1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月二十六日(火曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 田村 元君
理事 金子 一平君 理事 原田 憲君
理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君
理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君
大久保武雄君 奥野 誠亮君
河野 洋平君 小山 省二君
笹山茂太郎君 四宮 久吉君
砂田 重民君 地崎宇三郎君
西岡 武夫君 古屋 亨君
坊 秀男君 村上信二郎君
村山 達雄君 吉田 重延君
阿部 助哉君 井手 以誠君
佐藤觀次郎君 中嶋 英夫君
平林 剛君 広沢 賢一君
広瀬 秀吉君 武藤 山治君
岡沢 完治君 河村 勝君
有島 重武君 田中 昭二君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
出席政府委員
大蔵政務次官 倉成 正君
大蔵省主税局長 吉國 二郎君
大蔵省理財局長 鳩山威一郎君
大蔵省銀行局長 澄田 智君
国税庁長官 泉 美之松君
通商産業省貿易
振興局長 原田 明君
委員外の出席者
大蔵省主税局税
制第一課長 大倉 真隆君
専 門 員 抜井 光三君
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三月二十六日
委員岡沢完治君及び広沢直樹君辞任につき、そ
の補欠として西村榮一君及び有島重武君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員西村榮一君辞任につき、その補欠として岡
澤完治君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
物品税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第五号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/0
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001・田村元
○田村委員長 これより会議を開きます。
物品税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありまますので、順次これを許します。広沢賢一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/1
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002・広沢賢一
○広沢(賢)委員 きのうの続きですが、質疑をどんどん簡単にするために、貯蓄の奨励から入ってまいります。
貯蓄の奨励については、この間広瀬委員が言ったとおり、たとえばマル優ですね、その制度でくふうしなければこれはわからないという問題もあります。したがって、これについて全部明確にすることはできないと私は思います。しかしながら、この貯蓄の奨励が高額所得者に有利なのかそれとも低額所得者に有利なのかというめどだけはつけなければならぬと思います。中立というのは私は全く不親切な説明だと思うのです。めどを立てるのにはどういうことがあるかということで、いろいろくふうしました。大蔵省からよこした資料の貯蓄動向調査報告でいろいろと一世帯当たりの貯蓄額の階層別の調べを基準にしますと、大体高額所得者と低額所得者のけじめをどこへつけているのか、これはまた議論の種ですが、月収五万円の人がボーナスを含めて大体七、八十万円、このランクでもって、以下と以上を分けますと、大体三対十一になるのです。以上が十一、以下が三という割合になりました。そこで、少額貯蓄利子の非課税を検討します。そうすると、国民の一世帯当たりは平均して大体七十八万円くらい。だから百万円というと高過ぎて相当の水準以上の人も利用できる。したがって、これは零細貯蓄者ばかりでないわけですね。それで、それをいろいろと案分しますと、以上が四百四億、以下が百九億になるのですが、これは一つのめどでいますぐ計算するというのは無理ですが、大体月収五万円くらいの範囲でいうと、それ以上の人がやっぱり有利になるという判断をしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/2
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003・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 現在の課税最低限から申しますと、七十万円というところをめどにされるのは課税者としてはちょっと低過ぎるのではないかという感じがいたします。いまの貯蓄動向調査でごらんいただきますと、大体百四十万くらいの所得者のところが、平均貯蓄保有高でまいりますと少額貯蓄対象預金等で百万という数字になっておりますから、大体百四十万くらいの所得者のところが百万円になる。それ以下はやや少なくなる、それ以上はそれをこえてもう少額貯蓄は働かない部分が大部分になる、こういうふうに私ども考えておりますので、七十万というのはちょっと低いのではないかという感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/3
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004・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それで、百万円にしましても百万円以上の人が非常に有利になりますね。これだけ見ていて、数字はまだ計算しないとしても、ちらっと見ただけでも有利になりますね、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/4
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005・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 有利になるという点は、百万円までできるとすれば、百万円以上持っておる人が有利であるという意味ではそうだと思います。ただ、持っておる貯蓄が全部やれるという意味では、下のほうは全部適用になりますが、上のほうは部分的にしか適用されないのでその意味では不利であります。上のほうは何分の一とかいうことになりますから、そういう意味の権衡も考えなければいかぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/5
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006・広沢賢一
○広沢(賢)委員 どんどん飛ばしますが、その次の生命保険料の控除も五百億、これをさっき言った七十万円もしくは百万円の基準でやりますと、これももちろん高額所得者に有利になります。七、八十万円の基準でいいますと、大体生命保険料のあれでは三百五十四億と百四十六億というふうに分かれます。これは例ですが、大体生命保険も同じですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/6
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007・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 その傾向としてはどうしても上のほうが多くなるという点では同じだと思っております。
〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/7
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008・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうすると、利子所得の分離課税、これはもう明らかに高額所得者に有利であるということはいえますね、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/8
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009・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 利子所得の場合は、分離課税は少額貯蓄と違いまして頭打ちはございませんから、やはりそのほうが有利であるということはいえると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/9
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010・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうすると、配当所得の課税の特例、これは何しろ今度は二百三十六万円までの四人世帯は無税になる。勤労者は住民税を含めて四十万円までで、これから税金がかかるということですから、これは圧倒的に高額所得者が有利であるというふうに考えて差しつかえありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/10
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011・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは私は異論がございます。御承知のとおり、法人課税については、まだ解決をしない二つの考え方がございまして、法人の所得に課税する場合に分配利益まで所得にして課税するということは、すでに株主に対する課税をやったことである。したがって、株主に個人所得の課税をする場合にはその分を控除すべきであるという考え方は、世界の半分の国が採用しております。日本もその考え方をとっております。そういう意味では、二百三十六万円まで非課税と申しますけれども、それに対する給与所得者の課税は四十万円と申しますが、二百三十六万円に対しては、法人税で百万円以上の課税が行なわれておりますから、そういう意味ではものの考え方としては、すでに税金がかけられているという考え方でいまの法律はできております。ですから、その考え方をとる限りは、この点はむしろ法人税の立て方、株主はすでに課税になっている、源泉課税を受けているという考え方になりますと、その比較はできないという点はございます。ですから、ほんとうの意味の配当の特別控除、この租税特別措置で問題になる点は源泉選択の点だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/11
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012・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私は法人実在説と擬制説の討論をするわけではなくて、ここではだれに有利かという問題についての事実を確かめているわけでして、各国ともそれを採用していると言いますが、このごろはイギリス、アメリカなんかでも実在説の意見が非常に強くなっている。そういうことは除きまして、問題は、だれに有利かといったらば、それはやはり勤労者は株を持っている人は少ないのです。ですから、持っている人、それからそこまで優遇されているということについては、だれに有利かといったら、高額所得者に有利である。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/12
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013・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 そもそもが優遇されているということ自体から議論があるわけでございますから、高額所得者が株を持っていることは事実でございますけれども、株に対して配当控除があるのを、これが当然という考え方もありまするし、いまの制度は当然という考え方でございます。ですから、そういう意味では、有利、不利という問題は、この配当控除ではいえないのではないか、思想の問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/13
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014・広沢賢一
○広沢(賢)委員 大体その配当所得の課税の特例がどの階層に有利かどうかということを判定しないで——税調ではそういうものをいろいろ判定することになっているのですね。判定しないでいるということは、これはとてもとても私は大蔵省の怠慢だと思うのですよ。
で、ことに今度は政策効果のほうからいいますと、この配当所得の課税の特例については、けんけんごうごうたる非難の的なんです。つまり、この利子所得の分離課税でも、配当所得の問題でも、もう前から言っていますから簡単にしますと、ここにも表がありますが、利子の特別措置と貯蓄の増強と何にも相関関係はない。ここに表があります。それから配当所得についても同じなわけですね。株が非常に余っている、市場に余っていれば凍結しなければならぬし、だれも買わないし、投資信託にみんな信頼感を持たなければ、幾らこういうことをやったって、これは株は値下がるし、だれも買いに行かなくなる。よその外的条件でもって動くのですから、政策的目的効果というのは、これはほとんど確かめようがないし、これはでたらめじゃないかとよく言われている。そういういろいろな措置でもっていまお話ししました三百二十億の配当所得の課税の特例、これは地方税の分を含めると、もっと多くなると思うのですね。そうすると、全体として貯蓄の奨励等については高額所得者に有利であるという判定がいまの話の中ではつきましたね、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/14
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015・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは高額所得者も低額所得者も同じく利益を受けるわけでございまして、利益の受け方の程度は保有によって違いますけれども、受け方は同じであるということはいえると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/15
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016・広沢賢一
○広沢(賢)委員 おかしいですよ。だから一つ一つ確かめたんですよ。一つ一つ確かめたら、少額貯蓄はそういう傾向がある、生命保険もそういう傾向がある、利子所得の分離課税もそういう傾向があるというと、もう大半がそれですよ。あと配当所得の課税の特例といったらそれ以上に高額所得者に有利だ。それで全部判定すれば、ずっと有利であるという判定にならなければならぬのが、あとに戻ってしまうのです、それはちょっとおかしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/16
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017・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私が言っておりますのは、適用が同じである。そのうちでは、たくさんの金額を持っている人はそのまま適用になる——利子所得の特例の場合は、たくさん持っているほうが有利といえるかもしれない。しかし、頭打ちをしている少額貯蓄の場合は、保有している預貯金に対する割合からいえば下のほうが一〇〇%受けられる、上のほうは五分の一とか三分の一とかいうことにもなるので、有利、不利というのは、たくさん持っているという点では有利ということはあるけれども、制度としては同じである、こう言っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/17
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018・広沢賢一
○広沢(賢)委員 制度としてでなくて、総理が言ったときは金額を示して、それで中小企業に有利だ、こう言ったんだから、だから量としていえば、これは高額所得者のほうが有利である——有利というか量が多い。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/18
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019・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ちょっとお待ち願います。
いま言ったことで、私ちょっと誤解しておりましたが、総理が大企業と中小企業を分けましたのは、貯蓄関係はこれは全くの個人所得に対する問題なんで、企業と関係ございませんので、これを除いて計算をして、いわゆる企業に適用のある特別措置はどちらが多いかという計算をしたわけでございます。そういう意味では、個人の所得者というものは、その比較では比較になりませんので、それで除いたということでございますから、その意味ではまた……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/19
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020・広沢賢一
○広沢(賢)委員 租税特別措置の第一の項目にこれは載っておるんだから、だから私はやはり判定をしなければならぬというのでいまやったんです。これは大体片づいたと思いますが、その次に輸出の振興についてですが、その輸出割増償却二百五十二億、これは特別償却に入れて計算してありますから、これは除いて、あと技術等海外取引所得の特別控除、これも大体特別控除ですから、私は問題にしないで政府案のとおり見て、海外市場開拓準備金と海外投資損失準備金は、引き当て金、準備金に入りますからきのうの議論に入ると思いますが、これは洗いがえは毎年ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/20
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021・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 海外市場開拓準備金は積みますと翌年からその五分の一ずつをくずしてまいります。ですから、毎年積んだ分の五分の一ずつが翌年くずれる形で、五年たちますと、ちょうど前に積んだ全部の五分の一ずつがくずれていくというかっこうになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/21
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022・広沢賢一
○広沢(賢)委員 海外投資損失準備金はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/22
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023・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは五年間据え置いて、あとでくずすことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/23
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024・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それで今度は政策効果ですが、海外市場開拓準備金、海外投資損失準備金というのは、限定されている企業は主として石油だろうと思いますが、それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/24
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025・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 今回の改正は、海外における石油資源開発のためのものを入れたわけでございますが、従来のものはそうではございませんで、海外で企業をする場合の一般でございます。たとえば鉄鉱石というのもございますし、鉄工所というのもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/25
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026・広沢賢一
○広沢(賢)委員 輸出割増償却を見ますと、これは報奨金の性格が濃厚ですね。輸出をうんとやった人には税金をまけてやるということだから、報奨金の性格が強いと思いますが、これが納税公平の問題からいいますと、報奨金とか補助金の性格として、通産省でやったほうがいいんじゃないですか、大蔵省がそんなにひっかぶらなくてもいいんじゃないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/26
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027・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいまやっております特別措置の大部分は、償却と準備金の制度でございますので、これは補助金の形にはならないわけでございます。つまり、租税の繰り延べでくずせばまたもとへ戻りますから、いわば租税に対する利子補給をしているという程度でございます。昔は免税とかいうのがたくさんございました。免税はまさにこれは補助金でございますが、償却はあとにやるか前にやるかの話でございますし、準備金は先に積んだのをあとでまた課税されるかどうかの話でございますから、そういう意味では、いわば租税の支払いがおくれる期間の利子だけの特典であるということだと思います。そういう意味では、ちょっと補助金のつけ方ではむずかしいというものを租税のほうに持ち込まれたという感じが強いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/27
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028・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それで、この項目は全体としてこのとおりと見てもいいのですが、その他というのがありますね、二十五億、この内訳は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/28
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029・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 国際観光ホテルの耐用年数の短縮の関係でございます。それから外航船舶の登録税の免除、万国博覧会準備金等でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/29
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030・広沢賢一
○広沢(賢)委員 国際観光ホテルは、この間開銀でも問題になりましたけれども、これはいますぐ問題にしてやると時間がないから、次に技術の振興、設備の近代化の問題に入りますが、大体金額はこのとおりとしまして、スクラップ化促進のための課税の特例というのがありますね。これの中に、四十二条の四ですか、特定産業構造改善計画というのがありますが、前は明確に合理化の法律に基づいてやったけれども、今度は、特定産業構造改善計画という計画はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/30
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031・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 前の制度でございますと、合理化促進法に載っておる業種については、話を聞いて適当なものを指定すればいいという体制でございましたが、今度は、もうスクラップ化が一回済んで、その間にやらなかった企業をもう一回延ばすというわけでございますから、うんとしぼりまして、今度はその業種全体を通じて構造改善計画を持っておるという業種しか認めない、つまり業種全体の要求によってスクラップ化をするという体制がきまっているものだけを、いわばこれは政令ですから、閣議で指定をしてやる。ずっとしぼったわけです。従来の制度をうんとしぼって残すという、一種の整理をやったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/31
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032・広沢賢一
○広沢(賢)委員 具体的にいうと、石炭とか繊維があったけれども、その次に、特定産業構造改善で、具体的な業種をあげていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/32
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033・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この構造改善計画につきましては、通産省が指導しておりまして、そういう意味ではまだ構造改善計画はできあがっておりませんが、やろうということでいろいろ言っている業種目はございまして、大体六種目ぐらいが候補にあがっておりますが、そのうちで、構造改善計画がほぼできておる、まあだいじょうぶだというふうな、特定織布、特定紡績、この二つがとりあえずは指定の対象になり得るものだと考えております。目下、通産省ともいろいろ交渉中でございますが、四月中にはいま申し上げました六種目のうち幾らか、できるだけ指定したいと思っておりますが、前に比べますと非常にしぼることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/33
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034・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私はやはりこれは一つの減税だと思うのですね。ところが、その減税が、特定産業構造改善計画という計画でまだ業種がきまっていないものを見込んで、それでもってぴしっとこの国会で通してしまう、それで今度は具体的にあとでいろいろやるのだということでは、勤労所得者や何か非常にきびしいことをいろいろ要求されているにかかわらず、これはちょっと安易過ぎませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/34
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035・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは計画をきびしく査定をするためにいまだにきまっておりませんが、ここにございますように全体で三億でございますから、従来の額に比べるとはるかに減っております。そして大体構造改善ができそうな事業というのはめどがついておりますから、それをもとにして計算したので、これ以上のものはみんな切ってしまうという前提でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/35
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036・広沢賢一
○広沢(賢)委員 ほかにこういう例があると思いますが、やはり構造改善計画ということで具体的にどういうふうに詰めていくのだということの説明がなければ、これは安易な税制の審議になると思います。どだい、正直言って不満なのは、この二枚を出して——こういうふうなことは事実上の減税になると思う。その租税特別措置について、この二枚と、それから法案で片づけろ。法案を見ると、特定産業構造改善計画というのはぴしっと線が引っぱってあるだけということですから、それで審議が必要なんだけれども、やはりもう少し明確な資料が必要じゃないか、私はそう思います。
その次に入りますが、次は内部留保の充実、企業体質の強化という項目ですが、これはきのう議論した価格変動準備金とか引き当て金が非常に多うございます。したがって、これについては私のほうと数字が非常に食い違うわけです。この問題についてはあとでまたいろいろお話ししますが、政策効果の点で私がお聞きしたいのは、たとえばこの間も触れましたが、資本構成是正のための課税の特例というのがあります。これは三十七億というのはそのとおりだと思いますが、そのときの景気の動きとか何かで、これは始終資本構成率が違っています。除々にマネーフローが変わったからずっと高まってきた、こういうことですね。それが一番大きな原因でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/36
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037・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 残念ながら全体としては下がってまいっておりまして、いま資本構成が一八・何%というところまで下がっております。これを直すためにこれをやったわけでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/37
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038・広沢賢一
○広沢(賢)委員 だんだんマネーフローが変わってよくなったと思ったら、こういう金融引き締めで、設備拡張をばりばりやって銀行から金を借りる、だから下がってきた。そうすると、そういう大きな経済的ないろいろの要件がある、そういう要件でもって資本構成是正のための課税の特例をずっとふやしていっても、これは効果がないということが明らかになる。もっと大きな要件があるのじゃないか。そうした場合には租税の公平を非常に阻害する。こういう問題についてはもっと政策効果を洗い直す必要があるのじゃないかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/38
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039・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 全体がそういうふうな形で悪化するときに、借り入れ金を返したり、あるいは増資をしたりして非常に企業努力をして資本構成を直そうという意欲を植えつけるという意味でこれができているわけでございます。悪くなってない、よくなる方向をとっているときにつくれば、いわばウインドフォールになります。これは悪くなる状況になれば、食いとめようとする努力に対してやるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/39
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040・広沢賢一
○広沢(賢)委員 いつも議論しますとそういう議論になるのですね。政策効果があらわれないじゃないかというと、いや、そのために歯どめしているからだということになるのですね。だから、私が見るところでは、これも政策効果の判定のめどは一つもないのですね。だけど歯を食いしばってやっているということで、大体主税局長、ほかの要件ですね、そのほかの要件がぐっと大きく動く。設備拡張が過熱して、金融引き締めの効果が出るということになれば、これはぐっと変わって、そのほかの要件のほうが大きいと思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/40
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041・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 その要件が大きいことは事実でございます。しかし、これをやらない、やるによってまた違う。たとえばこの過去の実績を見ましても、四十一年の九月から四十二年の十月までの決算で、四百十八社というのがやはり努力をしてこの規定の適用を受けることができたわけであります。実際問題として借り入れ金を返すというようなことも、これは打ち明けて申しますと、この法人の中には、こういうことをここで言うのはどうかと思いますが、おまえ借りていろと金融機関にいわれたのを、この制度があるから私は返すのだということをいって、一生懸命資本構成改善に努力した会社もあるのです。いまの体制の中で資本構成をよくするというのは相当な努力を要するということは、裏からごらんになってよく御承知のとおりでございますので、四百十八社はこれを適用されたということは、この制度としてはかなり歯どめの努力をするものに対しての効果があるといえるのじゃございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/41
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042・広沢賢一
○広沢(賢)委員 つまり、個々についてそういう例はあると思いますね。じゃなければこれはやりませんから。だけど、国民経済全体としては、私は政策的効果は疑問であると思うのですよ。
さらに今度は、先へ行きますが、引き当て金の問題について、これはずいぶんありますから、議論があるのですが、たとえばここでは中小企業貸倒引当金は九十五億あるのですね。減税されたとあるのですよ。ところが、それじゃ大企業は貸倒引当金でもって減税されていないかというと、本法に繰り入れられているでしょう。そうすると、本法に繰り入れられたそういう問題については、これは出てこないのです。いまの企業会計は非常に資本蓄積に有利なような原則で、それでこういうものが本法に繰り入れられる。そうすると、これはもう租税特別措置からなくなる。この租税特別措置だけを見て大資本にどれくらい優遇されているか額はわからないと私は思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/42
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043・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御承知のように、貸倒引当金は、企業会計としてはむしろ個別の債権に対して見積もって個別に引き当てるべきだという考え方だ強いわけでございますが、それでは非常に紛争が起きるというので、過去の実績等をとりまして業種別に率をきめて引き当てを認めております。ですから、これは企業会計といいますか、企業の損益計算のたてまえから申しますと、売り上げが全部回収されるわけではございませんから、いわゆる当期業績主義から申せば当然この引き当てをとるべきなので、これは特別措置ではないと私どもも思っておりますし、これは企業会計上の特別措置ではございません。ただ、中小企業のものを特別措置に入れたのは、普通の程度の引き当てにプラスして、中小企業は資本蓄積が少ないから割り増しをしようということでやったために、この部分だけが特別措置として扱われておるわけでございます。ちなみに、先ほどの資本構成是正の特別措置は一億円以上の会社に適用になりますが、これはなぜかと申しますと、一億円未満の会社は増資ということをあまりやらないわけです。同族会社が多うございます。この制度をもしやった場合には、結局は大企業だけにいってしまうので、そこでむしろ一億円超に限って、一億円以下の会社にはこれの見返りに九十五億の中小企業貸倒引当金の割り増しという制度を置いたというのが当時の改正の趣旨でございますから、これはこの部分が特別措置であるというふうにお考え願う必要があるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/43
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044・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それじゃ本法に繰り入れる前の貸倒引当金はどういう性格なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/44
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045・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 貸倒引当金は最初から本法なんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/45
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046・広沢賢一
○広沢(賢)委員 全部ですか、一番初めから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/46
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047・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 はい。その引き当て金というものを一まとめにしてお示ししたものですから、それは全部特別措置のように一時考えられておりましたが、特別措置の示し方の整理をいたしましたので、貸倒引当金は最初から本法だ。その本法に貸倒引当金その他の引き当て金がございましたから、特別措置的なものは全部本法から特別措置法に移しまして、そうして貸倒引当金等は本法にそのまま残したわけであります。(「武藤(山)委員「本法のほうが幾らで割り増しのほうが幾らだという内訳を言わないとだめじゃないか」と呼ぶ)九十五億は割り増しだけです。
〔武藤(山)委員「本法の分は幾らか」と呼ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/47
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048・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 発言を求めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/48
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049・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうすると、ずいぶん前には貸倒準備金というのがありますね。これと二つ計上している会社がありますね。その差を説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/49
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050・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 従来は貸倒引当金とはいっておりませんで準備金といっておりました。その当時は、積み方も最高限度というものを置きまして、毎年積んで余れば増加していって、一定のベースまでは積めるというような制度であったわけです。そういう意味で準備金的性格があったのですが、今度は引き当て金で期末の売り掛けに対する何%増しかに洗いがえる完全なる引き当て制度に直したわけです。ですから。準備金時代は若干準備金的なにおいがありましたが、いまは全部負債性引き当て金という形になったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/50
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051・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それではその次にどんどん進みますが、社会開発の促進については、これは大体これを取り入れていいと思います。だけれども、問題はこういうことがあると思うのですよ。都市交通の緩和というのだけれども、これは私鉄に対する一種の助成金ですよ、どんどん乗り入れるから。これもこの私鉄の経理をどういうふうに見るかということですが、私鉄はいろいろこういう優遇措置をしなくたってどんどんきばをみがいて乗り入れるのですよ。もうその利権といろいろな問題については一ぱいある。東京でも大阪でもある。そういうものに十一億の租税特別措置をするということは、私は意味がないと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/51
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052・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは御承知のとおり、都市に乗り入れる場合は地下化するとかあるいは高架化しなければいかぬという規制をとって、都市交通の緩和、それから路面交通車の安全ということで、これは強制しておるわけでございますね。この施設としては、上を走るのが一番安くて、地下化すればその十数倍くらいの金がかかる。収益力のない施設を強制されている。これはやはり都市の交通緩和という要請からきておるわけでございます。そういうものをできるだけ早く償却させてやるという意味で特別償却をやっておるわけでございまして、これは収益がふえるためにやっておるわけではないわけであります。いわば一種のアイドル・アセッツというものに近いものですから、これは特別償却を認めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/52
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053・広沢賢一
○広沢(賢)委員 その問題についてはもう少しあとで一回話すことにしまして、今度はその次のその他という項目がありますが、その他の項目で、社会保険診療報酬とこの間お米の問題が出ましたが、これは手つけて来年やめるというまことに酷な話でして、これもいろいろ議論聞きますと、理屈が立たぬというのだけれども、理屈が立たぬのは、ほかの面も私聞いてみまして、たとえば資本構成の是正の問題その他でも、いまお聞きしたのではほかの要件がずっと変わってくれば理屈が立たないのです。これだってそうですよ。ここの問題で、お医者さんに単価の低いのをがんばってもらうために、医療制度を根本的に改善するために何とか——そのしわ寄せでこれができたのですから、そういう点ではこればかり整理統合のあれを集中するということはけしからぬ。てんでけしからぬ。今度の税法で出ている、たとえば価格変動準備金も、ほかのものと比較すれば中小企業者に利用率が高いのですね。証券取引責任準備金というものよりかずっと高い。これに対しては積み立て率をずっと引き下げちゃうのでしょう。これも、私は中小企業にかなりしわ寄せしているような気がするのです。吉國さんがこの間の答弁で、二十五年以降はインフレ状態だと言っております。これはいいことなんですよ、学問的に正しいのですよ。物価が上がっているときは——もともと価格変動準備金というのは値段が下がるときの用心ですから。それは卸売り物価の下がるものもあります、しかし全体を調べますと卸売り物価は上がっているのですよ。各国全部です。だから価格変動準備金についても、そういうことを厳密に考えれば、私はもっと考えなければならぬ問題があると思うけれども、しかし中小企業とか、お医者さんとか、そういうところにしわ寄せするというのは不賛成なんですが、それについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/53
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054・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 お医者さんとあまり関係がないと思うのです。この社会保険診療報酬の特例と申しますのが不公平であるという意味は、まず第一に一律二八%、しかもこれは申告しなければ適用になりませんから、二八%より所得が低い人はこれは適用しないのです。つまり、安ければ安いほどいいという制度なんです。しかも二八%以上の人はこれでやる、何%というふうに、お互いの差別が全く二八%で統一されておって、しかも、その中で非常に所得の少ない人はこれを適用しなければいいという、非常におかしな制度なんですね。
それからもう一つ、先生おっしゃたように、診療報酬の合理化がされるまではこれでやれということは、まさに特例措置をお認めになる思想だと思うのです。何かあるから税制で裏打ちしてやれという思想、特別措置はみなそうですから、これを認めるということになるとほかの措置もみな認めるということになりはせぬか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/54
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055・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私は特別措置を全部否定するというわけではないのですよ。それが主として大資本に非常に片寄っているという意味です。だから中小企業の特別措置は大いに歓迎ですよ。これはもっとやってもらいたいと思うのです。そういう意味では社会党の態度というのははっきりしております。
問題は、もう一つの特別措置、交際費ですね。交際費は全く理屈が立たぬ。これは理屈が立たぬばかりでなくて、悪評さくさくです。たとえば労働者が人手不足対策で方針を出しました。その方針は、キャバレーとか、いろいろそういうところの浪費の産業に非常に人手がさかれる、それはいけないから交際費を縮めろというはっきりした方針でありますが、それについてどういうふうに思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/55
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056・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私は、交際費を乱用することはいけないと思います。さればこそ、本来ならばこれは経費のはずでございますから、昭和二十七年までは経費として総損金に全部入っていたわけです。それをだんだん否認してまいりましたのは、交際費の乱用、ことに社用消費的なものがのっておるということから、否認を始めたわけです。経費として支出しちゃった企業としては、少なくとも外へ出ちゃったもので、損金なんです。それをだめといってもう一回税金を取るわけですから、これは相当きつい措置なんです。それを毎年強化してまいりまして、御承知のとおり、いまでは前年の五%以上使ったものは全部アウトということにして、今度は逆に前年より減らしたら、その減らした分だけ否認額から引いてやる。減らすのを奨励だぞという措置をとっておる。ですから、そういう意味では、これは去年やったばかりでございますので、これをよく見きわめてその考課をやっていかなければならない。ただ御承知のとおり、この規定は来年三月に切れます。切れますともとへ戻って総損金になっちゃう、これはたいへんなことだと私は思いますから、これは特別措置を継続すべきだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/56
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057・広沢賢一
○広沢(賢)委員 吉國さんともあろう人が……。いろいろ新聞で見るといいことを言っているのですよ。ところが、いまの御答弁、全然反対ですね。なぜかといいますと、大体いま交際費に税金がかかっているのは、ここに出ているとおり約四、五百億ですね。五千七百億という巨大な交際費があるのですよ。これはもう新聞の投書欄に一ばい出ているのです。この間村山委員が御質問しましたが、 つまり国民の納税意欲、子供の正直さ、政治に対する信頼、こういうものをこの交際費がめちゃめちゃにしているのです。イギリスは交際費が全額課税になることは御存じだと思うのですけれども、そうすればやはりもっと交際費に課税すべきである。これはあたりまえなんです。
もう一つ問題は、吉國さんが、交際費の課税を一挙にやってしまうと、取りくずしたらたいへんになる、世の中がひっくり返ると言うけれども、私はそうは思いません。それはお役所でもって一つかたまってしまうとそういう考え方になるのだと思いますが、やはりこれは三年なら三年の年次計画で全部ほとんどなくしてしまうとかいう具体的な措置があります。これをなくすという方向を出せば、国民は政治に対し信頼し、税金に対して信頼する。その中で暫定措置をやればいいのです。ところが、そういうことをやるのはたいへんだから、ここで交際費は全部あれするのじゃないということでがんばっちゃうのだったら、国民は政治に対する信頼、税金に対する信頼は持てないのです。だから、ここで大胆に、交際費はやはり二年後、三年後にはこういう措置でもってなくするのだという方針を立てられるほうがこれは政治だと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/57
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058・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ちょっと誤解があるように思います。この特別措置は、普通の特別措置と違って、増税なんでございます。否認をするわけです。それが切れますと増税がなくなっちゃうからたいへんだと私は申したのです。これは本来損金のものを否認する特別措置ですから、これだけはプラス五百億なんです。それが切れるのです。ですから、それは困る、もう少し否認しなければいかぬということを申し上げたのです。
それからもう一つ。交際費の支出額のうちの七割は中小企業です。ところが、否認されている大部分は大企業です。たとえば、支出した交際費のうち否認された割合を見ますと、大体五百万円とか百万円のあたりの法人は五%ぐらいしか否認されておりませんが、十億円以上の法人は四三%、つまり半分は否認されているわけです。それ以上の法人はそれよりもっと否認されておりますから、実際の制度としては、交際費の支出額は中小企業が六、七割を占め、否認額の大部分は大企業である、こうなっているわけでして、もしもこれを全部否認するとなると、中小企業はたいへんな打撃を受けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/58
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059・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そのとおりだと思うのです。だから、たとえば四百万円とか五百万円とかいうあれはつくらなければいかぬです。これは私もここで計算したときにちゃんとそれを入れたんです。それで見ても、そういう基礎の控除がずっとあっても非常に多額の税金が取れる。否認されたということは非常にいいのでして、たとえば否認の範囲をずっとやっていくという吉國さんの意見は賛成です。これは非常にいいことです。それを何カ年計画で——たとえば八幡製鉄のこの損益計算書、貸借対照表を見ますと、税の許容額以上のたいへんな交際費を計上していますが、そういうものに対してきびしくやる。普通の会社だって、大きな資本のところでは六億とか八億とかあるのだから、こんなもの何に使うのだということになる。だから、そういう制度を二年、三年で強化するということは賛成です。そういう具体的な計画をお出しになったらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/59
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060・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 交際費五、六千億というのは非常に多いと私も思います。ただこの対象になる法人の売り上げというのはおそらく百兆をこえておると思いますから、百円当たり五十銭とか六十銭という交際費ではないか。交際費というものがいまの日本の現状でかかることは事実でございます。この制度は、これで交際費がなくなってしまうならいいのですけれども、なくならずに依然として出している。そうして企業としては、経費として出したものにあとから税金を取る制度でございますから、これはやはりよほどその点を考えなければいかぬ。この制度をやって交際費がどんどん減っていくということは非常にけっこうなんですが、実際はある限度にまでいったら減らないと思います。そうすると、実際支出したものに対して税金を取るという制度になるので、これはよほどよく考えないと危険はあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/60
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061・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それはあまり神経を使い過ぎると思うのですよ。どれが経費か、それからどれが必要経費かといって……(井手委員「バーへ行かなければいい」と呼ぶ)いま井手さんがおっしゃったとおりですよ、バーに行かないで——バーに行く費用はこれは営業上必要経費と認められないのですよ。そういう議論をしているのだったら、いつでも業者や何かに気がねしなければならぬ。だからやはり必要経費というものはこれこれである、バーに行く費用はこれはコストの中に認めないというふうにはっきりすればいいのです。そうすれば、それは向こうがいろいろなことでもって、これは必要経費だ、こういうものは認めてくれといったって、それは認められぬということになるでしょう。だから、そういう点ではやはり中小企業の人たちがやむを得ずやるいろいろなあれがあります。たとえば交際費という名目で落としていくというものが一ぱいあります。そういう問題についてはこれは税務署は大目に見ているのですよ、目をつぶって。そしてその部分は残す、あとは社用族はこれは認めないという形にすれば、これはずいぶん変わってくるのです。私が言うのは、これはもう日本の国の政治の焦点なんですよ。政治ばかりじゃなくて、国民の精神の一つの焦点になっているのですよ。だからこれをやれば、これは自民党非常に拍手かっさいなんです。だからそれについての計画を示したらどうか、こう言うのです、参議院選挙前に。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/61
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062・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 バーに行く費用でも会社の首悩者等が便乗してやっているものは、これは交際費として認めておりません。全部使途不明、あるいは認定賞与ということでやっておりまして、交際費というのはあくまでも取引先との間の交際をいっているわけでありますから、それは税務計算においてはさようなものはみな切るということにしているわけで、たてまえが、制度がそういうふうになっているのです。いま広沢先生がおっしゃいましたが、中小企業の場合の交際費というのは実は支出額五、六千億の六、七割を占めている点を十分に御記憶願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/62
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063・広沢賢一
○広沢(賢)委員 交際費をかばう必要はないのですよ、吉國さんは。いいですか、ここに、たとえばいろいろな本には一ぱい書いてありますよ。外国人までニューズウィークでいっていますよ。交際費は日本ではアメリカよりも生活の中にとけ込んでいる、日本の会社員は上から下まで、夜おそくまでバーや料理店、トルコぶろなどをめぐって帰宅することは日常のことになっている、勘定はみんな会社持ち、日本の会社は事業の総支出の一五%を交際費として従業員に割り当てている、まことに驚くべきことだ、こういうようにいわれておる。幾ら首をかしげてもこういうふうにいわれているのです。これはもういろいろな新聞を読みますと、新聞の投書欄でも毎年のように大きく出ているのです。予算でもってこんなにみじめな社会保障費だ、それに比べて何だという。金額も五千七百億ということになると、これはやはり国民精神の問題ですね、高度の政治の問題ですから、大蔵政務次官、大蔵大臣にかわって、これをなくすという方向について、もう二年後、三年後にはこういう順序でなくしますという、こういうものをお出しになるかどうか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/63
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064・倉成正
○倉成政府委員 交際費が六千億から七千億ある、それが多少多過ぎるじゃないかという議論については、私どもよく承知しております。しかし、先ほどから主税局長がるる申し上げましたように、やはり経済生活をやっていく上において全然交際費を認めないという議論は、いささか感情に走った議論じゃなかろうかと思うわけでございまして、やはり節度を保っていくということが必要ではないかと思うわけであります。四十二年におきましても、メリットシステム、すなわち交際費を前年度よりも五%下げたものは安くしてやる、またこれより以上に上がったものはやはり損金として認めない、そういう制度をとっておるわけでありますから、やはりだんだんこういうものは実情に合わしてやらないと、机の上で議論をしておることと現実とあまり乖離いたしますと、非常に無用の混乱を起こすんじゃなかろうかと思います。しかし、広沢委員の御指摘の意味、いろいろ社会の指弾を受けるような交際費の使い方ということについては、やはりわれわれも税を扱う者として慎重にこれを考慮していかなければならぬ問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/64
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065・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私はむちゃくちゃに交際費は全部なくしてしまえなんて言ってないでしょう。言ってないですよ。それは吉國さんとの話でもって、中小企業については四百万円とか中堅企業については五百万円とか、そういう実情を調査してやむを得ないものは残している。その上を全部——全部じゃないですよ。その上に対しては非常にきびしい、否認の範囲の拡大をすれば、この間公明党委員が言ったように五千七百億になったんだから、いま四、五百億取っているんだから、それに加えてあと千五、六百億、計二千億くらい税収がくるんじゃないか、首をかしげていますけれども、これは普通だれでも考えることなんですよ。そうしたら世の中が変わるからたいへんだというのは、キャバレーや何かはちょっとあれですが、それだからこそ労働省は、そういう優秀な若い人たちが工員とか看護婦さんになるように、人手不足を解消するように出しているんでしょう。だからそういう点を考えてこれをなくすという方向をやはり出す、二年後、三年後に。もうあれでしょう、もう一回考え直す時期が来年ですからね。だから、倉成政務次官もう一回御答弁なさったほうがいいんですよ。そうしたら前よりもっとよい政務次官になるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/65
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066・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いまおっしゃいました点で、私も交際費を弁護しているつもりはないんですが、ただ御承知のように、法人の計算というのは物がこわれても損金になるので、メリットの純益をつかまえて課税するというものでありますから、経費として出たものは否認するという、これは一つの政策なんで、法人の所得というものを考えた場合には、少し私も技術者過ぎるかもしれません、少しがんこなところがございます。
もう一つ申し上げておきたいのは、いまおっしゃった五千七百億の七割近くはいま申し上げたように中小企業でございます。中小企業はほとんど否認になってないという意味は、四百万円のところでみな落ちているから否認になってないわけです。ですから課税になっている部分というのは、大企業で課税になっている部分は、つまり五千七百億の三割部分の半分が課税になっております。ですから極端なことを申しますと、いまの課税最低限四百万円を残しておいて、あと全額否認をしたとしても、せいぜい出てくるのは税金で三百億くらいということになるのでございます。ですからもう相当手きびしくやっているというのが実情なんでございます。交際費を使っておることとそれに対して税金を課していることとは、世間ではちょっと錯覚があるだろうと思います。中小企業の四百万円で落ちている分が大体六割くらいある、交際費の中で課税から落ちているのが。その点を御認識願わないと、交際費全額否認したら、五千億だからそれの三五で、というわけにいかないわけでございます。先生おっしゃった最低限だけをずっととりますと、それでもう三千億近くなってしまうということがございますので、この課税のしかたについては、もちろん私どももこれを期限が来たら知らぬ顔してやめてしまうなんという気はございません。やはりいまの制度をさらに合理化するということはもちろん考えております。期限が来たらもう交際費課税はやめだということは全然考えておりませんし、合理化もしたいと思っておりますけれども、そういう点を一ぺんじっくり、また場合によっては後ほど数字ででも御説明申したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/66
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067・広沢賢一
○広沢(賢)委員 だんだん前向きでいい御答弁ですよ。そういう答弁を期待しているのですよ。そういうふうに言ってくれればこれは前進ですからね。倉成さんも大体そういう御意見だと思います。
そこで私は、中小企業の分のたとえば四百万円はあれして、それからいろいろくふうしまして、なるべく大企業にはきつく、たとえば八幡の八億円の許容限度が一億円くらいになるように、そういうようにするにはどうしたらいいかという案をお示し願いたいです。資料要求します。考えてみればそういう案をつくれるでしょう。何も私はこのとおりじゃないからけしからぬとは言いませんよ。お互いにくふうしてそれをなくしていくということは国のためだというのだったら、それについて案を早急につくって、正式にでも非公式にでも——いま吉國さんそういうふうに言ったでしょう。私はそのとおりだと思うのです。みんなで協力してこれはなくしていく、こういうふうに努力すればいいでしょう。それについて倉成さんどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/67
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068・倉成正
○倉成政府委員 交際費の必要性については広沢委員もお認めになりました。また、四百万円のものについて、中小企業についてはある程度必要じゃないか、しかし大企業についてはもっと重くすべきじゃないか、そういう御議論だろうと思います。われわれのほうでもひとつ前向きに検討いたしてみたいと思いますし、また、広沢委員もいろいろろ具体的な御提案があればひとつ承らしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/68
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069・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私はこれを見て約束をとったなんて言いません。一つの前向きのお互いのあれとして、さらにこれを今後検討したいと思うのです。これが解決すれば相当国民の生活、それから国民の精神的な面で——福田さんも言っているでしょう、昭和元禄、昭和元禄と。大衆にばかり昭和元禄でけしからぬと、こっちのほうばっかり、私たちのほうばっかりにくるけれども、一番根本はそこだと思いますから、やはりこれは与野党一致して、いまいわれている交際費についての悪評については退治するということに受け取って、今後の検討を約束します。
私が調べたところを見ますと、交際費は確かに中小企業に有利です。若干計算が大ざっぱですが、中小企業の一億円以下——以下ですよ。以下というのがひっかかるけれども、三千八百十四億、それから一億円以上が千二百九十九億くらいになると思います。そこでいろいろ集約を全部合計します。
その前に一つお聞きしたいのですが、たとえば万国博覧会は確かに入っていました。ところが電力九電会社の渇水準備金というのはいまどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/69
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070・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 渇水準備金は、現在むしろくずしぎみになっておりますから、減収額は出ないという状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/70
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071・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうするとこの表には出ないのですね。渇水準備金は減収の対象になっていないということでありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/71
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072・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 当年度の減収がないわけであります。ほんとうをいえば、そこで増収を立てなければならないわけでありますが、それを立てておりません。つまり渇水準備金は、御承知のように水主火従の時代につくったものでありますが、このごろ火主水従になっておるものですから、準備金に積んだものを片っ端からくずしているわけです。その分だけ課税になっておるということで、三角の増を立てなければならないわけでありますが、そういうわけで当年度は減収はゼロということであげております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/72
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073・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そこで重要な問題があるのです。これはきのうからの問題なんです。つまり九電力会社の利益から——渇水準備金というものはここにあるわけです。だからこれをどんどんくずしておる。くずしておるけれども、渇水準備金の額はここにある。あって、それは利益から引かれているのですよ。利益から引かれていて、そこに今度は引かれた上に税額がかかってくるから、私たちは減税というふうに思うのですよ。きのう議論しましたから、これは今後また検討しましょう。専門家の渡辺さんは、おまえら会計学知らぬと言うのですが、これは重要なことだと思うのです。つまり国民の常識から見て、どう見ても減税だ、こう思うものが、会計学からいえばこれは違うのだ、取りくずしになればまさに増税である、こういうように称していますね。そこのところの食い違いがある。ところが、私見ておると、たとえば租税特別措置による減収額の中には渇水準備金の項目は一つも入らぬ。どう考えてみても、九電力会社は渇水準備金を貸借対照表、損益計算書に計上して、そこから準備金が引かれておる形になるという点ですね、これはあとで問題にしますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/73
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074・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ちょっと申し上げます。
過去に損金に算入して留保した金額は、その次の年度は留保のまま動くわけで、その次の事業年度の所得からは引かれないわけです、たとえば、ちょうど過去に課税されたものの残りが利益準備金になります。これは翌年にいってもう一ぺん利益準備金で課税されないのと同じに、過去において損金に算入されて留保になったものは、翌年に繰り越されてもそれはもう一回引かれるわけではない。二重引きは絶対にいたしませんから、前には減税になったけれども、いまはそれは何ら減税に関係がないので、それをくずせば逆に課税になるという性質のものなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/74
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075・広沢賢一
○広沢(賢)委員 ところがここにあるでしょう、これはくずれた。ところが、制度があるからまた進出してここに新しく組み立てるでしょう。またくずれた、また制度があるから新設する。そうするとずっと続くのですよ。そうするとそれは毎年毎年減税になっているという感じがするのですよ。だから感じではなくて、国民経済から見ればそうじゃないか。これはもっと詳しく検討します。そのために私がきのうからやかましく言っていたのは資料の要求ですが、たとえば「租税特別措置による非課税準備金・引当金などの推移」というものがあって、結局ここに三十五年まで載っておりますが、純増減はカッコに入っておる。それで累積といわれるが、そこには「差引非課税留保金額等」と書いてあるが、それは明らかに一兆三千八百九十三億、そうするとこれは会社の解散とか合併のときにはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/75
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076・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 解散の場合はその準備金はすべて消えてしまいますから、清算所得の課税の対象になって全部課税されます。合併の場合は準備金によっては引き継ぎを認めないものもあります。そのまま引き継ぎを認めるものもあります。認めないものはそのときに合併差益として表現するか、あるいは清算所得になるか、いずれかでございます。引き継がれるのは新しい法人の引き当て金として持っていかれる、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/76
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077・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それは結局、たとえば相続人がいた場合は相続人にそのまま引き継がれるということになっているのですよ。結局、それに相続税がかかるわけじゃないのです。そうなると、八幡製鉄は永遠に続くでしょう、これは続くんですよ。そうすると、積み立てた累積額は永久に課税されないということになるのじゃないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/77
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078・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 会社が続いている限りは新しい減収はないけれども、前の減収になった部分が留保されている限りは課税の延期が行なわれている、これは事実です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/78
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079・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうすると、それはまだ課税しないで預かり置くということで、そのまま置いておくということを意味しているのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/79
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080・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 その発生した事業年度に課税しないで預かり置くわけですから、そのあとの事業年度では預かり置いているというわけじゃないということになります。発生したときは、なるほど税金がかかります。しかし、その次に繰り越したときには関係なしで、最初の事業年度で負けたものが累積額の中にある、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/80
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081・広沢賢一
○広沢(賢)委員 この話をしていると、私自身もわからなくなる。結局、預かり置く金がだんだん累積して一兆三千億になってしまったということですね。そうすると、私が感じていた減税ということの一つの証拠にもなるような気がするのです。これをいま繰り返してやっているうちに時間がたってしまったのであれですが、これはやはり一回学者の人とかその他の人と相談して、明確ないろいろなことを立てないと——いろいろな人の書いている本には、これについて、これでもってたいへんな減税が行なわれているのだということを書いている人がいますよ。だから、この点についてもう少し検討するということと、もう一つは、きのう御質問しました貸借対照表と損益計算書は、これは証券局の範囲ですが、これがまちまちなんですね。つまり価格変動準備金の差額繰り入れと書いてある。確かに額の少ないのもあるし、全部書いてあるのもあるし、貸借対照表にそれが入っていて、損益計算書に入っていないのもあるのです。この形式はまちまちでしょう。だから、それは税金の問題には利用できません、こうきちゃうわけです。統一したそれがないと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/81
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082・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは証券局の所管でございますので、またしかられるかもしれませんが、ちょっと申し上げますと、企業財務課で、企業会計原則に基づいた財務諸表規則というものをつくっておりまして、それを漸次改善して、いま統一化に進んでおりますが、この間の改正で、いまの段階ではもうほとんど統一したと思います。今後は比較してまず差はないというふうにお考えになってけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/82
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083・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そういう統一したものからきちっと、たとえばきのうも話しましたが、松下幸之助が日本で一番の大金持ちである、そういう告示の制度ではなくて、やはり八幡はどのくらいとか、もっと大どころがあるのです。私どものことばでいうと、巨大独占資本というのですが、その大どころがどのくらいかということがはっきりわかる、そういう告示制度はできないものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/83
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084・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 おっしゃる意味は、おそらくいまの公示を、一つは税務署ごとに出しているのでわかりにくいという話だと思うのですが、これは課税官庁で出すよりしかたがない。
それから、貸借対照表、損益計算書をつけろというお話だと思いますが、御承知のように、日本の税法には税務貸借対照表というものがないわけです。統一的に税務貸借対照表をつくらせるというところがございません。貸借対照表は商法に基づいてつくる。したがって、有価証券報告書に出ているものが貸借対照表になっています。それを修正して申告所得をつくりますから、申告所得を公示させるということしか方法がない。しいていえば、付属のものを出せというと、有価証券報告書と同じようなものを書くということになりまして、いま有価証券報告書の記載事項もできるだけ税のものと一致させるように努力はいたしておりますけれども、税の立て方と、商法、企業会計のほうの考え方がそれぞれ違っておりますから、どうしても違うところがございまして、一本化できないというのがいまの実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/84
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085・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それは非常に重要だと思うのですよ。これは世間でも通り相場なんですが、会社というものは、自分の帳簿とそれから証券局へ出す貸借対照表のものと、それから税務署に対するものと、三通り持っているのだ。だから、その会社の内容は全然わからぬ、そう言うのですよ。普通、株を買ったり何かしている人は証券局のものを見ている。その間の連結がないということは今度の審議でわかった。私もつくづくわかりました。そうすると、やはりこれは統一しなければ、国民は、税金とのいろいろの関係とかその他のことについて、ほんとうに能率よくわからぬと思うのです。証券局の資料だって、これがほんとうのものかどうなのかということについては、ある程度、株がもうかるかもうからぬか、これから収益が伸びるか伸びないかというようなことにしか使っていない。一部上場の会社は、せっかくそういう制度をつくっているのですから、それを税金の問題と全部結合させるということが一つ。
それからもう一つあるのです。これはこの間私が御質問しましたけれども、多くの会社は子会社を一ぱい持っている。日通でもそうですね。今度不祥事件を起こした日通も子会社を通じて悪いことだけやっているのですよ。土地の買い占めから何でもやっているんですよ。観光会社から、キャバレーから、もうかるなら何でもいいのです。そういう子会社に世間ていの悪いことをどんどんやらしておく。そして土地を買い占める。土地を買い占めれば、土地の値上がりや何かでもうかる。一種の副業ですよ。そういうことをやって、それで今度は国や地方自治体が住宅を建てようと思ったときには、土地の買い占めで値上がりしている。土地は資産再評価は受けていないでしょう。だから、帳簿上よりもものすごく担保力がある。三十億くらいの資本金でも、三百億、四百億、一千億くらい買えるかもしれないという担保力を持っているのですよ。その金額が何十兆円にのぼっている。きのう只松委員が言いましたけれども、これは全然違う問題だけれども、それは隠れた事実になっている。これは普通だれでもそう言っているのですよ。そういう場合に、親会社と子会社の連結、そういうようなことについての財務連結表ですね、そういう問題が外国じゃいろいろ問題になっていますけれども、日本の場合には、そういうことについてはお考えになったことはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/85
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086・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 証券局に設けられております企業会計審議会というところでは、御承知のとおり、連結貸借対照表の基準というものをつくっておりますが、まだ法令的な強制はいたしておりません。外国では、課税の上では、連結貸借対照表によって課税を受けることができるという制度をとっているところもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/86
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087・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私は、それを早急につくらないと、これも国民の政治に対する不信になると思う。世の中は、大きな会社はもううまいことばかりやっているのだ、税務署の対象にもならないし、金融機関は担保があればそういうところへ貸すのだということで、そういう政治に対するあきらめ、それから不信、そういうものが広がっていく一つの大きな原因になっているのです。それから住宅政策の大きな障害になっている。したがって、それを税金の面からきびしくするとか、その他の面からきびしくするためには、やはりそれが必要だと思うのです、だから、外国の制度もあるのだから、それを早急に法制化するということについてはどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/87
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088・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 土地会社が土地を買うという問題は、そういう社会的問題があるということは当然私どもも考えますけれども、これを連結貸借対照表で救済するというわけにはいかぬと思うのです。ことに法人税は比例税率ございますから、幾ら足してみても税額が累進するわけではないのです。むしろ外国の場合、連結貸借対照表を使える場合は、子会社が損をしておる、親会社が得しておる、実態的に両方合わせれば所得はないのに、片一方は課税されて片一方は損だからといって税金を返してもらうわけじゃない、そういう場合には両方一体にして所得を見るというために認めている例が多いのです。ですから、むしろ逆に、税のほうでも連結貸借対照表を認めろという声は、実は実業界からはあるわけです。これは大体において納税者はそのほうが得なんです。ですから、得なことをやらないというのはいけませんけれども、私どもは個々の法人の所得に課税すればいいという気持ちで実はおります。連結貸借対照表を企業会計のほうで認めよというのは、むしろ企業一体の動きをはっきり見させるためにやらせようということでございます。これを直ちに税で連結貸借対照表を取り入れるということが得策かどうかは、私どもとしてもまだ結論を得ておりませんが、大体においては、連結貸借対照表を使う場合は、むしろ税を軽減する場合であるというのが実際でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/88
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089・広沢賢一
○広沢(賢)委員 外国の場合には私はそうだと思いますが、それでもいいじゃないですか。結局それで税がまけられないように、大きな企業の税が軽減を受けないように、私はいろいろ税制の問題でくふうができると思うのです。それで、日本の場合は、逆に隠し財産が一ぱい出てくるでしょう。よその国のは、これは違うのですよ。これは赤字を救うとかなんとかといういろいろ問題があるのです。ところが日本の場合には、子会社というのは隠し財産の一つの大きな巣くつなんです。ずっと見ていると、そういう特別の場合があるのですよ。具体的な例として、ここにもありますよ。大きな一流どころの会社が全部子会社を一ぱい持っていますよ、何々不動産、ビル会社……。もう私鉄なんかみんなそんなものです。これはみんなおかしいと言っているのですよ。そうすれば、やはり連結でもってやって、その上でもってそこが赤字になったら、それは税の軽減になるけれども、こんなに持っているのですから、そういう問題についてやはりくふうしてみるということが必要だし、それはやらなければならぬと思います。実業界からもそういう需要求が出ているのだったら、やはりなおさらですよ。やりいいと思いますが、いろいろとくふうすることについては、御研究なさることについてはお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/89
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090・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 企業会計の連結貸借対照表という制度を今後とることになりますと、——いま基準が出ただけでございます。それを税のほうでどう考えるか、これは重要問題として検討しなければならぬ問題でございます。ただ申し上げたように、税のほうではどうもその必要性は乏しいのじゃないかというのが私の気持ちでございますが、検討は十分いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/90
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091・広沢賢一
○広沢(賢)委員 その問題は検討するとしまして、私の質問の最後のあれですが、いまいろいろと話しましたあれでもって、私のほうと主税局長のほうとの見解の違いがあります。もし私のほうのやり方でやったらばということで、ずいぶん一致している点もありますから、その数字でもって調べますと、大体こういうことになると思うのです。私のほうで調べた数字では、交際費が非常に中小企業のほうに有利だというのですね。その数字、さっき申し上げました数字に基づいて、それも入れて考えても、二千九百五十五億円が以下、それから一億円以上は三千六百五十九億円になるのです、これは見解の相違の点があるから……。だけれども、そういうようになる。まして、私がさっき申し上げましたいまの隠し財産とかそういう問題は、中小企業はあまり使えないです。そういうものを含めると、やはり大企業に有利になっているのじゃないか。
それからもう一つは、減価償却も各国よりも非常ににテンポが——西ドイツと同じくらい進んでいる。その上に特別償却をぼりぼりやっている。これは国際競争力の強化といっているけれども、そうすれば、お金の流れは一方的に大きな企業にずっと片寄っていくということが今度の場合にあからさまに出たわけですよ。そして内部資金は強くなった、そこで金融引き締めはきかないという状況が出てきているわけですね。その一つの原因がここに基因しているのではないか。そういう問題についてもっとわれわれは真剣になって、どこにこの租税特別措置の国民的効果があるのか、効果というのは、ただ単に企業の中を充実させればいいというのではなくて、交際費や何かそういうふうにすれば、あとは政治効果、国民の精神の効果ですね、それから税に対する信頼感、こういうものは、全部効果は減殺される。そういう効果と、ただ数字の経済上であらわれた効果と比較して勘案しなければならぬのが税調の洗い直しだと思うのです。そういう点からもっと十分詳しく検討することが必要だと思います。そのために私は毎年毎年出てくるこの渇水準備金も全然わからない。これが全然なくなったのかと思ってみれば、六法全書を見れば出ているというようなことのないように、やはり全部この前、三十五年まで出していたああいう資料を今後出していただきたいと思います。
以上で質問を終わりますが、出していただけるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/91
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092・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 当年度の減収額のないものを省いたのはこちらの手落ちだと思います。それを掲げて、当年度減収はないということにいたしたいと考えます。
また、先生おっしゃった点は、私もよくわかっていますが、同時に、私が御説明したような基礎でつくると、この間総理が申し上げた数字はああいう数字で、差し上げた資料では中小企業の側が大きいということもお認めいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/92
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093・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そこは見解の相違ですから、全然引き分けです。私は認めません。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/93
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094・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 佐藤觀次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/94
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095・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 私の質問の対象になっております物品税及び租税特別措置法、租税特別措置の中にはいいものもありますから、私は特に物品税が非常に悪税であるということをまず考えているわけです。
〔渡辺(美)委員長代理退席、毛利委員長代理
着席〕
それで物品税二千三百億くらい取るようになっておりますが、と言うと、これにかわるべき財源がどこにあるかということをあなた方は言われると思うのです。そこでまず取り上げる財源として、倉成さん、ちょっとお尋ねするのですが、大都市周辺の都市の土地の値上がりが非常にある。きのう只松君からも何か地主が脱税したという話を聞きましたが、私はそういう物品税のような、ある特定のものだけを取るというような税金を取らないで、こういうような土地に対する不労所得になっているものを一体政府は考えたことがあるかどうかということについて、まず倉成政務次官にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/95
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096・倉成正
○倉成政府委員 ただいま御指摘の点は非常に重要な問題だと思います。税制調査会にも土地税制についていかにあるべきかという問題が提起されまして、いろいろと仮の案等は出ておるわけであります。たとえば空閑地税をどうするかとか、あるいは一定の地域においては何階以上の建物を建てなければ税金をかけるとか、そういういろいろな具体的な検討もされておるわけでありますけれども、なかなかこの問題は実際実行するとなるといろいろむずかしい問題がありますので、まだ十分に煮詰まっていないというのが現況であります。しかし、佐藤委員御指摘のように、非常に重要な問題でありますので、税制というものはあくまでも補完的なものではあると思いますけれども、しかし有力な一つの武器であるということについては全く御指摘のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/96
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097・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 なくなりました笠信太郎さんが、かつて「花見酒の経済」という本の中で、日本の物価が上がる大きな原因は、土地の値上がりということが一番大きな原因だということをいっておられましたが、これは事務当局として、税金を取る本場の吉國さんたちは一体こういうものをどうして取らぬかと思うのですが、その点は事務当局としてどのようにお考えになっておられますか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/97
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098・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま政務次官が言われましたように、この土地税制につきましては、事務当局は長年いろいろ苦労をしております。御承知のように、現在譲渡所得は非常に大きな課税になる。そのために譲渡所得の非課税に関する特別措置をもう各方面から要求されておる。一方においてはそういう要求がございます。一方にはもっと土地の収益に課税すべきだという考え方がございます。私どもも土地政策というものが非常に重大な問題であるだけに、これに対して税制でバックアップをするという方式をいろいろ考えております。たとえばこの間の税制調査会でも、およそ考えられる方法というものを網羅いたしまして検討していただいたわけであります。しかし一番大事なことは、いかなる地域をいかなる規制のもとに置くか、その規制のもとに置かれたものに対していかなる課税をするかということがございませんと、課税をしても、現在の土地制度がそのままであると転嫁されていって、結果においては実質的課税にならないで土地の価格が上がるという結果になる。どうしても土地制度を確立する必要があるというのが私どもの見解なのでございます。そういうことができ上がったときに、それを裏打ちする土地税制というものを十分考えたい。たとえば現在税制としても、固定資産税のほかに都市計画税というものがございますけれども、あの評価一つ直すのでもなかなかこれはたいへんな問題であります。したがって、この固定資産税、都市計画税の上にさらに空閑地税などを積み、やった場合も、いわゆる土地の規制、ゾーニングという問題が解決いたしませんと、同じような結果になりはせぬか。その点で税制調査会としてはその前提条件等をはっきりしたいということで、去年結論を出さずに、ことしの七月までにそういう問題を整理して、税がどこまでやれるか、税をやるためにはどれだけのことが必要かということを徹底的に詰めてみたいということをやっているくらいで、これは十数年来の検討事項なのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/98
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099・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 いま倉成政務次官、それから吉國さんから説明がありましたように、非常にむずかしいことではあるけれども、しかし一番問題になっておるのは、空閑地税を置くと、かえって土地が上がるという条件で、いろいろ延び延びになってきている。そこで、土地の値上がりということが、たとえば銀座の四丁目の角あたりは坪二百万円以上するということになっておるのですが、いなかの土地のことはいいんだけれども、少なくとも大都市、東京とか大阪とか名古屋、その他京浜地区、そういうような地区に限ってでも、やはり不当な不労所得を取っておるようなそういう地主に対しては、国家としても当然ある点まで、このくらい税金に困っている場合には取るべきじゃないか。こういう物品税なんかを、これはあとで項目的に聞きますけれども、残しておるのに、どうしてこういう大きな税金を取らぬかということが、私は非常に疑惑になると思うのですよ。むずかしいことであるといって、取りやすいところだけ取って、取りにくいところは取らぬということになるきらいがあるのですが、そういう点についてはもう少し突っ込んでやる決心がないといけないのじゃないかと思うのです。こういうようなものは、外国の例はどうなっているか知りせんけれども、その点について、こうやったらやれるという条件でやれる決心がつかぬのか。あなた方、逃げるときにはいつも税制調査会が——税制調査会というのは、この前私が言ったように、要するに主税局の隠れみのみたいなもので、いいときは税制調査会、悪いときは知らぬ顔しているというのがやり方だと思う。そういう点で、これはやはり主税局長がやろうという熱意があれば、私はできないことはないと思うのですが、こういう弊害が起きるから、こういうことがあるからということで悪い条件——このくらいなことはできないものかということをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/99
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100・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御承知のように、土地の移動についての課税というのは譲渡所得の課税で、短期であれば、三年以内であれば全額課税、そうでなければ二分の一課税ということで、これが非常に重い重いといわれております。それから相続税でございますが、銀座あたりで相続すると全部取られてしまうというようなかっこうになる。そういう意味で土地の動くときの課税はむしろ重過ぎるように思う。しかし、土地を持っておることによる課税、こういう固定資産税、都市計画税がまだまだ安いのじゃないかという声があります。したがって、いまおっしゃったように、保有課税についてもっとくふうがあってしかるべきだと私は思う。この保有課税の問題は、いま先生まさにおっしゃるとおりなんですけれども、東京のどこの地域、名古屋のどこの地域はこれは空閑地があってはならぬとか、あるいは開発利益があったら取るというような指定がありますと、これは的確にやれる。イギリスなどでも地域を規制しまして、ある地域では利用を変更するという場合には、その変更によって税を取るという制度もございます。また、先生外国へよくおいでになるので御承知だと思いますが、外国はゾーニングと申しますか、市街地の区域とかいろいろな区域が正確にできておりますから、税もそれについていける。日本の場合、たとえば銀座のどこの何丁目までやれるのだということを税でやるわけにまいらぬ。そういう点を私どもは一番早くやっていただきたい。税金を公平に取るということについて私ども熱意は決して欠けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/100
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101・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 ひとつそういう問題も前向きに、責任をのがれるようなことばでなくて、やはり税の公平なる立場からして——きょうあたりの新聞を見ると、都心から十キロ以内は高層建築にしようというような案も出ておるようでありますけれども、少なくとも税金がだんだん取りにくくなるということになれば、結局そういうところを目につけるよりしようがないと思うのですが、そういう点についてもひとつ主税局で、こういうことならやれるというような原案を考えてほしいということを希望しておきます。
そこで、いまの物品税は御承知のように戦時中にできた税金で、私長い間大蔵委員やっておるのですけれども、絶えず問題になって、だんだん品目を減らされて六十何種だと思うのですが、最初にいまは何種類残っておるか、それをひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/101
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102・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 大項目で申しますと七十になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/102
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103・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 そうすると、七十の物品だけが税金がかかることになっておるのですが、その主眼点は、何で物品税七十品目だけは残っておるのか、そのおもなる原因をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/103
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104・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この一般消費税の形といたしましては、売り上げ税があるわけであります。売り上げ税というのは非常にこれこそまさに逆進的な結果になります。そこで日本の物品税は奢侈品ないし便益品の上等なものを対象として課税をする、日常生活品に近いものは課税最低限を高くいたします。これはもう明らかにぜいたくなるものということに限って課税をするということになっておりますので、そういう意味では世界各国の一般消費税のうちでは最も進んだ形だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/104
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105・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 ぜいたくという意味はどういう意味でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/105
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106・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ぜいたくというのはなかなかむずかしいのでございますが、それが世間のいわば一つの基準ということばは使いませんけれども、これはまさに先生方もしょっちゅう物品税を御批判に相なり、多数の人が批判しておのずからきまったものだという感じがいたすのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/106
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107・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 ぜいたくということばの中身は時代とともに変わってくると思うのですよ。たとえば百万円の財産家が十万円の金の指輪を持っておるといっても、これはある程度その人からすれば主観的な問題でございますから、そういう場合はぜいたくとはいえないわけです。
〔毛利委員長代理退席、金子(一)委員長代理
着席〕
だから、ぜいたく品であるから物品税をかけるということは、時代も変わってくるし、同時に、主観的な違いでも私は問題になると思うのです。だから私は、主税局長がどの程度ならぜいたくでどの程度ならぜいたくでないという、あなた方の考え方の基準をひとつ示してもらいたいと思う。これはむずかしい問題ですけれども、一応そういうことにいかないと、ほかに不便が起きると思うので、その点をひとつ答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/107
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108・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 物品税の根本論議をやる場合に常に問題になるのですが、大体私どもは奢侈品、便益品、日常必需品、分類を四つぐらいに分けまして、その中で大体においてはいわゆる奢侈品というものと便益品というものを中心に課税をしたいという基準を一応持っておるわけですが、個々の基準というものは非常にむずかしい。同時に、課税最低限というものは、同じたんすにいたしましても、いま総ギリまではずしているわけですから、それの上のほうは明らかに奢侈品なんです。物によると同時に、物の中でも質によるというような区別が案外むずかしいので、実際長年の間いろいろと検討しながら、一部でおっしゃるように時代ズレしたものははずしていくというやり方でやっておりますし、新しい製品ができればこれを取り入れる。たとえばテレビといっておりましても、トランジスターテレビが出てくればトランジスターテレビを課税する、あるいはカラーテレビが出てくればカラーを間違えずに入れるという方向でやっておるわけであります。
〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/108
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109・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 ちょっとその前に、泉さんも来ておられますから、二、三点お伺いしますが、最近金の大量の密輸入が行なわれまして、その問題でいろいろ問題があると思うのですが、日本の金の生産高と消費量というものとの間に私はギャップがあると思うのですが、そういう点の考え方から貴金属の店をお調べになるときに国税局はどういう基準で、いまのものは、こういうものはこういうように調べるというような個々の調べ方を、どういうふうにしてやっておられるのか。そういう点も、不公平だという声があると思うのですが、その点はどういうようにやっておられますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/109
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110・泉美之松
○泉政府委員 金のお話がございましたが、最近何といたしましても金とかダイヤ、ルビー、オパールなどといったいわゆる宝石、これが財産保全の道として安心できるといったようなことから、そういったいわゆる貴金属、宝石類の購入が非常にふえております。その場合問題になりますのは、物品税を課税するにあたって、いわゆるもぐり業者というのがおるわけでございます。俗称かばん屋といっておりますが、正規の販売所を持たずに、かばんに詰めてお客の間を売買して歩くというのであります。そこで私ども物品税、特にそういった貴金属、宝石に対する物品税の課税にあたりましては、そういったもぐり業者がばっこすることを防ぐという意味からいたしまして、第一種物品販売業者証明書というものを交付することにいたしまして、そういう証明書のない者はいわゆるもぐり業者であるという考え方で、そういうもぐり業者に対しては調査を徹底してやる。しかし正規の店をかまえ、正規の証明書を持っておるような方については、その申告納税について指導をして記帳をきちんとやってもらって、それに基づいた申告をして納税をしていただく、こういうふうな考え方でやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/110
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111・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 この間、御承知のように大量の密輸の金を買っておるところが第一流の会社だというような形が出てきておるのですが、そういうものの取り締まりは法務省の関係でやるのでしょうけれども、大蔵省の立場でそういうものについては御承知のように関税局あたりも問題があると思うのですが、そういうものの税金の取り方を一体大蔵省はどのように考えてやっておられたのか。ああいうような大きなもの、あるいは日通の金のあの問題、そういう問題がこのごろたくさんいろいろ出てきているのですが、国民はそういう点で何となくさみしい感じと、大きなやつだけはどんどんほっておいて税務署は何をやっておるかという声があるわけです。そういう点についてこの前もちょっと御質問したのですが、こういうような社会的に大きな問題になるような対象、日通だとかあるいはこの間の大きな会社の大量に買っておったというような問題については、やはり法務省の関係でなくて税務署はどういうようにしているのだということについて国民は非常に疑惑があると思うのです。そういう点の対策は、あなた方のほうでそんなことは対象にしなくてもいいと思っているのか。これはちょっと横道かもしれませんけれども、そういう点について納税者の立場からどうしてああいうのを見のがしているのだろうというような声もあるので泉さんにお伺いしたいと思うのですが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/111
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112・泉美之松
○泉政府委員 先般新聞紙上をにぎわしました密輸した金の延べ棒を日本鉱業などといったような大会社が購入したという点、これは確かに問題だと思うのですが、物品税の上ではそういった金の延べ板は課税の対象になっておらないのであります。そういった金を材料にしてつくりました貴金属製品は課税になりますけれども、金の延べ板自体は課税になっておりません。したがって、私どものほうとしては、そういう密輸の金が相当ある、したがってそういう密輸の金を使っていろいろ貴金属をつくっておるものはそれによって利益を得るわけでありますから、そういったものについての法人税なり所得税を徴するということは十分いたしておりますけれども、物品税をそれに課税するということ、これは制度のほうで課税することになれば別でありますけれども、私どものほうとしては延べ板を買ったから物品税を課税するというわけにまいらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/112
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113・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 もう一つ変なお尋ねをするのですが、こういうやみの延べ棒で日本の金属商が商品をつくっているというような事実はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/113
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114・泉美之松
○泉政府委員 そういった金の延べ棒を材料にしていろんな貴金属をつくっていることはございます。私どものほうでもそういった点についていろいろ摘発をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/114
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115・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それからもう一点、物品税の中で私たちが感じておるのはドリンクの問題ですが、こういうものにも税金がつくのですか。ドリンクによってついたりつかなかったりするらしいのですが、そのけじめはどういうところでつけるのですか。これは主税局ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/115
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116・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ドリンク剤につきましては、一昨年ですか、五十ミリリットル以上の容器に入ったものについては五%の課税をする。これはなぜかと申しますと、薬品である。薬であると同時にいわゆる果実水に類するものに入るわけでありますから当然課税になる。そこで五十ミリリットル以下のものはいかにもこれは果実水として飲む人間はいませんから、それ以下は薬として果実水から除くという規定をつくりましたので、そのバランスといたしまして当然五十ミリリットルをこえるものは課税になるということでしたが、急激に課税するのは、現在たくさん出回っておるだけに二年間据え置いてことしの四月から課税されるようになったわけでございます。ところが、ドリンク剤自身の中にはんとに純粋の薬品であるものもあるわけです。そこでこのドリンク剤を課税しろという主張の中には、ドリンク剤が普通のいわゆるドリンクと同じように、つまり薬でない飲みものと同じ形態で飲まれているので、果実水のほうは課税されているのにこれが課税されていないのは不権衡だということが起こっておりますから、今度の考え方は、広告あるいは販売方法その他につきまして、薬としての販売方法、広告のやり方、これを厳格に基準をつくりまして、厚生大臣が認定をする。これは薬であるということにいたしましたものにつきましては、この証明を得て課税をしないけれども、その証明のないものは、五十ミリリットルをこえる容器に入っておるものはすべて課税をする、こういうように割り切ったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/116
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117・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 物品税のこまかいものをついでにやるのですが、まだマッチの税金がついているのです。私は大蔵委員を何回かやっていますから、これは前からいろいろ聞いているのですが、たぜまだ今日までほうっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/117
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118・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これはもう税制改正のたびに問題になるのでございますけれども、これは一つは——外国ではマッチを非常に高く課税しておるという伝統がございます。日本ではいま千本一円でございますが、アメリカでは七十二円、イギリスでは九十六円というような高い税金です。これはなぜかと申しますと、一つは、日本でもそうでございますが、マッチの総需要のうちの半分以上が広告でございます。大体たばこを吸うのに使う。このごろはライターがございますからあまり使いませんが、そういうことで課税物品からはずせないという問題のほかに、御承知の中小企業団体法でマッチ調整規程というものができておりまして、マッチの商工組合では、その調整規程に基づいて調整証書というものを張っております。ところが、実際に、小さい零細な業界であるためにそれがなかなか守られないで、流通を阻害するという点が起こっております。そういうことから、調整証書と課税証書を一緒に刷り込んで、そのために中小企業団体法の規程に従った調整行為が非常にうまくいっているからということで、担当官庁のほうでも、この程度のものならばむしろ残してもらうほうが消費者のためにもなるし、中小零細企業の混乱も起きない、千本一円でございますので、廃止しても値が下がるというしろものでもないわけですから、そういういろいろのことを考えて——私とも、実はマッチのことをしょっちゅう言われるので、はなはだ心もとないのですが、そのままになっておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/118
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119・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 御承知のように長い間にいろいろと、物品税の中の品目が多少変化はしましたけれども、数は減ったと思う。そこでいまお尋ねしたいのは、税制調査会のほうで、いまのマッチの問題もそうですが、これくらいのものは廃止してはどうかということで議題にのぼっておる品目はどんなのがあるか、ひとつお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/119
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120・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御承知のとおり、四十一年に物品税を相当改正いたしまして品目を整理いたしましたので、現在四十一年分が残っておりまして、時代がずれてくるのは四、五年いっぱいぐらいのところじゃないかという考え方なものですから、いまのところ一応物品税は片づいたという形で、最近の税制調査会では物品税の問題は議論してはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/120
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121・只松祐治
○只松委員 重要な審議の最中、この委員会にごらんのとおり四人の与党委員しかお見えになっておりませんので、暫時休憩をお願いしたい。この調子じゃ、とても重要な審議を続行するわけにはまいりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/121
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122・田村元
○田村委員長 佐藤君、このままでしばらく質問を中断しますから、しんぼうしてください。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/122
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123・田村元
○田村委員長 速記を始めて。
本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時三十八分休憩
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午後四時二十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/123
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124・田村元
○田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。佐藤觀次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/124
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125・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 先ほどぜいたくという問題についていろいろお話ししたのですが、現在写真機にも税金がかかっておるのですが、写真機というのはぜいたくなものでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/125
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126・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 写真機がぜいたくかどうかということは非常にむずかしい問題でございますが、さっき私が申し上げました便益品と奢侈品の間ぐらいに位するだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/126
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127・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 私は、大蔵省の主税局長たるものは、写真機ぐらいは、そういうような範疇でなしに、若い者の必要なものとして考慮すべきじゃないかと思うのです。
それからもう一つ、例の免税点の問題ですね。これなんかも、御承知のように物価が上がってきておるから、もっと免税点を引き上げるべきじゃないかと思うのですが、その点はどういうようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/127
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128・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 免税点は大体四、五年に一ぺん引き上げるということで、ずっと推移してまいりました。昭和四十一年度の改正の際に相当に免税点を引き上げることにいたしましたので、現在大体均衡のとれたものになっていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/128
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129・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 均衡がとれたというのは、あなたの解釈なんだな。やはり国民の立場からこれはやむを得ないというようなところに重点を置いてもらいたいと思うのだ。
そこで、私の前の広沢委員からも問題が出たが、私は財源なしに何でも物品税をやめろというわけにいかないので、いろいろ考えたのでありますが、何といっても私は物品税というのは不公平な税金だと思うのです。七十品目というものだけを対象にして取っておる税金ですから。そこで、先ほどもいろいろ議論がありましたけれども、それに見合う財源としては六千億に近い交際費がある。六千億というのはばく大な金ですが、こういうものからある程度取って、そして物品税のほうを廃止したらどうかと思うのですが、その点は一体どういうようにお考えになっておられますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/129
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130・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 先ほど広沢委員にもお答え申し上げましたが、現在の交際費の総額のうち、中小企業が支出している分が非常に多いわけでございます。中小企業の基礎控除として引かれているもの、つまり先ほど課税すべきものでないとされたものが三千四百八十億を占めておるという実情でございます。いまの制度で、いま五〇%否認になっておりますが、あれを一〇〇%否認にしたとしても、増加する税額は三百二十八億。もちろんいまの基礎控除も全部吹き飛ばして全額課税にすれば千二百八十億ばかり取れるけれども、その場合中小企業から千億取ることになりまして、打撃を受けるのは中小企業でございます。そういう点で、ちょっと交際費からこれ以上物品税にかわるような額を取るということは、これは不可能だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/130
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131・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 いかにも中小企業に味方であるかのようなことばでありますが、実際はそれほど大蔵省が中小企業に味方であるとするならば、今日のような倒産はないと思うのです。御承知のように、去年からことしにかけましては、歴史上空前くらいの倒産が出ておるわけです。だから、そういうような倒産がたくさんあるということは、何といっても金のやりくりがむずかしいということと、やはり重税だということが大きな原因をなしておるとわれわれは思うのです。そういう点で、中小企業のためにいかにも税金を取らぬようなことを吉國主税局長は言いますが、一体どういう恩典を中小企業に与えておるのか、大蔵省の主税局としてはどういう点で中小企業をカバーしているという実例がありましたら、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/131
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132・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 まず第一に法人税で、一億円以下の、一定の金額以下について軽減税率を使う、これは大企業には認めておりません。それから中小企業固有の特別措置というものを相当やっておりますし、先ほど来御説明申し上げておりますように、企業に関する特別措置の五五%は一億円以下の法人が享受しておるというところで、中小企業には相当な配慮が行なわれておりますほか、物品税につきましても、課税廃止をいたしました物品は、主として中小企業の製造する物品というのを一つの基準としてはずしておるということは、先生よく御承知のとおりであります。いま物品税で残っておる大きな品目というのは、実は大企業製品が主力であります。自動車、テレビ、フィルムといったようなもので、大体上位十品目というものは大企業製品ばかりでございますが、これで大体七割五分くらいの収入をあげておるということで、物品税は零細中小企業については大体排除しつつあるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/132
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133・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それから、今度物品税が下がった中で、国際競争力を強化するために一部の物品税を下げられるということですが、そういう意味でもっとそういうような幅を広げたらどうかと思うのですが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/133
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134・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 今回の物品税の改正は、期限の到来いたしました軽減税率あるいは期限つき免税の期限の到来いたしましたもののうち、国際競争力その他の関係で直ちに基本税制に戻るのは無理なものを、四品目ばかり軽減税率を新しく設けて段階的に引き上げするということにしたわけでございます。しかし、あと六品目は一切手をつけておりませんから、自然に高い税率になったわけでございますが、これらのものは、大体輸出力もふえてまいりましたし、生産高も非常に伸びておりますので、大体基本税率に返っていいのではないかというものばかりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/134
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135・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 物品税については、いろいろまだ議論がありますが、しかし、時間の関係もありますから、租税特別措置のほうに移ります。
そこで、租税特別措置については、先ほど広沢委員からもいろいろ質問がありましたし、それから特別措置の中の一部にはあったほうがいいという面もあります。しかし全体としては、私たちは、租税特別措置というのは大企業に都合のいいようにできているというので、こういうのは廃止すべきだという意見を持っているわけです。あなた方のほうで、なぜこれをあくまでも存続しなければならぬかということ。われわれはいつでも、租税特別措置というのは独占資本の大きな企業に対して補助をするという立場をとっておるように思われますが、その点は一体吉國さん、どういうようにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/135
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136・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 租税特別措置は、ずっと同じものが継続しているわけじゃなくて、その間ずいぶん入れかわっております。たとえば、この間広沢先生が御指摘になったように、昭和四十年度の資料で見ますと、大企業の適用になるものがはるかに多かったわけでありますが、その後はむしろそういうものは整理して、中小企業の適用になるようなものをふやすということで、たとえば、ことしでございますと、価格変動準備金の積み立て率を下げて、これは大企業は相当使っているわけでありますが、これはほとんど切ってしまっております。そういうことから、さっき申し上げますように、中小企業適用のものが五五%あるということで全体の特別措置の減収額はわりに伸びが少ない。しかもその中で絶えず入れかわっておるというのは、新しい事態に即した新しい措置がやはり必要になってまいります。たとえばことしでも、輸出振興については平年度の減収額百三億円を確保しているわけでございます。そういうことで、特別措置の同じものをいつまでも使うというのは、私ども、これは適当でない、しかし入れかわって、その時期に必要な政策を実施するために租税が協力することは、ある程度税としてものまざるを得ないことだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/136
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137・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 現在いろいろ自由化が唱えられ、それからいろいろなものも自由にはずされるという意味で、私は、こういうある特定のものだけに租税特別措置があるということは、いろいろな点で不公平が起きるのではないか。それから、これはどうしても人間がやることですから主観がある程度伴うということから、いろいろと問題になる特別措置であって、もう戦後二十年も過ぎた今日では、こういう税法そのものが存続するということに非常に無理があると思うのですが、その点は、あなたは長い間税制専門にやっておられるのですけれども、自分であなた自体が、これはもうきらいだから廃止するというわけではないけれども、どうもそういう点、納得のいかない点があるのですが、その点はどういうように解釈されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/137
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138・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私は、租税特別措置というものは、何と申しましても一方で公平を害するという問題がございますから、やはり慎重にやるべきだと思いますが、たとえば補助金で支出する場合と税でやる場合とで差がある場合がございます。たとえば税でやりますと、一定の条件を満たしたときに初めて減税になる、そのとき補助金がもらえるというかっこうになりますから、必ず目的を達したものがその結果として税はまけられるという形になるものが多うございます。補助金の場合は、一定のものを予定して出しますが、それがはたして効果的に使えたかどうかということには一つの問題がある。そういうものに限って税が政策を受け持っていくということは、これは最低限必要かもしれない。しかし、漫然と特別措置をふやしていくということは好ましいことではないし、私どもももちろん反対だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/138
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139・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 これから少し個々にわたって質問いたしますが、これも広沢君からいろいろ問題にしたのですが、いつもわれわれが反対しております利子配当の分離課税の制度ですね。これは昭和四十五年の三月末まで特別措置として認められたものでありますが、この政策というのは一部の資産家階級のために都合のいいことだとわれわれは考えられるのですが、少なくとも、実際に資産階級の得ておる利子や配当、そういう所得を無税にするということは、やはり不当穏じゃないかと思うのです。これはもう廃止したらどうかと思うのです。廃止はまた延ばすという、こういうことは、租税特別措置の中でも、税法そのものに一番国民の不信がある原因だと思うのですが、その点はどうですか。これはやめる方向へ持っていったらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/139
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140・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま仰せになりましたのは、利子所得の分離課税の問題だと思います。これは去年一〇%から一五%、五割課税率を上げました。税制調査会の考えとしては、大きな変動を経済に与えない程度で漸次廃止の方向に持っていくのが適当だろうという考え方でございます。二年後にこれをどういう形で実施するか、これからまさに税制調査会とも打ち合わせいたしまして、審議を願って結論を出していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/140
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141・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 これは銀行と証券界からいろいろ問題があるわけです。そこで、こういうものを当てにして証券の株価を上げるとか、あるいはこういうことによって預金をとるという銀行や証券界のやり方については、自由主義経済の中で、こういう不当なことは原則的にはおかしいと思うのです。そういう点で、何といってもこういう方法がいつまでもとられるということは、大企業、資産階級の人には都合がよくて、一般大衆はこういう恩典にあずからぬというそしりを免れぬと思うのですよ。これは税調答申案に何かそういうことについてこの前出たと思うのですが、その点は今後どういうように処理されていかれるのか、その点も重ねてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/141
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142・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 税制調査会においては、大体伝統的に利子配当の分離課税というものが、主として利子でございますが、不適当な姿であるということは言っております。しかし、これは長く続いたものでございまして、日本で利子を完全総合で課税をした時期というのは、昭和二十五年当時、シャウプ税制のときだけでございまして、あとはいろいろな意味で分離した課税が行なわれてまいりました。そういうことを勘案して、経済界に及ぼす影響、貯蓄に及ぼす影響等十分慎重に考慮しながら措置を続けていくべきだという考え方が基本的だと思います。今度は長期税制の審議をする場合、おそらく二年後の問題が入ってまいりましょうし、その点についても一つの方向が打ち出されるものと期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/142
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143・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 もう一つ、今度の新しい特別措置の追加設定というか、現行制度を手直ししようというようないろいろな考えが広範囲に行なわれておりますが、その措置によってどれくらいの経済的な効果があるかどうかということについて、、どうお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/143
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144・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 今度の措置は、御承知のとおり、輸出振興を中心にしてその他こまごまとしたいろいろの措置をとっておりますが、それぞれ違った効果をねらっておるわけでございまして、たとえば輸出の振興の税制におきましては、輸出の伸長に努力をした企業にメリットを与えよう、従来の輸出割り増し償却とかあるいは海外市場開拓準備金の積み立てば、輸出をしておればその割合で一律にできたわけでございます。今度の割り増し措置は、一定の努力をした企業でなければいけない。そういう意味では、少なくともこの積み立て額の二倍ないし三倍の輸出増加というものが起きるだろうというのが通産当局の推算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/144
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145・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 これは関税定率法のときにも問題にしたのですが、こういうような輸出の振興ということになれば、私は、国際的にいろいろ問題になっている中共との貿易、そういうときの課税の対象についても、もう少し貿易上の——これはこの間古井君とか田川君からもいろいろ話を聞いたのですが、あなたは政治的なあれはむずかしいだろうけれども、そういうことにについての配慮が一体主税局で考えられたことがあるかどうか、これは関連してちょっとお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/145
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146・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 中共貿易についても全く同じ考え方でこれらの税制が適用されるわけでございます。これは差別はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/146
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147・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 貿易の振興という立場からやはり相当考うべきじゃないか。いままでのアメリカ一辺倒の貿易ばかりやっておらないで、やはり中共あたりに目をつけて、もっと日本の輸出が向こうへ行かれるような道も考えないといけない。その点は、向こうから来るものについてはいろいろあれがあって、これは台湾との関係でむずかしい問題があると思いますけれども、貿易の振興という立場から考えたら、もう少しその点に考えるべきことがあるのではないかと思うのですが、この点をひとつ十分考えてもらいたいと思う。
それから、今度継続されている租税特別措置の中で、われわれから考えますと非常に効果の疑わしいものがたくさんあると思うのです。そういう点で、あまり利用されてないものを残して継続するということはおかしいと思うのですが、租税特別措置で利用されておる状況をひとつ少し詳しく伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/147
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148・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 中共貿易の点のお話でございますが、税制で国別に輸出の扱いを変えるということは、国内税法としては非常に困難だと思います。相手国の出方によっていろいろきまる関税の場合は、たとえば譲許とかいろいろなことがございますが、国内税法としては国別に差別を設けるということはきわめて困難でございますし、社会的に見てもちょっと問題の点があると思います。
それから利用状況は、先日、先ほどのお話に出ました二枚の紙で詳しく措置別にお配りいたしておりますので、これでお読み取りをいただければけっこうでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/148
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149・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 中共貿易のことについて、倉成さん御承知のことをわれわれに納得のいくように御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/149
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150・倉成正
○倉成政府委員 中共貿易について、おそらく関税のことについての御質問だと思いますが、関税定率法の御審議のときにいろいろ貴重な御意見を承ったわけでありますが、政府といたしましては、中共貿易を促進するため前向きで対処いたしたいということで、いま中共に対しては国定税率をとっておるわけでありますけれども、石炭あるいは米等については国定税率を下げて、関税協定のある国々と同じ、協定税率と同じものをとっておる。それからまた、今回の関税定率法の改正に際しても、大豆、銑鉄、こういうものはやはり国定税率を下げて協定税率と同じものをとっておる。あと絹織物その他いろいろなものが残っておりますが、これも国内産業の動向やその他も考えながら前向きで対処していく方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/150
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151・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 そういう点でひとつ十分考えていただきたいと思います。
それから土地の税制について、初めは四十三年度に実行が予定されておりましたが、しかし、今回これが見送られたという理由はどういうところにあるかということと、それから現在までの段階で考えられた、いろいろ検討された内容について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/151
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152・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 土地税制につきまして、できれば四十二年中に結論を得て改正をしたいという趣旨で、税制調査会でも土地税制特別部会で検討を続けてまいりました。前後八回にわたって検討したわけでございますが、その段階で事務当局から仮案と申しますか、考え方の案を幾つか出したわけでございます。土地の利用度の向上の面と土地の供給の増加、こういう面を考えて、諸外国の例等考えましていろいろの税制を出しました。基本的な考え方といたしましては、保有課税を強化する、そして土地供給を促進する、そしてその反面に土地供給した者の税率をある程度軽減をする、そして供給しやすくする、同町に、いまある買いかえ制度のようなものはこの際廃止をする、こういった筋道で考えたわけでございます。高度利用をはかるためには高度利用促進税というような形を考えたり、また保有課税に対する強化ということにつきましては、固定資産税、都市計画税の課税標準の引き上げ、それから別途空閑地税を設けるといったような考え方、さらに開発利益を吸収するために開発利益税といったような諸制度を、いろいろ形を考えてみた仮案を出しまして、それで議論をしていただいたわけでありますが、先ほども申し上げましたように、このいずれの税につきましても、その地域的な適用といいますか、土地制度としての利用地域の確定ということがないと実行上困難が生じますし、やったことがかえって土地の価額を引き上げることになりかねない。しかも、そのうちで一番すぐにできそうなものだけを選ぶということになりますと、それをやっただけで土地制度がゆがんでくるということもございますから、全部一括で処置をする必要があるというので、土地制度の見合いでもう一年検討しようではないかということで、ことしの七月までにもう一回結論を出し直そうということになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/152
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153・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 農地については、御承知のように、生前贈与した場合の特例が認められております。だから事業用財産についても、それと同様の制度を適用するようにできないものかという問題があるんですが、それはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/153
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154・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 土地の生前贈与について特例を設けたのは、御承知のように、日本では農家が細分される傾向にあるので、本来なら長子相続ということでございますが、従来の税制でございますと、所得税の課税その他で、親が生きておる間なかなか子供に農地が譲れない、そういうことで長子に一括相続させることは困難になってまいります。そういうことで、生前に長子なら長子あるいは農業に専従する子供に家産としての農業用の土地を譲りたいということから、贈与税の特例を設けて、一応贈与税は延期しておいて、最後に相続が起こったときにそこで調整をするという形をつくったわけであります。ちょうど実際は隠居したと同じような税制になるわけでありますが、隠居自体が民法では許されませんので、ああいう特例をとったわけでございます。これは農地という特殊なものに限って考えたわけでございます。一般にこれを考えるとなると、まさにいまの相続制度自体に対する大きな例外をつくることになりますから、ちょっと一般の贈与には適用できないと考えております。
〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/154
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155・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それに特例を設けるなら、事業用の財産についてもそういうような適用ができないかということなんですが、これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/155
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156・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま申し上げましたとおり、農地は家産として、譲渡しないで継続して持っていくわけでございますが、事業の場合は、事業資産は幾らでも譲渡もできますし、転業もできるわけでございます。それを認めますと、結局相続税の分散という結果になりますので、これは一般的にはなかなかむずかしい問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/156
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157・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それから、私たちが希望する一つのことは、御承知のように最近父兄の教育費が非常にかさばってまいりました。それで中学校まではしょうがないが、高校以上の父兄の負担が非常にふえてきておるので、そういう点で、父兄の教育費負担を所得から控除するような方法をとれぬものかというのを私たち考えておるのですが、その点はどうですか。そういう考慮がありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/157
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158・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この問題は、いろいろ各方面からもそういう御希望がございます。私どもも、父兄の負担が多くなる実情はよくわかるのでございますが、一方において、再三昨日来おっしゃっておられますように、いまの基礎控除、扶養控除自体が非常に低いわけであります。そこへ特別の控除をやるということになりますと、かなりの数でもございますし、やはりまだ基礎的な控除の引き上げの段階ではなかろうか。また御指摘にもなりますように、高校を卒業した者が就職いたしますと二年目に税がかかるというときに、親がかりで学校に進んでいるいわば恵まれた人のために所得控除が行なわれるというのも、またそういう人から見ると不公平に感ずるのではないかと思うので、もう少し日本の状態が進んでからの話ではなかろうかという感じがするわけであります。やはりその財源があれば一般控除のほうに向けたいという気持ちが強いわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/158
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159・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 そういう関係もあるのですが、もう一つ深く突っ込んで考えますと、あなたは東大出ですけれども、公立の学校を出た人と私立の学校を出た人と、出るまでの間の父兄の負担というのはばく大な差があると思うのです。それで父兄の中からこういう意見が出るのです。国の金で大体九割くらい出してもらっておる。片方では、同じ税金を納めて、そして私立大学の学生を持つ親としてはばく大な金が要る。そこでそれだけは控除してもらえぬかという意見を言ってくる。私は私学振興の委員長をやっておるので、そういう意見があるのです。あなたはいまのような実情について考える道はないかと思うのですがそれはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/159
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160・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 日本の場合、欧米諸国に比べますと、私学の基礎が非常に弱いということがいえると思うのです。そういう意味で、指定寄付等におきましては、私学振興のためにいろいろな措置をとっております。去年も所得控除、寄付金の足切り計算を下げることをいたしました。ことしも所得税で十万円まで寄付金控除を下げまして、また同時に、私学の研究基金というものに対する寄付を指定寄付にも認めるということで、一般の浄財で私学の基礎を固めるということに資するような措置をとってまいりました。やはり私学がしっかりするということが先決ではなかろうかという感じがいたしますが、その方面でできる限りのことはやっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/160
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161・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 私学が寄付金の免税をしてくれということを盛んに言っているわけです。これは長い間いろいろ私らも叫んでおるのだけれども、なかなか簡単にいかない面がある。これは外国、アメリカやイギリスあたりでは、私学のそういうことについては非常に援助があるのですけれども、日本の場合は非常に少ない。しかも日本の学生の七割五分は大体私学でもっているわけです。あと二割五分が国立の大学で占められているわけですが、これは私らをして言わしむれば、国家で当然やらなければならぬ教育を、不十分ではあるけれども私学がやっておるということで、当然国がもっとめんどうを見るべきじゃないかという意見が出るわけです。同じ立場にある。だから、吉國さんみたいに頭のいい人はぱっと東大へ入ってしまうから、何にも知らないで出て大蔵省のベテランになるんだけれども、国全体として考えれば、私学に行っておる人はそう簡単にいかぬ。そこで文部省の人は——大体公務員は国立の大学出の人が多いですから、幾ら言っても聞かぬけれども、大体文部省の人はそういう意見がこのごろわかってきたんだ。ところが大蔵省がかたい。特に吉國さんなんか一番かたくて耳も傾けない。いま、にやにや笑っている人はみんな秀才ばかりだ。しかし、そういう試験に通らぬ立場の人が多いのです。十人のうち九人ぐらいまでは大体行けないのです。一人が国立大学へ入るのですから、そういう人は知らないのです、だから薄情だと思うのです。やはり秀才は頭がいいかわりには薄情だといわれている。少なくともこういう点で、なるほどあたたかい心がある——私は私学の人が全部鈍才ばかりだということは言いません。けれども、実権を握っているいまの大蔵省なり文部省のそういう人は、みんな国立出の人が多いですよ。私学の出というのはほとんど大蔵省なんかの中にはおらぬでしょう。そういう点で、これは私学のひがみかもしれぬけれども、私たちはそういう考えを持っているのですが、もう少しあたたかい手を伸ばす必要があるのじゃないか、こういうように思うのです。そういうことをやれば、これは租税特別措置というのはなかなかいいところがあるということになるけれども、そういうところは、あなたが名主税局長といわれるのには、そのくらいの恩恵をひとつ頭をひねって考えてもらう余地はないかと思うが、どうですか。
〔金子(一)委員長代理退席、毛利委員長代理
着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/161
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162・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいまちょっと御説明いたしましたが、昨年の改正では、ずいぶん大幅に私学の寄付金を受けやすくするということをいたしました。たとえば、いままでは施設をつくるためでなければいけないといっておりましたが、私学振興会を通ずる一般的な寄付もよろしい。それから、一ぺん校舎を建てたけれども旧債が返還できないというときの、旧債の返還のための寄付も指定寄付に認めるということにいたしました。ことしは先ほど申し上げたようなことであります。私学については、いわゆる経常費をまかなうもの以外はほとんど全部、基礎的な設備費についてはあらゆるものが指定寄付がきくように措置したわけでございます。指定寄付の制度は、これは本法の制度ではございますけれども、実際にはそういう意味じゃ一種の特別措置的なものだと思います。私は、私学自体の存立意義というものはやはり独立性にあると思いますので、わが国の憲法でも、国の財産を使わせない、それが私学本来の姿だとはいってはおりますけれども、寄付くらいは受けるのがあたりまえだと思うので、そこを大いに広げているわけであります。相当やっているつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/162
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163・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 いまそこにロンドンにおった大蔵省の税制一課長おりますが、イギリスは御承知のように、教育の場合には、恩恵的なことはやるけれども統治しない、支配しないということになっているんですよ。だけれども、日本では学校の成立状況も国の条件も違いますし、いろいろ過程も違っておるのだけれども、しかしやはりそういう点では——あなたいま十分だと言われますが、それが薄情の一つのあらわれなんですよ。私学のほうの側からいえば、私は私学を経営しているわけでもないんだけれども、とにかくそういう点がやはり日本の教育の中にいろいろな問題が起こる原因の一つになる。そこでもっとしっかりしなければいかぬと言われますけれども、それは東大とか一橋とか東京工大というような、そういう国立の大学はほとんどすべて国のあれでやっておるでしょう。ところが私学は、もともとそういうような財源がなしに、どうにかこうにか食いつなぎをやって、学生の月謝でどうにかやっているわけなんです。だから、今度中央大学であのような問題が起きましたけれども、あれはどういうふうになっておるかしれませんが、そういう点で、国全体として考える場合には、大蔵省あたりがやはりそういうような措置についてはもう少し——なるほどこれは直接国の補助はないけれども、そういう点を大目に見てくれるというようなあたたかい手を差し伸べる必要があるのじゃないか、こう思うのです。だから、いまこれだけやっているから、もうあとは経常費だけぐらいだと言われますけれども、現在、私学の経営のうちの大体六割くらいは、学生の月謝でやっているじゃないですか。おそらく六割くらいはそうじゃないですか。そうでしょう。しかし、国立大学は全部国が補助しているんですからね。同じ日本の学生ですよ。私学だって日本の学生じゃないことはない。日本の学生なんだ。同じ教育をやる立場からは当然だ。いまの日本の教育というものがそういうことならば、これは文部省に文句を言う必要がある。大体国立の学生のことばかり考えてやっているから、膨大な私学にこのようないろいろな問題が起きると思う。私はそういう点で、なるほど大蔵省は、こういう点は補助はしないけれども税法の上でこういう道をとっておるというような立場をはっきりするような案があれば、特別措置法もなるほどいいところもあるなと思うけれども、いまのやつじゃそういうところはない。みんな大資本のものばかり援助するような感じがしてならぬと思うのですが、その点もう一ぺん前向きに考えるあれはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/163
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164・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 学校に対する寄付の問題については、ほとんど手は打ち尽くしたような感じかいたします。数年前に比べますと——数年前というか、最初のころは、焼けた校舎の再建だけを認めておりましたが、その後学校の施設の拡充その他も認めるようになりました。さらに研究基金とかそういう基礎的なものも認める。最後には今度は、建てて金が返せなくなった、それを返すのも認める。それから収益事業をやっている場合には、半分まで公益事業である学校部門に繰り入れまして、その部分は損金に見るとか、それからいわゆる試験研究法人というものを設定いたしまして、その試験研究法人に関しては、普通の寄付限度と同額まで指定寄付にしないで文句なしに出せるようにする。これはもう寄付に関する制度はほとんど手を打ち尽くしたような感じになっておりますが、なおいろいろな点でまた考え得るものは考えたいと思いますけれども、いまの現状はかなり進んだものであります。また、これからいかにして寄付を集めるかというほうが問題ではなかろうかという感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/164
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165・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 私は時間がありませんからあまりもう追及しませんけれども、ひとつ私学の教育の問題については、人ごとでなく、私立といっても国の認められた学校でありますから、これは慶応の福沢さん、早稲田の大隈さんがやったときの学校の成立とは違う。もっと時代が変わってきておりますから、そういう点でおそらく私学の問題は相当大きな問題になると私は思います。そういう点で、税法の中からだけでも、租税特別措置というものが存在したならば、少しはわれわれにもいいなと思わせるような処置をしていただくことを要望しまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/165
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166・毛利松平
○毛利委員長代理 阿部委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/166
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167・阿部助哉
○阿部(助)委員 私は、国債の別ワクの非課税の点でお伺いをしたいのでありますが、また新しくこうやって特別措置をつくられるというこの目的をまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/167
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168・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 わが国で本格的な国債を出しましたのは、戦後二十年で初めてでございます。国債の消化が国民の間に健全に行き渡ることが望ましいわけございますが、何ぶんにも長い間国債というものが出ておりませんのでなじみが薄い。戦前でも国債の利率等は一般の債券よりも低いというのが通常でございましたが、国債に対する一つのなれと申しますか、信頼というものがあって流通しておったわけでございますが、戦後そういう点で国債のなじみが薄いということで、個人消化というものがやや停滞ぎみでございますが、ことに最近の金融情勢で停滞をいたしております。したがいまして、この際、ごく短期間を限って国債について個人消化をはかれば、個人の間に国債に対するなじみもふえるであろうということから、たまたま現行の少額貯蓄の制度が従前からございますために、ほかの預貯金あるいは社債等でいわばその口座を使っておりますので、新しく別ワクを認めまして二年間だけ特別の措置をとって、国債の円滑な個人消化をはかることは適当だといううことでこの措置ができ上がったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/168
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169・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうしますと、いま国債がなかなか消化されないからやる、こう言っておるのですが、その問題はまたあとで聞くことにしまして、まずこの発行条件を変えられた。その上で今度のような措置をとりますと、新聞等で報道されるのは、実質利回りが六・九〇二%、こうなっておるわけすが、政府保証債あるいは利付債、貸付信託あるいは一流の事業債というようなものの利回りを出してもらって、それと検討してみたいと思うのですが、それをまず出してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/169
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170・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 国債の利回りは、改定をいたしまして後表面で六分九厘三糸でございます、利付金融債五年ものが七分三厘、貸付信託五年ものが七分二厘七毛ということになっております。現在の通常の少額貯蓄を利用いたしますれば、これは全部非課税でございますから、表面利回りどおり六分九厘になるわけでございまして、これは非常に高い利回りになりますが、今度の制度は御承知のとおり二年間の利子だけを免税にいたすわけでございますから、それで計算をいたしますと、税引き後で六分一厘九毛二糸というところになります。これは利付金融債五年もので申しますと、先ほどの七分三厘が税引き後で六分二厘五糸でございます。それよりも低いという程度になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/170
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171・阿部助哉
○阿部(助)委員 二年間の期限つきだ。もちろんそれで二年目には必ずおやめになると私は思いますけれども、いままでの特別措置を見ておりますとみんな期限がついておる。暫定だ暫定だといって、それで消えたためしがない。大体そうであります。あとで申し上げますけれども、税調のほうで特別措置に対してはいろいろなことを言っておるけれども、現実は、一ぺんつくると特別措置というものはなかなかなくならない。あなたは、二年間で必ずなくすると、こう約束されるかしらぬが、実際はなかなかなくならないということを見ると、どうもこれは少しおかしいのではないか。国債という一番信用度の高いといいますか、また担保力を持っておる、こういうものが一番実質の利回りがよくなって、それでほかのものが低いということになると、どうもその辺で長期金融というものの体系がくずれるように思うのですが、そういう点では矛盾をしておるようには思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/171
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172・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この別ワク非課税措置は、御承知のとおり、新規に取得をして持ち続けることが前提でございます。したがいまして、これを売る場合には、買った人は普通の利回りに変わってしまうわけでございます。したがって、ここに入る国債の利率がよくなるというわけではなくて、そこに入れた人が持っている間だけの話でございますから、流通機構といたしましては、改定後の利回りというものは一般利回りが働くわけでございます。この点は、一般の少額貯蓄に入っております国債にいたしましても、政保債にいたしましても、入っている間は利回りはよろしいのでございますが、出してしまいますと——新規のものを一年継続して持つというところが大事なところでございまして、外に出してしまえば、つまり流通に回ったときには普通の証券の利回りになりますから、そういう意味では長期利回りということとは直接の関連はないということで踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/172
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173・阿部助哉
○阿部(助)委員 直接の関係がないなんということはいえないのじゃないですか。そこに国債を買う金がだぶついておれば、ほかのものを買うほうの金の流れで、これはそうやったから特別関連がないなんというのは少しおかしいのじゃないですか。ちょっと納得できないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/173
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174・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 利回りといたしましては、一つのあらわれ方としては、保有者の利回りと、それからその利回りを前提とした売買ということがあるわけでございます。売買のときの価格形成でございます。その保有者の利回りとしては、個人消化分は全体の一割でございまして、九割は一般の利回りでございますから、今度その譲渡する場合の利回りになりますと、これは買った人は新しく少額貯蓄に入れられませんから、その分は普通利回りになるわけで、したがって流通過程においては全く通常の利回りであるという意味で影響がないということを私は申し上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/174
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175・阿部助哉
○阿部(助)委員 先を急ぎますからあれですが、やはり金はできるだけ利回りのいいほうに回るのが当然なんであって、それが関係がないということはどうも私は承知できない。現実に新聞等で報道されておるのを見れば、これをきめる段階で、また特別措置をつくる段階で大蔵省の中でも、皆さんのところと銀行局、あるいはまた国債の担当の鳩山さんのところと、いろいろ問題があったようでありますし、銀行筋と証券界とのいろいろな報道もなされておるわけてあって、そう簡単に割り切って、国債を買う金は全然別なんです、別のところから来るんですというわけにはまいらぬと私は思うのですが、吉國さんのその点でのあれは私は納得しないけれども、何か先を急がれておるようでありますから、先を急ぎます。
そうしますと、国債の大半がシンジケート団で買われる、こうおっしゃったわけですが、私も前から聞いておりますし、資料を見てもそのとおりなんだが、それだと一年たって買いオペを大体やられるわけですが、その比率はどれくらい買いオペがなされておるのか、特に銀行筋の数字を出してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/175
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176・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ちょっと私の所管外だものですから、いま銀行局を至急呼びますので、銀行局から答えさせたいと思いますが、とりあえず申し上げておきますが、一年以上経過した国債はオペの対象になるわけでございます。大体において実績から申しますと七割か八割程度をやっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/176
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177・阿部助哉
○阿部(助)委員 大体ここでいただいた資料によると八割ぐらいが買いオペになっておる。そうすると、何べんかこの前もここで論議をしたわけですけれども、どうも幾ら話を聞いてみても——前は岩尾さんでしたか、いろいろと言い回しをして、おられるけれども、結局は、財政に違反はしないのかもわかぬけれども、少なくとも財政法の精神は踏みにじった実質的な日銀引き受けと同じような形になる、こう私は思われてならないのです。
もう一つは、そうしたらやはり日本銀行の紙幣はよけい出るのではないですか、どうですか。これは主税局長より次官のほうがありがたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/177
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178・倉成正
○倉成政府委員 一年たった国債を日銀が買いオペする、したがって、国債は日銀で引き受けちゃならないというけれども、実際は一年たったらこれを引き受けるのだから、それだけ日銀券が増発して、いわばインフレになるんじゃないか、こういう御趣旨の御質問だと思いますが、この点は、一見そういうふうにお考えになるかもしれませんけれども、日銀の買いオペは、あくまで財政の揚げ超と散超との資金の量を計算いたしまして、いわば成長通貨を発行するために債券として保有しておる国債を買い上げるわけでありますから、これはやはり本質的に違う。買いオペをやるかどうかということは、そのときの資金事情その他、財政の散超、揚げ超、そういうものを考慮してやることになっておりますから、たてまえが違うというふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/178
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179・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうすると、これは日銀のほうが一番の判断をされるのでしょうが、それを監督しておる大蔵省としては、その判断で買いオペをやっておるというが、われわれはこうやって数字を見てまいりますと、必ずしもそう判断してやっておるのじゃなしに、銀行のほうが頼んでくれば買いオペをするような感じを受けるわけです。そうじゃないとおっしゃるならば、成長通貨はどれくらいが一番適当だというのが何らかの形で算定されて示されなければ、そういうことは言えないんじゃないか。その成長通貨はいまどれくらいが適当なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/179
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180・倉成正
○倉成政府委員 これは銀行局が参りましてお答えすると思いますけれども、成長通貨の量はどのくらいが適当であるかということをあらかじめきめることは、適当でないんじゃなかろうかと私は思うわけであります。日銀券の発行量というものは結果として出てくるわけでありますから、その辺は私は多少御議論がちょっと飛躍しているんじゃなかろうかと思います。ただ日銀としては、貸し出しの量などについて、一定のワクを内部の基準として考えておるということはあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/180
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181・阿部助哉
○阿部(助)委員 結果として出てくるのだということになれば、結果は、実際言うてこれだけ物価が上がっているじゃないですか。そうすると、これだけが物価値上げのもとだとは私も言いませんけれども、やはりこれが非常に大きなあれになっておるのじゃないかと思う。そうすると、物価が上がっておるという結果から見れば、やはり紙幣を増発し過ぎておるのだ、こういう判断をせざるを得ない。そういう私の意見が飛躍しておるとあなたはおっしゃる。だから、いままでの過去の実績を見なければいかぬとなれば、実績でいまの物価の値上がり等を見ていけば、やはり紙幣の増発がひど過ぎるのじゃないか、こういうふうに私は判断せざるを得ないのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/181
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182・倉成正
○倉成政府委員 これは銀行局長からお答えしたほうがいいと思いますけれども、いわば金融インフレ、銀行券の増発によってインフレが起こるじゃないかという御議論に通ずると思うのですけれども、これは、やはり物の裏づけのない、生産の裏づけのない通貨が、国債を直接日銀が引き受けいたしましてすぐ通貨として出てくる、そういう場合には、御指摘のような問題が起こると思います。しかし、生産の裏づけのあるものが通貨として必要とされてくるならば、これは決して通貨量が大きくなったことによってインフレが起こるというふうには考えません。これは経済学の初歩の議論であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/182
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183・阿部助哉
○阿部(助)委員 どうも私が経済学の初歩もわからないようなお話ですが、あなたが、それは実績を見てやるのであって、成長通貨は実績を見なければわからぬ、こうおっしゃったから、私は、それじゃ実績は、現実はインフレになってきておるじゃないかということで申し上げたのであって、私の意見は、初めは飛躍したとおっしゃり、あとには経済学のいろはだとおっしゃるのだが、それならば、国債というものを出して買いオペをやって金が出ていけば、物価は値上がりをするし、現実にそれを算定した上でやっておるのだというならば、初めから成長通貨はいまの時点でどの辺が適当なんだという算定の根拠を示してもらいたい、こう私は言ったわけです。それが何かこう言うと別なほうへ行く、こっちへあなたがおっしゃるので物価の問題をやるとこう逃げられる。これではちょっと私わからなくなるのですが、そこはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/183
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184・倉成正
○倉成政府委員 通貨の適正発行量という御質問だと思うのですけれども、これは銀行局長が来てからお答えしたほうがいいと思いますが、私は、これはやっぱり結果として出てくるものであって、あらかじめ通貨量というのを算定することはできないと思うのです。ただ、先ほど私がちょっと取り違えまして、実際は物価が上がってそれだけインフレになっているじゃないかというお話がございましたけれども、それは私は、生産の裏づけのある通貨の発行によってインフレにはならない、そういう意味のことを申し上げただけであります。現在物価が上がっておるということについて、またその分だけ通貨の発行量がふえているということは認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/184
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185・阿部助哉
○阿部(助)委員 鳩山さんおいでになったのですけれども、これはやっぱり銀行局のほうでしょうかね、長期の金利や何かのことは。銀行局が来ないといかぬですか。
先ほど吉國さんのほうから、今度国債の発行条件を五十銭引き下げたい。それで、今度の特別措置をやると国債の実質利回りが一番よくなるのじゃないか。ところが、国債というのは一番信用度も高いので、常識からいけば、国債が一番利回りが低くて、その上にいろいろと長期金融があるのが普通であるのに、今度の場合、この措置で逆になるじゃないか、ここまでしてやらなければいかぬのか、また、そうすれば長期の金利体系というのも何ぼか変更の必要があるんじゃないか、こう質問をしたわけでありますが、銀行局長おいでになってからというようなお話もあり、吉國さんとは少し話が水かけ論になってしまっておるわけですが、そこをひとつお答え願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/185
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186・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 国債の利回りが各種債券類で一番低くあるべきだということは御説のとおりと思います。ただ、このたびのこの少額非課税制度の国債だけの別のものをつくりました趣旨のものは、従来から少額非課税制度というものはありましたのにもかかわりませず、この国債についてそういうことが少しも利用されてないということから、そういったものをつくって、国債でもそういった少額非課税の免税措置が受けられるのだということを一般の預金者あるいは国債を持とうという人にも知ってもらいたいということが一つと、そういうことがPRだけよりも別な制度としてつくってやったほうがより効果的であろうということから、そういうことができたわけであります。
それで、ただ今回の制度によりましても、やはり非課税になります部分は二年間あるいは二十四カ月分の金利だけでありますから、その分だけが非課税となりますと、やはり手取りとしては六分一厘九毛程度でありますから、これはまた他の債券、政保債その他とずっと体系ができておりますけれども、国債が一番低いということは変わらない。政保債につきましても条件改定いたしましたけれども、これも一般の少額非課税制度には乗り得るわけでありますから、かりに政保債についてそういった制度の特典を受けない場合と比べますと、それはちょっとそこで逆転をしておることになりますけれども、そういった制度は一般にございますので、特に債券の性質としてそういうものがあるわけではなくて、たまたまそういった条件に適合した場合にだけそういった特典が得られるというのでありますから、債券自体の価値がそれだけ変わったのだということではないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/186
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187・阿部助哉
○阿部(助)委員 いろいろと説明されておるようだが、私のお伺いしておるところと焦点が合わないようなんですがね。私はいろんなほかの金利の一応の体系というものがやはりあると思うのですよ。大蔵省は、せつな的にただそのときそのときで思いつきのような政策をやっておるのではなしに、本来ならばやはり金利の体系なら体系というものを考える。法律ならやはり原則というものがあって、たまには例外というのもあるだろうけれども、一応原則というものを立てなければしようがないのじゃないか。ところが今度の場合、それを破ってまで、また法律上、税制の上からいっても、特別措置というのは、われわれが何べんか指摘しておるけれども、そういうものをあえてまたここでやろうとするのには、どうもわれわれは十分な納得がいかない。だから、もしそれがそうでなしに、これで国債は実質利回りがほかよりも高いのでいいのだ、こうおっしゃるならば、それで私はわかります。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/187
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188・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 ことばを返すようでありますけれども、これは国債の債券としての利回りが非常に違ったものになっておるというわけでは決してないので、これは、個人が買ってこれを転売しようとするときにはもうきかないわけでありますから、そういった少額非課税を受けられる状態にあったときだけ、それだけその金利の特典が得られる。それは同じ財産価値としてあるわけではない。そういう意味で、全体の国債発行量のごくわずかの部分がそういった状態に置かれる場合にだけ適用されるものであって、全体の国債の利回りがそれだけ高くなっているということではないと申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/188
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189・阿部助哉
○阿部(助)委員 それはそうです。この特別措置でやられる部面だけしか利回りがよくならないことは、それはわかる。それならば、ごくわずかな国債を扱うと、こうおっしゃったんだが、ごくわずかな人たちというものは一体どういう人たちなんですか。とにかく一般の労働者や農民が大体この国債をいま持っておるのですか。ごくわずかの人たちなんでしょう。そのわずかのために税制の体系までを乱して特別措置をつくらにゃいかぬというのは一体どういうわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/189
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190・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 ただいまごくわずかと申し上げましたのは、総体の発行額の九割はシ団が引き受けるのでありますから、残りの一割について一般の個人に証券会社を通じて個人消化をはかっておる意味で、全体の一割にすぎないという意味でわずかと申し上げたわけであります。従来からこの国債を証券会社を通じて販売をいたしている実績は、おおむね一回に一口当たり大体三十万円程度という数字が出ております。そういうような階層というのは、相当所得も高い層であろうと私ども考えるのでありますけれども、今回こういった制度をつくりまして、もっと一般に、預金というものは非常に広く国民に普及しているものでありますから、そういった国民大衆にこの国債も持っていただきたい、そういう意味で、普通のわれわれサラリーマンにしても、あるいはボーナスの時期にはちょっと国債でも買おうかという気が起こりますように、もっと広く国民の皆さまに親しんでいただきたいという趣旨からこういった制度をつくって、また今度券面も五万円というようなものも新年度から出したいと思っておりますが、そういった小額の国債というものをもっと広く国民の間に親しんでいただきたいという趣旨でこの制度に非常に期待をいたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/190
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191・阿部助哉
○阿部(助)委員 いままで少額貯蓄利子の非課税というので、四十三年度は五百十億というものが減収になるという資料をいただいておるわけですが、この中で国債の関係はどれくらいあるのですか。これは主税局のほうのあれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/191
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192・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 過去のものについては五百十億の中で約二億と推定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/192
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193・阿部助哉
○阿部(助)委員 何も鳩山さんのことばじりをとらえるわけではありませんが、ごくわずかとおっしゃったのは、私もやはりごくわずかだと思うのですよ。しかも、それは国民の中に占める比率からいってもごくわずかであるし、発行しておる国債の量からいってみても、これもまたごくわずかだ。それにかかわらず、そのわずかなためにこの特別措置までつくらにゃいかぬということが私に理解できない。それは国民がおそらく理解のできないところだと思うのですよ。なぜここまでせにゃいかぬのか。それならば国債をもっと減額する、ないしできるならやめるべきなんで、そこまでせにゃいかぬというのがわからない。しかも、ごくわずかの人たちにこの恩恵を与えるために税制の体系を乱すということが私はわからぬと、こう言っておるわけでして、そこをひとつ簡単明瞭に御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/193
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194・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 国債の消化を広く、やはり一般のだれでもが国債を持てるような形にすべきだというのが私どもの考えているねらいでありまして、今日まで比較的少数の人が国債を買っておるというような状態はよくないことじゃないかという意味で、こういった制度ができますと、広く国債が多くの方々に買っていただけるのじゃないかということを期待しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/194
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195・阿部助哉
○阿部(助)委員 だけど、実際これをやったら国債が広く国民に買われるという期待は持てないんじゃないですか。またあまり買われたら、一面別の方面の金の流れが、マネーフローが変わればまた銀行筋でも困るみたいな問題が出るんじゃないですか。
せっかく大臣がおいでになったのでお伺いしますけれども、不況のときに、四十年に赤字国債を出し、四十一年にまた今度は本格的な国債を発行されたわけですが、そのときは国債の消化というものと、金融の緩和というかそういうものが両立しやすいと私も思うのでありますが、今日のように、景気が過熱をしてくるという中で、この国債をスムーズに消化していくということはなかなかむずかしいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/195
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196・水田三喜男
○水田国務大臣 ですから、金融情勢に応じて量の調節をするし、また、条件の調節もするということをやることが大切だと思っておりますが、そこで、いまの問題になっておりますのは、いま理財局長が言いましたように、戦前あたり見ましたら、やはり国債の個人消化というものは相当比重が多くなっておるのに、最近は国債を出すことがありませんでしたから国民になじんでいない。したがって、今後いままでのような消化層じゃなくて、国民の個人消化というものをここでふやすほうがいいというようなことからこういう措置を考えたわけで、こういう措置によって、相当そういうふうな個人消化が進んでいくだろうと私は思っています。それが悪い方向かいい方向かというと、これはもういまの出し方よりも、私は、国民の個人に多く消化されることのほうが、公債を出す側から見たらいい傾向だというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/196
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197・阿部助哉
○阿部(助)委員 私の、お伺いするほうが少し舌足らずだったかもわかりませんが、そこまでして国債を発行しなければいかぬということが私にはちょっと不可解なんで、それならば四十一年に出されたときの、国債をとにかくドッジライン以降十五年も出していなかった。それで赤字国債を出し、次には公共事業のあれということでお出しになった。ことしあたりはほんとうは国債を出さないでいくことが一番正しかったと思うのですが、なぜことしのようなときに国債を発行されるのですか、私はやめるべきだと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/197
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198・水田三喜男
○水田国務大臣 そこが私どもの今年度の予算編成で苦心したところでございます。私は、増税にならぬ、実質減税にならぬぎりぎりのところまでで国債を切れるだけ切るということが今度の方針でございますので、おっしゃられるように、国債をやめてもっと増税やれという意見なら、これも反対じゃございませんが、しかし、日本の経済はまだそこまでいかなくても、私は国際収支の均衡を得るくらいのことはできるという考えで、ぎりぎりのところでとめたというのが今度の予算の編成方針でございます。したがって、公債は切れるだけ切ったということは間違いございませんし、今度はその公債の出し方、一たん量をきめた以上、その出し方をどうするかといったら、これはやはり広く国民層に個人消化が多く進むというような形のほうが望ましいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/198
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199・阿部助哉
○阿部(助)委員 どうもそのときそのときに考え方というか、説明が違うように私は思うので、片っ方ではいまお話しのとおり財政繰り延べをしてみたりしておる。また、その不況のときに出したのは私もわかるのですが、いまのような段階で出さなければいかぬ——財政硬直だ、当然増か支出でふえる。こうおっしゃるから、だからわれわれは、それならばいろいろな特別措置をはずしたり、午前中も問題が出ておりました交際費にもう少し課税したらどうだというような形でいけば解決がされるのではないか、そういう何か、大きな資本家や金持ちのほうのところはそっくりそのままにしておいて、そうして勤労者や農民のところに、酒、たばこを上げようとかあるいはどうしようという形でいけば、これは財政硬直ではなしに大蔵省の考え方が硬直しておるのではないかという感じを持たざるを得ないわけでして、その点でどうも理解ができないわけです。ほんとうに財政硬直を打開するならば、支出の面だけではなしに、収入の面で、そういう点で、すぐに大衆の税金がどうのこうの言う先に、特別措置をもう一ぺん全部再検討して、整理すべきものは整理するという考えに立たなければ、これは財政も硬直するが、税制それ自身が硬直しておるのではないか、大蔵省自体の考え方が硬直しておるのではないか、こういう感じを国民は持つのではないか、こう思うんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/199
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200・水田三喜男
○水田国務大臣 それは別に反対でございません。いずれこの特別措置というものは見直されなければなりませんし、絶えずこれは吟味さるべき問題でございますが、本年度は、もう御承知のとおり、去年これらの問題については相当私どもが検討の上新しい措置をとったばかりであるということから、今回手を触れなかっただけでございますが、これは慢性化したり何かしないように、固定化しないように見直しをして、これは絶えず改正すべきものでございますので、この二年間に私どもはいままでの特別措置を全部一ぺん再検討するという方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/200
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201・阿部助哉
○阿部(助)委員 先ほども鳩山さんからもお話がありましたが、この措置は二年間でぴっしゃりやめますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/201
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202・水田三喜男
○水田国務大臣 二年間に次にとるべき措置を検討するということで、これは当然税制調査会にもお願いして、この次にとるべき措置を考えるということでございます。やめることになるのか、これをまた順を追って改めるというような措置がとられるか、これはこれからの研究課題にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/202
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203・阿部助哉
○阿部(助)委員 いや、その点で、大臣のおいでになる前に、二年間、二年間とおっしゃるから、私は、特別措置を一ぺん始めると、これはなかなかやめられるものじゃないのではないか、検討する検討するということでは当てにならぬのだ、それならば長期金利の体系が乱れるのだという話をさっきしたわけです。そのときも二年間、二年間と、こうおっしゃるわけです。ところが、いまの大臣のお話だと、二年間たったらまた検討する、何かこう違ったような形だけれども、実質は同じような形にするというのでは、これは話が全然先へ、一番最初から言っておる、大臣がおいでになるまでの話が全然狂ってしまうんですがね、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/203
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204・水田三喜男
○水田国務大臣 私はいま少額貯蓄の問題ということを知りませんでしたから……。それならもう二年間延長いたしません。これははっきりやめることをお約束してけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/204
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205・阿部助哉
○阿部(助)委員 まあその点は約束されるそうでありますが、それにしても私は、鳩山さんかどなたかにお伺いしたいのですが、いま特別措置をつけたりすることによって、これを買う人たちというのは大体どんな層だと思っておられるのですか。大体どれくらいの所得のある人たちだという見当をつけておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/205
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206・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 一般の預貯金の少額非課税制度というものは非常に広く利用されておるわけでありまして、免税額が五百億になるわけであります。それで利率の点から申し上げますと、預貯金よりも国債の金利のほうが利回りはいいわけでありますので、そういったことを考えれば、一般の大衆が広くこれを利用されるということは十分考えられることであります。ただ、何ぶん新しい制度をやるわけでありますから、どの程度これが利用されるかということは、現在のところ当て推量をするにすぎないのでありますけれども、これがだんだん普及されれば、非常に広く一般の預貯金と同じように普及されるのではなかろうかということを期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/206
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207・阿部助哉
○阿部(助)委員 それなら、いま国債を持っている人はそんなによけいないでしょう。私の仲間は、金がないせいもあるかもしれないが、国債を持っている人は一人もいません。私が一番最初に申し上げましたように、これを利用する人はそう多くはない。しかも相当余裕のある人たちが恩恵を受けるだけで、大衆にとっては何の縁もゆかりもないということになるだろう、こう思うのであります。
もう一つは、私は国債そのものに大体反対でありますが、不況のときに出された。今度は何だかんだと言いながら、好況のときにも出さざるを得ないところへはまってしまったんじゃないか、こう思うのですが、どうでしょうか。一ぺんあれだけのものを出すと、なかなかやめられない。減らしたいという御意見を大臣からもただたびお伺いしておりますし、減らす方向で努力をされておることはわかるけれども、なかなか一ぺんでやめられないということは現実ではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/207
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208・水田三喜男
○水田国務大臣 私はそう思いません。これは漸減できると思っています。前にやったことを私批判するわけじゃございませんが、四十一年に公債を出したときに、御承知のように自然増がないくらいですから、ああいうときにかりに減税というものが犠牲になったというようなことでしたら、最初公債は三、四千億の発行で済んだんじゃないかと思いますが、不況を克服するという積極的な意味を持っておりましたので、公債によって三千億の減税をやって、しかも一方有効需要の喚起に四千億をという出し方をしましたので、最初の国債の発行がやはり非常に多かったのであります。それをフィスカルポリシーとはいいながら、徐々に縮めていこうというときになりますと、最初の多かったものを急速に縮めるということのいろいろな困難さが出てきて、これを調整しながら、ようやくいま一〇%台に持ってきた。そして今後数年の間に五%前後まで持っていくというのがいまの考え方でございます。最初の出し方がああいうことでございましたので、すぐに量を減らすことはむずかしかったという事情はございますが、ようやく軌道に乗ったと思いますので、私は、今後公債については依存度をできるだけ少なくするという方針は貫けるというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/208
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209・阿部助哉
○阿部(助)委員 大臣の前半の反省は私も認めます。だけれども、漸減する方向で努力をされておることはわかるけれども、私は前に向井蔵相のことばを申し上げたと思うのであります。向井さんは、国債はアヘンのようなもので、一ぺん出すと、やめようと思ってもなかなかやめられるものではないのだということをおっしゃっております。また、国債がなければ戦争はないのだというふうなことをおっしゃっておるわけです。そういう点で、ほんとうはことしあたりは、できることなら国債をやめるべきだった、また大臣も減らそうと努力しておられる、そういうことだと思うのであります。その努力はわかりますが、国債そのものが、一ぺん出すと、なかなかやめられないものなんじゃないか。しかも、ここで大臣はやめようと努力はしておるけれどもやめられないということは、何かここにまだ問題が残るのではないか。それは、いまのような景気の状態、また国際収支もよくない、見通しが暗い段階、それになおかつこうやって国債を出さなければいかぬ。十五年間も国債を出さずに予算を組んできたわけです。それをこうやって出していくには、やはり国債が再軍備政策であるとかいうものにつながってくるのではないか。そして財政硬直化の原因をなしておるのもまた国債ではないかという感じがしますので、大臣がせっかくこれをやめようということになれば、来年くらいにはひとつ思い切って国債はやめるというくらいの方針を打ち出していただきたいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/209
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210・水田三喜男
○水田国務大臣 さっき言いましたように、確かに一ぺん出すと、これを急にやめることができないというのが、やはり国債の一つの性質だろうと思いますが、さっき申しましたように、出発においてあれだけの量を出しておったのですから、急に財政需要を機械的に圧縮することは実際にはむずかしい。現に経済が伸びるに従って財政需要は逆にふえているのですから。そういう点において、ここらの調節を機械的にやることはむずかしゅうございますので、摩擦をなくしながら漸次公債への依存度を減らしていくという政策をとる以外には方法がないのじゃないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/210
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211・阿部助哉
○阿部(助)委員 時間のあれもありますので、次に移ります。
輸出の振興について、またこれも特別措置を拡充されるようでありますが、大蔵省は何もオールマイティではないので、農林関係の問題であるならば農林省からの要請があったとかいうことだと思うのです。これはやはり通産省からの要請があっただろうと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/211
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212・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ことしの予算策定の際には、御承知のとおり十一月にポンドの切り下げがございましたし、ことしの予算を編成するにあたっては、国際収支の面から財政も抑制的に考えていかなければならぬというようなことでございますので、ことしはほかの特別措置を切っても輸出振興を中心にする国際収支改善のための特別措置はやるべきであるというのが私どもの考えであったのでございます。もちろん、その具体的措置については通産省等と十分に打ち合わせをやったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/212
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213・阿部助哉
○阿部(助)委員 まあ何としても輸出関係は通産省のほうが本職だろうが、吉國さんはいろいろ知っておるのだろうと思いますのでちょっとお伺いしますが、輸出が不振だというか、予定どおり伸ばすためにこれをやられるということでありましょうけれども、予定どおりやるための障害というのは、一体どういうことが障害なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/213
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214・原田明
○原田政府委員 輸出を伸長いたしますために横たわっております障害は非常に多々あると思いますが、海外におきます障害といたしましては、現在私どもとして一番頭を悩ましておりますのは、ドル不安ないし国際収支防衛ということに関連して起こっておりますアメリカにおける課徴金その他の輸入制限の動き、それから金・ドル不安その他に関連して起こっております世界の主要な輸出市場の幾つかにおける引き締め的な傾向、それからまた、発展途上国の側におきまして、外貨不足やその他から日本の輸出品を買う能力が乏しい、それに加えて、ある種の商品等については、こういう低開発国との競争が激化しているというような問題に集約されるのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/214
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215・阿部助哉
○阿部(助)委員 それで貿易を振興するためにはどんなふうなことをお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/215
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216・原田明
○原田政府委員 貿易、特に輸出の伸長につきましては、即効薬のごとく、これをやればぽんと出るというものはなかなか見つかりにくいと考えております。やはり基本は、国際経済情勢のもとで日本の経済情勢が輸出に適したような環境になるという点であります。特に輸出産業の国際競争力、体質改善といったような基本的な課題が解決されることが一番基本であろうかと思います。しかし、現在のごとく輸出を取り巻く環境が次第にきびしさを加えておりますような状況のもとでは、なかなかゆうちょうなことばかり言ってもおれませんので、やはり輸出を促進するための各種の政策というものが必要になるというふうに考えておりまして、その大きな柱といたしましては、輸出金融、輸出の税制上の優遇措置、それからジェトロやその他輸出振興の機関に対しまする予算的な措置等を通ずる海外活動の強化、及び保険ないし検査、デザインといったような総合的な政策、それと相伴いました経済外交の強化、こういうことになるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/216
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217・阿部助哉
○阿部(助)委員 この法律がかかっておるから税制上なんとおっしゃったけれども、あなたの先ほどの輸出の伸びにくい条件からいけば、この税制というのはそれほど大きなウェートを持っていないのじゃないですか。これをやらなくちゃ輸出は伸びないのだ、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/217
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218・原田明
○原田政府委員 私どもは、税制は輸出振興にとって非常に重要な役割りを演ずるものであるというふうに考えております。と申しますわけは、輸出業者が輸出意欲を起こして、輸出が有利であるという気分を持って専念をして努力することが、輸出振興の一番のかぎであると存ずる次第でございます。この場合にしばしば言われますことは、輸出をやっても妙味が非常に少ないという点でございます。この点に関しまして、輸出をやればやはり税制上の優遇があるという点は、たいへんに大きな魅力でございます。世界各国非常に長い間税制上の優遇措置というものがとられております。現在欧州諸国では、間接税をもとにしました優遇措置が現にとられております。わが国も一ころいろいろな措置もございました。そういう意味で、私どもは、やはり税制上の優遇措置というものは、輸出意欲の向上というものを通じまして輸出の振興には非常に大きな力がある、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/218
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219・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうすると、お伺いしますが、この措置をやったらどのくらい貿易が伸びるという見当をつけておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/219
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220・原田明
○原田政府委員 本年度は国際収支見通しにおきまして、どうしても一五%程度の輸出増を見込まなければならぬという状況に達しておることは、御高承のとおりでございますが、輸出のためには各種の措置が総合して行なわれまして、はじめて効果を発揮するわけでございます。今回お願いをいたしております租税上の改正によって、これだけで輸出が幾ら伸びるというふうに、数量的な算定をすることは非常に困難かと思います。しかし、少なくとも輸出に貢献した企業に対して、税制上の恩典がいままでよりはより強い形で出るということになりますので、より多く輸出をしようという意欲が強く起こる。そういう面を非常に重視いたしまして、少なくともこの措置によりまして、かなりの効果を期待できるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/220
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221・阿部助哉
○阿部(助)委員 あとで申し上げますけれども、特別措置については、税制調査会も非常にきびしい報告をしておると思うのです。いまのような形での答弁では納得できないのです。というのは、大蔵省のほうでは、この特別措置をやるとどれくらい減税になるというくらいのことは、数字をちゃんと出しておるわけです。必ずしもこれが当たるか当たらないかわからぬけれども、とにかく積算をしておるわけです。いろいろな措置があるので、これの経済効果は測定ができないというようなことでは、税制の大綱を乱してまで特別措置をつくるということには私はならぬと思うんだ。そういう点で、その程度のお答えではこれはどうにもならぬので、どういう資料で算定をしたのか、もう少しそれを示してもらわぬと、これは審議にならないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/221
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222・原田明
○原田政府委員 大蔵省との折衝の過程におきましては、各種の資料を審議いたしたわけでございます。税を幾らまけたときに幾ら輸出が伸びるかということにつきましては、非常に多くの試算もございまして、なかなか一がいには言いにくいわけでございます。しかし、今回の措置により、従来の分と合わせて三百三十億余りの減税規模になるわけでございます。そういうことから、少なくとも日本の場合には、日本の輸出の弾性値が世界の貿易の伸びに比べましては非常に大でございます。特に引き締めにおける輸出の弾性値は常に増加をいたしますので、やはりこの措置によって、特に精神的な面も重視をいたしまして、かなりの輸出の増を期待するということで試算をした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/222
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223・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまでなくてもいいのです。その試算をした資料を出してくれますか。試算をしましたなんて言うけれども、片方では試算をしたと言い、片方では精神的な面だなんということを強調されると、私ども、たいへん意地が悪いようだけれども、気分だけでやったんじゃないかという疑いを持たざるを得ないので、その資料を出してくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/223
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224・原田明
○原田政府委員 何億ドルに増加するという形になっておる資料ではございませんが、あると思いますので御提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/224
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225・阿部助哉
○阿部(助)委員 商売人が貿易を伸ばそうなんということは、これは当然のことであって、みんな貿易をしたくて一生懸命やっておるわけであります。政府さえ少し緩和してくれるならば、共産圏貿易はまだまだ伸びるわけです。それをむしろ逆に押えておるじゃないですか。片一方でそういうことをやっておって、そして気分だけで——だけとは言わないけれども、そういうものを強調されて税の体系を乱すなんということは、私たちはどうしてもこれは納得ができないのです。その資料を見せていただいてやりますけれども、私は、むしろこれはほとんど効果がないから、ほんとうの明快な御答弁ができないのだ、結局はこれは、財界の要望が強くてこれをやるだけであって、金持ちにまた税金をまけてやるというだけではないのか、あまり貿易の面での効果というものは期待できないのじゃないか、こう思うのですが、これはこれ以上は水かけ論でありましょうから、それならばこれをおやりになって一年たったら——これは数で押し切るのでしょうから、一年たったら、それの経済効果というものを明快にした資料は出してくれますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/225
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226・原田明
○原田政府委員 今回の改正は、現在ございます輸出振興の税制に加えまして、輸出が伸びた会社には恩典を与え、さらにまた輸出比率、つまり自分の会社の販売、出荷等の中で輸出に向ける部分をふやしたというものにだけ恩典が与えられるという制度になっております。いままでの場合を考えますと、輸出がなかなか伸びませんという一つの原因といたしまして、やはり国内の景気との関係で、輸出に向けるよりも国内に売るほうがもうかる、したがって同じ生産、販売の中から国内に売ってしまうというようなきらいがないではなかったわけであります。また、輸出さえすれば、前年より輸出が伸びなくとも恩典はあるというような制度でもございます。したがいまして、今回の制度では、輸出を少なくとも前年より伸ばしたものだけに恩典がいくという制度でございますし、また輸出の比率、つまり生産、販売をしたものの中からできるだけ多く輸出に向けた会社に税制上の恩典を追加をするという制度に改めたわけでございまして、この意味で私どもは、やはり今回の改正によりまして輸出の伸長に関する意欲が相当に高揚して、輸出の増加に貢献するものと期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/226
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227・阿部助哉
○阿部(助)委員 国内の設備投資が旺盛になっておれば、どうしても輸出のほうには伸びないし、むしろ多少の抑制措置と相まって輸出は伸びるのであって、私はどうもこれからそれほど大きな期待をすることは無理だと思いますが、ひとつ一年たったらその成果を出してもらいたい。
大蔵省のほうにお伺いというよりも要望に近いものですけれども、税制調査会ではもう何べんか、これで特別措置については言っておるのですね。私はこれを全部読みませんけれども、公平の原則や租税の中立性を阻害するとか、あるいは総合累進構造を弱めるとか、約税道義に悪影響を及ぼすなんということをいって、特別措置全体については早く整理をしろ、する方針だ、こう言っておる。また、これをやる場合には、(イ)政策目的自体の合理性の判定、(ロ)政策手段としての有効性の判定、(ハ)付随して生ずる弊害と特別措置の効果との比較衡量、ということを厳格にテストをした上で、それでやらなければいかぬ、こう書いてあるのですが、いまのお話を聞いておりますと、厳格にテストをしたなんということは一つも私には感ぜられない。大蔵省も、こういう答申が、方向が打ち出されておる中で次から次へと特別措置が特別措置を生んでいくような形で出ていく、それで整理しようとしても、なかなかこれは一ぺんつけると整理しにくいという事情は私もよくわかります。だけれども、それをやらなければいつまでたったって悪弊が残るじゃないですか。答申がこうやって出ておるのだから、水田さんは大もの大臣なんだから、少しこの辺で勇気をふるって特別措置を整理するという方向を当然とるべきだと思う。そういう中で逆にまた特別措置でいろいろとふえていくというのは、私はどうしても納得できない。それは一つ一つ部分をとればそれなりの理由もあるし、それなりの影響はあると思います。いい、悪いにかかわらず、それなりのプラス、マイナスは私はあると思うのです、政策ですから……。だけれども、答申にもあるように、ここで税全体をながめた場合には、こういうことが好ましくない傾向だということだけは間違いがないところなんだから、もう少しその辺で腹を据えておかかりにならぬと、私は、特別措置が特別措置を生んで、税体系というものはもう乱れに乱れてしまうという感じがいたしますので、水田大蔵大臣はベテランなんだから、この辺で勇気をふるうべきだと思うのですが、御決意のほどをお伺いして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/227
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228・水田三喜男
○水田国務大臣 私もそうだと思います。これを特権化したり固定化したりすることが一番いけないことだと思います。いまのこの輸出奨励の問題にしましても、国内の経済を引締きめて、そこからくる輸出圧力で出る輸出がどのくらいであって、この優遇措置をつくったためにどのくらい輸出が伸びたかというのは、実際おっしゃるとおりなかなか判定はむずかしいと思います。しかし、こういう時期に来たから、輸出奨励策になるというそれなりの意味はあるでしょうが、情勢が変わったときにはできるだけこういう措置は一ぺんやはり打ち切って、また情勢によって出直すというような、これは絶えず流動的に考えなければならぬ措置じゃないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/228
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229・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうすると、期限が来ておるのですが、この期限でこれもおやめになりますか、さっきの国債のことは二年でぴしゃりおやめになるということですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/229
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230・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この輸出の二つの特別措置は、御承知のとおり四十四年の三月に期限が到来いたしますが、御承知のとおりのいまの国際収支の状態、経済状態等でございますので、その時期に十分考えて慎重に処置する必要があると私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/230
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231・毛利松平
○毛利委員長代理 次回は、明二十七日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01519680326/231
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