1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月五日(金曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 小峯 柳多君
理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君
理事 鴨田 宗一君 理事 島村 一郎君
理事 中川 俊思君 理事 中村 重光君
理事 堀 昌雄君 理事 玉置 一徳君
内田 常雄君 遠藤 三郎君
大橋 武夫君 岡本 茂君
海部 俊樹君 神田 博君
小宮山重四郎君 坂本三十次君
櫻内 義雄君 始関 伊平君
塩谷 一夫君 武藤 嘉文君
岡田 利春君 佐野 進君
多賀谷真稔君 楯 兼次郎君
中谷 鉄也君 永井勝次郎君
古川 喜一君 三宅 正一君
吉田 泰造君 近江巳記夫君
出席国務大臣
通商産業大臣 椎名悦三郎君
出席政府委員
経済企画庁調整
局長 赤澤 璋一君
通商産業政務次
官 藤井 勝志君
通商産業省企業
局長 熊谷 典文君
通商産業省鉱山
局長 両角 良彦君
委員外の出席者
参 考 人
(金属鉱物探鉱
促進事業団理事
長) 加賀山 一君
参 考 人
(海外鉱物資源
開発株式会社社
長) 山田 義勇君
専 門 員 椎野 幸雄君
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四月二日
委員永井勝次郎君辞任につき、その補欠として
實川清之君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員實川清之君辞任につき、その補欠として永
井勝次郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月五日
委員中谷鉄也君辞任につき、その補欠として佐
々木更三君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員佐々木更三君辞任につき、その補欠として
中谷鉄也君が議長の指名で委員に選任された。
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四月三日
割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出
第三〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出
第三〇号)
金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法
律案(内閣提出第四九号)
金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案(
内閣提出第五〇号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/0
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001・小峯柳多
○小峯委員長 これより会議を開きます。
去る三日付託になりました内閣提出、割賦販売法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/1
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002・小峯柳多
○小峯委員長 まず、本案について趣旨の説明を聴取いたします。椎名通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/2
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003・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 割賦販売法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
近年、一般消費者が耐久消費財等を購入するにあたって割賦販売の制度が広く利用されつつありますが、このような割賦販売の一形態として、商品の引き渡しを受ける前に商品の代金を積み立てる、いわゆる前払い式割賦販売の制度があります。この制度は、ミシン、手編み機、家庭用電気製品等を中心として、毎年急速な伸びを見せており、契約口数は約一千万口、消費者からの前受け金残高は約五百八十億円の規模に達しております。
以上のように、この制度の普及には著しいものがありますが、その反面、前払い式割賦販売業者の倒産により購入者が不測の損害をこうむる事例が発生しており、さらに、契約解除の際の返還金の支払いが遅延する等、前払い式割賦販売業者と購入者との紛争も相当多く起きております。
現行割賦販売法におきましても、購入者保護のため、前払い式割賦販売業に対する規制措置を講じておりますが、さきに述べましたような事態に対しては、十分でない状況にあります。このため、政府としては、消費者の保護を強化する見地から、割賦販売法の改正を行なうことが必要であると判断し、割賦販売審議会の答申の趣旨に即して、この法律案を取りまとめ、今国会に提案した次第であります。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一の改正点は、前払い式割賦販売業を許可制としたことであります。現行法におきましては、登録制がとられておりますが、前払い式割賦販売業を健全に営む資質を有する者にのみ営業を認めることとするため、登録制を許可制に改めるとともに、その要件を強化し、前払い式割賦販売業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること、とかく紛争の原因となる前払い式割賦販売契約約款が購入者保護のための一定の基準に適合していることを許可の基準として追加することとしております。
第二の改正点は、前払い式割賦販売業者の供託義務を強化し、購入者の債権の保護を強化したことであります。すなわち、前払い式割賦販売業者は、購入者から受け取っている前受け金残高の三分の一に相当する額を、購入者への優先弁済のための営業保証金として、供託しなければならないこととしております。なお、このような供託義務の強化を急激に行なうことの影響を考慮し、所要の経過措置を講じております。
第三の改正点は、前払い式割賦販売業に対する監督を強化したことであります。購入者の保護に万全を期するためには、倒産等の事態に立ち至らないよう事前に財産の状況につき監督を行なうとともに、購入者との間に紛争が発生しないよう、約款その他業務の運営方法につき監督を行なう必要がありますので、財産の状況及び業務の運営についての改善命令、約款の変更命令等の規定を設けております。
以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/3
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004・小峯柳多
○小峯委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
本案の質疑は後日に譲ります。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/4
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005・小峯柳多
○小峯委員長 内閣提出、金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案及び金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案を一括して議題といたします。
本日は、両案審査のため、前回に引き続き、参考人として金属鉱物探鉱促進事業団理事長加賀山一君、海外鉱物資源開発株式会社社長山田義勇君が出席されております。
参考人におかれましては、御多用の中再度御出席いただきまして、まことにありがとうございました。
質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/5
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006・中村重光
○中村(重)委員 両法案に対しては、数日来同僚委員からいろいろ質疑が行なわれておるようでございますので、重複をできるだけ避けましてお尋ねをしてみたいと思うのです。
政府のほうからいろいろな統計資料等が出されておるわけですが、実は私がこうしたような資料を見まして感じることは、金属並びに非金属、鉱物等の生産を増強し、かつ経営の安定をはかっていかなければならぬということは、貴重な地下資源でありますから、きわめて重要な問題であろうと思う。ところが、政府の生産計画と経営安定に対する考え方にどうも場当たり的なものがあるような感じがしてならない。もっと計画的な政策を打ち立てていく必要があるのではないかという感じがするわけです。基本計画はまず立てなければならないし、その基本計画に基づいて実施計画というものが立てられなければならない。具体的には、経営安定のためにはどうするのか。そのためにはまず資金の問題もありましょうし、あるいはまた雇用の安定の問題が出てくるでありましょうし、その他企業の経営体制を強化していくための施策というものを講じていかなければならない。それでなければ、この重要な金属あるいは非金属の生産を増強し経営を安定させることにはならなくて、全く場当たり的なものになる。さらに、各年度の予算要求をするにあたりましても、大蔵省に対しての通産省の要求というのは非常に軽視されるという傾向がなきにしもあらずです。いろいろいま提案されておりますところのこの内容を見まして、海外におけるところの探鉱を強力に進めていく、あるいは調査の面において従来と異なった前向きの考え方で取り組もうとしておる意欲は実は認めるわけでありますけれども、私が指摘いたしましたような点に依然として欠けているものがある。審議会の答申に基づいて今回の部分的な提案をしてきたにすぎないのだという感じがしてならないのです。それらの点に対して通産大臣はどのようにお考えになるのか、また参考人の方はみずから第一線にあってこの推進に当たっておられるわけでありますから、私のいまの指摘に対してどのようにお考えになるのか、それが当たっているのかいないのか、それらの点に対してのお考え方をひとつお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/6
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007・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 従来の経過もございますので、政府委員から一応説明することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/7
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008・両角良彦
○両角政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、金属鉱業の経営の安定あるいは体質の強化ということを計画的に推進すべきであるという点は、まさに私どももさように考えておりまして、今日まで金属鉱業等安定臨時措置法によりましてコスト目標というものを一応掲げてまいりまして、これに必要な資金投入等も計画的に行なってまいりました。特に探鉱につきましては、国内の探鉱促進を三段階方式によりまして計画的に推進をいたすというたてまえで、全国二十七地区にわたる有望鉱床の組織的な探査を進めてまいった次第でございます。今回安定臨時措置法が廃止をされることになりましても、私どもといたしましては、国内及び海外における探鉱を中心とした計画的な促進、特に資金の計画的な裏づけについては、従来以上に積極的にこれを進めてまいりたいと考えております。その際特に鉱業審議会等々の場を活用いたしまして、これら計画の妥当性ということに対しまして十分御審議をいただいた上で、政府としても全力をあげまして金属鉱業の内外にわたる開発を計画的に促進いたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/8
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009・加賀山一
○加賀山参考人 お答えいたします。私どもの事業団は探鉱の助成ということを担当いたしております。ただいま鉱山局長の言われましたように、二十七カ所の地点を選びまして、それを計画的に推進し、探鉱の促進になるような調査をいたしまして、それに従って精密調査のほうへ移り、そして企業のほうへお渡しするというようなことで、まず広域調査を中心にいたしましてスタートしているわけでございます。この点むろん十分な予算がつかない限りはそのまま移すことはできないと思いますけれども、おそらくいまのぐあいでいけば、少なくとも計画どおりの調査はできるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/9
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010・山田義勇
○山田参考人 海外進出の効果をあげるにつきましては、いまでもやっておりますけれども、相手国の投資環境がどうであるかということを初めによく調べる必要があります。そういうことに対して情報、資料を集めることが必要であると思います。そういうことは今後大いに必要を感じます。
それから外国における権利の取得につきましては、諸外国は大きな資本を持っております。われわれが業界一致していって初めて対抗できるような外国の巨大なる資本と競争いたしますときは、協力一致の場としてのわが社のようなものに対してもう少し資本力をつけることが非常に大事でございます。それから政府からも強力なバックアップをお願いして、資本の進出する国家の投資環境その他外交関係などをよく知らしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/10
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011・中村重光
○中村(重)委員 実施計画を立てるにあたっては、需給とか価格の安定というのが大きな柱にならなければならないと思います。特に私が感じるのは、国内の貴重な地下資源ということですね。これに対しては、私企業であっても、国はこの地下資源を守るための助成策を最も強力に進めていかなければならぬと思う。石炭の場合において、石炭に無関心の人たちは、どうして石炭だけをそう守るのかということを言う。しかしながら、この貴重な地下資源を守り抜いていくための意義というものは、もう何といっても雇用安定の労働集約的な産業であるだけに、これをやはり大事にしなければならぬ。あるいは、外貨を節約するという点においてもしかり、あるいは産炭地等の荒廃というものを防止していかなければならない、いろいろ意義がある。この金属鉱業の場合においても私はしかりであると思う。ある意味においてはもっと重要な意義があるのではないかとすら感じるのであります。そうなってまいりますと、この経営の実態を見てみると、中小企業というのは非常に多いが、その中小企業はきわめて零細であるのですね。だから、これは私企業であるのだから、自分でしっかりやりなさい、そういうことだけでは相済まない。また、事実上できることではない。企業が自己努力をするということは当然ではありますけれども、こうした特異な重要な産業であるということにかんがみて、やはりもっと積極的な国の助成策を講じていくということになってくると、先ほど申し上げましたように、この需給及び価格の安定をはかっていくというためには、どうしても企業そのものを強くしていかなければならないということになると私は思います。そのために、この新鉱床等の探査に対するところの国の補助金というものが中小鉱においては行なわれることになった。これに対して二分の一の補助であるということでございますけれども、はたしてこれで実態に沿うものかどうかということですね。私は具体的な問題としてこれに疑問を感じておるわけです。いま加賀山参考人は、これは事業団の理事長でございますから、政府と一体的な立場に立っておやりになるわけです。したがって、先ほどのような御答弁がなされたと私は思うのでございますけれども、加賀山参考人自体がこのあり方に対してやはり問題をお感じになっておるというように私は思う。これは言うまでもなく、二分の一といいますけれども、実態は二分の一になっていない。三分の一程度にしかなっていないのではないかというように、私はいろいろな資料からそう感じるわけであります。したがって、この新鉱床探査の補助金にいたしましても、もっと補助率を、少なくとも三分の二程度には引き上げていく必要があるであろうし、さらにまた、この補助単価の問題とか、あるいはもっと補助の対象を拡大をしていくというようなことが強力に行なわれなければならないのではないかというように感じるわけでございますが、それに対してはどのようにお考えになっておられるのか。四十三年度の予算の中におきましてはきわめて不十分であると思うのでございますけれども、大蔵省に対してどのような予算要求をされたのか。いま計上されております予算に落ちつくに至るまでの経過もひとつ伺ってみたいと思いますし、いま私が指摘をいたしましたことに対してどのようにお考えになっていらっしゃるのか、まず、これは鉱山局長からお答え願ってもけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/11
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012・両角良彦
○両角政府委員 金属鉱業に対する助成を強化すべきである、特に中小鉱山に対する新鉱床探査補助金等、より高率の補助が行なえるように育成強化をはかるべきであるということにつきましては、御指摘のとおりかと存じます。新鉱床探査補助金は、昭和三十八年度から四十二年度にかけまして、約十六億円中小探鉱に対して交付いたしております。すなわち対象鉱山は延べ数で八百八十鉱山、現在約一千といわれております中小の約九割近くは延べ数において本補助金の補助対象とされておりまして、その意味におきましても、相当広範にかつ手厚い探鉱助成というものを行なってきたつもりでございます。御指摘の補助の基準につきましては、新規の探鉱を優先いたすあるいは新規の鉱床を優先いたすという方式で現在まできておりますが、その単価等については実情にそぐわないという面も御指摘のとおりあろうかと存じます。さような点の改善につきましては、四十三年度予算要求におきまして、単価は一律に一割五分上げてもらいたいという要請をいたしたのでありますが、査定は一割ということで、四十二年度におきましては、単価は一律に一割アップということで新鉱床探査補助金の交付をいたしてまいりたいと考えております。
なお中小探鉱につきましては、別途大企業と並びましていわゆる減耗控除制というものがございまして、探鉱の引き当てについての制度上の優遇措置が行なわれております。これまた相当中小鉱山において活用されておる。これが両々相まちまして中小探鉱の実質的な探鉱助成というものを強化してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/12
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013・中村重光
○中村(重)委員 いま折衝の経過等についてのお答えが実はあったわけですが、財政硬直化というようなことから、防衛費であるとかあるいは治安関係の予算というものを除いて軒並みに切られていったということは承知いたしておりますけれども、この金属鉱山における鉱物生産ということに対しては、これまた一割五分の要求が一割に削られたといういろいろなお話が実はあったわけです。ところがこの点に対しても、国内の鉱物の生産というものを、全体の生産の中において、あるいはまたその輸入等々、需要と供給の関係の中で、海外に対する開発等を含めて、どの程度にこれを位置づけしようとしておるのかということ、そこらあたりの計画的なものがない。したがって、予算折衝の場合においても迫力がない。だから軒並みに機械的に削られるという結果になってくるのではないかというように私は思う。この問題に対しては、あの予算の折衝の場合においても大蔵省に私ども参りました。側面から協力するというつもりで、もっとこの地下資源というものを大切にしていかなければいけないじゃないか、ましてやこの金属鉱業の関係においては自由化において相当影響がきた、立ち直ってきつつあるといいながらも、もっと生産を増強をしていかなければならない、そのためには経営を安定させるということが非常に大切なんだから、こういう問題は特別の関心を持って大蔵省としても対処していく必要があるということから、申し入れもしましたし、折衝もやったのでございますけれども、通産省が考えられるほどこれらの問題に対する関心というものはないというように私は感ずるわけです。いわゆる政府全体の姿勢、この地下資源に対するところの認識、関心、そういう点が非常に薄いという感じがしてならない。だからこれらの問題に対しては、大臣も時間の関係があるようでございますから、ひとつ大臣からあなたの考え方をこの際明らかにしてもらわなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/13
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014・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 非鉄金属の生産は、日本は通常の非鉄金属はほとんどたいていのものが国内から生産されておりますが、その生産の数量、資源賦存の状況がいずれも国外に比べて非常に小さい。したがって、国外の資源に依存しなければならなかったということがいままでの状況でございます。しかし助成のやり方によっては、まだまだ日本の国内資源もそう見くびったものではないのではないか。こういう点ではやはり従来の助成の程度がまだ十分とはいえない。最近特に非鉄金属の面が非常に世界的関心の的になっておる関係もございますので、今後ともこの助成の強化については一段と努力してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/14
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015・中村重光
○中村(重)委員 当然であると思う。おっしゃるように、見くびったものではない。また見くびってはならない。私が言うのは、当初申し上げたように、もっと基本計画をきちっと立てる、それによって実施計画が組まれなければならない。同時に、国内の開発にしても、これを全体の中でどのように位置づけしようとしておるのかということに対して、これを政府全体で認識する、そういう積極的な取り組みがなされなければならぬと申し上げておるわけです。どうも場当たり的だ。業界の人たちがいろいろと要望もあるようでございますけれども、業界の方々が要望しておられるところの資料を私も見ておるのでございますが、そう、自己努力にまず重点を置かないで他力本願的で、何でも政府にしてくださいというような姿勢じゃないと思われる。どうにもならないのだ。だからもっと積極的に政府が取り組んでもらいたい。これは単に業界の要望であるということで受けとめるべきではない。国民的な要望であるという形で受けとめていかなければならないのだ。その点の姿勢が政府は弱いということを私は指摘をしておるわけです。この新鉱床に対する補助金の問題、単価の引き上げ等々、これも当然でありましょうし、政府もお認めになったのだから、業界の要求も無理ではないことがわかる。
さらにまた今回の改正で十二地域を指定しておられるようでございますけれども、そのほとんどが大企業の関係であるように思われる。だからもう少しこの指定もこの対象を広げていく必要があるのではないかということ。それは現に働いておる山でなくて、いろいろな事情から休止しておる山に対しても指定をして、それなりの探鉱もしましょうし、あるいは積極的に助成をやっていく、そして生産を開始するというようなことを考えてもよろしいのではないかというように思うのでございますけれども、この点はどのようにお考えになっておられるのか。具体的な問題ですから、局長からひとつお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/15
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016・両角良彦
○両角政府委員 金山の再開問題につきましては、昨今の国際金情勢を反映いたしまして、企業側におきまして一、二その動向が見えておりますが、なお事態が流動的でございまして、わが国における金価格の問題について、今後とも事態の推移に応じましてある種の見通しが立ちましたならば、それに対応いたしまして、わが国における金山の再開発という点について、より積極的に取り組むことが可能になろうかと思っております。ただいまのところ、国際的な金情勢との関係におきましてその辺の見通しがややつきにくい情勢がございますので、われわれとしては金山再開発ということを目標にしていま検討を加えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/16
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017・中村重光
○中村(重)委員 わが国の金属鉱業が世界に伍しておくれをとらないような形において前進をしていくためには、いまのような取り組みでもって、いわゆるいまのような助成でもって十分であるとお考えになっておられるのであるかどうかという点は、この際ひとつ明らかにしてもらいたいと思う。あるいは、どんなに助成をしても、もう資源そのもの、埋蔵量そのものが実は少ない、いろいろな条件も弱いのだから、どうにもしようがないのだというような考え方、したがって、ペイしないものはやめてしまえというような考え方の上に立って輸入に相当依存をしていく。現在は輸入等を含めて見通しとしては、なおかつ需要供給の関係において、供給は需要を満たすというようなことすらはっきりしていないようでございますけれども、ともかく政府がもっと力を入れていくということになってまいりますと、鉱区の発見もありましょうし、あるいは技術を開発することによって生産体制を強化してくるということになってまいりましょうから、世界に伍しておくれをとらないというその水準まで引き上げていくためには、もう少しきめこまかい施策がなされなければならないのではないかというふうに思うのでございますが、この点はどのようにお考えになっていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/17
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018・両角良彦
○両角政府委員 今日のような国際的な経済体制に入りました時期におきましては、さような意味でわが国の金属鉱業に十分な国際競争力をつける必要がある。国際競争力をつけますために必要な合理化投資、特に探鉱部門あるいは製錬部門に対します助成策の強化ということを通じまして、わが国の金属鉱業が国際的に一本立ちのできる体質改善を行なっていくという点は、まさにわれわれの鉱業政策の目標といたしておるところでございます。
しかしながら、先生御指摘のとおり、わが国の鉱産資源の賦存状況というものは諸外国に比しまして必ずしも豊富ではない。端的に申せば、貧弱であります。したがって、かような自然条件の劣悪さというものを、施策によりましてカバーをしてまいるということが当面の助成策の内容となっておるわけであります。
かような見地から、昭和三十八年以来各種の助成の強化を行なってまいりまして、すでに今日までの成果といたしまして、埋蔵量は銅につきましては四割近くを洗ってきております。また製錬所の大型化、合理化ということも、各種の臨海共同製錬所の出現によって実現を見ております。わが国の金属鉱業は、探鉱から製錬に至る段階におきまして一歩一歩国際競争力をつけつつあるというのが実情であろうかと思います。さような見地で、国内資源の有効な開発をはかっていく、またその活用を進めていくということが鉱業政策の今後に課せられた課題であるとわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/18
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019・中村重光
○中村(重)委員 おっしゃるとおりであろうと思う。その点はあなたの考え方も私が指摘しておることと一致するわけなんですね。考え方はわかるのだけれども、実際の取り組みが、やっておられることがその考え方と一致していないというところに問題が実はあると思うのです。おっしゃるように非常に資源も少ない。環境といわゆる自然条件というようなものも劣悪である。したがって、これをカバーしていかなければならない。このカバーしていくためには、同僚委員からそれぞれ指摘してもおられるようでございますけれども、まあいろいろあるわけでございますが、特にこの金属鉱物探鉱促進事業団のあり方にいたしましても、もっとこれを強化していく必要があるのではないか。業務範囲を拡大をしていくということも必要でありましょうし、あるいは融資をもっと強力に進めていく必要もあるであろう。中小鉱山に対しては、これは補助金制度というものがここで確保されたのだから融資をしないのだというような態度でよろしいのであるのかどうか。なるほど中小企業近代化の補助であるとか、いろいろな融資の道はあります。ありますけれども、そういうものはプロパーに融資されるものではない。いわゆる限られた形において融資の道が開かれておるにすぎない。そういうのではなくて、やはり事業団からこれら中小の鉱山に対して融資の道を開くということがどうしてできないのであろうか。制度的にこれができないとおっしゃるのならば、その制度を改められればよろしい。それから補助にいたしましても、実質的には二分の一ではない。おそらく四分の一程度にすぎないのではないかと私は考える。それならば、長期低利の融資というものは当然考えていくべきであるし、事業団の融資対象の中にこれを加えていくということが私はなされなければならないと思うのです。その点に対して鉱山局長はどのようにお考えになっておられるのか、また、参考人も私の指摘に対してどのようにお考えになるか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/19
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020・両角良彦
○両角政府委員 中小鉱山に対しまして、新鉱床探査補助金だけでなくて、別途金属鉱物探鉱促進事業団による融資制度を開いたらどうかという御指摘でございますが、御承知のように、探鉱はそれ自体きわめてリスクの高い業務でございまして、一般の金融対象にはなかなか乗りにくいという本質的な性格を持っておるわけでございまして、さような面から、大企業の場合におきましては、一つの企業が幾つかの鉱山を持ち、また幾つかの探鉱を同時に並行して行なってまいるというわけでありまするが、この場合には、探鉱に対する融資というものは企業全体としてその返済が担保され得る可能性が高いわけですが、中小のケースにつきましては、一山一社という形態が大部分でございまして、一山一社の探鉱に対する金融というものは、大企業に対比してより危険性が高まる性格を持っております。かような実態に即して考えますと、中小鉱山に対する探鉱の助成というものは、むしろ金融ベースではなくして補助金ベース、政府資金を出し切りにしていくということで、返済を伴わない助成ということのほうが実態に即した助成であろうかという趣旨で今日まで補助金制度を採用してまいっておる次第でございます。しかしながら、今後とも中小鉱山の経営が改善され、体質が強化されるに伴いまして、金属鉱物探鉱促進事業団による融資の可能な中小鉱山も出てまいろうかと思います。さような事態の推移に応じまして、事業団による融資制度の拡充という点については、私どもも前向きに検討をいたしてまいりたいと存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/20
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021・加賀山一
○加賀山参考人 ただいま鉱山局長の御発言のとおりだと私も考えております。
なお、中小に対して、探鉱を行なう場合におきましては、むしろその地域がほんとうに探鉱に値するかどうかということを政府は教えてあげるといいますか、指針を与える、示唆を与えるということが一番大切じゃないか、こういうふうに考えまして、政府がただいまやっておられます広域調査、精密調査ということは、これは大鉱山を対象にしているわけではないのであって、その地域に含まれる大中小の鉱山あわせてこの調査の結果が利用できる、こういうことになっておりますので、この面において中小も今後の探鉱方針に非常に示唆を得られる、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/21
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022・中村重光
○中村(重)委員 鉱山局長の御答弁は、私は、あまりにも実態を無視していると思う。おっしゃるように一般金融の対象になり得ないのです。私はそれを言っているのです。同時に補助金にしても、私は、これをやめて金融をしろと言っているのじゃない。補助金はもっとふやしなさい、対象ももっと拡大をしなさいと言っている。いまおやりになっている補助金の制度、それはよろしいのだけれども不十分である。ましてや実際のあなた方お考えになっているところの補助金というものは、二分の一といっておるのだけれども、実質的には四分の一程度にすぎないのだ、こう言っておる。しかし一〇〇%これを補助金政策でいくわけにはまいらないでしょう。だからして長期低利の融資をお考えになったらどうなのか。近代化資金の助成というようなものは、全体のプロパーのいろんな設備に対しあるいは運営に対してこれが融資されるのではないのだ。特定の設備にこれを限っているわけだから、したがって、事業団等の融資であるとか、あるいはいろいろな政府資金がもっと融資されるような道をお考えになる必要があるのだ、こう言っておる。だから中小は一山一社なんだから、非常に回収なんというものもできなくなっていく危険性がある。弱いものをそのまま放置するから、そういう状態はいつまでたっても解消できないでしょう。だからして、一山一社というような形が不十分であるならば、鉱区の調整をやって、これを強める道もありましょうし、あるいはまた協業化を強力に推進する道もあるだろう。あるいは企業合同の道もあるだろう。どうして政府がそういうような協業化の方向、企業合同の方向を打ち出しながら、依然として一山一社というような形に固定をしておるのか。そういう実態等も十分つかんで強力な施策を講じられないから、依然として零細企業は零細のまま経営が困難におちいっておる。そのために生産体制が非常に弱い。もっと生産を強力に進めていくということをお考えになるならば、私が指摘いたしましたようなことは当然お考えになる必要があるのではないか、こう私は考える。だから、それが不可能なのかどうか。もっと的確にそこらあたりに対する考え方を明らかにしてもらわなければいけないと私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/22
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023・両角良彦
○両角政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、中小鉱山に対しましては、われわれとしては補助金の拡充がまず必要である、また望ましいということ、さらにそれを補完をいたしまして、別途事業団等におきまして融資が可能な道を開くという点については、私どもも前向きで検討をさしていただきたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/23
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024・中村重光
○中村(重)委員 局長、環境衛生関係の業者に対し、あるいは食品衛生の業種に対して、七年から十年、あるいは十二年というような長期の融資の道がすでに開かれ、そして、六分五厘であるとか、七分七厘であるとか、そういう低利の融資の道が開かれているんです。この貴重な地下資源を確保していくために、さらに生産を増強していくために、経営を安定さしていくために、当然それら特別の融資の措置というものは考えられなければならないんだ。補助金制度をとっているんだからそういうわけにはまいらないというような事態じゃないと私は思うわけです。だから、将来こう考えるというような、何というか形式的な答弁でなくて、大蔵省といままで折衝されたのかどうか、それに対して大蔵省はどういう反応を示してこられたのか、最も近い機会に私が申し上げているようなことが実現可能なのかどうか、それらの点について、いま一度お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/24
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025・両角良彦
○両角政府委員 探鉱に対する助成といたしましての補助金と並んでの金融の強化という点につきましては、すでに石油の前例におきまして相当新しい方策も開かれてきておりまして、私どもとしましては、今後金属鉱物に対する助成としまして、単に補助金制度だけでなくて、金融の形態あるいは出資の形態、あるいは探鉱にふさわしい政府資金の助成方式というものは積極的に検討をいたしたいという点は、われわれも十分考えておるところでありますが、ただ、昭和四十三年度、さしあたり中小探鉱に対しましては、われわれといたしまして補助金の充実ということで対処をいたし、探鉱融資につきましては、その実態に即して可能な範囲を広げることに努力をいたしたいということで御了承を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/25
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026・中村重光
○中村(重)委員 あなたが積極的に対処していこうという意欲のほどはうかがわれます。四十四年度を待たないで、何か特別の措置が講じられるならばそうした措置をする、補助の対象も、拡大できるならばこれを拡大する。ともかく政府は一できているところの法律にしても、あるいは政令とか施行細則、いろいろあるわけだけれども、読み方によっては実に広く読めるんですね。いいか悪いかは別ですよ。環境衛生金融公庫の問題で、今度御承知のとおり、四十三年度の予算編成の中でがたがた、法律改正するんだとか、しないんだとか。ところが、この法律の読み方によっては、法律改正をやったこととひとつも変わらぬような読み方ができるんです。全く驚き入った次第。だから、いたずらに国会を軽視するような形で拡大解釈をどんどんやって、法律等によるところのそういう内容を骨抜きにしてしまいなさいとは私は言わない。言わないんだけれども、こうした重要な問題に対しては、現行制度の中において何か道が開けるのかどうか、そうした解釈等についても積極的に取り組んで、四十三年度内においてもできることはおやりなさい。そうして、できないことは四十四年度の予算編成の中においてそれを生かしていかなければならないし、あるいは法律の改正であるとか、あるいは省令であるとか、施行細則なんというものはあなたのほうでできるわけなんだから、そういうところですみやかに改正できるところはこれを改正をして、実情に即してこれと取り組んでいかれる必要がある、こう思うのでございますが、くどいようでございますけれども、いま一度あなたの考え方をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/26
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027・両角良彦
○両角政府委員 現在事業団の融資対象は資本金五千万円、従業員一千名以上ということで一応の線を引いておるわけであります。それはいわば、先生の御指摘のようにきわめて形式的な線の引き方でございまして、実態が融資にふさわしい企業であるかどうかという選別ではないわけでありまして、さような面から、われわれとしてはより広い範囲で事業団の融資が行ない得るような選別基準というようなものも、より弾力的に検討をしてまいりたい。これは別途法律改正をするとかあるいは政令を必要とするとかというような問題ではございませんので、われわれとしても、御趣旨を体しまして前向きに検討さしていただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/27
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028・中村重光
○中村(重)委員 次にお尋ねをいたしますが、そうした資金であるとかあるいは税制であるとか、その他協業化あるいは共同化、そうした集約化の方向へ進んでいくという施策と並行して、同じ大きな柱の一つとして強力な取り組みをしなければならぬことは技術の開発であり、さらに雇用の確保であると私は考えるわけなんです。御承知のとおりに中小探鉱におきますと、実は半農半鉱という形でいままで経営を進めてきたと思う。ところが実情は、もうそれを許さないという形になってきている。そこで、この雇用対策についてもっと強力な取り組みをやられる必要が、これは経営者は言うまでもございませんが、政府としてもあるのではないか。技術水準にいたしましても相当なおくれもあるようでございますから、この技術の開発に対し、あるいは労働者に対しても特別の教育訓練の措置等を講じて、技術技能の修得ということをはかっていかなければならないのではないか、そのように考えるのでございますが、その技術の開発あるいは雇用対策、それらに対してどのようにお考えになっておられるか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/28
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029・両角良彦
○両角政府委員 鉱業技術の強化あるいは開発の助長という点につきましては、つとに政府関係の試験研究所におきまして各種の研究を行なってきておりますが、あわせて民間の鉱工業技術に対します補助金制度を活用いたしまして、たとえば黒鉱の処理技術といったようなものの例に見られますように、積極的な技術開発の努力を進めてまいってきておる次第であります。特に企業別におきます技術開発というものについては、昨今海外開発、海外への進出の動向に照らし合わせまして、きわめて真剣にこれに取り組んでおる実情でありまして、われわれといたしましても、今後探鉱、選鉱、製錬の各段階にわたります技術水準の向上につきましては、十分積極的な助成方策を考えたいと考えております。
次に、労働力の確保という点につきましては、御指摘のように、昨今は鉱山労務者の実態というものが、年齢の高齢化あるいは新規採用の減少といったような面できわめて大きな転機に立たされておるという点は認められるわけであります。われわれとしては今後労働省とも十分協議をいたしまして、労働力の維持確保、特に生産性向上のために必要な優秀な労働力を確保していくというために、企業側と協力をいたしまして、この点についての取り組みを真剣に行なっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/29
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030・中村重光
○中村(重)委員 おっしゃるように、労働者の平均年齢がたしか四十歳程度であろうと思う。これは高齢化ですね。特に年齢の高い労働者が中小鉱山のほうに多いわけですね。そうなってくると、これは運動神経が鈍ってくるのだから、したがって熟練工であっても作業能率はどうしても高年齢になると同時に落ちてくる。ところが一方賃金は上がってくる。そうなってくると、中小鉱山の経営圧迫という形になってくるわけですね。だから全般的ないわゆる新技術の開発ということは当然でございますけれども、そうした労働者に対する技術指導であるとか、技能者の教育であるとか、そうした中小鉱山に対して若年労働力を確保するための特別の施策というものはどういうことがあるのか、それらの点に対するやはり積極的な、一般的というよりもそういう特定の問題を解決するための取り組みというのがなされなければならないと私は思う。だからそれらの点に対しては十分検討をしておられると思うのでございますから、いま局長は一般的ないわゆる金属鉱業に対する労働力の不足あるいは新技術を開発するということについてのお答えがあったわけですけれども、私がいま指摘したような、そうした中小鉱山の置かれておる現状を打開をするためのそうした諸施策について、どのようにお考えになられるのか、いま取り組んでおられる点がございましょうから、それらの点に対するお答えを願いたいと思う。
〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/30
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031・両角良彦
○両角政府委員 優秀な若年労働力を確保していくということはきわめて緊要な課題でございますが、今日までさような面で金属鉱業各社が努力をいたしてまいりました成果といたしまして、わが国の金属鉱業における労働生産性はきわめて高まってきております。たとえば昭和三十七年に比較いたしまして、今日四十一年度の生産性指数は一四三%、労務者実員の減少にもかかわらず生産性は向上しておる、かような面がいわば国際競争力の強化につながっておる企業努力の成果ということになっております。今後ともかような方向で労働力の不足、老齢化というものに対処いたしまして、生産性を向上するということも一つの大事な面であろうかと思いますが、あわせて御指摘の若年労働者の確保という面につきましては、労働省とも十分協力をいたしまして、雇用条件、雇用形態あるいは雇用慣行というものをさらに改善する必要があるのではないか。あるいは労働環境、生活環境というものを、山における働く場所も同時に改善するという点についても、各鉱山会社に対してわれわれとしては要請をいたしたのでございます。また労働力の流動化という面から企業間あるいは他の企業あるいは地域の職業紹介所等々における情報交換、職業訓練といった面にもさらに積極的な施策を進めてまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/31
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032・中村重光
○中村(重)委員 労働力を確保するという点からも、非常に重要な柱となってくるのは保安の確保ですね。災害の防止というということです。なるほど最近は死亡事故であるとか、あるいは重傷という事故は減少の傾向にはあるようです。しかし労働者の数が減ってきているのだから、当然これは常識として減少してこなければならない。炭鉱の場合においては、労働者の数は実は減っておるのだけれども、逆に災害事故というものはふえてきている。これは炭鉱と金属鉱山の場合におきましては、やはり条件の違いというような点から、労働者の減少に比例して重大事故というものが減少しておると思うのだけれども、なお相当な数の死亡者がある、あるいは重傷者がいるわけです。だからして、そういう災害防止、保安の確保について現に取り組んでおられることについてお聞かせ願いたいし、保安関係の設備その他については、もちろん国の助成というようなものが相当行なわれておるということは承知いたしておりますけれども、特にこれらの点について配慮しておられる点があるならば、ひとつ明らかにしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/32
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033・両角良彦
○両角政府委員 保安につきましては、鉱山保安局長が所管でございまして、責任ある御答弁をいたしかねる次第でございますが、少なくともわが国における金属鉱山の災害率というものは減少をいたしてきておることは事実でございます。昭和三十七年度に対しまして昭和四十一年度は八二%、一割八分の災害率の減少ということが認められております。かような面から、保安の改善という方向は着々実現されておるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/33
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034・中村重光
○中村(重)委員 保安局長がおられませんから、この保安問題についてはあらためてまたお尋ねすることにいたしますが、今度角度を変えて二、三お尋ねをして私の質問を終わりたいと思うのです。
この需給の逼迫ということに対してのそれなりの対策というものはあるのであろうと思うのですが、その対策はどういうことか。それからそれぞれの鉱物の種類によって、もちろん事情は変わってまいりましょうが、適正在庫の水準というものをどの程度にお考えになっていらっしゃるのか。極端な需給の逼迫ということに対しては、当然備蓄ということも考えなければならない。それらの点に対してどのような考え方を持っておられるのか、ひとつ明らかにしてほしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/34
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035・両角良彦
○両角政府委員 各種鉱産物の需給の安定を保つということはきわめて必要でございまするが、これはお話にございましたように、各鉱種の実情によりましていろいろ異なっておるかと思います。たとえば、銅をとりますならば、逐年わが国の自給率が下がってきておる。したがって需給の安定を保つという最大の課題は、いかにして海外開発というものを促進をしてわが国の実質上の自給率を高めていくか、これが銅の需給安定ということにつながる一番大きな手段ではないかというふうに考えられます。また、鉄鉱石等につきましては、もっぱらわが国の資源の貧弱さにかんがみまして、かつ世界的な買い手市場であるという実情から、長期の購入契約というものを確立してまいるということが需給安定に一番資する問題ではないかと考えます。その他ニッケル等、国際的に不足しておりまする金属鉱物につきましては、むしろその地金あるいは鉱石というものの備蓄輸入的な意味での輸入確保の方策、並びに現地における利権の獲得方策というようなものをあわせて推進をしていくことが必要ではないかと思います。しかし、これら長期的な施策とは別個に、短期的に需給の不均衡が見られまする場合には、やはり関税の操作等を通じまして緊急輸入の措置等を考えてまいる必要があろうかと思います。ただいまのところさような事態にはございませんが、あるいは場合によりましてニッケル等についてはさような措置も検討する時期が来るかもしれないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/35
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036・中村重光
○中村(重)委員 現在はおっしゃるようなことで、いま直ちに備蓄をしておらなければならぬというような、そういう情勢ではない。だがしかし、少なくとも国としては、あらゆる場合を想定した対策というものは絶えず立てておらなければならない。石油の場合において非常な混乱をしたということも事実であるわけです。だから、どろなわ式ではいけない。あらゆる場合に対処して、うろたえないように、不利な状態におちいらないような諸施策というものをいつでも立て得るような体制というものが、私は立てられておらなければいけないのだ、かように実は考えるわけですね。だから、まずこの点に対しては、いろいろとお尋ねしたいことがありますけれども、時間が参りましたから省略をいたしますが、いま関税操作というお話が実はあったわけです。国内の生産あるいは海外開発等、探鉱を含めて、生産体制というものを強化していくということになりましても、相当量の輸入というものをしなければならないということになってくる。そうすると、ケネディラウンドの問題の影響というようなものも、いわゆる相当量の輸入をしなければならないのだから、その点に対しては、何か影響はないようであって必ずしもそうではない。だからして、安いものが入ってくる。入ってくるということになってくると、ペイしないものはやめてしまえというような形において、他からの圧力によって、そうした開発に対してチェックするような動きも出てこないとは言えない。したがって、ケネディラウンドの実施によってどのような影響をこうむることになるのか、また、これに対する対策はどのようにお考えになっているのか。
それからいま一つは、海外協力というものを、政府は強力に推進していこうとしておられる。だから、地下資源金属鉱物というものは、特定の限られた低開発地域にあるわけでございますが、それらの地域に対する海外協力によって、当然この開発に協力をしていくことになりましょうし、また、特恵関税の問題等も出てくるわけでございますが、これらの点に対してどのような取り組みをしようとしておられるのか。また、それらの影響というものがどう生じてくるのか。まずその点について考え方をひとつお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/36
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037・両角良彦
○両角政府委員 ケネディラウンドは、それが完全に実施されますならば、わが国の金属鉱業あるいは非金属鉱業に対しまして重大な影響があるという点は、御指摘のとおりだと思います。そこで、通産省といたしましては、特に貴重な地下資源産業というものに対する影響を最小限度にいたしまするために、国内に支障の起こる鉱種というものについては、ケネディラウンドの完全例外ということで主張を一貫をしてまいっております。今日まで対象品目は、六十五品目の中で完全例外品目としては二十三品目をわれわれとしては確保いたしてきておる次第であります。また、それ以外に譲許をいたしまする品目につきましても、その譲許の程度というものは、国内のその鉱種の産業につきまして実害のない程度というもので、しかも、国際的なKRの方針に対する協力というものとの両立をはかってまいるということで対処をしてきておる次第でございます。
次に、経済協力の観点から、海外開発の促進をどう考えるかという御趣旨でございますが、この点は、私どものほうは、今後とも金属鉱物の海外開発を促進をいたすということは至上命題でありますが、その際は、やはり大きな経済協力のワク組みの中でこれを有効に活用してまいる、また有効に推進をしてまいるということが必要であろうかと思います。御承知のように、金属鉱物は、特にいわゆる低開発国というものに資源の賦存が片寄っておりまするので、これらの諸国における開発は即経済協力という実態を伴うものでありまして、今日までコンゴあるいはインドネシアあるいは南米諸国等におきまするわが国鉱山会社の開発努力というものは、いずれもさような趣旨において、これら諸国はわが国からの経済協力という実態で受け取ってもらっておるわけであります。またこれに対する資金投入も経済協力基金を通じまして、今後とも積極的に開発資金、探鉱資金の投入を推進してまいりたい。これらをあわせまして経済協力のワク組みの中における海外開発というふうに私どもとしては考えてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/37
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038・中村重光
○中村(重)委員 経済協力の関係については、実は私はもっと突っ込んでお尋ねしたいのだけれども、これは関係法律案が出てまいりますその際に、ひとつ十分お尋ねをいたしますから、うんちくを傾けてその際あなたからお答えを願うことにして、きょうはその点は省略をいたしておきます。
最後に、金の精錬所における密輸入の点についてお尋ねをしたいと思います。金の密輸入、これが精錬所において行なわれたということには、私どもはこれを重大な問題として見ておるわけです。
〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕
だからして、あなたはどのようにこの点をお考えになっておられるのか。また、そこで精錬されるものがどの程度であるということはおわかりでございましょうし、今度発見されたものだけではなくて、相当長期に、あるいは相当の量が輸入をされ、いわゆるさやかせぎをやってきておったという事実はないのかどうか、あるいはこの事件発生によってあなたはどのような調査をし、監督を強化するための措置をおとりになったのか。まずそれらの点についてお聞かせ願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/38
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039・両角良彦
○両角政府委員 御承知のように、金の精錬所におきまする精錬につきましては、金鉱石並びに回収金というものをあわせてるつぼに入れまして、さらにそれを電解いたすという過程をとるわけでありまするが、たまたま、お尋ねのケースにつきましては、シアン化金カリウムというもののメッキ液生産のために、市中の回収金を投入いたしまして、その回収金をさらに金精錬に回しまして、出てきた新産金をシアン化金カリウムの原料として用いたということに相なっております。したがいまして、問題は、市中から回収をいたしました回収金というものの中にたまたま密輸金が一部含まれておったということでございまするが、金自体の識別は精錬所においては不可能でございましたので、問題はその購入過程ということになろうかと思います。したがいまして、問題の事件は、購入過程における購入当事者が情を知って密輸金を購入いたしたというところにあろうかと思います。私どもは、かような事態は今後とも厳重に各精錬会社を通じまして監督を強化すべきものと考えます。特に違反を起こしました企業につきましては、当該企業内における職務の分担いわゆる権限の移譲ということが行なわれておりまして、担当者がきわめて広範囲な権限を委任されて、品物の原料の購入から生産製品の販売に至る活動を行なっており、これに対するチェックというものが上司によって有効的確に行なわれておる体制が必ずしも十分でなかったという面もあろうかと思います。かような点は、当該企業の社内体制として今後とも早急に改善をすべきであるということを申しておる次第であります。
また一般の金市場における密輸金の出回りというものはなかなか実態が把握しにくい問題でありまするが、とりあえず金の地金の卸売り段階に至りまする地金商並びに十五社並びにその下の約四百社にわたりまする企業に対しまして調査をいま進めておりまして、それを通じまして金の取引の市中流通の実態というものを十分把握をしてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/39
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040・中村重光
○中村(重)委員 あなたはいたずらにこれを弁護しようというようなことではないようでございますから、追及はいたしませんが、ともかく日本鉱業、日本のトップ企業でしょう。これはこの事件が発生をしてどのような調査をなされたのか。いま調査を全般的にやっているというが、さっそく通産省から派遣をして実態をつかむということをやられたのかどうか。あるいは日本鉱業の社長をお呼びになって、その事情を聞き、厳重にこれに対して警告をするとか、いろんな措置をおとりになったのかどうか。再びこういう事件が起こってこないかどうか。あるいは今回の事件が――これは警察がやることだからわからないんだとおっしゃればそれまでのことなんだけれども、今度の事件だけなのか、相当な期間にわたって相当の量の密輸というものがなされておったのではないか。その点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/40
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041・両角良彦
○両角政府委員 問題の会社の関税法違反の事件につきましては、現在までなお司法当局の手によって進められておりまして、通産省は産業政策の見地から、現段階においてこれに強制的に介入いたすということはいたしておりませんが、とりあえず二回にわたりまして当該企業の社長の出頭を求めまして、実態、実情を聴取し、また今後かようなことの起こらないような善後措置というものを社内的にとってもらうことについては厳重に要請をいたしてきておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/41
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042・中村重光
○中村(重)委員 局長、ともかく国際的にも不名誉です。日本のトップ企業が密輸をやっておったなんということはもう国際的に喧伝されているわけなんです。だから少なくともこういうことは、われわれのほうからお尋ねをするまでもなく、実情の報告をするくらいの熱意があってしかるべきだと私は思う、案外強力に調査等はやっているというのですから、信頼をしておる局長でございますから、あなたを疑うようなことはしません。ですけれども、何か取り組みが弱いような気がしてなりません。
最後に、加賀山参考人にお尋ねをいたしますが、事業は拡大をしてまいりました。あなたのほうの事業団の任務もきわめて重要になってまいりました。そこで、予算関係で総予算主義をとっておるのか、事業別予算という形で事業を進めておられるのか、これは実際の業績をあげる上について相当大きい影響があろうかと思いますから、ひとつその点に対してお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/42
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043・加賀山一
○加賀山参考人 ただいまのお尋ねでございますが、総予算主義ではありません。全部別々の会計によって、広域調査、精密調査また融資対象、人員というようなことでやっております。なお、ことに精密調査におきましては、それを区域別では会計までこまかくいたしてやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/43
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044・中村重光
○中村(重)委員 事業別予算でやっておられるということですから、責任体制が確立されるということになってくるだろう。だから形式的ではなくて、中身のある――せっかくそういう事業別予算主義をとっておられるならば、それがほんとうに実りあるものになるように、あなたはすべてその実態が、直ちに事業別予算というものがつかめるわけですから、それによって十分な指導体制が確立されるようにひとつやってもらいたい。非常に重要な役割りを果たす事業団であるわけでありますから、その点を大きく期待をいたしておきます。
これで質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/44
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045・小峯柳多
○小峯委員長 岡田利春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/45
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046・岡田利春
○岡田(利)委員 法律案の審議の前に、一、二鉱種対策についてお伺いをいたしますが、特に最近のわが国のS源供給の構造がいま大きく変わりつつあるわけです。したがって、鉱業審議会においても需給対策の分科会を設けて現在検討を進められておるわけですが、この機会に、わが国のS源供給の特に今年度の見通し、さらにまた長期点な視点に立って、昭和五十年度のS源供給の構造はどのような見通しに立っているか、この点についてまずお伺いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/46
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047・両角良彦
○両角政府委員 昭和四十三年度のS源の供給見通しは、全部で二百八十万トンでございます。このうち鉱山硫黄が二十八万トン、回収硫黄が十六万トンということに相なっております。昭和五十年度におきましては、全供給量が四百四十七万トン、このうち鉱山硫黄三十一万トン、回収硫黄八十万トンということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/47
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048・岡田利春
○岡田(利)委員 最近の国際的な硫黄価格の状況、さらにまたこれから硫黄の価格が一体どういう推移をたどると判断されておるのか。さらにまた国内の硫黄の価格の見通しは、これらの国際価格の見通しと相まってどういう見通しに立たれておるのか。この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/48
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049・両角良彦
○両角政府委員 価格につきましては、国内の硫黄価格は昭和二十七年度のトン約三万円というのをピークといたしまして、その後急速に下降いたしましたが、四十年からやや需要が回復をしまして持ち直してきております。現在約二万三千円というベースで推移をいたしております。
海外につきましては、後進国におきまする硫黄需要がきわめて活発でございますので、今後数年間はなお需給がタイトに推移をすると思います。したがいまして、価格の面におきましても、アメリカあるいはヨーロッパいずれもトン五十ドル内外で推移をいたすものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/49
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050・岡田利春
○岡田(利)委員 大体国際的に硫黄の需要は年率七%程度の伸びが期待できるのではないか。一方、これに対して供給側は大体年率五%程度ではないのか。したがって長期的に見ますと、硫黄の供給不足というものが、国際的にその見通しがきわめて明瞭になってきたのではないかと思うわけです。そういう意味において、わが国のS源供給構造として、石油の脱硫装置が次々と完成をされておる。しかもサルファの多い原油が供給の中心におそらくなると思いますから、この脱硫装置が完成されていくことによって、回収硫黄の量が非常に多くふえてまいると思うわけであります。
そこで現在出光がすでに十月からこの操業開始をいたしておるわけですが、基準として三・三%の硫黄を含む原油から一%の硫黄を脱硫をして得る一トンの硫黄は、大体比重からいって〇・九だと思いますから、この一トンの硫黄は一体コスト上どの程度の計算を見込んでいるのか、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/50
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051・両角良彦
○両角政府委員 試算でございますが、一応一%の硫黄分の低下に要しますコストは五百円と考えますが、その中には硫黄の売り上げ回収という分をトン一万三千円として見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/51
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052・岡田利春
○岡田(利)委員 そういたしますと、脱硫された出光の原油は一%に対して五百円割り高で東電に引き取り契約をする。東電側もこれに対してはオーケーという木川田談話も実は出ておるわけですが、そうなってまいりますと、キロリットル五百円の値上げ、これに加えて、大体百五十円程度回収硫黄の売却経費として収入見込みが成り立つ。したがって、一キロリットル一%脱硫をして六百五十円程度、こう理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/52
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053・両角良彦
○両角政府委員 大体一%下げます場合の硫黄の売り渡し収入分は百二、三十円と考えておりますから、大体先生御指摘の数字になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/53
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054・岡田利春
○岡田(利)委員 鉱山硫黄の合理化目標で価格を一応一トン当たり一万八千円と通産省は推定をして、これに対する合理化目標に達するように、硫黄鉱山の開発を、坑内掘りからオープンカットに持っていくとか、あるいはまた優良鉱床の採掘に重点を向けるとか、こういうように合理化計画がすでに通産省から指導として出されていると思うわけです。この一万八千円という合理化目標は一体どういう環境とどういう条件から割り出した目標であるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/54
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055・両角良彦
○両角政府委員 昭和四十四年度におきまして、総原価一万八千三十三円というものを硫黄合理化対策の目標としておりますが、これは輸入採算価格ということのたてまえで計算をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/55
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056・岡田利春
○岡田(利)委員 国外の硫黄はそれぞれの国によって若干違うでしょうけれども、大体一万八千円、これを日本に輸入した場合には、これは当然運賃がかさみますから、二万三千円から二万五千円ぐらい、こういう見方も私はできるのじゃないかと思うわけです。にもかかわらず、硫黄はまだ自由化品目ではございませんけれども、先ほども申し上げましたように、国際的に供給不足の傾向ははっきりしてきた、そういう角度からいえば、一万八千円の目標というものは非常にシビアではないか、私はこういう感じがするわけです。私の計算によれば、大体トン二万円程度の合理化目標でいいのではないか。しかもわが国の硫黄鉱山の体質からいえば、それも相当な努力をしなければならないだろう、私はこういう推定をいたしておるのでありますが、この点についての見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/56
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057・両角良彦
○両角政府委員 先ほど申し上げましたように、輸入硫黄のCIFの採算価格というものは、大体トン一万八千円、これをもって今後とも推移をいたす公算が多いと思います。したがいまして、わが国といたしまして、先ほどは四十四年度の数字を申し上げましたが、四十五年度の目標として掲げておりますのは、市中の販売価格として一万八千円、コストとしては一万六千二百円ぐらいを想定いたしておりますが、これをもって大体輸入硫黄とのバランスがとれる。しかし先生御指摘のように、世界的な硫黄需給が今後変化をいたしまして、そして輸入採算価格が一万八千円を上回るならば、この目標はシビアであるということは申せるかと思いますが、ただいまのところ、長期的に見て大体そのような線まで合理化をいたす必要があろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/57
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058・岡田利春
○岡田(利)委員 そういたしますと、原油からの脱硫装置によって出てくる一トンの硫黄が一万三千円、これが販売経費を含めて、私の試算では大体一万五千円、こういうことではないかと思うわけです。一方合理化目標で硫黄鉱山から出てくる硫黄は一トン一万八千円、ここに値段の開きが実はあるわけです。一方において長期的な視点に立てば、脱硫装置の建設が漸次拡大をされてまいりますから、先ほど局長の述べられたように、昭和五十年では六十九万三千トン程度の供給過剰になる、こういう見通しは明らかであるわけです。したがって当然価格の調整、この面について配慮しなければならぬではないか。エネルギーが石油に重点が向けられて、石炭対策がいま重大な政治の課題になっている。今度は二次公害の対策の中から硫黄が回収されることによって、国内の硫黄鉱山がその被害を受ける、こういう問題が出てきているわけですから、当然価格の調整をする。そのためには、やはりいわゆるプール機関、どちらも買い取ってこれをプールするという、そういう機関の設置というものが当然必要ではなかろうか、避けられないのではないか。さらに余った六十九万三千トンの硫黄というものは結局海外に輸出をする、わが国が硫黄の輸出国になる、こういう点は、長期的見通しからいって私は明らかだと思うわけです。したがってこの点について、鉱山局としてはこういう価格プール制についてはどういう考え方を持っておられるか。また将来の硫黄の輸出について、特に後進国の需要が増大をしてまいるわけですから、この面についての輸出対策としてどういうことを一体検討されておるのか、こういう点について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/58
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059・両角良彦
○両角政府委員 お話しのように、回収硫黄を中心といたしましてわが国の硫黄需給がゆるみまして、相当量を輸出にさばかなければならないということは予想されるわけであります。その際、今日ほとんど実質的に輸出を行なっておりませんので、海外市場を打開し確保していくということは相当大きな課題になってまいりますが、そのやり方といたしまして、ただいまお話しをいただきましたような方策がよろしいかどうかという点につきましては、なお石油業界と硫黄業界との意見の調整ができておりません。われわれとしては、有効な輸出方策ということを当然考えるべき立場でございますが、少なくとも両業界の納得するような輸出方式というものをただいま検討を進めておる次第でございます。
また国内的に見まして、硫黄の価格面での配慮というものを行ないまして、山硫黄というものの生産をある程度今後にわたりまして確保していくというために必要な施策は、特にこれまた石油業界と鉱山硫黄業界との相互の協調ということによりまして、販路の確保、いわゆる山硫黄の仕向け先の確保、また石油業界によりまするいたずらな市場撹乱だとか値引き等を避けさせるというような話し合い、協調というものを進めるべく、いま両業界に呼びかけておる最中でございます。したがいまして将来の構想といたしまして、先生の御指摘いただきましたような一手買い取り機関なりあるいは輸出会社構想というものは、十分検討に値する御示唆かと思いますが、両業界の実情をあわせながら今後検討を進めさせていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/59
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060・岡田利春
○岡田(利)委員 その場合、結局石油の硫黄回収に伴ってこの問題点が出てまいったのですから、いわゆる脱硫硫黄について、一体これをどう押えるのか。さらにまた脱硫された原油は、いま東電と出光側で話し合いされている、一%五百円高く、とにかく最大の油を消費する電力会社に引き取ってもらう、この点がまず行政指導として、この方向を通産省としては是認をするのか。そういう方向を一応基礎としてものごとを考えるのかどうか。結局、もし一%脱硫した重油を五百円でなくて三百円だということになりますと、その分だけその硫黄価格は、初めはトン一万三千円と考えておりましたけれども、一万五千円にするとか、そのときの相場が一万八千円であれば一万八千円に売るとか、こういう問題が当然提起されてくると私は思うわけです。したがって今後それぞれ高硫黄分を持っている原油の輸入というものが相当部分中近東に依存している場合には占めてまいるわけですね。カフジ原油が今日非常にサルファが商いわけでございますから、これを押えないで硫黄鉱山の対策をするといっても、非常にむずかしくなるのではないか。だからむしろ東電、出光側で話し合いをされたように、一%五百円の高い金額でとにかく引き取ってもらう、こういうことが行政指導としてむしろ強められ、その方向が大体基準になっていく、こうなってまいりますと、五百円プラス百三十円程度、こういう点で六百三十円程度で脱硫は採算がとれる、したがって価格プールをし、海外の情報を集め、さらにまたそういう準備をする、こういう中から過剰硫黄についてはこれを輸出に振り向ける、こういう体制が私は一番望ましいのではないかと思うわけです。しかしその基本になるほうがぐらついておりますと、結局総合対策がどうしてもぐらついてくるのではないか、こう私は判断するのでありますが、
この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/60
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061・両角良彦
○両角政府委員 今日石油側の事情といたしましては、特に公害対策の見地から、過密地帯に対するC重油のサルファ分は四十四年度以降一・七%、現状より約〇・八%くらい下げるということは至上の命令になっております。したがいまして、この低サルファ重油の供給を可能ならしめる方策は、一つはやはり御指摘のような低硫黄原油の確保ということであります。もう一つは、重油脱硫装置の拡充ということであろうかと思います。しかしながら、低硫黄原油の確保ということは、わが国全体の石油の供給構造というものに関連がございまして、将来たとえば原子力発電というようなものが非常にウエートを占め、かつナフサ需要がきわめて膨大になるといったような時点におきましては、わが国の輸入原油の構造なりあるいはその精製、供給構造というものは大幅に変えられることが予想されまするが、現在の時点におきましては、やはりある程度硫黄分の多い原油を輸入してまいるということが、価格的にも供給構造的にも必要な面もあるわけでございます。したがいまして、われわれとしては、問題はやはり国内における重油脱硫装置の充実、またそれに対するサルファメリットを見た電力会社その他の購入価格の是正、これを通じて本件については対処をしていくわけであります。ところが、それを進めれば進めるほど回収硫黄の問題というものは不可避的に出てまいるという点は、私どもの一番頭の痛い点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/61
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062・岡田利春
○岡田(利)委員 いずれ本委員会には鉱業政策小委員会もできるようでありますから、詰めた議論はその機会に譲りたいと思うのですが、私は問題提起だけをしておきたいと思うのです。そしてこの対策はやはり相当早目に立てて、たとえば輸出に振り向けるといっても、滞貨が出てからでは、それは価格の問題も出てまいるでしょうし、相当時間も要するのじゃないか。したがって、むしろ大体は需給のバランスがとれておる時点でそういう対策をぴっちり立てておくということが、私は一番大事ではないかと思うのです。そういう点について特にすみやかな検討をして、業界等の協力も得て、方針を確立してもらいたいということをこの機会に要望いたしておきます。
それと、いま局長が言われましたように、低硫黄原油の確保ということは、原子力発電がふえたとしても、重油の需要というものは相当な勢いで増大をしてまいるわけですから、いまの国際的な供給体制やあるいはまた価格の動向から判断いたしますと、低硫黄原油の確保はなかなかむずかしいのではないか。これは局長の意見と私は同じだと思うわけです。
そこで、関連して一つお聞きしておきたいのは、ミナス原油の場合には非常に低硫黄で、最も硫黄分の少ない原油でありますけれども、しかしこれはまた反面大体一七%程度のパラフィンを含んでおる原油といわれるわけです。最近、特にパラフィン需要の面でミナス原油の確保が他の石油業界との関係において非常にむずかしくなってきている、こういう話を私は聞いておるわけですが、この面については今日問題点がありますか、あるいはこの点についての調整について通産省は何らかの行政指導をいたしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/62
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063・両角良彦
○両角政府委員 ミナス原油のわが国への輸入につきましては、御承知のように現在カルテックスがこれを国際的なルートでわが国に供給をいたしております。もう一つは、インドネシア石油開発を通じまして入ってきているわけであります。しかしながら、わが国に対するミナス原油の供給につきましては、インドネシア側内部の事情から、いわゆるプルミナ、プルタミンの二国営会社がございます。わが国には従来プルミナ・ルートで入ってきておりますが、今後グルタミンのほうからの輸出をわが国に希望しておるという話も聞いております。しかしながら問題は、コマーシャルベースでの価格の問題に関連がございまして、ただいまのところ、今日までのわが国に対するミナス原油の供給方式に大きな変化は将来起こらないというふうに私どもは考えております。したがって、行政上の調整をとるような段階には現在きておらないと考えます。
またパラフィンの問題につきましても、特にわが国における冬場のミナス原油の処理というものについては、電力用のなまだき問題等に関連いたしまして、電力会社におきましても所要の保温措置等を講ずることによって解決をいたそうという動きが出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/63
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064・岡田利春
○岡田(利)委員 きのうの参考人に対する私の質問に対して、特に化学石こうと鉱山石こうの問題でありますが、この点について参考人は、わが国の鉱山石こうについてはクロームが含まれている――そうですね。化学石こうと鉱山石こうとの関係においてどうして一体業種対策として業界の意見がまとまらないのか。これに対して、わが国の鉱山石こうについては純石こうではないのだ、こういう答弁がなされておるわけですね。この点について生産比率、一体純石こうとメタルを含んでいる石こうではどういう比率になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/64
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065・両角良彦
○両角政府委員 一昨日たしか吉見参考人からの御答弁にあったと思いますが、これは黒鉱と鉱床が併存しておるという意味で、石こうの採掘は将来黒鉱の採掘のほうに切りかえていくことが必要ではないかという御意見だったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/65
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066・岡田利春
○岡田(利)委員 私はこの点についてわが国の化学石こうと鉱山石こうの問題も、やはり硫黄と同じように、鉱種対策として通産省としてはやはり取り上げるべきではないか。その理由として、どうもしかし業界自身が、なかなかセメント会社との長い提携等があって、業界の意見がまとまらないということが一番鉱種対策の立てにくいところだ、こう承知いたしておるわけですが、そういう理解でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/66
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067・両角良彦
○両角政府委員 さようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/67
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068・岡田利春
○岡田(利)委員 いずれまたこの点も小委員会で参考人を呼んでいろいろ御意見を聞きたいと思っています。
次に、海外鉱物資源開発株式会社の問題でお聞きいたしたいと思うのですが、この会社が設立をされて今年ようやく二十億円全額出資の体制に入ってまいるわけですが、昭和四十一年から四十二年の損益計算書によれば、未処理損失としてこの期は四千九十二万、若干の赤字、さらに前期繰り越しで総額を含めますと三億五千二百二十五万六千二百四十一円の赤字が実は計上されておるわけです。私は、本委員会にいま北海道地下資源開発株式会社廃止法案がかけられておるわけですが、この会社は十億の資本金のうち九億が政府出資、九〇%ですね。そして都道府県がこれに対して出資をしている。若干民間が出資している。いわばこの海外鉱物開発株式会社よりも政府出資の非常に高い会社である。ところがこの海外鉱物資源開発株式会社は、政府資金と民間資金が五割ずつ、こういう形で出資をされておる会社でありますが、いままでのこの事業内容をずっと検討してまいりますと、私は赤字が出るのは当然ではないか。大体地質広域調査や探鉱、こういうものに重点が向いている場合、なかなか採算がとれるものではないわけです。これは北海道地下資源開発株式会社がその実績を如実に証明しておるわけです。そうなってまいりますと、ここでこの会社の事業の内容というものについてさらに検討を加え、民間業界の協力体制というものについてさらに検討を加えて、要はこの会社が採算ベースに乗っていく、その基本になる鉱山の開発を早急に進めなければならない。そういう体制のもとにさらに情報収集をしたり、今度の法改正による融資等を受けて次への調査開発を進めていく、探鉱を進めていく、こういう方向に進まなければならぬのではないかと私は思うわけです。この時期がおくれると、北海道地下資源開発株式会社の二の舞いを演ずるのではないか。しかも業界の協力体制を私はそう十分ではないと思うわけです。またこの出資というものは海外協力基金から出されておるわけですから、一般会計から別に出されているわけではないわけです。そういう面でこれを担当している経済企画庁さらにまた大蔵省、実際の指導はこれまた通産省が行なっておるわけですが、この三者のこの会社に対するいままでの経過を十分検討して、これからどう進めるかという点について見直しをすべき時期に来ているのではないか。そういう中で必要資金量があれば資金量を増大をするとか、そういう積極的な検討というものが一番望まれているのではないか、私はこういう理解を実はいたすのでありますけれども、当事者である山田参考人はどういう見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/68
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069・山田義勇
○山田参考人 海外進出はなかなかリスクの多い仕事でありますが、創立四年有七カ月を過ごしまして、損金として出しましたのは四億円と、それからボリビアの一マチルデ鉱山の鉱床を探りまして、これに使いました。これは仮支出に出しておりますから、それを合わせますとほとんど五億以上という損金を出しております。しかしいままでやりました仕事のうちで、ペルーのチャピー鉱山は協力会社から海外開発に持ってこられまして、協力会社旧鉱が探鉱しておりましたけれども、品位と鉱量が少ないからというので放棄しておりましたのを海外鉱発に持ってまいりました。海外鉱発で七千万円ばかりボーリングに充てて、そうしてこれはできるじゃないかということで、今度、海外鉱発が探鉱し、有望な鉱員品位を発見し、希望会社を募って、日鉱と三井と東邦亜鉛、それから海外鉱発、そういう資本構成でいまやっておりまして、四十四年の四月から一日粗鉱処理八百トン、年に銅量にしまして四千トンくらいのものが出るようになりました。そうしますと、資本の割合といたしまして海外鉱発は一五%のシェアを持っておりますから、そういうものに対してはロイアルティーなり何なりが入ってくることになります。もう一つ最近になりまして、マレーシア、サバ州のマムート鉱山の国際入札に参加しまして、当社に対し探鉱権、開発権を与えてくれましたので……
〔岡田(利)委員「業務の内容は、業務方法書を私持っていますから、知っていますから」と呼ぶ〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/69
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070・小峯柳多
○小峯委員長 質問にぴたりと合うような簡潔な答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/70
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071・山田義勇
○山田参考人 そういうことで、それをいま増資をしてその探鉱費に充てたいと思っております。しかしその探鉱費は今後増資しました金額で足らないくらいになりますから、どうしても資本を増加して、探鉱段階におきましては資本金を使いますが、開発段階においては、もうひとつ国家資金の低利な資金を用意してもらってやりたいと思います。これは非常に大きな鉱床でありまして、年間四万トンの銅量を確保することになっております。そういうことで資本を使うにいたしましても、やはりこれは前向きに進んで経営をやっていかなければ資本を食いつぶすだけになりますので、その点につきましては、幸い今度鉱物補助金がたくさん事業団につくようになりましたけれども、海外出資としてはあれでも事業団については補助金というものは少な過ぎるような感じがいたします。立ちおくれた日本の海外進出に対しては、もう少し補助金をふやしていただかないと、非常に安定供給ということの責任を果たすのに不十分になるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/71
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072・岡田利春
○岡田(利)委員 経済企画庁調整局来ていますね。――これは経済協力基金を通じて出資をしているわけですが、調整局では一体海外鉱物資源開発株式会社の業務内容を検討し、今日までの決算内容を見、これからも探鉱事業団が海外に業務を拡大する、こういう情勢下で一体どういうお考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/72
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073・赤澤璋一
○赤澤政府委員 過去この会社ができました際に経済協力基金から出資をいたしました。さらにその後二回の増資に応じておるわけであります。もともと海外のこういった鉱山の開発につきましては、やはり長期を要するものであり、かつ危険性もあるということで、いわば一般の金融機関の融資には乗りがたいということから、海外経済協力基金からの出資という特殊な形態で応援をしてまいったわけであります。過去の実績を見てまいりますと、確かに不安定な要素があるために、たとえばボリビアのマチルデ鉱山などにつきましては、必ずしもこれがうまくいったということであるとは思いませんけれども、しかしこういったような危険性を持ちながらも、わが国の鉱物資源について、全業界あげて、この会社を中核体として開発していこうということでございますから、われわれとしても、やはり長期に考えて、経済協力基金がこの会社に投融資の形で応援していくということは必要なことだと考えております。ただ、当面探鉱段階におきます資金につきましても、今後におきましてもやはり融資という形はなかなかとりにくいと思いますけれども、この会社の基礎が固まり、ただいまもお話のございましたようなマレーシアでありますとか、その他のところがうまく成功してまいりますれば、今後は投資という形のみならず、融資という形態でもこの会社に対する支援がなされていいのではないか、かように考えております。いずれにいたしましても、過去非常に苦労して今日までやってきたわけでありますが、ここで中途はんぱな形でこれが打ち切られるとか、あるいはその方向が鈍っていくということは私どもとしても歓迎すべきことではない、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/73
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074・岡田利春
○岡田(利)委員 私は一昨日、河上参考人に対してこの問題について質問しておるわけです。いわば海外開発の場合には、特に融資開発のような場合には、三井物産とか三菱商事とか、そういう商社を通じて情報を集めて大体調査をし、そういう情勢判断の中から積極的な折衝を開始をしていく、いままではいわばそういうルートが非常に多いわけですね。したがって、いいところは自分の会社で開発したほうがいいわけですよ、大型プロジェクトで。特に代表的な鉱区は自分で開発する、これは私企業としてはきわめて当然だと思うのです。しかし業界自身がこの会社に対して参加をし、出資をいたしておるわけでありますから、そうして会社の設立目的からいって、私は業界の協力が足りないのではないか、こういう判断を持っているわけです。したがって、私は業界を含めて、この設立趣旨にかなって、これがさらに拡充強化されていく方向で十分検討すべき時期にきているのじゃないか、ちょうど五年経過しておるわけでありますから、そういう時期にきているのじゃないかというのが一つの問題提起なんです。それから第二の問題は、そういう点で議論が進められ、方向が出てくれば、体制についても検討を加えるべき時期ではないのか、会社自身の体制についても検討を加えるべき時期ではないのか。第三点としては、先ほどから希望も出ていますように、そういう中で資金体制の強化が必要であれば資金体制の強化をはかっていく。また今度海外開発について探鉱事業団が融資をし、保証するという法改正がいま行なわれようといたしておるわけですが、事業団との協力関係、この面については
一体こういう協力関係体制をもっていくのか、この面についても少し深めて議論する必要があるのではないのか。そうしていま言われたように、初めてそういう体制の中で融資等についても考えていく、こういう総合体制が検討されるべき時期にきている。ちょうど五年の経過からかんがみてそう私は判断するわけです。もちろんリスクの多いことをやるために特殊法人をつくったのでしょうが、このままずるずるいきますと、仕事の性質の内容からいって、にっちもさっちもいかないというような現象になって、問題を提起をしてしまうということになる危険性を持っているのではないか。そういう意味で私は意見を述べたわけですが、そういう点で十分海外鉱物資源開発会社を設立目的にかなってこれを生かしていく、これを充実をしていくという意味で、そういう検討を加えるべきだと私は思うのですが、そういう意味で経済企画庁と鉱山局のほうから考え方を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/74
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075・両角良彦
○両角政府委員 海外鉱発の総合育成策を新しい観点から検討すべき時期に来ておるのではないかという点につきまして、三つの問題を御指摘をいただいたようでございます。私どもまことに肯綮に当たる問題点であろうかと思います。私どもも、さような御趣旨に全く同感でございますが、特に海外鉱発の今後の海外開発における役割りという点につきましては、各社の自主開発ということと、海外における大型の探鉱プロジェクトの共同開発というものとのかね合いの問題ではないかと考えます。私どもは将来海外における探鉱が着々その成果をおさめてまいるに従いまして、海外鉱発を通じての共同開発、共同探鉱の必要性はますます高まってまいると考えます。したがいまして、現在の各社と海外鉱発との関係というものは、今後わが国の海外進出体制が大幅に強まっていくに伴いまして、漸次海外鉱発の役割りというものはおのずから重要なものになってまいると考えておる次第でございます。
また、これに伴いまして、海外鉱発の社内体制あるいは運営体制というものを再検討すべきではないかという御指摘でございますが、この点につきましても、業務の拡充なりあるいは海外開発の進展の状況に応じた社内体制の強化、特に現業部門的な強化ということは当然考えていくべきものと存じます。さらに、資金面につきましても、今後の海外鉱発の事業の拡張に伴いまして、資金的な強化をはかるという点につきましては、一そう経済協力基金等との関係を密接にいたしまして、所要資金の調達をお願いいたしますとともに、特に民間調達分等につきましても、将来その必要が出てまいりますならば、探鉱事業団によりまする保証というようなことも考えていくことになろうかと思います。
以上を通じまして、海外鉱発の総合的な育成策というものを新しい時点におきまして、新しい観点から検討を加えまして、海外鉱発の役割り、本来の使命というものに応じた機能の充実をはかってまいるというふうに進めてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/75
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076・岡田利春
○岡田(利)委員 先刻私が御質問いたしましたように、日本鉱業の今後の銅鉱山開発について、私の調べた資料では、日本鉱業が海外鉱発に対して正式に協力要請を行なったわけです。ところが、その後日本鉱業以外の会社が、特殊法人の会社の共同参加については反対の意向が非常に強くなったということで参加をしない、こういう経過をたどったように、私の資料では、そういう資料になっているわけです、業務内容からいって。ですから、もしそういう経過が事実とすれば、ほかの会社もみな海外鉱発に対する出資会社です。そうなると、いま局長が言われましたように、その共同開発の精神ということも、都合の悪いところは、リスクの伴うあまり大きくないプロジェクトについては海外鉱発にやらせるとか、あるいはまた海外鉱発を入れてやる。それからまた、非常に有望な場合には、むしろそれを排除するという傾向、もし私の調べた資料どおりとするならば、そういう傾向というものは、これは少しかって過ぎるのじゃないか。しかも、出資しているわけですから、鉱発については。そういう判断を私はいたすわけです。これがなければなくてけっこうでございますけれども、私は、そういう意味において、先ほどから業界の協力体制ということを問題にいたしておるわけですから、今後ますます海外開発を進めるにあたって、こういう問題が出てこないように、ほんとうに設立の目的にかなって、しかも、各社も出資しているのですから、協力体制というものが非常に緊密な形で組まれるように、私は、この機会に強く希望をいたしておきたいと思います。
次に、探鉱事業団の関係でございますけれども、昭和四十三年度の探鉱実績を見ますと、大体、上期、下期ございますけれども、その対象鉱種は、業務方法書に規定されておるとおり、銅、鉛、亜鉛、マンガン、これに限られておるわけです。したがって、先般来問題になりました金、特に今年度は予算がついて、事業団にこれは委託されると思いますが、この金、銀については、そういう意味で、対象鉱種に含まれてくるのか。あるいはまた、硫化鉄鉱について、この面についても希望があるのですが、問題は、昭和四十三年度すでに予算が組まれて、継続事業が非常に多うございますから、そういう点で規制はされてくると思いますけれども、そういう点の必要性というものは考えられないのかどうか。ベースメタルに限って、マンガンが一%程度でありますから、この比率で、いまの事業団の持つ融資能力からいえば、それに限定をするというお考えなのか。また、金鉱山の対策については、事業団に委託されるとするならば、それは業務方法上そういう形に政令を変えて、業務方法書の内容を変えるという方向で処理をするのか、この点について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/76
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077・加賀山一
○加賀山参考人 私からお答えすることが適当かどうかわかりませんけれども、一私人の考え方を申し上げます。
金につきましては、これは指定鉱種にただいままで入っておりません。おそらく省令の変更とかいう形で、われわれが仕事ができるようなことにしていただけるのじゃないかというふうに考えています。
それから、硫化鉄鉱の問題は、これも私も詳しくはわからないのですが、含銅硫化鉄鉱に関する限りは銅に含まれる。ほんとうの、いわゆる素硫化だけが、いまの先生のおっしゃった対象であるならば、ただいまのところは、私どもとしては考えておりませんでしたけれども、あるいはまた政府がそういうお考えであるならば、これを入れることにやぶさかではないということだけは申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/77
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078・両角良彦
○両角政府委員 金属鉱物探鉱事業団の鉱種の追加は、その業界の実情に応じまして当然行なっていくべきものがあると思います。ただいまの段階では、ただいま理事長から申し上げました、金の追加ということを考えておりますが、今後、海外開発というものを進めてまいりまして、事業団の海外業務が追加されますならば、海外におけるボーキサイト、ニッケル、ウランといったような所要の鉱種につきましても、必要に応じて追加を検討いたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/78
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079・岡田利春
○岡田(利)委員 前の質問では、いまの金の追加ははっきりしたわけですが、ウランについては、海外の場合には、これは当然対象になるという答弁をいただいておるわけです。海外ウランの開発については、今度の事業団で、これからの業務の対象になる、こういう答弁をいただいているわけです。これは間違いないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/79
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080・両角良彦
○両角政府委員 先般ウランについて申し上げましたのは、海外におけるウラン開発について、事業団の対象とし得るよう科学技術庁とも十分相談をいたしまして検討を進めたい、かように申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/80
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081・岡田利春
○岡田(利)委員 もうメタル企業の場合には、それぞれ融資は、中小も入るのでしょうけれども、大手十一社に対して融資がなされているわけですね。したがって、私は、そういう鉱山は、鉄もやっている、銅もやっている、硫化鉄もやっている、また、鉛、亜鉛もやっている、いろいろ鉱種が多様にわたっておるわけですから、その融資内容を検討してみますと、一つの企業でありますから、こちらのほうの融資を受ければ、こちらのほうにいろいろと回していくという方法もあるわけですが、ただ、私は、この際、特に強調しておきたいのは、いま述べられたように、銅を含まない鉄、それから硫黄を含む硫化鉄、こういう面については、鉱山数からいってたいしてそう大きいものはございませんから、ぜひひとつ検討されて、融資対象鉱種に含まれるよう検討願いたい。私は、私なりの調査判断からそういう考え方を持っているのですが、この点については、四十三年度はできなくても、四十四年度、こういう点で対象鉱種の方向で検討いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/81
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082・両角良彦
○両角政府委員 先ほど御指摘をいただきました、探鉱事業団の融資対象を中小鉱山にまで及ぼすかどうかという問題と関連をいたしまするが、われわれとしては、国内の実情に応じて、可能な範囲で、融資の業務範囲というものを事業団の指定鉱種に追加をいたすことは、常に前向きで検討さしていただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/82
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083・岡田利春
○岡田(利)委員 精密調査の業務でありますが、現在二地点について精密調査が行なわれているわけですが、この調査の計画について、さらにこれからの調査継続についての計画と、それから、新地域の精密調査の地域計画、大体計画は組まれているんじゃないかと思うのです。十カ年なら十カ年計画で――まあ広域の場合は十カ年計画であったのですが、そういう計画については、どういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/83
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084・加賀山一
○加賀山参考人 精密調査は御承知のとおり、広域調査にフォローしてまいります。そうして、広域調査の結果が、精密調査をするのに適当だというところを選んでやるわけでございます。したがいまして、広域調査の済んだところというところが前提になっております。
それから、先生がいまお尋ねの問題は、現在、四十二年度でやりました地域の問題かと思うのですが、これは三十九年から実施しておりましたいわゆる秋田県の北鹿地区、それがもう最後の段階までやりまして、結局、精密調査として百五十三本だったと思いますが、その調査を終えまして、いまそれを検討する段階に入っております。
それから、愛媛県の白髪山地区がございますが、これは大体当初の計画が十七地点を選んでやることにいたしておるのでございます。昨年は四本を実施いたしまして、これも大体完了に近くなっております。ただいままでのところ、これを今後、昨年打ったところを実際に検討いたしまして、そうして、これが企業に役立つような方向に持っていきたい、こういうふうに考えております。また、残りがだいぶ残っておりますので、四十三年度におきましては、白髪山問題は続行したいと思います。
なお、そのほか、いまのお尋ねの、われわれのいま四十三年度に計画しておりますところは、これは大体北島根地区で十九本です。それから西会津地区が二十五本です。このくらいはいまの予算で打っていける。それから白髪山四本、また続いて打ちます。それで今度大体一億九千五百万円ほどの予算がついておりますので、これを原資としまして、あと鉱業権者と県の御協力を得て実行したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/84
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085・岡田利春
○岡田(利)委員 そういたしますと、いま広域調査は十一地域やられておるわけですね。昭和四十一年度の広域調査の状況を見ますと、十一地域ですね。そしていま説明があったように島根の北島根、さらに福島の西会津ですか、この二地点は精密調査地域に昭和四十三年からなる。そうなりますと、広域調査については、さらに昭和四十二年度新規に追加される地域は何地点ですか。それと、十カ年計画によれば、これは二十七地域を十カ年で広域調査を完了するのだ、こういう計画のように承っておるのですが、その点についての計画は十カ年でできるという判断ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/85
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086・加賀山一
○加賀山参考人 広域調査につきましては、われわれのほうが企画立案になっておりませんので、委託でその仕事をするというたてまえになっております。ただいま、どことどこがほんとうに御指示があるか、はっきりしておりません。一カ所や二カ所はふえてくるのじゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/86
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087・両角良彦
○両角政府委員 昭和四十三年度までのところ、広域調査の十カ年計画の中間的な進捗状況はきわめて順調でございまして、二十七カ所、所定の十カ年内に調査を終わりたいと考えております。四十三年度につきましては一カ所ないし二カ所の追加を現在検討しておりますが、いろんな資料をもとにこまかい調査中でございますので、まだ未決定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/87
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088・岡田利春
○岡田(利)委員 広域調査の対象地域は、十カ年計画で二十七カ所になっていますが、その基礎的な判断は工業技術院の地質調査所の調査資料、これに基づいて作成されたものと聞いておるわけです。そういう理解で間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/88
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089・両角良彦
○両角政府委員 地質調査所の基礎資料というものを一番有力な判断材料にいたすわけでございますが、あわせまして、業界の要望等も十分しんしゃくをいたしまして、鉱業審議会において検討を願うことにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/89
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090・岡田利春
○岡田(利)委員 現在工業技術院に地質調査所があるわけですが、特に鉱物資源の開発に果たす地質調査所の役割りというものは、非常に重大視しなければならぬのではないか。特に地質調査の技術開発といいますか、こういう面についてもずいぶん進歩をいたしてきておりますし、その結果、学説も、従来の学説より大きく変わってきている。これは金鉱床の場合でも証明されておるわけですし、あるいは黒鉱発見等についても、そういう点が証明されてきておるわけですが、この面、地質調査所というと、何か別途、工業技術院の調査所として独立をして、あまり関係のないような感じが非常に強くするわけですが、この点、こういう鉱業政策を進めるにあたって地質調査所の果たしている役割りについて、この際、何かあれば承っておきたいと思います。この点は、一体どういう地質調査所の地質調査資料の活用をはかっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/90
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091・両角良彦
○両角政府委員 探鉱を進めてまいります上で地質調査所が果たします基礎調査の役割りはきわめて重要でございます。また技術の開発、新しい技術方式の導入等もきわめて切実な必要があるわけでありますが、現在までのところ、広域調査あるいは精密調査の実行にあたりまして、地質調査所とは緊密な連携を保って事業を進めてまいってきております。特に広域調査というような点につきましては、地質調査所の技術者を有効に活用をさせていただいておりますし、また研究等につきましても、鉱山行政上からのテーマの要請というようなことも行ないまして、両関係者の緊密な連絡を常時保っておるように心がけております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/91
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092・岡田利春
○岡田(利)委員 これは鉱山局の所管ではございませんけれども、三段階方式による開発体制を進めていく場合には、当然地質調査所が組み入れられてこなければならない。こういう面における先ほど述べました地質調査所の物探をはじめ、その他の探鉱技術の蓄積をはかっていく必要がある。こういう面についての配慮を特にこの際要望いたしておきます。
それから事業団に対してもう一点伺っておきますけれども、融資事業の場合に、ボーリングと坑道探査、二つがあるわけですが、この実績を見ますと、大体ボーリングによる場合と、坑道探鉱による場合、坑道探鉱の場合には四四%程度、それからボーリングによる場合には五五%、物探は大体一%、こういう融資対象の内容になっているように思うわけです。こういう比率は、これからの融資規模を分析をし、今後の探鉱計画から見て、大体この比率が保っていけますか、それとも坑道探鉱がさらに比率が増大をしていく傾向にありますか、この点は、業務の内容から、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/92
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093・加賀山一
○加賀山参考人 大体の傾向から申し上げますと、同じ仕事量であるならば、ボーリングのほうがふえて坑道が少なくなってくるというのが今日までの趨勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/93
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094・岡田利春
○岡田(利)委員 先般御質問申し上げましたけれども、今度の二法案について、一つの法律案はこれを廃止をする、探鉱事業団については業務の内容を拡大をする。したがって、ここでもう一度確認をしておきたいことは、事業団の目的を改正なさるわけですが、この目的の内容を検討してまいりますと、いわゆる鉱物資源に対する政策、このものの転換を意味するような表現の相違というものが明らかに出ているわけです。旧法律は、これはもう自由化対策から出発して海外競争力を持たなければならない、こういう政策で事業団ができ、あるいはまた安定臨時措法ができておったわけです。しかし今度の目的の改正を見ますと、安定供給、こういう面が従来の目的よりも相当強くにじみ出ておるわけですから、そういう意味で、私は、いまの金属鉱物探鉱事業団、これはそういう意味で中身と看板が多少適切かどうかという点で、看板自体、中身がそういう体をあらわすという点では若干いかがか、こういう意見が述べられておるわけでありますが、目的を見ると、なお一そうその感を強くするわけですね。したがって、この際金属鉱物探鉱事業団はやはり改称すべきではないか、業務内容はそのままでございましょうけれども、やはりその目的の改正にふさわしい特殊法人としての名称を付するべきではないか、特に海外開発に融資をしてまいるわけですから、そういう意味でもそれにふさわしい名前にむしろ変えるべきではないのか、こう私は思うわけです。その点事業団側としては、別に業務上はそういう痛痒を感じないでしょうけれども、実際業務の内容からいって、金属鉱業開発公団といいますか、石油開発公団もあるわけですから、そういう点で探鉱事業団というところから一歩進めて、むしろ目的の改正とともに、やはり看板もそれにふさわしい看板にすべきではないか、こう私は思うわけです。先般局長の答弁は開いておりますから、事業団としてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/94
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095・加賀山一
○加賀山参考人 われわれのいまやっております仕事は、全部助成機関としての役割りを果たしておるのだと思います。みずからいわゆる鉱山の仕事を直接やるというたてまえにはなっておりません。また今回の予算をごらんになっても、いずれもみな助成関係、探鉱を促進するという意味だけの仕事になっております。それから今後開発するというようなことになればまた別ですけれども、われわれのただいままでの考え方は、かえってそれはいろいろなただいままでの機構を乱すのだ、やはりわれわれのほうといたしましては、助成一本という考え方で進むほうが適当じゃないか、こういうふうに考えております。
名称につきましては、これはまたおのずから別でありまして、先生方非常に呼びにくい名前で、覚えにくい名前で困るというようなことでございますれば、これはまた確かにそのとおりと私も考えますので、お考えを願う機会もあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/95
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096・岡田利春
○岡田(利)委員 私はこの法律の改正はいずれまた近く出てくると思うのです、これは私の判断でございますけれども。したがって今度融資保証まで海外の場合やれるわけです。たとえば石油開発公団の場合には、別に直接自分で事業をやるわけじゃないわけです。国内の事業本務はいずれ子会社に分割されるわけですから、そうすると業務内容は同じですね。保証あるいは融資をする。石油開発公団もそうなわけです。そういう意味で、内外の三段階方式のいわゆる探鉱、地質調査すべてをやり、海外に対して融資をし、さらに保証する、こうなってまいりますと、やはりそれにふさわしい体制といいますか、看板もそれにふさわしい看板にすべきじゃないのか。いずれ海外開発に融資をしてまいりますと、そういう名前というものは、こういう事業団がある、あるいは公団があるんだということは、当然海外に知れ渡ってまいるわけですから、やはりそういう点について検討すべきではないか。これは今度の法律を変えるといえば大問題になりますから、私の判断では、海外開発の趨勢から判断して、次期おそらくもう一度法律の改正は必ず出ると私は思うのです。その場合にはひとつその点を十分検討して法改正を出してもらいたい。出すか出さないかわからぬことを言うのはおかしいのですけれども、私はそう思いますから、今度は譲りますから、もし次の法律改正をする場合には、業務の内容が拡大するときに出てくるわけですから、そういう点について十分検討をしてもらいたいということをこの機会に要望しておきたいと思うわけです。
それと同時に、国内の探鉱事業についても、先ほど来三段階方式についていろいろ御意見を承ったわけでございますけれども、先般参考人に問題を私が提起をいたしましたように、中小鉱山の場合には実質三分の一の新鉱床探査補助金、名目五〇%の補助金――政府の補助金というのは、名目とその実質が一致していないというのは定評があります。しかもどんどん労務賃金が上がっていく。さらにまたコストが、経費がかさんでいく。坑道単価についても年々上がりに上がってまいるわけですが、これが依然として据え置かれておる。これは大蔵省のほうでなかなかうんと言わぬだろうと思いますけれども、しかしあまりにこういう差が大き過ぎるということはいかぬではないか。こういう点についても特に、やはり五〇%ならば、実質も五〇%の補助金だ、こういう方向にぜひ改めるように検討いただきたい。
さらにもう一つの点は、中小鉱山に対する融資について、いまの融資制度が第一種とすれば、第二種の融資制度を考えてはどうなのか。鉱山の金融体制は、それぞれ山によって違いますけれども、そういう実情に即応して、弾力的に対応するという場合に、たとえば五割の補助金は補助金としても、それに対して大体二割か三割程度の特に中心になる探鉱については融資を考えてやる、融資内容の第二種といいますか、そういう制度の創設というものは、これからどうしても必要になってくるではないか。特にわが国の中小鉱山の果たしている役割り等から考えて、そういう制度の創設についてもぜひ検討願いたい。これはまんべんなく中小鉱山に融資をするといってもたいへんでしょうけれども、大体わが国の鉱山を鉱種別に検討するとわかるわけですから、特に中核とまでいかなくても、それに準ずるような中小鉱山またはそういう構造的なボーリングをやることが必要であるという面もあるわけですから、そういう点については第二種の融資対象、融資制度を設けるとか、こういう点についてこの機会に特に検討していただきたいと思います。
それと同時に、融資の期限が六年ないし十年になっています。しかも、その融資率は六〇%、実質五三から五五くらいのようでありますけれども、この金利が七分五厘なわけです。私はこの点について、財投がいま六分五厘であり、開発銀行の地域開発の金利等を考えあわせますと、一挙に六分五厘に下げることはむずかしいでしょうが、たとえば北海道東北開発公庫、この場合には特利制度を今年設けるということで、新しい制度として、まだ最終的に利率はきまっておりませんけれども、私の判断では大体七分二厘程度の特利制度が設けられるのではないか、こう見ているわけです。特利を設けることはすでにきまったわけです。そういたしますと、そういう趨勢から判断して、事業団のこういう探鉱事業という内容からいっても、この金利についてはやはり引き下げる時期に来ているのではないか、そういう検討もすべきではないのか。こういう点について、農業の金利まではいきませんでしょうけれども、そういう点についても、やはり七分五厘は高過ぎるのではないか。最近は鉱山も景気がよろしゅうございますけれども、私は、第二種の融資制度を設けることと関連をして、こういう点についてぜひ検討願いたい。
検討願いたいことばかり問題を提起しましたけれども、この点述べて私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/96
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097・小峯柳多
○小峯委員長 参考人には御多用のところ長時間にわたり御出席いただきまして、まことにありがとうございました。次回、来たる九日、再び出席を願うことになりますので、御協力をお願い申し上げます。
次回は、来たる九日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01619680405/97
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