1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十三年四月十日(水曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 小峯 柳多君
理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君
理事 鴨田 宗一君 理事 島村 一郎君
理事 中川 俊思君 理事 中村 重光君
理事 堀 昌雄君 理事 玉置 一徳君
内田 常雄君 遠藤 三郎君
小笠 公韶君 岡本 茂君
海部 俊樹君 神田 博君
坂本三十次君 櫻内 義雄君
塩谷 一夫君 田中 榮一君
田中 六助君 橋口 隆君
粟山 秀君 岡田 利春君
久保田鶴松君 佐野 進君
多賀谷真稔君 中谷 鉄也君
永井勝次郎君 古川 喜一君
三宅 正一君 吉田 泰造君
近江巳記夫君
出席国務大臣
通商産業大臣 椎名悦三郎君
出席政府委員
通商産業政務次
官 藤井 勝志君
通商産業省鉱山
局長 両角 良彦君
委員外の出席者
大蔵省国際金融
局企画課長 熊田淳一郎君
参 考 人
(金属鉱物探鉱
促進事業団理事
長) 加賀山 一君
専 門 員 椎野 幸雄君
—————————————
四月十日
委員丹羽久章君辞任につき、その補欠として粟
山秀君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員粟山秀君辞任につき、その補欠として丹羽
久章君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法
律案(内閣提出第四九号)
金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案(
内閣提出第五〇号)
砂利採取法案(内閣提出第一〇〇号)
鉱業政策の確立に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/0
-
001・小峯柳多
○小峯委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案並びに金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案を一括して議題といたします。
本日は、両案審査のため、前回に引き続き、参考人として、金属鉱物探鉱促進事業団理事長加賀山一君が出席されております。
参考人におかれましては、御多用の中、たびたび御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。近江巳記夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/1
-
002・近江巳記夫
○近江委員 第二次大戦後、平和国家として再出発をしたわが国は、いまや自由主義諸国におきまして米、ドイツに次ぐ世界第三位の生産力を有する工業国となったわけであります。国内的には多くの社会的あるいは経済的な課題を残しておるわけでございますが、その成長は大なるものがあると思います。この工業の目ざましい発展にもかかわらず、鉱物資源は非常に恵まれない状態であります。経済の底は依然として低いわけであります。今後の工業の発展を考えますと、資源の確保ということが非常に大きな問題となってまいります。そこにおいて、おそまきながら政府が海外資源の開発等に一歩を乗り出した、このことについては当然のことであると思います。しかしながら先進諸国に比べますと、政府の乗り出し方というものが非常におそいわけであります。この点が私は非常に問題であると思います。いままでの海外開発の状況を見てまいりますと、民間企業では早くから海外に出ておるわけであります。昭和二十八年には三菱金属鉱業がフィリピンのセブ島に行っております。昭和三十五年には、住友金属鉱業がカナダの西海岸に進出し、それも成功しておるわけであります。これを契機に各社がどんどんと出るようになりまして、いわゆるカナダもうでといいますか、そういうような進出が行なわれた。その間政府としてどのような対策をいままでとってきたか。相手国の感情からしても、国が直接乗り出すわけにはいかないというようないろいろな点があったと思いますが、何らかの形で政府がもっと積極的にやるべきではなかったか。民間にただまかし切りであったというのがいままでの状態ではなかったか。政府として当然海外開発にも目を向けなければならない。それをいままでなぜ積極的に乗り出さなかったか。その点をまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/2
-
003・両角良彦
○両角政府委員 わが国の鉱山資源の海外開発につきましては、ただいま御指摘をいただきましたように、すでに昭和二十八年当時から民間企業におきまして積極的に進出をはかってまいったわけでございます。これに対しまして政府側といたしましては、この助成をはかる趣旨におきましておおむね三つの方策を講じてきたと存じております。
その第一は、海外鉱物資源開発株式会社の設立によりまして、海外開発にあたりましての共同の窓口として、また共同の開発実施の主体というものを設けたことでございまして、これに対しまして、御案内のとおり、協力基金からの出資を行ない、また一般会計からの補助金を投入いたしまして、当該会社の活動を活発ならしめるよう措置いたしてまいった次第でございます。
第二に、海外開発の推進の前提となります海外事情、特に鉱山事情あるいは地理的、地層的条件等を調査いたしますための調査団を派遣いたしてまいっておりまして、昭和三十三年を皮切りに前後十回、政府補助金によります調査団を南米各地並びにマレーシアに派遣をいたしまして、所期の成果をおさめておる次第でございます。
第三は、海外開発に対する資金的な助成でございまして、これまた昭和二十八年度から四十一年度にわたりまして、輸出入銀行から百一億円、海外経済協力基金からは八億四千万円の投融資を行ないまして海外開発を助長いたしてまいった、かような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/3
-
004・近江巳記夫
○近江委員 過去の状況をちょっと聞いてみたいと思うのですが、いままで民間が中心にやってきたわけでありますが、開発状況を見ていきますと、相当な失敗があるように思うのですが、いままで海外開発をやってきた実績として、現在まで総件数でどれだけあったか、そのうち成功は何件あったか、失敗は何件あったか、そのデータをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/4
-
005・両角良彦
○両角政府委員 昭和二十八年度から四十一年度にかけまして、わが国の企業が海外で探鉱並びに開発に着手しました鉱山数は七十ございます。これに対する資金投入は合計二百四十五億円でございます。この七十鉱山は、主としてカナダ並びにフィリピンが大部分を占めておりますが、このほか南米諸国といたしまして、ボリビア、チリ、ペルーの三国がこれに続いている次第でございます。このような探鉱、開発の成果といたしまして、四十二年度におきまして九万四千トンの銅分の輸人を確保いたしまして、わが国総輸入の四分の一はこれら探鉱、開発事業の成果として、安定的な供給源により供給される結果になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/5
-
006・近江巳記夫
○近江委員 この九万四千トンという数字はわかるのですが、七十件のうち実際に成功したのは何件であったか、失敗したのは何件であったか、この点を聞いているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/6
-
007・両角良彦
○両角政府委員 融資につきましては、融資買鉱形式をとりますために、成功、不成功の分類は不可能でございますが、探鉱につきましては、三十五鉱山の計画をいたしまして六鉱山の探鉱に成功いたしたということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/7
-
008・近江巳記夫
○近江委員 この探鉱につきまして、リスクが非常に伴うことはよくわかるわけであります。いまこの三十五対六というデータを見てまいりますと、これは一体なぜこのような成功率であったか。リスクの多いことはわかりますが、あまりにも成功率が少ない。その点について通産省としてどういう見解をとっておりますか。なぜこのように成功率が低かったか、その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/8
-
009・両角良彦
○両角政府委員 海外探鉱が必ずしも所期の成果をおさめなかったという点は、今日までのわが国の海外開発方式それ自体に幾つかの原因があろうかと思います。その第一は、やはり基礎的な調査あるいは一般的な情報、資料の収集という探鉱に着手する前の前段階の用意というものにおいてやや欠けるところがあったという点が第一点でございます。第二点は、たまたま海外で取得いたします探鉱対象になる鉱区が、外国企業等がすでに放棄をいたしたものであるとか、あるいは当該国からオファーをされたものであるとかいったものに片寄りましたきらいもなきにしもあらずという点で、成功率が比較的低かったということもあろうかと思います。第三は、やはり資金的な不足でございまして、大規模な探鉱あるいは大規模な基礎調査というものを行ないますために、なお十分な資金手当てがなされ得なかったという点もあろうかと思います。さらには、従来の探鉱においては探鉱期間というものが比較的相手国政府との間において限定を受けまして、一、二年の短期の間に所期の成果をおさめるということもなかなか困難であったという、かような事情も働いたと考えられます。これらを総合いたしまして今日までの成果が必ずしも思わしいものではなかったという点について説明できるのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/9
-
010・近江巳記夫
○近江委員 私は局長の答弁は非常に率直な答弁であったと思います。実際探鉱の状況を聞いていきますと、綿密な調査が必要である、そういう点で期間的にも非常に短かったとか、いろいろいま三つのそういう原因を述べられたわけでありますが、先進諸国のケースを見ていきますと、十年、十五年とやはりそこに滞在している。その国の人間になり切って、あらゆるそういう国情もよく知っておる。その上でなおかつ高度の技術を持って綿密な調査をした上で探鉱にかかっておる。日本の場合にはほんとにわずかな期間をもって飛びつく。そういう点で初めからだめだとわかっておるようなこともやはりしているわけです。そうした政府のいままでの助成、これは全部国民の血税であります。そういう危険度の高いことはわかりながらやらなければならない、そういう状態に追い込んでいったのは一体だれの責任か。これは全部政府の責任ですよ。通産省からいただいておるこのパンフレットにも、探鉱、開発がなぜ必要か、そういうことについては政府としても当然過ぎるほどわかっていらっしゃる。しかしながら、現実にその対策がとれなかった。それは政府の積極的な姿勢がなかったという結果と私は思うのです。特にフィリピンあるいはカナダとおっしゃったわけでありますが、フィリピンなどはアメリカがもう十年、二十年、ずっとあらゆる綿密な調査をした上で開発に乗り出してきておるわけであります。こういう点、非常に政府としての反省を私は求めるわけです。気がついたからいまからやろうというのではなくして、やはりそこに深刻な反省をした上で、はらがまえをした上で、さらに一歩を進めていかなければならない、私はこう思うわけです。今後積極的な開発をしていくと考えても、日本の資源というものは、専門家に聞きますと、確かにまだたくさんあるそうであります。しかしながら、早急にその需要を満たすだけの開発というものはなかなかたいへんな問題です。したがって、どうしても海外依存というものは、これは工業の急激な上昇に伴って大量のものをやはり入れていかなければならない。そうなってくると、乗り出していく場合でももう足元に火がついているわけです。いまから綿密な調査をしますと言ったって、実際に早く開発をしていかなければならない。あせり、あせり、あせりの状態で開発を進めていかなければならない。そういう点でいきますと、こういう過去の失敗のデータを見ていきますと、私はさらにその失敗度というものは件数に比例して増大していくと思うのです。そういう点に対して政府としてどのように考えていらっしゃるのか、その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/10
-
011・両角良彦
○両角政府委員 これまでの海外開発の実績にかんがみまして、将来のわが国の海外鉱物資源の開発は、より効率的に、より成功率の高い仕組みで推進をされる必要性があるという点につきましては、全く御指摘のとおりと存じます。さような趣旨で今回事業団法の改正もお願いしておりまして、要するに、これまで失敗をいたした原因を一つ一つ手当てをしてまいりたいというのがその趣旨になっておりまして、海外の開発におきましては、きわめて優勢な外国企業と競争をしていかなければなりませんので、わが国企業が外国企業と競争を行なっていく上で、その力の差をできるだけ政府の助成策によって補いたいというところがその眼目になっております。したがいまして、基礎調査の充実あるいは事業団によりまする基礎的な地層調査あるいは資金的な援助といったものを経済協力のワクの中で強力に推進をしてまいりまして、わが国企業の成功率を高めたいというのが私どもの念願でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/11
-
012・近江巳記夫
○近江委員 資源につきましては非鉄金属、銅、鉛、亜鉛等が主になるのではないか、このように思うわけでありますが、たとえば銅について見ていきますと、四十三年から四十九年度の七年間で総計一千六百億、このように大体の見当をしていらっしゃるわけでありますが、今年度の所要額を見ていきますと、基礎的調査費三億円、探鉱費五億円、開発費八十一億円とこのように出ておるわけです。この千六百億という資金をどういう計画で考えていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/12
-
013・両角良彦
○両角政府委員 海外開発の長期目標、長期計画という点につきましては、銅につきまして一つの計画を立てておりまするが、昭和五十年度の銅の需要予測が百一万トンということになっておりまして、このうち現在までわが国が開発をしたもの、あるいは長期契約を行なっているもの、あるいは国内鉱から生産されるもの等々が五十八万二千トンございますので、残りの四十三万四千トン、これが昭和五十年度を考えますときに、われわれにとりまして供給不安定な、しかも確保しなければならない数量ということに相なっておるわけでございます。したがいまして、この四十三万トンを五十年度までに、一つは探鉱開発によりまして半分を確保いたしたい、他の半分は融資買鉱によりまして確保いたしたい、こういうことでただいまお話をいただきました一千六百億円の計画を作成いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/13
-
014・近江巳記夫
○近江委員 私は、その計画をしたのはいいけれども、政府としてこの千六百億に対してどういうような資金計画を立てているか、それを聞きたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/14
-
015・両角良彦
○両角政府委員 御承知のように、海外開発にあたりましては、各種の資金の方策が必要でございまして、その第一は、企業自体によります資金調達でございます。この点につきましては、すでに減耗控除制度というものが設けられておりまして、特に鉱山業界に対しては厚い税法上の恩典が加えられまして、再投資の資金の確保というために万全を期しておる次第でございます。
次に、政府関係金融機関といたしまして、輸出入銀行並びに経済協力基金がこれら海外探鉱開発のための資金投入に応じ得る姿勢をとっておる次第でございます。
第三に、御案内のように今回の事業団法の改正をお願いいたしまして、事業団自体によりまする融資並びに事業団によりまする基礎調査の実施という面から、資金的な補完を行なってまいりたい、かように考えております。
なおこのほか政府関係一般予算の面におきましても、調査費あるいはその他の補助金といったもので資金的な援助を行なってまいる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/15
-
016・近江巳記夫
○近江委員 まあいろいろなそうした金融機関等の出資があるようですが、特に通産省として直接関係があるのはこうした事業団等の問題ではないかと思うのです。ところが、この事業団の本年度海外探鉱融資が一億円計上されておるわけです。しかしながら、最近の状態を見ていきますと、非常に規模が大きくなってきている。したがって、探鉱費においても年間数億あるいは十数億かかるのではないか、このようにも言われておるわけです。ところが政府としては一億円。これでは、これだけ多額な資金が要り、積極的に進めていくといっても、結局実行が伴ってない。一億円ではたしてどれだけの効果的な促進ができるか。この点をお聞きしたいわけです。また海外における地質構造調査の補助金も四十三年度予算では一億二千万円余りであります。このような状態で政府は海外資源確保に真剣に取っ組んでおるのか、そういう問題になってくるわけです。非常に疑わしい。今後業務を継続的に計画的に遂行していくために必要な資金、これを十分政府で手当てをしなければならぬ、私はこのように思うわけです。言うていることと実行が違う。この点に私は大きな不満と、一体今後どうするのか、そういう気持ちを持つわけです。どう考えているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/16
-
017・両角良彦
○両角政府委員 四十二年度の必要探鉱資金の調達につきましては、二つのルートを考えておりまして、一つは、先進国であるカナダ、オーストラリアに対する探鉱費の融資でございます。これにつきましては、ただいまお示しをいただきました事業団の一億円の融資ということに相なりました。これは、おおむね半額の融資ということでございますので、探鉱計画としては二億円を事業団としてはカバーできるわけでございます。現在大体先進国に対する四十三年度中の探鉱計画は、四、五億円という規模でございまして、そのうち相当部分が事業団の融資対象としてカバーされ得ることに相なっておるわけでございます。また、これと並びまして、経済協力基金が後進国に対する探鉱融資というものを検討いたしておりまして、その資金面におきましては十億円程度のものがおそらく必要になってまいろうかと思いますが、これにつきましても、その確保につきまして万全の対策を講じたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/17
-
018・近江巳記夫
○近江委員 万全の対策というのは、具体的にどういうことであるかという問題になってくるわけでありますが、政府が積極的に推進をしていく、その決意でいかれるわけでありますから、日本の今後のそういう資源確保という点から、これは必ずひとつ強力な実行をしていただきたい。この点を特に要望しておきます。次に、技術者の問題でありますが、業界に聞いてみますと、圧倒的に技術者が不足をしておる。最近のそういう鉱山技術というものは、急速な進歩をしておる。それに追いつき、なお山を乗り越えて企業を引っぱっていく、それだけの実力のある技術者というものが非常に不足をしておる、こういう問題があるわけです。最近の技術者の分布状態を見ていきますと、鉱山会社はこれはもう当然でありますが、商事会社あるいは建設会社、官庁あるいは大学の研究室、各研究所、こういうように非常に多岐にわたっておる。ところが大学の卒業生はどれだけあるか。全く微々たる状態であります。何といったって、一切の事業を進めていくのはこれは人です。そういう技術者の養成等について、政府として一体どう考えているのか。幾らこうやります、ああやりますと言ったって、人がなければどうしようもない。日本が優秀な技術を持つ、この技術を生み出すのは人です。それによって、さらに海外の探鉱においても開発においても、優秀なところに政府からいろいろな話があるのも当然であります。こういう点で、私は人の不足ということを非常に心配するわけです。どのようにこの人材養成ということを考えていらっしゃるのか、基本的にひとつ述べてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/18
-
019・両角良彦
○両角政府委員 鉱山技術者の不足といった問題は、確かに今後のわが国の内外にわたりまする資源開発を進めてまいります際に、きわめて重要な、かつ深刻な問題であろうかと思います。これに対処いたしましては、すでに各大学において設けられました鉱山学科というものにおきまする定数の増大、あるいはこれから鉱山会社ないしは地質調査所等々、専門的な企業、調査部門への人材の確保という点につきまして、文部当局とも十分協力をいたしまして、積極的に進めてまいりたいと考えておりますが、われわれとしましては、地質調査所あるいは鉱山各社におけるこれら技術者の再訓練、再養成といった面にも十分重点をかけまして、現実の内外の資源開発にあたって有能な力を発揮できるような体制というものを常時心がけてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/19
-
020・近江巳記夫
○近江委員 私は、昔のことばかり言うのはいやでありますが、それじゃ文部当局ともどの程度の話し合いをしてきたか、あるいはその質の向上にしても、地質調査所等の人々にもさらに技術を高めていく、なるほど私はけっこうだと思います。しかし、根本的なそういう養成という点からしていきますと、地質調査所はあくまで大学なりあるいはそうした専門機関を終えてそこに入ってくるわけです。根本のやはり養成という点において、いままで当然こういう状態になるということはわかっておるわけですよ。それについてどのような関係当局と話し合いをしてきたか。そういう点から考えて一貫した人材養成のそういう計画はできなかったか。何でもかんでも足元に火がついてからでないとできない。海外開発だってとうの昔にそういうことはわかっておる。人材の養成にしたってそうです。いまごろになってあわててそれだけの人が育ちますか。私は、そういう点で政府がもっと先を見た上で手を打っていく、そういう態度がなければ、いまはここまで来たか知りませんが、これからは格段にその底の浅さというものは差がついてくるように思うのです。こういう点で、これはほんとうに緊急に手当てをしなければならぬ問題です。そういう点で一貫した人材育成の計画をひとつ示してもらいたいと思う。そうしないと、これは安心できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/20
-
021・両角良彦
○両角政府委員 たいへん的を射た御指摘でございまするが、御承知のように、わが国の鉱山業界は、大学側ときわめて密接な関係を歴史的に持っておる業界でございまして、大学の専門の先生方と鉱山業界の技術担当の方々とは常時緊密な意見の交流をはかってまいっておる、さような特殊な業界でございます。したがいまして、鉱山業界の技術者に対する需要というものは、日本鉱業会という学会の交流を通じまして常時大学側に伝えられまして、大学側もこれを受けまして優秀な人材を鉱山会社に送り込むようそれぞれ努力をしていただいておる次第でございます。なお、今後とも計画的にかような人材の確保をはかれという御指摘につきましては、われわれもこれら学会の皆さま方の御意見も伺いまして努力をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/21
-
022・近江巳記夫
○近江委員 大学側にいろいろと密接な関係がある、それは確かに私はそのとおりだと思うのです。だけれども、個々の大学でそれだけのワクを広げるとか、そういうことはできるものじゃないわけです。これはもう一段上の政治の面で解決しなければならない。そういう点で文部当局ともそういう一貫した計画の話し合いがあったかということを聞いておるのです。大学がこういうことををやったって、わずかな増員しかできないだろうし、やりたいといっても、これは結局政治の問題になってくるわけです。その点のことを私は聞いておるわけです。今後文部当局とどういう話し合いをしていくか、それを聞きたい。それはあなたがおっしゃるとおりできるかできないか知りませんが、あなた自身はどのような具体的なそういう計画を持っていらっしゃるか。これを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/22
-
023・藤井勝志
○藤井政府委員 昨今の人手不足というのは、御案内のとおりあらゆる分野に深刻な問題として提起されております。ただいま御指摘の点は、しごくごもっともな御意見でございますが、いま局長からお答えをいたしましたように、鉱業界というのが、いまのところ大学当局とは歴史的に密着をして人材の確保につとめてきた、こういうことでございますけれども、もう一歩堀り下げて、いわゆる各職域における人材、特に技能者の養成をどうするか、こういったことは、いわゆる国の文教政策の基本でなければならぬ、このように思うわけでございます。御趣旨は十分そのとおりでございまして、今後御発言の意を体して人材の確保、特に今後伸ばしていかなければならない産業に、それぞれ限られた人材であります人間の数はだんだん少なくなってきておるわけでありますから、適正な配置を文教政策の面において根本的に考えるべき重大な段階である、こういうように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/23
-
024・近江巳記夫
○近江委員 それから、この前参考人の方にちょっとお聞きしたのですが、国内資源にも限度がある、そういうわけで、これからはどんどん積極的に海外開発というところに目が向いていく、そしてうまく海外開発が成功していく、そうなってくると、当然、品位もいいし、いろんな点においてメリットも高いわけでありますから、どんどんと輸入に仰いでいく。そうなってきますと、それでなくても特に国内は中小鉱山が多いわけでありますし、忘れられた存在になる、この点を非常に心配するわけです。やはり国内の鉱山があって初めてそこで技術も養成されるし、そういう点で国内の開発ということも、私は非常に大事な問題だと思うのです。この点を局長からじかに聞いておらなかったものですから、局長にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/24
-
025・両角良彦
○両角政府委員 御指摘のとおり、国内資源の開発ということは、今後ともわが国鉱業に課せられたきわめて重要な課題でございます。私どもは、日本の鉱産物の長期にわたります安定供給体制というものを確保する最大の眼目は、いかにして自給度を高めていくか、安定供給源をいかにして確保していくかということではないかと考えます。この場合、自給度を高める最大のよりどころは国内資源の開発にあるということは申すまでもございません。この国内資源の開発と海外における自主開発、この二つを合わせました自給度の向上をはかってまいるということが鉱業政策の課題でございまして、車の両輪として内外の開発を進めてまいりたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/25
-
026・近江巳記夫
○近江委員 福島県の小名浜製錬所、これは東洋一ともいわれておるわけでありますが、今後の海外開発を考えていきますと、確かに製錬所等も、規模も大きくし、さらに内容もよくしなければならない、こういう方向はわかるわけです。しかし肝心の国内の開発という点が手薄い、要するに最高の立場におられる皆さん方の目がそこに届かない、薄くなるのじゃないか、こういう懸念をしておったわけでありますが、いま局長の答弁を聞きまして、積極的にやっていかれる、私もその点はわかったわけであります。
そこで、昨年の中東の紛争、あのときに石油がストップしたわけでありますが、これから海外開発をやっていくと、やはりそういうようなことも考えられるわけです。そういう点で、私は、分散化ということも非常に大事な問題になってくる。そういう点で、海外開発の現在の計画、基本的にどのように考えていらっしゃるか。その点を一点お聞きしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/26
-
027・両角良彦
○両角政府委員 海外鉱山資源の安定供給をはかるためには、やはり分散化が必要であるという点につきましては、まことに御指摘のとおりでございます。さような意味で、現在わが国が海外開発に目を向けております地点は、第一がカナダでございます。また第二が南米地区でございます。第三がフィリピン等々の東南アジアでございます。第四が世界的な銅の優秀鉱床のございますアフリカのコンゴ地帯でございます。これらはいずれもそれぞれ分散をいたしておりますとともに、局地的な動乱によってわが国に対する供給が大幅に撹乱される要素のない地点ということで、われわれとしては適当な計画ではなかろうかと存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/27
-
028・近江巳記夫
○近江委員 次に、国内の問題にもう少し入ってみたいと思うのですが、鉱山のほとんどは中小鉱山になるわけでありますが、やはり一番悩んでおるのは資金の問題、それから技術者、それから労働力の問題ではなかろうかと思うわけですけれども、技術者のことについては、先ほども聞いたわけでありますから、これはいいとしまして、この資金、それから労働力の問題でちょっとお聞きしたいと思うのです。この鉱山局から出していらっしゃる資料を見ますと、事業団の融資対象になる企業、これは大企業ですね、十三社九十一鉱山、そのうち四十二年度に融資を受けた企業が十社六十九鉱山となっているわけです。それに対して融資の対象にならない中小企業、これについては、非鉄金属で見ていきますと、百三十三社百八十三鉱山、主体鉱山のみであります。数字が若干あなたのほうと違うかもわかりませんが、そのうち中小鉱山が受けておるのは新鉱床探査補助金、これだけの百三十三社のうち、交付を受けておる企業は四十七社五十五鉱山、わずか三五%にしかすぎない。中小鉱業が毎年新鉱床探査のために投入する費用というものは相当な額に達しておる。四十三年度においても昨年と同じく四億一千六百万円しか計上していない。ですから、せっかくそういうまだまだ国内の有望な資源を持っていながら、資金力の不足のために十分な探鉱もできないでおるというのが実情ではないかと思うのです。こうした点を考えると、国内のそういう開発も積極的にやっていくといいながら、これは横ばいの状態です。政府のやり方のまずいために、最近の物価の高騰は国民が一番困っている問題でありますが、昨年と同じ額を計上したといっても、物価の上昇を考えると、それは低下している。積極的にやられるといっても、この数字を見てみますと、実情は何も積極的にやっていない。この点、口では積極的にやると言ってはおりますけれども、今後中小鉱山に対して抜本的にどういう対策をとっていくか、それをひとつ聞かしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/28
-
029・両角良彦
○両角政府委員 中小鉱山に対しましても、大鉱山に対するとともに、きわめて積極的な助成を資金的にも与えるべきであるという点は、私どももさように考えております。すでに御案内のとおり、今日まで新鉱床探査補助金という制度によりまして、三十八年度から四十二年度に約十六億円の補助金を交付いたしまして、延べ八百八十一中小鉱山を対象にいたしてまいっております。これは中小鉱山が全国で約一千といわれておりますので、ほとんどその九割近くが延べ数にして補助対象に相なったわけでございます。しかしながら、ただいまお話のございましたように、補助単価でありますとかあるいは補助金の絶対額でありますとか、こういう点になお拡充すべき余地があるのではないかという点は、私どももまことに同感でございまして、今後とも資金の拡充並びに補助単価の引き上げ等々、補助の内容の改善につきまして、われわれとしても全力をあげて努力をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/29
-
030・近江巳記夫
○近江委員 若干数字が食い違ったようでありますが、私のは銅、鉛、亜鉛の分野に限って申し上げたわけであります。
補助単価を引き上げる、このように言われたわけでありますが、現在水平坑道で七千円、三十度以上掘り下げで一万円、試錐で二千五百円、もらったデータではこう出ておるわけでありますが、実際に業界に聞いてみますと、全然話にならない低い額である。補助金の比率というものは五〇%ということになっておるわけでありますが、しかしながら五〇%などはとてもとてもいかない。なぜそういう食い違いが出てくるか。政府のほうでは五〇先だという。しかし実際は、目に見えないいろいろなそういう経費も加算されてくる。そういろ点からいくと非常にこの。パーセントが下がってくる。ですからこの点、いま補助単価を引き上げると言われましたけれども、どのくらいの線を考えていらっしゃるのですか。そのとおりにはいかないにしても、現実の問題を見て、じゃ具体的にどの辺までその単価を引き上げていくのか、その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/30
-
031・両角良彦
○両角政府委員 補助率は五〇%ということでありまするが、その補助限度といたしましては、四十三年度から一律に一割を引き上げまして、坑道水平掘りにつきましては従来六千円でありましたものを六千六百円、また下に掘ってまいりまする坑道につきましては従来九千円のものを九千九百円、ボーリングにつきましてはメーター当たり一千五百円を一千六百五十円にそれぞれ引き上げておるわけであります。しかしながら、なお場所によりましては、実際の単価がこれを上回ることもあろうかと存じますが、そのような場合には結果的に補助率が五〇%を切ることも起こり得ると思います。今後ともさような点につきましてなお一そう補助単価の改善に努力をしてまいりたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/31
-
032・近江巳記夫
○近江委員 それから、中小鉱業には補助金の制度があるわけでありますが、先ほどの融資対象にしても、わずかそういうような。パーセントしか出ていない、あるいは単価の問題にしてもそういう貧弱な状態である。こういう点から考えますと、資金手当てということは非常に大きな問題になってくるわけです。こういう点でこの事業団は大企業だけを対象にしている。しかし中小企業も対象にする意思はないか、この点をひとつお聞きしたいと思うわけです。またそれが不可能となった場合に、それでは新たにどういうような資金手当てを政府として考えているか、この点をひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/32
-
033・両角良彦
○両角政府委員 御承知のように、中小企業は鉱山の場合におきましては一山一社という経営が多いために、これに対する融資というものについては、その回収の危険性というものが、大企業で複数の鉱山を経営いたしておりまする場合よりは高いという意味で、融資よりは補助という形態が適当であろうということで、今日まで新鉱床探査補助金制度をとってまいっておる次第でございます。しかしながら、一律にこれを資本金五千万、従業員一千人以下ということで切っておりまするが、中には融資を受けられる適格なものもあろうかと思います。またさような、将来成長してまいって新たに事業団の融資対象に堂々となり得るような企業も出てまいるかと思います。このような中小企業に対する事業団融資の弾力的な活用ということにつきましては、中小企業鉱山の実態に即しまして、われわれとしては前向きに考えてまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/33
-
034・近江巳記夫
○近江委員 もうひとつ具体性が乏しかったわけでありまするが、ここでこの事業団の融資状況を見ていきますと、日東金属鉱業、中外鉱業、大日本鉱業、これが四十年から融資を受けていない。その五千万、一千人の大企業という資格に欠けておるのではないか。しかし企業の合理化という点から考えていけば、さらに近代化をはかっていけば、人員がやはりそこで適切な人員になってくる。そうするとそれは逆行するように私は思うのです。これはなぜ融資をしなかったのですか。これは理事長にお聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/34
-
035・加賀山一
○加賀山参考人 事業団が発足の当時に融資を受けていた企業で、それ以後受ける資格がなくなったという企業は、いま御指摘の三社あると思います。しかし大体この方は現在新鉱床探査補助金のの額は大日本鉱業が千六百十三万円、中外鉱業が千五百万円、日東金属鉱業が千五百七十五万円、こういうことになっておりまして、これらの会社は実際のところただいままでにあまり経理状況はよろしいというほうではございませんので、むしろ会社としては補助金を受けたほうがよかったのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/35
-
036・近江巳記夫
○近江委員 今後の企業の合理化等考えていきますと、やはりこれは問題があると思うのです。ですから、たとえば資本金あるいは労働者、従業員、どちらかの資格に合えば事業団としても融資をしていく。私の気持ちは、中小鉱山に最大のウエートをかけて融資あるいは補助金を適用していく、これは当然でありますが、要するに、大企業といってもちょっと中小企業との線が何かあいまいのように思うのです、現状から考えますと。この辺のあいまいなところに対する施策——当然大企業はぐんぐん伸ばしていかなければならない。この辺のあいまいなところをどのように政府として考えていらっしゃいますか。この点ひとつ局長にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/36
-
037・両角良彦
○両角政府委員 現在、中小企業と大企業の一線は、資本金五千万円、従業員一千名で引いておるわけでありますが、融資によるべきかあるいは補助金によるべきかということは、一応の区分の基準としてただいまの線でさばいておるわけでございます。しかしながら、企業の経営の実態からいたしまして、補助金制度よりも融資が必要であり、しかもそれを受ける企業側の実態が、中小企業でありましても、なお相当の償還力があるといったようなケースについては、弾力的に検討する余地があろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/37
-
038・近江巳記夫
○近江委員 そこのところがあいまいのように思いますから、その点をさらに掘り下げて検討していただきたい、この点を要望しておきます。
それから、最近発表された中小企業白書においても、労働力の不足ということが全企業にわたっておるわけであります。しかしながら、この鉱業関現実問題として鉱山に対する労働対策、これをどのように考えていらっしゃるか。この点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/38
-
039・両角良彦
○両角政府委員 鉱山労働者対策というものは現在きわめて重要な問題でございまして、これにつきましては、鉱業審議会の中で労働関係を専門に検討していただきまする分科会を設けまして、あらゆる角度から鉱山労務者に対する雇用問題を御検討願っておるわけであります。その中で特に問題なのは弱年労務者の確保ということでございまして、この確保対策といたしまして、労働環境の整備あるいは雇用条件の改善、その他鉱山経営における労務者確保のための付帯的な施策について、当分科会の意見を十分尊重しながら、今後とも各社に対する要望をいたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/39
-
040・近江巳記夫
○近江委員 大体私はこの審議会自体に問題があると思うのです。何でもかんでも審議会にお願いしてあるから、これは私は政府の逃げ口上だと思う。その審議会から意見を聞いて、そうして鉱山局として、政府としてどのように労働省に働きかげ、対象策をとっているか。審議会が隠れみのになっておる。国民はみなそう思っておる。この深刻な問題をただ審議会にお願いしてありますから……。環境整備をしたりする、これはどんな企業にとっても大事なことです。それにはどうすればよいか、それを考えていくのが政府じゃないですか。そういう点で審議会にただまかしきりである、そういう態度は私は非常に不満であります。鉱山局長として具体的にそれじゃ今後どう進めていくか、もう少し突っ込んだ対策をひとつ聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/40
-
041・両角良彦
○両角政府委員 雇用問題につきまして労働省と私どもが常時連絡をとって措置いたしております点は二つに分かれております。その第一は、鉱山経営の合理化に伴いまして、その離職者対策をどうするかという一面でございます。これにつきましては、すでに労働省もしくは雇用促進事業団とるいは移転資金に関する補助ないしは雇用奨励金の交付、あるいは住宅確保奨励金の交付等々の各方面にわたりまして、労働省、雇用促進事業団、通産省との連絡をとりつつ実施を進めてまいっておる次第であります。また先ほど申しました今後の新規の労働力の確保という点につきましては、一般的な雇用条件の改善の問題といたしまして、労働省を中心に、いわゆる職業紹介、職業訓練あるいは職業資格制度の検討といったような各般の施策につきまして、具体的に労働省に推進をお願いしておる、こういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/41
-
042・近江巳記夫
○近江委員 時間があまりないようでありますので、できるだけまとめて聞きたいと思います。
今後の鉱物資源開発の方向であります。まず技術的な問題でありますが、大体国内の状態を見ていきますと、地表面のものは大体掌握しておるのではないか、このように思うわけです。これから要するに深層部のそういう探査をしていく、こういう方向に持っていかなければならぬ、私はこのように思うわけです。そういう点で、いま深層部の調査についても民間にほとんどまかされておるけれども、深層部のそういう調査についてはこれは積極的に国がやっていかなければならぬ、私はこう思います。この点において局長としてどのように考えていらっしゃるか、まずこの点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/42
-
043・両角良彦
○両角政府委員 ただいまお話をいただきましたように、わが国の鉱産資源でなお発見が有望視されまするものは今後は深層部に移っていくであろうということでございます。これにつきましては、金属鉱物探鉱事業団によりまする広域調査、基礎調査あるいは企業探鉱、それぞれの段階において従来以上に深層部のボーリングというものにも努力をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/43
-
044・近江巳記夫
○近江委員 それから私が聞きたかったのは、その深層部の調査ということになりますと、これは高度な技術が要るわけでありますし、いろいろな点で民間会社だけでは非常に大きな差も出てくるし、さらに日本の隠れた資源開発の上からいっても、これは国策として政府が積極的に乗り出すべきである、私はこう思うのです。政府としてこれにどのように乗り出していくか、その点をもう少し突っ込んで聞きたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/44
-
045・両角良彦
○両角政府委員 深層部のボーリングにつきましての国の助成ということでございまするが、御案内のように、探鉱に対する国の助成は広域調査、精密調査という二段階でいわゆる鉱床賦存の可能性をしぼってまいるということで援助を与えておるわけでございます。したがいまして、深く掘るということも、広域並びに精密段階においてやはりその要請に応じたボーリングを行なうわけでありますが、それを受けて立つ企業段階がさらにそれに対応して深く掘るということは、やはり企業責任において行なっていただく。その場合、何と申しますか、鉱床賦存の可能性は政府の助成によってきあめて高くなっておる、それによって政府がいわば民間に対する援助、協力を行なっておる、こういう仕組みを今後とも続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/45
-
046・近江巳記夫
○近江委員 あなた方の姿勢はわかったのでありますが、いままでは政府がじかに地表面のそうした広域、精密な調査をしてきた、これからの段階は深層部に至って政府としても調査を進めていかなければならぬ、この点を私は言うわけです。ですから、これはひとつ課題として、また何かの機会にお聞きしたいと思いますから、この点よく研究してもらいたいと思うのです。
もう一つは、最近海底資源の開発ということが非常に大きくクローズアップされております。最近も科学技術特別委員会で局長にお聞きしたわけですが、石油の問題ですね。現実に外国系の資本が入ってきておる。六十億というような巨額の金をもって開発をしていこう、調査をしていこう、こういう段階にまできているわけです。ところがあのときにも申し上げたように、わが国の海底資源開発に対する対策というものは、何らできてないといっても私は過言ではないと思うのです。そういう点で資源の調査等においてもまだまだ十分でない。こういう点で、これからは世界各国も全部海底資源というものに一斉に目が向けられておる。その海底資源の開発、さらに調査、その問題を鉱山局としてどのように考えていらっしゃるのか。そのところをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/46
-
047・両角良彦
○両角政府委員 海底資源の開発は、特にわが国のように陸上におきまする資源の乏しい国におきましては、きわめて大きな希望の託せる分野であろうかと思います。さような面で、石油等におきましてもすでに活発な海底油田探査が行なわれつつあるわけでありますし、また金属鉱業の面におきましても、今日まで、砂鉄の分野におきましては青森、千葉、鹿児島の諸県におきましてすでに海底ボーリング等を行なって、一応の成果をおさめておる次第でございます。しかし今後とも海底資源の開発は、国全体の仕事といたしまして、科学技術庁の海洋開発の計画に対応いたしまして、積極的に推進をいたしたいと存じております。石油のみならず金属鉱物につきましても、たとえばマンガンといったような豊富な海底の賦存が伝えられておりまする鉱種につきましても、大いにその開発を可能ならしめるよう研究に取りかかっていくべきものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/47
-
048・近江巳記夫
○近江委員 もう時間がありませんから、最後に一問だけ。産金対策のことはいろいろと問題になったわけでありますが、昨年の産金等対策小委員会でいろいろと意見が出たわけであります。それに対して政府として対策をとるということでしたが、長期的にどういう計画をお立てになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/48
-
049・両角良彦
○両角政府委員 長期的な産金対策ということは、現在わが国で認められておりまする六百六十円グラム当たりのコストにたえ得るような金山の再開発を行ないたい、この再開発に必要な探鉱資金、特に坑道掘進等の資金を援助いたしてまいりたい、こういう計画を立てまして、その結果、わが国としては将来十グラム品位で二百七十トン程度の金の採掘が可能になるであろう、かようなもくろみを立てたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/49
-
050・近江巳記夫
○近江委員 それで、この数年後の計画として十億円くらいの手当てをしよう、こういう考えがあったように私は聞いておりますが、今年度は一千万しかつけてない。こういう問題にしても、補助金をあげてやっていきますといっても、現実にやっておることはそういうような対策しかとってない。言うこととやることと違うのです。ですから、言うだけではなくして、実際にそれを手がけていかなければならない。非常にそういう点が私は不満に思うわけです。現在これだけ金の問題が世界的にもクローズアップされております。はたしてそういうような貧弱な体制でいいのかどうか。この点をさらにもう一度考え直す必要があるのではないか。このことを私は局長にもう一度お聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/50
-
051・両角良彦
○両角政府委員 金山の再開発長期計画におきましては、一応総資金四十八億というものを計上をいたしまして、その資金の確保対策を検討いたしたわけでございますが、ただいまお話のございました一千万円は、その計画の中における国が担当すべき基礎調査の部門に対応する四十三年度の計上分でございまして、ひとまずこの一千万円の基礎調査によりまして、今後の金山再開発の具体的な地点をしぼり、また具体的な可能性を確認するということでお願いをいたしておる次第でございます。しかしながら、これら四十八億円の資金の大部分は、一般会計の問題ではなくして、より弾力的な資金捻出の方法を検討いたしたいということで、種々大蔵省とも相談をいたしておる次第でございますが、御承知のように、昨今におきまする国際的な金情勢がなお流動的でございまするので、今後の推移を見きわめまして、具体的な施策並びに計画に取りかかりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/51
-
052・近江巳記夫
○近江委員 その四十八億と十億の違いについては年度のとり方の違いと私は思うのですが、しかしいずれにしても、あれだけ産金対策小委員会で金の問題が重要視された。それは民間に仰いでいけばいいんだ、それは確かに民間も積極的なそういう体制は私は大事と思います。しかし何といっても母体になるのは政府です。力を入れるといいながら一千万円で何ができますか。ですからそういう点で非常に私は手ぬるいと思うのです。そういう点で、一千万に今後どれだけ上積みをしてさらにおっしゃったことを実現化していくか、その点を私はもう一歩聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/52
-
053・両角良彦
○両角政府委員 金山の基礎調査費が一千万円では十分ではないという点は、私どもも今後とも明年度以降予算的な充実につきましては格段の努力を払いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/53
-
054・近江巳記夫
○近江委員 これは押し問答になりますから、これでやめますが、いずれにしても、そういう実施段階が非常に手ぬるい。考えてみれば、なるほど政府全体の予算がない、それで片づくかもしれません。しかしその中でいかに重点的に予算を獲得していくか、それはあなたの熱意じゃないですか。そういう点で、去年おっしゃったことは、私は、熱意がなかった、口だけでみんなに約束した、こう思われてもしかたがないと思うのです。それはいろいろな悪条件があったことはわかります。そういう点で、いまおっしゃった来年度予算においても格段の配慮をするとおっしゃったことを必ずひとつ実行してもらいたい。そうでなければ、来年はこの点については私はもっと徹底的に局長——そのときに局長になっているかわかりませんけれども、次の局長に私は言います。だから政務次官も、その点を積極的に進めていくかどうか、最後にひとつお聞きしたいと思うのです。大蔵省にも聞きましょう。それから政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/54
-
055・熊田淳一郎
○熊田説明員 この産金対策につきましては、いろいろな考え方があるわけでございますが、私どもといたしましては、現在一グラム六百六十円の国内価格、これは最近におきます金の国際価格と比較いたしましてもまだ相当割り高でございまして、その点で実質的には相当な補助になっておるというふうに考えておりますし、さらに従来から探鉱補助金として六千万円余りのものが出ております。四十三年度からはまた一千万円の地質調査費というようなものも追加に出される予定でございます。こういうような状況を見ますと、これは他の産業に対します助成と比較いたしまして、金に対する助成は私はまさるとも劣らないものがあるのではないかというふうに考えております。したがいまして、通産省でお考えのようなもっと巨額の助成、しかもこれは輸入しました金の差益の一部をもって充てる、こういうような考え方は、他の産業との比較におきましても、助成としては厚きに過ぎるのではなかろうかというふうに私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/55
-
056・近江巳記夫
○近江委員 ちょっと政務次官の前に、そうだったら局長と大蔵省が全然違いますよ。そうでしょう。大蔵省はこれでまだほかの産業に比べて非常に手当てをしておる。局長は格段の配慮をします、ことばにおいて全然違いますよ。向こうはこれでもういいと思っているんだ。どうするのですか。ちょっと二人で言い合いしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/56
-
057・両角良彦
○両角政府委員 四十三年度につきましては、大蔵省と私どもとは、先ほど申し上げましたような考え方で、とりあえず一千万円の基礎調査費をお願いいたしまして、あわせて新鉱床探査その他の助成制度を金山に対して重点的に投入してまいりたい、こういうことでございますが、なお金問題をめぐります国際的な情勢が流動的でございますので、今後情勢の推移を見きわめながら適確な施策を講じてまいりたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/57
-
058・近江巳記夫
○近江委員 政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/58
-
059・藤井勝志
○藤井政府委員 金対策については、御指摘のごとく、去年の十二月当委員会において御決議をいただいておるわけでございまして、その線に沿うて、通産省といたしましては、ことしの四十三年度予算で前向きに善処したつもりでございます。金額においてはなるほど一千万円の基礎調査費ということでありますけれども、たびたび御指摘のように貴重な国民の血税を充てるというたてまえを忘れてはならない、こういうこともございますし、現在御承知のごとく金価格は固定をしておりますし、しかしながら所要のコストは人件費、原材料、ずっと上がっておる。その板ばさみになって経営不能におちいる鉱山がたくさんある。重大問題でございますから、御指摘のごとくことしは一千万円でスタートいたしましたけれども、御決議の線に沿うて、ひとつ文字どおり積極的にこれが努力をいたしたい。先ほど大蔵省の立場から輸入地金との差益金の問題について発言があったようでございまして、これは各役所役所によって一つの考え方があり、まだ政府として結論を得てないというわけでございますので、いましばらくお時間をかりて十分調整してまいりたい。結論は、あくまで政府は一体であり、一本の線で御決議を尊重して善処していきたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/59
-
060・近江巳記夫
○近江委員 これで終わります。一本の体制で進んでいくと言われたわけでありますが、この一事を通しても、政府がいかに動脈硬化しているかということを私はまざまざとここで見せてもらったわけです。ひとつ大蔵省の強い、厚い壁を破って、大蔵省もこわい顔しないで、よくそこのところをもう一度、政府としてほんとうに産金対策を重視しなければならぬ。ただ通産省だけでがあがあ言っていてもしかたがない。これは政府部内で強力な調整をしていく必要がある。現実に六百六十円といってもマイナスがあるわけです。いまやっていけないのが実情じゃないですか。こういう点でさらに、いま政務次官がおっしゃった一本化の線に沿って、必ずそういう資金の手当て等においても実現をしてもらいたい。この点を特に強く要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/60
-
061・小峯柳多
○小峯委員長 玉置一徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/61
-
062・玉置一徳
○玉置委員 まず冒頭にお願いしたいのは、大体いろんな質疑も出尽くしたと思うのですが、きよう採決のあと、日本の鉱業政策の確立に関する決議というような形で強い要請をされるわけであります。そこで、こういう決議に盛られた諸政策並びに今日まで政府当局が意図されておること、これはいずれも金がなければならない問題であります。きょうは国際金融局長もお願いしておいたのですが、御所用がございまして、課長さんがお見えになっておりますが、私はひとつ簡単に聞きますから、真剣にお答えをいただかなければ本日の採決に加わらない、なお要すれば理事会に秘密会でも開きまして、大蔵省当局に来ていただきまして了承得なければ、この問題は絵にかいたもちだ、こういうふうに思いますので、あらかじめそういうことを御承知の上、大蔵省のほうも言いにくいこともあるかと思いますけれども、新聞に出ておるくらいのことは答弁をしていただかなければいかぬのじゃないか、こう思いますので、よろしくお願いいたします。
さて、先般のロンドンにおきますドル防衛のための七カ国中央銀行の総裁会議でありますが、これによりますと、政府は直接金をロンドンその他の金市場でもって買わない、それから売りもしないということで、ドル不安を解消するためにお互いに協力を約束したわけであります。なお、ストックホルムの十カ国蔵相会議でも、これに対して協力を請要され、それぞれそれに対して協力することを確約したわけでありますが、ことしの予算が通りましたものですから、予算についてけちをつけるわけでも何でもございませんが、十四トンと予定されておる輸入は現実に行ない得るのかどうか、また行なおうとするのかどうか、この点について通産省と大蔵省の見解をそれぞれ承りたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/62
-
063・両角良彦
○両角政府委員 通産省といたしましては、四十三年度の金の需給状況から判断いたしまして、大蔵省当局に対しまして、少なくとも十四トンの輸入の中で十トンの払い下げをしていただきたいという旨をお願いをする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/63
-
064・熊田淳一郎
○熊田説明員 ワシントンにおきます金プール会議あるいはストックホルムにおきます十カ国蔵相会議、こういうところで先ほど先生からお話のございましたように、今後の金の問題につきまして決定が行なわれたわけでございますが、この決定によりまして、わが国の四十三年度におきます十四トンの輸入、これが何ら影響を受けるものとは私どもは思っておりません。したがいまして、十四トンは輸入する予定でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/64
-
065・玉置一徳
○玉置委員 お互いに協力を約束したことでありますので、日本の政府がすることに何ら拘束を受けるとは思いません、それはそのとおりでありましょうけれども、世界通貨であるドルの価格を維持することが安定を来たすということは、これは貿易で立っておる日本としては至上命令に近いのではないか。なるほどドルというものはフランス流にいえば世界の通貨であると見ることは間違いだという議論も考えられますけれども、当面ドル不安を解消しつつ世界がお互いの英知によって次の世界通貨という安定したものを生み出していかねばならない。しかしながら、当面は、ことにアメリカに非常に多くを依存しておる日本の経済の実態、貿易の実態から見れば、大蔵省当局のおっしゃるようなことは断じてでき得ないと思うのですが、通産政務次官から、経済を握っておる通産省としての見解をひとつお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/65
-
066・藤井勝志
○藤井政府委員 たいへん重大な問題の御質問でありまして、いろいろ国際金融情勢と国際経済の繁栄、これは裏表でございましょうが、現在御案内のようなきわめて流動的な状態で、いまベトナム和平のきざしが出てきたというところから、いわゆるドル防衛の一つの大きな曲がりかど、いい方向に行く、こういうふうな政治的な背景というものもそれに加わりまして問題の推移ということが見通しされるわけでございましょうから、現在の時点においては、先ほど大蔵省からも答弁がありましたような見通しの上に立って通産省としても国際経済の流れを考え、それに沿うた産業政策、貿易政策、こういうものを考えるべきではないか、このように思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/66
-
067・玉置一徳
○玉置委員 大蔵省の課長さんにお伺いしたいのですが、あなたは十四トンは買い得る、日本政府はそれに拘束されない、こういうように御返答がありましたが、課長さんの立場としてはそうしか返答ができないのではないかというように私もわかりますけれども、政府が直接買う、いままで日銀が大蔵省の指示によりましてロンドンの市場で購入しておったようなことはやはり避けていかなければならないような状況、つまり十四トン買えないというのでなしに、その他の民間会社あるいは為替銀行等のような手でこれを購入せざるを得ないようなことになる予定もかなり見込まれると思いますが、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/67
-
068・熊田淳一郎
○熊田説明員 今後金の輸入を民間に行なわせるという考え方は一つの考え方ではあろうかと思いますけれども、政府が輸入をいたすにいたしましても、これは産業用金に限定をされておるわけでございます。したがいまして、そういう意味合いにおきまして、何らワシントン会議の決定に反するとかいうようなこともございませんし、またIMF協定四条二項の趣旨にも反するものでないというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/68
-
069・玉置一徳
○玉置委員 そこで、新聞を見ましても、アメリカ並びに十カ国会議に出ましたオランダ、イタリアその他が、直接に政府が民間に地金を払い下げるというようなこと、装飾用その他には一切しないとか、自分の国内でできた産金のみがある程度自由にできるとか、この三月一ぱいにずいぶん変えつつあることも事実なんです。そういうような点から、金の管理の政策が何らかの意味で国際協調していかなければならないようなことも検討する時期に来たのじゃないかと思いますが、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/69
-
070・熊田淳一郎
○熊田説明員 この点につきましては、確かにワシントン会議のあと、アメリカ、イタリア等は、政府の民間からの金の買い上げというようなものを中止をいたしました。しかしながら、わが国は従来から国内の産業用金の買い上げはわずか五%しかやっておりません。その割合は非常に少のうございます。そういうような点から申しましても、今回のワシントン会議の決定の精神と申しますか、そういうようなものに今後五%の買い上げを続けていくということが何ら差しさわりがあるというふうには考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/70
-
071・玉置一徳
○玉置委員 最近私も耳にするのですが、歯医者さんに参りまして金歯を入れてくれと申しますと、そいつだけはごかんべんいただきたい、治療はするけれども、というのがだいぶ出てきておるように聞いております。御案内のとおり、日本の金の需要は二十八トンとして押えて、金山から産出する六トン、銅、鉛、亜鉛の精錬からできる十二トン、政府の輸入十四トンのうち十トン、合わせて二十八トンになりますが、お互いに公然の秘密になっておるのは、この上になお相当量の、密輸と申しますと語弊がありますが、よそから入ってくるものがあり得る、こういうことであります。私が心配するのは、先般来新聞を見ると、密輸の取り締まりが強化されているように思います。それからドルの価値がなくなってまいります分だけ密輸というものの味がなくなってくるということも言い得ると思うのです。両々相まちまして、なおその上に、金の価値がドル不安とともに比較的上がってくるような感じがしますから、つい退蔵というものも若干は行なわれるのじゃないか。ますます金の需給が窮屈になってくるということも想像できるわけであります。こういうようなことから見て、いままで大蔵省の当局は——あなたという意味じゃございませんが、大蔵大臣と話をしましても、一オンス三十五ドルのときは貿易を広めたほうがよっぽどいいのだという考え方が大蔵省の事務当局にあったわけです。大蔵大臣も、弱っておるのですとおっしゃっていましたが、そういう考え方も——この需給の非常な逼迫が予想され、海外の状況も安定はしておらないことは事実なんです、輸入もですね。というような場合に、きょうまでの考え方をある程度変えていかなければならないのじゃないか。需要は、先ほど申しましたように、退蔵だけじゃなくて、工業用にしろどんどん伸びてきております。もう一つは、国内の中小鉱山のせっかくある資源でありますので、これもやはり思い切って拡充していかなければいかぬことも事実であります。画々相まちまして、大蔵省のきょうまでの産金政策に対するまして、大蔵省のきょうまでの産金政策に対する考え方をお変えいただかなければいかぬ時期が来たんじゃないか、再検討していただく時期が来たんじゃないか、こう思うのですが、お考えはどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/71
-
072・熊田淳一郎
○熊田説明員 確かに金に対します需要は年々ふえてきております。特に工業用につきましてその増加度合いが多いように見受けられます。したがいまして、政府といたしましても、最近におきましては接収金の解除になりましたものを放出をするとか、あるいはさらに四十二年度からは、輸入をいままでやっておりませんでしたが、これを始めるとか、そういうようなことによりまして、国内産金のみで需要を満たすことが困難である部分を補うことにいたしてまいったわけでございます。最近密輸の取り締まりも非常に厳重になりまして、そのために従来密輸金に依存をしておられた業者の方々が一時的に金の入手に困難を感ぜられるということもあったかと存じます。しかしながら、四十二年度におきましても十トンを輸入して八トンをすでに放出済みでございますし、四十三年度におきましては十四トンを輸入しまして十トンを放出するという予定にしておりまして、すでにこの四月の五日には、暫定予算に計上されました分、わずかでございますけれども、約四百キロ余りを放出いたしたわけでございます。そういうようなことで、さらに本予算が通過いたしますれば私どもは引き続いて金の放出を続けてまいりたい、こういうふうに思っておりますので、三日に見られましたような需給の逼迫というような玉のは遠からず解消するものというふうに考えております。
それから、従来のわが国の金に対します政策が適当でなかったんじゃないか、今後変えるべきではなかろうかということでございますけれども、私どもといたしましては、一方では国内産金の出産を今後も維持してまいりますと同時に、それだけで足りない部分は輸入によってまかなう。と申しますのは、最近の価格を見ましても、国際価格のほうが国内価格よりもはるかに低い、こういうような情勢でございまして、輸入いたしましたほうがずっと経済的である、こういう点から、今後も国内産金で足りない部分は輸入をしていく、こういう方針でおりますので、何ら従来の方針を変える必要はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/72
-
073・玉置一徳
○玉置委員 そこで問題は、一つは、先ほど申し上げましたが、政府が直接買う形をとりますと、初めに予算を計上してやらざるを得ないわけであります。ところが、先ほどのいろんな会議その他を見ましても、各国の状況を見ましても、非常に金の買い入れその他流通が不安定になってきておることは事実であります。確実に入手し得るというようなことが、あるいは予算的に計上した金額が狂ってくるとか、そういうようなことがいままでよりはあり得るのじゃないかということは少なくとも想像できるわけです。そういう意味でも、政府直接買い上げというものはこの際検討することだけは必要があろうじゃないか、こう思うのですが、どうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/73
-
074・熊田淳一郎
○熊田説明員 確かに各国の政策が変わってきておる、これは一部の国でございますけれども、そういうことは言えます。しかしながら、最近におきます輸入価格が、予想されましたほど高くはなっておらないわけでございます。わずかの、従来の一オンス三十五ドルに五%ないし七%増しくらいの価格でございます。したがいまして、四十三年度予算で予定をいたしました十四トンの買い入れ費は約五十八億円ぐらいでございますが、そのほかに予備費十一億円余りがございますので、現在のような国際価格の状況でございますれば、十分に十四トンは買えるわけでございます。したがって、私どもは、いまのところ従来考えております方針を何ら変える必要はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/74
-
075・玉置一徳
○玉置委員 もう一度重ねてお伺いいたしますが、少なくとも国内産金の振興を、いままでよりは力を入れなければならないぐらいのことは言い得ると思うのです。どうせ足らぬのですから、足らぬ分を輸入することはもちろんでありますけれども、銅、鉛、亜鉛その他も同じこと、これから十年、二十年、ものすごく需要は伸びてまいります。そのことが日本の産業の成長だと思うのです。しかしながら、たとえ国内産の鉱物でもって需要の二、三〇%しか満たし得ることができなくても、海外において非常に不安定な場合、輸送が不安定だとか、いろいろな戦争が局地的にでも起こるとか、スエズ運河がとまるとかというような点を考えましても、安定的供給として、その三割は絶対確保しなければならないと思うのです。そういう点から言いましても、私はいまの国際環境から申しましても、やはりこの産金政策は、いままでよりは国内産金がふやし得るのだったならば、同じくらいの価格で、あるいはこれから合理化することによってより低廉に供給できるような施策は前向きに講じていかなければならないときだと思うのです。
それから、あなたがおっしゃいました、案外ドルの下落も思ったほどのことはなかった。これは、いろいろな学者が言われておりますように、この二、三カ月は大体四十ドル前後で落ちつくだろう。しかしその間に何が来るかということですが、ベトナム和平の曙光が見えたとか、明るいきざしがあるかわりに、もう一つはポンドというガンみたいなものがあると思うのです。そういうようなものの動きによっては、まだまだこのまま安定はし得るとも思えない要素もあります。そういうような意味で、従来の対策をすっかり変えなさいという意味じゃございませんけれども、より低廉な金を十分に出し得れば、それにこしたことはないと思うのですよ。大蔵省の方々も、金というものは一時は二十七トン産したことも御存じです。ところが、値段その他が合わないと、休止せずにそのままじっと、ある採算線と申しますか、不採算にしろ、わずかなところまで下げていく、それでいいとなればまたどっと掘るというのが、金のきょうまできた歴史だと思います。この間参考人の住友金属の社長にお伺いしても、一体政策のよろしきを得て、馬力をかけたらどのくらい出るのだと質問いたしましたところ、業者ではありましょうけれども、あの地位においでになる方がでたらめを言うとも思えません、ここの参考人で来られて、三百トン、現在わかっておるものを十年間に掘るということはさしてむずかしいことはございませんという証言をしておいでになりました。さすれば一年に三十トンです。掘っていく間にまた新鉱床が出てくるというのが鉱山の例だと思います。こういうように見ますと、通産当局がこしらえました産金の緊急対策を見ましても、年に十トン掘ることによってコストをかなり下げるような、これはペーパープランですからこのとおりいくかいかぬかわかりませんけれども、前向きの姿勢をしておいでになります。こういうところへ大蔵当局がてこ入れを一生懸命やっていかなければ、かけ声だけに終わるのじゃないかということをおそれるから、私はしつこくお伺いをしておるわけであります。どうお思いになりますか、所見をお伺いしたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/75
-
076・熊田淳一郎
○熊田説明員 確かに、今後の国際情勢、国際金融通貨情勢、こういうようなものは、いろいろまだ曲折はあろうかと思います。しかしながら、最近のワシントン会議におきます決定からも見られますように、大体貨幣用金というのは現在の保有額で十分であるというふうに考えられております。こういうような点から言いまして、二重価格制というものができてまいりまして、ロンドンその他の自由市場におきます金の売買、これはもっぱら産業用金のために行なわれるということになってきておるわけでございます。そういたしますと、年間千二百七十八トンというような世界の生産量がございます。しかもそのうちほんとうに産業用に回りますもの、これは従来の例で言いますと三分の一程度のものでございます。こういうような需給関係から申しましても、産業用金の価格というものは今後もあまり騰貴するということは考えられないのじゃなかろうかというふうに私は考えるわけでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、もちろん国内産金の生産の維持ということは今後も必要だと存じますけれども、しかしこういうような国際価格と国内価格との価格差が大きいという現状におきましては、やはり足りない部分はどんどん輸入によってまかなっていくというのが本筋ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/76
-
077・玉置一徳
○玉置委員 工業用の需要だけを大蔵省は非常に厳密にごらんになりますが、実際需要というものをある程度満たさない限り、二重価格制じゃなしに三重価格制にこれはなるのじゃないか、実際問題として猛烈な需要があるのですから。だから、金の退蔵なんかが行なわれるようなもとをつくらないでおこうと思えば、ある程度需要に見合った供給がない限りそういう問題が起こるのじゃないかという懸念をいたします。きょうの新聞、先ほどだれかが持ってきてくれたのですが、「金の管理政策を再検討」「強制買上げ停止も」ということがこんなに大きく出ておるのですが、これは一体どういうところから入ったのか、ソースはわかりませんけれども、かなり検討しておると思うのです。この実態をひとつこの委員会で率直にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/77
-
078・熊田淳一郎
○熊田説明員 けさの朝日新聞で私もその記事を拝見したわけでございますが、大蔵省といたしましては、そこに出ておりますような、たとえば今後政府の強制買い上げを停止するというようなことは、現在のところ考えておりません。それからさらに民間に輸入を行なわせるということや、六百六十円は下げたほうがいいんではなかろうかというようなことは、すべて私どもが現在考えておることではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/78
-
079・玉置一徳
○玉置委員 いろいろ経済界に大きな影響を与えますので、課長としてはそう答えなければいけないだろうと思います。しかしこのくらい朝日新聞が大きく書き上げたということは、だれが見ても、こういうことを検討しなければならない周囲の事情になってきておるということだけは認めざるを得ないと思うのです。検討する時期にきたということで、よもや一切そういうことも検討しておりませんということは言えないと思うのです。これは課長さんでは気の毒ですから、またあとでしかるべき筋からお伺いをすることにいたします。
先ほど近江さんの質問に対しまして、あなたは、ほかの産業政策も考慮して差益金は出すことができませんというような、正確にはわかりませんでしたけれども、似たようなお返事をされましたが、石炭産業におきましてもあれぐらい思い切って、年に六百億近い金を出しておることをあなたも御存じのはずなんです。ましていわんやこういう非常に大事な時期になりまして、金だけではなしに、銅、鉛、亜鉛その他の基礎鉱物につきましても思い切って将来の安定的な輸入、輸入でも安定的な輸入ということをこれから考えざるを得ない。そのために今度の法案ができて、探鉱事業団が海外の開発に乗り出すということになったわけですが、このことは非常に必要なことだということはおわかりだと思うのです。輸入のうちの安定的な輸入、それに対して十八億円の予定をしておったところにわずか二億円ほどしかことしはついていないというような現状では、産金政策はもとよりのこと、すべての金属鉱業の政策の基礎が非常に危ぶまれるわけです。せっかくの政策がそういった財源の裏打ちがないというところに、絵にかいたもちに終わるおそれがあるわけであります。なるほど少しずつ緒につきつつあることは事実です。しかし非常におくれておるわけですから、この際思い切った投資をしなければ、将来においてほぞをかむのじゃないかと思います。したがって、先ほど近江さんの質問にございました差益金の一部が、あれは私も承っておりますと、大体償還が済んだような、あとはいよいよ残るほうになるように承っております。だからもうこれをある程度ずつ使っていいんではないだろうか。つまりほんとうに前向きに産金なりあるいはその他の金属鉱物が確実に振興されるような手は、この金を使っていっていいんではないだろうか、こう思うのです。先ほどおっしゃった他産業との影響も考え、あるいは必要も考える、そのこともよくわかります。しかしながら石炭の例のごときとはちょっと意味が違うぐらい、私はあのことを思えば、これは当然前向きじゃないだろうかという感じがするのですが、どうお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/79
-
080・熊田淳一郎
○熊田説明員 鉱山の助成という問題は、やはりその鉱山の経済性に着目をいたしまして考えるべき問題だろうと思います。その場合に、わが国の産金業の経済性というものを考えてみますと、すでに先ほども申しましたように、国際価格よりもはるかに割り高なグラム六百六十円というような価格で国内で販売をするということを認められており、これが実質的に大きな助成になっておるわけであります。そのほかに、いろいろな探鉱補助金が出ておるわけでございますから、その助成策に占めます地位といいますか、こういうものは他の産業に比べまして私は相当ウエートを置かれておるのだというように考えるわけでございます。したがいまして、これ以上の手厚い助成といいますか、そういうようなことをやるのは、その経済性から言いましても、他の産業との補助助成の権衡という点から言いましても、行き過ぎではなかろうかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/80
-
081・玉置一徳
○玉置委員 政府に二つ政府があるようなことにだんだんなってくるわけですが、いままでせっかく審議したことが課長、あなたの発言で、さらに審議をもう二週間ほどやり直さなければわからぬというところにいま来つつあるんだということをお考えになってお答えをいただきたいのですが、私はほかの工業その他の産業と違いまして、やはり金属鉱業というものは、もうほとんど自然条件に依存しておるわけであります。だから平地に工場をつくって優秀な技術とばく大な投資をすることによって世界に覇を争うというわけにはいかないやつですね。そういう宿命を持っておるわけです。じゃ、こんなものは高いから要らぬといったら、日本の農業と同じだと思います。それは大蔵省感覚といえども、日本の人間が全部で従事し、そして生計を営んでおる、しかも基礎産業として重要な産業である、それが将来いかに需要が拡大しようとも、何とかして四分の一、三分の一の自給度だけは確保していきたいんだという、これは悲願です。それをざぶっと冷たい氷水を頭からぶっかけるようなことをやれば、商工委員会としてはもう一回審議をやり直すというととろに戻って、きょう採決というのはちょっとしにくいと思うのですが、どんなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/81
-
082・熊田淳一郎
○熊田説明員 私が申し上げておりますのは、金だけに限って申し上げておりまして、他の鉱物についてとやかく申し上げるわけではございません。金につきましては、もう先ほどから申し上げておりますように、その経済性から見まして、あまり手厚い補助ということは適当ではなかろう、こういうふうに申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/82
-
083・玉置一徳
○玉置委員 あなたは石炭と産金とどちらが手厚くされておると思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/83
-
084・熊田淳一郎
○熊田説明員 石炭につきましては、確かに別途手厚い助成がなされております。しかしながら、金について考えました場合には、従来の助成が手厚い助成であるというふうに考えておるわけでございまして、やはりそれぞれの鉱物の持ちます必要性なりあるいはその山の経済性なり、こういうものを総合して、その助成策というのはきめらるべきではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/84
-
085・玉置一徳
○玉置委員 これは別途また大蔵大臣その他に質疑を申し上げることにしまして、せっかく大臣が見えられましたので、いままで大蔵で黒い霧がかかっておりましたので、ひとつ払拭する意味で大臣の決意だけお伺いしておきたい、こう思います。
そこで、これからちょっと一言簡単に大臣に申し上げますが、この二法案を審議しながら、通産当局の前向きの姿勢にわれわれに大いに賛意を表し、しかもなお今度の法案の通過にあたりまして、日本の金属鉱業政策がさらに飛躍的に拡充されるような特別の決議をするわけであります。そこまでみんな力んでおるのですが、大蔵当局に産金政策その他いろいろなことを聞きますのですが、全く冷静そのものでありまして、どうもこれではきょうの法案はちょっと大臣来られても通すのはどうかな、もう二週間ばかり勉強せんならぬと冗談も言うておったわけでありますが、ひとつ大臣としては、次に決議されるものを絶対通すだけの決意をもって日本の鉱業政策に取り組むかどうか、ひとつ決意を伺いましてこの問題をけりをつけて、次にごく簡単に一問一答だけしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/85
-
086・藤井勝志
○藤井政府委員 大臣いまお入りになったばかりでありますから、前後の模様が白紙でございますので、大臣御答弁される前に……。私、通産省の立場のみでなく、政治家の立場としても、いろいろ先ほどからのお話を聞きまして、玉置委員の御心配の内容はよく理解できるわけでございまして、そのような考え方から去年の十二月のあの特別産金対策の御決議をいただいたわけでございます。私は、ただ安いから外国から物を入れるのだという割り切り方だけではやはり真の政策ではない、こういう考えでありまして、特に金の場合は、御案内のごとく価格は固定しております。しかるにそれを掘り出すコストは、いろいろな内容のコストが高くなっておる。そこに経営は危機に瀕しておる。しかも金の持つ特殊性、最近の国際通貨制度の動揺、ゴールドラッシュ、いま鎮静はしたものの、きわめて流動的でございましょう。こういう点あれこれ考えると、御指摘のごとく、私は、ここに産金政策としては積極的なかまえを政府はとらなければならぬ、こういうふうに考えるわけでございます。大蔵省の国際金融局の企画課長のお立場では、この場においてはっきりした答弁がしかねるのは私はやむを得ないと思うのでありまして、こういう点については大臣にも後刻よくお話し申し上げまして、大臣同士でひとつよく検討を願って善処をしていただきたい、このように考えておりますので、御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/86
-
087・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 私直接伺いませんでしたが、いま伝え聞きまして、産金政策を中心として非常に熱心な論議があったやに承っております。私は、今後御趣旨を体して、十分に善処いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/87
-
088・玉置一徳
○玉置委員 実は大蔵省の課長お見えいただくようにお願いをしたときから、まずこのくらいの程度の答えしかないだろうということは予定しておりましたのです。非常にまじめに一生懸命に大蔵の行政をやっていただいておることはありがたいのですが、これ以上は政治の問題だから、商工委員の一員といたしましては、なるべく附帯決議の前がいいのですけれども、そのことは無理でしょうから、あとになりましてもかまわぬから、何らかの秘密会でも開いていただきまして、理事会で呼んでいただいてもけっこうですから、ほんとうに大蔵の上のほうで詰めておかぬと、これは絵にかいたもちになるおそれが非常にあると思いますので、委員長にもひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。
そこで、最後に一問一答でお伺いしておきたいと思うのですが、まだ質問がなかったような問題らしいのです。
海外探鉱資金の融資の貸し付け条件をひとつ教えていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/88
-
089・両角良彦
○両角政府委員 探鉱事業団といたしまして、海外業務は四十三年度から開始をいたすことになっておりますが、現段階においてはまだ詳細未定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/89
-
090・玉置一徳
○玉置委員 もう少し勉強しておかぬといかぬと思います。
その次に、海外の地質構造の調査の補助金ですね、民間負担はどのくらいお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/90
-
091・両角良彦
○両角政府委員 民間負担二分の一ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/91
-
092・玉置一徳
○玉置委員 最後に、海外開発資金の債務保証の限度額……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/92
-
093・両角良彦
○両角政府委員 債務保証基金の十五倍を保証いたすわけでございますが、どの程度貸し付けのケースにつきまして保証限度を設けるかは、個々の案件によりまして決定をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/93
-
094・玉置一徳
○玉置委員 最後に、この金属鉱業の諸政策を抜本的に改められまして、思い切ったひとつ拡充強化をはかることをお願いして、私の質問を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/94
-
095・小峯柳多
○小峯委員長 おはかりいたします。
両案の質疑はこれにて終局するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/95
-
096・小峯柳多
○小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、両案の質疑はこれにて終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/96
-
097・小峯柳多
○小峯委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。
まず、金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/97
-
098・小峯柳多
○小峯委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
次に、金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/98
-
099・小峯柳多
○小峯委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
おはかりいたします。
両案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/99
-
100・小峯柳多
○小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は付録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/100
-
101・小峯柳多
○小峯委員長 この際、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の各派共同提案にかかる鉱業政策の確立に関する件について決議を行なうべしとの動議が提出されております。
本動議を議題といたします。
まず「提出者から本決議案の趣旨の説明を求めます。岡田利春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/101
-
102・岡田利春
○岡田(利)委員 自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提出にかかる鉱業政策の確立に関する決議案について、四党を代表して提案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
鉱業政策の確立に関する件(案)
従来、わが国の鉱業政策は、主として貿易の自由化に対処して樹立されてきたが、最近の金属鉱業をめぐる情勢は、本格的な開放経済体制の進行、鉱産物の需要の急増、海外依存度の上昇、労働力の制約等大きな変化を示している。このような変化に対応し、鉱物資源の確保、国内鉱業の安定と国際競争力の強化のため、強力
な鉱業政策の確立が必要である。
よって政府は、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一、金属鉱業等安定臨時措置法の廃止にあたり、国内鉱業の安定及び資源の積極的開発のため早急に総合的な政策を確立すること。
二、鉱産物の需給及び価格の安定のため、需給のひっ迫及び不況の際における対策として需給調整の方策の確立を図ること。
三、金属鉱物探鉱促進事業団は、国内外にわたる鉱物資源の探鉱開発の中核体として、対象鉱種の拡大、低利資金の確保、中小鉱山への融資等、その業務の拡充強化に努めるとともに、出資についても検討すること。
四、中小鉱山のわが国鉱業に占める位置にかんがみ、生産の近代化を促進するとともに、補助金の増加、単価の改訂等新鉱床探査費補助金制度の拡充を図ること。
五、最近の金に関する国際環境の激変にかんがみ、金鉱業の安定を図るため、金山の再開発を緊急かつ強力に推進するとともに、硫黄、石こう等問題鉱種についてもその対策を確立すること。
六、鉱山における労働力の確保と定着化のため、総合的な労働条件、生活環境の改善等の諸対策を進めるとともに、産業内労使の雇用対策協議体制の確立を早急に図ること。
七、海外の鉱物資源の開発のため、海外鉱物資源開発株式会社の運営を改善し、その育成強化を図るとともに、民間各社の相互協力体制の確立、政府関係金融機関による円滑な必要資金の確保に努めること。
右決議する。
以上が案文であります。
すでに本委員会で熱心に討議されてまいりましたように、今日基礎物資である鉱産物資源の確保は非常に緊急な課題となってまいったと存ずるわけです。特に価格の問題では、最近のニッケル等に見られますし、あるいはまた長期的な需要増に対する問題としては、銅の需要見通し等についても十分われわれは判断のできるところであります。いずれにしても、この鉱物資源をいかに確保するか、さらに価格の安定をどのようにはかるか、この二つの課題を私どもは今後の政策の中で解決してまいらなければならないと考えるわけです。特に自由化対策の一環として、ベースメタルの銅、鉛、亜鉛を中心とするこの安定のために、金属鉱業等安定臨時措置法が制定されたのでありますが、しかし前文で申し上げましたように、今日の情勢から判断をいたしますと、国内鉱業の安定のためには、むしろ鉱業政策の基本法というべき法律を提出し、総合的な対策を立て、その展望を明らかにすべきである、かように考えるわけです。
さらにまた、金属鉱物探鉱促進事業団はすでにその成果をあげつつございますけれども、本改正にありますように、今回海外についても探鉱事業の対象拡大をする、このように改正がなされたわけです。しかし、国内の対象鉱種の問題、あるいはまた一応現在考えられておるベースメタル以外のいわゆるウランの開発等の問題、こういう各般の面を考える場合に、当然対象鉱種の拡大は避けられない緊急な事項であろう。あるいはまた、すでに七分五厘の金利をもってこの融資資金は運用されておるのでありますが、この金利の引き下げ、このことはリスクの伴う探鉱事業である、こういう面からいって当然努力をしなければならない事項であるという点を述べておるのであります。さらにまた、中小鉱山は金属鉱物探鉱促進事業団の融資対象にはなっておりませんけれども、今日の新鉱床探査費補助金制度の運用の実態等から判断する場合、あるいはまた長期的にその基本になる探鉱、ボーリングを行なう、あるいはまた坑道探査を行なうという場合には、融資業務の中に含めてこの積極的な推進をはかるべきである、このように考えるのであります。
さらにまた、中小鉱山の問題について、すでに新鉱床探査費補助金制度が確立されておりますが、最近の労務賃金の上昇あるいはまたコストの値上がり、こういう面から判断をいたしますと、五割の補助金は実質上三分の一になっているということは参考人の述べられたところでありまして、この実質五割なら五割の補助になるように単価の改定を行なう、あるいは補助金の増加を行なう、こういう積極的な施策を通じて、特に非鉄卑金属あるいはまた普通金属鉱物の場合でも相当なウエートを占めている中小鉱山の近代化をさらに促進すべきであるというのが理由であります。
また産金政策については、本委員会で各委員から問題が提起されてまいりました。したがって、金鉱山の再開発は緊急かつ強力に進めてほしい。特にこれは構造ボーリングあるいはまた精密ボーリング、構造坑道という広域的な地域を一括開発するという方式である。また金鉱山における鉱山技術はわが国鉱山技術のいわゆる温床である。こういう面からいっても産金政策はゆるがせにすべきではないと考えるのであります。あるいはまた石炭産業と同じように、二次公害としての脱硫硫黄と硫黄鉱山との関係、あるいはまたS源供給全体の構造変化に対応する施策は、これまた緊急を要する課題でありますし、そういう意味で脱硫装置が逐年計画に従って完成をされてまいりますことはもう火を見るよりも明らかでございますので、事前にその対策、方針を示すことが大切である。そしてわが国は、アメリカや諸外国と同じように、将来は硫黄の輸出国たり得る、こういう条件を整備すべきであるということを指摘いたしておるのであります。さらにまた、労働力の確保、特に労働環境の悪い地下労働力を確保することは、全体の労働力の確保が困難になっている情勢の中ではさらに一そう困難をきわめることはきわめて当然であります。そういう点で労働条件は、単に賃金というだけではなくして、総合的な労働条件あるいはまた生活環境の整備、こういう点について各般の施策を展開する必要があると思いますし、また鉱業審議会がすでに答申をしているように、いわゆる産業内労使の雇用対策の協議体制をつくり、むしろ企業と産業全体の連帯性、こういうものを高めてまいらなければ労働力の確保はむずかしい、その体制の確立を要望いたしておく次第であります。
さらに、海外鉱物資源開発株式会社は、すでに創立以来五カ年を経過いたしました。四十一年度の決算書を見れば、すでに三億五千万をこえる赤字を出しております。私は三億五千万の赤字はそういう意味においてざらに拡大をしていく傾向下に今日あると思うのであります。この会社の設立趣旨から考え、また海外協力基金が五割、民間会社が五割の出資比率のそういう会社の性格にかんがみ、この会社を育成強化するという方向で、五カ年間の業務内容を総括し、次へ前進でき得る体制をつくり上げるべきである、こういう点を強く指摘をいたしておるところであります。特に海外の開発には相当量の資金が必要でございますけれども、今日、わが国の国際収支の面から考えますと、外貨の獲得あるいはまた膨大な開発に要する資金の確保はきわめて重要な課題であります。こういう点について特に適切な施策を講ずるように要望いたす次第です。
以上が本決議案提出の趣旨でありますので、委員各位の御賛同を心からお願いいたしまして、提案の説明にかえたいと存じます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/102
-
103・小峯柳多
○小峯委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
鉱業政策の確立に関する件を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/103
-
104・小峯柳多
○小峯委員長 起立総員。よって、動議のごとく決しました。
この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。椎名通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/104
-
105・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 ただいま御決議のありました件につきましては、十分これを尊重し、わが国鉱業の安定と発展並びに金属鉱物の低廉かつ安定的な供給の確保につとめてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/105
-
106・小峯柳多
○小峯委員長 おはかりいたします。
ただいまの決議の関係方面への参考送付等の取り扱いにつきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/106
-
107・小峯柳多
○小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/107
-
108・小峯柳多
○小峯委員長 去る九日付託になりました内閣提出、砂利採取法案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/108
-
109・小峯柳多
○小峯委員長 まず、本案について趣旨の説明を聴取いたします。椎名通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/109
-
110・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 砂利採取法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
近年における土木建築工事の急速な増大に伴い、いわゆる骨材の需要は年々大幅な増加を示し、昭和四十二年度には約四億五千万トンに達するに至っております。この間、骨材供給の大宗を占める砂利の生産も拡大を続け、これとともに、砂利の採取に伴う災害が各地に頻発して大きな社会問題となっております。特に最近におきましては、いわゆる山砂利、陸砂利の採取が増大し、これに伴う災害が激増しておりますが、山砂利、陸砂利の採取には、その規模が大きなものが多く、このため災害の規模及びその与える影響も従来に比し、大きく、かつ深刻なものとなっております。
このような砂利の採取に伴う災害に対しましては、現在砂利採取法等の運用によりその防止につとめてきておりますが、何ぶんにも同法は昭和三十一年に制定されたものであり、その内容も砂利の採取についての事後届け出制をとっているなど、最近の砂利の採取に伴う災害には十分対処し得ないものとなってきております。
このような実情にかんがみ、この際新法を制定し、砂利の採取に対する規制を抜本的に強化することにより、砂利の採取に伴う災害の防止をはからんとする次第であります。
次に、本法案の概要を御説明申し上げます。
第一は、砂利採取業につきまして登録制度を確立することであります。すなわち、砂利採取業を行なおうとする者は、通商産業大臣または都道府県知事の登録を受けなければならないものとし、その登録を受けるにあたっては、一定の資格試験に合格した砂利採取業務主任者を置かなければならないこととしております。この資格試験は、災害防止に必要な知識及び技能について行ない、これにより砂利採取業者の災害防止のための技術的を確立したいと考えております。
第二は、砂利の採取計画の認可制度の実施であります。すなわち登録を受けた砂利採取業者は、個々の採取場ごとに採取計画を定め、山砂利、陸砂利等については都道府県知事の、河川砂利については河川管理者の認可を受けなければならないことといたしております。
この採取計画には、砂利の採取量、採取の方法、災害防止の措置等を詳細に定めさせることとしており、この場合において、都道府県知事または河川管理者は、当該採取計画にかかる砂利の採取に伴い災害が発生するおそれがあると認めるときは、その認可をしてはならないこととしております。
以上の措置により今後は、未然に砂利の採取に伴う災害を防止し得る体制が確立されるものと確信いたしております。
第三は、砂利採取業者に対する各種の命令措置の強化をはかっていることであります。
まず、都道府県知事または河川管理者は、認可をした採取計画の変更命令を発動できることとし、採取場の状況の変化等、認可時に予測できない事情の変更に伴う災害の発生に対処することとしております。
次に、災害防止のため緊急に必要があると認められるときは、直ちに災害防止の措置を講じさせることを内容とする緊急措置命令を発動できることとし、必要があれば事業の一時停止をも命ずることができることといたしております。
さらに、本法に違反して砂利の採取を行なっている者に対しては、罰則による制裁と同時に、採取あとの埋め戻しなどの措置を講じさせることといたしておりますが、これら各種の命令措置の強化により、砂利採取案者の登録制、採取計画の認可制と相まって、砂利採取に伴う災害の防止のため万全を期しております。
なお、このほか、砂利採取場に標識の設置を義務づける規定及び砂利の採取に伴う災害に密接な利害関係を有する関係市町村の意見を反映させるり体制のもとに砂利の採取に伴う災害の防止をはかるための所要の規定の整備をはかることといたしております。
これが、この法律案の提案理由及びその要旨でございます。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同下さいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/110
-
111・小峯柳多
○小峯委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/111
-
112・小峯柳多
○小峯委員長 この際、参考人出頭要求に関する件につきましておはかりいたします。
すなわち、先ほどの理事会で協議いたしましたとおり、通商産業の基本施策に関する件、特に、最近の流動きわまりない国際情勢に対応する産業貿易の新しい進路について、各界の方々を参考人として、その意見を求めることとし、参考人の人選、日時等については委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/112
-
113・小峯柳多
○小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次回は、明後十二日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01819680410/113
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。