1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月二十七日(水曜日)
午前十時四十分開議
出席委員
委員長 田村 元君
理事 金子 一平君 理事 原田 憲君
理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君
理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君
大久保武雄君 奥野 誠亮君
河野 洋平君 小山 省二君
四宮 久吉君 砂田 重民君
地崎宇三郎君 西岡 武夫君
古屋 亨君 坊 秀男君
村上信二郎君 村山 達雄君
山下 元利君 吉田 重延君
阿部 助哉君 井手 以誠君
佐藤觀次郎君 中嶋 英夫君
広沢 賢一君 広瀬 秀吉君
武藤 山治君 岡沢 完治君
河村 勝君 田中 昭二君
出席政府委員
大蔵政務次官 倉成 正君
大蔵省主税局長 吉國 二郎君
大蔵省理財局長 鳩山威一郎君
大蔵省証券局長 広瀬 駿二君
国税庁長官 泉 美之松君
建設省計画局長 川島 博君
委員外の出席者
大蔵省関税局国
際課長 岩田 善雄君
大蔵省国際金融
局次長 奥村 輝之君
通商産業省貿易
振興局貿易振興
課長 山口 衛一君
工業技術院技術
振興課長 木寺 淳君
専 門 員 抜井 光三君
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三月二十七日
委員有島重武君辞任につき、その補欠として浅
井美幸君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二十六日
国立病院特別会計法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一四号)
中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行
法、信用金庫法等の一部を改正する法律案(内
閣提出第二〇号)
金融機関の合併及び転換に関する法律案(内閣
提出第二一号)
同日
国立医療機関の特別会計制反対に関する請願外
一件(井手以誠君紹介)(第三〇二〇号)
同(井上泉君紹介)(第三〇二一号)
同(加藤万吉君紹介)(第三〇二二号)
同外一件(勝澤芳雄君紹介)(第三〇二三号)
同外一件(川村継義君紹介)(第三〇二四号)
同(安宅常彦君紹介)(第三〇二五号)
同外一件(佐々木更三君紹介)(策三〇二六号)
同(佐野憲治君紹介)(第三〇二七号)
同外四件(下平正一君紹介)(第三〇二八号)
同外一件(中嶋英夫君紹介)(館主〇二九号)
同(野間千代三君紹介)(第三〇三〇号)
同外二件(長谷川正三君紹介)(第三〇三一号)
同外五件(平林剛君紹介)(第三〇三二号)
同外一件(松前重義君紹介)(第三〇三三号)
同(八木一男君紹介)(第三〇三四号)
同外一件(柳田秀一君紹介)(第三〇三五号)
同(山口鶴男君紹介)(第三〇三六号)
同(板川正吾君紹介)(第三〇九二号)
同外五件(枝村要作君紹介)(第三〇九三号)
同外十二件(大出俊君紹介)(第三〇九四号)
同外五件(加藤勘十君紹介)(第三〇九五号)
同(木原津與志君紹介)(第三〇九六号)
同(木原実君紹介)(第三〇九七号)
同外一件(楯兼次郎君紹介)(第三〇九八号)
同外五件(長谷川正三君紹介)(第三〇九九号)
同(細谷治嘉君紹介)(第三一〇〇号)
同(三木喜夫君紹介)(第三一〇一号)
同(森義視君紹介)(第三一〇二号)
同(森本靖君紹介)(第三一〇三号)
同(八百板正君紹介)(第三一〇四号)
同外二件(山口鶴男君紹介)(第三一〇五号)
同外五件(米田東吾君紹介)(第三一〇六号)
同(岡本隆一君紹介)(第三一五五号)
同外二件(猪俣浩三君紹介)(第三一七三号)
同(稻村隆一君紹介)(第三一七四号)
同外五件(小沢貞孝君紹介)(第三一七五号)
同外五件(大柴滋夫君紹介)(第三一七六号)
同(岡本隆一君紹介)(第三一七七号)
同(川村継義君紹介)(第三一七八号)
同(木原津與志君紹介)(第三一七九号)
同外一件(木原実君紹介)(第三一八〇号)
同(栗林三郎君紹介)(第三一八一号)
同(後藤俊男君紹介)(第三一八二号)
同外七件(河野密君紹介)(第三一八三号)
同(實川清之君紹介)(第三一八四号)
同(島上善五郎君紹介)(第三一八五号)
同(鈴木一君紹介)(第三一八六号)
同外一件(田邊誠君紹介)(第三一八七号)
同外一件(只松祐治君紹介)(第三一八八号)
同(内藤良平君紹介)(第三一八九号)
同外二件(平等文成君紹介)(第三一九〇号)
同外一件(古川喜一君紹介)(第三一九一号)
同外五件(帆足計君紹介)(第三一九二号)
同外一件(松前重義君紹介)(第三一九三号)
同外四件(山口鶴男君紹介)(第三一九四号)
同(山花秀雄君紹介)(第三一九五号)
同(依田圭五君紹介)(第三一九六号)
野菜果実類小売業等に対する国民金融公庫の特
別融資に関する請願外十三件(鈴木一君紹介)
(第三二〇七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
物品税法等の一部を改正する法律、案(内閣提出
第五号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/0
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001・毛利松平
○毛利委員長代理 これより会議を開きます。
都合により、委員長は不在でありますので、私が委員長の職務を行ないます。
物品税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。河村勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/1
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002・河村勝
○河村委員 最初に、国債の発行条件の改定と、それから別ワク非課税の問題についてお伺いしますが、きのう阿部委員からだいぶ質問がありましたので、重複を避けて御質問いたします。
〔毛利委員長代理退席、渡辺(美)委員長代理着席〕
初めに、すでに二月から——発行条件の改定のほうはよろしいのですけれども、別ワク非課税のほうが国会でなお現在審議中ですね。ところが、実際一般にはすでに二月から別ワク非課税も実施になった、そういうことになっておるようです。そういうことを織り込み済みで新しく発行される国債の発売がされているように思うが、これは一体どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/2
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003・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御承知のように、現在御提案申し上げております法案には、年度内の発行操作の問題もございますので、原則は新規に発行されたものを一年以内に取得した場合ということになっておりますから、原則は四月一日以後購入したものという前提でございますけれども、一応一月以後発行したものを購入した場合には、この法律施行後一カ月以内に手続をとれば、四月に購入したものとみなして適用するという法制になっておりますので、おそらく証券会社等は、その法案はすでに出ておりますから、それを承知しておりまして、法案が通ればその措置がとれるということを言っておるのではないか。これについては何か証券会社から国会のほうにも問い合わせをしたとかいうことも聞いております。私どもは、例の米の問題もございましたので、一切コメントいたしておりませんけれども、そういうことで、法律が通れば処置ができる法案になっておるということでやっているのではないかと思いますが、はたしてどういうふうにやっておりますかは私ども確認はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/3
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004・河村勝
○河村委員 実際は二月から実施になってしまっているのだということで、どうもそれで売られているわけです。しかし、そういうことになりますと、まだほんとうはそういう条件はできてないわけですから、かりにもしこれでこの法案が流れたとすると、そういう期待権だけは与えたかっこうになるのですが、そういう場合は一体どうなさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/4
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005・倉成正
○倉成政府委員 法案は流れないものと期待いたしておりますので、流れた場合のことは考えておりません。また、証券会社が先を見越していろいろ指導しているのじゃないかと思いますけれども、政府としては何も証券会社にこれを指示をしたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/5
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006・河村勝
○河村委員 証券局長来ておりますか。——それではとりあえず政務次官に伺いましょう。
発行条件の改定に関連してですけれども、きのうあたりの新聞に、一般の社債について発行価格を五十銭引きで四月から発売されるというような記事が出ておりましたけれども、この点はどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/6
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007・倉成正
○倉成政府委員 社債につきましては、市場の実勢が、河村委員御承知のとおり非常に発行条件と乖離しておる、実勢が乖離しておる、社債の消化状況が非常に悪化しておるというのも御指摘のとおりであります。したがって、起債関係者が話し合いを一応いたしまして、起債の一部繰り延べということをいま考えておるようであります。
それからもう一つは、発行条件の改定ということで最近起債関係者の意見が大体まとまりまして、四月債から発行条件の五十銭程度の引き下げをするのではなかろうか、こういうことになっております。いま申し上げました社債の中には電力債も含まれておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/7
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008・河村勝
○河村委員 それは本ぎまりなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/8
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009・倉成正
○倉成政府委員 理財局長がいま参りましたが、そういう見込みであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/9
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010・河村勝
○河村委員 実は社債のことを伺いたかったのは、条件改定の際に社債だけが残っておりますね。ですから、金利体系上非常にアンバランスになるのでどうなのかと実は思っておったのです。社債のほうも発行条件が改定になれば、その点で発行条件についての私の疑問はあらかたなくなったようなものなんですけれども、五十銭引きで利回りはどのくらいになりますか。一番上等な銘柄だけでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/10
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011・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 事業債関係につきまして、二十五日の会合で今後の方針のようなことが御相談があったように伺っております。そのお話では、やはり事業債全体の発行量を圧縮しなければならぬ、圧縮される場合には発行条件も改定をしてよろしいのではないかというようなことで了解があったと聞いておりますが、一番有利な電力債をとってみますと、五十銭下げますと、現在では九十九円五十銭ということになっておりますが九十九円になりまして、現在七分四厘八糸というのが七分五厘一毛八糸になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/11
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012・河村勝
○河村委員 税引き後の利回りは幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/12
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013・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 一五%引きましたのが六分四厘一毛という程度になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/13
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014・河村勝
○河村委員 そうしますと、別ワク非課税の場合には国債は六分九厘何がしですね。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/14
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015・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 御承知のように、改定後の国債は六分九厘二糸でございますから、このうち二年分の金利だけ割り増す、そういう計算でいきますと六分一厘九毛二糸ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/15
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016・河村勝
○河村委員 六分一厘九毛ですか、それでいま条件改定されて一応バランスがとれてきたわけですけれども、きのうから議論になっておりますが、別ワク非課税を大臣も二年間でおやめになると言い切っておるくらいで、決して上等な制度ではないわけですね。そこで二年たっておやめになるのはいいのですけれども、やるからにはそれが有効に活用されなければならぬわけですね。この公債の条件改定をおやりになった主たる理由は一体何ですか。別ワク非課税のほうでなしに条件改定のほうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/16
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017・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 国債の管理政策といたしまして、やはり国債の市中価格の状況というもの、これの動いたままに発行条件を常に動かすというわけにはいかないのでありますが、一般に金利水準が相当長期的に上がったままになりそうである、こういう情勢になりましたので、そういった市中の状況等も勘案いたしまして、弾力的な発行体制をとろうという趣旨で、そういう姿勢を示したということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/17
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018・河村勝
○河村委員 言いかえれば、不完全ではあっても公社債市場というものがあるわけですから、そこのプライスメカニズムを生かしていこうということなんだろうと思うのです。そうでありましても、かりに今後どのくらいたってからかわかりませんけれども、今度国債が条件改定になって、しかも別ワク非課税になりますと、そういった別ワク非課税になった分まで織り込まれて、それで公社債市場の価格がきまってくることになりますね。そうしますと、ほかのほうの公社債がやはり相対的に不利になるのですから、そっちのほうがだんだん値下がりして、結局別ワク非課税にしても同じことになってしまって、非課税にするだけの意味がなくなってしまうような結果になりはしまいかということをちょっと考えるのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/18
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019・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 別ワク非課税の制度が市場価格にどれだけ反映されるかということは、まだ実績的にあらわれておりませんけれども、この制度自体は証券自体が持っている属性ではなしに、特定の個人が所有している状態だけにおいて適用されるものでありますから、これが売りに出される場合には、もうすでにその条件を変えてしまいますので、これは市場価格というものにはあまり関係がないのではなかろうか。新発債に限るということでありますし、これがまた発行後既発債になってある程度期間がたってしまいますと、そういったことは行なわれない。それから国債が売買されますときに、常に間に法人等が介在いたすものでありますから、そういった法人が買った場合には全然そういった特典がないわけでありますから、そういったものが価格に反映されるということはなかなかむずかしいんではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/19
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020・河村勝
○河村委員 別ワク非課税がたいして効果がなければそうだろうと思いますが、もしあなた方がほんとうに効果を期待しておられるのだとすれば、それは既発債には適用がないでしょうけれども、新発債として売れ行きがよければ、これは確かにほんとうの意味での市中消化になるわけですから望ましいわけですね。ですから、どんどん市場に売りに出されるわけでしょう。そうすれば新発債と既発債とは同じ競争条件にあるわけですから、当然他の公社債にも影響があるということになるんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/20
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021・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 国債の発行額が予算等できめられておりますし、これによりまして国債が個人消化にどんどん出るから、量がどんどんふえるということでありますと、あるいはそういうことも考えられる場合があるかもしれませんが、国債の発行額は国の方針としてきめられておるものの限度においてやるものでございますから、量的にもそれだけの大きなほかの債券が、そのためにどんどん売りに出るというようなことは万々ないのではなかろうか、こう考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/21
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022・河村勝
○河村委員 私は別段国債の総ワクを動かすほどのものになろうとは決して考えていないのですけれども、しかし、公社債市場に流通している額というのはそう大きいものではありませんから、ですから実際これが効果をあげて、相当発売されるようになれば、そうすれば影響は当然あるし、特にこれから四月‐六月にさらに金融引き締めをやろうとしているわけですね。そうなればまた一般公社債の売りというものが多くなって、そうでなくとも値段が下がるわけですね。そうなるとやはり自然と新しい金利の構成ができてしまって、別ワク非課税というものは意味がなくなってしまうということになりはしないか、そういう意味なんですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/22
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023・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 各種の債券の利回りからいいまして、現在市況は一般的に相当悪うございますから、現在の価格で売りましてこの国債を買うということでは、やはり逆ざやになると思いますので、そういった現象は起こらないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/23
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024・河村勝
○河村委員 どうですか、さっき私はこの制度が国会審議中にもかかわらず織り込み済みで売られているのはけしからぬと言いましたけれども、事実この三月の新規発行債はそういう含みで売られているようですけれども、売れ行きは一体どうなんですか。効果はあがっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/24
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025・広瀬駿二
○広瀬政府委員 三月の数字はまだよく存じておりませんが、二月はかなりの効果をあげておりまして、これは会社にもよりますけれども、この別ワク制度ができますれば、この別ワクが利用できますということを一つの売りものにいたしまして、かなりの効果をあげた会社があるように私ども承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/25
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026・河村勝
○河村委員 どうも私の聞いておるところでは、三月に入ってからさっぱり効果があがっていないように聞いているのですけれども、そういうことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/26
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027・広瀬駿二
○広瀬政府委員 そんなことはないのじゃないかと思いますが、二月は特に分量も減らしまして、証券会社が引き受ける分は二十九億でございまして、売れ残りましたのは一億一千万でございます。一月が、条件改定前でもございましたし、この制度の見通しもつかなかった前だったので、非常に悪かったのに引き比べまして、二月は非常によくなっている。三月は悪いという話は聞いておりませんが、むしろ二十九億に対しまして今度は三十八億を引き受ける、初め三十億ぐらいかというのを、まだ一週間ぐらいの余裕があるかと思いますが三十八億、つまり一割一ぱいまで引き受けるというように証券会社が決意を示しておりますので、悪いことはないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/27
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028・河村勝
○河村委員 私は別ワク非課税というのは理屈からいって賛成じゃないのですけれども、公債を何とか個人消化を促進しようという気持ちはわかるので、どうせおやりになるなら効果をあげて、きのうから主税局長でしたか、理財局長でしたかが言っておられるように、二年間で要するに証券貯蓄の習慣をつけてやろう、そういうつもりがあるなら、証券会社だけで売らせないで、いっそのこと銀行から郵便局まで、小額国債をおつくりになっているという話をちょっと聞いていますが、そういう問題も含めて郵便局くらいまで売らして少しそういう習慣をつけたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/28
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029・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 小額の——小額といいますか、いま考えておりますのは五万円券を考えておりますが、こういったものの販売をどういうふうにするかという問題を十分検討しなければいけない。私どもとしてはなるべく広く販売できればそれにこしたことはないのですけれども、これはやはり金融機関と証券等の業務分野の問題がございますので、これは金融制度調査会のほうでもしばらく検討していただいた上で、郵便局だけであれば問題はないと思いますが、やはり一般の金融機関にも問題がありますので、そういうようなことも今後一生懸命検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/29
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030・河村勝
○河村委員 検討もけっこうですけれども、もともと国債は売れなくて、国債ばかりじゃありませんけれども、売れなくて苦しまぎれに打った手なんでしょうから、二年間とはっきり限ってやる限りは、有効に使うのにはそのくらいのことをすべきだ、そう考えるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/30
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031・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 先ほど申し上げたような問題がありますので、急遽検討をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/31
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032・河村勝
○河村委員 別ワク非課税はその辺で終わりますけれども、きのう阿部委員の、個人消化がどんどんふえていくならいいのですけれども、一般的にはほとんどオペレーションで日銀にいってしまうという質問に対して政務次官は、生産の裏づけのある通貨の供給によってはインフレは起こらないというのは経済の基本ですとか、常識だということをおっしゃいましたね。ちょっと伺いたいのですけれども、いまオペレーションで日銀にいっている数量というのは七〇%、八〇%というところまでいっているという話がきのうも出ましたけれども実際、いま金融機関——保険会社は別としまして、保険会社を除いたそういった金融機関の引き受けた国債で、一年経過後のものが金融機関の手元に残っておるものは多少でもあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/32
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033・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 現在金融機関の手元で保有されておりますのは、一回債から五回債まで一年たったものにつきましてはほぼ一割程度が残っておる。金額にいたしまして、三月の十九日現在で、五百九十億というものが残っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/33
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034・河村勝
○河村委員 実際一割も怪しいだろうと思うのです。九割以上のものがみんな日銀にいってしまうわけですね。そうなりますと、成長通貨の供給といいましても、もうほとんど国債の発行量にどういう方程式で関連するかわかりませんけれども、ある比率で、ごく簡単にいえば国債発行に比例して通貨がふえていく、国債発行に比例して通貨が累増していくということになれば、ほんとうの意味の通貨調節によって供給量がきまるのでなしに、国債発行量によって通貨がきまるということになってしまうわけでしょう。そうなりますと、インフレの危険がないというようなことはいえないだろうと思うのですが、一体その点は政務次官どうお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/34
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035・倉成正
○倉成政府委員 成長通貨の供給には御承知のとおり買いオペと日銀の信用、日銀の貸し付けとこの二通りあると思うのですが、これをどちらでやるかということはやはりその当時の金融情勢、経済情勢をにらみ合わせてやるべきでありまして、買いオペで成長通貨の供給をやりましても、これは決してインフレにならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/35
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036・河村勝
○河村委員 私はそんなことを聞いておるのではないので、買いオペそのものでインフレになるなんて言っておるのではなくて、国債発行額に比例して通貨がふえていくということは、インフレにならないか、ごく簡単にいえばそういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/36
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037・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 経済界が成長してまいりますと、経済活動が通貨を必要とするので、おのずから通貨の発行量がふえるわけです。したがって、その範囲内での買いオペによる通貨の供給ということはインフレにならないと思うのです。むしろ、いまの河村委員の御質疑は、国債の発行が非常に大きくなって、そうしてどんどん買いオペをやっていって、その結果として通貨がふえるんじゃないかという御議論と思いますけれども、日銀のいまとっております政策は、少なくとも成長通貨の供給として買いオペをやっている、私どもはかように判断いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/37
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038・河村勝
○河村委員 私は一般論を言っているんじゃないですよ。とにかく金融機関で引き受けたものは九〇%以上が日銀にいってしまっているわけですね。これは売りなしの買いだけですね。そのときの成長率やなんかには別段関係ないですわね。特に伺いたいのですけれども、これは理財局長に伺うのがいいのかもしれませんが、去年の暮れやことしの二月に証券市場からまで買いオペをやっていますね。あれなどは成長通貨の供給とどういう関係があるのですか。何にも理由がないように思うのですがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/38
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039・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 証券会社に対しまして、なぜオペレーションが行なわれるかということにつきまして、これはこの前もいろいろな御質問があったわけでありますが、証券会社を通じまして、そういった資本市場を通じて成長通貨を供給するというような方式をとっている国もあるわけでありまして、日本では金融機関がそういったファンクションをもっぱらやっておりますけれども、証券市場を通じてそういった通貨の供給を行なうという方式も十分あるわけでありますから、証券会社に対するオペというものは、これは成長通貨の供給としておかしいというお尋ねですが、一般銀行等が重要な金融機関であると考えられているわれわれの常識からいくとそうなんでありますけれども、やはり証券市場というものを今後育成するという見地から考えますれば、そういったものはやはり必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/39
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040・河村勝
○河村委員 時間がありませんからきょうはこの問題はもうこれ以上議論はいたしません。
一つだけ資料をお願いしたいのですが、過去五年間の経済成長率とそれに対する通貨の供給量の数字、この資料をお願いしまして、国債の問題は一応それで打ち切ります。
次に、輸出振興の関係をお聞きをいたしますが、前にもここで申しましたけれども、いまの国際経済環境というものは非常にきびしい、それを何とかその中でもって政府が目標にしているとにかく年間三億五千万ドルで赤字を押えたいというような気持ちもよくわかりますし、今度の輸出振興に関するいろいろな税制の特別措置も、そういうつもりでおやりになっているのでありましょうけれども、しかし、われわれに言わせれば、去年からすでに景気過熱状態であったことは去年のいまごろでもわかっていた。それを何ら手を打たないで、民間設備投資を三〇%以上も伸びているものをそのままやってしまったところに一番の原因があると思う。それで非常な大赤字ができて、いま非常に周章ろうばいをして手当てをしているかっこうなのでありますけれども、もう予算は衆議院を通過をして、あとは黙っていても自然成立になるので、予算を通過させるための配慮も要らなくなったわけですが、いまのでき上がりつつある予算規模で、しかも、いまとりつつある税制、財政あるいは金融上の対策、いまおやりになっているそういうものでもって、ことしの国際収支をほんとうに改善をして、少なくとも年度内に三億五千万ドル程度の赤字にとどめるという、確信とまではいかなくても、かなりの自信がおありになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/40
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041・倉成正
○倉成政府委員 国際金融局から来ておりますので、これから一応説明させまして、必要があれば私からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/41
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042・奥村輝之
○奥村説明員 昭和四十三年度の国際収支の見通しにつきましては、去年暮れに、経済の状況を考えて、三億五千万ドルの赤字に落ちつけたいということをきめたわけでございます。これをきめるにあたっては、やはり海外の経済情勢がどういうふうに動くかということをいろいろと検討したわけでございますが、いずれにしても、海外の経済情勢はかなりきびしくなるということを頭に置きまして、三億五千万ドルの赤字——昭和四十三年度の下期に均衡を達成することによって三億五千万ドルの赤字にとどめるということでございます。そのためには、やはり国内の財政金融政策が適切に運用されることが必要であるということで、すでに種々の方策が実施せられ、今後も適切なる運営が行なわれるということを私どもは考えておりますので、この目標の達成というものは非常な努力を要するものではございますけれども、必ず達成いたしたい、こういう考え方で臨んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/42
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043・河村勝
○河村委員 輸入課徴金の対策をちょっと伺いたいのですけれども、最近の新聞等で、ケネディラウンドの繰り上げ実施を、対抗策でなしに取引条件ですか、そういうものとしておやりになる、EECでもそうきめられたようですが、先般の関税定率法の改正の際に、七月一日から五分の二を繰り上げることをきめましたね。そうすると、あとどういうふうなかっこうでもっておやりになるつもりで意思決定をされたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/43
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044・岩田善雄
○岩田説明員 KRの繰り上げ実施の問題につきまして、政府として談話を発表いたしました。どのような方法でやるかにつきましては、ほかの主要国、EEC諸国等といろいろ話し合いましてからきめるべきことでございまして、現在まだきめておりません。ただ、四十三年度中に繰り上げを実施するというようなことは考えておりません。したがいまして、四十四年度以降におきまして、繰り上げという可能性を検討するということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/44
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045・河村勝
○河村委員 いまEECの国とも相談をしてというお話でしたね。そうして年度中にはやらない——新聞の報道ですから私もよくわかりませんけれども、最近イギリスなんかの場合には、来年度中に繰り上げをやるようなことを言っておりますけれども、そうすると、もしEECのほうでもっと先に繰り上げて実施をしたいということになれば、日本のほうでもそれとのバランスで来年度中にもやるという可能性はあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/45
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046・岩田善雄
○岩田説明員 お話しのとおりに、イギリスにおきましては、本年の七月一日に五分の二をやるわけでございますが、そのあと五分の三分を一九六九年の一月一日に実施するという意向をイギリスは表明いたしております。それからEFTAの諸国も他の諸国も同様な意向の表明をいたしておりますが、これはともにほかの主要国が同様な繰り上げをやるということと、それからアメリカ政府が輸入課徴金のような輸入制限措置をやらないこととを前提といたしていることでございます。ほかの主要国がどのようなことをやるかということと密接に関連することではございますけれども、わが国といたしましては、四十三年度中におきますところの繰り上げということは考えられないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/46
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047・河村勝
○河村委員 その話はそれにしまして、通産省にお伺いいたしますが、ことしのわが国の輸出の伸びを一五・二%に予想としては見ていますね。対米輸出はどのくらいに見ておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/47
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048・山口衛一
○山口説明員 対米輸出の伸びは、大体四十三年度一二%程度の増加ではないか、四十三年度はそのくらいの伸びではないかというふうに現在推定しております。ただ四十三年度につきましては、現在市場別にまだ情勢が確定的でない要素が非常に多うございまして、現在の時点でのものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/48
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049・河村勝
○河村委員 いまの一二%というのは、全体を一五・二%に見た中での一二%という意味ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/49
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050・山口衛一
○山口説明員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/50
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051・河村勝
○河村委員 昨年の対米輸出——アメリカの全体の輸入の伸びとそれからわが国の輸入の伸びはどういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/51
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052・山口衛一
○山口説明員 現在ちょっとこまかい数字を持っておりませんので、後刻数字はお届けいたしたいと思います。現在申し上げますとちょっと正確を欠きますので、後刻正確にお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/52
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053・河村勝
○河村委員 正確でなくてもそのくらいのことは常識だと私は思うのです。大体弾性値一ですよ。アメリカの総輸入の伸びが二〇%ちょっと欠けるところ、わが国の伸びも同じですね、二〇%以内ですから。大体ことし一五・二%の伸びを見て、おりますれば、それはアメリカの輸入の伸びに対して大体二倍くらい見ているわけでしょう。ところが前年度はとんとんですね。そのくらいのことを考えるなら、相当有効な政策をお持ちでなければとうてい不可能ですね、特に国際環境はきびしいわけですから。そこで、通産省の今度の輸出振興に関する税制も、あなた方の希望でできたのでしょう。だけれども、きのうもお話が出たけれども、それはあくまでも補完的なもので、やはりそのもとに通産省のしっかりした対策がなければならない。ところが、どうも私らが見たところ、業界の代弁あるいは応援ばかりで、ほんとうに業界をコントロールしていこうという考え方が非常に乏しいように思います。昨年のアメリカ輸出も、後半は少しよくなったようですけれども、前半一月から七月までの間、一体日本からアメリカに対する輸出の状態というものはどんなものだったか、御承知でしょうね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/53
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054・山口衛一
○山口説明員 御指摘の昨年一月から七月という前半期におきましては、対米輸出は非常に不調でございました。前半期はほとんど伸びがないような状態でございました。アメリカ輸出が伸びてまいりましたのは、昨年の下半期に入ってからでございました。それも、下半期に至りましても、非常に、一%にも足らない程度の伸びにとどまりました。本年の一月、二月続きまして一四、五%程度の伸びを、アメリカに対しては継続しております。三月現在の段階ではかなり伸びております。御指摘の、昨年の実績は非常に悪かった状態であります。これは、かかってアメリカの景気の状況というものが相当大きく影響しているというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/54
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055・河村勝
○河村委員 アメリカの景気の状況もあるでしょう。ですけれども、昨年の一月から七月までの数字を見ますと、アメリカの輸入の増加は、それでも七%以上ふえたわけです。ところが、日本の対米輸出は、逆に三・六%減ですね。それから、アメリカのほうは輸入がふえているのに、日本からの輸出は逆に減っているわけでしょう。実際そのころ日本の鉱工業生産指数というものは、もうすでに一七、八%ぐらいのレベルでずっと夏ごろまでいっていたわけですね。そうすれば、大体鉱工業生産指数が一%上がれば一・一か一・二ぐらいの輸入がふえるわけでしょう。それで逆に輸出が減るというのがいままでの例ですね。ですから、当然そこで非常な赤字が予想されているわけですね。ところが、実際輸出入の商社等から聞いてみますと、こういう時期に、実際内需が少し強くなってきた時期から、もう逆にどんどん輸出の可能性をぶちこわすようなことばかりやっているんですね。鉄鋼メーカーが国内価格と別につくった輸出価格のリストを破棄しちゃったり、あるいは急に機械メーカーなんかが二〇%ぐらい輸出価格を上げちゃったり、あるいは条件がいいと違約金を払っても輸出をこわしちゃう、そういうようないろいろな輸出阻害の状況が業界にたくさんあったということを通産省は御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/55
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056・山口衛一
○山口説明員 ただいま私はおもな理由はアメリカ景気と申し上げましたが、対外的には、やはり景気の伸びが非常に悪かったということでございまして、ただいま御指摘の幾つかの商品につきましては、国内の市況が非常に活況を呈しておりまして、競争条件からいいますと、競争し得ないような価格にまで一時上がった例も、品物によってはございました。その例をあげますと、綿糸あるいは化繊、合繊糸等の非常な内需価格の高騰がございます。また、鉄鋼につきましては、内需が非常にふえて上半期旺盛でございました。幾らかやはり玉不足というような事態もございました。したがいまして、メーカーとしましても、やはり国内の需要というものに対しましては、取引の上からも貿易に比べてそれほどやっかいでもございませんし、えてしてそちらのほうにどうしても売りやすくなるという傾向がございました。そういうような国内の需給問題から、ある程度輸出への圧迫がかかったという点もございます。ただ、下半期に至りまして、九月の公定歩合の引き上げ以来、そういう傾向が漸次変わってまいりまして、十二月あたりからはそういう状況がだいぶ消えたというように考えております。御指摘の点は、事実であることは認められる要素がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/56
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057・河村勝
○河村委員 ですから、ことしあたりは非常に全体の状況がきびしいから、だんだん自粛ムードが出てくるでしょうけれども、しかし、いまのようなことをやっておりますと、不況にならなければ輸出が伸びない、景気がよくなれば輸入がふえて輸出が減るということを繰り返していくんじゃしかたがないわけですね。
そこで、ちょっとお伺いしたいのですけれども、今度の輸出振興の特別措置ですね。これは聞くところによりますと、通産省で輸出貢献企業に対する表彰制度をやっておられる。それはある輸出比率みたいなものを考えられて、それで格づけをして表彰されているので、そういう比率や何かに結びつけてこの輸出振興の特別措置を考えておられるということですか、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/57
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058・山口衛一
○山口説明員 ただいまの御指摘は輸出振興税制であろうと思いますが、輸出振興税制につきましては、現在大蔵省主税局と内容を十分詰めている段階でございます。私どもでやっております輸出貢献企業認定制度、数年続けております。その輸出貢献企業の認定の一つの要素としまして、輸出比率というのがございます。ただその輸出比率だけをとりますと、たとえば繊維業界というようなところ、あるいは非常に小規模企業というようなところが、比率ではなかなか明確にキャッチできない。もう一ぱい一ぱいの比率を上げておって、過去に非常に実績を上げてしまったということになりますと、貢献企業というのは毎年毎年前期との比較でとっておりますので、そういうところになかなか認定が行き渡らなくなる。しかし、実際に非常に高い比重の輸出をしておるという業種がございまして、比率のみをとりますと、非常にその実態を反映できないというわけでございます。比率を一つの要素には考えております。それ以外の、たとえば輸出額の伸び率というようなものも要素に加えて認定しております。ただいまの、今回考えて検討しております税制のほうは、やはり比率というのも貢献企業の一つの認定の要素として、また、税制の中にも比率だけではございませんで、たとえば前年度の伸びを一%輸出額がオーバーしたような場合というのも条件に加えておりまして、こういうようなことで検討を続けておりますが、実は先生のおっしゃいます輸出比率ということだけでございますと、役所といたしましては、内需が強くても、どうしてもその企業におまえはこれだけのものは輸出しなければならないというような義務を課するとか、責任を負わせるというところまでは、現在の役所の権限としまして非常に無理がございまして、事実上不可能ではないかと思います。行政指導的に業界団体等と集まりまして十分相談をしまして、なるべく輸出比率を高めようというような話し合いで、業界を精神的に引っぱっていくというような程度までしか現在押しつけることはちょっと無理であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/58
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059・河村勝
○河村委員 表彰とかこういう税制で優遇するとか、そういうほめるほうの措置はいろいろおやりになっておるけれども、締めるほうの指導というのはあまりおやりになっていないわけですね。ですから、こういうのをほめるのももちろんけっこうですし、税制措置を活用されるのもいいでしょうが、実は私は直ちに比率をどうこうしろという意味ではございませんけれども、今度逆の面で信賞必罰——必罰というのもおかしいかもしれませんけれども、もうこの段階まで来たら、こういった税制にすら使える輸出比率なり何なりができ上がるならば、そういうものと、企業設備投資のコントロールとをもっと結びつけるということを考えておられないかどうか。あなたに政策論をやるのは無理でしょうが、一体、事務当局として少なくともそういったことを考えておられるかどうか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/59
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060・山口衛一
○山口説明員 ただいま御指摘の設備投資の資金の調整等につきましては、通産省の立場では産業構造審議会資金部会の御意見等を参照いたしまして、できるだけ今後は重点的、選別的に方針をきめてまいりたいというように考えております。その場合に、輸出の重要性というものはきわめて高い比重をもって考慮いたしてまいりたいというふうに現在通産省内では意見をまとめてきて、おります。ただその場合に、輸出比率というものも一つの重要な要素にはなろうかと存じております。ただ、すべての設備投資を輸出比率ということだけで一律に仕切ってしまうということには、やはり幾らか疑義があろうかと思っております。いずれにいたしましても、輸出振興に対します寄与という要素は非常に最優先に考えてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/60
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061・河村勝
○河村委員 今度は四月から六月あたり一そう金融引き締めが強化されるようですね。量的な引き締めでもって輸出振興もできるかと思いますけれども、それじゃやはり弱い中小企業あたりにしわがいくことがひど過ぎて質的なコントロールができないわけですね。ですから、あなたに言うのも無理かもしれませんけれども、この際自主調整なんということをいっておりますけれども、日本の財界というのは、中山伊知郎さんなんかも言っているように、ほんとうの自由経済の中の合理的な経済競争じゃなしに政治競争をやっているみたいな傾向なんですから、自主調整なんといったってなかなかできっこないですね。ですから、いま少し真剣に考えてほしいということです。少なくとも間に合うように……。
時間がなくなってしまいましたが、せっかく建設省来ていただいたので一言だけ伺いますが、土地税制、これはきのうの話では、適用区域というようなものが確定しないとかえって弊害を生ずるからやらない、一年延ばす、こういう話でしたが、適用区域の確定というのは一応どういう条件を考えておるか。たとえば都市計画法なり何なり、ああいうものができるまでの間に、あるいはできるのに間に合わせるようにやろう、そういうような意味かどうか、その点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/61
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062・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 きのう申し上げましたように、いろいろの税制を施行する場合に対象となるべき地域を選定する必要がございます。私どもとしては、都市計画法が改正され、建築基準法が改正され、さらにいま考えております工業立地適正化法あるいは農業振興地域整備法、こういった種類の法律ができてまいりまして、いわゆるゾーニングがだんだんでき上がります。そのゾーニングに対応したそれぞれの税制が考えられる。そうでないと、いまの都市計画税にいたしましても固定資産税にいたしましても、ことに都市計画税は、相当な力を持っておるはずのものが全く形式化しております。結果は同じことになるのではないかということを申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/62
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063・河村勝
○河村委員 建設省の計画局長に伺いますけれども、都市計画法、おそらくこの国会で通るでしょう。通りますと、都市計画法にしてもその他都市再開発法ですか、かなり力を持った法律ができるだろうと思うのです。それはけっこうなんですけれども、ただあの中で致命的なのは土地対策がないことですね。都市計画法が施行になるのは公布後一年ですか、それまでの間に地価対策というもの、あるいは税制の基礎になるような土地利用計画、こういうものはほんとうにおつくりになる気があるのかどうか、その点、ちょっと伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/63
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064・川島博
○川島(博)政府委員 新都市計画法案につきましては、現在衆議院で御審議中でございまして、私どもはこの国会で成立するものと期待しておるわけでございます。この法律が通りますと、一年以内に施行になるわけでございますが、この法律が施行になりました暁には、御承知のとおり、市街化区域、市街化調整区域というものがはっきりきめられまして、原則として市街化区域内でなければ市街地の開発が行なわれないことになるわけでございます。これに伴いましていろいろこの土地利用がはっきり確立されますので、これに対しまして、土地対策といたしましていろいろな手を打つ必要があろうと思っておりますが、一番問題になりますのは、私どもはやはり地価にどういう影響を与えるだろうということが問題と思います。特に市街化調整区域は原則的に開発が禁止されるということになりますので、地価はたぶん鎮静に向かうであろう。それから既成市街地につきましては、これは相当上がっておりますので、今後そう上がらない。問題は、近郊の今後開発の予想される市街化区域というものが問題になるわけでありますが、これにつきましては、問題は、やはり市街化区域というのは今後十年間に市街化が予想される区域でございますから、この区域のとり方が一つ問題でございます。私どもはやはり今後十年間の都市化の動向から見まして、十年間に必要となる需要に見合うだけの区域はやはりとるべきである。それから市街化区域が制定されますと、農地転用制限がはずれるわけでございますので、これによって土地の流動化が相当促進されるのではなかろうか。また、私ども従来ともやっております公的な土地造成、あるいは民間でありましても優良大規模なものはいろいろ助成をいたしておりますが、これらの措置によってやはり優良な土地造成を推進するということによって、土地利用が整然と行なわれるということを期待しておるわけでございます。もちろん、あわせて今後、ただいま税制調査会で御審議になっております税制面におきましても、この土地の利用促進という面、その他開発利益の環元の問題にいたしましても、土地対策全般の面から、やはり税制は補完的とは申しましても、相当大きな力を持っているわけでございますので、この税制調査会の結論も当然今後の土地対策に対しては相当有効な手段でございますので、審議の促進をお願いいたしまして、早く結論を出していただきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/64
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065・河村勝
○河村委員 どうも御返事がはっきりしなかったのですけれども、いまあなたもちょっと触れたように、問題は市街化区域ですね。これはこの法律が施行になって、そういうものが設定されれば土地は上がるにきまっているのですね。上がるにきまっているのは一年か一年半先に目に見えているわけですね。これを何かの形で押えなかったら、今後いかなる都市計画も成り立ちませんからね。ですから、少なくとも一年以内に土地対策をやらなければならない。土地国有に一挙に踏み切ればこれは別ですけれども、そうでなければ、何か公共用地だけは開発利益を値切った価格で買えるようにして、あとは税制の力をかりてそれで開発利益を吸収するとか、そういう組み合わせでやるより以外に私はないと思うし、この一年以内に時期を失したら私はだめだと思うので、それで建設省としては本気で地価凍結ないしはそれに近いような対策をおつくりになる準備かあるいは腹がまえがおありかどうか、この際伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/65
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066・川島博
○川島(博)政府委員 確かに先生御指摘のように、市街化区域が設定されますと、ある程度の地価の値上がりということは避けられないということになると思いますが、私どもはもちろん税制だけにすべてを期待しているわけではございませんで、今後ともに公的な土地保有は相当拡大をすべきじゃなかろうか、それから地価問題につきましては、今後近い機会に地価公示制度というものに踏み切るべきではなかろうかと考えております。あわせまして、この土地税制につきましても、税制調査会は夏ころまでには結論を出して、私どもの都市対策、土地対策に御協力いただけるということに聞いておりますので、その結果に私どもも大きな期待をかけておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/66
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067・河村勝
○河村委員 これで終わりますけれども、どうも税金のほうばかりに期待をかけちゃって、単なる地価公示制度ぐらいで片づく問題じゃないのですね。ですから、あなたにいまここで幾ら言ってもしかたがありませんけれども、建設省としてこの一年以内にほんとうの抜本対策を考えるというぐらいの返事をできるような態勢を早くつくっていただきたい。それをお願いして終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/67
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068・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 田中昭二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/68
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069・田中昭二
○田中(昭)委員 私は、先日の委員会から質問事項をたくさん残しております関係上、残りました分の一、二の問題を先にやらしていただきたいと思います。
まず、予算の歳入、いわゆる租税収入の見積もりについてでございますが、本年度補正予算の組まれましたときの状況、いわゆる政府のPRによりまして、本年度の後半は景気は悪化し、財政硬直化というような問題も秋ごろから出てまいりまして、その環境のもとに補正予算が組まれたと思っておりますが、その補正予算を組まれたときの状況で、歳入面の租税収入についてどのようなお考えであったか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/69
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070・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 補正予算の歳入を見積もる当時におきましては、御承知のとおり、すでに九月に財政金融を通ずる引き締めが行なわれました。そういうきびしい環境が出てまいっておったわけでございますが、同時に、御承知のとおり法人税収入というものが三月‐九月が中心になっております。そんな関係で経済活動は大体三月から九月、一年決算のものであれば前年の十月から続いております関係で、この引き締めの直接の影響というものはまだ出てきていない、税収面においてはおくれがございます。それから個人所得につきましては、やはり相当な賃金等の上昇、あるいは御承知の年末における賞与というものが未曽有の多額にのぼるといわれております。消費も依然旺盛な消費支出の傾向が見られるということで、ただいま御指摘ありましたような情勢は見られますけれども、年度内としてはかなりな自然増収が見込まれるということで、御承知の二千九百億円にのぼる自然増収を計上いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/70
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071・田中昭二
○田中(昭)委員 具体的にいま法人、所得税についてはその引き締めの効果がまだあらわれていないというような状況にお聞きしたわけでございますが、そうしますと、法人の決算が終わって、所得の調査が終わって、事実その税収の見込みが立つのはいつごろからで、そうしてそれはどのように収納実績と関連を保ってきたか。——まず私が申し上げます。いまの引き締めの効果がいつごろから税収面に影響してくるものか、それをお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/71
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072・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま申し上げました九月決算の結果等が入ってまいりました結果、御承知のように一月末現在におきましては法人税の収納ぐあいはかなりよくなっております。よくなったと申しますのは、補正後に対してです。補正前に対してはもちろん非常に多いのでございますが、相当な補正増を見積もりましたものですから、それに対してもかなり落ちついてきたという傾向が見られます。九月はやはり予定どおりかなり伸びたといえるかと思います。私どもは法人税の収入に影響を及ぼしてくると見ておるのは四十三年度でございます。なぜかと申しますと、四十三年度の前半、つまりことしの三月決算、これは御承知のとおり四十三年度の収入になってまいります。この四十三年度の上半期の法人税につきましては、まだかなりの勢いが残っておると思いますが、九月決算以降につきましては、若干その伸びが落ちてくるであろうという見込みを立てております。この間も御説明いたしましたように、昭和四十二年度の補正予算を見積もりましたときには、実績見込みでは、法人税は利益率の上昇が前年に対して約八%程度見られるのじゃないかということを見込んでおりましたが、来年度の見積もりにおきましては、その利益率の上昇というものは横ばい、こう見ております。つまり相対的に見れば、四十二年度に比べて四十三年度の法人税の伸びがそれだけ鈍るというふうに見ておるわけであります。それが出てまいりますのは、主として下期に出てまいる、かように考えております。たとえば、対前期の伸びといたしましても、上期は一〇八%と見ておりますが、下期は一〇五%というような見方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/72
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073・田中昭二
○田中(昭)委員 いま大事なところの話が、私には少しわかりにくいように入ったわけです。と申しますのは、景気引き締めによって、その効果が九月決算ではあらわれない、その後の三月決算ではその効果があらわれる、だけれども、実際の収入面は下半期にそれが影響してくる、それも結局は横ばいだ、という証拠に、三月期の決算に一〇八%の伸びを見て、下半期は一〇五%だ、そういう伸びによって租税収入の見積もりをどうしたかということを私たちは知りたいわけです。なぜそのように言いますかといいますと、いま主税局長がおっしゃったことばの中で、ちょっとした言い回しが肝心なところだと思うのです。租税収入の状況を見ましても、税目によっては大体昨年の十月、十一月ごろから、対前年決算額の伸びよりも四十二年度の税収は悪くなっている。いまあなたのおっしゃるようであれば、法人税収入は、昨年の九月期決算には全然あらわれないのですから、かえって好景気——好景気といいますか、上がった部分が影響してくるはずなんです。そうするならば、昨年の十一月、十二月、ことしの一月‐二月はまだ出てないのですが、もう出ているんじゃないですか。一月まで見ましても、その辺まで税収が下がるということは考えられない。それがまた三月期の決算を見て、そこでもまだ税収は落ちない、ことしの九月期の決算においてもまだ落ちない、その後において落ちるかもしれない、こういう御答弁のように私は思うのです。それが実際はそうじゃないのです。もう法人税の税収も、昨年の十一月から落ちてますよ。ですから私が予算分科会で、主税局長もいたけれども、大臣もそのような答弁をなさった。本年は九月から目一ぱいなんだ、どうかしたならば、この四十二年度の補正予算の額も税収の見積もりは心配だ、このようなことばで大臣も発言しております。そのことと、いまあなたが言うこととは、ただ表面的なこうだろう、こうだろうというような説明で、私には納得いかない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/73
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074・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま指摘されました九、十月ごろの数字が十一月以降落ちてまいったのは、九、十月に御説明をいたしましたのは当初予算に対する割合であります。たとえば九月でございますと、法人税は前年の決算が四八・二%であるのに、五二・九%入っておりまして、法人税はことしのほうがよかったわけです。ところが、十一月からは補正後予算に対する収入歩合を出しましたから、これは当然落ちます。予算額のほうが急にふえたわけです。したがって、さっき私が申し上げましたように、一ぺん落ちたやつがだんだん追いついてくるということは、補正後予算に近づきつつあることであって、そういう意味では矛盾していない。つまり、十月までの割合は当初予算に対する割合ですから、これは非常によかったのです。それが補正で二千九百億出しましたものですから、がたっと割合が落ちた、これは当然でございます。それでなお法人税収は、九月決算が入ってまいりますのは十一月末の申告になります。そういうことで、ちょうどその十一月から補正後予算に対する割合になってしまったために、十一月が悪く見えますけれども、これは補正後予算から割合をとったためであるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/74
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075・田中昭二
○田中(昭)委員 そういうふうにおっしゃるのでしょう。これは間違いじゃないです。もちろん十一月からは補正予算に対する収入歩合でしょう。ですから、十月まではいわゆる前年の分の決算額と当初予算額との収入割合であった。十一月は前年の決算額と補正予算に対する収入歩合だった。そうでしょうね。そうすると、その十一月以降十二月、一月までのいわゆる収入歩合の伸び方と前年の決算額に対する実際の収納歩合の伸び方の差がずっと縮まってこなければいけませんよ。そういうことでしょう。ですから、見てみますと、前年は十一月が七三・五%、十二月が七八・八%、一月が八六・二%、間違いないですね。同じ数字を見ておるから、間違いがないはずです。ところが、本年は十一月が七一・七%、十二月が七七・一%、一月が八四・七%ですから、今度は逆に一月の八四・七%と前年の八六・二%の差が、そこが問題になってくる。それが、あなたがいまおっしゃったように、補正予算を見たときの状況が、実際はまだ好況の影響でことしの三月までも大体いいかもしれない、実際収納歩合が悪くなってくるのはことしの九月以降くらいじゃないか、このような意味に——少しは違いますけれども、あなたのおっしゃるほうが理論的ですけれども、大体の流れとしてはそういうことをおっしゃった。それではいま言うような八四・七%と八六・二%との差と、十二月の七七・一%と七七・八%の差はどういうふうに御検討なさいましたか、それを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/75
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076・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま御指摘になりました数字の差を計算してみますと、十一月末では前年の決算に対する割合に対して一・八落ちております。それが十二月になりますと七八・八と七七・一ですから一・七に縮まってまいります。さらに一月になりますれば、それが八六・二と八四・七で、また一・五でございますから、差がそれだけ縮まったわけであります。私が申したように、最初はどかんと補正予算を加えましたものですから下がりましたが、だんだん割合は回復しているということが如実に出ているわけでございます。ことに十一月の申告があった分は、延納部分がございますので、これが延納されて二月に入ってまいります。そういうものはやはり二月になれば、二月の部分を押し上げるということになると思いますので、そういう意味では、この三月までの間にやはり法人税もだんだん去年の割合に落ちついていくだろうということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/76
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077・田中昭二
○田中(昭)委員 そういう割合の一つ一つのあれを言ってもしかたがありませんが、あなたのおっしゃるとおり、それは本年の三月の整理期間まで入れた場合に、法人税は例年どおり一〇五%ほど収納があるでしょうね、そういうことを期待しておきます。そうしなければ国家予算は破滅しますから。それではそれはその程度でやめます。
問題は、その秋の補正予算を組んだときに、私は少し税収の見積もりにでこぼこがあると思うのですね。法人税、物品税は一割以上も当初予算に対して歳入を多く見た。関税なんかも七%程度ですね。印紙収入については一割以上です。その反面、所得税なんかは、源泉所得税は三・五%、それに反して申告所得税は一七%、これはどうも、ことしの事後調査は、これは強行をやらなければとれませんね、当初予算の一割七分も補正予算で申告所得税の増収を見るというのですから。申告所得税自体の税収はわずかなものなんです。それの二割近い税収を補正予算で組むということは、私はこれは、一般の事業所得者、営業者は、そういう内幕を知ったならば、徴税強行でどういうことになるだろうかと思って心配しないだろうかと思うのです。結論として、税収が全体的にふえるというような見方になっているわけですが、これについては、いま言いましたように、法人税収と同じように、四十二年度の補正後の予算額の税収確保が完全に近いものにできるものか、いわゆる一〇〇%こすものか。しかし、いままでの例で一〇〇%こすとは主税局としてはなかなか言えない。言えないけれども、いまの話を総合すれば、入るということは確信を持って予算を組んだのですから、それに近いような御返答をいただきたい。倉成政務次官からもひとつその点の税収——これは歳入が入るか入らないか問題だと思うのです。大体確定申告も済みましたし、この間の長官のお話では、三月十五日の申告の集計ができてないということでございましたけれども、それは税務署でやっておりますから、とろうと思えばすぐできる。ただ発表しないだけなんです。仮集計もやりますし、三月十五日もだいぶ過ぎておりますから、私は、ほんとうに政府に誠意ある姿勢があるならば、そのくらいの、仮集計で出てきた数字くらいは握って御説明願うのがほんとうじゃないかと思うのです。そういう点について政務次官のほうからもお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/77
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078・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 先に数字だけ申し上げたいと思います。
ただいま御指摘ございましたように、所得税については、申告所得税について一八%も伸ばしておる、法人税についても一〇%伸ばし、物品税についても二二%も伸ばしております、印紙税も一〇%伸ばしておるではないかという御指摘でございます。実は当初予算を組みましたときに、いま御指摘ございましたように、申告所得税は三月十五日までわからぬものですから、四十一年の実績がわかりませんで、意外に、四十一年は三百億ぐらい申告所得税は増収になったわけであります。それを土台に織り込んでなかったために、当初予算が非常に実績から見ると低くなっておったわけです。それで、その土台をここに入れますと、一八・一というのは、一一%ばかりはすでに去年の実績を土台として上がっていた分なんです。ですから、申告所得税はむやみに強化する予定ではなかったということはおわかりいただけると思います。法人税は、御承知のとおり経済指標が大幅に伸びましたから、当初鉱工業生産は一一四と見ておりましたのが一一八に企画庁の修正ではなったようなわけで、それがそっくりあらわれてまいりましたために、法人税は非常に伸びました。物品税も、消費の伸びが相当大きくなりまして、個人消費支出が一二二から一一五に伸びたというようなことで、伸びが実績上も見積もられることになった。それから印紙収入は、これは特殊な事情でございます。去年の改正が印紙、登録につきましては七月以降になりますので、予算として見積もるときにはやはり七月以降に入るべきものでございました。そんなことでかなり多く見積もったということでございます。しかし総体として二千九百億が確実に取れるかという点は、いま御指摘がありました三月十五日はもう済んでいるではないか、課税実績は出てまいりましたが、先生よく御承知の振替納税が最近普及いたしまして、振替納税の実績というのは二十七、八日過ぎないと銀行振替にならない。それが非常に多くなりまして、全国で五〇%をこえてしまいましたから、それでまだわからぬという非常に不確定要素がございます。まあ私どもは補正予算ぎりぎりまでというところまで入ってくれればいいなと思っておりますが、全体としての歳入歳出を通じて歳入欠陥を起こすというようなことは絶対にないという自信を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/78
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079・倉成正
○倉成政府委員 非常に技術的なことでありますから、細部については主税局長、全幅に信頼いたしておりますから、お答えいたしたとおりであります。結論として歳入歳出通じて歳入欠陥があることはないと確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/79
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080・田中昭二
○田中(昭)委員 どうも最後になると確信を持っておるというような話になってしまったわけです。だから、いま具体的に主税局長も、法人税については一〇〇%こすことは間違いない、そういうふうに客観情勢がなってきたんですね。そこでもう再度あれはしないつもりです。いずれにしろ現在、これは逆にいま税収の面から見れば、たとえ一%の税収の歩合の減にいたしましても、四百億近い歳入減を来たすというような問題であるわけです。慎重に私は——いまの申告が終わった段階で集計ができないいろいろな理屈もありますけれども、それは納税の集計は申告所得でできます。三月十五日までに納めるという申告所得からも集計はできるのです。ですから、そういうことだけじゃなくて、まあわかるものはひとつ教えていただきたい、こう思うのです。
次に、予算の説明書を私見せてもらいまして、いつも私が疑問に思うことが、この中でいろんな数字的にわからない点が多々あるのです。当局のほうにも大体その内容は申し上げておったんですが、まず一三ページの申告所得税の還付見込み額というのがものすごく本年は多く見て、そうして申告所得税の収納額が少ない、こういう見積もりになっているんじゃないかと思うのです。そのほか還付見込み額というのがどの税目にもあるわけでございますが、これはどの税目もその算定の根拠をしっかり私は見ていかなければ、こういうところでごまかされるんじゃないかと思うわけです。それが一点。それから時間がありませんから——委員長のほうからあと三十分でやめろということですけれども、それじゃあまり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/80
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081・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 いややめろとは言わない。御協力を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/81
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082・田中昭二
○田中(昭)委員 それでは一緒に申し上げます、簡単に。大体当局のほうに言っておきましたから……。
相続税の繰り越し滞納分の収入というのが本年は載せてない。これは常識で考えてみて、繰り越し分の滞納収入分は必ずあるはずなんです。そういう収入が当然あるものを、いままでずっと載せておってことし載せなくなった理由、そういうものもはっきりしてもらいたい。
それから、この予算書はほんとにでたらめです。それを言うとかっとしてあまり説明しないかもしれないけれども、これはまた申し上げます。ですから、まずいまの還付見込み額の正当性、それから繰り越し滞納収入分をはずした理由、その金額も大きいんですよ。前年度、相続税だけで六億。相続税の滞納収入分をはずしている。前年六億ですよ。ジェット機一台分です。
以上二点だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/82
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083・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御説明申し上げます。
一三ページの申告所得税還付見込み額百五十億、これは常に前年の実績から所得税の伸び等を見込んで決定をいたしておりまして、四十二年度の予算では、先生御承知のとおり当初で百五十億見ておったわけであります。しかし、実績見込みは少し減りまして、補正では百二十億に落としております。ことしは申告所得税の伸び等を考えまして、二〇%程度の増がある。これは先ほどの所得税自身一八%見ておりますから、そういうことで百五十億ということに見込んだわけでございまして、これは前年度の実績等から、還付はある程度大量観察で数字がきまりますので、さようにいたしております。この還付の原因は先生よく御承知だと思いますから申し上げません。
それから相続税のほうで、前年度滞納額をはずしたと申しますのは、これはもう先生御承知だと思いますが、第一線税務署職員の手数を省略するために報告をまとめてしまったのでございます。前年の滞納税額と前年度以前の本年度課税額、これは二つに従来分けておりましたが、これを一緒に報告をとるようにいたしました。昨年までは前年の予算書につじつまを合わすために、前年度実績でその一本になったものを分けておりましたが、かえって不正確だと思いまして、今度は総体で表示をいたしたわけでございますので、去年は滞納分収入見込み額は二十六億ございましたけれども、これは総合して報告をとったものを理論的に分けたので、ことしはもうそういうことをせずに、前年度以前の本年度課税分と繰り越し滞納額とを一緒にして表示をいたしたわけでございまして、漏らしたわけではないのでございます。合併をした。報告書自体を最近国税庁では事務の簡素化のために整理しておりますから、そういうことからきたことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/83
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084・田中昭二
○田中(昭)委員 それは大蔵省の説明であって、私たちは、繰り越し滞納収入分がないから、それは国税庁の事務の簡素化で報告しないようになった、それはそちらさんの御都合なんです。
〔渡辺(美)委員長代理退席、金子(一)委員長
代理着席〕
国税庁が簡素化しましても、実際の第一線はなお忙しくなっているのですよ。いまそういうことを言っても始まりません。ですから、前もって当局のほうにちゃんと言っておったでしょう。現実は繰り越し収入分があるのだから、いままでどおりのような状態でこの数字をあらわしてください。これは私から資料要求しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/84
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085・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これはいま御説明したように、漏らしているわけじゃなくて、一緒にして報告をとっておりますから分けようがないのです。ですから、これは数字としては全部入っておるわけですから、漏らしていれば問題でございますが、漏らしているわけではございません。合計した額が載っているわけです。報告を簡素化したためにそれを分けることが不可能なんで、資料で出せと言われても、これは先生一番よく御承知のはずなんで、そこのところはひとつ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/85
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086・田中昭二
○田中(昭)委員 ですから、合計額で出したのだから、合計するもとの数字を教えてくださいと言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/86
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087・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 合計するもとというのは、税務署で合計して出してきているものですから、こっちで合計したものならもちろん出しますけれども、合計した数字が出てきているのですから、それが集計されているわけでありますから、ちょっと数字は分けようがありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/87
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088・田中昭二
○田中(昭)委員 税務署で合計したのなら、税務署で合計する前の数字を教えてもらえませんか。無理ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/88
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089・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これはたいへんな手数がかかって、せっかく簡素化したことを全部やり直しということになりますので、これはごかんべん願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/89
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090・田中昭二
○田中(昭)委員 それじゃ了承しておきます。しかし、こういうことになりますと、だれが見ましても、ずっといままで繰り越し収入分があった分を四十三年度だけ抜かしておる、こう考えるほうがあたりまえじゃないですか。
それからさっきでたらめだと言いましたことは、いろいろあるのですが、本質的な問題があります。もう一つだけ、私はこれはおそらく印刷の間違いか何かじゃないかと思うのですが、十一ページの配当控除額等というのがございますね。申告所得税の配当控除額等百九十一億一千九百万円、この数字が現行法の数字と一緒であるということは、私はどうしても納得がいかない。納税人員も違ってきます。課税所得も違ってきます。もちろん総所得も違ってきております。それで配当控除だけが現行法と同じ数字があがっているということはどうしても納得がいかない。これはどういうことでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/90
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091・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは、配当控除はことし改正いたしておりませんから、現行法で見積もったものと改正法で見積もったものと同じものなんで、これは変わるわけがないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/91
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092・田中昭二
○田中(昭)委員 そう言うけれども、それはわかっていますよ。ここにあがってきているのは、納税人員が十人の中に配当控除を受ける人が何人あるだろうという現行法の見積もりでしょう。その納税人員が改正法で八人に変わったならば、配当控除の人数も変わらなければうそじゃないですか。税法が変わらなければ、そんなことはあたりまえじゃないですか。そういう返答がありますか。よく計算してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/92
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093・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 現行法を変えておりませんから、変わるわけはないわけでございますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/93
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094・田中昭二
○田中(昭)委員 だから、いいですか政務次官、この見積もりは、私いま説明したでしょう。現行法では、現行法を適用すれば何人の課税人員で、その課税人員の所得は何ぼで、それからずっと控除をやって課税所得が何ぼで、その算出税額が幾らで、その算出税額から、この納税人員の中に配当控除を受ける人も入っているわけです。ですから、その配当控除の額は幾らでございますと、こうなっているわけです。ところが、改正法では納税人員も減ります。課税最低限度が上がります。控除額もずっと上がりますから、ずっと変わってきます。変わってくるのがほんとうなんです。それならこれは前年度からずっとさかのぼって、現行法と改正法と、必ずこういうところは変わってきておりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/94
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095・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この配当控除を受けるべき人員というものが変わっていない場合には、これは現行法と変わらないわけでございます。ことしの課税失格人員の中に配当控除を受ける人がなければ、これは変わらない。去年変わっておりましたのは、配当控除の税率が変わったりいたしておりますから、これは変わったわけでございますけれども、ことしは配当控除の関係は人員その他全然関係なしということで同額にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/95
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096・田中昭二
○田中(昭)委員 いま吉國さんの説明では、配当控除を受ける人員は変わらない、こういうことですね。しかし納税人員が変わってくるのですよ。それはあなたがあくまでそう言い張るならば、この計算の基礎をあとではっきりさせてもらいます、ここでかっとなったときにはちょっと計算しにくいでしょうから。ここの計算の基礎を出せばはっきりします。これは後ほどに保留いたします。
それじゃ次に特別措置の問題でございますが、特別措置の問題でいままでずっと整理合理化されてきたわけです。その整理合理化されたものが、たまたま四十三年度はプラスマイナス・ゼロの整理合理化になったわけですね。そういういきさつについて御説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/96
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097・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 今度の租税特別措置法の増減収額が合致をしている点、これは何ゆえであるかという点を御指摘でございましたが、御承知のように、ことしは毎々申し上げておりますように、予算のほうでも硬直化を打開するということで、補助率の単純引き上げはやらぬとかいうようなきびしい線が打ち出されております。したがいまして、租税特別措置も原則としてはやらないのがたてまえであるという考え方でございますが、一方において先ほどから御指摘がございましたように、輸出の振興という点についてはどうしても何らか手を打つ必要があるという強い要請がございます。かたがた資本自由化を控えて技術開発も必要である、そういう要請も事実あるわけです。そこで、少なくともいま一方においては酒、たばこにおいて増収をはからなければならぬという情勢でもございますし、租税特別措置は租税特別措置の制度の中で財源を得て、そして振りかえてやっていこうという決心をいたしまして、価格変動準備金の積み立て率を切って、あるいはその他の期限が到来いたします措置を縮減いたしまして、そして差し引きで増減収なしだけれども、必要な措置はやる、必要ない整理できる措置はできるだけ整理するということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/97
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098・田中昭二
○田中(昭)委員 その中で輸出の振興についてですが、その輸出の伸びに特に貢献しているという企業、また輸出の割り増し償却の特別割り増し、こういうので二百五十二億を見込んであるのですが、この算定の基準はどうですか、どのような根拠になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/98
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099・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 輸出貢献企業というものを前提にいたしまして、それらについては現行法のベースを六割ないし三割、甲種に対しては六割、乙種に対しては三割ということで、輸出貢献企業は、先ほど御説明がございましたように、通産省で毎年計算いたしておりますので、その中から当方の基準に該当するものを抜き出しまして、その数字によりますとその割り増し率が出るわけでございますが、それによって計算をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/99
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100・田中昭二
○田中(昭)委員 その中に、これははっきり主税局のほうで業態もというわけにはいかないでしょうが、いわゆる税法でいう大企業、中小企業、そういう業態に適用されておると思うのですが、そういう適用した企業がわかりましたならばその業種、個別の大きな業態程度に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/100
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101・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この輸出割増償却、海外市場開拓準備金は普遍的と申しますか、輸出するものについては普遍的に認められる制度でございますので、特定の企業というよりは輸出関連企業はすべてこれは適用があるわけです。私ども見ておるところでは、いわゆる一億円超の法人が受ける恩典と申しますか、減収額ベースで申しますと大体八
〇%程度は大企業だというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/101
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102・田中昭二
○田中(昭)委員 それではその大企業、いわゆる税法上で大企業といわれる会社というのがどのくらいあって、その大企業のうちでどのくらいの数課税しておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/102
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103・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これも毎々申し上げておりますが、税法の上では大企業と中小企業を分ける基準を資本金一億円にいたしております、諸制度をすべて一億円で切っておりますので。一億円超の法人が現在概算で四千五百ございます。そのうちで休業法人が約二百三十ばかりございまして、その他は、休業法人以外に欠損法人が若干ございますが、大体課税法人とお考えになっていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/103
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104・田中昭二
○田中(昭)委員 そうしますと四千五百ぐらいのうちのいわゆる実際調査して課税になる分は四千ぐらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/104
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105・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 欠損法人が千四百ほどございます。ですから、四千五百から差し引きますと課税法人が三千というところだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/105
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106・田中昭二
○田中(昭)委員 三千というとちょっとまた一割ぐらい違いますね。いままでの課税実績からいえば二千八百ぐらいではないですか。二百ぐらい違いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/106
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107・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いまちょっと概算で申し上げましたので、正確に申しますと合計では二千九百二十でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/107
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108・田中昭二
○田中(昭)委員 それはひとつまたあとで教えてください。
技術の振興についてでございますが、試験研究費について、わが国の試験研究費の水準は低いといわれております。その拡充強化のためにも特別措置でこれを優偶しておるのですが、それはわかるのですが、このような税制による援助しかないのか、いわゆる民間の研究体制の整備というような上から、国庫から研究費を助成する、そういうことによってでも日本の低い水準を高める必要があるのではないか、こう思うのですが、このことについて主税局から、また通産省のほう来ておられますか、お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/108
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109・木寺淳
○木寺説明員 民間の技術研究費が現在非常に低い水準にあるということについて、どういう振興策を持っておるかという御質問と伺いますが、工業技術院といたしましては、民間の技術開発の促進のために、大きく分けまして四つばかり大きな柱の政策をとっております。
一つは、大型プロジェクトという四つのテーマを指定いたしまして、来年度の予算では三十九億円の予算で、四つの大きなテーマにつきまして委託研究を促進いたしております。これは国が主体になってやっておる事業でございます。第二の柱といたしましては、民間の技術研究に対しまして、直接の補助金を交付しておりますが、これは今年度から重要技術研究開発費補助金といたしまして十二億円の予算の計上を行なっております。昨年度から三億円ばかりふえておるわけでございます。それから第三番目に、いま御審議いただいております税制の問題でございますが、これは昨年度試験研究費を企業が増加いたしました場合に、その増加額についてその四分の一を直接減税するという方法が実施されましたが、今年度からはその減税率を高めまして——高めますと申しますのは、一定の比率以上に増加した場合には、いまの四分の一を二分の一の減税を行なうということで、現行制度ですと約八十三億の減税、つまりこの八十三億が研究費に回るというふうに考えているわけでございますが、これからさらに新しい制度では二十億ふえる予想をしているわけでございます。それから、こういった技術研究の成果の利用につきましては、開発銀行の融資で約九十億円のワクを用意いたしまして、国産技術振興資金としてそういう技術の企業化について六分五厘の特利の融資を行なう。
こういうような研究の補助金、それから財政資金、開発銀行の融資、さらに税制という側面的な援助を行ないまして、技術開発の促進を急速にはかりたい、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/109
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110・田中昭二
○田中(昭)委員 次に、今度の特別措置の改正で、最後のほうの社会保険診療報酬の問題です。これは税調で問題になりまして答申があったようでございますが、このいわゆる社会保険収入に対しては経費を七二%ですか、所得率二八%、こういう特別措置ができたのは、当時保険料の一点単価が低いというようなことに対する救済措置であったかと思うのですが、その後だんだん一点単価の引き上げというようなこともいろいろしているようですが、これが現在税の公平といいますか、そういう面を大いにくずしている、こういう意見もあるわけですが、そのことを税調のほうも考えて、今年度措置しなければならぬ改正の最後に、今後はこの問題については考えていきたい、このようなふうに言われているのですが、このいわゆる保険収入の七二%の経費率というのは、主税局あたりでは一体どのように考えておられるのか、まずその点からお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/110
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111・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは国税庁からお答えするほうが適切かと思いますけれども、この七二%に一律に固定化する、内科であれ、歯科であれ、何であれ、七二%にするということ自体が相当な矛盾であるという感じがいたします。さらにこの制度は、御承知のとおり申告書に記載をしなければ適用になりませんから、七二%を、平均して七二なんだ、お医者さんは、ということになっておれば、これはまた一つの考え方で標準率のようなものでございましょうが、七二以上があります人、七五の人はこの規定を適用しないで実際価格を申告すればそれでよろしいことになります。つまり、お医者さんはいずれか低いほうで申告すればいいというような形になっているわけでございます。そういう制度的な意味からもおかしいじゃないか、こういうことがいえると思います。また、実際に七二が適当かどうかということも、これは十数年前にきめたものでございますので、その後、一点単価も上がっているという実情があるとともに、薬価も上がり、あるいは人件費も相当上がっておりますし、お医者さん自体の設備も非常に向上してきております。そういう減価償却費もふえてきておるという点をいろいろ勘案しますと、この七二自体も、当時と非常に違ってきているじゃないかということもいえると思います。そういう意味で、いままで大体先生も御承知と思いますけれども、診療報酬については七二でございますし、診療報酬は大体正確に資料がとれますので、特に調査をあまりいたしてない面もございます。したがって、医師の所得の実態というものがあまり明らかでないという面がございます。したがって、この七二%の批判も困難な状況でございますので、今後すみやかに実態調査を進めて、この七二という数字自体がいいのかどうか、また制度としてもこういう形がいいのかどうか、こういうことをもっと真剣に検討してみないと、抽象的に七二が不公平だと言っているだけでは、問題解決にならないではないかということで、今後実態を調査して、その制度も内容を検討したいという趣旨のことを、税調として税制改正の中にうたい込んだということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/111
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112・田中昭二
○田中(昭)委員 それじゃ、その七二については何もまだ具体案を持たないということですね。ただいま主税局長がおっしゃった中に、申告するにわからないで七五でするというのは間違いでしょう。七二なんですからね。七〇でしたり、六〇ですることもあるということなんです。いま主税局長、七五以上でする場合も申告書に記載しなくてやると、逆の場合をおっしゃったんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/112
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113・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私が申しましたのは、七五でするというのはちょっと言い過ぎなんで、七五実際にかかっても、収支計算をやって七五程度の経費になっても所得が二五しかないという形の場合ですね、それはそのまま申告してこの規定の適用を排除しておけばそれでいいわけですから、実際に七二とはいっているけれども、もっと経費のかかっておる人は、あの規定を知らぬ顔して、もっと高くかかったところで出せるという意味なんです。それは、いまの制度が七二とするとはなっていませんので、申告をその程度する旨出せば、それが適用になるということなんですから、自由な申告をすれば、経費が七五かかっていようが八〇かかっていようが、申告ができるわけなんです。そういう制度がおかしいじゃないか。標準率ならば、どんな人でも七二できめたんだから、それならばその平均値できめてしまうという理屈もあるでしょうが、いずれでやってもいいという制度なんですね。これは制度としてはおかしいということなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/113
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114・田中昭二
○田中(昭)委員 私は逆の面を言っていたわけですね。ですから、いま七二にきまっておるけれど、かりに保険料の収入について七五の経費で申告したとします。実際は七五じゃ税務署では認めません、保険収入としては七二なんですから。ですから、そういうことをおっしゃると、実際の例と違うのです。それは主税局長ですから、まあそれでいいと思うのです。あとで議事録は訂正したほうがいいと思うのです。そういう意味ならば、初めおっしゃったことと逆のことをおっしゃったから、それでいいと思います。
次に移ります。
米の加算金の問題も出ておりましたね。この問題も一緒に、どういうふうなお考えなのか。特に政務次官からも米と保険診療収入については、どういうことを税調にはかって、どういうような結果にいつごろ持っていくのか、そういう点についてある程度希望の持てるお話ができますれば、ひとつお願いしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/114
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115・倉成正
○倉成政府委員 社会保険診療報酬の課税の特例については、ただいま主税局長からお答えいたしましたように、この制度が昭和二十九年から始まりまして、その後の情勢が非常に変化いたしております。そこで、この問題については、これまでいろいろ御批判があったわけでありますから、ひとつなるべく早く実態を調査をするということが先決じゃなかろうか、この実態調査を待ってこの特例を残すべきか、あるいは廃止すべきかということについて結論を出したい。まず実態調査が先行すべきものだと考えておりますので、すみやかに実態の調査をいたしたいと考えておるわけであります。
それから、米穀の予約減税の問題につきましては、御案内のように全国の農家の数の中で、この予約減税所得税を納めている農家は非常に少なく、予約減税の恩典を受ける農家は約四%でございます。したがって、これも昭和三十年から始まったものでございまして、当時の事情から比べますと、もう今日まで予約減税というのは非常になじんでまいりましたし、今日の事情から考えますと、もうすでに歴史的な使命を果たしたというふうに考えております。そういう考え方で処理してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/115
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116・田中昭二
○田中(昭)委員 一つも希望的なことはなかったようですけれども、一応いままでの処置に対する説明のように私はとりました。それはそれでいいと思いますが、特別措置という中には、いつも問題になります利子配当の分離課税、こういう問題がございます。これについてやりますと、これだけでも一時間かかりますから、私は簡単に率直に意見を申し上げますから、それに対する明確なる回答をひとつお願いしたい。
利子配当所得の分離課税については、もちろん法人税の課税の問題等もあるわけでございまするが、確かに受け取り配当に該当する、いわゆる株主が事実配当金を収入したとき、その収入といわゆるそのほかの収入とは、やはり同じ収入という面において、その配当だけが特別に法人税で課税されておるという観念はないのですね、一般の人は。入ってきたときが、それが収入なんです。その同じ収入に対して、ああいうふうな配当控除とかそういうものによって、いわゆる同じ所得額でありながら、片方は二百万、片方は七十万から税金がかかるというようなことについては、国民が納得しないのも私は当然だと思うのです。そういう点について、ひとつ簡単にお答え願いたいと思います。主税局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/116
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117・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これも毎年申し上げておりますが、法人税の利益になぜ課税をするか、配当として社外に流出するものについてなぜ課税をするかということについては、いろいろ学説がございまして、これも個人に対する源泉徴収だという考え方と、そうではないという考え方と二つあります。世界の学説も二つに分かれておりますし、その中間も多うございます。源泉徴収だと考えれば、個人が受け取った配当は源泉徴収されたあとでございますから、配当控除をするのは当然だという考え方、あたかもこれは間接税がもとでかかっておるものを買った人間が、税を課せられていると思っていないと同じように、意識にのぼっていないという点はあるかもしれませんが、相互負担として所得に対する課税の率が、法人に対して課税した税率と配当に対して課税した税率と合計した場合に、はたしてそれが妥当であるかどうかということが議論の根本だと思います。したがいまして、私は配当控除が全く間違いであるということは一律にはいえないと思います。それはあくまでも理論の立て方、あるいは双方を通じた税額の負担の問題でございまして、これを特別指貫と考えるものではない、税制の体系の問題であると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/117
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118・田中昭二
○田中(昭)委員 やはりいつものお答えのようでございますが、私はこの問題を最近ある人から痛切にこういう実態の苦情を受けたのです。ある人というのは、これは年寄りの夫婦なんですけれど、たばこの小売り店を経営している。その人が二百万円の所得をあげるためには、老夫婦で店番してやっておるわけですが、約三千六百万、三千七、八百万円くらいの売り上げをあげているんですね。それで、本人の言うのを聞いてみますと、政府の独占事業であるたばこ、専売品を売って、毎日毎日一時間当たり二百人のお客に接して、月に三百万円くらいの売り上げをあげてきゅうきゅうとしているんです。その人は所得税を約三十四、五万円納めているんですね。それに事業税と住民税を加えますと、四十七、八万、五十万円近い税金を納めているのです。いいですか。これはほんとうにその老夫婦にとってみれば、一日も休まないでこつこつとたばこを売って、そして三千七、八百万、四千万円近いくらいの売り上げをあげて、そのためには、聞いてみると、一時間二百人くらいのお客に接しているんですね。そしてあげた所得が約二百万円。その二百万円に対しては、いま言ったように五十万円くらいの税金がかかる。そして、その本人の言い方はおもしろいのです。三千六百万、四千万円くらいのたばこを売りまして、そして専売納付金、たばこにかけられておる税金を計算したら、二千三百万円くらいの政府の収入になる。納税の手伝いをやっているのと同じですと言うのです。実際に専売納付金は消費者が納めているのですけれども、実際は、政府に入ってくる金の手伝いをやるのがたばこ小売り店なんです。二千三百万円もの政府の税金の手伝いをさせられた上に、五十万円近くの税金を払う。そうして、老夫婦だけで細々とやっておる。場所がいいからそのくらい売れるようなことを言っておりました。
そうしますと、そういうものと、逆に配当所得で、寝ておって栄耀栄華して、二百二、三十万の所得があっても、それは所得税が無税である。所得税もかからなければ、事業税もかからない。国家権力の強権によって、個人の収入を吸い上げるという行き方が、私はあまりにも悲惨な状態になっているんじゃないかと思うのです。同じ二百万円の所得でありながら、片方は資産で食っている人と、片方は二千三百万円もの税金を納める手伝いをして、そのために病気になるくらい一生懸命やって売っているのです。そちらのほうは、そのほかに五十万円の税金を納めなければならない。これは為政者としても、また行政官庁としても、また税法をつくっていく主税局としても、そういう実情は、それはそう言えばそうだということで終わらされないと思うのです。どうでしょうか、倉成政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/118
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119・倉成正
○倉成政府委員 配当控除の問題については、御案内のように、現在の配当所得が、いわば法人税のほうで前に取られておる。したがって、その分を控除するといういまの法人税の仕組みの問題でありますから、税法上は全然問題がない。法人税のたてまえを変えない限りにおいては、いまの制度が税法上とられるべきだということは主税局長の申したとおりであります。しかし、御指摘のように、庶民感情として、やはりそういう気持ちがあることも事実だと思います。したがって、昭和四十二年に、御案内のように源泉徴収税率を一〇%から一五%に上げまして、それから源泉選択制度の場合の税率を二〇%に上げておりまして、この期限が四十五年の三月三十一日ということになっているわけでありますから、やはりその時期までに法人税の基本的なあり方を検討した上で、あわせてこの問題もやはり検討していくべき問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/119
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120・田中昭二
○田中(昭)委員 二年先にそういうことを考えてもらうことはけっこうなことなんでございますけれども、しかし、いま私が申し上げたとおり、かりに法人において法人税がその所得については課税されておるとしましても、二割八分か三割五分という課税なんです。ですから、先ほど言いましたように、その配当を受け取る人は、受け取ったときに収入になるのですから、その前に課税されておろうとおるまいと、そういうものは実感として税金を納めたという感じではないのです。そういうことを私は強調したいわけです。そういうことを十分考えていただきたいと思います。
次に、物品税に入りますが、物品税につきましても、昨日あたりから質問がいろいろ出尽くしておるようでございますし、再度繰り返すような点があるかもしれませんが、ひとつ、簡単でけっこうでございますからお答え願いたいと思います。
まず、物品税は昭和十二、三年ごろですか、戦時中にできた税金であるというように聞いております。また、きのうの主税局長のお答えの中にも、ぜいたく品と奢侈品に負担をさせるというお話がございました。また、世界各国もそのように税金を課している。それは、世界のほかの国が課税しているから日本も課税しなければならないという理由は成り立たない。いわゆるぜいたく品、奢侈品について、きのうはぜいたく品という説明はあったようですけれども、奢侈品という説明はなかったようですから、そういう点をすんなりとひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/120
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121・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 きのう省略して申し上げましたが、いろいろ分けますと、いわゆる奢侈、ぜいたく品、あるいは娯楽品、それから趣味、観賞用品、嗜好飲食料品、社交的な身の回り品、便益品といったように、いろいろと学者が分けております。その中で、便益品というのが大体一つの限界で、その以前にある分は大体課税をしてもいいじゃないかという考え方がいわば学説の共通点であると私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/121
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122・田中昭二
○田中(昭)委員 その物品税のいわゆるぜいたく品、奢侈品というものについて、いまの物品税の課税物品を見てみますと、なかなか一がいにそう割り切れない品物がだいぶあると思うのですね。ダイヤモンドとか貴金属に対しては三割ですか、二割ですか、そして、化粧品みたいなものとか、コーヒーとか、そういうものに課税されている。それからいわゆる高級呉服類みたいなものが一銭もかからない。呉服類、衣類にはかからないのでしょう。しろうとの感情としましてそういう感情が残るわけなんですがね。聞くところによりますれば、衣類にかけることは企業側からの圧力もあるのだということも聞いておりますが、その辺の事情をもう少し説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/122
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123・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 物品税には、小売り課税と製造課税のものがございます。ダイヤモンドの物品税は小売り課税でございますから、製造課税に換算して考えますと、第二種物品として考えれば、大体四〇%の課税になっている。そういう意味でダイヤモンドは一番高く課税していることは事実だと思います。
それから、呉服に課税しないことの問題でありますが、これは、私どもは、何回か課税をすべく提案をしたこともございますけれども、一番問題になりますのは、物品税というものは消費税であるので、転嫁の可能性がないということになりますと、これは非常に問題がございます。呉服というものは、高級になればなるほど零細な企業がつくっておる。西陣でも、二台、三台の機で織っているものが多い。人間文化財というような人は、一人で年に何反かしか織らぬ。したがいまして、転嫁をするという面から申しますと非常に弱いわけで、実を申しますと、戦時中に相当大幅に課税をいたしましたが、その課税のために、明らかにそういう高級なもので現在姿を消してしまったものもあるんじゃないかといわれております。たとえば堆朱製品などは、そういうことで村上の堆朱というものは減ってしまったということがよくいわれております。そういう意味では、新しく課税をする場合に、高級織物を対象とするという考え方はもちろんあるんでございますし、奢侈性という点からいえば、もちろんかけていいと思いますが、実際に課税した場合に、その所期の課税目標を達成できないということがいろいろ議論されまして、結局最後に負担するものが製造者になってしまうということでは、消費税をかけた結果にならないわけで、そういう意味から、いまだに高級織物に対する課税というのは実現をしていない。織物消費税を廃止して以来、これは何回か提案をされておりますけれども、実施に至っていないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/123
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124・田中昭二
○田中(昭)委員 そうしますと、呉服は全部製造者が税金を負担するということでいけない、こういうことですね。それで、大体物品税というのは消費者が負担するんじゃないですか。それから大企業、いわゆる企業からの圧力があったかなかったか、そういう点だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/124
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125・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 消費者が負担することを予定した税でなければならないということになると思うのです。ですから、その消費者には転嫁という形で価格転嫁、流通転嫁をしなければいかぬわけですが、それができないというところに、この高級織物に課税できなかった一つの原因があるということを申し上げたわけでございます。
圧力があったかどうかというのは、圧力というよりはやはりこの高級織物に対するいろいろな精通者その他の方の意見が支配的であって、無理であるという結果になったというほうがほんとうだと思います。個別の企業としては小さな企業が集まっているわけですから、なかなか企業の圧力というような大きな力にはならなかったと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/125
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126・田中昭二
○田中(昭)委員 しかし、織物なんかというのは、大企業でもどんどんできるようになったんじゃないですか。そういうものを残している、課税していないということは、ここで主税局長がおっしゃる理論とちまたで流れていることとは少し違うのです。ですから、私はそういう点を申し上げただけなんです。実際この間接税の体系が、私は少しこまかい思いやりの配慮が欠けているのじゃないかと思うのです。これはいわゆる物品税ではございませんが、いま入場税という姿を見てみますと、一等席のいす席へすわっても同じ税率、普通の席でも同じ税率でしょう。そういうところはまた物品税のいろいろいまの品物の中にも、そういういわゆるぜいたく品、奢侈品に課税するというようなこまかい配慮がなされておるとはいえない面もあるということを私は強調しておきたい。
最後に、マッチの課税ですが、きのうも佐藤さんから御質問があって、私もそれを聞いておりました。また同じお答えを聞くことは私は必要ないのです。ただ流通機構がどうだこうだということよりも、私は、そういう問題があるならば、その税金をかけておりながら、かりに税金がなくなったとしても品物の価格が下がらない。これは主税局長の力でどうするということはできないにしろ、私は、税金がかかったものをかからないようにしたならば、品物の価格が下がるような政府の指導、また整備をはかっていくべきだ、こう思うのです。そういう方向であることは主税局長もおわかりいただけますか。
それで申し上げますが、もう一つ、砂糖でもそうです。六割近い税が関税を全部加えますとかかっておりながら、税金をはずしても砂糖の小売り値段は変わらない。これじゃ私は国民感情として納得のいかないのは無理もないと思うのです。いわゆる砂糖に対しては、国内産と輸入するものとありますから、いろいろな保護措置なり援護措置がとられておることは知っておりますが、それがあるにしても、全体の六割からの税金がなくなっても下がらない。私は、政府のそのものに対する指導いかんによっては下がる、下げてやるぞということがあたりまえじゃないか、こう思うのです。これは政務次官いまいらっしゃいませんから、そういうことについて的確な明確なお答えはできないかもしれませんけれども、一応主税局長としてそういう問題も十分考えていくという前向きの発言をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/126
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127・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これはすでに御承知と思いますが、四十一年あるいはその前に、物品税を引き下げたときには、その引き下げ額以上に小売り価格を下げるようにという指導もいたしましたし、通産省もそれに伴って物品所管別に指導いたしまして、現実に相当数のものは下がったことは御承知だと思います。しかし、主税局といたしましても、税を上げたときは値段が上がりますが、下がったときには下がらぬということでは、これはいかぬので、必ず下げるという方向で指導をしておるわけでございますし、マッチについて下がらないということを申し上げたのは、千本で四十五円、何しろ千本当たり一円でございまして、千本について一円下げたものが四十五円というのは、なかなか下がらぬのじゃないかということを申し上げたわけで、影響があまりないだろうということを申し上げたわけで、これは下げるという精神は同じでございます。
砂糖につきましては、高い税率を下げたという問題は、御承知のとおり、これは関税に振りかえたわけで、輸入糖につきましては関税を上げた、国内消費税を下げた。これは一つは輸入外糖に対しまして、北海道のてん菜糖というものはコストが非常に高くかかる。したがって、国内消費税を高くしてはとても振興ができないということで、国内消費税は下げたけれども、砂糖の大部分である外糖については関税を振りかえて同じ負担にしたわけでございます。砂糖税率自体を下げた三十八年には、砂糖の価格は現実に下がっております。ですから、いまの非常に重かった税負担が、砂糖では国内税法では減っておるように見えるのは、これは関税のほうが重くなっておるからでございまして、負担としては三十七年に下げた後もかなり重い負担であることは御承知のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/127
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128・田中昭二
○田中(昭)委員 政務次官来られたから、もう一回私が言ったことを繰り返しますが、現在の間接税の中で、いわゆる物品税とかそのほかの税金がございますが、結論的にいえば、そういう税金についていわゆるこまかい配慮がなされてない。物品税もぜいたく品に課税するのだ、こう言っておきながら、課税物品を見てみますと、もう日常いまのみんなが使っておる、ほんとうに毎日使うようなものにも課税されておる。それと、間接税の課税体系の中には、いま取り上げたのは入場税を取り上げたのですが、入場税でも、どんなりっぱな映画館、劇場の一等席にすわっても、普通の小さい映画館で見ても同じ税の負担率だ、こういうことになっておるのですね。そういうことから見れば、政府のいうぜいたく、奢侈品に課税するのだというその趣旨から見た場合に、こまかい配慮がなされてない、こう私は申し上げておるのです。ほんとうにぜいたく品から、また担税力のあるものから課税するというのであれば、一流演劇場で特等席で入場するような人には少し税金をかけてもいいじゃないか。ところが、五十円の入場料を払っても一割入場税を取る、これはあまりにも言うことと実際の課税のしかたとが、私はそういうところから違うのじゃないか、こう思うのです。入場税なんかでも、いまは百円、二百円——五十円なんかの入場料はないと思いますから、そういうところは二百円、三百円は免税にして、そうして担税力のあるほうから取るという姿勢であるならば問題ない、このように言っているわけです。そういう点について政務次官のお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/128
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129・倉成正
○倉成政府委員 ちょっと私、席をはずしておりましたので、入場税についてのお話でございましょうか。——入場税については、いま三十円以下が免税点ということになっているわけですが、小学校で教員の引率によって団体で行った場合は五十円以下とか、そういうこまかい配慮があります。また、いろいろな社会事業その他でやります場合には、免税するとなっているわけです。これが低いか、高いかという議論については、田中委員御指摘のような問題があろうかと思うわけですが、やはりどこかで線を引かなければならないということで現在の制度になっていると思います。
それから物品税につきましては、大体税収という点から申しますと、物品税について大きなウエートをかけておる品目というのは、大体上位十種類くらいに限られておるわけでございますので、きめこまかくもう少しいろいろな点について検討していけという仰せであれば、これは当然いろいろそういう点についてさらにわれわれ勉強を進めていきたい。
また、大衆的なものとしては、マッチの問題をおそらく御指摘であろうと思いますけれども、これは御案内のような事情があっていま課税をしておるということですが、大体千本入っておる大き一箱四十五円ですか、この程度でございますから、これに一円かかっておるということで、これを廃止したからといって、これの値段が下がるわけでもございませんので、もう少し情勢を見ながら前向きで検討していくということにしたらいかがか、さように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/129
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130・田中昭二
○田中(昭)委員 いま政務次官おっしゃったが、私は入場税の免税点の問題を言ったのじゃないのです。担税力のあるものにかけるとするならば、そっちのほうにかけなさい、免税点三十円とか五十円とか、いま常識で考えられない、こう私は言っているのです。
それからマッチの問題がいま出ましたから、もう一度申し上げますが、再度言う必要はなかったのですが、その証拠に、私の質問に対して総理大臣は、負担の軽減をはかるべきだ、これはすみやかに改める、その方向で前向きで取り組んでいきたい、こう言っているのですから、主税局がどんなにマッチ課税をやめないと言っても、私は総理のその発言を信用して、何らか前向きの姿勢がとられるものと、こう思っております。千本に一円だ、なんだかんだ、四十五円だとか言っておりますけれども、それはそれなりの議論として、私は最後に税収の問題でもう一言問題を投げかけておきたい。
私が昨年も問題にしました、税金を算出しまして、いわゆるそれの収入割合というのがありますね。あの収入割合というのは何か定義があるのでしょうか。たとえば租税の収入割合は、こうこうこういうふうな理由によってこういうふうに見るべきであるとか、事務当局も、いわゆる財政法みたいに法律でこうこう見るべきである、こう書いてあれば、私はそれがいいのじゃないかと思うのですが、これは主税局の立場に立って仕事がしやすくなるように、収入割合というものも何かそういうものがあれば、ここで聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/130
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131・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは専門家の仰せとも思えないことでございますが、先生もよく御承知だと思います。課税をいたしましても、滞納をする人があり、延納する人があるわけでございますから、課税額と収納額はずれる。収入歩合というのはそのずれをいっているわけでありまして、そのかわりに収入歩合を九九とか——先生御指摘のとおりだと思いますが、九九で見ますかわりに、前の年の一%繰り越した分をまたことし加える。これは実績でやっているわけでございますから、収入歩合を幾らときめるわけにはまいりません。税ごとに収入歩合は非常に違います。源泉徴収はほとんど入りますから、先生おっしゃったように九九で見ております。ですから、これは税ごとで実績で推計するより、そして一番近い収入見積もりを立てるのが私どもの任務だ。実績を国税庁等でよくつかんでいただいて、それを使っておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/131
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132・田中昭二
○田中(昭)委員 よくわかりました。ただ、いま収入歩合は税によっていろいろ違うと言うけれども、予算の説明書に書いてある収入歩合はほとんど同じですよ。法人税の収入は、過去十年間どのように入ってこようとも全部九九%。ですから、私はそれならば早くきめたほうがいいのではないか。そうすると、ここでいろいろ少ないの多いのとつつかれなくていいですよ。十何年間も九九見るようであるならば、何も時代の変遷によって減るわけでもない。好景気だからといって上げるわけでもない。あの四十年の赤字が出たときでも、九九%見ているのですよ。見てください。各税の当初予算と補正後の予算額と決算額と、ずっと比較してみてください。十三年間の中に一年だけです、ちょっとおかしい、補正予算額よりも収納が減ったのは。それならば、初めから一〇〇%見てもいいわけでしょう。当初予算は補正予算が組まれてふえているのですから、何もそれを九九%と見なくても、補正予算額以上に決算額が入っているのです。それじゃ、ひとつ大蔵省も収入割合を一〇〇%にきめたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/132
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133・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 決算でふえるのは、課税額がふえるためにふえるわけでございますから、やはり九九%の収入割合でふえているわけで、収入歩合を見ておかないと不正確になることは事実だと思います。先ほど御指摘のあった前年度滞納額を見込まなければなりませんから、一〇〇%見込んでおきますと、今度は理論的には翌年滞納額が見込めないことになってしまう。いま所得税で見ますと、九六%を使ったり、大体収納率は最近よくなっております。だんだん一〇〇%に近くなっていることは、たいへんけっこうなことであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/133
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134・田中昭二
○田中(昭)委員 じゃ、以上の問題は少し時間をかけてやらなければいけないと思いますから、この次に残しまして、以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/134
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135・金子一平
○金子(一)委員長代理 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。
午後一時七分休憩
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午後二時三十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/135
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136・田村元
○田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
次回は、明後二十九日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01619680327/136
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