1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月三日(水曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 加藤常太郎君
理事 金丸 信君 理事 丹羽喬四郎君
理事 森下 國雄君 理事 渡辺 栄一君
理事 岡本 隆一君 理事 佐野 憲治君
理事 内海 清君
伊藤宗一郎君 池田 清志君
稻村左近四郎君 浦野 幸男君
大野 明君 佐藤 孝行君
澁谷 直藏君 田村 良平君
葉梨 信行君 井上 普方君
石川 次夫君 島上善五郎君
下平 正一君 福岡 義登君
吉田 之久君 小川新一郎君
北側 義一君
出席国務大臣
建 設 大 臣 保利 茂君
出席政府委員
経済企画庁総合
開発局長 宮崎 仁君
運輸省港湾局長 宮崎 茂一君
建設政務次官 仮谷 忠男君
建設大臣官房長 志村 清一君
建設省計画局長 川島 博君
建設省都市局長 竹内 藤男君
委員外の出席者
経済企画庁総合
開発局参事官 山下 武君
厚生省環境衛生
局公害部公害課
長 橋本 道夫君
農林大臣官房参
事官 太田 康二君
通商産業省企業
局立地公害部長 矢島 嗣郎君
専 門 員 熊本 政晴君
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三月二十八日
委員井上普方君辞任につき、その補欠として加
藤万吉君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員加藤万吉君辞任につき、その補欠として井
上普方君が議長の指名で委員に選任された。
四月二日
委員小川新一郎君辞任につき、その補欠として
竹入義勝君が議長の指名で委員に選任された。
同月三日
委員竹入義勝君辞任につき、その補欠として小
川新一郎君が議長の指名で委員に選任された。
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四月一日
都市再開発法案の一部修正に関する請願(岡本
隆一君紹介)(第三二六九号)
同(岡本隆一君紹介)(第三三三五号)
都市計画法及び都市再開発法制定反対等に関す
る請願(河野正君紹介)(第三四二五号)
同(広瀬秀吉君紹介)(第三四二六号)
同(福岡義登君紹介)(第三四二七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
都市計画法案(内閣提出、第五十五回国会閣法
第一五二号)
都市計画法施行法案(内閣提出第五六号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/0
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001・加藤常太郎
○加藤委員長 これより会議を開きます。
都市計画法案、都市計画法施行法案、右両案を一括議題とし、審査を進めます。
両案に対し質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐野憲治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/1
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002・佐野憲治
○佐野(憲)委員 今回の都市計画法は、旧来の都市計画法の改正ではなくて、新しく制定された、そういう意味におきまして非常にいろいろな問題点を含んでおるのでありますけれども、私、この機会に大臣に率直にお聞きしておきたいと思いますことは、現行の都市計画法につきましてしばしば大学の行政法の教授の皆さんから言われるわけですけれども、大学で行政法の講義をしていても、都市計画法を講義するほど全くつらいことはない、学生たちも何だかぽかんとしておる、こういうことをしばしば耳にするわけです。そういう意味におきまして私もまた考えさせられますことは、「憲法は変わるけれども行政は変わらない」というオットー・マイアーのことばが思い起こされるわけです。
そこで、新しい憲法が生まれてまいりましても、大正八年に制定された都市計画法が今日まで続いてまいった。しかし、今回抜本的に新しい町づくりの都市計画法を制定されようとしておる。この点につきまして、大学の教授が恥ずかしくて講義もできないという現行の都市計画法、そしてまた、それを改正しようとする点につきまして、大臣としては、率直に、どういう点が――立法論としてもあるいは立法技術的な面から見ても一番大切な点だと思われますことはどういう点ですか、そういう点をまずお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/2
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003・保利茂
○保利国務大臣 どうも私は佐野さんのように勉強しておりませんものですから……。法律論云々ということよりも、つまり日本の国土をどういうふうに利用していくか、お互いに国民の生活環境を整備してよりよき国民の生活を持ち得るためには、現状ではこれを保しがたいわけでございますから、どういうふうにこの国土の利用をはかっていくべきであるか、特に人口、産業が近年著しく集中してまいりました地帯における市民生活、国民生活の状態というものが、あるいは交通の上から、あるいは諸般の公害の問題から日々を悩んでいる。この狭い国土を一体どういうふうに効率的に利用してまいるかということは、まあこれは法律論を抜きにして考えなければならぬところじゃないか、そういう上からいたしまして、全国の国土総合計画が持たれ、あるいは各地域開発計画が持たれ、末端の都市計画というものが、――いわゆる都市計画にしても、土地の利用計画をどう国民生活の改善と結びけて持っていくかということが基本的な考え方になろうかと思うわけです。したがって、そういう上から、現行法をもってしてはそういう時代の今日の国情に相応していくのに非常に困難である。したがって、抜本的に一応そういう見地から見直してまいるべきであろうというのが、私は、この法案が生まれてきておるゆえんだ、こう理解をいたしておるようなことでございます。それはなるほど、学校の講義でどういうふうに言われるか、これはまた別の問題で、これは私のほうでは受け答えできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/3
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004・佐野憲治
○佐野(憲)委員 大臣の答弁の問題は後ほどまた煮詰めていきたいと思いますけれども、私が率直にお尋ねしておるのは、現行の都市計画法が、少なくとも事業主体が所管大臣である建設大臣である。いわゆる住みやすい町づくりをする、それが本来の町村の仕事であるにもかかわらず、建設大臣が主体だ、建設大臣の機関委任によって町村が仕事を施行する。機関委任事務をとっておるわけですね。そういう点から考えてまいりますと、憲法第九十二条に、地方自治の本旨に従って組織、運営を定めねばならない、特に第八章、地方自治の条項を設けておるわけですね。そういう意味におきまして、大臣は地方自治の本旨とは一体どうお考えになっておるのか、こういう点も、この機会に、まず具体的な内容に入る前に吟味さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/4
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005・保利茂
○保利国務大臣 なるほど、手続関係からいいますと、現行の都市計画は建設大臣が取りきめるようになっておるようでございますけれども、しからば建設大臣が富山県の何とか町のことを一々調べてきめているわけじゃないので、やはり富山県の当該市町村なり知事さんなりに持ってきていただいて、なるほどごもっともでございましょうということで、一応手続関係がそうなっているということで、本来、要するに、効率の高い住みよい都市づくりをするということでございますから、その発意なりあるいはくふうなりというものは、当然、それはもう地域住民といいますか、その自治体においてお考えになってくる。したがって、今回の法案におきましては、そういう手続関係におきましても、すべて知事なり市町村なりにおまかせをするというような、大体原則的にそういう方向をとる。要するに、その地域住民のお世話をすべき公共団体がその責任を持つというように、これは大きな――手続の上からいたしましても、新しい時代の立法としては適切じゃないか、私はこう考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/5
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006・佐野憲治
○佐野(憲)委員 いや、私は具体的な問題はいずれまた内容によって質疑さしていただくので、その前に、地方自治の本旨に対して一体どう理解しておられるか、こういう点です。地方自治が少なくとも日本の民主主義政治にとっては大事な基盤だ。だから憲法は第八章に特に条項を設けておる。一体地方自治の本旨とは何なんだろうか、それに基づいて組織、運営なりをきめなくちゃならないと思うのです。大臣は、地方自治の本旨とは一体どのように理解しておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/6
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007・保利茂
○保利国務大臣 地域住民の意思によって、その地域のための行政を地域住民の意思に沿うて行なっていくようにするということが、私は自治の本旨じゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/7
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008・佐野憲治
○佐野(憲)委員 まあ地方自治は、団体自治と住民自治、二つの要素が結び合って生まれておると思うのですけれども、そういう観点から考えてまいりますと、しかも政治目的のために地方自治がある、行政の問題は、その目的を達成するための一つの付随的な行為として行政の効率化なりあるいは能率化なり、いろいろな問題があるわけです。ですから、一番民主主義の基盤である政治目的、しかもこの自治権はどこから由来しておるかというこの点につきましても、私、大臣の考え方をもう少し吟味しておきたいと思うのです。
いま、たとえば、憲法に地方自治の条項を設けておる、こういう国は少ないと思います。ドイツのワイマールにはそういうものがありましたが、憲法に特にそういう条項を設けておる、こういうことに対しまして、学説としてはいろいろな意見が出ております。国の統治権による委託として地方自治は憲法上認められておるのだ、あるいはまた、たとえば国が承認する統治権の中において、あるいはまた許容する、そういう中から地方自治権というものは理解していこうという、こういう解釈もあるわけです。しかしながら、地方自治の定着しておるたとえばイギリスにしても、これは憲法は成文法は持ちませんから問題ないですけれども、何らその規定がない。たとえばアメリカにいたしましても、スイスにいたしましても、地方自治に対するところの憲法上の規定は何らない。北欧関係を見てまいりましても、憲法はありますけれども、特に地方自治という条項を設けている国は少ない。しかも地方自治は定着しておる。こういう点に対して大臣にやはり考えていただきたいのは、地方自治権というものは、基本的人権と同じように自然法上の権利である。ですから、憲法はこれを確認したにすぎないのだ、こういうたてまえから考えてまいりますと――そういうたてまえを大臣が承認されるかどうかは一応また別の機会にお尋ねすることとして、そういう考え方に立つとするならば、現行の都市計画法が最大の欠陥を持っておるということは、住民が参加をする、住民が意思決定をする、この住民自治の道が閉ざされてしまっておる。団体自治の面からながめてまいりましても、建設大臣の機関委任として町村並びに町村長が存在するにすぎない。だから、東京都の副知事をやっておられた鈴木さんが、ちょうどオリンピックのときに私にしみじみ話しておられたわけですけれども、たとえばここにオリンピックのために都市計画として体育館をつくった、片方、本来の東京都の仕事として体育館をここへつくった、この場合におきまして、都市計画として体育館をつくった場合には、建設大臣の機関委任事務としてやるわけですから、議会はこれに対して決議をするだけで、監査権は持たない。入札その他に対しましても何らの規定がない。しかも機関としての東京都知事であり、東京都でありますから、これに対する職務命令によりまして、自治法の百四十六条ですか、これによって罷免権が発動される。全く乱暴な立場に立たされる。片方の都市計画でない体育館は、厳密な議会の論議が展開される。これは監査権が当然伴うと同時に、これに伴って入札は地方財政法によって規定されておる。同じ体育館を建てながら、片方においては何ら議会すらも関与することができない、監査権すらない、こういう中で事業が進められておった、こういうことが最大のやはり欠陥じゃないか、こういう点で鈴木さんが漏らしておられたわけですけれども、私もやはり同感だと思ったわけです。そういう点も是正をして、本来の都市計画は一体何を目的とするのか、そのためには、地方自治の本旨に従って住民自治なり団体自治の適合する手続関係というものは明確になってこなければならぬじゃないか。いまのように機関委任としての形ではやはり最大の欠陥もあるし、これでは大学の先生が、憲法は生まれておるけれども、大正八年の中央集権下の――しかも町村を信頼することができない、大臣が権限を持っておるのだ、それを委任をするのだ、こういう形でいままでの街路なり、あるいは公園なり下水道がやられてきたわけです。こういうことに対する反省なり、こういう考え方を破って、新しい町づくりの手続の制定、これらがやはり重大な問題だと私は考えるわけです。
そういう点から考えまして、今度の都市計画の場合におきまして、大臣にお尋ねしますが、権限はあるいは県知事なりあるいは市町村長に委譲されておる面が多くあると思います。大臣みずからがやる場合もあります。しかしながら、ここで確認しておきたいのは、大臣、一体この都市計画事業というのは、町村なり県なりの固有の事務としてできるのか、国の事務として機関としての町村長、県知事に委譲したわけですか、その点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/8
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009・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 ただいま御指摘の都市計画事業につきましては、新法の都市計画事業の項にございますように、原則としては市町村がこれを行なうということにいたしております。これは、都市計画事業につきましては、従来のような機関委任事務ではなくて、地方公共団体の事務だというふうに考えております。ただ、学問上の、固有事務か委任事務かということにつきましては、最近では、固有事務、委任事務ということを必ずしも区別しても実益がないじゃないかという議論がございますが、ことは解釈の問題になると思いますけれども、公共団体の事務にいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/9
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010・佐野憲治
○佐野(憲)委員 それじゃ、この法律の中にいろいろな大臣の指示権なり、それから代行された措置なり、いろいろな権限を留保しておるでしょう。これは固有事務の場合においてはおかしいじゃないですか。団体自治の立場に立っても、これは固有事務、本来の事務であるのに、それに対するところの指示権なり何なりのいろいろな要件がこれに留保されておるでしょう。国の事務だからこそ、あなたにまかせるけれども、これに対して大臣としては権利を発動しますよ、場合によっては事業の施行を取りかえますよ、町村長が信頼できなかったり、命令したことをやらなかったら、かえてしまいますよ、首にしますよ、百四十六条を適用しますよということがちゃんと出ておるじゃないですか。一体そんな団体自治がありますか。一体そんな町村長の固有事務がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/10
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011・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 ただいま私が申し上げましたのは、都市計画の決定、それから都市計画事業の施行と分けて申し上げたわけであります。従来下水道等でやりましたのは都市計画事業でございますので、それは公共団体の事務であると申し上げたのであります。都市計画決定につきましては、たてまえとしては市町村がやることになっておりますけれども、広域的な観点からきめるようなもの、あるいは広域都市計画決定の中には国なり県なりがやる事業も相当ございますので、そういうような根幹的な事業につきましては知事、それからそれ以外の事務については市町村長、こういうふうにしているわけでございます。市町村に授権されております都市計画の事務というのが固有事務か委任事務かというのは議論があると思いますけれども、私どもといたしましては、公共団体の事務だ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/11
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012・佐野憲治
○佐野(憲)委員 それなら、一体何のために、町村のやることに対して知事が決定をする、こういう形にするのですか。町村がみずからやればいいわけです。あるものは県知事の決定になってくる、他のものは町村の議会の議を経てやる、何のために二つに分ける必要があるのですか。しかもこれに対して建設大臣がみずからの権利の発動権を法律上は握っているでしょう。一体そんな町村事務がありますか、公共団体の固有の事務がありますか。団体自治というのは一体どういうものですか。国の事務だ、いままでのような機関委任としての明確な形なり、それは避けておる。しかしながら、権限を委譲しておるのは、国政事務だけ委譲しておるのであって、本来のものとしてそこに与えたのではないでしょう。そうすると、団体自治という立場から考えてもおかしいじゃないですか。それから住民自治――本来の住民自治は、この都市計画によって自分の町が一体どうなるのだ、自分たちはどういう形においてこれに参加していくのだ、町のいろいろな問題について自主的に参加する、そうして自主的に決定をして活動する、これが住民自治でしょう。そこが地方自治の基礎だといわれておる。そういう観点から考えてまいりますと、自分たちの住んでおる自分たちの地域、これをどう住みよい地域にするかという都市計画本来の目標ですが、これに対しまして一体どういうことになっておりますか。私自身が抜き書きしたのを――これは大臣のお話を聞いたほうがいいと思いますが、今度新しくなってまいりましても、一つは、住民の地位というものは一体どういうぐあいになっているか。大事な住民の参加、この点につきましては私あとからまた聞きますけれども、一つには、住民の責務、第三条の第二項で住民の責任というのをうたっておる。第二点としては、「都市計画は、総括図、計画図及び計画書によって表示するものとする。」十四条の一項です。この表示で、自己の権利にかかる土地が、土地に関する権利の所有者が容易に判断することができるようになっている。これは十四条の二項です。三番目には、都市計画案の縦覧期間を二週間とする。これは十七条一項です。四つ目には、特定街区にかかる都市計画案は、利害関係者の同意を必要とする。十七条の三項です。これだけが住民の関係しておる条文にすぎない。たった四つしかないわけです。自分のところの町をつくる、その手続の作成にあたって、住民自治の立場というものは一体どこに行ってしまったのか。また、宅地審議会あたりが指摘しておるように、重大な住民の問題だから、公聴会なり説明会なり、いろいろな形で住民の意思が反映できるような、住民が参加できるような道を講じなくてはならぬ。しかしながら、皆さんの案からはこれは全部消えてしまったでしょう。そうすれば、大事な都市計画の中におけるところの最も大切な手続の中に住民は参加することができない。こういう点に対してどうお考えになりますか。いま申し上げたようにとの四つしかないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/12
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013・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 住民の参加というのは現行法に全く規定がございませんので、何とか都市計画をつくる場合に住民の意見の反映ということをしなければいけないということで、答申には確かに公聴会とか説明会等を設けなければならぬということを義務づけるという答申がございました。その後いろいろ行政の実態等から調べてまいりますと、必ずしも公聴会、説明会というようなものを設けることが適当でないというようなこともございまして、文書によって意見書を提出する、その要旨を都市計画審議会に出しまして、都市計画審議会が判断するときの材料にするというような形にしたわけでございます。それ以外に、市町村がつくります都市計画につきましては、市町村の将来のビジョンを定めるような基本構想を議会の議決で定めまして、それに即して都市計画をきめなければいかぬという形にいたしております。また、都市計画地方審議会は、先生御承知のように、現在でもその市町村なりあるいはその県の議会の議員の一部の方が入っておられますけれども、そういうような地方審議会というのは、各級各機関の各種の意見の調整をしなければならぬところでございますので、政令できめることになると思いますけれども、将来もそういうような地方の首長なりあるいは地方の議会の議員というものは入れていく、そういうような形で各級各機関の意見の調整の場におきまして代表を出していただいてそこで決定をする、そういうような形で住民の意見の反映をはかってまいりたい、こういうように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/13
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014・佐野憲治
○佐野(憲)委員 大臣、私が最初に申し上げましたように、少なくとも憲法にいう地方自治の本旨、いわゆる住民自治による政治目的のために地方自治体が存在しておる、この大原則を一体どう理解しておられるのか。あなたの説明しておられるところをあとから聞く予定であったのですけれども、そうじゃないでしょう。住民が政治、自治なりにどう参加していっているか、こういうことを聞いているのです。ほかのことを聞いているのじゃないのです。住民についてはたった四項目しかないのですよ。あなたに言わせると、公聴会もやらぬ、説明会というものは法的には義務づけなかったのだ――みずからの一番大きな影響を受ける、そうしてまた、自分たちの地域社会に参加をする、このことこそが民主主義政治の基盤でしょう。そのことをどうして取ってしまったのですか。この点につきまして、大臣、東京都市計画街路外郭環状線が発表されたときに、建設委員会にも陳情が参りました。そのときに当時の瀬戸山大臣は、確かに現行法では住民参加の道が閉ざされておる、だからこういう混乱を起こしたことを非常に遺憾に思う、だから新しい都市計画法を準備しておるのだ、これには住民参加の道を貫きます。こういうぐあいに言明しておるのですよ。一体、大臣が、都市計画法作成の前において、しかもその前夜と言ってもいいくらいのときに、東京の都市計画事業が突如として住民の前にやってこられたら、住民はびっくりしますよ。自分の住んでおるところに、ようやく家を買ったところに外郭線をつくるのだ、しかもこれは大臣の決定なんだ、おまえらに何ら相談する必要はないのだと言ってこられたから、これはたいへんな問題になった。これに対して瀬戸山大臣は、必ず住民参加の道を開くのだ、こう言っているのです。これは一体どうなっておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/14
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015・保利茂
○保利国務大臣 だんだん佐野先生の御趣意がわかってきたような気がいたします。私は先ほどからお話を伺っておりますと、国の成り立ちというもの、長い歴史の沿革というものがあり、アメリカはアメリカ、イギリスはイギリス、ドイツはドイツ、それぞれの国の歴史と沿革を持って発展をしてきておる。日本はどっちにしましても小さな国でございます。しかし、あまりに戦前の行政が中央集権的であった。地域住民の意思というよりも国家意思のほうがあまりに押しつけられ過ぎたということを反省しておるのが新しい憲法の精神でもあろうか。新しい憲法をアメリカがつくったとか押しつけたとかいうことは抜きにして、これは私ども自身が反省をすべきところであろう。したがいまして、その地域地域の行政というものは、地域住民の意思に基づいて地域住民のためにはかられるように配慮してまいらなければならない。都市計画法におきましても、地域住民の方々の意思が十分反映できるようにしなければならないというその原則は、私も全然同感でございます。したがいまして、市町村長もしくは知事が都市計画を決定するにあたりましても、なるほど、その手続の形において佐野さんの御指摘になるようなそこまでの手続はとっていないにいたしましても、主体はどこまでも地域を主体といたしまして御決定を願う、国の意思を押しつけるというようなことはできるだけ避けてまいるということを本旨としてこれはつくられておるわけでございますから、公聴会や説明会を省いておるという御指摘はもう御指摘のとおりでございますけれども、それを補い、それにかわる措置としては十分配慮をされておるようでございますから、先ほど都市局長の申し上げておったとおりでございますから、その辺はひとつ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/15
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016・佐野憲治
○佐野(憲)委員 参考までにアメリカの――大臣も非常にアメリカと一体となってというようなことを言っておられるそうで、なかなかアメリカにも参考になるものがあるのじゃないかと思うのですが、そういう意味で、アメリカに行政手続法というのがありますね。日本にはないのですが、アメリカには行政手続法というのがありまして、読んでみますと、第四条ですが、行政庁が規則を制定する場合において、あらじめ制定せらるべき規則について官報に公表し、その条文、内容、問題点をも国民に公示しなければならないことになっております。規則の場合でさえ、国民に一体どういうふうに利害関係があるか、そういうものを先に官報に発表して、問題点も、こういう問題点がありますよというようなことを発表して、それから公聴会その他で意見を聞いて、その上で規則をきめなくちゃならない。非常にアメリカなんか行政手続法によって厳格な規定を置いておるわけですね。いわんや、都市計画法のこういう重大な問題に対して、住民参加の道もない、しかも大臣には法律的に強い権限、指示権が与えられておる、その事業に対しては市町村長に対して変更を命ずることもやめさせることもできる、こういう内容を含みながら、しかも住民に対しては何らの位置づけがなされていない、保証がなされていない、担保するところがないですね。一体こういうむちゃな都市計画法というものがありますか。私は、先ほど申し上げましたように、イギリスには成文憲法はない、しかし、地方自治だけは守られておると思います。もう定着しておるのですね。アメリカには憲法はあります。スイスにもありますけれども、しかしながら、地方自治ということを一つも書いてないのです。これは基本的人権と同じ自然法上の権利として定着しておるというわけですね。日本の場合なんというのは、大正八年にできて、しかも憲法ができておるにもかかわらず、これで押し通そう――しかも都市つくりのための事業の計画ですからね。都市計画じゃなくて、現行法は事業の計画となっておるでしょう。そういうものをいままで持ってきて、ここで根本的な改革をする以上、やはり憲法の趣旨に従った改正というものがなさるべきじゃないか。しかも住民自治の大事な大道を踏みはずしてしまっておる。信頼できないのですか。
東京都が招待したロブソンの報告書の抜き書きですが、大体全項目出ておりますけれども、三分の一程度だそうですか、この中でも、地方自治の尊重、住民の参加のしない計画なんというものは無意味だ、単なる行政効率にとらわれて本来の目的を失っては一体どうなるのだ、全くきびしい批判を各項目の中であげておると思います。私はそれはほんとうだろうと思います。そういう趣旨から考えてまいりますと、全くこの都市計画法なんというものは、どう説明していいのかわからない一つの内容に包まれておるのじゃないかと思います。あなたもお読みになったでしょう。局長さんはロブソンの報告を読んだでしょう。さんざん手きびしいくらいに強くやっておるのは、住民自治、住民の参加、住民の理解と協力の中で進めなかったら何にもならない、しかも、それこそが目的なんだ、その中から真に共同社会の意識、町づくりという世論が生まれてくるのである、単なる行政的な権力や何かでやってやれるものじゃない、特にこの点に対して手きびしいと思います。これが常識だと思います。日本では、常識でなくて、しかも住民に対して信頼することができないということでしょう、皆さんの考え方は。住民にまかしたらとんでもないことになるかもわからない、だから大臣が最後まで権限を留保していなくてはならない、国の事務だぞ、これを諸君らに預けるのだぞ、権限を委譲したのだぞ、しかし全く君らの公共団体の事務としてこれをやらせるのじゃないんだぞ、だから町村の都市計画区域にいたしましても県知事が指定するぞ、あるいは都市計画の決定にいたしましても、重要なところは県知事がやるぞ、どうでもいいようなところはおまのところの議会の名においてやらしちゃえ、こういうわけでしょう。そこで、大臣なり局長が言われるように、第三者機関としての審議会があるじゃないか。いままでの審議会はどうだったですか。議会の代表その他みんなそれぞれなっておるでしょう。現行の都市計画法にあれだけやったって――その土地のこともわからない、自分の住んでおる環境が一体どうなろうとするのか、どういうぐあいにわれわれ責任を持つか、共同社会としての利益をどうして持っていくか、そこでディスカッションが行なわれ、討論が行なわれ、そうしてみんなの理解と納得の上でやっていこうということから出発しなければならないのに、住民を抜きにしてしまう。一体どうして住民を信頼することができないか、根本的なことはここにあるのじゃないかと思います。皆さんは、公共事業だ、権限はまかしたのだと言うけれども、実際はそうではなくて、国政事務としてしかまかしていない。しかも大事な住民自治が踏みにじられてしまっておる。住民の地位なり住民の保障が――しかも、都市計画なり何なりによって一番影響を受けるのは住民でしょう。これは一番重大な権利制限を受けるから、地域社会のために必要なんだというものが起こってこなければ、一体本来の政治目的が達成できますか。ただ行政能率なり行政効果をねらえば、それが目的であるならば皆さんの考え方で確かにいくと思います。地方自治なんというものは国の統治権によって委託してあるのだ、だから、ある程度の権限を留保するのは当然じゃないか。統治権において承認したのだ、統治権によって許容したのだ、だから委任事務として国の仕事をまかせるんだ、こういう考え方でいくんじゃないかと思うのです。自然法的な権利なんだ、憲法に書こうと書くまいと、そういう自然法的な権利というものがいわゆる地方自治なんだ、権限の依頼なんだ。であるとするならば、これを一体どう尊重していくか。ここから国づくりを始める、ここから町づくりを始める、ここに都市計画のねらいを置かないと、こういう混乱が起こってくるじゃないか、かように考える。一体第三者機関にしてもこれによってできますか。しかも政令によって逃げてしまっておる。この法律を読んでみると、政令で定める政令で定めると、わずかのページの中に政令が四つも五つも出てくる。この政令というものを明らかにしなくては、この立法がどうなるかわからないでしょう。その大事なところはみんな政令でといってしまえば、ますますわからなくなってしまう。都市計画法のたてまえからいっても、これを理解しようとしても、新しい都市計画だから全部理解しようとして努力しようと思っても、政令政令、国会で審議をお願いしておっても、政令だ、その政令は何だ、まだ出てこない。政令を出してこないのに審議しろというのでしょう。第三者機関を設けてあるからというけれども、大臣、これはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/16
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017・保利茂
○保利国務大臣 佐野議員の深い憲法からくるところの法律論をもってされておる御議論には、まことに傾聴いたしておるわけです。問題は、要するに地域住民のしあわせをどうして築き上げていくか。ある町村において都市計画を立てるとする。今日の都市化の現象というか、人口、産業の集中の傾向といいますか、いずれもその市町村区域内ではどうにもできない、その市町村の区域をこえて発展してしまっておる、したがって、ここに新たな都市計画を立てようとする、なるほど、その区域内の都市計画は、その行政区域内でつくられて、住民の意思に基づいて策定されてけっこうだ、しかしながら、今日の都市環境を整備していくためには、近接の市町村との関連なしには考えられないようなところにきておるのじゃないか、したがって、道路にいたしましても、下水道にしましても、やはり隣の町村との関連において考えてもらわなければならぬ、そういうことで、知事にそういうことのお仕事をお願いする。これはそうでなければ、隣の村は東から南へ道路をつける、隣の村は北から西へ道路をつける、そういうふうな計画をやられたら、本来願うところの地域住民の福祉のためにやろうとすることがちぐはぐになってしまって、どうにもならなくなるのではないか。そういう関係において、なるほど理論的には割り切れますけれども、実際の運営にあたりましては、その調和というものはたいへん大事じゃないか。調和なき社会というものをつくっちゃたいへんなことでございましょうし、やはり都市計画を策定されるにあたっては、近接町村との関連においてその地域の福祉というものは増進されていくわけでございますから、そういう調和をはかっていくというところにこの法案の一つのねらいがあるということは御理解をいただきたい。そして、もう一つ法案の骨子といたしますところは、現行法の中央集権的な時代に生まれてきたものに対する強い反省として、あくまで地域住民の意思を尊重してまいるという、その上に立って策定、立案されておるということだけは御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/17
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018・佐野憲治
○佐野(憲)委員 私、それらの点にも後ほど論議を深めたいと思っておるので、いまは住民参加という点でもう少し大臣の考え方を――たとえば、私が一番心配するのは、河川法の場合もそうですか、政令だ何だで逃げておりますね。ところが、岡本さんが指摘された関西電力の和知ダムの崩壊がありましたね。この場合でも、政令によって――河川法の十三条によって、構造基準は政令でつくらなくちゃならないとなっていた。ところが、この構造基準がまだできていなかった。河川法が新しくできてからこれだけの――河野一郎さんの時代ですからね。しかしながら、去年に至るまでまだ政令ができていなかった。だから構造検査がやられていなかった。基準ができていなかった。こういうことが岡本さんの質疑を通じて明らかになったわけでしょう。それから河川法の十三条の第二項に規定がある。それから三十条にはダム検査の規定を置いておるわけですね。しかしこれも実はできていなかった。やっとことしの二月の十七日にダム検査規程というものができてまいった。こういうわけですね。国会においてはいま出されたようなある程度のものは出してくる。詳しいことはいずれ政令で政令で……。その政令が何年間たってもできていない間に大事故が起こってしまった。これは岡本さんがいろいろと質疑された問題でもありますのでやめますが、第三者機関として公正を確保するといいますけれども、都市計画地方審議会というものは町村には置かないわけでしょう。県に置いておるわけですね。しかも、町村のことは他町村に関係があるじゃないか、そういう場合は県知事がやる。これはいいと思いますね、県知事は。自分の町のことをやっておるのですよ。自分の町のことを自分たちできめるのに、つんぼさじきに置かれておる。自分たちは参加することはできない。決定したことによって重大な利害関係を受ける。大事なところは県知事がやるんだ。そこで、町村長がやる場合にも、議会の議を経て、しかも審議会の第三者機関を通しておるじゃないか、こういうわけです。しかし、この場合におきましても、条文を追うていきますと、十六条の第二項ですか、都道府県知事の計画案に従わなくちゃならない。ですから、議会の同意を得てきたにしたところで、これは県の計画に従わなかったら無効だぞ。大事なことは県知事が町村のことをきめるんだ。わずかのことだけでも知事の承認を求める。求めるだけだからいいとしても、この場合におきましても、県の計画に従わなかったらこれはだめなんだぞと消してしまっておるわけですね。だから、先ほど来、議会の名においてやっておるじゃないかと言われても、これは県知事の権限によって消してしまうことができる、こういう法のたてまえになっておるでしょう。そうすると、実際において町村なんというものは都市計画事業に対して一体何の権限が委譲されたのか。しかも住民は一体どうなんだ、全く切り離されてしまっておるでしょう。一体こんな住民自治というものがあり得るだろうか。こんな都市計画というものは何だろうか。そうなると、大臣の言われるような沿革があるじゃないか、日本の場合は、江戸屋敷を何とか役所にしなければならぬからということから、いろんな沿革から出発していって、それから大正八年になってまいりますと、いわゆる産業基盤なり、あるいは戦争中は防空壕なり、こういう事業の必要上やられてきたので、ほんとうの町づくりをやるんだ、これが都市計画なんだ、こういう概念がないわけですね。一体都市計画案とは何だ。自分たちの住んでおるところを自分たちでよくするんだ。特に大臣、考えていただきたいのは――実はこね得その他は皆さん御指摘になると思います。住民だからだめだという考え方を持たれるかもしれない。それは住民にも私は言い分はあると思います。いままでだまされてきたのは住民ですから。国のために防空壕だ何だ、防空壕を掘り終われば、あっちへ立ちのけ、あとは知らぬ顔でしょう。こういう不信感がやはり都市計画事業につきまとっておると思いますね。強権をもってやってきておりますから。しかも、その町をつくるためにどうするということが前提になっていないから。しかも皆さんがどうなさる、どう考える、こういうことが前提になっていない。このために国が援助したり何かするというのは、これは私はけっこうだと思うのです。そういう意味において、消防法を取り扱ったときでも、大蔵省あたりでは、町村消防は自治体消防だ、だから国が関与してはならないという規定がある、国が関与しないものに補助金を出すことはできないという。地方財政が不足するから補助金を出すのは当然じゃないかというのだけれども、大蔵省は、それを削ってくれ、国がこれに対する監督をし関与することができなければ、補助金は出せないじゃないかということで、一度改正案を出してまいりましたのを質疑の中で撤回していただいた。自民党の皆さんも同調して撤回をしていただいた。国が指導助言をする、それが関与するということは、自治体消防のたてまえからおかしい、こういう強い考え方があるわけですね。それでもっていまの都市計画というものは、住みよい町づくりをするという本来の都市計画というものはだれが一体やるんですか。これはだれが決定するんですか。だれが構想を描くんですか。こういう点が非常に重大な一つの問題として、まず、具体的な内容に入る前に、こういう問題を――大臣、やはりこれを撤回してもう一ぺんつくり直すというくらいの考え方を持たないですか。前の方の面もありますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/18
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019・保利茂
○保利国務大臣 佐野さんの御意見はよく伺いましたが、私は、結局、今日の現状を見て、もう少し何とか住みよい都市にならないか、ごうすればどうであろうか、それは国の意思でなしにその地域の意思によって、自分たちの地域はこういうふうにやってみたいということを、上からでなしに、地域の方々がそういうふうに考えていただいて計画を立ててもらう。しかしながら、先ほど都市局長から申しますような道路でありますとか、下水道であるとか、水道であるとかいう基幹施設を、その小さな区域の中でこう持ちたい、こう持ったほうがいいといわれても、かりに隣の村とのつながりがない、町とのつながりがない、そういうことでは困るのじゃないか。そこで、やはりその行政区域の長である知事のところでそういう調整、調和をはかっていくということが大事なことじゃないか。したがって、これは佐野さんの意見を徹底していけば、地域住民一人一人みな立ててみろということになるわけでしょうが、そうはいかぬので、やはりその地方の責任者である市町村長が、いろいろ住民の御意思によって、うちの町はこういうふうにやっていきたい、それをいろいろな間接的な住民参加の形において一案を具せられ、いろいろな審議機関を通じて、まあそれでよかろうということできめられても、それが基幹施設についてはやはり県知事の調整あるいは調和というものをとり得るような仕組みにはしておかなければどうにもならないのじゃないかというように私は理解しますけれども、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/19
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020・佐野憲治
○佐野(憲)委員 ずいぶん問題はいろいろな角度からもう少し煮詰めなくちゃいかぬと思うのですけれども、私は、やはり住民参加という、しかも前の大臣が言明しておることをあえてという問題と、もう少し皆さんの中にある住民の不信というものを払拭してもらわなければ、日本の民主主義は育たないと思うのです。それは隣がどうなるこうなるということは住民が一番よくわかるでしょう。自分たちの町をよくする基幹的な道路、しかもそれは他の地域にもつながればいい、しかし、へたをすると通過道路になってしまう、都市計画街路というものと通過道路というものの区別がつかなくなってしまう。都市計画街路が通過道路になってしまっては――これは本来の道路でしょう。やはりいろいろな問題はありますけれども、それらのことを、都市施設なら都市施設をどういうふうに配置するか、これは住民自身が一番関心を持たなければならない問題じゃないか。だから、ロブソン博士はしきりに、日本の道路はこれではこうなるのが当然ではないかということを指摘しておるわけだと思うのです。その考え方から見てくれば、これは全くたいへんな問題を含んでおるのではないかということを、このロブソン報告から私考えるわけですが、大臣、やはりそういう点をもう少し考えていただきたいと思うのです。そういう点で、住民参加の道を閉ざしてしまっておる都市計画というものは、一体何のために都市計画があるのだろうか、だれの協力によって都市計画をやっていくのだろうか。この中で考えるのは、東大の辻法学博士も言っておりますように、日本においては、やはり国家の利益、こういうものに対しては一致結束する。われわれも学生時代からすぐ軍隊に六年間も行きましたから、たくさんの人を殺しました。やはりそのときの国家利益、こういうものに対しては日本人は何ものをも犠牲にしてやる。オリンピックもそうでしょう。あるいはまた万博、ばく大な金をつぎ込んでも、国家の利益ならこれはやむを得ないといっているわけです。もう一つはマイホーム。人はどうであろうとも、自分は家門の誉れ、こういうぐあいに、マイホーム、立身出世、家のためならどんな犠牲になっても、親のためなら芸者にも売られていきますというくらいの、日本の伝統的なわが家第一主義。ただ残念なことに、地域共同社会としての概念がない。地域共同社会の利益をお互いに守っていくのだ、これができてない。できてないようにさしたのはだれか。地域共同社会のためにみな責任を持ってやりなさいという訓練を一体やってきただろうか。いままでは一つもやってきていないわけでしょう。全部、国家のためと、わが家の家名をあげるということだけ教えて、地域社会を共同でやっていくという、そういう法律が一体日本にありますか。そういうものを保障しておるところの立法が一体ありますか。ないでしょう。ないからそういう観念が育ってこないわけなんです。自分たちの住んでいるところと地域社会の利益とが一緒にならない。ということは、忍ぶところは忍ぶし、共同するところは共同する、こういう概念をどうしてもつくらなければ、本来の日本の民主主義政治というものはできてこないと思うのです。日本の民主主義政治というものを育成していく手段としてでも――この町づくり、都市計画は、そういうものを育てるための一つの手段としての手続法に大きな欠陥があるのではないか、こういうことを考えるわけです。だから、そういう点をアメリカの行政手続法なんかも参考にして一どれほどきびしい規定を置いているか。国民主権、これは大臣、リンカーンのことばにある「人民の、人民による、人民のための政治」この場合でも、日本の場合に持ってきますと、いきなり最後の住民のため、住民のためにおれたち官僚はやるのだ、官僚は一生懸命勉強しておるのだ、おれがやる、おまえにまかせることはできない、おれたちが権限を持って指揮監督していかなければどうにもならないのだ、重大な問題に対しては罷免権も持つぞ、こういうつらがまえでこの法律ができてきているわけです。私はここが一番遺憾だと思う。「人民の」、これはやはり民主主義の大道、「人民による」、これは一つの手段だと思います。住民の、住民による、それが結果的に住民のための地域社会なり厚生施設、住民のための政治になっていく、行政になってくる。それを何か国家概念と一緒にいきなり住民のためにということばの中で――住民のためには一体どういう方法をとっていくのか。「住民の、住民による」ここでもやはり住民自治の大道がリンカーンによって示されておるわけです。ですから、若い人たちはそういう住民のためにということをできるだけ避けようとするが、住民の、住民による政治を一体どうしようとされるのか。そのことが地域社会のためになるのだ、こういう形をとらなければ、しかもそういう国民の世論なり住民の力強い支援のもとでなければ、将来の都市計画行政というものはいかないのではないか、こういうことを考える。
もう一つ大臣に指摘しておきたいのは、大臣は、こうなってしまったじゃないか、産業と人口が集中してまいった、全く日本経済の成長はすばらしいが、また多くの問題を生み出した、困ったことだ、何とか手をつけなければならぬじゃないか、こういう考え方が非常に強いのじゃないかと思うのです。それはちょうど明治時代における都市計画は大名屋敷をぶっこわしてそこに役所をつくるということから出発して、欧州大戦あるいは他の戦争の影響を受けていろいろな改正がありましたけれども、常にその当面する事業のために都市計画が道具として使われてきた、しかもそれが国家的事業として強権を与えられてきた、この沿革が今日もなお尾を引いて、新しい都市計画をつくるのじゃないのだ、いまこういう状態になっておるから、これを何とかしなければならぬという行政責任といいますか、行政目的ですか、それがやがて住民のためになるのだぞ、おれたちにまかせろ、だからおまえたち制限にがまんしろ、相談にも乗せないのだ、こういう考え方で出発してきておる都市計画。
そこで大臣、高度経済成長政策によって人口が集中してきた。国の政策、高度経済成長政策によって設備投資を国がすすめたわけでしょう。その結果として設備投資をじゃんじゃんやってまいった。と同時に、工場用地を確保しなければならぬ。そのために土地が上がるなら、おれたちは買いだめしようじゃないかという悪質資本家もブローカーも生まれてまいった。その結果としてスプロール化も生まれてまいった。そうでしょう。一体だれがこの原因をつくったのですか。企業の無責任、企業の利潤追求、そのために今日の国民、今日の住民にこのような重大な公害と交通難、住宅難、多くのものをつくってしまったのでしょう。その原因をつくったものに対する責任追及というものがほとんどない。むしろ逆に言うと、その人たちのために鉄道をよくしてあげる、何をよくしてあげる、そして産業能率というものを、というような皮肉のことばすら出てくる。それは私はあとから立証していきたいと思います。計画制限の中で、一体どういう制限になっておるか。財産権を片方では制約しながら、片方では、持っておる財産権に対しては何ら制約をやっていないでしょう。同じ財産権でしょう。わずかのものを持って、持ち家政策持ち家政策ということで、将来のために無理して会社から金を借りたり、銀行から借金をしたり、いなかの親からもらって、地面だけは確保したが、家は建てられない。やがて建てようとしたら、市街化調整地域だからだめだぞ。退職金で貸し家の一軒も持とうというので地面を持っておる、これもだめになってしまうということでしょう。だから、都市計画制限というものは、内容はいろいろな点がここに出てきますね。ところが、こういう原因をつくった、しかもそれによって利潤をあげておるこの資本に対して、財産権を極度に尊重するでしょう。一体どこにその制限が出てきておりますか。逆に、市街化調整区域でも一定の率だったら許してやる。二十ヘクタール以上というようなことになると、貧乏人は手のつけようがない。大資本と結託する土地会社でなければ開発なんかできない。こんなものに甘い汁が逆にいくのじゃないかと疑われるようなことをやっている。住民がその原因をつくったのじゃないですよ。住民は勤労のために来たのでしょう。しかもそれをあおったのはだれか、その原因をつくったものをちっとも究明しようとしない。一体それをどこで規制していくのか。その資本のわがまま、資本の利潤追求の結果としてこのような問題が起こってきたのに、一体どこで財産権を制限しようとしておるのか。岡本さんが指摘されるような税法上の問題もあるでしょう。たとえば土地収用法をやる。これは都市計画法なり建築基準法なりと三法一緒に出てこなければならぬのが、ばらばらに出てきておる。特に土地収用法を出してまいったのは、大臣、あなたではないが、当時の大臣はどのように説明しておるか。土地収用法によって押えるかわり、付近の開発利益を吸収するのだ、そういう制度も設けるのだ。その制度を設ける前提として、事業認定のときで押えるのだ。以下は何でしょう。物価変動程度のものを加味して決定するのだというわけでしょう。それは前提として、付近の開発利益というものはこれを吸収するのだ、だからこれをやるのだという立法論になってくるわけでしょう。ところが、大臣はそれを出していながら、途中でなくしていってしまった。土地収用法だけが前進している。そこでこの場合――おかしいでしょう、片方は財産権が収用によって制限を受ける、片方は開発利益によってどんどんもうかって、うれしくてしょうがない、これに対しては何らの制限がないわけですね。そうしますと、開発によって、期待価値と申しますか、こういうものが出てきた。これによって土地は高く売れておる。これを吸収する方法がない。そうすれば、物価の変動によってしか認証時から決定まで認めない。おかしいじゃないか。片方は開発期待によってどんどん上ってきておる。この人たちは利益を思う存分吸っておる。片方においてはこれはできないのだ。そうなってまいりますと、そういう前提に立っての土地収用法であったなら、一体土地収用法というのはどうなってしまうのか。立法論からいってもおかしいでしょう。片方には時価によって売買を許す、その利益はかってにふところに入れておきなさい。片方においては、公共福祉の拡大解釈によって、しかもこれは時価でいくのじゃないのだぞ、物価の変動しか見ていないのだぞということになると、一体こんな法律のもとで国民に法の公平ということができますか。私は、こういうことなんかも、具体的に内容に入る前にもう少し吟味したかった。財産権の制限にしても、資本の財産権だけは手をつけない、タブーだ、そうして弱い人たち、わずかの金でやった人たちに対しては、遠慮会釈なく制限を加える。加えられる御本人には一つも相談しないのだ。しかも、原因をつくったのは、その財産権を持っておる資本の連中がつくったのだ。しかも政府はこれを奨励して、持ち家政策だとか、企業の近代化だとか、設備投資をやらなければならぬ――経済企画庁の方にもあとからお聞きしたいと思いますが、一体どんな設備投資をやってきたか、驚くべきものです。驚くべき設備投資をやる、都市に対する人口の集中、集積の利益を求めて――どういうことになったか。驚くべきスプロール化と物価高と公害と交通難の中にとじ込めておる。この現状を、やはり住民一体となって、しかも資本に対しましてもこの際ある一定の割合のものを出してもらう、そして制限されたものに対する補償をやっていくという考え方、これは住民と一緒に話し合う中でお互いに現状解決の方向が出てくると私は思います。これまた住民には伏せてしまっておいて、おれたちがきめるのだ、それでやるのだから、お前たちは、きまった以上は――開発事業に対して一片の意見書を出せばそれで終わりでしょう。何らの補償もないでしょう。作成の過程においても一体参加もさせていない。こういうふうな考え方に対して、これから毎日質疑が続くそうですから、私は五、六時間やらしていただくことにしておりますから、問題をもう少し浮き彫りにして、政府においても熟慮してもらいたい、かように考えるので、その点、大臣よく考えていただきたい。
各省から非常にお忙しい中を来ていただいておりまして、恐縮なんで、早くやって帰っていただきたい、それぞれの行政任務もあると思いますので……。
そこで、いま来ていただいております。農林省の方には、農地振興地域に関する法律ですか、厚生省には大気汚染防止法案、運輸省には臨海工業地帯整備法案、通産省の方には工業立地適正化法案、これらの法案が、都市計画法が五十五回国会に提案されてから非常にあわただしい動きとなって準備されておる。中には閣議決定までにいかないもの、あるいはまた、いろいろ慎重審議という過程にある法案もあるそうですけれども、これらに対しまして、一応御説明を――共通しておりますので、共通的な点に対して最初に申し上げておきますが、一つは、この法律を用意されたというその内容は一体どういう内容のものか、簡単に御説明を願いたいというのが第一点です。
第二点は、都市計画法との関係において、都市計画法におきましては、それぞれ所管の大臣と協議をするというような条項がうたわれておるわけですね。協議によっていろいろ円滑に事業を進めていく、こういう条項を置いておるわけですね。にもかかわらず、都市計画法が国会に提案され、審議されておるのに、あえて各省がこういう土地利用法を出してこなければならない理由は一体どこにあって、都市計画法とどういうぐあいにかみ合っておるか、こういう点もお聞きしたい。
それからまた、いろいろな計画なり何なりがありますが、この場合といえども、住民参加というものに対して一体どういうように考えておられるか、どこにその保証がうたわれておるのか、うたわれていないのか。公害の問題にいたしましても、公害を実際に根絶していくためには、やはり住民が一体となって行動しなければ解決できないと思います。その住民参加の道がそれぞれの法案の中に一体保証されておるのかどうか、担保されておるのかどうかということ。
次の点は、ロブソンの報告を一体――それぞれの担当の方に来ていただいておりますが、それらの部課におきまして、あるいは局におきまして、あるいは官房におきまして、それぞれ報告書を吟味されたことがあるかどうか。
最後に、全国総合開発計画があるにかかわらず、なおもこういうものを必要とするのかどうか。必要とするならば、現在の都市計画法とどういう点において食い違いが起こっておるか。この点を、簡単でけっこうですから、一応お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/20
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021・保利茂
○保利国務大臣 それぞれ御答弁があると思いますが、先ほど来佐野さんの御見解がございましたこの都市計画法の立法の基調というものは、旧憲法当時の頭でこれをやっておるのではないかと言われますが、これはそうではございません。あくまでも個人の人権を尊重する、そうして民主政治の基盤というものは地方自治にあるという憲法の精神の上にがっちり乗っかってこの法案を作成いたしておるということはひとつ御理解をいただきたい。
第二は、かってに高度成長をやって、高度成長をやったあげくがこういう結果になってきておるではないか。お説のとおりだと思います。しかし、国としては、どうか国土がバランスある開発が行なわれるように、これはあるいは国会の発意により、あるいは政府の発意により、もろもろの地域開発立法というものが行なわれておる、三十七年には全国国土総合開発計画も持たれて、できるだけバランスのとれた国土の総合開発というものを期待してきておったにかかわらず、この経済成長の著しい速度からこういう現状を呈してきておりますが、しかし、それではこの高度経済成長が国民に非常なふしあわせをつくってきておるのか。私は、お互いに議員生活をいたしておりまして、十年前あたりのことを回想してみますと、いまどきは、学校を卒業する、就職ができないという方が日々会館のどの方の部屋にも満ちあふれる――というのはオーバーでございますけれども、来ておる、そういう状態で、失業者が町にあふれておる。議員さんの大半のエネルギーもそこのところに向けなければならぬ。私自身もそういう経験をなめておる。しかし、とにかくも今日高度成長というか、いわば完全就業の時代に入ってきておる。しかし、その中には、非常に短期間――イギリスでも産業革命をやったのは百年くらいかかっておると思うのです。日本では僅々十年か十数年の間に、そういうことがなくこういうところにまでこぎつけてきておりますから、したがって、この間におけるひずみ、是正されなければならない措置というものは数多くあるわけでございます。私は、高度成長政策というものがとにかく今日の国民生活をつくり上げてきておるという貢献は、これは否定できないのじゃないか。しかしながら、こういう都市計画を単に事後追認ということでなしに、今後の都市のあり方、したがってまた、都民なり市民なりの生活環境というものが十分整備せられているようにするためには、どうしても新しい一つの制度を踏み切ることは大事じゃないか。これは佐野議員もう百も御承知のとおりでございますから、ただその不備を責められるわけでございますけれども、とにかくやらしていただかないことにはこれはどうにもならぬというところで、御指摘されたような点については十分――あるいは、住民参加の直接的規定がない、したがって、これは旧憲法当時の中央集権的な立法であるというようにきめつけられることは、どうもいかがであろうか。何も国のほうからこういう計画を立ててもらいたいということでやるわけでもないわけですから、その地域住民の意思に基づいて都市計画というものを策定されるということが本旨になっているわけでございますから、その辺はひとつ御理解をいただきたい。
また、御指摘のように、数多くの地域立法が今日まで持たれてきたにかかわらず、こういうふうな、ある特殊な地帯に集中しておるような産業、人口の状態、こういうものは強く反省されなければならない、やはり地域立法というものをもう一ぺん見直しをしなければならぬ段階にあるのじゃないか、私はそう思っておるわけでございます。
それから、全国国土総合開発計画というもの、これは何と申しましても、日本の国土はこういうふうに持っていきたいという大きな目安を置くわけでございますから、それの末端である都市計画法は、そういうものと適応するような措置を講じていかなければならぬ。国土総合開発計画という一つの大きな柱が立てられて、その柱に見合うように地域住民の方々も調子を合わせていただく、それが国土の総合的な調和ある開発、発展を遂げていくゆえんじゃないか、こういうふうに私は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/21
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022・太田康二
○太田説明員 昨日閣議決定をいただきまして、近く国会に提出いたしたいと考えております農業振興地域の整備に関する法律案の概要を御説明申し上げたいと思います。
法律のねらいといたしましては、先ほど来議論になりましたような、近年におきます都市化あるいは工業化の進展に伴いまして、農地の無秩序な壊廃が行なわれておる、また逆に、土地の利用率が非常に低下をいたしておるというようなことがございますので、こういったことは地域の農業発展にとって必ずしも好ましくない事態でございます。こういった事態に対処いたしまして、今後農業の振興をはかるべき地域を明らかにいたしまして、土地の農業上の有効利用、農業の近代化というものを計画的に進めてまいる必要がある、こういった趣旨で、農業振興地域の整備に関する法律案の立案をいたしておるのでございます。
法案の仕組みでございますが、まず都道府県知事が農林大臣の承認を受けまして、農業振興地域の指定に関する基本方針、それから土地の農業上の利用、農業の近代化等に関する基本方針を定めまして、その基本方針に基づきまして、関係市町村と協議をいたしまして、農業振興地域というものを指定することにいたしておるのでございます。
そこで、農業振興地域が指定されますと、関係の市町村は、農用地の利用計画あるいは農業生産基盤の整備、開発、農業近代化施設の整備等、こういった事項を内容といたします農業振興地域の整備計画というものを定めることになっております。また、都道府県におきましては、数個の農業振興地域にわたる広範な事業あるいは施設等について、市町村が立てます農業振興地域の整備計画を補完するような形での農業振興地域の整備計画というものを同様に定めることができるようにいたしております。
これらの整備計画につきましては、これはいずれも先ほど来議論になりましたような地方公共団体の固有事務ということで割り切っておるものでございます。
それから、市町村が定めます農用地の利用計画につきましては、この計画に従ってせっかく土地の利用区分をきめたわけでございますので、これが守られますように、市町村長が、実際にそういう形で利用されていないものについて勧告をする。さらに、場合によってはこれが県知事の調停にかかるというような規定を入れております。それから、せっかく土地利用目的を発揮さすわけでございますので、農地等につきましての転用制限についても必要な規定を設けるということをいたしております。
以上のほか、国あるいは都道府県による援助その他税制上の特例等の規定を設けておるのでございます。
そこまで、都市計画法との関係でございますが、法律の条文を見ていただけばわかるわけでございますが、まず第一に、先ほど御説明申し上げました県知事の立てます農業振興地域の整備の基本方針、これが当然内容といたしまして国のさまざまな計画、たとえば国土総合開発計画あるいは首都圏の整備計画、こういった計画と当然調和が保たれていなければならないということでございまして、その点につきましては、都市計画との関係におきましても当然都市計画との調和が保たれたものでなければならないということにいたしておるのでございます。
それから第六条の第三項で、先ほど県知事が地域の指定をするということを申し上げたわけですが、その際、新しい都市計画法の第七条第一項の市街化区域と定められた区域で、同法二十三条第一項の規定による協議がととのったもの、いわゆる市街化区域でございます。これは農業振興地域の指定から除外するということで、初めからこれは振興地域には取り込まないということにいたして、その間の調整をとっておるのでございます。
大体私のほうの関係は以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/22
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023・宮崎仁
○宮崎(仁)政府委員 全国総合開発計画についての御質問でございます。現在ございます全国総合開発計画は、御承知のとおり昭和三十七年度に策定をいたしたものでございますが、その後の経済の動き、特に地域経済の動向にかんがみまして実情に合わなくなった点もございますので、これを再検討してつくり直すということにいたしまして、ただいま作業をいたしております。今年秋ごろまでに新しい計画をつくりたいと考えております。
この全国総合開発計画の、都市計画法あるいはただいま御説明のありました農業振興地域の整備に関する法律、こういった法律との関係につきましては、ただいま建設大臣から御説明がございましたように、この全国総合開発計画は国土全体の開発利用に関する基本的な計画ということでございまして、土地利用の関係等につきましても広域的な観点から基本的な構想を示すというような内容のものになるわけでございます。したがいまして、さらにこれを個々の地域につきまして具体的なこまかい点まで入った計画が必要でございます。そういった意味におきまして、都市計画法であるとか、あるいはただいまの農業振興地域の法律、あるいは自然公園法、こういった土地利用に関しまするところの具体的な法律というものが整備されませんと、当然この計画そのものも具体的な実施に入れないということになるわけでありまして、私どもはそういった法律が整備されることを非常に期待いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/23
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024・宮崎茂一
○宮崎(茂)政府委員 お尋ねの趣旨は、私どもが出そうとしております特定臨海区域の開発及び利用に関する法律案の関係だろうと思います。
この法律の要旨といたしましては、海上交通の安全とか、臨海部の有効的な利用、それから海上輸送の効率化、そういったものを確保いたしますために、非常に過密と申しますか、私どものほうでは成熟した港湾というふうに申しておりますが、東京湾の地域、大阪湾の地域、伊勢湾の地域、こういったところにおきまして、おのおのの港湾管理者の計画だけでは非常に困りますので、これを総合的に開発、利用に関しますところの基本計画を策定いたしまして、これに基づきまして工場の立地を許可制にする、そういったような観点から特定の臨海区域の健全な発展と秩序ある整備をはかるということが趣旨でございます。しかしながら、この法案は通産省がお出しになる予定の工業立地適正化法と地域的に重なる点がございましたので、いままで調整をはかっておりましたが、まだ実は各省との調整もできかねておりますし、法制局の審査もまだ済んでおりませんので、今国会の提出は非常に困難であろうかと思っております。
都市計画法との関連でございますが、新しい都市計画法の案によりますと、この特定臨海区域の開発という問題ではございませんで、一般的に港湾との関係でございますが、臨港地区というものを設けまして、港湾管理者の案に基づいて都市計画をしていただくようになっておりますので、私ども、そういった観点からは、港湾の管理運営に関しますところの有効的な利用というものは阻害されないんじゃないか、港を中心にいたしました都市計画ということは臨港地区については確保されるのではないか、かように思っております。
簡単でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/24
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025・矢島嗣郎
○矢島説明員 それでは通産省で立案しておりました工業立地適正化法について簡単に説明いたします。
この適正化法は、趣旨は、大ざっぱに言いますれば、一つは大都市周辺地区における過密の防止、それから第二は、公害の著しい、あるいはそういうおそれのある地域に対する公害の防止、この二つの大きな目的のために工場の新増設を規制する、新増設を許可制にする、他方、このような新増設の許可制も必要でございますが、単にそれだけでは十分でございませんし、終局的な目的も達しないので、むしろ、新しく出てくる工場あるいはすでに過密の中にいる工場について分散促進の措置を講ずる、あるいはそういう新しい新増設をやるための工業適地を確保して、安心してそういう分散促進していけるところを確保する、こういうような措置も講じなければならぬ、そういう前向きの施策もあわせまして、必要な工場の新増設規制をやるということが目的でございます。
そういたしまして、都市計画法との関係は、都市計画法の市街化区域の中には工業地域、工業専用地区その他いろいろ仕訳がございますが、それはいわば交通整理的なものであって、やはりその量的なコントロールというものは十分行なわれないし、さらに、量的な問題を離れましても、大都市周辺に適当な産業とそうでない産業とのいわば質的な選択ということ、そういうものも織り込まなければならぬ、そういった観点からは、やはり工業立地適正化法のようなものでやっていかなければならぬという点で都市計画法との違いがあるわけでございます。ただしかし、いずれにしても両者は相まって、相補完していかなければならぬというようなことで十分そのすり合わせばいたさなければならぬので、たとえば私どもの法案では工業導入地区という、いま言った工業適地でございますが、そういうものは、都市計画法においてきめました工業専用地区の中から必要によって選んでいく、こういうようなすり合わせの規定は十分織り込んであるわけでございます。ただ、遺憾ながら、国会の終わりの時期が迫りまして、もう会期も短いし、法案提出期限が迫ってまいりまして、その間各省と鋭意折衝しておりますが、折衝が本日までにまとまらないので、昨日大臣からは、今国会の提案は無理であろうという御指示があったわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/25
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026・橋本道夫
○橋本説明員 大気汚染防止法案について御説明申し上げます。
大気汚染防止法は厚生省、通産省両省共管のばい煙規制法を廃止いたしまして、新たに大気汚染防止法を制定するという趣旨のものでございます。
この法案の概略の内容といたしましては、一つは、発生源を指定いたしまして、その発生源に排出基準を課するという点と、もう一つは、地域を指定いたしまして、その地域内にあるばい煙発生施設に対する規制をかけるということでございます。
今回の大気汚染防止法におきましては、従来はばい煙発生施設がかなり集中をしてある程度汚染の実態がなければなかなか指定できなかったという点を改善いたしまして、現在は工場が進出していなくても今後進出する具体的な計画があるときには、大気汚染を予防するために、その地域を指定することができるということが今回の新たな法案の中で考慮されております。
もう一点は、電気、ガスの関係が従来のばい煙規制法の関係では適用除外になっておるということにつきまして、かなりの程度に都道府県知事が電気、ガス等の問題に関与し得るというような規定を設けました。
もう一点は、自動車の排気ガスにつきまして、道路運送車両法との関連において、排出の基準につきまして運輸大臣がきめ、その担保につきましては道路運送車両法によるということにいたしております。
また、緊急時の措置につきまして、従来以上に強い方向を打ち出しておるという形をとっております。
本法案は、厚生省、通産省の共管のパートがほとんどでございますが、一部に運輸大臣が関係してくるというところがございます。
現在、法案につきましては、大綱が閣議で了承されたというところでございまして、法律条文の審査にはまだ現在のところ入っておりません。今国会に提出されるという予定のもとに現在作業を進めております。
都市計画法との関連はどうかという点でございますが、この大気汚染防止法といいますのは、公害対策基本法の第十条にございます排出等の規制ということにかかわる制度として設けられたものでございます。都市計画法との関連は、むしろ公害対策基本法を軸として関係を持つという形になっておりまして、大気汚染防止法自体は、直接都市計画法との関連を持っておりません。ただ、今回提出されております都市計画法の中には、第十三条の都市計画基準という中で、公害防止計画との適合性、あるいは厚生大臣が意見を述べることができるというような規定がございますので、その規定によって、十分大気汚染防止法と都市計画法との関連は連絡をとれるというような形になっております。
住民参加という点につきましては、特段の規定を設けておりませんが、大気汚染防止法は、従来のばい煙規制法の例を踏襲いたしておりまして、常時監視をいたし、その結果を住民に知らせるというような形になっておりまして、緊急時の措置等につきましても、一般に周知させるという形態をとっております。
もう一点は条例との関係でございますが、大気汚染防止法で規制する以外のものについては条例で規制することを妨げないというような規定を盛っております。
最後の御質問の、ロブソン報告を読んだかという点でございますが、新聞に報道された範囲内においては読んでおります。詳細なレポートはまだ読んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/26
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027・佐野憲治
○佐野(憲)委員 各省から一応お話を伺いましたが、資料を後ほど提出していただきたいと思います。
それから、経済企画庁の方も急いでおられるそうですけれども、一応お聞きしておきたいのは、昭和二十六年ですか、国土調査法ができておりますね。三十七年か八年に国土調査促進特別措置法という法律ができております。これの調査の進捗状況は一体どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/27
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028・宮崎仁
○宮崎(仁)政府委員 国土調査事業は、御承知のとおり、主として地籍図の作成ということが最も大きな仕事となっております。そのほかに、国土基本図の作成とか、そういういろいろの調査もやっておりますが、最も基本的な地籍図の作成につきましては、ただいま御指摘の三十七年につくられました促進法によりまして十カ年計画を立てまして、促進をはかっておるわけでございますが、昭和四十二年度までのところで見ますと、この計画で予定いたしました進捗度合いに対しましてかなりおくれております。これは一つには予算的な制約もございましたが、もう一つ、この事業が主として市町村が実施する事業でございまするために、人員の点、技術者の確保の点等にいろいろ問題もございまして、そういった点から予定のごとく進み得なかったという面もございます。いずれにいたしましても、十カ年計画として予定した進捗度合いに比べますと、現在のところかなりおくれております。私どもといたしましては、近くこの計画についてもう一ぺん検討し直さなければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/28
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029・佐野憲治
○佐野(憲)委員 国土調査法並びに促進法の中に目的が明らかにされているのでしょう。「この法律は、国土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資するとともに、あわせて地籍」ですよ。だから、昭和二十六年に法律ができて、目的がちゃんと明確にその方向が出されているわけです。国土総合開発法が昭和二十五年にできております。二十五年の国土総合開発法の目的の中にも、「この法律は、国土の自然的条件を考慮して、」「国土を総合的に利用し、開発し、及び保全し、並びに産業立地の適正化を図り、あわせて社会福祉の向上に資することを目的とする。」こううたわれておりますね。そこで経済企画庁にお尋ねしたいのですけれども、この法律ができてまいりまして、地方においては、府県計画なり、あるいは特定地域の開発計画なり、あるいは地方計画なりができてまいっておる。ところが、あなたのほうのこの法律の目的でいう全国国土総合開発計画、これが三十七年まででき上がらなかった。国土調査法ができている。しかも法によって全国計画をつくらなくちゃならない。上位計画ができていなくちゃならない。上位計画ができずして中位の計画が先に出発している。どうもおかしいのじゃないですか。その点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/29
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030・宮崎仁
○宮崎(仁)政府委員 御指摘のとおり、国土総合開発法が昭和二十五年に策定をせられましてから、主として特定地域開発というような仕事がこの法律に基づく中心的な事業として行なわれてまいったわけでございますが、その後経済の状況もだいぶ変わってまいりました。この法律に指定されておりますところの全国計画をできるだけ早くきめまして、ブロック別の計画あるいは都府県計画の指針にしなければならないということで、経済企画庁といたしましては、昭和二十八年ごろからいろいろと作業をいたしておったのでございますが、何と申しましても、全国にわたるこういつた計画をつくる場合におきまして、経済そのものの長期的な計画と申しますか、そういったものが確定をいたしませんと、なかなか国土の開発利用に関する計画そのものもできないというようなこともございまして、延び延びになったようでございます。前回の計画は、昭和三十六年に所得倍増計画が策定をせられましたので、この所得倍増計画によりまして、いわゆるフレームワークと申しますか、経済の規模あるいは構造等について主たる部分がきめられましたので、これに基づいて全国総合開発計画をつくるということで実施いたしたわけでございます。たいへん法律ができてからおくれましたので、いろいろと問題があったわけでございますが、経緯はそういったことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/30
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031・佐野憲治
○佐野(憲)委員 そこでお尋ねしたいと思いますが、三十七年にできてまいりました全国計画ですね、これは所得倍増政策を受け継いで工業化拠点開発方式、こういうことをとってきているわけですね。この拠点開発方式そのものが、現代の情勢から見れば大きく合わない、こういう点で皆さんがいま作業を急いでおられるのだろうと思うのですけれども、私が全国総合開発計画の中で土地利用という項目をさがすのに、苦労しないとないわけです。ようやく第四章ですか、産業基盤整備の中に土地利用という節が出ておるわけです。法が指示しておるところの全国的な国土の利用、開発、保全、こういうことが根本でなくちゃならない全国計画に、産業基盤の整備の一節としてとらえられておるわけですね。一体土地利用計画に対する考え方というのは、法の命じておる――国土調査法もそのために存在しておるのです。国土総合開発計画も全国計画をつくらなくちゃならない。その上位計画を受けて特定開発なり府県計画なんというのができるように四つの計画が組み立てられるようになっておるのに、皆さんのほうはそれをおっぽってしまう。ようやく昭和三十七年ごろに出てまいりますが、所得倍増計画を受け継いだ形の、しかも拠点開発方式である。土地利用なんというものは産業基盤整備の単なる一節だ。こんなひどい計画書はないですよ。いま地域開発用の立法がどんどん出ております。あるいは新産都市、工特法にいたしましても、どの法を見てまいりましても、全国計画に適合しなくちゃならない、整合しなくちゃならないということが明確に規定づけられておるわけですね。今度の都市計画法にもそれがちゃんとうたわれておるでしょう。一体、こんな全国計画を示されて、それに整合しなくちゃならない、それに適合しなくちゃならない、こういうように都市計画法はうたっておるわけですね。しかも、皆さんのほうが十月ごろまでに成案を急いでおられるというその内容もまだ明らかにされておらない。それにもかかわらず、都市計画法は、もう皆さんはどうもこうもならぬと言われておる。全国総合開発計画に整合しようとしている、その行政の投影としての都市計画だということになっておるでしょう。行政の投影だといって、こんなことは全くおかしいのじゃないですか。経済企画庁としてはどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/31
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032・宮崎仁
○宮崎(仁)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、全国総合開発計画は、国土の開発、利用に関する基本的な計画でございます。したがいまして、土地利用につきましても、いわゆる土地利用計画というようなことばは、もちろん、ただいま御指摘のようなところに使ってあるわけでございますが、政策の対象という面から見た大きな意味での地域区分をつくりまして、すなわち、過密地域、整備地域、開発地域、こういった三つの地域をつくりまして、それぞれの地域についての具体的な開発、利用の方向はこれに示されておるわけでございます。で、先ほど御説明しましたように、いわゆる土地利用計画として、たとえば都市計画のように個々の都市についての街路であるとか公園であるとかいうような具体的な都市計画あるいは土地利用計画というものをつくるのは、この全国総合開発計画の目的ではございません。むしろ、そういった個々の土地利用に関しまするところのそれぞれの法律による計画は、こういった基本的な地域開発の方向なりあるいはその内容なりに即して具体的にやっていただく、こういう考えでおるわけでございます。そういった意味におきまして、ただいま御指摘のようないろいろの施策がその後とられておりますが、新産都市にいたしましても、あるいは工業特別地域の整備にいたしても、私どもは、大体この全国総合開発計画をもとにしてやっておるという施策についてはさしたる矛盾なり混乱は生じておらない、こういうふうに考えております。ただ、全体としてながめてみますると、日本経済の成長そのものが、この計画で想定した線よりも相当大きく伸びておりまするし、また、地域間の流動等につきましても都市化が進むとか、そういった点におきまして、かなり前提とした条件が変わっておりまするので、この際、計画の再検討をして、先ほど申しましたように、近く策定をしたいと考えておるわけでございます。ただいま御審議をいただいております都市計画法による都市計画等は、この法律が施行せられました後につくられると思いまするが、私どもの計画も、ただいま申しましたように、十月ころにつくりたいということで、いま鋭意作業を進めておりまするので、そういう点では、法律的な意味での筋やあるいは実際の運用上の問題としてはあまり大きな支障はないのではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/32
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033・佐野憲治
○佐野(憲)委員 支障はないとは言われますけれども、私の言っておるのは、そういうこまかいことまできめろというのではないのですよ。土地利用の全国計画を立てなさい。法律はそう命じておるのですから。そのように立てることが――いま各省からいろいろ土地利用に対する説明がありましたね。現在でさえ、万年雪のように次から次へと土地利用政策が積もってくる、前のやつはそのままにしてまた積もってくる。ある人からは、土地利用計画花盛りだ、こういうことまで言われなくちゃならぬほど、過去にはたくさんの法律があるでしょう。しかも大事な重要計画がぐらぐらしてしまっておる。それで中部圏にいたしましても近畿圏にいたしましても、みな全国計画にはのっとらなくちゃならない、下位の都市計画もこれにのっとらなくちゃならない。しかも、そういう皆さんの全国計画か巨視的に――私は何もこまかいことまで言っておるのじゃないですよ。法に命ずるように、巨視的に、マクロ的に一体どういう土地利用計画というものを立てなくちゃならぬか、この土地利用基本計画、この基本を皆さんのほうでおつくりになる、それに基づいて県なり何なりの計画ができてくると思います。それで、いわゆる都市計画なんかは、そういう方針のもとに町村はこれをやっていく、住民参加のもとにやっていく。皆さんの基本計画ができていないから、実施計画がめちゃくちゃになってしまう。その全国計画がおかしいから、こっちもつくらなくちゃならぬ、あっちもつくらなくちゃならぬ。いわんや――私は官庁のセクショナリズムを云々するわけじゃないですけれども、せっかく建設省がこれをつくる、これには各省の協力も要請しておる、協議することになっておる、そうして建設省を中心にして、しかも町村住民を中心にした一つの町づくりの実施計画としての都市計画が本来できてくるのだと思う。大臣、あなたは、全国の利用計画ができてない、単なる工業化だ工業化だ、どこもここも工業化だ、拠点開発方式だ、そこもここも工業化していくのだ、こういう考え方で出発しておるから、各省にしてみれば、これでは不安だ、おれのところも計画を立てたい、おれのところの立場におけるところの全国計画を立てたい、こうなってくるでしょう。これでは一体末端の町村なり住民はどうなってしまいますか。たとえば、おたくの四十二年度の経済見通しの実績と見通しと比べると、設備投資に対する皆さんの見込みと実績というのは大きく狂ってきておるでしょう。ものすごく皆さんの見通しをオーバーしておる。あるいはまた、所得倍増計画の中でとられておりましたところの昭和四十五年で一応の目標に到達するという工業生産なり総生産というものは、四十一年度でもう実現してしまっておるでしょう。ですから、皆さんは、新産都市その他は失敗しなかった、地域的にやっておる水準までみんないっていると思います。しかしながら、それをオーバーしていっている。皆さんは四十五年度でその方向に到達するというものが、四十一年度で到達したわけです。だから、四十五年までいけば新産都市の段階までいくかもわからない。しかしながら、ぐっとオーバーしてしまっておる。四十一年度において達成してしまっておる。だとするならば、達成したものは一体どこへいったのか、どこで達成しておるのか、みんな都市へ集中をしたということを意味しておるのじゃないですか。それによっていろいろな混乱が引き起こされておる。この混乱は一体どうなるのだ。農村は農村でたいへんな問題をかかえておる。山村の荒れ果て方を一ぺん経済企画庁の皆さんは歩いてみられたらおわかりになると思うのです。たいへんなものだと思うのです。そういうときに、いわゆる全国総合開発計画にいうところの都市と農村の適正な配置とか、いろいろな項目がまた示されておるでしょう。何も皆さんに秀才の作業をやってもらいたい、こう言うのじゃないですよ。第二条に国土総合開発計画の内容というものも明確に指示しておるわけでしょう。何もこまかいことまでやれというのじゃないですよ。ちゃんと、第一条は目的、第二条は計画の基準を示しておるでしょう。それに基づいて土地利用基本計画をつくる基本法をつくってもいいじゃないですか。その基本法のもとで一つのそういうものができてきてこそ、それを受け継いで、あるいは中部圏なり、近畿圏なり、たくさんありますね、そういうものが規制されていくわけでしょう。その関連性を考えないで、行政の投影として一体どうやっていくんだという問題が出てくる。皆さんのほうは、それではちっとも方法もきまらない、だから法律は、常にそういう理想的な上位計画というものが生まれるものとして、その予想のもとに、それに適合しなくちゃならぬ、整合しなくちゃならないということを、どの地域開発法にしても、どの土地利用立法にいたしましても挿入しておるわけでしょう。これでは各省はたまらぬから、おのずからの全国計画というものをつくっていかなくちゃならない。なぜこれを統一した形でやっていけないか。こういう点に対して、大臣、いま各省のお話をお聞きになって、しかも、都市計画法によって大きな理想と前進だと大臣は言われますけれども、そんなものに信頼できないと言わんばかりに各省は――建設大臣か協議する、そうしていろいろの点において、地方におけるところの町づくりに対して、あるいは産業の配置にしても、それを適切にしてやっていこうとする。しかしながら、その全国計画がないために、建設大臣にまかせるわけにいかぬじゃないか、おれのところはどうするのだ、農村は農村でたいへんだ、大気汚染もたいへんだ、臨海地帯の場合もひどい状態だと思う。それをなぜ町づくりとして建設大臣が中心となって一体やっていくことができないのか。もしできないとするなら、新しい各部門を吸収した一つの役所をつくって、土地総合開発の基本計画を作成する、こういう方向に踏み切るべきじゃないですか。各省のセクショナリズムを改める、あるいはまた、建設大臣を中心にしてやるならやるで、そういう形に各国務大臣、行政大臣の意思を統一する、こういうために、大臣、いまのお話を聞いてどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/33
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034・保利茂
○保利国務大臣 国土総合開発計画というものの考え方、全体のこの狭い国土にこれだけの国民が生活をしていかなければならぬ、この国土を国民のためにどう利用していくか、農業地域として、主たる食糧の供給地域としてはどういうところ、どういう地帯を考え、ないしはまた、工業的な発展地域はどういうところを選んでいくかということ等々について、大きい見地から総合開発というものは持たるべきである。そこで、その上位計画に基づいて、首都圏なり中部圏なり、あるいは近畿圏、それぞれの地域開発の整備計画というものがそこに持たれる。それで、だんだん千葉をどうするか、横浜をどうするか、東京をどうするかという、そういう都市地域の都市計画というものを全体の計画の中に見合って立てていくようにする。ただいま御指摘のように、そういうことで、私は率直に個人として申しますと、一番大事なことは、結局、都市と農村だと思うのです。その都市計画、農業振興地域といいますか、農村計画をどう立てるか、ここに私は問題が帰するんじゃないかと思う。それは、なるほど、公害排除、大気汚染の防除等々を言われる。都市計画というものは一体何のために立てておるのか、どうしようというのか、そういうことが要らないような都市を持ちたいということが、都市計画のねらいでなければならぬと私は思うのです。けれども、現実の事態からいいますと、やはり大気汚染だ。とにかくそういうものに対してやらなければ――そういう理想は理想だけれども、描くところはそうだけれども、今日の公害から都民あるいは国民を守っていくためにはやはりそういう措置も必要であるということで厚生省で考えられ、私どもも賛成をいたしておるわけでございます。国土の利用計画としては、日本の国情に照らしまして、都市をどういうふうに持っていこうとするのか、農村をどういうふうに持っていこうとするのか、そこにかちんとした計画を持つということが何よりも大事じゃないか。その他いろいろ補完的なこともありましょうから、そういうものを否定するものではございませんけれども、肝心かなめのところはそこにあるんじゃないかというように私自身は考えておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/34
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035・佐野憲治
○佐野(憲)委員 各省からのいろいろな法案が検討されておるようですから、これもまた今後の審議の参考に資料要求をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/35
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036・加藤常太郎
○加藤委員長 この際、井上普方君から発言を求められておりますので、これを許します。井上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/36
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037・井上普方
○井上(普)委員 都市計画法自体につきましては、非常に重大なる国土開発という面がございます。しかも、農業振興の問題、あるいは工業の配置の問題あるいは公害の問題とか、たくさんの問題を実はかかえておると私は考えるものでございます。先ほど佐野委員からも指摘されましたように、特に都市計画あるいは諸法律の上位法律である国土総合開発法がまだ出されていないという段階におきまして、各省ばらばらに――ばらばらと申しても、統一しておるのでございましょう。しかしながら、一応はそういう法律を予定されておるようでございますので、先ほど農林省からは、農業振興地域整備に関する法律というのがもう法案として出されるということでございましたので、早急にその法律を出していただきたい。あるいはまた、運輸省に関しましても、特定臨海事業法ですか、特に工場設置につきましては許可制にしたい、あるいは通産省の工業地適正化法は、時間の関係で今国会には出せないというようなお話ではありましたけれども、都市計画法と非常に密接な関係がございますので、現段階において通産省が考えておるところの工業立地適正化法の要綱なり考え方をひとつ出していただきたい。特にまた厚生省に対しましては、公害防止法をいまお考えでございますが、どうも通産省との間に衝突があるように私どもは聞いておる。特にこの点につきましてもひとつ出していただきたいと同時に、現段階における厚生省の公害防止法の考え方の要綱をひとつお示し願いたい。それから企画庁におけるところの国土総合開発計画をこの秋ごろに出そうという計画のようでございますが、現段階における経企庁としての考え方は一応まとまっておると思います。そういうような考え方を全部出していただくことによって法案の審議をしなければ、非常な障害が将来出てくると思いますので、特にこの資料は早急にひとつお出し願うことを強く委員長に要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/37
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038・佐野憲治
○佐野(憲)委員 経済企画庁のほうに一つ確認しておきたいと思うのです。
新産業都市の場合、四つの項目に分けて、大体十二年間、秋田を除きまして四兆三千億円、これだけの施設別の内訳ができておりましたね。それから工特法におきましては、やはり交通、生産、生活関連、国土保全、この四項目に分けて一兆円、これだけの事業計画ができております。大体これは順調に進んでおると思いますが、都市計画、新産都市並びに工特、この場合におきましては港湾が財政援助の適用になっておりますが、その場合、私ここで一応確認しておきたいと思うのですけれども、市町村の場合は二割五分を限度として補助のかさ上げをする、県の場合におきましては、事業に対しまして利子補給をやっておる、こういうぐあいに理解してもいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/38
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039・宮崎仁
○宮崎(仁)政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/39
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040・佐野憲治
○佐野(憲)委員 四十二年度で市町村に対するかさ上げは、幾らくらいのかさ上げですか。これは二割五分補助のかさ上げと、県の施設事業に対しましていわゆる利子補給、これは一体幾らくらいになりますか。――もしいま手元になければ、次の機会でけっこうです。こちらでまた地方財政を調べれば出てきますから、いいです。
委員長から時間の点でお話があるのですが、大体六時間ほどの質問の予定で、まだ三分の一しか進んでいないのですけれども、時間もないので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/40
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041・加藤常太郎
○加藤委員長 午後一時五分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後零時三十九分休憩
――――◇―――――
午後一時二十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/41
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042・加藤常太郎
○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。内海清君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/42
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043・内海清
○内海(清)委員 午前中もこの法案につきましていろいろ関連して御質問がございました。この法案の基本になるものは、やはり都市地域におきまする土地利用計画を中心として都市の総合計画を進める、そうして都市の計画的かつ秩序ある整備をはかるということであると思うのであります。私もこの法案につきましてその実施を担保いたしまするいろいろな問題、これについて若干御質問申し上げたいと思います。
午前中もいろいろ御質疑がありましたが、まず全国総合開発計画との関連の問題からお伺いいたしたいと思いますが、御承知のような都市の過密の進行、これがいま非常な問題でありますが、その裏面には、申し上げるまでもなく、農山村地帯の過疎ということが現実に進行しておるのであります。この過密、過疎というものはいわば表裏一体でありまして、過密対策を実効あらしめますためには、同時に過疎対策が強力に行なわれなければならぬ、このことは言うまでもないと思うのであります。ところが、現在改定中でありまする全国総合開発計画、これは本来過密、過疎対策を全国土的な見地から総合調整いたしまして全国の国土の調和ある発展、開発をはかる、これが最上位計画として位置づけられるものと思うのであります。
そこで、まずお伺いいたしたいと思いますのは、わが国の今日の実際の姿を見ますると、世界にその類例を見ないほどの非常に早い速度で進んでおりまする都市化現象、この中で国土全体が激しく流動している今日におきまして、新しい全国総合開発計画におきます国土建設のビジョンと申しますか、あるいは国土建設の基本方針、これはすでに御承知のように、全国総合開発計画におきましては、四十一年の九月に地域部会の中間報告が出ており、さらに四十二年の十月三十日に地域部会の報告として「高密度経済社会への地域課題」、こういうものが提出されておるのであります。先ほどのお話によりますと、この全国総合開発計画は本年の十月ごろに発表されようといたしておるのでありますが、この最上位の計画が今日なお明らかになっておらぬ。このときにこの都市計画の論議をいたすわけであります。したがって、新しい全国総合開発計画におきます国土建設のビジョン、あるいは国土建設の基本的な方針というものが明らかにならなければ相ならぬと考えるのであります。さらにまた、新開発計画の中で都市というものをどういうふうな位置づけをしておるのか、この点につきましてもお伺いいたしたいと思うのでありますが、まず全国総合開発計画に関連いたしまして、経済企画庁の国土建設のビジョンあるいは国土建設の基本方針、これらにつきましてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/43
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044・山下武
○山下説明員 御承知のように、現在の全国計画は昭和三十七年の十月に策定されたものでございますが、その計画に基づきまして各種の地域開発政策が講ぜられてまいっております。その後地域経済社会の現状を見てみますと、必ずしも計画で意図したとおりの状況になっておりませんので、政府として、経済の長期安定的成長と国民生活の向上を目ざしまして、均衡ある地域開発を一そう積極的に推進したい、こういう立場に立ちまして、新しい全国総合開発計画を策定しようということで、この秋を目ざして具体な準備を進めておるところでございます。現在各般の具体的な資料等を新しい観点に立ちまして整備しておるところでございまして、そういった新しい情勢に即応しましたデータをもとにいたしまして、国土の均衡ある発展をはかるという大きな目標に向かって具体的な計画を立てたいということで、目下作業中でございます。大体四月中には国土総合開発審議会を開かしていただきまして、そこで各般各層の方の御意見を十分取り入れ、また関係各省とも十分調整をいたしまして、具体的な考え方をまとめて、その考えに基づきまして、さらに全国計画の骨子となるべき草案をまとめていく、こういうような段取りで目下作業中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/44
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045・内海清
○内海(清)委員 全国的な調和ある国土の建設ということが基本のようでありますが、そういうものを受けて都市計画というものが立てられておると思うのです。私は、どうもなお都市計画との関連において不十分なものがあるだろう、かように考えるのであります。そこで、先ほども申し上げましたが、いまひとつ、新しい開発計画の中で都市というものをどのように位置づけられておるか、この点をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/45
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046・保利茂
○保利国務大臣 企画庁のほうから答弁がありましょうが、ただいま企画庁が御答弁申しましたように、この十月ごろを目途に、国土総合開発計画を見直して新たな改定をいたしたいということで作業を進めておるわけであります。
〔委員長退席、丹羽(喬)委員長代理着席〕
その企画庁の作業過程におきましても、この都市計画法が立案せられ、御審議をいただいておるというこの事実は十分考慮に入れられておるわけでございますから、そこらは大きなそごは来たさないのじゃないか。実は首都圏、中部圏、近畿圏のそれぞれの整備計画を持たなければならないわけでございますが、首都圏、近畿圏においては不完全ながら整備計画を持っておるわけでございますけれども、中部圏においては、いまだ整備計画を持っていない。そこでただいまこの計画の作業を進めておりますが、このほうは少なくとも六月、おそくも七月にはこの計画を一応決定いたしたい、こういう事情もございまして、したがって、全国総合計画とのそごを来たさないように、その面につきましても、企画庁との間で調整をして、総合計画が出た、すぐまた中部圏計画をやり直さなければならぬということにならないように配慮しておるようなわけでございます。都市計画法案、これは一応の構想でございますから、これを実地に運営いたしてまいりますときには、当然どういうような国土計画が表へ出てまいりますか、表へ出てまいりましたその総合計画にそごを来たさないように運営をはかってまいりたい、こういう考えでおるわけでございますから、その点は御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/46
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047・内海清
○内海(清)委員 いま大臣が運用の面において全国総合開発計画とそごを来たさないようにやろう、こういうことでございます。しかし少なくとも都市計画を考えます場合において、現在改定中でありますけれども、これをなぜ改定しなければならぬようになったかという問題は、最も大きい要素は、私は、大都市への人口及び産業の急激な集中、それによって都市過密の非常な弊害が出てきた、したがって、もはや従来の考え方ではむずかしいのであって、ここで手直しをしなければならぬ、もちろん、こそくな対症療法的な方策では解決せぬことは明らかでありますから、十分考えなければなりませんけれども、先ほど企画庁の答弁におきましてはこの都市計画との関連がきわめて不明確であると思うのです。ですから、企画庁でいま改定中でありますけれども、いま申しました新開発計画の中で都市というものをどのように位置づけようとしておるか、この点ひとつ企画庁のほうから御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/47
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048・山下武
○山下説明員 今度の全国計画におきましては、新しい時代に即応しました計画としなければならぬということで、非常に国際化の時代を迎え、また非常に大型化の時代を迎え、さらに広域化、都市化というような大きい方向を前提としていかなければならぬというふうに考えております。こういった一つの大きな流れの中に立ちまして、広い視野でこの全国計画を策定していかなければならぬ。特に先ほど御指摘のとおり、人口、産業の大都市集中、これは現在の経済社会の高度成長のもたらしたものでございまして、非常に現在の全国計画の内容を上回る内容となっております。他方、非常に人口の減少いたしました地域におきましては、先ほどのお話のとおり過疎現象を生じております。こういう実情を踏まえまして、この過密、過疎という現象をどのように全国計画の中で均衡ある発展の方向へ持っていくかということが非常に重要な課題になろうと思います。特にまたこの全国計画を策定いたします場合には、日本全体の国土の建設ということを目途といたします関係上、国全体の交通体系をどういうふうにするか、あるいはまた農村のほうをどういうふうに持っていくか、あるいはそれと呼応いたしまして、都市の具体的な配置規模をどういうふうにしていくか、こういうような問題も当然この計画の中で論議し、これを十分検討して内容としなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/48
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049・内海清
○内海(清)委員 どうも新開発計画の中における都市の位置づけというものがぴんとこないのですが、私は、四十一年十月三十日に出されております地域部会報告の「高密度経済社会への地域課題」というのを見ますと、従来の三十七年にできました全国の国土総合開発計画よりも一つの新しい観点が出ておる。それは従来は拠点開発という、いわばこれは分散政策かとも思いますけれども、こういものから都市集中はある程度やむを得ないと肯定しておる。そうしてこれの中では、都市地域なり、あるいは農村地域なり、あるいは自然の保全地域というふうな三地域程度に分けて、都市地域はさらに巨大都市と地方都市というふうにありますが、こういう思想が最終的にやはり生まれてくるのかどうか、これはいま申しました中間報告の中にあると思いますが、その点もう少し経済企画庁のほうから明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/49
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050・山下武
○山下説明員 ただいまの点は、今度四月中に開く予定でございます国土総合開発審議会において十分討議していただくことになると思いますが、やはり先般出した地域部会報告という方向の内容につきましては、十分これを尊重し、こういった考え方をできるだけ生かしていきたい、こういう立場で進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/50
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051・内海清
○内海(清)委員 この点につきましては、先ほど佐野委員も非常に御論議があったところでございますけれども、少なくともいま予想されておるところによりますと、二十年後には日本の全人口は一億一千六百五十万と想定をされておるようでありますが、それの約八〇%が市街地に居住するということになるわけであります。そういうふうに予想されておるのであります。そういたしますと、この都市問題というのは非常に大きな問題になる。全国民の将来の生活の場にかかる問題であります。したがって、これに対します基本的な方針というものは、一応そういうことが予測されておる以上、それに対処するものができるだけ早くできなければならぬ。同時に、それに基づいて都市計画というものも生まれてこなければならぬと思うのであります。しかし、この全国開発計画が進んでおりません。先ほど大臣は、都市計画は運用の面において全国計画とのそごを来たさないようにやりたい、こういうことでありますが、そういうことになりますならば、少なくとも全国計画というものが都市計画というものでもし今度きまりますれば、そういうものにかなり制約されるような全国計画になるんじゃないかということも考えられるのであります。その点はいかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/51
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052・山下武
○山下説明員 大体秋に策定いたしますことになりますので、時期的にも三、四カ月あとということになりますが、今度の都市計画法が施行されますと、当然内容的にも、運用面においても、全国計画の策定の内容とそうそごするようなことでもありせんし、最も調和した形において全国計画が策定されることをもとより私どもも念願し、また準備もし、具体的な資料等につきましても十分な整備をやっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/52
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053・内海清
○内海(清)委員 そういたしますと、いずれにいたしましても、経済企画庁と建設省の間で、この点は、都市計画法が出されました以上――今日まで全国計画は発表されておりませんけれども、この部面については相当な折衝があり、交渉があって、大体方向は誤まらぬということをお考えになっておるのでございますか、その点ひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/53
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054・保利茂
○保利国務大臣 御指摘のように、この都市計画法につきましては、総合的見地から見て、経済企画庁におきましても積極的にこの法案の制定を推進していただいておるわけでございます。また実施運用にあたりましては、もちろん全国計画と照応して所期の目的を達し得るように十分やっていかなければならない責任はありますし、またその確信はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/54
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055・内海清
○内海(清)委員 この点は現実に総合開発計画が出ておらぬのでありまするから、都市計画の実施にあたっても、実施された結果におきましても、これが全国計画とそごを来たさないように、この点がきわめて重要な点と思うのであります。この上位計画でありまする全国総合開発計画が未確定であります上に、さらに首都圏の整備法も現在改定中であります。これもまた問題があると考えるのでありますが、しかし、いずれにいたしましても、これらの全国総合開発計画なりあるいは首都圏整備法などを改定しなければならなくなったというその最もおもな原因は、現在の計画案を策定するときにあたりまして予測しなかったような、それをはるかに上回ったような都市化の進行があった、こういうことだと思うのであります。したがって、その基本計画そのものが無意味になってしまったから、ここでやり直そう、こういうことだと思うのであります。従来の地域産業計画の基本目標でありました都市集中の抑制あるいは地域格差の是正、これが全国総合開発の基本目標であったと思うのであります。こういうものによって新産都市あるいは工特地域の指定というふうなことが生まれてきたと思うのであります。ところが、これらが達成されないままに改定を余儀なくされてしまったのでありまして、この点につきましては今後も計画策定にあたって十分考えていただかなければならぬと思うのであります。
そこで、お尋ねいたしたいと思いますけれども、今回提出されております都市計画法、これに基づきまする都市計画というものが、従来の先ほど来申しましたようないろいろの計画のように途中で早く改定しなければならぬ、こういうふうなことがないようにこれは考えていただかなければならぬ。従来の二の舞いを踏んでは相ならぬと思うのでありまして、もしそういうことになれば、これは何のための新法かわからぬということに相なるだろうと思うのであります。しかし、都市地域におきまする開発整備が都市計画に基づきまして実施されますためには都市を中心といたしまする地方開発計画、さらには全国開発計画の中で当該都市の位置づけというふうなものがやはり明確にされる、その位置づけによりまして策定された都市計画でなければならぬ、これは明らかなことと思うのであります。しかし、先ほど来申しましたように、上位計画そのものが改定中であります。しかも、これも午前中いろいろ論議がございましたが、現在地域開発関係法というものがきわめてたくさんあるのであります。複雑多岐であります。これらのすべての関係法の相互の調整といいますか、あるいは統一といいますか、これらが行なわれておらぬ現在でありますから、都市計画の実施にあたりましては非常に困難な問題が多いであろう、こういうことを考えるのであります。この点に対しましては、いま提案されておりますけれども、実際実施にあたってはいろいろむずかしい問題がたくさん出てくるだろうということを考えるのでありますが、大臣はそれらの点についてどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/55
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056・保利茂
○保利国務大臣 仰せのとおり、この地域立法と申しますか、地域開発関係法がクモの巣を張ったようになっておるというこの中においてこの都市計画法を運用してまいるということは、非常に予想されざる困難が起きるのではないかという御懸念はごもっともだと思うわけであります。なおまた、先ほど来お話がございましたように、全国国土総合開発計画は数カ年にして組み直さなければならぬようなことになっている。そのときにはそのときの見通しと、およそ計画はあっただろうに、かくも事実が違ってきておるという反省が持たれた、私も勉強が少し足りませんけれども、感じますことば、たとえば新産都市あるいは工業整備地域というようなところに期待をいたしておりました。生産施設といいますか、生産力と申しますか、そういうところは大体期待もしくは期待以上に進んでおるのではないか。ただ、当然生産施設、工場なり、そういうものが誘致されれば、そこにそれだけの人口がそれに伴って移動していく、すなわち、一点集中的にならないで、大都市集中にならないで、新産都市方面に相当の人口が分散されるであろうという期待、その辺が全然狂ってしまっているということが言えるのであります。むしろ既成大都市、東京であるとか大阪とか、既存の設備もずいぶん分散計画を持ち、事実分散もいたしておりますけれども、まだ相当既存の施設というものが残っておる、残っておるところに持ってきて、名地に施設されておるそれらの生産施設を動かしてまいる中枢管理機構と申しますか、それは大都市に集中している。したがって、その集中がまた勢いをつけて人口の集中を呼び起こしてくるというような形に現状はなったのじゃないかと思うわけであります。
〔丹羽(喬)委員長代理退席、委員長着席〕
したがいまして、今度はおそらく――これは私の感じでございますが、総合開発計画においてはそういう点が十分見直されるのじゃないか。また都市計画法の運営にあたりましては、そういう既往のことに強い反省を加えて、強力にとにかく土地の利用計画をつくりまして、その利用計画にはずれて、大都市に存在しなくても十分にその目的を達し得るというようなものはできるだけ早く外に出てもらうというようなこと等をあわせ考えて、この都市計画法がまたまた間尺に合わないというようなことの起こらないように十分気をつけていかなければならぬ。これはいろいろお知恵をいただいて、今日のこの事態と取り組むわけでございますから、とても一建設省だけの力でどうこうという問題ではございません。全く根本は地域住民の方々の深い理解と、そして共同の目的、住みよい都市をつくっていくという共同の目的に向かって力を合わせていただくということでなければ、事実不可能じゃないかというように感じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/56
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057・内海清
○内海(清)委員 大臣のお話もそのとおりかと思いますが、全国総合開発計画がこの三十七年に制定されました当時もくろんでおったものよりは、その進展の度合いで今日かなりそごを来たしておるということは事実だと思います。もちろん、新産都市、工特地域というものがむだであったとは申しません、かなり進んだところもある。しかし、全体的に見ましたときには、かなり最初の予定よりおくれたということ、これはさっき申しましたように、大体いわゆる分散ということがその基本である。ところが、その後の推移によって、都市集中をある程度、好むと好まざるとによらず、認めなければならぬ、こういう段階にまいりましたから、今度改定しようということでございましょう。したがって、そういうふうなことにつきましては、よほど長期な見通しを立ててその基本計画を立てると同時に、立てましたものにつきましては、やはり十分国民の納得の上でこれを実施していくというこの両面がなければならぬと思うのであります。でありますから、この点につきましては、今回の都市計画の実施にあたりましても十分考えていただかなければならぬ、それだけに法案の審議は慎重を期さなければならぬ、かように考えるわけであります。
次には、都市計画の実施上の若干の問題についてお尋ねいたしたいと思います。
この都市計画の実施というものを直接的に担保してまいりますものは、人口の推移と申しますか推定と申しますか、こういうものであります。あるいは産業構造の問題、または都市の発展の目標あるいは都市の配置、さらには各地域の機能の分担、いろいろな要素があると思うのでありますが、そういうふうなものを総合的に見ましたマスタープランというものをつくらなければならぬと思います。そのためには、もろもろの計数の実体というものを把握しなければ計画はできないと思う。また、この計数の把握に基づきまして都市建設の基本方針を明確にされていかなければならぬ、かように考えておるのであります。そこで、今後十年間あるいは二十年間、こういうふうな期間におきまする首都圏、東京圏と申したほうがいいですが、首都圏、あるいは中部圏、あるいは近畿圏それぞれの地域におきまする人口はどのようになるのか。十年でどのくらい集中するのか、二十年でどのくらい集中するのか、わかりましたらお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/57
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058・川島博
○川島(博)政府委員 大都市圏の人口の趨勢が、今後十年なりあるいは二十年なりしますとどういう推移を示すかというお問い合わせかと思いますが、これにつきましては、先生も先ほどお触れになりましたように、たとえば首都圏をとりますと、現在の基本計画では、昭和五十年の人口が二千八百二十万ということになっておりますが、これはおそらく四十五、六年にはその数に達してしまうのではないかということで、ただいま基本計画の改定作業が進められておるわけでございます。各大都市、地域別の人口につきましては、これは先ほど来お話がございます全国総合開発計画の改定、あるいは首都圏基本計画の改定によって政府としてオーソライズされた数字をはじき出すわけでございますが、これは政府としてではございませんが、建設省が推計したところによりますと、先ほどお触れになりましたように、全国で見ても九千三百万の人口が昭和六十年には市街地に住むことになるわけでございまして、このうち東京圏、中京圏あるいは阪神圏、これに対しては、何らの集中抑制の強化策もとらずにこのままほうっておけばどのくらいになるか、あるいはこういう政策を強化したならばどうなるか、いろいろ推計の数字があるわけでございますが、私どもが今後集中抑制策をある程度実効あらしめるものといたします上で、たとえば東京圏の人口を推計いたしましたものがございますので、申し上げてみますると、これは東京、千葉、埼玉、神奈川、一都三県の数字でございますが、四十年の国勢調査の結果によりますと、一都三県の東京圏の人口は約二千百万でございましたが、六十年には大体三千百万、つまり二十年間に約一千万はふえるのではなかろうか、かように私どもは推計しております。ただ。これは私どもが一応推計したものでございまして、今後全国計画なり、あるいは首都圏計画なりにおきまして関係省庁が相談をいたしまして、政府としての数字を固めてまいることになろうかと思います。中京圏、これは愛知、三重、岐阜の三具でございますが、四十年が八百万でございますが、それが六十年には千百二十万程度になろうかと思います。阪神圏、これは大阪、兵庫、京都、奈良の四県でございますが、四十年には千三百九十万人でございましたが、これが千九百十万人程度になるのじゃなかろうか、かように推計いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/58
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059・内海清
○内海(清)委員 この三つの地域の建設省の増加人口というものをいま述べられたのでありますが、そうすると、建設省としては、この増加人口の収容策というものを考えていかなければならぬ。これにつきましては、いま参議院先議にかかっております都市再開発法、あるいはまた、ベットタウン、さらにはニュータウンというようないろいろな構想があると思います。さらに衛星都市の整備ということも考えられるのであります。これらの収容策としてどのような方策をお考えになるか、あるいは重要施策としてはどのものをおとりになるか、さらに、それによっての収容人員は一体どのくらいお考えになっておるか、この点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/59
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060・川島博
○川島(博)政府委員 たいへん重要な、かつ、むずかしい問題でございますが、実は先ほど来申し上げておりますように、六十年まで市街地人口が非常にふえるわけでございます。これらの人口を収容するためにどれくらい今後の都市開発が必要かということでございますが、現在全国の市街地面積は約四千六百十万キロでございますが、これが一万二千五百方キロに拡大する。市街地人口は二倍になりますが、市街地面積は約二・七倍に達するであろうというふうに推計をいたしておるわけであります。そこで問題は、一万二千五百方キロの市街地が必要になる、これはマクロ的に見ればまさにそのとおりだろうと思いますが、一体現在の東京なりあるいは大阪なり、どのようにこれが配分されるべきかということは、先ほど申し上げましたように、各地域別の将来の人口の推計が確定をいたしませんと、どのくらいの市街地が必要だということも成立しないわけであります。
もう一つ大事な問題は、大都市地域に対しては今後もかなり当分の間は人口が集中せざるを得ないであろうと思いますが、その際に、これらの人口をいわゆる既成市街地の再開発、それから近郊の市街地の新開発、こういう再開発あるいは新開発の方式によりましてどの程度収容できるかということが、今後都市政策に課された重大な問題であろうと思います。これにつきましては、実は都市政策の先輩国でございますイギリス等におきましても従来いろいろと検討され、また施策が行なわれておりますけれども、今日におきましても依然として試行錯誤と申しますか、いろいろニュータウンをつくって人口を分散する、すなわち、新開発の方式によって人口の集中を抑制しようというような施策が特にイギリスにおきましては強力に進められたわけでございますが、これが必ずしも効果を十分に発揮しない。ロンドンの既成市街地の人口が、こういった政府の強力な施策にもかかわらず、少しも減らないどころか、最近では若干その勢いを増すというような趨勢もございまして、まあ各国ともこの対策には非常に苦労しておるわけでございます。日本におきましても、はなはだ遺憾でございますけれども、現在まで、この大都市問題といたしまして人口の収容を近郊と既成市街地、これをどの程度に割り振って収容すべきかということについては、いままでのところ確固とした公的な結論は出てないわけでございます。これにつきましては、先ほど大臣が申されましたように、中枢管理機能の集中の傾向、これはある程度抑制できないということを前提にいたさなければならないと思いますし、また、通勤問題その他を考慮いたしますと、この新市街地に対する人口収容力のための投資と既成市街地の再開発に要しますと投資と、一体これが費用の比較においてもどの程度優劣があるかというようなことにつきまして、これを相当突っ込んだ検討をする必要があると思います。私どもはただいまそういう新開発、再開発をめぐるコストベネフィットにつきましていろいろと研究をいたしておる段階でございますが、残念ながら、今日明確な方向につきまして御答弁をいたしますまでの段階に至っておりません次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/60
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061・内海清
○内海(清)委員 私は、建設省において、少なくとも首都圏、中部圏あるいは阪神地域、こういう地域の人口増加が予想されております以上、これが最終的なものではなくても、ある程度のこれに対します計画がなければならぬ、こう思うのであります。これはこの都市計画の中できわめて重要な問題だと思うのであります。でありますが、いまのお話によると、これは既成市街地の再開発でどのくらい収容できるか、あるいはさらにはこの新開発でどのくらいできるか、あるいは衛星都市の整備によってどのくらい収容できるか、これが全然目途がないということはいかがなものだろうか、こう思うのであります。これができなければ、もちろん、再開発あるいは新開発あるいは衛星都市の整備等につきましても何ら施策はできぬということになるので、したがって、人口はふえてくるが、それに対する施策というものは何らないということに相なると思う。これはいかがなものかと思いますが、大臣、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/61
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062・保利茂
○保利国務大臣 御指摘の点は、ざっくばらんに申しまして、非常な反省をしなければならぬところだと思います。私のみならず、国民がみな願っているところは、均衡ある国土の開発、発展。そのためにこそ、あるいは幹線自動車国道等の大きな計画を立てて、全体の各地域に旺盛な経済活動がそれぞれ持たれるような国土にしなければならないということがねらいである。ただ、どうも幹線高速自動車道一つをとって考えてみましても、願いはそうであるけれども、かえってまた大都市への集中を促進してくるようなことになるのじゃないかという懸念は、これは十分持っておらなければならないかと思うわけです。そこで、願いとしては、大都市に集中してくるその趨勢をどうしてどこで防ぎとめるか。たとえば東北でありますならば仙台でありますとか、あるいは新潟でありますとか、富山でありますとか、あるいは広島でありますとか、そういう地方の中核都市といいますか、そういう地方中核都市を整備拡充して、そこへある程度の人口のとまりといいますか、を促すようなことも、全国計画の上では考えていただかなければならぬではないか。そこで、端的に東京を例にとって申し上げますと、先ほど局長から申し上げておりますように、いろんな工場施設等はよしんば地方へ分散しても、中枢管理機能はどうしても大都市東京に集中してくる、それが集中してくれば、そのサービス関係の人口というものはそこへまた寄ってくるというようなことで、生産設備の地方分散が必ずしも人口の配置とマッチしてこないということは、もう現状がそうだと思うわけでございますから、そういう点はこれからの全国計画を立てられる過程において十分検討をされていくだろうと思うのであります。東京のこの既成市街地に、今後開発すれば一体どれだけの人口が収容できるか。この問題は、これは扱い方の問題であるし、それから、それのもろもろの施設を整備し得る財源がそれだけの用意ができるか、算術の問題になってくるのじゃないか。この間、同友会で出しておりますように、たとえば近郊地といいますか、旧東京二十三区の中の農地だけを立体利用するだけでも四百万くらいの人口はさらに収容できるというようなことが出ておったようでございますし、ですから、これは計画の立て方、金のかけ方、要するに財源をどう見出してくるかということとかね合っていくわけでございますから、そういうものを前提とすればすぐ計算は私はできると思います。たとえば現在の住宅にしましても、大体一階半くらいで利用されておるのじゃないか。これを三階ないしは四階に利用すればどうなるか。ないしは現在の二十三区内の農地山林等を宅地化して、そこへ相当高層住宅化をはかるとすればどのくらいの人口が収容できるか。そういうことがこれからの都市計画法運用の過程においてどういう具体的な計画を立てるかということになって、収容力がどのくらいあるかということは、そういう前提を置いての算術的な数字はすぐ出るのじゃないか。おそらく計画局でも数字はすぐ出し得るのじゃないかと私は思うのでございます。しかし、問題は、要するに都市計画市街化区域を今度かりに指定しまして、その市街化区域の中にある遊休土地をどういうふうに利用するかというようなところに、どれだけの金をかけ得るかというようなことにも関連してくるのじゃないか。お答にならぬかもしれませんけれども、そういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/62
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063・内海清
○内海(清)委員 そういたしますと、全国総合開発計画ができなければ、こういう面にはなかなか手がつかぬということですか。これは建設省で十分できるということであるならば、一応のそういうことに対する考え方はあってしかるべきである、私はこう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/63
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064・川島博
○川島(博)政府委員 先ほど東京圏、中京圏、阪神圏についての人口を申し上げましたが、当然これらの数字を前提にしていろいろ作業をした数字は持っております。しかし、これは私どもが部内でいろいろ作業用に各種の数字を出して検討いたしておるのでありまして、これでいくというふうにきめておるわけではございません。先ほど大臣も申されましたように、この方向をとればこれくらいお金がかかる、その方法をとればこのくらいお金がかかる、いろいろ試算はいたしておるわけでございますけれども、まずこれでいくべきだというところまで結論を出すには至っておらないということを申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/64
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065・内海清
○内海(清)委員 私は、既成市街地の開発、あるいはベッドタウン、ニュータウンの建設、あるいは衛星都市の整備というふうなことを、収容可能人口の上に立って考えていかなければならぬと思うのでありますが、もちろん、今後は、国民経済的な観点に立って、これの中のどれをやったら一番効果的であるか、あるいは低コストでいくか、そういうことは少なくともある程度の一つの目標がなければならぬ、こう思うのであります。まだその辺は発表するまでの域に全然達しておらぬということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/65
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066・川島博
○川島(博)政府委員 先生御承知のように、最近東京におきましては、郊外からの通勤人口が激増しておりまして、これに対しまして、国鉄は第三次長期計画におきまして、この通勤輸送に七千二百億の巨額の費用を投下してこれが緩和をはかろうといたしておるわけでありますが、今後の十年なり二十年なりの人口増、それに伴う通勤増を考慮いたしますと、国鉄がみずからその資金をまかなって通勤輸送を改善することばとうてい不可能なわけでございますが、そういう観点から、今後増加する通勤人口のための施設投資部分を何らかの方法で別途に調達をするということがきわめて重要な問題になっております。これに対しましては、先ほどの部会の報告にもございましたように、今後は大都市の整備、社会資本の整備につきましては、受益者負担の原則を強化するという以外に資金の調達方法がないということがいわれておりますが、これとの関連におきまして、既成市街地の再開発は、なるほど土地代が非常に高うございますから、再開発経費は高くかかります。逆に、郊外におきましては地価が比較的安いから、たとえば団地を建設いたしましても、確かにこの中を整備するよりは安くつくことは間違いございません。ただ、しかし、今後それらの足を使う人々に負担させるというような前提に立ちますと、どうしても通勤投資というものを開発経費の要素の重大な一つに判定せざるを得ないことになろうと思います。そこで、郊外に団地をつくりますれば、それだけの新線を建設いたしませんと、とても輸送力が間に合わない。このための投資がどの程度になるか。逆に、この都心の中に再開発によりまして人口収容力が増しますれば、通勤投資は、ゼロではないでしょうが、郊外に新線を延ばすよりもはるかに少くて済むわけでございます。また、通勤に要します時間あるいはエネルギーあるいは通勤定期代、そういったいわゆるお金に換算しにくい要素をも入れまして、新開発のほうが有利か、あるいは再開発のほうが有利か、また、その度合いによりまして、郊外の収容力と既成市街地内の収容力は、たとえば六、四でございますとか、七、三で考えるべきだ、こういう議論になるわけでございます。そういう計算過程には、今後の、原因者負担といいますか、受益者負担といいますか、そういう通勤の足のコストの問題も含めまして、ただいま私どものほうでいろいろ検討いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/66
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067・内海清
○内海(清)委員 いま通勤施設の問題が出ましたが、私は、これはあとからお尋ねしようと思っておった。今回の法案に盛られておる程度でそれがうまく解決できるのか、こういう気がいたしておるわけでありますが、そういうものを含めて、やはり増加人口の収容ということは、建設省としては一応の目安があってしかるべきだ、私はこう思うのでありますが、いまのお話のように、その目安が現在ないとするならば、これはやむを得ぬと思いますが、それではたして今回の都市計画というものはいいのであろうか、どうであろうか、私はこういう気がいたすわけであります。その点につきまして、大臣の御所見を重ねてお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/67
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068・保利茂
○保利国務大臣 問題はそこにすべてかかってくる非常にむずかしい問題だと思うわけでございますけれども、私は、なるほど、地価の安いところを開発して、そこにベッドタウンでもつくって、そして通勤施設を整備して、通勤を改善してまいるということもあわせて考えていかなければなりませんけれども、一つのねらいどころは、既成市街地をどう開発できるか、これは足の問題と両方にからむわけでございますから、幾らか金はよけいかかるけれども、長期的な国民生活に与える影響等を考えてみまして、また都市の整備ということから考えてみまして、やはり既成市街地の再開発ということ、高度利用ということは、より考えていかなければならないのじゃないか。これもしかし金のかけようで、今日の世界に例のないような非常に高い地価になっている、その地価を動かそうとすると、なかなかこれはできないことでございますけれども、何とか土地所有者の方の協力をいただいて、そうして地価に影響を及ぼさないように、土地所有者が持っておられる土地を、公共的に、社会的に、そうして自分自身のためにも高度利用をさせていくようにということで、あるいは税制の面あるいは融資の面等から大胆に施策を講じなければ、そのままじゃ、こうやって何されておればどなたも積極的にあろうはずはありませんから、やはりその所有者の方の利益をはかっていく上からいっても、できるだけ大胆なそういう税制上、融資上の保護等を加えまして、そうして既成市街地ができるだけ高度に――商業地域あるいは住居地域、それぞれが高度に利用され得るような施策が伴わなければ意味をなさないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/68
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069・内海清
○内海(清)委員 この問題は、一応首都圏、中部圏、近畿圏の人口が増加するであろうという予測はありますけれども、その増加人口をどういう形で収容するかという点については、私はなおほど遠いと思うのであります。しかも、どの手法をとるかということ。これはいま大臣のお話しの既成市街地の再開発、あるいはニュータウン、ベッドタウンを建設するとか、あるいは衛星都市を整備するというような問題があると思いますが、これもきまっていない。しかし、少なくともそういう大体の人口の増加の見通しがあるならば、それをどういう形で収容するかということは当然考えられなければならぬだろう。しかもその手法としては、国民経済的な面においてこれはまた十分検討されなければならぬことだと思います。こういうふうに思うのであります。この問題は、いまここで押し問答しましても、現実にその施策がございませんから、これはできるだけ早く建設省の案としてもおきめいただき、お示しいただきたい。強く要望しておきます。
それから次に、私は広域行政の必要性と申しますか、こういうことについてお尋ねしてみたいと思うのですが、この首都圏、東京のような大都市におきましては、行政区域を越えて、実態としては数県が一つの都市として機能しておると思うのであります。これは、東京でいえば、いま南関東というものが都市機能としては一本化しておるような形ではないか、こういうふうに私は見るのであります。しかし、行政上は、従来の行政区域に細分化されておって、実態的な都市圏と行政というものが合致しておらぬということ。でありまするから、個々には有機的なつながりを持っていない、こういうことに相なるわけであります。このために、その圏域、たとえば首都圏というような圏域全体を統合する総合計画というものがなかなか確立しにくいという問題がある。これが確立せぬということは、ひいては大都市における混乱を一そう助長しておる形になると思うのであります。これにつきまして、現実の事態に合致した行政として広域行政の必要、これが考えられてくると思うのであります。以前からこの問題はいろいろ論議されておるところでございますが、今日なおこれは何ら実現を見ておらない、進展を見ておらぬという状態であります。この大都市の行政区域を通勤圏、通勤範囲内まで拡大した広域行政、これを確立することについては大臣はどういうふうにお考えになっておるか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/69
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070・保利茂
○保利国務大臣 あらゆる支障を越えてもはや広域行政を行なわなければならない、行政の運用はやらざるを得ないところに参っておると思っております。そこで、たとえば東京にいたしましても、生産活動なり社会活動なり経済活動なりというものは東京でやる、寝るのは埼玉県だとか神奈川県で寝て、そうして昼間東京に来て働く。主たる活動は東京において行なわれる。埼玉県なりあるいは神奈川県なりで寝る。したがって、埼玉県なり神奈川県に家族がおれば子供がおる、子供がおれば学校に行かなければならぬ、そういうふうに急激に外側外側にいったために、もはや東京と埼玉、東京と神奈川というものは、境界をつけておることがまことに不自然きわまる状態になってきておるのではないか。たとえば近畿圏にいたしましても、そのために行政のそれぞれの区画があるわけでございますから、やはり奈良県のように、日本のだれが考えてみましても、国民のよき保養地である、観光地であるというようなところも、やはり産業開発をやらなければならぬというわけで、煙突を立てるようなことまでやる。実におろかなことをやっているのは、何か不自然な行政区域が百年以前のままに残っておる、そして世の中はかくのごとく進んでしまっておる、それにどうも合致しないゆえんではないか。それで、私は、せめて四国あたりは、あの県、この県というのはよそうじゃないかというような考えで――しかし、それは誤まった考えで、行政区域をやはり尊重してまいるという上からいきますと、そういう考えは必ずしも妥当な考えではないと思うわけですけれども、いずれにしましても、今日の時代は、もはや、百年以前の府県単位が、国全体の円滑な発展をはかっていく上において非常に障害になっておることを私は感じておるわけなんでございます。でございますから、これはお互い議員の立場から共同に考えて、およそ区分そのものとしてのそういう行政区画等についても、広域行政がきわめて自然になめらかに行なわれるように持っていかなければならぬ。そういう観点から、はなはだ不徹底な首都圏であるとか中部圏であるとか近畿圏であるとかいうようなものが、整備圏としてつくられたわけです。これは力も何も実は持たないわけでございますから、そういう点で各党とも大いに真剣に踏み込んでいかなければならぬ問題じゃないだろうか、私は率直にそう感じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/70
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071・内海清
○内海(清)委員 いまの大臣のお考え、私もそう考えますがゆえに御質問申し上げたわけでありまが、たとえば首都圏であるならば、これがまた二重行政になっても困るのでありますけれども、少なくともこの首都圏を中心にしたくらいは、この際思い切って首都圏庁的なものをつくって、この首都圏全体の行政に当たっていく、こういうことが考えられていいのじゃないかと思いますが、その点だけひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/71
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072・保利茂
○保利国務大臣 正直にいって、私個人としては、そうでなければ、こういうふうな中途はんぱなことばかりやっておってはなかなかやれるものじゃない、そういう感じはいたしておりますが、しかし、これはきわめて慎重に、しかし、やるべきときは大胆にやるべきものであろうと思います。御意見には全く同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/72
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073・内海清
○内海(清)委員 大臣が参議院へおいでになりましたので、次官にお尋ねいたしたいと思いますが、いま広域行政の問題をいろいろ論議しておったわけであります。首都圏についてもそういう考えを私どもしているわけでありますけれども、少なくともこの都市計画法を実施するという場合、これをスムーズに実施するということを考えますと、どうしても広域行政に移行する必要がある。しかし、これはなかなか困難な問題が派生すると思います。しかし、それをいつまでもほうっておいてはそこまでいかない。したがって私は、広域行政に移行するまでの暫定的な措置といたしまして、都市圏を構成いたしまする都道府県の協議機関的なものの設置が必要なんじゃなかろうか、こう考えます。これはいまの首都圏の考え方と全く同一になりますけれども、その点につきましてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/73
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074・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 先生御承知のように、首都圏は三つの地域に分けまして、既成市街地と、近郊整備地帯と、それから都市開発区域という三つの区域に分けております。近郊整備地帯というのは、大体東京の中心部から十五キロくらいの地域を一つの近郊地帯としてとらえまして、これについて首都圏整備法に基づいて近郊整備地帯の整備計画というものが立てられることになっているわけであります。したがいまして、私どものほうの都市計画は、この近郊整備地帯の整備計画を受けまして、これは当然首都圏整備委員会でつくるわけでございますが、地方公共団体の意見、それから各関係行政機関の意見を入れて近郊整備地帯整備計画ができることになっております。それを受けまして、それぞれの都市計画区域におきましてそれに適合するように都市計画を定める、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/74
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075・内海清
○内海(清)委員 私は先ほどの首都圏と同じ考え方でありますけれども、少なくとも関係の都道府県が常置の協議機関ぐらいは設けて広域行政的な措置をとらなければ、もういけない段階になっているだろう、東京都あるいは中部圏あるいは近畿圏、こういうふうに考えるのであります。いまでももちろんお互いに連絡をとり合ってやってはおると思うけれども、これが行政区域と一致しないために、そこらにいろいろな問題が起きておるわけであります。したがって、この問題につきましては、今後十分にこの都市計画法の実施にあたって考えなければならぬ問題じゃなかろうか、こういうふうに考えます。だからその点につきましては今後なお十分な御研究をお願いしたい。要望しておきたいと思います。
次には、これは午前中もいろいろ論議がありましたけれども、今日、都市の総合的な計画整備を行なう上で一番ガンになっておるのは、何と申しましても各省庁の縦割り行政である。これは午前中も論議があったとおりであります。一方、官庁のセクショナリズムを排除していかなければならぬ、こういうふうに考えるのであります。従来団地などの住宅建設と都市交通機関の整備、先ほど計画局長のお話がございましたが、これらの問題は従来はほとんど関係なしに行なわれてきたのであります。昨年末新都市交通総合対策懇談会というものがようやく設置されまして、住居と足の調整をはかろうとしておるような状態でありますが、この都市計画の中に入りますところの各省庁の縦割り行政の弊害、これは今日特に皆さん方よく感じておられると思う。午前中の論議にしましても、たとえば通産省の工業立地適正化法案がなかなか各省との話し合いがうまくいかないので、今国会提出見送りということのようでありますが、そういう縦割り行政の弊害を除去して都市計画の強力なる実施をはかることが必要であると思います。そのためには行政の一元化が生まれてこなければならぬと思うのであります。この点に関しましては特に次官からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/75
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076・仮谷忠男
○仮谷政府委員 全くその点は同感であります。各省の縦割り行政というものがいろいろな面で支障を来たしておることはお説のとおりでありまして、ただいま例示されたたとえば通産省の工業立地適正化法案の問題にいたしましても、この都市計画法を施行する場合においての問題点、さらに農業関係では農業振興地域の指定の問題、こういった問題が縦割りでそれぞれの官庁の考え方を推し進めていきますと、そこにいろいろな問題点を生ずるわけであります。したがって、これはどうしても総合的に調整をして、役所のためでなしに国のための調査だという観点から問題を取り上げていかなければならぬということを私も切実に感じております。これは行政上非常にむずかしい問題だと思うけれども、むずかしい問題だからといってそのままでほうっておくというわけにはいかないと思うので、直ちに一本化するということは問題だと思いますけれども、少なくとも総合的に調整して問題を進めなければならぬという点については、全く同感でありまして、そういう面では今後大いに努力すべきだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/76
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077・内海清
○内海(清)委員 この点は午前中もいろいろ論議がありましたように、現在この都市計画法が提案されたために、これが全部各省別にやっておる。したがって、われわれがこの都市計画法を審議するといっても、各省から資料を出してもらって、それを調べなければこれのほんとうの審議ができないという状態、この状態では相ならぬと思うのであります。いまも申しましたように、通産省では、これは出そうと思ったけれども、話し合いがむずかしいからこの国会は見送りだ、運輸省におきましても、あるいは農林省におきましてもそれぞれそういうふうなものがあるわけであります。これはできることならこの都市計画法の中に統合して、統一してやっていくならば、都市計画法の実施もきわめてスムーズにいくだろうということを考えるわけであります。しかし、現在はなおなかなかそこまでまいりませんので、少なくとも現在以上にこれが複雑化せぬように、関係法というものが錯綜せぬようにやらなければならぬと考えるわけであります。したがって、こういう法案を審議する場合には、これは建設省としても、そういう関係省の関係した法案については同時にわれわれに資料も提出してもらう、このことが法案審議におけるきわめて親切なやり方だと思うのであります。この点につきましてはこれをひとつ要望しておきたいと思います。
それから、先ほど計画局長がお話しになりましたが、やはり都市計画の基本は、何と申しましても、土地利用計画と、それから交通計画だと私は思うであります。ところが、現在の都市計画というものを見ますると、これはまさに土地利用計画といってもいいと思うのであります。交通に関しては、この都市計画区域におきまする施設のほうにおいて若干規定されておるにすぎぬ。こういう交通計画というものは、やはり都市計画の上からいえばきわめて重要な問題と思うのであります。当然これが統一されなければならぬ、こういうふうに思うのであります。都市計画の一つの柱でありまするこの交通計画が、本法におきまする規定程度で十分であるとお考えになっておるのか。もちろん十分であるとはお考えになっておらぬと思いまするが、それらの点につきまして御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/77
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078・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 都市計画の中で一番大事なのは、先生おっしゃいますように、土地利用計画、それから都市の骨格になる公共施設の計画、中でも一番大事なのは交通施設の計画でございます。したがいまして、都市地域の中を住宅地区あるいは商業地区あるいは工業地区という利用区分をいたしまして、それに見合った形でそれぞれの地区に、ふさわしい道路なり、あるいは高速鉄道なりの計画も立てていかなければならぬ、そういう観点に立ちまして、この都市計画法におきましては、都市施設として交通施設を必ずきめなければいかぬというふうに書いてあるわけであります。都市間を結ぶ道路あるいは全国を貫きます道路網というようなものは、十三条で書いてございますように、都市計画のいわば前提となるような計画であり、そういうものを受けてそして都市の中の交通計画を立てていこう、こういうような考え方で立てておりますので、もちろん、予算その他というような問題もございましょうけれども、計画といたしましてはこういう形で計画するのが適当じゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/78
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079・内海清
○内海(清)委員 一応建設省の意図されておりますところはわかりますけれども、私はこれではなお不十分だと考えるわけです。もちろん、こういうものが出ますならば、それに付随して運輸省はまた考えてくると思いますが、それではおそいのであります。都市計画実施の段階においてそれが同時に行なわれなければならぬということでありますから、その点につきましては今後十分お考えいただきたい、こういうふうに思うのであります。
それから、これをやりまして終わりにしたいと思いますが、私は、前回、地価問題に関しまして、大臣の所信表明に対する質疑の際にいろいろお尋ねしたわけでありますが、いま少し御質問申し上げたいと思うのであります。
本案におきまする土地利用計画、これはいわば財産権を規制する、こういうふうな面が出てくると思うのであります。ところが、その規制が社会的な存在として合理的であると認められる場合、そして合理的と認められる侵害である場合、それであるならば財産権に対する補償は要らない、不要であるという一つの考え方があるわけであります。私は、これにつきましては、財産権の、いわゆる憲法二十九条の二項、三項というものもございますが、そういう面から見ましても、別にこれが違反ということには相ならぬだろう、こういうふうに考えるわけです。しかし、合理的な規制であるためには、個々の財産の特質に応じまして、また社会公共に対して与える影響や、土地に対しまする権利のみならず、その他のいろいろな財産権とのバランスが考慮されなければならぬ、こういうふうに考えるのであります。市街化調整区域では一定期間開発が許されない、したがって、地価が低下するかあるいは横ばいか、そういうふうになるだろうと考える。この法案におきましては、こういうことに対する補償あるいは買い上げ請求権、こういうものは認められていないのであります。しかるに、現状のままでいくと、市街化区域の地主というものは開発利益を一手に受けるという形に相なるわけでありますから、これではかえって他の財産権とのアンバランスをつくり出すようなものだ。調整区域にあっては不当な財産権の侵害になるのではなかろうか、こう考えるのでありますが、これに対しまする御所見をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/79
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080・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 先生おっしゃいますように、憲法との関係におきましては、社会的な受忍義務と申しますか、財産権に内在する社会的な受忍義務に当たるかどうかということによって、社会的制約が妥当であるかどうかということが判断されるわけでございますが、私ども、市街化調整区域につきましては、これは永久に保全する区域と違いまして、現在のような激しいスプロール化が行なわれている間に段階的に計画的な市街化をはかっていくというためには、望ましい地域に公共投資を集めて、そして市街化調整区域のほうでは、将来の公共投資の見通しが立つまでは一定期間開発行為を押えておく、こういう制度でございますので、市街化調整区域の土地の本来の効用を奪ってしまうものではない、つまり、二十九条三項でいうような、公共のために用いるという本来の土地の効用を奪って別の目的に使うというような形ではないのであります。さらに、この法律におきましては、市街化調整区域指定の際に、土地を持っておりまして、うちを建てよう、あるいは何らかの営業をしようという人に対しましては、経過措置として開発を認めております。したがいまして、私どもといたしましては、市街化調整区域というものの指定は、補償なくしてこの程度の抑制は行ない得るものだ、こういうふうに考えておるわけであります。しかしながら、先生おっしゃいますように、市街化調整区域のほうの地価がある程度鎮静する、しかも市街化区域におきまして地価が高騰するということになりましては、やはりこの間の不均衡ということが生じてまいりますので、都市計画法自体におきましても、たとえば市街化区域の中の公共投資を優先的にするとか、あるいは宅地供給を促進するために幾つかの手段を用意しておりますけれども、先般来大臣からも御答弁がございますように、都市計画法だけでその問題が片づかないのじゃないかというような感じもいたしておりますので、この点につきましては、税制その他の補完措置と申しますか、そういうものが要るのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/80
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081・内海清
○内海(清)委員 市街化調整区域というのは、一定期間ではありますけれども、開発が許されないということである、また補償や買い上げ請求権もないという問題、これが市街化区域と調整区域が指定されるならば、市街化区域の地価は非常に高騰するだろう、これは明らかであります。ところが、調整区域はむしろ地価が低下するのじゃなかろうかという心配さえあるときであります。これはもちろん、いまお話しのような税制その他、すべての総合施策によってそのアンバランスをなくさなければなりませんが、これが片手落ちになっては、これはたいへん財産権の侵害ということに相なる。税制その他の問題は、これが実施されますときには、これらがみな総合的に実施される見通しでありますかどうでありますか、その点をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/81
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082・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 この委員会で大臣からも御答弁がございますように、税制調査会のほうで土地税制部会を設けて、そして八月ごろまでに結論を出すということを言っておりますので、建設省といたしましてもその答申に期待したしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/82
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083・内海清
○内海(清)委員 この点は非常に私は重要な点だと思うのであります。これがうまくまわりませんと、この都市計画法も行き詰まるだろうと考えるわけであります。いまの段階ではなかなか私ども十分納得しかねる、安心しかねる面があるわけでありますが、どうかこの点は、今後におきまして少なくとも財産権の侵害にならないように、すべての施策を総合的に行なわれ、バランスのとれた行政が行なわれるように強く要望いたしたいと思います。
それから行政活動や社会的財産、これは公共施設といったほうがいいかもしれない、それから人口の集中、こういうふうなことによって都市化された、それによってもたらされました利益というものは、先般もこれは大臣と論議したところでありますけれども、その社会自身が生み出したものであります。したがって、当然に社会自体にこの開発利益というものは還元されなければならぬだろう、こういうことにつきましては、これは先般いろいろ論議したところでありますが、私はそういうふうな確固とした一つの観点に立って、抜本的な地価対策というものが都市計画法と同時に実施されなければならぬと考えるのであります。都市計画法案をはじめといたしまして、地価公示制度の実施、これを準備中ということでありまして、こういうときにあたりまして、建設省としてはこれらについてどうお考えになりますか、ひとつその辺のところをお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/83
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084・川島博
○川島(博)政府委員 仰せのように、地価対策といたしましては、この都市計画法案にあります土地利用計画の確立を契機といたしましていろいろ対策を講ずる必要があると思っております。中でも、ただいま先生の御指摘になりました地価公示制度の実施、これは三十九年の本院の決議にもございますように、われわれとしてもなるたけすみやかに実施をすべきものと考えております。そこで三十九年からこの準備行為といたしまして、東京並びに大阪地区におきまして、ことしで四年目になるわけでございますが、地価の準備調査を実施いたしておりまして、四十三年度からは名古屋地区も加えて、三大都市圏におきまして地価調査を実施いたします。これは地価公示制度の準備ということで実施をいたしておるわけでございますので、私ども事務当局といたしましては、名古屋地区が四十三年、四年と二年やりましたその翌年、すなわち四十五年、おそくも四十六年からは地価公示制度を実施に移したい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/84
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085・内海清
○内海(清)委員 前回の私の質問に対しましても、大臣は四十五年おそくも四十六年にはこの地価公示制度を実施したい、こというお答えであったのであります。私は、少なくともこの問題はやはり都市計画法が実施されるときにあわせて実施できるようなことにならなければ、地価問題というものにさらに混乱を来たすのじゃないかというふうに考えるのであります。いずれにいたしましても、この地価公示制度が実施されました場合に、これを税制など地価問題解決にどういうふうに反映させよう、こう考えておられるか、その点について承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/85
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086・川島博
○川島(博)政府委員 地価公示制度の内容といたしましていかなるものを考えるかということでございますが、私どもは、やはりスタートいたします際の地価公示制度の内容といたしましては、三大地域の標準的な土地をとらえまして基準価額を公示するということを考えております。この基準価額に法律的にいかなる意味を持たせるべきかということでございますが、現在のところ、私どもは、これは一般の人々が土地の取引をいたします場合の目安になる価格というふうに考えております。なお、公共用地の取得にあたりましては、これは政府が正常な価格を公示するわけでございますので、少なくともこの価格に準拠するということにいたしたいと考えております。
なお、この公示価格をさらに国税あるいは地方税の税制に援用するかどうかという問題につきましては、直ちにというわけにはまいらないと思いますけれども、これも一つの重要な問題点として検討すべきであろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/86
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087・内海清
○内海(清)委員 私はこれで終わりたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、都市計画実施にあたっての最後のかぎは、私はやはり地価問題だと思うのであります。私、前回いろいろ具体的問題もあげて大臣の御所見も承ったのでありますが、これらに対してははっきりとした方針はお伺いできなかったのでありますけれども、少なくとも都市計画が実施される段階におきましては、まずこの地価の公示制度、こういうふうなものは実施さるべきであると私は考えるのであります。これらにつきましては、今後そういうふうに相なりまするように最善の努力をしていただきたい。もちろん、準備の都合もあると思いますけれども、そうでなければ、せっかく都市計画の実施にあたりましても、いろいろな困難、ことに地価が暴騰してくるだろうというおそれがあるわけでありますから、この点につきましてはまた同僚委員からもいろいろ御質問が出ることと思いますが、私は前回それ一本にしぼって御質問申し上げておりますので、今回はこの程度にいたしておきたいと思います。特にこの地価問題につきましては、きわめて重要な問題である、特に都市計画実施にあたっての基本的な問題である、こういうふうに考えまして、私どももこの土地価格抑制のための基本的施策に関する法律案というようなことで実は準備いたしております。できるだけ早く提出いたしまして、いろいろ御批判いただきたい、かように考えております。その節には同僚委員の皆さん方にもよろしくお願い申し上げたいと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/87
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088・加藤常太郎
○加藤委員長 下平正一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/88
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089・下平正一
○下平委員 都市計画法につきまして、若干の質問をいたしたいと思います。
御承知のとおり、都市問題というのは現在の国内政治の問題では一番重要な問題になっていると思います。そこで、今度の法律がある意味では都市問題解決のためにやや前向きの姿勢を示しているんではないかというふうに私は若干感ずるわけでありまして、そういう意味で、できることなら都市問題前進のための一つのきっかけをこの際つくることはたいへん意義があるのではないか、こう考えているわけであります。私ども社会党といたしましても、都市問題がたいへん重要でありますので、党内に都市問題の対策特別委員会をつくりまして実は対策をそれぞれ練っているところであります。そこで私は、この都市計画法の中で前進をしている点といえば、土地の利用計画というものについてある程度めどをつけてきた、利用区分というものを指定してきたというところに前進の問題があるのではないか、こう思います。
さて、この法律が実際面で適用されるにあって、一体ほんとうに適用されるのかどうかという点に幾つかの心配な点があるわけです。私は、ある意味で前進したこの法律が、実施にあたっていろいろの面でつまずいて、実効があがらないというようなことがあるとすれば、これは都市問題前進のために逆にたいへん障害になってしまうというような気がするわけです。そこで、私はきわめて善意に、六〇%はこの法案のいい面を認めるという立場で、残った四〇%の不安が一体埋められるのか埋められないのかという点で、大臣並びに関係の事務当局の御意見を聞きたいと思うのです。ほんとうの意味で私はその点の疑義が納得されるならば賛成をするにやぶさかではありませんが、現状、私たちがこの法案を理解し、解釈をしてる範囲ではちょっと賛成いたしかねる、こういうことであります。
そこで、まず大臣にお伺いしたいのですけれども、いまの都市問題というものは、午前中の質問、その他の同僚の質問にありましたとおり、全国の計画だとか、地域の開発の計画だとか、人口問題だとか、たくさんの大きな問題がありますが、この解決はもちろん前提条件として必要ですが、当面最小限度この法律で何を都市問題として解決をしたいか、この法律の柱というものは、一体一番重要なところはどこか、どういう考え方を練っているのかということについて、御所見をまずお伺いいたしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/89
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090・保利茂
○保利国務大臣 仰せのとおり、この都市計画法が持たれた場合に、計画法のねらっている、ないしは国民の期待するような実施が可能であるかどうかということがもう最大の問題であろう、私も実際さように感じておるわけです。現状をまのあたりにいたしまして、こういう形で放置しておいて一体どうなるか。放置できないんだ。スプロールといわれるこの無秩序な――畑からたんぼ、たんぼから山というように、地価の安い土地を見つけてはそこに無秩序に家を建てていく、こういうふうな状態が是正されないならば、全くどうも近代国家にふさわしくない国土が現出するんではないかという憂いは、下平さんと同様に深く憂えておるものでございます。
したがいまして、第一は、既成市街地がいま少し国民の生活環境として、美しくないまでもせめて安らぎを得るような都市再建というものはできないものであろうか。同時に、無秩序に開発せられているのをおおよそ区切りをつけて、この辺までは大体人の住まえるところとして、人が住まうならば、それにふさわしい交通、下水、そういう都市施設等も完備して、その上でそういう都市を持つことができないか。私は、そういうところがこの法案の一番大きな使命であり、また、ねらいでなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、お話のように、さて実施をする段階において、しからばどういうふうに市街化区域を置こうとするのか、調整区域をどういうふうに置こうとするのか、これは非常な問題に逢着するだろうと考えますけれども、これはまあとにかく、それぞれ地方公共団体のほうにおかれても中央政府以上にこの事態というものは心配をいたしておりますから、したがって、公共団体の配慮と善処を期待する。しかし、少なくとも東京都なら東京都が、都市機能を十分果たし得るように、しかも都市環境というものがある程度整備されていくようにという期待はとにかくつなぎ得るのじゃないかというように私は思っておるわけでございますから、幾多の問題が実施の段階においては伏在するということは、あらかじめ予見をいたしておかなければならぬところだろう、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/90
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091・下平正一
○下平委員 私も、都市問題の現状というものは、根本問題が手がつかぬから、全体の問題が手がつかぬからといって、そこでほうっておけない現状に来ていると思うのです。そういう立場で私は、この都市計画法案というものにある種の実は期待をかけているわけです。当面そういう基本問題が解決しない中でも、この解決が前進をするための一つの呼び水になる、あるいは当面しているある程度の問題はこれで解決をする、そういう効果というものを実は期待しているわけです。そういう立場で三点か四点にわたって私が疑問に思っている点を解明していただきたい、こう思うわけです。
先ほどの質疑の中でもちらりと出ておりましたけれども、今度の計画法の、「都市計画の基本理念」第二条には大体の考え方が出ておりますが、一つは、さっき大臣もちょっと言いましたけれども、この問題を突き詰めてみると、農村と都市というものを一体どういうふうな形で調和をさしていくかというところに、せんじ詰めれば、問題がせんじ詰まるのではないかというふうに私は理解をしているわけです。そういう意味で、第二条には、冒頭に、やはり理念として、「農林漁業との健全な調和を図りつつ、」こう出ているように私は理解をするわけです。そこで、農林漁業、特に農業とこの都市計画法との関係というものがすなおに調和がとれるようになっているのか、これによってすなおに調和がとれていくかということについて、これから第一の問題としてお伺いしたいと思うのです。
先ほど同僚の佐野議員の質問の中で、閣議決定をしたから、近々に農林省が農業振興の法律を出してくると言いましたので、こまかくはいずれ私たちも連合審査その他の機会に、その法案との関連について審査をする機会を与えていただけると思いますから、こまかな点だけひとつお伺いしたいわけであります。
結論から言いますと、私は、この都市と農村の調和というものは、この都市計画法で見る限り、都市のサイドに偏重をしてはいないかという点を心配しておるわけであります。御承知のとおり、大臣も農林大臣をやられて御経験があると思いますが、都市と農村というものの間には、単なる経済の問題とか地域の問題だけでなくて、いろいろな感情の問題もあるのであります。特に農民はすべてのものを都市と比較をして考えがちであります。たとえば収入にいたしましても、最近、都市と同様の収入をさしてくれというような要求がたくさん出てきておりまするが、この今度指定されまする市街化区域、調整区域、そのことによって生ずる、農民といいますか、農地を保有している人、農業を営んでいる人の立場というものをよっぽど理解されて、その立場がこの法案の中に生かされてこないと、実はかりに法案が通っても実施段階でくずれるという心配を私は持っておるのです。大臣もすでに御承知のとおり、この法案の構想が出た瞬間から、特に近郊農業に関係のある農業団体あるいは農民の中から、かなり都市サイドでこの問題が処理をされはせぬか、農業が置き去りにされはせぬかという心配から、大きく不安が盛り上がってきております。
そこで、具体的に大臣にお伺いしたいのでありまするが、調整区域、市街化区域の差等について、あとで局長さんから詳しくお伺いいたしますが、市街化区域、調整区域というものが、私の判断では、どういう形で調整区域ができたか、実は先日いただきました建設省の資料を見てみましても、現在の都市計画法、現行の都市計画法の中に含まれている農地の面積は約五九・何%、六〇%近くであります。五百万町歩の農地といわれる中の三百万町歩くらいのものが含まれていると思うのですけれども、この調整区域というものが、実は農業の近代化、日本の農業のあり方というものから計算をしてきて、このくらいの耕地面積、このくらいの生産を確保するだけの土地というものが必要だという計算が出て、将来の経済の発展、人口の増加あるいは都市に対する人口の集中度等々、いろいろなことを考えて、適正な市街地をつくるにはこの程度の面積が要る、こういう計算の中からダブった区域というものが調整区域であって、ここは将来にわたって調整をするという形であるならば、私はある程度調整区域というものの理解ができるわけです。しかし、今度計画に出されました調整区域はそうじゃないと思うのです。ここに私は非常に大きな問題点が出てきていはせぬかと思っているわけです。
そこで、この農業というものの土地を確保する、そして市街との調和をはかるというのですが、一体その農地を確保するという考え方は具体的にはどうやって出てきているのですか。大臣は農林大臣をやっていますね。いま問題になっております農林省から自給対策等いろいろの計画が出ておりまするが、それを見ると、自給率というものをなるべく上げていく、そのためには高度生産農家、高度生産農地というものをたくさんつくっていく、流通過程を合理化する等々の条件が出ているわけです。そういう日本農業の将来を考えていく面から見ると、調整区域というような形で新しい計画によりましても約一二、三%市街地を含めたら三〇%近い農地というものがここに含まれている。これはしかし矛盾じゃないか。私は率直に言うならば、市街化区域というものをきめたら、それ以外の土地というものは、若干の調整区域は残してみても、大部分はやはり農地として生産基盤を整備するなり農業投資を行なうなりしていくという形がとられなければ、非常に将来指定その他にあたってそれじゃ矛盾が起きてしまうのじゃないか、こういう気がいたします。調整区域というものの理解をぜひ大臣からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/91
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092・保利茂
○保利国務大臣 私もその点は下平さんと同じように心配をいたしております。そこで、調整区域なんということは要らぬことじゃないか、市街化区域が、ここ十年くらいでおおよそ市街化されるであろう、また、しなければならぬというところだけ指定しておけば、あとはもういいじゃないかということを、同様に実は私疑問を持ったことがあるのであります。しかし、大体の長期展望から、これはけさほど来お話の全国総合開発計画等の中に大きく盛り込まれてくると思うのでございますけれども、今日の日本の産業構造の変化、経済成長の足取りから見まして、おおよそ昭和六十年ごろには一億一千万の約八〇%というものが市街化区域、都市化区域の中に活動をせられるであろうという想定を立ててみますと、市街化区域のところに、市街地区域の隣接地に調整区域というものを持って、そしてある程度無秩序な――かりに放置しておけばそこへまたいろいろな今日のスプロール化がはかられていくから、そのスプロール化がはかられないように、市街化になる場合にはあらかじめ市街化区域に編入して、そして秩序ある開発を行なっていくようにするため、そういう意味で都市計画区域を設定して、しかし長期の展望をもってすれば、今日市街化区域というものは、本来言えばあまり広くとるべきものではないわけでしょうが、あとう限りここ十年くらいの一応の目安で市街化区域を設定し、そうして長期展望をすればこのくらいのところが市街化せられるであろうというところを想定しておるものですから、その調整区域というものを考えている、そういうふうに、なるほどそれもそうだなというふうに私は自分で合点をしているようなことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/92
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093・下平正一
○下平委員 大臣はそういうふうに合点だと言われますが、たいへん問題が起きて実効が危ぶまれてくるような心配をするのですが、その理由をこれから申し上げます。
その前に局長にお伺いしたいのですが、一本新しい都市計画で市街化区域、調整区域、その他開発行為のいろいろな指定がありますね。こういうものをする都市の数並びにその区域の面積、それからその中に含まれる農地、そういうものの関係というものは一体どうなっているか、数字を若干御説明願いたいと思うのです。できればパーセンテージでやっていただきたい。なぜ言うかといいますと、大臣が言った調整区域というものが、そういう意味ですと、こんなにたくさんの調整区域は必要ないのです。御承知だと思いますが、いま数字を局長から説明していただきたいと思うのです。新しくこの新法によって指定をされる都市区域の予定、その面積、その中に占める農地、その農地は一体全体の農地面積の中でどのくらいの割合を占めているかというようなことについて、具体的な数字の説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/93
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094・保利茂
○保利国務大臣 これは区域指定の法案じゃございませんから、まだこれからこの上にどういう利用計画を立てるかということが実施面の非常に重大な点です。したがって、調整区域は、かりに都市区域の中の調整区域としましても、それが必ずしも今日の経済趨勢どおりに今後十年も二十年もいかないというようなことになれば、やはりそれは調整区域が開発せられる必要のない場合も起きてくるわけでございましょうし、あるいはこの調整区域じゃ狭いという場合も起きてくるだろう、これはちょっといまのところ、神さまでなければわからぬと思うのです。それでありますから、下平さんの言われるように、そんなによけい広くとる必要はないじゃないか、これは御指摘のとおりだと私も思います。そうしてまた、その調整区域というものは、調整区域に指定されても、農業振興地域と指定せられた地域と同じように農政上保護されなければならぬ地域だ、こういうふうに私は思っておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/94
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095・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 現在都市計画区域の面積が、十一万三千七百方キロくらいございまして、先生おっしゃいますように、その中に約三万方キロの農地が入っております。その三万方キロというのは、全国農地面積五万一千方キロの六割くらいであります。これは従来都市計画区域というものが行政区域単位に指定されておって、しかも町村合併等がございまして、相当山のほうまで入っておるということがございます。したがいまして、新しい都市計画法ができましたら、都市計画区域はこれを是正してまいらなければならないと思いますが、その場合に、スプロールする可能性のある区域、これはやはり都市計画区域に含めておかなければいけないのだ、つまり、市街化一区域、調整区域に分けて、調整区域を押えるということが、やはり都市開発の面から必要じゃないか。それがほかの手段で全部押えられることになりますれば問題ないと思いますけれども、従来から行なわれておりますように、都市開発の面から市街化を一時押えておくという地域を設定する必要がある。そういうことを考えますと、都市計画区域は市街化区域と調整区域に分かれるわけでございますが、都市計画区域自体、スプロールの可能性のある区域、これを都市計画区域としてとらえなければならぬというふうに私どもは考えておるわけです。したがいまして、これを縮減いたしましても――これはもちろん私ともの事務的な試算でございまして、具体的には各公共団体において決定するわけでありますけれども、大体六万方キロくらいが都市計画区域になってくる。その都市計画区域の中で、市街化区域、調整区域を設けて開発許可制度をしきますのは、この附則に書いてございますように、政令で指定する都市計画区域になるわけであります。現在政令で指定を予定いたしておりますのは、先ほど来問題になっております首都圏の近郊整備地帯でございますとか、あるいは近畿圏の近郊整備区域でございますとか、あるいは首都圏、近畿圏、中部圏の都市開発区域というようなところでございますとか、あるいは新産業都市、あるいは工業整備特別地域、あるいは地方の拠点都市、おおむね十万以上くらいの都市が該当するかと思いますが、そういう拠点都市の区域、現在人口が相当ふえているというような地域につきまして、市街化区域、調整区域に分けて開発許可制度を当面やってまいりたい、こう思っております。その面積は、これも私どもが事務的に机上ではじいた試算でございますが、大体四万方キロくらいになるだろう。その地域の中に農地面積が大体一万六千方キロくらい入っておる。これは全国面積に対します約三〇%くらいが入ると思います。これを市街化区域と調整区域に分けて指定いたすわけでございますが、私どものほうで現在試算いたしておりますのは、約八千方キロくらいが市街化区域になるのではないか、残りの三万一千方キロくらいが市街化調整区域になるのじゃないか、こういうふうに、試算でございますが、考えております。その市街化区域の中の農地面積は、大体千九百方キロくらいになるのではないか。全国面積の四%。市街化区域の中で約二〇%くらいが農地面積になるのではないかと思います。これは地図の上で当たった数字でございますので、非常に大ざっぱなものでございますし、それから事務的な試算でありまして、具体的には知事さんが市町村と相談した上でおきめになることでありますが、大体そういうふうに考えております。したがいまして、二十年後の展望としまして、やはりスプロールする可能性のある地域というのは都市計画区域としてわれわれのほうではとらえていきたい。同時に、今度の新しい農林省の法律で、農地保存という面からもう一つ規制が加えられる、こういうふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/95
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096・下平正一
○下平委員 大臣、そういう御説明にありましたとおり、新しい都市計画区域の中で調整区域に含まれる農地というものは約二七%です。さっき局長が言いました一万四千百平方キロ、これは調整区域だけです。市街化区域が千九百平方キロ入ると、合計して約三割、農地というものが三〇%やはり入る。正確には二七・五%です。このくらいの土地というものが調整区域として残るのです。ここにその地域の選民の皆さま方、農業団体の不安が一番あるのですが、さっきの大臣のお話ですと、将来この都市が伸びていく、その他のために、そういうことを見越して調整区域としてとっておこうという大臣の御答弁があるわけです。そうなりますと、この地域の農林業者というものが、はたしてそこに完全な農業投資が行なわれるだろうか、将来は市街化してしまうという形の中でほっておかれてしまうのではないかという心配が当然に生まれてくるわけです。率直に言いまして、市街化区域は十年間見越してやる、あと十年間に市街化できるという地域を見越してやるのでしょう。十年たった時点においてはまた変更するという前提に立っておるわけです。特にこの法律の中では、いろいろな条件、いろいろな変化の調査というものは五年ごとにやりなさい、こういうふうにきまっておるのですね。そこで私は五十年も百年も先のことを言うておるのではなしに、少なくとも十年間の市街化区域の指定の期間くらいは、それ以外の土地については農地としての保障をぴしっと与えてやることが必要ではないか、そうしないと、何のために調整区域をつくったのか意味がわからなくなるわけです。同時に、あとで都市計画の具体的な制限の点についてお伺いしたいと思いますが、調整区域と市街化区域とは、同じ農地であってもたいへんな制限の相違があるのです。たとえば、いま四%と言われました市街化区域に入る農地は、都市計画に基づきまして、道路から、公園から、上下水道から、交通から、一切のものが整備されるわけです。したがいまして、ここは単なる金銭的な利益だけではなしに、生活面でたくさんの恩恵を受けるわけです。しかし、調整区域に指定された区域というものは、考え方が、都市のスプロール化を抑制するという考え方に立っているわけです。したがいまして、ここは原則的に農地のままで置かれるわけです。当然転用というものも厳重な制限をしなければ意味がないところです。制限事項の中で抜け穴があるような点がありますので、あとで時間があれば御質問いたしますが、ここはある程度農地なら農地というものを守っていくという立場が厳守せられていかなければ意味がないと思うのです。そうすると、この地域面積というものがたくさんあればあるほど、非常な問題を起こすのです。大臣御承知のとおり、いま農民の中で農地というものに対してどういう考え方を持っていますか。一町から一町四、五反持って専業農家として七けた農業ができる、百万単位の収入がある農家は別といたしまして、一反歩あるいは一反五畝、こういうものを持っている兼業一種、二種農家の諸君は、土地というものの観念が、生産手段としての観念を持っていないのですよ。これはいまに開発をせられて値上がりして財産になるという考え方を持っておるのです。近郊農業なんか調べてごらんなさい。これがたくさんあります。そうすると、この開発行為を規制するということによって、二十年間この土地は手離せないということになれば、非常な不満が出てくるのです。たくさんのものが出てくる。川一つ向こうにあった友だちの持っている一反歩は五万も十万も地価がどんどん騰貴をしておる。一方、わずか離れた調整区域に指定されただけでそういうことが一切ない。地価は、よくいっても現状です。私はダウンするようなかっこうになると思う。こういう土地をたくさん残しておくということは、現実に法律を実施する段階でも、その圧力でできなくなるのではないかという心配があるのです。したがって、調整区域というようなあいまいな形でなしに、市街化地域以外は、若干の余裕といいますか、相互の相違点を見つけて、ある程度の双方の主張を調整するという考え方で調整区域というものを設けるべきではないか、そうしないと、実施段階でこれはものすごい抵抗が起きて、できなくなる可能性がありはしないかと思いますが、大臣の言う、これは市街化は将来どうなっていくかわからぬから、その市街化をするための予備の土地として持っているのだという考え方では、これはとても納得できません。特に私が納得できないのは、御承知のとおり、この都市サイドから言っている言い方は、安易に都市地域というものを求めたいという考え方なんです。近郊の農地は平たん地であります。平たん地の簡単に手に入るところを市街地として持っていきたいという考え方があるのです。私はほんとうに市街地をつくるのは――私の住んでいるのは松本市ですから、人口二十万くらいなんです。私の住んでいる都市の実情を考えてみても、このままの形で都市計画が実施されると、生産性の最も高い専業農家の最も多いその優良農地というものが、ほとんど市街化区域に入っちゃうのです。私は市街化をほんとうにやるとして、農業の面から考えてみれば、別にあるのですよ。宅地を造成する適地というものは幾らでもあるのです。私どもの都市へ行きましても、松本市の中心から約二キロから三キロ離れれば、丘陵の団地というものが幾らでもあるのです。こういうところを開発して新しい市街地を造成する、そうして最も優良な、最も生産性の高い、最も専業農家が多い、もっと言うならば、都市の生活に欠くことのできない近郊蔬菜、果樹、こういう供給地帯というものをそこに残しておくという考え方に立たなければ、これはできないのではないか。都市サイドからということは、私はそう思っているのです。大臣はこの辺は勘違いされていると思うので、ちょっと御答弁いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/96
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097・保利茂
○保利国務大臣 その点は、下平さんが実施面において非常にむずかしくなってくると言われるところが、そこだと思うのであります。そこで、ただ私どもも自分のよく知っている地方の中小都市のことを頭に置いて描いてみると、あの辺までは市街化区域かな、あの辺からは調整区域になるのかなと、そういう頭を置いてみる。したがって、いまお話しのように、農地として非常に高度に利用されておる、しかも優良な農家がそこに経営を営んでおられる、そういうところがかなり面積的にもある。そういうところは、とにかく、よしんば市街化区域に入ろうとも、調整区域に入ろうとも、それはもう農政上の保護を十分受けられるようにしておかなければいかぬじゃないか。おそらくそういうところは農地を手離されるような方じゃないわけでしょう。したがって、スプロール化のおそれのない地帯だと見なければならぬ。おそらく、いまは市街化区域にしないけれども、これはどうもスプロール化するおそれがあるんじゃないかというような地帯ですね、そういうところを調整区域として設定していこう、しかし、そう言っても、人口集中度ないしは都心部の高度利用等が大いに促進せられまして、それならば調整区域のほうを市街化区域に将来持っていく必要もないというような事態も起こらぬとは限らぬ。それはずいぶん先を心配しての話のことでございますけれども、そういう場合も当然あり得ると思うわけであります。ただ、お話しのように、せっかくの優良農地を優良農家が経営されておる、そういうところにスプロール化の心配はないと思う。放すわけがありません。そういうところまで私は農地として十分保護せられていくということが大事だと思います。そこらが実際むずかしい。甘いと言われ、辛いと言われるかもしれませんけれども、実際むずかしいところだと思うのであります。したがって、冒頭から、指摘せられるように、実施の面においてこれは実情把握を誤るととんでもないということ、そこでこれが地方公共団体あるいは市町村、県においてよく地元の事情を知っておられる方が、責任を持ってそういう措置を講じていただく。佐野議員からだいぶおしかりを受けたのですけれども、そういうところまで実情に沿わないようにならないようにこれを運用しないと、一片のしゃくし定木をもってこれを運用しようとしたらたいへんなことになるということは、私も同様に心配をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/97
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098・下平正一
○下平委員 御心配はそうだれでも違った心配じゃないと思う。私の心配を皆さんも持っておられると思う。ただ私は、大臣の考えている調整区域の考え方が、市街化は将来発展をしていくその際の予備地として持っていく、その考え方は抜かなければならない。率直に言って、十年たったら計画の再変更をすればいい。未来永劫、市街地にしたら、ここから市街地だ、どんなに人口が膨張してもこれ以上市街地がはみ出してはいかぬなんということはない。そのために、この法律でも、五年ごとに調査をしていろいろやれと言っているでしょう。だから私は、この際は、調整区域というような不安を醸成するような――これは抑制するとはっきり書いてあるでしょう。大臣、そうすると、抑制した地域は何に使うのですか。市街化して市街地として使うという地区は明確にして、それ以外の抑制する地区は何に使うのですか。ここをはっきりしてください。きわめて簡単なことなんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/98
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099・保利茂
○保利国務大臣 調整区域が農地であれば農業のために使われていく、そして使われていくために十分な農政上の、農地法上の保護を受けなければならないことは、当然のことでございますね。ただ、お話しのように、必ずしも十年でこのくらいだ、六十年でこのくらいになるから、この辺までやっていこうというような安易なことで私は現地でおやりになる気遣いはないと思う。松本市なら松本市、かりに松本にこの都市計画法を実施するという場合に、松本の市長さん、市会議員さんなんか、とんでもないことだ、そんなことを都市計画の中に入れるということはということで、それは地元の住民の意見に十分まかせ得られるところじゃないだろうか。ただしかし、お説のようにそういうことならば、調整区域が現に農地であれば農地として使われていくように、その他のいわゆる都市住宅等のスプロール化を防いでいく、そのための抑制をする、しかし、それはおまえのほうで要らぬことだ、これは農業振興のほうで、ここは実際十年間なら十年間、そういう施設制限はおれのほうでやるんだ、だからおまえのほうはそこまで出てくることはない、それは農業振興のほうにまかせておけというならば、それでもいいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/99
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100・下平正一
○下平委員 いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/100
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101・保利茂
○保利国務大臣 いいじゃないですか。目的はそこにある。目的は、要するに、この市街化が十分に果たされないうちにそういうスプロール化をしていくならば現状と同じことだ、それを何とか抑制していこう、しかし、長い目で昭和六十年当時を展望すれば、おそらくここらも市街化するであろう、そうでなければ、現状においても十年前にこんなになるとはだれも思わなかったわけですよ。ですから、そのあやまちをまた繰り返すようなことをしたのではどうにもならぬのではないかというように考えますけれども、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/101
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102・岡本隆一
○岡本(隆)委員 関連して――いまのことが問題なんですね。私もこの前そういうこともお尋ねしたいと思っていて、時間がなかったのですが……。
都市計画をやる場合には、やはりその都市の将来の理想像――というと語弊かありますが、三十年、五十年という遠い展望に立った都市計画を立てなければいかぬと思います。また立てるべきだと思うのです。ところが、その都市計画と、当面行なうところの都市計画事業、その都市計画事業というものは、十年を目途として、市街化されるであろう地域を市街化区域として指定するでしょう。だから、都市計画の計画そのものとその市街化区域の指定ということとは別ものなんです。そしてその市街化区域の指定に伴って都市計画事業が行なわれていく。そうすると、その将来像の相当広範囲な都市計画というものと、それから現実行なわれるところの市街化区域並びにそれに伴うところの都市計画事業との間には大きなズレがある。その間が一つの当面の空白地帯として残るわけです。しかしながら、それはやはり三十年、五十年先には市街化されるであろうと想像されるから――想像されるでなしに、そういう予定なんですね。そういう市街化される予定になっておるが、当面財政上その他の事情でもってその市街化区域の指定はできない。だから、そこのところが一つの空白地帯として残っていく。だから、そこのところへ農業投資の大きなものを投入すれば、それは二重投資になりますから、勢い農業投資の大きなものが行なわれない。一面、都市計画事業も行なわれない。だから、そこに谷間ができる。こういう議論が出てくるのは当然なんです。また、そういうことは当然考えられるのです。だから、そういうところについての農地についてどうするか、どうしてくれるのかという意見がいま出てきているわけで、下平君の言うのはそれじゃないかと私は思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/102
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103・保利茂
○保利国務大臣 下平さんの言われるところは少し違うのじゃないかという気がするのです。建設省で考えている頭は、大体岡本さんのおっしゃったとおりの頭なんです。しかし、下平氏が言われるのはそうではないので、調整区域としていつ開発されるかわからぬようなところを何で都市計画の中に入れなければならぬか、こういうことだろうと思います。それは、長い三十年、五十年たてば、おそらくそこらもみんなそうするだろう、それはそのとき変更すればいいじゃないか。それで、私どもが一番心配しておりますのは、これは下平さんにもあわせてもう一度お聞きいただきたいと思うのですけれども、要するに、言うところの市街化区域の中において、いろいろ土地利用目的を達するためのいろいろな計画事業を行なう。それは、こっちが都市計画が行なわれる前にスプロール化していく、あそこは土地が安いということでそこに家がどんどん建つというのは、何としても抑制しなければいかぬ。ですから、先ほど私は、これもずいぶん乱暴かもしれませんけれども、農業地域振興法で、そこの中に繰り入れていただいて、そして、そういうスプロール化はさせないというどこかからの保証がなければ――あなたは、都市サイドのほうからそれをやろうとしておる、あまりやり過ぎるじゃないか、むしろ農業サイドのほうからそれをやればいいじゃないか。私は、それは考えどころだ、どちらにも考えどころだと思います。とにかく一方において何とかスプロール化を防止していきたい。しかし、長い目で見れば、岡本さんのおっしゃられますように、三十年を待たずに、いろいろな経済統計等をもって見れば、昭和六十年ごろにはおそらく八〇%は都市住民であろう、したがって、都市区域というものはこういうふうになる、そこを想定して、しかもそういうところは非常にスプロール化しやすいところであるから、これを調整区域として無秩序な開発を押えていく、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/103
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104・下平正一
○下平委員 若干の相違点はあっても大体合ってきたと思うのです。ただ、スプロール化をとめるために調整区域が必要だ、こういう解釈になってきたわけです。さっきの大臣の最初の答弁とは少し違ってきたと思うのです。
そこで、スプロール化をとめるというなら、スプロール化をとめた土地は何にあなた方は使う予定なんですか。何に使わせるのですか。さっき、この問題をせんじ詰めていけば都市と農村の問題に尽きるのだ、大臣もそう言った。したがって、土地の利用計画というものを定めて、高度の国土の利用をはかる面からいくならば、当然その土地をどういう方面に利用するのかということを明確にして、その利用効果があがるようにそれぞれ投資というものを行なわなければ、これは意味がないのです。そういう意味から言うならば、スプロール化をさせないということは、都市サイドから私は言ったのです。がちゃがちゃとあっちへうちが建つ、こっちへ学校が建つということではだめだ。あすこは将来おれの土地として発展さすところだから、そのときに自由自在につくれるように、都市サイドの面からだけで規制してしまおうという考え方、そうじゃないのです。それだったら農地としてなぜ指定しないのですか。農地として指定をして、あとで変更すればいいのです。建物が建ってしまったら、なかなか農地にはなりません。ところが、農地だったら、十年後に状況が変わって、ここは都市開発のためにこれを供出しなさいということが可能なんです。一たん市街地として鉄筋コンクリートのでかいものが建ってしまったら、農地にできません。しかし、農地にしておいた場合には、市街化に必要なときには、やろうと思えば転用することも可能なんですよ。だから十年、二十年という制限をつけて、その期間スプロール化をとめるという土地は農業に使わせるということをなぜ明確にできないのですか。だから、私は、あくまで都市サイドから言っておる、おそらく、スプロール化を防止するということは、そこで農業生産をあげさせるという考え方でなしに、ぼつぼつ都市計画をあとでやるというときにじゃまになる建物がばらばらにできておれば困るからという都市サイドからだけの規制じゃないか。だから調整区域の農民というものはたまらないのですよ。大臣、まだそこはだいぶ食い違っていますよ。
〔委員長退席、丹羽(喬)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/104
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105・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 現在の都市計画の制度から申し上げたいと思いますけれども、現在は確かに都市計画の区域の中に用途地域というものがございまして、住居地域、商業地域、工業地域というような地域区分をきめまして、そうしてその中で公共施設整備法あるいは建築基準法に基づきまして土地利用の規制をして、そうして整然たる町ができるようにという考え方があるわけであります。しかしながら、その用途地域の規制をしているだけでございまして、用途地域が塗られていないところにつきましてはほとんど規制をしていないわけでございます。したがいまして、ある町で住居地域の指定がされますと、かえって用途地域ではなくて、指定されていないところに家が建ち、工場が建ちというような現象が従来あるわけです。それを何とか押えたいというのが今度の市街化調整区域の思想でございます。それは外国の立法例でも、たとえばドイツでございますと、建築計画が定められた区域を市街化区域に相当する区域といたしまして、それ以外の外側は、農業的な建物以外は建てさせないという制度をとっております。私どもは都市計画区域の中でそれをやっていこう。したがいまして、都市計画区域のいわば外側は実際上も開発が行なわれそうもない、いわば開発の可能性が全然ない地域というように考えておりまして、やはりスプロール化が起こりそうなところは私どものほうで押えていきたい。先生おっしゃるように、それが全部農地であって、農地が完全に統制されるということであれば、確かにそういう問題があろうかと思いますが、山林につきましては現在何らの転用統制もございません。それ以外の土地もあるわけです。したがいまして、私どもの考えは、それが農地以外の場合には都市サイドのほうも規制をしなければいかぬじゃないか、農地の場合には二重に関門を設けて、私ども都市の側からも規制をする、農地のほうからも規制をしてもらう、こういうような形でスプロールの抑制をやっていく、農地のほうは農地のほうでやっていく、こういうふうな考え方でこういう制度を考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/105
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106・下平正一
○下平委員 まだ少し了解できない点があるわけです。あるということは、この種の法律というものは、よほど明確にきちんときめておかないと、いろいろな解釈が出てきてなかなかうまくいかないのです。大臣御承知のとおり、こんな市街化調整区域というようなものをつくらなくても、農地として確保していこうということになれば農地法があります。これを守るために農業委員会があります。ここが厳密に農地法を守り、転用の制限を忠実にやっていれば、調整区域内のスプロールという問題もかなり解決するはずですよ、大臣。実は農地法の中でどこが一体問題になっているかといえば、農地法に転用の制限がある。この転用の制限のところにあいまいさがあるのです。そのあいまいさがこの理由ですよ。いまの経済発展の時流に乗って、理屈にならない圧力の中で――言いたくないことばですけれども、やはり大財閥ですよ。これがどんどん先行確保をやっている。その理由にならない圧力によって、実は土地の転用については、農業委員会は有名無実になっているのです。その一番の原因は農地法の中にきちんとした転用制限が明確になっていないところにあるわけです。だから、私は、この調整区域というものはよほど――もしあなた方がスプロール化を防止するという点を達成したいというのなら、それに加えて、私たちの言う、ここを農地として十分に活用していきたい。そのためには調整区域なんということばはやめて、市街地と農業振興地域となぜ分けないのですか。そうして農業振興地域に対して、将来市街地の要請がある場合にはかくかくのことをやるという、そこに若干の調整規定を設ければ足りるでしょう。この点が非常にあいまいなんであります。しかも調整区域の面積というのは、大臣、非常に多いのです。先ほども局長が言いましたとおり、スプロール化される可能性のところはみんな含めておるのですよ。可能性のないところははずしてある。したがって、可能性のあるところはうんと多い。さっきの説明の資料を見ても、この調整区域の面積は市街化区域の中の四十数%を占めておるのですよ。だからその中で新しくきめる市街化区域が四万平方キロでしょう。その中で調整区域が一万六千、何でこんなにたくさんの調整区域というものをとる必要があるか。スプロールをとめるならとめる法律があるのです。ここは農地であるから農業振興をさせるという政策がとられるならば、農地のスプロール化はとまるのです。なぜ一体農地がスプロール化されていくかといえば、単なる資本、単なる工場側の立場だけじゃないのです。農業の振興政策がそこに行なわれていないから、農地を持っていても食っていけないから、そこで土地を売り渡すという形が出ておるのです。ほんとうに国土の高度利用を考えていくこの法律ができたら、市街化地域は市街化のためにやらせるが、その他の地域は農業振興地帯として徹底的な投資をして営農できる条件をつくってやるということが、スプロール化を防ぐ一番いい道じゃないですか。しかも農業振興と完全に合致するでしょう。大臣は、都市問題の解決は農村と都市の調和を完全にはかることだ、こう言っておる。都市についてはいろいろのサイドから恩恵がいっているわけです。農業のほうにはいっていない。どう考えてみても、調整区域は都市サイドというのです。あとで町をつくるときにじゃまになるようなものをつくらせておくと都合が悪いからいかぬというような、スプロール化を防ぐというだけに調整区域は置かれてある。あとでまた連合委員会のときに聞きますけれども、それでは、農業用地というものに対する企画、調整区域の将来のビジョンというものが一体あるのかといえば、ないでしょう。建設大臣のところに調整区域の将来のビジョンというものがありますか。ないでしょう。そこで私はどうしても調整区域というものの性格は明確にしてもらいたい。土地の利用区分をして、市街化区域の利用区分についてはこれだけの設備をしよう、これだけの投資をしょう、こういうことを明確にしてやりながら、残った土地を何に使わせるかということは明確になっていない。残った土地を農業振興に使わせるべきですよ。そういうところが抜けておるから、都市サイドからの見方でこれがなされておる。したがって、この結果はどうなると思いますか。あとで、次の段階で言いますけれども、市街化区域内においても、農民、農業、農業団体、こういう面からの抵抗が非常に強く出てまいまります。したがって、私は、その点を明確にしてある程度のビジョンを与えてやらなければ、法律をかりに通してみても、大臣、できませんよ。だから、調整区域についての考え方をもう少し農業振興という面にピントを合わせて考え直していただきたい、こう思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/106
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107・保利茂
○保利国務大臣 御懸念の点は私も同様に心配をしておるところであります。農政当局者ともその間の扱いについては十分協議を遂げてみたいと考えておる。一応の事務段階において政府部内において意見調整をして出してきておるわけでございますから、その必要もないと思いますけれども、重ねて、重大なポイントでございますから、この上とも一念を入れて協議をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/107
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108・下平正一
○下平委員 それでは次の問題点に移りますが、市街化区域内における――いまは調整区域の話をしておりますが、市街化区域内における農地の扱いというものはどうなんでありましょう。市街化区域内における農地の取り扱い方は、この法案ではどういうふうに考えておられるのか、この点、局長さんでけっこうですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/108
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109・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 この法律の附則に書いてございますように、市街化区域の中におきましては農地法の許可がはずれております。四条一項五号、五条一項三号、七条一項十号、簡単に申し上げますと、農地転用の許可、それから農地転用のための権利移動の許可、それから小作地の所有制限、この三つの許可制がはずれておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/109
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110・下平正一
○下平委員 その点はわかっておりますが、そのはずす場合の条件としては、二十三条一項の、農林大臣との協議がととのったもの、こういう前提があると思います。そこで、現実に市街化区域の中で農業というものはどういうように営まれているのかということを――これは農林委員会でありませんから、こまかいことは言いませんけれども、これを資料をいただきました中で見ると、東京中心の東京五十キロ圏というものがありますが、その中で今度の新しい計画で市街化区域の中に入る農地は四百八十平方キロ、四万八千町歩、約五万町歩の農地がここに入るわけであります。この約五万町歩の農地の生産実態というものは、私の知っておる範囲内では、東京都内、あるいは場合によっては神奈川、横浜等にも行くでありましょうけれども、この東京五十キロ圏内、特に東京都心部における市民の蔬菜供給圏になっておると思います。しかもこの蔬菜供給圏であるところの約五万町歩の農家、大体二万五千軒くらいの農家でございますが、きわめて優良農家です。きわめて生産性の高いところであります。そこで、一体、農林大臣との協議によって農地転用をはずすということは、まあ宅地にするということは、開発行為の対象にするということになると思うのですが、これだけの都市圏にあるところの、都市内にあるところの市民の蔬菜、果樹、園芸、こういうものの供給地である五万町歩の農地というものを、市街化の予定地だからといってはずしてしまうのですか。あるいは市街化の中でもこういう特殊な条件のものは残すのですか。そこのところをちょっと聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/110
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111・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 私どもといたしましては、市街化区域の中におきます農地を、どういう農地につきましてそれを市街化区域に取り上げていこうかという考え方でございますが、これはやはり市街化の動向と、それから農地の優良性というようなこと、両方見比べて検討しなければいかぬ問題だと思います。大体市街化区域の人口とか産業とかいうところから大体これぐらいの面積が要るだろうということが出た場合に、それを実際の土地に落としていくわけですね。その土地に落とす場合には、私どもといたしましては、大体まとまっている優良農地というものはできる限りはずしていきたい。これは当然農林大臣と協議するわけでございますけれども、まとまっている優良農地はできる限りはずしていきたい、こういう考え方でございますので、市街化区域の中に残る農地というのは、非常に市街化の強いところの農地と、それからある程度まとまらないでぼつぼつ残っているような介在農地というものが残る、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/111
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112・下平正一
○下平委員 そうすると、土地利用区分の原則的な、機械的な考え方からすると、市街化区域というものが、将来十年間をめどにして、その中には農地その他のものをなくして完全な都市施設をつくって住みよい都市をつくるんだ、こういう考え方ですから、機械的に考えれば、その中の農地も十年間には吸収してしまうという考え方だと思うのですけれども、それは非常に機械的だと思うので、それでわざわざお伺いしたのですが、局長の考え方ですと、優良農地、要するに、これは都市形成のいろいろな形態の中でいろいろ制約もありましょうけれども、優良な農地、生産性の高い農地、都市生活に必要な生産をしている農地等については、ある程度市街化区域の中でも農地として認めていくんだ、こういう考え方に受け取ってよろしいのですか。その農地がどういう農地であり、どういう基準があるのかということは、これは本委員会の対象ではありませんから、私はそういうお考え方があれば連合審査のときにまたいろいろ農林大臣から聞きたいと思うのですが、都市計画法の担当の省として、いま局長の答弁では、若干そういう農地というものは市街化区域の中でも残していかれる余地がこの法律の中にあるんだ、こういう理解をしてよろしゅうございますか。大事な点ですから、打ち合わせをして、大臣のほうからでも御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/112
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113・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 市街化区域に残すのではございませんで、ある程度まとまっている農地については市街化区域からはずす。したがって、場合によってはゲリマンダーみたいな形になってくるところも出てくると思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/113
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114・下平正一
○下平委員 飛び地になるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/114
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115・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 場合によっては優良農地について市街化の動向というものを見比べなければいかぬと思います。そういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/115
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116・下平正一
○下平委員 お考え方はわかりました。具体的にそれじゃそれをどうするかということは本委員会の対象ではありませんので、農林水産委員会でぼくはまた質問をいたしたいと思います。
そうすると、これらのことについて、最終的には農林大臣と協議をするということになっておりますね。
〔丹羽(喬)委員長代理退席、委員長着席〕
そこで、この二十三条を見ますと、こういう表現になっているのです。いま言われたような対農地、対山林、漁業、こういう問題点については、「建設大臣が市街化区域に関する都市計画を定め、若しくは認可しようとするとき、又は都道府県知事が市街化区域に関する都市計画を定めようとするとき(建設大臣の認可を要するときを除く。)は、建設大臣又は都道府県知事は、あらかじめ、農林大臣に協議しなければならない。」と書いてあります。したがって、この第二十三条というものの中で、いま言ったことが協議の対象として行なわれるのだ、こう理解をしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/116
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117・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/117
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118・下平正一
○下平委員 そうすると、御承知のとおり、第二十三条には、六項目にわたって他の行政機関との調整の項目が載っておりますが、一項目については、あらかじめ「協議しなければならない。」ということが書いてあります。第二項目の運輸大臣、通商産業大臣については、「意見をきかなければならない。」と書いてあります。第三の項目である厚生大臣との関係については、「建設大臣に意見を述べることができる。」とあります。同じ行政機関との調整についても、三つないし四つの用語が使い分けをしてあります。この用語の使い分けは、あとのほうはわかります。三項については、「意見を述べることができる。」とありますから、これは述べっぱなしだと思うのです。通常考えて、聞いても聞かぬでもかってだ、こういう極端な解釈もできると思うのです。二番目も「運輸大臣の意見をきかなければならない。」と書いてありますが、これも聞けばいいのだ、意見を聞くということば取り入れるということでなくて、しゃべっているやつを耳からヒヤリングするのだ、聞けばいいのだ、こうも解釈できるのです。ところが第一項の農林大臣については、あらかじめ協議しなければならない。協議ということは、相談をするということだと思いますが、相談がまとまらなければならぬという意味ですか。そこのところをちょっと聞かしておいていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/118
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119・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 協議はまとまらなければならない、そういうふうに考えております。附則の農転の除外の規定におきましても、「第二十三条第一項の規定による協議がととのったもの」こういっておりますので、農林大臣との間には必ず協議がととのわなければならない、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/119
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120・下平正一
○下平委員 そうすると、都市計画その他の二十三条一項にある事項は、両大臣の意見が一致しなければならないのだ、こういう理解でよろしゅうございますか。――それではこの問題について最後に大臣に、これはお願いだけしておきたいと思いますけれども、いま言った調整区域、市街化区域に入る地域の農民並びに農業団体が、たいへんな心配をしているわけです。そこで、先ほども言いましたとおり、特にこれは大臣にお願いしておきますけれども、やはり土地の利用区分をしてやるという考え方を前進をさせ、しかもそれをすなおに法律どおり行政上運用ができ、成果があがるということになるためには、特に調整区域内における農地、農業の扱いという問題に最も大きい重点を置いていただかなければならぬ。それが欠けると、この法律の実施も危うくなるような気がいたすものですから、この点の配意というものを、具体的には法案の修正等を私ども考えておりますからそれはその際に申し上げますが――よろしゅうございますか。この法案の成否、なるかならぬか、実効がなるかならぬかの一つのポイントだ、こういうふうに考えておりますものですから、ぜひ十分な配慮をしていただきたい。私どもは調整区域その他の点で意見の一致がだんだん見られてくれば、さっきは六〇%の善意で質問を始めましたが、これが八〇%になり、一〇〇%になることも実は考えているわけですが、そこらの不安な点、心配される点が解明されていかぬと、六〇が五五に、四〇に、三〇に、二〇に――二〇の限界を割ると私どもちょっと重大な決意をしなければなりませんので、特にポイントとして大臣にぜひ考慮をしておいていただきたい。連合審査の際にも私、別な角度から御質問いたしますのでお願いをいたしたい、こう思います。
それでは理事さんの命令で五時までだそうですから、その次の問題点、二、三飛ばしましてお願いをしたいのでありますけれども、これは局長さんにまずお伺いしたいと思うのです。
調整区域と市街化区域についてはいろいろの制限がついていると思うのです。法案ではたしか第三章かそこらだと思ったのですけれども、開発行為の制限等もかなりついていると思うのです。具体的に市街化区域と調整区域にはどの程度の行為の制限がつけられてあるのか、市街化区域と調整区域の違いをちょっと明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/120
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121・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 市街化区域におきましては、二十九条の一号にございますように、市街化区域で行なわれます開発行為でその規模が政令で定める規模以上のもの、私どもはこれを〇・五ヘクタール、場合によっては〇・一ヘクタールくらいに下げ得るというように規定したいと思っておりますけれども、そういうような〇・五ヘクタールないしは〇・一ヘクタール未満の開発行為につきましては別でございますけれども、それ以上のものにつきましては、道路とか、あるいは給排水施設でございますとか、あるいは場所によりましては鉄道の便等から支障がないと認められるような条件等、各種の条件をつけまして、宅地開発行為が同時に公共施設を整備していくような形で行なわれるように観制をしてまいりたい。したがいまして、市街化区域におきましては開発行為は許されるわけでございます。しかしながら、市街化調整区域におきましては、法律にも書いてございますように、抑制区域でございますので、原則として開発行為は、規模のいかんを問わず、認めない。ただし、例外的にどうしても市街化区域におきましてそこではできないというようなもの、あるいは市街化調整区域に持っていかざるを得ないというようなもの、並びに市街化調整区域におきまして指定の段階においてすでに土地を持っている、あるいは借地をしている、そして住居なりあるいは営業なりをしようと思っているような人に対します経過措置としての許可、それから特に一定規模以上の、政令で定める面積を下らない開発行為といいますか、私どもは二十ヘクタールぐらいを考えておりますけれども、二十ヘクタール以上の開発行為でございまして、みずから公共施設を整備し、しかも市街化区域の状況から見て市街化区域に入ることが非常にむずかしいというようなものにつきましては、特に開発審査会という特別の機関にはかりまして開発行為の許可をする。大体大きく分けますと三つの例外的な許可を置きまして、それ以外は一切小さいものでも許可しない、こういう形にしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/121
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122・下平正一
○下平委員 実はその問題の前に一つだけ落としておりましたので、前段の市街地化される場合の農地の扱いについてもう一点だけ質問をしたいと思うのです。
二十三条の第一項の協議に基づいていま附則四項で農地の転用制限がはずれるわけです。そこで当然問題になりますのは、この農地に対する課税が一体何によって行なわれるのか、農地として行なわれるのか、あるいは宅地として課税されるのか。実は現状は、農林大臣との協議によって市街化区域になって農地転用がはずれても、それ相当の都市に対する施設が進んでいかなければ、市街化区域の転用をはずした農地であっても現実には宅地化されないわけです。しかもこの農地はそれまでの間は農地としての生産を続けていると思う。場合によってはサボって荒れ地にしておくかもしれません。しかし、考え方によるならば、農地としての生産はあがっているのですね。そこで、一体この市街化された地域にある――飛び地になってはずれた農地は別ですからね、これは全然別にしておいて、市街化区域の中に残った農地の転用制限をはずれた農地についての扱いはどう考えるのか。私どもが考えるには、少なくとも転用がはずれたら農地としての性格を失ったのだ、市街化地域としての用途指定ができたのだから宅地並みの固定資産ということは、少し行き過ぎではないか。したがって、転用をはずした農地であっても、それ相当の都市施設ができて宅地として現実に利用されるまでは、固定資産税その他については農地としての扱いをすべきだ、こう考えておりますが、その点はどうでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/122
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123・保利茂
○保利国務大臣 それは全く問題の点で、私どももこの間部内でだいぶやってみた。どうも明確な御答弁をいまそのことでは申し上げられない。ある段階には申し上げなければならぬと思っておりますが――と申しますのは、一面において土地税制について岡本さんからだいぶしりをたたかれましたが、税調でそういう問題が大きな問題として討議されるわけなんです。私も個人的には、現に農地てあり、そこに何ら都市施設のない――あるいは下水道とか水道とか道路とかが来て、十分住居地域なら住居地域としての用途を果たし得るようになって後は宅地として扱っていいのじゃないかと思う。そうすることがその土地所有者の利益でもある。農地として非常に大事な場合もありますけれども、平たく申し上げますと、農地で利用しておるよりも、公的資金でも融資を受けてアパートでも建てて利用目的を達したほうがどれくらい土地所有者の利益にもなるであろうか、わざわざ農地にしておく必要はない、そういうふうになってもらいたいというところから、いつのところをとらえるかということが私は問題だろうと思う。もう少し研究させてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/123
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124・下平正一
○下平委員 もう少し詰めていきます。
大臣の言われたのは、一つは岡本委員が主張している空閑地税のことだと思うのです。私はもっと幅を狭めましょう。なぜ私がこういうことを言うかといいますと、先ほど局長が言われた市街化地域の中の農地というものは、無制限に残すわけにはいかないと思うのです。御承知のとおり、日本の農業の営農団地形態というのは、最低が二十町歩規模で計画されている、農業施設の投資も行なわれている、したがって、団地としてのものは大体三十町歩が多いのです。したがって、市街化地域の中における農地として残すにしても、これは一町歩やってトマトをつくってもうかっているから農地として残しておけと言っても、正直言いまして、これはできないと思うのです。というのは、これはこの諸君にも納得してもらわなければいかぬと思うのです。そこでその際に、私は納得してもらうには、現実に農地を手離して人に渡す、土地開発用地として渡す、あるいは、いま大臣の言われたような公的資金を借りてきてアパートを建てる、そういう行為が現実に行なえるまでは、農地として生産をあげている限りは、農地の対象にしてもらいたい、こう思うのです。それが実はこの問題を処理する際にはたいへん大きな問題点なんです。二十町歩という一つの制限を設けて農地としての保護をしてやる。それ以外で一町歩、二町歩というのは、実は調べてみると、一ぱいあるのです。この人たちがある程度の土地整備ができる、そうするとこれは宅地として行なうということはちょっと無理がかかる。したがって、私は、それがペンベン草がはえて空閑地として値上がりを待っておるという状態は、これは別のサイド、別の考え方、空閑地として土地の利用をサボっておるのだという立場から税金をかけてもよろしいが、現実にトマトをどんどんつくって毎日市場に出しておる、キュウリをつくって出しておる、トウモロコシをつくって出しておるという生産をやっておる限りは、やはり農地としての課税をするのが正しいではないかと思いますが、きまっていなければきまっていないでいいですが、考え方はどうかという点だけでもお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/124
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125・保利茂
○保利国務大臣 私もあなたと同じように考えております。その場合に自問自答しておりますのは、なるほど、優良な農家が、たとえ面積は小さくても農業生産力の非常に強い農地を有効に農業の用途に利用されておられる、それを引き続き――ほかに仕事もないのだ、自分はもう百姓でずっといくし、子供もそれでいこうとしておるのだ、そういうところを市街化区域にしたから何もかも宅地だという扱い方などはどうかなという感じはある。ただ、お話しのように、そういうふうに言えば、それはなるほどもっともでございますが、ほんとうに効率高く有効に利用されておるかどうか。あなたの言われるようにりっぱに生産をあげておる、その判断はだれがするか、いやここは上等だ、ここは中等だという、そのいう判断のしよう、仕組みが考えられなければならぬ。たとえばそこの農地委員会とかなんとか、そういうことを言われても、さあどうかなという感じが――ちょっとこれは下平さんもひとつ考えてみてもらいたいと思うわけです。そういうところでも行きつ戻りつして頭を悩ましております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/125
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126・下平正一
○下平委員 この問題は、また税制面の点でも私は大蔵委員会で少し質問したいことがありますから、徴税技術の問題とか、実際に不公平がなくなる措置とかという技術的な面は、これは、大臣、抜いておいてください。考え方として、農地として生産しておるものにはやはり宅地並みの税金は無理だろう。これは農地として生産をしておる限りはですよ。そういう考え方についての大臣の考え方だけ聞かしてもらいたいのです。遊ばしてあるものは別です。現に、大臣、必要ならぼくが御案内しますが、市街化地域の中で農地という観念が最近は違うのです。いままでは農地については鶏糞をやるとか人糞をやるとか、いろいろ多少周囲に迷惑のかかる農業はありましたよ。しかし、いまの近郊農業というものはそんな農業じゃないのです。これはもう極端なことを言えば、建設省の大臣室ほどはきれいではありませんけれども、ビニールハウスにしても、あるいは温室裁培に至ったらもちろんでありますけれども、実に環境のいい中で、都市の美観のために少しあってもいいくらいな環境の中で実は農業生産というものが行なわれ、しかもきわめて高い生産率、大生産量をあげているわけですね。だから、そういうものを遠い将来においてはやはり市街地に指定をされれば、市街地の目的に沿った土地利用のほうへだんだん転化していくと思うのです。これは間違いないです。だから、そういう生産性があがっている間はやはり農地としてめんどうを見ていただくという考え方についてどうか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/126
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127・保利茂
○保利国務大臣 結論としては、私はこういうふうに思います。その当該地が都市機能を果たし得るような関連公共施設等が整備されたときは、その受益地帯として、しかも当然それは宅地としてその関連公共施設は行なうわけでございますから、そういう段階になれば、これはやはり宅地の扱いをするというのがほんとうじゃないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/127
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128・下平正一
○下平委員 五時までだということでいろいろ理事さんの考え方があるらしいので私が続けるわけにいかぬと思いますが、そうすると、さっき大臣の最初に言った考え方は――私、何かこれで一つの言質を取るとかなんとかいう、そういう意味じゃないのです。というのは、私の気持ちは、きょうは時間がありませんからこの次にして、その土地開発制限について、その後の受益といいますか、土地所有の区分によって違ってくる、いろいろな条件の相違があるのですね。そういうものにある程度の納得を与えてやらないと、なかなか法律の実施はむずかしくはなかろうかというので、一番の問題点というのは、やはりそういうふうに特殊の農業でやっている諸君が、市街化の設備がある程度できたから、もうおまえは幾ら百姓やったって、みんなこれは宅地だぞという税金のかけ方というものは、徴税技術その他の点で問題点は残るにしても、考え方としては、農業生産というものが、何と言いますか、一生懸命生産をしているところについては農地としての課税というものを残すという考え方はどうか。そのことによって市街地における農業というものが逆にスポイルされたような、わずか限られた一町歩ずつぽこんぽこんと残るということはないのです。それは都市に対する公共の投資が十分に行なわれて、住みよい条件が出てくる。言うならば、地域住民がやはりここは市街地としてやらなければいかぬということが現実にやられていけば、そんなに心配しなくてもこれは宅地に転換しますよ、大臣。私は、それは一種の政治の愛情だと思うのです。その点についてどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/128
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129・保利茂
○保利国務大臣 市街化区域の指定をするその中に農地がある、それは現にどれだけの生産があがっているか、利用されているかは別として、機械的に市街化区域になる、もうすぐ宅地扱いだということは、どうも少し無理じゃないか、私はそう思います。それはやはりほんとうに農地として利用されているところには農地として、いまお話しのように、まさか銀座の通りでそういうところになにしておるから、いやこれは農地だと言ってがんばってみたところで、そんなものは農地で通ろうはずはございませんから……。それは極端でございますけれども、かりに道路であるとか水道であるとか、そういう施設が持たれて、それはもうだれが見てもりっぱな宅地じゃないかというようになれば、やはり考えてもらわなければならないじゃないか、その辺はえらいところじゃないかという感じがします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/129
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130・下平正一
○下平委員 大体五時をめどに打ち切ってくれということでございますから打ち切りますが、いまの問題は、大臣、まだ政府その他においても方針がきまっていないやに伺っておりますから、これ以上はお答え求めることは無理だと思いますが、そういう気持ちを生かしていただくように、今後の各省折衝といいますか、大蔵折衝の中で十分大臣として努力をしていただきたい。また私どもは別の角度で大蔵なり農林なりにこの点の主張はしていきたい、こう思います。
実は四項目用意せよというので四項目を用意しましたが、一項目だけで終わってしまいましたけれども、大体私の感じでは、六〇%は依然として六〇%で、せめて六四、五くらいにと思いましたが、調整区域の問題では、大臣の考え方、局長の考え方はいまだに都市サイドに固執し過ぎるという気がいたしました。本日のところは、下がりはしませんけれども、上がらないという感じの中で次の三項目は保留をして終わりたいと思います。
委員長、どうもありがとうございました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/130
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131・加藤常太郎
○加藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件について、おはかりいたします。
ただいま本委員会で審査中の都市計画法案及び都市計画法施行法案につきまして、参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/131
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132・加藤常太郎
○加藤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
なお、参考人の出頭日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御了承願います。
本日はこの程度にとどめ、次回は、明四日木曜日午後零時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後五時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X01019680403/132
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