1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十三年五月十六日(木曜日)
午前十時二十四分開議
出席委員
委員長 八田 貞義君
理事 小沢 辰男君 理事 佐々木義武君
理事 田川 誠一君 理事 橋本龍太郎君
理事 藤本 孝雄君 理事 粟山 秀君
理事 河野 正君 理事 田邊 誠君
理事 田畑 金光君
大坪 保雄君 海部 俊樹君
佐藤 文生君 齋藤 邦吉君
澁谷 直藏君 世耕 政隆君
田中 正巳君 竹内 黎一君
中山 マサ君 西岡 武夫君
藤波 孝生君 増岡 博之君
三ツ林弥太郎君 箕輪 登君
山口 敏夫君 渡辺 肇君
枝村 要作君 大原 亨君
加藤 万吉君 後藤 俊男君
島本 虎三君 中村 重光君
平等 文成君 八木 一男君
八木 昇君 山田 耻目君
山本 政弘君 本島百合子君
和田 耕作君 中野 明君
伏木 和雄君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 園田 直君
出席政府委員
外務大臣官房長 齋藤 鎮男君
大蔵省主計局次
長 船後 正道君
厚生政務次官 谷垣 專一君
厚生大臣官房長 戸澤 政方君
厚生省公衆衛生
局長 村中 俊明君
厚生省医務局長 若松 栄一君
厚生省社会局長 今村 譲君
厚生省児童家庭
局長 渥美 節夫君
厚生省保険局長 梅本 純正君
厚生省年金局長 伊部 英男君
厚生省援護局長 実本 博次君
社会保険庁年金
保険部長 中村 一成君
消防庁長官 佐久間 彊君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 辻 敬一君
厚生大臣官房企
画室長 首尾木 一君
厚生省公衆衛生
局企画課長 江間 時彦君
専 門 員 安中 忠雄君
—————————————
五月十六日
委員倉石忠雄君、世耕政隆君、中野四郎君、西
風勲君、八木昇君及び浅井美幸君辞任につき、
その補欠として山口敏夫君、佐藤文生君、藤波
孝生君、中村重光君、大原亨君及び中野明君が
議長の指名で委員に選任された。
同日
委員佐藤文生君、藤波孝生君、山口敏夫君、大
原亨君及び中村重光君辞任につき、その補欠と
して世耕政隆君、中野四郎君、倉石忠雄君、八
木昇君及び西風勲君が議長の指名で委員に選任
された。
同日
理事小沢辰男君同日理事辞任につき、その補欠
として粟山秀君が理事に当選した。
—————————————
五月十五日
柔道整復師法案(小沢辰男君外二十一名提出、
衆法第四〇号)
同日
ソ連長期抑留者の処遇に関する請願外六件(小
沢辰男君紹介)(第五四六九号)
戦争犯罪裁判関係者に見舞金支給に関する請願
(村上信二郎君紹介)(第五四七〇号)
日本沿岸の沈没艦船調査に関する請願(金子岩
三君紹介)(第五六〇三号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
案(内閣提出第六三号)
社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案
(内閣提出第八三号)(参議院送付)
国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第五二号)
理容師法及び美容師法の一部を改正する法律案
の起草に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/0
-
001・八田貞義
○八田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案を議題とし、審査を進めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/1
-
002・八田貞義
○八田委員長 提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣園田直君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/2
-
003・園田直
○園田国務大臣 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。
昭和二十年八月、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者につきましては、昭和三十二年に制定された原子爆弾被爆者の医療等に関する法律により、医療の給付、健康診断等を行ない、その健康の保持及び向上をはかってまいったのでありますが、原子爆弾の傷害作用の影響を受けた者の中には、身体的、精神的、経済的あるいは社会的に生活能力が劣っている者や、現に疾病に罹患しているため他の一般国民には見られない特別の支出を余儀なくされている者等、特別の状態に置かれている者が数多く見られるところであります。したがって、これら特別の状態に置かれている被爆者に対する施策としては、医療の給付等の健康面に着目した対策のみでは十分ではなく、これらの被爆者に対して、その特別の需要を満たし、生活の安定をはかることが必要であると存じます。このことにつきましては、昭和三十九年に行なわれました衆参両議院の決議、その他関連法律の制定の際の附帯決議等におきましても強い要望のあったところでありまして、政府といたしましても、昭和四十年において被爆者の実態調査を実施する等、被爆者対策の総合的な改善について慎重に検討を進めてまいったのでありますが、このほどようやくその成案を得、ここに原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案を提案することといたした次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、現行の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律に基づき、その負傷または疾病が原子爆弾の傷害作用に起因する旨の厚生大臣の認定を受けた者であって、その認定にかかる負傷または疾病の状態にあるものに対し、月額一万円の特別手当を支給することといたしております。
第二に、特別被爆者、すなわち原子爆弾の放射線を多量に浴びたと認められる者であって、造血機能障害、肝臓機能障害その他の原子爆弾の影響との関連が想定される障害を伴う疾病にかかっている六十五歳以上のもの、一定の身体上の障害があるものまたは母子世帯の母もしくはこれに準ずるものに対し、月額三千円の健康管理手当を支給することといたしております。
第三に、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律に基づき、その負傷または疾病が原子爆弾の傷害作用に起因する旨の厚生大臣の認定を受けた者であって、同法による医療の給付を受けているものに対し、従来、同法により医療手当を支給していたのでありますが、これをこの法律に移行させることといたしております。
第四に、特別被爆者であって、一定の精神上または身体上の障害により介護を要する状態にあり、介護に要する費用を支出しているものに対し、介護手当を支給することといたしております。
第五に、国は、特別手当、健康管理手当及び医療手当にかかる事務の処理及びその支給に要する費用を交付することとし、また、介護手当の支給に要する費用についてはその十分の八を、その事務の処理に要する費用についてはその二分の一を負担することといたしております。
以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその概要であります。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/3
-
004・八田貞義
○八田委員長 内閣提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案に対し質疑の申し出がありますので、これを許します。西岡武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/4
-
005・西岡武夫
○西岡委員 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案について質疑を行ないます。
原爆被爆者に対する援護は、長い間の国民の念願であったのであります。悲惨な原爆の犠牲者に対して国家の救済が十分に行なわれない限り、われわれはいつまでも戦後の中に身を置いているということを意味したのであります。したがって、二十三年もの年月が経過して、あまりにもおそ過ぎたとは申せ、ここに政府による被爆者援護の具体策が提案されましたことは、高く評価すべきものと考えます。しかしながら、同時に私どもは、この特別措置の実現を待ちわびながら、原爆症の苦しみの中についに帰らざる人となった幾多の原爆犠牲者のあることに、思いをいたさなければならないと信ずるのであります。
私がこの法案についてまず第一に大臣にお尋ねをいたしたい点は、この忘れられた、いまはなき原爆犠牲者に対する配慮についてであります。今回提案されました法案には、いまはなき原爆犠牲者に対する対策というものが何ら織り込まれていないわけでありますが、この点について大臣のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/5
-
006・園田直
○園田国務大臣 原爆の被害が原因でなくなられた方々及びその遺族の方々については、御指摘のとおりまことにお気の毒であって、何らかの措置をすべきであるとは考えますが、ただいまお願いをいたしました法律案は、軍人、軍属等に対する施策とは異なりまして、現存されておる被爆者の方々がいまなお置かれておる特別の事情にかんがみ、社会保障施策の一環としてお願いをしたわけでございまして、なおまた、被爆が原因でなくなられた方の実態調査というものも相当困難でございまするから、この法律案には盛らなかったわけでございますが、これについては十分検討しなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/6
-
007・西岡武夫
○西岡委員 四十六国会でありましたか、衆議院の社会労働委員会で、当時の小林厚生大臣に対する社会党の大原委員の、三十二年に原爆医療法ができて以後原爆症等によってなくなった人に葬祭料や弔慰金を出すことが必要ではないかという質問に対して、大臣はそのことを検討するという答弁でございますが、この点については大臣はどういうふうに現在お考えになっておられるか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/7
-
008・園田直
○園田国務大臣 これは、そのような経緯もございまするし、ごく最近、本会議の質問に対する総理の答弁等もございまするので、事務的に実施すべく検討を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/8
-
009・西岡武夫
○西岡委員 その点につきましてもう一点だけお尋ねをいたしておきたいと思いますが、具体的には、早急に、たとえば来年度からでも行なうとかという御構想がおありでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/9
-
010・園田直
○園田国務大臣 ただいまの御質問、時期としては早急に、来年度予算からやりたいと考えておりますが、実際問題としてどの程度に配慮をするのか、あるいはどういうふうな葬祭料を出すのかということが、事務的には相当いろいろ困難な問題もございまするので、財政当局とも話し合いながら話を進めていきたい。財政当局も、この点についてはその方針で検討することで詰めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/10
-
011・西岡武夫
○西岡委員 ただいまの大臣の前向きのお考え方が実現されることを期待いたしまして、この点は終わりにして、具体的に法案について質問を進めていきたいと思います。
今回の援護措置は、原爆の障害作用によって現に病気にかかっている者で、しかもその中の一部だけがその対象になっているようでありますが、現在病気にかかっていない被爆者の中で、原爆孤老等、被爆による原因から不遇な生活を送っている不幸な人たちにも当然援護の措置を講ずべきであると考えるわけでありますが、この点の基本的な考え方について、大臣のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/11
-
012・園田直
○園田国務大臣 事務当局からお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/12
-
013・村中俊明
○村中政府委員 特別措置等の支給の対象でございますが、ただいま御指摘のとおり、一応健康的に異常があると申しますか、障害があり、あるいはその他の副次的に問題があるというふうな対象に限られておる問題でございますが、いま例におあげになりました原爆孤老、そういう対象につきましては、生活援護という考え方よりも、生活環境上特別の状態に置かれておる、御指摘のように、身寄りがなくて年齢的に身の回りのことをいろいろする場合に支障があるというふうな対象につきましては、今回の予算の中に盛り込まれております。被爆者の養護ホーム等に収容することによりまして、福祉対策の面で処理をしてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/13
-
014・西岡武夫
○西岡委員 今回の措置が実施されるにあたっての基本的な基準として、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律がもとになって、それぞれの適用範囲その他がきめられておるようでございますが、この医療法を適用の基準としたのはどういう理由によるものか、局長からお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/14
-
015・村中俊明
○村中政府委員 御指摘のとおり、今回の措置法の中で規定しております手当は、原子爆弾による障害が明らかだ、あるいは原子爆弾による障害でないというふうな判定のできないもの、原因が原子爆弾に起因するのかどうか非常に判定が困難である、そういうふうな対象が現在現に疾病にかかっておる、しかもその疾病にかかることによって社会的な特別の状態に置かれておる、こういうふうな対象に対する特別措置という考え方でございまして、この被爆者の範囲というものにつきましては、いまも御指摘がございましたが、医療法の中で規定されておる特別被爆者、一般被爆者、あるいは認定被爆者というふうな被爆者の概念規定をこの中に盛り込むのが適当だろう、こういうふうな判断をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/15
-
016・西岡武夫
○西岡委員 ただ私は、今回のこの法案の立法の経緯というものを考えまして、現行の医療法の範囲では処理のできない別途の対策である、被爆者の生活の安定が目的であったというふうに認識をいたしておるわけであります。したがいまして、被爆者の中で現に被爆による原因で貧困化しておる人たちに、やはりひとしく援護の手を差し伸べるべきではないかと考えるわけでありますが、その点ができないでいろいろな条件を設けておる。その設けたということ自体、単なる予算上の問題があってできなかったのであるか、それとも基本的な問題としてそれを行なわないというお考えに立っておられるのか。その点をお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/16
-
017・村中俊明
○村中政府委員 だだいま御指摘のように、被爆ということ、そのことが貧困につながるかどうかというふうな問題については、その判定が非常に困難だと私は考えております。むしろ被爆によって健康がそこなわれて、そのことによって生活を営むのに非常に難渋してくるというふうな状態が、結果として貧困に持ち込まれ、経済的な苦しさが出てくるというふうな理解を私自身持っております。そういう観点に立ちまして、やはり健康が阻害されたことによって起きてくる間接的な生活上の福祉対策というのが、今回の措置法の基本的な考え方である、こういうふうに私は理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/17
-
018・西岡武夫
○西岡委員 そうしますと、将来にわたっても、この考え方は基本的には変えないというお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/18
-
019・村中俊明
○村中政府委員 私どもも、現時点ではそのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/19
-
020・西岡武夫
○西岡委員 そうしますと、医療法及びそれに伴う政令等は、やはり当面は改正しないで現行のまま適用をしていくというお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/20
-
021・村中俊明
○村中政府委員 一般的な問題につきましては、政令その他医療法に基づいた処理の方法には変わりがないわけでございますが、ただ一点、従来の医療法の中にございました医療手当が削除されて、今回の措置法の中に入れられております。この面に関する一部の行政上の取り扱いが変更になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/21
-
022・西岡武夫
○西岡委員 この点、もう少し詳しくお尋ねをしたいのでありますが、時間の関係がございますので、具体的な項目に入っていきたいと思います。
特別手当についてでございますが、特別手当の創設は今回の特別措置法の根幹をなすものでございますが、この特別手当が設けられた趣旨、目的について、簡単でけっこうでございますから、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/22
-
023・村中俊明
○村中政府委員 従来、医療法の中で、医療と非常に関連の深い精神的な安定ということも込めまして、医療手当が支給されていることは御承知のとおりでございますが、先般行ないました原爆の被爆者の実態調査によりましても、単に医療の面ということだけでは被爆者の福祉の向上がはかれない、医療プラス福祉の向上という、健康上の問題に由来する福祉の面の施策ということが必要であるというふうな判断を、実態調査の結果からくみ取りまして、御指摘の今回の特別手当の創設になった。したがいまして、特別手当を支給する考え方の中には、一点は、たとえば保健薬の服用とか、あるいは認定被爆者が入院する、通院する、こういったための出費が出てまいると思いますが、そういう医療と直接に結びつくもののほかに、生活的にもやはり医療を受けることによって差しさわりが出てくるだろうというふうな判断で、特別手当の中には、生活の面の配慮と医療の面の配慮と両方を込めまして、先ほど大臣が趣旨説明をいたしましたが、一万円という金額を考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/23
-
024・西岡武夫
○西岡委員 特別手当の支給対象についてでありますが、第二条にいうところの医療法「第八条第一項の認定を受けた者」というのはどの範囲をいうのか。政令第六条の二号及び三号に定めるものすべてが対象になるというふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/24
-
025・江間時彦
○江間説明員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/25
-
026・西岡武夫
○西岡委員 ここで認定被爆者制度について若干お尋ねをしたいと思うのでありますが、この特別手当の支給を決定するのは認定被爆者制度そのものにあるわけでありますので、これまで医療法第八条第一項の認定の申請をして却下をされた数というものがわかっておりましたら、お示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/26
-
027・村中俊明
○村中政府委員 昭和三十二年にこの法律が施行されまして、それ以来現在まで約六千四百件の申請があり、そのうち九五%が認定されておりまして、残りの五%が認定却下ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/27
-
028・西岡武夫
○西岡委員 この認定にあたっての問題でありますが、「原爆被爆者医療審議会の意見を聞かなければならない」とされているわけであります。現在のこの認定の基準、方法等について、厚生省としては、現状のままでまず問題がないと考えておられるか、さらにもう少し実際に適用の場合には考えるべき点があるというふうにお考えになるか、そのお考え方を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/28
-
029・村中俊明
○村中政府委員 特別被爆者の中で、原爆の傷害作用に起因して負傷しまたは疾病にかかったという点についての認定につきましては、ただいま御指摘のとおり、医療法の中にございます医療審議会で医学的な判断がされるわけでございますが、この判断の基準というものは、医学的に従来の研究その他から理論的に出されてくる判定に基づくものでありまして、一定の基準というふうなものは、私自身審査の機会に参加いたしておりますが、あまり明確でないように思います。たとえば、明らかに原爆に起因すると思われる白内障、あるいは白血病、あるいはガンの中で甲状腺ガンあるいは肺ガン、あるいは貧血症で、これが医師の診断書で明らかに原爆に起因しているという判断がつくものということでございまして、個々のケースについて審議会の専門委員の方々が討議をしながら判定していくというのが実態でございます。
この範囲の認定の考え方の変更という点についてでございますが、そういうふうな事情で医学的な判断が主体になって認定されておりますので、今後のいろいろな医学的な研究の進歩というふうなものとのにらみ合わせの上では、将来において判断の立場が変更のある場合もあろうかと思いますけれども、いまの段階ではそのような実態には遭遇しておりません。ただ、被爆当時に胎内にありましたいわゆる胎児でございますが、これについては、昨年の医療審議会においても、これは小頭症でございますが、小頭症は原爆に起因をしている疾病であるという判断、過去の原爆傷害の研究者の中の研究の結論によって認定患者の中に入れたというふうなケースもありまして、今後は研究の過程において多少流動的なものはあるだろう、こう判断をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/29
-
030・西岡武夫
○西岡委員 次に、特別手当の支給制限についてお尋ねをいたしたいと思いますが、生活保護世帯の収入認定について、特別手当は生活保護受給者の収入として認定されることになるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/30
-
031・今村譲
○今村政府委員 これは、生活保護法の第四条にありますように、被保護者がその資力、収入すべてを自分の最低生活に充当した上で生活保護を行なうという大きなたてまえがありますので、実質的には別としまして、形式上全部収入ということに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/31
-
032・西岡武夫
○西岡委員 この特別手当の一万円のうち、どの程度収入と認定されるか、具体的に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/32
-
033・今村譲
○今村政府委員 一万円は収入と認定をいたしますが、原爆という特殊の状況に応じまして、の関係あるいは健康の維持の関係、いろいろの面もございますので、これと別個に放射線による障害の加算制度というものをつくって、この法律の趣旨に合うような意味におきまして、本人が療養なら療養に専心できるように生活保護をやるというようなかっこうで、別個に放射線障害加算というものをつくりたい、こういうふうに考えまして、目下その規模なり何なりついて検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/33
-
034・西岡武夫
○西岡委員 この特別手当受給資格者で生活保護を受けている認定被爆者は、御承知のとおり、重度の原爆による障害を受けた人たちでありまして、その医療上の必要からも相当の生活費が必要でございます。その上、貧困の原因は原爆による疾病であり、自己の責任によるものではないということは、十分配慮すべきであると考えるのでございます。したがいまして、生活保護の収入の認定ということについては、この点を十分御配慮の上善処されることを要望をいたすものでございます。
時間がございませんので、簡単に質問を進めてまいりますが、次に、医療手当についてでございますが、認定疾病患者で、厚生大臣の定める疾病以外の一般疾病で入通院した場合においても医療手当を支給するお考えはないか、この点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/34
-
035・村中俊明
○村中政府委員 医療手当を支給する対象と申しますのは、認定患者の精神的な安定をはかる点、それから認定された疾病の医療効果の促進をはかるというのがもう一点でございまして、認定患者でありましても、直接被爆に起因しないというふうな対象の疾病につきましては、認定患者というものの取り扱いの性格から申しまして、医療手当の支給は困難である、こういうふうに判断いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/35
-
036・西岡武夫
○西岡委員 この点、もう少し議論をしたいところでございますが、次に、健康管理手当についてお尋ねをいたします。
この健康管理手当の支給については、医療法第十四条の二第一項に規定する特別被爆者のうち、政令六条三号に該当する疾病にかかっている者というふうになっております。その上にさらに「六十五歳以上の者」、「厚生省令で定める範囲の身体上の障害がある者」、「配偶者のない女子又はこれに準ずるものとして厚生省令で定める女子であって、」云々と、この三つの支給制限の規定があるわけでございますが、この点の根拠がちょっと私には理解しにくいところがございます。この三つの点は少なくとも制限を設けるべきではないというふうに私は考えるわけでございますが、この点について簡単に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/36
-
037・村中俊明
○村中政府委員 ただいま御指摘の、政令による大臣の定める特定疾病と申しますのは、私ども事務的には三号疾病という名称を用いておりまして、この疾病の大部分は、たとえば心臓病であるとか、高血圧症であるとか、あるいはガンであるとか、中枢神経系の血管損傷、そういった一連のいわゆる成人病というものが非常に多いわけでございまして、この成人病を一応ほとんど全部三号疾病というふうな取り扱いを現在いたしております。この対象といたしまして、第一点、高齢者に対象を設けたということにつきましては、一応私どもは六十五歳以上という考え方を持っております。一般の年金その他の支給につきましては、七十歳が一応の基準のようになっておりますが、特に原爆の被爆があるというふうな判断からこれをゆるめまして、六十五歳以上に制限したわけでございます。
なお、この六十五歳以上の高齢者の健康状態につきましては、先般の実態調査の結果からも、相当健康に対して不安があるというふうな聞き取り調査の結論も出ておりまして、そういうふうな趣旨から、私どもは年齢的な面の第一点の考え方をいたしたわけでございます。
なお、身体障害者につきましても、これは比較が非常に困難でありますが、国が行なっております国民の健康調査の中から出てまいりました身体障害者の率に比べまして、今回の実態調査による被爆者の身体障害の発見率というものは高かったわけでございます。そういう観点から、身体に障害のある者という一点を設けたわけでございます。
第三点の母子世帯ということにつきましては、これは生活的な問題が相当出てまいるだろうというふうな判断もありまして、以上三つのような制限を三号疾病について設けて、管理手当の支給をしようというようにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/37
-
038・西岡武夫
○西岡委員 時間が参りましたので、最後に一点だけお尋ねをいたします。
介護費の問題でありますが、介護費の負担率が国費十分の八となっているわけであります。残りは地方負担ということになるようになっておりますが、これはなぜ全額国庫負担としなかったのか、この点についてお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/38
-
039・村中俊明
○村中政府委員 介護手当の支給につきましては、ただいま御指摘のとおり一部地方公共団体の負担になっておりますが、この介護手当の創設につきましては、被爆者の関係の団体などから、あるいは地元県市からいろいろ要望がございまして、たとえばホームヘルパー、相談員のような制度が設けられないかというような要望がございまして、私どももその地域社会のそういう資源を活用することによって、身体に不自由のある者、あるいは原爆に関連のある者、疾病のために介護を必要とする者に対する手当を考えることを実は思いついたわけでございます。そもそもの発想は地域社会の福祉というふうな趣旨からでございまして、この点は地方公共団体の自主的な仕事の中に一部なじむ性格があるというふうな判断で、地方の一部負担を設けたわけでございます。ただ、このことで地方の府県の財政状態を圧迫しない、過重な負担はかからないというふうなことについては今後配慮してまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/39
-
040・大坪保雄
○大坪委員 関連で一言だけ。
原爆被爆者に対する援護の措置がだんだん進められておりますのは、私も非常に幸いだと思います。ちょうどその機会でもございますし、園田厚生大臣は、非常に積極的意欲を持って厚生行政をお進めになっている青年大臣であります。この機会に私は実例を申し上げて、厚生大臣としての特別の前向きの御措置を願いたいと思うのでございますが、そういう御意図があるかどうかということを伺います。
実例をあげて申し上げます。これは厚生省等において、原爆被爆者であり現在病床に横たわっている等、現実に明らかになっている人の援護措置でございますから、これはこれでいいと思いますけれども、原爆被爆者であって、そのためになくなったと思われる人があるわけでございますが、これが放置されているという実例がございます。私の郷里は佐賀県でございますが、佐賀県は長崎県の隣であります。終戦の間近になって、中等学校の生徒が学徒動員で非常に長崎市内の学校に働きに出されておる。現場で死んだ人もございます。女学生で死んだのもございます。これはしかしもうすでに勲章も来ておる。ところが、佐賀市内のある私立女学校の生徒で、学徒動員で長崎に出て、三菱系統の某工場の地下工場で働いていた。そのときに原爆が落ちて、当時の模様を聞けば、ほとんど全員が昏倒したそうであります。であるが、間もなくみな逃げ出して宿舎に帰った。それが御承知のように八月九日であった。ところが終戦が十五日である。それまでは長崎におったのであります。終戦になって解散するようにして郷里に帰ったのでありますが、その後間もなく非常にからだの調子が悪くなって、ふらふら病のようになる。そこで、久保田村という佐賀市の隣村ですが、そこで近所の医者に見てもらった。このお医者さんは実際は痔のお医者さんである。それが、どうも少し胸がおかしいようであるが、しばらく静養しておきなさいというので、静養しておったけれどもなかなか快方に向かわない。したがって佐賀市内の某病院に入れたのであります。その病院は現在もございます。それで、肺浸潤の診断を受けて二、三カ月入院しておったが、快方に向かわないし、長くかかるしというので、自宅に引き取って療養を続けていた。ところが、だんだんと頭の毛が抜けるし、まゆ毛も抜ける。本人は若い娘ですから、そういう状態で胸のぐあいも悪いし、からだの調子がよくないというので、自然、精神異常的な状態になった。やがて翌年なくなっております。その診断書を見てみますと、死亡診断書は肺結核兼精神異常と書いてある。二十前後の若き娘です。毛髪も抜け、まゆ毛も抜ける、からだの自由がきかぬということになりますと、気も狂うであろうと私どもは想像いたされる。これが原爆のための死亡でないかというので書類を出しまして却下された。それは死亡診断書がそうなっておるからであろうと思います。そういうことを訴えられたから、私は厚生省に出向きまして、坊大臣のときに書類を渡して積極的な検討を願ったのでありますけれども、その後はかばかしくいっておらぬ。これは無救済のままになっておる。これは救済していただかなければならぬと思います。
そこで私は思いまするに、原爆症状がいかなるものであるかということは、これは戦後二、三年間わからなかった。日本のお医者さんたちも十分知ってないと思う。八田委員長なんか一番よくそのほうの事情は御存じであります。これは福竜丸事件から初めて原爆症状というものが日本の医学界にもわかったといわれておるようなことでありますから、その前に死んだ者については実際上わからないのじゃないか。したがいまして、いま私が申し上げました実例のような例がほかにもあるのではないか。特に、勤労学徒とか、あるいは徴用工とか、国家の特別の措置、命令で出かけていって、自由を失って働いた人たちの中に、そういう者がまだあるのではないかということを私は思うのでございます。でありますから、動員学徒にしても、徴用工にしても、名前ばわかっているのでありますから、それぞれの部局で、原爆落下の当時長崎市近郊におった者については追及をして取り調べる必要がある、そしてわかった者の援護をやはり徹底する必要があると私は思うのでございますが、もしそれが非常に困難であれば、厚生省あたりで新聞広告等を出してでも、国家は今回こうして援護の措置を講ずることにしておるから、もしそれと思われるような者で、病気になった者はいま出てきておると思うが、なくなった者等があれば知らしてくれというような積極的な探索をしてでも、そういうものは追及してひとつ援護の措置を伸べてもらいたい、こう思うのでございますが、園田厚生大臣どういうお気持ちでございますか。そういう意欲をお持ちでございますかどうか。こいねがわくは、そうしていただきたいと思うのでありますが、これをひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/40
-
041・園田直
○園田国務大臣 ただいまお願いしておりまする法律案は、御指摘のとおりに、現存者を対象とした特別の事態の救済でありますが、いま仰せられました、原爆が原因で死なれた方、その遺族、こういう方々に対しては、他の戦争犠牲者との均衡もありまするが、原爆というものが特殊なものであって、初めて日本が洗礼を受けた被災なんでありますから、何らかの措置を講じなければならぬとは考えておりますものの、やはり家族構成が相当変っておること、それからその場の状態等がわからないなどのために、いままでおくれておるものと考えます。したがいまして、まずとりあえず、しばしば国会で論議が出されまするし、先般本会議で山田委員から御質問があったと覚えておりまするが、葬祭料でまず政府の意のあるところを示したい。なお、引き続いていまのような問題については検討を進めていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/41
-
042・大坪保雄
○大坪委員 どうぞ積極的にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/42
-
043・西岡武夫
○西岡委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/43
-
044・園田直
○園田国務大臣 なお、この際御報告申し上げますが、けさほどの地震は北海道が震度六。ただいま北海道、東北、関東の北に津波警報を出しましたので、報告いたしておきます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/44
-
045・八田貞義
○八田委員長 この際、理容師法及び美容師法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/45
-
046・八田貞義
○八田委員長 橋本龍太郎君より発言を求められておりますので、これを許します。橋本龍太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/46
-
047・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 本件につきましては、自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党、四党委員の協議に基づく試案がございます。各委員のお手元に配付しておりますが、四党を代表して、私からその趣旨を御説明申し上げます。
要綱を読み上げます。
一 常時二人以上の理美容師が従事する理美容所の開設者は、その理美容所に、理美容師の免許を受けた後三年以上理美容の業務に従事し、かつ、厚生大臣の定める基準に従い都道府県知事が指定した講習会の課程を修了した者を管理者(以下「管理理美容師」という。)として置かなければならないものとすること。
ただし、開設者がこの資格を有しており、自ら管理理美容師となるときは、この限りでないものとすること。
二 前記一の管理理美容師の氏名等については、届出を要するものとする。
三 この法律は、公布の日から起算して三箇月を経過した日から施行するものとすること。
四 経過措置として、前記一に規定する理美容所に置かなければならない管理理美容師は、昭和四十六年十二月三十一日までは、理美容師の資格のみで足りることとすること。
以上でございます。
簡単でございますが、概要を申し上げました。
この際、私は四党を代表いたしまして動議を提出いたしたいと思います。
お手元に配付してあります試案を成案とし、これを本委員会提出の法律案と決定されんことを望みます。委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/47
-
048・八田貞義
○八田委員長 ただいまの橋本龍太郎君、河野正君、田畑金光君及び伏木和雄君提出の動議に対し発言があれはこれを許します。——別に発言もありませんので、直ちに採決いたします。
橋本龍太郎君外三名提出の動議のごとく、お手元に配付した草案を成案とし、これを本委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/48
-
049・八田貞義
○八田委員長 起立総員。よって、さよう決しました。
なお、法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/49
-
050・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/50
-
051・八田貞義
○八田委員長 内閣提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案に対して質疑を続けます。山田耻目君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/51
-
052・山田耻目
○山田(耻)委員 提案をされました原子爆弾被爆者に対する特別措置法について質問を行ないたいと思います。
四月二日の衆議院の本会議におきまして、問題点をかなり明らかにして総理なり担当大臣の園田厚生大臣に所信を伺ったわけでございますが、本会議でございますから、細部についてお尋ねすることが十分ではございませんでした。したがいまして、きょうはそうした意味を含めて、時間が十分ではございませんけれども、できるだけ中身についてお尋ねをしたいと思います。
まず最初に、戦後二十四年たちまして、こうした援護にまつわる措置法が生まれてきたのでありますが、昭和三十二年に医療法が制定をされまして、医療の部分については、臨床的な問題、多くの問題がございますけれども、一応の方向が確立をされた。被爆者なりあるいは国民の層の多くの方たちは、これは医療だけでは不足じゃないか、生活援護の分野にわたっていわゆる意を用いてあげなければ、悲惨な被爆者に対する十全な措置とは言えないではないか、こういう多くの世論が台頭していたことは間違いございません。しかし、そうした世論というものに対して今回こういう一つの措置が生まれ出たものだと思いますけれども、中身はまだまだ十分だとは思いませんけれども、厚生大臣の御努力に対しては敬意を表したいと思います。ただ、被爆者の人たちが要求をしておる生活援護の各分野、それから、多くの後遺症を残しておりますから、年金制度の問題、第二世に対する具体的な援護の問題、こうした問題というものは、いまだ放置をされております。こういう問題が放置をされているということは、ある意味では画竜点睛を欠くということになることは当然でございます。
そこで、厚生大臣としては、この措置法というものがまだまだ十分でないということは、本会議でも答弁いただきましたけれども、こうした各般の問題点について、この措置法成立と同時に積極的に取り組んで被災者の期待にこたえていく決意があるかどうか、まずそれをひとつ冒頭に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/52
-
053・園田直
○園田国務大臣 いま御指摘のような各般の問題は、被災者のみならず、国会でもしばしば各位から御指摘をいただいておりますから、この法律案を第一歩として早急にそういう問題について検討を進めていく決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/53
-
054・山田耻目
○山田(耻)委員 そこでこれから具体的な御検討をいただくことになるわけでありますけれども、前提となるこの認識のしかた、原爆被爆者というものが国家補償で救済されるべきものであるか、社会保障で救済されるべきものであるかという、この前提の認識がきわめて重要になります。この問題について、どういう立場で考えていくのが至当であるかという点について、ひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/54
-
055・村中俊明
○村中政府委員 原爆の投下による地域の住民の被害というものは、これは史上に絶するものがあることは、私自身十分承知をいたしております。
こういう被爆者の措置につきまして、国家的な給付というものを中心にしてやるべきなのか、あるいは全般的な社会保障制度の中で考えていくべきなのかという点についての御質問でございますが、私は、国家給付的なそういう立場というのは、具体的な例を申しますと、学徒動員とかあるいは軍隊、そういうふうな国家と雇用関係が成り立っているというふうな形の中で国家給付というのが行なわれるものだと理解をいたします。したがいまして、原爆の投下によってそういうふうな国との関係のない一般の地域住民に対して被害を与えた、これを国家給付の中で処理をするということは、私は、必ずしも適当ではない、むしろ社会保障の制度の中でできるだけ手厚く考えていくべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/55
-
056・山田耻目
○山田(耻)委員 国との雇用関係がなかったから国家補償という立場ではなかなか見にくい現状にある。問題は、もっと掘り下げれば、国益に寄与したかどうかという議論がかつては議論された時代がございます。たとえば引き揚げ者の在外財産の問題は国益と関連をして考えられた。この問題につきまして、雇用関係とは別に国益論から見てまいりますと、少なくとも当時昭和十九年、二十年、国家総動員法によりまして、国民はがっちりと国の権力構造の中で戦争という目的に結集されていたことは間違いございませんよ。軍隊だけじゃない。学徒動員だけじゃない。その中で生まれてくるのが防空法の問題であったし、国民義勇隊組織の問題であったはずです。そうしてその中から生まれていったのが隣組組織であったはずであります。そういう立場は、国家総動員法に基づいて生まれていった日本の国民皆兵の立場に立たされていたはずであります。そうして、疎開されずに広島なり長崎の、それぞれの産業なりそれぞれの地域社会を、しっかり総動員法に基づいて守っていて、戦争に協力を国の権力でしいられたことは間違いございません。この立場は、広義に言えば国益に寄与したことは間違いございません。ですから私は、この種の問題をただ単に社会保障制度の中でおやりになるということは、そういう当時の法律を並べていただいて、その法律に拘束されて被爆していって死んだ人たちが、何で国益に無関係であるか、この点は、かつての東京地方裁判所の判決の中を見ましても、あるいは昭和三十九年、衆参両院の援護強化の決議に関する中身を見ましても、その点は筋として通されていると私は理解をいたしますよ。だから、あなたがおっしゃるように、ただ単に、政府との雇用関係がないからこれは国家補償はできないし、社会保障であるという立場をおとりになるのは、少し機械論的に聞こえてしかたがありませんよ。あれから戦後二十四年たちましたからそうおっしゃるのかもしれませんが、これが昭和二十二、三年ごろの審議であったら、国益論は優先をしておるはずであります。そういう実情に即さない考え方で救済をしようとするから、多くの問題が漏れていくのであります。被爆者の要求にそぐわない結果になっていくのでありますから、そこらあたりは、園田大臣、どうですか、いま私が申し上げた立場というものに無理がございますか。ひとつ大臣、責任者としてのあなたのお考えを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/56
-
057・園田直
○園田国務大臣 当時のいろいろな形態及び国家の国民に対するいろいろな問題からすればお指図のとおりでございますが、今回の法律は、諸般の問題から社会保障制度の一環としてお願いをしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/57
-
058・山田耻目
○山田(耻)委員 今回の特別措置法は、おっしゃっていますように、社会保障政策の立場からお考えになった。そのために、私が言ったように、年金が漏れているし、後遺症に対する措置が漏れているし、葬祭料はこれから詰めていきますけれども、葬祭料的なものが漏れています。法律上にありませんよ。こういうようなものが漏れていった理由は何かと言えば、社会保障政策の立場がとられたからですよ。だから私は不満なんです。国民も不満なんですよ。それをただしていけば、いわゆる国益に貢献がなかった、もっと具体的にいえば雇用関係が存在しなかったというのが御理由のようですから、私はそんなことはございませんよと、当時の法律を私がお出ししてもいいけれども、政府の立場で御検討いただいたらすぐ御理解いただけることだと思う。そういう立場から申し上げておるわけです。
そこで、きょうは時間もございませんから、いずれ十分な詰めばいたすといたしまして、大臣、いかがですか、この点はいわゆる国家補償の立場に立ち得ることも前提に置いて検討してみたい——それは出時の法律論争をやっていけば、かなり微妙なものが出てくるのですから、そういうことも念頭に置いて検討していきたいという御返事はいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/58
-
059・園田直
○園田国務大臣 これは法律でやらなくても、諸般の情勢から、御指摘のようなことは私も行政上考えるべきことであって、とりあえずはこういうことをいたしましたが、やはりそれを前提にしていろいろ検討を進めていくべきであるとは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/59
-
060・山田耻目
○山田(耻)委員 大臣らしくもなく、少しことばを濁されておるのですが、いわゆるそういう国家補償の立場も前提に置いて、諸般の情勢、常識論から検討を進めてまいりたい、こういうようにはっきり理解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/60
-
061・園田直
○園田国務大臣 そのように御理解願ってけっこうでございます。
なお、先ほどの北海道の地震は予想外に大きいような気がいたします。札幌−東京の電話は不通でございます。それから、津波は五メートル程度の津波かと想像されますが、宮古にすでに第一波が参りました。詳細は、いま書きまして回覧をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/61
-
062・山田耻目
○山田(耻)委員 一応、立法の精神についてこれから御検討いただけるというお話がございましたので、私の持ち時間はあと三十分ばかりでございますから、中身を詰めていきたいと思います。
一つは、さっき西岡君の議論の中にもございましたが、いまの国家補償の立場から御検討いただくという立場を通して進めてまいりますと、死没者調査が当然前提に出てまいります。死没者調査については、厚生大臣から、国会で前向きで検討してまいりたいという御返事をいただきましたが、おやりいただけるものかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/62
-
063・村中俊明
○村中政府委員 死亡者の実体につきましては、先ほど西岡委員の御質問に大臣が御答弁申し上げましたが、被爆当時の世帯構成が現在では全く把握ができない。すっかり変わってしまっております。さらに死因が被爆によるものであるかどうか。直接原爆の投下によって死亡された方は別といたしまして、その他の死亡者との区別がいまは非常に困難である。そういうふうなことから、いまの時点で死亡者の調査ということは、事務的には私は非常に困難だというふうに判断をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/63
-
064・園田直
○園田国務大臣 いま事務当局から申し上げましたように、困難ではありますが、困難だからといってほうっておくわけにもまいりませんので、問題の性質上、何とか方法を講じて、先ほどの御意見もありましたから、検討を進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/64
-
065・山田耻目
○山田(耻)委員 大臣は困難でも克服してやりたいとおっしゃった、ありがとうございます。
ただ、局長に少しお願いしておきたいのは、瞬間にしてなくなった人の数がまだ明確ではございませんけれども、これの調査は、直接被爆による死亡ということで比較的可能である。ところが、被爆以後昭和三十二年までを一区切りとして、医療法が制定されて被爆者手帳が交付されたそれまでを一区切りとしての調査というものは、死因が不明確であって、被爆者でありながら交通事故で死んだ、こういうふうな者もあるかもしれない。こういうものを調査することはむずかしい、それは私もある程度肯定いたします。しかし、昭和三十二年以降は被爆者手帳を持っておりますから、これは各県段階で登録された名簿ができております。しかも診療簿は五年間保存というふうに法律できまっております。したがいまして、三十二年以降の調査はきわめて可能である。
問題は、この調査を進めていくのに、交通事故で死んだとか、どういう病名で死んだとか、どこに死因があるのか、こういうことの判定がむずかしいということは、だからこそ調査をしてほしいのです。たとえば昭和二十五年から昭和二十六年の調査を見ますと、白血病患者が異常にふくれてきました。広島、長崎では原爆を受けない人の約四百倍という医学データが出ております。そして昭和三十五年、昭和三十六年、この二年間の調査を見ますと、食道ガン、甲状腺ガン、こういうガンの関係は、原爆を受けない人の四倍というデータが出ております。問題は、原爆を受けて一瞬に死ななくて、それからずっと生き残った人たちはどういう病気にかかって死んでいったかということ、そのことを明確に資料に基づいて考察をすることは、今日生きておる三十余万の人たちの将来の後遺症を見つけ出すことができるのです。だから、ただ単に、死亡者調査をするということが行政上技術的に困難であるとか、あるいは容易であるとか、こういう技術論以前に、日本の政府として、行政官庁として、果たしていかなければならない大きな使命があるはずなんです。その死没者調査をやることによって、原爆というものがどういうふうに後遺症を残し、どういう死没理由を多く持っているかということが明確にされるということは、これからの臨床学上きわめて重要なことなのであります。だから、そういう必要度を御理解いただくと同時に、技術的には三十二年以降はきわめて可能なんです。瞬時のやつも可能なんです。だから、昭和二十年から昭和三十二年までの、この間の死亡層に対して具体的にどうしたら可能かということを、国勢調査の時点を含めて御検討いただければ、私は大臣がおっしゃるように不可能じゃないと思います。この点について、ひとつ衛生局長も、どうですか、御協力いただくという御返事がいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/65
-
066・村中俊明
○村中政府委員 ただいまお答え申し上げましたとおり、直撃で死没された方の把握は私ども可能でございます。それから三十二年までの間のなくなった方、これの直接の原因が原爆によるものであるかどうか、この判定は非常に困難でございます。これはもう私もそう思います。三十二年以降の被爆者の死亡調査をいたしましたり——これは調査をいたしますとすれば、死亡届けによる調査ということに私はなろうかと思います。この場合に、死亡した診断名というものが、これは統計調査の上ですが、この死亡診断名の中に原爆に起因していることがしるされているという前提に立つ場合には、私はこれは拾うことができると思います。御指摘のように、白血病あるいは甲状腺ガンあるいは肺ガン——もちろん肺ガンとか甲状腺ガンにつきましても、はたして原爆に直接起因するかどうかという認定は困難でございますが、現在の医療法の中では、そういう疾病については認定患者という取り扱いをしているわけです。ですから、そういう患者が治療を継続中に死亡したというものについての判断は、非常にはっきりしております。治癒したあとで、認定の疾病が一応医療機関から切り離された状態においてなくなられた場合には、これは死亡診断書によって把握すること以外には方法がないような、そういう感じがいたします。これも御指摘のように、実際におまえはやってみなければわかるかどうか言えないじゃないかということになりますと、まさにお説のとおりでございますが、この問題につきましては、大臣のお答えもありますし、困難ではありますけれども、アプローチについて検討させていただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/66
-
067・山田耻目
○山田(耻)委員 局長少し私の質問がよくのみ込めていないじゃないかと思います。私が申し上げているのは、原爆に起因する死者であるかどうかということを調べなさいと言っているんじゃないのですよ。原爆の被爆者で死因は何であったかということをお調べになることは、これからの後遺症の研究なり生き残っている者にとってきわめて大切である。直接被爆で死んだ者はこれははっきりしているわけです。原爆被爆の以後、原爆患者でどういう病名で死んでいったか、これが直接被爆にどういう関係があるかということは、医学上研究される問題なんです。ただそれがグループとして、いわゆる白血病で死んだのが一番多いのか、食道ガンで死んだのが二番目、肺ガンが三番目、いろいろ調査の結果出てくるでしょう。そういう立場でひとつおやりなさい。三十二年までがちょっと困難だけれども、これはやっていただきたい。三十二年以降は、これは原爆手帳がございますし、そうして診療所なり指定医には五年間書類がみな保管してございますから、こういうものをお調べになればこれは容易にわかることなんですから、そういう調査をおやりになって、これを死没者調査という立場から、いろいろ困難があってもやり切っていただく。厚生大臣は、困難だけれどもやってみよう、こういう御返事をいただいておるわけですから、あなたも、これが被爆に起因しておるかどうかということのみをきわめようとする死没者調査、そんなものは別な立場から考えるべきである。いま私が申し上げておるのは、被爆者の調査をしてほしい、こういうことですから、そう理解していただきたいと思います。
それでは次に中身について入ってまいりたいと思います。
一つは葬祭料の問題でありますけれども、これも本会議で御答弁いただきました。ありがとうございました。たいへん明るい気持ちに被爆者はなっておるわけであります。問題は、ここで金額を私は詰めていこうとは思いません。思いませんが、やはり対象ということは大事なことであります。さっき大坪議員の質問に対して、被爆して二、三年後になくなっていったいわゆる学徒動員を含めて、あるいはそうでない国益と無関係であったと思われるような人を含めて、葬祭料の中で検討してまいりたい、こういうお話がございました。したがいまして、そういう御答弁をいただいたとすれば、いわゆる直接被爆以後できるだけ精査が整えば、そういうものに従って葬祭料を出していきたい、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/67
-
068・園田直
○園田国務大臣 葬祭料の問題は、先般山田委員が質問をされて、総理が直接答弁をされ、私も答弁をいたしました。その直後、私にも大蔵大臣にも総理から指示がありまして、私と大蔵大臣が相談をいたしまして、今年度は無理だから明年度の予算でやろう、それをお互いに事務当局におろす、こういうことで事務当局にまず検討を命じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/68
-
069・山田耻目
○山田(耻)委員 そういたしますと、昭和四十四年四月一日から実施の段階に入る、そういう予算措置も行なう、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/69
-
070・村中俊明
○村中政府委員 葬祭料の措置につきましては、ただいま大臣も御答弁申し上げましたが、次の機会を一応の目標にいたしまして私ども作業を進めたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/70
-
071・山田耻目
○山田(耻)委員 それから、大蔵省見えておりますか。——さっき大臣のお話などで述べられておるのでありますが、今度の法律で、認定患者に対しては特別手当一万円、こういうことに法律上なったわけでありますが、生活保護、いわゆる非常に低い所得の人々に対しては収入認定をするという、まことに理解できないようなことになっている。それを少し厚生、大蔵御相談なさって、半分程度くらいは収入認定をしないというふうな模様であるというふうに言われておるのですけれども、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/71
-
072・辻敬一
○辻説明員 先ほど西岡委員の御質問に対して社会局長からお答え申し上げましたように、現在の生活保護法のたてまえから申しますと、一応収入として認定をするということに相なるかと思いますが、別途生活保護制度におきまして、厚生省で新たな加算制度を検討しておられるように聞いておりますので、厚生省から相談がございますれば、いろいろこの制度の趣旨なり他とのバランス等も勘案いたしまして慎重に検討してまいりたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/72
-
073・山田耻目
○山田(耻)委員 これからの御相談で検討したいということで、ありがとうございます。
そこで御相談なさる基礎をいまからお聞きしたいのでありますが、確かに生活保護世帯は、東京で一日去年で百二十円、ことし一三%ぐらい上げたのでございましょうから、百五十六円ということでございますね。一食五十二円でございます。生活保護世帯がどれだけ苦しいかということは、朝日訴訟の問題でもよく議論されてきたところで、まさに日本の憲法のいう文化的で最低の生活を保障する、それが一食五十二円か、うどん一ぱいで終わり、こういうふうなものがどうかという議論は、いままでいろいろな分野でされてまいりました。私はこの法律は、原爆の被爆者、特にあすをも知れないという認定患者に対して、そういう——生活保護世帯である人々は、まさに言語に絶する生活をしております。その人たちに対して、この法律の趣旨は、気の毒だから一日三百三十円程度、これでリンゴとか卵とか栄養をとって、そうして生活の足しにしてほしい。医療上の問題、生活保護の問題、両方この中には含まれておると私は思います。含まれておる。そうして定められて、一体一万円を収入認定するというこの取り扱い方というのは、あまりにも——少しきびしいことばで言わしてもらえば、形式的、官僚的過ぎる。もっと実情に即した法律の解釈なり行政をなさるというところにこそ、原爆医療法から原爆特別措置法に移行していくこの法律の価値があったはずでございます。その意味では、多くの原爆被爆者、あるいは被爆者をお世話なさっている人たちが受けた印象は、一万円そっくりもらえるんだ。これで一日三百三十円あるから、死ぬまでにできるだけのことをさしてあげたい。あるいは親類関係にこれ以上迷惑をかけちゃならぬから、できるだけ生活の足しにしていきたいという希望をみな持っていた。ところが、ちらほら言われるところを見ると、どうやらそれは収入認定をするという。しかし、ちっとかわいそうだから、基準はないけれども、まあ五千円程度見てやろうか。——私は犬や豚を飼うようなことをしてもらっちゃ困る。こういう法律をつくったのなら、この法律の精神に従って、あなた方が想像できぬ苦しみを味わっておる三十万近い中の一%、ほんとにわずかの認定患者に対して、私は、この法律の示すそのままを受け継いで、収入認定をなさらないようにしていただきたい。私はその人たちだけをかばう立場から言っているわけじゃないのです。客観的に公平に見て——それは確かにいろいろの例があるでございましょう。ございましょうけれども、援護法としなかった理由は何ですか。なぜ特別措置法としたのですか。そこにも若干立法上の違いを見つけ出したということなんです。そこには他のことはあまり引き合いに出されぬでいいんじゃないか、援護法のことを引き合いに出されぬでいい。特別措置法としておやりになったんだから、この一万円は特別措置として収入認定しない。こういうような立場で作業をお進めになって、厚生、大蔵と御相談なさっても、それはとんでもないことになる、間違いをおかすぞというそしりを受けることはないと思います。それは今日まで、佐藤総理なり、あるいは園田大臣なり、木村官房長官なりと、私たちはいろいろとさしで話してきたって、生活援護とからめてやらなければならぬから、それは収入認定も検討するぞというような議論は毛頭なかった。限られた認定被爆者を何とかして助けてやろうじゃないか、そういう意味の話があったけれども、両省のいろいろな担当課の相談になると、そういうふうな話が出てきて、値引きがされていく。これは、この法律をつくってくるのに努力した総理以下の気持ち、そうして期待しておった被爆者の気持ち、お世話してきた多くの善意の人々の気持ちにそぐわない扱いになると私は思うのですよ。そういう立場で、ひとつどうでございますか、大きなたらいの中で相談なさる前に、小さいたらいの中で両省の御検討をいただくということでお約束いただけますか。御返事いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/73
-
074・今村譲
○今村政府委員 先生のおっしゃいますこと、私どもも、この法律の性格あるいは沿革、いろいろありますので、できる限りの方法を考えたいということで、先ほど御答弁申し上げたように、障害者加算という方法をいろいろ検討中でございます。ただ、これは一つの生活保護法の根本問題でありますけれども、第四条にありますように、御承知のとおりに、これは収入というものに全然見ないというかっこうにはまいりませんので、それは見る。収入認定——認定といいますか、収入である。しかし別個にこれこれのものを積み上げる、それは必ずそうするというふうなかっこうにして、どこまで法の骨子とバランスと実情というようなものとぴたっといく線ができるかということで、事務的に検討している最中でございますので、いましばらく時間をかしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/74
-
075・山田耻目
○山田(耻)委員 私は、これもここで金額を明示願おうとは思いませんけれども、少なくとも私が御質問を申し上げた期待を裏切らないことだけは約束できますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/75
-
076・今村譲
○今村政府委員 生活保護の全体とにらみ合わせて、援護法との関係でできるだけの努力をいたしたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/76
-
077・山田耻目
○山田(耻)委員 援護法の関係でというのは気に入りませんよ。気に入りませんけれども、私が申し上げたのは特別措置法の話をしておるんでございます。これが被爆者援護法であったら、私はもっと議論を変えますよ。特別措置法なんだから、措置法の精神に従って、十分私の意をくんだ結論を出していただくように御要望申し上げておきます。いまのお話は、少し何かヘビの足みたいなのがついていましたから、このものはひとつ取り除いていただくようにお願いします。
それから、昨年の八月の健康保険臨時特例法の制定にあたりまして、患者の一部負担をやったわけです。これは原爆被爆者に対してはその差別が出てまいっておりますから、原爆医療法の適用にあたっては、この一部負担を患者に与えないように——これはあの法律通過の際にもあとで議論になって、もっと端的に言えば、ちょっとミスをしたというような感じもしておるんですけれども、そこらあたりについては法修正をいただきまして、一部負担がかからないようにしていくということについては御同意がいただけるものと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/77
-
078・村中俊明
○村中政府委員 被爆者の健康保険の自己負担の問題でございますが、一応医療法のたてまえといたしましては、医療保険の給付に含まれない部分を見るというたてまえでして、御承知のとおり、一部負担というのは、これは給付の中に含まれていくというふうな判断でございます。これの中身は、これも御承知のとおり、初診料、入院料、薬価というものの一部負担でありますが、これの問題につきましては、御指摘もございますし、特例法の改正の経過の中でも、私どもとしてもいろいろ検討をしてまいりました。御承知のとおり、現在は医療保険の抜本改正に関連した改正も議論されておる最中でございまして、いま御指摘の問題は、この抜本改正の中で生かすような努力をしてまいりたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/78
-
079・山田耻目
○山田(耻)委員 一部負担の現状、次の法改正のときにやりたい、ありがとうございました。
次に、広島、長崎に養護ホームができてまいっておりますが、この広島、長崎の地元負担というものが、被爆者が非常に多い関係もございますけれども、かなり多いわけです。この点については、できるだけ地元負担を軽減をして、国でめんどうを見てあげてほしいという要望がかなり出ておるわけです。地方財政等も関係をいたしまして、こういう問題についてはひとつチェックをしていただく。それから、今度は逆に広島、長崎以外の地方自治体、これはまるきり無関心だ、こういうふうなことで、これまた逆に意見も出てくるわけなんです。したがいまして、こうした原爆被爆者に対するいろいろな施設の充実なり、あるいはそうした団体に対しての国の助成が完璧であれば、そういう前後した意見も出てこないのでありますけれども、それが完璧でございませんために、広島、長崎は地元負担がかさんでくる、そうして他県のほうは全然めんどうを見てもらえない、こういう状態が出てきておるわけなんです。したがいまして、この間、本会議でも自治大臣に対して、無関心でおってもらっては困る、地方財政で可能な限り振り向かれていない地域に対しては措置をいただくように、と言って自治大臣に答弁を願いましたら、積極的に前向きでやろう。最近は前向きが非常にはやるようでございますが、前向きでやろうという話でございました。ただ、ここでは具体的に、広島、長崎については地元負担が大きすぎる、これらについては国のほうでそうした負担を緩和していくための具体的な措置、こういうものを講じていただけるように積極的な検討をお願いをしたいと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/79
-
080・村中俊明
○村中政府委員 被爆者の養護施設及び運営に対する経費の問題でございますが、基本的な考え方といたしましては、こういう施設が、その地域の社会を中心にした社会福祉施設であるというふうな基本的な判断が一点あるわけでございますが、若干の地域の負担はやむを得ないといたしましても、これが過重負担にならないような、そういう軽減についての検討は私どももいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/80
-
081・山田耻目
○山田(耻)委員 御答弁を具体的実施に移していただきますように強くお願いしておきます。
それから、沖縄に被爆者が百名近くいるわけでございます。この問題につきましては、昨年沖縄に七百万の手当がなされておるようでありますけれども、実際に沖縄の現状を見てみますと、約半分しか使われていない、こういう事情があると伺っております。問題は、沖縄の健康保険制度のあり方というものが日本の状態と違っておる。あと払制度であったりして制度的にはかなりきびしい。そのために貧しい人はかからない、立てかえる金がないということで、半額程度残されたものだというふうに側面的な見方もできるわけであります。そこで、こうした沖縄の方々の実情を勘案をして万全の対策を講じていただける、ひとつそういう附帯決議をいただきたいと思うのですけれども、厚生省のほうとしても、十分用意を持って沖縄の被爆者については検討していただきたい。そういうお考えがあるかどうか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/81
-
082・村中俊明
○村中政府委員 沖縄の原爆被爆者の問題につきましては、御承知のとおり、四十一年の十一月に琉球政府が、原子爆弾被爆者の医療等に関する実施要綱、これは内容につきましては、現在私どもも持っております原爆の医療法と全く同じでございます。今回の特別措置法につきましても、ほとんど同じ措置がこの要綱の中で手当てをされるわけでございますが、いまの御指摘の、必ずしもそういう制度が十分生かされていないというふうな問題につきましては、本土とのアンバランスの問題もありますし、今後十分沖縄政府と協議をいたしまして、そういうアンバランスが起きないような措置をしてまいりたい、こう考えております。現実には、措置法につきましても、医療法につきましても、実施要綱の中でほとんどそのとおり処理されているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/82
-
083・山田耻目
○山田(耻)委員 時間がまいりましたので終わります。
いろいろと御援助いただきまして、しかも積極的に取り組んでいただくという立場の御表明をいただきまして、ありがとうございました。
申し上げましたように、やはり問題点は、この措置法の立法の精神、いわゆる社会保障か国家補償か、こういう一つの問題点については、ある意味では大きなファクターになると思いますけれども、積極的に当時の諸立法を勘案の上、国益中心という立場、それにすり寄っていくという立場で御検討いただくことを強くお願いをいたします。
それから、死没者の調査の問題につきましても、困難ではあるけれどもやらなければならないいろいろな問題がございますから、これもひとつ取り組んでいただくということのお話も伺いました。特別手当の問題、それから葬祭料の問題、健康保険臨時特例法の問題、沖縄の問題、こうした問題につきましては、この法律について、厚生大臣あるいは総理大臣や官房長官からきょうまで答弁をいただきましたそのことばどおりに、まさに法律そのものが生きて運用されますように、そのために不備な点が多々ございますから、これらを十分満たしていただきまして、多くの原爆被爆者の肉体的な不安だけでなくて、将来もう絶対なおらないという精神的な不安もありますだけに、そういうものに十分こたえていってやれるような生きた法律運用を心から要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/83
-
084・八田貞義
○八田委員長 大原亨君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/84
-
085・大原亨
○大原委員 重複を避けながら能率的な質問をいたしますが、いまの質疑応答を聞きまして、私、一つ思い出したことがあるのです。
というのは、死没者調査というのは非常に重要である。ただし、重要ではあるがなかなかむずかしいというのはよくわかる。たとえば国勢調査、人口調査でやろうとすると、これは事実上できない。一億人に当たらなければならぬということになりますから、極端に言えば。しかしながら、爆風、熱風を受けて瞬間的に死没した人以降について、いま山田委員が指摘されたようなことについて、たとえば原爆症というふうに認定をされる、そういう病気によって死没をした人、こういうものについて調査できるかどうかということが一つ問題があります。非常にむずかしい問題ですが、しかし何とかひとつ努力する道はないか。
それからもう一つは、広島においてもやられておるし、長崎は私はよく存じませんが、あの爆心地を中心としまして、原爆を受ける直前の世帯調査、それと、その中にどういう名前の人が住んでおったかという調査をいまやっておるわけです。個別的に戸口調査をやっているわけです。そういう町内会の地図を書いているわけです。ただしその中には軍人は入っていないわけですね。これは入っていなくても、軍人、軍属の場合には援護法があるのですから、できるわけです。もうできておるわけです。ですから、軍人、軍属、その他の非戦闘員の場合には、戸口調査をしますと、これはできるという可能性があるわけです。戸口調査をすれば、どこのどの家にどういう人が住んでおった、同居人はどうであったという調査はできるわけです。だから瞬間的に死んだ人についてはわかる可能性が出ておるわけです。やはりこれを国の大きな関心を持った仕事として、広島、長崎でやることはできないかどうかということが一つと、これに関連して、私も昔議論したことがあるんですが、米穀通帳がやはり戦前も戦後もできておるわけです。米穀通帳というのは、当時の食糧事情からいえば、言うならばそれを持っておらぬと米にありつけないわけですから、今日の必要度よりも大きいわけです。その米穀通帳を、昭和二十四、五年ごろでありましたか、アメリカが集めて持って帰ったことがあるんです。あるいはコピーを持って帰ったということか知りませんが、持って帰ったことがあるんです。これは被害の実態調査をするのでABCCその他を通じてやったのです。これは、まぼろしのフィルムじゃないけれども、これをやはり政府としてアメリカにかけ合ってもらえないだろうかという議論をしたことが私はあるんです。これは善処しようという答弁であったと私は思うのです。だから大臣、この問題は外交ルートを通じまして——まぼろしのフィルムの問題については、ああいうふうに上映についてはいろいろ議論がありますが返ってきておるわけですが、当時の広島、長崎の米穀通帳が返ってまいりましたら一これは、被爆の実態を調査しようと思ったアメリカが、これはよりどころになるというので持って帰ったあれがあるわけですから、外交ルートを通じてこれの返還方を求めて、そしてあるならば返還をしてもらって、それをやはり分析をするということ等を通じてやりますと、これはかなり死没者の調査というものが、その当時の瞬間的なものについて、あるいは一、二ヵ月後になりますか、そのものについてはできる可能性があると思うのです。この間の事情を知っておられる人があれば御答弁いただきたいのですが、しかしこれは大臣のほうで外務省のほうへ連絡をいただいて、外交ルートを通じて、やはり死没者の実態調査をやるという一つのよりどころとして活用する道を開いてもらいたい。要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/85
-
086・園田直
○園田国務大臣 さっそく外交ルートを通じてそのように措置いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/86
-
087・大原亨
○大原委員 もう一つ。これは第二の質問ですが、認定被爆者と特別被爆者の関係なんですね。今回の措置については、私は確かに一歩前進であると思うのですが、しかし、認定被爆者だけのことではないかということのいろいろな不満や議論がやはりあるのです。非常に狭い範囲じゃないかという議論があるのです。
そこで、認定被爆者の認定ということですね。特別被爆者の中で認定被爆者が四千二百四十一名ですか、現在においてあるわけですが、この認定の方法を再検討をしてもらいたいということですね。その問題に関係したしまして、特別被爆者のうち認定被爆者は、放射能その他原爆に起因するということがはっきりしている者で、御承知のとおり幾つかの病気を指定をいたしておるわけですね。それから特別被爆者は、放射能の影響——起因とは言わないで影響というふうにきわめて範囲を広くやっておる。これは提案趣旨説明にもあるとおり、影響ということ。その認定被爆者と特別被爆者のそういう差が一体どこにあるかという点について、局長も専門的な方ですけれども、これはまずひとつお答えをいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/87
-
088・村中俊明
○村中政府委員 認定被爆者、特別被爆者の判断の点についてのお尋ねでございますが、御承知のとおり、特別被爆者と一般被爆者との区別につきましては、爆心地からの距離の問題、それから入市の時期の問題、それからそういうふうな原爆の放射能を多量に浴びたような仕事に従事していたかどうか、あるいはまた被爆当時胎内にいたかどうかというふうな観点から、特別被爆者と一般被爆者とを区別いたしておるわけでございますが、特別被爆者と認定被爆者の区別につきましては、特別被爆者の中で、原爆に起因した疾病であるというふうな認定がされた者が認定被爆者になる。
〔委員長退席、田川委員長代理着席〕
この認定の方法につきましては、先般も、ただいまもいろいろ御指摘がございましたけれども、医療審議会の中で学問的な判断で認定をきめているわけでございますけれども、今後学問の進歩、研究の向上、成果というふうなものとのからみ合いの中から、従来、これは明らかに原爆に起因していないというふうな判断のものが、研究の成果によって、これは原爆に起因しているという判定に入る場合もあるいはあるかもしれませんが、それは将来の問題といたしまして、現在の処理は、そういう形で特別被爆者の中で、明らかに原爆に起因しているという判断、認定を審議会でされたものが認定患者になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/88
-
089・大原亨
○大原委員 これは質問の順序を少し変えますけれども、つまり医療審議会は、あとでいろいろとまた議論になると思うのですが、現行法による医療審議会のメンバーを、たとえば広島の原爆病院長や長崎の原爆病院長や、たとえば先般沖縄の被爆者調査団長として政府が派遣いたしました原田東眠氏というふうな、だれが見てもそういう学識経験を戦後ずっと占領期間中持っているような、そういう人ですね。そういうふうな人を入れて、やはり医者の専門的な見解もあるのですが、しかし、臨床経験その他被爆者の実態に触れたところの意見というものを、認定被爆者の中へ入れていく。同じ「起因する」と言いましても、「起因する」というその項目の査定についていろいろ議論があるようですから、そういうことが私は必要ではないかと思うことが一つ。
それから、その際に医者の専門的な見解が、私はとやかく言うのじゃないのですが、たとえば疑わしきは入れない、こういうのが医者の考えです。つまり原爆に起因するという因果関係のことをいま言っているわけですけれども、非常にシビアーに解釈しまして、疑わしいというのは入れない、ボーダーラインは入れない、こういう考えがある。それに対して不満があるわけです。しかしこの際は、認定被爆者の外のワクの中に特別被爆者があるのですから、そうして先ほど言うたように、起因するとか関係するということで、あまり中身においては変わらないようなことがあるのですから、特別手帳を持っておる者の中で疾病の現象があらわれた者については、これは疑わしい場合には入れる、こういうことのほうが、被爆者の実相を究明することと治療を合致させる意味においても大切ではないか。この二つの点で運営の改善をすべきではないか。これはいま具体的な提案を先にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/89
-
090・村中俊明
○村中政府委員 原爆医療審議会の構成につきましては、ただいま御指摘がございましたけれども、御指摘のとおり、各界の臨床家も含めました、あるいは両県、市の行政関係者も含めました専門家の構成で行なわれまして、この中には、原爆研究所あるいは大学の教授、長崎大学の教授なども実際に参加して、実際に専門的な臨床、基礎両面からの検討をいたしております。
後段の、疑わしきを排除しているのではないか、そういうきらいがないかという点のお尋ねでございますが、これは私もできるだけ審議会には参加をして一緒に御意見を伺っておりますが、明らかに原爆に起因していないというふうな判定をされたものが除かれますけれども、御指摘のように、疑わしいものを排除されるというふうには、私自身審議の模様から受け取れないわけであります。この点につきましては、先ほどもお尋ねがございましたけれども、現実に九五%、申請された者が認定患者として扱われておるというふうな数字からも御推察をいただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/90
-
091・大原亨
○大原委員 純粋な学者もさることながら、ぼくが言っているのは、たとえば、いま入ってないと思うんだが、広島の原爆病院長や長崎の原爆病院長や、それから政府が派遣をした沖縄の被爆者の調査団長の原田東眠というような例を引いたのですが、占領中の絶対に被爆者の問題は公にできなかったときに、ほんとうに貴重な経験を持っておる人——学問的にはいろんな慣習があるから、評価についてはいろいろあるでしょうが、そういう人々はやはり加えて、被爆者の心情や実情に沿うようなそういう措置をして、できるだけ認定被爆者のワクが実情に沿うようにすることが必要ではないか。いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/91
-
092・村中俊明
○村中政府委員 ただいま御指摘ございましたが、任期の問題もありますけれども、医療審議会の構成につきましては、御趣旨をよく頭に入れまして今後考えてまいりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/92
-
093・大原亨
○大原委員 第二項にも関連するのですが、たとえばいま問題になっているのは、原爆を受けた者は何キロ以内、こういいましても、遮蔽物があるかないか、距離はどうか、向かっている方向はどうか、こういうふうなこと等で、個人個人で非常な差があることは御承知のとおりです。その原爆に起因するという中で、たとえばガンの中で肝臓ガンは入っておるが胃ガンが入ってないというのはおかしいじゃないかという議論がある。あるいは胃かいようや十二指腸かいようもなかなか区別をつけがたいし、これを入れたらどうか、こういう議論があるのです。それから、原爆白内障の筋の引き方が非常にシビアー過ぎるじゃないか、こういう意見があるのです。これはやはりもう少し実情に沿うように広げてもらいたい、こういうような意見もあるのです。それからやはり肝臓障害について、たとえば肝硬変の場合も入れたらどうだという議論もあるわけです。たとえばその中で一つの例をいうと、胃ガンはなぜ入れないのかということがあるわけです。白血病や白内障は被爆直後ずっと出てきたのです。それが山を越えて少し少なくなった、今度はガンの系統が多くなった、こういうのです。それからABCCなんかも加えて——これはいろいろ問題があるのですが、ABCCなんか加えて調査をしたデータによりましても、たとえば胃ガンなんかでしたら、普通の人よりも大体二倍くらいは発病率が高い、こういうわけです。ですから、放射能の被害というのは、あらゆる機能に対して放射能が浸透した場合に、いろんな促進現象や、あるいは病気の原因になると思うのです。ですから、そういうふうな胃ガンの場合だってやはり考えてはどうだ、こういう議論があるわけです。ですから、そこらについては、私はやはり認定被爆者の範囲を再検討してもらいたい、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/93
-
094・村中俊明
○村中政府委員 認定被爆者としての取り扱いの問題についての再度のお尋ねでございますが、たとえば、御指摘になりました原爆による白内障というふうなものを非常にシビアーに取り扱っているきらいがないかという点につきましても、これは眼科の専門医がこの委員の中に参加をしておりまして、私も横で拝聴しておりまして、先ほど申し上げましたが、明らかに起因していないというふうな判断をできる者については排除いたしますけれども、ペンディングあるいはそのすれすれというふうなものについては、患者としての認定の中に入れて従来も扱っていると私承知をいたしております。ガンの認定につきましても、先ほど来健康管理手当のところでも出てまいりましたが、特定の疾患というのはほとんど全部成人病−最近の原爆の被爆に起因する疾患の中にも、白血病をはじめガン関係の患者の認定がずいぶん出てまいっております。胃ガンが単独に出てまいっております。単一の疾病であって、これが学問的に判断をしてもどうしても起因するというふうなことが判断できないというふうな場合を除きましては、肝臓ガンにいたしましても、あるいは食道ガンや肺ガンにいたしましても、原爆に起因するという認定の中に入れて処理されているわけでございます。お尋ねのような趣旨もございますし、基本的な問題といたしましては、原爆症という単一の病名はないのだというのが学者の通説でございます。そういうところから、症候が幾つか重なって、原爆が原因で肝臓病になったり、あるいは心臓病になったり、循環器系の疾患になったりする、あるいは消化器系の疾患になったりするというのが現在の学者の通説でありますが、そういうふうな単一の病名でないという判断をいたしますと、それから由来するいろいろな病気というものは、陰に陽に被爆者については原爆と関係があるということは当然常識的に判断される。そういうことで、現在の審議会は相当幅の広い患者についての検討をいたしております。なお御趣旨の点につきましては、今後も審議会その他で私からも御発言を申し上げたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/94
-
095・大原亨
○大原委員 私が申し上げましたのは、肝臓ガンが入っているのに胃ガンは入っていない。そうでしょう、起因する病気の中に入っていない。だからこれもおかしいではないかという議論は、実際に診療を担当している人からあるわけです。普通の人だって胃ガンになるけれども、放射能を受けた人は発病率が非常に大きい、病気の進行の速度も大きい、こういうのが常識であるのに、これが入っておらぬのはおかしいじゃないか。私はしろうとだけれども、一つの例を言っておるのです。肝臓ガンやその他のガン、悪性腫瘍を入れておいて胃ガンを入れないのはおかしいではないか、こういうのです。それらの問題についても、一定の線があれば——あなたの言われたように、単一の原爆症というものはない、放射能の影響というものが身体にどうあらわれるかということが問題なんです。これは、厚生省の公衆衛生局企画課が編集いたしました「原爆医療必携」の中の四六ページに、「特別被爆者は、原爆放射線を多量に浴びたために、その影響で、一般的に負傷又は疾病にかかりやすく、かかった場合には治ゆしにくく、また、負傷又は疾病にかかったことによりいわゆる原爆症を誘発するおそれがあることにかんがみて設けられたものである。」こういって解説書にも書いておるのです。だから、これは特別被爆者のことを書いてあるのですが、認定被爆者と隣合わせみたいなものであって、放射能の障害としてはなかなか区別ができないのではないか、こういう議論があるわけです。だから、昭和三十二年以来十年余りたちますが、十年一日のごとくシビアーにしないで、「起因」する、こういうふうに言っても、原爆症はない、こういうふうにあなたが言っておられるのだから、そういう認定被爆者と特別被爆者の境については、そういう問題等については、私は、いままでの研究成果というものを取り入れながら、被爆者の実態というものを取り入れながら措置する方法を考えてもらいたい、こういうことです。その中で一つの例は、たとえば胃ガンなどというものは、悪性腫瘍の中においては、これは放射能を浴びたという条件のある人については認定被爆者として認定すべきじゃないか、例として申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/95
-
096・村中俊明
○村中政府委員 胃ガンの問題につきましては、これも大原委員の御承知のとおり、いまの放射線医学界の中では、単一の胃ガンという病名だけでは原爆に起因するというふうな判定が困難である、そういう中に入っているように承知いたしております。
ただ問題は、先ほど来申し上げておりますように、被爆者がだんだん高齢化してきているというふうな中で、胃ガンあるいはその他の成人病の頻発状態も高くなってくるのではないかというふうな判断もされますし、医学の専門的な意見とにらみ合わせまして、こういう問題が処理されることと私ば考えております。これはどこまでも学問的な判断だというふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/96
-
097・大原亨
○大原委員 これは、このくらい議論すると厚生大臣に答えていただいていいのですが、つまり原爆症というのはないということですよ。放射能の障害というものは多面的なわけですよ。非常に深刻だ、こういうわけですね。ですから、専門的な見解だけにこだわっておると、疑わしきは入れないという方針になると、全部排除してしまうという印象を与えるわけです。ですから、そういう点については、専門的な分野への介入になるということもあるのですが、専門家は尊重しなければなりませんが、しかしその点は、やはりそういういままでのいろいろな被爆者の願いやあるいは実情、いろいろなわれわれの議論、そういうものを参考にして十分実情に沿うようにやってもらいたいという意思表示を、会長を通じてお願いしておく。こういうことは、今回の制度を将来生かす、こういう意味においていいことではないか、こういうふうに思いますが、お答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/97
-
098・園田直
○園田国務大臣 私もそのように思いますから、私、直接参りまして、そのように審議会のほうにお願いをするつもりでおります。
なお、審議会の構成については、時期が来ましたならば、お考えのような点も加味して検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/98
-
099・大原亨
○大原委員 それからワクの問題とも関係いたしますが、認定の届け出をしまして一年半もたつというようなことが多い、こういうことなんです。私は実情を全部は知りませんよ。そうすると、認定がシビアーで時間がかかるという場合に、死んでしまってからでは、病状が出てから認定に入るわけですから、あとの祭りということになる、こういう意見もあるわけです。この点を早くやってもらいたいという、これは促進方を私は意見として申し上げて見解を聞くのです。
もう一つは、ある医者はこれは原爆症だと思っておっても、ここではペケになるという場合の救済措置。労災なんかの異議申し立てというか、もう一回やれるような措置。一ぺんやったらだめというのじゃなくて、もう一回、審査会とは言わないけれども、それに類するような措置を考えてもらえれば、やはり被爆者の実情やその他ワクの拡大にプラスになるのではないか、こう思うわけですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/99
-
100・村中俊明
○村中政府委員 従来も医療審議会に出てまいりました資料について意見が交換されて、この点についてはこういう検査をやってみたらどうかとか、あるいは、こういう数字が出ているけれどもこれはこういうふうなこととは関係がないのかというふうな、具体的な申請の内容について不備な場合あるいははっきりしない場合には、もう一度医療機関へ県を通じて問題を戻しております。この点につきましては、もっと適確な中間の認定機関があれば、あるいはすみやかな判定ができるかと存じますし、これは今後の問題として研究をさせていただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/100
-
101・大原亨
○大原委員 私が特に分担いたしまして質問いたそうと思ったのは大体終わったのですが、一つ、広島には、御承知のように、本委員会も実態調査をいたしました原爆スラム街がございます。原爆スラム街といって被爆者のたまりがあるわけです。最近しばしば火災を起こしておるわけです。瀬戸山建設大臣ともかつてこの問題を議論いたしまして、これはひとつ特別に配慮する、こういうことでございました。若干計画も進んでおるわけです。この際、これは住宅対策ですが、この問題は大臣から建設大臣にもひとつ十分お話しをいただきまして、このことは、やる方法その他についてはあるのですが、ひとつ政府の積極的な協力方を、原爆の総合対策の一つとして、大臣のほうからも建設大臣に促進方をひとつ要望しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/101
-
102・園田直
○園田国務大臣 直ちに建設大臣のほうに要請をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/102
-
103・田川誠一
○田川委員長代理 中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/103
-
104・中村重光
○中村(重)委員 大臣に原爆のことで、援護審議会の問題についてお尋ねをいたしますが、去る三月十三日の予算委員会第三分科会で、援護審議会をすみやかにつくれということについて大臣の見解を伺ったわけでございます。申し上げるまでもなく、昭和三十九年の四月三日に、原爆被爆者援護強化に関する決議が衆議院でなされておるわけです。それと前後いたしまして、同様趣旨の決議が参議院においてもなされたわけであります。これを受けて政府といたしましても、被爆者の援護強化に対するところの取り組みを続けてまいったと思うわけです。その具体的なあらわれといたしましては、いま提案されておるところの援護法であるということになろうかと思います。
しかし、その内容を見ますと、確かに被爆者の援護対策として一歩踏み込んだということは、私は率直に認めたいと思うわけであります。ただしかし、これをもっていたしましても不十分であるわけであります。現在の医療審議会というものを改組して援護審議会ということにするのか、あるいは援護審議会を新たにつくっていくのかということに対しましては、予算分科会において大臣は、そのいずれをとるかということについては検討してまいりたいというお答えがあったわけです。具体的に大臣の構想を伺っておきたいと思うわけでございますが、大臣のお答えの中に出ましたように、学識経験者、それだけでなくて、私は、そうした被爆者の代表であるとかその他関係者を入れたところの実りある審議会によって被爆者援護対策というものが打ち出されていかなければならない、そのように考えるわけでございます。したがいまして大臣、先般の答弁のとおり、具体的にすみやかに援護審議会を設置するお考え方があるのかどうかということに対しまして、重ねて見解を伺っておきたいと思います。
時間の関係もございますから申し上げるわけでございますが、けさの日経新聞を読んでみますと、囲みの中で、大臣がいろいろと約束をした、ところがその約束は単に大臣としてアドバルーンを上げたといったような批判があるわけです。ところが大臣は、そんなことはない、約束したことはこれを実行するのだということをはっきり言っておられる。力強くもあるし、また頼もしいわけでありますが、どうかひとつ熊本県出身の情熱ある厚生大臣として、この際、みずから約束したことは必ず実行する、そういう態度で取り組んでもらいたいと思いますが、この際率直な大臣の決意のほどを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/104
-
105・園田直
○園田国務大臣 先般予算委員会第三分科会で中村委員の御質問に答弁いたしましたが、この問題につきましては、事務当局に対して各省との間に積極的に意見調整をするように指示をしており、私としても前回申し上げたような方向で引き続き取り組み、実現をする所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/105
-
106・中村重光
○中村(重)委員 決意のほどが重ねて明らかにされたわけでございます。蛇足のようでございますけれども、被爆者は瞬時にして生命、財産を失ってしまうということになったわけです。したがいまして、当時買わされておった戦時債券あるいは郵便貯金その他一切がっさい奪い去られるという結果になりました。引揚者は御承知のとおりにリュックサックをかついで帰ってきた。そのリュックサックの中には一応何かは入っておったはずであります。あるいはまた旧地主にいたしましても、有償をもってその土地は買収されたわけであります。これらのこと等を考えてみると、一応国民の中に、被爆者に対する援護強化に反対する者は、だれ一人としていないのであります。反対の強いものに対しても、政府はいろいろな関係において、いわゆる圧力に屈するという形において筋の通らない補償等をやってきたはずであります。一億国民があげて賛成をする、ぜひひとつ被爆者の援護強化をはかっていけというこの声に、私はこたえられなければならぬと思います。しかし、いま大臣の決意のほどが明らかにされましたから、重ねてこの点に対しての答弁をいただこうとは思いません。
次に伺うわけでございますが、防空法の問題に対して、大臣の見解、並びに援護局長、消防庁等もおいででございましょうから、お答え願いたいと思うわけでございますけれども、御承知のとおり戦時中防空法というものがありました。これは昭和二十一年の十一月であったと思いますが、廃止になっております。廃止にはなっておりますけれども、当時この防空従事者であった者で犠牲になっている人は、旧防空法に基づくところのそれぞれの補償措置というものをなされることが法の中に明記されております。ですけれども、これがなされていない。具体的には、警防団であるとか、防空監視員であるとか、あるいは医療関係者、すなわち大学の医大の学生が防空業務に従事をいたしておりました。あるいは公務員でない看護婦の卵である看護学生も従事しておったのであります。これらの人たちが、今日二十数年間、法律はあるのにもかかわらず、その法律に保護されていない、こういう実情にあるわけであります。この点に対しましては、四十三年度の予算の中におきまして二十万が計上され、消防庁においても調査が進められておると思いますが、この調査が具体的にどういう形になっておるのか、それらの点に対して一応大臣からお考えを伺いまして、それぞれ援護局長並びに消防庁のほうのお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/106
-
107・園田直
○園田国務大臣 まず事務当局からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/107
-
108・実本博次
○実本政府委員 防空従事者の問題につきましては、前回の社会労働委員会の附帯決議にもございましたが、厚生省といたしましては、関係省庁、特に消防庁に御協力をいただきまして、まずその実態の調査をやってまいっておるわけでございます。いま先生のお話の防空従事者のうち、防空監視隊員、警防団、それからその他の医療関係の協力者、こういった三つのグループがあるわけでございますが、この三つのグループにつきまして、まず実態の調査ということから始めまして、特に消防庁はことしそういう予算をとっておりますので、消防庁を中心にしまして目下その実態の調査を進めておるところでございまして、その調査の結果をまちまして、それぞれの措置について検討いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/108
-
109・佐久間彊
○佐久間政府委員 防空従事者につきましては、ただいま援護局長から御答弁ありましたとおりでございます。私どもは、警防団が消防団の前身のような性格のものでございますので、警防団のことにつきましては、他の省庁で御調査がなければ私のところでやるのが常識的ではないか、こういうことで考えておったのでありますが、厚生省のほうとも御相談をいたしました結果、調査をやるならば、防空監視隊員あるいは医療従事者も関連して一緒にやったほうが便宜ではなかろうか、かようなお話もございますので、そんな方向で現在調査のやり方につきまして検討をいたしております。できるだけ早い機会に調査要領をきめまして、できるだけ早く実態調査をいたしたい、その上で関係省庁とも御相談をいたしまして扱い方をきめたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/109
-
110・中村重光
○中村(重)委員 大臣のお答えはあとでまとめて伺うことにいたします。
そこで援護局長、あなたにこの際見解を伺っておきたいと思いますが、防空法のほうはそれで実はわかりました。わかりましたが、私は長崎医大の四百六十七名の殉職された学生、これは防空だけでなくて、当然動員学徒と同じ扱いをすべきだと思う。どこに同じような扱いをされないという理由があるのか。この際、時間の関係もございますから簡明にお答えを願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/110
-
111・実本博次
○実本政府委員 端的に申しますと、三十六年から約六年間ぐらいかかりまして、文部省、長崎県当局を動員しまして調査したわけでございますが、その結果、業務上死亡したということがはっきりいたしません。特にそれが勉学中あるいは実習中というふうな資料だけがはっきり出てまいりまして、それがいわゆる協力命令に従って業務に従事しておったということの実態がついにつかめなかったということで、普通の動員学徒の身分としての処分ができかねたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/111
-
112・中村重光
○中村(重)委員 この医大の学生が総動員法によって動員をされた、これはあなた御承知のとおり。ところがこれが解除された。そこで戦時教育令ということによって、夏休み返上というような形で教育を受けておったのだから、これは動員を解除されたのだから総動員法の対象にならないという見解をあなたのほうではとってきておられたので、私は見解を異にする。何のために解除したのか。これはその必要がなかったから解除したのじゃない。当時医者はどんどん召集されていった。そうして一般の国民の医療ということにも事欠くようになってきた。同時に、医者がどんどん戦死をするという形になってまいりますと、戦地に送らなければならない。同時に米軍の焼夷弾攻撃その他の攻撃は日増しに増大をしてきた。したがって負傷者等も出る。そういうようなことから、工場等においていろいろと労務に携わっておるところの余裕はない、より重要な任務につかさなければならぬということから、一度工場等に動員されている姿を学校に戻して、そうして緊急な教育をすると同時に防空業務に従事さしておった。だから、その学校の、たとえば私は具体的な問題として長崎をさすのですが、長崎だけじゃない、大臣この点よく聞いておっていただきたい。佐世保であるとかあるいはその他の府県にも行って、そうして救護作業に従事してきたという、この事実を考えてみると、解除されたのだから動員学徒と同じに扱わないというものの考え方は、これは間違いだと思う。したがって、長崎の大学の学生等は、防空従事者として防空法の対象になると同時に、私は、総動員法によるところの、すなわち、総動員法第三条四号及び五号の対象になり得べきものである、このように考える。あなたは違うとおっしゃるならば、ひとつその点をはっきりお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/112
-
113・実本博次
○実本政府委員 その点を六年間かかって調査したわけでございます。その結論といたしまして、動員の業務に従事中であるというはっきりしたデータが出てこなかった。むしろ、四年については卒業試験の繰り上げ試験のポリクリの実施中であった、それから三年以下については学期末試験の最中であった、こういうふうなデータのほうが出てまいったわけでございます。要するに、それが動員されていて、その動員の業務の間になくなったというふうな実態がつかめなかったものでございますから、そういう措置をとったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/113
-
114・中村重光
○中村(重)委員 それは試験もしましよう。あるいは試験と同時に、いろいろと医者としての救護作業等にも従事しなければならぬ、そういう教育もされることはあたりまえなんです。しかし私が申し上げたように、ともかく動員学徒として総動員法によって動員をされた。しかし、より重要な任務につかせたんだということです。だから、そのときに試験を受けておったとか、あるいは勉強しておったとかということの形式論によって、基本的なそうした問題をそらしていく、なるべく金を出したくない、出さないようにしようというような考え方は、これは間違いである、こう言うのです。だからして、そういう小さい、ほんとうにそのとき瞬間何をしておったかということによって、そうした根本的な問題を見失ってしまうという考え方は間違いなんです。
時間の関係がございますから、この点についてはあまり時間をとるわけにはまいりません。大臣、いまわずかの時間でございましたが、あなたがお聞きになっておられてどのようにお思いでありますか。しかも、時間の関係から申し上げますよ。四百六十七名の学生の中に五名は総動員法の対象、いわゆる動員学徒と同じような扱いを受けているんですよ。全く条件は同じですよ。どうしてこの五名だけがいわゆる総動員法によって、そして動員学徒と同じような扱いを受けて、その他の者がこれからはずされておるのですか。わからないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/114
-
115・実本博次
○実本政府委員 そういう特殊の事情がございまして、援護法の適用はできませんが、しかし、先生がおっしゃるような、特殊な学生としての分野以上に、学校系統から任務が課せられておったということで、文部省からは一人七万円の弔慰金と申しますか、特別な交付金を差し上げるという処遇をしたわけでございます。聞くところによりますと、それによりましてそういう方々は靖国神社にも祭られたというふうに承っておりまして、国といたしましては、それによって弔意を表したということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/115
-
116・中村重光
○中村(重)委員 そこで、その七万円の性格は何ですか。この七万円はどういう根拠によって出したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/116
-
117・実本博次
○実本政府委員 それは文部省に聞いていただかなければわかりませんが、文部省としては、そういう予算措置によりまして国の弔意を表するお金とした、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/117
-
118・中村重光
○中村(重)委員 それで、総動員法にもよらず、防空法にもよっていないのですよ、七万円というのは。ただ何となしに、何とかしなければならない——小さいつまようじの先でほじくるようなさっきのあなたの形式論、そういうことからいって総動員法の対象にならない。ところが、戦時教育令その等々によって、これら学生がたいへん重要な教育を受け、あるいは防空業務等に従事してきておったという事実も漸次明らかになってきた。だからしてこれは何とかしなければならぬというので、はっきりした法的根拠によることなく七万円を出した。厚生省から三万円、文部省から七万円それぞれ要求したんだけれども、両方から出すとおかしいというので、厚生省の三万円を削って文部省の要求七万円だけで打ち切った。だから、きょうは主計局の次長も来ておられるわけでございますから、主計局の次長の答弁を一応伺う。そこで、いま質疑応答を通じて聞いておられた大臣のお考えをお聞きする、こういうことにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/118
-
119・船後正道
○船後政府委員 ただいまお尋ねの長崎医大の学生に対する問題でございますが、四十二年度予算でもって七万円の予算措置をいたしたわけでございます。これにつきましては、先ほど種々御意見がございましたが、やはり総動員法の体系では措置しがたい、しかし特殊な事情がございますので、長崎医大を所管しておりました文部省として弔意の意味で一人当たり七万円を支給した、かようにわれわれは了解しております。
〔田川委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/119
-
120・園田直
○園田国務大臣 なくなった瞬間に従事しておろうが、勉強しておろうが、そういう業務に従事しておったということは事実であると思います。したがいまして、精神は総動員法に基づいてやるべきであるが、規定以外にいまのような措置をしたものであると考えておりまするが、この問題についてはなお意見等がありますから、もう一ぺん研究してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/120
-
121・中村重光
○中村(重)委員 おっしゃるとおりです。これは試験をしておったとか教室にその瞬間に入っておったとか、空襲警報が解除されて——あれは間違った解除を実はやっておるのです。それで教室に入っておった者がある。あるいは待機しておったものがある。いろいろある。そういう小さい問題に目を向けて、根本的な問題を見失っている。それから七万円を出したということを私はいろいろ言うのじゃない。金を出すのだからもう少しきちっとして支給するようにしなさい。総動員法あるいは旧防空法等によって堂々と支給していく。扶助料を出さなければならぬ場合は扶助料を出していく。動員学徒の場合出ているのだから。そういうような措置を当然講ずべきである、このように考えるわけであります。
大臣がいまははっきりした御答弁がございましたから、消防庁のほうで目下調査をいたしておるところでもございますから、早くひとつ調査結果を取りまとめて、四十四年度の予算の中には実現をするように精力的に対処してもらいたいと思いますが、この際大臣のお答えをもう一度伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/121
-
122・園田直
○園田国務大臣 関係各省と相談をして御指摘の方向に検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/122
-
123・中村重光
○中村(重)委員 それから、原爆被爆者に対する弔慰金の問題を簡単に私は申し上げて、御意見を伺いたいのでございます。
大臣、私は、この瞬時にしてなくなった犠牲者に対して、線香一本、花一輪、これをささげる気持ちが政府にはないのだろうかということです。毎年毎年回ってくる原爆の日は、新たな涙を遺族はそそってくるのです。そして仕事を休んでお寺に参り、墓にもうでるのです。お参りをするのです。そうして花をささげ、線香をささげます。政府がいままでいろいろな団体等に対して手厚い措置をとってこられましたが、この被爆者に対して一本の線香を、一輪の花をささげるという気持ちがあるならば、私は、その金額は別として、弔慰金というのは当然支給されていかなければならぬと思いますが、大臣、その点をどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/123
-
124・園田直
○園田国務大臣 葬祭料は、先ほども申し上げましたとおりに、総理みずからが答弁をし、厚生、大蔵両大臣に直ちに指示がありましたので、相談の上、これは事務当局に検討を命じて、ただいまその細部の計画中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/124
-
125・中村重光
○中村(重)委員 それでは、葬祭料と弔慰金というのと私は区別して申し上げたわけでございますけれども、そういう方向でひとつやっていただくということで了承をいたします。
次に、健康管理手当の支給の問題についてお尋ねをいたしますが、援護法の方向に一歩踏み出したという形としては私は受け取れると思います。ですけれども、この支給の範囲というのが非常に狭いですね。六十五歳以上であるとか、あるいは寡婦の場合において十八歳未満の子供とか孫を持っておる場合というように、しかもそれだけでなくて、特別被爆者第三号の病名、いわゆる厚生省指定の七つの病名、この病気にかかっておる者でなければ支給しないという、これじゃ健康管理手当じゃなくて、医療手当になると思いますよ。健康管理手当というのは、言うまでもなく被爆者の健康を維持する、管理していく、そういうことでなければならないじゃないでしょうか。これをどうして厚生省指定の七つの病気にかかっている、その中でしかも年寄りの人であるとか、あるいはそうした寡婦であるとかというものに限るか。時間の関係がございますから申し上げますが、同じく特別被爆者として病院に入院している、こういう健康管理手当が支給されるというので大きな期待を持っておった。隣のベッドまでは支給されてくるのですよ。ところが自分のところには支給されない。この範囲に入りませんからね。期待を持っておったところの病床に苦しんでおる被爆者は、政府が被爆者に対する特別の措置を講じてくれるようになったと喜んでおったのに、自分の隣でストップされたという心情を考えてごらんなさい。闘病生活の精神的な大きなショックは肉体的にも大きく影響してくるであろう。しょせんは長く生きない被爆者が死期を早めてくるという結果になるのじゃないでしょうか。
介護手当の問題もしかりであります。これも私は前進した措置として敬意を表したいと思います。しかし家族の介護というものを除外されておるということは、実情にそぐわないと私は思う。ともかく苦しい生活をしておる被爆者の人たちが他人の介護を受けるだけの余裕がない。同時に、家族は仕事をして生活をささえなければならないけれども、家庭において病床生活、闘病生活をしておる自分の親に、夫に、ともかく長く生存をしてもらいたいというので、苦しい生活の中で看病しておるということが実情じゃないでしょうか。これを考えるならば、私は、健康管理手当の範囲を拡大し金額をふやして、そして家族の介護等に対してももっと弾力的な措置を講じていく必要があるのではないか、運用をしていく必要があるのではないかと思いますが、この健康管理手当と介護手当に対する私の質問に対して、ひとつ大臣の考え方をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/125
-
126・村中俊明
○村中政府委員 健康管理手当の範囲の拡大と金額の増額の点でございますが、これはただいまお話のありましたとおり、大臣の定めた特定の疾病、これは先般の被爆者の実態調査の結果も出てまいりましたが、やはり被爆者の中では特に多い、大体この中に入る疾病で、しかも被爆者の年齢が高齢化していくにつれまして、こういう特定疾病という対象はだんだんふえていくと理解をいたしております。この中で特に、みずから健康と申しますか、生活をしていくのに困難な、たとえば原爆の子供でございますとか、あるいは年齢的に相当高齢になっていて介添えが必要であるとか、あるいは身体の障害があってなかなか自分で身のまわりのことができにくいとか、あるいは母子世帯というふうな対象に対して健康管理手当を支給する。この健康管理手当の支給目的は、ただいま御指摘がございましたが、認定患者に対する医療手当と同じような性格を持っている。ただ認定患者と並べてみますと、被爆の影響がやや少ないというふうな判断からここに差が出てまいるわけでございまして、医療手当的な性格を持っておるために、生活保護の収入認定の対象からもはずれておるというふうな実態があるわけでございます。ただ、この健康管理手当を支給する、例の大ワクになる三号疾病というものにつきましては、今後学問の進歩に応じまして必要な疾病はふえていくというふうに理解をいたしております。
第二点の介護手当でございますが、これは、最初に考えました支給というのは、介護する家族がいない、実際に看病を必要とする——入院している者は当然別でございますが、入院するまでもないけれども、手足が不自由だ、あるいは精神的な正常な状態にない。老人の場合ですが、こういつた場合で、家族の人が外に出て仕事をするためには、どうしてもだれかを置いて付き添いをさせる必要があるというふうな場合に、お金が要るだろう、支出するだろう、この支出する対象に対して必要に応じて介護手当を出すというふうな考え方であるわけでございます。ですから、たとえ家族というふうなことでありましても、実際にそこに支給の事実があるというふうなことが客観的にはっきりしてまいりますと、ケース・バイ・ケースによりますけれども、この介護手当の中で検討される事項だ、こういうふうに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/126
-
127・中村重光
○中村(重)委員 この特別措置法というのが、従来の医療という線から援護の方向に一歩前進したということは認めたい、そういう点については敬意を表したいと思う。しかし内容的に見ると、援護ということよりもやはり医療の範囲を出ていないということですよ。いまあなたがお答えになった点もそうじゃございませんか。いまお答えになったような認定被爆者とやや違う。けれどもこの七つの病名というものがどうしても条件になっている。それは大原委員から先ほど指摘されたように、認定被爆者の範囲を広げることですよ。そして健康管理手当というのは、やはり被爆者の健康を維持していく、そして健康にして仕事をし生活ができ得るような、そういう線において考えていくべきだというように思うが、やはり医療の線から一歩も出てないというものの考え方は、少なくとも、昭和三十九年四月の衆議院において、前後して参議院において、被爆者援護強化に対する決議ということをなされた。私はその趣旨がまだ生かされていないと思う。昭和三十八年の十二月に、東京高裁において御承知のとおりの判決が出た。そして国会は当然それにこたえなければならぬということで決議をした。少なくとも政府はこの決議を尊重していく義務があるのじゃないでしょうか。また、この認定被爆者の問題等に対しても、ほんとうにあなたが病院に行ってあの実態を見きわめたことがありますか。重症患者は個室もないのですよ。そして騒々しく、ある者はテレビをかけ、ある者はラジオを聞き、そしてさあ大便だ、小便だ、そういうような状態を隣のベッドで見るのですよ。少なくともほんとうに被爆者のことをお考えになるなら、そういう重症の患者に対しては個室を与えていくとか、もっと手厚い措置が必要になってくるのじゃないでしょうか。
時間がまいりましたから、最後に厚生大臣の決意のほどを伺っておきたいと思います。昭和三十九年四月の衆議院の被爆者援護強化に対する決議、これをほんとうに積極的に生かしていかれる決意があなたにおありかどうか。少なくともあなたは、国権の最高機関の正副議長の中で副議長の要職に相当長くおられ、そして信頼を受けて実は厚生大臣になっておるわけです。どうかひとつこの際、あなたに対する期待は大きいのだから、その被爆者の期待にこたえ、国民の被爆者援護を強めていけという声、あるいは声なき声にこたえていくという気持ちにおいて、具体的には私がいろいろと申し上げたような点あるいはその他あろうと思いますが、最後にあなたの決意を伺って私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/127
-
128・園田直
○園田国務大臣 ただいま御指摘ございましたが、率直に申し上げまして、いまお願いしておりまする法律案が援護法とできずに措置法となっておりますゆえんのものは、いま御指摘の点でございます。確かに一歩踏み出したところでありまして、医療のほうから援護のほうへ踏み出そうとしておる段階であることは、私もそのように認識いたしております。財政当局も本年度は十七億三千万の原爆対策の費用を増加をし、これは本法律案の費用ばかりでなく、そのほかの新たな費目も認めてくれておるところでありますから、これを契機に、いま御指摘されましたような方向に重大な決意をもって検討したいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/128
-
129・八田貞義
○八田委員長 和田耕作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/129
-
130・和田耕作
○和田委員 私は、この原爆被爆者の問題については、八年ほど前から核禁会議というのをやりまして、そして広島、長崎にもしばしば参っておりますし、被爆者ともよく接触もしておりますけれども、いままでどうしてこういうふうな被爆者に対して政府が具体的な援助の手を伸べられなかったのだろうかということをしみじみ感じておったのです。一般の国民の善意にたよって、そしてカンパ、寄付を募ってささやかなものを援助をするという状態が非常に長く続いたのですね。しかも非常に不十分であったということだと思いますけれども、このたびこういうふうな特別措置法ができまして、私は初めは政府はたいへんなことをやったなと思ったのです。つまり被爆者に対して月一万円の手当を出すということだったので、これはずいぶんたいへんなことをやったなと思ったのですけれども、よく内容を聞いてみますと、あまりに少ないのですね。三十万の人に対する四千人前後という数はあまりに少ないということで、再度びっくりしたようなことなんであります。これは率直に言っていろいろあれはございますけれども、何か非常に範囲が少ないという感じですね。もっと拡大しなければならぬじゃないかという感じがするわけですけれども、そういう点どうなんでしょうか。いろいろ範囲を限定するのに御苦心なさったと思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/130
-
131・村中俊明
○村中政府委員 今回の措置法の適用を受ける対象は、予算措置としては一応二万三千人ほどになるわけでございます。この中には、御指摘のとおり、特別手当、健康管理手当、介護手当、そのほかに額を増しましたけれども、従来からありました医療手当、こういう四つのものを中心にいたしておりまして、この四つのものの対象につきましては、私どもはいろいろと検討をいたしまして、できるだけ広い範囲で判断をしたいという考えでこれを拾ったわけでございますが、その判断の基礎となりましたのは、何と申しましても、被爆をして健康的に異常な状態、それが結果して経済的に困った状態になっている。医療費の問題もありますが、生活の問題も出てくるというふうなことを、従来の医療法から一歩前進した形で、福祉の面で対策を立てて処理をしたいというふうなことをもとにして、いまの四つの手当の制度を考えてまいったわけでございます。この内容につきましてはいろいろ御異論があろうかと存じますけれども、一応こういう体制で踏み出したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/131
-
132・和田耕作
○和田委員 いままで各委員からの質問がございまして、大体意見が出尽くしていると思いますけれども、なお、民主社会党を代表して、三十万のうちの要注意者と思われる人が大体三割くらいはあるというような御調査のようですけれども、できるだけひとつ国家のあたたかい手を広げていただく。狭めるとか何か限定するのじゃなくて、広げていただくようにひとつ御配慮いただきたいと思うのであります。こまかいことは申し上げません。ぜひともひとつお願いをいたしたいと思います。
それから第二点なんですけれども、いろいろな原爆の病気でお困りになっている人が非常に多い。その問題については、政府も特別措置法としてこれを踏み出していくという、ますます強化していこうといういま大臣の御意思のようですけれども、そういうふうにぜひお願いしたいと思うのです。
もう一つの問題として、現在被爆者が非常に困っている問題、たとえば厚生省が御調査になりましても、自分は原爆被爆者ではないのだという、つまり隠したい気持ちがあるのですね。たとえば結婚の問題もありましょうし、就職の問題もありましょう。そういうような手帳は該当者であっても隠したいというような気持ちを持っている人が非常に多いと思うのです。そういうことを題材にしたテレビとかドラマがよくあるのですが、町にもあるのですね。そういうふうなことを考えますと、被爆者に対する援護というのは、このような物質的な医療面あるいは生活面の補助も非常に重要ですから、これはやっていただかなければいけませんが、並んで大事なことは、この人たちがもっと明るい希望を持つように、国が国家的な事業として、つまり原爆被爆者を元気づけたりというふうな催しを国の主催でやる必要があると思うのです。毎年の原爆のあれをたとえば広島、長崎市でやる。しかもいろいろな傾向の団体が入り込んでごちゃごちゃやるということが毎年続いているわけですけれども、被爆者はかえって非常にいやがっているのです、ああいうふうな形の運動を。これは事実私どもも六、七回も参りまして、被爆者の団体の人と会ってあれするのですけれども、そういう感じがある。なぜ国が国の行事として、あのような世紀の一つの事件のような問題について、被爆者を慰め、あるいは元気づけるような催しを持つ考えをしないのかということなんですが、このことについて厚生大臣の所信を承りたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/132
-
133・園田直
○園田国務大臣 身体障害者あるいは身体障害児のそのような催しは非常に成果をあげております。しかも現場を拝見すると、いまおっしゃったように、障害者の方々がいままで遠慮しておったのが非常に明るい顔をしてやっておる。これは単に催しだけではなくて、その後本人たちが社会復帰しようという念に燃えてきている。したがいまして、いまのような御意見はなるほどりっぱな御意見でございますので、将来はそういうことをぜひ考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/133
-
134・和田耕作
○和田委員 そういう面から二、三注文したいと思いますけれども、たとえば今度の御調査でもその内容は大体わかってこられておると思うのですけれども、被爆者は一般の人よりも失業率が多い。あるいは賃金、報酬にしても少ないという問題もあると思うのです。こういうふうな問題についても、政府が、身体障害者に対するいろいろな援助と同じように、被爆者に対して失業ができるだけ少ないように、あるいは賃金その他の報酬も他の人とあまりハンディキャップがないようにいろいろな措置を講ずる、こういうことも被爆者を元気づけ勇気づける一つの措置だと思うのです。こういう問題について、これは厚生省の役割り以外のことであるかもしれませんけれども、厚生大臣として、対象になる被爆者を勇気づけるということでいろいろなそういう措置をお考えになる必要があると思うのですけれども、それはどういうふうに思われるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/134
-
135・園田直
○園田国務大臣 御指摘のような点ございまするから、就職に対する私のほうの所管の問題——おもにこれは労働省でございますから、労働大臣とも連絡をして、そういう職場に対する要請あるいは行政指導、これをやるようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/135
-
136・和田耕作
○和田委員 何しろこの問題は、日本の国民としては、世界に誇りもできないのですけれども、とにかく今後国際政治に対して日本が大きくものを言う、あるいは平和の問題について大きくものを言う非常に重要な一つのよりどころなんですね。政策に利用するなんということは非常に失礼ですけれども、非常に大きなよりどころなんです。このよりどころである被爆者、あるいは死亡された人、あるいは生存者に対して、日本の国家としての対処のしかたというものは、非常に大きな意味を持ってくるのですね、そういうふうな意味からも。したがって、いままでのようにアメリカに気がねをするということはないと思いますけれども、いろいろな財政的な問題もあったと思いますけれども、こういう人に対して十分な手当てができていないということは、何ぼ口で世界ただ一つの被爆国だということを言いましても、これは実感となって世界の国民にアピールできないと思うのですよ。そういうようなことで、非常におそきに失したと思いますけれども、一歩を踏み出したこの方向を強化していただくとともに、最後に申し上げたように、被爆者をあるいは慰め勇気づけるような諸施策を、至急ひとつ考えていただきたい。このことを要望いたしまして私の質問を終わります。どうぞひとつがんばっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/136
-
137・八田貞義
○八田委員長 伏木和雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/137
-
138・伏木和雄
○伏木委員 厚生大臣にお伺いいたしますが、厚生大臣も御承知のように、この援護措置につきましては、被爆者が長い間かかって厚生省の施策を唯一の頼みとして今日までまいったわけでございますが、今回提案されました厚生省のこの援護法というものを見まして、長い間かかって苦労をしてきた被爆者が、非常に落胆をしている。ほんのわずかの、ごく一部分の人のみしか適用を受けることができないということで、従来のせっかくの運動に対して落胆をしているというのが現状ではないかと思います。
まず初めに伺っておきたいことは、原爆の被爆者に対して、厚生省はもう一歩も二歩も積極的な姿勢で臨まなくてはならない。先ほどからの御説明を伺っておりますと、一歩前進ということを盛んに強調されております。一歩前進で済む問題と、五歩も十歩もいますぐ進めなければならない問題とあると思います。一歩前進であればそれで事足れり、現行よりも若干でも進んだからそれでいいんだという考えは、私は、この原爆被災者に限っては、必ずしも当たらないのではないか、このように考えるわけです。原爆被災者援護について、厚生大臣の基本的なお考えをまず承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/138
-
139・園田直
○園田国務大臣 決して一歩前進したということに満足しているわけじゃございません。各委員が、一歩前進ではあるが決して十分ではない、不備な点が非常に多いという御指摘でございますから、率直に私もその点を認めて、今後のこれに対するわれわれの対処していく姿勢並びに問題の解決自体が問題であると考えて、各委員の御指摘のとおりに、今後十分そういう点を善処していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/139
-
140・伏木和雄
○伏木委員 一歩前進という形ですが、被爆者全体に対して一歩前進をしたということであるならば私は了解できると思うのですが、三十万人に及ぶといわれている被爆者のうち、この恩恵を受ける者は大体八%くらいというようにいわれております。他の人は恩恵を受けない。三十万全体から見れば一歩前進ではありますが、適用を受ける二万三千人、それ以外の大多数が適用を受けることができないということになりますと、大多数の人に対しては一歩前進でも何でもない、こういう考え方が成り立つのではないかと思うのですが、この点について、この適用を受けられない人に対して、従来運動を重ねてきた方々に対して、大臣としてどのように説明をされていくのか。私どもは、そうした被爆者の声を聞いておりまして、今度の特別措置が一歩前進だからという、ただそれだけでは説明できかねる、こう考えるわけですが、この点について見解を承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/140
-
141・村中俊明
○村中政府委員 被爆者三十万人の対策としては、影響を受ける法律の該当者があまりに少ないのではないかという点についてでございますが、私は必ずしもそうは考えておりません。御承知のとおり、この被爆者の二つの法律は、医療法につきましては、被爆者三十万人全員の健康診断を実施いたします。健康で生活力があって元気で働いておられる被爆者の方については、先ほどもお話がございましたが、さらに元気を増し加えて一そう生活を楽しんでいただくというふうなことが望ましいのでありまして、医療法の対象になったり、あるいは認定患者の対象になったり、あるいは介護手当を受けるというふうな対象は、私は非常に恵まれない気の毒な方だと考えます。そういう方々に対する対策というのは、数にしては部分的でございますけれども、三十万の中から出てきた、そういう健康の面であるいは社会生活の面で不幸な方々に対して一応網をかけたというふうな措置法、医療法でございますので、この点は基本的には三十万人全体の対策であるというふうに申し上げたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/141
-
142・伏木和雄
○伏木委員 そこで、現在の医療を中心にしたところの法律と、それから今回の新たな特別措置、このようにまた二本立てになってまいりましたが、従来身体障害者等の法律あるいはそのほかの法律等におきましても、法律がばらばらになっているために、その谷間にあって適用を受けられないという人が多々あるわけですが、この被爆者に対する援護法にいたしましても、このようにして順次法律ができ上がって、またばらばらな法律が並べられていく。そこで、こういうことはもうさきから見越して、もっと基本的に適用範囲をさらに拡大して、援護法として一本化になったものをここで立法すべきではないか、このように考えるわけですが、この点については厚生大臣はどのようにお考えになっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/142
-
143・村中俊明
○村中政府委員 御質問の最後のほうから申し上げますが、現在の措置法なり医療法なりを改めて一つの援護法にならないか、なぜできないのかという点についての御指摘でございますが、先ほど来各委員の御質問にお答えを申し上げておりますように、医療法にしても、今回の措置法にいたしましても、その被爆者が置かれている現在の実態に合わせた必要な措置ということで、健康の向上、それから福祉の向上というふうな考え方をとっております。援護法という問題につきましてはまた別な角度の議論が出てまいりますので、私どもは、そういう社会福祉という判断の中で今回の立法措置を考えたわけでございます。この点につきましては、先ほども大原委員からいろいろ御質問がございまして、大臣もお答えを申し上げたとおりでございまして、現在の段階では社会保障という判断の中で処理をいたしてまいりたい。
それから、前段の、法律をだんだんまとめていくのが常識ではないか、ある法律と同じ対象に対してさらに新たな法律をつくることによって、二つの法律の間に谷間ができないかという点の御指摘でございます。これも法律で御理解いただけますように、この法律の根幹となります被爆者の把握、分類というのは、医療法に基づく方法によって措置法も処理をいたしております。この点については、別々の基準なり別々の方法で被爆者を把握しているのではないというふうなことで、私はこの二つの法律の間には谷間はないというふうに判断をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/143
-
144・伏木和雄
○伏木委員 そこで、申し上げたいことは、医療法のみを基本にしてその他の面は社会保障的な考えで進むということですが、たとえば私の知っておる一女性は、広島におきまして当時十四歳でした。現在三十七歳の一女性ですが、半身ケロイド状態になりまして、今日、真夏であっても半そでの服を着ることができない。その精神的な苦痛というものは非常に大きなものがあるのではないか。こうした点にまで法が及び、そうした精神的苦痛に対する何らかのいこいというものを法自体が与えていかなくてはならない。そういうところからも援護法というものを設けて、ただ単に医療だけでなくて、もっと適用範囲を拡大すべきではないか、こう考えるわけですが、こうしたいろいろな状態が出ておりますこの被爆者に対して、もっと拡大した援護法を設けるべきだというのは、そういう点にも意図があるわけでございます。こうした点についてはどういうお考えを持っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/144
-
145・村中俊明
○村中政府委員 ただいまの、例証をされましたケロイドの問題でございますが、これは法律の中の健康管理手当の中で処理をされるように私どもは現在考えております。ただ先ほど来申し上げておりますように、現在ここで御提案申し上げております法の内容が、それだけでもう十分なんだというふうには私どもも考えておりません。その根底になります医学の研究の進歩の過程の中では、改善されなければならない点もございましょうし、経済情勢の変遷に伴った改善ということも当然考えられる。現時点で私ども判断いたしまして一番妥当な法律だ、一番妥当な被爆対策だ、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/145
-
146・伏木和雄
○伏木委員 問題を変えますが、実態調査によりまして、最後のところに、病気にかかりやすい、あるいは体力がない、いわゆる原爆ぶらぶら病といわれておるものに対して「これらには一面心理的要因が働いていることも想像されるが、」想像されるが、というように一応濁しているようでありますけれども、これはとんでもない間違いではないか。確かに心理的な要素を起こす原因となったものは何であるかといえば、やはり原子爆弾による脅威、その後遺症による脅威から起きているものでありまして、ここでこういった面をとらえていくということは、実態調査の上に基づいた本来の行き方からはずれていくのではないかというように考えるわけです。なぜここでこういうことを言わなくてはならないのか、この点について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/146
-
147・村中俊明
○村中政府委員 昨年公表いたしました被爆者の実態調査の結果につきましては、各界からいろいろな御意見をちょうだいいたしまして、それぞれ私どもは肝に銘じて今後の対策の上に反映させていく、こう考えております。特に結語の部分については多少私どもが書き過ぎと申しますか、言い過ぎと申しますか、そういうきらいがあったというふうなことは否定できないわけでございます。ただ、その調査に盛られております個々の項目については、私は身をもってこの結果については今後十分生かして対処してまいりたい。心理的な面につきましても、先ほど和田委員からも御指摘がございましたけれども、被爆者の気持の上は非常に不安定でございます。たとえば医療手当の問題にしましても、健康管理手当の問題にいたしましても、あるいは特別手当の問題にいたしましても、それぞれ精神的な不安定の状態をできるだけ解消したいというふうな趣旨がこの手当の内容として盛られております。そういうことで、一方においてはできるだけあたたかい処理を考える。一方では勇気づける、元気づけるというふうな方法を考えて、両々相まって被爆者の対策を進めていく必要がある、こんなふうに考えます。心理的な要素というのも、そういう意味から御判断、御理解を願いたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/147
-
148・伏木和雄
○伏木委員 いまのような症状の、いわゆる体力のつかない人、根気のない人、これは就労面、仕事の面においても非常に大きな問題となっておると思います。したがって、こうした被爆が原因になって精神的にしろ、あるいは生活不安にしろ、そうした根気、体力という点から考えて仕事に思い切って専念できないという、こうした人々に対する就労対策、労働省のほうへ聞けばいいことなんですが、こういうことについて、これらの人の勤労意欲といいますか、適合した就労について、厚生省では何か考えていらっしゃるか。今後、これについてどういう方向で進めていこうとなさるか。この点を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/148
-
149・村中俊明
○村中政府委員 先ほど和田委員の御質問にもお答え申し上げましたとおり、広島、長崎両市に公益法人の授産施設を設けまして、ここでいろいろ指導をいたしております。私どもも、この公益法人に対してできるだけ御協力したい、こういう実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/149
-
150・伏木和雄
○伏木委員 最後に伺っておきますが、沖縄在住の被爆者援護措置についてはどうなっているかという点ですが、政府では特別地域連絡局を通して援護を進めているように伺っておりますが、本年度の沖縄在住被爆者に対する予算措置というものはどうなっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/150
-
151・村中俊明
○村中政府委員 沖縄在住被爆者の処置につきましては、現在四十一年の十一月に設けました琉球政府の対策要綱に基づきまして、現行の医療法がそのまま本土と変わらない状態で沖縄住民にも適用されておる。
それから今回提案いたしております措置法の処理につきましても、総理府を通じまして琉球政府といろいろ協議をいたしておりまして、この措置につきまして本土と沖縄在住の住民の間にアンバランスができないように、そういう処置ができるものと考えております。
〔私語する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/151
-
152・八田貞義
○八田委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/152
-
153・村中俊明
○村中政府委員 これは法律そのものは適用になりませんけれども、この対策要綱に基づいて、実施の面で十分処理される、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/153
-
154・伏木和雄
○伏木委員 予算措置については全然同額ですね。こちらの措置と同じものですね。
大体、私の質問は以上で終わりますが、冒頭申し上げましたように、この被爆者につきましては、いろいろな面から措置を講じていかなくてはならない。したがって、冒頭に述べましたように、援護措置を将来において強力に進めるということを特に要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/154
-
155・八田貞義
○八田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/155
-
156・八田貞義
○八田委員長 次に、討論に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
内閣提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/156
-
157・八田貞義
○八田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/157
-
158・八田貞義
○八田委員長 この際、増岡博之君、中村重光君、田畑金光君及び伏木和雄君から、本案について附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。その趣旨の説明を求めます。増岡博之君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/158
-
159・増岡博之
○増岡委員 私は自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表いたしまして、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案に対し、附帯決議を付するの動議について御説明申し上げます。
その案文を朗読し、説明にかえさせていただきます。
原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行にあたり次の事項についてその改善に努めること。
一、認定疾病被爆者の認定を行なうにあたっては、被爆者の実情を十分に配慮し積極的に対処すること。
二、生活保護法の適用上特別手当の収入認定を行なうにあたっては、できるだけ加算措置の拡大に努めること。
三、今後も健康管理手当など諸手当の支給対象の拡大、支給金額の改善及び介護手当の弾力的運営に努めること。
四、できるだけ速やかに原爆被爆により死亡した者の中、実情に応じ葬祭料を支給できるよう検討すること。
五、健康保険等被用者保険における本人の一部負担金について、公費負担を行なうことを検討すること。
六、沖縄在住の原子爆弾被爆者に対しては、本土並みの措置を行なうこと。
七、旧「防空法」による犠牲者に対し、昭和四十二年六月八日の本委員会の附帯決議を尊重し、その施策の推進をはかること。
八、原爆死没者並びにその遺族に関する調査を、速やかに実施すること。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/159
-
160・八田貞義
○八田委員長 本動議について採決いたします。
本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/160
-
161・八田貞義
○八田委員長 起立総員。よって、本案については増岡博之君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。厚生大臣園田直君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/161
-
162・園田直
○園田国務大臣 ただいま原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案の採決にあたりまして、当委員会より付せられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重して、これが実現に一そうの努力をする所存でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/162
-
163・八田貞義
○八田委員長 次に、内閣提出の社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑を終局いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/163
-
164・八田貞義
○八田委員長 次に、討論に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
内閣提出の社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/164
-
165・八田貞義
○八田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/165
-
166・八田貞義
○八田委員長 ただいま議決いたしました両案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/166
-
167・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/167
-
168・八田貞義
○八田委員長 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。園田厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/168
-
169・園田直
○園田国務大臣 北海道の、地震のただいままでにわかりました状況について御報告申し上げます。
震源地は北海道の襟裳岬の沖百五十キロ、マグニチュードは七・八——関東大震災が七・九で、この前の新潟地震が七・六でありますから、相当強度な地震であります。
現況を申し上げますと、北海道の浦河海岸は、床上浸水、それから国道の地盤沈下、列車不通。苫小牧は、市役所のビルが壁くずれ、道路が亀裂をいたしております。水道管破裂、停電。帯広は、壁くずれ、民家一軒半壊、それから波は一メートル七十くらいの一波が来ました。水道管破裂、鉄道は三十分か一時間おきに動いてはおります。それから、美唄炭硬はさらに坑道のくずれがございました。
それから、ただいまのところ死者は、青森県がわかりましたが、青森県で死者八名、行くえ不明十二名、けが人三名、倒壊のための火災が二十四カ所でございます。それから三沢市が、十一時二十分現在でこわれた原因で火災が二件起きております。
北海道の全空港は閉鎖されましたが、ただいま千歳だけは何とか飛行機が通うようになりました。
なお、岩手県の盛岡は人畜に被害はありません。
波の状況は、宮古港の津波が十時二十六分二メートルから三メートル、釜石が十時二十分から二十六分高波。
それから、空港の青森のほうは運航中でございます。なお、青森の港と函館の港は、岸壁が破裂をいたしまして、使用不能の状態でございます。十時半に三陸地方の海の潮がぐっと沖のほうへ引きましたので、退避命令を出しました。
そこで、海上保安庁では、小樽、塩釜、横浜から出動中でございます。なお、海上自衛隊の横須賀で、自衛艦六隻、航空機十機にただいま準備さしております。
総理府では、本部を総理府に置きまして、直ちに現地に調査団を派遣する準備をいたしております。
厚生省では、社会局、薬務局、医務局等に応急体制の準備をするように命じました。
以上、御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/169
-
170・八田貞義
○八田委員長 午後二時まで休憩いたします。
午後一時三十七分休憩
————◇—————
午後二時十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/170
-
171・八田貞義
○八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣提出の国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/171
-
172・八田貞義
○八田委員長 提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣園田直君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/172
-
173・園田直
○園田国務大臣 国民年金法等の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
国民年金制度は、昭和三十四年に創設され、同年十一月から福祉年金の支給を開始し、現在ではその受給者数は約三百万人に達しております。この間、逐年、制度の改善を行なってきているところでありますが、この福祉年金が老齢者、障害者及び母子世帯の福祉に貢献する役割りが大きいことにかんがみ、なお一段とその内容の充実をはかる必要があります。
児童扶養手当は、昭和三十七年に創設され、また、特別児童扶養手当は、昭和三十九年に重度精神薄弱児扶養手当として発足したものでありまして、逐年その内容の改善をはかってまいっておりますが、支給の対象となる児童の福祉の向上をはかるためには、なおその改善が望まれるところであります。
今回の改正法案は、以上の趣旨にかんがみ、福祉年金、児童扶養手当及で特別児童扶養手当につきまして、その額を本年一月の改正に引き続いてさらに引き上げるとともに、所得による支給制限の緩和をはかろうとするものであります。
以下、改正法案のおもな内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、額の引き上げについてでありますが、国民年金につきましては、障害福祉年金の年金額を現行の三万円から三万二千四百円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金の額を現行の二万四千円から二万六千四百円に、老齢福祉年金の額を現行の一万九千二百円から二万四百円に引き上げることといたしております。
次に、児童扶養手当及び特別児童扶養手当につきましては、その月額を現行の千七百円から千九百円に引き上げることといたしております。
第二に、所得による支給制度の緩和について申し上げます。
その第一点は、福祉年金、児童扶養手当または特別児童扶養手当の支給対象者本人の所得による支給制限の緩和でありますが、地方税法における老年者等についての非課税限度額が引き上げられる見込みであること等を勘案して現行の限度額二十六万円を二十八万円に引き上げるとともに、支給対象者が子や孫を扶養する場合において、その子や孫について加算する額を、現行の一人につき六万円から七万円に引き上げることといたしております。
第二点は、福祉年金、児童扶養手当または特別児童扶養手当の支給対象者の配偶者または扶養義務者の所得による支給制限の緩和でありますが、扶養親族が五人の場合で、その限度額を現行の九十三万二千五百円から百五万五千円に引き上げることといたしております。
最後に、実施の時期についてでありますが、所得制限の緩和に関する事項につきましては昭和四十三年五月分から、額の引き上げに関する事項につきましては同年十月分から適用することといたしております。
以上がこの法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに、御可決あらんことを望みます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/173
-
174・八田貞義
○八田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/174
-
175・後藤俊男
○後藤委員 ただいま大臣のほうから提案理由の説明がございまして、無拠出の福祉年金につきましては三十四年の十一月から実施、さらに拠出年金につきましては三十六年の四月、こういうふうな経過をたどっておるわけでございます。当時五十歳から五十五歳までが任意加入ということになっておりまして、現在七十歳以上の人が老齢福祉年金の支給と、こういうことになっておるわけでございますが、ここでまず、日本のいま申し上げました福祉年金なり国民年金につきましては、大ワク説明されたわけでございますが、諸外国におきましては、国民年金につきましては一体どういうようなことになっておるのだろうか、その大略の御説明を冒頭お願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/175
-
176・伊部英男
○伊部政府委員 詳細、最新の状況を承知いたしておるわけではございませんが、概略申し上げますと、御指摘のとおり、わが国は昭和三十六年以来国民皆年金を達成いたしておるのでございますが、それを厚生年金、国民年金というように大きく、分けまして労働者に対する年金と自営業者に対する年金、二つの制度によりまして国民皆年金を達成いたしておるのでございます。
そこで、かような国民皆年金を達成いたしておる国といたしましては、日本のほかにイギリスあるいはスウェーデン、オランダ等があげられると思うのでございますが、イギリスにおきましては、御承知のとおり国民保険一本でいっておるわけでございますが、その中身におきまして、いろいろ自営業者、労働者に給付の面で差を設けておるのでございます。オランダにおきましては全く一本でございます。スウェーデンにおきましては、ほぼ英国に準じた考え方で、中身におきましていろいろくふうをいたしておるように承っておるのでございます。したがいまして、日本のように自営業者だけをまとめて一つの年金保険を構成しておるという国はあまりないのでございます。終戦直後、たとえばフランスにおきまして、ちょうど日本の国民年金のような案が提出されたことがあるのでございますが、国会においてそれが否決されまして、フランスや西ドイツにおきましては、自営業者を、たとえば手工業者等のグループ別に実施をするというようなことになっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/176
-
177・後藤俊男
○後藤委員 そうしますと、冒頭に申し上げましたように、昭和三十四年なり昭和三十六年に国民福祉年金なり拠出年金が実施されましたが、当時五十歳から五十五歳までが任意加入であったということでございますので、七十歳以上に対する老齢福祉年金等につきましては、将来順次減少していくのではないか、そういうふうな見通しが立とうと思うわけでございますけれども、これらに対するこれからの見通しですね。さらに昭和六十年なり七十年なり先行きの見通しにつきまして、拠出年金と老齢福祉年金との関係がいかようなかっこうになってくるか、その点につきまして大略御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/177
-
178・伊部英男
○伊部政府委員 お答え申し上げます。
老齢年金受給者の将来見込みでございますが、御指摘のように、拠出制年金におきましては、厚生年金、国民年金、いずれもここしばらくのうちに急速な増加をいたすのでございます。福祉年金につきましては五十年をピークといたしまして漸減をするという傾向にあるのでございます。
受給者数で申しますと、四十三年の厚生年金による老齢年金受給者が三十八万人、国民年金の拠出制はまだ出ないのでございますが、福祉年金が二百六十五万人、こういう数字でございます。
四十六年になりますと、厚生年金保険によります老齢年金が五十二万四千、国民年金による拠出制年金が八万八千、福祉年金が二百八十四万三千人。
五十年になりますと、同じく厚生年金によりまして八十八万二千人、国民年金によりまして七十五万人、福祉年金によりまして三百十万五千人、かような数字になるわけでございまして、福祉年金はこれをピークといたしまして、漸減をいたしまして、たとえば六十年になりますと百七十八万八千人、六十五年になりますと八十四万二千人、七十年になりますと三十万七千人といったような形で漸減をいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/178
-
179・後藤俊男
○後藤委員 そうしますと、現在の時点におきまして厚生年金、さらには老齢福祉年金、さらには共済年金と、さらに文官恩給なり軍人恩給、こういうような関係の支給があろうと思いますけれども、大体いま申し上げました関係でどれくらいな数がこれらに適用されておるのか。
さらに六十五歳以上につきまして、日本の人口対比どれくらいな率になっておるのか。しかも六十五歳以上の人口に対して、どれだけの比率の支給がされておるのか、いま申し上げました分についてですね。その点、簡潔でけっこうでございますので、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/179
-
180・伊部英男
○伊部政府委員 六十歳以上人口が九百九十一万五千人でございます。これに対しまして、各種拠出制年金によりますものが六十万四千人、老齢福祉年金が二百五十八万三千人、合計三百十八万七千人、三二・一%の受給率になるのでございます。
六十五歳以上の老齢人口が、合計では六百三十万七千人でございまして、各種拠出制年金が三十四万九千人、老齢福祉年金が同じく二百五十八万三千人でございまして、合計二百九十三万二千人、受給率は四六・五%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/180
-
181・後藤俊男
○後藤委員 そこで、厚生大臣にお尋ねするわけでございますが、いま話がございましたように、やがて日本人口の約一割にならんとする六十五歳以上の老齢者がおいでになる。これらの人に対しまして、厚生年金なり、共済年金なり、その他恩給関係、考えてみましても三十数%でございますか、諸外国のこれらと比較いたしまするときには、拠出であるか無拠出であるかの別はあろうとは思いますけれども、この制度に対して日本は非常に不十分である、こういうことがはっきり言えるんではないかと思います。政府といたしましては、年金制度の改善充実を検討する、こういうふうなことを今日言われておるわけでございますが、どのような方向でいま申し上げました年金制度関係につきまして検討し、具体的に進めようとされておるのか、その点につきましてお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/181
-
182・園田直
○園田国務大臣 いま御指摘されました老齢年金については、家族構成が逐次変わっておりまして、非常に大事な問題でありますが、老齢年金の始まる際の加入人口が非常に僅少であった等の関係もありますが、再計算期においては、中高老齢者を対象とする年金をどうやっていくか、こういうことを考えて検討をやっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/182
-
183・後藤俊男
○後藤委員 もう少しいろいろお聞きしたいのですけれども、何か大臣に時間の制限があるそうでございますので、私、特に大臣のいらっしゃる間にお聞きしたり、さらには強く要望したい点がございますから、その点だけしぼりまして先にお聞きしたいと思うのです。
今回のこの引き上げにつきましては百円ないし二百円、そのもとになる金額が非常に安うございますから、パーセントでいけば大体今日のベースアップ以上に上がっておるんだ、こういうような説明はできるかもしれませんけれども、金額を申しますと非常に微々たるものでございます。これは第五十五特別国会の附帯決議にもはっきりしてありますように、大幅に引き上げるべきではないかというようなことも種々厚生省といたしましても論議をされたと私思うわけでございます。この点、百円ないし二百円というようなかっこうで提案せざるを得なかったゆえんにつきまして、簡単でけっこうでございますが御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/183
-
184・園田直
○園田国務大臣 まず、当面の問題は、御指摘の額の引き上げでございます。本年度はベースアップその他の比率からすれば、数字からいえば相当な引き上げでございますものの、実際は基礎額が低いわけでございますから、実際に各種年金の対象者の生活面から考えますと、決して満足すべきものではないどころか、まだまだ額の引き上げについて考えなければならない。しかしながら、所要財源その他の問題がございますので、慎重に検討した結果こうなったのでございますが、そのために所得制限の緩和であるとか、あるいはその他の施設の問題であるとか、そういう点を緩和しつつ、今年度はやむを得ずこれでやったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/184
-
185・後藤俊男
○後藤委員 いま大臣のほうから予算の関係、お金の関係等でやむを得ずこうなったんだ、こういう御説明でございますが、私はこれを見ますと障害が二千七百円、母子が二千二百円、それから老齢が千七百円ということになっておると思うのですが、これを一日当たりに計算いたしますと大体九十円から七十三円、六十円が切れる、こういうふうな計算になるわけでございます。
話はちょっと余談にそれますけれども、上野動物園にいろいろな動物がおるわけでございますが、これらの動物の一日の食糧費は大体どれくらい使っておるかということを厚生大臣御存じでございましょうか、もし御存じでしたらひとつ教えていただきたいと思うのです。
〔委員長退席、佐々木(覇)委員、長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/185
-
186・園田直
○園田国務大臣 残念ながら存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/186
-
187・後藤俊男
○後藤委員 これは大臣にも参考までに、直接上野動物園で調べてまいりましたので、いま提案になっておる老齢福祉年金——お年寄りを大事にする政治を行なっていらっしゃるその金額と、上野動物園の動物の一日の食糧費とを対比していただいて、ひとつ考え直すべきところがあれば十分考え直していただく、こういうことでお願いしたいと思うのです。
大体上野動物園にはいろいろな動物がおりますが、ゴリラは一日九百円でございます。ライオンが一日八百円、象の大が三千円、小が二千円、カバが一日千百円、それからトドという動物がおりますが、これが七百円、アザラシが九百円です。それからだんだん福祉年金のほうへ近づいてくる分を申し上げますと、大体シカが一日九十円でございます。ちょうど障害福祉年金がシカ並みということになるわけでございます。これは失礼な言い方でございますが、それからサルが七十三円でございまして、これが大体母子福祉年金、それから最後の老齢福祉年金が、千七百円ですから、一日に計算しますと六十円として、カンガルー並み、こういうことになるわけでございます。これは別に私は人間と動物と比較してどうこうと——これは失礼な比較になるかもわかりませんけれども、上野動物園の動物でさえもこれだけの待遇がされておる。平和憲法のりっぱな憲法下において、社会保障制度の一環としてお年寄りを大事にする政治だといってやっておられるのがこれくらい低額であるということを、大臣の頭の中に十分印象づけていただくためにこの例を申し上げましたので、これはとくとひとつお考えをいただきたいと思う次第でございます。
そこで、まず第一番に、大臣のいらっしゃる間に出したい問題は、老齢福祉年金の夫婦受給制限の撤廃でございます。これは今回だけ問題になったわけでもなし、いままで数回国会におきまして、社労委員会におきましても問題になったと思いますし、さらに五十五特別国会におきましても附帯決議といたしまして出ておるわけでございますので、それ以来厚生省も鋭意検討されたということは間違いないと思いますので、ぜひひとつ老齢福祉年金の夫婦受給制限の撤廃について、今度新しくなられました厚生大臣の手によって何とかこれを解決する方向へお力添えをいただきたい、こう考えるわけでございますが、大胆の御所見をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/187
-
188・園田直
○園田国務大臣 夫婦の受給制限について御指摘がありましたが、これはただいまも御意見がありましたし、なお受けるほうから、これは政治の冷たい面として非常な非難をされておりまして、老齢の人々が年金を受けられると弄んでおったら、二人おったら引かれたということで困っておるのでございまして、これは何とかして改善したいと考えておりまするが、本年度は御承知のとおりに所得制限の緩和その他でこういうふうにお願いしたわけでございますから、早急な時期にこれは撤廃したいと、私も努力をいたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/188
-
189・後藤俊男
○後藤委員 そうしますと、いまの問題につきましては、いろいろむずかしい面もあるけれども、可及的すみやかに撤廃する方向へ全力を尽くしたい、こういうように御確認させていただいてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/189
-
190・園田直
○園田国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/190
-
191・後藤俊男
○後藤委員 その次は、児童扶養手当の問題でございます。これは大臣も十分御承知だと思いますけれども、児童扶養手当と、さらに母子福祉年金の第一子の場合でございます。これは金額的に三百円違うわけです。三百円違いますけれども、生き別れか死に別れかということだけで三百円の差がついておるわけでございます。これは理屈の上からいいましても正しくないと思いますし、何か聞くところによりますと、これをつくるときに数字の書き間違いではないかもしれませんが、間違ったのだ、こういうようなこともどなたかわかりませんが、ちらっと聞いたような覚えもあるわけでございます。これも中身を検討していただくと、いま申し上げましたところの児童扶養手当と、さらに母子福祉年金の関係で第一子だけが三百円の差がついて、第二子以降は全部一緒でございます。だから間違ったことに対しましては、ひとつ早く正しく直していただく、このことにつきましてぜひ御尽力をお願いいたしたいと思うわけでございますが、これに対する所見をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/191
-
192・園田直
○園田国務大臣 御指摘のとおりに、これは生別と死別との相違によってこの援護に差別を設けることは適当でないと私も考えます。ただ、事務的に、その反面扶養手当と母子福祉年金が、その目的や仕組みが全く同じでないという問題等もあって、制度の立て方と関連をしてこういうことになっておるようでございまするが、これは今後十分検討してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/192
-
193・後藤俊男
○後藤委員 いま大臣が言われました、ちょっと考え方に違うところがあるような気がするので、これは一ぺん検討してみて、できることなら一緒にしたい、こういうように考えさせていただいていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/193
-
194・園田直
○園田国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/194
-
195・後藤俊男
○後藤委員 その次は、外務省の方もおいでになりますので、この年金制度も、たとえば日本人で海外におる人、一年なり、五年なり、十年なり、長い人は十五年くらい外国に駐在なり、駐留なり、派遣なりされておられる人があると思うのです。さらにアメリカなり、外国のほうからも、日本の国内へ来ておる人もたくさんあろうと思います。これらの人は、聞くところによりますと、向こうへ行けば向こうへ行ったで税金は納付されておる。さらに外国の人が日本に来れば、こういう関係の税金については納付されておる。こういう関係というとおかしいが、その辺のところが私はまだはっきりいたしません。
ところが、国民年金の通算につきましては除外されておるわけでございます。たとえば、日本で十年間かけた、外国へ十五年間行っておった、帰ってきて五年間かけた、こういうことになりますと十五年が除算されてしまう、こういうふうなかっこうになっておりますのが今日の在外日本人なり、在日外人の国民年金の扱いではないかと私は思うわけでございます。
そこで、外務省の方にお尋ねいたしたいわけでございますけれども、現在日本の人なり、あるいは外国の人が、数におきましてどういうふうなかっこうでどれくらい行ったり来たりをしておるのだろうか、この点を大略でけっこうでございますので御説明をいただきたいと思います。
さらにそれらの人が——いま申し上げました問題につきましては厚生省関係の問題であろうと思いますから、深く外務省の皆さんにお尋ねしようとは思いませんけれども、しかしながら、大東亜戦争その他、以前の恩給等の証明等につきましても、外務省で行なっておられる、こういうようなことも聞いておりますので、何かお知りになっておるようなことがあれば、この年金関係の問題につきましてもあわせて教えていただきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/195
-
196・齋藤鎮男
○齋藤(鎮)政府委員 ただいま御質問の、日本人で外国に在留している者、これはいろいろな種類がございますけれども、日本の国籍を持っている者が大体二十九万でございます。それから外国人で日本に滞在しておる者、この正確な数字は入管でないとわかりませんが、われわれが了解しておるところでは、大略申し上げて六十万でございます。大体朝鮮、韓国系の方が多いようでございます。各地域別の数字を申し上げてもよろしゅうございますが……。
それから国民年金につきましては、ただいま御指摘のように確かに問題がございますが、これは厚生省側において協定を結ぶということで関係各国と協議をし、ないしはしようとしているように私は了解しておりますが、何らか国際的な取りきめ、国際的な通算制度というものが必要ではないかというように外務省としても考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/196
-
197・後藤俊男
○後藤委員 そこで大臣にお尋ねいたします。
いま私申し上げました問題につきましては、いつでしたか、参議院の本会議におきまして、事務的な打ち合わせをしておる、こういうふうな本会議の発言もあったように私は聞いておるわけでございますけれども、いま申し上げました外人なり日本人の、外地なりこちらに来ておるこれらの人に対する年金の適用なり期間通算の問題につきましては、これは当然そうすべきではないか、こういうように私は考えるわけでございます。
さらにもう一つ、関連いたしまして申し上げたいのは、現在各大使館なり領事館等に日本からかなり派遣されておる。聞くところによりますと、厚生省関係で派遣されておる職員というのは非常に少ない。私が調べたところによりますと、一名ないし二名、三名くらいじゃないか、こういうようなことも聞いておるわけでございますが、これらの問題につきましては、もちろん厚生省といたしましても、できるだけ社会保障の面から諸外国の社会保障制度を研究する。さらには日本のいろいろな人が行った場合には、その国における社会保障制度を説明する、大事な仕事でございますから、いろいろなことがあろうと思います。それだったらもう少し厚生省といたしましても、海外派遣の職員を考えるべきではないだろうかというふうに私考える次第でございますけれども、この問題と、前に申し上げましたところの適用期間通算の問題につきまして、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/197
-
198・園田直
○園田国務大臣 いまの通算の問題は、これの適用がありませんので、年金額や受給資格の期間の上で非常に不利になるばかりでなく、将来また海外で支払った日本人の保険料が、払い捨て等の場合が非常に多いわけでございます。したがいまして、EEC諸国はじめヨーロッパ諸国では、これを条約並びに協定を結びまして通算することになっております。参議院で答弁いたしましたが、わが国でも当面必要度の高いアメリカとドイツとの二国に対しては、国際通算に関する事務的折衝を始めておるところでございますが、しかしながら、在外人と在日人を見ますと、どんどんふえております。そういう関係で、やはりなるべくすべての国々とそういう条約、規則を定めて相互に通算するようにしなければならぬ。
それからまた、わが国の社会保障制度並びに福祉施設は、西欧諸国に比べて非常におくれております。おくれておるばかりでなく、すでにそういう国々ではどんどん新しい制度あるいは新しい薬、新しい医療等が飛躍的に発展をしておりますので、この情報収集と、もう一つは、今度はアジアの国々とは、やはりお互いに社会保障、福祉、医療、こういう問題で将来とも相談し合っていくという必要が出てくるわけでありまして、こういう観点から、できれば何とかしてわが厚生省も、西欧諸国及びアジアの国々にできるだけの駐在員を派遣したいと思って外務省に相談をし、関係当局とも相談をしておるわけでございますが、ただいまではジュネーブとバンコクに二つあるだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/198
-
199・後藤俊男
○後藤委員 これは外務省にお尋ねするわけですが、いま厚生省関係として派遣しておられるのはジュネーブとバンコク、この二つでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/199
-
200・齋藤鎮男
○齋藤(鎮)政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/200
-
201・後藤俊男
○後藤委員 それで、いま申し上げました問題につきましては、ぜひひとつ具体的に実行に移していただきますように、いろいろむずかしい条件もあろうと思いますが、極力努力をしていただきますよう、お願いをいたしたいと思います。
いま申し上げましたこの三つの問題につきまして、特に厚生大臣のおられるときに、飛び飛びになりましたけれども、強く要請をいたした次第でございますが、第一番には、老齢福祉年金の夫婦支給制限の撤廃。二つ目といたしましては、児童福祉手当の額を母子福祉年金と同額まで引き上げる。三つ目の問題といたしましては、国際間の適用期間の通算の問題。さらに厚生省関係の海外派遣の問題。この三つの問題につきまして、特に十分留意をしていただきましてお願いをいたしたいと思います。ちょうど時間も三十分になったと思いますので、大臣はけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/201
-
202・園田直
○園田国務大臣 いまの四点の問題については、特に留意をして改善をはかりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/202
-
203・後藤俊男
○後藤委員 第一番にいろいろこまかい問題もあるわけでございますが、第五十五特別国会の附帯決議の中にもありますように、年金支給年齢の引き下げの問題でございます。老齢福祉年金につきましては七十歳、こういうことになっておりますけれども、もちろんこれは厚生省といたしまして、附帯決議事項ともなっておりますので、十分検討されたと思いますが、一体これをもう少し引き下げるわけにいかないのだろうか。たとえば六十五歳、こういうところへ持っていっていただく、これが前の国会の、五十五国会の気持ちであったろうと思いますし、決議であったろうと思うわけでございますが、この点の御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/203
-
204・伊部英男
○伊部政府委員 御指摘のように、福祉年金の支給開始年齢は七十歳でございますので、これを国民年金の拠出制の年金の支給開始年齢でございます六十五歳程度まで引き下げろという御要望はかねて強く承っておるところでございますが、この年齢引き下げに要する経費は非常に膨大にのぼりまして、おおむね現行の福祉年金に充てておる程度の額を必要とする見込みでございます。そこで従来は七十歳以上の方々の年金額の引き上げ、あるいは所得制限の緩和に重点を置かざるを得なかった次第でございますが、今後は、明年度におきまして、厚生年金あるいは国民年金を通じての年金制度の改善を検討いたしておりますので、その中の一環といたしまして、中高年齢層対策が両審議会において議題として掲げられておりますので、この問題との関連も考慮しつつ十分検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/204
-
205・後藤俊男
○後藤委員 そうしますと、いま言われたことは、やがてその年金に対する改革がある、そのときに中高年齢層のことも考えておるのだから、それに関連さして、現在七十歳から支給であるけれども、これにつきましても引き下げる、そういう前向きの方向で全力を尽くすのだ、こういうふうに解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/205
-
206・伊部英男
○伊部政府委員 ただいま年金制度の改善につきましては、両審議会を通じて検討いたしておる段階でございますが、特に福祉年金につきましては国民年金審議会におきまして御検討いただいておる段階でございます。その国民年金審議会の重要な議題として福祉年金の改善が掲げられておりますので、その一環として、十分御意見を承りつつ議論を煮詰めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/206
-
207・後藤俊男
○後藤委員 次に、核家族の進行の問題でございますけれども、これにつきまして厚生省としても統計なりその他でいろいろ研究をしておられると思うわけでございますが、簡単でけっこうでございますが御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/207
-
208・伊部英男
○伊部政府委員 厚生行政基礎調査と申しますものを、統計調査部におきまして毎年実施をいたしておるのでございますが、この調査を基礎として見ますと、昭和三十年におきましては全国で四五・五%が核家族でございます。これが最近の数字でございます四十年におきましては、五四・九ということで、核家族化が御指摘のように急速に進んでおるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/208
-
209・後藤俊男
○後藤委員 そうしますと、いま言われたように四五・五%が四十年で五四・九%に増加しておるわけです。そうすると、現在におきましてはさらに増加しておるのではないかと思うわけでございますが、これは増加するのは喜ばしい傾向でございますか、喜ばしくない傾向でございますか、その点見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/209
-
210・谷垣專一
○谷垣政府委員 いまの核家族化の趨勢が、好ましいか好ましくないかという問題は、これは非常にむずかしい問題だと思いますが、そういう情勢が進んでおるということ自体はこれは認めざるを得ないと思います。家族制度の問題が、そのためにありました相互扶助の関係が、だんだんと核家族の進展のために違う様相を呈してくる。そういうことで、社会保障なり社会福祉の問題が、いろいろと変った態様を示してくるということになろうかと思いますが、どうも是非の判断をいたしますのには、何と申しますか、そういう大勢でございますので、それに応じた方法を考えざるを得ない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/210
-
211・後藤俊男
○後藤委員 そうすると、これはいい方向を向いておるのか悪い方向を向いておるのかわからぬけれども、現実にそうなんでしょうがないじゃないか、一口に言ってそういうふうな御回答であったと思うわけでございますけれども、このことは厚生省の社会保障関係の一つの問題といたしまして、さらに今後の老齢福祉年金なり、その他年金関係の問題といたしましても、大きく影響のある問題ではないかと私考えておるわけです。そうなってまいりますと、その時点その時点の現実をつかまえていくのだということでは非常に無策なような気がするわけでございますけれども、ぜひひとつ、これ以上話をしておりましてもなかなか話もすすまないと思いますので、私も勉強をしたいと思いますが、厚生省におきましても、このことについては十分ひとつ勉強をしていかれるようにお願いをいたしたいと思います。
次には、先ほども大臣に申し上げたのですが、引き上げ幅の非常に少ないということですね。百円ないし二百円、これはまことにもって私は何とも考えようのない金額でございます。しかも、何回も言いますけれども、毎回毎回、委員会で、もっと引き上げたらどうだ、先ほど言いましたようにシカ並み、サル並、カンガルー並というようなことではなく、この面こそ、いかに財政硬直のおりとはいいながら、思い切った引き上げをすべきではないか、そのことがお年寄りを大事にしたり、さらに老後の心配のない生活を送っていただく、そのことが政治におきましては一番大事なことじゃないかと私は思うわけです。なぜ一体この百円、二百円と——基礎金額からすぐ説明されますと、これは十何%になりますよと、そういうことはおっしゃいますけれども、その基礎金額が今日、月千六百円です。何べんも言いますが、上野動物園の食糧費にも足らない、こういうふうなやり方に対しまして、一体厚生省としてどうお考えになるのか。もっと極端に言いますと、おこがましくも、内容を充実するために今回一部改正するんだというような提案ができる内容であるかどうかというところまで私は言いたいわけなんです。この点につきまして、時間がございませんでしたから、先ほど大臣も簡単に言われましたけれども、もう少しこれを、ここまで引き上げるとお金がこれだけ要るんだ、この面が大蔵省と話したところがこうなるのだ、こういうような具体的数字をもって、不承不承ながらも納得できるような御説明をいただきたいと思うわけです。ただもう、金がないからしようがないのだ、一口に言ってしまえばそういうことかもしれませんけれども、いま申し上げましたような観点から、もう一度、いま申し上げましたような点につきまして、できるだけ、われわれ聞きまして、なるほどそうかという納得のいくような方向への御説明をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/211
-
212・伊部英男
○伊部政府委員 福祉年金の額の改善につきまして、これが十分ではないではないかという御指摘をいただいたのでございますが、結論的に申しますと、福祉年金の改善は四十年以来毎年実施をいたしておりまして、連続四年目の引き上げになるのでございます。(「物価が上がっているんだ」と呼ぶ者あり)一回ごとの引き上げは御指摘のようにこれで十分と考えておるのではございませんが、四十年の九月に千百円から千三百円に引き上げたのでございますが、自来毎年改正を実施をいたしまして、特に本年は四十三年の一月に千六百円に引き上げを実施し、さらに同年の十月から百円の引き上げを実施をするということでございまして、財政硬直化のおりからでございますが、これで十分とは申せないにせよ、やはり財政当局においても相当の御配慮をいただいたものと考えておるのでございます。
なお、これに要する費用は本年度十億二千万円、平年度化いたしますと四十二億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/212
-
213・後藤俊男
○後藤委員 いままことに簡単な御説明でございましたけれども、私、感じたところを簡単に申し上げるわけですが、国民年金なり拠出年金と、それからさらに老齢福祉年金とは、会計上は別になっておるだろうと思います。ところが聞くところによりますと、拠出年金のほうは積み立て金が二兆三千億円からある。この利息をざっと計算いたしましても、一年間に千五百億円からある。これは利息でございます。こういうような点から考えてきますときには、この二兆三千億円の問題にいたしましても、国民個々が百五十円、二百円、二百五十円でございますか、一人一人が浄財を出したお金でございます。このお金が二兆三千億円からある。このお金が一体どう使われておるかということは後ほどお尋ねいたしたいと思いますけれども、利息を計算しても千五百億円からある。いま局長が説明されましたたとえば百円、二百円の増額を倍額にしたといたしましても、私はそう膨大なる予算は要らぬと思います。そういう点から考えても、私はこの点で考える余裕があるのじゃないかと思います。ただ、厚生省なり政府といたしましては、基礎の金額に対比して十何%上がっておるんだから、これで大体いけるんだ、問題になれば、財政的に苦しいからこれでいいんだ、こういうふうな説明をすればそれでしまいだというふうなお考えかもしれませんけれども、先ほども局長から話がありました多くの七十歳以上の働くことのできない人なんです。その人方が先ほど言いましたように、動物園の動物以下、こういうふうなことを一刻も捨てておいていいのかどうか、非常に私はこの問題ば大事な問題だと思います。先ほどから申し上げておりますところの百円、二百円の増額の問題につきまして、たとえば引き上げを倍額にした場合に一体どれだけ予算がよけい要るのか。さらに六十五歳に年齢を引き下げた場合に、一体予算的にどれだけお金がたくさん要るのか、この点につきまして、もう少し詳細に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/213
-
214・伊部英男
○伊部政府委員 ただいま御審議をお願いしております引き上げ額を倍にいたしますと、平年度八十四億円になるわけでございます。
それから支給開始年齢を六十五歳まで引き下げるに要する経費は三百九十四億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/214
-
215・後藤俊男
○後藤委員 いま言われたこの八十四億、三百九十四億というのは、今回の引き上げによってよけい要るお金の金額でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/215
-
216・伊部英男
○伊部政府委員 ただいま申し上げましたのは、現在御審議をお願いいたしております法案に盛られております額の引き上げを倍にした場合の所要額、及び老齢福祉年金の支給開始年齢を、七十歳から六十五歳まで引き下げた場合に要する経費でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/216
-
217・後藤俊男
○後藤委員 そうしますと、八十四億円あれば、いま提案されております改正の内容の百円、二百円が、二百円、四百円になるんだ、こういうふうに解釈していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/217
-
218・伊部英男
○伊部政府委員 平年度化いたしました数字はそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/218
-
219・後藤俊男
○後藤委員 そうしますと、まず六十五歳に引き下げるということはお預けにしまして、百円、二百円の問題だけを取り上げてみましても、先ほどもいろいろお話もいたしました、老齢福祉年金と拠出年金との関係は別の会計になっておるかもわかりませんし、老齢福祉年金のほうは国庫負担だと思います。しかしながら、同じ年金で社会保障制度の一環としてやられておるわけですが、この浄財が二兆三千億からたまっておるわけなんです。その利息だけが千五百億円近く毎年毎年ついてくる。こういう情勢の中で、しかも先ほどからもちょっと発言がありますように、今日の物価高、さらに七十歳以上の働くことのできない人、こういう人に対する年金の引き上げにつきまして、わずか、と言うとしかられるかもわかりませんけれども、八十四億あれば二百円、四百円になる。こういうふうなことができるとするなら、なぜ一体そういう方向に力を入れないんだろうか。八十四億がにっちもさっちもならぬのか、五兆八千百八十五億九千八百万円のうちで、一番大事な社会保障の関係につきまして、八十四億円がにっちもさっちもならぬのか、この点がどう考えてみましてもなかなか了解に苦しむ点でございます。その辺のいきさつにつきまして、もう少し詳細にお答えいただきたいと思います。なぜ一体この八十四億円がないんだ、なぜ一体これだけでとどめなければいけなかったのか、そういう点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/219
-
220・谷垣專一
○谷垣政府委員 後藤委員の御質問の趣旨は、確かに私たちもそのとおりだと思います。ただ、その問題の八十四億というものだけを取り出して考えるわけにはまいりませんので、予算全体の中で、その八十四億という問題を考えなければならぬと考えております。
それから、先ほどの利息が非常にあるじゃないか、御指摘のとおりでございます。ただ、これは年金計算をいたしますときに、当然に利息がそう出てくるということも計算をいたしまして、それぞれの掛け金等のことをきめておりますので、それだけあるからそれだけこっちへすぐ回せというわけにはいかないので、その運用その他については、十分慎重に考えていかなければなりませんけれども、その点との話は、先ほど言いますように、福祉年金の場合は全額国庫で見て、別の計算をしなきゃなりませんので、その点はひとつ御了承願いたいと思います。結局いまおっしゃっておりますように、福祉年金、ことに老齢年金についてもっと努力をいたしまして、そしてこれの増額を考えていかなければならぬという点は御指摘のとおりでございます。厚生省も先ほど大臣がお答えいたしておりまするように、その点につきまして今後ともに努力をさしていただきたい。不十分であることは認めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/220
-
221・後藤俊男
○後藤委員 これ以上ここで言っておりましても話は進まないと思いますが、いずれにしても百円、二百円というのはまことに微々たるものである。しかも、提案理由の中に、内容を充実するためにここに提案いたしますと言えるほどの充実にはならないと思います。今後ともひとつこういう点につきましては、もっと十分考えていただきますようにお願いをいたしたいと思います。
それから、先ほど大臣にも強く要請をいたした次第でございますが、老齢福祉年金の夫婦受給制限の撤廃でございます。これを撤廃した場合に一体予算的にどうなるのか。もう一つは、児童扶養手当の額を母子福祉年金同額に引き上げた場合、数的に計算してどれだけのお金がよけい要ることになるのか。この二つの点を御説明していただくと同時に、先ほども大臣が十分納得されていかれたと思いますので、この問題につきましてはぜひ早く具体的に実現のできる方向へ力を尽くしていただく、これをお願いいたしたいと思います。
それからもう一つは、国際間の適用、さらに通算の問題です。これは先ほども大臣のおられるときに話をいたしました。これも国民の中には多くの希望が出ておると思います。先ほど聞きますと、かなり膨大なる人数になるようにも聞きます。しかし、内容を検討いたしてみますると、すべての国が全部一ぺんにというわけにはなかなかいくまいと思います。非常に困難なところもあろうかと思いますけれども、これもやはり具体的に実現できる方向へやっていただく、これもぜひお願いをいたしたいと思う次第です。前に申し上げました予算的な二項の問題と、これに対する考え方、大臣は了承されましたが、それに対するお考え方もあわせてひとつ御回答いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/221
-
222・伊部英男
○伊部政府委員 年金に関係の部分からお答え申し上げたいと思いますが、夫婦受給制限の撤廃に要する経費は、平年度化いたしまして約十六億円でございます。この制限の撤廃につきましては、先ほど大臣からお答えございましたように、当局といたしましても御趣旨を体しまして、このすみやかなる撤廃に努力いたしたいと考えるものでございます。
それから第二点の、国際通算で御指摘いただきました点でございますが、先生の御指摘のとおり、国際通算につきましては各方面から要望が出ておるのであります。昨年日経連からも要望が出ておりますし、あるいは特に西ドイツに関しましては、本年一月一日から職員年金保険が改正されまして、この適用範囲がいままでは一定の所得以上の方は除いておったものでございますが、全員を適用する、さらに全所得に適用するということがきまりまして、在留邦人の間でこの問題の処理が非常に強く要請されるようになったのでございます。そこで去る三月、関係官をドイツに派遣をいたしまして、この問題につき西ドイツ政府と事務的な予備折衝を行なったのでございますが、その結果、国際通算条約を結ぶという方向で、両国ひとつ協力しようじゃないかという原則的な了解は成立いたしまして、ことしの秋にさらに第二回の接触を行ないたいと考えておるものでございまして、なるべくすみやかに御趣旨のとおりこの問題を解決いたしたいと考えておるものでございます。
さらにアメリカにつきましても、御承知のとおり在留邦人、あるいは在日外国人としては、韓国人を除きましては一番多い国でありますが、去る一月、関係官を派遣をいたしまして、向こうの厚生省と接触をいたしたのでございますが、原則的には今後通算するという方向で考えようということになっておるものでございまして、御趣旨のように、この両国につきましてはすみやかに話をまとめてまいりたい。さらにその他の国々につきましても、逐次接触をしてまいりたい、かように考えておるものでございます。
〔佐々木(義)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/222
-
223・渥美節夫
○渥美政府委員 先ほど大臣からお答えを申し上げました児童扶養手当におきましては、児童一人の場合の手当額が母子福祉年金に比べまして月三百円ばかり低くなっている。この点につきまして大臣からもお話しございましたように、父母の生別、死別によって、そういった支給額が差があるという点については問題があるという問題意識を十分私ども持っておりまして、この点につきましては今後十分検討しなければならない、かように考えておりますが、いま御質問いただきました、それではこれを三百円高くした場合に、一体予算額ではどうなるかということでございますが、概算いたしてまいりますると、増額することによります平年度の予算額は約三億円、かようになるものと推定されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/223
-
224・後藤俊男
○後藤委員 そうしますと、いまのお答えに対してお尋ねするわけですが、大臣も言われており、あなた方もお考えになり、私たちも考えておりましても、児童扶養手当と母子福祉年金が第一子だけが三百円違っておる。第二子以下は全部一緒なんです。こういう間違ったものは直して提案したらどうですか。あなたのほうでこれは間違っておる、これは不合理だ、この際これらを修正して提案されるのは私、至当だと思うわけです。そういうようにしてやっていただくと、この問題をまたここですったもんだ言わなくても済むような気がするのです。わかったことでも、こういうようなかっこうで提案されるというところに、何かむだがあるような気がするわけでございますが、だれが考えましても気がつくものを、修正せずに本来のとおりでなぜお出しになったのか、その辺のお考えをお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/224
-
225・渥美節夫
○渥美政府委員 先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、児童扶養手当制度と母子福祉年金の制度は、制度的にいいましても、その目的なりあるいは仕組みにつきまして多少違っております。これは先生も御承知のとおりと思います。そういうふうな意味で、三百円違っておることが完全に間違っておるのだというふうな点についても、まだ実は割り切れない点があろうと私は考えております。しかしながらいずれにいたしましても、第二子以降につきましては同じ額でございまして、そういったこととも関連いたしまして、先ほど私が申し上げましたように、確かにこれは問題があるというふうに思っております。したがいまして、そういった点につきまして、いろいろと検討しているわけでございますけれども、今後、たとえば児童手当の構想もいろいろ検討されておるわけでございます。したがいまして、そういった児童手当の構想の検討などと相まちまして考えていきたい。かようなことで、実は五十五特別国会におきましても、附帯決議がなされたのでございますが、本年度の予算におきましては、そのように、いま御提案しておるような態度で臨んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/225
-
226・後藤俊男
○後藤委員 別に、ことばじりをとやかくつかまえるわけではございませんけれども、考え方に幾ぶん相違がある。そう言われるなら第一子だけが相違があって、第二子以下は考え方が一緒だ、金額的に一致だから金額の面から申し上げるとそういうことも言えるわけでございます。ぜひひとつ、こういった間違ったものにつきましては、提案されるまでに修正されるのが私は一番よかろうと思う。この問題については、先ほど大臣も言われましたので、ああいう方向でひとつ御尽力をいただくようにお願いいたしたいと思います。
次に、大蔵省の方にお尋ねするわけでございますが、これも去年の第五十五特別国会の附帯事項になっております。「拠出年金の積立金の運用については、被保険者の意向が十分反映できるようにし、被保険者の福祉のため運用する部分を大幅に拡充すること。」大幅に広げなさい、そういう附帯決議がついております。先ほどから言いましたように、二兆三千億でございますか、非常に簡単に私申し上げたわけでございますけれども、現在これらの積み立て金が、いかようにこの附帯決議を尊重した上で利用されておるのか、その点の御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/226
-
227・辻敬一
○辻説明員 この問題は担当が理財局でございますが、担当官来ておりませんので、私が承知しておる限りにおきましてお答え申し上げます。
年金積み立て金の運用につきましては、現在学識経験者でございます公益委員によって構成される、資金運用審議会というものがございまして、その議を経て決定されることになっておりますので、この段階におきましても、いろいろと被保険者の方々の意向を十分そんたくするように配慮されておるように承知いたしております。
それから融資の問題でございますが、四十三年度におきましては厚生年金及び国民年金合わせまして約六千億原資が増加いたしますので、その二五%をいわゆる還元融資といたしまして、住宅でございますとか、病院でございますとか、その他福祉厚生施設でございますとか、あるいは生活環境施設でございますとか、そういうものに重点的に充てております。その額が約千五百億、こういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/227
-
228・後藤俊男
○後藤委員 大きいほうの二兆三千億の中身につきましては、いま言われましたように、大体その方向で使われておるだろうと思います、この程度の説明でございますが、もう少し中身を教えていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/228
-
229・伊部英男
○伊部政府委員 昭和四十二年度末におきます積み立て金の累積見込み額は、厚生年金保険におきまして二兆三千二百六十二億円、国民年金で三千三百二十四億円、合計二兆六千五百八十六億円でございます。年金積み立て金はすべて資金運用部に預託をされ、運用されておるのでございますが、ただいま主計官から説明ありましたように、昭和四十三年度の厚生年金保険の預託見込み額は五千百十七億円、国民年金九百二十四億円、合計六千四十一億円でございます。この額は、船員保険及び国家公務員共済組合等の預託額三百四十二億円とともに、年金資金というワクで、総額六千三百八十三億円として運用されておるのでございます。この年金資金等の昭和四十三年度におきます運用の計画は、国民生活の安定向上に直接役立つ住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設、中小企業、農林漁業の分野に五千二百八十六億円をいただいているのでございますが、この額は年金資金等の総額の八三%に該当するのでございます。また、残、余の千九十七億円は国民生活の安定向上の基盤となる国土保全、災害復旧、運輸、通信、地域開発に充てられており、この額は年金資金等の総額の一六%に相当するものでございます。
なお、先ほど御説明申し上げました八三%の内ワクといたしまして二五%が、いわゆる還元融資または特別融資として被保険者の福祉増進に面接役立つ施設に充てられているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/229
-
230・後藤俊男
○後藤委員 これ以上の説明は、きょうは理財局の関係の方がおいでになりませんので無理だと思いますが、ぜひひとつ、第五十五国会でも問題になりました点がございますので、その点に留意されまして、今後ともその方向でお願いをいたしたいと思います。
それから、次には保険料の免除の問題でございますが、非常に生活が苦しい、所得がない、こういう人に対しては保険料の免除の扱いがあると思います。これらの関係は一体どういうふうな扱いになっておるのか、たとえば年金の支給の関係ですとか、それらの関係につきまして、簡単でけっこうでございますが、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/230
-
231・中村一成
○中村政府委員 御質問の拠出制の国民年金の被保険者中免除者につきましては、全国で、昭和四十二年度、百八十六万八千四百四十八名となっておりまして、その内訳といたしましては、法律でもって法定免除されます者が六十四万三百七十八名、それから本人の申請によりまして免除の取り扱いを受けております者が百二十二万八千七十名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/231
-
232・後藤俊男
○後藤委員 いま御説明いただいたのは数だけでございますけれども、たとえばこういう保険料を免除されておる人が、年金の支給を受ける、こういうふうになった場合に、まるきり全部もらえるのか、一体どういうようなことになっておるのか、その点、簡単でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/232
-
233・中村一成
○中村政府委員 免除の取り扱いを受けた方々は、支給を受けますときには、国が免除されたものの額につきまして保険料の半額に相当するものを負担いたしておりますので、その国が負担して積み立てたものが支給される。したがいまして、免除されない方々に対しまして三分の一の金額が受けられる、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/233
-
234・後藤俊男
○後藤委員 そうしますと、いま言われたのを簡単に申し上げますと、保険料を免除されておる者は、国庫のほうから出しておる分に相当するだけの年金は支給しますが、それ以外は支給いたしません、一口に言って、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/234
-
235・中村一成
○中村政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/235
-
236・後藤俊男
○後藤委員 そうしますと、これは、保険料が免除されておる、かけなくてもよろしい、そのかわり、かけぬかわりに、かけない分だけは全部上げませんよ、国のほうから出す分だけ支給いたします、こういうふうになってまいりますと、情けも何にもない扱いのように私思うわけでございます。たとえば非常に家庭が苦しい、生活に困っておる、所得がない、そういう人に対しまして保険料を免除する、免除はするけれども、普通と同じような支給のしかたをしますよというのなら、なるほどおれらの、貧しい者に対しても温情ある扱いだ、こういうふうに私は考えられると思いますけれども、保険料は免除するかわりに、保険料分だけは支給いたしません、半分になるか三分の一になるかわかりませんけれども、それだけの分だけを支給いたします、こういうふうな水くさい扱いでいって一体いいのかどうか、この点どう厚生省としてお考えになっておるでしょうか、この点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/236
-
237・伊部英男
○伊部政府委員 国民年金制度におきます免除制度並びに免除期間に対しまして、国庫負担に対応する給付を認めるということは、実はあまり諸外国に例を見ない制度でございまして、やはり年金制度が拠出制を原則としております限りにおきまして、やむを得ないものと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/237
-
238・後藤俊男
○後藤委員 これは時間がだいぶ切迫してきましたのであれですけれども、いま申し上げました点につきましては、聞いておられるあなた方もうなずいておられるような点でございますので、ぜひひとつお考えをいただくようにお願いをいたしたいと思います。
その次には、特別児童手当の併給の問題についてお尋ねいたします。老齢福祉年金の場合には併給する、母子福祉年金の場合は併給しない、こういうようなことになっておるわけでございますけれども、これはどっちも併給する、こういうふうな方向に切りかえるべきではないかと思うのです。これも附帯決議の中の一項目としてあると思うわけでございますが、これはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/238
-
239・渥美節夫
○渥美政府委員 御承知のとおり、特別児童扶養手当につきましては、老齢福祉年金などを除きましては原則として併給はやっておらないわけでございます。一方特別児童扶養手当自体が、その家庭の中にありますところの重度の精薄でありますとか、重度の身体障害児について支給されておるわけでございまして、いわばその性格は、介護料的なものではないかというふうな意見もあるわけでございます。したがいまして、この両者は併給すべきであるというふうな意見も非常にあることは承知しておりますし、また五十五特別国会の附帯決議も、そういうふうになっておるわけでございますが、この点につきましては、そのように私ども努力はしておるわけでございますけれども、なかなか十分そのような制度にはまだまいっておりません。これも先ほど申し上げましたように、今後、いま検討されておりますところの児童手当の問題等とも関連いたしまして、その制度の確立といいますか、その制度に近いような観点から検討するというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/239
-
240・後藤俊男
○後藤委員 これも数で申しますと、大体一万五千人くらいと聞いております。これを併給したからどうこうという、金額的にはそうたいした問題ではないと思うのですが、ぜひひとつ、片方は併給するが片方は併給しない、こういうふうな点につきましては、早く改めていただくようにお願いをいたすと同時に、もう一つは、いま言われました重度の精薄、重度の身体障害、これらは特別児童手当の中に含まれておると思いますけれども、内科的な障害、これらは今日扱われておらないと思うのです、入っておらぬと思うのです。これについてはいま厚生省としてどういうふうにお考えになっておるのだろうか、いやそれはもう近くやるのだということであればとやかく言う必要はないと思うのですが、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/240
-
241・渥美節夫
○渥美政府委員 御質問のとおり、現在では特別児童扶養手当につきましては、重度の精薄でございますとか、重度の身体障害のみを対象としております。いわゆる内部障害、たとえば結核でございますとか、あるいは心臓疾患であるとか、こういうようなものに基因するものにつきましては対象としておりません。その理由といたしましては成人と違いまして幼児あるいは児童でございますので、必要に応じまして児童福祉法によりますところの療育の給付でありますとか、あるいは育成医療とか、こういった給付もありまして、そちらのほうでやれるものについてはやっていこうという考え方が一つと、それからもう一つは児童の身体的な成長の問題がございまして、内部障害が決定するということについての認定が相当困難であるという問題もございます。しかしながら、やはり内部障害につきましても、それによって相当日常生活に異常に来たしたり、あるいは両親の介護がきわめて必要であるというふうな問題もございまして、こういった内部障害につきましても、私のほうの児童家庭局といたしましては、それを支給対象とするようにいまいろいろと検討しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/241
-
242・後藤俊男
○後藤委員 いま児童関係の問題につきまして説明がありましたが、遠からず児童手当制度でございますか、これらにつきましても厚生省としては考えておるというふうに私聞いておるわけでございます。大体この児童手当の問題につきましては、いままでも国会で何回も問題になっておると思います。総理大臣の発言の中にもあったように記憶いたしております。これが一体どういうような構想で、具体的にいつ発足しようというような考え方のもとにやっておられるのか、その点簡潔でけっこうでございますが、大略御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/242
-
243・首尾木一
○首尾木説明員 児童手当の問題につきましては、先生仰せのとおり厚生省といたしましてはかねてから鋭意検討を進めてまいっておるのでございますが、今後社会保障制度の体系整備といったような観点に立ちまして、児童手当制度の問題はぜひ実現したい制度である、それが要請されるような時代となってきておるというふうに考えておるわけでございます。
ただ問題は、この制度を本格的なものとして育てていきますには、この制度の基礎というものをしっかりいたしませんと、将来禍根を残すというようなことにもなりかねないというふうにわれわれ考えておるわけでございまして、そういったような点におきまして、基本的な問題について、問題点を詰めていくということを従来からやっておるわけでございます。確かに、いままで厚生省といたしましては、できるだけ早急に児童手当の実現をはかりたい、こういうことを申し上げてまいっておるわけでございまして、現在もそういうふうな考え方でございます。
昨年十二月に児童手当懇談会を発足をいたしまして、この問題につきまして広い角度から種々の問題、基本的な問題点を詰めていただくというようなことを現在やっておる段階でございます。私どもは、この懇談会の結論を待ちまして、その結論をできるだけ早くいただくようにとお願いをいたしておるわけでございますが、その結論に基づきまして将来りっぱな制度として育ち得るような制度を、できるだけ早く実現をさせたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
ただいま具体的な構想ということのお話がございましたけれども、その具体的な構想につきましては、児童手当懇談会の御意見を聞き、また各界の御意見を聞きまして、具体的な構想を固めたいということでございまして、ただいまのところ厚生省としてこういう具体的な案を持っておるということを申し上げる段階に至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/243
-
244・後藤俊男
○後藤委員 この児童手当制度につきましては、諸外国におきましてはかなり実施されておると思いますので、いままでも何べんも問題になっておる点でございますけれども、早急にひとついま言われましたようにりっぱなものをつくっていただくようにお願いをいたしたいと存じます。
次には費用の問題です。これも第五十五特別国会の附帯事項の中の一項目として、地方自治に対する事務的な費用の問題です。この関係につきましては、国民年金法の第八十六条を読みますと、「政令の定めるところにより、市町村に対し、市町村長がこの法律又はこの法律に基く命令の規定によって行う事務の処理に必要な費用を交付する。」こういうふうに書いてあります。政令によって定める仕事に対する費用につきましては全部国が交付するんだ、これが第八十六条の趣旨だと私思います。しかしながら、われわれがあちらこちらを回ったり自治体等の話を聞いてみますと、かなり経費の面で自治体が圧迫される。調べてみますと、大体六割か七割程度だ、こういうふうなことも聞いておるわけでございますが、しかし、先ほど申しました五十五国会の附帯事項の中の一項目でございますので、それ以降もいま申し上げました問題につきましては検討されておるやに聞いておりますが、現在八十六条に基づきまして間違いのない方向できちっと交付されておるのかどうか、この点の御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/244
-
245・中村一成
○中村政府委員 ただいま御指摘を受けました、市町村に対しますところの事務費でございますが、昭和四十二年度につきまして御説明申し上げますと、市町村が支払いましたところの事務費と申しますものは、これが九十一億三千三百万に相なっておるのでございますが、その中で交付金として国から交付いたしましたのは五百二十五億五千万となっておるわけでございます。もっとも市町村が支出しましたものが、すべて法律にいいますところの事務の執行に要する標準的な費用になるかどうかという点につきましては、各市町村によって実情いろいろとございます。これ全部が対象とはならないと思うのでございますが、私どものほうで、これは市町村におきまして負担すべきものであると計算しましたものは七十七億八千万円でございます。それでこの七十七億八千万円と、現に交付しました金額との比率を見ますと、四十二年度で六八%と相なっておりまして、御指摘のとおり一〇〇%とはまいっていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/245
-
246・後藤俊男
○後藤委員 そうしますと、この問題につきましても、今日逐次増額してきたのではないかと思うわけでございますが、ぜひひとつ今後とも地方財政苦しいおりから、これらの点につきましても十分考えていただくということでお願いをいたしたいと思います。
それから最後に、沖縄の年金問題でございますが、今日沖縄復帰国民大運動が展開されまして、遠からず一緒になると思うわけですが、今日国民年金の問題について厚生省としてはどういうふうな扱いをされておるのか、しかも復帰した場合には、これらが国内と同じようにうまくいくのかどうか、それらに対する準備が行なわれておるのかどうか、この点もう時間がだいぶ切迫してまいりましたので、大略でけっこうでございますから御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/246
-
247・伊部英男
○伊部政府委員 沖縄におきます年金制度は、ただいま同地の社会保険長期計画に基づき整備中でございまして、公務員退職年金につきましては昭和四十一年七月、老齢福祉年金につきましては昨年七月よりそれぞれ施行されております。厚生年金保険につきましては本年七月施行を目途といたしまして、昨年六月立法院に提出されまして、ただいま審議中でございます。国民年金につきましては、拠出制年金は昭和四十四年七月に施行を目途としております。また障害福祉年金、母子福祉年金につきましては、本年七月より施行される見込みでございます。
年金問題につきましては、御指摘のように非常に長期にわたる制度でございますので、将来の復帰を念頭に置いて沖縄における年金制度を構成する必要があるのでございまして、この点は実は昨年二月私が沖縄に参りまして、現地の米民政府及び琉球政府とも折衝いたしまして、原則論といたしましては、内地と同じ年金制度をつくってもらう、かつ、これによりまして、復帰前におきましても本土と沖縄との交流を、先ほどお話ございました通算面におきまして容易にいたしますとともに、復帰後におきましても、すなおに日本の国民年金、厚生年金に吸収できるよう原則として同一の制度にしてもらいたいということで、この点につきましては、基本線におきましては了解がついておるものと考えておるのでございます。
なお、職員の訓練等につきましても、厚生省として社会保険大学校の活用、あるいは保険局、年金局への研修生の派遣、及び保険庁、あるいは保険、年金局の職員を現地へ派遣する等のことによりまして協力をいたしておる状況でございまして、今後とも先生御指摘のように沖縄の年金制度の発展のために努力をいたしたいと考えておるものでございます。
なお福祉年金につきましては、日本政府援助といたしまして、総理府のほうに計上されておりますが、福祉年金所要額の八五%を日本政府が援助をするということに今年の予算では相なっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/247
-
248・後藤俊男
○後藤委員 そうしますと、いま最後に言われた日本政府のほうから約八割でございますか、これは琉球政府のほうへ補助として出す。琉球政府のもとに、いま言われたようなかっこうで年金関係についてはやられておる。しかし内面的には、こちらからも行って指導援助をしておるのだ、こういうように解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/248
-
249・伊部英男
○伊部政府委員 大体御指摘のとおりだと思いますが、特に福祉年金につきましては、ただいま御指摘のように、老齢福祉年金につきましては四十二年度に一億一千万円、四十三年度は老齢、障害、母子と入りますが、四億三千万円を援助いたしております。これを財源といたしまして、このほかに一五%が琉球政府の負担になるわけでありますが、本年七月から三福祉年金を支給するわけでございます。そこで、これにつきましても、日本における福祉年金と同額にしてもらいたいということを申し入れまして、その点も原則としては確立しておると考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/249
-
250・後藤俊男
○後藤委員 それじゃきょうはこれで一応質問を終わりたいと思いますが、冒頭からいろいろと要求もし、さらに論議もしていただいたわけですけれども、ぜひひとつ百円、二百円というようなみみっちいことではなしに、一番大事な社会保障制度の一環として、しかも七十歳以上の老齢福祉年金、これは大切な仕事だろうと思いますので、今後とも大幅に引き上げる、こういう方向へ持っていかれるようにお願いをいたしたいと思いますし、さらに先ほど特に念を押しまして確認いたしたようになっておりますけれども、あの三項目の問題につきましては、何かあるときにという時期まで待つのではなしに、十分相談をいただければ何とかなるのじゃないだろうか、こういうふうな気持ちもいたしますので、これらの実現につきましても、精一ぱいひとつ具体的実施の方向へ努力をしていただきますようお願いをいたしまして、質問を終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/250
-
251・八田貞義
○八田委員長 この際、おはかりいたします。
理事小沢辰男君から理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/251
-
252・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次に、理事補欠選任を行ないたいと存じますが、委員長より指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/252
-
253・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に粟山秀君を指名いたします。
次回は明十七日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804410X02619680516/253
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。