1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十三年三月二十七日(水曜日)
午後零時十五分開議
出席委員
委員長 加藤常太郎君
理事 金丸 信君 理事 砂原 格君
理事 丹羽喬四郎君 理事 森下 國雄君
理事 渡辺 栄一君 理事 岡本 隆一君
理事 佐野 憲治君 理事 内海 清君
池田 清志君 稻村左近四郎君
浦野 幸男君 大野 明君
佐藤 孝行君 澁谷 直藏君
正示啓次郎君 葉梨 信行君
廣瀬 正雄君 阿部 昭吾君
井上 普方君 石川 次夫君
島上善五郎君 福岡 義登君
小川新一郎君 北側 義一君
出席国務大臣
建 設 大 臣 保利 茂君
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
出席政府委員
経済企画庁水資
源局長 今泉 一郎君
建設政務次官 仮谷 忠男君
建設大臣官房長 志村 清一君
建設省計画局長 川島 博君
建設省都市局長 竹内 藤男君
建設省河川局長 坂野 重信君
委員外の出席者
自治省財政局交
付税課長 横手 正君
専 門 員 熊本 政晴君
—————————————
三月二十六日
委員佐藤孝行君辞任につき、その補欠として丹
羽久章君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員丹羽久章君辞任につき、その補欠として佐
藤孝行君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
三月二十二日
治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案(
内閣提出第九一号)
同月二十六日
急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律
案(内閣提出第九七号)
同月二十二日
放射第十二号線都市計画街路事業促進に関する
請願(鯨岡兵輔君紹介)(第二八八七号)
同(島上善五郎君紹介)(第二八八八号)
同月二十六日
都市再開発法案の一部修正に関する請願(岡本
隆一君紹介)(第三一六五号)
同(岡本隆一君紹介)(第三二二〇号)
同外三件(始関伊平君紹介)(第三二二一号)
同外二件(砂田重民君紹介)(第三二二二号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
都市計画法案(内閣提出、第五十五回国会閣法
第一五二号)
都市計画法施行法案(内閣提出第五六号)
水資源開発公団法の一部を改正する法律案(内
閣提出第七二号)
治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案(
内閣提出第九一号)
急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律
案(内閣提出第九七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/0
-
001・加藤常太郎
○加藤委員長 これより会議を開きます。
水資源開発公団法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。宮澤経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/1
-
002・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 水資源開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
経済の発展及び国民生活の向上に伴う水資源の総合的な開発及び利用の合理化の必要性にかんがみまして、全国的に重要な水系の開発に当たる水資源開発公団に、従来木曾川水系及び豊川水系の開発に当たりました愛知用水公団を統合し、その技術及び経験を高度に活用することにより、今後の水資源開発事業を総合的かつ効率的に施行するため、今回この法律案を提案した次第であります。
本法律案は、このため、愛知用水公団を解敢して、その一切の権利及び義務を水資源開発公団に承継させるとともに、水資源開発公団の業務の範囲などを改めようとするものであります。
以下、本法律案の内容の概略を御説明申し上げます。
第一点は、昭和四十三年十月一日をもって、愛知用水公団法を廃止するとともに、愛知用水公団を解敢し、同公団の職員の雇用関係及び国際復興開発銀行の借款を含めて、その一切の権利及び義務を水資源開発公団に承継させることとしたことであります。
第二点は、愛知用水公団から承継する愛知豊川用水施設の管理その他の業務は、水資源開発公団が行なうこととし、同施設の建設費の賦課徴収等については、愛知用水公団の例によることとしたことであります。なお、同施設の管理その他の業務の主務大臣は、農林大臣といたしております。
第三点は、水資源開発公団が行なうかんがい排水にかかる業務に関し、愛知用水公団の例により、関係者間の権利調整などについて、土地改良法の規定を準用することとしたことであります。
その他この統合に伴う所要の経過規定を定めるとともに、関係法律に所要の改正を行なうこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及び概要でございます。
何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/2
-
003・加藤常太郎
○加藤委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/3
-
004・加藤常太郎
○加藤委員長 次に、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案、急傾斜の崩壊による災害の防止に関する法律案、右両案を一括議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。保利建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/4
-
005・保利茂
○保利国務大臣 ただいま議題となりました治水治水緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
政府におきましては、現行の治山治水緊急措置法に基づき、昭和四十年度を初年度とする治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画を策定し、これにより治山治水事業の計画的な実施を推進し、今日まで相当の実績をあげてまいりました。
しかしながら、この間、目ざましい経済の成長、異常な災害の発生等に伴いまして、計画事業の大幅な繰り上げ実施、計画外事業の緊急施行の必要が生じたのであります。また、近年国土の利用開発が著しく進展し、被災のおそれのある人口、資産が急速な膨張を続け、また各種用水需要が急激に増大している事態に即応いたしまして、治山治水事業を強力に推進することが緊要となってまいったのであります。
このような情勢に対処するためには、現行五カ年計画を改定いたし、新たに昭和四十三年度を初年度とする治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画を策定することにより、治山治水事業を緊急、かつ、計画的に実施して国土の保全と開発をはかる必要があるのであります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。
第一に、ただいま申し上げましたとおり、現行の治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画を改定して、新たに昭和四十三年度を初年度とする治山事業五カ年計画を策定することといたしました。
第二に、新たに治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画が策定されることとなるのに伴い、国有林野事業特別会計法及び治水特別会計法の所要の改正をすることといたしました。
以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いをいたします。
次に、議題となりました急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律案の提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
近年、集中豪雨等のために急傾斜地の崩壊による災害が頻発いたし、特に昨年兵庫、広島、長崎、佐賀、新潟等の各地において、急傾斜地の崩壊により多数の犠牲者を出しましたことは、なお記憶に新たなところでありまして、かかる事態に対処し、急傾斜地の崩壊による災害から国民の生命を守ることは、きわめて緊要なことと存ずる次第であります。
従来、急傾斜地の崩壊による災害の防止については、砂防法、宅地造成等規制法等の適用される地域については、これらの法律の規定に基づいて対策を講じてまいり、これらの法律の適用の対象とならない地域につきましても、昭和四十二年度から都道府県の施行する崩壊防止工事に対する助成措置を講ずることにより、その災害の防止につとめてきたところであります。しかしながら、急傾斜地の崩壊による災害の防止について万全を期しまするためには、有害な行為の規制の強化、急傾斜地における崩壊防止工事の施行等により積極的に急傾斜地の崩壊の防止をはかる一方、急傾斜地の崩壊による被害を軽減するための警戒避難体制の整備、住宅移転に対する融資等所要の措置を講じ、急傾斜地の崩壊による災害の防止のための総合的な対策を確立する必要があるのであります。
以上がこの法律案を提出いたした理由でありますが、次にこの法律案の要旨について御説明申し上げます。
まず第一に、急傾斜地崩壊危険区域の制度を設けることにいたしましたことであります。都道府県知事は、市町村長の意見を聞いて、その崩壊により相当数の居住者等に危害が生ずるおそれのある急傾斜地等を急傾斜地崩壊危険区域として指定することとし、この法律案が適用される範囲を明らかにしたのであります。
第二は、急傾斜地において有害な行為を行なう者及び急傾斜地の土地所有者等に対する規制措置を定めたことであります。急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊を助長し、または誘発するおそれのある一定の行為を都道府県知事の許可にかからしめるとともに、これらの行為に伴う急傾斜地の崩壊を防止するため必要があるときは、都道府県知事は、土地所有者、行為者等に対し、急傾斜地崩壊防止工事の施行を命ずることができることとしたのであります。また、一般に、急傾斜地崩壊危険区域内の土地の所有者等に対しても、都道府県知事は、急傾斜地の崩壊による災害を防止するために必要な措置をとることを勧告することができることといたしました。
第三は、都道府県が施行すべき急傾斜地崩壊防止工事の範囲を明らかにしたことであります。都道府県は、宅地造成その他の行為に伴って必要を生じた工事以外の工事で、その急傾斜地の所有者、被害を受けるおそれのある者等が施行することが困難または不適当と認められるものを施行するものといたしました。
なお、都道府県が施行する急傾斜地崩壊防止工事については、国がこれに要する費用の二分の一以内を補助することができることといたしております。
第四は、急傾斜地の崩壊による災害を防止するため、都道府県または市町村は、急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊による危険の著しい区域を、建築基準法による災害危険区域として指定することとしたことであります。
第五は、急傾斜地の崩壊による災害を防止し、または軽減するために、市町村地域防災計画に、急傾斜地崩壊危険区域ごとに、災害に関する情報の収集及び伝達、避難、救助等警戒避難体制に関する事項を定めることとしたことであります。
第六は、都道府県知事の勧告を受けて、急傾斜地の崩壊により被害を受けるおそれのある住宅の移転等を行なう者に対して、これを容易ならしめるため所要の資金を住宅金融公庫から融資することとしたことであります。
以上がこの法律案の提案の理由及び要旨でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決くださいまするようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/5
-
006・加藤常太郎
○加藤委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。
両案に対する質疑は後日に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/6
-
007・加藤常太郎
○加藤委員長 都市計画法案、都市計画法施行法案、右両案を一括議題とし、審査を進めます。
両案に対し質疑の通告でありますので、順次これを許します。岡本隆一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/7
-
008・岡本隆一
○岡本(隆)委員 前回の委員会で都市計画法の総論的なところを少しお尋ねいたしたのでございますが、きょうはその続きをお尋ねいたしたいと思います。
この前の委員会で、都市計画法が現在の形のままで裸で成立いたしまして、それがそのまま実施されるということになってまいりますと、市街化区域の地価が暴騰するのではないか。それに対するところの歯どめは税制の改革にたよる以外にない、こういうことでございました。しかしながら、私どもといたしましては、とにかく明らかに地価の暴騰を招くことが予想されるこういう法律案をそのままでもって成立させるということでは、これは党としては困る、やはりこれについては何らかの地価暴騰が抑制できるという確信が持てない限り、本法律案の成立に御協力するわけにはいかない。これは大臣わかっていただけますね。そこで、いまのところ、大臣としては、 いや、きっとやります、税制の改革その他打つ手は将来打ちます、だからひとつ信用してください、こういうことだと思うのです。しかし、私どもとしては、いままで何回か裏切られてきているのです。昭和三十九年に院議できめ、それから後、たとえば一昨年の土地収用法が出てまいりましたときなとは——土地収用法も、これは公共用地を事業認定のときの価格で収用するのだ、いままでだったら、裁決の段階になってからの収用でございますから、その価格は相当上がったわけですね。だから、ごね得を防ぐんだからということで認定価格でストップさせて土地を収用する、こういうふうなことでございました。それと一緒に、その収用される土地——公共の用に提供する土地と、それからその隣地等の価格が公共施設ができますと上がりますから、その不均衡を是正するために、いわゆる開発利益の社会への還元という形での譲渡所得税の増税、それが一緒に出てまいったわけです。そのときに総理にわざわざ委員会へ来ていただきまして、委員会でもって、土地収用法だけの食い逃げはいたしません、必ず税法を成立させます、こういう約束を総理はされたのです。その約束に基づいて私どもは土地収用法の成立に協力した。ところが、土地収用法は衆議院は通って参議院に行った。税法は衆議院大蔵委員会で大幅に修正されている。しかし、修正されて参議院へ行きました。参議院では、まあほかの建設法案の審議がからんだという点もありましたが、完全に両案とも流れました。しかしながら、特にこの租税特別措置法のいわゆる譲渡所得税の改正については、与野党、ことに与党の大蔵委員というものはきわめて消極的で、非協力的だったわけです。だから、そういう意味で、約束をいただいても私どもは裏切られた苦い経験を持っておりますので、よほどはっきりしたところの裏づけをしていただかぬと、なかなか安心がならないわけです。そこで、大臣は、いや、この都市計画法が成立すれば、実施までは少し日にちがあるのだから、必ずその間には地価の暴騰を起こさないような手を打ちます、信用してくださいということでございましょうが、大臣、そういうふうな手形をそのまま裏書きなしに、ああそうでございますかと、全くの信用貸しというわけにいかぬ。だから、何らかの形でこれは裏書きをしていただかぬことには困ると思うのでございますが、そういうふうな点について大臣から何らかの裏書きをいただけるかどうか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/8
-
009・保利茂
○保利国務大臣 岡本議員の御指摘の点は、岡本さんのほうからごらんになったらまさにそのとおりだったろうと思うのです。その点は深く私もこの事案の審議の経過というものに対しては検討をいたしてまいっておるわけであります。ワンセットでいったものを、半分は通して片方は置き去りにする、それが作為的に置き去りにするというようなことがあっては絶対にならない。先般来岡本議員が予算委員会においても大蔵大臣や総理大臣と特にその審議を尽くしていただいて、税制当局者ともかなり突っ込んだ御論議をかわしていただいた点もそこにあったように承知をいたしておるわけであります。私といたしましては、大法案であります都市計画法で何とか目前に展開されております都市並びに都市周辺の無秩序な状態を利用計画の上にのっけて、そうして国民生活の安定のために大きく寄与しなければならないという点から踏み込みまする以上は、これに伴って、利用促進をはかってまいりますために必要な税制措置は、当然これは必要でございますから、内部的には税制調査会の方々ともお話し合いをして——しかし、何さま利用計画が持たれないと、たとえば都市計画法なら都市計画法という一つの構想が打ち立てられないと、税は補完的な誘導的な作用をするものでございますから、目安がないと税だけ先走りするわけにいかぬというような実際の事情、これは私もそうだと思うわけでございまして、したがって、都市計画法は御審議をお願いしてかりに発足するということになりましたときに、あとからくっついていかないということになりますと、これはたいへんなことになろうと思いますから、その点につきましては部内におきましても最善を尽くして、私としては最善を尽くしておる段階でございます。岡本議員の心配されるような事態を起こすことは、これは都市計画法自体よりも、ねらっております日本の国土の利用と申しますか、それによる国民生活の安定へというねらいがはずれてしまうわけでございますから、最大の努力と責任を持ってまいりたい、こう思っておるわけであります。
そこで、それじゃ、どういうふうな裏打ちをここでできるか、これはいろいろ御論議を重ねていただく間に明らかになって、また参考人等もお呼び出しもあるだろうと思いますから、十分ひとつ御審議をしていただいてまいりたい。考えておりますのはそういう考え方で、したがって、もはや今日のこの状態を放置できないということは、これはもう与党、野党にかかわらず、国民生活を心配されている皆さんがどなたも同じ感じでございましょうから、そういうことをうまく結集してまいりたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/9
-
010・岡本隆一
○岡本(隆)委員 少しくどいようでございますけれども、建設委員のメンバーは、地価の安定をはかって国民生活を安定させるべきである、まじめにこう考えておるわけなんです。ところが、他のメンバーになってまいりますと、だいぶ感覚が違うのです。ことに大蔵委員会の諸君の感覚などというものは相当違いますし、また、農林部会の諸君の考え方なんかでも、やはり農業のほう、それから農民の土地に対するところの特殊な愛着、こういうようなものから、やはり農民の私権の保護というふうな点でそれが少し行き過ぎて、都市周辺の膨大な地価の値上がりによるところの不労所得をやはりそれは私権の対象であると考えて、農民の立場を保護するというふうな考え方から、農民の私権の尊重という考え方から、なかなかわれわれのごとく地価の安定ということには協力的ではないわけなんです。そのことが、一昨年の大蔵委員会で租税特別措置法の譲渡所得税の部分が大幅に修正され、さらに参議院でそれが廃案になった理由ですね。だから、そういう点、やはりよほどの努力を党内でしていただかぬことには、大臣がここでお約束いただいたからといって、あるいは総理が、再三、地価は何としてでも安定させたいと言われながら、それがそのまま何ら形になってあらわれてこないというところがございます。ところが、今度いよいよ都市計画法が成立して、そうして市街化区域と調整区域に分けられる、市街化区域に開発エネルギーが集中する、どんどん地価が上がるということになって、そういうような段階になってから後手後手に回って制度をつくっているのではおそくなります。それのみならず、そういう段階になっても、そういう努力をわれわれ並びにあなた方がしていただいても、なかなか党内がまとまらないというふうなことになるとたいへんなんですね。私どもがこの法律案に対して地価安定の裏づけがないと困るということを申し上げるのは、そういうところもあるわけなんですね。
そこで、きょうは、私どものほうの党内でもまだ形としてはまとまっておりませんが、しかしながら、私の私見をまじえながらこれから議論を進めてまいりたいと思います。
まず、この法律案でいうところの都市計画というのは、都市の将来像ですね。その町の将来像というものを都市計画ではきめていく。長期的な見通しに立った都市計画、その都市の将来像をきめていくという考え方が、基本的な都市計画に臨む態度であろうと思うのでございますが、そうすると、今度は、そういうふうな基本的な計画に基づいて、それで十カ年ごとに市街化区域をきめていく、十カ年ごとに、その段階段階に応じたところの、人口の規模あるいは産業の発展の規模、そういうものに応じたところの市街化区域を設定していく、小刻みに設定していく、こういうことになろうと思う。そういたしますと、いままででありますと自由にスプロールしていきました。だから供給はかなり豊富にあったわけです。ところが、限定された地域だけに開発エネルギーを集中しなければならぬ。市街化区域として指定されるのが十年単位で刻まれていくということになってきますと、地価に対する影響というものがそれだけ一そうきびしくなってくるということが言えると思います。おわかりになっていただけますね。それだけに、地価安定施策というものが特に大事だ、私はこういうふうに思うのでありますが、大臣、その点についてはおわかりになっていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/10
-
011・保利茂
○保利国務大臣 たとえば東京周辺、大阪周辺あるいは北九州周辺、仙台周辺というように考えてみますと、みな同じ国内で、しかも経済は有機的に動いておるわけですから、そういうような配置案分等も考えて、大きな視野から見ていかなければならぬと思いますが、岡木さんの御指摘になられましたように、とにかくここで十年区切りで一ぺん市街化指定をしようとする、また十年たったら、必要があれば幾らかふやすというようなことであろうから、したがって市街化というものはかなり窮屈な形になってくるのではないか。非常にむずかしいところであろうと思うのでございます。実施の面において私ども一番注意をしなければならぬところは、やはり農業振興との関連というものに、よほど実情に即した配慮がないと、農業の面がおろそかになってくるというようなことになっては相ならぬ。しかし、市街化区域の中におきまして、これはある程度規模の市街化区域は、東京においても、大阪においても、どの地点においても同様指定をされることになるわけです。そうしますと、そこには今日まではそういう角度からはあまり行なわれていなかったのではないかと思われる計画的な関連公共投資といいますか、そういうところが十二分に機能を発揮できるような関連公共投資を優先的に行なってまいる、そうしますと、なるほど境界はあるけれども、実質的には宅地の供給量というものは非常にふえるのじゃないか、ふえるように持っていかなければならぬ。宅地の供給量が実質的にふえますと、御懸念になりますような、その地域内の地価が手もつけられないように著しく値上がりをするという弊害は起こさないで済むのじゃないだろうか。そこに一つの期待もある。したがって、そこの筋の引きどころといいますか、引いた中の扱い方といいますか、それらに相関連して、施策の面からは、できるだけ御心配の点の少なくなるように配慮していかなければならぬ。しかし、それかといって、それだけでいいというわけではございませんので、やはり税制の面からも、手落ちのない処置を講じていく必要があるのではないだろうか。そういう考え、これは肯定いただけますかどうか、はなはだ問題の点でございますから、大いに意見の分かれるところであるかもしれませんけれども、私はさように考えておるようなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/11
-
012・岡本隆一
○岡本(隆)委員 そこが大臣と私どもの見解の大きく分かれるところです。大臣は、市街化区域を指定してどんどん開発すれば、宅地の供給が豊富になるじゃないか、需要供給の関係だから安くなる、こういうような考え方でおられる。そして、宅地供給は民間の企業の開発に相当期待しておる。公的な開発よりも民間の開発業者の開発というものを相当期待しておられるわけです。区画整理をやって、その開発をどんどん民間企業にやらせる、こういうように期待しておられる。ところが、私どもが心配しますのは、そういう民間企業の開発にまかせますと、いままでは至るところに自由にスプロールして宅地開発をやっておる、ところが、市街化区域以外では宅地開発ができないことになると、その限られたところの市街化区域へ宅地開発業者、宅地業者がどっと押し寄せてきますから、引く手あまたになりまして、それらが地価をつり上げるのです。結局元が高くつくのですよ。開発業者が買うところの地価が高くつきますから、それを区画整理をやって、そして道路その他の施設を整備して宅地化して売り出すということになるとするならば、それらがうんと高いものになっていく。こういうふうになると、なるほど豊富に出るかもしれません。豊富に出るかもしれませんが、最初に買うときにものすごく宅地業者が競争で買いあさっていきますから、元が高くつくのですよ。だから、いまの形のままで民間の業者の宅造に期待いたしておりましたら、逆に値段をあおり上げていくという結果で地価の暴騰が起こる、こう私どもは言っておるわけです。そこまで線を引いてこの範囲でやれ、こう言うたら、どんどん開発したら安くなる、供給が豊富になるから安くなるとあなたはよくおっしゃいますが、そうはいかないのですよ。そこに問題があるということを申し上げているのです。だから、民間の宅造に期待するよりも、公的な開発を中心にやらなければだめだ。あるいはそれができないのなら、この前申しておりましたいわゆる宅地開発公団のようなもの、そういうふうなものをつくって、そういう市街化区域に指定されたところの土地の売買というものは全部それを通じなければできぬ。こういうことにして、公的所有にはならないが、権利の移転についてはそういう公的機関を通じなければできない。売買にいたしましても、貸借にいたしましても、市街化区域におけるところの土地の権利の移転は公的な機関を通じなければできないということにすれば、地価はぐっと下がるのです。だから、そこまでのことをやる勇気はないかどうか。また、それをやることによって初めて地価の安定ができるわけなんです。この前の予算委員会のときにもそういう意見を出しておりましたが、それについてはきわめて消極的な御答弁でありました。きわめて不満ではありましたが、しかし、限られた時間でしたのでこの前は十分論議が尽くせませんでしたから、きょう蒸し返すことになるわけでございます。しかし、これはやはり非常に重要な問題でありまして、これは私だけが思いつきで言っているのではありません。この前もあなたにお見せしましたが、佐々木芳朗という——これは土地不動産業者です。みずからそう書いてます。土地不動産業者と名のっています。一不動産業者ですら、こうなれば土地の売買は公的機関によるよりしかたがない、日本の経済は、このように地価の暴騰がむしばんでおったら、公共事業をやるにしても、宅地はもう庶民の手には入らないというふうなことだから、土地の売買はもう公的な機関によるよりしかたがない、こういうことを言っておりますし、ちょうどきのう出ました「エコノミスト」の四十五周年記念号の記念論文ということで都留重人さんもそれを書いております。やはり土地の売買は公的機関でやれ、土地の公有制ということを書いております。公有制をとる以外に地価の安定はないということを言っております。とにかくいずれにしても、もう世論の方向はそういうところへ来ておるのです。だから、ただそこに政府としての勇気があるかないか。それは、それだけ土地を持っておる人にとれば非常に大きな影響がありますから、あるいは金融機関にいたしましても土地を担保に相当金を貸しておりますから、へたをすると——へたをするというよりも、それは金融機関がパンクするようなことも、地価がひどく下がれば、なきにしもあらずだと私は思うのです。だから、そういう点については、パニックを起こさない程度にやらなければならないと思うのですが、しかし、とにかく国民は今日ほど地価の安定を強く要望しているときはないのであります。だから何らかの強力な手を打つべきときが来ておる。また、それだけの勇気を持たなければならぬのではないか。いつも佐藤さんは勇断勇断ということばを使いますが、政治資金規正法について一向やらぬから、おまえの「ユウダン」は優柔不断の略語だろうなんて言われて野上君に参議院でひやかされておりますが、地価問題についてもそのとおりなんですよ。地価問題についても五年越しです。昭和三十九年から五年越しです。しかも何らの手が打たれてきていない。これは優柔不断ですね。だから、勇断を持て。ほんとうの意味の勇断をこの際持っていただくべき段階が来ているのではないか、こういうふうに思うのですが、ひとつ大臣から御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/12
-
013・保利茂
○保利国務大臣 私も、三十九年にすでに本院で地価安定に関する決議が出されておるというくらい非常に深刻な状態になっておるということについては、岡本さんと同様の感じを持っておるわけです。これは実は事務当局のほうにはまたいろいろなにがありましょうけれども、私の感じからいたしますと、やはり民心の安定、国民生活の安定、それぞれの立場におられる方々が生活の安定をはかっていかれるということが、われわれ政治の分野において至上の願いであると思うわけです。そうしまと、かりに市街化区域の中に土地の所有者がおられる、その土地の所有者は、土地を所有しておるその形においてやはりその方が安定をされるということは望ましいことであろう。しかし、その土地というものはいたずらに思惑や金もうけの手段にされては困る。広く社会的、公共的に利用されていただいて、同時にそれがその方の生活の安定にもなっていくということになっていかなければいかぬじゃないか。そういう上からしますと、岡本さんは権利移動の場合を非常に強く頭に置いておられますけれども、土地の権利移動というよりも、その人が持っておられる土地が社会的、公共的に、すなわち都市計画で期待するところの利用目的が十分達せられるように誘導していくべきじゃないか。したがって、そういうことでなしに、私はとても自分の土地をそういうことには利用できぬ、これはもうどこかへ売り飛ばそうというような場合にどう考えるかということが問題のところだろう。岡本さんはそこに重点を置いておられる。私は、所有関係をあまり移動させないで、たとえば全体をというわけじゃありませんけれども、市街化区域の中に農業を経営しておられる人がある。はなはだ資本回転の悪い農業をやっておられる。その方が住宅地としてそれを利用されるということになれば、農業をされるよりも、利回り、採算の上からいけばむしろ有利に生活の基礎を固めていくことになるのではないか、そういうふうに持っていって、しかし、できるだけ市街化区域の中の住宅地区あるいは商業地区あるいは工場地区、それぞれの用途に十分利用されるように考えていったらどうか。いまお話しの、移動の場合において民間相互の取引はできるだけ抑制して、そうしてそういう場合には公的機関が買い取るとか、いわゆる扱うようにやっていったほうがいいじゃないかということについては、私も事務当局と何べんかお話しし、やはり自分の土地をここは宅地にしなければならぬけれども、どうも宅地にする手数と能力がないからどこかへやろうという場合には、たとえばいまお話しの住宅公団でもよろしゅうございましょうが、住宅公団が積極的に買い進むというようなくふうは当然考えていかなければならぬじゃないかというようなことは十分考えておるわけでございます。しかし、私は、その移動というよりも、むしろ、所有者が移動しなくても、社会、公共のために利用さしていく目的が達成されればいいのではないかというようにも考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/13
-
014・岡本隆一
○岡本(隆)委員 いま大臣のおっしゃいます、基本的な、土地の所有権はあっても、それは有効利用する義務があるのだ、だから、そういうふうな形でできるだけ市街化できるようになれば、宅地もしくは工業地その他の公的な用途に使わしてもらえばいい、こういう考え方については同じなんですよ。そういう考え方から出発しているわけなんですね。そして、いま市街化区域に指定されたところが自由に売買できる、現状のままであるといたしますと、宅造業者は市街化区域以外では宅造でもって金をもうけるわけにいかぬわけですから、市街化区域にどっと入ってきて土地を買いあさって宅造をやって、転売して企業として利潤をあげようとしますね。そういたしますと、やはり狭いところへ競合してくるわけですから、買いあおることになって値段をつり上げるのです。そうすると、それは結局、いかに良心的に運営しようとしても、お互いに競争であれば、値段の高いほうへ売ります。だから地価が買いあおられて高くなる。だから、そういう現象をなくするのには、そういう宅造業者の買いあおりというものをできないようにしなければいかぬ、それには公的機関という網を通しなさい、こういうことなんです。必ずしも公的機関が買うばかりでなくていいと思うのです。大臣がいまおっしゃるように、所有権はそのままで宅地として使えればいい。私もむしろそのほうでいいと思っているのです。これは後にお話しようと思っておりましたが、お話のついでだからそこへ入っていきますが、借りればいいと思うのです。借りるのが一番だと思うのです。農地を宅地に提供してくれ、ひとつ貸してくれ、宅地公団で借りましょう、借りた農地については、たとえば坪三万なら三万、二万なら二万の価格でかりに買うと仮定して、その分の金利を地代として払いましょう——地代の構成なんかについては、結局その人のいままでの営農補償、これだけの収益があがっておるという収益補償プラスその人の利殖補償、そういうようなものを含めての地代で借りれば、一ぺんに買い上げるための資金が要りませんね。だから事業がたくさんやれるのです。借りてやるほうがいいのです。借りてやることによって、今度は地代を物価にスライドして上げてやればいいのです。将来物価が相当上がるかもしれない。だから、この場合だったら、そういうような将来のことも含めた価格でなければ手離しませんよ。しかしながら、将来物価にスライドさすという契約がはっきりしていれば、いわば年金の原資を国に預けるようなものですから、これは安心して渡せますね。そうすると、買い入れもよろしい、しかし、借りもいたしましょう、この際売ってしまいたいという人は買いましょう、しかし、やはり持っておって将来そういう年金の原資にしたいというふうなことなら、お借りいたしましょうという形でその土地を取得して——土地を取得するというより、土地の使用権を取得して、その上に立って公共事業としてずっと広い宅地開発をやる。その場合において、私が言うところの宅地公団が、たとえばそれからあとの開発は開発業者にまかしてもよろしいし、あとは貸すなり——借りた土地は貸す以外に方法はないでしょうから。そういう形で運営していけば、地価というものは、これは形からいえば、収益補償プラス生活再建、補償というものが結局地価になって、あまり膨大なものにならないと思うのです。現在のような坪五万の、十万のというような地価には絶対なりっこないのです。だから、この際、そういう形で農家の収益補償プラス生活再建補償という形のものをぽんと打ち出して、御損はかけません、公的に使わせてください、いやでしたら都市計画事業として収用さしていただきますよ、それもやはりこちらとしてはそういう価格ですよということにすれば、私は地価は安定すると思うのです。また農家も、生活再建措置さえ講ぜられれば、そんなにあまりに膨大な不労所得というものを要求される必要もなかろう、また、これだけ国民が住宅に困っておるときに、そういうことはすべきではない。国とすれば、そういう公的機関——土地の売買ないしはあっせん機関ですな、そういうものの構想をこの際ぽんと打ち出すことによって、地価が安定するのではないか。こういうものを建設省が考えて打ち出していかない限り、いや、税制のことについてはひとつ大蔵省でお願いいたします、あるいはまた、例の都市計画税であるとか、あるいはいまの受益者負担金の制度、そういうことについては自治省でひとつ考えてください、こういうような人頼みのことばかりを考えて地価対策をやろう、こんな考え方でおられたら、これはそこらが協力してくれなければしまいですよ。そこらが協力してくれようとくれまいと、いや建設省としてはこれで行くのだ、建設大臣としてはこれで行くのだ、これでなければ、建設大臣がみずから乗り出して大上段にかまえて地価対策にぶつかっていくということにならないと思うのです。だから私は、この際、そういうふうな考え方をひとつ建設省としては持っていただきたい。今度の法案の採決の場合にはそういう形の修正案を出したいと、私個人は——これはまだ党にはかってはおりません。党に対して提案をしております。これから議論を始めるところでありますが、もし党のほうで承認されれば、そういうような修正案を出したい。それにひとつ建設省も御協力願いたい、与党さんにも御協力願うという形で、ほんとうに建設委員会が打って一丸となって、そういう形におけるところの地価安定策にばんと正面から体当たりでぶつかっていく、こういう姿勢が必要なんだ、また、そういうような姿勢で初めて他の省あるいは他の委員会の諸君の御協力を得られる原動力になってくるのではないか、私はこのように思うのでございますが、大臣の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/14
-
015・保利茂
○保利国務大臣 ただいまの岡本先生の御提案は、アウトラインとしては私もそう考えておるのでございます。それで、なるべくそういうふうに、いまお話しになりましたようなことが充実されていきますために、かりに土番を処分されましても、法外な値段で処分されますと、開発利益の譲渡所得税でいかれますよ、それよりも、その土地を大事に持たれて、そうしてその用途目的に御利用になって家の基礎を固められるようにされてはいかがですかというふうに持っていくべきだ。したがって、いまお話しになりましたようなことを具現化してまいりますためにそういう税制の誘導的措置が必要である。その点は決して建設省は他人まかせでやっておるという——まあとにかく政府の税制調査会があるわけでございますし、そこを税制調査会でもきわめて真剣に取り上げていただいておるわけでございますから、それに期待をかけておるわけです。そういうことで、土地を売ったり買ったりして、その差益で法外にもうけようというような時代はもはや過ぎてしまっておる、そういう段階じゃないんだ、土地を持っておって、しかもそれが利用されることによって、同時にその方の安定もはかっていけるというくふう、それでもどうしてもやむを得ないときは、できるだけ公的機関で買い上げるという方向、これはもう基本的にそれよりほかにない。したがって、これは何といいましても与党たる自民党においてこの問題をどう取り上げていただけるか、幸いに、建設委員会の皆さまはもちろんでございますが、政調会でもまっとうに取り組んでやってもらいたいということをお願いして、大体そういう方向でいけるんじゃないかと思うわけですけれども、これは具体的になかなかむずかしいところがありますから、審議を尽くして結論を得ていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/15
-
016・岡本隆一
○岡本(隆)委員 えらい耳寄りなお話でございますけれども、大体自民党の政調会でもいま言ったような宅地公団のようなものをつくって、そういう方向へいきそうな気配があるから安心してくれというふうに聞き取ったのですが——そうじゃないのですか、もう一ぺんそれじゃ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/16
-
017・保利茂
○保利国務大臣 誤解がありますとなんでございますから……。
もちろん、まだ雑談程度のことでございますけれども、やはり、もはや土地問題、都市問題というものは放置しておけない内政上の最大の課題であるという認識は皆さんもお持ちでございまするし、そのためにはどうするんだ、そのためにはこういうことも一つの方法じゃないか。新たな公団等を組織するまでもなしに、住宅公団の機能である程度果たし得ると私は思っておるわけでありますから、したがって、別の公団等をつくろうということは、私はいま頭には全然ないのでございます。それは公団事務を強化すればいいじゃないか、そんなやたらにあっちにもこっちにも公団をつくるようなことは考える必要はない、やれなければやれるようにすればいいじゃないかというような考えで私はおるわけなんですけれども、しかし、やること自体は、できるだけ、民間の土地所有者が住宅なら住宅、アパートでも建てようと言われるならば、建てやすいような資金的の背景、援助、助成、そういうことをやって、そうして一面、住宅の問題に寄与していくようにすることは当然のことだ。それで、できるだけ土地はあっちへ動かしたりこっちへ動かしたりしないで、その方がそういうふうに利用していただけるような措置をとるべきだ、そうたいして変わりもないかもしれませんけれども、その程度です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/17
-
018・岡本隆一
○岡本(隆)委員 それでは、自治省においでいただいておりますから、その部分をきょうは少し伺いたいと思うのです。
都市計画をやりますと、一応市街化区域と調整区域とに分ける、市街化区域の指定は、十年で都市化できると思う範囲のところでやっていけ、こういうことですね。そういたしますと、この法が実施されますと、一応全国の市町村が一斉に都市計画を立てまして、少なくも市街化区域と調整区域との区分をやることになる。そういう区分をやりますと、市街地開発十カ年計画といいますか、市街化十カ年計画といいますか、そういったものが一斉に全国の市町村で出発するということになってくるのであります。そういたしますと、その市街化区域への公共投資というものは相当な額の集積になってくる。その場合に、その資金的な手当てをどうするか、こういうことになってくるわけでございますが、建設省としてはそれについてどういうふうな資金でその市街化十カ年計画をまかなっていかせるつもりなのか、まず建設省から承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/18
-
019・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 公共投資が間に合うかどうかというお話でございますが、まず市街化区域、調整区域の区分をいたしまして開発許可制をとりますのは、この法律の附則に書いてございますように、全国津々浦々をやるということではなくて——目標としましては津々津々でございますが、当面政令で定める都市計画区域についてそれをやっていく。つまり、人口集中の非常に多い地域につきまして当面やっていこうということで、附則三項にございますように、「大都市及びその周辺の都市に係る都市計画区域その他の政令で定める都市計画区域以外の都市計画区域については、適用しない。」ということにいたしております。私どもといたしましては、大体首都圏、近畿圏、中部圏の、いわゆる大都市の周辺の地域あるいは都市開発地域あるいは新産、工特の区域、あるいは地方の拠点都市の区域というようなものを考えておりますけれども、それにいたしましても、岡本先生のおっしゃいますように、そういう地域で市街化区域を設定した場合に、その公共投資が間に合うかどうかということが問題になります。
市街化区域は、この法律の定義にございますように、既成市街地は当然入ります。それと同時に、おおむね十年以内に優先的、計画的に市街化をはかるべき区域ということになっておりまして、その計画的な市街化をはかる区域で今後十年の住宅なり工場なりの需要をまかなっていこうということで、私どもとしましては、相当の広さの面積がなければならない。その場合に、公共投資が追いつけるかどうかということでございますが、私どもは、この法律は成立後大体一年以内に施行ということを考えておりますので、実際に市街化区域、調整区域が指定されるのはそのあとになろうかと思います。その段階から見まして十年間の公共投資の計画でございますので、現在道路なり河川なりあるいは下水道なりの五カ年計画がございますが、これの将来の伸びでございますから、これはもちろんどうなるかわからぬことでございますけれども、現在の五カ年計画の伸びをそのまま伸ばすというような形で考えますと、そういう主要な都市区域における市街化区域の公共投資は、マクロ的にはほぼまかえるのじゃないか。ただ、実際問題といたしますと、そういう投資計画を立てておきましても、その区域の中で開発が進むと宅地開発が進んで、時期的なアンバランスということができるかもしれません。その場合には、宅地開発者が公共施設を整備するということをやっていただいて、それに対して公共団体が幹線的なものについては費用の負担をするというような規定を置いておきまして時期的な調整もはかっていきたい、こういうふうに大体考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/19
-
020・岡本隆一
○岡本(隆)委員 相当区域を限定してやるから、現在の五カ年計画の資金のワクである程度まかなえるんじゃないかというふうなお話でございますが、そういたしますと、私はことにおそれますのは、いわゆる太平洋ベルトラインといわれる太平洋メガロポリスというようなことばすらいま出てきておりますが、いま、たとえば東京地域あるいは中部圏の名古屋近辺でそういうふうな都市計画の地域が区分されます、そういたしますと、それを避けて工場なんかそれのはずれている地域へどんどん今度はスプロールしていくのです。だから、東海道から山陽にかけてもうずっとべた一面にそういう区域指定をしておかなければ——それはよほど山のふところに入っていけば話は別ですが、平たん地域というものはやはり全部市街化区域と抑制区域とに分けておかなければ、これはもうそういうふうな適用のないところに何ぼでも割り込んでいくのです。それこそ、水が堤防のすき間に入っていくような調子でどんどん割り込んでいきます。だから全国的な規模におけるところの合理的な土地利用計画というものが立たないのです。そういう意味におきましては、北九州からずっと東京、千葉にかけての地域というものは、ずっとベルトライン式に区域指定をぴしっとやっておく必要があるのじゃないか。だから、いま局長が言われるような範囲のきめ方では、これは少し計画的にそごを起こすのではないか、こういうふうに思うのでございますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/20
-
021・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 私どもも先生のおっしゃるように考えておりまして、人口やあるいは工場というようなものが集まりまして、その地域が外に広がっていく傾向のあるところは、これを全部やはり市街化区域、調整区域の適用のある都市計画区域にしていかなければいけないだろう。そういう観点からながめますと、先ほど申し上げましたような地域が大体そういうものに当たる。もちろん、その合い間というようなことが出てくるかもしれませんが、そういうものにつきましては、私どもとしてもやはりその市街化区域、調整区域に指定していく必要があると思います。私どものいろいろな資料によって計算いたしますと、大体先ほど言いました都市計画区域をとれば、その外に市街地が伸びていくというようなところはとらえられるのではないかというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/21
-
022・岡本隆一
○岡本(隆)委員 そうしますと、そういう区域については、一応市街化区域、これから開発していくところについてはさら地が多い、だから区画整理でいきます。公共用地は区画整理で生み出して、それで事業費は古地で生み出したら、もうぬれ手でアワで、政府としては資金面をそう考えなくてもやっていけるのだ、こういうことなんですか。あるいはそれぞれの市町村に特定の起債をやらせる、同町にまた、事業については、先行投資分についてはある程度政府も積極的に援助の体制をとって、それでもって政府資金の投入をやる、こういう考え方なのか。この法案の八十三条には、予算の範囲内で、重要な都市計画や都市計画事業については補助を行ないますと、こういうことが書いてございますが、その点をもう少し具体的にはっきり、特に重要な都市計画というのはどういうことをさしているのか、それからまた、その事業のどういうものについてはどの程度の補助をやるのか、政令で定めるということございますが、どういうような政令内容になるのか、そういうことを、これはいずれ佐野君から詳しく質問されると思いますが、アウトラインだけ私はお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/22
-
023・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 法律に書いてございますように、計画的に市街化をはかる区域は優先的ということばが入っております。おおむね十年以内に優先的に市街化をはかるべき区域ということでございますので、私どもとしましては、従来既成市街地中心に、公共投資というものがなされた、その投資態度を一部変換いたしまして、新市街地にやはり投資の重点を向けていくという態度がどうしても必要であろう、その場合に、既成市街地は非常にお金がかかっておりますので、これを全部やめて新市街地に持っていかなくても、その一部を充当いたしますと、効率としては数倍になると思います。そういう考え方で、まず公共投資の重点を新市街地のほうにも置きかえていくという態度が一つ必要だと思います。
それからもう一つは、先ほど区画整理で例を引かれましたけれども、区画整理に限らず、宅地開発につきましては宅地開発者が公共施設を整備していただく。しかし、それを全部それでは開発者に負担させていいかというと、そういたしますと非常に宅地の売り値も高くなるということもございますので、新線的な施設、たとえば幹線街路でございますとか、あるいは近隣公園以上の公園でございますとか、そういうようなものにつきましては、区画整理で現在一部やっておりますように、その費用を一部公共団体に負担を求めることができるという規定を置きまして、そうして公共団体がそれを負担していくという形にしてまいりたい。ただ、公共団体自体が財政的に苦しいという問題がございましょう。その場合に、私どもとしましては、現在制度としてできております都市開発資金の拡充なり、あるいは自治省でお考えになっているような先行取得債の拡充なりというようなことをはかって公共団体のほうの資金の手当てもしていかなければならないのではないか、そういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/23
-
024・岡本隆一
○岡本(隆)委員 大体この補助の程度ですが、一体何分の一くらいを考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/24
-
025・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 国から出します補助につきましては、現在の補助率というものを考えているわけでございまして、街路については三分の二、その他につきましてはそれぞれの補助率がきまっておるわけでございます。それ以外に、先生御承知のように、特別の地域立法によりまして補助率のかさ上げがございます。そういうものでそれぞれ——特に補助率をこの都市計画法の施行によって高めるということは現在のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/25
-
026・岡本隆一
○岡本(隆)委員 そういうことになってまいりますと、やはり十カ年計画をそれぞれの市町村で立て、そして一斉にスタートせざるを得ぬわけです。いままでは、まあそういう都市計画をやりましても、何年以内にやらなければならぬというワクはなかったわけです。今度は決勝点がきまってくるわけですね。期間の制約があるわけですね。それ以上長期にわたりできないようなところについては、市街化区域を指定してはいかぬということになっていますが、市街化区域と指定した限りにおいては、十カ年間にその地域の公共投資を完了しなければならぬ、こういうことになります。そういたしますと、どこの市町村でも、やる場合には、やはり理想像というものを考え、相当まとまった都市形成というものを考えて計画を立てると思いますから、資金需要は相当旺盛になってくると思うのです。だから、そういうような資金需要に備えるためにも地方財政計画というものが必要になってくると私は思うのでございますが、自治省ではその点いかがお考えになっておられますか、自治省から御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/26
-
027・横手正
○横手説明員 最近の地方財政の問題点としましては、都市問題対策、それと、これに対しまして過疎地域対策、こうしたものが現下のかなり大きい問題になっております。自治省としましても、都市対策につきましては地方債に重点を置きながらいろいろ財源措置を講じてまいっております。今回、そうした市街化区域というものがきまりまして、十カ年間の関連公共投資の事業量なり、あるいは毎年度ごとの実施計画、こういったものがきまってまいりましたならば、それによる地方負担につきましては十分な財源措置を講じてまいるように検討してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/27
-
028・岡本隆一
○岡本(隆)委員 えらいほどのいい御答弁で、そういうふうにいけば非常にしあわせだと思いますが、できるだけそういう形で、せっかく立てた計画ならそれを実行できるようなめんどうをひとつ見ていただきたいと思うのです。
そこで、もう一つお尋ねしておきたいと思いますが、都市計画を実施いたします市街化区域と調整区域、その調整区域にも将来市街化区域とされるべきところが相当あるわけです。だから、そのおのがじしの理想像としては、将来像としては、相当広範囲な都市計画が立てられておる。そうすると、そこで街路に相当する場所、あるいは公園であるとか公共施設に将来当然なるべき場所、そういうところについては、これはやはりある程度そこに用途規制がなければならぬ。また、その用途規制があれば、建築の制限というものが、そこのところでもって開発をやる場合には許可制になっております。だから、ここは将来公園になるのだ、ここは道路になるのだ、そういうところを開発工事をやってもらっちゃ困る、こういうことになってまいると思うのでございますが、そういう場合には、この法律では先買い請求の権利が留保されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/28
-
029・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 おっしゃるように、市街化調整区域の中におきましても、たとえば都市と都市を結ぶ路線がたまたま都市内の街路にも相当するというようなところもございまいましょうし、非常に広い都市区域でございますと、その都市の中の拠点と拠点を結ぶというような街路がどうしても要ることになると思います。また場合によりましては、大公園等はやはりその中で将来のためにとっておかなければいかぬということがございますので、市街化区域の外におきしても、そういうような都市施設の計画決定をいたすことになると思います。それからその場合に、また事業も都市計画事業としてできると思います。その場合、この法律におきましては、市街化調整区域であるといなとを問わず、都市計画事業をやります場合には先買い権が働く、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/29
-
030・岡本隆一
○岡本(隆)委員 これは農林業との関係が相当深いと思うのですね。調整区域については、いま局長の言われる調整区域ではある、しかしながら、もう次の段階で市街化されるべき地域だ、こういうふうなところになってまいりますと、勢い、農林省のいうところの農業振興地域の指定あるいは農業投資というふうなものがためらわれる。当然またそうあるべきだと思うのですね。そうしますと、その地域が施策の谷間になるということで農業団体なんかは相当心配しておる。これはこの前予算委員会でこの点もお尋ねしたのでございますが、時間がなかったのでゆっくりお伺いできなかったのでありますが、勢いどうしてもそういうことになる。十年お預けを食うということになりますが、そういう地域についても何らかの——たとえば、そんなことになるのだったら、いまのうちに先に買い上げてもらいたい、そういうような要望が出ないとも限らないと思うのですが、その点については何らかの法的な補償というか、あるいは法律的な救済措置がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/30
-
031・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 市街化調整区域内の一般の土地につきましては、それを買い取り請求に応じて買うとかあるいは補償をするというようなことは考えておりません。これは一時段階的に待たせることもございますし、それ以外の例もございますけれども、私どもといたしましては、市街化調整区域として補償ということは考えておりませんので、一般の土地につきましてはそういうような規定を置いてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/31
-
032・岡本隆一
○岡本(隆)委員 このあと、都市計画の内容として、ずっと何項目か都市施設として並んでおりますね。その中の一項として住宅というものがあるのですが、私はこの考え方がこの都市計画法の大きな欠陥だと思うのです。これはいずれ大臣がおられるときに政策論争としてお伺いする必要があると思うのでございますが、都市というものは、まず住民の住むところ、働くところ、その次にはいこいを求めるところであり、あるいは流通を行なう場であり、あるいは教育をする場でありというふうなことは、その住民に対する付帯的な、付属的なと申しますか、付随的な内容として、いろいろの仕事が出てまいります。しかしながら、都市というものは、まず第一に住民が住むところであり、働くところなんです。ところが、その都市施設の中に、その住宅というものが、他の項目、たとえば公園、道路というものと並列的に並べられておる。都市にとっては住宅というものは一番の大きな施設であるにかかわらず、並列的に並べられて、特段の配慮が住宅というものについては行なわれておらない、これが私はこの都市計画法の一番大きな欠陥といいますか、そういうことよりも前近代性というか、あるいは日本の住宅事情の現状に対する非適合性といいますか、非常に大きな一いまの日本の段階でわが国の国民が何に困っているかといえば、一番住宅に困っている。その段階におけるところに生まれてきた都市計画法としては、これが一番大きな都市計画法の立て方の欠点だ、こう思うのでございますが、これは大臣就任前からこの法案の立案に一番中心になってこられた都市局長に、なぜ住宅というものをもっと都市施設として重点的に取り上げて重要項目として考えなかったかという点について、あなたの見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/32
-
033・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 先生おっしゃいますように、都市というものは建物と公共施設からなっているわけでございまして、建物の大部分が住宅、住宅というものが都市構築の一番大きな要素になっていることは、おっしゃるとおりでございます。都市計画というのは、先生御承知のように、一つは、地域地区制とかあるいはその他の方法によりまして、それぞれの土地の利用、つまり建築物としてどう利用するか、どの地域においてどういう利用をさせるかというのをきめると同時に、それに見合った形でそれに必要な道路とか公園その他の公共施設をきめていくという、まず土地の利用計画をきめるのが都市計画の基本でございます。したがいまして、その土地の利用をきめます地域地区の場合に、ここに住宅地を置く、あるいはここは専用住宅地区にするとかということをいたしまして、民間なり公共なりの土地の利用を誘導する、規制によって誘導するということが一つございます。もう一つは、事業をやりまして、事業によって実現していく、二つあるわけでございます。その事業によって実現する場合に、一つは、都市施設として実現するものと、もう一つは、市街地開発事業というような面的な開発事業として実現する方法があるわけでございます。ここに掲げております都市施設の中の一団地の住宅施設と申しますのは、収用権を当然伴う仕事でございまして、したがいまして、これは都市計画事業として行なわれる、土地を造成し、そこに家を建てて供給する、こういう事業でございます。個々の建物、個々の住宅を建てるものを施設にいたしまして直ちに収用権を働かすというわけにはまいりませんので、ある程度まとまった住宅施設についてはこれを都市施設として認めて、そして収用権なり先買い権なり都市計画事業のルールにのせて事業ができるようにする、こういうことでございます。それからもう一つは、新住宅事業とかあるいは土地区画整理事業で、これは主として宅地の整備でございますけれども、そういう事業によりまして、これもまた都市計画事業として仕事をしていく、こういうことでございまして、個々の建物につきまして都市施設にするというところまでは、ちょっと外国の立法例等にもございませんし、そこまでは無理じゃないかということで、一団地の住宅施設に限って都市施設として認める、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/33
-
034・岡本隆一
○岡本(隆)委員 そこらからがだいぶ議論の分かれどころになってくると思うのです。また、そこらからがやはり政策論争になってくると思うのです。
政務次官にお尋ねいたしたいと思いますけれども、都市計画というものが、単に土地利用区分をきめるだけだ、ここは住宅地だ、 ここは工場地だ、ここは流通市街地だというふうなことをきめるだけだ、あとはそれぞれ公共団体がすべきものと特に指定されているものは公共団体がやる。しかし、その他については民間にまかせておくのだ、こういうふうな局長のお話ですね。なるほど、公設市場のごときは流通業務団地ですね。流通業務団地などは公的な機関によって建設し、運営していかなければならない。学校についても公園についても同じでしょう。問題になってくるのは住宅です。都市というのは住宅がなければ成立しないのです。何ぼ流通業務団地をつくっても、何ぼ学校をつくても、住民が住まなければしかたがない。ところが、住民は、そこに住むにも、家を建てるにも、金がないのですよ。そして民間のほしいままの形にまかせておいたら、二階建ての重層アパートですよ。すぐスラムみたいになってしまうようなアパートなんです。だから、民間人の持たない信用を公的機関が貸してやる。言いかえるなら、民間人のかわりに金を借りてやり、借りた金で家を建ててやる、そしていまの分譲の形で二十年なり三十年の長期のくずしで払わせるか、あるいは建設費まで払うのはかなわぬという者には、利息分を家賃として払いなさい、こういう形で家を建ててやる。公的機関なら何ぼでも信用はありますから、そういう計画を立てて公営住宅あるいは公的住宅建設をやれば、都市施設としての住宅というものはつくれると思うのです。いまの政府の、住宅は自分のもの、自分で建てるものという考え方——信用も何もない、しかし、まじめにきばって働きさえすれば、ぼつぼつくずしで払うか、あるいはその家賃くらい払えますという人のために信用を貸してやればいいのですよ。だから、都市施設として住宅を建てるべきではないか。住宅のない都市なんておよそナンセンスです。また、その住宅が、木造のきわめて粗末な、環境の悪いものを建てておけば、それはスラムです。新しい間はなるほどスラムという印象は受けませんが、しかし、何ぼ新築の、建ったままの姿であっても、二階建ての、廊下をはさんで一部屋か二部屋くらいのアパートがずらっと並んでいるというようなものは、さらでも、実質的にはスラムに違いないのです。見た目にはそうではないかもしれませんが、住みごこちその他は実質的にはスラムです。そういうようなスラム建設がどんどん行なわれているというのが今日の現状なんですよ。だから、都市計画をやるのなら、やはりその都市施設として、信用のある機関が、その信用において住民のかわりに家を建てて住まわせる、そこまで進むべきだ、私はこう思うのです。そういうふうな方向へこの都市計画法というものを持っていけないか。だから、都市計画法の中に、住宅というものを都市施設の最も重要なものとして考えて別に一項を起こして、自治体なり都市計画の起業者はそういうふうなことにも責任を負わなければいかぬというようなことをこの法律案に書けぬか。そういう修正ができぬか。言いかえるならば、そういうふうな修正案をわれわれが出した場合に、政府としては応じられるか、応じられぬか、そういうことをひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/34
-
035・仮谷忠男
○仮谷政府委員 今度の都市計画法案が、御承知のように、無秩序な都市周辺の現在の開発をそのままにしておくわけにいかない、秩序ある建設をしていこうというたてまえから進められたわけでありまして、土地を計画的に利用していこうというようなこと、それは土地対策、地価対策の面からも考えられておることは、すでに御承知のとおりであります。そういう面から考えると、住宅、宅地の大量造成ということをやはり重点的に考えていかなければならぬことは私どもも同感でございまして、そういう面からこの問題を取り上げておるわけであります。したがって、先生がいまおっしゃった住宅に重点を置けといった問題も、個々ぱらぱらの問題についてはこれはちょっと問題があるかとも思いますけれども、いわゆる団地住宅の施設を取り上げて、それについて積極的にこちらもつとめていこう、こういうことがこの一項にあがっておるわけでありまして、現在のこの法案の趣旨からいっても、私はむしろ先生のいまおっしゃった考え方が重点で行なわれていくのじゃないかという考え方を持っております。ただ、法案の条文をちょっと訂正するか、修正するかという問題については、これはひとつわれわれの側でも検討してみませんと、いま御即答を申し上げるわけにいきませんけれども、趣旨としては、あくまでも住宅の団地の積極的な設置を行なって、そして今日の土地対策あるいは地価対策あるいは住宅対策の一助にもしようというのが、今度の法案の趣旨ではないか、こういうふうに私は考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/35
-
036・岡本隆一
○岡本(隆)委員 政務次官、そうおっしゃいますけれども、この法律案を見ますと、第十一条に都市施設としてずらっと並んでいるのですね。道路、都市高速鉄道とか、公園、水道、学校、河川、図書館、それから一団地の住宅施設ということになっておりまして、「一ヘクタール以上の一団地における五十戸以上の集団住宅及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。」というようにして、十一の中の八つ目に並んでいる。それで、こういうふうに都市施設として住宅建設用地というものをつくっておけば、集団住宅を公団や公社が建てるであろう、また公共団体も公営住宅を建てるであろう。建てます。この法律は政府がきめるのですから、建てるであろう、こういうことで出ているのですね。これはもう何にもそこに——都市計画をやるのについては、まず住宅を建てることが大事ですよ、そして良好な、環境のいい住宅をその都市計画をやる人はがんばって建てなさい、そういう姿勢はこの法律案の中にどこにもないでしょう。そんなふうに読めますか。読めるんだったら、あなたの目はよほど鋭いいい目だと思うのですよ。ぼくらにはこれは書いてあることより読めぬ。書いある裏にそんな氷山の中の根っこのような大きなものがあるとは思えない。だからやはり別に一項起こして、住宅建設に対する自治体の責務とか、そういうふうなものを起こして、そして資金のない、信用もない、しかしながら働く能力は持っている、働く意欲は持っている、働きさえすれば家賃は払える、また、長期の分譲であれば分譲価格も払える、そういう者に対して、積極的な意欲を持って住宅を提供しなさい、こういうことはどこにも書いてないですよ。だから、そういうものを一項入れる必要があるのではないか、そういうような修正案を出したら、応じられぬか、こう言っているのです。これは政策論争ですよ。そのあたたかい血の通った政策を法律案の中に盛り込むことが法案の審議なんですよ。出てきたものを、ああこれはいい、悪い、これは削れだけじゃいかぬ。ほんとうに議論して、なるほどなということなら、ひとつそうしようかということになって初めて血の通った政治と言える。だから、政務次官、どうです、これはひとつやろうじゃないですか。修正しようじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/36
-
037・仮谷忠男
○仮谷政府委員 御意見はよくわかるのですけれども、これは八番目に書いてあるから主張が弱いというわけでは必ずしもございません。やはり都市計画にしても、今度の新しい法案にしましても、御承知のとおり、住みよい、働きよい場所をつくるんだから——住みよい場所というのは、宅地だけではもちろんございません。それに付随した道路もできなければいけないし、水道もできなければいけないし、公園も必要ですし、学校も必要でしょうから、宅地だけを取り上げて特別に市町村に義務づけるということについては、いささかどうかということがいろいろ議論をされたのじゃないか。私はこの法案の最初の原案のときにはいませんでしたけれども、そういうふうに思っておるわけで、趣旨としては、いま現実に宅地が少ないことは間違いないわけで、そのためには団地の施設をやろう、こういうふうに考えておるし、個々の人々が家を建てる場合にも、それを建ててはいかぬというわけではないし、宅地造成もやりますし、そうした建築をする場合にはまたそれぞれ融資や手当てもしていこうというので、決して宅地をおろそかにしているわけではない、重点には考えていますけれども、その他のものも全く必要はないというふうには考えられませんから、やはり生活環境をよくするためには、宅地と宅地に付随したいろいろな施設も必要だという観点から考えておるわけでありまして、八番目に書いてあるからといって必ずしも軽視しておるわけではございませんから、その点は御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/37
-
038・岡本隆一
○岡本(隆)委員 いずれ私のほうでも党内で意見をまとめます。この法律案は、最初から申しておりますように、確かに、地価の安定であるとか、あるいは今後の都市形成というものについて、それをまかなっていくのに非常にいい、しかしながら、一つ間違ってくると、へたをすると地域住民を非常に苦しめる刃物にもなっていくのじゃないか、それだけに、私どもはこの法律案の効果というものに大いに期待いたしていますし、またこの法律案は何とか成立さしたい、しかし、それは住民に害を及ぼさない、国民に害を及ぼさない、国民のためになる法律として実を結ばせたい、これが私どもの真意なんです。決してこの法律案の成立をはばもうの、あるいはまた、この法律案をことさらにゆがめようの、修正をして政府のメンツをつぶしてやろうの、そんなことは全然思っていないということは、これはもういままでの経過から政府当局にも知っていただけると思うのです。そういう意味で、まじめにこれから論議をいたしてまいりたいと思いますので、私どもが意見としてまとめましたら、ひとつできるだけまじめに話し合いをしていただくようにお願いいたしまして、きょうはだいぶ時間もたちましたから、この辺で質問を終わらせていただきたいと思います。なおまた次回に続いてやらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/38
-
039・加藤常太郎
○加藤委員長 次回は公報をもってお知らせする
こととし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X00919680327/39
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。