1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月十六日(火曜日)
午前十時六分開議
出席委員
委員長 田村 元君
理事 金子 一平君 理事 原田 憲君
理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君
理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君
大久保武雄君 大村 襄治君
奥野 誠亮君 河野 洋平君
笹山茂太郎君 四宮 久吉君
砂田 重民君 地崎宇三郎君
西岡 武夫君 古屋 亨君
坊 秀男君 村上信二郎君
村山 達雄君 山下 元利君
吉田 重延君 阿部 助哉君
井手 以誠君 神門至馬夫君
佐藤觀次郎君 平林 剛君
広沢 賢一君 広瀬 秀吉君
武藤 山治君 八木 一男君
岡沢 完治君 河村 勝君
大橋 敏雄君 広沢 直樹君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
厚 生 大 臣 園田 直君
労 働 大 臣 小川 平二君
国 務 大 臣
(内閣官房長官)木村 俊夫君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 宮澤 喜一君
出席政府委員
内閣法制局第三
部長 荒井 勇君
大蔵政務次官 倉成 正君
大蔵省主計局次
長 船後 正道君
大蔵省銀行局長 澄田 智君
大蔵省国際金融
局長 柏木 雄介君
厚生省医務局長 若松 栄一君
労働省労政局長 松永 正男君
委員外の出席者
国民金融公庫総
裁 河野 通一君
参 考 人
(金融制度調査
会会長) 舟山 正吉君
専 門 員 抜井 光三君
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四月十六日
委員野口忠夫君辞任につき、その補欠として八
木一男君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員八木一男君辞任につき、その補欠として野
口忠夫君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
国立病院特別会計法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一四号)
中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行
法、信用金庫法等の一部を改正する法律案(内
閣提出第二〇号)
金融機関の合併及び転換に関する法律案(内閣
提出第二一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/0
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001・田村元
○田村委員長 これより会議を開きます。
国立病院特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
木村内閣官房長官より発言を求められております。これを許します。内閣官房長官木村俊夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/1
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002・木村俊夫
○木村(俊)国務大臣 ただいま御審議をいただいております国立病院特別会計法の一部改正法律案は、国立療養所に関する経理を一般会計から特別会計に移すことを内容とするものでございます。実体法とは別個に定められる会計手続法的な性質のものでございます。したがいまして、社会保障に関する立法には該当いたしません。たとえば、国民年金法、厚生年金保険法、健保、国民健保、生活保護法等の社会保障に関する実体的内容を定める法律の制定または改廃は、社会保障に関する立法に該当いたしますが、これらの法律の実施にかかる国の会計手続について規定いたしております国民年金特別会計法その他の各特別会計法の制定または改廃は、社会保障に関する立法ではございませんので、社会保障制度審議会の意見を求めた前例はございません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/2
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003・田村元
○田村委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。八木一男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/3
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004・八木一男
○八木(一)委員 官房長官にお伺いします。
いま官房長官が発表された見解は、どういう手続で、どういうところで、だれだれが参画をしてつくられましたか。簡単明瞭におっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/4
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005・木村俊夫
○木村(俊)国務大臣 関係政府部内で集まって協議した結果の統一見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/5
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006・八木一男
○八木(一)委員 関係政府部内とはだれだれでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/6
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007・木村俊夫
○木村(俊)国務大臣 当然所管の大蔵省、厚生省、また、調整に当たります内閣官房でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/7
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008・八木一男
○八木(一)委員 この問題は、提出するかどうかというのは閣法の問題でありますから、これは内閣の責任であります。閣議でそういう統一見解を出されたのであれば、それが不当であれば、あるいは不法であれば、閣僚全部について、その不法行為を犯したことを、そういうような見解を持ったことを追及しなければなりません。そのような一部の官僚が集まってごちゃごちゃと相談して、それが統一見解とは何事ですか。あなたは佐藤内閣総理大臣にこの事態を全部報告し、両方の論点を説明をして、その裁断を得たんですか。もしそうでないのに、説明不十分で、こうやりました、いいですかというようなことでうんと言われたか。全然つんぼさじきへそれを置いて発表されたならば——内閣総理大臣が違法の手続として閣法を出された。あなた方はそうでないと言っておられるけれども、非常にその疑いが濃厚のことについて、総理大臣がつんぼさじきで、しかも内閣の統一見解であれば、総理大臣が責任を負わなければならない。あなたは佐藤内閣の番頭役として、総理大臣がつんぼさじきのまま違法の疑いのあることを発表する、そういうことをやる役割りではありません。総理大臣に経過なり論点を全部説明してそのような了承を得たのですか。あるいは閣議でそれをはかったのですか。そういうようなものは統一見解にはなりません。明確にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/8
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009・木村俊夫
○木村(俊)国務大臣 お尋ねでございますが、この法律案を国会に提出するには閣議の決定をしてございます。閣議決定におきましてすでにその統一見解の内容は閣議で了承した、これは制度的に考えまして当然のことであります。しかしながら、この問題についていろいろ御質疑がございましたので、特に私どもは関係閣僚間で再びその閣議決定の内容を再確認いたしました。(八木(一)委員「どこでですか」と呼ぶ)関係閣僚です。内閣総理大臣にもすでに報告、了承済みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/9
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010・八木一男
○八木(一)委員 木村官房長官はこの前の当委員会の審議の経過は全部御承知ないと思う。この問題について、大蔵大臣と厚生大臣から社会保障制度審議会設置法第二条第二項のことを伺ったときには、そのことすらもお二人が御存じない。少なくとも閣議で提案するときには、大蔵省が担当ですから水田大蔵大臣が提案されるのでしょう。関連の説明は園田厚生大臣がなさるのでしょう。その二人が知らないのですよ。それがいわゆる閣議でこの問題を検討して、そういうことで前に決定したのをあとで再確認した、そんなことが信用できますか。両大臣が知らなかったのですよ。知らなかったものを、前にそういう報告をした、そんなことが通りますか。佐藤内閣の閣僚は全部うそっぱちですか。あなたはこういうことで、特会法について困ったことになった、何とか統一見解ということで、総理大臣のかわりに官僚のまとめたものを読んでくださいと言われたに違いない。木村さんは非常に正直な、誠実な人だと思う。そんなインチキなことは通りませんからね。社会保障制度審議会設置法第二条第二項にこういう条文があるけれども、これには関係なくて、これをかけないで提出しても違法の手続でありませんという説明が閣議であったはずはないのです。大蔵大臣も厚生大臣もこの問題は知らないのです。そんなうそを国会で言われるものではありません。もう一回あなた方急速閣議を開いて、全部経過を説明をして、あなた方理解がいかないなら、私も委員長のお許しを得たらそこで説明します。内閣が違法を犯すかどうかという問題について、付属の官僚の、追い込まれたところで苦しまぎれに変な理屈で一そんなものは権威のある内閣の統一見解として出すものではありません。これは佐藤内閣であろうとも日本の内閣です。日本の内閣の権威にかかわるのです。(荒井政府委員、委員長に発言を求む)発言中に何を言うか、これ。発言中に何を言うか。
木村官房長官に質問をしておる。発言はとまっておらない。議事の妨害をするな、声を立てたりごちゃごちゃ動いたり。
官房長官、直ちに総理大臣に言われて、閣議を開いて私の説明を求め、あるいは反対の論点の人の説明を求め、もう一回検討し直しなさい。そうでなければ、閣議で前に決定したということは、あなたがうそをついただけではない、内閣全体がうそをつくことになる。これは佐藤内閣総理大臣に対してあなたは責任を果たさないことになる。それだけではない。日本の内閣がうそをついてそれが通るというようなことでは、政治の根底がくずれるじゃありませんか。大蔵大臣も厚生大臣も知らなかった。そこで説明したという事実があるなら、それを私にわかるように、会議で何時何分からどういう説明をしたという記録を全部出してください。官房長官のほんとうの政治家としての、誠実なまっ正直の政治家としての答弁をいただきたいと思う。ほかの圧力に押されてインチキな答弁をしたら、あなたは官房長官としても衆議院議員としても資格はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/10
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011・木村俊夫
○木村(俊)国務大臣 私は何も官僚の書いたものを読んでおりません。内閣の責任において発言しておりますので、その点は御了承願いたいと思います。
また、いまいろいろ御質疑がございましたが、この問題は、先ほど申し上げたとおり閣議で決定しております。閣議で決定したことが直ちに——いまの御質疑の点について閣議における論議はございませんでしたけれども、従来の制度的な問題として、当然のこととしてこの法案の提出をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/11
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012・八木一男
○八木(一)委員 閣議の進行役をなさる官房長官ですから、それは閣議の内容はおわかりでしょう。この特別会計法の一部を改正する法律案について、大蔵省か厚生省から、社会保障制度審議会設置法第二条第二項にこのような規定があるけれども、これについては該当しないと思うので、ここにかけることをせずして国会に提出をしたいという発言があったのですか。うそを言ってもらっては困りますよ。それからもう一つ、閣議には発言の記録があるのですか。記録があったらその部分だけについてお見せをいただきたいと思う。私はなかったと思う。これを出すということの提案があって、それで特会法はおそらくこういうことでいいのだというような大蔵省の理由で御説明になった。それじゃよかろう、それで閣法として御決定になったのだろうと思う。制度審議会設置法第二条第二項なんというのは、一言もそこで言われてないはずだ。知らない方が言うはずはないですからね。大蔵大臣や厚生大臣が説明にならないで、ほかの官僚に全部説明をゆだねてということではないと思う。ですから、何とおっしゃっても、それはおかしなことです。おかしなことはおかしなことで直してください。うそを押し通すというような政治がまかり通ったら、日本の政治の根底がくずれるのです。うそでも何でも知らぬ顔をしていればそれで通っていくのだというような政治ではいけない。官房長官はいま苦しいお立場に立っておられると思うけれども、そこで一番大事なことは政治を正す。うそは言わない。いいかげんなことでほおかぶりをしてものを通そうというような態度はとらない。法律という重大な問題については、一部の関係者がいいかげんな解釈をしたことだけで、それでよしとするようなあいまいな、非常に軽薄な態度、浅薄な態度をとらない、そういうことでやっていただかなければならないと思う。直ちに閣議を開いてその決定を是正しなさい。あなたは閣議の連絡役でしょう。閣議を開きたいという連絡はあなたはできるでしょう。その手続にすぐ行かれるなら、私は後の質問については木村さんはけっこうです。きょう十二時くらいからでもその問題で閣議をお開きなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/12
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013・木村俊夫
○木村(俊)国務大臣 私は決してうそは申しておりません。先ほどの閣議でこの問題についての発言はございません。法制局長官からこの法律案の内容を説明いたしまして、審査上何らの違法もまた不当もなしとして閣議にはかっております。それを各閣僚が了承して閣議決定をするのでございますから、その点についての心配はないという点を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/13
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014・八木一男
○八木(一)委員 その点で木村さんはかなり正直な政治家ということがわかりました。法制局長官が説明したわけですね。それで内容の背景については大蔵大臣や厚生大臣が御説明になったということですね。しかしそこで、社会保障制度審議会設置法第二条第二項という問題については、法制局長官は触れておられなかったのですか。その問題について、いま国会という国の最高権威の場所で提起をされた議論は二通りあります。あなた方の議論はいまのところ違うようです。だけれども、そういう法律違反かどうかという問題が提起されたならば、その問題を再審議される場合には、閣僚が全部責任を持たれる、特に総理大臣が責任を持たれるそのような閣議ではかって、それでその問題がどうだろうかということを討議されるのがあたりまえであります。したがって、そのような関係者、これがこの問題で審議がおくれていて、幾ぶん別な意味の責任を考えておられる方ばかりだ。その方は、その問題が何とかいいかげんでもスムーズに片づいて、早く審議が進んでもらいたいと考えている。そういうような、一つの色のあるそんな連中が知恵を集めたのなら、正しい見解は出るはずがない。そうではなしに、まずかったら閣議でちゃんとはかり直して、それから統一見解を持っておいでになるのが至当である。したがって、いますぐ総理大臣にあなたが連絡をされて緊急閣議でも開いてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/14
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015・木村俊夫
○木村(俊)国務大臣 私は臨時閣議を開く必要はないと思っております。すなわち、先ほど申し上げましたとおり、従来の法律解釈、いろいろ法制局で審査した上で、間違いなしとして閣議決定をしたわけでございますから、この法案の提出自体が万一設置法の第二条の第二項に違反することであれば、これは内閣としても責任がございますし、そういうようなことはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/15
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016・八木一男
○八木(一)委員 官房長官、法制局というものは政府の中の一つの機関です。これは専門家が寄っているでしょう。しかし、国会は国権の最高機関で、法律の実施について監視する責任と権限を持っております。内閣もまた、憲法の七十三条第
一号——御存じですか。御存じなければこっちから申し上げましょう。七十三条の第一項一号に「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。一法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」とある。これは内閣の責任ですよ。「法律を誠実に執行し、」——いいかげんで、これは前にやらなかったからよかろう、そういうようなでたらめなことではいけないのですよ。「法律を誠実に執行し、」というのが内閣の責任です。内閣の代表者は総理大臣です。閣議がその主体でなければならない。こういうような国権の最高機関で、これが法律違反だ、あるいはそうでもないというような重大な問題が提起されたならば、その問題については閣議でやるのがあたりまえだ。追い込まれた関係官庁の公務員としては、あるいはそういうことをぼやっとしていた法制局の連中は、何とか自分らの不手ぎわをおおい隠そうとしてへ理屈をつけている。そういうようなものをもとにして、また、追い込まれている関係閣僚だけが相談をして、これで通そう、そんなもので通るものではないです。閣議で全部はからなければ一あるいはほかの国務大臣が、木村さんや水田さんや厚生大臣のようではない、法律を内閣は誠実にやらなければならないのだ、この問題は慎重に考えろ、考えたあげくは、やはり違法であると言う国務大臣も出てくるかもしれない。総理大臣もそう言うかもしれない。それをあなた方だけで、総理大臣が違法の、あるいは違法の疑いがあることをそのままやっていこうというようになるのを——総理大臣に法律を守らせる、あるいは誠実に守らせる機会をあなた方は取っているじゃないですか。はしご段をはずしている。佐藤内閣総理大臣に何というあなた方は不誠実ですか。総理大臣がもしあとにいって、これを法律違反だというふうに考えたときに、佐藤榮作さんが主宰をする内閣でありながら、木村官房長官がそういうことをきめつけてしまったということになるじゃありませんか。国務大臣はあなた方三人だけではないでしょう。あとたくさんおられるでしょう。そのすべての国務大臣が、あなた方のその軽率なことで責任を負わなければならないことになる。閣議を開く必要がありませんなんということは、口がさけてもあなたとしては言える状態じゃない。何ですか、そのうしろにいる、へんてこりんの統一見解というような原案を持ってこられた、そんな連中に一切遠慮することはない。これなら憲法七十三条を開いて、この問題は閣議で統一見解をしていただかなければなりませんと言うのが法制局の任務なんです。内閣法制局などは、こういう一点からして任務の非常に大切なことを忘れている。こんなことまで指図をしてそれで統一見解というのはおこがましい。閣議をすぐ開きなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/16
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017・木村俊夫
○木村(俊)国務大臣 先ほど御説明いたしましたとおり、関係閣僚の大蔵大臣、厚生大臣、それから閣議を調整いたします内閣官房長官の私、これが統一見解と申しますか、あらためて御質問に対する御答弁をしておりますが、この答弁の内容は、内閣の首班である総理にもはっきり私から報告をして了承を求めております。事実上口頭了解による閣議とお受け取りになってもけっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/17
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018・八木一男
○八木(一)委員 木村官房長官、内閣総理大臣に対してどのように説明したか、簡潔に要点をおっしゃってください。どういう説明をしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/18
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019・木村俊夫
○木村(俊)国務大臣 総理には昨晩私から説明をいたしました。内容は、この特会法について、大蔵委員会で御質疑に対して閣僚間にやや答弁の食い違いがあったので、それを訂正するために、内閣としての統一見解をお答えするのである、その内容はしかじかこういう(八木(一)委員「しかじかでは困る」と呼ぶ)じゃはっきり申し上げます。この特会法の提出が、事前に社会保障制度審議会の意見を求めていないという点について、違法ではないか、こういう御質疑があった、それに対して大蔵大臣、厚生大臣からおのおの御答弁がありましたが、その点やや不十分な点がございましたので、あらためてそれについての政府の統一見解を大蔵委員会でお出しをして、それについて御了解を得たいと思います、こういうような説明をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/19
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020・八木一男
○八木(一)委員 全然説明が的をはずれている。木村官房長官、あなたはおられなかったかもしれないけれども、おられなかったから少し責任は軽いように見えても、官房長官が総理大臣に伝えたのは責任は重大ですよ、十分に調べないで。大蔵大臣と厚生大臣の答弁の食い違いなんというのは第二義的な問題です。大蔵大臣は、私が違法であると言ったのを、違法でないと思います。それを最初は答えられないで、その辺ちょこちょこうしろの人に書いてもらったので答弁した。厚生大臣も似たような状態であるが、厚生大臣は、違法ではないと思うけれども、違法ではないと思っても出したほうがよかった、出さなかったことは失態であると思う——ちょっとことばは違うかもしれません。そういうような意味のことを言われた。違法ではないということは、大蔵大臣も厚生大臣も同じように言っている。だから、その二人の大臣の答弁の食い違いよりもっと重大なことがあるのです。違法だということが一番問題なんです。答弁の食い違いや何かというのは、ここでは主題ではないわけです。これをほんとうに慎重に考えてやらないと内閣が違法を起こすかもしれない。こうこうこういうわけで違法でないと法制局なり大蔵省なり厚生省は言っているけれども、これは重大な問題ですから、たとえば国会の論議の速記録が印刷できていなくても、その前の仮印刷があるわけです。それを全部読んで、たとえば違法だと指摘している質問者の意見も聞いて、そこで全部調べて、総理大臣なりが違法でないと言われるならばいいけれども、そのことを総理大臣に聞かせないでおいて、違法でないというでっち上げ——私から言わせればでっち上げだと思うのです。でっち上げをした連中の意見をまとめて、問題は大蔵、厚生の食い違いというのを重点に置いて、それで説明をしたのだ。それでは総理大臣はほんとうの判断をする状態になかった。おまけに総理大臣に言われても、あと非常にたくさんな閣僚がおられるでしょう。その国務大臣が全部違法かどうかについて責任を負わなければならない。木村さんと水田さんと園田さんだけじゃないのです。ほかの国務大臣にそんな違法というような責任を負わしていいんですか。ですからいままで言われたことは、誠実な政治家の木村さんですから、反省をされて、この問題については閣議ではかる。しかも、自分たちの立場を守ろうとするそういう連中や、そういうことの重大性を知らせない法制局、そんなような連中の意見も聞いてもいいけれども、それを、けしからぬ、違法だと言っている私なりその他の質問者なり、そういう人たちの意見も聞いて、それから決定をされるのが当然だ。正しい反省をして閣議を開く手続をしなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/20
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021・木村俊夫
○木村(俊)国務大臣 先ほどから申し上げましたとおり、閣議は開く必要はないと思っております。ただ、総理に説明しましたときに加えて私から報告しましたのは、確かに制度的には以上申し述べたとおりでございますが、この種の法案は、やはり社会保障制度の運営上からいいましても非常に重要なものであるから、今後はこれらについての予算を審議会に説明をいたします際に、十分時間をかけて御納得を得るように特に配慮をしたほうがよろしかろう、こういうことでございます。
それからもう一点、先ほど申しましたように、これは従来の立法の先例がございます。従来そういう特別会計法は国会審議の際にしばしばかけられておるものでございますが、異議なく議決をいただいております。今回の特別会計法の御審議におきましても、決して国会の御意思には反することはない、こういうふうに私ども思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/21
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022・八木一男
○八木(一)委員 いままた再度言われましたけれども、木村官房長官は誠実な政治家のはずですから、これからの話をじいっと聞いて、内閣なり国務大臣全部があやまちをおかさないように、至急に閣議を開きこの問題を討議する、しかも違法だとしている人の意見を聞いて討議の素材にするということを進めていかるべきだと思います。
そこで、いま、前にかけたことがないからというのは、その辺うしろにいる連中が知恵をしぼってあなた方に教えたんです。前にかけたことがないというのは、この法律の重大性をみんなぼんやりしていたんだ。これは私も含めてと申し上げてもいい。みんなぼんやりしていた。しかし法律というものは、そこで法律違反であるということを発見をしたならば、前にあやまちをおかしているからといって誤りを続けてはいけない問題なんです。例は悪いかもしれないけれども、横断歩道の色が薄れていた。そこをつうつう通った。前に二回通ったけれども、三回目は薄いけれども横断歩道があるということがわかった。それは一時停止するのがあたりまえでしょう。二回前に知らないで通ったから、これからも、横断歩道があろうがなかろうが、人が歩いていようがいまいが、そこをぶつ飛ばすことは許されないことだ。誤りが発見されたのだから、前にそのような誤りをおかしたからといって、今後も誤りをおかすということの態度をとってはいけない。
〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕
こんなものは、前にそうですからというような、そういうけしからぬことを考えている厚生省なり大蔵省なり法制局、そういう連中にはあなた方から厳重戒告を与える。あなた方自体が姿勢を正して、前に誤りをおかしたならこれから絶対誤りをおかさない、いま誤りをしようとしておるならばそれをすぐやめるということをしなければならない。木村さんはあす社会保障制度審議会の総会があることを知っておりますか。そういうことも考えていないでしょう。誤りを正す気持ちが一つもない。あなたはもっとまじめな人のはずだけれども、政府全体が、雰囲気としてほおかぶりでいこう、理屈があろうがなかろうが。へ理屈をこねてそうじゃないと思うと言えば押し通るというような政治を改めていかなければなりません。
〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕
このような、前にあったからいいのですというような、ほんとうにけしからぬ見解を持つ者に厳重に戒告を与えていただきたいと思う。あなたは憲法七十三条を御存じなかった。憲法について勉強しておる人が少ない。これは内閣の責任ですからね。官房長官はこの文章くらいは覚えていないと困る。一番最初に「法律を誠実に執行し、」と書いてあるでしょう。そういう状態を反省なさってください。自分が憲法の七十三条の第一号も知らなかった。あなたはほかの政治家よりもまじめだと思います。いい政治家だと思うけれども、一般に政治が退廃しておる。無責任時代になっておる。その中で、まじめな官房長官でも七十三条の第一号を覚えていないような状態だ。それを絶対に反省してもらわなければならない。大蔵大臣や厚生大臣が制度審議会の設置法二条二項を知らない、こんな政治が行なわれておる。そういう状態を反省して、もう一回前に戻って閣議にかけて、違法であるという正しい主張を認めてこの法案を社会保障制度審議会にかける、これが政治を正す道です。木村さんは、会計上の問題でこれは社会保障の実体に関係がないという説明を聞かされたのでしょう。大蔵大臣の提案説明には、結核問題はじめ長期慢性疾病のために重要な問題であるという説明があり、この委員会の確認で、これは医療保障の問題であるということを明確に答弁をしておるわけです。厚生大臣も同様な答弁をしておられる。しかも二割引き廃止、基準料金徴収、そういう問題がこの特会法と一体である。国立病院特別会計法の国立療養所勘定の中に割引を廃止するという予算が組んであるが、これも一体であるということを両大臣が答えておる。いままで二割引きをしたものを廃止するということは、非常に大きな社会保障の変更である。明らかに実体である。そういうこともあなた半分くらいしか御承知ないと思う。そういうことを説明しないで、自分の都合のいいかってな理屈だけ唱えて統一見解出すような、そういう官僚に厳重な注意を与え、処断をしていただきたいと思う。内閣を誤るものです、官僚が。大蔵大臣も厚生大臣も官房長官も、このようなイージーゴーイングなやり方でなしに、誤ったものは誤ったのだ、大蔵大臣自体、厚生大臣自体、社会保障制度審議会にかけるのが一かけなければ違法であるとなぜ主張しないのです。いままで知らなかった罪をなぜ償わないのか。それでりっぱな政治家と言えますか。法律を順守する問題は、特会法がいつ通るという問題とは違うのですよ。政府みずからが法を守らなければ、あらゆる法律を国民が守らなくても政府は何も言えないことになるのです。
この問題について、あと十分か十五分、木村さんや水田さんや園田さんも反省される時間を、質問しながら余裕を置いておきたいと思う。まず、あくまでもこれを違法であるということを、ほんとうに腹の底から考えていただきたい。そして、この法律がなぜできたかということを、なぜあるかということをほんとうに考えていただきたい。憲法第二十五条第二項の条文を、三大臣のだれかお一人、内容についてそらで御存じですか。——答弁ないからこれも御存じないと思う。時間の関係上読みましょう。いいです。見て読むならこっちが読んでも同じだ。第二項は「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」明記をしてあります。「なければならない。」ですよ。するようにつとめるものとするというようなインチキな表現でないのです。これは向上と増進をしなければならないのですよ。停とんをしても憲法違反ですよ。改悪になれば猛烈な憲法違反だ。わかりますか。そのような憲法違反を——社会保障制度という非常に精密なことについて、その辺にいる連中が誤った考えを起こして間違ってはいけないから、こういう問題については社会保障制度審議会に先にかけなさいということになっておるのだ。それが第二条第二項だ。三人ともわかりましたか。したがって、あなた方のへんてこりんな技術論でもしかりにあなた方が押されるとしても、一片の良心があったならば、それをかけなかったことによって起こったことについて、それを直す措置をみずからとられなければならない。
社会保障制度審議会においては、こういう問題を討議されたならば——二割引き廃止、こういうことをやったら、いま自己負担のない者はまけておく、そういうことをしない。基準料金を現入院者は取らないと言っているけれども、これは将来においてそうでない人からも取る糸口をつくることは明らかであるということで、これについては厳重に、してはならないという答申が出たのですよ。また、この答申においても、十割本人負担のときには二割引き廃止をしない、基準料金を取らないと言っても、それが地方財政に影響する。健康保険財政に影響するのですよ。去年国会であんなむちゃくちゃをしてまでも、健康保険が赤字だからといって無理やりに会期延長して、臨時国会を開いて押し通した。そのくらい赤字を心配している健康保険に一片の処置によって赤字が増大するのですよ。そんなものを社会保障制度審議会がうんと言うはずがない。何を考えているか、医療保障にもっと金をつぎ込まなければならないのだ。特別会計法というようなインチキな表現で、その実質上の国庫負担を減らし、保険会計をさらに赤字におとしいれ、将来には自己負担のある患者までも、気の毒な長期疾病の患者に、いままでやっていた割引をしない、たくさん金を取る、そのような不当を許すはずはない。
憲法の条章でいえば、停とんでも憲法違反であります。後退など許すはずはない。そうなれば、あなた方の閣議でこの医療問題を討議する前に戻す。特に少なくともこの二割引き廃止はやめましょう。基準料金徴収はやめましょう。いみじくもその中で一番良心的であった木村さんが言われたように、かけたほうがよかった。しかし、いまかけてなかったという状態においては、当然社会保障の社の字を知る人であれば、制度審議会では、こういうことをやってはならないという答申が出る。したがって、これは法律事項ではなくて行政事項であるから、国務大臣として、担当の大臣として二割引き廃止だけはやめることをいたしません、基準料金の徴収もすることはいたしません、そのことでもここで明言をされれば、まだ良心の幾分残っているということもわれわれに納得できるでしょう。別な政党の内閣でございますが、お一人、お一人は私はりっぱな政治家であると思っております。ほかの意味で尊敬している方方ばかりでございまするけれども、政治というものは国民に関する大切な政治でございまするから、個人的にはりっぱなお三人であっても、その責任は国務大臣が完ぺきに果たしてもらわなければならない。九十九点であっては、一点だけ国民に苦痛を与えるわけです。その意味でいま、その二割引き廃止を行政事項でやっていかない、しない、基準料金の徴収をやらないということを言っていただきたいと思う。大蔵大臣、特会法改正案に載っているから困るということは、口が裂けても言ってはいけません。あの国立病院の特別会計の療養所勘定には、医療費の改定があったらうんと増収をする分が、薬価の改定があればうんと減る分がある。あの中全体が全然流動的であります。したがって大蔵省は、これを厚生省がやらないと言ったときに、一つも文句を言うべき筋合いはない。むしろ大蔵省がこの誤りを少しでも正すために、厚生省とも相談して、二割引き廃止するのをやめようではないか、基準料金徴収をやるというのはやめようではないか、そのような考え方をして一片の良心を示されるのが、あなた方はじめ佐藤内閣として、国民に対して政治をしているという姿勢を示すことになろうかと思う。
この問題について、直ちに返上していただきたいけれども、これも直ちにできなければ、五分か十分そこで相談してください。いま園田厚生大臣が発言の意思表示をされましたから、前向きな答弁であればぜひやっていただきたい。もしそうでない答弁であれば、三人そこでそろって相談をして、そしていま言ったように、そういうことはやめましょうという答弁をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/22
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023・園田直
○園田国務大臣 まずこの前の答弁で、大蔵大臣と厚生大臣の食い違いがなかったということを八木委員が言われて、私の真意を理解していただいたことは感謝をいたしますが、その表現については、それは違っておる、誤解を与えるような表現があったと思いまするが、法律違反ではないということは、私も大蔵大臣も一致しておる。ただ私は、重大な問題であるから、八木委員が言っておられる社会保障制度審議会に相談すればよかった。その相談という意味は、諮問という意味ではなくて、私は、やはり法律的にいえば両方が一致しておったように、設置法は社会保障制度の「大綱」となっておるから、これは法律的にはかけなくてもよろしい。しかし社会保障制度、その大綱についていろいろお知恵を拝借しておるから、こういう場合には一応話をしてあいさつをし、相談すればよかった、こういう意味でございます。あとで調べましたところ、会計課長が幸いに審議会のほうには行って、これについて説明は申し上げたということでございまするから、この点は八木委員のおっしゃるとおりでございますが、一応念のためにこの前の答弁をそのように申し添えておきます。
次に、そういう意味で特会は、これは会計法の振りかえであって、設置法に基づく社会保障制度の大綱ではない、法律ではないということで審議会にかけなくてもよろしいのだ。ただ、いまおっしゃいました二割引き制度の問題それから基準加算の問題は明瞭に社会保障の制度であります。制度ではありまするが、設置法による大綱ではない。ということは、健康保険法の規定によって、保険医療機関が保険者と契約をして厚生大臣が定めた社会保険診療報酬の範囲内で特段の定めをすることができるということが明瞭に書いてあります。これを根拠にして、その範囲内で、今日までその他の社会保障制度あるいはその他の問題が充実していない段階において、二割引きを行政権で前の厚生大臣がやったわけであります。したがって、今度はそういう面が充実をしてきたからこれを取りやめようということは、特会とは特別関係のないことであって、この法律にはどこにも書いてございません。あくまで私は、基準加算、それから二割引き制度の問題は、社会保障制度審議会にかけるものではなくて、現行法を基準にした範囲内においての操作は、私にまかされた行政事項であると考えておりまして、私自身が判断をしてやることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/23
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024・八木一男
○八木(一)委員 質問の要旨に答えていただきたいと思う。
そういう前の経過の御説明をしたい気持ちはわかります。そこまではいいですけれども、いま言ったことは、二割引き廃止をやめる、基準料金徴収をやめるということを、先ほど私が熱意を込めて申し上げた考え方を受けて立って政府がとらるべきであると思う。それを大蔵大臣が横目で見たら、厚生大臣もやりにくいと思う。大蔵大臣も、厚生省のほうの行政について、短時間でも大事なことについて厚生大臣の説明を聞かなきゃやりにくいと思う。それをやるかどうか、またはその方向の線について、ちょっと五分間ほど協議してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/24
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025・園田直
○園田国務大臣 特会の問題についてこの前出ましたのは、基準加算及び二割引き制度の廃止をしても療養所の患者の方に負担をかけないようにするという考え方から出た問題でございまして、特別会計とは関係ございませんが、ただいまのところ、私は、割引制度は廃止をし基準加算はやっていい時期だと判断をしておりますので、やめる意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/25
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026・八木一男
○八木(一)委員 それについて厚生大臣は、この前の答弁の食い違いで、かなり大蔵省のほうから文句が出たりいろいろなことがあったと想像するが、厚生大臣は、この間のほんとうの幾ぶんの良心のひらめきを見せられた答弁を、きょうは後退をさせられる。いまの質問についても、そのような重大な問題について相談をしてみてくれと言っても相談をしない。厚生大臣が大蔵大臣に相談しないで、二割引き廃止を取りやめます、基準料金徴収を取りやめますと言われるなら、相談もしないで答えられるのがあたりまえでしょう。また、そうしていいでしょうが、そうじゃない。社会保障と逆行する問題を相談をしてくださいと言って、私は時間の余裕を差し上げている。それもしないでするような、そういう反動的な態度ではいけないと思う。また、そう言わざるを得ないような雰囲気がもしまわりにあるとすれば、その全体がけしからぬ。この審議はまだ続きます。衆議院の審議もするし、参議院の審議も続きます。その点について、厚生大臣も大蔵大臣も官房長官も、いま言ったことを十二分に頭に入れて、この問題についてよくかみしめて、国民のために何がいいか何が悪いかということをほんとうに考えて、内閣の方針を誤らないようにしてもらいたいと思う。いいほうに答弁が変わるならばわれわれは一切問題にいたしません。悪い答弁がいい答弁になるようにわれわれは熱意を込めて申し上げておる。不適である、不当である、あるいは不法であるということが指摘されたならば、その重大性を考えて、ものの一分間くらい、それと反対の意見を言うような、そういう考え方を改め、じっくりと考えて国民のためにいい方向を出す、それをやってもらいたいと思う。
そこで、三人の大臣に伺ったのですけれども、いままでのところは、大蔵大臣も厚生大臣も官房長官も、いささかの反省の色もない、一片の良心もないと私は考える。政府は、早くわれわれが悪法と思っておるこれを上げたい、その反対のことをやりたい、そのような立場だけでものを判断し、行動しておるように思う。そういうことを重ねておると、あなた方の内閣に不信任が出るのはかまわないけれども、日本の政治自体に不信が起こる。あなた方は、佐藤内閣だけではなく、日本の政治自体についての信頼を失わない責任がある。じっくり反省をして、きょう言ったことを一言も漏らさず総理大臣にも相談をして、すべての問題について対処してもらいたい。
違法な問題については重ねて申し上げておきます。社会保障制度審議会設置法第二条第二項は、憲法第二十五条第二項に政府が往々にして違反ばかりしておるから、この違反をさせないために、あらかじめこのような権威のあるところで、社会保障の問題を、企画についても、また立法についても、運営の大綱についても、はからなければならないことになっておるが、それをしなかったことは重大な法律違反であります。
そこで、前にしなかったからというようなことは、たとえて申しますならば、盗人たけだけしいことになる。交通違反の常習犯が、前に見つからなかったからどんどん飛ばすのはあたりまえだと言っておるのと、同じことになる。国務大臣がそういう態度ではいけません。そういう悪知恵を発揮した、そのような関係の官僚について厳重に調べて、牽強付会のそのような理論を立てるようなことを禁止しなさい。その理論の中身は、前にやったことはないからいいんだ——これはいま申し上げることでわかるでしょう。罪、あやまちを何回も重ねないようにしなければなりません。この問題について社会保障の実体に触れないというようなことは、大蔵大臣があの提案説明に書いたあれを見れば、この前の答弁で、医療保障の問題ですと言ったことを見れば、そういうことは言えないはずです。もし大蔵大臣が自分の下僚にそういうことを言わせるなら、提案説明を全部取り消し、初めから審議をやり直す。会計だけの問題です、医療保障には一切関係がない、そういうふうに提案説明を訂正して、審議を初めからやるのがあたりまえだ。国会にインチキな提案説明をしたのですか。うその提案説明をしたのですか。大蔵委員会をばかにしたのですか。提案説明にいつわりがあるなら、こんなものは初めから大蔵委員会で審議をしなければいい。本会議でもインチキな説明をした。初めから審議のし直しをしなければならないことになる。医療保障の問題です、そう言ったことを、医療保障に関係ない、社会保障に関係ないという統一見解に賛成したならば、明らかにこういう速記録の残っておる場で食言したことになる。直ちに責任をとって辞表を出しなさい。厚生大臣も同じであります。そのすべてについて、前に出してないから出さなくていいというようなあやまちをおかしたならば、何回もおかすというようなことに、あなたは賛成なのか。また、内閣も賛成なのか。インチキなうその提案説明をして、それで審議を衆議院なり大蔵委員会に続行していただくことをお願いするつもりなのか。医療保障の問題ですと言ったその発言、うその発言をしたならば、責任を感じて直ちに辞表を出されるのか、そのことの答弁であったら答弁をしてください。辞職をする、撤回をする、審議会にかけ直す、それ以外の答弁であれば、私は答弁は聞きたくない。その三つのうちどれか、返事をしてください。撤回をする、辞表を出す、どっちか答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/26
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027・水田三喜男
○水田国務大臣 遺憾ながらあなたの求める答弁とは違うんですが、私のほうは法を犯してないというのですから、いかに違法だ、違法だと言われても、どうにも返事のしようがないということでございます。前にあやまちをおかしたのはいいとしても、また二度おかすのかと言うんですが、前からもあやまちはおかしておりません。もう再三官房長官からも御説明になりましたが、社会保障制度審議会に相談すべき事項、たとえば社会保障に関する立法という大きいものは、当然これは相談しなければならぬものでしょうが、たとえば国民年金法とか、厚生年金保険法とか、あるいは健康保険法、国民健康保険法、失業保険法とか、生活保護法とか、こういうような社会保障の実体に関するものは、これは過去においてもみんなこの審議会に御相談をしておった。しかし、それをどういう経理でやるか、特別会計でやるとかどうとかいうような会計手続の問題は、これは社会保障の本体とは別ですから、この審議会にかける性質のものではないということで、過去もこれをかけたことがない。したがって、一般会計から特別会計に移すという法案でございますから、今回もかけなかったということで、違法でもないし、いまあなたが本気になって言われるような問題とは全くこれは違う問題だというふうに私どもは考えております。ですから、まず違法であるか、違法でないかという問題で、最初から違法ときめつけられても、これはどうにもならないのであって、私どもは違法でないというふうにこれは考えております。ですから、一応それだけは、もうこれだけ私ども説明したのだから、あなたにも了解してもらえるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/27
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028・八木一男
○八木(一)委員 あなた、法律をこの間指摘したのを読んでおりますか。「実体」なんということばが法律のどこに書いてあるんですか。どこに書いてありますか。法制局の役人も、大蔵省も、厚生省も、法律にない文句をつけて、この問題をよくわからない大蔵大臣をそそのかす。「実体」ということばは、この法律のどこに書いてあるのか。法律を拡大解釈したり、ひん曲げて解釈したりすることは許されません。どこに実体という問題が書いてある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/28
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029・水田三喜男
○水田国務大臣 「大綱」と書いてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/29
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030・八木一男
○八木(一)委員 あなたはいま実体と言ったじゃないか。実体と言ったというのは速記録に載っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/30
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031・水田三喜男
○水田国務大臣 これは社会保障の実体に関する大綱でございまして、問題は社会保障の本体についての問題でございますが、いまはそうじゃなくて、会計手続の問題と本体の問題は全然別の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/31
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032・八木一男
○八木(一)委員 私の質問をそらさないで聞いてください。あなたは実体と、三回か四回言ったのを聞いた。言ったというんじゃなかったら、速記録を調べるから、それまで待ってください。「実体」ということばを、あなたは先ほどの説明で、この説明のおもなる論拠として使った。「実体」ということばは一つもここに法律に書いてない。実体でなければいけないと書いてない。そういうことを内閣の法制局の連中は悪知恵を発揮をして、あなた方に知恵づけをする。大蔵省も、厚生省も、どこに「実体」と書いてある法律をそのように役人の一人の考え方で曲げることが許されるのか。「大綱」というほうは、これは問題があります。実体ということは書いてないですよ。今後一切実体などと言ったら、あなたは法律解釈の資格がない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/32
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033・水田三喜男
○水田国務大臣 この企画、立法、運営の大綱ということは、社会保障の実体に触れた問題でございますので、実体と言って一向差しつかえございません。法律にその字が書いてないというけれども、私の言っていることは間違いでございません。法律に書いてあるその三つのこと自身が社会保障の実体に触れた問題で、それに関する問題は社会保障審議会にかけろよということでございまして、今回の問題は、それに触れた問題とは別の問題だということを私どもは言っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/33
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034・八木一男
○八木(一)委員 だから、「実体」ということばを使っていないのだから、あなたはどこかほかで使いたければ使いなさい。国会で法律論議をやっているときに、法律にないことばで——「大綱」ということばは使ってよろしい、ここに書いてあるから。「実体」ということばは書いてない。
そこで、あなたはこの前この法律の提案説明では、社会保障の内容的な充実をはかると提案説明をしておられる。本会議でもしておられる。そして私の質問に対して、医療保障の問題でありますということを明確に答弁をしておられる。あなた方自体が社会保障の問題であるということを、提案説明でも、この前の答弁でも言っておられる。それをいまになって前言をひるがえすということは、政治家として許されない。本会議でそのような説明をしておられる以上、もし見解を変えられるならば、本会議の提案説明が違っておったことを、本会議を招集してもらって、あらためて提案説明をして、あらためて大蔵委員会に付託をしてもらう、それで審議をするのがあたりまえです。それは国会がきめることですけれども、あなたはそういうあやまちをしたのですから、国会のほうにそういう要請をされるのがあたりまえです。(水田国務大臣「委員長」と呼ぶ)質問中に質問の妨害をしないでください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/34
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035・水田三喜男
○水田国務大臣 一応質問にお答えします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/35
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036・八木一男
○八木(一)委員 続きがありますから……。
そういうことでありますし、それからこの二割引き廃止、基準料金徴収と国立病院特別会計法の療養所勘定とは一体のものであると言われた。その二割引き廃止という問題は、また非常に社会保障の中核的な事情にあります。(「中核という文字はない。法律用語じゃない」と呼ぶ者あり)ですから、そういう点でこれは社会保障の問題である。あなた方が逃げようとすれば、大綱ということが一つあるだけだ。大綱がこの上の企画、立法全部にかかるかどうか、これはまたいろいろな法律論争があるでしょう。及びということばを使わないで、「又は」ということばを使っている。これは法律解釈の問題があるでしょう。しかしながら、社会保障の企画や立法や運営の大綱に属することは明らかだ。あなた方は気がつかないで、何とかこれを早く審議を促進して、早く上げたいという気持ち一点ばりになって、そのための法律解釈、その作為的な法律解釈をしようとしておられる。法律の問題は、特異の目的を持った解釈をしてはなりません。作為的な解釈をしてはなりません。一時点の政治上の便宜の問題で法律の解釈を変えるというようなことは、法治国としては許されないことであります。しかも、あなたはそう言っておられるけれども、官房長官の説明によれば、他の国務大臣は、これについては、この問題を提起されてからは一切関与をされておらない。あなたは、同僚の、ともに国政を熱心にやっているはずの人に、法律違反あるいはその疑いの濃厚なものを、つんぼさじきに置いてその責任をかぶせる、それだけの権限はありません。木村さんも、水田さんも、園田さんも、自分たちだけでほかの熱心に政治をやっている国務大臣に責任を負わせるようなことをしてはならない。総理大臣に、不十分な説明で責任を負わせることをしてはならない。閣議できめるべきことを、二、三の作為的な立場で曲げた法律解釈をしている官僚の支配にゆだねてはならないのです。そういうことによって、憲法第二十五条第二項に定まっておる社会保障を向上、増進をさせなければならないという大切な社会的基本権を侵してはならないのです。それを侵させないために、誤りをおかさせないために、社会保障制度審議会設置法第二条第二項がある。それを法律を曲げて、そこを通さないでやるということ自体が憲法違反であります。憲法第二十五条第二項違反であります。この問題について、憲法違反を内閣総理大臣が犯すおそれがある問題について、その説明はさっきのあなたの説明ではしておられなかったはずです。今国会の予算委員会において、憲法を順守する問題が非常に大きな問題、もちろん提起されなくても重大な、一番大切な問題でありまするけれども、総理大臣は憲法を順守するという問題について発言をされております。これは憲法第二十五条第二項に違反する問題であります。それについて、あなた方三人だけで総理大臣や他の閣僚に責任を負わせる資格はありません。したがって、この問題については直ちに政府のほうから田村委員長に懇切にお願いあって休憩をしていただき、閣議を即刻開いて、あなた方の公務員のインチキな作為的な理論でなしに、この問題を提起した人たちの意見も聞いて、間違いない判断を内閣がするようにする責任があります。
木村官房長官、さっきからこの問題についてもうひとつ具体的な問題についてあなた方に質問中でありましたが、十分か十五分の御実行になる時間を、私としては一問一答はあまりやらないで、差し上げたつもりであります。ほんとうの政治家ならば、そういたしたい、いたしましょうという返事が出ようと思います。ほんとうにまた内閣全体について、あるいは内閣総理大臣について責任をお持ちであれば、私の申し上げたことに打てば響く御答弁があろうと思います。その御答弁があればいただきたいと思います。それと違う御答弁であれば、これは内閣全体が政治に対してほんとうに間違った方向に向けているということになりますから、違う御答弁であれば私は望みたくないと思う。違う御答弁であれば、日本の政治が曲がることを正式に認めることになり、また、政府のように間違ったことをしても、そのうち前にやったからまたやるというようなことを積み重ねることになる。もし決心がつかなければ御答弁は要りません。いいでしょう。決心がついたならば、あるいはまた決心に至るような努力の気持ちを持たれたならば、御答弁をいただきたいと思う。そうでなければ、三人とも直ちにこの場で辞表を書いて、総理大臣に辞表を出していただきたい。御答弁があれば承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/36
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037・木村俊夫
○木村(俊)国務大臣 私はいつでも辞表を出しますけれども、それと別に、この問題は内閣全体の問題でございます。先ほどからたびたび申し上げておりますとおり、内閣の責任においてこの法案を閣議決定して国会に提出いたしました。これは重大責任でございます。その責任からいたしまして、再び閣議を開いてこの問題についてさらに審議を重ねる必要は毛頭ないと思います。しかしながら、制度的にはいかに誤りがない問題にいたしましても、やはり制度自体にひそんでおる精神なり趣旨というものがございます。こういう社会保障制度審議会がせっかく御審議でございますならば、こういう問題、たとえそれが事前に意見を聞く必要がなくても、事実上御相談をするというようなことは、今後配慮しなければならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/37
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038・八木一男
○八木(一)委員 三人の大臣は、一つも反省の色がないと思う。これはほかの国務大臣には非常に気の毒なことになると思います。内閣総理大臣に対しても気の毒なことになる。しかし、そのような、ほかの大臣なり総理大臣についての責任を感じないような国務大臣がおられたのですから、ほかの大臣も、内閣総理大臣も、迷惑がかかるのはしかたがないことです。この違法の問題については、私は徹底的にこれを追及してまいります。また、わが党同僚によって追及されるでありましょう。この問題はきょうで、このうるさい、声のでかい人間の質問時間が終われば終わりだと思っていただいたら大間違いです。徹底的に追及をしますから。
私は、内閣を困らせることが目的ではない。法律を守る、社会保障の憲法二十五条第二項の精神が曲げられないようにしたい、具体的に二割引き廃止とか基準料徴収、そういうものをしないようにしたい、制度審議会というものをトンネルにしないようにしたい、そういう目的で考えております。したがって、あなた方が反省されたならば、それについては私ども具体的に対処をいたしたいと思いまするが、いまのところ一片の反省の色もない。私もこれからも追及をいたします。わが党の各位も、また各野党、自由民主党の方々も心ある人はこのようなことがあってはいけないとお感じになるでありましょう。三人で閣議が支配されるというようなことはいけないと考えられるでありましょう。一部の法制局や一部の連中の曲がった解釈で法律が順守されないことは、重大な問題であるとお感じになるでありましょう。私は、社会保障制度審議会設置法第二条第二項を、ほんとうにこの法律を内閣が守っていくようになるために、また憲法二十五条第二項が、制度審議会をトンネルにしたことによって曲げられたり、二割引き廃止、基準料金徴収というような悪政が実施されないように、徹頭徹尾皆さま方に追及を重ねていくことを、そして皆さま方が、あやまちを正すことは人間の責任である、特に政治家の責任であるということを考えられて、あやまちを一刻も早く正されることを強く要求をして、ふんまんを、また内閣に対する非常な憤りを、国民の気持ちを込めて申し上げて、時間が参ったそうでございまするから、私の質問を終わることにいたしたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/38
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039・田村元
○田村委員長 只松祐治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/39
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040・只松祐治
○只松委員 本問題につきましては、すでに多くの同僚議員から、具体的な問題について質疑あるいは意見の開陳が行なわれました。
〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕したがいまして、私はそういう諸点の中から出てきた問題について、足らないところを若干ただし、また、そういう中から出てまいりました皆さん方のお答えをさらに確認をし前進をする、そういう形からひとつ質問をしてみたいと思います。
まず、すべての委員から言われ、また私の年来の主張であります、政治というものは弱い人の立場を、特に私たち野党の場合は、こういうものをどうやって守っていくか、そういう人に不安を与えないかということが一つの政治の大きな基本的な問題だと思います。そういう主張をいたします。先ほどのたばこの値上げなんかは、たとえばこういう療養者にとりましても、療養給付はほとんど上がらないのにこうやって支出が増大をしていく。たばこは、一律に療養者といえども上がっていく。十円上がれば三千六百円、二十円上がったものならば七千二百円というものが年間上がります。こういう不安を与えるということは、きわめて悪い政治だと思います。今回増税法案をはじめ、こういう法案が提案をされました。そしてそういう点について審議をしなければならないということは、私たち当委員会にとってはたいへん迷惑といいますか、悲しいことだと思います。しかし、現実に出てきた法案でございますから、こうやって審議をいたしておるわけですが、その過程を通じて、そういう一番困ってる人々、そういう人々に不安を起こさないようにするのがまた重要な委員会の任務だ。
そこで厚生大臣、いろいろ委員から質疑をなされ、意見が開陳されましたように、あなたのほうはないとおっしゃるんだけれども、患者の方々や、あるいは国立の医療に従事されている方々が強い反対を示しておられるというのは、やはり今後不安がある、こういうことを意味しておるんだと思います。そういう不安を与えることはよくないことである、こういうものに対して、絶対にそういうことが生じないようにする、こういうことをひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/40
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041・園田直
○園田国務大臣 御指摘のことについては、患者の方々あるいは職員の御意見等も十分承っておりますし、なお、各委員の方々の御質疑も、全部それにわたる問題でございます。それについてはそれぞれお答えをいたしましたが、さらにもしこの法律案が成立した場合には、行政実施、運営上については特にその点には留意をして、患者の方や職員の方々に不安を与えないように気を配っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/41
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042・只松祐治
○只松委員 大蔵大臣、ひとつ財政面からもそういう保証のお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/42
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043・水田三喜男
○水田国務大臣 国立療養所の現状から見まして、これを改善し、内容を充実しようという趣旨から、この特別会計に移すことを考えたものでございまして、したがって、経営を営利的に持っていこうというような考えから出たものではございませんので、今後とも一般会計からも正常な収支の差額については補給するというようなことを行なって、この療養所の充実については、財政的な裏づけも十分にしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/43
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044・只松祐治
○只松委員 次に、現在の医療制度には、いろいろな混乱があると思います。政府も率直にそのことは認められて、いま抜本的な改正案というものを検討中のようでございます。たとえば保険を見ましても、政府管掌の健保、組合健保、国民健保、日雇健保、船員健保、あるいは地方公務員の共済健保、国家公務員、公共企業体等、こうやってたくさんのものがあります。また、この給付内容や、したがって施療のしかたというようなものにも、大きな相違というものが出てきております。
〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕
同じ国民でありながら、こういう医療について享受する権利といいますか、受け方というものがたいへんに違ってきておることは、これは私は残念なことだと思います。ぜひこういう問題について抜本的な改正というものがなされる必要があると思いますけれども、そういう場合に、先ほど問題になりました社保審にこれは当然かけられると思いますが、そういう点だけでなくて、あらゆる医師会あるいはこういう健保組合、患者その他のものが、これを聞けば今度また利害が錯綜いたしまして、なかなかまとまりかねる、こういう結果も招来しているようであります。しかし、やはりそれぞれの関係者の意見を十二分に聞いた上でこれをまとめていく、こういうことが必要だと思います。
まず第一点として、こういうばらばらになっておるものを、もっと大局的な見地からどうされていくかという点について、それからその際にはひとつ十分に各層の意見を聴取する、こういうことをお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/44
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045・園田直
○園田国務大臣 各方面の御意見も十分承るということは、十分考えております。それぞれまた逐次実行いたしております。
なお、ばらばらの制度を一本にまとめるということは、すでに関係各局ばかりでなく、全局長に、総合的な体系的なものを考えて、その中の医療保険であるという点から具体的に検討を始める、こういうことを言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/45
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046・只松祐治
○只松委員 次に、今度の特会の問題について御質問をいたします。
これの中心をなすといいますか、当面の基本的な問題は五カ年計画の内容であろうかと思います。この施設の整備、拡充等々に当面約二百三十億の資金というものが必要とされる、こういうふうにいわれておるわけでございます。中身は公表されておりませんが、当委員会に整備計画の概要をお示しになりました。これは大体そういうことのようでございます。こういうものを私たちがそれなりに推測、推算をいたしますと、一番確実に出てくるのは、土地売却費が大体四十億から五十億、借り入れが約百億前後ではないか、こういうことになりますと、国庫からの繰り入れが八十億前後、こうやって予算が膨張してまいりますと、もっとふえるかもしれませんけれども、おおよそそういうことが私たちなりに推測されるわけであります。大体こういうことに間違いはないかどうか。この点について関係者からお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/46
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047・若松栄一
○若松政府委員 ただいま御指摘のような計画で五カ年計画を実施してまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/47
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048・只松祐治
○只松委員 そういたしますと、一番問題になるのは、各委員が指摘をしてまいりましたように、国庫からの、一般会計からの繰り入れという問題が一番懸念されておるわけでございます。これを打ち切られやしないか、圧縮されやしないかということでありますが、ひとつここで大蔵大臣、八十億と限定されたわけではございませんけれども、そういう繰り入れの金というのはほぼそれに見合うようなものであり、これは心配のないように努力するということを確約をしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/48
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049・水田三喜男
○水田国務大臣 厚生省のこの五カ年計画の構想が示されまして、一応これを頭に置きながら、さしあたり本年度の予算をきめたわけでございますが、この構想については、私ども大体これを前提にしていろいろ本年度の予算をきめたといういきさつもございますので、今後一般会計の繰り入れについても、私どもはこの計画に沿った措置をして協力をしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/49
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050・只松祐治
○只松委員 さらに具体的には本四十三年度、医療拡充で十四億、患者サービスで七億という金が増額されておるわけでございますが、明年以降もこういうことに不足がないように努力をぜひ続けていっていただきたいと思いますが、そのこともお約束できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/50
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051・水田三喜男
○水田国務大臣 それもできるだけの配慮をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/51
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052・只松祐治
○只松委員 それから、これも尋ねられたことでございますが、ここで確認をしておきたいと思います。
地方移譲の問題につきましても、あとで土地の売却等の問題もお尋ねをいたしますが、簡単に地方移譲されたり、あるいは土地の売却をされる、こういうことになりますと、結核患者は減ってきておりますけれども、精神病患者や何かは増大しておる。こういうことになりまして、患者一人当たり百坪必要としていくならば、結核患者の面だけ見れば何とか間に合うということになりましても、将来拡充していって、病院がりっぱになるとともに、一般的な患者も収容していくということになれば、これは土地が足らなくなる、百坪を割る、こういう事態が出てくるおそれなきにしもあらず。したがって、地方移譲や土地の売却については、みだりといいますか、あまりにも財政面からだけ考えてしないように、歯どめと申しますか、厳重な計画のもとにおける売却等をひとつやっていただきたい。みだりな地方移譲等をしないということをひとつお約束いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/52
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053・園田直
○園田国務大臣 御指摘のとおりでございまして、国立療養所の使命が減ったわけではなくて、ますますふえてくるわけでありますから、ただいまのところ、地方移譲などは考えておりません。
それから、財産の整理につきましても、将来の国立療養所の医療上の必要性も十分勘案をしてやり、なおまた、それを処分する場合には、一般財産になるわけでありますが、あくまでも公共優先その他の公用財産の行政概念としての取り扱いに準じて、慎重にやりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/53
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054・只松祐治
○只松委員 次に、人員の問題について若干お尋ねをいたしますが、現在でも医師で七%、その前は九%ぐらい、看護婦で六%不足をいたしておるわけでございます。これを至急に埋めること、あるいは四十三年度以降の整備計画に基づけば、人員増ということも当然に出てまいります。本年度百五十名の増がなされておるようでございますが、今後もそういう整備拡充に伴って人員の不足を補い、増加をはかっていく、こういうことに努力をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/54
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055・園田直
○園田国務大臣 御指摘のとおりに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/55
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056・只松祐治
○只松委員 大蔵大臣のほうにお尋ねいたしますが、一般的なこの定員削減という中において、こういう医療面における人員を確保していくということは、それなりになかなか容易でない面がある。こういう面に対する大蔵省の格段の理解をいただいておかないと、特に特会になりまして何かやっかい者みたいな形になって、そこに補助を出す、こういう態度で出されますと、こういう人件費なんか認めるのが、特に事務当局等では、これが二年たち三年たちまするとなかなかむずかしくなってくる、こういう事態も懸念されておるわけでありますが、こういう点に関しましても特段の配慮をお願いしたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/56
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057・水田三喜男
○水田国務大臣 十分配慮したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/57
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058・只松祐治
○只松委員 それから、先ほどから論議になっております二割引きの廃止の問題で、ある部面では五割近くの上昇を来たすことになります。御存じのとおり四十二年で二万四千三百五十八円というものが二万九千八百五十六円、こういうふうになります。さらに、これを廃止した患者に至っては四万六千百四十円、こういうふうに非常にはね上がってまいります。このことは当然に各保険団体、地方公共団体に責任が転嫁されるといいますか、しわ寄せが来るわけです。ここにも一つ、今日医療関係の人や地方団体の方が、あまり中央にたてつくとおしかりを受けるから、地方団体等はそれほど表面だってのものはありませんが、私たちのほうには内々で、やはり困る、こういう意見の開陳が行なわれてきたゆえんだと思います。したがいまして、こういう面に対しては、これもまあ補助金の増額等をお約束をされておりますけれども、この際あらためて、ひとつこういう二割引き廃止の場合の財政補助というものについて格段の考慮を払うということを、厚生省の行政指導とともに、大蔵省側の了解をここで取りつけておきたいと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/58
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059・園田直
○園田国務大臣 ただいまの問題は、ただいまおる患者の方、それから新患者あるいは外来患者——ただいままでの方はそのままでございますが、新患者、外来患者も、自己負担のある方はそのまま加算も行なわない、二割引き廃止もしないわけでございまして、外来、新患の自己負担のない方について廃止をするわけですが、そのためには、御指摘のように直接患者の方の負担増にはならないが、これに伴う国庫負担の財源措置、それから地方財政措置も必要なわけでございまして、これは大蔵省、自治省とも相談をして、地方交付税でこれを措置することにいたしておりますが、それでもなおその点は、十分今後とも留意しなければ地方財政の圧迫にもなりかねないわけでございますから、これは大蔵省自治省とも相談をして十分配慮したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/59
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060・水田三喜男
○水田国務大臣 すでに本年度より国の負担、地方の負担等の処置をしておりますが、今後も本年度と同じような措置をしていくつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/60
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061・只松祐治
○只松委員 先ほど一番最初に申しましたように、約四十億から五十億の土地の処分がある。こういうことになってまいりますと、一千七百万平米のうち一割を処分する、大体こういうことになるようでございます。そうすると一千五百万平米になります。一人当たり百坪を基準の土地が必要だ、こういうことになって、いまの計画でいきましてもぎりぎりで、これを順次ふやしていく。入院患者をまだ収容する、あるいは精神病患者や、そのほかの新たな、たとえばむち打ち症患者とかなんとか、長期的な療養を必要とするような者を別の角度からこういうところに収容して療養させる。こういうことになれば、逆に土地を買わなければならない、売るだけではなくて、新たな土地を見つけなければならない、こういう事態もあるいは出てくるんではないか。土地の問題についてこういう点の懸念がないかどうか、お尋ねをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/61
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062・園田直
○園田国務大臣 土地の処理の問題については、仰せのごとく、これを財政面あるいは整備の面からだけ考えてやると、そういう点が出てくるおそれがあります。したがいまして、ただいまは公用財産の、行政財産でありますが、これを一般財産にすると、よほど注意をせぬと、その点がおろそかになりはせぬか。でございますから、五カ年計画に基づき、将来の必要等も十分考えて、余分のもの、しかも必要やむを得ざるものだけ処分をすることに十分注意してまいりたい。なおまた、それを処分する場合には、これを公共優先、その他の公共対策に準ずる取り扱いで慎重にやらなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/62
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063・只松祐治
○只松委員 それから、たとえば具体的に、埼玉県の蓮田の黒浜に埼玉療養所というのがあるわけですが、いま十万坪で、これを四万坪、大蔵省へ移管をしておるようでございます。聞くところによると、大蔵省は住宅公団など、ほかにもこういう話があるようでございますが、事実そういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/63
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064・若松栄一
○若松政府委員 仰せのような事実がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/64
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065・只松祐治
○只松委員 そういたしますと、この療養所をずっと縮小していく、こういうことになるわけでございますか。まあ、たいへんな余裕地があるからだいじょうぶだ、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/65
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066・若松栄一
○若松政府委員 相当余裕のある土地を処分することでございまして、療養所自体を縮小するという意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/66
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067・只松祐治
○只松委員 近郊、たとえばここの一例を見ましても、埼玉が東京都に近い近郊都市として急速に発展をしてまいっております。蓮田辺まで参りますと、まだ多少の土地が残っております。しかし、もうちょっと手前の東大宮なり上尾なり、こっちのほうへ来ると、もうほとんど土地の入手が困難である。こういう事態が起こってきておるわけであります。現在はそういうことですけれども、あと四、五年もたちますと、おそらく蓮田あたりでもなかなかこれだけの土地というものは容易に手に入らない。もし、これが三複線になったりすれば、とてもじゃないが、非常に高価な土地になってしまう、こういうことになる地域でございます。そういうところを、現在の単価で安く売り払ったり、移譲してしまう。今度は新たに入手をするということになれば、これはなかなかたいへんな事態になる。いわば容易に入手することができない。こういうことがわかるわけです。
これはまあ、ほんとうに黒浜の一例でございますけれども、そういうことでこの土地を移譲したり売り払ってしまって、再び入手するということは、これは日本のように狭隘な土地あるいは埼玉のような近郊都市として発展をしてきておるところでは、そういう療養所等の問題は重大な問題になってくるわけでございます。したがって、そういう点については、ひとつ注意の上にも細心の注意を払って、単に当面の財政問題だけでなくて、長期的な都市圏の国立療養所のあり方、いろいろな面からひとつ判断して取り組んでいっていただきたいということをお願いいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/67
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068・若松栄一
○若松政府委員 御趣旨のような事項を十分に勘案いたしまして、慎重に検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/68
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069・只松祐治
○只松委員 以上で大体の質問をいたしましたので、私の質問を終わりますがあとで私が反対討論のときにも申し上げたいと思いますが、結局、日切れ法案としてつまり入院患者に薬も与えられない、こういうふうに追込んでさておいてこういう法案を出すということは、本委員会はもちろんですが、別な意味で国会を皆さん方が拘束する、こういうことだと思うのです。羽がい締めにしておいて、とにかくこの法案を審議しろ、こういう法案の提出のしかたは、これは通常の予算関係法案ですと、いたし方がない面があるのですが、こういうふうにきわめて社会保障制度の側面から、あるいは医療、療養そのものずばりの面から、こういういろいろな面を考えた場合に、こういう法案の出し方というものは、私はきわめて遺憾だと思うのです。八木さんが言っておりました手続上の問題もさることながら、こういう法案の出し方というものは、今後御検討を皆さん方のほうでもしていただきたい。私たちもこれをただいたずらにやりますと、明日からの入院患者の食事も薬代も困る、こういう事態が出てくるわけでございます。そこに私たちの、当委員会として審議をする苦しみというものも非常に大きいわけでございます。こういう法案の出し方というものは、ひとつ今後十分気をつけていただきたい。このことを強く要望いたすとともに、明日からお医者さんや看護婦さん等の給料の支払いができないわけでございますね。さらに厳密にいうならば、投薬もできなければ食事も給与できない、こういう形になるわけでございます。ひとつこういう面については、先ほどから言われてまいりましたような不安を絶対に起こさないということが、これの大前提になっておるわけでございますから、こういうことの絶対に起こらないように、十分な施療をし、投薬をする。食事等ももちろんいままでと同様、何らかの便法を講じて、ひとつ本案が処理されるまで十分その衝に当たる医務当局、厚生省当局はもちろんでございますけれども、大蔵省側においてもできるだけの便法をはかって、ひとつそういうものに取り組んでいく、こういうふうにしていただきたいと思いますが、両大臣のそれぞれのお答えを最後にいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/69
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070・園田直
○園田国務大臣 ただいまのことについては非常に苦慮いたしておりまして、はからずもこういう状態になったわけでございますが、今後は十分注意をして、このようなことがないように反省をいたしております。
なおまた、暫定予算に組んだ予算も本予算の成立によって消え、給食あるいは投薬、あるいは給料の面において行き詰まっております。いろいろ何らか便法がないものか研究をいたしておりますが、なかなか方法が見つからずに困っておるわけであります。十分研究して御趣旨の線に沿うように努力をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/70
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071・水田三喜男
○水田国務大臣 この法令の許す範囲内において、できるだけの善処を私はしたいと考えておりますので、厚生省にもできるだけ支障のないように、いろいろ善処方をお願いするつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/71
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072・田村元
○田村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/72
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073・田村元
○田村委員長 これより討論に入ります。通告がありますので、これを許します。山下元利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/73
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074・山下元利
○山下(元)委員 ただいま議題となりました国立病院特別会計法の一部を改正する法律案に対して、私は、自由民主党を代表いたしまして、賛成の意見を表明せんとするものであります。
言うまでもなく、国立療養所は、長期療養を必要とする結核、精神病、脊髄損傷等の長期慢性疾患患者に対して適切な医療を提供するとともに、他の同種の慢性疾患を扱う医療機関に対する指導的立場において、医療の向上に寄与することを目的として設置されたものでありまして、これまで、わが国結核療養施設の中核として、戦後における結核対策を推進する上に重要な役割りを果たしてまいったのであります。
しかるところ、これに加えて近年は、国民の疾病構造の変化に伴う各種の長期慢性疾患、重症心身障害、進行性筋萎縮症等の新たな医療需要にこたえることが、国立施設としての療養所に強く要請されるに至っているのであります。
しかしながら、百数十カ所に及ぶ現在の国立療養所は、御承知のとおり、戦時中の軍事保護院、日本医療団等の施設を引き継いで発足したものでありまして、その建物のほとんどが木造であり、施設の老朽化がはなはだしい状態となっておりますので、以上のような時代の要請にこたえるためには、急速に、かつ計画的にその整備を促進し、近代的な医療施設をつくり、よってもって、本来の結核等の医療を確保強化するとともに、重症心身障害児、脳卒中、交通災害の後遺症等、最近急増している医療にも積極的に対処する必要があるのであります。
今回の改正措置は、国立療養所の所管を一般会計から特別会計に移そうとするものであり、これにより、借り入れ金の導入、資産の効率的活用、予算の弾力的運用等、特別会計制度の長所と妙味を発揮して、国立療養所の施設の整備を促進し、あわせて、経営の円滑化をはかろうとするものであり、現状に照らし、きわめて適切、妥当な措置と認めるのであります。
この際、特に申し上げたいことは、従来実施されてきた診療費の二割引き制度の廃止及び今回実施される基準加算の問題について、現在の入院患者の既得権を保障するほか、新規入所患者についても、自己負担分が現在よりも増加することのないよう措置される二とはまことに適切でありまするが、不幸にして疾病にかかり、病床にあって治療に専念せられる患者の立場になって、政府のさらにあたたかい配慮を寄せられることを要望するものであります。
終わりに臨み、今回の特別会計制度移行措置のねらいが、あくまでも施設の整備促進にあり、決して独立採算制を採用する趣旨のものではないことにかんがみ、政府としては今回の措置の意図するところについて十分な理解を得られるよう、一そう努力するとともに、国立療養所の今後の運営については慎重な配慮をもって当たられることを強く希望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/74
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075・田村元
○田村委員長 只松裕治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/75
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076・只松祐治
○只松委員 社会党を代表いたしまして、本法案に反対の意見を申し述べます。
国民の健康を守る医療は、本来、社会保障制度の充実によりまして、直接国家の手によって国民のために行なうべきが至当だと思います。ところが、今回、この独立採算制の実施によりまして、これと逆行する法案が本法案であり、提案されたわけでございます。先ほどからわが党からも指摘されましたように、本来社会保障制度審議会へ諮問をした上で本案提出をはかるべきでございますけれども、そのこともなされないまま本委員会へ提案をされております。したがって、本質、手続ともに私たちは強く反対をするものでございます。
この内容に至りましては、独立採算制の実施によって、財政の圧迫を、いろいろなことをおっしゃいましたけれども、当然に生じてまいるわけであります。これは必然的に国立療養所の経営に圧迫を生じ、結核、精神病、重症心身障害、長期慢性疾患等の特殊医療に障害を生じてまいります。したがいまして、その障害を排除するとともに、財源を確保することを私は強く要求をいたしたいと思います。
また、患者の負担が増大をするということは、良心的治療を受けることがますます困難になる、あるいは有形無料の精神的圧迫を受けることにもなり、ひいては人道問題さえも生ずる、こういうおそれがあると思います。また、先ほどから私が申しましたように、地方自治体、健保団体の財源の圧迫が、長期療養者に、どうしても早期退所を要求するということになりまして、いままでのように安心して療養をすることが困難になってまいります。
三つ目に、担当の医師あるいは看護婦、職員の充足、待遇改善にも圧迫を生ずるおそれがあるわけであります。その点からも反対をするわけでございますが、それらのおそれのないように格段の努力をすべきだと思います。
また、基準医療、基準給食、基準看護の改善が阻害されまして、患者に対するサービスが低下することもわが党の各委員が申し述べたとおりでございます。この点についても、絶対にそういうことがないように、ひとつ格段の努力をお願いいたします。
次に、療養費の割引廃止、基準加算の実施にあたって、自己負担の増加をもたらし、完全療養を困難にするわけでございます。この点に関しても特別の措置を要望いたします。
さらに、差額ベッドなどを増加させる、こういうことは当然に営利的な色彩を国立療養所が持つことになります。営利的色彩が強くなってまいります。社会保障制度を拡充していく国立病院本来の目的がだんだん見失われていくということになるわけでございます。この点は強く警告をしておきたいと思います。こういうことのないよう、ひとつ一そう格段の努力をお願いいたしたいと思います。
さらに、こういう一連の事態は、結核患者が減ってきておるとは申しますけれども、年々新登録が三十万人近くあります。なお、結核患者の総数は百四十万人をこしておるわけでございます。それにもかかわらず、結核の対策というものが軽視されるおそれが生じてまいります。この点に関しましても、結核が完全になくなったわけではないし、あるいは入院が必要でありながら、いろいろな問題で入院ができない、そういうことで、病床が、ベッドがあいておるわけでございます。必ずしも結核患者が完全になくなった、そういうことではないわけであります。国民の健康確保の上に、長期的には非常に危惧を生ずる問題があるわけでございますから、こういうことが絶対にないようひとつ努力をしていただきたいと思います。この面からも私たちは強く本法案に反対いたします。
それから、特会移行は、意識するといなとにかかわらず、政府がたびたび、私のさきの質問等にも、繰り入れを約束しておるにもかかわらず、独立採算制の傾向というものが強まってくることは、理の当然でございます。この点は私たちが最も遺憾とするところでございますけれども、先ほどから約束されましたように、ぜひこういうことがないように格段の努力をお願いしたいと思います。この面からも、私たちは強く反対をいたします。
また、土地の転売は、いまのまま転売してまいりますと、整備五カ年計画で整備拡充になりますと、現在の療養所の土地でもぎりぎりになってまいります。療養上困難を生ずる。それだけではなくて、国の土地の政策の見地からも、貴重な財産として——特会にして、病院の会計上、財政上からみだりに処分をする、こういうことは、国政全体から見ればたいへんな誤りであるし、また損失だと思います。この面からも、私たちは土地を売って五カ年計画の財源にする、独立会計の基礎資源にするということに、強く反対をいたします。
以上、要点だけを申し述べましたけれども、以上のような要点とともに、連日にわたる各委員が申し述べましたいろいろな意見によりまして、私たち社会党は、強く本法案に反対をいたすものでございます。
なお、本法案に反対する立場から、附帯決議にも反対をいたしますけれども、附帯決議は、また一応附帯決議だけを見ますと、これを補足するに足る意義を持った附帯決議がなされるやに聞いておりますので、この附帯決議については、ひとつ完全に実施されることを強く要望いたしまして、本法案の反対討論を終わりたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/76
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077・田村元
○田村委員長 竹本孫一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/77
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078・竹本孫一
○竹本委員 私は、民社党を代表いたしまして、本案に賛成せんとするものであります。
本案は、国立療養所にかかる経理を、国立病院の特別会計において行なおうとするものでありますが、これは目先的にも予算の弾力的運営を可能にするとか、あるいは収支を明確にするとか、借り入れ金を便利にやることができるようになるとか、あるいは土地の処分が便利に行なわれることになるというような点を考えてみますと、事務的ではありますけれども、制度的なあり方としては一歩前進したものであるというような意味において、私どもは賛成をせんとするものであります。
しかしながら、第二点として指摘したいことは、従来佐藤内閣のあり方を見ておりますと、社会開発に対する努力がだんだんに後退をいたしております。特に、大蔵省のやり方に対しましては、われわれは大いなる不安と不信感を持っておるわけでございまして、私どもは、本法案が提出されましたときには、どうしてもその不信感から賛成はできないものであるというふうに考えておりました。しかしながら、あとで出されるであろう附帯決議を見るに及びまして、その考え方を改めまして、本案に賛成することにいたしました。
率直に申しまして、この附帯決議は、従来見ることのできなかったような具体的な要請を書いております。あとで十分御説明いただくことと思いますけれども、特に私どもが大蔵省に対して心配をしておる点、今度の制度の変更によりまして、独立採算制の体制が強化される。それがために、国立療養所の経営が圧迫をされる。われわれは、野党の皆さま同様でございますけれども、こういう点に対する非常なる心配を持っておったのでございます。この点に関しまして、あとで提案される附帯決議は、特に第二項あるいは第六項におきまして、そういうことは絶対にやらせないように附帯決議として厳重に具体的に決議をすることとなっております。私は、従来附帯決議というものはあまりにも抽象的であったと思います。したがいまして、その附帯決議が尊重されておるのか、されないのか、ほとんどわからないので困った場合が多いのでありますけれども、今回のごとくきわめて具体的に独立採算制はとらないという原則を大蔵省も認めるとか、あるいは患者の負担が増大しないように特別の措置を講ずることといったような、きわめて具体的な内容が盛り込まれておる附帯決議が決議されるということになりますならば、一応、従来の例とは違いまして、私どもはこの附帯決議に大いなる期待を持つことができるのではないか。もちろん法的な根拠はないでありましょうけれども、それは議会政治家としての誇りと責任においてこれを監督することができる、こういう立場に立ちまして、附帯決議を条件として賛成することにいたしたのであります。
なお、社会保障制度審議会にかけなかったという問題につきましては、いろいろ深刻なる御議論が展開をせられました。私どもは審議会の設置法を見てまいりまして、第二条だけを見るならば、明らかにこれは社会保障制度に関する企画の重大な問題だと思います。しかし、第二条はあくまでも設置法の第一条を受けておりますので、法律論的な解釈から申しますならば、やはりこの審議会は社会保障制度プロパーに関する調査、審議を行なうべきものである、それを受けての第二条でございますので、かけなかったことが直ちに違法であるという結論にはわれわれはくみすることができません。しかしながら、制度の運用といたしましては、かけてはならないと書いてあるわけでもございませんので、これは今後もあることでございましょうが、やはり社会保障制度に関する一つの重大なポイントでもありますので、必ずかけてはならないというようなかたくなな解釈をとることが、政治的な態度として望ましきものであるかどうかについては重大な疑問を持つわけであります。この点は十分考慮をいただくことにいたしまして、以上申し述べた点で本案並びに附帯決議については賛成をしたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/78
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079・田村元
○田村委員長 広沢直樹君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/79
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080・広沢直樹
○広沢(直)委員 私は公明党を代表して、ただいま議題となりました国立病院特別会計の一部を改正する法律案に対し、反対の意を表するものであります。
政府は、今回の改正で、国立療養所を一般会計から特別会計に移行しようとするものでありますが、国立療養所は、結核、精神、成人病、交通災害後遺症、重症心身障害児など、一般病院等で収容不可能な患者を収容し、戦後二十二年にわたって治療、看護面で公的医療機関として、患者のため大きな役割りを果たしてきたのでありますが、特別会計に移行することによって、公的医療機関の性格を喪失し、結核等の長期慢性疾患の医療保障に対する国の責任を放棄し、結局患者側にしわ寄せをしようとするものであります。またこれは、国立療養所の独立採算制を強め、企業的営利化を招くことは明らかであります。かねてより政府は財政硬直を理由に医療保険制度の改悪を意図しておりますが、ここに国立療養所の特別会計への導入は、いよいよ社会保障の全面的後退に、より拍車をかけるものであり、断固反対するものであります。
厚生大臣は、特別会計は好ましいことではないと、その欠陥を一面において認めながら、あえて特会制の成立を期し、申しわけ的に国庫補助金を、四十三年度において四九%を保障するとはいうものの、一般会計ですら確保できない予算を特会制に移行することによって経営の改善がはかられるとは、だれ人も保障し得ないのであります。むしろ借り入れ金の償還等により国立療養所の経営を圧迫し、自己負担の患者に負担の増大することを予想されるのであります。
また政府は、特会制を契機に国立療養所の大幅な統廃合、地方移譲を計画しているようでありますが、その計画自体はいまだ不明確であり、さらに合理化の美名のもとに多くの人員整理が予想され、そのことはとりわけ充足率の低い医療従事職員の一そうの労働過重を招き、かつそのために、患者に対する医療サービスの後退、負担の増加、さらに医療費の増高を来たし、まさに国民医療の大幅後退となることは必定であります。
以上の理由から、わが党は、真の国民医療を逸脱させるこの法案には、強く反対するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/80
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081・田村元
○田村委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/81
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082・田村元
○田村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/82
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083・田村元
○田村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、自由民主党及び民主社会党を代表して渡辺美智雄君より、同君外二十四名提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
この際、提出者より趣旨の説明を求めます。渡辺美智雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/83
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084・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員 ただいま議題になりました国立病院特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党及び民主社会党を代表して、提案の趣旨を御説明申し上げます。
案文は印刷してお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただきます。
御承知のとおり、政府は、年来の懸案である国立療養所の特別会計制度への移行を昭和四十三年度から実施することとし、このため今国会に国立病院特別会計法の一部を改正する法律案が提出せられたのであります。
これによって、国立療養所の経理が明確にされますとともに、その施設設備の整備が計画的に促進され、療養所本来の使命であります結核等の医療を確保強化するとともに、さらに、一般に民間では手をつけにくい成人病等の長期慢性疾患、重症心身障害等、最近急増しておる新たな医療需要にも積極的に対処し、もって社会の要請にこたえていくことが期待されているのであります。
しかしながら、反面、特別会計制移行を契機として、国立療養所が独立採算的な運営を余儀なくされるのでないか、そうなればこれに伴って結核対策の後退、患者負担の増大、医師、看護婦等職員の労働強化などの事態を招来するのではないかなどという不安と懸念が関係各方面から起きていることもいなめないところであり、当委員会の審議を通じ、委員各位からも指摘されたところであります。
これらの諸点につきましては、法律案の委員会審議を通じて、国立療養所の適正な運営の結果生ずる収支差については、当然一般会計から繰り入れ金をすること、いわゆる二割引き制度の廃止等にあたっては、患者負担が増大しないよう措置すること、職員の充足確保については一そう努力するなど、政府はその考え方を明らかにいたしているのでありますが、この際、当大蔵委員会としても、採決にあたり、国立療養所の運営にあたって、特に配慮すべきであると思われる諸点を附帯決議として明示し、政府に要望しておくことが必要と考える次第であります。
附帯決議の内容は、一、特殊医療に対する施策の充実と所要財源の確保につとめること。二、国立療養所の経営に伴う収支差額については、所要額を一般会計から繰り入れ、独立採算制をとらないこと。三、いわゆる二割引き制度の廃止及び基準料加算の実施にあたっては患者負担が増大しないよう措置すること。四、土地処分にあたっては、公共の福祉に貢献する用途への転用を優先するよう配慮すること等、その他三項目、計七項目にわたるものでありまして、いずれも案文の文言で尽きており、特に御説明を加えることもないと思われます。要は、国立療養所の特殊性と国立療養所が他の同種の医療機関に対し指導的立場にあることを自覚し、適切妥当な運営をはかることによって、国民の疾病構造の変化を伴ってますます深まりつつあるその使命と任務を全うしていかれることを強く要請するものであります。
政府の善処方を要望いたしますとともに、大方の御賛同が得られることをお願い申し上げ、簡単でありますが、附帯決議案の趣旨の説明を終わります。(拍手)
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〔参照〕国立病院特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
一、結核、精神病、重症心身障害長期慢性疾患等の特殊医療に対する施策を一層充実し、国、地方を通じ所要の財源を確保するよう努めること。
二、国立療養所の経営に伴う収支差額については、所要額を一般会計から繰りいれることとし、独立採算制をとらないこと。なお、借入金の償還が国立療養所の経営を圧迫しないよう充分配慮すること。
三、国立療養所の大幅な整理統廃合、地方移譲を行なわないこと。
四、医師、看護婦等の職員の充足を図るとともにその処遇改善に努めること。
五、医療、給食、看護等の内容改善を図り、特に患者食糧費の改善に努めること。
六、療養費の割引廃止及び基準加算の実施に当って自己負担の伴う患者については、その負担が増大しないよう特別の措置を講ずること。
七、施設整備費の財源に充てるための土地処分については、国立療養所の運営及び患者の療養に支障を生じないよう配慮するとともに、処分に当っては、公共の福祉に貢献する用途への転用を優先し、住宅、学校、社会福祉施設等に対し、特別の配慮を行なうこと。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/84
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085・田村元
○田村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
おはかりいたします。
本動議のごとく附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/85
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086・田村元
○田村委員長 起立多数。よって、本動議のごとく決しました。
本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。水田大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/86
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087・水田三喜男
○水田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、十分関係省と協議し、御趣旨を体して善処いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/87
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088・田村元
○田村委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/88
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089・田村元
○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/89
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090・田村元
○田村委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案及び金融機関の合併及び転換に関する法律案について、本日、金融制度調査会会長船山正吉君に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/90
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091・田村元
○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時十七分休憩
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午後四時十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/91
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092・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案、及び金融機関の合併及び転換に関する法律案を議題といたします。
本日は、参考人として金融制度調査会会長舟山正吉君が出席されております。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。井手以誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/92
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093・井手以誠
○井手委員 銀行の者が床柱にすわるという時代はいいときではないという話がございます。銀行床柱時代。最近十年間に日本の経済は六倍にも七倍にもなっておるのに、銀行の規模は従前とほとんど変わらない。からだは太っておるけれども着物はつんつるてんの状態です。経済も鎮静いたしまして、高い金利でも借りて仕事をすればもうかる時代は過ぎようといたしております。すなわち、金融革命、金融改革を行なわねばならぬという事態に今日は立ち至っておると私は考えております。また、多くの人々もそのように判断をいたしておると思っております。
そこで本日は、日本の金融はいかにあるべきかという、きょう、あすじゃなく、今後かなり長期間にわたる日本の金融体制をいかにすべきかということについて、若干触れてみたいと思っております。従来のように追い詰めた質問じゃなくて、存分に意見も申し上げたいと思っております。大臣のほうからも率直に御意見を聞かせていただきたいと思っています。
そこで、金融改革の基本になります日本経済の今後です。日本経済は今後どういうふうに成長していくであろうか、設備投資はどうなるであろうかという、いわゆる経済、金融をめぐる環境と申しますか、背景と申しますか、それがやはり基本でなくてはならぬと思います。この点について経済企画庁長官にお伺いいたしますが、最近のきびしい世界の経済情勢、通貨の問題、あるいは国内にあっては労働力の問題、国際収支改善という問題それらをいろいろ考えてまいりますと、日本経済は従来のような高度成長はとても見込まれないのではないか。また一面において、大型投資、合理化投資というもの、あるいは資本自由化に対する大型の投資というものも間もなく一段落するでありましょうし、耐久消費財というものも一巡するでありましょうから、いろいろなことを考えてまいりますと、従来のような設備投資の資金というものがかなり鎮静してくるであろうと考えられます。ことしとか来年とかいうことじゃなくて、今後十カ年くらいの見通しについて経済企画庁長官の御意見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/93
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094・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ざっくばらんにいろいろ意見を言えというお話でございますので、そういう心がまえで申し上げますけれども、私どもよく一年先の経済見通しをもうしょっちゅう間違えて御迷惑もかけたり御批判も受けるわけでありますから、十年先というようなことは実はなかなか見通せないわけでございます。しかし、いま御提起の問題については専門家たちとよく役所で議論をいたしておりますが、まず世界経済全体、世界の環境全体で申しますと、やはりこれだけまだ発展途上国がある、いわゆる未開発の国がある、そこに相当の人口がいるということから考えますと、世界経済はまだ相当の成長要因を持っておるはずである。まあ戦争がないという一応前提でございますけれども、あれだけ低開発国という形で潜在需要があるというふうに考えますと、まだ十年や二十年、十分成長要因があるというふうに見るべきではないだろうか。ただ、その際、信用手段なり決済手段なりをどうしていくかという問題はございましょうと思いますけれども、成長要因は非常にまだ大きいのではないかというふうに考えるわけであります。
次に、その中で日本経済がどういう役割りを果たしていくかということでございますが、さしずめ労働力が相当逼迫してきたということで、これは従来のように失業者を相当かかえておった時代に比べますと、いわゆる管理通貨による成長政策というものは、いままでのようにのんきに運営をするわけにはいかない。相当注意をして運営しなければならないというととは、もう間違いなくそうだと思いますが、しかし、周到に運営されるならば、まだまだ十年ぐらい成長要因があるかないかといえば、私はやはりあると見るべきではないかと思います。と申しますのは、労働力が不足してきたといいましても、まだまだ生産性の低い部門から高い部門へ流そうと思えば流す余地はある。ただ、その流動性が——これはもういままでの歴史や社会の習慣のゆえもありますが、そう簡単には流動的になりませんので、そういうくふうは要りますけれども、まだまだ日本は労働力がないという状態ではない。そうして、労働の対価も世界一高いというほうではなくて、まだまだ国際的には低いほうでありますから、そういうことは、くふうのいかんでは、この十年ぐらいの間ネックになるというふうには私は思いません。それから技術革新というものは、おそらくこの辺でとまるというような要因は別にありませんので、これも毎年毎年新しい技術があらわれてくると考えるべきでありましょうから、それに即応する労働力なり何なりの流動性、そういう能力を持っておれば、私はまだ十年ぐらいはかなり成長し得るのではないか。
いずれにしても、実証的に証明しろと仰せられると、それが申し上げられないわけですが、大まかにはそういうふうに感じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/94
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095・井手以誠
○井手委員 長官に聞きたかったのは、私も成長はすると思っておりますが、従来のような高度成長はとてもできぬじゃないか。何%ということは申し上げませんが、八%から十何%に伸びるようなことはむずかしいのではないかと思っておりますが、その場合に、したがって設備投資も一通り
一段落し、一巡して落ちつくのじゃないか、こういうことを申し上げたので、簡単でけっこうですが、その点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/95
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096・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 私も数字を腹の中で思っていながら申し上げなかったのでございますが、先進国の成長というものをかりに三%ぐらいと私は実は何となく考えるわけでございます。それに対して、七%とか八%とかいうことであれば、これは先進国としてはかなり高い成長率であると思うのでございますが、私がまだまだ成長要因があるというふうに申し上げましたのは、その七、八%のというつもりで申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/96
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097・井手以誠
○井手委員 この機会にちょっと事務当局にお伺いしておきますが、数字だけでおっしゃっていただきたいと思います。
企業における金利負担、金融費用の負担、最近の一まあ四十一年度と思いますが、三十一年度と四十一年度の金利の金額、金融費用の負担額、それと三十一年と四十一年の付加価値に対する金融費用の割合をお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/97
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098・澄田智
○澄田政府委員 ただいま御質問のうちの第一点の三十一年と四十一年の金融費用、すなわち金融機関、これは民間金融機関並びに政府金融機関、農林系統の金融機関等も含めましての数字でございますが、金融機関が受け取りました利息の総額、これが三十一年は四千九百十七億でございましたが、四十一年は二兆五千五百四十一億、この間に五・二倍になっておるわけでございます。
それから、これは必ずしも正確に付加価値そのものでないわけですが、その費用の構成から見ましてほぼ付加価値に当たるものというところでいま推定計算をいたしました。三十一年は二兆四千億に対しまして、四十一年は十一兆四千億ばかりになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/98
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099・井手以誠
○井手委員 私が局長にお伺いしておるのは、付加価値に対する金融費用の割合を承っておるのです。これは、三十一年は一一%であったのが、四十一年には一八%に上がっております。私がここで数字を聞いたのは、こういうわけです。
最近、企業の内部留保がふえてまいりました。また、したがって昨年の金融事情にも見られるように、金融機関に対する資金の依存度が若干低下してまいりました。したがって、設備投資に対する資金の需要は一時よりも緩和しておると思う。また、緩和される今後の情勢であると、一般にはいろいろな調査会の発表が出ておるのであります。
〔渡辺(美)委員長代理退席、金子(一)委員長代理着席〕
そういう場合に、高い金利で借りて工場をつくればどんどん売れる、もうかるという時代は、そう続くものではございません。そうなってまいりますと、日本の企業にとって、経済にとって今後大事なことは金融負担ではないか、金融費用の負担が大きな重圧になってくるのではなかろうか。とにかく、高い金利でもって借りられれば借りておけという時代は、私は去ったと思う。
私は企画庁長官に重ねてお伺いいたします。金利負担というものがこれほど企業を重圧しておる。いまも申しましたように時代は変わってまいりましたから、この金利ということが今後の日本経済の大きなウイークポイントではないか、急所ではないかと私は考えております。私はこの点から金融改革というものを考えねばならぬと思っております。金利の安いということは、私は企業にとってはきわめて大事であり、経済にとってきわめて重大な問題であると考えますが、長官の考えを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/99
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100・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 従来わが国の経済は恒常的に資本不足でありましたし、今後も私はその状態はかなり長く続くであろうと思います。わが国の経済にとって、諸外国、先進国に比べて非常に金利の負担が大きいということは、私は御指摘のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/100
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101・井手以誠
○井手委員 そういう前提に立ちますならば、従来のような金融機関の経営であってはならぬと思うのです。私は最初に銀行床柱時代ということばを使いましたが、金融機関が事業をやるのではなくして、産業界が事業をやるのに国民大衆の金を集めて調達をしてやる、いわゆるサービス機関であると考えるのです。ところが、従来日本の銀行は、国家に保護されて、明治以来、よくいわれることですが、経営合理化の一番できていないのは銀行じゃないか、明治初頭以来そのままじゃないか、こういう話をよく聞くのです。なるほど銀座の一丁目から八丁目まで銀行はりっぱなビルをつくっておりますが、しかし、その中身はどうであろうか。資本金は以前とほとんど変わっていないはずです。若干はふえましたけれども、あまり変わっていないはずです。しかも人事は停滞をしておる。ふんぞり返っていても向こうから頭を下げて貸してくださいと言う。日本のえらいといわれる独占資本のおえら方も、金融界に対してはほとんどくちばしをいれることができないじゃないですか。金利に対して、銀行の態度に対して、独占の本尊といわれる日経連でものを言ったことはない。ただ、昨年の五月になって経済同友会がやっと、内部資本が充実した理由もあったでしょう、ものを言ったことがございました。私は参考のためにそのときの要点だけ申し上げますと、こういうことを言っております。
系列融資を中心に過度の貸し出し競争を反省しなくてはならぬということ、預金競争を自粛してコストを引き下げねばならぬということ、金融行政は金融機関の保護であってはならない、保護されねばならないのは預金者だということを、一生懸命勇気を出して言ったのでしょう、初めてこういうことを言っている。いままで銀行は殿様経営でした。こういう銀行のあり方に対して、時代は変わってまいりました。安い金利で奉仕しなくてはならぬ時代に私は変わってきたと思う。そこに今回政府の考えておられる金融改革の根拠があると私は考えておるわけであります。
中小企業の人の話を聞きますと、高い金利の金を借りて、汗水たらして働いて、ちょっとやりそこなうとつぶされてしまう、銀行のために働いているのじゃないかということをよく聞くのです。こういう日本の金融界のあり方について、大蔵大臣はお疲れのようですけれども、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/101
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102・水田三喜男
○水田国務大臣 井出さんのお考えのとおりだと私も思います。先ほどから話はございましたが、四十年代になったら高度成長というものはもう望めないというふうに私ども考えておりましたが、四十年の前半の事情を見ますと、いま企画庁長官が言われたように、まだまだ経済の成長力というものはあるというふうに考えられますので、四十年代の後半ごろになってから初めて金融の鎮静化というようなものも逐次見られてくるのじゃないかというふうに考えられます。この年代の後半においてそういう現象が出てくるだろうということと、それから、従来はやはり預金者の保護ということが、資本蓄積のない日本としましては非常に一必要な政策でございましたので、預金者保護のために銀行を保護した。過度に保護したというお話がございましたが、相当銀行の保護が行き過ぎておったという面が十分あると思います。預金保険というようなものでもあるのでしたらともかく、これがない以上は、政府としては銀行に健全経営をさせる、このことだけが預金者の保護と結びつくことでございますので、監督を厳重にするかわりに、銀行に対する保護というものもある程度あったということでございます。
しかし、国際的に自由化を控え、いま言ったような高度成長の動向、金融の鎮静化というような背景を考えてみますと、今後そういう背景の中にいかに銀行で低利良質の資金を供給するかという体制を、これから急速に環境の中でとっていかなければならぬときに来ておりますので、したがって、いまおっしゃられるように、今回の法案というものもこれと関係のあることでございまして、私はここで銀行に競争原理というものが働く広場をげて、そうして資金コストをどんどん下げさせるというようなこと、こういう方向に今後銀行行政を強化していくという必要がございますので、これとの関連において今度の法案の御審議も願っておるということでございます。
銀行、金融機関のあり方についての考え方は、さっき井出さんの言われたことに私も全く同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/102
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103・井手以誠
○井手委員 事務当局にお伺いいたしますが、従来大蔵省は経常収支率というものを強力に指導なさったようであります。銀行の経営に一億円の収入があったならば支出は七千八百万円に押えろという強力な指導があった。それはどうなっておりますか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/103
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104・澄田智
○澄田政府委員 ただいまお話しのありましたように、従来銀行経営、金融機関の経営を監督し指導する立場から、経常収支率というものを一つの目途といたしまして、普通銀行でいえばそれが七八。いまお話しのように、一億円に対しては七千八百万円、こういうことになるわけでございますが、普通銀行に七八、あるいは相互銀行の場合は八〇というようなぐあいで、一つの目標値としまして経常収支率というもので健全経営、経費の収支の余裕を見て内部蓄積に充てる、こういう趣旨でそういう指導をしてきたことは事実でございます。ただ、いまもお話のありましたように、今後金融機関が経営の効率化に徹して資金コストを下げていく、そのためには適正な競争原理を導入しなければならないというようなことで、今回御審議をお願いしておる法案もそういう考え方に基づくものでございますが、やはりその考え方の一環といたしまして、統一経理基準というものを普通銀行に対して昨年の上期から実施をいたすことにいたしております。金融機関の償却とか積み立て、そういったものについて一定の基準を立てて、その基準に従って決算をする。そうなりますと、経営の内容が決算期に外部からよくわかるような形になりまして、企業経理として適正な競争が行なわれる、こういう形になってくるわけであります。そういうこともやっておりますので、経常収支率ということにつきましてもこの際再検討いたしまして、金融機関の経営の指導方針としてしかるべく今後実情に沿うようなものをつくってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/104
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105・井手以誠
○井手委員 澄田さん、簡単でいいですから。数字だけお伺いしておきます。
両大臣、こういうことですよ。いまの経常収支率、一億円の収入があったときには支出は七千八百万円で押えろというのです。言いかえれば、二割二分、二二%もうけろというのですよ。利益をあげろというのですよ。いまの世の中に大蔵省の指導で二二%ももうけさせる強力な指導があっていいのでしょうか。終戦直後ならばいざ知らず。だから、毎年所得番付、長者番付には銀行は上位三十のうちに十幾つも入っておるのです。この二二%もうけろというその中には何が入っておるか。法人税まで入っておるのですよ。事業税はやむを得ないとしても、いろんな諸経費を差し引いた利益に対し所得税がかかるというものを、法人税まで加えて利益を強制させるということが一体正しいことでしょうか。私はいままで銀行のことをいろいろ批判してまいりました。世間の批判もお伝えいたしました。けれども、大蔵省自身の指導にも私は反省すべきものがあると思うのです。私は、銀行局長は、いや、あれはもう公式には申しておりません、自然消滅の形でございますというおことばがあると思っておったけれども、まだ生きておるというおことばですから申し上げたのです。こんなに二二%もうけさせようとするなら、いかに歩積み・両建てをこの当委員会や予算委員会で言ったって、やみ金融しなくてはやっていけないじゃないですか。やみ金融の基本がここにあるのですよ。私は、はっきり申し上げておきます。歩積み・両建ての話はあとでしますけれども、幾ら指導しても歩積み・両建てがやまないというのは、大蔵省の二二%はもうけなければならぬという指導があるからやみ金融をしなくちゃならぬのじゃないですか。しかも法人税まで加えた、その金額まで入れるなんというのは、私はもってのほかだと思う。私はこの際、大蔵大臣に即決できめてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/105
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106・水田三喜男
○水田国務大臣 これは当然これから経理基準ができて指導するときでございますので、この経常収支率の指導はこれから検討いたします。さっき申しましたように、やはり預金者を保護するというためには、ほかの保険制度がなかったために、銀行の健全経営、銀行が確かなものであるということが唯一の預金者の保護になることでございますので、そういう点から過当の保護というものもあったというふうに私どもは考えています。やはりこういう問題もその一つの問題と思われますので、今後十分検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/106
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107・井手以誠
○井手委員 きょうはくどく申さぬつもりですけれども、このことは、ひとつ検討だけじゃなくて、すみやかに改めますということを言ってもらわぬと……。そのくらい言えるじゃないですか、水田さん。すみやかに改めますぐらい言えそうなもんじゃないですか。中小企業は泣かされておる、つぶされておる、それに二二%もうけなければならぬという指令というものは、これは反しますよ。銀行の社会倫理に対して私はきょうはいろいろ申し上げるつもりですが、大蔵省の指導に対して申し上げなければならぬようになってくるのですよ。きょうはあまり言わせぬうちにやってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/107
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108・水田三喜男
○水田国務大臣 もういま言いましたように、むろんこれを改善する方向で検討します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/108
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109・井手以誠
○井手委員 そこで、いよいよ本論に入ってまいりますが、金融改革の課題というもの、それじゃ何から手をつけねばならぬか。これはあとで舟山さんにもお聞きいたしますが、私は、金融機関のいわゆる機関を再編成するとかいう、そういう機関の問題よりも、銀行の体質姿勢というものを改めることが先決問題じゃないかと思っております。機関を改めてもなかなか本質が改まるものじゃございません。やはり体質の改善ということに向かわなくちゃならぬのじゃないでしょうか。
そこで、私は取り上げなければならぬ第一の問題は、いま言った日本経済のウイークポイントである、急所である金利を引き下げるという——これはあとで具体的にお聞きをいたしますが、金利の引き下げ問題。この間、政府の物価安定推進会議ではこういうことを申されております。銀行のもうけ過ぎが企業負担を増大させる、それが物価上昇の一因であるとまで、政府機関の物価安定推進会議が提言しているのです。その二は、金利引き下げの次には預金者保護ですが、これはすでに大臣からもお話がありましたから重複は避けたいと思うので、その次に、私は何としても中小企業金融というもの——今回出された中小企業金融については、私は若干意見がございます。中小企業金融については、いまでも倒産相次いでおる状態です。かつてにつくられた中小企業全部に金を貸して助けてしまわなければならぬとまでは、私は申し上げません。
〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
自由企業の場合にはいろいろなことも予想しなくちゃならぬと私は思っておりますが、いかにして中小企業の金融を確保していくかということが第三番目に重要であろうと私は存じております。
私は、この際もう一つ参考に申し上げておきますが、昨年の五月総合政策研究会から出されました「資本取り引きの自由化と産業資本のあり方」の中で金融及び金融機構の整備ということで提言があっております。これまた、最近にないいいことを言っております。その一つは、系統金融が行き過ぎておる、金利が高過ぎるということ、二番目には、預金が偏在し過当競争がひど過ぎること、三番目には、金融機関を専門化していかなければならぬということ、そして都市銀行は合併しなくちゃならぬということを申しておるのであります。したがって、まず日本経済の今日の要請にこたえるためには、中小企業金融の問題よりも、都市銀行の合併ということを取り上げるのが先決問題ではないだろうか。私は、いま金融改革によってとらねばならないのは、金利の引き下げと預金者保護それに中小企業金融の確保、そしてただいままずとらねばならないことは都市銀行の合併ではないかと思う。この私の金融改革の順序について大蔵大臣の意見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/109
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110・水田三喜男
○水田国務大臣 中小企業金融機関の問題よりも一般銀行の問題のほうを先に取り上げるべきであったというお話、私どももそう思います。本来はそういう形でいきたかったのですが、当面急を要したために、各種中小企業金融機関を中小企業の金融に定着させるという必要から、今回のいろいろな措置の御審議を願うことになったのでございますが、これに続いてすぐに金融制度調査会にはこの一般銀行の問題を取り上げていただくようにお願いして、いま審議を願っておる最中でございます。近く答申が得られましたら、それによって初めて全体の金融機関のあるべき姿についての答申が出そろうわけでございますので、私どもそれを基礎にして十分の研究をしたいといま思っております。
その次に、金利の問題ですが、長期のほうは、御承知のようにずっと引き続いてだいぶ下がってまいりましたが、まだ金利水準は日本は高いということでございますし、短期のほうは御承知のように経済調整の問題から政策的に金利を上げておるという時代でございますが、これはこういう状態で将来の国際競争力に日本の産業が耐えるというわけにはまいりませんので、こういう経済調整の必要がなくなった場合には直ちに金利は下げる、のみならず、さらにこの金利水準を下げるという仕事をこれからずっと継続しなければならぬと考えますが、それには、さっき申しましたような競争原理を働かせる、そうして金融コストを各金融機関が下げられる環境をつくっていくということが当面重要だと思いますので、それも今回のこういう法案をお願いする一つの理由でございます。
さらに、外国と比べて、私はいつかは預金金利の問題にやはり手を触れなければならぬじゃないかと考えておりますが、この問題はなかなかむずかしい問題で、資金の蓄積が十分ない日本としては、常に蓄積のためのいろいろな特別措置をもとっているというようなときでございますので、この問題に手をつけるのはなかなか簡単にはいかぬと思いますが、やはり将来預金金利の問題にまで触れた金利水準の引き下げというところまでいかなければ、国際競争に勝つための本格的な施策にはならぬじゃないかというふうに考えております。当面、まず現在の状況においてコストを下げられるだけ下げて、そうして金融を効率化するための措置をとりあえずとらなければなりませんので、逐次やり得ることをこれからやっていって、最後にはいま申したようなところまで私どもはいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/110
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111・井手以誠
○井手委員 そこで、もう一点お伺いいたしますが、先刻来自由競争の原理を取り入れるというお話でございました。私もこの点は賛成です。しかし、自由競争の原理を取り入れようとすれば、その前提に欠かすことのできないのは預金者保護です。それをせずして自由競争をさせる、荒波に航海させるというわけにはまいりません。舟山さんのほうからもお話があっている、堀越さんのほうからも話があっている、あるいは同友会からも、総合政策研究会からも、各方面から要望が出ております預金保険制度というものを早急に検討され、成案を得られる見込みであるかどうか、その点を簡単にお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/111
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112・水田三喜男
○水田国務大臣 その点はいま金融制度調査会でも検討願っている問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/112
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113・井手以誠
○井手委員 最近、産業界の大合同が進んでまいりました。資本自由化に対する措置であると私は理解をいたしております。したがって、資金の需要も大型化してまいるのであります。それには、都市銀行の強化ということ、あるいは地方に潤沢にある資金を中央に流させようという考え方は私は理解できるのです。すべてがいいとは申しませんが、理解できるのです。ただ今回の二法案を考えてみますときに、世間ではこういうことをいっております。都市銀行は、従来の長期信用銀行などの金融債の甘み、これが国債や自己資本の充実によってなくなってきた。そこでひとつ長期資金も都市銀行でまかなおうじゃないか、やろうじゃないか。かつてコールを地方から集めた都市銀行はあの甘みも忘れられない。そこで地方から中央に資金を吸収するような方法を講じようではないか。この金融二法案というものは、世間では、地盤沈下した都市銀行のいわば復権運動である、権威回復の運動であると言う人があります。これは単なるうわさとして聞きのがすわけにはまいりません。これは一つの批評としてよろしゅうございますが、私がここでお尋ねしたいことは、そういうようなことになってまいりますと、一番大事ないわゆる地方の銀行を合併させる、相互銀行を昇格させる。もう大きくなり過ぎたから昇格もある場合にはいいでしょう。しかし、残った小さな銀行はどうなるのか。それらをひっくるめて私が一番心配いたしますのは、従来でも中小企業には回りかねた資金が、中小企業金融、零細企業金融というものが、資金の効率化という名前のもとにますます梗塞されてしまいやしないのか、この点が一番心配です。いみじくもこういうことを答申にはうたわれております。これは舟山さんのところから出たものです。こういうことが言われておる。相互銀行については、「手数がかかり、リスクもある中小企業金融よりも、より大口の金融を行なうことにより、その業容を拡大しようとする傾向がみられる。」こういうことが言われております。それはそのとおりです。しかし、そのとおり現実がそうであるから、現状がそうであるからといって、普通銀行と同じになった相互銀行の大きなものを普通銀行に昇格させる、そうなってまいりますと、われわれが一番心配しておる中小企業金融の保証は一体だれがしてくれるのか。小口で預金を集めたり、小口で貸すことは預金コストに影響がありますから、だんだん大きなものをやろうとする。大口で都会に流そうとする。そうなりますと一番困るのは中小企業金融です。その中小企業金融に対して資金の確保をどうなさるのか。保証をどうなさるのか。私はこの保証なくしては金融二法案について簡単に賛成することはできません。これが一番中心です。その点について、私は特に水田大蔵大臣と舟山さんに確信を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/113
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114・水田三喜男
○水田国務大臣 一つは銀行行政の問題でございますが、今度は中小企業金融機関を中小企業金融に定着させようという目的でありますので、したがって、もしこの金融機関同士が合併するというようなときに、この合併がその地方の中小企業にどういう影響を与えるかということを十分に考えまして、悪い影響を与えるというようなときにはこの合併を許可しないというふうに、許可の場合にこの点を十分に考えてやろうというのが、いま私どもの考えておることでございまして、こういう点は、どんどん金融機関が合併することによって中小企業から離れていくというようなことのないように、もう万全の措置を講ずるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/114
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115・舟山正吉
○舟山参考人 金融制度調査会におきましては、先般中小企業金融に対する考え方を答申いたしたのでございます。
ただいまお尋ねの点に限って申し上げますが、あの答申を作成しますまでには、普通銀行とか相互銀行、信用金庫、信用組合は業務が同質化しておるから、こう専門機関をこまかく分ける必要はないじゃないかという意見もあったのでございますけれども、その意見はとりませんで、現在の相互銀行、信用金庫、信用組合の制度を置きまして、それぞれ専門をつくりまして、これに専念さすようにいたしたのでございます。これが私は、中小企業に対してそれぞれの機関がそれぞれ熱意を持って職務に当たることができる最良の制度であると考えております。
別途合併転換に関しまする示唆を申し上げましたことは、今後こういうふうに専門機関の働く分野をきめますと、それに適合しないような機関も出てくる、あるいは不振な金融機関もあって、それらはある程度において合併あるいは転換させまして、金融機関の効率化をはかることが必要だというふうに考えたのでございまして、そういう道を開いておくということでありまして、決して合併転換法ができたから、どれもこれも大きなものに一緒にしてしまうということではございません。あくまで専門機関を置くことが中小企業金融の疎通に資するゆえんであるということを考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/115
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116・井手以誠
○井手委員 これには、いわゆる銀行が同質化してきた、同じ土俵でやらせようじゃないかというところに問題がある。弱い者はやはり別ワクで守ってやらなければならぬという中小企業、零細企業金融の本質があることを忘れてもらっては困る。この点はなお同僚委員からも多くの御質問があろうと思いますので、私はこの程度でとめておきまして、一番肝心の問題に入っていきたい。
端的に申しまして、今日の貸し付け金利というものは、いま都市銀行の貸し付けの平均は六分九厘七毛、地方銀行では七分七厘、これが四十一年度の上期の統計であります。この七分から七分七厘という高い金利を、結論から申しますと、預金コストの引き下げによって一分五厘は引き下げられると私は確信を持っております。これが私はきょうの質問の重点です。一分五厘は引き下げられると思う。それをいまから論議いたします。
もし一分五厘下げられるとしたら、四十一年度一年間で二兆六千億円の金利負担の中で二割から二割五分引き下げられるとしたら、日本の経済にばく大な利益になると思う。そこでお伺いいたしますが、これはどちらの側か知りませんが、一体銀行預金の内容はどういうものであろうか。ということは、世に擬装預金というものがあります。債務者預金ということですね。債務者の預金が何割であるか、公金預金が何割であるか、純粋の一般預金が何割であるか、これをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/116
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117・澄田智
○澄田政府委員 ただいま御質問のうちの債務者預金でございますが、これはもちろんお断わりするまでもないのですが、全部いわゆる歩積み・両建てというものではないのです。債務者が同時に預金を持っているという場合でございますが、これは都市銀行で申し上げますと、昨年の十一月現在で四七・三%。これは貸し出しの四七・三%でございます。地方銀行で申しますと、四二%というような数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/117
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118・井手以誠
○井手委員 両大臣、これは大事な問題です。もちろんそれがすべて歩積み・両建てとは思っておりませんが、貸すほうの力と、貸していただくほうの弱さを考えますと、口では言わぬでも目の色でわかるはずです。ものを言わない威力というもの、金融機関の威力というものを、私ども政治家は考えてやらなければならぬのです。はっきりいま出てきたじゃございませんか、債務者預金というものが。金を借りるときに、歩積み・両建てじゃないけれども、一億円借りて五千万円しか現金にならないという実態、これで一体日本の企業はやっていけるのか、それを考えなくちゃなりません。そのあと五〇%は何であるかといえば、大体二〇%は公金預金です。純粋の一般預金というのは三〇%しかないのです。こういう銀行の実態というものを、世帯は大きいけれども、いろいろなからくりがあるということを、私どもは考えておかねばならぬのです。私は四、五日前あるところに行きましたら、こういうことを聞きました。一千万円借りたら八百五十万円預金させられましたというのです。
そこでこの際、私が聞きたいのは、預金コストがどうなっておるか。都銀、市銀、地方銀行、数字だけあげてください。それからもう一つは外国との比較。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/118
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119・澄田智
○澄田政府委員 預金コストを四十二年上期で申し上げます。都市銀行は六・五一%、地方銀行は六・七七%ということになっております。
米国の例はわかっておりますが、アメリカは、連邦準備制度に加盟している銀行全体の数字でございますが、四・五三%、これは四十一年でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/119
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120・井手以誠
○井手委員 この点はこの次にお伺いをいたしますが、従来大蔵省の指導も、また一般銀行のやり方も、この預金コストというものを中心にして——預金のコストは、預金の利回りが大体四分一厘です。四分一厘に対して、それに人件費、物件費というもの、それに税金が加わって、二分三厘九毛加わって、いまお話しのように都市銀行では六分五厘一毛、地方銀行では六分七厘七毛の預金コストになっております。この預金コストを中心にして、その上に利益を加えて金を貸す、これじゃ損目のない仕事ですね。商売ですね。このくらい楽な仕事はないですよ。それに二二%の利益を見込ませて経営させるのですからばかでもできる。この既製の、すでにでき上がった預金コストを中心に金利をきめていくところに銀行経営の一番問題点があると私は思うのです。いわゆる殿様商売です。
そこで、昨年の金融小委員会で、こういうことを長谷川第一銀行頭取が申されておりました。これは大蔵省よりも現場の責任者ですからよく御承知だと思いますが、長谷川頭取のお話では、かつて昔は得意先を訪問する者の費用は六%から七%であったのが、いまでは二五%から三〇%の人件費がかかっておるというんです。よく聞いておってください。得意先を回る、いわゆる預金競争に三〇%の人件費がかかっておる。同時に物件費も、自動車で走り回るからガソリンが要る。同様に預金競争に三〇%かかっておるというんです。しかし、資金というものはもう一定のものがきまっておりますから、それは預金の奪い合いであり、A銀行から引き出してBの銀行に移す、横流しということが考えられるのです。そういう預金競争というものはこの際やめるべきじゃないか、これは私の提案です。昔は店頭で、店内でサービスをしておりました。私は、金を預けるときも金を引き出すときも、同じような笑顔で銀行員が接待をするならば、預金の量は減るはずはないと思うのです。同じ一億円の金をみんなで奪い合う。私の知ったところでも、ある一億円の資金が流れてくると、それに動員される者は数百人にのぼると私は推測しておりました。同じ銀行員の中でも競争してその資金を奪い合う。私は、二五%ないし三〇%のこの預金競争の人件費物件費というもの、現実はもっと多いかもしれません。期末を見てごらんなさい。月末の預金競争を見てごらんなさい。この預金競争をせぬでもサービスさえよければ、店内のサービスをするならば、同じ金額以上に預金が集まると私は思う。私は、一気にこう申し上げてきたのですが、資金量の総額はきまっておるのですから、この預金競争をなくしたらどうでしょう。これは都市銀行と地方銀行、その他農協まで加えて、全部のあらゆる金融機関が預金競争をやめてはどうか。
いま一つは、これはことばが悪いかもしれませんが、あちらこちらの銀行を退職した人の話を私は四、五人から聞きましたが、どうも銀行というのは自分の行員も信用しないところですよという話です。見てごらんなさい。銀行員が机をずっと並べていて、同じ伝票を、何か間違いはないだろうか、不正はないだろうかといってずっと検査をしていく。支店に金を借りに行きますと、係がまず話をする、その次には課長、支店長代理、支店長、それを本店の審査部の係員、それから課長に部長に担当重役、常務会、副頭取、頭取も同じことをやる。それは銀行によって支店長の権限のものもあるでしょう。それは銀行の監査というので不正がないようにしなくてはならぬことは私も承知しております。しかし、今日まで新聞をにぎわせました銀行の不正というようなものは、それは係員から出たものじゃない、支店長クラスから出ているんです。自分の行員すら信用しない。人を見れば何とかと思えということばがありますが、そういうことばを私は銀行の人からも聞いたことがあります。支店で、それほど現場で吟味したものであるならば、審査部の陣容というものがはたして要るであろうかと私は考えております。審査部の膨大な組織というものがはたして要るであろうか。支店において、それだけ現場をよく知り、企業の事情をよく知っておる支店の幹部が現地に行って調査をしたならば、本店ではもう大体一つ二つの判で済ますような組織にしてはどうであろうか。
こう考えてまいりますと、預金競争を廃止し、もっと内部の機構というもの、行員を信頼しなければやっていけるものじゃありません。そういうふうにしたならば私は——銀行局長の預金コスト、これは少し問題があります。法人税の率まで加えられておる。これは問題があるけれども、私はそこまで数字の争いはしません。法人税が入っているわけです。しかも臨時費の銀行の建物の償却金まで入っている。そうでしょう。だから私はこういうことを総合して考えますならば、地方銀行が七分七厘で貸す、都市銀行は七分で貸すというものを、四分一厘の預金の利回りです。最近定期預金がふえてまいりましたが、当座預金をチャンポンいたしますと四分一厘の預金の利回りです。この預金の利回りに二分程度のいわゆる諸掛かり、人件費、物件費を加えたならば、私は六分から六分五厘程度で貸せないはずはないと思うのです。これについて私は確たる答弁は求めませんが、大臣や舟山さん、真剣に検討してみられるお気持ちがおありになるかどうか、その点をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/120
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121・澄田智
○澄田政府委員 ちょっとその前に私から一言。
先ほど申し上げました預金コストの中には償却費は入っておりません。動産、不動産の償却費は入っておりません。あのほかに償却の費用があるわけでございます。
それから預金競争の点でございますが、形式的な預金高による銀行の順位というようなものが非常に預金競争を起こしていることは事実でございます。こういう点もございますので、もっとほんとうの資金コストを下げるような競争をやらせるというようなことで指導をいたしてまいっております。そうして期末のいわゆるウインドードレッシングというようなことを減らすように、事実この点については、預金のうちで手形、小切手の部分が減ってまいっておりまして、そういった指導はある程度効果を見せてきておるところでございますが、なお一そうその点は徹底してまいりたい、かように考えております。
それから、銀行の内部体制で相互チェックというようなことは、金融機関の性格上ある程度やむを得ませんが、こういう点についても競争原理というようなことでその効率化をはかる、そうして資金コストを下げるという点からむだな人員を廃するというようなことは必要なことである、そういうふうな見地で指導もいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/121
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122・舟山正吉
○舟山参考人 銀行の預金獲得競争が行き過ぎがあるというようなことは、まあ世の中の定説であるようであります。これは何とか改めさしたい。それに銀行内部の事務処理につきましては、機械化というようなこともあわせまして、できるだけコストを下げるようにいたしまして、ひいては貸し出し金利を少しでも下げるように持っていきたいというような気持ちは、金融制度調査会の各委員の持っているところと思います。そんなような方針で調査もし、検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/122
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123・水田三喜男
○水田国務大臣 いままで銀行のランクづけがいわゆる預金高によってきまったということからの弊害は非常に多うございましたので、いま銀行局長が言いましたように、今度からそういう預金高だけで銀行のランクづけをしない、そのランクに伴ういろいろな銀行行政上のメリットをなくするというようなことにいたしましたので、この点はいまだいぶ改善されておると私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/123
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124・井手以誠
○井手委員 水田さん、せっかく金融改革をやろうとするなら、何としても金利を引き下げることが第一です。それには、むだな預金競争、預金獲得に死にもの狂いになっておるそういう態勢、いわゆる預金競争をやめさせる。店頭でサービスをする、それで預金は減るはずはないのです。何かそのくらい思い切った考えはできませんかな。ただ事務的なお考えで、預金高でAクラス、Bクラスと、そういうような程度じゃなしに、思い切って、金利を下げようとするならば預金競争をやめさせる。それで物件費なり人件費の三割は必ず減る。それに審査部、内部の機構を整理する。それで一分五厘ぐらい減る。いろいろしますと半分程度で済むのじゃないか、そこが私は貸し付け金利を一分五厘は下げられるというような根拠にしているのです。一分五厘下げられるのか、もっと下げられるのか、そこまでいかないのかは、具体的なことは私もわかりません。けれども、大蔵大臣になって、そのくらいの勇気を持ってほしいと私は思うのです。せっかく大蔵大臣になっておられる、何か一つ、日本金融のために、日本経済のためにこれがいいと思うなら、私は勇気をふるってやってほしいのです。あなたの非常に大事な仕事だと私は思う。日本の将来において、昭和四十三年には水田大蔵大臣という人がおられた、こんなことをなさったという歴史に残る仕事をやってもらいたい。これは残りますよ。預金競争をやめさせてごらんなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/124
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125・水田三喜男
○水田国務大臣 もうその勇気は十分持っているつもりでございます。結局、競争原理を云々と言っておりますことは、この預金競争などをやって人件費のコストが上がったりなんかしたら結局銀行自身が競争に負けるという事態をつくっていけばいいのでございまして、預金競争じゃなくて、むしろお客へのサービス競争をこれから銀行にさせるという方向へ銀行行政を持っていこうというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/125
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126・井手以誠
○井手委員 私は、少し最後のことば気にかかるのですが、そう追い込むつもりはございません。私は、自由競争といっても同じ資金量の奪い合いをしてはむだなことです、それをやめさせてはどうですかと提案しておるわけですから、ひとつ十分御検討いただきたいと思っております。これ以上は申し上げません。きょうは私の考えも存分に申し上げ、あなた方の意見も聞こうと思って、普通の質問とは違う、日本の金融を今後どうするかの意見交換のつもりで申し上げております。
それで私は、あとは簡単なもの二、三触れておきたいと思いますが、一つは長期資金、設備資金の問題。従来銀行が金融債などの証券を買い入れる場合には、いままで申し上げたように、預金コストに利益を加えたもので引き合うものを買うのです。そうすると、どうしても長期資金というのが高くならざるを得ないです。いま申し上げたように、七分以上で買えば引き合う。預金コストに利益を加えたもので引き合うものしか買わない。そうなれば、その金融債というもの、長期資金というものが高くなることは必然であります。当然であります。そういう長期資金の調達方法というものをこの際考え直さねばならぬのではないだろうか。いわゆる都市銀行にそういう金融債を売るということ、そういうやり方じゃなくて、長期資金は——いまの日本の証券市場というものは上げたり下げたり、何か政治問題があると下げる、また上がる。上げ下げでもうけるような投機的な証券市場じゃなくて、もっと健全な証券市場というものを育成し、そしてその証券会社が個人に買わせるということ、個人が買う。預金よりも有利であれば、長期債、金融債というものは個人で消化できるはずです。そうすれば、長期資金の金利はうんと下がってくるはずです。そこにほんとうの競争が出てくるはずです。社債、金融債を直接個人が買えるような組織にする。そういう長期資金というものを考えてはどうであろうか。これが長期資金に対する一つの考え。
いま一つは、いま長期資金は五年か七年になっております。一体工場を建てる場合に、固定資産をつくる場合に、わずか五年か七年の借り入れ期限ではたしていいであろうか。五年か七年の間に償却できるようなことが大体できるだろうか。だれが常識的に考えてもできるはずはございません。金を借りて工場を建てる、つくった品物をうんと引き上げる。幾ら引き上げても、税金を払い、その上で償却をして、一体七年で償却が普通できるのですか。
時間の制約もございますから、この問題はこの程度にとどめておきますが、私は、ほんとうの長期資金というものは、銀行が買うというんじゃなくて、個人が買えるような仕組みに持っていく。長期資金は十年以上長期に、また十数年にならなくてはほんとうの長期資金とは言えないです。そんなに短い期間ではたいへん無理がいく。無理のいったところに物価値上げの原因があるじゃございませんか。そうすれば国債の問題も解決していく。そういう長期資金に対して舟山さんどういうふうにお考えでしょうか、あなたのほうの金融調査会は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/126
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127・舟山正吉
○舟山参考人 産業設備に対する長期資金の問題につきましては、実は調査会でこれから各方面の意見も聞き、研究してまいるのでございますので、私がいまここで予断を与えるような意見を申し上げかねることを御了承願っておきたいと思いますが、私個人の考えといたしましては、やはりそれは産業側にとっては、設備資金のためには長期借り入れが望ましいのであります。しかし、これまでのところは、経済界の変転も激しいので、金を貸す立場としましては、その企業の先行きについて十分なる確信の持てないというような場合には、勢い比較的短い期間の資金を貸す、しかもそれをころがしていくというようなことによって需要に応じていくというようなことのやむを得なかったことも多いと思います。経済が安定してまいりますと、だんだん長期の資金も貸せるようになっていくかと思います。そういう点につきましては、今後の金融制度の研究において、いかにしたらばできるだけ長期の安定資金を産業に供給できるか、これが重大な研究問題の一つであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/127
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128・井手以誠
○井手委員 舟山さん、いま少し気概のあるところを話してもらわぬとぐあいが悪いですな。しかしお互い、性格もありますし、やむを得ないこともありましょう。
そこで、次に土地金融についてお伺いいたします。この間、同僚の只松委員から、銀行が土地投機、土地売買にばく大な資金を貸し付けておる、あるいは子会社をつくっておるお話がございました。また、そのときに日銀の佐々木副総裁は、昨年一カ年間に土地に対して一千百八十億円の貸し付けをいたしました、これが実績です、一昨年の一千四百億円よりも減りましたけれどもばく大なものです、こういう御答弁があっております。私は、率直に申しまして、都市銀行の一番悪い点は土地投機に金を貸すということである、土地売買に金を貸すことが一番悪い点だと思っております。そういうところにどんどん金を貸すから地価をあおっていく、それがまた投機をあおってくる。これは宮澤さんのほうにも関係があると思います。土地の売買、投機に金を貸すということ、私はこれは邪道だと思うのです。預金者の零細な金を集めた銀行が、日本経済のために、産業のために金を調達し、お仲立ちをしようという銀行にとって、土地売買、土地の投機に金を貸す。しかも自分じゃやれないから自分の子会社をつくる、子会社が三百億円、二百億円、百億円という金を貸しておる。それだけの金額が大事な日本経済に寄与していない。むしろ物価上昇の原因をつくっておる。私は、多くは申し上げませんが、こういう土地投機に対して銀行が金を貸すべきじゃない、禁止すべきだと思っております。これに対して、今度は宮澤経済企画庁長官の英知を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/128
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129・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それは土地が値上がりをするということがほとんど確実でありますから、金が貸しやすいということにもなって、両方は循環しておると思うのでございます。むろん土地を担保にとるということはもうしばしばあることであろうと思いますが、全くのスペキュレーションのためにということであれば、これはやはりおのずから自粛をしてもらいませんと、土地の価格の騰貴ということを助けるだけのことになってしまうのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/129
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130・井手以誠
○井手委員 企画庁長官としては、よくわかるけれども確たる返事はしにくいということだろうと思うのです。どうですか、水田さん、この土地に対する投機に金を貸すことですね。むしろ銀行自身が自分の子会社をつくって投機をやっているのですよ。統計によりますと、主要十一銀行で三十の不動産会社をつくっておるのです。こういうことは改め、やめさせるわけにはいきますまいか。この土地造成であるとかなんとかというのは別の機関がやれるのです。銀行がやらなくても、ブローカーがやらなくても——ブローカーがやるから妙な住宅ができるのです、土地ができるのです。それは総合対策にはなりますけれども、その中心であるあなた、水田さん、この投機性のある土地売買に対して銀行が金を貸すということをやめさせて、その分だけ、有効な必要な方面に金を貸し出すという指導はできないのか。それが私は大きな土地政策であると考えますが、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/130
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131・水田三喜男
○水田国務大臣 この銀行の関係不動産会社の業務の範囲は銀行の業務と直接関連する範囲に限るべきであるという考えから、いまおっしゃられる問題は、もうすでに一昨年の十月に行政通達を出しまして、大蔵省としては指導に乗り出しております。そして銀行の業務と直接関係する部門に限定しまして、それ以外の土地に対する売買投資というようなことは、一般不動産会社と同じように銀行の子会社から切り離してもらう、そして資金もコマーシャルベースでまかなうというようにして、銀行から特別に、子会社なるがゆえの融資をするというような方向はいけないという指導をすでに始めておりますので、今後もそういう方向でさらに指導を強化していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/131
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132・井手以誠
○井手委員 一昨年から指導を始めたというお話でございますが、日本銀行の統計によると、若干減ってはおるけれども、一千億円をこえているのです。全部が悪いとばかりは申し上げませんが、おそらく九割近くは悪いでしょう。それほど目に余る、物価問題にも住宅問題にも支障のあるこの投機性の強い土地売買に、これをやめさせるということが言えないのですか。「民、信なくんば立たず」ということばもあります。政治の大蔵大臣という大事な立場におられる人が、いま当面の大事な土地問題について、銀行のこの邪道ともいうべき貸し方に対して指導の実効があまり行き渡っていない、ほとんど無視されておる事態に対してそのくらいの答弁では、私は不信を買うではなかろうか、失望を買うではなかろうかということを非常に心配をいたしております。私は、最初に申し上げたように、問い詰めようとは思いません。やっぱり勇断をふるうべきです。まだ審議期間は何日もございますから、同僚委員からも御意見があるでしょう。政府部内でも十分検討してほしいと思うのです。それくらいやれないならば、日本の金融行政というものを私は疑いたくなる。
最後に、開発銀行の問題ですが、最近、開発銀行の金融が乱れかかっておるということが各方面から指摘されております。私は、危険度の高い国策の事業、斜陽産業であるとか技術開発の事業であるとか、国策に乗るような会社に安い長期のものを供給しようというのが開発銀行の使命であると思っております。ところが、最近はそうではありません。既得権というものがいつまででも押し通っておる。たとえば造船に対して四分の安い金利で四千億円も貸しておる。これはあなたのほうの資料でわかっております。世界一といわれる日本の造船に、何でいつまででも四分の金利を出さねばならぬのか、安いものを貸さねばならぬのか。この開発銀行の——輸出入銀行のこともございますが、この貸し方の乱雑と申しますか、銀行内部では厳重にやっておるつもりであろうけれども、世間はそうは見ていないのです。こういう安く貸す場合には、私は銀行にまかせるのじゃなくて、安くする場合は利子補給ということで、やはり政治の舞台に乗せることが一つの歯どめになるのではなかろうか。安く貸すことはけっこう。貸す場合には、銀行の考え方で任意にやるんじゃなくて、もちろん政府との打ち合わせの上ではあろうけれども、やはり政治の舞台に乗せて、利子補給などという一つの歯どめをすることが私は大事ではなかろうか。外国の金利とのかね合いもあります。そういうことと関連して、この開発銀行や輸出入銀行の収支バランス、金利について、お考えがあるならばこの機会に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/132
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133・水田三喜男
○水田国務大臣 すでに開銀は、あなたのおっしゃられる利子補給をやっておりますし、そうでなければ、あるいは産投会計からの出資とか、一般会計からの繰り入れとかいうようなことによって、いわゆる歯どめになる処置というものはとれますので、これは従来からも考えておりましたが、今後もいろんな問題と関連がございますので、十分検討していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/133
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134・井手以誠
○井手委員 まだ申し上げたいことがたくさんございましたが、夕方でございますし、お互いに気がせいておりますので、私の質問はこの程度で終わりたいと思っておりますが、一応問題点は提起いたしました。お互いに知っておってなかなかやれない問題だと思うのです。けれども、やらなくてはならぬ事態になっておることを私は大蔵大臣に特に要請をいたしたいのです。
最初に、私は、経常収支率を申し上げました。預金競争の禁止を申し上げました。その他いろんな提案、提議をいたしました。やろうと思えばできないはずはないのです。やらなくては金融改革はできません。私は、きょうはイデオロギーをこえて申し上げました。なかなかたいへんな仕事であろうとは思いますが、宮澤さんもひとつ政府部内で大いに促進をしていただきたいと思います。土地金融の問題これなど特に私は打ち合わせをして、少なくともきょう申し上げた分の全部とは言いませんが、多くの部分は、ひとつ遠くない機会に実行ができるように格段の努力と決意を要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/134
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135・田村元
○田村委員長 村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/135
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136・村山喜一
○村山(喜)委員 舟山参考人に私お尋ねいたしたい点がございます。
それは、いまあなたは日本貿易信用株式会社の常務をやっておいでになると思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/136
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137・舟山正吉
○舟山参考人 私は常務はやっておりません。平取締役でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/137
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138・村山喜一
○村山(喜)委員 前に、四十二年の一月に顧問をおやりになって、そうして四十二年の五月の三十日の定時株主総会で取締役に選任をされた。
そこでお尋ねをいたします。この会社は、設立当初の趣意書を私拝見いたしておるのですが、なお四十二年三月三十一日の損益計算書、貸借対照表を拝見いたしておりますが、四十一年の十月一日から四十二年三月三十一日の半期間の間に、当期利益で八千三百六十六万円余りの利益をあげていますね。御存じだろうと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/138
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139・舟山正吉
○舟山参考人 平取締役として、決算の話も聞いて十分承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/139
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140・村山喜一
○村山(喜)委員 時間を詰める意味で申し上げますが、これは最大の株主は協和商工信用株式会社、第二番目が大蔵省が所管をいたします国有財産である政府手持ち。そこで、政府手持ちのこの株は四万二千八百三十株ある。これを逐次売却するということで今日まで進んできておるのですが、なかなか一ぺんにまとまって売れないというかっこうで、ぽつりぽつり処分をしている状態であります。そこで、これの営業内容をいろいろ調べてまいりますと、保証料なりあるいは利息割引料というもので収支をとっているわけですが、これは民間の金利の水準と市中銀行ないし地方銀行の金利の中間的な水準で、いま割引料なりあるいは利息を取っておることは間違いございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/140
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141・舟山正吉
○舟山参考人 ただいまお尋ねの点につきましていろいろ耳にしたことはございますけれども、実は私は平取締役でありまして、会社の最終責任者ではございません。きょうもまた金融制度調査会長としてお呼び出しいただいておりますので、そちらのほうについての用意もなし、また、私からそういうことをお答えするのはいかがかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/141
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142・村山喜一
○村山(喜)委員 私が申し上げますのは、あなたが関係をしておいでになる日本貿易信用株式会社、しかもそれは政府出資分が第二位という大株主であるという事実、しかもそれが町の金融機関と市中銀行なりあるいは地方銀行の中間のところで高利貸し的な運営をわりあいにやっているということ、一割三分五厘という高い金利で金を貸し付けてやっているという事実、これはあなたは御存じだろうと思うのです、取締役ですから。だから、私があなたに聞きたいのは、金融機関の問題は制度調査会としてこうお出しになった、だが町にはそういうような町の金融がある。高利貸しの存在がある。信用組合ができたらそういう高利貸しが追放されていくという状態がある。
〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕
そういうような問題について、存在価値があるからこそ、こういうような日貿信のようなものもあるのでありましょう。高利のやつも、そういうような意味においては存在をする理由があるわけです。しかし一方、こういうふうにして金融機関を整備しながら、それの内容を充実するということで法律案をお出しになる、一面においてはそういうような高利貸し的な存在として今日あるものを、一体どういうような方向であなた方としては考えるべきかという論議は、これはなさいませんでしたかどうかをお尋ねしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/142
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143・舟山正吉
○舟山参考人 一がいに高利貸し的な仕事をしておるとおっしゃるのは、私は承服できません。これは貸金業に関する法律の適用を受けた貸し金業者でありまして、前身は御承知のとおり台湾銀行であります。これが日本貿易信用株式会社という会社になっておりますが、私はそれをどう持っていくかということについて、いろいろ相談にも応じておるわけでございます。高利貸し的なことをやっておるということは、少ししいるものではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/143
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144・村山喜一
○村山(喜)委員 一割三分五厘というのは、これは高いですよ。あなたが関係していらっしゃる会社はそういうような状態なんです。それで株主に対しては、一割三分も株の配当を配付しておるのです。そういうような状態で運営をされているわけです。そこで、これは台湾銀行の後高なんです。日本貿易信用株式会社というものは、やがてそういうような金融機関にするのだという運営のもとにつくられているのでしょう。だから、そういうような町の金融機関のような状態になっているものについては、あなた方としてはどういうような方向でやるべきだとお考えになっているかをお尋ねしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/144
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145・舟山正吉
○舟山参考人 ただいまは、貿易信用会社をどう持っていくかというようなことについては考えておりません。その業務を貸金業に関する法律の範囲内で、適正穏健なものでやっていくことにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/145
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146・村山喜一
○村山(喜)委員 日貿信の問題だけを私は言うているのじゃありません。幸いにしてか不幸にしてか知りませんが、あなたがそこの取締役であることは間違いない事実です。だからそういうようなものに関係をしながら——わりあいに高い、町の金融機関との中間くらいのところの金利で貸しているわけです。お金を貸して、それによって回転をしながら営業をやっていることは事実なんですから、そういうようなものをどういうふうな方向で金融再編成の問題と結びつけて考えていくべきであるかということをお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/146
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147・舟山正吉
○舟山参考人 金融制度調査会で問題がそこまでいきますれば、またそれは研究いたしましょう。しかし、現在のところどうこう言うことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/147
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148・村山喜一
○村山(喜)委員 しかもあなた方の子会社、第二会社といいますか、最大の株主であるところの協和商工信用KK、これは八万株も持っている。この場合には、あの台湾協会に金を一貸した場合には、あなた方、原資を日貿信のほうから協和商工信用のほうに四銭で貸している。その原資を、今度は協和信用が台湾協会に対して六銭五厘で貸しているのです。まさに高利貸しの限度一ぱいでお金を貸しているじゃありませんか。そういうような状態が、現にあなたが関係していらっしゃるところに発生をしているのです。そういうような問題を考えない限り、この金融機関再編成の問題は私は完全なものにならないと思うのだけれども、そういうようなものは論議すべきでないというの、がたてまえでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/148
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149・舟山正吉
○舟山参考人 金融問題にもいろいろございまして、そういうようなコール市場の改善とか、あるいはそれをめぐる証券市場の問題とか、こういうことになりますれば、この問題はまた登場するかもしれません。現在は貸金業取り締まり法の範囲内で穏健な営業を営めるようにつとめたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/149
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150・村山喜一
○村山(喜)委員 あなた方がそういうような感覚でいらっしゃるから問題が多いのですよ。もうまさに零細な企業は、こういうようなふうにして、合理化された、近代化されたものから見放されていく。そうなってくると、金融機関から見放されたら、そういう町のいわゆる高利貸しにたよっていく、その中で倒産をしていくわけです。そういうような状態を、あなた方が金融サイドの面から考えていくのが、金融制度調査会としての任務の一つではなかろうかと私は思うのですが、そういうようなものは無視していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/150
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151・舟山正吉
○舟山参考人 そういう問題が全然問題にならぬということではございません。将来、あるいは問題として取り上げるかもしれません。しかし現在のところは、この会社の運営については別に問題はないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/151
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152・村山喜一
○村山(喜)委員 大蔵大臣、将来問題になるかもしれない。しかし、私は問題を同時に考えるべきだと思うのです。というのは、中小企業の上位のランクにある人たちはわりあい低利の資金を手に入れることができましょう。しかし、下位にあるところの生業的なそういうような企業をやっておる人たちは、信用金庫からもあるいは信用組合からも見放される可能性もある。そういう人たちに対しては、もう貸金業法の取り締まり規則の中で穏当にやっておるからということで、それで私は政治家としては済まないと思うのです。そういうような問題まで含めて、金融再編成の問題はいろいろ論議すべきだと私は思うのですが、大蔵大臣として将来そういうような問題についてお考えの上で処置をしていただくことにならないかどうか、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/152
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153・水田三喜男
○水田国務大臣 いま舟山さんのおっしゃられることは私にわかります。と申しますのは、きょうは金融制度調査会長としてここに来られたものでございますから、調査会において起こったことについては、責任を持ってお答えするでしょうが、まだこの問題は、将来、おっしゃられるようにこれを調査会にかけて研究を願うという必要があったときには、またあらためて調査会に私のほうから諮問いたしますが、いまのところは金融制度一般に関する諮問についてこの問題が入っておりませんので、したがって金融制度調査会では、いまのところこれを問題にしていないということをお答えしておるのでございます。今後必要に応じて、またこの調査会に諮問を私のほうからお願いするということがあろうと思いますが、きょうはそういう意味で舟山会長にここでその問題をお聞きすることは、少し適当でないと思いますので、場所を改めたほうがよろしいと思います。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/153
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154・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 御静粛に願います。
佐藤觀次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/154
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155・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 大蔵大臣に少しお伺いしますが、お急ぎのようですからわずかの時間、大臣に対する質問だけいたします。
実は、数年前に日本銀行で百万円の札がなくなりました。また、その他の都市銀行で相当いろいろな不始末なことがたくさんありました。これはあんたの大蔵大臣のときじゃない、福田さんのときだと思うのです。また、この間上野の大銀行の支店の中で一千万円というばく大な金が取られた。一千万円ということは国会議員が二年つとめなければ取れぬ金ですが、それがおもちゃのピストルとおもちゃのダイナマイトでおどかされて、金がなくなったことは御承知だと思うのです。こういう問題は社会通念上非常に問題があることなんですが、これは大蔵省直接関係はありませんけれども、こういうような銀行に対する不信というものについて、大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか、まず最初にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/155
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156・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 ちょっと待ってください。
これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
舟山参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。御退席いただいてけっこうでございます。
政府に対する質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/156
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157・水田三喜男
○水田国務大臣 この問題私はまだ詳しく報告を受けておりませんので、銀行局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/157
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158・澄田智
○澄田政府委員 私も銀行からは話を聞きましたが、すでに新聞で報道されておるとおりのことでございます。富士銀行の上野支店で起こったことでございますが、そしてその後警察の調査は、今日のところまでまだ犯人の手がかりというところまで至っていないように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/158
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159・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 いや、私はそういう通り一ぺんの答弁を求めておるのじゃない。こういう社会問題が起きたということについて、どういうように考えておられるかという大臣の率直な意見をひとつ伺いたいということだけで、こんな大きな問題をただ通り一ぺんで澄田さんからお聞きしようとは思っておりません。大臣はどういうようなお考えを持っておられるかということを、監督をしておられる大蔵大臣ですから、そういう点でお伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/159
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160・水田三喜男
○水田国務大臣 めったに起こり得る事件でございませんので、これが起こったからといって、今度のようなことが起こらぬように内部の警戒体制をとれということも、これはたいへんでございまして、すでにふだんから金融機関がこういう事件を起こさないように、行内における監視、警戒の体制というものは現にとっておると思いますが、やはりもう少しこれを強化して、こういうことをなくするようにというような指導をしなければならぬかとも思っておりますが、しかし、なかなかめったにないことのために特別な警備をする、それによる大きい負担をかけるというようなことも問題でございますので、これは関係者間で十分今後の問題についてとり得る可能性について協議したい、研究したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/160
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161・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 その問題について澄田さん、富士銀行からどういう報告がありましたか。あなたのほうへ何か報告があるのでしょう、こんな大きな問題ですから。一千万円の金が簡単におどかされて取られたんでしょうけれども、これは銀行の信用に対して相当大きな問題だと思うのですよ。そういう点で、だれかあなた方、こういうふうだったという立場なり状況なりをここでひとつ聞かしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/161
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162・澄田智
○澄田政府委員 事実そのものは新聞で報ぜられたとおりでございますので、ここで申し上げるまでもございませんが、あの場合に応接に当たりました次長が、支店長に会わせろというような話をすぐ信用して応接間に通した。そのために起こったことで、それからあと店外に連れ出されるまでの間に、次長としては行員に気がつくようにいろいろできる限りのことはしたと申しておるわけでございますが、事情を知った者の犯行と思いますが、ちょうど午後一時過ぎの、午後のお客が最も殺到した時期でございまして、店内は非常に忙しくて、ついにだれも気がつかない。次長がその犯人を送り出しているものとばかり思って、そして外へ出てしまった。こういうことでありまして、その辺のことが予想外のことであったために、あとから考えてみると、どうしてこういうことになったのだという点もあるわけでございますが、あのときとしてはどうにもだれも気がつかなかった、こういうことのようでございます。
なお、警察の調査によって手落ち等のことがはっきりすれば、それに基づいて処置もするということであろうかと思いますが、現在の状態においてはそこまでまだ至っておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/162
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163・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 その問題は事務当局でひとつ善処していただきたいと思いますが、大臣に、今度の銀行法の改正法が出ることについて、いろいろ問題があると思うのです。
この間イギリスで二大銀行、世界で一番大きな銀行が合併になりまして、世界的に大きなセンセーションを起こしたのですが、将来日本の銀行というものは現状のままでいいと思っておられるのかどうか、あるいは世界の風潮として銀行の大合同というのが、イギリスには起こったのですが、こういう点についてどういう認識を持っておられますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/163
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164・水田三喜男
○水田国務大臣 一般の銀行につきましては、銀行の再編成というような問題につきましては、ただいま調査会に検討願っておる問題でございますので、先ばしって申し上げるのはどうかと存じますが、そういう合併なんというものは、将来あり得てもいいというような考えを私は持っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/164
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165・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それから、これに関連して、この法案が通過すれば、いまの市中銀行の銀行法というものはたしか昭和二年ごろだと思うのですが、その法律と、それからもう一つ日銀法という法律がからまってくると思うのですが、そういうものについて、これが成立すれば改正をする御意思があるかどうか、そういう心持ちをどのように持っておられますか。これは関連があります。都市銀行の問題、日銀法の問題というのは前から問題になっているのですが、それはどのように大臣はお考えになっておりますか、伺いたいと思います。——大臣に聞いているんだ。君はあとでやるから待ってくれ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/165
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166・澄田智
○澄田政府委員 先に一言だけ申し上げます。
銀行法の問題でございますが、これは現在、金融制度調査会に今回御審議を願っております法案に引き続きましての諮問事項といたしまして、一般民間金融機関のあり方、これは普通銀行のあり方ということになるわけでございますが、それを検討いたしております。その答申が出ますれば、当然に銀行法の改正という問題はそこへ出てまいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/166
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167・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 大臣どうですか、その点の大臣の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/167
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168・水田三喜男
○水田国務大臣 これは、やはり法律の改正というようなものは必要になってくるというふうに考えています。日銀法の問題は、御承知のような経過でいまそのままになっておりますが、いま金融制度調査会で、一般銀行の問題にまで検討が入っておるときでございますので、こういう金融機関全般の検討を終えてから、日銀法の問題に取りかかってもいいんじゃないか、私はそうここで急ぐ必要はないんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/168
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169・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 まあ、急ぐ急がぬは問題にしませんけれども、当然この法律ができれば相当いろいろの銀行に変動が出てくると思います。まあそのことは他日にいたしまして、大臣急いでおられますから、もう二点だけ伺いたいと思います。
私たちはかねて日本の金準備は少ない、この間経済同友会の木川田さんも、外貨準備は三十億ドルぐらいなければいけないということを言っておられましたが、こういうようなドル不安になったときに、柏木さんおられますけれども、私たちは前から日本の金準備というのは三億三千万ドルではあまり少な過ぎるということについて言っておりますが、なぜ政府はそういう点についてもっと関心を持ってこの問題を処理していかれないのか、大臣はそういうことについてどういう方針を持っておられるか、これも伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/169
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170・水田三喜男
○水田国務大臣 それは、外貨保有の水準が高ければ高いほど経済政策はやりいいということで、好もしいことでありますので、できるだけ保有外貨が多くあることを私どもも希望しております。しかし、御承知のように、三十年代の成長期におきましては、やはり日本経済の生産力を増大する、そして経済の規模を大きくするという必要に迫られて、成長政策を私どもはとってきました。もしああいう成長政策をとらないとするなら、これは外貨保有を徐々にふやしていくことができたと思いますが、三十五、六年から四十一年ぐらいまでの間にすでに三十兆の設備投資をやりました。この中に入っている外貨は大体八十億ドルといわれておりますが、日本は外貨を多く持つことをかなり犠牲にして八十億ドルの設備投資を行なった、こういうような事情で、日本の外貨を蓄積していく余裕がなかった。結局外貨保有を犠牲にして経済成長を先にしたということから起こっていることでございます。しかし、それはいいことかと申しますと、この生産力を確保したことは大きいプラスでございます。保有外貨の少ないために経済政策に常に波を打たせた、この犠牲が大きいのでございますから、今後この高度の成長政策というものは望めない。安定成長ということがこれからの私どもの方針であるとしますれば、今度は、経済成長もほどほどにいくというこの過程において、ようやく徐々に外貨保有をふやしていくことができるだろう、これは可能であると信じますので、私どもはそういう考えから、今後はできたら三十億ドル前後までの外貨を持ちたい、こういう方針で今後の経済運営をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/170
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171・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 大臣に最後に一点だけ伺いますが、これは見通しの問題でありますけれども、実はベトナム戦争もジョンソンの提案で幾ぶんか和平のほうへ移行しました。しかし、このドル不安というのはそうは簡単にこれが安定するとは思えないような節があるわけです。あとはまたあなたがいなくなったら柏木さんに聞きますが、大臣はこのドルの不安について、ドルの平価切り下げとまではいかなくても、ドル不安について将来どのような見通しを持っておられるのか。あるいはドルの平価切り下げという問題が起きはしないかというような危惧もあるわけです。いまのところはちょっと、これは七銀行総裁会議できまって、一応金の問題も落ちついたようではありますけれども、必ずしもこれはそう簡単には落ちつかないと思うのですが、そういう点について大臣はどのように考えておられますか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/171
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172・水田三喜男
○水田国務大臣 ドル不安を解消するためには、まず、アメリカが自国の国際収支の均衡をはかるということが一番必要だということがいわれておったことは御承知のとおりでございます。この均衡が得られるならば、ドル不安というものはこれは確かに鎮静すると思います。しかしアメリカが、はたしていまのままで国際収支の赤字を解消することができるかということは、ベトナム戦争にかかっておる問題でございまして、ここに一般の不安がありましたために、これがドル不安の原因になっておることは、これまた事実だと思います。ところが、今回ベトナム和平提案というものがアメリカからなされたということが一つ。それから、和平提案を出しておきながら、さらに米英とも国際収支改善のためにきびしいいろんな国内政策をとるということをはっきりさせたことが二つ。さらに今度は、欧州をはじめとして黒字国以下、世界の主要国はこのドル防衛に協力するという国際協力の線を、すでに金。フール加入国の会議においてもしかりですし、この三月末に開かれた十カ国蔵相会議においてもこれを確認するというふうに、国際協力の形がはっきりと強化されてきたということ。もう一つはやはり五年間の懸案であったSDRというものの合意を主要国の間で見て、これが今週中にも成案を得るというところへ至っておる。このことによって、私は、ドル不安というものは一応これで鎮静するのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/172
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173・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 柏木金融局長に伺いたいと思います。
いまは、ドル不安の問題は大臣が答弁されましたが、御承知のようにポンド不安というのがいろいろまた問題になってきたと思うのです。そこで、柏木さんは非常に詳しいのですが、一体ポンドというものはどのような形になって今後いくのか。これは日本との貿易の関係もありますので、私は柏木さんがどのように考えておられるのか、その点をひとつここで伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/173
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174・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 ポンド不安の問題はもう長年の懸案でございまして、昨年の十一月十八日ですか、切り下げというところまでいったわけでありますが、これは長年にわたる国際収支の赤字の累積からくる問題で、かつまたポンドの、いわゆる英国経済の国際競争力が非常に低下したということからきている問題であるかと思います。
そこで、ポンドの将来の問題と申しますのは、結局、イギリスがどの程度まで国際収支の均衡を回復できるか、どの程度まで国際競争力をつけ得るかという点にかかっておるかと存じます。国際収支の均衡回復という問題につきましては、これはもうそう名案があるわけではございませんで、結局、健全なる財政金融政策を遂行する以外にない。金融政策につきましては御案内のように昨年の十一月以来非常な高い金利政策を執行し、国内の金融を締めておるわけでございます。そこで財政政策の面が昨年来いろいろいわれておりますが、ようやく三月の十九日ですか、発表されました新年度予算におきましては、大幅増税を含む超均衡、非常に均衡を早くもたらすような財政政策が執行された。この面で国際収支は年五億ポンドの黒字を出すように持っていくのだというふうにいわれております。
そこで、その面における国際収支均衡回復というのは、その政策が漸次浸透してまいりますれば実行せられるかと存じますけれども、ここにもう一つ問題がございますのは、何と申しましてもポンドに対するそういうふうな施策がうまくいくかどうかという点。特にもう一つは、国際競争力がほんとうに回復できるかどうかという点。この点につきましては、イギリスにおける賃金、物価というものの抑制というか、今後の国内均衡がはたしてうまく維持できるかどうかという点にかかってくるかと存じます。この点につきましては、物価を押え、賃金につきましては、御案内のような三・五%以内の上昇しか認めないというガイドライン政策を打ち出しておりまして、これがうまくいくかどうかということになりますので、これはイギリス国内における今後の経済政策が十分に国民の支持を得て、国会における支持を得て実行されるかどうかという点にかかっておりますので、これは今後の問題でありますけれども、ただいまのイギリス政策の決意等から見ますれば、ポンドは漸次そういうふうな安定の方向に向かっていくものと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/174
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175・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 柏木さんにお伺いするのですが、この前もあなたに質問したのですが、今度のイギリスの予算の中での相当な削減措置というものは大体あなたが予想されている線までやっておるのか。あるいはまだこれじゃもの足りない、これではポンドの回復はむずかしいというところまできているのかどうか。あなたが考えられた判断をここで伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/175
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176・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 イギリスの予算の編成につきましては、これはIMFの事務当局あるいはOECDにおきましていろいろ論議があったようでございます。要するに、イギリスの経済成長を年率実質三%までに押える。そのためには相当程度国内需要を押えるということであります。その需要をできるだけ財政措置で押えるということでありましたが、今回発表されたイギリスの予算というものは、そのためには十分の措置であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/176
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177・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それならば、先ほど水田大蔵大臣から言われましたが、ドルの不安とポンドの不安ということは私は簡単に解消しそうもないと思うのですが、それに関連して円というものは不安がないのでしょうか。これはいろいろ条件が要るのですけれども、現在の事情で手放しで楽観をすることはできないように私は思うのですが、その点はどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/177
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178・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 円につきまして、要するに円の信用は何で裏づけされておるかと申しますと、やはり国際収支を維持しこれを均衡させていくことの力と、もう一つは対外競争力と存じます。国際収支を調整する力と申しますのは、要するに、国際収支が悪くなった場合に、必要なる施策をとり得るかどうか。これは、先ほどのイギリスで申し上げましたように、長年にわたる国際収支の赤字を放置するなら、それには問題がある。日本の場合には、戦後幾たびか国際収支の危機がありましても、そのつど必要なる施策をとってきたという意味におきまして、その能力がありますし、今回も政府といたしまして、できるだけの措置をとって、国際収支の一そうの均衡回復をはかってまいります。その意味におきまして、円の不安はないはずだと思います。
もう一つの点は、国際競争力の点でございますが、これは先ほど大臣から御説明ありましたように、過去数年間に非常に多額の設備投資をいたしました。その結果、今日の日本の産業は非常に高度化し、合理化されております。国際競争力の点におきましては非常にある、その点も不安がないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/178
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179・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 この三月に国際収支が黒字になってあらわれたのですけれども、大体ずっと前から日本の貿易の収支は黒字になっておりますが、そのほかの関係で赤字が出ていると思うのです。そこで、いまの状態であれば、まあどうにかやっていけるというように政府は思っておられるかもしれませんが、実は、いままでユーロダラーなどでどうもごまかしている点があるんじゃないか——ごまかしているというと言い方が悪いかもしれませんけれども、何かそこにいい手段を講じてどうにかやってきているという、そういう不安があるのですが、そういうことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/179
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180・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 貿易収支につきましては、いま御指摘のように、一−三月非常に好転してまいりました。私どもは、この一−三月の貿易収支が好転してきたことだけをもって決して楽観してはいけないと存じます。それは、やはり何といっても、一−三月が好転しているのは、一つは、対米輸出が非常に伸びている。これは一つは、アメリカにおけるスト見越しの見越し輸出というようなものもありますし、それから、アメリカ自体がこの一−三月、輸入が非常にふえて国際収支が赤字になっている、その反面がこちらにきているという面がありますので、そういう意味で、一−三月の貿易収支だけをもって判断をするのは間違っておると思いますが、昨年の初めから各四半期の趨勢を見ましても、やはり昨年の第四・四半期が国際収支が一番悪い状況であります。一−三月から好転のきざしが見えてきたことは事実かと思います。
それで、もう一つは、ユーロダラー資金でごまかしているのじゃないかというお話でございますが、そういうことはございません。私どもは、ユーロダラーの点につきましては、野方図にならないように十分監視しながらいろいろやっております。日本の国際収支の赤字をどういうふうにファイナンスするかという点につきましては、一部は為替銀行の金融勘定を通じてやります。一部は外貨準備が減ったことがファイナンスしたわけでございますが、それが乱に流れないように十分注意をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/180
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181・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 アメリカではドルの海外放出を非常に心配して、旅行の制限などをしておるようですが、日本はまだそういうことをやっておりませんが、それで安心をして、日本の円の不安というものはだいじょうぶですか。その点、いま国民が一般にはそういう考えを持っていないのですけれども、アメリカですらもうこういうことをやっておるのに、日本は制限をしないでもどうにかこうにかやっていける段階であるかどうか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/181
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182・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 国際収支の悪いときに為替管理を強化して国際収支をよくしようというのは、私は、それも必要な場合があるかと思いますが、やはりその前に、基本的にやるべきことは、財政金融政策の健全化だと思います。それを通じて国際収支の均衡を回復していく。今度の国際収支の危機もそういう施策の実施によって十分均衡回復ができると思います。もちろん観光旅行につきまして現在一回五百ドルの持ち出し制限がございます。それをゆるめるという考えはございませんけれども、いまここでそれを規制を強化するという考えは全然持ってございません。そういうことによって外貨の節約をはかるというよりは、やはり何といっても、国民の自覚というか、国民もこういう国のむずかしいときには不要不急の旅行を遠慮するとかいうようなことをやっていただくということはぜひ必要だ。その意味において、PRと申しますか、そういうことはぜひ必要かと存じますけれども、ここで為替管理を強化して、あるいはそれに類するような措置をやって、特に海外旅行を制限するということはいかがかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/182
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183・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それからもう一つ、最近、非常にいままで行なわれなかったような、中共貿易にフランスフランを使うというような問題が起きておるのですが、これは実際にどのようになっておるのか、そういうことは簡単にできるものであるかどうか、この点もひとつあわせて柏木さんに伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/183
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184・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 ただいま中共貿易の決済につきまして、どういうふうな方式をとるべきか、中共で折衝しているようであります。私どもも新聞でしかその情報を得ておりませんけれども、今度フランスフランに切りかえたいというような話もあるようであります。まあフランスフランというのは御案内のように、フラン圏におきましては、国際決済通貨というか、国際決済手段として一般に使われておりますが、その他の地域におきましてあまり使われていない。フランスとの間の貿易には使われておりますけれども、三国間の貿易にフランスフランが使われているということはあまり聞いておりません。したがいまして、フランスフランがはたして三国間決済にうまく使えるかどうかという点につきましては、私どもももっとよく実情を聞いてみないと判断がむずかしいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/184
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185・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 実は十年ぐらい前には、東南アジアでは、ポンドが非常にドルよりも通用しておりましたが、時代が変わってくればやはりそういう変化も出てくるのじゃないか。それは具体的にどうだということは言えませんけれども、いまドルの不安——ポンドも不安ですけれども、そういう東南アジアの貿易でポンドの価値というものはどのように変わってきたのか、その点をひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/185
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186・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 ポンドの今後の国際通貨としてのあり方の問題かと存じますけれども、やはりこの不安を繰り返していくうちに、決済手段としてのポンドというものがだんだんその機能が低下してくることは考えられると思います。東南アジア地域におきましても、ポンドにかわってドルをより多く使うというような傾向もこれからだんだんふえてまいるかと思います。これは日本につきましても、十年前はたしか日本の貿易の半分近くまでポンド決済かと存じますけれども、ポンド決済の割合は漸次減ってきております。どこまで減るのかということになりますと、これはなかなか判断しにくいかと存じますけれども、以前に比してポンドの地位というか、ポンドの占める割合というものは漸次減らざるを得ないのじゃないか、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/186
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187・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 銀行局長に今度はお伺いします。
この金融二法案が中小零細企業に対する、ただいまも皆さんからお答えがありましたが、長期や低利の融資を確保する何らの保証がない。反対に、中小零細企業の整理淘汰に通ずるということについていろいろ議論があるのですが、あなた方はそういう点をお考えになっておやりになったのかどうか。これは組合あたりからもそういう意見があるわけです。そういう点はどうお考えになっておられますか、その点を澄田局長から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/187
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188・澄田智
○澄田政府委員 今回の二法案の基本的な考え方は、御承知のように、金融制度調査会の答申に基づくものでございますが、それは中小企業金融の専門金融機関というものをはっきり中小企業金融に定着させる、そうしてその業務対象というものを、中小企業のそれぞれの階層に応じまして業務対象を定めまして、そして上のほうはこれを実態に合わせて引き上げますが、下のほうの部分については全専門機関がその業務対象とするというようなことで、中小企業の実態に応じてそれぞれの階層に金融が行き渡るようにするというような目的を持って、そうしてお互いに適正な競争を通じ、経営の合理化、効率化をはかるということによって資金コストを下げる、そして中小企業の要望するような低利な資金を得ることができるようにするというのが基本的なねらいで、相互銀行法以下の改正をいたしておるわけでございます。
なお、別に異種の金融機関の合併。転換の道を開くもう一つの法律がございますが、これは実情に合わせ、そうしてさらに合併を通じて金融機関の規模を適正にする必要があるような場合に自主的にそういう合併を行なう、あるいはその金融機関の実態に最も応じた種類の金融機関に転換する道を開くということでありまして、このことによって中小金融の円滑なる資金の供給ということができるようにするというねらいを持っている、そういうための金融の効率化である、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/188
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189・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 そういう意図を持っておれば、私はまだほかに方法があるんじゃないかと思う。中小企業の金融の健全な発展を祈るんだ、指向するんだと政府はいわれますが、しかし、もしそういう気持ちがあれば、日本銀行の中小零細企業向けの資金をふやすなりあるいは信用保証料の引き下げなんかをやって、そうして施策をするということがまず第一じゃないか。少なくともただ合併を、相銀や信用金庫の問題をそういうふうに一方的にやるということは、何か中小企業という名前のもとに零細な企業家を犠牲にするんじゃないか、こういう意見も出ておるわけです。そういう点については澄田さんはどのように返答されるのか。もっとほかの方法があるんじゃないかといわれておりますが、このことによって、かえってせっかく意図した政府の考え方がむしろ逆の結果を生むんじゃないか、こういう非難もあり意見もわれわれは伺うのですが、その点はどういうふうに解釈しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/189
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190・澄田智
○澄田政府委員 今回の法律によって、先ほど申し上げましたような意味の中小金融を円滑化するための金融の効率化ということをねらうわけでございますが、ことにその実施にあたりましては、いま御指摘のように、中小金融というものからあるいは他の金融に移っていくというようなことが行なわれることのないように、その点については法律の第六条に大蔵大臣の認可に際しての基準を掲げておりますが、法律に従い、そうして具体的ケースをよく検討をしてそういう弊が万一にもないように運用してまいりたい、かように考えるわけでございます。
それから、いま御指摘のそのほかの手段があるではないか、こういう点でございます。あるいは日銀からの資金の供給という点についてどうかということでございますが、この点につきましては、日本銀行の貸し出しにつきましては、相互銀行のうちの相当重要なものに対しては資金供給をいたしておりますし、それから信用金庫については、信用金庫連合会を通じての貸し出しという道も日銀はとっております。なお、オペレーションについてはさらに広く相互銀行を対象としている、こういうようなことで、日銀もその点には十分配意をいたしておりますが、なおこれは日銀当局としても、一そうそういう中小企業専門機関に対する日銀の資金供給というところについては今後とも努力をすることと存じます。
また、いまもう一つおあげになりました信用保証の保証料率の引き下げというような点についてでございますが、これは今回の中小金融の答申におきまして、信用保証制度、信用補完制度についての重要性というものは十分に認識しているところでありますが、この制度については、制度の運用をさらに強化充実するということでやっていく、制度問題よりもむしろ運用の問題である、こういう見解でございます。今後一そうこの制度の実があるように、運用には当然一そう努力いたしていかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/190
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191・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 この法律が成立すれば、これは大銀行の要求にこたえての案であって、その指導下にある中小金融機関の整理淘汰あるいは吸収合併によって、かえって中小金融機関の本来の使命を失うのではないかという心配があるわけですが、この点はどういうようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/191
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192・澄田智
○澄田政府委員 この案がむしろ大銀行の利益に供せられるのではないかというような点については、この考え方からはどこからもそういうことは出てこないと思うのでございますが、なお運用については先ほども申しましたが、合併あるいは転換というのはいずれも大蔵大臣の認可ということになっております。その認可の条件にあたっては、金融の効率化ということと同時に、中小企業金融の円滑化という点については十分留意するようにという、そういう基準を掲げております。したがって、この点については万一にもいまお話しのようなことのないように、運用の面で十分注意をしていくべきであると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/192
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193・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それからもう一つ、中小企業金融機関の健全な発達を期するというならば、中小金融をやっておるいまの相銀とか信用金庫なんかに、政府保証債やいま盛んに国債を売らしておるようなことを緩和したらどうか、それから大銀行の吸収合併をやめさせたらどうかというような意見もある。
と同時に、労働組合なんかが一番問題にしておるのは、これは労働強化にならぬか。吸収合併、いろんなことによって——これは第二の法律の関係ですが、どうも合理化で自分たちが非常に不安になるのではないかという意見を言う人がおるのですが、その点は澄田さんどういうふうにお考えになっておりますか。そういう不安はないものですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/193
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194・澄田智
○澄田政府委員 合併・転換によって当然に経営の規模を適正な規模にして、そして健全な運営をはかる、こういうことでありますので、むしろそういうふうなことが行なわれませんと、とかく現在の状態におきましては、金融機関の人手不足というようなことでむしろ労働強化が行なわれる、こういうようなおそれもあるわけでございますが、合併・転換の道を開くことによって、適正な規模による適正な経営というものが実現する。そういうことによって、たとえば機械化等についても、その機械化が行ない得るような適正な規模というものがあるわけでございますが、そういうことが実施されるということで人手不足をむしろ緩和するという方向が考えられるわけでございます。そういう意味において、労働の点からいっても、人手不足による労働強化というようなものをむしろこれによって解消する、緩和する、そういうことが期せられるのではないか、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/194
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195・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それは私たちは理解ができる点があるのです。ところが、労働組合はなかなか不安感を持っておるので、その点は十分に労働組合の人たちに一これは従業員組合というか労働組合というか、そういう点の心配のないような処置をとっていただきたいというように要望しておきます。
それから、今度相互銀行のいわゆる貸し出し基準が上がりましたね、今度二億ですか。それから範囲がいままではたとえば東海なら東海だと愛知、三重とかそういうような区域がありました。今度はそういう区域が撤廃されることになる。そういうことになると、競争相手が非常に多くなって各支店を設けてやろうというような考えになるのじゃないかと思いますが、そういう点はどういうふうにお考えになっておられますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/195
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196・澄田智
○澄田政府委員 今回相互銀行については融資対象につきまして資本金二億円以下、または従業員三百人以下、こういうようなことにいたしました。それから一件の融資の場合もその限度を二億円という限度にいたしました。範囲が拡張というようなことをおっしゃるのはそういうことであろうと思います。その点については中小企業というものもその実態に応じて、中小企業の資本金も増加をしている面もございますし、そういう実態に合うように相互銀行というものの性格から見て二億円程度のところが適当ではないか、かように考え、さらに信用金庫は一億というようなことで、それぞれの金融機関の種類に応じて範囲をきめる、こういうことでございます。
それから、第二点の営業区域の点でございますが、従来は相互銀行は、無尽会社当時から相互掛け金業務というものをむしろ中心にしてまいりました。相互掛け金という場合には、当然一定地域内の人を対象に掛け金ということをやる、そして給付も行なう、こういうことでありましたのが、非常にウエートが小さくなりまして、現在そういう意味の地域性というものを特に制度として規定しなくともいいのではないかということで、これは従前どおり、もちろん店舗を設ける場合の店舗の認可ということもございますので、それぞれの業態に応じまして、地域との関連を考えて行政をしていく、そういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/196
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197・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 もう少し具体的な問題を二、三点お伺いいたします。
本法の第三条によると、普通銀行、相互銀行、信用金庫及び信用協同組合が対等で合併するようになっていますね。この点は間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/197
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198・澄田智
○澄田政府委員 合併につきましては、新設合併の場合あるいは吸収合併の場合、両方あるわけでございます。対等ということでございますが、あるいは片っ方が一方を吸収するという場合もその法律の規定の中に入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/198
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199・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 この法律が施行されると同時に、業者の転換・合併及び新設合併等の申請を直ちに受理して審査する用意がすぐできておるのかどうか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/199
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200・澄田智
○澄田政府委員 この法律は、御承知のようにそういう制度の道を開くということでございまして、この法律が通りまして、これによって合併あるいは転換を希望する金融機関が出てまいる場合には、当然にこの法律によってこれを審査しあるいは認可をする、こういうことになるわけでございまして、法律が施行になりますればそういうものがもしすぐ出てまいるということがあれば、処理をするような準備を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/200
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201・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それから、いろいろな申請の受理された後に認可までに考慮されるおよその期間はどれくらいですか。課長さんでもいいですから、どうです、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/201
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202・澄田智
○澄田政府委員 いまの御質問の点はケース・バイ・ケースということになりまして、あらかじめどのくらいの期間ということをちょっと現在申し上げることができないわけでございますが、もちろん事柄の性質であまり長く審査のために時間をかけるというようなことはぐあいが悪いという場合もあると思います。合併あるいは転換の手続等との関係もございますので、その辺は実情に応じて、もちろん審査は十分にやらなければなりませんが、いたずらに時間をかけるということのないように努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/202
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203・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 この前もあなたにちょっと伺っておきましたが、認可の申請を受理する場合に、少なくとも半年くらいの間で大体約束を果たされるのかどうか。これは相手のほうの銀行が合併等の場合いろいろ準備も要るし、それから相当これが出ればということを考えている人があると思うのですよ。そういう点であまり長くだらだら待たされるのじゃたいへんだということを非常に心配している人があるのですが、その点はどういうようにどうだという約束ができるかどうか。これは澄田局長さん当分転任はないと思いますが、ひとつその点ははっきり言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/203
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204・澄田智
○澄田政府委員 いま私が申し上げましたことのちょっと繰り返しのようなことでございますが、合併にしても転換にしても、いたずらに長く認可までの時間がかかるということであとに支障があるというような場合、あるいは金融機関としてはその間不安定な状態に置かれるというような問題もございます。この点は十分注意をして、もちろん慎重に審査をいたすことは当然でございますが、できる限りその期間というようなものもやはり適当な程度で、あまり長くかかることのないように努力をいたす考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/204
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205・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 最後に、実はきのう六法全書を見て、日本銀行法とかそれからその他の銀行法というものを見たのですが、非常に古い法律で、考えられたら驚くほどの骨とう品なんですが、そういう点のはしりですね、今度の改正は。そういう点でやはりある点まで具体的にきちっとしてやらないと、私個人としては、党も大体賛成すると思うのですが、いろいろ議論があるわけです、この法律について。しかし、社会党が賛成というのはよほどのことでなければ賛成はしないのです。この問題は、せっかく皆さん方の意思でおやりになった関係もあるし、銀行の合同、合併その他金融の不安のないような将来のために相当あなた方も勉強され研究されたと思うのです。そういう点についてきちっとした法律上のことが、これが手続が済めば十分に実際に実行できるように準備が整っておるのかどうか。どうせ法律だけ通ればあとは知らぬ顔の半兵衛ということのないようにしてもらいたいと思うのですが、その点は政務次官と局長と二人でひとつ答弁していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/205
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206・倉成正
○倉成政府委員 中小企業金融の問題は、御案内のように金融制度調査会で一年半にわたって研究してきた問題であります。また、この調査会にはそれぞれの機関の代表の方々も入っておられまして、かなり慎重に検討してきた問題でございます。また、今日の環境が中小企業金融機関については、——特にただいま佐藤委員の御指摘のように、銀行法はかたかなで書いてある非常に古い法律であります。したがって、現在の制度と実態が非常に離れてきた。これを交通整理をいたしまして、もう少し実態に合わせる、そうしてほんとうに中小企業の専門機関としての機能を発揮させる、こういう目的で今回の二法案というのを提出しておるわけでありますから、この法律の成立後はわれわれも意欲的に取り組みまして、中小企業金融に遺憾のないように各般の努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/206
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207・澄田智
○澄田政府委員 ただいま政務次官から申し上げましたとおり、この法律施行のときまでには、この法律の施行に伴って必要な政令、省令等もございますが、これはすべて準備をいたしまして、同時に公布をするということで、直ちに施行できるように、十分にそういう努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/207
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208・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 ほかの委員もたくさん質問をされると思いますので、大きな法律でありますから、いろいろ聞きたいことがありますけれども、実行をやるときには、あまりいろいろなあれをしないように、十分にひとつ検討してやっていただきたいということを要望しまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/208
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209・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 広沢賢一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/209
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210・広沢賢一
○広沢(賢)委員 夜おそくて時間もないので、ずいぶん質問するところがあるのですが、きょうは簡単に、ぜひ聞かなければならぬ問題を伺います。
この中小金融再編成で、合併・転換の道が開かれますが、その合併・転換によって非常に脅威を受けるものがある。それはあとで時間があったら質問したいのですが、やはり借りるほうの中小企業、ことに零細企業です。だんだんと資本金の増額その他合併・転換、それから相互銀行が都銀のほうへ上がっていくとか、そういう形で、だんだん地域金融機関、中小金融機関から離れていくという、そういう点が非常に危惧されるのです。
もう一つ重要な問題があります。それは、合併・転換に伴って、どの企業もそうですが、労働問題が生じてきます。その中で、特に中小金融再編成は、いろいろ道を開くために、相当ドラスティックにいけばいくという法案です。そのときに、いままでの相互銀行、信用金庫の労使関係のあり方、それから大蔵省の行政指導、この問題で非常に重大な疑義があるのです。その点について、まず御質問します。
これは田實さんがこの前言っておりましたが、三菱銀行の調査月報に出ています。先ほど資金コストの問題が出ましたが、人件費については市銀、地銀、相銀、信金、それからアメリカのバンク・オブ・アメリカの人件費の率、これは大体どのくらいかということ。これは手元にありますから、審議を早くするのだったら、こっちでやりますが、わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/210
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211・澄田智
○澄田政府委員 人件費率の御質問だと思いますが、最近の数字で申し上げますと都銀が一・〇六それから地銀が一・二二、相互銀行が一・七一、信用金庫は一・六八ということになっております。アメリカの数字は、いま手元にございますのはアメリカの連邦準備制度加盟銀行の平均の数字でございまして、これで見ますと一・二八という数字になっております。
〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/211
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212・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうしますと、大体資金コストは日本のほうが相当高いけれども、人件費率についてはバンク・オブ・アメリカよりか日本の都市銀行のほうが低い。それから地銀についてもほぼ同じくらい。資金コストの上がりぐあいと比較すると、大体人件費率はずっと同じくらいである、このように見られますがどうでしょう。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/212
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213・澄田智
○澄田政府委員 都市銀行の場合には、大体先ほど申し上げましたよらな数字でございますし、おっしゃるバンク・オブ・アメリカの場合とほとんど同じ水準でございます。人件費率につきましては、これはやはり資金量が増大をいたしてきておりますが、さらに経営の努力、こういうようなこともございまして、人件費率自体は若干ずつ下がっております。ことに三十年ごろからとりますと相当大幅に下がってきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/213
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214・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そのとおりだと思うのです。資金コストを低くするという問題を論ずる場合に、たとえば人件費のことばかり集中していろいろおやりになる、検査官が来て勧告したりする、それに集中するということ。それから国会の論議もそれに集中するということは、金融の効率化の大きな道を開くものではないと私は思います。たとえば具体的な問題に入ってきますが、この制度は相互銀行も信金も資本金を三年間で十倍に引き上げる。そうすると三年間で資本金を引き上げていくことが、出資率の増加率では、この基準に達しないと見られる金庫があったり何かする、その場合にはどうなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/214
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215・澄田智
○澄田政府委員 今回の法律で、最低資本金が十倍に引き上げられるというのはおっしゃるとおりでございます。これは最低資本金に達しないところがあれば、三年以内に増資その他によって最低の資本金、相互銀行で申し上げれば、六大都市等は三億、その他のところは二億ということでございますが、そこまで引き上げる、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/215
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216・広沢賢一
○広沢(賢)委員 資本金に達しなければならぬということで、信用金庫は夢中になるわけですね。相互銀行も夢中になる。自分が合併のイニシアをとろうということが出てくるかもわからない。そうすると激しい競争になる。そのときに、たとえば小規模な信用金庫、相互銀行も同じですが、いろいろ政府のお金を代理業務をやるのでございますね。その代理業務をやる場合についての認可のやり方はどういうやり方でやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/216
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217・澄田智
○澄田政府委員 政府金融機関の代理業務につきましては、それぞれの政府金融機関の本来の政策目的がございますが、その目的に従って代理店によって資金供給をする、そういう見地から代理業務を選んでおるわけであります。したがって、それぞれの政策目的に従って、融資を受ける側の利便を考えまして代理業務をやらせる店を選ぶ、こういうことでありまして、もちろん地域的にも不便のないようなことで全国に——それから直接貸しと代理貸しというものの関係もございまして、これは金額等によって分けておるわけでありますが、その直接貸しと代理貸しとのお互いの間の関係等から、どの程度代理店を認めるか、こういうようなことで具体的に決定をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/217
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218・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうするとこれは、大蔵当局の銀行検査官が日銀の考査とかそういうものを材料にし、いろいろのものを勘案して判断する、その判断によってきまるわけですね。基準というのはないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/218
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219・澄田智
○澄田政府委員 これは、それぞれの政府金融機関で、一応この代理業務をやらせる店を選びまして、そして大蔵省の認可を求めてくるわけでございますが、その場合には、認可に際して、抽象的に申し上げればさっき私が申し上げましたようなことでございますが、具体的なケースについて、こういう場合に認めるというような一応の基準を持っておりまして、そういう基準に照らして逐次その申請に対して認可をしていく、そういうふうなやり方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/219
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220・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私は、端的にいって、いま聞きたいことは、当局の、それから検査官の心証のよしあしによってきまる。そうすると、検査官というものが各相互銀行、信用金庫に行くと、昔の検察使もしくは巡回する代官のように非常に大きな脅威をみんなに感じさせる。そうすると、その銀行検査官のいろいろの査察の報告とか、それから銀行検査官がいろいろ処分をしたりなんかする、これが非常に大きな影響力を相銀、信金の会社当局者に与えるということはありますね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/220
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221・澄田智
○澄田政府委員 先ほど申しましたようなことで、代理業務をやらせるかどうかということの判断に際しましては、一応基準を持って、そして判断をしておりますが、その中に、検査の結果ということも一つの要素にはなっておりますが、これは、むしろ検査の結果、非常に何か欠陥がある、金融機関としても健全性という点に問題があるというような場合に、検査の結果どうしてもぐあいが悪いというようなところは除外をする、こういういわば消極的な基準でございまして、先ほど申しましたように、政府金融機関の政策目的によって、ここに代理店を設けるほうがいいかどうかというような判断をいたしておりまして、検査して、どうしてもぐあいが悪いというような場合にこれを除外するというようなことで、いまお話しのように、検査によってすべてきまるという——そうおっしゃったわけではないと思いますが、そういう意味では決してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/221
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222・広沢賢一
○広沢(賢)委員 労働省の労政局長来ておられますね。
最近の相互銀行、それから信用金庫で起こっている労働争議、いろいろの地労委、中労委に提訴されている傾向についてお調べになりましたか。知っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/222
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223・松永正男
○松永政府委員 私のところで、ただいま御指摘になりました銀行における労使間紛争の全貌については的確には把握しておりませんが、たとえば、いま御指摘のございました不当労働行為関係の、地労委、中労委等における審査の状況につきまして私どものほうで把握いたしておりますのは、金融機関の関係におきまして、昭和三十八年以降現在までに合計で五十三件の不当労働行為の審査を地労委においてやっております。そのうち、相互銀行関係が二十一件、信用金庫が十二件、その他が二十件というふうに承知をいたしております。
それから地労委の決定に対しまして不服がありまして、中労委に再審請求をしておるという件が、相互銀行関係で十件、その他の銀行で三件、計十三件というのが最近の状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/223
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224・広沢賢一
○広沢(賢)委員 その不服として提訴しているのは、銀行側ですか、組合側ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/224
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225・松永正男
○松永政府委員 両方ございますが、使用者側から再審の申し立てをいたしておりますのが七件でございます。したがいまして、組合側からの申し立てが残り六件ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/225
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226・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私の手元にきている資料では、大体不当労働行為で負けているのは全部銀行側なんですね。あとまだ判決がおりていないというのが相当あります。
実例を申し上げますと、これはこまかく実例を言わなくてもいいですけれども、弘前、これもやはり地労委で組合側が勝って中労委へ提訴している不当労働行為ですね。それからもう一件弘前で起きております。その次に岐阜、これもやはり岐阜地労委でもって組合側が勝利しております。それから滋賀、これも中労委へ銀行のほうが再審請求しております。それから旭、これは差別昇給でもって銀行側が負けております。あとずっと見ますと、一番ひどいのは静岡の大東ですね。ここでは不当労働行為の数々を提訴して、勝利して、中労委で審理中ですが、給料を払えという命令が出ておるにもかかわらず、二度首を切っております。ちょっと異常だと思うのです。そんなに相互銀行、信用金庫は数が多くないのです。多くないにもかかわらず、いま言われた数は急激にふえておるのです。銀行局長、これは困ったことだと思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/226
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227・澄田智
○澄田政府委員 一般的に申し上げますと、申すまでもなく、金融機関というものは信用を第一とする機関でございますし、広く大衆の預金を預かっておりますものでございますので、その労使関係は、公正で、そして円滑で、外部からの信頼をいささかも害することのないようなものでなければならない。したがって、いろいろな事情はあるにせよ、そういうような形で労使間の紛争があるというようなことはできるだけ避けるべきことだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/227
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228・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そのとおりだと思うのです。
それで、労政局長にお聞きしますが、もし大蔵省の検査官が、私が次に読み上げるようなことを銀行側に勧告したとすればどうなるか、よくお聞きになっていただきたいと思うのです。これは名前を申し上げると気の毒なあれですが、事実です。
四十一年十一月に大蔵省の検査講評というのが出まして、それは「銀行の損益関係が十分に改善されない隘路」として次の点を指摘しております。「イ、人件費率が高い。ロ、給与体系が適正でない。ハ、人員が多過ぎる。ニ、給与水準が高い。ホ、平均勤続年数が長過ぎる。ヘ、定年年齢が長過ぎる。ト、女子の構成比率が低い。チ、年齢構成が高い。」ということを指摘しているのですね。これが一つ。こういう事項はすべて労働条件に関することで、労働条件が労使の話し合いでもって自主的に解決していくという基本を無視している。同時に、この検査官は非常にへっぽこでして、銀行の損益勘定や利子が安くなること、これだけに集中してやっているというのは、とてもじゃないが、これは経済学のイロハも知らない。利子率の問題とかその他の問題は別にあると思うのです。先ほど私が言ったとおり、人件費率は大体アメリカと同じくらいですね。そうすると、その次に今度は、このような大蔵省の指導が非常に経営者に響くのですね。こう言われるとショックになって、さっき言ったように代理業務の認可とかその他いろいろの問題についての大蔵省の強い権限に対して、これはやらないとたいへんなことになるということで、昭和三十七年ごろに経理基準がいろいろ出てからなおさら拍車をかけてめちゃくちゃにやっているという点があるのです。それで組合の人にはどうも大蔵省がうるさくてというようなことばかり言うのですね。それが問題になっておる。
それともう一つは、大蔵省の責任じゃないけれども、日銀考査でもおそろしいことがある。たとえば日銀から、残念ながら御行の労使関係は全相銀連加盟後に改定された労働協約で、専従役員や組合オルグの際の賃金がカットされていない。それから、あっせん、調停を経ることなく七十二時間の事前通告でスト実施ができるようなことは不届きである。それから、経営や人事など、重要問題で経営協議会に相談しなければならぬことになっているのはいけない。(「おかしい」と呼ぶ者あり)これは労働省がいろいろなことをするのは……。おかしいといまそこで不規則発言があったけれども、これは日銀がやっているのです。それから、全相銀連との共同署名の要求書やその他が出されているとこれは認めない。脱退しろということですね。それから、き然たる態度でもって勇気を持ってやれとか、おとなしそうな顔をしている日銀が扇動しているのですな。
今度は具体的に名前を出しますが、高千穂相銀に大蔵省が労働協約を改悪せよと指示した例がある。つまり、これは団交の席上で銀行側が発言したのですが、大蔵省検査で協約には平和条項がないことを指摘された——労政局長はおわかりですね、この平和条項のあれというのは。「交換条件というわけではないが、これを(銀行提案の労使協議制度、団体交渉制限条項、争議行為制限条項)を結んでくれたら、組合の申入どおり、現行労働協約を締結しても良い。当行は決算承認銀行であり、大蔵省が平和条項がないことを指摘したことを考えると、承認銀行を解除して」云々と書いてあるのです。時間がないから読みませんが、こういう材料は幾らでもあるのです。現物もあるのです。ないと言われると困るから、ここに現物を持ってきました。この現物を読み上げます。これは一つは組合問題です。御存じのように、当組合はここ一、二年非常に強くなっていろいろ問題を起こしました。これは大蔵省ですよ。特徴的なものを申し上げますと、完全ユニオンである。それから給与体系は年齢給一本で、ほかに何らメリットがない。それから組合活動というのは、組合役員は時間内にある程度自由に行動ができるようになっている、これは不届きだというのですね。そういうことを、ずっと書いているのです。そうするとこれは日経連から出張してきたような感じがします。こういうことについて労政局長はどうお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/228
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229・松永正男
○松永政府委員 私、ただいま伺いましたのは、検査報告等の全文ではございませんで、その中の部分を御指摘になったのだろうと思うのであります。大蔵省の検査というものは私詳しくはわかりませんが、やはり相互銀行の経理の安定を通じて預金者保護といいますか、そういうところを日ざしまして、たとえば経理内容についてコスト面からどういうふうなものであるというような検討をされるのだと思うのでありますが、労使関係につきましては、それぞれの銀行使用者とそこの組合との間におきまして労働条件その他が自主的にきめられるというのが、現在労働組合法の想定をいたしております労使関係のあり方であると思うのであります。したがいまして、ただいま御指摘になりましたような経理面から、たとえば人件費率がある特定の銀行において同種のほかの銀行よりは高い、そのことがコストのアップになっておる場合にそれを指摘するということは、経理という面からいいましてあり得ることだと思うのでありますが、具体的個々の労使関係につきまして、その検査の結果が直ちに労使関係を拘束するというようなことは、たてまえといたしましてはあってはならないことではないかというふうに考えます。一般論といたしまして、たとえば普通の会社におきましても、親会社、子会社という関係、あるいは銀行と債務者である一般の会社という関係で具体的な労使紛争、特に賃金アップ等をめぐりまして銀行の意向が非常に重きをなすということは事実上あり得ることでありますが、そういうものは経営者側の事情でありまして、そういうものを踏まえて経営者が労働組合との話し合いによって自主的にきめるということが労使関係のたてまえであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/229
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230・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうすると、もう一回念を押しますが、やはり不当労働行為にわたるようなことがここに書いてありますね。明らかにそれを教唆扇動しているのです。大蔵省としては、そういう不当労働行為にわたることをやっては望ましくない、労働者の人権を守るために、労働組合法、基本法を守るためには好ましくない、こういう御意見ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/230
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231・松永正男
○松永政府委員 労働組合法の第七条に四項目を掲げまして、使用者はこういう行為をしてはならないというふうに法律で禁止をいたしておりますので、その内容に該当するような行為は検査の際にもやるべきではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/231
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232・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それで今度は銀行局長にお聞きしますが、私は余裕を残しておきますけれども、もしこういうようなことが事実であったら、今後全部やめさせなければならぬと思うのです。やめさせなければなりませんね。こういうことがずうっと起きてきている。これは中小企業再編成が議論になった同時に非常にやかましくなってきた。そうすると、これはいわゆる独占の合理化のために大蔵省が一方的にこういうものをどんどんやってきているのだという気持ちに労働者はなるのです。
そういう点もやはりよくお考えになって、今度の法案でいろいろ苦心しているところはわかるのです。まだ不十分な点がありますから、あとからちょっと申し上げますが、そういうことが全部消されてしまうから、ひとつ今回限り、もうこういうようなことはやらないように。ことにイギリスなんかは銀行の合併集中で、一つの大きな理由が電子計算機を使う——電子計算機を使うということになれば、これはもう日本の銀行でも、相銀でもどこでもみんな用意し始めている。そうするとなおさら、電子計算機を使うところは、そういう問題がずっと出てくればくるほど、前近代的な不当労働行為と非常に近代的な問題が二つ重なって、銀行関係の労使関係は非常に険悪になるのです。ですから今回限りで、そういうようなことはやはりやらない、やり方を変えるということを言っていただきたいと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/232
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233・澄田智
○澄田政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもも金融機関の労使関係というのが公正なものでなければならないということは、常にそう思っております。そうして、いま労政局長から言われたとおり、金融検査においてその経営の内容として見て、金融機関の健全性という見地から、人件費率等がよその同種のところに比べて著しく高いというような場合にそれを指摘するということは、金融検査として当然あることでございますが、これはほかに比べて著しく高いというようなときにそれを指摘するということでありまして、検査において労働組合法の違反になるような事項を申すというようなことはあってはならない。それから労働条件というものは、労使双方の自主的な交渉によってきめられる、これも当然なことと考えております。したがいまして、いま言われましたように、今後の法律の実施というような段階、金融の効率化ということを目ざしてやっていく段階におきまして、いま御指摘のようなことが万が一にもあってはいけないことでございますので、そういう点は十分留意をいたしてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/233
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234・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それじゃ銀行局長は、今後そういうことはさせない。人件費率ということの場合には、これはよその地域と比べて科学的に出るのですから、それからほかの相銀、信金に比べて出るし、それに人件費をばりばりやるような経営者はだれもいないのですよ。何か理由がある。高ければ高いで理由があれば、それについてこういうふうにしなさいというようなことのほうが科学的でりっぱな検査の態度だと思いますから、いまの御答弁は私しっかりとお約束だと思います。
で、その次、今度は借り手の場合から見て一つ、簡単にやります。いままでの都市銀行というのは、都留教授ではないけれども、貯蓄でもってどんどん金を一ぱい集めてきて——日本人は社会保障がないから貯蓄率はものすごく高い。それでじゃんじゃん集めた金を、今度は大銀行から大企業にどんどん貸し出すという役目をしていたのです。これが高度成長ですが、この都市銀行というのは最近少しずつ預金高の比率が減ってきています。それで田實さんは大騒ぎをしているのですね。田實さんの論文を読むと、いろいろとかってなことを言っておるのです。私はこの前あまり気がつかなかったけれども、その後三菱銀行調査月報の四十三年一月号を読みました。そうしたら、かってなことを言っているのです。中小企業再編成に際して田實さんはこういうふうに言っているのですよ。
最後の結論は、コストの最も安い都市銀行に資金が集まらず、逆に高いコストの金融機関にもっぱら資金が流れるのは不届きだということでじたんだを踏んで、その上で——最後の結論だけ申します。最後の結論は「専門金融機関は、やはりその本来の姿ともいうべき貯蓄媒介機能に徹し、」——あまり口出すなということですね。「これに純化すること、すなわち専門金融機関が現にもっている信用創造機能を普通銀行に」全部集めろというようなことを言っているし、それから第二番目に、普通銀行のワクを拡げてかつ業務分野規制をゆるめること、「現在専門金融機関の範疇に入っているものも、その自由な選択によって普通銀行化する道を開くと同時に、普通銀行には少なくとも、中期の資金吸収手段を認める等の弾力的措置をとる」これが同質化だと言うのです。
そうすると、銀行局長が一生懸命になって中小企業金融機関を定着させなければならぬ、しかも安い金利で中小金融機関から中小企業に貸すのだと言っていることとこれとはずいぶん似ている。効率化といい同質化といい似ているけれども、これといま澄田さんが考えているこの法案で持っていこうという線とは全く相反する、違うものだということを、ひとつ安心さすために説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/234
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235・澄田智
○澄田政府委員 御承知のように、中小企業金融のあり方についての答申のあと、引き続いてその他の一般民間金融機関のあり方について、現在特別委員会を設けて金融制度調査会において鋭意検討を始めておるところでございます。
〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕
いま述べられました考え方、これは都市銀行からそういうような意見がございますし、また、田實全銀協会長が都市銀行の立場からそういうようなことを述べられたこともあり、また、いま引用されたような論文もあるわけでございますが、中小金融の円滑化、そのための金融の効率化、こういうような考え方で今回の法律を御審議願っているわけでございますが、金融の効率化をはかる場合にはやはり適正な競争原理を導入して、金融機関がそれぞれ競争することによって資金コストを下げていく、こういう面が最も重要な点でございます。そこで、競争させるということと、それから専門的な機関を定着させてその専門の分野の金融を円滑にやらせる、この二つのかね合いというような問題が、金融制度の一番むずかしいと申しますか基本になる点であろうかと思います。
したがいまして、専門制のみをあまりに強く貫きますと、どうしてもそれは専門機関はお互いに競争が不十分になって、専門機関は専門機関の間でもって、ことばはちょっとあれですが、温存されるということになる。そこでやはり競争の原理を導入する。導入しますが、しかし、それぞれの金融の目的に応じて、専門制というものも生かしつつ、しかもお互いに競争ができるようにしていく、こういうことをねらっているわけです。今回のあれにつきましても、相互銀行以下業務の範囲を広げたりいたしておりますが、これもやはりその範囲で広い競争をやらせる、こういうことになります。そしてまた他方、異種金融機関の合併・転換の道も開ける、そういうことになります。そういう競争の道を開きつつ、しかし中小金融の面では十分これを定着させて中小金融の円滑化をはかっていく、こういうねらいであろうと思います。いわゆるデパート論とかいわれております、いま引用されました点については、今後普通銀行のあり方という問題としまして、金融制度調査会で検討をしていく問題でございますので、そのことについていま申し上げることはできませんが、考え方としては私いま申し上げたようなことであろうかと思っております。したがいまして単なるデパートということであってはならないのではないか、専門制とその適正な競争というものと両方が大切なのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/235
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236・広沢賢一
○広沢(賢)委員 中小企業専門機関の再編成の問題だけを取り上げて先へ出して、あとの問題についてはあと回しにするというやり方は、私は、これはやむを得ないかわからぬけれども、原則的によくはない。それだから、全般的な問題の一つとしてこれがとらえられないのです。
それで、借りる側から見ますと、大きな会社は安い利子でもって、日銀のオーバーローンから大きな銀行、普通銀行を通じて借りられる。これがだめになると、いまかけ込み増資をやっていますね。増資とかそれから社債も可能です。そういう形で資金を集めてくるような多様性を持っている。ところが、中小企業というのは御存じのとおりだと思うのですね。もう道が閉ざされてしまっているのです。政府三機関が神さまみたいなものなんですね。それは資金量は少ない。あと今度はあるとすれば、やはりこの中小企業専門機関なんです。この専門機関で定着させるという澄田さんの意見ですね。それに力点を置くという気持ちはわかるのです。それは非常にいいことだと思うんですよ。ただし、この転換・合併をすると、大きな相互銀行が、先ほど申しましたように普通銀行になっていく。それから資本金額は上がっていく。それから大口に貸し出しがふえていくというと、中小企業の底辺、特に零細企業は、国民金融公庫とか政府機関以外はほんとうに閉ざされていくというおそれがあると思いますが、どうですか。その点、みんなさっきからもずっと質問がありましたが、その心配はあり得ないのか。それについてお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/236
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237・澄田智
○澄田政府委員 今回の法律で異種金融機関の合併・転換を認める、こういうことで、いまの御質問のような心配ということでございますが、この点につきましては今度の法律の第六条に認可の基準というものを明確にいたしておりまして、「中小企業金融に支障を生じないこと。」ということを書いてございますが、合併・転換によってそれが上位にシフトするというようなことにならないように、認可にあたってそういうケースを十分よく審査をするということが一つでございます。
〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕
それから合併・転換ということが行なわれました場合においても、これは御案内のように現在の中小企業向け貸し出しというものの四九・九%、ほぼ五〇%は、いわゆる全国銀行といわれます普通銀行あるいは長期信用銀行等含めましたいわゆる銀行によって供給されておる。それから中小企業専門機関、今回御審議の相互銀行以下、これが四一%の資金を供給している。政府金融機関は九%、こういうことになるわけでありまして、たとえ転換をするような場合であっても、それぞれ特色を生かして、転換した後の金融機関として、やはり中小金融に重点を置いてやっていく、こういうような運営というものも当然考えられることでありますし、また、認可に際してそういうような指導をし、あるいは場合によってどうしても必要なら条件をつける。法律に、認可に際して条件をつけるという規定もございます。
そういうこともできるわけでありまして、要は、合併・転換等によってその金融機関の業態に応じまして適正な規模で、経営もしっかりした、そういう金融機関として中小金融を十分に円滑にやっていただきたい、こういうことがわれわれのねらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/237
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238・広沢賢一
○広沢(賢)委員 大体資金量は、大企業と中小企業とどこで分けるかで問題がまたあるのですね。だけれども、大体半分半分、だんだん中小企業が多くなる、それが望ましい、澄田さんは論文にそういうふうに書いていますね。今度は特恵関税があるでしょう。資本自由化がある。人手不足がある。板ばさみですよ。構造的近代化をしなければ、中小企業はやっていけないし、物価対策の点でこの間御質問したとおりです。そういう点を考えますと、今後力点をやはり中小企業に相当置かなければならぬ。
それで、まだ一ぱい疑問点があるのですが、これはあとの同僚委員に譲りまして、最後に、やはりさっき問題になった、高利貸しではないけれども、高い金利で金融業者が金を貸したりなんかする、これをなくすのにはどうするかということをいろいろ御相談申し上げましたね。そうすると、やはり政府系三機関、この資金量、それから貸し出しのいい条件、長期、低利、これをうんと出さなければならぬ。それは取り締まるのは一つの方法だけれども、幾ら取り締まっても、やはりそれが必要なのではないかということなんですね。それで、この前大蔵大臣は、澄田さんも御承知のとおり、中小企業金融機関の貸し出しの条件をもっとこれ以上よくして活発にやらせるためには、政府系三機関の資本金を増額しなければならぬと言って、それで三億円しか増額しなかったということですね。この問題について、ことに私は国民金融公庫総裁にお聞きしたいのですが、やはりこの問題は片づかないと思うのです。やはり資本金増額ということですね。一方は開銀が三千億円くらいで、一方が二百億、三百億くらいだから……。それで大蔵政務次官がいる前で、きちっと、いまの中小金融ことに国民金融公庫の資本金増額等について、やはりこれは切実な要求であるということ——その資料は私持っていますが、そのことについてお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/238
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239・河野通一
○河野説明員 広沢さんのいまのお話は、たびたびこの委員会でもお話し申し上げておりますように、私どもの機関として、企業体として円滑な運営をやってまいりますためには、ぜひとも政府の出資を増額していただきたい。これはかねてこの委員会でも、私は広沢さんの御質問にお答え申しているとおりであります。この点は、ますますこれからそういう必要が強くなってくると思います。ことに、私ども政府からの借り入れをしておる資金と出資金との割合が、だんだん借り入れの金のウエートが多くなるに従って、ますます出資の増額が必要となってくる度合いが多くなります。私どもは現在の金利でもなお非常にむずかしいと思うのです。今後、いまお話のようなことで金利をさらに下げていくというような問題が起こりますならば、当然これは出資の増額によって補てんをしていただくことが何よりも一番適切な方法であろうということで、今後とも政府当局に対しては出資の増額を極力強くお願いをいたしていくつもりでおりますが、何ぶん政府及び国会の問題になりますので、政府のお考え方にもよりましょうと思います。私どもはとにかく政府のお考えはいろいろありましょうけれども、今後とも強くお願いをいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/239
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240・広沢賢一
○広沢(賢)委員 以上のとおりだと思いますが、それではもう一つ、総裁にお聞きしたい。
中小零細企業者がお金を借りにきますね。それで信用力の小さい人は貸し倒れになる心配があるのじゃないか。ところが、私が聞いているところでは、なかなかもって零細企業者とか中小企業の人たちはりちぎであって、返す率が非常に多いですね。大谷重工のようなことをやらないですよ。それを日銀がどんどんめんどう見たりするようなことをしないのです。だから、その点についてどういう状況なのか、お話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/240
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241・河野通一
○河野説明員 小零細企業に対する貸し出しの回収率といいますか、債権保全の状況につきましては、現在までのところでは、いまお話しのようにわりあいよくまいっております。ただ去年四月以降、御案内のように、私どもの取引先だけの倒産ということを考えてみましても、四十二年度の上半期くらいは大体毎月三百件から三百二、三十件であったと思いますが、それが去年の第三・四半期に入りますと大体三百五、六十件、四百件に近い。ことしに入りましては、これも正確な数字はまだわかりませんけれども、毎月大体五百件をこえるというような状況になっております。このことが象徴的に示しておりますとおり、私どもの債権の管理に回る率が実は相当ふえてまいりまして、このことは私どもとして、今後公庫の運営上非常に注意してまいらなければならない点だと思っておりますが、これをどういうふうにしてまいりますか、まだ的確な方針を申し上げるわけにはまいりませんけれども、だんだん管理債権の率がふえつつある現状である。これは景気全体の問題との関連もあります。構造的な問題もありましょう。いろいろ原因の究明を要しますけれども、いまお話しのように、小零細企業の回収率は非常にいいんだ、心配は要らないんだと言い切ることは、なかなか今後はむずかしい状態である、こういう点だけを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/241
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242・広沢賢一
○広沢(賢)委員 中小企業の場合には、今度はやはり構造的な問題がぶつかったと思います。だから、構造的な問題を解決することが金融の重大な任務だと思います。これは澄田銀行局長もよく知っていると思うのですが、だから私は回収率がこういう状態になっていると思います。いままでは、順調にいけば回収率はいい。まじめなんですよ、国民大衆は。そうすると、やはり信用保証の問題だと思うのです。今度の中小企業金融の再編成の問題での大蔵省の説明資料を拝見しますと、片づいていない問題が二つある。一つは預金保険制度の問題もう一つもっと重要なのが信用保証の問題、これは未解決のままですね。再編成の法案だけが出てきちゃっているのです。やはり潤沢な安い質のいい資金を貸す、これはスローガンですが、それを中小企業にやるためには、中小企業専門機関が安心してどんどんと、これは見込みがある、貸そうという決意でもって審査を通すということになるには、うしろだてには信用保証がある。これは安い信用保証料でやるとすれば国でやらなければならぬと思うのです。地方自治体にまかせないで国がやる。そのためにどのぐらいめんどうを見ればいいか。貸し倒れも全部めんどうを見るのではなくて、ささえるてこだけですよ。それにはどのぐらいの率でどのぐらい国庫支出したらいいかということについて研究されているのだと思いますが、今後いろいろお聞きしたいと思います。そういう課題について取り組んでおられるか、それから今後取り組む断固たる決意があるかどうか、政務次官にもお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/242
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243・澄田智
○澄田政府委員 先に私が申し上げます。
御指摘のように、今回の答申でもって信用補完制度については言及いたしておりますが、あそこにはその特別な結論はございません。ただこの問題については、制度論というよりも、現行制度の運用面において一そうこれを充実活用するような方向でもって運用を強化しろ、こういうような趣旨で、制度論としてこういう制度改正をするというような点については取り上げていない、こういうことであるわけでございます。御趣旨はよくわかりましたので、今後普及率を向上させるというような見地から、さらに保証料率の引き下げ等、あるいは長期保証の推進等、いろいろ行政でできる面がございます。そういう点については今後推進してまいりたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/243
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244・倉成正
○倉成政府委員 ただいまの預金者保護の問題と信用補完の二つの問題いずれも重要な問題でありますので、ぜひこの問題については取り組んでまいりたいと思います。
なお、一言申し上げておきたいと思いますが、やはり豊富低利な資金の供給は金融の効率化を通じてということでありますから、あくまでこの効率化の問題を強力に推し進めることがやはり前提条件になると思います。この点ははっきりさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/244
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245・広沢賢一
○広沢(賢)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/245
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246・田村元
○田村委員長 次回は、明十七日水曜日、午前十時理事会、十時二十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後七時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X02419680416/246
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