1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十三年四月一日(月曜日)
午前十時五十三分開議
出席委員
委員長 小峯 柳多君
理事 宇野 宗佑君 理事 鴨田 宗一君
理事 堀 昌雄君 理事 玉置 一徳君
小笠 公韶君 岡本 茂君
神田 博君 小宮山重四郎君
坂本三十次君 櫻内 義雄君
始関 伊平君 橋口 隆君
岡田 利春君 佐野 進君
多賀谷真稔君 古川 喜一君
三宅 正一君 近江巳記夫君
岡本 富夫君
出席国務大臣
通商産業大臣 椎名悦三郎君
出席政府委員
厚生政務次官 谷垣 專一君
厚生省環境衛生
局長 松尾 正雄君
通商産業省重工
業局長 高島 節男君
通商産業省鉱山
局長 両角 良彦君
通商産業省鉱山
保安局長 西家 正起君
通商産業省公益
事業局長 井上 亮君
自治政務次官 細田 吉藏君
自治省税務局長 松島 五郎君
委員外の出席者
厚生省環境衛生
局公害部公害課
長 橋本 道夫君
参 考 人
(日本自動車工
業会理事) 桜井 淑雄君
専 門 員 椎野 幸雄君
―――――――――――――
三月二十九日
委員塩谷一夫君辞任につき、その補欠として愛
知揆一君が議長の指名で委員に選任された。
四月一日
委員愛知揆一君辞任につき、その補欠として塩
谷一夫君が議長の指名で委員に選任された。
―――――――――――――
三月三十日
電気用品取締法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二九号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
電気用品取締法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二九号)(参議院送付)
通商産業の基本施策に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/0
-
001・小峯柳多
○小峯委員長 これより会議を開きます。
去る三月三十日に付託されました内閣提出、参議院送付、電気用品取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/1
-
002・小峯柳多
○小峯委員長 まず、趣旨の説明を聴取いたします。椎名通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/2
-
003・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 電気用品取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
電気用品取締法は、電気用品の製造、販売等を規制することにより、粗悪な電気用品による火災、感電等の危険及び障害の発生を防止することを目的としております。同法の規制対象となります電気用品は、主として一般家庭において使用されるものでありまして、現在、電気アイロン、電気毛布等二百二十九品目が政令により指定されており、これらにつきまして、製造事業者の登録並びに製造事業者及び輸人事業者の型式認可のほか、技術基準適合義務、表示義務を課する等の規制を行なっております。
しかしながら、最近における消費生活の向上及び技術の進歩に伴いまして、家庭用電気製品が国民生活に広く普及するに至っておりますが、それと同時に新製品の出現が逐年増加の傾向を示しております。このような状況下では、広く一般家庭等で使用される電気用品について、その品質を保証し得るように規制の対象となる電気用品の範囲を拡大するとともに、規制内容の整備をはかることにより、消費者保護の一そうの強化をはかることが肝要と考えます。
このため、この法律案は、電気用品取締法を次のように改正しようとするものであります。
第一に、現行の電気用品を甲種電気用品とするとともに、新たに軽易な規制を課するものとして、乙種電気用品を追加する等対象範囲の拡大をはかることであります。
第二に、甲種電気用品の輸入事業者についても、一定の技術基準に適合するものを販売しなければならない義務を課することであります。
第三に、最近における技術の進歩、発展の著しい状況にかんがみ、甲種電気用品の型式認可の有効期間を、現行の一律七年を改め、品目ごとに三年以上七年以下の範囲内で、実情に即し政令で定めるようにすることであります。
第四に、この法律案により新たに設けられる乙種電気用品の製造事業者及び輸入事業者について、事業開始の届け出、技術基準に適合しなければならないこと等の義務を課することであります。
第五に、甲種電気用品輸入事業者について改善命令の規定を追加するとともに、乙種電気用品の製造事業者及び輸入事業者についても改善命令、業務停止命令等を発動し得るよう規定を整備することであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその主要な内容でありますが、この法律案の成立につきましては、消費者団体等からも、消費者保護を一そう強化する観点から、強い要請がなされているところであります。
政府におきましては、今後法の施行を一そう厳正適確にし、電気用品による火災、感電等の危険及び障害の発生を防止し、もって消費者の利益の保護に一意努力する所存であります。
何とぞ慎重に御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/3
-
004・小峯柳多
○小峯委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
本案の質疑は後日に譲ります。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/4
-
005・小峯柳多
○小峯委員長 通商産業の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
すなわち、通商産業の基本施策に関する件について、日本自動車工業会理事桜井淑雄君を本日参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/5
-
006・小峯柳多
○小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/6
-
007・小峯柳多
○小峯委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。古川喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/7
-
008・古川喜一
○古川(喜)委員 厚生政務次官にお尋ねいたしますが、去る二十七日に、厚生省のイタイイタイ病研究班が研究の結果を発表したわけでございますが、これは厚生省の発表とみなしていいのかどうか、まず伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/8
-
009・谷垣專一
○谷垣政府委員 御質問の研究班の発表は、御存じのとおりに昨年の六月、厚生省から委託をいたして研究をしていただいておった問題でございます。カドミウムを中心とする重金属類の分布とその由来というものがそのテーマになって、研究を委託しておったのであります。先般研究班が最終報告をいたしまする要約を発表したのでございまして、まだ正式の報告は厚生省のほうは受けておりません。いろいろのデータの整備をされて、四月のおそらく上旬には報告を受けられるものと期待いたしておりますが、そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/9
-
010・古川喜一
○古川(喜)委員 われわれもそうでありますし、国民一般も、この研究班の発表あるいは調査が、厚生省の調査であり厚生省の発表だというふうに理解をしておったわけです。なぜならば、あれは選挙制度調査会とかあるいは米価決定の米審の答申というようなものとは多少違っておるのじゃないか。重松班長は厚生省の国立公衆衛生院の疫学部長という、いわゆるお役人である。だから厚生省が直接調査を担当する、そして発表されたことが、厚生省の発表であるというふうに理解をしておったのであるが、いま聞きますと、厚生省の委託であって、あれは厚生省の発表じゃないんだ、こういうことを言われるわけですが、どうも慎重を期されるのはいいが、幾つかそういうクッションを設けて、責任の所在をぼやかしていかれるような感じをわれわれは受けるわけです。従来もややそういう傾向があったから、特にそう感じるわけであります。そして厚生省の発表でないとするならば、いま報告をされたことを、そういう専門的な調査班が調査をして発表しておるのですから、それ以上厚生省は何をやろうとしておるのか、伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/10
-
011・谷垣專一
○谷垣政府委員 厚生省といたしましては、この研究を委託いたしました当初から、こういう研究の結果が非常に重要だということもございますし、また委託いたしました研究班がほかのものに制肘されないで十分に研究されたい、こういう立場でやってきております。したがいまして、研究班としてこの間ああいうような概要の発表をなさったわけでございますので、おそらくその結果は、私のほうがいだだきます正式報告なるものも大差はもちろんございませんし、おそらく大体ああいう結果になるんだろうと予測はいたしますけれども、しかし研究班の正式報告がまだございませんから、したがって厚生省としていまこの段階でこういうことが厚生省の意見だというわけにはまいりかねております。決して研究班の結果をいろいろとどうこうしようという意味ではございませんので、研究班の研究がほかに制肘されないで十分にやっていけるためには、正式報告を待たなければ厚生省として意見が出せない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/11
-
012・古川喜一
○古川(喜)委員 では、調査班の重松班長もしくはその調査班の責任に該当する人がきょう出席されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/12
-
013・谷垣專一
○谷垣政府委員 研究班長はきょうは出席しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/13
-
014・古川喜一
○古川(喜)委員 それでは班員の方でも出ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/14
-
015・谷垣專一
○谷垣政府委員 班員の方はおられません。――担当局長は来ておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/15
-
016・古川喜一
○古川(喜)委員 人的被害から申しますと、日本における最大の公害と言われているわけなんです。したがいまして、非常に重大な関心を国民も持っておるわけなんです。だから、ああいう発表があれば、国会において質問がなされるのは当然であります。したがいまして、われわれも理事を通じまして本日出席を要求しておいたにもかかわらず、出てまいられないというのは非常に遺憾と思う次第でございます。その点をよく伝えておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/16
-
017・谷垣專一
○谷垣政府委員 きょう研究班長が出ておりませんのは、研究班のほうといたしましても、報告を整理して、正式の報告をした段階で国会へ出たほうがいい、こういうようなことできようは出ておりません。いずれ正式報告がありますれば、私たちのほうからも意見を出しますし、またそういう段階に入ると思います。そういうことでございますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/17
-
018・古川喜一
○古川(喜)委員 いま申し上げましたように、日本における最大の公害といわれておるこのイタイイタイ病、それに対する厚生省の政府としての正式な調査機関、その発表がなされたのですから、当然国会で質問が行なわれるというのは常識なんですよ。にもかかわらず、正式に報告がされたということですが、われわれは正式であるとかあるいは非公式であるとかいうことは聞いておらないのです。やはり正式に新聞記者を集めて内外に発表されたものというふうに理解をしておるわけです。あるいは非公式とか、あるいは仮のものとか、その何分の一しか発表していないんだということが、何かに書かれているわけなんですか。どうなっているのです、あれは。何らかにあれは仮の報告だとか、あるいは後日正式発表をするから、これはほんの何分の一しか発表していないんだというようなことが明らかにされておるかということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/18
-
019・松尾正雄
○松尾政府委員 お答え申し上げます。先般の重松研究班がああいうような発表をいたしました経緯を簡単に申し上げておきたいと思います。
研究班といたしまして、研究報告書をまとめるためのいわば最終的な委員会の合同会議を持ちまして、研究報告をまとめよう、こういう作業をやるスケジュールを立てておったわけでありますが、私どもが聞きました範囲では、各方面の先生方がおられるわけでございますので、特に地元では同日そういう研究報告の最終の会議があるということが知れ渡っておりまして、そういう関係でデータをまとめつつあるその最終の委員会の、いわば集約的なものを何か出してくれ、こういう要望がありまして、ああいう表現で重松班長が研究会の中途で御発表になった、こういうふうに私ども聞いておるわけでございます。私どもは、やはりこういう表現の報告書というものだけではなく、かなり膨大なものになりそうでございますが、従来から調査をいたしました詳細なデータのつきましたその報告書を待ちまして、それを十分拝見した上で、厚生省としては結論を出すべきである、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/19
-
020・古川喜一
○古川(喜)委員 昨年の十二月七日に富山市の県民会館において中間発表がなされたわけです。今度の二十七日の場合にはどういう形で発表されたのですか。新聞社に対して中間発表だとか、何かそういう明らかに正式な報告ではないんだということが明らかにされておったのですか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/20
-
021・松尾正雄
○松尾政府委員 研究結果の概要という形で班長が報告をされたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/21
-
022・古川喜一
○古川(喜)委員 とにかく、いずれにしましても、繰り返し申し上げておるように、こういう大きい問題を、概要であろうと発表されて、国会の開会中で質問があろうにもかかわらず出席されなかったということは、まことにわれわれとしても遺憾に思っておるわけですから、十分その点を伝えておいていただきたいと思います。
そこで、あの発表によりますと、三井金属の鉱業所の廃液が主要な原因であろうという、名前が出ただけで一歩前進だというふうに考えておられる方もあるようでございます。しかしながら、われわれは昨年の十二月七日の中間発表から見ると、一歩後退しているんじゃないかというふうな感を抱くわけであります。そこで、次官並びに局長のほうで、あの概要報告がされた経過というものも十分御承知と思いますから、まず御質問申し上げますが、神岡鉱業所の廃液が主要な要因であると同時に自然界のカドミウムの流出というものも考えられるということが発表されておるわけです。その自然界とはたぶん神岡鉱業所の上流をさして言っているのだと思いますが、そのカドミウムの含有の割合がどのようにデータが出てきて、自然界もということばが出てきたのか明らかにしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/22
-
023・松尾正雄
○松尾政府委員 この最終の研究報告書につけられますそういうような見解のもとになりましたデータというものにつきましては、私どものほうへまだ参っておりません。どの程度の差でもってあのような意見が出されたかということは、細部の報告書を待たないとわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/23
-
024・古川喜一
○古川(喜)委員 では概要発表されたことについては、われわれがこれから質問しようとすることに何も答えられないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/24
-
025・谷垣專一
○谷垣政府委員 何にもと言われますとたいへんあれなんですが、いま御指摘のように、研究班のほうで発表いたしておりますのは、要因の物質としてカドミウムがその主因であるということ、それからそのカドミウムの分布が神通川本流によってかんがいされる水田あるいは土壌中に非常に他の河川よりも高度である、濃度が高いということ、それから三井金属の神岡鉱業所付近において特に濃厚であるということでございますから、その由来として同鉱業所並びにその関連諸施設からの排出が主体になっておる。しかしそうは言いますが、同時に、先ほど古川さんのおっしゃっておるように、研究班のほうでは神岡鉱業所より相当上流地点において、わずかではあるがカドミウムが検出されておる、こういうことをあの発表の中に言っておるわけでございます。それが一体どの程度の分量であるかということの御質問は先ほどのようにまだ私たちのほうにそのデータがきておりませんので、これはもうしばらくのことですから、お待ちを願えればはっきりしてくることだと思うのであります。そういうことでございますので、あの概要の結果を報告されましたということ、そのことは私たちは承知いたしておりますから、その中に入っての古川先生の御質問は、もうそれほどこれが遠い時間を要するわけじゃございませんので、もう少し待っていただければはっきりしたことが出てくる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/25
-
026・古川喜一
○古川(喜)委員 私の質問しているのは、主として二十七日に発表されたいわゆる概要発表ということばを使っておられるあの内容についての質問ですから、やはり次官はじめ厚生省の方々は、その概要報告を聞いておられるとするならば、私の質問には答えられないはずはないはずです、それ以外のことを質問しておるわけじゃないんですから。
そこで、では自然界に由来するものも認められる、したがってその寄与度については明確に確言をすることはできないということを言っておられるわけですが。これはこれからの厚生省の問題になると思うのです。次官は、この神岡鉱業所のカドミウムと自然界に由来するものと、どのように寄与しているかということは確言できないということばで終わらせるつもりなのか、今後これをはっきりさせるために再び調査班というものを組織する意思があるかどうか、これを承りたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/26
-
027・谷垣專一
○谷垣政府委員 報告書を見なければ最終的なことは言えないと思いますが、かなり年次の古い問題を検討せなければならぬ段階に入っていくと思います。したがいまして、それはおそらくきわめて困難な追及になるだろうと思います。しかしどうやるかということにつきましては、先ほども申し上げますように、正式の報告書の内容をいただかなければはっきりしたことが申しかねる、こういうことであろうかと思います。ただあの概要報告にもございますように、いろんな点がまだ未解決の問題がございます。たとえて申しますれば、カドミウムが人体にどういうメカニズムでなっておるかというような問題点、これはまだはっきりしないということを言っていますが、こういう点については問題は確かにあろうかと思いますし、また予防措置その他の問題についてどういうようなことをやるかというような問題につきましても問題があろうかと思います。しかし、いまここでそれらのことの確言をいたすのにはやはり正式の報告、相当膨大なデータが出てくると思いますが、それを拝見いたしませんと申し上げかねる、こういうことかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/27
-
028・古川喜一
○古川(喜)委員 正式報告が出ても、これをさらに詳しくしたことで、この概要発表が変更されるような発表というものはあり得るものではないと思うわけです。したがって、いまほど申し上げましたように、神岡鉱業所の重金属の廃液が原因であるというならそれでいいのにもかかわらず、自然界のことをも書いている。ここに問題をぼやかしているという感があるわけなんです。そうすると、ぼやかしたままにしておかれたのでは原因の追及がはっきりしてこないわけですから、この状態のままで置くということはないということをひとつはっきりしていただきたいと思うのです。結果がはっきりしてくればいいが、このような状態で報告されてくるとするならば、やはり自然界の寄与度というものはどの程度のものかということをやはりはっきりする必要があると思うのです。その点をどう考えられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/28
-
029・谷垣專一
○谷垣政府委員 これは公害問題によくあることでございまするけれども、何%の寄与率であるというようなことを徹底した詳細なところまで追及していきますためには非常に困難な場合が多い例が多いのであります。もちろん本イタイイタイ病の問題につきましても、それの寄与率というものを詳細に追及していく必要があると思います。しかしそれは非常に困難な問題がある場合が多いということ。しかし公害の案件というものをはたしてそこまで追及していかなければ解決できないかどうかという問題につきましては、これは行政的にも政治的にも相当考えていかなければならぬ点があるかと思います。科学的な追及そのものは私たちもつとめなければならぬ。ただし、それには非常に過去にさかのぼってのことになりますし、いろんな問題がございますので、非常な困難があるということの御理解は願わなければならない、こういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/29
-
030・古川喜一
○古川(喜)委員 もちろん過去のことでございますから、その追及は困難であろうとはわれわれも想像いたすわけであります。しかしながら、困難であろうとも、現に被害者、患者がいるわけですから、それをやっぱり明らかにしていただく必要があると思うのです。そのことはあとでまた通産大臣なりあるいはあなたの御意見を伺うことにいたしますが、困難であろうとも、まずそれをやっていただきたいということです。
それから今後の調査班は、先ほど次官が申されましたように、カドミウムの分布と由来についての調査が主目的だったはずでございますね。ところが、この重松班の報告の第五番目に、今回の調査によって重金属の分布と由来は一応明らかになったがと、これはこの調査の目的だからそれでいいんだが、カドミウムがいわゆるイタイイタイ病を発生せしめる詳細な機序については相当問題点が残されているとしているわけなんです。これはもう地元の萩野博士等の努力によりまして、いまでは学界でもイタイイタイ病の原因はカドミウムであるということにほぼ一致しておるわけなんです。しかも今度の調査班はその主目的からはずれた。このことに対する専門家が加わってこのことが書かれておるのかどうか、何かここでも問題を後退させているような感じがあるわけなんです。この点どのように考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/30
-
031・谷垣專一
○谷垣政府委員 問題が少し専門的になりましてございますので、担当局長のほうから答えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/31
-
032・松尾正雄
○松尾政府委員 御指摘のとおり、重松研究班の中心になります課題は、分布と由来ということでございます。しかしながら、この研究班の中に衛生学者その他も入っておられるわけでございまして、そういう問題から学問的にいろいろと詰めてまいりましたときに、やはり学者といたしまして、そういう詳細な機序という表現を使っておりますから、カドミウムが原因でないということをここで言っておるわけではございません。それがどのようなたとえば化合物の状態であり、それが人間のからだの中に入って、人間のからだの中でどういう系統でどこに沈着し、どういうところに付着するか、そういう点については学者の意見としてもまだ研究すべき問題がある。いわば学問的な良心に立ってこういうことを述べられたものと私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/32
-
033・古川喜一
○古川(喜)委員 われわれの承っておるところでは、調査班にはそれの専門の方は少ないように聞いておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、主目的でない問題をとらえてこのように書いておることも、さらに今度の問題を昨年の中間発表よりも後退をさせておるという感を持たせておるわけであります。
そこで、先ほど厚生次官が、非常に困難な問題であるし、またその困難な過去の問題を必ずしもはっきり追及させなければならないのかどうかということについても疑問があるというふうに答弁されておりますが、よく新聞に書かれておるように、疑わしきは罰せずという犯罪者に対することばがあるわけですが、公害に対しては疑わしきは罰すべきであるということをよく書いております。このことに対してどのように考えられるか、それによって先ほどの徹底的に追及する必要があるかどうかということも、あなたのことばが生きてくるか、ただ無意味にしゃべっておられるかということになるわけですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/33
-
034・谷垣專一
○谷垣政府委員 疑わしきは罰せずというのは刑法のおそらく原則だろと思います。しかし公害の問題に関しましては未知の分野が非常に多いのであります。こんな席上で言うのはいかがかと思いますが、コレラの発生の場合、私たちがよく聞いておりますのは、ロンドンである医師が追及して、ある井戸の水を飲んでおる諸君がそれと同じ症状を持ってきておるということで、その井戸のあれをふさいで、コレラの蔓延が防がれたというようなことを聞いております。しかしそれさえもコレラ菌が発見されておったかというと、コレラ菌の発見はなかったようであります。そういうふうに、だんだん学門が進んでまいりますれば、コレラ菌というものがこういうふうになるということがはっきりしてくると思います。これはこのままここで申し上げるのはどうかと思いますが、公害の問題にはかなりそういう性格の問題があるように思います。したがいまして、もしも公害問題を扱います場合に、少しでも疑いのある場合には全然罰しないという原則をそのまま当てはめるということになりますと、公害問題の扱いはたいへんにむずかしいものになってくるだろうということを私は先ほど申し上げた。それと同じ意味を申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/34
-
035・古川喜一
○古川(喜)委員 そうすると、厚生次官の考え方は、公害の場合は疑わしきは罰すべきである、そういうふうに考えておるというふうに理解していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/35
-
036・谷垣專一
○谷垣政府委員 疑しきは罰せずという立場に立つわけにはいきません。しかし、疑わしいのをすぐ罰するということを肯定しておるわけではありません。それはおのずからそこに原因の軽重度があろうかと思います。そのことを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/36
-
037・古川喜一
○古川(喜)委員 何回も申し上げておりますように、原因、どこがその主犯であるかということをまだ政府としてははっきりさせておりませんが、地元における萩野博士あるいは岡山大学の小林博士等々によりまして、カドミウムが原因であり、神岡鉱業所が主犯であるというふうに言われておるわけです。そして現に多数の患者がイタイイタイ病で苦んでいるわけです。また過去においては死んでいっているわけなんです。そういうふうに患者が現存しておるのですから、一分一厘も間違いなく調査の結果をはっきりさせてからでなければということじゃなく、主犯は神岡鉱業所であるだけでももうすでに罰せられていいのじゃないかということを私は強く訴えておるわけです。またそういう考え方で厚生省のほうとしても当たっていただきたいと思うのです。
そこで、この問題がいろいろな形でまだまだ長引くということが考えられるわけですが、問題は患者対策です。現在病気をしている人に対する治療費、さらにまたこれから一番先に手をつけなければならないのは飲料水の問題であるというふうに言われているわけです。そしてまた、地元婦中町からは簡易水道の要請書が厚生省へ出ているはずであります。そこで簡易水道なりあるいは土壌の改良などというのは、一町、一県の財政ではとうていまかない切れない膨大な金額になるわけです。土壌の問題は農林省関係ですからここでは申し上げませんが、その飲料水の問題に対して財政上特別な措置というものは講ぜられるのか講ぜられないのか、ぜひ講じてもらいたいということを前々から訴えているわけですが、その点についてどのような考えを持っておられるか、承りたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/37
-
038・谷垣專一
○谷垣政府委員 すでに出ております被害者各位に対しましては、国及び県、市でこれによく似ておりますところの他の事件におきますような被害者とほぼ同じような負担をやっていきたい、厚生省のほうといたしましては、医療研究費補助金をもってこの被害者の方々の医療に当たっていきたいという考え方で進んでおるわけで、これは現在実施しておるわけでありますが、水道の問題につきましては、これはもちろん優先的に認めなければならぬと思って、そういう態度で私たちは考えております。ただ古川先生のおっしゃいましたような、財政的に特別何かもう少し考えろ、ほかの水道よりもひとつ国なり何なりの考え方をもっと加重して考えろという点の問題につきましては、残念ながらいまのところちょっと私たちのほうで十分な方法が見つからない、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/38
-
039・古川喜一
○古川(喜)委員 その簡易水道の問題ですが、いわゆる公害を受けておる人たちの要望なんです。いわゆる公害対策の一環であります。したがいまして、一般の住民が飲料水が悪いから簡易水道を設けようというのと趣旨が違うわけなんです。そういう点で一般の国民が飲料水を要求していると同じような考え方に立つならば、いまのところ何ら方法はないという答えしか出てこないのです。公害対策の一環であるとした場合にそこは何とか考慮できるのじゃないか、こう言っているのです。どういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/39
-
040・谷垣專一
○谷垣政府委員 御存じのように水道の補助金というものがございます。本件に関しましては、当然これは優先的に補助対象にいたすべきものだと考えております。そのほか地方自治団体としての起債その他の問題があろうと思います。これに対しましても私たちは優先的に考えていきたい、こういう考えでこれに対処しようとしておるのでありまして、たとえば補助金の補助率、いまの規定にありますものを公害対策ということでもっと上乗せできないか、こういう御質問の点につきましては、残念ながらいまのところ手がない、こういうことを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/40
-
041・古川喜一
○古川(喜)委員 これからもよく大臣と相談をしていただきまして、先ほど申し上げましたような公害対策の一環としての簡易水道ということで何らか考慮するように、ひとつ研究していただきたいと思います。
そこで、また調査班のことに戻りますが、概要発表と同時に厚生省のほうにも報告されておると思いますが、今度の調査で過去のカドミウムの流出量というものがはっきりしたのかどうか。もしこのカドミウムの流出量というものがはっきりしておらないとすれば、カドミウムの分布と由来ということの調査目的から見ると、その目的も果たされておらないように思うわけですが、それはどのように報告されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/41
-
042・松尾正雄
○松尾政府委員 ごもっともな御指摘の点でございますが、先ほど政務次官から申されましたように、このカドミウム、重金属の流出の状態が実際イタイイタイ病患者が起こりました原因となった時点は、おそらく現在よりももっと前の時代の、過去の時代の流出であろうと思います。それを現在の時点でいろいろ推定をしていかなければならない。これは時間的な意味から申しましても、非常に制約をされておる条件の中の研究でございます。したがいまして、現在の研究班におきましても、まず現状から見まして、この概要の報告にもございますような点をまず明らかにしたい、それが唯一の現在の方向でございます。それと同時に、まだ私どもの報告書の中にはいただいておりませんけれども、過去のことについてある程度推測ができるような資料というものがないかということで、研究班もいろいろ堆積物等を深さによって掘るとか、いろいろなことのくふうは重ねておるわけでございます。ただし、その結果がどのような状態になるかは、まだ私ども詳細な調査が参っておりませんが、少なくとも過去におけるものまで知りたいという態度でもって現状についていろいろと研究を続けてきた。こういう事態でございます。いきなり過去の研究をこの研究報告だけでやれるかと言ったら、これはまだ少し無理な点があるのではなかろうかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/42
-
043・古川喜一
○古川(喜)委員 いまほどおっしゃいましたように、いまの病気の起きてきた過去の経過から見て、やはりずいぶん古い時代の流出量が問題になってくるのだと思います。それにもかかわらず現時点で調査をしておるから、神岡鉱業所の上流の自然界の由来などが出てくるわけです。過去の多量な流出量を問題にして調査するならば、現在のわずかな自然界の流出などというものが出てくるはずがないのです。現時点において論議をするからそういうものが出てきて、問題をさらにあいまいにするというふうな感をわれわれが抱いておるわけであります。したがいまして、これは調査班が出てこないともっともっと詳しい説明も聞くことができないし、それによってわれわれの質問したいことも質問できないわけですから、後日正式に厚生省の発表がなされた際にまたあらためて質問を申し上げたいと思います。ただ、申し上げましたように、今後どうするのかということの問題と、カドミウムの人体への影響について、別の調査班を組んで、これからもあくまで究明をしていく必要があると思うが、その点どのように考えられるかということ、それを一言聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/43
-
044・松尾正雄
○松尾政府委員 この神通川の由来、分布等の問題に関しましては、私どもといたしましては、ただいまの研究班の報告を待ちまして大体終止符を打ちたいと考えておるわけであります。しかしながら、今後予防的な意味、あるいは学問的にもなおきわめておくことが将来のかような問題に対応いたしまして適切ではないか、こういう点もございますので、ただいまのこの由来等の研究とは一応別にいたしまして、先ほど来申し上げましたように厚生省側の研究班といたしましては、そういう機序と申しますか、カドミウムの挙動態様というものがどういうふうになっておるか、そういうことを知ることによって将来の予防等に貢献したいという研究は、通産省とともに一応する予定にいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/44
-
045・古川喜一
○古川(喜)委員 もちろん予防対策のための調査というものも非常に大切だと思います。しかしながら、今度の正式報告を待って終止符を打ちたいということでございますが、まだまだ問題がたくさん未解決のまま残っておると思うのです。私がこうして質疑をしておるだけでもわれわれにも疑問がありまするし、あなた方でまだ完全に答弁もできないし、あるいは納得させることもできないでしょう。そういうままで終止符を打ってしまうというのは私は無責任だと思うのです。こういう調査を県にまかしたり、町にまかしたり、あるいは民間団体にまかして調査ができるはずはないのです。やはり国の力で最終的な結論を出していただかないと、こんなにたくさんまだまだ疑問が残っておるのにこれで終わりだなんというのは、ちょっと無責任だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/45
-
046・松尾正雄
○松尾政府委員 私の申し方が、あるいは先生少し誤解をされますような言い方であったかと存じますけれども、この神通川の現に発生しております患者さん方と、それから、そういうカドミウムの分布、由来とというものとの関連を明らかにする、こういう意味での研究は一応これで終止符を打ちたい、こう申し上げたわけでございまして、今後の調査結果をいろいろとやらなければ、なおかつ今回の結論すらもわからない、こういう意味で申し上げたわけではないわけでありまして、その点は別に一線を引いてまいりたい。ただ御指摘のようにいろいろなわからない点は学問的にもございます。それからまた今後どういう措置をとっていけばその治療に最もいいかという問題等もやはりあるかと存じますので、そういう態度でもって引き続き研究は進めてまいります、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/46
-
047・古川喜一
○古川(喜)委員 お願いを申し上げておきますが、イタイイタイ病の主因である過去の流出量というものは、もちろん通産省のほうでやられるわけでしょうが、できるだけ詳しく調査をしていただくということ、それとカドミウムが人体にどういう影響を与えておるかということについての研究というものも今後も続けていただきたいと思います。それをひとつ要望いたしておきます。
次に、通産省関係の質問を申し上げたいと存じますが、通産省のほうではいま調査班が厚生省と共同調査を行なわれているわけですが、厚生省のほうとしましては、カドミウムの分布と由来などの調査は重複するからやらないと言っているわけなのですね。したがって通産省が厚生省と共同でやるということは、いまほど厚生省から言われたように、今後の予防対策に主体を置いて調査をやるというふうにわれわれは聞いているわけです。その点どのような調査が展開されていくのか承りたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/47
-
048・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 ちょっと経過を事務当局から一応……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/48
-
049・西家正起
○西家政府委員 ただいま先生の御指摘のございました通産省の行なっております研究でございますが、この研究は科学技術庁の予算、特別研究調促進整費でございますが、この予算によりまして、厚生省と共同いたしまして、先生御指摘のとおり、今後の予防対策という点に重点を置きまして、調査を現にやっておるわけでございます。調査の内容といたしましては、神岡鉱山から出てまいりますカドミウムが、神通川の中で、どういう形で、またどういう様子で流れておるかということ、それからまた、鉱山から出ておりますカドミウムの出口というものはたくさんございまして、どの場所からどういう形で出るか、こういったようなことを詳細に調べまして、その結果、さかのぼりまして、今後どういう対策をやるか、予防対策としてどういうことをやれば非常に効果的であるかということを研究するのが目的で現在やっておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/49
-
050・古川喜一
○古川(喜)委員 そのようにわれわれは承っておるわけですが、やはり、それだけでは、現在地元の人たちや患者にしても、不満なわけなんです。もちろん、予防対策は大切ではあるが、現在病気で苦しんでいる人たちの対策、それについては、何が原因であっかということが明らかにされてこないと、万全が期せられないわけなんです。そうでしょう。でなければ、厚生省のほうから治療費だ何だと、県市でもって幾ばくか出してはおります、近年になって出すようになったわけですが、それだけでは、患者対策にはならないわけなんです。だから、それをもっと徹底的に患者対策をやるためには、原因調査というものをもっと続けてもらわなくちゃならないのです。日本の企業は、いままでも人命の保護に対してあまり金をかけてこなかった。それは過去においてもずっとそのとおりなんです。そして、そのことを政府がバックアップしてきたわけなんです。いかにしたら利益が上がるかということが優先しておって、そこに働く人や区域住民にどういう被害を及ぼすか、そのことのための手当てはどうすべきかということを怠ってきたわけなんです。やろうとしなかったわけなんです。それを政府がバックアップしてきたわけです。だから、こういう問題が起きても、国民は通産省は企業者側に立ってものをしゃべっているんだ、企業者側に立って調査をしているんだというふうにしか理解をしておらないのです。そうでないというためにも、やはり過去の原因はこうであった、であるから、これは神岡鉱業所の責任であるということをはっきりさせる調査というものを進めるべきだと思うのです。その点に対してどのように考えられるか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/50
-
051・西家正起
○西家政府委員 ただいま私の説明が、ことばが足りなかったのでございますが、通産省といたしましては、予防対策を現在やっております研究のほかに、当然過去から監督をいたしました監督上の責任がございます。過去の監督記録等、洗いざらいの資料を、これは現在集めておりまして、過去の水がどういうものであったか、あるいはそれによって、鉱山がどのくらいのものを出したかということにつきましては、これは過去の資料をできるだけ集めまして、不完備なところは推定によりまして結論を出す、これしか方法がないのでございまして、そういうことは、ただいまの研究とは別途やっておるわけでございます。ただ最も問題となります戦時中の記録が非常に少ないのでございまして、その点現在の段階では確固たる、数量的にこれを究明するという段階にまで至っていないような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/51
-
052・古川喜一
○古川(喜)委員 そろそろ私の質問を終わりますが、厚生省の調査班は学者によって編成をされておるわけです。したがいまして、政治的配慮というものは含まれてはおらないものとわれわれは信じてはおりますが、どうも答えがあいまいになってきますと、人間ひがみ根性とでもいいますか、そういう考え方が起きてまいります。でありますから、率直に学者として調査されたことを発表していただきたいし、厚生省が最終的な結論を出すときにも、いま私がいろいろ質問をしましたことに対する疑点が解かれるような回答をしていただく、そうでない場合はあらためてまた研究班をつくって、さらに研究を進めていただくということを強く要望いたしておきたいと思います。
また通産省に関しましても、戦時中あるいは過去における廃かすの処理というものは、これは厚生省の研究班ではむずかしいかとも思います。でありますから、通産省のほうでその点は、先ほど局長から調査資料もいただきましたが、さらにはっきりとした調査資料ができますように、今後とも調査を進めていただきたい。でなければ、あるいは患者は、だれに信頼をおいて今後生きていけばよいのか。せっかく国のほうで取り上げて、いろいろの調査班が編成され、富山県にたずねてくる、患者を訪問する。その結果が、何がどこに責任があるのかわからない。うやむやに終わってしまったでは、やるせがないと思うのです。でありますから、厚生省は人命を守る立場から、疑問の点はこれからもどんどん調査を進めていただきたい。通産省は、戦時中のいろいろ起きてきたであろう原因をより詳しく調査をしていただきたい。このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/52
-
053・小峯柳多
○小峯委員長 佐野進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/53
-
054・佐野進
○佐野(進)委員 いま古川さんが地元の関係もあって、詳しくイタイイタイ病の当面調査班の報告を中心にして質問を続けてこられましたが、私はやはりこの問題について、もう少し詳しく具体的に突っ込んだ質問をしてみたいと思います。それから、先ほど堀理事にお願いしましたが、せっかく通産大臣がお見えになっておりますので、通産大臣に別の問題でちょっとの時間、質問をしたいと思います。
最初に、厚生省と通産省両方に関係するのですが、厚生省に質問をしたいと思います。それは今回の調査班の調査の結果、これから発表――二十七日に発表されて、厚生省がそれに対するいろいろいまの答弁の中にあるような取り組みをして発表をする、そういう中で予測される事項というのは、カドミウムが非常に神岡鉱業所の放流した神通川の下流地域に多い。したがって、天然に発生して放出されたカドミウムよりも、鉱業所におけるところの過程を経て放流されたカドミウムがイタイイタイ病の原因になっておるということは、その政治的な配慮が加わる加わらざるにかかわらず、明確にならざるを得ないと思うのです。そういうことになった場合ですね、いま現実の問題として病人が発生しておるし、それに苦しんでおる人たち、あるいは死んでおる人たちというように非常に多く出ておるわけですから、現在の調査班の発表されたという時点の中で厚生当局は、この具体的な措置、取り組みについて、どのようなことをしておるかということについて御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/54
-
055・谷垣專一
○谷垣政府委員 すでに発生しております被害者の方々に対しましては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/55
-
056・佐野進
○佐野(進)委員 被害者じゃなくて、そういうカドミウムが出ているということに対して。被害者はあとで聞きますから……。いわゆるカドミウムが鉱業所から出ているということが原因だというのはだれしもわかっているわけですね、これは。それがどうかという結論はわかっている経過の中ではっきりしているのだから、当然それに対する予防対策を願わなければならぬと思うのですが、それをどうやっているかということを聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/56
-
057・谷垣專一
○谷垣政府委員 この研究班の調査いたしまして発表いたしました概要報告によりますと、現在流れております水そのものは、カドミウムの含有量というものはきわめて少なくて、人体の影響はない、こういう発表をいたしております。分布、由来の研究班が調べましたのは、堆積物、土壌等、これらの中におけるカドミウムの含有量等を調べておるわけであります。もちろん現在流れておる水も同様に調べております。そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/57
-
058・佐野進
○佐野(進)委員 現在流れ出ている水の中にカドミウムが含有されておる、その含有されておることは人体に影響ない。その影響がないということは、一つの学術的な見地に立って、現在その瞬間に流出する水の程度では人体に影響がないであろうけれども、それが堆積されることによって人体に影響が出ておるのだということは、当然報告書のうらはらの面において明らかにされたことだと思うのです。そういう点、いま流れておる水が希薄された形の中においては影響がないということだけであって、これが濃縮されたり、あるいは一瞬の時点の中においては、人体に影響する程度のものが流れていないとは、だれしも、年中、四六時中調査班が調査しているわけではないのですから、そういう心配があることは当然のことだと思うのです。そういうことに対して対策を立てておるかどうかということを厚生省にお伺いしておる。そういう対策を立てていないということなら、ないでいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/58
-
059・谷垣專一
○谷垣政府委員 やはり実際の飲用に使います水道の問題が大切だと思います。現在地元のほうからの御要望がございます水道に対しましては、先ほどお答えいたしましたように、厚生省といたしましては、優先的にこれを取り扱ってその実現を推進していく、こういう考え方でやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/59
-
060・佐野進
○佐野(進)委員 厚生省のほうがその程度の答弁だと、通産省でもっといい答弁が出てくるとは思わないのですが、通産省の鉱山保安局のほうでも、カドミウムの流出ということが長期にわたり、現在の流出する段階においては一応希薄された状態の中で、水道の水として使用するにはそう差しつかえないだろうという程度の見解ですね。差しつかえあるかないかということは、これはわからないわけだから、その水を長期にわたって飲むことによって、あるいはイタイイタイ病の原因になっているかどうかということも、これはわからないわけだ。だから少なくとも厚生省は、そうなる可能性を持つという程度だと――積極的な意思表示があるかと思ったら、そうじゃなくて、かまわない、何にもやっていない、こういうことですが、通産省はこれに対してどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/60
-
061・西家正起
○西家政府委員 通産省といたしましては、いま先生御指摘のように、蓄積されたことによって、現在の水を相当長期間飲むことによってこういう病気が起こるということでございますと、これは非常に大きな問題でございますので、問題発生以後、昭和三十八年から三回にわたって神通川流域を、水系に従いまして精密な水の調査をやってきたわけでございます。その結果によりますと、確かに山元から川に排出される口におきましては、ごく微量のカドミウムが現在でも出ておるわけでございます。しかし、それから少し下流のほうにまいりますと、現在の分析技術としては全然検出されない程度のものになってしまっております。したがいまして、その間しからば利用地点においてどのくらいのものを飲用水に使えば無害であるのかという点でございますが、これにつきましては、まだ日本では基準はきめられていないわけであります。しかしながら、世界各国等でやっております一応の基準というものがございまして、これによりますと、〇・〇一PPM以下であれば水道の場合は大体一生飲んでもだいじょうぶであるといったような報告がございまして、そういう点と照らし合わせてみた場合に、利用地点におきましては、現在の分析では、〇・〇〇一、その十分の一までは分析ではかることができるわけでございますけれども、それにものっかってこない、検出されていない、こういうような状況でございますので、現在の水に関する限り、まあ鉱山の排出口で飲みますと問題だと思いますけれども、少し下がりました下流のところ以下でこれを飲む分には影響はないのじゃないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/61
-
062・佐野進
○佐野(進)委員 それではいまの質問、厚生省のほうに返りますが、これは通産省のほうの所管になるのかとも思いますが、いわゆる神岡鉱業所から流れ出るカドミウムが長期にわたって堆積されて、そのことが原因でイタイイタイ病になったのではないかということが、調査班の最終的な政治的な発表は別として、技術的な発表は、そういうようにわれわれとしては受け取れる。こういうような状況になっておるとき、そのカドミウムが流出する方法が、いわゆる極度に微量に薄められた状況の中で放出されるときと、きわめて濃度の高い状況の中で――これは過失であるかあるいは意図的であるかは別としても、そういうことも当然考えられるのですが、そういうような措置については、現段階まで、調査が終了するまで、何ら厚生省としては、あるいは通産省としては、対策を立てていないのかどうか、いまのままの放出状況の中で経過しておるのかどうか、この点ひとつ両方にお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/62
-
063・橋本道夫
○橋本説明員 いま御質問になった点でありますが、一つは現在の鉱山の排水処理の程度はどうかという点でございますが、鉱山の排水処理の技術に関しては、非常に高度なものが昭和三十年以降行なわれておるというぐあいに判断いたしております。
それからもう一点につきましては、私どもの研究班が調査したときに、一回工場の事故がございまして、それによって一時的に高濃度の排水があったということがいわれております。それにつきましては、直ちに鉱山保安局に連絡をいたしまして、鉱山保安局のほうからも改善についての命令を出して、完全な処理をしたいというように聞いております。
もう一点は、一体どれだけのカドミウムが入れば病気になるのかという問題でございますが、これは非常に学問的な問題もございますけれども、一応、先ほどの答弁の中にございましたように、水道の中のカドミウムの量につきましてのアメリカにおいて行なわれている基準ということと、もう一つ同型鉱山を厚生省は洗っておりまして、それらを見ました判断と、両者を加えまして、完全な防止をはかるということで進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/63
-
064・西家正起
○西家政府委員 先生御指摘のとおり、現在の処理はだいじょうぶでございますが、何らかの形で事故がありました場合に、それじゃ流れる心配はないか、こういう御質問でございますが、先ほど厚生省のほうからもお話がございましたように、確かに事故があったことはございます。その場合には、非常に時間的に短い期間でございますが、高濃度のものが流れ出すおそれがございますので、その後、事故がかりにあった場合も、それが直接川の中へ流れない、もう一段そこに悪い水をためるような措置を講ずるように、これは厳重に現場にも指示をいたしまして、現在では、かりに事故がございましても、そういう高濃度のものが直接は流れない、こういうようにいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/64
-
065・佐野進
○佐野(進)委員 私、なぜこういう質問をしたかと申し上げますと、多賀谷さんいらっしゃいますが、きょうかきのうの新聞あたりに対馬でもイタイイタイ病かというような記事もあり、阿賀野川水系の問題あるいはまた水俣病の問題等、全国における公害が、いわゆる工場公害という形でなく鉱山公害というか、こういう形の中で発生する条件は、単にこのイタイイタイ病の神岡鉱業所だけでなく、全国的に発生している条件があるわけですね。当局の取り締まり、取り扱いというものが、そういう全国的に発生している条件の中で、いわゆる末期的というか、どうにも住民、国民がやりきれない、命を失う病気になる、そういうような形になったとき調査をする。調査の中においてもいま言ったとおり、表面的にあらわれておる上の、現在許容されている水量の中においては問題ないからだいじょうぶだ、不測の事故ないしそういうような条件の中で、あるいは地下に浸透して、さらに伏流して上へ上がってくるというような問題そういうことについては対策というか取り締まりというか、そういうことについて本来果たさなければならない責任を回避とまでは言わないけれども、積極的に取り組んでいない。そういう印象が非常に強かったわけですから、この問題については、ひとつ両当局とも、現存するそれぞれの施設に対してもっと積極的な防止対策について取り組みをしてもらいたい。そういうことをさっきの厚生政務次管の御答弁の中でも、私の真意を御理解にならなくて、非常に的はずれの答弁をされているという点もございますので、この点強くひとつ要望をしておきたいと思うんです。
それから第二番目ですね。問題が発生して、住民が各大臣に会ったり、患者が会ったりなんかして、いろいろな問題について非常に社会問題となって要望が強くなっている。こういう中で、地元である富山県等においては、県費をもってこれらに対する患者の、すでに発生して病気にかかっておる人たちに対する救済等に対してもきわめて熱心な取り組みをしているわけですが、政府が政府機関としてこれらについて、いわゆる医療というか個人補償――補償とは言いませんが、その病気にかかった人の救済についてどのような取り組みをしたか。この際、簡単でけっこうですからひとつ御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/65
-
066・松尾正雄
○松尾政府委員 昨年四十二年度におきましては、県市と共同いたしまして、厚生省からも約六十三万八千円の予算であったと思いますが、三カ月分のそういう医療、いわゆる健康管理、こういった面の目的で国からの費用を出しておるわけでございます。それから四十三年度以降におきましては、この報告書等を見ました上で、公害による被害の患者であるという形をとりました上、ただいま二千万円の公害医療研究費補助金というものを予算に計上していただいておるわけでございまして、これをもちまして県や市と相談をいたした上で、その治療、及びできれば要観察患者といわれている者の健康管理という問題につきましても費用を出してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/66
-
067・佐野進
○佐野(進)委員 二千万円のいわゆる医療に対する――医療というか、その対策として地元の県当局と話し合ってというような事態でございますから、それが多いのか少ないのかということについて、いまここで早急に申し上げるわけには私自身もいきませんが、しかしいずれにしろ、県当局あるいは地元あるいは世論というものが非常に高まっておるときですから、六十三万という金額では全く政府当局がこの問題についての取り組みの熱意について、公害基本法ができ、公害関係が非常に重視されている段階におきまして厚生当局としてはまことに冷たい取り扱いではなかったか、こういう気がいたしておったわけです。そこでこれらの問題については、この調査の結果どうなるかということについては、先ほど来お話がありますように、現段階の中においては、この調査の中間発表からこの結論発表という形の中において後退されたという印象が、私も対比しながら読んでまいりました中においても多分に政治的なというか、それが入ってないと言われるでしょうが、そういうにおいが感ぜられる。そういう形の中で政府の施策というものが後退しておるということを非常に私は懸念するわけです。いわゆる産業優先、もちろん産業を振興することもけっこうでございますが、そのために公害の犠牲になる人たちに対する対策がおろそかになってはいけない、こういう面が非常に強く感ぜられますので、その面についてはいま二千万円の研究費がこの調査結果のいかんによって措置されるということでありますが、これは厚生省、通産省両方にお尋ね申し上げたいのですが、今後増額する、いわゆる問題の経過の中において、あるいは地元におけるそれぞれの問題取り扱いの発展の中で増額し積極的に措置される、こういうようなことも予想しているかどうか。当然予想されなければならぬと思うのですが、この際ひとつお考えをお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/67
-
068・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 厚生省の予算に計上しておる二千万円の増額云々のことは、厚生省のほうからお答えがあると思います。通産省といたしましては、その原因の究明を待って責任額を支出するというようなことでは、現実の災害に対してあまりに手ぬるい。現にそういう災害が起こっておるというそれだけの問題を取り上げまして、公害一般の問題として、事業者側の原因の有無にかかわらず、団体等からの資金を募って、そして何らかの基金をつくるとかいうようなことをして、この救済に当たるようにしたいという考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/68
-
069・谷垣專一
○谷垣政府委員 公害の対策、ことにその救済対策の問題は、たいへん重要であろうと思います。したがいまして、私たちのほうといたしましても、本格的というと語弊がありますが、救済対策のための法案を実は提出したいと思いまして、いろいろ用意をいたして、各方面と折衝をしつつあるわけでございます。しかしそれが待てませんので、先ほど申しましたような公害医療研究費補助金という形で二千万円計上しておるわけでございます。したがいまして、いろいろな状態の具体的な結果によりますれば、この問題に対してまた増額のことを考慮しなければならぬ時代があろうかと思います。いまの段階ではほぼこれでまかなえるものだ、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/69
-
070・佐野進
○佐野(進)委員 それでは次へ進みますが、そういう対策をお立てになっていろいろ政府としての責任を果たしつつあるということについては、一応いままで努力せられつつある経過とともに、私は認めていいと思うのですが、ただここで、これは鉱山保安局長のほうの担当になるかどうかわかりませんが、イタイイタイ病の患者遺族が総額六千一百万円の損害賠償の訴えを、富山地裁に会社側を相手どって訴えを出しておる、こういうようなことが行なわれておるわけですが、この調査結果に基づいて患者が会社側の責任によってその病気になったという原因が明らかになったとき、いわゆる裁判を提起しておるわけですが、そういうような形になったときの会社側の責任というものは、通産当局としてはどのように考えておるのか、あるいは会社側としてはこういうような事態についてどういうような――問題が発生し現在まで会社側としてどのような取り組みをしておるか、経過をひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/70
-
071・両角良彦
○両角政府委員 お話がございましたように、最終的に裁判の結果によりまして法律的な解決がつくということになっております。しかしながら、その前に厚生省におかれまして最終的な見解を発表されるということになりましたら、通産省といたしましても、裁判の結果とは別個に、当事者としての鉱山側と地元側との和解のあっせん等々につきまして、地元、県当局とも十分協力をしながら進めてまいりたいと考えております。また、企業側におきましても、さような場合には十分これに協力をしていく意向があると私どもは承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/71
-
072・佐野進
○佐野(進)委員 神岡鉱業所が、いわゆるその事業運営の中で、その会社経営の原則に基づいて措置したことが、その副産物というか、そういう事業運営の経過の中で一つの不測の損害を付近住民に与えた。したがって、その与えたということが、いわゆる無過失な責任というか、自己の意思に基づくところの被害ということでなく発生したという状況の中で、会社側としても、その責任について、それを追及され、その賠償を要求されることについて相当程度困惑をせざるを得ないというのが偽らざる状況ではないかと思うのです。したがって、そういうような状況の中で、会社側の責任ということを追及する過程の中で、裁判の結論が出るという形の中で本問題の処理をはかるということは、非常に長期にわたるし、実際上現在の鉱山の経営の現状の中に見ても、そこに非常に無理があるのではないかということ、これは、私その財務内容を調べたわけでもないからよくわかりませんが、したがって、そういう事態が予測されるということが一般的な常識であるとするならば、そういう事態に対して、政府が政府の責任の中でいわゆる一般公害の問題として取り組めるのかどうか。いわゆる政府がこの問題について、会社側と住民との間に、さっき和解という表現がありましたけれども、それは裁判上の和解でなく行政上の措置として何らかの対策がとり得るものかどうか。これは鉱山局長に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/72
-
073・両角良彦
○両角政府委員 最終的には司法裁判所の判決に従うということでございますが、その前の段階におきましても、現在の鉱業法によりますれば、通産省といたしましては和解の仲介ということができることになっておりますので、われわれとしては、厚生省の結論を待ちまして、和解の仲介のあっせん等については積極的に地元当局と協力しながら話を進めていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/73
-
074・佐野進
○佐野(進)委員 そうなりますと、調査結果によるところの発表がもう迫りつつある段階の中で、住民は、昨年の中間発表あるいはその後における経過の中で原因と結果が明らかにされつつあるという、いわゆる被害者としての心情に基づいて非常に大きな期待感というものがいま発生しつつあると思うのです。したがって、そういう場合、これらの問題について、会社側とその被害者との間に、あるいは県当局を含めた形の中で、通産当局がその仲に立つということは、政府も、さっき厚生省が言われたと違った意味において、できる限り責任ある立場において善処する、こういうぐあいにいまの答弁を聞いておいていいかどうか、この点ひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/74
-
075・両角良彦
○両角政府委員 厚生省の結論によりまして鉱業所の責任というものが明確になる段階におきましては、当然われわれとしては積極的にさようなあっせんの労をとりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/75
-
076・佐野進
○佐野(進)委員 いまの段階でそれ以上答弁を求めても無理だと思いますから、次へ進みたいと思います。
そうすると、このいわゆる調査班の調査結果は近日のうちに正式に厚生省の発表として発表されるということを私どもは予測するわけですが、そういう状況の中で、問題が非常に具体的に煮詰まった形の中で一般に提起されてくると思うのです。したがって、厚生省としては、この発表の内容について、いわゆる中間発表というのがこの間、さっき古川さんの御質疑の中でいろいろ経過のやりとりがありましたが、発表されたわけですね。これが文章としての表現の中で、もちろん政府の機関としての発表の中でしょうから若干の表現の差はあるでしょうけれども、大綱としての内容の変更は、当然調査結果というものは具体的なデータに基づいて調査結果を発表しておるわけですから、それはそうないと判断していいのですか。これは局長でもけっこうですから、どういうような形式になるか、この際聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/76
-
077・松尾正雄
○松尾政府委員 詳細なデータをいただきまして、それを私どもも十分検討いたしました上でございませんと、正式のどういう形ということをいま予見を申し上げることは困難かと思います。ただ研究班が行ないます発表というものは、いろいろな記述の中においては、やはり学問的な立場という形から、いろいろな疑問点は疑問点として先に残すという表現をとられたと予想しておるわけでございます。しかしながら、私どもがある行政上の措置をとろうという判断をいたしますときには、多少それとは違った表現も許されるのではないか、こういう程度のことはいま考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/77
-
078・佐野進
○佐野(進)委員 私は、厚生省が発表されるとき、このとおりの発表になるとは当然考えておりませんが、いわゆる新聞発表そのものではないと思います。ただ中間発表から最終発表の段階の中で、だれもが考えて一歩後退したのじゃないかという疑念、これはあなた方は一歩後退でないと感ずるかもしれないけれども、いわゆる社会的な通念の中で公害という問題を前提として取り組んでみる場合、何か消極的な表現というか、そういうものがところどころに散見される、いわゆるずばりという形がカムフラージュされた形の中で、同じことを言っておってもどうでも解釈されるようなことになる、そういう可能性は十分あると思うのです。
そこで、先ほど来通産当局に対して質問申し上げ、通産大臣も局長も、これらの問題については非常に積極的な取り組みをしようという説明もあるわけです。ともすれば厚生省は公害の原因を探求し、それぞれ地域の住民のために問題の取り扱いをしよう、通産省は事業者の立場に立ち、事業者の利益を守るという形の中で問題の処理をはかろう、こういうことがともすれば言われて、その結果問題の解決を非常に長くする、そういうのがいままでの例であったと私どもは考えておるわけですが、そういう意味においては、いまの段階における本問題についての取り扱いではそう差がないように私は感じておるわけです。したがって、公害問題がいま日本の政治、行政の中に占めるウエートというものがきわめて高い段階の中で、ひとつこの調査結果については、そういう政治的なというか、行政的なというか、そういうものに左右されないで、いわゆる事実的というか、ありのままの形の中において問題の本質をえぐり出し、そしてこれらの解決をはかるということに積極的な取り組みをしていただきたいものだと思うわけです。
そこで、最後に御質問を申し上げたいと思うのですが、これは先ほど来お話がありましたけれども、一体いつ最終的な取りまとめの結果の発表が出るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/78
-
079・谷垣專一
○谷垣政府委員 私たち期待いたしておりますのは、研究班の報告が四月上旬ということでございますが、上旬と申しましてもかなりおそくなるだろうと思います。したがいまして、その資料等を私たちが拝見をして、そして検討を加えなければなりません。と申しましても、もちろん四月の下旬には報告ができる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/79
-
080・佐野進
○佐野(進)委員 まだいろいろあるのですが、堀先生もあとほかの方もいらっしゃるので……。それからさっき、緊急問題だからきょうはぜひ通産大臣に質問をしておきたいと申しましたが、何か委員長のほうの要望であとにしてくれということでありますから、イタイイタイ病の問題で堀さんが御質問をされて、あるいは岡本さんがやったあとで適当な時間があれば、委員長の御配慮で質問をする時間を与えていただきたいと思います。このことを希望いたしまして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/80
-
081・小峯柳多
○小峯委員長 関連で多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/81
-
082・多賀谷真稔
○多賀谷委員 二点ほど質問をいたします。
厚生省に質問いたしますが、とりあえず治療の問題とそれから飲料水の問題ということを古川君から指摘があったわけですが、飲料水の問題は、これは何か方法はないかということですね。というのは、いままでの補助金のほかにさらに上積みをする問題について方法はないか。すなわち、いま石炭の鉱害の場合は、御存じのように有資力の場合は三分の一国庫補助、それから無資力の場合は三分の二が国庫補助、地方公共団体が三分の一、こうなっているわけです。石炭の場合は臨時石炭鉱害復旧法によって無資力の場合の規定がありますが、メタルの場合にはない。いま鉱害であるかどうかということが問題になっているわけですが、どうせあなたのほうは、最近は補助率をきめる場合でも補助金を出す場合でも必ずしも法律によらないで、いい慣例ではないけれども、ほとんど予算で補助金を出しておる。ですから、とりあえず石炭の無資力鉱害のような簡易水道の処置をしたらどうか。これは、あとでいわゆる加害者というものが判明した場合に、それをさらに追及をして、そうして一部納付金を入れさせるという方法もあると思う。現実に困っておる、あぶないと言っておる、しかも飲料水に飲ましておる、イタイイタイ病はどんどん出ておる、死傷者は出ておる。厚生省はのほほんとして手をこまねいて、一般的な補助率以外にはありません、こういう手はないと思うのですね。他に国の制度があるわけですから、まずそういったことを早急になぜ考えないのか。現実にあなたのほうの所管で石炭鉱害の水道をやっておるわけですね。ですからそういう知恵がないはずがない。もし神岡鉱業の責任でないといえば、もうそれは神岡鉱業には追及がいかない。それは国家の支出ということになるわけです。こういう方法をなぜとらないか。とれるはずではないか。これは予備費から出るはずではないか、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/82
-
083・谷垣專一
○谷垣政府委員 石炭鉱害の水道の問題を提起になって、それと同様の便宜措置がとれないかという御質問でございますが、確かにこういうような鉱山の害が常例的に出てくるというような場合、これはそういうような構想を持ち得る余地が将来としてはあると私は思います。また救済の問題につきましても、やはり同様の問題を考える余地はあると私は思います。しかし現在の段階におきまして、多賀谷さんの御指摘のような予算措置、予備費の支出なり何なりでやれるかと申しますと、それはいまの段階ではやはりやれない、こういうことを申し上げておる次第でございまして、石炭鉱害の発生のような、あれはかなり長い歴史の経過を経て、ああいうものが出てきたわけです。鉱山の害の場合は、ああいうような定型の場合は、いつか起きるというような状態のもとにおきましては、将来の問題としては考えるべき余地はあると思います。しかし現在の予算措置では、この水道の問題に対しましては特別の助成措置は無理ではなかろうかと思います。起債の問題その他現在許されておりまする段階における一番優先したやり方をやりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/83
-
084・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、恒久的なものだったら、何もあなたに質問しなくても、法律によって行なうわけですから問題ない。いま問題は緊急にしてしかも行政処置を要するというわけでしょう。ですからこういう方法があるのではないかと示唆しておるわけです。ですから他に例があるのですから、これが類型的に出て、典型的なものになれば、それは当然鉱山局長もほうっておけないでしょう。いま問題は、そうでない、緊急的な問題ですから、他に例があるならば、その例を見ならったらいい。しかも、これはそもそも鉱業法に基づいておるのですよ。これは石炭とメタルは別になっていない、鉱業法の原則は。鉱業法における鉱害賠償は一本の規定ですよ。そこで具体的な処置としては、石炭のほうが非常に金額においてもかさむし、現実もはっきり鉱害として認定できるからというので、特別立法がある。しかし、母法は鉱業法に基づいておる。しかも賠償規定という規定がある。ですから、メタルのほうについても、いま鉱害であるかどうかという問題が一つの問題になっておるけれども、無資力の場合は鉱業権者について追及しないのですから、あるいは権者行くえ不明の場合は鉱業権者は追及の方法がないのですから、そういう方法をとりあえずおやりになったらどうですか、こう言っておるのですよ。ですから私は、恒久的なものでそれが恒常的に出てくれば何もあなたに特別に質問をする必要はない。当然、政府として出さなければならぬ。ですから、とりあえずの処置としてはそういう方法をおやりになったらどうですか。なるほど石炭の場合は法律によって行なっておるけれども、行政処置でも、最近、政府は補助金を出しておるのですから、すなわち、予算処置として出しておるのですから、予算処置としておやりになったらどうですか、こう聞いておる。しかもとりあえず神岡鉱業の責任追及の問題は起こっていない。だからこういう方法を講じたらどうかと言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/84
-
085・谷垣專一
○谷垣政府委員 御存じのように、現在水道に対しましては補助対象にしておるわけであります。したがいまして、その補助率を多賀谷さんがおっしゃるようにふやす、あるいは加害者の負担するであろうというものを予定して先に政府がそれを出しておる、多賀谷さんがおっしゃることを言いますと、こういうようなことになるかと思います。これはいまの段階では私たちのほうはできない、こう申し上げておるわけでございます。鉱業法の石炭鉱害との関係は私よく存じませんけれども、法律その他があるのではないかと思いますが、ちょっといまの本件に関します水道の問題についてはそれはできない、こういうことを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/85
-
086・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は必ずしも神岡鉱業を追及する予定として言っておるのではない。石炭の鉱害の場合は、その加害者である鉱業権者が行くえ不明の場合、それから権者が無資力になった場合は三分の二という補助制度がある、こう言っておる。そういうことを行政的にとりあえずの問題として――人命にかかわる問題でしょう、ですからおやりになったらどうですか、こう言っておるわけです。これはぜひ研究してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/86
-
087・谷垣專一
○谷垣政府委員 御趣旨のことはよくわかります。検討はいたしたいと思います。また将来の処置としても検討もいたしたいと思いますが、現在、私たちのところで補助率の増加という問題はやれるか、こうおっしゃると、いまのところはやれない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/87
-
088・多賀谷真稔
○多賀谷委員 しかし、あなたはえらいこだわっておる。何にこだわっておるのか。厚生省は人命をあずかるのでしょう。しかもきわめて緊急なんでしょう。で、私が質問しておるのは、神岡鉱業の問題はまだ役所としては認めていないから、それは無理だろう、しかし、こういう制度がありますよ、こう言っておるのですよ。ですから、それは神岡鉱業の責任でないということになれば、国が余分に支出したということになるわけですけれども、それは当然こういう貧弱町村に負担さすべき問題じゃないですよ。ですから、検討はしますけれども必ずしもそういうわけにいかないかもしれぬという答弁はないでしょう。厚生省側に立って私が一生懸命質問してやっておるのでしょう。どうなのですか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/88
-
089・谷垣專一
○谷垣政府委員 御趣旨のように、鉱業法あるいは石炭鉱害の特別法について私よく承知いたしておりません。したがいまして、いま御指示のような問題について十分検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/89
-
090・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次に鉱山局長に質問いたしたいのですが、金属鉱業のほうで一体どのくらい鉱害賠償費というのは一年間に払われておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/90
-
091・両角良彦
○両角政府委員 全国的な統計はちょっと手元にございませんが、神岡鉱業所に関しましては、従来地元側との相談によりまして、毎年約二百五十万円くらいの協力金を支払いまして、鉱業の操業に基づく一般的な被害に対する補てんに充てていただくという趣旨で協力体制をとってきておることを承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/91
-
092・多賀谷真稔
○多賀谷委員 古河鉱業の足尾銅山はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/92
-
093・両角良彦
○両角政府委員 手元に資料を持っておりませんので、いずれ御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/93
-
094・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は役所は近視眼的で非常に鉱山会社に不親切だと思う、いままでの制度上。短期的には非常に親切なような態度を通産省はとっておるけれども、長期的に見ると、きわめて不親切なんですよ。なぜ私がそういうことを言うかといいますと、鉱業法における賠償規定ができたのは昭和十四年です。足尾銅山の問題が起こって国会で取り上げられたのは明治二十二年です。その間全然法律に関しては何らの規定を持たなかった。さて昭和十五年から実施ということになると、既往の鉱害というのはばく大な鉱害になっておるのです。ですから、神岡鉱山の場合は、御存じのように三井金属は製錬もやっておりますから、神岡鉱山が閉山しても、そのほうで費用は将来においても出ると思います。そういうことはあり得ないけれども……。しかし、鉱山だけをやっておる会社については、手当てを打つなら早く打たないと、いよいよ廃山まぎわになって鉱害の処理をしなければならぬということになれば、その会社は破産するでしょう。現実に石炭の鉱害を見てごらんなさい。いま鉱害は八百億からあるですよ。そうして、実際は千億をこすだろうと私は見ておるのですよ。しかも、三井でも三菱でも、非常な鉱山の隆盛期には大部分の益金をみんな三井合名会社や三菱合資会社が吸い上げておる。少なくとも昭和十五年までは実際は鉱害賠償は行なっておりましたけれども、法律制度には何ら恩恵がない。そして、現実に鉱害が発生しておるけれども、現実に賠償しなければ損金に落ちない。そのことはどういうことになるかというと、鉱害というものは一度に起こるのでないのですよ。石炭の場合でも、一層、二層を掘ったときには地上に出てこないですよ。三層四層を掘ると一層、二層分も地上に出てくるのですよ。いまも起こっておる神岡鉱業の場合だって、これは戦争中あるいは戦争前の問題かもしれぬ、こう言っておるでしょう。ですから、問題を遷延すると損金に落としたり引き当て金をとる方法がなくなる。ですから、鉱山というものがだんだん衰退をしたときにおいてメタルにおいても鉱害賠償の問題が起こってくる。そのときにはどうにもならない。石炭だって明治から大正、昭和の初めにかけて隆盛のときに鉱害賠償の引き当て金でも出しておればいいけれども、もう昭和の戦争後になって賠償問題が大きくなったら手も足も出ないという形になる。ですから原因の発生時において損金に落とすなり引き当て金に入れるなりの制度にしておかないと、いよいよ賠償するようになっては、もう資力がなくなる。ことに中小鉱山などということになれば当然資力がないです。本日の日経に「対馬でもイタイイタイ病発生」というのが出ておる。これは会社でいえば東邦亜鉛ですね。要するに亜鉛、鉛。ですから私は、これをもって一律に断定することはできないと思うけれども、鉱山局においても鉱害賠償の問題は早く手当をして制度的につくっておかないと、鉱山側に非常な迷惑をかけることになる。役所は短期的にいうと何か鉱山のほうを擁護してやったというような感じを持っておるかもしれないけれども、長期的に見ると、結局賠償というような問題が、今後社会が進むに従ってだんだん激しくなることはあたりまえです。ですから当然賠償するなら賠償するような制度を早くつくってやる、そうして賠償しやすいような制度に乗せてやるということが肝心じゃないか、こういうように考えるわけです。これに対してひとつ通産大臣から答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/94
-
095・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 大体お考えの方向については同感であります。
〔委員長退席、宇野委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/95
-
096・宇野宗佑
○宇野委員長代理 堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/96
-
097・堀昌雄
○堀委員 実は私も本日厚生大臣の出席も求めてこの論議を十分にしたいと思ったのでありますが、実は報告は何も出されていない、その概要として出されておるものはオーソライズされたものではないということが、けさの理事会で明らかになりました。取り扱いについては私は少し問題提起をいたしておいたのですけれども、どうも私この問題をずっと調べてみて感じますことは、科学の問題と政治の接点という問題を、もう少し政治の側というものは考えてみる必要があるのじゃないか。この病気についての過去の経緯をずっと調べてみますと、すでに富山県のレポートでは、三十七年以来非常にいい調査をされて、集団検診をしながら新しい患者を見出して、それに対してはビタミンDの大量療法その他でたいへんいい努力が続けられておるわけですね。私はこの問題はそういう意味での疾病に対する問題というものが確かに一つありますから、それは医学の範囲内での仕事として行なわれるべきものだと考えておるわけです。しかしいま私どもがここで取り上げておるのは、疾病の問題として取り上げておるわけではないということですね。要するに、われわれが普通の生活をしておるのに、何らかの他の原因によってそういう普通の正常な状態が阻害をされるようなことが起きておる。そうするとそういう普通の生活の状態を守らせるのがわれわれは政治の課題ではないかと思うのです。だから要するに、ずっとこの問題を調べて感じておりますことは、厚生省の側でも、あるいは通産省なりその他の役所の側でもそうですが、何か科学的にはっきりしたものが出ない限りは行政の発動というものはそれから先にしようではないかという一貫した発想が、私は流れておるような気がしてしかたがない。しかし現実に問題は起きておるわけですね。原因は確かに、カドミウムであるのか亜鉛であるのか、あるいは鉛であるのか、この問題についてはそれは問題があるかもしれない。しかし少なくとも重金属によって問題が起きておるということの方向が明らかになった時点、この時点は相当に古い時点にすでにあるわけですね。しかしその古い時点から今日まで政治的な問題の動きは一つもない。政治は何をやったか。調査費を組んで、それの調査をしたにすぎないのですね。これは私は日本のこれからの政治のあり方として非常に重要な問題があると思うのです。現在の私どもの文明というものはだんだんと進歩していきますけれども、本来、われわれ人間というのは、いうなればけだものなんですよ。いいですか、動物、けだものなんですよ。ただ文明の進歩によって、衣服を着、建物の中に暮らし、加熱した食料をとり、いろいろな文明の恩典に浴しておりますけれども、そのことは本来の人間の姿からだんだん変革をされてきておる。要するに、自然の人間がいうならば加工的な人間の方向へだんだんといきつつあるわけです。それがいい方向に加工されておる場合には問題がないのですけれども、悪い方向にも加工されつつあるというのがいまの文明の進歩の中における重要な問題だと私は思うのです。ずっと見ておりますと、水の中にカドミウムが大体〇・何PPMだったら心配がないとかあるとか、そういうような議論が前にされている。しかし、あるとかないとかの前に、もし科学的に非常に精密に言うなら、実はこれはわからないことなんです。非常に長期の問題になってくるとわからない。ラッチとか何かを使った動物実験がいろいろされておるのですけれども、そういう実験を見て、あの小さな動物に対してあの量であの時間で起きるならば、人間では実験ができないけれども、もっともっと可能性のある問題というのはあり得ると思うのです。しかし、それはわからないのです。そんなのがわかるまで研究をして、わかったころにはそれじゃ人間のほうはどうなるのかというと、人間はたいへんひどい目にあって、次々と死んでいく人もある。だから私は、学問は学問としてやっていいのじゃないかと思うのですけれども、もう少し政治なり行政が人間というものをまともに考えてみる必要があるのじゃないかと思うのです。それについて、通産大臣及び厚生政務次官からひとつお考えを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/97
-
098・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 この問題のみならず、たとえば阿賀野川の問題でありますとか、鉱山が唯一の犯人じゃないが、その他の犯人の一人であるというような大体の見当はついておる、見当はついておるけれども、的確に、これこれの鉱山がほとんど逃げる余地がないのだというところで究明されるのを待って問題を解決するということでは、御指摘のとおり、もうおそ過ぎるし、そういう問題の究明は究明とし、少なくとも、そういう問題が社会的に発生しておることは何らかの関係があるということがほぼ推定ができるものならば、これはやはり犯人というらく印を押されてからどうのこうの言うのじゃなしに、ひとつの社会的連帯責任というような意味から、適当な業界に呼びかけて資金を集めて、そうしてそこに基金なり何なりをつくって、とにかく救済をやるという考え方を、一つの方法として定型化する必要が起こっているのじゃないかということを私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/98
-
099・谷垣專一
○谷垣政府委員 厚生省としては、もちろん人の生命と健康を守るのが立場でございます。したがいまして、いま堀委員のおっしゃいましたところの考え方は、私たちは賛成でございます。と申しますよりも、具体的にそういう施策を講じなければならぬと思います。公害の基本法ができまして、それに付随いたします諸立法をしなければなりませんが、その中の一つの構想として、公害の紛争をやる以前においてそういうものの救済対策を考える、こういう考え方が当然に出てまいります。私たちは素案を持ちましていろいろやっておりますが、まだ国会等にお願いする段階には至っておりません。しかし、御趣旨は当然そうあるべきでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/99
-
100・堀昌雄
○堀委員 いま通産大臣がおっしゃったことはたいへん重要な問題だと私は思うのです。というのは、いろいろな地域で調べてみると、これからまだいろいろな問題が出てくるかもしれないと思うのです。その場合に、いま通産大臣のお話しのように、とりあえず具体的な対策ができるようなシステムを政府がある程度指導してつくっていくことが、いまずっと見ますと、これは非常に重要なのではないか。このイタイイタイ病について何か具体的な住民に対する対策――要するに、研究調査費はずいぶんいろいろなかっこうで県が組んだりあっちが組んだりして、研究調査だけは一生懸命先へ進んでいますが、これはいいことですよ。いいことだけれども、いま通産大臣がおっしゃったように、ある程度この問題はこういうものだとわかったら、住民その他に対する具体的な政府の施策なり予算なりというものが、この研究調査以外に何かこれまでついたでしょうか、ちょっとそれを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/100
-
101・松尾正雄
○松尾政府委員 確かにイタイイタイ病患者に対して私どもがただいままでやってまいりました具体的施策といったものは、費目の上では調査費とか研究費とかいう名前のもので出ております。おっしゃるとおり、調査や研究だけやっているというような印象をお持ちになることはごもっともだと存じますが、昨年の暮れに、イタイイタイ病患者に出した費用は、単にその調査とか研究とかいうことではなくて、現実の医療というものが行なわれる中で、そういう問題も加味しながら、さらに患者の実際上の救済がはかれるような性質のもので出したわけでございます。確かに費目の上からは多少調査研究だけだという印象を与えているかと思いますが、さような気持ちで出したのではないわけであります。ただ、先生御指摘のように、そのようなものではなくて、もっとしっかりしたものが用意してあればいいのではないかという御意見には私どもも同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/101
-
102・堀昌雄
○堀委員 そうすると、いま医療費の一部がそういう中から出ているという話ですが、御承知のように現在国民皆保険ですから、この地域も国民健康保険の被保険者でしょう。そうすると、要するに、入院したりしている人たちの自己負担分について何かそこで配慮したということでしょうか。この中には具体的に患者になっている人たちがおりますね。疑わしい条件の者もありますね。いろいろな階層に分類されていることを調べてみてわかったわけですが、こういう場合に入院治療を要する人たちもあるだろうし、そうでなくて、外来によって処置をされる程度の人たちもあるだろうが、現実にいまビタミンDの大量療法が非常にいいということならば、そういうことによって、ごく疑わしい者についてもおそらく積極的な対策が医療上はとれるだろうと思いますが、そういう部分について何か五万円の打ち切り的なものが出たというふうなことが何かに書いてあるのをちょっと見たのですが、もしそういうことをやるというのならば、中途はんぱでなくて、入院費の半分の部分については見てやるとか、あるいはそうなれば国民健康保険のそこの財政は小さな財政でしょうから、長く入院しておれば今度は国保財政そのもののほうに負担がくるだろうから、国保財政に対しては何らかの協力を国はやるとか、少なくとも本来あなたのほうの所管内でやれる医療対策だけでもまず先に完全にやっていいのではないか。病気には間違いないのです。何の原因で起きていようと病気には間違いない。その病気は患者個人の不注意で起こったのではなく、社会的な条件によって起こったのだから、それについては社会的な責任において国がその負担をいたしましょうということは当然だと思いますが、どこらまで行なわれておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/102
-
103・松尾正雄
○松尾政府委員 ただいまのイタイイタイ病患者の方々につきましては、いわば要入院や要治療が七十三名、それから要観察が百五十三名ほどおられるわけであります。県と市と国の費用というこの三つを合わせて最も有効に使っていきたいという趣旨でございまして、たとえば、いま御指摘のように、国保の一部負担について、その費用を負担するということ以外に、患者さんの現実の病状から見まして、御承知のように、低カルシウム、低栄養というようなことも言われておるわけでございます。したがいまして、そういうような栄養の摂取ということにも使っていただけるものである。あるいは、この治療研究につきまして、かなり熱心な研究も行なわれております。たとえば金沢大学等では、より専門的に、患者さんを引き取りまして研究をしたい。これはまた、ほかの患者さんのためにも非常に役立つのではないか。そういう患者さんの輸送費でございますとか、そういうものも考えたわけでございます。それから、要観察の患者、いま直ちに要治療という状況ではございませんけれども、引き続き観察をしなければならない、そういう方々に対しましては、レントゲンだとか、血液の検査も、その費用からやってほしい。こういうことで、私どもの公害課長が暮れの最後のころに参りまして、地元の先生あるいは病院や県、あるいは患者さんの代表の方々ともお会いいたしまして、そういう形で、単に治療費の一部負担であるというような消極的な面にとどまらないで、できるだけ前向きにいろいろな対策ができますようにという配慮のもとに行なったつもりでございます。
その結果といたしまして、従来、要治療患者が七十三名というように診定されておったのでありますが、現実にその段階で治療を受けていた人というのは十数名しかいなかった。まことに私ども残念であったのでありますが、ただいまのような、いろいろな諸般の措置を講じ、また、県のほうからも非常に熱心な個々の指導をいただきまして、ただいまのところは、七十三名の方が全部、それぞれの治療を受けておられるというところまでまいりましたことは、私どもといたしましても、一歩前進したのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/103
-
104・堀昌雄
○堀委員 とりあえずは、医療対策及びそういう日常生活上の便益の問題について、これは、私は、厚生省として、ひとつ遺憾のない処置を講じてもらいたいと思うのです。というのは、一応、予算に計上して、予算が切れたらおしまいですということになったら困るのですね、問題の性格は。ですから、どうかひとつ、その報告が出ましたら、私、また報告を十分拝見をして、大臣、きょう御出席いただいて論議をしたのでありますが、本日のところは、まず、いま私が申し上げたような現在起きている事実に対して、国として果たさなければならない責務だけは、私は、やはり万全を期して果たしてもらいたいと思うのですよ。あとの、原因がどこからどう来たから、それはどうするかというのは、これは別の問題で、私、いま多賀谷委員の話を聞きながらそう思うのですが、いまの根本の重要な問題は、こういうことが起きないようにするということだろうと思うのです。私、いまの水道問題を非常に重要だと思いますのは、これは、水が浸透して井戸水からくるというだけではなくて、この地域の土地の中には、すでに何回か水害か何かが起きて相当の土砂が流出しておりますから、土地の中にもうカドミウムが相当にあるのだろうから、もし問題のない水がきても、その土地の中にあるカドミウムが溶け込まないという保証はないだろうと思うので、私は、やはり問題のない水が飲めるような条件くらいは考えるべきじゃないかと思うのです。
私は、ちょっとこれに関連して、日本の水の問題というのがたいへんなことになりつつあると思うのですが、私ども阪神間に住んでおる者は一体どういう水を飲んでいるかといったら、京都市の皆さんが水洗便所で全部流した水をこして飲んでおるわけですよ。
〔宇野委員長代理退席、委員長着席〕
一体私はこんな、片方で文明国だの、世界第三の鉱工業生産だのなんていって、あすこにおる何百万という住民が、上流で流した排便の水をろ過して飲まなければならないなんて、文明の世の中で考えられないほど無神経なことが実は行なわれておるのですよ。私どもは、やはり当然琵琶湖から、飲料に要する水ぐらいは、そういう排便の水とは別個の処置として行なわれるべきだと思うけれども、なかなかそう簡単にいかない。だから、私は、そういう意味で、いまの問題も、これはちょっと性格が違いますけれども、やはり水ぐらいはまともなものが飲めなければ、憲法に保障する最低の文化的な生活にならぬのじゃないかと思うのですよ。どうでしょう、厚生政務次官、やはり水と憲法の問題というのは、やはり水というのは、心配のない清潔な水を飲むというのが最低の文化的生活だと思うが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/104
-
105・谷垣專一
○谷垣政府委員 淀川の水のお話は、まことにそのとおりでございます。水さえ十分に飲めないなどということは非常に残念なことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/105
-
106・堀昌雄
○堀委員 いや、淀川だけでなく、私はただいま淀川を例に引いたのですが、いま多賀谷さんの言われたように、その点でも、憲法の規定する面から見れば、わずかな費用ぐらい出したっていいんじゃないかと思いますから、ひとつあわせて要望いたしておきたいと思います。
それじゃ、私は、質問の主たるものは、正確な発表がありましてからに譲ることにいたしまして、どうぞ通産大臣、いまのお話を通産省の立場からぜひ具体化をしていただきたいと思いますから、通産大臣も御発言いただいたことですから、ひとつよろしくお願いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/106
-
107・小峯柳多
○小峯委員長 岡本富夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/107
-
108・岡本富夫
○岡本(富)委員 このたび発表されました厚生省の研究班の発表につきましては、次の公害委員会で大臣に出席を求めていろいろとやりたいと思います。
そこで、これは先般の予算分科会で、公害基金の設立、これをいまやろうと考えておる、五月、六月ごろにやろうという目途を持っておるんだ、こういう言明がございましたが、現在どういう動きをなさっておるか、この中間報告をまずしていただきたいと思うのであります。これは大臣にひとつお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/108
-
109・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 これは、そういう方向でものを考えていきたいということを申し上げたのでございまして、これから業界のほうに働きかけて実現の方向に問題を進めてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/109
-
110・岡本富夫
○岡本(富)委員 この問題はずいぶんやかましく言われまして、そこまで考えてこられるようになったわけですが、ひとつ強力に働きかけていただきたい。聞くところによると、政務次官の藤井さんが一生懸命がんばってくださっておるということも聞いて安心しておりますけれども、特にこれはきょうは要望しておきます。
次に、イタイイタイ病の問題につきまして、今度科学技術庁から予算が出て、通産省と厚生省の共同研究、こういうことでいまやっておりますけれども、若干心配な面が一つあります。それは、西家鉱山保安局長の言明によれば、これは今度は予防の面からこの調査をしておるのだ、こういうようなお話がありましたが、予防という美名に隠れて、そして厚生省の結論に対して反駁を加えよう。一つの例といたしましては、かつての阿賀野川の問題がございます。これを私は非常におそれておるわけでありますが、そこで、その一つのあらわれといたしまして、今度の調査は第一日目が三月二十五日。共同研究の共同という趣旨がみごとに破られた一日であったと、こういうように言っている人があります。これは、ちょうどそのときは、神岡鉱業所がストだったわけです。そして、そのストを理由に厚生省と別行動をとった。厚生省のほうでは、一緒にやらなければならぬというわけで、通産省に協力を求めたのですが、なかなか協力できないので、本省のほうに電話をして、そして厚生省の本省から通産省の本省に連絡がいって、初めて行動が一緒になった、こういうようなことを調査をしている人がいます。大衆は愚にして賢なり、壁に耳ありということを言いますが、最初からこういうようにこの共同研究がそごを来たすようでは、私はほんとうに心配であると思うのですが、西家さんにひとつ、これは今後についてもまたその当時の状況についてもはっきりしてもらいたいと思います、大事なことですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/110
-
111・西家正起
○西家政府委員 先生御指摘の共同研究でございますが、これはあくまでも今後の予防対策に資するために、河川の中におけるカドミウムの状態をより一そう明らかにしたい、こういうことでやっておるものでございまして、厚生省の今回の四月上旬に発表されるところの結論を引き延ばそうという意図は毛頭ないのでございます。それから三月二十五日の件でございますが、実は、私はその件、ただいま初めて先生から承ったことでございまして、現地のいざこざの状態につきましては、実はまだ存じ上げていないような次第でございます。詳しく関係者からいきさつを聞きまして、善処したいと思っておりますが、今回の共同研究につきましては、三つ項目がございまして、そのうちの一つは、厚生省、通産省の共同研究、あとの二つにつきましては、全体として共同研究でございますけれども、通産省が受け持つ、こういうことでやっておるわけでございまして、中央におきましては非常に密接な連絡のもとにやっておりますので、今後そういういざこざは起こらないとわれわれは確信をいたしておりますけれども、なお二十五日の事情につきましては詳しく調べていただきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/111
-
112・岡本富夫
○岡本(富)委員 同じ川の水を同じ時間に同じ場所でとったその答えというものが、若干発表されておりますが、これは井田川の高善寺橋、神通川の有沢橋、あるいは神通川の小泉橋、ここにおいて同じ時間にとった水によっての検査の結果が通産省と厚生省との差がある、こういうことも出ておりますが、この点について私は思うのです。ただ研究班にまかしておかずに、もっともっと陣頭指揮をとって、この人命の問題について解明をし、また予防もする、そうしなければ、また起こってくるところのこの被害の予防というものはできない、これを私は強く感じたわけですが、これに対して西家さんから答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/112
-
113・西家正起
○西家政府委員 昨年の夏以来の河川の水質の調査でございますが、厚生省とともに同じ資料をとりまして、それぞれ別のところで一応分析をやってみたものでございますが、詳しい資料は、まだ全部の突き合わせが終わっておりませんけれども、私、直接拝見したところによりますと、若干のでこぼこの数字はございます。これは分析の際の誤差もございまして、通産省のほうが多く出たり、若干その幅はありまして、完全な一致を見ていないところもございますけれども、大体におきましてこれはそう問題となるほど大きな差がない、こういうふうにわれわれは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/113
-
114・岡本富夫
○岡本(富)委員 あなたはまだこの問題について全部の報告を受けてないかもわからないのですが、これは参考までに申し上げますけれども、通産省のほうでは酸性、それから厚生省のほうでは中性よりややアルカリ性、こういうように出ている。したがって、私はこの問題についてもあなたに申し上げたいことは、もう一ぺんよく厚生省側と打ち合わせをして――せっかく多額の金をかけて調査し、また研究もしようというのに、その基本のところから、最初から両者にそういうような相違があるということでは、私は今度のほんとうの共同研究というものがおかしくなると思うのです。これは西家さん、この点について厚生省とよく連絡をとって、次の調査についてのプッシュと申しますか、あるいはまた研究の方向について指示をするかどうか、これをお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/114
-
115・西家正起
○西家政府委員 御意見に従いまして、そういう食い違いのないようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/115
-
116・岡本富夫
○岡本(富)委員 そこで、現在川の水の拡散調査で、ウラニル塩を流してその状況を判断をしておる。ところが、そのウラニル塩とカドミウムは比重が違う。なお、戦時中あるいはまた戦後、特に戦前、戦時中においては軍の命令で乱掘をして、そうしてたくさん流した。当時のこの付近にいた人たちは、川に白い水が一ぱい流れて、魚が浮かんだ、こういう目撃者がたくさんいるわけです。したがって、当時の状況を検査するにつきましては、現在の川の状況も変わっているわけです。ダムができたりして。その点についてどう考えるか、西家さんからお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/116
-
117・西家正起
○西家政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、過去の状態の再現ということはなかなかむずかしいことでございまして、現在と昔の水とは確かに違っているのじゃないかと、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/117
-
118・岡本富夫
○岡本(富)委員 そこで、現在、昭和二十二、三年からダムができたりして、この対策については鉱山側でも考えておりますけれども、戦前あるいはまた戦時中、あるいは三十年、三十三年、この付近に調査された小林教授あるいはまた萩野博士、この人たちが一番当時のことをよく知っていらっしゃる権威者であると思うのです。したがって、このイタイイタイ病の対策については、これから追跡する人よりもさらにいままで研究された人たちの意見を大きく尊重したほうが私は対策として非常によいのじゃないか、こう思うのですが、このお二人の意見を大きく尊重するかどうか、これについて西家さんからお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/118
-
119・西家正起
○西家政府委員 通産省といたしましても、戦時中、それから戦後につきまして、一応あらゆる限りのデータをもちまして、現在そのまとめ中でございますが、カドミウム被害調査につきましては、厚生省のほうで、先ほどの両先生を含めた調査団ということで、組織的に調査をやっておられるわけでございまして、これらの調査結果はもう間もなく出るということでございます。われわれのほうにも見せていただくということになっておりますので、その調査そのものはもちろんこれは尊重いたしまして、十分検討いたしまして考え方を出したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/119
-
120・岡本富夫
○岡本(富)委員 先ほど大臣から、要するに今度のイタイイタイ病あるいは公害の主犯について疑わしい、あるいはまた、その主犯であるかもわからぬ。今度の発表によりますと、やはり大半が、このイタイイタイ病の問題は、神岡鉱業所の排出したところのカドミウムであるというように言われるけれども、自然界のものがあるから、その寄与限度についてはわからない。そうすると、たくさんのあの被害者が出ましたが、その人たちから見れば、このカドミウムは、また流出さしたところの会社というものは、犯人であります。たとえば、人殺しをした犯人に対しては、徹底的にこれは調査しそして糾明していくのが普通であります。今度の通産省側のやり方について、こういう面がある。それは、今度の調査について、通産省の調査班が神岡鉱業所の車に乗って向こうの方と一緒に調査に回っておる。たとえば、これはちょっとおかしいと思いますけれども、犯人の主犯であると目される人の車に乗って調査に行って、ほんとうの調査ができるかどうか。私はこの面については現場の写真もとり、全部調査を終わっております。こういうことでほんとうの今度の原因調査ができるかどうか。この点について、大臣、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/120
-
121・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 いま初めて伺うわけですが、まあ、ああいう不便なところでございますから、なかなかタクシーを雇うとかあるいはその他の車を使用するというようなことは、便宜の点から言うと、非常に困難な事情もあったと思いますが、それが事実上の判断に狂いを生じさす原因になるかどうかということについては、私は調査班に従事した人を直接知っているわけじゃないけれども、そこまで疑ってかかるということは、どうも少し、あまり、私の常識が許さない。しかし、よく調査をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/121
-
122・岡本富夫
○岡本(富)委員 いま、不便なところですからタクシーがあまりないし、そういうわけだということでありますが、もう一点だけ申し上げておきますけれども、ちょうどこの調査の当日、通産省側では雇い上げたタクシーをずらりと並べて、そしてやっているのです。厚生省側はワゴンという一台の車だけです。この力というものがここにはっきりあらわれている、こういうように地元では言っている。したがって、これは大臣、疑うというのはおかしいのですけれども、やはりよく保安局長ですか、これに指示をして、現在のこの積み上げられた調査が結局は結論として出てくるわけです。こういうようなずさんな調査をしていて、それをここで机上でもって今度は論議したところで何になりますか。この問題については、私どもは大ぜいのなくなられた方やあるいはその他いま苦しんでいる方の立場に立てば、ほんとうに慈悲のある行政としてこの人たちを守っていかなければならぬという考えであれば、私はいま大臣がおっしゃられたような答えは出ないと思うのですが、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/122
-
123・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 いま鉱山保安局長からちょっとささやかれたのですが、調査班が雇い上げたタクシーに乗って調査したそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/123
-
124・岡本富夫
○岡本(富)委員 この問題はひとつあとよく取り締まってください。ここで論議しても時間がありませんから。
そこで、次は鉱山局長にお聞きしたいのですが、地元の神岡ニュースという新聞によれば、鉱業所の篠原さんという次長が、神岡を守る会というものを町会でつくらした。すなわち賛成が二十四、反対がこの圧倒的多数でもって神岡を守る会というものをつくったらしい。そこで演説しておる、話をしておるには、御存じのごとく去る九日富山県の富山側の患者と遺族の一部はイタイイタイ病を法廷に持ち出しました、そのねらいというところは別なところにある――いかにも政治のものを考えられておるような発言でありまして――今後農業方面にまで万一波及されるような事態になりますと、補償金はそれこそ何百億というおそれがある、いま法廷に出しておるところの要求というものは六千数百万――何百億も払ったら神岡はつぶれてしまうから、あなた方生活できないのだぞ、こういうような言い方だと思うのです。これについて当地の状況を鉱山局長は御存じでしょうか。両角さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/124
-
125・両角良彦
○両角政府委員 ただいまお話しをいただきました事実があったかどうかは、私どもは伺っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/125
-
126・岡本富夫
○岡本(富)委員 なおその上に、もしもイタイイタイ病で富山県側がそういうことをするならば、年間約十億も富山県から物を買っておる、これを富山県の品物をボイコットしてしまう、こういうような町内で排斥論まで起こっておる。これは明らかに鉱山側が町民やいろいろな人たちに世論を巻き起こして、そうして今度のこの問題を有利に運ぼうとするところの意図である。やはり三井には力がありますから、これではいつまでたっても日本の国の公害というものはなくならない。またはっきりした犯人というものも出てこない。そういうことをあなたが、初めてであります、これでは私はうなずけないと思うのです。おそらく現地の状態もあなたは鉱山局の局長として御存じだと思います。したがって、私は、企業側に立つのか、あるいはまたこの問題を追及して、これを一つのケースとして、日本から公害をなくそうとするところの熱意があるのか。お金より人命を尊重しなければならぬ。それは企業も大切です。かつて総理は、人命を軽視したような経済成長は、これは健全な経済ではない、こういうように言っておりましたけれども、両角さんの考えはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/126
-
127・両角良彦
○両角政府委員 お話にございますように、イタイイタイ病の補償問題につきましては、人命にもかかわることでございますし、現に患者の方も苦しんでおられるということでございまして、われわれとしてもできるだけ早く、できるだけ公正な補償問題の解決ができることが望ましいということで、毎日さような方向で考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/127
-
128・岡本富夫
○岡本(富)委員 過去の外国の参考文献なんかを見ますと、アルミ工場に働いている人には非常にに骨折が多いとか、そういうような文献もあるわけです。そこで私はこの一つの問題をとらえて、通産行政のあり方として、やはり企業を守るのも大切でありますけれども、この一つのことで社会不安を起こすようなことでは相ならない。したがって鉱山側に対して、そういうことがあったかなかったか、あるいはまたそういうことがあればいけないじゃないかというような取り締まり官庁として意見を言い、また指導していくのが大切ではなかろうか、こう思うわけでございますが、通産大臣どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/128
-
129・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 もちろん企業の育成も大事でございますが、それが社会不安というか、そういったようなものと抵触する場合には、企業育成というものにおのずから限度があるということを考えなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/129
-
130・岡本富夫
○岡本(富)委員 いま私が質問いたしましたのは、この企業に対して、そういうような住民を扇動してそして原因追及に対してはぐらかすと申しますかこの問題をいいかげんにしていこうという考えを捨てさせて、そしてこの問題ははっきりして、払うべきものは払い、また助成してもらうものはしてもらう、こういうすきっとした態度にしたほうがいいと私は思うのですが、通産大臣から関係の両角鉱山局長に対して、この神岡鉱業所に対してそういうことをしないように、そういううわさを出されるようなこともしないように、こういう注意はできるでしょうか、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/130
-
131・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 それはもう私から注意するまでもなく、通産省としては、まず企業育成も大事でございましょうけれども、社会の福祉を犠牲にするというようなことは、これはもう絶対やれないことでございます。平生そういうふうに言い聞かしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/131
-
132・岡本富夫
○岡本(富)委員 平生言い聞かしたのだしという話でありますが、すでにこのニュースは三月二十二日金曜日のニュースです。いま、すでにそういうように発表され、また神岡を守る会なんというものもつくったりして富山県に圧力を加えておるこの問題に対して、あなたが直接お話しなさるというのもおかしいでしょうから、両角さんを通じて企業に注意をすることができるでしょうか、ということを聞いているのです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/132
-
133・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/133
-
134・岡本富夫
○岡本(富)委員 時間もおそくなりましたから、きょうはこれくらいでおきまして、今後りっぱな答えと、またりっぱな研究によって日本の将来を守っていく、また公害をなくしていく、こういう面に力を入れていただきたい、これを最後にお願いいたしまして終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/134
-
135・小峯柳多
○小峯委員長 玉置一徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/135
-
136・玉置一徳
○玉置委員 本日は商工委員会におきまして国政一般について、幸い大臣も出てこられましたので、審議をすることになったわけでありますが、主としてイタイイタイ病の問題についてでございましたが、私は先般の地方行政委員会におきます自動車取得税の問題につきまして、でき得れば商工委員会との合同審査をお願いをしておった関係もございますので、自動車取得税につきまして簡単に質疑をさせていただきたい、かように存じます。
そこで、主として細田政務次官にお伺いしながら、関連いたしまして大臣並びに参考人にお伺いをしていきたいと思います。
自動車取得税でございますが、建設省所管の道路整備五カ年計画六兆六千億を見ましても、漸次比重は国道から地方道のほうに移りつつあるとはいいますけれども、いまだに十分でないと思います。ことに市町村の道路につきましてはこの感が深いわけでありまして、ましていわんや地方の自主財源の要請は非常に久しくいわれていることでございますので、地方道の道路目的税と申しますか自主財源を付与することにつきましては、われわれも非常に熱意を有するものであります。しかしながら、だからと申しまして、そのものが直接自動車取得税につながると考えることは早計でありまして、このことについては、また自動車取得税の創設の可否についての論議を必要とすると思うのであります。したがって、さような意味におきまして国、府県、市町村を通じまして道路全般の行政を主管いたしております建設省並びに自動車産業の育成をやっております通産省、この商工委員会並びに建設委員会の合議があってしかるべきではないか、こう思うのですが、さて自動車の取得税につきましては、そういうような意味合いから、当初自治省におかれましては燃料課税を財源にしてやっていきたいという立場から、軽油引取税を約二割、地方道路税を約一割引き上げることによりまして三百億円前後の財源を獲得したい、こういうように企図されたわけでありますが、かかる税はそれぞれ物価にはね返ることをおそれられまして、最後には、担税能力をこの程度お持ちいただいているだろうという意味合いから自動車取得税に踏み切られた、かような説明をされておりますが、この点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/136
-
137・細田吉藏
○細田政府委員 お答えいたします。地方の道路財源、特に市町村道の道路財源の付与ということにつきましては、長い間の地方からの要望であり、また国全体からも何とか考えなければならぬということはお説のとおりでございまして、久しくいわれていたわけでございます。私どもといたしましては、当初ガソリンあるいは軽油に対する課税を増徴いたしまして、それを地方にも分ける、これが道路の利用というようなことと最も直接的に結びつくいい方法ではないか、かように考えるわけでございまして、そのような案を自治省としましては要求をいたしたわけでございましたが、ただいま御指摘にございましたように、燃料課税は直ちに運賃の問題に響く、一方物価の面からいたしましても、公共料金の抑制ということは大きな国の命題になっておりますので、やむを得ず別の財源を求めざるを得ない、これが今回自動車取得税を創設するに至った経緯でございまして、おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/137
-
138・玉置一徳
○玉置委員 道路目的財源としては、走行距離に相応いたします燃料税が一番望ましいんだということは、ただいまの御説のとおりでありまして、物価の値上げを考慮して、当今一番重要な課題でございますので、これを避け、取得税に転嫁した、こういうことでありますが、それならばトラックあるいは営業車、バス、タクシー、こういうものを課税から除外しなければ論理が一貫せぬと思いますが、どうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/138
-
139・松島五郎
○松島政府委員 御指摘の点でございますが、燃料課税は、一番道路の使用実態に即応いたしますけれども、ただいま政務次官からもお答えいたしましたような事情から今回それをとらなかったわけでございます。
しかし自動車取得税にいたしましても、やはり道路の使用ということを念頭に置いて納めていただくということが適当ではないかと思うのでございます。そういう点から申しますと、トラック、バスあるいは営業用自動車というものは、むしろ一般の自動車よりも、使用の実態から申しますと、一般的には使用度が高いというふうに考えられます。ただ、それだからといって、こういうものについて特に税率を高くするというようなことは、また別な面からも妥当性を欠く問題がございますので、同率といたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/139
-
140・玉置一徳
○玉置委員 それは答えにならぬと思うのです。私も承知しておりますが、普通のガソリン税よりも重油のほうが安いのです、世界的に比べましても。自動車の道路を破壊するのはむしろ逆のほうなんです。これはまあきょうまでのいきさつからそうなっておるんだと思います。こういうこともありまして、いまおっしゃったような論理にはいきかねると思うのです。
政務次官にお伺いいたしますが、やはりあなたのほうの地方行政における答弁を見ましても、物価にはね上がることをおそれて、担税力をこの分くらいは自動車をお買いになる方々はお持ちになっているんだから、ごしんぼういただきたいということでこれに踏み切りましたというように御説明されておりますが、そうじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/140
-
141・細田吉藏
○細田政府委員 営業用自動車については、自動車取得税を上げても、やはりそれだけのコストが上がるのではないか、ガソリン、軽油を上げるのと同じといいましょうか、まあ程度の問題でございますが、コストはそれだけふえるのじゃないか、これは全くお説のとおりだと思います。でありますればこそ、実は成案を得まするまでにはそれらの点も考慮いたしました。しかし燃料課税の場合と料金にはね返る度合いは違います。これは自動車取得の問題と燃料とでは雲泥の相違があると言ってもいいと思います。燃料課税の場合には、これは一キロ動かせば一キロかかるわけでございますから、これは直ちにコストに全面的にはね返る額も大きくなる、こういうことでございます。今回の自動車取得税程度のものであれば、直ちに公共料金とかバス、トラックの認可料金の値上げには響かない。しかし、そうでなくても苦しいですから、いろいろ交通を業としておりますところでは、そうでなくても赤字が多いんだからこれは困るんだ、こういうことを申しておることは、私どもは十分承知しておりますけれども、その度合いは、これをやったから直ちに運賃値上げをしなければならぬという程度ではない、率直に申しまして、実はかように考えているわけでございます。それと、反面から申しまして、自動車取得という流通課税でございまして、しかも道路を利用するという側から考えると、いま税務局長が申しましたように、自動車を取得するという行為そのものについて業界のものだけ下げるということは理屈が立たない。一方のコストの面からいうと、若干はとにかくふえる。こういうことでございますので、そういう点を加味いたしまして、同率の税率で課税をする、こういうことに議論の末踏み切った、かようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/141
-
142・玉置一徳
○玉置委員 燃料課税よりも、比較すればこれのほうが低いとおっしゃることはよくわかりますが、しかしながら京都におきましても、トラックあるいは営業用のバスはたしかパーセンテージを下げておったと思うのです。あなたのほうが地方行政でお答えになっておりました、これだけの担税力は持っていただいておるという意味で、ひとつごしんぼうをいただくのだという答弁からすれば、営業用にはそういう意味が全然なくなるのじゃないか。それを持って営業をするだけであって、トラックでその人が乗って回ろうという担税力はないわけであります。そういう点におきましては、これは一考を要すべき問題だと思うのですが、将来課税の実績その他を見て、免税点その他について来年度は考慮することになるわけでありますか。諸般の事情を考慮して、そういうものも将来再検討する要があると思いますが、どうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/142
-
143・細田吉藏
○細田政府委員 自動車取得税は、今年初めて新設するわけでございまして、今後実施上もいろいろな問題もございますから、いろいろな角度から検討を要する税であることは確かであると思うのであります。と申しますことは、本税を創設するにあたりまして、各方面、各般でいろいろ議論がございました。そういう点を全般として検討しなければならぬ、かように思っておるわけでございまして、免税点の話はあとから出ると思いますので、これは省略いたしますが、ただこれは、ただいま申し上げましたように、あらゆる角度から検討しなければならぬ、かように思うのでございまして、いま直ちに事業用と自家用との区別をすべきであるということまで私が申し上げることは、まだ実は早計ではなかろうか。いろいろな点で検討しなければならない点が多い、かように考えておる次第でございまして、そういう方向で考えたい、かように思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/143
-
144・玉置一徳
○玉置委員 トラック、バスが七月一日からいよいよ取得税がかかるというので、聞きますところによりますと、いま生産者に注文が殺到しておるというのが現状であります。したがって、そんなに響かないということでは決してございません、そういう実態から見まして。
それからもう一つ、いまお話しになりましたように、自動車の問題は、安全の問題であり、輸出の問題であり、産業の問題であり、物価の問題というように、あらゆる角度から検討しなければならないことは事実であります。そういう意味では、私は、今度急拠自治省がこれを取り上げたというところに、まだあらゆる検討ができていないと思うのです。そういうような意味で、ここ一年間の実績を見まして、ひとつ十分に検討を願いたい、こう思います。
なお、自動車には国税、地方税、あらゆる税が課せられております。資産税としても、あるいは燃料税も課せられておるわけでありますが、一体今度おかけになりました税の性格はどういう性格であると思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/144
-
145・松島五郎
○松島政府委員 この税の使用の形態から申しますと、道路に関する費用に充てることとしておりますので、目的税というふうになるわけでございますが、そういう点を離れまして、課税の側面からとらえますと、自動車の取得という事実のうちに担税力を見出して課税をするということでございますので、不動産取得税などと同じ一種の流通税というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/145
-
146・玉置一徳
○玉置委員 不動産取得税のような一種の流通税ということになりますと、これは自動車を取得した方にのみ負担がかかるのだという場合は、あなたのおっしゃるとおりだと思うのです。しかしながら、これがはたして自動車を取得した人だけに負担がかかるかどうか、生産者にかかる場合あるいは販売業者にかかる場合があり得ると思うのですが、そうなった場合はこれをもう一度再検討する考えがあるかどうか、政務次官からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/146
-
147・細田吉藏
○細田政府委員 この法律は、申し上げるまでもなく、自動車を取得した人からいただくわけでございます。その税金は、もちろん取得者から取るわけでございますから、それはそれで一本筋が通っておるわけでございます。いま先生のおっしゃいますのは、そういうものがどう転嫁していくか、ディーラーに転嫁するかもしれない、あるいは生産者に転嫁するかもしれない、こういうものをどうするんだ、こういうお話ではないか、かように思うわけでございます。
税の転嫁につきましては、これは私どもむずかしい理屈はわかりませんけれども、各種の税につきましていろいろな場合がございます。したがって、今後新設される自動車取得税がいかなる形になっていくか、これは私どもとしましても相当検討いたしたわけでございますが、実際は、やってみないとどういうかっこうになるかということにつきましては、これはだれもわからない。ただ、いま税としてはあくまでもそういうことで、転嫁の先の問題も十分考えていくということは、私が申したあらゆる事情を考えて中へ入れるということではなかろうか、かように思うわけでございます。そして国全般としての自動車に対する政策あるいは物価に対する政策というものをどう考えていくかということ、それの一環として考えるということ、税そのものはあくまでも取得者から取るわけでございます。転嫁の問題はほかの税金についてもいろいろございます。ですから、非常にむずかしい理屈もあるようでございます。率直に申しまして、さように考えておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/147
-
148・玉置一徳
○玉置委員 その他一般の税の転嫁という間接税の問題になればむずかしいと思うのですが、私の言わんとするのは、転嫁だけじゃなくて、自動車取得税が取得者そのものにかからずに、この激烈な競争場裏にありましては販売業者あるいは生産者にその幾分かかかるのが多いのじゃないか。そうなれば、そのときはこの税の目的が違ってくるのでありますから、先ほども申しました国税の物品税の値上げと同じような負担を持ってくるわけでありますので、そのときにはお考え直しになるかどうかということを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/148
-
149・細田吉藏
○細田政府委員 一応税務局長からお答えをさせまして私が申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/149
-
150・玉置一徳
○玉置委員 これは政治的な配慮でありますので、局長はものをよく知っておいでになるけれども、お気の毒ですが、ひとつ政務次官からお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/150
-
151・細田吉藏
○細田政府委員 私どもは、ディーラーが税金を納められるとか、生産者が税金を納められるというふうには考えておりません。あくまでも取得者が税金を納めていただく、これはもうはっきりしたたてまえでございますし、そのようにやってもらいたい、こう思っておるのでございます。ディーラーが納めるということはないわけでございます。実質的な話でございまして、先生のおっしゃっておりますのは、それだけ値引きをせざるを得なくなるのではないか、こういうお話ではなかろうか、かように思うわけでございます。したがいまして、この問題は税の転嫁の問題である、私はかように存じておる次第でございます。したがって先ほど申し上げたようなお答えをした、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/151
-
152・玉置一徳
○玉置委員 中古車の例をとって申し上げましょう。中古車に税をおかけになるのはどういうようにしておかけになるのですか。局長からお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/152
-
153・松島五郎
○松島政府委員 課税標準は法律にございますように、取得価額に課税をするということにしております。取得価額は、現実の取得価額を基礎にいたしておるわけでありますが、特別の事情があってその取得価額がない、たとえば無償で取得したというような場合には、一般の、通常の取引価額によることといたしておりますけれども、原則的には、いま申し上げましたように、取得した現実の価額を基礎にして申告納税をしていただく、こういうことになっております。したがいまして、中古車につきましてもそういう原則に立って処理をいたす考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/153
-
154・玉置一徳
○玉置委員 局長にお伺いいたします。
千差万別の物体を申告納税というだけでは事実上いかぬと思うのです。したがって、中古車の耐用年数その他いろいろなものを入れまして、事実上認定標準というふうなものをこしらえなければ、手続が非常に煩瑣であり、しかも、不公平になるおそれがあります。そういうものは事実上どうされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/154
-
155・松島五郎
○松島政府委員 現実の処理の問題といたしましては、ただいま御指摘のございましたように、中古車の値段と申しましても、取引の場合場合に応じましていろいろにわたりますので、なかなかむずかしい問題があろうと思います。私どもといたしましては、納税者と課税団体との間に無用のトラブルを生じないような措置は考えていかなくちゃならぬと思っております。いま考えておりますのは、新車価格を基準にいたしまして、法定耐用年数を基礎にいたしまして減価償却をいたしたとしたならばどれだけになるのかということを一つのめどといたしまして、それ以上の価額で申告されます場合には、これはもう問題にする必要はないというふうに考えております。それ以下の価額で申告されます場合も取得価額を原則にするのがたてまえでございますので、そのことについて十分な説明のつくものであればそれをとっていく、こういうような形で一応のめどは、法定耐用年数を基礎にいたしました減価償却額を控除したものを一つの基準にいたしてはどうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/155
-
156・玉置一徳
○玉置委員 細田政務次官にお伺いするのですが、私は、中古車のような場合は、あなたも御承知のとおり、転嫁と申しますか、負担と申しますか、事実上販売業者に転嫁される場面が多いということを先ほど言おうと思ったのです。そういう場合は、原則は、創設するときの皆さんのお考えは、どこまでも取得者からいただくんだ、こういうおつもりでやっておいでになるわけでありますので、この転嫁というものの考え方にいろいろありますけれども、法の目的のとおりにいきにくかったならば、私は違う考え方か何かがあり得ると思う。たとえば電話債券のような、これは議論もあったわけでありますが、これこそ取得者そのものからいただくことになってまいるわけでありますので、その点一年間やってごらんになりまして、ひとつみんなで論議をしていきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/156
-
157・細田吉藏
○細田政府委員 中古車につきましては、実はこの法律案を立案いたします当初から非常に議論のあったところでございます。また衆参両院の地方行政委員会におきましても、この点についてはいろいろな角度からいろいろ御議論がございました。たいへんむずかしい問題があるということは、それだけの議論を生んでおる原因だろうと思います。衆議院の地方行政委員会また参議院の地方行政委員会でもそれぞれ附帯決議がございまして、「自動車取得税の免税点等について、検討を加え、とくに免税点については、明年度においてその引き上げをはかること。」といういわばやや異例のような附議決議がございました。自治大臣も衆参両院のこの附帯決議につきましては、十分御趣旨のあるところを尊重いたしましてと、こうお答えをいたしておるわけでございます。このことはいまおっしゃいましたようなことが前提になり、議論をされた結果こうした附帯決議が行なわれたものと私ども承知いたしておるわけでございます。その点を御了承いただきたい、かように思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/157
-
158・玉置一徳
○玉置委員 さらに追い打ちのような感じで恐縮なのですが、ことし地方自治体側から四百五十億円国が借りることにして、一応従来の問題はケリがつけられたわけです。私は、その四百五十億円借りなければ、地方自治体に渡しておいて、それを地方の道路の目的財源に使えば、こんなにあわてた、ことに論議が十分に尽くされてないものを、まあまあやってみてから皆さんでひとつ御論議をいただきますということにならなかったんじゃないかという感じがいたします。いま政務次官からお答えのありましたとおり、各般の問題の非常に多いところでありますので、おやりなすってから十分皆さんで検討し、そして国会でも論議を尽くしてやっていきたい、こう思いますので、よろしくお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/158
-
159・細田吉藏
○細田政府委員 私があらためて玉置先生に申し上げるまでもございませんが、自動車産業は輸出産業としても非常に重要な産業でございます。また日本の産業界全体に占めておる割合、そういうものも非常に重い使命を持っているわけでございます。かたがた自動車に対する国民大衆の要望というものも、私どもよく承知しておりますし、考えなければならぬと思います。また、自動車を手段といたしましていろいろ仕事をやっております特に交通関係の業者、あるいは料金関係、そういういろいろな問題が一方にはある。当然考えなければならぬ要素がございます。私どもは、片方で道路財源の確保をはかりつつ、そういうものもひとつ十分考えて善処しなければならぬ、かように実は考えておりまして、ただ通りさえすればいいのだということを決して考えておるものではございません。その点十分御趣旨のあるところは考えていきたい、こう思っておるわけでございます。
四百五十億云々の話は、申しますとまたいろいろございますので、特に申し上げませんが、これはまたこれで別の議論がございますので、金がそこにあるからという議論にはどうも同調いたしかねるわけでございます。これは問題がさらに根本的な地方財政の問題になりますので、申し上げるのを差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/159
-
160・玉置一徳
○玉置委員 そこで、新車でございますが、新車の課税について局長からお伺いしたいと思います。
御承知のとおり通産省は、東京都におきまして中古車の下取り、ああいうものを考えまして調査されました。ところが新車でも東京では下取りの高取り、値引きが実態調査で九・八%になっております。一昨日でしたか、昨日でしたか、新聞で見ましても、新しく新車ができますと、他の自動車会社がそれと競争するために、相当思い切って値引きするように、しかもどの車は何ぼくらいというような具体的な数字まで出ておりまして、こういうことで、定価と書いておるのに課税をするのか、ただいま通産省の実態調査がございました東京都でも九・八%、したがって、まず一〇%程度を値引きしたのに三%、申告してあればいいとするのか、この点をお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/160
-
161・松島五郎
○松島政府委員 先生の御指摘のような問題が、実はこの法案立案の過程においていろいろございました。こういう取得税等につきまして課税標準を定めますのに二とおりの考え方があると思います。一つは、現在不動産取得税がやっておりますように、課税団体が課税標準の決定をいたします。具体的には、評価をいたしまして価額を決定する、それを課税標準とするという方式がございます。もう一つは、現在の自動車取得税のとっておりますような、現実の取得価額を基礎にして課税するという二つの方法があります。私ども、そのいずれの方法が妥当であるかについてずいぶん検討いたしたところでございますが、ただいま御指摘のような現実の取得価額というものは公表小売り価格をかなり下回っている場合も相当多い、あるいはそれが通例であるというようなことも承っております。また大量に購入しますような場合には、特別の割引があるという事例もあるようであります。また新車が出回る直前になりますと、他の会社の車はもとより、その会社の車でも、新しい車が出るぞということになると型が古くなるということから、新車であっても値がかなり下がるというお話も承っております。そういったいろいろな事情がございますので、あらかじめ小売り価格のようなものを基準にして一律にきめますことは非常にむずかしい問題があるのではないかというふうに考えまして、現在の法律で取得価額をとるということにいたしておるのでございます。ただその取得価額というのは、それでは具体的な取り扱いとしてどうなるかという問題でございますが、ただいま御指摘のありましたような事情も十分念頭に置いて、申告をされました取得価額を基礎にして課税ができるようにしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/161
-
162・玉置一徳
○玉置委員 ちょっといま意味がわからなかったのですが、事実上の問題として、登録する前にこれは納めるわけでありますので、おそらく納税の場所は陸運事務所等に設置されるものと見るほうがまず間違いないのではないか。そうしますと、ディーラーなんかがかわりに申告することが、間々じゃなしに、多いのではないかと事実上見るわけです。そういう意味では、ある程度の認定基準価額というものをこしらえておいて、それよりも下がらないもの、下がったものだけは先ほどのお話のように何らかの証明をつけることにしてやらなければ、手間がものすごいきつくて、しかもそれは一々徴収者が事実そうかどうかを確認しなければいかぬというようなむずかしい問題が起こってくると思います。それで私はお伺いしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/162
-
163・松島五郎
○松島政府委員 その点につきましては、通産省当局といろいろ相談をいたしてまいりましたが、具体的には、値引きの実態等について通産省の御意見も十分伺いまして、先生のお話のような基準のようなものを一応設定いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/163
-
164・玉置一徳
○玉置委員 協会の方に一言この際お伺いしたいのですが、大体こういう税が七月一日から発効するわけでありますが、申告の場合、具体的な事実では大体どうなるか、そしていまのお話に関連いたしまして、どういうようになることが一番実態に合うとお思いになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/164
-
165・桜井淑雄
○桜井参考人 ただいま御質問の点でございますが、自治省側からも御説明がございましたけれども、現実の取引の問題といたしましては、なるほどこの税の性格は申告納税でございますが、現実の手続といたしましては、やはり販売業者としてはお客さんに対して登録を完全に済まして、そしてお引き渡しをする、運行の用に供する段階までお世話をするというのが販売業者の役目でございますので、そういうような方向に行くんじゃなかろうかということでございます。したがって、先ほど先生御指摘のように、この実際の課税標準価額、実際の取引価格、あるいは御承知のとおり表示価格の中に含まれたいろいろな部品等がございます。付属品もございますし、いろいろな問題がございますので、そういうようなものをそれぞれの取引のもとに証明をつけて手続をとるということが、一つの大きなディーラーですと月に四千五百台も売れるところもございますので、これはたいへんな手続の負担がディーラーに加わってくるということは火を見るよりも明らかであります。そういう点で、私どもといたしましても別途通産省、自治省のほうにお願いをしておるわけでございますが、原則はこれは取得価額であり、取得者が納入するのでございますが、できるだけひとつ定型化をしてもらいたい。おっしゃるとおり、自動車の、たとえば乗用車で申し上げますとデラックスというモデルもございます。また、スタンダードというモデルもございます。あるいはバンというような三つくらいのモデルに分けられて、そして表示価格に示された価格に対して一定率、先ほど先生の御指摘のようなそういう要素を加味されて一定率をかけられて、そして一応の標準税額といいますか、標準のあれを示していただく、それを業界側といたしましては無条件で取得者にかわって納税をする、あるいは取得者自体が納税される。もし、特別にその価格よりも安く取引の都合で購入された方は、それを安く買ったということを立証する、そういう手続をやっていただく。原則としてはそういう手続をやらないで、とにかく細目をきめていただいて、それで自動的にお払いを申し上げるというような、そういう手続の簡素化をお願いしたい。ということは、同一車種によって納税額がまちまちであるということは非常に不公平でもございます。それとやはり手続を簡素化する、徴税技術をもう少し簡素化するという意味においても必要じゃなかろうかということで、業界にとりましては、いま申し上げたような構想でいろいろと関係当局にはお願い申し上げているというような実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/165
-
166・玉置一徳
○玉置委員 局長にお伺いしたいのですが、中古車の場合、一体どういうように具体的にされるか、これはなかなかめんどうなことだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/166
-
167・松島五郎
○松島政府委員 中古車の場合は、先ほど申し上げましたように、一応新車価格を基準にいたしまして、耐用年数の経過に応じまして残価額を出しまして、それを一応のめどにいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/167
-
168・玉置一徳
○玉置委員 中古車の問題でございますが、政務次官にお伺いしたい。
交通安全から考えてもどこから考えても、中古車の免税点をあまり低くいたしますと、結局、販売業者はあとの整備を二つに分けるのじゃないかという心配は、これはあるわけであります。完全に整備した安全な自動車を中古車市場に出すということが、交通安全から見ても最も望ましいのであります。また一面、あなたのおっしゃるように、これを取得者が払うんだということになれば、二十五万程度の中古車に乗って会社に通いたいというのは、今日では決してぜいたくではございません。こういう意味からも、免税点の引き上げはずいぶんいろいろなところから問題があったと思いますが、現在どういうようにお思いになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/168
-
169・細田吉藏
○細田政府委員 免税点十万円でございますから、整備をすれば十万円をこえる、整備しないままだと十万円以内だというときには、これはもう人情の当然ですから、買ってから自分で整備するということになる傾向は、これはもういなめない事実だと思います。しかしこれは免税点が幾らになっても同じですから、十万円の場合だけ特にそうだとも限らない。これは交通安全にどうかというような御意見ですが、私は傾向としてはそういうことは交通安全の立場から望ましくないとは言えますし、やはり整備して満足な車で動かしてもらわなければならぬということは、これはこれにかかわらず、やはりどうしても守っていただかなければならぬことである、さように思うわけでございます。問題はしかし、そういう傾向があるじゃないかということについては、率直にこれは整備は別にしてもらわなければいかぬ、こういうことになるから、それだけはとにかく傾向としてはマイナスじゃないかということについては、それはそのまま認めざるを得ないと思います。そういう問題も含めまして、免税点については考えなきゃならぬ。そのほかにもたくさん実はいろいろ問題がございますが、これについては今後ひとつ考えるというよりも、引き上げをはかるということでこれを尊重することになっておりますので、十分そういった点もあわせて考えたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/169
-
170・玉置一徳
○玉置委員 傾向としてというよりも、若干でも傾向があるとすれば、これくらい自動車の交通安全をやかましく言っておる時代だから、万が一でもそういうことのないような方向に行政というものは進めなければいかぬものである。そういうことを若干でも予見されるような行政をやっておるということは、私は地方行政だけの問題じゃなしに、国の問題としても非常に大きい問題だと思います。このことは十分次には検討されて免税点を引き上げるということになっておりますので、ひとつ十分な御配慮をいただくことにいたします。
その次でありますが、どの新聞を見ましても、当時取得税の問題がやかましくなったときに、自動車の台数の把握が非常に協会と政府のほうとで違っておるというように書かれておりますが、「自治省は自動車保有台数の伸びを年率一八パーセントとした場合、平年度の税収は四百二十億円、四十三年度は自動車の取り引き台数が四百四十五万二千六百九十台(うち新車二百六十万台)と見込まれるので、七月から実施しても三百五十五億円は堅いとしている。これに対し他の各省庁は、四十二年度でさえ新車の取り引き台数は三百二十六万台という自動車工業会の調べを取り上げ、自治省の見積もりは過小であり、相当多額の税収が見込まれる以上もう少し慎重に検討すべきだとして」云々と書いております。これは各新聞社がこういうように取材しております。こういう点から考えまして、自動車の台数を自治省が最終的に把握されたのは一体どういう根拠であり、これに対して工業会はどういうようにごらんになりますか。両者からお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/170
-
171・松島五郎
○松島政府委員 自動車の、特に新車の課税台数の問題につきましては、何ぶんにも初めての税でございましたので、その途中におきましては実態の把握に十分じゃなかった点がございます。しかし逐次新しい資料によって修正をしてまいりました。現在見込んでおりますのは、運輸省が自動車登録関係の予算の基礎に使っております新規登録にかかわります、あるいは軽自動車につきましては届け出でありますが、その見込み台数を基礎として算定をいたしております。ただ、軽自動車のうち、軽四輪乗用車につきましては、そういう推計方法によりますときわめて低い数字になりますので、四十二年度の実績もほぼ出ておりますので、それらを基礎にいたしまして修正をいたしております。一応私どもが見込みました新車の台数は、自動車において二百三十二万九千台、軽自動車において九十六万四千台、合わせまして三百二十九万三千台を基礎にいたしております。これからさらに、非課税等の問題もございますので、若干のものを、非課税率を落としましたものを課税見込台数にしておりますが、基礎になる数字はいま申し上げたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/171
-
172・桜井淑雄
○桜井参考人 業界側といたしましては、四十三年度の需要の見通しにつきまして、政府の策定いたしております経済諸資料を基礎にいたしまして、回帰方式による需要の見通しを立てたわけでございます。もちろん各社、各企業が今年度生産する生産計画も別途検討を進めたわけでございますが、一応自動車工業会、私どもとしまして策定いたしました四十三年度の国内の需要見通しでございますが、約三百四十二万台と策定いたしたわけでございます。
この最近の動きでございますけれども、この三百四十二万台という数字は、まず四十二年度の見通しが約二百九十万台ぐらいになるだろうということでございますので、約一九%ぐらいの伸びを見たわけでありますが、過去二年間の伸びにいたしますと、四十二年度は前年比が二七・九%、四十一年度が二六・六%という前年比を示しておりますので、今年度は経済環境の悪化、いろいろなこと等も勘案いたしまして三百四十二万台、前年比先ほど申し上げたような一九%程度の伸長を見込んだわけでございます。
それから、なお、この税の対象から除外される官公用でございますが、これにつきましては私どもは一・七七%というふうな数字を策定いたしましたわけでございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/172
-
173・玉置一徳
○玉置委員 九三%の捕促率、納税率と申しますか、これはどういうように見られたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/173
-
174・松島五郎
○松島政府委員 自動車取得税の徴収率をどれだけ見るかという問題につきましては、何ぶんにも初めての税でございますので、正直なことを申しますと、実施した後の実績を見ないと正確なことはわからないわけでありますが、一応現在自動車税につきまして九三%の徴収率を見込んでおりますので、同じような課税対象でございますので、その率を使ったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/174
-
175・玉置一徳
○玉置委員 九三%は過去の自動車税の実績だと思います。自動車税は御承知のとおり納期を二回に分けております。こういう意味で、これはだいぶ変ってくるのじゃないか。そこで業界のほうは、新車についてはどのくらいの納税率をお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/175
-
176・桜井淑雄
○桜井参考人 私どもといたしましては、捕捉率を、自治省さんのほうは九三%という数字でございますが、この取得税につきましては、先ほども申し上げましたように申告納税でございますけれども、現実の問題といたしましては、登録または届け出の段階においてチェックをする、その可能性もございますので、おそらく一〇〇%の捕捉率が期待できるのじゃなかろうかというふうに見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/176
-
177・玉置一徳
○玉置委員 局長、中古車の台数をどのようにして想定されたのか、その徴税率をどのくらいに見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/177
-
178・松島五郎
○松島政府委員 中古車につきましては、運輸省が登録事務の基礎に使っております移転登録並びに中古車の新規登録というのが別にございますが、それらの台数を基礎にいたしたものでございまして、この数は二百九十九万四千台でございます。もちろん、このうち、たとえば移転登録で申しますと、割賦販売をいたしまして、一応ディーラー名義で登録をいたしまして、割賦が済んだ後に移転登録をするというようなものがございます。そういうものは、法律では割賦が済んで移転登録をする段階においては課税しないことにいたしておりますので、そういうものを除外しなければなりません。また中古車のうち、ディーラーが下取りをいたしましたものを自己の名義でもって登録をするというものがございますので、こういうものにつきましては、ディーラーの登録の段階では課税をしないことといたしておりますので、そういうものも除外しなければならぬというようなことで、おのおのそういうものを推定いたしまして課税の台数を出しておりますが、なお免税点を十万円と定めましたので、十万円以下のものはこれから落ちるという計算をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/178
-
179・玉置一徳
○玉置委員 ただいまのお話を伺いましても、これはやってみなければわかりませんが、ことしの景気、不景気によりますけれども、自動車の台数の伸び並びに徴税率、ことに徴税率に至っては新車は一〇〇%近いというのがまずまず間違いないのじゃないか。新聞の経過を見ましても、新聞で報道しておりますのは、最初に二・五%ぐらいの税率にしようといういろいろな話もありましたように伺っております。これは九三%の徴税率のいかんにもよるわけでありまして、そういうふうな意味で、やってみて九三%というのが一〇〇に近いというようなことになれば、これは免税点をうんと上げるか、税率を下げるか、いろいろなことを一年間かかって考究していかなければいかぬと思いますので、その点ひとつよろしくお願いしたいと思います。
そこで大臣、長らく待っていただきまして恐縮だったのですが、わが国の自動車産業が過去相当な実績を示してまいりまして、ことに輸出に至っては、現在造船ですか、に次いで二番目だ、こういうようにいわれております。しかし、自動車産業というものの輸出は、国内需要が伸びれば、それの上の頂点として、氷山の一角と申しますか、底辺にそれだけの層がなければ伸びていかないことも事実だと思うのです。こういう点から考えまして、これから自動車産業を育成していかなければならないのですが、細田自治政務次官からの地方行政におきます答弁その他から伺いましても、あいるは自治大臣と私たちがよく会いましてお話をしましても、自動車が多うなり過ぎたんじゃないか、交通安全上困ったものだ、自動車会社はもうけておるじゃないかというように、急速に伸びた産業であるために、日本の国内からはそういうように見られますけれども、アメリカの自動車会社等から見ましたら、ほとんど二十分の一に近いほどの資本であり、売り上げもその程度だと思うのです。わが国は産業立国と申しますよりも貿易立国で一億人の人間を食べさせ、その生活程度を上げていくためには、どんなことがあっても輸出を伸ばさなければいかぬという大命題があるわけですがそういう点から考えて、先ほど申しましたように、自動車には各種の税が課されておりますが、こういう税を課されることが、通産大臣として好ましいのかどうか、影響がないと思われるかどうかお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/179
-
180・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 全くわれわれが驚くように急速に輸出が伸びておりまして、なおその騰勢は決して停滞しておらないというような状況でございます。まことにけっこうなことだと思いますが、税金の関係でこれが騰勢が鈍るだろうというようなことをあまり私は聞いておりません。しかし、どうだと聞けば、それは税金が高いということをみんな一様に言うだろうと思いますけれども、今日客観的に課税の問題で輸出が停滞するであろうというようなことは、どうもあまり――それは少ないに越したことはございませんけれども、そういうような輸出の障害になっておるというようなことではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/180
-
181・玉置一徳
○玉置委員 課徴金の問題があと二週間以内に答えを出されるように伺っております。先般十カ国の蔵相会議、中央銀行の総裁会議がストックホルムで行なわれました。世界通貨の問題はあのような不安定な安定を呈しておりますが、いよいよこれから課徴金の問題に問題が入ってくると思うのですが、私は課徴金がEECの各国のケネディラウンドの繰り上げと申しますかによりまして若干変わってはくると思いますけれども、繊維産業その他鉄鋼等につきまして輸入制限の問題が起こっております。何らかの形で私はこういう問題が起こってくるのじゃないかと思うのですが、そういう当面の問題は自動車の輸出につきましてどういう影響があるか。
第二点といたしまして、自動車のエンジンの輸入という問題が、全然別個の問題でありますけれども、これに関連してささやかれておるわけでありますが、これについて大臣はどういうように取り組んでおいきになるかお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/181
-
182・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 課徴金の問題はまだ五分五分だと思いますが、もしこれが世界の反対の世論というものを顧みないで実行するということになりますれば、日本の輸出産業に及ぼす影響はきわめて重大で、繊維、雑貨をはじめとしてあらゆる輸出に重大な影響を与えるものとして、これは自動車産業も同じだと思います。その悪影響を免れ得ないと私は考えます。
それから、エンジンの輸入の問題は、これはこれとは別でありますが、公の権威の筋の話ではございませんけれども、課徴金を課さない一つの条件として、ケネディラウンドの繰り上げ実施、それからまた日本に対して、特にエンジンの輸入自由化に踏み切って、そして課徴金を防止する方法等が論議されておりましたことも事実でございますが、これはエンジンの自由化がもし行なわれるといたしますと、他の部品もすでに自由化されておる。そうすると、直ちに日本の国内において自動車の完成品組み立てということになりまして、これは自動車業界だけをとってみても、ずいぶんいろいろな問題がありますから、その問題の進行に重大な影響をもたらしてくるということになって、これはまたたいへんに大きな――私は、ひるがえって日本の自動車振興といった問題が根底からくずれてしまうということになりかねない重大な問題であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/182
-
183・玉置一徳
○玉置委員 大臣に最後にお伺いしておきたいのですが、エンジンの自由化につきましては慎重な対処が必要でありますけれども、これまた傾向としてはいつまでもというわけにはいかない問題だと思います。しかも、ヨーロッパにおきますアメリカ資本の進出は、イギリスにおきましても自動車の五〇%以上が食われてしまい、その他の各国におきましても大きな打撃を受けておることは事実なんです。わが国の自動車産業が、輸出はこれだけ伸びるようにはなってまいりましたけれども、なおまだ先進国に比べて劣っておる点が少なくありません。しかも資本の自由化にしろ、エンジンの輸入にしろ、いつまでも放置でき得る状態でないことも事実でありますから、ここ数年の間に猛烈に整備をしなければいかぬ時期であります。そういうときに重要な市町村の自主財源――道路の目的税、自主財源を与えるのだといいましても、自動率に取得税を課されたということは非常に大きな点があるんじゃないだろうか。先ほど質問いたしました経過によりましても、自動車の徴税率あるいはいろいろな点におきまして、一年やってみなければわからないんじゃないかというような点がございますし、なおガソリン税、燃料課税よりは物価にはね返らないといいながらも、必ずしもりっぱな税じゃございません。したがって、もっとほかに財源を求めるくふうを私は一年間かかってすべきじゃないだろうか、こういう点を考えまして、通産大臣としては自動車産業を育成する立場から、この一年間で自治省が検討されるときに、ひとつ通産大臣の側に立ってともにこの問題を十分に御検討いただきたい、こう思うのですが、これにつきまして大臣の御所見を承って、御退席をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/183
-
184・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 日本の自動車というものをもっと育成して――近くどうしても自由化は免れ得ない運命でございますから、それに対処して十分に国際競争力を養い、さらにまた、日本の自動車は日本の自動車としての一つの特徴があるのでございますから、それの輸出をますます進めるという意味におきまして体制整備その他の手段によって、おっしゃるとおり二、三年のうちに相当急いで整備をする必要が私はあると思います。そういう際に、取得税というものを実行してどの程度の影響があるか、十分な研究をしておりませんが、もしこれ以上に適当な方法があるならば、それはお説のとおり見直すということも一つの考え方だと思います。この問題に関連した行政をやっておる通産省といたしましても、非常に関心を持っておるわけでございますから、十分に関係方面と連絡をして、慎重に考究したいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/184
-
185・玉置一徳
○玉置委員 最後に細田政務次官のほうにお願いをいたしまして終わりたいと思います。
先ほどの質問の経過から見まして明らかになりましたように、まず税の性格として、これは奢侈品に近い、資産税的性格であるということになりますが、やってみまして、また転嫁の問題になりまして恐縮ですが、取得した個人に負担をしていただくということが、そうじゃないような場合が事実上ほとんどであるというような場合には、相当思い切って御考慮をいただきたい。
二つ目は、地方行政の採決の場合にございましたような免税点の問題でありますが、これもそういう観点から、なお自動車の交通安全というような観点からも、ひとつ十分な配慮をいただきたい。
それから三つ目には、大臣に申し上げましたとおり、これは道路行政全般の問題であり、産業行政全般の問題であり、交通安全の問題であり、それから地方自治体の道路の自主財源の問題であるわけでありますから、ことし一年間に、各省、国会の各委員会とも十分御論議なすって、その実際の目的に反することのないような税にひとつおまとめいただきたい。その御所見を承りまして質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/185
-
186・細田吉藏
○細田政府委員 お説のように、自動車の税金でございますから、単に地方財政、地方税制の問題だけではなくて、自動車産業の問題、あるいはいまおっしゃいましたが、交通業界あるいは交通安全の見地からの問題、各方面非常に関係が深いわけでございます。したがいまして、そういったあらゆる角度と、それから道路の建設、特に地方道の整備、こういうものと一体どの辺で調和することが一番妥当であるか、こういう問題であろうかと思うわけでございます。国会の各委員会でもいろいろまだ御議論もなさっておるようでございまして、私ども当然のことだと思います。政府におきましても、経済企画庁もございますれば、建設省、通産省、運輸省、交通安全の関係各省、いろいろございます。そういう点、先ほど申し上げますように、やはり総合的に十分これは検討さしていただきたい、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/186
-
187・玉置一徳
○玉置委員 最後に一点つけ加えますが、救急車、工場の消防車、それから採血車、こういうものは、官庁用の自動車に準じて今度税の対象から除外されておいたほうがいいんではないか、こう思いますが、御配慮のほどをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/187
-
188・松島五郎
○松島政府委員 この税は道路目的財源に使用するという点から、できるだけ免税の範囲は狭くいたしたいということで、ただいま御指摘にありましたようなものも一応課税対象ということになっておりますが、今後なお、具体的にどこまでそういった問題を取り扱うかにつきましては、実態も検討の上で研究をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/188
-
189・小峯柳多
○小峯委員長 桜井参考人には、御多用のところ長時間にわたり御出席いただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
次回は、明後三日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01419680401/189
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。