいでになりますと、これはそういうふうな正面切った行き方ではなりにくいケースが多いのではないか。ただし、具体的な、たとえばいまのそれを分解して考えました場合の警察権の問題、逮捕権の問題あるいは人権の問題、ことに損害補償法に基づきますいろんな人権の問題等になりましたならば、弁務官が自分の裁量の中で処理できる問題も多々あるわけでございますから、そういうふうに沖繩の中におきまする人権問題等々の具体的な問題の中には、弁務官の権限内の事項のものもあります。それからまた諮問委員会がそれに直接あるいはまた間接に主張し得るようなものも内容的にはあると思います。そういうふうな取り組み方でまいりました場合におきましては、ある程度の問題は解決できる、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/23
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024・中谷鉄也
○中谷委員 布令八十七号の問題が諮問委員会の対象になり得るというお答えになるのでございますね。しかもそれは緊急の問題だということを長官御自身がお認めになったという趣旨で言っておられると思うけれども、明確にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/24
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025・田中龍夫
○田中国務大臣 その問題も、裁判制度の問題として諮問委員会がぶつけられるかということになりますと、それは私は無理だと思います。だけれども、裁判制度の問題でなく、具体的な問題の逮捕の実態、そういうふうなものにおきます人権に対する救済の問題また警察権等々の強化の問題、こういうふうに取り組んでまいりますれば、いろいろな論議も諮問委員会においてできる、つまり持って行き方が、大統領行政命令はどうなんだ、裁判制度の問題はどうなんだ、こういうふうな行き方でまいりますと、諮問委員会では取り扱えない、かように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/25
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026・中谷鉄也
○中谷委員 裁判権の問題というのは施政権の基本をなす、きわめて日本にとっては許すことのできない——ということばを使うことは非常に表現がきついかもしれないけれども、私はそういう問題だと思っている。私が申し上げているのは、布令八十七号「琉球民警察官の逮捕権」という名前のついた布令について、正面切らずにいけば、これは諮問委員会の対象になり得るんだ、率直に言えば、裏口からいけばなり得るんだ、実態からいけばなり得るんだというお話がある。そうだとするなら、私は布令八十七号についてはかなり詳細にかつて検討したことがあるけれども、八十七号及びその八十七号に関連するどの問題を諮問委員会の中において取り上げることができるのですか。琉球民警察官の逮捕権の問題のどの問題をお取り上げになることができるのですか、お答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/26
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027・田中龍夫
○田中国務大臣 私はケース・バイ・ケースに問題の処理に当たり得ると考えますが、なおその点におきましては担当の局長から詳細に御説明申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/27
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028・中谷鉄也
○中谷委員 では局長にお尋ねをいたします。琉球民警察官の逮捕権に関し、諮問委員会の対象となり得るケース・バイ・ケースのケースとは何か、お答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/28
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029・山野幸吉
○山野政府委員 まず御質問の趣旨は私もはっきりわかりますが、私どもはまず当面この諮問委員会は何を審議するんだということから出発しなければいかぬと思うわけでございます。諮問委員会は沖繩と本土との一体化のための経済的、社会的、その他関連事項、それをやはり制度の問題も含めて一体化するための施策を検討して高等弁務官に勧告する。そこで、それじゃその社会的、経済的、それに関連する事項とは何か、どういうものを取り上げるべきか、これは三政府それぞれにいろいろ意見がございます。日本政府は日本政府で当面する問題を出しましょうし、あるいは琉球政府からも民政府からもそれぞれ出ております。しかし、たとえば人権の問題あるいは逮捕権の問題、そういうものがはたしてほんとうにこの一体化のための緊急問題であるかという合意を、お互いの了解をとって議題にするわけでございますから、したがいまして私どもはそれが入る。入らぬという問題より先に、一体今後一体化のためにどういう順序で、どういうスケジュールで諮問委員会が議題を取り上げていくか。現在議題として大体十三、四の議題がただいま議題になっております。そして先日勧告になりました開発金融公社の琉球政府への移管問題については、日本のほうから調査団を出して調査をしてもらいたいという勧告もこの間出ました。それから琉球大学あるいは医学部等の人事交流について、これを至急実施する方向で所要の問題点を解決していくべきだということに合意を見て、これも勧告が行なわれました。一体化のために本土から政府の調査団を出してもらいたいという勧告も行なわれて、これに基づいて五月に調査団が行くわけでございます。そういう調査団が帰ってまいりまして、一体化のための具体的な施策を本土政府として検討いたしまして、そこで全体を整理して、日本政府代表を通じて、これを具体的に実施をはかっていくということでございます。したがいまして、ただいま御指摘になりましたようなその個々の、これはまたそれぞれは重要な問題でございますけれども、個々の問題を、これが入るか入らぬか、これはどうするんだという問題の底に、そういう総合的な計画を私どもは考えておる。もちろんそういう問題が私どもは諮問委員会の議題になり得ないとは考えておりません。おりませんが、しかし、それをどのようにして議題に持っていって、そして実効のある方向に持っていくかということについては、若干の時日を要するのじゃないか。あくまで、まず当面する一体化施策について何が緊急な問題であるか、この認識の差を一致させることから始まらなければいかぬわけでございます。
そこで、観念的に、これは入る、入らぬというような議論も重要でございますけれども、私どもとしては、そういう総合計画のもとにおいて徐々に議題を整理して実現してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/29
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030・中谷鉄也
○中谷委員 要するに、司法、立法、行政、こういうふうなものが主権の内容であり、最も権力の一番重大な要素をなしている、これはもうこういうことはあたりまえなことなのです。そうすると、布令八十七号というのは、きわめて司法権に密着をしたところの権限なのです。私は何も諮問委員会の権限を小さく理解しようという立場に立っているものではない。しかし、できないものはできない、できるものはできるということを明確にしておかなければいかぬ。
しかし、長官にお尋ねいたしたいけれども、局長の言うような御答弁であるならば、何が一体化に必要かということの相互認識の差を埋める、あるいはそういうことで論議をしていくなんということは、逆に言ってみるとあなたまかせですよ。こちらが何もかも諮問委員会の対象になるのだということを言ったって、向こうはとにかく基地を維持したいという観点です。本来基地の維持ということ、現在のアメリカの沖繩支配ということは、沖繩返還と一体化というものがもしそこに有機的な関連を持っておるのだということの前提に立つならば、どこかで矛盾してきます。そうすると、本土のわれわれ、沖繩の県民が考えておるいろいろな要求と、とにかくアメリカのそれに対するところの答えとは違ってくる。何が論議されるかというふうなことは、アメリカの立場、沖繩、本土の立場によってそれぞれ違う。そういうふうなあいまいな、あなたまかせ、どこに幅があり、どこに限界があるかわからないというふうな、まあ適当にやりましょうというような、一体化の方向といったって、アメリカの立場と日本の立場とでは一致しませんよ。一致するならば、B52なんかもうとっくに撤去されているはずなのだ、基地の問題だって解決しているはずなのだ、こういうすべての問題を含めて、法律的な問題として何が対象になるかということがよく論議されなければならぬと思うけれども、局長のお話では、まあこのような問題については一応一体化というようなことでお話をしてみましょうということでは、これはそれこそお話にならぬと思うけれども、この点はいかがですか。長官に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/30
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031・田中龍夫
○田中国務大臣 これはまず基本的に、両三年以内に施政権返還のめどを立てる、こういう両国の合意というものが大前提にあるわけでありますから、この沖繩を復帰させない、施政権を返還させないという原則のもとに立てば、ただいまのお話のようにすべてのことが否定的になるわけでございますが、しかしながら、両国がその問題について合意をいたしておる限りにおきましては、できるだけ早く本土との一体化もし、施政権の返還もしよう。その場合におきましては、あるいは人権の問題についての布令百十六号の問題にいたしましても、あるいはまた八十七号の逮捕権や管轄権の問題にいたしましても、やはりこれは漸を追うてだんだんと解決できるものだ、私はかように思うのであります。たとえば、この主席公選なんというふうな問題も、これは政治的な問題でございます。しかしながら、主席公選の問題は、私も那覇に参りましたときに弁務官に対して要求をいたしたのでありますが、これは自分の権限外の事項である、こういう答弁でございました。しかし、われわれのほうの強い要望というものは、弁務官から本国政府のほうに連絡がありまして、そうしてやはり弁務官の権限外の事項でありましても、自治権の拡大という意味からいいまして、解決をいたしておるのであります。でございますから、私は諮問委員会の議題の内容というものが、単なる諮問委員会として局限されたものではなく、それはもちろん経済的、社会的問題を基本に、なおそれに関連する問題について具体的なケース・バイ・ケースを解決しながら、同時にまたそれに相関連した政治的な問題、あるいはまた制度上の問題におきましても、先ほどお答えいたしたように、議題の内容というものは、日米協議委員会なり本国のほうに報告が参るわけでありますから、民意というものの帰趨なりあるいはまた三政府間の合意というふうなものを通じまして、逐次拡大され、解決されていくものだ、同時にまたそれを期待し、諮問委員会を私は大いに活用していかなくちゃならぬ、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/31
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032・中谷鉄也
○中谷委員 私がお尋ねをいたしたいのは、政府の姿勢、特にアメリカに対する姿勢の問題です。と申しますのは、最初に例示をいたしましたのでこの問題を取り上げたいと思いまするけれども、米軍の、あるいは米軍人、軍属の沖繩県民に対するところの犯罪、あるいは布令八十七号等の問題については、昨年夏、私自身がこの委員会において取り上げた、その後参議院の予算委員会においてもそのことが取り上げられて、日米協議委員会においてこの問題を議題とするというところの総理の答弁があった。ところが、その後、日米協議委員会においてこの問題が具体的にどのように取り上げられたか。聞くところによると、議題とされていないのではないかと私は思う。何となれば、四月十五日付の新聞報道によると、またこの問題を日米協議委員会の議題にするのだというふうなところの記事が出ておる。一体昨年の七月からどれだけたっておりますか、諮問委員会で八十七号の問題を取り上げることができるのだとかできないという問題はさておいても、現に取り上げることのできる日本国民の立場からいえば、当然そのようなことを要求しなければならないだろう。日米協議委員会の中においてその問題が徹底的に取り上げられて、そうして成果を得たという、もしそういう事実があるならば私は御報告をいただきたい、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/32
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033・田中龍夫
○田中国務大臣 これは私の就任前の問題でございますので、私はその事実を心得ませんから、局長からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/33
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034・中谷鉄也
○中谷委員 そうじゃなくて、現に長官が御就任になってからこの問題で私が委員会でどう言った、どうしゃべったというようなことを長官に思い出していただこうと思っているのではないのです。日米協議委員会の中で、少なくとも御就任になってから今日まで、この問題が取り上げられたことがありますか。また長官御自身はそのことについてどういうふうにお考えになっていますかという質問なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/34
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035・田中龍夫
○田中国務大臣 それは私が就任以後のケースといたしましては、この百五十三億の予算を決定いたす日米協議委員会が開かれただけでございまして、まだ一回しか経験がございません。
それから、その日米協議委員会におきましては、ただいま御指摘の問題は討議をされておりません。そのことは明確にお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/35
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036・中谷鉄也
○中谷委員 では次のような問題をお尋ねいたします。いまの問題は、私はさらに機会をあらためてお尋ねいたしたいと思いますが、渡航制限の問題というのは、諮問委員会の対象になり得るかどうか。総理は、この問題についての本会議における答弁で、これらの問題が全部諮問委員会で取り上げられるというふうには私も理解しておらない、こういう趣旨の答弁がありました。それはさておいて、本土一体化のための諮問委員会を設置するのだ、そういう方向で諮問委員会は仕事をしていくのだと言われている中で、ここ数日来、社会党の井岡代議士の沖繩渡航について渡航ができなかったという問題があったわけなんです。何べんも沖繩へ社会党の代表として参っておる要するに社会党の中における沖繩問題についてはわれわれの先輩なんだ、こういうふうな問題について一体本土一体化だということを言われている、渡航制限の撤廃だということを言われているその中で、井岡代議士の渡航が果たせなかったこのことについて、一体長官はどういうふうにお考えになりますか、お答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/36
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037・田中龍夫
○田中国務大臣 沖繩が日本に復帰いたしました後におきましては、これはもう日本人はどこの日本の領土でも自由に行けます。しかしながら、現在の実態は、アメリカの施政権下にあるわけでございまして、われわれのほうは、渡航の問題につきまして、できるだけ事務手続上の御協力は申し上げておりますが、ただいまのお話は諮問委員会の具体的な問題とならない、これはいわゆる施政権を持っておりまするアメリカの主権の発動としてビザの問題が出ておると存じますので、これは諮問委員会の議題にはならないだろうと存じます。ただし、そういうふうな問題に対して要求なり、不当な扱いに対しましては、それを日本政府のほうから主張いたすことは、これはできる、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/37
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038・中谷鉄也
○中谷委員 もう時間がないようですから、この一点で終わりますが、私が申し上げていることは、諮問委員会の対象にならないというのはすでにもう政府の見解なんですから、そのことをお答えいただこうと思ったのではないのです。いやしくも本土一体化が叫ばれ、諮問委員会でそのことをやり得るのだと言っておるこのさなかに、井岡代議士に対するところの渡航が果たせなかったというふうな、それが不許可であれ保留であれ、いずれにしてもそんなことは政府としては遺憾なことではないかと思うのですが、そういうようなことについて政府としてはこの問題をアメリカに、こういうふうな事実は一体どうなんだということをお取り上げになる意思はないのですか。まさにこれは、大きなことを言えばアメリカの社会党に対する一つの敵視政策だ、まさに本土一体化がはかられている場合に、社会党の国民運動局長の渡航が果たせなかったというようなことは、どうして本土と沖繩と結ぶのか、結びようがないじゃないか、この点について長官としては遺憾だと思われないか、またこの問題についてどういうように処置をされるか、この点についてお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/38
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039・田中龍夫
○田中国務大臣 その問題につきましては、局長から御説明をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/39
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040・山野幸吉
○山野政府委員 ただいま御指摘になりました井岡先生の渡航問題でございますが、実は私どもが受け取りましたのは今月の九日でございます。そうして十四日の何かの会においでになるということでございましたが、九日に受領しまして、十日、十一日、十二日と三日ございまして、十三日は土曜で向こうは休みでございます。私どもは大体渡航簡素化で話をしたいと思っておりますが、やはり現在でも一週間の期間はぜひいただきたい。向こうから参りましたのは、これはもうすでにおくれて月曜日の十五日の朝に許可が来たわけです。しかし、十五日の朝に来ましても、井岡先生の旅行目的は達成できませんので、これはもうナンセンスになってしまいますが、しかし、三日しかなかったわけです。これではどうも私どもの事務処理上も短過ぎる、一週間の余裕をいただきたい、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/40
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041・中谷鉄也
○中谷委員 質問を保留いたしまして、きょうはこの程度にして終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/41
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042・床次徳二
○床次委員長 斎藤実君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/42
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043・斎藤実
○斎藤(実)委員 私は沖繩島那覇に駐在する諮問委員会の委員となる日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案について、時間の制限もございますので、簡単にお尋ねいたします。
最初に、法律案の条文の件ですが、第一条で、日米両国政府及び琉球政府を代表する者云々となっております。なるほど常識的には琉球政府、こういう文句は理解はできます。ところが、普通独立国家の場合をやはり政府というふうに通称われわれは考えておるのですけれども、琉球政府の場合は、米国の民政府——結局立法、行政、司法の三権はアメリカに握られておる従属的な立場にあるわけです。こういう立場で琉球政府ということは一体どういう地位にあるのか、どういう立場なのか、まずその点を総務長官にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/43
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044・田中龍夫
○田中国務大臣 御指摘のごとくに、正式な法理論から申すならば、琉球政府というものはアメリカ政府の一つの機関にすぎないと私は心得ます。しかしながら、立法、司法、行政の問題が逐次自治権の拡大を見まして、そうしてアメリカ側におきましても民政府に対して琉球政府というものを特に高く自治機構として評価しておるという一つの表現は十分に考えられます。わがほうが今回御提案いたしました中に「日本国政府、アメリカ合衆国政府及び琉球政府」と三政府というふうな扱いをいたすにつきましても、法制局のほうでもそれを認めておるところでございまして、同時にまた、そのことは琉球の自治権の上からいうならば、アメリカもこれを了承して考えておるとするならば非常に喜ばしいことだと私はひそかに喜んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/44
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045・斎藤実
○斎藤(実)委員 琉球政府といっても、米国の民政府の管轄下にある。高等弁務官が一切の権限を握っております。かりにそういう立場の琉球政府の代表が日米両国政府代表の中に入って、対等な立場で審議をし、助言、勧告し得るかということはちょっと私は疑問に思うのですが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/45
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046・田中龍夫
○田中国務大臣 いまの経過につきまして、担当の山野局長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/46
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047・山野幸吉
○山野政府委員 この日米琉諮問委員会でございますが、これは本土と沖繩との一体化のための諮問委員会でございます。したがいまして、主体になるものは琉球政府であり、日本政府であるというぐあいに考えたほうが、むしろわかりがいいじゃないかと私どもは考えます。したがいまして、琉球政府はいま御指摘のように民政府の機関的なものである、そういう実態がありながらあえて琉球政府というものの代表を対等に認めたところに、私どもは非常に大きな意義を感じておるわけでございまして、決して琉球政府の代表の地位が低いというぐあいには私どもは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/47
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048・斎藤実
○斎藤(実)委員 この問題はまた後ほど触れます。
次に、この諮問委員会の目的は、沖繩の社会的経済的諸問題及びこれに関連する事項に関して高等弁務官に助言及び勧告するとなっている。「これに関連する事項」というふうになっておりますけれども、この関連事項ということは一体具体的にどういうことを意味しているのか、これをひとつお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/48
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049・田中龍夫
○田中国務大臣 当初の原案からだんだんと広がりまして、社会的経済的並びに「これに関連する事項」という三番目の関連する事項が挿入されましたことは、これはわがほうの外交上から申しましても非常に努力を払ったところでございますが、この関連する事項というものを固定的に当初から考えたくないのでありまして、この関連する事項という中に、あるいは制度上の問題も含まれましょうし、あるいはまたこれに関連する政治上のものも含まれましょうし、私はむしろこの関連する事項というものが限定列挙的なものではなく、将来に向かって逐次広がることを期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/49
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050・斎藤実
○斎藤(実)委員 次に、条文の中の第四条に、「代表に対する指揮監督は、内閣総理大臣及び外務大臣が行なう。」となっている。これは指揮命令系統が総理大臣と外務大臣と二本立てになっておる。ですから、この点どうも私納得できないのです。たとえば意見が分かれて、二本立ての指令あるいは命令が行く場合があるかもしれない。非常にまた混乱するのではないかと私は思うのですが、こういう規定を設けた理由と、他にこういう法律があるかどうか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/50
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051・田中龍夫
○田中国務大臣 この日本政府を代表する諮問委員の交渉の中におきましては、いわゆる外交交渉的な、アメリカに対し行なうべきこともございましょうが、諮問委員会なるものの本質は本土との一体化を促進するということが目的でございます。この一体化という問題に相なりますと、御承知のとおりに、総理府の隷下に立ちまして、そして一体化の推進をいたす総理府の長は内閣総理大臣でございますから、さような意味におきまして内閣総理大臣の隷下に服すると同時に、またいろいろな交渉の過程におきましては対米関係の問題が出ますので、この関係におきましては外務大臣の区処を受ける。これが双方に相競合して矛盾をし、相反するといったようなことはあり得ないことでございます。その点は申し上げておきますが、さらに、こういう前例があるかどうかは、私よく存じませんので、担当から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/51
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052・山野幸吉
○山野政府委員 ただいま御指摘の共同して指揮監督権を行使するという場合の例はいま思い浮かびませんが、要は、いま長官のお話がありましたような中身は一体化の問題ですから、これは当然総理府の所管事項、しかもこの機関そのものを総理府に置く、そこで総理大臣。ところがその協議の権能は、これは外交的事務が入っておりますから、どうしても外務省と総理府が共同して行なわなければこの機関はうまく動かないわけです。したがいまして、御心配になりますのは、これが意見が分かれたりあるいはそごをしたりするようなことがないかということだと思いますが、さようなことがないように、私どもは外務省とは定期的な協議も行ないまして、そういうそごを来たさないような十全の配慮をいたすことにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/52
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053・斎藤実
○斎藤(実)委員 いま長官のお話でわかりましたけれども、総理大臣がこの指揮監督をするということはわかります。外務大臣が総理大臣にかわって指揮監督する場合もあり得る、こういうことなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/53
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054・田中龍夫
○田中国務大臣 外務大臣が総理大臣にかわってどうこうということはございませんが、対米交渉ということに相なります限りにおきましては、いわゆる総理府の所管の内政事務とは違いまして、外交業務になりますので、そういう点から外務大臣の区処を受けることに相なります。なお、ここに外務省からも担当者が来ておりますから、この法案の成立にあたりましていろいろと検討いたしました責任者から答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/54
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055・斎藤実
○斎藤(実)委員 ちょっと意味を聞き違えておるのじゃないかと思うのですけれども、諮問委員会の日本の「政府代表に対する指揮監督は、内閣総理大臣及び外務大臣が行なう。」とありますから、私は聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/55
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056・田中龍夫
○田中国務大臣 四条におきましては、総理大臣が指揮監督をするのでありまして、外務大臣はございません。中に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/56
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057・斎藤実
○斎藤(実)委員 外務大臣が入らないで、どうして外務大臣を入れているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/57
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058・山野幸吉
○山野政府委員 これはただいま申し上げましたような諮問委員会の性格にかんがみまして、政府代表を指揮監督する場合は総理大臣と外務大臣の連名で行なうわけでございます。したがいまして、どちらも単独で行なうことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/58
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059・斎藤実
○斎藤(実)委員 それでは交換公文について若干お尋ねいたします。
一月十九日に日米間で交換されました書簡によると、その第二項において、「高等弁務官の権限内にある経済的および社会的事項ならびに関連事項について、高等弁務官に対し、助言しおよび委員間で合意された勧告を行なうこととする。」こういうふうになっております。ですから、勧告事項については合意になっておりますから、日米琉三委員の一致が必要であるわけですね。ということは、合意されなければ勧告されない、助言されない、こうなると思うのです。ですから、それぞれ拒否権を持つことになるというふうに考えるわけです。たとえば、アメリカの代表は当然アメリカの立場に立って考えるでしょうし、そういう立場を背景にしてそういう意向を持つと私は思うのですが、アメリカの代表が、米国の意向に反するような内容の勧告や、あるいはまた弁務官がその問題を取り上げてもらいたくないという問題に賛成するということは考えられない。ですから、アメリカ側の息のかかったこと以外は、どんな勧告もできないわけになる。ですから、この拒否権ということは非常に大きな意味を持つことになるのじゃないか。このように拒否権を認めている委員会で、一体どの程度の勧告あるいは助言ができるかということは、私どもはなはだ疑問に思うのです。したがって、目新しい成果は期待できない、こういうふうに判断するのですが、総務長官、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/59
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060・田中龍夫
○田中国務大臣 私どもは、実は拒否権とは考えたくないのでございます。なお、この交換公文の問題につきましては、外務省から担当局長が参っておりますので、御答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/60
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061・東郷文彦
○東郷政府委員 交換公文の第二項は、お話しのとおり、三者の意見の一致があって初めて勧告ができるわけでございます。したがいまして、米国政府の代表もこれに同意して初めて勧告になります。したがって、米国政府の訓令を受けて意思を表示する米国の代表は、当然アメリカ政府の意向を代表するわけでございます。同様なことは、わがほう及び琉球政府の代表にも言えるわけでございますが、ただ、この問題につきましては、この委員会のできますまでは、日本政府の考えというものを沖繩の施政に公の形で反映する仕組みが実はなかったわけであります。むろん外交ルートというものはございましたけれども、むしろ沖繩の施政自身に日本政府が中に入っていって意見を生かしていくという仕組みはなかったのでございます。そういう点におきまして、この委員会における合意というものは、日本政府の意思を反映していくという非常に効果的な成果をあげるものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/61
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062・斎藤実
○斎藤(実)委員 私は、いまのこの答弁を聞いて非常に疑問に思うのは、高等弁務官が勧告を尊重するとか、それを施政に反映させる義務があるとかいうことでなければ、これは何ら意味がないのではないか。もう一つ、佐藤・ジョンソン共同声明の中には、この諮問委員会の助言や勧告について高等弁務官がその勧告に従うとか尊重するとかということは触れてないわけですね。さらにまた、交換公文の中にもそういう点は全く見当たらない。ですから、その合意に達しなければ助言できない、合意に達してもこれは助言しっぱなしだ、あるいは勧告しっぱなしだ、それでは諮問委員会を設置しても意味がないのではないか。私はこの点を心配するのですけれども、総務長官、この点、アメリカ側と何らかの約束あるいは了解というものがされておったのかどうか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/62
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063・田中龍夫
○田中国務大臣 ただいま担当の局長が申しましたように、日本政府の意向というものは、直接現地において日本の代表の口を通じて反映できるようになりましたことは、長足の進歩だと私は思うのであります。それから同時に、私が沖繩に参りまして高等弁務官に会いましたときも、新時代ということばを使って、これからの本土との一体化ということについては、内地におられてこういうふうな論議でございますと、そのムードというものはあまりお感じにならないかも存じませんけれども、高等弁務官をはじめ、これは非常な積極的な意図をもって主張もし、考えております。なお、その間のさらに詳細なことは担当の局長から御説明をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/63
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064・山野幸吉
○山野政府委員 実は先生から御指摘になりました三者の意見が一致しなければ勧告できないし、また勧告を尊重するというその制度も、はっきり制度的にはきまっていない、そこでこの諮問委員会の効果というものが非常に疑われるという趣旨の御指摘がありました。私は率直に言って、そういう御指摘のような見方も、すなおに考えてみるとあり得るだろうと思うのです。しかし、この諮問委員会が、佐藤・ジョンソン会談の共同声明という次元の高い中から、沖繩の本土復帰ができるまでの間に、日米琉三者で諮問委員会をつくって、社会、経済上の諸問題の一体化政策を進めよう、そういう勧告、助言をさせよう、そのためにこの機関をつくろう、こういうことがはっきりと明示されておる非常に次元の高い機関でございます。したがいまして、この諮問委員会は、この三者の合意があって初めて、私は勧告の重みと申しますか、勧告の権威というものは可能だろうと思うのです。そうして勧告されましたことを高等弁務官が無視するというようなことは、私どもは考えられない。むしろそれはアメリカ政府の代表も入っての意見の一致の勧告でございますから、これは必ず尊重され、実現される。現に三つの勧告が行なわれておりますが、それも一つ一つ現に解決しつつあるわけでございますから、私どもはさような意味で非常に高く評価しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/64
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065・斎藤実
○斎藤(実)委員 時間も参りましたので、また次回に譲りますが、最後に、先ほど人権問題の話が出ました。私も非常にこれはまた重要な問題でありますので、この問題に触れようと思いましたが、ただ、この諮問委員会の議題は社会的な問題と経済的な問題ということになっているわけですね。沖繩現地で突発的な事件が発生し、それが現地住民の民生の脅威になるような事件であるならば、当然諮問委員会で取り上げるべきではないかと思うわけですが、この点はどうですか、総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/65
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066・田中龍夫
○田中国務大臣 ただいまのような突発的な問題が起こった場合に、この諮問委員会におきましてこれを取り上げて、弁務官にアドバイスをするなり勧告をしなければならぬという合意ができますれば、私はそれはけっこうなことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/66
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067・斎藤実
○斎藤(実)委員 これは判断によって、突発事故かどうか知りませんけれども、非常にいま沖繩の住民が困っておるのは、B52の撤去の問題なんですね。これは日本政府でも再三アメリカ側に対して要求している問題ですけれども、当然これは諮問委員会で議題にならないほうがおかしいというふうに考えるのです。この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/67
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068・田中龍夫
○田中国務大臣 その点は、ただいまの前段のお話と相関連して申しますと、突発の問題であっても、三者が合意して、これは弁務官にぜひあれしようというふうなものは取り上げられるだろうと申しましたが、このB52の問題につきましては、まだ寡聞にして、そういう合意ができて諮問委員会が弁務官にアドバイスしたということは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/68
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069・床次徳二
○床次委員長 永末英一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/69
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070・永末英一
○永末委員 この諮問委員会ができまするもとは、佐藤総理とジョンソン大統領との共同コミュニケにあるといわれておりますが、最初、外務省はあの共同コミュニケを訳して、「高等弁務官の諮問委員会」、一カ月ほどたって、これがほんとうの訳でございますというので、いま使われているように、「高等弁務官に対する諮問委員会」、こう変えられた。英文は変わっておりません。なぜ訳を変えたか、まず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/70
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071・東郷文彦
○東郷政府委員 私、ちょっと、最初どういう字であったか、正直なところ覚えておりませんが、いまお話しのように、英語は「ツー」高等弁務官ということになっておりまして、変えたといたしましても、他意あって変えたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/71
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072・永末英一
○永末委員 他意があったと思うのですね。「高等弁務官の諮問委員会」といいますと、日本語では高等弁務官の下のという感じがしますね。「に対する」というと、何かあたかも高等弁務官と対等の資格を持つ諮問委員会のごとき感がするわけですね。私は他意があったと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/72
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073・東郷文彦
○東郷政府委員 諮問委員会に出ます三政府の代表は、これは三政府からそれぞれ権限を受けて出ます代表でありますので、これが米国政府の一つの機関である高等弁務官の下に立つということは、本来あり得ないことでございます。特に日本政府がそういうふうに同意しない限りあり得ないことでありますので、最初の訳はおそらく単なる不注意であったのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/73
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074・永末英一
○永末委員 もう少しその点を突き詰めていきたいと思うのでありますけれども、高等弁務官というのはアメリカ政府の機関で、その機関は、アメリカの政府体系からいえば相当下に属する機関であると思います。そういう他国の政府の機関に対して、日本国政府の代表が諮問委員会の委員となって出た事例というのはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/74
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075・東郷文彦
○東郷政府委員 こういう委員会ができましたのも、沖繩の現在の非常に特殊な地位から出てきたことでございまして、おそらくこれに似た事例というのはないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/75
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076・永末英一
○永末委員 私もないと思います。初めてだと思うんですね。
そこで、最初の共同コミュニケのときに、「沖繩の住民とその制度の日本本土との一体化を進め、」と、こういうことばが書いてございました。あたかもこれで、制度が何かこの諮問委員会で議論している間に一体化できるのではないか、こういうことをにおわしておりました。ところが、いよいよ始まってみますと、その制度の一体化というのは一体どこに書いてあるのか、はなはだよくわからない。この共同コミュニケのこの部分を、一体いまの諮問委員会はどういう形で生かそうとしておるか、御返答願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/76
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077・東郷文彦
○東郷政府委員 御指摘のように、共同声明の制度云々は交換公文にございませんが、交換公文の第二項に、「同諸島の経済社会構造が日本本土におけるものと円滑に統合されるよう」云々、そこでより具体的にわかりいい表現をとって交換公文に出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/77
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078・永末英一
○永末委員 本土との一体化を進めるための諮問委員会、こうなりますと、つまり返還までの、本土における制度すなわち本土における法律、諸法令等によってつくられておる制度と同じ性格のものが沖繩にできるのだろうという期待を持たせるこれは文章だろうと思うのです。交換公文にいわれるような、構造なんというようなことになりますと、私は、やはり制度とは全然違う内容ではないか、これは受けておるとは思えませんが、もう一ぺんお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/78
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079・山野幸吉
○山野政府委員 交換公文の趣旨は、ただいま北米局長から御答弁のあったとおりでございますが、私どもも本土と沖繩との一体化ということを制度的にそれでは考えられないかという問題でございますが、私どもは現に制度的な問題も取り上げておるわけでございます。たとえば先ほど総務長官からお話しのありましたような会計年度を合わせるというような問題、それからいま琉球政府の国家事務と府県事務と混淆しているのを分明にして、沖繩県的なものをだんだん明確にしていく、あるいは教育制度の中における教育の取り扱い方をどうするかという問題も、私どもは向こうのほうに提案しておるのでございます。したがいまして、制度的に現状でそれでは県と同じ制度にすぐもっていけるかどうかは、これはなかなか疑問がございますけれども、制度的な問題を片づけないと、やはり一体化の問題は進まない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/79
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080・永末英一
○永末委員 日本国のとっております制度にはいろいろございまして、日本国とアメリカ国との間の制度というのは、安保条約というものがあり、それのワク組みというものがある。ところが、高等弁務官が、諮問委員会ができましたときに、やってきてやったあいさつがございますが、そこで、高等弁務官が考えておる諮問委員会の性格というものが出ておるように思うのですが、この中で高等弁務官は、高等弁務官の権限以外の事項及び政治に関連した事項はこの委員会ではやらないんだ、こう言っているわけですね。しかし、われわれが本土におって、日本とアメリカ国との間でつくられているインスティチューション、制度というものを考えました場合に、一体それはこの中に入っておるのか、それともそれは政治に関係するから、入っていないと日本政府もまた了解しているのか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/80
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081・山野幸吉
○山野政府委員 この政治的な問題という問題でございますが、これには私は二つあると思うのです。本来政治的な問題、施政権の返還でございますとか主席公選でございますとか、国政参加というような本来政治的な問題、それからまた、本来は政治的な問題ではなくて、いわゆる普通の問題であるのが社会問題になって、さらに政治問題に発展するというような問題は、それは各所にあるわけでございます。そういうあとの政治問題は、これは政治問題化する前に措置するかどうかという問題を含めまして、やはりある程度の何らかの関連で諮問委員会の対象にはなると思うのでございます。このあとのほうの御質問の日本の制度、インスティチューションとしての制度を沖繩も同一にしていくというような問題も、私どもはそれはいま直ちにできなくても、向こうの立法でするか、あるいは本土の法を適用するか、あるいは何らかその間にいろいろな方法があると思いますが、そういうことを通じまして、できるだけ祖国復帰をするときの困難を少なくするための格差の是正、制度の一体化は進めていかなければならぬ、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/81
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082・永末英一
○永末委員 ことばじりをとらえるのじゃありませんが、主席公選というのは、これは沖繩が返還された場合には沖繩県になると、日本の制度ではその県の行政的な首長は知事であって、公選である。したがって、沖繩の現在の行政上の首長もまた公選さるべきだということであるならば、制度の一体化と言えると思うのです。あなたは主席公選など入らぬと言いましたが、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/82
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083・山野幸吉
○山野政府委員 主席公選につきましては、これは諮問委員会の議題としては適当ではないと当時は考えていましたが、これは二月一日で解決したわけでございます。ただいま御指摘のように、日本の府県の首長の選挙制度として見れば、制度の問題ではないかという御指摘でございますが、私どもも、その点はさように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/83
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084・永末英一
○永末委員 主席公選は、行なわれることが確定しております。しかし、問題は、その主席がいかなる権限を持つかということが問題である。そこで、あなたがいま言われたように、もともとこの主席公選は、諮問委員会の権限外だなんというような感覚で日本政府が考えるとするならば、この主席の権限をきめておるところの布告、布令というものに対しては手を差し伸べないんだということになると、これはたいへんだと思うのです。これはしかし、現在の主席の権限について、日本政府は、やはりもっとふくらめろ、布告、布令を変えろという御意思はあるんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/84
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085・山野幸吉
○山野政府委員 これは御指摘のとおり、日本政府としましては、布告、布令をできるだけ廃止して、民立法に切りかえてもらいたい、これが自治権の拡大の最も重要な方向であるということに絶えず要請を続けてまいっていまして、現在二十九の布告、布令の廃止を高等弁務官から出されております。しかし、現在までに遺憾ながら沖繩の立法院で立法した案件は七件にすぎないのでございまして、至急ひとつ代替立法をしていただいて、二十九件全部の布告、布令が廃止になるように私どもは期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/85
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086・永末英一
○永末委員 布告、布令というのはそのうちに廃止するだろうと、こういう見込みがあるようでありますけれども、たとえば沖繩の労働者の一番人権を侵害しておる布令百十六号のごときは、なかなかもって基本的なところが直らぬ、こういうのが実情ではないかと思うのであります。要するに、この諮問委員会というのは、結局最初のすべり出しは制度の一体化もあり得るかのごとくであったけれども、その制度の一体化は沖繩返還時における摩擦を少なくするために経済社会構造を少しずつ似たように準備していこうという程度にすぎない。しかもまた、そのほかの、言うならば、次元の低いところの諸施策について諮問に答える。諮問委員会というものは、この程度の非常に限られた権限を持っているのではないか。
そこで、先ほど日本国政府の代表がかかる諮問委員会の委員となるというのは初めてのことであり、しかもそれは他国の政府機関のもとに従属するものではない、こう言うのですけれども、もともと、一体そんなに限られた目的を持ったもの、そういうものに政府代表なるものが行って、そうして何かものを言っておるというのは、そんなに意味がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/86
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087・山野幸吉
○山野政府委員 これは御意見はいろいろあろうかと思いますけれども、逆に事ほどさように日本政府としては重要な問題と考えておるわけでございまして、いま東郷局長からも御答弁がございましたように、従来、沖繩において日本政府が直ちに沖繩の内政について発言する機関は何もなかったわけであります。今度社会経済その他関連事項について一体化のための勧告をつくる重要なメンバーとして参加でき、内政に発言できる、そうしてそれによって本土との一体化が促進されるということになったこと自体、私どもは非常に大きな意味を持っておると思うのでありまして、したがいまして、日本政府代表として参加して大いに一体化を推進してもらうということは、非常に意義がある、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/87
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088・永末英一
○永末委員 ものが言えるようになったから意義があると言うのですが、最終的な採否の権限は高等弁務官が握っておる。その高等弁務官の沖繩支配の形態は個人支配ですね。総理府長官、そう思われませんか。占領の形ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/88
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089・田中龍夫
○田中国務大臣 この諮問委員会ができ、同時に日本政府の代表が現地に参りまして、そうして諮問委員会がすでに何回か開かれておりますが、その報告を受けてみましても、ずいぶんいろいろなケースを非常に活発に論議をし、また主張もいたしております。また、現地は現地なりにいろいろ具体的な問題が次から次に俎上にのぼっております。そういうことを考えると、東京で諮問委員会を考えれば、あんなものは何も役に立たないじゃないかというふうな論議があるかもわかりませんが、しかし、現地において処理すべきことはこんなにたくさんあるのかと思うほど、いろいろの問題が論議されてまいっておりますことは、私は非常によかったと存じます。
それから永末さんが最後におっしゃった、これは高等弁務官の個人的なものじゃないかというようなことでございますが、これは沖繩の現在の状態は、二十年ばかり前に日本が占領時代における軍政部と非常によく似ておるのでございまして、あの当時、やはり布令百十六号みたいな問題やら、八十七号のような問題やら、たくさんあったわけでございます。そういう点におきましても、この諮問委員会を中心に一体化を進め、またこの諮問委員会と並行いたしまして、あるいは外交関係あるいはまた日米協議委員会、こういうふうなものがくつわを並べていろいろ折衝いたすことによりまして、本土復帰というわれわれの悲願がすみやかに達成できるだろうということを期待しておるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/89
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090・永末英一
○永末委員 私が最後に申しましたのは、長官、こういうことなんですよ。高等弁務官がかわるごとに、いままでアメリカが最初の占領以来出してきた布令、布告、これは有効であるということの特別の布告を必ず出しておるわけですね。これがすなわち占領の形式だ、こう申し上げておるので、その事実はあなたも同意されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/90
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091・山野幸吉
○山野政府委員 法形式としてそういうことが行なわれておることは承知しておりますし、そのとおりでございます。しかし、それであるから軍政であるかということになりますと、私はまだいろいろ議論があるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/91
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092・永末英一
○永末委員 アメリカの法律体系からいえば、これは完全に軍占領なんです。軍占領だから、占領軍の一身専属の権限によって沖繩を支配しておる。したがって、布令とか布告とかいうものが出ておりますと、何かそれ自体に続いていく要素があるように一見見受けるけれども、アメリカの法律体系の中では、やはり新しい高等弁務官が、いままで出したものは、おれが着任しておれの権限においてすべて有効と認めると言わない限り失効するわけなんです。私はアメリカはそう考えておると思うのです。そのことは、すなわち、これは高等弁務官、直接には大統領から流れ出る権限によって軍占領をやっておる。そういう一身専属の権限に基づく支配、これに対して日本政府が諮問委員を出しておるという形がおかしいと思うから、いまのような、その点のアメリカ側の法律的性格を日本政府ははっきり認識しておいてほしい、だから認識はございますかと聞いているのです。大臣から答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/92
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093・田中龍夫
○田中国務大臣 司令官の更迭に伴っての前任者に対する一身専属の権利義務の承継の問題は、これが日米の外交交渉によってでき上がったものでありますならば、後継の司令官に対しましても同様なことが、当然申し継ぎには行なわれるべきものであって、当然諮問委員会というものはまたその権限なり何なりを行使できるだけの法的根拠があると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/93
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094・永末英一
○永末委員 私が申し上げておるのは、占領ということがここにはっきり出ておる。したがって、この諮問委員会の扱う内容そのものも、なるほど一つには日米両国政府の交換公文で大ワクはきめておるけれども、その内容については結局また諮問委員会を最初発足したときの高等弁務官のあいさつが典拠になっておる、こういうことになりますと、非常に日本政府が言いたいことを言って役立っているような主張をなさいますけれども、結局取捨選択はすべて高等弁務官だということになりますと、私はもっと別の立場に立って、日米協議委員会というものを、日米対等の立場でもっと沖繩問題で働かしていかなくてはならぬとわれわれは考えるのでありますけれども、諮問委員会に重点を置いたら、もっと対等の立場で発言できるところが対等の立場でないところで、悪くいえばごまかされてしまう、そういう危険を感ずるのです。こういう私の考えに対して御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/94
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095・田中龍夫
○田中国務大臣 それは永末委員のおっしゃるとおりでありまして、われわれはすべて諮問委員会にたよって考えるというようなことではなく、日米協議委員会なるものをますます活用もし、外交交渉も積極的に活発にやっていかなければならない、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/95
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096・永末英一
○永末委員 時間もだいぶなくなりましたが、東郷さん、私はこの諮問委員会に関する暫定措置法案を審議するにあたって、アメリカ側がこの諮問委員会の法的地位をどう考えておるかを知りたいと思いまして、資料の要求をいたしました。いまだにこれを受けておらぬのです。これは別段機密文書でも何でもないのでありますから、外務省はやはりそれを当委員会に出していただきたい。つまりわれわれがひとりよがりの議論をしておったのでは、この諮問委員会の法的性格はよくわからない。私は最近アメリカへ参りまして聞いてみました。なかなかあいまいもことして、私自身もつかまえることができなかった。そこでひとつ、理事会には申し上げて御同意をいただいておるのでありますけれども、この法律をわれわれが日本国の法律として制定するにあたっては、アメリカ側がこの諮問委員会に一体どういう法的性格を与えているか、私はぜひ知りたいのです。あなた、これが通るまでに私に見せてもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/96
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097・東郷文彦
○東郷政府委員 私、どういう資料を御要求になられたかよく存じませんが、とにかくわれわれといたしましては、この諮問委員会に対する米国側の法的文書としては、共同声明及び交換公文以外には持っておらないわけでございます。米国政府の内部においていろいろ内規なり指示なり、何かあるのかもわかりませんが、どうも外国政府の内部の文書を一もしありとすれば内部の文書だと思いますので、それを何かそういうものがないかといって聞くのは、あまり適当でないように思います。われわれとしましては、共同声明及び交換公文によって、アメリカ側の法的立場もはっきりしていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/97
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098・永末英一
○永末委員 私の申し上げたいのは、高等弁務官というのはアメリカの軍の中のある機関であって、それが占領という形で沖繩に臨んでおる、それに対する諮問機関だ、こういうことになりますと、高等弁務官に対して、この諮問委員会が設置されるについて、第一には大統領と日本国総理大臣との共同声明、第二に両国政府の交換公文、これだけではないと思います。そんな一足飛びに来るわけはない。したがって、そこの文書をわれわれに見せていただかなければ、この諮問委員会に対してアメリカ側が考えていることがはっきりしないではないか、こう申し上げておるわけであります。私どもがそれによって、アメリカ側がこの諮問委員会に期待しておるところの内容を察知することができれば、これからこの暫定措置法案が通過するといたしましても、この諮問委員会に国会として期待し得る限度は一体どこか、沖繩問題解決のために、あなた方は口がすくなるように一体化、一体化と言われるけれども、はたしてそれが役立つのかどうかという限度もはっきり出てくる、したがって、その文書をひとつ外務省は努力して入手してわれわれに見せてもらいたい。もう一ぺんお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/98
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099・東郷文彦
○東郷政府委員 高等弁務官の地位に関しましては、もちろん行政命令というものがございますし、また今回の諮問委員会に関しましては交換公文というものがございまして、交換公文にも明らかなように、三者の代表はそれぞれの政府の意を受けて動くわけでございます。したがって、この諮問委員会において何らかの合意ができて勧告されるという場合には、米国政府の意思も勧告には入っておるわけでございまして、これを高等弁務官が握りつぶすとか実施しないとかということがもしありとすれば、アメリカ政府のいわば精神分裂のようなものになります。そういうことはないとわれわれは確信しております。したがって、そういう意味では、われわれがこの諮問委員会に期待し得る限度と申しますか、範囲と申しますか、そういうものは交換公文で明らかなように考えます。
なお、もし米国の大統領から、あるいは米国政府から、高等弁務官に何がしかの指示がなされたというもので公にされたもの、あるいは入手し得るもの、そういうものがあればけっこうだと思いますが、今日までのところ、そういうものはわれわれ存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/99
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100・永末英一
○永末委員 あなたがいま御答弁の中に言われたように、アメリカ政府もまた、アメリカ政府の代表が、自分の政府機関の機構からいけばずっと下のほうにある機関の諮問委員会の委員に任命されるという形は、ほとんど前例がないのではないか。私も二、三聞いてみました。ほかにあるかと聞いてみたら、私が聞いたところでは、アメリカ側にその前例があるということは聞かなかった。したがって、この諮問委員会が、もし三者が合意しましても、それが一体どういうことになっていくのか、あるいはこの諮問委員を任命したアメリカ側の法的構成はどうなっているのか。わが日本国政府はこれで法律上の資格をこの諮問委員に認めようとしておる。沖繩における現地の琉球政府でも同じようなものを出したと聞いております。アメリカ政府が国会においてそういうことをしたということはあまり聞かない。あっちの当該国会議員に聞いてみましたけれども、どうもあいまいで、私はよくわからぬ。そこのところを一ぺん聞かしてほしい。そうでなければ、この諮問委員会に過大な期待を持って、違った結果が出てきては沖繩県民にも相すまぬと思うので、そこであなたにその努力をしてほしいということを私は求めているわけです。御答弁願います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/100
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101・東郷文彦
○東郷政府委員 ちょっと、理解を深めますために、もう一度伺いたいのでございますが、そうすると、具体的には、たとえば米国政府代表の米国法における国内上の地位と、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/101
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102・永末英一
○永末委員 それが一つ。それからこの諮問委員会に対しての権限に対して何らかのアメリカ政府部内においてきめられたる文書、私見たわけではありません。本来なら入手してきて、これだと言いたいところだけれども、正直に申しますと、それを私は持っておるわけではございません。しかし、それを知らなければ、いま説明されたような共同声明と交換公文とそれから高等弁務官のあいさつだけでは、きわめて限られた権限だけしかないんじゃないか、それだけからいきますと、あなた方、政府が御答弁なさるように、一体化にきわめて役立つというような判断はできないし、いわんやまたそれで日米協議委員会の運営がストップしていくというなら、これはむしろかえって沖繩県民のために私はならないと判断するから、いまの二つの書類について外務省は努力をして提出をしていただきたいということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/102
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103・東郷文彦
○東郷政府委員 努力いたします。ただ、いつまでということは、ちょっとごかんべんを願いたいと思います。努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/103
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104・永末英一
○永末委員 そういう書類を見たいので、それを見ませんとちょっとよくわかりませんので、きょうの質問はここまで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/104
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105・床次徳二
○床次委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。
午後六時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803904X00719680416/105
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