1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月二十日(月曜日)
午後一時三十六分開議
出席委員
委員長 小峯 柳多君
理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君
理事 海部 俊樹君 理事 鴨田 宗一君
理事 中川 俊思君 理事 中村 重光君
理事 堀 昌雄君
内田 常雄君 小笠 公韶君
大橋 武夫君 岡本 茂君
神田 博君 木野 晴夫君
小宮山重四郎君 坂本三十次君
櫻内 義雄君 始関 伊平君
塩谷 一夫君 島村 一郎君
田中 六助君 二階堂 進君
丹羽 久章君 橋口 隆君
水野 清君 岡田 利春君
佐野 進君 多賀谷真稔君
楯 兼次郎君 千葉 佳男君
中谷 鉄也君 古川 喜一君
塚本 三郎君 近江巳記夫君
松本 忠助君
出席国務大臣
外 務 大 臣 三木 武夫君
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
農 林 大 臣 西村 直己君
通商産業大臣 椎名悦三郎君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 宮澤 喜一君
出席政府委員
経済企画庁調整
局長 赤澤 璋一君
外務政務次官 藏内 修治君
外務省経済協力
局長 上田 常光君
大蔵省国際金融
局長 柏木 雄介君
農林省農林経済
局長 大和田啓気君
通商産業省貿易
振興局長 原田 明君
運輸省海運局長 堀 武夫君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 岩瀬 義郎君
参 考 人
(海外経済協力
基金総裁) 柳田誠二郎君
専 門 員 椎野 幸雄君
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五月二十日
委員武藤嘉文君及び岡本富夫君辞任につき、そ
の補欠として水野清君及び松本忠助君が議長の
指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
海外経済協力基金法の一部を改正する法律案
(内閣提出第六四号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/0
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001・小峯柳多
○小峯委員長 これより会議を開きます。
海外経済協力基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、前回に引き続き、参考人として海外経済協力基金総裁の柳田誠二郎君が出席することになっております。
質疑の申し出がありますので、これを許します。中谷鉄也君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/1
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002・中谷鉄也
○中谷委員 長官に最初にお尋ねをいたしたいと思います。
改正案が法の目的第一条の中で「経済の安定に寄与するため、その開発又は安定に必要な資金」すなわち安定、そういう改正を案として加えられている。この第一条に「経済の安定」という法の目的を特に加えることについては、立案の過程においていろんな考え方が私はあっただろうと思うのであります。伝えられるところによりますと、「経済の安定」という表現に対して、民生の安定あるいは社会の安定というふうな、法の目的をそのように定めるべきだというふうな意見もあったというふうに聞いているが、この点について、提案に至る過程の御検討に関する長官の見解をひとつお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/2
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003・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 立案の過程で一部そういう意見があったことは確かでございますけれども、本来これが経済協力基金という経済の面から協力をしようということでございますので、それが結果として民生の安定等々につながることは、おそらくは望ましいことではございますけれども、民生全般ということになりますと、これは経済だけのアプローチ以外にいろいろな方法があると考えましたので、この基金の性質にかんがみて「経済の安定」ということにいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/3
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004・中谷鉄也
○中谷委員 法の目的第一条で、長官御答弁になりましたように、あるいは民生の安定とか社会の安定というふうなところの意見もないことはなかった、しかし、本来協力基金に関する本法律については「経済の安定」とすることが最も妥当であり適正であると考えられ、そういうふうな改正案を提出をした、こういう趣旨の御答弁であると拝聴いたしました。
そういたしますと、法の二十条は、いわゆる商品援助といわれている改正の二つ目の大きな眼目の物資の輸入について、すなわち商品の輸入についての改正をなされたと思うのですけれども、お尋ねいたしたいと思いますが、経済の安定あるいは社会の安定、民生の安定というふうなことばが考えられるが、基金法の性格からいって「経済の安定」ということにしたと言われるが、もしかりに、民生の安定、社会の安定ということであるならば、この二十条の「物資の輸入」ということは、法の目的との関係において限定をされたりその範囲が違ってくると思うが、社会の安定あるいは民生の安定というふうなことばではなしに、「経済の安定」という法の目的を明定した中において「物資の輸入」というのはどういうふうな範囲を持つものか、何か社会の安定というときと違うように私は思うけれども、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/4
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005・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 改正法第二十条で定める物資について、いわゆる商品をいっておるわけでありますけれども、直接の消費物資でございましたらかなり民生に近いことになるわけですが、しかし同時に、その場合にそういう消費物資の需給をふやすことによってインフレーションを押えるという役割りがすぐに出てまいりますから、そういう意味では、それはとりもなおさず経済的な安定につながるわけだと思います。
それから、商品の中で多少資本財的なものが考えられますが、これはおそらく、しいて分けて言えば、直接民生というよりはやはり経済といった色彩が強いであろうと考えるわけでございます。
〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/5
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006・中谷鉄也
○中谷委員 いまのようなお尋ねをいたしましたのは、次のような質問についての前提としてであります。
まず最初に、通産省にお尋ねをしたいと思います。
従来の政府の統一見解、通産省の統一見解は、すでに国会において答弁をされておりますが、兵器の問題について通産省はどのような統一的な見解をお持ちですか。
なお、たとえば武器等製造法によりましては「武器」ということばがある。兵器の輸出についての国会答弁はすでになされているけれども、武器、兵器などということについて、もし通産省において理解していることが異なるとするならば、武器と兵器についての統一見解はかくかくしかじかである――もし武器と兵器というものが統一見解の中において同義語として用いられているならば、ひとつ統一見解をあらためて御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/6
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007・原田明
○原田政府委員 お答え申し上げます。「武器」ということばを法律上定義いたしておるものとしましては、武器等製造法第二条の第一項がございます。これによりますと、「武器」とは、「銃砲」、「銃砲弾」、「爆発物」、「爆発物を投下し、又は発射する機械器具であって、政令で定めるもの」、「前各号に掲げる物に類する機械器具であって、政令で定めるもの」といったような定義がございます。輸出貿易管理令におきましては、武器ということばは使われておりませんが、同令の別表第一におきまして、輸出の承認を要する貨物といたしまして、一九七の「銃砲及びこれに用いる銃砲弾並びにこれらの部分品及び附属品」というところから一九八の「爆発物、」 一九九の「火薬類、」二〇〇の「爆薬安定剤」等々、二〇五に至るまでの定義がございます。両者の間で規定のしかたが異なっておりますが、現在紛争当事国に対する武器輸出を承認しないという方針をとっておりますのは、紛争当事国による武力抗争に用いられないよう配慮してのことでございますので、ここでいう「武器」とは、軍隊が使用して直接戦闘の用に供するものをさすというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/7
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008・中谷鉄也
○中谷委員 海外援助の問題と、いわゆる兵器、武器あるいは戦略物資の問題について二十分ばかりお尋ねしたいと思っておりますので、もう一度通産省にお尋ねをして先に進みたいと思いますが、通産省の統一見解はいまお述べになったようなことではあるけれども、それだけではございませんね。要するに武器の輸出については、国際紛争などを助長することは厳に避けなければならないので、通産省としてはいわゆる三原則を立てた、そうでございますね。その三原則というのは何か。共産圏あるいは国連が決議した国あるいは紛争当事国、これはいまあなたが御答弁になったものです。あるいは紛争同調国、その三原則に抵触する場合は原則として輸出をしないのだ、そうして、この場合の武器の輸出というのは、軍隊が使用して直接戦闘の用に供せられる武器の輸出についてば、こういうところの前提条件がある。統一見解をひとつ述べていただきたいということでお尋ねいたしましたので、私のほうから当時の統一見解を述べているところの会議録を引用いたしましたが、あらためてひとつ確認的にお答えをいただきたい。こういう統一見解を現在なお変更していないと思うがどうか、こういう質問であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/8
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009・原田明
○原田政府委員 武器三原則と通俗にいわれております三つのカテゴリーに属する国々、共産圏諸国、国連決議国、国際紛争の当事国及びそのおそれのある国というものに対して、原則として武器を輸出しないというたてまえには変わりございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/9
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010・中谷鉄也
○中谷委員 そこで、さらに具体的な問題としては次のような問題がここ数カ月前にございました。すなわち、フィリピン向け弾薬工場の輸出承認を通産省がされた事実がある。これはいわゆる日比賠償協定に基づいて、その弾薬工場において製造される弾薬が治安警察、いわゆる国内治安のために治安警察軍以外は使用しないのだということを前提として輸出の承認をされたが、賠償協定においてもそのようなものであるというふうにお伺いしてよろしいかどうか。こういうふうな見解についても、今後従来のそのような取り扱いについては変更される意思がないと伺ってよろしいかどうか。この点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/10
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011・原田明
○原田政府委員 フィリピンに対する銃弾プラントの賠償による輸出は、先生御指摘のとおり、賠償協定によりまして国会で御承認いただきましたところに従いまして、その事後処理といいますか、その実行といたしましてそのプラントを輸出したわけでございます。したがいまして、これは軍隊で使うものではないというフィリピン大統領の確認をいただいているという点において武器の三原則にも矛盾をしないというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/11
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012・中谷鉄也
○中谷委員 長官にお尋ねをいたします。
新聞の報道によりますと、日本の商社であるある会社とインドネシアの国防省とが、トラック、ジープ、冷蔵庫などの総額約八十億円にのぼる大口輸出商談についてほぼ合意に達した、こういうことが新聞に報道されております。そうしてさらにその報道の内容によりますると、インドネシア側は、日本からの借款が本ぎまりになり次第正式契約をしたい意向だというふうに伝えられている。さらにまた、その解説的な記事によりますと、決済は円で行なうということが伝えられている。
そこでお尋ねいたしたいと思いますが、いわゆる軍需品、通産省の事務処理要領によりますると戦略物資に相なるのではないかと私は理解をいたしますが、これらのものについて、特定の商いがどうなったかこうなったかということは別にしまして、この種戦略物資などというものについてこの基金の金が使われる、あるいは利用されるというふうなことはあり得ることなのでしょうかどうか、この点についてお答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/12
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013・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 武器、兵器等がインドネシア援助の結果、今回基金のファンドによって輸出されるということはございません。それは、御承知のようにボーナスエクスポートの際の輸出してはならない、輸入してはならない物資をネガチブリストできめるわけでございますが、武器、兵器は当然ネガチブリストに入るわけでございますからそれに含まれるということはない。ただ、いまのような事実が具体的にあるのかないのか、実は私どもそういう計画が確認できませんし、それから最後に、その決済は円でするということをちょっとおっしゃったかと思いますが、そうなりますと、どうもこのたびの話とは無関係のような気もいたしますが、いずれにしても、ネガチブリストでそういう武器、兵器が入っておりますから、これが許されるということはないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/13
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014・中谷鉄也
○中谷委員 こういうことでございます。武器、兵器という、まずたてまえといいますか、概念があります。通産省の従来の統一見解は、直接相手を殺傷するそういうようなものをとにかく兵器といっている。そこで、いま私が指摘をいたしましたのは、そういう通産省の考え方の兵器ないし武器ではないと思うのです。
それでは、いまの長官の御答弁は、一歩進めて、そういうふうないわゆる軍需品、あるいはまた通産省の戦略物資輸出承認等事務処理要領にいうところの戦略物資、そんなものもこの基金を使うというようなことはないのだという御答弁としてお伺いしてよろしいのでしょうか。もしそうだとすれば、非常にこれは進歩的な御答弁だと思うのです。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/14
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015・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それは、実は先日もそのお尋ねが出たものでございますから、その部分を省略したのでございますけれども、ジープであるとかワゴンであるとかいうものが武器であるか兵器であるか、あるいはそうでないかということは、これは結局行政で判断をするしかないのでございますから、通産大臣が決定せられるべきものでありましょうけれども、常識的には、そういう輸送機具というものは兵器であり武器であるというふうには考えない、それが普通ではなかろうかと思います。それは、前回の委員会で実はそういうお尋ねがあり、そういうお答えをしておったものでありますからただいま省略いたしましたけれども、それは私どもそういう観念でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/15
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016・中谷鉄也
○中谷委員 きょうはその前回の委員会の問題をさらに少し掘り下げさしていただく、こういうことでございます。
じゃ、局長にお尋ねをいたしますが、インドネシア国防省とトラック、ジープなど、いわゆる八十億円のものについての契約がなりかけておる、こういうふうな報道がありますね。これは局長、もう十分にこの報道はお読みになったと思う。そうすると、通産省のほうの戦略物資というものについては、ずいぶんこれはたくさんな戦略物資というものについての記載が例示されておる。こういうジープとかトラックとかいうものは一体戦略物資でございますか、ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/16
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017・原田明
○原田政府委員 先生御指摘の新聞記事は私どもも拝見をいたしております。しかし、この種の商談と申しますのは非常にたくさんございますので、こういう商談がはたして成立するだろうかどうだろうかという点については、非常はまだまだでございます。
さらに御質問の第二点の、トラック、ジープ等は戦略物資あるいは武器になるかという御質問でございますが、武器でないということはもうはっきりいたしておりますし、また通常のトラック等が戦略物資でもないということもほぼ常識的解釈をして確立しているところではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/17
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018・中谷鉄也
○中谷委員 そうすると、局長にさらにお尋ねいたしますが、戦略物資輸出承認等事務処理要領の中にジープとかトラックというふうなものは含まれてないんだというふうに端的にお伺いしてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/18
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019・原田明
○原田政府委員 戦略物資の規則をいたします対象としてのトラックの場合でも、たとえば銃座がついておりまして、明らかに軍隊の直接戦闘用に供することがはっきりしているというようなものもないことはないと思います。そういうものは戦略物資に入りますが、それ以外の通常のものは入らないと解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/19
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020・中谷鉄也
○中谷委員 そうすると、局長にお尋ねいたしますが、戦略物資輸出承認等事務処理要領の中でいま局長の御答弁になったようなもの、それは処理要領の中に戦略物資として記載されているということになるわけですか、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/20
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021・原田明
○原田政府委員 輸出貿易管理会の別表に載っております品目が輸出の承認を要する品目でございまして、それに載っていない品目は輸出の承認を要しないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/21
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022・中谷鉄也
○中谷委員 もう一度お尋ねをいたします。戦略物資輸出承認等事務処理要領の中に、たとえばジープ、トラックなどという表現に相なっておるけれども、たとえば銃座のついたようなものということになれば、戦略物資輸出承認等事務処理要領の中の記載に該当するものが出てきますか、出てきませんかとお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/22
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023・原田明
○原田政府委員 輸出貿易管理令では「軍用車両及びその部分品」ということになっておりますので、通常の車両は含まれておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/23
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024・中谷鉄也
○中谷委員 長官、そうすると、かりにこの契約、あるいは具体的な契約のみならず将来の契約も私あっていいと思うのですが、軍用トラックといわれているようなトラックを日本の商社がインドネシアの国防総省――これはいろいろな省があるようでございますけれども、要するにインドネシア陸軍、たとえば陸軍の兵員は二十九万だそうです。海軍四万、空軍二万というふうなところへ軍用トラックを売る。そのことについてこの基金が利用されるということはあり得ないことでしょうかどうか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/24
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025・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それは名前でもって判断をするということは、実は非常にむずかしいし、危険な場合もあると思います。というのは、ものは名前が完全に体をあらわすということは困難でございますから、具体的にそれが何だということをほんとうは言わなければお返事はむずかしいと思いますが、そのカテゴリーの問題として、いまの軍用トラックといったようなものが協力基金の内容として出ることがあるかといえば、カテゴリーの問題としては、それは私はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/25
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026・中谷鉄也
○中谷委員 今度はひとつ総裁にお尋ねをしておきたいと思います。先日から御出席をいただいておりますので、いまと同じ質問をひとつ念のためにいたしておきます。
業務方法書の第三条によりますると、「政府の海外経済協力に関する基本政策に即応するとともに、資金の貸付け、出資及び調査の実施に当っては、資金の効率的利用を図り、その適正を期する」こういうことが明らかに記載されているわけです。
〔鴨田委員長代理 退席、委員長着席〕
私が先ほどからしつこくお尋ねをいたしましたのは、要するに援助の相手国、そこへいわゆる軍需物資あるいは戦略物資といわれるようなものを商品援助をする、そのことについて、いわゆる基金のお金が使われる、利用されるというふうなことはあり得るのか、あり得ないのか。総裁、これはどういうふうにお答えいただけるでしょうか。特に、業務方法書の第三条の、政府の海外経済協力に関する基金政策に即応するという観点からどういうことに相なるのか、この点ひとついかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/26
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027・柳田誠二郎
○柳田参考人 武器を供給するような金融は、基金といたしましてはしないつもりであります。何が武器であるかということは、政府に十分に御相談を申し上げた上で決定いたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/27
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028・中谷鉄也
○中谷委員 武器あるいは兵器ということについての統一見解というものは、私出ていると思うのです。私は従来の会議録を調べてみましたけれども、通産省では出ていると思うのです。先ほど私の質問に対して、いわれている三原則というものの方針を変更する意思がないとおっしゃった。ただ、いま私が議論し、問題を提起いたしておりますのは、いわゆる軍需品とか戦略物資とかいわれているもの、これは本来の武器、兵器の概念ではまかない切れないものだと思うのです。ただしかし、海外援助ということで、軍隊の装備であることは間違いないこういうものに海外経済協力基金が使われるというようなことは、一体一般的にいってどうなのか、こういう疑問なんです。ですから、総裁の御答弁としては、武器、兵器という概念が政府のほうと相談をして明確にならない限りは、その点についての判断はいたしかねるということなのか、
〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕
それとも、総裁御自身の権限と御判断で、どこまでが海外経済協力基金になじまないものだというふうなところの御判断をお持ちいただけるのかどうか、この点だと思うのですが、私はこの問題は総裁の権限の問題ともまた若干関連してくると思いますので、ひとつ明確な御答弁がいただけるようでしたらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/28
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029・柳田誠二郎
○柳田参考人 御承知のように、現在の法律では、経済の開発に資する仕事に金を出す、それから今度法律が改正になりますると、経済の安定に資するようなものについての金融をする、こういうことになっておりますので、その範疇におきましては私ども自主的に仕事はできると思うのでありますが、ただいま先生から御質問のありましたような、そういう政治的の意味合いの考えを入れる余地のあるような問題につきましては、すべて私どもは政府と十分の協議をいたしました上で決定をする、こういうことになっておりますから、さよう御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/29
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030・中谷鉄也
○中谷委員 通産大臣御出席になりましたので、お尋ねをいたしたいと思います。
要するに、従来の委員会の審議の中で明らかになりましたことは、たとえばスポーツ用品だとか絹製品だとか娯楽品とか、ぜいたく品などというようなものは、従来からきめられていたところの貴金石などと合わせて全部で六品目になるはずでありまするけれども、インドネシアへは経済援助に関連してでもその輸出をしない、こういうようなことにするのだということを前回の委員会で御答弁になったと私は記憶をするのです。そうすると、これはBEの問題と関係をしてきますけれども、先ほど大臣が御出席になるまで私がお尋ねをしておりましたのは、武器輸出については、従来から通産省の基本的な統一見解というものは承っている。要するに、直接相手を殺傷するようなものは、いわゆる三つの国、紛争当事国、紛争同調国、それから共産国と、それから国連において決議をした国、それには輸出をしないのだということをきめておる。そういうものについては特に輸出をしないようにしようということをきめているというのが通産省の統一見解ですが、いわゆる一般的にお尋ねをし、一つの仮定を立ててお尋ねをいたしますが、通産省で戦略物資といわれているもの、あるいはまたきわめて素朴に考えまして軍需物資といわれているようなもの、それから、これまた別の角度から見まして、軍隊のいわゆる衣服などを除く装備として用いられるようなもの、そういうようなものの輸出は一体どういうことになるのでしょうか、通産省の御見解はどうなんでしょうか、こういう趣旨の質問を大臣にいたしまして、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/30
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031・原田明
○原田政府委員 武器の輸出について三原則を考えておりますということにつきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。武器製造設備についても、ほぼ武器に準じた考え方でいかざるを得ないことになるのではないかというふうに考えております。したがいまして、たとえば先生の御指摘の例で申し上げますと、トラックみたいなものを輸出をするときにこれが規制されるかどうかということでございますが、明らかに軍隊が使用して直接戦闘の用に供するということが確定するような、銃座を持ったようなトラック、軍用車両は規制の対象になりますけれども、それ以外の通常のトラックというものは規制の対象にならないということでございます。たとえばインドネシアに対する経済協力の場合に、軍用飛行機、武器、弾薬というものは、すでにスポーツ用品などと一緒にネガリストに入っておりますので、昨年以降は円借款等でこれを供与することができないことになっているわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/31
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032・中谷鉄也
○中谷委員 恐縮ですが、もう一言整理をいたしまして長官にお尋ねをしておきたいと思います。
私がお尋ねしたいのは次のようなことです。では、一つの仮定を立ててお聞きをいたしますが、インドネシアの国防総省というような役所があるかどうかは別といたしまして、いずれにいたしましても、国防総省が陸軍あるいは海軍、空軍等において使用する目的をもってトラックを買う、そのトラックというのは、先ほど局長から答弁のあったところの銃座のついてないトラック、通常のトラックでございますね。そういうふうなものは承認の対象になるのだ。要するに私の申し上げたいのは、その品物が使用される相手、使用されるのが軍だ、援助をする国の軍隊が使用するものだ。しかもそのトラックというふうなものは協力基金で利用できるのですか。そういうものは利用できない、こういうことに相なるのでしょうか。ひとつ、しつこいですけれども、これでお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/32
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033・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 いまのところはそれは除外しておりませんから、協力の対象になるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/33
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034・中谷鉄也
○中谷委員 長官にお尋ねしたのですが、大臣のほうから御答弁があったのです。
そもそもというところから始まっていくと思うのですが、要するに、基金というのは一体目的は何なのだ、海外協力の目的は一体何だということになると、平和憲法をお引きになって長官が冒頭御説明になったわけです。それがインドネシアの軍隊で使うトラック、銃座はついてなくても、そういうものが一体いわゆる海外援助というものの性格になじむんだろうかという問題が一つあると思うのです。
いま一つは、特に法の改正を求められて、インフレを抑制するという一つの目的、そういうふうな経済の安定という中で、現実の問題、インドネシアの場合はインフレの抑制なんだということで、この商品の援助というものを二十条で特に法案の中に入れられた。軍隊で使う銃座のついているトラックなんというのは、それは援助の対象にしないということだけれども、通常のそういうトラックというものが援助の対象になるんだということが、一体海外経済協力というものの本来の趣旨からいってどうなんだ。相手は軍隊、この点はひとつ長官、明確に御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/34
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035・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 これは観念的にばかり実は問題はいかないところは、ボーナスエクスポートでございますね。ですから、輸入権を得たものがわが国に買いにくるわけでございます。そうしますと、これは明らかに兵器であるとか武器であるとか、あるいは大体それにしか使えないものというものはネガリストに入りますからよろしゅうございますが、それを買って、さてどこへ納めるかということは、こちら側では全然わからないわけでございます。こちら側でできますことは、これはだれが使おうと、兵器であろうと武器であろうと、ネガチブリストに置くことはできるわけでございますが、トラックだから、もしかしたら軍隊が使うかもしれない、もしかしたらそうでないかもしれないということは、おそらく買い入れるほうもわからないまま買っていくであろうと思われますので、そこでチェックしていくことも、事実上チェックすることはできない。したがって、その品物の性格について分けるしかないと思います。これが第一段のお答えでございます。
〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕
第二段は、かりに日本から輸入された、いろいろ軍事的な施設の付帯していないトラックがインドネシアの軍隊に使われたとして、それが戦争目的のみに使用されるかどうかということは、やはりかなりいろいろ問題があるのではないでしょうか。それは整った国ではありませんから、やや軍隊というものは、普通ならば民間のする仕事をかわりにやるようなことは考えられます。たとえば、米を輸送いたしますとか緊急のそういう仕事をするということは、考えられますし、いたしますから、戦争にしか使えないというものはこれは問題になりませんが、しいて言えば、両用にも使い得るというようなトラックみたいなものは、まあ使い手がだれであろうと私は認めてもいいのではないだろうか。行政的には、最初に申しましたようにそれをチェックすることは実際は可能ではない、使用者に従ってチェックすることは可能でない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/35
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036・中谷鉄也
○中谷委員 先ほど私質問の中で述べたと思うのですが、インドネシアそれからフィリピンなどの軍隊の構成、私はよくわかりませんけれども、次のようになっておりますね。陸軍があって、海軍があって、空軍があって、いま一つの警察軍があるわけでございますね。警察軍というのは、日本の警察とは全然構成が違うようです。そういう警察軍というのは、本来国内治安の維持に当たる、こういうふうなもので、軍隊というものはそういうものではないという仕組みになっているというふうに私は理解をしているのです。けれども、長官がおっしゃったように、たとえば日本の自衛隊というふうなものの一つの機能の中で、災害の救助をするといういま一つの自衛隊の自衛のための仕事というのは、向こうでは分解をしているらしい。一つは警察軍であり、一つは陸軍だということになっているというふうに私は理解している。
だとすると、いま一度お尋ねいたしますが、陸軍にそういうものが供給されるということになれば、これは明らかにいわゆる二つの目的があるというその一つの目的しか果たさないことになるじゃないかと私は思う。それが第一点。
いま一つは、BEという制度をとっているからチェックしがたいということですけれども、ひとつお尋ねしますが、国防総省が陸軍のためにそういうトラックなんかを輸入するんだ、商品援助を受けたいんだというような手続の場合、そういうことがわかっているときにそういうことをすれば好ましくないと言えるのではないでしょうか。たとえば一昨年でございましたか昨年でございましたか、原始怪獣の映画が援助の品目の中に入っておったということがたいへん問題になりましたが、国防総省がそういうトラックなどを買うということがわかっておったならば、チェックしがたいということを――長官としては、そういうことがわかった場合には、海外援助の趣旨から見てチェックをされるかどうか、そういうことについて相手方と話し合いをされるかどうか、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/36
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037・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 そういうことはBEによって起こり得ないわけでございます。つまり発注するということはないわけで、向こうの政府との間に協力基金が契約を結びまして、そうしてその金額の範囲内では、ネガチブリストにある以外のものは何でもお買い下さい、こういうことになっておるわけでありますから、だれがそれを、何をどう使うんだということがわからないままに輸入権が向こうに売られている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/37
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038・中谷鉄也
○中谷委員 私は、この点質問が間違っておったら、たいへん恐縮ですけれども、インドネシアの国が買い主でございますね、国防総省でございますから。その場合には、たしか事務処理要領の承認の対象外に――要領によってはなるはずでございますけれども、国の場合でも、BEの場合にはそういうことになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/38
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039・赤澤璋一
○赤澤政府委員 今回の基金法の改正によりまして、商品援助をいたすわけでございますが、その場合のやり方は、インドネシアについて申しますと、まず国と国が約束をし、基金と相手国インドネシア政府が約束する、そうして向こうではその金額に相当なものをBEとして政府が一般に売り出すわけです。売り出したものは、BEでもってだれか輸入業者が買うわけですね。買いましたものを日本の輸出業者と適当に契約して輸入する、こういう手続をとるわけでございます。したがって、インドネシア政府自身がBEという制度をとって買い付けるということはないと思います。だから、もし先生のおっしゃいますようなことがあるとすれば、それは今回のBEと関係なしに、別にインドネシアの国防総省なり何なりが適当に約約をして、一般には輸入業者として出ていることはあり得るかと思うのでありますが、インドネシア政府がBE制度として今回の制度を利用して日本から買うということはないと思います。
ただ、もう一つ考えられますことは、BEでもって向こうの輸入業者が入れました一般的なトラックなり何なりを政府がそれから買うということは、あるいはあり得るかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/39
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040・中谷鉄也
○中谷委員 そういうふうな場合、いま局長が最後にお述べになった場合、私も最初は予想しておったのですが、BE制度があるという場合に、いわゆる国防総省が直接買って、しかも、それについて援助の対象になり得るようにするというふうなことは、全然手続的に不可能なんでしょうか。そういうこともできるのか、全然できないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/40
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041・赤澤璋一
○赤澤政府委員 私どもの承知いたしておりますところでは、国が直接BEを使って日本から輸入するということはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/41
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042・中谷鉄也
○中谷委員 では別の質問に変えたいと思います。
従来この問題については、すでに同僚委員から質問があったと思いますが、基金と輸銀の性格をひとつ明確にすべきではなかろうかというふうなことが論議されたと私は思うわけです。たとえば基金の一般融資、出資それから直接投資というふうなものが輸銀の仕事を重なっている場合があるのではないか、こういうようなことで、基金の本来の仕事に集中徹底することが適当ではなかろうかというふうな議論が私はあると思うのです。
これはひとつ総裁にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、基金のお仕事を最高責任者としておやりになっているお立場から見まして、基金と輸銀の性格を明確にするというふうなことについて、ひとつ御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/42
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043・柳田誠二郎
○柳田参考人 ただいま御質問のあったようなことが実際に問題になった場合はあります。それは輸銀のほうが先へできておりまして、基金が御承知のようにあとからできましたので、本来ならば私どものやるべきものを輸銀さんがやっておった、それが沿革的に輸銀さんのほうへ残っておった、そこで重複をする、こういう問題があったのでありますが、もともと輸銀は名前のごとく銀行でありますし、私どものほうの仕事は協力基金、経済開発に協力をする、こういう本来のたてまえからできておりますので、当然その間にはっきりした区別があってしかるべきものだろうと思うのであります。今回の私どものほうの法律改正は、その分界を明らかにする一歩と申しますか第二歩と申しますか、その方面に向かって進んでまいってきておるわけでございます。実際問題といたしまして、そういう重複する問題がありました場合には、輸銀の理事と私どものほうの理事とが懇談会を開きまして、実際にはその間の調整は十分に私はよくできておると思うのであります。お説のような点もありましたので、これからその分界がますますはっきりしてくる、こういうふうに御了解をいただきましたらけっこうではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/43
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044・中谷鉄也
○中谷委員 次に、アジア民間共同投資会社の問題について、これは構想でございますけれども、この点について企画庁長官の御答弁をいただきたいと思います。この点についてはすでに研究報告等も出ているのですけれども、この構想に対する見解をお答えいただきたい。特にこの場合の民間投資のあり方というようなこともあわせてお答えをいただきたいと思います。なお同時に、民間投資会社というようなものの設立の資金と、基金との関係は一体どうなるのだろうかというような点も問題点だろうと思いますので、あわせて御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/44
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045・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 私どものほうではそういう考えを具体的に立案者からお聞きしたことも実はまだございませんので、したがって意見を申し上げる段階でございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/45
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046・中谷鉄也
○中谷委員 次は外務省と運輸省にお尋ねをいたしたいと思います。と申しますのは、海外援助のあり方に関して、最近問題になりましたいわゆる北ベトナムへホンゲー炭を輸入するために出航いたしました光徳丸の問題についてお尋ねをいたしたいと思うわけです。
この問題について、まず北ベトナムへ光徳丸が出航した問題については運輸省は一体どのようにお考えになるのか。外務省は、新聞の報ずるところによりますと何かこの問題について中止を申し入れられたというふうなことが伝えられている。そうしてすでに出航してしまっているのですけれども、対米関係上、北ベトナムへの配船は好ましくないというふうなことが報ぜられているわけです。一体これらの問題は、私はいわゆる正常な貿易だと思いますけれども、そういうふうな問題について何か外務省が独断で配慮をされておるのだとするならば、この海外援助のあり方というようなものともどこかで結びついてくるような気がする。したがいまして、光徳丸の配船に関する問題についてまず外務省の御見解、そして運輸省の御見解をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/46
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047・堀武夫
○堀政府委員 お答えをいたします。
ベトナム方面に対する配船は、非常に危険が伴う情勢になって以来、海員組合等から船主側に対しまして配船を中止するようにといういろいろな働きかけがございました。したがって四十年の三月以来、船主がその配船、特に北ベトナムに対する配船を自主的に中止いたしておりました。
それで、このたび光徳丸を配船することになりましたが、これは五月十日に神戸を出航し、香港は五月十九日に出航してカムファという北ベトナムの港に入る予定でございます。この配船が新聞紙上に出たときに、外務省から事務的な連絡がございました。課長から課長に対して、この配船は抑制といいますか、することは可能かどうかというような連絡がございました。われわれといたしましては、これをとめる権限もございませんし、方法もない。すでにその船は神戸を出航した後でございましたのでとめる方法がないし、とめる考えはないというお答えをいたしておいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/47
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048・藏内修治
○藏内政府委員 御存じのとおり、北ベトナムに対する北爆が強化せられました時期に、船員の安全確保のために配船の停止を、外務省としては、意見を具申したことはございます。今回配船を運輸省のほうで指示せられたと私どもは承知をいたしておりますが、外務省がさらにこれを差しとめる行政的な権能もございませんので、外務省の意見としては、いまパリ会談も始まった時期でもあり、またいろいろアメリカの保護貿易等の傾向を刺激するというおそれもあるというような意見は、見解としては述べたことはございますが、外務省自身でこの配船を差しとめるという権能もございませんし、そのような措置をとったことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/48
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049・中谷鉄也
○中谷委員 外務省にそういう権能がないということはよくわかります。
そこで、権能のない外務省が、光徳丸という船が北ベトナムへ配船をされた、そういうふうなことについて配慮をされた事情というのは、いま政務次官の御答弁によりますと、パリ会談が始まっておるというふうな状況が一つ、それからいま一つは、アメリカの保護貿易の一つの流れというか、傾向を刺激してはならないというふうな心配と危惧があったという御答弁があった。ところが、こういうふうな批評等も世の中にはありますね。もういまは、とにかくパリ会談が始まったんじゃないか、だから、外務省がおやりになることは、パリ会談が始まっておる今日の情勢下においては、アメリカのほうに向けて、光徳丸の安全の保障を申し入れるのが筋ではないか、運輸省のほうに対して、何か配慮されるべきことがないかどうかというふうなことの意見を具申されたり、意見をお述べになったりするというふうなことは、話としては、適切な処置としてはむしろアメリカのほうに言うべきではないかというふうな見解もあるようです。この点について、もう一度お尋ねいたしますけれども、そうすると、この配船問題について外務省が、中止ができないのだろうかという配慮をされたというのは、いまおっしゃったような二つの事情なんでしょうか。何か私は、光徳丸そのもののいわゆる安全の問題等について、外務省自身が御心配になったのかなと思っておりましたけれども、そうすると全くアメリカに対する気がねということになるのでしょうか。これはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/49
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050・藏内修治
○藏内政府委員 運輸省から配船の再開について、外務省としての見解を求められたので、これに対して意見を申し述べたというにとどまるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/50
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051・中谷鉄也
○中谷委員 そこで政務次官にお答えをいただきたいのは、いまお述べになりましたところの意見の根拠といいますか、御判断の筋道といいますか、それはいまパリ会談が始まっておるのだしということと、いま一つは、アメリカの保護貿易の一つの流れというようなものを刺激してはいけないということなんだから、アメリカに対する配慮、アメリカを刺激したくないというふうなことについて御配慮になってお考えになったので、外務省として、必ずしも配船は好ましくないのじゃないか、やめるわけにいかないのだろうかというような趣旨の意見をお述べになりました、そのお述べになったところの前提となるところの判断は、一言で言えばアメリカに対する配慮なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/51
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052・藏内修治
○藏内政府委員 アメリカに対する配慮が特にあって、そういう意見を申し上げたわけではなくて、これの再開について外務省として、問題点としてどういう点を考慮しておるかということを、外務省としての見解を申し上げた。これらの諸情勢を判断をせられて、運輸大臣の権限で御決定になればいいことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/52
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053・中谷鉄也
○中谷委員 運輸省にお尋ねをいたしますが、運輸省としては、今後この種の問題が起こってきた場合に、同様の処置をおとりになるかどうか。この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/53
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054・堀武夫
○堀政府委員 自後の北ベトナムに対する配船の予定というものは、まだわかっておりません。
〔委員長退席、天野(公)委員長代理着席〕
で、将来の問題につきましては、その時点におきまして、外務省とよく相談をして、決定したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/54
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055・中谷鉄也
○中谷委員 農林大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
インドネシアの近海におけるいわゆるわが国漁船の安全操業の問題というのは、昭和三十三年以来の問題でございまして、この点については、いわゆるインドネシアの言っているところの内水面宣言の合理性、専管水域の問題などについてはもうずいぶん論議がされ尽くしておると思うのです。要するに、法理論としての政府の考え方、これに対するインドネシアの反論等については本日お尋ねする予定はございませんが、次のようなことだけはぜひとも私はお答えをいただきたいと思います。
と申しますのは、スハルト大統領が日本においでになった。この問題について、聞くところによりますと、政府のほうは援助額の明示は避けた。ところが、伝えられるところによりますと、六千万ドルではないだろう、上積みされることは必至だろうというようなことがいわれている。この点については前回の委員会においても論議されました。しかし同時にスハルト大統領の訪日の際に安全操業問題というのが大きな問題として国民の関心を集めました。安全操業の問題というのが大きな関心を集めたことは事実であります。そうしてこの問題について、たとえばマルク外相は安全操業の問題については確答を避けられたというふうなことも伝えられている。しかし、この安全操業の問題というのは、インドネシア近海のほうに出漁するところの漁民にとりましては、たいへん重大な関心事であります。そういうふうな中で、現在われわれは経済協力基金の法案を審議いたしておるのでありますけれども、漁業問題とこの経済協力基金の問題というのは、理屈の上では直接の関係はないけれども、私は非常に関係が、どこかで結びつきがある問題だというふうに思うわけなんです。要するにわれわれが期待をいたしておりますのは、この安全操業の問題については、農林省を中心としてひとつ継続的にこの問題についての交渉をインドネシアとしていただく、その中で日本漁船の安全操業というものをはかっていただく、この点について確約と見通しをとっていただく、このことをわれわれは期待をいたしておるわけでありますけれども、経済援助額の決定と微妙にからみ合っているということでありますけれども、将来かりにこの法案の審議が終わる、そういうような中で、援助問題についての問題が具体的な日程にのぼってきたときに、農林大臣としては、安全操業の問題をそのからみ合わせの中で、どのようにインドネシアと交渉されるか、どのような成果を得られるというふうなことを意図しておられるか、それらの点についてひとつ御答弁をいただきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/55
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056・西村直己
○西村国務大臣 インドネシアの安全操業の問題につきましては、経過はすでに御存じだと思います。昨年実は私も総理と同行いたしまして、当時この問題を扱う経緯等にも関係はいたしております。先般スハルト大統領がおいでになりまして、そうして最終的には、確かに総理大臣とスハルト大統領との間でもこの問題の意見の交換があったことは事実でございます。
そこで見通しでございますが、御存じのとおり、法律問題はたな上げして、そうして政府間で基本的な考え方をまとめ上げ、そうしてやがてこれを民間へ移してまとめ上げよう。漁民の立場からは一日も早く安全操業できるということ――特に私といたしましては、これは国民的な基盤で漁業をやっておるということを私自体も相手のマリク外相等に、当時外務大臣と御一緒に出まして十分伝えたのでございます。したがって、スハルト大統領と総理大臣との間で折衝されました後におきましても、インドネシアのジャカルタにおきましては、昨年来できておりますスペシャルボディ、すなわち特別委員会が開かれておりまして、そこでもいろいろお話し合いが進みつつあることは事実でございます。そこで私どもとしては、先般本会議で外務大臣からも答弁がございましたように、前途に向かっては明るい見通しであるということは、私も大体同じ意見でございます。
ただ、問題は、何と申しましても、現地のやっておられる関係者あるいはまた向こう側の関係者、また向こう側にも一つの住民がおりますから、そこらの感情を十分にお互い同士考慮しながら、円満なうちに一日もすみやかにまとめあげたい。直接的には援助そのものとの関連はございませんけれども、間接的にはそういうものが響きやすい問題であることだけは率直にお答えをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/56
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057・中谷鉄也
○中谷委員 大臣にいま一点だけお尋ねをしておきたいと思います。
御答弁の中にお触れになっていただいたわけですけれども、要するに六千万ドルに上積みされるということは、どうもインドネシアのいろいろな報道あるいはインドネシア政府の見解あるいはアメリカの日本に対するいろいろな要請等の中で必至ではなかろうか。一体そういう上積みというものをどのように評価すべきかという問題をこの委員会で論議をいたしました。そこでひとつ立場を変えてと申しますか、角度を変えてお尋ねをいたしたいのですけれども、スハルト大統領が訪日をされたときにも、どうもわれわれが見るところでは、この六千万ドル上積みの問題と安全操業の問題とが微妙にからみ合ったらしい。そうすると、現在委員会を設けて協議を継続中であるということは私も承知いたしております。またこれらの問題について大臣が御答弁になりましたところのいろいろないきさつについては、できる限り私自身なりに調べさせていただきましたけれども、一点だけお尋ねをいたします。要するに安全操業を農林大臣が交渉されて、漁民のために安全操業についての政府間の約束ができ、そして民間との間の話し合いがつくというふうな、日本の漁民に安全操業を確保できるような状態というものをつくり出すためには、六千万ドルに対する上積みということが要請されてくるのだろうか。要するに、六千万ドルの上積みがいいか悪いかは別として、そういう上積みというふうな一つのものが出てこないと、この安全操業の問題というのは話し合いがなかなかつきにくいという状況なのかどうか、こういう点についてひとつお尋ねをいたしたいと思いますので、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/57
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058・西村直己
○西村国務大臣 私と外務大臣並びにマリク、それから向こうからは海軍関係の一種の海上保安をやっております総司令官と申しますかが参りました。その間では一切その援助問題は出ておりません。もっぱら漁業の安全操業問題でございます。ただ私は事柄が、もう正直に申し上げまして、絶対に無関係というものではなくて、やはり一つのそれぞれの国の政治的背景と申しますか、そういうものにはおのずからなっているということばわれわれも心得てやっていかなければならぬ。しかしそれが直ちに、それでは上積みになったから漁業のほうへ回って漁業がぴしゃっといくと、こういうふうな直接的な考え方ではなしに、安全操業は安全操業のもとに、しかも具体的な三つ四つの点につきまして、しぼりをかけてお話し合いを進めており、それ自体がかなりほどけてまいっておる。またインドネシアのジャカルタにおけるスペシャルボディでもかなりそれがほどけてまいっているということだけは明るい見通しの方向でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/58
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059・中谷鉄也
○中谷委員 終わります。
〔天野(公)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/59
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060・小峯柳多
○小峯委員長 橋口隆君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/60
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061・橋口隆
○橋口委員 前回の質問に引き続きまして、経済協力一般の問題についてお伺いしたいと思います。
初めに、協力基金は昭和三十六年に発足いたしましてから多額の投融資をしてきておるのでございますが、今後アジア開発あるいは後進国の開発が進むにつれてさらに多額の要請が出てくるのではないかと思われます。そういう意味で、基金の拡充強化ということがこれから非常に切望されると思うのでございます。
その点について若干伺いたいと思いますが、四十三年度の基金の資金運用計画はどういうふうになっているか、それを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/61
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062・赤澤璋一
○赤澤政府委員 四十三年度の基金の投融資計画は総額四百四十億円と予定をいたしておりますが、内訳を申し上げますと、政府借款のものが約三百八十億、一般案件六十億、計四百四十億円と予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/62
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063・橋口隆
○橋口委員 いまのお話によりますと、資金運用部からの借り入れが二百億円でございますが、これは借り入れの利子は幾らで、また先方へは幾らで貸し付けるようになるつもりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/63
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064・赤澤璋一
○赤澤政府委員 ただいま投融資計画のほうを申し上げましたが、収入といいますか資金源のほうから申しますと、いまお話しの二百億円の財投の融資を予定いたしております。これは預金部から借りるものでございまして、年利六・五%の利率でございます。
なお、いま申し上げました四百四十億円の投融資のうちの融資の金利でございますが、これは個別の案件によりましていろいろ差異がございます。低いものから高いものまでございまして、それぞれ案件の内容によりましてそのつど基金が決定することになっておりますが、業務方法書によりますと、三・五%以上ということになっておりますので、大体三分五厘から、高いもので六%程度、その間ぐらいで個別の案件の内容によりまして基金が決定をするということになっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/64
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065・橋口隆
○橋口委員 借り入れ金の利子が高くて貸し付け資金は非常に金利が安い、こういうことになりますと、基金の会計上非常に困ると思うのでございますが、そういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。また、基金の健全な運用をはかるためにはできるだけ借り入れ金を少なくして、政府の出資金を多くすべきではないかと思うのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/65
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066・赤澤璋一
○赤澤政府委員 基金の資金でございますが、これにつきましては、御承知のとおり一般会計予算から入りますものと、それからいま先ほどお話のございましたような財投から借り入れるものと二種類ございます。現在のところ、法律によりまして借り入れ金のほうは一般会計からの出資並びに積み立て金の合計額を上回ってはならないことになっております。つまり大ざっぱに申しますと、出資と借り入れとが一対一、こういうことでございますので、全体からいたしますと、六分五厘のお金を借りましても、一方で出資の金がこれに見合ってまいりますので、その点については相当低い金利で貸し出しが可能になることになっておると思います。
また後段で御指摘のように、今後ますますこういった低利、長期の資金の需要が多くなると思いますので、私ども基金を監督いたしております役所といたしましては、今後とも出資のほうの金額をできるだけふやしてまいるように努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/66
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067・橋口隆
○橋口委員 この出資につきましては今年度六十億円となっておりますけれども、予算折衝の際に大蔵省との間で十分な了解ができたのかどうか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/67
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068・赤澤璋一
○赤澤政府委員 ただいま申し上げましたように、基金の出資並びに借り入れ金につきましては、合計の金額がほぼひとしくなるということでございます。四十三年度の予算折衝におきましては、もとより私ども相当多額の出資を要求もし希望もいたしたわけでございますが、全体からいたしまして六十億並びに二百億の融資ということで、累計のバランスからいえば、まだ出資金のほうが多いという状況でもございます。全体の予算の関連もございまして、私ども先ほど申し上げましたような四百四十億円という範囲の投融資をし、かつ利率等につきましても、従来の状況を勘案いたしますと、まず四十三年度につきましてはこの予算で十分やっていける、かような考え方のもとに六十億円の出資ということに最終的に決定をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/68
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069・橋口隆
○橋口委員 そうすると、今年度はそれでいいかと思うのですが、将来非常に投融資の金額が大きくなったといたしました場合には、現在のように借り入れ金と債券による債務額が資本金と積み立て金との総額をこえてはならない、この規定は非常な制約を受けると思うのでございますが、そういう点で、法改正によってこの条項を少し変えて、そして将来もう少し自由に借り入れ金もできる、投資もできる、こういうような改正はお考えになっておりませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/69
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070・赤澤璋一
○赤澤政府委員 経済協力基金は、その性格から申しまして、やはり後進国と申しますか、発展途上国の援助のために使うお金でございますので、どうしても長期、低利ということが重要な要件になってまいると思います。その意味合いからいたしますと、活動範囲を広め、さらに投融資の金額をふやしていくということはもとより大事でございますけれども、ただそれが借り入れ金のほうをふやしますと、結局投融資条件が勢い辛くならざるを得ない、こういうこともございますので、その辺、全体の資金量と、それから貸し付けますものの内容と、そういったもののかね合いであろうかと思うわけでございます。そういう意味合いから私どもといたしましても、今後国の財政事情等もございますので、全体を勘案いたしまして検討したいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/70
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071・橋口隆
○橋口委員 ただいまの問題につきまして、基金の経理については大蔵省が全面的に関与しているわけでございますが、その点で大蔵省当局の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/71
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072・岩瀬義郎
○岩瀬説明員 お答えいたします。
基金につきましては、今年度一般会計から六十億の出資をいたしたわけでございますが、財政の余力等から見まして、経済協力全般に関しましては、輸銀と基金と合わせて総合的に判断をしてまいるわけでございますが、基金につきましては、従来の実績等から見まして、六十億をもって一応四十三年度は十分、適切な出資であると考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/72
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073・橋口隆
○橋口委員 もう一回申し上げます。
基金法によりますと、借り入れ金を債券の債務額、それは資本金を積み立て金の総額をこえてはならない、こういう規定がありますけれども、それは将来投融資が非常に大きくなった場合には、基金を非常に制約することになるんじゃないか。その点について調整局長からお答えがあったわけですが、大蔵省当局としてはどういうふうにお考えになるのか、それを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/73
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074・岩瀬義郎
○岩瀬説明員 先ほど調整局長から御答弁いたしましたように、金利は、借り入れをふやしますれば、確かに条件としては軽くなるわけでございます。しかしながら、一般会計の金を全部――一般会計のほうの比率をふやしますれば、確かに条件としてはソフトになります。しかしその間は、財政の余力等から考えまして、やはり限度はございますので、私どもとしては現在の融資と出資の割合というものを堅持してまいりたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/74
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075・橋口隆
○橋口委員 これは企画庁の長官にお伺いしたほうがいいかと思いますが、この基金は、輸銀と違いまして利益をあげる必要はない。ただ収支相償って開発援助の目的を達すればいい、そういうような基本的なお考えでございますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/75
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076・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 そのとおりと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/76
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077・橋口隆
○橋口委員 それでは次に伺います。
これは基金の総裁に伺ったほうがいいかと思いますけれども、四百四十億円の内訳でございますが、これは国別には大体どういうふうになっておりますか。インドネシアその他各国向けの内訳というのは大体どのくらいに予定をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/77
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078・柳田誠二郎
○柳田参考人 四百四十億円をどういうふうに使うかという問題でございますけれども、これは基金法が通りました上で、ひとつ政府の御当局の方ともよく相談をいたしまして、開発に資する金の使い方、あるいは経済の安定に資する使い方、こういう二つの面におきまして、ひとつよくバランスのとれた資金の運用をやりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/78
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079・橋口隆
○橋口委員 先日お伺いしたのでございますが、インドネシア向けの援助はさしあたって六千万ドル、こういうふうにきまっておりまして、長官からは、多少弾力を持って考えてもいい、こういうようなお考えでございましたけれども、そういう余裕が基金としてはおありになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/79
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080・柳田誠二郎
○柳田参考人 先ほど調整局長からも御返答があったと記憶しているのでありますが、四百四十億円をどういうふうに使うかということは、御承知のような状況でありまして、非常にむずかしい問題が中に入っておるのではないかと思うのであります。でありますので、御質問のありましたように、六千万ドルに積み重ねをするかどうか、こういうような問題は、やはり国としてその根本をきめていただく、こういうことによりまして私どものほうの仕事のやり方をきめていきたい、こういうふうに考えておるわけでありますので、そのとおりとひとつ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/80
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081・橋口隆
○橋口委員 それでは次に伺いますが、この総額四百四十億円のうち、産業開発に向けられる分と商品援助に向けられる分とが大体どれくらいの比率になりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/81
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082・赤澤璋一
○赤澤政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、これは基金の投融資計画をつくります際、私ども予算をつくります際のいわば積算の内訳とでも申しますもので、このとおりやるというふうに決定はいたしておりません。それぞれの案件につきましてもいろいろ計画のズレもございますし、また直接借款におきましては政府間の交渉でどの程度手間どるか、また相手方との内容の詰めがどの程度進捗するかといったようなことで相当変わってまいりますので、一応予算の決定をいたします際の積み上げとしてつくったものでございまするが、大ワクで申しますと、私ども一応一般の民間の案件を約六十億円程度ではないかと考えております。また政府が直接借款ということで考えておりますものが残りの約三百八十億円でございまするが、そのうちですでに政府間で取りきめをいたしておりますもの、韓国、台湾、タイ、マレーシアといったようなすでに既往の案件がございまするし、そのほかに今回の法改正が成立いたしますれば出てまいりますようなインドネシア、またフィリピンその他の国も、あるいは政府間の取りきめが出てまいりますれば、この基金をもって対処するということになってまいろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/82
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083・橋口隆
○橋口委員 私がお聞きしたい点は、開発援助と商品援助との比率でございますが、どれくらいになさるつもりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/83
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084・赤澤璋一
○赤澤政府委員 開発援助と商品援助という御質問でございまするが、実はインドネシアにつきましてもまだ六千万ドル――かりに六千万ドルとこう予定いたしておりますが、この内訳がどういうふうになるかきまっておりません。その他の国につきましてもまだ商品援助というようなものは考えておりませんが、従来の韓国、台湾、タイ、マレーシアといったような、すでに過去に取りきめの行なわれました分につきましては、これは開発援助と申しますか、従来の法律によります融資と考えていただいてけっこうだと思います。インドネシアの分は、まだそういうことできまっておりません。おそらく本年度におきましては、こういったような商品援助というもので基金が融資いたしますのは、このインドネシアの分だけだろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/84
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085・橋口隆
○橋口委員 私が特に希望したいのは、できるだけ開発援助を多くして、これが基本的な課題だと思いますので、その援助を主にされまして、商品援助は今回の法改正の趣旨にもありますように、経済安定に必要な最小限度にとどめていただきたい、それを特に要望をしたいわけでございます。
そこで産業開発援助の内容でございますが、この前お伺いしたところによりますと、基金の設立以来現在までの実績でございますが、公共事業に大体五〇%、工業に三八%、それから鉱物資源等に七%、農林水産業に五%となっております。これは先日もちょっと質問したのでございますが、これからこの後進国開発の主眼というのは、やはり鉱物資源あるいは農林水産物資源の開発に重点を置いたほうがいいのではないか、そういうふうに考えるわけでございます。そういう意味で工業投資三八%が多過ぎる、また公共投資の内容も、これは詳細に当たってみないとわかりませんが、おそらくダムなんかの建設もこれに入っておると思いますけれども、できるだけこれからそういうような鉱産物、農林水産物資源に重点を置いて開発していただきたいと思うわけでございます。そういう意味で、これからのわが国の対外援助のうちで開発援助と商品援助とどれくらいの比率でやったらいいか、その点をひとつ企画庁長官にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/85
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086・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 御承知のように、商品援助は直接借款によるものでございます。御指摘のように商品援助というのは相手が相当の消費物資不足、インフレというようなときに限って大体行なうのが本筋でありまして、本来ならプロジェクト、それもいま仰せられましたように、農業であるとか、あるいは公共投資にしても、ごく基本的な公共投資をまずやっていくべきものだと思います。ただ経済協力でありますために、相手方の希望になるべく沿う、こちらから積極的に申すものでございませんために、従来相手方の政府が、とかく農業というようなじみな計画に力点を置かない場合が多かった。これはいろいろ事情もございますと思いますが、できれば相手方がそういう経済の基礎からつくり上げるような協力方をわがほうに申し入れてきてほしいものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/86
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087・橋口隆
○橋口委員 産業開発資金のうちで特に問題となる点を伺いたいと思いますが、鉱物資源あるいは石油の開発の場合、現在金属鉱業探鉱促進事業団でも石油開発公団でもこれをやっておるわけでございますが、その点の業務の調整というのはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/87
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088・赤澤璋一
○赤澤政府委員 海外の鉱物資源並びに石油資源の開発でございまするが、御指摘のように、ただいまもお話しのような公団がございまして、それぞれこれをコメントすることになっておりますが、基金でも当然こういったものに重点を置きましてやっていくことにいたしております。そういう意味合いから、海外のものにつきまして基金が主力になってこれをやっていくというような考えをいま持っておりまして、現在この両公団と基金の間でせっかく個別のプロジェクト、また今後の進め方等について業務の調整をいたしておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/88
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089・橋口隆
○橋口委員 産業開発援助の実施段階におきまして、非常に効率的ならしめるために、開発事業の調査制度をこれから十分活用することが望ましいと思います。また、現在タイとか韓国におけるように、基金職員の海外常駐制度というものをもっと活用されたほうがいいと思いますが、この点についてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/89
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090・柳田誠二郎
○柳田参考人 いま御質問のように、仕事をやったあとのトレースということは非常に必要だろうと思います。基金が今日までやりましたのは、プロジェクトに対する投融資でありますので、どういうふうに仕事が進行しておるかということは十分に見ておりますので、そういう点の心配は今日までなかったと思います。もし今度基金法が改正になりまして、経済の安定のために商品をもって援助をするというような場合には、どういうふうにこの金が使われて、どういうふうな経済の安定に資したかということにつきましては、ひとつ十分のトレースをやりたい、そういう仕組みをどうするか、こういうことを考えておるわけであります。ただ危険なことは、相手国に対しまして、何か自分の仕事に関与してくるのではないかというふうな印象を与えることは非常にまずいと思うのでありまして、その点をどういうふうに調整するかということは、非常に大きな問題となっておりますので、その点に十分な考慮を払いながらひとつトレースの方法をやりたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/90
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091・橋口隆
○橋口委員 それではいまのトレースを十分にひとつやっていただくような組織を考えていただきたいと思います。
次に技術協力の問題につきまして外務省にお聞きしたいと思いますが、この基金と海外技術協力事業団とは十分連携をとって、これからの開発に取り組んでいただきたいと思うのでございます。そのうちで、技術協力について重点産業をどういうふうに考えておられるか、いままでは多少工業に偏し過ぎておるのではないか、そういう意味で先ほど申し上げましたように、これから農林水産業あるいは鉱物資源の開発に取り組むために、特別の施策が必要だろうと思います。そのうちでも現在アジア農業技術研修センターというのを内原につくっておいでになるようでございますが、これもけっこうだと思いますけれども、これは一毛作の地帯でございますから、もう東南アジア向きではないと思います。そういう意味で、日本でも二毛作を推進しておる四国あるいは南九州、そういうところにもつと大規模な農業技術センターをおつくりになる考えはないかどうか。これは外務省と農林省に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/91
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092・藏内修治
○藏内政府委員 技術協力の今日までのあり方が工業に偏してはいないかという御指摘がございました。後進国といたしましては、自分の国の経済基盤を急速に強化したいという考え方から、とかくそういう工業開発の面に走りたがる傾向があるのではないかという感じはいたします。そういう観点からしまして、今日までの日本の海外技術援助についても、多少のそういう傾向はあるいは御指摘のとおりあるかもしれません。しかしながら農林漁業その他第一次産業についての技術協力も、それぞれの国の経済基盤、あるいは地理的条件、自然の条件等々を考慮いたしまして、これらを等閑に付しないように、バランスのとれた技術援助を今後やってまいりたいと思っております。
それからいまの技術研修センターでございますが、これも外務省といたしましては、多数の開発途上国からの技術研修者を受け入れる準備を進めておりまして、特に東南アジア付近を重点にして考えれば、地理的条件といたしましては、やはり西日本地域のほうが適当かと思いますが、これらについては全般的な体制もございますので、今後十分検討さしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/92
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093・大和田啓気
○大和田政府委員 私ども大規模の研修センターをたくさんつくることは、現在考えておりませんけれども、御指摘のように四国、九州等において、東南アジアの技術者の養成を行なうのに適当な地域もございますし、また試験場もございますので、そういう試験場について、研修生の受け入れの施設をだんだんに増強をしてまいる計画で、現在準備を進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/93
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094・橋口隆
○橋口委員 それでは最後にお伺いしたいと思いますが、企画庁の長官、通産大臣、大蔵大臣と見えておりますので、基本的な問題についてお伺いしたいと思います。
わが国は国連ではAAグループに属し、また後進地域の開発におきましては、先進国側に立っておるわけでございますが、その点でいわば双頭、二つの頭を持っておるわけでございますけれども、今後後進地域諸国の信頼を買うためには、わが国がもっと具体的な基本的な、開発の政策というのを持つことが必要ではないかと思われます。その点で現在までのところ後進地域の開発は、政治的な民主体制を確立するということと、工業化ということに重点が置かれておるようでございますけれども、最近の後進地域の実情を考えてみれば、人口と食糧とのこの調整をどうするかということが、まずさしあたって一番大きな問題ではなかろうかと思います。そういう意味で基本的な思想というものを今後どういうふうにお考えになっているか、これをひとつ、せっかく三木外務大臣もおいでになりましたので、まず外務大臣からお伺いして、最後に長官にひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/94
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095・三木武夫
○三木国務大臣 橋口君の御指摘になったものはきわめて重大な問題だと思います。それはなぜかといえば、工業化といっても、やはり国の安定には食生活の安定というものが第一番にあるわけであります。ところが、戦前はだいぶ食糧を輸出しておったのが、最近はほとんど食糧の輸入国ですから……。そういう点で、工業化もやらなければならぬけれども、やはり基本的には農業開発、食糧というものが自給できる体制をつくることが東南アジアでは非常に大事である、そういうことで、日本も農業開発基金――これは日本が提唱して今度置くことになったわけですね。アジア開銀の中に特別基金を置く、こういうことで、農業開発、これはバイラテラルでなしに全体的な問題として取り扱っていこう、そういうことで、こういうことが軌道に乗ってくれば、農業開発の上においても相当寄与すると思いますが、いま御指摘のように、人口はふえる、だから少々農業の成長率があってもみな人口の増加に食われてしまうので、したがって、今後東南アジア経済協力を考えるときに、じみちな農業の開発ということを無視することはできない、全く御指摘のとおりだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/95
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096・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それにしいて加えますれば、やはり農業と軽工業の技術者をあちらでもこちらでも養成するようにつとめるという協力が、一つ必要かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/96
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097・橋口隆
○橋口委員 それでは最後に一つお伺いいたしますが、きょうは後進国援助の関係閣僚の方々みなおそろいでありますが、先日社会党からも質問が出ましたけれども、この際開発援助の基本構想を統一するために、後進地域開発協力の関係閣僚会議を将来おつくりになるお考えはございませすかどうか、それを最後に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/97
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098・三木武夫
○三木国務大臣 いまのところは、閣僚間で相談する必要があるときには、経済閣僚会議とか、いろいろいままでの会議を利用して話し合っておるわけであります。これでいまのところは、話し合う必要の起こった問題を処理するのに非常に不便を感じておりませんが、しかし将来後進国援助というものが本格化してきたときには、いまの機構というものは検討を要するものがあろうと私は思っています。現在はいま連絡を緊密にしてやっておるけれども、日本にもいろいろ余裕ができてきて本格的に後進国援助と取り組むという場合には、現在の機構ではどうも不十分な点もある、やはり将来の研究の課題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/98
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099・橋口隆
○橋口委員 それでは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/99
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100・小峯柳多
○小峯委員長 近江巳記夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/100
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101・近江巳記夫
○近江委員 本法案の審議にあたりまして、基金の問題、あるいはまた海外援助の問題等につきまして私の所見を述べまして、それに対する答弁をお願いしたいと思います。
わが国の過去の経済援助の状態を見ていきますと、とかく大もの政治家といわれる人のそうした汚職、またそれとうらはらの関係にあるそうした援助の非効率化というものがつきまとっておった。またそれは東南アジアに対する援助で特に目立っておるように思います。これは私だけではなくして、国会の会議録から思いつくままに私も拾ってみました。三十四年の三月の十三日、衆議院予算委員会で、時の総理岸信介氏と通産相の永野護氏の両氏が、フィリピン、インドネシア賠償とからんで木下商店から熱海の別荘をもらったというような事件が今澄氏によって火がつけられ、大問題となっております。また最近では昨年十二月十八日参議院予算委員会で矢山委員が基金の台湾曾文渓ダムに対する五千万ドル融資にからむ岸信介氏のリベート問題、台湾の国会で問題となった事件を取り上げております。また今国会では三月二十九日の法務委員会で岡田議員が、フィリピン援助に関しての岸信介氏の女婿安倍議員のリベートにまつわる詐欺事件を追及されております。こうした三つの事例というものは私はほんの氷山の一角にすぎないと思います。とかく経済援助において特定のそうした大もの政治家が介在していることがあまりにも多いわけです。またそのことは官庁のセクショナリズムと相まって、援助効果を著しく削減しておる、このように思います。援助にまつわるそうした汚職の問題、非効率あるいはまたそうした政治モラルもさることながら、こうした制度上の欠陥も大きく原因があると思います。過去の事例から推しても、援助の規制はあくまでもシビアーでなければならない。ところが輸銀法を見ていきますと、二十五年の制定以来、累次の改正によって、いまではプラントや技術輸出の融資だけでなく、何でもできるようになっております。今回の基金法改正も何でもできる底抜けの改正ではないかと私は思うのです。
ここに経済同友会のパンフレットがありますが、「経済協力体制に関する提言」、読むと時間がかかりますから抜粋しますが、これは二月十六日に発表された経済援助についての政府に対する勧告でありますが、その中にこのように書いてあるわけです。わが国の援助資金は産投から輸銀や基金の資金補てんとして計上されるだけで、その後は政府が自由かってに使って、国会の審議を経る必要がない、アメリカでは対外援助費は予算に計上され、国会やマスコミで活発に討議されていることと考え合わせると、実に奇妙な話である、このように述べているわけです。援助費を予算化、計画化し、国会で十分審議を尽くすべし、そういう議論がなされておるわけです。援助費のそうした予算化を伴わない基金法のみならずそうした改正というものは汚職の窓口の拡大化に通ずる、いままでの事例を見ても私はそう言わざるを得ないと思う。
また制度上のなお一つの大きな欠陥は、援助行政が各省に分かれ、セクショナリズム化していること、それはまた責任の所在というものが不明となり、援助効果のそうした追跡調査を困難にしていることであります。またそこに汚職のはびこる温床がある。
基金法改正の前提として援助費の予算化と援助行政の一本化、責任所在の明確化がなければ、過去の実例から、基金法の改正は汚職奨励法ともなりかねないと私は思います。
前段については宮澤長官から、後段については三木外相から、それぞれ所見を聞きたいと思うのです。あとで再びこの具体的な問題についてお尋ねしますから、答弁はひとつ明確に率直にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/101
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102・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 経済援助は予算法令に定められた範囲内において政府が約束し、いたすものでありますから、それを逸脱しているというようなことはないと思います。できればこういうものは弾力的に、タイムリーになされることが望ましいと思っておるのでございます。今度の改正もやはり時の要請に応じようとしておるのでございます。そのことと、一般に行政の運営をめぐって好ましくない事件が起こるということは直接に関係がないわけでありまして、後者は後者として戒めるべきものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/102
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103・三木武夫
○三木国務大臣 この海外援助に対して、各省のセクショナリズムに非常に災いされていないかということですが、各省ともいろいろ立場立場があるわけですから、外務省は全体の外交政策の上から、大蔵省は財政政策の上から、それぞれありますから、意見が一致しないこともむろんあるわけでありますけれども、全体として日本の国家的な利益という点で最後には話し合いの結論は出ておるのでありますが、やはり日本の行政組織の中にセクショナリズムの弊害はあると私は思う。セクショナリズムの弊害は、後進国の援助ばかりでなしに、やはり将来行政機構改革の一つの課題だと思います。あまりにもみな各省が強くなってきて、しかも一生そこで、役所を出てからもOB組織などあって、なかなかやはり日本の何かこういう点には行政機構の上に問題を持っておる、検討を必要とする、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/103
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104・近江巳記夫
○近江委員 いわば所感でありますから、次に入りたいと思いますが、基金の総裁にお伺いしたいと思うのですが、総裁も御存じのとおり、私も資料をここに持っておるわけでありますが、これは四十三年度の投融資計画とその積算の基礎のリストであります。この投融資四百四十億のうち一般案件六十億、これはすべてコミットを与えたものか、または内諾を与えたもので年度内に支出することがほぼ確実視されておる、このように聞いておるわけです。また政府案件の三百八十億のうち韓国、台湾、タイ、マレーシアの百五十三億は既定の継続分である。また年度中は資金確保を必要とする分と考えるわけです。残る二百二十七億はインドネシア二百十六億、あとずっと各国があるわけでありますが、私はこの資料を持っておりますから、計画をひとつ発表していただきたい。また、いずれにしろ現在その予測可能な限りにおいてかたい計画と考えていいか、この点をひとつ聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/104
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105・柳田誠二郎
○柳田参考人 いまお手元にお持ちの計画書は、それば私どものほうから差し上げたものでございましょうか、その点がはっきりしておりませんけれども、四百四十億ですね、これは大体きまっておる数字でございます。これをどういうふうに使うかということは、先ほどからたびたび御質問があったのでありまするが、実際私どもが仕事をやっておりまして、一応話がついておる計画でありましても、実際の手続の運び方が思うようにいかないと、いわゆる計画がおくれる場合も相当あるわけでございます。でありますので、六十億の一般投資といいましても、これもどの程度に実績がのぼるか、わかっておりません。それから直接借款、これは台湾、韓国、インドネシア、その方面でありますが、従来の経験から見ましても、相当実際のディスバースメントがおくれるわけであります。したがいまして、新たに起こる直接借款がどの程度になるかということは、実際の支出の経過を見ませんと、はっきりしたことは申し上げられないのであります。計画をお手元に差し上げてあるのは一応の目安でありまして、必ずしもそこにのぼっておるものが全部そのとおりに実行されるということは申し上げかねるわけであります。なおまた、資金の回収その他について、資金のプラスになる面につきましても相当の増減があるということを私どもは見ておるわけでございますので、そういうふうにひとつその書面をごらんおきを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/105
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106・近江巳記夫
○近江委員 本年度に入って、それじゃいまだに計画が確定していない、こうおっしゃるのですか。それじゃ聞きますが、基金はどんぶり勘定で、そうした財政投融資の計画というものはないと理解をしていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/106
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107・柳田誠二郎
○柳田参考人 私は計画を持っていないということを申し上げたくないのでありまして、計画はありまするけれども、その計画は計画どおりちゃんと実行ができるかどうかということが確言ができないということを申し上げたのでございますから、そういうふうに御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/107
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108・近江巳記夫
○近江委員 どんなことでも、計画をし、そのまま実行できたならば世の中はうまくいきますよ。私の聞いておるのは、それじゃ、実行プランをあなたは持っていないとは言わない。それはある程度変動はあるでしょう。現段階できまったものをここで示してもらいたいということを私は言っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/108
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109・柳田誠二郎
○柳田参考人 私は、いまこまかい点は承知しておりません。韓国に対して二億ドル、あるいは台湾に対しまして四千八百万ドルのうち、本年度どの程度実行するか、あるいはマレーシア、それからタイに対する約束の金を出すのがどういうふうに実行されるかということについて、的確なあれを持っておりませんので、もしそういう問題がございましたならば、事務のほうから御連絡を申し上げてもけっこうだろうと思います。くれぐれも無計画でやっておるのではないということだけはひとつ御了承おきをいただきたい。政府に予算を請求をいたしまする場合に、大体の計画は政府にお話を申し上げておるわけでありますので、ある程度のワクを持って資金の融資あるいは財投の借り入れ金ということを申し上げておるのでありまして、計画がないということではないのでありますので、その点はひとつ先生にもくれぐれも御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/109
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110・赤澤璋一
○赤澤政府委員 ただいまの基金総裁の答弁に、若干補足して、私から御説明申し上げたいと思います。
先ほど先生も御指摘のように、本年度の基金の計画は総額四百四十億円でございまして、そのうちいわば一般案件と申しますか、民間の案件として約六十億円を予定をしておるということでございまして、残りの三百八十億円は、政府の直接借款につきましてこれを基金が行なう分でございます。したがいまして、この政府直接借款の分につきましては、相手国によりそれぞれの計画がございまするので、それから先さらに政府間で話を詰めていく、そういう段階のものが相当あるわけでございます。話が詰まりまして、さらにその中身の詳細の点について基金が相手国政府当局とも相談をして詰めていく、こういう段階でございまするので、私どもといたしましては、一応四十三年度の予算を編成いたしますときに、大体従来の実績なり考え方からこの程度のものであろうという、いわば予算の積算の内容というものを基金の意見も聞きながら決定をしていく、そして最終的にそれがきまる、こういう性質のものでございまするので、先ほど基金の総裁の話がありましたように、すべてこの計画どおりというわけでもないし、また基金自身といたしましても政府直接借款の分につきましては、これは政府の交渉いかんということでもございまするので、おそらくは弾力的に基金としては政府の交渉取りきめの経過を受けて、それから基金が発動をしていく、こういうお考え方であろうかと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/110
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111・近江巳記夫
○近江委員 それでは政府として大体のアウトプランというものはきめているはずです。もう何月ですか、いまは。全然そういうような基本的なものを考えずして、そういうような計画を組めるということは考えられない。現段階においてどの程度のものを組んでおるか、それを発表してください。総裁も、政府に発表してある、国会には発表できないのですか、発表してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/111
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112・赤澤璋一
○赤澤政府委員 政府の直接借款案件でございまするが、現在までにすでに政府間の取りきめのできましたものが韓国、台湾、タイ、マレーシア、四件でございます。今後出てくるであろうということで、新規に経済協力基金になってくるだろうということを考えておりますのがインドネシア、あるいはこれはまだわかりませんが、フィリピンでありますとか、そういったところが出てくるであろうという想定でございます。
インドネシアにつきましては、これは先般来しばしば今回の基金法改正の焦点にもなっておりまするので、予算の積算上一応六千万ドル相当分、つまり二百十六億円を予定をいたしたというお答えを国会でしばしばいたしておりまするが、その他の国につきましては大体の総ワクはきまっておりますけれども、従来からのディスバースメントのおくれもあり、また具体的な内容がこれから詰まっていく、そこで両国間で金額がきまっていく、こういう種類のものでございまするので、これからいわば外交交渉の舞台にのぼるものでございます。そういう意味合いもございまするので、一応の積算根拠はございまするけれども、できればこういう機会に何億円というようなことが外へ出ますとまた外務省その他交渉上の支障になろうかとも思いまするので、できればその点につきましてはいま申し上げましたように、三百八十億円という総ワクでもって、そのうちインドネシアにつきましては一応昨年並みの二百十六億円を予算上計上しておるということにとどめさせていただければたいへんありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/112
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113・近江巳記夫
○近江委員 私はあなた方がとことん困るようなことまでこまかいことを聞いていない。ここは国会ですよ。概算ぐらい言えないのですか。もう一度答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/113
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114・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ただいま概算と考えられる国の名前を幾つか申し上げました。それで十分だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/114
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115・近江巳記夫
○近江委員 だから私はその五カ国の概算を聞いているわけです、大体の計画を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/115
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116・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それを三百八十億と申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/116
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117・近江巳記夫
○近江委員 総計のことを聞いているのではない、私は内訳を聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/117
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118・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 内訳というのは概算ではございませんので、内訳を申し上げることは外交交渉上いいことかどうかということを政府委員は申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/118
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119・近江巳記夫
○近江委員 だから私は内訳の大ざっぱなところを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/119
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120・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ただいま申し上げたことにつけ加えることはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/120
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121・近江巳記夫
○近江委員 とことんお困りのようでありますから、それじゃあとで資料を提出してください。これ以上は言いませんが、私のほうでも大体のことはわかっている。
ここで総裁のいままでのそうした言明でいきますと、いままでのそうした財政投融資の計画、これはむろん積算の根拠に総裁として十分な責任を持てる数字だとしばしばおっしゃっておるわけでありますが、そうしますと四月十二日の参議院の予算分科会で宮澤長官は羽生議員の質問に対して、基金の余裕金一千万ないし二千万ドルをインドネシア援助に上のせすることが可能のような、そういう答弁をされておるわけです。また五月十七日の本委員会においても、水田蔵相もまた同様な答弁をなさっておるわけです。総裁、ここでお聞きしますが、余裕金はあるのですか、私はそれを聞くためにいろいろなそうした内容をいまお聞きしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/121
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122・柳田誠二郎
○柳田参考人 先ほど申し上げましたとおり、四十三年度に使える金は四百四十億円、一応の目安といたしまして六十億を一般投資に向ける。そういたしますと、そのあとの残りは韓国、台湾それからタイ、マレーシア、そういうものに向けるわけですけれども、その残りは全部余裕金――いま先生のおことばによれば、それが余裕金ということになるわけでございまして、それをどう使うかということは、ひとつ政府のほうと私どもと十分にお話をしまして、そうしてきめたい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/122
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123・近江巳記夫
○近江委員 先ほどこの委員会で企画庁長官それから大蔵大臣がおっしゃったところを私は引用したわけでございますが、そうすると一千万ないし二千万の上のせというのはどこからこのお金は持ってくるのですか。あなた方のそうした答弁と、総裁は要するに総額四百四十億、そのように言っておるわけです。インドネシアの六千万ドル、そうした内容からいきますと、そうした一千万、二千万ドルというものはどこから持ってくるのですか。これは答弁が食い違いますよ。それじゃ総裁と両大臣とどういうぐあいにそこは話し合っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/123
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124・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 参議院の委員会でお尋ねがございました点は、インドネシアを一応六千万ドルと考えておるようであるが、これは交渉上動かせないものなのか、もし交渉がどうかなったときには、政府は補正予算を組まんならぬようなことになるのか、こういうお尋ねでございました。それで私は交渉ごとでございますから、詳しいことを申し上げることは避けたいと思いますが、六千万ドルをもうびた一文動けないということでは交渉になりませんから、多少の弾力性は持っております、しかし各国ともいろいろ当てにしていることもございますでしょうから、大きな弾力性があると申すわけにはまいりません、こう申し上げたのでございます。そうしましたら、全体の予算の規模はどのぐらいであるかということで、それは四百四十億でございますということを申し上げました。六千万ドルは二百十六億でございますから、千万ドルなら三十六億でございますか、その程度の余裕というようなことは、おのずからその話し合いの間に出てきたわけでございますけれども、そういうものを出す用意があるというわけではなくて、補正予算を組まないでいい限度はどのくらいかというような御議論であったわけでございます。いま柳田総裁が余裕金と言われました意味は、やはり同じような意味と思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/124
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125・近江巳記夫
○近江委員 大蔵大臣それから企画庁長官にもう一度お尋ねしますが、本年度の四百四十億のこの基金の予算から、少なくとも一千万ドル、二千万ドルといえば一割から二割にもあがる、要するに三十六億、七十二億といった巨額な金になります。そうしたらそれだけの巨額な金をどのようにしてひねり出すのか、私はそのひねり出しの方法をここで教えてもらいたい、聞きたいのです。具体的に積算の基礎にさかのぼってもう一度長官と大蔵大臣から説明してもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/125
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126・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それは先ほど申し上げました民間の六十億以外の三百八十億、これが数カ国分を一応積算の根拠にしておるわけでございますから、その積算の根拠をやはりその中でもってやりくりするということ、概してそういうことになるわけでございます。概してと申し上げました意味は、インドネシアとの交渉の推移によりましては食糧援助が入ることがあり得るかと思いますし、それからプロジェクトのいかんによっては今年度内のいわゆる支出がそう大きくないというものもあるかと思いますので、その辺はやはり交渉の行きようだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/126
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127・水田三喜男
○水田国務大臣 私が先日申しましたのは、いまの企画庁長官と大体同じでございますが、六千万ドルという一応の予定は持っておりますが、これがもうこれより低かったり高かったりしてはいかぬという確定したものではございませんで、交渉の結果これよりも多くなることはあり得る。その場合にはいま言った全体の予算の中でやりくりしてできる範囲ということになりますので、実際においては先ほどから答弁がありましたようにいろんな一応の予定があり、その上に積算されておるものでございますから、これのやりくりということは他国との交渉の問題にかかわることもございますし、したがってこの上のせの余裕といってもそう多い余裕というものは期待されないであろうということをこの間答弁したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/127
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128・近江巳記夫
○近江委員 こうした問題について予備費の流用もしない、弾力性も持たしていく。いまの答弁ではほんとうにベールに閉ざされていますよ。何も質問の内容に答えない。それでは、ことばは適切でないかもしれませんが、粉飾予算と言われてもしかたがないじゃないですか。私は総裁や両大臣の大きな責任だと思います。こうした問題について、先ほども言いましたが明確な政府のそうした計画というものを出してもらいたいと思うのです。実際これでは秘密ですよ。水かけ論になりますからこれで次に進みます。
それでは概算の私の知っている範囲のことを大体言ってみたいと思う。これで違っておるかどうか。大きな狂いがあればひとつ指摘してほしいと思うのです。
一般圏で六十億。韓国八十四億。インドネシア二百十六億。タイ、マレーシア等で二十四億。アフガニスタン、フィリピン等で大体十一億。大体そういったところですか。
われわれとしても、少なくとも国民の血税が使われている。まるっきり全然わからないところで何をされるか、われわれも国民の代表として当然そうしたことについて知っておくのが当然なんです。その辺のところをひとつ総裁からお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/128
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129・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 おそらくただいまの数字の合計は三百八十億になるかと思いますが、総計としてはそれで私どもの積算の基礎に合っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/129
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130・近江巳記夫
○近江委員 内容についてはどうしてもお答えにならないようでありますから前へ進みますが、こうしたことを通して、これはほんとうに政府内あるいは基金だけで、実際に国会では全然わからずしてそういったことが行なわれている。こういう制度は今後ほんとうに考えていかなければならない問題だと私は思います。将来の問題として、企画庁長官と大蔵大臣、どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/130
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131・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それは実際私ども何かの積算をしているであろうと言われますのは、私ごもっともだと思うのでございますけれども、ただ私どもは、向こうはこう出てくるであろう、しかしこっちがこう言って、この辺に落ちつくのではないかといったような、そういう交渉を頭の中に考えて積算をいたしますから、その中身を申し上げるということが、やはりどうも交渉にいい結果にならない、こう思いまして、いかにも木で鼻をくくったようなことを申し上げて、私の気持ちにはあまりそぐうことではないのでありますが、しかし援助と申しましても各国がたくさんおりますものですから、お互いの問の日本から少しでも有利なことを引き出していこうという競争も実はありますでしょうし、わが国としても正直に言って、そう寛大なことばかりも言っていられないということもありますので、どうしても交渉の手を締めやすい。実際はそういうことがあるわけでございます。したがって、いま程度のことは行政の裁量に与えていただいてしかるべきではないかと思いますが、ただ、それと前に御指摘になりましたそういうことをめぐって政治上の好ましくないできごとが過去においてあった、あるいはあったかもしれないというようなことをおっしゃっていらっしゃいましたが、そのことは全然別なこととして、交渉に当たります者の権限が広いだけに、それだけよけいに戒心しなければならない、こういうことだと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/131
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132・水田三喜男
○水田国務大臣 先日申しましたように、私は、海外援助ということは、国民の十分の理解を得てやらなければならぬ仕事だというふうに考えています。今後政治でこれは一番むずかしい問題の一つであるというふうに考えておりますので、これを国民に対して、国民の代表の国会に対して、ないしょでやろうかというような考えは一切持っておりません。そのつど各国との交渉をはっきりして、公然と援助の方法、金額というものをきめていくという方法をとりたいと思います。したがって予算編成のときに、これは対外折衝でございますから、どこの国にどうと、事前にそういう内容を言うことはできないことであろうと思いますが、国会で議決された予算の範囲内において、個々の援助をきめるときには、これは公然と国民の了解を得る、理解を得る形で今後やっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/132
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133・近江巳記夫
○近江委員 この基金の本年度の投融資計画を一つ一つ大体チェックしていきますと、インドネシアの二百十六億を除いて、すべて私の知っている範囲では大体開発援助になっている。したがって現行法では何の不都合も私は感じません。しかし今回の改正というのは、さしあたってインドネシア一国のみのためと考えていいかどうか。この点をひとつ長官から明確にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/133
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134・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 将来に向かって考えますと、インドネシアのみに限るということはございません。ただ今年度内にほかの国からそういう要求がどうしても断わり切れない程度にあるであろうかと考えますと、おそらく今年度はないであろう、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/134
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135・近江巳記夫
○近江委員 たしか二十二日と思いますが、四日間の債権国会議が開かれたあとで、四月末に開かれたロッテルダムの会議の議題は、インドネシアの経済情勢の詳細な分析であると赤澤局長が参議院で答弁をしておられるわけです。当委員会で審議されているこの基金法の改正というのは、具体的にはインドネシアに対する商品援助の問題である、このように思います。ついては、このロッテルダム会議のインドネシア経済分析のレポートの全文をひとつ原文で提出を願いたい、私はこう思うのですが、確約していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/135
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136・上田常光
○上田(常)政府委員 お答え申し上げます。
ロッテルダムの会議では、御承知のとおりにIMFのほうからインドネシアの経済情勢につき報告があり、その他いろいろ討議いたしましたが、このIMFの報告もまだコンフィデンシャルになっておりますので、発表することは差し控えさしていただきます。しかし、そのとき問題になりましたインドネシアの経済情勢について大体御説明するなり、あるいは私どものほうで適宜その概容を書いたものを出すことは差しつかえないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/136
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137・近江巳記夫
○近江委員 それでは、できるだけ詳細にまた後日私のほうに提出していただきたい、これは要望しておきます。
それから、特にインドネシアに対する今回のそうした経済援助というものは、ほとんど消費物資になっているわけです。消費物資というのは、結局食べたりあるいは着たりいろいろなものがあるでしょうが、結局はなくなってしまう、こうした性質のものになってしまう。したがって、生産財と違って後々の返済が非常に困難な状態になるのではないか、このように心配するわけです。そういう意味から、こうした援助というものは、結局借款の形をとるよりも贈与の形をとるべきだ、私はこうした考えでおるわけです。DACの統計をここに持っておりますが、これを見ても、先進国は資本財の援助にも贈与形式のものが少なくないわけです。わが国が六六年以降インドネシアに供与したこの種の援助は、ことしの一月の四千五百万ドルのリファイナンス、また今回の六千万ドルを加算すると、大体この三年間で二億ドルくらいになるのではなかろうか、このように思います。インドネシアが負っているこうした対外債務の現状から、こうした種類の新規債務をも今後約束どおり弁済できるということは考えられないような状態にいまなっているのではないか、私はこのように思います。そのことは政府の皆さんも重々承知のはずでありますし、といって、これを贈与とすれば一般会計にも計上しなければならないし、財源も問題になってくる、また国会対策もいろいろな問題があるでしょうし、従来のそうした輸銀からの融資の形が一番やりやすい。回収不能の金も一応資産として借記すれば問題を回避できる。こういった点から、適切でないかもしれないが、粉飾決算に近いようなものではないかといわれてもしかたがないのではないか。こうしたやり方を援助関係では万事に広げようとする考え方が、今回の基金法の改正の本旨と私は思うのです。こうした点について、長官の率直な御意見をひとつ伺いたいと思うのです。今後、特にインドネシア等に関して再びリファイナンスをするような考えを持っているか、こうした点もひとつ明確にしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/137
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138・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それは考え方といたしましては、ちょうどわが国にもやや類似のことがあったわけでございますが、たとえば、アメリカからかって受けました援助物資、ガリオアとかエロアとかいわれる御承知のものでございますが、これは昭和二十四年から見返り資金特別会計に別除として積み立てたわけでございます。それから産業復興資金が出ていきまして、これが後の開発銀行になっていくわけでございますが、産業の復興が行なわれて、そこから所得、利子を生んで、それが国の返済能力になった、そういう経緯をたどってきたわけでございます。そこで、今回商品援助を与えるにあたりまして、私どもインドネシア側に対しては、このボーナスエクスポートの売り払い代金が、一般会計と別にインドネシア側で別除として特別会計に積み立てられるべきものであること、それからそれがプロジェクトのための資金になるべきであること、考え方としては、干渉するわけではないが、私どもの経験からいうと、そうでないと返済ということがむずかしくなるということを申しました。先方もその点はIMFが入っておりますこともありまして気がついておりまして、今回からは売り払い代金は別除として積み立てる、それをプロジェクトに使う、こう申しております。したがいまして、先方がその約束をそのとおり履行して、これは結局政治の体質の問題でございますけれども、計画どおりにやっていくならば返済能力が出てくる、これはわが国の経験からもいえることであると思います。
なお、経済協力基金の貸し付けそのものにつきましては、先般来申し上げましたようにリファイナンスというようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/138
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139・近江巳記夫
○近江委員 ここで贈与なら贈与、返済可能であるならば借款なら借款、そのように私ははっきりすべきだと思うのです。全部大事な国民の血税なんです。そういう点において、今後そういう線に私はいってもらいたい、このように思います。ひとつ長官に、何回もですが、その点について所感をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/139
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140・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 これは明白に借款でございます。贈与ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/140
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141・近江巳記夫
○近江委員 長官のインドネシア経済に対する意見は、消費財の援助というのはインフレを収束せしめる、そうした経済安定のための必須条件と考えておられるように私は思うのです。この点について、ここでもう一度明確にひとつお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/141
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142・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 これは主として外務省の分析に従ってそういうふうに私ども考えておるわけでありますけれども、日常の必要物資が非常に高い、供給が少ないということでございますから、それらのものを片方で供給する、それによって需給の安定をはかるということが一つ、それから、それによりまして購買力、ルピアを政府が吸収して開発資金を積み立てる、この二つの方向がそのとおり実行されるならば、インフレ収束に役立つはずである、そういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/142
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143・近江巳記夫
○近江委員 皆さん方があまり提出されたがらないこうしたIMFのレポートも、若干内容も私見たことがあるわけです。このIMFの意見も、学者のそうした意見も、インドネシアのインフレの原因は、年間百万トンに達するといわれておる第一に米の不足にある、このようにいわれておるわけです。しかるに昨年度の六千万ドルの援助の中にテレビの受像機や、あるいは怪獣映画、座頭市映画のような不急不要のものまで輸出されている。これは、はたしてどういうことか。われわれ非常に疑問を持つわけです。これはどういうことですか。
それから、ついでにあとを続けますが、またインドネシアの歳出予算を見ていきますと、大体五〇%は軍人、官吏の俸給に充てられている。大体三〇%は軍事費だ。歳入の半分近くは各国の経済援助でまかなっておる、つまり考えてみれば、そうしたわれわれ援助国の血税でインドネシアのこうした軍人、官吏を養っていることになる、こういうふうにも考えられるのではないか。ですから、このインドネシアのほんとうの救済になる、そういう援助であるならば、われわれは何も反対するものではありませんし、むしろもっと強力な援助をしなければならない。しかしながら、先ほどもそうしたいろいろな事例をあげましたが、非常にそういう何かすっきりとしないものがあるわけです。こうした点について長官、外務大臣お二人から意見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/143
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144・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 怪獣映画の点でございますが、これはどうも、いかにも常識に合いませんので、今年はネガティブリストを設けまして、そういうものは許さないということにいたしましたことは、通産省から御説明がございました。さてそこで、どうも官吏の数が多過ぎるではないか、軍事費がよけいではないかといったようなことを、かりにもしわが国が援助を与えますときの条件に、行政整理をやれというようなことを申しましたら、それがどういうことになるかということになりますと、これはやはりなかなか微妙な問題でございますので、幸いIMFのような国際機関も入っておりますし、私どももコンソーシアムも組むわけでございますから、そういう意味で先方の主権なり自尊心を害さない範囲で勧告なり提言なりを、それも一国一国の関係でなく、グループなり国際機関なりで出していくということが、やはりほんとうのやり方ではないだろうか、そうしてまいりたいと、実は思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/144
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145・三木武夫
○三木国務大臣 インドネシアの賠償からひっかけて経済協力、いろいろ問題があることは御指摘のとおりでございます。後進国の援助というものができるだけ有効に使われることが、金を出す日本としてもそうだし、向こうだってそうだと思いますが、これからはいろいろとくふうをしなければならぬ面が、私はあると思います。たとえばいま御指摘の怪獣映画あるいはまたその他にもラジオなどの問題がある。これはそれぞれ理由はあるわけですね。浮動購買力といいますか、そういうようなものをそれによって吸収しようという意図もあるのでしょうが、今後やはりわれわれとしてはできる限り日本の援助が有効に使われるためには、先方もそういうふうな気になってもらうことが必要だし、あるいはまたわれわれとして、いろいろと援助の場合に向こうとの連絡というものをもう少しとる余地が私はあるのではないかと思う。そういう点で、確かにくふうをしなければならぬ面があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/145
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146・近江巳記夫
○近江委員 再び外務大臣にお聞きしますが、あなたが外務大臣に就任されましてしばらくして、この海外援助の窓口一本化構想を唱えられたわけです。非常に財界もこうした点は、それに呼応して窓口一本化のコメントが発表されているわけです。私は、そうしたいままでの弊害、いろいろな問題を考えたときに非常にけっこうだと思う。そこで大臣から窓口一本化構想のその真意というものをお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/146
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147・三木武夫
○三木国務大臣 インドネシアの場合に、正規の政府の窓口でなくして、いろいろな人が来て、また日本からも行く。スハルト大統領の右腕とか左腕とかいう人がいろいろ来られて、そうしていろいろ話をするということは私はやはりよくない。やはり話をするところは政府の窓口一本で話をしようではないか。マリク外務大臣と私との間にそういうことの話し合いができまして、その後改まってはきたのだけれども、まだやはりあるので、しかしそういう問題については政府のほうとしてももう窓口は一本にしないと、いろいろそういう政府以外の人たちが来て話をする場合には、政府はその話に乗っかっていかない、こういうことになっておるわけです。だからそういうふうな、来てみてもいままで効果はないわけであります。実際問題として、そういうことで成功をしたことはないです。そういうことで、いままでのしきたりが少しルーズな点もあったわけですから、これをやはり窓口を一本にしようという考え方で、われわれも押し、向こうのほうもそういうふうにしよう、またインドネシアのほうへもいろいろな右腕、左腕が行く、そうなってくるとぐあいが悪いものですから、もう右腕、左腕なしに、政府一本、そういうことでやろうということが、両方ともその必要を感じておるのですから、まあ改まっていく方向にある、私が言った一本化という問題は、だんだんとそういう方向に向かっていることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/147
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148・近江巳記夫
○近江委員 だんだんと向かっていく現状である、何か非常に他人まかせな感じがするのですけれども、外務大臣としてやはりそれは私はリードしていくべきだと思う。その点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/148
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149・三木武夫
○三木国務大臣 だんだんとと言ったのは、もうそういう人が来ないようになったら私はいいと思うのですが、まだ来るのです。しかしその人たちが効果があるかというと、ないということです。その人が来たことによって、われわれの政府がその人を相手にしてものをきめるということは絶対にしない。ないということですから、だんだんということばが悪ければ、これは窓口一本化ということは確立されつつあると言ってよろしいと思います。ただしかし人が来るものですから、私はだんだんということばを使ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/149
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150・近江巳記夫
○近江委員 ところで、従来のそうした海外援助というものは、特定政治家あるいは特定のそうした政商と結びついたそういうような姿が見られるわけです。このあなたの一本化構想というものも、過去のそうした乱脈の是正という点から発想されたと思うのです。ついては、発想のそういう源となった過去の実情というものをつぶさにひとつ説明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/150
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151・三木武夫
○三木国務大臣 つぶさにといって、私はいろいろ具体的にどうこうということではないのですが、とにかく後進国の援助というものがいろいろなうわさにのぼることはよくない。日本の国民に対しても、国民の税金というものがある部分使われるわけでありますから、また先方に向かっても、そういううわさが出ることは援助の効果を削減するものである。だから具体的に私が何かつかんでおって言うのではない。しかし、うわさがあることは事実ですから、そういううわさが出ること自体が、援助をする国にも受ける国にもきわめて悪い影響がある。ここでやはり窓口を一本化して、こういう問題、いわゆる経済協力というものをもう少しうわさの出ないようなものにしたいという念願でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/151
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152・近江巳記夫
○近江委員 もう一度外務大臣にお聞きしますが、あなたの特命によってアジア経済研究所のインドネシア専門家からなるインドネシア特別調査団を昨年の十一月末より半年の予定で現地に派遣しておりますが、この調査団の調査目的は一体何か、具体的に説明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/152
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153・三木武夫
○三木国務大臣 インドネシアに限らず、ほかの国々にも経済援助を与えた。そのことが目的どおりにうまくいっておるかどうかということは、今後も追跡調査をしていきたいと思っております。ただ援助して金を出したら目的を達したというのではなくして、それが始まりなんですから、そういう点で、いままでは金を出した、どうもそこで終わったような感じ、そのことがアフターケアなども十分にいかない、そういうことでせっかくの援助の効果というものが削減されておったという例は私はあると思う。そういうことで、インドネシアばかりでないのですよ。経済協力をやった国全部うまくいっておるかどうかということを追跡調査をしようということを計画的にやっておるわけであります。その中にインドネシアも入っておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/153
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154・近江巳記夫
○近江委員 外務省は毎年、特命全権大使を長として賠償調査団というものを現地に派遣しておられるわけです。現地にそうした公館等もあるわけでありますが、しかるに今回アジ研に頼んで特別調査団を再度派遣するに至った真因は、どの辺にあるかということをもう少し突っ込んで知りたいわけです。その辺のところ、答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/154
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155・三木武夫
○三木国務大臣 賠償はほとんど終わったわけですから、これからは賠償というよりもむしろ経済協力、技術協力ということが日本の海外援助の中心課題になりますから、賠償の調査団というものは、もうすでにそういう形では経済協力に対する調査の目的を達成できないということで、そういうふうな追跡調査を――賠償調査団というものの使命はもうほとんど終わったわけですから、今度は賠償ということに関連なく、日本の海外経済協力に対する追跡調査というものをやりたい、そういうことで新たに各方面に派遣をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/155
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156・近江巳記夫
○近江委員 この特別調査団が近く帰国されると思いますが、六月中には大体外務省に報告が出されるのではないかと思います。その原文のまま委員会に提出を要求したいと思うのです。その点、提出願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/156
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157・三木武夫
○三木国務大臣 相手の国もございますから、原文のまま出せということにお約束することはいたしかねるのでありますが、目的は、日本の海外経済協力というものを最も有効にしようということでありますから、その調査の結果をそのままというお約束はいたしませんけれども、皆さん方のいろいろ御批判を願う対象にするために、提出はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/157
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158・近江巳記夫
○近江委員 では、できるだけ詳しく提出をしていただきたいと要望しておきます。
それからもう一度外務大臣に伺いますが、スハルトの来日に際して、援助問題について佐藤首相とスハルトの秘密会談が二回行なわれておる、このように私は聞いております。外務大臣はこの経済援助の担当の大臣でもあるわけでありますし、またあなたが先ほどおっしゃった窓口の一本化構想、そうした点から考えて、担当大臣が出席しなかったのはなぜか、これは素朴な疑問であり質問でありますが、この点をひとつ答弁願いたいと思うのです。
それから最終的に佐藤・スハルト会談で決定した額は幾らであるか、あるいは今後どのような過程で決定されるのか、その辺のところを説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/158
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159・三木武夫
○三木国務大臣 スハルト大統領が日本へ来て、そして二回ですか、スハルト氏と総理大臣との会談があったわけですが、どこへ行きましても経済援助ばかりでないわけですから、インドネシアの大統領と日本の総理大臣が話をすることはたくさんあるわけですから、経済援助に関して話をする場合には、外務大臣を抜きにしてするようなことは総理大臣はいたしません。また、これは外務大臣ばかりでなしに大蔵大臣にも相談をしなければなりませんので、そういう意味で、何かそういうふうな御懸念はないわけです。ただ両方の最高責任者がいろいろアジア情勢全般についても話し合う問題がありましょうし、だから援助そのものというものではなくして、それは秘密でも何でもないわけで、新聞社も写真をとったり何かやっておったので、内容を一々発表しないというだけで、内緒でこっそり援助問題を話をしたという性質の会議ではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/159
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160・近江巳記夫
○近江委員 このインドネシアの問題につきまして、六千万ドルに上積みして八千万ドルになったと仮定してみると、三木さんは実際の援助効果というものは二千万ドルくらいだろうと側近に漏らされたことがあるように私はちょっと聞いておる。そのことについて三木さんの意見をひとつお聞きしたい。宮澤長官にも、長官は非常に計数等もすぐれていらっしゃるし、お得意の乗数理論でこの援助効果について意見をひとつお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/160
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161・三木武夫
○三木国務大臣 どういう意味でお聞きになったのか、私の言ったことがないことが、そういうことがもう聞いたということでは、非常に耳を疑わざるを得ないわけでございます。やはり日本が援助する場合には、それが六千万ドルならば六千万ドルの援助の効果がなければならぬ。六千万ドル出して一千万ドル、二千万ドルの効果しかないという、そんなふざけた援助はすべきものではないわけですから、何かお間違いの耳でお聞きになったものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/161
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162・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 仕組みといたしましては、先ほど申しましたように、BEの分を別除して一般会計とはっきり分けてプロジェクトに使うというつもりであるといっておるのでございますから、私は仕組みはそれでよろしいと思うのでございますが、それがちゃんとそのとおりいくかどうかというのは、結局は運用する人々の資質と申しますか、政治の指導者の資質の問題と申し上げるよりほかはないので、私どもは、インドネシアの指導者たちが国民のために、繁栄のために、それを最大の効果をあげるように使ってくれることを期待しておりますし、また国際機関等を通じてできるだけのアドバイスはいたさなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/162
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163・近江巳記夫
○近江委員 インドネシアに対する輸出でありますが、平年度大体一億ドル程度、一億ドル強と見ておりますが、ところが六五年には一躍、倍の二億ドル強に増加しております。その年のちょうど十二月にインドネシアの中央銀行が破産している。輸出代金の焦げつきができている。インドネシアのそうした経済というものが最悪の状態のときに、平年度の大体二倍の輸出がなされておる。非常にこれ、疑問を感じるわけです。理解ができない。
インドネシアの統計によりますと、各国の輸出というのは平年度よりもずいぶん手控えられております。特に九月三十日事件までの中共と、それから十二月二十八日までの日本の輸出というものは、ずば抜けて多いわけです。中共はそうした政治的な問題を考えると理解はできるとしても、なぜわが国がこのように異常なそういう輸出が行なわれたか、この点がどうも理解に苦しみます。一応理解のいくようにひとつ説明を願いたいと思うのです。
通産大臣の椎名さんは、当時たしか外務大臣をやっておられたと思いますが、また、あなたのほうの川島さんが特使としてインドネシアに行き、川島借款を結んだのもこの年だ、このようにも聞いております。これは参考で申し添えるわけでありますが、その辺のところの事情をひとつお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/163
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164・原田明
○原田政府委員 インドネシアは、例年六億ドル余りの輸出をずっと続けておりまして、また、輸入も、六億から七億程度の輸入を続けております。これは、インドネシアが非常に資源に恵まれた国でございまして、わが国あたりも非常に必要な石油、木材等の資源をたくさん買うという状態にあるからであります。
昭和四十年、一九六五年には、インドネシア側としましては、特にその当時の経済事情からしまして、日本が得意といたしますような繊維とかそういったものに対する需要が非常に強うございまして、全部コマーシャルベースで、大体日本から二億ドル程度の輸出が行なわれたということでございまして、先生御指摘の、通俗いわれております川島借款なるものは、ただことばだけでございまして、それによる輸出は全然行なわれておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/164
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165・近江巳記夫
○近江委員 九月三十日のあの事件以降、インドネシアの経済状態というものが特に悪化してきております。そういう状況の中で、六五年十二月の通関実績というものは、平月の大体一千万ドル台から一気に二千万ドル台にはね上がってきておる。この点が一点です。
それから、輸出保険の免責となった十二月二十九日、この前日の二十八日一日の船積みだけで七、八百万ドルに上がっておる。この辺の説明。
それから、二十八日の船積みした綿布六百万ドルは、大体川島借款の約束したものとほぼ同一である。この辺をどのように理解したらいいか。通産大臣は、当時外相であり、また川島さんとも非常に近い関係とも聞いておりますし、大臣からひとつ直接お聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/165
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166・原田明
○原田政府委員 計数のことでございますので、私からとりあえず、お答え申し上げたいと思います。
六五年の九月にインドネシアの政権が交代をいたしました以後、経済状態は一般的には日々に悪くなっていたわけでございますけれども、輸出入契約に伴う代金の支払いというのはずっと順調に行なわれておりまして、いずれの国でもそうでございますが、中央銀行は、自国の信用を維持しますために代金の支払いを確実に履行いたしておりまして、十二月の末になりましてやっと事故が生じたわけでございます。事故が生じましたので、とりあえず、日本はさっそく輸出保険をとめたわけでございます。川島借款と一般にいわれております話し合いは、綿糸等々を含んで三千七百万ドルのあと払いを認めようかという話であったように記憶いたしますが、そのほうの話し合いは話し合いだけに終わりまして、実際の輸出は全然行なわれておりませんことは、先ほど申し上げたとおりでございます。保険がとまりましたころに盛んに輸出が行なわれておりましたのは、それとは全く別の、インドネシアが正月用のレバランと申しますものに使います綿布六百万ドルを緊急にほしいといっておりました分の輸出が行なわれていたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/166
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167・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 いま貿易振興局長からお話し申し上げたとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/167
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168・近江巳記夫
○近江委員 本件についても私はまだまだ資料を持っておりますが、きょうは基金法の審議でありますし、これはこれでおいておきます。要するに、特にインドネシアのそうした問題について、わが国あるいはインドネシア側、わからないことばかりです。要するに不明確なそうしたこと一切を不問にしたままで、こうした法をさらに改正して次に進んでいく、こういう点が、私はほんとうに理解に苦しむわけです。こうした点のひとつ納得できる答弁をいただきたい。
それから、時間がありませんからもうすぐ終わりたいと思いますが、私も昨年インドネシアに数日おりました。若干の資料調査等もしておりますが、過去のそうした非は非として、出るうみは十分に出し、国民をほんとうに納得さした上でインドネシアの援助あるいは東南アジアの援助等、これはわが党も大いに力を入れておりますし、政府としてもそうした点を明確にした上で大いにやっていくべきだ、このように思うのです。まあひとつ、国民の納得という点において、その上で法の改正をはかるべきである、私はこのように思います。関係大臣の答弁をいただいてこれで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/168
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169・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 何か、インドネシアの経済協力、経済援助について、非常に不明僚な、臭気ふんぷんたる、汚職でもあるようないま御発言でございましたが、どこが一体不明瞭で、不明朗なのか、その点ははっきりさしていただきたい。このインドネシアの経済、政治紊乱のために、日本が、保険事故が起きて、そうしてこれを支払った、そのいきさつはいま貿易振興局長が申し上げたとおりでありまして、いわゆる川島借款なるものも、話は出ておったけれども、一つもこれは実行されなかった。何が一体不明朗で何が一体疑わしいのか、その点をはっきりとさせないと、こっちの答えようがない。どうぞ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/169
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170・近江巳記夫
○近江委員 関係大臣全部ずっとお願いします。――以上の件について関係大臣に答弁を求めているわけですから、答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/170
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171・三木武夫
○三木国務大臣 通産大臣の言うことを聞いておりましたが、もっともなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/171
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172・近江巳記夫
○近江委員 通産大臣のその発言のことだけを私は聞いておるのと違う。先ほど私は、関係大臣に答弁をしていただきたい、この旨を言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/172
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173・三木武夫
○三木国務大臣 インドネシアはスハルト政権になってから、やはりインドネシアの政治の粛正をしようという意図を、新政権というものが持っておることは事実であります。多少の時間はかかりましょうけれども、従来のようなスカルノ時代の政治を断ち切りたいということが、スハルト政治の出発になっておることは疑う余地はないわけで、そういう政権の心がまえと、またBE制度で、割り当てるわけでないのですから、割り当てというような場合にはいろいろなことが行なわれる余地があるのですけれども、BE制度でやられておるということなども、実際問題としては従来のような弊害が生まれてくる余地がなくなってくる、一つの制度の改革だと思います。また、日本自身もいろいろ実際問題としてはそういうことばあり得ようはずはないのでありますけれども、スカルノ時代にはいろいろなうわさがあったことは事実であります。そういうことで、日本もまたインドネシアの援助を通じて、そういううわさの出るようなことは絶対にあってはならないというような、日本自身の態度の中にもインドネシア援助に対しては従来と変わったものもある、そういういろいろな条件が重なって、インドネシアに対しての日本の経済協力というものが、一つの新しい時代を迎えつつあるということは、私はいえると思います。今後またわれわれはそういう新しい一つの傾向に対して、政府自身が、今後とも政府自身の関与するような面においては、そういう傾向をますます確立していく必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/173
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174・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 発展途上国に対する援助は、先般も申し上げましたように、わが国の平和憲法の精神にその源を発すると考えております。したがって、そういう精神を体して行なうべきものと思います。なお、貴重な財政資金を使うわけでございますから、それが最も効果的に使われるように、最大限の努力をいたさなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/174
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175・近江巳記夫
○近江委員 もうこれで終わりますが、通産大臣にも、私が一番最初に申し上げたああした三つの事件、さらには聞きたい問題がたくさんあるのです。あした総理にもここに出ていただくことになっておりますし、そうした点についてもいろいろとお聞きしたい、このように思っております。きょうは時間の都合でこれで終わりますが、いずれにしても今回の法改正にあたっては、国民が納得するような答弁を今後もやっていただきたい、この点を特に要望しておきまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/175
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176・小峯柳多
○小峯委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。
次回は明二十一日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804461X03119680520/176
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