1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月十六日(火曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 小峯 柳多君
理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君
理事 鴨田 宗一君 理事 中村 重光君
理事 堀 昌雄君 理事 玉置 一徳君
内田 常雄君 遠藤 三郎君
小笠 公韶君 大橋 武夫君
岡本 茂君 海部 俊樹君
神田 博君 小宮山重四郎君
坂本三十次君 櫻内 義雄君
始関 伊平君 塩谷 一夫君
田中 六助君 丹羽 久章君
武藤 嘉文君 岡田 利春君
久保田鶴松君 佐野 進君
田中 武夫君 多賀谷真稔君
中谷 鉄也君 古川 喜一君
三宅 正一君 塚本 三郎君
吉田 泰造君 近江巳記夫君
出席国務大臣
通商産業大臣 椎名悦三郎君
国 務 大 臣
(北海道開発庁
長官) 木村 武雄君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 宮澤 喜一君
出席政府委員
内閣官房副長官 亀岡 高夫君
北海道開発庁総
務監理官 馬場 豊彦君
経済企画庁調整
局長 赤澤 璋一君
大蔵省主計局次
長 海堀 洋平君
通商産業政務次
官 藤井 勝志君
通商産業省企業
局長 熊谷 典文君
建設省営繕局長 横山 正彦君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 岩瀬 義郎君
通商産業省企業
局参事官 橋本 徳男君
建設大臣官房技
術参事官 望月 邦夫君
参 考 人
(日本万国博覧
会協会副会長) 堀田 庄三君
参 考 人
(日本万国博覧
会協会副会長) 菅野 義丸君
専 門 員 椎野 幸雄君
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四月十二日
委員佐野進君辞任につき、その補欠として平林
剛君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員平林剛君辞任につき、その補欠として佐野
進君が議長の指名で委員に選任された。
同月十六日
委員佐野進君及び楯兼次郎君辞任につき、その
補欠として柳田秀一君及び田中武夫君が議長の
指名で委員に選任された。
同日
委員田中武夫君及び柳田秀一君辞任につき、そ
の補欠として楯兼次郎君及び佐野進君が議長の
指名で委員に選任された。
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四月十二日
海外経済協力基金法の一部を改正する法律案
(内閣提出第六四号)
同月十日
化粧品の再販契約制度に関する請願(二階堂進
君紹介)(第三七七二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
北海道地下資源開発株式会社法を廃止する法律
案(内閣提出第九六号)
海外経済協力基金法の一部を改正する法律案
(内閣提出第六四号)
日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な
特別措置に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出第四〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/0
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001・小峯柳多
○小峯委員長 これより会議を開きます。
去る三月二十五日付託になりました内閣提出、北海道地下資源開発株式会社法を廃止する法律案を議題といたします。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/1
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002・小峯柳多
○小峯委員長 まず、本案について趣旨の説明を聴取いたします。木村北海道開発庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/2
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003・木村武雄
○木村(武)国務大臣 ただいま議題となりました北海道地下資源開発株式会社法を廃止する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
北海道地下資源開発株式会社は、昭和三十三年、北海道の地下資源の開発を促進する国策会社として設立され、今日まで鋭意探鉱に努力してきたものであります。
すなわち、北海道に豊富に埋蔵されている地下資源を開発することは、北海道の開発、ひいては国民経済の発展のために必要欠くべからざるものでありますが、同社の設立当時は北海道においては、いまだ十分な探鉱活動が行なわれておらず、また民間の試錐事業もおくれていたため国策として同社にこれらの事業を行なわせる必要があったのであります。
しかしながら、その後、全国的規模において各種の探鉱促進策が実施され、民間における試錐事業の発達と相まって、民間における探鉱活動が漸次活発となってきたのに対し、同社の事業は、国策的事業たる自主探鉱を含め、必ずしも所期の効果をあげることができなかったのであります。
このような諸事情を勘案しますと、同社を現行のまま存続していくことが困難と考えられるに至りました。
さらに一方、特殊法人の整理再編成の方針が打ち出され、これによって同会社を民間企業に改組することが決定されました。
よって、ここに北海道地下資源開発株式会社法を廃止することとしたものであります。
次にこの法律案の内容でありますが、同法律案は北海道地下資源開発株式会社法を廃止することを内容とし、そのほかに関連して必要となる若干の経過規定及び関連法律の一部改正規定を附則に置いております。
以上がこの法律案の提案の理由及び概要であります。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/3
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004・小峯柳多
○小峯委員長 次に、去る十二日付託になりました内閣提出、海外経済協力基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/4
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005・小峯柳多
○小峯委員長 まず、本案について趣旨の説明を聴取いたします。宮沢経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/5
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006・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ただいま議題になりました海外経済協力基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提出理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
海外経済協力基金は、東南アジア等の開発途上にある地域における産業の開発事業に関し、必要な資金の貸し付けまたは出資その他海外経済協力の促進に必要な業務を行なうために設立されました全額政府出資の特殊法人でありまして、昭和三十六年に発足して以来、その投融資は漸次増大し、開発途上国における産業の開発に重要な役割りを果たしていることは御承知のとおりであります。
しかしながら、最近これらの地域の一部の国においては外貨不足、著しいインフレ高進等により経済の安定がそこなわれるおそれが生じており、このような国は、経済の安定のために緊要とされる物資の輸入に必要な資金の供給を強く望んでおります。
一方、わが国といたしましても、こうした要請にこたえることが、わが国の経済協力の実をあげるためにきわめて重要であると考えられますので、この際、基金の業務範囲を従来の開発事業への貸し付け等のほかに、このような資金の供給にまで拡大することが必要であると考えまして、今回の改正案を提案いたしたのであります。
次に、改正案の内容について申し上げます。
改正の第一点は、基金の業務範囲の拡大であります。先ほど申し上げましたような趣旨から、東南アジア等の地域の経済の安定に寄与するため緊要と認められる本邦からの物資輸入につき、基金がこれらの地域の政府等に対して必要な資金を貸し付けることができるよう目的及び業務範囲を広げることとした次第であります。
改正の第二点は、以上のような基金の業務の範囲の拡大に伴いまして、その事務の一部を委託先を従来の日本輸出入銀行のほかに、一般の銀行にまで広げることができることとした次第であります。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、御可決されるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/6
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007・小峯柳多
○小峯委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
両案の質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/7
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008・小峯柳多
○小峯委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
すなわち、日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の審査に際し、参考人として財団法人日本万国博覧会協会の役職員等から意見を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に一任するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/8
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009・小峯柳多
○小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/9
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010・小峯柳多
○小峯委員長 内閣提出、日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として日本万国博覧会協会副会長堀田庄三君並びに同副会長菅野義丸君が出席されております。
参考人におかれましては、御多用の中、御出席いただきまして、まことにありがとうございました。何とぞよろしくお願い申し上げます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。中谷鉄也君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/10
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011・中谷鉄也
○中谷委員 お尋ねをいたしたいと思います。
人類の進歩と調和という基本的な理念、テーマのもとに、万博もあと二年足らずになってまいったわけでございます。そういう中で、万博は開幕した日が決定的な勝負であるということもいわれております。そこで最初、専任副会長さんに次のような点を率直にお答えをいただきたいと思うわけです。
現在、この国民的な、国家的な事業である万博事業推進にあたって特に障害になっている点は何か。緊急、早急に解決しなければならない問題点は何か。何か特に聞くところによれば、協会は政府に対しては専任大臣を設けるべきである、設けていただきたいということを強く要望しておられるということを聞いておるけれども、専任大臣を求めておられるその趣旨は一体どういうことか。もし早急にということであるならば、万博事業推進にあたってどの時期までに専任大臣が設けられることを協会としては特に要望されるか。これらの点について、まず最初、専任副会長さんのほうからお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/11
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012・菅野義丸
○菅野参考人 お答え申し上げます。ただいまお尋ねの、協会の万国博の準備、運営についてどういう点が支障になっておるかということでございますが、私ども不敏ながらその衝に当たっている者としましては、あとわずかになってまいりました万国博の準備につきましては、死力を尽くしておるつもりでございまして、ことに建設関係の進行管理ということにつきましては、非常にこまかい工程表をつくりまして、毎月これを厳密に調査して、おくれを取り戻すようにしておるわけでございます。お尋ねの、ただいま一番問題になっておる、あるいは障害になっておる点はどうかという点につきましては、ただいまのところ、特にここで申し上げて非常にこの点が困っておるというような点は、幸いにしてないのでございます。
ただ、しかしながら、これは非常に油断のならないことでございまして、私ども協会が行ないます工事というのは全体の会場建設の三分の一くらいでございまして、あとは一般の外国の政府の政府館の建設及び一般企業の特設館の建設というような、いわばほかの方々がなさることを協会としてこれを十分に見ておりまして、そしてその進行度が一つもおくれないようにするということが大事でございます。これにつきましては、これまた参加国及び参加者の協力を得まして厳重な進行管理を今後やっていきたいと考えておる次第でございます。
なお、先ほど御指摘になりました専任大臣の問題につきましては、かつて役員会でそういう話が出まして、会長名で政府にお願しておるのでございますが、これはオリンピックの例から見ましても、非常にいろんな点について政府のほうの早急なまた強力な御指導を得なければならぬことが多いのでございます。そこで、でき得れば、オリンピックの例から見ましても相当早い時間に専任の担当大臣が置かれておりますので、何とかなるべく早く専任の担当大臣を置かれるように要望した次第でございます。目下政府のほうとしましては兼務の担当大臣にはなっておりますけれども、その下に強力な推進本部が設けられておりまして、この機構を通じましていろいろと御指導を得ておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/12
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013・中谷鉄也
○中谷委員 いまの点をいま少しくお聞きしておきたいと思います。要するに、四十五年三月万博がいよいよ開催される。専任大臣をなるべく早い機会にということについては、協会の要望であり意思であることは承りましたけれども、いわゆる万博開催準備のプログラムの中で、プロセスの中で、一つやはりそういう節というものがあると思うのです。たとえば、いよいよ本年の五月には京都において国際会議が催される。そういうふうな一つの準備の流れの中で、なるべく早くという抽象的なお答え、そういうふうなことがきわめて具体的な要望であろうということになるかもしれませんけれども、少なくともこの時期までには専任の大臣を設けるべきだということについての具体的な御答弁をひとついただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/13
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014・菅野義丸
○菅野参考人 あと六百九十八日になりましたが、この開会までの期間におきまして、およそこの節になるというような時期が二、三回あるのでございます。来月の末に京都で開かれます各国の政府の代表会議、これも一つの節でございますが、これは外国の政府の公式参加をなるべく多くしたいという参加招請の上の節でございまして、御承知のとおりに外国の政府の公式参加というのは、協会ももちろんやっておりますが、主として政府が外交ルートを通じてやっておるのがおもでございます。そこで、われわれの考えといたしましては、本年がこの外国の公式参加をたくさん得るには最も大事な時期である。これはいろんな関係からそうでございますが、モントリオールの例等から見ましても、どうしても開会一年前くらいまでの間が一番大事でございまして、目下のところモントリオールの例とそうおくれてはおりませんけれども、まあ本年から来年の三月くらいまでの間に外国の公式参加をたくさん得ないと、もう時期的に間に合わなくなるというような点でございまして、これにはいま政府が各省協力してやっていただいておりますけれども、やはりこの専任大臣がおありになれば、それだけをひとつやっていただけるんじゃないかというふうに考えて、なるべくならば早い機会に、できるならば今年中に専任の担当大臣を置かれたいということはわれわれの希望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/14
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015・中谷鉄也
○中谷委員 大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
予算分科会等においても、政府のこの問題についての一応の方針は承りましたけれども、すでに専任大臣を置くべき必要な時期というのに到来しているのではないかと私は考えます。万博が開催されて専任大臣を置くということでは意味がないと私は思う。ことに、専任副会長さんのほうから必ずしも明確なお答えがありませんでしたけれども、いわゆる万博協会の業務遂行の中で、従来から指摘をされてまいったことでありまするけれども、かなり政府の行政機構上のセクショナリズムというようなことが指摘をされておる。推進本部というものが必ずしもそのようなセクショナリズムを打ち破るための万全の措置とは考えられないというふうなことも批判されておる。通産大臣自身が推進本部を設けることについては非常な熱意を示されたということを私は承知をいたしております。万博専任大臣を早急に設けるべきだということは、この国民的な事業を遂行する上においての一つの大きな、現在当面措置しなければならないことだと思うけれども、大臣のこの点についての御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/15
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016・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 担当大臣を拝命しておりますが、どうも実際ひまがなさ過ぎる。こうして毎日、もう朝から晩までと言いたいが、国会に縛りつけられて、全く閉口しておるのです。ですから、これでどうもお役がつとまるかどうかと思って非常に心配なんでございます。まあいろんな方面から話は聞いておりますが、もう少しひまができれば、これは大いにひとつ、もっとやりたいところなんですけれども、しかし、置けとも置くなとも、私はこの立場にありますから、ひとつ適当にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/16
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017・中谷鉄也
○中谷委員 官房副長官にお尋ねをいたしたいと思います。
前回予算分科会等において、官房長官のほうから、これについてのかなり前向きの御答弁があったことはすでに御承知のとおりであります。ただいま担当大臣のほうから専任大臣の点についての御答弁がありましたが、一体政府としては、専任大臣を設ける適当な時期、万博開催準備の努力とプログラムの中でこの時期だという時期をどのように想定しているか、この点をひとつお答えをいただきたい。
なお、官房副長官非常にお忙しいので、この機会にひとつ次のような質問をしておきたいと思います。
いわゆる万博開催の年は同時に安保の年であるということは、国民すべて承知をいたしておることであります。外交、防衛の問題をめぐって、七〇年安保をめぐって国論が大きく対立するということも、これは当然予想されるところであります。それを七〇年危機という形でとらえるかどうかは別個の問題である。しかし、私がこの際お尋ねいたしたいのは、万博という人類の進歩と調和、アジアで初めてのそのような万博を成功させるという立場に立って、国論の対立が予想される七〇年問題とどのようにそれを関連し調和させるか、これは私は非常に重大な問題だと思う。現在当面しておる外交、防衛問題の国論の対立と、そうして七〇年に行なわれるところの万博、この基本的なテーマは人類の進歩と調和である。これを一体政府はどのように理解しておるか。これをひとつお答えをいただきたいと思います。
同時にいま一つ、第三点としてお尋ねをいたしたいのは、アジアにおける初めての万博ということは、東西問題にしろ南北問題にしろ、これらの不調和の問題というものが取り上げられなければならないということは当然である。中国の問題については、本日、別の人がお尋ねする予定でありますので、私はお尋ねをいたしませんけれども、堀田副会長さんなどは、中国参加の問題について、四十一年の国会において非常に詳しい御意見を述べておられることを、私は会議録で承知をいたしました。そういうふうな状態の中で、ほんとうにアジアの大ぜいの民衆が希望しておったところのベトナム和平というものが、少なくとも四十五年にはベトナムに平和がくるだろうということをわれわれは確信する。そういうことについて、日本はまた努力をしなければならない。ベトナムに平和がくる、そういうベトナム和平というふうなものを、この七〇年万博の中にどのようにとらえるか。これは同時に、私の質問の柱をなしているところの、万博の国民的な合意、国民的な支持ということにも関係がある。こういうことで、私は、国民的な合意をどのようにしてはかるかという観点から、あとの二つの問題についてお答えをいただきたいと同時に、専任大臣の点については、ひとつ明確な御答弁をいただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/17
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018・亀岡高夫
○亀岡政府委員 お答え申し上げます。専任大臣の件につきましては、椎名通産大臣がきわめて卓抜な指導力を持たれておる大臣でございますので、ただいまの時点においては専任大臣を置く必要を感じておりません。時期につきましても、政府といたしましては、いつごろというところまで目下のところ考えておりません。
また、ちょうど安保改定の年と万博の年と一緒になるが、それに対処して政府はどのような考えで指導してまいるかというようなお尋ねかと思いますが、一九七〇年は日米安保条約の改定の年でもあるわけでございますけれども、万博はアジアで初めて開かれるわけでございまして、しかも人類の進歩と調和というテーマのもとに、全人類の英知を結集して、相互理解を深めることによりまして、国の内外に残っております対立あるいはあつれき等のひずみを緩和しまして、世界の平和と人類の福祉の向上に寄与しようということで開かれるわけでございますので、この意図が国の内外に実現することを心から願っておるというのが、私どもの現在の立場でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/18
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019・中谷鉄也
○中谷委員 官房副長官、そういうふうなことで国民的な合意、国民的な支持というものがはたして得られるのだろうかどうか、私非常に疑問を感ずるわけでございます。要するに、万博開催にあたって、特別措置法の成立の際にも附帯決議が付せられました。アジアの多くの国の参加を求めるようにしようというのが、附帯決議の一番最初に掲げられた決議であります。中国の参加についてはいまなお見通しが立っていない。要するに人類の進歩と調和といったって、蒸留水のようなものではないはずなんですね。現に国民が苦しみ、国民が悩み、国民が真正面から取り組んでおるところの七〇年安保の問題と、さらに次元の高い人類の進歩と調和というこの問題が、いうてみればこれはアジアの、日本の、すべての民衆、国民の平和に対するいろいろな模索であり、努力であり、積み重ねなのだ。そういうふうなものが万博の外国参加の中に、出品展示の中にあらわれてくるような努力をすることこそ、七〇年の安保の国論の対立というものを、むしろかえって万博の人類の進歩と調和という基本的テーマの中に、より高いものの中にあらわしていくことができる。これを安保と万博は全然別なんですというふうなことでは、現に片一方に国論の対立がある、片一方には万博の理念、基本テーマがあるけれども、安保の問題という、なまの政治を持ち込むというのではなしに、このような国論の対立というものを、何らかの形において、人類の進歩と調和という中に、国民すべてが一体それは何だという掘り下げの中で、この基本的なテーマを国民一人一人のものにしていくということでなければ、国民的な合意というものは成り立たない。同時に、すでに万博を二年先に控えて——もう二年ありません、そういう中に万博についてのいわゆる批評家的な無責任な、世間で不評判なものが三つある、その中の一つは万博だという言い方を、野党の社会党はいたしません。万博というものを国民的な事業として成功さすということについて、責任を持って努力したいと考えておる。それについては七〇年問題というものを、一体万博の中においてどのように国民的な合意を確立するかという観点から、それにどのように取り組んでいくかということについて、ひとつもう一度官房副長官の御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/19
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020・亀岡高夫
○亀岡政府委員 先ほども申し上げましたように、帰するところ、安保問題にいたしましても、私どもとしては、日本のあるいはアジアの平和をいかに守っていくかという立場から対処いたしておるわけでございます。また万博の開催目的にいたしましても、先ほど申し上げましたように、人類の平和を目標にして開催をされるわけでございますので、その企図するところは相反するところがない、こういう考え方であるわけです。安保の問題に対して、国民的な対立といわれるような情勢があることはまことに残念でございますが、しかし、この万博の年を契機といたしまして、中谷委員が仰せられましたとおりに、国民一人一人がこの万博の精神を理解して対処いたしませんと、成功を期し得ないわけでございますので、そういう面に対して、中谷委員の御意見の中にもありましたように、政府は積極的にこの万博開催の精神を徹底すると同時に、なお残された期間内に万全の措置を講じて、これを成功に導かなければ、企図した人類の平和、進歩というような目的は達成できないという考えのもとに、いま全力をあげて準備体制の促進につとめておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/20
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021・中谷鉄也
○中谷委員 基本テーマに関連をして、大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
要するに、人類の進歩と調和ということは、国民的な支持、合意を求めるということになってまいりますると、とにかく日本があるいはまた日本人がどうして平和を求めるかということを強くあらわしていくことだろうと思うわけです。そういう中で政府館が「日本と日本人」というテーマで文字どおり日本と日本人を表現しようとしておられる。その日本と日本人の政府館構想については、閣議の決定を得ているようでありますけれども、すでに従来指摘されておるのでございますけれども、原爆被爆国としての日本、その日本が今後原子力の平和的利用というものに積極的に取り組んでいく。それが「むかし」「いま」「あす」、そうして「ゆめ」というこの「日本と日本人」のテーマを具体的にあらわしていくところの展示の中で、一番しなければならない一つの具体的な表現ではなかろうかということが従来から指摘をされておりました。政府館がこの原爆被爆国日本というものを表現されるのかどうか、この点についてお答えをいただきたいと思います。具体的な内容については、さらに参事官からもお答えをいただきたいと思いますが、この質問の趣旨は、多くの企業参加を求めておられるが、商業主義に堕するという批判が非常に強い。そういうような中で、企業の人たちは卓抜なアイデアを持ったところの企業出品、企業参加をしようとしておるけれども、ややそこにためらいとたじろぎがあるというようなことを聞いておる。政府館がどのような展示をするかということは、私は、企業も非常に注目していることだと思う。この点について大臣の御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/21
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022・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 原爆の被爆国として非常な惨害をつぶさに体験した唯一の国でございます。それを展示すべきではないかという御意見もある。一応傾聴すべき御意見でございますが、これに対してまたいろいろ批判もございます。それで、専門家のほうに十分に、この問題を取り上げるかどうか、取り上げるにしてもどういう形で取り上げるか、そういったようなことをお願いしてありますから、それの御答申を得て、さらに政府として、もしこれに対して訂正すべき点があれば訂正するそのままでよければそのまま、いずれにしてもそういうコースで進めてまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/22
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023・中谷鉄也
○中谷委員 参事官の御答弁をいただいておきたいと思います。私の持ち時間がなくなったようですけれども、いまの大臣の答弁を補足していただきたいと思いますけれども、すでに専門家のほうでの調査は一体どういうことになっているか。いわゆる非常にむごたらしいものとして展示をすることがはたしてふさわしいかどうかということについては、私も疑問を感じます。しかし、被爆国日本というものの表現は必ずしもむごたらしいものだけを表現することがその表現のしかたではないと思う。これをはずしては日本及び戦後の日本人の表現、戦後の日本人の意思表示というものはどうしても私はないと思う。これらについての専門家の調査と答申は一体いつごろどういうふうな答申が予想されるか。そして大臣の答弁の中にありましたけれども、その答申の趣旨を尊重するというふうに承ったけれども、そういうことなのかどうか、この点についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/23
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024・橋本徳男
○橋本説明員 事務的に御説明させていただきます。この問題につきましては、委託調査によりまして、専門的な企業に調査を実は依頼いたしまして、三月末にその概要の答申が出てきたわけでございます。その中にもございましたが、やはりこういった問題は、博覧会らしい取り上げ方をすることが基本的に必要である、博覧会らしい取り上げ方というものは、観客に不快な感じを起こさせないで、しかも示唆するといったような形において取り上げる必要がある、その一つの方法といたしまして、フランスのルーブル博物館に最近置かれておりまする原子時代の人類といったような、たとえばああいうふうな取り上げ方が最も好ましいのではないか、もちろん原爆の恐怖と、それから原爆を平和利用することによる人類の明るい繁栄、こういったようなものがきわめて対象的に、しかし非常にそれが見る人に印象づけられるような形において出されておる、こういったものが非常に大きな示唆ではなかろうかというふうな答申が出てきたわけでございます。したがいまして、そういった示唆に基づきまして、政府館でございますので、外国のものをストレートに展示することはできるだけ避けたいと思いまして、こういうヒントをもとにいたしまして、政府館としてどうやればそういったヒントにマッチするであろうかということをここ二、三カ月かけて、なおうちの総合的なプロデュースをやっておる方々に研究を依頼しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/24
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025・中谷鉄也
○中谷委員 大事な問題だと思いますので、先ほどの大臣の御答弁に念を押してお聞きしておきたいと思いますが、そうすると、そのような答申、したがって、さらに政府館であるのでその答申に基づくところの検討、そういうふうなものができ上がった段階においては、被爆国日本というものを、人類の進歩と調和という基本的な理念の中でそれをあらわしていくということについて、それを前向きに検討する、検討するだけでなしに、答申の趣旨を尊重して、それからの問題を展示をしていく、こういうことについて政府館の展示を考えていく、こういうふうにお伺いしてよろしいかどうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/25
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026・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 アイデアをどういうふうに博覧会らしく取り扱うかということは専門家におまかせしてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/26
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027・中谷鉄也
○中谷委員 専門家の言うとおりにするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/27
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028・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 大体、それ以上の知識がこっちにないんだから、そのとおりになると思いますけれども………。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/28
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029・中谷鉄也
○中谷委員 わかりました。要するに、そういうような問題については非常にむずかしいので、専門家の意見を尊重して、専門家の言うとおりになると思う、こういうような趣旨の御答弁があったわけですね。
最後に、一点だけ堀田副会長さんにお尋ねをいたしたいと思うのです。非常に具体的な問題で恐縮なんですけれども、実は本部及び展望塔の入札の問題については、率直に言いまして、新聞報道を見たところの国民は非常に失望したのです。国民としては、万博に対する期待と同時に、万博に対する非常な不安を感じたわけです。したがって、展望塔の予定価額が、聞くところによると、七億五千万円でございましたか、それがとにかく応札してきたのが最低で十四億五千万円、倍以上も開いておるというようなことは、建設行政あるいは建築そのものについてきわめてしろうとの人間が考えてみましても、国のその種の公共事業で二倍も開くというようなことはちょっと考えられないことだと思うのです。これを単なる工法上の違いとか、誤解があったとか、別にたいしたことじゃないんだというふうに万博協会がもし理解しておられるとすれば、私は今後の問題の中に非常に禍根を残すと思います。要するに、工事の時期が集中してくるというような問題、突貫工事によるところの労働災害の問題、いろいろな問題があると思う。こういうふうな本部及び展望塔の入札問題について今後どのように対処されるか。また端的に申しまして、国民の目から見まして、非常に不安を感じさせたような、このような落札ができなかったという問題についてどこに欠陥があったのか。ただ単に、伝えられているような新しい工法であったために積算が違ったというふうな技術的な問題だけなんだろうか。もっと基本的に、何かこの万博工事そのものについての協会あるいは業者との間の話し合いなどというようなものについての、大きなことばで申しますと国民的な合意とか国民的な支持というようなものとの関連において欠けている点があるのじゃないか、こういうような点を感ずるわけです。この点についてひとつ、恐縮ですが、率直にお答えをいただきたいと思います。
同時に、いま一点は、入場料の問題について一体どういうことになっているか、御検討の内容を簡単にお答えをいただきたい。なお、入札問題についての通産大臣のほうの、通産省としての協会に対する希望があったと思うのです。この点についてお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/29
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030・堀田庄三
○堀田参考人 私それこそ専門家でありませんので、だいぶたどたどしいのですが、いまお話しの塔の問題につきましてだいぶ食い違いがあったのは事実のように聞いております。これは御指摘があったように、新しい工法、設計に基づいたところが多うございまして、業者としては相当大事をとって、こちらの見込み額と非常に違った入札をしている、こういうところがあるようでございます。その後設計が変更になりまして、かなり簡素化されました。そういう点から、いまの段階ではだいぶ協会の予算に近寄ってまいっております。いま一息というところだろうと思っております。なお、こうしたことが今後続いて起こることを避けるために、今後は第三者の裁定あるいは検閲というようなことを経るために、建設省の営繕局長を協会の顧問に嘱託して一ぺんスクリーンをしていただく、こういう方法をやるつもりでおりますから、今後は一そう慎重を期して入札を行なうつもりでおります。
入場料の件は、これはまだきまっておりませんが、こっちのほうは菅野副会長のほうが専門で詳しゅうございます。いずれにしましても九月の中ごろから売り出しを始めますから、印刷その他の都合によりまして、どうしても今来月じゅうくらいにはきめなければならぬ、こういう運びになっております。詳しくは菅野副会長から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/30
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031・菅野義丸
○菅野参考人 中谷先生のお尋ねの入場料問題につきましては、ただいま堀田副会長からも申し上げましたように、いまのところはきまっておらないのでございますけれども、どうしてもこれは今月一ぱいにははっきりきめませんと、印刷その他の都合で九月十五日、つまり一年半前に発売ができないのでありまして、われわれとしてはいま事務局案をつくるのに努力しております。今月の下旬に開かれます役員会でぜひきめたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。何か世間では一般に一人おとな六百円ということできまったように伝えられておりますけれども、あれは運営費の予算を組むときの積算の根拠でございまして、別にそれをきめたわけではなかったのでございます。その後だんだんと運営費の予算を積み上げてまいっておりますが、どうも六百円ではとても足りない状況でございまして、これをどのくらいにするかということはいま検討中でございますけれども、公聴会等を開いて東京、大阪でやりましたところでは、まあ八百円から千円までの間だ、それならば万国博覧会の入場料として別に高くはないだろうというような御意見が圧倒的に多いのでございます。もちろん安いほどけっこうでございますけれども、そこで運営費全体の支出ともにらみ合わせまして近くおとな一人の普通の基本入場料というものをきめたい、かように考えておる次第でございます。いましばらくお待ちを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/31
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032・小峯柳多
○小峯委員長 堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/32
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033・堀昌雄
○堀委員 本日は、大臣ひとつ参考人の話をよくお聞きをいただいて、今後の行政上の参考にしていただきたいと思いますので、もっぱら参考人にお伺いをいたします。
堀田参考人にお伺いをいたします。私は、今度の万博の経緯をずっと見ておりまして、テーマでありますとか基本理念でありますとか、たいへんりっぱでけっこうなものだと思うのでありますが、これはことばに書いたものでありまして、博覧会そのものはきわめて具体的な問題でございます。このことばに書いたものと博覧会のきわめて具体的なものとをどういうふうに結びつけるかというところが私は今度の博覧会で非常な問題点ではないかと考えておるわけでございますが、まずその基本理念、テーマ、サブテーマというような抽象的なものと具体的なものはどういう形で結びつけられるようになるだろうか、そこらについてのものの考え方をちょっとお伺いいたしたいと思います。堀田参考人にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/33
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034・堀田庄三
○堀田参考人 ただいま堀先生からお話がございましたが、これは実は非常にむずかしい問題でございまして、現在世界に非常な混乱が起きておる、このさなかで進歩と調和をテーマにしたということは、実は非常にむずかしいものとみずから取り組んだという姿であります。進歩は具体的に表現するのは簡単でございますが、問題は調和であります。現にベトナムで相当大がかりな局地戦が起きておる。中近東でも行なわれておる。この中で調和を唱えるということはかなり冒険でもあると思うのでありますが、同時に、そういった時期こそ真に調和が必要であるというふうに考えられるのであります。したがいまして、進歩はこれは日進月歩、このほうは相当意欲的な展示ができると思います。けれども、調和をいかにして具現化するかということになりますと、なかなか困難だと思っておりますが、世界各国から集まった人が、この博覧会においてできるだけ話し合いの場をつくる、あるいはよくものを見て考える場をつくる。従来博覧会というものは、第一次大戦までは大体発明の博覧会、勧業博覧会でありましたが、第一次大戦を経るに従って漸次経済のほかに精神文化が入ってまいりました。文化とか芸術とかいうものでございます。第二次大戦を経るに従って戦争の惨禍をいやというほど教えられた人類、世界各国の人々は、何としても戦争の惨禍から免れなければならないということを考えるに至って、著しくこれが方向を転換いたしまして、むしろ文化、芸術の博覧会あるいは教育の博覧会、こういうふうになってまいったのであります。モントリオールはその典型的なものと考えるのであります。ここでは商業的な色彩はあくまでも第二義的なものになっておりまして、一に文化的、教育的なものが陳列され、ものを見てよく考えさせられる博覧会になってまいったのであります。
そこで、人と物との考え方はそうでありますが、これにさらに、むずかしく言えば対話を入れていくということで、日本の博覧会におきましては、考えるほかに、各国の人とよく対話をするということでもって調和を見出せないかということをねらっておるのでございますが、具体的に何をするかということになりますと非常にむずかしくて、たとえばお祭広場というようなものは、各国のそういった対話をするに適当な場所としてこれを利用したい、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/34
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035・堀昌雄
○堀委員 つまり、いまのお話の調和というものを具体化するのは私も確かに一番むずかしいと思っておるわけですが、この中で、この前のモントリオール博の場合における日本の出展については非常にいろいろな批判が聞かれておるわけでありまして、今度の博覧会というものが日本の威信というと少し大げさになりますけれども、やはり日本の名誉といいますか、かなりそういうものにかかわりのある重大な行事でもありますが、とかく現在の日本は経済万能主義になっておりまして、高度成長そのことが何だか非常に意義があるかのような錯覚に国全体がなっておるような感じがいたすわけであります。やはりアジアで行なわれる、東洋で行なわれる万国博にはおのずからそれなりの意義がなければならないし、特に物質文明を非常に謳歌をされておる、そしてまたそういうことが目ざましく発展をしておる現状から考えてみまして、今度の万国博がそういう進歩と調和というような高い理想を掲げておると同時に、やはりその具体化の中に日本国有のものをあらわしていくということが日本で行なう万国博についての一つの重要な意義ではないか、こう私は考えておるわけであります。そういう意味で、コマーシャルの位置づけといいますか、この万国博の全体としての位置づけをどういうふうにして整理をしていくのかという点について、あわせて堀田参考人にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/35
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036・堀田庄三
○堀田参考人 これまたたいへんむずかしい御質問でございますが、アジアで初めて開かれる日本での万国博に何らかの特色がなければいかぬ、これは御説のとおりと思うのです。従来は万博といえば欧米の博覧会でありました。したがって、欧米ももちろん参加することを希望いたしますが、やはりAAグループというものが今回は特に多くの参加を必要とするというふうに考えておるのであります。
その中で、どうして特色を出すかということでございますが、これはヨーロッパ流あるいは欧米流の文明というものとアジア流の文明というものは若干起源的にも違っておる。その古さにおきましては決して欧米に負けていない東洋の文明、文化は、相当この機会に宣伝する必要があるんではなかろうか。特に日本は二千年の歴史を持っておる国でありますから、これの文化というものはこの際、過去、現在、未来にわたって相当これを魅力的に展示をする必要がある。アジア全体にわたりましても、あるいは仏教を通じ、あるいは古代の中国を通じての文化というものは実にりっぱなものがある。したがって、従来にない特色をそういった方面から出して、東西文化の交流がいかにして行なわれたか、そういう経路もそれによって示したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/36
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037・堀昌雄
○堀委員 それからもう一つ、万国博のモントリオールの事務長でございますか政府代表でございますかのデュピー会長、この方が言っておられることばだというんですが、非常にアイデアマンが不足しておるというお話を聞いたことがあるわけでありますが、日本の場合は確かに不足もありましょう。私はかなりアイデアマンもいると思うのですが、このいろいろなアイデアマンがいるのをどういうふうにして統一をするのか。こっちのアイデアはこっちでいこう、こっちはこっちだ。アイデアを持っておる人というのはおのおの個性があるわけですし、クリエーティブな、オリジナルな考え方ですから、求心的よりはどちらかというとかなり遠心的にものが発展する可能性がある。しかし、ばらばらになりますと、今度は第三者から見ると何だかわからない、こういうことになってくるんじゃないか、そういう点に私はやや不安を感じるわけですが、これを適度に統一をしていくということになると、やはり私はそのアイデアマンのリーダーといいますか、それを総括するような人がどうしても必要なのじゃないだろうか。おのおのたいへん有力な方がおられるわけですから、その点なかなかむずかしいと思うのですが、それを一つの統一された中に包括していくということについて何かお考えを持っておられるかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/37
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038・堀田庄三
○堀田参考人 モントリオールのデュピー会長が、一番苦しんだのはアイデアマンの不足だということを私はこの耳で聞いてまいりましたから、そのとおりであると思います。日本におきましても全く同様であると思います。けれども、日本の場合、一応プロデューサーシステムをとっておりまして、建築に関しては丹下さん、シンボル的なものに関しては岡本太郎さん、さらに演芸その他の方面に関しては伊藤邦輔さん、こういう人をプロデューサーにしておりまして、それぞれの分野における問題はそこで調整をするようになっております。さらに、それの集大成をどうするか、こういう問題になりますと、協会みずからがこれに対して常に関心を払って統制をとっておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/38
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039・堀昌雄
○堀委員 万博の基本的なあり方をいま大体伺いましたが、今度の万博は、とかく商業主義というものがいま前に出たい条件にある日本の状態の中で、やはり日本の文化を含めて東洋の文化、海外から来た人たちもまた国内に住んでおる者も、それを見ることによって得るものが何かなければ、私は意味がないと思うのです。ですから、そういう意味では単に奇をてらったり新しいことだけが重要なのではなくて、私は、やはり調和という中には、いまおっしゃった東洋文明と西洋文明との調和もありますが、古きものと新しきものという調和もあるんだと思いますので、ややもすると、どうもこういう場合には新しい方向に比重がかかり過ぎて、奇をてらうことになりかねないという不安もあるので、そういう点については日本固有の美しさなり伝統なり、私たちの祖先から受け継いできた中で、すでに現代のわれわれすらも忘れかけておる日本のよさを国民全体に再認識させる場としても、ひとつ十分活用していただきたいと思いますので、その点を特にお願いをしておきたいと思います。
その次に、私もいまたいへん心配をいたしておりますのは、ここまで万国博をやることになったのに、どうも政府の取り組み方がやや不十分ではないか、真剣さに欠けるのではないかという感じがしてなりません。先ほど専任大臣である通産大臣も、どうも忙しくて時間がとれないとおっしゃっておりますことは、私も確かにそうだと思います。大体通産大臣という国政の中では非常に仕事の多い方を——たまたま通産省がそういうことをいろいろ担当するということは事務当局としてわかりますが、その一番仕事の忙しい通産大臣を主務大臣にしておくということだけでは、どうも問題は解決しないんではないか。オリンピックは確かに非常に大きな行事でありましたけれども、これは大体三週間くらいで終わってしまう行事でありましたし、これに要した関連事業費その他を見ておりましても、今度の万博はその倍以上の費用をかけて実はやることになっているわけですから、重要度から言いましても、六カ月もかかって行なう博覧会というものは、なかなかオリンピックの比ではないのではないか。ところがオリンピックのほうは、相当、何というか国民的な感触が盛り上がっておりましたし、政府も専任大臣等を置いてかなりおやりになったわけですが、どうもその点、今度の問題については不十分なような気がしてしかたがありません、具体的にいまから申し上げますけれども。
そこで私は、その専任大臣の問題もそうですし、同時に、政府自体の腹がまえをもう少しきちんとしなければならぬところに来ておる。こう思います。ちょっと具体的に申し上げますと、今度の万博の予算関係でありますけれども、施設関係の状態を見ますと、施設工事費の予算ですが、四十二年度が、大体全体の建設工事費が二八・二%になっています。四十三年度が四〇・二%、四十四年度が三九・八%、これがいまの万博のタイムテーブルの予算の比率であります。ところが、この前のオリンピックのときはそれじゃどうなっているかと言いますと、競技施設整備だけを対象として取り上げてみますと、三十五年に二・二%、三十六年に五・八%、三十七年二六・八%、三十八年四〇・七%、三十九年二四・三%、だいぶ前にすでに投資がされてきて、おまけに年度の区別から言いますと、実は今度の場合には、四十四年度が終わったときに万博は始めなければなりません。終わる前、三月十五日ですから、年度の終了前にスタートしなければならない。片方は、年度が終了してあと六カ月たってから実はオリンピックがあったわけです。要するに半年間のタイムラグが今度は前へこう来ておるわけです。ところが、予算関係は、まず一年ほど全体としておくれが来ておる。これがいまの施設関係についての予算のあり方です。
今度は、これを関連公共事業で調べてみますと、オリンピック関連公共事業というのは二千七百二十五億円でございまして、これは三十五年からすでに始まって三・一%、三十六年一四・五%、三十七年二八・二%、三十八年がピークで三七・一%、三十九年これは半年ベースですが、これが一六・五%、こういうかっこうになっております。ところが、今度の関連公共事業費四千十二億円というのが四十二年から四十四年に対して組まれておりますが、これは四十二年に二三・一%、四十三年が二八%で、何と四十四年は千九百五十五億の公共事業をやって、これが四八・七%と、こういうふうに、一体私はこのような公共事業のあり方でスムーズにできるのかどうかについては非常に大きな疑問を実は持っておるわけなんです。ですから現在の予算をこのようなかっこうで組んできた政府に、私は万博の取り組みに対する甘さがあったというふうに痛感をしておるわけです。
そこで、ひとつ万博協会のほうで、一体ほんとうにこれで責任を持って皆さんお仕事がやれるのかどうか。私はいまの状態ならやれないとはっきり思うのですね。やれるとおっしゃるならいいんですが、もしやれないというのなら、ここでひとつやれないと一回言っておいていただかないと、やれないからそれならどうするかという話をしておかなければいかぬ段階に来ておるんじゃないかと思うのです。ひとつ副会長、どっちでもいいですが、いまのような政府の取り組み方と、いまのような予算の配分のあり方で、はたしてほんとうにこれで瑕疵なく万博をやることができるかどうか、ちょっとここをひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/39
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040・堀田庄三
○堀田参考人 非常に急所を質問された感じなんです。私どもも、ことし、来年、四十三、四十四年ということにウエートがありますが、ことしのウエートを相当大きくしないとあぶない、四十四年度は時間切れになる。そこでラッシュをして突貫工事をやれば、どうしても物価が上がる、賃金が上がる。これは危険であると考えておりますから、そういった割り振りにかかわらず、私どもはことしじゅうにできるだけのことをして、契約も結びたい。そして四十四年度は大事をとって、四十四年の年末までに大体のことは全部終わるということを目標に進みたい、こう思っておりますが、いまとなって、できなければできないと言えとおっしゃっても、できないとは申されないので、どうしてもこれはやらざるを得ないというかたい決心でやっております。詳しくは菅野副会長がよく知っておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/40
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041・堀昌雄
○堀委員 公式の場所ですから、できないという御答弁は、それは私も無理だと思うのですが、しかし常識的に考えてみまして、どうもこれは非常にあぶないタイムテーブルになっていると思うのです。実はこの前のときにもやはりいまおっしゃる物価とかいろいろな問題が出ているわけですが、投資がこういうふうに集中すれば、これは賃金も上がるし各種のものが上がってくるというのはあたりまえです。
そこで、これはちょっと大蔵省に聞きますが、ことしは、御承知のように財政の状態からすると、うしろへ公共事業をシフトさせるというのがいまの情勢だと思います。私は大体こんな、金融をいま引き締めているんだけれども、窓口で締めてみたところで、これはともかく去年の支払いをいまやるという段階で、企業間信用に逃げるだけで、あまり窓口で締めるのは効果がない。効果をもたらすためにはやはり需要自体をうしろへ下げるということでなければならないと思うのですが、この万博について、四十三年度千百二十七億というこの公共事業は、もう大幅に前へシフトさせておいて、後半をどっとあけておいて、ともかく四十四年二千億というのはこれまた前へどんと持っていってやるくらいでなければこれを消化できないのではないか、こう思うので、あなた方はこういう予算を組んできたについて、そういういまの財政なり経済との関係でどう考えておるのか、ちょっと主計局の次長に答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/41
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042・海堀洋平
○海堀政府委員 私、実はその万博の直接的な補助金並びに政府間関係といいますか、直接的な経費の関係を担当いたしておりまして、公共事業は実は私が担当しているのではございません。ただ、ことしの公共事業の執行につきましては、確かに景気動向から見まして、多少景気動向を見ながら慎重に執行していかなければいけないという点はございますが、必要なことは、これはやはり景気動向だけで全体が——もちろん景気動向を見ながらいかなければいかぬのですが、個々の事業につきましては、必要なものは当然必要な時期に間に合うようにやっていくという個別の配慮は十分いたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/42
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043・堀昌雄
○堀委員 関連公共事業は、次長が違うようですからあれですけれども、いま大臣のお聞きのように、これはたいへんなことに実はなっているのです。そうして要するに主管の事務局は通産省なんです。私は一つ提案がありますのは、いま万博協会の事務局へ行っておる人たちをちょっと資料で見たのですけれども、通産省が主体になっておると言いながら、いまここへ通産省から行っておるのは藤田というのが企画調整室長に一人行っているだけで、まことにスタッフとして通産省が主たる事務当局というについては何だかどうもあまり力が入ってないような感じがするのですが、これはひとつ通産大臣が局長、次長級の通産省の最も腕ききの人を二、三人派遣をして、通産省が前へ立って責任を持って、協会の中でも——これは協会というのは、拝見すると、もういろいろなところからたくさん人が来ていらっしゃって、大体ウエートが同じくらいになっているのではなかなか仕事がむずかしい点があるのじゃないか。やはり通産省が責任を負っておることが明らかになるように、ともかく局長、次長級三名くらいは送り込んで、名実ともに通産省が牽引力になって事務局を引っぱっていくくらいのことは必要じゃないかと思うのですが、ちょっとその点、大臣どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/43
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044・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 だんだん事務量が増大するに従って機構を強化する必要は認めております。それでいろいろ複雑な仕事なものでございますから、通産省ばかり肩を入れてもどうにもならぬ。
ただ、いま一人だけじゃないかというお話でございましたが、出向者は出展管理課長中西、それから外国出展課長塩田、藤田君と合わせてこの三人が行っております。
なお、通産省のほうからもっと人を出せという協会からの御要請があれば、こちらはできるだけ考える。あまりおせっかいをして、ただごたごたするだけではいけませんから、その点はこっちも遠慮しながら、今後もそうしたいと思っております。それから日本貿易振興会のほうから——これはもう通産省の分家みたいなものですが、二人ほど行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/44
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045・堀昌雄
○堀委員 いま大臣は、たいへん協会に遠慮したいといいますか、そういう答弁をされたわけですが、ブラッセルもモントリオールも公式博なんですね。政府の責任でやった博覧会。今度は公認博ということで、協会におまかせをしてある点については、私はあらためて次の機会に、どうしてそうなったのか、この前三木通産大臣がお答えになっていますが、まことにあいまいで、何だかわからない答弁になっているので、少しきっちりした答弁を次回に求めることにいたしますけれども、私はやはりもう少し政府は責任を明らかにする必要があるのじゃないか。その政府の責任を明らかにするやり方というのは、やはりこれは人間の問題ですからね。いまおっしゃった課長の話などというのは私はしてないのです。部長級のところの話をしている。課長級はよそからも行っているのでして、そういうのじゃない。私が言うのはスタッフを出しなさいということですからね。課長や係長を幾ら出したって仕事にならないのですよ。問題は、そういう全体の人を牽引力を持って引っぱっていけるだけの能力のある人間を出してもらいたいというのですよ。私がずっとこれを見ると、大蔵省は瀬戸山君が行っている。私は大蔵省としてはやはりエースを持っていっていると思うのです。だからそういう意味では、通産省が前面に立って責任を負うという以上、通産省のエースをともかく三人くらいばっと持っていってどかっとまん中へ据えて、さあこい、われわれが前面に立ってやりますという気魄がなくして、こんなにおくれてまごまごしている万国博はうまくいきませんよ。どうでしょう、堀田副会長、私が申し上げているようなことについて協会はどうお考えになっておるか、ひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/45
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046・堀田庄三
○堀田参考人 まことに御同感であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/46
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047・堀昌雄
○堀委員 協会はいま同感だと言っておられるのですね。
じゃ通産大臣どうですか。ちょっとあなたも同感といってここで答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/47
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048・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 いま同感だ、こうおっしゃっておりますから、具体的に御注文があれば、それに喜んで応じたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/48
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049・堀昌雄
○堀委員 具体的な注文といわれても、おそらく協会もどなたを出してくださいなどとはおっしゃれないと思いますから、いま私が申し上げたように、十分牽引力になる、だれが見ても、ああ、あれが行ったら安心だというくらいの者を通産省が出していただけば、協会としてもおそらく御満足になるだろうし、私は、国民がちょっと安心するんじゃないかと思うのです。
なぜ、私がそう申し上げておるかといいますと、私先週ちょっと関西へ帰っておりまして、テレビを見ておりましたら、大阪見本市で何か万博のモデル展みたいなことをちょっとやったらしい。ところが、それがNHKのテレビを見ておりますと、何とつまらないものだと、来ている人がみんな言っている。あんなだだっ広いところで、あんな貧弱な万国博があるだろうかというような、たいへんきびしい批判が出ている。鈴木事務総長がそのあとで、金が一千万円しかなかったので十分なことができませんでした、しかしあれが万国博なんです、こういう話なんで、私はたいへん驚いたわけです。これもたいへんかまえがなっていない。一千万なら一千万でも、やはりそれなりに、そういう来た人に感銘を与えることはできる。金が一千万だからできないということは、これは万国博に対する乗り組みとしてはたいへんだと思う。いまの予算では、これでは予算が少ないからこのくらいしかできませんということになるんじゃないか。この予算をいかにして生かすかということに出かけていっている人間の心がまえがあるので、私は鈴木さんのテレビの話を聞いてたいへん失望いたしました。そういうことがもし今度の万国博としてあらわれるようなことになったら、たいへんだ。これは日本国民だけの問題ではなくて、世界の人が失望するということになれば、これは日本の威信というものは低下をして、何のために万国博をやったのか、やらなかったほうがよかった、こういうことになりかねないと思いますので、どうかひとつ、そういうことにならないようにするためにも、さっき堀田さんのおっしゃった、いろいろなあるべき万国博をやっていくための責任を負う事務局に、政府が一歩前進をして専任大臣を置き、さらにスタッフを送って公式博に劣らないだけの成果をあげる義務が政府にある、私はこう思いますので、その点をひとつ強く要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/49
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050・小峯柳多
○小峯委員長 田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/50
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051・田中武夫
○田中(武)委員 両参考人をはじめ、通産大臣、政府委員に質問をいたしたいと思います。
まず最初に、先ほど中谷委員がちょっと触れかけて言わなかったのですけれども、ある評論家は、現在の不人気な、人気のあがらないものを三つあげております。その一つは佐藤内閣、さらに一つは南極探険、そして万国博であります。なぜ不人気なのか、人気があがらないのかという点でともに共通な問題は、国民不在である。人気があがらない——訂正しましょう、人気の出ないのが三つ。この三つとも共通な点はどれかといえば、国民不在である。国民のわからないところでものごとが進んでおるということ、すなわち、国民合意の中から出てきたものではないということです。
そこでまず菅野副会長、そして担当の椎名大臣、万博を国民のものにするためには今後どのような姿勢を持つべきか、国民合意を得るためにはどうすべきかということについて、ひとつお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/51
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052・菅野義丸
○菅野参考人 お答え申し上げます。国民の各層に対して万国博の御理解がまだ十分でないという点につきましては、私どもも非常に残念に思っております。これは協会としてのPR、宣伝が足りないということも確かにございます。何しろ、日本としては初めてのことでございますから、万国博というものに対しての経験がございませんので、十分その点を認識してPRにつとめなければならないのでございまして、ただいままでのところは、実は何とかして参加国を多くしよう、あるいは参加団体を多くしようというような点に力を入れて対外宣伝を行なっておったのですが、これからはむしろ国の内外ともに観客誘致あるいは万国博の意義を理解していただくという点について広い範囲のPRにつとめたい、かように感じております。
また、一つのことをきめるにつきましても、国民に一番関係の深いような、たとえば入場料の問題であるとか、あるいは開館の時間であるとかというようなことにつきましては、できるだけ国民各層の御意見を尊重する意味におきまして、何回か公聴会とかそういうようなものを開いて御意見を伺っておりますし、またモニター制度をつくりまして、現在百人以上の各層の方々にお願いして、いろいろ御意見を伺っておるような次第でございます。しかしながら、これをもって十分とはもちろん考えておりませんし、田中先生のおっしゃるように、確かに国民がまだ十分に理解しておらないという点については、われわれ反省いたしまして、今後のPRの方法等について十分に考えたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/52
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053・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 すでに大阪、和歌山、徳島等に国民運動として発足しておるのがございますが、これをもっと強化拡大していきたい。参議院の選挙が済まないとこれはぐあいが悪いと思いますが、適当な時期を見てそういう方向に進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/53
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054・田中武夫
○田中(武)委員 適当な時期を見てというようなことでなくて、もっとまじめに真剣な答弁をしていただきたいと思います。
最近ある出版社から出ました大百科の万国博の項を開いてみたら、「世界各国の主要な産物を一場に収集し陳列して、その性状の特異や効用の優劣を比較させ判断させるため、臨時に開設される国際的の勧業博覧会をいう。」こういうように書いてあるのです。これが最近出されたところのある大百科の万国博のところに出てくる説明なんです。万国博はいま読み上げたようなことではないでしょう。かつて昔は勧業博覧会的な意味があったかしらぬが、学者とか専門家が寄ってつくり上げた百科事典の万博の説明がこれなんです。一般の国民がどれほど理解していますか。たとえばモントリオールの万博に対しましては、カナダ建国百年祭という国民的なにしきのみ旗、大義名分があった。今度の大阪の万国博覧会には国民的大義名分というのがありますか。テーマであるところの、人類の進歩と調和といったって、これは一部の人しかわからぬでしょう。国民にわかりませんよ。国民的大義名分をいかに立てるべきか、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/54
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055・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 結局日本の過去、現在、あるいは日本の指向しておる将来、そういったようなものがことばを用いないで、万国博覧会に来て見るということによって自然にしみ込むように持っていくことが一つのねらいである、こういうふうに考えております。ただ声を大にして国民運動だとか日本を見ろとか、そういったことではなしに、見て、そしてしみじみと感ずるというふうに持っていくのが重要な一つのねらいではないか、こう思います。それからさっきの国民運動の問題ですが、参議院の選挙なんということを言ったものだから、何かふざけたことばのように聞こえますけれども、実際問題としては、これは七月七日の選挙騒ぎが済まないとうまく実っていかないと私は思います。それでもやったほうがいいという考え方がほんとうに傾聴すべき意見であるならば、それは考えなくてはいかぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/55
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056・田中武夫
○田中(武)委員 参議院選挙云々と出るところに私は人気の出ないところがあると思うのです。大臣自体が参議院選挙云々なんということは、やはり政府の宣伝のような、あるいは自民党の宣伝のような考え方がどこかにあるからです。私の申し上げているのは、国民の中からわき上がってきたところの万博でなくてはならない。国民的合意をどうしてつくっていくのか、あるいは国民に対する大義名分、たとえばカナダ百年祭といったように、いまからでもおそくない。膨大な国費を費やし、膨大な人手を使ってやるところの万国博覧会に対して、国民が納得するところの大義名分がないじゃないですか。大義名分を考えなさい。たとえば人類の進歩と調和、こう言ったって一般にわかりません。それをもっと大衆にわかるようなPRも必要でしょう。もっとできるならば、簡単なキャッチフレーズをつくって、国民的大義名分を考えるということが必要じゃないかと思うのですが、どうですか、万博協会のほうは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/56
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057・堀田庄三
○堀田参考人 まことにごもっともなお話だと思うのであります。いま百科辞典にそういう解釈が出ておるということを初めて承って、非常に驚いておる次第であります。大体言うと、先ほども申しましたように、万博というものの性格がすっかり変わっておるということは事実でありまして、私に言わせれば博覧会という表現が悪い。博覧会ではない、むしろ国際文化教育のオリンピックである、こう言ったほうがわかりやすい、こういうふうに考えております。
なお大義名分の話でありますが、これは政府のお考えが基本になると思いますが、ちょっと時間がずれますけれども、明治百年の記念事業の一環として、カナダ建国百年にならったわけではありませんが、そういう意味の宣伝もひとつし得るかというふうに考えておるわけであります。
それからもうひとつ人気が上がらないという点については、いろいろ考えておりますが、博覧会の意味がよくわからぬということのほかに、やはり大阪でやるために大阪の博覧会であるという意識が関東方面にはまだ残っておるということ。これを全国的なものであるという意識を高揚するには、先般皇太子殿下が名誉総裁になられましたので、だいぶ違ってくるかと存じますが、かつて戦前昭和十五年、二千六百年記念に万博を計画したときがありますのですが、そのときは秩父宮さまが名誉総裁、総理大臣が名誉副総裁、商工大臣が名誉会長、そして会長が藤原銀次郎さん、早く言えばオールスターで国の行事ということを形の上からあらわしておるわけであります。それに比べますと、今度はまだそういった姿ができておらぬということも一つ影響しておるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/57
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058・田中武夫
○田中(武)委員 紀元二千六百年記念の万博をやるといって、戦争のためできなくなった、そのときの国民的思想と考え方と、今日は違います。したがって、いまおっしゃったように、だれそれが総裁になり、だれそれが会長になったからうまくいく、そうは一がいに言えないと思います。その当時と今日の国民の考え方、思想というものを考えて、大義名分を立てるべきである、そう考えるわけなんです。
そこで、それではいままで万博協会は広報委員会というものがありながら、一体どれほどのことをやってきたのかということです。たとえば去る三月十五日、立柱式ですか立柱祭ですか、二千万円の費用と三千人のお客さんを招待してやったのですね。これが国民とどうつながりました。何か国民とのつながりがそこに出てきましたか、いかがです。二千万円の費用と三千人のお客を招いたのですよ。それが国民にどう影響あって、そのために国民の中から立柱式だということで何らかやらねばならぬというような気持ちが起こるようなことがあったのですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/58
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059・堀田庄三
○堀田参考人 あのときに使いました金が相当な額に及んでおることは事実と思います。しかし、あのときに東西で一般国民に呼びかけるために、大阪においてはフェスティバルホール、東京においては日比谷公会堂で、一般の国民に呼びかけるための相当なアトラクションをやったはずでありますが、それが非常に効果的であったかどうかは、いまここでにわかに判断することはできないと存じます。
なお今後の問題につきましては、先ほど菅野副会長からも申しましたように、万博自体の性格が変わってきておる、これはやはり今後の人類の平和と幸福につながるものである、日本がアジアにおいて初めてその役割りを演ずる主役である、ということをよくPRすることによって徹底させる、国民の気持ちも変わっておることも承知の上で徹底させる、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/59
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060・田中武夫
○田中(武)委員 今日まで万博協会のほうでこの広報宣伝費は幾ら使っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/60
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061・菅野義丸
○菅野参考人 はっきりした数字を私いま覚えておりませんが、初期の時代におきましては、実は、競輪のほうからいただいた金で広報をやっておったのでございます。これは形に残るものでなければいけないというので、主として出版物あるいは道路わきに立てるようなキャンバスというようなものによりまして広報をやっておったのですが、その金が約一億くらいと覚えております。それから、その後協会の金、予算を使うようになってから、毎年予算をきめていくのですが、いままで使いましたものは、いまの競輪の金を入れましても三億くらいじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/61
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062・田中武夫
○田中(武)委員 まあ三億か幾らか知りませんけれども、私の調べたところでは全体予算二十五億、四十二年末までに五億五千万円を使っておる、こういうことになっておるのですがね。まあこれはともかくとしまして、それで何をやったのか。あなたのいう三億でもよろしい。私のいう五億五千万でもよろしい。何をやったのか。おもに出版物ですね。まず季刊誌、それから日刊ニュース等々、そういう出版物を出したわけです。それを一体どこへ配布していますか。その配布した先はどこですか。その大半は役所の課長以上あるいは財界に出しただけでしょう。だから万博が役人の万博であり、財界の万博だといわれるのですよ。三億なり五億のPR費がどれだけ国民に対するPRとして使われたのか。今日まであまりないでしょう。外国に対しては最近フランス語か何かのやつを出したけれども、それは誤訳が多過ぎて笑いものになったということじゃないですか。そこで、いわゆるPR活動、広報活動というのが万全だったかどうか、反省はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/62
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063・菅野義丸
○菅野参考人 先ほどお答えいたしましたように、この広報活動につきましては、全面的に今回改訂をいたしまして、従来のように参加を多くする、特設館を多くするという方向から今度は国民一般、国の内外を問わず大衆を目当てにした広報にしようというので、印刷関係とかその他の行事等につきましても全面的に改訂を加えたいと反省をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/63
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064・田中武夫
○田中(武)委員 大臣、いま言っておるように、出版物をつくってそれを官公庁の課長以上ぐらいにばらまく、あるいは有名な会社、そういうところだけばらまくのですよ。その結果が役人の万博、財界の万博だというのが国民の今日の受り取り方なんですよ。したがって、いま菅野さんも反省をせられましたが、今後もっと国民の中へ入っていくところのPRが必要なことは当然であります。先ほども堀委員が若干触れられておったようですが、オリンピックの費用に比べて、関連事業を加えれば二倍や三倍じゃないですね。五倍半から六倍になるはずですよ。それでもそれはスポーツということであるから、子供の中からもひとつの人気が上がってきた。しかしそのオリンピックでも組織委員会というのをつくって、各党の組織委員が入った。今日そういうことはないでしょう。先ほど中谷委員の質問を聞いておると、大臣もしろうとだったし、あるいは副会長もしろうとだと言った。しろうとばかりで寄ってやってあるのですが、何ならわがほうには専門家がおるのですよ。そういったような野党の意見をもっと取り入れる、そういうような、たとえばオリンピックのときの組織委員会のようなものを考えていく必要はあると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/64
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065・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 もちろんそういうことを超越して有効なPRなり有効な国民運動を展開していく必要はあると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/65
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066・田中武夫
○田中(武)委員 もっと国民のものにするためには、たとえば委員会において国会でこうしてやっておるということは、やはり国民の半分を代表しておる野党があるんですよ。多数党といえども四八%しか支持を受けていない。自民党だけじゃありませんよ。そういう者の意見を十分取り入れる方法を考えるべきじゃないかと思うんですよ。
それから、もう時間の制約がありますので、あとはまたの機会に譲りたいと思いますが、たとえば建設費と運営費の関係。橋本君、過去の万博において、モントリオールその他等において、建設費と運営費との比率はどのくらいになっておりますか。大体半々でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/66
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067・橋本徳男
○橋本説明員 モントリオールは実績がまだはっきりと公表はありませんが、向こうで、ある程度推定されるところでは、大体同じ程度の額だと思います。しかし、それは非常に考えなければならないのは、運営費の大部分は人件費でございまして、したがって、人件費のカナダにおける額が大体日本の三倍程度の賃金ベースでございますので、その点は十分考慮してやる必要があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/67
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068・田中武夫
○田中(武)委員 大体常識で半々ではなかろうかと私も思うのです。ところが日本の場合はそうじゃないんですね。ことに建設費は国がめんどうを見ましょう、その他がめんどうを見ましょう、運営費は自弁でおやりなさい、こういうたてまえになっておるんですね。ところが、万博特別措置法を見ても、建設費だけに限っていないんです。運営費もあるんですよ。その運営費を自前でおやりなさいというから、思ったように広告料も入ってこない、あるいはその他の寄付金も思ったように入ってこない、そうなると一番安易な運営費のまかないというのは入場料の値上げと、できればギャンブルか何かで、苦労せぬ金がほしい、そういう方向へ行くのは当然なんですよ。またそういう方向へ行こうとしておるじゃないですか。この態度は根本的に改めること。そのためには建設費だけでなく運営費も見るということ。これは万博特別措置法を見てごらんなさい。運営費ということもちゃんと書いてありますよ。そういうことをどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/68
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069・橋本徳男
○橋本説明員 運営費につきましては、これは非常に機動的なものでございまして、これこそほんとうにこれを公認博にした意味、すなわち民間の創意くふうというものからする活動を大幅に取り入れなければ、運営に適正を期されないというふうなために、これは協会において自主的にやっていただくというふうなことの話し合いになっておりますので、今後もそういう方針で臨んでいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/69
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070・田中武夫
○田中(武)委員 運営費が寄付金だとか、たばこだとか切手だとかいうような広告料、その他十分に入らない。だから運営費をまかなうためには、一番安易な方法といえば、大衆にしわ寄せをする入場料の値上げを考える。できればギャンブルの金がほしいというのが腹の中でしょうが、これは、運営費と建設費のことについて、基本的な考え方の誤りからきておると思います。時間がありませんから、指摘だけしておきます。議論はあらためていたします。
また、問題になりました本部館が、三回も入札やらさなければきまらなかった、こういうような問題は一体どこにあるのか。私、先ほどの中谷委員の質問を聞いておって、大臣あるいはその他が、私はしろうとでございますと言ったところに問題があると思う。これは前衛派というか、そういった芸術家に振り回されておる。そういう人たちの芸術的良心を満足するという上に立って振り回されておる。したがって、それを満足するようなものは、実際の予算ではだれも落札のし手がない、そういうところにあると思う。いわゆる前衛派の芸術というものは、一般にはよくわからないのです。したがって、もっと国民のわかる、前衛派芸術家に振り回されることのない今後の方針を立ててもらいたい。いろいろありますが、きょうは時間の関係がありますので、気づいた点だけを申し上げておきますが、いかがでしょうか。いままでそういう点はなかったですか。前衛派の芸術家に振り回されておったという感じ、そのために、まず本部館が三回も入札やり直さなければできなかった。次にテーマ館はどうなんだ。同じようなことになりますよ、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/70
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071・菅野義丸
○菅野参考人 お答えいたします。設計をお願いするときには、もちろんあらかじめ予算は申し上げておりまして、その範囲内になるように設計をお願いしておるのでございます。また、具体的に設計をお願いする人は、決して、あまり新し過ぎもしないし、さればといってあまり古くもないように、中間の人を、建設顧問に相談してきめております。したがいまして、非常に新しい建設をするというような憂いはないと思いますが、設計する人はできるだけ予算の範囲内でもってりっぱなものをつくろうとする。ところが、それを今度は請負にするときには、非常に新しい工法なので、どうしても不安がありまして、よけい目に入札するような結果になるわけでございます。この点は、まことに申しわけない次第でございますけれども、協会がその両者の間の意思の疎通を十分にやらなかったという点に今回の醜態を演じた原因があると考えております。今後は設計者と請負者との非常に緊密な意思の疎通をはかるとともに、先ほどお話がありましたように、第三者も入れて公平に評価をしてもらう、こういうような方法でいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/71
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072・田中武夫
○田中(武)委員 これで終わりますが、先ほど来論議に出ておりましたが、アジアにおける初めての万国博であるという上に立って、アジア地域の国は、思想がいかがであろうと、国柄がどうであろうと、全部参加できるような方法を講じてもらいたい。そのことが一点。
さらにもう一点は、われわれはしろうとでございますからというようなことでなく、真剣にやってもらいたい。担当者がしろうとならば、こちらがくろうとで教えてあげますよ。聞きにいらっしゃい。
以上をもって終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/72
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073・小峯柳多
○小峯委員長 吉田泰造君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/73
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074・吉田泰造
○吉田(泰)委員 いまいろいろ各委員の方々の御質問がありまして、時間も三十分ということで、持ち時間が非常に少のうございますので、できるだけ重複を避けさせていただきます。
まずその冒頭に菅野副会長にお伺いいたします。昨年の十一月でございますが、パリで開かれましたBIE理事会において、日本の万国博の会場の敷地割り当ての問題でございますが、民間企業中心になり過ぎておるというようなことで指摘されて、日本の商業主義といいますか、そういうことが問題を再燃したという事実がございました。そのことにつきまして、先般大阪千里の会場を視察いたしましたドイツ、ベルギーなど西欧諸国の代表が、日本の民間企業の敷地が会場の中心を占めておるという問題で、日本は外国よりか日本の国内企業のほうを優先しておるのではないかとか、あるいはまた先ほども再三お話ございましたけれども、万国博と見本市を混同しておるのではないかというような批判が出ておるように聞いております。当時の新聞によりますと、BIE理事会の席上で日本代表の加川駐仏参事官が事情説明を行ないましたけれども、これは弁明がなかなか通らなかった、なかなかいれられなかった。そのときはBIEの分類委員会を開いて、あらためて討議されるような結果になったというふうに報じております。最近菅野さんがその委員会に出席なさり、弁明に当たったということでございますけれども、その各国の感触、そういう批判についてのその当時の模様を副会長から簡潔に御説明賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/74
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075・菅野義丸
○菅野参考人 吉田先生の御指摘になりましたBIEの関係でございますけれども、去る三月二十一日に分類委員会が開かれまして、日本の博覧会につきましては二つの点が問題になったのでございます。一つは、いま先生のお話しになりました、どうも日本の万国博は商業主義的な色彩が強いという問題についての討議、それから第二は、実は私のほうで発展途上国のために国際共同館のプランを立てまして、それを持って各国に招請にうかがっておるのですが、その考え方と、特設館は全部参加国の費用で、自分の負担で建てるのだという第一種一般博覧会であるということの条約上の原則と、どういうふうに調和させるかという問題でございます。
これは簡単でございますから、第二の問題から、申しげますが、これはモントリオールにもその例がございましたけれども、私どものほうではもう少しりっぱなものにしたい、したがって、各国が占める単位面積の寄せ集めだけではなく、それを全部ひっくるめて一つの大きなパビリオンに見えるような共通の施設をつくろうという考えで持ち回ったのでございます。これはモントリオールのアフリカンプレイスが非常にみじめで貧弱で評判が悪かったので、その非難を救うために共同施設、つまり共同の大屋根をつくったり、あるいは共同のステージをつくったりして、そういうものを国際共同館にしよう、こういう考えで、その大屋根であるとか共同ステージであるとかいうものは、全部協会で負担しよう、こういう考えで提案をしておるのでございますが、それが第一種博覧会との趣意からおかしいではないかという点でございますけれども、これは中央の敷地は全部協会の敷地である、そして参加各国の敷地は外側であるので、協会の敷地の中に建てる施設は、道路とかあるいは休憩所とかと同じようにこれは協会が負担するのだと言ったら、この趣旨については全部の国が非常に賛成しておりますので、これは非常に巧妙な方法であるというような批判で難なく通ったのでございます。
一番問題は第一の問題でございますが、これは非常に起源が古いのでございまして、モントリオールの日本館の陳列から始まりまして、先生がいまおっしゃったベルギー及びドイツの代表が現地を見にきたときなんかのいろいろな批判、こういうものが向こうの新聞等にかなり出まして、それが尾を引いて、昨年の秋理事会でそういう問題がございまして、大使館のほうからお答えしたのですけれども、これは不十分だというので、あらためて分類委員会を開いて討議するということになりまして今回開かれたのでございます。これは一口に言いますと、非常な誤解があるのでございます。たとえば、日本の企業が幾つかパビリオンを建てますけれども、その内容はおそらく商品を陳列して大々的に日本の最新の製品を宣伝する場にするのじゃなかろうか、そうなればせっかくヨーロッパ等からたいへんな費用をかけてパビリオンをつくっても、日本の工業の引き立て役になる、どうせ日本の企業のような大きなものはつくれないから小さいものを各国がつくる、そうすると、何か日本の企業を引き立てるさしみのつまみたいになるのじゃないかという意見でございます。とんでもない話だ、われわれのパビリオンを立てる企業、あるいはそのグループでもって自分の事業の製品を宣伝しようなんという考えは全然ない、たとえば、こういう館はこういう考えでもってやっているという実例を示しまして、事前に了解を得たのでございます。また、おそらくネオンサインか何かをじゃんじゃんつけて企業の宣伝をするだろうというような話もございましたので、広告の規制については、こういうふうに考えておるということを詳細に写真と実例を持っていって話しまして、だいぶ了承を得まして、三月二十一日の分類委員会におきましては、あらためて私から御説明申し上げましたけれども、全員よく了解していただいて、難なく御了承を得たのでございますが、結論から申しますと、いかに日本という国がまだまだヨーロッパ諸国の人たちに理解されておらないかということを非常に痛感いたしてまいったのでございます。したがいまして、万国博を開くということがいかに重大な、大事なことであるか、この機会に日本という国を理解してもらうという非常にいい機会であるというふうに痛感しましたと同時に、たまたまその分類委員会の、代表しておる十二カ国の代表は一人も日本に参っておらないのでございます。一度日本に来てくだされば非常に理解が多うございますので、今回はちょうど五月二十七日に政府代表会議もございますので、その機会に四人の副会長と、それからイギリスの代表と事務局長をお呼びすることにいたしまして、非常に喜んで来てくれることに相なりました。
要するに、最近の日本の非常な高スピードの諸工業の発達ということが眼前に非常に大きく出ておりまして、日本人の性格であるとか、先ほど来諸先生からお話しのように、日本の古い伝統であるとか、そういったようなものは全然わかっておらないのでございますが、幸いにして一度来てくだされば非常によく理解されると同時に、万国博を機会にして日本という国を理解してもらう非常にいい機会ではないかということを痛感してまいった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/75
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076・吉田泰造
○吉田(泰)委員 いまの菅野副会長の御答弁でよく了解はいたしましたけれども、諸外国に非常に誤解があると同時に、また一面われわれが考えなければならないことは、やはり日本の現在の経済情勢では、協会の方も非常に努力をなさって、また政府も努力しておるであろうけれども、商業主義が頭をもたげてくるだろうということは国民みなひとしく心配しておると思うのです。非常に高い理念を掲げながら何となしに商業主義が頭をもたげてくるのではないかというような危惧があると思います。そういう諸外国の誤解が事実にならないように、今後の運営を一そう注意をして、厳重な注意を払っておいていただきたい、これは要望申し上げておきます。
その次は、いままで再三各委員から御質疑ございましたので、私は具体的な問題で二、三御質問を申し上げたいと思います。
その第一点は、やはり建築の問題でございます。この前の予算分科会で立柱式の日にたまたま私が質問いたしまして、工事契約者がきまってないじゃないかという御質問を申し上げました。そのときに、いま大臣不在でありますが、橋本参事官が、まだ業者の信用照会いろいろな意味で調査中でございますので、きまっていませんというような答弁をいただきました。私は非常に不満に思ったのですが、時間がございませんでしたので、再度橋本参事官にお伺いいたします。
本部ビルの私が当時質問を申し上げましたその結末の具体的な報告を簡潔に、ただ何となくやりましたということでなくて、その当時、あなたの答弁は信用照会をしていますというようなことでしたけれども、時間がなくて、私は信用照会なぜ要るんだということで終わったと思うのですが、その以後の処置はどうなったか、現状、落札の状況を簡潔に御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/76
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077・橋本徳男
○橋本説明員 本部ビルにつきましては、実は三回程度、協会で入札をいたしましたが、落札できませんでした。これには設計その他いろんな問題がございまして、再度設計者と協会事務局におきまして詰めました結果、予定価額を若干下回ったところで落札をいたしまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/77
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078・吉田泰造
○吉田(泰)委員 具体的な数字をあげてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/78
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079・橋本徳男
○橋本説明員 七億四千万と覚えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/79
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080・吉田泰造
○吉田(泰)委員 私は個々の問題を具体的な問題として事例を取り上げて御質問申し上げておりますけれども、あとで結論を出させていただきますが、いまの問題にしてみましても、入札が三回程度でどうなったとか、詳しく具体的にほんとうのことを言うてほしいのです。あなたはその程度しか御存じないのですか。三回程度というのはどういうことですか。三回なんですか。具体的にきちょうめんな答弁をしてください。それで工事の問題をもう少し掘り下げてみたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/80
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081・橋本徳男
○橋本説明員 この点については三回と記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/81
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082・吉田泰造
○吉田(泰)委員 協会の建設部長さんおいでになっておりますか。——副会長さんでもけっこうです。その答弁間違いございませんか、答弁いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/82
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083・菅野義丸
○菅野参考人 ただいま参事官からお答えしたとおりでございますが、それではもう少し詳しく申し上げます。
本部ビルは、予算は七億五千万円でございますが、三月十八日に第一回の入札をいたしましたときには最低で七億六千万円、最高では七億八千万円というような数字でございました。そこで、三月二十三日にまた入札をやりましたけれども、数字は変わっておりません。それから、その最低をやっておりますのは銭高グループでございますが、この人といろいろ協議をいたしまして、そうして三月二十九日にきまりましたのが七億四千万円という数字でございまして、入札は結局三回やりましたが、最後に、予算より一千万円少ない数字でもって落札したような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/83
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084・吉田泰造
○吉田(泰)委員 いまの本部ビル、個々の問題でございますが、これから工事が始まろうとしているときでございますので特にお伺い申し上げたわけです。と申しますのは、先ほど堀田副会長からも委員の質問に答えられた答弁の中でございましたけれども、建築問題で今度——建設省の営繕局長さんもお見えになっておられますのであとで御質問申し上げたいと思いますが、第三者的な立場で協会の顧問になっていただいて調整をするというような御答弁があったと記憶いたしております。工事そのものの業者の声は、私は地元大阪でございますが、大阪のいわゆる建設業者の声というものは、おそらく万博に対して当初予定をしておったものと違って非常にしり込みをしている。ということは、端的にいうなら、やる気をなくしているということじゃないかと思うのです。というのは、ほかの仕事であれば継続的な指名もいただけるが、単発である。と同時にいわゆる積算された時点が非常にずれている、このままの値段ではやっていけないということが本音ではないか。そういうことがこれから工事をやるたびに繰り返されていく。今度のランドマークでもそうだと私は思うのです。設計者とのあるいは協会の計画調整の不手ぎわさ、これも国民には非常に大きく目に映ると思うのです。先ほど田中委員から国民的な合意というか、そういう問題が論議されましたけれども、具体的な事実で建設工事が行なわれていく過程において、ますます不評を買う一つの大きな原因になると思う。PR費を使わなくとも、計画調整をきちんとやってスムーズに工事が流れるということはやはり一つのムードをかき立てる一因になると思うのです。PR費が節約になると思うのです。そういう問題で、いわゆる計画調整のまずさ、あるいは建設業界が全般的にそっぽを向いた形、私はあえてそう言いたいのです。今度のランドマークの発注のあり方にしても、幾つかの大手の会社と話し合いをして発注しなければならない。そこに問題があると思うのです。これから工事が本番に移ろうとするときに、これをどういうような考え方でおられるか。また建設省の営繕局長を顧問に置いてやらなければいけないというのは、いわゆる第三者の調停かあるいは意見が必要なほど業者と意見が食い違っているのか、原因はどこなのか。積算したときの物価と現在とが違ったという単純な採算割れというベースが出てきたのか、あるいはそうじゃなく、業者がもうけたいからみんなが力を合わして応札しているんだという態度なのか。第三者のそういうものが要るということはどういうことなのか。これを副会長と、建設省の立場から営繕局長も御答弁願いたいと思います。参考意見を聞かしてもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/84
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085・菅野義丸
○菅野参考人 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、協会のほうの請負入札を求める方法も、率直に申し上げまして、確かに不十分であったということを私どもは反省しておるのでございますが、とにかく設計をするほうの側におきまして、限られた予算の中で一番りっぱなものをつくりたいという考えで設計をいたします。ところが請負をするほうでは、先ほどもお話がございましたように、万博の建物というのはもうあとずっとやるわけではなく、一回限りのものでございます。しかも大体において特別な工法が要るような特殊な建物が多いのでございます。したがいまして、本来から言うと、その開発費といったような、あるいは研究費といったようなものさえいただきたいというのが請負の側の言い分でございます。ただ一つを建てるためにいろいろな検討もしなければならぬというようなものが多いのでございます。そこで、どうしてもこの両者の間の話し合いを十分にした上で応札してもらわなければ不十分であるということを痛感いたしたのでございます。たとえば、塔を建てる場合に、設計者のほうでは下からだんだん積み上げてくればだいじょうぶだという工法を考えております。ところが請け負うほうの側でいいますと、そんな塔を建てたことがないものですから、やはり同じくらいの高さの足場をつくらなければならぬ。そうするとちょうど二本塔をつくると同じくらいの金額になるのだそうでございます。それじゃどういうふうな方法でもって積み上げ式の塔をつくるかということになりますと、これはあまり小さい業者ではできないというような結果もございまして、とにかくいろいろとその間の意思の疎通を十分にしなければ正確なことができないのじゃないか、こういうことを痛感いたしまして、今後はいよいよシンボル・ゾーンであるとかその他の協会がやらなければならぬ建物の本格的な建築時期になりますので、そういうような考えで設計者と請負者との間に十分な意思の疎通ができるような説明会を何回も開いて質疑応答に応ずる、同時に、全く公平な立場からこれをいろいろアドバイスしていただく建設顧問をお願いして立ち会っていただきたい、こういうふうなことを考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/85
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086・横山正彦
○横山政府委員 第三者的な立場かつ建設省の職員としての立場からどう思うかという御質疑であったかと存じますが、実は万博の顧問になるということにつきましての最終的な建設省側の合意はまだなされておらないのでございます。通産省さんから話があったことはよく存じておりますが、現在進行形でございますので、万博当局の方々との具体的なお話し合いなどはもちろんまだやっておりません。したがいまして、過去におきましていろいろな問題もございました入札につきまして裁定がましい御意見をここで申し上げることは、私としては不可能な立場に置かれております。一般的な意見だけでお許し願いたいと存じますが、私ども建設省の営繕局といたしまして、戦後から今日に至るまで数々の工事の設計並びに工事管理をやっております。その間もちろん入札を実行してまいっておりますが、業者側と発注者側との見解の相違によりまして多少の食い違いが生ずることは過去においても何回かございました。しかしながら、原則としては、発注者側が適正な積算をいたしまして、その内容の適正に関する信念を持っておりません限り、業界との話し合いをうかつにやることは好ましくないと存じますが、適正な積算をやりまして、その数字をはっきりと自分で持っております限り、入札不調の際に業者側と具体的な折衝に入ることは差しつかえございませんし、またやむを得ないことであろうと存じます。それによりまして過去のトラブルは大体において解決しておると承知しております。今後ともこういう事態が全然出ないという予測はもちろんできませんけれども、私どもが過去において積み上げてまいりましたこの積算の体験を通じまして、万博当局に何かの参考意見を申し上げ得るならば何がしかのプラスになるのではなかろうか、かように考えております。
抽象的でございますが、これでお許しいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/86
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087・吉田泰造
○吉田(泰)委員 いまの副会長と営繕局長の御答弁、なかなか適正な積算を持って交渉をやっておられるということでございますが、これは橋本参事官にお伺いいたしますが、通産省として万博の予算を取りましたときに、橋本さんの御意見では、当然設計変更をしなくてもできる適正な予算だと私は理解しておるのですが、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/87
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088・橋本徳男
○橋本説明員 一応予算を組みます場合には、ほぼ概略の設計の上に立ってこの程度ということで予算を組みまして、その予算をもとにして本格的な設計を委託し、それによって出てきたもので発注をするわけでございますから、本質的にそれが食い違うということはおかしいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/88
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089・吉田泰造
○吉田(泰)委員 これからの工事でこれが非常に大事になってまいりますが、堀田副会長に、ちょっと話が違いますが、銀行側でもあられますのでお伺いしたいのです。
いま御説明の政府委員の答弁にありましたそういう時点と——現在の建設業界もそういう御認識が深かろうと思うのですが、日本のいまの建設業界はいわゆる物価高、人件費高、そういうものによって官公需の収益性が非常に低くなっておる、あるいは採算割れのものが続いておるという現状下で、現在の万博予算の建設工事が妥当に遂行し得るようなコストであるかどうか。参事官は間違いない。これは副会長という立場を離れましてどうでございますか。銀行家の立場として見られてどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/89
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090・堀田庄三
○堀田参考人 それでは副会長の立場を離れて御答弁いたします。
一にかかって物価がどうなるのか、したがって、賃金がどういう循環を起こすかこういう問題にかかってくると思います。そこで、現在の物価趨勢からいきますと、なかなか万博事業容易でないなというのが実感であります。業者のほうも、先ほど御指摘がありましたように、万博はなかなかもうからぬという考えを持っておるようです。特に新機軸を出そうという設計に対しては大事をとる、これは当然なことだと思います。したがって、普通の札よりは少し高く考える。けれども、私の仄聞するところによれば、将来の値上がりをいろいろ見込み過ぎたという点もあるやに聞いております。たとえば鉄綱などは下がっておる。ところがオファーの時期におきましては相当高いものを材料として取り入れる計算もしておるということで、原材料によりましては、生産加工の結果下がるものもある。労賃はどうも上がるようであります。そういうことでなかなか一がいに申されませんが、建設業者にとって決して甘い注文先ではない、こういう実感を抱いておるのが事実と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/90
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091・吉田泰造
○吉田(泰)委員 いまの堀田副会長の、副会長という立場を離れての御答弁でございますが、私はここで御要望申し上げたいのです。
なるほど甘い仕事じゃないというような結論はわれわれ一般国民が持っておると思うのです。また新聞紙上にも報道されておりますし、それだけにこれから工事を進行していく場合に、一つ一つ注文を出せば何回も応札しなければいかぬ。それも入札技術上の問題ならまだ許せると思うのですが、コストの問題で全般的に設計変更を強要しなければできないような形でやっていってなかなかきまりにくいという現状は、冒頭に申し上げましたように、いわゆる万博ムードを低下させていく側面的な原因におそらくなる。もう気乗り薄な建設業界が横になるということも、これは万博ムードの向上に何の役にも立たない、百害あって一利なし、こういう形があらわれてまいると思います。そういう意味で、業界の方がいわゆる設計施工にあたっての計画調整をもう少し事前によく検討して、当たってみたけれども、設計者とこうなんだ。絶えずあと始末をするのでなく、事前によく検討して、スムーズな発注が行なわれる形を国民の前に、小さい具体的なことですが、示してもらわないと、日にちはどんどん迫ってくる、建設は何かごたごたしているというような印象はぬぐえないと思うのです。これではいかに人類の進歩、調和を説いてみたところで、その入れものをつくるのでさえもごたごたしているじゃないかというそしりを受けると思うのです。この間ある新聞で評論を見ておったら、万博の工事のことで請負ということばについて論文が出ておるのです。いまの万博工事は請けてまけることなんだ、責任を負うことじゃなくて、まけることなんだ。昔はそういう意味もあったようでございます。そういう意味で、何となしに昔の建設業界の考え方、まあまあ国家的な大事業だからやってくれ、多少の損をしてもやってくれというようなムードがもしあるとするならば、これは国民のたいへんな税金を使いながら、大義名分をそういうところに振りかざされて、ある特定の業者に出すような形、国民はそれは望んでないと思うのです。もう少しシビアーな計画をされて、橋本参事官が適正な価格を積算しているというようにおっしゃるのですから、もし副会長のほうでそういうような建設業界のリードも——どこの新聞紙を見ても、建設業界はみんな逃げ腰です。それだけに採算がそうむずかしくないというような見解で、むずかしいかもしれないけれども、そんなに赤字が出ないというような見解でいま個人的な堀田副会長の御意見であるならば、建設業界をリードしていただきたいと思うのです。おかしいと思うのです。もう各新聞にみんな出ていますね。それだけに、実質は何社かに分割をして損を分担させるような発注形式、そういう形であるとするならば、私はこれは問題があると思うのです。
私は、建設業のことばかり質問に立つたびに言うておるのです。ということは、国民に与える大きな影響がありますので、もう少しスムーズに計画調整を行なって、設計を大幅に変えなければいかぬ、これは設計者と工事施工者との了解がついてないんだとか、そんなことをいまごろ発注段階で言うのはおかしいじゃないかということを私は特に申し上げたいのです。そういう意味で、よろしくもう少し指導性を発揮した強力な手を打っていただきたい。これは特に望むわけであります。
もう時間がありませんので、最後に一点だけ………。
これは大臣がちょうど参議院のほうにおいでになりましたので、時期を改めさしていただきますけれども、中谷委員からも質問がありましたし、私も去年の五十五国会から言い続けていることなんですが、やはり専任大臣を置く機構上の問題にはね返ってくると私は思うのです。一点だけ聞きますが、これほどの大事業を、しかも、協会の努力にかかわらず、経済上の基調が非常に変わってきておる、こういう時点をとらえて専任大臣を置いた強力な体制でやらなければならぬ。日本人の考え方というのは、会期がきたらみんなできると思っている。何とかねじりはち巻きでもやるだろう。ところが、国民の税金にはね返りやせぬか、あるいは物価高を招来しやせぬか、先ほどの堀委員のお話じゃございませんが、そういう考え方がみんなあると思います。そういう抜本的な政策を打ち立てるためにも、もう少し万博の機構上の問題を検討していただきたいと思うのですが、橋本参事官、大臣がおられませんが、そういう考え方は通産省内にありませんか。協会は求めているというんですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/91
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092・橋本徳男
○橋本説明員 大臣の点につきましては、事務当局からお答えすることはどうかと思いますので、十分大臣にお伝えしたいと思います。
それから機構等の点につきましては、先ほど大臣が言われましたように、博覧会自体が社会、文化、経済あらゆる面における総合的な事業でございます。したがいまして、特定のところだけの専門的な形において仕事をやるということは非常に困難だと思います。そういう意味におきまして、協会としてはいろいろな角度からの人が来ておられると思いますが、先ほど来大臣も御説明いたしましたように、協会のほうでそういう必要性があるならば、十分その旨を大臣にお伝えするというふうなことで強化してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/92
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093・吉田泰造
○吉田(泰)委員 いまの問題につきましては、再三御質問がありましたので、この程度でとめておきます。
最後に、これで質問を終わりますが、一点だけ要望といいますか、特に堀田副会長は財界の指導的な立場におられますので要望しておきたい。これは政府にも私はこの前の質問で申し上げたのですが、万博のあと地利用の問題が、いま建設の目前のことに追われてはっきりしてないということも国民の不評を買う一つの大きな原因じゃないかと思うのです。どこの博覧会でも非常に計画的にあと地利用をまずぴしゃっときめて、それでかかっておるというところが多いにかかわらず、日本の場合はあいまいもことして、あと地利用をどうしようかという問題について、それどころじゃない、いまの建設が大事なんだという考え方に追いまくられておりますが、もう少しあと地利用の問題を真剣に検討し、また真剣に立案をする、そうしたならばもう少し私は力の入れ方が、あとに残るという考え方で力の入れ方が違ってまいる。そういう意味で、目前の急務のことは建設業でございますが、もう少しPR、建設に加えてあと地利用を真剣にお考えいただいて、また意見をまとめていただいて、政府と一緒に大阪府もまとめて、しかるべき手を打たないと、すっきりした博覧会の成功はおぼつかないんじゃないか。ばたばたしてゴールに何となしに飛び込んだということは、いわゆる日本人の性格でやり通すと思うのです。そこに私は問題があると思います。特にあと地利用の問題、時間がございませんので、もう制限時間一ぱいになっておりますので、そのことだけを特に申し上げまして、そして要望ということで私の質問を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/93
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094・小峯柳多
○小峯委員長 近江巳記夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/94
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095・近江巳記夫
○近江委員 大臣も時間の関係で出席されておりませんし、参考人もめったにお見えにならないわけでございますので、参考人に特にきょうはお聞きしたいと思います。
予算委員会の分科会におきましても聞いた問題でございますが、いま国民が一番心配しておることは、万博が非常におくれておる、このままでは庶民の感覚として万博は開催までに間に合わないのではないか、いろいろなそういうマスコミの報道するところを見たり聞いたりしておりまして、非常にみんなが不安を持っておるわけであります。そこで私は、実際にそのおくれがどういうものであるか、そうした点を事実の上から聞いてみたいと思うわけであります。
まず、この四十二年度の予算執行の上において、三月末で終わるわけでありますが、支出ベースで幾ら、何%支払われているか、その点を堀田副会長にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/95
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096・堀田庄三
○堀田参考人 この問題は菅野副会長が最も詳しいですから、そちらから答弁さしていただいてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/96
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097・橋本徳男
○橋本説明員 数字的な点でございますので、私、御返事申し上げたいと思います。
協会の関係で、支出ベースでいきますと三九%でございます。八十五億一千五百万に対しまして三十三億、契約ベースでいきまして、八十五億に対しまして五十五億ということで、六五%でございます。
それから関連事業のほうにまいりますと、金の支出といいますか、支出ベースで九五%でございます。それから用地の先行取得等までに加えますと、関連公共事業費一〇二%というふうなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/97
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098・近江巳記夫
○近江委員 参考人の菅野さんと堀田さん、こういう事実を知っておられたのですか。こういう工事が、支出ベースでいきますと、実に六一%がまだ支払われておらない。これだけの工事がおくれを来たしておるわけです。どんな工事でも予算というのはその年度内にあくまでも執行するというのが予算のたてまえではないか。この点は政府委員も答弁しているわけです。なぜこのようにおくれたか。この前、政府委員に聞きましたが、実際上進めていらっしゃる協会の立場でその原因というものを明確にひとつ答えてもらいたいと思うのです。堀田副会長お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/98
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099・堀田庄三
○堀田参考人 その話は大体聞いておりましたが、ただ、先ほど来問題になっておりますように、いろいろ設計上のむずかしい点があって契約が成立しなかった、そういうことのためにおくれているのが大部分であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/99
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100・近江巳記夫
○近江委員 それでは菅野さんお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/100
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101・菅野義丸
○菅野参考人 ただいまの御指摘の点は確かに私ども前から承知しておったものでございますが、その支出面におきまして三九%。契約面におきまして六四%なんでありますが、まあ契約面でおくれたことが非常に問題でございまして、予算をいただきながら契約ができなかっ先、支出の面ではこれは工事が一定の状況になりませんと金を払いませんから、工事は進んでおるのでございますが、契約ができなかったということは非常に申しわけないと思っております。これは建物のほうにおきましては、いまお話がありましたように、本部ビルとかあるいは塔だとかいうような問題がございますが、多くは人工湖とかあるいはその他の道路の埋設というような土木工事が多かったのでございます。これは私どものほうの進行管理の工程表からいいますと、確かに一カ月くらいのおくれになっております。そこで、どうしたらこのおくれを取り返せるかという方法につきましては、十分に検討しまして、もう成案ができておりまして、決してこれはフェータルなものにならぬという自信は持っております。一方におきましては、買収が済まない土地もございまして、その後買収の話し合いは済んだのですが、家屋の移転がまだできないというようなところも残っておりますし、それから人工湖のごときは、そのまた関連の事業が、たとえば噴水の計画であるとか、そういったようなものがおくれたとか、こういうようなことからおくれておりますけれども、これは大丈夫正常な工程には乗り得るということでもっていま進行を進めておるような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/101
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102・近江巳記夫
○近江委員 多少の工事のおくれということはわかります。そういう点で契約のベースが非常におくれておった、これは問題である。工事はまあまあおくれてはおるけれども順調にいっておりますという。しかしこれは三月末のデータではございませんけれども、私が持っておるデータはそれ以前のものでありますが、それで見ても、全然手も何もつけてないというのがたくさんあるわけです。こういう現況からして、工事がまあまあおくれてはおるけれども順調にいっておりますということは私は言えないと思うのです。計画自体がそのようにおくれてきた、これは一体だれの責任なんですか。これは設計者の責任ですか。関連事業を入れて実に七千五百億という膨大な、それだけの国民の血税をつぎ込むわけです。計画がおくれてきたしわ寄せば、結局まあこの辺でいこうじゃないかということで、十分内容を達しない、そういう半ばで計画を大体まとめてしまう、そういう計画の面の心配も出てくるわけです。さらには、これからまた工事が集中して契約になってくる。それでなくても現在の物価高の現況です。労賃の高騰、資材の高騰、いろいろな悪条件がそろって出てくるわけです。そういうような点からいきますと、今度は実際、たとえば建物自体も思わぬ不幸を招くような、事故を起こすような、そういう粗悪なものにならないか。さらには周辺地域等におきましてはこれからどんどん労務者等も入ってくる。当然食料品等の値上がりも出てくるだろう。あるいはまた一般のそういう建設関係においても人手不足あるいはまた資材の高騰、非常にいろいろなそういう影響を受けるわけですが、こういう点において協会はその問題に対してどこまで責任を持っているか。単なるおくれでは済ませない社会問題です、これは。したがって、今後どのようにそれを取り戻していくか、具体的な案を——決意だけ聞かされたのでは安心できない。協会として実際にできますという、国民に対して安心できる案を示してもらいたいと思う。菅野さんとそれから堀田さんと、お二人お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/102
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103・堀田庄三
○堀田参考人 現段階においておくれておりますことは、御指摘のように若干おくれておることを認めざるを得ません。先刻私の発言の中にありましたように、今後において極力これを取り戻さなければならない。しかも四十四年度にウエートをかけ過ぎては、一番最後に危険であるという考えを持っておりますから、今年度に極力それを進める、こういう心がまえでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/103
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104・菅野義丸
○菅野参考人 私でも、ずっと長い進行管理をやっておりましてつくづく考えますことは、ことしの多少のおくれはまだ救済の道がございますけれども、もう来年は絶対にそれがない。したがって来年の工事というものをいかにしてスムーズにやるかということが、われわれの一番関心を持っておるところでございます。しかしながら、協会のやります工事は基幹施設でございまして、言いかえれば、外国の政府あるいは民間の企業の特設館をつくる工事に支障のないようにする、あるいはそういう特設館ができ上がったときに、その開館に支障のないように基幹施設をやるというのが私どもの使命でございます。
そこで、第一の段階としましては、どんなにおそくともこの七月から、外国のパビリオンあるいは民間のパビリオンが建てられるようにするというのが一つのめどでございますが、これは絶対にできます。それで現在のところ、カナダ政府と鉄鋼館が七月から工事をやりますが、この工事に支障を与えるようなことは絶対にいたしません。
それからその次には、非常にパビリオンの工事が一ぱいになったときに、場内の交通とかあるいはその他工事に支障が起きてはいけないというので、これはもちろん、ことしのうちにすっかり、九月ごろまでに整備をいたしますが、いずれにいたしましても、私どものほうの工事は、全部四十四年の十二月末までに終わるということを基準にいたしまして、そこに二カ月半の余裕をとっております。これはしかし、全然ないものと考えて長い工程表をつくって計画しておるのでございますが、ただいま四十二年度の工事の点についてそれぞれ御指摘がございまして、まことに申しわけないと思っておりますけれども、これは十分に救済の道がございますので、私でもとしましては、少なくとも協会の工事でもって開会をおくらせるようなことは絶対にございませんということをお誓い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/104
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105・近江巳記夫
○近江委員 いま堀田さんの答弁からいきましても、四十四年に集中しないように工事を持ってくる。それじゃ四十三年に集中するのか、当然こういう問題も起きてくるわけです。また、その周辺に対する影響の配慮、これに対してどうするかと私はいま聞いたわけでありますが、一言の答弁もなかった。ということは、そのことを真剣に考えていない、したがって具体策を持っていない。ただ万博だけできれば、ほかのものがどのように周辺に影響を及ぼそうがかまわない。それではあまりに一方的であると思うのです。当然これは政府として手を打たなければならない問題であると思いますが、しかしそういう周辺の影響ということも考えるならば、政府に対しても、こういう点も配慮をしてもらいたい、そういうような積極的な働きかけを政府へいたしましたか。お二人からお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/105
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106・堀田庄三
○堀田参考人 一番心配しておりますのは物価の値上がり、したがって労賃の値上がり、この問題は万博協会だけではどうにもなりません。したがって、政府の物価政策というものを特に私どもは重点を入れてもらいたい。同時に、万博をやる関係上、近畿の物価がそれにしわ寄せされて上がるということは困る、こういう申し入れば強くいたしております。なお、労働力の確保についてもぜひ政府に御協力が願いたい。なお労働組合のほうとも、話し合いを現在続けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/106
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107・菅野義丸
○菅野参考人 周辺の国民の生活あるいは工事等に万国博の工事が影響を与えてはならない、まことに仰せのとおりでございまして、私どもはこの万国博の工事がまごまごして突貫工事をするために、よその工事に影響を与えるというようなことは非常にこれは慎まなければならぬことであるということを痛切に感じております。ことに万博工事のための労務者が周辺に悪影響を及ぼしてはいけないというようなことも考えまして、場内に全部宿泊あるいは医療その他の施設をつくることによりまして、できるだけ周辺の皆さんに御迷惑をかけないようにしたいと考えて、これはもちろん協会だけではできませんので、関係の府、市というようなところと御相談をしつつ進めておるような次第でございます。
また、物価、労賃の値上げということについては、われわれとしても非常に心配しておるところでございますが、これは国をあげての御政策を進めておられるように聞いておりますので、それと一緒に協力していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/107
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108・近江巳記夫
○近江委員 これは万博の会場だけ建設ができればいい——しかしできるかできないか非常に危ぶまれておるような現状であります。
また、それと同時に大事なのは関連事業の問題であります。道路等も早く整備しなければ建設資材も運べない。工事が集中してくる。ところがいまだに中央環状線にしても外環状線にしてもできてない。一体そういうような総合的な判断の上に工事の進捗がなされておるか、こういう点が非常に心配なんです。この関連事業の中でも、各省、運輸省あるいは建設省いろいろありますが、政府委員の方も来ておられますのでお聞きしますが、まず建設省はいま関連事業についてどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/108
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109・望月邦夫
○望月説明員 お答えいたします。関連の公共事業につきましては、さきに橋本参事官から申されましたように、九五%の支出ベースですでにやっております。それから先行分も入れますと、大体一〇二%というふうなことでございますが、関連公共事業と申しましても、さっき先生が申されましたように、万博の資材運搬とか、そういった関連に必要なものもございます。われわれといたしましては、そういった関連公共事業の中におきましても、万博のパビリオンの建設その他に必要なものにつきましては、十分配慮して努力いたしておるわけでございます。ただ、われわれの関連公共事業というものにつきましては、何ぶんにも大阪市あるいはその周辺におきまして用地を取得するということが一番問題でございますので、現在これらにつきまして府、県あるいは国をあげまして最大の努力を払いまして、十分完遂をいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/109
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110・近江巳記夫
○近江委員 建設省は支出ベースで大体進捗をしている。しかし関係各省から全部これをチェックしていけば、私は相当問題があると思う。建設省自体も、それだけ支出をしようと思っても、現時点においてはいろいろな問題がまだまだあるわけです。ですからこれはまた後日資料をもって一回建設省の人に来てもらっていろいろと聞きたいと私は思っております。
そのほか関連事業、さらに周辺の治安対策、あるいはまた交通事故が激増しております。それはデータを調べてもらったらわかるわけでありますが、現実に吹田市あるいは茨木市等においては婦女暴行等の事件が続発している。それは私は何も労務者とは言いませんが、しかしながら治安対策において非常に欠ける点もある。万博が開始になってから万博協会が責任を持つのではなくして、工事の進捗に伴ってそういう周辺に万全の対策をとっていかなければ、幾ら国民的な盛り上がりを持っていかなければならないといっても、周辺は万博のためにものすごい迷惑を受けているのです。そういう迷惑を受けていることに対して真剣にそれとどう取り組んでいくか。これは要するに最高幹部の人間性の問題だと思う。この点について、特に治安対策あるいは交通事故の問題等に関してどういう手を打っておられますか。まず堀田さん、菅野さん、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/110
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111・堀田庄三
○堀田参考人 交通事故の頻発しております事態、治安上の問題、これはまさしく国民的な憂慮の対象だと私は思っております。これは大都会においてみな同じようなできごとが起きております。万博をつくるために特に激増しておるかどうかは私ちょっと具体的な数字を存じませんが、それにつきましても万博協会として、万博を施行する上においてそういう事態がさらに激増しないような対策を府あるいは関係当局に依頼しておりますので、今後ともそういうことについては一そうの注意を喚起していきたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/111
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112・菅野義丸
○菅野参考人 協会といたしましては、周辺の住民の方々に少しでも御迷惑をかけてはいけないという点については、先ほどからお話し申し上げているように非常に腐心しておりまして、実はもうだいぶ前から警察の協力、それから請負業者、協会と三者一体になりまして、しばしば善後策を討議して、いい案があればどんどんと実行するというような方向に進めております。また周辺都市の市長さんあるいは市役所の方々とも常に連絡会を開いて、そういう点についての御意見を伺ったり、あるいはこちらのやっておることについて御理解をお願いしたりしているような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/112
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113・近江巳記夫
○近江委員 確かにそういう申し入れ等をやっていらっしゃることはよくわかります。しかし、なるほどキャップは、たとえば治安等の問題でもきまったけれども、それじゃそれだけ警備体制が強化されたか、現実はできてない。私は吹田に住んでいる。幾ら協会から申し入れをしても、現実に具体策をもってそれに対処していかなければ何にもならない。それではあなた方の一念は通じていない。これは早急の問題ですよ。これから一年先、二年先にやるべき問題ではない。もういまの時点から早急に手を打っていかなければならないことです。言ってありますから、それじゃあとは警察の責任だ、どこどこの責任だ、そういう態度であるなら、無責任といわざるを得ない。当事者があくまでもそれを実行さしてこそほんとうに責任のある態度ということが言えるのじゃないですか。その点、どうですか。考え方の根本的なことを私はいま問いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/113
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114・堀田庄三
○堀田参考人 全く御説のとおりであります。今後一そう実効を期するための注意を喚起し、私どももそのために協力していきたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/114
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115・菅野義丸
○菅野参考人 私も吹田に住んでおりますので、よく実情を存じておるつもりでございますが、大体警察のほうの方の考えを聞いてみますと、現在土木工事が進んでおりまして、実際に工事が非常に多くなるのはこの夏ごろであろうというようなお気持ちで、七月ぐらいからは警備に力を入れるというようなことを言っておりますので、それでは困るのだというような抗議は申し出ておるわけでございます。いずれにしましても、われわれの工事のために御迷惑をかけないように、十分今後注意していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/115
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116・近江巳記夫
○近江委員 その点は特に要望いたしておきます。
それから、四十三年度あるいは四十四年度に幾らの配分をしようとも、工事が当然この二年間に集中することは避けることはできないわけです。そういう点で先ほどからも各委員から話がありましたが、当初の設計を変更して、それを予算に合わすようなものに持っていく、そういうような状況が次から次へと起きてきているわけです。そういう点で、そういう工事等の万全の対策をとってもらいたいということと、それから実際に万博が運営されたときに、現在の盛り上がり、あるいは海外のそういう参加等の状況から見ても、私は赤字を出すように思う。もしも赤字が起きたときには、どこが責任を持ってどういうぐあいに解決をしていくか。
さらに心配なことには、残存価値が五十億と一応政府では認定になっているわけです。その赤字のしわ寄せを残存価値に持ってきて、そして住民に負担をかけていく、そういう方向に流れていくのではないか。私自身はそういうことを感じるわけです。皆さん方としては赤字を出したくない、それは当然でしょう。それに対して全力をあげられるに違いない。しかし、二段階、三段階、四段階のことを考えていかなければならない。赤字が起きたときには、そういうことはありませんか。その点を明確に、協会の最高責任者としてここでお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/116
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117・堀田庄三
○堀田参考人 赤字の問題は、いまから、起きた場合にということでなかなかお答えすることのできる問題とは思いません。私どもは、赤字を出さぬという決意のもとにやるつもりであります。
なお、残存価値云々の問題は、これは大阪府がいろいろと考えておるところでございまして、残存価値にしわ寄せをするということもしないという覚悟でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/117
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118・近江巳記夫
○近江委員 あまり時間がありませんので、あと問題点だけ聞いていきます。
万博協会の職員はいろいろなところから出向してきている。このデータをいただきましたが、公務員としては、政府から四十三名、大阪府で八十二名、大阪市で五十名、府警、吹田市その他で十六名、民間百十六名、協会百五十三名、合計四百六十名。これはきょうもらったわけでありますから、正確なデータだと私は思います。この協会のことを、私も外部でありますから、込み入ったことまでわかりませんが、いずれにしても出向のところがこれだけ多岐にわたっておる。政府の中でも各省から来ているわけです。こういうような点で、たとえばいろいろなニュースが入ったらすぐに自分の親元に電話している。上司が、一体何の電話だと聞いてから、はい何々でございました、一例ですよ、これは。そういうような内部が不統一で、ばらばらな状態で、これからの大事業をやっていけますか。さらに協会の組織の問題について今後どのように考えていらっしゃるか。この点をひとつ堀田さんからお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/118
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119・堀田庄三
○堀田参考人 各方面からの出向者の多いことは事実であります。しかし、いまの万博協会としてはそれよりほかに手はないということも事実であります。これを協会でよく統一いたしまして、この上とも万遺漏なきを期するということをお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/119
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120・近江巳記夫
○近江委員 最後に、海外参加の問題でありますが、たとえばモントリオールが開催されたとき、いまと同じ時点において何カ国あったか。今後海外参加に対して、協会としてどういうように推進していく案を持っていらっしゃるか。その点を最後にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/120
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121・堀田庄三
○堀田参考人 現在、日本の万博に対する参加国は三十カ国と、香港政庁を入れまして三十一でございます。同じ時点に、モントリオールは大体三十八カ国、日本のほうがやや劣勢でありますが、内々参加を決定しておる国は相当数多くあります。外交ルートで正式に回答しておるものだけを数えて三十一であります。したがいまして、今後それが正式に回答してくる国はかなりふえるという見込みでございますから、モントリオールの最終六十二カ国を上回る予定だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/121
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122・近江巳記夫
○近江委員 では、これで終わりますが、先ほどもあと地利用の問題が出てまいりました。これも大阪府から案が出ておるかしれないけれども、実際に、それじゃまとまってこうするという案が出ておるかという問題なんです。また土地の買収等も全部終わっているというけれども、現実に次田市の一部の土地もある。あるいは殖産住宅等もまた換地等の問題がどうなっているか、現実にまだ名義としてはそれが残っておると私は思う。その土地の問題も解決できていない。いろんなそういう問題があるわけです。これからの問題として、あと地の問題は非常に大きな問題となってきます。これに対して協会はどう思っていますか。いまだにあと地の問題がきまっていない。私は重大問題だと思うのです。これを最後にお二人からお聞きして、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/122
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123・菅野義丸
○菅野参考人 先ほどからお話がありましたように、あと地がきまらないといろいろな点について支障を来たすことは、もうおっしゃるとおりでございまして、どこの万国博でも、たいていあと地をきめてから建設にかかるようなのが常例でございます。私ども協会としましても、もちろんこのあと地がどういうふうに利用されるかということを早くきめていただきたいと思って、大阪府、市あるいは政府等にお願いをしておるのでございますが、私どもは、なるべくあれだけの金をかけたところは、広く一般の公共の用に供するような施設にしていただきたいという希望を述べております。しかしこれを決定するのは、そういう土地の所有権を持っておるところとか、あるいは関係の深い政府機関であると思いますので、もっぱらそういう希望を述べておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/123
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124・近江巳記夫
○近江委員 堀田さんから最後にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/124
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125・堀田庄三
○堀田参考人 あと地の問題は、やはりいま菅野副会長から申しましたとおり、これを早くきめてもらいたいという希望を協会としては持っております。したがって、大阪府に対しては、この問題に対してよりより協議をいたしておりまして、極力近いうちに決定するようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/125
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126・小峯柳多
○小峯委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。
参考人には御多用の中、長時間にわたり御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
次回は、明十七日水曜日午後零時三十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X01919680416/126
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