1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月十九日(火曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 田村 元君
理事 金子 一平君 理事 原田 憲君
理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君
理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君
大久保武雄君 大村 襄治君
奧野 誠亮君 河野 洋平君
小山 省二君 四宮 久吉君
砂田 重民君 地崎宇三郎君
西岡 武夫君 古屋 亨君
坊 秀男君 村上信二郎君
村山 達雄君 山下 元利君
吉田 重延君 阿部 助哉君
井手 以誠君 佐藤觀次郎君
中嶋 英夫君 平林 剛君
広沢 賢一君 岡沢 完治君
河村 勝君 広沢 直樹君
松本 忠助君
出席政府委員
総理府統計局長 岡部 秀一君
経済企画庁国民
生活局長 八塚 陽介君
大蔵政務次官 倉成 正君
日本専売公社監
理官 前川 憲一君
大蔵省主税局長 吉國 二郎君
大蔵省関税局長 武藤謙二郎君
国税庁長官 泉 美之松君
食糧庁長官 大口 駿一君
中小企業庁次長 沖田 守君
委員外の出席者
通商産業省通商
局通商政策課長 佐々木 敏君
通商産業省貿易
振興局輸出業務
課長 間淵 直三君
専 門 員 抜井 光三君
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三月十六日
委員大村襄治君及び河野洋平君辞任につき、そ
の補欠として植木庚子郎君及び福田一君が議長
の指名で委員に選任された。
同月十七日
委員植木庚子郎君及び福田一君辞任につき、そ
の補欠として大村襄治君及び河野洋平君が議長
の指名で委員に選任された。
同月十九日
委員岡沢完治君、石田幸四郎君及び田中昭二君
辞任につき、その補欠として西村榮一君、広沢
直樹君及び松本忠助君が議長の指名で委員に選
任された。
同日
委員西村榮一君及び松本忠助君辞任につき、そ
の補欠として岡沢完治君及び田中昭二君が議長
の指名で委員に選任された。
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三月十六日
昭和四十二年度における公共企業体職員等共済
組合法に規定する共済組合が支給する年金の額
の改定に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出第七四号)
同月十五日
国立医療機関の特別会計制反対に関する請願外
一件(木原実君紹介)(第二六五三号)
同外二件(佐野進君紹介)(第二六五四号)
同(田原春次君紹介)(第二六五五号)
同(古川喜一君紹介)(第二六五六号)
同外一件(大原亨君紹介)(第二六七一号)
同(斉藤正男君紹介)(第二六七二号)
同(野口忠夫君紹介)(第二六七三号)
同外四件(山崎始男君紹介)(第二六七四号)
同外一件(阿部昭吾君紹介)(第二六九六号)
同外一件(井上泉君紹介)(第二六九七号)
同(井手以誠君紹介)(第二六九八号)
同外七件(勝間田清一君紹介)(第二六九九
号)
同(木原実君紹介)(第二七〇〇号)
同(久保三郎君紹介)(第二七〇一号)
同(佐々木更三君紹介)(第二七〇二号)
同(中澤茂一君紹介)(第二七〇三号)
同外五件(野口忠夫君紹介)(第二七〇四号)
同外四件(帆足計君紹介)(第二七〇五号)
同外一件(山口鶴男君紹介)(第二七〇六号)
同外九件(山本弥之助君紹介)(第二七〇七
号)
同外一件(依田圭五君紹介)(第二七〇八号)
同外三件(角屋堅次郎君紹介)(第二七二五
号)
同(河野正君紹介)(第二七二六号)
同(田邊誠君紹介)(第二七二七号)
同外一件(中井徳次郎君紹介)(第二七二八
号)
同(中嶋英夫君紹介)(第二七二九号)
同外一件(平林剛君紹介)(第二七三〇号)
同外一件(美濃政市君紹介)(第二七三一号)
同外一件(村山喜一君紹介)(第二七三二号)
同(森本靖君紹介)(第二七三三号)
同(山花秀雄君紹介)(第二七三四号)
同(山本幸一君紹介)(第二七三五号)
同(井上泉君紹介)(第二七七三号)
同(加藤万吉君紹介)(第二七七四号)
同(北山愛郎君紹介)(第二七七五号)
同(工藤良平君紹介)(第二七七六号)
同(古川喜一君紹介)(第二七七七号)
同(栗林三郎紹介)(第二七七八号)
同外二件(堂森芳夫君紹介)(第二七七九号)
同外一件(門司亮君紹介)(第二七八〇号)
同外三件(山本弥之助君紹介)(第二七八一
号)
各種共済組合法の増加恩給受給権者に対する不
均衡是正に関する請願(砂田重氏君紹介)(第
二七九八号)
国民金融公庫の傷病恩給等担保融資額是正に関
する請願(原健三郎君紹介)(第二八〇〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第一三号)
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
六号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/0
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001・田村元
○田村委員長 これより会議を開きます。
関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。竹本孫一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/1
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002・竹本孫一
○竹本委員 私は簡単に三つだけ伺ってみたいと思います。
第一は、十六日、十七日に行なわれました金プール七カ国会議のことで一言だけ伺いたいのでございますけれども、これはわが国のこれからの経済あるいは貿易に重大な影響がありますので伺っておきたい。議論を深める時間もありませんので、幸い政務次官がいらっしゃいますので、政務次官に一つだけお伺いいたしたい。
〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
要するに、この金プール七カ国会議は、大蔵大臣並びに宇佐美日銀総裁は非常に高く評価しておられるようでありますが、私の伺いたい点は、どこをそんなに高く評価しておられるのかということであります。成功であった、あるいは最善を尽くした、あるいは適切であったというならば、どの点がどういう理由で適切でありまた成功であったと言われるのか、その点だけお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/2
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003・倉成正
○倉成政府委員 お答えいたします。
金プールの七カ国の中央銀行の総裁、理事の会議のコミュニケ、これは竹本先生御承知のとおりでございます。この中で、御案内のように各国総裁は、米政府が通貨当局との取引に一オンス三十五ドルの現行価格で金を引き続き売買していく方針であることを了承した。いわゆる政府間、中央銀行間の金の価格を一オンス三十五ドルで現行価格を維持しておるということは、やはり金不安の現況において一つの柱であろうかと思います。
同時に、このコミュニケにおいても明らかにされておりますように、国際間の協力、特にEEC諸国の国々において、ひとつこのアメリカ政府の態度に対して協力をしていくという態度を明らかにいたしておる点であります。これを具体的に申し上げますと、各総裁は、今後当局の保有する金は、各通貨当局間の交換を行なうためにのみ使用すべきであると信じる。いわゆる各国の政府通貨当局間の交換だけでありまして、ロンドン市場やほかのいかなる金市場にも金を供給しない、いわゆる民間市場には金を供給しないということをきめた点であります。したがって、さらに民間市場からの金の買い入れを必要なしということをきめまして、一応二重価格制度をきめると同時に、各国が、いろいろ議論はありましても歩調をそろえたということであろうかと思います。
それからもう一点は、やはりポンドの不安に対処しまして、ポンドに対してクレジットの総額四十億ドル、これはIMFのスタンドバイを含んで四十億ドルにする追加便宜を与えたという点、さらに米中央銀行のスワップの拡大、日本の日本銀行との間のスワップも十億ドルに拡大された、こういう点もやはり国際協力のあらわれだと思いまして、現段階においては一応妥当な線であり、成功である、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/3
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004・竹本孫一
○竹本委員 関連してもう一つだけ伺います。
大体御説明わかりましたけれども、いろいろ考え方の相違もございますが、そういう問題は一応やめまして、いまお話しの公的金融機関との取引では一オンス三十五ドルの現行価格で金売買をやる、また、公的な保有金は各国の通貨当局の間の移送だけが行なわれる、こういうことでございますので、その移送の範囲、公的金融機関の取引として認められる範囲というところの基準なり限界なりというものはどんなものであるか。したがって、今度は金は一種の清算協定みたいなもので、最後の締めくくりのしりぬぐいのところだけを金を移送してやろうというのであるか、その点だけひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/4
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005・倉成正
○倉成政府委員 御指摘の点が非常に重要な点だと思います。公的な機関におきましても百数十億ドルのドルがあるわけでございますから、これを全部金にかえてくれということになれば、なかなかアメリカの金準備も容易でないと思うわけでありますが、その細目についてはコミュニケでも発表されておりませんし、外部に出ておりませんけれども、やはり今日のゴールドラッシュに対処して、アメリカのみなら、ず各国の政府がこの状態を鎮静させることが国際通貨不安を解消せしめる、そういう意味において、やはり少なくとも金プールに参加した諸国の間においては、アメリカの金準備が困るような形での引き出しはしない、こういうふうにわれわれは了解しているわけであります。しかし、さらにこの金プール参加国以外の国国の態度というのがこれからの問題であろうかと思うわけでありまして、これらの国際会議というのが今後開かれていくものと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/5
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006・竹本孫一
○竹本委員 問題は、南アの生産する金のどの程度をそういういわゆるマル公で流すかといったような問題、これもいまの公的な関係の百四十億ドルの問題と並んでこの会議の成功のキーポイントになると思うのですけれども、その辺はどういう見通しであるか。
それから、これはいろいろ議論がまた出てまいりましょうけれども、中共、ソ連、フランス等が外側からドルあるいは投機筋と一緒になっていろいろあおってくるということになりますと、自由市場で手持ちの金を高く売ってドルを苦しい立場に追い込むという可能性は全く消えていないのじゃないか。一般の問題に対しては鎮静薬としては大きな効果があるだろうと思いますけれども、それらの国々に関してはなかなか効果が期待できない、協力が期待できないというところに致命的な悩みがあるのじゃないか。したがって、公的な通貨当局の金の移送という問題の範囲が問題。
それから、南アが将来生産のどのくらいを回せば国際流動性の問題に致命傷を与えないようになるのか、その辺の何か見通しでもあったのか。いま申しましたソ連、中国、フランスがどの程度協力するものであろうか。
この三点についてお感じのところをひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/6
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007・倉成正
○倉成政府委員 ただいまの点は、正直に申しまして、現在のところよくわからないという状況でございます。御指摘のように南アが自由世界の産金の四分の三、一九六六年で大体十億八千二百万ドルの金を産しております。それから共産圏の資料は確たるものはございませんが、一九六四年で大体、ピックの年報によれば、公的保有百七億ドル前後というふうな資料があるわけでございまして、これらのところの金の動向というのが金の将来について大きな影響を及ぼすことは御指摘のとおりであります。しかしながら、やはりこれから先の金をどう考えていくかということは、アメリカも連邦法定準備率を撤廃いたしましたように、また、SDRの問題がだんだん煮詰まってきておりますように、今後そういう金だけにたよって国際通貨を安定させるということでなくして、もう少し世界の政府中央銀行の間で新たな信用を創造して、それによってひとつ国際間の決済をやっていこうという情勢がだんだんでき上がっておりますので、そういった問題とあわせてこれらの要素をどうかみ合わしていくかということが問題ではなかろうかと思っておるわけでございまして、御案内のように、新聞でもありますように、パリやチューリッヒその他思ったよりも金の自由市場の相場が現在のところ下がっております。しかし、今後の情勢をしばらく注意深く見守っていくことが大切ではないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/7
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008・竹本孫一
○竹本委員 金の問題は、私緊急質問も出しておりますので、また別の機会に十分論議をさせていただくことにしまして、次は関税定率法等の一部改正法律案に対して、いわゆる不当廉売関税、第九条の問題について一言お伺いをいたしたいと思います。
最初にお伺いしたいことは、ガット六条に基づくダンピング防止税、これは少しばく然としておるからとかいうようないろいろな御意見があるようでございますけれども、どの辺がどういうふうにばく然としておって、どういうふうに改正されようとするのであるか。またケネディラウンドで新しい協定が成立した、それに応じてということでございましょうが、その辺はポイントはどういうふうに考えられておるのか、そこの点だけお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/8
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009・武藤謙二郎
○武藤政府委員 ダンピング防止の関係では、いまのガットにも規定があるわけでございますが、ばく然としているところがあっていろいろと乱用される危険があります、そこで、ケネディラウンドのときに、関税面以外のところのいろいろな貿易の障害も取り除きたい、こういうことでいろいろな交渉があったわけですが、そこで関税の税率の引き下げと、同時にこの問題も取り上げて——これは日本が特にアメリカでアンタイダンピングの適用を受けて相当被害を受けておったわけです。そこで、これがコードができまして、それで各国が乱用ができないようにするというねらいでございます。
それでは、どういうことがコードで変わるかということでございますが、これはダンピングの嫌疑があると提訴があるわけですが、その要件として、今後は、価格差があるという証拠のほかに、向こうの産業に対して損害があるという証拠を出さなければいけない。これが第一点でございます。
それから、最終的にダンピングがあったかどうかきまる前に暫定措置というのがとられるわけですが、そのときも損害の十分な証拠があるということが必要である。それが第二点でございます。
それから、従来は期限の定めがない暫定措置ということがとられまして、輸出業者としては非常に不安定な状態に置かれていた。そうなりますと、一体幾らダンピング防止税を課せられるのかわからないという不安で輸出がとまってしまうという状況が続くわけでございます。今度のコードで原則として最高三カ月に限定されるということになります。
こういうことが今度の新しいコードによって規制されるおもだった点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/9
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010・竹本孫一
○竹本委員 価格差とか損害とかいろいろ御説明がありました。そのとおりだと思います。ただそれが明確になったことはけっこうだと思いますが、ここで国益に反しない範囲でいろいろ質問をしてみたいと思います。
アメリカが日本の品物に対してよくダンピング防止税とかいろいろのことを言ったり考えたりしておるようでございますけれども、その場合にアメリカが根拠としてあげている点はどんな点を言っておるのか。日本が将来今度ダンピング課税をかけるというときの問題ではなくて、日本がかけられるときの問題でございますけれども、とかくアメリカはすぐ日本はダンピングをやっているのだと言いますので、それはどういう根拠でどういう点を言っておるのであるか、その辺をひとつお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/10
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011・武藤謙二郎
○武藤政府委員 具体的な品目は別としまして、現在までのやり方ですと、価格差があるかどうかというのを財務省が調べる。そうしまして、価格差があるということになりますと関税委員会へ提訴されるわけですが、その段階で評価差しとめということで、関税がかかる、幾らかかるかわからぬという状況が起こる。そこで非常に国内産業に対する損害があるかどうかということは調べずに、価格差があるというだけでもってそれが発動される、そういうことで日本の輸出が非常に悪影響を受けている、こういう状況が続いているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/11
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012・竹本孫一
○竹本委員 いまの価格差の問題でございますけれども、アメリカの製品との価格差か、日本で国内市場に売っているものとの価格差か、その辺はどうなんですか。
〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/12
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013・武藤謙二郎
○武藤政府委員 日本の国内市場に売っているよりもアメリカは安く売っているということになると価格差ということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/13
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014・竹本孫一
○竹本委員 その辺でいろいろの品物について、こちらの説明ではないが、アメリカのほうがどういう品物をあげてどういうふうに価格差があると主張しておるのか、アメリカの言っているところを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/14
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015・武藤謙二郎
○武藤政府委員 アメリカの場合に、一九五八年の十月から六七年の十二月の間にダンピングの調査を受けたという品目は、セメント、タイル、酸化チタン、鉄鋼製品など三十九件になっております。そのほか調査をされているというものが鋼材ドリル、真空管、抵抗器、ナフトエ酸、この四品目の調査をされております。ただし、いままで実際に防止税を課税されたというものは発泡剤一つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/15
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016・竹本孫一
○竹本委員 なかなかデリケートな問題で遠慮しながら聞いているのですけれども、今後日本の金融引き締めが相当強くなります。また、国際デフレ化の情勢の中でますますきびしく引き締めが行なわれるだろうと思いますが、そうすると金融がつかなくなりますので、輸出産業分野におきましてある程度投げ売りが始まると思うのです。現に一部には出てきておる。そういう意味で、そのまた投げ売りというものがダンピングだとみなされる危険がありはしないか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/16
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017・武藤謙二郎
○武藤政府委員 これは先生御承知のように、従来から日本の商品の輸出につきましては、先進国が非常に警戒いたしまして、たとえばガットの三十五条の援用というようなことも、どうも日本の商品が出てくると、ガットの規定どおりやると、日本商品でもって国内産業が重大な脅威を受けやせぬか、そういう嫌疑に基づくものです。そういうことで先進国の日本商品に対する恐怖心というのは非常に根強いものがございます。そこで、輸出振興の際に日本が不当に安売りをしているという嫌疑をかけられるというようなことになりますと非常に困りますので、日本の国内の業者にもそういうことが起こらないように十分注意させるということでいく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/17
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018・竹本孫一
○竹本委員 通産省のほうにお伺いをしたいのですけれども、いまお話しのように従来、どうも不当にと言いたくなるわけですけれども、日本の製品についてはダンピングをしておるのじゃないかという嫌疑をかけられておる、また、必要以上に日本の輸出に対する恐怖心を持っているということでございますが、われわれ国内の分野から、われわれのほうから反省しなければならぬ面も私はいろいろあると思うのですが、きょうはこまかいことはやめますけれども、いま局長のお話にもありましたように、国内の業者に対して、そういう点で誤解を招かないようにどういう指導をしておられるのか、どういう輸出の秩序づけを試みようとしておられるのか、その点をちょっと聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/18
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019・間淵直三
○間淵説明員 お答えいたします。
ダンピング輸出を防止しまして、相手国から輸入制限運動を起こさせないために、まず輸出入取引法によりまして、輸出業者あるいはメーカーという人たちにまず輸出協定あるいは輸出組合規約というものをつくらせまして、不当に安い値段では輸出しないようにすることが許されております。業界自体の協定あるいは規約といったようなものだけではその効果が期待できないといったような場合には、政府といたしましてもこれにアウトサイダー規制命令を出しまして、これをバックアップするということを行なっております。また、それによっても十分な効果が期待できないというような場合には、輸出貿易管理令の別表にこれをリストアップいたしまして、直接輸出承認制にかけまして、これを規制するというような方法によりまして不当なダンピング輸出というものがないようにやってまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/19
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020・竹本孫一
○竹本委員 そうすると、いま御説明をいただきましたような努力をしておられるということならば、あまり不当な誤解はないはずなんだけれども、御承知のように、酢酸ビニール繊維でも機械、電気器具、ゴムでも鉄鋼でも日本はボイコットされる危険性があるでしょう、それはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/20
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021・間淵直三
○間淵説明員 伝統的に日本の製品に対する危惧の念というものがまだ完全には消え去っておらないと思うわけでございまして、こういうものに対しましては、私ども政府並びに業界でやっておる努力というものを十分PRさせて、そういう疑惑が消えるような方向にやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/21
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022・竹本孫一
○竹本委員 これはちょっとデリケートでございますからこれ以上追及はいたしませんけれども、やはり私はそういう向こうさんの誤解だけでなくて、こちらの自主的な体制の中にいろいろ矛盾がある、通産省の指導も不十分な点があるのではないか、いろいろまだ努力の残されている余地があるのではないかということを感じますので、これはひとつ善処を要望しておきたいと思います。
最後に、中共貿易のことを一つ聞きたいのでありますが、今回、中共関係につきましてもケネディラウンドの実施に伴いまして、特に大豆、銑鉄については新しいくふうが試みられたようでありまして、これはけっこうであります。そこでまず、私は、一般に中共貿易の重要性ということをよく言うのだけれども、また政府も最近において少し——少しでございますけれども、前向きに考えておられるようだということでございますが、一体中共貿易のウエートはどのくらいに考えておられるのか。現在がどのくらいかということは大体わかりますけれども、政府としては片道幾ら、往復幾らぐらいのところまでを当面の努力目標にしておられるのか。ただ、その目標を持たずに、何となく開いたほうがいいということでいっておられるのか、努力目標はどの辺に置いておられるかということをまず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/22
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023・佐々木敏
○佐々木説明員 お答えいたします。
中共に対します通産省の輸出努力目標といいますか、これにつきましては、貿易全体の問題でございまして、中共だけに対します計数的な見通しというものは現在のところ持っておりません。ただ通産省としましては、貿易立国の立場に立ちまして、いかなる国、いかなる市場に対しましても輸出を促進させるという方針でございますけれども、特に中共につきましては、申し上げるまでもなく、地理的にも歴史的にも近いという関係がございますので、さらにその中共の潜在需要というものが非常に膨大であるということも考えられますので、中共に対する貿易は極力促進させたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/23
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024・竹本孫一
○竹本委員 ちょっと、ただいまの御答弁はあまりにも期待に反するのです。歴史的にどうだとか、多いほど便利がいいということは間違いありませんけれども、いやしくも通商政策として考える場合に、ことにいま国際通貨危機の中で、いわゆるドルのかさの中にあまりに入り過ぎた日本は、困ったということになり、何とかそれに影響されないように、アジアの地域に自主的な経済圏をつくろうとかつくるべきであるとかいろいろいっております。そういう時代に、三億ドルよりは四億ドルのほうが多いのだとかいうようなことを私は聞いているのじゃないのだ。大体中共貿易についてはどのくらい——たとえは、いまアメリカが三分の一だ、将来の経済社会発展計画の中ではこのくらいまで、ほんとうは通産省としてはそれをもっとプッシュして、この辺まで考えていきたい——日本の貿易はいま百二十一億五千万トルとかなんとかいっておるけれども、それが将来百五十億あるいは二百億になる。その段階において、中共に対してはその何%ぐらいは振り向けていきたいという輸出努力目標というものがなければならぬではないか。それは全然ないのですか、あるのですか、それをお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/24
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025・佐々木敏
○佐々木説明員 ただいま申し上げましたように、将来の中共だけに対する輸出努力目標といいますか、計数的なものは格別つくってございません。ただ現在、申し上げるまでもなく、輸出入合計三%弱でございますが、これはいかにも低いということで、このパーセンテージも極力増大させる、かような方針で進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/25
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026・竹本孫一
○竹本委員 百億ドルで三億ドルだから三%、間違いありませんが、私が聞いているのは、三%はいまお話しのようにあまりにも低い。しかし、将来日本の貿易がかりに百五十億ドルになる、その場合にその三%でいくのか、あるいは倍の六%ぐらいにはしようというのか、金額にして十億ドルか五億ドルか知りませんけれども、とにかくその辺の一つの目安というものがなければぼくはうそだと思うのです。それからパーセンテージにしても、アメリカは三分の一だというならば、中共は何年計画で何%、あるいは一割なら一割に持っていくのだということくらいの基本的なねらいがなければ、ただ多いほどいいんだということだけでは、何だか私は、全く努力目標がないじゃないかと、非常に奇異に感ずるのです。もう一度ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/26
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027・佐々木敏
○佐々木説明員 先生おっしゃいますように、まさに、中共に対しましては一つの目標を掲げて、それに対して努力するということがもっともでございますが、ただ中共は、過去十年間ほど、中共自体の輸出入がほぼ三十億ドルから四十億ドルくらいを前後しておるというような状況でございます。特にここ数年、非常にふえておるというような情勢はございません。さらにまた中共は、特に日本に対しまして、輸出入バランスということを申しておるわけであります。輸出のみなら、ず輸入面におきましても同額のものを考えておるわけでありまして、単に輸出だけを伸ばすということでは、なかなかまいらないわけであります。以上のような状況からいたしまして、何年先に中共に対しては幾らの輸出を目標とするというような計算は、ただいまのところいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/27
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028・竹本孫一
○竹本委員 私が聞いておるのは、アメリカにだけたよっていけばいいのだというような考えは間違いだ、よく言う議論でございます。私はそれを言おうとは思わない。ところが一方では、中共貿易だけ広げて大いに増進すれば、ほかは全部なくてもいいような景気のいい話が一部にはある。どちらも行き過ぎておるのであって、現実的ではない。そこで政策当局としては、少くとも現在は三億ドルしかないけれども、これを十億ドルに何年計画で持っていこうというのか。あるいは日本の輸出の何%ぐらいまではいまの三%を上げていこうというのか。どちらかの一つのめどがないということは、ぼくはどうしても納得できないですね。
そこでもう一つ聞きますが、ソ連と中共とは、いろいろ政治的なああした関係が最近できておりますので、従来と変わりました。そこで、いまお話もちょっと出ましたけれども、今度は中共自体の輸入はどのぐらいのシェアで、たとえば西ドイツとイギリスとフランスはどのぐらいを持っておるかということを聞きましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/28
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029・佐々木敏
○佐々木説明員 お答えいたします。
中共の日本以外の諸外国からの輸入でありますが、一九六六年におきまして、西独が一億三千万ドル、フランスからの輸入でありますが九千万ドル、イタリアからの輸入が六千万ドル、順序がちょっと逆になりましたけれども、イギリスからの輸入が九千万ドル、スウェーデンからの輸入が二千四百万ドル、大体以上のような数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/29
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030・竹本孫一
○竹本委員 そこで、いまの数字は金額だけ見れば問題にならぬと思いますが、去年あたりだって、御承知のように日本は一割ぐらい減退したのに、向こうの西ドイツはほとんど倍になったというような事実もあるわけですし、前と変わりまして、ソ連と中共のいまのような対立的な情勢が続けば、やはり中共といえども自由圏に貿易を開かなければならぬ。そうなれば、先ほどお話しのように、一番近い日本が、伸びる率においても西ドイツに負けないくらいな勢いで伸びていかなければならぬというようなことを、いろいろデータとして計算すれば、とりあえずは五億ドル、十億ドルにはその次だといったような、何かの目安がなければならぬ。これは目安がなくて、中共貿易はただ困難ばかり数え上げたり、期待だけいたずらに多くする人がおるというような両極端な情勢では、どうにもならないと思いますので、これはきょうは時間もありませんからこの辺で打ち切っておきますけれども、もう少し政策目標、努力目標というものを考えて、日本の輸出もいつまでたっても百億というわけにはいかないので、やがて二百億ドルにもしなければならぬのですから、その段階においてはこの辺まで持っていくのだという努力目標がないというばかなことはないと思う。ザ・モア・ザ・ベターで、多いほどいいのだと言っているだけでは話にならぬと思いますので、善処を要望いたしておきたいと思います。
次に、いわゆるケース・バイ・ケースというやつなんです。これも努力目標があればケース・バイ・ケースが非常に前向きになると思うのです。しかし努力目標は、たとえばことしは五億ドルまで持っていかなければならぬということになれば、いろいろ積極的な努力をしなければならぬわけですけれども、まあ言うてきたもので話があればそのとき考えましょうといったような目標を持たない姿勢でおれば、これはぼくは中共貿易は前進しないと思うのです。事実前進してない。そこでその一つの例として、実はケース・バイ・ケースということはこの国会において非常に盛んに言われるようになりました。これは詳しく論ずる時間もありませんけれども、従来といえども佐藤内閣でもケース・バイ・ケースということばを言っておられるんですね。全然やらぬとは言ってないでしょう、ケース・バイ・ケースと言っておるのだ。ところが二、三日前でありましたか、新聞に初めて、私が注意しておったところが、中曽根運輸相が日立造船に対しても商談の再開の時期や方法等について考えを聞くとかいったようなことが出ておるし、それから、まず輸銀の融資は小型船から考えたらどうだろうと大蔵省や外務省のほうに空気があるとかいうようなことがちょっと新聞に出ておりました。だから、私は、ここでひとつ明らかにしておきたいことは、従来はケース・バイ・ケースと言ってはおったけれども、具体的に話がまとまるような努力なり、あるいは指導なり、あるいはそれをプッシュするという努力は全然なかったのではないかと思いますけれども、それはどうか。同時に、今度もまたケース・バイ・ケースとやや本格的に言われたのだけれでも、その本格的な動きというものはこの辺から初まるのであるかどうか。その辺はひとついかがですか、政務次官から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/30
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031・倉成正
○倉成政府委員 従来ケース・バイ・ケースと言っておきながら、実際はあまりやる気がなかったのじゃないか、そういう御指摘でありますけれども、やはり従来ともできることならそういう前向きで対処したいという気持ちは政府の中には十分あったと思います。しかし、諸般の情勢でなかなか思うようにいかなかったというのが、率直なところこれまでの状態じゃなかったかと思いますが、少なくとも今後はやはり前向きで対処するということを政府の首脳者が言っておることでありますから、そういう方向でこれからケース・バイ・ケースで検討していくというのがわれわれの統一した見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/31
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032・竹本孫一
○竹本委員 したがって、従来はケース・バイ・ケースのケースがなかった、こういうことでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/32
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033・倉成正
○倉成政府委員 あったことはあったのでございますけれども、非常に少なかった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/33
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034・竹本孫一
○竹本委員 そこで、私が聞きたいのは、いまお話が出たように、ケース・バイ・ケースと言ってはおるけれども、具体的にケースをつくる努力は全然しなかった、今度初めて小型船がどうだとか、あるいは日立さんどうですかということを言って水を向けるというのが、誘いをかけているというのが、初めて努力したということじゃないかと思うのです。これは過去ですからあまり追及してみても意味がありませんが、私は非常に遺憾だということだけで前へ進めたいと思います。
そういう意味で、これは政府のほうがケース・バイ・ケースと言って、抽象論を言っているのではだめなんで、具体的なケースを持ってこい、そして具体的に片づけようじゃないか、そして前向きに取り組んで事実を示そうじゃないか、こういうことでなければケース・バイ・ケースは死んでしまいますね。ぜひその点は生かして、ケースをむしろ政府がつくる努力をしなければうそなんだ、つくらずに、あるいはつくるような空気を全然なくしておいて、抽象論をいままで言っておったきらいは非常に遺憾だと思うわけです。ひとつぜひ具体的なケースをつくっていただきたい。つくる努力を政府のほうが前向きに誘導してもらいたいということであります。
次に便益関税の問題ですけれども、今回この関税法の改正で、いただいた資料で見ますと、約六〇%はもう格差がないんだから問題はない、今回の国内法の改正によって十九品目が、二一・五%はまず大豆と銑鉄のおかげで問題は解決する、問題はあと残された約二〇・二%の問題なんですけれども、これも必要があれば次々にまた国内法を改正をやればやれるじゃないかということで、御説明は一応整った形になるわけですけれども、実際問題としてそこに二つの問題がある。次々に国内法改正をやると言われるけれども、そう簡単に行なわれるものじゃない。だから、実際残った二〇%については、半永久的とは申しませんけれども、大豆と銑鉄はこれで一応解決するとして、あと残された残留組はなかなか解決が困難になるのではないかということが一つ。それから先ほど来、政府が中共貿易に前向きに取り組もうとしておられることはわれわれは歓迎しておるということを申し上げましたけれども、そういう姿勢からいうならば、国内法の手続は一々中共にはわからないんだから、結果から見れば、今度のケネディラウンドがきっかけになって、まあ日本からいえば心ならずもということでしょうけれども、結果的に政治的に判断をすれば、中共関係のものを虐待したというか差別関税にしたというような誤解を受けるかもしれない。そういう意味で政治的にはそういう誤解を受けたくない、経済的にはその残りの二〇%ばかりのものに不当にというか差別的に高い関税をかけていくということを国内法の改正で解決するということは事務的に考えてみてもそう簡単なものじゃない。その辺について何かもう少し前向きのくふうは考えられないものであるかどうかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/34
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035・武藤謙二郎
○武藤政府委員 先生ただいまお話しございましたように、今度のケネディラウンドというのは、お互いに主として先進国同士ですが、日本もこういう関税を下げる、それでおまえのほうもこういうものを下げろ、そういう折衝を長いことやって、お互いに利益の交換というか犠牲の交換というか、そういう形でケネディラウンドがまとまったわけでございます。それで本来ですと、ですから自分で犠牲を払わないところにただ利益だけしてやるということはガットの考え方ですとしないわけですが、しかしもう一つ、たとえばソ連のように二国間の条約で一番低い税率を適用するということを約束し合っている、そういう関係にあります国に対しては、このケネディラウンドの譲許が適用になる、こういうことになるわけでございます。それからその次が便益関税の国になりますが、これはガットに入っていても三十五条を援用しているとか、あるいは何ら二国間に条約上最恵国の待遇をする義務がない、こういう国の中でも、事実上は日本に対して一番低い税率を適用しているというところは、こちらも事実上適用しようということで便益関税という制度がございます。
そこで問題は、先生先ほどおっしゃいましたように、こちらが意図しているわけではなくて、ほかの国、ケネディラウンドの譲許税率が適用されない国に対しては、別に関税を上げたわけではなくして、ほかのほうが下がったために格差が出てしまった、そこでその格差がちょっと見ると何か非常に差別待遇を強化したような感じを与えるじゃないか、そこに対してどうするかということでございますが、日本が各国と交渉いたしまして、特にまだ日本に対して三十五条を援用している、それから事実上の差別待遇もしておる、こういう国に対しては、日本はおまえのほうがそういう差別待遇をやめる、あるいは三十五条の援用を撤回するということにすれば、日本もこういうおみやげを出すんだからということで相手の差別待遇を解除するように努力しておるわけでございます。ですから、日本が最低税率をどこにでも適用するというのはなかなかそういうねらいもありますから簡単にはできないわけでございます。
そこで、先ほど先生おっしゃいましたように、残りの二〇%、ケネディラウンドの関係ですとこのうち一四%格差ができるわけで、その他は従来からある格差でございますが、この一四%をどうするか、これが残ったものはなかなかむずかしいのじゃないか、そうすると半ば永久的にこれが差別待遇になってしまうのではないか、こういう御質問でございますが、この中で一番大きいものは生糸でございます。それで生糸につきましては、政府としては、中共の産品がどのくらいの値段でどのくらいの量くるかということがまだはっきりしておりませんけれども、四十三年度じゅうに前向きで検討しよう。生糸の関税を、国定の税率を譲許税率と同じようにすることを前向きで検討しよう、そういう考えであります。それから、生糸の問題に続きまして大きな絹織物の問題、これは密接に関連がございます。生糸のほうが下がるということになりますと、絹織物につきましてもこれをどうするかという事態が起こってしまいます。生糸のほうが片づきませんと絹織物のほうは片づきません。もしこの両方が片づきますと、それで残りの半分ぐらいのものが片づいてしまう。そのほか金額の大きいものは魚類が非常に多くて、これは御承知のような関係でそう簡単にどうするということはなかなかむずかしい、そういう状況でございますが、相手国の処遇の状況——中共に限りませず、国定税率を下げるにつきましては、相手国の処遇の状況も考慮しなければなりませんが、さらに国内産業への影響というようなものも考えまして、なるべく関税は下げていく、そういう方向でこれからも進めたい、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/35
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036・竹本孫一
○竹本委員 中共にはいまの問題に関連しまして関税が高いほうと低いほうと両方ある。そして高いほうをかけているといったような説明を聞くのですけれども、二つほど伺いたい。
一つは、高いほうと低いほうとの関税が二種類あるというが、ほんとうにあるのか。そしてまた、日本に向かって高いほうをはたして現実にかけておる証拠があるのかどうかという問題が一つですね。かけておるかどうかという事実関係。
それからもう一つ、私がこれは一般的に考えているわけですけれども、中国は御承知のように大体国営経済だ。そうしますと、入り口で高い関税をかけて、だれが負担するかというと、資本主義の経済ならばそれは関係者が負担するということで、それで国は収入があっただけ得だということになりましょうけれども、国営経済の場合には、高い関税をかけてしまってコストを上げてしまえば、結局は国の経済全体のコストアップでたいしたプラスにはならない。だから、中共が国営経済だということを前提にすれば、そうもの好きにわざわざ高い関税をかけてくるということはナンセンスだというふうに思えますが、この点についてはどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/36
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037・武藤謙二郎
○武藤政府委員 まず最初に、中共は日本に対して高いほうの関税率をかけているという証拠があるかどうかという問題でございますが、これは国交のある国ですと、お互いに関税率はこういうことである、輸入制度はこういうことであると貿易交渉のときに政府が文書で出しまして、それで非常に正確につかめるわけでございます。ところが、中共との関係はそういうことがございませんので、いろいろな資料から考えるわけでございますが、たとえば四十一年の九月に出しております貿易振興会の資料で中国対外貿易部編「中国対外貿易の基礎知識」こういうロシア語からの翻訳がございますが、それを見ますと、中共もやはり資本主義国と同じように、こちらは、これは日本に限りませんが、条約や協定で低い税率を適用するのとそうでないのと二本立てになっておりますが、先方も「輸入商品に対する関税率表には、二種の関税が規定される必要がある。中華人民共和国と通商条約または協定を結んでいない国に対しては、通常より高い関税額を課さねばならない。中華人民共和国と通商条約が結ばれている国に対しては、通常の関税率を適用する。」こういうことが書いてあります。そこで、これは関税の基本的な変更がない限り、向こうもちょうど資本主義国と同じように二本立てにしておるということは大体間違いないだろうと思います。
そこで、二番目の先生の御質問でございますが、確かに中共はそんなことをする必要はないじゃないか、どうせ国家貿易なんだから、関税だけは低くしておって中で幾らでも操作できる、だからそういうことはやる必要はないじゃないかという問題でありますが、それは実はガットでも非常に問題なんでございますが、国家貿易の国につきましては、たとえば関税だけでその待遇の交換をするということをいたしますと危険がございますのは、だんだん輸入が自由化されてきますと、輸入制限のない品目につきましては関税だけが障壁になる、こういうことになります。ところが、国家貿易ですと、関税を下げたところでその他でもって幾らでも操作できる、こういうことになります。したがいまして、表面で関税だけを見まして、それで向こうも差別してないからというので、こちらが非常に安い関税を適用したときに、それではたして、向こうも関税をかりに全廃したといたしましても、それで先方に対する日本の輸出が伸びるかどうか、これは一般論でございますが、これはだいぶ問題がございます。そういう場合には、結局数量で輸入をふやす、輸出をふやすということをさせるということでないと実質的に不均衡が生ずる、こういう問題があると思います。そういうむずかしい問題はございますけれども、先ほど来申しましたように、私どもとしましては、さしあたりまず一番大きな品目である生糸について四十三年度じゆうに前向きで検討をして、それでその結果差しつかえないということになりますと国定税率を下げる。これがきまりますとまた絹織物についても同じような結論が出やすくなると思います。そうしますと、それだけで残りの半分のところが片づく、こういうことになるのじゃないか。そういう方針で検討していきたい、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/37
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038・竹本孫一
○竹本委員 中共のやつは、これは共産主義国ですからいろいろむずかしい面があると思います。たてまえがかりにそうなっておっても、政治的ゼスチュアの場合もある、いろいろの場合がある。しかし、ないといっても、今度は別なところで制限を加えてくる場合だってあるだろうということでございますから、これは何と申しましても、そういうたてまえなり規約がこうなっておるということだけでは一がいに律しがたいものがあるので、この点は実情調査も大いに願いたいと思います。しかし、それを今度は離れまして、最後にもう一点だけ伺っておきたいのは、いわゆる便益関税ということですけれども、あれは一体どういう法的根拠で行なっておるものかを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/38
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039・武藤謙二郎
○武藤政府委員 関税定率法の五条に便益関税の規定がございます。条文を読んでみますと「関税についての条約の特別の規定による便益を受けない国(その一部である地域を含む。以下この条から第八条まで及び第九条の二第二項において同じ。)」その便益を受けない国「の生産物で輸入されるものには、政令で定めるところにより、国及び貨物を指定し、当該規定による便益の限度をこえない範囲で、関税についての便益を与えることができる。」結局譲許している税率と同じ税率を政令で指定することができる。そこで便益関税に関する政令が出ております。三一五ページにございます。まん中の辺「関税定率法第五条の規定による便益関税の適用に関する政令」ここにずっと関係のことを規定しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/39
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040・竹本孫一
○竹本委員 そこで問題は、結局この政令の問題でしょう。私は、この間予算の分科会でも外務大臣に言ったのですけれども、はっきりしなかった。極端にいいますと、結論から申しますと、いろいろいま御努力していただいておること、前向きの努力のあることはよくわかりました。しかし、それにもかかわらず、先ほど私が申しました、基本的にいえば、結果として中共に差別対遇を与えておるような印象を与える危険なしとしないという、政治的な考慮の問題は依然として残されておる。それからパーセンテージは別として、とにかく一定のものが差別を受けて困るといった問題の経済的な困難も、若干でありますけれども残っておる。私は、特にこの際は政治姿勢の問題としてこの政治的考慮を重く見るので、この政令改正で中共を便益関税の対象とすることがなぜできないのであるか、その辺をちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/40
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041・武藤謙二郎
○武藤政府委員 一つは、これは中共に限りませんが、この便益関税を適用するというのは、相手の国に対してはたいへんな利益があるわけでございます。そこで現在のプリンシプルは、相手の国が日本に対して一番いい対遇をしている、条約はないけれども実際は一番いい対遇をしている、そういう国に対してこれを適用する。したがいまして、向こうが新しく日本に対して一番有利な対遇をしてくれるということになれば追加しますし、それがやまったということになれば今度は政令から落とす、そういうことになるわけでございます。そういうプリンシプルから申しますと、中共
のように、相手と交渉もしておりませんから、関税も差別をしているようだが、ほんとうに差別をしているのかどうか確たることはわかりません。
それからまたもう一つ心配なことがありますのは、関税面ではゼロになったが、ふたをあけてみますと、関税を従来どおりかけられたと同じようなことになります。そういうことでこの便益関税の範囲をどうするかというのは、ほかの国に対する経済外交の武器としてはこれは非常に重要なことでございますので、そのプリンシプルをくずすということが第一に問題なわけであります。
それからもう一つ、便益関税のいまの制度は、便益関税率を非常にこまかく分けておりませんから、譲許税率は全部適用するということにしておりますから、これを政令で適用するということになりますと、生糸から絹織物から魚から全部三百五十品目くらいのものは全部ケネディラウンドと同じものが適用される、その他のものも全部同じになる、こういうことになるわけでございます。そこでそれは現在のところ品目別に検討しましてもとうてい無理だ。そこで先ほどから申し上げておりますように、解決策としては、どこの国でも自分の国が輸出する気が全然ないものをいい対遇をしてもらったところで全然評価しませんから、そこで中共が関心を持っているもの、その一地大きな生糸、続いて絹織物、そういうものについて前向きで検討したい、そういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/41
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042・竹本孫一
○竹本委員 便益関税を中共に向かって適用するということが困難な理由をお聞きしたい。
そこで、いまお話しのように、日本に向こうがよい対遇をしてくれておるかどうかということが確かに問題になるでしょうし、これはプリンシプルの問題としておっしゃいましたけれども、いろいろむしろ中共には中共の言い方があるでしょうから、政治的に判断すば、日本が、先ほど申しましたように、一定の努力目標をつけて中共に十億ドルの輸出をするんだというような姿勢が固まれば、一体こんなことは子供のけんかと同じで、おまえの対遇が悪いんだというようなことを言っておればきりがないので、こちらもよくするからおまえもよくしろということはいえないわけではないのだから、これは高い政治判断で決定すればいいことだと思うのですね。要するに、よい対遇をしてくれておるかどうかということが一つのポイントとして出てきた。第二のポイントとして指摘されたのは、譲許税率が全部適用される。簡単にいえば、国内産業に大打撃を与えては困るのでその辺は考慮しなければならぬ、こういうことでございます。それもよくわかります。しかし、それはいま与えている国がたくさんありますね、便益関税。それらの国から入るものは国内産業には全然影響がないのかどうかといった問題も考えてみると、確かに生糸や魚の問題では大きな影響があると思いますけれども、これが決定的な理由になるかどうかということに私は疑問を持つ。そこで第三番目に、いま局長はおっしゃらなかったけれども、条約にも外務省あたりの考え方の中に、中共とは国交がまだ正常化していないので適用しかねるというような論拠があるのではないかと思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/42
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043・武藤謙二郎
○武藤政府委員 これは、この前もお答えしたのでございますが、非常にむずかしい問題だと思います。国としてとにかく掲げるかどうかということでございます。しかし、この関税関係の法律の全般を考えますと、これには中共は含まれないということをはっきり言うことはできないだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/43
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044・竹本孫一
○竹本委員 ちょっと最後のところ聞きそこなったのですけれども、要するに便益関税を与えてはならないということに、政策上の問題、プリンシプルの問題としての議論はかりにあるとして、それはしかし一応別ワクとすれば、法的にやはり中共にできないとおっしゃったのか、できるとおっしゃったのか、もう一ぺん……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/44
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045・武藤謙二郎
○武藤政府委員 その問題をもう少し言い方をかえますと、こういうことかと思います。政令で指定するときに国となっている。そこで、関税の関係の法律で国というときに中共のような承認されていないところは入るか入らぬか、こういうことだと思います。これはなかなかデリケートな問題がございますけれども、しかし、国として入らないということを言い切れないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/45
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046・竹本孫一
○竹本委員 私は、それが正論だと思うのです。入るというのも簡単に言えないかもしれないが、入らないというのはなおさら言えないと思うのですね。
そこで、これは私は外務大臣に、もう少し大ざっぱな議論をしないで詰めてみたらどうですかということを別の委員会で話しておきました。ひとつ大蔵省でも、先ほど来の政治的考慮も含め、ぜひ前向きに検討してもらいたい。入ると簡単に言えないけれども、しかし、入らないとは簡単になおさら言えぬという面もあります。それから事実関係にしても、郵便にしても、度量衡にしても、為替相場にしても、事実上国として物理的に存在しているのだから、否定することのほうがナンセンスなことですから、そこで政令に書いたのは一体何を意味するか、それが外交上の承認を意味するのでも何でもないのですから、なおさら国としてそこに政令で書いてみたって、書けばいいか悪いかという政策の問題は別にすれば、これは十分考え得る余地がむしろ多いということで、局長はおおむね私の考えに近い御答弁でございました。実は外務大臣にも言っておきましたので、大臣も検討したいということでしたから——初めはだめだということだったのですが、なぜだめだといって私が問い詰めたところが、だんだんあやしくなって、最後は前向きに検討しますということを言っておった。きょうは大蔵省の考え方も聞いておきたいと思って聞いたのですが、いずれにしても、法的に必ずしも絶対に不可能でないというならば、他の政治的考慮もあわせて便益関税の問題も法的に不可能だという軽率な結論を出さないようにして、むしろ前向きに検討していただいたほうがいいのではないかと思います。その御努力を要望いたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/46
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047・田村元
○田村委員長 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。
正午休憩
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午後一時二十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/47
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048・毛利松平
○毛利委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。佐藤觀次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/48
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049・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 物価上昇の問題について経済企画庁にお尋ねするのですが、大体四・八%と見ておるようでありますが、私たちの観測では、なかなかそう簡単にはそういう数字ではおさまらないように思うのですが、その根拠をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/49
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050・八塚陽介
○八塚政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたように、四・八%という経済見通しで私どもが考えております来年度の消費者物価指数の今年二年度は上半期が前年対比三・一%ということで、最近におきまして比較的落ちついた増加率でございました。下半期に至りましてどういうふうになるかということでございますが、かりにそれが前年対比五・九%でございますと、四十二年度の見通しにあります四・五%におさまるわけでございます。大体一月ないし二月の東京都の区部の率を勘案いたしますと、現在の段階では四・五にはならないだろう。四・三ないし四・二ということで、少なくとも四十二年度は当初見通しよりも低いところでおさまるだろうというふうに考えておりますが、ただ、いま申し上げましたように、カーブが下半期で上がっておりますので、そういう意味におきまして、四十三年度はなかなかむずかしいわけでございます。ただ、私どもも一つ一つこれは何%上がるであろう、これは来年度の需給から見てこうなるであろうということは、これは積み上げ的にやっておりませんけれども、従来のトレンドその他を見ますと、四・八になる見通しはもちろんあるわけでございます。ただ、見通しはございますが、同時に、努力していかなければならない数字であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/50
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051・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 最近の三年間の大体の見通しと実際にあらわれた数字というものは大体大過なくいっておるのですか。大かたのことだけでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/51
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052・八塚陽介
○八塚政府委員 ちょっと数字が手元にございませんのでさがすのに時間がかかりますが、ただ、一般的にはこの三年間比較的高い水準でございました。ただいま申しましたように、四十二年度は当初の見通しよりある程度低い数字におさまりそうだということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/52
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053・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 御承知のように、ことしはだいぶいろいろな情勢が変わってきて、これからの米価の値上げの問題もあるだろうし、それから公共料金の値上げとか、いろいろな材料が上がる可能性があると思いますが、それでも大体四・八%という数字で押え切れるものであるかどうか、そのことについての判断をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/53
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054・八塚陽介
○八塚政府委員 実は四・八%の見通しを立てます際には、消費者米価につきましては計算に入れておりません。したがいまして、消費者米価は今後非常に問題になるわけでございますが、見通しの際の基礎としては考えていないということだけをまず申し上げておきます。それから、たとえばたばこでありますとかあるいは国鉄の定期運賃でありますとか等の、現在御審議をいただいておりますそういう問題に関連するいわゆる公共料金の値上げ等につきましては、一応四・八の中に入れて見通しを立てておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/54
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055・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それは税との関係があるのでちょっとお伺いしておるのですが、それでけっこうです。
それから、通産省の方にお尋ねしますが、中小企業の倒産の率が非常に高いのですが、こういう記録はいままでないと思います。なお、われわれは、中小企業の倒産率はまだふえると見ているのですが、その現状はどういうふうに把握しておられますか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/55
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056・沖田守
○沖田政府委員 昨年来倒産が非常に高水準に推移いたしておりまして、特に昨年の引き締め以後また相当高い水準にあります。その原因といたしましては、構造的要因と景気的要因と二面があると私どもは見ております。現在、国民公庫に融資の申し込みに参りますもののうちで約三割は引き締め関係からの申し込みであると申しております。それ以前から、昨年の好況下においても倒産が相当高かったという意味におきまして、人手不足、賃金上昇、需給構造の変化あるいは発展途上国の低賃金による押し上げ、こういう環境変化のための構造的要因というものもあるのではないか。したがって、そういう面から倒産の現状を見ますと、土建業の倒産、それから繊維の製造及び販売業の倒産が傾向として非常に多いということが看取されまして、繊維につきましては織布の構造改善その他そういう形での対策をとっておるわけでございますが、そういう体質改善、構造改善という抜本策を必要とする要因からきておる倒産と、いま一つは、金詰まりというそういう面でそれまでの構造的要因が表に出てきた、こういう二面があるのではないか。そういう現在の情勢というものは引き締め下におきましていますぐ解決するとは見えない、なおかなりの水準が推移するのではないかという危惧の念を持って注視いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/56
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057・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 私のところは繊維が非常に多いので、帰るたびごとに倒産の声を聞くのですが、この両三年の大体の状態はどういうようなカーブを描いているか、おわかりになりますか。この三年間でいいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/57
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058・沖田守
○沖田政府委員 繊維の製造業につきましてのこれまでの推移をとってみますと、負債総額一千万円以上の倒産件数におきましては、東京商工興信所の調査によりますと、四十年に四百二十七件、四十一年に三百六十二件、四十二年に五百五十八件、したがって、四十二年には対前年比五四%の件数から見ました増加になっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/58
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059・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 先ほど説明がありましたが、原因の一つは、繊維関係でも労働者の非常に不足の点が一つありますが、それ以上に金融引き締めということが相当響いているのではないかと思うのです。たとえば、国民金融公庫のことはわれわれは事情をよく知っておりますが、国民金融公庫の申し込みは相当ふえている。それは百万とか二百万円とかの金でございますが、そういう点についての倒産の原因のおもなるものは、どういうような観点からこういう倒産がふえているのか。そういうことと同時に、なお倒産の率は戦後最高といわれておりますが、これからまだ——きのう日銀の総裁を呼べば、四月から六月ごろに最高になるのではないか、そういうように、日本銀行総裁が中小企業の倒産について一言っているではないか。そういう引き締め状態が強くなればもっともっと中小企業者の倒産が多くなると思っておりますが、それはどういう見通しの上に立っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/59
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060・沖田守
○沖田政府委員 倒産の原因といたしましては、各種の調査がございますが、先ほど申し上げました東京商工興信所の調査によりますと、放漫経営、販売不振、売り掛け金の回収難あるいはこれまでの設備投資の過大とか、こういうような要因が多く、最近中小企業庁で調査いたしましたときに、いろいろな要因が累積して出てきております。ただ、非常に多いと申しますのは、直接的なきっかけといたしまして、最終的に倒産するまぎわのときには、融手あるいは高利という形でそれが命取りになっておって、それからいろいろな要因の累積というものが重なり合ってきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/60
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061・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 われわれが聞いている中で一番大きな原因といわれるのは、手形がいわゆるお産手形で一年くらいの手形を下請業者が受け取るというようなことから、そういう金繰りの都合が悪いために倒れていく例が非常に多いのですが、そういう点についてはいま大蔵委員会で問題になっておるのですが、もう少し短期の手形をやるというような方法を講ずることができないかどうか、その点をもう一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/61
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062・沖田守
○沖田政府委員 現在いろいろ金詰まりになります場合に、金融機関から融資を受けにくいという場合と、それから親企業その他大企業からの支払いが思うように円滑にいかないという二つのケースがございますが、現在までのところでは、手形現金比率の悪化と手形サイトの長期化ということはある程度あらわれておりますが、下請企業に対する手形のサイトが大幅に延びたということは、まだそれほど、今回の引き締め以降ひどい状態には一般的にはなっていないという見方をいたしております。ただ、当面こういう下請企業に対するしわ寄せが強まるおそれが非常に強いと考えられますので、下請代金支払遅延防止法の法律の運用によりまして、公正取引委員会と中小企業庁と協力いたしまして、親企業団体及び中小企業団体を通じて指導いたしております。現在の下請け法によりますと、下請契約をやります場合に、親企業は現金と手形はどういう割合にする、こういう点についての契約をはっきりさせた文書を交付しなければならない。しかも代金を、納入した以後六十日以内に割り引きできる手形で支払わなければいけない。割り引きできる手形というものは非常に長期の手形は割り引きできない、こういう解釈で現在指導いたしております。さらに、機械、鉄鋼、非鉄金属、こういう業界につきましては標準手形サイト百二十日以内、繊維業界につきましては標準手形サイト九十日以内。これは下請法の罰則はないわけでございますが、業界の標準はそれ以内ということで、行政指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/62
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063・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 中小企業庁長官呼んでいないから、あなたに質問するのは無理だと思いますから、ほかのほうへ移ります。
古國局長にお尋ねするのですが、今度減税が長長うたわれて、あなたは局長だから言いませんけれども、物価の上昇の率とそれから減税の比率というものは、どうもわれわれ適合してないと思うのですが、その点はあなた、どんなふうにお考えになっておられますか、これをまずお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/63
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064・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいまお尋ねのございました減税と物価上昇の問題でございますが、御承知のとおり、物価が上昇いたしました場合に、租税負担がどうなるかという問題がございますのは、累進課税をとっております所得税が主として問題になると思います。さらに、もう一つ問題になるのは、従量税をとっております間接税、この二つが主として物価上昇に対して問題になる、かように考えております。たとえば所得税でございますと、物価上昇がございますと、名目所得と実質所得の上がり方にズレができる。所得税の税率は名目所得に対して適用されることになりますので、実質所得が名目所得より低い場合には、累進課税であるだけに、実効税率が若干上がるという問題があります。その部分については、減税も実質減税というよりも物価調整減税だというふうによくいわれておるわけでございます。来年度四・八%の上昇がございます場合に、それがどれくらい影響するかという計算は、毎々申し上げておりますように、大体所得税で三百四十億円ぐらい、こう見られておるわけでございます。そこで、ことしの減税でございます千五十億、初年度千五十億という減税から見ますと、かなり大幅にその点を上回っているのじゃないか。三十九年から現在までに、実は大体消費者物価は二二%上がっておりますが、その間に課税最低限の引き上げが、大体約七割に達しております。そういう意味では、現在までに相当物価の影響というものは配慮されている、かように考えます。
それから、物価が上がるということに伴って間接税の負担が変わってくるという問題、これは御承知と思いますけれども、従量税でございますと、税金が定額になっておりますので、一般物価が上がり、また課税標準の価格が上がりましても、税額は上がらないというようなことで、相対的に税が下がるという問題がございます。これはちょうど所得税と逆でございまして、ほっておきますと、物価調整増税をやらないとバランスがとれないという問題になります。
今回の税制改正では、その両方をやったわけでございまして、所得税につきましては、物価上昇の程度をはるかにこえる減税をいたしましたし、酒、たばこにつきましては、たばごについては十数年、酒については五年ずっとほってありましたので、その一部を取り返す程度の増税をやったわけでございまして、まだ昔の負担率等には及ばない程度でとどめた、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/64
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065・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 いま経済企画庁からの四・八%というのには、これはいろいろ議論があってわれわれはそれは信頼できませんけれども、しかし、現実にせっかく減税をしても、その間に物価がどんどん上がるようになれば、減税をした意味がなくなると思うのです。ところが、現実にあなたのほうでは今度の減税で——減税にならぬということはあとで言いますが、どのくらいの世帯が潤うか。大体の見当の数字でいいですから、あなた方のほうでも計算をして数字を考えておると思うのですが、どのくらいの世帯が減税で潤うかということをちょっとお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/65
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066・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 現在のところ、所得税の納税者のうち八〇%は大体百万円以下の者であります。百万円の所得のところをごらんいただきますと、所得税の減税率表をお配りしてございますけれども、夫婦子三人のところでございますと、大体百万円のところで初年度三一・七%の税の引き下げになります。それ以下のところは徐々にふえて、最後一〇〇%になる。それからそれより上のほうを見ますと、二百万円のところで大体九・七%の減税、五百万円になりますと二・九%、非常に少なくなる。したがいまして、今度の減税で非常に潤うのは、百万円以下の八〇%あたりの納税者、ここに大体減税の大きな恩典がいく、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/66
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067・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それはわかるのですがね。世帯として、大体これくらいの見当の世帯がこれだけ下がるという、それだけのあれは出ておりませんか。前と比べて今度の減税の作業の中で、何軒ぐらいの世帯が税金が軽くなるという、そういうものの調査はしてないですか。大体でいいんですけれども、それはきちっと出ませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/67
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068・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御質問、非常にむずかしいところなのでございますけれども、ただいま申しましたように、百万円以下のところの世帯というのが大体八〇%占めておるのですから、所得税の納税義務者が約二千万世帯といたしますと、千六百万世帯ぐらいが所得税の減税で非常に潤うという結果になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/68
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069・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 潤うのは千六百万世帯と言いますけれども、今度そのかわりにあなたのほうで酒を増税されるでしょう。それからたばこは——私はたばこをのみませんけれども、たばこをのむ人は膨大な数じゃないかと思うのですよ。そこで、わずか千六百万世帯のために——たばこをのむ人が六千万人おるか七千万人おるか知りませんが、そういう人が結局大衆課税で苦しいということになれば、ぼくは、減税じゃなくてやはり増税ということになると思うね。そういう点のことを、これはお考えになるのかどうか。そういう点の考え方が、どうも私は大蔵省は無慈悲だと思うのですよ。吉國さんからいろいろ説明を聞きましたけれども、その説明の中に、なるほどもっともらしい説明をするわけだな。酒はしばらく上げてないから、一級酒や特級酒を上げれば大衆には関係ないじゃないか。だれも二級酒は飲みたくないですよ。一級酒、特級酒だけ飲みたいけれども、飲めぬからしかたがないから二級酒を飲むのです。それでそういうことを勘案されたかどうかということと、たばこのように大衆課税になるものを今度——私はたばこの性質をよく知らぬのですけれども、大衆が吸うたばこの中に、相当迷惑する人があると思うのですよ。だから、酒やたばこはのまぬでもいいというなら、これはまた別な理屈があるんですが、私は主計中尉をやっておって、中支の戦場で実は千八百人の部隊の主計をやっておった。そこでいろいろ調べましたら、たばこをのまぬ人は十人のうち一人しかいない。酒はもう少し——私、自動車の部隊におったのですか、酒を飲まんならぬという人は十人のうち三人。たばこは絶対です。九人くらいある。それで私は主計として、自分はのまぬが、たばこを切らしたらたいへんだということで非常に苦心をしたんですが、そういう思いやりが、吉國さんは頭がいいからどうもないんじゃないか。たばこ値上げわずか五百億、そうしてわずか千六百万世帯のために大衆が非常に困る。もうたばこをのんだ人は、たばこは決してぜいたく品でも何でもない。必需品になっちゃったのです。私はそういう統計を自分でとってみて、たばこというものはたいへんなものだな。ぼくらは渡辺さんがのんでも頭が痛くなる。私は非常にたばこはきらいですから、自分はそう思うけれども、そういう点で非常に思いやりのある減税をやらぬと、実は非常に困ると思うのですが、その点はわれわれみんなを納得させるようにひとつ説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/69
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070・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま佐藤先生御指摘のとおり、もちろんたばこも酒も、とにかく大多数の人がたしなむものでございます。そうういうものであるだけに、それが上がるということはもちろん相当な影響がある。これは私ども当然考えております。その前提でいろいろ考えたわけでございます。
まず第一に申し上げたいのは、わが国では間接税の負担というものは非常に低いということでございます。たとえば日本の国民所得に対する間接税の負担は五・四%でございます。日本よりも低い国というのはアメリカだけで、アメリカがわずか二・四%でございますが、これは直接税が非常に多いためです。ところがイギリス、西独あたりは国民所得に対して大体一四%が間接税だ。それからフランスでは一七%が間接税、つまり、もし間接税を大衆課税というふうに観念づけますと、日本は一番大衆課税をやっていない国である。同時に、そういうような一六%とか一四%とかいうような重い間接税負担のところでも、酒、たばこにつきましては一たとえば売り上げ税、付加価値税を持っておりますところでも酒、たばこには特別税率を課しまして、両方一緒に課税しているというところがございます。その両方を合わせますと、大体日本より重いのが多い。なぜたばこ、酒だけを重くするのかということが確かに大問題なんでございますけれども、これは財政学者のだれを調べましても、酒、たばこを特殊の嗜好品として高く課税するのが財政の常識だといっておりまして、問題はいろいろございますけれども、突き詰めて申しますと、一つは、酒、たばこというものがかなり衛生的にも管理を要するものである。ところが、酒もたばこも、その与える欲望充足に対して非常に値段が安いわけです。酒、たばこは非常に安いもので、その受ける享楽というものは非常に大きい。しかし、これを放置いたしますと、みなつくって、非常な困ったことが起きる。したがって、これを国家管理にするということは、大体どこの国でもやっていることです。したがって、専売あるいは高い酒税をかける、そういうことで、いわばコストと販売価格との差益というものを押えることによって、これを国家管理しているというのがいままでの現状でございます。
そういう意味から申しますと、私どもとしてもいろいろ問題がございますけれども、今度はどうしても税収が足りなくて増税をするという場合に、新しい税を起こすとか、あるいはいまある税を増税するということと——先ほど申し上げましたように、酒、たばこというものは、所得が上がり、物価が上がると相対的に税金が安くなる。たとえばたばこで申しますと、この十年来の個人の家庭の消費支出金額の中に占めるたばこの消費支出金額の割合は大体七割に下がっておりまして、その下がった原因というのは、たばこの定価が据え置かれているということです。コストのほうは五割上がっておりますから、もし従価税率であるならば、たばこの益金も五割上がらなくちゃいけないことになるわけです。それがだんだん減っていく。たとえば国民総生産に対する弾性値を見ますと、たばこの販売額は年率で〇・六五なんですが、それに対して益金の増加は〇・五六、毎年毎年減っていくという姿になっております。酒も同じでございまして、昭和三十七年に、戦争当時の重い税金の負担をこの際合理化しようというので、思い切った減税をいたしました。ところが、そのときの減税よりも現在すでに消費者価格に対する負担率は八五%に下がっておる。ほかの消費税が当時バランスがとれていたといたしますと、従価税率を課している間接税は、もし物価が一〇上がれば依然として税も一〇上がるわけでございますが、酒、たばこは、物価が一〇上がろうが二〇上がろうが、税は上がらない。そうすると結果的にはバランスがとれなくなって、酒、たばこだけが減税を受けているという姿になるわけです。それを直さないでほかの税を上げてしまったのでは、バランスがとれない。これはすでに安くなっており、家計消費の中でもウェートが減っておるというところもございますが、しかし、何と申しましても、二級酒とかしょうちゅうまで取るのはぐあいが悪い。一級酒、特級酒はその五割以上が料理屋で消費されているものでもあるし、そういうところから、できるだけ影響は少ないように、しかし、負担を適正化する必要があるというところからこれをやったわけでございまして、そういう意味では、全体のバランス、税の体系としても必要なことであったと私どもは思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/70
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071・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 いかにも酒やたばこの税金が安いように言われますが、一体酒とたばこはどのくらいの比率でとっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/71
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072・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 酒類によって違いますが、これは日本の特色でございまして、酒にも級別をつくって、高級な酒には高く税金を取るというやり方をやっていまして、特級酒は小売り価格に対しまして税負担が四三%程度でございます。それから一級酒になりますと、それが大体三四%程度。それから二級酒になりますと、二八%程度ということになっております。たばこは大体六〇%くらいと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/72
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073・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それでも安いと言う。あなたは自分で取ることばかり考えているからそういうことを言うけれども、公平に見て、御承知のように日本の経済の成長で国民総生産は世界で三番か四番になったでしょう。しかし、日本人の生活程度は二十二番ですよ。アフリカの土人よりも低いのです。ですから、都合のいいときだけアメリカと比較されますけれども、日本人の生活程度とアメリカの生活程度は違うのですよ。そうでしょう。だから、私は酒やたばこをどんどんただにしろとは言わぬけれども、多少比率があれになっても、そのゆとりくらいは持たせてもよさそうなものだと思うけれども、私は主税局のそういう無慈悲なやり方はあまりにもひどいと思う。そこであなた方はどういうことを言うかというと、減税減税。減税してない、増税じゃないですか。酒やたばこであだを討っているでしょう。むしろそのほうがひどいと思う。そういう社会通念の上から考えないで、ただ無慈悲に取ることばかり考えている人にとっては、人間的なあれはないと思うのですが、その点はとういうふうにお考えになっておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/73
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074・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 増税か減税かという話でございますが、先生が先ほど指摘されましたように、所得税については三百四十億は減税ではないとおっしゃられるのと同じ意味において、たばこも酒も増税ではないという論理が出てくると思うのです。それは、物価その他の変動によって日本の税体系はしょっちゅう動いているわけでございます。これが安定した経済でございますといまの税体系は動きませんが、日本のように所得が非常に大きく動き、それにつれて物価も上昇するというところでは、固定した税制は長持ちしないわけでございます。所得税で申しますと、さっき申し上げたように、どんどん実際的に税負担が上がってしまう。また、従量税を課しているものは、去年も直していただきましたが、登録税、印紙税にいたしましても、二十年前に二千円の手数料でよかったものが、いまは実際は十倍だというようなことが起こるわけでございまして、そういう意味では、実際的に考えますと、やはりそこに税制をもしていくということがどうしても必要だと思うのでございます。増税という形はとっておりますけれども、たとえばそのために間接税の負担が非常にふえたかと申しますと、実際には、間接税の負担は国税の中で四〇・三%でございます。これはむしろ三十年当時でございますと間接税の負担は五〇%だったわけでございますから、むしろ減っていくわけでございまして、やはりこの時の動きによって税負担というものはずれてまいります。このズレを直すということは、税制の合理化という点ではやはり必要だと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/74
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075・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 あなたが単位として考える年度は何年ですか。その高いとか、ほかのものに比較して酒やたばこは上がり方が少な過ぎると言われるのは、どこのポイントからそういうことを言われるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/75
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076・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私が申し上げたい点は、前回と申しますか、前に体系を直したときに、そのときに予定した税負担というものから現在までにどう変わったかということが問題なんです。ですから酒で申しますと、三十七年税制で予定した税負担というものといまとはどれくらい変わっているか。たばこで申しますと、昭和二十五年に値上げをしたときどういう負担であったか、それとどう変わっているか、これが問題だと思うのです。毎年毎年そういうものを直すわけにまいりませんので、ある程度年がたったときに、あまりにズレが大きくなったときに直すということにせざるを得ないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/76
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077・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 私はそういう考え方の中に非常に無理があると思うのですよ。いまは出なかったけれども、あなた方がこういうことをいま言うかいま言うかと思って待っていたのですけれども、税制調査会がこういう答申を出したからというようなことをいつも言われるのですが、あの税制調査会ほどむちゃなものはないと思う。ないというのは、泉さんや課長さんたちが考えておられるようなものを、こういうふうにしてくれということをやるのが税制調査会の委員だと思うのです。
そこで、私は個人的には仲がいいのですが、松隈さんを委員長として——あの人はあなたのほうから出て次官になったのでしょう、そういう方が税制調査会の案を出しておる。それを隠れみのにしてあなた方はいまのようなことを言うのです。ぼくは税制調査会というものは廃止してもらいたいと思うのですが、その点はどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/77
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078・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私どもは委員会の幹事をつとめておりますので、委員会の御指定になる資料を提出し御説明はいたしますけれども、委員会はそれをもとにして判断をされるのでございまして、たとえば物価調整減税というような問題も実は委員会から出てきたことばでございます。それから今度の酒、たばこがいかにも不合理であるということは、これはむしろ委員の側から何回も出た問題でございまして、昨年も同じことを言っておられますし、ことしも引き続いて言っておられる。もちろん委員の構成が変われば変わるかもしれませんが、現在の税制調査会の意思としては事実でございますし、私どもは調査会のお世話をいたしておりますけれども、その調査会がどういう御意見をお出しになるかについてはあくまでも受け身でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/78
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079・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 調査会とそう言えば、表で聞いておると知らぬ者はいかにもほんとうだなと思うけれども、ちょうど米審の中立委員みたいなもので、みんな農林省の言うことを聞きそうなやつばかり出すのです。それはあなたの管轄でないから別ですけれども、私はそういう考え方が非常に国民大衆に疑惑を持たせていると思うのですよ。それなら全然税金を取られたくない人のほうばかりやってごらんなさいよ。あなたのほうでは取るほうの、都合のいい委員ばかり選んでいるでしょう。大体見てごらんなさい。松隈さんをはじめみんな大蔵省のあれでしょう。今度の米審の問題が問題になるのは、結局あなたの先輩の日本相互銀行の河野さん、ああいう人が米の問題を言ったんじゃ笑われますよ。それから小倉君、これは農林省から出た次官で学者ですけれども、農林省びいきの人なんです。そういう人をどんどん委員としてやって米価をきめようとするところに無理がある。いま税金を取られたくないという人を代表に入れてごらんなさい。そうすれば少しは公平だということになるのです。ところが、税調というものはみんな大蔵省の意向を受けて、あなたは幹事だと言うけれども、実際は裏でリードしている。ちょうど昔だったら陸軍が海軍をリードしていたようなものだ。大蔵省の考え方を変えなければ——それは大臣に言いたいのだけれども、事実そういうことを一ぺん考えてくれないと、それは取られるほうの身になって一ぺん考えてごらんなさい。あなたのほうは取るほうのことばかり考えておるけれども、取られるほうの身になってみれば少し人情が出ると思うのです。そういう点でもう少し考え方を変えてもらう。いままではしようがないにしても、これからはもう少し取られるほうの身にもなって税金を考えてくれないと、いつまでたっても——大蔵省の主税局、吉國さん以下、いい往生ができぬと思うのです。だからそういう点で、吉國さん非常に頭がいいけれども、取られる身になってみたことがあるのかどうかと思うのですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/79
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080・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま仰せがございましたが、委員の構成等についての御注意は非常に大事なことだと私は思いますが、事実取られると困る人がたくさん入っておるのでございます。たとえば中小企業の代表者といたしましては、青色申告会長が入っていたり法人会長が入っておったりいたしますし、それから総評からもお入りになっておりますし、全労からもお入りになっておるし、勤労所得の代表として入っておられますから、委員はすべて公平に選んであるつもりでございます。
それから全部取るほうばかり考えておるとおっしゃいましたが、考えてみますと、いままでは減税ばかりやってきたのでございまして、今度が例外なんで、ことしは非常に財政が苦しかったわけでありますが、むしろこの調査会は大体減税ばかり言っておるといって批判を受けておるほどで、しょっちゅう減税を言っておるわけでございます。いままで増税のことはあまり言ったことはないのでございますが、今度は少し税の体系論を展開をいたしまして、増税も必要な場合があるという意味でこれを申し上げた、むしろ減税が中心だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/80
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081・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 減税が中心だと言っても、いままで取り過ぎているから減税をしなければならぬわけです。初めは取り過ぎているということを考えないと、もとを多く取っているから何とかしてもらうということになるので、決してあなたのほうで喜んで下げているわけではないのです。私はそう思う。
それから泉さんが見えるから、ちょっと税法上の法律ではなくて、あなたのほうに特別調査班というのがありますね。これは私らいろいろなところで聞くのですが、昔のことではないけれども、相当ひどい仕打ちをやっていることをちょいちょい耳にするのです。あなたは奥の院に入っておられて知られぬと思うのですが、特別調査班の方法を、もう少しやわらかにやる方法はないかと思うのですが、その点はどういうように思っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/81
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082・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、税の調査にあたりましては、一番きついのがいわゆる査察でございまして、これは強制権を持って臨検捜索を行なうわけでございます。それからその次にあるのがいわゆる特調で、それから一番件数が多いのが一般の調査ということになっておるわけでございます。
最近何か特調が非常に強目で、きつ目になされているというような点の御注意でございますが、そういった点につきまして私ども今後十分注意してまいりたいと思っております。ただ特調につきましては、実は御承知のとおり、森脇あるいは田中脱税事件が起きまして以来、世間が、一体税務当局は何をしているのだ、こういった脱税を見のがしておいてはいかぬじゃないか、こういうようなことから、特にそういう件数の多い東京、大阪、名古屋の三局に特別管理班というのをつくりまして、そこで調査をやっておるわけでございます。したがって、その調査のやり方に非常にきつ過ぎる点があれば、それは改めなければなりませんけれども、やはり同時に脱税がなおあとを絶たずに、相当多目のものがあるという点もひとつ御理解いただきまして、結局脱税がなくなるということを目途にやっていかなければならぬのじゃないかと思っております。もし行き過ぎの点がございますれば、私ども是正をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/82
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083・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 いま森脇事件とか田中事件のことを行われたのですが、いま問題になっておる日通ですね。ああいう大会社をいままでどうして捨てておいたのか。個人のことならば、おそらくいまごろもうこっぱみじんにやられておると思うのですが、ああいう大会社を見過ごして——リベートを取っておるとかなんとか、多少新聞のあれだから全部が全部信用しませんが、ああいうような例がいま出てきて、国民に何かわれわれのような小さいところには苛斂誅求にひとしいようなことをやっておきながら、ああいう日通のような大きなやつをどうして見のがしたのだろうという声があるのですが、その点は泉さんどのように御説明になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/83
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084・泉美之松
○泉政府委員 この点につきましては、従来そう
いう点が明確でなかったことはまことに申しわけないとおわびしなければならないと思いますが、本件につきましては、もう新聞の経過で御承知のとおり、昨年辰美産業というのを特別調査をいたしまして、そこから、日通の子会社で富士見ランドに関係しておるのがいろいろあって、どうもそういうところでリベートが払われておる、脱税が行なわれておるようだということから調査を始めまして、昨年に大和造林を査察立件いたしました。その後本年に入りまして、日通の元管財課長でありました田村氏を査察立件する、こういうようなことで調査してまいっておるわけでございます。このリベートの行くえがどういうふうになりますかは、まだ調査段階でありまして、はたして日通の幹部に波及するかどうか、現段階ではちょっと申し上げかねるのでございます。しかし、こういった点についての調査がいままで十分でなかったということはおわびしなければならぬと思います。昨年からせっかく調査をいたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/84
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085・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 泉さんは主税局長を長くやっておられて、いま長官をやっておられるのですが、あなたのような頭のいい人がどうしてこういうことがわからぬかと思うのです。小さいやつにはひどくして大法人は見のがす、こういうそしりを免れないと思うのですが、そういうことはほかにはありませんか。もう日通以外にはこういうことないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/85
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086・泉美之松
○泉政府委員 御承知のとおり、納税者の数はきわめて多いのでございまして、法人数からいたしましても八十万をこえております。個人の事業所得者も百五十万をこえるといったような状況にございまして、私が国税庁におりまして一々それをわかるというわけになかなかまいりません。結局、国税庁、国税局、税務署の職員が一致協力いたしまして、そうした大きな脱税は許さないという体制をとっていく以外にないものと思います。したがって、私に日通以外にこういうようなものはないかとおっしゃられましても、それがないということは申し上げかねます。まだ私どものほうで現在調査いたしておるものもいろいろございまして、規模はそれぞれ違いますけれども、脱税額は相当多額にのぼっておるというふうに見込まれるものはかなりございます。したがって、私どもといたしましては、できるだけそういった大口の脱税に調査を志向していく。いわば小規模事業者につきましてはできるだけ指導によって処理をしていきたい、こういう気持ちを強く持っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/86
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087・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 ほかのことでございますけれども、匿名の定期預金を大口に持っている人があるのですね。それは銀行の慫慂で、脱税をするために他人名義で相当預金をしているということも聞いておるのですが、こういう問題はどういうように解決をしたらいいか。これは主税局長か、泉さんのほうでもいいのですけれども、銀行が預金をとるために非常にうまいこと言って、黙っていますよ、とにかく預金をしなさいとうまく言っておきながら、最後になると、やはり脱税の幇助になってはぐあい悪いから、結局出すということで、非常に問題を起こしておるのがあるのですが、この匿名の預金とか定期預金とかいうことについて、税を取る場合にどういうようにお考えになっておるのか。これは非常に重要な問題だと思うのですが、その点はいまどういうような解決になっておりますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/87
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088・泉美之松
○泉政府委員 お話しのように、現在脱税を行なっております場合、それを預金しておるときには、実名の預金というのはきわめて少ないのであります。匿名または仮名の預金になっておる場合が非常に多いわけでございます。したがいまして、私ども脱税を調査するにあたりまして、金融機関の協力が得られないとなかなか真相の把握ができにくい、こういったことで非常に難儀をいたしております。そういう意味では、できますれば匿名、仮名の預金でないようにしてもらいたいということを銀行局を通じまして金融機関に申し入れをしておるわけでございます。銀行局のほうへの報告によりますと、各金融機関は本年一月から預金者につきましてはその実名を確認して預金を受け入れる、こういうような措置をとられることになったと聞いております。しかし、はたしてそれが申し合わせどおりうまく実行されていくかどうか、私どものほうもそういう状況をよく注視しながらまいっていきたいと思っておるのでございますが、いずれにいたしましても、金融機関におきましてその預金者がだれであるかということを明らかにしていただかないと、税務の調査に非常に支障を来たします。そういうふうに御協力をいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/88
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089・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 現在の実情で申しますと、預金を獲得するための競争が非常に強いものですから、各銀行は、匿名にしますから絶対言いませんということを言って預金させる。しかし、いろいろわかってくればいかぬということで出す、そういういろいろ税務署で例がたくさんあることがわかったのですが、これを何とか防止するというようなことは、やはり大銀行で相当強くやればそういうものは避けられると私は思うのですが、その点は何らかの方法て——私はそういうきつい方法をやれというのじゃないですよ。査察をどんどんやれというのじゃなくて、何とかもう少しそういう指導を国税庁やるべきじゃないか。特に現在のような預、金が非常にほしい銀行にしてみれば、そういうことをどんどんやっておる。これは例はたくさんある。そういうことで私ら税務署に行くというようなこともあるのですが、今日の時代になってそういうような手落ちがあったのでは、私は納税者というものはあまり信頼をおかぬと思うのですが、その点は一体どういうような方法で考えておられるのか、国税庁はそういう問題をどのように地方の国税局に指導されているのか、実情をひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/89
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090・泉美之松
○泉政府委員 一般的には先ほど申し上げたのでございますが、ただ金融機関が納税者のほうから預金を受けるということについて、競争のあまり、うちに預けてくだされば、税務署のほうにも秘密にして、特利もつけますというようなことでもしやっておられるとすれば、それはたいへん間違った方向であります。これは結局金融機関の過当競争に因をなしておると思うのであります。したがって、そういう点からいたしますと、過当競争をできるだけやめていくというような方向でやっていただかなければならないと思うのでございます。私どもとしましては国税局には、金融機関の預金の調査は、預金者がそれによっていろいろ不安を感じますから、普遍的な預金の調査は一切しない、そうして脱税の疑いがあります場合に、その者の氏名を明示して、そうして税務署長の許可書あるいは国税局長の許可書をもらっていって一件別の調査をする、こういうふうにして預金者の不安が起こらないようにということをいたしておるのであります。同時に、先ほど申し上げましたように、金融機関のほうでも自制、自粛して、他行との不当な競争ということを避けていただきたいものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/90
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091・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 泉さんにもう一つお伺いするのですが、特調班が入るときにはどういう材料でおやりになるかということが一つと、もう一つは、特調が入る場合に、どういう基準で特調を入れる、それから査察を入れるというような、何か基準でもありますか。これは秘密事項にでもなっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/91
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092・泉美之松
○泉政府委員 これは、どれを査察対象にしどれを特調対象にするかということは、非常にデリケートなところでございまして、結局、査察というのは刑事訴追ということを目的といたしておりますので、査察をして、その結果刑事訴追を求めなければならぬほど悪質の脱税であるということが前提になっておるわけであります。これに対しまして特調というのは、国税局で行なう場合と税務署で行なう場合と、両方ございますが、その両方とも、税務署で普通の調査をやるに比べては相手方がいろいろ二重帳簿などを作成したりして、脱税の意図がある。しかし、査察に回すほどの悪質ではないし、税額もそれほど大きくはない、しかしものによっては悪質ではないけれども税額はかなり漏れているというのもございます。したがって、特調に着手した後、これはどうも事案の内容から見て査察に回したほうがいいというようなものもございまして、それは査察のほうに回す。また、査察立件して調査したけれども、その内容をいろいろ調べていくと、これは査察で告発するほどの内容でないから普通の調査に切りかえる、こういったものもいろいろございます。したがって、当初は大体いま申し上げました基準で、また査察立件する場合には、悪質でやはりその脱税額が相当多額であるという一つの基準がございます。この基準は、ちょっと申し上げられないのでございますが、かなり多額な脱税がある見込みの場合に査察立件に回す、そうでない場合は特調なりあるいは普通の調査で行なう、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/92
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093・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 私は、いろいろケースがあると思うのですが、結局まぐれ当たりに、こいつは怪しいということで特調を入れる、それから泉さんも御存じだろうと思うのですが、こういう膨大な、いろいろな複雑な社会生活の中で、法人なりあるいは個人の大きなのが相当脱税をしておるということを、全部が全部調べ切ることはむずかしいと思うのです。けれども、どうもいまやっておられる中には、そういうのもないと思うのですけれども、どうも弱い者を早く見つけて手っとり早くやっつけようというような、そういう気持ちはなくとも、そういうケースがたくさん出てくるように思うのですが、そういう点、国税局は日本にたくさんありますし、それは一々泉さんの責任ではないけれども、そういう片手落ちのようなことがありはしないか。それから案外、ほほっと笑って、そして税務署に舌出しているようなところもあるんじゃないかと思われるのですが、実際は、われわれの知ったケースでは、どうもわりかたまじめな人がひっかかって、案外ずるいのがひっかからないような、そういうケースを想像もするのですが、そういう点については抜かりがないものですか、どうですか。調査査察会議なんかにも出ると思うのですが、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/93
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094・泉美之松
○泉政府委員 お話しのように、私ども税務の仕事をやってまいっておりますときに、一番気をつけなければならないことは、いわゆる弱い者いじめにならないということであります。ところが、佐藤先生も御承知のとおり、現在の世の中は非常に複雑でございます。頭のいい人も多いわけでございまして、なかなかその脱税の手口等も巧妙をきわめておりまして、それを一々摘発するということがなかなか容易でございません。したがって、私どもはそう考えていないのでございますけれども、結果的には、そういうふうにうまく立ち回ってやっている者が見つからなくて済んでおって、そしてへたなことをやっている者が見つかって摘発を受けるということがかなりあり得ると思って、その点につきましては、税務職員全体で、そういう非常にりこうに立ち回ってうまくのがれていくということを許さない、そういうものにこそ大口の脱税があるのだということで、特に注意して調査をするように指示いたしておりますし、またそういうふうに努力いたしております。しかし遺憾ながら、まだ現在の段階では十分それを摘発するまでに至っておりません。今後一そう努力しなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/94
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095・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 非常に例外的なことをいろいろお尋ねしたのですが、もう一つ吉國さんにお尋ねしたいのです。
いま一番正直に税金を納めているのは俸給生活者だと思うのです。これはもうきちっと数字が出ますから、こういう一番正直に納めておる——公務員の皆さん方もそうですけれども、そういう人に対してもう少しあたたかい手を伸ばして、完納すれば少しはまけてやるというような便法というようなものがあれば、私は社会がもう少し明るくなると思うのですが、そういう方法を規則どおり——大ぜいのことで、いま泉さんが言われるように複雑ですから、私たちが考えるようにはいかぬでしょうけれども、しかし、そういうモデルケースもひとつつくってもいいんじゃないか。そうすれば、みんながなるほど正直に納める人に対してはやはりそういうお返しがあるなという、喜びもあり励みもあると思う。脱税する人と比べれば、俸給生活者というものは第一に徴税の費用が要らないという点などを考えれば、もう少しあたたかい手を差し伸べる必要があるのじゃないか、こう思うのですが、その点はどういうようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/95
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096・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま仰せになりましたとおり、給与所得者の場合は、源泉徴収できちっと全体が把握されまして、一番正確に税が取れるという点から申しますと、確かにこれは、ほかの所得者が抜けているという意味ではございませんが、非常に正確な税を払っているといえると思います。そういう意味では、そういうものに対してそのまま税金を取ってしまうのはきつ過ぎるではないかという御意見ももっともだと思いますけれども、一方においていまの税法から申しますと、一般の所得者は適正な申告をする義務を課せられておるわけです。したがって、正確に税金が取れるところに特別の配慮をするということになりますと、申告納税というものが成り立たなくなって、申告納税も百出したら二十減らせとかいうような問題も起こりかねないわけで、それが一種の理屈になって、なかなか給与所得者の負担が軽減できないというのは、私どもも非常に遺憾に思うわけであります。同時に、私は給与所得者につきましては、いわゆる経費の控除というものが実際上なかなかむずかしい、千差万別でありますし、いわゆる所得を得るための必要経費というものはなかなか算出してみるとできないものでありますから、一括して給与所得控除というものをやっておりますが、これも先ほど私が申し上げましたように、所得水準が上がり、物価水準が上がってくると、かなりやはり給与所得控除自身も上がっていいんじゃないかという感じがするわけであります。今度の改正でも、そういう意味で定額控除を引き上げますと同時に、定率控除も六十万円を八十万円に上げ、八十万円を百万円に上げるという措置をとりましたが、やはりそういうことも実際に即して考えていく必要があるんじゃなかろうか。それからまた、実際に給与所得者の勤務状態その他から見れば、だんだんそういうことを考えていいんじゃないか。たとえば通勤費控除につきましては、従来は現物給与で課税をしておりまして、国税庁の通達で緩和をしておりましたが、昨年の改正以来正式に通勤費を控除するようにいたしました。そういうことも考えますと、そういうことでこまかにまた実態に即した配慮をしていくべきだと私は思っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/96
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097・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それから、非常に問題になって、国民が非常に疑惑を持っているのは、六千億円からの交際費、こういう実績があらわれたという話を聞いているのですが、実際にそういうことがあったのか。また、こういう交際費というものにもう少し課税すれば、ぼくは六千億円もあればたばこも酒も上げないで済んでしまうと思う。そういうような方法はどういうふうに考えていかれるのか、この点をを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/97
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098・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御承知のとおり、交際費と申しますものも、従来の法人税法でございますと総損金に入っておりまして、経費で控除されておったわけでございますが、いわゆる社用消費的なものが指摘されまして、販売活動のための経費といいながら、それに便乗したものが相当あるんじゃないかということから、昭和二十九年に、これは逆の特別措置として経費を否認することにしたわけでございます。その当時は一定の業種については業種別のパーセンテージをきめまして、それと、前年実績の交際費に対する一定のパーセンテージをかけたもの、そのいずれか低いほうを是認してそれ以上のものは切るということで社用消費的なものを押えようとしたわけであります。その後いろいろ改正が重ねられまして、現在では一定の控除をいたしました後の交際費の五〇%を損金を否認するという形で課税することにいたしたわけでございまして、さらに昨年の改正では、前年よりも五%以上ふえた部分は全額否認するというような制度に変えてまいりました。つまり交際費というのは、本質的には会社の経費でございますけれども、それに相当便乗した社用的な支出があるということから経費否認をしてきたのが現在の姿だと思います。したがいまして、もちろんこれがなお相当な額にのぼるということでございますと、これを強化するということも考えられますけれども、本来が経費のものでございますから、一〇〇%否認ということまでまいりますと相当な問題にもなるということで、去年程度に、一定額以上どんどんふやしていくところは、ふえた部分は全額否認ということも一つの考え方ではないかと思いますが、この交際費の特別措置が来年度で切れるわけであります。切れましてほうっておきますと全部損金になってしまいますから、やはりこれは継続してさらに制度を合理化する必要がある、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/98
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099・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 その交際費のあれ、去年、おととしくらいは大体わかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/99
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100・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 昨年の交際費の支出額が六千五百六十億といわれております。そのうち否認をされて課税になっている、つまり損金不算入となったものが千百六十五億程度ございます。大体否認割合が、二割程度は損金不算入。ついでに申し上げておきますけれども、大体交際費のこの額のうち使用している七割五分くらいは一億円以下の法人でございます。それ以上の法人のは二割五分でございますが、否認割合から申しますと、大きいほうの法人は大体四割五分程度が否認されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/100
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101・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 交際費が五千億円もあれば、酒やたばこを上げなくても、そこから取るというわけにはいかないですかね。今度の増税は、物品税も入れて一千五十億円でしょう。五千億円あれば、その中から出せば、何も評判を悪くしなくてもよさそうなものだけれども、そういうことは何で考えられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/101
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102・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま申し上げましたように、これは本来会社が収益を獲得するための販売活動の一つであるという性質のものであります。したがって、いまそれを否認しているのは、そこに行き過ぎがあり、社用消費があるからということで否認しているわけで、現在では半額を損金否認しているわけでございますから、いわば販売経費の半分を課税所得に入れているわけであります。そういう意味で去年さらに、前年よりも五%以上ふえた部分は全額損金不算入にするということにいたしたわけでありますから、むやみに使ったところは使っただけ全部税金がかかってしまう。その使ったのも、実はそれを通じて販売が多くなって所得がふえるというために使っているわけでございますから、そこではふえただけ法人税がふえるわけで、交際費に対する課税を通じて法人税も相当上がっているわけであります。法人税の否認だけで入っております税額が四十二年度の推計で約四百四十億でございます。ことしは見込みとして大体五百億というふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/102
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103・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 いろいろ複雑な社会ですからそういうように考えられることはむろんでありますけれども、しかし一方においては、非常に零細な業者からも相当な税金を取る。われわれがいま郷里に帰って一番大きい問題は、何といっても税金の問題だと思う。十のうち九つくらいまでは、駅でつかまって何とかしてもらいたい——おそらく大蔵委員であるという理由もあるかもしれませんけれども、ほかの方もそうだろうと思うのです。そういう零細な、わずかな人が差し押えを食ったり、こんなものまでやらぬでもいいと思うような人がしゃくし定木でやられればしかたがないことでありますけれども、一方においては、五千億、六千億円の交際費は幾らあれするといっても、必ずしも的確に、それがほんとうに営業用にうまくやられているかということになると、何といっても疑問があると思うのです。特に東京に生活している人なんかはそういう点が非常にあいまいだとわれわれは思うのですが、そういう点についてはこれから同僚委員からもいろいろ質問があると思いますから、私は時間の関係でやめますけれども、そういうようなことをひとつもう少し大らかに主税局長も泉長官も、喜んで税金を納めるようになるために、もう少し考えてほしい。少なくとも喜んで税金を出す人はありませんけれども、これは公平だからやむを得ない、おれはしかたがないというような、そういう正しい納税者の気持ちからも、私たちはそういうことを望んでおるわけです。そういう点で、私はまだいろいろ問題がありますけれども、とりあえず皆さんに御注意して、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/103
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104・毛利松平
○毛利委員長代理 中嶋委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/104
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105・中嶋英夫
○中嶋委員 産業公害の関係で、古い話ですけれども、産業革命当時にイギリスで非常にばい煙が多いので、市民から非常に不満が出た。そうしたら市の当局者は、このばい煙は市民のスープだ、産業の発達で町が潤うんだから、ばい煙はむしろ好ましい現象だということをいわれたのが残っています。そういう考え方は日本にもあったわけですが、戦後大気汚染の問題が非常にうるさくなってきております。最近では大気汚染は常識化し、そうした誤った考えというものは一切なくなった。しかし、それに即応するだけの行政というものはあまり進んでいない。しかも一方、技術的な面ではあまり利益にならない産業ですけれども、集じん機とか除じん機とか、そういうことを技術的に取り組んでおる人々もあって相当進んできております。したがって、技術的なきめ手はもう出てきておる。だが、その設備をするについて、事業所、会社等がその負担を敬遠して、なかなか設備が進んでいかない。特殊な大企業あるいは行政機関が持つじんあい焼却炉その他については相当進んだ防煙装置がついておりますが、私企業ではなかなかついていない。地方自治団体もそれぞれ条例などで罰則をつくり、あるいは市町村段階で補助金を施設に出して対策を進めておる、こういう面もある。しかし国のほうとしては、いま公害防止事業団等を設立したとはいいながらも、これはいまのところは河川の清浄化程度が精一ぱいで、大気汚染のほうには及んでいない。したがって、技術的には進んだ、同時に大気汚染を防止しようとする国民の意欲というものも非常に高まっておる、おくれておるのは行政だ、こうなるだろうと思う。こういう問題について、主税局の立場から、現在までどの程度の配慮並びにどの程度の実効があがっておるか、その点をまずお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/105
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106・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 公害防止対策は非常な大問題であることは私どももよく承知いたしております。また、その方面のいろいろな法規等がまだ十分に整備されていないという点もあると思います。税の上では、ただいま御指摘がございましたように、公害防止のための諸設備というものが、企業にとりましてはある意味では、先ほどの考え方から申しますと、自分のつくるものによってみんながプラスしていくのじゃないかという考え方と、公害は生産性がないというふうなことで、なかなか自分で進んでいたしません。そういう点を考えますと、一つのインセンティブとして特別措置を使って公害防止の施設の据えつけを促進するということも考えられるのじゃないか。また、考えようによっては、いま申し上げましたように、公害防止という設備は一般の生産設備と違ってやや生産性に欠けておりますので、企業としては早く償却をしたいという問題もあると思います。そういうことから、実は税といたしましては従来から徐々にそういう点の配慮はいたしてきております。二つの角度でいまやっております。一つは租税特別措置法の十一条、四十二条の個人、法人につきましての「合理化機械等の特別償却」の中に、第六号に公害防止の諸施設を初年度三分の一償却として、制度を設けております。これは現在まで大蔵省の告示で、船舶の排出する廃油の処理施設の設備、重油脱硫装置、LPG販売業の障壁といったようなものを指定しております。これによって公害の防止をはかっております。
〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
もう一つは、一般的なものといたしまして、汚水処理用の資産、ばい煙処理用の資産につきましては、特別償却ではないのでございますけれども、耐用年数を大体三割ないし五割相当程度短縮をいたしまして、その設置を促進するような措置をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/106
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107・中嶋英夫
○中嶋委員 いまのお答えでわかったように、非常に跛行的なんですね。大気汚染の実態その他公害はたくさんありますけれども、そういうものでどれがいま一番重要なのか、順序などはそういうものに比較してみましても非常にびっこなんですね。たとえば特別償却の問題については大気汚染を防除するための電気集じん機とかその他の除じん機等で、こういったものは対象になっていない。それで船舶の廃油と脱硫装置とLPGの壁の問題、この三つであります。およそ公害問題の中のほんの少しのものだけが摘出されて、それだけが恩典を受けておる、これは明らかに跛行の状態だと思うのです。何ゆえにこれは——たとえばいま公害問題中特に船舶の廃油が海上を汚染しておるということが一番大きい、被害を受けておる数も一番多い、被害の額も多いというものではないのですね。もちろんこれは重要な問題ですけれども、いま一番重要なのは大気汚染の問題だと思うのです。あるいは騒音の問題だと思うのです。そういう問題については全然触れない。まるで何か形づくりのために、あまりうるさくない問題、事業家その他のほうから異論のない問題——重油脱硫装置の場合は相手は石油資本で大きいから、しかも設備投資の額が大きい。その中の占める割合からいってこのくらいならやってもらえるだろうというところをねらった。あるいはLPGの場合には、御存じのように税法上いろいろの問題があるから、まあこのぐらいの壁をつくれというような問題についてはやるだろう、やるならばここだけはめんどうを見よう、やる気が出そうなところから、そこだけはめんどう見ようということにしかなっていない。これは非常に重要だと思うのです。
確かに耐用年数の短縮のほうで汚水処理あるいはばい煙処理の問題は出ていますけれども、これは私は、配慮をしたようであっても、この配慮のしかたは不自然だと思う。やはり、機械がある、設備がある、おのずから耐用年数というのはあります。それを製造する者自身の責任を持って、これは二十年使えますよ、これは三十年使える、またそういうことで契約は結ばれて設備はされる。それを、だがおまえのところはそんなにもたないことに見てやろうという、こういう配慮のしかたというものは私は不自然だと思うのです。確かに結論的に一つの配慮であるということは言えるけれども、それなら堂々と、そういうものについては、税法上でなくて、これは政務次官いらっしゃいますが、奨励する予算を出してやる。現に地方自治団体で、市の段階で補助金をつけているところもあるのです。そういうほうに重点を移すべきものを、お茶濁しに特別措置などを使うということは、かえって問題の本質をぼやかして、何かやっているらしいということで国民は待っておるが、空気はよごれっぱなし、よこれはひどくなっていく、水はよごれていく、騒音は一向解決しないという状態に放置されている。国民の立場から考えた場合、いまのようなやり方でいいかどうか、相当反省されていいと思う。そういう立場からの御見解があったら伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/107
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108・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいまの私の御説明、はなはだ簡略でございまして、申しわけないのでございますが、大気汚染につきましては、いまの空気の、ばい煙の処理施設であれば、機械はすべてこの耐用年数の短縮をいたしております。ですから、耐用年数の短縮の主眼点は、ばい煙と汚水ということになっていることは事、実でございます。しかし、御指摘のように、何と申しましても税でやれるということは、こういう耐用年数を短くして償却を早くする、それによって税金の繰り延べができるという魅力しかないわけでございます。やはり積極的に奨励するには補助金の支出ということのほうが効果的だと私も思います。しかし、同時に、これが財政上なかなかむずかしいといたしますと、実際上は税制にたよるという傾向が最近あります。私どもは、本来補助金でやるべき仕事は補助金でやることがいいことだと思っております。いわば税は、一つの跡始末のために特別措置を使ってインセンティブを与えるということにはなっておりますが、ものによっては税制でやるほうがうまくいくものもございます。たとえば何かを設置すればこういう利益を与えるということになりますと、税制でやるほうが非常にうまくいく、補助金を出してもそのとおり使われないということになるおそれがあります。しかし、一般的に申しますと、やはり補助金を出すというほうが手っとり早いということはあるかもしれません。そういう意味では、御指摘のように特別措置によるインセンティブにはある程度限りがあると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/108
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109・中嶋英夫
○中嶋委員 政務次官、今の主税局長の見解は、お聞きになったと思うのです。大臣のかわりとしてどうお考えになるか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/109
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110・倉成正
○倉成政府委員 公害問題の本質に触れる問題だと思います。元来企業がどこまで責任を負うかという問題、この問題については、基本的に考え方を確立しなければならないのではないかと思います。それと同時に、やはり企業だけの負担にしないで、国がこれについて助成を与えるというときに、補助金なり税制の問題が出てくることかと思います。したがいまして、現在すでに産業が発達すると同時に公害の問題というのが非常に大きなウェートを占めてまいりましたので、やはりこの公害問題については、どうしても積極的に取り組んでそしてどういう形で企業の責任をどこまで求めるか、これについて国なり公共団体がどの程度の負担をするのかというたてまえをやはりはっきりした上で、税法その他がある程度補完的な役割りをするものじゃなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/110
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111・中嶋英夫
○中嶋委員 ですから、税務当局のトップに立っておる政務次官ではなくて、日本の財政をつかさどっておる大蔵省のトップに立っておる政務次官として——税制の面で公害の問題と取り組むのには私はおのずから限界があると思うのです。むしろそれは根本的解決の方向へいくことをカモフラージュされる危険性すらある。ですから、ほんとうのきめ手は何なのか、それは大蔵当局としてはどう考えられるか、財政面からどう考えられるか、手を差し伸べる必要がないのか、手を差し伸べる必要があるのか。確かに社会的費用として公害問題を企業に全部負わせるという考え方もあります。ただ、たとえば最近の銭湯、これは日本人がふろ好きだということもあるし、これは非常にいいことだと思うのです、清潔ですから。銭湯という仕組みが町々にあるわけです。銭湯のたとえばばい煙の防止装置などといっても、おふろ屋さんがこういうことに気がつき、まわりから言われぬでもやろうというよりも、うるさい人には銭湯をただで入れるから文句を言わぬでくれというぐらいのところで解決してしまいたいというような、こそくなところにとどまっておるわけです。こういうものの設備を改良することはそうむずかしくない。それを研究している人が、エアコンディションの会社を持っておったのですが、あまり熱心なために会社が最近傾いてしまった。ばい煙問題と取り組んで、良心的に研究して買い手がないものを一生懸命につくっておった。煙が出ない、煙が出ないと喜んでも、だれも買ってくれない。本職のエアコンディションのほうがそのためにつぶれかかった、こういう気の毒な例があるわけですね。こういうところに、補助金というのは大企業にだけじゃなくて、ふろ屋さんあたりのところまで——設備をするから補助金ということだけではなく、設備を低廉にしかも効果的なものを研究させる、発明させるというものに対する奨励をする、そういうお金の使い方というものはあると思う。そういうものを含めて税制の面でのトップに立っておられる倉成さんじゃなくて、大蔵省のトップに立っておる倉成さんとして御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/111
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112・倉成正
○倉成政府委員 いま設例がございましたけれども、たとえば自動車の排気ガスというのがいま非常に大きな問題になっております。そういたしますと、これを排除するために設備をつけたらどうかという提案があるわけですが、かなりの経費がかかる。それじゃそういうのに国が助成したらどうかということになってまいりますと、私の個人的見解では、これは当然自動車の所有者なり、あるいは自動車を利用する人が負担すべきだ、助成すべきではないという考えを持っているわけであります。したがって、やはりそれぞれの公害の性質なりに応じまして、やはり企業なりあるいは個人が負担すべき部門と、企業なり個人が負担し切れない社会的な部分ということをやはりはっきりいたしまして、合理的な理由がある分については国の財政あるいは金融面で助成をしていく、あるいは補完的に税制で考えていくというのが本筋じゃなかろうかと思っておるわけであります。せっかく公害問題については特別委員会等でもいろいろ御検討いただいておることでありますから、そういうところの御検討の結果を待って前向きで善処いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/112
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113・中嶋英夫
○中嶋委員 政務次官、私は銭湯の話を出したらあなたは自動車の話をするのだけれども、自動車のほうは、マフラーの改良というのは輸出するために必至の条件になってきた。だから、急に騒ぎだしたのです。それを解決するきめ手は十年前からできておるのです。自動車工業会等に私は厳重にこれを言ったことがあるのですけれども、やらない。ちょうどそのころはお互いに販売競争が激しいころですから、よそより幾らかでも値下げで売ろう、うちは五万円安くなる、うちは三万円安くなるというときだったから、とてもじゃないが、マフラーのことなんかに金を使っておられないというときだったので、一顧も与えないという状態でした。ところが、アメリカのほうで、それをしないと買わないぞということになると、一ぺんにつき始める、こういう問題、自動車工業界が持っている力等からいけば、それは業界が負担すべきでしょう。当然それは販売価格に入ってきますから、その車を利用する者が払っていくということ、これは自然そうなるので、これは私は、ある意味では解決済みか、むしろ技術的な面を積極的に、他社よりうちのほうは排気ガスを防除してある、マフラーは改良されておる、こういういい車だからどうですか、特に海外に進出する場合にはそれを特徴にして売り込んでいくということで、もうその方向でいっているのですね。この間も私はあるところで座談会をいたしましたら、川崎の市長さんは新しいそういうものをつけた自動車に乗っておる。国会議員のあなたがそれをつけてないのはどういうわけだと言う。それは、市長さんの乗っている車は市民の税金を払ったのでやっている、おれもつけたいと思うけれども、遺憾ながらまだそこまでいかぬという笑い話をしましたけれども、そういうことを言っている人が出ています。しかも、自動車工業界の力というのは、御存じのようにトヨタ、日産、それぞればく大な利益をあげておる企業ですし、これはいいと思う。私の伺っているのは中小の関係、小さな銭湯あるいは小さなカーボン工場、資本金が三百万円ぐらいの会社などというものに対して取り上げない、自動車のことはきめ手が出そうなものだから取り上げていくという、こういうことじゃなくて、私が質問した趣旨のところへ大蔵当局の予算を組むときなんかの考えというのは届かないのかどうか。何か税制の関係でちょっとやっておると言う。しかも特別償却の場合は船舶の油と脱硫装置とガスの障壁の問題だけで、公害問題の主流となっているものについては全然触れてないという、こういう状態でいいのかという問題、あわせてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/113
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114・倉成正
○倉成政府委員 公害について私も専門ではございませんので、なかなか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/114
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115・中嶋英夫
○中嶋委員 主税局長が不自然だと言うのですよ。やはりむしろ変えさしたらどうなんだということを言っている。それをあなたはどうなんだ、主税局長と違う意見かどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/115
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116・倉成正
○倉成政府委員 たとえば、いまおふろ屋の煙突や、そういったもののお話がございましたけれども、これはやはり公害に対する一定の基準なり考え方なり、そういうのをきちっときめた上で考えるべきものだろうと思います。しかし、その問題を含めて、公害についてはやはり前向きで善処していくべきじゃなかろうかと思っておる次第でございます。
〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/116
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117・中嶋英夫
○中嶋委員 大体わかりましたけれども、参考に主税局長に伺っておきます。
これは、特別措置はまたあらためて議題となりますので、その際詰めていきたいと思うのですが、特別償却の対象に何ゆえに船舶の排出する廃油、それから重油の脱硫装置、LPガス販売業の障壁、この三つだけが浮かび上がっておるのか。たくさんの設備がありましたね、重要度からいったとなると私はぴんとくるのですが、なぜそのうちの三つだけが出たのか、これがわからぬのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/117
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118・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 耐用年数の短縮というのは見たところはじみでございますけれども、実は耐用年数を三割、十年を七年に縮めますと、毎年の償却力が四割ずつずっとふえるわけであります。そういう意味では、この三分の一特別償却と、長い目で見ますと、ほぼ同じか、ちょっと得ぐらいの性質がございます。
そこで、いま先生御指摘のような、一般的に規定のできる設備、つまり汚水処理用資産とかあるいはばい煙処理用資産というようなことで、かなり一般的に規定できるものは耐用年数で一般的にやってしまって、かなり特殊な設備であって、具体的に指定をする必要があるようなものを特別償却のほうへ持ってきたわけでございます。そういう意味では、この両者は耐用年数の短縮のほうがより一般的で、特別の手を使わずにそのまますぐ使えるという意味では非常に楽に使えますので、そういう意味では両方ほぼ同じ利益でございまして、技術的な意味でこれを分けたということを御了承願いたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/118
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119・中嶋英夫
○中嶋委員 しからば、騒音、悪臭、ガス、これがなぜどちらのほうにも出ていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/119
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120・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 騒音につきましては、やはり私のほうも指定をすべく検討いたしておりますが、騒音防止法自体、騒音の基準等がまだきまらないものでございますから、どういうふうな指定をしていいかまだ明確な内容が固まっておりません。
〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕
いずれこれも指定をするつもりで準備をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/120
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121・中嶋英夫
○中嶋委員 排気ガス、それから悪臭は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/121
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122・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 排気ガスの問題は、たまたま先生御指摘のとおりでございまして、自動車の付属設備として解決していく問題だと思いますが、悪臭自体も、これは当然悪臭に対する何らかの具体的な設備ができてまいりますと、検討の余地があると思います。私どもはいまのところ積極的にどれをということでやっていくというよりは、でき上がってきたものを検討してどんどん認めていこうという体制をとっておりますので、そういうものができ上がってまいりますればまた考えていきたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/122
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123・中嶋英夫
○中嶋委員 ガスの場合、重油の脱硫装置だけでなしに、また自動車の排気ガスだけじゃないわけですよ。たとえば工場地帯に参りますと、具体的にいうと川崎あたりの昭和電工なんか、その隣に工場の大きな建て屋がある。そのトタン板、昭和電工寄りのトタン板は、反対側と同じ建物なのにこれが二年違うのです。早くだめになるのです。そういうのは当然人畜には害をなしている。そういうものもあるわけで、どうもせっかく——これはどこでみんなにきらわれてしまったのか、あっちもこっちもめんどうを見ないで、私はほんとうは税制でこれを取り組むのは、特別措置でやるのは疑問があるのです。回り回って税務当局のほうで多少めんどうを見るかっこうになってしまったんだが、そのせいか、大気汚染、公害全般に対する、失礼な言い方だけれども、認識があまり深くないそういうところでめんどう見られていくのじゃ、とても公害問題の解決というのは遠い先になるのじゃないかと思うのです。ひとつ政務次官、この問題によく取り組んでいただいて——幾ら新聞やテレビで取り上げても、初めはこの問題を取り上げるのは非常に批判をされたんですよ、産業の発達をじゃまするのかということで。それがようやく世論がわかってきたときに、行政のほうは非常におくれていますね。こういう点ひとつ格段の御努力をいただきたいと思うのです。特にそういった設備の改良、低廉で効率の多い、しかも銭湯その他の中小企業向けのものを改良し、あるいは発明していくというものに対する奨励の方法、あるいは設備をつくる場合にそれに対して資金を出していくというような、全部じゃないけれども、額は別として、一歩そういう前進したものを今後期待していいものかどうか、期待できるものかどうか、その辺を確かめたいと思う。政務次官からひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/123
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124・倉成正
○倉成政府委員 お答えします。
通産省あるいは厚生省、その他それぞれ専門的に御研究いただいて、合理的なものであれば十分それに対処してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/124
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125・中嶋英夫
○中嶋委員 なお主税局長に伺っておきたいのですが、私が先ほど申し上げたように、基本的には税制の問題ではない。公害の問題だ。もちろん関係が薄いと思うのです。そこで解決済みという形はどうなんですか。ただ現状、せっかくこれだけのものがある、その中でたくさんのこぼれがある。先ほど何か騒音については基準がきまってないというのですね。通産省で基準がまだ終わってないということだろうと思うのです。しかし、これは基準があってもなくても、不快であるか不快でないかでわかると思うのです。あるいは学校で子供が勉強するのに困るか困らぬか、そこで基準がある。ホンという単位がありますね。ホンという単位の基準がある。これ以上は子供の勉強のためにはだめだ、これ以上は不快になるという基準がある。学問的にはある。学術的なる基準をなぜそのままストレートで採用しないのか。あるいは亜硫酸ガスの許容限界の問題についても単位がちゃんとあるわけですね。PPMという単位があるわけです。そういう学問的なるものをなぜすぐ採用しないかというと、何かそれよりももっと許容限界を広げたもの、ここから先は人畜に害があるという学問的にすっきり出ているもの、それよりももう少しゆるめてあまり金がかからないようにしてやろうじゃないかという考えがあるからこの基準がきまらない、私はこう見ている。ないわけがない、ある。ただ役所が各省一致してここというものをサボっているというのが実際だと思うのです。ですから、そういう点についてせっかくそこに問題があるというお答えがあったから、その間の事情を私のような認識でもっておられるのか。それは実際困難で、かすに相当の日時をもってしないときまらぬという御認識で先ほどの答弁をなされたのか、そこのところを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/125
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126・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 確かに何ホンというようなことで基準になり得ることはもちろんでございますが、いま技術的に、どういう設備をつくれば何ホンのものはどの程度チェックできるかというようなところを標準的なものを通産省としては研究しておる。したがいまして、そういう具体的な設備として出ないとなかなか指定ができませんので、それを待っておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/126
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127・中嶋英夫
○中嶋委員 その場合に、現に都道府県あるいは市で——町村はない。市で公害防止条例というものを持ってその県なり市なりが基準を持つ。それで騒音で害があるということで住民のほうから問題を提起してくると調べに来る。これは明らかに何ホンだ、これは限界だ、こういう壁をひとつつくれという指示を与えます。その瞬間に現実の設備というものが出てくるわけです。その場合に、条例があって県が指示した場合は当然それを対象にすればいい。これはいろんな状況がありますよ。そのいろんな状況のときに、どういう設備をすればいいかわからないといったら、これはいつまでたってもきまりません。次々に新しい公害が生まれてくるのですから。近代化していけばいくほど新しい問題が出てくる。そのたびに、できないじゃなくて、県なり、どっちみち国が出先を持たなければなりませんから、出先であるところが、これは防音設備を必要とする、騒音の場合、ガスの場合、悪臭の場合でも、必要とすると認定した。これは何も通産省とあなたのほうで打ち合わせしなくても、このものを捕捉して騒音対策をするということになれば、当然私はできると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/127
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128・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 実はそういう点を確かに指摘をされておるわけでございますが、担当官庁としてはやはり統一したしっかりしたものをつくっていきたい、そしてできるだけしっかりした対策を講じたいという気持ちはあるのですが、そういう点では一ぺん担当の官庁からそういう点についてのお話をお聞き取り願えれば幸いだと思います。やはり私ども、先ほどから申し上げておりますように、税の措置というのはあくまでも補完的なものでございまして、一つの具体的な政策が出たときにこれを裏打ちするという性質のものでございます。そういう点から担当官庁の判断を尊重したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/128
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129・中嶋英夫
○中嶋委員 担当官庁のほうから基準がきまってくればおのずからお考え願う、ただそれはあくまで補完的なものであって、やはりその趣旨は、政務次官、先ほどから再度お話し申し上げているように、税制は主でないと思うのですよ。そういう点を十分お考えいただけると思うのです。担当官庁のほうに接触を積極的に深めて、出すほうなんですから、言うまでは黙っておれというのではなくて、こういう不自然な、機械が二十年もつというものを——私はうそだと思うのですよ。いいことのようだがうそだと思うのです。めんどうを見ているようなものの、二十年もつものをおまえのほうは五年しかもたないことに見てやるというのは、これは一種のうそだと思うのです。首かしげているけれども、泉さんそうじゃないですか。私はうそだと思うのですよ。うそで何かめんどうを見ているという形はよくない。やはり堂々と取り組んでいくのがほんとうだと思う。もう一ぺん政務次官の御決意のほどを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/129
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130・倉成正
○倉成政府委員 公害問題が今日の重要な問題であるということは十分認識いたしております。したがいまして、これについて合理的な方向が示されれば、これに対して財政が協力していくのは当然の筋道だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/130
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131・中嶋英夫
○中嶋委員 よくいろいろな犯罪がありますね。不用意に罪を犯す場合があるし、意識的に罪を犯す場合があるし、あるいはあれぐらいはと思っても、厳密にいえば軽犯罪という場合もある。そういうものにもしひっかかった場合、人はこれを恥とします。軽犯罪法であってさえみずから恥とすると思う。実はこの間こんなことをやってねと言って漏らす人はないと思うのです。ところが、脱税というのは、これはやはり犯罪ですね。これはふしぎに隠さないですね。今度やられてね、たいへんだったよとか、ちょうど空襲下に盛んにあったことですが、焼かれた者と焼かれない者があるときに、やっと焼かれましたというようなもので、うちも焼けましたと言って、焼かれない者は何か肩身が狭いみたいな、焼かれてやっと一人前になったみたいなそういう調子で焼かれ方を一生懸命説明しておった。戦争中にあった悲劇の狂った一ページだと思うのですけれども、そういう現象があった。ところが、税金でやられた人は、これは隠すかというと、ふしぎに隠さぬですね。いやもうやられたというのを、これは中小企業同士でもやっていますよ。それは代議士さんなんかは選挙に影響するから黙って恥ずかしがって知らぬふりしているかもしれんけれども、中小企業の中には何か私もこういうひどい目にあったというような、誇らしげにとは言わないけれども、ほかのものとは違ってあまり恥じない風潮があると私は思うのです。そういう風潮があることについて税務当局、国税庁当局、お感じになっておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/131
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132・泉美之松
○泉政府委員 それは御承知だと思いますけれども、戦前は脱税をした場合に刑事訴追まで持っていくということでなくて、税金を納めればいいというようなことでまいっておったのであります。それが戦後になりまして、脱税犯ということで刑事訴追を行なっております。もちろん戦前におきましても、間接国税につきましては、これはいわば消費者に税金相当分を価格の中に込めて販売しておきながら、その税金分をごまかしているわけですから、いわば一種の横領に近いということで、間接税については間接国税犯則者処分法というのがございまして、これによって刑事訴追をいたしておったこともございますが、この場合におきましても、いわゆる私和と申しますか、通告処分で処理しておるものが多かったのでございます。それが戦後、先ほど申し上げましたように、間接税については従来どおりでございますが、直接税について犯罪として刑事訴追をするということで査察というものが生まれてまいった。それが生まれてからすでに約二十年になるのでございますが、まだそれだけの歴史しかございませんので、国民の間に脱税が犯罪であるということの認識がそれほど徹底しておらないというふうに私どもは思っておるのでございます。そういうことからいたしまして、いまお話しのような風潮があることは私どもも認めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/132
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133・中嶋英夫
○中嶋委員 いま泉さんは税制の沿革のほうからそういう風潮があることをお認めになった。これはまだ別な要因があると思うのです。それは運が悪かったということばを使いますね。怨嗟の声と同時に、大きな脱税などが氷山の一角のよりにあらわれてくると、あれらに比べればと言う、これはいい考えじゃないです。私はそれをいいとは思わぬけれども、そういう風潮、そういう要因もある。税に関する何か違法なことをした場合、もちろん軽犯罪法と同じで前科者になるわけではない。だがそういうことでない、何か他との比較においてあまり恥としないという風潮が生まれた、こういう一つの要因もあると思うのです。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/133
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134・泉美之松
○泉政府委員 お話しのような面も確かにあると思います。これも沿革的なことを申し上げて恐縮でございますけれども、御承知のとおり昭和二十二年に申告納税制度が取り入れられまして、それまでは賦課課税でございまして、税務署が賦課決定をして、それに基づいて納税すればよかったわけであります。申告納税になってから、自分でみずからの所得を申告し、みずから税額を計算して納税する、こういうふうになってまいったわけであります。ところが、納税者もそうでございますし、税務職員のほうもそうでございますが、従来賦課課税制度になれておりまして申告納税制度になれておりませんでしたために、その納税者のほうは、ちょうど申告納税制度を採用した当時は戦後のインフレ時期でございました関係もありまして、インフレの関係で過少申告をする、税務署のほうも申告納税制度になれておりませんから、過少申告に対して七割も八割も更正決定をやる、こういうようなことになってまいりまして、そのために更正決定を受ける者が七割も八割もあった。そういうようなときには、ほんとうにおたくはまじめにやっておられるのですかというようなことで軒並みに更正決定を受けるというような状況にあったので、そういう風潮がだんだんあったかと思います。しかし、最近におきましては、特に昭和二十五年の税制改正とそれに伴う税務行政のやり方を改正したわけでございます。それからだんだんこの更正決定割合というのが少なくなっております。たとえて申し上げますと、申告所得税では、昭和四十一年分の所得につきまして、更正決定割合は件数におきまして三・六%程度に減ってまいっております。そういう点からいたしますと、実は軒並みということではございませんので、もうその更正決定を受けたという人はごく限られた人になってまいっておると思うのであります。そういう点からいたしますと、どうもそういう風潮はだんだんなくなってきておるのではなかろうかというふうにも考えられるわけでございます。しかし、他の犯罪に比べると、どうも税金というものについては税務署にやられたということについてあまり犯罪の意識がなくやっておられる方が多いやに見受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/134
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135・中嶋英夫
○中嶋委員 いまお答えになった更正決定の割合の三・六%、これは全部ですか。法人だけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/135
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136・泉美之松
○泉政府委員 これは先ほど申し上げましたように、申告所得税だけでございます。法人税のほうは入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/136
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137・中嶋英夫
○中嶋委員 法人税の徴収決定税額を四十年、四十一年、事務年度でけっこうですが、それと、その場合における年度ごとの更正決定による増額されたもの、逆に減ったのもあるかもしれません。その増差税額、これに対してなお重加算税のかかったもの、その合計をもしおわかりでしたらお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/137
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138・泉美之松
○泉政府委員 お尋ねの法人税の徴収決定額につきまして、私どものほうでは法人税の事務処理は毎年七月一日から翌年の六月三十日までを事務年度ということで、そうしてそういう事務年度ごとに統計をとっておるのでございます。したがって、四十事務年度と申しますのは、四十年の七月一日から四十一年の六月三十日までの間に処理したものでございます。たとえば申告税額で申し上げますと、全体は八千六百十一億三千百万円、それに対する更正決定による増差税額は七百八十九億六千二百万円になっており、重加算税額は七十九億三千二百万円と相なっております。
これに対しまして、四十一事務年度におきましては、申告税額が一兆五百二十七億五千百万円、更正決定による増差税額が七百三十三億円、それから重加算税額が七十一億五千八百万円、こういうふうに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/138
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139・中嶋英夫
○中嶋委員 税務署所管の分というのは中小企業と見ていいと思います。それから調査課所管分というのは大企業と見ていい。これを対比してみると、とりあえず四十一年の場合に申告税額は大企業に比べると中小のほうは約二分の一ですね。更正決定による増差税額になってくると、逆に今度は中小企業のほうが大企業に比べて三倍、重加算税に至っては大企業に比べて十二倍という数字が出てくる。このことは何を意味しておるのか、私は私なりにこれを分析しておるのですけれども、当局のほうではどう分析されておるか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/139
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140・泉美之松
○泉政府委員 お話しのとおり、申告税額におきましては、調査課所管の法人、これは資本金五千万円以上の法人になっておるわけでございますが、その法人の申告税額に比べますと、税務署所管の法人は五対三ないしは半分といったような状態にあるのでありますが、更正決定による増差税額のほうからいたしますと、税務署所管法人のほうが多い。この原因につきましては、私どももいろいろ分析をいたしておるのでございますが、いろいろ調べておりますと、結局税務署所管法人のほうには、いわゆる中小企業で社長さんの意思によって経理がいろいろ動かされやすい法人が相当ある。したがって、税務署が調査に参りましてその調査をいたしますと、いろいろ脱税をやっておる場合が多い。ところが、大法人になりますと、御承知のように会計組織がありまして相互牽制が行なわれるようになっております。もちろん大法人の中におきましても、そういう相互牽制組織があるにもかかわらず、ある一部の特定の者が脱税の措置を講ずるということによって巧妙な脱税が行なわれておることはもちろんありますけれども、しかし概括的に申し上げますと、社長なり実力者の一存で経理が動かされるのと、そうでない、組織のきちんとできておる場合とでは、やはり経理の面にあらわれる脱税の額が違ってくるのではなかろうかというのが一つでございます。
それからもう一つは、私もよく職員に申しておるのでありますが、世間でいわれるのは、どうも調査課所管のほうは紳士的な調査をしておりまして、なかなか核心をついた調査ができにくい。ことに膨大な法人になりますと、調査すべき内容が非常にたくさんでございまして、そのために職員が調査に参りましても、調査日数の関係がありましてなかなか核心に触れた調査ができにくい。それで、若干の増差税額が出ると、調査の期限もあることですから、そのままに終わってしまうというような意味で調査の徹底を欠くうらみがあるのではないか。これは厳に戒めなければならないことでありまして、私はよくその点を注意を喚起しておるのであります。しかし、傾向としてはどうしても、大法人になればなるほど調査日数に制約を受けてなかなか調査が核心に触れていかない、こういう点もあると思います。
そのほか、そういった調査課法人に比べまして中小法人でございますと、内容がきわめて簡単でございますが、調査に行きまして、あまり日数がかからなくてその調査ができ、そして、まあ概してあまり知能的にやっておりませんのですぐしっぽがつかまるというようなことがある。そういった意味の対照的な違いがあると思います。
そのほかにもいろいろ原因については分析をいたさなければならぬと思っておりますが、大きく気がつく点は以上申し上げたようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/140
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141・中嶋英夫
○中嶋委員 泉さんの分析、大筋は私もそうだと思うのです。ただ問題なのは調査の難易ですね。確かに中小企業の場合は社長一人で切り回しておるからそういうことをやりやすいし、またつかまった場合にはしっぽを出しやすい。大きい企業の場合は巧妙である、同時に調査がむずかしいという面がある。特に私はこの際、あるいは数字がないのかもしらぬが、そうざらになかったと思うので御記憶があると思うのですが、資本金百億以上の企業で更正決定並びに重加算税までといったような事件が過去二年間幾つあったか、こういう点を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/141
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142・泉美之松
○泉政府委員 あいにく手元にその資本金別のあれを持っておりませんので、いずれ調査いたしまして御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/142
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143・中嶋英夫
○中嶋委員 それはあとでいただきますが、ただ、資本金百億以上というと、資料がなくとも、そんなでかいのがあったかしらと思い出されてみて、大体なさそうだという感じですか、その辺いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/143
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144・泉美之松
○泉政府委員 手元にある資料では、五十億以上の資料はございますが、五十億以上の資料で、四十一事務年度におきまして重加算税を課しましたものが十二件ございます。したがって百億以上のものも、調べてみないと何とも申し上げられませんが、件数はあることは確かでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/144
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145・中嶋英夫
○中嶋委員 先ほど申し上げたように、恥としない風潮がこの辺にもあると私は思うのです。自分のところにはもう毎日やってきて——もっとも受けるほうの人は少ない、来るほうの人数は多いという形ですね。ところが一方大企業の場合は、行ってみるとたくさんの人が働いておって関係者が多い。そこへこっちから行く者は、ずいぶん動員したなといったところでどこにいるかわからぬような状態で調べる。この辺に問題があると思うのです。そこで、たとえば大企業を調査する場合と中小を調べる場合におのずから日数の限界がありますが、これははたして同じ日数でいいのかどうか、こういう点に疑問を持ち、これについて何か国会のほうへこの際見解を発表しておきたいようなものはありませんか、それともいまのままでいいというようなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/145
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146・泉美之松
○泉政府委員 これはもちろん大法人と中小法人とでは調査日数を違えております。現在は、御承知かと思いますが、大体資本金七十億以上は特別調査官の所管にいたしております。調査課のうちの特別調査官が調査することにいたしております。その場合には大体二事業年度を一度に調査をするわけでございますが、このときには大体、これもまた資本金七十億といいましても、非常に大きなものとそうでないものとございますのでその中で多少違いますけれども、日数にいたしまして約二百五十日ぐらいかけて調査をいたすことにしておりますが、もちろんある二事業年度くらい調査いたしますとその次の事業年度におきましては百五十日くらい、こういうように減らしますけれども、しかしそれにいたしましても、一般の調査日数に比べますと相当多くの調査日数をさいておるわけでございます。それから、だんだんと資本金が小さくなるに従って調査日数も減るわけでございますが、たとえば調査課所管の法人で申し上げますと四十五日ぐらいが平均になっております。いまの特別調査官のあれを除いた分が四十五日でございます。それから、税務署所管の法人でございますと実地調査が四日程度になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/146
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147・中嶋英夫
○中嶋委員 私が言いたいのは、たとえば五千万と五十億の場合は相当違いますか。どのくらい違っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/147
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148・泉美之松
○泉政府委員 五千万以上一億未満のところでは実地調査の一件当たり調査日数の平均は二七・七日になっております。それから税務署所管の法人でも、平均はいま申し上げました四日ほどになっておりますけれども、調査課所管の法人に近いほうはやはり二十日とかいうような数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/148
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149・只松祐治
○只松委員 また私のときにもお尋ねをいたしますが、いま資本金別の調査日数や何かお話しになっているわけですが、これは証券局のほうでも関連会社の決算表というものをいまつくるようにいろいろ準備し、努力していますね。私は、税制面から見ても、あるいはそういう税の徴収、課税面から見ても、そういうことをよほど重視する、いままではほとんどそういう観念はなかった、こう思うのです。たとえば日通なら日通がいて、日通の富士見ランドとかなんかあって摘発された場合に初めて関連調査をされる、こういうことがあるわけですが、税の調査としてはそういうことはほとんどなかったんじゃないかと思うのです。私のときにはそういう形でずっと質問をしたいと思いますけれども、一つだけとってみて、その一つの会社の調査日数というのと、それの子会社やら関連会社、そういうところは全然ばらばらになっているわけですね。これでは私は完全な課税の捕捉もできないし、また、ABCDという子会社や何かの関係にあるものを、ここは二十八日、ここは十日、こうするよりも、全体を含めて五十日なら五十日でやれば非常に効果もあがるし、あるいは五十日が四十何日でできる、こういうことになると思うのですね。だから、そういう面の調査というようなものはほとんどされておりませんけれども、そういうことをなされたことがあるかどうか、それから今後そういうことをする意思があるかどうか、調査日数と関連してお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/149
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150・泉美之松
○泉政府委員 お話しのように、最近は親会社の下にいろいろな関連企業が非常にふえてまいっております。したがって、税務の調査にあたりましても、親会社だけ調べたのではなかなかその真相が把握できない、子会社のほうまでも調べなければならぬというケースが非常にふえております。私どものほうもそういう意味で、親会社を調査するときに子会社のほうも一緒に調査するようにということを指示いたしております。ただ多くの場合、親会社は調査課所管である、子会社は税務署所管である、その税務署所管も各国税局に分かれておる、こういったことがありまして、一斉に親会社と子会社を調査するということが、事業年度が違ったり何かいたしましてなかなかむずかしいのでございます。しかし、お話しのように真相を把握いたしますためには、親会社を中心にそういった子会社をずっと洗っていくのでないとなかなか真相が把握できません。最近、特に資料調査課に特別管理班を一昨年の夏につくりまして以来、そういったものにつきましては資料調査課で音頭をとって、国税局と連絡をとりながらどこはどこの国税局、どこはどこの税務署の職員、こういうことで一斉に調査をする、こういうような態勢を整えてきております。その後、したがってそういう意味で、親会社と関連子会社を一緒に調査することをやっている件数は、若干ではありますが出てまいっております。しかし、まだまだそういった点ではお話しのとおり不十分でございます。今後そういった点につきまして、一そう徹底をはからなければならない、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/150
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151・只松祐治
○只松委員 それは業種によっていろいろ異なりますけれども、たとえば土建会社なら土建会社は、親会社だけが完全に設計から施工まで行なっている、こういうところはむしろほとんどないといっていい。やっているほうが例外なくらいです。大体関連会社なり子会社なりあるいは下請会社、こういうものに全部やらせますね。そうするとAという大手の会社を幾ら調べてみたって、ほとんど下請会社や子会社にやらしているので、それのほんとうの実態が出てくる道理が私はないと思う。帳面づらしか……。それを調べるためには、やはりこういった大きいところは、ほんとうにAという会社を調べるためには、BなりCなり関連会社なり子会社というものを全部一緒に調べていかないと、その収支というものは出ないはずですよ。それが出るというのは調べてないから出るということが言えるので、ほんとうに調べれば、リベートの問題や何かもぼくは聞きますけれども、リベートや何かというのは全部子会社に含ましてやっている。そういうところを親会社だけ調べても出るはずがありませんよ。そのことは皆さん方が大会社を完全に調べておらないということに連なってくる。ところが、中小商店の一社だけあるいは一店だけのものはそこだけずっと調べる、あるいは仕入れだけざっと押えればすぐわかってくる。大会社というものはそういうものはわからないわけですから、だからいま中嶋君が尋ねておる問題については、もっと皆さん方は真剣に考える。いま幾らか例がありますということでなくて、いまから徴税の方針として、ちょうど証券局が関連会社の決算表を出させる、こういうことに指向しておるように、税の調査というものはそういう方向に向いていかなければ、大会社の調査というものは行なえないのではないか、私はこういうふうに思っております。ぜひひとつそういうふうにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/151
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152・泉美之松
○泉政府委員 お話しのとおりだと思います。先ほど申し上げましたように、私ども方針としてはそれを打ち出しておるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、親会社が調査課所管法人である、子会社が税務署所管、しかも税務署が各地に散らばっておるというようなことで、なかなか方針として打ち出しておいても実効があがっておらないように思います。資料調査課を中心といたしまして、その実効をあげるように今後万全の努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/152
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153・中嶋英夫
○中嶋委員 最近日通の問題が非常に議論になっておりますが、これは新聞の報道によると、昨年十月に東京国税局が大和造林を捜査をしていますね、この記事に間違いないかどうか。そして同時に、日通本社そのものに国税当局が手を入れ始めたのはいつからか、これも伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/153
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154・泉美之松
○泉政府委員 お話しのとおり、大和造林につきましては昨年の十月に査察立件をいたしたのであります。その査察立件をいたしました際、やはり日本通運との関係がございますので、日本通運のほうも捜査をいたしまして証拠書類を押収いたしまして、それに基づいてその後も調査をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/154
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155・中嶋英夫
○中嶋委員 それは同時ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/155
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156・泉美之松
○泉政府委員 さようでございます。同時にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/156
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157・中嶋英夫
○中嶋委員 そのときに日通本社、大和造林以外の系列会社で査察立件をいたしたのがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/157
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158・泉美之松
○泉政府委員 先ほど申し上げました大和造林と日通本社前管財課長田村倫之輔だけでございまして、それ以外の法人につきましては査察立件はいたしておりません。ただ辰美産業につきましては、先ほど他の委員にお答えいたしましたが、昨年特別調査をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/158
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159・中嶋英夫
○中嶋委員 まあ日通のそれは捜査途中ですけれども、非常に幅広く奥深いものですが、おそらく大和造林を査察立件するときには、日通がその系列会社をたくさん持ち、特に伊豆富士見ランドに関するものとして、この富士見ランドの建設に関係のある一斉の会社がすべて日通本社と同じひもで結ばれておるという、こういう関係にあったと思うのです。その関係を全部一緒に立件したわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/159
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160・泉美之松
○泉政府委員 大和造林を立件する前におきましては、大和造林から田村倫之輔に対しまして三億近いリベートが支出されておる、そういうことのある程度の確証を得まして査察立件をいたしたのであります。そこでその田村倫之輔が日通の管財課長でありますので、それの関係の書類を押収するという措置をとったわけであります。その当時におきまして、三億という巨額な金でございますので、個人がどういうふうに受け取り、どういうふうに処理したかというにしてはちょっと大きい金額ではないかという予測はいたしておりましたけれども、具体的にどういうふうな処理になっておるかということはまだわかっていなかったわけであります。その後金の延べ棒であるとか、社債であるとか、こういうのが少しずつわかりかけてまいっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/160
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161・中嶋英夫
○中嶋委員 先ほど冒頭にいただいた資料によれば、四十年の法人税の重加算税額が一年間全部合わして五億五千六百万ですね。四十一年で七億一千六百万。日通の一件だけでも、リベートその他不明朗なものが三億といわれ、最近では五億といわれておる。こうなると、いままで五千万以上の会社の関係で一年間であげた重加算税というのは五億、七億。もちろん税額ではないけれども、一件でこれだけのものがすでに予測をされているというこういう件等を考えると、この五千万以上の会社、大法人に対する調査というものはむずかしいから云々だけではない、何か相当手抜かり、手抜きがあるんじゃないだろうかと、こう思わざるを得ないわけです。こういう状態をかりに、じゃ泉さんおっしゃるようにむずかしいということならば、どうすればこれは解決するのか。むずかしくないのか。ここにメスを入れない間は、私は中小の諸君がかりに自分が脱税しておっても、なおこれを恥じて反省するという方向ではない。何か運が悪いとか恨みがましいということで終わって、納税意欲というものが一向高まらない、そういう風潮というものが長引いていくんじゃないか。
特に、私はある税務署長から書簡をもらったんです。それは、国民が税務署あるいは税務署の署員に対して実に悪感情を持っているのは情けないという非常に切実な訴えの手紙なんです。これは私は恨んでいるほうも切実ならば、恨まれているほうも実際切実だと思うんですね。りっぱな公務員で、おとうさんは税務署かと言われた瞬間に、何か子供までが気がねをしなければならぬということがあるとするならば、これはたいへんだと思うのです。そういう状態におくことが徴税態度などにも大きく影響してくるのです。よくあることです。その相手方が税金を納めない、申告しない、けしからぬということで不愉快だと思っておる署員が当たるのは、私は人情としてあたりまえだと思うのだが、どうも感情的になり過ぎている場合に、感情的になったりしないか、こう言うと、どんな場合でも一切感情的になってませんと答える。これは国税局でもそうです。どうもこういう事件を聞いたんだけれども、ちょっと感情的になったんじゃなかろうかと、こう言うと、いつの場合でも絶対感情的じゃない。——絶対感情的じゃないという声がもうすでにうそだと思うのです。感情的だっていいと思うのです。だが、その感情的だと気がついたときは、これは冷静に返らなければならぬという反省をしてもとへ返ればいいのであって、てまえどものほうはだれ一人感情的になりませんと言うことは、私はうそだと思う。なぜそういう精神的に見てもみずからを束縛する壁があるかということは、私はいま申し上げたようなことが大きな原因だと思うんですね。いわゆる大企業に弱いということ。日本の昔から、ある意味じゃ浪花節的であるかしれぬけれども、強い者に弱くて弱い者に強いんじゃなかろうかというのが、国民に何か批判なされる対象になる。されておるから、今度は本来そうじゃないのに、何かおかっぴき根性みたいなものを持ってみたり、何か小さな世界には権力を大きく働かそうとする、何か優越感みたいなものを感ずるという邪道に走りやすいということが生まれると思うのです。私は、やはり一つは、何も大企業全部悪いことをしているとは言いませんよ。ちょっと大資本に対して、やったなというホームランみたいなものを二、三本やはり打って、それから中小以下国民に対して協力を、求めていくということが、今後五十年、百年先を見越した納税の、国民の義務である貴重な納税意識というものが正しい形で生まれてくる、こう思うのです。それがひいては税務当局の下級で非常に苦しんでおる、苦労しておる職員諸君の姿勢にも影響してくる、こう考えるのですが、この点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/161
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162・泉美之松
○泉政府委員 お話まことにごもっともでございます。御注意いただきましてたいへんありがたく思っております。私どもといたしましても同じような考えを持っております。私、長官になりましてから、四十一年になりまして、従来どうも税務署所管の法人に比べて調査課所管の法人が、いわゆる期間損益を中心に調査をいたしておりまして、不正発見がどうも十分でない。したがって、期間損益というのはある期において否認をしましても翌期には経費として認容するということになり、ある期の収入でなくても翌期の収入になるということになりますので、その数年を通じてみますと、課税所得に変わりはない。ただ、ある期の所得になるか次の期の所得になるかだけの相違なのでありますから、そういうところに重点を置いた調査を行なうよりも、むしろ不正発見に重点を置いて調査をするという方針を打ち出しまして、その結果、まだ十分ではございませんけれども、たとえば不正発見率なども、昭和四十事務年度におきましては、調査課所管におきまして九・八%でございましたが、その方針を打ち出しました四十一事務年度では二〇・四%というふうに倍にふえまして、さらに四十二事務年度の上半期におきましては、三〇%というふうに、だんだん不正発見割合がふえてまいっておるような状況でございます。御趣旨のようなところについてつとめておるつもりでございますけれども、まだまだその点が十分ではございません。お話しのような方向で今後一そう努力してまいりたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/162
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163・中嶋英夫
○中嶋委員 考え方は伺いましたけれども、やはり考え方を聞いただけではなかなかホームランというのは打てないと思いますね。やはり調査能力、体制ですね。そういうものが通ってなければだめだと思うのですね。やってみたけれども、とてもじゃない、相手がマンモスで、しがみついてみたけれども核心に触れ得なかったというようなことであってはならないと思うのです。そういう体制を、相当の人が集まる場合があっても、捕捉すれば、中小をいじめて百万、二百万というのと違うのです、大きいのです。現に、先ほど御発表になった数字からいっても、申告税額が倍である。大法人のほうが重加算税が逆に十二分の一ということは、二十四の率で、もちろん脱税してないといえばそれまでのことですけれども、何かこの数字では納得はできないのです。何かそういう形ではなかろうというものが残ってしまう、こういうことは消えないと思うのですね。ですから、考え方のほかに、これに対応できる研修、そういうものが私は必要じゃないかと思う。特に自分でわかる範囲内のものでは、自分のホームグラウンドだということで一生懸命楽しそうにやっているが、わからぬところは手を出さないというようなことであってはならないと思うのです。それにはやはり、そこへ飛び込んでいけるのだというだけの自信が与えられなければならぬと思うのです。そういう点の職員の研修その他については万遺漏なき御指導をなすっているのかどうか、その辺のところを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/163
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164・泉美之松
○泉政府委員 お話しのとおり、ただ方針だけではだめでございまして、職員にそういうことの訓練をしなければなりません。そこで私どものほうといたしましても、税務大学におきまして理論的な勉強をさせると同時に、各国税局ごとにそういう調査担当者を集めまして、実務指導を行なう。それによっていかにマンモス法人であっても調査を十分にやるというような努力をいたしておりまして、今後その成果がだんだん出てくるものだと思っております。
なお、先ほどもお話がございました、税務職員が調査に行った場合、とかく感情的にならないようには十分注意いたしておりますが、御承知のとおり税務職員も人間でありますから、やはり人間は感情の動物で、全然感情をあらわにあらわさないということはあり得ないと私は思います。したがって、感情的になり得ることがあるのでありますが、そのときに早く反省して、こういうことをしてはいけない、そういうことを言ってはいけない、こういう自制心を養うようなことが必要だ。そうしないと、売りことばに買いことばということになりまして、納税者との関係がまずくなります。この点について、感情の動物でありますから、感情的になることはなかなか避け得られませんけれども、早く自制心を発揮して戻る、こういうことを教育していきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/164
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165・中嶋英夫
○中嶋委員 せっかくの御答弁ですから申し上げますけれども、いまのことが私はほんとうだと思うのです。感情的にならぬというのはうそなんで、なるのです。なった場合に、それを早く冷静に返すという、そういう教育をしていただきたいと思うのです。ところが、国税局のほうがむしろ感情的になっているだろうと言うと、もう一ぺんだってそうですかということを聞いたことがない。必ず、絶対そんなことないはずです、感情的になっているはずはありません、こう言うのだ。もちろん、それは本人じゃない人ですよ。おそらく本人の知らない人だ、ずっと先のほうだから。そういうのが私はむしろ感情的だと思うのですよね。そういうことでなく、その点はいま言ったように御指導願いたいと思う。
先ほどの数字の中でもう一つ問題として触れたいのは、更正決定が、四十一年の場合ですけれども、大法人と中小では中小のほうが三倍、重加算税を課せられたものが十二倍ということになっています。結局これは四倍ということになりますね。要するに重加算税になる率が中小のほうが大法人に比べて四倍ということになるでしょう。そうすると先ほど言ったように、まあ調査保のほうはジェントルマンが多いから感情的にもならないし、相手を紳士として遇しているというようなことから、中小の場合ならば重加算税までというのが、大法人に対してはいろいろな解釈その他で、これはまあ重加算税にはしないというようなことがあり得るということを何か推測されやすい数字だと思うのですね。ですから、この申告税額との対比では一番初めの泉さんのお答えで私は納得します。しかし、更正決定された額と、その上に重加算税を加えられた比率の大法人と中小との大きなギャップというもの、これはどう理解したらいいものか、これをちょっと伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/165
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166・泉美之松
○泉政府委員 この数字は一見してお話のように受け取れるような面もございます。ただ一件別に当たってみますと、たとえば更正決定による増差所得金額実調一件当たりで申しますと、調査課所管の法人は実調一件当たり千百九十一万三千円の更正決定による増差所得が出ておるわけです。これに対しまして税務署所管の法人は一件当たり八十四万四千円になっております。この点からいたしますと、調査課所管法人の増差税額はトータルでは少ないようでありますけれども、一件当たりにしますと千百万と八十四万というかなりの大きな差になっているわけです。結局税務署所管の法人が八十万をこえております。それに対しまして調査課所管の法人は約一万、そこに基礎的に法人数が非常に違うという点が出てきておると思うのであります。
それからついでに申し上げますと、重加算税の適用をしました一件当たり重加算税額も、調査課所管の法人の場合には八十五万六千円、それに対して税務署所管の法人は一件当たり十六万円の重加算税額となっております。この点からいたしましても、調査課所管の法人について重加算税を適用する場合には相当の重加算税を適用しておる。ただ、重加算税を適用する事例が調査件数の中に占める割合が少ない。そこで、先ほど申し上げましたように、四十一年から不正発見重点主義ということを打ち出しまして、最近は調査課所管の法人の場合にも不正発見割合が三〇%にものぼってきておる、こういうような状況でありまして、まだまだ税務署所管法人に比べますとわりあい低いのでありますが、しかし、そのギャップはだいぶ詰まってきております。四十二事務年度の統計が出てまいりますと、そういった点はかなり改善されるのではなかろうか、こう思っております。しかし、まだまだそういった点は今後努力しなければならぬ点であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/166
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167・中嶋英夫
○中嶋委員 最後に、いまお話しになった考え方、泉さんはこれから注意する、注意すると言うからあまりあと追及できないのだけれども、しかし、やはり強いものに弱い、弱いものに強いという考え方は、調査なり査察なりした最後の締めくくりのところだと思うのです。最後の締めくくりのところが甘いか辛いかだと思うのですね。それが大企業、大法人の場合は甘くて中小の場合辛いという見方、あるいはその締めくくりのしかたが非常に冷酷だということが案外怨嗟の的になっている。それは納税をする場合には、もし申告が足りなければ、不用意にしても証拠があれば自分で納得してやはり少なかったなと思うだろうし、意識的にやったのならばわかったなとこれはわかるわけです。これはもうここで反発しても普通の人間ならできぬわけですよ。最後の締めくくりのところが私は問題だと思うのです。あるいは応対中一種の精神的拷問みたいなこと、威嚇、どうかっというような、こういうようなものだと思うのです。そういう点、中小関係のほうでいたずらな恨みを買うようなことのないように十分の配慮をしてもらいたいと思います。
時間になったようでありますから、これで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/167
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168・田村元
○田村委員長 阿部助哉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/168
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169・阿部助哉
○阿部(助)委員 四十二年度の予算を可決するときに附帯決議がございましたね。それの第一項には「所得税の課税最低限の引上げについては標準五人世帯百万円を目標として、可及的速やかにその実現に努めること。」こういうふうに決議がなされているわけであります。ところが、この前佐藤総理がこの委員会においでになりまして、これはいつ実現をするのか、こういう質問に対して、総理はたしか四十五年度に実施をするのが公約ですと、こう答弁をされたと私記憶をしておるのですが、四十五年ということになったときには、その百万円というのは名目所得で百万円をさしておられるのか、あるいは四十二年の百万円、その実質でお考えになっておるのか、まずその点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/169
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170・倉成正
○倉成政府委員 お答えいたします。
四十五年度における百万円は、大蔵大臣が先般お答えいたしましたように、そのときの百万円というふうに心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/170
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171・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまのように物価が上がります場合には、やはり物価の調整減税というのと実際の実質的な減税とはやはり内容が違うと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/171
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172・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 先ほど佐藤先生の御質問にお答え申し上げましたが、減税にいたしましても増税にいたしましても、税制上は名目の所得で行なわれます。したがいまして、実質換算の所得で考えた場合には、その減税額はやや違ってくるということは、これはあり得ることだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/172
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173・阿部助哉
○阿部(助)委員 この決議の背景には、四十二年の一月の総選挙における各党の公約というものがあったわけです。そして四十二年の時点において少なくとも国民は百万円までは減税してもらいたいという切実な希望があった、こう私は思います。そしてまた、国民の立場から見れば、日本の国の経済の成長、あるいは大企業の資本蓄積であるとか、あるいはまた科学技術の進歩、こういうようなものからいろいろと日本の経済の現実を見てまいれば、課税最低限の百万円というのは当然の要求だと、こう言わなければならないと思うし、このときのその決議案はやはり四十五年ということではなしに、やはり時間、「速やかに」というところに私は大きな意義があると思うのです。特にいまのように物価が次々と上がっていく時点で時間を延ばす、年限を延ばしていけば、結局何も減税してもらえないということになるのではないか、こう私は思いますが、そういう点で、すみやかにということを考えていかないと、実際この四十二年の予算案可決のときにおける附帯決議というのは空文になるのではないか、決議を尊重しないということになるのではないか、私はこう思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/173
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174・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 おっしゃる意味は、百万円というのはそのときで考えたのじゃないか、こういうお話だと思いますが、これは私の考えかもしれませんが、百万円という一つのメルクマールが出てくるというのは、やはりある程度の所得上昇とともに物価上昇もある。したがって、百万円程度の課税最低限までは調整的な意味もあって早くいってもらいたいという趣旨だと思います。たとえばこの間も総理から申されましたが、国際的に比較をいたしましても、イギリスは七十七万ということですでに日本より低くなっておりますし、西ドイツも八十八万ということで、今回のわが国の改正でほぼ近いつきかけておりますし、そういう点から申しますと、百万円というのが一つの何というか国民の希望である、こういうことで、それをできるだけ早く実現したい、こういうふうに私ども受け取っておるわけで、それが四十五年になるかどうかというのは、これはその後のいろいろな事情で政府側として四十五年と言っておるものでありまして、この四十五年はできるだけ確実に実現したい、かように思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/174
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175・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまの局長のお話でいきますと、何か国会の決議というものを無視しておるとうふうに私には考えられるのであります。百万円が目安だなんと言うけれども、これは物価がいまのようにだんだん上がっていくならば、百万円を百二十万にしてもらいたいという要求が出てくるでしょうし、それはまた当然のことだと私は思うのです。
それならばひとつ聞きますが、四十二年にあの決議がなされた。四十二年度には物価がいまのところ大体四・五%の中でとまるだろう、こう言っておるが、かりに四・五%としても、四十三年度は四・八%の上昇を見込んでおられるようであります。これまたあとでこの問題はお伺いしますが、四・八%ではおさまらないだろうと思いますけれども、四・八%という数字をとってみる。次に四十四年度もそれをとっていったら、四十五年度の百万円というのは四十二年の百万円の時点からいって実質はどれくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/175
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176・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 四十三年度から四十五年度まで大体四・八%ずつ上がると仮定をいたして計算いたしますと、八十六万九千円くらいということになると思います。それからこれは少し上がり過ぎだというので、社会経済発展計画でございますと、四十六年の物価上昇率は三%ということになっておりますが、毎年それに近づいていくということで、かりに四十三年度は四・八%、これはきまっておりますが、四十四年度を四・二、四十五年度は三・六というふうに考えますと、大体八十八万四千円ぐらいであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/176
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177・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまおっしゃったように、物価の問題はあとでお伺いしますけれども、政府の見通しは往々にしてはずれるわけでありますし、いまのところ四・八%それ自体も私は非常に多くの疑問を持っておる。それでいくと、四十五年度にかりに減税したとしても、それは実質八十六万九千円という数字になってくるわけです。そうすると、何か国民は四十五年度には百万円に課税最低限が引き上げられる、こう見ておっても、物価で実際は引き下げられる。さらに諸物価が上がることによって、実際の生活費はかさんでくる。先ほど佐藤さんの質問にありましたように、たばこも上がってくる、酒も上がってくる、こういうことになってくると、これは減税なんというものではなしに、実際は国民にとってみればより苦しくなる、こういうことになりはせぬですか。その点は認めませんか。
〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/177
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178・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは、私は苦しくなるということではないと思うのでございまして、たとえば物価が常に上がりますから、名目の課税最低限を上げていくということだと思うのでございます。たとえば今後四十五年までにかりに巨万円にするとすれば、来年、再来年、均等額、でいくと十万円ずつ上げればいいということになりますが、この三年間ずっと十万円ずつ引き上げていくと、先ほども言いましたように、三十九年から四十三年までの物価上昇率が大体一二二%、それに対して課税最低限の引き上げの率が独身者で一七六%、夫婦子三人では一七二%くらいになっております。そういたしますと、この十万円ずつ引き上げるということをやっていけば、物価上昇をはるかに上回る課税最低限の引き上げが行なわれるわけでございますから、おっしゃるとおり実質百万円ではいけないけれども、国民としてはやはりそれだけの減税を受ける、また実質的にも減税があるという計算になると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/178
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179・阿部助哉
○阿部(助)委員 世の中が進んでくれば、国民の生活が上向くのは当然なんで、それでいまの日本の経済から見て、いろいろな点から見て、四十二年度に百万円まで早く課税最低限をきめろ、こういう趣旨であるのに、それを四十五年までにやるということは、すみやかというこのことばからいくとこれは長過ぎるし、それではやはり国民が期待しておる百万円ということとはどうも合わなくなると私は思うのです。楽にならぬという抽象論でいけばいろいろな考え方があるでしょうけれども、実際の可処分所得というものは少なくなりはせぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/179
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180・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この問題は、物価が上がるということの前提として所得が上がっているという事実があると思います。したがいまして、所得が上がり物価も上がる、また税金も上がる、その場合の税金の上がり方がやや、実質所得に対してみると実効税率が上がり過ぎる、それをもし直すとすれば、いわゆる物価調整減税の範囲は必ずやらなければいかぬということになるかと思いますが、いま申し上げたように十万円ずつこの二年間もしかりに上げたといたしますと、その物価調整減税の分はすっかり手当てされるということになりますので、可処分所得は、所得が伸びているだけにおそらくふえるということになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/180
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181・阿部助哉
○阿部(助)委員 物価が上がってくる、これはまた何かの機会にあれしますが、皆さんがこれを決定したときに、私いま新聞のあれを持ってきておりませんが、新聞等でもいろいろと計算をしておりますね。かりに四人世帯で百万円だったものが百十万円になったときにはどうだなんという計算をいろいろな新聞がやっておる。それでたばこを一日一つだけ吸っていくと、これははるかに取られる分が多くなるという計算が成り立つようであります。皆さんもその点はお認めになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/181
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182・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは階級のとおり方、それからたばこの吸い方によって非常に違いますので、十本吸う人もあり二十本吸う人もあるものでございますから、これは非常に個性がございまして一律には言えないと思いますけれども、平均的なたばこの吸い方と申しますか、いまの家計消費に出ている程度のたばこの吸い方でございますと、所得税納税者の場合は、大体百万円程度の人であれば所得税減税額のほうが大きいということは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/182
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183・阿部助哉
○阿部(助)委員 これはあとで統計局の方も来ておられるでしょうからお伺いしますが、大体家計調査の中に出ておるたばこのあれは、皆さんのほうの説明から見ても大体二五%、四分の一だが、家計調査の中には載っていないでしょう。そんなもので適当に数字をごまかされてもちょっと困るのですね。ごまかすということばは悪いですけれども、やはり国民は一年一年生活が向上していくというのは当然のことなんで、それがむしろ苦しくなるようなやり方で減税しましたと言われても、国民はどうしても納得しないと私は思います。皆さんそれをがんばるので、私はこれは承知はしませんが、次に移ります。
政府が今年約十万円最低限を引き上げた、これにはいろいろな理由があると思いますが、一番積極的な理由というのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/183
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184・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御承知のとおり、日本の所得税はまだかなり負担が重いといわれております。同時に、日本では所得が非常に早く伸びるということがございますので、その結果、たとえば所得税のいわゆる弾性値、所得の伸びに対する所得税のふえ方というのは二・二というような状況にございます。そういう意味では、やはり当分の間はこの所得上昇に対応して負担の軽減をはかっていかないと非常に所得税が重くなり過ぎる、こういう点があったことは明らかでございます。そういう点で、今年は非常に財政が苦しい中でもこれだけはぜひやりたい。その場合のめどとしては、御承知と思いますが、昭和四十一年暮れに、税制調査会で長期税制のあり方についての中間答申というのを出しておりまして、その中で当面の目標として課税最低限を八十三万円程度まで引き上げる、それから税率を課税所得三百万円あたりのところまで緩和するというような意思を表示しております。そこで、財政が限られたときであるけれども、少なくとも中小所得者には一番影響のある課税最最低限だけはこの目標まで持っていくのがいいのじゃないか。かたがた先ほどもお話がございましたように、四十五年までには百万円の課税最低限を実現させたいということも考えますと、去年に引き続いて十万円くらいはどうしても上げなければなるまいということで、基礎控除のバランスを見ながらやった結果が、給与所得の夫婦子三人の世帯では十万円というところに落ちついたというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/184
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185・阿部助哉
○阿部(助)委員 いろいろおっしゃって、いろんな理由があってこうなった、こういうことでありましょうが、その中で私が一番お伺いしたいのは、財政上の理由だとか自然増が多いからこれを上げるとか下げるとかいうことが重点なのか、それとも生計費の関係からこれを底上げすべきだということが重点なのかということをお伺いしたかったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/185
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186・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは生計費が向上するというのは当然だと思いますけれども、生計費自身が伸びるのには、所得の伸びに対応した生活水準の向上ということも含まれているわけでございます。従来、御承知のとおり主税局では基準生計費というものをつくってやっておりました。これをつくって、例の大蔵省メニューなどとだいぶからかわれたものがございますが、あれでエンゲル係数で逆算した生計費を出しておりました。そして公表したのが三十九年でございます。その三十九年から現在まで、先ほど申し上げましたが、実は消費支出は二二%しか上がっておりませんが、課税最低限のほうは平均で各世帯七割以上上がっております。そういう意味から申しますと、生計費と対照して課税最低限を考える段階はもう過ぎたと思います。むしろ所得上昇、物価水準の上昇というものを考えながら、できるだけ所得税の負担を適正化するという観点から考えたほうが筋ではないかという意味で、先ほど申し上げましたように、一つは税制調査会の考え方の最終期限が四十三年と考えておりますので、四十三年の八十三万円をとっていく。もう一つのは、やはり政府としても公約がございますので、百万円の公約の実現を果たす基礎として、十万円程度ことしは上げておく必要があるのじゃないかという考え、これが主たる判断であったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/186
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187・阿部助哉
○阿部(助)委員 生計費の問題を取り上げる段階は過ぎたとおっしゃるけれども、私はこの生計費というものを、何か食べるだけでぎりぎりということが生計費だとは思わぬのです。やはり文化的な生活にだんだん向上していくという生計費が当然考えらるべきであって、ぎりぎり食べるものを食べて生き延びるというだけが生計費だとは思わぬのです。そこでいまお伺いしたのは、きょうの毎日では、社会経済発展計画も改定するような新聞記事が出ておりますし、また、いろいろと財界方面からの所得政策云々というようなものも伝えられておる。そういう中ですから、なおさら、財政上のいろんな観点から何ほかの考慮はあるだろうけれども、基本的にはやはり一番勤労者の生活を向上していくという観点での生計費というものをお考えにならないと、何か戦争直後の生きていきさえすればいいという観点で大蔵省がお考えになるとすれば、それは少しおかしいのではないか、古過ぎるのではないか、こういう感じを持つわけですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/187
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188・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 当時の主税局の生計費の計算も同じような考え方であったと思います。これば山下先生がおつくりになったわけでございますが、標準的な食費をとりまして、その大体標準的な家計のエンゲル係数を使いまして逆算しておりますから、非常に文化的な生活もできるという前提ではあったわけです。食費をエンゲル係数で割り返して出しているわけでございます。しかし、それもいまの段階ではそれよりもはるかに上になってきたということで、おっしゃるように非常に理想的な生計費というものに近づけるかどうかというのは、これは将来の問題だと思いますけれども、いまの段階では、かつての大蔵省メニュー的なものから割り出した生計費よりは、課税最低限ははるかに上回っているという認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/188
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189・阿部助哉
○阿部(助)委員 それならそれなりの、現在はこうなっておるんだ、一般の理論生計費というか、そういうものは皆さんはそう思っておるけれども、われわれから見てまだ非常に最低限が低過ぎる。これでは生活費に食い込んでおるのではないかという感じを強く持つわけです。ところが、それをいま材料なしに感じだけで言い合ってみたところで、これは水かけ論なんで、やはり課税をせられる皆さんのほうとしては、当然それぐらいのものは出して、これだけの生活なんだからこれだけ税金を取るんだということがなければ、私はおかしいと思うのです。評判が悪かったからやめましたでは、これは済まされないんじゃないか。いま評判がいいものが出せるならば、評判のいいのをやっぱりお出しになればいいんじゃないですかね。これは私は出すべきだと思うのです。どうも出さない理由は、からかわれたとか評判が悪かったとか、こういうことらしいのですが、そういうことではこれはほんとうに税金を取る立場ではないんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/189
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190・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは内容的に問題があるということではなくて、こういう計算方式自体をもう少し内容を検討し直す必要があると私は思っておるのでございます。つまりあの場合、むしろ成年男子が二千五百カロリーをとれるという前提で、最も合理的な食事、つまり最低でつくった食事でまかなえるということ、これが少なくとも確保されるという気持ちで課税最低限を上げようとした当時の主税局の努力であったわけでございます。その後、課税最低限があれだけ上がってまいりました。ああいう計算でははるかにこっちのほうが上回っておりますが、それをどういうところに持っていくか、これは課税最低限の考え方として新しく考え直す必要があると思います。その辺をまた税制調査会にもはかってみる必要があるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/190
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191・阿部助哉
○阿部(助)委員 まあ税制調査会におはかりになるのもいいですが、大体税制調査会、私はたいへんひがみかもわからぬが、あんまり感心しない。皆さんが隠れみのぐらいにしか感じられないので、どうもその点では、おはかりになるのはかまいませんが、問題は課税をする側としては、評判が悪ければ悪いように、よければいいように、国民に、こういうふうになっておるから課税最低限というものはここでがまんしてくれ、あるいはまたこれで適当なんだ、こういう形のものを出すということは、私はやっぱり必要だと思う。日本の場合には所得税の課税人口が非常に大きいわけですね。特に戦前と比べれば非常にふえてきておる。前の戦争のときには、ああいう形の中で大衆課税を強化するという形で税金をどんどん取り上げた、大衆課税を強化した、こう思う。終戦後は今度はインフレの中で、大衆課税を強化していくというのが、依然として抜本的な改正をしないで引き継がれておる。戦後もうこれだけたち、日本の経済も世界有数の経済だなんていうておるとき、また平和と民主主義的な税制という観点からすれば、もうこの辺で相当思い切った改正をすべきではないか、こう思うのであります。ことに物価は上昇を続けておるわけでありますから、ちびりちびりと十万円、十万円というぐらいに上げましても、これはなかなかうまく国民が納得するような形にはならないんじゃないか。ちなみにひとつ数字を教えてくれませんか。戦前の納税人口は皆さんの資料で見て六十七万程度、こう私は記憶をしておるのですが、それはそのとおりかどうか。それで四十三年度の課税対象人口は大体今度どの程度になる見込みなのか、ちょっとそれを教えてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/191
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192・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 昭和十年当時の所得税の納税人員は六十七万九千三百、これは先生のおっしゃるとおりであります。四十三年になりますと、これは源泉所得者と申告納税所得者を単純に合計した数字でありますが、二千百六十四万程度、ただしこれは重複をいたしておりますから、実際はもう少し少ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/192
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193・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうしますと、いまの計算でいいますと、戦前は大体百人に一人という割合、いまはどうかというと国民五人に一人、こういう割合になりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/193
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194・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 そのとおりでございますが、この点はひとつ先生にお聞き取りいただきたいのでございますが、戦前は御承知のとおり間接税中心の税制でございました。国税でも六〇%が間接税で、・直接税は四〇%というような、直接税のウエートが低い上に、税負担自身も、地方税合わせて一三、四%、現在の二〇%に比べてずっと低かったわけでございます。
それから、世界各国の大勢といたしましては、所得税の納税人員が非常に多いのでございます。たとえば日本では、比較をいたします関係でちょっと古くなりますけれども、三十七年当時で、有業人口に対しまして納税人員が三七・五%、それが現在は四三%になっておりますが、当時のアメリカでは、有業人口に対する納税人員は七五%、イギリスは八〇%、西ドイツは六六%、フランスは六二・五%と、非常に高いのでございます。そういう意味では、いわゆる間接税中心の税制から、戦後むしろ直接税中心の税制に移ったことが、世界各国並みの納税人員にふくれ上がっている一つの理由かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/194
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195・阿部助哉
○阿部(助)委員 国民も、だれでも喜んで税金を納めるほど収入がよけいになれば、それに越したことはないのだが、アメリカと比較なすってみても、アメリカの労働者の所得と日本の所得はたいへん違いますし、そういう点では、私もさっきちょっと戦前との比較をしましたが、ほんとうは比較はあまりしたくないのです。日本のいまの経済の現状でこれがどうか、公平であるのかどうか、生計費に食い込んでいないのかどうかという点からこの問題が考えられるべきだという考えなんですが、先ほど、私が数字をお示しいただいて比較いたしましたのは、いまの日本の所得税は、もう間接税と同じように、全く国民全部から取り上げておるという点で昔と非常に違ってきておるという点で私はいまお伺いをしたわけで、これだけ広範なところから所得税を取り上げておる。しかも日本の国民の所得、特に低所得者の収入というものは、いまあげたアメリカであるとか、あるいはイギリスであるとかという国の労働者の給料とはちょっとけたが違うのじゃないか。ということになると、この比較もあんまりまともには、パーセンテージだけでは、私はどうも納得ができない。ただ、私の言いたいのは、これだけ多くの人たちから取っている、そうすると、やはり生計費に食い込んでおるのじゃないかということをお伺いしたいわけだが、先ほど来、それはない、こうおっしゃる。そういうことになると、理論生計費というか、そういうものを一応皆さんが、もうそういう段階じゃないと言うならば、より文化的なこういう生活ができるのだ、こういう点でやはりどうしても、ことしは間に合わなければ、来年からは私は少なくともそれはお出し願いたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/195
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196・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいまお話がございましたが、なるほどわが国の一人当たりの国民所得に比べて、はたしていまの四三%という課税率がいいのかどうかという問題はあるかと思いますが、大体四三%が課税になっておるわけでございますから、最低生活費に食い込んでおるということはあり得ない、上のほうの四三%ですから。
それから課税の程度でございますが、いま百万円以下の人が納めている所得税は、大体三〇%程度だと思います。人員から申しますと、八割を占めておりますが、税としては三〇%程度。上のほうの二割、百万円をこえる連中の二割で七割の税金を納めておる。そういうことから申しますと、大体においていま所得税が最低生活費に食い込むということはあり得ないと思いますから、標準的な生計費にまず近いところにあるのではなかろうかと私は思うのでございます。ただ、何を理論生計費といい、何を標準生計費とするかとなると、最低生計費を考える場合に比べて、かなり理論とか哲学が入ってまいりますので、その辺はまたよく考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/196
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197・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまあり得ないとおっしゃったが、まああり得ないと思うという程度でございまして、これは公表はしないにしても、やはり何らかのこの程度の生計費がかかっておるだろうという計算は、大蔵当局としては当然おやりになっておると私は思うのでありますが、ひとつその資料をいただけませんか。皆さんの立場からいえば、国民である以上納税義務があるのだというような抽象的な観点を前提として、それを今度は十万円まけてやるのだぞというような考えではおかしいのではないか。勤労大衆というのは大体物価の上昇等で追加搾取をされておると私は思う。それもいろいろありましょうけれども、所得税だ、間接税だということでこれが大きく取られておるわけでございますが、それでも資本家のほうからいけは、最近は企業の利潤が低くなっておる、それは賃金が値上がりしたのだなんということをよくいわれるわけでありますけれども、むしろ、それはそういうことじゃなしに、特別償却だとかいうことで内部留保をふやしてみたり、あるいは資本の費用というか金利等でやられておるのであって、私は、どうもそういう点ではないのじゃないか、こう考えるわけでございまして、最近、特にことしからは、受益者負担なんということになりますと、私はますます勤労大衆は搾取をされていくという感じがするわけです。そういう点で、皆さんが、もうそういうものが必要でないほど日本の国民が豊かなんだというならば、やはり豊かなんだというりっぱな資料をどうしてもお示しを願いたいということを要求をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/197
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198・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私は、それを必要としないほど豊かになったと申し上げたのではないので、ああいう形の理論生計費をつくったころに比べて、課税最低限と物価上昇率が非常に違ってきたので、理論生計費をつくる必要がなくなったということを申し上げたわけであります。実際つくっておりませんので、先生提出しろとおっしゃっても、実はないのでございます。それはほんとうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/198
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199・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうすると、どうも、課税は生計費に食い込んでいないのだということは、あなたのほうではちょっとこれを言うことはできないのじゃないですか。先ほど来あなたのお話を聞いておると、もうそんな段階は過ぎ去って、生計費なんかへ食い込んでいないので、はるかに豊かになったんだ、こうおっしゃっているけれども、何もそれに対する裏づけの資料を持たないでそんなことを言っても、私のほうでは、生計費に食い込んでおるのではないか、実際、ことに低所得者の人たちの生活が苦しいのだ、特にいまのように物価を上げられておると苦しいのだ、それはもう生計費を縮める以外にないのだ、こういうふうに私は見ておる。私の感じとあなたの感じだけでは、国民はおそらく納得しないので、やはりそれは必要なんじゃないですか。私はいますぐそれを出せとは言わない。来年度は必ず出すというお約束を願いたい、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/199
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200・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 実は、これは非常にむずかしい問題でございまして、理論生計費自体を私どもがその後やりながらも疑問を持っておりましたのは、何が理論生計費なのか、あれは最低生計費でも実はないのでございます。何となく標準的な理論生計費ということで、その基礎がはっきりいたしませんので、その食い込む、食い込まぬと申しましても、たとえば私どものつくった理論生計費に食い込むといっても、最低生計費を割っているわけではなさそうだということで、はなはだ実は基準があいまいなものですから問題になって、実はかえって紛議を起こしてもというのでやめたというのも一つの考え方でございます。そういう意味で、先生のおっしゃった生計費に食い込むか、食い込まぬかという問題は、最低生計費として考えれば、明らかに食い込んでないと私は思う。一〇〇%の人間のうち四三%しか課税してないわけですから、あとの五七%がみんな食えないということでは決してないと思います。ただ、所得税の課税最低限が最低生計費ということであっていいのかどうか、そういう問題はあります。現に住民税の課税最低限は上げて五十三万円になったところだと思いますから、それでもおそらく最低生計費を割ってないと思う。そういう意味で、理論生計費というものをいかに形成するかというのは、ひとつ研究問題にさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/200
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201・阿部助哉
○阿部(助)委員 私は、それはやはり評判が悪いからあれだ、出したのをまた私たちも、それをそう一ぺんに完ぺきなものが出るわけじゃないでしょうから、それを鬼の首をとったように攻め立てるつもりはないので、むしろそれを出して、いろいろな角度から検討しながら、国民の納得する方向でこれをつくり上げていく。こういうことが私は正しい政治をやっていく場合の立場じゃないか、こう考えますので、私も、何もそれが出たから一つ一つあげ足をとってあれしょうということじゃないけれども、生計費という場合にもほんとうにいわば生きていくだけの食生活という動物的なことをお考えになっているわけではないでしょうし、年々それはやはり経済発展とともに上昇するのは当然でしょう。だけれども、いまの日本の最低限は、私はどうしても低いと思うし、そういう点での納得が全然得られないまま、いまのような税制をおやりになっていく。そうすると、やはり幾らその目的が政策的な要素があるといっても、利子配当やなんかとこの所得税の場合には不公平ではないかという感じも国民は強く持つでしょうし、納得する手がないのじゃないですか。まああなたが税金を取るのですからね。とにかくこれは、国民にもう少し納得をしてもらう手だてを考えないと、中嶋委員からの話のように、税務署というものはきらわれていくということになるでしょうし、どうも私はその辺でおつくりになれぬという——私、いますぐ出せとは申していないのですから、来年は少なくとも大蔵省で知恵をしぼり、いろいろな数字を検討して、数字を検討するのはお得意のところだから、お出しになれないというならば、これはおかしいのじゃないですか。少しこだわるようですけれども、やはりこれはお出し願わないことには、課税最低限の問題の論議はほんとうはできにくいのじゃないかと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/201
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202・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 どうも繰り返すようで恐縮でございますが、その理論生計費の考え方というものをよく検討してみないと——というのは、先ほど申し上げたように、すでに最低生計費という段階は過ぎておりますから、理論生計費というものを標準的なものとして考える場合の基準というものについて十分な検討をいたしたいと思いますので、そういう点で自信のあるものができればもちろんやりたいと思います。いろいろ私どもも、決して検討してないわけではないので、いろいろ検討しながら合理的なものを発見したいと思っておりますので、自信のあるものができればぜひそれを見ていただきたいと思うのでありますが、努力はいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/202
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203・阿部助哉
○阿部(助)委員 それは、どうせ一ぺんに完ぺきなものができるわけはないでしょうし、それをまた年々生活程度の向上とともに変えていかなければならぬことでしょうから、私は完ぺきなものを要求しませんけれども、できるだけ出す方向で御努力を願うということで先に進めたいと思います。
そこで、この最低限の問題を考える場合に、最もやはり関係のありますのが物価の問題だと私は思いますので、この物価問題についてお伺いをしたいと思います。
先ほど、佐藤委員から四・八%の見込みについてちょっと質問があったようですが、企画庁はこれは何か相当むずかしいけれども、努力をすれば可能であるようなお話があったのです。もう一ぺん、これは希望的観測なのか、あるいは確信があるのか、しかし、これを達成するためには、困難であるが実現可能だというならばどういう努力をされるのか、その辺少し具体的に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/203
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204・八塚陽介
○八塚政府委員 先ほども申し上げましたし、それからただいまも先生のお話しになりましたように、私どもとしてはこれは努力をすればそういう数字になるというふうに考えておるということでございます。先ほどもさらに申し上げましたが、ただそのうちに、消費者米価につきましては従来と同じという前提で見通しを立てておるということでございますから、消費者米価等がどうなるかということはやはり影響があるわけでございます。そういうことで私どもは考えておる数字でございます。
しからば、具体的にどういう努力をするかということでございますが、これは物価のことでございますから、あらゆる経済的な問題が敏感に反映もいたしておる。一つだけ何かやればいいというようなことではございませんが、たとえば政府の関与いたします各種の公共料金ないし公共料金的なものにおきましても、それをどう判断していくかという場合には、私どもとしてはできるだけ抑制的にそれに対処していかなければなりませんし、それから現在の物価上昇の一つの大きな寄与のファクターとしては、たとえば生鮮食料品というようなものの価格の上昇が相当大きいわけでございます。これは御承知のように大部分は自由市場における価格ということでございますから、いわば公共料金のように意図的に関与するわけにはまいりませんけれども、流通の問題あるいは生産の段階におけるいろいろな制度がございますし、いろいろな奨励あるいは指導の手がございますから、そういう点につきましてもできるだけやっていくというようなことで、どれをということになりますと、いろいろございますが、物価の問題はあらゆる場合に物価という観点から対処していくということでやってまいらなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/204
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205・阿部助哉
○阿部(助)委員 いろいろなものがこれに関与してくることはわかりますが、私たち見ておりますと、物価を上げるほうのやり方は幾つかわかるのですよ。国鉄の定期を上げる、酒、たばこを上げようとしておる、あるいはまた電話の架設料は上げていくというような、上げるほうの具体策というものは相当にわれわれも承知をする。しかも何か政府が指導型でというか、政府の関与しておるものが、ことし四十三年度は先に上がっていくというような感じはするし、具体策は幾つかわかるわけです。ところが、安定するというふうになってくると、抽象的な努力をするというだけでさっぱりわけがわからない。何かもう少し——具体策がないで企画庁は傍観しておるわけではなかろうと思うのです。あれだけ優秀な人たちが大ぜいおられるのだから、安定するためにはこういうこととこういうことを少なくともやるのですということがなければ、これは全くから念仏じゃないですか。佐藤総理も物価が最大の問題だなんと言っているが、四十三年度は少なくとも消費者米価を上げるとすれば、これは五・何%になることだけはいまのお話でも間違いがないと思う。どうなんですか、その辺具体的な対策というものは、少なくともいま上げそうだけれどもこれは押えますという政策というものは考えておらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/205
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206・八塚陽介
○八塚政府委員 ただいま具体的な問題として例示されましたいわゆる公共料金ないし公共料金的な問題につきましても、これはもう先生も御承知のように、公共料金といいましてもやはり一般的な経済の状況の中である程度定まっていくものでございますから、非常に人為的な形でこれを押えるというのにもおのずから限度がございます。それから反面、公共の事業あるいは公共料金の提供いたします役務というものにつきましては、やはり社会の発展あるいは所得の上昇に見合ってもっとサービスを充実する、あるいはそういう積極的なものでなくても、現在のサービスでは国民の方に非常に不便をかけておったから少しでも改善をしなければならぬという要請も一方にあるわけでございます。ただ、そういう役務の改善なりあるいは拡張なりというものを十分にやりますための資金をどういうところから求めてくるかということになりますと、つい料金あるいは価格というものを上げてというふうな考え方が出がちでございますが、そこはひとつがまんをしていただくというようなことで、確かにおっしゃいました中には上がったものを例示されたわけでございますけれども、もっと上げてもっとサービスをしたいということに関しては、私どもも相当制限的にあるいは抑制的に対処してまいったつもりでございます。
なお、しからばこれをやればすぐ下がるんだということを一つ考えますならば、制度的に価格を政府がきめておるものに対して一般会計からでも財政資金を投入して、価格を据え置けばいいじゃないかというような御議論もあるいはあろうかと思います。私どもはそういうことも一つの方法であろうかと思いますが、決して長続きする姿勢ではございません。一般的な健全な財政金融の運営の中でやっていくということになりますと、そういうやり方にはおのずから限度があろうかと考えます。たいへん迂遠なようでございますが、それにいたしましてもやはり少しずつ効果は発揮いたしておるというような、たとえば農業あるいは中小企業に対する合理化あるいは生産増強というようなことをやって、あるいは労働力が現在逼迫いたしておると申しますか、きわめてタイトになっておりますが、実質的にはもっと流動化すれば十分に活用ができるのではないかというようなこともあろうかと存じます。さらに、これは現在問題になっておりますが、いわゆる競争条件の整備と申しますか、再販売価格の指定品目の洗い直しというようなことをやっていくことも一つかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/206
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207・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうすると、四・八というのは全く自信のない、根拠のない数字だということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/207
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208・八塚陽介
○八塚政府委員 私が長々と申し上げましたのは、そういうことを一般的に申し上げたのでございますけれども、四・八という数字自体に自信がないということでは決してございません。そんなに手放しでおのずからなるであろうという数字ではございませんけれども、四・八という数字は私どもとしては可能性のある数字であるというふうに考えておるのでございます。たとえば、やや水かけ論になりますけれども、四十二年度におきましても見通しは四・五ということで立ててまいったのでございますが、現在の情勢でございますと、四・二ないし四・三にとどまる可能性もございます。あるいは四十一年度におきましても、当初四・七でございますか、立てましたが、それ以下にとどまったのでございます。ただ四十二年、四十一年が見通しよりも低くなったからといってそれは必ずしも楽観できないのでございまして、その以前の三十八年、三十九年、四十年、これは実は見通しよりもかなりな程度に上がっておりますから、必ずしもごく最近の過去の実績がこうだったからということでだいじょうぶですと申し上げているつもりはございませんけれども、そういうことも勘案していただければ私どもの気持ちもわかっていただけるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/208
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209・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうすれば具体的に聞きますが、私は生産者の米価は、いまの物価の中で農民は物価を追っかけておるのですから、当然生産費所得補償方式でいけば上げざるを得ないと思うのです。これはいまのまま押えていくというわけには当然まいらないと思う。これは当然上がります。あなたが幾ら希望して上げまいと思ったり、宮澤構想を発表してみたって上げざるを得ない。そうすると、ことしの大蔵大臣なんかのここでの所信表明によると、今度はおそらくこれを補正しないで済むような方式の確立をしてこれをスライドするということなんでしょう。消費者米価もそれにつれて上げるという方針でなければ、いまの予算自体がおかしなものになってしまう。いままで審議してきた予算自体が狂ってくるわけでしょう。そうすれば、消費者米価もこれまた上げるということをいまから皆さんのほうでは予測をしながら、この四・八の中に入れないで、この数字を発表することは間違いではないのですか。この皆さんの見通しがいろんな形でいろんなものに、いろんな計画に用いられるわけでしょう。そういうものを、希望的な観測のようなものをここに発表されるということは、私は政府の態度としてはとるべきやり方ではないと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/209
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210・八塚陽介
○八塚政府委員 先ほどから申し上げておりますように、消費者米価につきましては一応上がらないという計算になっております。ですから、消費者米価がもしかりに上がりますならば、その他のいろいろな相殺するファクターを別と考えまして、やはり四・八を上回ることになると思います。ただ、それでは消費者米価が四十三年度どうなるかということにつきましては、確かにお話しのような生産者米価がどうなるかというような問題もございますが、この点につきましては、これははなはだ公式的な御返事になるかと思います。いま農林省等におきましては、米価審議会の御意見を聞いていろいろお考えになるということでございますので、その点については、それの結論を待って、どういうふうな形で反映してくるかということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/210
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211・阿部助哉
○阿部(助)委員 皆さんとしてもやりにくい点はわかります。ここへパーセンテージを米価の分として入れれば、それによって大体消費者米価の値上がり幅というものが逆算できないこともない。何ぼか見当つく。そうすれば、それから逆算して生産者米価の問題に波及するということもある。
〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
だけれども、いまの予算、あれだけ長いことかけた予算は、これを新しい方式を確立するということになっておる。生産者米価は当然ある程度上げざるを得ないことはわかっておる。そうすれば、四・八プラスアルファということで発表しなきゃ——四・八という形で発表すれば、それによっていろんなこれからの計算がされるわけでしょう。たとえば公務員の賃金の立て方にしても、あるいは労働者の賃金の一般の立て方にしても、やはりこれが何がしかの基礎にならざるを得ないでしょう。そういうものに、皆さんの四・八%という見通しの発表が全然役に立たないものならば、これまた何も発表する必要もない。何も苦労して、皆さんが人間をかかえてこんな作業をする必要もない。これを発表するには、やはり何か活用し、いろいろな目算にされるわけでしょう。それを、狂ったものを初めから承知の上で発表するというのはおかしいんではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/211
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212・八塚陽介
○八塚政府委員 先ほど来申し上げておりますように、四・八あるいは四・八に消費者米価はどういう関係にあるかということは、いままで申し上げたとおりでございます。したがって、それをいわば消費者米価がどうなるかということが確定しない段階においては、それは狂ったものである、ないしは役に立たないというふうに考えていくか、あるいはそういう問題が横についておるということでそれを使っていくかということになろうかと思うのです。私どもといたしましては、やはり四・八というものが、たとえば今後の物価政策にと申しますか、先ほど来申し上げておりますような物価の諸問題に対処するときの基準あるいは目標、あるいはその他の諸政策の計算の基礎ということになってまいるわけでございます。消費者米価というのはそれほど大きな問題であろうと思います。昨年四十二年度におきましても、先ほど来申し上げましたように、上半期三・一であった、後半が五・何がしになりそうであるということのかなり大きな原因が十月の消費者米価の値上げであったわけであります。消費者米価の四十三年度の帰趨というのは非常に大きな問題であるということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/212
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213・阿部助哉
○阿部(助)委員 だから、私は繰り返し言うように、皆さんが四・八とだけ発表すれば、やはりそれがいろいろな形で活用されるわけでしょう。全然活用されないものならば、こんなことを何も発表することはないのでしょう。それならば初めからプラスアルファというものがあるんだという形で発表されないと、これは正直な発表じゃない。ただ、四・八というのが皆さんの何か希望的な目標であるということだけならば、そういう発表のしかたもありましょう。けれども、これを四・八といういまのような発表のしかたは私は間違いではないだろうか、こう言っている。あなたの理論と私のお伺いしているのとはちっとも食い違っていないのですよ。私は利用しないものならば発表する必要はない、こんなものを計算する努力をする必要は何もないのじゃないか。と申しますのは、もう少し正直のところをやらなければならぬ。しかし、それにはいろいろなむずかしい問題もあるし、やってあとで支障を来たすものがあるとすれば、やはり米価なら米価というものを、あるいはプラスアルファというものをつけざるを得ないでしょう。たとえば昨年は十月から一四・四%の消費者米価を上げた。それでこっちへはね返ってくる分が、皆さんの計算によると〇・八、そのうちの半分がはね返ってくる。そうすると、ことしまたそれを同じようにやったとすれば、少なくとも〇・四%から〇・五%は〇・八にプラスしなければいかぬ、こういうことになるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/213
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214・八塚陽介
○八塚政府委員 結局、私の申し上げておりますことは、四・八という数字はどういう発表のしかたをすべきかということと関係があると申しますか、それに対してお答えをしたつもりでございますが、なかなか適切に申し上げにくいので不十分でございましたが、私どもは四・八という来年度の消費者物価の見通しを、当然見通しの一環として発表いたしたわけでございます。そうしてそれを基礎にして経済運営の基本的態度というものを発表いたしておるわけでございます。あるいはそういう態度で政府としてはいくということになったわけでございますが、その際に四・八というのは、消費者米価については、やはり値上がりをたとえば昨年のように何%値上げをするというようなことについては織り込んでおりませんということで四・八%を出しておるわけでございますが、しからばその消費者米価が今年どういうふうになるかということについては、それはそういう問題があるという読み方をしていただくと、決して政府のほうもそういうものを隠してやっておるのではない、それは問題としてあります。ただ、それをどういうふうにお読みいただくかということは、あるいは読むべきであるか、あるいはわれわれとしてばどういうふうにそれを使っていくかというのは、それは当然計算に入れての読み方をしていただけばいいのではないかというように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/214
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215・阿部助哉
○阿部(助)委員 では、この問題はこれであれしますが、そうすると、四・八に消費者米価の値上がり分がプラスされるというふうに理解してと言いますが、どうもいままでのお話をお伺いしておりましても、企画庁のほうでは物価を——いま政府のほうでは上げるものは私はよく分かるんだが、何か物価の安定策というものが一つも出てこない。一つもわからない。それを聞いてみたけれども、それもわからない。いろいろのことをやっておるが、私は大体あれだけ年々大きな財政投融資というものをやっていけば、ただ産業が大きくなってもうかっていくだけではこれは済まされないんじゃないか。大資本にあれだけ恩恵を与えた大きな投資をしていくならば、それがむしろ大企業の生産品をある程度下げていく、あるいは安定していくということで国民生活に恩恵を与えなければならない。国民の貯蓄だとかあるいは血税をつぎ込んであれだけ大きな財政投融資をやりながらやっていくならば、企画庁としてはもう少し物価の安定ということ、しかも佐藤総理もこれが最大の政治課題と言っておるならば、私はこれに対してもっと具体的な物価安定策というものをお考えであっただろうと思って実はお伺いをしたわけであります。しかし、出てくるのは抽象的な、いろいろと努力をしますということだけであっては、私たちはとても納得もできないし、物価が安定するという期待も何も国民は持てないのじゃないかという感じが私はしますので、どうも企画庁のいまのお答えには満足はいきませんけれども、これはなかなか水かけ論になるようでありますから、次に移ります。
企画庁では、三十六年にはいわゆる物価白書といわれるようなものをお出しになっておったのだが、いま国民がこれだけ関心を持っておるこの時点で、なぜそういうものをお出しにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/215
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216・八塚陽介
○八塚政府委員 私どもの一番大きな仕事は、やはり国民生活に関する諸般の情勢の分析、あるいはそれに対応してどういう予算が、あるいは政府の施策がなされておるかということでございますが、それにつきましては、お話しのように三十六年に確かに物価に関する特別の情勢分析を出したわけであります。しかしながら、その後もちろん毎年出しておりますいわゆる経済白書、それから私どものほうの局が担当いたしております国民生活白書というようなもので物価の問題を扱っておるわけであります。たとえばごく最近の場合には、四十年の国民生活白書はかなりの部分を物価に関する動向の分析ないしはその要因の分析に充てておるわけであります。昨年の国民生活白書では、物価の問題についてはあまりページ数が多くございませんでしたが、私ども、現在の内輪の話でございますが、四十三年の国民生活白書等についてはやはり物価問題について相当立ち入った分析をしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/216
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217・阿部助哉
○阿部(助)委員 三十六年の白書では、物価値上がりは心配ないのだ、心配なのはむしろ心配ムードが心配なんだなんという、ある意味でいうと非常にふざけた書き方をしておられて、評判もあまりよくなかった。そうすると、国民が一番関心を持ってくるときになると、やはり都合が悪くなるから出さないということにしか私は考えられない。少し意地の悪い見方になるようで恐縮なんでありますけれども、どうもそういうふうにしかとれないわけであります。経済白書で書いてある、国民生活白書で何ほか織り込んである——いま皆さん方のところの作業で、物価の問題に全然触れないで白書というものが企画庁で出せるわけはないじゃないですか。そんなことは当然なことなんだ。それならば、むしろ国民に実態をわかってもらうという点でやはり私は出すべきだ、こう思うのですがね。こういう形で経済白書だとかではなしに、いまこれだけ大きな問題になっておる物価の問題を、やはりこういうことを出すならば、私は国民に知らしめる努力をすべきだと思うのです。どうも心配ムードが心配だなんというああいうふざけた言い方は反省の上に立ってこれを出していかなければ、そういう姿勢がなければ、ほんとうに物価問題に取り組んでいる企画庁の姿勢だということにはならぬと私は思うのですが、どうなんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/217
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218・八塚陽介
○八塚政府委員 確かに三十六年の当時の物価について、あるいは物価の今後の見通し等については、先生のお話しになりましたようないわば空気の中にありまして、そういう分析と申しますか、姿勢が見えたのでございますが、これはもう三十六年と現在の段階とはすっかりそういうものの見方あるいは情勢についての考え方というのは異なっておりまして、私ども確かに若干試行錯誤と申しますか、いろいろな点において見通しが甘かったりあるいは誤りがあったりいたしたかと思うのでございますけれども、その後の問題の重要性あるいはそれに対する取り組み方ということで、三十六年以降政府としましても何回かそういう分析あるいは施策の総合的な決定ということをやってまいったのでございます。私ども決してそういうものをあらためてすることについてどうこうではございませんけれども、いまの段階で物価がどういう事情になっておるかということにつきましては、もう非常にはっきりいたしておるわけでございます。これは決して国民の方に隠しておれる問題でも当然ございませんし、しかもこれをサボっておるという筋合いのものでもございません。たとえばことしの経済運営の基本的な態度は、物価の安定と国際収支の改善であるというふうに、もう総理も言っておられます。そういう意味におきまして、現在の段階はもうとにかく私どもやるべきことは非常にはっきりしておるわけであります。先ほど物価対策というのは非常にふわっとしておって、やることがどうも抽象的じゃないかという御質問があったのでございますが、それにつきましては、実は非常に各方面の予算なり対策がございまして、それについて申し上げるのもどうかということで、やや一般的なお話を申し上げたわけでございますが、政府といたしましては、当然物価安定対策というのは非常に重要なことであって、やるべきことであるというふうに考えております。決して重要性に気がつかないで、ないしは重要性を国民の目から隠そうというような気持ちで対処できるべき筋合いのものではないというふうには考えております。C阿部(財)委員 そういう態度でおやりになっておるならば、やはり三十六年当時とはだいぶ違い、総理のお話のように、非常に重大な政治問題であるという観点からこれはおつくりになることだと私理解しますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/218
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219・八塚陽介
○八塚政府委員 私も、正直に申しまして、いますでに考えられるいろいろな物価の総合的な作文をする気はございません。もうその段階ではない。あらゆる具体的な事態に対応してどんどん実行をしていかなければいかぬというふうな時期である。逆にいいますならば、物価問題にどう対応すべきかということについての認識と申しますか、これをいまさら再確認をしなくても、もうわれわれはあらゆる日常の行政においてそういうことをやっていくべきときである、そういうふうに大体みな考えておるというふうに申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/219
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220・阿部助哉
○阿部(助)委員 次に移りたいのでありますが、だから私は初めにどういう対策を立てるか、それは抽象的であっても幾つかの項目に分けて対策をお述べになるだろう、こう期待したのでありますが、まあいろいろとやっておりますというだけの話で、私たちのほうは先ほど、物価を値上げする、特に公共料金関係の値上げということはわかるけれども、安定させる方向への政府の努力というものが少しもわからないのでそれを示してもらいたい、こう言ったのだけれども、あなたからは何も出てこない、そういう段階じゃない。一生懸命やっておられるのだろうけれども、やはり私は国民への協力を求めるという点で実態を明らかにするということはやはり政府の責任だ、こう思っておったわけでございますが、はっきりしませんので私は次に移りたいのであります。
いま総理府で毎年消費者物価指数をおつくりになっておりますが、これの目的はどういうことでございますか、総理府の方どなたか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/220
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221・岡部秀一
○岡部政府委員 消費者物価指数をつくっております目的につきましては、ある年度を基準にいたしまして、その基準から物価はどのくらい上がっておるだろうかということを見る。それによりまして物価の上昇あるいは下落等を施策の基礎に置きましていろいろの諸施策をやっていくという点にあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/221
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222・阿部助哉
○阿部(助)委員 いや、それはわかるのですが、それなら私の聞き方が悪かったのか、どういう分野にこれが活用されておるのか、主要な点をひとつあげてもらいたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/222
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223・岡部秀一
○岡部政府委員 消費者物価指数を各官庁で利用しておりますけれども、たとえば経済企画庁などでは国民生活の分析に使っておりますし、国民所得の推定あるいはまた経済計画の作成、そういうふうなものに使っておりますし、大蔵省では各種税率の算定、そういうふうなものに使っております。また、農林省関係では農家、非農家の生活水準の比較というふうなもの、あるいは厚生省では生活保護基準の算定、労働省では勤労者家計の分析というふうな、各般にわたりましてこの統計を使っておりますような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/223
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224・阿部助哉
○阿部(助)委員 皆さんのところは三百六十四品目でありますか、非常に多くの品目をとって、しかもいろいろと非常に科学的にやっておられる、こういうお話でありますし、私もその努力は認めるわけでありますが、それでも皆さんが幾ら一生懸命やっておっても、まだ学者であるとかいろん方面からは、これに対して何がしかの疑問を持っておる向きもあるようでございます。ひとつその点で二、三お伺いしたいのですが、どうもとり方で住宅のウェートが非常に低過ぎるのではないかという見方があるのですが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/224
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225・岡部秀一
○岡部政府委員 住居関係のウエートのとり方の問題と思いますが、四十年を基準といたしました物価指数におきまして、住居のウエートを一〇七三にとっておるようなわけでございます。その内訳で、家賃、民営が一八八、公営が二六、間代、民営が四三、こういうとり方をいたしておりますが、このとり方につきましては家計調査をいたすわけであります。大体そのやり方につきましては、特に家計調査を行ないますときに……(阿部(助)委員「それはわかっておる」と呼ぶ)全般の住居費というものを代表できるようなやり方でサンプルをとりまして、それによりまして住居費のウエートをつけていくわけでございます。
そこで、このウエートが少ないじゃないかということは、結局その家計調査のやり方の問題になってくると思うのですが、その点につきましては、先ほど一言で申し上げましたように、全般を代表できるようなやり方で抽出をいたしまして、それを平均していくというやり方であります。それをいま先生よくわかっておるということでございますので詳しく申し上げませんが、そういうやり方でやっておりますので、私どものほうではこれを恣意的に高くとっている、あるいは恣意的に低くとっているというやり方は決していたしておりませんで、実際において家計調査を行なったその結果の各種のウエートというものを、それを全部一丸といたしました中での住居費、それがどういうふうになっておるかというとり方をやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/225
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226・阿部助哉
○阿部(助)委員 これはいろいろな点で少しお伺いをしたいのだけれども、時間のほうもだいぶ迫っておるようでありますから、もう一つだけそれではお伺いしたいと思いますが、この調査は皆さんが幾ら一生懸命やってみても、これは全部の総合した平均でありますから、これには特定の階層というものは当てはめるわけにはなかなかまいらないと私は思うのです。特に低所得の場合には、どうしても食料費や何かのウェートが皆さんのおとりになっておるウエートよりもよけいかかるとかいう形で、特定の階層に対してはなかなか当てはまらない面が出てくる、こう思うのですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/226
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227・岡部秀一
○岡部政府委員 特定の階層に当てはめるようにこの統計はつくっておらぬのでございます。日本の低所得者、あるいは高所得者、あるいは中所得者全部を抽出いたしまして、それが全部縮図になるようにとってあって、それを平均してあるということでございますので、特定のタイプのところにそれが適用されるというふうにはつくってございません。平均という出し方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/227
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228・阿部助哉
○阿部(助)委員 そこでこれの場合、皆さんのこのパンフレットにもありますように、実感と統計とが違うということの二、三の説明というか言いわけというか解説をしてあるわけでありますが、これは一般の労働者というか低所得の人たちにとっては、実感と統計とが違うのではなしに、実際の生活と統計とが合わない。先ほどもおっしゃったように、平均の階層から下の人たちにとってみれば、この統計よりも物価の値上げがはるかに骨身にこたえるということになろうかと思いますが、そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/228
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229・岡部秀一
○岡部政府委員 端的にいえばそういうことだと思います。平均してとっておりますから、ちょうど平均のところに割り当たっておるところの階層の人たちはぴったりだ、こうくるわけであります。ところが、そうでない上のほうの階層あるいは下のほうの階層の者にとりましては、その点はそれぞれの考え方がある、そういう意味でございまして、それを極端に申しますと、各人、各家庭の物価指数というようなもの、あるいは家計というようなもの、そういうものと平均のものとを比べていきますと、当然そこに実際とは違うということがあると思います。各人に当てはめる、各人をどうするという考え方ではなくて、ある集団というものを取り上げて、その集団というものが全国を代表するような形の集団を取り上げて、その集団でもって平均的に見たときはどうなる、こういうのが消費者物価指数でありますし、家計でございますので、そういう点では各人各人にとっては差があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/229
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230・阿部助哉
○阿部(助)委員 お伺いしたいのは一ぱいあるのでありますが、時間でありますから総理府のほうのあれはやめます。
いま主税局のほうでお聞きになっておるように、物価指数も高い。高所得者にとってはそれほど苦痛ではないだろうけれども、低所得者の人たちにとってはやはり物価の値上がりというのはその面からも非常に骨身にこたえてくるというか、きびしく生活を圧迫しておるということは間違いないと思うのですね。そういたしますと、やはりそういう点も考えた課税最低限というもののきめ方を考慮をなさらないといかぬということが一つと、もう一つはそれだけにいまの物価の上昇のときにおいて、四十五年というのは少しおそ過ぎる。四十二年においてすみやかにこれを実現しろという国会の決議は、やはりすみやかという問題をもっともっと重要視されないと、低所得の人たちは困るのではないかという点で私は指摘をいたしたいのであります。
最後に、ことしの税率を九%から九・五%に引き上げられた。それによる増収分というのは一体どれぐらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/230
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231・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 初年度七十二億、平年度百四億程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/231
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232・阿部助哉
○阿部(助)委員 いろいろとお伺いしたいのは一ぱいあるのでありますが、これからわが党の各委員の方々が質問をまだ続行されるようでありますから、私はこれできようは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/232
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233・田村元
○田村委員長 広沢賢一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/233
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234・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私はこれから、先日私が質問し総理が答弁した問題について、まず資料要求いたします。
〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕
資料要求する理由は何かというと、簡単に御説明しますが、つまり大企業と中小企業にとって租税特別措置はどういうふうに有利なのかということ、ただ単に財界の自民党、大衆の社会党という立場に立っての問題じゃないのですね。そういう問題じゃないのです。大法人に対する租税特別措置の大幅の減免税と大企業のたいへんな設備拡張競争、この相関関係、いまのゆれ動くポンド、ドルの支配体制の危機、日本の国際収支の赤字の問題等に非常に密接な関係がある。だから、日本経済全体の問題であるという立場から御質問、資料要求したいのです。たとえば昨日の金融小委員会で十分触れることができなかったのですが、今日の金融市場は引き締まっている。ところが、大企業の企業金融は引き締まっていないということが相当新聞に出ています。特に鉄鋼、石油化学、石油精製など、独占的な大企業はばく大な内部留保を持って、自己資金を持っています。さらに外資を利用して設備拡張競争は目に余るものがあるのですが、政府はこれに対して強力な対策を、要請だけでとり得ない。その結果として国際収支改善に悪影響を及ぼして、さらに資金量の面からいいますと、中小企業、農業の近代化というものが物価対策の上で非常に重要な段階で、そのほうに回す金が少なくなるというような問題を含めまして、金融引き締めが十分きかなくなった。そういう重大な問題の根本原因に、減価償却を含めた大資本に対する大きな減免税、そういう問題が内蔵しているじゃないかということです。
具体的な例を申し上げますと、まず第一にお伺いしたいのですが、特別償却を公定歩合が上がった場合に停止するという法案が去年通りました。これは大蔵大臣、非常に胸を張って自慢をして、われわれもこれは一つの対策になるかと思ったら、これをやめてしまった。このやめてしまった理由が新聞には書かれておりますが、財界からの圧力というものはありませんか、政務次官にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/234
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235・倉成正
○倉成政府委員 さようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/235
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236・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それでは資料要求します。
毎年一月か二月に発行している四十二年度版の税務行政主要統計という資料がございますが、それをわれわれ国会議員に配付したり、もしくは公表することはできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/236
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237・泉美之松
○泉政府委員 お話しの冊子は、国税庁で作成いたしておりますので、私からお答えいたしたいと思います。
これは税務行政をやっていく上におきまして、国税庁及び国税局の幹部が手元に置いて参考にすべき資料でありまして、この中には各国税局ごとのこまかい統計資料が載っておりまして、一般に公開する性質のものではございませんので、たいへん恐縮でございますけれども、それをお配りすることはお許しいただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/237
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238・広沢賢一
○広沢(賢)委員 その御答弁は納得できない。なぜかというと、私が佐藤総理とお話をし、それからいろいろあとで調べてみたのです。そうすると、この税務行政主要統計に入っている。われわれが一般に見ていないいろいろの資料をもとにしなければ、租税特別措置が大法人に有利なのか、中小法人に有利なのか、水かけ論に終わる。そういう重大な資料をどうして見せないのか。いまの御答弁、税金の問題についての一番重要な問題についての資料を国会議員に見せられないということでは——これは防衛庁の秘の資料じゃないですよ。これは全然納得できないと思うのですよ。だから、もう少し、それについてこれこれという答弁がなければだめだと思います、国税庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/238
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239・泉美之松
○泉政府委員 お話しのように、租税特別措置が大法人にどういう効果を及ぼし、あるいは中小企業にどういう結果になっておるかという点につきましては、実はこの税務行政主要統計集にはあまり出ておらないのであります。むしろそういった点については、御要望があればその資料をお出しするということでよろしいかと思います。この中にはそんなものは出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/239
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240・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そんなのはうそなんですよ。私実際見て計算したのだから、そんなばかなことを言うものじゃないですね。たとえば、国税庁調べの青色申告法人の特典利用状況の表、それには資本金別に全部出ていますね。それから準備金、引き当て金の表、特例による減価償却の表、もっとも減価償却の表は、何かだんだん資本金別というのが減ってしまって落としています。だけれどもあとずっと書いてあります。だから、たとえば税務行政主要統計というものが出せなければ、それじゃその中でこれこれが必要だというものを全部出してください。国税庁長官わりあいにいまのところ評判がいいのに、そういう答弁をするとは何事ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/240
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241・泉美之松
○泉政府委員 したがって、御要求の数字はお出ししていいと思います。ただこの中にはいまお話しになりました青色申告法人の資料だけでなしに、それ以外のこまかい国税局別のいろいろな資料がございまして、これは必ずしも公表することが適当でない数字もございますので、お話しのような点につきましては、これは資料として別に作成して差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/241
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242・広沢賢一
○広沢(賢)委員 委員長に判断していただいて資料要求します。ここでもってひっかかってしまったらあれですから先へ進めますが、私はその全部を出してもらいたいという要求は変えません。だけれども、審議促進に協力する意味で非常に協力をいたします。
それで、ここに全部ありますから、あと続けて言うと、租税特別措置法に基づく償却の特例、特に資本金別、これが最近故意になくなっておるところがあります。それも含めてある年でいいですから。それから減価償却と特別措置による償却の各国の比較表ですね。それから償却二の項目、特例による償却、それから交際費の部分はいろいろの本に出ておりますが、これだけです。交際費部分の資本金別税額の部分もですね。それから税制調査会に提出した資料、これもだめだと言うと思いますが、資料全部を出すということについてはこれはどっちですか。主税局長さんに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/242
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243・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 税制調査会に出した資料は膨大なものでございまして、余部もございませんし、御必要なものを、言っていただけばそれを焼いて差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/243
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244・広沢賢一
○広沢(賢)委員 いまの御答弁も含みましてずっと見ていると、非常に重要な問題が出てくるのです。統計というものはそういうものです。それを感づいたところだけ出してくれ、そうしたら言ってくれ、それは出すというのでしたら、やはり本格的に、議員が税金全部を知るということにならぬと思うのですよ、国税庁長官。それで私は、これも国会審議のあり方として重要な問題として、やはり問題を後に残しておきます。特にその中で、昭和三十九年税調に出した法人税が物価に転嫁する資料があると思うのです。なければないでいいですが、あるはずです。国税庁長官のような答弁をしないでくださいよ。
それからもう一つ国税庁長官に、総務課で出している法人企業の実態という資料は出せますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/244
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245・泉美之松
○泉政府委員 それはいまお手元にお持ちのものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/245
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246・広沢賢一
○広沢(賢)委員 これは名答弁です。ところが、私が資料要求した場合には、このプリントですね、ほんとうにわずかなプリントの刷ったやつをくれたのです。それで見ていきます。そうするとここであっと思って重要なのは、二カ所だけこういう表が出ているのですが、なに全然数字が入っていない。これは準備金、引き当て金の利用割合が大資本にとっていかに有利であるかという統計グラフしか出ていないです。ところが、お手元にあるこのほうによりますと綿密に出ている。それからもっとひどいのを言いますと、ずっと見ていくと、いろいろ比べてみて、前のときの資料、この三十九年度分とあとのときの資料を比べますと——これは国税庁長官、実際の問題だから。一番最後に減価償却というのがある。その資本金別減価償却の表というのはなくなっているのですね。三十九年にはあるのですよ。あとはなくなっているはずです。そういう問題について国税庁長官よく御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/246
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247・泉美之松
○泉政府委員 昭和四十一年分の法人統計速報は、それは速報でございますので、抜粋したものしかお渡ししてないと思います。そのダイダイ色の表紙の本でごらんいただきますように、三月の末になりますと、それがいまのダイダイ色のような印刷のものにでき上がってまいります。そうしたらそれをお渡しすると、それには詳しく出ることになるわけであります。したがって、いま印刷中でありますので、印刷でき上がり次第お渡しいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/247
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248・広沢賢一
○広沢(賢)委員 その前の年の分はちゃんとできているでしょう。ダイダイ色でできているはすですよ。だから、私の持っているのは三十九年分なのですから、四十年分というのがあるはずです。四十一年分もあるはずです。私はそれを言っているのです。それはこれとこれと比べたらこっちのほうが全然役に立たないから、やはりこういうものを出さなければならぬ。大蔵委員会に配ったってわずかな金額でしょう。ですから、そういうような勘ぐりたくなるようなやり方をしないで、堂堂と、統計は共通の土俵でやっているのですから、その共通の土俵を隠したり何かしていて、それでしてやったりという答弁をするのでは、これはとても、とてもじゃないけれども国会審議のあり方としてやっていけはしないですよ。だから、そういう態度を私は根本的に改める必要があると思うのです。たとえば四十二年分の税務行政主要統計にしても、そんなに分厚なものではないはずです。ですから、そういう問題について私資料要求しましたから、ここにありますから、そういうものは表にして出してもらいたい。
あと出してもらいたいものがあるのです。それは、総理が本会議で答弁した租税特別措置法の資本金別減税額の根拠です。総理は本会議でもって答弁しました。ところが、われわれの手元にその数字がないのです。それで出てきたのは簡単に二枚つづりの、これがどうだ、これがどうだというやつだけです。総理が答弁するのだったらこっちもちゃんと持っていなければならない。そうすると、総理の答弁は一億円でもって区別していますが、大体資本金別が一番いいのですが、中小企業基本法でいう製造工業五千万円、商業サービス一千万円、これの仕分けしたものが私はほしいわけです。それをつくっていただきたい。
もう一つは、貸倒準備金など、本法に組み込まれた特別減免税措置があるはずです。この金額が大体七百億円くらいあると思うのですが、それについて、これもいま出したと同様に区別していただきたい。
それから、それ以外のものとして利子配当の源泉分離課税選択制度、これによる減収額はどのくらいか、所得別、階層別、これは大ざっぱでいいです。特に人員と金額を出していただきたい。これはいまそちらのほうに渡します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/248
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249・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいまお話しになりました数字、できるだけ出したいと思いますが、五千万円で切れというのはちょっと困るのでございます。なぜかと申しますと、税法では一億円を境にいたしまして制度を変えております。たとえば一億円以下の法人には軽減税率の適用があるということにいたしておりますし、一億円以下の法人には特別に貸倒準備金の割り増しを認めている。そのかわり一億円超の法人には、資本構成の是正関係の特別措置は認めているというような割り方をいたしておりますので、特別措置が入り組入になりますから、一億円の資料でやっていただきたいと思います。
それからもう一つは、利子配当は階級別というのは、これはできないのでございます。なぜかと申しますと、利子配当については支払い調書の提出がないのです。だれが幾ら払っているかわからないのです。これはむしろ貯蓄について頭金者の収入階級別調査等があるので、あれで見るよりしようがないのであります。
次に、本法に入っている特別措置というのはないのです。本法に入っているものは特別措置ではない。そこで振り分けをしたわけでございまして、貸倒準備金は会計学上も本来負債性引き当て金でありまして、また退職給与引当金にいたしましても負債性引き当て金で、本来企業会計上の引き当て金として整理すべきものでありますから、特別措置としては扱っていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/249
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250・広沢賢一
○広沢(賢)委員 前に特別措置だったものが本法に組み入れられたからそれについての額はおわかりになるでしょう、こういう御質問ですよ。わかりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/250
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251・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 昔は貸倒準備金は、本来本法に入っていたわけでございますが、昔から準備金等につきましてはやや整理が不十分であったので、租税特別措置法を一部改正したときにはっきり区別したわけでございます。金額はもちろんわかりますけれども、その特別措置として扱えという意味じゃなくて金融だけを調べろというならば調べてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/251
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252・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それでいいんです。
それからさっき言った利子配当についても、これは貯蓄額はわかるわけですね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/252
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253・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 貯蓄額と申しますか、その減収額から逆算すればできる。この収入階級別となりますと、推計をして貯蓄動向調査として日銀がやったのがございますけれども、これはあくまでも推計でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/253
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254・広沢賢一
○広沢(賢)委員 推計でけっこうです。推計でけっこうですから出していただきたい。そうすると、これは以上お渡ししておきます。これに基づいて租税特別措置を本格的にやりたいと思います。なぜこれが重要かということは先ほど申し上げましたが、もう一つその重要な問題について、法人税の問題についてお聞きします。
いままでの審議で、わが国の租税負担の水準がよその国よりも、先進諸国に比べて低いということを言っておられました。それはもちろんそうですね。ところが大衆への所得税、低額所得者に対する課税はどうですか、重いと思いますか。これは主税局長でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/254
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255・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 暗いか軽いかというのは非常に主観的な判断になりますので、数字で申し上げたいと思いますが、外国と比較いたしました場合に、わが国では所得税の個人総所得に対する負担割合というのは大体国税では四%程度だと思います。それがアメリカになりますと約一一%、イギリスにおきましては一二%前後、フランスが大体五・六%前後かと思います。さらにこれに対しまして、法人の所得に対する法人税の負担率というものをとってみますと、国税だけでわが国では大体三三%程度、アメリカが大体一三%程度、おおむね各国三〇%前後になっております。そういう点から申しますと、マクロ的に見ればわが国の所得税のほうが負担率は低いと言えますけれども、これは日本の一人当たり国民所得が低いということからきた結果でありまして、重いという負担感という点から申しますと、これはやはり相当重いという判断があって、毎年課税最低限を引き上げておるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/255
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256・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私もそのとおりだと思うのです。税負担は平均すれば軽いのに、大衆は重く感じておる。その重く感じておる根拠は何かといえば、課税最低限が各国に比較すると日本は低所得者については重い。各国は軽い、上がっておる。統計上それは認めますね。
〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/256
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257・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 確かに課税最低限は日本は低かったのでございますが、だいぶこのごろふえてまいりました。ことしの八十三万というのから見ますと、イギリスは七十七万で、すでに日本より低くなりました。もちろんこれはポンドの切り下げの結果でもありますが。それからドイツが約八十八万でありまして、アメリカはやはり何といっても高くて百三十万程度でございます。フランスが百十六万、そういう点から考えてみますと、かなり追いついてきた感じではあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/257
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258・広沢賢一
○広沢(賢)委員 かなり追いついてきました。ところがまだ及んでいない。
それからもう一つは、戦前は七十万人くらいに所得税がかかっておった。ところが、いまは二千百万人と非常に多く、たいがいの人が所得税を取られるような状況になってきた。これはお認めになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/258
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259・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 数字的にはまさにそのとおりだと思いますが、先ほど実は阿部委員に申し上げたのでございますけれども、当時の税体系といまの税体系は非常に違っておりまして、先ほども申し上げましたが、間接税が六〇ないし六五%を占め、その他が所得税、法人税であったわけであります。現在は所得税、法人税で六〇%、間接税四〇%、しかも総体の税負担が現在ことしで国民所得に対しまして一九・五%でございますが、当時は約一三%、そういうことでかなり租税体系も違うし、またもう一つは、当時の所得構成といまの所得構成が非常に違っております。そういう意味から申しますと、わが国の場合、有業人口に対する納税人員が約四五%でございますが、英米各国は大体七〇%ないし八〇%まで課税人員になっております。そういう意味で、いまの所得税中心の考え方になってまいりますと、どうしても納税人員はふえるのではないかという傾向はやむを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/259
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260・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それにしてもたいへんな人数ですね。二千百万人ですか直接税がかけられる。
もう一つ間接税でおっしゃいましたが、間接税はよその国と比べて軽いといいますか、各国も戦前と比較すると非常に軽くなってきておるわけですね。これは統計上明らかですが、どうでしょう。統計上ここに出ている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/260
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261・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 わが国も戦前に比べて相対的に軽くなったことは私申し上げたとおりであります。諸外国の例で申しますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/261
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262・広沢賢一
○広沢(賢)委員 全部軽くなっておりますよ。アメリカは戦前の五五から一三と……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/262
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263・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ちょっと手元に持ってきておりませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/263
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264・広沢賢一
○広沢(賢)委員 審議に協力して先を急ぎますから。ここに大蔵省で出しているのが手元にあるのです。それで各国比較すると、全部各国ともが間接税の割合は軽くなっている。そこで重要なことは、古國さんも、この前新聞記事でもって非常にりっぱな就任の弁で感嘆したのですが、間接税の増徴には反対するとはっきり言われておりますね。その理由は、私はやはり各国とも割合が少なくなっている間接税は逆進性のものであるという意味が含まれていると思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/264
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265・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 就任の弁というのは、たしか新聞に私がしゃべったものだと思いますが、これはそのときの質問は、付加価値税、売り上げ税的なものに賛成かどうかという趣旨であったのでございます。私の個人的見解として、いまの段階では売り上げ税、付加価値税というのは日本には向かぬと思うということを申したわけであります。間接税の負担を売り上げ税、付加価値税によって大幅に引き上げるということは賛成できないということを申したわけでございまして、不十分に伝えられたかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/265
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266・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうすると売上げ税は反対なんですね。これを一回ひとつ……。
その次に、あそこには間接税反対と書いてありますが、やはり全体として見ますと、いまの御答弁で大体私の感じと合っていることは、わが国の税負担はよその先進国に比べて若干低い。ところが、大衆は非常に税金が重いと感じている。ことに中小企業の方々は非常に重いと感じているということです。
それからもう一つは、間接税はだんだん各国とも割合が下がる方向である。その中で、私がさっき申しました大法人の税金の国際的な比較を見ると、実効税率はどういうふうになりますか。よその国よりか軽いですか重いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/266
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267・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 実効税率を各国と比較いたしますと、実効税率の比較はなかなかめんどうなのは、わが国におきましては配当軽課措置というのがありまして、配当いたしますと税金が軽くなるわけです。したがいまして、法人の配当性向によって税率が違うというちょっとやっかいなことになっております。それと同じようなことはドイツにもございまして、ドイツも標準税率が五一でございますが、配当をいたしますとそれに対する税額は一五%になるというようなことがございます。そこを調整してお話を申し上げます。実効税率といたしましては、わが国の一番商い税率は年三百万円超で、実効税率といたしまして事業税、住民税を加えまして四三・七九でございます。この場合には三割配当したという前提でございます。アメリカは州付加税等を加えまして五〇・七一でございます。イギリスは御承知の新しい法人税で四〇%、それから西ドイツがこれもやはり三
〇%配当をいたしたものと仮定して計算をいたしまして四九・三二、フランスが五〇ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/267
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268・広沢賢一
○広沢(賢)委員 その問題も今度また租税特別措置でもって検討しようと思います。それはいろいろとこの基準のとり方で違うと思うのです。たとえば国際比較を、やはりさっきの秘密資料によると、いろいろ出ておるのは、いろいろ計算し直すと違う点があるのです。それですから、あとでもう一回検討しますが、私が見たところでは、国際的に見て特に大法人は低い。よその法人税よりか低いという計算が出るのです。これは一般の本にも、日本の法人税の実効税率が四六・六%で、外国はなべて五〇%くらいになっておるということがあるのです。これはあとでお互いに検討したいと思います。
そこから私が結論しますのは、日本ではやはり法人税が、大きな法人が非常に優遇されている。それが過去と比べると、法人税全体ですが、法人税の割合が年々低くなっておりますね。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/268
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269・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 一時法人税の税率が低下したことはございますけれども、むしろ昭和二十五年以来法人税はずっと相対的にふえてきております。昭和二十五年当時は国税の所得税が五〇%程度であり、法人税が一五、六%であったと思いますが、その後昭和三十二年に所得税がちょっと減税をいたしました際に、初めて法人税が所得税を上回ったわけであります。その後ほとんど同じ率を維持しております。ただ四十年、四十一年にだいぶ減りまして、また所得税に追い越されましたが、四十三年度の見込みではまた法人税が主位に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/269
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270・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それもまたあとでよく割合を——どうも数字というのは一方的に信用することができなくなってしまったきょうこのごろなので、だからこれはお互いに検討したいと思います。
そこから、私は重要な問題がある。たとえば八幡製鉄の場合をあげます。これは名前を個人別にあげるとなかなかお答えが十分でないと思うのですが、三十七年度の決算の法人税が六億三千万円、実効税率が八・五%、これは変だなと思ったのですが、ところが有価証券の証券がありますね。それのいろいろなことから計算すると八・五%というのです。これは私もなかなか信じがたいのですが、学者がそう書いているのです。これも一回御検討になったらいいと思うのです。そうすると、政治献金を含む寄付金が六億六千万円だから、大体法人税と寄付金が同じくらい、それ以上になる。それから四十年度の交際費が十四億七千万円、これは有名な交際費で、この政治献金については訴訟が起きたのですが、そういうような状態を考えると、先ほど私は四〇%と言ったけれども、これはこれはよく考えますとやはりずいぶん違うのじゃないか。もう一つの資料によります引当金、準備金、あるいは特別償却等を引いて法人税三五%をかけると、実効税率は大企業が二〇%、中小企業の税率の年三百万円以下の二八%より低いという数字が出るのです。これはどうしてこういうふうになったかというと、私は一つは租税特別措置に基因しているのではなかろうかというふうに考えますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/270
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271・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいまの数字でございますが、引き当て金、準備金を加算して所得をやり直して計算すると二〇という意味だと思いますが、その場合大法人全体でございましょうか、特定の大法人でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/271
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272・広沢賢一
○広沢(賢)委員 大企業です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/272
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273・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 大企業全般といたしますと、特別措置の額自体がそれほど大きくこざいませんので、二〇%ということはあり得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/273
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274・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それではこれもまたゆっくりと検討いたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/274
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275・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 できればその原曲を教えていただきたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/275
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276・広沢賢一
○広沢(賢)委員 あとで教えます。
そこで先を急ぎますから。そうしますと、この次に検討する内容にも入ってしまいましたけれども、全体として大法人に対する課税の軽減が相当なされている。その軽減が結局ひいては内部保留の充実——いいことはいいですよ。だけれども、内部保留の充実になって、それが金融引き締めや何かのときにきかなくなる一つの原因だと思いますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/276
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277・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 特別措置のうちには累積的なものがございますが、これは取りくずし原因が生じない場合には留保になってまいります。そういう形の特別措置は現在輸出海外市場開拓準備金というものがございますが、これはそれほど大きいものではございません。その他本法によるいわゆる退職給与引当金とか貸倒準備金は相当の額にのぼりますけれども、これは特別措置とはいえませんから、それほど特別措置によって大きな留保ができたということはないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/277
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278・広沢賢一
○広沢(賢)委員 まだ一ぱい質問があるのです、私の持ち時間はまだ十分あるわけですから。これを次に回すとすれば次に回していただきたいのですが、次の日に一番目にやらせていただきたいと思うのです。なるべく委員長に審議協力いたします。
あと、今度資料提出してもらいたい問題点でいろいろあげますが、これはここにも書いてあるのです。四十年度の法人規模別利用状況を見ると、租税特別措置による準備金、特別償却等の利用状況は、資本金一億円以上が七一%、一億円以下一五%、一千万円以下一四%で、比較的中小企業の利用率が高いと見られる価格変動準備金にしても、一億円超が六七%、一千万円以下が一〇%にすぎない。このことが一つ。それからもう一つは、利子配当の軽減措置でもって、それはさっき申しましたが、架空名義の預金や無記名預金の利用の状況、これもわからぬと思いますが、次のときに答弁を用意しておいていただきたい。何か数字を推計できるものがほしいのです、そうじゃないと……。やはり重要ですからね、笑いごとじゃないのですよ。
それからもう一つ、株式分布状況を見ると、これは租税特別措置じゃありませんが、法人株主が五三%、その受け取り配当は益金不算入になりますね。巨額な一種の非課税の措置になると思うのです。そういうことになるでしょう。非課税といったら、これはことばのやりとりだからあれだけれども、何か得をするわけですね。得をしないですか。受け取ったその配当は益金不算入になるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/278
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279・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいまの点でございますが、お説のとおり法人税の場合、配当は本来ならば利子と同じで株主に払う報酬でございますが、これは利益の中から払うという意味で損金不算入、ですからそのかわり受け取ったほうは益金に入れない、つまり片方の法人の利益に対して、利益を分配するのにそれを課税をしてしまいますから、受け取ったほうは課税をしないで、二重課税を排除しておるわけであります。必ずしも得とは言えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/279
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280・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私は法人利潤税のことを引き出すために聞こうとしておるのです。法人擬制説とか実在説という問題でとらわれて言っているのじゃないのです。ただ金額が見つけたいためなんです。そういうものがあればこの次までに用意していただきたいと思います。
その次に入ります。そうすると、まず第一番に泉国税庁長官にお尋ねしますが、泉国税庁長官は、金融財政事情という本の中に、「税制についていえば、所得税の累進負担が低所得者のところで急激となっており、所得が増加すると税負担が急激に増加することになっているので、諸控除を引き上げ、累進税率を緩和する必要があろう。」こういっておられますが、やはりいまでも変わりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/280
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281・泉美之松
○泉政府委員 税制としてはいまでもそういう考えを持っております。ただ、税制をそういうふうに持っていくことができるかどうかということは、財政事情全般の状況によってきまるわけであります。私は、税制としてはそういう方向が望ましいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/281
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282・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私は、税金の方からいえば、法人利潤税にすればうんと取れると思うのです。
もう一つは、「担税力に即応した税負担が実現しうるのに、利子、配当の特別措置等があって、総合課税に程遠いといった点も是正する必要があろう。」これも非常にいい意見だと思うのです。やはりりっぱだと思いますね。
その次は、「法人税についても、大法人と中小法人との負担の権衡について論議の多い点も是正する必要が痛感される。」というのは、やはり大法人が有利であるとお考えのためにこのおことばが出たんだと思いますがどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/282
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283・泉美之松
○泉政府委員 必ずしも大法人が有利だからという意味ではないのでありますが、ただ御承知のとおりドイツあたりですと、法人になるには資本金が一定額以上でないと法人になれないようになっておりますが、わが国の場合には株主が七名以上あればどんなに資本金が小さくても法人になれるということになっておるわけであります。そういう点から百億円をこえるあるいは一千億円をこえるような法人と、資本金がわずか二十万円、三十万円という法人とを同じ税法で律するところになかなかむずかしい点があるのではないかというようなことで、これはまあそれじゃ具体的にどういうふうにするかということについてはいろいろ意見があるわけでありますけれども、中小法人の場合には、むしろ個人と同じような課税をするのが望ましいのではないか、大法人というものこそほんとうに法人税としての適用を受けてしかるべきものではないか。こういう点からいって、わが国のいまの法人擬制説的な考え方に基づく全部をひっくるめた法人税課税という点に問題がありはしないか、こういう考えを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/283
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284・広沢賢一
○広沢(賢)委員 わかりました。これもいい御答弁ですからあとでいろいろ検討することにしまして、泉さんが「税務職員についても、納税者に親切に応対し、納税者に有利になることは進んで教えるように、」「税務の知識だけでなく、」「立派な社会人となるようにする必要がある。」ということを述べておられます。
それから税務運営方針でこういうことが出ております。「査察の対象としては真に社会的非難に値する悪質なものを選定する。査察官は、厳正な規律を保持し、」云々で「仕事の遂行にあたっては、行過ぎにならないように配慮し、常に国民感情の支持を受けるように努める。」というのですね。つまり、社会的非難に値する悪質なものの問題について、同和信用組合のことをこの間御質問いたしました。それで私が納得のいかない点をもう少しお聞きしたいと思います。
そこで、これはお互いに調査をして、それから正確なことを判断しようということのお約束でした。この同和信用組合というのは脱税しているわけではないのです。これは普通の信用組合なんです。そうして取引先五件の問題を問題にしましたが、国税庁長官にお伺いしますが、この間のは、上野の支店の状況についてばかり話がありました。ところが、本店も武装警官と査察官が数有名来たのですね。三和企業と本店には取引関係があるかどうか、御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/284
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285・泉美之松
○泉政府委員 お話しのとおり、同和信用組合は、その信用組合自身の脱税の容疑で査察調査をいたしたのではないのであります。その取引先の脱税容疑に関連いたしまして、金融機関として取引があるということで、令状を持って捜索、臨検したわけでございます。いまお話しの三和企業につきましては、当初本店の取引先にあるということで、令状を請求したのでありますが、調査の結果、同じ三和企業でありますが、名前は同じでも、実体が違うということが判明いたしまして、三和企業は本店との取引がないということが判明いたしました。ただ、上野支店とは取引があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/285
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286・広沢賢一
○広沢(賢)委員 その本店と取引関係がないところですよ。それなのに、その本店をそういうふうに武装警官や何かで襲っていくということは、これはさっきも言われた税務方針と違うのです。
それから、審議を早くするためにずっと例をあげます。全部ここにありますから、これは一々筆記されないでもよいです、お渡ししますから。全部調べて後々調査していただきたいと思います。
申し上げます。
新宿企業、これも任意調査段階ですべて調査済み、国税局でもこの件に関して、よく協力したという答弁があった。それから、金年珍さん、本店に取引関係はない。松本裕商事、本店に取引関係はなくて、上野支店の取引、それも四十二年九月、東京国税局の査察官要求どおりにいろいろの資料を提出。それから李五達さん、本店に取引関係なし。そのほか、東京国税局は、一月二十三日、方元俊関係でリコピーした数十人の元帳写しを持ってきて、営業部長の捺印を要求している。その内容はすでに任意調査の段階で積極的に協力し、明らかになったものだから、本人に対してはすでに更正が決定されている問題である。これについてもそういうことがいわれている。
そのほか、読み上げます。
同和信用組合が税務調査に協力している事例。四十二年九月松本裕商事、東京国税局要求どおり提出。四十二年十月、谷口哲義の件については仙台国税局査察官岡村、竹村氏に要求書どおり提出。四十二年十一月、金沢縫製株式会社の件、松戸税務署調査官加藤、石丸氏に要求書類どおり提出。四十二年十一月、南吉次郎の件、葛飾税務署調査官と話し合い、後連絡なし。四十二年十一月、鄭根菜の件、渋谷税務署書類どおり、リコピーにて提出。それから四十二年十一月、村井産業の件、神田税務署元帳等確認。四十二年十一月、加来の件、麻布税務署要求書どおり提出ということです。
以上の点から、いままでずっと任意調査に協力しており、しかもこの本店とは関係ない、そういうところまで入ってきてこういうことをした、これは越権行為であろうと思います。いかが思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/286
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287・泉美之松
○泉政府委員 いまお話のいろいろな点につきましては、調査いたした上でお答えしたいと思います。
私のほうも、金年珍さんとか、あるいは松本裕商事が、本店と取引がないことは承知いたしております。したがって、この両者については本店に令状を請求いたしておりません。
それから、方元俊につきましては、当座取引はないのでありますが、普通預金口座に入金がいろいろありますので、本店に令状を請求いたしまして調査いたしております。このほうは、従来の調査がございましたので、すでに本年一月に告発済みであります。
そのほか、いまいろいろお話がございました各納税者につきましては、従来同和信用組合がそういう協力をされたということでありますが、まあ、協力していただいた場合もあろうかと思いますが、私どもが令状を請求いたしましたこの五名の方につきましては、なかなか協力が得られなかったのは事実でございます。
それから事実を御訂正願いたいと思いますが、昭和四十二年の十月に仙台の査察官、こういうお話でございましたが、これは査察官ではございませんで、実査官でございます。その点を直していただきたいと思います。
そのほかの分につきましては、いろいろあるようでございますから、調査いたしました上でお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/287
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288・広沢賢一
○広沢(賢)委員 大体、本店にあまり関係がない事件が、本店までそういうふうにたいへんな取り扱いを受けたということについて、たとえばこう行いうことが必要じゃないですか。強制査察をなう以前に理事長に、税務調査に対する非協力に対して警告を行なうとか、それでも協力しない場合には、金融機関の公共性を重じて、たとえば信用組合ですから、東京都の管轄ですから、東京都に連絡をとって、何らかの警告をやったというようなことはないでしょう。そういうことをしていないのですね。そういう点についてはどうですか。東京都の金融課を通じてやったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/288
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289・泉美之松
○泉政府委員 お話しのように、金融機関に対する調査につきましては、その公共性ということも十分考慮して行なわなければならないと思います。しかし同時に、われわれが脱税の容疑で査察立件いたしておりますものの所得の内容を解明する必要もまたあるわけであります。したがって、ぐずぐずしておりましてその資料をなくしてしまわれるということになりましてもまた困ります。そういう点からいたしまして、捜索いたしました当日、午前中に任意に提出していただくようにお願いしたのでありますが、任意提出がありませんので、午後に強制捜査に踏み切らざるを得なかったのであります。その場合に、金融機関であるから監督官庁である東京都を介してというような御意見もおありになろうかと思います。しかし、信用組合に対する都の監督というのは、御承知だと思いますけれども、あまりたいした監督が行なわれているわけではございません。したがって、われわれとしては犯則調査のほうに重点を置かざるを得なかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/289
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290・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それでは、三菱銀行とか三井銀行にそのような処置をとったという答弁をしますか。これはできないと思うのですよ。だから、やはり一庶民の零細な信用組合であったり、もしくは朝鮮の人たちが寄り集まって生活を助け合う、そういう信用組合だからこそそういうことが言えると思うのです。三井銀行、三菱銀行に対してもいまの答弁をそのまま言えますか、国税庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/290
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291・泉美之松
○泉政府委員 従来、査察調査に関連いたしまして、金融機関に令状を提示して協力していただいた事例は相当ございます。したがって、三菱銀行の支店等におきましても令状を執行した場合がございますが、ただ、その場合には、令状をお見せすると任意に協力していただくのが普通でございます。したがって、令状をお見せするだけでも任意に協力していただけますから、強制捜査に踏み切る必要はなかったのであります。実は、金融機関におきまして、実力をもって抵抗されて、強制捜査をせざるを得なかったのは同和信用組合が初めてでございます。それまでも令状執行をいたしました金融機関の数は相当多うございますけれども、その場合には令状をお見せすると全部任意に協力していただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/291
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292・広沢賢一
○広沢(賢)委員 審議促進を催促されましたから、二点だけお伺いします。
一つは、たとえばこの前、本店のことはあまり対象にしないで長官は言われておりましたが、その本店は、もうほとんど強制捜査をして、書類などを押収した。まず警官隊がばあっと金庫へ入っていって、目録を作成するようなそんな人間じゃないのです。そこにいた職員というのは、女子職員を含めて四、五十人程度、女の人のほうが多いのです。これは確認しました。それを急にやって、その中から一つ不祥事が出たのです。それは、預金係の女の子の机の中から組合員李さんの当日の当座預金から引き出した現金一万七千四百円入りの現金袋が紛失したままになっているのです。詳しく言うと、机の中の書類一切を警官隊が段ボール箱の中に全部入れてしまった。その中に現金があるといって女子職員が注意したけれども、警官はあとで目録をつくるからといってそのまま押収して持っていってしまった。そのまま現金が出てこないのです。ここにその振替伝票の写しがあるのです。こういうようなひどいことをやっているのです。だから、そういう点についてもっと十分配慮しなければいかぬと思うのです。行き過ぎであるかどうか。こういうことは今後しないほうがいいということをはっきり言っていただきたいことが一つ。法務委員会でも、長官の答弁は行き過ぎがあるということを認めているのです。
今後のあり方として、今度は銀行局長に聞きますが——きょうはいないですね。もう一つの問題です。大蔵省銀行局長より全国銀行協会連合会長に対する通知というのがある。昭和二十六年十月十六日「預貯金等の税務調査に対する協力について」「最近における貯蓄増強の重要性にかんがみ……爾今預貯金等に対する税務調査は真に已むを得ない必要最小の範囲に限定」する。もう一つ、昭和二十六年十月十六日の、これは国税庁長官より各国税局長あてに通達したのに入っているのですが、「直接金融機関について調査を行はなければならない場合は、……普遍的に個人別の預貯金の調査を行うようなことは、これを避けるよう管下各税務署に徹底されたい」これは当然だと思うわけです。そうすると、普遍的に個人別の預貯金の調査といいますか、もう、ずいぶん返ったとはいいながら、ほとんどの帳簿とかそれからいろんなものをずっとあげている件数はたいへんな件数です。全部ありますけれども、そういうものを持っていってしまって、リコピーを全部やってしまったということで、非常な不安を起こしているのです。そうすると、この通達と抵触するようなことが行なわれたらそれを断固として取り締まる。国税庁長官は絶対にそういうことをしないということについてはっきり答弁していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/292
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293・泉美之松
○泉政府委員 おことばではございますが、同和信用組合の本店及び上野支店につきまして強制調査をいたしました際には、まず査察官が入りまして、来意を告げて、その令状の対象になっておりまする五つの個人及び法人についての預貯金の状況についての資料を得るようにいたしたのであります。ところが、相手方が実力をもって抵抗し、また査察官が押収しようとする書類を取り返そうとする動きが出ましたために、やむを得ず警察官を導入したのでありまして、初めから警察官が行ってそれを押えたというのではございません。事実についてひとつ御認識をいただきたいと思うのでございます。もちろん、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、金融機関は金融機関としての公共性がございますから、令状を執行して強制調査をするということでなしに、できるだけ任意に協力いただくというのが望ましいことだと思っております。今後ともそういうふうな方向で金融機関の協力を得たいと思っております。ただ遺憾ながら、実力をもって抵抗されますと、私のほうもやむを得ず強制調査に移らざるを得ないのであります。したがって、これは金融機関のほうにおいても十分それに協力していただくようにお願いするほかはないと思うのであります。
第二点の銀行調査につきましては、お話しのように国税庁長官通達を出しまして、預貯金をしておる人にいたずらな不安を起こさせることのないように、したがって、預貯金についてはその預貯金の秘密性ということを考慮し、普遍的な調査は避ける、そして個別の脱税をしておる者の名前をあげ、あるいは仮名取引きの場合がありますから、それが仮名である場合におきましても、それに実在の人に関連する預貯金を調査するというたてまえをとっておるわけでありまして、同和信用組合の場合におきましても、先ほど申し上げましたように、五つの個人及び法人につきましてその取引関係を調査するつもりで査察、強制調査に入ったのであります。実力をもって抵抗されましたためにやむを得ず、できるだけ五つの個人及び法人の取引関係の書類に限ろうといたしたのでありますが、必ずしも十分にそこが限れなくて、そこにありました書類を国税局のほうに運ばざるを得なかったという事情があるのでありまして、その後、先ほどは全部リコピーしたというようなお話がございますが、われわれのほうではあくまでも対象になった五つの個人及び法人の取引関係をリコピーしておるのでありまして、したがってそれ以外のものについてリコピーをしておるわけではございません。したがって、私どものほうとしては、こういう事態が好ましい事態であったとは思っておりませんけれども、実力をもって抵抗されたためにやむを得ざる措置としてとったものであります。今後こういうことが繰り返されることがないように、金融機関のほうにも協力を得たいし、またわれわれのほうとしましても、今回の事件にかんがみまして、査察、調査のやり方について十分考えていきたい、このように思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/293
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294・広沢賢一
○広沢(賢)委員 事実はずいぶん違うのです。この間と同じなんです。誤認しているのです。私は直接本店に行きまして、石野久男そのほか五名の議員と一緒に行って、全部綿密に調査したのです。だから、あなたのおっしゃるのと事実は違うのです。女子職員を多く含くんだ四十名の人たちが何も抵抗することはないのです。
〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕
しかも、そこにだれもかけつけてはいないのです、本店はさびしいところですから。それで入り来なりに警察官が金庫を押えたのです。そういう点の——いま首振りましたが、それでは今度参考人としていろいろやりましょう。それじゃ、本店にいた警官とか査察官でもってかすり傷を負ったり何かした人がいるかどうか、調査をしましょう。それじゃ、首振ったあなたは実際にその現場にいたのですか。だから、そういうことは長官はよく調べまして——これはまだ重大な疑いがあるのですが、あまり詳しくやると、審議促進の上で渡辺さんももうと言っているから、事実の問題については税制の小委員会でもう一回やります。
ただし二点あります。それはどういうことかというと、いま泉長官が言われました——たとえばうちの横山委員に法務委員会でもって答えていますが、これはやはり行き過ぎであったと認めていますね。そういう答弁をしていますね。それからそのほかの、たとえば泉政府委員のあれでは、「非常に遺憾に思っておるような次第であります。」堀内さん、これは人権擁護局長、それから進藤政府委員、法務政務次官、これもやっぱり「不当なことが今後ないようにさせたいと思う次第でございます。」と答えております。したがって、この場合は率直に、やっぱり泉長官としては自分が出した通達のとおり、やはり金融機関に対しては今後そういうことをしないということと、それからこの事実の誤認については、これは小委員会でやるとして、もっと詳しく調べていただきたい。たとえば、いまのお金の問題ですね。女の子が現金袋があると言ったが持っていってしまったというお金の問題だって、一つも解決していないのです。これはわずかの、一万円がわずかかどうかわかりませんが、これが問題だと言うのじゃないんです。こういうような査察、それから現金から小切手まで持っていくような、そういうようなやり方が許されていては、幾ら税務運営方針でそういうことが書いてあっても、これは全く砂上の楼閣です。たとえばここにも大阪地裁で税務署員が、これは秘密漏洩罪だといわれていたのが無罪になった。地裁があげておる。それからもう一つは、最近の中野の民主商工会に対する問題、これも民主商工会が勝訴しておる、訴訟に勝ったという点を考えますと、税務がきょう、ずっと長いこと話をされましたが、やっぱり、相当の問題をはらんでおるのです。泉さんのようにまっ正直にいろいろ答えていても、下のほうが朝鮮人に対する偏見を持っている。この間も、ずいぶん前にも私は質問しましたが、偏見を持った言動をする。それでそういうようにがむしゃらにやる。朝鮮人だと思ったらけ飛ばしたって何しても世の中の指弾を浴びないと思う、そういう態度が下の税務職員にあったら、問題だと思うのです。これは事実立証しているんだから。その問題については、民主商工会だとか朝鮮商工会だったらこれは何でもけ飛ばせ、け散らせというような大号令をかけるんではなくて、非常に親切に、やはり税金を納めているのですから、そういう措置をとるべきであったと思うのです。この点についてはあと小委会でやりますが、一言長官のまつ正直な御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/294
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295・泉美之松
○泉政府委員 先ほど現金一万七千四百円がなくなったというお話でございますが、この前はたしか十七万四千円がなくなったというお話で、これについて私どももいろいろ調べたのでございますが、差し押えした事実はないから信用組合のほうでもう少し調査してくれということを言ったら、信用組合のほうはその後何とも言ってまいらないというのが実情でございます。
それから、法務委員会で私が遺憾の意を表明したというのは、金融機関の強制捜査をしたということについて遺憾の意を表明したのではなくて、当日ああいう混乱になりましたために、本来ならば差し押え調査はその現場で作成して相手方に交付すべきものでありますが、それを現場で作成することができなくて、国税局へ物件を引揚げた後に差し押え調書を作成して交付したのは、事情やむを得ざる措置であったにしても、差し押えのやり方からいって適正を欠いておった、その意味で遺憾であるということを申し上げたのであります。金融機関を強制捜査したことが遺憾だということを申し上げたのではございません。しかし、先ほども申し上げましたように、金融機関につきましてはその公共性にかんがみまして、私どもといたしましてもできるだけ、そういう金融機関を強制捜査することによって預金者に無用な不安を与えるというようなことが起きないようにいたしたいと思います。また、金融機関としても税務について協力していただきまして、事柄が円滑に処理されるようにしていただきたいものだ、このように思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/295
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296・広沢賢一
○広沢(賢)委員 最後に、事実のあれがありましたから……。十七万四千円です。私の間違いです。十七万四千八百円、これは振替伝票にはっきり出ています。それでこっちのプリントが一万七千四百円になっているのは間違い。これは全部つけて長官にお渡ししますから、なお詳しく税制小委員会でやりたいと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/296
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297・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次回は、明後二十一日木曜日、午前十時より理事会、十時三十分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01119680319/297
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