1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月二十五日(木曜日)
午前九時三十四分開議
出席委員
委員長 八田 貞義君
理事 小沢 辰男君 理事 佐々木義武君
理事 田川 誠一君 理事 橋本龍太郎君
理事 藤本 孝雄君 理事 河野 正君
理事 田邊 誠君
大坪 保雄君 海部 俊樹君
齋藤 邦吉君 塩川正十郎君
塩谷 一夫君 澁谷 直藏君
田中 正巳君 竹内 黎一君
中山 マサ君 葉梨 信行君
三ツ林弥太郎君 箕輪 登君
粟山 秀君 渡辺 肇君
加藤 万吉君 後藤 俊男君
島本 虎三君 西風 勲君
平等 文成君 八木 一男君
八木 昇君 山本 政弘君
本島百合子君 和田 耕作君
伏木 和雄君 正木 良明君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 園田 直君
出席政府委員
経済企画庁水資
源局長 今泉 一郎君
厚生政務次官 谷垣 專一君
厚生大臣官房長 戸沢 政方君
厚生省環境衛生
局長 松尾 正雄君
厚生省社会局長 今村 譲君
厚生省保険局長 梅本 純正君
厚生省援護局長 実本 博次君
社会保険庁医療
保険部長 加藤 威二君
運輸政務次官 金子 岩三君
運輸省船員局長 河毛 一郎君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 辻 敬一君
運輸省自動車局
業務部長 渋谷 正敏君
労働省職業安定
局失業保険課長 増田 一郎君
自治大臣官房参
事官 皆川 迪夫君
専 門 員 安中 忠雄君
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四月二十五日
委員倉石忠雄君、世耕政隆君、増岡博之君、北
側義一君及び伏木和雄君辞任につき、その補欠
として葉梨信行君、塩谷一夫君、塩川正十郎君、
大橋敏雄君及び正木良明君が議長の指名で委員
に選任された。
同日
委員塩川正十郎君、塩谷一夫君、葉梨信行君及
び正木良明君辞任につき、その補欠として増岡
博之君、世耕政隆君、倉石忠雄君及び伏木和雄
君が議長の指名で委員に選任された。
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四月二十四日
社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案
(内閣提出第八三号)(参議院送付)
同日
ソ連長期抑留者の処遇に関する請願(内田常雄
君紹介)(第四五八四号)
老齢福祉年金の増額等に関する請願(小宮山重
四郎君外一名紹介)(第四五八五号)
医療保険制度改悪反対等に関する請願外四件(
神門至馬夫君紹介)(第四五八六号)
日雇労働者健康保険制度改善に関する請願外一
件(西風勲君紹介)(第四五八七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
清掃施設整備緊急措置法案(内閣提出第三五
号)
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第三九号)
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出第四六号)
社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案
(内閣提出第八三号)(参議院送付)
厚生関係の基本施策に関する件(生活保護に関
する問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/0
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001・八田貞義
○八田委員長 これより会議を開きます。
厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/1
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002・田邊誠
○田邊委員 時間がございませんから、問題を端的に並べまして質問いたしますので、ひとつ簡明にお答えいただきたいと思います。なお、考慮すべき点や少し答弁が長くなる点は、あとで文書などで御報告をいただくことで了承いたしますから、そういうふうにひとつお取り運びをいただきたいと思うのであります。
先週質問いたしました生活保護基準の中で、生活扶助の重要な要素を占めておる飲食費が非常に不足しておるじゃないかということで、事例をあげまして役所でも御検討いただいたわけであります。この私がお預けをいたしました表によっての検討の結果はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/2
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003・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。その後、栄養の専門家に検討してもらいました。ここに書いてあります数量とかカロリーとかたん白、これは間違いございません。それで、先週申し上げましたように、九百七十三カロリーというのは、計算上ではちょっと誤差はありますけれども、おおむね同じでございます。たん白も三十三グラム、脂肪十一グラム、大体同じでございます。ただ、ここで専門家が言いますことは、非常に食品が片寄っておる。野菜類が非常に少ない。それから魚の好きな人らしい。いろいろ魚類が出てきます。それからギョウザなんというのが数回出てきます。そういう点から見て、非常にへんぱな食事をしていらっしゃるということと、もう一つには、既成品みたいなものをしょっちゅう買っている。したがって単価が高くつく。その辺が、病気の状態にある人なのか、一体どんな状態にあるのか、できれば詳細にもっと生活全体の関係を調べてみないと、動けないからやむを得ず買ってきて間に合わせているのか、それならむしろ老人ホームあたりに入れなければいかぬのじゃないかというふうな心配もいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/3
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004・田邊誠
○田邊委員 中身に改善の必要ありと思われるのも、私はもちろんあると思うのです。しかし、買い置きをして、たとえば冷蔵庫に入れておいて、毎日それを料理して食べるというようなわけにはいかないのであります。やはり幾ら高くなっても、その日その日少量のものを買って毎日を過ごすということになろうかと私は思うのでありまして、その辺のこともやはり勘案をされなければ、常識的な判断だけではいかない点があると思うのです。しかし、私のほうでいわば一つのものを出したわけでございまするから、この種の模範的な献立表といいましょうか、そういうものも出されて、これが何か一つのワクをはめるように印象づけられることは、もちろんこれは避けなければいけませんけれども、そういったことで生活指導されることも私は必要だろうと思うのであります。何か食費の中身までケースワーカー等が立ち入ってやることをきらう向きももちろんありますけれども、やはりくふう、改善はもちろんしていただくことは必要だろう、こういうふうに私は思うのであります。しかしなおかつ、それにいたしましても、私は、一人なり二人くらいでもって暮らしておる生活保護家庭というのは栄養価値の点で不足しがちであるという点は、いなめない事実だろうと思うのでありまして、そういった点で、ひとつ今後食費の内容についてさらに前進的な検討をしていただくことを、私はこの際強く要望しておきたいと思うのであります。
生活保護の中で次は教育扶助でありますが、学童服は小中学校に入学したときに一着支給するようでありますが、その後の支給はない状態では、はたしてこれでまかない得るのかどうか。それから第二番目に、通学用品はカバン、かさ、長ぐつ、雨がっぱなどがとうてい買えない状態になっているのじゃないか。三番目に、したがって参考書等はもちろん買えない。四番目に、PTAや学級費は払えない。修学旅行や社会見学、臨海あるいは林間学校などに子供が行って払う実費が不足をする。こういうことによって、生活保護の家庭の子供は学校へ行くことを非常にきらうというような傾向があることを私どもは聞いておるわけでありまして、これらの点に対して、ひとつぜひ今後とも考慮してもらわなければならぬじゃないかと思いますが、この点をお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/4
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005・今村譲
○今村政府委員 いま御指摘の諸点でありますが、第一点の問題は、普通の一般の生活保護以外の家庭、これにつきましても、エンゲル係数の逆数ですから、普通ならば学童服も一応月々入っておりますが、そのほかに臨時に金が要るということで、小学校一年、それから中学校というときに学童服を支給するという制度にしております。基本的には入っておるわけでありますけれども、非常に低いものですから、これについてもなるべく金額をふやすということにいたしていきたいと思います。
それから、教科書は全部無償ということでありますが、中学校以上でありますが、学用品その他の実験、実習、遠足、それから通学用品、全部ひっくるめまして、たとえば中学校三年でいきますと、四十二年度が九百十五円、それを九百九十円というので、これは一八・八%ほど上げております。これは、小中学校全部ひっくるめまして、小学校が一五・二%、中学校が一八・八%というふうに上げておりますので、中学校一年が九百四十円ぐらい、小学校の一年で月々三百二十五円ぐらい。そのほかに交通費あるいは学校給食費、これは七、八百円になっております。そういうのは実費支給ということでいろいろ努力はいたしております。御指摘のように、まだこれでは足りないではないかということがございますので、今後とも教育扶助の引き上げということには努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/5
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006・田邊誠
○田邊委員 次に、住宅扶助でありまするけれども、家賃が今度改正をされて、世帯の人数によらないで二千八百円以内、こういうかっこうに等級別になったわけでありますが、これは私がいろいろと聞きますると、公営住宅法による第二種住宅の家賃も、これよりもかなり高くなっておるものが最近多いのであります。これは、そういった点になりますると、地方の市等でもってつくられる厚生住宅等に現実に入れない。もちろんこれよりも低い公営住宅はありまするけれども、そういういわば公営住宅にも入れないような状態というものを、われわれは容認するわけにはいかない。まして民間のいわば借家の場合には、かなり高い家賃を払わなければならない。あるいは敷金などもかなり高い場合がある。こういった場合には当然入れない、こういう形になっておるわけであります。
なお、家屋の補修費等も、最高年間二万円以内だろうと思うのでありまするけれども、この程度の補修費ではとうてい老朽した家屋を補修するわけにはいかない、こういう状態だろうと思うのです。
それからもう一つ、いまだに正常な家屋でない、たとえば橋の下を仕切って家にしているとか、あるいは古いバス、電車などを買って、そこを家にする、こういうのは、何か聞くところによりますと、住宅扶助を認めないという話を聞くわけでありますけれども、これは私はどうもやはり納得をしがたいと思うのでありまするが、これらに対する措置をどういうふうにしているか、ひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/6
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007・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。第一点の住宅扶助の基準そのものが低いというのは、実は住宅扶助は非常に千差万別でありますので、住宅扶助は三段がまえにしております。一段目は一般の福祉事務所で簡単に認めるというものが二千円から本年度は二千八百円にきめました。第二点は、その地域地域における第二種公営住宅の家賃の最高額というところまで認める。それから、第三点は、特別の場合、その一・三倍ということにして、たとえば東京都で言いますと、非常に特殊な場合には七千九百三十円まで認める。これは特異な例でありますけれども、特別承認ということでやっております。
それから、家屋補修費、これは年々少しずつ上げてもらっておりますけれども、まだ二万円やそこらでは足りぬという問題がございますので、今後とも努力したいと思います。
第三点は、川原や何かに掘っ立て小屋を適当につくっておるという事例。本来言いますならば、これは第二種公営住宅なんかに入りなさいということで、ケースワーカーがいろいろあっせんしたりいたします。ただ、現実に一銭も払ってない掘っ立て小屋というようなかっこうの場合に、住宅扶助を出すというよりも、住宅そのものを見つけてあげる、それで保護費を払うというのが本筋ではないかということで、そっちのほうで指導いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/7
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008・田邊誠
○田邊委員 その指導が、やはり何と言っても適切で、しかも実現性のあるような形で指導していただかなければならないと思うのでありまして、ぜひそういった面をお願いしたいと思うのであります。
次は医療扶助でありまするが、これはなかなか中身によっていろいろとありまするから、私は一がいには言い切れないのですが、どうも軽い病気、かぜ等の場合に医療券を出さない、こういうことがよく言われるのであります。それから三カ月以内の在宅患者には医療加算がつかない。これはそうでございますね。しかし実際には、病院に入院をしなくても、かなりそういった面で在宅で長期の療養が必要である、こういう場合もあるわけでありまするが、それを初期の場合に医療加算をしてあげて早くなおしてもらうということのほうが必要ではないか。三カ月以上でなければ出さないという形の、そういう形式的なものでないことのほうが望ましいのではないか、こういうように思っておるわけであります。
それから、よくいわれるのでありまするが、療養専念指示ということを出しますね。これがどうも福祉事務所のいわゆる末端でもって、何か自己判断でもってやりがちである。医者や本人と打ち合わせをしてない、こういう話を聞くのであります。これは厳密に言いますると、医師法、医療法に抵触するという形になるわけでありまするが、この辺はひとつぜひ緊密な連絡を本人なり医師とやられて病状判断等をされることがやはり望ましい、こういうように思うのでありまして、福祉事務所の職員だけがこの病状判断をするというようなことはあってはならない、私はこういうように思うのでありまするが、現状を把握していただいておりますならば、ひとつ御報告をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/8
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009・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。第一点の、医療券を出す場合に相当時間がかかるじゃないかというふうな問題がございますが、これはなるべく早く、二日、三日あるいは長くても一週間くらいのところで勝負をするというようなかっこうで第一線を指導しております。ただ問題は、医療扶助の緊急の場合には、即刻病院に行かして手続はあとでするということにいたしておりますが、医療扶助と生活扶助をもらっておる併給の場合には、これはすぐできますけれども、単給の場合には、その人の病状がどのくらいかかるのか、あるいは自分の収入との関連で、扶助にかけるのか、かけないのか、若干いろいろ調査その他でかかりますので、これはなるべく早く済ませるというかっこうに努力しております。
それから、医療専念の指示の問題でありますが、これは担当の主治医と福祉事務所とが十分に相談して、本人の病状その他を見きわめた上でということで指導いたしておりますけれども、なかなか手が回らないで、そこの詰めが十分にいかないという場合もございますので、これは注意いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/9
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010・田邊誠
○田邊委員 出産扶助でありまするが、これは厚生大臣から保険の適用を与えてはどうかという御発言もあったわけでありまするけれども、実際には生活保護の場合は、入院をして十分に手当てをするというわけにいかないのが実情なわけであります。これもひどいところでは入院を三日くらいでもって、あとは退院していなさい、こういうようなぐあいになる。これは、ことばのやりとりはわかりませんから、一律一体には言えませんけれども、そういうことが言われるのであります。私は、その後における健康の回復のことを考えまするならば、この出産はかなりやはりめんどうを見てもらう、こういう考え方に立たないと、そのあとで余病発生によって、逆にいわば医療扶助等にかけなければならない、こういう形になるわけでありますが、どうでしょう、大臣これはひとつお聞きをいただきまして、その保険の適用にからんで、この際ひとつ十分な手だてを困っている人たちに対しても与える、こういう方向をお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/10
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011・園田直
○園田国務大臣 いままでは出産は病気じゃないということでしたが、実際は病気以上に大事なものであって、しかも全部がやる。それからもう一つは、やはり国家の未来を考えましても、子供というものが非常に大事でございますから、分べんと、それから分べんの産前産後の問題については、すでに事務当局で保険に入れるように検討しておりますが、いま御指摘のとおりに、病院に入院する人、入院の日数が少ない人、あるいは全然入院しないで助産婦でやっている人等の差がありますから、これをどういうふうに見るか、保険と母子福祉と両方つないで、ただいまでもこのワクの中には入っておるようでございますが、さらに御意見のとおりにこれを十分研究して早急に実施したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/11
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012・田邊誠
○田邊委員 ひとつ大臣の前向きの御答弁がぜひ実施に移るようにお願いしたいと思います。
次に葬祭扶助でございますけれども、これは私も、実は実際に老人がなくなっていくのをかなり経験をしておりますので、よく存じているのですが、いまの葬祭扶助では、これは率直に足らぬ。いわば仏式にしても、あるいは神式にしても、あるいはキリスト教式にしても、僧侶や神主、牧師等を呼んで葬式を出すことができない、こういう状態であります。ましていわんやその後の法事等はとうていできない、こういうことであります。
ここに「生活保護世帯における葬儀のとり扱いについて」という東京都葛飾区高砂八丁目三十六番三号、真宗大谷派乗願寺住職、鈴木徹衆というお坊さんの意見がございます。「当区においても生活保護世帯は多く、かかる家庭で不幸が生じた場合、宗教的に死者をとむらうこともできず、私共は、仏教徒として見るにみかねて、読経、回向をしてあげております。死者をとむらうこともできない非人間的条件におかれ、ミカン箱に白布をかぶせた程度の飾りに、簡素に焼骨されている有様は、犬や猫の死骸を処理するに等しい状況であるといっても過言ではありません。〈宗教的行為が許されない葬儀〉は、あまりに非人道的処遇であり、遺族の心情も無惨極まりないものであります。このような状況に対して、もう少し人間らしい葬儀ができるよう関係当局のおとりはからいを切望してやみません。」、こういう意見をお坊さんが述べておるわけでありますが、この御意見によるまでもなく、現在の葬祭扶助では、私ども施設のことをある程度知っている者にいたしましても、何としてもこれは足らぬのでありまして、他の、いわば金を出し合って葬式を出すなり、あるいは、そのなくなられた人の残しておったものを処理をいたしまして、そのお金でもって葬式をやるなり、そういうことが必要であるという状態でありまして、もちろん生きている間のいろいろの扶助の面、これが第一義的ではございましょうけれども、しかし、たとえば施設にいたしましても、葬式をある程度してあげるということが、そこに一緒に住んでおる老人たちの今後について非常に勇気を与えるといいましょうか、元気を盛り返す一つの精神的なあれにはなるわけです。なくなっても葬式も出してもらえないというようなことをまのあたりに見るということは、やはり年寄りにとっては非常な苦痛なわけなんであります。ですから、そういった意味合いで、直接的ではないかもしれないけれども、いわばこの種の手だてが精神的な一つの活力にもなる、こういう点から、この葬祭扶助についても私はさらに一考をわずらわさなければならない、こういうように思っておるわけでございまして、ひとつ御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/12
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013・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。いまおっしゃいましたように、一番最後の関係のものですから、私どもとしても、四十一年度に五千六百円を八千円というふうに上げることは上げたのでありますけれども、実際の慣習から見ればまだ不十分であるというふうに思います。したがって、これに対する特別基準みたいなもので、千円とかある程度の改善をいたしておりますが、これは施設あるいは居宅を含めて今後とも改善していきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/13
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014・田邊誠
○田邊委員 最後の扶助として生業扶助がございますが、これは実は私どもいろいろと厚生省と論議をいたしたいところなのです。しかしきょうは時間がございませんから抜きにいたしますけれども、生業扶助の基本的な態度は、この前私が申し上げましたとおり、これはあくまでも保護を打ち切るという前提ですべきではなくて、生業扶助をいたしまして、その結果として生活保護から抜け出す状態になれば、これが一番いいのでありまして、生業扶助を出すからそれによって保護を打ち切るのだ、こういうような態度というものはあくまでもとるべきではない、こういうように私は思っているわけでございます。大体三カ月で正常な状態にいかせる、いかせよう、こういう形でございますが、なかなかいまの状態では三カ月でもって正常な事業ができるとは考えられないわけであります。あるいはまた、その間における技能修得費の一万五千円では通常の場合における月謝等も十分払うことができません。こういう形でありますから、これはもちろん指導のいかんにもかかっておるわけでございますから、私はやはりそのケース、ケースによりまして、本来の目的が達成できる、そのような指導をぜひお願いいたしておきます。これに対する御意見は抜きにいたします。
以上申し上げたような各種の扶助をいわば適用する場合の問題が私はあると思うのであります。そこで、現在勤労控除をいたしておりますが、基礎控除三千円前後で、四級地の一の職種が二千四百二十円、一級地の三の職種が四千六百六十五円、こういう形でございますが、こういっただけでは非常に不足だろうと私は思うのであります。いまの状態では、勤労するための通勤の被服、くつ等なかなか買えないのであります。しかも、三千円前後を除いて収入と認定する、こういうことでありますけれども、これは自立助長を封鎖するような形に逆になるのではないかと心配いたすわけであります。皆さんの意図と違った結果が出ることを私は非常におそれるわけであります。
そこで、いわゆる働きをいたしますと、賞与、期末一時金等は勤労控除として差し引かれる、あるいは賞与は全額収入と認定する、こういうことになっております。これは勤労意欲をわき立たせる面からいって、そういった一時金の収入というのは、これをすぐ収入認定に見たり控除の面で見るというような形にしないで、一時金は、やはりその後の勤労意欲をわき立たせるという、こういう意味合いに活用したらどうか、こう思いますが、その点に対する考え方を承りたいと思います。
第二番目は、生活保護になる前の借金を一体どういうふうに見るか。それから、いろいろな面で物品や金銭を寄付されたりもらったりする場合におけるものを一体どう見るか。
第三番目には、地方自治体の中には年々特別に一時金等を支給いたしておりますけれども、そういったものを収入認定とするのは、私はやはり地方自治体がせっかく親心を持ってそれに当たろうとする立場をそこねるのではないか、こういうふうに思うわけでありまするが、この点に対してはどう考えるか。
それから第四番目には、交通事故や強制立ちのき、風水害による補償、保険金等、一定額は控除いたしまするけれども、それ以外は収入認定をする、こういうことは一体どういうことか。
それから五番目には、公的年金に対しては控除はございません。しかも年金支給の期間は受給を停止いたします。これは、いわば生活水準をあくまでも生活保護基準のワク内にとどめようという、こういう結果になるのではないかと思いまして、この点はどうも私は、いままで私が主張しておるような観点でがえんずるわけにいかない、こういうふうに思っておるわけでありまするが、これらに対する今後の改善の方向をひとつ私はお願いしなければならぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。
それから最後に、扶養義務でありまするけれども、三親等以内の扶養はある程度強制されるようなかっこうでありまするけれども、例の朝日茂さんのおにいさんのように、いわば三十年も弟さんとの音信のなかった者にもこの義務が押しつけられる。こういうのは私は実情に合わないじゃないかと思っておるわけでありまするが、こられに対する考え方をひとつ承りたいと思っておるわけであります。答弁をいただきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/14
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015・今村譲
○今村政府委員 これは要点だけ申し上げます。
第一点の勤労控除、たとえば一、二級地で最高七千円というふうなかっこうにして、これは逐次毎年十数%上げてきたわけで、今後もいたしたいと思っております。
それから、地方自治体のたとえば一時金で敬老金をもらったりとかいうふうな者につきましては、それが生活に充てるものじゃなしにお祝い金というふうなかっこうで、これは別個に収入認定に考えない、こういうふうな取り扱いを二年ほど前からやっております。
それから、交通事故や何かのいわゆる保険金——一般の災害も同じでありますけれども、保険金、補助金、これは大臣からも御指示がございまして、本年度からそれは自立更生に充てるということになって、生活費に充てるものじゃないんだということの計画がありますならば、三十万円くらいまでは、それはなかったものとするということにいたしております。
それから、扶養義務者の問題でありますが、これは理論的にはやはり扶養の義務は三親等はございます。ございますけれども、現実から見ますならば、非常に困難であるというので、個々のケース・バイ・ケースということでやって、それをどこまでも求めるという態度には出ないという状況でございます。ただ、相当余裕があって当然と思われるような人は、やはり持ってもらわなければ困るということでございます。それから、普通の部外からもらった金品、これも非常に大きなものであれば別として、社会通念上、それはその人に対する慈恵、慈善とかいうもので出たというものに対しては、それは考えないということにいたしております。
それから、特別控除の問題でありますが、要するに期末、盆暮れ、こういうふうな問題でありますけれども、これは一、二級地あたりでは二万一千八百円というふうなものを盆暮れに分けて、その部分だけは別にする。特殊事情のある者についてはその一・三倍、約二万八千三百円というものまでは、盆暮れにもらっても基礎は全然別の計算にするということにしております。こういう一連の問題につきましては、毎年逐次改善をいたしておりますので、御了承いただきたいと思います。
もう一つ、公的年金につきましては、法の第四条にありますように、たとえば恩給とかなんとかというふうなものとしてきたもの、それは別として生活費を公費で出すということにはまいりませんので、やはり自分の資力、能力、あらゆるものを自分の生活に投入して、それで足らぬところを国家が保障するというしかけでございますので、当然生活費としての観念で、月々もらえるというふうなものについては、これは目をつぶれと言われてもたてまえ上困難な問題があるということでございます。この辺ひとつ御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/15
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016・田邊誠
○田邊委員 保護を適用される前の借金は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/16
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017・今村譲
○今村政府委員 実は、福岡とかあっちこっちで問題になっておりますけれども、借金をしょったままで生活保護に落ち込んでくるという人が事実上相当ございますけれども、これは、借金を全部公費でしょうというかっこうにはなかなかまいりません。それは実際問題としてはケースワーカーが、その個々の処理についてたな上げにするとか、あるいはその状況によっては、世帯更生資金なんかで生業をやっていって、それを逐次返していくというようなかっこうをとらせていくということで、借金そのものを公費でしりぬぐうというかっこうでは現在まいっておりません。この点は、非常につらいところでございますが、現実にそういうものをしょってすぽっと生活保護に入っていくという人がございますが、これは福祉事務所のケースワーカーが一番頭を使っておるところでございまして、その点、個々にたな上げにしておくというようなかっこうで改善を期するという方向でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/17
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018・田邊誠
○田邊委員 大臣、私は、こまかい事務的なものをいろいろ含めて、現在の生活保護の実態把握につとめてまいったのでありますが、なかなか問題が多いのであります。ややもすれば、生活保護なり、それを一つの基準とする生活保護基準等は、非常にマンネリにおちいりがちなんであります。これがやはりほかの生活保障や社会保障の一つの大きな柱であることは、これはもう過去、将来を通じて間違いない事実でありまして、この改善はやはりわが国に課せられた非常に大きな責任であろうと思うのです。第一線の福祉事務所の職員等は、非常によくその点を認識をして働いておると私は思いますけれども、何といっても相手が非常に生活に困窮しておる人たちである。したがって、通例の常識だけで、通例のお役所的な判断だけでは、やはり不足をする面があろうと私は思うのでございまして、そういった点で、ひとつ園田さんが大臣のこの時期に、やはり第一線まで含めた深い手だてというものが講じられて、法の精神が具体的に生き、いろいろな予算その他の施策というものが実際に末端でもって生き生きとして活用される、こういう状態をぜひつくり上げていただきたい。いま、ややもすれば、お役所的ないわゆる締めつけじゃないか、こういうふうに言われる行政というものは、私は、あくまでも排除しなければならない、こういうふうに思っておるわけでございますので、ひとつ大臣もこの点に対してさらに御検討をいただきまして、今後施策の改善につとめていただきたい、このように思っておるわけでございますが、一言所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/18
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019・園田直
○園田国務大臣 御説は非常にありがたく拝聴いたしました。ただいま質疑応答の中にありましたように、逐次改善をいたしてまいっておりますが、まず制度の改善と内容の充実のほかに、制度の中における行政運営の面についても、御指摘のとおりに留意をすれば、その気持ちが困窮者に通ずるということが非常に多い。しかも金銭はたいした金銭じゃなくて政府の気持ちが通ずる、あるいはまた困窮者の方が自分で立ち上がろうという気持ちが起きる、こういう点も十分配慮しながら、御指摘のとおりに必ずやってまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/19
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020・田邊誠
○田邊委員 質問を終わります。
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021・八田貞義
○八田委員長 次に、内閣提出の清掃施設整備緊急措置法案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。山本政弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/21
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022・山本政弘
○山本(政)委員 それでは、前回に引き続いて御質問をいたしたいと思います。
ちょっとお伺いしたいのですけれども、これは厚生省からいただいた資料の中で「し尿処理の現状」、その昭和四十一年の特別清掃地域人口、これが六千七百八十五万ですね。そして「ごみ処理の現状」も六千七百八十五万、こうなっております。そこでその四番目の「環境衛生施設の整備状況と昭和四十三年度計画」の中の、四十一年度の特別清掃地域人口というのは六千八百四十三万になっております。そうすると、ここに五十八万人差異が出てくるのです。もう四十二年は確定しているはずだと思うのですけれども、「ごみ処理の現状」と「し尿処理の現状」の四十一年度の人口と、それから「環境衛生施設の整備状況」におけるし尿処理施設の最近五カ年間における整備状況の人員が、何で五十八万違っているのか、この辺の御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/22
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023・松尾正雄
○松尾政府委員 資料に明確なただし書きをつけたりいたしませんで、御迷惑をかけたことをおわびいたしたいと思います。
四十一年の五年間の計画のほうは、統計上年度中央の人口という形をとっております。五カ年計画のほうの資料では年度末という形で押えてスタートいたしましたために、多少そこに食い違いがございます。当然資料の中に備考か何かで明確にいたすべきものだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/23
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024・山本政弘
○山本(政)委員 ことしは四十三年度の審議ですよ。そして四十二年度はもう明確な数字が出ていると思うのです。そしてこの五十八万という数字は、たとえば東京でいえば杉並区より大きい人口だし、足立区より大きい人口です。そういうものがすぽっと落とされて資料としてそろえられてみますと、私どもちょっと、これをはっきりとここへ書いておらないと、実はどうなっておるのか、パーセンテージもこの意味でいえばおかしくなってくるのではないか、こういう気がするわけです。この辺はひとつぜひきちんとした資料を出していただきたい、こう思うのです。
それから、これもちょっと確認をしておきたいのですけれども、「清掃施設整備五カ年計画案」、そうして「し尿処理施設整備五箇年計画」は、表として昭和四十二年−四十六年と出ておりますね。そこにし尿処理施設として昭和四十二年八十一万人と、こうなっておりますこの八十一万人に対して、お伺いしたいのは、昭和四十三年度の予算としてここに内示額というのがありますけれども、二億五千六百万円、これが計上されておるのか。あるいは、そのほかに特別地方債というのがありまして、四億円計上されておりますね。この二つが合わさっているのか。あるいは国庫補助金だけなのか。この点をお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/24
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025・松尾正雄
○松尾政府委員 二億五千万円は国庫補助でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/25
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026・山本政弘
○山本(政)委員 お伺いしたいのは、この八十一万人という要するに計画対象人口に対する予算が、二億五千六百万円という国庫補助金だけなのか、あるいは特別地方債を入れた、これは四億円ですけれども、これと合わした六億五千六百万円がいま申し上げた八十一万人に対する予算なのか、この辺なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/26
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027・松尾正雄
○松尾政府委員 四十三年度におきましては、地域し尿処理計画十二万人という計画でございまして、それに対して二億五千六百万円の国庫補助、それから四億が特別地方債、こういうことになっておるわけでございます。五年間全体といたしましての計画では、二百万人を地域し尿処理については二百四十億という計画でやりたい。その一部がいま申し上げた数字になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/27
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028・山本政弘
○山本(政)委員 たいへん申しわけないのですけれども、いま十二万とおっしゃいましたね。それではこの四十二年——これは四十一年ではなくて、四十二年ですよ。これは間違いだと思うのです。私のほうでいただいたのは、この八十一万というのは計画の対象の人口でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/28
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029・松尾正雄
○松尾政府委員 四十一年度末までにすでに設置されておる対象人口、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/29
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030・山本政弘
○山本政委員 ここに十二万五千人となっていますね。いま十二万人とおっしゃたけれども、これはどうなんです。あなたのおっしゃた十二万人との間には五千人誤差があるけれども、この辺の説明をお伺いしたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/30
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031・松尾正雄
○松尾政府委員 正確には、十二万五千人が正しい数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/31
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032・山本政弘
○山本(政)委員 十二万五千人が正しいのですね。それでは私、注文申し上げますけれども、こまかい注文ですけれども、昭和四十二年から四十六年の計画の中には、施設の八十一万というのを入れるべきじゃないと思うのですよ。そうしないと、四十二年度に八十一万人が計画対象人口としてやられるのかどうか、こういうことになっちゃうのですよ。私がお伺いしたときには、たしか八十一万というのが計画対象人口だというふうにお伺いした。これは私の聞き違いかもわかりませんけれども、そういう誤解が生ずると思うのです。これはやはり資料としてはきちんとして、計画対象人口は、あなたのおっしゃるように、十二万五千なら十二万五千として、はっきりした数字で押えるべきですよ。こんなことをやりますと、これは誇大広告と同じですよ。その点について一体どうお考えなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/32
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033・松尾正雄
○松尾政府委員 五年計画の量をお示しいたしますために、四十一年度末までの現在の実施状況というものをまず書きまして、それにさらに追加すべきものをどれくらいの事業量として示して、でき上がりがその段階で全体でどれくらいカバーされるか、こういう手法でもって資料を作成いたしましたために、途中であるいは混乱があったかと存じますけれども、もしあれでございましたならば、もっとわかりやすい資料を作成いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/33
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034・山本政弘
○山本(政)委員 五カ年計画の予算が千三百三十億、そして内訳が、し尿六百四十億、ごみが六百九十億ですね。そしてそのうちの補助金として——これは私は五カ年計画の中だから流動性があると思いますよ。この法案がかりにきまったら、五カ年計画の中で操作をされると思うんだけれども、しかしそれにしても、自治省の推定が百八十億、厚生省の推定が約二百七十八億。そうすると、ここに九十八億の両省の間における推定の違いがあるわけです。九十八億というと約百億近い金です。しかもこれは四十三年度の初年度のごみの処理施設の九十二億円より多いわけです。九十二億円というのは、これは私は四十三年度一年分のたぶん特別地方債の計画だと思うのです。それよりかはるかに大きい金額という誤差が自治省と厚生省の間であるということは、私はたいへん解せない話だと思うのです。この点について厚生省と自治省の御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/34
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035・松尾正雄
○松尾政府委員 先生御指摘のように、五カ年計画の総事業量は決定をしたいと思うわけでございますけれども、その中で国庫補助の額といいますものは、御指摘のとおり本来年々の予算の中できまってまいりますので、そういう意味における五年間の国庫補助の総額をただいま確定をして申し上げることはできないのでございます。私どもといたしましては、その数字は単なる一つの試算といたしまして、これぐらいはいろいろ努力目標としてしたいと、こういうことであるいは課長たちの試算したものがお耳に入ったかと存じます。私どもといたしましては、やはり地方負担というものをできるだけ減らしましてこの施設を整備していくという意味におきましては、やはりこれから年々におきまして、国庫補助の増額ということには大きな努力を払わなければならない、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/35
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036・山本政弘
○山本(政)委員 いま国庫補助の話が出ましたけれども、国庫補助は、昭和四十三年度のこの予算の案では二十九億七千八百万。二十九億七千八百万というのは、これは先ほど申し上げましたように、両省の違いが九十八億とすれば、二十九億七千八百万というのは大体三倍強になるわけですね。一年の補助金の三倍強というのが両省の間で違う。確かにそれは弾力性があるし、この法案が成立した暁に五カ年計画の中で消化されるということで、推定ではあるかもしれない。しかし私は両省の間ではそんなひどい差の額が出ようはずがないと思うのです。国庫補助金の三倍強の差が出てきている。そして、四十三年度の特別地方債によるごみ処理施設の九十二億という額よりか、まだ大きい誤差が両省の間であるということは、私は理解できないのです。その点一体両省はどういうお考えになっているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/36
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037・皆川迪夫
○皆川説明員 清掃施設整備事業の五カ年計画における国庫補助金の金額につきましては、先ほど厚生省のほうからも御答弁がありましたように、実はきまっていないわけでございます。そこで自治省としては、きまっていないのだということを前提にしながら、ただ四十三年度における地方負担と国庫負担の割合で計算をすればこのようになります、国庫補助金は非常に少なくなります、こういうことでは実は困るのでございます、こういう趣旨で申し上げているわけでございます。したがって、この五カ年計画を通じて、国庫負担金の総体の金額において、厚生省との間に見方の違いがあるということはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/37
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038・山本政弘
○山本(政)委員 自治省にお伺いしたいのですけれども、見方に違いがないかもしれません。見方に違いがないかもわからぬけれども、少なくとも五カ年計画に対して補助金の——これはことばとしては適当かどうかわかりませんが、つまり九十八億の差があるわけでしょう。そうすると、それだけの差があるということは、ことばをかえて言えば、四十三年度の特別地方債は、場合によっては不可能になるということを意味するのですよ。つまり自治省どおりに考えれば、厚生省の五カ年計画というものは、少なくとも特別地方債についてはできなくなるということになるわけです。そういう計画というものはできないということになるでしょう。
だから自治省のほうにお伺いしたいのは、差があるけれども、二百七十八億という厚生省の五カ年計画が妥当だとするならば、自治省は一体こう少なくなりますよということではなしに、ではどのようにいたしましょうという考えが当然出ていいと私は思うのです。そうでしょう。三割自治とかなんとかいって、いま中央集権とかなんとかいわれている。しかも、道路とか住宅はできるけれども、一番衛生に関連のあるこれはほとんど市町村に野放しですよ、私に言わせれば。そういう態度を自治省おとりになっていいのか、九十八億円少ないのはただ推定上の誤りである——いや誤りとは申しません。推定上の問題だから、こういうことでは私は話は済まされないと思う。自治省としては、厚生省の金額というものに対して、五カ年計画を遂行するためには、あなた方は厚生省の考えにひとつ基づいて、自治省も万般の努力をいたしましょうというのが、私は自治省の本来のあり方だと思うのです。そうじゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/38
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039・皆川迪夫
○皆川説明員 結論においては同じ考えだろうと思います。私のほうでも、五カ年計画を策定するにあたりましては、この計画を遂行するためには国庫補助金はもっとふやしてもらわなければむずかしいという観点から、厚生省のほうに対して国庫補助金の増額方について御努力を願いたいという要望を申し上げております。ただいま申し上げておりますのは、全体計画の中で、現在の率ではじくと、わずか百八十億しかならない。あとは千百五十億の地方負担になってしまう。このような形では遂行がむずかしいから、もっと努力をしてとるようにしてもらいたい、こういう趣旨でありまして、厚生省の数字に私たちもできるだけそういう形になってほしい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/39
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040・山本政弘
○山本(政)委員 私はお伺いしたいのは、厚生省に努力をしてほしいというのではなしに、私はあなたにお願いしたいのですよ。自治省のほうも、つまり百八十億という金額しか推定としては出てこないけれども、しかし厚生省の二百七十八億というものに妥当性があるならば、それに自治省もそういう補助金については出すように努力をいたしましょうというのが、私は自治省としての当然お答えをしていただく御答弁だと思うんですよ。それを私はお伺いしたいのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/40
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041・皆川迪夫
○皆川説明員 責任官庁ではございませんけれども、私たちも側面的にそういう形になりますように努力を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/41
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042・山本政弘
○山本(政)委員 清掃法の促進五カ年計画というのはたいへんけっこうなことなんですけれども、それにあるいは水をさすような質問になるかもしれません。しかし清掃法のこれは法文の欠陥ではないかと思いますので、お伺いいたしたいと思うのです。
清掃法の二条に、これは国及び地方団体の責務について規定をしております。そしてそこに、職員の資質の向上、施設の整備、作業方法の改善、技術的、財政的援助につとめることを義務づけている。そして十九条には「国は、市町村に対し、屎尿処理施設、ごみ処理施設その他の清掃施設の設置に必要な資金の融通又はそのあっ旋につとめなければならない。」と、こうあります。そこでお尋ねをいたしたいのですけれども、清掃法十八条、「国は、政令の定めるところにより、市町村に対し、左に掲げる費用の一部を補助することができる。一 ごみ又はふん尿を処理するために必要な施設の設置に要する費用 二 災害その他の事由により特に必要となった清掃を行なうために要する費用」こうなっております。そして清掃法施行令では第六条に「法第十八条第一号の規定による国庫の補助は、市町村がし尿消化そうの設置に支出した費用のうち、厚生大臣が定める基準に基いて算定した額の三分の一以内について行うものとする。」、そうすると、清掃法の十八条には「ごみ又はふん尿を処理するために」云々とあるんだけれども、清掃法の施行令には、ごみまたはふん尿は法規的に入ってないのですね。これを厳格に解していけば、それこそ国庫補助の問題については、本来ならば、清掃法の施行令、つまり政令に基づいて、支出ができなくなるはずなんです。これについての御答弁をひとつお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/42
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043・松尾正雄
○松尾政府委員 御指摘のように十八条に、ごみとふん尿処理施設につきましても、その国庫補助ができるように規定されておりまして、政令では六条で、し尿消化槽の設置に要する費用ということに限定されております。これはもちろんし尿消化槽でございますから、ふん尿の処理というものがこれに当たっているわけでございます。ここで、ごみ処理施設に対するものが欠けているというところは、御指摘のとおりでございます。私どもも、やはり本来ならばごみにつきましても、きちんとした形でこういうふうな補助を出すべきであるということを年来考えておったわけでございますけれども、三十七年以来こういう形になったままでまだ改正できないということが一つの隘路になっておりますことは、率直に認めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/43
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044・山本政弘
○山本(政)委員 したがって、これは私が申し上げたような、清掃法の十八条に基づく施行令というものを変える必要があると思うのです。そうしないと、将来問題になり得ることがある。「ごみ又はふん尿」と書いておって、清掃法の施行令の六条には制限をしておるわけですね。し尿消化槽ということだけに限定をされておることは間違いだと思います。やはり厚生省として、当然今後のことをお考えになれば、当然清掃法の施行令についても改正すべきだと思うのです。その点についてひとつ大臣の御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/44
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045・園田直
○園田国務大臣 御指摘のとおりでございまして、十分検討する要ありと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/45
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046・山本政弘
○山本(政)委員 そうすると、新五カ年計画によりますと、たしか前回のお話だったと思います。区域内のし尿は一〇〇%、ごみは八〇%衛生的に処理をされると、こうなるのですが、し尿はあるいは一〇〇%五カ年計画で遂行されるかもわかりません。しかしごみは、先ほどの国庫補助金の問題、あるいは特別地方債の両省の食い違い、そういうことから判断いたしましても、計画どおりに達成できるかどうか、たいへん疑問ではないか。というのは、つまり国民生活が上がっていけばごみというものは当然出てくる、そういうことになると、ごみのふえる量というものが見込まれておるのかどうか、その点が一つあるのではないか。これは石丸さんが対談されたのを私は借用したいのですけれども、ごみの場合は、現状では必要な施設建設費の約二八%のうちの四分の一、これは国の補助について言っていることなんですね。全体の七%くらいにしかすぎない、こういうことになれば、はたして実態として五カ年計画が遂行できるのかどうか。東京都の清掃局の調べでは、東京都内を一〇〇とすれば、大阪では八九、名古屋が八六、北九州が五七。これはやはり私は生活程度といいますか、所得といいますか、それに応じて多いということの一つの例証だと思う。同時に、外国ではニューヨークが二七九、パリが一二四。ニューヨークの場合はこれの二倍半以上になる。そうすると、国民所得がだんだんと上がっていくという傾向がある中で、これは名目的にせよ何にせよ、ともかく生活は多少上がっていっている。そうすると、そういうものを見込んだ五カ年計画なのかどうか、これもひとつ御説明いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/46
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047・松尾正雄
○松尾政府委員 御指摘のとおり、ごみにつきましては、生活水準の向上によりまして、ごみの量及び質の変化ということが起こってまいります。したがいまして、旧五カ年計画の一つの欠点はそこであったかと存じますが、新五カ年計画におきましては、昭和六十年を一応の目標に立てまして、昭和六十年における一人当たりのごみの排出量を千五百グラムというふうに目標として推定をいたしております。これは、たとえば現在のニューヨークなりというようなところまでを想定いたしまして、そうして四十一年末からその千五百グラムまでのカーブを描きまして、その途中での計画といたしまして、五カ年計画の量を年々ふえるという計画のもとに策定をしたわけでございます。その意味におきましては、御指摘のとおり、増加するという要素を入れて計算に組んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/47
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048・山本政弘
○山本(政)委員 くどいようですけれども、五カ年計画でごみの処理に六百九十億、そのうちに、これはかりに自治省の少ないほうの金額をとりますが、百八十億をとっても、今年度の補助金というのは七億ですよ。五カ年計画の中で百八十億、その中で初年度が七億というのは、私はどうもスタートから非常にごみ処理施設に対する補助金としては少な過ぎる感じがいたしますが、この辺は一体どうお考えなのか。これは両省にお伺いしたほうがいいんじゃないかと思いますので、御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/48
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049・園田直
○園田国務大臣 私のほうから申すのはおかしいようでございますが、今年度一億ふえておりますが、その一億ふえたのが画期的にふえたといわれるほど、ごみに対する予算の計上は少ないわけでありまして、御指摘のとおりに、この次は十分これに重点を置いて予算折衝したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/49
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050・山本政弘
○山本(政)委員 それでは、前回にお伺いいたしたと思いますけれども、標準都市の職員の配置表は、自治省が三十九年に六十三名、四十年に七十九名、四十一年八十八名、四十二年と四十三年が変わらないで九十一名なんです。厚生省は、三十九年百名、四十年、四十一年は同じで、四十二年が百八名、四十三年が百十名。そこで、これは自治省にお伺いいたしたいと思うのですけれども、実際に指導監督をしている市町村会の機関である都市センターで百十二名という数字を出しているにもかかわらず、依然として自治省では九十一名という少ない数字に押えているわけです。これは私はやはり実際に知っている市町村のほうの立場をとりたいわけです。なぜこれだけの開きがあるのか。片方は百十二名。しかるに自治省は、五カ年計画ということを考えておるにもかかわらず、四十二年と四十三年が変わらないで九十一名だ。これは私には解せないのですけれども、この辺については一体どうお考えなのか、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/50
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051・皆川迪夫
○皆川説明員 基準財政需要におきまして、個々の需要の実態をなるべく的確に、またさらに水準を高めるように是正をしていきたいということを基本的に観念として、毎年毎年交付税の需要の計算をやり直しているわけでございます。ただ、その項目が非常にたくさんございまして、なかなか一がいにいかないというのが実情でございます。いまお話になっておりますごみの処理の問題につきましても、先ほど来お話ありましたように、国庫補助金がなかなか伸びない。しかし現実には市町村でほうっておけないということで、財政需要の中で非常に大きく伸ばしている。たとえばごみ処理の建設投資が四十二年は四十四億であったわけですけれども、これを四十三年には七十四億に倍近く伸ばしたわけです。そのほか単価の問題とかいうことで、全体で九十億くらい需要を伸ばしたわけでございますが、その中で人数にまでまだなかなか手が回りかねておる。もちろん人数については、理論的あるいは実際的にいえば検討の余地もあろうかと思います。そういう意味で、必ずしも九十一人が正しくて百十二人が適当でないという意味じゃございませんけれども、そういう実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/51
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052・山本政弘
○山本(政)委員 それじゃ、理論的にあるいは実際的にとおっしゃったけれども、理論的に九十一名でいい、つまり百十二名は必要はないという根拠は、一体どういう根拠に基づいているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/52
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053・皆川迪夫
○皆川説明員 財政需要の見方は、御承知のように、一般的に、ある程度妥当であろうと思われる数字を掲げておきます。これは全部の仕事についてそういうわけでございます。その中で個々の自治団体が基準財政需要の全部の需要を見ているというたてまえじゃございませんので、その自治体の実情に合わせまして、種々相勘案し、融通し合って全体としての行政をやっていく、こういうたてまえをとっておるわけであります。したがいまして、基準財政収入のほうにおきましても、収入を全部交付税の基準収入の中に計上する、こういうことを避けておるわけであります。その点は確かにおっしゃるように、九十一名で絶対間違いないという理論的な根拠はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/53
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054・山本政弘
○山本(政)委員 厚生省にお伺いしたいのですが、つまり一人当たりのごみの排出量というのがありますね。たしか四十二年度は五百二十二グラムでしたが、四十三年度も同じだというふうにお考えになっているのか、あるいは変わっておるのかどうか、その辺いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/54
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055・松尾正雄
○松尾政府委員 先ほど申しましたような増加を見込んだ上の考えに立っておりますので、年々ふえていくという考えに立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/55
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056・山本政弘
○山本(政)委員 そうすると、清掃施設が幾ら整備されても、収集とか運搬とかいう作業がこれに追いついていかなければ、これは清掃、ごみ処理の意味をなさないわけです。しかもその根幹をなすのは、作業人員が十分であるということになるのでしょう。そうしないと、機械はできた、しかし収集能力がないのだということになれば、この五カ年計画というものは、実は中身のない五カ年計画になってしまうのですよ。そういう意味では、いま厚生省がおっしゃったように、昨年は五百二十二グラムだけれども、ごみの排出量は年々上がっていっている。今年度の計算では七百七十九グラムですか、約百八十グラムですね。七百八十グラムといえば、すでにここの間には予想としてかなり上がっているわけですよ。そうすると、当然それに要する人間というもの、作業人員というものはふえるべきでしょう。そういう推定が立たないで、依然として四十二年、四十三年変わらずという見込みというのは、私は誤りだと思うのです。なぜ私が申し上げるかというと、これは交付税の問題とかいろいろ財政上のことはわかりません、しかしとにかく自治省としても財政上配慮すべき点があるのじゃないかという感じがありますので、私はお伺いしているわけなんです。この点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/56
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057・皆川迪夫
○皆川説明員 ごみの量が多くなった場合に人間をふやす必要がある場合もあろうかと思いますし、あるいはまた、既存の人間に対して運搬施設、その能力等をふやす、そういう設備投資のほうに回すということもいろいろあろうと思います。先ほども申しましたように、九十一人でだいじょうぶなんです、こういう意味じゃございませんけれども、全体としての需要はこういうことであったということを御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/57
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058・山本政弘
○山本(政)委員 それじゃ確認いたしたいのですけれども、十分に作業人員をふやすという考えはあるわけですね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/58
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059・皆川迪夫
○皆川説明員 くどいようでございますけれども、やはりこれからのやり方ですね。やり方が人間をふやすことがいいか、施設を強化することがいいか、これはなかなか個々の自治体においても若干違いがあろうかと思います。一般的に言えば、ごみの量がふえてくるということによって施設、人間等もだんだん増加していかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/59
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060・山本政弘
○山本(政)委員 これは大臣と政務次官、ぜひ見ていただきたいと思うのです。その写真は、スイスのローザンヌの自動式の大型収集車なんです。それ一台が千五百万円するということです。これはもう局長は御存じだと思いますけれども、これ一つ見ても、業者にこれを委託するということは、財政的にいってもたいへん無理がある、もしも日本でそれをやるとするならば。しかし将来、やはりそういう方向に向かっていかなければならぬと思うのです。そういう意味では、前回も申し上げましたけれども、たいへんくどいようですが、自治省は下請、一部委託は法律的に違反でないというが、かりに違反でないにしても、今後考えられ得ることは、委託の金を上げるとか、そういう要請も当然出てくるだろうし、これからいま問題になっている不法投棄といいますか、そういう傾向も出てくるとすれば、これは財政の面からいっても、運営の面からいっても、ぜひ直営ということが望ましい、こういう考えがするわけです。したがって、この点についてぜひ直営化の方式を原則としていただきたいということをお願いいたしたいのですけれども、再度大臣、これから自治省のほうからお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/60
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061・園田直
○園田国務大臣 この前も申し上げましたとおりに、原則としては、特に今日の状態においては、直営でやるべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/61
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062・山本政弘
○山本(政)委員 ローザンヌは十三万、標準都市は十万ですね。その中で、ごみの清掃自動車、これが十四台あります、そういう大型を含めて。普通自動車が十台、大型が二台、そして予備が二台、計十四台。運転手が十四人。労働者三十六名、監督が二名、そして道路とか公園とかというところにまで配置されておる者が六十五名、それから自動車整備工場、これが六十五名、焼却場が三十六名。日本の交付税の基準は、運転手が十四名、作業員が二十八名、焼却場がわずかに六名です。そしてごみの清掃自動車は十四台。十四台だけれども、自動車の大きさとか能力とかからいったらはるかに違う。こういう点について、私は前回不用額とかなんとか申し上げましたけれども、ほんとうににおいも煙も出ないという清掃施設ができたなら、これは都心にだって建てられると思うのですよ、その写真のように。そうすると、収集能力にしたって、郊外につくるのと比べて、きわめて能率が高くなると思いますね。そうすると、施設にしたって思い切って金をかけて、そしてりっぱなものをつくっていかなければならぬと思うのです。たとえば都内であちらこちらに起こっているような、ごみ処理施設をつくることに対するトラブルもなくなってくると思うのですけれども、そういうことのためには、いい施設と十分な作業員というものが必要だと思います。したがってそういうことについて両省にぜひ御配慮をお願いしたい。と同時に、収集作業の合理化に幾ら力を入れても、作業員の詰め所とか休憩所とかふろ場とか、そういうものに留意をしないと、やはり労働者の意欲がわかないと私は思うのです。東京で一人当たりのごみの処理のトン数は十年間で二倍にふえております。そのことによって作業の事故も多くなっております。これも私は新聞で読んだんですけれども、都の全職員の労働災害の七〇%が清掃の人たちの作業中に起こっている事故だ、こういっておるのですよ。そうすると、やはりそういう設備とかあるいは人員をふやすとかということについては、格別の配慮をしていただきたいと思うのです。この点について私は簡単に三点申し上げたと思うのですけれども、福利というものの中には賃金ももちろん入ると思います。そういうことについて最後にあらためて両省のお考えをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/62
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063・松尾正雄
○松尾政府委員 ただいま御指摘になりました点は私ども全く同感でございまして、先ほど来申し上げてございますように、ごみの量も増加をいたしてまいりますが、同時にその収集のための交通量というものも非常に多くなりました。その交通の渋滞からくる能率の低下というようなものも重大な隘路になる、そういったことも考慮いたしますれば、その人員とか機材というものをそれに見合わせて、単にごみの量以上の別の要因もございまして、そういった点から充実をはからなければならないと存じます。また施設につきましても、最近いろいろ研究をされ、苦心をされてまいりましたが、周辺の方に迷惑をかけないような施設、においも全く外部に漏れない、内部にだけ吸引をする、こういうような施設の問題、あるいはそういう収集のための交通によって起こってくるいろんなトラブルというようなもの等もあわせまして十分解決をはかっていかなければならないと考えておりまして、それぞれの保健所におきましても、また経験者にも、絶えずそういう問題について私どもからも研究をお願いしているような状況でございまして、御指摘のような、りっぱな施設、それから十分な人員、能力、その方々の待遇の改善という問題につきましても、御指摘のとおり多少日本ではおくれているかと存じます。一部では非常にりっぱなものを持つと呼ばれているところもあるようでございます。そういったところをモデルにいたしながら、やはり従業者の方々が気持ちよく誇りを持ってこの貴重な仕事に従事していただくような方向を、私ども十分研究させていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/63
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064・皆川迪夫
○皆川説明員 自治省としてもできるだけ努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/64
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065・山本政弘
○山本(政)委員 私の質問を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/65
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066・八田貞義
○八田委員長 島本虎三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/66
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067・島本虎三
○島本委員 厚生大臣と自治省関係のお方もおられるようですが、ただいま山本委員のほうからまさに核心に触れるようないい質問が出ておったのであります。私はその質問の中で、これからの清掃関係の方向が感ぜられたわけでございますけれども、その中でも補助ペースが五年間で千三百三十億という計画、それも四十二、四十三年度は百八十億くらいしか見られておらないのに、厚生省は二百七十八億を推定する。この主管庁はあくまでも厚生省じゃないかと思っているのですけれども、この主管庁である厚生省の責任ある推定が自治省のほうとどうしてこう差があるのか、私は残念ながら理解に苦しむものであります。もう一回的確な御説明を承りたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/67
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068・皆川迪夫
○皆川説明員 これは主管庁が厚生省でございますので、自治省としては何ら権威を持っておる数字ではございません。ただ、現在の事業費に対する補助金の率でかりに算定をすれば、このようなわずかの金額になりますということを申し上げただけで、決してこれが五カ年計画の補助金の額であるということを申し上げておるわけじゃないわけでございます。したがって、食い違いというものはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/68
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069・島本虎三
○島本委員 厚生省の環境衛生局長どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/69
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070・松尾正雄
○松尾政府委員 先ほど来御説明もございましたけれども、自治省のほうでは、四十三年度の事業量と予算の関係をそのまま引き伸ばして一応ああいう数字をお出しになったわけで、決してこれは権威のあるものではないとおっしゃっております。私どもも、五年間の事業総量が決定をいたしました暁におきましては、国の補助金というものは毎年それぞれ努力をすべき問題でございまして、決してこれも確定しているものではない。ただ私どもとしては、やはり地方負担をできるだけ少なくいたしまして、よき施設をつくっていく、こういう目標で補助金はできるだけ多くいただきたい、こういうことでございまして、それらの若干の希望も入った一つの試算がああいう数字になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/70
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071・島本虎三
○島本委員 その点が一致するならば、問題は大蔵省ですから、大蔵省に対しては、責任官庁である厚生省、それとその方面の関係官庁である自治省、ともに最大のペースで要求してしかるべきじゃないかと思うのです。私はそこで最初から疑問でしょうがないのです。これはやはり五年間かかってよくするための計画なんです。よくするための計画は最大限度見積もっても、完全とまでとうていいかないですよ。いかないものをこういうふうに百八十億、二百七十八億と、それぞれの違いが出てくるということがまずわからない。わかったといたしましても、多いほうにつけて予算折衝を大蔵にし、そしてこれを完全に実施させる努力こそ自治省としても必要なんじゃないか、こういうように常々思っておるわけです。その辺のズレは、理論的に正しくても、これはやはり厚生省の立てた推定の線に合わして、大蔵省にその理論的根拠を示して協力を仰がなければならないはずのものじゃないか、こういうふうに思っておるのですが、私の考えが間違いであるならば、自治省のほうからはっきり間違いだということを言ってほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/71
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072・皆川迪夫
○皆川説明員 決して間違いであると思っておりません。ただ何べんも申し上げますように、私のほうは百八十億が正しいのである、こういう数字であるべきだということを申し上げておるわけじゃないのです。現在の状況のままいけばそのようなわずかな額しか出てきません、もっとふやしてもらいたいという希望が実は背後にあるわけでございます。気持ちは同じであるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/72
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073・島本虎三
○島本委員 そこなんです。したがいまして、ここで推定でも二百七十八億と出た。これでやっても全部の五カ年の間の補助ペースが千三百三十億という計画の中にあるとすると、もうすでにどこかに穴があくような様相が呈されているわけじゃありませんか。多きに過ぎることはないのです。少なければ悔いを千載に残すのです。そういうような意味で、私はやはり厚生省のほうと一緒になって大いにやってもらいたいと思う。その決意をあなたはここではっきり述べてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/73
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074・皆川迪夫
○皆川説明員 実はこの数字はし尿処理も入っておるわけです。ごみ処理だけをとってみれば、御承知のようにきわめて補助金は少額なわけでございます。四十三年度をとってみましても、百三十八億の全体の事業計画のうち国庫補助金はわずか七億でございます。ほとんど補助事業というに値しないわけでございます。ほとんど全部が単独事業で行なわれているといっても過言ではないと思います。こういう事態につきましては、自治省としてもぜひ改善をしてもらいたい。ごみの処理につきまして、地方団体が非常に生活環境の変化によって困っておりますので、こういう趣旨であることは全く同感でございます。私たちも厚生省と同じ立場であることをあらためて申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/74
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075・島本虎三
○島本委員 したがって、厚生省のほうとしては、この五カ年計画の内容を明らかにすることができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/75
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076・松尾正雄
○松尾政府委員 五カ年間の総量につきましては、一応この法律が成立しましたあとで正式には閣議で決定になるわけでございますが、ただいま私どもが考えております案はお示しできるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/76
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077・島本虎三
○島本委員 ここで、ただいま自治省の関係者からのお話もございましたが、やはり五カ年計画の内容は、これから単年度ごとにそれぞれ閣議の了承を得てやっていく。もしそうだとすると、はたしてこれが完全に五カ年計画の実施に万全を期せられるかどうかということが、ちょっとやはり心配になってくるわけなんです。この地方交付税の単位費用を改正して標準都市のじんかい焼却場の処理能力、こういうようなものを大幅に増大しなければならない段階にいまあるわけです。そして施設建設費、この基本単価を実態に即していま増額してやらなければ、どうにもならないごみの山になる危険性があるわけです。そして補助率はもうすでに四分の一から二分の一に当然引き上げてもいいような段階にきておるわけであります。私はそういうようなものをそのままにしておいて、そしていかにあと策を弄し、あるいはまた、いろいろ高邁な理論を口に弄してもだめなんじゃないか、こういうように思っているわけであります。これは思い切って現行の四分の一から補助率を二分の一にするということに対しては、もう準備はできておるのでしょうか。こういうようなことは冒険でしょうか。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/77
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078・松尾正雄
○松尾政府委員 最初に申されました五カ年計画の総量を閣議で決定をするということでございまして、したがいまして、五年間の計画量というものが決定をされましたならば、当然それの実現のために毎年努力を払っていく、こういう形になるわけでございます。そのために、御指摘のように、地方団体のこういう事業施設の設置ということにつきまして、これをやはり容易にいたしまして、かつまた、今後の増大いたします需要に応ずるように持っていくというためには、当然その援助を増大すべきであると私どもは考えておるわけでございまして、これにつきましては、ひとつ十分検討いたしまして努力を続けたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/78
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079・島本虎三
○島本委員 したがって、自治省のほうではこの点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/79
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080・皆川迪夫
○皆川説明員 先ほど申しましたように、私のほうとしましては、現在の実態がほとんど単独事業の扱いになっておるということいたしまして、補助率を上げるということができればこれはけっこうでございますけれども、かりにできなくとも、四分の一まで現実にはいっていないわけでございますから、せめてその実態に合わせていただきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/80
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081・島本虎三
○島本委員 私の手元に具体的に豊橋市の一つの報告があるわけであります。これによりましても、いわば四分の一補助、これによってやりましても、百八十トンの焼却場で千三百万の補助をもらった。そして実建設費と付属機械設備費、これが一億五千四百万円かかっている。付帯設備費が一億三千万円である。こういうような中で国からの補助をもらっても、これは実際は地方自治体の単独負担みたいなものになってしまう。焼け石に水とは申しませんけれども、ほんの十分の一ほどにしかすぎなくなってしまう。こういうようなことでやっても、地方自治体のほうでは、いたずらに今度はもう経費の増を来たしまして、勢いそれを請負のほうに追いやる結果を招来してしまうのではないか。具体的にこういうような報告を見ましても、やはりこういう点が心配になるわけですが、四分の一であっても、一つの施設に対してはそうであっても、それの全体の計画から見れば十分の一にも足らなくなってしまう、こういうような実態であります。私はこういうような点からして、これは施設そのものの補助の額をもっともっと高めてやらなければならないのじゃないか。おそらく二分の一ぐらいにしてやってもいいのじゃないか、こういうように思うわけであります。総体から見ると、十分の一にも足らないのじゃないかという気がするのです。四分の一かと思っても、一カ所に対しての四分の一で、総体的に見れば十分の一。これを二分の一にしていっても五分の一、ほんとうの四分の一補助になればいいほうではございませんか。そういうようにして見ますと、やはり今回の場合は特に補助率を上げるということが一つの重要な命題になると思います。この点厚生大臣いかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/81
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082・園田直
○園田国務大臣 御指摘のとおり、この事業を完全に促進しようとすれば、いまの地方財政等からも考えまして、補助金の率を引き上げることはきわめて重要でございますので、この点についても十分検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/82
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083・島本虎三
○島本委員 きょうは厚生大臣声が低いようです。いままでなら音吐朗々として聞こえたのですが、きょうは墓にめいるようなふうに聞こえてくる。もう少し大きい声でひとつやってもらわなければ困ります。
そこで今度、清掃施設整備緊急措置法案、これがいま出されております。この中で都市下水の問題だけは切り離されているようであります。私はこういうようにして見ます場合には、特に下水道の整備事業、これが別の法律でもうすでに緊急整備を行なうことになって、第五十五特別国会で成立を見ておる、こういうようなことでございます。この下水道の整備事業と、これから清掃施設整備緊急措置法案との相互関係、これはまことに切り離せないような重要性があるのじゃないか。ことに運用の面なんかでは、ほんとうにもう一致しなければならないような問題じゃないか、こういうように思っておるわけでありますが、相互関係等についてはどういうようになっておりますか。これをちょっと聞かせてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/83
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084・松尾正雄
○松尾政府委員 特に、し尿処理計画というものと御指摘の下水道計画というものとは、計画といたしましては一体的に考えなければならない問題でございます。御承知のとおり、し尿処理につきましては、下水道による水洗化という問題もございますし、また同時に、それができない場合のくみ取りというものを衛生的に処理する、この両方の関係がございますので、当然、この下水道計画というものがいかようになるかということと、し尿処理計画とは十分調整をいたさなければなりません。したがいまして、この御審議いただいております法案の中におきましても、このし尿処理五カ年計画の案をつくります際には建設大臣と十分に協議しなければならないということが、第三条の四項にうたってございます。また、先般成立いたしております下水道整備措置法の中におきましても、その下水道計画についてはこちらの五カ年計画と調整をしなければならないということがありまして、相互にうたってございます。そういう関係で、調整をいたしまして計画をするということでございまして、五カ年計画の案をつくりますにあたっても、相互の計画を十分調整をして決定するというしかけになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/84
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085・島本虎三
○島本委員 もっともこの問題については、厚生大臣はこの計画を作成しようとするときは、経済企画庁長官と協議するとともに、し尿処理五カ年計画については、建設大臣と協議して下水道事業との調整をはかるものとする、こういうようにございます。もっともこれはそのとおりだと思います。
ここで、私はもうはっきりこの際促進しておきたいのです。と申しますのは、これは三月十三日、ちょうど予算委員会の分科会が行なわれておったころであります。その予算委員会の第四分科会で、経済企画庁の宮澤長官との質疑応答の中で、いみじくもこの問題がはっきり出たわけです。いま、水質汚濁の問題で、公害基本法がもうすでに成立しておることは御承知のとおりですが、いまの段階では、特別法と申しますか、公害実施法について、大気汚染防止法だとか、騒音防止法だとか、そういう関係立法が出ておる。もうすでに公害防止事業団法の一部改正法案が成立しておる段階です。しかしながら、水のほうだけはどうしても出てこないのが現況なんです。水のほうは、公共用水域の水質の保全に関する法律の改正法案がいま議題にされ、経済企画庁のほうでいろいろ頭を悩ましておられるようです。しかしながら、なぜ出さないのか。この理由の中に宮澤経済企画庁長官は「一つの汚濁源としての家庭の排水あるいは工場の排水、これを川へきたないまま落とさないということにしようとすれば、国なり公共団体が下水道を整備しなければならないわけでありますし、そして、その下水の末端処理をまたやらなければいけないわけでございますが、それが整わなければ、かりにこの法律にそういう汚濁源を規定いたしましたところで、家庭の人々はやりようがないわけでございます。他方で、下水道の整備ということは、これは何も法律に書きませんでも、よく認識されておって——行政は行政として相当金がかかりますので、わが国はずいぶんおくれておりますが、進んではきておるわけでございます。ですから、そのことを汚濁源として入れる入れないということは、ただそれで水がきれいになるのかというと、そうではなくて、やはり下水道整備というものを長期的な視野に立って国が進めていく、地方が進めていくというとこが、問題解決の中心点であろうというふうに考えるわけでございます。」と言っております。そのほかにまだあるのですが、これはその一節です。これによってわかるように、いま企画庁のほうでは、公害実施法の一つとして公共用水域の水質保全に関する法律、これを改正案として出したくても、この整備計画の中の下水道ができない以上、これはどうにもしようがないんだ、こっちのほうが先なんだ、したがってまだ出せないんだ、こういうことであろうかと思います。そうなりますと、いま国をあげて公害の防止に対しては熱中している最中で、その対策については、もうすでに実施法を出し、特別法をもってでもこの解決に当たろうとしておる段階です。しかしながら、下水道の整備がおくれるがために水のほうは野放しだ、こういうようなことはとうてい許されないことだと思うわけです。これは企画庁の長官の答弁からしてもなかなか重要だと思います。厚生大臣、それから局長、こういうふうなことが言われておることは、とりもなおさず——下水道は建設省です。しかしながら、これを使うのは厚生省の管轄のいわゆる環境整備によるわけですから、相擁してこれをやらない以上、公害基本法によるところの実施法は出せないんだ、何にもならないんだと言っているわけです。ならない原因は厚生省にある。逆に戻ってきて、主管官庁の厚生大臣の責任になってしまうわけです。これは少し私はいただけないのです。やらなければならないし、建設省と経済企画庁に責任をもってこれはやらせなければならないのです。しかしながら、汚濁源を現在のままにしておく以上どうしてもこれはできないと言われております。大臣、局長、この問題に対してはっきりした見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/85
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086・松尾正雄
○松尾政府委員 申すまでもなく、下水の整備ということが、こういう生活環境、清掃施設関係、特にし尿関係の処理の施設の将来の問題といたしましても、まさにそこが根本でございまして、私どもといたしましても、この下水の整備ということにつきましては、その促進をほんとうにはかっていかなければならぬ、強くそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/86
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087・今泉一郎
○今泉政府委員 ただいま島本先生から、うちの長官の答弁を御引用されましたので、一言つけ加えて申し上げますが、長官がお答え申し上げました趣旨は、家庭下水というものは個々の家庭ではなかなか処理しにくい、しかして、これが集まれば川をよごす大きな原因をなしている、そのためには、下水道ができることが、あるいはし尿処理場ができることがきわめて望ましいことであるという趣旨を申し上げたわけでございまして、その点につきましては、ただいま松尾環境衛生局長からもお話し申し上げましたように、厚生省とされても全面的にこれについて御努力されているわけであります。私どもも御協力いただいているものと思っております。
しかして、水質保全法の改正が各省間でいまだ成案を得るに至っていないということにつきましては、ただいまお話しになりました家庭下水のことだけが原因ではございませんので、改正点がほかにもいろいろございますものですから、そういった点につきましては、ほかの役所との話し合いもまだ未決着のままに今日に至っている次第で、この点あしからず御了承願いたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/87
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088・島本虎三
○島本委員 これは私は質問でなく、逆に宮澤長官の答弁をもって質問にかえたいのです。あなたはそばで聞いておりましたね。その中で最後のほうになって宮澤長官はこのように言っているわけです。「私の申し上げておりますことは、要するに、川というものを下水道のかわりに長いこと使っておったわけでございます。それがいけないんだと言っておられるので、私は、その点については何も異議がございません。」、そのとおりです。「ただそこで、今度はそれを使わせないようにするためには、下水道というものを別に整備をしてやらなければならないわけでございますから、その汚濁源としての下水ということを法律に書きましたところで、それでもって川がどうなるものでもない。したがって、下水道の整備をしていくということが結局この問題の解決の唯一の方法ではないか、」このとおり言っているのです。したがって、これをやらない以上解決にはならないと言っているのです。これは私の質問ではない。答弁なんです。ですから、これをいまやらなければならない。建設省と経済企画庁のほうにまさにその責任があるぞ、強力にこれを実施させる責任があるぞと、このことを言っているのです。言いのがれはいけません。これは、あなたの上長である宮澤長官の答弁ですからね。
そのうしろなんかもっとりっぱなことを言っておりますよ。その中には、「船舶の廃油だとか、屠殺場だとか、砂利の採石だとか、こういうものは、ひとつ汚濁源として指定をして規制をすれば、これはもうあすからでも実効があがるわけでございます」、もうすでにその辺まで考えて言っている。屠殺場のことなど、厚生省のほうでも考えなかったことを、あなたのほうで考えてはっきり言っていたんです。そういうようなことでしょう。そのかわり、「下水道整備は、国のまた一つの大切な施策として今後とも進めていかなければならない。これがちゃんとなりませんと、川というものはほんとうにきれいにならないと言われることは、私はほんとうだと思います。」、まだずっとありますけれども、これはそのとおりですよ。したがって、これを進めますためには、所管である建設省、そして今度は、これを公害発生源として、汚濁発生源として取り締まらなければならないし、これを解決しなければならないとはっきり言っているのが経済企画庁の長官です。そういうような状態の中で、五年間ではたしてどれだけ水がきれいになるのか、これが一番心配なんです。四十二年度から四十三年度——四十三年度の予算はもう通ってしまった。そうなりますと、あと三年度でこれが完全なものにならなければならないのですよ。したがって、そのはっきりした裏づけがほしいのです。当然でしょう、厚生大臣。
建設省の人は来ておりませんか。——それじゃ、いまの件について環境衛生局長答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/88
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089・松尾正雄
○松尾政府委員 まさに御指摘のとおり、下水道の整備ということが、先ほど来申し上げましたように、し尿処理問題としても基本問題でございます。また同時にそれが、水質汚濁の防止ということにつきましても、基本的にはやはり問題でございます。したがいまして、建設省も新しい五カ年計画をもちまして、大幅にいままでよりも大きな下水道整備をやろう、こういう計画をお立てになっているわけでございます。私どもも全面的にそれが実現するように努力をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/89
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090・島本虎三
○島本委員 重大な問題が発生しておりますから、時間を限って厚生大臣はいまここを退席しなければならないのですが、出る前にいまの重大な質問に対しはっきりした決意を表明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/90
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091・園田直
○園田国務大臣 下水道の問題、御指摘のとおりでありますが、また私のほうとしても、終末処理は私のほうの責任でございます。私ども宮澤経済企画庁長官と同様の意見でございまして、建設省としても、この五カ年計画に見合って下水道の五カ年計画を検討してもらっておるわけでございます。いずれにいたしましても、本来は、先ほどから指摘されるごみあるいはし尿の処理のための財政上の措置がきわめて大事でございますから、ただいまの御意見は十分肝に銘じまして今後善処をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/91
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092・島本虎三
○島本委員 いまのようにして、あと残っている三カ年で水をきれいにしてしまうという計画、これがもうできなければならないのですが、いわゆる清掃施設設備緊急措置法案と、もう一つは、いま申しましたように、下水道整備緊急計画ですか、これはもう実施されておるわけですけれども、これとは相一致して進まなければならなくなるわけです。もうすでに二年度は経過してしまった、あとの三年度で、いわゆる家庭汚水だとかいろいろ終末処理に関係のあるこの下水道の問題も、一〇〇%全部完成する、こういう命題が課せられておるわけです。これ、できましょうかどうか、この点どうですか、経済企画庁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/92
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093・今泉一郎
○今泉政府委員 私どもといたしましては、ただいま先生御指摘のように、下水道並びにし尿処理とあわせまして、今回厚生省のほうから御提案の清掃施設整備緊急五カ年計画に関する法律の実現を含めまして、これが実現を見て川がきれいになるということを衷心から望んでおります。何よりも私どもといたしましては、それぞれ各省にわたることでございますが、水質保全の総合的な立場にあるものといたしましても、建設、厚生その他関係各省とも十分連絡をとりまして御期待にこたえるように努力してまいりたい、こう思うわけでございますが、最終的にはお金の問題にも帰着するわけでございますが、私どもといたしましては、大蔵御当局にも、財政硬直化などむずかしい事情もございましょうが、その中でこそ、こういう重大な問題には、十分なる優先性を認めて予算的な措置もお願いしてまいりたい、こういう意味でいろいろ互いに関係各省手を取り合って事業の推進、目的の完成につとめてまいりたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/93
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094・島本虎三
○島本委員 この問題は、いまかかっておるのは四十二年度からの計画になっているわけです。すでに予算的な措置から見れば二カ年間のものは終わってしまっておる。四十三年度のものは入っているけれども、もうすでにあと残すところは三カ年度の計画である、こういうようなことになります。しかしながら、やはりこれは財政硬直化その他大きな問題があるにしろ、経済、企画庁長官がいま春闘の中で、こういうような理由のために、総合予算主義をとるためにもいろいろ渋っている。しかしながら、三月の段階で、公害基本法ができて特別法、実施法として実施するためには、どうしてもこれをやらなければならないということはるる述べてある。したがって、あと残された三カ年間で、下水道関係の整備、終末処理関係の整備、こういうようなことは完全に行なうのでなければ、いまの答弁は国民をあざむくことになってしまうのです。したがって、その決意があるのはわかりましたが、大蔵省はこの点に対していかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/94
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095・辻敬一
○辻説明員 清掃施設整備につきましては、四十三年度におきましても、きびしい財政事情のもとではございましたけれども、し尿、ごみ処理施設とともに増額をいたしまして充実をはかってまいりましたことは、御承知のとおりでございます。今後とも整備五カ年計画の線に沿いまして、その年度その年度の財政事情を考慮しながら整備が円滑に行なわれますように善処してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/95
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096・島本虎三
○島本委員 辻さん、そのおことばは十分わかりました。その努力じゃなくて、あと三カ年の間にこの公害基本法ができたあとのいわゆる川の汚濁防止の問題、いま一番大きい汚濁源になっている家庭汚水、こういうようなものを含めてこれを直さなければだめだという経済企画庁長官の答弁とあわせて、この計画の実施が現在あるからこれを完全にやっていく、これが長官の答弁だったのです。本来ならば五年間でやるところを、もうすでに四十二年度からですから、残されている年度は三カ年度だということになってしまうわけです。その三カ年度の間にやるためには、その必要性を十分認識してもらって、今後予算措置をする場合十分これに対処してもらわなければならぬと思うのです。私はこの法に賛成し、これを促進するための見地から言っているわけです。問題は自治省でもない。主管省は厚生省である。しかしながら、厚生省、自治省で大蔵省がうんと言わなければ今後この計画の花を咲かせることはできないのです。当然実を結ばせることはできないのです。これは今後予算措置に負うところが一番大きい。まず補助率の問題、もう一つはその額の問題、この両方が大きい問題となってまいります。こういうような見地から、補助ペースが現在までの間にいろいろ報告がございましたし、私どもその点から若干の心配があったわけでございますけれども、千三百三十億の計画のうちで、これはいままでのところは少な過ぎる。しかしながらそれでもやってきた。あと残されているところに集中的にいかなければこの問題の解決になりませんので、ひとつこれに対する格段の御決意を願いたいということであります。ありきたりの答弁は必要ございません。あと三カ年度で水をきれいにするのですから、下水道の整備ですから、終末処理整備ですから、こういうような点をからめてひとつ十分これを善処しておいてもらいたい。この決意をもう一回承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/96
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097・辻敬一
○辻説明員 四十三年度の予算につきましては、下水道、それから清掃施設ともに、五カ年計画の線を参考にいたしまして予算を組んでいるわけでございます。先ほど申し上げましたように、今後も五カ年計画の線に沿いまして整備が円滑に行なわれるよう、できるだけ努力してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/97
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098・島本虎三
○島本委員 これは努力してください。その努力の結果は、きょうの議事録は私は後生大事に持っておりますから、来年の今月きょうになりますか、あなたが答弁したそのとおりのことが実施されているかどうかをこの場所でもう一回対決いたしたいと思います。これに対して全部万遺漏なきを期しておいてもらいたい、このことを私は願望を込めて発言しておきたいと思うわけです。よろしゅうございますね、来年のきょうです。ひとつ十分これに対処しておいてもらいたいと思います。
清掃作業中の事故、これに対していままでの統計と対処したデータがございましたら発表してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/98
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099・松尾正雄
○松尾政府委員 私どものほうでは、残念ながらそういう数字は把握いたしておりません。今後労働省ともよく連絡をとりまして数字を把握をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/99
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100・島本虎三
○島本委員 局長、これは主管庁なんですね。これをきょう上げるようになっている場合には、厚生省のほうの全責任者は一応は事務的にはあなたになっていますから、そうなった場合には、やはり自治省の関係の人で実際の資料を知っている人なんか、ここにいてもらわなければいけないのです。私はこの問題について特に深入りはいたしませんからいいのですけれども、大事な問題なんですから、こういう問題についてはやはりやってもらわなければいけないのです。
あわせて今度は、清掃職員の処遇についてこれは現在はどういうふうに行なわれておりますか、自治省関係の方おりましたら御答弁願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/100
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101・皆川迪夫
○皆川説明員 処遇というのは、どういう御質問の趣旨か、ちょっとわかりかねますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/101
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102・島本虎三
○島本委員 たとえば特殊勤務手当だとか、作業手当だとか、そういうようなものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/102
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103・皆川迪夫
○皆川説明員 いま詳細な資料を持っておりませんけれども、それぞれの自治体におきまして、他との均衡を考慮しながら、それぞれ適当な特別手当を支給しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/103
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104・島本虎三
○島本委員 と申しますのは、私が一番心配しているのは、以前、昭和三十八年のころの附帯決議があるわけです。御存じでしょう、参議院を通りました。これは以前の計画ですね。その中にもはっきり身分関係についての件もあるわけです。その中で直営と委託業務、これに対しては直営方式をとって、こういうようなものはなるべく委託を廃止する方向に持っていくというのは、当時の篠田自治大臣が明確に言っていたことです。それが最近になりますとどうもあやふやになってきているというような傾向があるということを聞いております。昭和三十八年のころのあの大臣声明と参議院の附帯決議、そのとおり行なわれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/104
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105・皆川迪夫
○皆川説明員 清掃事業の委託の問題につきましては、過般もこの委員会で御質問がございまして、私のほうでもこの経過等についてお話を申し上げたわけでございます。
最近、いろいろな自次体で、経験的に委託をやったところが、たいへんいい結果が出たというふうなことを発表される方もございまして、そういうことが刺激になって、そういう動きが出てまいっておると思います。私のほうとしましては、厚生省のお考えも直営が原則であるということでございますので、それをしいてどうしても委託にしろというような指導はいたしておらないわけでございます。何ぶんにも千差万別の自治体でございますから、その状況に応じてこの行政のサービスの低下を来たさないでいい方法があれば、いろいろな方法を検討し合っていいのじゃないか、こういうことを言っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/105
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106・島本虎三
○島本委員 これは自治省であれば、自治省が大臣の意向によってそれぞれ運営されておりますし、その大臣の考えがおそらく下まで通じておることでしょう。その点においては何ら言うところはございません。ただしかし、直営方式と委託方式、この問題については十分議論がなされてしまったあとであります。しかしながら、これはもう委託したといっても、それが直営だという解釈もあるわけです。直営の解釈もまたいろいろ問題になってきておるようです。直営、委託この二つの解釈を、はっきり今回つけておかなければならないと私は思うのです。直営にする、身分を明らかにした人に責任を持ってこれをやらせる、それが直営だという解釈もあるかのように承っております。それは身分はいかに明らかにされても、市町村の関係者がこの事業を行なっていく、これが直営じゃないかと思っております。何か身分を明らかにされた者が直接の命令を受けてやるのは直営だという解釈もあるかのように承っておりますが、そういうような解釈上の一つの混乱はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/106
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107・皆川迪夫
○皆川説明員 直営というのは、市町村の職員の手によってする場合であって、その点については混乱はないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/107
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108・島本虎三
○島本委員 現在清掃とし尿関係の直営、委託、この比率はどういうようになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/108
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109・皆川迪夫
○皆川説明員 直営といいましても、全部の仕事を直営でやっているもの、そのうち一部委託でやっているもの、いろいろございます。そこで一切の仕事を委託にしていない、あるいは許可業者にやらしていない、全く市町村の職員の手によって完全にやっておるというのを見ますと非常に少ないのでございまして、し尿の場合には十数%じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/109
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110・島本虎三
○島本委員 十数%は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/110
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111・皆川迪夫
○皆川説明員 全部直営でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/111
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112・島本虎三
○島本委員 十数%だけ直営ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/112
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113・皆川迪夫
○皆川説明員 そうじゃないかと思っております。
それから、ごみの収集についてはおおむね七〇%程度じゃないかと思っております。これはし尿の収集でございます。処理のほうは含めてございません。処理のほうは大体直営でやっております。収集については、し尿関係で大体一五%程度が直営でやっております。それから、ごみの収集につきましては七〇%、それ以外は一部を委託でやっている、あるいは一部許可業者にさしている、いろいろな形態があるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/113
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114・島本虎三
○島本委員 これはやはり直営でやるという原則でありましたなら、一〇%の収集が直営だということは、これは昭和三十八年十二月十七日の参議院の社会労働委員会の附帯決議にこれはどうも沿っていないように思われる。いろいろ申されましたけれども、ごみの点の七〇%、これは五〇%をこえていますし、あと残る三〇%ぐらいはということにも相なろうかと思います。しかし、一〇%、これが直営だ、こう言われますと、一〇%の直営で直営を原則にするという収集の方法には、私はどうも納得できないのです。その資料は間違っていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/114
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115・皆川迪夫
○皆川説明員 先ほども申しましたように、いろいろな混在した形で行なわれております。全部の地区について完全に直営でやっているという一番厳格な数字を申し上げたわけでございます。逆に全部委託でやっておるというのも同じ程度しかない。やはり一〇数%、一五、六%だと思います。あとはいろんな方法を取りまぜてやっておるというのが状況のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/115
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116・島本虎三
○島本委員 これはやはり国会の決議というのは尊重しなければいけない。そして当時の大臣も、趣旨に沿って善処いたします、こういうようなことをはっきり申されているわけです。それは未来永劫に議事録にとどまっているわけです。しかし年度が変わると、一〇%をもって、これが直営であってその原則に沿いましたというんじゃ、私は、それはもうよろしくないのじゃないか、こう思うわけです。これで厚生省のほうでは主管官庁としてどう思いますか。し尿の収集一〇%、これが直営の原則のもとに行なわれている実態であるとしたならば、皆さんのほうではこの問題について主管庁としていかがお取り計らい願えましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/116
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117・松尾正雄
○松尾政府委員 いま申されました数字は、大体市町村の数でそういう純粋に直営でやっておられるところをあげられたと思いますが、収集の量のほうで申しますれば、ごみにつきましては約八五%、それからし尿につきましては約三割というものが、純粋直営でやられておるという状況でございます。私どもはこのような実態は常ににらんでおるつもりでございますけれども、このごみとし尿との間に大きな差が出ておりますということは、やはり一つは過去におけるいきさつ、歴史というものがあったというふうに考えておるわけでございます。私どもは、やはり先ほど来申し上げておりますような方針で、これがさらに委託とか許可というふうに流れることがないように、従来の方針に戻っていくような努力を続けたい、こう思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/117
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118・島本虎三
○島本委員 これはやはり同じ問題でございまするけれども、以前、直営と委託事業、これをいろいろ議論した国会の議事録も私の手元にあるわけなんです。それによりましても、これはなかなか解釈がデリケートなところがたくさんあるのです。これは昭和四十年三月の国会の中で行なわれたあの議論で、法制局でさえもなかなかその点は、自治省の意見に対してそれはそうだとも言えないし、厚生省の意見に対してそうでないとも言えない、デリケートな表現をしているのです。というのは、市町村があらゆる面で責任をとって委託する場合、これは直営である、これは法制局です。これはちょっとおかしいです。あとからまた直した。市町村があらゆる面で責任をとって委託する場合、これは直営であると解釈する、この法制局の解釈も少しおかしいです。あとから修正しているからこれはたいしたことないにしても。やはり当時からごみの収集は直営無料の原則だったと思うのです。それに対して、今後努力いたします、これか昭和三十八年十二月の自治大臣の答弁でもあったのです。しかしながら直営無料の原則がまさに有料委託の原則にいつの間にか変わってきているのです。これは少し国会無視じゃございませんでしょうかね。私どもはこういうようにしてゆっくり皆さんと質疑応答をするということは、私はこれが正しいと思うこと、行政当局のほうではこれが正しいと思うことを、ここで理非を明らかにし、国民に対してそれをはっきり知らせることに妙味があるのじゃないかと思っておるのです。当時はやはり直営無料の原則を進めますと言っていながら、あと三年たってみますと有料委託の原則になりつつあるということは、やはり国民や国会を無視したものである、こういうことを言わざるを得ないのじゃないかと思われますけれども、この辺のお考えはどうでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/118
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119・谷垣專一
○谷垣政府委員 清掃法の趣旨そのものは、直営が好ましいということを明瞭にうたっておるわけでございます。厚生省といたしましてはその方針のもとに指導してまいることは、先ほど責任局長からも申し上げているとおりでございます。し尿の処理の問題にいたしましても、先ほど答弁がございましたように、末端の処理はほんとうに完全な市町村の職員そのものがやっておりまして、収集の段階におきましての問題が先生の御指摘になっている問題だと思います。これは従来の経緯等もございましてこういうようなことになっていると思いますけれども、各市町村の実施に即応した点もよく考えて清掃法の精神を生かしてまいる努力を進めてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/119
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120・島本虎三
○島本委員 いま申し上げましたように、いろいろその清掃法の精神が殺されて生かされている傾向がありますから、生かして生かすようにしなければいけないと思います。第四十五国会に、政府としては今後請負にすることは規制するつもりだ、こういうようなことさえもはっきり言っておりましょう。そして自治省はそのあとで何か通牒を出して、委託にしてもよろしいというような意味のことを書いて流してあるということも聞いておるのです。私はそのようなことはちょっと行き過ぎであると思う。すぐ取り消すべきである。それは取り消させるのが厚生省としてのやり方です。現在どうですか、この特別清掃地域というものはまだまだたくさんあるのですか、この点お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/120
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121・松尾正雄
○松尾政府委員 特別清掃地区は、人口にいたしまして、現在人口の約七〇%がその地区になっております。今後次第に拡充をいたしまして、この五カ年計画の終わりますときには九〇%の人口が特別清掃地区になる、こう予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/121
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122・島本虎三
○島本委員 これはやはり九〇%の線まで上げるべきである、こういうように思います。
急ぎますから簡単に答弁してください。現在海洋投棄のし尿処理方法をとっているのは何カ所の市町村がございますかどうか。それが完全にいわゆる公海外というのですか、とにかくきめられた四万メートル以上のところまで持っていって投棄しておりますかどうか。それに関する事故等はございますかありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/122
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123・松尾正雄
○松尾政府委員 個所数につきましてはちょっと手元にございませんが、四十一年末でいわゆるくみ取りし尿の総量に対しまして海洋投棄されている量が一九%ございます。量にいたしまして一万四千二百五十キロリットル、一日当たりのキロリットルでございます。従前、三十七年の計画前におきましては、これが約二四・五%になっておりまして、その間に海洋投棄というものがそれだけ縮小したということになります。一時かなりこの海洋投棄ということにつきましてその規定の線を誤り、手前で投棄しまして御迷惑をかけたということがしばしばございましたが、最近におきましては、私どものところまでは、そういう事故につきましては報告はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/123
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124・島本虎三
○島本委員 特に清掃施設整備緊急措置法案、これとあわせて下水道の整備、この方面には残された計画年次の間に、いままで発言されたことを守って完全にこれを実施されるように、心から私は希望しておきたいと思います。
まだまだございますが、諸般の事情によって、きょうは私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/124
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125・八田貞義
○八田委員長 本島百合子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/125
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126・本島百合子
○本島委員 ただいままで真剣に論議をされておりますこのし尿、ごみの処理等については、人口が増加するにつれて当然急速にやらなければならぬことでございます。五カ年計画として出されておるのですが、ただいま島本さんからも言われたように、実質的には三年くらいの期間でございます。そういたしますと、この区間の中で計画をお立てになって、なおかつ残る分が出てくるのではないか。ただいま簡単に御質問されておったようでありますが、たとえばし尿処理の場合、海洋投棄分が幾ら残り、それから肥料として使われる部分がまた残るのではないかと思うのです。完全に汚水処理というようなわけにまいらないだろう。またごみの場合にいたしましても、焼却だけではなくて埋め立てされる、こういうようなことになろうかと思いますが、そういう部分がどういう程度に残るだろうか。ただいまも質疑を聞いておりまして、この計画どおりにはいかない、当初厚生省で計画をお立てになった部分が完全に実施されると保証されないような気がいたしますが、この点忌憚のない意見を聞かしてみていただきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/126
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127・松尾正雄
○松尾政府委員 し尿処理の方向につきましては、現在、先ほどお答え申し上げましたように、特別清掃地域、主として市街地の中に住んでおられる人口でございますが、これが約六千八百四十三万人あるわけでございます。その方々の排出いたしますし尿の量を従来は一リットルと計算いたしましたが、一・二リットルといたしまして、四十六年におきましては九千三百九十三万人、約九〇%の人口が特別清掃地域でこの清掃法の適用を受ける人口になると考えております。その際におきますところのし尿処理の私どもの計画といたしましては、その九千三百九十三万人のし尿につきましては、一〇〇%、水洗化なり、あるいはし尿処理施設で清潔にいたしまして放流いたしますなりというところに持っていきたい、こうねらっておるわけでございます。したがいまして、し尿処理に関しましては、この地区に関する海洋投棄とか不法投棄とかいうものはなくしたい、ゼロにしたいと考えております。ただ御指摘のように、日本全国で見ますれば、昭和四十六年におきましては、約一億五百万程度の人口になるかと思います。ただいまの清掃地区でカバーいたしますのが九千三百九十三万人でございます。残りのいわば純農村とか山村の中におられる方々のし尿というものにつきましては、これは自家処理というようなもので残ってまいる。先生の御指摘のようなものが残るかと存じます。
それから、ごみの処理につきましては、現在出されておりますごみの中で、可燃物、燃やすことのできるごみの五〇%が四十一年末におきましては焼却をされておるわけであります。これがしかしながら、先ほど来の御答弁申し上げましたように、ごみの量が急速に増加いたしますので、四十六年におきましての可燃物といたしましてのごみは、一日当たり六万九千七百トンに達するだろうと推定いたしておりますが、それの七五%分、五万二千五百トン分は完全に焼却をいたしたいと考えております。しかし残りの部分の二五%分、可燃物の二五%分は埋め立てが約一五%、それから堆肥とか肥料に使いますものが二%、自家、自分のうちで処分をしますごみが約八%くらい残るであろうというふうに考えた計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/127
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128・本島百合子
○本島委員 計画は書類で見てよくわかるのですけれども、実際五カ年計画の五カ年がないわけですね。だからそこを心配して先ほどからの御質問であったと思うのです。私どももそう思うのです。なぜかと申しますと、ごみにいたしましても、し尿にいたしましても、終末処理場をつくるという場合に、ただいま建設計画されているものがどのくらいあるかわかりませんが、実際の問題としてはなかなかこれは予定どおりに決定しないのじゃないですか。私、地方議員をしておりましたときに一番困ったのは、土地をきめましてもそれが最終的に決定するのは、五年から長いときには十年くらいかかっているのです。そうすると、この計画の線からまいりましてもかなりのものが残されていく、こう思うわけなんです。そうした場合における予算の使い方の問題も出てこようかと思うのです。そういう点はどのようにお考えになっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/128
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129・松尾正雄
○松尾政府委員 御指摘のとおり、し尿処理施設あるいはごみ処理施設を建設しようといいます場合に、地元におきましていろいろな反対運動ができまして決定がおくれるということは、事実ちょいちょい起こっておるわけでございます。私どもといたしましては、こういう計画を推進するにあたりまして、さような実態をよく検討いたしまして、たとえばそういう施設自体についての十分な御理解がいただいてないと思われる場合もございます。またその地域の選び方の条件、市町村当局の選び方というものにもそごがあったり、あるいは住民の方々との十分な事前の話し合いということがなされておらなかったというような、個々のケースがいろいろあるわけであります。また技術的な面から見ましても、それがどのようなものであるかということを十分検討いたしまして、周辺に迷惑をかけないような方法をくふうするというような、技術面におきましても、市町村自体にややぬかった例もあったかと思うわけでございます。私どもは、都道府県等を通じましても事前にそういった点を住民の方々に十分納得していただく、そしてスムーズにいくような指導をさらに強化したい、特にこの五カ年計画にあたりましてはそう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/129
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130・本島百合子
○本島委員 御丁寧な答弁をいただきましたが、実際の問題としてはなかなかそういかないのです。それはかりにきめましても五年や十年またたく間にたってしまうというのが実情なんです。特にいま機械化がすぐれておって、大体どのくらいの機械を使えば、たとえばごみの場合ににおいなどは消えてしまうのか、あるいはまた汚水の処理の場合におきましては、海水なり河川なりの汚染の度合いというものが減っていくのか、相当研究されておると思いますが、そういう点はどうなっておりますか、実例をあげてひとつ御説明してみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/130
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131・松尾正雄
○松尾政府委員 ごみにいたしましても、し尿処理にいたしましても、御指摘のように、その施設の能力、それからそれの使用のしかた、これを誤りますと非常に周辺に害を及ぼすという場合が多いわけでございます。したがいまして、きわめて技術的な問題でございますけれども、私どものほうでも、そういう施設の基準、どういうものをどの程度のものであればいいかというその消化能力、あるいはそれを維持するための、いろいろな細部にわたりますところの技術的な基準というものをきめておりまして、そういう細部にわたる技術的な指標、基準というものによりまして市町村が計画をしていただければまず間違いがない、そういう技術的な基本方針が非常に詳細に示してあるわけでございまして、そういったものを実施いたします市町村も、十分消化をしていただきまして取り組んでいただきたい、そういうふうに指導を強めるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/131
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132・本島百合子
○本島委員 先ほど山本委員から御質問があったようでございますが、非常に高い施設をつくってまいりましても、ごみを収集するときに、たとえば東京都の場合、初めは、普通のじんかいと、それから食料品から出てくる燃えづらいもの、こういうものが分類されておったのですね。現在ではそうでなくて、全部ごたごたになって持っていかれるわけです。そうすると、私どもの地域、世田谷でございますが、焼却炉があるのです。また一カ所つくるというので世田谷には二カ所もできるわけなんですが、現実に燃やされておるごみのにおいというもの、これはつくるときに絶対においませんという約束でつくったのですが、現実にくさいのです。そうすると、また新たにできようとするものについて住民がひどく反対する。あんなににおわない、機械化されてすばらしくなっているからと言われても現実にはにおうというようなことで、反対運動が猛烈にあるわけです。また、こういうし尿だとかごみの終末処理場等を誘致するために運動した人たちは次の選挙にはおっことされる、そういうことばすらあるわけです。ですから、あなた方が計画されても、おっしゃるようなぐあいにはまいらないと思うのです。こういう点、もう一度機械というものの保障がどの程度になされておるのか、そしてまた、そういう地方で現在何カ所くらい汚水処理場なりごみの処理場の建設の申請がなされておるのか、そしてそれが確実にこの五カ年計画の中で建設が終わるのかどうか、この点聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/132
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133・松尾正雄
○松尾政府委員 前段のほうの技術的な弊害を除くという問題でございますけれども、最近の大型のごみ処理施設等におきましては、たとえばにおいの問題にいたしましても、その余熱等を使いまして外部に空気が出ていかない、全部外から処理施設の中のほうに入るというような、いわば外部ににおいの漏れないような装置のもとで、温度差等をつけまして外部に出ないような技術的なくふうというものも現実に行なわれております。また煙突から出てまいります煙にいたしましても、これまたある一定度以上の熱を加えますれば、ほとんど全部の臭気というものは発散をいたしてしまいます。無臭になってまいります。そういう点のことは、すべてきちんとした一つの基準のもとに研究されておるわけでございますが、ただそういったものを運用いたしますのに、予定されました以上のごみを投入してしまう、あるいはきわめて燃えにくいものが重なりまして燃えにくくなったという、いわば操作上の不備が出てまいりますと、多少その点が破れてまいります。こういった点は、いわゆる建設のときの基準以外に、運営に当たりますときの設備の維持、管理、こういうものにも十分注意をしなければならない、そういう点が残れさております。
そのほかに、おそらく住民の方々の御不満の中には、その施設自体から出るにおい、こういうようなもの以外、運搬をされます過程におきますところのにおいというものが、やはり当然御不満になるかと存じます。こういう点は、いまの非常に過密な都市の中では一番苦労されておる問題でございまして、たとえばそういった点で収集作業を早朝ではいけないから夜間に持ってくる。こういう点も単に設備以外に運用面では非常にいろいろと関係者は苦労されておるわけでございます。私どもも、そういった点を今後とも十分研究を促進いたしまして解決をはかりたいと思いますが、一部にそういうものが起こっておることは、御指摘のとおりだと思います。
それから、し尿処理施設で過去の例を申し上げますと、三十三年から四十一年までの間に、毎年約六百から八百くらいの施設の申請がございました。これらにつきましては、すべて全部をその単年度で認めるというわけにもまいりませんですから、少しずつ繰り延べてまいっております。大体そのようなきわめて強い希望のもとに申請がなされておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/133
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134・本島百合子
○本島委員 大臣にお尋ねいたしますけれども、ただいま年間六百から八百ほどの申請が出ていると言われたわけでございますが、本来これだけの申請が出ておりましても、さて実施する段階になりますと、その費用が非常にかかるために、市町村ではなかなかできないわけなんです。そこで、起債のワクをふやせだとか、補助率を高めるとか、こういう陳情を毎年やっているわけだし、また大会も行なわれておるわけなんです。たとえば、そちらのほうからいただいた資料で見ましても、川崎市の場合でし尿処理が四億六千万円かかる。それから名古屋市の場合ごみの処理に十五億五千四百八十一万円かかるなんという資料をちょうだいしております。これだけのばく大な費用のかかるものは、現在の補助率なり起債率ではとうていこなしができないわけなんです。こういう点大臣はどういうふうにお考えになっておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/134
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135・園田直
○園田国務大臣 きわめて重大な問題で、補助率の引き上げも四分の一から二分の一に引き上げるという各方面の御要求があるし、前の方からもそういう御指摘がありましたが、今年度の予算を見ましても二億程度上がっておる。その二億程度上がったことが非常な飛躍的な上がり方といわれるほど、いままでは予算のつけ方というものが、どちらかといえば乏しいわけであります。したがいまして、率の引き上げ、予算の総ワクの問題について、その点を十分配慮して今後折衝していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/135
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136・本島百合子
○本島委員 通り一ぺんの大臣のお答えみたいでございますが、かりにいまこれだけの市町村の申請が出て実際やれるといった場合に、思い切って大幅に援助してやらないと——かりにこれが資金の面で多少ずれたとしますね。そうするととたんに反対運動というものは火の手をぱっとあげてくるというのがいままでのケースです。そういう意味では、やりたし、金はなし、そうして住民には反対される、だが処理はしなければならぬ、こういうような苦労を市町村ではかなりやっているわけなんです。こういう意味で、先ほどから言われているように、この五カ年計画も実質的には三年ちょっとしかないじゃないか、予算総ワクはきまっている、こういう場合における使い方という問題をくふうしてほしい、こういう御意見が出ておったわけでありますが、私もそう思うわけなんです。できるところからやっていくという形でない限りは、これはなかなか解決のできない問題だと考えているわけなのであります。この点もう一度大臣の御意見を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/136
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137・園田直
○園田国務大臣 その点は、ただいまもいまの方針でやっておりますが、今後とも十分注意をしてできるところから片づけてまいる、こういう方向でやってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/137
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138・本島百合子
○本島委員 次に、し尿処理の問題について、必ず都市において問題になっておりますものはし尿浄化槽の問題であります。東京都のような場合は、かつてはこれにどんどん補助金を出して浄化槽化されてまいったわけでありますが、さて今日はこれが常識のようになって、住宅地域では、下水道を待っておられない、ほとんど簡易浄化槽を据えつける、こういう形で非常に不良な浄化槽も出て、住民とのトラブルを起こしているわけなんです。こういう点についての指導、並びに市町村で費用の補助を従来しておったけれども、都市はほとんどこういう傾向になってきているのですが、この点についての特段の配慮が政府としてあるかないか、こういうことをまずお尋ねしたい。と同時に、どのくらいの普及率でこれが進んでいくと見通されているものなのか、この二点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/138
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139・松尾正雄
○松尾政府委員 浄化槽に関しましては、水洗化というものも、残念ながら下水道の整備がおくれております関係で、浄化槽に依存します率が非常に高いわけでございます。そのために、急いでつくりましてあとの維持、管理がうまくいかないというような問題のあることは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どものほうでも、やはり浄化槽の設備、構造及びその維持、管理というものにつきましては一定の基準をつけておりますけれども、何ぶん自分の家庭ではなかなか最終的な掃除とか始末がやりにくい問題でございます。したがいまして、当然掃除すべきときに放置しておくというようなことから能力も低下いたしますので、ただいまそういうような維持、管理のための技術者というものを養成いたしまして、講習等を行ないまして、そういう方々がその市町村を通じまして、そういう浄化槽の手入れというふうなものに乗り出していただくような方法を考えております。
それからこの計画でございますが、昭和四十一年度末におきまして、し尿浄化槽にたよっておりますのが七百八十三万人ということでございます。この五カ年計画ではさらに四百六十五万人分の浄化槽を増加いたしまして、約千二百四十八万人の方々が浄化槽による水洗化というような計画を定めておるわけであります。これにつきましての補助につきましては、地方の団体におきまして、特にやっておるところもあり、やってないところもありということで、いろいろまちまちであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/139
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140・本島百合子
○本島委員 これはかなりの費用がかかるものですから、やはりある程度の補助を考えて市町村に対する援助を与えないと、この普及率で進んでいくかどうか疑問だろう、こう考えております。
もう一つは、この浄化槽の問題については、年二回すればいいといっているのですが、年一回の掃除が必要とされておりますが、非常に費用が高いのです。そのために、各家庭ではやらないで、破損し故障して、しかる後に飛び込んでくるというような状態、御近所にはなまのまま流れ出していくというようなわけで、非常に評判が悪うございます。といってこれは放置できないので、し尿浄化槽管理業条例というような条例の準則みたいなものを通達に出されたと思いますが、そういう程度でもなかなかできない。そこで、こういうものを義務化していくということはできないのか。そうすれば、そういう浄化槽のある家庭では必然的にきちんとやっていけることになろうかと思うのですが、それがなされていない。そして汚水の流れ込むことでの紛争というものは町で絶えないわけなんです。そういう意味で、この点をどう指導されておるか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/140
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141・松尾正雄
○松尾政府委員 先ほども申し上げましたように、確かに、家庭で浄化槽をつくりましても、あとの維持、管理がめんどうでございます。そのために結局はいろんな不愉快な思いをするという例がございます。私ども、やはりこれは責任のある市町村が責任をとりながらお世話をしていくという方向をとるべきであるということで、市町村に対しまして、そういうことが実施できるような、いわば準則というものを示して、それによって市町村みずからがそういうお世話ができるようなしかけに持っていけるようないま指導をしておる段階でございます。
なお料金が非常に高いという問題がございます。それにつきましては、ただいま特別の研究会で、料金等をいかに定めるべきか、検討を続けさせておるわけでございます。そういったものができましたならば、なお市町村にも、先ほどの準則と合わせまして徹底をはかりまして、費用がかからないような方法で処理したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/141
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142・本島百合子
○本島委員 いまの問題について、やはりある程度義務化していかさない限りにおいては、解決のできない問題じゃないか。非常にひんぱんに起こっておる問題だ、こういうことになるので、私は特にそれを主張しておるわけなんです。
それから、ただいまし尿、ごみ、ともに直営方式をとるべきであるということが大体参議院のほうできめられておった。それがいま比率を聞きましたら、非常に少ない。すると現実には委託業者というものがあるわけなんです。全国的に見て委託業者がどのくらいあるのか。そして委託業者の人々のお話によりますと、この料金等が、三十九年二月に値上げになって三年七カ月も据え置かれておる。そこで適正料金でないために、労務者の支払い、あるいはまた労務者を相当優遇しなければ、こうした汚物を取り扱う仕事でございますから、人手がない。こういうことで苦しんでおられる様子です。こういう点はどのように考えておられましょうか。
もう一つは、この料金の問題については、特に東京都の場合は、運輸省の陸運局と東京都で話し合いがつかない。そこで、何とかあっせんの労をとって話し合いをつけましょうという公約ができておった。ところがこれがいまだに解決していない、そのために非常に困っておる、こういうお話も聞いておるのです。とにかく汚物の処理について、私ども、ごみにしても、し尿にいたしましても、あの終戦直後の困ったときのことをすぐ思うわけなんです。たとえば、自分のうちのごみの量というものを考えないできめられておる日数で、一日でもおくれたとしたら家庭はたいへんな騒ぎなんです。地方の行政の中で一番苦情の多いものはこのごみとし尿の処理の問題だと、こう言われておるくらいなんです。それだけが政治じゃないのだと言ってみたところで、やはり家庭の主婦にとってはこの問題の解決を一番の悩みの種になっておるわけなんです。したがって、委託というものがある限りにおいては、やはりこういう人々が成り立っていけるように補助していかなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、この点、厚生省並びに運輸省から御意見を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/142
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143・松尾正雄
○松尾政府委員 清掃法で許可業種といっておりますのは、全国で約三千八百くらいでございます。しかしながら、委託のほうは特に許可の問題もございませんので、その数は必ずしもつまびらかにいたしておりませんわけでございます。
その料金問題でございますが、これは一応市町村が条例できめまして、その条例以上は取っていかぬ、こういう仕組みになっております。しかもそれは適正なものでなければならないという原則になっております。ただいま御指摘のような三年数カ月の据え置きというようなものは、おそらくそれぞれの個々の地方公共団体における例ではなかろうかと考えておりますが、それはあくまでも適正でなければなりませんし、また先生御指摘のように、かりにそういうもので運営しなければならないといたしましたならば、やはりそういう需要があって仕事が成り立つということも考えていかなければならないかと思います。しかし同時に、それが住民の負担をさらにふやすような方向では相ならない問題だと思います。その点は市町村が厳正な態度できめるということを法律で律しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/143
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144・渋谷正敏
○渋谷説明員 この種の運賃は特殊な運賃でございまして、いずれ申請を待って判断させていただきますけれども、いずれにしても東京都の考え方が前提となるのでありまして、運輸省といたしましては、東京都の考え方を尊重して処置してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/144
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145・本島百合子
○本島委員 ここで私思い起こすのは、北九州市の問題でございますね。あの紛争がありましたときに、いろいろ調べてみましたが、やはり適正料金ということ——あそこは直営がほとんどで、小倉市だけが別になっておったようでございますけれども、あのときの状態を見ておりますと、役所でやる仕事と民間でやる仕事、これとの差が非常にあるような気がいたします。もちろん料金等が高くなって、それが市民にふっかけられるということになれば、これは困るわけでございますが、やはり無料でやるというのが原則だという形において、し尿にいたしましても、ごみにいたしましても、それは国と市町村がある程度の負担をしながらでも、業者に対してもある程度のめんどうは見ていかなければ、ほんとうにこういう問題がふん詰まりになってくるときがくるのではないか。現にストライキでも起こしかねないような情報も入ってきております。こういうような点どのようにお考えになるか。また運輸省として適正とおっしゃるならば、その適正料金というものを——大体業者の方々は一五%か二〇%くらいの要望で出されておると思います。それが適正であるとお思いになるか、でないとお思いになるか、市町村がきめることだ、東京都の場合は都がきめることだからと言われますけれども、そういう実際の面でそれが不当と考えられているのか、またその程度は考えてやらなければならぬと考えておられるのか、監督官庁である運輸省あたりの御見解も聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/145
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146・渋谷正敏
○渋谷説明員 まだ申請が出ておりませんので最終的なことは申し上げられませんけれども、前回の改定が四十年の二月ないし三月でございますので、その間三年以上もたっておりますので、その点も十分勘案して検討させてもらいたいと思いますけれども、いずいにいたしましても、まだ申請が出ておりませんので申し上げられません。
〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/146
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147・松尾正雄
○松尾政府委員 先ほどの料金の問題でございますけれども、先ほど来申し上げましたように、市町村で条例をもってきめまして、そうしてそれが不当に住民のほうにかからないように配慮いたしております。同時に、そういう料金の算定につきましては、具体的な原価計算の方式をこまかく示してつくる。それは地方によってそれぞれ実態が違うかと存じますが、そういう原価計算の方式によってこれを算定した上で市町村できめてほしい、こういう形でございます。先生のおっしゃるような趣旨の問題は、そういう計算過程の中で私は生かされてまいるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/147
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148・本島百合子
○本島委員 いまのし尿の場合、特に手数料、委託料と、こうなりますね。そうすると、手数料は私ども主婦が払うわけなんです。あれはチケット制になっていて、町で売る場所があって、切符を買うことになっているんですね。こういうことをやっていても、現実にはそんなことはなかなかやらいないんです。それで現金で払う者の数のほうが多いわけです。このし尿処理についても、何とか無料という形を見出すことはできないか。そのためには、やはりよほど国家からの援助がなければ、地方財政としてはこれはまかなうことができない、こう思うわけなんですが、この点どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/148
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149・松尾正雄
○松尾政府委員 御指摘のように、業者がかりに手数料を取るというようなことは、非常にトラブルのもとになります。したがいまして、かりに委託という形をとりましても、この委託の場合は、市町村が委託をいたしますので、住民から手数料を取るということは、原則としてないわけでございます。いわゆる業者が行ないます場合でございましても、そういう手数料の取り方というものにつきましては、市町村が十分いろいろな方法でひとつ考えていく。おっしゃるように、チケット制をやりますことは、確かにお使いになるから見ますと不便がございましょうと思いますが、しかしながら、同時にまた、現金を直接お払いになるということは、実際過去の例ではいろいろ問題を起こしております。その辺のやり方は、やはりその土地土地によりまして、市町村においても同様にいろいろな方法が考えられますので、くふうをしてくれということで私どもは指導しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/149
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150・本島百合子
○本島委員 時間が参りましたので、最後に大臣にお尋ねをいたします。
実はもっと時間をちょうだいできるものと思って用意いたしましたが、時間が少ないために、実際問題でお尋ねしたい点だけを拾ってみたわけです。要は、このし尿処理にしても、ごみ処理にしても、浄化槽にしても、ほんとうに家庭の主婦が最も悩む問題でございます。それだけに、この五カ年計画が出るのはおそ過ぎたほどだと思うわけなんですが、それにしても実質的には完全にやれることなんですが、先ほどから答弁を聞いていても、うまくいくような気がしないのです。私は、計画は計画であって、四十六年度の末になってその計画どおりにはまいらないと思うほうが強いんです。したがって、そういう場合において大臣は、この問題の解決のしかたとしてどういうふうに考えられるか、いま一度お聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/150
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151・園田直
○園田国務大臣 御意見のとおりでございまして、計画の推進にあたってもきわめて大事であるし、なおまた、ごみは、われわれが予想しておるよりも、あるいはもっともっとふえてくるかもしれません。しかも家庭に最も大事な問題でありまするから、これを閣議にかけまして、浮き彫りにして、政府の責任において推進できるよう措置するとともに、年々の予算については十分その点に留意したいと考えておりまするが、もしいま御指摘のようなことがありまするならば、早めにこの計画を変更して、そして重点をしぼりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/151
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152・本島百合子
○本島委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/152
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153・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 伏木和雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/153
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154・伏木和雄
○伏木委員 時間もないようですから、若干の御質問をいたします。
経済社会発展計画の中で、「社会開発の推進」、これにつきまして「経済社会の発展と調和のとれた国民福祉の向上を実現する」、このようにあります。また、「地域社会の発展の方向」として、政府では「英知と勇断をもって、新しい地域社会を真に健康で文化的な生活を約束する方向」、このようにうたっております。英知と勇断ということをここで強調しているわけですが、今回のこの法案は、はたして今日社会に山積している幾多のし尿あるいはごみ処理等について、この発展計画でうたっているような英知と勇断をもってつくられているかどうか、その点まず大臣にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/154
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155・園田直
○園田国務大臣 改正の時期ももっと早く、しかももっと早く計画をつくらなければならなかったと思いまするが、その第一歩を踏み出したものとして御了承願いたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/155
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156・伏木和雄
○伏木委員 いままでいろいろ質問がありましたが、これらのごみあるいはし尿の問題につきましては、根本的な問題は財政措置ではないか。このような計画が出されておりますが、はたしてこれが地方自治体において消化できるかどうか。補助金あるいは起債等の問題がいままでも出ておりまして、計画にはたして地方がついていけるかどうかということが一番の問題ではないかと思います。こうした点において、今回の財政措置というものが将来にわたって拡大されていくか。処理場等の計画であって今日まであった計画が、地方自治体がそれに乗り切れないで、財政措置の上からそれについていかれないでおくれている部門も、もちろん多々あると思います。こうした点についてこの財政措置で、はたして政府のお考えとしては、いままでにおくれている地方の分も含めてお考えになっているのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/156
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157・松尾正雄
○松尾政府委員 過去におきましての計画におきまして、実施すべくしてできなかったような地方公共団体がございますことは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、新しい計画におきましては、かようなおくれているものはこの五年の中に入ってくるという、そういう計画として組み立てたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/157
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158・伏木和雄
○伏木委員 今後の五カ年について、いただいた資料で二、三お伺いしてみたいと思います。
まず第一番には、四十一年度においては、国はこの前の計画で一人当たりのごみの排出量を五百グラムと推定しておったわけです。ところが現状は一日のごみ排出量が七百二十グラム、約五〇%近く排出量が上回っている。今回の計画でいきますと八百三十七グラムと推定している、こう言われておりますが、前回と同じように、今後の経済社会の発展の関係から、これでおさまらないのではないか。これは欧米に例をとったようでありますが、わが国の場合は欧米と比べまして、商品の包装等におきましても、欧米以上に極論すれば乱費されているのではないか。したがって、販売競争の過激になるおりから、こうした処理しなくてはならない排出物はもっと多くなるのではないか。そうなるとこの計画はたちまちくずれていくのではないか、このように考えますが、この点についての見通しはどういうお考えを持っておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/158
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159・松尾正雄
○松尾政府委員 御指摘のとおり、過去の旧五カ年計画におきましては、一日当たりのごみの量をほぼ五百グラムとして据え置いたところに大きな欠陥があったということは、私どもいま反省をいたしておるわけであります。したがいまして、新しい計画ではそれを増量させて計画したいと思っております。それの目標といたしまして、昭和六十年におきましての国民一人当たりのごみの量を、昭和四十一年の計画当時の五百グラムの三倍、千五百グラム、こう考えているわけでございます。これは、大体いま御指摘もございましたが、ニューヨーク等の現状に近いところでございます。その程度までいくであろうということを、年々増加させていくというベースの中で考えておるわけでございます。四十六年の八百三十七グラムというものは、そういう意味では、あるいは多少の狂いはあるかもわかりませんが、ほぼ近いものに推定し得るのではないかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/159
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160・伏木和雄
○伏木委員 そうなってまいりますと、この可燃物質の処理、これが現在四万四千四百六十五トン、この一日の排出量に対しまして焼却が約五〇%。今度の五カ年計画によりますと、この排出量が六万九千七百トンにふえておりますが、これに対する焼却量が五万二千トンということで、確かに五〇%から七五%の焼却量にはなっておりますが、しかし焼却できない部分の量というものは、差し引きするとそう大差ないのではないか、現在焼却できない部分はこの五カ年計画においてもそのまま残されていくのではないか、こういう計画のように思うのです。したがって、今日の環境をよくする方向に進むと言っておりながら、現実には焼却できない量がたくさん出てくる、こう考えますが、この点についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/160
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161・松尾正雄
○松尾政府委員 御指摘のとおり、現在可燃物の五〇%を焼いておりますのを七五%まで焼却をしたい、こういう計画でございますが、残った部分の絶対量は多少は減ってくると考えております。何しろごみの量そのものが非常に増加をいたしますので、先生御指摘のように……
〔私語する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/161
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162・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/162
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163・松尾正雄
○松尾政府委員 残った部分の、特に埋め立て等の量というものは、現在よりもふえるかもしれない、こういう状況にあることは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、こういう埋め立て地をどこに求めるかというような問題につきましても、今後大きな問題になろうかと考えておりまして、私は、やはり一市町村を越えまして共同でそういうところをさがすなり、合理化するということで対処しなければならない。やがてはこの部分を一〇〇%まで持ってまいりたいと思いますが、この五カ年計画で、御指摘のように、そういう問題がなお残されておるというような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/163
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164・伏木和雄
○伏木委員 この五カ年計画でも現在とそう変わらないほどの焼却できない量が残されていく。従来こうした焼却できない部分を肥料に置きかえておるというようなことも伺っておりますが、ところが化学肥料の発達によってこうした部門がさらに削られていくのではないか。そうすると、今日以上に焼却できない部分が残されてくるのではないかという点が大きな心配になってくるわけです。
こういうように、今日の焼却以外の処理、この部分が将来変わっていくわけですから、それに対して、肥料あるいは肥育飼料、これらに用いられなくなった残飯、こうしたものの処理はどういうふうにされていくか、これが上のせになるのじゃないかということははっきり言えると思いますが、こうしたことにもお考えになっているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/164
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165・松尾正雄
○松尾政府委員 化学肥料等の普及というものが非常に進んでまいりまして、いわゆる農村に還元——衛生的な意味でも還元するという傾向がだんだん少なくなることは、御指摘のとおりでございます。私ども、最近いろいろと専門のほうからもお聞きいたしておりますと、こういうごみを高速堆肥化法で処理をいたしまして、それが再び農村に還元されますならば、土地の保護と申しますか、そういう面でも非常に有利であるというような御意見もいただいているわけでございます。したがいまして、さような問題につきましては、ただいま率直に言って、そういうコンポスト法というものは下火になってまいっておりますけれども、私どもは、やはり単に焼却する、埋め立てるというだけでなくて、有効に使うという意味から考えましても、今後コンポスト法の活用をはかりたい。これには、やはり化学肥料等の現勢ということもありますが、私どもも、早急に農林省ともよく連絡をとりまして、そういう道の打開をはかってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/165
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166・伏木和雄
○伏木委員 時間もありませんのでどんどん先へ進んでまいります。
燃焼量は増加したとはいえ、先ほどから指摘をいたしましたように、焼却できない部門があるわけですが、これから出てくる問題としては、不燃性物質といいますか、そうしたものの処理が問題になってくるのではないかと思います。焼却量等はふえたとしても不燃物質が出てくる。たとえば電気冷蔵庫とかテレビまたは洗濯機とか、今日こういうものを下取りしないというような問題が起きているわけです。こうしたものの処理を考えていかないと、ただ単に焼却炉だけでもって今後のごみの処理ができるのだという考えになると、将来また行き詰まりが出てくるのではないか。こうした不燃性物質に対する処理については、この計画ではどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/166
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167・松尾正雄
○松尾政府委員 ごみの量全体の増加の中には、さような面も多少入っているかと存じます。しかし、私ども一番心配をいたしておりますのは、ただいま御指摘のように、耐久消費財あるいはテレビ、ラジオ、そのうち自動車も汚物として登場するようになるだろうと考えております。またいろいろな建材等の廃材というようなものも、非常にやっかいな問題であると考えております。これらにつきましては、いわゆる焼却の方法等では処理ができませんので、ただいま埋め立てその他の方法によっているわけでございますが、これもやはりばく大な量になりますと、とうていそういうことで処理できません。したがって、これについては外国でも非常に困っている問題のようでございますが、私どもも、やはり技術的な開発というものとあわせて対処しなければならない問題であると考えております。幸いにして、最近におきましてはいろいろな耐久消費財等を圧縮いたしまして、きわめて小さな面積の中にがちっとかためるという方法も開発されてまいりまして、おそらく実用化の段階に入り得るのではないかと私ども見込んでおります。そういったものが、これから従来のごみの焼却にかわりまして、それと並行いたしまして、そういう耐久消費財の処理のために登場してまいるかと思いますが、ただいまのところ、そういう技術的な面の検討を続けつつある段階でございますので、おそらく今後はそういったものに、政府といたしましては必ず真正面から対処しなければならない時期がくるであろう、こう予測をいたして検討を進めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/167
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168・伏木和雄
○伏木委員 この点は大臣にも承っておきたいと思いますが、ただいまの問題はそんな遠い将来の問題ではない。こうしたものを処理できずに、汚物の処理の回収ではこういうものは持っていってくれない、どうしようかという問題が現実に起きておりますし、いまの局長の答弁のように、遠い将来の研究課題とすべき問題ではないと思うのですが、今後すぐ起きてくるこうした問題について、厚生当局としてどうお考えになっているか、今後どうされるか、大臣の見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/168
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169・園田直
○園田国務大臣 その処理方法について目下清掃事業近代化研究委員会で検討願っておりますが、なるべくすみやかに御検討願い、われわれのほうでも検討いたしまして、早急にその措置を講じたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/169
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170・伏木和雄
○伏木委員 もう一つ燃焼物について承っておきたいことは、最近食品衛生の上から、食品に対する包装等は非常にやかましくいわれております。こうしたことからビニール等が非常に包装材として用いられております。また合成物質の進歩で、いろいろと合成物質を用いた製品がたくさん出ております。こうしたものの燃焼について、これら合成物質は燃焼すると有毒ガスを発生する。ますます盛んになっていくこれら合成物質製品に対して、従来の焼却だけでは、せっかく環境衛生の立場から焼却炉等をつくっておりながら、地域住民から非難される。焼却炉ができたばかりに地域住民の環境をかえって害するというような公害問題も発生してくるわけです。こうした合成物質等の大量の処理についてお考えになっているかどうか、この点もあわせて承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/170
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171・松尾正雄
○松尾政府委員 いろいろな合成物質が、多数汚物の中、ごみの中に入ってまいります。最近建築の火災等でも指摘されておりますように、それがきわめて有毒なガスを出すという問題もございます。また同時に、焼却炉のほうにとりましても、塩化ビニール等が大量に入りますと、焼却炉自体の故障の原因になったり能率を下げたりしているわけでございます。現在までのところは、たいへん手間もかかりますけれども、できるだけそういうものは取り除くということを主にいたしまして、その害を防ぐようにいたしておりますけれども、おそらく、御指摘のようなごみの質そのものの変化というものに対応いたしますためには、設備の構造あるいは煙突の高さ、その他の問題についても、今後は十分配慮しなければならないと思います。またそういったものの具体的な処理方法は、必ずしも現在確立をしておらないわけでございます。私どもは御指摘の点については大事な問題として十分取り組んでまいりたい、そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/171
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172・伏木和雄
○伏木委員 次は、し尿の問題について一点だけ伺っておきます。
最近農業では家畜飼育の奨励を盛んに農林省ではやっております。これに伴って家畜のし尿の問題ですが、これがきわめて無計画に取り扱われているのではないかというように考えられますが、これがまた農家の負担にもなっているようですが、こうした家畜のし尿に対する計画をこの五カ年計画で見てまいりますと、人間の問題だけしか取り扱っていない。農林省でどんどん奨励している酪農、家畜の飼育について、これに並行して出てくるこのし尿問題について厚生当局はどうされるか、この点もあわせて明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/172
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173・松尾正雄
○松尾政府委員 動物のふん尿は、特に豚等においては、先生御指摘のように、量が人間よりも多い。豚等でございますと、えさにもよりますけれども、五倍から以上出るという場合もございます。その上に非常にやっかいな問題は、生物化学的酸素要求量、いわゆるBODといわれているものが非常に高い。有機物が非常に高い。したがいまして、人間に換算いたしますと莫大な量の数に換算されます。したがって、これを下水等で処理いたすといたしましても、人間とは比較にならない処理能力を持たなければならない。現在までここに特に率直にいって悩みがございます。ただいままでは、市町村が清掃法で、多量の汚物を出すものといたしまして、その出す事業場自体に対してしかるべき指示を与えまして処理をいたしておりますが、さようなことでは、多量の処分というものは個人ではできないというような状況にあるということは、御指摘のとおりでございます。私どももこういう問題については、一つはその処理方法の技術的解明ということについていろいろ御研究願いまして、ようやく農林省との間にお話もだんだん進んでまいりまして、ことし農林省が、全国でかなり大きな規模のそういう多頭飼育のところで、三カ所の実際的な実験をする段階になっておるようであります。私どもも、そういう結果を見ました上で、あらためて具体的な対策を農林省とともに立ててまいりたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/173
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174・伏木和雄
○伏木委員 いま局長の御答弁にありましたけれども、豚一頭では、このし尿を処理するのに、人間に換算すると大体五十人分といわれているようです。そうしますと、豚を千頭飼っている業者というものがありますが、豚を千頭飼っていると、人間に換算すると大体五万人。したがって、小都市ぐらいのし尿処理の考えを持っておらないと、この問題は解決できないわけです。家畜が奨励されていった場合、人間の問題よりも、むしろこっちのほうが大きくなってしまうのではないか。大体千頭で五万人分ですからね。五万人の人口の都市をかかえているようなものです。これに対して今回の計画が全然触れてないという点で、こうした農林省の酪農奨励と並行しない厚生省のし尿処理対策というように考えられるのですが、こんな大きな問題がなぜこの計画に移されていないか。また、やるとすれば今後どのようにやっていくか、厚生大臣からお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/174
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175・園田直
○園田国務大臣 ただいまお答えいたしましたとおりに、家畜のふん尿については、まだ技術的な処理が解明されておりませんので、ここに非常に困難を感じておるわけでございますが、農林省と協力して御検討願い、これは人間のし尿以上の問題でありますから、これをどのように処理するか、あるいは肥料にどのように売られていくか、そういうことを検討するつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/175
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176・伏木和雄
○伏木委員 時間もないようですから、大体以上でやめておきますが、最初申し上げましたように、この汚物処理につきましては幾多の問題が残されております。これを解決する道は財政措置以外にない。大臣の積極的な行動によって財政措置をとられていけば解決できていく問題である、このように考えます。
焼却炉等におきましても、地方に対する補助金は初年度の一〇%というように聞いております。こうしたわずかな補助金しか出ておりません。私は一〇%と聞きまして、これは全費用の一〇%、こう考えておりましたら、初年度の一〇%しか出ない。土地買収等に時間をかけまして、地方の財政から見て四億程度の焼却炉をつくるということになりますと、三年計画でやりますと一億三千万、その一〇%というとわずか千三百万。四億の焼却炉をつくるためにわずか千三百万しか補助金が出ない、こういう現状になっているようですが、これでは、せっかくこの法律をつくり、計画を立て、七五%までの焼却を目ざしたとしても、地方においてこの計画についていかれない、このようなことが心配になるわけですが、最後に、大臣に今後この計画を進めるにあたっての地方に対する財政措置について承って、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/176
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177・園田直
○園田国務大臣 各位の御意見の中に、いろいろ重大な御意見、特に地方財政上の問題及び技術的にこの五カ年計画になお留意が足りない点、なお不十分な点等いろいろ御意見を承りましたので、その点を考慮して計画を充実しつつ、財政上の問題についても十分努力して、計画を遂行するようにいたす覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/177
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178・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/178
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179・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 次に討論に入るのでありますが、別に申し出もございませんので、直ちに採決いたします。
内閣提出の清掃施設整備緊急措置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/179
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180・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/180
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181・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 この際、渡辺肇君、山本政弘君、本島百合子君及び伏木和雄君から本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
その趣旨の説明を求めます。山本政弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/181
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182・山本政弘
○山本(政)委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表いたしまして、清掃施設整備緊急措置法案に対し、附帯決議を付するの動議について御説明申し上げます。
その案文を朗読し、説明にかえさしていただきます。
清掃施設整備緊急措置法案に対する附帯決議
政府は次の点についてさらに努力を払うべきである。
一、清掃業務の直営実施についてはその指導を強化すること。
二、地方公共団体の交付税基準単価の引き上げについてはさらに努力すること。
三、清掃労働者の労働条件の改善についてはこんごも一層の努力を行なうこと。
四、ごみ処理に要する補助金の増額に一層努力すること。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/182
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183・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 本動議について採決いたします。
本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/183
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184・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 起立総員。よって、本案については渡辺肇君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。厚生大臣園田直君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/184
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185・園田直
○園田国務大臣 清掃施設の整備とともに、清掃事業の運営を適切にすることは、国民の環境衛生のためきわめて重大な問題でありますので、ただいま本法案に寄せられました決議については、その趣旨を十分体して努力してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/185
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186・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/186
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187・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/187
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188・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 この際、本会議散会まで休憩いたします。
午後零時五十二分休憩
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午後三時三十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/188
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189・八田貞義
○八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。内閣提出の船員保険法の一部を改正する法律案、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、及び社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案の三案を議題とし、審査を進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/189
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190・八田貞義
○八田委員長 提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣園田直君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/190
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191・園田直
○園田国務大臣 ただいま議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
今回の改正案は、陸上の労働者についての失業保険及び労働者災害補償保険との均衡をはかるため、船員保険の失業保険金の算定方法並びに職務上の事由による障害年金及び障害手当金の障害等級表を改めることとするものであります。
改正の第一点は、現在失業保険金の支給日額については、その最低額を含め、具体的に法律で規定されているため、社会経済情勢の推移に応じ迅速に改善を行ない得ないうらみがありまするので、この点を改め、法律においては失業保険金の金額算定の基準を規定するにとどめ、この基準に基づく具体的な金額については、厚生大臣が社会保険審議会の意見を聞いて定めることとしたことであります。
改正の第二点は、労働者災害補償保険の障害等級表について、昨四十二年十月、一酸化炭素中毒症対策の一環として精神神経障害に関する等級格づけの改正が行なわれたこと等に伴い、船員保険の職務上の障害等級表について、この際、労働者災害補償保険の障害等級表と同じ内容とするため改正を行なうこととするものであります。
以上がこの法律案を提案する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
戦傷病者、戦没者遺族及び未帰還者の留守家族に対しましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法、戦傷病者特別援護法、未帰還者留守家族等援護法等により、各般にわたる援護の措置が講ぜられてきたところでありますが、今般さらにこれらの援護措置の改善をはかることとし、この法律案を提案することといたした次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正でありますが、別途、今国会に提案されております恩給法の一部改正による傷病恩給及び公務扶助料の増額に関連いたしまして、障害年金、障害一時金、遺族年金及び遺族給与金の額をそれぞれ増額することとしたものでありまして、増額の程度については、恩給法のそれにならっております。
第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正でありまして、戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金の額の増額に準じまして、留守家族手当の額を増額することといたしております。
第三は、戦傷病者特別援護法の一部改正でありまして、長期入院患者に支給する療養手当の額を増額することといたしております。
以上が、この法律案を提案いたしました理由及び内容の概略でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、みすやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
社会福祉事業振興会は、社会福祉施設の設備及び運営に必要な資金の融通等を行なう特殊法人であります。
老人ホームなど民間の社会福祉施設で老朽度の著しいものは緊急に建てかえる必要があるため、昭和三十八年度から昭和四十二年度までの五年間においてその整備を計画的に推進することとし、その建てかえに要する資金のうち、いわゆる自己負担分については、昭和三十八年度から昭和四十一年度までの間は年金福祉事業団から、昭和四十二年度は社会福祉事業振興会から、それぞれ、利子を徴しないで融資してきたのでありますが、さらに、昭和四十三年度から昭和四十五年度までの三カ年計画でその整備を続行することとして、社会福祉事業振興会が利子を徴しないで貸し付ける期間を昭和四十五年度まで延長しようとするものであります。
以上が、この法律案の提案の理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/191
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192・八田貞義
○八田委員長 船員保険法の一部を改正する法律案に対して、質疑の申し出がありますので、これを許します。加藤万吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/192
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193・加藤万吉
○加藤(万)委員 本法案の審議にあたって、最初に私は、本法案の中にある基礎となるべき報酬の算定基礎について、若干質問を申し上げたいと思います。
質問申し上げる動機は、「船員保険法第四条ノ二第一項第四号の規定に基づく報酬月額の算定方法」、その問題について疑義を持ったからであります。疑義を持った第一点は、この算定方法の中の二の一に、「基本となるべき固定給の額(この額が乗船中において増加すべきものとされている場合は、増加する前における額)」こういうふうに実は規定をされておるのであります。そしてこれを表示としては、S+T+(S×P)+U こういう形で標準報酬月額の算定基礎がありますが、この算定の方法に基づいて船員の通常支払われている賃金が公平に標準報酬月額になっているかどうか、このことに実は疑問を持ったわけであります。
船員の賃金の体系については、たくさん形があるようでありますが、船員の本人本給、それと保障本給、乗船本給、このいわゆる本給の体系が、下船中の場合と乗船中の場合には相当差がある。この差が正当に報酬月額としてこの方式によって算定されるのか、特に問題になりますのは、このカッコの中にありますS×Pすなわち乗船中の賃金を率で割り出して、率に本人本給をかける、この率が正当に数字的に算出できるものであろうかというところに実は疑問を持ったのであります。
そこで、第一にお伺いをいたしますが、このS×Pというケースといいましょうか、率といいましょうか、これは今日の次元で平均的には何%くらいになっておるものでしょうか、御質問を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/193
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194・加藤威二
○加藤(威)政府委員 ただいまの御質問のPの数値でございますが、平均いたしまして八八%という数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/194
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195・加藤万吉
○加藤(万)委員 船員の賃金の本人本給というのは、乗船した場合にいわゆる保障本給、乗船本給になるわけですが、この本人本給と、保障本給ないしは乗船本給は、リンクをしていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/195
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196・加藤威二
○加藤(威)政府委員 御指摘のように汽船関係——漁船はまた別な標準報酬のきめ方をやっておりますが、汽船の被保険者関係につきましては、いま先生御指摘のような計算で標準報酬をきめておりますが、乗船本給につきましては、職種、たとえば船長であるとか、機関長であるとか、一般の船員であるとかいう職種と、それからその職種における経験年数、そういったものによりまして個々にきめられておる、こういうことでございます。
それから本人本給は、また会社がそれぞれのベースがございまして、各会社ごとに別々にきめておる、こういう実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/196
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197・加藤万吉
○加藤(万)委員 そうしますと、本人本給に、ある一定の率をかけたものが保障本給になる、こういうのではないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/197
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198・加藤威二
○加藤(威)政府委員 その率は先ほど申し上げましたたとえば八八%に結果的に出てまいります数字でございまして、考え方といたしましてはまず本人本給がございまして、それに家族手当というものを加える、それから乗船することによりまして乗船本給、そのほかに乗船本給に対応してスライドするところのいろいろな手当がございます。そういうものを組み合わせたS×Pという数字が出てくるわけでございまして、結果的に八八%というような数字が出てまいります。そういうことでございます。最初は積み上げておる、その平均が八八%、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/198
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199・加藤万吉
○加藤(万)委員 賃金体系についてあまり熟知していませんから、質問の要点が少しはずれているかと思いますけれども、私の聞きたいのは、本人本給というものと保障本給というものがいわゆる別個に賃金体系として存在をする、たとえば保障本給の場合には職種、職別の最低保障本給が、トン数や航路によって五ランクに分かれているというふうに私は聞いておるわけです。そうなりますと、本人本給というものと保障本給というものは必ずしもリンクしていない。本人本給にあるパーセンテージをかけたものが保障本給になっておるのではなくして、いわゆる乗船中の本給というものと本人本給というものが体系上も違うし、必ずしもそれがある一定の率をかけてイコールの形になって保障本給になっていない、そういうふうに私は見ているのですが、この点間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/199
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200・加藤威二
○加藤(威)政府委員 私の説明が先ほどのはあるいは必ずしも適当でなかったと思いますけれども、その八八%という数字はいま申し上げましたように、積み上げた結果が平均八八%になっておるということを申し上げましたので、先生御質問の点に端的にお答え申し上げますと、先生御指摘の点は本人本給と乗船本給の関係、これは乗船本給は大体本人本給の二〇%増しというぐあいに一応リンクされておるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/200
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201・加藤万吉
○加藤(万)委員 保障本給というものについてはどうですか。乗船本給はわかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/201
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202・河毛一郎
○河毛政府委員 ただいま、乗船本給と保障本給と本人本給の関係を御質問になったわけでございます。簡単に申し上げますと、汽船の場合、船員の俸給表は本人本給と保障本給の二つがございます。先ほど御説明がありましたように、本人本給は会社別の俸給表でございます。それから保障本給はそういったものではございませんで、一般的に職種別の俸給表でいわば職務給的なものでございます。
そこで、この三者の関係でございますが、本人本給の二割増しと職務保障給とを比較いたしまして、いずれか高いほうが、具体的な人についての乗船本給になる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/202
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203・加藤万吉
○加藤(万)委員 わかりました。したがって、本人本給というものと保障本給というものはいわゆる体系上は別建ての形になっている。したがって、ここに述べているSというもの、報酬月額を算出する基礎のSというものは、必ずしも乗船中の賃金を正当には出していない。したがって、結果的にそれを正当化するためにS×Pという数字が率として出てくるわけです。この率が先ほどの御説明では八八%ということですが、その八八%がたとえば保障本給に直して他の諸手当、この方式でいきますれば保障本給をSにおいて、あとカッコの中をとって出した報酬月額というものと一体どちらが高くなるでしょうか。——わかりますか。いま一ぺん言いますと、Sというのはこの条文によればいわゆる乗船中の賃金を含まない、簡単に言えばそういうふうに理解していいわけですね。ところが、このSを乗船中の本給及び保障本給なりに置きかえて、そして率のかける分をなくしていく。いわゆる乗船中の諸手当を総合したものを率で出していくわけですから、それをなくした答えと、この方式で出す答えと差が出てくるかこないかという問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/203
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204・加藤威二
○加藤(威)政府委員 ただいま船員局長から御説明がありましたように保障本給か、あるいは本人本給の二割増しのどっちか高いほうを乗船本給にする、こういうお話でございましたので、保障本給は当然本人本給よりも高い額が一応出るというぐあいに考えられますので、本人本給を保障本給に置きかえて計算いたしますれば、当然高い標準報酬になるだろうというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/204
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205・加藤万吉
○加藤(万)委員 そういう形に置きかえることが、船員の支払われている賃金の額を正当に出すことになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/205
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206・加藤威二
○加藤(威)政府委員 船員も船に乗っている場合と、それからおりている場合と、先生先ほど御指摘のように非常に差があるわけでございます。それで乗っている場合の賃金を基礎にして標準報酬を全部出すということになりますと、おりていたときの低い賃金、こういうものとの実態、たとえば年間の総所得を比較いたしますれば、実際にもらうよりもより大きい金額が出てくるというふうなことにもなりかねないのではないか、こういう感じがするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/206
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207・加藤万吉
○加藤(万)委員 確かにそういうことはあると思うのです。私の聞いたところでは、本人本給と保障本給とに相当の差がある。この相当の差というものがここに出してくる計数で実際は保障されているのだろうか。実際は八八%という率で保障されているのだろうか。その差が正当に評価されて出てくるのだろうかということに実は疑問を持ったわけでございます。したがって、下船中の率が、下船している場合の賃金は、当然安くなるわけですから、その分を出すとするならば、これは的確かどうかわかりませんけれども、適正の予備員率というものがありますね。職員に対しては一九%、部員に対しては二一%ですが、そういう予備員率を逆にマイナスをしていく。そういう方向のほうがかえって標準報酬月額を正当に出すことができるのではないか、こういうふうに考えてみたのですが、これはいかがでしょうか。適正な予備員率をかけるかどうかという問題については多少問題があると思いますけれども、かりにということでお答え願ってけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/207
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208・加藤威二
○加藤(威)政府委員 この船員の賃金につきましては、先ほども申し上げましたように、その職種によっていろいろ違うということもございますし、また就航する海域と申しますか、地域によっても違う。またその船の種類によっても違う。いろいろな要素がございます。予備員率という御指摘もございましたけれども、またその船種にもより、それから職種にもよって陸に上がっている比率というものもいろいろ差があると思うのです。ですから一番的確な把握といたしましては、おりたときはおりているときの賃金、それから船に乗っているときは乗っているときの賃金、これもまた航海する場所が違えばまたそれでやっていくという実態の、それをとらえれば一番的確とは存じますけれども、これは実際問題としては非常に事務的にも困難でございますし、また考えますれば、たとえば陸に上がっているときは非常に低い賃金だ。そのとき、病気いたしましたときに、傷病手当金等が出る。そうするとそれの六割でございますから、非常に安い傷病手当金です。陸の賃金と船に乗ったときの賃金を、このやり方はならしたわけであります。そういたしますと、船に乗っているときの事故の場合には若干損をしますけれども、おりているときには得をするというようなこともございまして、一応私どもといたしましてはこういう計算で、これは完全とは申しませんけれども、何とかしのげるのではないかという感じがいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/208
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209・加藤万吉
○加藤(万)委員 陸の報酬月額に比べて、多少パーセンテージ的には低くなるというふうにお伺いをいたしたものですから、これ以上この問題は追及をいたしませんが、できるだけ個人個人の一年間の賃金が、そのまま標準報酬月額に表示されていく、そういう方式についてこれからもぜひ御検討をお願いしておきたい、こういうように思います。
二番目に、失業保険の支給の状況についていろいろお伺いしてみたいというように思います。船員保険の場合には、陸の各種失業保険と違って、一定の職業に限定をされておりますから、陸との比較がなかなかむずかしいと思いますけれども、最初に失業保険関係、保険財政全般についてでもけっこうですが、財政状況はいまどういうことになっているのでしょうか。数字は要りませんから大まかなところで年間このくらいの黒字あるいは赤字、こういう表示でけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/209
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210・加藤威二
○加藤(威)政府委員 失業保険の四十一年度を申し上げますと、収入、支出大体十一億円台でございまして、四十一年度は赤字が二千四百万でございます。それから四十二年度はこれはまだ見込みでございますけれども収入が十二億五千九百万、支出が十二億五千百万、約八百万の黒字、こういう見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/210
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211・加藤万吉
○加藤(万)委員 累計的にはどうでしょうか。総トータルですね。今日現在における総トータルでは、黒字でしょうか、赤字でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/211
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212・加藤威二
○加藤(威)政府委員 失業保険部門につきましては、四十一年度の決算で、累計で十三億五千九百万の黒字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/212
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213・加藤万吉
○加藤(万)委員 現在まで黒字の傾向で、四十一年度赤、四十二年度は多少黒になるようですが、これは推計ですからわかりませんが、ということは最近失業保険の受給者がふえた、こういうように見てよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/213
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214・加藤威二
○加藤(威)政府委員 数字で申し上げますと、四十年度の失業率が二・七八%でございます。それが四十一年度は二・七九ということでごくわずかでございますけれども四十一年度はふえております。四十二年度になりますと、それが一月現在でございますが二・五七%というぐあいに若干失業率が減っている、こういう数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/214
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215・加藤万吉
○加藤(万)委員 四十年度、四十一年度にふえたということは、船の大型化あるいは海運業界の全体の合理化体制というものに影響された、こういうふうに見てよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/215
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216・加藤威二
○加藤(威)政府委員 数字的には、ものすごく失業がふえているということよりも、若干ふえているということでございまして、しいて分析いたしますれば、先生御指摘のような事情も若干加わっておるかもしれないというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/216
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217・加藤万吉
○加藤(万)委員 船員保険法の三十三条ノ七の二項の条文、これは失業保険法十六条三項の三号と同一の趣旨と解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/217
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218・加藤威二
○加藤(威)政府委員 三十三条ノ七の二項は、「失業ノ認定ヲ受ケントスル者ガ当該海運局ノ長又ハ当該公共職業安定所ノ長ノ指示ニ従ヒ職業ノ補導ヲ受クルトキハ」その期間「失業ノ認定ヲ行フ」ということで、これは陸上の場合と同様の規定と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/218
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219・加藤万吉
○加藤(万)委員 労働省見えていますか。——今度は、労働省側から聞きますけれども、いまの失業保険法の十六条三項の三号と同一の趣旨と理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/219
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220・増田一郎
○増田説明員 そのように御理解いただいてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/220
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221・加藤万吉
○加藤(万)委員 最近海員の合理化、たとえば電波法の改正によって通信士等が本条に基づいて失業の認定を受けている事例がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/221
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222・加藤威二
○加藤(威)政府委員 あると承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/222
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223・加藤万吉
○加藤(万)委員 それらの人の身分はどうなっていますか。たとえば、電波法に基づいて御承知のように通信士が削減になりましたが、それらの人がこの職業訓練によって失業保険を受けている。その人たちの身分はどうなっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/223
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224・加藤威二
○加藤(威)政府委員 失業船員というぐあいに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/224
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225・加藤万吉
○加藤(万)委員 本船員保険法に基づいて当然これらの人々は認定を受けて、失業保険、扶養手当、人によっては寄宿手当、技能習得手当、特殊手当等を受けておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/225
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226・加藤威二
○加藤(威)政府委員 支給をいたしておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/226
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227・加藤万吉
○加藤(万)委員 いま、失業船員、こういうお答えがありましたけれども、御承知のように通信士の問題は、海員組合と船主協会の側とでは、これを完全雇用する、こうなっておりますが、失業が出たとすれば、それは完全雇用の条件になっていませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/227
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228・加藤威二
○加藤(威)政府委員 失業の実態があるとすれば、完全雇用とは言い得ないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/228
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229・加藤万吉
○加藤(万)委員 通信士に限りませんけれども、これらの人が、神戸にある海技大学校あるいは電波監理局職員研修所が委託をしている日本電波協会青山分教所に通学または講習を受けておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/229
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230・加藤威二
○加藤(威)政府委員 電波協会で百人受けているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/230
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231・加藤万吉
○加藤(万)委員 私は、おそらく海員組合と船主協会との間には、完全雇用協定が結ばれておるわけですから、失業しておるとは思いません。いま失業船員だという認定がありましたけれども、これは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/231
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232・加藤威二
○加藤(威)政府委員 失業しておるという実態をつかまえて、私どもは失業保険法に基づく給付をやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/232
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233・加藤万吉
○加藤(万)委員 そうじゃないのでしょう。この条文を私が引用しましたのは、これは必ずしも失業者になったから職業訓練あるいは講習を受けるとはなっていないのですよ。かりにたとえば陸上の場合に、鉱山の労働者が、これから六カ月後にこの鉱山が閉山になる、その場合に、職種転換ないしは職業転換をするために、職業訓練所に入れて技能を習得さして次へやる、その場合には特例として失業の認定を認める、こういう条文なんでしょう。労働省の課長に聞きますが、どうですか。そういうように私はこの法文を読んでおるのですが、私の読み方に間違いがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/233
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234・増田一郎
○増田説明員 この条文と申しますか、失業保険法におきます趣旨は、先生おっしゃいましたように、たとえば炭鉱が閉山いたしまして、職業訓練所に入るわけでございますが、その間は失業として取り扱うわけでございます。しかしながら、その方が一々安定所に出頭できないという場合に、その期間は、証明認定ということで、出頭しなくても証明書によってその期間失業と認める、こういう趣旨でございます。この船員保険法の趣旨も同じことではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/234
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235・加藤万吉
○加藤(万)委員 同一趣旨のものが、どうしてそういうふうに両方とも本文の読み方が違うのですか。先ほど保険部長ですか、いわゆる失業船員であるということを言われましたね。これはまだ失業していないでしょう。おそらく御存じでしょうけれども、通信士の問題について船主協会と海員組合が締結したいわゆる完全雇用というのは、ことによったら電波法の改正によって人が少なくなる、したがって、それは職種転換をしなければならぬ。そのために本条を適用して、そうして講習なり、先ほど電波協会に百人通っておるということですが、そういう人たちのためにやっておる処置だ、いわゆるこれを拡大解釈をして、いい意味における失業者をなくす、そういう方向の中に本条があり、同時にまた、それの適用者として失業保険を受給しながら講習を受けておる、こういうふうに私は理解をしたのですが、これは間違いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/235
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236・加藤威二
○加藤(威)政府委員 あるいは実態については、私どもより先生のほうが詳細にお調べになっておるのかもしれませんが、私は一応そういうぐあいに報告を受けておりますので、あるいは実態を調べた上で、私の失業船員であるという実態が違っておりました場合には、また先生にあらためておわびをしなければならぬと思います。
その場合に、ではこの条文の解釈はどうかということにつきましては、労働省ともよく協議をいたしまして、労働省がそういう取り扱いをしておるということであれば、この船員保険法においても、またそれが被保険者のためであるということならば、またそういう解釈で処理するという方向で考えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/236
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237・加藤万吉
○加藤(万)委員 後半の問題はいいのですけれども、さっき百人あると言ったのでしょう。百人あると言うことは、実態があるということじゃないですか。実態的な数字があるでしょう。実態を調べなくても百人という数字があるわけでしょう。そうでなければ百人という数字が出てきませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/237
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238・加藤威二
○加藤(威)政府委員 講習を受けているのが百人あるということでございまして、その雇用関係が、私どもは切れているというぐあいに考えておったのでございますけれども、あるいはまだ雇用関係が切れてないという実態があるといたしますれば、私どもの把握の誤りということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/238
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239・加藤万吉
○加藤(万)委員 講習所に、現在七十八名が受講しておるのでしょう。そのほとんどが失業保険を受給しながら講習を受けているのじゃないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/239
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240・加藤威二
○加藤(威)政府委員 そういう実態だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/240
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241・加藤万吉
○加藤(万)委員 それじゃ実態がわかっているじゃないですか。いまさら調べる必要はないわけでございましょう。私がここで問題にするのは、失業保険を受けながら職業訓練をしているというこの事実をお認めになったわけですね。これは陸でいえば職業安定所あるいはそれぞれの長が認めればできるのでしょう。問題は企業との雇用関係の中にこれが存在するということです。どうでしょう。きょうは局長が見えないということで、あなたが全権限をまかされて答弁するという話でした。陸の場合こういうことがございますでしょうか、失業保険のいまの条文に基づく認定について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/241
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242・増田一郎
○増田説明員 陸の失業保険等の場合には、雇用関係を認めながら失業保険を受給するということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/242
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243・加藤万吉
○加藤(万)委員 それはたいへんですよ。片方は雇用関係を継続しながらそういうことはないと言っておるわけですね。一方、もう御承知でしょうが、ここに今年度の通信士の協定書がございますけれども、これは四十二年十二月七日付で次のように定めるという協定書です。「この措置に伴う解雇は一切行なわない。」と船主協会は言っておるのです。解雇を行なわなかった者が、失業者としてどうしてこの講習所にいるのですか。陸じゃそんなことは絶対にないということです。海の場合あるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/243
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244・加藤威二
○加藤(威)政府委員 実態の把握について欠くるところがございますので、よく調べて御返事申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/244
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245・加藤万吉
○加藤(万)委員 それはおかしいですよ。先ほど七十八人あるのじゃないかと言ったら、そうですと言ったでしょう。七十八人がそうですということは、どこからどう来たということがわかっているからそうですということを言ったのでしょう。実態を調べなくてもいまここでわかるじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/245
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246・加藤威二
○加藤(威)政府委員 そういう講習を受けている人間があるという実態、人間の数はわかっておりますけれども、雇用関係とかそういうものについての実態はつまびらかにいたしておりません。その辺をよく調べてから御返事申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/246
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247・加藤万吉
○加藤(万)委員 いま一回言いますけれども、この覚え書きでは解雇をしないと言っているのですよ。まさか私は船主協会と違った協定をするはずがないと思うのです。解雇しないという人間が七十八人講習所に行っているという事実ですね。これはだれが見たって企業に籍がありながら、先ほど労働省がお答えになったように、失業をするであろうという将来を踏んまえて職種の転換をするために失業保険を受給し講習を受けておる。こういう理解しか成り立たぬじゃないですか。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/247
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248・加藤威二
○加藤(威)政府委員 船主協会から運輸省の船員局あての文書がございます。それによりますと、「外航二船主団体加盟会社所属通信士のうち、二級通信士免状受有者が一級通信士免状取得のため日本電波協会主催一級通信士科に入所し受講する場合、次のとおり統一的に取り扱うことになりましたので、御高含の上よろしくお取り計らいくださいますようお願い申し上げます。」その一といたしまして、「受講生については無線通信士定員協定覚書第三項第二号の規定にかかわらず特例として労使合意のもとに解雇する」、こういう通知が出ております。したがいまして、私ども実態をもう少し調べてから正式に御返事申し上げますが、こういう文書が出ておるところから見ますと、解雇されておるのではないかというぐあいに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/248
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249・加藤万吉
○加藤(万)委員 もう一ぺん、解雇するというところの条文を読んでみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/249
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250・加藤威二
○加藤(威)政府委員 「受講生については無線通信士定員協定覚書第三項第二号の規定にかかわらず特例として労使合意のもとに解雇する」。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/250
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251・加藤万吉
○加藤(万)委員 そうしますと、この場合、これは外航労務協会いわゆる船主団体から出しておるわけですが、この中にある「この措置に伴う解雇は一切行なわない。」という協定書とそれとは違うわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/251
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252・加藤威二
○加藤(威)政府委員 その規定にかかわらず、この場合は特例として労使合意のもとに解雇する、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/252
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253・加藤万吉
○加藤(万)委員 擬装解雇じゃないですか。私はいいと思うのですよ。いわゆる職種転換をするためにそういう処置をとられることは、一般論としてよくあることですから、それ自身、先ほど私条文を読み上げましたけれども、その条文から見てもできる問題だ、こう思うのです。しかし、そういうように片方が解雇です、こう言われてしまうと、どうもつじつまが合わなくて、そこをまた突っ込んで開かなければならぬのですよ。私は船員の人が職種を転換するために、あるいは電波法によって人が少なくなって、一級無線士になるために船主側が善意をもって講習所に入れ、また政府側も先ほど聞きますと、失業保険も黒字ですから、そういう中であたたかく迎えてやるということは決して悪い手段ではないと思う。ですけれども解雇してそうして受講しておるのだということになると、また、名だたるちゃんとした法人格の労働組合と船主団体がきめておることで、裏側でそういうように出ておるとなると、これはそのこと自身がまた問題になるものですから、どうでしょうか、私が先ほど申し上げました三十三条ノ七の第二項に基づいて、そういう職業訓練を、この場合は何の長ですか、陸上ですと職業安定局長になりましょうか、それが認めてやっておる。陸の場合でも石炭の場合あるのですから、そういうようにすなおにお認めになったほうがいいんじゃないですか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/253
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254・加藤威二
○加藤(威)政府委員 先生御指摘のとおり、いろいろ問題もあるようでございますので、さらによく検討いたしまして、調査いたしまして、善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/254
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255・園田直
○園田国務大臣 ただいま御指摘の点については、そのような疑いもありまするので、調査をいたしました上、そういう事実があれば処置をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/255
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256・加藤万吉
○加藤(万)委員 本問題に関連をして、実はたくさん問題があるのですが、これ以上の問題提起はいまの大臣の答弁をもって私はやめます。ただ、大臣、一つだけお願いがあるのです。その事実について厳重に調査する。問題は、現在失業保険をもらいながら職業訓練をしているわけです。私は、これが切られては今度は労働者がたいへんだと思うのです。いわゆる企業に籍がある、かりにそれが事実とするならば。そうして一方で失業保険をもらっている、これまた事実とするならば。私は、本来企業がそういう職種転換の職業訓練をすべきだと思うのです。しかし、まあやむを得ない事情があってそこでやられることは、これまたけっこうです。陸のほうの場合にもあるのですから。厳重に調査した上に立って失業保険を打ち切るべきだということになると、事実上この労働者はとまどうのですね。ですから、調査されるのはけっこうですけれども、少なくとも受講している講習生がそれによって不利益なことを受けない、このことだけはひとつ大臣確約していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/256
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257・園田直
○園田国務大臣 十分その点は考慮をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/257
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258・加藤万吉
○加藤(万)委員 失業保険の問題については以上でとどめますが、労災問題について二、三お伺いをいたしたいと思います。
昨年の十月の十七日に、日本郵船のぼすとん丸が、四エチル鉛がタンクに入って中毒死事件を起こしたことを御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/258
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259・加藤威二
○加藤(威)政府委員 坂出港で起こした事件なら承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/259
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260・加藤万吉
○加藤(万)委員 この場合の作業員八名は中毒死、海上保安庁の係官四名は現在なお入院中ということでありますが、これは事実でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/260
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261・加藤威二
○加藤(威)政府委員 陸上の労働者が清掃作業中に発生したものでありまして、死亡した者はその陸上の労働者が死亡したというぐあいに承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/261
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262・加藤万吉
○加藤(万)委員 この四エチル鉛のドラムかんが破損をしたというのは、私の知るところでは、アリューシャンの南方で暴風雨にあい、ドラムかんのラッシングの索が切れて、こぼれてタンクに入った、こういうように私は承知をしているのですが、これに間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/262
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263・加藤威二
○加藤(威)政府委員 おそらくそうだと思いますけれども、私実態について詳しくは承知いたしておりませんけれども、先生御指摘の事実に大体間違いないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/263
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264・加藤万吉
○加藤(万)委員 いま私が申し上げたことで、大体事実については間違いないようです。私はこの事件を知りまして、次のように実は感じたわけです。
本事件は幸いにして港で起きまして、中毒死した人は地上員です。あと検査に入った海上保安庁もいわば船員ではなかったわけですね。ところが、この起きた原因がいわゆるアリューシャンにおけるドラムかんのラッシング索が切れた。この事実は、もしもこの事実の中で中毒死者が出たとするならば、この場合は明らかに船員になりますね。そうすると最近聞くところでは四エチル鉛が月に大体三千本ないしは三千五、六百本わが国に輸入されているというふうに聞いているわけです。しかも事例では、輸送中にラッシングの索が切れてそういう事態を起こしたことがあった。この場合、事実あったわけです。そうすると、船員の海上輸送中におけるかような中毒死事件が起きないとは限らないと私は思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/264
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265・加藤威二
○加藤(威)政府委員 先生御指摘のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/265
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266・加藤万吉
○加藤(万)委員 これはひとつ大臣にぜひ聞いておいてもらいたいと思うのですが、実は最近の海上輸送物の中には、いま言いましたように四エチル鉛が三千本ないし四千本、それからルイサイト、クロルピクリン、二酸化窒素、パラチオンあるいは臭化アセトン、こういうものがある。これは超劇薬です。先ほどの四エチル鉛で死んだ人の症状を医師はこう言っています、とても正視できない苦しみようでした。四エチル鉛の入っているタンクで作業しておって、そのときは何でもなくうちへ帰った。ところがその翌日発病しまして、全く裸になってみたり、気違いのような症状で病室を飛び出してみたりという症状だったそうであります。それほどのいわゆる劇薬といいましょうか、人体に及ぼす障害はひどいものです。そういう製品がいま並べたような形であるわけです。特に合成化学産業が発展すればするほどこういうものの輸送があり、またそこに事故が起きる可能性があるわけですね。
そこで私は今度、先ほど大臣が趣旨説明で述べられましたように、労災法の改正は、いわゆる一酸化炭素中毒、CO中毒法に基づいて改正をされる、そこが実は改正の要点になっているのだという大臣の説明であります。だとするならば、海員の輸送についてもこのような条件があるのだから、海員独特の、海員に適応するCO中毒法といってはおかしいですけれども、それに適応するような立法措置を考えられる必要がもうできてきたのではないか。そういう土壌があるのではないかというふうに私は思うのですけれども、大臣の見解はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/266
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267・園田直
○園田国務大臣 労働省とも相談をして直ちに検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/267
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268・河毛一郎
○河毛政府委員 ただいま四エチル鉛に関する法的措置についてお話がございましたが、このような事件にかんがみまして、私どものほうでもいろいろな措置をすべきであると考えております。現在このような危険物の輸送につきましては、船舶安全法に基づき危険物船舶運送及び貯蔵規則というものがございます。これに基づきまして、主としてその積載方法、容器等について必要な規定がされております。
それから御指摘のように、そのようなものが船内におきましてこのたびのような危険を起こす可能性があるわけでございますので、それにつきましては船員法に基づきまして労働安全衛生規則というものがすでにできております。この方面につきましては、危険防止の面から、ガスの検知あるいは保護具の使用等につきましての規定がすでにございます。したがいまして、私どものほうといたしましては、このような経験にかんがみまして、今後このような規定の励行につきまして、労務官を督励いたしまして一そう危害防止につとめますと同時に、具体的な本件発生につきましては、一般的に特に留意する必要があると考えられましたので、現地に対しまして危険性の周知徹底あるいは荒天時の点検、保護具の使用、中和剤、救急薬品の備蓄あるいはまた健康診断というようなことにつきまして特段の通牒をいたしております。特に今回の場合は、ドラムかんの破損による漏洩事故でございますが、ドラムかんそのものに問題があるということがだんだん明らかになってまいりました。この点につきましては運輸省からアメリカサイドにドラムかんの規格その他について特段の注意を払ってもらうように外務省を通じて申し入れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/268
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269・加藤万吉
○加藤(万)委員 前段の御説明があったことは陸にもあるのですよ。たとえば労働基準法がありますね。それに相当する法律は陸にもあったんだ。あった上にCO中毒事故ができたのです。そうでしょう。私の言っているのは、一般的にそういう法律はありますよ。船舶安全法によっても、いまの安全衛生規則にもありますよ。そうでなくて、こういうように有機化学製品が国内で産業的に発達すれば、自然にそういう有機産業に基づく物品輸送が多くなる。したがって、それに基づく特例法をつくる必要があるのできないか。四エチル鉛について言えば、陸には御承知のように四エチル鉛等危害防止規則がある。これは基準法があっても、労災の認定があっても、その下にそれがあるのです。それほど重視をしているということなんです。私は四エチル鉛のようなたいへんな危険物を扱うならば、あるいはそれが量が多くなってくるならば、それを輸送するための安全措置として、たとえば対比すべき国内の法律では危害防止規則、同時に身体の安全についてはCO中毒法というようなものが海の場合にも考えられていいのではないか、こういうことを私は言っているのですよ。ですからあなたの答弁は——そういうものがあるということは私は承知している。陸にもありますから。そういうことを考えられてはどうかということを大臣に答弁を求めたわけです。あなたの見解をひとつ聞きましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/269
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270・河毛一郎
○河毛政府委員 今後、このような規定につきまして、いま先生お話しのございましたような点をいかにするかということにつきましては、私どものほうも厚生省によく御相談いたしまして、慎重に検討させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/270
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271・加藤万吉
○加藤(万)委員 それでいいと思うのです。これから多く起きる問題ですから、大臣もぜひ心して、本立法ができるように善処をお願いしたいと思うのです。
今度の法の改正で、いわゆるCO中毒法に基づいて、年金の四級に神経機能障害条項を入れたわけですね。いわばCO中毒法に前はなかったものですから、ここに新しい条文として四級に挿入したということなんですね。ここに挿入するならば、これは看護を必要としないような軽い症状の神経機能障害ですね。だとするならば、いま言ったようなたとえば四エチル鉛のような中毒症状、これは死んでしまったからいいですけれども、海上保安庁の職員のように、もし生きているとするならば、神経機能の障害を起こしたものとして、付き添い看護が要るものとして、一級にその項目を挿入すべきではなかったかというように、この法案の改正と同時にすべきではなかったかというように私は思うのですが、この見解についてどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/271
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272・梅本純正
○梅本政府委員 先ほどのお話と関連いたしまして、確かに先生のおっしゃることはよくわかると思います。この点につきまして、具体的のケースにつきましては、この一級の中にいろいろ並べてございますが、その辺の、ほんとうに実態としまして一級に該当するというふうな事態の方がございましたら、たとえば半身不随となりたるものというふうな条項を適用して、できるだけ具体的なケースについて粗漏のないようにいたすとともに、先ほどおっしゃいました用語の問題につきましては、今回の改正が労災法に合わせるという形でやりましたために、今後の検討問題として十分に検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/272
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273・加藤万吉
○加藤(万)委員 労災法に合わせると言いましたけれども、労災法の改正がどうして起きたかと言えば、一酸化中毒法ができたからでしょう。一酸化中毒法では、将来就職が不能な者は終身雇用まで含まれておるわけですね、あなた御存じでしょうけれども。それがあるから労災法はあれでいいのですよ。海員にはそれがないわけでしょう。CO中毒法がないわけでしょう。だとするならば、CO中毒法に匹敵するものがこの労災法の四級だけでなくて、一級にも挿入されなくちゃいかぬのですよ。一般的には、精神障害を起こした者がこれに該当しますね。おそらく皆さん方が考えられた当時の精神障害はいわばノイローゼ的なもの、職業病に起因する精神機能障害を起こしたものではない。そうでしょう。ですから、一酸化中毒法から出発をして労災法の改正があった。だとするならば、片方の海員のほうは一酸化中毒法に匹敵する条文の修正がどこかになければいかぬのです。私はその点で、せっかくの改正の時期ですから、範囲を拡大して提起をされても決して差しつかえなかったと思うのです。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/273
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274・梅本純正
○梅本政府委員 先ほど申しましたように、労災法との均衡をとりましたのは、障害等級表につきまして、労災保険をそのままこちらの表に加えたということでございます。しかし、先生おっしゃる先ほどの点につきましては、大臣もお答えいたしましたように、運輸省ともよく相談をしまして、CO法に盛られておるような内容に匹敵する海上特有のものがあるかどうかということにつきまして、先ほど大臣並びに運輸省の局長がお答えいたしましたような線で今後検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/274
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275・加藤万吉
○加藤(万)委員 それでは、まあここですぐ改正ということはなかなかむずかしいでしょうから、こういう読みかえを——読みかえというのはおかしいですけれども、こういう理解で本委員会では統一をしておいたほうがいいんではないかと私は思うのです。それは、この年金受給の一級に精神障害があるわけですね。これは一般的に言って、病気による精神障害と見ていいでしょう。いま言ったような四エチル鉛による中毒症患者がもし起きたような場合には、この条項を読みかえるといいますか、この条項の中にいわゆる神経機能障害を含む、こういうように本委員会では統一をしておいたほうが、率直に言って保険局の方が今後やりやすいし、認定しやすいと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/275
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276・梅本純正
○梅本政府委員 先生のおっしゃるとおりでけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/276
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277・加藤万吉
○加藤(万)委員 最後に、航海中の死亡問題についてお尋ねをいたします。
私の知ったところで、メキシコ湾航海中に横塚さんという人が死亡しました。本件の内容をいろいろ聞いてみますると、症状が起きてから病状把握をするのに手間取った、同時に、その病状把握したのを、医療電報の英文に直すのに手間取った。その結果、本人を死から救うことができなかったというように私は聞きました。私は、この事件そのものはそれだけの話だと思う。問題は、船員の場合には地上勤務者と違って、四六時中いわゆる海の上が住居であり、職場であるわけですね。この横塚さんの場合には労災の認定になっておるかどうか、私はまだ伺っておりませんけれども、四六時中こういう就業状態にある労働者が死亡した場合に、労災の認定になるかならないかということは、きわめてむずかしい問題だと思う。いま、こういう場合の死亡について大まかな線でいいですが、どの辺からどの辺を基準にしていわゆる労災の認定にされるのか、されないのか、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/277
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278・加藤威二
○加藤(威)政府委員 業務上、外の認定の問題でございますが、確かに御指摘のとおり船員の特殊性というものがございまして、非常に、陸上と同一には論ぜられないという感じはするのでございます。大まかに申しまして、どういう基準で業務上、外の認定をやっておるかということでございますが、業務上、外の区別をいたします基準といたしまして二つございます。
一つは、職務遂行性の問題、すなわち職務をやっておる船員は、四六時中船に乗っておりますけれども、しかし、やはり勤務時間というものもございます。したがって、船長の指揮監督のもとに仕事をしていたかどうかというようなことが、一つの判断の基準になると思うのでございます。
それからもう一つは、その職務との因果関係でございます。その事故と職務との間に相当の因果関係があるかどうか。この二点を総合的に判断いたしまして業務上であるか業務外であるかというようなことを判断いたしておるという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/278
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279・加藤万吉
○加藤(万)委員 同じく私は、この外航労務協会が出されたこの中に、船内女医さん、女の医者の伝記が書いてございます。見てみますと、合理化後だろうと思うのですが、非常に勤務がきつくなったために、なかなか医者にかからない。病気になっても医者にかからない。かりにかかったにしても、少しよくなるとすぐ働いてしまう。そのことが慢性的疾患を及ぼして、結果的にいわゆるその業務上ないしは業務の延長としての病気ではなくして、一般的病気として死亡される場合があるのだ、だから皆さん、気をつけなさいよということを実は書いてあるわけです。私は、陸上と違って海上の場合の、業務上の死亡ではなくていわゆる一般的死亡の場合には、相当認定を緩和される必要がある、こういうふうに理解をするわけです。どうでしょうか。いわゆる業務上の死亡ではなくて陸上の一般的死亡と比べて、海上の場合にはそこを緩和される必要があると思いますが、局長はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/279
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280・加藤威二
○加藤(威)政府委員 確かに御指摘のとおり、船内に居住するという特殊性がございます。そういった意味におきましては、業務上、外の判定をいたします場合に、陸上と違いまして、そういう生活環境にあるということを相当考慮に入れて、業務上、外の判定をすべきだというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/280
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281・加藤万吉
○加藤(万)委員 大臣、私は幾つか質問をしてまいりました。私は海上勤務をしたことがありませんから、海上労働者の苦悩については、率直に言って、からだで体験することができませんでしたけれども、いまずっと幾つか申し上げたように、たいへん海上労働者というのは陸と違って不便な中に、しかも一定の人員でものごとを処理していくわけですから、相当な重労働がしいられているわけです。そこで、特に医療面については、たとえば医療の無線制度を——今度の場合は御承知のように電波法の改正によって無線士が少なくなりました。その関係で先ほどの横塚さんのような条件も起きるわけです。したがって、船内の医療制度——これは無線制度を含みます。あるいは船内の備品、薬品等についても、相当の監察と指導上の強化、行政上の強化がされることが必要だといふうに実は痛感をしておるわけです。大臣のこの点に対する見解をお聞きをしたいというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/281
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282・園田直
○園田国務大臣 御意見のとおりでありまして、船上に勤務する人は、たとえ直接には勤務についていなくても、それが職場から離れて休養をとるわけではなくて、休養中といえども意識的、無意識的に船の航海安全等について一切の責任があるわけでありますから、考えまして勤務が過重になることも当然あり得るだろうし、それにはそのよって来たる職務の因果関係でそういうことになることも十分察せられます。したがって、ただいまの御意見の数々の点及びただいま言われた備品あるいは医療等については、十分特殊性を考慮いたしていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/282
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283・加藤万吉
○加藤(万)委員 当初の質問からいままでの質問を含めて、海上労働者の条件がより一そうよくなるような行政指導をお願いして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/283
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284・八田貞義
○八田委員長 八木一男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/284
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285・八木一男
○八木(一)委員 船員保険法の一部を改正する法律案について、これから御質問を申し上げます。御質問を申し上げる前に厚生大臣にちょっと要請をいたしておきたいと思います。
それは厚生省の社会保険庁の問題で、事務的な問題でございましたから厚生大臣のお耳には入れてございませんでしたけれども、非常に不適当なことが起こりましたので、自由民主党の関係者の方々、社会党の私どももそれをおさめるように努力をいたしまして、社会保険庁と約束をしたことがございます。その約束を裏切っていろいろなことをやりますと、また紛糾が起こります。その後にまた社会党の議員が立ち会いまして、ものごとをおさめるために熊崎社会保険庁長官と話し合いをいたしました。それがまた裏返しをされるようなことが起こりました。いまちょっとその話をしておりました。問題の解決がつけばけっこうでございますが国会議員が国政のために一生懸命考えてタッチをしたことを事務的に一つ一つ裏返しをして紛糾が続くような態度をいたしておりますので、そういうことについては社会保険庁が意地を張って紛糾を拡大したり、長引かすことをしないようにひとつ御注意を願いたいと思います。
本題に入ります。船員保険法の今度の改正点については、同僚の加藤万吉委員から、またこの後に島本委員から詳細な御質問があろうと思いますので、今次の改正点ではなしに、船員保険の非常に重大な問題について御質問をいたしたいと思います。
船員保険法と関連のある法律で、船員の労働基本権を守るために船員法という法律がございます。その船員法の法律の中で、船員保険法と非常に抵触をする条文があるわけであります。ちょっと時間がかかりますけれども、その部分について私から申し上げます。
船員法八十九条の第一項に「船員が職務上負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、その負傷又は疾病がなおるまで、その費用で療養を施し、又は療養に必要な費用を負担しなければならない。」これは職務上の疾病、傷害であります。第二項に、「船員が雇入契約存続中職務外で負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、三箇月の範囲内において、その費用で療養を施し、又は療養に必要な費用を負担しなければならない。但し、その負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のあつたときは、この限りでない。」という条文がございます。
いま厚生大臣も聞いていただきましたと思いますが、この船員法の八十九条第二項というのは、船員の労働条件を守るために、それから特に船員という船に乗って家庭に帰れないような特別の事情、そういうことも含んで、職務外の疾病についても三カ月以内に限って療養の給付、療養の費用の負担について、全部船主が責任を負うという基本的規定があるわけです。十割給付でございますが、船員保険法ですと、初診時の一部負担をしなければならないことになるわけです。このことは、船員の基本的な労働者の権利としてきめられたものを船員保険法の規定で制約をすることになるという重大な問題がございます。ただし、九十五条でこういう規定がございます。「第八十九条乃至前条の規定により療養又は費用、手当若しくは葬祭料の支払(以下災害補償と総称する。)を受くべき者が、その災害補償を受くべき事由と同一の事由に因り船員保険法による保険給付又は命令で指定する法令に基いて災害補償に相当する給付を受くべきときは、船舶所有者は、災害補償の責を免れる。」という免責規定がございます。これで大体差しつかえないように思っていられるようでございまするが、船員保険法の給付に相当する給付ということになれば、これはほんとうの全額の公費負担であって、全額自己負担じゃない給付でなければならない。初診時の一部負担があるものであれば、相当する給付ということにならない。でございますから、船員保険法の中で船員に一部負担を課するということは、船員法違反になる。条文上その二つの競合がございます。その船員法の規定というのは、船員という特別な労働者についての基本的権利を守るためにつくった基本的な労働基準法に当たるものであります。それに違反するようなことが、船員保険法という福祉を増進すべき法律でその福祉が制限されるというようなことは非常な矛盾であります。その辺について厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。また運輸政務次官の御意見と両方伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/285
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286・園田直
○園田国務大臣 ただいまの問題は、法律や制度から理屈を申しますと、本人負担については同一であって、しかも、船主が雇い者のことに関係が深いなど理屈があります。これは近ごろ気づいたことでありますが、衆議院、参議院両方において指摘されたことであって、これを早く検討して直せ、いまの点は矛盾だという御意見が出ておることを、申しわけありませんが、近ごろ私気づきました。したがいまして、これは御意見のとおりに検討し、早急に直すべきものであると私考えておりますし、社会保険審議会の御意見も承っておるわけでありますから、その結論を得て早急に検討したいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/286
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287・金子岩三
○金子政府委員 御指摘の点、まことにごもっともだと存じます。立法技術の問題ですから局長にお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/287
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288・八木一男
○八木(一)委員 厚生大臣、運輸政務次官の前向きの御答弁で非常にけっこうだと思います。船員法は船員の労働基準法であって、基本的権利、福祉を高めるべきものを船員保険法で制約をされる、こんな逆なことはありませんので、船員保険法に関する限りは一部負担を免除するとか、初診時の一部負担をなくすとか、そういう方向でぜひひとつ改正を進めていただきたい。
特に申し上げておかなければならないのは、この初診時一部負担規定が、船員にとってはものすごく負担になるわけであります。ただでさえ社会保険全体で初診時の一部負担というものはあるべきものではなく、こういうものをつくるということは間違いであるところを、さらに薬代の一部負担というとんでもないことを厚生省は考えるというような非常に逆行した時代で、けしからぬことでございます。普通に初診時の一部負担はかまわないようにいわれておりますが、これもよくない。総体的によくないけれども、船員については特によくないことは、たとえば、横浜でかぜを引いて横浜で診断を受けると初診料を取られる。ところが、船に乗らなければならない。その次に清水港に行って、そこでまた診断を受けるとまた取られる。次に四日市へ寄港してまた取られる。串本へ寄港してまた取られる、神戸でまた取られる、三重、四重、五重に取られるわけです。ですから猛烈な負担になるわけです。猛烈な負担になるということは、結局金がもしあればいいけれども、なければ苦しいけれどもお医者さんに見てもらうのはやめようということになって、病気が重くなって非常にあとで苦しむ。極端にいえば死ぬ場合もあるということになる。特に船の場合であれば、その船に寄港中は船医がいるところといないところとありますし、いても船医が全部の病気について専門ではありませんから、寄港したときにちゃんと見てもらってちゃんとしないと命があぶない。それにもかかわらず一部負担を何回もしなければならないということで、見てもらわないということになると、船員の命、健康、人権上非常に重大な問題になる。ですから、ぜひそういう点を非常に重大な問題としてお考えいただいて、この船員保険法の初診時一部負担をなくすということをやっていただきたい。
実はこの問題、前に衆議院で提起されたのは、私が二回いたしました。社会保険審議会が意見をつけたのも、おそらく社会保険審議会で海員組合の代表がやられたと思います。これもずいぶん前から言っているのだけれども、これは保険局が怠慢であって、ほったらかしになっておる。実行力のある厚生大臣、熱意のある運輸政務次官、運輸大臣が来られないで残念ですけれども、実行力のある運輸大臣がおられる間にぜひ解決をしていただきたいというふうにお願いをいたしたいと思います。これについて一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/288
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289・園田直
○園田国務大臣 御意見は十分了承いたしましたので、さように検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/289
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290・八木一男
○八木(一)委員 そこで、実はあとで返す制度があるというようなことをまたそういう担当の人が言うと思います。あとで返すということは一つも役に立たないので、そのときに金を持っていなければ診断を受けないということになる。人に借りれば——その借りる相手もないときもあれば、借りたら、気の荒い人の場合では、それがもとになっていろいろなぐあいの悪いこともあるということにもなります。それから、まとめてあとで返す要求をするということになると、船にはいろいろな船がありますが、これは漁船も入っております。非常に封建的な体制でございます。まとめて船主にそれを要求したら、そんな制度を知らない船主が何を言うのだ、このやろうということになって、ぶんなぐられるか首を切られるということになるおそれがあるので、泣く泣く泣き寝入りをするということが起きるわけです。これは東京でかなり金を持って、船に乗らないでお役所で考えているえらい人なら、あとで返せば何でもないというふうにお考えになる向きもあると思いますが、当人の身になってみれば、ほんとうに封建的な職場で、しかも命を大事にしなければたいへんなことになる職場でそういうことをやっている労働者の立場を考えられて、そのような形式的な冷たい議論が、それを推進されるときに出てこないとは思いますが、出てきたらたいへんだと思います。そこで、そういうことが出てくるおそれがなきにしもあらずです。そのときには厚生大臣や政務次官、政務次官から運輸大臣にもおっしゃっていただいて、ほんとうの正しい政治をぱちっとやるという精神で、そういうくだらぬことを言うな、これはその精神で直すのだということでひとつ御指導になって、早く改正していただきたいと思いますが、これについて厚生大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/290
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291・園田直
○園田国務大臣 いま御指摘のような船主と乗り組み員との間の問題も、そういう想像もできます。また、現にいなかではあることでございます。またもう一つあとでかためてやると手続上も非常に混乱をいたしますから、この点は十分よく相談して、その方向で検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/291
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292・八木一男
○八木(一)委員 それではこれで質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/292
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293・八田貞義
○八田委員長 島本虎三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/293
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294・島本虎三
○島本委員 船員保険法の一部を改正する法律案について、まず審議する前にちょっと伺っておきたいことがあるのですが、この船員保険法の適用船舶はどういうようにしてこれを定めてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/294
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295・梅本純正
○梅本政府委員 船員保険法につきましては、全体の体系が船員という形で特別の保護を加えられております船員法をそのまま引用いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/295
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296・島本虎三
○島本委員 船員法の適用は何トンから受けていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/296
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297・河毛一郎
○河毛政府委員 船員法の適用でございますが、まず商船と漁船に分けまして、商船につきましては総トン数五トン以上の船舶でございます。ただこれには例外がございまして、湖、川、または港のみを航行する船舶は除外されております。次に、漁船でございますが、漁船は原則といたしまして二十トン以上が適用になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/297
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298・島本虎三
○島本委員 漁船の二十トン以上というと、十五トンは適用外ということになりますが、十五トンというトン数と、二十トンというトン数はほんの僅少の差ですけれども、こういうような、トン数が一トンでも減ったならば適用は受けないような基準になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/298
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299・河毛一郎
○河毛政府委員 そういう基準に相なっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/299
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300・島本虎三
○島本委員 なっておるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/300
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301・河毛一郎
○河毛政府委員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/301
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302・島本虎三
○島本委員 そうすると、漁船で二十トン以上はどういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/302
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303・河毛一郎
○河毛政府委員 漁船の二十トン以上につきましては、ただいま御説明いたしましたように、原則として船員法が適用されるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/303
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304・島本虎三
○島本委員 適用されていないような船もございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/304
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305・河毛一郎
○河毛政府委員 特殊な船につきましては適用を除外いたしております。たとえば定置網のような漁業に従事する船でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/305
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306・島本虎三
○島本委員 定置網漁船のようなもので、二十トン以上の船がございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/306
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307・河毛一郎
○河毛政府委員 あまり数は多くないと思いますが、あり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/307
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308・島本虎三
○島本委員 定置網の場合には沿岸から近距離にありまして、二十トンというとまず相当遠距離のほうへ参る船でございますが、近距離で定置網をやって二十トン以上というものはちょっと想像できませんが、それはやはりあり得ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/308
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309・河毛一郎
○河毛政府委員 ただいまちょっと数字を持っておりませんので、確かなことをお答えできないわけでございますけれども、たぶんあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/309
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310・島本虎三
○島本委員 私はこれを拝読いたしまして、運輸省関係の船舶と、農林省に関係する船舶と、運輸省に関係するものについては船員法の適用を受けるものである、わりあい小型の、いわば農林省が世話をしているような船舶の場合には、これは一般の労働法の適用を受けるものである、こういうふうに思っておったのですけれども、トン数二十トンを境にして、各省の所属に関係なしにこれをやっているかのように私は思いましたが、そういうようなことになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/310
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311・河毛一郎
○河毛政府委員 船員法の関係につきましては、漁船につきましては農林省関係ということは一切ございませんで、少なくとも船員法に関しましては、漁船についてもただいま御説明いたしました二十トン以上の漁船につきましては船員法の適用がされる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/311
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312・島本虎三
○島本委員 私はいま質問し、どうしてもこれで明らかにしてみたい、こう思いましたのは、船員保険において二十トン未満の漁船については適用がないが、将来この適用の拡大については考えられないかどうか、それについて何か障害があるかどうか、逐次お伺いしたわけです。ところが、なさそうなんです。ただ二十トンと十九トンの違いなんです。そうすると、農林省、運輸省の関係でもなさそうです。そうすると、トン数だけくらいだったならば、これは二十トン以下の漁船にでも適用さして可能じゃないか、こう思われますけれども、この点いかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/312
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313・河毛一郎
○河毛政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、確かに、いろいろ限界のところをどこで切るかということにつきましては問題があるところでございます。ただ船員法の一般的な考え方から申し上げますと、労働基準法という一般の労働基準を規定する法律に対しまして、船員につきまして船員法という特例法がある趣旨でございますが、これはやはり船員につきましては陸上の労働保護規定をそのまま適用することが海上の特殊性から見まして実情に合わないという趣旨から、元来船員法は、労働基準に関する部分につきましてもできておるわけでございます。したがいまして、逆に同じく船に乗っております者でも、先ほどの例を申し上げましたように、たとえば湖なり川だけを動いておる船に乗っておられる船員、あるいはまた漁船の場合でございますと、非常に小型の漁船につきましては、先ほど先生からお話のございましたように、たとえば日帰りのものが非常に多い。まあ船員法は大体長い航海をするということを前提にしていろいろな特殊な規定を設けておりますので、そういった線から、むしろ同じ乗り組みであっても、労働基準法の適用をしたほうがよいと判断されるものについては船員法の適用が除外されるということが基本的な考え方でございます。ただ先生おっしゃいましたように、たとえば具体的に二十トンと十九トンとの船について、どのような差異があるのだというような点は確かに問題でございますが、二十トンというもので切られました一つの理由に、やはり安全法の関係があると存じます。そこで安全法につきましても、漁船は二十トン以上ということでございますので、前回の改正の場合にこの点についてはいろいろ論議があったわけでございますが、安全法の適用範囲とも合わせまして、三十トン以上とそれまでなっておりましたのを二十トンまで引き下げるということで今日に及んでおる次第でございます。
〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/313
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314・島本虎三
○島本委員 それで三十トンから二十トンになってその適用幅がぐっと広がっているわけでしょう。それで、好ましい状態にある、こういうふうに判断をいたしますから、もう少しこれを拡大したらどうか。拡大するための障害があるのかないのか、こういうような点がやはり今後の一つの問題点じゃなかろうかと思うわけです。いまの御説明で長い航海をするのが主だ、こういうふうに申されますけれども、それならば五トン以上の湖や川におるものは長い航海はせぬじゃございませんか。長い航海をしないものも適用を受けるような恩典が、優遇をされるような条件がございますから、そういうような場合には、やはり漁船で二十トンとすると、いわゆる河川にある船の四倍あっても、四倍近くあっても落とされる、こういうことに相なろうかと思うのです。もしそうだとすると、漁船といわれるものは、農林省の保護を受け、水産庁の保護を受けていろいろ漁業に携わっておるもの、それを漁船といっております。そうなりますと、湖におっても川におっても、やはり内陸漁船になっておりますから、それもそうなるわけです。どうもこの辺の差があまりなさそうにも思われるわけです。したがって、いいものであるならば適用幅を拡大して、二十トン以下の漁船でも、湖沼には五トン以上のものもあるわけですから、まして、長い航海が一つの基準としてあっても、川や湖は長い航海ではないのでございますから、そうなった場合は、何かの障害がなければ、いままでの御説明だけならばこの適用範囲の拡大は可能である、こういうように思われるわけです。なぜこれはできないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/314
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315・河毛一郎
○河毛政府委員 ただいまのお話は、二十トン未満の漁船についても船員法の適用をすべきではないか、またそれについて重大なる支障はないではないかというお話でございました。
確かに、従来の船員法のたてまえあるいは経緯は、先ほど申し上げたとおりでございますが、いま先生の御指摘のような点について、今後検討すべき問題が多々あるということは、私どもも率直にそうであろう、こういうふうに考えております。ただ、この適用範囲の問題につきましては、私どもの考え方はもちろんでございますけれども、やはり先ほどからのお話のございます漁業一般を監督しておられます農林省、あるいは当面の水産庁、あるいはまた船員法の適用範囲の拡大に伴いまして保険関係その他を所掌されております厚生省、あるいは当面労働基準法に基づきまして、二十トン未満の漁船につきまして労働保護の事務を行なっておられます労働省その他と、早急に二十トン未満の漁船の船員法適用問題につきましてその可否を協議いたしまして、その協議されました結果に基づきまして必要措置を行なってまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/315
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316・島本虎三
○島本委員 大臣もお聞きのとおり、これは十分考慮されるようでございます。いいものはうんと伸ばしていいですね。したがって、こういうものにつきましては、もし二十トン未満のものでどうしても船員法の適用を受けるのはいやだ、こういうようなものがあるとするならば、これはやむを得ません。何かのそれよりいい条件があるものだ、こう思量されます。しかし、やはり皆さんが大部分のものがいいのであるならば、これはやはりもっと慎重に考えて、いいか悪いか、これはトン数だけではなく、所属しております漁船やその組合ですか、こういうようなものの意見も十分聞き、各官庁と十分打ち合わせをして適用範囲を思い切って拡大してやるというのが、これは法のたてまえじゃないか、前進じゃないか、こうも思いますので、この点は大臣においても十分いままでの論議はお聞き及びのとおりでございますから、十分これを審議されますように私は要請しておきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/316
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317・園田直
○園田国務大臣 ただいまの問題は、私も島出身でありまして、漁船はむしろ船舶よりも作業が非常にはなはだしい。しかも、近ごろは不漁で無理な漁をしておりますので、いろいろ問題が多いわけでありまして、私のほうでは五トン以上、二十トン未満の漁船を入れた場合には、大体八万人ぐらいが保険に追加されるわけで、財政上その他についてはいささかも問題がございません。ただ、労働省のいろいろな保険、それから私のほうとかみ合っておりますので、先ほどは船員法と船員保険法と違ってしかられましたが、今度は一致して御注意を受けたわけでありますが、船員法のほうでそういう特例なり範囲の拡大をするということになれば、私どものほうは事務的に非常にしやすいわけでございますが、御指摘のことでございますから、関係各省とも相談して検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/317
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318・島本虎三
○島本委員 この問題は以上の点を要望いたしまして、次に進ましてもらいます。
これは船員保険の災害補償部門にかかる保険料率、この問題についてある程度の制限を付することに対しての可否が私はどうもわからぬのでございますけれども、この問題について、メリット制を採用すべきかどうかというような点を現行の制度に合わして十分慎重に審議されたと思います。ひとつ私に聞かしていただきたいと思います。これはどちらでしょうか、厚生省でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/318
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319・梅本純正
○梅本政府委員 陸上の労働者に対します労働者災害補償保険の保険料率につきましてはメリット制を採用しておりまして、災害の防止の自動調節機能を持たせているところでございます。具体的な制度についてということでございますが、陸上の労働につきましては千分の二から千分の八十というふうに段階を設けて、先ほど申しましたようなメリット制がとられております。船員保険におきましては、海上労働の特殊性にかんがみまして、先ほどから御議論がありましたように、汽船と漁船の関係の船員を一体として把握いたしまして、船員法に定める船主の災害補償責任を肩がわりして短期及び長期の給付を行なうというふうになっております。その保険料率は現在千分の六十、一本でやっております。この単一の料率を、たとえば船種別、船舶種類別等に区分して、陸上の労災のように差等を設けるということにつきましては、それぞれの区分によりまして災害の発生率が異なっておりますので、確かに意味のあることであるというふうに考えます。しかし、一般に推定されますのは、大型の船舶に災害発生率が少ない、それから零細な漁船は発生率が高いというので、保険料負担能力の点からいろいろ問題を呼んでくるだろうというふうに考えておりますが、しかしこの問題につきましては、陸上の労災がメリット制を採用しておるという現在、船員保険法につきましても、この労災部面についてメリット制を採用すべきだという議論が出ております。しかし、いま申しましたようないろいろの問題点もございますので、社会保険審議会におきまして、前々からいろいろ懇談会においても問題にされておりまして、今後労使が、いわゆる船主と海員組合の代表が出ておられます社会保険審議会の場におきまして慎重に御議論を願いたいというふうに思っております。また厚生省の事務当局といたしましても、その御審議の便宜という意味におきまして、目下実態調査というふうなものを実施いたしておりまして資料を集めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/319
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320・島本虎三
○島本委員 せっかく、船員保険法を陸上並みに適用させようとするのでございますから、思い切ってその船員保険の災害補償部門にかかる保険料率の点におきましても、そういうような点を十分考えられたほうがいいのじゃないかと、常々そう思ってまいりました。もちろん、これはもう千分の二から千分の八十まで、それとまた千分の六十の一本、こういうふうになりますと、やはり陸上のほうがまたその点では同率にはできない、こういうふうな前提条件にすると、これは全然話になりません。しかしながら、もっと考慮する余地もあるのじゃないか、これも常々思っておるわけでございます。社会保険審議会ですか、そっちのほうでもこれが問題になったということを聞いておるのですが、いまの話では懇談会の中でこれが出た程度のようでありますけれども、この点は問題になったことはございませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/320
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321・梅本純正
○梅本政府委員 ちょっとことばが足りませんでしたが、社会保険審議会では十分に問題になっております。私が申し上げましたのは、先生方からもいろいろ御質問が出ておりますが、いろいろな問題点につきまして、その懇談会では十数項目にわたりまして、問題を懇談的に煮詰めていくということをこれからやっていこう、そして徐々に煮詰めて、正式の社会保険審議会で結論を出していこう、こういうふうな形でものごとが進んでおるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/321
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322・島本虎三
○島本委員 でき得べくんば、せっかく第一歩を進めたわけでございますから、その辺も十分ひとつ考慮されまして、陸上と海上と働く労働者に隔たりがないように、この点も十分調節してやってほしい、またすべきじゃなかろうか、もっと考慮すべきじゃなかろうか、こう思いますから、今後この点も十分検討しておいてもらいたいと思います。
大臣、これはよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/322
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323・園田直
○園田国務大臣 いま問題になっていると言いましたのは、審議を願っているわけでありまして、この結論を待って御指摘の線に従って善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/323
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324・島本虎三
○島本委員 私は、具体的な問題に入りまして、この船員保険法の一部を改正する法律案、この中をちょっと見て、わからないのであります。といいますのは、失業保険金の最高額及び最低額について、失業保険法の最高日額及び最低日額を基準にする、こういうようなことになっておりますけれども、最高日額と最低日額とどういうふうにして基準にするのか、これどうも私はわかりませんが、ひとつ一年生にものを教えるように、理解できるように教えてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/324
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325・梅本純正
○梅本政府委員 この改正の点でございますが、失業保険金の日額は、従来標準報酬日額の六割相当額というふうに法律でぴしっときまっておったわけでございます。陸上の失業保険におきます給付の水準に即応させるというためには、現在陸上の失業保険につきましては、労働省の告示をもちましてきめられるというふうになっております。ただいま申しましたように、船員保険法は従来相当額とぴっしり法律できまっておりました。それで先ほど申しましたように、陸上の失業保険の最高日額あるいは最低日額がきまりました場合に、バランスをとってできるだけ早く即応できるようにというふうに考えまして、今回改正をお願いしましたのは、標準報酬日額の六割相当額を基準として厚生大臣が定められる、いわゆる厚生省の告示できめられるということにしたわけでございまして、労働省が年度の途中で告示を出されたような場合には、できるだけ同日をもって、その間を置かないように、こういう趣旨でございます。また、最低日額につきましても、従来船員保険は百八十円に法定されておりましたけれども、今回はやはり陸上の失業保険における最低日額を基準にしてきめるというふうにして、これも厚生大臣が告示できめられるというふうにしたわけでございます。
いずれにしましても、社会保険審議会の意見を聞くことはもちろんでございますが、つづめて申しますと、従来法律でぴっしりきめられておりましたので、これを改正をお願いします場合には国会でお願いしなければならぬ。この船員保険につきましては、御承知のとおり過去二回審議未了になっておりまして、そういう意味で計算方法を基準、基準という形にしていただきまして、あとはその範囲内で陸上の労働者と均衡をとりながら時代におくれないように告示していきたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/325
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326・島本虎三
○島本委員 今回のこの船員保険法の一部を改正する法律案は、当然通ることだと思います。そうなりますと、今回の法改正に伴いまして大臣が定める失業保険の日額はどれくらいにするものでございましょうか。それも一つ伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/326
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327・梅本純正
○梅本政府委員 先ほど申しましたように、この改正法におきましても社会保険審議会の御意見を聞くということにいたしておりますが、われわれの予定といたしましては、さしあたり失業保険金の最低日額につきましては現行百八十円を二百四十円とするというふうに考えております。
ついででございますが、失業保険の最高日額につきましては現行どおり千百三十円、その他の額につきましては、現行どおり失業保険金の算定の基礎となる標準報酬日額の平均額の百分の六十というふうに定める予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/327
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328・島本虎三
○島本委員 失業保険金はいま千百三十円が日額の最高でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/328
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329・梅本純正
○梅本政府委員 千百三十円は、船員保険法における失業保険金の最高額でございまして、陸上の失業保険の最高額は千九十円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/329
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330・島本虎三
○島本委員 陸上が千九十円で、海上のほうが今度は千百三十円になるわけですか。間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/330
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331・梅本純正
○梅本政府委員 間違いございません。
これは御説明いたしておきますと、船員保険におきましては船員の平均賃金が高うございますので、一定の時期までは同額でございましたが、その後におきましては、少しずつ陸上の失業保険の最高額よりも高くなっております。その現状にかんがみまして、今回最高額は現行の千百三十円というふうにきめたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/331
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332・島本虎三
○島本委員 したがいまして、最高限度をどうしてもきめなければならないという理由を、今度は逆にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/332
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333・梅本純正
○梅本政府委員 失業保険金の額は、失業者の最低生活を保障するということをあわせまして、労働力の維持保全という見地から、離職前の賃金を考慮して定められております。しかし、失業保険金の額が著しく高額となりました場合には、やはり失業者をして失業保険金に依存させる傾向が出てくるのじゃないかということで、再就職の意思を阻害するおそれがあるというふうに一般にいわれておりますので、やはり陸上に合わせましてこの最高限度を設けることは必要でないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/333
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334・島本虎三
○島本委員 その点は今後十分考える必要があろうかと思います。
最後に、私はいままであまりほめて終わることはないのでございますけれども、今回私の準備した質問に対しましては、皆さまわりあいにすなおに、発展性のある答弁をしてくださいましたことを私は心から感謝いたします。特に、船員保険における二十トン未満の漁船についての適用範囲の拡大、これは今後十分前向きに検討するということ、それとあわせて今度船員保険の災害補償部面にかかわるところの保険料率のリミット制の採用云々につきましては、これも十分検討してみるということ、これは私は今後の課題として、心からその研究の効果を期待しておきたいと思います。私はこれを十分要請申し上げまして、これで終わりたいと思いますが、大臣、この二つの点、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/334
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335・園田直
○園田国務大臣 答弁いたしましたとおり、十分御趣旨の線に従って努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/335
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336・島本虎三
○島本委員 予定されました時間を五分余しまして、私の質問はこれをもって終わります。
〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/336
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337・八田貞義
○八田委員長 和田耕作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/337
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338・和田耕作
○和田委員 いま島本委員が御質問になりました点について、私からもなお念を押しておきたいと思うのですけれども、いまの漁船の二十トンというのと商船の五トンという、これに働いておる船員さんは何名くらいでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/338
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339・河毛一郎
○河毛政府委員 漁船に関して申し上げますと、二十トン以上の漁船で船員法の適用を受けておる漁船船員の数は約十四万人でございます。それから、同様五トン以上の商船に乗っております、つまり船員法の適用を受けておる船員の数も約十四万人でございます。したがいまして船員の総数は二十八万名であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/339
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340・和田耕作
○和田委員 私が質問しておりますのは、二十トンの漁船に乗っている船員は何名か、あるいは五トン以上の商船に乗っておる船員は何名か。一つの船に乗っておる人数であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/340
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341・河毛一郎
○河毛政府委員 二十トンに乗っておる船員の、一隻当たりでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/341
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342・和田耕作
○和田委員 そうです。大体普通の船の平均でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/342
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343・河毛一郎
○河毛政府委員 御質問の趣旨にぴったりした数字は、いま持ち合わせがございませんが、御参考になるんじゃないかと思いましてちょっと申し上げたいと思いますが、二十トン以上四十九トン未満の漁船が四千四十六隻ございます。これに乗っております乗り組み員が四万七千名でございますから、大体十名程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/343
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344・和田耕作
○和田委員 そうむずかしいことを言っているわけじゃないのです。失業保険法では、陸上の人は五人以上の事業場ということが一つの目安になっているわけですね。海上の場合に、漁船は二十トンが一つの標準になっておる。商船の場合は五トンになっている。その数が大体どの程度かということをいま聞いているわけなんです。そのような目安をつけなくてこういう問題を議論をするのはおかしいと私は思うのです、同じ労働者ですからね。
つまり、昨年厚生省から失業保険法の一部改正の法案が出ました。これは五人以下の労働者にも拡大しようという案だったわけですね。私、非常に賛成をしておったのですけれども、そういうふうな案が出ておりますので、漁船の場合も、海上労働者の場合も、いまお話を聞けば五人よりかなり多い人が働いておるということになると思います。そういうことですから、ぜひともこの船員保険法の範囲を拡大をしていく、このことをひとつ真剣に検討していただきたい。先ほど島本委員の質問に対しまして前向きの御答弁であったようですけれども、私からも、海員組合の人たちの熱心な希望を代表してお願いを申し上げておきたいと思います。ひとつ大臣の御所見を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/344
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345・園田直
○園田国務大臣 船員保険は、陸上の人々よりもやや上回るようなことを考えてやっておるのでありますが、逆になっておりまして、御指摘のとおりでありますから、先ほど答えましたとおり、御意見の線に従って関係各省と相談をして、早急に解決したいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/345
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346・和田耕作
○和田委員 次の問題は、船員保険は、御承知のとおり総合的な保険ですね。失業保険も年金もいろいろその中に入っているわけです。これも海員の人たちのたっての希望なんですけれども、たとえばいま北洋漁業に船が出ております。これは毎年、ある会社の、船員といわれる人でない人が船に乗っていかれるというケースがかなり多いようですね。そういう場合は、船に乗ると同時に失業保険が打ち切られる。そして海員保険が適用される。また逆に、数カ月して帰ってくると、今度は海員保険が打ち切られて失業保険に変わっていく、こういうふうなことの出入りが非常に多いんですね。こういうことによって、失業保険の給付を受ける人たちがたいへん損をするわけですね、同じような仕事をしているのに。こういうような問題について違った保険、つまり失業保険と海員保険との連続性をお考えになっていただけないかということなんですが、厚生大臣、ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/346
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347・梅本純正
○梅本政府委員 先生の御指摘の点は、従来から問題にされております船員保険の被保険者期間と陸上の失業保険の被保険者との通算問題だと思います。これは両制度間におきまして、先生御承知のように、被保険者期間の計算方法、それから失業保険金の給付の日数もいろいろ違っております。それから保険金日額の算定方法ということにつきまして相当の差がございますので、通算措置をとりますにつきまして従来からも非常に問題でございましたが、いろいろ困難な点がございました。しかし、先ほども御答弁いたしましたように、これは一つの重要問題でございますので、社会保険審議会の船員保険部会におきまして、重要な検討事項の一つとして検討されることになっておりますので、その結果を待ちまして善処いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/347
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348・和田耕作
○和田委員 まだたくさんございますけれども、もうこの法案は可決、成立直前でございますから、これ以上ごたごたしたことは申し上げません。ただ、この二つの問題につきまして海員組合の諸君はたいへん深い関心を持っておりますので、そのことを申し上げまして、私の質問を終わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/348
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349・八田貞義
○八田委員長 これにて船員保険法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/349
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350・八田貞義
○八田委員長 次に、討論に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
内閣提出の船員保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/350
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351・八田貞義
○八田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/351
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352・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/352
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353・八田貞義
○八田委員長 次回は明二十六日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02019680425/353
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