1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月十日(金曜日)
午前十時十九分開議
出席委員
委員長 八田 貞義君
理事 小沢 辰男君 理事 田川 誠一君
理事 藤本 孝雄君 理事 河野 正君
理事 田邊 誠君 理事 田畑 金光君
大坪 保雄君 大村 襄治君
海部 俊樹君 齋藤 邦吉君
澁谷 直藏君 世耕 政隆君
田中 正巳君 竹内 黎一君
谷川 和穗君 塚田 徹君
広川シズエ君 三ツ林弥太郎君
箕輪 登君 粟山 秀君
渡辺 肇君 枝村 要作君
加藤 万吉君 後藤 俊男君
島本 虎三君 八木 一男君
山田 耻目君 山本 政弘君
本島百合子君 伏木 和雄君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 園田 直君
出席政府委員
厚生大臣官房長 戸澤 政方君
厚生省医務局長 若松 栄一君
厚生省社会局長 今村 譲君
厚生省児童家庭
局長 渥美 節夫君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 辻 敬一君
参 考 人
(社会福祉事業
振興会会長) 葛西 嘉資君
専 門 員 安中 忠雄君
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五月十日
委員倉石忠雄君、中山マサ君、西岡武夫君、増
岡博之君及び沖本泰幸君辞任につき、その補欠
として塚田徹君、大村襄治君、広川シズエ君、
谷川和穂君及び伏木和雄君が議長の指名で委員
に選任された。
同日
委員大村襄治君、谷川和穗君、塚田徹君及び広
川シズエ君辞任につき、その補欠として中山マ
サ君、増岡博之君、倉石忠雄君及び西岡武夫君
が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会申し入れに関する件
国立光明寮設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二三号)
身体障害者福祉法の一部を改正する法律案(内
閣提出第七三号)
社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案
(内閣提出第八三号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/0
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001・八田貞義
○八田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の国立光明寮設置法の一部を改正する法律案及び身体障害者福祉法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/1
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002・八田貞義
○八田委員長 提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣園田直君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/2
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003・園田直
○園田国務大臣 ただいま議題となりました国立光明寮設置法の一部を改正する法律案につきまして、その内容及び提案の理由を御説明申し上げます。
最近、身体障害者福祉はますますその重要性を加え、国民的な関心の高まりを見ており、政府といたしましても、身体障害者のため諸施策の充実、強化につとめているところであります。
申すまでもなく身体障害者福祉の目的は、その能力を十分に活用し、社会の一員として活動ができるよう更生の実をあげることにあります。このため、身体障害者を収容し、治療及び訓練を行なう更生援護施設を整備し、身体障害者の社会復帰の促進をはかっているところでありますが、その一環といたしまして、国も、視力障害者を収容し、更生に必要な訓練を行なう施設として国立光明寮を設置し、視力障害者の福祉の増進につとめているところであります。
国立光明寮は、これまで東京都、北海道等四カ所に設置されておりますが、さらにその地域的分布を考慮し、その受け入れ態勢の整備をはかるために、主として九州地方の視力障害者を対象とする光明寮を福岡県に設置することといたしました。そのために設置場所として福岡県を追加するのが本法案の内容であります。以上がこの法律案の内容及び提案の理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、議題となりました身体障害者福祉法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
最近、身体障害者福祉はますますその重要性を加え、国民的な関心の高まりを見せております。
申すまでもなく、身体障害者福祉対策の意義は、身体障害者がその能力を十分に発揮し、積極的に社会経済活動に参加できるよう更生の実をあげることにあります。
このような見地から、国といたしましても、身体障害者更生援護施設の整備及び運営については特に意を用いているところでありますが、今回、都道府県知事等の措置によりこれらの施設に入所して訓練を受けている身体障害者に対して、この訓練をより効果的に受けることができるようにするため、都道府県知事等は、参考書等の費用を更生訓練費として現金で支給することができることといたした次第であります。
なお、特別な事情がある場合には、更生訓練費の支給にかえて物品を支給することができることとし、また、国立の施設に入所した身体障害者に対する更生訓練費等の支給は、当該施設の長が行なうことといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/3
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004・八田貞義
○八田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。島本虎三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/4
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005・島本虎三
○島本委員 国立光明寮設置法の一部を改正する法律案について若干質問をいたしますので、よろしく御答弁を願います。
この国立更生援護施設、こういうようなものは全国で幾つございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/5
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006・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。国立の肢体不自由者施設につきましては、全国で東京に一つ、それから聴力障害施設、視力障害施設、これが一つ東京にございます。いま御審議願っております失明者の関係は、全国で四ヵ所、東京、栃木北海道、それから兵庫県に一つずつございます。新規に福岡にもう一つつくりたいということでございます。それから、非常に重度の人を入れます重度障害者施設が別府と伊東にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/6
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007・島本虎三
○島本委員 大体、この国立光明寮、これに収容しなければならないいわゆる視力障害の人たちは、全国でどれほどおりますか。はっきりしたデータがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/7
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008・今村譲
○今村政府委員 四十年八月の実態調査によりますと、視力障害関係が二十四万四千人ということで、全体で百万人の身体障害者のうちの大体四分の一でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/8
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009・島本虎三
○島本委員 それに対して国立のいろいろなセンターが少ないというのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/9
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010・今村譲
○今村政府委員 それはこういうことでございます。国立の施設というのは、そもそも出発は中途失明者を対象とするということでございまして、生まれつきの人あるいは非常に小さいときから目が不自由というものは、文部省の盲学校、これが全国で三百五校、四万四千三百十九人というので、これは小学校、中学校全部全国にございます。したがって、途中で失明した人は、非常に不自由だ、しかも学校教育には当たらないというので、国が直接にこういう施設をつくっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/10
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011・島本虎三
○島本委員 ことに視力障害関係について適職研究部門、こういうようなもののいわば充実強化がいまや必要な段階じゃないかと思うのです。おそらく、政治が日を当てるというのは、こういう部門から始まるのじゃないかと思うのです。大体聞いておりましても、これは厚生省いかによくやっていると言いながらも、まだ二十四万四千人もいながらも、施設そのものから見るといまだしの感が強いわけです。それと同時に、適職研究部門の充実強化、こういうようなものについては、今後大いに完ぺきを期していかないといけないのじゃないか、こう思いますが、依然としてあんま、マッサージ師、指圧師、はりきゅう師、こういうようなものに重点を置いて充実強化をはかろうとするものでありますか。そのほかにまたいろいろな各部門を検討中でありますか、この辺をひとつ賢明なる局長の御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/11
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012・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。御指摘のように、国立光明寮におきましては、ほとんど全部あんま、はり、きゅうの訓練が主でありますが、これではいかぬというので、最近におきましては、もっと新規に開拓しなければいかぬというので、たとえばかなタイプあるいは点字印刷という問題とか、あるいは電気器具なども、簡単な処理のできるものは訓練をして社会復帰を進めるということで、いろいろの研究をやっております。それから民間におきましては、アメリカあたりと結びまして、訓練次第によっては電話交換手にも使える。要するに発光信号を音響に変えるというようなことで、現実に電話交換手第一号が大阪で働いておりるというような事情がありますので、この部分につきましては、国立ばかりでなしに、民間も含めまして十分研究いたしていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/12
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013・島本虎三
○島本委員 これはやはり職業開発研究というものは、いま加えられている最も明るい大きな一つの開発地点じゃないか、こういうふうに考えられるのです。ことに最近では、勘が鋭いですから電話交換などもできます。私のほうは電話交換のほうはいろいろやっておりますけれども、あれは目あきよりも勘が鋭いのです。間違うかと思っても、案外間違わないのです。われわれが目で見てやるよりも的確にいくのです。この職業の開発研究はまことに重要だと思うのです。思い切って機械のほうまで持っていって、旋盤工あたりはつとまるのではないか。この技術開発の面は大いにつとめるべきではないかと思いますが、この点はどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/13
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014・今村譲
○今村政府委員 お説のとおりでありまして、国立も非常に不十分な段階でございますので、来年度、いまおっしゃいましたように、もっと機械工業の中に取り入れるというようなかっこうで研究を進めていきたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/14
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015・島本虎三
○島本委員 中途失明者の社会復帰、更生訓練、この問題はなかなか困難だと思います。私自身も、これで失明した場合にははたしてどうなるかということは、自分でもわかりません。おそらくは、初めから失明されておる方と中途の場合、ことに老人になってからの場合は、ほとんど不具にひとしいようなことになってしまう。こういうようになってしまいますと、この更生訓練というのはまことに重要です。この更生訓練については充実しておりますかどうか、またこれからどうしようとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/15
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016・今村譲
○今村政府委員 中途失明で一番大事なのは、基本的にはその生活訓練、たとえば歩くこと、それから日常生活を弁ずることというのが中心でございます。それから職業訓練に入る、あるいは点字に入るわけでございますので、国立光明寮も相当の時間をかけてやっております。この点ももっと科学的な訓練をして、音響によって交通事故を起こさずに道を歩けるとかいうような、もっと科学的な訓練をしなければならぬ、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/16
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017・島本虎三
○島本委員 委員長、答弁の声よりうしろの私語のほうが大きいのですがね。委員長から何回も私語を禁じてもやっておる場合はつまみ出したらいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/17
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018・八田貞義
○八田委員長 私語を禁じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/18
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019・島本虎三
○島本委員 第三番目にお伺いしたいのは、重度視力障害者の施設の整備、こういうようなものも重要じゃないかと思いますが、施設は現在どこの場所にございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/19
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020・今村譲
○今村政府委員 視力障害は東京、これは杉並でございます。それから塩原、北海道の函館、関西に行きまして明石、この四ヵ所でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/20
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021・島本虎三
○島本委員 その設備は完全ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/21
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022・今村譲
○今村政府委員 これは大体定員二百十名ということでやっておりますが、一応現在のあんま、はり、きゅう、あるいは生活訓練という程度については、全部近代化と申しますか、木造でありましたものを新しく直したということではございますが、それ以外のいろいろな最近における職業開発なんかの訓練部門につきましては、まだまだ不十分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/22
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023・島本虎三
○島本委員 授産関係は国でやっておりますか。地方自治体でやっていますか。個人経営にしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/23
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024・今村譲
○今村政府委員 ちょっとお伺いしますが、中途失明者、盲人の授産のことでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/24
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025・島本虎三
○島本委員 私が聞いているのは、重度視力障害者の更生施設のことを聞いているのです。あなたはいま全体的に答えられたのですが、めんどうくさいからそのまま私続けてやりましたが、鯖江にあるのはどういう施設ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/25
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026・今村譲
○今村政府委員 これは盲人だけではなしに、それに精薄がダブっている、いわゆるほんとうの重度の人であります。もっぱら陶器関係をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/26
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027・島本虎三
○島本委員 よく聞いておきたいのはその辺なんです。私どもも施設の視察をやってまいりました。ことに勝間田委員長なんか盛んに対話の中で、こういう施設の状態の改善、これが政治の日の当たらない場所、最もわれわれの意を用いなければならない場所に対する施策だと言っておる。こういう観点からして、十分こういう方面の調査をしてやっておるものです。これは若い人もあり、わりあいに年齢の人もございます。しかし、全盲以外の、たとえば精薄の盲人、こういうような人たちは生きておるなきがらのようなものです。食べることも言うことも一人では何もできない。ただベッドに寝ている。ある参議院議員の候補の人で、そういうようなのは安楽死をさしたほうがいいんじゃないか、こういうような無礼きわまることを言った坊さん候補者もおるようでございます。これはなかなか重大な発言でございまして、なぜ政治はこの方面に意を用いないのか。済度するはずの職業の者が安楽死をさせることがいいと言う。こういうみじめな状態にまで追い込まなければ解決できないものがめくらの精薄、こういうような人たちなんです。ベッドに寝ていても、動物のようにうなり声さえ立てておる。こういう施設はおそらくだれも見てないでしょう。国で大いにやったほうがいいのですけれども、個人でやっておるところがあるのです。こういうものにはもっともっと意を用いなければいけないと思います。こういうような施設に対して、今後これを大いに充実し、増強していくお考えでしょうかどうか。このような方面には案外個人の施設が多いということは遺憾だと私は思うのですが、あなたはこれに対してどういうふうなお考えで対処してまいりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/27
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028・今村譲
○今村政府委員 いまお話しになりましたような点は、確かに現在の施設の盲点でございまして、精薄やあるいは聴力、視力障害のダブリの問題は非常にむずかしく、施設が追いついていかないために家庭に放置されるという問題がございます。したがいまして、数年前からでありますけれども、三つも四つも重なったそういうダブルハンディキャップというものに対して、重度心身障害者という問題で、これは民間ではなかなかできにくいというので、国立療養所の中に重度心身障害のベッドをつくろうというので、三年ほど前からやっております。これは計画では一万七、八千つくろうということでやっております。まだ第三年目くらいでありますので、ベッド数が四十三年度でやっと二千床ということでございますが、これは、年次計画といってもそうのんびりはできませんけれども、四十二年が千二百二十、それに八百八十足して、四十三年度には二千床というかっこうでどんどんふやしていきたい、こういう取り組み方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/28
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029・島本虎三
○島本委員 それを収容する施設の整備と近代化、こういうようなことは十分考えないといけないんじゃないか、こう思います。木造の鉄筋化並びに冷暖房、こういうようなものまで十分考えてやらなければならないと思いますが、設備の点ではどのように考えておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/29
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030・今村譲
○今村政府委員 これは、国立療養所でやるということになりましたのは、まず第一は人手の問題であります。医者、看護婦、そういうようなもの、あるいは保母さんというようなもので、十分に医療を加味したものでやれるというかっこう。それから建物につきましては、全部コンクリートの不燃性のものということで計画を進めております。
設備の冷暖房は、暖房は全部もちろんございますけれども、冷房はできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/30
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031・島本虎三
○島本委員 木造のこういう建造物はまだ幾つかございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/31
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032・今村譲
○今村政府委員 これは若干ございます。したがいまして、重症心身障害は、いま申し上げた国立施設でやるわけでありますが、民間におきますものは、ことに老人の寝たきりの人とか、あるいはこういう重度の身体障害者のためのものは、木造を全部鉄筋のほうに切りかえるということで新設の分は全部やらしておりますが、古いものは残っております。これは状況によりますと、老朽施設の整備には利子補給という制度がありますので、これに切りかえて、できるだけ早く鉄筋のものに直していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/32
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033・島本虎三
○島本委員 目の見えない場合、精薄なんかの場合、ことにこういうような視力障害の人たちは、どのような場合でも最も安全なような生活環境に置かないといけないと思います。木造の場合には、地震であれ、火事であれ、どういうような場合でも、やはり一番残酷な状況を呈するおそれがあるわけであります。これはやはり何としても鉄筋化をしてやらないと近代化にならぬのじゃないか。こういうふうになりますと、勢い予算の面が問題になってまいります。大蔵省との関係は、こういうような問題は厚生省はうまくいっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/33
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034・今村譲
○今村政府委員 おっしゃいますように、鉄筋というものは、完全にはなかなかまいりませんが、少なくとも新規のものは全部鉄筋あるいはブロック不燃建築ということでここ数年やってきておりますし、過去のものにつきましても、建物の状況に応じまして、たとえば移転改築とか、あるいは増築とかという場合には、全部新規にコンクリートでやらせるという指導でやっておりますので、施設整備三十六億というものがございますけれども、その中で優先的に扱ってまいりたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/34
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035・島本虎三
○島本委員 ことに北方、北方というのは北陸、東北、北海道ですが、こういうような方面に対しての施設は、木造であってはやはり命数が早く消耗してしまいます。それと同時に、鉄筋であっても、すぐ暖房にしないといけないような状態になっております。
函館、神戸、こういう方面の収容棟は、やはり木造でやっておりますか。それとも鉄筋にしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/35
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036・今村譲
○今村政府委員 函館、神戸これは初めから全部鉄筋でつくっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/36
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037・島本虎三
○島本委員 ついでに、暖房を通しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/37
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038・今村譲
○今村政府委員 函館は最初から暖房設備はしてございます。それから神戸は、本年中に全館暖房をやっていくつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/38
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039・島本虎三
○島本委員 心強い答弁です。神戸の場合は、冷房の必要もございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/39
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040・今村譲
○今村政府委員 ちょっとそこまではそう一気に打ち出せないかっこうでございます。もっとも周囲の情勢なども、最近官庁までどんどんと冷房が入るかっこうになりつつありますので、相当考えなければいけない。先に考えなければならないと思いますけれども、いま少しく勉強さしていただきたいと思います。
〔「冷房はからだに悪いよ」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/40
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041・島本虎三
○島本委員 そんなにからだに悪いならば、国会でも冷房しないほうがいい。国会は冷房をして、そういうような中で慎重にかつ厳格に審議する、これで能率があがる、こういうふうに言っておりながら、ほんとうに困っている人たちに適職を与えるための訓練をするところ、こういうような人たちを収容しているところに、そんなものはやらなくてもいいというのは、これは同じ不規則発言でも、品位を保つ上から気をつけたほうがいい、こういうように思います。
それで、ひとつまた次にお伺いしてまいりたいと思いますけれども、ことに身体障害の場合は、総合的リハビリテーション、この体系が必要じゃないかと思うのですが、この調査研究のほうはできておりますか。結果をお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/41
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042・今村譲
○今村政府委員 一昨年、身体障害者福祉審議会を、まる一年間、数十回にわたって開きまして、そこで、現在の行政体系の欠点、あるいは改善事項というのをいろいろ指摘をされております。数十項目にわたっております。
そこで、いまお話しになりましたように、医療機関との連絡、あるいは訓練から社会復帰に至るまでの間の連絡、これは病院、それから訓練施設、それから職業安定機関というふうな関連、それがまだ非常にすっきりいっていないというふうな問題もございます。それから、現在ある身障のリハビリテーションの施設におきましても、PT、OTとか専門の人が非常に少ない。それも経験と勘によっておる、そういうような者の養成、それから訓練の内容についても十分ではない、非常にありきたりの方法でやっておるというようなこと。それから、職業訓練機関との関連がスムースにいかない、生活訓練だけ受けて職業補導機関に入れないでいるという人も非常に多い、その辺のところは厚生、労働、十分にリンクをつけるべきであるというような意味のものをもらっております。私どもとしては、これは非常に広い問題でありますので、医療関係あるいは労働関係と十分に連絡をとって、直せるものはどんどん直していくというような姿勢でまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/42
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043・島本虎三
○島本委員 疾病から社会復帰までの一貫整備、こういうようなものは、いま厚生省でないとやれないのじゃないですか。国のほうでなければやれないのじゃないか。ことにこれを採算性においてやるというようなことになれば、これは社会保障という名が泣きます。こういうようなのこそやはり厚生省のほうで力を入れてやるべきだと思います。それで大蔵省は、こういうような総合的リハビリテーションの、いわば疾病から社会復帰までの一貫整備、こういうような点については、おそらく積極的に支援し、三十六億といわず、今後やはり重点をこの辺に置いて、社会保障の実を上げるためにも十分配慮すべきじゃないかと思うのですが、大蔵省の主計官おりますか。——来てない。これは残念ですけれども、特に局長のほうで責任を持って、この点は大蔵省に要請できましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/43
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044・今村譲
○今村政府委員 それはいろいろ難関はございますけれども、しかし身障問題というのは、これは児童も含めまして、いま大蔵省としても、いままであと回しにし過ぎたというふうな感じを持っておるようであります。ですから、私どもとしましては、いま御指摘ありましたような点についてはできるだけの努力をいたしたい、こういうように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/44
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045・島本虎三
○島本委員 リハビリテーションの専門職員の養成、こういうようなことは十分考えていかないといけないと思います。この身分法なんかはしっかりしてましょうか、この辺の専門職員の養成機関、こういうようなものもはっきりあるでしょうか、この点をひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/45
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046・若松栄一
○若松政府委員 リハビリテーションの関係の医療補助者としていわゆるPT、OTというものがございますが、PTの養成施設は現在四ヵ所、OTの養成施設は現在二ヵ所ということでございまして、現在は養成定員も非常に少なくて、PTが八十名、OT四十名というような状況でございますので、養成施設としては非常に少のうございますが、養成施設ができたのがきわめて新しいことでございますので、従来から相当経験のある者というものは相当ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/46
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047・島本虎三
○島本委員 やはり将来はこういうような方面も問題になってくる個所じゃないかと思います。いまあまり問題になってないのは、その方面を問題にしなくてもいいくらい日本が貧弱な状態だからです。もっと社会保障が進めば、やはりこういうようなことが問題になってきます。それから手をつけたのではおそい、いまのうちにもう考えておくべきじゃないか、こういうように思っておりますので、その点は十分先に手を打っておいてほしいと思います。よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/47
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048・若松栄一
○若松政府委員 私どもも、他のいわゆるパラメディカルの職員と同じように、この養成を強化すべく努力しておりますが、何ぶんにも日本にこのような養成施設の先生になる有資格者が非常に少ないということのために、事実上養成施設がなかなか困難である。そこで現在では、従来から経験的にやっている方々を、そういう養成施設を経ないで試験を受けさせて、そしてできるだけ有資格者を増加しようということで努力いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/48
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049・島本虎三
○島本委員 今後もそういうような点は重大ですから、意をその方面に十分注いでやってほしい、こういうように思います。それを特に強く要請しておきたい、こういうように思うわけです。
それと次には、重度の障害者の場合には、これはいろいろ考えなければならない点が多いのではないかと思います。重度ですから、精薄も加わるでしょうし、目も入るでしょうし、もちろん身体不自由者、いろいろそういうようなものもあるわけです。若い人もある。わりあい年とった人も当然あるわけです。こういうような点について、何か重点的にそういうようなものの施設を考えておられましょうか。現在要求があるところだけつけてやるような状態でこれを指導しているのでしょうか。現在の重度障害者といわれるような人たちに対する手当ての状態をお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/49
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050・今村譲
○今村政府委員 これは御指摘のように、非常に重度のダブルハンディキャップ——重症心身障害者、こういっておりますけれども、それを国立療養所で年次計画で一万数千ベッドをつくるということのほかに、現在私どもとしては持っておる重度の施設というものが非常に少ないわけでございます。収容施設と授産施設合わせましても、まだ二十一くらい、総計で約千四、五百人というようなものしかできておらない。これは民間あるいは府県全部ひっくるめまして、こういう程度ではとてもいけないというので、これは明年度から施設の年次計画というものをつくる場合に、身体障害者問題は最重点で各県ごとの配置計画をつくってみたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/50
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051・島本虎三
○島本委員 特にそういうような重度の場合に重点を置いて、ひとつ万遺憾なきを期してもらいたい、こういうように思います。国立光明寮設置法の改正案、こういうようなものはもともと反対の法案ではございません。あえて言うと、要請のある個所はもっともっとつけてやってほしい、こういうような強力な要請もあるわけです。総体的にいま各部門的にお聞きするところによりましても、いかに三十六億の予算をちょうだいしたといえども、まだまだ焼け石に水である、こういうような点しか考えられない点もございます。そこを十分今後考えて万遺憾なく対処してもらいたい。ことにあなたの場合は重大な使命があるのでございますから、大蔵省に対しても強力な要請ができる。おそらく国家的な見地に立って要求ができるはずであります。今後大いにがんばってもらいたいことを心から期待し、激励して、私の質問をこれで終わりとします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/51
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052・八田貞義
○八田委員長 枝村要作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/52
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053・枝村要作
○枝村委員 身体障害者福祉法の一部を改正する法律案について、ただいまから質問を若干いたします。
四十三年度の身体障害者福祉法関係の予算要求をされていますが、その要求の重点をどこに求めたかということをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/53
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054・今村譲
○今村政府委員 一般の行政費予算というのは、総ワクで申し上げますと、十七億から四十三年度二十一億四千万ということで、約二〇%伸びてきております。
重点につきましては、四十年度の審議会答申に基づきまして、一つには施設の強化。第二点は、施設が少ないものですから在宅者が非常に多いというので、在宅者に援護の手当てをしたい。大きく分けますとこの二つであります。
施設の強化につきましては、新規にいま御審議になっております更生訓練費、訓練手当といいますか、千円くらいのものでありますけれども、全部その施設に入りやすくするようにというので、都道府県あるいは公法人、法人というものにつきましては大体四千万円、それから国立の直轄部分につきましては約八百万円ということで、四千八百万というのが一つの重点でございました。それから、PT、OT職員とかあるいは介護職員とか、職員の増員ということも重点項目の一つでありまして、ある程度のところまではいったと思っております。
それから居宅につきましては、たとえばホームヘルパー、これは四十二年度に初めてできたものでありますが、家庭奉仕員、それが五割増しというところまでいきました。それから身障相談員を、二千人おりましたものを三千人というふうに、居宅の人のいわゆる世話役、相談役をふやしました。それから、車いすなんかのために、家屋やふろ場の改造というようなものも要求いたしたのでありますけれども、これは、いろいろな問題点がまだ未整理でございまして、実現いたしませんでした。居宅対策のほうはまだまだ手薄ではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/54
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055・枝村要作
○枝村委員 そういう要求の全般については法改正をする必要はありませんが、その中で今回の法改正となってあらわれております社会復帰の促進に必要ないろいろな要求があるわけであります。厚生省としては、この要求に対して大蔵省が満額認めたということにはなっておりませんので、きわめて不満と考えてはおられるでしょうけれども、特にいまの社会復帰の促進の問題から出てくる予算決定についてはどのようにお考えになっておるか。大蔵省の最終決定による四十三年度予算、この内容についてどういうようにお考えになっておりますか。当初のあなた方の要求したものと比較してどう思うか、こういうことなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/55
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056・今村譲
○今村政府委員 社会局系統の施設としましては、金銭給付というのは初めてのものでございまして、これは訓練も無料でございますし、家庭状況によりますと食費も無料。大多数の人は無料でやっておるわけでありますので、さらに金銭給付をするということにつきましてはいろいろ問題がございましたが、とにかく金額は不十分だと私ども思っておりますが、この制度が一応予算化されたということについてはまあまあと思っております。ただ問題は、今後リハビリテーションのためにいろいろ本人に経費が要る、これは財務当局と折衝しながら逐次増額してまいりたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/56
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057・枝村要作
○枝村委員 そこで、要求の内容ははっきりわかっておるのですけれども、新規の社会復帰促進費の支給が認められたとはいいながら、これは要求に対して決定が大幅に削られておる、こういうふうに常識的に見るわけなのです。そういう意味からも、社会保障制度審議会からいわゆる答申が出されております。これに対する意見書も、もちろん手放しというわけにはいかぬでしょうけれども、きつい内容のものであるということなのです。ただ、ここにも書いてありますように、「今回の更生訓練費等を支給する案も僅かに一歩の前進をはかろうとするものに過ぎない。」これは全然おほめのことばではないわけですね。そして抜本的にやりかえる必要があるということを強調されておる。
それともう一つは、この種の問題について、やはり労働省所管の労災法に基づくこの種のものと比較した場合に、これはきわめて格差があるような気がいたします。そういう意味で、この制度審議会が答申したものを見ましても、はなはだこれはいかぬという意味の指摘がされておるのですから、四十三年度のこの種のものに関する限りの厚生省の大蔵省に対する働きかけは、私はもう少しどうにかならなかったかという意味で遺憾の意を表したいのです。
そこで、結果は明らかになっておりますけれども、一体どういうふうになったのか、この予算としてどのように大蔵省がきめたのか、その内容についてちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/57
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058・今村譲
○今村政府委員 いまお話しのように、制度審議会でも、とにかく身障政策全般が非常に立ちおくれているのじゃないかということがだいぶん議論されまして、「僅かに一歩の前進をはかろうとするものに過ぎない。」という表現になってしまったわけであります。
これは先生も御存じだと思いますけれども、労働省あたりは、全部二万円ほどの金銭給付をして生活費や食費などまでも見るという、世帯をささえるようなかっこうでありますが、これは個々人の訓練施設だということで、施設運営はほとんど全部無料という仕組みになっております。これはいささか弁解じみますけれども、金銭給付の頭を出すことだけでも、財政硬直化のもとにおいては非常な苦労があったわけでございます。したがいまして、大体月千円というかっこうでありますけれども、これは決して私ども十分だというわけではございませんが、現在の施設で初めてこういう金銭給付の制度ができたということは、今後の進め方の一つの目じるしになるのじゃないか、私どもはそういうふうに思っております。もちろん財政当局とはいろいろな議論がございました。しかし、その辺につきましては、最後的に金額は低目であれ認めてくれたということにつきましては、ひとつ御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/58
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059・枝村要作
○枝村委員 そこで、要求の基礎ですが、一億二千四百万円の要求で、対象人員が七千七百四十人、一日八十円支給ということだそうですが、これは一体何を基準にしてこういう要求の基礎をつくったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/59
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060・今村譲
○今村政府委員 これは端的に申し上げますと、一日七十円、大体一ヵ月二千円ですね。ということは、たとえばノートなりいろいろな文房具、あるいは訓練を受けるための上っ張りというようなもので月二千円、これは積み上げれば切りのないいろいろな議論があると思いますけれども、そういうふうに要求したわけでございます。とにかく結果においては千円足らずというようなかっこうになりました。その辺は内容の問題でいろいろ議論いたしましたが、結果においては総額四千万円程度ということでおさまったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/60
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061・枝村要作
○枝村委員 ただそれだけですか。鉛筆とか用紙とか、そういうものを買うに値する金額というもので要求の基礎にしたのですか。それが、あなた方に言わせれば、結局社会復帰に役立つ、促進させる手当だというように、ほんとうに心からお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/61
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062・今村譲
○今村政府委員 それは、さっきの鉛筆とか文房具とか、あるいは被服とかいうようなもののほかに、いろいろな参考書とか書籍代ももちろん入ります。ただ私どもとしては、それが本人の生活費に充てるとか、あるいは本人の普通の意味での小づかいに充てるというふうな金銭給付となりますと、生活保護法との関連がいろいろございますので、やはり考え方としましては、その施設において更生訓練に必要な部分だけに限るというふうに切ったわけであります。ですからその点は、たとえば労働省のように家族の扶養手当まで出るというふうなものの考え、生活保障というふうな問題の取り上げをしなかったわけでございます。したがって、労働省並みに考えますと二万円ぐらいということを言わざるを得ないのでしょうけれども、これは根本的に施設は無料で生活を保障するというたてまえでできておりますだけに、あとは必要な文房具とかいうふうなものに限定しなければ要求の筋が通らない、こういう仕組みにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/62
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063・枝村要作
○枝村委員 審議会も指摘しておりますように、そのような考え方そのものにやはり問題があるのでないですか。労災法に基づくこの種の支給をされておる者は一万五千か二万円ぐらいですか。同じやはり疾病ですが、ただ厚生省と労働省の関係が違うということだけで、こうまで大きな差のあるものが同じ政府部内の施策として存在しておるということはいけないので、審議会もそういう意味のことを指摘しておると思うのです。だからこれはやはり抜本的に厚生省の考え方を変えていかなければならぬ。ただ単に、いま言いましたように、鉛筆とか日常用品を支給してやりさえすれば、それが復帰促進の、あるいは訓練費として出すという、これは精神的になるかわかりませんけれども、全く当てはまらぬものだ。しかも、わずかの金を出すことによって、早う出ていけという奨励金にもなるわけなんです。精神的にはこれは非常に痛いものではないかと思う。特にいまあなたが言われたように、生活その他一切余裕のある人がそういう訓練を受けておるならいいのですけれども、ほとんどがやはり生活保護を受けておる、全くあすの生活も立ち行かないという人たちを中心に考えてやらなくては、ほんとうに安心して訓練に励んで早く社会復帰できるということにならぬ。だから、そういう意味の基本的な考え方、姿勢というものをやはり変えていく必要がある。そういうことがないから大蔵省に要求しても——まあ要求そのものもきわめて少額ですけれども、半分にへずられる、厚生省が大蔵省からなめられたということになる、そういうぴしっとしたものがないから。そう見られてもしかたがないのでないですか。その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/63
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064・今村譲
○今村政府委員 これは経過の問題でございますが、労働省方式というものもずいぶん検討いたしました。これはもう出すものは出して、その場合取るものは取る、食費でも何でも取ってしまうというようなしかたもあるかと思いますが、少なくとも厚生省のあらゆる施設というのは、いわゆる人件費にせよ、あるいは食料費にせよ、富裕階層を除いては全部無料だというたてまえであるから、出して取るのでは意味がないのじゃないかということで、必要物資の点だけにしぼったわけでございますけれども、おっしゃいますように、たとえば労働省の技能習得費に比べてみましても金額的にまだまだ少ないという点がございますので、今後いろいろ検討して、この内容をほんとうに喜んで従事できるようなかっこうになるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/64
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065・枝村要作
○枝村委員 それで、厚生援護施設に入所して通っておる、いわゆるこの支給の対象になる実員は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/65
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066・今村譲
○今村政府委員 計算としましては大体五千七百人くらいであります。というのは、施設で出入りがありますし、空床も若干ありますし、それから相当家庭が裕福な人も身障者の施設の中にはおりますので、その辺のところを考えまして、大体五千七百人というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/66
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067・枝村要作
○枝村委員 それからこの対象者の中で生活保護を受けておる人はわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/67
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068・今村譲
○今村政府委員 二色ありまして、大体一割見当は生活保護をもらっておる人でございます。それから状況によりましては、国元に家族がおって、国元から社会訓練というようなかっこうで来ておる人もありますし、いろいろ形態があると思いますが、大体一割見当でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/68
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069・枝村要作
○枝村委員 そこで、その次の質問に入りますが、いろいろ努力はされておるのでしょうけれども、やはり内部障害が去年は四級まで拡大されたのです。あと五級から六級までこれは強い要求があるわけなんですが、これも今度またへずられておるわけなんですね。これが来年からの拡大される見通しですが、一体どういうことになりますか。もちろん努力のしかたによりますけれども、どういう見通しにあるか、ちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/69
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070・今村譲
○今村政府委員 これは理論的に申しますならば、身体障害の程度というものは内部障害でも同じだということをどうしても入れなければならぬというので、中度以上とにかく重い者から入れてくれということで、四十二年度は入れたわけでございます。あと残りますのが五級、六級という非常に軽い程度でございますが、私どもとしてはやはり身障の一級から六級までというものに合わせまして全部入れたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/70
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071・枝村要作
○枝村委員 来年度でも拡大できるという見通しは、はっきり立てられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/71
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072・今村譲
○今村政府委員 私どもはやる決意でおります。ただこういう問題が疑問におります。内部障害につきましては判定技術上むずかしい。その辺で、とにかく中度以上の者を入れて実施状況をしばらく見ようじゃないかというふうな議論もございますし、それから実益といいますか、なかなか補聴器を差し上げたいというようなかっこうにならぬものですから、わりあいに実益が少ないじゃないか、もう少し延ばせという議論もございますけれども、私どものほうとしては、障害等級というものは現実の機能損失から計算するということでありますれば、やはり身障者と同じように軽度の者も入れなければならない、こういう気持ちでおりますので、できるだけの努力をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/72
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073・枝村要作
○枝村委員 その次に、身体障害者が更生するためにいろいろ仕事をするとか、単に訓練のみという場合もありましょうけれども、そういう施設、それからほんとうに生産を伴う授産場、こういうものについて若干お伺いしておきたいことがあるのですが、そういう仕事を担当しております人たちの要求をいろいろ聞きますと、今日では、建物自身はいろいろ金がつぎ込まれて、完備とはいかぬにしても相当のところまで整ってきておる。ところがいわゆる生産をする機械がどうも整備されていないのが一番欠陥だというように指摘されております。私、直接に行ってみたことがないのでよくわかりませんが、そういうことをひとしく言っておる。これに対して厚生省は基本的にこういう一つの要求をかなえていくという姿勢がほしいと思うのです。要するにそれは銭の問題になるでしょうけれども、そういう資金のいろいろな融資とか、資金を何かの方法で与えていくという、こういうのが非常におくれておるために、機械整備そのものがやはり促進されていないということになるようであります。しかもそればむずかしい問題ではないのです。これは大きな独占企業に対する設備投資とは違う。ですから、わずか——わずかと言ったってそう簡単にはいきませんでしょうけれども、たとえば毎年この一千万円を一ヵ所にやはり投入すれば、大体四年で今日の四十ヵ所ある授産所の機械設備をある程度近代化することができるといわれておるのです。そうすれば一年一億円、四年でこれは完成できるという計算になるわけなのでございます。だからあまりお金は要らなくても済むわけです。やる気になれば、そこに働く人たちは仕事の能率もきわめてあがろうし、それからこの生産したものもりっぱな機械で仕上がるのですから、買い手も非常にふえていくだろうし、それからこれを注文する人も、いままでのように一番かすばかりを持ってくるということもなく、やはり高度なりっぱなものを注文してくるということになってくる。そうすれば、そこからまた利益もふえてまいりますから、その施設そのものもまたさらに拡大あるいは整備されていくという、こういう循環を繰り返していく。そういうふうに考えられておるわけです。それで、いま言いましたようなかっこうでやれぬことはないと私は思うのですが、厚生省はどういうふうに考えておられるかという点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/73
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074・今村譲
○今村政府委員 御説のように、国庫より出せば出せるという——別に出してはならぬということではございません。ただ、先ほど申し上げましたように、身障、老人とか保育所とかいろいろな施設の設備が非常に窮屈でございますので、現在のところは、たとえば身障の授産施設につきましては建物、初度設備、そこまでは国庫補助金を出す。それから中身の運転用、業務用の機械というようなものについては社会福祉事業振興会から、たとえば四十三年度に融資額が三十億ございます。昨年は二十四億でございました。そういうようなもので、低利でその機械設備に貸すというふうなことをやっておりまして、状況によりましては、たとえばクリーニング設備に、北海道でありますが、数千万円も貸すというふうなかっこうに進めてきております。したがって、それは利子がつくからいかぬじゃないかとおっしゃればそのとおりなんですけれども、一般会計で進めることはそういう機械設備については、現状から見ましてすぐには切りかえにくいのではないかというふうに考えますので、これは理論的には、そこまで振興のためにはいくべきじゃないかということは当然でございますが、その点は十分に検討いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/74
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075・枝村要作
○枝村委員 いま言いましたような例は、その意味では私は知っているのですけれども、これは省きます。しかし、いずれにいたしましても、主として民間のそういう施設は非常に立ちおくれておる形ですから、政府もひとつ本腰を入れて、やはり何らかの対策をひとつ立てていってもらいたい、このように考えております。
それからこの法案の条文について若干質問いたしますが、支給する場合、「必要と認めるときは、」こういうふうにあるのですが、これはどういうことなんでしょうか。もちろん省令で支給基準なんかをきめていくようになっておるのですけれども、これ自体はだれが認めるということになるのでしょうか。支給基準はいろいろできることはできるのでしょうけれども、支給する場合、必要と認めるところの認定はだれがするかということなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/75
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076・今村譲
○今村政府委員 これは逆に中身のほうから申しますと、たとえば身体障害者更生援護施設というのは救貧施設ではありませんから、経済的に余裕のある人も来ております。いろいろありますのですが、その辺もありますし、あるいは全然訓練に出ないで寝てばかりいるという人もありますので、援護の実施機関は都道府県知事でございますから、都道府県知事が、どの施設に入る、授産所に入るとか入らぬとかきめる。決定権者は、「援護の実施機関」といっておりますが、都道府県知事でございます。したがって、都道府県知事がその人の家庭の状況なり何なり聞きまして——実際に病室に入っておって寝たきりという人は別でございます。状況を見まして、いろいろ判断をするということでございます。入っておれば全部出るかっこうにはしたくないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/76
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077・枝村要作
○枝村委員 そうすると、今度は物品を支給するのですが、これはたとえばどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/77
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078・今村譲
○今村政府委員 これはほんとうは金銭給付だけでもいいと思います。ただ御存じのように、国立で持っております伊東の重度障害者あるいは別府の重度障害者など、ほとんど寝たっきりの人で、お金をもらっても頼んで買ってもらえばいいように思いますけれども、こういうものを買ってくださいということになれば、所長は現品で支給するというふうなものもありますが、原則は金銭給付でございます。ただ、動けないであれを頼むというようなものがありますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/78
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079・枝村要作
○枝村委員 これは現金の場合も本人渡しでしょうね。だれかに渡すのですか。
もう時間もありませんが、いままで若干質問をしたわけでありますが、どうも最初ちょっと言いましたように、千円くらいの金では、ほんとうの意味の社会復帰促進にふさわしい額ではないような気がどうしてもしてならぬのです。われわれが考える場合に、社会復帰に必要な措置というものは、本人に心のゆとりですか、やはりあたたかい措置をしてやることが、ああいう人たちに対しては特に必要だと思うのです。それはいろいろありましょう。精神的にもありますが、経済面で特にそのことは考慮してあげねばならぬと思うのです。ところが、いま言いましたように、千円では、これは精神的なゆとり、経済的なゆとりについて何らの役にも立たぬ、とあまり言い切ると語弊があると思うのですけれども、そう言われてもしかたがない少額なんです。ある人から言わせれば、これくらいの金で人をごまかしたり、辱侮であると言う人もある。それから先ほどちょっと言いましたように、かえってもらうために追い出される、早く出ていけという、そういう一つの政策も入っておるのではないかと言うのですけれども、疑問を持つ人もある。これは持つ人に対しては、それは誤りであると、皆さんがいまから教育していかなければならぬでしょう。本来の正しい抜本的な対策を立てていくために、そういう人たちにいろいろそういう意味の指導訓練もしていかなければならぬ。しかし、それは口先きだけではなくて、ほんとうにその指導が実るためには、先ほどから大臣も言いましたように、やはり精神的にも経済的にもゆとりがある、特に生活保護を受けておる底辺の人に対する措置というものは十分考える。お金持ちの人たちまで一緒にせいとは私は言いませんけれども、非常に困っておる人たちに対して、やはり特別の何か手だてをすべきだというふうに考えております。
〔私語する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/79
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080・八田貞義
○八田委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/80
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081・枝村要作
○枝村委員 そういう意味で、この法案はきわめて不満ではございますけれども、厚生省がいまから一生懸命になってやるということを特にわれわれに確約していただいて、それに一つの期待を持ちながら、一緒になってりっぱなものにつくり上げていかなければならぬというふうに考えます。
ちょうど三十分になりましたので、私は、以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/81
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082・八田貞義
○八田委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/82
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083・八田貞義
○八田委員長 速記を始めて。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/83
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084・八田貞義
○八田委員長 この際、連合審査会申し入れに関する件についておはかりいたします。
文教委員会において審査中の教育公務員特例法の一部を改正する法律案について連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/84
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085・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、開会日時等につきましては、文教委員長と協議の上決定いたしたいと存じますので、御了承願います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/85
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086・八田貞義
○八田委員長 内閣提出の国立光明寮設置法の一部を改正する法律案及び身体障害者福祉法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。質疑を続けます。河野正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/86
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087・河野正
○河野(正)委員 先ほど来、厚生大臣からもお述べがございましたように、身体障害者福祉問題というものがますますその重要性を加えてまいりまして、そしていろいろな施策が行なわれつつあるわけでございます。もちろん今度の光明寮設置についても、そういう精神に基づいてこの設置が行なわれるものと私どもは理解をするわけでございますが、特にこの光明寮設置について重点的な方針がございますれば、ひとつこの際お聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/87
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088・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。光明寮は、御承知のように、中途失明者の非常に悲惨な状況の人を入れております。これにつきましては、昔から西のほうが非常に薄いというので、いろいろもんだあげくに、今度は九州福岡県にということにきまったわけでございます。これで五ヵ所になるわけでありますが、これで足りるというものではございません。いろいろ地域的な配分を見、収容力も増していく。それから単にあんま、はり、きゅう、柔道整復師の訓練をしているだけではありません。先ほどありますように、新しい盲人の職域をどんどん開拓していくというような方向に内容を充実してまいりたい、こういうふうな気持ちでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/88
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089・河野正
○河野(正)委員 視覚障害者の職業を開拓して、そして社会情勢というものがどんどん進んで複雑化するわけですから、それらに対応して視覚障害者等の生活権を維持する、そういうことがおもなねらいだろうというふうに私たちは理解をいたします。
そこで、この盲人の生活権を確保することと、一方、あんまだとか、マッサージだとか、はり、柔道整復師とか、こういう睛眼者を対象とした養成とは、この生活権の問題についてはかなり競合するというか、関連をするということは、これは否定することができない事実だと思います。そこで、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律第十三条におきましても、審議会が設置をされて、そしていま私が指摘をいたしましたような方策についての審議が行なわれるたてまえになっておるものと、私どもはこれまた理解をいたします。したがって、そういった睛眼者と盲人、この関連について、どのようにお考えでございますか。特に十三条等の問題もございますから、この際ひとつ御見解を伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/89
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090・園田直
○園田国務大臣 視覚障害者の職域でいま御指摘のような問題が出ております。はり、あんま、きゅうさえも、睛眼者あるいはその他のいろいろな施設のために押されているような傾向にありまして、この際新しい職業あるいは分野を開発するということは、きわめて重大であると考えております。そこでセンターにおきましては、かなタイプであるとか、点字の印刷であるとか、あるいは農園芸等の科目の訓練を行なっておりますが、なおそれでは十分ではございませんので、諸外国等においては相当研究も進んでおりますし、また機械とか、あるいは使用する施設に若干のくふうを入れれば、聴力、視覚障害者の方々の職業分野というものは相当開けてくる部面が多いように考えられますので、その点についても十分考慮して開発したいと考えております。
なお、睛眼者と視覚障害者との関係でございますが、特に規定もございまして、学校あるいは訓練所の場合には、視覚障害者の生活を圧迫したり職業を狭める場合には、厚生大臣がこれを押えるなどの権限もございまするので、あくまでそういう視覚障害者に向いたといいますか、許される職業というものはなるべく視覚障害者が開拓をしていくように、かつまた事業主等とも相談をしてそういう方面もやりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/90
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091・河野正
○河野(正)委員 いま大臣がお答えになったように、現在でも、あんま、はり、きゅうという職域においては、かなりきびしい経済情勢に置かれておる。したがって、やはり盲人においてもさらに新しい職業の開拓というものを行なっていかなければならぬ、それが今度の光明寮に課せられた最も大きな使命だ、こういうふうな御意見だったと思います。
そこで、私は具体的な事例をあげてお尋ねをしたいと思うわけでございますけれども、福岡市の薬院に睛眼者を対象とした九州鍼灸理療学校の設置が計画をされております。なお二月九日付の西日本新聞の夕刊におきましては、生徒の募集広告が行なわれた事実がございます。この事実を厚生省は御承知でございますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/91
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092・若松栄一
○若松政府委員 承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/92
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093・河野正
○河野(正)委員 このことと先ほど大臣がいろいろお答えを願いましたことと、どういう関係で理解をされておるのか。大臣は、現在でもこの盲人というものが、あんま、はり、きゅうという業種だけでは非常に大きな圧迫を受けておるので、したがって新しい職域というものを開拓しなければならぬ、そういう趣旨の御説明があったことに対して、今度はこの睛眼者の方が新しい学校をつくろう、養成施設をつくろう、こういうことについてどういうふうにお考えになっておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/93
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094・若松栄一
○若松政府委員 視覚障害者の生活権を保護するという立場から、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律の十九条におきまして、視覚障害者であるあんま、マッサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があると認めるときは、厚生大臣あるいは文部大臣は、そういう施設の設置あるいは定員の増加等の承認をしないことができるというたてまえになっております。現在福岡県に対して新しい養成施設の設置の認定申請も出ておりますので、それを福岡県におきまして、このような条項とどのような関連にあるかということを現在調査中でございまして、まだ厚生省にかかってきておらない段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/94
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095・河野正
○河野(正)委員 時間の制約がございますからどんどん進めてまいりたいと思いますが、いま私が指摘をいたしました九州鍼灸理療学校、この学校の入学案内と学則、入学願書がございます。これは当初六十円で頒布をいたしておったようでございますが、最近は地元でいろいろ反対運動が起こってきたので、これを無料で頒布しておるようでございます。この入学案内、学則によりますと、いずれも厚生省認定と示されておるのでございますが、いまの局長の発言とは内容が非常に異なっておるようでございます。しからば厚生省は認定しておるのかおらないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/95
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096・若松栄一
○若松政府委員 まだ認定しておりませんので、厚生省認定ということばを使ってあれば、これは間違いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/96
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097・河野正
○河野(正)委員 間違いで済むか済まぬかですね。厚生省認定ということで、しかもそういう印刷物を六十円で頒布をして、二月九日の西日本新聞の夕刊においてはそういう形で生徒の募集をしておる。これをただ間違いでございますということで済むのか済まぬのか。こういう国民を欺くような形で生徒を募集するというようなことが、ただ間違いでございますということで済むのか済まぬのか。その辺の責任について、これは大臣からひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/97
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098・園田直
○園田国務大臣 残念でございますが、大阪のそのようなことについては聞いておりましたが、九州の問題はいま初めて聞きました。経緯がどうなっておるかわかりませんが、十分調べた上で、何らこちらの意思表示をしていないのに認可ということばを使うことはきわめて大きな問題であって、今後の厚生省の行政その他にも非常な影響を来たしますから、直ちにそのような事実があれば取り調べさせて、厳重な行政上の処置をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/98
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099・河野正
○河野(正)委員 取り調べる必要はないのであって、ひとつここで提出をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/99
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100・園田直
○園田国務大臣 いま聞きましたところ、この事実を知っておって、県のほうに直ちに取り消すように指示をしておるそうでございますが、それだけでは済みませんので、後刻、事務当局と相談をして厳重に処置をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/100
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101・河野正
○河野(正)委員 調査の必要もなく、いまそれぞれ学則ないし入学案内を提出いたしましたので、このことは明らかな事実でございますし、同時に二月九日の西日本新聞の夕刊では、そういうことで広告をしておりますから、これはただそういう印刷物をつくって持っておりましたということではない。将来予定してつくっておったということではない。西日本新聞は、これは大臣御承知のように、地方ではかなり大手ですから、その夕刊紙上にすでに広告をしておるわけですから、これは対外的にもそういう虚偽な事実で生徒を募集したということでございますから、これはもう調査の必要はないので、いま大臣も仰せになられたように、後刻何ぶんの処置をされることが適当だろうと思いますので、その点は大臣の御発言に対して期待をいたします。
そこで、その印刷物にもございますように、学校長は久木田一郎ということになっておりますが、経営は学校法人花田学園ということになっておるわけでございますが、この点も御承知かどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/101
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102・若松栄一
○若松政府委員 そのように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/102
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103・河野正
○河野(正)委員 ところが、この花田学園というのは花田博という人物が経営をなさっておるわけです。しかもこの花田博という人は、厚生大臣の諮問機関でございまするあん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復等中央審議会の委員でございます。厚生大臣のブレーンであるべき審議会の委員が、いまあのような、厚生省が認可もしていない、許可もしていないのを、許可を受けましたというようなことで生徒募集広告を新聞紙上で行なう、こういうような事実がからんでまいっておるわけでありますが、この点について大臣、どのような御見解をお持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/103
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104・園田直
○園田国務大臣 あとで答えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/104
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105・若松栄一
○若松政府委員 いま広告しておりました九州鍼灸理療学校というものの経営者は、先ほどお話がありましたように、久木田という人でございまして、花田さん自身ではございません。しかしおそらく花田さんの後援といいますか、バックアップがあるということは事実であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/105
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106・園田直
○園田国務大臣 いまいただきました書類の厚生省認定九州鍼灸理療学校入学案内と書いてある前には、紙が張ってありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/106
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107・河野正
○河野(正)委員 それはあとで張ったらしいですね。六十円で売っておったのを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/107
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108・園田直
○園田国務大臣 その紙のところに出ている文字を見ますと、学校法人花田学園と書いて、その次に厚生省認定云々と書いてあるわけでございます。したがいまして、形式はどういうことになっておるかわかりませんが、この花田という方がここに関係しておるということは明瞭でございまするし、これは先ほどの虚偽の問題とは別個の問題で、私のいろいろ相談すべき相手である審議会の委員であるということ、これまた別個の重大な問題でありまするから、この点についても検討をして、それぞれ適当な処置をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/108
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109・河野正
○河野(正)委員 実は花田博学園というところにはいま紙が張ってありますけれども、当初はそれがなかったわけです。ところが、だんだん問題になってまいりまして、私も証拠書類ということであとで求めましたので、私が得たときにはその紙が張ってあったということで、当初は張ってなかった。それを六十円で頒布する、こういうことでございます。いずれにしても、九州鍼灸理療学校というのが、その花田学園の中の姉妹校だというふうに書いてありますから、いずれにしても関係があるということは否定できないと思うのであります。いま大臣からも、別個の問題としてでもこれは当然処置しなければならぬというお答えでございますからなにですが、厚生大臣の諮問機関でございます審議会は、やはりいろいろ業界と密接な利害関係が出てくるわけですから、そういう意味で、最も中正、公正な立場の人が参加しなければ、審議会で養成施設を認めるか認めぬかをきめるわけですから——きめるということよりも、大臣に答申するのですから、結果的にはそういうことになります。そういう方がこういう審議会に参加されたことについては、これは非常に問題があると思う。
その点については、大臣からお答えがございましたからなにですが、と同時に私どもは、いろいろ経過を伺ってまいりますと、どうも自分が中央審議会におってこの許認可に対するきめ手を握っておるのでという想定に基づいて、先走って厚生省認可ということをやったということは明らかな事実だと思う。たまたま盲人の方が、特に福岡県では、こういう盲人の施設というものが全国的に見ればやや発達いたしておる、しかも今度光明寮もできることだしというようなことで、いろいろ深刻に考えて、そうして二千七百名の署名をとって県議会に反対の陳情をした。三月六日の福岡県議会においても、その要求を入れて請願書を採択いたしておるわけです。そういうような経過があるわけですけれども、自分が中央審議会に参加をしておるから、したがって厚生省の認可は間違いないという想定のもとにそういう宣伝行為をやったということで、これは最も悪質だと言わざるを得ぬと思うのです。(「けしからぬな。」と呼ぶ者あり)これはもう与党の中からも、けしからぬという声が出ておりますけれども、私も、これはどちらの立場に立つということでなくて、こういう事実を並べてみれば、これは全くけしからぬことだということは、何人も否定することができないと思うのです。ですから大臣としても、一つは、要するに認可もしていない施設を認可だということで公に新聞広告をして生徒を募集した事実、それから、大臣のブレーンであり諮問機関の委員である方が、自分の職権を利用してそういうことをやったという行為、この二つについては厳重な処置をされることが望ましいし、今度光明寮をつくって身体障害者の福祉のために貢献しようという大臣の気持ちをほんとうに生かす意味においても、やはりそういう問題についてはき然たる態度をとられることが、私はきわめて望ましいというふうに考えるわけでありますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/109
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110・園田直
○園田国務大臣 私も同様に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/110
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111・河野正
○河野(正)委員 そういうことで、大臣、お答え願いましたように、全く自分の職権をかさに着て、地位をかさに着て、そして自分たちだけの利益を守る。それはけっこうですけれども、そのことが盲人の生活権を著しくおびやかすということになるわけですから、そういう意味では、私は最も悪質だといわざるを得ないと思うのです。そういう意味で、もう少しひとつ医務局は姿勢を正してもらいたい。今度の国会は全く医務局オンリーで、次から次に出てくる問題は全部医務局所管の問題なんです。実はきょうは、私は社会局長を中心として審議を進めようと思ったところが、私に与えられた三十分の時間は、大部分は医務局長ということになって、私もたいへん残念だと思います。こういう意味で、ぜひ姿勢を正してもらいたいと思います。
そこで、いまの九州の鍼灸理療学校の問題につきましては、これは今度の光明寮とも密接な関連を持ちますから、大臣お答えのとおりに処置願いたい、こういうふうに思います。
そこで、四十一年末現在の数字によりますと、あんま、マッサージ、指圧、こういう業種に従事されておられる方は五万八千八百十七人、そのうち盲人が三万三千九百十六人、それからはり師のほうは三万四千二百三十人、うち盲人が一万六千二百一人、きゅう師は三万二千三百四十七人、うち盲人が一万四千三百三十一人、柔道整復師は七千百四十四人、うち盲人が二十七人、こういう数字でございます。そこで、盲人以外の方でそういう業種に従事されておる方が、いま申し上げました数字を見ていただいてもわかりますように、かなり多い。なるほど医療、保健両面で、あんま、マッサージ、指圧の利用者がふえておる事実はございますけれども、いま示しましたこういう数字のような状態の中では、盲人関係の皆さん方の生活権というものにはかなりきびしいものがあろうという感じがいたします。
そこで、先ほど冒頭に大臣から、今後新しい職種、職域というものを開拓しなければならぬというような御見解も聞いておるわけでございますが、日本の医学が進み、あるいは国民生活が向上し、すべての社会機構が近代化されるわけですから、あんま、はり、きゅう師というものにたよるということだけではなくて、やはり急速に職域の近代化というものがはかられなければならぬ。そこで、いまどういうことをお考えになっておるのか、ただ考え方だけでなくて、あんま、はり、きゅうのほかに、実際すぐ手を染めようということには具体的にどういうことがあるか、それらについてのお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/111
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112・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。就職の問題につきまして、国立施設あるいは民間、いろいろ研究はいたしております。たとえば、先ほどちょっと問題が出ました電話交換手みたいなもの、これを音響で聞こえるように全部改造しまして、現に大阪で、電話交換手の女性第一号というような仕事についている者もございます。そういうようなものとか、それから、かなタイプ、いわゆる速記に近いような、非常に早くできるかなタイプ、速記者方面にも乗り込めないかというようなものですね。それから点字印刷、これは盲人相手の職業でありますけれども、そういうような部分。それから、たとえば電子関係だとか、こまかいラジオ、テレビなどのプリント配線とかいうようなもので、非常に単純化した工程でやれるというようなものについては、民間会社におきましても、ある程度若干ずつ採用しつつあるということでございます。ただ残念でありますのは、その辺のどの分野が一番適当かというような研究機関というようなものが完全ではございませんで、各施設でいろいろ研究しているという段階でございます。今後、国立施設におきましても、十分にそっちの方面の研究を伸ばしていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/112
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113・河野正
○河野(正)委員 そうしますと、今度の光明寮は日本で五番目だということですが、この光明寮の中ではそれがどの程度取り入れられることになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/113
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114・今村譲
○今村政府委員 いままでの四つの部分につきましては、せいぜい、かなタイプとか、あるいは点字印刷とかいうような部分しか——主力は、あんま、はり、それからマッサージというような方向で、学校のようなかっこうになっておりますので、その部分は非常に多うございます。したがって、今度の新設の部分も含めまして、その部分の強化ということで、従来の養成学校のような資格からいわゆる研究機関的な性格まで伸ばしていきたいというのが私どもの念願でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/114
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115・河野正
○河野(正)委員 話は話でいいですが、具体的にどういう形で研究されるということになっているのか。あるいは、ただ、そういう研究をするための人材を置くとか、あるいはそういう研究のための施設を設けるということになっているのかどうか。ただ考え方だけでは困るので、やはり光明寮も五番目ですから、その間逐次改善を——小学校、中学校の改善を見ても、去年できた学校よりことしできた学校というものは非常に改善されてる。だから、ただ話だけではなくて、今度の光明寮の場合については、実際にどの程度具体化が考えられているのか、その点についてお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/115
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116・今村譲
○今村政府委員 今度の部分につきましては、敷地も非常に広くとってございます。当面、四十四年から六十名入れて、三カ年計画で進めるということでございますが、建築は非常に余裕があって、そういう研究部門も十分に使えるようなかっこうにしたいということで、まだ第二年目でありますけれども、第二年目で約八千万円もらいましたが、第三年目も含めまして、それだけの余席をとりたい。
それから定員も、一体どういう研究組織にしてやるかということについては、四十四年以降の問題でございますので、とりあえずお願いいたしておりますのは、来年一月一日から設立の準備の四名だけということでございますので、その辺の組織、それから人員あるいは職種というようなものを、どういう人を集めるかということも、これからすぐ予算時期に入りますけれども、固めていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/116
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117・河野正
○河野(正)委員 私どもは、どうもつけ焼き刃的な計画のような印象を持っているわけでございます。と申しますのは、やはりことしからできたわけですけれども、この西日本の光明寮設立問題というのは、計画としては、すでにもう何年か前からいろいろ言われておったところです。ですから、いよいよ実現する場合には、こういうビジョンでいこう、こういう改善された形で推進されるというようなことまで当然考えられて、事前の準備というのがなされなければならないと思うのです。ところが、いまいろいろお話を聞いてみても、四十四年からどうしようかというような——それは予算関係もございます。それは実際に形としてやる場合はそのとおりですけれども、しかし、ビジョンとしては、やはりちゃんと青写真というものがなければならぬと思うのです。ところが、これは今日では笑い話みたいになりましたけれども、いよいよ基礎工事を始めたところが、キジが卵を抱いておったのをやめた、それから隣接地の養鶏業者の鶏が卵を生まぬようになったということで、これは地方紙をにぎわした事実もございました。ところが、それは今日にして思えば笑い話で済むか知らぬけれども、もう事前にわかっておることなんです。建設を始めて、そこでキジの養殖場をつくったわけじゃなし、あるいは養鶏場をつくったわけじゃない。ですから、そういう施設があって、工事を始めればどうなるのかということは、すでにわかっておらなければならぬ。それが実はわからぬで、当初ごたごたして地元で反対だという声があったことも、局長御存じのとおりだと思うのです。そこがどうも唐突に起こってきたのではなくて、何年か前から計画されながら、そういう事前の調査というものが十分に行なわれておらぬ。つくれつくれと言われるからつくっておる。全くおざなりで、こういう計画が進められてきておるような印象を持つ。非常に残念ですけれども。
ですから、大臣ここでりっぱな精神訓話をされても、事務当局がやっておることは、いま申し上げるようにまことにずさんで、事前の準備というものが非常に不十分である、私はこういう感じを持っておるわけです。ですから、単に機械的に、今度九州ブロックの番じゃ、だから九州ブロックにつくろうじゃないか、次はどこどこブロックじゃ、そういうことじゃなくて、つくる以上は、国民の税金でつくるわけですから、やはりりっぱなものをつくる。それからまた、いまの社会の近代化に即応したものをつくるというようなことで、事前の研究なり準備というものが十分なされて、実施に移されるべきだと思うのです。そういう意味で、残念ながら今度の西日本の光明寮についても、正直言って私どもは、できたそのことはけっこうなことですけれども、感心するような形でできておらぬということははっきり言っていいと思う。こういう点については、これは将来の問題もございますから、ひとつ大いに反省をしてもらわなければならぬ、こういうように思います。そういう点について、将来のこともありますから、ひとつこの際御見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/117
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118・園田直
○園田国務大臣 御指摘の意見は十分拝聴いたしました。このような施設をつくる場合には、あくまで新しい、しかもその時代に即応した、以前のものよりも数倍よろしい施設をつくるという意欲と熱意と愛情から、綿密な計画をし、準備をし、施設ができるのを待ちかねてやるだけの気持ちがなければ、このような障害者の方々に対する奉仕はできないと思いますので、今後は十分そういう点を注意をして、指導し、計画をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/118
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119・河野正
○河野(正)委員 いま、大臣がお答えになったことそのものは、私どもも全くりっぱな御発言だと思います。ただ問題は、そういう大臣の気持ちがそのまま事務的に実行されるかどうか、この点が非常に問題だと思う。ところが、残念ながら今度の西日本の場合は、いま大臣がお答えになったようなかっこうでは進んでおらないというように私どもは考えております。したがって将来、いま大臣からもりっぱな発言があったわけですから、そういう発言を十分事務的にも生かしてもらうということをひとつ強く要望いたしておきたいと思います。
それから、これは参考のためにぜひ承っておきたいと思うわけでございますが、福岡県の衛生部で盲人の業者の実態調査を行なった。こういうデータで大体概況を聞いておるわけですが、その中で特に、現在では盲人の中でもあんま、はり、きゅうが中心でございますから、そういうところを引き抜いて申し上げますと、現在盲人であんま、はり、きゅうという職業に従事しながら、そういう業に基づく収入が非常に少ないということで生活保護世帯としての適用を受けておる、こういうものを業としながら所得が非常に少ない人がかなりおられる。福岡県の調査によりますと百六十九名おった、こういうふうにいわれております。それから、保護世帯とまではいかぬけれども、大体ボーダーライン層でございますから、これは数字としてはなかなかつかみにくいと思う。保護世帯の近くをいっておる人でありますから、どの程度までボーダーライン層というのか、その実数はつかみにくいわけです。そこで、推定として考えなければならぬわけですけれども、大体保護世帯の百六十九名の数倍になるだろう、こういうようにいわれております。それから、ボーダーライン層よりややよいけれども、年間四十万から五十万程度の収入、こういう収入になりますとわずか六十人前後だ、こういうふうにいわれております。こういう具体的な事実というものは、盲人の生活というものが、実際にあんま、はり、きゅうなんかを業としながらもいかに苦しいかということを如実に物語っておる証左だというふうに私は考えるわけです。こういう実態に対して厚生省としてはどういう理解に立っておられるのか、その辺の事情をひとりお聞きいたしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/119
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120・今村譲
○今村政府委員 ただいまの実態調査、私どもまだ手に入れておりませんが、全国的に申しますと、身体障害者全体で生活保護を受けておるのが千分の六十。ところが日本全国で平均いたしますと千分の十五あるいは十六ということでありますから、大体四倍ちょっと切れるというくらいで、非常に貧困の問題が深刻でございます。そういう点で、もちろんあんま、はり、きゅうは非常に魅力のある仕事でありますので、盲人については皆さんそっちのほうにいくわけでありますけれども、それでも立地条件その他によってはなかなか苦しいというような問題がありますので、これはあんま、はり、きゅうの営業の問題も一つありますと同時に、それだけに集中しないで、また別個の新職業を何とかして見つけていきたいというふうな気持ちでおります。
それから、雇用状況につきましても、常勤労務者というのは非常に困難で、結局小さい店をやったり、要するに自営業者というのが一般の国民よりも二倍半くらい率が高い。普通の近代産業に入ることが非常にむずかしいというような状況でございますので、その辺も労働省といろいろ打ち合わせをしながら広げていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/120
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121・河野正
○河野(正)委員 盲人の全国平均所得というものは、一体どの程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/121
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122・今村譲
○今村政府委員 これは四十年の八月の調査でありますが、三十人未満の一般常用労働者の一人当たりの平均月収というのは二万五千五百円、三十人以上の一般常用労働者の一人当たりの平均収入は三万一千円、これに対しまして身障者の平均が二万二百五十二円ということでありまして、三分の二、あるいは三十人未満のものにつきましては五分の四、八割というふうなかっこうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/122
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123・河野正
○河野(正)委員 身障者ですから盲人とは若干趣が違うと思うのです。同じ身障者の中でも、盲人というのはわりあい所得が少ないほうに属しておるんじゃないかと私どもは考えるわけです。というのは、たとえばいまの福岡県の実態調査によりましても、とてもそういう数字が出てこぬと思うのです。ですから、盲人の場合は一体どの程度なのか。特に今度の光明寮の場合はこれが中心ですからね、そういう意味でひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/123
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124・今村譲
○今村政府委員 これは各障害種類別に内訳のこまかいのがあると思いますが、手元にございませんので、至急調べてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/124
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125・河野正
○河野(正)委員 いま申し上げますように、身障者福祉というものが今日国民の中で非常に大きな関心を呼んできた。したがって、政府も大臣を先頭として、この問題に対して非常に強い意欲を持って臨んでおられることも私どもわかりますけれども、特に盲人の場合は、いま申し上げますように、実態調査から出てきたデータによりましても、かなりきびしい情勢に置かれておる。そこで、やはり盲人に対します施策というものは、可及的すみやかに、しかも積極的に行なわれなければならぬということは当然だと考えます。ところが、先ほど申し上げますように、睛眼者がさらに盲人の生活権を脅かそうというような具体的な例が出てきたり、あるいはまた、それに厚生大臣のブレーンである中央審議会の委員が加担をしておるというような全くでたらめなことがあったり、これは大臣の気持ちと非常にそぐわぬ点があり、大臣も非常に御不満だろうと思いますけれども、そういう事態があったりということで、すみやかにしかも積極的に対策を進めなければならぬということでございますけれども、現実は遅々としてなかなか進んでいかないということで、私どももさらにそういう方面の御努力をお願い申し上げたいと思います。
それから、先ほど、かなタイプの問題とか電話交換手の問題とか出てまいりましたが、やはり何といっても、現在の情勢のもとでは、あんま、はり、きゅうが盲人の職域の中心と申しますか、柱になっておると思うのです。参考のために聞いておきたいと思うわけですが、このあんま、はり、きゅう以外に次に多いのは何ですか。特に電話交換手だとかそういうのは、まれなケースでしょうから、やはり多いほうからできるだけ充実していく。それは可能性があるわけですから、それから充実していくということが一番手っとり早い方法じゃなかろうかと思うのです。非常に珍しいことをいま言ったって、それで盲人がたくさん救済されるわけじゃございませんから、そういう意味で、あんま、はり、きゅう師以外で次に多い職種は一体どういうものか、それを並べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/125
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126・今村譲
○今村政府委員 おそれ入りますが、障害種類別の職業の分布といいますか、職業従事の統計というのは実はとっておりませんので、そこのところはもう少し県の実態を調べてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/126
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127・八田貞義
○八田委員長 田畑金光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/127
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128・田畑金光
○田畑委員 もう前者あるいは前々者の質問に出ていたかと思いますが、私、中座しておりましたので重複するかもしれませんが、最初に、国立コウメイ寮と読むのか、コウミョウ寮と読むのか、どっちが正確ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/128
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129・今村譲
○今村政府委員 これは国立コウミョウ寮と読みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/129
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130・田畑金光
○田畑委員 国立光明寮を、従来四ヵ所であったのを今度新しく福岡県に設置する、こういうことが、この法律案の骨子であるわけです。ところが、これができ上がったとしても千百四十名の収容しかない、こういうことです。資料によれば、視覚障害者という人方は二十三万をこえる。千百四十名の収容施設で一体この制度の趣旨を全うできるかどうかということを疑問に考えておるわけでありますが、今後この施設の拡充なりあるいはまた国の財産措置なりについて、厚生省としてはどのような考え方をお持ちであるのか、この辺ひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/130
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131・今村譲
○今村政府委員 お答えいたします。これは盲人二十三万四千名という統計がございます。ただ、小さいときに、あるいは先天的にという失明者につきましては、文部省系統、いわゆる盲学校というのが全国で三百五校、四万四千三百十九名、四万五千人近くの生徒がいて、そこで小学、中学あるいは高等部において必要な技能なり教育なりを与える。この国立光明寮ができましたのは、中途で事故にあった、あるいは急に疾病になったという中途失明者について、文教系統では手が出せないということがございまして、厚生省もやり、民間もやるという施設であります。したがって、その人数からいいますと、今後交通事故とかいろいろな面で失明する人も相当出てまいります。したがって、現在の四カ所で約千名足らず、五ヵ所にしまして千百三十名というものでは足らぬことは私どももよく存じておりますので、今後の増設問題も十分検討しなければならない。また、県なりあるいは社会福祉法人というふうな施設によって教育訓練をしてもらうということも考えなければならない。それに対する相当の予算というふうなものは、できるだけすみやかに年次的な計画をつくって予算措置を講じていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/131
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132・田畑金光
○田畑委員 民間の施設というものがいまお話の中にもありましたが、相当数あるやの説明でありますが、民間の施設がどのくらいあって、ここに収容されておる人方がどのくらいの数にのぼっておるのか。さらにいまお話しのような国立光明寮に収容される人方については、中途で失明された方々を中心として考えておるというお話がありましたが、交通戦争と言われておる最近の社会情勢を考えてみますならば、このような人方がやはり相当多発することも予測されるわけでありますが、現在国立光明寮のような施設の対象として必要な人方が大体幾らくらいにのぼっておるのか、厚生省としてはその正確な数を把握しておるのかどうか。把握しておるとするならば、今後その人方の収容についてどのような方針で施策を考えておられるのか、これを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/132
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133・今村譲
○今村政府委員 いま中途失明につきまして、公立、民間もありますのでと申し上げまして非常に多くあるように言いましたが、実はこれはあんま、はり、きゅうは三年あるいは五年という訓練課程でございますので、国立が現在ありますのは四ヵ所で九百三十名、それから公立が三ヵ所で百二十名、社会福祉法人でありますこれが二ヵ所で九十名、国立、公立全部合わせまして千百四十名で、まだ公立、民間についても最近ほとんど手がつけられ始めたというふうな状況でございます。
それから中途失明のこの前の実態調査においては、相当期間がたって生活訓練ができている、何とか仕事についているという者は別にしまして、施設にすぐ入って訓練してもらわなければならないというのがおおむね四千名ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/133
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134・田畑金光
○田畑委員 大臣いまお聞きのとおり、厚生省で把握しておる人方が、当面緊急に施設に入所を必要とされる人方が四千名にのぼる。だがしかし、国の施設あるいは公立、あるいは私立の施設をかれこれ見ましても、おおよそ半分前後しか収容していない、こういうことです。一番気の毒な人方がこのようにほっておかれておるということはまことにこれは遺憾なことだ、こう考えるわけです。この点についてひとつ特に厚生大臣は、身体障害者あるいは重度の身体障害者については特別の政治力を発揮して善処されるということをかねて公約されておりますが、こういう面については格段の御努力をお願いしたいと考えておるわけで、この点ひとつ大臣の所見を承っておきたいと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/134
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135・園田直
○園田国務大臣 いまの御意見のとおりでございまして、今年度の予算においても相当重点的に考えてみましたものの、現実は視覚障害者についてもなお数千名の方が残っているし、その他の身体障害者についても相当数が残っておって、申し込みをしても二年、三年待たなければならぬという実情でございますから、御意見を十分肝に銘じまして、今後急速に整備するよう財政当局とも相談をしていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/135
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136・田畑金光
○田畑委員 それでは私、局長に……。
今度福岡につくって国立は五ヵ所、こういうことになりますね。全国五ヵ所ということでは、ましてや失明者の皆さん方を全国の各地域から収容するということは容易でない、こう思うのです。せめて各フロックごとには——いま大臣のお話しのありましたように、収容を必要とする人方はまだたくさん残っておるわけです。したがって、たとえば東北であるとか、中国とか、四国とか、北陸とか、こういう地域的な配慮などは当然顧慮しながら、早急にこれらの施設の整備については御努力を願うべきだと思いますが、一体厚生省はこのような問題について、そういう方針で今日まで大蔵省などと折衝しておるかどうか、大蔵省の態度は一体こういうような問題についてどのような感覚でいるのか、あわせてひとつ、大蔵省の人もだれか来ているのでしょう、あなたからも御所見を承っておきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/136
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137・今村譲
○今村政府委員 御指摘のように、たとえば四国にはまだないと思います。現在北海道方面は函館、関東と東北は東京と塩原、それから中国から西のほうについては神戸というふうな地割りをいたしておりますが、それでは十分なかっこうになりませんので、やはり仰せのようにそれぞれのブロック単位で、あるいは交通機関等を考えて、しかるべく増設をしなければならぬというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/137
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138・辻敬一
○辻説明員 身体障害者対策につきましては、財政当局といたしましても従来からできるだけ努力を払ってきたところでございまして、特に四十三年度におきましては、御承知のように収容人員の増加でございますとか、あるいは新たに社会復帰促進のための訓練経費を計上いたしますとか、あるいはまた国民年金、傷害年金の増加をいたしますとか、諸般の施策を講じておりまして、予算額も相当増額になっておるわけでございます。今後の問題といたしましては財政事情も勘案しながらできるだけ適切な配慮を払ってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/138
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139・田畑金光
○田畑委員 次に、身体障害者福祉法の一部を改正する法律案についてお尋ねしたいと思います。
今度の改正は、身体障害者更生援護施設に入所した身体障害者に対し訓練を効果的に受けることができるよう更生訓練費を支給するというのが内容で、これ自体は厚生施策の一歩前進と見受けるわけでございますが、予算を見、内容をしさいに検討してみますと、これまたこの程度の対象人員でどれだけの成果があがるのか、あるいはどの程度の人が救済できるのか、疑問に思うわけでございまするが、対象人員、予算の内容などについてまず御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/139
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140・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。
施設に収容している者のうちでも、これは必ずしも救貧施設じゃございませんので、家庭の裕福な人は全額食費持ちというふうにして来ている人もおりますし、それから生活保護にかかっている人もおる、いろいろあります。そこでここに予算として成立しましたのは、約五千六百八十二名、五千七百名前後ということで、それに対して月に一千円かあるいは状況によっては全然病室に入って訓練に従事しなかった人もおりますが、全体として一般の更生援護施設が予算として四千五十五万円、それから国立の直轄施設も同じように渡します、それが約八百万円、合計四千八百万円ということでございます。それで、これは入っておればすべての人に一律にという考え方もございますけれども、まあ実際に訓練に従事してやはりノートを買ったり参考書買ったりする人もあるが、相当裕福な人はこれを除外したい、こういうふうな気持ちでおりますので、対象人員は約五千七百人というふうになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/140
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141・田畑金光
○田畑委員 身体障害者の数など見ますと十八歳以上の人方が百四万をこえる、あるいは視覚障害者、聴覚障害者、肢体の障害者等々、百万をこえる人がたが現に存在しておるということですね。こういう人がたに対して、とにかく更生施設がいろいろな内容を持ってできておるわけでありますが、こういう今回のこの援護施設について、厚生省としては年度計画によって施設の整備なり、あるいはそこに必要な要員の確保であるとか、あるいは職員の待遇の問題であるとか、こういうような年度計画を持って対処する方針であるのかどうか。これを私は承っておきたいと考えるわけであります。
それからこれはひとつ特に園田大臣頭に入れておいてもらいたいと思うのですが、大臣もすでに御承知のようにこの社会労働委員会では、各党の代表が心身障害者の基本法をひとつつくってみようじゃないか、こういう話し合いがすでに始まっておるわけですね。話し合いがまとまれば、この国会で成案を得て、この国会で法律を成立させたい、こういうわけで、今日まで鋭意努力をしてまいった経緯がありますが、不幸にしてまだ結論に至っていないわけです。おそらくこれは次の国会あたりで具体的な成案を得るのじゃないか、こう考えるわけですね。したがって、いま各党が考えておる基本法案というのは、内容においては幾らか違いがあるにいたしましても、これは大同小異ですね。もっとこの心身障害者等に対しては、国の基本的な施策、方向というものを明確にして、そしてまた地方公共団体も同じようにこの線で協力をする。国民もまた、身体障害者については、この人がたに対する援護の面等についても、国民は国民なりに相互連帯の責任で協力をする。こういうことを目標にして、いまや基本法をつくってみようという作業が進んでおるわけでありますね。だから私は国会が先んじてこのような大きな問題に取り組んでおるということはまことに望ましい姿だと考えておるわけです。むしろ政府なり、担当者である厚生省が先んじて、このような問題についてはもっと前向きの施策をとられることこそ最も望ましいことであると私は考えますが、この点について厚生大臣の御所見を承ると同時に、前段質問したことについて局長の御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/141
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142・園田直
○園田国務大臣 心身障害者の問題で特に困難を、感じますることは、戦後必要に迫られて急速にできたために、施設もともにつくっていかなければならないこともありまするが、また一面には必要に迫られていろいろ制度ができました関係上、日本のこの種類の制度は個々分類的に発展をしてきております。したがいまして、ここでこれを総合的に体系的にその基本になるものを明確にして、これに基づいて対策を進めていくことは、全く御意見のとおりでございまして、私もそのとおりに考えるわけであります。したがいまして、ただいま各党におきまして、その総合化計画をはかるために、基本法というものを制定することについて御相談がありますることは承っておりまするが、まことに私どもとしましては喜ばしいことでございまして、お説のとおりに、政府がもっと早くそういうものをつくって、その基本に基づいて具体的な問題を相談をし、あるいは財政当局にも長期的な相談をすべきであったと考えまするが、幸いに各党で御準備願っておるようでございまするから、その成立を期待して、その結果に基づいて積極的に取り組んでまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/142
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143・今村譲
○今村政府委員 身体障害者の施設の増強についての年次計画につきましては、大きく申し上げますと、現在約七千人くらいしか収容力がない、百六十ヵ所くらいのもので……。ところが調査によりますと、三万五千から四万くらいは収容して訓練して社会に出したほうが非常に効率がいいのです。早期にということでありますので、これは社会福祉全般でありますが、長期計画を正式のものとして打ち出すように至急準備せよという大臣からの御指示をいただいております。ここにはいろいろ私ども持っておりますが、それが正式な姿になるかっこうになっておりませんので、今後大至急まとめて、これは身障ばかりでなしに、老人も保育もというかっこうにして、ウェルフェアの施設の長期計画というものを早急に確立したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/143
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144・田畑金光
○田畑委員 昭和四十一年の十一月に、身体障害者福祉審議会が答申を出しております。その答申は相当な項目にわたっておるわけでありまするが、その項目の中でその答申をすでに実施に移したものがどれくらいにのぼっておるのか、また未実施の項目はどれくらい残っておるのか、その残っておる内容は何か、こういう点についてひとつ御説明をいただきたいと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/144
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145・今村譲
○今村政府委員 答申の内容は全部で四十項目ほど、いろいろございますけれども、おも立ったものを申し上げますと、そのうちで実現いたしましたものは、内部障害者の組み入れ、それが一点。それから家庭奉仕員制度の創設、まだ人数は少ないのでございますけれども、ホームヘルパー。それから重度障害者のうち筋ジストロフィー患者の施設収容。それから身体障害者相談員、これが前年度二千人、本年度三千人にいたしますが、相談員の設置、それも実現いたしております。それから地域活動の振興、身障者スポーツの振興というような、これは予算措置でありますけれども、そういうものも入っております。それから通所施設、施設に通ってくる、これも答申どおり来年から入っております。それから結核後保護施設の法定施設化、いままで予算措置でやっておりましたものを身障法の中に入れる、アフターケアであります。それから社会復帰促進手当の支給、いま御審議願っておりますが、これが第二年目でありますけれども、四十三年度にできました。以上で約十点ほどのものができております。
できておりませんものは、居宅に対する——施設ばかりでなしに居宅に対するいろいろな援護というふうなものをもっと考えるべきであるということ、それから軽自動車の支給、あるいは盲人用具の普及、それから行政機関としての身体障害者更生相談所の機能の拡充というふうな、行政機構面の強化というふうなものがまだ相当数ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/145
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146・田畑金光
○田畑委員 いまお話しのように、答申の中で答申を政策化、具体化したものが幾つかあることも事実です。昨年の国会で改正された、いまお話しのような相談員制度の問題であるとか、あるいはホームヘルパーを新しく設けたとか、あるいは内部障害者も身体障害者の範疇に入れたとかいうことなどは、確かに一歩前進であるには違いないが、その実態、内容を検討してみるならば、ようやくその緒についた、こういう程度だと私は思うのです。ことにいまあなたのことばの中にもありましたが、社会復帰の困難な重度身体障害者対策などについて、一体どういうような具体的な施策が進められておるのか、この問題ですね。一体どうなっているのかということです。特に重度障害者を施設に入れるとすれば相当な費用もかかると思うし、またそれは、そういうものこそ国の責任で処理をしなくてはならぬ、こう考えるわけなのです。こういうような面について今後厚生省としては大蔵省との予算折衝の中でもっと強く、——財政硬直化であるとか、財政上の制約であるとか、いろいろのことが確かにあるでしょう。しかし、言うならば心身障害で生活的な落後者の中にある人々に対して、もっと手厚い社会的な施策をとることこそ福祉国家の名に値する施策であろうと考えておるわけでありますが、私はこういう点については、厚生省の諸君ももっと考えてもらわなければならぬ、こう考えておるわけです。ことに、本年の三月十二日社会保障制度審議会の大内会長の名で園田厚生大臣あてに「身体障害者福祉法の一部を改正する法律の制定について、(答申)」が出ておりますね。その末尾にどういうことが書いてあるかというと、「身体障害者福祉施策の拡充に対するあまりにも消極的な態度は根本的に改める要がある。」こうなっておるわけであります。園田厚生大臣は賢明な厚生大臣でありまするから、十分肝に銘ぜられて、今後さらに四十四年度予算などでは推進されるものと考えてはおりますが、もう一度大臣の所見を承ると同時に、私が申し上げた重度障害者対策などについて、いまどういう状況になっておるのかという問題、ことに私は大蔵省の主計官に、時間の制約があってこまかなことまで一々質問し、あなたの見解を聞く余裕はないわけでありまするが、こういう問題についてはもっと大蔵省としても思いをめぐらして考えていただきたい。
この間新聞の発表によれば、ようやくわが国の国民総生産も昨年一千億ドル経済になった、自由陣営では世界第三位になった。やがて西独をも凌駕するかもしれぬ、こういうふうなことなども言われておりまするが、しかし国民の平均所得水準というのがまだ二十一位であるということ、一体これは何を意味するかという問題、私はこのことはいろいろな角度から検討されてしかるべき問題であると考えておりまするが、ことに所得の再配分の問題、社会保障の手おくれの問題などは、わが国の政治の大きな後進性を意味しておると考えておるわけであります。こういう点について特に私は大蔵省の担当者は十分肝に銘ぜられて、来年度の予算措置などについては前向きに取り組まれることを希望するわけでありますが、この点ひとつ大蔵省の見解を承って、私の質問を終わることにしたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/146
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147・園田直
○園田国務大臣 御意見の中にもありましたが、現時点における身体障害者に対する対策の実態というものは十分わかっておりまするし、私の責任も十分認識しておりまするので、なお審議会の御忠告等もすなおに聞きまして、御指摘のような決意を持ちまして、早急にこれに対する対策を講じたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/147
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148・辻敬一
○辻説明員 身体障害者の対策につきましては、財源事情や施策の優先順位を考慮しながら、新規施策も最近取り入れてまいっておるわけでございまして、内部障害の取り入れとか、ホームヘルパー、相談員、今回の社会復帰促進費などもその一環でございますが、今後も引き続き検討を加えて適切な改善をはかってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/148
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149・八田貞義
○八田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/149
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150・八田貞義
○八田委員長 次に、両案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、順次採決いたします。
まず、国立光明寮設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/150
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151・八田貞義
○八田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、身体障害者福祉法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/151
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152・八田貞義
○八田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/152
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153・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/153
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154・八田貞義
○八田委員長 内閣提出の社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
本日は、審査のため、社会福祉事業振興会会長葛西嘉資君に参考人として御出席願っております。
質疑の申し出がありますのでこれを許します。田邊誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/154
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155・田邊誠
○田邊委員 時間がございませんから、きょうのところは簡単に質問いたしたいと思います。
日本の社会事業は、いろいろな紆余曲折を経てまいりましたけれども、まだまだ十分でございません。これを充実させる方法として、国が当然責任を持つべきでありまするけれども、わが国の歴史的な経過もございまして、民間の社会福祉施設にかなりの負担をかけておると申しましょうか、協力を求めてきたのであります。しかし、私は近代国家として、今後の日本の社会保障を確立するためには、これらの施設はやはり民間からだんだんに公立に移すべきものである。今後の建設等を考える場合には、当然そのあるべき姿に近づけることが必要ではないかと思っておるわけでありまするけれども、この社会福祉施設のあるべき姿は、一体どういうものであるかお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/155
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156・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。
戦後社会保障は、国あるいは公的責任ということで、社会福祉事業というものも、積極的に国なり県なり市町村がするという風潮が非常に強くなってまいりました。ただ問題は、戦前は民間の社会事業家にお願いしておったということでございますが、それはそれなりに運営なり処遇が優秀なものがありますので、それは同時に助長しあるいは援護していくというふうなかっこうをとらなければならないというふうに私ども考えております。ただやはり設備資金というふうな制約がありまして、公的施設はどんどん比重を増してきております。別に民間の社会事業が減るわけではありませんけれども、その伸びのテンポよりも公立のほうが非常に大きくなっておる、こういう状況でありますので、公立は当然でありますけれども、民間に対しても、資金なりあるいは運営経費なりの補助というふうなものは相当に強化していかなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/156
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157・田邊誠
○田邊委員 いまの施設はいろいろな施設がございますが、施設の総数が一万七千三百四十三と表に出ておるわけであります。在所者数は百十一万四千四百五十三人と出ておりますけれども、一体どの程度の人が入所を希望しておるか、今後それに対応して、施設は一体どのくらい必要になってくるかということに対して、老人福祉施設なり、あるいは児童福祉施設の中における保育所なり、精薄の施設なり、これらの代表的なものをあげてでけっこうでございますからお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/157
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158・今村譲
○今村政府委員 お答えいたします。
たとえば老人でいいますと、現在明治百年になりますけれども、明治以来一生懸命つくってきたのが約七万ベッド——ということは、六十五歳以上が六百九十八万人で約七百万人でありますからその一%でありますが、実態調査によりますと、やはり三%前後というものは、非常に入りたい、また入らなければならないというふうな状況下にある人です。七百万の三%としまして二十一万、そうしますと十四万ほどふやさなきゃならない。一気にいくというわけではありませんけれども、そういう数字が出てまいります。
それから身体障害者も、四十年八月の実態調査からいろいろと推計いたしますと、現在約九千人から一万人しか収容力がないのに対し、三万五千人から四万人くらいあるんじゃないか。
保育所のほうは児童局長のほうの管轄でありますけれども、これもやはり二十万から二十四、五万というような推定をしておるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/158
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159・田邊誠
○田邊委員 その中で、公立と民間立との比率というのはどのように変わってくるのでしょうか。急激な変化はあると思いませんけれども、やはり現状でいいとは考えませんので、だんだんに比率は変わっていかなきゃならぬと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/159
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160・今村譲
○今村政府委員 ちょうど三十一年度と四十年度末との比較がございますが、三十一年度末では公立が六千五百三十一で五四%、それが四十年度末では九千九百九十一で六一%、それから私立がその逆数で四六%が三九%に下がった。ちょっと比率が逆転してきたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/160
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161・田邊誠
○田邊委員 したがって、だんだんそういうふうに比率としては私立が少なくなっているのです。私は、これは必ずしも好ましい姿であるとも思いません。ひとつ、いろいろな面における考察をお願いしたいと思うのです。しかし、このように、入所を希望する数はまだまだ非常に多いわけでございますが、これに対応して、社会福祉施設の整備計画というものが一体この要望に沿い得るような状態になっておるのかどうか、あるいはまた、もしなっておらないとすれば、将来これに対して要望にこたえ得るような状態をつくり上げなきゃならぬ。したがって、私のほうとしては、この整備計画を一つの長期的な展望に立って、五ヵ年計画なり十ヵ年計画なりそういうものを立てて、逐次それにあてはめていく、こういうことはどうしても必要ではないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/161
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162・今村譲
○今村政府委員 お話しのとおりに、長期計画というものを、老人は老人、身障は身障と、それぞれにわれわれとして一応のものは持っておりますが、ただ問題は、それを国全体として確立した長期計画まで持ち上げるというところが、いろいろな情勢で非常にむずかしくて、結果的に見ますと、行き当たりばったりというようなかっこうになりかねない情勢でございます。厚生大臣のほうからも、少なくとも社会福祉の長期計画というものを早急にまとめろという指示をいただいておりまして、私どもも目下作業をしております。できるならば、四十四年あるいはなるべく早い機会に、五年なり十年なりというふうなものをつくり上げたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/162
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163・田邊誠
○田邊委員 ぜひひとつそういうふうにお願いをいたしたいと思います。しかし現状は、かなりの不便をかこちながらこの処理をいたしておるわけでございますが、特に本日問題になりましたのは、民間の社会福祉施設に対してどういうふうな手だてを講じていくか、その一環としてこの貸し付け制度があるわけでございますけれども、これは今村さんでしたか、あるいはその前の局長でしたか社会福祉施設の現状についていろいろと論議したことがある記憶があるのですけれども、特に民間の社会福祉施設の中でいろいろな要望が多いのです。特に職員の待遇については逐次改善されているといっても、厚生省が示しておるところの基準等を見ても、これでもってはたして優秀な人材を集めて施設の職員として働いてもらえるかどうか、こういうことになると非常に寒心にたえないだろうと思います。
それから人員の配置の面もそうであります。一つだけ特に取り上げて言えば、宿直をする職員等はほとんどないのであります。特に不自由な人たちを収容しているところが多いのでありますから、老人にしても、子供にしても、いわばそういう人を対象にしている施設でありますから、この宿直をするような職員の配置がないことによって起こる万一の災害等にあった場合のことを考えてまいりますと、このままではどうもいかぬのではないか、こういうふうに実は深く考えさせられるわけであります。特に宿直要員を含めた要員の配置、それから職員の給与、それから社会福祉施設の職員に対しては退職手当共済法ができたわけでありまして、私もその当時いろいろ論議をいたしたのでありますが、これもいわば緒についたといいましょうか、手がついたというだけなのであります。これらもやはり奉仕するのではなくて、何としても改善をするという方向でいかなければならぬのではないか、こういうふうに思っておりますけれども、ひとつ御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/163
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164・今村譲
○今村政府委員 公立、私立を合わせて一万七千、職員が全部で十七万人くらいというふうに、公私が大体半々というな一つの職場でもございます。職員の問題から申しましても問題は二つありまして、一つは、やはり非常に職員数が足らなくて過重労働になる。これは夜勤も含めてでございますけれども、それを毎年毎年財政当局と話をして最低基準の引き上げということでやってきております。ただ問題は、非常に不十分だという職種はいろいろまだございますので、その点今後も大いに努力したいと思います。
それから給与問題につきましては、三十九年に全国一斉の実態調査をやりまして、平均の学歴、経験年数、平均数値をとりまして、大体国家公務員の線に合わせて一応きめたわけでございます。ところが、それから数年たちますので、いろいろ実態に合うとか合わないとかいう議論がありまして、四十三年度に実態調査費をもらいまして、全国の総職員の悉皆調査と給与の調査をやるということについて、いま手配中でございます。その結果に基づきましてもう一ぺん練り直すということにいたしたいと思います。
それから退職共済の問題も御指摘のように国家公務員とは非常にかけ離れたかっこうになっておるわけでありますが、発足当時八千円から始めて、四十三年で一年につき一万六千円まで持ってまいりました。これもやはりだんだん一般の給与実態が変わってくるに従いましてもっともっと検討すべきだということも考えられますので、あらゆる点につきまして今後まだまだ努力をする余地は十分あるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/164
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165・田邊誠
○田邊委員 人員の配置、要員の増加の基準については、保育所等についてもいろいろ要望があるのですが、きょうはちょうど担当者が来ていないそうですからあとでまたお聞きをいたしますけれども、それ以外の施設の職員配置の増員は、局長がせっかくやられるけれども増員の要望には沿っていないと思うのです。やはりこの際、待遇面の実態調査等もあわせてもう一度再検討をやってもらいたい、こういうような要望が各地から強いのでありますから、それを要望いたしたいと思います。もちろん保母の問題、医者の問題なんかは、何といっても現状に合いません。特に待遇の問題もからめて見ますれば、どうにもならぬ。ですから非常に便法をとって、窮余の一策として、みなそれぞれくふうをしながらやっておるのです。ですから、これをよしとするということではないと思いますけれども、ぜひ今後もこれに対する改善策を一段とやってもらうように私は強く要望をいたしたいと思うのです。
さて葛西さんがお見えでございますから。施設への貸し付けをいただいておるわけでございまして、実は民間の施設としてはたいへん助かっておるわけです。助かっておるわけですが、どうもやはり、たとえば建築の基準単価のはじき方等から見まして、四分の一自己負担で振興会から貸し付けを受けるというかっこうになっておるけれども、実際には基準が非常に低いために、四分の一で済まぬ、実際には二分の一くらい自己負担をするようなかっこうになっておる、こういう現状でございますけれども、これに対しては一体どういうふうに対処されようとするのか、これは厚生当局のほうの御意向もあわせて聞かなくちゃならぬでしょうけれども、現状は一体どのように把握されておりますか、ひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/165
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166・今村譲
○今村政府委員 実際問題は会長さんからお願いしたいと思いますが、おっしゃいますように、単価は相当押えてございます。ということは、やっと三十九年から財投三億ぐらいを導入して、これまで毎年一億の政府資金しか貸し付けないということであったのですが、三億が六億、十億、二十二億というふうになって四十三年度やっと三十億ということになりましたので、ある程度一件当たりの単価あるいは件数比率をふやせるようになりましたが、まだまだやはり資金上から見ますとつらいものでございますから、相当しぶったかっこうをしております。これも資金量とにらみ合わせて振興会のほうでいろいろ御苦心になっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/166
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167・葛西嘉資
○葛西参考人 いまお尋ねになりました貸し付けの単価が低いために困っておる、どういうふうに見ておるかというお話でございますが、全体的にはただいま今村局長からお話しになったとおりだと思うのでありますが、私どもはその足らず前の貸し付けという窓からだけ見た所感を申し上げますと、やはり近ごろ地域によって建築費のでこぼこが非常に多いようでございます。ことに最近万博の関係がございまして、西のほう、近畿を中心にした地区は、非常に高くなっております。それから端のほうへまいりますと案外安いというのが実情のようでございます。貸し付けの窓から見た所感でございます。
しかし、そういうことは、いま局長がお話しのように、単価は幾らというふうに、国庫補助なりあるいはそれに伴う都道府県の補助もございますので、あるものは単価の中でまかなえるものもあります。あるものはただいま御指摘のように二分の一ぐらいしかないというものもあるようでございます。ただ、私どもの貸し付けのほうは、単価とかそういうふうなことは全然ございませんで、事業量の七五%、それから担保を出していただいておりますが、担保価格の七〇%、貸し付け予定者の正味資産額の五〇%という三つの柱がございます。この一番最低のものを見て、その範囲ならば貸し付けてよろしい、ことに最近は年金事業団からの一元化をいたしました際に、担保価格というものがなかなかむずかしかろうというふうなことで、保証人の資産というものをとってもいいというふうに業務方法書で改められました。そんなふうなことで貸し付けをいたしておりますので、足らないものがあれば——二分の一足らない、その資金の需要がつかぬという場合には、二分の一そのものをお貸ししておるというような実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/167
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168・田邊誠
○田邊委員 なかなかそういうふうに要望のとおり貸し付けをされてないのは、葛西さん御自身もよく御案内のとおりですけれども、それについて私はここで言いませんけれども、いまのお話のような状態になるべく近づけるようにお願いしたいと思うのです。あとでもお伺いしておきたいと思っておるのですけれども、なかなか自己負担分に対して、せっかく無利子で貸し付けをいただくというようなことで、非常に便宜をはかっていただいて、事実助かっているのです。しかし、その返済のめどについては、これはなかなかたいへんなんです。昔のように、一人金持ちがどっと寄付をしてくれて、それでまかなうというようなことはおそらくでき得ない。こういう状態でありますが、この貸し付けなり、あるいは事務費の中における法人会計でいろいろと寄付を仰いだり、いろいろ費用を捻出してやっておるわけですけれども、この建築費等の返済は一体どのようにやっているか。これは一律一体にはいきませんけれども、昨年金澤へ行きまして、井村重雄さんが理事長をやっていらっしゃる施設を拝見いたしてまいったのでありますが、あそこは実はたいへんな貸し付けを受けているのですが、あの返済などは一体どうやっているのか、私ども興味をもってながめてきたわけですけれども、概括的に見てどんなぐあいにやられているか。それから返済は一面たいへんだけれども、なかなかまじめに実行されているのではないかと私は思うのですが、この返済の状態は一体どういうぐあいになっているのか、良好であるかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/168
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169・今村譲
○今村政府委員 振興会全体の統計をとってみますと、四十一年度でありますが、収益事業、つまり医療機関関係の事業収入とかその他の付帯事業収入が三割九分八厘約四割、後援会とか理事とかそういうふうな関係者の寄付、これが三二・八%ですから三割幾ら、そのほかに共同募金六・七%、それから県や市町村からの補助金が五・一%、その他一五・六%ということでございます。
〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕
事業収入と寄付金とで大体六、七割を占めるということで、やはり民間のそういう事業は、善意の協力者に依存しているというのが非常に大きうございます。ただ、非常に私どもびっくりしましたのは、九八%という償還率でかちっと返ってくる。以前から非常にまじめな人でありまして、これだけは私どもも感心をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/169
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170・田邊誠
○田邊委員 ですから私は、やはりワクの獲得についても一段と努力してもらって、何としてもいわば苦しい台所でしょうけれども、これらの施設の人たちは、やはり借りた金はまじめに返すという立場でもっと努力されていると思いますので、それだけにさっき参考人も言われましたけれども、貸し付けのワクというものに対しては、できるだけ要望に沿うような状態をつくってもらいたいと思っているわけです。しかし、貸し付けの中身についても、私は寡聞にしてよく知らないのですが、土地に対しての貸し付け、あるいはまた施設の中におけるいろいろな機械類、またふとんだとか、いろいろな充実しなければならないもの、こういったものに対しては現在どのような扱いをいたしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/170
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171・葛西嘉資
○葛西参考人 お答えいたします。
結論から先に申し上げますと、社会施設を拡充するとか、あるいはまた必要があって補充する、あるいは借りておって、どうしても買ってもらわなければならぬ羽目におちいった場合というふうなときには、土地に対しても貸し付けをしております。それから機械設備、あるいは寝具等の整備をやるとかいうような場合にも、よく調べまして、それで間違いないということでありますれば貸し付けをいたしております。
数字的にちょっと申し上げてみましても、土地に対する貸し付けは、件数はお手元の資料に何年は何件というのがあるのでございますが、それによってやってみましても、四十年度は二十七件、それから四十一年度は三十七件、四十二年度は四十九件という土地に対する貸し付けがございます。それから機械設備等に対しましても、四十年度は百三件、それから四十一年度は百二十一件、四十二年度は百七十件、これは初度調弁とかなんとかいうふうで、建物を建てる、それと合わして貸してくれというものですから、件数が非常に多くなっておりますが、建物を建てるときに、そういうふうな備品、設備あるいは寝具等が要るという場合には一緒に貸し付けをいたしております。大体そんな状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/171
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172・田邊誠
○田邊委員 その貸し付けを受ける側から見ますると、やはり手続がなるべく簡便で、なるべく早い時期に借りたい、こういう形になってくるだろうと思うのですが、いま平均をいたしまして、貸し付けを申し込んでから大体どのくらいの日時を要するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/172
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173・葛西嘉資
○葛西参考人 施設の要望は、お話しのとおりであると思います。これは平均して申し上げますと、三、四ヵ月ぐらいといっていいと思います。これは実際の例を申し上げたほうがいいと思うのでございますが、借りたいということになりますと、書類に書き込みまして、それを県庁のほうへ出します。県知事が意見をつけてこっちへ出してきます。そういうふうなことがありまして、私のほうで審査会を開き、会長がこれを役員に相談してきめる。それできめますと、今度は予定決定をいたします。予定決定をいたしますと、その決定に基づいて今度は契約をしなければならない。契約しますためには、登記した担保とか、そういうものを出さなければならぬということになります。したがって私どもは、要は親切にやるということでございますが、役員会を開く回数を非常にひんぱんにやる。いままでですと、年に四回なら四回、五回なら五回ということを、おそらく毎月ぐらい開く、あるいは隔月に開くというぐらいに役員会を開いております。そうすると、二十件なら二十件、三十件なら三十件、まとめて貸し付け決定をいたします。(田邊委員「去年あたりはそうやっておりますな」と呼ぶ)やっております。これからもそういう方針で、現にやっております。
それから契約をします場合にも、相談室なんというのをつくりまして、社会事業施設は何といいますか、事務的に能力が足りない点が非常に多い。これを突っ返したりなにかいたしますと非常にひまがかかります。したがいまして、昨年から相談室みたいなものを部内につくりまして、そしてその相談室に行って相談をして、相談室で書いてあげるとか、こうしなさいというふうなことをいたします。そうすると契約が早くなります。契約が早くなれば、お金も早く渡せるということになります。したがって、いま申し上げますように、役員会をひんぱんに開くとか、それから相談室を活用いたしますとかいうようなことで、お話しのようになるべく早く要望の金が渡るようにしたいと考えております。
ただ、非常に残念に思いますことは、お話がありましたように、金のワクが不十分でありますために、本来から申しますれば、一ぺんにどっと、五百万なら五百万貸して差し上げるのが一番いいのですけれども、金のワクがそう回りませんものですから、二度なら二度、あるいは三度なら三度に分割をしてお貸しするというふうなことをせざるを得ない状態、これはただいま御指摘がありましたように、ワクの拡大ができますれば一ぺんにやるというようなことにいたしたいと思います。なるべくすみやかにやる方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/173
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174・田邊誠
○田邊委員 何といっても借りる側の事情は、いま御説明のあったとおり、非常に手間も少ない、またその資金繰りも悪いという中で貸し付けを受けようというのですから、借りずらいような状態でないように、ぜひひとついろいろな面における配慮と具体的な手順を尽くしてもらいたい、こういうようにお願いいたしたいと思います。これが一番親切な道だろうと思うのでありまして、ぜひひとつそういうふうにお願いいたしたいと思います。
それでは最後に、何といっても一番の問題は、いまの葛西さんのお話にもありましたように、融資のワクを拡大して要望に沿うこと、それとさっき局長が御答弁になりました中でも明らかなのですけれども、返済をするに充てる財源、これが何といっても乏しいのであります。いろいろな寄付があるといっても、これはいま非常に切り詰まっておるのであります。これには何といっても、共同募金なりお年玉その他の、いわばやや公なものでこれに対して供給し得るものがなければならぬのであります。この赤い羽根の問題等につきましては、またいずれお伺いをいたしまするけれども、どうかひとつ、施設の現状の中で、貸し付けも受けたい、しかし返す金をどこからさがすかわからぬというのでちゅうちょする、こういういわば悪循環もあるわけでございまするから、そこらのことも配慮しながら、ぜひひとつ民間の施設が今後拡充整備ができまするように、そのことによって本来の社会福祉施設の任務を果たして、社会保障確立への一環となるような手だてを、やはり何といっても最後は国に講じてもらわなければならぬ、こういう形でありますので、その点に対する配慮と今後の計画をぜひひとつお願いいたしたいと思うのです。何か御答弁がございましたら、ひとつこの際伺って私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/174
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175・今村譲
○今村政府委員 ただいまの問題、非常に深刻な問題でありまして、一つには国の予算の単価が低いというので、相当民間にしわ寄せになる部分が多い、その辺が一つ。それから、お話しのように、共募、お年玉、あるいは自転車振興会からの寄付とか、いろいろございます。そっちのほうの——四十二年度で二十四億くらいになりますけれども、そっちのほうの開拓も相当熱心にやらなければならないということで、全部ひっくるめまして、施設の運営が、金の対策で施設をほったらかして歩き回らなければならぬというふうなことにならぬように、ひとつ努力をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/175
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176・田邊誠
○田邊委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/176
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177・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 次回は来たる十四日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02419680510/177
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