1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月十七日(水曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 堂森 芳夫君
理事 田中 六助君 理事 多賀谷真稔君
大坪 保雄君 篠田 弘作君
澁谷 直藏君 西岡 武夫君
廣瀬 正雄君 石野 久男君
八木 昇君 渡辺 惣蔵君
田畑 金光君 大橋 敏雄君
出席国務大臣
通商産業大臣 椎名悦三郎君
出席政府委員
通商産業省石炭
局長 中川理一郎君
通商産業省鉱山
保安局長 西家 正起君
委員外の出席者
議 員 多賀谷真稔君
通商産業省石炭
局調整課長 織田 秀明君
建設省住宅局市
街地建築課長 上野 洋君
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第九八号)
石炭鉱業国有法案(多賀谷真稔君外十四名提出、
衆法第一三号)
日本石炭公社法案(多賀谷真稔君外十四名提出、
衆法第一四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/0
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001・堂森芳夫
○堂森委員長 これより会議を開きます。
多賀谷真稔君外十四名提出の石炭鉱業国有法案及び多賀谷真稔君外十四名提出の日本石炭公社法案の両案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。田中六助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/1
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002・田中六助
○田中(六)委員 社会党から、石炭鉱業国有法案と公社法案が出ておるわけでございますが、非常に御苦心をなさって、しかも党の方針として打ち出しておりまして、私ども深く敬意を表する次第でございます。ただ、わが党といたしまして、この国有化法案については、根本的に理念が違うわけでございまして、社会党のあらゆる部門で社会党といたしましてはこの問題を提起しているはずだと思いますが、特に一九六八年三月号の「月刊社会党」の「第三〇回定期全国大会決定集」というこの版の「石炭鉱業国有化方針」の最後の、「闘いの進め方」というところを読みますと、「この闘いは院内と炭鉱労働者だけの闘いではない。この闘いは党の重要産業国有化をめざす闘いのスタートをきるものであり、」というふうに断定しております。つまりこれは、究極の目的は日本の社会主義国家建設、ひいては基幹産業、重要産業の国有化を目ざすものであるというふうに断定せざるを得ませんし、この断定は的を射ておると確信しております。したがって、わが自由民主党といたしましては、企業の自由化並びに自由主義を基盤とする諸政策を進めておることもありまして、この両案に賛成するわけにはいかないわけでございます。
この問題に対する質問は、単に私だけではなく、わが党の神田委員その他の委員からも逐一質問があると思いますが、まず私は数点にわたって、時間の許す限り質問いたしたいと思います。民社党や公明党の方々からも質問があったと思いますが、党が違いますし、わが党の見解からダブった質問になるかもしれませんが、その点はあしからずよろしくお願いいたします。
まずお聞きしたいのは、この石炭の国有化を目ざした根拠、そういうものについてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/2
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003・多賀谷真稔
○多賀谷議員 国有化を目ざした根拠でありますが、いま、社会党の機関紙に載りました定期大会の国有化への提案について、その要旨をお述べになりましたが、わが党は社会化を目ざして政権を獲得しようとする政党でありますから、それを私は否定する何ものもない、むしろ党としては当然である、こういうように思います。しかし、現実に私どもがこの資本主義下において、しかも資本主義を標榜される自民党政府のもとで、しかも自民党が多数をとっておられる中で、現実の問題としてわれわれが処理する場合には、単に理想あるいは党の政策を押しつけるわけにはいかないのであります。私どももこの石炭国有化を論議をするにあたりましては、まず産業政策としていかにあるべきかということを論議をしたのであります。
そこで、現在における石炭政策というのはどこに大きな欠陥があるかということを考えてみますると、長い間私どもが主張し、またここには私どもだけでなくて、自民党の議員も部分的にはあるいは質問をなさり、賛成をされたものに、第一には鉱区の統合というものがございます。しかし現実にどの程度鉱区統合が処理されたかといいますと、部分的に若干調整が行なわれたにすぎない。これは私企業間でありますから、きわめてむずかしい、言うべくしてなかなか行なわれがたい問題であります。この鉱区統合をやるには結局企業合同以外にはない、こういう結論に達したのが第一点。
第二点は、流通機構の整備あるいは一元化ということも長い間いわれましたけれども、これも現実に各社、営業がいわば主体のような会社もある。実際いま石炭を掘るよりも、むしろ買炭をして、それを各需要家に売っておるというような状態の企業すら見受けられるような現状におきまして、販売の一元化ということをいいましても、実際問題としては困難である、こういうように考えたのであります。
それから第三の問題としては、いま膨大な債務を持っておる、あるいは鉱害がある、これを一体いまの企業で処理できるかといいますと、なかなか処理しにくいのではないだろうか、こういうように考えておるわけであります。
それから第四の問題といたしましては、いまのままではスクラップも新鉱開発も行き詰まってきた。これはかねがね申しておりますように、いままではかなりスクラップを推進してまいりましたけれども、今後のスクラップというのは、いわば大手炭鉱においてすらも倒産につながるようなスクラップになる可能性が出てきた。それから新鉱開発もきわめてむずかしい状態にますますなってきた。
さらに次の問題といたしましては、労働力不足という状態が生じてきた。しかも、明治以来親子三代が何ら不安なく炭鉱に就業いたしましたけれども、現状におきましては、自分がいつ閉山によってやめなければならないかという不安にさらされておる。それだけに、永遠の職場として若い者が来ない。ですから、石炭鉱業全体として雇用する形態に改めなければ、いまの個別炭鉱雇用形態では労働力の確保はむずかしいのではないかという点であります。
これらを総合いたしましたときに、まず考えられるのは一社ということであります。そこで、一社ということから、さらにばく大な債務の処理を国がかわってしなければならない事態、あるいは新鉱開発に相当の資金をつぎ込まなければならない事態、あるいはスクラップにおいてもしかりということを考えてまいりますと、国が巨大な財政資金を投入しなければならないならば、一体私企業として一社に投入することが妥当であるかどうか、また世論が許すかどうか、こういう点を判断をいたしまして、営利企業に国がそれだけの肩がわりをすることは国民が許さないだろうということから、国有という問題が起こったわけであります。さらにまた、実際経営をする場合はどうかといいますと、御存じのように、かつて日本におきましても国自体の企業としてありました国有鉄道、あるいは電電、あるいはまた専売等もすでに公社形態をとっておりますから、やはり経営をするということになれば公社形態をとるのが妥当であろう、こう考えてまいり、現在あります日本の制度を活用して、国有、公社法案というものを提出した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/3
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004・田中六助
○田中(六)委員 石炭の国有化が基幹産業の国有化へのスタートであるという社会党の方針をお認めのようでありますが、まずこの点につきましても、結局鉄鋼とか、電力とか、その他いろんなものがあるわけでございますので、そういう点が明らかになった以上、私どもはますますスタートである石炭の国有化の裏を考えますと、これはあくまで氷山の一角であり、これから先重要産業が国有化へ向かって諸政策を踏み切るそういう方針に対しましては、どうしても賛成できないということをあらためて確認しておきます。
続きまして、この国有化の根拠につきまして、約七点くらいお述べになりましたが、この国有化は、そもそもイギリスやあるいはフランスで石炭の国有化が叫ばれ、あるいはわが国におきましても往時石炭の国有化が問題になっております。これらの背景を考えましたときに、やはりそこには国民経済というものが問題になっておるわけでございます。基幹産業を国有、国営にすることによって国民経済に大きなプラスを与える、そういう背景があったわけでございます。つまり、財政負担の軽減、国民の負担にならないように、能率があがり、しかもしいて言いますならば、石炭の価格も下がって、国民の経済に大きな貢献をするという基本方針のもとに国有化の問題が提起されております。しからば、現情勢はどうであるか。そういうバックグラウンドがはたしてこの石炭問題に関連してあるかどうか、大きな疑問を持たざるを得ないのであります。この点につきまして御見解を述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/4
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005・多賀谷真稔
○多賀谷議員 この国有化が社会主義化へのスタートであるという意味で賛成をできないと断定されましたけれども、これは今後の政治勢力の問題ではないかと思うのです。
御存じのように、英国労働党がつくりました重要産業の国有化も、その後保守党がそれを是認をし、続けてきたわけであります。でありますから、私は今後の政治勢力の問題と、もう一つはそのときの経済の問題だと思うのです。ですから私どもは、産業それ自体がいわば国有というようなものに適さない産業というようなもの、こういうものはわれわれは、産業政策からも国有にするということを言っていないのです。やはり産業政策でありますから、国有にするというものは非常に巨大な投資が要る。それが国民経済に非常に影響がある。また一方、装置産業のような化学工場のようなもの——そこで個人のいわば自由競争のほうがより能率的なのか、あるいはまた、単に個人の自由競争というよりも、さらに大きな資本を投入するほうが全体としては能率的なのかという問題まで含めて考えなければならない問題だと思うのです。ですから、私どもがこの社会化構想の中に入れておりますいろいろな産業というものは、一つ一つ産業を分析しまして、これが産業政策として能率的である、効率が高い、こういう産業しか列挙していないのでありまして、その意味においては、われわれはイデオロギーにとらわれていない、またとらわれたとしても産業政策から遊離していない、こういうように確信をしておるわけであります。
それからいまお話しの、国有化の背景が違うではないか。当時のイギリス、当時のフランスにおける状態は、低廉な石炭を供給して、国民の負担にならないようにするというのがその目的ではなかったか、こういうことであります。確かに現在の炭鉱は、いわば相当の負債をかかえております。しかし、私どもがいま飛躍的に増大をしておるエネルギーの中で、安全保障というものは考えなくても一いいかどうかというのが問題だと思うのであります。すでに重油につきましても、単に中近東だけにたよるという状態は安全保障から好ましくないというので、あるいは他地区にその供給源を求める、あるいは備蓄をする、こういうように石油開発公団までつくって政府はやろうとしております。しかし一番手っとり早く確実なのは、何と言いましても、国内の資源でございますから、ある程度の資源確保はどうしても安全保障上必要である。さらにまた原料炭にいたしましても、製鉄業が躍進をするのに従いまして、その需要は増大をするわけでありますから、これまた原料炭の確保がどうしても必要である、こういう観点から、われわれは国民経済としても、やはり国有化によって産業の発展をする必要があるのではないか、こういうように考えておる次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/5
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006・田中六助
○田中(六)委員 石炭の国有化が、主として国民経済におけるセキュリティーの問題と、それから原料炭セキュリティーの問題でございますが、そういうことで、むしろ国民経済上国のためになるのじゃないかという御見解ですが、もし万一これを国有化したという時点をとらえてみまして、そのときからはたして石炭産業が少なくとも現在よりも財政負担あるいは国民経済にマイナス——資金的に、つまり金の量ですが、そういう面につきまして将来の展望が現在よりもプラスになるというお考えかどうか。その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/6
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007・多賀谷真稔
○多賀谷議員 ちょっと質問が明確に把握できなかったわけですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/7
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008・田中六助
○田中(六)委員 それならもう一回……。つまり財政負担の軽減が、国有化をされて、その時点以後石炭関係においてマイナスを——私懸念するのは、マイナス部門を国民に経済負担を永久に押しつけて、しかもそれが現在よりも多い段階、つまりマイナスの面でプラスして押しつけるのじゃないかということを懸念するわけです。その点についての分析あるいは見解があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/8
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009・多賀谷真稔
○多賀谷議員 現時点と、こうおっしゃいますが、現時点では、企業が会社においてするという時点に立っておる。ですから、たとえば四十三年度なら四十三年度のトータルとしての国の財政支出から、国有化すればオーバーするではないかという議論に対しましては、それはオーバーすると思います。ところがいまいろいろな案が出ていまして、そしていろいろな救済策が出ておる。その救済策と比べてみると、国有化は一体金がよけい要るのかどうかということになりますと、私どもは現時点における救済策よりも決して多い金が要るというようには考えていない、こういうことでございます。ですから四十三年度固定して考えますと、確かにわれわれが考えております国の支出というものは増大をするわけでございます。しかし助けなければならぬ、何とかしなければならぬ。それは私企業のままでおいて助ける場合と国有にして助ける場合ではどちらが金が要るかというと、私は私企業にして助けるほうが金がより要るんではないか、こういうふうに判断をしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/9
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010・田中六助
○田中(六)委員 そこの辺が、つまり私どもがこれから先の投資効果とそれから国民経済との関係を見て非常に危惧するわけです。つまり国有化によって親方日の丸式なことになって、むしろそれがいろんな面で響いてきやしないか。イギリスの場合でも過去六年間、これはデータが多少古いのですが、一九四七年から一九五二年の例を見ましても出炭量はどっちかというと横ばい。しかも労働者人口は多少ふえておっても、それが国有化になって必ずしも当を得ていない。むしろ国有化によっていろんな悪い点、独占化を廃止するという目的がかえって独占的な企業になって、しかも私企業その他の——というのはイギリスの場合は他の産業も包括して持っておるわけでございますので石炭だけではないわけですから、そういう点が出てきたんでしょうが、日本の場合石炭プロパーだといたしましても、やはりそこに労働賃金というもののコストアップ、そういうものは押さえ切れない、炭価はこれを上げることはできない、そういうような情勢が目に見えるような気がするわけです。したがって、それよりもむしろ私企業の企業責任というか、そういうものを与えてこれを完遂したほうがよりいいんではないかという見解を私どもは持たざるを得ないわけでございますが、それは相互に大きな見解の相違でございますので、多少水かけ論にもなるかと思いますので問題を進めます。
ちょっと余談みたいな質問になるわけでございますが、この社会党の国有化によりますと、年産五千万トンの出炭量を維持することになっておるわけでございます。しかもそれが国際収支上日本に大きな利益を与えるということもこの国有化の大きな余慶として与えられておりますが、五千万トンの国際収支に与える金額、こういうものについて、もしも多賀谷さん御記憶になければ政府でけっこうですが、どなたか五千万トンを、もしもそのまま輸入した場合にどの程度の金額になるのか、ちょっとお答えを願いたいと思います。つまりそれが日本になくて……。炭価が外国は違うから必ずしも日本の炭価をそのまま掛けたらこれは間違いだね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/10
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011・織田秀明
○織田説明員 原料炭と一般炭でいろいろ違いますが、平均してトン五千円くらいで計算すれば大きな間違いはないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/11
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012・田中六助
○田中(六)委員 そうすると五千万トンだから二千五百億なんだね。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/12
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013・織田秀明
○織田説明員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/13
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014・多賀谷真稔
○多賀谷議員 一般炭と原料炭とざっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/14
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015・田中六助
○田中(六)委員 これは平均してもいいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/15
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016・多賀谷真稔
○多賀谷議員 石炭の一般炭を輸入するということはちょっと考えられないわけです。これは結局重油を輸入するということです。要するに原料炭千五百万トン、一般炭三千五百万トンといたしまして、三千五百万トンに値する重油を輸入する。ですから重油にいたしますと大体二千万トンぐらいの重油になる。輸入単価をCIFでいきますと六千円ぐらいと考えればいいのではないか。六千円ぐらいの大体二千万キロと、それからあとは千五百万トンの原料炭単価、こういうことになるわけです。これはあとからちょっと計算します。
それからイギリスの例をちょっとお話しになりましたが、イギリスは御存じのようにあれだけ国内で石炭が足らない時代でも輸出しておったわけです。輸出市場を失わないために、相当安い石炭を輸出しておった。これは赤字を覚悟でやっておったわけです。それからもう一つは、イギリスの場合は収益還元方式をとりまして、そして過去三年間の収益の平均をいたしまして、それを二十年分を払うことにしたわけです。それがイギリスの国有化の非常な負担になってあらわれたというところに問題があるやに聞いておるわけであります。
それから日本でも、一九四七年から五二年という年はなかなか能率の上がらなかった戦後の年でありまして、そしてまた投資効率が十分あらわれなかった。乱掘のあとがまだ相当あった、こう見なければならないときであります。今日のイギリスというのは、相当近代化もされておるというように私は承っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/16
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017・田中六助
○田中(六)委員 国際収支面で、たとえばこれは私の計算ですが、多賀谷さんのおっしゃるように、つまり一般炭はこれは石油に還元できるわけでございますので、五千万トンをたとえばそういうものを含めて輸入した場合に、約五億五千七百万ドル、つまり日本円に換算しますと約二千億円程度になる。これは多少間違っているかもわかりませんが、大きな数字では間違っていないと思います。これを輸入してそして輸出力に還元する。つまり国際収支の面だけをとらえてみた場合に、わが国は特に貿易立国で、貿易量も百十八億ドルが目安になっておりますが、輸出のほうに力を入れるという面を考えれば、必ずしもこの石炭五千万トンを無理をして維持して、国際収支上に有利な条件を与えるということに対する見解がいいかどうか、きわめて私は疑問に思うわけです。特にいつまでも石炭と国際収支というものを結びつけて、将来とも考えられ得るかどうか。第一次答申から三次答申まで一応崩壊した形ですが、私どもが国際収支面から、この石炭にライトを浴びせていき続けるということにつきましても、大きな疑問を持つわけでございますが、この点に対する御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/17
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018・多賀谷真稔
○多賀谷議員 石炭がもしなくなった場合を想定をすれば、一体、原料炭にいたしましても、いまのような価格で日本に入ってくるかどうか。それから重油にいたしましても、日本は外国の資本から見れば重油市場として非常に新しく、しかも将来伸びる非常にいい市場であります。そういう場合に、日本に石炭というものがもしないとするならば、外国から現在のような価格で入ってくるか非常に疑問だと思うのです。もうすでに日本がアラビア石油のように開発をしておる、日本の支配下にあるという場合なら別といたしまして、ほとんどがそうでない現状であります。ですからまずこれが、幾ら計算をせよといっても出ませんけれども、相当の価格になるのではないか、こういうように私は考えるわけであります。
それからもう一つは、確かに経済全体と見ますると、安い原料を入れて輸出を伸ばしたらどうかということも一つの問題点だと思います。しかし私どもは、いま需要家として期待をしているものは電力である。一般炭につきましては、電力は地域的独占でありまして、すでに価格の中に安い価格において織り込み済みである。ですから石炭の値段が下がりましても電気料金が下がったという話を聞いていない。ただ中国電力において、最近石炭の値段よりも重油の値段が下がりましたから、中国電力はたしか一キロリットル九千数百円の重油を電気料金に入れておった、それが六千円程度になった。石炭も、相当の石炭の価格を入れておりましたが、重油が下がったということで、中国電力は御存じのように三%程度下げたわけです。ほかはどこも石炭の値段が下がったからというので料金を下げてはいないわけです。
ですからそういう点を考えますと、私は、いま一番問題にしておりますのは石炭、一般炭につきましては、これは田中さんがおっしゃるように、すぐ日本経済にどうかという問題にはならないし、むしろ日本に資源がないというほうが危険ではないか、こういうように考えておる次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/18
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019・田中六助
○田中(六)委員 もしも石炭が輸入されなければ、石油の価格もいまの値段では入らないだろう、そういう御見解は現に石油の業界も、具体的に申しますと出光さんなどは明らかにそういうことを言っております。しかしそれはやはり自由企業、それからいまどっちかというと売るほうの立場が弱い立場にございますし、競争というものがありますので、私は必ずしもそういう見解がいつまでも続くかということに疑問を持つわけでございますが、さらに問題を進めまして、国有化された場合の労使関係でございます。この点はどういうふうになるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/19
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020・多賀谷真稔
○多賀谷議員 御存じのように、日本の公社の労働組合は公共企業体等労働関係法という法律のもとで規制を受けまして、争議権は禁止されておるわけです。しかし、先般ILO実情調査調停委員会のドライヤー氏が来ましたときに勧告をしておりますが、その勧告によりますと、こういう企業であるからという理由で、企業に一律に何らの差別なく争議権を禁止するということは妥当でない、こういうことを勧告しておるのであります。でありますから、イギリスでも国有になりましたし、あるいはフランスでも国有になりましたけれども、争議権を禁止されたということを聞いていないのでありまして、本来民間企業でもできるというような産業が国有になった場合、これは国有であるからという理由だけで労働三権を制約するということは妥当でない、かように考え、現在の組合法並びに労調法の適用を受けさすことにいたしたいのであります。
さらに、賃金等の問題につきましても、私は、いま国有になり公社になったからといってすぐ同一賃金というのは、若干無理があるだろうと思います。ですから、ある時間的な経過を経て、そうして段階的に水平化運動を起こしながら一定にするという、ある経過期間というものが必要ではないか、こういうように考えておる次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/20
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021・田中六助
○田中(六)委員 そこが実は問題であるわけでございます。ドライヤー報告によって、要するにこういう企業が同一の基盤で扱われる必要はない、それは適当でないということから、石炭の国有化されたあとの労働組合、職員ですか、そういう人たちには、スト権が確保され、結局ストができることを意味しているわけでございますが、国有化の目的並びに現時点を考えてみましても、これから先の需給関係はあくまで政策需要を目的としたものだというふうに考えられます。そうすると、どうしても需給関係がスムーズにいくということが大きな目的ではないかと思います。これが統一的な全国的な労働関係の動きになりますと、これは極端な例でございますが、九州のどこかでストをしなければいけない状態が発生した。そうした場合に、組合の性格上どうしても全国的に波及すると思うのです。そういうような場合に、この国有の目的である需給関係の調節、そういうものが大きく忘れ去られて、政策需要、電力や鉄鋼等大きな基幹産業への需給状況に支障を来たすということが当然考えられるわけです。したがって、こういう点の配慮を考えておられるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/21
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022・多賀谷真稔
○多賀谷議員 事実なるべくストライキをしないようにするということと、法律で禁止をするということは、違うと思います。需要家の側であります産業が争議権があるわけです。鉄鋼とか電力とかいうのが、これはスト規制法である程度保安とかその他は制限を受けますが、争議権が本来ある。しかし原料部門がないということは、どうもちょっと矛盾をしておるのでありまして、ですから私は、権利としてはある、それを乱発するかどうかということとは若干違うのではないか。ですから、率直にいいますと、炭鉱労働者はずいぶんいままで、労働条件につきましても、他の産業に比べて低い状態にありまして、苦しい状態にあったわけですが、ひとつ公社にして、そして希望を持たせながら労働条件の改善を漸次やっていくならば、私は、スト権の乱発というようなことは起こらない、こういう政策的配慮が必要ではないか、それを法律によって規制をする、制限をするということは妥当でない、かように考えておる次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/22
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023・田中六助
○田中(六)委員 法律によって規制することが妥当でないというのですが、私どもの見解は、石炭問題が今日のようになった、あるいはこれに関連しまして職員の配置転換あるいは再就職、そういうものが非常にスムーズにいかなかったということは、合理化しようと思っても、それが首切りだというふうにつながって、いろいろな労働運動が行なわれてきたことが、今日、石炭そのものではなくて、それに関連する諸情勢をきわめて困難におとしいれたというふうに考えておりますので、やはりこの点で非常に気になる。政策需要、需給関係をスムーズにやるという目的が遠くのほうに飛んでしまって、そしていろいろな賃金の引き上げあるいは労働条件の改善などについても問題が起こって長期化するというおそれを抱かざるを得ないわけでございます。そういう考えからいたしますと、この点についてもやはり大きな問題をかかえておるということを断定せざるを得ないわけでございますが、さらに問題を進めまして、石炭公社の中にいろいろな条件が規定されておりますが、この労働組合の代表というものはだれがどのようにして選ぶのかちょっと疑問に思いましたので、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/23
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024・多賀谷真稔
○多賀谷議員 質問の要点は、経営委員会におけるまず労働者の代表はどうして選ぶか、こういうことですが、現在全般的な労働者の代表として、当該職員でない者を選んでおる例は、日本でも先ほど申しました公企労法の労働者側委員というのは、これは当該企業といいますか公社の職員でない者を選んでおるわけです。たとえば公企体の場合の労働委員といいますと、太田さんであるとか、そういう同盟からどう、あるいは中立からどうだという、そういう選び方をしておる。ですから私どもは、職員は経営委員会の委員にはなれないことにしております。しかし職員出身者は何も規定をしていない。ですから、当該公社の職員団体が自分の代表を出したいと思ったら一応推薦をするわけでありますが、その場合には推薦をして、なりましたとたん職員でなくなる、こういうことになるわけであります。あるいは他の組織の、たとえば同盟でありますとか総評でありますとか、ひとつそういうところの代表者も労働者の代表として出す、こういうことも考えられるわけであります。それは別に規定しておりませんけれども、従来慣行もあることでありますし、公社の職員の団体と相談をしながら、さらに上部組織と相談をしながら労働者の代表を選ぶ、こういうようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/24
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025・田中六助
○田中(六)委員 イギリスの場合を見ましても、イギリスの場合は国有化委員会と労働組合の関係が非常にありまして、労働者側の意見が必ずしも一定でない、非常に浮動しているわけです。結局最後にもめた結果、労働者代表は入らずに、労働組合を支持する人を委員として出しておるということになっているので、その間の過程は非常にもめているようですが、この労働者に対する訓練とか技術教育について何か法規上の規定はあるわけですか、そういうことはもう全然ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/25
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026・多賀谷真稔
○多賀谷議員 実はその点はイギリスのボードとか、あるいはフランスの公社の経営とは違うのであります。そこで私どもが、自民党政権でもできますよ、こういうことを言っているのは、この点も一つ問題点があるわけです。というのは、経営委員会というのは重要事項を決定する機関ではございますけれども、要するに理事者ではない。いまお話しのフランスとか、あるいはイギリスの場合は、これは理事者の、いわば理事会のメンバーの問題になる。これはイギリスでは非常に議論がございまして、職能別代表を入れるかあるいは機能別代表を入れるかというので、いろいろ議論がございましたが、労働組合の出身者は入るけれども、それは労働組合の代表ではない、労働組合には責任を持たないんだというのがイギリスのシステムであります。それに対しましてフランスでは労働者の代表として参加をするというシステムになっておるわけであります。しかし私どもがここに書いております経営委員会というのは、すでにNHKや電電公社等にある経営委員会のスタイルでございまして、要するに理事者として組合代表を入れるという考え方はとらない、こういうようにいたしておるのであります。でありますから、これはそういう意味においては、いわば労働者を管理する公社であるということはありません。ですから、労働組合からすると、その点におきましてはこれは非常に不満な法案である、こういうことが言えると思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/26
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027・田中六助
○田中(六)委員 労働者は不満だという、私もこれではたして労働組合並びにその代表が満足するのかどうか疑問を持ったから実は聞いたわけでございますが、まあそれはさておきまして、時間もそろそろですが、石炭が国有化される、国有化である以上、やはり一般国民、つまり一般消費者に奉仕するという精神が底に流れていなければならないし、当然流れておると思うのですが、その消費者に対する利益または便利というもの、そういうものがイギリスの場合と比較して——これしかデータがないものですからいつもあれですが、イギリスの場合はつまり消費者と国有化産業の中枢を結ぶのに消費者委員会というものがあるわけですね。そして消費者の不平、不満あるいはそういうものがいつでも代弁できるようになっておるのですが、日本の場合、これは政策需要で大体消費者の大手どころはきまっておるからということもあるのでしょうが、そういう国有化のベースに、底に流れる一般消費者に対する配慮というものはあまりお考えになっていないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/27
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028・多賀谷真稔
○多賀谷議員 これは審議会、委員会と二通りございまして、国有化法案の中の石炭審議会というのは需要者の代表が委員として入ることになっております。これはどちらかといいますと任務がおのおの違うのでありまして、それはいわば石炭審議会というのは単に石炭の関係者だけでなくて広く需要業界を含めて、需要業界としての意向をくみながら政策決定をする、こういうことであります。それで経営委員会のほうに需要者の代表を入れなかったのは、経営委員会のほうはむしろその経営をどうするか、ある与えられましたワク内で、より経営をどうするかというようなことでございますから、経営委員会のほうでは学識経験者、労働者とそれから公社代表によって組織する、こういうようにしたのでございまして、最初の政策決定あるいは価格問題というものについては当然消費者の代表が出てその業界を反映するシステムになっておる、かように御理解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/28
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029・田中六助
○田中(六)委員 まあ需要家が消費者——日本の場合は確かに一般に石炭を消費する率というものがきわめて少ないですから、そういう御答弁で十分説得力はあるとは思いますが、多少疑問が残ります。それで、この法案そのものの細部につきましては、これはそう短時間ではこれをずっと消化した質問はまだできないわけでございますが、冒頭に申し上げましたように、わが党の神田先生や、その他からもどうせあとで質問がございますので……。
最後に、ちょっとこの内容に触れた中で、ひとつお聞きしたいのですが、これを弁償する、何条でしたか、買収価額の十四条の二項ですか、そういうものと関係するわけですが、これを見て判断し分析しますと、日本では大手十六社ですが、株式方式で上場されているものは実際問題として処理しやすいと考えるのですが、中小の場合、その資産から負債を差し引くというやり方ですね、これは私は非常に大きな問題になると思うのです。もちろんその基準をどこに設定するかも、純資産方式とかいろいろとるわけでしょうが、しかし中小で資産から負債をそのまま差し引いて、少しは手に残るというなら別ですが、こういう場合に、全く何もない、むしろ負債のほうが多くて、そして国有化をこのまま進めていく——それは根本的問題で、最初聞くべきだったのでしょうが、必ずしも全部国有化しなくとも、自主的にするかどうかということも問題ですが、中小を含めて全部石炭を国有化にしてしまうのか。そこからほんとうは聞かなければいかぬのですが、それはさておきまして、資産から負債を差し引いてしまって処理をするというそういう単純な方式ですね。これは大きな問題を投げかけないかどうか。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/29
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030・多賀谷真稔
○多賀谷議員 大きな問題を投げかけないかといいますと、なかなか答弁はむずかしいのですけれども、個々の企業に対してはいろいろ不満もあるでしょう。実は上場されております会社は、これは株式で評価するわけですが、われわれがわかりました金額でも相当の有価証券を持っている。これが石炭以外の資産が入ってくるという前提があるわけであります。ですから実際に払う部分はわりあいに少ない。しかし膨大な借金を肩がわりしなければならぬという問題もございます。それから中小が主でありますけれども、中小の場合の資産から負債を差し引く場合には、実は率直に言いますと、やはり資産というものが評価が非常にむずかしい。先般も申し上げましたが、大体これはスクラップ山だというのも一応国有化をして公社の中に入れるわけでありますから、スクラップが大体予想されるような炭鉱の資産というものは、本来少なくとも鉱業権、坑道についてはゼロであります。しかしそれをゼロということにしますと、これはもうどうにもならないので、一応それは操業をするという前提で入れなければいかぬということでありますから、ある程度の擬制資産評価というのがどうしても出てくるだろう、こういうように考えます。そこで、私は率直に言いますと、約三千五百万トンは株価方式でいく。それに二百億若干上回る金額が出る。そうすると、あとの千五百万トンは、大体それに見合った額にしてそれを中心として基準をつくるという以外には、だれがおやりになっても方法がないのじゃないか、こういうように考えるわけであります。
これは非常なマクロ的な話をいたしますけれども、いま現実に合理化事業団で資産方式をやっている。なるほど合理化事業団の資産方式というのは、非常に克明にこの鉱業権は何年に操業する予定であるからトン当たり幾らというように出ておりますが、その前提というものは、御存じのように千三百円から二千四百円に一度に倍に上がった。これはやはり考え方の中で社会保障的なものが中に入っておる。本来の資産ではない。ですから資産の基準というものはきわめて厳密にできておりますけれども、根本問題というものはきわめてマクロ的な話である。ですから、私どもは、基準は各企業が不公平があると言わないように基準をきちっといたしますけれども、基準のもとをきめる政策というものは、われわれはやはり政策的に均衡を大きなところでとりながらやっていいのではないか、こういうように考えます。
それから、中小は必ずしももらう金額が少ないとも言えない。というのは、負債が少ないのです。中小のほうは大体御存じのように市中銀行がほとんど金を貸しておりませんから、負債が少ない。だから必ずしも大手の場合にはこの程度であるから中小の場合は少ないとも言えない。ですから、これは一つ一つ厳密に検討しませんと何とも答弁できませんけれども、何にいたしましても株価方式と、資産から負債を引く方式がアンバランスにならないようにという配慮は、これは一番大きな問題としてしなければならない問題ではないか、こういうように考えております。
それから評価につきましては、御存じのように評価審査会でいたすことにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/30
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031・田中六助
○田中(六)委員 一応御答弁をお聞きしてこれでやめますが、まだこの法案の細部については、何度も申しますように非常に疑問点もあるし、それからせんだっての田畑委員に対するお答えの中に、国有化した場合、金利を泣いてもらうというようなこともあったのですが、しかし、その金利を泣いてもらうというふうに、はたして単純にいくか。法律上も、その他実際問題にいたしましても、特に金融機関がはたしてそんなことをするかどうかというようなこと、あるいは法案の内容についてもまたこれからいろいろ聞きたいと思いますが、いろいろ御苦労さまでした。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/31
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032・堂森芳夫
○堂森委員長 大橋敏雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/32
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033・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 私は、この前の委員会におきまして石炭産業の総体的見地からいろいろとお尋ねしたわけでございますが、きょうはいよいよ社会党の国有化法案の内容に入って二、三点お尋ねしてみたいと思います。
まず、第二章の「石炭鉱業の国有」という項でございますが、この中の第二条に「国の権能」が示されておりますけれども、特に「石炭を輸入する権能は、国に専属する。」とうたってあります。まず、この第二条の内容を説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/33
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034・多賀谷真稔
○多賀谷議員 第二条は、掘採、取得、輸入権能は国に専属するということをいっております。
まず第一に、いままで論議をいたしました販売についてはなぜ書かなかったかという疑問が出てくると思いますが、実は出炭をいたしますのは国すなわち公社がいたすのでありますから、自分が掘りました石炭をどうするかというのは公社の意思になるわけでありまして、これは別に「権能」と書く必要がない、こういうようにいたしたのであります。事実問題といたしましても、販売は私どもが提案理由に説明いたしましたが、大口の需要は公社みずからが行なうけれども、小口需要は商社にゆだねたい、こういうように考えているわけでございます。
次に、輸入につきまして、なぜ輸入の権能を国に専属するということをいったかといいますと、この輸入が野放しでありますと石炭政策が立たないのであります。いま、御存じのように石炭そのものは認可制になっておりまして現在自由化になっておりませんけれども、これは自由化というものは当然の大きな流れでございますから、われわれは自由化を想定をしなければならない。そこで自由化された場合一体どうかということを考えますと、国内において原料炭幾らという話を幾らしましても、輸入がどんどん入ってくるということでは国の政策が立たない。そういう意味から、輸入権能を国に属するということにいたしました。
しかし、現実問題として、では国が輸入業務を行なえるか、こういうことになりますと、現実少なくともこの石炭の再建をいたします当初におきましては、とても輸入の業務なんかは手が回らないのでありまして、そこで公社法の中で、第三条に「石炭の輸入を行なうこと。」といたしておりますけれども、さらに二項におきまして、「公社は、通商産業大臣の認可を受けて、輸入業者に対し、前項第三号に掲げる業務を委託することができる。」こういうように委託をして当面現実処理をしていきたい。さらに将来石炭公社が国内の炭鉱が安定をして海外に出るということになりますれば、当然開発と同時に輸入業務も公社が行なう、こういうようにしたいと考えております。しかし法律が制定をされました当初の段階においては、全部といっても言い過ぎではありませんでしょうが、輸入業者に託する、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/34
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035・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 そうしますと、特に輸入の問題ですが、輸入計画については一切公社がおぜん立てをする、その計画に基づいてなされるいわゆる作業は従来の輸入業者が委託されるのだ、こういうふうに理解するわけですが、その点はそれでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/35
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036・多賀谷真稔
○多賀谷議員 公社は輸入数量について決定いたしません。これは石炭審議会がするわけであります。これはすなわち通産大臣が審議会に諮問をし、審議会が決定をいたしまして、通産大臣が定める、こういうことになっておるわけであります。その与えられましたワク内で公社が運営をするということになるわけでありまして、当然それは公社以上の国の政策としてきめるべき性格のものではないか、こういうように考えておる次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/36
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037・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 いずれにしましても、従来も通産省のほうで輸入計画を立てたその立場で輸入業者が動いていたと思いますが、実際、従来動いていた輸入業者の数は大体どのくらいあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/37
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038・多賀谷真稔
○多賀谷議員 それは数字ですから、ひとつ政府のほうで御答弁願えるとけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/38
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039・織田秀明
○織田説明員 いま資料を持っておりませんが、この次でよろしゅうございましたらお持ちいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/39
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040・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 大体でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/40
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041・織田秀明
○織田説明員 ちょっと大体の数字もわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/41
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042・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 そうしますと、輸入業者というのは、いうなれば骨抜きの立場、いわゆる自主性というものはまずない、こう見ていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/42
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043・多賀谷真稔
○多賀谷議員 日本の原料炭の生産状況というものは年次別に大体把握できる。それから輸入の場合も幾ら輸入しなければならぬかというのは、鉄鋼の生産に大部分かかっておるわけでありますから、鉄鋼の年度計画を見れば大体わかるわけであります。それからさらに最近はみずから開発をする、製鉄業が各社集まって開発をする場合もありますし、個別的に開発する場合もありますし、あるいはまた三井鉱山や三菱鉱業が入って三井物産や三菱商事と一緒になって開発する場合もあります。あるいはスポット物を買う場合もあります。いろいろな場合がありまして、スポット物の場合は別でありますけれども、あとの場合は、これは初めから計画に乗って業者が行なうということでありまして、業者は、突然ある決定がなされて、それによって経済活動をするというものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/43
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044・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それでは、石炭の輸入については政府がその数量を決定し、その仕事を公社にまかせる。公社は手が足りないという現状から輸入業者に委託をする。したがいまして、将来開発が進むにつれて公社がその仕事もやるようになれば、この輸入業者というものは自然消滅ということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/44
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045・多賀谷真稔
○多賀谷議員 原料炭の輸入というものはますます増大をする、国内が幾ら原料炭を生産いたしましてもとても追いつかない現状であります。しかも、原料炭の中で、弱粘結炭と強粘結炭とがありますが、強粘結炭は全部外国から輸入をしておるのでありますから、商社は現状の経済活動よりも仕事が減るということは絶対にあり得ない、こういうように考えたらいいんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/45
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046・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 そういう点、何かの姿でうたっておく必要はないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/46
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047・多賀谷真稔
○多賀谷議員 提案理由で簡単に申し上げましたけれども、零細な企業というものは、国内の販売は別ですけれども、石炭の場合はわりあいに輸入業者には少ないんじゃないかと思いまして、簡単に処理したわけです。せっかくの御意見でございますから、別の機会に声を大きくしてその政策の実際をお伝えしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/47
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048・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 次の第三章に入りますが、石炭需給計画を見てまいりますと、第四条には「石炭審議会の意見をきいて、当該年度以降の五年間について石炭需給計画を定めなければならない。」こうしてあります。そして二項、三項、四項、五項とあって、需給計画の内容が示されておりますが、特に第二項におきまして、「石炭需給計画に定める事項は、次のとおりとする。」として、四つあります。この内容を読んでまいりますと、「一 石炭の生産数量、輸出数量及び輸入数量
二 石炭の需要の確保に関する事項
三 石炭の販売価格に関する事項
四 その他石炭の需給に関する重要事項」こういうふうにあるわけですが、これを拝読しまして、このとおりの内容であれば従来もこのような方針で計画されておったんじゃないか。特に、国有化するという立場から見た場合、別に真新しいものがないような感じをここでは受けるわけですけれども、内容的に独特な何かがこれにあるんじゃないか、こう思いますので、それがありましたならば御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/48
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049・多賀谷真稔
○多賀谷議員 ことに目新しいものはありません。その点は法案全体が国有、公社でありまして、公社、国有という切りかえは大きな切りかえでありますけれども、そのほかに個別的には特殊であるというようなものはあまり考えていないわけであります。まあここには「輸出数量」というのがありまして、あるいは将来日本の、ことに九州の石炭を台湾に送るとかあるいはまた中国に送るということもかつてはやったことがあるわけでありますから、想定をされないわけではありませんので入れたわけでありますけれども、これによって特に変わったという点はございません。ただ第六条に審議会の権限として、従来書いてございませんでした、通産大臣に必要と認める事項については建議することができるという建議権を入れた。こういう点が審議会においては若干違うかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/49
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050・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 これは私のしろうと的な考えになりますけれども、石炭産業だけを国有化する、ところが需要側は、いわゆる電力だとか鉄鋼がほとんどですけれども、そちらのほうは自由経済でいるという関係、これではたしてうまくいくのかどうかという問題ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/50
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051・多賀谷真稔
○多賀谷議員 これは率直に言いますと、需要業界、ことに先般もお話ししましたが、電力とか石油というものを同じような管理下に置くということが、これは最も望ましい姿であるし、各国ともそういうような、いわば経営体に置いておる。各国と言いましても、イギリスとかフランスは置いておるわけです。しかし、現実では石油あるいは電力ということまでそういう範囲を拡大しますると、とにかくいま崩壊しかかった石炭産業が、それの大きな政策の中に埋没してしまうということがございまして、とにかくいまの政治勢力その他を考えて不十分ではございますけれども、与党が賛成をしてくれるということを考えると、先ほど申しましたように、経営委員会の構成の問題であるとか、あるいは石炭審議会の権限の問題等も考慮をして、佐藤内閣でも賛成できるのだという法案をつくったところに非常な苦慮があったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/51
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052・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それでは次に移りたいと思いますが、第四章の「石炭審議会」、これはいま田中委員も何点か尋ねておりましたけれども、第七条に、審議会は委員何名で組織するという、これは何名になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/52
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053・多賀谷真稔
○多賀谷議員 正式に十二名です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/53
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054・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 そうしますと、第八条の中に「委員及び専門委員は、公社を代表する者、公社の職員を代表する者、石炭の需要者を代表する者」これは最後のほうはわかりますけれども、「公社を代表する者」というのは、これは経営委員会の委員長等をさすのですか。それともどういう立場になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/54
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055・多賀谷真稔
○多賀谷議員 これは労使それから需要者、学識経験者、こういうように考えていただくといいと思います。そこで、公社でございますから、公社の責任者ということに当然なると、こういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/55
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056・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 これも公社の職員を代表するというのが労働組合の代表だと見ていいわけですね。
それでは次にいきますが、第五章の「石炭鉱業等の買収等」というところですが、第十二条の第一項の一号ですが、「石炭鉱業(その附帯事業を含む。以下同じ。)を営んでいる者」云々とありますが、この附帯事業という、いわゆる限界といいますか、これはどういうことになっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/56
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057・多賀谷真稔
○多賀谷議員 これは、実はものの考え方を申し上げますと、株価方式で買う。そういたしますと、その株価の中には、石炭鉱業を主として営んでおるけれども、他のいろいろな関連産業等をやっておるというものも評価をして入っておるわけです。でありますから、一応われわれは石炭鉱業が主として営んでおる者については、株価で買うということの前提に立って考えますと、石炭鉱業だけを引き抜いて買うのではありません。こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/57
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058・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 そうしますと、コークスだとかメタノールだとか、あるいは石炭産業を遂行するために鉄道を敷いているとか、こういうのがありますが、こういうのもやはり含むのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/58
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059・多賀谷真稔
○多賀谷議員 会社が別会社になっておる場合には買いません。しかし同一会社でありますと、当然株価方式に入ってくる分につきましては、買収するということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/59
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060・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 十三条の「権利及び義務の承継」というのがありますが、この「権利及び義務は、当該買収の時において国が承継する。」とうたってありますけれども、実際国有化になった場合、そっくりそのままその時点で権利義務を承継したと見た場合、金額に直せばどの程度になるものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/60
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061・多賀谷真稔
○多賀谷議員 まず負債はどのくらいあるかという問題、これは大手十六社で約二千三百億といわれております。それから従業員の預金、これがいろいろ調査によって違うわけでありますけれども、大体、先般労働省がこの席でお話ししましたが、これも労働省の場合は本社を除くといっておりますし、また貸借対照表にも出ておりますけれども、これまた兼業の部門も入っておりますので、大体二百六十億くらいではないかと、われわれは判断をしておるわけです。それから長期社債が、これはわれわれ石炭に関しますものは三十億程度ではないか、少なくもこの程度のものは、やはり金額がはっきりしておりますから、引き受けざるを得ない。そのほかに売り掛け金とかいろいろあるわけです。ところが、これは逆にそこから貸している金額もある。なかなか差し引き勘定がむずかしいわけですが、要するに、これらもその時点においては全部引き継ぐ、こういうことになっておるのであります。それから換金可能な金額もあるわけですね。先ほどお話がありましたように、当該会社を株価で評価した場合には、セメント会社の株であるとか、あるいはいろいろな株があります。それが結局は換金できるものである、こういうように考えます。それから石炭以外のところに投資をしておる子会社もある。これもなるべく私どもは、それは譲渡したい、こういうように考えておりますから、これらが持っておる債権債務は一度公社にはなりますけれども、これは漸次譲渡をしていきたい。その場合には、負債のほうもくっつけて譲渡したい、こういうように考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/61
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062・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それでは第十四条になりますが、「買収価額」、いまも株価方式でいくんだというお話で、この中に「平均取引価格にその者の発行済み株式の総数を乗じて得た額」とありますが、この平均取引価格ですね。この平均を三年と見るか、一年と見るか、あるいは半年と見るか、流動の激しい石炭産業の中にあるこの評価というものは、非常に大事になってくると思いますが、これはこの前のお話では、たしか一年と聞いたようですけれども、(多賀谷議員「一年です」と呼ぶ)これは一年で決定し、その立場で一切を進められていくわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/62
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063・多賀谷真稔
○多賀谷議員 これは法律的に申し上げますと、一定期日前、一定期間の株価ということになっておりまして、これは政令で定めることになるわけであります。党といたしましては、最初ある時期に——外国の例は、大体政権を取る前の日から三年というのが常識のようであります。そこでわれわれは一応、新聞記者発表をしました日以前の三年の株価の平均価格、こういうように考えておりましたけれども、実態をいろいろ見てみますると、借り入れ金だけでも二百億以上ふえておる、その二年間に。それと三年前の事態と現在は全然違う、こういうことを考えまして大体一年の株価平均でいきたい、こういうように考えておる次第です。しかし政権は自民党にあって、政府は、自民党政府が実行するわけですから、社会党の立案者としてはそう考えておるけれども、これは政令にゆだねた事項でありますから、政府のほうで法案が通れば執行される、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/63
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064・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 これが先ほどおっしゃっていた二百六十億ということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/64
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065・多賀谷真稔
○多賀谷議員 二百十七億くらいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/65
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066・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それでは、その次の第十四条になりますが、「資産の価額の合計額から当該事業に属する負債の価額の合計額を控除した額」。先ほども田中委員から質問がありましたが、中小企業のほうは、とにかく収支を合わせていかなければその日に倒れるわけですから、一生懸命やりくりしてきた。そうしますと、資産の評価価額の合計よりも負債のほうが少ないのではないか。もらう分はある一部分だ。ところが兼業会社のほうは大手がほとんどであろう。しかもこれは逆に資産の評価合計よりも負債の価額の合計のほうが多いんじゃないか、石炭関係だけ見ていった場合ですね。こういうちょっと矛盾したものを感ずるのですけれども、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/66
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067・多賀谷真稔
○多賀谷議員 私がざっと頭の中に描きましても、必ずしも大手の兼業というのは負債のほうが多いということでもない。いわば資産のほうが多いところもある。大体考え方はある一定規模以上の兼業ということにしております。ですから、具体的に申し上げますと、大体普通常識的に兼業会社といっておるのが入るわけです。ですからそれを想定しますと、資産のほうが多い場合のほうが多いのじゃないか、こういうように考えられます。それから中小の場合、これは負債が少ないからみな中小のほうがもらい分が少ないように受け取られるかもしれませんけれども、むしろ逆ではないか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/67
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068・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 そうしますと、「買収価額の算定については、前項の規定によるのほか、政令で定めるところによる。」こう二項目にありますけれども、実質赤字をどこまで見るのかということですね。それから、たとえば鉱害賠償等の債務をこの中に含むのかどうかという問題なんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/68
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069・多賀谷真稔
○多賀谷議員 まず考えられますことは、兼業を除きまして石炭プロパーの会社を考えてごらんになるとわかると思うのです。鉱害を当該企業に、すなわち買収をされたあとの残がいの会社に持たしてみても支払い能力はないわけです。それは債権債務のうちの債務の分として鉱害は見なければならない。ですから鉱害は全面的にかぶっておる。しかし現在の制度でも無資力鉱害という制度があるわけでございますから、別に変わった方式ではない。最後には国が見なければならぬという方式になっておるわけでありますから、鉱害を全部国が持っても何ら現制度と矛盾するものではないと思います。ただし、鉱害の場合は国が一般政策として出しておる補助金の部分とそれから当該鉱業権者が出しておる部分とがあるわけです。これらの問題は、今後公社が鉱業権者として出す鉱害と国が政策的に出す国庫補助金としての鉱害あるいは買収の対象にならぬすでに終閉山をした山、これらの無資力鉱害というものは区別をして政策的に計上をする必要があるのではないか、こういうように考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/69
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070・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 そういういろいろの内容を検討、計上していく作業は、評価委員会でやるというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/70
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071・多賀谷真稔
○多賀谷議員 まず政令を先につくりまして、その政令に基づいて評価委員会で行なうということになると思います。日本の公務員は非常に優秀ですから、一定のワクを与えれば必ず優秀な作業ができるだろうということを期待をしておるわけです。前提は、いろいろ先ほど申しましたマクロ的なかなり不確定要素もありますけれども、一回ワクをきめれば、あとはその範囲にはきわめて公平な基準ができるのではないか、こういうように見ているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/71
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072・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 私が聞いたところによりますと、イギリスの場合、評価委員会をつくって石炭部門、非石炭部門等を選び出し、作業を進めていくのに十年間くらいかかったと聞いているのですけれども、わが国のほうは大体どのくらいかかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/72
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073・多賀谷真稔
○多賀谷議員 現実に閉山をする場合の事務処理をすでに合理化事業団が十年余にわたってやっているわけですから——私はそのデータを使うというわけじゃありません。考え方も違いますけれども、その作業そのものは私はきわめて短期間に行なわれるだろう、こういうように考えておるわけです。ですからいわば条件をきめるということが先決でありまして、条件さえきまればあとの作業は簡単にいくのじゃないか、こういうように考えるわけです。ただしイギリスの場合とか、その他日本製鉄株式会社が御存じのように八幡製鉄を中心として統合されましたときも、製鉄のほうの評価は簡単にいきましたけれども、持っておりました鉱山のほうの評価は非常にむずかしくて、発足をいたしましてから約七、八年鉱山のほうの合併はかかっておるわけです。しかし今度は、要するに私企業でそのままいっても存続をし生きていける炭鉱を統合するのじゃないわけでありますから、政策的な余地が相当入ってくる。ですからかなり政策的にきめてもいいのじゃないか、こういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/73
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074・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それでは、次の「鉱業権等の消滅」の項ですけれども、十五条の第二項に、「国は、前項の規定による鉱業権又は租鉱権の消滅によって生じた損失を当該鉱業権又は租鉱権を有していた者に対し補償するものとする。」とありますね。この補償の問題と、また鉱業権、租鉱権をどのようにとらえられていくのか。先ほどゼロだというようなお話もちょっと聞きましたけれども、この点もう一度明確にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/74
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075・多賀谷真稔
○多賀谷議員 鉱業権の評価というものは、すでに貸借対照表では御存じのように鉱業権の評価をしておるのですけれども、操業してない炭鉱の鉱業権ですね、現実に操業してないものが一体こういう時期にどれだけの価値があるか。本来鉱業権というものは国が与えた権能であります。これを国が消滅さす場合に一体どれだけ評価をするかというのは、私はどちらかといえば、もう操業してない鉱業権については否定的な考え方を持っておるわけです。しかしそれが妥当であるかどうか、これは後に評価委員会等でも決定されるわけですが、ぼくはいわゆる鉱区税とかそういうもの程度ではないか、あるいはまた特別の施設をして損失というようなもの程度ではないか、こういうように考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/75
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076・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 いろいろとお伺いしましたけれども、まだかなり問題をはらんでいるようでございますので、なお一そう現実的な立場に立ってものをお考えになって、さらにすばらしい内容にしていただきたい。
きょうはこれで質問を終わりたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/76
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077・堂森芳夫
○堂森委員長 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案について、明十八日参考人として鉱害基金理事長天日光一君及び産炭地域振興事業団理事堀坂政太郎君の出席を求め、意見を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/77
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078・堂森芳夫
○堂森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/78
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079・堂森芳夫
○堂森委員長 石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。通告がありますのでこれを許します。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/79
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080・多賀谷真稔
○多賀谷委員 大臣が見えるそうですから、事務的な、条文について質問を先にしたいと思います。
まず、今度の改正案の最も大きな柱である裁定制度についてお伺いしたいと思います。われわれが期待をしておりました紛争の処理というものは、はたして本改正でできるのかどうか、こういう疑問を持っておるわけでございます。なぜ鉱業法の一部改正で行なおうとされました、いわば限定的な区域の裁定でなくて、一般的な鉱害の紛争の裁定制度をつくられなかったか、これをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/80
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081・中川理一郎
○中川(理)政府委員 御質問は、裁定の対象紛争を限定した理由いかんと、一般的にあらゆるものが裁定対象になるようにしてよかったのではないか、かつて提案された鉱業法の一部改正がそういう思想で成り立っておったのではないか、こういう御議論だと理解いたします。御承知の鉱業法の改正は、現実に国会の了解を得ることができなかったわけでございまして、その後かなりの期間がたちまして、今回の私どもが提案しております石炭鉱業賠償担保等臨時措置法の一部改正に関しまして法務省ともいろいろお話を進めたのでございますが、基本的には、やはり本来鉱害紛争のような司法的な当時者間の紛争の解決というものは、司法機関である裁判所にゆだねらるべきものであるということが原則のようでございます。とはいうものの、実際に鉱害紛争というようなものが裁判所の判決をまたなければいかぬということでは、迅速な解決を見ないことも実態としてあるわけでございます。このような状況から行政機関の裁定による紛争の解決というものは、その行政目的、公共的な政策遂行上、特に簡易迅速に解決しなければならないものである場合に限定して認められるべきのだという意見に帰結を見たわけでございます。ただし、そうは申しますけれども、この範囲につきましては、裁定の対象となるべき鉱害の紛争を総合的な、計画的な鉱害復旧促進の見地から、通商産業大臣が指定した地域内に生じている紛争等について受けるということにいたしたわけでございまして、実際問題として、通産大臣に一任されたという形に法律のスタイルもなっておるわけでございます。したがって私どもといたしましては、地域指定に関しまして、鉱害問題が地域的に深刻なものとなっており、早急に復旧基本計画を作成して、復旧しなければならない地域ということに観念的には限定をいたしますけれども、具体的には、従来鉱害復旧事業団を設立するものとして指定されていた地域、この地域を指定するつもりでおりますので、実際問題として、裁定の対象を法律的には限定はいたしましたけれども、実態的な支障はない、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/81
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082・堂森芳夫
○堂森委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/82
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083・堂森芳夫
○堂森委員長 速記を始めて。
次回は明十八日木曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804589X00919680417/83
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