1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月五日(金曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 田村 元君
理事 金子 一平君 理事 原田 憲君
理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君
理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君
大久保武雄君 大村 襄治君
奥野 誠亮君 鯨岡 兵輔君
河野 洋平君 四宮 久吉君
砂田 重民君 地崎宇三郎君
登坂重次郎君 西岡 武夫君
古屋 亨君 坊 秀男君
村上信二郎君 村山 達雄君
山下 元利君 吉田 重延君
阿部 助哉君 井手 以誠君
佐藤觀次郎君 中嶋 英夫君
平林 剛君 広沢 賢一君
広瀬 秀吉君 武藤 山治君
河村 勝君 田中 昭二君
松本忠助君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
出席政府委員
内閣法制局第三
部長 荒井 勇君
経済企画庁国民
生活局長 八塚 陽介君
大蔵政務次官 倉成 正君
大蔵大臣官房長 亀徳 正之君
大蔵省主税局長 吉國 二郎君
国税庁長官 泉 美之松君
食糧庁次長 田中 勉君
自治省税務局長 松島 五郎君
委員外の出席者
国税庁次長 高柳 忠夫君
国税庁間税部長 佐藤 健司君
日本専売公社総
裁 東海林武雄君
日本専売公社副
総裁 佐々木庸一君
日本専売公社総
務理事 牧野 誠一君
日本専売公社企
画部長 高村健一郎君
日本専売公社調
達部長 三角 拓平君
日本専売公社販
売部長 斎藤 欣一君
参 考 人
(税制調査会会
長代理) 松隈 秀雄君
専 門 員 抜井 光三君
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四月四日
委員広沢直樹君辞任につき、その補欠として浅
井美幸君が議長の指名で委員に選任された。
同月五日
委員小山省二君及び浅井美幸君辞任につき、そ
の補欠として登坂重次郎君及び松本忠助君が議
長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内
閣提出第三号)
酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出第四
号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/0
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001・田村元
○田村委員長 これより会議を開きます。
この際、倉成大蔵政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。大蔵政務次官倉成正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/1
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002・倉成正
○倉成政府委員 一昨日の委員会におきまして、前川専売監理官がきわめて不適切な発言をいたしまして、委員の皆さま方にたいへん御迷惑をおかけしましたことを深くおわびを申し上げます。今後、かかることのないように十分注意をいたしたいと思いますので、どうぞお許しをいただきたいと思います。
なお、委員長の御指示がございましたので、たばこに関しまして亀徳官房長をして答弁をいたさせますので、よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/2
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003・田村元
○田村委員長 只松祐治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/3
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004・只松祐治
○只松委員 ただいま政務次官のほうから釈明がございましたが、当日、私がこのことに関して発言を求めた関係上、ちょっと私のほうからも申し上げでおきます。
御承知のようないきさつで、当日は委員長に一任を全部しまして、理事会等も開かないで委員長の裁断にゆだねたわけです。本来ならば、こういう重要なというか、あるいは国民怨嗟というか、増税法案のさ中におけるこういう不謹慎な発言というものは、一回の登院停止や釈明によって処理さるべき性質の問題ではない。政務次官あるいは大臣等ならば、これは当然にその職を辞してもらわなければならぬ問題だと思う。しかし、いかに高級官僚といえども、一応雇用の身でありますから、これ以上追及することは、その人の将来の問題にもすべて関連をしてまいりますので、私たち社会党あるいは他の党もそうだと思いますけれども、委員長に一任をして、いわば別な角度から見れば腰が定まってない、腰抜けじゃないかという批判もあるわけですが、委員長の裁断を無条件で了承しておるわけです。その趣旨をひとつ十分了承していただいて、ただ単に無条件に委員長の裁断に従ったのではない、官吏としての身分その他十分私たちは情状酌量してこれで了承する。その点は、何かここで言いわけ、釈明して、それだけで本質的に問題が解決して済むものではないということを大蔵当局も御了承をいただきたいということを一つ申し添えまして、ただいまの釈明を了解いたしたいと思います。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/4
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005・田村元
○田村委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
製造たばこ定価法の一部を改正する法律案、酒税法の一部を改正する法律案について、本日、税制調査会会長代理松隈秀雄君に参考人として委員会に出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/5
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006・田村元
○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/6
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007・田村元
○田村委員長 次に、製造たばこ定価法の一部を改正する法律案、酒税法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐藤觀次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/7
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008・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 まず最初に、酒のほうのことについてお尋ねしたい。
御承知のように所得減税を一千五十億やるということで、その穴埋めに酒やたばこの値上げをやられたと思うのですが、初めから酒の税金を上げるつもりであったのか、この点をまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/8
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009・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、先回も申し上げましたように、税制調査会の審議の過程におきまして、ことしの自然増収あるいはそれに対応する財政需要、国債発行額等のからんだ問題がございましたが、税制調査会といたしましては、所得税の減税というものが何と申しましても急務であるという前提で、やはり所得税の減税を考えたわけでございます。その後、財政需要の点も固まってまいりましたし、国債発行額の縮減という問題も出てまいりまして、所得税を減税したあとの自然増収をもってして、なお不足をするという事態が見通されたものでございますから、そこで、税収としても増収対策をとらざるを得ないことになったわけでございます。その際に、何を増収対策として取り上げるかという場合に、従来から税制調査会におきましては、酒、たばこにつきまして、主要な消費税が従量税になっているため、年の経過とともに酒、たばこの税負担が相対的に低下をする、全体の体系としてのバランスがとれなくなるので、一定の時期にはこれを見直すべきだということを言っておりました。しかし、もちろんそういうことでありましても、直ちにこの税のバランスだけで増税をするということではないのでございます。こういうふうに全体としての歳入の増加の必要がある際には、その点を是正しても、従来の負担より、数年間の負担を考えてみますと重くならない。いわば調整的な措置としてとどめ得るという点で酒を取り上げた、こういうことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/9
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010・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 こういうような場合に、大衆に税金をかける、弱い者をいじめるという形が常に出てくると思うのですが、酒やたばこというものは、御承知のように、相当高い税率をかけられて、そういう場合に、すぐ、外国はこうだ。外国と日本とは生活程度が違うのでありまして、今度でも、二級酒を上げなかったとか、しょうちゅうを上げなかったということもありますけれども、今日の二級酒というのは――もういま一般には、一級酒がほとんど二級酒のように使われておる。おそらく二級酒を飲むのは、よほどの低い階層でないと飲まないようになっておると思うのですよ。それから、今度のビールもそうでありますが、こういうような値上げを平気でやる。結局、あるときには、財政硬直化といううまいことばを使って、国債がどうだこうだ。国債なんというのは、われわれ社会党は絶対反対しておった。国債は絶対やってはいかぬということを言ったのにかかわらず、そういうことを聞かないでやってしまった。やってしまったあとで、いつも弱いところがらばかり税金を取るというような悪いくせがあって、これはもう酒やたばこ――たばこはあとでやりますけれども、どうも弱い者をいじめるという形が日本の税の取り方じゃないか、こう思うのです。なぜ、一級酒と特級酒を上げるのだ。特級酒はぜいたくだから上げるという理屈にはならぬと思う。結局、これも大衆課税であって、いつも飲む人は非常に迷惑するという形になるのです。これは税制調査会が何と言おうとかんと言おうと――税制調査会というのは、前に私が言いましたように大蔵省の出店で、あなた方が指示してやるのだ。いま松隈さんのお話が出ておりましたけれども、松隈さんたちも大蔵省におった人なのだ。これはひもつきみたいなもので、そういった人がやはり何とかかんとか言って、盛んに理屈をつけるけれども、要は結局、酒の税金が上がるということなんです。酒の税金が上がるということは、大衆がそれだけの税負担をやるということで、私は、いまのような状態では納得ができない点がありますけれども、その点をひとつあなたから、国民大衆に納得のいくように、簡単な説明で伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/10
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011・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いま仰せられましたように、確かに酒の負担というものが大衆にかかってくるということはあろうと思います。御指摘の二級酒は、なるほど税負担から申しますと、現在、税額では六割程度、清酒の中で占めております。移出数量としては七割を占めておりまして、やはり何といっても大衆的な清酒というものは二級酒だと思いますので、その点は私どもとしても、どうしても据え置きたいということでやったわけでございます。
ただいま御指摘のように、弱い者だけにいくではないかという御指摘も確かにわかるわけでありますけれども、御承知のように、わが国では、間接税に対する負担率というものは、ほかの外国に比べますとずっと少ない。御承知のとおり、間接税は国税の四割しか占めておりませんので、これは世界的に見ると、アメリカに次いで間接税の割合は低いわけでございます。ことしの増税も、この低い酒の税が――たとえば昭和二十五年ころは、先生もよく御承知でありますけれども国税の中で一七%くらいの比率を占めておりました。その後、いろいろな事情で、減税をいたしましたり、また、従量税であるために、ほかの税が伸びるときに伸びないといったような事情で、現在一〇%まで下がってきております。そういうことで、価格的に申しましても、一般物価に比べて上昇が少ないというのは、主として酒の税が、一般物価が上がっても上がらないという性質を持っているためでもある。そういう意味で、酒を上げるという感覚よりも、やはり従来のバランスに戻す。しかも、これをやった後も間接税の負担は依然として四〇・三%でありまして、間接税を重くするという感覚ではないわけでございます。一方においては、所得税の非常に重くなる負担を直すという要請もございますし、この際、ことに主として高級酒、私どもの調べでは、特級酒などは、個人の消費よりも、いわば業務用の消費が約六割を占めております。今回増収をはかりました種類のものは、大体において五割程度まで業務用酒であるという事実もございます。それらを勘案いたしまして、今回は、全体の財政の硬直化を打開し、国債政策をより合理的にするという観点からやりましたわけで、その点、そういう種類別の引き上げ状況とを御勘案願いまして、御了察を願いたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/11
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012・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 まあ理屈はどうでもつきますけれども、これに関連して、これは泉さんを呼ばなかったけれども、主税局長からお答え願いたいと思うのですが、税金を上げると同時に、酒の値上げを申請してきているでしょう。酒米が上がった関係で、この増税にこと寄せて、酒の販売価格の値上げを申請してくると思うのです。そういうことが物価にどのくらい響くかということも考えておきめになったのでしょうか。おそらく私は、この酒税が上がると同時に、酒の値上げ問題が起きると思うのですが、その点は一体どういうようなあれになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/12
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013・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御指摘のように、去年、生産者米価が引き上げられまして、そのはね返りが、清酒でございますと原料代にはね返ってまいりますから、一升当たりで七円ないし八円上がっておるという計算は簡単にできるわけでございます。しかし、従来から酒の値段を上げるか上げないかという点は、一方において、国民生活の問題もあり、また、非常に大量なものでもありますので、かなり慎重に対処してまいったことは御承知のとおりでございます。生産者米価は毎年上がっておりますので、二年に一ぺんというようなことで、いままでできるだけ生産性を向上させてこれを吸収するということにつとめてまいりました。ことしも、実は業界からは、その点の主張が出ております。私どもは、酒の値段は、三十九年に基準価格を廃止して以来、形式上は自由な価格になっておりますけれども、何と申しましても、免許制のもとにおいて、国民大衆の納得しないような値上げをするということは好ましくないので、いろいろ価格の内容につきましても分析をいたしまして、合理的な値段で対処するように指導もいたしております。今回の場合も、そういう意味で、私どもは、国民大衆の納得するような合理的な基礎があれば、それはいつの時期かにそれを実現することはやむを得ないことでもあり、これは当然だと思いますけれども、酒税の引き上げということとこのコストの引き上げによる値上げということは別問題、ことに今回、御承知のとおり、二級酒を上げていないわけでございますから、そういうことで、これは別問題である。あくまでも値段という点から考えて対処すべきものだということで、業界にも当たっております。詳しくは、国税庁が具体的な指導をいたしておりますが、同じ考え方でやっておるものと私も信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/13
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014・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 どうでしょうか、この税金が上がると同時に、私、この前も国税庁長官を大蔵委員会に呼んで酒米を上げるなということを主張したのですけれども、おそらく大きな問題になるのは、税金だけじゃなくて、二級酒、それも特級酒から二級酒まで上がると見ておるのです。今回二級酒は税金は上がりませんが、こんなはんぱな値上げをしないで、もっと高級なものから取ったらと思うのです、これらの値上げの問題は。そういう点の見通しはどうですか。率直に言ってもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/14
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015・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私としては直接の指導の任に当たっておりませんけれども、少なくとも、いかなる値上げの理由があるにしても、酒税の引き上げということとそれが一致する可能性はないはずだ、これはあくまでも別個のものであるという立場を貫いておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/15
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016・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 主税局長、そこが大蔵省の役人の考えることなんです。おれのほうさえ税金をもらえば、あとは上がろうが上がるまいがかまわない。しかし値上げを受けるほうは、税金が上がったから上げるということになる。同じですよ。あなた方は、自分のところさえ取ればあとは知らぬ顔だ。そういうことを言われますけれども、実際は影響があるのです。それがいい口実になって、税金が上がるんだからやはり売り値も上げなければならぬということになると思うのです。これは国税庁の関係だと思うのですが、おそらくこの問題と手数料の問題が、――これはたばこの問題でも出ておりますけれども、小売り業者の問題、こういう問題が出てくると思うのです。それでおけ売りの問題もたいへん問題になっておりますけれども、私は、そういう考え方、主税局長は自分のところさえ税金を取ればいい、あとは上がろうが上がるまいが、そんなことはかまわないんだというようなそういう態度が、あなた方が国民に非常に悪代官といわれる理由があると思うのです。少なくとも私は、そういう点をもう少し考えて、これだけ上げればこういう配慮がしてあるというようなことがあれば一ぺん吉國さんに伺いたい。私のほうでは、これはこういうふうに上げましたけれども、こういう配慮がしてあります、――そういうことよりも、あなた方のほうでは、要するに減税、減税という声につれられてやってみた、しかし、減税はできないから、今度は、実際は、ある点までは物価の値上げに従って、それに見合って減税しなければならぬ、一千五十億、その穴埋めに一番弱い酒税を上げてやれというような、実に無慈悲なやり方を平気でおやりになるということが、私たち国民としてはたまらないと思うんですよ。その点をあなた方はもう少し配慮を一そういうことは税制調査会がそう言ったからしかたがないとか、これだけ外国よりも安いからしかたがないとか、同じような理屈を言っている。しかし、それを受けるほうの側になったことがあるか。この間吉國さんにも言ったのですけれども、そういう点を配慮しないから、いつでも物価が上がってくるわけです。その点を、私らにも納得のいくように説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/16
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017・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま申し上げましたように、私どもは酒類の製造コストというものが合理的なものでなければならないと思っております。これはあるいは物価等に関連して――しかられるかもしれませんが、米が上がり、労働賃金が上がっていくというときに、むやみやたらにこれを押えようということもおかしいではないか。公定価格というものも、その意味から、実は酒類については長いことあったわけですが、御承知のように、三十五年でありますが、思い切って酒類の公定価格を廃止いたしまして、それから三十九年には基準価格を廃止いたしました。しかし、できるだけ合理的な価格の実現をはかってまいりたい、酒類の価格の引き上げというものは、やはりほかの価格に比べれば、かなりモデレートになっていると思います。そういう意味では、今度七、八円の米の値上がりがあるという点を、合理的な時期に、国民、消費者も納得する形でやるということは、私はやはり当然だと思うのです。ただ、いかにも値上げに便乗をしたという形は、国民大衆の納得を得られないだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/17
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018・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 吉國さんに伺うのですが、あなたはまだ酒なんかぜいたくだというふうにお思いになっておられるでしょうが、私らは現在、たばこの一箱や酒の一合くらいのむ――私は酒もたばこものみませんけれども、少なくともそれは、いまの低賃金をとっている人の生活の中の最大最高のかてになっていると私は思うのです。だから、これをある点まで、そういうぜいたくだというような感じを持っておられるならば、私は、これは人の生活を無視しているというように極言してもいいくらいだと思うのです。しかし、あなた方が酒やたばこをしょっちゅういじるのは、やはり胸の中に、酒やたばこは絶対に必要でないという感じがあると思うのですよ。私はそういう点で、自分は酒を飲まない、たばこをのまない、それじゃ何も要らないじゃないかと言われるかもしれませんが、これはたばこをのんでいる人――私はのみませんからいいけれども、この前も説明しましたように、たばこをのむ人は絶対ですよ。たばこのみの心理というのは、たばこをのまなければ――そういう点についての思いやりが非常になさ過ぎる。しかし、税金が楽だといってもこれはやはり六割近く酒もたばこも取っておるわけでしょう。それを何で一千億の穴が出たからといって、このところに目をつけるというところに、どうしても納得がいかない点があると思うのですよ。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/18
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019・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御指摘のように私どもは酒、たばこをぜいたくだと考えているわけではないわけでございます。これは嗜好品でございますから、好むと好まざるとにかかわらず、人間としてどうしてものみたいものであるという点は、これは確かに認めているわけでございまして、ぜいたくだというつもりでやっているわけではございませんし、従来から酒、たばこをいじった点は、いままで何となく高過ぎた戦時中の負担を、できるだけ下げていこう。先生御承知だと思いますが、昭和二十五年ころは特級酒が千五円だったわけであります。いまの値段よりも高かった、それから二級酒にいたしましても、七百円、いま五百五十円でございますから、これもずっと何回か酒税を下げてきたわけであります。三十七年には、大体これで戦時的な重い課税がなくなる、平時としての酒の値段であるというところまで下げてまいりました。今度初めてといっていいくらい――実際前回の増税は、実に二十九年にまでさかのぼるわけです。けれども、特級酒と一級酒につきまして、これは三十七年に一度負担の調整を行なって、現在の負担の基礎ができているわけですが、今度はこの三十七年の負担というものを私どもは前提にして考えております。三十七年の負担に比べると、この間申しましたように、これに対する負担が、特級酒の場合約五〇%だったのが四三%に下がってしまった、また一級酒の場合は約四三%のものが三七%に下がってしまった、こういう事態に着目いたしまして、その中間くらいまで戻していただこうということで、最小限のことを涙をのんでやっているわけでございます。その点を御了承願えればと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/19
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020・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 私たちが飲む酒としてはぜいたくだと思うのは外国からくる洋酒、こういうものは多少高くても大衆にそう影響はない。バーやカフェーあたりで飲むのは、これはある程度までは――上げてもいいというわけではありませんけれども、これは多少はいいと思います。サントリーとかニッカというものも今度お上げになるようでありますが、この問題とビールですね。ビールはこのごろ非常に一般に普及して、女の方がたくさん飲むようになって、ビールの工場も至るところにできているようでありますが、しかし、何としても、ビールと酒くらいまでは――しょうちゅうもそうでありますけれども、これは大衆の酒だと思うのでありますが、洋酒のほうは、これは何といってもそれに比較すればぜいたく品だと思うのです。そういう点の配慮は、どのようにして今度の値上げに考えておられるのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/20
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021・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 輸入洋酒が非常に高い、ぜいたく品になっておることも事実でありますが、これは御承知のように中間マージンが非常に多いわけでございます。意外に驚くべきことは、ジョニーウォーカーの黒などの税負担で見ますと三〇%程度、特級酒でありながら、非常に低いわけであります。そこで今回の改正にあたっては、従来一五〇%の従価税率を使っておりましたが、今回こういう高級なものにつきましては、その従価税率を二二〇まで上げまして、負担から申し上げますと、従来のジョニーウオーカーの黒と申しますものが、税負担額が二千二百四十五円でありましたものを、今度は三千二百九十三円まで引き上げます。従来、税負担率がわずかに二七・一%でございましたが、今度の増税によって四〇%まで引き上げられた。引き上げ率は四六%ということで、やはりこういう極端にぜいたくで大衆に無縁のものについては相当きびしい引き上げをやったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/21
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022・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 吉國さん、酒の値上がり、こういうものが一般のほかの物価の値上げに影響するということをお考えになったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/22
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023・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは企画庁のほうの所管かと思いますが、私の個人的見解を申し上げますと、酒が上がった、それに付属していろいろなものが上がるのじゃないかということもございましょうが、一方においては酒の税が上がったということは、酒の値段が上がった場合も、全体の消費金額がきまっておれば、本来なら自由な価格であれば、その部分に相当する分はこっちへ固定されて他の消費物資の値段は上がらないという考え方もございます。そういう意味では、私は、酒の値上がりが先頭になって全体の値上げを引き起こすということは、全体の消費支出金額というものがきまっている以上は、そう大きな影響はないと自分では信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/23
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024・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 われわれが酒やたばこの値上げに反対するのは、それは大衆と非常に密接な関係があるのですよ。全然関係のない、たとえばカラーテレビが上がるとか、それからダイヤモンドが上がろうが、そういうものは大衆にはそう影響はないから、関係がないと思うのです。酒やたばこというものは、何といっても身近なもので、毎日使っている。そういうものが上がるということは、ほかの手数料の問題とかいろいろな問題は、国税庁の所管でありませんから言いませんけれども、いわゆる手数料の値上げの問題、人間の、人件費が上がったということであれば、そういうようないろいろな問題がからんでくるわけです。しかし、何といってもからんでくる骨になるものは、やはり税の値上げというものは絶対的なものですから、大衆には非常に響くと思うのですよ。そういう点で、あなたが主税局長をやっておって個人で反対しても、事務当局はそうはいきませんから、やはりこれがわれわれが重大視している大きな原因の一つなんです。そのものは、あなた方からいえば、特級と一級があって、大衆が飲む二級酒、しょうちゅうなんかは、ということで、それはそのことだけでは理屈は通るわけです。しかし現実は、その理屈が通らないのです。今度酒もたばこの値上げも五月一日になったのですから、五月一日からはおそらくさらに物価の値上げになって、新聞が大きく書きますよ。どうしてもこれは大きな問題ですから。そういうことを考えると、やはりよほど慎重な態度でやらぬといけないのにかかわらず、今度よその財源が減ったからといって一千五十億の酒などの増税というものは、その他の物価のはね上がりと関係があって、そういうものの口実とからまって、これから手数料の問題や、小売り値段の問題、その他の問題に響いて、相当の刺激を与えるというように感ずるのですが、その点はどういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/24
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025・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この心理的な影響等は、これは私も否定するものではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、今度の値上げは、この間企画庁のほうから答弁がありましたように、消費者物価指数におきましては〇・一未満の影響でございます。これは企画庁でも織り込んで計算をしておりますので、波及効果等も考えて計算をしたものと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/25
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026・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 波及効果というのはあなた方の紙の上のあれですよ。現実はそんななまやさしいものじゃないと思うのですよ。昔から眼光紙背に徹するということがありますけれども、少なくともそういう点の見通しが非常に大蔵省は甘いと思うのです。私は、あなたばかり責めてもしょうがありませんから、そう強いことは言いませんけれども、そういう点で私たちは、今度の酒の値上げというものは非常につけ焼き刃だと思うのです。減税減税と大きなことを政府で宣伝しておった手前、減税ができないものだから、結局酒とたばこでかたきをとったというようなことで、迷惑を受けるのは国民、それに付随物が非常にふえて結局値上げの大きなムードをつくということについては、われわれはどうしてもあなた方と見解を異にしてておりますから、これ以上言いません。
そこで、今度はたばこのことを、総裁来ておられますから総裁にお伺いしたいと思う。
あなたは民間出の専売公社の総裁で、いままでは大体が大蔵省の古手がなったのですよ。あなたは民間の人だから……。私は、そういう点で――財政硬直化の関係で、結局いま吉國さんに言ったように、弱い酒やたばこにきた。しかし、あなたは民間からきた専売公社の総裁として、どういう感じを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/26
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027・東海林武雄
○東海林説明員 たばこの値上げにつきましては、先生がおっしゃるとおりに、私の立場からいたしますと、これは非常に苦しい立場に実は立っておるわけなんであります。値上げしたいとはもちろん当初から考えておるわけではございません。したがいまして、この問題の処理につきましては、いろいろな角度から、国民の負担が軽いようにということは十分考えたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/27
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028・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 東海林さんは、考えたは考えたけれども、政府からやれといわれたからやむを得ずやったということですか。そういう意味に了承してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/28
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029・東海林武雄
○東海林説明員 これは専売公社の立場からいたしますと、財政の要請があった場合には当然応じなければなりませんけれども、私のほうの立場、公社の立場からいたしますと、今回の値段の改定というものが、おそかれ早かれどうしても来るのじゃないか。と申しますのは、たばこの値段の改定というものは、非常に長いこと据え置かれておったわけなんですね。その間のいろいろなものの値上げから見ますと、今度の改定というものがちょうど時期が悪いと申しますか、そういう時期にぶつかったのでありますけれども、これがそういう意味からいっても、公社の立場からいっても、早晩これはある程度の値段の改定というものは必要だったと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/29
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030・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 しかし、たばこの売り上げというものは、ずっと最近は、そうあまり上昇してないでしょう。だから、値上げしてもいいというのは、――あなたは専売公社の総裁として、ある程度まで従わなければならぬと思うが、国民の立場で考えれば、ほかのものが上がっておるのに、たばこだけ上がってないから、当然上がるべきだと考えられるのは、どうも無慈悲じゃないか。たばこは、ほんとうは現在の税率からいけば、そう安いものじゃないと思う。そういう中で、これはそれ以上言えといっても無理かもしれませんけれども、もう少し政府に、そういうことをやってくれては困る、現にたばこは売り上げがぐんと伸びたのではなくて、平均して現在横ばいでしょう。そういう点から考えて、たばこが上がったからといって減らすわけでもないし、幾ら安くなってもどんどんのむのじゃないでしょう。私はたばこのみの心理は知りませんけれども、そういう立場からいけば、何か政府が財政硬直化ということを、声をあげて、そうしてその口車に乗って、専売公社のほうへそういうようなしわ寄せがいったと思う。そういうことだったら少しは東海林さん、民間の出ですから、大衆の立場から、これは困る、たばこだけは値上げしないでくれと政府に言われたことありますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/30
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031・東海林武雄
○東海林説明員 ただいまのお話でございますけれども、この値段の改定の問題につきましては、もう両三年前から実は起こっておる問題でございまして、私どもの立場からいたしますと、ただ単に財政事情の要請があるから上げるということじゃありませんので、先ほどから御説明申しましたように、私どもの立場からいっても、これは早晩改定しなければならない問題にぶつかっておるんだということを申し上げたわけでございます。でありますから、消費者の、国民大衆のことを考えないかどうかと言われれば、もちろん考えております。それの最大の配慮を払っているということを重ねて申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/31
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032・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 副裁総に、あなたは大蔵省の出ですからちょっとお伺いしますが、葉たばこが上がったというのは、これは上げる材料の一つだと思うんですけれども、しかし、そのほかに専売公社の立場からどうしても上げなきゃならぬという大きな事情がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/32
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033・佐々木庸一
○佐々木説明員 たばこは専売になっておりまして、その専売の目的が財政専売ということ、これは先生に申し上げる必要はないのでございますけれども、この財政専売としての専売公社の役目をどのように果たしていくかということを振り返ってみますと、一般会計歳入中における専売益金のウェートというものは、だんだん落ちておりますことは先生御承知のとおりでございます。価格面から申しまして、ほぼいまの価格体系の基礎がきまった昭和二十六年の状況を見ますと、専売納付金の一般会計歳入に占める割合は一三・三というウェートだったんです。現在のところはそれが四十二年度におきまして三・二%ということになっております。もっとも、これは地方消費税としまして国の会計以外に地方公共団体にいく部分がだんだんふえてまいりましたので、その分だけ調整しなければならぬと思いますけれども、調整いたしましても四十二年度で六・五%程度となっておる次第でございます。ここらが、先ほどから主税局長のお話にもありました、税制調査会等の議論を呼んできたゆえんであると考えておる次第でございます。したがいまして、財政需要の上からこれを見ますと、ある程度の修正というものもまた当然考えざるを得ない時期が来ておるものと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/33
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034・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 私があなたにお伺いしているのは、そういう専売益金がいまふえたとか減ったとかいうんじゃなくて、どういう値上げの材料が――たとえば葉たばこが上がったということは、これは事実です。こういう理屈があるというが、まだそういう理屈があるかということをお伺いしたんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/34
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035・佐々木庸一
○佐々木説明員 先生御指摘のように、原価のうちの六割を占めております葉たばこというのは、これは一般農産物の価格動向と同じでありまして、だんだん上がってきております。御承知のように、労務費もまた賃率を見ました場合においては、たいへんな上がり方をしております。二十六年から比べますと、おそらく七倍以上になっておるんじゃないかと思います。もちろん、公社といたしましても、労働生産性をあげるように努力をしてまいりましたから、所要労働時間の面では半分近く減っているかと思いますけれども、しかし、やはりコストとして含まれてまいります労務費というのは、上がらざるを得ない状況でございます。その他材料費、小売り人に払う手数料というふうなものも上がっておりますので、先ほど総裁が申しましたとおり、原価、コストというものは、公社といたしましては極力努力したつもりでございましたけれども、上がらざるを得なかった情勢でありまして、御承知のように専売益金率と申しますか、それは現在のところ六〇%程度に下がってしまっておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/35
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036・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 そうすると、専売益金がある程度まで成績が上がらぬということ以外に、専売公社自体としては、葉たばこも上がるし、労賃も上がるし、手数料も上がる、やはり上げなきゃならぬと思っておったところへ、政府から上げよということを言ってきたから、ちょうどそれを幸いに上げた、そういうことになりますか。その点どうですか、総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/36
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037・佐々木庸一
○佐々木説明員 専売が財政専売としての機能を果たしますためには、先ほどから総裁が申し上げましたとおりに、上げざるを得ない時期に来ておったと申し上げざるを得ないかと存じます。今回、予算編成上の要請もありまして、この値上げをお願いせざるを得ない事態になったものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/37
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038・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 非常にあいまいで、何か奥歯にもののはさまったような答弁ですが、私が吉國主税局長を責めたのは、酒税の値上げについては多少良心のかけらもあるが、専売に至っては全部上げたでしょう。新生だとかピース、ゴールデンバットというのも上げたでしょう。そしてなおかつ、しばらく上げなかったから上げたいというようなことで、私はたばこをのんでないからわかりませんが、少なくともバットとかピースとか、そういう一般的にみんながのむたばこは、やはり日常生活に影響するので上げないでもよさそうだと思うのだけれども、東海林さんなんか、大体民間で苦労してこられた人だから、そのくらい何か配慮がありそうなものだけれども、上げちまえというような調子でやられたんですか。あまりにこれは国民に対して踏んだりけったりだ。この間、ちょうどその日は用があってるすしたのですが、専売監理官がとんでもないことを言っている。どうも頭が狂っているのじゃないかと思うほど無慈悲だと思うのですよ。東海林さん、そこのところはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/38
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039・東海林武雄
○東海林説明員 ただいまお話がございましたように、――バットは今度値上げから除外しております。それから新生の問題が出ましたけれども、新生は売り出したのが昭和二十四年でございまして、当時これを六十円で売り出しております。翌年の二十五年にこれを四十円に下げまして、自来十数年間据え置きになっております。そういうように、その間におけるところの原材料の値上がりというのは、いま副総裁から申し上げたとおりのことでございまして、私としては非常に大衆に負担がかかるということは心苦しく思いますけれども、しかし事情やむを得ないもの、この程度はごしんぼう願わなければならないものと実は考えておるわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/39
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040・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 私は、たばこをのまぬものだからちょっとわからぬ点があるのですが、最近たばこの値上げがないということは、最近いろいろな新しいたばこができたでしょう。そういうものは上げないのが当然じゃないですか、この問上げた値段でやったばかりですから。私は、そういう点がどうも配慮が足らぬように思うのです。結局東海林さんといえども専売公社も、官僚の言うことならやむを得ず聞く、どうもしかたがないでやっちゃう。国民大衆は困るだろうと思ってもおやりになったのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/40
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041・東海林武雄
○東海林説明員 先ほど申し上げましたように、私の立場といたしましては、両面があるわけなんでございますから、たいへん苦しい立場でございますけれども、たばこだけがこういうように十数年間にわたって据え置かれたということは、これは公社の仕事の実態からいきましても、少し無理がきているんじゃないか、こういうように思います。したがって、今度の値上げはやむを得ないものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/41
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042・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 これは、東海林さんはきょう初めて来られたので、くどいようですがもう一ぺん言いますけれども、私は千八百人の軍隊の主計をやっておって調べたことがあるのです。ところが、酒は十人に一人くらい絶対なくては困るけれども、たばこだけは十人のうち九人までが絶対なければいかぬという統計が出たわけです。そこで、そういうたばこをのむ人の中には、おそらくたばこの中毒もあるだろうと思うのですが、そういう絶対的なものを値上げする場合には、もっと強い要求がなければ――少なくとも先ほど副裁総から、専売益金が頭打ちになっているから、大蔵省に悪い。大蔵省出身だからそう思われるかもしれないけれども、どうもそういう考えよりも、のむ側になって――たばこというものは毎日のまなければならぬもので、米と同じように、今は必需品みたいになって、生活と非常に関係が深くなってきておる。今度の減税よりは、おそらく酒、たばこの値上げのほうがサラリーマンには痛いと思うのですよ。そういうような観点からいうと、私は、いつも政府の方針なり国でやることは、ある程度まで自分のほうの立場を考えて、国民大衆の立場を忘れているような形のそういうことが多いと思うのですよ。私は、東海林さんは、少なくともそういう点ではわかっているだろう、いい人が専売公社の総裁になられたと思って喜んでいるのですけれども、どうもそういう点の思いやりが――ああいういい建物の中に入っているとだんだんそうなってしまうかと思って、この間、阪田さんが総裁をやっているときにお伺いしたのですが、もっと悪いところへ総裁室をつくらぬと大衆を忘れてしまうんじゃないか。東海林さんのようなりっぱな人でも、いつも大蔵省の役人と話し、それから専売公社のああいう建物の中におると、結局だんだん一般の大衆のことを忘れていかれるような、そういうさもしい気持ちになるようですが、そういうことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/42
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043・東海林武雄
○東海林説明員 どうも同じようなことを御返事申し上げて恐縮なんでございますけれども、私がそういうさもしい心でやっているということじゃございませんので、何といっても、われわれの需要家というものは国民大衆なのでありますから、その点を十分考えて今後もやっていきたい、かように考えております。よろしくどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/43
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044・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 先ほど東海林さんからも、たばこの値上げのことについて、あまり値上げをやっていないと言われましたが、三十六年度の平均価格を一〇〇としますと、四十年には一三八、四十一年度には一四三、四十二年度には一四七、こういうふうになっておるのです。だから、専売利益金のことをお考えになれば、やはりいろいろ政府に、これだけの収益をあげなければ困ると言われておりますけれども、私はたばこをのむ大ぜいの人を考えれば、もう少しそういうところを緩和すべき必要があるのじゃないか、こう思うのです。だから、たばこや酒の値上げということを、とにかくできるだけおくらしていくことは、国民だれに聞いても、酒の値上げはおくれてけっこうだとか、たばこが少しでもおくれたほうがいいということの声を――ほかのことはそう言いませんよ。けれども、そういう声が非常に高いということは、これはもう少し――もともと高い税金を取っているのですから。そうでしょう。六〇%からいまどれくらいにたばこのあれはなっているか、それをちょっと副総裁から答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/44
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045・佐々木庸一
○佐々木説明員 たばこの益金率は、三十五年当時は六六・七%でございましたけれども、四十年は六〇・三%になっております。四十二年度も若干落ちるかと思いますが、六〇%前後というところではないかと見ておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/45
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046・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 税の関係からいけば、日本よりたばこの高い国はどこですか。これは亀徳さんでもどちらでもいいですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/46
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047・亀徳正之
○亀徳政府委員 外国におきますたばこの日本の益金率に相当しますおもな例を申し上げますと、日本は御存じのように益金率は六〇でございますが、フランスが六五%、これは付加税を含みますと七〇%になっております。それからイタリアが七五%、イギリスが八〇%、西ドイツが、たばこの税率は五九%でございますが、取引高税を含めますと六六・六%、アメリカが連邦、州税を含めまして平均五一・四%でございまして、主要なる各国の税率を比較いたしますと、アメリカが日本より低いのでございますが、その他の国はいずれも日本よりは高いという実情に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/47
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048・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それは高いというのは、フランスやイギリスあたりと日本とでは生活程度が違うでしょう。そういうことを比較しておやりになっているんですか、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/48
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049・亀徳正之
○亀徳政府委員 これは、ただいまの御質問が税率がどうなっているかということでございますので……もちろん、おっしゃいますように各国の所得水準によって判断しなければならぬと思いますが、大体たばこにつきましては、専売収入ということでほぼ同じような考え方になっております。国民所得水準と申しますと、最近よくイタリアの水準に近づきつつあるということがいわれておりますが、そのイタリアが七五%ということでありますと、いま先生のおっしゃった点から見ましてもさほど無理だということではないのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/49
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050・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 さほど無理ではないだろうというのは大蔵省の一方的な観測であって、この酒やたばこというものは、先ほど吉國さんに質問したように、大衆に非常に影響が深いものだと思うのですよ。そういう点で、たばこ銭といわれるぐらい大衆に密接な関係のあるものを上げるということは、これはいろいろなほかの物価の値上げ――あなたは官房長をやっておられるからわかると思うのですけれども、大蔵省自体が物価値上げのお先棒をかついでいるんじゃないか、こういうようにいわれてもしようがないと思う。まああなたは政治家ではないからあれですけれども、そういうことをお考えになったことありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/50
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051・亀徳正之
○亀徳政府委員 このたばこは間接税の中でも特に逆進性の強いものでございまして、確かに所得の低い方も、これは嗜好品でありますからどうしてもおのみになるということで、できればこういうものは据え置いたほうがいいということは間違いないと思います。ただ、それにいたしましても、先ほど来主税局長が申し上げましたように、相対的に専売益金収入が少なくなっております。その前に申し上げたい点は、これは全般の話に通ずることでございますが、本年の予算の規模は極力圧縮していきたい、しかもその中でやはり公債の収入も極力少なくしていきたい、それから片や減税も千五十億をやっていきたい、それから歳出の要求もあるということになりますと、どうしても若干の増税を見込まないとやりくりがつかない。そのときにいろいろ振り返ってみますと、間接税のあれが相対的に非常に少なくなっておりますし、同じ間接税の中に占める比率も、専売益金が二十六年には三九・八%と四割占めていたものが、先ほどの原材料費の値上がりその他もございましょうが、四十一年には一三・三%と、三分の一に落ちている。それから新生なんかも、いろいろ御批判はございますが、当初六十円というものが四十円になりまして、今度上げても当初の六十円までいかない、五十円にとどめておくということをかたがた総合的に御判断いただければ、この財政の苦しい中でこういう措置をしたという点は十分御了解いただけるのではないか。もちろん勇んで増税をするというような気持ちではございませんで、やはり日々ポケットからたばこ銭を高く出すということが、直接に一つの値上げ感を感ずるということで、決していいことではないと思うのですが、全体を総合的にお考えいただきますればお許し願える話ではないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/51
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052・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 非常にかってな解釈で、吉國さんもあなたもそうですけれども、一番高いときの標準がこうだから安くなったと言われるけれども、そのときは取り過ぎているのですよ。自然増収なんていって、片方で税金納めていないのにかかわらず、税金を取り過ぎておって自然増収だといううまいことばでごまかすのですね。それで、いまどういうことでごまかすかといえば、一番収入が多かったときの年度と比較して、吉國さんもそうですが、あなたもそういう同じ戦法できている。そういうときと比べていまたばこの収入が少ないからというようなことを言われるということは、私はどうも片腹痛いと思うのですね。
そこで、いろいろ聞きたいこともたくさんありますけれども、いま小売り店の手数料の問題も、ほかの物価が上がってきたから上げてくれという声もあるし、同時に、たばこに対してはいろいろ注文があるわけです。けれども、これは御承知のように大体が専売公社の許可制になっておりますから、なかなか小売り店ができない。同時に、いまの小売り店も人を使う場合に、人件費が高くなりましたから、なかなか人を雇ってはいられないというような状態があるのですが、そういうような小売り店の問題についても、どういうような処置をとっておられますか。これは亀徳さんでも、専売公社のほうでも、どちらでもいいすでから答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/52
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053・亀徳正之
○亀徳政府委員 基本的な考え方だけ述べさせていただきまして、あと専売公社にお願いいたします。
従来たばこの販売店には、一定の比率で手数料を出しております。今回値上げをいたしまして、そのまま従来の比率で黙って小売り人に返すということになりますと、これは必要以上に返し過ぎになりますので、その点の率の修正はしなければいけない。ただし、また同時に、値上げをいたしまして、やはりこれもひとつよけいにしていただきたいということですが、これで売り上げが落ちてもいかぬということで、小売り人の方々にも御努力をいただかなければならない、その分もやはり販売努力を刺激するという意味でつけ加えなければならぬというようなことも、かたがた勘案いたしましてきめたいということを基本線にいたしたわけでございます。さような次第でありますが、詳細は専売公社のほうから御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/53
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054・佐々木庸一
○佐々木説明員 いままでの専売公社の価格を修正いたしました経緯を調べてみますと、値段を上げました際には、これは財政収入をふやすため、税収をふやすためでありますから、それに便乗して小売り手数料をふやすというのは避けるという考えがあったようでございます。値段を上げます際には小売りの割引歩合を下げるということ、そのかわり値段を下げました際には、小売り店の立場を考えまして割引歩合を上げるというようなことをやってまいった次第でございます。今回も、財政収入を上げるために価格を改定するわけでございますから、その価格改定による増収分が、そのまま小売り人に入りますことはいかがかという観点が出てまいるわけでございます。先ほど官房長が御説明いたしましたとおり、本来ならば減すという観点、割引歩合を下げるという観点が出てまいりますが、販売努力もまた――先ほどから先生もお話しのように、消費者のほうからあまり喜ばれないような環境のもとで努力をしていただかなければならぬという情勢にありますので、割引歩合をそのままにしておきますならば、四十億円くらいの小売り手数料の増というものが小売り店にはね返ってくるかと思いますが、それを半分くらいにいたしますように調整をして手数料率をきめることを考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/54
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055・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 いろいろまだ質問をしたいことがたくさんございますが、どう考えてみましても、酒やたばこの今度の値上げは、人為的な、変な、なるほどしかたがないというような納得ずくの値上げでない、よそからしわ寄せがきた増税だということを感ずると同時に、専売公社もやはり私はもうちょっと消費者の立場、大衆が何にも言ってこぬから幾らどうしてもいいじゃないか、こういう安易な気持ちじゃなくて、やはり専売公社独特の、大蔵省はこう言っても専売公社はこうだという、理屈が立つようなことで値上げをやれば、なるほどと国民は納得すると思うのです。
〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕
しかし、酒やたばこ両方とも国民生活と非常に密接な関係があって、これがいま値上げムードになっておりますが、そういうものと関連をして、政府みずからが値上げをするのだからこれは当然じゃないかという声が必ず起きてくると思うのです。そういう時期にこの千五十億という増税をやることは、いまの国民生活の中で、いろいろ電車賃、汽車賃の値上げその他のものと関連をして、私は国民に実に強い負担をかける増税だと思う。そういう点について私らは納得できませんけれども、まあ同僚委員からもいろいろ質問があると思いますが、私はそういうような感じからしてもこの値上げだけはやめてもらいたかったということを強く要望しまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/55
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056・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 この際、水田大蔵大臣より発言を求められておりますので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/56
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057・水田三喜男
○水田国務大臣 去る三日の本委員会の席上におきまして、前川専売公社監理官が不適当な発言を行ないましたことは、まことに遺憾に存じます。事務当局に対しましては、今後かかることのないよう厳重に注意を与えました。
何とぞ御了承を願いたく存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/57
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058・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 二法案についての質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/58
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059・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 一昨日に引き続いて、製造たばこ定価法の値上げに関連をする質問をいたしたいと思います。
それで前回、私は、この定価改正によっていわゆる増税になるものが五百五十億だといわれておるけれども、その増税分がどの階層に、五百五十億のうち少なくとも所得税減税を受け得ない階層にどのくらいかぶるであろうか、こういう資料を要求したわけでありますが、手元に出されてまいりましたものを見ますと、私の要求の趣旨からはたいへんほど遠いものしか得られなかったわけであります。専売公社もだいぶ苦労をされていろいろやられたことは認めるわけでありますが、非常に不十分だと思います。この点について、この表についてできる限り納得のいくように、まず概略の御説明をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/59
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060・亀徳正之
○亀徳政府委員 お手元に配りました数字についての考え方をまず御説明いたします。
前回、政務次官からるる申し上げましたように、非常に大胆な推計をいたしておりますので、その点お許しを願います。
現在いろいろこういった推計をいたします場合には、やはり総理府の家計調査というものを現在の段階では利用するほかございません。したがいまして、このベースには、総理府の家計調査の、しかも品目別にその内容が明らかになっているものを使った次第でございます。ただ、その中の品目別の調査の中に、たばこ代とそれからもう一つは小づかい、つき合い費という項目がございます、その中に一部たばこが入っているだろうと推計いたしました。
それからもう一つは、国民所得推計によりますと、家計調査の場合にはどうも奥さんが家計簿につける分だけが載っておりまして、これはどの家庭にもよくあることでございますが、御主人が、原稿料が入ったが、そいつは奥さんに渡さぬでポケットに入れて使う、そういうものが実は抜けておるわけでございます。また、そういうもので大体御主人は酒を飲んだりたばこを吸ったりされておるというのが実情だと思いまして、国民所得推計の中で、そういった脱漏したものが幾らかという推計をいたしておるわけです。そこにまた大胆な推計が働くわけですが、その奥さんに渡さないものの中には、だいぶたばこが入っておるだろうと推計いたしまして、その分をつけ加えたものがたばこ代の欄でございます。それで、家計調査の世帯数とこの収入の欄の区分は、もちろん家計調査によりますものでございます。それから、いま言った家計調査の中のたばこ代とつき合い費、小づかい費の中でたぶんたばこ代に回していいんだろうと思われるものをつけ加えて、さらにいま言った脱漏の分を含めましてたばこ代を推計いたしております。また、家計調査で各階層ごとに大体どういうたばこを吸っているかということがわかっておりますし、そのたばこに応じた現行の益金率と、それから改定後どうなるかということで出しまして、結局この増加額が、今度のたばこの定価引き上げによりましてどういうふうに増加したかという額でございます。そしてその金額にその世帯数をかけたものを次の欄に掲げておりまして、大体各階層ごとのたばこの値上げによる影響はこういう形であらわれるだろう。あとはその比率を五百五十億で配分したという、率直に申して非常に大胆な推計でございますが、現在特別にパネル調査その他やっておりますが、御質問の趣旨に沿う角度でやっておりませんものですから、こういう表にならざるを得ない。
それから、なおどの階層までが所得税のかからない階層であるかということは、事業所得者か給与所得税かによって違いますので、機械的な線を引くことはかえって誤解を招くのではないか。したがいまして、事業所得者、給与所得者の大体どのくらいまでが所得税がかからないかということで、それぞれの線でおおよその感じをおつかみいただくという以外なかろうかと思います。
なお、この構成比の左にカッコに入っております数字は、ずっと累積の数字でございまして、たとえば六十万から六十九万の欄までの人で三九・六%を占める、こういうふうにお読みいただきたい。
先ほど申し上げましたように非常に大胆な推計でございますので、これでどうこうとおっしゃられるとやや危険な点がありますが、急いでつくりましたので、その点をお許し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/60
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061・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そういう非常に不備脱漏の多いデータをもとにしての推計でありますし、まあ官房長も言うように、大胆な推計であるということでありますから、この数字について、これを前提として議論を詰めようとは思いません。そういうものだと理解するわけです。
しかしながら、十何年ぶりにたばこを全面的に増税をやる、定価引き上げをやるというにあたっては、やはりその辺のところの、特にわれわれが前からそういう意味での資料要求もし、さらにまた、今日の国民大衆が、この問題について異常なまでの関心を持って、これは悪法であるといっているような状況にもかんがみまして、もう少し大衆にわかりやすい、大衆にどのくらい増税になるのか、その負担階層がどういうところなのかというようなことを明らかにするようなものについては、やはり政策当局としてももう少し真剣に考えて、こういう状態になるけれども、かくかくの理由によってどうかひとつ了承してほしいというようなものを示さないで出してくるのは、私はやはりいけないだろうと思うのです。かりに私の感触として、少なくとも所得税減税を受けない階層に消費量の――銘柄で引き上げられないものもありますけれども、大体六割くらいは所得税減税の恩恵に浴しない人たちが、この五百五十億――かりに五百五十億が正しいとしても、六割くらいはそういう階層が増税という形で負担をするのではないかということを申し上げたわけでありますが、この表を大体土台にいたしましても、構成比の累積額年収七十万から七十九万九千円というところ、ここらあたりが五人世帯の課税最低限というようなことをからみ合わせてみますと、四九・二%くらいの負担がそこらあたりにくる。かりにこれを五〇%と大づかみにしましても、給与所得者の場合に、少なくとも五百五十億のうち半分近くはやはりこういう人たちのところにくるのだ。あるいは事業所得者の場合は一段落ちくらいになるとしましても、約四割はそういう人たちのところにくるのだということがいえるだろうと思うのです。そうしますと、やはかりかなりの部分、まるまるたばこの定価引き上げというのは低所得者にとって増税である。かなりの部分――ここでは四〇%とか五〇%ということはかりに言わないにしても、この大胆な推計を前提にすれば、数字上ある程度そういうことにもなるということになっているわけです。いずれにしてもそういう低所得層にとって非常に負担が大きくかぶる、こういうことだけははっきりいえるだろうと思うのです。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/61
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062・亀徳正之
○亀徳政府委員 つまり、先ほど申し上げましたように、やはりたばこは間接税の中でも逆進的な要素が多いものでございます。率直に申しまして、やはり税金を納めない方々も、これは嗜好品でございますので、どうしてもこれが上がったからのむのをやめるというものではない。したがって、引き上げればその影響を受けられるという事実はそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/62
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063・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そのような状況にどうしてもなるのだということについて、先ほど佐藤委員の質問にも答えて、財政的な必要、特に公債も減らしたいというような立場から財政硬直化を反映してそういう面も考えた、あるいはまた、所得の向上に比較をいたしまして負担率が減少した、あるいは国民所得に対する間接税の負担割合が年々減ってきている、意図せざる減税が行なわれたということからこういうものをやられたわけですけれども、このことはやはり大衆課税といいますか、大衆に対する増税という印象はぬぐい得ないものと私ども考えるわけであります。そういうところに踏み切ってきた。財政硬直化の問題では本会議でも質問いたしましたけれども、大衆はむしろ、財政硬直化の過程において、必ずしも高度成長政策というようなものによって大きな利益を受けた階層ではないはずであります。それにもかかわらずそういう形の中で迎えた財政硬直化に、今度はまっ先に犠牲にされる、そういう点では全く納得ができないわけです。
次に、数字について伺いたいのですが、専売の国軍納付金について資料をいただいたわけでありますが、純利益として五百五十億、これが増税分だということでありますが、昨年の補正後の純利益が千八百九十八億、定価改定を見込んだ予算で二千四百六十一億になっている。この差額が五百六十三億、さらに定価を引き上げなくても十三億くらい増収になったはずだということで、それを差し引いても五百五十億というように合わしておるわけでありますが、一体この数字の基礎になった売り上げの本数の見通しというものがどうもはっきりしないのですが、これをひとつ明らかにしていただきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/63
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064・牧野誠一
○牧野説明員 ただいまの専売納付金の算定に関しまして資料を提出したわけでございますが、一昨日、この問題について御質問がございまして、私いささか誤った答弁をいたしまして、まことに申しわけないと思っております。きょうお手元に差し上げましたとおりの数字に私どもの検討の結果ではなっておりまして、五百五十億というものが増税による増収分だというふうに考えております。
それからこのベースになりました売り上げ本数でございますが、公社で製造をいたしております一般の商品につきましては、二千三億本と私どものほうでは推計いたしておりますが、しかし、これは定価改定をいたさなかった場合には二千五十億本売れるであろう、それは昭和四十二年度、数日前に終わりました年度は、一応千九百六十億本売れると推定いたしておりますが、それに対しまして、定価改定がない場合には九十億本以上伸びるであろうというふうに推計いたしまして出た数字がこの表にございます。数字の欄の縦に見まして三段目の「四十三年度定価改定のない場合」というときの基礎になりました数字でございます。それが五月一日から定価改定ということを予定しておりますので、定価改定がありますと、やはりどうしても売り上げは若干本数が減るだろう、それからまた銘柄も、つい同級の銘柄から中級へ、あるいは中級の銘柄から下の銘柄へと移るだろうというふうに存じまして、その推計は、昭和十一年度に一斉の値上げを過去においてやった実績のいろんな関係の計数があります。そういうようなものを使いまして、さらに私どももできるだけ新しい、安い製品を出したり、いろんな形で消費者に御迷惑をかけないようにということで、販売の努力をするということを考慮に入れまして、二千三億本というものを基礎にいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/64
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065・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 それはわかりました。
そこで、この四十三年度の政府関係機関予算で専売公社のところを見ますと、製造たばこの売り上げ高が昭和四十二年度では五千六百六十四億、これは補正後だと思いますが、それに対して昭和四十三年度では六千六百六十二億、差し引きいたしますと九百九十八億ふえる勘定になります。それから製造たばこの売り上げ原価と販売費及び一般管理費これを比較いたしますと、これで大体二百八十三億ばかり増加になっている。九百九十八億からその費用――費用というか経費というか、損金を引きますと七百十五億ということになっております。そうしますと、益金は七百十五億ふえておるはずなんです。それが昭和四十三年度のこの政府関係機関予算書から見られる数字なんです。一体この七百十五億と五百五十億という関係はどうなりますか。これは製造たばこの原価を拾うとこういうことになるのですか。塩だとかあるいはその他そういうような営業外の収支というようなものは省いてこういうことになるのですか。そうだとするならば、この七百十五億というものは、収益がそれだけよけいふえたということになるのですから、それだけやはり国民の負担になっておるのじゃないか、こういうように思われるのですが、その点の説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/65
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066・牧野誠一
○牧野説明員 ただいまの広瀬先生のあげられました数字は、これは定価改定をいたさない場合にもやはり売り上げの伸びがございます、益金の伸びがございますので、それを私どもは、税のほうで申しますと自然増と申しますが、そういうようなものに対応するものと見まして、定価改定によりまして、本数は減るけれども単価が上るということで増収になります分を、定価改定による増税といいますか、増収といいますか、そういうようなものとして五百五十億というものを私ども見込んだ次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/66
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067・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 七百十五億対五百五十億という数字について説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/67
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068・高村健一郎
○高村説明員 予算の参照資料にございます四十二年度予算との比較は、成立予算との比較であります。売り上げ収入の面で、たばこ事業が九百八十数億の増、それからたばこ事業のコストが二百億ちょっと増、そのほかに管理費、販売費、固定資産償却費、そういったものの増加がございまして、総損失の増加は三百億をちょっとこしてまいります。そういうものの差し引きの結果、先生御指摘のように、七百億を上回る益金の増加があるわけでございます。他の事業の損益等を差し引きました結果、納付金としましては、七百四億、四十二年の成立予算よりも多くなっております。そのうち定価改定によりまして増加すると推定されます分は、五百五十億、それから残りの百五十四億は、四十二年と四十三年の事業の伸び等によって出てまいると推定されます、いわば自然増が百五十四億程度見込まれる。その合計が七百四億というふうに分解できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/68
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069・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 どうもあなた方の説明はわからないのだけれども、塩の赤字まで差し引きをして五百五十億増加ということになってくるのですよ。いまわれわれが審議をしておるのは増税法案ですよ。今度の定価改定によって、たばこの原料を調達し、そうして機械にかけて製造をしてそれを売る、そうしてその売り上げ高が幾らだ、そしてそのたばこを製造するために必要な経費を差し引いて残りが、それはたばこの益金がそれだけふえたということになるじゃありませんか。共通費なんかは販売費及び一般管理費に入っておると思うのです。そのいわゆる益金、最後のところへ出てくる益金というのは、塩の赤字何十億なんというものも減して、それを引いて、そういうものが出てくる。これはたばことは関係ないのですよ、少なくとも塩なんかについては。それまで差し引きをされて、そこで出てくるわけでしょう。それじゃ実際定価値上げによって増収になる分というのは七百億に近いものじゃないのか、こういう感触を私どもは当然持つわけですよ、この予算書を見れば。予算書がでたらめなのか、それともこっちの専売公社が出した資料がおかしいのか。単に二千三億本と、改定後のあれを予想した、そして、改定しなければおそらく二千五十億本が売れたであろう、そういうような差はわかりますよ。わかっても、なおかつその間に差があるではないか。そうすればその五百五十億とそれとの差というものは、これはもう少しふえるのではないか、私はこう言っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/69
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070・高村健一郎
○高村説明員 塩の事業の損失等による差し引額は、これはわずか、と言っては失礼でございますけれども、それほど膨大な変更をするほどのものではございません。大ざっぱにいいまして、四十二年度予算に比べまして四十三年度の見込みは七百億前後の収入ないしは利益の増加ということは間違いございません。厳密に計算をいたしまして、そのうち値上げによる増収分がどのくらいかということは、計算の方法でいろいろあろうかと存じますけれども、一応五百五十億と算定をいたしましたその根拠といたしましては、値上げをしなかった場合は二千五十億本売れるでありましょう、それから四十二年度に比べて平均単価も上がるでありましょう、そういう仮定の計算を入れまして、そこまでは値上げをしなくても増収がある、その分が百五十億ちょっとだという計算を間にはさみまして、その分を七百億から取りまして、残り五百五十億円というものを純粋の値上げによる増収効果だというふうに計算をいたしましたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/70
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071・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 どうもそこのところ、私どもはっきりしないのですが、少なくとも今までの説明では五百五十億増税になる。定価引き上げによって国民大衆が負担をするというのは、少なくとも五百五十億をかなりこえているということだけは、私はどうしても納得のできないのです。五百五十億で見積もるのが正しいのだという数字がどうも合わないのです。私は、きょうは一時間以内でということでたがをはめられておりますので、このことは、またあと質問者がだいぶおりますから、そこのところをさらにやっていただきますが、ここらのところをきちんと計数整理をしたものを出してもらわぬと――これは、この表を見ますと、確かにそれは合っているんですよ。去年の実績ないし予算が一つあって、そしてことしの予算、それとの差額がこれだけある、そしてそこから、当然値上げをしなくてもいわゆる自然増という形で増収になる部分もあるだろう、それを引けば五百五十億になるということなんですが、予算書との関連で拾ってみると、どうもその数字がぴったりこない。こういう疑問があるわけであります。その点はさらにひとつ明らかにわかるようにしていただきたいと思うのです。五百五十億というものが、これは計算上も、見通しの数字の販売数量等の上に立っても、ぴしっと合うんだ。しかもこの予算書を基準にしながらです。予算はもう通って、間もなく確定するんですから。国会でもちっとも修正されておりませんからね。あなた方が出された予算というものはもう間もなく通るわけですから、そういう点、疑問を留保したまま先へ進めたいと思います。
それから去年の予算書には製造たばこの原価表が出ておったわけでありますが、ことしの予算書にはこれがないわけです。これは一体なぜ出さなかったのですか。予定原価ですね、「日本専売公社製造たばこ予定原価」というものが四十二年度の予算書にはちゃんと出ておったわけですが、ことしは出なかった。これは一体どういうことですか。値上げがきまらないから出さなかったというのですか、そこらのところ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/71
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072・牧野誠一
○牧野説明員 ただいまの御質問のとおり、四十二年度の予算書と四十三年度の予算書と相違しております。予定原価の表を四十三年度の予算書では省いております。この理由でございますが、実は私ども五月一日から値上げという案を組みまして、それに基づまして予算を一応編成したわけでございます。その際、四十二年の値上げ前の四月は古い定価で売られるわけでございます。それで予定どおり五月一日から、かりに値上げになるといたしますと、その後は何がしか上がった値段でものが売られるという形になりますので、その間の原価計算といいますか、そういうようなものが非常にややこしくなります。特に固定費、たとえば工場の減価償却その他、あるいは販売費というようなもの、あるいは人件費、そういうようなもの、どういうふうに割り掛けたらいいのかということが、なかなか出にくうございます。しいて推計いたしますと、四月に売れるであろう数量に対してこういう原価計算、五月以降来年度の三月までにはこんな原価計算ということを、かなりフィクションと申しますか推定を入れまして、いろいろ計算いたしませんと、なかなかそういうような数字が出てこない。やってみましても、これは予算はやはり二段がまえでお出ししないとぐあいが悪いというふうに考えまして、どうもなかなか前年度との対比も困難に思われますし、私どもこういうあまりにも大胆な推定を入れたような予定原価の表というようなものをつけるのはいかがかと思いまして、実は四十三年度の予算書からは割愛させていただいたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/72
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073・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 この表は、やはり私はかなり重要な表だと思うのです。もちろん普通の年度の場合にこういうものが出される場合においても、いまの総務理事の答弁ならば、やはり同じような事情があったはずですよ、今回は価格改定というものがあったとして。しかし、原価がどのくらい上がるだろうかということについては、価格改定とは別に関係ないのですよ。そういうわけでしょう。それだったらやはり親切にあげておいて、かりにその原案どおり定価値上げ法が通ったとするならば、その中でこのぐらいの原価見込みになるのですというくらいのことは、こういうときこそ本来出すべきじゃないですか。それをわざわざ省略してしまったというのは、やはり何か意図があるのではないかと疑われてもしかたがないと思う。それはやはりこういうものについて、今年度も少なくともこの委員会の審議の間ぐらいに見込みを当然出すべきであろうと思う。これはやはり重要な審議の一つのポイントになるわけですから、これを一つ審議中に出していただくように要求をいたしたいと思います。
それからもう一つ、あなた方のほうで「たばこ小売価格の改定について」ということで、昭和四十三年二月、一番最初にわれわれがあなた方から説明を聞いたときに、これも数字の問題で恐縮なんだけれども、販売金額七千二百七十二億円という数字が、この中の二ページに書いてある。そして改定による増収額は五百五十億だ、販売数量も二千三億本という先ほどの説明で、これは合っておるわけです。それと、予算書におけるたばこの売り上げ、販売代金というのは六千六百六十二億円、こうなっておるのですね。この数字の差も、どうもわからないわけです。これもひとつ説明をしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/73
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074・佐々木庸一
○佐々木説明員 初めの御質問の表は試作しましたが、非常に複雑なものになりましたので、省かせていただきました。先ほど価格の値上げと関係がないではないかという先生の御指摘があったのでございますけれども、原価のうちには売り上げ金額によって配賦するものがございます。したがって、売り上げ価格が変わりますとコスト面で変わるというものが出てくるものでございますから、その点やはり原価構成上も変えざるを得ない問題も含んでおりますことを御了解願いたいと思うのでございます。
それから、先生御指摘の「たばこ小売定価改定について」という書類で御説明にあがりましたときの販売金額は、御指摘のとおり七千二百七十二億円と表示してございますが、これはカッコに書いてございますとおりに小売り定価で表示してございます。予算書に書きますときには小売り人の手数料に当たる部分を差し引いたものが現実の公社の収入でございますので、実際の収入額を予算書に計上いたしました。つまり差額は小売り入に支払うと申しますか割り引いて売り渡しますための金額でございますので、差が出ておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/74
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075・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 それじゃその数字の差はそれでいいです。
次にたばこの消費税。これは自治省来ていますね。――これがことし百五十一億円ふえるわけでありますが、この算定の基礎、これを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/75
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076・松島五郎
○松島政府委員 たばこの消費税は、御承知のとおり単価を前年の二月からその年の一月までの売り上げ実績をもとにいたしまして、それをその期問において売り上げました本数でもって割りまして一本当たりの単価を出すことにいたしております。その一本当たり単価にその年の三月から翌年二月までに専売公社が売りました本数をかけてそれに税率を乗じてたばこ消費税を出す、こういうことになっておるわけであります。そこで昭和四十三年度のたばこ消費税の基礎になります単価は、昭和四十二年の二月から昭和四十三年の一月までの売り上げ実績によって出したものでございまして、その額が一本当たり三円十四銭七厘となっております。それに価格改定がなかった場合に、ことしの三月から来年の二月までに売られるであろう本数を二千五十億本余と見込みまして計算をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/76
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077・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 まあたばこの消費税の場合にはたしか会計年度の属する月の二月ですか、二月からが算定の基礎になるわけですね。今回の場合には二月、三月、二月以降ということになるのじゃないですか。
〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/77
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078・松島五郎
○松島政府委員 本数はことしの三月から来年二月まででございます。ただ単価は先ほど申し上げましたように前年の二月からことしの一月までの実績をもとにして出す、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/78
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079・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そこで、いずれも見通しの数字で、税制調査会でも「明年度においては、たばこの定価改定に伴い、その消費される本数が減少すると見込まれるので、定価改定がない場合に予定される税収が確保されるよう所要の調整を加える必要がある。」こういう答申が出ておるわけですね。この文面から見ますと、この消費される本数が減少すると見込まれる、絶対的な消費本数というものが減少する、こういうように見通しての措置じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/79
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080・松島五郎
○松島政府委員 先ほど申し上げましたのは、収入見込み額を出します場合には、価格改定がなかったとしたならばどれだけの消費量があるかということを基準にして出したわけでございますが、現実の課税は先ほども申し上げましたように、ことしの三月から来年の二月までに売りました本数を乗じて出すわけでございますから、そのままにいたしておきますと、三月、四月はともかくといたしまして、五月以降消費量は減ることが予想されるわけでございまして、その分だけ税収入が見積もりといいますか価格改定がなかった場合に比較いたしまして減少することが考えられるわけでございます。そこで、その分につきましては、地方税法の法律におきまして売り上げ本数を政令で補正することができるということにいたしまして、予定をされます価格改定がない場合に予定されます収入が確保されるように売り上げ本数を補正する措置を講ずる、こういうことにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/80
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081・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 自治省では地方税法の附則ですか、ここで調整率というものを考えておるわけですが、これはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/81
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082・松島五郎
○松島政府委員 いま申し上げましたように、価格改定がないと見込みますと、ことしの三月から来年の二月までで二千五十億本ばかりの売り上げになる見込みでございます。価格改定が行なわれますとそれが二千二十六億本くらいに下がる、こういうことでございまして、その結果単価は先ほども申し上げましたように前年実績をとりますので動きませんから、本数が少なくなった分だけ税収入が減少するということになります。その額が約二十三億円見込んでおります。その二十三億円に相当する部分が落ちないようにするために、売り上本数に一定率を乗じまして補正する、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/82
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083・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 その調整率を用いることによって、地方税法に定めている一〇・三と一〇・一あるいは市町村で一〇・三の一八・一ですか、まあ両方合わせて二八・四になる、これがどの程度調整率によって受ける勘定になりますか。大体一・〇一三を調整率とするようでありますけれども、そのことによってこの本則がどういうふうに修正されたような形になりますか、その調整率どおりに、これはそれを越えても少なくてもお互いに文句は言わぬのだということになったというのでありますけれども、何か税法についてそういう取りきめで「かってに税率が変わるようなそういうことをやっていいのかどうかという点について私どもは疑問を持つのだけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/83
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084・松島五郎
○松島政府委員 補正の率は二十三億円を売り上げ本数に換算をいたしましてはね返すわけでありますので、売り上げ本数に対する率はただいまのところ御指摘になりましたように一・〇一三%になるものと見込んでおります。税法について補正率をかけたりして適当に修正するのはどうかというお話でございますが、税法どおりにまいりますと現在の法律を変えない限りは単価は前年実績、売り上げは当該年実績ということになりますので、当然たばこの値上げによって消費量が減ってまいりますと減収になるわけでございます。国のほうで増収をはかられますために、たばこ価格の改定をしたその際にそのことによって地方のたばこ消費税がむしろマイナスになるということはやはり防ぐべきではないかというのが税制調査会の御答申の趣旨であると思います。そこで、それをどういうふうに修正するかという技術的な方法として売り上げ本数に補正率をかける、こういうことにいたしたものでありまして、これはことしの特殊な事情に基づく臨時の措置でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/84
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085・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そのことによって、基本税率といいますか、地方税法所定の一〇・三、一八・一というこれにどういう税率の変化が結果として出てくるかという見通しはどういうことになるかということを聞いているわけなんですが、わかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/85
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086・松島五郎
○松島政府委員 税率そのものは基本的には動かすということに考えておりませんので、税率そのものが影響を受けるということはないと思います。来年度と申しますか、昭和四十四年度以降になりますとこういう補正率もなくなるわけで、本則の税率そのままが――本年度も本則の税率でございますけれども、そのまま動いていくことになると思いますので、特別な影響があるとは考えておりません。ただ、ことし限りの措置をかりに税率でやったとしたならばどうなるかというお話でございますならば、本数の修正はせずに税率で、市町村分を合わせまして二八・四に一・〇一三%をかけたものが税率に相当することにも、考え方でございますけれどもなると思いますが、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/86
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087・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 時間がありませんからあと二、三問で終わりたいと思います。
専売公社の総裁にお伺いしたいのですが、この間も申し上げましたように、公社と資材、たとえばフィルタープラグであるとか、あるいはアルミ箔だとか、巻き紙だとか、その他たくさん資材があるわけであります。これらの購入の額も、予算書によってもかなりの額にのぼっておるわけであります。しかもかなり独占的に専売公社の元高級役員あるいは職員であった人たちが、それらの納入会社に相当天下っている。この資料をいただいたわけでありますが、この物資調達関係だけでも四十二社くらいある。そのうち二十二社――実際はこれ以上に大きい資料も実は私ども持っているわけですが、かりにこの表を正しいとしても二十二社以上にそういう人たちが、いわば最近問題になっておる天下りがされておる。こういうところはいずれも最低で一割二分くらいの配当をやっておる。最高は三割配当をやっておるというような会社がある、こういうようなことがいわれておるわけです。
こういうものについて、この資材の買い上げ、購入というような場合に、これはかつて武藤委員が、三十七年に東海林総裁がなられた当時に質問をされたという記憶もあるわけですが、大体随契でやっておるわけです。金額の非常に少ない二千万とか三千万とかいうようなところは競争入札で、億をこえるようなところは大体随契でやられておるというような点を指摘して、こういうものを改善すべきではないかということもあったわけでありますが、この契約の方式はどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/87
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088・三角拓平
○三角説明員 お答えいたします。
契約の方式といたしましては、随意契約と競争契約と二つございますけれども、私どもが主として使っておりますたばこの材料につきましては、これは御承知のように機械にかかる性質のものがたくさんございますので、そういうことで作業能率をそこなわないというたてまえから特別な規格を課しているというのがございます。そういうものについては随意契約をやっておる。機械にかからなくて一般でも調達できるというものについては競争契約でやっておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/88
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089・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 この物資調達額の大体何割が随契ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/89
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090・三角拓平
○三角説明員 まず主要物品だけについて申し上げますと、四十一年度で大体総額二百五十八億円程度でございますが、そのうちの九五・五%程度が随意契約で、あとの四・五%が競争契約であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/90
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091・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 総裁、いまおっしゃられたようなわけであります。この点はジャーナリズムにも取り上げられ、マスコミにも取り上げられるような形で、今回たばこの定価を引き上げなければならない、そういう事態に立ち至っているわけです。これは専売公社の総裁も、かなりこれには抵抗もあったろうし、また大蔵省筋でも上げると言ってみたり上げないと言ってみたりしながら、とどのつまり踏み切ったというような事情もあるわけですね。そういう中で、やはり専売公社自身がもう少しそういう面で――職員をすぐ減らすとかあるいはすぐ合理化というようなことをやって、職員に犠牲を負わせたり、あるいは耕作者に葉たばこの収納価格を引き上げることを押えてみたりというようなことはよくやるけれども、こういうような面での企業努力というものは、まだまだ大きく改善しなければならぬ余地が非常にあると思うのです。これだけの増税をやる、定価を上げるというからには、こういうものをきちんと姿勢を正してやらなければ、国民はとうてい納得できないと思うのです。公社のかつての幹部が天下っているような会社からどんどん随契で約九五%以上も納入させているのだ。しかもその会社が非常に高収益、高配当をやっておる。こういうようなことでは――もっとそういう面での企業努力というものが国民的立場で要請をされるわけです。そういう点について総裁の見解をひとつ聞きたい、それが一つです。
それから時間がないのでやめてほしいという再々の要請がありますので、あとまとめて総裁から御答弁をいただきたいのですが、総裁はかつて私どもとお会いをして、いま専売公社の合理化の一環だと思うのでありますが、葉たばこの収納場の統廃合の問題について、地元の耕作者の意向を無視して強行するというような考えではないのだ、こういうことを言われたわけです。ところが、地方局段階にいきますと、現在七百六十何カ所かあるものを早く四百カ所にするのだ、こういうような大前提を置いて、ほとんど半強制的に計画を立ててこれを相当ゴリ押ししょうというような形で地元に提示をして、少しくらいの不満は強硬に突破しようというようなかまえで、あちこちで問題を起こしております。こういうようなことについて、やはり総裁の意図というものが――これは総裁が、せっかく新しい公社のあり方を切り開こうというような意味で民間から迎えられた最初の総裁であるというようなことで、何かどうも総裁のほんとうの意図が専売一家というか専売官僚というかそういう人たちの問にしみ通っていないんじゃないか。いまの随契の問題といい、それからわれわれとの約束でそういう言明をされたにもかかわらず、そういう点がそういう形で下部にいってはかなり強制的に提示をされる、こういう問題があるわけであります。それについてひとつ総裁の御心境がいまでも変わらないかどうかということをこの際はっきりさせていただきたい。
それからもう一つでありますが、さらに専売公社の合理化の一環として、製造たばこの工場が現在何カ所あるか、確実な数字を覚えておりませんけれども、これを二十カ所近くも、あるいは十カ所くらいですか整理をして統廃合をしてしまうのだ、こういうようなことを考えておられるということが新聞等にも出まして、その対象にあげられた固有名詞の工場なんかもそれぞれ出ているわけなんです。そういうことでこの町は非常に長い――たとえば栃木県の茂木でありますが、これは真岡線の行きどまりの町で、交通的にもかなりへんぴなところであることは事実なんですけれども、長い伝統を持っている。町全体が専売公社がある、製造たばこの工場があるということで、どうにか今日のいわゆる過疎問題の中で生き延びておるような町なんです。そういうところを、いわゆる過疎対策というようなものもいま国全体の大きな政策として問題にされようとしている、過密対策と同時に過疎対策もやらなければならぬというのに、専売公社の独自な判断でその町全体の将来の発展なりというものがそれにかかっているというようなところを、まさに血も涙もなくして専売公社の合理化計画だということでどんどん進めて、その町をほんとにさびれた、置き忘れられた町にしてしまう、そういうようなことをやられるのか。私はそういうことであってはならない。そういうところであっても、漸次交通も便利になりますし、交通が不便なところだというようなことによってそうたいして不経済な運営がなされるとも思っておりません。そういうものを取りつぶしていくというような血も涙もないようなことはよもややられまいと思うのでありますが、いま申し上げた三つの点をまとめて、ひとつ総裁からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/91
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092・東海林武雄
○東海林説明員 最初の物資の購入の問題については御指摘のとおりでございますが、ただ、私どもといたしましては、たばこの仕事というものの物資が非常に特殊なものだということに関連いたしまして、どこでもつくる、どこでも売っているというわけにはまいりませんので、そういう点は御了承願いたいと思いますけれども、一般的に申しまして、これは競争入札をやるべきだ、こういうふうに考えております。
それから、その次の収納場の統廃合に関しましては、これは私が再々申し上げているとおりの考えに変わりはございません。ただ、いま御指摘がありましたように、それが多少不徹底な面があろうかと思いますので、その点は十分調整していきたい、かように考えております。
第三点の問題につきましては、これは専売公社の企業としての立場からいきますと緊急の問題はございます。ございますが、いま御指摘になったような地方開発というものを私はひとつ考えていきたい、かように考えております。そういう観点から、これは軽々にただ単にAとBが一緒になったらいいのだというようなわけにはいかないのじゃないか、そういう点から十分検討してまいりたい問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/92
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093・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 では以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/93
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094・田村元
○田村委員長 ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/94
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095・田村元
○田村委員長 速記を始めて。
田中昭二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/95
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096・田中昭二
○田中(昭)委員 私は、酒税法並びにたばこ定価法につきまして質問をいたしますが、まず酒税法の改正につきましてお尋ねしていきたいと思います。
四十三年度の酒税法の改正でございますが、それによりますところの酒税の増徴から見ますと、かなり大幅な、戦後最大の規模であるともいわれております。この酒類の酒税の負担は、同じ間接税であります物品税の税負担と比較してみますとだいぶ高いようでございます。案内のとおりに特級酒で四三・二%、一級酒で三六・五%、ビールで五〇・一%という高率の課税率になっております。ところが、現在酒はほとんど大衆化されておるのではないかと思うわけです。そうしますと、常に政府がPRいたしますところの間接税、物品税等は大衆品に課税するのか、ぜいたく品、奢侈品に課税するのか、そういう問題につきまして基本的な問題をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/96
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097・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御承知のように、消費税の中で酒、たばこ、人によっては砂糖も入れますけれども、いわゆる嗜好品に対する課税というのは、過去から、また現在におきましても、各国において、他の消費税と違った扱いを受けていることは先生御承知のとおりでございます。なぜ、たばこ、酒に対する消費税が高率であるのかということについては、毎々申し上げておりますが、学者の間でもいろいろな議論がございますけれども、大体において定説となっておりますのは、嗜好品であるものは習慣性が非常に強い。そういう意味ではいろいろの社会費用を伴うものでもあります。そこで、一般にこれを普通の物品と同様な管理をするのは適当でない。ことに嗜好品でありますから、欲望の充足の度合いと、それに対するコストが非常に違っておりますので、これを社会的な管理をいたしませんで、放置いたしますと、非常な高収益が出たりあるいは非常に過度の消費が行なわれるということで、専売を実施するとか、あるいは免許によった高い税を課するとかいうのが、いわば従来からの財政の慣行になっておるということでございます。したがいまして、わが国におきましても、御指摘のように、物品税に比べますと、酒税の税率はだいぶ高くなっておることは事実でございます。しかし、これは、諸外国におきましても、いわゆる付加価値税、フランスなどは一七%程度の付加価値税を取っておりますが、酒、たばこについては、付加価値税と別に特別税を併課しておるような姿でございます。酒につきましては、種類がいろいろ複雑になっておりますので、単純な比較は困難でございますけれども、諸外国においても、大体日本の税負担のような他の物品との差が見られるところでございます。
〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕
そういう意味で、ことしの酒税につきましては、その酒税の中で、大衆によく飲まれております種類をできるだけ避けまして、高級な種類を対象にした課税をしたいわけであります。ぜいたくという意味ではないわけでありますが、同じ種類の消費にいたしましても、高級な消費、たとえば特級酒、一級酒というものは相当高級なレストラン等でも出すものでございます。そういうところから、大衆の影響を考えて、それをできるだけ避ける形で増税をいたしたい、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/97
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098・田中昭二
○田中(昭)委員 酒の税金は、酒の小売り値段から見てみますと、二十七年より四十二年までは酒税の税率は変わっておりません。ところが、小売り価格は、特級酒においても、八百九十五円が千五十円に、そのほかの酒も同じでございます。ビールが百十五円から百二十円、これは五円くらいの引き上げになっております。そこで、今度の改正を見てみますと、特級酒で一・八リットルにつき六十円の小売り値の引き上げ。その税負担額も結局上がってきまして、その負担率は四三・二%から四六・三%に引き上げられます。同じく一級酒においても、三六・五%が三九・七%、ビールにおいてははなはだしく、五〇・一%から五二・八%にそれぞれ引き上げることになっておりますが、ここで問題になるのは、酒の税金は五年間据え置かれておりますが、小売り価格は年々上がっております。
〔渡辺(美)委員長代理退席、金子(一)委員長
代理着席〕
言いかえれば、一般の大衆は年々高い小売り値で酒を買わなければならない。それに反して税負担は年々下がっておって、これは好ましいことと思うのですが、ところが、四十三年度になりますと、財政の要求もありまして、税率を調整しなければならないという考え方で税率が引き上げられたということでございますが、これはあくまでも政府の一方的な考え方でありまして、一般の消費者は、いまも述べましたように、小売り価格は年々上がって、そして今度またこの税率を上げるということになりますと、その両方を負担していかなければならない。そういうことになりますと、いまのこの公共料金のいろいろな問題と同時に、政府の施策によるところの重税感というものは強くなると思うのです。総理は、私に対して、日本の税金は安いと説明されました。そんなものの考え方で、ここでこういう重税感をあおるようなことになるならば、私は、この事実はどうしても隠すことはできないと思うのです。先ほどもお聞きしましたように、物品税に比較しても高い税負担になっている。それをどうしてさらに引き上げなければならないか、こういうことにつきまして、政務次官からお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/98
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099・倉成正
○倉成政府委員 酒の税金につきましては、御承知のとおり、先ほど主税局長が申し上げましたように、諸外国でも同様でありますけれども、沿革的に、歴史的に、大体ある程度高い税がかけられておるわけであります。その理由はやはりいろいろあるわけでありますけれども、過度の消費は保健上の弊害もある、だから自由に放置することは問題である、しかし麻薬や何かと違いまして、これを全く禁止するほどの害はないということで、おおむね国が管理しているというのが実情であります。しかも嗜好品でございますから、限られた消費単位で非常に大きな欲望の充足を満たすことができる、また、その製造販売から非常に多額な利益が出てくるということから、これはやはり社会的な管理が必要だということで、諸外国並みに大体こういう高い税が課せられている。この税負担が大体国民に受け入れられまして、今日なじんできているわけでありますから、したがって他の物品税の税率よりは酒、たばこの税が高いということは、そういう歴史的な、沿革的なものから出ているわけであります。
そういうわけで、ただいまの田中委員の御質疑は、現在までもかなり高い上に、これ以上値上げするのはおかしいではないかという御趣旨だと思うわけでありますけれども、御案内のように、大体昭和三十七年が今日の酒とよく比較の対象になるわけでありますけれども、確かに、御指摘のように、三十七年から特級、一級、二級というものが若干上がってきております。しかし、その間の消費者物価の値上がりというのは大体三割近く上がっている。また、一人当たりの国民所得も大体一八八%ということを考えてまいりますと、相対的には酒の値段は所得あるいは物価と比較いたしますと安いということであります。したがって、物価や所得と比較して値上がりが少ないから上げていいという理屈でもございませんけれども、今日の財政事情、公債減額、また所得税の累進構造に対しまして減税をしなければならない、こういう要請からいたしますと、間接税、直接税のバランスをとるという意味からいきましても、酒の値段をある程度上げていくことが財政支出に見合う歳入として適当であると判断したわけであります。しかし、その場合でもやはり二級酒等につきましては、この消費量の相当大きな部分を占めておりますので、これは据え置きをする、またしょうちゅう等についても据え置きをするという配慮を加えたわけでありますので、やむを得ざる処置として国民の皆さま方にも御了解いただきたいというのが政府の態度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/99
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100・田中昭二
○田中(昭)委員 大蔵省の言い分はよくわかるのですけれども、その中には、私たちから見れば、私、いつも申し上げるのですが、ごまかしみたいなものも隠されております。いまの政務次官の御答弁も、苦しい御答弁だと私は感じたわけですが、歴史的な沿革からお述べになりました。そのほかの物品税等の課税の問題に触れられましたが、歴史は変わるのです。大きく変わりましたね。ジョンソン声明においても大きく変わったんです。そういう、ただ歴史的な沿革によってしかたないのだ、こういう言い分は、私は大蔵省の頭から大きく転換しなければ、大蔵省自体が時代の流れに取り残されるのじゃなかろうか、こう思うわけなんです。もう少し専門的に、私申し上げてみますと、いま私は、酒がぜいたく品であるか、大衆品であるかということを主眼に置いて聞いたわけなんです。それに対する明確なお答えはなかった。ところで、物品税はぜいたく品に課税しておる。内容を見てみますと、高級乗用車でも四〇%の課税です。貴金属でも二〇%、三〇%という課税です。そうしてだれもが使うような化粧品のクリームにも免税点なしに課税している――免税点なしはちょっと言い過ぎでございますか、普通二百円以上のものにはかかっている。そういう自己矛盾は考えないのでしょうか。――主税局長、それでは日本のビールの税金は高いと思いますか、安いと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/100
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101・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ビールの税金は、日本は外国に比べると率としてはちょっと高いということがいえるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/101
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102・田中昭二
○田中(昭)委員 ですから私は、これはあなたの責任だとは申し上げません。高い税金は総理あたりにもよく教えてくださいよ。総理は安いと言うんだ。私達この問題は大臣なり政務次官なりとまたの機会によく検討したいと思うのですけれども、あまりにもわが国の総理としては税金に対するものの考え方が違う。ですから、そういうことについては、事務当局が筋を立てて、国民には物品税はこのようにぜいたく品には課税するといってアピールしている。ところが、その実態は違う。違うということは総理に言う必要はないでしょうけれども、日本の税金は高いんだ、高いものもあるんだ、これを安くしていくのが為政者の責任じゃないか、それがどういう歴史的な事実があろうとも、私はそれを変えていくのがわれわれみんなの力ではないか、こう思うのです。
一応ビールの税金は高いということは御承知いただいたわけでございますが、そこで、ビールの税金を見てみますと、御存じのとおりに三十七年からずっと下がってまいりましたですね。今度、ようよう下がってきておる税負担がほかの酒に比べて一番上がる。三十七年よりも上がるのです。そうでしょう。なぜビールだけそのように上げなければならないか。ビールが一番売れるから一番税金を取りやすいのか、私はいまここで極端な意見を言っておりますけれども、事実はそうとしか解釈できない。また、ビールが現在ほんとうに大衆品として消費もどんどんふえておる、そういうものに対する、いわゆるビールの負担率から見た場合の今度の値上げの実態――ただばく然と、財政要求に応じてそれに見合う税収を見込んだのか、それとも、このように大衆化されたビール、売り上げの伸びておるビール、ビールをつくっておる企業もばく大な利益をあげている、そういう関係において、どういうところを検討してビールの税負担がきまったのか。また、小売り価格においても、私、いつも申し上げる。私も第一線で少し苦労いたしましたから、一本百二十七円というビール、これによって困る者はだれですか、まあそれは後の議論といたしまして、そのような税金を上げることは、それは大蔵省としてもいまの御説明のとおりでございますからまあ多とするとしても、その上げることがどのように影響し、どのような混乱を来たすのか、だれが困るのかというようなことについては、十分なる配慮がなされて当然だと思うのです。私が前段に申し上げたことについて、主税局長なり政務次官からお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/102
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103・倉成正
○倉成政府委員 ビールの値段を中心に最初にお話し申し上げたいと思います。
ビールの負担率が非常に高い。現在でもかなり高いわけでありますが、今度、先ほど田中委員から御指摘のように、税負担率が五〇・一が五二・八になった。これは諸外国と比べますと、確かに税率として見ますと高いわけであります。これは御案内の、ように、ヨーロッパ各国を見てみますと、これらの地域は水が悪いということも一つの理由でありますけれども、ビールというのが水と匹敵するように非常に大衆に親しまれて飲まれておる、わが国と比較すると大量に消費されておる、こういう性質がございます。それから、日本の場合には明治にビールが日本に伝わってきたわけでありますので、外来酒という性格を持っておる。それからもう一つ、大衆的なものであるかどうか。確かにビールは大衆に親しまれておるわけでありますけれども、やはり家庭で消費する部分と料理屋あるいは高級の料理屋で消費される部分をいろいろ調査をいたしてみますと、相当部分が高級料理店でも消費されておる、こういう面があるわけでございます。
同時に、ビールの税金は高いけれども、ビールの小売り価格というのは、田中委員よく御承知のとおり、世界各国と比べて決して高いものではない。これは御案内のように、日本のビールが数社による寡占状態であるわけでありますから、非常に生産能率が高くて、コストが安くついておる、それだけ担税力があるということがいえると思うのであります。私どもビールの勉強をしてみまして気づいたことでありますけれども、ドイツのようなところのビールの工場の規模というのは非常に小さいわけであります。もうほんとうに驚くほど小さいという数字が出ておるわけでありまして、たとえばビールの本場である西ドイツで申しますと、日本を一〇〇といたしますと、ビールの一工場当たりの生産は西ドイツにおいては三である。極端に低い。どこでも町でつくっておるという状況である。そういうことで、コストの面から見ると決して国民に大きな負担をかけるような形になっていないというのが実態であります。
それと同時に、やはりわれわれが税を少しでも増徴する場合には担税力があるかどうかということが一つの目安になろうかと思うわけでありますけれども、御案内のように、最近の三十七年から四十一年までの間をとりますと、ビールの伸びというのが年率で九・五%ということで、かなり伸びておるわけでありますから、この程度の税率の増徴によって国民に迷惑がかからない――と言うと言い過ぎでありますけれども、その程度の負担はお願いしてやむを得ないではないか、こういう考え方でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/103
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104・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いま政務次官が詳細に話されましたとおりだと私も思っております。先生の御指摘のように、確かにビールの引き上げがきついではないかという点はあると思いますが、ことしのこの酒類の税率の引き上げは一〇%ないし一五%というめどでございましたが、ビールは清酒特級、一級あるいはウイスキーというものを増徴いたしますと、酒類問
間のバランスという意味で、どうしてもビールがそのままというわけにもまいりません。そこで一番無理のないところで小売り価格の上がり方等も検討いたしまして五%程度にとどめるということで、税率の引き上げとしては一一・六%の引き上げ率ということで清酒よりやや低目に押えたというのが実情であります。その結果、三十七年度の場合に比べまして〇・五くらい高くなりましたが、大体当時の負担を越えないことを目途として税率の引き上げを考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/104
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105・田中昭二
○田中(昭)委員 よくわかりましたが、問題はビールの百二十七円という今度の値上がりした場合の小売り価格でございますが、この百二十七円というものが消費者に渡るまでにおいて、どのような困難があるか。また、どのような売れ行きとの見合いにおいて問題があるか、そういう点をお聞きしたいと思うのですが、国税庁呼んでおりますが、来ておりますか。――国税庁次長、実行面と思いますから、国税庁のほうからと大蔵省の主税局長のほうから、百二十七円にビールを上げることによってどういうことを考えておられたのか、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/105
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106・高柳忠夫
○高柳説明員 いまのところ的確に申し上げるわけにはまいらない面もあると思いますが、いまの程度の増税の幅ならば、従来の販売量の伸びはカバーできるのではないか、そんなふうに見通しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/106
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107・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 田中先生の御指摘、おそらく端数の問題だと思います。私どももこの点はずいぶん苦慮したわけでございますけれども、そうかといって端数があるからたくさん取ってしまうわけにもまいりませんし、ビールにもダースで買うとかいろいろな面がございます。そういった点でやや消費者の不便ということもございますけれども、それを無理に上げるということもいかがなものかということで、キロリットルでまいりますと一万一千円の引き上げなんでございますけれども、ビールは一番多い大びんだと百二十七円になる。小びん、かんビールということになりますと、またそれぞれ違ってまいりまして、端数というのがぴたりと全部なるような税の引き上げというのは実はないわけでございます、各種類を考えますと。そういうことで逆に負担の適正化ということから、ほかの種類との関係から七円ということに踏み切ったわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/107
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108・田中昭二
○田中(昭)委員 いまの主税局長のお答えのほうが、私の質問したことに対する問題に触れてあるようですが、実行面においてはやはり国税庁のほうでもう少し掘り下げたことがいえるのではないかと思うのです。いわゆるこの大びんで百二十七円というものは、いまの主税局のお話のように端数の問題ですが、いままで実際の小売り店に行きましていろいろな問題を聞いてみますと、卸売りから小売りにいく段階、ここにおいてもリベートの問題もあるわけです。また企業は、生産者のほうは生産者のほうで、聞くところによればこの百二十七円ではどうしようもない、七円の値上げではどうしようもないというようなことで、政府にもコスト高を理由にもう少し上げてくれないかというような話があったと新聞にも報道されております。これは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/108
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109・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この増税とは別に、酒の米の引き上げと同様にビールの麦の価格も上がっておりますので、それと流通過程の手数料等が上がっておるということで、価格の引き上げをやりたいということはだいぶ前から話がございます。前回のビールの価格の引き上げは四十年の十月でございまして、それ以後ビールはずっと上げておりません。そんなことからいろいろ要求はございましたが、この税率をもっとあげてくれという要求はなかった。ビールにつきましては、御承知のとおり、先ほど政務次官おっしゃいましたとおり、大体年率一〇%ぐらいで伸びておりまして、片一方においては生産性の向上があり、同時に、かなり生産がフルになってまいりましたから、新設の設備の投資の関係から生じます減価償却手の増大という問題もあります。いろいろ複雑な要素がございますので、国税庁では清酒と同様にやはりビールについても現在価格の適正化ということで検討を進めてはおりますけれども、いまだ結論を得る段階ではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/109
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110・田中昭二
○田中(昭)委員 時間がございませんから、次に移ります。
次に、ウイスキーの税率の上がりについてでございます。内容を見てみますと、国産品の特級と一級酒ですね、これを比較してみますと、たとえば七百二十㏄四十三度の特級の小売り価格は約三千円ですね、平均で。そのうち税負担が千三百五十円、この負担率が四五%、同じくウイスキーの国内産の七百二十㏄、四十二度の一級品になりますと、価格が千百円、税負担が二百九十五円三十銭、その負担率が二六・八%でございますね。
〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
ここで問題なのは、このアルコールの度数を四十三度未満に押えておるわけですが、そのことによって税負担が特級酒の二分の一くらい、はなはだしいのは五分の一くらいに減るようですね。そのように税負担がずっと低くなっております。そのために――ここからが問題ですが、そのために生産者は四十二度の一級品を多く商品として出しておる。しかもその原料の品質も、よいものを使っておるようですね。相当に高価な価格になるわけですが、その高い価格のもの、ただアルコール度数が四十二度と四十三度未満であるということによって売られておる、消費者がそういうものを好んでおる。そうしますと、税負担の負担率の低下をもたらしておるわけですが、あくまでも消費者にとってみれば、ウイスキーというのはそういう税金がどうあろうとこうあろうと、度数がどうあろうとというようなことはあまり関係ないんですね。そのウイスキーの選別というのは、大半が銘柄とその価格によって高いものがいいんだ、こういうやはり感じがあるわけです。そういうことになりますと、ここでいままでのとってきました従量税の問題が取り上げられるわけですが、消費者が買う値段の価格から考えてみるならば、税負担率をかける、その負担をかけるたてまえからいえば、どうしてもこれは従価制度にしなければならないと思うのですが、このことにつきましていま申し上げましたそのようないわゆる生産業者が消費者に受け入れられるためのそのような作用といいますか販売の実態といいますか、こういうものと、今後、従量税と従価税についてはどのようなお考えがあるのか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/110
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111・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いま御指摘のありました点は、私ども非常に痛感をしている問題でございます。
ウイスキー類は一番早く、昭和二十七年ころに公定価格をはずしてしまいまして、全くの自由価格で推移してまいりました。その間に税制改正等がございまして、その価格が自由であるというところからいろいろな企業努力が行なわれまして、いま御指摘がありましたように、ウイスキーの税率は度数とモルトの混入割合できまっておることは先生御承知のとおりであります。度数が四十三度以上のものは特級で、四十度以上のものが一級、三十七度以上が二級となっておりますが、その税率は御指摘のとおり特級は八十四万五千円、一級は三十九万円、半分以下でございます。それから二級になりますと十四万八千円という非常な差がございます。ところが、いま御指摘のように、四十二年度の一級あるいは三十九年度の二級というものになりますと、むしろ一級、特級にそれぞれ近いという感じがございます。したがって、またそれ相応のコストもかかりますから、かなり高い価格で売られます。ところが、度数が一度違うだけで半分以下の税率で出るということから、いま御指摘がありましたように、ウイスキー一級の中には小売りの負担率が非常に低いものが出てきます。二級の中でも高いものほど負担率が低くて、しょうちゅうなどよりもっと低い負担率のものが出てくる。これは安いにこしたことはないといえば別でございますけれども、全体の酒類の均衡としてははなはだ不適当である。これを直すためにはどうしたらよいかと申しますと、おっしゃるとおり従価税に直すということが一番早道ではございますけれども、従価税というのは、現在清酒、ウイスキー、ブランデーについて特級の上のほうに実行しておりますが、従価税は物品税等ではやっておることでございますので、できないことではないのでございますけれども、何しろ酒のように品質の同じものが多量に出るときは従量税が課税しやすいということから従来なかなか従価税に踏み切れてなかったわけであります。
そこで今回は、まず、ウイスキーについては、少なくとも、今後ますます級別の消費者選択が行なわれにくくなる、おっしゃるとおり銘柄、価格が選択ができるだろうということで、とりあえず今回の改正では二級、一級につきましても、たとえば二級で申しますと三百円をこえる蔵出し価格のものは六五%の従価税率がかかる、一級で五百円をこえるものは一〇〇%の従価税率を使うということ、さらにその系統から申しますと、特級の一五〇の従価税率を、さらに二二〇のものもつくるということで、従価税の体系を現在の級別の中でやるように企画をしたわけでございます。しかしこれは非常に大きな負担がかかってまいりますので、三年間この従価税の実行を待ちまして、その間全体の生産がそれにマッチすることを期待しているわけでございます。しかしそれにしても、いまおっしゃったような種類をそのまま置いておくわけにまいりませんので、ウイスキーの度数加算、一度上げるときに、二級でございますと一度当たり四千円、つまり基本税率を三十七度で割った一度当たりを加算することになっていますが、これは上の、たった三度で倍になる税率であるのに、度数加算が下のほうの一度当たりでやってあるということは非常に無理がございます。そういう点で今度は度数加算を暫定的に引き上げまして、二級については四千円を一万八千円に上げる、一級の度数加算も一万九千円に上げる、特級は、ほんとうは度数加算は意味がございませんが、二万円に上げるという形で権衡をとったわけであります。これによりますと、大体いま従価税で申し上げました三百円のところの蔵出し価格のウイスキーについてはその負担が三〇くらいに近づきますし、それで清酒二級の二八・一より高くなります。五百円くらいの一級につきましては三七くらいになりまして、清酒の一級とほぼ権衡がとれることになるということで、三年間は度数加算の税率を引き上げて、三年後には新しい従価制度が適用になって、こういう問題が恒久的に解決できるという体制をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/111
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112・田中昭二
○田中(昭)委員 いろいろ説明をお聞きしましたが、ここで私、感じたことを率直に申し上げてみたいと思うのですが、政務次官もひとつよく聞いていただきたいと思います。
政府は、いつも口では物価抑制ということを言われます。ところが、このように消費者に直接影響を及ぼす値上げをどんどん続行するようであれば、いまの従量税、従価税をもう少し詳しく聞いてみなければわかりませんが、いずれにしろ、高いもの、ぜいたくなものに税負担を多くしていくというたてまえからいくならば、そういう方向にいくべきではないか。政府は口では物価抑制と言いながら、実際やっていることは物価値上げに大きく影響することがたくさんある。また、その内容を見てみると、私はいわゆるでたらめと申し上げましたが、ほんとうにおかしいような問題がたくさんある。ぜいたく品に課税するというならどんどん上げればいいのです。そのほうが政府の政策と政府の実際やることと同じになるんじゃないですか。ことばでは物価抑制と言いながら、やることは値上げが現実に起こってくる。どうせ起こってくるんだったら、もう少しぜいたく品、高いものにうんと課税して、負担力のあるものから取っていくという方向にはっきり割り切ったほうがいいのではないか、このような感じがするわけですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/112
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113・倉成正
○倉成政府委員 ウイスキーについての税の調整は、先ほどから田中委員が非常に専門的にお話しいただきまして、また主税局長からお答えしたとおりであります。そこで一挙にこれを従価税率に切りかえるというのが一応理論的には非常にすっきりしますけれども、やはり税というのは継続することが必要でありますから、一ぺんに大きな税の激変を来たすことは適当でないということで、一応従価を取り入れて従量を併用する、こういう形でいっておるのが今回の改正でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/113
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114・田中昭二
○田中(昭)委員 どうも質問の二割くらいしかお答え願っていない感じがします。あと、ほんとうのところ八割くらいの問題が残っておりますが、次に移ります。
次は、広告費の問題でございます。酒類の広告は、世間では薬と同じく多額なる広告宣伝費が使われております。販売促進の上に大きく役立っておることは認めますが、広告費の中の相当なウエートを占めておると思われますが、大手酒造会社の広告宣伝費がどのくらいになっておるのか、ここでお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/114
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115・高柳忠夫
○高柳説明員 お答えいたします。
国税庁で調べました昭和四十一年度におきます広告宣伝費の概要でありますが、四十一年の四月から四十二年三月までの当該会社の決算に基づいた売り上げ金額とその経費として支出された広告宣伝費の内容でございます。
御質問のように、大手メーカーをとりますと、ビール関係では、パーセントで申し上げますが、売り上げ金額対広告宣伝費は、キリンが〇・四%、サッポロが一・四%、アサヒが一・四%、サントリーが九・五%。清酒関係で申し上げますと、同じような対比で、月桂冠が二%、白雪が三・五%、白鶴が二・四%、大関が二・六%、日本盛が二・六%、こんなふうな姿になっておりますが、広告宣伝費の率は売り上げ金額に対してどの辺が妥当と思うかという御質問もございましたが、ただいま申し上げましたのはただ実績を申し上げただけでございます。国税庁といたしましては、広告宣伝費の制限とかなんとかというようなことは考えておりませんし、また、これは企業の態様にもよりますし、後発性のある商品を売り込もうとする会社またはその会社の販売政策の性格といいますか考え方、いろいろな要素がかみ合いますので、一律にどの辺が妥当だということは申し上げにくいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/115
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116・田中昭二
○田中(昭)委員 ほんとうはずっとその内容を聞いてみませんと、私がここに調べましたものよりだいぶん率が少ないようでございますが、これを一々やっていきましたら、もう時間ございませんから、それはまた後ほど国税庁のほうで調べられた数字を見せていただいて検討してみたいと思います。しかし、私たちが家庭また外に行った場合に相当目につくのは、酒造会社の宣伝というのは大きいですね。新幹線にずっと乗っていきましても、ほんとうにネオン広告等も酒のものはりっぱなものが多いのです。また、テレビのコマーシャルなどを見ましても、しょっちゅうやっておりますね。そういうものから、われわれ何も知らない者の常識から見た場合、いまのような数字になっておるということについて疑問があるわけです。まあそれはいま言ったように後ほどにいたしますが、酒はどうでしょうか。これは政府が製造から販売まで相当の権限を持ってなされておるものなのです。そうでしょう。酒の製造場に行きましたら税務署の収税官吏というのはたいしたものですよ。もうおやじが出てきて、あの冬の寒いとき土間にひざまづいて――昔はそういうことがありました。右向け右と言えば全部右を向くのです。それはなぜかといえば、製造の原料から販売まで全部政府の手に握られておる、監督下にあるわけです。それは自由販売価格になったといいましても、販売業者に言わせればたいへんな言い分があることは、これは私が申し上げるまでもないわけなのです。広告費というのは、もちろん販売促進の意味もございますが、会計学上から見れば利益の留保というような面も多分にうわさされております。また事実でございます。これは大企業だけがもうかって、そのあおりを受けて中小メーカーは悲惨な状態にあります。私も地方へ行きますと、昔は大きな酒屋さんがいまは没落して、あの大きい蔵のさびしい冷たい状況を何回も見ることがございますが、いわゆる大企業のあおりによって中小企業が大きく倒れて、そうして見る影もないような状態になっておる。こういうものをさておいて、その製造から販売まで握っておる政府の国税庁なり主税局が広告費については野放しの状態であるというようなことについては、おとといでしたか、頭隠してしり隠さずというような話が出ておりましたが、なるほどそうだと思うのです。これは私だけの見解じゃないと思うのですが、そういう面から酒の大手メーカーの現在の広告宣伝費に対する主税局の何らかの考え方、今後検討がなされるものなのか、そういうことについて意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/116
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117・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 広告費一般についていろいろな問題がございますが、酒造業の広告につきましては、私どもも過度の広告というものをアルコール分の強い酒についてやるのがはたしていいのかどうかという問題は多分にあると思いますが、嗜好品というものはある程度広告によって伸びるという面もございます。そういう点、いろいろ業種間の実態を考えなくてはいけないと思いますけれども、もしも、広告の非常に多い酒類は実は相対的に税が楽である、そのためにそういうことになっているということであれば、やはり税負担についても考える必要があるという点は私どもとしても考慮する必要があると思いますが、実際の広告費についての具体的資料は国税庁で個別におやりになっていると思いますので、何と申しましても高い税金を国民から出していただいておるものでありますから、私どもとしてもその点は十分自粛をしてもらいたいという気持ちでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/117
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118・田中昭二
○田中(昭)委員 約束の時間が来ましたからこれでやめますが、いま主税局長から、国税庁としては個々に資料をやっておるということをお聞きしましたが、できましたならばその内容をあとで教えていただきたいことを申し添えまして、質問を終わります。引き続いて午後からさせていただくようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/118
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119・田村元
○田村委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。
午後一時二十九分休憩
――――◇―――――
午後四時十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/119
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120・田村元
○田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。田中昭二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/120
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121・田中昭二
○田中(昭)委員 先ほど酒税のことにつきまして、業者が支払っております広告宣伝費についてお尋ねしておったわけでございますが、もう一回広告宣伝費について、今後課税の税制上の措置といいますか、税制上の考え方についてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/121
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122・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 広告一般についての課税問題につきましては、先般も御質問がございました。広告というものがあまりに過度にわたっている場合、いろいろ大企業が力をふるい過ぎるというような御指摘もございます。
ただ、この広告費というものは、交際費とよく並べて論ぜられますけれども、交際費の損金否認の規定が、基本的には交際費というものが事業用に使われない、社用消費に便乗されておるというところに一つの問題があったわけでございます。広告費についてはそういう問題は非常に少ないということ、それから、広告費そのものは事業収入の拡大ということを目的とした経費でございまして、新しい製品の開拓あるいは新しい企業の発展のためにも必要なものでございますので、これについては将来の問題として私のほうとしても慎重に検討する必要があると思いますが、よく言われますように、交際費によって事業を拡張しなければならない業態もございます。広告費一般で事業の拡大をはかる業界もございます。それらを考えますと、交際費の課税の今後のあり方とも関連して、広告費の問題は検討を要する問題だと思いますが、先ほど申し上げたような次第で、非常に慎重な検討を要する問題だと私ども思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/122
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123・田中昭二
○田中(昭)委員 酒類製造業者につきましては、相当な数がある仁思われますが、その全体の製造業者の中で、利益をあげておる企業は大体何%ぐらいあるんでしょうか。また、コスト高でいろいろ困った問題もあるとも聞いておりますが、いわゆる採算がとんとんというような製造業者がどのくらいの割合を占めておるのか、わかっておればお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/123
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124・泉美之松
○泉政府委員 いまお尋ねの、酒類製造会社のうち、清酒製造業でございますと約三千六百七十程度の業者数があるわけでございますが、私どものほうの調査いたしましたところでは、そのうち約百九十程度が赤字であるというふうになっております。それから、しょうちゅう乙類の製造業者につきまして調べてみますと、やはり同じ程度、一二、三%のものが赤字である、こういうふうになっております。しょうちゅう甲類のほうになりますと、この調査は兼業者がおりましてなかなかむずかしいのでありますが、やはりしょうちゅう甲類でも小さな業者の中には赤字であるものがおるようであります。しかし、その数は比較的少なくて、一割にも満たない程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/124
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125・田中昭二
○田中(昭)委員 清酒のほうからとってまいりますと、相当原料米も値上がりしておるようでございますが、また、そのほかの人件費、輸送費も上がりまして、中小メーカーは困っておるような状態だと聞いておりますが、これは間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/125
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126・泉美之松
○泉政府委員 先ほど私が申し上げました数字は、昨年の九月、十月ごろ調査いたしました数字でございますので、その後、御承知のとおり四十二年産米を酒造用米に使うわけでございますが、その酒造用米につきまして、百五十キロ当たり千六百六十円の値上がりがございました。それからまた、従業員の賃金の引き上げも、これは一般の賃金との見合いでやはりある程度上げざるを得ませんので、これが上がってまいります。それから、いまお話しのように、運賃の値上がりもございます。ことにだんだんと交通が混雑してまいりまして、輸送が円滑にいかない、こういったことに基づくロスが重なりまして、コストの増加を来たしております。それから特に最近注目すべきことは、びん代の値上がりが非常に多いわけでございます。そういったことが重なりまして、清酒製造業者はかなり苦しい立場に追い込まれております。したがって、現在段階で調査はいたしておりませんけれども、赤字の法人は先ほど申し上げましたような百九十といった数字よりもっと現段階ではふえておる、こう見て差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/126
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127・田中昭二
○田中(昭)委員 そうしますと、いろいろいまお聞きしましたことを勘案いたしまして、新聞報道なんかも私、見てみますと、どうも酒そのものの、いわゆる原酒の値段は下がっておる。そういう状況のもとで小売り値段を上げるというのは、メーカーの利益をふやすためだ、そうして乱売合戦で弱っておるところの中小メーカーの建て直しに資したい、そういう議論もあるようでございますが、この点、いわゆる原料米が上がりながら、いまの中小メーカーから大メーカーに売り渡すところの原酒、いわゆる未納税酒の値段は下がるというようなことを考えました場合に、私は今度の清酒の値上げはどうも納得いかないのでございます。こういう点につきまして、主税局長のほうからお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/127
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128・泉美之松
○泉政府委員 お話しのように、おけ取引の場合の値段は最近だんだん下がってまいりまして、一・八リットル当たりに直しまして百七十円ないし百八十円になっております。先ほど申し上げましたような原料米のコストの上昇、あるいは蔵人たちの賃金の上昇から見ておかしいじゃないか、こういう御意見だろうと思いますが、これは二つの事情があるわけでございます。
一つは、前年に比べまして昨年十月以降の酒類の売り上げがやや停滞ぎみにあるわけであります。ことに本年一月の出荷は、前年の一月が値上げ直前で非常に増加したという点もありますけれども、それを考えましても前年の半分程度しか移出がなかった。そのために、大メーカーがおけを買うには、あいたおけがあって、そのあいたおけに買った酒を入れてこなければならぬわけでありますが、そのあいたおけができない。そのためにおけ買いをあまりしなくなった。そこへもってきて、御承知のとおり、昨年の製造計画におきまして、四十二酒造年度におきまして清酒は、昨年の値上げの関係で、昨年全体としてはかなり移出が出ておりますものですから、製造計画で約八百六十万石に近い数字で、生産量を一二%ほど伸ばすことにしたわけであります。その需要がそういう意味で減っているところへ、生産量がふえたという関係が重なりまして、おけの値段が少し下がっておるのでありますが、しかし、その前の、おけの価格の一・八リットル当たり二百二十円とかいうような数字は、これは過去のおけ取引の相場から見ましても異常に高いものでございまして、いまは少し下がりぎみでありますけれども、それは異常に高いところがら下がったのでありまして、原料米のコストと賃金とから見ますと、それほど異常に下がっているわけではない。ただ私どもとして見ますと、中小メーカーの採算ということを考えると、いまのように百七十円ないし百八十円というのは少し下がり過ぎなので、これが百九十円程度になることが望ましいというふうに考えて、いろいろと業界を指導いたしておるわけであります。おけの値段が下がっておりながら酒全体としては値上げを要望しておるというのは、いまのような事情からでございます。
したがって、確かにおけ買いをしている業者は、おけの値段が下がっておることによって今度もし値上げをすると相当の利益を得ることになります。しかし、自製酒だけを売っておる業者も相当数おるわけでありまして、おけ売りをしないで自製酒だけを売っておる業者が相当多い関係からいたしますと、そういった業者のことも考えなければならない。まあ酒の価格の値上げの要望がございますが、いつ値上げになるかは現在のところわかりませんけれども、しかし、そういったコストの関係から見ますと、おけ取り引だけが異常なのであって、やはりそれ以外のものについての状況は十分考えていかなければならない、こういうことになってきておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/128
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129・田中昭二
○田中(昭)委員 次に、昭和四十三年度の酒税の予算見積もり額についてお尋ねいたしますが、その見積もり額の基礎となった「課税実績」とは何年分でございましょうか。また同じく「消費状況等を勘案して」とは、具体的にどういう状況を勘案されたのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/129
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130・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この「課税実績及び消費状況等を勘案して」と申しますのは、四十一年の課税実績と四十二年の課税実績見込みを前提にして今後の消費状況は、たとえば清酒でございますと、四十二醸造年度の原料の割り当て、そういうものから清酒の製成数量、石数を推定して、それらを勘案して移出数量の推定をいたしまして、それで見積もりをいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/130
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131・田中昭二
○田中(昭)委員 いま課税実績が四十一年分の課税実績をもとに四十二年分の課税実績見込みを前提にしたわけですね。それで、大体消費の状況を勘案ということは、別に酒の売れ行きの問題じゃないか、こう思うのです。酒はつくって移出するとき課税するのですから、課税実績がもとになっておればそれだけでいいわけなんです。そういうことに了解しまして進めていきます。
次に、昭和四十三年度の酒税の増収額、初年度の四百五十億の内訳はどうなっておるのでしょうか。内訳といいますのは種類別の数量、税額です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/131
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132・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 増収額として見込みましたのは、端数は省略いたしますが、清酒が百二十三億、ビールが二百七十二億、ウイスキーが五十五億ということになっておりまして、清酒は来年度の現行法による収入見込みに対しまして増収割合としては六・九%、ビールが一〇・四%、ウイスキーが一二・二%ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/132
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133・田中昭二
○田中(昭)委員 たとえば酒が百二十三億、ビールが二百七十二億ですか、その増収額は製造されて移出される酒の増収額でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/133
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134・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 移出済みのものを前提としたわけでございます。課税状態にあるものを前提としたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/134
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135・田中昭二
○田中(昭)委員 そうしますと、このたびの改正でいわゆる店頭にあります手持ち品の課税というのがありますが、この手持ち品の課税といまの移出したときの増収見込み額とはどういうふうになるわけでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/135
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136・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 このストック課税の見込みは、先般申し上げましたように約二十億でございますが、この増収額の中にそれぞれ含まれているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/136
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137・田中昭二
○田中(昭)委員 だから、含まれておればそれを聞いておるわけですよ。二十億というものがそれじゃ日本全国の販売店のどういうふうなものに手持ち品課税されるのか、これからまず具体的に聞きましょう。その手持ち品課税というのは販売業者の段階で課税する、このように私は聞いておりますが、それで間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/137
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138・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ストック課税は課税済みの酒類が対象になるわけでございます。差額課税でございます。そういう意味では製造者が自分の蔵置場に出してしまって、すでに課税になっているもの、それについては蔵置場に追加課税させる。それから販売業者の手持ち並びに料理飲食店の手持ち品に対して一定量以上持っている場合に課税になる。こういう形になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/138
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139・田中昭二
○田中(昭)委員 酒の業者が持っております手持ち品についてはわかるのですが、いわゆる店頭に出ております、販売市場に出ております手持ち品の課税が幾らで、飲食店あたりが持っている販売品の課税は幾らの増収を見たのですか。二十億をこまかく計算してみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/139
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140・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 手持ち品の推定は、対象別に通常ストックを推定いたしまして、それから卸売り業者、小売り業者別に過去のストック課税の際の課税割合を推定いたしましてそれによって計算いたしましたので、むしろ清酒の種類別の計算をいたしておりまして、卸売り、小売り別に、あるいは料理店別にこまかい計数は出しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/140
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141・田中昭二
○田中(昭)委員 いまの局長のお答えでは何を言っているのか、はっきりいたしません。いままでのストック課税の状況を見てそういうことも勘案してみた、こうおっしゃるのですが、酒税は三十七年に一ぺん下がって、それ以外の年にいつストック課税するような準備をしたのですか。その二十億は間違いございませんね。そうしますと、二十億増収分を見た、いわゆる製造場に保管されておる酒類に対する増収分は私はすぐわかると思うのです。ところが販売に出された、また特に料飲店に一定額以上の額が確保されたものに対して事実増収分を見たとするならば、実際それを見る場合、私は事務的にたいへんな問題だと思うのです。これはひとつ、後ほど私が理解できるようにその積算を教えていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/141
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142・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 後ほど、具体的に計算した例をお持ちしてお話を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/142
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143・田中昭二
○田中(昭)委員 それではその二十億の増収分は、製造場にある酒に対して、今度の値上がりによって幾ら、いわゆるビール七円値上がりする分が何ぼで、そうして全国の小売り店にある一定額以上の品物に対する増収分が幾ら、このように私はわかるものと思っております。そのようにひとつお願いします。
そこで、その一定額以上というのは幾らでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/143
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144・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 それは法律で九百リットル以上といたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/144
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145・田中昭二
○田中(昭)委員 その九百リットル以上というのは約五石とも聞いておりますが、五石の数量を持っている小売り店は、その五石という数、九百リットルを出す場合に、一事業単位で見るか、いわゆる本店、支店関係がある場合に、それはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/145
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146・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 それは一人格当たりと申しますか、一社当たりということで、事業場を二つにすれば通算をして考えるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/146
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147・田中昭二
○田中(昭)委員 そうしますと、そこにいろんな問題が起こってくると思うのです。一社当たりといいますと、数店舗持っておるところもあるわけなんですね。たとえば同じ管轄内であればけっこうなんですが、管轄が違ったような場合には特に私はいろんな問題があると思うのです。それからまた、かりにそれと逆に五石未満、いわゆる四石九斗九升持っている店舗は旧価格で買い入れて、そうして五月一日になれば、課税された新価格で売られるということになることは間違いございませんか。吉國(二)政府委員 数カ所に分かれている場合には、それぞれが税務署に申告をいたしまして本店に集計をいたしますから、これは全部確実に捕捉をされるわけでございます。
それから、ストック課税の単位未満のものについては、これはストック課税をいたしません。ただし、酒の価格は自由価格でございますから、それがいかなる価格で売られるか、価格引き上げの直後に安売りをする可能性もあるわけでございますが、ここは大体は値上げ後の価格で売られるかもしれないということはいえると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/147
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148・田中昭二
○田中(昭)委員 そうしますと、昭和四十三年度の酒税の見積もり額でございますが、これは施行期日が一カ月延びたことによります減収額はどのようになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/148
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149・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 まだその法律の修正を拝見しておりませんので、私もまだ一カ月というのを断定的に申し上げるわけにまいりませんが、御質問でございますので一カ月と仮定をいたしまして、約四十億は予定よりも減収になるということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/149
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150・田中昭二
○田中(昭)委員 値上げによる売れ行きの低下による減収はお見込みになっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/150
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151・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 理論的には見込んでいることになりますが、きわめて少額でございまして、ただ一級から二級に転移をするという分を若干見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/151
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152・田中昭二
○田中(昭)委員 結局いまのやつは、その値上げされることによる売れ行きの低下による減収額は見ておらないということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/152
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153・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 理論的には見たと言えるのか、値上げ後の移出額というものを推定をしてやっておりますから、その意味では織り込んでおりますが、それが幾らであるかというような最終的な計算では、来年度の数量として全体として織り込まれておる。ただ、一級酒を引き上げました関係で二級酒に需要が若干移るということで、二級酒が増加しておる分は、これは数字的に見込んでおります。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/153
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154・田村元
○田村委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/154
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155・田中昭二
○田中(昭)委員 そこで当初お尋ねしましたことしの予算の見積もり額でございますが、いまの話を総合いたしますと、ほぼ五千五百三十三億でございますか、この酒税による収入確保はあぶないのじゃないですか。といいますのは、課税実績ということになりますと、昭和四十一年度の実績に見てみますと、当初予算額に対して約百六十六億も減収しておりますね。これは四十一年度の補正で落としておりますから、当初予算額から見れば百六十六億、これは決算額がそのようになったということは、いずれにしろ売れ行きが悪くなった、こういうふうに私は、全体の酒類の上から見て考えるのです。
そうしますと、いまの施行期日の問題は、これは、当然見てなかったということでけっこうでございますが、いわゆる酒類の値上げによる減収額は、これは私は、いままでの経過からいうならば、昭和四十二年度の酒税収入にしろ、先日主税局長は、大体現時点において四・九%――五%は予算額よりも割るのじゃないか、こういうお話でございましたね。そうしますと、それが当初予算に対して約九十二億ですか、補正後にしますと、何と二百八十九億、約三百億ぐらいの減収になるのですね。そういう、かりに四十二年度の減収額を、あなたが認められたように、約三百億の減収とした場合に、四千三百億の酒税の歳入額になります。それと四十一年度の、いまも申し上げましたような、いわゆる予算額を割った、補正で落としたのだけれども、まだそれよりも売れ行きが悪くなった、そういう状況のもとに、私は、昭和四十二年度を四千三百億の歳入額に見た場合でも、ことしの五千五百億の改正案によるところの税収はどうかと思うのですが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/155
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156・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 四十一年度の欠損を生じた分は、もちろん実績が出ておりますから、そこは見込んで落として、換算しておるわけであります。
四十二年度は、見込んだときは、その実況が出ておりませんので、若干見過ぎていたという気持ちでありますが、四十一年度の実績を勘案いたしましてやっておりますので、いまの段階では、まあ心配がないということで申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/156
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157・田中昭二
○田中(昭)委員 そうですから、四十二年度の歳入はそれでいいと思うのです。先ほどから話しましたように、いわゆる四十三年度の手持ち品の課税に対する二十億の明細もはっきりしない。いいですか、値上げによるところの減収額というものもはっきりしない。手持ち品の課税の二十億というものが出してある以上は、それはちゃんとある程度の積算の基礎もあって、それがいわゆる予算見積もり書には、前年の課税実績をもとにしてとか消費状況を勘案してと書いてあるのですから、当然そういう売れ行きの悪い状況と、それにプラスの酒の税金が上がることによる値上げの部分、上がることによって起こるところの売れ行きの低下ということも勘案してみなければ、これは本年度の予算が総合予算で補正も組まないということになりますと、私はここだけの問題ではいけないのじゃないかと思うのです。実際それは四十四年のいまごろになってみますとはっきりしますよ。そのときになって、そういうものが見てなかったために総合予算がくずれるということになるならば、これは問題だ、私はこう言っておるわけです。
まあこういう議論をしておりましても時間がたつばかりでございまして、時間がありませんから次の問題に移ります。
酒の小売り業者の免許、いわゆる新規小売り店舗の問題でございますが、これもいろいろだくさんの問題がございます。これまたやっておりますと時間がございませんが、一言だけ聞いておきたいと思います。これはひとつ政務次官も十分聞いておいていただきたいと思います。
いわゆる酒の消費される量というのは、そう前の年の三割も四割も抜くということは考えられない。それにもかかわらず小売り店舗というのは毎年二千軒、三千軒ふやしていく。これは行政指導の上において、こういう人口問題もございますし、しかたないと思うのですが、このような状況で、今後長期的な計画に立った場合に、小売り業者がだんだんふえまして――酒のマージンというのは、これは政府の指導で、一定限度変わりません。酒であれば、平均して、荒のもうけが一割くらいしかない。そのもうけは変わらないのに業者はどんどんふえて、そのふえる量はもう無制限に、年がたつにつれて大きくなっていく。ところが、消費量というのはそうふえない。そうなってくると、また結局小売り店舗の一番零細業者が苦しくなってくる。これは常識的に考えてもわかると私は思うのです。こういう問題に対してどのような長期的な計画があっていまの小売り店の免許を許可してあるのか、それが一つです。
小売店免許の問題につきましては、いろいろな問題がございます。これはまた国税庁のほうに、私こまかくお尋ねしていきたいと思います。ただ、ここで申し上げたいのは、その小売り店の免許を許可する問題について、いろいろな社会不安を起こしておる。といいますのは、一つの例をあげますれば、ある県の警察の捜査課長をしておる人がいよいよ退職することになりまして、奥さんが酒の小売り店の免許申請をした。そうしますと、小売り店免許については一定の条件がございます。いわゆる酒を売ったという経験がなければならない。ここでは詳しく言いませんが、何とその経験が、戦時中に――戦争中というのですからもう二十何年前ですが、奥さんが酒屋の手伝いをしておった、正確には何年しておったかわからない、そういう人に免許がおりておる。その事実については、許可した官庁のほうでは、そのように経験があると認めました、それから、それによって困っておる業者のほうは、それは全然うそです、こう言っているような問題があるのです。私がここで申し上げたいのは、そのように許可制、免許制度が一つのいろいろな問題を引き起こしているわけです。その市の市会の選挙の問題、政治的の問題、それに発展している。また、そこには中間的に小売り商組合というのがある。組合のほうも初めはいろいろ味方してくれたのですけれども、そういう県の警察部長でしたか、部長というそういう政治的な何かつながりがあって、とうとう小売り商組合のほうもさじを投げてしまったというようなことになりました。
そういう問題を私、少し調らべてみましたところが、毎年免許を許可する何千軒かの中の一人一人を見てみますと、ものすごい不合理があり、矛盾がある。たとえば法人にしておりまして、何の経験もないけれども、法人の一つの役員である、その酒類販売業に関係があるということで、免許がおりる、いろいろな問題があるわけです。それで大体何千軒かの許可がおりるその人たちのいわゆる経験年数といいますか、そういうものは一つも公表されないですね。そういう問題で、これは大きな問題だと私は思うのです。ですから、こういう問題を、許可を与える場合には何かそこに中間的な、第三者的な審議会とか、そういうものがあってもいいのではないか、これは私の試案でございますが、そういうふうにも思います。これは時間がありませんから、後ほどすることにいたしまして、そのような免許制度を今後残していく場合に、さっき申しました第一点の問題から今後の検討事項にしていただきたいと思うのですが、政務次官、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/157
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158・泉美之松
○泉政府委員 いま酒類の小売り免許についてのお話がございました。製造業者の場合と違いまして、小売り免許の制度は昭和十三年から導入された制度であります。この免許の問題はなかなかむずかしい問題であることは御承知のとおりだと思いますが、私どもといたしましては、大きな方針といたしましては、現在小売り免許を受けておりますものが十二万余りおりますが、それは戦前小売り免許を受けておった業者の数からいいますと――御承知のとおり、これは戦時中企業整備などもございまして減った関係があるわけでありますが、戦前の数字に比べると、まだそれに達しておらない。したがって、年々基準をきわめているわけではございませんけれども、結果的に見ますと、二千軒程度ずつ小売り免許がここ数年ふえております。それでもまだ戦前の数字に達しておらないという状況でございます。私どもとしましては、お話しのように、小売り業者が一定数量売るのでないと利潤の確保ができませんから、したがって、その地域で特に業者が不足で、そのために住民が不便を感じているというような場合は別といたしまして、免許をおろす場合は、できるだけ、人口が増加する、たとえば団地ができたために急激に人口がふえた、そういった場合には既存の業者だけでは住民が不便になりますので、その団地に近いところに免許をおろす、こういうことを方針としてやってまいっておるのであります。いまの酒全体として見ますと、年々やはり一〇%まではまいりませんけれども、六%程度から八%程度はふえてまいる。しかもビールのごときは、年によって若干の変動がございますけれども、四十二年中におきましては十三・六%も伸びておる。こういう点からいたしますと、やはりある程度住民の便利という点から考えると、小売り業者をそういった人口のふえたところではふやしていかなくちゃならぬだろう。ただ人口がふえないところでは、それじゃ免許を取り消すかということになりますと、これまた問題があります。免許を取り消すわけにはまいらない。そういうことから、全体として年々二千軒程度業者数がふえております。しかし、それによって業者が立ち行かないというようなことにならないように、十分配慮してまいっておるつもりでございます。
それから、いま具体的な事案についてのお話がございましたが、おことばでは、何か警察部長とかなんとかいうようなお話がございましたが、別段そういう人の奥さんだから免許をしたということではございません。私どものほうでは、御承知のとおり酒税法第十条に適格条項というのが定められておりまして、この十二の条項に該当するものに対しては免許を与えることができないわけでございますが、免許の申請をするものは、もちろんそういった十二の条項には該当しないものであります。そこでだれに免許したらいいかという点から、人的要件といたしまして、酒の販売についての経験があること、あるいは資金を持っておって酒の販売をうまくやっていく能力があるということ、それから地理的条件といたしまして、酒屋同士の営業所があまり近過ぎないようなこと、それから第三といたしまして、需給上の要件といたしまして、その地域における酒の消費が、新しく一店舗を認めてもお互いに利潤をある程度確保できるような規模で消費が行なわれておること、こういったような条件をよく勘案して免許を下すことにしているのであります。
いまお尋ねの点につきましては、酒類販売の経験年数という点で一定の基準をきめておるわけでありますが、これはもちろん絶対的なものではございません。できるだけ優先順位をつける関係からいたしまして、酒類の販売経験が一定年数以上あることが望ましいというのでありまして、具体的なお話の事案の場合には、その経験年数が若干不足しておった、それに対して免許を付与したために、他の業者から文句が出ておる、こういうふうに聞いておるのであります。そういう点からいたしますと、経験年数が一応きめておる年数に若干不足したということをもって、すぐにその免許が違法な免許というわけにはまいりかねるのであります。もちろん新規免許することによって、既存の業者がどういう影響を受けるかというようなことは十分考慮して免許をしなければなりません。また、政治的な力とかいったようなものに押されることのないように、十分適正にやっていかなければならないことはお話のとおりでございますが、私どもといたしましても、今後ともそういう点において小売り免許のやり方については考慮いたしてまいりたいと思います。
なお、小売り免許について適正を期するために審議会を設けたらどうかというようなお話、まことにごもっともではございますが、どうも過去の経験からいたしますと、そういう審議会を設けますと、むしろその委員になった人が非常に迷惑する、お互いに引っぱり合いになって非常に困るといったようなお話がございますので、そういった審議会を設けるかどうかにつきましてはなお十分慎重にしなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/158
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159・倉成正
○倉成政府委員 国税庁長官から一応技術的な免許の答弁がございましたのに尽きていると思いますが、酒税は御承知のとおり国家財政の中で非常に大きなウエートを占めておりますから、製造については明治時代から、それから販売については、先ほど長官が申しましたとおり、昭和十三年の四月から免許制度をとっておるわけであります。これは、販売業者というのは、酒が製造場から移出されて消費者の手に渡るまでの流通部門を担当している、いわば酒税の中間の徴税機関、こういう性格を持っておるために、乱立を防止してその取引の混乱を防ぐ、また、酒税の徴収について不安のない監督を行なう、こういう立場をとっておることは御承知のとおりであります。しかし、先ほどからのお話のように、非常に人口の移動が激しい、団地などが急激にできるということで、免許が最近非常に多くなっている。その辺のところが普通の状態と若干違う。その問においていろいろ御指摘のような問題が起こる可能性があるということは、われわれもこれから十分注意しなければならない。したがって、だれが見ても適正であるというような免許のやり方をやるように、これからもひとつ十分指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/159
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160・田中昭二
○田中(昭)委員 いまの私が具体的な例を申し上げたことについては、後ほど別の委員会でお話ししていきたいと思います。
時間もございませんので、同僚委員の方の約束の時間がございますからやめますが、きょうは残念ながらたばこの問題については入りませんでした。いま酒の問題についても、まだ約二、三割の質問が残っておりますが、この次にさしていただくようにお願いしまして、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/160
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161・田村元
○田村委員長 次に阿部委員の質疑に入るのでございますが、参考人として松隈税制調査会会長代理が御出席になっております。
阿部助哉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/161
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162・阿部助哉
○阿部(助)委員 まず、一番最初に専売公社の総裁にお伺いをしますが、公社は国民のために、たばこを国民の需要にこたえてできるだけ安く、またその供給を確保するという大きな使命を持っておると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/162
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163・東海林武雄
○東海林説明員 お説のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/163
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164・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうしますと、この供給を確保するということが大事であるが、それが、いままでの論議の中でもありましたが、財源確保のために吸ってない人たちにもたばこを吸わせるとか、吸っている人にさらによけい吸わせるというような宣伝はいまはやっておらないと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/164
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165・東海林武雄
○東海林説明員 そういう吸ってない人に吸わせるというような宣伝はやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/165
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166・阿部助哉
○阿部(助)委員 公社は、年間今度は大体二千五十億本ですか、という大きな見込みを立て、販売金額も七千億をこえるというようなことであります。また、これを吸っておる成年男子が八十何%、あるいはまた女子が一八%というような、非常に多くの人たちがたばこを吸っておるということになってくると、このたばこというものは、急にこれをなくするということはもうできない状態だ、こう思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/166
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167・東海林武雄
○東海林説明員 お話にございましたように、成年男子の八三%、成年女子の一八%程度が喫煙者でございます。しかも、最近需要の鈍化は来たしておりますけれども、この伸び率というものは現在でも五%程度以上に伸びております。そういうことからいたしますと、これは急激に減少してくるということは考えられないのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/167
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168・阿部助哉
○阿部(助)委員 戦争中のあれだけ物資がなくなった、また一方では物資を節約しなければいかぬというときですら、たばこは確保し、めんどうくさい手続をしながら配給をしてきたということを考えると、もういまの時点では、これは生活の上で必需品と、こうみなさざるを得ないのじゃないかというふうに私は考えるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/168
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169・東海林武雄
○東海林説明員 たばこは、お説のとおりに嗜好品ではございますけれども、国民生活の中に非常に密着しております嗜好品でありますから、ある意味におきましては、必需品的な性格を持っていると申しても差しつかえなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/169
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170・阿部助哉
○阿部(助)委員 米にしたところで、何もそれを食わないから死ぬというわけではありませんし、パンにして生きていくこともできる。また、吸わない人にとってはたばこは何も必要でないかもしれぬが、全体の国民的立場で見れば、もうたばこというのは、今日の時点では私は必需品だ、こう思うのですがどうですか、もう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/170
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171・東海林武雄
○東海林説明員 重ねて申し上げるようですけれども、これは厳密にいいますと必需品ということはいえない、かように思いますが、生活の密着度からいきますと、たばこを吸っている方がなかなかやめられないということから見ましても、ことばの上で、変でありますけれども必需品的な性格を持っている、こういうようなことは言い得るのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/171
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172・阿部助哉
○阿部(助)委員 大臣にお伺いしますが、これは必需品であるかどうか、必需品というのは一体どういう定義づけをするのかということになると、いろいろ御意見があると思うのですが、いまのようにたばこというのは嗜好品であるかもわからぬが、もうなくするわけにいかないという点では、必需品あるいはまたそれに近いものだというふうに、いま公社の総裁もおっしゃっておるのですが、大臣のお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/172
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173・水田三喜男
○水田国務大臣 嗜好品でございますが、一ぺん嗜好すると、やはりなかなかやめづらい嗜好品だというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/173
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174・阿部助哉
○阿部(助)委員 私のお伺いしておるのは、個人的な問題じゃなしに、国民全体という大きな面から見た場合には、もうこれはなくすることができないのじゃないか。それならばそれにいたしまして、非常に多くの人たちが吸っておる、なかなかやめることができない。その証拠は、戦争中も、国があれだけの戦争をしながらもこれをなくすることができなかった。また、いまの専売法を見ましても、どうしてもそれを吸う人には、何か輸入も特別に認可制をとっておる。普通は許可を受けた営業をする人が輸入をしておるようでありますが、健康上欠くことのできない製造たばこについては、その自用者は、公社の許可を受ければ輸入もできるというふうに認めているあたりを見ますと、私はこれはもう必需品とみなさざるを得ないのではないか、こう思うのであります。大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/174
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175・水田三喜男
○水田国務大臣 いま言いましたように、一ぺん嗜好するとなかなかやめられないというものではございましょうが、そうかといって、そう無理に奨励すべきものでもございませんので、やはり本質は嗜好品ということだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/175
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176・阿部助哉
○阿部(助)委員 私がこれをしつこくお伺いしますのは、私はこの前本会議で、これが提案されたときに大臣に質問いたしました。そうしたら、大臣は冒頭にこう答えています。「間接税は逆進性を持っておりますので、日本におきましては、日常空活必需品にはただいま間接税を課税しておりません。」こう断定しておられるわけです。これは大臣、委員会においてもそうでありますし、本会議の答弁においても、私はどうも合点がいかない問題が多いのでありますが、いまここで、これは速記録でありますが、これのとおりいまでもそうお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/176
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177・水田三喜男
○水田国務大臣 日本では御承知のとおり、日常生活に必要な必需品というようなものに、無差別に間接税をかけるというような税のかけ方はとっておりませんで、物品税という形で、特別ぜいたくなものとかそのほかのものへ税をかけるという形をとって、いわゆる逆進性というものを避ける方法を日本はとっておる国でございます。酒、たばこは、これは御承知のように、昔から嗜好品として特に大きい税金をかけて財政に寄与させるということが、各国でもこういう制度を採用していて常識的なものになっておるので、これは、そういう意味から例外として扱うべきものだと考えておりますが、概して日本は、いわゆる生活必需品というようなものには課税しない方針をとっておるということは、間違いないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/177
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178・阿部助哉
○阿部(助)委員 そう長くおっしゃらないで、外国との比較はあとでお伺いしますからあれですが、端的に言ってください。物品税というのは間接税じゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/178
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179・水田三喜男
○水田国務大臣 これは間接税でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/179
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180・阿部助哉
○阿部(助)委員 だから、そうしますと、本会議で言っております、さっき読み上げましたように、「日本におきましては、日常生活必需一品にはただいま間接税を課税しておりません。」こう断定しておられるわけです。私はこれは間違いじゃないかと思う。たとえば、砂糖はこれは必需品じゃないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/180
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181・水田三喜男
○水田国務大臣 そのことばは無差別に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/181
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182・阿部助哉
○阿部(助)委員 いや、無差別にと書いてないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/182
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183・水田三喜男
○水田国務大臣 だから、そういう意味で言ったことばであります。舌足らずだったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/183
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184・阿部助哉
○阿部(助)委員 舌足らずだとおっしゃれば、これは何ともしようがないのですが、どうも私はこの委員会でも本会議でも、ことに本会議等は、再質問というのがなかなかありませんから、そこで言いっぱなし、答えっぱなしという中ですから、なおさらにそうだと思いますのですが、どうも答弁が的をはずれておったり、場合によれば、故意にいいかげんだと思われるような答弁が多いわけでして、私はたいへんそういう点では遺憾だと思うのです。
大臣のこのくだり、さらにその次にも、まだ私は非常に不満な点があるわけであります。「もし課税しておる物資がございましても、生活必需品と認められる一定の」云々とこうおっしゃっておるのですが、「もし課税しておる物資がありましても、」とおっしゃるとなると、この質問をした三月五日の時点では、大臣は間接税をかけておる物資をお知りにならなかったんじゃないか、こういう感じがするのですがね。これじゃ大臣として少しどうかと思うのですが、それはどうなんです。大臣御存じなかったんですか。間接税をかけておるのを御存じないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/184
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185・水田三喜男
○水田国務大臣 マッチか何かの話でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/185
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186・阿部助哉
○阿部(助)委員 いや、一般論で私、言っておるのですが、日本においては間接税をかけません、「もし課税しておる物資がございましても、」云々と言っておるのですが、もしかけておるならと言ったって、酒だってガソリンだって私は必需品だと思うのですが、課税をしておる。ところが、大臣のここに載っておる答弁は、「ございましても、」というような答弁なんですよね。まことに何か人をばかにしたというか、とぼけたというか、そういう御答弁としか私には受け取れない。これは国民に対してお答えになっておるのだ、こういうことになると、ますますこれはもう一ぺんたださざるを得ないという気持ちに私はなるわけです。それは大臣もとっさの質問で、とっさというか、あそこの質問でお答えになるのですから、一々あげ足をとろうとは思わぬけれども、しかし、この答弁はあまりにも的をはずれたというか、失礼だけれどもおそまつな答弁だ、こう私は思わざるを得ないのです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/186
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187・水田三喜男
○水田国務大臣 それは私の頭にいわゆる付加価値税というようなもの、欧州でとっておる間接税――必需品でも何でも全部無差別に間接税をかけている、これを頭に入れておりましたので、いろいろそういう発言になったんじゃないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/187
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188・阿部助哉
○阿部(助)委員 私、あげ足とりみたいな形になってもいかぬので、その点はこれ以上あれしませんけれども、お願いをしたいのは、やはり国民のために質問も答弁もお互いに真剣に受け答えをしていっていただきたいと思います。大臣これをひとつ一ぺんお読みになっていただくことを私は希望を申し上げておきます。
大臣、たいへん忙しくて参議院のほうもあるそうですから順序立てて、あとでお伺いしたい問題がございますけれども、それを先にお伺いしておきたいと思います。
本会議で、酒の税金が今度こうやって上げられるという場合、酒屋の業者からはいろんな原料米の値上げであるとか生産コストの、労働賃金の値上げだとかいろんな理由でいま値上げをしてくれという運動が行なわれておることは大臣もお認めになりましたね。それでなるたけ上げない方針で検討する、こうおっしゃっておる。だけれども、このいまの情勢の中で私は少しは上げざるを得ないんではないかという感じもするわけです。そうしますとやはり国会で、また国会の論議の中で、私はこの方針をある程度出すべきだ、こう思う。何かいままでの、たとえば、余談のようですが、インドネシア借款だとか、そういうようなむずかしい問題になると、国会がある問はほおかぶりをしておいて、国会が終わった時点でこれをばたばたとやってしまうという例がいままで多過ぎるわけです。これはやはり国会というもの、また民主政治というものからそういうことははずれるんではないかという点で、私はもうここへくれば大臣の方針もある程度腹ができておるだろうと思うのでありますが、この問題は検討するということで三月の五日の時点ではおっしゃっておったわけですね。いまどんな方針でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/188
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189・水田三喜男
○水田国務大臣 あのときに申しましたが、いまの業界のいろんな陳情や何かは便乗値上げという性質のものではない。原料が上がり、労賃が上がっておる関係で、今度の税制の改革はなくても、もう独自に主張しておった、要望しておったことでございますので、今度の増税に便乗した要求とは私は思わない。だから、ある程度の理由があるんだ。理由がある以上はこれはやむを得ないものと思いますが、ただ問題は、この前にも物品税の全面的な改正を取り扱ったことがございましたが、やはり税がかわった場合には上がった税だけがやはり当座に物価にはっきりあらわれてくる。それに余分なものが加わってくるということは好ましくないということで、この前は税が上がった分だけ物価が上がるのはいいが、これに便乗してくれるなということでずいぶんきつい指導をいろいろしたことがございますので、今回も税が上がってもそれと混同されるようなことを避けたいということを考えておっただけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/189
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190・阿部助哉
○阿部(助)委員 大臣のお話はわかるのですが、しかし、いまのように現実にもうかり過ぎておるということでいけないというならそれもわかります。また、上げにゃいかぬのだ、ただ税金と混同されて国民に疑惑を与えるのは困るということならばそれもわかります。しかし、上げにゃいかぬものならば、こういう席上で国民の前にはっきりさせるということが、国民の理解と協力を得る道じゃないか。ところが、国会というものが終わってしまってからもやもやとして上げられては、これは国民をも無視し国会をも無視することになるのではないか。上げるなら上げるで、ここでぴしゃっと方針を出す。そうすれば私のほうは物価問題との関連でものは言いますけれども、上げにゃいかぬものならしようがない。そういう点で検討する検討すると言いながら、ただ国会での追及をのがれるために、国会が終わってからやるというやり方が私は気に食わない、こういう気持ちでお伺いしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/190
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191・水田三喜男
○水田国務大臣 検討するということばもあまり適切なことばでなかったかもしれませんが、これは自由価格でございまして、いま政府が統制することのできない価格でございますので、そこでこれを上げるとか上げないというようなことは、いまわれわれの側から言えない、こういう事情にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/191
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192・阿部助哉
○阿部(助)委員 いや、その点は統制令がなくなっておるのですから、何も大蔵省が決定するんじゃない。そうすると何で業者は陳情などといって運動をするのですか。
〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
実際は大蔵省というところが、酒税の関係、いろいろな認可の問題、いろいろな点でやはり行政指導しておられるから、ある程度の皆さんの御意向を伺わないと、業者はきめかねておるというのが実情じゃないですか。私も酒の小売り価格を統制する法律がないということは調べて、お伺いして存じております。だけれども、それじゃ運動するということはどういうことなんですか。だからその辺で、大体大蔵省の方針としてはこうだというぐらいのことが言えないのか。そうしなければ、どうも国会というものはから論議をしている場所だ、こういうふうにしか私には考えられない。その点は私もわかっておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/192
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193・水田三喜男
○水田国務大臣 私どものほうでは、できるだけこういうふうにしてくれというような要望をいままで出しておった関係で、向こうは届けてくればいいことになっておるのです、が、こちらで受け付けないというようなこともやっておりますので、そこで実情を訴えるという行為が出てきているということでございます。早晩いずれにしてもこれは実情から見て、一定の値上げはこれは無理からぬことと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/193
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194・阿部助哉
○阿部(助)委員 できるだけこうしてくれというのは、大体いまここで大臣からこの程度と言うとそれが既成事実になるから、できるだけ上げないように、しかし何ぼかの要求を聞かにゃいかぬ、こういうことですか。たとえば業者のほうからは、少なくとも大体四十円ぐらい上げてくれ。私の聞くところによると、大蔵省のほうは何とか三十円ぐらいにおさめたいということらしいのですが、その辺はいまそれを言うと、業者との交渉がむずかしくなるから言えないということなんですか。何ぼかは認めざるを得ない。だけれども、交渉だからその辺で何とか多少安く押えたい、こういうことなんですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/194
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195・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これも所管外の発言になって恐縮でございますが、国税庁では御承知のとおり、いま大臣が言われましたとおり、本来自由な価格ではございますけれども、何と申しましても免許のもとに製造している酒類でございますし、適正な価格ということを実現するようにいろいろと指導を加えておるのが事実でございまして、今回も昨年の米価の引き上げによって、それから計算いたしますと七、八円の増加がございます。それと生産性その他を勘案して、この酒造年度のちょうど終わりに近づいておりますが、実績をとって検討しているわけでございます。私の聞いたところではまだ検討が最終的に終わっていない、したがって幾らという額を国税庁として判定する段階にまだ立ち至っていないということで、もう少し様子を見ておるということであり、まだ結論が出ていないというのが真相のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/195
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196・阿部助哉
○阿部(助)委員 それはいつごろ結論が出るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/196
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197・佐藤健司
○佐藤説明員 現在コストアップによります値上げの点につきましては、生産者、卸、小売り、それぞれ相当な額の値上げをしたいという気持ちを表明しておりまして、これを合計いたしますと、二級で四十七円何がしになるというような、そういう計算になるような状態であります。私のほうとしましては、昨年の九月あるいは十月ごろから醸造をいたしております酒の原価というものがどの程度になっておるか、参考として現在いろいろ検討いたしております。これはできるだけ早くやりたいと思っておりますけれども、何しろ資料が相当な社数にのぼるわけでございますので、まだ相当な時日を要するというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/197
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198・阿部助哉
○阿部(助)委員 相当な時日なんというようなことで、一年ほったらかしておくわけじゃないでしょう。それをいつごろかと聞いておるのです。そんな正確な日にちを幾日ということじゃないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/198
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199・佐藤健司
○佐藤説明員 これは私ども参考的な資料として現在いろいろ検討を続けているわけでございまして、価格そのものはやはり自由価格のたてまえになっております。その問題とは別に切り離して、私どもとして参考的にいろいろな検討をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/199
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200・阿部助哉
○阿部(助)委員 あなたそこにおられて、いままでの論議を聞いていないのですか。何を聞いておったのです。いままで私が言っておるのは、大臣も言っておるように、統制令はなくなったのだからやろうと思えば無理すればやれるのだろう。だけれども、陳情したり運動したりしながらやっておるのは、皆さんのほうで産業指導というか行政指導をやっておられる。そこで、皆さんの御意向を全然無視して酒屋さんがやるわけにいかないから話し合っておる。だから皆さん検討する、こう言っておるのでしょう。それだけでは、皆さんも検討も何もしなくていいじゃないですか。法律がないから関与しないのだ、こうおっしゃるならば、何も私はそれは聞かないし、酒屋さんも運動しない、話し合いをしないでしょう。その話し合いをいままでやっているんだ。時間つぶしのようなそんな答弁をしないで、もっと的確な答弁をしてくれなくちゃ困るんだ。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/200
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201・佐藤健司
○佐藤説明員 できるだけ早くやりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/201
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202・阿部助哉
○阿部(助)委員 できるだけ早くというのはいつごろかと言っているんだ。(「はっきり答弁しなさい、重要な問題だから政務次官か大臣が答弁だ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/202
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203・毛利松平
○毛利委員長代理 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/203
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204・毛利松平
○毛利委員長代理 速記を始めて。
佐藤間税部長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/204
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205・佐藤健司
○佐藤説明員 いままで出ておりますいろいろな生産者、卸、小売り、それぞれのものは、これは組合の中央会としてまとめたものでございます。実際に値上げをいたしますのは個々の業者になるわけでございますが、そこで、私どもとしては現在のいろいろな低物価政策の問題もございますので、やはり企画庁その他に説明をいたす必要もございます。そういう点でいろいろと参考資料として検討いたしておりますが、値上げそのものは個個の業者が役所のほうに一応届け出という形をとっておりますが、そういうことで値上げをいたすことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/205
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206・阿部助哉
○阿部(助)委員 それではそういう個々の届け出があれば、大臣としては何ぼかは上げざるを得ないというお気持ちでおられるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/206
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207・水田三喜男
○水田国務大臣 届け出て、届け出を受け付ければ、そのとおりの値段になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/207
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208・村山喜一
○村山(喜)委員 関連。
ただいまの問題は、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の第四十二条の事業の中身に関する問題だと思うのです。それによって届け出の方式をとることになるわけですが、「組合員が販売する酒類の販売数量、販売価格又は販売方法に関する規制」こういうようなものを酒類業の組合は事業として行なうことになっている。その場合に、いま質問がありましたような内容のものについて届け出がされて受け付けたら、もうそれでやむを得ないのだ、こういう態度で望まれるのか。それとも、この前企画庁長官は、物価対策特別委員会の席で、ビールの値上げは、三円ほど値上げをしたいという業界の要請に対して、それを認めません、それについては、三円で二百億の利潤がメーカーのほうに渡ることになる、そういうようなことで、今度は税込みで百二十七円ということになるけれども、それを百三十円にしたいという業界の要望にはこたえることはできません。これはそういうような申し出があっても、これを押えつけるように努力をいたしますということを答弁しているわけです。これに対して大蔵大臣としてはどういう感覚で指導されるかということが大事なことだと私は思うのです。その点を明確にお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/208
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209・水田三喜男
○水田国務大臣 いま申しましたように、届け出があったらこれを受け付けざるを得ないということになりますと、もう指導の余地も何もないということになりますが、そうじゃなくて、実際問題としましては、いま国税庁で言われましたように、いまの物価問題もございますし、また、そのコストアップの実情から値上げが多過ぎるというような問題は、これは指導して避けなければなりませんので、そういう点で、組合が言ってきたものについて十分検討、指導をする。やはり一応そういう大蔵省の裏指導というものが行なわれて、その後に個々の業界の届け出というようなことが実際問題としては起こってくるということになってくるだろうと思います。したがって、私どもは手放しではなくて、できるだけそういう面の指導をするつもりでいまやっておるというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/209
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210・阿部助哉
○阿部(助)委員 大臣にお伺いしたいことが一ぱいあるのでありますが、参議院のほうのあれがあるそうですから、やむを得ず、じゃ次官にお伺いしますが、酒、たばこは特に逆進性が強という点は、もうたびたび質問が出、述べられ、そうして皆さんのほうもこれを認められておりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/210
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211・倉成正
○倉成政府委員 酒、たばこ等の物資については逆進性があるということは認めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/211
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212・阿部助哉
○阿部(助)委員 それを認めておられて、なおかつこのように高い税をかけるということは一体どういうことなんですか。こういう形で間接税を広げていけば、税の体系というものがくずれるのではないですか。これは松隈先生もお越しになっておられますが、税調の中間答申では非常に明快にこれを述べておられるわけです。ちょっとその大事なところだけ読みましょうか。「所得税を中心とし相続税を補完税とする税制の所得と富の再分配機能は応能分担の原則からいっても高く評価さるべきであるし、」云々ということで、これはこの答申だけじゃなしに、税金の本というものを見れば、どの本にもみんなこのことは書いてあるのです。その原則は、間接税をだんだん広げることによって税の体系がくずれる、こう思うのですが、あえてそれをこうやって酒、たばこを値上げするということでくずされるということを承知の上でやられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/212
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213・倉成正
○倉成政府委員 酒、たばこだけに着目して御議論なれば、あるいはいまのような御議論が成り立つかもしれませんけれども、税制として見ますと、やはり直接税と間接税とバランスをとることが必要である、そういう意味から見ますと、阿部委員よく御承知のとおり、日本の税制は、アメリカ、イギリスを除きますと、大体ヨーロッパの各国の間接税の負担からいたしますと、日本の間接税負担は決して高くないということになっております。したがいまして、税制が逆進的であるかどうかということは、単に酒、たばこだけの税ではなくして、直接税、間接税を含めた税制全体でやはり判断すべきものと心得ております。ヨーロッパの各国で考えてみますと、付加価値税、すなわち生活必需品その他全部を含めて付加価値税がかかっておるわけでありますから、そういう意味からいうと非常に逆進的である。日本の場合には個別の消費税を、体系をとっておりますから、それぞれの物資について担税力その他きめこまかく考えましてその税率をきめておるわけでありますから、その点はこういう国々と比較すると逆進的ではない、比較的ということばを使えば逆進的でない、こういえると思う。酒たばこについて税が高いということについては、しばしば各委員の御質問にお答えいたしましたように、沿革的な、歴史的なたばこについては財政物資として成り立つ過程がございます。酒についてはやはり酒の性格上高い税が世界各国で課せられておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/213
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214・阿部助哉
○阿部(助)委員 次官のお答えは少しおかしいのじゃないですか。間接税は逆進的でないなんてことがあるのですか。これは逆進的なのですよ。ただ所得税との何ぼかのバランスがあるという点だけならば私は認めるが、間接税そのものが逆進的でない、外国に比べてどうだこうだと言われておるが、間接税そのものは逆進的ということは、これは認めざるを得ないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/214
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215・倉成正
○倉成政府委員 私の申し上げたことは、間接税が逆進的でないとは申しておりません。そういう意味じゃありません。間接税は元来逆進的なものであります。また、酒、たばこについて御質問ございましたので、これもまた逆進的であるということは認めておるわけでございます。しかし、やはり税制が逆進的であるかどうかという見地から議論すべきものではないかという考え方を申し上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/215
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216・阿部助哉
○阿部(助)委員 だから、税制全体を考えた場合に、この中間答申、これを次官お読みになったらはっきりするのじゃないですか。これはぼくだけじゃないのですよ。税金の本を書いておる人たちは、私たちが見て右寄りだと思われる人も、この点に関してはおそらくほとんど一致しておる問題なんですよ。それでこの答申にも、松隈さんお出になっておるが、税調答申はあまり好きじゃないけれども、この部分に関しては、原則に関する限りは、これはどの教科書見ても同じだ、これは認めざるを得ないのじゃないですか。それを税制全般をとってどうだこうだ、外国との比較はどうだとおっしゃるならば、外国のアメリカやイギリスやフランスと日本の国民の個々の所得を、月給取りの月給を同じにしてからおっしゃるならば私もそれは認めますけれども、月給のほうは安くしておいて、それで別のほうだけをおっしゃってみても納得ができないわけです。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/216
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217・毛利松平
○毛利委員長代理 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/217
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218・阿部助哉
○阿部(助)委員 だから、私の申し上げておるのは、この所得税を中心として相続税を補完とする税制というのは、富の再配分の公平の原則、税制の基本なんだ、こうおっしゃっておるが、これは認めざるを得ないのじゃないか、こう私は言っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/218
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219・倉成正
○倉成政府委員 税制調査会の中間答申を根拠として御議論になっておると思いますけれども、全体を通じて私も読んでおります。読んだ感じでは、やはり直接税と間接税とがバランスをとることが必要であるという思想で書かれておると思うわけでありまして、ごくその一部分だけを強調して議論するというのはいささか当たらぬのじゃなかろうかという感じがしておるわけでありますけれども、どの部分についておっしゃっておるのか、御指摘をいただくと非常にわかりやすいと思うのですが……。
〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/219
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220・阿部助哉
○阿部(助)委員 私は、その次にたばこの問題に入ろうと思うのだが、まず税制の根本は何か、当局ははっきりしておるのかどうか、それを聞きたかった。時間がありませんので私のほうから申し上げますと、これに書いてありますし、いろいろな本に書いてあるのは、一つには生活費に食い込む課税はいかぬ、元本に食い込む税金はいかぬ、公平な原則をそこで打ち立てていかなければいかぬということで、そのまとめとして、そのための税制というものは、これは所得税を中心として相続税で補完していくのが本体であって、そのほかに、今度はいろいろな問題が、そのときの政策や何かで特別措置であるとかいろいろなものは出てくるだろうけれども、原則はこれなんだということをここではっきりしておるわけです。と私は思うのですが、松隈先生、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/220
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221・松隈秀雄
○松隈参考人 税制のあり方として、直接税と間接税と比較した場合に、直接税のほうが税の理論に合っておるから望ましいということについては御指摘のとおりでございます。税制調査会も、さきの長期答申においてはその点をかなり強く強調されましたので、ただいま阿部委員がそれを御指摘になったとおりだと思います。ところが、四十一年の秋に出しました中間答申におきましては、直接税のよい点を認めつつも、現状はあまりにも直接税偏重になり過ぎておる一その例はいろいろございますが、たとえば初任給が上がったために、未成年者でありながら所得税の納税義務が発生しているのじゃないか、一方において選挙権を与えないで、一方において強制的に税を取るというような所得税のあり方になってくると、これはもう行き過ぎだから、やはり所得税が中心であり、これを補完するに相続税をもってする税制を中心とするけれども、税制改正をするとするならば、直接税減税を中心に減税を考えるべきである。その際、間接税については逆進性を認め、これをあまりに強めることは望ましくないけれども、間接税のうち従量税体系をとっておるものは、所得水準、物価水準の変動に伴って相対的に減税になっているから、そのゆがみは直しても差しつかえない、こういうふうに答申しておりますので、おっしゃること、半分は確かにそのとおりでございますが、それと同時に、いかにいい税であっも、やはり行き過ぎは困る。そして、財政需要が税によりかかってこなければ間接税の増徴はできるだけ避けたいのですけれども、財政需要があるということになってくれば間接税のゆがみを直すことによって増収をはかることもやむを得ない、というか、踏み切らざるを得ない、こういう趣旨になっておることを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/221
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222・阿部助哉
○阿部(助)委員 松隈先生、だいぶ先回りまでされたようであります。それでは松隈先生にお伺いしますが、四十三年度の答申の二ページ、これの下から五行目からいろいろお書きになって、分析すると、私、五つの項目になると思うのですが、財政硬直化は時間がかかるからこうだとか、国債発行のあれを云々だとか、いろいろなことをおっしゃっておる。そこで最後に「この際としては、他の租税について増収を図ってこれに対処することもやむをえない」こうおっしゃっておるが、この場合の「他の租税」というのは今年は大体酒、たばこをさしておられたわけだと、こう思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/222
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223・松隈秀雄
○松隈参考人 四十三年度の答申においては、その意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/223
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224・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうしますと、私一つ一つ聞く時間がありませんのであれしますが、たとえば「国債発行額の縮減が財政の健全性を保つために優先的にとられねばならない措置」と考えたとすれば、こうなっておるのですが、国債発行とたばこや酒の増税というものはどういう関係があるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/224
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225・松隈秀雄
○松隈参考人 税制調査会が政府から諮問を受けておりますのは、経済の安定成長に資する税制を考えてほしい、したがって、四十三年度の財政経済の状況はどうあろうかということを念頭に置いて、しかも一昨年の暮れに出した長期税制のあり方も頭に置きつつ立案をした、こういうわけであります。したがいまして、四十三年度の特色といたしましては、もう私から説明するまでもなく十分御存じのところでありますが、自然増収が約九千五百億円あるけれども、財政の当然増の金額が相当多い。一方現下の財政経済の情勢からいえば、国債の発行額はできるだけ減らすほうが財政の体質改善上望ましい、こういう情勢になりましたので、実は事情を申し上げますと、先ほど申し上げましたような事情でありますから、税制調査会はまず所得税の課税最低限は是が非でも実行したいというのを先にきめたわけであります。そうすると、千億円以上をこえる金が要るのですが、それが自然増収でまかなえるというのであれば、酒、たばこの増税、もしくは値上げに当たる部分はあるいは見送る、もう一年待つというようなことも考えられたのでありますが、財政需要がどうしても財源を必要とする、そうなれば四十三年度の財政の健全化ということを頭に置きつつ、そして先ほど申し上げた酒の税については、相対的な負担率の軽減をしておる。一方たばこについても、やはり同様の事情があるということから、酒についてある程度の増税をはかる、それからたばこの価格についても、これは引き上げてもやむを得ない、こういう結論を出したという事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/225
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226・阿部助哉
○阿部(助)委員 あなたの話を聞いていますと、国債を減額する、だから財政のあれがまかなえなくなるからこっちをふやす、こういうことでしょう。そうすると、この国債は建設国債ではなしに赤字国債というふうに断定せざるを得ないじゃないか。名前はなるほど公共事業費のワクのうちで国債を出したとかなんとかいっておるけれども、実際はいまの論法からいえば、私はこの考え方は赤字国債と建設国債との区別はもともとない、私はそう思っておる。案の定いまの一お話からいえば、これは赤字国債だという観点でおっしゃっているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/226
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227・松隈秀雄
○松隈参考人 税制調査会は直接国債の発行額を議論しておりませんけれども、税制調査会が結論を出します前に、政府の諮問機関であるところの財政制度審議会というのがございます。これが財政の規模はどの程度に押えるべきであるか、国債の発行額は六千億程度にとどむべきである、そしてこの際減税をするならば、一方に増税をして、増減税差し引きゼロが好ましい、こういうような答申も出されて、これは権威ある政府の諮問機関が財政制度について審議をした結果の結論がそう出ておりますので、それを相当参考にして、一方において減税をしたけれども、増収もはからざるを得ない。その場合に何に目をつけるかといえば、先ほど来申し上げたとおり、物価水準、所得水準に比べて相対的な負担率の下がっているものを上げるという以外に手はないな、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/227
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228・阿部助哉
○阿部(助)委員 まあおたくのほうは権威がなくて財政何とかいう権威があるのが先に出たからそれに従うというお話でありますが、次官、それでは税制調査会というものは何のためにこれはつくってあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/228
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229・倉成正
○倉成政府委員 税制調査会は総理府の機関として設けられておりまして、内閣総理大臣の諮問に応じて租税制度に関する基本事項を調査審議するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/229
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230・阿部助哉
○阿部(助)委員 それはわかるのですが、何といいますか、たとえば世論をお伺いするためであるとか専門家であるから意見を聞くとかいうことで委員が任命されておると思うのですが、この委員の任命はどういう観点で任命をしておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/230
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231・倉成正
○倉成政府委員 各界各層の学識経験者をもって充てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/231
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232・阿部助哉
○阿部(助)委員 その学識経験者というのにもいろいろありましてね。ここで世論を聞くというならば、国会の論議を十分聞いてむしろきめるべきだ。専門家であるというならば――まあ私、時間がないからしゃべりますけれども、専門家であるというならば、ここにどれだけの資料と調査機関を持っておるのか、私はほんとうはお伺いしたい。私が、調査会はどういう形で資料を集めてどうなんだと聞いたところが、これは個人的に聞いたわけですが、主税局のほうが資料を出して御検討願っておりますとこういうことになっておる。大蔵省にこれだけのメンバーがおって、しかもこれだけの者がおって、専門家が不足だとは私には思えない。世論を聞くというならば一番いいのは国会じゃないですか。そこで特別措置をもっと減らすべきである、交際費にはもっと課税すべきであるという意見が、もう昨年私がここへ当選して来てからこの委員会で一番よけい発言されておる。そういうものは一つも聞かないで、これは世論を聞くということには私はならぬと思う。専門家であるということならば、専門家はおたくには一ぱいいるでしょうが。何で国の金を使って調査会のようなものをつくらにゃいかぬのですか。私はその意味がわからない。それは何か内閣の設置法によって云々という形式的なことじゃなしに、内容はどうかと聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/232
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233・倉成正
○倉成政府委員 税制調査会の委員の皆さん方、それぞれのやはり専門家であるし、またそれぞれの御見識を持った方でございます。したがって、そういう方々の御意見を十分承って、税制のあり方について御検討いただくということであります。もちろん、国会でいろいろ御議論をいただいたことはこれは十分参考にして、この税制調査会と相まって税制について遺憾なきを期すべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/233
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234・阿部助哉
○阿部(助)委員 まあ私、この問題あまり深く入りませんけれども、おたくからもらった資料を見ても、八つも九つも審議会に一ぱい入っておるわけです。これは予算委員会や何かでもありましたから私は申し上げませんけれども、こういう形である。その審議会が世論を代表したような形で受け取られておっては、むしろ国会は何のためにあるのかわからなくなってしまう。国会ではなるたけ、私が先ほど言ったように、いいかげんな答弁をして時間がたてば採決に入る、そういうことで法案ができていくのではこれは困る。それよりもむしろ国会で十分に論議をし、国会で出た発言や速記録をよく検討した上で政府は政策を立てるというのが私はほんとうだと思う。ところが、いまのあり方から見ると、この四十三年の答申を私は何べんか読んでみるけれども、非常に失礼だけれども、こう薬のようであっちにもひっつくしこっちにもひっつくという文章なんだ。中間答申ではある程度原則が打ち出されているのだ。しかし、ここでは相対的に酒、たばこのあれが下がった。なるほど相対的に下がったかしらぬが、絶対的にはこんなに高い税金はないじゃないですか。なぜそういう問題を考えないのか。税金は酒、たばこは高いのですよ。それを考えないで、相対的に下がったでございとかいろいろおっしゃっておる。それで所得税は下げなければいかぬ、累進構造がいかぬと言っている。それならばそれをもっと直せばいい。ところが、今度は三条の何とかだからといって特別措置をまたつくっている。酒、たばこは相対的に十六年間で下がったかもわからぬけれども、絶対的にはほかの課税と比較して大体安いのですか高いのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/234
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235・倉成正
○倉成政府委員 酒、たばこの税というのは他の物品税その他のものと比較すると高いものでございます。これは、しばしば申し上げておりますように歴史的な沿革的なものでございます。たばこについては財政物資として成立するまでにはいろいろな過程を経て今日に至っておる。酒についても、これもしばしば申し上げておりますように、やはり特殊な性格を持っておりますから、これを自由にまかしたら非常にばく大な利益をもたらすということから世界の各国においても高い税金をかけておる。こういうことでございますから、やはり財政需要を満たすという意味からいって、洋の東西を問わず酒、たばこの税は高いものである。これで受け入れられてきておるということがやはり酒、たばこの税金が高い理由だと思います。決してこれが高いほどいいということは申しておりません。しかし、ある程度の高率の税金というのがかけられても妥当ではないか。これによって適正な歳出、いろいろやらなければならない財政需要を満たしておるわけでありますから、その辺のところはひとつ御理解をいただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/235
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236・阿部助哉
○阿部(助)委員 沿革はいろいろありましょう。たばこの場合にはこれは禁止的な意味もあったようでありますけれども、一番最初私が御質問したように、現在もう国民にはこれはなくてはならないものになってきておる。そうすると、禁止的な意味というものはそれほど大きなウエートではないじゃないか。禁止的だとおっしゃるならば酒の場合はどうなんです。これは神代の昔からある。フランスのとにかく農民が自分でつくっている自家用のブドウ酒というものはどのくらい税金を取っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/236
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237・倉成正
○倉成政府委員 フランスのブドウ酒については、いま手元に資料がないようでありますからあとで御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/237
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238・阿部助哉
○阿部(助)委員 イギリスのジョニー黒であるとかスコッチとかいうのは外国へ輸出するということでいろんなあれもあるようです。だけれども、自家用のブドウ酒はそんなに高い税金がかかっておらない。日本の場合、沿革だとかいろんなことをおっしゃるけれども、じゃあなぜ日本の農民がつくっておるどぶろくというものを取り締まらなければいかぬのですか。これは自家用ですよ。なぜこういうものを取り締まらなければいかぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/238
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239・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、フランスではブドウ酒は一種の地酒でございます。そのためにかなり安いことは事実でございます。しかし、イギリスに参りますと、これは輸入酒だということで非常に高く課税されておる。日本の場合、在来酒としましては、しょうちゅうについては非常に安い税率を使っているのは御承知だと思いますし、それからブドウ酒につきましては農民の保護という意味で、これは純粋果実酒であるブドウ酒は非常に安く、模造のポートワインよりも安い税率で課税しておることは御承知のとおりでございます。フランスのブドウ酒は非常に安いと申し上げましたが、三%程度の低率でございます。日本の場合はややそれよりも高うございますが、果実酒たるブドウ酒は非常に安い税率で課税しておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/239
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240・阿部助哉
○阿部(助)委員 時間がないそうですから私のほうから言いますが、では日本の場合に、農民が自分で生産した米を自分で加工することを許さないで、それで多額の税金を取り上げる。農業投資はさっぱり行なわれない。財政投融資の大半は大企業へいっておる。そういう中で困ってきた農民がやっかい者だみたいなようなことを言いますけれども、米の統制もなるべく間接統制に移そうなどという考えをお持ちのようだけれども、それならばなぜ一番もうけのあるところの酒を農民自体につくらせないのですか。また、自分のうちで飲む自家用のどぶろくくらいは、自分のところでつくって飲むくらいのことがなぜ悪いのですか。これはどういうことなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/240
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241・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 自家用酒を免税にするという制度も外国ではないわけではございません。しかし、この自家用酒というものは農民だけがつくるわけではないのです。たとえばお医者さんがアルコールの中に調合すればウイスキーもできるわけでありまして、こういう高い――高いのはいかぬとおっしゃいますが、高い税金をかけて一般の消費者に飲んでいただいている酒を、特定の人に自家用であるからといって免税にするという制度をとるということは、やはりこの酒の税率が高いものであるだけになかなか問題が多い。しかもまた、自家用であるからといってそれが販売されるということは、先生もよく御承知のとおり、終戦後にはいわゆる密造酒というものが八十万石もはびこっておったことがございます。これはまさに自家用酒から出発しておるわけでございます。そういうことから、やはり全体の順法という点からも現在日本では自家用酒は困る。そこで、一応委託醸造とかという形で税を払っていただくというたてまえをとっておるわけでございます。たばこもその点は同じだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/241
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242・阿部助哉
○阿部(助)委員 いろいろおっしゃるけれども、私が言っておるのは、自分のうちの米で自分でつくって自分で飲む、販売したら販売したでその税金を取ればいい。それは技術的にむずかしいだけの話であって、農民自体の損得からいけば別の問題じゃないですか。農民が自分のうちでつくる米で自分でつくって飲むくらいのことを取り締まるのは、私はまだ勉強していないけれども、どうも憲法違反だと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/242
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243・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは憲法違反とは言えないと思うので、酒自体は製造業を免許にしておりますから、自家用であっても免許を受ければもちろん問題はないわけであります。製造業自体免許営業であるということが一つございます。
それから、いまも申し上げましたように、免許ではないから幾らつくってもいいということになれば、これは免許制度がくずれます。したがって、自家用酒であるとすれば、自家用酒については幾らまでというような制限をまたしなければなりません。それが実は密造酒の検挙というような非常にいやな問題を起こす原因にもなるかと思います。そういう意味でございますので、わが国としては――フランスに若干自家用免税というようなものがあるかもしれませんが、それは私も十分つまびらかにしておりません。大体各国とも同じだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/243
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244・阿部助哉
○阿部(助)委員 私の申し上げたいのは、技術的な点、そういうものはそれで人数も要るかもわからぬ。だけれども、税金の根本的な原則的なあり方からいけばおかしい、こういう意味なのです。それと、農民だけがなぜ自分でつくった酒やたばこ――たばこは多少別な面もあると私は思う。ただ沿革だけだとおっしゃるけれども、沿革なら、昔はちゃんと自分でつくって自分で飲んでおったじゃないか。沿革だとおっしゃったから私はこの問題を出したので、それならばいまの時世に合うように変えればいいのじゃないか。また、技術的にむずかしいのは、それは取り締まるほうの問題であって、農民の問題ではないじゃないか。農民が自分でつくって自分で飲む。売ったら税金を取ればいい。これは少し乱暴のような意見ですが、農民の立場から見れば、自分でつくった米を自分で加工できない、しかもたんぼへ行った疲れを直すのに、自分のところでつくれば安くできるものを高く買ってこなければいかぬという不合理はおかしいのではないか。私はこれはあんまり聞こうと思っていなかったけれども、次官が沿革だなんて言うから私は言うので、農民いじめの政策じゃないか、こういう感じがするわけです。免許制度ならば、いまの酒屋はみんなやめさせてしまって農協につくらせて、農協が農民の団体として酒製造をかたわら営むとすれば、農民に還元していくということになるのじゃないですか。何も免許制度だからいまのような酒屋にやらせなければならぬということはどこにもない。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/244
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245・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 酒が米からできるという点で御指摘のような問題があると思いますけれども、いろいろな原料によって酒はできるわけであります。また、蒸留酒などになりますと、不完全な蒸留をやりますとフーゼル油のような危険な分子も入ってくることは御承知のとおりであります。そういう意味から一律に自分がつくったものはいいということは、衛生上非常に危険な面もあります。そういう点からも自家用免税ということは、私どもとしてはいまの段階では考えないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/245
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246・阿部助哉
○阿部(助)委員 次の問題に移りますが、衛生上どうだこうだなんというのは、少し大っぴらにつくらせれば、そんなものはすぐに農民は技術を会得して、いまの二級酒なんかよりよっぽどじょうずに私のほうの農民は酒をつくってみせますがね。そういう点でそういう御心配はあまり要らぬのです。
私は先ほどお伺いしましたけれども、相対的に税金が安いということ、これはどうもおかしいと私は思うのでして、相対的に云々というのはあと回しであって、それより先にまずこれが絶対的に安いのか高いのかという論議がなされた上で、ほかの税金とのあれがあっていいのじゃないですか。私がそれを申し上げるのは、こういう形で間接税がどんどん出てくると、低所得者が非常に苦しくなってくるということを申し上げたいのです。というのは、今度千五十億の減税、千五十億の増税、それで政府のほうのバランスシートはゼロかもわからない。しかし、取られるほうにしてみれば、これは低い所得の人たちにとっては増税でしょう。これはいかがですか、局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/246
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247・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いま仰せられましたとおり、相対的という前に絶対的というようなお話はよくわかるのですけれども、この酒の税あるいは何に対する税というのは一応そのときの状態で、なるほど酒は重いかもしれませんが、そのときバランスができておった。ところが、片一方のほうは従価税をとっておるために、たとえば二割の負担のものは価格はどう動いても二割の税金だけは必ずそれについて回る。ところが酒のほうは従量税で、価格が動いてまいりますと、最初五〇%であった負担が三〇%になってしまうというような現象が次々に起こってまいります。それが従価税をとっていたものに比べると相対的に減税になるということを言っているので、絶対的な税のあり方がどうあるべきか、これは一番大事なことだと私も思います。三十七年に酒税を減税したときは、まさに絶対的な重さというものを考えて、平常的な負担まで戻そうというので、相当大幅な減税をやったわけでございますが、それからあと、たとえば五割であった負担率がいつの間にか三割五分とか、あるいは三割五分だったものが二割八分とかいうふうに変わってまいりますので、それは、二割のままずっと据え置かれているものに比へれば、相対的に減税になってきているという事実を指摘しているわけでございまして、もちろん絶対的な高さがどうかという判断は、税制調査会もその前に十分にやっておるというふうに御理解を願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/247
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248・阿部助哉
○阿部(助)委員 私、そういうことを聞いておるのではないのでして、今度は増税、減税ゼロである、こうおっしゃっておるけれども、ぴしゃりゼロになる人はあるかもわからぬし、一人もいないかもわからぬ。増税になる人たちと減税になる人たちと全部ひっくるめたら、皆さんのところへ、大蔵省に入る金がゼロになるであろう、こういうことであって、そうすると、バラバラに増税、減税があるのじゃなしに、やはり階層別に見て、低い所得の人たちにとっては増税になるし、高い人たちにとってみれば減税になる。それで全部ひっくるめたらゼロになるだろう、こういうことなんでしょうということを念押ししておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/248
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249・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 差し引きゼロと申しますのは、減税財源がゼロという意味で言っているわけでございまして、本来、税種が違いますと、その税種同士では総合的に通算するという性質のものではないということはもちろんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/249
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250・阿部助哉
○阿部(助)委員 どうも言いにくいと見えて、なかなかずばりお答えにならぬ。そうすると、もっと具体的に申し上げたいのですが、私、皆さんの資料からもいろいろ自分であれしてみましたが、たとえば、一番簡単なのは、先ほど来話があったように、所得税を納めていない層にとってはこれは増税だ、こういうことをお答えになれば、私は次へ発展するのですけれども、なかなか言いにくいようであります。
松隈さんに一言だけ、これはたいへん皮肉になるかもわからぬけれども、会長の東畑さんが、差し引きゼロというのは非常に芸術的な云々ということを幾通りかの新聞で拝見をしたわけですが、松隈先生も、あれを読んで、穴があったら入りたい気持ちになったと思うのですが、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/250
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251・松隈秀雄
○松隈参考人 税制調査会が最終的に答申をまとめるにあたって、大体所得税の減税を優先的に考えまして、それで千五十億円程度の減税になるということは計算いたしました。次に、先ほど来申し上げるような事情によりまして、酒の増税――これは大衆負担を避けるという意味で清酒の二級あるいは合成清酒、しょうちゅうのようなものは除くというようなことにして、ある程度の増収をあげる案をつくってほしい、増収するものについては一〇%から一五%ぐらいの間で、こういう注文を出しました。続いてたばこについても特別な下級品は除いて値上げをしてほしいという要望を出したのでありますが、たまたま出てまいりました数字を見ますると、酒の増税、たばこの増税、それに物品税が五十億加わりましたために収支ゼロという数字になってしまったので、全く結果的に偶然の一致と、こういうわけであります。途中の段階におきましては、ある程度差し引き純減税が出たほうがいいではないかという意見は相当ございました。ことに所得税の減税の中には、物価上昇に当たる調整部分もあるんだから、差し引きゼロはまずい、こういう意見も出たことは事実でありますが、先ほど申し上げましたように、財政制度審議会が、四十三年度としては財政の体質改善のために必要な減税はやっても、また一方増収をはかるべき面があれば増収をはかって、増減税ゼロであってもしかたがないというような意見を発表しましたし、その前に宮澤構想、これは御承知のとおりですが、四十三年度は場合によって減税は見送ってもしかたがない、こういうふうな意見も出ておりましたので、各委員も減税は望ましく増税は必ずしも歓迎すべきでないという頭は持ちつつも、そういう四囲の情勢から所得税減税を優先させ、そして酒、たばこについての増税をはかった。数字の一致は全く予想していなかったところで、偶然の一致というほかないと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/251
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252・阿部助哉
○阿部(助)委員 これで終わりますけれども、最後にこれは要望をしておきます。
私はいままで聞いておりましても、何か行き当たりばったりな、輸出の振興は必要だ、それ輸出の特別措置をやれ、いやこうだ、何をやれ、足らないから間接税、酒、たばこというような感じを受けるわけです。その政策一つ一つにはそれなりの意義があるだろうし、プラスマイナスがあることも想像はつきます。だけれども、何といってもやはり一番大事なのは、行き当たりばったりじゃなしに、税制の体系をきちんとするということが先行しなければ、またそれへの努力があっても、いろいろな力関係の要望が私はあろうかと思う。しかし、そのまま原則を忘れておっては、波に流されるような形でいまの税制のようにめちゃくちゃになってくるのじゃないか、私はそれが心配なんです。だから、どうですか次官、今度これからの一年間でひとつ税の体系をきちんとする、理想的な体系とはどうあるべきかというものをひとつ税調に答申をするとか、あるいはこの委員会でお示しをいただくとかいうことで、やはり常に原則に、基本的なものに返るという努力を示してもらいたい。そうでないと、これはもうくずれる一方で、あっちからの要求、こっちからの要求でくずれてまいりますので、それを私は強く要望して終わりたいと思いますが、次官いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/252
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253・倉成正
○倉成政府委員 現在の日本の税制は、それなりに一つの体系を持っておると思います。ただ阿部委員の御指摘は、おそらく租税特別措置に関する点に大きなウエートをかけて御質問だと思います。この点は私ども所得税につきましても、先ほどからるるお述べになりましたように、やはり非常に経済の成長が激しいものでありますから、累進が非常に激しいということ、この点で所得税をどうするかという問題、また法人税の性格の問題、あるいは特別措置については特定の政策目的があるわけでありますけれども、やはり租税の公平の原則を害する、絶えずこれは洗い直していかなければならないという点を基本として考えていくべきだと思いますし、先般からの委員会でもいろいろと傾聴すべき御意見も出ましたので、こういう御意見を踏まえながら、税制調査会も今度の七月が一応任期になっておりますので、国会がある程度一段落しますれば、主税局も大いに勉強しまして、ひとつ税調のほうにいろいろと基本的な問題について御検討いただきたいと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/253
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254・阿部助哉
○阿部(助)委員 私がいま間接税、酒、たばこのことに関連して特に申し上げたいと思っておったことは、一番最初に広沢委員からいろいろと話がありましたように、この次には売り上げ税に移行するのではないかという心配があるからであります。どうも再軍備政策というようなものが進んでくる段階では、どこの国でも間接税の増徴という形に移行していくというのが通例であります。それだけに、私は売り上げ税に移行しやせぬかという不安を強く持っておりますから、ほんとうはその問題もお伺いをしたいと思っておったわけで、私が一番心配するのは、一つはその点であります。
もう一つは、いま次官からお答えのような点で、体系があるとおっしゃるけれども、もう体系もくずれ果てようとしておる段階でありますから、その点で要望して、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/254
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255・田村元
○田村委員長 松隈参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。御退席いただいてけっこうでございます。
平林剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/255
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256・平林剛
○平林委員 後ほど大臣が見える予定だそうでありますから、私の質問をしたいと思った順序を多少変更いたしまして、本題については大臣が見えられたときにお尋ねをすることにいたします。
そこで、まず初めにたばこの小売り店に関する問題についてお尋ねをしていきたいと思います。
まず専売公社にちょっとお尋ねしますけれども、たばこの小売り店というのは現在何軒くらい全国にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/256
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257・斎藤欣一
○斎藤説明員 数字のことでございますので、お許しいただきまして私からお答え申し上げます。
一番最近の状況でわかっておりますのが、四十二年度上半期、七月末で、全国で十八万八千七百六十七人になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/257
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258・平林剛
○平林委員 このたばこの小売り店は、取り扱い規模別でいきますとどういう分類になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/258
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259・斎藤欣一
○斎藤説明員 ちょっといま資料をさがしておりますが、大体のことを申し上げますと、御承知のとおり、販売手数料割引歩合の適用の関係におきまして、一割の適用を受ける小売り店、すなわち、月十五万円未満の小売り店というのが約半数で、その上のものが約半数、大体のうろ覚えでございますが、そういうふうなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/259
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260・平林剛
○平林委員 私の調べによると、昭和四十一年度の調べでありますけれども、年間三百万円までの売り上げをするたばこの小売り店は十四万四千四百十八軒、全たばこ小売り店の七八%を占めている。年間三百万円から一千万円程度のものは三万八千四百四十四軒、二一%、年間一千万円から五千万円の売り上げをするところが三千五百二十一軒、五千万円以上の販売をする店は二百四十五軒、専売公社の資料で私が推計というか、これを区分けして申し上げたのですけれども、間違いはないと思いますが、確認をしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/260
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261・斎藤欣一
○斎藤説明員 手元の資料でチェックすることができませんが、大体先生の仰せのとおりの数字だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/261
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262・平林剛
○平林委員 間違いがないと私も思います。
そこで、五千万円以上の売り上げをする小売り店は、ただいま確認をされましたように二百四十五軒。この二百四十五軒のたばこの小売り屋さんの売り上げ額は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/262
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263・斎藤欣一
○斎藤説明員 実はいま手元に資料がございませんので、至急取り寄せましてお答え申し上げたいと思います。大体のことを申し上げますと、二百四十五軒というのは、全体の十九万近くの小売り店から申しますと非常に少ないわけでございますが、この部分で占めます小売り金額、売り上げ金額と申しますのは、たしか全体で二百億程度にはなっているのじゃないかという気がいたしております。ただいま資料を取り寄せてまいります。
先生のおっしゃいました小売り店の規模別の数はチェックできました。対応いたします小売り店の売り上げ額は、手元に資料がございませんのでチェックできませんが、大体、先ほど私の申し上げたような見当じゃないかというふうに思います。正確な数字が御要求ございましたら、調べてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/263
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264・平林剛
○平林委員 私も推計ですから、あなたのほうが商売なんだから一番はっきりしなければならぬわけですが、それじゃ別な角度から聞きます。
たばこの小売り店、ただいま申し上げました大口の小売り業者、東京地方局管内あるいは大阪支社管内、名古屋地方局管内、大都市を三つくらいあげまして、ベストテンに入る小売り業者というのはどんなぐあいになっておるかということを、皆さんにもちょっと御紹介をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/264
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265・斎藤欣一
○斎藤説明員 昭和四十一年度の数字で申し上げますと、全国で申し上げますと、一番大きな小売り店、これは東京でございますが、売り上げ額で約四億七千万円、それからベストテン十番目の小売り店、これは京都にございますが、これは売り上げ額が、端数を切り捨てまして二億八千四百万円程度になっております。ですから、全国一位が約四億七千万円、十位が二億八千四百万円、その間に二位から九位までのものがある、そういうふうになっております。
各局別に申し上げますと、東京地方局管内の一位は、いま申し上げました全国一位で約四億七千万円、第十位と申しますのが二億一千九百万円程度でございます。それから大阪支社の管内について申し上げますと、実は資料が問に合いませんで十位までとれませんでしたが、第一位が京都にございます小売り店で三億一千七百万円、八位までわかっておりまして、八位が一億二千五百万円ということになっております。それから名古屋でございますが、一位は名古屋市にございますもので三億二千五百万円程度、これも八位までしかわかっておりませんが、第八位が、やはり名古屋にございます小売り店で約八千万円、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/265
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266・平林剛
○平林委員 私があらかじめいただいておいた東京地方局管内の小売り店の売り上げベストテンによりますと、第一位が四億六千九百九十七万六千円、十位まで入れまして十軒で売り上げているのが三十億六千五百十五万円、名古屋の場合には八人の資料しかいただいておりませんけれども、十七億八千六百万円をこえている。大阪支社管内でも八人で十七億円をこえておる。五千万円以上の売り上げをする小売り業者の中には、一軒でもかように巨額のたばこの売り上げをしておるということがわかるわけであります。
そこで、私はさらにお尋ねしますけれども、今回取りまとめてもらいましたベストテンの中では、最高が四億七千万円程度になっておりますけれども、ほんとうはもっとたくさん、二十億円も三十億円も売っておるという小売り店があるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/266
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267・斎藤欣一
○斎藤説明員 実態的に申し上げますと、たとえば鉄道弘済会のようなものがございます。これは御承知のとおり、全国にたくさんの営業所を持ちましてそこでたばこを売っております。ただ、専売法上のたてまえといたしましては、各弘済会が当然駅にあるわけでございます。その駅の売店ごとに一つの営業所になっております。したがいまして、弘済会全体でまとめました場合は、おそらく百億円以上のたばこの売り上げがあると思いますが、法のたてまえからしますと、小売り店、小売り人ということになりますと、ベストテンにも入ってこないといったようなことになるわけであります。したがいまして、先生の御質問のありましたような企業体として見た場合に、それを総合いたしますと大きくなるような、これよりも大きな小売り人というものもあるいはあり得るかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/267
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268・平林剛
○平林委員 これはかつて商業新聞でも問題になったことがありますけれども、昭和三十二年から三十八年ぐらいの問に、六年間で百億円も売ったたばこの小売り屋さんがある。名古屋あたりでも二十億円から三十億円売った小売り業者がある。専売公社の前の販売部長でしたか、国会で答弁なさったときには、一番大きいのは年間十数億円売っているのもありますと答えておるのですけれども、あなたのほうが私の依頼でまとめたものは最高四億七千万円。いまはそういう大きな小売り業者はない、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/268
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269・斎藤欣一
○斎藤説明員 確かに先生の御指摘になりましたように、当時そういった大きな小売り人がございまして、後ほどお聞きがあるかと思いますが、定価外販売ということで取り締まったことがございます。その後、そういった大きなものがなくなりまして、私どもの統計によりますと、こういうふうになっておるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/269
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270・平林剛
○平林委員 この真偽はまた別問題にいたしまして、私がこれから取り上げたいと思いますのは、こうした大口の小売り業者、いまあげましたベストテンのものが必ずしもそうやっているというわけではありません。そうでないにいたしましても、一般的にいってこれら大口小売り業者は、たとえてみればパチンコ屋さんに大量に売り渡す、あるいは料理屋、大口消費者に小売り手数料を値引きして販売をしておるというのが実態であると私は承知しておるわけでございますけれども、この実態について専売公社はどの程度承知しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/270
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271・斎藤欣一
○斎藤説明員 ただいま申されました個々の小売り人につきましてどういうふうになっているかということにつきましては、個々の調べは実は手元にございません。ただ、先生御指摘になりましたように、一般的に申し上げまして、パチンコ店その他遊技場に大量に販売しているというのがほとんどではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/271
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272・平林剛
○平林委員 全般的なことはおそらく公社もつかんでいないと思いますけれども、犯則事件として検挙された中の実例をお話しになっていただければ、その実態がどういうものであるかがわかると思うのです。それをひとつおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/272
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273・斎藤欣一
○斎藤説明員 犯則事件として定価外販売で検挙されたもの、いろいろあるわけでございますが、その中で調べましたもの、これもケースケースによって多少の違いはあるわけでございます。ただ、大体のことで申し上げられますのは、小売り店からパチンコ屋に、場合によりましては五分引きあるいは四分引き、少ない場合は二分引き、そういった程度で値引き販売をしているというのが実態であるように承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/273
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274・平林剛
○平林委員 私の承知している資料によれば、昭和四十一年度にいわゆる定価外販売として表に出てきたもの、これは六十一件であります。定価外販売あるいは所持犯として処分された三百五十七件のうち、六十一件が歩引き販売に該当する。中には現在六分の手数料を一歩程度で売り渡しておる、こういう実例まである。専売公社の手数料がきめられておる、それを大幅に割って、一分程度で売り渡しておるというところもある。たくさん売ればそれだけ利益があがるわけでありますから、そういう歩引きをして売っておる実例もあるわけです。これはしかし表に出てきた犯則事件でありまして、専売公社がつかむことができない件数というのは、もう膨大な数になるのじゃないだろうか、こう考えられるわけであります。そこで、こういうふうにして歩引きして売るのは専売法の違反になると思うのですけれども、法律上の解釈をまず明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/274
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275・斎藤欣一
○斎藤説明員 先生も御承知かと存じますが、たばこ専売法三十四条第三項に「小売人は、第一項の小売定価によらなければ、製造たばこを販売してはならない。」ということになっております。したがいまして、値引き販売と申しますのはこの条項違反になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/275
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276・平林剛
○平林委員 もう一つ焦点に入る前に聞いておきますけれども、最近専売公社は出張販売といって、いろいろな小さなお店にケースを置いて出張販売を認めるような制度をとり始めました。ところが、そういうところで取り扱うたばこは、ある指定をされた小売り人のところから特別に相談をして出張販売をする形式をとっておりますために、そこの歩合というのは三分とか四分というふうになっておると聞きます。こういう事実があるのを知っていますけれども、こういうことは一体どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/276
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277・斎藤欣一
○斎藤説明員 出張販売が最近かなりふえてきております。これは先生御指摘のとおりでございます。出張販売の法律上の根拠と申しますのは、やはりたばこ専売法三十条の四項に「小売人が営業所以外の場所に出張して製造たばこを販売しようとするときは、」云々という条項がございます。これに基づいてやっておるわけでございます。そこで先生の御指摘になりました出張販売の場合に、もとの小売り人が出張販売先に対してある程度の手数料を払っている、その実態がどうなっているか、二分なり三分なりの手数料を払っているではないかというふうな御指摘でございます。事実極端な場合はただの場合もあるようであります。それから御指摘のございましたように、二分とか三分とかいうようなものが多いように聞いておりますが、これは小売り人と出張販売先との合意と申しますか協議によりまして、いかようにでもきめられるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/277
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278・平林剛
○平林委員 この制度についても私ども疑問がありますが、あとで問題を提起していきたいと思います。しかし、国税庁長官にこの機会にお尋ねしますけれども、このように大口のたばこの販売をする小売り業者は歩引きをして販売をする。専売公社が定価外販売を禁止して、そしてまた六分という一つの歩率をつくってやっておるのを、違反を承知でこっそりとこれを大口消費者に売っておる。この場合、国税庁、税務署は、歩引きで販売をした場合に、これはリベートだということにいたしまして、利益分から引いて課税をしておるという実情だと聞いておりますけれども、現在はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/278
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279・泉美之松
○泉政府委員 その件は、お尋ねのように専売法違反でありますけれども、現実にたばこ小売り人としての収益はないわけでございますので、収益のないものに課税をいたすことは適当でございませんので、そういう歩引きをいたしましたものは、他の一般の歩引きの場合と同じようにリベートとして、それに対しては課税しないということをいたしております。しかし、それが専売法違反になるということはもちろん問題でありますので、私どもといたしましては、専売公社に協力いたしまして、課税は課税、専売法違反は専売法違反ということで処置するようにいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/279
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280・平林剛
○平林委員 大口の小売り業者がたばこ専売法に違反して歩引きをする。税務署はこれを損金として認めて、小売り人はその収益がなかったということにして収益として認めぬ。つまり違法行為を認めるということになるわけですね。そこで、いまちょっと変わった点は、それはそういう課税のしかたをするけれども、公社に協力して、そういう場合があったときには専売公社に通知をしておるという趣旨のことをおっしゃったように聞きました。つまり専売公社に協力をしておる、こういうふうに聞きましたけれども、そういう場合には税務署は専売公社に専売法違反をやっておるよということを通知しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/280
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281・泉美之松
○泉政府委員 これは、問題といたしましては、税務職員は所得税あるいは法人税の調査によって知り得た秘密を秘守する任務が課せられております。他方、先ほど申しましたように、専売法違反があるという場合に、税務職員としてどうすべきかという点について刑事訴訟法第二百三十九条第二項の規定があるわけでありますが、従来の各省間のいろいろの打ち合わせをいたしました結果によりますと、税務職員が税務調査の際に専売法違反を知りました場合には、刑事訴訟法第二百三十九条第二項の告発義務はないというのが従来の解釈になっておるのであります。こういった事件につきましては、昭和三十八年、たしか私が国税庁次長をいたしておりましたとき堀委員から御質問がございまして、こういう事件があった場合には国税庁の課税はそれでいいにしても、専売法違反ということは重大な問題であるということでありましたので、その後専売公社と国税庁のほうで覚え書きを交換いたしまして、専売公社のほうから依頼があります場合には、国税庁のほうでそれに協力して、専売法違反の点について是正をはかるように協力をしてまいる、こういうことになっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/281
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282・平林剛
○平林委員 国税庁と専売公社との間に協定を結んで、そういう場合には専売公社に通知をするというお話はわかりました。
専売公社にお尋ねしますけれども、今日までそういう依頼をして、この問題について実際の行動に移ったことがありますか。また、行なった結果、現在の状況はどうなんですか。さっきのお話からいきますと、どうも具体的に実行しておらないように聞こえるのだけれども、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/282
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283・斎藤欣一
○斎藤説明員 これは先ほど国税庁長官から御説明ございましたけれども、税の申告制度その他いろいろな国税庁のほうのお立場もあるように了解しております。そういった結果、国税庁と専売公社の間で、この件に関して覚え書きというものが昭和三十八年にできた。そこで専売公社として、たとえば特定の小売り人が定価外販売をやっているという端緒というものをある程度つかんだ、そういった具体的なケースにつきまして国税庁のほうの資料を拝見するといったような、その点で御援助をいただくという覚え書きになっております。そういうわけで、いろいろと国税庁にお助けをいただいておるわけでございますが、どの程度の具体的な事件がどうなったかということにつきましては、実は手元に資料がございませんので確かなお答えをいたしかねますが、いろいろとお助けをいただいておることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/283
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284・平林剛
○平林委員 専売公社の言うことと国税庁の言うことはみな違うじゃないですか。国税庁長官は、その依頼があった場合にはその協定に基づいてお知らせする。専売公社のほうに聞くと、国税庁のほうがその端緒をつかんだときに協力してもらう。これじゃすれ違ってちっともその実態をつかむことができないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/284
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285・斎藤欣一
○斎藤説明員 はなはだ説明がまずくておわかりいただけなかったかと思います。おわびいたしますが、専売公社のほうで、御承知のとおり監視の職員がおるわけでございまして、定価外販売の取り締まりということに留意しておるわけでございます。専売公社の監視の場で特定の小売り人が定価外販売をやっておるというような端緒をつかみましたときに、その点につきまして国税庁のほうに資料を見せていただくということを私のほうから御依頼するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/285
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286・平林剛
○平林委員 いずれにしても、この問題についてはお互いにしり込みしながら触れ合っていない。だから実態はつかめない。そこでまたこういうことが白昼公然と行なわれても取り締まることもできない。これが実態だと思うのです。同時に、私は、たばこ専売法違反というものは従来の一般の国民の感覚から国税法の違反と同じように考える。たばこに税金がかかっておるという考え方から、国税法もたばこ専売法も国民は同じように受け取っておる。ところが、実際は大口の小売り業者につきましては、協定はできたかもしれないけれども、片一方のほうは、公務員としての秘密の保持があるからそれはどうも通報できにくい。専売公社のほうは専売公社のほうで、端緒をつかんだ場合は協力をしてもらうというようなことで及び腰である。それでは実際のそうした違法行為があっても放置するという結果になっておる。私はここに根本的な問題があると思うのです。結局、現在の専売法からいきますと、これは明らかに専売法違反です。これは国税法の違反であろうと専売法の違反であろうと、やはり税についての犯則ということについては変わりがないはずです。いかに職務上の秘密があるといたしましても、たとえば税務署の職員があるところに調査に行って、そこで横領という問題を見つけた。これは職務上の秘密だから通報できない、こういうしかけになるのですか。あるいはそこの調査に行ったら、たまたま密室において殺人が行なわれていた。職務上行って知り得た秘密だからこれは通報できないということになるのですか。たまたま調査に行った、そこにいま世間をにぎわしておる放火犯人がいた。これは職務上知り得た秘密であるからそれは通報できないのですか、極端なことをいえば。職務上の秘密を守るためにできないということであると、結局専売法違反を見つけても専売公社に積極的に通報することができない。こういうことは私はどこかが間違っておるのではないかと思うのですけれども、国税庁長官いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/286
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287・泉美之松
○泉政府委員 私が先ほど申し上げました刑事訴訟法第二百三十九条第二項の規定は、職務を行なうに際して犯則ありと思料するときは告発すべしという規定になっておるのであります。その職務を行なうにあたっての規定のほかに、もう一つ、「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。」という第一項の規定があるわけでございます。したがって、いまの殺人とかいうような場合におきましては、何人といえども刑事訴訟法第二百三十九条第一項の規定によって告発ができるわけで、二項のほうの規定は義務規定になっておるわけでありますが、この規定は、従来の解釈からいたしますと、税務調査の際に専売法違反を知ったからといって、告発しなければならぬという義務はないんだということになっておるわけでございます。
そこで、やはりいま申し上げましたように、専売法違反の事実のときには、専売公社のほうからこういうものについてどうかというお尋ねがあったときに資料を差し上げて御協力申し上げる。それは、はなはだ不十分ではないかという御指摘だと思うのであります。しかし、やはり税務職員としましては知り得た秘密を漏らすということ、専売法違反だからいいじゃないかということではなかなかまいりかねる場合が出てまいりますので、いまのような取り扱いにして、できるだけ専売公社が監視の仕事がしやすいように御協力をいたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/287
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288・平林剛
○平林委員 国税庁長官、ちょっと私はそこが問題だと思うのです。いま、酒にしてもたばこにしても、国民の増税反対という声を押し切って、とにかく税金をよけい取るという法律案が審議をされているのですよ。そうしてその理由は、財政上の理由で値上げをせざるを得ないというのが偽らざる告白ですよ。こういうときに、明らかに専売法違反――あなたと同じ税を取り扱う専売法違反というのがあることを知りながら、それは商取引上のリベートだということで損金に認めている。一種の法違反をあなた方認めておる。これはおかしいんじゃないですか。あなたはそれを認めて、あとは通報すると言ったけれども、さっきの通報の仕組みは、私に言わせればしり抜けだし、完全ではない。やはり税務署は、大口小売り人がそういうことをやった場合には専売法違反として、定価で販売されたものとみなして更正決定するというのが、税務署が国民に忠実なゆえんであるし、酒やたばこの値上げまでして国民に迷惑をかけるという際には、そこにやはり踏み切るべきだと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/288
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289・泉美之松
○泉政府委員 御意見は承りましたが、やはり税というのは収益のあるところに、その収益に対して課税するというのが本来のたてまえであると思うのであります。利益として自分の収入になっていないものに対して、あたかもそれは専売法上は六分の自分の歩合があるんだということで、その六分の歩合があるものとみなして課税する。これはもう裁判になれば一ぺんにアウトになると思うのです。したがって裁判になってアウトになるような課税は私のほうとしてはできかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/289
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290・平林剛
○平林委員 それじゃ、専売公社にお尋ねしますけれども、専売法で六分のものを、一分で売っても、二分で売っても、三分で売ってもいいというふうにしなければつじつまが合わない。でなければ徹底的にそうしたものを取り締まるということにしなければならぬ。白昼公然と行なわれているのに手をこまねいているということでは、専売法を守るほうの大将として今度はどうしますか、専売公社はどういうふうに処置するか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/290
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291・斎藤欣一
○斎藤説明員 確かにおっしゃいましたように法律違反があるわけでございますが、その違反に対しては取り締まる。少なくとも現実あります以上は取り締まるべきものでございますし、また、取り締まりをやっておるわけでございます。立法論といたしまして、そういった取引というものが現実にあるわけでございますが、そういうものを合法化するかどうかということは、これはまた政策の問題として考える必要があろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/291
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292・平林剛
○平林委員 いずれにしても矛盾をしておることは間違いがないと思うのですね。これは国税庁長官も、公平な立場で見れば矛盾をしているということは気がついていると思うのです。腹では、ちょっと問題があるなと考えているのは、顔色を見ればすぐわかる。専売公社だってやっぱりそうですよ。白昼公然とそういうことが行なわれていても、実際には国税庁の協力がなければできない。これだけ大口の販売業者が白昼公然とやっていることに対して手も出ない。こういうことを許すということになれば、専売公社というのはそれではどういう責任がとれるのか、どうしたらいいと思いますか。これは総裁とか政務次官、どうしたらいいだろうなということをちょっとお知恵をこの際出すべきでしょう。矛盾したことをお互いに認めながらほうっておく手はない。どういうふうにしたら解決できるとお考えになりますか。もちろんわれわれも意見はあります。ありますけれども、ひとつ専売公社の総裁並びに政務次官、それぞれどうしたらいいか、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/292
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293・牧野誠一
○牧野説明員 ただいま平林先生の御指摘になりました点、これは最近、昔と違いましてパチンコ屋というようなものが非常にあちこちにできまして、景品としてたばこを出すというようなことから起きた問題でございます。ただいま御指摘のありました専売法自体が、昔、あちこちに店を持ちまして、それで直接吸う方が幾つかずつ買いにくるということを前提にいたしまして制度ができておりますが、それがそのまま現在まで大筋としては続いておるという形で、そこへ御指摘のありますようないろいろな新しい商売、新しい取引のような形ができてきますと、その間にいろいろ矛盾が起きまして、私どももいまいろいろ検討しておりますが、実はあっちへ行こうとすればこっちに問題があり、こちらへ行こうとすればあっちに問題があるというようなことで、正直申しまして非常に検討に苦慮しておるところでございます。実態もおいおいにわかってまいりました。私どもも何とかこれは早急にはっきりした処置をとって、それでパチンコというもの自体は、これは庶民の娯楽として現存するものですし、そこでたばこが景品として出るということは、これは何もけしからぬことでも何でもない、ごく普通のことでございます。私どもも専売の制度とパチンコ屋の営業、庶民の娯楽というようなものがもう少し合法的に結びつきますように、ただいまいろいろ苦慮しておりますので、なるべく早い機会に結論を出しまして、何らかの方法を講ずるようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/293
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294・倉成正
○倉成政府委員 私も実態をよく把握しておりませんので、ここで確定的な御意見を申し上げるわけにはまいりませんけれども、やはりたばこ専売法をつくりました過程においては、こういうことを予想してなかったと思うのです。したがって、新しい事態に即して、やはりこれは法律をもし改正する必要があれば改正するというように、実態とたばこ専売法の目的、また精神というものをどう調和さしていくか……(発言する者あり)そういうやはり実態とたばこ専売法との調整をとるべきだという意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/294
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295・平林剛
○平林委員 私は、やっぱりいつまでもこの問題をほうっておくというのはおかしいと思う。いま不規則発言があったように、専売公社も検討するという約束をしておるわけです。いまだにそれをやっておらないというのは間違いです。私はやっぱりこれは、いまの場合には、国税庁は定価販売があったものとみなして課税をすべきだ。あるいは酒やたばこを値上げして、税収が足りない足りないといって一般国民に迷惑をかけていながら、専売法違反というのを承知しながらこの措置をとっておるというのは矛盾がある。それからもう一つ、専売公社でもちゃんと小売り手数料という歩率をつくっておる。それならそこを検討しなければならぬ。これはあとで私やりますよ。実態に即して直すなら、そういうところも検討しなければならぬ。もう一つは、この専売法の取り扱いについて、大口のこうしたものに対してこんな状態でほうっておきながら、次に私は問題を提起するつもりでありますけれども、一般の国民に対しては専売法が非常に脅威の的になっておる。こういうことを放置しておるということも私問題だと思う。これはひとつ近い将来にその結論を出すということを約束をしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/295
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296・牧野誠一
○牧野説明員 近い将来に結論に到達するようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/296
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297・平林剛
○平林委員 もう一つ問題は、いま総務理事からお話がありましたように、また、政務次官も述べられたように、パチンコ店というのができて、小売り業者が大量にそのパチンコ店に品物を流していくという事態はかつて想像できなかったことで、これが新しい事態において再検討を余儀なくされておるということになるのはわかるのでありますが、最近、このパチンコ屋さんも方々からたばこを大量に買い入れる、何十万も買い入れる。このために、たとえばそこの地域のたばこの小売り屋さんから買うのではなくて、わざわざ遠距離から買ってくる。東京のパチンコ屋さんだったら、埼玉県からもあるいは神奈川県からも方々から買ってくる。一面、こうしたたばこの販売についてはたばこの消費税というものが設けられておりまして、各市町村、各府県における責任者は、できればその地域でたばこを買ってくれれば、その地方財政に占めるたばこの消費税の割合が多くなって財政も豊かになるから、できるだけ皆さんこの地域で買ってくださいということをやっておる。ところが、大口の消費者は、そういうことにおかまいなしに、リベートをたくさんくれる、専売法違反であろうが何であろうが定価を引いてくれるところへ買い付けに行きますから、そういうところがあればどこへでも買い出しに行く。また、そのあべこべに、たばこの小売り屋さんのほうもそうです。わざわざトラックでもってそこへ届けてやる。こういうようなことはいまでも行なわれているのですけれども、これについては一体どう取り扱うつもりであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/297
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298・斎藤欣一
○斎藤説明員 確かに先生の御指摘になりましたような事実がございますが、たとえば東京都内あたり何区から何区、A区の小売り人がB区のパチンコ屋にたばこを届けるというようなことは、東京都内の実態として、お互いに密接した区分のつけにくいところでございまして、なかなかそのことを防ぐというのはむずかしいわけでありますが、極端な場合になりますと、かなりほかの県に、あるいは数県飛んだ先の県にこういう取引を通じてたばこを販売するというような事実があるということは承知しております。
そこでこれは、私ども専売公社のほうでそういうことに対して規制をするという手は実はございません。地元の出張所あたりの事実上の指導、あるいは地方消費税確保の立場からいたします地元府県なり市町村の指導というようなことにまつよりしかたがないのじゃないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/298
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299・平林剛
○平林委員 これもおかしい話です。自治省はこのたばこの消費税というものが府県に与える影響というものを十分御承知だと思いますが、いまのような事態が行なわれていることに対してどういうふうに処置したらいいとお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/299
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300・松島五郎
○松島政府委員 たばこの消費税は小売り店所在の市町村あるいは府県でもって徴収をすることになっておりますが、たばこの売り方について県や市町村が指導をするというようなわけにはまいりませんので、その問題につきましては、やはりたばこ専売を取り扱っておられるほうにおいて適切な御指導を願うことがいいのではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/300
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301・平林剛
○平林委員 地方消費税という制度を設けた理由は、その地域のたばこの消費があった場合に、ある率に応じて地方財政を助けるという意味で消費税制度がしかれておる。ですから、本来まさかトラックであるパチンコ屋に卸す――いや、卸という制度はないのだろうけれども、大量に販売をするというようなことを想像しなかったと思いますが、現実にはそれが行なわれているわけです。そうなると、どこからでも買っていいということにはなるかもしれませんが、一面消費税という制度を設けたことから見ますと矛盾しておるわけですね。これはやはり新しい事態に即して何か解決しなければならぬ。それでは解決の手は何もないかというと、必ずしもそうではない。たとえば最近のパチンコ屋さんというのは非常に数が多くなって、全国至るところたくさんありますし、その消費というものも、あとでお尋ねしますけれども、たいへんな額になるだろうと思うのです。こういうことになってきたならば、たとえば大口に買ったという場合には、そこの住所、氏名くらいは一これもたいへん問題で、あまりこまかい個数にすると国民に迷惑をかけますけれども、しかし、何十万も何百万も買っていくというような場合には、やはりその買い手がだれであるかということをチェックするくらいのことを小売り店にある程度義務づけるというようなことも必要なのではないだろうか。そういうことをやれば、先ほど国税庁長官は専売法違反ということを知りながら脱税を助けておるようなことを言っておるが、そういうことが今度は不可能になってくる。専売公社もそれを知りながら手をつかねているということがなくて、それを通じながらチェックすることも可能ではないだろうかと思うわけです。私は、いまここでちょっと知恵を出したにすぎませんけれども、あなた方はこういう事態に即応してどうすべきかということは絶えず御研究になっておると思うのです。これも私は前々から結論づけるように言っておいたのですけれども、どういうふうにするつもりか。全く知恵がなくてきょうここに臨んだのですか。何か意見があったら、どういうふうにしてこの問題については取り扱うかという見解を述べてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/301
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302・牧野誠一
○牧野説明員 いろいろない知恵を出しまして検討はいたしておりますけれども、やりたいという、こうやったらどうかという案は実は四つ、五つございますが、それぞれいろいろ障害がございましてなかなか最終的な案ということに至りませんで本日ここに臨んだような次第で、まことに申しわけないと思っております。早急に勉強いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/302
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303・平林剛
○平林委員 私は、この問題が提起をされて依然として放置されているということは非常に怠慢だと思う。
〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
専売公社の総裁も、これは渡辺委員にもお約束なさっているはずですよ。いまだにこの結論をつけないで、-私もこの問題についてきょうは結論をつけたいということで、内々専売公社に研究するようにということを要請しておったわけなんです。はなはだ怠慢じゃないでしょうか。公社の総裁の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/303
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304・東海林武雄
○東海林説明員 平林さんから非常に怠慢じゃないかというおしかりを受けたのですが、そう言われますと、まことになんでございますが、研究しているということで、まあ、いま牧野から申し上げましたようにいろいろな案がございます。ございますけれども、これがきめ手になる、絶対にいいのだというような案が実は出てこないのでありまして、今日まで延びております。でありますから、たとえばパチンコをやるところをそのままそれを小売り店と認めたらどうかという考え方も出てくるのでありますけれども、そうしますと、これは問題がまた広がってまいりまして、パチンコ屋だけじゃないということになります。それらの点を考えて、これはずいぶん日にちがかかっているじゃないかというおしかりは仰せのとおりでありますが、どうか一日も早くひとつ結論を出すように努力さしていただきたい、かように考えております。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/304
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305・平林剛
○平林委員 いずれにいたしましても、この問題がいつまでも放置されていることはまことに遺憾なことでありまして、お話しのとおり早急に結論をつけるべきだと思います。
そこでもう一つ、こうした問題をそのまま放置して、矛盾をそのまま野放しにしておきながら、一面、たばこ専売法の誤った解釈と運用で罪のない人間が罰せられていくという問題、これも渡辺委員がかつて指摘をしたことがございますが、私も、たばこ専売法が新しい時代に進んでいく、新しい時代に即応させるというためには、現在のたばこ専売法をただいま申し上げました観点から見直していかなければならぬというふうに考えておるわけであります。現在の状況でありますと、このたばこ専売法の誤った解釈と運用で、多くの国民がたばこ専売法そのものをおそれ、日常生活におきましても不当な拘束と、いわば一種のふかしぎな慣習に置かれておるという現状を私は是正をしなければならぬ、こう思うのでございまして、次の点を提起をしておきたいと思うのであります。
それは、われわれが日常の生活において、喫茶店でコーヒーを飲んでおる、あるいはレストランで食事をしておるというときに、たばこがほしくなる。結局、たばこを買ってきてもらいたいということで、そこの女の子に用を頼む。そのときに女の子はまず現金を要求しますね。そうして、しかたないから食事をやっておる間にふところからさいふを出して、ピースを二つ買うならば百円玉を出して、それで買ってきてくれ、しばらくたって買ってきまして、おつりを二十円くれる。チップをやろうと思うと、おっかながって手を出しませんわね。御苦労だからといっておつりは要らないよと言っても、いや、これは違反になりますからと言う。たばこ専売法はそういう形で国民の日常生活において一つの拘束、ふかしぎな慣習の中に置かれておる。また、われわれが国会においても、普通の場所においても、会議をしていたばこを買ってきてもらう。この場合も、ピースを二つ買ってきてもらって百円渡せば、これは厳格にいえば専売法違反ということでやられます。かつて渡辺さんも言っておられましたけれども、人にたばこを買ってきてもらって、それにおだちんを出すというのがなぜ悪いのだ、こういう疑問を呈せられましたけれども、そのとおりだと思う。旅館や料理屋でお客さんがたばこがほしいということになると、そのお客さんはやはりお金を出して買わなければならない。かりに女中さんが、しょっちゅうたばこを請求されるから、自分で百でも二百でも買っておいて、それをお客さんが来たときに、これは税金かかっておらないわけですから販売というわけじゃないけれども、その人に譲るわけですね、その代償としてお金をもらう。こういうようなことを実際として行なわざるを得ない。それを反復して行なえば、いまの裁判所は、これは専売法違反だといって罰則を加えるわけですね。こういうような事例があるわけでございまして、私は、この現在の専売法というものが国民生活から見た場合非常な矛盾、そうしてふかしぎな慣習、そしてまた、時代に合わない拘束をしておるというように思うのですけれども、この問題については、専売公社はその後どういう検討をして、どういう結論に達しましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/305
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306・斎藤欣一
○斎藤説明員 旅館あるいは喫茶店、料理屋あたりのたばこの買い置きでございますが、いみじくも先生が御指摘になりましたように、たまたまお客からたばこがないかと要求されますと、そこでお客からお金をもらいましてたばこを買ってくる、そういった取り次ぎをするわけでございますが、旅館、喫茶店あたりでたばこを買い置きいたしまして、それをお客さんにサービスとして提供するというものは、さっき申し上げましたそういった取り次ぎの発展したものというふうに考えております。したがいまして、実は最高裁判所の判決もございますが、旅館とか料理屋あたりでお客の便宜のためにたばこを正規の小売り店から定価で仕入れまして、そうして定価でもってお客さんに提供するといったような場合に、それもそういった必要最小限度の行為をやっておる場合、そういったものは専売法にいう販売というものじゃないのだ、そういうものを取り締まるのが専売法の趣旨ではないというふうな判決がございます。その趣旨にのっとりまして、公社といたしましてもそういったものを取り締まりの対象とはしないことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/306
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307・平林剛
○平林委員 それじゃ、こういうことですか。ある旅館、大きなホテル、そういうところで接待をする人たちがいまして、当然お客さんからたばこないかと、こう言われますね。それをしょっちゅう日常、たくさんの不特定のお客さんが来て請求をしますね。そのつど買いに行ったんではとてもめんどうくさいから、百でも二百でも買っておきまして、定価で、ピースなら四十円、ハイライトなら七十円、これで売る、毎日売る、そうして連続して売る、これは罪になりませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/307
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308・斎藤欣一
○斎藤説明員 これは売るという場合、私どもの立場から申し上げますと、たとえば旅館なり喫茶店なりにたばこの売り場というものを置きまして、あるいは陳列というものをしまして、別にその施設と申しますか、そういったもののあるものは販売をしておるというふうな考え方というものをとっております。したがいまして、不特定多数のお客さんの前にたばこを見せないで置いておきまして、お客さんの注文がありましたときにたばこを提供するというふうなものは取り締まる必要はないのだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/308
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309・平林剛
○平林委員 お客さんの見えないところに買っておいて定価で売ったらいいけれども、表に出して売っちゃいかぬというその理屈がおかしいのですよ。たとえばお酒などは、普通の小売り店で税金を取っちまえば、あとは料理屋へ行けば、それを二百円で売ろうが三百円で売ろうが自由と同じように、もう一たん、たばこを買ってきた瞬間に一般の消費者はその小売り店に税金を納めてしまったんだから、あとはそれをどういうふうに売ろうと、それはかってじゃないですか。見せちゃいかぬ、隠れてやるならいいというような理屈はちょっとおかしいと思いませんか。これは専売公社副総裁あたり、知恵のあるところどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/309
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310・佐々木庸一
○佐々木説明員 平林先生御指摘のような込み入った問題がありますので、そのような場所につきましては、出張販売ということを認めることにいたしまして、そのような方法で解決することにつとめておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/310
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311・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員 ちょっと関連質問を申しわけないがやらしてもらいます。
あなたの言うことは間違っています。それは根本的に間違っておる。たとえば、専売公社は均一の価格で均一の品物を売らせるのだ、そのために全国統一した値段をとらせるんだ、それに違反をした者は違反なんだ。だから料理屋や旅館がピース四十円で買ってきて四十円で売っても、それは処罰しないんだ。こういうこの前は説明なんだ。きょうの説明は、隠れて売ればいい、表へ出さなければいい。そういうふうにときどき変わってはいかぬです。
もう一つ、大量に品物を買えば――先ほど言ったように歩引きで買っている。歩引きで買って定価で売ったらもうかるじゃないか、違反じゃないか、逆説的にいえばそういうことになりますよ。それをどういうふうに説明しますか。歩引きで買って――歩引きは認めているんだから。二十億近くも売るやつがあるのだから、一つの小売り店で何億と売ったのがあるんだから、そういうのは歩引きで売っているんだから、これを買って定価で売ったらもうかるじゃないか。これはどうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/311
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312・斎藤欣一
○斎藤説明員 いま渡辺先生の御質問がありました、歩引きで料理屋あるいは旅館が買いまして、定価でもってお客さんに売るという場合、この場合は確かに法律違反の問題があります。と申しますのは、正規の小売り店から定価で仕入れまして定価で売ります場合、しかも例を陳列するとか申しましたので誤解があると思いますが、要するに販売するのだという姿勢を表にあらわします場合には、私どもはこれが販売行為だというふうに解釈をいたしまして取り締まっております。ただ、お客さんのほうから要求があった場合に、たまたま買ってあるたばこを出した場合には取り締まらないということを申し上げたわけであります。
そこで、歩引きで買いました場合、歩引きで売ります小売り店のほうは定価外販売でもって違反になります。それから買いましたほうの料理屋でございますが、料理屋がかりに安く買ったものを高く売ったということになりました場合には、おそらく裁判所は、それはさっき申し上げましたように、公社または小売り店でなければたばこの販売をしてはいけないということになっておりますので、そういった利益をあげながらお客にたばこを提供するという行為が起こりますと、裁判所は、これは販売行為ということで処分するというふうなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/312
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313・平林剛
○平林委員 これはもうお話にならないのだ。大体裁判所のほうが間違えているんですよ。きょうは私は、もう大臣も見えられて、これ以上この問題についてやれば、あと一時間くらいかかるわけでして、これはたばこの販売という問題が一体何であるかという基本的な問題からいかなければいけないですよ。そして、たばこの専売法というのは、税金を取る一つの便宜のためのいろいろな規定を設けた法律ですよ。だから、一たんたばこの小売り屋さんを通じて専売公社がたばこ屋さんにたばこを売って、そして小売り屋さんが国民に販売をすれば、もうそれで専売益金というのは国家に納まってしまうんだから、あと国民に渡った品物は、いわゆる中古品であるし、消耗品であって、どういうふうにして販売をしょうが自由だ。酒がそうでしょう。酒だって一定の税率で買ったものを、あと今度は喫茶店あるいは料理屋で二百円で売ろうが、三百円で売ろうが、それは営業行為として取り締まってはいないわけですよ。たばこも同じことなんだ。たばこ専売法というのは、一種の国家収益をあげるための法律なので、一度買ったたばこは税金がもう納まってしまっているのだから、専売法の目的は達しておる。今度は国民のほうの手に渡ったものを追いかけ追いかけ回して、それを罪にして処罰するということは、そんなことをしなくたっていいのですよ。裁判所がそれはいかぬだなんて罪にする、そのことが間違い。私は専売法はこういう意味では時代に即応してものを考えていかなければならぬ点があるから、これは考え直さなければいかぬということを申し上げておるわけでありまして、これはあと、この問題だけやるというと、少し専門的になってきて、一時間ぐらいでは終わらないものだから、大蔵大臣のほうの質問に問題を移し、私は、この問題の質問は留保しておきます。そうして、なおこの問題についての結論がつくまでもう一度専売公社、あるいは今度法制局もちょっとお聞きしたがったのですけれども、もう一度やらせてもらいますから、委員長もひとつ御承知をいただきたいと思います。この質問は留保いたしておきます。再度やります。
そこで大蔵大臣にお尋ねをいたします。
大蔵大臣、今度たばこと酒の値上げをする法律案が提案をされておるわけでありますけれども、これは結局財政収入を確保するためにこの法律案を提出したと私は理解をしておりますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/313
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314・水田三喜男
○水田国務大臣 財政収入を確保するという、むろん目的からであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/314
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315・平林剛
○平林委員 その財政収入を確保するために、まあいろいろなことはあるけれども、やむを得ず提案をしてきた。そしてまた税制調査会も、先ほど同僚委員の質問に答えまして、まあ理屈はいろいろあるけれども、結局、財政収入がこういうようなときには、ほかの理屈もいろいろつけて提出をしておる、そういう答申をしたという趣旨のお答えをしておりまして、大臣がお答えになったように、たばこ、酒は財政収入を確保すべく提案をしてきた、ちゃんと提案理由にも書いてあるのだから間違いないと思うのであります。
そこで、製造たばこの分だけ、きょう私ちょっと質問をしますけれども、この製造たばこの価格改定によって幾ら増収をはかろうとしておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/315
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316・水田三喜男
○水田国務大臣 五百五十億円。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/316
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317・平林剛
○平林委員 五百五十億円。専売公社は大体総売り上げ額は、予算書を見ればわかっているのですが、念のためにこの五百五十億円増収をはかるための総売り上げの目標は幾らになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/317
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318・牧野誠一
○牧野説明員 七千二百七十一億円ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/318
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319・平林剛
○平林委員 二億円じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/319
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320・牧野誠一
○牧野説明員 いまちょっと端数を切り捨てましたので、四捨五入いたしますと二億円になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/320
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321・平林剛
○平林委員 財政収入を得るために専売公社は四十四年度の予算で七千二百七十億具を売り上げる、そうすれば増収五百五十億円になる。そこで、専売公社に専門的にちょっとお尋ねをしますけれども、今度のたばこの値上げをいたしますと、国民からはかなり抵抗があることは、この法案審議のときにおいでになってお聞きのたびにわかると思います。あまり国民としては賛成しないわけですよ。しかし、政府のほうは、財政収入を得るために値上げの法案を出してきた。国民のほうは、どうもいろいろな物価が上がってくるときに、たばこ代の値上げもたいへんだ。これは率直な感じであります。そこで私は、今後たばこの改定によって予想される消費動向というのは、かなり違った面があらわれてくるだろうと思うのです。どういうふうに変わってくると御判断になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/321
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322・牧野誠一
○牧野説明員 今度定価の改定を五月一日に一応予定しておりますが、こういうことをいたしますれば、まず第一に販売されます数量が、定価改定をいたしませんで普通に売っております場合と比較いたしますと減るだろうということを予想しております。ここ数年間、前の年に比べまして大体六%前後販売数量として伸びております。これが私どものただいまの一応の推定では、値上げによりましてかなり落ちるじゃないかというふうに見ております。
それからその次に、値上げをいたしますと、やはり負担がどうしても重くなりますので、高いものから比較的中級のものへ、あるいは比較的値段の中級のものから比較的下級のものへというふうにかなり販売される銘柄が動くんじゃないか、大体そういう現象が起きるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/322
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323・平林剛
○平林委員 たばこの価格改定、つまり値上げによって消費動向にあらわれる問題点は、まず第一に販売数量の減少があるだろう、第二に下級銘柄へ転移をするだろう。しかし、それにもかかわらず七千二百七十二億円はだいじょうぶと御判断になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/323
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324・牧野誠一
○牧野説明員 私ども、実は専売公社が昭和二十四年に発足いたしましてから、幾つかの銘柄はその後値を下げたことがございます。二十六年までに幾つか下げまして、それからあとほとんど安定しておりまして、現在まで定価の引き上げというのは、中途で一度ピースという紫色のたばこですが、あれを五円上げて、売れなくなったので、またすぐ下げたということがあるだけでございます。私どもとしては、値上げというのを一般的にやるという経験、これがしかも最近の時点においての経験というのがございませんので、やむを得ず昭和十一年に日本で昔上げた例、あるいはフランス、イタリア、イギリスその他の国でわりあいちょくちょく上げている国もございますので、そういうようなところの消費動向というようなものを見まして、ただいま先生おっしゃいましたような数字をはじき出しておるわけでございます。これは私どもとしては相当な努力を要するというふうに考えておりますが、ぜひそこまでいくようにいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/324
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325・平林剛
○平林委員 結局、販売数量の減少や下級銘柄への転移は、新しいフィルター製品を発売したり販売努力を傾注する――今度小売り店の数をふやすとかいうようなことをして販売努力を傾注して、とにかく七千二百七十二億円は確保しようという非常に苦しい実情であると思うのであります。
そこで私は、大臣にお伺いする前に舞台をつくっておかなければいけないから、ほかのいろいろな問題をちょっと聞いておきますけれども、現在、昭和四十二年三月三十一日までの販売の見込数がもう出たと思うのですが、販売実績は幾らになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/325
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326・佐々木庸一
○佐々木説明員 端数のほうは若干なにがあるかと思いますが、千九百四十九億本強売れているものと見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/326
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327・平林剛
○平林委員 お金で言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/327
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328・佐々木庸一
○佐々木説明員 六千二百三十億円強売れているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/328
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329・平林剛
○平林委員 六千二百億ですか、間違いないように言ってください。私の知っているのは六千七百十三億。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/329
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330・佐々木庸一
○佐々木説明員 速報によります数字は、定価で計算をいたしまして六千二百三十一億円と見ているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/330
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331・平林剛
○平林委員 その数字は間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/331
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332・牧野誠一
○牧野説明員 こまかいところは多少違うかもしれませんが、速報でございますと、六千七百億というような数字ではなくて、六千二百三十億前後の数字は動かないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/332
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333・平林剛
○平林委員 私が専売公社に別な資料を要求したときには、たばこの小売り手数料の説明の資料ですが、六千七百十三億円となっておりますよ。国会でいまお話しになるのと違うじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/333
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334・佐々木庸一
○佐々木説明員 販売の実績の速報は、最近参りましたばかりでございますから、先生に手数料の御説明をいたしました際に見込みで申し上げたかもしれないと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/334
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335・平林剛
○平林委員 見込み額が五百億円も違ったら困りますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/335
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336・斎藤欣一
○斎藤説明員 平林先生の御指摘になりました六千七百億程度の数字と申しますのは、おそらく定価改定が行なわれない場合の本年度見込みの数字ではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/336
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337・平林剛
○平林委員 定価改定が行なわれない場合の見込み額、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/337
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338・斎藤欣一
○斎藤説明員 確かなことは覚えておりませんが、おそらくそういう数字ではなかろうかと思っております。その六千七百億程度に五百億程度を加えますと、七千二百億程度になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/338
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339・平林剛
○平林委員 そうすると、もしも定価を上げなければ、喫煙層の増加あるいは販売努力の傾注、新しいフィルター製品の発売、そういうものをやって六千七百億円くらいには達する、こういう御説明ですか。
〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/339
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340・斎藤欣一
○斎藤説明員 先生のおっしゃいましたとおり、定価改定が行なわれない場合の販売見込みの数字は六千七百十三億円というふうに計算しておったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/340
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341・平林剛
○平林委員 それでは、この問題はこの程度にしておきましょう。
ただ、かりに今度無理してたばこの値上げをして、財政収入を得るためということで七千二百七十二億円の見込みを立てた。しかし、たばこの値上げをしなくても六千七百億円くらいまでは伸びる。いま政府のほうでは、たかだか五百億円の増収をはかるためにたばこの値上げをしたということになると思うのです。私は、販売見込み数がもっとはっきりしてくれば、さっきの六千二百億円は、もっとずっとふえてくることになれば、またこの数字も違ってくると思いますね。そうすれば六千七百億円かあるいは七千億円くらいになるかもしれぬ。政府は何を好んで国民のたばこを値上げして、そうして税収の確保をするのか、こういう疑問があるわけなんです。そんなことをするから、先ほどの販売数量の減少や大衆銘柄への転移、そして販売努力の傾注をしなければ確保ができぬ。たばこの値上げをしなくても、少し足りないかもしれないけれども政府が予定する程度のたばこの売り上げは確保できる、こういうふうに私は考えるのでありまして、こういうことをしてまで大蔵大臣がたばこの値上げをしなければならぬということは、どうも私も理解できないし、国民も納得しない。大蔵大臣は私に向かって、たばこの値上げをして人のふところをねらうようなけちな財政はしませんよ、ということを昨年答えたことがありますが、とうとう大蔵大臣はけちな財政にことしは踏み込んだということになるわけですね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/341
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342・水田三喜男
○水田国務大臣 昨年はたばこの値上げは私はしない方針でいましたが、本年度は、いま御審議願っているような形で値上げをすることにいたしました。もうすでにいろいろ説明されておると思いますが、ことしの予算編成でやはり一番問題になりましたことは、税と公債発行の問題でございます。公債の発行を減らさないで減税を多くするか、あるいは減税がある程度犠牲になっても公債発行を削減するかという財政政策の面で私どもの選んだ結論は、結局、ぎりぎりの線まで減税を犠牲にして公債発行をことし削減することが、国際収支の問題を控えた予算の編成方針としてはオーソドックスのしかたである。こういうことでやったわけでございますが、さてそれじゃ減税をしないかといいますと、なかなかそうはいきませんで、税制調査会の答中にもございましたように、そのままにしておけば増税になる税がございますし、また、そのままにしておけば税の負担が相対的に減るというものがあるのですから、これはやはりそういう性質を持った両税を調整することがいいんだ。したがって、所得税はこの際必要に応じて下げるというかわりに、相対的に税負担が減っておる酒、たばこの値上げに踏み切るべきであるという意見に今年度は遺憾ながらわれわれは従わざるを得なかった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/342
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343・平林剛
○平林委員 いろいろな理屈はつけるけれども、結局、去年私に、人のふところをねらうようなけちな財政をしないと約束をしたことが、けちな財政になったということですよ。人のふところをねらうようなのはあまりいいことじゃないですよ。しかも水田さん、十三年間上げなかったたばこを値上げした大蔵大臣というお墨つきをあなたはもらうことになるのですよ。まことにけちな財政といわなければならぬ。しかも人のふところをねらうなんというのはあまりよくないと思うのです。日本における喫煙層それぞれそのふところをねらわれたほうは政府に対して非常な恨みを抱き、これは大蔵大臣、やはりもうえらいあなたの黒星として、こういうことを出してくることになると後悔をすることがあると私は思うのです。しかし、時間もないからこの辺にしておきましょう。
最後に、私お尋ねしたいことは、たばこの値上げをすることになりますと、先ほど問題にいたしましたように、小売り手数料というものは、いまいろいろな制限をつけて一〇%です。大体全国の小売り店の過半数以上の人が小口の小売り店ですから、一〇%の手数料をもらう。それからある程度の限界をつけて八%、六%と、こう区分をされておりましたけれども、そのままほうっておくと、たばこの定価が上がるわけですから、たばこの小売り屋さんそのものには、その分だけふところぐあいがよくなるということになるわけでございますね。たばこの小売り手数料について専売公社はどんな考えを持っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/343
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344・斎藤欣一
○斎藤説明員 けさほど副総裁からも御答弁申し上げたと思いますが、先生御指摘のとおり、たばこの定価が引き上げになりまして、現在の割引歩合と申しますか、手数料料率をそのままにしておきますと、自動的に小売り店の手数料額がふえるということに相なります。しかしながら、このたびの定価引き上げ、定価改定と申しますのがいわば増税ということでございますので、そのために小売り店が自動的に手数料がふえるというのはいろいろ問題があろうかと思います。ただ他面、定価引き上げということによりまして、小売り店の負担と申しますか、直接負担になりますのは、たとえば金利の負担がふえるといったようなこともございます。あるいは一般的に、値上げになりました場合に、先ほど総務理事から説明申し上げましたように、いろいろな変動というものが起こります。数量が減りますとか、あるいは下級銘柄への転換といったようなことも起こります。こういった変動というものもすべての小売り店に平均的に起こるというふうに計算せざるを得ないわけでございまして、その辺に各小売り店にとりましてはある程度のリスクというものもある。さらには七千二百七十二億まで売り上げを伸ばさなければいけないわけでございますけれども、これもなかなか楽にできるような数字でもない。そういった意味での小売り店の販売努力ということもお願いしなければならぬといったようなことでございます。そういうことから、値上げになりました後は、小売り手数料もある程度率を調整するということを考えております。財源的に申し上げますと、手数料率を動かさないで定価がかりに五月一日から値上げということになりましたならば、小売り手数料をそのままにしておきますと、小売り店の手数料額といたしましては、ほぼ四十億程度のものがふえるということになりますが、このうち二十億円を小売り店のほうに返すと申しますか、そういうワクの中で所要の調整をするということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/344
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345・平林剛
○平林委員 私は、この手数料引き下げできわめて不明朗な感じを実は持っておるわけです。大蔵大臣もよく聞いておいてもらいたい。いままでたばこの小売り手数料は年間百八十万円までに対しては一〇%、百八十万円から六千万円までは八%、六千万円以上は六%という小売り手数料、いわゆる歩合が払われておったわけであります。今度は、伝え聞くところによると、専売公社は年間百六十五万円までに対しては九・五%、百六十五万円から五千五百万円までは七・五%、五千五百万円をこえる額に対しては五%という歩合率にするということを内定をしておると聞いておるわけでありますけれども、これは間違いがないかどうか。
それから、従来一〇、八・六とかなり姿がよかったのを九・五、七・五、五とばかに変則的に、乱脈というか、あまり調子のいいようなかっこうじゃなくてこういうようなことをやった理由、それは何か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/345
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346・斎藤欣一
○斎藤説明員 確かにただいま先生のおっしゃいましたような案というものを公社内部でつくっております。そして、その結果の姿が御指摘のございましたように、いままでは一〇、八、六というまるい数字でございましたのを、九・五、七・五、五といったような変則的な数字になっておることも事実でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、国の収入といいますか、それから小売り人の利害と申しますか、そういった立場を調整いたしまして、ほうっておきますと約四十億程度小売り人の手数料が上がりますところを、その約半額の二十億程度というものを小売り店のほうに返すという立場から計算をいたしまして、大蔵当局と折衝いたしました。この二十億というワクの中で計算をするといたしますと、一〇、八、六というような端数のつかないうまい数字というものがなかなか出てまいりません。私どもの事務の関係から申し上げますと、できるだけ簡単な数字がよろしゅうございますが、このワクの中、しかも各小売り店各層にもできるだけ公平に配分がなされるようにいろいろ計算をいたしますと、御承知のような案が比較的妥当ではなかろうかという結論を出した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/346
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347・平林剛
○平林委員 ちっとも妥当でないから私、問題にするわけです。結局そのままほうっておけば四十億円たばこの小売り店に手数料をよけい支払うようになる。国民全般がたばこの値上げでもってそれぞれが負担をしなければならぬ時代に、たとえ一部であっても、その値上げによって利益を得るということがあることは適当ではないという判断から、私はそれを少しでも削ろうという考えが動いたに違いないと思うのです。そして、その四十億円を半分の二十億円にしようとしたことは一つの政治的判断――昔、足して二で割るということが政治だと見られた時代がありましたけれども、これも足して二で割って四十億円を二十億円にしょう、その二十億円に合わせるために九・五%、七・五%、五%という数字に変則的になっていったのじゃありませんか。私はそこが問題だ、不明朗だ、こういうことを申し上げるのですが、いかがですか。これは販売部長よりも、もっと公社の責任者が答弁をすべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/347
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348・佐々木庸一
○佐々木説明員 過去の手数料の扱いが、定価改定に伴ってどういうふうに行なわれてきたかということを調べてみますと、定価の上がりました際には手数料を下げ、定価が下がりました際には手数料を上げるという原則でほぼ処理してきたと思われるわけでございます。この際も定価の引き上げでございますから、小売り店のほうにそれに便乗した――と申しますとくあいが悪いのでございますけれども、乗った手数料増というものが起きないようにという配慮も働かせなければならぬと考えたことは事実でございます。ただ技術的に見まして、そのような操作をしますための数字というものは、実は〇・七五%くらい引かなければならない。やや端数のつく数字であるということがございまして、これが先生が姿が悪いとおっしゃることになります原因の一つでございますが、えらく端数のつく数字はどんなものであろうかという技術的な観点が一つあるわけでございます。
それに先ほど販売部長が申し上げましたとおりに、数量が伸ぶべきであったものが定価改定によって落ちるという問題、銘柄が上のほうから下のほうに転移する問題等がございます。個々の小売り店にとっては、場合によっては手数料収入が確保できないというリスクを生ずる場合もあるかもしれない。さらにまた、このような定価引き上げということは、かなり愛煙家の抵抗を呼ぶ問題でございますので、そのぐあいの悪い雰囲気の中で財政収入を確保いたしますために、小売り人の方々に努力をしていただかなければならぬ面がありますから、定価引き上げが財政収入、増税を目的とするものであって、それに便乗することを避けるという配慮と、いままで申しましたような小売り店に対する手当の問題というものを総合的に考えまして、販売部長から御説明申し上げましたような案をつくった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/348
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349・平林剛
○平林委員 私は、これはたばこの小売り店の売り上げ高の構成別から見ても非常に不当だと思うのです。たとえば、先ほど私が申し上げましたように、年間三百万円までの売り上げ、これは月にいたしますと二十五、六万でありますから、一〇%としても二万円か二万五千円ですね。いわばかなり小口のたばこ小売り業者、これは十四万四千四百十八軒あって七八%、おおよそ八〇%を占めているのです。ですから、こうした人たちにとってはある程度――われわれも定価が上がって歩率がそういうふうになっても、いまのような事情があればある程度認めてもいいと思っています。しかし、先ほど指摘いたしましたように、もう年間一千万ないし五千万円が三千五百二十一軒、五千万円以上は二百四十五軒、こういう少数なものです。いま考えられているものから見ると、無理をして九・五、七・五、五なんというような変則的なことにしなくとも、知恵を働かせればぐあいのいい数字、分配のやり方というのは出てくるわけです。しかも五千五百万円をこえるような大口の小売り業者の中には、実際には五分もらっていながら、パチンコ屋その他のところには一分くらいでもってやっている人もあるわけでしょう。そういうところに、幾ら事情があるからにしても、私はやはり再検討しなければならぬという客観情勢が出てきておると思うのです。しかも四十億円出るから半額の二十億円にする、足して二で割る。しかも、いままでたばこ小売りの手数料の改定は、昭和三十九年十月、昭和四十一年十月、二度にわたって十月実施です。今度は、いまのお話ですと昭和四十三年五月予定だというが、五カ月ばかり早めた理由は何ですか。さっきのような表の理由を答えたってだめですよ。表の事情など言ったってだめですよ。これは専売法四十条に、こういうときにはどう処置するということがありますし、小売り店にいろいろ御迷惑をかけるということはむろんわかります。シールその他の代金は別に出しているじゃないですか。定価改定のときにいろいろ繁雑な手数をかけるから、その分については別途考慮しているじゃないですか。そんなものは理由にならないのですよ。十月実施の慣例できたやつを五月でやったということは次に控えているものがあるからですよ。大体圧力団体に屈して、そうしてそういうことをやる、それが財政硬直化の原因である。大蔵大臣はこのことについてはよく身にこたえて、とにかく選挙を目当てに何かをするとかというようなことはなるべく避けなければならぬということを決心されておるはずだと思うのですよ。そういう前提のもとに一般の国民に対して犠牲を求めるという態度がなければ、国民は納得しない。私はこの販売協同組合の大将というのはだれか知っていますよ。そしてまた、次の参議院選挙にも立つということも知っているわけですよ。いろいろな動きがあって、そして足して二で割る。十月実施であった慣例を破って五月に急遽持ってくる。においがふんぷんとするじゃありませんか。私はこういう政治的な姿勢を改めることが大事だということをかねがね主張しておった。やるならもっときれいにやってくださいよ。大蔵大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/349
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350・水田三喜男
○水田国務大臣 今回のこの措置を全くわれわれは選挙を考えてやっているのでございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/350
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351・平林剛
○平林委員 選挙でやっているのじゃないと……しかし、こういうふうに、たばこ手数料、まだ発表もしていない、告示もしていないのに、「来たる五月一日からたばこ値上げに伴い、その手数料を次のように調整します。この方針は来たる五月から来年三月まで、十一月間に限ります。一、売り上げ月十五万までのお店は従来どおり一割」いま私が指摘したようなことをずっと書いて、「このようにして売り上げ十五万以上二十五万までのお店が損をしないよう、十一月間に最高八千二百五十円から最低七十五円の調整金を差し上げます。国会にて」云々、名前は言いませんよ。名前は言わないけれども、少なくとも閣僚の経験者たる者が、まだきまってないのをこういうふうにやっている。言わずと知れた、これは選挙目当てに考えてやっているということの一つの実例じゃありませんか。閣僚の経験者までがこういうことをやっているのですよ。まだきまってもいないそれを、すでにこうする、つまり選挙目当てに圧力団体に屈して、そうして一般のたばこの小売り店消費者みんなが負担をしなければならぬ、それを押しつけているようなときに、一面においては得をする小売り店がある。私は、得をするといっても、そのうち八〇%に及ぶ少額の小売り店には従来どおり一〇%でもいいのだから、これはふえるのは必然的にふえるのだからやむを得ない。これは目をつぶってもいいけれども、大口の小売り店の中には、せっかく六分ときまっておるのに、歩引きをしてまでやっているのが商慣習であり、国税庁もそれは認めている。そういうようなところにまでこういう措置を均てん化していく。そうして足して二で割るようなやり方をとる。また、まだきまっていないのに、自分の選挙区には、こういうようにきまりますと、まるでてめえがこれを差し上げますなんということをして、小売り店にぱあっとばらまく。こういうようなことが、いま日本の政治の中で財政の硬直化を来たらした政府の責任だと思うのですね。したがって、私は、この問題については、いままできまったやつを再検討してやるくらいなことをして、国民にそういう批判、疑惑を生ませないようなことを態度でもって示す、それが必要だと思います。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/351
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352・牧野誠一
○牧野説明員 いまお話しの中でちょっと誤解があるのじゃないかと思いますので、一言だけ申し上げますが、五月一日から実施するという案になっておるのも事実でございます。従来十月をどうして五月からにするか、これは五月に定価が改定になりますのでそうしたいというわけでありまして、ほうっておきますと、五月から九月までの間、今度の、ただいま先生の申されました案が率を下げる案でございますから、それまでの間、十月までほうっておけば、むしろ小売り屋さんによけい手数料がいくという形になるわけでございます。それを下げようという案でございます。五月一日定価改定と同時に実施したいということでございます。
それから、いま読み上げられましたはがき、これは少なくとも専売公社が出したものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/352
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353・平林剛
○平林委員 私は、十月から五月にしたということは、本来であれば公社はいままで二年ごと二年ごとにやっているから十月と言いたいところでしょうよ。しかし、その五月にしたということには一それはあなたは五月に改定だから五月だ、こういう理屈が立つかもしれませんが、世間はそう見やしませんよ。これはやはり参議院選挙の関係があるんだな、だからちょっと早くなったなという見方をしますと言うんですよ。いいか悪いかは別ですよ。しかし、そういうようなことを避けるべきではないか、今回の場合には特にそれを避けるべきではないか。もし直すならば、最近の世情にかんがみて、私は公平な分配のしかたをすべきだ。四十億を足して割って二十億に無理に合わせるから、一〇%を九・五、七・五、五なんということになるんですよ。これは検討し直せば、私、いい案を持っているのですよ、ちょうど二十億円になるような案を。もしどうしてもそれだけはあれだということならば、もっと冷静に、小さな小売り店にはある程度メリットがいく、しかし、最近の事情でもって、世間から指摘をされたものについてはこれは再検討するというような反省、それに基づいた態度があっていいんじゃないか。私は、はがきを出したのは専売公社だと言いませんよ。これは政治家だ、閣僚の経験者の政治家である。こういうようなことがまずいと言うんですよ。だから私はこの問題については、たとえ小といえどもやはりお互いに国民から疑惑を受けない一あなた方はたばこの値上げをするようなときですから、少しでもそういう批判を受けないような形でもって処理をする、それを選挙に利用するような者があるということはまことにけしからぬことだから、それはひとつ態度であらわすようなことをしたらどうですかということを言っておるわけですよ。大蔵大臣どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/353
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354・水田三喜男
○水田国務大臣 この合理的な配分、歩率の調整については、これは十分公社に検討してもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/354
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355・平林剛
○平林委員 大臣、十分検討するとおっしゃった――それじゃそういうお話がございましたから、一応質問を終わらしていただきます。先ほど留保したのはいつか適当なときにやらしてもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/355
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356・田村元
○田村委員長 平林君、政務次官が何か発言を求めていますが、いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/356
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357・平林剛
○平林委員 いいです、いいです。
〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/357
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358・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/358
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359・村山喜一
○村山(喜)委員 だいぶ夜もふけてきましたので、簡潔にやりたい、と思います。
まず、大蔵大臣にお尋ねをいたします。専売公社の諸君がわれわれのところにやってまいりましていろいろ説明をするのには、当初、四月の一日に法律の施行をして、五月一日から値上げを実施しなければならない、一カ月問の猶予期間というものが必要である、そうしなければ事務的に処理ができません、こういうことをわれわれに説明をして回ったのであります。ところが、いまの形でまいりまするならば、参議院で成立をするのは大体十九日ごろになるのではなかろうかとわれわれは思うのであります。その場合に、一カ月間の猶予期間が必要であると説明をして回りましたが、それが五月一日から値上げが実施になるということになるならば、前に説明をして回った諸君の説明が、これはうそを言うておるのか。もしそういうような最初の説明が正しいとするならば、これは五月一日実施ではなくて、五月の十九日ごろから実施をするということにしなければならないと思うのであります。そこで、先ほどの説明によりますと、去年の七月末で十八万八千七百六十七人の小売り人がおる。これにずっと在庫の手持ちの分についても証紙を張って回ったりいろいろしなければならないからということでございました。大臣は、この五月一日から実施をするということについて、責任を持てるとお考えでございますか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/359
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360・水田三喜男
○水田国務大臣 これは国会の問題でございますので、いつこれを通過させていただくか、まだ私のほうではわかりませんが、できるだけこれを早くしていただきたいといま思っております。また、公社側としましても、すでに内々いろいろ準備していることでもございましょうから、そういう点で国会ができるだけ早くこれを議決していただきますなら、何とか五月一日に間に合わせるというようないろいろな努力もされておると思いますので、この辺の準備のぐあいは公社側からひとつ説明をしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/360
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361・佐々木庸一
○佐々木説明員 確かに、準備期間をいただきたいということをお願いいたしました。私ども、法律がはっきりきまったところで、たくさんの小売り店がおいでになることでございますから、きちっとのみ込んでいただきたいと思っておった次第でございます。しかしながら、だんだん法律の通過がおくれてまいるような情勢でございますので、もし法律が国会を通過しましたならばこういうふうな値上げの形になります、その値上げの前には、先生が御指摘になりましたストックについて差額を徴収するという問題がありますので、そういうことが起きた場合においてはこういう手続になるはずですという事前の準備を各地方局が始めさしていただいております。条件つきでございますので、なかなか浸透はむずかしい点もあろうかと思いますが、小売り人の方々に集まっていただきまして、御了解を願っておる次第でございます。したがいまして、法律がお話のように十九日ごろ通るということになりますれば、全力をあげまして間に合うように措置したいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/361
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362・村山喜一
○村山(喜)委員 副総裁、あなたは私の部屋にも来て、一カ月なければだめだと言ったじゃないですか。これは、あなたはそのときはうそを言うたのですか。私たちは、五月一日実施だったら年度内に成立をしなくても問に合うじゃないかと言った。ところが、いや問に合いません、年度内でなければだめですと、あなた方はわれわれに説明をして回ったじゃないですか。いまでも問に合うというのだったら、前に言ったのは、それは通すためのそういうような話にすぎなかったのですか。そうなれば、もうこれからあなた方の話は割り引きをしながら聞かなければならないということに今後はなりますが、そういうふうに受け取って差しつかえございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/362
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363・佐々木庸一
○佐々木説明員 確定した形で十分周知をはかりますためには一カ月をいただきたいと申したわけでございます。現在のような状態になりますと、先ほど申しましたような条件つきで小売り店の方々にお話をするということをやらざるを得ないわけでございます。条件つきということでは不十分な点もまたあろうかと思いますし、正式にいろいろ伝達をします期間が縮まりましたことによりまして、第一線の販売関係者にかなりの無理がかかるかと思いますけれども、余裕を持って十分浸透するためには一カ月が必要であるというふうに先生に申し上げたつもりでございます。五日、十日ごろというお話が出ましたときに、それを、とても五日も十日もぐあいが悪いのですとは申し上げなかったつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/363
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364・村山喜一
○村山(喜)委員 どうも苦しい答弁のようでありますから、これ以上追及をいたしません。
その次に第二点ですが、大蔵大臣、五月一日から酒の値上げも実施、こういうことにならざるを得ないような情勢でございます。そうなってまいりますと、歳入欠陥が生じてまいります。私はこの問題については強く深くは触れてまいりませんが、これに対しましてはどういう措置をお考えになっているのか、その見解をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/364
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365・水田三喜男
○水田国務大臣 歳入欠陥が生じないように、できるだけ早く国会の審議をお願いしたい。いままでお願いしておる最中でございますが、かりにこれがおくれて、いまおっしゃられるように五月一日というようなことになりますと、歳入欠陥はやはり四十億円ぐらい出てくるのじゃないかと思います。しかし、これはいまの時点で最も合理的に推定いたしましても、しょせんはこれは見積もり、見込みでございますので、税収そのほか年間を通じてみますと、これで直ちに予算の執行が困難になるかどうかということもきまったわけではございません。政府としては、極力今後の税収とにらみ合わせてこの予算の執行については善処したい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/365
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366・村山喜一
○村山(喜)委員 まあ歳入は見積もりでございます。大蔵大臣をこれ以上いじめましてもしようがありませんので、このあたりで私はおきますが、まあ非常に弾力性のある予算であるということだけ印象に残ったということを申し上げておきます。
そこで、先ほど大蔵大臣に、酒の小売りの問題で、阿部君の質問に関連をいたしまして私、質問をいたしました。そのとき御答弁をいただいたのでございますが、それによりますと、届け出が出されてきたら受け付けることになる、そうなったら認めざるを得ないので、これが出てくるまでの間にいろいろと指導をしたい、こういうことでございます。この根拠はどこにございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/366
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367・泉美之松
○泉政府委員 技術的なことでございますから私から御説明いたしますが、いまお話しになりました酒類の製造業者が酒類の販売価格を届け出るというのは、国税庁長官の通達に基づきまして――酒類の価格は御承知のとおり本来自由になっておるので、業者がかってにできるわけでありますけれども、酒類行政を円滑にやっていくたてまえ上、業者の方が値上げをする場合には届け出てもらいたいということを言っておるのであります。その届け出を認めるとか認めぬとかいう権限は、別段税務当局にあるわけではございません。ただ、値上げをしたかどうか、いつからするかということを届け出ていただきまして、それによって、ああこういうことになったのかということを確認して今後の事態に対処していくということでございます。それで、そういう届け出を出されることになりますと、小売り価格まで上がってまいりますので、そういうことが国民全体に及ぼす影響が大きいということから、事前にいろいろ指導をしていく、こういう考えでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/367
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368・村山喜一
○村山(喜)委員 私も、どこにそういう法令の根拠があるのだろうかと思ってさがしてみたのでありますが、いま泉長官のほうからお話がありますように、根拠がございません。したがって、行政指導以外の何ものでもない。とするならば、原料価格は値上げになった、人件費も値上げになった、それから容器、包装費も値上げになっている、マージンもこの際少し上げなければならない、あるいは運賃も引き上げられた、こういうことになってきた場合には、合理的なその価格の上昇というものは認めなければならないという立場に立たざるを得ないのではないですか、合理的なものである限り。泉さんはどういう行政指導をなさっていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/368
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369・泉美之松
○泉政府委員 お話しのとおり、特に清酒製造業者につきましては、昨年酒造用米価格が百五十キロ当たり千六百六十円値上がりいたしております。それから、いまお話がありましたように、びん代であるとか、包装紙であるとか、包装代であるとか、あるいは運賃というものが値上りいたしております。したがって、そういうふうなコストの値上がり状況から見まして、合理的な範囲で製造業者が値上げをし、それに応じて卸売り業者、小売り業者もマージンをほしい、従業員の賃金が上がっている、運賃がこのごろ高くなっているというような状況から、卸売り業者、小売り業者も若干マージンがほしいということになりますと、これまた合理的な範囲内ではその値上げをされることはやむを得ないことだと思います。ただ、私どもといたしましては、増税をしようというときに、増税による値上げ額と、そういうコストアップによる値上げ額、これはやはり国民に納得していただく必要がある。この分だけは増税分であり、これはコストアップによる値上げ額であるということがわかるような姿が望ましいということで、いままで、業界のほうに値上げ要望があるのでありますけれども、その値上げ要望を自粛していただきたいということを申し上げておるだけでありまして、コストアップの状況から見ますと、おっしゃるとおり値上げされる場合に合理的な範囲のものであれば、これはやむを得ないものだというふうに考えざるを得ないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/369
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370・村山喜一
○村山(喜)委員 合理的なものである限り値上げをせざるを得ない、また認めざるを得ないということになってまいりましたら、税金は上がる、また税金が上がらない二級酒あるいはしょうちゅう、こういうようなものも値上げが行なわれる。国民は、税金以外にも、そういうようなものの値上げによってさらに生計費は大きな脅威を受けていく、こういうことになってくるわけです。先ほど大蔵大臣は、できるだけそういうようなのを行政指導によって押えていきたいということでございましたが、どういうふうに御指導なさるのですか。先ほどもちょっと触れましたが、宮澤経済企画庁長官は、物価特別委員会で、ビールの値上げについては認めない、こうおっしゃった。大蔵大臣は、国税庁長官を通じて行政指導をなさっていらっしゃるそのほかに何か有効な手をお持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/370
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371・水田三喜男
○水田国務大臣 私のほうでは、コストアップの点はわかるが、できるだけ自粛してほしいという要望をずっと早くから続けてきておりますが、最後にこれをとめる手というものは実際にはないと思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/371
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372・村山喜一
○村山(喜)委員 大蔵大臣は有効な手段を持ち合わせておいでにならないようであります。そうなってきますと、いま泉長官のところにメーカーの諸君から出されている資料があるはずであります。それはメーカーだけでなくて、卸段階においても、小売り段階においても値上げをしてもらいたいという要請がきているはずであります。これは、かりに五月一日から酒が値上げになるとした場合には、その税率の改定とともにこういう小売り価格の末端の最終価格についても実施される、そういう指導のもとに進めておいでになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/372
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373・泉美之松
○泉政府委員 先ほど申し上げましたように、酒類の価格は自由価格になっておりますから、税務当局において、その値上げを認めるとか認めないとかいう法律的権限はございません。ただ、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、増税による値上がり分とコストアップによる値上がり分とは国民大衆によく理解していただく必要がある。したがって、できるだけ両者の間で区別していただくようにお願いをしておるのであります。お願いを聞いていただけるか、いただけないかによって事態が変わってまいるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/373
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374・村山喜一
○村山(喜)委員 ということは、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の第八十六条の五に「表示義務」がございますが、それを適用して、政令でも改正をして、これについては税金分が幾らである、そして業界の分が幾らであるというそういう表示でもなさるおつもりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/374
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375・泉美之松
○泉政府委員 現在の段階におきまして、酒類業組合法の規定を発動してそういう表示をしてもらうということは考えておりません。値上げの時期でその区別がわかるようにしてもらいたいものだというふうに申しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/375
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376・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、五月一日から酒税の値上げに伴う分が実施される、若干の期間をおいて小売価格の最終価格を引き上げる。そういうようにした場合には、期間的にズレが出てまいりますから明らかになるわけですが、たとえば六月一日から小売り値段は上がる、こういうふうに受け取って差しつかえございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/376
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377・泉美之松
○泉政府委員 コストアップによるところの値上げがいつ実施されるかということは、先ほども申し上げましたように、私どものほうに権限があるわけではございませんで、業界に私が以上申し上げましたような趣旨で協力を求めておりまして、そういうふうに業界を指導いたしておるのであります。したがって、コストアップによる値上がりがいつ行なわれるかということは私から申し上げることは現在ではできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/377
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378・村山喜一
○村山(喜)委員 しかし、あなたのところが指導をしておられるわけです、権限はないけれども。時期的なズレをとるようにしたいとおっしゃっているのだから、五月一日よりも早くやるということはあり得ないでしょう。そうすれば五月一日よりも時期をずらすというのだから、そのあとになるはずじゃありませんか。それがどうして言えないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/378
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379・泉美之松
○泉政府委員 時期は、五月一日にかりに増税が実施され一まだ私、五月一日に増税が実施されるということは承っておりませんが、もしかりに五月一日に増税が実施されるということになりますれば、コストアップによる値上げはそれ以後になる、そのそれ以後がいつになるかということはいま申し上げかねる、こう申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/379
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380・村山喜一
○村山(喜)委員 経済企画庁、まだ見えませんか。――この四・八%の物価の上昇の中には、そういうようなコストアップによるものも値上げの率としては見込んでおるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/380
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381・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/381
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382・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/382
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383・村山喜一
○村山(喜)委員 この点については、私は質問を保留しておきます。
そこで大蔵大臣に。酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律を見てみますと、四十二条、四十三条で不況カルテルは結成ができるようになっている。八十六条によりまして基準販売価格というものがあるけれども、これは自由価格制をとるようになりましてから告示をいたしておりませんから、事実上発動されておりません。八十六条の二によりますと、制限販売価格、最高限度を押えるようになっておりますが、これも発動をされておりません。したがいまして、いわゆる税金を取ることについては、不当な廉売が行なわれないように、あるいはまた、業者の営業が成り立っていかないようなことにしないように、そういう配慮はこの法律の中でしてございます。しかしながら、不当に高く売りつける、あるいは大口使用者については安売りをやる、リベートとして還元をする、こういうような形のものについては何ら規制はないわけです。そこで私は、やはり酒にしても、たばこにしても、国民の生活に関係のある問題でございますから、そういうような面についても何らかの措置を法律の上においても講ずることが妥当ではないかと思うのでありますが、そういうようなことについては、大蔵大臣はどういう御認識をお持ちでございますか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/383
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384・泉美之松
○泉政府委員 お話がございましたように、最近は酒類の需給関係がだんだん緩和してまいりまして、したがって、昔のように、高い価格で売ろうとするから、それをマル公価格で押えるというような必要は現在ではなくなってまいっております。そういうことから昭和三十五年に公定価格制度を廃止いたしまして、基準価格制度を導入したわけでございますが、基準価格制度につきましても、本来酒税の負担は――大きな物資でありますけれども、他の物資が自由化されておる状況でありますので、酒類についても価格を自由にするということから、昭和三十九年に、基準価格の制度はありますけれども告示はやめるということにして、現在自由価格になっておるわけでございます。
〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕
そういった経緯からおわかりのように、酒類の値段を高くして売るということによる弊害はない。むしろ酒を安売りして、そうして業者間の競争が激化して、業者のうち倒産するようなものが出てまいりますと、酒税の保全ができにくくなる。こういうことから安売り競争に対してそれを防止するという措置は、この酒類業組合法にも規定があります。また私どもといたしましても不当なリベート値引きをしないようにということで、業界に正常取引運動を行なうという指導をいたしておるのが現在の状況であります。ただ、大ぜいの業者の中には、ときに安売りを行なっていろいろ問題を起こすものがございます。しかし、これはやはり業界の力によってそういう乱売をするとお互いが倒れることになるからというので、業界の正常取引運動によってそういうことを阻止していくということよりほかにないわけであります。業界内で処理し切れない場合には、私どもに与えられておりまする酒税法上の権限に基づいてそういう安売りを押えていく、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/384
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385・村山喜一
○村山(喜)委員 これはそのとおりなんだよ。だから大臣の答弁を聞いておる。いまの泉長官の説明によりますと、いわゆる小売り業者というものを保護していくたてまえを説明された。法律はそのようになっておる。そして税金が取り立てられるような形にしなさいとなっておる、それは税を取る側の立法なんであって、税を取り立てられる国民の側からの法律体系ではないわけです。だから、そういうような面についてもやはり考えるべきではないかということを私は大蔵大臣に尋ねているわけです。大蔵大臣の所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/385
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386・泉美之松
○泉政府委員 恐縮でございますけれども、先ほど申し上げましたように、現在の酒類の需給の状況からいたしますと、値を不当に高めて、国民が酒類を消費するときに、その国民の利益を奪うというような傾向にはないわけであります。むしろ、安売りすることによって業者間同士の競争が激化して、かえって倒産が起きると酒税の保全がしにくくなる、こういうことが現在の状況なのであります。したがって、私ども酒団法を運用する場合に、もちろん国民全体の嗜好品であります酒類については関心が強いわけでありますから、国民の利益ということを十分考えながらやってまいっておるのでありますが、しかし、値上げを不当に大きく行なうということによって国民の利益を害するというようなことは、現在では考えられないところであります。したがって、私はそういう点においては国民の利益は守られておるというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/386
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387・村山喜一
○村山(喜)委員 じゃ、不況カルテルを結んだ例がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/387
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388・泉美之松
○泉政府委員 不況カルテルは、現在しょうちゅうと合成清酒についてできております。これは御承知だと思いますが、しょうちゅう及び合成清酒は年々消費が減少してまいっております。合成清酒が一番大きく減少しておるわけでございますが、昭和三十五年当時に比べまして、現在の消費量は約半分に減少をいたして、年々減っておるのであります。そういう関係から、そういうものについては不況カルテルを認めたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/388
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389・村山喜一
○村山(喜)委員 先ほど阿部委員のほうから、フランスの農民は自家製のブドウ酒が飲めるという問題について質問がありました。そのときに主税局長は、自家製のものであっても三%の税率が課せられているという話をされた。
私は国会図書館で資料を調べてみたのですが、フランスの農業、昭和三十一年の国際食糧農業協会発行の資料、これはちょっと古いですが、それを調べてみますと、農業者は自分でつくったブドウを確保してブドウ酒をつくることができる。フランスにおけるブドウ酒消費は自家消費を除き、価格統制を受けていない。この中には自家用酒の醸造については免税になっているというのがございます。これは五十ヘクトリットル未満は課税がされていない、こういう記録になっておるし、「のびゆく農業」の中の「フランスの農業政策」を見てみましてもそういうふうになっているのです。自家用酒醸造は免税になっている趣旨の記録がございますが、いつ三%取るようになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/389
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390・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 まことに恐縮でございますが、そのときはちょっと申し上げましたが、私、資料を持っていなかったので、ブドウ酒一般についてフランスではたいへん税を安くしておって、それでタクス・ド・シルキュラシオンという三%の税がかかっておるのですが、自家用酒については、私、はなはだ申しわけないのですがつまびらかにしなかったので、免税かどうか、免税ということも聞いているがということをお答えしたので、先生のおっしゃったとこで、かえってこちらがお教えいただいて恐縮ですが、十分私のほうも調べまして、正確なことをお答えしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/390
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391・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで大蔵大臣、日本の農民は、いわゆる農産物の加工権が国家権力によって収奪をされている。ところが、フランスの農民やあるいはイタリア、スペイン、こういうところは、農民が自分で生産をしたもので自家消費をする分については国家の手によって課税をされない。私は当然の農民の権利ではないかと思うのです。イモをつくる農民はしょうちゅうをつくって飲んでもいいじゃないですか。そういうような生産加工権が農民の手から奪われているという状態について、これは当然のことだというお考えでございますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/391
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392・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 フランスでは、先ほど政務次官もおっしゃいましたけれども、ブドウ酒については、水のかわりというぐらいに非常に酒としての認識が薄いものでございまして、そういう意味では税率も安くしておりますが、それと違いまして、相当高い税率をもって消費者に納税をしていただいている酒を、自家用消費ならいいということにするということは、酒の製造自体を免許にして、全体を課税対象に置いているいまの制度としては不適当であるということで、御承知のように、先ほど申し上げましたけれども、統制がゆるんでおった戦後においては八十万石というような密造が横行して、財政の基礎自体を危くした日本としては、これはまだやれる時期ではないということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/392
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393・村山喜一
○村山(喜)委員 事務局長からそういうような説明を聞けば、前の阿部君に対する説明と変わりがない説明をせざるを得ないのですよ。あなた方は現在の法令の範囲内における発言しかできないのだから。大蔵大臣、が疲れておるのだったら、政務職である政務次官がちゃんとすわっておるのですから、その政務次官が答弁すればいいのであって――いやもういいですよ。時間がありませんから次の問題に入ります。
安いたばこの販売制限を行ない、高い新銘柄品を売り出して、事実上の値上げ政策を過去において専売公社はとってきましたね。これは専売公社はお認めでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/393
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394・斎藤欣一
○斎藤説明員 私、販売をやっておりますが、非常に過去のことは存じませんが、ここ数年間、私の承知しておる範囲におきまして、そういった無理なことをやった記憶はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/394
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395・村山喜一
○村山(喜)委員 先ほどピースの問題で二十六年のころの話が出ましたが、昭和三十二年は十本の単価が二十三円三十五銭、それが現在は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/395
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396・斎藤欣一
○斎藤説明員 三十一円以上になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/396
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397・村山喜一
○村山(喜)委員 政府の説明によりますと、四十一年の場合は三十円三十八銭、現在では三十二円四十五銭じゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/397
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398・斎藤欣一
○斎藤説明員 四十一年度、これは実績で出ておりますが、三十円三十八銭、四十二年度の補正予算ベースで三十一円四十一銭ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/398
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399・村山喜一
○村山(喜)委員 あなた方からいただいた資料、日本専売公社四月五日、「四十三年度専売納付金の算定」というのがございます。これによると、四十二年の場合には、これは消費税を算出する基礎に使ったものですが、一本当たりの単価が三円三銭六厘、今度四十三年度定価改定の前の数量によると三円十四銭七厘、これは正いしわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/399
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400・斎藤欣一
○斎藤説明員 正しゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/400
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401・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、昭和二十六年には十本で二十一円二十銭ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/401
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402・斎藤欣一
○斎藤説明員 仰せのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/402
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403・村山喜一
○村山(喜)委員 そうすると、安いたばこの販売制限をやりながら、新しい銘柄品の高いものを出していって、料金改定はやらないで、事実上はそういう値上げをする政策がとられたと見ても、これは言い過ぎではないでしょう。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/403
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404・牧野誠一
○牧野説明員 これは、いろいろ国民生活の水準と申しますか、国民のふところの中があたたかくなると申しますか、そういうことになってきたせいだと思いますが、だんだん単価の高いたばこがよけい売れるようになってきた。それからまた、フィルターのついたたばこもよけい売れるようになるというようなことで、毎年二%とか三%とかあるいは四%というようなことで、年によって違いますけれども、だんだん高級銘柄に嗜好が移ってまいりました。それで、私どものほうは、売ろうと思いましても、人が金を出して買ってくれるものですから、無理に売るということはできません。なるたけ供給が円滑にいくようにということで出しておりますうちに、だんだんに単価が上がってきて、ただいまお話のように、二十六年には平均十本当たり二十一円二十銭でありましたものが、四十二年度では三十一円四十銭をこすというようなところに上がってきた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/404
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405・村山喜一
○村山(喜)委員 だから、意図せざる増収、意図せざる単価の上昇が行なわれたということですね。
そこで、これとの関連でお尋ねをするわけですが、平均の値上げ率が今回一九%、しかし、今度値上げとともに下級品に移行をするので、ことしは一一%しか見込んでいない。その中で、F25、F50、こういうような新品種を販売するという計画、そうなってきた場合には、いま申し上げましたように、定価の改定は行なわないでも自然に上がっていくわけですから、この平均値上げ率一一%というのは、やりようによっては一二%、一三%になってくるということになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/405
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406・牧野誠一
○牧野説明員 これは見通しでございますので、なかなかむずかしいわけでございますが、外国の例でも、やはり名目的に、現在売れておりますような水準で銘柄が移った場合のウエートで値上げの率をはじきましても、なかなかそのとおりにはいかぬということで、私どもいろいろ過去の例や外国の例を参考にいたしまして、いま予算として提出しておりますような数字をできるだけ目標として完遂してまいりたいと思って出したようなわけでございます。値上げをしないでこういうようなことができるか、あるいはこれ以上に実質的に上げられるかということになりますと、見通しの問題でございますので、あるいは上下に何がしかぶれるかという点はあるかと存じますが、私どもとしては、できるだけいろんな資料を使いまして見通しを立て、その見通しも、売り上げ全体としては何がしか背伸びをした見通しだと思っておりますので、できるだけそれをやりたいと思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/406
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407・村山喜一
○村山(喜)委員 どうもおかしいですよ。年に二%くらいずつ、銘柄品を変えることによって増収率は上がってきているわけです。今度新品種を出せば、値上げは一九%だけれども、下のほうの品物を買うように転移するから一一%で見積もった。ところが、新しい銘柄品の増収による分は見込んでないでしょう。見込んであるのですか、幾ら見込んであるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/407
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408・斎藤欣一
○斎藤説明員 確かに先生の御指摘になりましたように、F25でございますとか、F50といったような新製品を出すことになっております。出すことになっておりますが、数量的に申し上げまして、その大部分はF25というF25――といいますのは、ただいま御審議願っております定価改定の内容から申しますと、定価改定後の新生の値段、すなわちいま一般的に売れております大きな銘柄としては、一番安いたばこでございます。したがいまして、F25を出すことによって非常に高いものを消費者に買っていただくというふうなことには相ならぬと思います。むしろ値上げによるショックと申しますか、それをできるだけ緩和しようといったような配慮から出す、私どもはそう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/408
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409・村山喜一
○村山(喜)委員 これは大蔵大臣答えてくださいよ。朝日、バット、刻みというのを据え置きました。しかし、小売り店は、こういうような据え置きの低価格のものについては希望をしない。小売店の希望はないけれども消費者は希望をする。ところが、店頭に並べてあるのかというと、店頭には並べてないわけですね。十軒に一軒くらいの割合しか並べてありません。やはり専売品である以上は、そういうような下級銘柄品も並べておく義務があるのではないか。これが民間のものであるならばいざ知らず、専売品である以上、そういうような品物がありますということを国民の前で公表をしているのに、買いに行っても品物がないというのは、これはおかしいと思うのですが、大蔵大臣はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/409
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410・倉成正
○倉成政府委員 ……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/410
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411・田村元
○田村委員長 倉成君、村山君から大蔵大臣という指名がありましたから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/411
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412・水田三喜男
○水田国務大臣 これはやはり私は並べておくべきものだというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/412
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413・村山喜一
○村山(喜)委員 専売公社の総裁にお尋ねいたします。
新生は三級品です。この三級品は今度は二五%上がります。平均は一九%ですが、新生は二五%上がります。一級品、二級品よりも三級品のほうが、下級銘柄品のほうが税率が高く引き上げられるわけであります。そこで、いままで新生を吸っていた人は――低所得者層の人たちが必ず禁煙をするわけにはいかぬ。やはり新生よりも安いものを吸わなければ生活が成り立たないという人たちが、国民の中にはずいぶんおります。住民税も納められない、所得税も納められない人が、国民の中に三割五分おるわけです。生活保護を受けている人もあります。そういう人たちはバットや朝日に転換をしなければなりません。そのときに、いま大蔵大臣がお話しのように、私は、やはり専売品である以上は、それが小売り店にないということはおかしいと思いますが、あなたはいまの大臣の答弁を受けて、やはりそういうような銘柄品は店頭に置くべきである、こういうふうにお考えになって、そういう措置をおとりになるお気持ちはございませんか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/413
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414・東海林武雄
○東海林説明員 いまのお話は非常にごもっともだと思います。それにつきましては、たとえばバットのお話がございましたけれども、これは従来の販売実績からいきますと、非常に数量が少のうございます。しかし、こういうような時期になりますと、たとえば新生を吸わないでバットを買うという方々のためにはどうすればいいかということは、当然これは考えなくちゃならない問題でありますので、その点については、もちろん小売り店にもよく話をしておりますし、できるだけの範囲で広くこれを出させるような方針をとっておりますし、また、製造数量も万全の策をとっておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/414
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415・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、これは技術的な問題ですから、副裁総あるいは担当の理事の方でもけっこうです。銘柄ごとの製造数量と原料との関係についてお尋ねいたします。
今回の法律改正によりまして、上中下のいわゆる原料質のものを使ってやる、こういうことになりますと、三級品については中、あるいは一番多いのは下と呼ばれる品質の原料葉であります。言うならば土葉とかなんとかいわれるもの、そういうものを使っておることは間違いない。そこで、あなた方がいま生産指導をなさる中において、品質のよいものをつくりなさいという指導をなさっていらっしゃる。そうするならば、そういうような下級銘柄品が数量的に、原料面において需要と供給の上において満たすことができるかどうか。いまの大蔵大臣並びに総裁のお話の方向に沿うてやった場合に、はたしてそれを充足することができるかどうかということ、いわゆる専売公社の経営の方針といいますか、耕作農民に対する指導方針との間に矛盾点が出てまいりますから、私はお尋ねをしておきたいのでございます。お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/415
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416・佐々木庸一
○佐々木説明員 耕作指導方針が上質の葉っぱを収納いたしますように指導いたしておりますことは、先生御指摘のとおりでございます。ただし、現実の問題といたしましては、現在二年分ぐらい持っております公社の葉たばこ在庫のうちにおきましては、いわゆる下級葉に属するもののほうがその他の葉よりも多い。在庫面から申しますと、やや下級葉過剰状況にある次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/416
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417・村山喜一
○村山(喜)委員 いまそういうような下級品の在庫量は相当あるということでございますので、いま十軒で一軒の割合しかないバット、あるいはその他刻み、あるいは朝日、こういうような下級銘柄品の需要者があった場合に、それはうちにありませんというようなことにならないように、その点については強く要望を申し上げておきたい。
最後に、あと五分しかありませんのでこれでやめますが……
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/417
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418・田村元
○田村委員長 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/418
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419・村山喜一
○村山(喜)委員 中国からこのたび十万トンのシャオチャン米を輸入をすることになりました。この輸入価格は国際価格で取り入れることになりますので、国内価格の二分の一程度で入ってくる。こういうような米を酒造米として使うというような方向において製造原価というものを引き下げていく、私はそういうような政策もとられていいのではないか、こういうように考えます。米の値段が上がった、さあ酒をつくる原料米が勢い上がっていく、こういうようなことになっていったら、とどまるところを知らない物価値上げになってくると思うのです。私は、やはりこういうような問題については、ことしはもう仕込みが済んでおるわけですから間に合わないにしても、将来において考えるべき筋合いのものではないかと思います。事務的な答弁は食糧庁次長から、政治的な答弁は水田大蔵大臣からお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/419
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420・水田三喜男
○水田国務大臣 すでに昨年八千トンですか、これを酒米に使っておるという話は聞いておりますが、それがはたして結果がどうか、これの結果が非常にいいということでしたら、おっしゃられるとおり物価問題の一つの解決にはなろうと思いますが、この結果は事務のほうから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/420
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421・泉美之松
○泉政府委員 お話しのように、清酒につきましては従来から内地米で製造しておったのでありますが、内地米の価格はだんだん上がってまいりますので、コストを引き下げるという意味もあり、できるだけ準内地米を利用いたしましていくべきではないかという考え方を私どもとっておりまして、すでに昭和二十八年に若干アメリカの加州米を使用いたしました。その後、台湾の蓬莱米あるいは韓国米等を入れまして、それぞれ酒をつくる努力をいたしております。ただ、従来の醸造の実績によりまして、そういう準内地米につきましては、まだまだ醸造技術の上で改善をしなければならない面がありまして、たとえばそういう準内地米でつくったものには、しろうとにはなかなかわからないのでありますが、専門家が鑑定いたしますと異臭、つまり本来の酒のかおりとちょっと違ったようなかおりが出てくる。あるいは俗に秋落ちと申しますが、冬の間につくった酒が、夏の暑いときを過ぎまして、秋になりましたときに品質が低下する、そういったような傾向があるのであります。これは結局、その途中の輸送のしかた、あるいは醸造技術の改善というようなことによって克服できるものというふうに考えまして、私どものほうにあります醸造試験所におきまして、そういう準内地米を使用する場合にどういう醸造方法をとったらいいか、つまり、蒸し米の時間は何時間にしたらいいのか、どの程度の蒸し米にしたらいいのか、こうじをどういうふうにしたらいいのか、そういったような技術的な研究をいたしまして、その研究の結果出てきましたデータに基づいて業界を指導して、将来はそういった準内地米をできるだけ使って、酒のコストを引き下げていく、こういう方向をとってまいりたいと思っております。お話しのシャオチャン米につきましては、先ほど大臣がお答えになりましたように、四十二醸造年度におきまして八千三百二十一トンを使用いたしたのであります。いま申し上げましたような醸造技術の点、なお検討を要するものがありますので、十万トン一挙に醸造米にということはなかなか問題があろうかと思いますが、できるだけ酒造用米において消化し得るものは消化するというつもりでおります。この点については、いずれ食糧庁のほうとも御相談申し上げたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/421
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422・村山喜一
○村山(喜)委員 これで私は質問を終わりますが、先ほど平林委員から指摘をされました、たばこの値上げに伴います手数料二十億の問題本来なれば四十億の手数料の増になる。それが二十億円で率を引き下げてやったんだという説明でありますが、しかし、これは私は重要な問題が含まれておると思うのであります。しかもそれが政治的に利用されて、まだ決定もされていないのにすでに決定されたかのごとき通知を出して、これが選挙運動に使われておるというその姿は、これはやはりわれわれ国政をあずかる者として、だれがそういうような資料を出したか知りませんが、そういうような資料が市中にばらまかれている。その中において選挙運動にこれを利用していく、そういうような政治のやり方だけは、これは国会議員としては慎むべき問題だと私は思うのであります。そういうようなことにならないように、私は、もっとこれらの問題については、専売公社においても、七・五というような率を引き下、げたから、それでいいじゃないかというような問題のとらえ方ではなしに、もっと国民が納得をするようなものにしてもらいたい、この点を強く要望いたしまして終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/422
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423・田村元
○田村委員長 次回は、来たる九日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後九時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02019680405/423
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