1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月一日(金曜日)
午前九時五十六分開議
出席委員
委員長 八田 貞義君
理事 小沢 辰男君 理事 佐々木義武君
理事 竹内 黎一君 理事 橋本龍太郎君
理事 藤本 孝雄君 理事 河野 正君
理事 田邊 誠君 理事 田畑 金光君
大坪 保雄君 海部 俊樹君
齋藤 邦吉君 澁谷 直藏君
世耕 政隆君 増岡 博之君
箕輪 登君 粟山 秀君
渡辺 肇君 井上 普方君
加藤 万吉君 後藤 俊男君
島本 虎三君 平等 文成君
堀 昌雄君 八木 一男君
山田 耻目君 山本 政弘君
本島百合子君 和田 耕作君
大橋 敏雄君 伏木 和雄君
關谷 勝利君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 園田 直君
出席政府委員
厚生政務次官 谷垣 專一君
厚生大臣官房長 戸澤 政方君
厚生省医務局長 若松 栄一君
委員外の出席者
参 考 人
(全国医学部長
病院長会会長) 豊川 行平君
参 考 人
(前全国大学病
院長会議イン
ターン問題委員
会代表) 秋元波留夫君
参 考 人
(日本医師会副
会長) 熊谷 洋君
専 門 員 安中 忠雄君
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二月十日
委員小山長規君辞任につき、その補欠として三
ツ林弥太郎君が議長の指名で委員に選任され
た。
同月二十三日
委員世耕政隆君辞任につき、その補欠として倉
石忠雄君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十四日
委員河本敏夫君辞任につき、その補欠として世
耕政隆君が議長の指名で委員に選任された。
三月一日
委員枝村要作君及び西風勲君辞任につき、その
補欠として堀昌雄君及び井上普方君が議長の指
名で委員に選任された。
同日
委員堀昌雄君辞任につき、その補欠として枝村
要作君が議長の指名で委員に選任された。
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二月十五日
清掃施設整備緊急措置法案(内閣提出第三五
号)
同月十九日
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第三九号)
同月二十二日
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出第四六号)
同月二十七日
国立光明寮設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二三号)
同月二十八日
駐留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改正
する法律案(内閣提出第四二号)
同月八日
老齢福祉年金の増額等に関する請願外十二件
(相川勝六君紹介)(第三一二号)
同(亀山孝一君紹介)(第三一三号)
同外一件(北澤直吉君紹介)(第三一四号)
同外一件(佐藤洋之助君紹介)(第三一五号)
同外二件(田中六助君紹介)(第三一六号)
同外十八件(堀川恭平君紹介)(第三一七号)
同外二十七件(進藤一馬君紹介)(第三一八
号)
同外五件(井出一太郎君紹介)(第三五三号)
同(井手以誠君紹介)(第三五四号)
同(植木庚子郎君紹介)(第三五五号)
同外二件(金子一平君紹介)(第三五六号)
同外八件(小山長規君紹介)(第三五七号)
同(砂原格君紹介)(第三五八号)
同(綱島正興君紹介)(第三五九号)
同外十三件(渡海元三郎君紹介)(第三六〇
号)
同外十五件(早川崇君紹介)(第三六一号)
同(古井喜實君紹介)(第三六二号)
同(宮澤喜一君紹介)(第三六三号)
同外一件(赤城宗徳君紹介)(第四一八号)
同外二件(大坪保雄君紹介)(第四一九号)
同(大野明君紹介)(第四二〇号)
同(金子一平君紹介)(第四二一号)
同外十九件(神田博君紹介)(第四二二号)
同(四宮久吉君紹介)(第四二三号)
同(重政誠之君紹介)(第四二四号)
同(竹内黎一君紹介)(第四二五号)
同外五件(原健三郎君紹介)(第四二六号)
同(福永一臣君紹介)(第四二七号)
同外十件(福田篤泰君紹介)(第四二八号)
同外五件(古屋亨君紹介)(第四二九号)
同外七件(武藤嘉文君紹介)(第四三〇号)
同外一件(渡辺栄一君紹介)(第四三一号)
同外三件(田川誠一君紹介)(第四六六号)
同(西岡武夫君紹介)(第四六七号)
同外三件(保利茂君紹介)(第四六八号)
各種福祉年金の併給限度撤廃に関する請願外四
十五件(進藤一馬君紹介)(第三一九号)
同(植木庚子郎君紹介)(第三六四号)
同外四件(砂原格君紹介)(第三六五号)
同(中山榮一君紹介)(第三六六号)
同外三件(永山忠則君紹介)(第三六七号)
同(古井喜實君紹介)(第三六八号)
同(森田重次郎君紹介)(第三六九号)
同(上林山榮吉君紹介)(第四〇七号)
同外十九件(増田甲子七君紹介)(第四〇八
号)
同(秋田大助君紹介)(第四六〇号)
同(内藤隆君紹介)(第四六一号)
同(保利茂君紹介)(第四六二号)
柔道整復師法制定に関する請願(赤澤正道君紹
介)(第三二〇号)
同(愛知揆一君紹介)(第三四八号)
同(池田清志君紹介)(第三四九号)
同(亀岡高夫君紹介)(第三五〇号)
同(菅野和太郎君紹介)(第三五一号)
同(斎藤寿夫君紹介)(第三五二号)
同(北山愛郎君紹介)(第四一二号)
同(古内広雄君紹介)(第四一三号)
同(安宅常彦君紹介)(第四七二号)
同(阿部昭吾君紹介)(第四七三号)
同(阿部助哉君紹介)(第四七四号)
同(赤城宗徳君紹介)(第四七五号)
同(赤路友藏君紹介)(第四七六号)
同(石川次夫君紹介)(第四七七号)
同(石田宥全君紹介)(第四七八号)
同(猪俣浩三君紹介)(第四七九号)
同(石野久男君紹介)(第四八〇号)
同(板川正吾君紹介)(第四八一号)
同(稻村隆一君紹介)(第四八二号)
同(枝村要作君紹介)(第四八三号)
同(小川三男君紹介)(第四八四号)
同(大出俊君紹介)(第四八五号)
同(勝間田清一君紹介)(第四八六号)
同(角屋堅次郎君紹介)(第四八七号)
同(神近市子君紹介)(第四八八号)
同(唐橋東君紹介)(第四八九号)
同(川崎寛治君紹介)(第四九〇号)
同(久保三郎君紹介)(第四九一号)
同(久保田鶴松君紹介)(第四九二号)
同(小林信一君紹介)(第四九三号)
同(小松幹君紹介)(第四九四号)
同(後藤俊男君紹介)(第四九五号)
同(河野密君紹介)(第四九六号)
同(神門至馬夫君紹介)(第四九七号)
同(佐々栄三郎君紹介)(第四九八号)
同(佐々木更三君紹介)(第四九九号)
同(佐藤觀次郎君紹介)(第五〇〇号)
同(佐野憲治君紹介)(第五〇一号)
同(斉藤正男君紹介)(第五〇二号)
同(實川清之君紹介)(第五〇三号)
同(島口重次郎君紹介)(第五〇四号)
同(島本虎三君紹介)(第五〇五号)
同(下平正一君紹介)(第五〇六号)
同(田邊誠君紹介)(第五〇七号)
同(田原春次君紹介)(第五〇八号)
同(武部文君紹介)(第五〇九号)
同(千葉佳男君紹介)(第五一〇号)
同(内藤良平君紹介)(第五一一号)
同(中井徳次郎君紹介)(第五一二号)
同(中澤茂一君紹介)(第五一三号)
同(山鳩英夫君紹介)(第五一四号)
同(永井勝次郎君紹介)(第五一五号)
同(成田知巳君紹介)(第五一六号)
同(西宮弘君紹介)(第五一七号)
同(野口忠夫君紹介)(第五一八号)
同(野間千代三君紹介)(第五一九号)
同(橋本龍太郎君紹介)(第五二〇号)
同(華山親義君紹介)(第五二一号)
同(平岡忠次郎君紹介)(第五二二号)
同(平林剛君紹介)(第五二三号)
同(古川喜一君紹介)(第五二四号)
同(三宅正一君紹介)(第五二五号)
同(村山喜一君紹介)(第五二六号)
同(八百板正君紹介)(第五二七号)
同(矢尾喜三郎君紹介)(第五二八号)
同(柳田秀一君紹介)(第五二九号)
同(山口鶴男君紹介)(第五三〇号)
同(山中吾郎君紹介)(第五三一号)
同(山本幸一君紹介)(第五三二号)
同(山本政弘君紹介)(第五三三号)
同(米内山義一郎君紹介)(第五三四号)
同(米田東吾君紹介)(第五三五号)
同(横山利秋君紹介)(第五三六号)
同(渡辺芳男君紹介)(第五三七号)
野菜果実類小売業等を環境衛生金融公庫融資対
象業種として指定等に関する請願(米内山義一
郎君紹介)(第三二一号)
同外一件(馬場元治君紹介)(第三七六号)
同(玉置一徳君紹介)(第四一五号)
同(島上善五郎君紹介)(第四五八号)
同外九件(秋田大助君紹介)(第四五九号)
原爆被害者援護法制定に関する請願(石橋政嗣
君紹介)(第三七〇号)
同(井岡大治君紹介)(第四〇三号)
同外二件(内海清君紹介)(第四〇四号)
同(岡沢完治君紹介)(第四〇五号)
理容所の適正配置に関する請願(宇野宗佑君紹
介)(第三七一号)
せき髄損傷障害者の援護に関する請願(小泉純
也君紹介)(第三七二号)
同(田川誠一君紹介)(第四六四号)
理学療法士及び作業療法士受験資格の特例に関
する請願(床次徳二君紹介)(第三七三号)
同(内田常雄君紹介)(第四六三号)
むちうち症総合医療体制の確立等に関する請願
(中野四郎君紹介)(第三七四号)
同(増田甲子七君紹介)(第三七五号)
同(河村勝君紹介)(第四一〇号)
同(広川シズエ君紹介)(第四一一号)
ソ連長期抑留者の処遇に関する請願(早川崇君
紹介)(第三七七号)
国民年金制度の改善に関する請願(井出一太郎
君紹介)(第三八六号)
同(平等文成君紹介)(第三八七号)
同(原茂君紹介)(第四四二号)
と畜場の統合整備の促進に関する請願(井出一
太郎君紹介)(第三八八号)
同(平等文成君紹介)(第三八九号)
同(原茂君紹介)(第四四三号)
各種福祉年金の併給限度緩和に関する請願(大
竹太郎君紹介)(第四〇六号)
外傷性せき髄損傷障害者の援護に関する請願(
小泉純也君紹介)(第四〇九号)
同(田川誠一君紹介)(第四六五号)
衛生検査技師法の一部改正に関する請願(角屋
堅次郎君紹介)(第四一四号)
環境衛生金融公庫の貸付対象業種に全食品営業
を指定に関する請願(吉田泰造君紹介)(第四
一六号)
国民健康保険制度の改善に関する請願(吉田泰
造君紹介)(第四一七号)
むちうち症救済対策に関する請願(八木徹雄君
紹介)(第四六九号)
同月十三日
医師、看護婦の増員に関する請願外一件(華山
親義君紹介)(第五四六号)
病院、療養所の暖房設備に関する請願(華山親
義君紹介)(第五四七号)
各種福祉年金の併給限度緩和に関する請願外五
件(青木正久君紹介)(第五四八号)
各種福祉年金の併給限度撤廃に関する請願外一
件(正力松太郎君紹介)(第五四九号)
同(前尾繁三郎君紹介)(第五五〇号)
同外一件(上林山榮吉君紹介)(第六一五号)
同(倉成正君紹介)(第六一六号)
同外一件(大橋武夫君紹介)(第六六七号)
同外一件(上林山榮吉君紹介)(第六六八号)
同(赤澤正道君紹介)(第七一四号)
柔道整復師法制定に関する請願(前尾繁三郎君
紹介)(第五五一号)
バーテンダー資格法制定に関する請願(前尾繁
三郎君紹介)(第五五二号)
同(西尾末廣君紹介)(第七一五号)
野菜果実類小売業等を環境衛生金融公庫融資対
象業種として指定等に関する請願(前尾繁三郎
君紹介)(第五五三号)
同(天野公義君紹介)(第五五四号)
同(村山達雄君紹介)(第六一九号)
老齢福祉年金の増額等に関する請願外二件(天
野公義君紹介)(第五五五号)
同(大久保武雄君紹介)(第五五六号)
同(野田武夫君紹介)(第五五七号)
同(藤田義光君紹介)(第五五八号)
同(吉田重延君紹介)(第五五九号)
同(植木庚子郎君紹介)(第六一三号)
同外一件(白浜仁吉君紹介)(第六一四号)
同(大橋武夫君紹介)(第六六六号)
むちうち症総合医療体制の確立等に関する請願
(加藤万吉君紹介)(第五六五号)
同(小林信一君紹介)(第五六六号)
同(後藤俊男君紹介)(第五六七号)
同(佐藤觀次郎君紹介)(第五六八号)
同(下平正一君紹介)(第五六九号)
同(田邊誠君紹介)(第五七〇号)
同(内藤良平君紹介)(第五七一号)
同(西風勲君紹介)(第五七二号)
同(麻生良方君紹介)(第五九三号)
同(天野光晴君紹介)(第五九四号)
同(荒舩清十郎君紹介)(第五九五号)
同(遠藤三郎君紹介)(第五九六号)
同(神田大作君紹介)(第五九七号)
同(川野芳滿君紹介)(第五九八号)
同(菅波茂君紹介)(第五九九号)
同(田中正巳君紹介)(第六〇〇号)
同(田畑金光君紹介)(第六〇一号)
同(地崎宇三郎君紹介)(第六〇二号)
同(中野四郎君紹介)(第六〇三号)
同(西村直己君紹介)(第六〇四号)
同(藤本孝雄君紹介)(第六〇五号)
同(福永一臣君紹介)(第六〇六号)
同(箕輪登君紹介)(第六〇七号)
同(門司亮君紹介)(第六〇八号)
同(本島百合子君紹介)(第六〇九号)
同(粟山秀君紹介)(第六一〇号)
同(和田耕作君紹介)(第六一一号)
同(渡辺肇君紹介)(第六一二号)
同(赤澤正道君紹介)(第六六一号)
同(久野忠治君紹介)(第六六二号)
同(篠田弘作君紹介)(第六六三号)
同(福井勇君紹介)(第六六四号)
同(坊秀男君紹介)(第六六五号)
同(伊能繁次郎君紹介)(第六九九号)
同(川崎秀二君紹介)(第七〇〇号)
同(小泉純也君紹介)(第七〇一号)
同(小平忠君紹介)(第七〇二号)
同(佐々木秀世君紹介)(第七〇三号)
同(佐々木良作君紹介)(第七〇四号)
同(瀬戸山三男君紹介)(第七〇五号)
同(塚本三郎君紹介)(第七〇六号)
同(永江一夫君紹介)(第七〇七号)
同(長谷川峻君紹介)(第七〇八号)
同(保利茂君紹介)(第七〇九号)
同(松浦周太郎君紹介)(第七一〇号)
同(山下榮二君紹介)(第七一一号)
同(吉田賢一君紹介)(第七一二号)
同(吉田泰造君紹介)(第七一三号)
衛生検査技師法の一部改正に関する請願(熊谷
義雄君紹介)(第六一七号)
理学療法士及び作業療法士受験資格の特例に関
する請願(辻寛一君紹介)(第六一八号)
同(辻寛一君紹介)(第六六九号)
国立病院、療養所の医師等増員に関する請願(
中村重光君紹介)(第六三五号)
視力障害者の援護に関する請願外一件(勝間田
清一君紹介)(第六九六号)
同(河野正君紹介)(第六九七号)
同(久保三郎君紹介)(第六九八号)
国民年金制度の改善に関する請願(下平正一君
紹介)(第七三六号)
と畜場の統合整備の促進に関する請願(下平正
一君紹介)(第七三七号)
同月十六日
各種福祉年金の併給限度撤廃に関する請願外一
件(上林山榮吉君紹介)(第七六七号)
同(古井喜實君紹介)(第一〇八八号)
老齢福祉年金の増額等に関する請願(櫻内義雄
君紹介)(第七六八号)
同(田中正巳君紹介)(第七六九号)
バーテンダー資格法制定に関する請願(亀岡高
夫君紹介)(第七七〇号)
同(河上民雄君紹介)(第七七一号)
同(木部佳昭君紹介)(第七七二号)
同(木村武雄君紹介)(第七七三号)
同(熊谷義雄君紹介)(第七七四号)
同(齋藤邦吉君紹介)(第七七五号)
同(白浜仁吉君紹介)(第七七六号)
同(千葉佳男君紹介)(第七七七号)
同(坪川信三君紹介)(第七七八号)
同(八田貞義君紹介)(第七七九号)
同(本名武君外一名紹介)(第七八〇号)
同(西村直己君紹介)(第一〇八七号)
視力障害者の援護に関する請願(小沢辰男君紹
介)(第七八一号)
同(藏内修治君紹介)(第七八二号)
同(齋藤邦吉君紹介)(第七八三号)
同(西岡武夫君紹介)(第七八四号)
同(橋本龍太郎君紹介)(第七八五号)
同(帆足計君紹介)(第一一〇四号)
東北地方に国立心身障害児(者)コロニー設
置に関する請願(鈴木善幸君紹介)(第七九八
号)
季節保育所の国庫補助存続に関する請願(鈴木
善幸君紹介)(第七九九号)
生活保護基準の引上げ等に関する請願(一萬田
尚登君紹介)(第一〇八四号)
柔道整復師法制定に関する請願(一萬田尚登君
紹介)(第一〇八五号)
同(田中伊三次君紹介)(第一〇八六号)
ソ連長期抑留者の処遇に関する請願(金子一平
君紹介)(第一〇八九号)
同外六件(亀山孝一君紹介)(第一〇九〇号)
同(和爾俊二郎君紹介)(第一〇九一号)
むちうち症総合医療体制の確立等に関する請願
(井上泉君紹介)(第一〇九二号)
同(石橋政嗣君紹介)(第一〇九三号)
同(枝村要作君紹介)(第一〇九四号)
同(太田一夫君紹介)(第一〇九五号)
同(久保三郎君紹介)(第一〇九六号)
同(島本虎三君紹介)(第一〇九七号)
同(野間千代三君紹介)(第一〇九八号)
同(八木一男君紹介)(第一〇九九号)
同(山田耻目君紹介)(第一一〇〇号)
同(山本政弘君紹介)(第一一〇一号)
同(米田東吾君紹介)(第一一〇二号)
同(渡辺芳男君紹介)(第一一〇三号)
同月十九日
せき髄損傷障害者の援護に関する請願(井村重
雄君紹介)(第一一二七号)
同(小澤太郎君紹介)(第一一二八号)
同(南條徳男君紹介)(第一一九一号)
各種福祉年金の併給限度撤廃に関する請願外一
件(上林山榮吉君紹介)(第一一二九号)
同外一件(上林山榮吉君紹介)(第一二七五
号)
ソ連長期抑留者の処遇に関する請願外二件(木
野晴夫君紹介)(第一一三〇号)
同外八件(藤本孝雄君紹介)(第一一三一号)
同外六件(武藤嘉文君紹介)(第一一三二号)
同外二件(安井吉典君紹介)(第一一三三号)
同外十一件(赤澤正道君紹介)(第一一八六
号)
同外五件(大平正芳君紹介)(第一一八七号)
同(赤城宗徳君紹介)(第一二八〇号)
同外一件(小川半次君紹介)(第一二八一号)
同外二件(佐々木秀世君紹介)(第一二八二
号)
同外一件(砂田重民君紹介)(第一二八三号)
同外三件(南條徳男君紹介)(第一二八四号)
同外五件(松浦周太郎君紹介)(第一二八五
号)
同外五件(箕輪登君紹介)(第一二八六号)
むちうち症総合医療体制の確立等に関する請願
(内海清君紹介)(第一一三九号)
同(岡沢完治君紹介)(第一一四〇号)
同(春日一幸君紹介)(第一一四一号)
同(鈴木一君紹介)(第一一四二号)
外傷性せき髄損傷障害者の援護に関する請願(
小澤太郎君紹介)(第一一四三号)
同(南篠徳男君紹介)(第一一九二号)
老齢福祉年金の増額等に関する請願(村山喜一
君紹介)(第一一五七号)
同外二十三件(有田喜一君紹介)(第一一八八
号)
同(山下元利君紹介)(第一一八九号)
同外一件(永山忠則君紹介)(第一二七九号)
あん摩、マッサージ等の業権擁護に関する請願
(柳田秀一君紹介)(第一一五八号)
国立病院、療養所の医師等増員に関する請願(
中村重光君紹介)(第一一九〇号)
柔道整復師法制定に関する請願(和爾俊二郎君
紹介)(第一一九三号)
同(阿部喜元君紹介)(第一二七六号)
同(村上信二郎君紹介)(第一二七七号)
同月二十二日
むちうち症総合医療体制の確立等に関する請願
(足立篤郎君紹介)(第一三三二号)
同(有田喜一君紹介)(第一三三三号)
同(大久保武雄君紹介)(第一三三四号)
同(大竹太郎君紹介)(第一三三五号)
同(加藤常太郎君紹介)(第一三三六号)
同(桂木鉄夫君紹介)(第一三三七号)
同(木部佳昭君紹介)(第一三三八号)
同(河野洋平君紹介)(第一三三九号)
同(齋藤邦吉君紹介)(第一三四〇号)
同(志賀健次郎君紹介)(第一三四一号)
同(鈴木善幸君紹介)(第一三四二号)
同(世耕政隆君紹介)(第一三四三号)
同(綱島正興君紹介)(第一三四四号)
同(渡海元三郎君紹介)(第一三四五号)
同(登坂重次郎君紹介)(第一三四六号)
同(床次徳二君紹介)(第一三四七号)
同(丹羽久章君紹介)(第一三四八号)
同(橋本龍太郎君紹介)(第一三四九号)
同(濱野清吾君紹介)(第一三五〇号)
同(原健三郎君紹介)(第一三五一号)
同(古川丈吉君紹介)(第一三五二号)
同(堀川恭平君紹介)(第一三五三号)
同(本名武君紹介)(第一三五四号)
同(山口敏夫君紹介)(第一三五五号)
同(山手滿男君紹介)(第一三五六号)
同(石田幸四郎君紹介)(第一四〇四号)
同(小川新一郎君紹介)(第一四〇五号)
同(大野潔君紹介)(第一四〇六号)
同(正木良明君紹介)(第一四〇七号)
同(松本忠助君紹介)(第一四〇八号)
せき髄損傷障害者の援護に関する請願(岡田春
夫君紹介)(第一三五七号)
同(佐藤觀次郎君紹介)(第一三五八号)
同(愛知揆一君紹介)(第一五一二号)
外傷性せき髄損傷障害者の援護に関する請願
(岡田春夫君紹介)(第一三五九号)
同(佐藤觀次郎君紹介)(第一三六〇号)
同(多賀谷真稔君紹介)(第一四八六号)
ソ連長期抑留者の処遇に関する請願外二件(中
山マサ君紹介)(第一三六一号)
同外三件(中川一郎君紹介)(第一四二五号)
同(奧野誠亮君紹介)(第一四八五号)
同(古屋亨君紹介)(第一五一四号)
避妊器具の製造販売許可に関する請願(帆足計
君紹介)(第一三六二号)
柔道整復師法制定に関する請願(八木徹雄君紹
介)(第一三六三号)
同(小川新一郎君紹介)(第一四一〇号)
同(小濱新次君紹介)(第一四一一号)
同(樋上新一君紹介)(第一四一二号)
同(伏木和雄君紹介)(第一四一三号)
同(藤井勝志君紹介)(第一四一四号)
同(中村時雄君紹介)(第一四八七号)
視力障害者の援護に関する請願(麻生良方君紹
介)(第一三八三号)
同(川上貫一君紹介)(第一四一七号)
同(田代文久君紹介)(第一四一八号)
同(谷口善太郎君紹介)(第一四一九号)
同(林百郎君紹介)(第一四二〇号)
同(松本善明君紹介)(第一四二一号)
福岡県に国立がんセンター設置に関する請願
(大橋敏雄君紹介)(第一四〇九号)
理学療法士及び作業療法士受験資格の特例に関
する請願(海部俊樹君紹介)(第一四一五号)
同(橋本龍太郎君紹介)(第一四一六号)
各種福祉年金の併給限度撤廃に関する請願外一
件(上林山榮吉君紹介)(第一四二二号)
同外十八件(中曽根康弘君紹介)(第一四二三
号)
バーテンダー資格法制定に関する請願(中曽根
康弘君紹介)(第一四二四号)
あん摩、マッサージ等の業権擁護に関する請願
(八木一男君紹介)(第一四八八号)
老齢福祉年金の増額等に関する請願外二十八件
(河本敏夫君紹介)(第一五一三号)
同月二十七日
医師、看護婦の増員に関する請願(神門至馬夫
君紹介)(第一六七三号)
各種福祉年金の併給限度撤廃に関する請願外三
件(上林山榮吉君紹介)(第一六七四号)
同外六件(椎名悦三郎君紹介)(第一六七五
号)
同外一件(上林山榮吉君紹介)(第一八〇九
号)
同(坂田道太君紹介)(第一八一〇号)
せき髄損傷障害者の援護に関する請願(椎名悦
三郎君紹介)(第一六七六号)
同(田原春次君紹介)(第一六七七号)
同(塚田徹君紹介)(第一六七八号)
外傷性せき髄損傷障害者の援護に関する請願
(椎名悦三郎君紹介)(第一六七九号)
同(田原春次君紹介)(第一六八〇号)
同(塚田徹君紹介)(第一六八一号)
柔道整復師法制定に関する請願(古川丈吉君紹
介)(第一六八二号)
同(加藤六月君紹介)(第一八一一号)
同(村上勇君紹介)(第一八一二号)
戦争犯罪裁判関係者に見舞金支給に関する請願
(小川半次君紹介)(第一八〇四号)
同(保利茂君紹介)(第一八〇五号)
クリーニング所の適正配置に関する請願(小宮
山重四郎君紹介)(第一八〇六号)
同(西村直己君紹介)(第一八〇七号)
ソ連長期抑留者の処遇に関する請願(永井勝次
郎君紹介)(第一八〇八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
医師法の一部を改正する法律案(内閣提出、第
五十七回国会閣法第八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/0
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001・八田貞義
○八田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の医師法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/1
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002・八田貞義
○八田委員長 提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣園田直君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/2
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003・園田直
○園田国務大臣 ただいま議題となりました医師法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
医師の免許については、これまでは大学の医学部卒業後、一年以上の実地修練を行なった者に対し、国家試験を行なった上、これを付与することとされていました。
この実地修練制度が創設されたのは昭和二十一年であり、それ以来今日まで、本制度がわが国の医療水準の向上に寄与したところ大なるものがありますが、しかし反面、運用面において実地修練施設の整備、実地修練生の身分、処遇等に問題があり、近年関係者の間に再検討の声が高まってきたのであります。
このため、政府においては、その改善策につき、昭和四十一年六月、厚生、文部両省の共同で、大学医学部卒業後における教育研修に関する懇談会を設けて審議を願い、その最終意見の趣旨とするところに沿って第五十五回国会に法律案を提出いたしましたところ、同国会では継続審査となり、続く第五十六回国会では審議未了となったところでございますが、この問題については、早急な解決が望まれておりますので、再び、第五十七回国会にこの法律案を提出し、本国会に継続審査となった次第でございます。
次に、法律案の内容について、その概略を御説明申し上げます。
まず、医師国家試験の受験資格に関する規定を改正し、大学の医学部を卒業した者は、実地修練を経ないで、卒業後直ちに国家試験を受験できるよう、改めたことであります。これは、大学卒業後における医学の知識及び技能の修得のためには、従来の実地修練にかえて、医師としての身分を取得した上臨床研修を行なうこととするほうが合理的であるからであります。この改正によって、医師になるまでの修業年限は、形式的には一年短縮されることになりますが、この間、大学における臨床教育の充実をはかることはもとより、新制度によって医師になる者は、その免許を取得した後も、二年以上、大学の付属病院または厚生大臣の指定する病院において、臨床研修を行なうようにつとめなければならないこととして、実質上は一そう資質の向上を期しているのであります。
第二は、前に申し述べましたところの臨床研修を行なった医師については、その申請により、医籍に臨床研修を行なった旨を登録することといたしたことであります。
最後に、この法律は、昭和四十三年四月一日か発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/3
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004・八田貞義
○八田委員長 提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣園田直君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/4
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005・園田直
○園田国務大臣 ただいま議題となりました医師法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
医師の免許については、これまでは大学の医学部卒業後、一年以上の実地修練を行なった者に対し、国家試験を行なった上、これを付与することとされていました。
この実地修練制度が創設されたのは昭和二十一年であり、それ以来今日まで、本制度がわが国の医療水準の向上に寄与したところ大なるものがありますが、しかし反面、運用面において実地修練施設の整備、実地修練生の身分、処遇等に問題があり、近年関係者の間に再検討の声が高まってきたのであります。
このため、政府においては、その改善策につき、昭和四十一年六月、厚生、文部両省の共同で、大学医学部卒業後における教育研修に関する懇談会を設けて審議を願い、その最終意見の趣旨とするところに沿って第五十五回国会に法律案を提出いたしましたところ、同国会では継続審査となり、続く第五十六回国会では審議未了となったところでございますが、この問題については、早急な解決が望まれておりますので、再び、第五十七回国会にこの法律案を提出し、本国会に継続審査となった次第でございます。
次に、法律案の内容について、その概略を御説明申し上げます。
まず、医師国家試験の受験資格に関する規定を改正し、大学の医学部を卒業した者は、実地修練を経ないで、卒業後直ちに国家試験を受験できるよう、改めたことであります。これは、大学卒業後における医学の知識及び技能の修得のためには、従来の実地修練にかえて、医師としての身分を取得した上臨床研修を行なうこととするほうが合理的であるからであります。この改正によって、医師になるまでの修業年限は、形式的には一年短縮されることになりますが、この間、大学における臨床教育の充実をはかることはもとより、新制度によって医師になる者は、その免許を取得した後も、二年以上、大学の付属病院または厚生大臣の指定する病院において、臨床研修を行なうようにつとめなければならないこととして、実質上は一そう資質の向上を期しているのであります。
第二は、前に申し述べましたところの臨床研修を行なった医師については、その申請により、医籍に臨床研修を行なった旨を登録することといたしたことであります。
最後に、この法律は、昭和四十三年四月一日から施行することとするとともに、従前の受験資格に基づき、この法律の施行前に行なわれた国家試験に合格した者については、新しい臨床研修制度は適用しないこととしております。
以上がこの法律案の提案の理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/5
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006・八田貞義
○八田委員長 本案審査のため、去る二月七日参考人出頭要求に関する件につきまして、その人選等を委員長に御一任願っておりましたが、全国医学部長病院長会会長豊川行平君、前全国大学病院長会議インターン問題委員会代表秋元波留夫君、日本医師会副会長熊谷洋君及び四二青年医師連合東京大学支部委員長森庸厚君。以上四名の方々に参考人として御出席をいただくよう御依頼申し上げました。そのうち森参考人は都合によりお見えになれないとのことであります。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
本案につきましては、各方面に広く関心が持たれておりますが、当委員会におきましても、この機会に本案に深い関係をお持ちになっておられる参考人の方々よりそれぞれの立場から忌憚のない御意見を伺い、審査の参考といたしたいと存じます。
なお、議事の整理上、御意見をお述べ願う時間はお一人十五分程度とし、参考人各位の御意見開陳のあとで委員の質問にお答え願いたいと存じます。
最初に豊川参考人、次に秋元参考人、熊谷参考人の順序でお願いいたします。
まず、豊川参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/6
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007・豊川行平
○豊川参考人 今回の医師法一部改正案に対する私たちの考え方を申し上げたいと思います。
今回の帳師法一部改正案の最も重要な点は、現行インターン制度の廃止であると考えております。御承知のように、わが国の医学教育制度は、高等学校卒業後、大学におきまして二年の教養課程あるいは医学進学課程、さらに専門課程四年、医学士となってから医師となるための一年のインターンからなっております。さらに臨床系大学院の教育あるいは臨床研修があるわけでございます。国民医療の向上を目ざしておりますインターン制度は、終戦後の産物ではなくて、昭和十九年にすでにこれに類する制度が考えられまして実施されていたのでありますが、これに該当する医学士が卒業する前に終戦になり、現実には実施されなかったのであります。戦後再びこの制度の必要性が考慮されまして、昭和二十一年より現行インターン制度が実施されるに至りました。
わが国の現行インターン制度と同じような制度を実施している国は、アメリカでございます。その他の国の多くでもインターンはありますが、それらの国ではインターンの一部分を学部教育の中で実施するという立場をとっておるのであります。したがって、学部教育がわが国よりも長くなっておりまして、わが国と同じく四年というのはアメリカだけでありまして、その他は五年半ないし七年というふうになっております。
インターンと申しますのは、文字どおり病院内に起居いたしまして、実地修練に従事するということでございますが、わが国では、形式だけのものとなっていたのは御承知のとおりであります。すなわち、一年の実地修練は通いの形で行なわれておりますし、インターン生の身分も、学生でもなくまた医師でもないという形をとっており、しかも、ほとんど無給の状態でございます。アメリカの場合を見ますと、いわゆる有名校ではほんのわずかの小づかい程度の謝金しか出ておりませんですが、そうでなければかなりの給与が支給されております。また、小づかい程度の謝金しか出さないという有名校、そういうところでも無料の宿舎があり、食事は給与され、また日用品その他は無料で支給されておるのであります。この点だけを見ましても、現行インターン制度がいかに不備な形で実施されているかということがわかると思います。したがって、インターン生は生活のかてを得るためにアルバイトにうき身をやつさざるを得ないのであります。これではいい実地修練ができないのは当然と考えられます。
一方、わが国の医学校やインターン指定病院の現状が、インターン教育を行なうのに不完全であるということも問題であります。医学校の場合、付属病院の教官というものは学部教育だけで手が一ぱいでございまして、実地修練を担当する余裕がないというのが実情でございます。たとえば国立大学を例にとりますと、臨床講座は教授一、助教授一、助手三でございます。それに講師が一名ついているというところもあるという程度でございます。また付属病院には診療要員というものがございます。これは大学によって多少の差はありますが、一診療科当たりに講師が二名、それに助手が数名という程度でございます。こういう診療科の要員は日々の診療に追われておりまして、インターン教育を担当するという余裕がないのです。結局無給医局員を動員いたしまして、みんなで分担して、やっとインターン教育を行なっているというのが現状でございます。また、インターン指定病院をとってみましても、診療要員が非常に少なくて、しかも日々の患者が多いために、その患者の診療に手が一ぱいである、むしろインターン生の援助を受けて診療を行なっているという例が多いのであります。もちろん大学付属病院や、インターン指定病院の中でも、実にりっぱにインターン教育を行なっているところもございます。そういうところではインターンを終えた人たちが、インターンは実に有意義であったというふうに言っております。しかし、これはごく少数の例でありまして、多くはそうではないのであります。こういう次第で、現行のインターン制度はあまり効果をあげていないといってもよいと思います。極論をする人たちは、有害無益であるとさえ言っているのであります。それに、臨床医学を身につけるのに、医師の身分でないということが大きな障害になっていることも、現行インターン制度を廃止すべきであるという論拠になっておるのであります。
一方、医学校における学部教育の方法も、かなり変わってまいりました。特に臨床医学におきましては、いわゆるスモールグループ・ティーチングと称する教育方法へ重点が移ってまいりまして、ベッドサイド・ティーチング、つまり外来から入院、退院までの患者を詳細に追求していくというようないわゆるベッドサイド・教育というものが重視されておりまして、現在のインターンの教育というものの大きな部分がこれに肩がわりをしておるというふうにいえるのであります。もちろんそういう教育を行なうためには、非常に多くの教育要員というものが必要でございます。しかし、前にも申しましたように、現在の教育要員の数というものは非常に少なくなっておりますので、この面でも無給医局員の手を借りて、このベッドサイド・ティーチングが行なわれているというのが現状でございます。
このようなわけで、現行インターン制度はあまり効果があがっていないし、またその部分はむしろ学部教育で実施されているといたしまして、医育者は、現行インターン制度廃止を強く要望している次第でございます。同時に、私たちといたしましては、単部教育をこの無給医局員の部分に大きく依存しているという現状をぜひ改革していただきたいというふうに考えているわけでございます。
医師法の一部改正案の第二の問題点は、卒業後直ちに国家試験が受験ができて、合格者に医師の免許を与えるという点でございます。
現在、このインターン制度廃止について、国民といたしましては、従来大学入学後七年の教育が六年になるということで不安を持つことは当然だろうと思います。しかし、医師国家試験によりましても医学の知識とか技術の面で従来と同じということはチェックできるのでありますから、かかる不安を取り除くことができると考えております。医師国家試験というものが必要であるという点はこういうところにあると思います。
医師法一部改正案の第三の問題点は、医師となってから二年以上大学の付属病院あるいは国の指定する教育病院において臨床研修を行なうようにつとめなければならないとしているところであります。
医師となった者は、その職務上、常に臨床研修に励むということが必要であることはもちろんであります。かかる臨床研修は、どこで行なわれましてもいいのであります。しかしながら、できれば二年であっても、能率よく研修ができる場所で臨床研修を国が要望するということは意味があることだと考えております。
医師法の一部改正案の第四の問題点は、二年の研修が終わった者が、本人の希望によって病院長の証明善を国に提出すると、医籍に登録して、本人に登録証を渡すということでございます。この点に関しましては、医育者の間にも反対を表明する人がございます。これは私自身の考えでございますが、国に登録するということは、二年の臨床研修に対する国と病院の責任を明確にするものと解しております。国が大学の付属病院あるいは国の指定する教育病院において二年以上の臨床研修を要望し、これらの病院の指導要員や施設等の充実とか、あるいは臨床研修医に対する財政的な裏づけを行なうのも、国がかかる責任を負っておるということの表現でございましょう。また、教育病院側も、二年の臨床研修に対する責任を負うことが開催となり、いいかげんな研修を行なってお茶を潤すというようなことはできなくなると思います。
国の指定する教育病院というものは、従来のインターン指定病院のようなものではなくて、かなり程度の高い、つまり設備の点でも、指導要員の点でも、大学の付属病院に匹敵するようなものを私たちは頭に描いているのであります。多くの医育者もそう考えていると思います。もちろんその基準等は、この法律が成立した上でつくられます審議会で決定されるものではございますが、私どもの頭に置いているような教育病院ですと、おそらく日本全国で数えるくらいしかないということになりましょう。しかし、国としてはそういう教育病院を育てる責任があり、病院側も努力することになりますので、時間の経過とともにその数はふえてくることと考えております。現在は臨床研修がもっぱら大学の付属病院で行なわれておりますが、今後は大学の付属病院以外の教育病院もその大きな部分を分担するということになるものと期待しているのであります。こうすることによりまして、よりよき医師づくりが行なわれることになり、国民医療の向上が見られることになると考えております。
前にも申し上げましたように、医育者の中にも医籍に登録するということに反対を表明しておる人も少なくございません。その一つの理由といたしまして、医師に二つの身分をつくるということがいわれております。医籍に登録するということは、所定の研修が終わったことを医籍に記載するというふうに私は解しておりますし、法的に何らの規制をしていないのでございますから、身分に二つを考えるというふうには私は考えておりません。しかし、そういう誤解があるならば、医籍でなくともいいと思います。要は国に登録するということに意味があるというふうに考えておるのでございます。
最後に、今回の制度に対する財政的裏づけの点でございますが、いかにも不十分であるということに強い不満を持っております。前にも申し上げましたように、この制度が生きるためには、まず学部教育の充実ということが必要でございます。無給医局員におんぶするということは筋違いだと思います。それに対する財政的裏づけは、なされていないにひとしいと考えております。卒業後の臨床研修に対しましても、いかにもその金額が少ないと言わざるを得ません。国立大学の例を見ましても、指導医として国立大学全体で講師百名しか増員されておりません。また、研修医一人当たりのお金が月一万五千円でございます。もともと医師となった者が、国の要望に応じて特定の場所で臨床研修を行なうのでございますから、生活できるお金が出されなければならぬというふうに考えます。これでは研修医は従来のインターン生のように、生活のためにアルバイトしなければならないということになり、所定の研修が実施できなくなるおそれが出てくると思います。また、私たちの望んでおります教育病院の充実に対する財政的裏づけもないようでございます。この点は、今後ぜひ考慮していただきたいというふうに考えます。そうでなければ、今回の制度は結局絵にかいたもちになってしまいましょう。
もう一つ、今回の予算の配分にも問題があります。文部省、厚生省と別々に予算が組まれておりまして、研修予定者の配分も固定されており、しかも、それが実情に合っていないということでありまして、本年度はやむを得ないといたしましても、来年よりはもっと実情に合った形にしてもらいたいというふうに考えております。
国民医療の向上という上からは、学部教育の充実と同時に、医師となってからの臨床研修体系の確立が必要でありまして、国として責任を持つのが法的に二年の研修だけとなっておりますが、これをさらに三年、四年と進めていきまして、現在考えられております専門医制度の確立まで持っていくということが望ましい姿だというふうに考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/7
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008・八田貞義
○八田委員長 ありがとうございました。
次に、秋元参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/8
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009・秋元波留夫
○秋元参考人 この医師法を改正して、いろいろな問題を持っておりますインターン制度を改めようということは、決して最近持ち上がったことではございません。大学として初めてこれが問題になりましたのは、ちょうど私が東大に在職しておりました昭和四十年ころであると思いますが、たまたま当時私が全国大学病院長会議でインターン問題委員会のことをやっておりました関係で、今度のこの医師法改正の法案が今国会に提案されるに際して、私の意見をこの委員会で申し述べる機会を与えられたわけでございます。この法案は、わが国の医学教育、ひいては国民医療の将来に、非常に大きな影響を及ぼす重大な法案であると存じますし、私、これまでこの問題に多少とも関係を持っておりましたので、率直に私のこの法案に対します意見を述べまして御審議の参考に供したいと思います。
インターン制度のいろいろな欠陥につきましては、先ほど豊川参考人から詳しくお話がありましたので、私から繰り返しません。ただ、私としては、この今度の法案によって、もしこれが通りますと、行なわれます医師となりましたあとの臨床研修が、これまでの義務制のインターンとどういう点が違うかということを申し述べたいと思います。これまでのインターン制度と、これから法案が通りますと施行されます臨床研修との最も大きな相違点は三つでございます。
一つは、先ほどもお話がありましたが、これまでインターンというのは、国家試験を受ける要件でございましたけれども、これから行なわれます臨床研修は、卒業と同時に国原試験を受けまして医師となりましたあとで、今度の法案では二年ということになっておりますが、二年間臨床研修をするということ、しかも、これがただ臨床研修ということでなしにそれを国が制度化するということでございます。
第二の点は、この制度化されます臨床研修は、義務制ではなくて、医師の自発的な、自由な意思に基づいて行なわれるという点でございます。
第三点は、この臨床研修が国の責任において行なわれるという関係で、国がこれをチェックするということ、しかし、これは本人の申請に基づいて行なわれるという、この三点だと思います。
こういうふうな、非常にこれまでのインターン制度と違ったいろいろ問題を含む——しかし、私はこの問題点はこれまでのインターン制度と比べまして、はるかに進歩的なものだと思うのでありますが、その理由はまたあとから申し述べたいと思います。いずれにしてもそのような大きな差異を今度の臨床研修制度は持っておると思うわけでございます。
ところが、この制度に対して、この案に対して御承知のようにいまいろいろな批判が出ております。この批判を大まかに分けますと、この批判と申しましても、これは非常に違った立場からの批判がございます。一つは、これはやはり従来の義務制のインターンのほうがよろしい。これがいろいろ問題を持っておることはあるけれども、そういう問題を整理すれば、これまでの義務制インターンを発展させる、そのほうがよろしいという意見、他はそれと全く正反対に、義務制のインターンはもちろんよろしくない、しかし、この医師となったあとの臨床研修を制度化することもよろしくない、そういう反論であります。
これについて私の考えておるところを申し述べたいと思うのでありますが、この最初の義務制のインターンのほうがよろしいという意見を考えてみますと、御承知のように先ほど豊川参考人から話がありましたけれども、欧米の諸国では、ほとんど大部分が義務制のインターンというものを用いておりますし、特に英米系の英語圏の国では、非常に厳格な義務制のインターンというものを行なっておるわけであります。そういう外国の様子を見ましても、義務制のインターンが行なわれないという理由はないということが根拠になっております。つまり、それを発展させるような考慮さえ行なわれれば、やはり医師となる以前の義務的なインターンをわが国もすべきだ、わが国も国際的な観点からいってもそういうものをやるべきだという意見であります。しかし私は、わが国で二十年近く義務制インターンをやっておりまして、それがうまくいかなかったのは、ただ単にそれを受け入れる側の体制が不備であったということだけではないのではないかというふうに思います。と申しますのは、これはわが国の医者づくりが、これまでほとんど大学の付属病院で行なわれてきておるのでありますけれども、その大学の付属病院には、ほとんど外国には例のない医局という体制、これは制度ではないわけでありますが、医局という仕組みができ上がっておりまして、そこで医者になりましてから、臨床医になろうとする者はほとんどこれまで大部分が大学の医局に残りまして、数年以上勉強をいたしておるわけであります。そういうようにもう医者になってから臨床研修が行なわれるという、そういう慣行が日本ではずっと古くから行なわれているところに持ってきて、医者になる前のインターン制度という、そういう制度を直輸入したところで、当然そういう新しいものが、そのような伝統に基づいて行なわれている医局でやる臨床研修のあり方から申しますと、それを受け入れる余裕はない。つまりインターン制度というものが、日本の大学の病院では発展させる条件を備えていなかったということが一つあると思います。そういうことからインターンの制度が廃止になるのは、単にそれを裏づけるような方法が講じられていなかったということではなく、もっと大きな根本的な理由があるわけでございます。
それから、第二の反論は、臨床研修の制度は不要だという意見でありますが、医学関係者の大部分は、現行インターン制度は廃止いたしましても、それにかわる医者となった後の臨床研修が必要であるということ、しかも、それを制度化しなければならないというふうに考えておるのでありますけれども、一部ではこの臨床研修の制度化は不要だという考えがあるのでございます。これはいま申しましたように、わが国ではインターン制度が行なわれる以前から、すでに大学の付属病院では臨床研修というものが行なわれている。だから、これを発展させれば、あえてこれを制度化する必要はないのだというふうな考え方でございます。
また、そのほかの理由は医師にとっては研修は
一生の仕事であるから、ある一定期間だけを区切って研修する制度は必要ではない、あるいはまた研修を制度化することによって、研修を受けた医師と、そうでない医師というような身分上の格差ができるのはいけないというふうないろいろな意見があります。
しかし、この反対の意見をよく検討してみますと、いずれも研修が不要だというのではなくて、研修を制度化することがいけないという点に反対の焦点があるように思います。確かにさきにも述べましたように、わが国では、インターン制度が行なわれる前から入局後の医師としての研修が行なわれておったのでありますから、いろいろ問題になりますインターンを廃止しましても心配がないということは一応考えられます。しかし、よく考えてみますと、これまでのわが国の、主として大学病院で行なわれてまいりました医師の養成は、先ほども豊川参考人からお話がありましたように、必ずしも満足すべきものではなかったのであります。そういう、これまでの大学の病院で行なわれておりました医者養成の欠陥というものの一つの具体的なあらわれとして、批判として数年来問題になっている無給医局員問題、あるいは最近、青年医師連合の諸君が、入局拒否ということを行なっておりますが、そういう医局への批判ということで、わが国の大学病院が持っております医局という体制の欠陥が、こういうことで露呈しているといってもいいんじゃないかと思うのであります。こういうことを考えてみますと、このような状態は、医師となった後の臨床研修が制度化されていないためであるともいえるのであります。制度化されていなくて、医局という、封建的といってもいいような、非常に古くさい、時代おくれの形でもって医者の研修が行なわれているということは事実であります。したがって、臨床研修の制度化に反対するということは、結局、今日の大学病院に残っております不合理な医局体制を改革することをはばみ、そして医学教育の混乱を一そう助長するということになるのではないかということを私は恐れるのであります。私は、このような理由で、この際一日も早く臨床研修の制度化が行なわれまして、日本の医師養成にまつわる長年の積弊を一掃するきっかけをつくるべきだというふうに考えるわけであります。
いままで述べましたように、私はこの法案の趣旨には賛成であります。しかし、次の二点については私には異論があるのでありまして、それについてぜひひとつこの委員会でも御審議をお願したいのであります。
第一は、先ほども豊川参考人からお話がありましたが、この法案では、臨床研修は医籍に登録されるということになっております。ところが、医籍と申しますと、御承知のように、医師法第五条で、「免許に関する事項を登録する。」ということが行なわれ、また同法第六条で、「免許は、医籍に登録することによって、これをなす。」というようになっておりまして、それでも明らかでありますように、医師の身分を医籍は一義的に規定するものであります。したがって、免許以外の事項、たとえばいま問題になります臨床研修のことを記載するということは、医籍本来の使命にそむくということになると思うのであります。しかし、臨床研修は、医師法に基づいて行なわれる国の制度でありますから、これを国が登録するということはぜひ必要であります。したがって私は、臨床研修を行なった旨を医籍に登録することはやめまして、それ以外の方法に改めることが至当ではないかというふうに考えるのであります。
第二点は、臨床研修を行なう病院の指定に関することでありますが、本法第十六条を見ますと、厚生大臣が研修病院を指定しようとする場合には、この法律によって新たに設置される医師試験研修審議会の意見を聞かなければならないというふうになっておるにもかかわらず、沖繩地域にある病院や、外国の病院については、審議会の議を経ないでも、厚生大臣が適当と認めれば、教育病院と同様の資格を認めることになっているのであります。しかし、臨床研修の認定というような重要な事項について、日本の病院と外国の病院との間に区別をつける理由は少しもないのでありますから、これはやはりすべての教育病院について、臨床研修の認定は審議会の議を経るというふうにするのが至当ではないかということを私は考えます。
最後に、私はこの法案に付帯する若干の問題点について私見を述べたいと思います。
この法案が今回国会を通過いたしますと、世界に例のない進歩的なものだと私は思うのでありますけれども、ここに新しい研修制度の発足を見ることになるのであります。この新しい制度が、これまでのインターン制度がなめました苦い失敗の轍を踏まないためには、さまざまな条件が絶対に必要であります。先ほどもお話がありましたが、学部教育の充実の問題、大学院の問題、学位の問題、その他関連事項がありますので、これも同時に解決されなければなりませんし、また、さまざまな具体的な条件が満たされる必要があります。しかし、それらの多くの条件の中で、少なくとも次の二つの条件はぜひとも実現していただきたいというふうに私は考えます。
第一は、臨床研修の内容の問題であります。いま、研修制度が生まれようとしておるのにもかかわらず、また、その臨床研修の内容、カリキュラムというものは、はなはだばく然とした状態であるのでございます。これはぜひ早急に、この二年の研修で何をやるかということをきめなければなりませんが、その際、私としてぜひ考えなければならないことは、これまでの専門医教育のようなコースのほかに、ぜひ、一般医の研修コースを設けなければならないということであります。日本では、一般医の教育が非常に閑却されておりますが、家庭と地域に結びついた一般医の養成は、国民医療の最先端を確保するものでありまして、強い社会的要請となっておると思います。したがって、この臨床研修におきましては、一般のカリキュラムについて、十分な考慮が払われなければならないと思います。教育病院の選考であるとか、研修内容の決定の任務を持ちますのは、この法案によりますと、医師試験研修審議会でありますが、この重要な審議会の委員には、医学専門家のほかに、世論を代表する委員をぜひ加えるべきだと考えます。それは、なぜならば、医師が何をなすべきか、そのための医師の研修はどうあるべきかというようなことは、医療を受ける側の世論の声を十分に聞いて、それにこたえる方法を講じなければならないからであります。
第二に重要な点は、研修医の身分と待遇の問題であります。昨年六月に出ました医学部卒業後の臨床研修に関する懇談会の六月答申、あるいはそれを尊重したと思われますが、今回の予算措置にうかがわれますような研修医に対する待遇が、診療に対する寄与に応じて報酬が支払われるといったような日雇い的な扱いであるならば、研修医は、現在のインターンと同じような不安定な身分と生活のために、落ちついて研修に従事することがとうてい望めないのであります。そういうようなことでありますれば、せっかくの新しい医師研修制度も、いまのインターン制度と同じような運命に逢着するのは火を見るよりも明らかであります。それゆえ、新しい研修制度を生かし、これをわが国の医療の向上に真に役立つものとするためには、大学病院を含めまして教育病院は、研修医を正規の職員として待遇し、これを定員化することが絶対に必要であると思います。これによりまして、研修期間中、研修医は、正式の職員として俸給を得ることができ、アルバイトにうき身をやつさないで、安心して研修に専心できるからであります。このようにしなければ、せっかく生まれる医師研修制度も一片の法律に終わってしまうと思うのであります。
この法案によると、医師の研修は、御承知のように、決して義務的なものではありません。個人の自由意思に基づいて行なわれるものではありますけれども、しかし、この研修は、国民の健康を守るよい医師をつくり上げるという大きな社会的意義を持っているものであります。それゆえにこそ、この法案は、医師は免許を受けた後も臨床研修を行なうようにつとめなければならないというふうに要請しておるのであります。したがって、臨床研修について、国が、研修施設と研修医に対する十分な財政的な措置を講ずるのは、このような社会的要請に応ずる国の義務であり、責任であると私は思うのであります。
以上は、多くの必要条件の一部にすぎませんが、この二点は、この国会の審議の際に、政府にぜひ強く要望していただきたいのであります。
現在、わが国の医学教育と医療は深刻な危機的様相を帯びております。この困難な状況を打開するにはまだ時を要するでありましょうが、それだからといって、問題を座視し、回避することは許されないのであります。多くの努力と時間を費してようやくまとめ上げられましたこの法案が今国会で成立しまして、混乱したわが国の医学教育と、医療の新しい展開に一つの端緒をつくることを願って、私の公述を終わりたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/9
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010・八田貞義
○八田委員長 ありがとうございました。
次に、熊谷参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/10
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011・熊谷洋
○熊谷参考人 今回の医師法改正について、日本医師会の見解を申し上げます。
日本医師会といたしましては、今回の医師法改正には大筋において賛成でございます。しかし、その中に幾つかの点について医師会独自の見解を持っております。
まず、インターン制度の廃止に伴う大学卒業後の研修制度に関し、医師法が改正されようとしております。この動きに関して多数の医科大学はすでに学生ストライキの状態に入り、その収拾は困難をきわめております。日本医師会といたしましてはその原因を深く考察いたしますと、現在の学生の動揺については正しい学業後の研修路線を確立することによってこれを収拾することができると確信するものであります。この点については、先ほど両参考人が述べられたとおりであります。同時にまた、大学側も医学教育について姿勢を正して新しい制度を受け入れる態勢を整えなければならない問題もあります。この点についても、具体的に両参考人が述べられたとおりであります。
今回の改正が、卒業後の研修について予算措置をなされたことは、大きな進歩といわなければなりません。これに対し、これを受け入れる大学側、学生側ともに改めるべきものは改め、日本の医学教育を前進させる形態を確立することが急務であります。
日本医師会におきましては、これらの点を慎重に判断いたしました結果、今回の医師法改正について次のように理事会の意見をまとめましたので、御報告申し上げます。
このような前書きを添えまして、二月十六日、衆参両院社会労働委員会の委員の先生方に御送付申し上げたわけであります。
それで、本番の医師法改正に対する意見でございますが、五つございます。
第一は、「卒業後二カ年の臨床研修は今後の医師として強く要望されるものである。」これは国が強制することではなくて、研修する新しい卒業生諸君の自主的な態度を要望しているということでございます。
第二は、「医学部卒業生はすべて研修を志願する場合は許可されなければならない。」この第二項も、研修はどこまでも研修する人の自主性によってやるのである、研修生に主体性を持たすということでございます。したがって、研修を志願した場合には、その研修できる環境を整備されねばならぬ、政府はその環境を整備する責任があるということを強調しているわけでございます。
第三は、「研修医師はすべて給与を支給されなければならない。この場合、無給の研修医制度をのこすべきでない。」この第三項の前半は、先ほど秋元参考人からも意見の開陳がございましたとおり、国民医療のにない手としての医師の研修は国家的事業であるという立場に立って、研修医師はすべて給与を支給されねばならないと強調した点でございます。その後半の「この場合、無給の研修医制度をのこすべきでない。」というのは、ある特定の教育病院あるいは大学病院に定員以上の大量の研修医を収容するというふうなことは、現在批判の的になっておるところの医局制度をそのまま残すことにつながるという心配がございますので、そのようなことはやるべきではないという立場でございます。
第四は、「研修を終了したものはその旨を登録することは自由である。」本人の意思によって登録する。登録を欲しない者は登録しなくてもよろしいということでございます。それから、この次の点はきわめて重大でございますが、「これは医籍に登録するものではない。」この理由は、先ほど秋元参考人が述べられたとおりでございます。カッコして、「医師に段階を附することに反対」、これは日本医師会年来の主張でございます。強制保険下において、A、B、C、いろいろな段階の医者をつくるべきではないというたてまえでございます。「これは」というのは登録でございますが、「これは履歴書に在局年数を記載すると同じ程度のものである。」あるいはもっとくだけたことばで申し上げますならば、国費の受け取り証とでも考えていただいてよろしい程度の登録でございます。
第五、「研修終了の登録は何等の特権も附随しない。」これはきわめて大切な点でございます。これは医籍に登録すべきではないということと関連するわけでございますが、「研修終了の登録は何等の特権も附随しない。例えば保険医指定の条件等にはしないことを行政当局は確約すべきである。」
以上が日本医師会の見解でございます。
先ほど豊川参考人が、現行のインターンはその成果をあげていない、これが大きな廃止の理由であるというお話でございました。まさにそのとおりでございますが、そのほかにさらに積極的な弊害もございます。四年間学部教育を受けて、いよいよこれから自分の一生の方向を決定しようという最も大切な一年間がうやむやに過ごされておる。あえてうやむやと申し上げます。ということは、この二十年間に日本の青年学徒の勉学意欲を大きく阻害した事実がございます。それにもかかわらず、日本の医学卒業生が諸外国に行ってりっぱな業績をあげておりますのは、そのような困難を克服しながら、卒業生諸君が自分たちの全能力をあげて努力した、個人の努力のたまものであります。組織の不備を個人の努力において初めてそれを征服して、日本の医学のレベルを上げ、かつ世界の医学界において日本の研究者の評価を高めたゆえんでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/11
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012・八田貞義
○八田委員長 ありがとうございました。
以上で参考人各位からの御意見の陳述は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/12
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013・八田貞義
○八田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。
なお、質疑を申し出ておられる方が多数ありますので、質疑及び答弁はできるだけ簡潔にお願いいたします。箕輪登君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/13
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014・箕輪登
○箕輪委員 御質問をいたしますが、御質問に先立ちましてお礼を申し上げたいと思います。
本日は、非常に御多忙中のところにもかかわりませず、ただいまの三人の参考人の先生方、わざわざおいでくださいまして、たいへん貴重な御意見を拝聴する機会を得ましたことを、心から厚くお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
そこで、今度のインターン制度廃止に伴う新しい研修制度について、全般的な御質問を申し上げたいと思うわけでありますが、私もまた先生方と同じように、大体医者の研修を二年にすることには賛成のものであります。しかし、これは国民が、従来一年であったものをどうして今度は二年にするのかというような心配を持たれるだろうし、また若いお医者さんの方々も、そういう心配を持っておるように聞いております。たとえば先ほどもお話がありましたように、アメリカでは八年間医学教育をやって一年以上のインターンをやっておる。またカナダは七年でありますが、一年のインターンをやっております。スエーデンは六年半で一年のインターン、イタリアは日本と同じ六年で半年のインターンをやっております。英国は日本と同じ六年の医学教育とこのあとの一年間のインターン、デンマークは日本より一年多い七年間の医学教育のあとで一年間のインターンをやっております。こういうふうに非常にインターンを義務づけておるところが多いのでありますが、ほとんどが一年であります。私の記憶の間違いでなければ、西ドイツも、たしか二年やっておると思いますが、共産圏だけはやっていない、こういうような状態であろうと思いますが、日本の研修を二年とされたその理由をちょっと聞かせていただきたい。
それからこれは厚生省にお聞きしたいのですが、今度法律を見ますと、「新制度によって医師になる者は、その免許を取得した後も、二年以上、大学の附属病院又は厚生大臣の指定する病院において、臨床研修を行なうように努めなければならないこととして、」こういうふうに書かれておりますが、ここでも明らかにされておりますように、「二年以上」と書かれておるのでありますが、私どもが聞いております限りでは、二年だけはお金を研修される方々にやるのだ、こういうふうに聞いておるわけであります。ここに問題があるのじゃないかと思うのでありますが、法律の中では「二年以上」となっておりますので、さらに三年、四年、五年と研修をされる意思を持たれた方に対しては、これは厚生省としてどのようにおはかりになるつもりか、これを聞かせていただきたいと思うのであります。
大体私は、先ほどアメリカのインターン制度のお話を豊川先生なされましたわけですが、アメリカのインターン制度は病院の中に泊まり込んでやっておるわけです。そういう意味からいって、日本は通ってやっているのでありますから、インターンじゃなくて、エクスターンだというふうな考え方をいままで持っておったわけでありますが、そういう意味で、大体同じような考え方であります。しかし、医者になってしまった、一人前の医者になってライセンスをもらってしまう、そうした人たちを強制的に研修させるということは、これは法律でしておりませんから、そういう形をとらなかったことは非常にけっこうだと思うわけであります。私はやはり、先ほどから何回も参考人の先生方からもお話が出ておりますように、お医者さんというものは、これは一生研修をしなければならないものだというふうに考えておるわけでありますから、したがって、それらのライセンスをとった若いお医者さん方も、研修に対する意欲のわくようにしてあげなければいけないのじゃないかと思うのであります。その意欲をわかせるためには、ある程度の生活のできるようなお金もやはりやらなければいけないのじゃないか。これが今回実りまして、——これはすばらしい厚生省の努力もあっただろうと私は思います。厚生大臣も、たいへんお骨折りをされたことも聞いておるわけであります。われわれも一生懸命この予算獲得のためには働いたのであります。そうやって、金を少しでもやって生活ができるようにしてやることが、医学研修のための意欲をわかせるために非常に大きく役立つものと考えていたのでありますが、ところが、またまた学生の諸君が騒いで、試験を受けないとか、医局制度を崩壊するようないろいろなことをやっておるようであります。せっかくつくった新しい制度がここから誕生するわけでありますが、またまた騒がれてしまうと、何もならないのではないかというような気がして、若干私どもは落胆いたしておるわけであります。きょうはインターンの人ですか、もう一人参考人の森さんがおいでになる予定であったと聞いておりまして、私ども、その森さんにも質問したいと思っていたのです。
そこで、豊川先生などにお聞きしたいのですが、彼らがいっておりますように、医籍に登録することをやめて——これは何かに登録しなければ私はいけないと思うのですよ。それが医籍であるか医籍でない別なものに登録するか、大体国から金をもらうのですから、もらいぱなしで、そして国のほうで証拠を残しておかないなんてばかなことがあり得るわけがないのでありまして、何かに残しておかなければならない。そこで何かに残すことで、医籍に登録することを削っただけではインターンの人方のいまの騒動はおさまらないものだ、これは医師法の改正と直接的な関係のない話もあるかもわかりませんけれども、お尋ねいたしたいと思います。
それから教育病院でありますが、教育病院において研修あるいは教育のための計画、こういうものを、私の考えでありますけれども、これはやっぱり教育病院の教えられる先生方それぞれが自主的に考えられて、教育のためのカリキュラムをおつくりになるのがほんとうではないかと思うのでありますが、これを国が干渉して、あるいは厚生省あたりがこういう教育方針でやってほしいというようなつもりでおられるかどうか、これもひとつ御答弁いただきたいと思います。
それだけをお難ね申し上げますので、まず豊川先生からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/14
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015・豊川行平
○豊川参考人 お答え申し上げます。
最初の二年以上というところで、二年の線で切られたということの理由でございますが、私の聞いております範囲では、各科で一応の知識並びに技術を身につける年限というものは、それぞれ、あるところでは二年であり、あるところでは三年というような線が大まかに出されたと聞いております。そういう線のでこぼこは、当然科によってできてまいりますが、最低は少なくとも二年というようなところで線を引くのはあまりひどい間違いをおかしていないだろうというようなところで二年という線が出たのだと聞いております。しかしながら、現実には、ある科ではどうしても一応の技術並びに知識を身につけるのに三年は必要だろう、あるところでは二年でよろしかろうというようなそれぞれ線があって、またそれをほんとうは制度化するというのが一番正しい姿かもわからないというように思います。
次に、医籍のところでございますが、医籍以外の、いわば研修登録簿のようなものに登録するという形になった場合に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/15
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016・箕輪登
○箕輪委員 騒動がおさまるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/16
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017・豊川行平
○豊川参考人 それは実は学生諸君に聞いていただきたいと思います。私自身、どうなるということはちょっと見当もつきませんので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/17
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018・箕輪登
○箕輪委員 おさまりそうもないようですから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/18
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019・豊川行平
○豊川参考人 私は、おさまっていただきたいというところが希望でございます。
それからカリキュラムの件でございますが、一応国が養成し、国が責任を持つ、また病院側も責任を持つという体制でございますので、そのカリキュラム自身がもちろん公表されなければならないようなカリキュラムでなければいけないと考えておりますが、大まかなカリキュラム自身は、それぞれの診療科において大体共通しておるというような形がやはり望ましいのではなかろうかというふうに考えますが、もちろん個々の点については、それぞれの病院の自主性に従ってカリキュラムを立てる。しかしその立てたカリキュラムはりっぱに公にされるべきものである。また、公にしたものについては、病院側も研修を行なう人間も、それに従って実施をするという体制が必要だというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/19
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020・秋元波留夫
○秋元参考人 ちょっといまの御質問の第一点について、私から補足したいと思いますが、確かにいまの法案をごらんになりまして、臨床研修二年になっているのは、どうして二年にしたかということを、理由がありませんから疑問に思われると思いますが、これはこういういきさつなんであります。「二年以上」というのは、御承知のように昨年の六月に出ました医卒懇の答申にあるわけです。その答申の趣旨というのはこれは消えてしまいましたけれども、二年やりますと、診療科名も一緒に登録するということなんです。つまり二年やってある一程度、たとえば内科とか、耳鼻科とか、眼科とか、そういった臨床科名を登録するぐらいまで持っていこうということで、一年ではこれはインターンと違いませんから二年だということでやったのですが、その後、そんな二年くらいぽっちで、あたかも専門を標榜することができるかのごとき印象を世の中に与えるのはおかしいじゃないかというので、臨床科名の登録を削って、その二年間だけが残ったのであります。しかし二年というのは、それだけ取り上げますとおかしいのでありますが、しかし、これはいずれまたいろいろ問題がございますけれども、専門医、そういう制度につながっていく前提として考えますと、この二年間は専門コースの一つのまず最初の段階であって、ある専門をいたしますについては、初めのうちはある程度、わりあい広いことをやらなければならぬ。たとえば内科の特殊のものをやるにいたしましても、内科全般をやるということが必要であって、だんだんだんだん狭くする、その前の段階は少なくとも二年ぐらい要るだろうということであります。
これに似たようなことは、いまもお話がありましたが、西独の制度がそうでございまして、二年間の間に一つの科目だけでなしに、いままでのような極端なローテーションでございませんけれども、数科目もあるということで二年間をあんばいしております。ですから、それに近いようなことがわが国でも考えられると思います。そういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/20
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021・箕輪登
○箕輪委員 どうもありがとうございました。以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/21
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022・八田貞義
○八田委員長 山本政弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/22
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023・山本政弘
○山本(政)委員 私はしろうとですから、医療を受ける立場としてちょっとお伺いをいたしたいと思いますけれども、豊川先生にお伺いいたしたいのですけれども、先生はスモールグループ・ティーチングあるいはベッドサイド・ティーチング、こういうことがやれなくなるというお話だったと思うのですけれども、これはせんだっての新聞に出ておりましたけれども、三時間待って三分間しか治療を受けられないという話が出ておりました。十六条の二でしたか、「厚生大臣の指定する病院において、臨床研修を行なうように努めなければならない。」こうありますけれども、実際にそのことがそういう実態のもとで、先生のおっしゃるような臨床研修が受けられるかどうか、この点をまず一つお伺いをいたしたいと思います。
第二点は、教育病院を育てる、あるいはそういうお話がございました。これも一昨日でございましたか、日本経済新聞に国立病院が、国立第一病院だったと思いますけれども、精神病科をなくするという記事がございました。私はそういう点ではどうも先生のお考えと、それから厚生省当局の実際のやり方との間に、非常に相反する傾向があると思うんですけれども、その点は一体どうお考えになりますか、この二点をまず豊川先生にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/23
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024・豊川行平
○豊川参考人 第一番目の、現在非常に病院が混雑しておるような状態で、私たちが述べておりますスモールグループ・ティーチングというようなことができるだろうかという御質問だと解しますが、先ほども申し上げましたように、現在非常に教育要員が不足しておる現状ではなかなかむずかしい状態ではございますけれども、いわゆる無給医局員という人たちの助けを借りて、こういう面への努力が現在行なわれておるわけでございます。教育病院の場合にはどうだろうかということでございますが、この点については、それぞれの教育病院で多数の研修医をとるというようなことをやれば、事実上非常にむずかしくなりますが、現在の要員に余裕があるという段階で、その教育要員の数に応じてとるべき研修医の定員というものをきめていくというたてまえをとれば、不可能ではないのではないか。もちろん、そういうことができるということをたてまえにして、将来できる審議会で教育病院が指定されることと私は考えております。
第二の、厚生省が教育病院と考えられるような場所に対するやり方と、私たちが考えておるのとでは食い違いがあるんじゃないかというような御質問だと存じますが、これは私たちのほうからすれば、かりに国立の病院であれば、厚生省は当然そういうものに対する努力をすべきだというふうに考えますし、現在の教育病院の考え方といたしましては、一つの病院を指定するということだけではなしに、幾つかの病院を教育病院群として考えるというような考え方で進むのがいいのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/24
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025・山本政弘
○山本(政)委員 秋元先生にお伺いいたしたいと思いますけれども、この制度を採用することによって、たしか封建的な制度というものが打破できるというようなお話があったと思うんですけれども、私は無給でもいいから医局に入りたい、入ったほうがいいんだという考え方が従来あったように思うんです。いままでのいろいろなトラブルとかいうようなものも、それを突き詰めていけば、今日の医局制度にあるんではないかというような考え方を実は持つわけですけれども、その点についてどのようにお考えになるか、ひとつお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/25
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026・秋元波留夫
○秋元参考人 確かにいまお話しのように、医局にいろいろな矛盾がございまして、それが今日の混乱を招いているということになると私も考えるのですが、その一つの理由は、医師の臨床研修の場が、わが国では主として大学病院に限られておったということ、これは先ほどの前の御質問にも関連いたしますが、つまり大学病院以外にほんとうに医者づくりに値する施設、設備とスタッフを持ったものがない——ないとは言いませんけれども、非常に少ないということですね。したがって、大学を出た人たちが、何も好きこのんで大学にばかり集まるということはないのでして、りっぱな折導者がおり、りっぱな研究ができるところがあれば当然そこに行って、そこでもし生活が保障されるならばそこに行くんですけれども、そういうところが少ないために、あえて生活ができなくても大学に残るということが日本の大きな特色でございます。
御承知のように、外国では大学の付属病院なんというのがあるのは非常に少ないのでございまして、ほとんど医学校というのは基礎だけであって、病院はそこの町の市立であるとかあるいは州立であるとか——アメリカの州立でございますが、そういったものをたくさん使っておりまして、そこでむしろ医者の教育がやられておる。医学校というのは、そういう医者になってあとの教育訓練よりも、むしろ学生の教育に熱心だ。ところが日本は逆でありまして、先生の先ほど言ったスモールグループのあれができないというのは、一つはそういう医者の訓練が大部分を占めている、だから学生もインターンもだめだということになるわけであります。これは臨床研修をやっていかなければ日本は進まないと思います。そう私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/26
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027・山本政弘
○山本(政)委員 熊谷先生にお伺いいたしたいと思いますけれども、私が承っておる範囲では——実はこれは先生にお伺いしたほうが私はむしろいいと思うのでお伺いするわけですけれども、豊川先生もそれから秋元先生も、この制度については比較的積極的なお考えを持っておられると思うのです。同時に、熊谷先生もそうではないかと思いますけれども、その反面に、徳島大学、あるいは山口大学、その他九州大学ですか、多くの大学でも反対の意見をお持ちのように聞いております。その点についてのお考えをひとつお聞かせ願いたい。
それからもう一つは、ここに医師会の意見として「無給の研修制度をのこすべきでない。」こう3の後段に書いてございますけれども、それでは現在の無給医局員と研修生の給与の問題、そういう点についてはどうすればいいのかというお考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。それから最後に御三方に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/27
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028・熊谷洋
○熊谷参考人 第一の御質問は私が答えられる範囲ではございません。それぞれ自分の立場で意見を表明されるのは、民主主義の世の中においては自由でございますので、私のお答えできる範囲外でございます。
第二の点でありますが、この点は日本医師会だけでもなくて、全国医学部長病院長会議でも、無給医局員の有給化という問題は非常に古くから論じられております。ただし、それにつきまして、現在おる医局員を全部有給化するというふうなことは現実性が少なかろうと私は存じます。各大学に一様に、一講座何人というふうな形もどうかと思いますけれども、それぞれの大学の実績に応じた無給医局員の定員化というのは、これは今度の医師法改正とからみ合わせてぜひ実現していただかなくちゃならぬことであります。ことに大学付属病院におきましては、これは文部省に対して年来主張しているところであります。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/28
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029・山本政弘
○山本(政)委員 では、最後に、豊川先生と秋元先生にお伺いいたしたいのですが、インターンの制度については否定的なお考えをお持ちになっていると思う。そして熊谷先生も、今日までうやむやにされてきたとおっしゃった。十九年にその措置があって、それからそれ以後インターン制度ができて今日まで二十数年、この問題が出てきたのはここ二、三年だと思いますけれども、初めからそれだけの問題があるならば、一体なぜもっと早く、そういうことについてむしろ大学側のほうからそういう意見が出さるべきであったと思うのですけれども、その点について私は、何かどうも問題が出てきたからそこでそれに籍口するといったらおかしいのですけれども、理屈をつけてきたというような感じがしてならないのです。この点について、ひとつぜひお考えをお聞かせ願いたいと思います。
それからもう一つは、これは秋元先生、それから豊川先生も国民医療の向上ということをおっしゃいましたし、国民の健康、よい医療という話をされたと思うのですけれども、御存じのように、私はいま国民皆保険制というのがあって、それは今後ますます拡充さるべきだと思うのです。その段階で医師というものは一体どのように位置づけたらいいのか、それから皆保険体制の中で医師との関係は一体どうあれば正しいのかということを最後にお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/29
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030・秋元波留夫
○秋元参考人 インターンの欠陥について、大学側がもっと早くこれを改めるように、率先してそういう活動をすべきではなかったかといういまのお話しでございます。これは決して私どもがインターンの欠陥を見過ごしてきたというわけではございません。これまで、私が東大におりましたころ、だいぶ古い時代からインターン制度がいろいろな欠陥を持っているということを事あるごとに唱えてまいり、またその改革というものを具体的に要望してまいったのでありますが、やはり当初はこれを廃止するということまでは至りませんで、何とかこのインターン制度を育てたいというふうな方向で参ったのであります。しかし、どうしてもそういう具体的な改善策が、障害にぶつかってそれができないというふうなことが次第に明らかになってきて、これがやはり、私は四十年に病院長会議に関係いたしましたのですが、その前年、前々年ぐらいから廃止に向かっていろいろ議論を戦わし、大学病院長会議の内部では、これはやはりやめるべきだという意見がございましたが、これが医師法改正ということのきっかけで活発化したのはたしか昭和四十年で、決して四十年から始まったわけではないので、そういう考えやそういう活動があったということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/30
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031・豊川行平
○豊川参考人 先ほど申し上げました昭和十九年の件でございますが、これは医師となって自由開業ができるためには一年の臨床研修が必要だというような形で実施されておったと理解しております。ただ、先ほど申しましたように、それは該当するべき卒業生が、卒業する前に終戦という状態になってしまったので、現実には実施されなかったという形でございます。
それから、これも私が聞き及んでおる範囲でございますが、現行インターン制度が実施されました段階で、すでに財政的な裏づけ、あるいは施設の整備その他が強く要望されたのでございますが、現実にはそれが取り上げられなかったということは事実でございます。またその後この問題について、各方面で種々論議されておったということも聞いております。
それから、皆保険下における医師の位置づけということでございますが、非常に大きな問題で、一言で申し上げるということもなかなかむずかしいと思いますが、私といたしましては、国民皆保険という方向へ進んでいくというのはもう時代の一つの流れであって、これはもう当然のことだろう、よりよき医療を国民が受けるということはどうしても必要なことだ、そのためには医師というものは、ますます程度の商い医師をつくっていくということが医育者側に課せられた一つの大きな使命であろうというふうに考えるわけでございます。全体がレベルアップするということが最も望ましい姿だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/31
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032・熊谷洋
○熊谷参考人 いまの山本先生の御質問の第三項、皆保険下における医師の位置づけというふうな御質問がございました。どのような医療制度のもとにおいても、医療に関しては医師の主体性をたっとばなければならぬということがいろいろな意味においてございます。治療においても、あるいは慰者と医師との関係においても、医師の主体性をたっとぶべきだということが、日本医師会の見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/32
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033・山本政弘
○山本(政)委員 質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/33
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034・八田貞義
○八田委員長 田邊誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/34
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035・田邊誠
○田邊委員 時間がございませんから、きわめて端的に、私の考え方は述べないで御質問いたしますので、お答えをいただきたいと思います。
まず、豊川参考人にお伺いをいたしますが、いままでのインターン制度は、 いろいろな弊害なり、いろいろな不備の点があったという事実にかんがみて、今回の研修制度を発足させるということに対して、大筋において賛成の意味の御発言があったのでございまするけれども、卒業後すぐ国家試験を受けられるという、こういう状態の中で今回の臨床研修が行なわれるということ、あるいはいままでのインターンの一年というのが、今度の研修制度は二年以上であるということで、いろいろな違いはございまするけれども、しかし、医学教育上、また医療担当者としての立場からいって、本質的にこの二つの制度が違う点は一体何でありましょうか。いわば現実的な内容からいってその違う点は一体どういうものであるか、これをひとつお聞かせをいただきたい。
第二番目は、医学教育は本来やはり学校教育の中で行なわれ、これが一応完成さるべきものだと私は思います。もちろん医療担当者としての立場からいえば、一生かかってその研修をはかるべきことはこれはまた当然でございましょうけれども、しかし、教育をするという立場からいいまするならば、これはやはり大学において十分な教育を行なうことがまず本筋だろうと思うのであります。そういった点から見まするならば、いわば臨床の教育についてもできるだけやはり学校においてこれがなされるべきじゃないか、こういう考え方が私はあるんじゃないかと思うのですけれども、この臨床研修の制度を、将来をにらんだ場合に、一体、インターンにかわるべき恒久的な制度として、国家試験に合格したあとで研修をするということであるから、やはりこの制度は、先ほど秋元参考人のお話にもありました専門医制度につながるものとしてわれわれは恒久化すべきものである、こういうふうにお考えであるか。さらに医学教育を充実さしていくならば、将来やはりその中で消化をされてもいいんじゃないか、こういうふうに将来の展望としてお考えであるか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
第三番目は、今回の臨床研修制度の持つ意味合いについては、いろいろな意味がございます。しかし、三人の方々のお話を聞いてみても、どなたも予算の裏づけ——予算の裏づけの中には、たとえばそれを指導するところの医師の体制、施設の充実、そして研修医といいましょうか研修生の方々の待遇、こういったものがやはり充実されなければならぬ、こういう意見がございました。これが同時並行的になされることが望ましいという意見もありまするし、これがやはり前提条件であるという意見もございまするし、不満足であるけれども研修制度は必要であるから、これが発足を見て、逐次これらの充実をはかっていくべきだという意見もございます。しかし私は、三参考人の方々の言われた、非常に予算の面やその他の面で不足であるという、こういう意見を考えたときに、やはり世論を説得させ、あるいはまた、いまのいろいろな事態、混乱の収拾をはかるという意味合いからいっても、でき得べくんば同時並行的な措置というものが最も望ましいのではないかと私は思うのでありますけれども、この点に対するお考えをもう一度お聞かせいただきたいと思うのであります。あとお二人の参考人の方々にも御質問ございますが、一応豊川参考人にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/35
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036・豊川行平
○豊川参考人 田邊さんの御質問にお答え申し上げます。
一の、現行インターンの制度と、法案に出ております二年の研修との間の本質的な違いというものは、一つが医師となっての専門教育の課程だという点、片一方は医師になるための教育であるという点の違いが本質的なものだと理解しております。
それから、医学教育の中でできるだけ臨床研修が行なわれて、卒業し医師となった段階では、れっきとした、かなり程度の高い医師をつくるべきじゃないかという御意見、これは考え方でございまして、理想からいえばそういうこともいえるかと思います。しかしながら、日本の現在の国情とかあるいは諸外国の状態とか、そういうものも考え合わせ、医師の免許を持った人間のレベルは一応従来のインターン終了後の状態というふうに理解をいたしますれば、先ほども申し上げましたように、教育方法の改善その他で、現在のインターン教育自身が学部教育の中にすでに入り込んできつつある、また同じレベルであるということの確証は、医師国家試験の実施によってこれを確認することができるというふうに私は理解をするわけでございます。
それから、こういう制度ができ上がるときには、当然それに対する十分なる財政的裏づけをもって出発すべきである、ごもっともで、私もそう考えたいわけでございますが、従来の日本のいろんな制度が実施される段階を見ておりますと、初めからそういう形で出るということはなかなかむずかしいものであろう、これは理想と現実の違いでございますが、これが将来、ことしよりも来年、来年よりも再来年と積み上げられていくということを前提にして、私たちはこれをながめておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/36
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037・田邊誠
○田邊委員 秋元参考人にお伺いいたしますけれども、いままでのインターン制度が実はいろんな変遷を経て今日に至っておることを、われわれもおぼろげながらも承知いたしておるわけでありますが、今度は、一応卒業と同時に国家試験を受けられるということになりますと——私は医学の問題はしろうとでございますけれども、国民一般から見ますと、いままでは少なくとも、有名無実であったかどうか知りませんが、卒業されて後一年のインターンをされて、それから国家試験を受けられる、それが今度は卒業と同時に国家試験ということになりますと、いわば国家試験を受けるというその時点に立った場合には、どうもやはりレベルダウンじゃないか、こういう国民の心配がありはしないかと思うのであります。私は、これにこたえるのはやはり医学教育の充実ということでなければならぬと思うのですが、この法案がいろんな事情の中から早期の成立を望まれておるという段階でありますけれども、いま直ちにこのインターンを廃止されて卒業即国家試験の受験という、こういう立場に立っても、いま申し上げたような、一般的に教育内容からいって水準低下という形にならぬものかどうか、この点をひとつお伺いをいたしたいのであります。
それからもう一つは、二年なりの研修をいたします。しかし、現実にいま問題になっておりまするのは、何といっても無給医局員制度でございます。したがって、二年間の研修を幾らかの手当——これまた問題にいたしましても、幾らかの手当を支給した後にこれが終わる、こういう状態に立ったときにもその後のいわば医局に働く人たちに対しては、これは現実には無給医局員というような制度はなくしていかなければいかぬ。少なくとも有給定員化の方向に行かなければ、やはりこの制度の花を咲かせるわけにいかぬのじゃないか、またこれがいわば現在いろいろな反対の意見をかもし出している一つの要因ではないか、こういうように私は思うのでありますけれども、この点に対しては一体いかがな方策をとるべきであるとお考えであるか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/37
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038・秋元波留夫
○秋元参考人 インターンがなくなりまして、大学を終えてすぐ国家試験が受けられるということに対して、国民は医療を受けるほうの側から不安がありやしないかというお話で、ごもっともだと私も思います。これはやはり現在のインターンについても、実際の状態というものがおわかりになると、そういうふうなお考えがなくなるのではないかと思うのです。現在でも、御承知のようにインターンを終わったあとやはり医局に残りまして、昔と同じように数年間の臨床研修をやっておるわけです。したがって、インターンを終わって国家試験を受けても、それで一人前の医者として実際は働いていないわけですね。だから結果は同じであって、しかもその一年というものは、先ほどからお話がありましたように、ほとんどもう崩壊状態にひとしい。むしろその間空費されているということであるから、そういうものはもうなくしてしまって、医者となったあとの臨床研修を制度化して、これをいまの大学におきますいろいろ矛盾をはらんだ医局というもののあり方の改善の一つのきっかけとする。これによって医局という非常に古いからを一挙に改められるとは思いませんけれども、それを改める一つのきっかけとするというふうに、少なくとも私は考えております。
それからもう一つ、確かに、大学について考えますと、二年間は研修をする。ある程度これも不十分でありますけれども、そのあと一体どうなっていくか。私はもう大学におりませんので豊川学部長のお考えを承ったほうがいいと思いますが、やはりこれはどうしても大学の二年終わったあとの定員化というもの——これはもう指導的な役割りを演ずる方、あるいは研究診療ということに専心する諸君になりますから、これを定員化することは必要だと思います。しかしそれも、いまのようにばく大な数を各教室、臨床教室が持っているという不自然な姿で、これをそのまま永久化するということは、とうてい望むべくもない。だから、そこには医局というものの改革、そういうものが前提となって、その実態に即した定員化というものをやはり確保していく。これは非常にむずかしい問題と思いますが、国立の大学につきましては文部省がもっと本腰を入れてやらなければならぬのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/38
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039・田邊誠
○田邊委員 熊谷参考人に一つだけお伺いいたしますが、臨床研修を終えたあとの医籍に登録する問題に対していろいろ意見があるわけであります。日本医師会といたしましてのこれに対する御意見を承りまして、登録することは自由である、これは医籍に登録するものではない、すなわち医者に差別なり段階をつけることは基本的に反対であるという御意向でございます。さて、それならば、医籍に登録をする、あるいはまた何か国のそういった名簿にこれを記載するというような形、ないしは当該の病院長が履歴書に証明書を出すというような形をいろいろ考えられているのでありますけれども、これは一体本質的には違うものでございましょうか。私どもはいろいろな意見を持っておるわけですが、国がこれらの問題に対して一つの義務制をしき、そしてまた一つの医者としての資格にいろいろな段階をつける、こういうことと、当該病院長が証明書を出すということは、医療担当者、医師の立場から言いますならば、一体本質的な面では違うのだ、こういうようにお考えでございましょうか。これは法案の審議に非常に重要な意味を持つものでありますからお教えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/39
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040・熊谷洋
○熊谷参考人 あまり頭がよくないもので、申し出の点が必ずしも十分につかめたと思っておりませんが、これは義務づけではございません。いま義務づけというような御発言がございましたが、この登録は義務づけと考えておりません。先ほど申しましたように、医籍に登録するということは医者の身分に格づけをすることであるとわれわれ解釈するわけでございます。これは非常に重大な点でございます。そのことに対して日本医師会は賛成できない、これは重ねて申し上げます。その点誤解なさらないように。というのは、医師に格づけをするということは、現在の国民皆保険下において、治療の面で、患者によって、貧乏人と金持ちとによって、格のいい医者には貧乏人はかかれないというふうな事態が起こる心配があるからでございます。はっきり申し上げると。したがって医師には格づけをしない。そういうことがわれわれがこの医籍に登録してはいかぬと強く主張するゆえんでございます。おわかりいただけましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/40
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041・田邊誠
○田邊委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/41
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042・八田貞義
○八田委員長 和田耕作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/42
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043・和田耕作
○和田委員 いままでの質疑で大体の要点がわかりましたけれども、三点につきまして豊川部長さんに御質問申し上げたいと思います。
昨年、東大の卒業資格を持ったような人が三、四人私の部屋に参りまして、インターン制度は反対だ、こういうようなことについてひとつ御理解をいただきたい、いろいろ一時間ぐらいにわたってお話ししてまいりました。私はそのとき、よくわからなかったものですから、あなた方の指導教授ないし学部長あるいは病院長さんに相談をしてのことかと言ったら、そういう相談はしてないが、相談しても話にならないのだというお話を伺いました。私ども普通考えますと、こういう医学の研修、学習等についての問題は、学生のあまりがやがやした意見を述べさせるような状態であってはいけないのではないかという感じを私持っておったのでございますけれども、しかしその後なかなかそういうふうなことにはなっていないらしいのですが、この点について豊川さん並びに秋元さん、そうして熊谷さん、どのような感想を持っておられるか、簡単でよろしゅうございますからお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/43
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044・豊川行平
○豊川参考人 それぞれの医学校においてそれぞれのやり方でこの問題は議論されておると私は想像いたします。したがって、ある大学においては医育者側でこれをまとめようとするところもありましょうし、あるところでは意見を取り入れて何とかしようというふうな考え方のところもございます。したがって、それぞれの学校でそのやり方が違っておるので、そういう面で違った感じを受けられたのではないだろうかというふうに想像しております。しかしながら、やはり医学の学部における、あるいは卒業後の問題においてそのカリキュラムその他を考える場合には、それぞれの長い経験を持った人たちがそれを考えるのがやはり本来の姿ではないだろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/44
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045・和田耕作
○和田委員 秋元さん、この問題どのようにお考えでございますか。簡単でけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/45
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046・秋元波留夫
○秋元参考人 もう私は大学を離れておりますので、最近の様子はよくわかりませんけれども、ただ外から見ておりまして、やはりこのインターン問題をはじめ、大学の医局のあり方とかそういうことについて、大学の教授の方々と学生あるいは若い医局員の方々とが、このような断層のようなものが起きてしまって、どうしてそこに対話がないのかということを遺憾にも思いますし、残念にも思います。医学の問題というものは、やはりその当事者がほんとうに意見をまとめてほしいわけでありまして、それがいまのように、ある意見が出ますと、その問題について非常に違った考え方が出てくる。これにはやはり話し合いが足りないのではないかという気もいたしますし、そういう点を、私、大学を離れてかってなことを言うようでありますけれども、ぜひ大学の方々にもっと意見、話をまとめるようにして、そういうことに対する外部のほうの——いろいろな非常にふしぎだという感じを与えているのですけれども、やはり医者の信頼というものがそこでそこなわれますので、そういう点を私は大学に望みたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/46
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047・熊谷洋
○熊谷参考人 どうも御質問の意味を完全にとらえているかどうかわかりませんけれども、日本医師会といたしましては、学生諸君の意見を聞くべきものは聞く、しかし判断はこちら側でやるという立場に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/47
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048・和田耕作
○和田委員 私ども大体そういうふうに感ずるんですけれども、話によりますと、昭和四十一年、昨年、そして今年卒業する医学生、この人は青年医師連合というお医者さんの名前を使っておるんですけれども、大部分は国家試験を受けておりますか、青年医師連合として運動しておる、発言しておる人たちは。これは豊川先生ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/48
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049・豊川行平
○豊川参考人 東京大学の例を見ますと、四十一年卒業の人は受けておりません。四十二年はことし受ける状態にありますけれども、本年の国家試験の受験資格を持っていないという状態でございます。他の大学の例では、四十一年卒業の人たちで国家試験を受けていないのは、東京大学と横浜市立大学の卒業生並びにその他ごく一部で、大部分は国家試験を終わって医師の免許を受けておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/49
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050・和田耕作
○和田委員 国家試験を受けて医師の免許を受けてない人たちですから、当然医療行為はやっておられないわけですね。東大の例なんかはどうでしょうか。率直にひとつお答えいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/50
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051・豊川行平
○豊川参考人 大学の中の研修におきましては、インターンと同じやり方で指導医のもとで診療に従事するという形をとっておりますが、大学病院以外のところでどういう形で診療行為が行なわれておるかということは、私たちは知らない状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/51
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052・和田耕作
○和田委員 こういう問題を私がお伺いしますのは、これは三年にわたって、しかも東京大学といえば日本の大学のシンボルみたいなところですが、そこでそういう状態があるということは、これは医師法という法律から見ても問題があることでございますので、急速に打開していただきたいと思うのです。
この問題と関係しますのですが、インターン制度は非常にまずかった、インターン制度を日本で受け入れる条件がなかったのだというお話で、それの代案として今度の制度が出ているわけですけれども、先ほどからのお答えを拝聴いたしておりますと、非常に受け入れる条件が心もとないのだというお話が、財政的な面でも、制度あるいは現在の施設の面からもあったように思うのです。これも簡単でけっこうですが、これが実施された場合に、いろいろの問題はあっても、曲がりなりにもこれを受け入れて医師の研修の制度として運用できるという見通しを持っておられるか、あるいはこれはあと十年くらいしなければ本物にならないのだというような御意見を持っておられるのか、そういうことについてのお答えをいただきたいと思います。これは各参考人からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/52
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053・豊川行平
○豊川参考人 お答え申し上げます。最初に申し上げましたように、現在の学部教育あるいは卒業後の臨床研修につきましては、無給医局員の方たちにかなりの部分を依存している形で現実に行なわれております。そういう形を今後とり得るということであれば、現時点でもかなりの部分の責任が負えると思います。しかしながら、そういう姿は医学教育並びに臨床研修における正しい姿でないことはもちろんのことでございまして、早急にこれは解消さるべきものだと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/53
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054・秋元波留夫
○秋元参考人 今度の医師になってからの研修を制度化するということが実るか実らないか、これは私も予言者でありませんから何とも言えないのでありますけれども、これはやはり国の決意、したがってまた国会の責任でもあると思うのですけれども、この可能性というものは、これまでの医師になる前のインターンに比べると、これはもう問題にならないほど可能性があると思います。というのは、インターンであれば、その生活を保障するすべがないのでありますけれども、もう医師であります。ですから私は、これは医師として研修をするのでありますけれども、やはり研修しつつ医療の重要な部分を担当できる状態になっておりますから、これを医師として待遇するという制度を確立する、これが第一。いずれにしましても、いろいろな条件がありますけれども、まず研修する人の身分を確保するということがもう絶対の条件だと思うのです。それについて先ほど申しましたような大学以外の研修の場をつくっていくということを同時にやる、こういうことをやはり進めるということが条件でありますけれども、これができ得るかどうかということではなくて、どうしてもやらなければならない。わが国がそういう姿勢を持つかどうかということだと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/54
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055・熊谷洋
○熊谷参考人 ただいまの和田先生の御質問にお答え申し上げます。
医師法改正について、日本医師会が衆参両院の社会労働委員会の先生方に二月十六日付で申し上げましたとおり、「これを受け入れる大学側、学生側ともに改めるべきものは改め、日本の医学教育を前進させる形態を確立することが急務であります。」このことばの中に表現されておりますとおり、これは大学当局だけでもできませんし、学生だけでもできません。またこの二者だけでもできません。国会議員の先生方の御努力によりまして、十分これに見合う予算をぜひ通していただきたい。この三者がそろって初めて完成すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/55
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056・和田耕作
○和田委員 今後、いろいろお教えいただきました点を中心に審議をしていくわけですけれども、きょうは時間がございませんから、最後に質問を兼ねて一つの問題を申し上げたいと思うのですが、この一週間ほど前にNHKのテレビの報道を聞いておりますと、私非常に驚いたことがあるのです。このごろ健康保険問題などでお医者さんの値打ちが非常に下がっておるというような感じを持っておったのです。いろいろな問題がありますから。ところが、国民のお医者さんに対する期待はきわめて大きいのですね。国会議員が六十くらいの尊敬度に対してお医者さんは九十以上の尊敬度を持たれておる。たいへんな信頼を持たれておることを聞いて、これはたいへん失礼ですけれども、私も非常に意外に思いながらあれしたのですけれども、それにしてもこの問題は、最近NHKのインタビューに応じた二、三の人によりますと、いろいろな御批判を持っておられる。確かにいろいろな批判があると思います。これは健康保険の問題についても締めるところは締めなければならぬ問題があると思います。それについては、特にお医者さんの教育並びに研修については国はもう金を惜しまないで、思い切ってこういう制度の内容の拡充をはからなければならない。こういうことに対するお金は惜しくはないと思うのです。
そういうような意味で、いまの諸条件が各先生とも不十分だという危惧の念を持っておられながらも、しかも何とかやれそうだし、やっていかなければならぬという御意見のように承っておるのですけれども、この問題は今後私ども御趣旨に沿ってやっていきたいと思っておりますが、ただもう一点だけ御質問申し上げたいのは、医籍に登録するということでお医者さんを何らかの形で区別をするという問題ですね。これは私なんかもそうですけれども、率直に考えまして、このお医者さんはどういうことに向く人か、あるいはどういう力がある人か、そういう判断はこれは非常にむずかしいし、何かの基準がほしいという気持ちを持っておるのは事実でございますね。そこで、登録するということを通じて、何か適当に国民が誤らないように、この人はこういうことをよく研究している人だ、この人はこういうことに得意の人だということを、偏見を持たないような形で、そういうお医者さんの格づけ——これは医師会の方は非常に反対をされておるのですけれども、格づけではなくて、国民が何かお医者さんを見分ける基準がほしいというのは、これはもっともだと思うのです。この問題を今後もひとつこの制度に関連をして勉強してまいりたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/56
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057・八田貞義
○八田委員長 大橋敏雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/57
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058・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 参考人の各先生、きょうはまことにありがとうございます。
一つ私が残念に思うことは、きょう四二青年医師連合東京大学支部の委員長である森委員長さんが欠席なさったということでありますが、先ほどから三人の先生の御意見を拝聴しておりますと、基本的には今度の法律改正案に対して賛成しているのだ、こういう立場からの御意見でございましたけれども、私が各方面の方々のお話を聞いた中には、今度の法律の改正案からは、いわゆるインターンの問題、それから無給医局員の問題のその矛盾等は根本的に解決できない。かえって混乱を来たし、その混乱を助長していくようになるのではないか、このような反対の声も聞いたわけであります。そこで、時間が短いのでごく基本的なことをお尋ねし、教えていただきたいわけでございますが、先ほどお話を聞きながらいろいろと判断、理解もしようと努力したのですけれども、何せ私は鈍感なものですから一ぺんでのみ込めませんので、いままでの質問と重複するかもしれませんけれども、親切に教えていただきたいと思います。各先生方にお願いしたいと思います。
まず、先ほど、わが国の現行インターン制度は有名無実である、むしろ有害無益ということばも出ておるというような話がありました。したがいまして、このインターン制度を廃止するということは実質的には何らの損失はない。むしろ私は現状では、卒業前の教育、いわゆる学部教育ですね、ここがきわめて不十分であるということを聞いております。そこで、卒業前の教育の場をもっと充実させ、そこにてこ入れすれば、もう卒業と同時に現行のインターン終了時よりはもっとすばらしいお医者さんらしい医師ができるのではないか、こういうふうに聞いております。先ほどからお話の中に、現在インターン一年を終了してそれから国家試験を受けて免許をとる。とった後も長い間まだいわゆる無給医局員として研修に携わる。たとえば五年とか八年とか九年、やっとそれから医師の身分がとれていくのだ、こういうお話でございましたが、今回の改正案を見ますと、そういう身分の上、また生活保障等が十分でない、こういうふうに私は考えるのであります。したがいまして、はっきりものを言わしていただきますと、今度の法律案の第三章の二の臨床研修の項、これはむしろ全部削除したほうがいいのではないかという声もあります。少なくとも十六条の二は修正できるであろうが、十六条の三以後は全く必要ないのじゃないか、削除すべきであるという意見も聞いておりますので、もしそうなった場合に起こり得る弊害といいますか、問題点を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/58
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059・豊川行平
○豊川参考人 最初に申し上げましたように、二年の研修後の国に対するレジスターという点でございますが、まず今度の法律で非常に重要なことは、卒業後の臨床研修に対して国がある責任を負うのだという体制が強く打ち出されておるという点ではないかというふうに思います。国が卒業後の研修に対する責任を持つ。ただ、現時点では二年というところで線を引いて、またその二年の研修が終わったところでレジスターするということ自体が、国の責任を明確にする点でもあり、また研修を引き受ける病院、これは教育病院とかあるいは大学付属病院というもののこの二年の研修に対する責任を明確にしたという点で非常に意義のあるところではないだろうか、そう考えるわけなんです。したがって、そういうものがなくなった場合にいま考えられるのは、国の責任というものをどういう形で人々が追及できるだろうか。従来から見ておりましても、これは当然国が責任を持つべきであるというようにいわれておっても、実際上責任を持っていないというのが従来のいろいろな制度を見て考えられるわけなんで、こういうことをして初めて国が正しくその責任を果たすという体制ができ上がるのではないだろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/59
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060・秋元波留夫
○秋元参考人 第一点、医学部の教育を充実すればそれで一人前の医者になれるのじゃないかというお話でございますが、これは、いまの臨床医学の非常な分化と発展ということを考えますと、とうてい不可能であります。明治二十年代ころは東京大学医学部を卒業しますと、それだけでもう地方の院長さんとして迎えられたという話がありますけれども、もうそれは昔の夢であります。医者の修業というのは、これは医者としてほんとうに責任を持って患者と接するということがなければできないのであります。どんなに教えるほうが苦心いたしましても、学生としてやるものには限界があるのですね。したがって、事実わが国でも、そういう昔の話は別として、少なくともこの二、三十年は、御承知のように、大学を出ましてからもう数年間、中には十年以上大学に残っているということで、どうしても学部だけで医者づくりということができないことは自明の理です。
それから、今度の法案でインターンがなくなってしまったんだから、臨床研修まで削ってしまえという意見があるということは私も承知しておりますが、これは全くこの法案をナンセンスにしてしまうことなんで、ナンセンスにしたっていいんでありましょうが、しかしそれによって一体どういう事態が起こるかといいますと、これは先ほども私申しましたように、現在の医者づくりが大学に集中しておるわけでありますが、その大学の矛盾というものをそのまま残すことになる。そこから解決は決して生まれないのですね。まず制度化する、そういうことでなければならない。この臨床研修を制度化することによって、医者づくりが大学だけでなしにほかの病院を育成するんだということによって、大学も本来の使命である学生の教育とか研究にその重点を置くということはできるわけです。私は、大学の付属病院というものは、単なる医者づくりだけでなくてもっと重要な使命を持っていると思うわけですね。そういうことを考えると、この臨床研修を制度化するということなくしては、大学以外の病院を発展さすことはできないということであります。もちろん、先ほどからたびたび申しますように、この臨床研修という制度ができたから、それで一挙にわが国の長い古い伝統である大学のあの旧体制が改革されるということは望めないけれども、これを第一歩として、これから大学の改革を若い諸君にやってもらわなければならないということを私どもは考えております。ですから、この法案の中心である臨床研修の制度化、これをどうしてもやらなければ審議の意味がなくなってしまうというふうに考えます。この法案の中心である臨床研修の制度化について、そこにいろいろ問題がありますが、それをぜひひとつここで御審議いただきまして、いい臨床研修の制度を確立していただきたいということを衷心からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/60
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061・熊谷洋
○熊谷参考人 大橋先生の御質問にお答え申し上げます。
第一は、学部教育を充実することによって、そのまま卒業後の研修は必要ないのではないかという質問のように私は受け取っております。学部教育というものの本来の目的は、それが医師として完成したという教育ではございません。これから医者となって修業を始めるという出発点でございます。すべて卒業ということはそうでございます。コンメンスメントということばは、これから始まるということであります。
それから第二の、この研修を廃止するとどういうことが起こるか。ただいま秋元参考人から申し上げましたように、医学の内容そのものが著しく進歩しておりますことが第一点。第二点といたしましては、日本の国民の生活水準、文化水準が著しく向上しております。それに加えて人口構成その他社会生活的な条件が著しく変わっております。これらの条件がすべて国民の医療の需要を高めております。しかもその医療も質的な高い医療を要望しておるわけでございます。それにこたえるためには、少なくとも二年ぐらいの研修は、当然医師が自主的にやるべき性質のものと考えます。したがって、これを廃止したならば、国民の要望にこたえることができなくなるであろうということが日本医師会の見解であります。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/61
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062・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 いまの御意見を伺いまして共通するところは、学部教育だけでは一人前にはなれないのだ、これは当然だろうと思います。われわれ患者側の立場から見ても、大いに研修していただいて治療をしてもらいたいわけでございますので、あくまでも研修には励んでもらいたい。しかし卒業していくそうした学生さん、医者になる方々は、もうだれ一人として、この研修、いわゆる臨床研修に反対したり、これを否定する人はいないと私は思うのであります。したがいまして、一番問題点になるのは、研修を充実させるために必要な教育研究上あるいは生活、身分の上の保障、これが私は問題だと思うのです。
ところが、今回の法律の内容を見てまいりますと、こういう点が非常にあいまいだという感じを受けるのです。きょうは、その法律の内容について質問していくわけにはまいりませんので、またの機会にそれは譲りますが、一つの例をあげますと、たとえば二年以上の臨床研修は、これを「行なうように努めなければならない。」こういうふうにありますが、確かに法律上では義務づけてはないようであります。しかしながら、登録医と非登録医というものが厳然とそこに出てくるわけです。したがいまして、身分の上での事実上の差別が生ずるということで、医者の立場からは、むしろ事実上の義務が課せられるにひとしいと私は思うのであります。このように一つの例をとってみても、そういうことが言えますし、また今回の登録医制度が研修を法的に義務づけるように見えますけれども、現在のわが国の医療体制のもとでは、むしろ医師を研修というような立場で拘束して、現行のインターン、一年間の研修期間が逆に二年に延びるような結果になるのではないか、私もそう思いますし、世論もそこにあるように思います。こういう点について豊川参考人にもう一度説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/62
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063・豊川行平
○豊川参考人 お答え申し上げます。私もちょっと御質問の内容をはっきり聞き取っていなかったわけでございますが、最後の登録の点について、今度の法律を私ながめまして、前の法律の案の場合に、何々診療科登録医と称するという部分があったと思います。その部分が今度の法律案にはなくなってしまっておりますので、事実上、一般の国民の側からすれば、その人間が登録しているかしていないかということは、不明の状態になっておるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/63
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064・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 時間がございませんので、では次に移りたいと思いますが、今度診療協力謝礼金という名称でお金が渡るようになると聞いておりますが、これについてどのような意見をお持ちか、参考人各位からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/64
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065・豊川行平
○豊川参考人 本来は医師という形で診療に従事しつつ研修を行なうのでございますので、給与という形であるべきだと考えます。外国の例ですと、その病院からの収入によってこれを支弁するという形でいわゆる臨床研修医に対する支払いが行なわれておるのでございます。日本の場合にはなかなかそういうことができないというので、国が責任を持つ体制になったと理解しておりますが、ただ公務員の場合に、つまり国立大学のようなところでは、そういう給与という形でやった場合に現実にはどういうことが行なわれるか、つまり二年終わったところでどういう段階が起こるかというようなことを考えてみますと、その点もなかなかむずかしい面はあるようには思いますけれども、本質はやはり給与という形があるべきだというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/65
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066・秋元波留夫
○秋元参考人 それでは、第一点もちょっと私の意見を申し上げておきたいと思うのですが、登録にはいろいろ問題がありましょうが、いずれにしても、研修を行なったということで医者を格づけするのは、医者に身分区別をつけるのでよくないというふうなお考えのようでございますけれども、しかしいまわが国でも事実上医者には区別があるわけでございまして、つまりそのために——そのためにと言ってはおかしいのですが、大学に残りましてみんな医学博士という学位を取るのです。つまり学位を持っている医者と学位を持っていない医者というような区別がありますから、将来専門医制度ができますと、専門医とそうでない医者とができるのはこれは当然でありまして、私が医籍に登録していけないと言うのは、医君の間にいろいろな区別があるのがいけないから医籍に登録してはいけないと言っているのではなくて、医籍の本質に反するということを言っているのです。そういう意味で、医者のほうから格づけしてはいかぬということでなしに、やはり医者は患者のために存在するわけでありますから、患者そのもののほうから、このお医者さんはどういう医者かということを知る必要があると思うのです。事実においても、おそらく臨床医になる人はすべて研修を受けると思うのですが、万一受けない人があるとすれば、やはりそこに研修を受けた人と研修を受けない人とは、事実上何といおうと明らかに区別ができるわけですから、それを名前をつけるかつけないかということで論議するのは、ぼくは非常におかしいと思うのです。事実、受ける人と受けない人があっても、博士号を持っている人と博士号を持っていない人があるということと同じだと思うのです。
第二点の診療報酬については、私は先ほど申しましたように、絶対これはおかしい。こんなニコヨン的なことをやるべきではないので、医者になった人をちゃんとした正規の職員として研修の期間に俸給を上げて待遇すべきである。これはどうしてもやるべきである。これはオーストラリアでもドイツでも、ちゃんとその期間中二年間は、細君と子供一人くらいあっても暮らしていけるような額をやっておる。これはできないことはないわけです。わが国でもぜひそれはやらなければだめだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/66
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067・熊谷洋
○熊谷参考人 その診療協力費でございますが、まずその問題について、生活するに十分なる費用を出せということが第一点でございます。
第二点は、それが俸給という名前で出し得るか、あるいは謝礼金という名前で出し得るか。これは研修する医者の身分をどのように取り扱うか。たとえば大学付属病院側においては、それを診療要員とするのか、教育要員とするのか、そういったものとのかね合いで決定するものと思いますが、それは最も無理のないような形において出してほしい、こう願うものであります。一番大切なことは生活に十分な費用を出せということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/67
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068・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 最後に私の考え、こういう考えでいいかどうかということをお教えいただきたいのですが、医師というものはもともと患者の医療のためにあるものである。医師は患者の診療責任を果たすために必要な研修を行なうのであって、医師それ自身が研修のために患者を診療することは逆だ。患者を研修の具にするということは非常に許されない問題であるというような考えを持っているのですが、これについて最後にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/68
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069・豊川行平
○豊川参考人 考え方としては、いまおっしゃるとおりだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/69
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070・秋元波留夫
○秋元参考人 そういうことになりますと医学教育などはできないことになってしまいますので、すべて病気は人ではいろいろ教えることはできない、サルでも使わなければならぬということになりますが、やはり医者の態度ですね、研修だから道具にするというようなことは非常におかしなことであって、学生であろうと医者であろうと、患者に接するときにはヒューマニティが根底となって接触しておるわけです。ただ、そこに指導者がおって一緒にやるか、一人でやるかという相違であって、患者に対する医学的な医療者としての良心とか、そういうものが根底になければならない。そうでなければ、全く患者を道具に使う、あるいは金もうけの道具に使われるかもしれない、こういうことは研修とかそういうこととは無関係であって、医者の倫理の根底に結びつく問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/70
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071・熊谷洋
○熊谷参考人 由来、臨床研修ということは、患者のからだに起こっておる病状あるいはそういうものについて、それをどのように処理するかという科学的な面がございます。すなわち患者に教えてもらうということが医療研修の本道でございます。したがって、そこには当然、いま秋元参考人が申しましたようにヒューマニティがなければなりませんので、いま大橋先生のお考えのように、研修の道具に使うなどということは毛頭考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/71
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072・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 どうもいろいろとありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/72
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073・八田貞義
○八田委員長 井上普方君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/73
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074・井上普方
○井上(普)委員 三人の先生、どうも御苦労さまでございます。
ちょっと私お伺いしたいことがございます。豊川先生にいたしましても、秋元先生にいたしましても、いずれの先生方も環境整備がまず第一だということを言われております。しかしながら、いまの日本の医学教育の実情、あるいはその中において環境整備が行なわれる客観的な要素は私はないと思う。と申しますのは、戦後インターン制度ができましてから二十年の間にインターン生に対する環境整備ができておるかというと、これができていないからインターン問題というものが大きく浮かび上がってきた。実は私も昭和二十八年に一年間インターンをやり国家試験を受けたので、おそらく国会議員の中では私だけだろうと思います。ところが、インターン生と無給医局員との区別がついていない、認識ができていないというのが、実は厚生省の高官の中にもおられるのです。こういうような実態の中で環境整備をまずやらなければならない。それでなければインターンの失敗の二の舞いを研修医制度においては行なわれるのではないか、この点についてお三人の考え方をお伺いしたいのであります。特に豊川先生は、日本は制度ができてからそれから出発するのだというような先ほどのお話がございましたけれども、実際にインターン制度が発足してから二十年間、制度上に環境整備をするようなどういうような方策がなされたかという点について私は大きい疑問を持たざるを得ないので、環境整備をまずやらなければ、この研修医制度はインターンの延長になり、ひいては無給で、安い月給で医者を縛りつける制度になるのじゃないか、このように憂えるのですが、いかがでございますか。この点が第一点でございます。
第二点といたしまして、この研修医制度が行なわれたならば、医局制度、あるいはまた、医局あるいは医学界に巣くっておりますところの封建性を打破することができる、このように秋元先生はお考えになっておられるようでございますけれども、私はそれは不可能に近いのではないかと思われるのでございます。特に、この研修医制度を導入いたしました場合に、日本の最も重要である、しかも日本の医学が今日まで進歩してきました基礎になっておりますところの基礎医学に入っていく人々が少なくなってくるのではないか、この点に私は大きい不安を感ぜざるを得ないのでございます。事実、公衆衛生学会あるいは病理学会が、この制度に対して、今度の医師法の改正に対しては、学会として反対をいたしておるようでございます。この点について医育者としての豊川先生の御所見をお伺いいたしたいのでございます。特に豊川先生は基礎医学の衛生医学の泰斗であられると聞いておりますので、この点についてのお考え方をお伺いいたしたいのであります。
それからもう一つ。実はこの医師法の改正案が出ましてから、各大学の医学部の教授会が反対輝明を行なったり、反対意思表明を非常にたくさん行なっておるようでございます。私の聞き及ぶところでは十五、六校に及んでおるのでございますが、賛成しておる医学部は一体幾らあるのか、ひとつお伺いしたいのでございます。特に全国医学部長病院長会議の議長であられる豊川先生にこの点ひとつお伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/74
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075・豊川行平
○豊川参考人 第一番の御質問でございますが、インターン制度が実施されて以来、環境整備が行なわれなかった、したがって今度の制度ができた場合にも同じようなことが行なわれるであろうというお話だと思います。インターン制度の段階において環境整備が行なわれなかったということは確かでございましょう。しかしながら、だからといって、今後そのままでいいんだという姿勢でこういう問題を取り扱うべきものではないというふうに私は思います。今度こそ国会の方々も行政当局もこの環境整備に努力すべきだというふうに考えるわけです。
それから基礎医学の振興に対して今度の制度がマイナスにはならないだろうかということでございます。確かにそういう心配もあるかもわかりません。しかしながら、いま私たちが問題にしておりますのは国民医療の直接の向上を目ざしておるわけで、そういう制度と基礎医学振興というものは別途に考慮すべき筋合いのものだろうというふうに考えます。これイコール基礎医学云々というふうに結びつけるのはいささか考え方がいけないのではないか、基礎医学振興というものは別の立場で考えていくべきものだというふうに私は考えておるわけです。
それから、全国の医学部長あるいは病院長が今度の問題に対して反対をしておられるというお話でございます。ところが、医学部長病院長会議として従来何回か会合を開いております。その会合のいろいろな時点では、ほとんどの方が賛成されておったという時点もあるわけで、現時点でどういうふうになっておるかというのは、私の手元にははっきりしたデータがまだ来ておりません。ただ、途中で一度皆さんの御意見をお伺いするアンケートなるものを出したことがございますが、この時点では大体四分の三ぐらいは賛成の意を表しておられる。また、反対声明をされた中にも、法案自身の一つの方向というものには一応賛成されて、ある条件をつけておられるというような形のものであるというふうに私は理解しております。もちろん中には、先ほど例にあげられたような、初めから反対だという線もございます。しかしこれはその時点では非常に少ない数だというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/75
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076・秋元波留夫
○秋元参考人 井上さんのお話を伺いますと、これまでのインターンの歴史が証明するように、わが国では、医学教育の背景、環境ということを言われましたが、医学教育の環境の整備がほとんど絶望的であるというお話であります。おそらくいまの佐藤内閣のもとではだめだというお考えかもしれませんが、私はそういう面もあると思うのですけれども、しかし、それであればもう医師の養成なんかは日本はできないことになってしまうわけであって、インターンをそのまま残そうが、医師の臨床研修制度をつくろうがだめだという絶望的な敗北主義におちいってしまうと思います。やはり日本の現実の中から可能なものを見出していくということをわれわれはやるべきである。それには、先ほどから申しましたように、少なくともインターンではそういう可能性を持っておらぬ。それはそうでしょう、臨床研修というものは医師になってからでなければできないという本質的なものを持っている。それから身分がはっきりしないインターンに対して俸給を与えることもできない。医者になって初めて病人を責任を持って見るということだから、そういう日本の医者づくりをやっていこうじゃないか、その手始めとしてこの制度が役立つようにしようではないか、これがわれわれの意思だと思う。ただこれはだめだというふうに見ておれば、これはだめだと思います。われわれがやはりそれをつくっていくんだという決意を持ってみんなで協力してやるということ、これは特に医学関係の方にお願いしたいし、国会の、特にお医者さんであられる井上代議士にもお願いしたいのです。
それから第二点、封建性の打破というようなことを申しましたが、いまの臨床教室のあり方を見ますと、やはり学歴というものを握っておるわけですね。そういう一つの特権をもって縛っておるということがあるのです。何ゆえに無給で何年もしんぼうして、一週間のうちほとんどよそに行ってかせぎながら教室にねばり続けるかというと、学歴というものがある。だからこの臨床研修制度をやるためには、やはり学歴制度というものを改めなければだめなんだ。それから大学院制度もそういう関連があることもさっき申し上げました。これだけで封建性を打破できないけれども、いずれにしても、大学の臨床教室にわんわん集まってただ人数だけおるという状態を破るためには、やはり制度をつくらなければいけない。これは第一歩であります。そうして医者づくりが大学だけでなしにもっと広い視野において——先ほども豊川学部長は教育病院はりっぱなものでなければならぬと言われたのですけれども、私は必ずしもそうは考えない。もっと第一線の施設、農村の診療所というようなところにほんとうに挺身するという訓練のしかたもあると思う。だから、何でもかんでもりっぱな研究所、厚生省でやっておるようなりっぱな病院をつくらなければいけないということは言えない。こういう考え方で臨床研修制度を進めていきたい、こういうふうに思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/76
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077・熊谷洋
○熊谷参考人 井上先生の御質疑にお答え申し上げます。
第一点の環境整備が可能であると考えるかというはなはだ本質的にはむずかしい御質問でありますが、私は可能であると考える。可能とするべきであると考える。過去二十数年間、日本の国土になじめないインターン制というものが制定されてから、われわれの望むとおりの環境整備はできなかったけれども、別に厚生省におべっかを使うわけではありませんけれども、彼らは彼らなりに努力はしたようであります。しかしその努力はきわめて低調なものであると言わざるを得ません。
これはつけ加えますが、このようにインターン廃止の問題は、私が医師試験の委員をしておったから三十七年でございますが、問題になって、国民の関心、国会議員の先生方の関心が高まってきている。さらに自民党も、義務づけない、修練に国費を出そうというふうに、この医師研修に対する認識の度合いが非常に高まったと私は判断しております。したがって、かつてのインターンの時代の環境整備の怠慢がそのまま続くとは考えられませんが、われわれは、そのような環境整備に医師会としても影ながら努力をしたいと考えます。
それから、第二の基礎医学希望者の減少、この点は基礎医学希望者の減少を必ずしも私は心配しておりません。少なくとも、東京大学におきましては、多少の違いはございますけれども、卒業生の約一〇%程度は必ず基礎医学教室に残って勉強しております。これは日本の医学生の向上心の表現でございます。むしろ、基礎医学者の希望者の減少を憂う原因があるとすれば、それは基礎医学方面の研究所の待遇の低劣さであります。したがって、この二年の研修そのものが直ちに基礎医学の希望者を減少させると私は考えません。大学院にいく場合に、この二年の研修を大学院の入学試験の条件とするかどうかというふうな、大学院入学資格の取り扱いにかかっておることと思います。基礎医学にくるのは必ずしも医師の免許証を持っていない人もございます。そういう点で、これが基礎医学の振興に著しい障害になるとは私は考えません。プラスになるとも考えませんけれども、著しいマイナスになるとは考えておりません。(「どっちでもないということか」と呼ぶ者あり)どっちでもあります。多少ありますよ。全然影響がないとは申し上げておるわけではございませんから、その点、誤解なきように。
それから第三の、医学部長会議の中で反対意見がある、これはおそらく事実でありましょう。しかし日本医師会におきましては、医学教育委員会というものがございます。これには各地区から現医学部長あるいは現病院長、前病院長、現大学長、医科大学の教授というふうな方々、二十数名の方々によるオフィシャルな委員会でございます。もちろん豊川学部長もこの一員でございます。そこにおいて、昨年統一見解といたしまして、先ほど申し上げましたような医師法改正の基本に賛成しております。統一見解として賛成しております。したがって、その後に情勢の変化に応じてふらふらする委員が出てきたかもしれませんが、これはわれわれの関係したことではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/77
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078・井上普方
○井上(普)委員 私はいまいろいろとお伺いしましたけれども、まず第一点の、制度ができると国が責任を負うので環境整備をしなければならぬだろうというような甘い考え方では、私はだめだと思います。と申しますのは、インターン制度、これは義務制です。ところが、今度の研修生、研究医制度は、ある程度任意性を加味しています。インターン制度は義務制です。その義務制度のもとにおいても、なおかつ十分な環境整備ができなかった。しかも、先ほど来、秋元先生なりあるいは豊川先生が申されておるし、また熊谷先生も申されております給与の点でも同一でございます。すでにそういうような心配が出てきておるのです。謝礼金という形で実は出されようとしておる。しかしその間において、研修生の身分あるいは給与は何ら保障がなされていない。ここらに大きい問題があるし、将来に対しても、現在のインターンのごとく有害不必要な段階になるのではないかと私どもは心配する者です。私は、この医師法の改正でインターン制度を廃止することは、一つの大きな進歩だと思います。特に熊谷先生がおっしゃられたように、現在卒業後に優秀な頭脳を持つ者が一年間ブランクになるのです。まさにブランクでございまして、私の体験から申しますと、こういうような制度を、あと二年現状のまま、厚生省の認識のままいきますならば、おそらくやインターン制度の二の舞をして、そうして優秀な頭脳が二年間遊ぶ結果にならないとも限らないと私は憂える者です。
その次に、だからこの環境整備を、先生方はどうも希望的観測を持って唯一の足がかりのように考えられておりますけれども、国が責任を持っておるインターン制度、すなわち義務制のもとにおいてもできなかったということを、ひとつ十分御認識願いたい。また秋元先生の言われるごとく、われわれも、この問題については重大なる関心を持ち、そしてまた取り組まなければならない問題であろうと存ずるのでございます。
しかし、私がここでお伺いしておきたいのは、実はインターンの問題の小委員会、特に秋元先生が委員長をなさっておられるときに、インターンに対する三原則というのをつくられた。それは現行インターン制度はこれを廃止する。第二に、大学の医学課程を終了し、所定の試験を合格した者に医師免許を与える。この医師免許には一切の制限をつけない。第三、医師免許取得後の臨床研修は、医学教育の一環として医育機関がその責任において行なうということを、実は四十年の三月三十一日に提出せられております。こうなりますると、現在の研修制度と著しく違ってきておると私は思います。前二つの部分につきましては、この医師法の改正においては、はっきりとそのとおりになっておりますけれども、第三点において、研修医制度そのもののやり方において大きく私は変わっておると思います。特に、教育病院として指定されるべき国立病院、あるいはこういうところは医師が現在不足です。そしてまた現在の国立病院は、教育するだけの——また、秋元先生の言われるように、農村の診療所にも派遣していいじゃないかというような考え方で研修医ということが考えられるなら別の問題でございます。大学のみならず現在の教育病院の中において医師を教育しようということになりますると、私はこれは問題が違ってまいると思います。先ほど熊谷先生が仰せられましたように、専門医も必要だし一般医としても必要だという考え方にはわれわれも納得できるのでございますけれども、秋元先化に特にお伺いしますが、この三つの考え方、三原則と申しますか、これと今度の医師法との関連性についてどういうようにお考えになりますか。この点についてひとつお伺いいたしたいと思うのでございます。
さらに基礎医学にいく人は少なくなってくる。これはもう否定できない事実であると私は思うのです。秋元先生なり豊川先生は、制度上で考えるべきだ、研究医制度というのは次元が違うんだとお考えでございますけれども、臨床をやろうが基礎医学をやろうが同じなんです。卒業生は条件のいいほうへいきます。こういう点で私は、日本の医学を最もささえてきたところの、そうして黙々とその犠牲においてやってきた基礎医学の学者に対してはおのずから敬意を表する者ですが、これらの方々が、このインターン制度ができて、あるいは世の中の価値判断が違ってきたのかもしれませんけれども、終戦後、基礎医学にいくのは非常に少なくなってきている。東大あたりは一〇%とおっしゃられますけれども、まだまだ一つの教室に十年も十五年も入局しなかったというような基礎医学の教室があるやに承っております。こういうようなことを考えますと、私どもは研究室の給与の改善等々も行なわなければなりませんけれども、それと同時に、日本の医学を背負って立つこの基礎医学をもう少し充実さすような方策も、医師法の改正との関連において考えるべきじゃないか。これが抜けておると私は思うのです。その点をどういうようにすればいいか、お三人の先出方に、基礎医学の振興のための助長策といいますか、それをお伺いいたしたい。単に金をよけい出せばいいというものじゃなしに、医師法との関連においてそれをお考えを願いたい、このように思うのでございます。
最後に、豊川医学部長病院長会会長さんにお伺いするのですが、四分の三の方々が賛成した。これは私、東北の福島大学からの声明文で実は拝見いたしたのでございますが、二月のいつでございましたか、極秘の文書で豊川会長さんは出されておる。ところがそれには四段階考えておられるようであります。特にこの問題につきましては、こういうことをなされておられるので、そのアンケートをとられたことに対して、私ははなはだ不満を表明せざるを得ないのでございます。
四つに分けましてやられておったようでございますが、第三項目に、医師法の改正案が出てきたが、原案でなければ通ることがむずかしいというようなことを書かれておるのでございます。修正はほとんど不可能に近いというようなことをもって豊川さんはアンケートをとられておるようでございます。豊川さんと申しますよりは、全国医学部長病院長会の会長としてとられておるようであります。私は客観的にものごとを見るのが学者の立場であろうと思いますけれども、材料に自分の意識を加えて、修正が行なわれないであろうからという、行なわれないことが確定的なような文書を流されておる。われわれはこれをよりよくするために医師法の改正案の修正を大いに考えておるのです。その中においてああいうようなアンケーートをとることは、私は科学者としてのとるべき態度じゃない、このように思うのでございますが、あの文書をひとつお示し願いまして、私らの参考に供していただければ幸いに存ずるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/78
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079・秋元波留夫
○秋元参考人 いま井上さんから、昭和四十年の三原則が今度の法案に実現しているか、特に第三項についてはおかしいではないかというお話なんですが、ちょっと私からそのときの事情を御説明申し上げたいと思うのです。
昭和四十年に当時の全国大学病院長会議が真剣に考えましたことは、たまたまそのとき、御承知と思いますけれども、その前年からできておりましたインターン問題に関する懇談会というのが厚生大臣のもとに置かれまして、たしか熊谷君がそれの議長であったと思うのですが、その十人委員会の結論で、大学を出ましてすぐに国家試験を受けられるのだけれども、そのあとの一年間を義務づける。そしてその医師免許証には一年間の実地修練が済んだことを登録することによって初めて自由にどこでも診療できるようにするのだ。つまりいわゆる仮免制度でございます。皆さまも御記憶だと思うのですけれども、それがそもそもの医師法改正の発端なんであります。われわれはそれに絶対に反対をしたわけであります。この仮免制はどうしてもいけない。やはりそのときには、医師免許というものはもうこれで一本でやるということであるから、それこそいまの話で——それはもう医者の格差どころの騒ぎではなくて、医者に仮の医者とほんとの医師をつくるということで、これはもういまのような学部長会議の状態じゃなくて、全部一致してだれもすべて反対したわけです。そして三原則を立てた。そしてその最後に掲げましたのは、この条件つきではなくて、一本の医者になるそのあとの臨床研修を医育機関が責任を持って行なうということを言ったわけです。つまりそれは義務ではなくて自由にやる、そういう趣旨と、それから医師免許に条件をつけてはいけない、この二つをその第三項がそこで打ち立ててあったわけです。しかしいまの制度では、臨床研修をする場合が確かに広がって解釈されております。つまり大学病院以外のものでも審議会の議を経て教育病院とさせる。これは私はやはりその後の時の流れでもってそういうような拡大ができたというふうに考えておって、その三原則の第三項が歪曲されたとは思っておりません。
と申しますのは、この法案にはうたってありませんけれども、私どもはこの教育病院というものも大学病院と一緒になって、先ほど豊川学部長言われましたように、一つの教育病院群ですね、こういうものを地域的につくっていきたいというように考えております。御承知のように外国ではこれがそうなっておるのでありまして、アメリカではことに、メディカルセンターと、それから御承知のようなシティー病院であるとか、あるいはVAホスピタル、そういうようなものが一緒になって教育をしている。養成をしている。そういう姿になるべきなのが筋じゃないかと思います。
もし井上さんが、私がその責任者であるから、、ああいうことを言ったくせに今度の法案に賛成だと言っているのは食言じゃないか、不都合じゃないかというおしかりであれば、甘んじてその非難は受けます。しかし私はいまの考えは正しいと思っております。どうもこれは、大学を出てしまったものだからかってなことを言うというようにおしかりを受けるかもしれませんが、医師の養成を大学だけでやるのはどうしてもおかしい。ただし井上さんがおっしゃいましたように、いま大学以外の——私のおります国立武蔵療養所なと、とうていりっぱな教育ができる資格がありません。ですから、おそらく今度の審議会では私どものは落第すると思うのですけれども、皆さんの力で教育ができるようにしていただきたいと思います。いずれにしても、大学もほかの病院も一膳になって、農村も含めて、先ほど申しましたように、専門医の養成とかそのほかに必要な一般医の養成、そういうものをぜひ制度化してやりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/79
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080・豊川行平
○豊川参考人 基礎医学の振興についての御質問でございますが、今度の法案が基礎医学へ進む人たちのブレーキになるのではないかという御心配だと考えます。しかしながら、現在各医学校とも考えておりますのは、もっと早い時点で研究生活に入ることが必要だというふうに考えられておるのでざいます。というのは、医学がだんだん分化してまいりまして、専門分野というものは非常に狭く深くなりつつあります。そういう意味で、科目にもよると思いますが、むしろ医学校を卒業した人間でない人間を導入して研究を拡張していくというほうがより有益だというふうに考えられる部門も出てきておるのでございます。そういう意味で、医学校の内容も現在の姿を変えて、むしろある時点から、基礎医学方面に進む人間、あるいは社会医学方面に進む人間、臨床方面に進む人間というものがある程度分化していくような教育体制をやるべきじゃないかというような考え方も、すでに幾つかの大学で出されているくらいでございまして、研究に入るという意味ではもっと早い時点をわれわれは考えておるわけでございます。
それから、この法案が通ったために、二年の研修を終わってから基礎医学の方面に入ってくるというようなこともあり得るかもわかりませんが、多くの基礎医学方面へ進む人たちは、むしろいままでインターンが終わった段階で入ってきているのが多いと思いますが、それが四年の段階でも基礎医学方面に進む人間がふえてくるというふうに考えます。要は、基礎医学のそれこそ環境整備ということと待遇改善ということがむしろ根本的な問題だと考えまして、現在の法案と同時に、そういう面への努力ということをぜひ皆さまのお力で推進していただきたいというふうに考えておるわけでございます。
第二のアンケートの件でございますが、これは井上さんが私がやったのだというふうにしておられますが、実は医学部長病院長会議というものの組織は、幹事会がございまして、幹事会の中から互選されて常任幹事というものが出ております。その常任幹事のもとでこれが検討され、その当時の情勢を分析いたしまして、ああいうアンケートになったわけでございます。その情勢判断が間違っておったということであれば、それは全くそのときの常任幹事全体の考えが甘かったというふうに批判されてもやむを得ないと思いますが、その当時としては、情勢判断を加えた形でアンケートが出されたと御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/80
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081・井上普方
○井上(普)委員 私はいろいろとお話を承っておりますけれども、どうも納得できないところが多々あるのでございます。といいますのは、先ほど来、制度化すれば国が責任があるのだとかいうようなお話ではございますけれども、制度化されても現在の財政硬直化、かつまた官僚の頭の硬直化からして、なかなかこういうことはむずかしかろうと私は考えざるを得ないのであります。
私は、先生方も特に卒業後の教育について御熱心な方々でございまするので、なお一そう厚生省のしりをたたいて、われわれとともによりよい医療制度の確立にひとつ御努力を願いたいと思うのでございます。
特に豊川先生にお伺いしますが、医学部長病院長会議、ここにこれを持っておるのでございますが、そのときの二月の十日の正午までに必着するというアンケートでもって四分の三が賛成しておる、こう言われておるのでございますが、これはこの中で四つ出してこられまして、その中にマルをかけ、こういうことです。「1、医師法一部改正案の成立を期す。2、予算の裏付には不満があるが逐次増額されるものとして、法案の成立を期す。3、これから法案の手直しをして、その成立を期す。4、旧インターン制度が存続しても、法案の成立を見送るべきである。註1、2、の場合、法案の成立は可能の見込。3、の場合、法案の成立は不可能になる公算が大である。」こういうアンケートをとって、そうして四分の三の医学部長が賛成されておるというとり方を実はやられた。これで大多数の医学部が賛成しているのだということに私はならないと思います。マテリアルに明らかに人工の手を加えておる。そうしてこれでアンケートをとるというこのやり方というものは、私はどうも納得がいかないし、かつまた科学者としてとるべき態度じゃなかったのじゃないかと思いますけれども、それではその時点ではやむを得ないといたしましても、現在におきましては、私が調べたところでは、十六ないし十七の教授会が反対意向を表明せられております。かつまた、賛成しておる教授会というものは私は一つもないように私は承っておるのでございますが、この点どうなんでございますか。
そうしてまた、全国でこれほどの学生が騒ぐからといって、それを私は反対の理由にしたくはございませんけれども、いろいろとこの法案の中身には医学生が心配する要素が多分にあるということは、私は否定できない事実であろうと思います。特に、東京大学の医学部におきましては、ストライキに入り、学生全体が卒業試験をボイコットし、かつまた国家試験もボイコットしようというような態勢が組まれておるように承っておるのでございますが、豊川先生にお伺いしたいのでございますが、医育者としてのお考えとして、このストライキあるいはまた試験ボイコットに対して、いかなる責任をお考えになり、これが解消についていかに御努力なさろうとするか、その点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/81
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082・豊川行平
○豊川参考人 まず最初の点でございますが、そのアンケートを出すことは、その前に、医学部長病院長会議の総会を開催いたしまして、その席で、ある線がほぼまとまったという段階で一、二の学校から、教授会に持ち帰ってもう一度考え直してその内容を伝えたい、しかしながら、現在出たいろいろな案件についての考え方をアンケートとしてひとつ提出しろというような話があって、常任幹事会でああいうアンケートを出したというのが事実でございます。それから、その後大学の情勢でいろいろ意見が出てくるということについては、その後の情勢変化というふうに考えるべきではないだろうかと思います。
それから、現在の東京大学における学生運動の要求はもうすでに皆さまも御承知だと思いますが、第一に研修協約闘争という形のものが一つございます。それは学生諸君のつくったカリキュラム並びに人数を大学が承認しなさい、それから研修医のルームをつくりなさい、それに関して学生代表と病院長と文書の交換をしなさいという研修協約というものが第一でございます。それから、いまの登録医に対する反対声明を教授会が出せというのが第二の問題でございます。これらについて、大学といたしましては、話を進めるべき何ものもそこにはないというのが現段階でございます。したがって、東京大学としては東京大学としての方針に従ってこの問題を処理していくというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/82
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083・井上普方
○井上(普)委員 いろいろとあと申し上げたいこともございますけれども、私はこれで終わります。どうもいろいろありがとうございました。御無礼の数々お許しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/83
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084・八田貞義
○八田委員長 堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/84
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085・堀昌雄
○堀委員 時間もありませんから簡単にお伺いをいたしますが、私は昭和十六年大阪大学の医学部卒業生でありまして、十年間代議士をしておりますから、その前の十二年間は医者であったわけであります。いまでも医者でございますけれども。
そこで、最初にお伺いをしたいのは、私どもが卒業をしましたときの医学教育といいますか、戦前の医学教育——先生方もみな戦前の医学教育をお受けになったわけですが、当時はインターンという制度もなければ研修という制度もなかったわけでありまして、それで日本の医師というものは、日本国民の医療に携わるのに十分な能力があった、そうしてそれを備えるためには自発的におのおのの場所で研修をやってきた、こう思っておったわけであります。ですから、いまこの時点でインターンという制度があった後においてものを考える場合と、もちろん多少問題の角度は変わってくるかと思いますけれども、過去、明治以来何十年にわたってやってまいりました医学教育、そしてその中では、自発的な研修によって国民の医療に携わる者が自分の勉強をしてきたというそのことは、私は決して不十分ではなかった、その制度はけっこうあれで十分なものであったと、こう考えておりますが、先生方は、あれは不十分であった、現在のような強制的な研修をやらせるというほうが望ましいと、こうお考えになっておるか。お互い戦前の教育を受けた者の立場に立ち返って、一ぺん御判断をいただきたいと思います。豊川先生から順次にひとつ簡単にお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/85
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086・豊川行平
○豊川参考人 戦争前の状態と現時点とで、医学教育の内容自身がかなりの変化をしておるということもカウントに入れるべきではないかというふうに考えますし、また、いまちょっとおっしゃった強制的な云々ということは、法律にはうたっていない点でございまして、自主的に研修をやるということをうたっておる。また、その卒業後の研修に対して国が責任を持とうということは確かに一歩前進で、われわれとしては当然そうあるべきだというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/86
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087・秋元波留夫
○秋元参考人 私も堀代議士と同じように、昔はよかったという考えを禁じ得ないのです。しかし考えてみますと、当時私が入学しました北海道の内村先生の教室は、医局員が八人でございまして、ほんとうに自由に六年間勉強したのですが、もうそういう歴史を戻すことはできないと思うのです。私が東京大学におりましたときには、医局員は百四十名ぐらいで、その中には一週間に一ぺんか二へんしか勉強に来ないという諸君もおりました。ほうとうに働いてくれる人は助手の数が十二人で、それですべてをまかなう。これは先ほど申しました非常に不自然な医局のあり方でございます。ですから、このままでいいということであれば、やはり昔のような状態を再現しなければならぬと思います。一つの教室が二十名くらいで、教授からみんながほんとうに一緒にやれるという。だから、そういう状況がつくられるためには、やはりいまただむちゃくちゃにやろうたってできませんので、そういうような仕組みができるような制度を考えなければならないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/87
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088・熊谷洋
○熊谷参考人 堀先生の御質疑に対して申し上げます。
戦前は自発的研修で十分であったのに戦後はそれでは不十分であるかという御質問のように伺いますが、一昔に申し上げますと、戦前と同じ自発的研修では不十分であると私は思います。第一点は、研修すべき医学の内容が非常に進歩しております。先ほど申し上げましたように、四カ年の学部教育はこれからの出発点にすぎない。それで決して十分ではないという点でございます。第二点は、先ほども申し上げましたように、国民の医療需要が非常に高まっております。しかも量、質ともに高まっております。そうすると、それに対して国民の要望にこたえるためには、昔ながらの研修では不十分だというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/88
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089・堀昌雄
○堀委員 そうすると、昔の研修が不十分であると、昔の大学を出ていま町にいる連一中というのは、不十分な医者が一ぱいいるということになりかねないという気がするんです。なぜかというと、この人たちは、いま先生のおっしゃったような新しい医学の勉強をはたして大学かどこかでしているかというと、していないと思います。それならまず、新しい諸君に研修はどうしても必要だと先生方おっしゃるなら、現在の医師も全部どこかへ入れて二年間ぐらい研修させなかったら、私は国民の医療は問題があろうかと思うのです。ですからその点は、出てまいる者だけが何かきびしい制約に置かれて、すでに出た者はともかくほったらかしで、要するにかって気ままな、あるいはおくれた医療をしておる者もあるし、いろいろなことがあるけれども、それが放置されておるというのは、私はやや問題があろうかと思う。ですから、私はそういう意味では、もし先生のお考えのように、医学が非常に進歩してきておるから医師のレベルを上げなければならぬというなら、全部の医師を研修させる方向に考え直していかなければならぬと思うのです。そういう手だては現在は十分講じられていないという点で、この点は私、いまそういうお話がありましたけれども、ただ新しい卒業生だけがやや強制的にされるという点については多少問題がある。特にその裏は、私は今度の経過を見ておりまして、どうも厚生省が安い賃金で医師を使いたい、研修という名において、医師を安い状態で働かせたいという意図が、予算上に非常に明らかにあらわれておるわけですね。だから、私はこういうことが非常に問題なのであって、研修そのものが純粋な形であるならば、おそらく学生の諸君でも問題にしてないと思うのです、研修に反対しているわけではないのですから。ただ、安い賃金で拘束をして、そうしてまあ国立病院なら国立病院で使おうという発想について反発があるのだと思うのです。私もその点は全く同感なんであります。で、私はこの前ある大学の先生方とお会いをしたときに、もし卒業生が、ぜひ自分のところの大学へ残してくれとたくさん手をあげたら、それを大学で選択をして、これだけは大学で残してあげますよ、ここから先はよそへ行きなさい、われわれは知りませんということを一体大学の先生方としてできますかと伺ったのです。その先生は、できないとおっしゃるのですね。残りたい者は残さなければしょうがないでしょう、こういうお話だったのです。
そこで豊川先生に伺いますけれども、大学にもそれは確かに許容範囲がありましょう。ありましょうが、学生が残りたいというものにランクをつけて、お前たちは出ていけ、お前たちは残してやる、こういう区別ができるのかどうか、その点をちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/89
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090・豊川行平
○豊川参考人 これは私自身の考え方でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/90
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091・堀昌雄
○堀委員 けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/91
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092・豊川行平
○豊川参考人 私自身は、世の中というものはすべてセレクションして行なわれてくるものだ。ですから、大学に入るときには入学試験というものがございます。それによってセレクションされる。そういうことはほんとうは望ましくない。全部の人間に教育をするということがやはり望ましい姿ではございましょうが、現実にはそれが不可能な状態であれば、そこにはどうしてもセレクションということが行なわれる。大学を卒業した段階で、次の卒業後の研修というものは、学部教育とはそこで画然たる一線があると思います。その段階でまたセレクションが行なわれるということはやむを得ないことではないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/92
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093・堀昌雄
○堀委員 そのセレクションですけれども、そのセレクションというのが、大学側から見て成績のいい者だけは全部自分のところの大学へ置いておきましょう、成績の悪い者はよその国立病院に行きなさいということであれば、私はやはりこれはちょっと問題があると思うのですね。だから私は、どうもそこのところが今度の問題の非常に重要な点だと実は考えておるわけです。学生の側にすれば、たとえばそういうことが起これば、逆に場合によったら、ちょっと何かプレゼントでもして残してもらうということが起きかねないでしょう。いまの時勢のことでありますからね。場合によってはどっかの大学の先生みたいなことが起きるかもしれない。だから私どもは、そういうことにならないようなフェアな措置がされるということになるためには、やはり手をあげた者はできるだけ残しましょう。ただし、片一方、行きたいという者が行けるような条件を国立病院がつくれば、黙っていたって国立病院に行くでしょう。何も大学だけがいいというわけじゃないですからね。残念ながらまだ国立病院がレベルが低くて大学が高いから、だからみな大学に行きたいというのを、お前はだめだ、レベルの低いほうへ行けということを、私は教育者の立場の皆さんがおっしゃるわけがないのじゃないかと思うのですが、この点は熊谷先生いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/93
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094・熊谷洋
○熊谷参考人 第一点でございますが、すでにお医者さんになっている人も教育すベきじゃないか。堀先生は議員としての御活動がお忙しいので、医者としてあまり勉強してないというような御発言でございましたが、日本医師会といたしましては、指導者講習会、テレビ、短波放送、これらを通じて非常にエネルギッシュに再教育を行なっております。昨年の指導者講習会のテーマなど、堀先生御存じでございましょうか。これは世界最高の学者を動員しております。おそらく日本にノーベル賞が来るならばこの連中がもらうであろうということを、はっきりと会長も表明いたしまして、この記録は日本医師会の記録に残っております。したがいましてこの医師会で行なっている卒業後の医師教育が学部教育以上に充実しているということを、国会議員の先生方の前に公言してはばかりません。
第二点、もし希望者をすべて大学病院に残すということをそのまま続けるならば、いまの医局制度はそのまま続くのである。おそらく何年たっても、研修が済んだ後でも、外の病院にますます出ないでありましょう。われわれはこの医師法改正を契機といたしまして、いままでの、いたい人を全部収容し自分のところにより多くかかえたいというプロフェッショナルなエゴイズム、これをたたきつぶそうという考え方、そういう意味において、まことに堀先生のおことばを返すようでございますけれどもも私の考えを申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/94
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095・堀昌雄
○堀委員 いまのお話は、私ちょっと不勉強でありまして、日本医師会は努力されておるわけでございましょうが、それならば、いまの町にいらっしゃる方がそれで研修ができているならば、私が言うのは、新しい人もその中へ入って同じレベルで研修すれば、新しい者だけが余分にしなくてもいいんじゃないか。戦前の教育を受けた者といまの人たちとの間に——私は教育としてはいまのほうがさらに十分たくさん受け取っているのだろうと思うので、ちょっとその格差のところを伺ったわけであります。だから私は、それではなかなか十分ではない、まあ臨床経験のある方にやっておるからそれで有効だ、こういうお話になるだろうと思いますけれども、そこのところには少し格差があるのじゃなかろうかという感じを持っているわけであります。
時間がございませんから最後に一言だけ申し上げたいのですけれども、今度のこの問題は確かに訓示規定でありまして、研修につとめなければならぬと書いてございますけれども、しかしやはりこれは現状から見れば、やや半強制的になる要素を非常に含んでおるわけでございます。ただ、私は学生諸君に話を聞いてみましても、研修することに彼らは一つも反対してないのですよ。それを制度としてくくられることに反対をしているわけでして、結局それは、低賃金でその期間を使われるということは一人前の医者としては不当ではないかというこの考え方については、私は実は賛成なんです。逆に言うならば、君たちもその金をもらうなと私は言っているのです。今度制度があっても研修してもつまらぬ金をもらうな、そのかわり正当な報酬を要求してやりなさいと、私はこれがやはりいまの学生の気持ちじゃないかと思うのです。私がもしいまの卒業生であったら、やはり私はその運動の先頭に立ってやったろうと思うのです。それは、私は大阪大学の灰学部におりまして、三年生、四年生のときにポリクリ改善という問題で闘争した実は歴史を持っておるわけでありまして、やはり私ども、学生の身になって考えてもらいたいのですが、最近病院長になっている諸君は、私ども一緒にやった連中が今度は病院長になっているので、あのころのことを考えたら、もう少し学生の気持ちをわかってもいいのじゃないかと思うのですが、案外二十年、三十年たちますと、やはり教授の人のほうの立場が前に立って、学生のときの気持ちが幾らか薄くなっているのじゃないか、こう思うのでありますが、この問題はこれからでございますので、どうかひとつ先生方も——先生方のお話よくわかりましたけれども、私は研修に反対しているわけではございません。私個人の意見ですが、登録の制度には反対です。差別を医師の中につくる必要はありません。新たに卒業した者は登録する、こんなばかなことはない。私もやはり、最近一人前の診療はしておりませんが、医者のつもりでおりますが、差別の問題については絶対反対ですが、研修について反対しているのではありません。ただ、研修が制度化されて、医師を低賃金で国立病院で使うなんというみみっちい考えはやめて、国立病院も十分りっぱな先生がいて、その教育の場として大学にいるよりも国立病院へ行ったほうが伸び伸びしていいのではないかということになって、自発的に国立病院へみんなが行くような条件ができて初めて本物の研修ができるのではないかと考えておりますので、ひとつ先生方もその点をお含みいただいて、今後機会ある場所では、その筋道の学生の気持ちを理解して御発言がいただければ幸いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/95
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096・八田貞義
○八田委員長 河野正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/96
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097・河野正
○河野(正)委員 予定いたしました時間が参りましたので、締めくくりということでございませんが、今日の段階における締めくくりの意味で一言それぞれの参考人にお尋ねをしてお答えを願いたい、こういうように思います。
私ども特に今度の医師法改正を重要視いたしておりますのは、単に医師教育ということでなく、さらには日本の将来の医療の基本にも波及する重大な問題でございますから、そういう意味でこの問題を重要視いたしておるわけです。
そこで、多くを申し上げる時間がございませんから端的に申し上げますが、医師教育と同時に日本の医療の基本にも関係する重大な問題ですから、やはりこの医師法の改正というものは、今後日本の医師教育というものがどういう状態であるべきかという一つ医師教育のビジョン、展望というものがなければならぬと思う。これは非常に大きな問題でございますけれども、そうしませんと、私は、やはり今後の研修制度というものが、単に今日の混乱を収拾するための方便として使われるおそれがあると思うのです。ですから、この研修制度というものは、なるほど研修制度でございますけれども、それを日本の今後の医師教育の展望の中でどういう位置づけをするのか、この点はなはだ重要だと思う。医師教育の展望、ビジョンの中での研修制度というものの位置づけを考えませんと、結果的にはその場、その場限りの解決方便として処理されるという心配がございます。そういう意味で、一説にはいろいろ議論がございましたように、たとえば将来専門医制度が予想されますので、そういう専門医制度のジュニアコースが今度の研修制度だ、こういう議論もございまして、いずれにしても将来の展望という中でこれを踏まえませんと、結果的には単にその場、その場限りの解決のための方便だというふうに終わってしまうおそれがございます。これは非常に大きな問題でございますけれども、この問題を解決するためには、まず日本の医師教育の展望、日本の医師教育というものはどうあるべきかというビジョンが示され、その示された中での解決方策、こういうことに考えてまいりたい、こういうように思いますので、非常に大きな問題でございますけれども、一言、日本の医師教育のビジョンというものはどうあるべきかというような点について、それぞれ参考人からお教えをいただきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/97
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098・豊川行平
○豊川参考人 現在私たちが頭に描いておりますのは、わが日本の医師の中にはやはり専門医という制度が持ち込まれなければいけないだろうというふうに考えているわけで、そういう専門医制度に対して、これはでき上がってはおりませんけれども、そういうものの一つの段階として現在の法案の二年の研修を考えていきたい、これは私自身の気持ちでございます。将来は専門医のところまで国が責任を持つという体制が望ましいのではないか。たまたま現在は二年でございますが、これが先ほども申し上げましたように、三年なり四年なり、そして専門医教育が終わる段階まで国がその責任を負うというような体制が望ましいのではないかというように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/98
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099・秋元波留夫
○秋元参考人 私は、いま河野さんがおっしゃいました日本の医療のビジョン、結局こういうものがはっきりしてないところにいろいろな混乱があると思います。いまの、大学を出てからの医師研修をどうするかということも、そうした日本の医療のビジョンというものから導き出さなければならないのにかかわらず、それがございませんために、ただそういった一つの局部的なものにとらわれるために、医学者の間でも非常に違った意見が出てくるというふうなので、外国の人などに話をしてもおかしいようなことが起こってくると思うのであります。これはおそらく医学者あるいは医師の方々、個人個人は皆さん持っておられるかもしれませんが、それが一つの姿になってあらわれていない。これは私自身ももちろんビジョンがあるのでありますし、あるいは河町さんもお持ちでありましょう。やはりこれははっきりした形を打ち出して、わが国の医療はどうあるべきかということを国の施策としてはっきり確立する必要があるのです。そのために、やはりいままでできました審議会のようなものでなくて、総理大臣に直結するような、日本全体としての大きな規模の審議会をつくるというふなことからしなければ、ただ個人個人がかってなことを言っているようなことではどうしようもない。やはり医師というものはいろいろなカテゴリーがあるわけですが、わが国の現状からいってどのようなカテゴリーの医師が必要であるか、それはどのくらいであるべきかといったような計画、そういうことをまず検討する必要があるわけです。それから医学教育というものの具体的な構造も出てくると思うのであります。したがって、私はそうした大きな意味で日本の医療を考え、ものを考えてつくらなければならぬと思います。
それからもう一つ、日本で一番大きな欠陥は、ここに熊谷君がおられるのでありますけれども、医師会と医学会との間に断層があるということです。こういうことは日本だけだと思うのですが、つまり医学はあまりにもアカデミー過ぎる。医者との間の連携に乏しい。医学はそもそも国民の健康、医療に直結しなければならないものが、いつの間にかそういうふうに遊離してしまう。したがって、そうした医学会、あるいは医師会も含めたそういうものもはっきり考えていく。医師会が単なる自分たちの利益だけを守るような、そういうものであってはならないわけです。したがって、私は熊谷君にもそういうことを言うのでありますけれども、医師会と学会がもっとユナイトして日本の重要な医療を担当しなければいけないのじゃないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/99
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100・熊谷洋
○熊谷参考人 どうもちょっと内輪もめみたいなところを発言して困るわけですが、日本医師会は日本医学会とアマルガメートしておりまして、断層はございません。断層があるというのは彼の虚像であります。
いま河野先生から医学教育のビジョンという壮大なテーマをいただいたわけでございますが、医学教育というものは、結局国民の医療につながる。つまり医療の根本でございます。医療というものは医学の社会的適用でございます。そういたしますと、われわれ医療に携わる者のビジョンは、終局的には民族の自主と独立でございます。そのために文化の向上、生活の向上というものをわれわれは目ざすものであります。そういたしますと、皆さんも御承知のとおり、日本の経済成長、それから人口構造の変化、人口の老齢化、そうして労働人口の減少というふうな民族の興亡をかけての大きな問題がございます。こういうあらゆる変化に対応し、これに対処していく医学を打ち立てるということが日本の医師の使命でございます。このような使命の上に立って初めて壮大な医学教育の理念が浮かんでくるわけでございます。いままで明治以来のそのままの医学教育の理念あるいはカリキュラムでは、とうていこれに対処していけないとわれわれは信じておるのでございます。この点は、日本医師会におきましても「日本医師会雑誌」を通じて数回にわたって発表しておりますので、先生方もお読みいただきたいと思いますが、そういうビジョンを持ってわれわれは進んでおります。したがいまして、いま申し上げましたようなことをもって河野先生の医学教育に対するビジョンのお答えといたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/100
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101・河野正
○河野(正)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/101
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102・八田貞義
○八田委員長 これにて参考人各位に対する質疑は終了いたしました。
参考人各位には、長時間にわたり御出席いただき、まことにありがとうございました。委員会を代表し、委員長より厚く御礼を申し上げます。
次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X00219680301/102
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