1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月一日(月曜日)
午後一時三十三分開議
出席委員
委員長 沖本 泰幸君
理事 小宮山重四郎君 理事 佐々木義武君
理事 齋藤 憲三君 理事 始関 伊平君
理事 福井 勇君 理事 石川 次夫君
理事 三宅 正一君 理事 内海 清君
青木 正久君 大石 八治君
岡本 茂君 田川 誠一君
山口 敏夫君 石野 久男君
角屋堅次郎君 小林 信一君
三木 喜夫君 近江巳記夫君
出席国務大臣
国 務 大 臣
(科学技術庁長
官) 鍋島 直紹君
出席政府委員
科学技術政務次
官 天野 光晴君
科学技術庁長官
官房長 馬場 一也君
科学技術庁原子
力局長 藤波 恒雄君
委員外の出席者
原子力委員会委
員 有澤 廣巳君
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四月一日
委員桂木鉄夫君、世耕政隆君及び米内山義一郎
君辞任につき、その補欠として青木正久君、山
口敏夫君及び石野久男君が議長の指名で委員に
選任された。
同日
委員青木正久君、山口敏夫君及び石野久男君辞
任につき、その補欠として桂木鉄夫君、世耕政
隆君及び米内山義一郎君が議長の指名で委員に
選任された。
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本日の会議に付した案件
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第
九二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/0
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001・沖本泰幸
○沖本委員長 これより会議を開きます。
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。石野久男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/1
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002・石野久男
○石野委員 大臣に質問いたします。
規制法の改正にあたりまして、法案の内容については先般の委員会でいろいろお聞きしたところですが、この規制法の基本的なねらいは、原子炉に関係する安全性をいかにして確保するかという問題だと思います。そういう安全性をいかにして確保するかという、政府の姿勢なりあるいは考え方というものを明確にしておきませんと、法を幾らいじってみてもそれは意味がない、こういうふうに思います。問題は、今日、原子炉に関係する施設というのは各所にできておりますし、また、それに対する規制についてもいろいろ問題があると思うので、私は、特に燃料サイクルの確立にあたって、やはり使用済み燃料の再処理という問題が今日非常に大事だ、こう思いますので、そういう観点についてお尋ねしたいと思うわけです。
その前に大臣にお聞きしておきたいことは、すでに予算も通ったことでありますけれども、科学技術庁の予算は、国の予算の伸び率が一一・二%ぐらいであるのに比べて、科学技術庁は三一・五%の伸び率を示しているわけです。ここに、佐藤内閣のこの面に対する意欲的な姿勢を見ることができると思いますが、特に総額三百十八億三千七百三十万円のうち、技術振興のための出資がそのうちの約六〇・四%を占めております。その比率は前年比約三四%ですが、そのうち、また動力炉・核燃料開発事業団の予算というのは、科学技術庁が出資しているうちの三二・四%を占めて六十六億二千八百万円、前年比一九%の伸びを示しているわけです。
そこで動力炉・核燃料開発事業団の成立した最初の予算、国が巨大プロジェクトとして実行するにあたってのこの予算は、言うまでもなく十年間に二千億円を使うというはしりです。したがって、本年度この予算を使うにあたりまして、政府が、特に科学技術庁が予算をどのようにして使っていくか、どのようにこれを監督していくかというそのかまえをここで明確にしておきませんと、十年間にわたるところの巨大なプロジェクトの予算の中ではいろいろな問題も出てこようかと思います。この際私は、所管大臣である長官に、長期計画に出資をするにあたっての予算の適正な支出、むだ使いのないように、あるいはまた、二重投資のないように、あるいはまた、その間不祥事件が起きてこないようにするためにどういうかまえでこの予算を支出、管理をしていくかということについての腹がまえのほどをひとつ聞かしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/2
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003・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 ただいまの御質問に御答弁を申し上げます。
ただいま言われましたとおり、本年度の予算は、不満足ながらでございますが、少なくとも大型プロジェクトに対する内閣の姿勢をある程度示したものであろうと思います。特に動力炉開発につきましては、動力炉開発事業団に対して全力をあげて今後の開発をしていただかなくてはならない。大ざっぱに今後二千億を使って、そうして、増殖炉なり転換炉の開発を行なうことにして、大体の計画はできておるわけでございます。したがいまして、今後これをやっていくその初年度にあたりまして、この前にも答弁があったかと思いますが、動力炉燃料事業団において詳細なる年次計画を立てていただき、そうして、それを原子力委員会において十分御審査を願い、その上に年次計画に基づいて予算を支出していくという形の、いわば計画的な面が一つあると思います。これは現に詳細に動力炉燃料事業団においてお立てになって、早晩、わりあいに早い機会に原子力委員会に報告され、審査に入ることと考えております。その面からひとつ規制といいますか、計画を立て、それに伴う予算を科学技術庁としては全力をあげてこれを確保する、しかも、動力炉燃料事業団には十分自由に研究ができるように、しかも、むだのない研究ができるように御活躍願うような形においてこの開発を進めてまいりたいと考えております。
次に、それを実際に実行する際に、いろいろな問題の中で、あるいはむだがあったり、あるいはそういうことは考えたくございませんけれども、相当のものが民間等にいわば発注されるわけであります。その際における汚職といいますか、不正なことが行なわれないように、その監督は、安全の面から、あるいはその計画実施の面から、十分これを締めていくという形をとり、また、原子力委員会としても、その点については十分管理をされていただくものと考えております。
大体そういう決心をもって進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/3
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004・石野久男
○石野委員 事業団の仕事は開発の仕事でありますから、当然やはりむだになる分も出てくるでありましょうし、あるいはまた、二重に投資するような場合も出てこようと思いますけれども、しかしあらかじめ予想される二重投資とか、あるいはむだだとかいうことは、これは極力排除しなければいけないと思います。そういうことについては、特にやはり大臣としても厳重な監督と指示をすべきだ、こう思いますが、この点は、十年間にわたる長期の計画でもあるし、非常に膨大な金でもありますから、私は、特に監督官庁としてそれを注意してもらうようにしていただかなければならぬと思いますから、その点についての所信だけをひとつ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/4
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005・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 その点は、もういま言われたとおりでございます。したがって、専門的には、これは原子力委員会の専門部会もございますし、そういった点で十分な監督をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/5
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006・石野久男
○石野委員 有澤先生に、この点についてもひとつ御所見を聞いておきたいのですが、有澤先生は委員長代理をやっておられるわけでございまして、原子力委員会は、こういう問題についてやはり相当重大な関心を持ちながら、しかも、成果のある結果を期待しなくてはいけないわけでございます。予算の使用ということについては、国民の血税がここに入っているわけでございますから、むだがあってはならないし、また同時に、不正があってもなりませんが、特に研究開発であるだけに、何べんか、むだというか二重投資のような形が出てきてもやむを得ないという考え方が、ややもすれば出てくる傾向があります。しかしこの場合、予測しない二重投資になる場合はいけませんけれども、予測される二重投資というようなことがあっては絶対にいけないと思いますので、この点については、有澤先生からも、特に管理監督するという意味での御所見だけを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/6
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007・有澤廣巳
○有澤説明員 動力炉・核燃料開発事業団、これは十年余にわたる長期の計画のもとに巨額の金を投じて開発事業を進めるわけでございますので、これは法律にもありますように、この間の開発の基本方針というものを立てまして、この基本方針は、私ども委員会のほうでも十分審議をいたしまして基本方針を立てます。この基本方針にのっとりまして第一段、第二段の、開発のための基本計画を立てます。第一回目のといいますか、初期の基本計画は昭和四十五年度までの、四十二年、四十三年、四十四年、四十五年までの基本計画、そして、四十五年度までにこの第一期の計画に基づく開発に関するチェック・アンド・レビューをいたします。むろん毎年毎年の事業につきましては、それぞれ評価をいたしておりますけれども、この一くくりの一時期に到達しますと、ここでチェック・アンド・レビューをいたします。つまり研究開発が有効に進捗しておるかどうか、その成果はどうであるかということにつきまして評価を下し、その上で判断して、さらに次の段階に進んでいくような段取りをとることになっております。
そういうわけで、計画はそういうふうにかなり綿密に詳細に立てておりますが、しかし毎年毎年の事業計画は、いまの基本計画にのっとりまして年次計画が立てられますが、この事業計画につきましては、毎年毎年事業団が提出されましたものを私どものほうで十分審議をいたしまして決定をすることに相なっております。
そこで、事業団のほうでございますが、事業団のほうは、御承知のように、研究開発のかなり大きな部分を原研その他、あるいは民間に委託研究をすることになります。委託事業があります。委託事業が、ただいま御指摘の点から申しますと、かなり重要な問題点でございますが、これにつきましては、委託のための発注基準というものを設けまして、事業団が民間なら民間に発注をする場合には、その発注基準にのっとって発注を行なう、こういうことになっておりまして、その基準につきましても、私どもがすでに審査をいたしております。そういうような形で計画的に進めることと、その進めるにあたっての実際については、いろいろ手心を加えられても困りますので、一定の基準を設けて、その基準にのっとって事柄を進める、こういうふうになっております。むろん常時監査は、これは監理官もおることでございますから、常時監査はいたしております。私どもも、いまたいへん御心配といいましょうか、御指摘のありました点につきましては、十分注意、監督を続けていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/7
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008・石野久男
○石野委員 予算の実行につきましては、そういうようにむだのないように、あるいは不正のないようにということは、きわめて大事だと思いますので、十年にわたる二千億の膨大な予算のはしりをことしから扱うわけですから、これは十分ひとつ関係するところで注意してもらわなければいかぬ、こう思います。
そこで、規制法の問題に触れるのですが、先ほども申しましたように、規制法はやはり安全性確保というのが一番大きい問題になると思います。それぞれの施設についての安全性の問題は非常にこまかく論議されておりますが、やはり立地条件、敷地問題等については、常に問題がその地域において出てくるということを、従来この委員会において、いろいろ各方面から論じてまいりました。特に地域住民に対する安全性を確保するという問題について十分な配慮をしませんというと、開発の仕事に非常に大きな障害がくることも注意しなかればならぬということを私は申し上げてきたわけです。
問題は、再処理工場の設置の問題ですが、私の考えでは、再処理工場は、今日の段階では、できる限り早くつくるべきだという考え方を私は持っております。しかし、ただ今日の原子力局が指導し、あるいは事業団が考えておるこのあり方について問題があるので、本院においていろいろと事実の点についての私は質疑をしてきたわけです。先般本院で、事業団の今井副理事長が来まして、そこでの所見を承りました。この所見によりますと、現在のところは、東海村に、できることならば、地域住民の了解を得てひとつつくってもらいたいという希望である、もう大臣は、そのときの質疑についてたぶんお聞きだろうと思いますが、私はむしろ昨年サンゴバン社をたずねまして、そこで、関係する人から、東海村におかる再処理工場設置についての設計の進捗状況も聞いてまいりました。本年四月ごろには大体一応の完結を見るつもりでおる、こういうことも聞いたわけです。しかし、もし敷地が変わった場合にはどうだという話も聞きました。そうすると、東海村でない場合、敷地が変われば、やはりその地域条件などの調査のことにもかかわりますけれども、大体地域の調査などが進んでおるとすれば、設計の問題では、二カ月くらいあれば大体うまくいくだろうということも実は聞いてきているわけです。燃料サイクル確立のために再処理工場をできる限り早くつくったほうがいいという考え方からすれば、敷地問題について問題があるときには、やはりその問題である敷地に対する執念もさることながら、それにかわるべき地域に対して配慮するということは、これはきわめて大事なことだというふうに私は考えておるわけです。先般の委員会でもそのことを申し上げた。ところが、原子力委員会のほうにおいても、あるいはまた、事業団においても、原子力局のほうにおいても、この敷地変更についてはいまのところは考えるような意思のないように聞いております。そういうような考え方で大臣はおるのかどうか、この際、ひとつ大臣の所見を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/8
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009・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 再処理工場の問題につきましては、もう石野議員、十分御承知のとおりでございます。現在事業団におきましても、あるいは原子力委員会におきましても、いろいろな点から、あるいは調査をする面、あるいは関連施設の面、安全施設の面から見ても、特に今回の再処理工場は、日本における最初の再処理工場でございますし、いわばパイロットの工場といわれるような性格を持ったものであろうかと思います。したがって、今後の本格的な再処理工場をしていく場合におきましても、いろいろなそういった関連から、やはり東海地区を第一の候補地にあげて、何とかこれができないであろうかということを要望しておる、希望があるということは、もうそのとおりでございます。したがって、その要望に沿って実現をはかろうとすれば、ただいま言われましたような、いろいろな地元の問題あるいはその他工場配置の問題、立地条件の問題というものが出てくることになろうかと思います。したがいまして、今日の私としましては、その問題をひとつでき得る限り解決の方向へ向かうようにし、あるいは立地条件の問題では、安全専門審査会等にお願いをして、いろいろな資料等も出ておりますし、特に石野議員等の資料等もあるわけでございますから、それらを十分御審査願って、そうして、安全性についてのいわば結論を得、さらに地元の御協力の問題もございますので、地元の御協力の問題等の解決へも熱意を持って進めまして、でき得ればこの第一候補の東海村のほうにお願いをしたいという気持ちを現在持っておるというのが事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/9
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010・石野久男
○石野委員 第一希望の地域を選定する理由として、私はなぜそこに執着するのかということを先般聞きました。そこで、今井さんの答弁は、こういうふうでございました。それは、一つには原子力の施設の外の側に、東海村の周辺地区では、やはりいろいろな協力する体制がある。モニタリングステーションとか、いろいろなそういうものがあって、それが非常に利用しやすいということ、それからいま一つには、トラブルが起きた場合には、自分たちの能力でもやることなんだけれども、それだけじゃだめなので、やはり原子力研究所の協力も得られる便宜がある、こういうふうに言いました。大体その二つの理由があるということをこの前今井さんが言ったわけであります。これはちょっと聞いただけでは、いかにもごもっとものように聞こえるわけですね。しかし私は、昨年アメリカで原子炉に対する設計基準七十カ条が出たときに、これを報道した朝日新聞が、特にアメリカで問題になっているところの、安上がりの施設は許さない。やはり施設をするものはできるだけ金をかけなさいということの解説も加えながら、非常に大きな報道をしておりました。当時朝日新聞は、九月十九日ですが、「“安上り”は許さず」「制御装置など二段構え」という、こういう大きい解説記事も入れておりました。やはり施設をするものは、できる限り自分の必要な経費はかけていいと私は思うのです。便乗するという形が、それは経済効果の点からいえばけっこうなことであるけれども、地域住民に対して非常な犠牲をしているとか、地域住民の反対を押し切ってまで、そういうような経費節減なり便宜を得ようとするようなことはあまりよろしくないと思います。今井さんの、東海村に設定しなくちゃならない理由というのは、全く便宜主義です。また第二項に言った、トラブルが起きた場合に原子力研究所の協力をいただかなければいけませんからという話でございました。しかし、先般も私は申し上げたのですが、実は協力を得ようとする原研ではどうなんだろうか。原研では、現にすでにその再処理工場についての研究はなるべくやめるという方向へ進んでいっているのですね。これは原研労組の「あゆみ」ナンバー四四一号に書かれていることでございますけれども、こういうふうにいっております。再処理工場については、「湿式再処理は本年三月末までにホット運転を開始し、その後、二、三回ホットランを行なって停止されることになっている。」そして「現在いる人員二十九名のうち、十七名は動力炉開発要員として供出し、残り十二名は乾式のための研究開発を行なうことになっている。その後の動燃との関係は不明である。」こういうふうになっております。そして現実には、やはりこの研究室というものは解散と同じになってしまうわけですね。しかも、事業団に関係する方は全部事業団に行っちゃうわけですよ。だから、今井君が言ったように、事故が起きたときに原研の協力を得るといっても、協力もくそもないですよ。原研自身は、もう要員は全部事業団に入っている。そうすると、この今井君の言ったことばなどというものは、事実をひん曲げておる。原子力政策を執行されるところの長官は、原研におけるところのこういう事態というものを承知の上で、これをやらしているのかどうか。これをよく見ますと、これは、こういうふうにいっております。一生懸命に——理事長はたとえばこういうふうに言っておりますね。理事長は——これは丹羽さんのことですが、「理事長は、「人員を減らすなら、JMTRは運転中止にする」というコトバを切り札に、各界に復活交渉をしたと伝えられるが、その努力も結局は、マイナスをゼロにするにとどまった。」こういうふうにいっているわけです。だから、丹羽さんが一生懸命にそういうことをとめようとして努力したけれども、結論としてはこうなっちゃった。その一つのあらわれとして、再処理研究室というものは解散と同様になってしまっているという状態なんですよ。他方においてはこういうようなことをやりながら、片方では今井君は、東海村に置けば原研の協力を得られるからというようなことをもって、あたかもそれは第三者に対しては非常に筋の通った話のようなものの言い方をするということは、非常なごまかしですよ。だから、一貫した政策ではないと私は思うのですね。だから、こういうような事実を長官は御存じなのかどうなのか、まずそこからひとつ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/10
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011・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 いまの問題につきまして、詳しいことは私も存じておりませんが、原研の要望する、いわば本年度における人員の増加につきましては、予算折衝そのほかの問題につきまして、動燃に重点を置くことと、あるいは予算の硬直化の問題等々のことが原因しまして、十分の人員が配置できなかったということは事実でございます。特に本年度は動燃においてどうしても進めねばなりませんので、その方向に重点を置きましたので、百十一名でございましたか、動燃のほうの増加はできましたけれども、一方、予算折衝の際における人員増加が、原研においては、減員せらるべきものをもとへ、現在のように復すというようなことで、二十一名でございますかに終わったという点は、私も残念に考えておりますが、微力、ついにそういった予算折衝に終わりました。したがって、そういったいろいろなことで丹羽理事長にも御迷惑をかけたことはまことに恐縮いたしております。
ただ問題は、いま言われましたように、原研は原研とし、動燃は動燃としての仕事があるわけでございますから、特に再処理の問題は、今後日本としてどうしてもやっていかなければならぬ仕事でございますので、そして、特に最初の再処理工場であって、相当総合された力をもって進めていかなければならぬ、そういうようなことで、今井副理事長が言われたこと等はそういった点もあったかと思いますが、少なくともいわば総合されたあの原子力センターといわれる東海地区に置くことによって、原研の力も借り、あるいは関連を持ち、あるいは人員を養成するというようないろいろな面から、あるいは安全施設の面から考えて、やはり東海地区を第一の候補地とするというふうに言われたのではなかろうかというふうに私は考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/11
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012・石野久男
○石野委員 有澤先生にお聞きしたいのですけれども、いま原研の再処理の研究室はそういうような状態で、事業団に対する協力といえば、共同研究になるのかどうか知りませんけれども、しかし事実上この原研におけるところの再処理研究室というようなものは解体同様になっていっているというふうに聞いているのでございますが、これはやはり有澤さんも十分御承知のことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/12
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013・有澤廣巳
○有澤説明員 再処理の研究につきましては、御承知のように、湿式と乾式とがございまして、従来は原研で、燃料公社の連中も原研と共同して、再処理技術の開発を進めておったわけでございます。ところが今度事業団が設立されまして、再処理の事業は、一応これは公社の時代からの既定の方針で、湿式の再処理工場、しかもパイロットプラント、一日〇・七トンでございますからきわめて小さい。とても商業的にはやっていけない。やはり二トン、三トンというふうにならなければなかなか採算がとれないのですけれども、その再処理技術をとにかく日本で確立することが必要である。乾式のほうも、経済的にはそのほうが有利だという説もありますけれども、これはまだ完成しておりません。それでその乾式の、まだ未完成の技術の開発は、これが原研がやってもらう。湿式のほうはもうサンゴバンにも設計を頼んであります。その設計ができたからといって、すぐそのまま日本で何の故障もなく完成するというわけにもいかないだろうと思います。したがって湿式に関する技術の開発もあわせてやっていかなければならないだろうと思います。その湿式のほうの技術の研究開発につきましては、原研でいままでやってきた方々が事業団と一緒になってこの技術を開発する。つまり事業団でやる仕事と、それから原研でやる研究開発とを、ここで分けて考えるということに相なったと思います。
その方針は、大体私どもそういうふうに了承しておりますが、具体的の案がどうなっているかということは、実は原研のほうから来年度の事業計画につきましてはまだ拝聴しておりません。来週といいますか、今週の末でございますか、とにかくごく最近に原研からお話を十分承ることに相なっております。そういう事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/13
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014・石野久男
○石野委員 いまのお話を聞きますと、結局、原研でやっておりました湿式のものについてはまあ事業団と一体になっちゃって、労組の諸君が言っているように、事実上原研の中の研究室というものは事業団と一緒になっちゃって、同時に研究しているという形になっていることは、大体裏づけられたと思うのです。そうなると、やはり今井さんがこの前言っておりました事故が起きたときに原研さんの協力をいただくといっても意味がないのですよ、実際率直に言いまして。このことははっきり確認されます。
そこで問題は、その第一の問題なんですよ。結局東海村に置かなくちゃならない理由ということについて、今井さんはこういうように言っているわけなんです。とにかく私が東海村になぜ置かなければならぬかということについて二つばかり問題があります。こう言っている。一つは、やはり安全性を確保いたしまするについては自分たちの中でできることのほかは、地域全体としてできるだけの便宜——便宜のというのは、安全を確保するための便宜でございますが、そういうところに置かしていただくのが安全のためを考慮してということで、モニタリングステーションや何かの利用が非常に便利であるということを言っているわけです。もう一つのことは、作業に渋滞を来たすことも間々あるかと思います。トラブルが起こることもございます。そのようなときには云々とこう言いまして、いち早く援助を求めることができるのはやはり原研があり、また自分のところの内部にも試験所があることなど、地盤があるところが好都合でございます。こういうふうに言って、結局従来の燃料公社の試験所のあることも一つ理由に加えておりますが、より以上に原研のあることが一つの理由だ、こう言っておった。その第二番目の原研というのは、いま申し上げたようなことで意味がないということがわかった。そうすると、最初の第一番の、モニタリングステーション云々の問題なんです。結局これはあそこに置けば、モニタリングステーションだとか、あるいは退避道路だとか、一切すでに原発あるいは原研等があの地域に施設したものが共同利用できるという、こういうことだと私は思います。こういうような問題をもし東海村に置くことの理由とされるならば、それは一つの理由だと思いますけれども、地域住民からするというと、とんでもない便宜主義だと私は思うのです。私どもの感じでは、たとえば原子力研究所ですか、あるいは事業団ですか、茨城に参りまして、茨城でこの地域に再処理工場を設けるためのいろいろな説明をしております。その説明の中に、たとえば地域の利用の問題について再処理工場を置いた場合にはどうなるんだというような質問などしておるわけです。そのとき答えている資料は、どういうふうに言っているかというと、設計面で十分の努力をしておるから、だから地域の利用についてはそういうことを考える必要はありませんというようなことを言っているわけなんですよね。そのまた理由の中に、いわゆるベルギーのユーロケミクの例も出ておるわけです。ユーロケミクの場合は、あれは政治的にきまった地域であるけれども、今度はそうでなく十分な検討を加えております。こういうふうに言っているわけです。そしてユーロケミクではちっとも心配ありません、こういう言い方をしておる。そこで私は地域の住民に対して、そのことで納得させておるならば、ユーロケミクでやっておるような退避訓練もやってくださいと私は言うんですよ。一方では安全だ、安全だと言うんだ。ところが一方では、ユーロケミクでやっておるところの、年に二回くらいやる市民に対する退避訓練というものは、それをやらないじゃないか、こういうことではいけないわけです。これは大臣、開発事業団が急速に所期の目的を達成されるために努力することは、私はけっこうなことと思っております。けれども、やはり地域住民に対して、安全だ、安全だということだけでそれを押しまくっていくというやり方は、非常な権威主義だと私は思うんですよ。それで先般のお話では、これは有津先生もそういうふうに承っておりますので、別に地域の新たな選定はいまいたしません、こういう御答弁でございました。今井さんから言わすと、とにかく地域の住民の了解は得られます。そういう予定でございまするので、他の地域の選定はいたしませんとこういうわけですよね。ところが茨城においては、射爆場の返還という問題は決定的な問題になっているわけです。たとえば、岩上知事が二階堂長官のところへ出したいわゆる要請書ですが、この要請書は昨年六月に出ておりますね。その要請書の中に、再処理工場の問題というのはこういうふうに言っている。「国は再処理施設の設置にあたっては、この射爆撃場と本施設が併置される事態とならないよう配慮すべきである。」こういう言い方をしているのです。こういう言い方は、当時、二階堂長官はどういうふうに受け取っていたかということ、こういうことです。再処理工場が稼働する時点で射爆場がなくなることが予想されるならば、再処理工場の施設をすることはよろしい。それは茨城県の知事も認めていることだ、こういう理解のしかたをしているわけですよね。こういうような理解のしかたをしている。これは私にそう言うわけです。この文章は、そういうふうに原子力局あるいは原子力委員会は受け取っているのかどうか、この点をもう一ぺん聞かしてもらいたい。——岩上知事から二階堂長官のところへ出した要請にはこういうふうになっているのです。「水戸対地射爆場について」というところで、一番最後のところで「国は再処理施設の設置にあたっては、この射爆撃場と本施設」これは再処理工場のことです「が併置される事態とならないよう配慮すべきである。」こういうふうに言っているわけです。これを二階堂長官はどういうように受け取っているかというと、昭和四十五年の段階で再処理工場が、いわゆる稼働するその段階のときに射爆場がなければ、それまでの前段において昭和四十三年から施設をずっとしていってもいいんだ、こういう理解のしかたをしておるわけです。そういう理解をしているのかどうかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/14
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015・藤波恒雄
○藤波政府委員 大体いまおっしゃられたようなふうに了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/15
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016・石野久男
○石野委員 そうしますると、施設をするにあたって、本年なら本年の段階でくわ入れをして、そして、四十五年までに完成するというような工事は、大体やる予定をしておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/16
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017・藤波恒雄
○藤波政府委員 その問題になりますと、まだ射爆場の移転につきましても最終的な計画がきまっておりませんし、それから、先ほど来おっしゃられますように地元の了解問題が必ずしもまだきちりとおさまっておりませんので、われわれはそれらの問題が煮詰まりました上で着工しなければならないものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/17
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018・石野久男
○石野委員 私は再処理工場の設置は急がなければいけないと思います。計画どおり、昭和四十五年の段階で稼働するように進めることがよろしいと思うのです。
そうしますると、工事予定とかなんかからいたしまして、大体予定どおりに進めるための着工の初期はいつごろになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/18
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019・藤波恒雄
○藤波政府委員 現在われわれが持っております計画は、御承知のとおり、サンゴバンに頼んでおります詳細設計がことし中に終わりますので、終わり次第本年度中に着工をして、四十六年度中に完成をして、さらに約一年の習熟試験運転をいたして営業運転に移るというのが計画でございます。したがいまして、先ほど来申し上げております懸案問題をできるだけ解決を急ぎまして、計画にできるだけ沿って着工したいというのが希望でございますが、現在のところ何月からというぐあいに申し上げかねるのは残念に思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/19
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020・石野久男
○石野委員 原子力委員長並びに有澤先生に聞きますが、ある一定の地点にねらいを定めて、そのねらいが射抜かれない場合は、計画の時期はそれに合わせてずっとずれていってもいいような、そういう事業団の再処理工場設置の計画なのか。それとは別個に、ある時点では絶対に必要なんだから、最初の工事始めはここだという時点はどんなことがあってもはずすことができないという計画なのか、ここの違いを、どういうふうになっているのか、ひとつはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/20
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021・有澤廣巳
○有澤説明員 再処理工場の建設につきましての計画は、いま藤波局長がお話したとおりでございますが、しかしこれが半年くらいの幅は十分考えられると思います。ですから、何月何日着工しなければ、もうあとはどうにもならぬというふうな、そうリジッドなものではない、こういうふうに思います。むろんできれば早いほどいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/21
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022・石野久男
○石野委員 そうしますと、本年秋ごろに着工することの半年くらいの幅はいい。だけれども、それは、たとえば来年一年とというようなことでもいいというわけではないのでしょうね。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/22
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023・有澤廣巳
○有澤説明員 本年じゅう着工といいましても、本年度中でございまして、来年のおそくとも三月ごろまでに、二月、三月ごろからくわ入れをする程度の着工ができるかどうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/23
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024・石野久男
○石野委員 大体工事を始めて、とにかく操業開始にいくまでの間には、うんと延ばして見ても三年というところだと思うのですよ。そうしますと、四十五年ないし四十六年の年央までの間にそれがいくようになるとすれば、やはり四十三年の年央から四十四年の初めという段階で工事始めをしていかないと、これは仕事にならないだろうと思うのです。
そこで問題になるのは、そういうような施設をどこでするかという問題が、東海村との関係でこういうふうになるわけですよ。茨城県の知事は、先ほども言いましたように、併置されないような事態を要求すると言っておられる。しかし、その併置されないようにということの理解のしかたについて、事業団、あるいは指導する原子力局なりあるいは原子力委員会は、その時点で射爆場がなくなればけっこうなんだという一つの推定で今度は工事をすることになります。この推定が当たるか当たらないか、これは八卦読みでないとわからない。そういうような状態の中で、もし東海でやるとすれば、という仮定に基づいて言うことですよ。そういう状態の中で、第一候補地であるからといってやる。そして四十五年、六年の段階で、射爆場が立ちのかなかったというときには、これは操業はできませんね。そういうことになりますね。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/24
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025・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 いまの問題につきましては、いま射爆場の移転の交渉をやっておるわけでございます。したがって、地元の御納得が十分いくようにしてこれを行なうわけでございますから、やはり移転の時期というものが、少なくともこれは米軍あるいは防衛庁の関係でございましょうが、明確にされ、地元の方がそれを十分御納得がいった上でしかできないんじゃないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/25
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026・石野久男
○石野委員 再処理工場を設置する問題については、射爆場だけではないのです。ほかにもいろいろ問題があるのだけれども、ただ、いま射爆場の問題だけをここで申し上げているんですよ。
予算の執行にあたりましてきわめて不確定なところに、事業団が希望するからということだけで予算を執行してはいけないと私は思うのです。経費の出費をしてはいけない。射爆場の関係については、現在のところ、日米の共同声明か何かで、一応やはり射爆場は返還しましょうということは、一昨年方向は出ました。ところが、その後の事態収拾、結末をつけるについて、その行き先、受け入れ先の問題が非常に問題になっておりまして、現実の状態からすると、たとえば東京都の新島のごとき問題は、アメリカさんはそこまで持っていってもいいというような方向は大体出てきたようでございますけれども、しかし、あの時点における東京都のかまえ、それから、あの周辺におけるところの漁場を持っている漁民の意向というものは、おそらくやはりこれは受けられない状態だと思う。そういう結果として、施設庁長官のことばをかりて言えば、アメリカさんとの間の理解は大体進んでおるけれども、受け入れ先に対する了解が非常に難渋しておるので、これはとても見通しは立ちませんというのがいま現地の人に対する一この前、二月のころに現地から百数十名の方が来まして、そして、施設庁長官のことばであります。だから、現地では射爆場の返還というものについての期待は持っておりません。もうほとんどあきらめたという状態ですよ。そういう状態が一つ出てきておるのが現地の事態です。ところが先ほどから——この前のときには有澤先生もそうだし、それから、原子力局長のほうもまだそれに期待をかけているわけです。これは、期待をかけるのはいくらかけてもかまいませんけれども、そんなことをやっておったら、一方で再処理工場をつくらなかったら日本の原子力開発がおくれるということで、現地の住民に対しては、おまえらがこれを反対するというと、日本の原子力開発はおくれてしまうのだぞという言い方で、そして、地域住民に対しては全部責任をおっかぶせてきているわけですよ。だから、農村の方々などは、そう言われてしまうと、何か自分一人が反対すると全部背負っちゃうような感じになって、渋々それに応じなくちゃいけないような権威主義的な事業団の工作が行なわれているんですよ。戸別訪問が行なわれているんですよ。私はその地域の諸君とこの前も夜座談会をしました。いろいろな人が来ているわけですよ。そういうようなやり方をしてまでも、ある一定の方向を出させようとするやり方は、きわめて非民主的です。これは原子力基本法三原則の自主、民主、公開の民主の方向には沿いません。こういう指導を原子力局はやっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/26
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027・藤波恒雄
○藤波政府委員 原子力発電所でありますとか、あるいは再処理工場でありますとか、原子力施設を設置する場合には、それの円滑な推進のためには、やはり地元の協力が一番大事な問題でございますので、まずこの問題を地元関係者と十分煮詰めていただきまして、十分な理解と協力のもとに進めるようにということを常々指導しておるところでございます。いずれの場所におきましても、初めから全員賛成というところはむしろ少ないわけでございますが、その辺を十分時間をかけまして説明もし、了解の上で安全審査の申請書も出させるとかいうような指導を実はしてまいってきておるわけであります。したがいまして、先ほど来申し上げるとおり、この再処理工場の設置につきましても、事業団が東海村を第一候補地にあげている二とは事実でございますが、それならそれで、その地元に対する了解工作は十分に行なうようにということは指導しておるわけでございます。決して地元の問題を無視して強行するという考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/27
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028・石野久男
○石野委員 地元の考え方を無視してはやらないということは、この前委員長もはっきり言いましたし、よくわかりました。そのとおりやってもらいたい。
そこで問題は、知事から二階堂長官のときに言った、併置されない状態という問題の理解のしかたについてですね。昭和四十五年、四十六年の段階で射爆場がなくなればという仮定に基づいて、約七、八十億に達する設備資本を、不安定なものに対する予算の執行が是なりや否なりやという問題なんですね。私は大臣にお聞きしておきたいのですが、昭和四十五年の段階になれば——いまは射爆場の問題がごたごたしておってまだはっきりしない、かりにことしの暮れあるいは来年の初めまでにそれはきまらなくとも、日米共同声明の中では移すということになっているのだから、いずれはそうなるだろう、そういう仮定に基づいて東海村に再処理工場をつくるというような予算執行をする考え方であるかどうか、これをはっきり聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/28
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029・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 いま石野議員の言われましたように、射爆場が移転する場合、まず米軍が了承する。それから移転の場合におきましては、現実の問題としても、率直に申し上げますと、先ほど言われましたように、都の問題と、それから現地の問題、この二つがあるわけでございます。したがって、いよいよ実行に入る、国の予算を投下するという場合におきましては、やはり都の問題及び現地の問題を解決をして、少なくとも四十五年なら四十五年、四十四年後半なら四十四年後半にこれが移転でき得る、いわゆる射爆場の問題が解決し得るということをいわば確認をするといいますか、十分のことがそこに解決を見ない限り、そう簡単に、ただ想像だけでするからどうこうというようなことはおそらくできないし、また、地元の方も、そういった状態においては御納得いかないのじゃないか。しかも、科学技術庁として、動燃事業団に対して国の資本を投下していく場合、やはりある程度のむだにならないということはもちろんでございますから、そういうことが確認できない限り、これはまたそう簡単にできない問題であろう、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/29
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030・石野久男
○石野委員 それは長官の言うとおりだと思うのです。そんなところへ憶測に基づいて金なんか投下することはけしからぬと思いますから、そういうことは絶対させないようにしてほしい。これは原子力委員会においてもそうだし、原子力局においてもそういう指導は明確にしてほしいと思うのです。
射爆場関係については問題がありますし、おそらくいままでいろいろ期待しておったような事情に進まないと私は思っておりますから申し上げておるわけですが、問題は射爆場だけじゃなくして、あそこにやはり施設をすべきでないということの意見をわれわれが持ち、あるいは地域住民が持っている一つの理由は、再処理工場それ自体が常に危険だからという意味ではないわけですよ。それじゃないんですね。この点は誤解のないようにしてもらいたい。そうでなくて、やはりあの施設の安全性に対して若干の——私たちは十分な理解を持っているけれども、あの地域におけるところの施設が過度に過ぎるじゃないかという見解が一つあるわけです。
それともう一つは、周辺地におけるところの人口が非常に過密じゃないかという問題があるわけです。こういう問題があるから、実は事業団の法案を成立させるときにも——この前の委員会のときにも申し上げたように、与野党の間でこの問題が論議になりました。附帯決議として適正な配置ということはで——実はあの適正配置というのは、もう視点はまさに東海村におけるところの再処理工場にあったわけです。これは与野党の間で、その問題をああいう形であらわしたわけです。この問題は長官においても、あるいは原子力委員会自体においても、やはり十分配慮してもらわなくちゃいけないと思う。
私は、何度も申し上げますけれども、あの地域の人口というのは、五キロ以内において一万五千人、十キロ以内において十一万人、二十キロ以内では五十三万人、三十キロ以内においては六十五万九千人、これは昨年の統計でこういう状態なんですよ。実を言うと、まだこれよりふえていますよ。こういうところは世界じゅう、どこにもないわけなんです。こういう状態に対する配慮は、立地条件を勘案する上において十分なさってくださらなければ困る。安全審査部会の中でも当然でございましょうけれども、これは有澤先生に私は申し上げたいのですが、どうも原子力委員会は、この原子力開発の問題に非常にあせりを感じておるように思います。そういうことから、安全性の問題についてもいい方向ばかりはとるけれども、不利になる面はみんな目隠しさせていくような傾向があるように思われるのだ。そういうことのないようにしていただきたい。特にこの人口の稠密化の問題、これについてはやはり十分配慮をしてしかるべきじゃないかと思いますが、ひとつ有澤先生の所見を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/30
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031・有澤廣巳
○有澤説明員 原子炉とか、再処理工場も同様でございますが、これの安全審査の場合には、御承知のように、重大事故であるとか仮想事故であるとかいう、ほとんどあり得べからざるような条件のもとに事故が起こったときには、一体どういうふうな影響が敷地内及び敷地外に及ぶかというふうな観点から常にこれを検討しているわけです。ですから、いまの安全審査会が安全である、こう認められました場合には、放射能の影響が敷地外に及ぶという場合はほとんどありません。ですから、その意味において安全であるという判断が下されております。しかし、そうは言っても、なお人知の及ばないような何か事故というようなものが起こったときにはどうなるだろうかというようなことも考えられます。そこで敷地の立地基準とでも申しましょうか、立地基準委員会のほうでもこの点を検討しておるわけでございます。そうしてこの点につきましても、まだ最終の結論が出たとは言いがたいのですけれども、一応のめどがつきまして、そうしてこの東海村地域一帯にある原子炉施設、それを中心にして一応の判断を下しております。けれども、その上になお、われわれのほうでは地域の、何といいましょうか、地帯整備という問題をも考えまして、つまり道路であるとかその他の二次問題を十分整備するように取り計らっているわけでございます。
過度の集中という御懸念、これもむろんあります。が、この過度の集中という場合には、なかなか基準になるものが見つかりにくい。これ以上は過度であり、これ以下はまだ過度でない、こういうふうな基準がなかなか見つからないわけです。ですから、私どもとしましては、そういう付近にあるいろいろな施設をもあわせて——かりに東海村に再処理工場を設置するという場合の安全性の審査は、そういういろいろな原子力施設がその付近にあるということをも考慮して、人口のこともむろんですが、人口の問題をも考慮して、そして、純技術的な立場から、純科学的な立場からこの安全性を十分検討してもらう、こういうやり方を従来してきておるのであります。安全性が重要なことはむろんのことでございまして、もし万が一河か重大事故でも起きますと、日本の原子力開発を幾ら叫んでみましても、これはなかなか世論が承服しないと私は考えておりますから、安全性には、念の上にも念を入れてこの問題を扱り取うようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/31
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032・石野久男
○石野委員 過度の集中が厳密にどういう規定に基づいてはからるべきかということは、これは非常にむずかしいと思います。したがって、われわれはやはりある程度普通の常識でこれは測定するよりほかにないと思う。先般、本院の科学技術委員会から海外視察を、福井さんを団長として私たちは行ってまいりました。自民党さんと私どもが行ったときの報告書はこれです。その中で、たとえばアメリカの原子力施設の立地政策関係について、われわれはこういうふうに聞いてきたわけですよ。これはいろいろありますけれども、「ジョイント・コミティー・オン・アトミック・エナージーの公聴会においてもAEC関係者はもう数年の運転経験を積まないうちは都市近郊に原子力発電所を建設することは承知したくないとの意向を表明している。」そして「都市近郊とは現在のガイダンスでは都市より約十二・五マイル以内を指している。」、こういうわけです。だから現在の都市の一二・五マイル以内においては発電所はなるべくつくりたくないというのがアメリカの意向なんですよ。ほとんどコンテナーをつけておる軽水炉の発電所を持っていてさえも、これだけの配慮をしているということを、私はやはりこの際十分注意しなければいけないと思います。
それからまた、再処理工場を納得させるために、茨城県へ原子力局の諸君たちが行って、常に出すのがユーロケミクです。ユーロケミクにおいてはわれわれはこういうことを聞いているわけです。ユーロケミクにおいては、たとえばこの地域においては実は施設としてはもうこれぐらいのものはつくってもいいとわれわれは思っております。だけれども、こう言うのですよ。しかし「ベルギー側からも、これ以上作らないでくれとの要請もあったので、現在ではここだけで拡張の計画はない。」、しませんということを社長が言っておるわけです。このように、各地では施設におけるところのそれぞれの安全性を規格を厳重にするということもやっておるけれども、同時に、立地条件については非常に厳密な規定のしかた、非常に警戒的な態勢をとっているわけですね。ところが日本では、先ほど言いましたように、周辺地人口については全く無関心だといってもいいぐらい、特に東海村においては、これだけの稠密度があるにもかかわらず、これでもまだほとんどそれに無関心だというような態度で、ただ便宜主義ですよ。有澤さんは笑っているけれども、今井さんが東海村に置かなければならぬという理由は、あそこに置けば便利だということだけなんですよ。再処理工場はパイロットプラントに準ずるようなものだという意味は、私もある程度は理解します。しかし、だからといって、東海村に置かなかったら、そのパイロットプラントとしての意味合いがなくなるのかということなんですよ。そんなことはないですよ。私はいまのような状態のもとで、特に原子力発電所において再処理に対する研究関係をからっぽにしてしまって、そして、事業団に全部入れてしまうようなやり方をしておる段階で、原子力研究所それ自体は、再処理の問題で事故が起きた場合に全然意味がないとはいいませんけれども、やはり主たる依存すべきものがそこではなくなってしまうわけですよ、研究所の中には。それはほかにもいろいろありましょう。機械的な部門だとか何だとかありましょうが、しかし主として重点を置くべきものをからっぽにしておいて、そしてほかの機械的な部門とかなんとかいうだけで依存するというのなら、何もそこに置かなくてもいいとぼくは思うのだ。だから、非常に便宜主義で、地域住民の反対を無視していくというやり方は、これは徹底的に私はやはり反省してもらわなくちゃいけないと思う。
いろいろと私は聞きたいことがありますけれども、先ほどから射爆場の問題については、不安定な場合はこれは投資しないということがはっきりした。それから地域住民の問題についても、やはり地域住民の反対がある限りにおいてはこれはやらないということを確認されたわけですから、私どもそういう問題についてはもう少し事業団側が、ただあそこに置きたいからということだけで施設をしないことにしてもらいたいのですよ。私は何べんも申し上げますけれども、原子力開発というものは非常に大事だし、東海村の持っておる位置づけは非常に重要だと思うからあまり大衆行動は起こさないできたのだ、率直にいって。しかし、善良な配慮をすれば不遜な態度をもって臨んでくるというような当局の態度が依然としてあるならば、これはもうわれわれはそんなことは許せないと思うのです。もしそういう態勢でくるならば、これは私は大衆行動を起こさなければいかぬと思う。だからこの際、長官に、はっきりこの施設の設置についての腹がまえというものをもう一ぺん聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/32
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033・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 再処理工場の施設は、東海村が第一の有力な地帯であることは、もうすでに申し上げたとおりでございます。しかし、いま申し上げましたように地元の方々の御納得のいくような方法、それは射爆場の問題におきましては、射爆場の移転そのほかが十分確認をされて後にこれを行ないたいと思います。
なおまた、過密化そのほかの問題におきましては、安全審査専門部会そのほかで十分これを念には念を入れて御研究を願って、そうしてその結論に基づいて行ないたい。したがいまして、そういったことがそろってからいよいよ工事に着工するという形をとってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/33
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034・石野久男
○石野委員 そこで最後にひとつ聞いておきたいのですが、現状を私はやはり何べんも申し上げますように、再処理工場というものはどこへ持っていってもいいわけじゃないのだから、ある第一候補地があって、第二候補地がないというばかげたことはない。第二候補地、第三候補地というのがあるのかどうか。第一候補地だけがあって、それだけの努力をして、第二候補地も第三候補地もないようなことだったら、第一候補地もくそもないじゃないか。第二候補地があるのか、第三候補地があるのかどうなのか、その点。そうしてまた、それに対するなにはどういうことなのか、それをはっきり聞いておかなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/34
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035・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 第二、第三の問題等につきましては、まだ時間もございます。いま有澤委員が言われましたように、大体時期的に見て今年秋くらいに最終的な、やはり時間的制約がございますので、これは原子力局なりそのほかで十分考えることになるだろうと思いますが、現在どこにあるとか、ここにあるとかいうことはひとつお許しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/35
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036・石野久男
○石野委員 私は、いろいろな問題があるから、どこにある、ここにあるということは、これはそこまで聞こうとはしない。しかし、原子力局においても、原子力委員会においても、第二候補地をさがそうという意図がなければ、これはもう少し聞いておかなければいけないわけですよ。現実に第四十八国会において、実は現地から知事も来たし、現地の関係の各市長が全部来て、原子力局あるいは技術庁の意見を聞いた。その時点では、たとえば、いろいろな各地を当たってみますということも言ったわけですよ。だけども、この前、昨年の委員会における今井さんのことばをかりると、議事録によれば、ほかは全然当たっていませんでした、こういうわけですよ。ほかを当たっていなければ、われわれに約束したことはほごになっておるわけですよ。これはそんなんじゃだめなんだ。だから、議会でわれわれに約束したことが守れないようだとすると、幾ら大臣がそう言われても、あるいは有澤さんが幾らわれわれに理解を深めるようなことをおっしゃっていただいても、これはやっぱりわれわれ理解できない。だから、第一候補地があったら、第二、第三の候補地をさがす意思がなければ、私は納得することはできません。大臣は事実上有澤さんに仕事を預けているわけでございましょうから、有澤さんのところと局長のところで、そういうことについてほんとうに第二、第三の候補地はさがすのかどうか。どことは言いませんけれども、ひとつそこを明確にしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/36
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037・有澤廣巳
○有澤説明員 私ども、敷地の問題がたいへん重要であるということはむろんよく存じておりますので、一体東海村のほうの事情はどういうふうになっているかということは、常に事業団のほうからお話を聞いておりますが、また、局からも聞いておりますが、まあいままでのところは、だいぶん地元のほうの御納得を得つつあるのだ、こういう話でございましたので、実は具体的に第二、第三の候補地についてどうという話をまだいたしておりません。しかし、われわれの頭の中には、もし東海村がもう絶対にだめだということになれば、こういうところが適当であろうという意味の候補地ですか、これは十分私どもの頭の中にはあります。けれども、そこへいきなり話を持ち込むには少しまだ早い。まだ東海村のほうは、むしろだんだん好転しつつあるという情報の中では少し早いと私どもは判断いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/37
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038・石野久男
○石野委員 有澤先生は二時半でお帰りになるのだそうですけれども、いまのお答えでは、ちょっと悪いけれども、もうちょっと時間をいただきたい。
地元では好転しているように聞いておりますと言います。われわれからすると、先ほど言ったようにこの再処理工場の設置に反対するのにはいろいろな理屈がある。その一つの理由として、射爆場の問題がある。私は、岩上知事が射爆場の問題と取っかえっこするような言い方をするので最も反対しているものなんです。しかし、科学技術庁のほうからすれば、射爆場と刺し違いでありさえすれば大体できるという見当をつけているわけだ。私はそれにだまされちゃいかぬと思っているけれども、やはり知事はそういう方向で行っているのですよ。ところが、その一番よりどころになるべき射爆場の問題についても見通しが出てこないのですよ。出てこないどころか、むしろもうだめだという見解を地元の諸君がみなとっておる段階なんですよ。この前われわれが施設庁長官と会ったときに、アメリカとの関係で、二月の終わりまでには必ず回答は出します。こう言った。それで二月二十八日に地元の諸君は行ったのですよ。いまここに傍聴に来ている方々、これはみんな行ったんだ。市長から議長諸君は全部来ています。その諸君が行って百二十数名のところで長官が、アメリカとの話はしておりますけれども受け入れ態勢に対する見通しが立ちませんので返事はできませんということになっちゃったんだ。だから、いままで射爆場関係でどうにか希望を持とうとする人々がおったけれども、それだってだめになっちゃった。東海村の議会が全然逆になってきました。東海村は、新しい議会はいままでの態度を白紙還元ですよ。そういう情勢になっているのに、あなた方は依然として百年前の情報でそんな、あなた、やっているようなことじゃだめですよ。いまは日進月歩だから、一年間は百年に相当するんだ。百年前の情報でやっているようなことではだめですよ、率直に言って。それにもかかわらずまだ、第一候補地はあるけれども、第二、第三の候補地がない。三、四年前の第四十八国会のときにわれわれが話をしたことはどこへ飛んじゃった。ばかにしているにもほどがあるじゃないかと言いたくなるんだな、こっちは。これではいけないのですよ。私はきょうはどんなことがあっても、ここで——やらないならやらないでよろしゅうございます。先ほど言ったように、われわれもいままで皆さんに協力してきた。原子力開発のためにできるだけの協力をしようと思ってやってきたのですよ。だけれども、どうしてもそういうような善意な努力を受けとめないということになるなら、われわれはやはり大衆に訴えなければいけない。訴えるのじゃない。大衆の中にあるやつを押えてきたんだから、実を言うと。それは賛成する人もおりますよ。賛成する人がおるから、東海村の議会はある種の方向を出しておったのですよ。しかし情勢は変わって、今度は東海村は白紙還元になっちゃったんですよ。それだけ地元の情勢は変わってきていることを知らなければいけない。原子力局も原子力委員会もこの問題についてただ地元の情勢が変わってくるだろうなんというようなことをやっておったら、再処理工場の燃料サイクルに対する皆さんの熱意のほどを疑います。それは百年河清を待つと同じになります。もし東海村をやるのならば。そんなことじゃだめだと思うのだ。ほんとにぼくは最もよい友だちとして御忠告申し上げる。だから第二、第三の候補地に対する態度だけはここではっきり聞いておきたいのだ。ひとつ有澤先生の先ほどの御答弁ではちょっと納得できませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/38
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039・有澤廣巳
○有澤説明員 なお、いま石野委員からごく最近のお話を伺いましたので、そういう事情も勘案いたしまして私どものほうも善処いたすつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/39
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040・石野久男
○石野委員 有澤委員長代理がそうおっしゃるから大体納得したいところですけれども、しかし今日の段階では、やっぱり事務局のほうが一番問題ですよ。原子力局長にお尋ねしておきたいのですが、善処するという問題を具体的にするということは、早急にそれに対する対処する態度をとるということでなければだめなんですよ。いま善処しているというようなことなんかだったら、われわれは、率直にいって、事業団に協力しませんよ。いま再処理工場の問題は、あちらでもこちらでも使用済み燃料が出てくるから、どうにもならないから早くつくらなければならぬと言っているのだ。早くつくらなければならぬというのに、今度は設置しようとする敷地の問題ではこんなにもたもたしているのですよ。そして第二、第三の敷地については全然配慮しないでおいて、どうしてわれわれはあなた方の言う積極性というものを信ずることができるか。それは明らかにもう地元を納得させる手だけしかほかにないじゃないか。それを権威主義と私は言うのですよ。そういうやり方はいけないですよ。少なくとも原子力基本法の三原則というものは自主、民主、公開ですよ。その民主の方向を失うようなやり方をやったのではとても開発はスムーズにいかないと思います。それだけじゃない。これは別に、よく同僚議員からおどかすといわれるけれども、東海村で事が起きたら全国の原子力開発の事業は非常におくれますよ。東海村でむしろ旗が立ったら、あちらやこちらの原子力発電所なんというものはとまりますぞ。私はきょう限りで皆さんとの討議は打ち切るのだから、明確な答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/40
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041・藤波恒雄
○藤波政府委員 再処理の施設の建設計画を進めるにあたりましては、ただいま並びに従来から先生が御主張になられております諸点を十分頭の中に入れまして、再処理計画の全般の諸問題につきまして一そうの努力を続けてまいらなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/41
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042・石野久男
○石野委員 そんなもの子供だましの答弁したってしようがないじゃないか。何の答弁になるのです。答弁にもなっておりやしませんよ。私の聞いているのは全般的な問題じゃないのです。再処理工場の敷地の問題で、いまもう集約した質問をしているのですよ。あなた方が東海村を第一候補地にしていることはよく知っている。もし原発もなくて、ほかの施設がなければ、私はあそこに再処理工場を置くのはこれほどやかましいことは言いません。だけれども、たった百万坪の中に炉が五つも六つも十もあって、そして周辺地域の人口は非常に膨大な稠密化しているところなんですよ。ただ地元では、最初にあそこで受け入れたということだけで、茨城県がまあ反対がないでいくだろうというような安易な気持ちでやってきているのはあなた方なんだ。私はただ反対するための反対をしているのじゃないのですよ。施設も過度である。周辺地域の人口も非常に稠密化しておる。しかも再処理の問題それ自体は、それ自体事故がなければ何でもありませんよ。われわれが予測しないところの事故が起きることがあるからこそわれわれは規制法をやかましく言うのですよ。いまここにアメリカの設計に関する——これは原子力産業会議が翻訳して出したものだな。この七十カ条の中にどれだけきびしい規制が行なわれているのですか。電源一つとっても、一つの回路ではだめだから二つとりなさい、二つとった上で、予備発電機も一つだけじゃいけませんから二つしなさい、こうなっているのでしょう。そして安全性のための原理を、違えた原理の施設をしなさいとまでなっているのでしょう。それほどやかましい規制をしているのに、あれだけ周辺に稠密な人口をかかえておる、しかも、たった百万坪の中にあれだけの施設が入り込んでいるのですよ。私は確かに安全性に対する善良な配慮が行なわれることを疑いません。けれども、事故というものはわれわれが予測した以上のものが出てくるということを考えなければいけませんよ。
私は、四日市におけるところのばい煙の問題で、通産省当局がどれだけの配慮をしているかというのをよく知っています。たとえば、このばい煙法の排出規制に関する問題でその第二条に、亜硫酸ガスの問題については、ほかの地域は〇・二二%であるのに四日市は〇・一八%まで下げる形をやってさえも被害は出てきているのですよ。なぜか。結局はやはり施設が過度なんじゃないか、過度の稠密をしているからじゃないですか。そういう問題が、各省のなわ張り根性から、今度の公害法の中でうまく入りませんでしたけれども、しかし、今日われわれが新しい施設を開発しようとするときには、それ自体に対する技術開発もさることながら、やはり地域における公害というものに対して、見えない公害だからいいというわけにいかないと思うのですよ。サリドマイドがどんな奇形児を生んでいるかということは皆さん承知のはずだ。原爆を被爆した婦女子がいま現実にどういうような奇形児を生んでいるかということもあなた方は知っているはずだ、長崎や広島におけるところの。われわれはいま東海村におけるところの放射能障害というものはできる限りないことを望んでおる。もし地震があって、電源はとまる。あらゆる操作をするという手だてがないままに炉の中の燃料が燃え続けたらどうなります。それで、しかも、炉が何かの形でひび割れをして、その放射能が出たらどうなるのです。あなた方はそういうことを予想しないけれども、地域の住民は最悪の場合を予想するからわれわれは言うんだ。そういう場合にはできる限り、施設が過密化していなければ被害はある程度少ない範囲でとまるとわれわれは思うからこういうことを言うのですよ。別に反対するために言うんじゃないのです。第一候補地があったら第二、第三の候補地をつくらなければいけません。それをまだ全般の状況を見てとかなんとかというようなことの意味は、私がこれほど口をすっぱくしておっても、いいかげんな答弁でごまかそうとしていることなんだ。私はそれは聞き取ることはできません。第二、第三の候補地を求めるということを明確にここで言わない限りは、私はあなた方のなにがはっきりするまでお聞きしますよ。第一候補地があって、第二、第三の候補地がないなんというばかげたことがありますか。第二、第三の候補地を早急に設定するという意思があるかどうかはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/42
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043・藤波恒雄
○藤波政府委員 先ほど私、全般につきましてと申し上げましたのは、二段、三段の場合に対する考慮ということも含めまして申し上げたつもりでございまして、先ほど来お話が出ております射爆場の問題にいたしましてもまだ見通しがはっきりしておりませんし、地元の方々の御納得の問題もそうでございます。それらとの関連におきましてまた第二、第三の対処の問題、候補地の検討の問題が出てまいるかと思いますが、そういうもの全部につきましてと申し上げたつもりでございますので、御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/43
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044・石野久男
○石野委員 もう私は先ほども言ったように、再処理工場の問題で議会でお聞きするのはこれでしまいにしたいと思っているのですから、そういうなまぬるい返事では私は下がることはできない。第二、第三の候補地を考えるということを明確にしてもらわなければ、やはりあなた方はいままでわれわれをごまかしてきた態度を依然としてとり続けるというようにしか見られないのです。大臣、こういう状態がはっきりしているのに依然として何かにとらわれているんだ、そんなばかなことがあるもんか、大臣の所信をちょっと聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/44
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045・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 いまの問題につきましては、現段階におきましては第一候補を東海村に置いて、その他におきましては有澤原子力委員がお答えをしたとおりでございます。ただ問題は、もうすでに再処理工場は本年末くらいにはどうしても発足させなければならぬぎりぎり決着のところにきております。したがいまして、それまでに先ほどの一、二点の大きな問題がございます。御了解をとれぬ場合、われわれの責任においてこれはどうしても再処理工場は発足させなければならぬという事態になれば、その時点においてどうしても考えていかなければならぬ候補地の問題が出てくるわけでございますので、この点は、われわれ責任をもって、原子力委員会あるいは原子力局あるいは動燃事業団等と話し合いをいたしまして、発足をさせる最善の努力をいたします。したがって、言い回し方はぐるっと回っておるかもしれませんけれども、そういう意味においてひとつ御了承を願い、現段階における原子力委員会の考え方は有津委員が先ほど言われたとおりでございますから、どうか御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/45
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046・石野久男
○石野委員 大体意味することはわからないわけじゃありませんけれども、私も議会へ入る前には事業会社におりまして、いろいろ新設の工場を設置するときなどの企画に参画したこともございます。その場合には、敷地選定については第一候補地を求めて、第二、第三の候補地を求めないというようなことはあり得ないことなんです。そんなことをやると、部長や課長にどなられたものなんだ。おまえは何のための企画をするんだ、こう言われたものです。これだけ巨大なプロジェクトをもってすでにもう現実にことしの末に始まらなければならぬというのに、第一候補地はあるけれども、第二、第三の候補地がないというような、こんなばかげたことがありますか。そんなような計画なら、率直にいって、この予算なんて使っちゃだめですよ。何のために第二、第三の候補地をつくるということを言えないのですか。だれがそういうことを押えているのです。こんなことは明確に委員長の名によって、第二、第三の候補地をつくる、あれを考えるというぐらいなことは幾ら言ったって差しつかえないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/46
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047・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 いま言われましたとおり、有澤委員の原子力委員会の中でも、どうしても東海がだめなときには、時期的な面から見て第二、第三を考えざるを得ないわけでございます。そういうことを先ほどから申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/47
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048・石野久男
○石野委員 それでは第二、第三の候補地については早急に——これはあなた、実をいうと、また半年後、一年後じゃだめなんだ。私はなぜそう言うかというと、大臣も言うように、再処理工場はほんとにことしじゅうに手をつけなくちゃならぬだろうと私は思うのです。くわ入れぐらいしなくちゃならぬと思うのですよ。それをいまだにほっておくという手はない。私はサンゴバンへ行って設計者の話を聞いたら、もう本体の設計も大体できて、ことしの四月ぐらいまでには一応は終わるだろうという。だけれども、もし敷地が変わってくれば、それに伴っての排水とかなんかの関係で設計変えもせねばならぬ。そうするとまた二、三カ月かかりますということも聞いてきているんだ。私がそれほどのことを聞いてきているのに、原子力局の諸君は知らないはずはないでしょうよ。それを敷地の問題一つ考えないでおって、この前何と言った。新たに敷地を考えるとするならば、また測量をしなくちゃいけませんということだな。地下水の問題とかあるいは海流の問題とか何か、いろいろな問題が出てくるわけです。そういうような準備も何もしないでおって、第二、第三の問題に対して飛び移るといったってできっこありませんよ。全く非科学的ですよ。それはよくないと思うのです。やるのなら、もう半年、一年前にそのくらいのことをやっておらなければいかぬと私は思います。だからここでは、第一候補地があって、第二、第三の候補地がないなんというような、そんなばかげた子供だましのような答弁で私たちは下がることはできないわけだ、私自身も。だから大臣が配慮するということの意味は、ただやがていつかのときに配慮します。それまではとにかく地元をどんな形があっても納得させますということにしかとれないんだよ。そんなことは私たち聞いておれるものか。そういうやり方をするなら、われわれはまた地元でそれに相当するような行動を起こさなければいけない。だからやはり第二、第三の候補地を一もうこれは大臣、委員に聞く必要も何もないですよ。政治判断ですよ。そのぐらいのことを大臣が言えないようなことだったら、本院は何のためにこれを討議するんだということになりますよ。これは時期の問題もあるし、考え方の問題もありますから、もう一ぺんちゃんとはっきり言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/48
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049・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 いま第一候補は、これはもう東海村でございまして、できるだけいまの一、二点の大きな問題についてこれを解決し、また御納得がいくように最善の努力をしておるのが現段階でございます。先ほどから申し上げますように、現実の問題として再処理の工場は、少なくとも来年、年がかわる前後からはいわば工場建設といいますか、敷地の地ならしなり、くわ入れをするなり何なりにいかなくちゃなりません。その間にいろいろな問題がございますから、できるだけ現第一候補地に対する努力をいたしますが、どうしてもこれが絶対いかないと判断した場合におきましては、さらに第二、第三の候補地につきましても、これを考慮して、再処理工場の実現ということが最終目的でございますから、科学技術庁としてはそういった努力をいたすべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/49
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050・石野久男
○石野委員 私は質問をおきたいんだけれども、大臣の答弁の中に、どうしてもできないとなったならばということがある。どうしてもできなくなったならばという時点はわからないんだ。これはわれわれから見れば、どうしてもだめだというふうに見ているのですよ、いま。しかしあなた方はそう見ていないのだから、あなた方ことしの暮れまでそれをずっと引き延ばしていくこともできるわけです。その答弁では。そんなばかげたことはないというのですよ。かりにどうしてもできないという時点があろうがなかろうが、第一候補地に対して第二、第三の候補地があってしかるべきなんでしょう。何でそんなサブジャンクティブを先につけなくちゃならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/50
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051・有澤廣巳
○有澤説明員 お話はよくわかりましたので、委員会のほうでもさっそくその点で検討を始めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/51
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052・石野久男
○石野委員 私はそれじゃこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/52
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053・沖本泰幸
○沖本委員長 次に、三木喜夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/53
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054・三木喜夫
○三木(喜)委員 きょうはこの法律案を上げるということでございますから、しかしやっぱり聞いておかないといけないことが二、三点ありますので、質問をいたします。
この法律案をずっと目を通してみますと、動燃事業団、それから日本原子力研究所、こういうようなものが全部この中からことばは抜かれておるわけですね。それは、これらは全部加工業者と読むためにあげてあるわけですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/54
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055・藤波恒雄
○藤波政府委員 御説明申し上げます。
いまお話しの点でございますが、今度の法律では、動燃事業団とか、それから日本原子力研究所という表現が、従来の現行の法律に比べまして、削除されておるところが方々にある、こういうお話だと思いますが、これは、日本原子力研究所につきましては、現行法では原子炉を設置する場合に一々許可を要しない。
〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
すなわち現行法にいう原子炉設置者ではないという形に実はなっておりまして、したがいまして、現行法におきましてはいろんな条項におきまして「日本原子力研究所及び原子炉設置者は、」というぐあいに表現をいたしまして、規制している条項が非常に多いわけでございますが、今度の法律では原子力研究所も、原子炉を設置する場合には原子炉設置者という範囲の中で読むというぐあいに直そう、こういうわけでございます。したがいまして、今度の法律ではその辺が原子炉設置者ということばで一括整理されておる、こういうことであります。
さて、その理由はどうであるかと申しますと、現在原子炉を設置する場合の安全審査は、原子炉の設置の許可申請を受けて、その許可の段階で行なうことに実はなっておるわけでございますが、原子力研究所につきましては許可の段階がありませんので、法令上その段階がないわけでございます。しかしながら、原子炉の安全審査、安全性のチェックという観点から申しますと、原子力研究所が行ないます場合につきましても、やはり第三者的なチェックを行なう、法令に基づきました原子炉安全専門審査会で行なうということが必要であるということでありまして、実は従来も大臣の監督、命令等に基づきまして実質的に同様なことをやって補完してまいってはきておりますが、この際法律を整備いたしまして、先ほど申し上げましたような形にするのが適当であろう、こういうのが理由でございまして、なお、つけ加えて申しますと、先般の国会で成立をいたしました動燃事業団法におきましては、すでにそのような考え方からして、動燃事業団の原子炉を設置する場合もこの許可の段階からかけるということで、すでに原子炉設置者の範疇で一括規制する、こういうたてまえを行なっておるわけでございます。
なお次に、動燃事業団につきまして同様の特別扱いの廃止を行なっておりますのは、これは加工事業につきまして、いま申し上げましたと同じ趣旨で、動燃事業団が加工を行なう場合には、加工事業者としての規制を受けるというようにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/55
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056・三木喜夫
○三木(喜)委員 それでよくわかりました。こういう考え方からいたしますと、当然原子炉の設置者は、民間の電力会社その他いま言われました原研とかその他あると思います。それから、動燃と同格の加工業者ということになりますと、この法律をあわててこの国会に出して、そうした規制をしなければならぬということになりますと、そういう事業をやる人が予想できると思うのです。どういう事業をやるものがいま政府の考えの中にあるのか、具体的にどういうように進んでおるのか、われわれも仄聞するところは多いのですけれども、この際それをはっきり聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/56
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057・藤波恒雄
○藤波政府委員 現在核燃料の加工事業を計画いたして許可の申請を出してきておりますのは五社ございます。申し上げますと三菱原子力工業株式会社、それから日本ニユクリア・フユエル株式会社、それから三菱金属鉱業株式会社、それから住友原子力工業株式会社、それから古河電気工業株式会社、この五社でございます。
現在その申請を受けまして、われわれのほうで原子力委員会にもはかりまして、その処理につきまして検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/57
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058・三木喜夫
○三木(喜)委員 事業の内容を言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/58
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059・藤波恒雄
○藤波政府委員 事業の概要を申し上げますと、三菱原子力工業と、それから日本ニユクリア・フユエルの両社はそれぞれPWR型、BWR型の軽水炉用の燃料を加工することを目的に計画をいたしております。それから三菱金属鉱業株式会社と住友原子力工業株式会社は、それらの中間原料をつくる加工、われわれ専門語ではいわゆる六弗化ウランからの酸化ウランへの転換工程と称しておりますが、その段階の加工をやるということを計画いたしております。なお、古河電気工業、それから住友原子力、三菱原子力ではいわゆる板状燃料と称しまして、現在研究所等にあります研究炉等に使う燃料の加工を計画しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/59
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060・三木喜夫
○三木(喜)委員 そうしますと、再処理等に関しては民間の計画はない。そうすると、濃縮ウランについての計画はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/60
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061・藤波恒雄
○藤波政府委員 再処理につきましては、現在の規制法で動燃事業団だけがこれを行なうということになっております。したがいまして、現在民間企業で計画するものはございません。
それから、ウランの濃縮事業につきましては、まだ日本では具体的計画はございませんで、もっぱら基礎研究の段階でありますのは、御承知のとおりでございます。その基礎研究は、動燃事業団におきまして遠心分離法の基礎研究をやっております。隔膜法につきましては、原研の協力を得まして理研等で基礎研究をやっております。こういうのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/61
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062・三木喜夫
○三木(喜)委員 将来米国との合弁会社をつくるところの予定なんかはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/62
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063・藤波恒雄
○藤波政府委員 御質問の点はどの事業分野でかわかりませんが、加工事業の部門について申し上げますと、先ほど申し上げました日本ニユクリア・フユエルという会社は、東芝と日立とそれからアメリカのGEとの三社による合弁会社でございまして、それによりましてアメリカGE社の燃料加工の技術を導入いたしまして、将来日本でつくられる予定の沸騰水型軽水炉の燃料の供給を計画しておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/63
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064・三木喜夫
○三木(喜)委員 民間にこうした加工業をやらす場合、いま再処理の問題でもあれだけやかましいのですが、工場の敷地等の予定、あるいはまた、その地方の了解を得るというような必要もあろうと思うのです。すでにそういう予定を持っておるところはあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/64
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065・藤波恒雄
○藤波政府委員 三菱原子力工業と三菱金属鉱業はすでに東海村に用地を持っております。それから日本ニユクリア・フユエルは横須賀市に用地を持っております。古河電気工業につきましても横須賀市でございます。
それから古河の横須賀でありますとか、住友の熊取でありますとかと申しますのは、現在すでに研究用の燃料といたしましては、使用の許可を受けまして、すでに試験用の燃料を製造をしている工場があるわけでございまして、それの多少の改造という程度で行なう予定でございます。なお、新たにこれから工場を建造いたします。先ほど申し上げましたような各社におきましても、特に地元での反対等はないように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/65
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066・三木喜夫
○三木(喜)委員 そこで問題は二つの方面に発展するのですが、一つは、核燃料の確保の問題、事実この確保ができなければ、こうした事業を加工の形でやるといたしましてもできないわけですから、燃料の問題についてお聞きしたいということと、きょうこれだけの法律案の改正をやるのに、そういうところだけに移行して、そして規制法の一部改正をするということは、先がた石野委員も言いましたように、アメリカにおいても原子炉並びに核燃料の取り扱い全体にわたりまして、七十項目にわたって非常に厳密な規制をさらにつけ加えたというのに、日本はそういう事業を民間に移転しようとしながら、なぜ今度こんなものだけで済ましたか。まずそこから、これはちょっとお茶を濁したというだけにとどまっているのではないかと思います。そういう問題を根本的に検討してみ、そうして規制を強めるというような姿勢をなぜとらなかったかということですね。きょうこれが上がるということですから、私はあえてその問題を聞いておかぬといかぬと思うのです。将来それをどういうぐあいに取り入れるのか。と申しますのは、大臣、あなた就任なさったときに、アメリカの原子炉のメーカーは、自分のところでつくった原子炉については、安全性については保証できない、こういうことを言っておるのだということを、あなたが就任せられた初めに私は言いました。だからそれについて、厳格にわが国としても規制問題については考えなければならない、こういうことを言い出した以上、こんなことだけでは済まされないという結論に私は到達するのです。その点は、局長、あなた責任者ですが、通産省ベースだけでものを言っておってもらったらかなわぬです。われわれはやっぱり規制は、科学の立場に立った科学技術庁の立場からやってもらわなければ困ると思うのです。その面でも、一言多いかもしれませんけれども、科学技術庁の局長だとか官房長というとすぐに通産省からやってくる。そして、通産ベースで、商業ベースで事を処理しようとする。それが私は根本的に気に入らぬのです。科学の立場に立ってもらわなければならぬと思うのです。幸い局長は以前科学技術庁におられましたが、一ぺんまた通産省のコマーシャルのほうに行かれて、そしてまた帰ってこられたのですから、両方頭の中がごっちゃになっていらっしゃるのではないかと思うのです。こんなことぐらいでこれは済ますつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/66
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067・藤波恒雄
○藤波政府委員 私も通産省におりますときも主として安全監督の面を担当しておったのでございまして、よけいなことでございますが、おっしゃるような心配はないと思います。
御質問の点にお答えいたしますが、実は現在の規制法で、原子炉でありますとか製錬事業でありますとか、あるいは再処理事業でありますとかという部門につきましての規制条項は完備をいたしておりまして、今度加工の事業に対しまして原子炉と同様の規制、具体的に申し上げますと、原子炉にはいままであり、加工事業の規制にはなかった規制として、たとえば設計、工事方法の認可でありますとか、それができ上がりました場合の施設検査でありますとか、あるいは取り扱い主任者の設置義務でありますとか、保安上必要な措置の義務づけでありますとか、そういうような規定を整備いたしますれば、現段階におきまして万全になるとわれわれは考えておるのでございます。ただいまアメリカの七十項目の技術基準に触れられましたが、これに関連いたしまして御説明申し上げますと、これは原子炉の設計基準と申す分野でございまして、原子炉の安全規制につきましては、わが国の規制法におきましては、許可の段階、認可の段階、検査の段階と先ほど申し上げましたようにあるわけでございますが、まず許可の段階で非常に詳細なる資料をとりまして、そのときに万々一の仮想事故まで想定をいたしまして、安全解析をいたし、第三者への損害、被害等がない旨の確認をいたして許可をいたしておるわけでございます。その上でさらに、工事のときに方法について認可をし、検査もいたすわけですが、アメリカにおきましては実は多少体系が違っておりまして、許可の段階は、比較的包括的なる建設許可を行ないまして、その際には、いわゆる仮想事故等の安全解析等はいたさないで建設にかかりまして、あと運転開始する前までに順次資料を出させ、最後の段階に安全解析をする。その中間におきまして変更があれば、それに変更を求めていくというようなやり方をいたしておるわけでございます。それで、そういうやり方になりますと、あとになりまして安全解析なりあるいは検査なりをいたします段階で問題が起こった場合に、実は取り返しのつかないことになるわけでございまして、わが国の場合はそれをおそれまして、最初の許可の段階で綿密なる審査をやる、こういうたてまえになっておるわけでございますが、アメリカにおきましても若干このことに関連する不都合を感じたと見えまして、そのために実は七十項目にわたる審査基準的な設計基準をあらかじめ公表しておきますことによりまして、多数の施設者に対する便宜を与える、こういうのがねらいのようであります。
その七十項目の内容につきましてはわれわれも承知いたしておりますが、われわれが許可の段階でケース・バイ・ケースに行ないますレベルと同様なものでございます。むしろ、どちらかというと、わが国の安全審査のほうが相当シビアーではないかという点があるように感じておるわけでございます。先ほどお触れになりました七十項目の基準と申しますのは、さような性格のものであると、われわれ了解いたしておるわけであります。
なお、原子炉以外の加工あるいは再処理の施設につきましての安全審査につきましても、われわれ、それぞれ専門部会を原子力委員会の中に設けまして、各界の専門家を依頼いたしまして、十分なる安全上のチェックをいたすということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/67
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068・三木喜夫
○三木(喜)委員 そうしますと、原子炉関係の問題はこの中に含まっていない、原子炉の安全性の問題についてはこの中に含まれていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/68
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069・藤波恒雄
○藤波政府委員 原子炉の規制につきましては、現在の規制法に全部入っております。
実は、ここにあげました新旧対照表では、今度手を入れました条項だけの対比をいたしております関係上、たとえば二十三条が原子炉の設置の許可でございますが、さらにその二十四、五条といったようなところは抜けております。その他も抜けておる項目がございますが、今回の改正に関係あるところだけの対照をつくりました関係上、これにちょっと抜けておるようにごらんになられると思いますが、その点御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/69
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070・三木喜夫
○三木(喜)委員 それはそれでいいのですよ。今度改正されたことに関係ないところは書く必要もないでしょうし、参考にもなりませんし、原文を読めばいいのですから。しかしながら、原子炉の問題も当然この規制法の中にあるはずですから、アメリカの七十項目にわたるところの検討された問題は当然議題になっていいんじゃないか、このように思うのです。ところが、いまお話しになったのは、アメリカは開設当時はかなりルーズなかっこうで開設する。そうして、検査のときはかなりきびしくやる。わが国は初めからかなりきびしいところの検討をしておると、こう言うんですけれども、当然この七十項目の中では、いま石野さんが触れましたように、こういう点もあるという話がなされたわけです。「予測しなかった設計上のミスで二つとも故障するおそれを少なくするため、できるだけ異なった原理のものを備えるよう要求されている。さらに、原子炉を操作するのに必要な電源も外から二回線引き込んだ上、大停電に備えて自家発電機も二台用意することになっている。」というように、予想しなかった設計上のミスというようなことに対して厳重な規制を加えている一つの例として言われているわけなんですね。そうしたら、日本ではこうしたものが必要ないのか、そういうことで一つ一つ検討して、この中につけ加える必要はないのかということを言っておるわけです。たとえば、いまの御答弁を聞いていますと、日本の場合は非常に厳格であるから、こういう七十項目のものについては要らないというように聞こえるのですね。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/70
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071・藤波恒雄
○藤波政府委員 原子炉に対する規制は、規制法の第四章に盛られておりまして、御承知のとおりでございますが、その二十三条によります許可をいたします場合に安全審査会にかけまして、ケース・バイ・ケースに厳密な審査をいたしておるわけでございまして、そのときの設計内容、対象にします内容につきましては、アメリカが七十項目で出しております中にありますような安全機構の重複性の問題でありますとか、あるいは予備電源の問題でありますとか、予想されない事故——これを仮想事故と称しておりますが、それらの解析をすべていたすことになっておりまして、この法律で設置者が出さなければならない記載事項にすべてこれらの解析が全部載らなければならないという体制になっております。
なお、つけ加えて申し上げますと、今後新しく高速炉のような原子炉も出てまいるわけでございますし、それから、在来炉につきましても、少なくともアメリカでは、一般的な設計基準をあらかじめ公表して申請者の便宜に資するといったようなことも行なっておりますので、現在原子力委員会の中に安全問題懇談会というものを設けまして、山田原子力委員を中心といたしまして、これらに対する検討をいたし、日本としてはどのような体制に持っていくべきかということをいませっかくやりつつある段階でございます。あわせて御報告いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/71
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072・三木喜夫
○三木(喜)委員 せっかくやりつつあるということは、私はいいことだと思うのですが、しかし、この原子力発電所の安全性について米国で厳重な新基準を出したということは、もうかなり以前のことだと思うのですね。そこで、この法律案と関係さしてこの際抜本的にやる必要はなかったかということを言うわけなんですね。だいぶ時間はたっておるわけなんですね。それと、大臣に申し上げましたようなことによって——私たちは、あなた方がやっておられることに不信の感を持つわけではないですよ。原子力についてはアメリカべったりの日本として、アメリカでさえこういうことをやっておるのに、日本はそれを検討してみて、この中に盛り込む必要はないかということをずっと言っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/72
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073・藤波恒雄
○藤波政府委員 その点についてお答えいたしますと、アメリカでも別にそれを法規にしているという意味でございませんで、法令の内容となるべき問題ではないとわれわれ考えております。安全審査のときの指針でありますとか、あるいはその審査を受けるべき設置者側の便宜のためにあらかじめ項目を整理して知らせておく、こういうのが主たる目的だと考えておりまして、この法律に書き込むような性格のものではないと実は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/73
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074・三木喜夫
○三木(喜)委員 ちょっと私、見解は違うかもしれませんけれども、アメリカでこういう規制を厳重にするということは、安上がりの原子炉をつくることを非常におそれておるわけなんです。日本でもこれから原子炉があちこちにできてまいります。採算ベースに合わないような基準を強めてまいりますと、メーカーにしてもユーザーにしても、採算がとれぬわけですね。そのときにどうするかという国家の保障をやはりちゃんとそれに対してつけなければならぬ。アメリカはそういう安上がりの原子炉をやらないという立場で、二段がまえの方法をとっておるように私は思うのです。そういう立場からやるならば、それが法律であろうが、行政指導であろうが、何であろうがこういう基準をつくったということは、お互いの良心でやらなければならぬ問題でありますから、それで聞いておるわけなんで、これは必要ないのですね、結局法律でないからこんなものを強める必要はないのだ、こういうように解釈していいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/74
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075・藤波恒雄
○藤波政府委員 安全審査を厳重にやらなければならないという御指摘につきましては、そのとおりにわれわれも考えておりまして、アメリカよりはゆるくやるということは毛頭考えておらない次第でございます。もしアメリカの内規に比べましてわがほうがゆるくて問題であるといったようなところが発見されれば、もちろんそれを直すことにやぶさかではございません。現在のところ、アメリカの内規に比べまして、われわれのほうの、審査基準がゆるやかであるというぐあいにはわれわれ考えておらないわけであります。しかし今後とも安全問題につきましては、先ほど申し上げましたような懇談会もできましたので、十分検討を進めまして、必要があれば逐次これを改正していくという態度をとりたいと思っております。
なお、アメリカが設計一般基準を出しました背景は、先ほども申し上げましたけれども、アメリカにおいては非常に数多くの炉が一ぺんに計画をされておりまして、審査のほうにも非常に忙殺をされておるようでございます。しかもその許認可の体系が日本と違いまして、最初の包括的許可から建設許可に至る間に変更その他が非常にまちまちに出てくるといったようなことで、非常に複雑なようでございます。それだものですから、AECはあらかじめ、施設者の便宜と、それから審査側の便宜をはかるために、申請書に盛るべき内容項目を整理いたしまして公表をした、こういうのがねらいであるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/75
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076・三木喜夫
○三木(喜)委員 この問題については端的に申し上げて終わりたいと思うのですが、要するに、そうしますと、この中には盛らなくてもいいのだということになりますねということです。局長は、この中に盛るといえば、こんなものを出して何だと言われることを警戒してものを言っておられるような感じがするのですね。盛る必要がないのなら盛る必要はない、こういうように端的に答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/76
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077・藤波恒雄
○藤波政府委員 七十項目の問題につきましては、この法律に盛る内容のものではないとわれわれは判断しております。技術基準なり審査基準の問題であるというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/77
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078・三木喜夫
○三木(喜)委員 次に、もう一つの問題ですが、そういうように、加工業者なりあるいは燃料を材料にして事業をやる会社の計画が、いまそれぞれ話をされたわけです。
したがって、今度は燃料の問題ですね。先般の委員会で人形峠を一体どうするのだということ、それから、こういう事業をやる以上、カナダなりアメリカなりから燃料の見通しがかなりついておるのかどうか、現在どの段階までそういう燃料に対する見通しがあるのか、それにつけ加えて、この前宿題になっておる人形峠の問題をどういうぐあいに処理しようとしておるのか、この点をひとつ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/78
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079・藤波恒雄
○藤波政府委員 わが国の現在長期計画で立てられております原子力発電の規模は、昭和五十年までに約六百万キロワット、六十年までに三千万ないし四千万キロワットでございますので、それに必要なウランをイエローケーキの単位で積算をいたしますと、昭和五十年までに一万三千トン、六十年までの累積が約九万トンというぐあいになるわけでございます。これにつきましての加工対策は、長期購入契約、それから探鉱開発の両方式があるわけでございますが、探鉱開発につきましては、相当長期にわたっての計画にしか間に合いませんので、さしあたりは電力会社が中心になりましてカナダと十年間の長期購入契約を結んでおりまして、それによりまして約一万五千トンのイエローケーキを確保いたしておるわけであります。さらに、それを濃縮をいたしませんと現在の軽水炉には使えませんので、日米協定のもとにアメリカのAECに依頼をいたしまして、賃濃縮をいたすわけでございまして、その点は今度国会で批准を願いますれば、新しい原子力協定に基づきまして、ウラン二三五にいたしまして百六十一トン、三%濃縮ウランに換算をいたしますと約七千トン、イエローケーキに換算いたしますと四万五千トンぐらいになりますが、そのくらいのものを一応ワクとして設定できることになるわけでございます。
人形峠につきましては、先般齋藤先生の御質問にお答え申し上げましたが、現在探鉱はほぼ終わりまして、それに伴います製錬の試験をあと一年間やるということになっておりますが、その後この地区の採鉱開発をいかに進めるかということにつきましては、現在原子力委員会を中心に検討を進めておりまして、この夏までにはその方針を打ち出したいということになっておるわけでございます。採鉱開発ということになりますと、経済ベースに乗るか乗らないかということがやはり一番の眼目になろうかとは思いますけれども、なおウラン開発の技術水準の維持の観点もございますし、現在までに投ぜられた施設の活用の観点もございますし、総合的に判断をいたしましてきめるべきものと考えておる次第でございます。
しかしながら、わが国におきますウランの包蔵量は量、品位とも、御承知のごとくきわめて貧弱でございますので、今後の大量のウラン需要に対しましては、大部分を、先ほど申し上げましたような海外への依存によらなければならないといえるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/79
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080・三木喜夫
○三木(喜)委員 人形峠ですがね。私も行ってみたのですが、それはいま製錬のほうに力を入れるという段階ですがね。現地の人の感触からいたしますならば、貧鉱というに当たらないというような話です。これは基準の置き方が違っておったので、貧鉱というようにずっといわれておるけれども、決してそうじゃない、こういうように私たちは受け取って帰ったのですが、いまの局長の話では貧鉱だ。
〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
したがって、これは検討した上でこの改廃をきめる、こういうようなことですがね。率直な私たちの意見からいたしますならば、国内にウラン鉱の有望な鉱脈はそうないのですし、——それはこちらの濃尾のほうですか、これはまた、どの程度になるかわかりませんけれども、現在ではせっかくここに探鉱をやって、そして製錬というようなところまでいったのですから、できればこれを置いておいて国内におけるところの技術の研究の場所にする、こういうようなことをしておく必要があるのじゃないかしらと、われわれしろうと考えでそういうことを思うのですが、それどころか、非常に保存について希望を持つわけなんです。そういうところから、政府としてひとつ見通しをはっきり立ててもらいたい。原子力委員会で検討する、検討するといって、初めからあれは検討じゃなかったのですか、探鉱をやって——見込みがあるかないかということは、やはりやっておったはずであります。いまになって何か態度が煮え切らない、そういう気持ちがするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/80
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081・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 人形峠の問題につきましては、もうざっくばらんに申し上げますと、量が少ないですから、これをどうするかという問題は、日本にとっては大きな問題になるわけでございます。そこでいまの技術でどんどんこれを採掘をして原料として使っていくかどうか、あるいはつまりその一番優秀なところを使ってあとを残しておくか、あるいはそのまま将来のために温存をするか、あるいはいま三木委員も言われましたように、日本の技術の保存あるいは研究のために、いわば研究的なもののためとしてこれをとっておくかというような三つ四つの道があろうかと思います。このいずれの道を選ぶのが最善であるか、こういう点につきまして、動燃事業団の意向も入れ、そして原子力委員会としてここ数カ月、ことしの夏でございますか、その前後までにひとつ結論を出してやっていきたい、そういうふうなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/81
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082・三木喜夫
○三木(喜)委員 最後に、ほかの方の質問もありますから、一つだけお聞きいたしますと、いまお話しになったのでは、六十年度までに三千万ないしは四千万キロワットの発電を予想される。そういたしますと、四分の一の施設がこれによってできるというけわですね。いまのお話では、イエローケーキの段階で年間九万トンの需要量がある。こういたしますと、いまお話しになったのでは四万五千トンは確保できておるというかっこうになりますね。あとはどういうような方法でやるのか。それから、アメリカとの関係はどうなっておるかということを明らかにしていただかなければ、全体的な見通しが立たないのではないか、こう思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/82
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083・藤波恒雄
○藤波政府委員 わが国の需要量と、それからカナダとやりましたイエローケーキの長期契約と、それから日米協定による濃縮、賃濃縮のワクとの関連についての御質問でございますが、電力会社がカナダと長期契約をいたしております一万五千トンは昭和四十四年から十年間のものでございまして、その間の需要量につきましては若干不足いたしますが、大半をそれでまかなえられる。しかし、その間におきましても、多少の短期スポット買いを追加していかなければならないと考えられる量でございます。その後の大量の累積九万トンに至ります差額につきましては、今後の長期契約とか、あるいはまた、現在進行中でございますカナダのカーマギー社との共同探鉱開発によるものを目当てにしなければならないものと考えられます。それから濃縮のワクはイエローケーキ換算四万五千トンでございますが、九万トンの約半分の数字でございますが、これは今後五年間に着工されると考えられます原子炉、発電所十三基が協定の有効期間三十年間に必要にウラン量の積算量でございます。それ以降に建設される発電所に見合うものにつきましては、あらためて数量の改定を行なわなければならない、こういう関係になるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/83
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084・三木喜夫
○三木(喜)委員 大体政府の考えておる、あるいはわが国の産業界の考えておる形はこれでわかるのですけれども、そこで問題になることは、二つの要素が出てくるのではないかと思います。
一つは、石炭の国営の問題のときにわれわれがずっと指摘しておったことが現実にいま起こってきておる。また第二の石炭のようなかっこうにならないかということは違った形で出てくると思うのです。それは、外国の技術というものに依存しておりますと、非常に高くつくので、政府はこれまた民間に依存——民間の力を使ってやろうということが今度のねらいのようですね、自由化のかっこうで。なぜ政府がこれをやらないか。人形峠の技術なんかを生かしてどんどんあそこで技術者をつくって、そしてカナダへ送り込む、こういうようなぐあいで自主探鉱開発、こういうスケールを持ってやらなければならないのではないかと思うのです。これが一つと、それからべったり外国に依存し、アメリカの技術に依存するということになれば、一朝事があったら、これは、日本としては首の根っこを押えられることになろうと思うのです。したがって、アメリカの技術のかさからわれわれはどうして抜け出すかという問題が当然出てくるだろうと思うのです。この二つの点についての見通しをお伺いして、あるいは政府の覚悟を聞いて私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/84
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085・藤波恒雄
○藤波政府委員 まず私から御説明を申し上げますと、おっしゃるとおり、燃料の確保につきましても、われわれは将来民間の自発的意欲と活動力に期待をいたす意味で、原則として民間ベースで行ない、これに対しまして政府として必要な援助を与える、こういう方式をとりたいと考えて進んでおるわけでございますけれども、ウランの国内における探鉱開発とか、あるいは外国におきまする探鉱開発につきましても、民間ベースだけではやり得ないというような条件も出てこようかと存じます。そういう部門でありますとかあるいは場合でありますときには、動燃事業団等を活用いたしまして、できるだけの施策を講じていかなければならないものと考えております。
それから、燃料をアメリカに一辺倒にたよることについてはいかがかと、こういう御趣旨からの御質問だと存じますが、われわれも、将来のエネルギーの主幹をなすウラン燃料の確保につきましては、安定供給という観点から、できれば多角的に確保すべきであるということ、さらには、原料は外国から待つにしても、それの加工でありますとか再処理でありますとか、それから出ましたプルトニウムの国内での有効利用でありますとか、いわゆる核燃料サイクルの問題は、できるだけ国内で自主的に行なえる部面をできるだけ多く早く確立するという努力をいたすべきものと考えて、いませっかく努力中であるわけでございます。
なお、つけ加えて申し上げますれば、新しい日米協定に盛られております百六十一トンも、これはあくまで供給ワクでございまして、将来日本側におきまして別途の確保の道が講ぜられる場合には、こちら側の意思によりまして取引が契約できるわけでございまして、百六十一トンを引き取る引き取り義務はついていない性格のものでございますので、あわせて御説明を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/85
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086・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 いま原子力局長が申し上げましたとおりでございまして、燃料確保の問題につきましては、やはり民間ベースでいま始めております。燃料事業団におきましても、まだ発足したばかりで手が伸びておりません。したがって、われわれとしては、どうしてもいかぬ場合は、政府ベースといいますか、そういう形で燃料の確保に努力をし、石油が今日おちいっておる一つの大きな問題点があるわけでございますから、それらの二の舞いをしないような形で進めるように私も努力をいたしたいと思います。
なお次に、技術の依存といいますか、おそらく、私が承知いたしておりますところでは、一番おくれておるのはやはり濃縮技術の問題であろうと思います。これも動燃でやっておりますけれども、まだ十分な成果はあがっておりませんので、この技術の中の一番おくれておる濃縮技術の問題についても、一〇〇%アメリカ依存ということは実際困るわけでございますから、この点につきましても、予算委員会等でも御質問もございましたが、ひとつ今後予算の面あるいは技術の面で最善の努力をして、日本でもでき得るような形に進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/86
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087・三木喜夫
○三木(喜)委員 大臣の答弁で決意のほどはわかったわけですが、私の申し上げたいのは、石炭国営と同じような運命をたどるのではないかということは、政府なり国家が、こういう一つのナショナルプロジェクトですね、宇宙開発と同時に。こういう問題は、そう民間民間というて民間に譲り渡してしまうことは、民間はもうからなければやらないのですから、何がしのことをやればみんなそれは利益がついておるわけなのです。したがって燃料の段階で、濃縮ウランならウランのかっこうにしてもいいですから、政府のベースでやっていかなかったら、どうにもいかなくなったというようなときには、これは国家なり国民はたいへんな損失をこうむらなければならぬわけですね。この燃料の段階において非常にゆるいかっこうで民間に許すというようなかっこうが出ておる、ここに問題があるということと、それから規制の問題と二つ、私は今度この法律案が通るとしましても十分注意をしておかなければいかぬのじゃないかと思うのです。民間に依存する依存するといって、何か政府のほうでは、もうそれだけやっかいが省けたというようなかっこうでは困ると思います。石炭が今日おちいっておるのは、そういうところに問題があったと私は思うのです。それを申し上げているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/87
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088・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 三木議員のいま言われました点、十分私も了解いたしました。したがって、今後の科学技術庁の燃料確保の方針といたしまして、先ほど申し上げましたことはもちろんでございますけれども、いまの点に十分注意してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/88
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089・三木喜夫
○三木(喜)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/89
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090・沖本泰幸
○沖本委員長 次に、近江巳記夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/90
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091・近江巳記夫
○近江委員 前回の委員会で時間等の関係もありまして、きょうまた長官が御出席されておりますので、聞き漏らした点もありますので、その点お聞きしたいと思います。
先ほどからも再処理のことが問題になっておるわけでありますが、この燃料再処理の場合において、低レベルの放射性物質を生活環境に排出する、このように言われておるわけでありますが、まず、この高レベル、中レベル、低レベルと容易に分離ができるかという問題なのです。その点をまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/91
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092・藤波恒雄
○藤波政府委員 再処理工場からは、いろいろな段階の放射性物質が出てくるのは御説のとおりでございますが、これを化学的処理をいたしまして、高レベルのものにつきましては永久貯蔵をする措置をとるとか、それから、低レベルのものにつきましては、人体その他に影響が全然ないところまで希釈をいたしまして大気に放出するというような措置をいたしております。
その大気へ放出する場合の基準につきましては、現在国際的に定められておりますICRPの基準をもとにして定められました現在規制法の省令に載っております基準以内にいたしまして放出を許す、こういうことに考えておるわけでございます。
ここに御質問の、区別できるかと申しますのは、どういう方法で区別するかということでございましょうか。あるいは、高中低のレベルの線をどこで引いておるかということでございますれば、高レベルと言いますのは、一立方センチメートル当り一ミリキュリー以上のものを高レベル、それから中レベルは、一ミリキュリーから一マイクロキュリー、低レベルは、一マイクロキュリーから千分の一マイクロキュリー、極低レベルはそれ以下というぐあいになっておりまして、これが固体状の放射性物質の基準でございます。
なお、液体につきましては、一立方センチメートル当たり、極高レベルというのが百ミリキュリー以上、それから高レベルが百ミリキュリーから一ミリキュリーまで、中レベルが一ミリキュリーから千分の一マイクロキュリーまで、低レベルが千分の一マイクロキュリーから百万分の一マイクロキュリーまで、極低レベルがそれ以下と、こういうようなぐあいになっております。なお、気体状の放射性物質につきましても、同様の趣旨から基準が定められております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/92
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093・近江巳記夫
○近江委員 そこで、その分離ができるといたしましても、この核燃料の再処理工場から出る低レベルの廃液、これは各国の例を見ていきますと、一日に数キュリーから数百キュリー、この核分裂の生成物を数百トンから数千トンの水とともに沿岸にやはり放出しているわけです。これは一つの例でありますが、ラジウム温泉で、それじゃどれだけ含まれておるかといいますと、水一トンで大体百万分の一キュリーをこえない。そうしますと、一日に数キュリーから数百キュリーというのは、これは非常に大きな量なんです。また、実験用の原子炉の施設からも出てくる排水も、少ないところで年間数百ミリキュリー、多いところで数千キュリー、これも同じように数百トンないし数千トンの水とともに沿岸に放出している。そうした放射性排水とともに、さらに温水を放出している。これも当然漁業に非常に被害が出てくるわけでありますが、こういうことを考えてきますと、一体海中に流れ込んだこの放射能はどうなるのか。結局海水中に放出された放射性物質というものは、海洋に住む生物にとり込まれるということは考えられるわけです。したがって、生物の表面に付着するものもあれば、あるいはまた、魚などが食べたり、そういう体内に蓄積される、あるいはまた、漁網あるいは漁具に付着をして、それを扱う人に外部から放射線を照射する、あるいは海岸の砂に付着する、あるいはまた、海岸でつくるそうした干物も汚染をする。こういういろいろな問題が出てくるわけです。
ここで、生物に対する放射性物質の濃縮蓄積というものをどのように考えていらっしゃるか、この点をまずお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/93
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094・藤波恒雄
○藤波政府委員 その前に、現在のICRP勧告をもとにしてきめられている基準につきまして申し上げますと、諸外国とも大体一〇のマイナス八乗マイクロキュリーというのを使っております。米国ではそれよりは十分の一ゆるい、一〇のマイナス七乗という数字を使っております。わが国におきましては、きびしいほうの一〇のマイナス八乗という数字を現在使っておる次第でございまして、現在まだ御承知のように再処理工場は日本にはございませんけれども、東海村唯一の例でございますが、東海発電所におきます海域放出の排水の濃度は、それに対比しますと、一〇のマイナス十二乗のオーダーでございますので、非常に問題にならないくらい少ないといえると思います。
それから、海産生物に対します放射能の影響ということにつきましても、現在海洋放射能調査研究の一環といたしまして進められておるわけでございまして、そのためには、各国立関係機関等を動員いたしましてやっておりますが、さらに今回那珂湊には、放医研の付属研究施設といたしまして、水槽を設けまして、魚類に対する放射能物質の集積問題を解明いたすことになっております。これらの結果を再処理工場の運転操作ルールの中に反映させたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/94
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095・近江巳記夫
○近江委員 そのように何らかの対策を立てていらっしゃるわけでありますが、原子力委員会のこの資料を見てみますと、水産動植物が放射性物質を大体百倍から十万倍濃縮すると、このように発表されているわけです。過去の例で見ますと、水俣病等の例を見ましても、ごく微量の有機水銀を二カ月から二年間で大体一万から十万倍くらい濃縮して蓄積している。それを食べた人が、結局四十六名の死亡者が出ているわけです。こういうような点を見ていきますと、非常に蓄積された、その問題についてのまだ研究体制というものが非常にあいまいなように私には思えるのです。いまもこのようにやっておりますというけれども、私はもう少し一歩突っ込んで、濃縮され、それを蓄積されたならば、どうなるかということをいま聞いているわけです。常識的にも、これは考えられるわけです。ですから、あなた方として、それが蓄積された場合にどういうような被害が出るかということをここで具体的に言ってください。もしもそれが蓄積されたとして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/95
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096・藤波恒雄
○藤波政府委員 海産生物に対する放射能の蓄積効果という問題が、近江先生おっしゃられるとおり、あるわけでございまして、日本ばかりではなくて、各国でも研究をいたしておるわけでございますが、これは魚族の種類によっても違うわけでございますが、ある一定の期間、放射性物質を含む水の中に入れて見ますと、体内の放射能レベルというのが、ある一定時期までは増加をしていって、あるところで飽和する。それ以上は蓄積をしない、こういう問題があるわけでございますが、その飽和値がどのくらいになるかというのは、魚の種類によって相当の幅があるようでございます。したがいまして、安全問題を解析するにつきましては、たとえば日本人が食用に供する魚の中に蓄積効果が非常に大きいものがあるとすれば、それが一番問題にさるべきことになるわけでございまして、そういう観点から、われわれは魚の種類別に分析し、さらに、日本人の食用にどの程度貢献をしているかというところまでを分析しようというぐあいにいたしておるわけでございます。いままでいろいろ研究やら計算やらでやっております範囲におきましては、非常に危険に近いと申しますか、不安になりそうだという見通しはないようでございます。いろいろな仮定に基づく計算でありますけれども、相当安全サイドに計算した場合におきましても、心配されるレベルから見ますと、相当かけ離れた低い数字になるデータしかまだ聞いておりませんけれども、しかし、これはまだ検討を継続中のものでございますので、おっしゃるとおり将来の大きな問題でございますので、引き続き精力的にその辺の解明をいたさなければならぬ。その意味もありまして、新たに予算もつけまして、それ専門の研究設備も本年につくった、こういうような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/96
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097・近江巳記夫
○近江委員 日本人は動物性のたん白質をどれだけとっているか。少なくとも六割以上は海産物にたよっているわけです。日本は海に囲まれておるというような条件、したがって日本人は米国人の十倍も魚をとっておるわけです。こういう点からいきまして、いま危険性から非常にかけ離れた数字である、このようにおっしゃっておりますけれども、要するに、それが蓄積されていったならばどうなるかということです。水俣にしたって、あるいは今回問題になっておりますあのイタイイタイ病の問題にしたって、全然危険はないといって放置しておいて、ああいうような犠牲者が出ておるのです。トップにある人がそういう危険はないなんて、そういう数字だけを見て判断するということは非常に危険があると思う。イタイイタイ病あるいは水俣病の現状を見ても、このような被害者が出てからどうだこうだと言ったって、これはおそいわけです。しかも、その責任体制だっていいかげんな状態で逃げよう逃げようとしている。結局天然現象だとか、あるいはまた、ほかの要因にして責任をぼかしてしまう。これは当然再処理はこれだけ——これからもまたどんどん規模が大きくなってきますし、当然蓄積されていくという問題がたくさんあるわけです。そういう点について、まず何よりも人命という立場から、それを先行して研究していくのがほんとうですよ。いまからこういう体制で、こうやっていきます。それじゃあくまでも企業本位じゃないですか。こういう点において、いままでの取っ組み方が非常に甘かった。この点について痛切な反省しなければならない、このように思うわけです。この問題について、長官としてどうお考えになっていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/97
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098・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 これからいよいよ原子力の問題も、発電の面におきまして軌道に乗り、さらに数年後、大体四十五年ないし六年にはパイロット的再処理工場もできるようにしなければならないかと考えております。その際、いま近江委員から御指摘のいわゆる安全性の問題、この点につきましては、これはもう一番大事なことでございます。各先進国におきましても、この点における——先ほどから石野、三木両委員から、審査基準の問題等もアメリカではずいぶん厳重にやっておることのお話が出ましたが、さらに日本は日本として、特にいま御指摘の排液といいますか、海の中へ出すべき排水の問題あるいはその原子炉自体の問題、再処理工場自体の問題等につきましては、これは技術的に私よくわかりませんから、もう抽象的でございますけれども、原子力委員会には安全審査の専門部会もありますし、諸外国の実例もございます。したがいまして、これはもう厳重なる安全性を確保するために努力もし審査もし、しかして、それ以外には許可しないという立場で進んでまいらなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/98
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099・近江巳記夫
○近江委員 もう一点心配な点は、今度核燃料取扱主任者が免状を持って事業所の監督を行なっていく、このようになっているわけですが、要するに、一般企業にそういう制度があったとしても、そういうような実際の実行の点において、非常に心配な点があるわけです。ですから、ただ取扱主任者だけをきめてあるからということでは、私は今後またいろいろ問題が出てくると思います。この点についてどういった態度で政府としてそれを監視していくか、その点をさらにもう一点だけ聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/99
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100・藤波恒雄
○藤波政府委員 おっしゃるとおり、取扱主任者を設けただけでは十分でないということはわれわれも同感でございまして、そのために施設者にいろいろ保安確保のための義務づけをやっておりまして、今度の追加条項につきまして具体的に申しますと、第二十一条の二で「保安のために講ずべき措置」を事業所に義務づける、それは改善命令、さらには罰則規定まで関連いたしておりますが、さらに必要がある場合には、二十一条の三によりまして「施設の使用の停止等」までできることになっております。さらに二十二条では「保安規定」をあらかじめ定めまして、施設の管理、操作、さらには事故時の処置等に至るまで、あらかじめ定めましましたものを内閣総理大臣の認可にかけまして、その内容が不適切あるいは不十分であるような場合には変更を命ずるというような形で、まず施設者に最終的責任を負わせておりまして、そういう体制のもとに取扱主任者が日々のオペレーションをやり、従業員に対しまして保安確保上の指示を与える、こういう体制をとっているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/100
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101・近江巳記夫
○近江委員 今後、この原子力の平和利用と先ほどの安全性の問題は、当然車の両輪のような関係でいかなければならない、このように思うわけです。ここで今後開発されていくそうした技術、あるいは調査、あるいはモニタリング、そうした安全管理のためのさらに法令の整備等、いろいろな点が考えられるわけです。いまもう一歩つつ込んだ答弁が聞かれないわけでありますけれども、そうした関連性をどういうふうに考えていかれるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/101
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102・藤波恒雄
○藤波政府委員 ただいまお触れになりましたモニタリングの設備でありますとか、それを運用しての放射線の管理業務といった内容は、先ほども御説明申し上げました第二十一条の二の「保安のために講ずべき措置」でありますとか二十二条の「保安規定」の中に盛られて運用される内容になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/102
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103・近江巳記夫
○近江委員 それから、原子力の損害補償の問題ですけれども、これは結局人身事故のみのようなぐあいにも考えられるわけです。最大想定事故が大体一カ所でいま五十億ないし六十億ということを聞いておるわけでありますが、今後そうした物的な被害等も含めていく考えはないか、こうした問題。
さらに米国等においては、想定事故の被害額として大体七十億ドルくらいを用意しているわけです。七十億ドルといえば、二兆五千億にも達するわけです。こういう点、わが国として、そういうことが起こってもらってはたいへんなことでありますが、どのように政府として考えていらっしゃるか。
さらに、先ほどから言っておりますそういう排水の問題、ただ人体に放射能の影響があるという問題だけではなくて、結局漁民にとっても漁場を失っていく、あるいはまた、範囲というものが狭められていく、そうした問題から、水産物の経済性の低下とか、そういうような問題も考えられるわけです。しかしそういう犠牲者の上に成り立っていくという姿であってはならぬと私は思います。そういう点について、政府として抜本策としてどういう対策を立てていらっしゃるか、その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/103
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104・藤波恒雄
○藤波政府委員 原子力損害賠償法によります補償対象は、人的のみならず物的損害も対象といたしておるわけでありますが、五十億の措置額以上に起こりました場合も、原則として事業者に集中した責任があるわけでございますので、事業者がその責任に当たるわけでございますが、必要な場合には政府が所要の措置をいたすことになっておりまして、そのために、あらかじめ施設者は政府との間に補償契約を結び、所要の補償料を支払っておる、こういうのが現体制でございます。
再処理工場が置かれました暁に、万一海域に対しまして漁業等に災害が起こったような場合におきましても、その損害賠償法が適用になるのは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/104
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105・近江巳記夫
○近江委員 それから、この前にも資源の問題についてお聞きしたわけでありますが、先ほどからも話がありましたが、カーマギー社とそのように提携をしておる、そういうお話があったわけです。しかし、このウラン資源については、この前も申しましたが、世界的に資源を出すまいという傾向が出てきておる。オーストラリアなどはいまから原子力を研究をしていこう、第一歩に入ったところですらすでにシャットアウトしている。そういう状況から考えてきて、民間だけにこういう問題をまかしていっていいのか、そういう問題です。先ほども国のレベルで考えていく、このように長官もおっしゃったわけでありますが、それじゃ具体的にどういうように考えていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/105
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106・藤波恒雄
○藤波政府委員 動燃事業団におきましても諸外国のウラン資源事情調査をかねてから行なっておりまして、すでにカナダ、南米、オーストラリア等に順次行なっておるわけでございますが、現在電力会社と鉱山会社がタイアップをいたしまして、カナダのカーマギー社と共同探鉱開発の提携につきまして、話し合いを進めておりますが、これのきっかけも、実は動燃事業団の事前調査が実を結びつつあると考えられますし、すでに契約ができました十年間の長期購入契約の端緒についても同様なことがいえるかと存じます。さらに、このように民間の手にリレーすることが円滑にいかない場合であって、なおかつ、日本の国としてやはり確保しなければならないというような場合が出ました場合におきましては、事前調査のみならず、動燃事業団の手においてさらに探鉱を行なうということも考えられましょうし、あるいは民間が行なう場合でも政府の資金的あるいは税法上等の援助を得なければ円滑に進み得ないといったような場合における財政的援助といったようなことも、今後国が考えるべき措置の一つではなかろうかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/106
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107・近江巳記夫
○近江委員 それで、当然エネルギーの問題でありますから、要するに原子力にこれだけ力を入れていらっしゃるわけですが、そのほかに地熱なり、太陽なり、あるいはまた、海洋の利用とか、いろいろな点が考えられるわけです。各国はそれに手をつけているわけです。こういう点、いま原子力のほうに非常に目が向いておりますけれども、そういう点はどういうように考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/107
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108・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 ただいまは原子力の問題が非常に浮かび上がっておりますが現実の問題として海洋開発に伴ういわゆる潮流発電を取り上げてみましても潮流の発電、あるいは地熱発電、これはまあ別でございますが、そういうような点につきましては、新技術開発事業団等で実はそれぞれいろいろ実験せられた型をどうやって企業化すかということにつきまして、実はすでに、ささやかといえばささやかでございますが手をつけております。現に地熱開発の問題につきましては、新技術開発事業団から金を出して現在企業化しておるのが一カ所大体成功をしております。ただあれは五万キロワットぐらいで、そう大きなものではございません。それから、別途海洋の潮流利用における発電につきましても、これはいろいろ問題が出てきておりますが、どうも外国でやっておるのより日本の場合は、潮流の問題が十分外国並みにならないので、非常に困難性があるようでございますけれども、もちろんこの点についても手をつけつつございます。しかし、それはそれとして、別途やはり重要な大きなエネルギー源としては、石炭あり、次に石油あり、しかもあと十年前後におきましては、おそらく石油の運搬量、輸送量というものが日本の重油開発の限度を上回ってどうしても原子力にたよらざるを得ないというような状態にまでなるかというわけでございますので、やはり原子力の原料については全力を尽くしていかなければならぬ、しかしながら、その原子力自体のいわゆるウラン鉱は、先ほど人形峠の話が出ましたが、いわば非常に貧弱である。そうなってくると、やはり民間ベース、それでいかぬときには政府ベース、あるいは政府間の協定という形にまで進んで、当然将来においてはこのウラン資源の確保ということにならざるを得ないのではなかろうか、また、そのことに尽くすのがやはり政府の役目であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/108
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109・近江巳記夫
○近江委員 この前に長官にお聞きしたいと思っておったんですが、国内資源の問題でありますが、毎年二億円のベースで予算が組まれておる。ところが、政府のやり方がまずいのかどうかわかりませんが——まあまずいわけですが、毎年物価が上昇してきている。したがって、その二億円というものの実際上の価値というものは下がってきておるわけです。しかも、毎年同じ額しか予算を組まない。出さなければ言われるからいやいや出しましょう。完全にさじを投げたような状態です。私は、まだまだ有望な資源がある、このように学者からも聞いておりますし、その点、外ばかりに目を向けるのもなんでありますし、実際国内資源をほんとうに本気にそれを開発していこうという気持ちが長官にあるかどうか、さらに、その気持ちがあるなら、長官として今後いかにしていくか、その問題をひとつ長官から聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/109
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110・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 探鉱、いわゆる鉱物資源をさがすという意味の探鉱でございますが、そのためには、御承知のとおり、予算面からは非常に少ない点がございます。しかし、この二億を使ってでき得る限り有効に資源の開発なりいわゆる探鉱を現在やっておるわけでございます。特にウラン資源等においては、厳重にひとつ国内のいわゆるウラン鉱の探査に努力をしていくことは、現在もそうでございますが、今後ともつとめてまいりたいと思います。しかも、そういった中にひっかかりができ、あるいは努力足らずして、ほんとうに予算一面において足らざるときには予備費もございますから、そういう面からはひとつ今後とも最善の努力をしてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/110
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111・近江巳記夫
○近江委員 もう一歩さらに予算を伴ったそういう施策を言われるかと思っておりましたが、その点は、また今度の機会にでもお聞きしますから、それまで資源開発についての態度をよくきめておいてもらいたいと思います。
それから、今後の原子力の発展を考えますと、アイソトープ等のそういう利用というものが非常に飛躍的に増加してきます。そういう点で、この前に事故のデータを出してもらったんです。ところが、私の出してもらった範囲でも、この間申し上げたとおり、たとえば、三国峠でころげ落ちて一晩かかってさがしたとか、そういう問題が出てきているわけです。まさか都合の悪いものは捨てていらっしゃると思いませんけれども、いままであった事故の状況を報告してください。発表してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/111
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112・藤波恒雄
○藤波政府委員 アイソトープは、いまおっしゃられましたとおり、全国各地で多数使用されておりますが、そのアイソトープの輸送中の事故の、実績を申し上げますと、昭和三十七年の三月に、これは日本鋼管の鶴見造船所で使っておりましたアイソトープでございまして、新潟と東京の間の天然ガスの輸送パイプがございますが、その中の清掃点検操作のためにコバルト六〇を少量使ってやっておるわけでございますが、それを、中を通しまして外からその位置をさがす、こういう使い方をしておるわけでございますが、これが一度現場から貯蔵庫に輸送中にトラックから落ちたという事件がございまして、これはあとで発見されております。三十八年の十二月に日本急送という運送会社が医療用の沃素一三一、二ミリキュリーをトラック輸送中に紛失したという事件がございます。三十九年四月に大和運送が、大阪でございますが、やはり医薬品の沃素一三一、二ミリキュリーを運送中に倉庫が火災となって焼失をいたした事件がございます。それから、昭和三十九年十月に北日本運輸が、やはり医薬品の沃素一三一、二ミリキュリーをRI研究所から群馬大学医学部に運送中にトラック輸送中紛失したという事件と、いままで四件ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/112
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113・近江巳記夫
○近江委員 四件と言われますけれども、群馬の県議会でも問題になった。三国峠からころがり落ちて一晩かかってさがしたというような事故もある。あなたのほうはそういうことは掌握できていないのですか。安全性、安全性なんて言っておっても、そういうような問題まで含めますと、どれだけ事故がまだあるかわからない。そういう点において、そのように法律でもって規制するとかなんとかいっても、実際には現場とあなた方の間にそういう食い違いが非常にあるわけですよ。ですから、そういう点を考えると、非常に危険であり、住民としてもその点は非常に心配なんです。
もう一つお聞きしたいことは、そのようなものを扱うところの事業所等の数は全国で幾らあるか。また、今後それに対して科学技術庁として関係各省とどういうふうに連携をとって事故を防いでいくか。この点長官からお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/113
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114・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 輸送の問題につきましては、これはやはりいま御指摘のとおり重要なことだと考えております。したがいまして、現在におきましても、こういった危険物輸送の際は、規則によって、それを表示し、あるいは輸送会社において注意をして、それだけの規則に基づく注意喚起のもとに進めておるかと思いますが、まだ、私の手元には、現在四件来ておるだけでございます。この点、あるいは連絡が悪かったのではないかとも考えられますが、詳しくは局長から実態を申し上げますけれども、今後とも、運輸省方面と十分連絡をしまして、こういう事故が起こらないように、また、起きた場合において、その処理が適切にでき得るようにするということと、それから、放射性物質を運ぶべきところ、あるいはそれを生産し、それを出すべきところは、ほとんどわかるわけでございますから、それをチェックしながら輸送に万全を期すように努力をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/114
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115・藤波恒雄
○藤波政府委員 アイソトープを使用している数は、全国で千四百二十五件でございます。これは四十二年三月現在の数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/115
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116・近江巳記夫
○近江委員 その点は、保管等の点も、さらに十分に厳重に、危険のないようにやってもらいたい。この点を要望しておきます。
それからもう一つは、濃縮ウランをいまアメリカから入れておるわけでありますが、日本では、遠心分離法で核原料物質を得られる方法を研究中であった。これが成功すれば非常に安く得ることができる。ところが、それの研究をやめてしまった。これはいろいろなことが憶測されているのですが、その間の事情を一ぺん言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/116
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117・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 現在、動燃事業団で、遠心分離の方法につきまして、まだ予算は十分ではございませんけれども、一機、二機は完成し、三機もつくって、これの濃縮方法につきまして研究いたさせておるわけでございます。それをやめてしまったということはまだ聞いておりません。
ただ、それに伴う予算といいますか、それが十分でないという点は、私も指摘をされた点がございますが、これは最初から始めたものでございますから、いま現在はいわば研究段階というようなことで、まだ、実験あるいは実働段階という形にまでいっておりません。したがいまして、これは順次その規模を広げて、濃縮技術というものをどうしても日本において自主開発できるようにいたしたい。これはもうどうしてもいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/117
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118・近江巳記夫
○近江委員 いま長官の答弁を聞きまして、今後もさらに研究をなさっていく、その点を聞きましたので、その点の疑点は晴れたわけです。
いずれにしましても、前回も長官は出席願えなかったのでありますが、またあとでそうした発言内容等もよくごらんになっていただいて、どうか、国会の答弁だけではなくして、その実施に、ひとつ強力な体制をもってやっていただきたい。この点を特に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/118
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119・沖本泰幸
○沖本委員長 次に、角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/119
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120・角屋堅次郎
○角屋委員 数日来、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の審議がなされておりまして、きょうも午後ずっと同僚委員の質問がなされたわけですが、先週、この法案をどうするかということでわれわれのほうで議論しました際に、法律の改正条項そのものとしては、特にこういう点が重大な問題であるということがかりにないにしても、やはりこの機会に、これに関連した全般的な問題をもう少し議論ずべきではないかという注文をつけると同時に、御承知の、原子力の平和利用という原子力基本法のたてまえと、今度の国会の場合には、非核三原則問題あるいはエンタープライズの寄港問題だとか、あるいは原子力潜水艦その他のいわゆる領海内における無害航行問題であるとか、いろんな政治的な問題が現実に俎上にのぼっておるわけでございまして、そういう点から見て、やはり本委員会というのは、本来原子力問題については原子力基本法に基づいて正しい原子力の平和利用のあり方を進めていこう、こういう立場にあるわけですから、この際そういう姿勢でやはり委員会自身の意思を表明してはどうかというふうな、実は私自身率直な希望も申し上げたのであります。その希望には変わりはないわけでありますけれども、この際、そういう私の希望しました点と関連をして数点、主として科学技術庁長官にお伺いいたしたいと思います。
実は有澤原子力委員長代理はあらかじめ二時半で帰られるという予定だったそうでございまして、ほんとうは原子力委員会の運営に関する問題も含めて率直にお伺いしたいと思いましたが、きょうはもう相当時間もたっておりますし、簡潔に質問はとどめさしていただいて、いずれ機会を改めてそういうふうな問題にも触れてお伺いをすることにいたしたいと思います。
この原子力基本法の、すでに本委員会でも設立以来十分議論された問題だと思いますけれども、最近の政治情勢から若干お伺いしてみたいのですが、第一条、特に第二条の関係、これは言うまでもなく「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、民主的な運営の下に、自主的にこれを行なうものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」こういうふうに明定されておるわけでございますけれども、この場合に、最近の政治的な防衛問題で議論になっております。たとえば沖縄の核つき返還、あるいは日本の自衛隊自身の核武装論というのがございますが、そういうふうな場合が情勢上もしかりに想定されるとするならば、原子力基本法そのものはその時点では一体どういうふうな位置づけになるのか。まず冒頭にその点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/120
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121・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 沖縄が本土に入ってまいります場合におきましては、やはり日本でございますから、原子力基本法がこれに該当するといいますか、その基本法に基づくことになると私は考えます。
それから、自衛隊の問題におきましても、隊も、日本にございます日本の自衛隊でございますから、事実上において自衛隊が原子力を使う武装をするということは、原子力基本法に抵触するものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/121
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122・角屋堅次郎
○角屋委員 現実に原子力基本法が厳存する場合に、自衛隊の問題に触れられましたが、原子力基本法に抵触する、それはそのとおりだと思います。
そこで、さらに科学技術庁長官にお伺いしたいのですけれども、最近防衛庁の研究技術開発の計画等の問題が議論されましたね。内容は、必ずしも、政府に資料要求して政府自身から内容をつまびらかにされたわけでございませんけれども、また自衛隊の最近の演習の中で、いわゆる原子力戦に備えたいろんな演習の問題等がやはり委員会でも取り上げられておるわけですが、原子力の平和利用という大前提に立った原子力基本法のたてまえからいった場合に、やはり問題になりますのは、日本の場合でいえば防衛庁、これが防衛関係の研究とかいろんなそういう面も含めてやっておる点が、原子力基本法から見てどうかという点が大きな問題になるのだと思います。科学技術庁あるいは原子力委員会、そういうものが防衛庁のそういう防衛に関するいろんな諸研究という面で、特に原子力基本法との関連で連携が十分にとれて現、実にやられておるのか。それは一つの閉ざされたとびらであって、防衛庁自身が現実にそれは防衛庁自身のプロパーの問題として、原子力基本法というよりも、科学技術庁なり原子力委員会というものとは無関係にやられておるという現実の運用がなされておるか、その辺のところを明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/122
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123・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 防衛庁において原子力の開発とかあるいは生産といいますか、そういったものをしておるとは私は考えませんし、そういうことを行なえば、これは原子力基本法に抵触するものだと考えます。私が聞いているところによりますれば、防衛庁はいわば防衛的立場に立って、いわば放射能の武器がある場合、いかにしてそれを防護するかというような——いわばそれを開発するとか、あるいは生産するとか、放射能を出すとかというようなことじゃなくして、あった場合これをどう防護するかという点の御研究はなすっておるということは、予算委員会等で防衛庁長官の答弁によって存じておりますけれども、事実上生産するとかあるいはこれを使用するとかということになれば、これは平和目的でないわけでございますから、原子力基本法に抵触をしてそういうことはできないのだというふうに考えるわけでございます。
なお、連携の問題につきましては、直接この問題につきまして大臣同士が話し合うというようなことは、現在まで、私が責任者になりましてからはございません。ただ、その他こまかい点について、原子力委員会あるいは原子力局とのいろんな資料等の要求等あったかとも思いますが、この点は原子力局長から御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/123
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124・藤波恒雄
○藤波政府委員 現在までに防衛庁関係でわれわれと接触あります面は、一つは、原子力研究所のアイソトープ研修所におきまして、防衛庁の職員につきましても、アイソトープの取り扱い等に関します研修生を受け入れております。
それからもう一つは、いわゆるフォールアウトの調査、中共核爆発実験等が行なわれまして、わが国の上空に放射能雲が通過をいたします場合の測定は、放射能対策本部を科学技術庁に設けておりまして長官が本部長となって組織化されておりますが、その中に防衛庁が入っておりまして、一万メートルとか一万五千メートルとか、そういう高空におきます放射能濃度の測定を防衛庁に依頼してやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/124
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125・角屋堅次郎
○角屋委員 防衛庁以外の各省の各種試験研究機関というのは、科学技術庁が全体的にはコントロールしておるわけですね。これは各省それぞれ所属の試験研究機関がございますけれども、あるいは一点単価その他を含めての予算の配分であるとか、全体的なコントロールをやっておるわけですね。同時に、研究項目等についても全体的な調整をやる。私は実態をよく知りませんけれども、そういう点の場合に、防衛庁は門外不出取り扱いということじゃないのですか。少なくとも私の率直な気持ちからいえば、原子力基本法が厳然としてあり、原子力の平和利用という問題に限定をして日本の場合には研究、開発、利用をやっていくというたてまえにある以上は、その辺に関する限りは、やはり防衛庁といえども門を閉ざすということが断じてあってはいかぬと思います。そういう点では、従来科学技術庁自身の立場から見て、考え方に少し誤りがあったのじゃないかという感じがするわけですが、もしそういうことがあったとするならば、今後はそういう面についてはやはりはっきりした態度でいくべきである、こう思うわけですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/125
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126・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 原子力基本法の二条によりまして、原子力の研究とか、開発とか、その利用は、すべて一応原子力委員会の管轄下にあると考えます。したがいまして、防衛庁であろうとそのほかのものであろうと、これに触れるものがあれば、当然原子力委員会の安全規制とか、安全審査とか、あるいは放射線審議会等々にかかって、それの認可なり許可なりを得て行なうべきでございまして、当然そうあるべきであると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/126
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127・角屋堅次郎
○角屋委員 法案と関連した問題で数点お伺いしたいのですが、原子力発電所の問題について若干お尋ねしたいと思います。私は本委員会に所属いたしておりませんでしたけれども、自分の選挙区の関係で原子力発電問題があって、これはおととし、去年と予算委員会でも取り上げて論議をしたことがございますが、私の県の場合はついに断念をされたわけですね。そういう経験を持っているものだから、少しくこの原子力発電所の問題でお伺いしたいのです。
第一に、日本の場合は、海岸地帯に原子力発電所をつくるという前提で、たとえば東電の福島、関電の敦賀あるいは原子力発電株式会社等の福井等の設置も、そういう形で海岸で進められているわけですね。先ほど公明党の近江委員が、水産との関係の問題を御指摘になられましたが、内陸部というのは、六十年計画までには予定をされておるのかどうか、六十年計画までは海岸地帯というふうな考え方で主として進まれようというのか、あるいは計画の中では内陸面まで含めて考えていかれようとするのか、その辺のところのプランは一応どういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/127
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128・藤波恒雄
○藤波政府委員 昭和六十年までの地点について、すべて海岸設置であるときめておるわけではございませんで、将来の可能性として内陸設置につきましても研究はされております。しかしながら、現実の問題といたしましては、御承知のように、原子力発電所は普通の火力発電所の場合におけると同じように、大量のタービンの冷却用水が必要でございます。アメリカ等におきましては、大きな河川とか湖とかがございますので、そういう点で楽でございまして、内陸地点のほうがむしろ多いくらいでございますけれども、日本の場合は、その観点から海岸設置を迫られるというのが実情でございます。したがいまして、ここ当分の間はやはり主として海岸になるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/128
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129・角屋堅次郎
○角屋委員 藤波さんの前に原子力局長をやられた村田さんが、御承知の「核エネルギーの平和利用」というちょっとした本を書かれたのを私は目を通してみたのですが、その中に、今後の問題としては、原子力発電所というのは地底奥深く、場合によっては海中もしくは海底に設置することが可能であるというような記録があります。こういう面の可能性の問題については、国際的にも、あるいは日本の場合にも、どういうふうな展望でこの問題をとらえておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/129
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130・藤波恒雄
○藤波政府委員 いまおっしゃられる海中設置でありますとか、あるいはむしろその前に、おそらくは海面設置というのが技術的には考え得るかと思います。さらには、何といいますか、半地下式とか地中式というようなものも研究問題として取り上げられてはおります。現在、原子力産業会議の中に立地問題研究会なども設けられておりますが、新しい前向きの立地条件の開拓と申しますか、新しい立地を技術的に開くという面も検討すべきであるという観点から、ただいま仰せられたような努力もされております。しかし、まだ現実の問題としてはなかなかそこまでいくのは時間がかかるのではないか。国際的に申しましても、海中、海面等の立地につきましては、まだ見通しがついたという話は聞いておりません。ただ、初期におきまして海岸の断崖のところを利用しまして、横穴式の原子炉の設置が行なわれたというようなことは聞いておりますが、それもまだ普及するといったようなところまではいっていないようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/130
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131・角屋堅次郎
○角屋委員 かつて原子力発電所の安全性の問題をぼくが議論したときに、採用する原子炉の安全性という問題が一つと、それから設置するその設置点の自然的条件の安全性というこの二つが双方満足された場合に原子力発電所の安全性が成立する、これは日本の場合には常識なんですね。たとえば、ぼくの地元の場合には、過去二、三十年の歴史を調べてみると、大型の台風から、大型の地震から、大型の津波から、そういう約二十年の間に全国スケールにおいても飛び抜けたようなものがすべて出そろっておるという地帯の問題と、しかも、全国的に三大優良漁場の一つという、そういう漁場関係の問題と二つがからみ合ったわけですね。私は、これからの問題として、地中奥深くとか、あるいは海中とか、海底とかいう問題は、これからの問題だというふうに言われましたけれども、これは研究はなかなかそう簡単にはいかないかもしれませんが、日本の狭いこの四つの島で相当原子力発電所を設置していこうという場合に、いままでの経験からいっても、再処理工場の問題でも、先ほどいろいろ議論がございましたように、なかなかこの種問題は、単に核アレルギーというふうな国民的受けとめ方だけでなしに、非常に計画どおりいくについては問題がずいぶん多いと思う。日本的条件からいえば、しかも、台風あり、地震あり、津波ありという自然的条件等も考えてみると、そういう面についても、国際的な立地条件と違った面を頭に置いた原子力発電のこれからの発展方向というものをやはり検討していく必要があるというふうに私は思うのです。率直に言って、原子力発電所を設置する場合に優良漁場なんかをまっ先に候補地にあげてくるというようなことは、国自身の、いわゆる四十五年までの計画あるいは四十五年以降五十年までとか六十年までの計画の中で、最初スタートする場合にはおおむねこういうところからだんだん経験を積み、安全性の問題も確定をし、あるいは漁業に対する影響の研究その他を含めてどんどん整備をされるという状況と見合って、若干の位置における変化ということは想定されることだけれども、最初のスタートから、最もそういう点で危惧されることの多い地点にくるというのは、策としては非常に考えなきやり方だというふうに率直に思うのです。やはりここ相当期間というものは、優良漁場というものは候補地としては避けていくということが前提にならなければならぬし、過去三十年なり五十年なりの地震あるいは台風、津波、そういう自然的条件の相当なスケールのものが出たところについては、やはりそれは避けていくとか、こういうことでスタートすべきものだと思いますが、大体この原子力発電所の立地というものについては九電力まかせなんですか、あるいは科学技術庁として一定の基準に基づいての大まかな指導というものが前提としてあるのか、その辺のところはいかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/131
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132・藤波恒雄
○藤波政府委員 国といたしましても、原子力予算を若干ではございますが、毎年運用いたしまして、年四カ所ぐらいずつ、現在までに二十カ所ばかりの地点につきまして、大まかなサンプル的調査は行なっております。しかしながら、わが国の体制では、具体的に地点を調査し、きめますのは、やはり企業者たる電力会社が中心になって行なっておるのが実態でございます。いずれにいたしましても、先ほどおっしゃられます。環境条件をよく考えて行なうべきである、特に優良漁場等は避けるのが得策ではないか、こういう御意見はごもっともだと考えます。ただ、日本の場合、至るところに漁場があるわけでございますので、多少関係がどうしても出てくるということは避けられないと思いますけれども、できればそういう環境条件の比較的問題の少ないところから最初のものは取り組んでいくということが望ましいということは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/132
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133・角屋堅次郎
○角屋委員 これは、ぼくらの経験からいっても、たとえば温水による影響というものを一つ取り上げて、具体的にその指定された立地のところでいろいろやってみようと思っても、海洋調査というのが日本の場合に必ずしも整備されておらぬ。整備されておらぬと同時に、その時点での春夏秋冬、あるいはまた、異常潮流等もあるものだから、そういうことも含めて温水の影響がどういうふうに、ああいうリアス式海岸のところであらわれてくるかということになると、これはやはり相当な調査をしてもなかなかこうであるということが言いにくい、こういう問題が現実に出てくるわけですね。しかも、優良漁場の場合には、そういうコンスタントに流れてくる、一基なら一基の場合に毎秒三十トンなら三十トンの温水が流れる、あるいは、おそらく九電力がやる場合には、一つのところへつくれば原子力地帯というものをそこで想定したいという、いわゆる資本の要請もあるでしょう、そういうことになると、単に温水も毎秒三十トンだけにとどまらぬとか、いろいろなこともありまして、やはり優良漁場を避けていく、あるいはまた、今後原子力発電所を主として海岸地帯につくらなければならぬという想定に立つならば、海洋調査とか、あるいは先ほど指摘されましたように魚貝類に対するところの海水汚染の濃縮度がどうだとか、これは東大の檜山教授その他いろいろな人の若干の研究がありますけれども、もっと本腰を入れて、日本ではこういうものをたくさん食べるわけですから、そういうものの研究というものは、諸外国よりももっと重点的になされなければならぬ、率直に言って、そう思うのですね。そういうことがやはりかっちり裏づけされないと——われわれは原子力の平和利用、したがって原子力発電所を日本の適当なところに立地をしていくということに何もまつ正面からこれを阻止しようという姿勢にはないわけです。しかし、どこにつくるかという場合に、その地点につくるかどうかという問題においては賛成する場合もあるし、反対する場合もある。それはそれなりの正当な理由があって、そこには置くべきではない、こういう立場であるわけですけれども、そういう問題から見ると、原子力発電所をここ当分海岸にやっていくというならば、それにふさわしいような科学技術庁の研究体制というものをもっと整備されたらどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/133
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134・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 ただいまのお話、率直に申し上げまして、私が現在におきましても考えておることでございます。技術的な問題も含みますので、原子力委員会におはかりをしまして、海洋調査を含めてひとつでき得る限りそういった体制を進めるようにいたさなければならぬ。全然現在やってないというわけじゃございません。放医研では那珂湊に試験場を設けていろいろそういった研究をいたすようにしております。しかしながら、さらに今後五年、十年、十年で十三基でございますか、さらに二十基、三十基となると思いますので、十分ひとつ検討を加えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/134
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135・角屋堅次郎
○角屋委員 これは、原子力局長、これから原子力発電所の設置が俎上にのぼっておるところで、科学技術庁として指導される場合の教訓として若干申し上げておきたいのですけれども、まあどこの電力ということは、私、申しません。私の地域で経験したところでは、やはりこれは、ほんとうはぼくらは、原子力発電については、ああいう九電力にまかさずに、政府自身が責任を持った体制でやるほうがいい、こういうふうに思っているのだが、そういう議論は別にして、どうもこういう電力会社というのは、何とかして予定のところへやりたいというので、実に執拗なやり方をやりますね。ある地域は賛成である。ある地域は反対である。この反対の地域に対して、はがきは来る、それから封筒入りのものは来る、さらに相当大きな袋に資料を入れたものが来るというように、一方的にどんどんこれをつぎ込んでくるのですね。そういうことによって、反対のところが、なるほどといって考えを変えるなんというようなことを考えておったら大間違いだと思うのです。このやり方が非常に一方的である。民主、公開、自主とか、いろいろなことを言っておるけれども、ちっとも民主的なことはないですよ。そこへもってきて、たとえば土地を予定しておるところを、秘密裏に地主をずっと当たっておいて、そして抜き打ち的に約二億で買い入れたことを発表してくる、まだ海のものとも山のものともきまっておらぬのに。こういうやり方がよけい問題を激化さしておるという例があるのですね。かつて、科学技術庁の事務次官をやっておる井上君なんかが来て、またこれが一方的にやるものだから、よけいに混乱をする。九電力がある程度おぜん立てするまで進める場合の、原子力発電所を設置する場合の進め方というものについて、いままでに幾つかの例が出てきておるわけだから、行政指導としてもっと適切な指導をする必要があるし、そしてまた、どこを選ぶかについては、もっと大所高所から国自身が大局的判断をまず下して、そこではやはりいまの時点ではまずかろう、そこならばおおむね推進してもよかろうが、ひとつやってごらんなさい、心がまえはこういうふうにしてやるのが望ましい、こういうことはもっと科学技術庁の立場から適切な指導をなさるべきじゃないかと思うのですね。非常に火に油を注いじゃうのです。実にひどいやり方。私は、こういうことの具体的な内容は、いままで問題が片づくまでには全然出さなかったし、われわれもそういうはがきやあるいは封書のものや資料のものというのは山積みになったほどずいぶんデータでもらったけれども、そういうことも出さなかったが、熱意のあまりといえばそうかもしらぬけれども、やり方がかえって逆になる。そうして、非常に激高させる。だから、行動も非常に激化した形がよけいに生まれてくる。そういうものを科学技術庁が看過しておっていいのかどうかということになると、これは重大な問題であると私は思う。そういう面が、やはりいままでの教訓を生かした指導というものが必要であって、ごり押しは断じていけない、こう思うのですが、それらのところはどういうふうに今後やられる心がまえか、お伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/135
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136・藤波恒雄
○藤波政府委員 お話のとおり、原子力発電所の立地問題につきましては、いろいろな実例が出てまいりまして、われわれもいろいろな経験も得ましたので、それらをもとにいたしまして、今後の各電力会社が行ないます立地問題の対処につきまして指導をいたしたいと思っております。いまおっしゃられたのは、おそらく芦浜の問題を例にあげられたのだと思いますが、これは最もこじれた例でございます。それからまた、中には比較的順調にいった例もございますし、いろいろと実例が出てまいりましたので、これらを反省をしまして今後の指導に資したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/136
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137・角屋堅次郎
○角屋委員 法律の内容について、時間の関係上こまごましたことを聞くのはやめますが、ただ、新しく加わった中で、従来この委員会ではどういうふうにやられていたか知りませんが、たとえば十六条の二、十六条の三、二十一条の二、二十二条の二について「総理府令で定めるところにより、」という政省令問題、こういう問題は、重要な部分については政省令案というのを出して、そして、それらを見ながら綿密な議論をするということが、内容によっては望ましいわけですね。これは委員会に資料として出しておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/137
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138・藤波恒雄
○藤波政府委員 資料としてはお出ししてございませんが、御説明を申し上げますと、二十一条の二の「保安のために講ずべき措置」にございます「総理府令で定めるところにより、」と申しますのは、実は原子炉の場合に同様な条項がございまして、それに基づく総理府令と大体同じような内容でございます。たとえば管理区域を設けて、それ以内の立ち入りの制限をするとか、あるいは被曝放射線量の測定、保管だとか、そういったようなことを具体的に義務づけておるものでございます。
それから二十二条の三で「科学技術庁長官が、政令で定めるところにより、」云々といって認定の条項がございますが、これは具体的には大学卒でこの種の業務に経験一年以上といったようなことを具体的に定めようとするものでございます。
それから十六条二の第一項、ここで申します総理府令は申請の手続等を掲げたものでございまして、たとえば加工施設にもいろいろな段階がございますので、組み立て工程とかあるいは原料の工程でありますとか、貯蔵設備でありますとか、そういう設備別に記載せよといったようなことを、手続を定めるものでございます。
第二項の総理府令の内容は、これは一度認可を受けましたものが工事の途中で一部を変更しようとする場合に一々許可の変更をここで義務づけておるわけでございますが、軽微なものにつきまして一々するまでもないので、そのラインを具体的に、どういうものについては変更の手続をとれという旨を記載しようとするものでございます。
それからさらに六十一条の二の一項三号に放射能濃度または含有するウラン量が政令で定める限度をこえない核原料物質を使用する場合ということで、核原料物質の使用の届け出にすそ切りをいたしております。これは数量的に、たとえばウランにつきましては三百グラム、トリウムにつきましては九百グラム、濃度につきましては〇・〇〇二マイクロキュリー・パー・グラムそういったぐあいに従来の法令の基準に合わせまして数量で規定しよう、こういう内容のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/138
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139・角屋堅次郎
○角屋委員 これは原子力局長、こちらから求められてじゃなしに、この種安全性の重大にかかわるような問題については、新しく政省令を加えようというものについては、まあこれはもちろん案でしょうけれども、政省令案なるものを出して、そしてやはり十分議論をしてもらうという姿勢が私は必要だと思う。
時間の関係もありますから、最後にこれは科学技術庁長官に要望として意見を聞きたいわけですけれども、昨年公害基本法の問題を議論したときに、原子力関係のものは法律の中でたしか第八条だったかと思うのだが除外をしたのですね。除外をしましたが、しかし現実にいますぐにではないかもしれぬけれども、平場地帯あるいは山間部に原子力発電所ができるということになれば、これは水質二法の関係の問題、あるいは海岸地帯につくる場合もやはり水質汚濁の問題とか、いろいろな関係で公害対策基本法に基づく公害対策会議、あるいはそういうことを議論する審議会の舞台がありますね。いずれにしても、人身保護の立場に立った公害対策面については公害基本法との関連が十分あるわけですから、そういう視点で十分連携をとりながら、安全性の問題のみならず、人間尊重の面の対策にも万遺憾のないような方向で推進をしてもらいたいと思いますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/139
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140・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 私、公害基本法をまだ十分研究いたしておりませんが、原子力基本法に書いてある安全性その他のことを完全に守るようにというふうに一応公害基本法には書いてあるかと思います。しかし、やはりいま御指摘の水質汚濁なりあるいは放射能の、安全審査でやるとは申しながら万々が一ということもこれはあるわけでございますから、ただいま御要望になりました点はさらに連携につとめて万全を期したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/140
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141・沖本泰幸
○沖本委員長 ほかに本案に対する質疑はございませんか。−別にないようでございますので、これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/141
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142・沖本泰幸
○沖本委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、別に通告もありませんので、直ちに採決いたします。
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/142
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143・沖本泰幸
○沖本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/143
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144・沖本泰幸
○沖本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/144
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145・沖本泰幸
○沖本委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X00919680401/145
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