1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月二十一日(火曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長代理理事 毛利 松平君
理事 金子 一平君 理事 山中 貞則君
理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君
理事 村山 喜一君
大村 襄治君 鯨岡 兵輔君
小山 省二君 四宮 久吉君
地崎宇三郎君 西岡 武夫君
古屋 亨君 坊 秀男君
村上信二郎君 村山 達雄君
山下 元利君 吉田 重延君
井手 以誠君 佐藤觀次郎君
野口 忠夫君 平林 剛君
広沢 賢一君 武藤 山治君
岡沢 完治君 広沢 直樹君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
出席政府委員
大蔵政務次官 倉成 正君
大蔵省主計局次
長 相沢 英之君
大蔵省主税局長 吉國 二郎君
大蔵省証券局長 広瀬 駿二君
大蔵省銀行局長 澄田 智君
大蔵省国際金融
局長 柏木 雄介君
委員外の出席者
外務省アジア局
外務参事官 金沢 正雄君
大蔵省銀行局保
険部長 新保 實生君
国税庁長官 泉 美之松君
通商産業大臣官
房審議官 荘 清君
通商産業省重工
業局次長 本田 早苗君
気象庁観測部地
震課長 木村 耕三君
参 考 人
(日本地震再保
険株式会社社
長) 西村 金蔵君
専 門 員 抜井 光三君
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五月十八日
医療法人に対する法人税減免に関する請願(内
田常雄君紹介)(第六〇三八号)
同(小川平二君紹介)(第六〇三九号)
同(小沢辰男君紹介)(第六〇四〇号)
同(大村襄治君紹介)(第六〇四一号)
同(岡本隆一君紹介)(第六〇四二号)
同(辻寛一君紹介)(第六〇四三号)
同(永江一夫君紹介)(第六〇四四号)
同外一件(増田甲子七君紹介)(第六〇四五号)
同(三池信君紹介)(第六〇四六号)
音楽、舞踊、演劇及び映画等の入場税撤廃に関
する請願(笹山茂太郎君紹介)(第六〇四七号)
同(徳安實藏君紹介)(第六〇四八号)
同(中山榮一君紹介)(第六〇四九号)
同(細田吉藏君紹介)(第六〇五〇号)
同(三ツ林弥太郎君紹介)(第六〇五一号)
同(村上信二郎君紹介)(第六〇五二号)
同(小川半次君紹介)(第六一五一号)
同(丹羽久章君紹介)(第六一五二号)
同(福田一君紹介)(第六一五三号)
中小企業に対する国民金融公庫の融資制度改善
に関する請願(稻村隆一君紹介)(第六〇五三号)
同(島本虎三君紹介)(第六〇五四号)
同(武部文君紹介)(第六〇五五号)
同(西風勲君紹介)(第六〇五六号)
同外一件(古川喜一君紹介)(第六〇五七号)
同月二十日
音楽、舞踊、演劇及び映画等の入場税撤廃に関
する請願(阿部喜元君紹介)(第六一八〇号)
同(鍛冶良作君紹介)(第六一八一号)
同(馬場元治君紹介)(第六一八二号)
同(加藤勘十君紹介)(第六三一四号)
同(勝澤芳雄君紹介)(第六一三五号)
同(木原実君紹介)(第六三一六号)
同(北澤直吉君紹介)(第六三一七号)
同(佐野進君紹介)(第六三一八号)
同(田中伊三次君紹介)(第六三一九号)
同(長谷川正三君紹介)(第六三二〇号)
同(広沢賢一君紹介)(第六三二一号)
同(廣瀬正雄君紹介)(第六三二二号)
中小企業に対する国民金融公庫の融資制度改善
に関する請願(武部文君紹介)(第六一八三号)
同(帆足計君紹介)(第六一八四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
めの日本国とデンマーク王国との間の条約の実
施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特
例等に関する法律案(内閣提出第七一号)(参議
院送付)
国の会計に関する件
税制に関する件
金融に関する件
証券取引に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/0
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001・毛利松平
○毛利委員長代理 これより会議を開きます。
委員長所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。
参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
金融に関する件について、本日、日本地震再保険株式会社社長西村金蔵君に参考人として委員会に出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/1
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002・毛利松平
○毛利委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/2
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003・毛利松平
○毛利委員長代理 国の会計、税制、金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。
まず、地震再保険の現状等について、参考人として御出席願いました日本地震再保険株式会社社長の西村金蔵君から御意見を承ることといたします。西村参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/3
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004・西村金蔵
○西村参考人 ただいま御指名を受けました日本地震再保険株式会社の西村でございます。
冒頭に、日本の地震保険の制度の概要につきまして、一言申し上げたいと思います。これは、あるいは皆さますでに御承知済みのことも多いかと思うのでございますが、それはお許し願いまして、大体につきましてお話を申し上げたいと思います。
皆さま御承知のとおり、わが国は世界でも第一位といってもいいほどの地震国でございまして、これは環太平洋地震帯と申しますか、その中に日本全体が入っておりまして、そして人体に感ずる地震だけでも一年平均千三百回はあるという統計になっております。それからまた、明治初年から昭和三十九年までの九十七年間でございますが、その間に地上の家屋などに損害を及ぼした地震が七十二回ございまして、その損害の合計が、いまのお金にしまして二兆四千億に達しております。
こういうふうな大きな災害を国民生活に与えるものでございますから、損害保険といたしましてはこの損害を何とかカバーして、国民生活の安定に寄与するということが大切と考えまして、そして地震保険制度の創設ということをかねてから念願いたしておりました。ただ、地震保険というものが、非常に保険の制度に乗りにくいという点が多々ございます。
その第一の点は、地震の損害が時には異常巨大なものになるということでございます。それはただいま申しました九十七年間二兆四千億の中でも、大正十二年の関東大震災、これが現在の価額にしまして約二兆をこえる損害でございます。当時のお金では、火災保険の契約をしておりましたのが約十六億でございますが、その当時の損保会社の資産を合わせまして二値二千万くらいでございますから、アンバランスで、とうてい払えません。現在でもこの二兆という損害に対しまして、昭和三十九年、これは新潟地震のときでございますが、その当時の損保の資産が三千六百億というのでございまして、二兆とは非常にかけ離れております。そういうぐあいでございますから、こういう異常巨大な損害になるということが、まずこの保険の成立を困難にする第一の事情でございます。
第二の事情といたしましては、損害発生の頻度が非常に不規則である。それからまた、損害の額も非常に大きいのもあれば小さいのもある。結局、いわゆる保険の原則をなしておりますところの大数の法則というものに全然乗らない。保険の原理は、一定の損害の発生確率というものを求めまして、それから料率をきめるのでございますが、そういうことが全然できない。結局いまの関東震災のような大きなものもあればまた小さなものもある。結局、その平均損害金額というものと最高の金額との間の格差が非常に大きいということでございます。そういう点で保険の原則に乗らない。それから、したがって保険料率の算定が非常にむずかしいということ、それから、またもしこれを任意保険——現在の損害保険はほとんど任意保険でございますが、そういう形にしますと、地震の多い地域、あるいはまた地震が起こった直後、そういうふうな地域的あるいは時間的な逆選択が行なわれまして、非常にバッドリスクだけがつくということになりまして、これでは保険として成立しない、そういうふうないろいろな欠点がございます。ですから、それで保険の必要は感じながらも着手することがなかなかできませんでした。
しかし、それに対する研究は始めておりまして、すでに昭和二十七年に協会の中にその研究会を設けまして、その研究に着手いたしたのでございますが、その結果、全社プールというようなものとそれから政府の再保険というようなものを考えましたが、これは当時政府の再保険というようなことがむずかしかったので、結局ものになりませんでした。その後もやはり研究を続けておりまして、昭和三十一年には国際競争力強化のための損保会社の体質改善策というものが考えられまして、その一環としまして新しい保険の開発、ことに地震保険の開発ということが取り上げられまして、また、協会の中の各委員会でこの問題についていろいろ資料を集めまして研究いたしておりました。ちょうどその研究の最中に皆さま御承知の、昭和三十九年六月十六日の新潟の大地震がございまして、これはマグニチュードは七・六でございますか、新潟の震度五という地震でございました。しばらくああいう程度の地震が都市にございませんでしたので、非常にセンセーションを呼びまして、国民の間にも地震保険に対する要望が高まり、ことに六月十九日の大蔵委員会——それは当時保険業法の一部を改正する法律案が大蔵委員会にかかっておりまして、その審議が可決されました日でございますが、その附帯決議として、損保会社は地震保険の検討をしろ、そして損害保険制度の一そうの整備充実をはかれということを決議をされました。
そこで、協会でも七月に入りまして、理事会で地震保険の創設を決議いたしました。それから七月の十三日には、大蔵省から地震保険制度の具体的方策いかんということを保険審議会に諮問されました。そこで、保険審議会で数回にわたってこれの論議が重ねられまして、翌年の昭和四十年でございましたが、審議会の答申書というものができまして、それが出されました。それで協会のほうでも、この審議会の答申に沿いましてますます研究を重ねました。四十一年になりまして、政府のほうでも地震保険に関する法律、それから地震再保険特別会計法という二つの法律を公布されまして、地震保険の政治的な体制、また、業界としての体制というものも整いまして、初めてその年の六月一日から地震保険というものが創設せられました。
その地震保険創設のためには、先ほど申しましたように、この地震保険がなかなか成立しにくいいろいろな事情がございますので、そういう事情を克服しなければならないような、あるいはそれを承知しながらも少し待ってもらおうということで、いろいろな条件をつけました。いわば完全なものではなく不完全な形でございましたけれども、それを出発させました。しかもその期間が短い期間では、地震保険というものは大数の法則に乗りませんので、非常に長い時間をかけて考えまして、長期間にわたる収支というものを考えてやる。それが普通のコマーシャルベースではできないのでございますから、それで政府の再保険というものをそこに考えまして、政府が再保険契約を民間の保険会社と結んで、この保険制度を側面から大いに援助してくださるということになったものでございますから、初めて地震保険制度というものがスタートしたのでございます。それでいま申し上げましたようないろいろな制約がございますので、これは政府との間の再保険契約の超過損害再保険という、ある一定額をこえたものについて政府と再保険を願うという、そういう特殊な形式によりまして始めました。
それで、この条件に合うようないろいろな制約を設けました。その第一は、保険の目的でございますが、保険の目的を民生安定というこの保険の趣旨から申しまして、居住用の建物、それから生活用の動産、この二つに限りまして、結局企業物件というものはこの対象から除きまして、国民生活の安定に資するための保険であるということを明らかにいたしました。
それから担保する危険でございますが、これは地震はもちろん、それから噴火及びそれによって生ずる津波、そういうことにいたしました。これは噴火、津波というものも、やはり国民生活に脅威を与えるものでございまして、先ほど申しました二兆四千億円の中には津波の損害額も入っております。日本もまた噴火については損害が過去にございましたので、それを公平の見地から噴火、津波も入れたわけでございます。
それから、その保険契約によって担保される損害でございますが、それはいま申しました火災や噴火や津波によって直接または間接に生じた火災、損壊、埋没、それから流失、そういうようなものの損害でございます。地震による損害の大きいことは、これは関東大震災のときでも、その大部分が地震後の火災によるものであったことで証明されておりますが、その火災、損壊は家屋の損壊でございます。それから埋没、流失、それだけの損害に対して、しかも全損のみに対して、これを担保する。全損のみといたしましたのは、分損までも取り入れますと、これはその料率の算定について非常に資料が乏しい。過去の統計やなんかが乏しくて、しかも分損といっても五割損もあれば四割損もある、非常に複雑でございますので、料率の算定が技術的になかなかむずかしい。それからそのために料率がまた高くなる。それから万一損害発生の場合に査定に非常に労力と時間とを要しまして、その費用がばく大なものになって、その査定費用がまた保険料率にはね返る。そういうようないろいろな事情がございまして、一応全損のみ担保ということで出発する、こういうことになりました。
それから、引き受けの方法でございますが、これは住宅総合保険及び店舗総合保険の併用、店舗と住宅とを併用しているものでございますが、それの保険の自動付帯率、それからこの保険に入っている人は、いやでも応でも地震保険に加入してしまう、そういう仕組みにいたしました。これをもし任意保険にいたしますと、先ほど申しましたように逆選択が起こりまして、また逆選択が起これば、保険の集団というものが不安定になりまして、それが集団の不安定ということから収支の予想も立たないということでございますので、それを避けるために強制付帯、つまり自動付帯でございますが、この総合保険形式に自動付帯というものを取り入れました。この総合保険というものが将来の火災保険の進むべき道でございまして、オールリスクを担保する保険でございますので、総合保険に担保させたわけでございます。
なお、料率算定につきましても、四百六十七年間に起こりました三百二十の地震を基礎にして料率を算定いたしました。これは採算ベースに合った非常に合理的なものでございますけれども、しかし、極力料率を安くしまして、なおその料率の差を少なくするということで、全国を三等地に区分しまして、また木造、非木造に分けて簡単な料率にいたしました。
次に、再保険機構でございますが、再保険機構は政府の超過損害再保険の形式をとることにいたしましたが、ここに日本地震再保険会社という特別な法人をつくりまして、そうしてこれは損保全社の出資からなる資本金十億円の株式会社でございますが、これをつくりましてプール——地震の再保険はプール組織とすることにいたしましたので、そのプールの仕事をやる、それからそのプールという性格を強化するために特別な会社をつくる、それからその地震保険に関する財産をその会社が預かりまして、一元的に全部運用管理する、それから政府のいまの超過損害再保険の相手方としてそれをその会社だけが引き受けるというような必要上から日本地震再保険会社を設けまして、それを通じて再保険をすることにいたしました。その再保険の形式は、百億円をこえて五百億円以下のものは半額を政府が負担する、それから五百億円をこえまして三千億円までは政府が全額を負担する、こういう再保険でございます。それによりまして政府は、二千七百億円までを毎年議会の議決を経て、そして二千七百億円をトップとする負担をする。それから、民間の負担額は、結局、地震再保険会社を合わせまして三百億円ということになるのでございますが、民間の元請二十社は、これは年間百五十億円。ですから、一年間に百五十億円のものを負担する。それ以上は負担しない。それから、地震再保険会社は、まず全社から再保険を引き受けまして、これをいまのような方式で政府に再保険しました残りにつきましては、まず各社から年間百五十億円までは回収する、その残部を全部地震再保険会社が引き受ける、そういう方式でございます。ですから、その損害金額が幾らであったかということによりまして、非常にいろいろその分担の方法は複雑でございますが、結局、三千億円までを負担するということでございまして、この三千億円というのは、いま関東地区にこの前の関東大震災程度の地震がまいりましても、現在の住店総契約の範囲で一応三千億円の損害であればカバーし得るという、そういう限度額でございます。
現在、この日本地震再保険会社で、すでに満二年目を迎えましたわけでございますが、約四十億円の責任準備金を持っておりまして、なお将来、この責任準備金を積み立てていきまして、これには保険料のみならず資産運用益も積むことになっておりますので、これがだんだん増高してまいりますれば、この地震保険に関する法律の決議の際に附帯決議として大蔵委員会から示されました、分相応に担保するとか、あるいは料率を引き下げるとか、あるいは限度額を引き上げるというふうないろんな条件も、だんだんと目ざしていくように努力したいと思います。それで、いま保険協会の中に地震保険特別委員会というものを設けまして、そういういろいろな研究をいたしております。
非常に時間もございませんので、きわめて簡単に地震保険のことを申し上げましたが、なお、今回の十勝沖地震の損害についてちょっと申し上げます。
これは、去る十六日に起こりましたのでございますが、十八日の朝、東京から、協会並びに地震再保険会社及び各社から十名以上の方が向こうに出張いたしまして、そして、それを北海道地区と東北地区に分けまして、査定をいたしました。現在、その査定を継続中でございますが、それでまだ精細な情報が入っておりませんのですけれども、現在までに調査しましたところでは、東北関係で八十九件、三千八百三十一万五千円でございます。それから、北海道関係では、三十一件で千五百八十七万円、合わせて百二十件で五千四百十八万五千円ということになっております。東北地方では、八戸市が一番多くて千五百万円、三沢が一千万円、あとは何百万円程度でございます。それから、北海道のほうは、まだ完全に調査ができておりませんが、函館の五百八十万円が比較的多い数字になっております。こういうふうに、これは保険契約金額から申しますと、北海道地区には八百億円以上ございますし、青森も百六十億円、岩手が百億円くらいの保険金額がございますけれども、いま申し上げましたようないろいろな制約がございますので、実際支払います保険金額は、いま申し上げたような金額、これはまだ一部の報道でございますけれども。この前のえびの地震のときも、これはあまり大きな金額になりませんでした。今度の北海道、東北の地震でも、やはりそれほど大きな金額にはならないと考えておる次第でございます。
それでは、簡単でございましたが、以上で……。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/4
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005・毛利松平
○毛利委員長代理 引き続き、質疑の通告がありますので、これを許可いたします。只松委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/5
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006・只松祐治
○只松委員 先に気象庁のほうにお尋ねをいたしますが、概要はいまの中にも御説明がありましたけれども、日本におけるおもな地震の発生状況、それから、これはなかなか別な意味の専門的なことになって、いま聞くのは地震保険と地震の発生状況、こういうことになるわけですけれども、いま言われたように、全損でないと支払えない。これはどの程度が全損になるか、そういう面では私ども経験がないのですけれども、家が全部倒壊をする、こういういわば激震といいますか、こういうものが日本ではどういうふうに発生しておるのかということ。それから次に、四十一年の五月からこの保険法が施行されたわけです。その四十一年以後におけるこの二年間の地震の発生状況、これはこまかいことはいいのですが、ひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/6
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007・木村耕三
○木村説明員 お答えいたします。
最初の御質問でございますが、地震がどのくらいの割りで起こっているかという意味かと思いますが、われわれのほうは、全壊とか半壊とかいう区別をした資料がございません。被害地震という名前で呼んでおるわけでございます。そういう資料はございます。それによりますと、大体日本において統計的に江戸時代三百年間の数字を使いますと、ある被害地震が起こりまして、その次の地震の起こるまでの間隔でございますが、それが一年間以内に地震が起こったというのが五八%、二年以内に起こったのが七四%というような割りで、これは一年に近い間に起こりやすいということになっております。
それから、明治以降のものは、私は、被害地震は調べたことがありませんが、七・〇以上、われわれのほうで言います大地震のランクに入るものでありますが、それをやはり同じようにランクを調べますと、一年以内に起こる率は六八%、二年以上というのはちょっと私資料を覚えておりません。
それから、もう一つ日本付近の地震の起こり方の特徴と申しますと、集中しやすい、ある期間は頻発しますが、ある期間はわりに間延びしている傾向があります。たとえば昭和へ入りましてから六件の、千人以上が死に、一万戸程度の家屋が損壊したという大地震、大震災がございますが、その六件のうちの五件が昭和十六年から昭和二十三年の間に集中しておるというぐあいになっております。ところが、反対に、最近では、新潟地震はありましたけれども、大きな地震が起こっていない。最近ちょっと頻発しておりますが、これで地震の起こり方が日本らしくなったと申しますか、そういうような状態で、一応かたまりやすい傾向を持っております。
それから二番目の、四十一年五月からの状態でありますが、四十一年五月からの被害地震は、松代地震が四十一年の五月ごろから比較的間遠になってまいりましたけれども、四十一年の八月から九月にかけましてかなり頻度が多くなってきております。それからあとは、松代地震は、月に一回くらいずつ震度五が起こって、この五月はございませんでしたけれども、四月までは、毎月一回は震度五が長野県北部のどこかで起こっておるという状態が続いております。それから四十二年の二月に、神津島でこれは負傷者が出た地震があります。神津島というのは、これは四十年の末ごろが最盛期でありまして、ときどき震度五が起こる常襲地帯になっております。それから、越えて四十三年の二月に、えびの地震が起こりました。四十三年の三月にえびの地震の余震がございまして、四十三年の四月一日に日向灘地震が起こりまして、四十三年の五月十六日の、先日の十勝沖地震が起こったわけであります。
一応こんな状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/7
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008・只松祐治
○只松委員 いま保険の概要、それから日本における地震の発生状況というようなものをお話しいただいたわけですが、今度地震保険ができまして、いまのようなことで、火災や何かとまた違って、その発生回数あるいは規模、したがって、被害状況その他を予測することはなかなか困難であります。しかし、いわゆる商業ベースとして、これが発足をしておるわけでありますから、一応商業ベースの面から問題をとらえてこの論議をしたいと思うのですが、現在の保険の契約総金額、あるいは加入金額、それから保険の加入者、そういうものについて、ひとつおわかりでしたら教えていただきたいと思います。これは保険部のほうでもどっちでもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/8
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009・新保實生
○新保説明員 地震保険の契約状況でございますが、四十三年一月末現在の契約件数は約五百四十万件でございます。保険金額は一兆七千八百三十億円でございます。これは住宅総合保険、それから店舗総合保険に付帯して、この地震保険が成立するわけでございますが、ただいま申し上げましたような件数になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/9
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010・只松祐治
○只松委員 それから出てくる純利益といいますか、この二年間に——ちょうど二年間たっておるわけですね。さっき四十億の準備金とおっしゃいましたけれども、これは一応純利益、こういうふうにみなしていいですか。保険部のほうでもいいですが、保険部のほうの調査では、そういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/10
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011・新保實生
○新保説明員 これは保険料をいただきまして、一方におきましては、地震保険運営に必要な事業費を払っていくわけでございますが、その収支の差額が責任準備金というものの名目で約四十億積み立てられておるわけであります。一般に事業会社等における利潤とか利益、そういう観念でなくて、将来のそういう災害に備えて、支払う、そういう責任準備金というものが約四十億ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/11
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012・只松祐治
○只松委員 そうすると、これはあれですか、昨年からことし、一年で急速に伸びておるわけですか、それとも横ばい状態ですか。今後の見通しなんかはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/12
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013・西村金蔵
○西村参考人 初年度は地震保険は付帯したものでございますから、多少住店総の伸びが鈍りまして、かえって少し減ったくらいでありまして、二年目には住店総保険それ自体も手直しをしましたし、それから地震保険の普及ということもありまして、一割二分ぐらい増収いたしております。
それから、将来もそう急激な増収はあまりないにしても、毎年一割前後の増収は期待できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/13
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014・只松祐治
○只松委員 こういうふうにインフレが進んでおりますから、火災保険でも、保険金額というのは相当大幅にふえていっておるわけです。したがって、これに付随する地震保険のほうでも、一戸当たりの保険金額でも相当伸びる。さらにこういうふうに地震がありますと、そのたびに、結局保険に地震がついているのだというようなことから、そういう面からの伸びというものがあるだろうと思います。そういうものの見通しというものは一割程度にとどまる、こういうことですか。私は、もう少し伸びるような気がするのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/14
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015・西村金蔵
○西村参考人 やはりこれは、住宅総合保険というものは、普通の火災保険よりも料率は高くなっております。そこで地震が付帯したために、またさらに高くなっておりますので、普通の火災保険でも現在は、毎年一割四分ぐらいの増収しかいたしておりませんので、それよりちょっと下回るのじゃないかと思います。
それから先ほど、これは申し上げるのに時間がなくて抜かしましたのですが、大事なことでございますけれども、地震の場合には、支払い保険金額の限度を設けまして、そして保険金額の三割ということを原則にいたしております。ですから、住宅総合の主たる契約のほうの保険金額の三割しか地震保険はつけられない。しかもその三割が、建物九十万、家財六十万をオーバーする場合には、九十万、六十万で頭打ちにする、そういうことになっております。ですから、地震保険の支払い保険金というものは、住店総の契約金額よりも相当少なくなると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/15
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016・只松祐治
○只松委員 現在までに地震で支払われた二年間の件数、それから金額は幾らになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/16
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017・西村金蔵
○西村参考人 これは第一年度は全然支払いがございません。第二年度に、二月のえびの地震のときに、第一回のえびの地震の支払い保険金が、件数三十二件で、金額は七百八万五千円でございます。それから二度目のえびの地震のときには、罹災物件一件、支払い金額一千円となっております。その次が今度の十勝沖地震でございまして、これは未確定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/17
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018・只松祐治
○只松委員 今回の十勝沖の支払い状況、申請状況はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/18
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019・西村金蔵
○西村参考人 先ほど申し上げました程度でございます。
東北関係で三千八百三十一万五千円、北海道関係で千五百八十七万円でございました。両方で五千四百十八万五千円という数字がいま出ておりますけれども、これはまだ査定中でございまして、なおこれにもっとふえるだろうと思います。北海道のほうがまだ全面的にわかっておりませんし、これは一応の査定した金額として向こうから報道があったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/19
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020・只松祐治
○只松委員 今後の見通しはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/20
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021・西村金蔵
○西村参考人 今後も、これはいま申し上げましたように、地震保険の金額というものは非常に制限されておりますし、それから地震保険のつけ方が北海道、東北地区では非常に低いのでございます。普及率が北海道で二割台、青森県も二割台、岩手県が一割台でございまして、平均保険金額も二十何万という程度でございますから、保険のつけ方が非常に低いということで、そう大きなものは出てこないと思います。ですから一億には達しないんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/21
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022・只松祐治
○只松委員 大体、この地震保険に伴う支払状況その他お聞きのとおりですし、いまの貨幣価値から見て、これだけの地震があって五千四百万円、えびの地震のときも七百何万円。いま、ちょっとした家を建てましてもすぐ三百万だ、五百万だとかかるわけです。まあ大蔵委員会でも当時いろいろ論議をいたしまして付帯条件その他もついておるわけですが、しかし、これは地震でございますから、さっきお聞きしましたように、あるいは関東大震災のような大きな地震が突如として起こるかしれない、こういう懸念はありますけれども、これだけの地震が起こって七百万とか五千万とかいう程度の損害しか補償されないということでは、一体地震保険の意義があるのだろうかどうだろうか、こういうことさえ私は疑問に感ずるわけでございます。一件千円というような先ほどお話がございましたが、いまごろ千円もらって——これは分損じゃだめで全損でなければだめでございますけれども、鶏小屋がこわれたのか何かしらないけれども、全損で千円。これは一番困っておるときですからないより幾らかあったほうがいいかもしれませんけれども、しかし、私たちが論議したときの地震保険の本来の目的よりだいぶんかけ離れておるような気がする。ほんとうは大蔵大臣にきょう自由質問で来てもらって、そういう問題についても討議しようと思ったのですが、大臣はお見えになっておりません。課長さんや損保会社の当事者だけ責めたり論議してもどうかと思います。法案そのものの提出権があるわけじゃありませんし……。
どうですか、こういう支払状況なり何なり聞いて、地震が起こった場合にほんとうに役立つ、少なくとも現状で民生安定にこたえたり、何かはんとうに地震が起こったときの国民の不安をカバーすることができるか、心境なりをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/22
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023・新保實生
○新保説明員 仰せのように、いままでの地震保険の支払い実績を見ますと、必ずしも金額的には多うございません。これにはいろいろ理由もあるわけでございますけれども、制度創設当時にいろいろ議論されましたように、地震というものの異常巨大性というものを前提にしました場合に、保険制度に乗るか乗らないかという本質的な問題もございます。その議論は一応別として、えびのあるいは今回の東北、北海道地方における保険金の支払い見込み額が、予想なされました線よりもかなり低いという点につきましては、一つは火災保険あるいは住宅総合保険、店舗総合保険の普及度そのものが低い。先ほど西村社長からも話がございましたように、岩手県における普及率は一割である。この地震保険というのは、独立の損害保険として成り立っておるわけでございませんので、住宅総合保険あるいは店舗総合保険に付帯されるものとしてでき上がっておるわけでございますので、その基礎となる店舗総合保険、住宅総合保険そのものの普及を促進していくということが私どもとしては今後努力しなければならない面でなかろうかと思います。その他、えびの地震あるいは今回の地震の経験にかんがみまして、なるべく実情に即した方法を考えてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/23
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024・西村金蔵
○西村参考人 私も、いま部長のおっしゃったように、それはこれだけをとってみますと非常に少ない、まるでこれは羊頭を掲げて狗肉を売るたぐいではないかという御批判もあるかもしれないと思うのでございますけれども、この地震保険のいろいろな条件がございまして、その条件というものは、やはり異常巨大の損害というものを一方に考えながらいろいろな条件を設定しておりますので、この条件をここに当てはめると、やはりこういうような結果になる。それで、これを大きくするためには、やはり住宅総合保険の普及をはかる。そして地震保険契約をどんどん皆さん方がおつけになるようになるということが一番大事なことではないかと思うのでございます。もちろん業者としましても、保険契約そのものの内容をもっと民生安定に資するように、もっと、より充実したものにしなければならないということは考えております。それに向かって努力いたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/24
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025・只松祐治
○只松委員 たしか新潟地震のときに損保協会だったと思いますが、二億円ぐらいなにか陣中見舞いされたと思います。いわゆる地震保険として料金を取っておらないときでさえも、新潟地震程度のものが起こって二億円の見舞いをする。ところが、地震保険をとって、こうやって四十億からの利潤をすでにあげておる。にかかわらず、これだけの地震が起こっても五千万ぐらいしか支払いがない。これはどういうことでしょうかね。私は、へたにつけないで、いままでの損保協会のもうけの中から、消防自動車なんかも出しておられるけれども、見舞いでも何でも出したほうがいいんじゃないか。私たちがこの地震保険をやるときに懸念をしておりました、実際上はなかなか——きょうはそんな時間がありませんから、分損のこともいたしませんし、どの程度全損として認めるか認めないか、これは火災の場合でも私たちもいろいろ経験しますが、なかなか微妙な問題があるわけですね。ところが、地震の場合は燃えてないだけに、この家がはたして今後の使用に耐えるか耐えないか、それをめぐって、分損か全損かいろいろ論議が出るだろうと思います。時間がありませんからそういう詰めた論議まできょうはいたしませんけれども、とにかくこうやって支払い金額が非常に少ない。掛け金のないときの損保協会の見舞い金を下回る。こういうことでは地震保険をかけた意義がない。まあ東京とか大阪とか大都市に地震が起こったという場合を想定すれば別な意義が出てくるかもしれませんが、こうやってこれだけの激震が起こった場合の農村地帯なり、まあ過疎地帯といっては何ですが、東北の県なんかに起こった場合はほとんど意義がないということをこれは証明したと私は思うのです。これ以上の地震が起こるかどうか知りませんが、そういうことは私は好みませんし、そうたびたびこれ以上の大きな地震がある——地震の強さとしては相当なものだ、こういうふうにいわれておりますね。この程度の被害でこういう支払い金額というと、農村地帯や何かにおいてはほとんど——むしろ都市の地震保険、これもどういう形で今後起こるかわかりませんが、どうも私はこの支払い状況なんかを見て疑問を持っておるわけです。どうです、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/25
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026・西村金蔵
○西村参考人 いまおっしゃいましたことはまことにごもっともだと存じますが、当時はまだ地震保険制度がございませんで、あれは別に保険契約ということと関連なく、一種の救恤金と申しますか見舞い金と申しますか、そういうふうな意味で出しましたのでございますけれども、地震保険制度というものが発足しました以上は、やはりこの地震保険制度の運用ということが地震の災害が起こった場合の対策としては一番大事だと思います。それで、そうなりますと、地震保険制度のこのシステムに従って払っていくということが地震保険制度というものをキープするゆえんであり、また、これが一番基本的な考え方じゃないかと思うのでございます。ですから、救恤金とか救済金とかいうふうな意味でなく、今度は保険として、あくまでも自分の本来の業務として地震の起こった場合に対処する。そのためにはいま持っています基金や何かを大事にしなければなりませんし、異常巨大な損害に備えるという必要もございますので、やはりそういうふうなシステムに沿った処理をしていかなければならないかと思います。
それから全損のお話がございましたけれども、経済的全損というのを持っておりまして、そして大体修理費とかなんとかそういうもので、その家が全壊しないでもその家の価格の八〇%以上にのぼる損害が起こっていると思われる場合は、これは費用も含めてでございますけれども、全損として払うようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/26
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027・只松祐治
○只松委員 いま二年そこそこで四十億円の準備金ができたわけですね。これは私も内部を詳しく聞いておりませんからあれですが、これを概算しますと、あと二年くらいたてば、四年くらいで百億くらいの準備金ができるのじゃないですか。さらにこれがたくさんたまりますと金利が増大しますから、十年かそこいらでとにかく三百億くらい、いわゆる地震保険の最大限の支払い額である三百億円というのが十年たったらたまるのじゃないかと思うのです、頭でずっと換算しまして。じゃ十年に一回、日本でそれだけの——東北地震が起こって、これだけの地震が起こって五千万か一億足らずの支払いしか行なわれない、こういうことが現実にあるわけですが、十年たって、それじゃどの程度どういう地震が起こるか、三百億円全部支払わなくちゃならない、こういうことはおそらく起こらないような気がしますね。突如として大阪や神戸や東京に地震があれば多少話は別になってきますが、いままでの日本の大都市における、密集地帯における地震の発生状況その他から、しかもこうやって耐震耐火のビルができてきておる、こういう状況を想定しましても、十年間に一ぺん三百億円全部払う、こういう大地震というのは起こってこないだろうと私は思う。さっき言われるように、私も言ったように、インフレが進んで保険金額というのはもっとふえてくる。それにもかかわらず、——まあ法律改正をすれば別ですけれども、一応の支払い額は三百億、こういうことになりますね。そうすると、あなたがいまおっしゃったように、地震保険ができてないときは二億円ぽんと災害見舞いをやった、地震保険ができると地震保険の法規にのっとって支払っていかなければならない、支払うとその額は掛け金をかけた上に五千万程度、これはたいへんに矛盾をしております。いまちょっと頭の中で目の子算をしましたように、十年で三百億くらいたまっていく、現在の保険法に基づく最大限の支払い金額が準備される、しかしそれだけの大地震はそう起こらないだろうということになりますと、この地震保険法について何か根本的な検討を加える必要があるのではないか、これはまあ私たちもやってみなければわからないということを当時言っておったわけですが、こうやって二年たち、さらにあと一年、二年もたてば、私が今日言っておることは現実の問題になるような気がいたします。
きょうは時間もありませんからまあこの程度にいたしておきますが、大臣来ておらぬから次官からでも、もう少し抜本的にこの地震保険法について、様子を見るということも必要でございましょうが、この二年間の経験の中から支払い金額やその他についても考慮していく、こういうことが必要ではないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/27
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028・倉成正
○倉成政府委員 いま只松委員仰せのこと、まことにごもっともと思います。今回の地震は、御承知のとおり東北あるいは北海道という過疎地帯でございまして、保険金額は一兆七千八百三十億のうち約一割ということで、非常に少ない地域の損害ということであります。それから制度自体が全壊いたしました居住用の住宅あるいは生活用の動産、そういうふうに非常に限定されておりますので、支払い金額が非常に少ないということはもう御指摘のとおりであります。しかし、これが一たん関東あるいは近畿というような非常に過密地帯に発生したということになれば、かなりこの保険支払いでも大きなものになるということも予想されるわけであります。
したがいまして、やはり保険の制度そのものの設計の問題と思いますので、ただいま仰せの点も頭に入れて、できるだけ今後実情に即するような方向にこの問題を、この制度を改善していくことが必要ではないかと思いますので、しばらくいろいろなデータを集めたり様子を見たりして、これから努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/28
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029・只松祐治
○只松委員 もちろんいま大蔵省の相当強大な権限がこの地震保険法の中にあります。大蔵省側の責任もあるわけですけれども、直接にはその保険会社のほうで、いまの状況から見てもう少し寛大にといいますか、あまり火災保険のときのように、柱一本残っておればこれは全焼じゃない、下のコンクリートが残っておれば、このコンクリートをつくったときのあれは幾らだからその分は差し引くとか、新しく家を建てるときに前のコンクリートをぶちこわさずにすることがある、そのコンクリートが残っておればそれが十万かかったらそれを差し引くとか、あまりそういうことを言わないで、その状況から見てもう少し恩情のある措置というものを今度の十勝沖地震においてやってもらいたい。
それから、いまは根本的な検討をするということを次官もお話しになったわけですけれども、料金の引き下げであるとか分損の問題についてとか、いろいろ大蔵委員会においても付帯条件をつけておりますから、根本的な検討の前に、当時大蔵委員会でそういうことを懸念してつけた付帯条件をできるだけひとつ生かすように御努力をいただきたいと思います。
いろいろ申し上げたいこともありますけれども、時間がありませんので、参考人に対する御質問はこれで終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/29
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030・毛利松平
○毛利委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
西村参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただきまして、ありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。
御退席いただいてけっこうです。
質疑を続行いたします。只松委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/30
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031・只松祐治
○只松委員 ちょっと証券局長に聞く前に、政府のほうとして、大臣が来たら聞こうと思ったのですが、次官でけっこうです。
いま地震保険の問題だけ聞いたわけですけれども、十勝沖地震の被害状況、それに対する大蔵当局の財政の支出といいますか、資金について、あるいは税制についていろいろ皆さん方のほうでそれなりに検討されておると思いますが、そういう概要についてひとつお話を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/31
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032・倉成正
○倉成政府委員 いまこまかい数字は持ってきておりません。概要についてはこの前も本会議で大臣から申し上げましたように、金融機関に対するいろいろな資金の手当てであるとか、あるいは税制につきましては、被災者に対する税の減免について所轄の税務署に通知をするというような点、あるいは地方公共団体に対するつなぎ融資についての処置をするというふうに、最近数年しばしば災害が起こっておりますので、この災害において、従来とりました措置と同様の措置を迅速に、もう直ちにその翌日から各財務局あるいは国税局等に指示いたしまして、対策には万全を期しておる次第であります。
なお、公共事業等につきましては、できるだけ早く査定をいたしまして、応急災害復旧に当たるように現地に査定官を派遣する、こういう処置をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/32
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033・只松祐治
○只松委員 さっき質問しましたように、地震保険があれば地震がきても何とかなるだろう、こういう錯覚を国民に持たした政府が、しかし、これだけの地震が起こって五千万円しか地震保険で支払いがない。これはある意味のインチキですね。さっき西村さんも、羊頭を掲げて狗肉を売るような結果になりましたということをお話ししていたのですけれども、私はインチキだと思うのです。地震保険で二年に四十億ももうけている。たった二年間で、しかも始めたばかりのときに四十億ももうける会社はない。それで五千万程度しか支払いがない。えびの地震で七百万だ。これは相当なインチキもひどいものだと思うんだな。今度の発生が予測されなかったという含みがあるから、インチキだということばが使えるか使えないかという問題が出てくるかもしれませんが、通常ならばこれはインチキですよ。こういうことを言っては何だけれども、ばくちのテラ銭かせぎよりもまだひどい。こういうひどいことを言うのは、地震保険をやっておれば国民は地震のときは安心だという概念があったわけです。しかし、これを見てそういうことはだめだということがおおよそ明らかになってきました。
それで、私は、大臣が来たら聞こうと思ってやめておったのだが、地震保険でこういうものを掛けておってもだめだということが明らかになった。したがって、地震保険やなんかにかこつけるのではなくて、いままでと同じように、やはり政府としては地震対策というものは独自に、いままでと同じような形で地震保険があるからこれはせぬでもいい——これはほんとうの名目ですから、これだけの広大な地域に五千万円、道路一本どうやって修理できますか。これは完全なインチキ性というものが暴露された。したがって、地震保険があるから安心というようなことを口実にしないで、ひとつ抜本的な地震対策を大蔵当局としてとつていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
それから次に証券局、これも大臣にお尋ねしようと思ったのだが、来ないからひとつ局長にお尋ねしておきますが、近ごろまたゴールドラッシュやいろいろドル不安その他から、株への投資というものが増大をしてまいりました。きのうあたり見ましても、千五百円台の大台を回復したといいますか突破したといいますか、しております。ところが、私たちがたびたびいままで言っておりますように、保有組合、共同証券には依然として、いまどのくらいになりますか、三千億近いたな上げ株というものがあるわけですね。これは田中さんが大蔵大臣のときに、とにかくちょっと塩づけしておくのだ。当時の速記録をごらんなさい、うまいことを言っておるから。ほんの瞬間的にこれを塩づけしておく、こういうことを言っておったわけですが、何年たっても、千五百円台の大台を突破しても、依然としてこうやって株をたな上げしておく、塩づけしておくということは、これは私は、あなたたちが資本主義を否定したり自由主義を否定するというんだったらこれは別ですけれども、資本主義を信奉し自由主義を信奉する自民党政府のもとにおいては、たいへんなことだと思う。私は、きょう時間がなくなったし、大臣が来ておらないから、証券問題の本質的なことは論議しないけれども、こういう状況のもとでとにかくたな上げ株を早く放出すべきだと思うが、放出するかしないか、事務当局の明確なお答えを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/33
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034・広瀬駿二
○広瀬政府委員 保有組合、共同証券の保有している株式につきましては、従来から株式市況に悪影響を与えないような限度におきまして安定的な機関投資家等にはめ込むというやり方でもって漸次放出を続行しておりましたが、市況が御承知のように最近かなり上向いておりますので、それに従って放出量を増加するというような処置を続けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/34
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035・只松祐治
○只松委員 放出量を増加する……。ちょっとはっきりしない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/35
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036・広瀬駿二
○広瀬政府委員 漸次放出量を増加しつつあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/36
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037・只松祐治
○只松委員 それを具体的にと言うと、市況に影響があるからとかいうことでいつも逃げて発表しないわけですが、そう言っちゃいつまでたってもしないわけですね。これだけよくなったら少々言ったって——あなたが具体的にきょう言えば少しぐらい株が下がるかもしれない。下がるかもしれないけれども、本質的な問題には発展しませんよ。だから、多少具体的にこうこうこういう方向でとにかく、日限までぴたっと切ろうとは私は言いませんけれども、行ないたいというくらいのことを言ったらどうですか。もう千五百円まで回復してきた段階ですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/37
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038・広瀬駿二
○広瀬政府委員 証券保有組合のほうの数字で申しますと、株式を買い入れましたのは四十年の一月以降でございますが、合計二千三百億円にのぼったわけでございます。それが最近の数字で申しますと、四月末までに一千二百億円放出いたしております。そこで、その後増資等のあった分もございますので、現在保有しておりますのは一千三百八十億円、それから共同証券のほうで申しますと、同じく買い入れましたのが一千八百九十七億円でございまして、これを売却いたしましたのが四月末現在で四百二十億円、四月末現在で保有しております株式は一千六百八十五億円、合わせまして三千億円くらいまだ残っておるというような状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/38
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039・只松祐治
○只松委員 依然として三千億円のものが残っておるわけですから、これを具体的にこういうふうにしたいということくらいもう言ったっていいじゃないですかと言うのです。これだけ市況が回復してきているのですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/39
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040・広瀬駿二
○広瀬政府委員 おっしゃいましたような状況でございますので、三月以降かなり放出量は増加してまいって、四月になりまして、従来機関投資家等にのみはめておりましたのが、個人向けの放出ということも実施することになりましたので、分量はかなりふえております。今後ともこういうような市況が続く限りは、かなりの放出が行なわれるだろうと思います。しかし、その具体的な数字は持ち合わせておりませんが、これはまた保有組合のほうで市況を見ながら自主的にやっておりますので、私どものほうで指図する問題ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/40
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041・只松祐治
○只松委員 あなたのほうで指図する問題じゃないと言うなら、たな上げした当時の速記録を読んでごらんなさい。大臣がどういうふうに答弁したか。政府がやったんじゃないか。政府がたな上げしたのだ。政府の指図ではなく、政府の資金手当てではなくて何でたな上げができますか。そんなでたらめを言いなさんな。当時の速記録を、私は一々全部覚えておりませんが、頭の中にちょっと覚えておりますけれども、政府のてこ入れでやったんじゃないか。それを今日、政府の指図ではない、保有組合のやることだ、共同証券のやることだ、そんなことは知らないなんて、そんなでたらめは言いなさんな。それなら当時政府がやったことを全部撤回するか。そんなことはできないだろう。また私は、そんなことを詰めて言っているんじゃない。これだけよくなってきたから解除する方向にしたらどうですか、それが本来の証券市場をほんとうに育成する道じゃないですか。それが本来の資本主義社会における証券市場のあり方でしょう。それに戻していくのがあなたたちの任務でしょう。社会党の政権下じゃないのですよ。それを一部の者が株を操作しているのでしょう。巷間伝えられているのは、ある政界の一部と証券界とがぐるになって——一つのつり上げやなんかのために放出するかしないかで、談話を発表するなりしないなりでぐるになってやっておると証券界の一部で言われているでしょう。ある自民党の代議士を見てごらんなさい。こういうことを言うておるのです。ヨシのずいから天井をのぞくじゃなくて、兜町から日本をのぞくと、こういうふうに自民党の一部では言っている。名前を言ってもいいが、そう言っている自民党の代議士がいる。だから、そういうことまで私に言わせないで、もう少し——きょうは事務当局に聞いておるのだから、事務ベースですなおに、これだけ株価が上がってきたならば、本来の資本主義市場に証券市場を戻していくために努力しますと、こういうふうに言うべきでしょう。そういうことを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/41
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042・広瀬駿二
○広瀬政府委員 この保有されたいきさつにつきましては、当時の異常な状況からきたものでございまして、できるだけ早くこういうものを解消しなければならぬということは御指摘のとおりでございます。
それから株価が上向いているという状況にかんがみまして、只松先生のおっしゃいましたような方向でもって現在保有組合も努力をしているところでございます。ただ、非常に大きな分量の保有でございますので、それが漸進的に行なわれるということでございまして、できるだけ早く解消するという方向はもう御指摘のとおりで、その方面に向かいましてわれわれも努力していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/42
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043・只松祐治
○只松委員 大臣が見えておりませんから、次官、ひとつ私の言ったことを御理解いただいて、政府部内においても本来の姿に立ち返るように、証券の民主化や何かはきょうは触れませんけれども、努力するようにぜひしていただきたい。そうでないと、こういう形で証券面からだけまた過熱状態に入って、依然として三千億からのものをかかえているという非常な不規則といいますか、不健康といいますか、将来に問題を残すことになるわけですから、それくらいのことは、ぼくがこれ以上言わないでもわかっていると思いますから、ぜひ努力するようにお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/43
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044・毛利松平
○毛利委員長代理 武藤山治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/44
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045・武藤山治
○武藤(山)委員 私は通告していなかったのですが、ただいまの只松君の質問を聞いていて、私も一、二点関連してお尋ねしておきたいと思います。
凍結株を放出する量は、確かに本年に入ってからふえてまいり、かなり進んできていることは認めます。しかし、これだけ大量の株を凍結したままで、しかも株価が千五百円台をこえた、こういう事態ならば、もう少々凍結株を解消するテンポを早めてしかるべきではないか。大蔵省はなぜそういう点積極的に行政指導に乗り出さないのか。そしてその裏には、いまの株価はほんとうの実勢をあらわしていないのだろう、ゴールドラッシュや金の価格の高騰ということに対応して、それが株に転化して、ドルの値が下がりやせぬかという不安から株を持ったほうが安全ではないか、こういう心理から株価というものがばっと上がっているという傾向がある。企業の実勢というものをそのまま反映しているとは見られない。そういう何か内容、基礎が不安定な要素を持っているから、いわゆる思惑的な要素が非常に強いから、ここで凍結株をあまりぱっと大量に出すと、それがまたがくっと下がる心配があるのではなかろうかこというような不安が証券局自体の中にあるのではなかろうか。そのために、あまり強引に凍結株の放出ができないのではなかろうか、こういう判断に立たれたのではないかという気がするのですが、そこらのところほんとうはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/45
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046・広瀬駿二
○広瀬政府委員 たいへんむずかしい問題でございまして、現在の株価が安定的なものかどうかということに尽きるだろうと思いますが、その辺は確かに安定的だということがいえるかどうかは非常に疑問だと思います。それからその凍結株を一挙にたくさん放出すれば、それがまた相当なリアクションを生むだろうと思います。ただ、ことしになりまして漸次上向いておりまして、それも非常に投機的かということになりますと、それは投機的だという判断もできかねる、かなり底固いものもあるようにうかがわれております。そこで漸次凍結株の放出をふやす。先生のおっしゃったほど、期待のほどでなかったかもしれませんが、かなりの分量をふやしております。先ほど只松さんがおっしゃいましたような方向に沿っているのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/46
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047・武藤山治
○武藤(山)委員 そこで、証券局としては、凍結株の放出をできるだけ早目にするということが便上命令だろうと思います。ですから、これを促進するにしても、もう一つの視点は、日銀の融資の返済の問題があります。これは四大証券とさらに基幹会社七社でまだ残りが二百六十億、日銀が直接融資した残が二百六十億あります。そのうち四大証券会社が借りているのが百九十九億ですか、現在残が、日本銀行にまだ返してないのがそうすると、まだ四十億しか返してない。三百億融資を受けて四十億しか返してないのです。去年、おととしの二年間は一銭も返してない。株が、このように売買株数も一億だ二億だというように非常にふえ、利益も証券会社にはかなり入っている。こういう事態のときには、この日銀からの借り入れ金を返済するという姿勢、これはやっぱりぴちゃっとさせる必要があると思うのですね。証券局は、この点についてはどんな指導をなされておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/47
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048・広瀬駿二
○広瀬政府委員 ただいまおっしゃいました、日本銀行が証券会社に貸した分は、これは例の三十九年九月から四十年にかけまして株式が暴落したとき、ちょうど三十九年の一月に共同証券ができましたあと、そのころの貸し付け金でございますが、いまおっしゃいました金額はちょっと違っておりまして、当時貸し付けられましたのは、三百九十一億最初に貸し付けられました。その後四十年の三月に百七億、四月に二十億ばかり返っておりまして、さらに、その後、四十年の七月に、保有組合の出資関係でもって八十四億貸し増しになっており、その後の返済もありということで、結局、残が二百六十億ということになっております。返済額は、先ほどおっしゃった数字、三、四十億とおっしゃったと思いましたが、そうじゃございませんで、貸し付けが総額では四百七、八十億ということになって、返済額は二百億ぐらいになっていたと思います。
そこで、今後どうするかということでございますが、この資金は、結局いまのところ、むしろ公社債担保金融に実質的には振りかわっておるようなかっこうになっております。と申しますのは、現在、公社債担保金融の道は十分ではございませんで、保有組合、日証金を通じましてある程度の道は開かれておりますが、実際の問題として、証券会社の公社債の保有というものはかなりふえておりますので、そういう方面に向けられているというふうに判断しております。
状況は大体そのようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/48
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049・武藤山治
○武藤(山)委員 そこで、私が言いたいのはその次なんですが、金融引き締めで、できるだけ金融機関は窓口規制も強化され、しかも国際収支を改善するために、金融はシビアーにするんだという大方針がある。片方、四大証券といえば、これはもう日本の代表的な独占証券会社ですよ。この四大証券に百九十九億もまだ貸し出し残があるわけでしょう。そういうものを私は、四大証券の場合などは、もっと返済を促進してしかるべきだと思うのですよ。それについての見解をただしておるわけです。もちろん、それが公社債を買いだめするためにやむを得ない資金で、そういう担保がきちっとあるという、債権確保の面で間違いないということは私も認めます。問題は、その四大証券に百九十九億の残を、こういう株の増勢、非常にいいときに、やはり大蔵省としては積極的に返させる指導をするべきではないか。特に片方、金融引き締めで日銀は、一般企業家に対する融資というものはぐんと締めておるのですから、株価にそう直接打撃を与えない範囲内においては、返済促進ということを行政指導すべきではないか、こういう提言なんですよ。どういう指導をしているかという質問なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/49
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050・広瀬駿二
○広瀬政府委員 一般的に申しますれば、おっしゃるとおりだと思います。余分なお金がたまっているんじゃないか。ただ、全般的に証券界の状況を申しますと、いまよくいわれておりますことは、かなり市況もよくなっている、それから証券界の金融も緩和されてきているんじゃないか、そういうときに日銀の融資が、たとえば信用取引の膨張というかっこうでもって出ていって、金融引き締めのしり抜けになりはしないかということが非常に御指摘のポイントだったと思うのですが、これにつきましては、実際の数字に即してみますと、証券界全般の空気としましては、この信用取引によって貸し出しの増があります反面、先ほど来の御指摘がございました、保有組合なり共同証券の保有株式の売却という形で日本銀行への返済も相当進んでおります。それから、証券界のコールローンもかなりの増加になっておるというような形で、全体の日銀との関係の資金の需給と申しますか、そういったものは大体バランスするような状況で、特に金融引き締めにのしり抜けなっているということはないんじゃないか。四大証券会社についての特別の御指摘につきましては、さらに会社別に検討をしなければならないことでございますが、その辺はまだ十分私は勉強しておりませんので申しわけありませんが、この程度で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/50
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051・武藤山治
○武藤(山)委員 最後に、希望でありますが、そういう四大証券というのは、かなり力も持ち、そういうものの返済余力があるにもかかわらず返済しないで、さらに、それが株の売買の資金に転化されたりいろいろな形で、実勢以上の株価の引き上げをもたらすような資金に回る心配もある。したがって、私は、こういうときには、やはり大蔵省はきめこまかく会社別に、四大証券についてはシェアも非常に高いですから、こういうものについては私は、適切な返済計画で大蔵省として取り立てて、特に注意すべきじゃなかろうか、こういう気がいたしますので、今後十分ひとつその点の監督を希望しておきます。
最後にもう一つ、証券会社が近く新型の投信を発行したい、売り出したい、こういうふうな新聞報道が四月段階に出ておりましたが、その後、新型のものはいつごろから売り出そうということを大蔵省には伝達があったわけですか、まだありませんか、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/51
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052・広瀬駿二
○広瀬政府委員 新型の投信と申しますのは、ちょっと私も詳しいことを覚えておりませんが、四月なりに新聞に出まして、これは新聞に漏れたのでございまして、その後、大蔵省に連絡がございまして、新型の投信をぜひやらしてもらいたいという話もあったわけですが、その内容については、投資信託協会というところで検討していただいて、クローズド型に近いようなものということでやっております。詳しいことは私もまだ十分承知しておりません。まだ検討中の段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/52
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053・武藤山治
○武藤(山)委員 そうすると、投資信託協会で、いつごろ結論を出して大蔵省に相談するというめどはまだ全然つきませんね。何月ごろにそういうことが行なわれるかというめどはわからない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/53
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054・広瀬駿二
○広瀬政府委員 的確なめどはついておりませんが、近々のうちにも連絡があるかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/54
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055・武藤山治
○武藤(山)委員 それでは証券局どうぞ。
きょうは、時間があれば、財政、税制、金融、金問題、国際収支、金融引き締め問題、この項目にわたって実はさらっと、大臣が出るつもりでおったものだから、私は、そのつもりで整理をしようとしたのですが、大臣は出てこないようですから、ひとつ事務当局にお尋ねするという考え方で少しまとめておきたいと思います。
第一は、主計局長のかわりの次長さんですか、地震の災害で大蔵省が予備費で支出をせねばならないなあ——これもまだ正確な数字は把握できてないと思いますが、やや大蔵省が予備費でいかざるを得ないなあと思われる大筋の金額はどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/55
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056・相沢英之
○相沢政府委員 十勝沖の地震の被害額につきましては、目下報告を待って集計中でございますが、毎日毎日金額がふえております。二十日の十二時現在でまとめましたところの被害報告額は、公共土木施設で六十六億円、公立文教施設で十三億円、それから農地農業用施設、林道で三十二億円でございます。これは交通、通信等の不便なところの被害額ほど、当然なことでございますが、おくれますので、そういうところの被害報告が追加されますと、この金額が当然ふえると思われますので、ことしどの程度災害復旧ないし災害関連に予備費が必要となるかという点につきましては、まだ的確な予測を立てることは困難でございますが、大体従来の経験値によりますと、被害額が百億円ありました場合に、初年度必要となる国費は二十億弱でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/56
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057・武藤山治
○武藤(山)委員 そうすると、百億の場合が初年度二十億、倍と見ても四十億、とすると、大蔵省が実際上予算措置をせねばならぬという額は、国家財政全体から見たらほんの少々だ、大体こう受け取って支障ないと思うわけですね。
そうすると、一千二百億の予備費のうち、災害で本年度中支出を必要とする額というのは、例年の額、四百億か四百五十億程度、この程度と見て、大体当たらずといえども遠からずでございますか、いかがでございましょう。
〔毛利委員長代理退席、渡辺(美)委員長代理
着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/57
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058・相沢英之
○相沢政府委員 例年、災害は夏以降が本格的なシーズンでございますので、まだことし、はたしてどの程度の被災額になるか、それこそ予測することは困難でございますが、今度の十勝沖地震災害による被害額が、ただいま先生がおっしゃいました程度の額であるといたしまして、かつまた、通常の風水害によるところの被害も例年程度であるということに相なりますれば、まあまあ過去の平均五百億程度におさまるのではないかというふうには思われますけれども、いまのところの段階では、なかなか予測は立てにくいと思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/58
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059・武藤山治
○武藤(山)委員 そういたしますと、三公社五現業の今度のベースアップの率ですね、この率をそのままかりに国家公務員の率に換算をした場合、今度の引き上げ率と同じ率で国家公務員の人事院勧告が出たと仮定した場合には、大体総額、予備費の中から出さねばならない額はどの程度想定されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/59
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060・相沢英之
○相沢政府委員 一般会計の負担となりますところの国家公務員及び地方職員の給与改定につきましての所要財源がどの程度になりますかは、もちろん今後予想されますところの人事院の……(武藤(山)委員「いや、ぼくは仮定で言っているんだ、三公社五現業と同じ率でという前提で、いま仮定を想定して聞いているんだよ」と呼ぶ)勧告いかんによるわけでございます。ただいま御質問の三公社五現業並みにやった場合に、どの程度の予備費の所要額になるか、ただいま手元には計算したものを持っておりませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/60
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061・武藤山治
○武藤(山)委員 いや、そんなことは頭の中であなたわかっているんだよ。この程度のことを主計局次長がわからぬなんて、それで主計局次長はつとまりませんよ。そうでなくても、一体総合予算主義が貫けるかどうかというのは、大蔵省主計局にとっては大問題なはずですよ。だから、人事院勧告が三公社五現業並みの場合には、幾ら必要とするか。かりに米価も、消費者米価をスライド制にした場合に、全然持ち出しがないとすれば総合予算主義が貫けるとか、こういう場合になったら貫けないとか、主計局自体は検討しておるわけでしょう、しておりませんか。行き当たりばったりで、そこのところへ行ったら考えようということですか。ぼくは日本の大蔵省主計局は、そんなものじゃないと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/61
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062・相沢英之
○相沢政府委員 三公社五現業の給与ベースアップがどの程度になるかということと、それから先ほど申し上げましたが、人事院の勧告がどの程度になるかということは、これは直接関係はございません。人事院勧告の基礎となりますところの国家公務員と民間の賃金との格差の問題にいたしましても、民間の賃金には、この三公社五現業の給与は入らないことになっております。(武藤(山)委員「民間はもっと高いよ、低いほうの側で言っているのだ」と呼ぶ)ですから、今後どういうふうに人事院勧告が出るか、だれも予測することは、なかなかこれはむずかしいと思います。したがいまして、私どもは、予測のつかないことを基礎にいたしまして、どの程度になるだろうかというような計算はまだやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/62
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063・武藤山治
○武藤(山)委員 今度は、相沢さんの感じでもいいですよ。感じを聞きますが、総合予算主義という主計局の打ち立てた構想、これは本年度は必ず貫ける、まだこういう確信の上に立って予算を執行しておる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/63
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064・相沢英之
○相沢政府委員 私ども事務当局といたしましても、そのような決意を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/64
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065・武藤山治
○武藤(山)委員 その決意はくずれずに通せるという確信をいまだ持っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/65
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066・相沢英之
○相沢政府委員 先ほどの答弁とも関連がございますが、今後異常な災害の発生等があります場合にも、なおかつこの千二百億円の予備費でまかなえるということは、あるいは困難であるかもしれませんけれども、通常の災害である場合ならば、当然私どもは、この補正なしという構想を貫くべきであろうと思いますし、そういう決意でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/66
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067・武藤山治
○武藤(山)委員 いまの最後のほうは、話をしておって、よくわからなかったのですが、私どもが心配しておるのは、総合予算主義だというので、ワクを、ばんと絶対額をはめられて、そのために災害も査定を非常にうるさくして、なるべく予備費の支出が少ないことを期待して、査定をされたりしやせぬか、あるいはまた、そういうワクがあるために、被害地の皆さんも市町村もたいへん心配をしておるのではないか。だから大蔵省としては、そういう決意なりそういう確信はあっても、実際に出さねばならぬ災害については、ばんばん出しますよ、そう心配したもうな、こういう答えを私はいただきたい、こういう希望から質問をしておるわけです。これは政務次官だな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/67
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068・倉成正
○倉成政府委員 達観して申しますと、総合予算主義は必ず貫けると確信をいたしております。しかし、総合予算主義をとるからといって、災害の金を出し惜しむということは絶対にいたしません。これはすでに大蔵大臣も本会議の席上で言明しておることでもございますし、災害については万般の対策を講ずる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/68
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069・武藤山治
○武藤(山)委員 第二に、主計局、去年金融引き締めに呼応して財政コントロールをしようというので三千億円の繰り延べをしましたね。その繰り延べは、具体的に四十三年度はどういう指示をされて、どういう使い方を大蔵省としては指導しているわけですか。全くそれはしないで、四十三年の四月一日からは、三千億については何も言わずに、そのまま継続事業で続けているものは使ってもよろしいという方針なんですか。これはどうなんですか。何か指示をしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/69
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070・相沢英之
○相沢政府委員 ただいまお話しの三千億円と申しますのは、一般会計のほか特別会計あるいは財政投融資の関連も含めてでございますが、四十三年度の予算の執行にあたりまして、四十二年度からの繰り延べ額につきましては、私どもは特別な指示はいたしておりません。したがいまして、その繰り延べ——四十二年度の予算としてその金額は事務上は繰り越しということになるわけでございますが、繰り越しの手続をとる場合におきまして、特に注文はつけていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/70
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071・武藤山治
○武藤(山)委員 そうすると、その場合には繰り越し明許は、全然そういう手続をとらずにそれぞれの下部機関で繰り越して使用しているのですか。それとも国会に正式に繰り越し明許として、一覧表として一般会計の分は一般会計、特別会計は特別会計の分でちゃんと手続をとるのですか、それとも三月一ぱいで使ってしまったわけですか、それとも全部四十三年度に繰り越しているわけですか。それはどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/71
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072・相沢英之
○相沢政府委員 繰り延べられました予算は、実際の処理といたしましては、その大部分がいわゆる明許繰り越しによる繰り越しとなるわけでございます。繰り越しには、この明許繰り越しによる繰り越しのほか、事故繰り越しによる繰り越しもございますが、そのいずれにいたしましても、これは例年どおり、それぞれ理由のあるものについて繰り越しの承認をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/72
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073・武藤山治
○武藤(山)委員 そうすると、今度の国会の繰り越し明許の項目の中に、景気調整分の繰り越しも全部明許としてほんとうに入っておりますか。いま繰り越し明許の書類を持ってこなかったから、ここでやれないわけなんですけれども、本来なら一々その項目にわたって、これは景気調整分の繰り越し、これは作業上からの繰り越しというように分けて聞かなければわからぬはずなんですが、その点はどうですか。あとでまた調べてから質問しますが、繰り越し明許をほんとうに出していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/73
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074・相沢英之
○相沢政府委員 四十二年度予算の繰り延べに伴う繰り越しは、これは四十二年度予算において指定されました繰り越し明許費の繰り越しでございますから、四十三年度予算書の上には特に何も書いてないわけでございます。しかし、繰り越し明許費は大体過去の例によりましてやっておりますから、四十二年度繰り越し明許費の対象として考えられておりました経費は、四十三年度予算におきましてももちろん繰り越し明許費になっております。
それからなお、四十二年度予算において実際に明許繰り越しされた経費のうち、繰り延べによるものとその他によるものとが分けられるかという御質問でございますが、これは実際問題としては区別はできないと思います。といいますのは、大体その程度の金額を、一般会計で申しますと四百八十九億でございましたか、四百八十九億の金額をめどといたしまして繰り延べをするように、中央において指示をしてやったわけでございますが、その上に、さらに実際の事務の執行上、たとえば検査の結果、地盤が軟弱であるとかあるいは設計の改定を必要とするとかいったような理由によって繰り越しを必要とするものも、同じく明許繰り越しによる繰り越しをいたしておりますものですから、それらが合わさって繰り越されておりますので、実際に繰り越したものについていずれの理由によるかということを峻別することはむずかしいのではないか、もちろん大体のところの区分けはつくかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/74
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075・武藤山治
○武藤(山)委員 今度四十二年度予算が通過をして早々、四月−六月の間の公共事業費を抑制するんだ、政府は、この四−六月の第一・四半期で、前年同期の一〇%ないし一五%、公共事業費の執行を減らせ、こういう指示をいたしたようでありますが、これは繰り越し明許の中に含まれている公共事業だけを一割から一割五分執行を見合わしておけという意味なんですか、その中身はどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/75
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076・相沢英之
○相沢政府委員 四十三年度の公共事業費は一兆七百億でございますが、予算現額といたしましては、これに四十二年度から繰り越された金額が加わるわけでございます。
それで、その四十三年度の予算の執行につきましては、現在の内外の経済情勢から判断いたしますと、特に財政執行の引き締めを追い打ち的にかける必要はない。しかしながら、これをゆるめていいという情勢ではないということで、私どもは、四十二年度からの繰り延べ額が相当あるというような点も考慮いたしまして、支払い計画の承認にあたりまして、特に四十三年度の上半期にその支出が片寄ることのないように、ひっくり返して申しますと、やや渋目に支払い計画をつけたらどうだろうかというような考え方で、公共事業の担当官庁でありますところの建設、農林、運輸等等の各省と話し合いで支払い計画をつけたわけでございます。特に一律に一定のパーセントの中に支払い計画をおさめるというようなことはやってはおりません。そういうことをやるとすれば、当然閣議決定なり了解なりでもってやるべきものでございますので、特に私どもとしては、そういう情勢でございますから、話し合いでこの程度にしたらどうだろうかということで支払い計画をつけたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/76
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077・武藤山治
○武藤(山)委員 しかし相沢さん、どうでしょう。大体、第一・四半期の公共事業費が一千百億程度の昨年度支出ベースですね。それの一割あるいは一割五分を一時三カ月間先へ延ばすというような措置、三カ月間に百億か百五十億ですね。そんな措置が一体景気調整に、あるいは何か具体的にほんとうに役に立っているんだろうかという疑問を私は持っているのです。単なる心理効果をねらっているんだといえばそれまでです。主計局は、金融引き締めはまだ解除しないんだぞ、日銀も、金融にばかりしわ寄せされては困る、財政も景気調整についてちっとは本腰を入れい、こういう要望が非常に強いから、そういう心理的効果をねらっている、こういうことなんですか。実際に効果があるのですか、この三カ月間に百億か百二、三十億抑制するということが。どうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/77
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078・相沢英之
○相沢政府委員 おっしゃるとおり、公共事業一兆円の中で一・四半期に百億か百五十億くらいどっちにくっつこうと、実際問題としてはたいしたことないんじゃないかという御意見でございますが、私もそう言われればそういう気もいたします。しかしながら、これは姿勢の問題でございますので、主計局として、大蔵省としてそういうような態度で公共事業の執行についても考えていくのだということをまあまああらわしているというところで、多少の意味もあろうかということであります。この措置によって何らか特にはっきりした政策を打ち出すというようなことでありますれば、当然これは閣議決定なり何なりにおいてこの趣旨を明らかにしてやるべきものだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/78
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079・武藤山治
○武藤(山)委員 閣議決定もせず、あるいはきらっとした省令にもせず、こういう行政的にやり得る範囲内でちょっぴりやったというのは、ほんの心理的な効果を考えるか姿勢をちょっと示したというにすぎない。もう一つは、国会が開会中で予算が通ったばっかりで繰り延べ三千億円なんということをやると、これはまた野党にたたかれて、それだったら初めから予算を縮小して出したらよかろうというようなことを言われやせぬかという心配、いろいろな配慮がおそらくあったのではなかろうかと思うのです。そういういろいろなこまかい配慮を財政当局がやって、景気調整にへの役にも立たぬようなこそくのことをやる必要があるのか。それだったら六月まで時期を見よう、そのかわり六月になっても、国際収支が改善されぬそうだ、どうもあぶないというときには思い切ってその段階でやろうという、そういう態度をとるべきであって、主計局としては、今回のこの措置はあまりいただけない、効果の薄い措置ではなかろうかという感じが私はするわけです。
そこで、今度は第一・四半期が済んでその次の期になると、従来の一〇%から一五%、さらに国際収支が改善されないという事情のときには、またそれと同じような繰り越し方法を考えるのですか。今度は、第二・四半期はこういう方法でいきましょう。これを一五%、同じパーセントだけれどもまた延ばしていく。それよりもパーセントをもっと上げて、今度は二〇%くらい締めて、日銀の政策と接近するように強力なものを考える。今後は一六月以降はどうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/79
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080・相沢英之
○相沢政府委員 支払い計画は、これは御案内のとおり毎四半期立てるものでございますので、第二・四半期の支払い計画は、これは六月一ぱいにつくるということになっております。まだ一カ月余りございます。今後の情勢の推移を見て第二・四半期の支払い計画をどういうふうにするかきめたいと思っておりますけれども、特にいまのところは新たにどういうふうにしようというようなはっきりした考え方は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/80
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081・武藤山治
○武藤(山)委員 きょうは村上主計局長を呼んで、実は日本の大番頭に聞かなければなかなか本音がわからないのでありまして、相沢さんにそういうこれからの見通しや国全体の金融政策とのからみ合いの問題を聞くのはちょっと無理だろうとは思うのです。しかし、私はあなたの才能を高く評価しておるので一応聞いてみたわけでありますが、どうも満足な答弁が得られないでほんとうに不満でありますが、いたし方ありません。い、ずれにしても、財政当局としては、景気調整に財政を使うという方法自体にもいろいろな議論があるところでありまして、あまりこそくな、その場だけの小細工で景気調整に協力しようという態度はやはり再検討すべきではなかろうかという感じがいたします。
限られた時間でいろいろ先へ進まねばなりませんから、財政問題については一応その程度にして、次に税制、税金問題で国税庁長官にちょっとお尋ねいたしますが、いままでショッキングな脱税事件というのが幾つかありましたね。ここ二、三年間でも代表的なのは森脇の脱税で、全国をにぎわした。その次は吹原事件で、吹原もかなりの脱税をしているといううわさで、これもショッキングなニュースでありました。しかし、ニュースにぱあっと出て、あとはもうどうなったのだかさっぱりわからない。そこできょうは、まず森脇の脱税問題についてはどんな処理がなされたのか、それから吹原の脱税問題についてはどうなったのか、そしてその課税額が完全に捕捉され、さらに納税も完了したのかどうか、この二つを先にお尋ねして、それから日通の脱税、日大の使途不明金、こういう問題に入っていきたいと思う。とりあえず、まず森協脱税と吹原問題の処理はどうなったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/81
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082・泉美之松
○泉説明員 森脇文庫の脱税につきましては、御承知のとおり法人税につきまして、本税が五十七億、加算税、延滞税を加えまして七十六億の課税をいたしました。そのうち約三十一億円の金額にのぼる収納を見ておりますが、なお残りの四十五億円程度は滞納になっておる状況でございます。それから森脇個人につきましても、本税一億六百万円のほかに、加算税、延滞税を加えまして二億五千八百万円の課税をいたしました。そのうち約二千万円余りが収納になっておりますが、なお二億三千万円余りが滞納になっておるのでございます。
それから、吹原産業の問題につきましては、これは実は森脇文庫のほうに貸し金の利子として払ってしまいましたので、利益は生じておらない、むしろ欠損になっております。したがって、課税の問題を生じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/82
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083・武藤山治
○武藤(山)委員 そうすると、この森脇脱税事件は、文庫の四億五千万円が未納、本人の二億三千万円が未納ということで、これは何か滞納処分で差し押えしている物件があるのですか、それともそういうものはなくて、訴訟で争っているので処分できない状況にあるのか、そのあと始末のほうの話はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/83
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084・泉美之松
○泉説明員 森脇文庫のほうの滞納税額は四十五億残っておるのであります。これにつきましては、この課税自体につきまして訴訟が提起されておりますが、われわれのほうといたしましては、この滞納整理のために滞納処分をいたしまして差し押えをいたしております。ただ、その差し押え物件につきまして、森脇文庫の所有物でないとかいうようなことで民事訴訟が十数件提起されておりまして、目下そういう所有関係につきまして訴訟で争っておる段階でございます。したがって、そういうことのために滞納処分を執行できない、一応差し押えたままで訴訟で争っておる、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/84
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085・武藤山治
○武藤(山)委員 次に、日通の事件も、あれだけの金の延べ棒の問題や別荘の問題やいろいろあるから、これは社長個人の脱税で認定賞与とみなされるもの、それから法人税のほうの、トンネルにして、一回資産になったものが横へ流れた場合の課税の問題として法人税の脱税もあるだろうし、この日通の脱税の問題だけに限ってみたら内容はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/85
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086・泉美之松
○泉説明員 いわゆる日通問題につきましては、御承知のとおり、私どものほうは、富士見ランド建設に関連いたしました子会社である大和造林が脱税をしておりますので、この大和造林を告発いたしたわけであります。その大和造林の取り調べから、日通に対して三億円ほどのリベートを支払っておる、そのリベートを受け取ったあとの処理がはなはだ不明確になっておる。ここで私どものほうの手だけでは処置できませんので、東京地検のほうと協力いたしまして、関係者について現在取り調べが行なわれておるという段階にあるのでございます。したがって、日通本社自体、並びにその社長はじめ重役、あるいは田村倫之輔という前管財課長、こういった人たちが横領した金額等につきまして、一部起訴された金額は判明いたしておりますけれども、なお、目下そういった金額について取り調べが行なわれておる段階にございます。
ただ、横領事件につきましては、御承知のとおり、いずれ横領した金額につきましては、本人に帰属しないで返還を命ぜられるというようなこと、あるいは日通自身が賠償請求をするということで取り戻される可能性がございますので、課税の関係からいたしますと、横領事犯につきましては、横領によって所得がふえたのだということで、課税はなかなか困難でございます。ただ、日通本社につきましては、まだ調査中でございますので、その内容を申し上げかねますけれども、リベートとして受け取った金がどういうふうに処理されたのか、その処理の内容によっては、日通自身の課税の問題も出てまいるかと思います。
それで過去に、現在までに横領として起訴されました金の延べ板の問題などにつきましては、実は三十八年三月期から四十年三月期までにおきまして、税務調査の結果、すでに使途不明金として八千六百万円の否認をいたしておるわけであります。そのうち、会社のほうでは、審美堂から時計その他のいろいろな貴金属を購入して、これを某方面に配った、その配った先は言えないということでありますので、使途不明金として損金を否認いたしまして課税をいたしておったわけであります。(武藤(山)委員「幾ら」と呼ぶ)八千六百万円の所得金額になるわけであります。ところが、その後地検の捜査によりますと、そのうちには金の延べ板を重役の間で配分したという金額が含まれておるようであります。したがって、使途不明金ではなくて内部留保された金額になってくる、こういうことでありますが、課税の数字自体としては変わってまいらないと思います。ただ、その後の地検の捜査によりますと、使途不明金として否認いたしました金額にやや不足する金額がありますので、これらにつきましては近く更正処理をいたしたい、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/86
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087・武藤山治
○武藤(山)委員 それからもう一つ、これも新聞の報道だけですから真疑のほどはわかりませんが、熱海へつくった社長の別荘ですね。あの何千万かの別荘をかりに個人名義にしてあって、社長のものになっている。これは会社の金でつくった。この場合は個人の認定賞与で課税するのですか、それともそれは会社のほうが出した金がもし落ちていれば、それを法人のほうの所得としてさらに課税をしていくのか、どっちにかけるのですか、別荘についての課税のしかたは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/87
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088・泉美之松
○泉説明員 別荘建築のためにはまず土地の取得の問題、それから建築費が幾らかかっておったかという点が問題になるわけでございます。会社のほうの経理が、実はそこのところが明確になっておりません。現在その点を取り調べ中でございますので、その取り調べの結果によって処理しなければならないわけでございますが、会社のほうの経理いかんによっては会社に課税しなければならない。それからまた、もしその別荘の取得が横領の中に入ってくるということになりますれば、先ほど申し上げましたように、横領として福島社長個人に課税するわけにはまいりかねますが、会社のほうの経理いかんによっては会社に課税をせざるを得ない、こういうことになろうかと思います。いずれにいたしましても、その点はなお取り調べの結果によらなければならないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/88
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089・武藤山治
○武藤(山)委員 それから、今度の日通問題で税金の面だけ考えた場合、五年以前に発生しておる脱税というものもかなりあるのではないだろうか、そういうものを全部考えてみると、今度のは氷山の一角にすぎない。五年以内のもあったような気もするわけでありますが、五年以前の脱税というものはなかったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/89
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090・泉美之松
○泉説明員 日本通運につきましては、私どもは特別調査官の特別調査の対象法人といたしまして、厳重な調査を従来続行いたしております。したがって、たとえば三十八年九月期でございますと、調査によって所得の増加額は五億四千万円にのぼる、こういうふうな金額が出ております。もっとも申告額自体が半期で四十億をこえるといったような非常に大きな所得のある法人でございますので、五億と申しましても申告額の約一割ちょっとにしかのぼらないのであります。しかし、そうした更正をずっと続けてまいっております。
したがって、今回の関係はそういった時期の後の事案でございます。したがって、過去の脱税分について取り漏れになっておるということは、もちろんさらに今後調査した上でないと十分申し上げかねますけれども、そうあるまいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/90
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091・武藤山治
○武藤(山)委員 これは証券局かな、主税局かな、これに関連しての公認会計士の問題は。——これは政務次官、こういう日通のような、三十八年に五億も更正を受ける、あるいはまた、今度のような国民全体に疑惑を与え、納税意欲を減退させるような、こういう経理を担当しておる公認会計士について、大蔵省はこのまま放置しておくのですか、これは何か処分をしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/91
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092・倉成正
○倉成政府委員 公認会計士のあり方については、われわれも日ごろからいろいろと検討しておるわけでありますけれども、やはりただいま武藤委員仰せのような大きな会社についての監査は、個人の公認会計士でやるというのは事実上非常にむずかしい。したがって、アメリカその他の制度にありますような監査法人の制度をできるだけ充実してまいりまして、この監査の適正を期したいと思っております。
また、監査について不適当でありました公認会計士については、公認会計士法に従って処分をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/92
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093・武藤山治
○武藤(山)委員 政務次官が公認会計士法に基づいて処分をしたいという明確な答えをいたしましたから、この問題はこれ以上お尋ねいたしませんが、しかるべく早急にひとつ御検討を希望しておきます。
それから国税庁長官、もう一つついでに脱税問題で、日大の問題で、日大の使途不明金二十億円、これもショッキングな報道が出たわけです。しかもあなたの部下である直税部長は、刑事訴追しない方針をきめた。事前にそういう言明を新聞報道に載るようにしゃべっている。何か国税庁としては「使途不明金二十億円、日本大学」とこう出しておいて、そして刑事訴追はしない方針であるということをぽこっと出したのですね。何でそんなことをするのですか。何か意図があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/93
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094・泉美之松
○泉説明員 日大につきましては、本年二月八日に大学本部と歯学部と医学部と芸術学部と商学部の各学部及び横浜学園と豊山学園の二高校につきまして源泉監査をいたしました。さらに三月二十二日に残りの法学部、経済学部、理工学部、農獣医学部、文理学部の各学部に対しまして源泉監査をいたしております。ただ、新聞その他雑誌に伝えられております内容にはかなり誇大なことが伝えられておるようでありまして、私どものほうで調べておるところでは、使途不明ではなくて使途が明確になっておるのでありますが、その使途が明確になっておるけれども、源泉徴収が漏れておるという金額がありますので、それらにつきまして現在調査を進めておる段階であります。現段階におきましてはまだその金額が幾らになるかということを申し上げるまでの段階に至っておりません。
いずれ調査を終了いたしました後に、その処分について検討しなければならないわけでございますが、何ぶんにも教育機関でありますし、また、学生に与える問題なども十分考慮いたしませんといけませんので、直税部長がどう申したか、雑誌にいろいろ書かれておるようでありますが、私どもといたしましては、別段そういうことを申しておるわけではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/94
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095・武藤山治
○武藤(山)委員 まだ申し上げられる段階でない。いつごろなら申し上げられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/95
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096・泉美之松
○泉説明員 まだ調査をいたしておるのでございまして、私どもとしましては、できるだけ早く調査を完結したい、こう思っておりますが、現在のところ調査がいつ完了するかということはちょっと申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/96
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097・武藤山治
○武藤(山)委員 あなたは正直な人ですが、たまにはうそを言いますから、確認をしたいのです。というのは、前に佐藤総理の場合も、必ずいつまでには調査をして報告しますからと言って、それを報告しなかったでしょう。ひとつうそを言われておるから私はいつごろかという確認をしているわけであります。
この問題で特に国税庁が調査したかどうかわかりませんが、日大の外郭団体の日本会というものに、どこから一体金が流れているのかも国税庁は調査したですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/97
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098・泉美之松
○泉説明員 現在源泉監査を実施しておりますのは日大本部並びに各学部及び高等学校でございます。お話しのように、日本会という会がございまして、これは社団法人になっておるようでありますが、これについては現在特に調査いたしておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/98
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099・武藤山治
○武藤(山)委員 その日本会なるものも、どうも調査をするとかなり脱税の疑いのあるものがたくさんあるような気がする。水田さんは日本会相談役、顧問には名をつらねておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/99
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100・水田三喜男
○水田国務大臣 日本会なんて知りませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/100
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101・武藤山治
○武藤(山)委員 この日本会は総裁が佐藤榮作、歴代の大蔵大臣がずらりと名を並べ、防衛庁の長官、あるいは自民党の幹事長経験者、こういう人たちが、ずらっと大ものが並んでいるのですよ。幸い水田大蔵大臣がその顧問に就任してないということは、国税庁としても調査しやすいと思うのです。ひとつ国税庁はこの際、学校であっても、いろいろ話を聞いてみると、まことにそれはもうワンマン経営、ずさんな金銭の出し入れ、ここにいろいろ資料もあるのでありますが、時間がありませんからやめますが、あなたがまだ発表できる段階でない。発表できる段階になったら、臨時国会で中身を少し突き合わせをしたいと思いますので、ひとつ厳重な調査を願いたいと思います。
大臣もお忙しいからだで恐縮ですから、大臣に質問を一、二申し上げて質問を終わりたいと思います。
最近の金融情勢を見ますと、いろいろな現象があらわれて、一体どういう方向に日本経済が進んでいくのだろうかと、国民大衆はいろいろな目で、しかも不安もあり、あるいは希望も持てる面もあり、あるいは全く暗中模索の面もあり、いろいろなむずかしい経済情勢が今日の段階だろうと思うのであります。そこで、日本の経済はこういう方向にこういうビジョンでこうなっていくのだ、こういうものをひとつ水田大蔵大臣からお聞かせを願いたい。
たとえば大型企業の合併の問題も出ている。ところが、金融引き締めで苦しんでいる。こういうときに、コールレートは今度はだいぶ上がってきた。月越しもので二銭五厘になろうとしている。いま二銭四厘、ついこの間歩積み・両建て問題を取り上げたときには一銭八厘、日銀総裁は一銭八厘のコールレートを維持します、これは日銀の政策として可能ですと言って豪語しておったのが、ついに二銭四厘にコールレートは上がってしまった。こういう引き締め下で、景気はどうも不景気になるのではないかと思われ、ところが、株のほうは景気がよくて一千五百円台をこえた。中小企業は、富士や八幡の合併あるいは王子三社の合併で、一体これから中小企業というのは国はどうしてくれるのだろうか、中小企業はばたばたと倒産をしている。一年間にこれをプールして数えるならば、一万件をこすであろうという倒産件数が実績として出ている。
一体、日本の財政をあずかる金融の最高の指導者である大蔵大臣は、国民にこれをどう理解させ、どう受けとめさせようと考えているのか。そうして日本の経済はこういう方向でこう行くのだという、短期間でけっこうだから、ここ二年くらいの見通しに立ってあなたのビジョンをひとつここで聞かしていただきたい、こう思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/101
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102・水田三喜男
○水田国務大臣 御承知のように、いま非常に経済がむずかしい時期でございますので、いまの経済で安心だということもできませんし、またさらに、楽観を許さない悲観すべきものだということもできない。問題は、いかにして早く日本経済におけるいわゆる国際収支の均衡化というものをはかるか、すべてはそこから、次のいま言われるようなビジョンにいたしましても、次の成長政策にいたしましても、やはりそこから出発いたしますので、したがって、昨年から今年にかけて私どもは予算の編成方針におきましても、金融政策においても、やはり国際収支の均衡回復ということを中心の政策として今日までやってきておるところでございますが、これは次第にいま効果が出てまいりまして、去年の十二月まではなかなかはっきりした効果が出てまいりませんでしたが、ようやく本年に入ってから、最近におきまして金利が上がってくる、そうして生産の上昇テンポもここで鈍ってまいりまして、卸売り物価もここで軟化してまいりました。したがって、在庫調整も開始されている段階であるというふうに私どもは考えております。
国際収支面を見ますと、貿易におきましては、特に輸出が非常に改善されてきておりまして、昨年の十月−十二月の季節調整後の黒字は月四千五百万ドルというようなところでございましたが、一月以後これは一億ドル以上になるようになりましたが、最近は昨年十−十二月の三倍以上の黒字を出すというところまで来ましたので、国際収支は明らかにその方向が明るくなってきておるということは確かでございますが、設備投資意欲というものがまだ相当底固いものがございますし、あわせて、海外情勢もございますから、いまこれは楽観する状態ではございませんが、国際収支の基調はようやく明るさを見せてきている。
こういう段階だと思いますので、いまの政策をゆるめないで、この方向を定着させるということをやりますと、一応今後の日本経済の飛躍の基礎がここで固められるというふうに考えますので、この次の成長政策というようなものは、いま調整下にありましても、十四兆の設備投資をしているというのが日本経済の特徴でございますから、これがうまく切り抜けられたら、この設備投資は今後の輸出の基礎として相当威力を発揮するものと思いますので、今後われわれが気をつけることは、やはり安定成長ということであろうと思います。したがって、これを基盤にして次の安定成長政策をどうとるかというのがこの次の政策である。それまで何をおいてもいまの国際収支の問題だけ片づけることが日本経済に与えられた至上命令だと思って、いま努力しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/102
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103・武藤山治
○武藤(山)委員 そこで、国際収支の改善のめどというものは、大体どういうラインに来た場合には所期の目的が果たせて、大体今度はこんな引き締めをしなくても、窓口規制もある程度緩和できるんだ、そういうめどはどういう想定を置いているんだというように国民に知らしめなければ、ただ、企業経営者の態度が最近好ましくなってきたとか、輸出が改善されてきて明るくなってきたという説明だけでは何かたよりにならない。たとえば、貿易収支が月々どの程度の黒字が何カ月間くらい続くならば、あるいは外貨準備高がどの程度安定的に維持されるという見通しがはっきりしてくれば、あるいは企業者の経営態度が、こういう態度がどう持続されれば、国際経済環境がどういうものが起こらない限りという与件がどうなればという、四つくらいの要因についてある程度の目安というものを定めて、この目安が実現した場合に政府は今日の引き締めというものを解除できるんだが、いまの段階はこうなんですよ、そういう具体的な、中身のある大臣の見解を聞かしてもらわないと、暗中模索じゃありませんか。国際金融局長、ちょっと来て手伝ってやってくれませんか。大臣、ちょっと聞かしてください。その四つの与件の中のどれがどう動いた場合、どういうところに行った場合には、金融緩和の方策に転換できるんだ、それを国民は聞きたがっているのです。
至上命令だから、国際収支を改善する。いいでしょう。それをやらなかったら、日本の経済自体が破壊されるのだからいいでしょう。しかし、それに耐えられない中小企業、きょうもいまどこかでつぶれている中小企業の立場になったら、いつまで一体この引き締めが続くんだろうか、コールレートが二銭五厘になって、雑金融機関の資金が都市銀行に吸い上げられたならば中小企業に金が来なくなるのではないか、いろいろな動きを心配して中小企業は見守っているわけであります。それに適切にこたえるための大臣の御答弁がなければ国民は安心できぬじゃありませんか。国際金融局長も手伝って、国際収支の改善、引き締めの緩和のためにはこういう情勢になればいいのだという、想定されたものをひとつ大臣から明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/103
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104・水田三喜男
○水田国務大臣 これは一応想定は持っておりますが、その想定が実現される可能性ということを考えると、非常にむずかしい問題がございます。たとえば、貿易収支ならば、いま言われていることでございますが、貿易収支だけで見たら一億八千万ドルの黒字が続くという状態であれば、一応いままで考えられるいろいろな資本収支の問題を考えても、やや均衡というところへいくだろうというようなめどは持っておりますが、かりにいまの状態で見ますと、貿易収支が一億八千万ドルの黒字を出しても、国際情勢のいろいろな変化から、資本収支の変化の予想というものがやはりむずかしいものが出ておりますので、そうしますと、それとの関連において、貿易収支が一億九千万ドルでないといかぬとかいいとかという、いろいろの問題が出てきますので、こういう各条件のからみ合いを見まして、ようやく均衡がここで定着しかかったということを判断できる瞬間において、私どもは、政策のいろいろな転換ということを考えてもいいというふうに考えております。その時期がいつかということをきょう現在判断するのは、まだちょっとむずかしいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/104
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105・武藤山治
○武藤(山)委員 私が言っているのは、いつ緩和の方向に転換できるかという時期を聞いているのではないのです。こういう条件、こういう条件、こういう条件がはっきり現象として見えるという段階が来れば解除できるのだ、そのためには、いまどういうように情勢が動いていて、また障害があるのか、そういう点を明らかにしろ、こう言っているわけですが、それは大体あなたには無理なんです。大蔵大臣は国際金融局長からのサゼスチョンでいろいろ答えているのでしょうからね。
国際金融局長に伺いますが、国際金融情勢から見て、この引き締めというものは、貿易収支が一億八千万ドル、一億九千万ドル黒字になって、それがかりに三カ月間続いたとして、そんな程度ではこの緩和というものはできないのだ。もう一つ、外貨準備というものはいま十九億ドルを割った。こういう状態で、かりに貿易収支が一億八、九千万ドル黒字になっても、外貨準備高がこの程度ではだめです。これがここまで上がらなければだめです。しかし、それをやっても、一億八千万ドルというものが三カ月かりに続いても、国際金融情勢から、結局短資の導入というものが困難を来たすかもわからぬ。国際金利の高騰によって短資が入ってこないかもしれないからなかなかこれは緩和はできませんよとか、いろいろな与件があると思うのです。そこで、緩和をさせ得られる四つの条件というものがこうなったときには緩和に転換できるのだという、そういうものを聞きたいのです。その見通しを国際金融局長は一体どんなぐあいに見通しておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/105
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106・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 ただいまの御質問はたいへんむずかしい御質問だと思います。
いま大臣から、貿易収支の黒字一億八千万ドルぐらいというようなことで一応目安を立てられた。これは、かつて日本銀行がそういうことを言っておりますが、これは、資本収支が安定しているとか、国際情勢が安定しているとか、いろいろな要素を求めてそういう計算が昨年できたのであります。今日の貿易上から申しますれば、一億八千万ドルは当然二億ドルぐらいに増加したいと思うのであります。しかし、むしろ問題は、一億八千万とか二億ドルとかいう数字は、これによってようやく国際収支が均衡するということを期待する数字でありまして、私ども事務当局としましては、むしろこれから黒字基調に持っていき、外貨準備の積み増しを考えなければならぬ時期が来ていると考えます。
外貨準備の問題になりますと、幾らがいいか。二十億ドルがいいか、三十億ドルがいいか、これは理論的に判断するには非常にむずかしい問題でございますが、少なくとも二十億ドルよりかなり上回った数字を目標にしなければならぬということは確かにいえると思います。しかし、外貨準備の数字だけでも判断しかねる。これはもう一つは、いま武藤委員から御質問がありました、短期資本の問題でございます。日本は昨年の赤字にどうやって対処するかといえば、外貨準備の減少を避け、主として短期外資を入れてバランスをとる、そういう状態でございますので、これからはやはり為替銀行のポジション、日本の対外ポジション全般の改善ということも考えなければなりません。
それから、さらに世界情勢の問題でございますが、これは貿易収支の黒字が相当程度持続し、外貨準備も積み増しができて、それから短期資本の問題も不安がなくなるというときに、世界貿易がどういうふうに発展するかということもあわせて考える必要があるのではないか。その点になりますと、今年度の下期以降の世界の動きというものは非常に見通しにくい。これは武藤委員御存じのとおり、たいへん国際通貨の不安の問題もございますし、それから、それに関連して、各国が国内体制を締めていくということ、特にアメリカ、イギリス、カナダ等が締めることに伴う世界経済のスローダウンという問題もある。この点をどういうふうに見きわめるか。
いろいろ考えてまいりますと、考慮すべき要因がたくさんあると思います。それを全部総合して、これなら大体、日本経済の黒字基調ができるという見通しがつく時期が参りますれば、当然国内経済の中においてもいろいろな措置も考えられるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/106
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107・武藤山治
○武藤(山)委員 もう毛利理事が盛んにやめろやめろと言うからやめますけれども、大臣、最後に、金を十四トン外国から買う、こういう予算ができているわけですが、こういう金の情勢でも政府は十四トンの金は必ず確保しますか。これはわかっておるなら大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/107
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108・水田三喜男
○水田国務大臣 予備費もあることでございますし、いまの情勢では十四トン買うことは可能であるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/108
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109・武藤山治
○武藤(山)委員 国際金融局長、その十四トンはいつごろどこの市場で買おうとしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/109
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110・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 これは最も有利な市場で、市場の推移を見ながら買いたいと思います。いつどこでどう買っていくかということは、申し上げるのは差し控えたいと存じますけれども、すでに購入を始めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/110
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111・武藤山治
○武藤(山)委員 そうすると、特別会計では六十五億円ばかりしか計上してない。金の値段は上がっている。そうすると、単価が上がっているから、十四トンはあの予算では買えないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/111
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112・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 予算は一オンス三十五ドルということで組んでございます。したがいまして、値上がり分につきましてどうしても予算の手当てが要るかと存じます。これは予備費が組んでございますので、大体予備費を使えば十四トンの金は買えるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/112
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113・武藤山治
○武藤(山)委員 一オンス何ドルで買う予定ですか。大体いま着々もう買い付けば始まっていると言うんだから、値段はわかっているはずだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/113
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114・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 政府が買います金は、市場で買いますので、市場価格で買っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/114
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115・武藤山治
○武藤(山)委員 市場価格はいま一オンス四十二ドルにもなってきたでしょう。これはもうとても買えないでしょうね。
まあいずれにしても、私はこれで約束だからやめますけれども、この問題については、日本の経済あるいは財政上にもいろいろな影響があるわけですが、ひとつこういう問題についてはぜひ次回に、大臣がゆっくり時間をとれると思いますので、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/115
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116・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/116
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117・渡辺美智雄
○渡辺(美)委員長代理 速記を始めて。
本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。
午後一時二十七分休憩
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午後二時二十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/117
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118・毛利松平
○毛利委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とデンマーク王国との間の条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/118
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119・村山喜一
○村山(喜)委員 このデンマーク王国との条約の実施に伴う特例等の法律案に関しましてお尋ねをいたしてまいりますが、いま租税条約が結ばれている国はどういう状態になっているのか、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/119
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120・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 わが国が戦後二重課税防止のための租税条約を結びましたのは、現在までに十八カ国でございます。そのうち十カ国がいわば先進国といわれるものでございます。あと八つが開発途上国に属するものでございます。先進国では、日本と経済的関係の多いアメリカ、西ドイツ、フランス、イギリス、カナダ等をはじめといたしまして、その他北欧三国、ベルギー、オーストリア、この十カ国になっておりまして、開発途上国といたしまして、パキスタン、インド、シンガポール、タイ、マラヤ、ブラジル、セイロン、ニュージーランド、この八カ国になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/120
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121・村山喜一
○村山(喜)委員 あなたのところからもらったのでは締約国は十六か国となっていますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/121
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122・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま申し上げましたのは、条約を締結いたしまして署名が済んだものを申し上げましたが、そのうちベルギーとセイロンは、批准の交換がまだ済んでおりませんので発効には至っておりませんが、条約内容は確定をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/122
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123・村山喜一
○村山(喜)委員 世界百十七カ国ですか、日本の貿易相手国はその中で幾つあるのですか。——あとでお答えいただいてけっこうですが、百十七カ国あるのに十六カ国とだけしか条約が協定発効済みの状態にないという、これは私は非常におくれていると思うのですが、どういうふうにお考えになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/123
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124・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この二重課税の防止条約は、御承知のように第一次大戦後に国際連盟がモデル条約をつくりまして、それ以来だんだん進んでまいりましたが、わが国では戦前は船舶の二重課税排除のいわば部分的な条約だけを持っておりまして、全面的な所得税、法人税等のいわゆる所得に対する二重課税排除の条約を始めましたのは、昭和二十八年のアメリカが最初でございます。そういう点から申しますと、かなり日本は勉強しておるほうではないかと思います。先進諸国でもアメリカ、イギリス等は非常に多くやっておりますけれども、それほど多く租税条約ができておるわけではございませんで、そういう関係でOECDでも一つの条約のモデルをつくりまして、それで今後先進国間はお互いに条約を推進していくようにというふうにいたしております。わが国も十八でございますけれども、なお現在も条約交渉進行中のものが十近くございます。この両三年中にかなり主要国とは締結できるようになるかと思います。それほどおくれておるものでもないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/124
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125・村山喜一
○村山(喜)委員 おくれていないとおっしゃるわけですか。私はこの国をながめてみまして、日本の貿易構造の上から最近ウエートが非常に高まってまいりました東南アジアなりあるいは日本の近隣の国々との間には、まだそういうような租税条約が結ばれていない状態にあるということから考えてまいりますると、これは立ちおくれておるんじゃないかと思ったのです。ところが、あなたの説明を聞くと、いや、たいしたことはないんだ、これはおくれていないんだ、努力をしているんだというようなことでございます。私はやはり条約締結はあなたの分野ではなくて、これは外務省になろうかと思うのですが、それは違いますか。
そういう立場から、昨年の十月の二十四日ですか、韓国、フィリピン、それから台湾の国民政府、オーストラリア、こういうような国々との間に租税条約の締結を急ぐ、政府はそういうような方針をきめたという記事も出ておりました。なお、佐藤総理が東南アジアの国々に行かれましたあと、十月の十三日にはオーストラリアの首相との間で、来年の春には租税条約についての交渉をしようじゃないかというような取りきめもされたやに聞くのでございますが、それらの国々との間において今日その条約の締結がどういうふうに進められているのか、説明をお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/125
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126・金沢正雄
○金沢説明員 お答え申し上げます。
いま御指摘のございました韓国、フィリピン、オーストラリア、中華民国、この四カ国につきましては、現在租税交渉の進捗中であるということが申し上げられると思います。
一つ一つの国について申し上げますと、韓国につきましては、昨年の五月と十月に予備交渉が行なわれまして、五月にわがほうの条約案が提出されております。先方はそれを検討いたしまして、本年一月に東京で局長レベルの交渉が行なわれたわけでございますが、まだ交渉は進捗中だ、こういう段階でございまして、まだ今後話し合いが何回かにわたって行なわれるということが予想される状況でございます。
フィリピンにつきましては、昨年の二月にわがほうの協定案をやはりフィリピン政府に提示いたしまして、その後フィリピン政府はこれを検討中でございましたが、本年の三月にフィリピンの大蔵次官を長とする交渉団が参りまして、東京におきまして話し合いが行なわれました。これも一回の話し合いではまだ妥結するというような状況ではございませんので、今後何回かの話し合いを経て妥結に至る、こういう段階ではないかと思います。
中華民国につきましては、昨年の六月に租税交渉についての話し合いを行なおうということをわがほうから申し入れまして、先方からそれに応諾する回答がございました。その後昨年の秋にわがほうの案を提示いたしまして、先方は目下これを検討中だということでございまして、これにつきましては話し合いがまだ行なわれておらない、先方の検討の結果を待って話し合いが行なわれる、こういう状況でございます。
オーストラリアにつきましては、昨年の十月佐藤総理が訪問されましたときに、租税協定の交渉の開始について強い希望を表明されました。その結果、本年の二月に第一次の交渉がキャンベラで行なわれたわけでございます。その後、条文整理のために交渉を一時中断いたしておりますが、豪州側は七月ごろにでも代表団を東京に派遣する用意があるということを、希望を表明いたしておりますので、そのころに交渉が行なわれるということでわがほうは現在準備をしておる、大体こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/126
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127・村山喜一
○村山(喜)委員 日本の貿易の上から見まして、あるいは企業の進出といいますか資本進出等に伴いまして、日本の国がここ二、三年来の間に先進国の形態に変わってきた。そういうようなところから、後進地域といいますか、発展途上国に対する申し入れはこちらのほうからしましても、そこに発展途上国は発展途上国の一つの利益というものを考えるわけでございますから、なかなか締結についてはむずかしい点があろうかと思いますが、それにしてもわずかに十六カ国しかこういうような締結をされた状態にないというのは、これはやはりそれだけ立ちおくれておるのだ、十分な整備が行なわれていないのだというふうに私は考えるわけでありますが、倉成政務次官はそれに対してどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/127
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128・倉成正
○倉成政府委員 御指摘の点は確かにあると思います。ただ、先進国の場合には租税体系が大体整っておりますから、わりあい交渉はしやすい。しかし、発展途上国におきましては、租税体系が必ずしも十分整っていないということで、課税上のいろいろな紛争がある。そういうような問題もありますので、やはり租税条約締結にはいろいろな難点があろうかと思います。しかし、先ほど御指摘のように、東南アジアの諸国、ビルマであるとかインドネシアであるとかいう国々については、できるだけ早く租税交渉を進めていきたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/128
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129・村山喜一
○村山(喜)委員 インドネシア等に対しましては、いま商工委員会で経済協力の基金法をめぐりまして、盛んに総理大臣まで出席をして質疑が行なわれている。ことし四百四十億円の基金の中で、新聞によるとインドネシアに対して三百四十億円くらいまでは供与しようというような上積みも考えておるように伝えているわけであります。そういうような場合に、こういうような外交問題でございますから、租税条約の締結を同時に進めていくというような方式はとれないものか。台湾に対しても前に円借款等を供与した場合があるのです。韓国に対しましても同じように経済援助をやっている。そういうような場合に、日本のナショナルインタレストを求めていく場合には、一面においては近代的なそういうOECDのモデル条約に従うような形の中で推進をしていくという方式をとるべきではないか。それはそれ、これはこれということで、私は切り離した形で外交が進められているように見受けるわけでありますが、そういうことはないのですか。そういうような経済援助をする場合には、このような問題についても前向きで対処をさせるというような取り組みをされているものなのかどうか、その点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/129
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130・金沢正雄
○金沢説明員 インドネシアにつきましては、御承知のように経済協力の問題があるわけがございまして、おっしゃいましたように、そういう問題とそれから租税交渉というような問題はできる限り関係のあるような形で交渉を行なうことができましたら、これは一番望ましい形ではないかと考えております。ただ、何ぶんインドネシアは、いまのところまだ税制が非常に安定いたしておりませんので、その点は時期を見て交渉を申し入れたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/130
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131・村山喜一
○村山(喜)委員 すでに締結をされましたパキスタンなりあるいはインド、タイですか、これらの国々の間には船舶条約の規定がないのはパキスタンだ、それからインド、タイについても課税の半額しか源泉地国の軽減措置がとられていない、こういうようなふうに聞くのでありますが、今度のデンマークの場合はこれはどういうふうになっていますか。
なお、それらのパキスタンなりインドなりタイというものが、そういうような源泉地国のほうに有利なような形の中で条約が締結をされているということは、これは今後、いま交渉を進めている韓国なり、あるいはフィリピンなり、あるいは中華民国なり、オーストラリアとの間における交渉において、そういう同じような発展途上にある国にとっては、それに右へならえをするようなことにはならないかどうか、その点について懸念はないかどうかを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/131
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132・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、デンマークの条約は船舶、航空機について免税、課税を排除しておりますけれども、インド、パキスタン等におきましては、この両国とも船舶の数がきわめて少ないわけでございまして、いわば日本からの船舶、日本から参ります船舶だけであるというようなことから、一方的に税を軽減する結果になるというのが先方の主張でございます。この租税条約でございますけれども、OECDのモデル条約などの考え方になりますと、先進国同士はお互いに交流をしておる、したがいまして、国の取り分という問題よりも、二重課税が生じて企業の自由な活動ができない点を特に排除しようという考え方でございますので、あまり国益でがんばるということがないのでございますが、開発途上国は、何と申しましても先進国からの企業であるとか、あるいは先進国との交易によって税を取得している面が強いものでございますので、一挙にそれを全部同じ条件でやらせようといたしますと、実際上はなかなか条約が締結できないというのが実情でございます。しかし、ほかの面で何らか二重課税排除の目的を達するならば、ある程度の不十分な点は残しても、できる部分だけ考えてやっていくということも必要ではないかということで、開発途上国につきましてはかなり違ったタイプがとられてきているのが実情でございます。たとえば利子所得の制限税率にいたしましても、どうしてもそれを譲らない国についてはその条項をはずしまして、それについては国内法どおりというようなことで、しかし全体として見れば、条約がない場合よりもより進歩した形の課税関係はできるということを目途としてやっていかなければならないのが、現在の開発途上国との間の条約の実情であるかと思います。
もちろん御指摘のように、それが連鎖反応を起こしまして、あとでそれがいろいろ指摘をされるということもこれは事実でございますけれども、現在の各国の経済条件の相違等を考えますと、一律の条約、たとえばOECDのモデル条約を押しつけるということはちょっと無理なように思うわけでございます。現に、わが国もOECDのモデル条約については若干の点を留保しているような次第でございますので、できるだけその当該国としてできる限度まで説得をしていい条約をつくっていくように努力いたしておるわけでございますが、それぞれの国によって若干の相違ができるのはやむを得ないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/132
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133・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、日本の税法は、外国人、外国税の税額控除方式ですか、何かそういうような方式をとってやっている。ところが、免除方式をとっている国々との間の組み合わせの問題なりあるいはそれとの比較対照の問題が具体的には出てくるわけだろうと思うのですが、日本の立場からいえば、租税条約の有無にかかわらず、この二重課税の救済は国内法において措置がされている。しかし、外国のほかの国が免除方式あるいは混合方式をとっているので、だから条約を締結をしなければならない、こういうことになろうかと思うのですが、その場合にいま進めておいでになります韓国なりあるいはフィリピン、中華民国あるいはオーストラリア、これらの国々との間の交渉の中で一番問題になっているのは一体何でしょう。特に韓国の場合等は、だいぶ日本の在韓商社に対しまして課税を強化するというような動き等が過去においてあったようでございますが、六四年度分については千六百二十万円しか課税がされていなかったのに、六五年度分の課税については百十倍、十八億円も要求をしてきた。こういうような問題は、いわゆる税法上は卸売り業のような形で税率を上げ、そして課税をしてきた。ところが、法的な立場からいえば、ブローカーのような仕事しか商社活動としてはしていない。そういうような実態にあるにもかかわらず、それを税制上は卸売り業として認めて課税を強化してきた。そこに原因があるのだというようなことを新聞で伝えておりましたが、これらの問題についてはどういうところまでいま話が進んだのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/133
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134・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この租税条約を締結いたします場合に、相互に国内法が違っております。わが国におきましても、国内法の外国法人に対するあるいは外国の居住者に対する課税規定は相当きびしくなっておりますが、租税条約を締結する際にそれを緩和していくという形になっております。これは何しろ相手国というものがいかなる税を課するかわからないわけでありますから、国内法を制定する場合にはどうしても相当取り込み過ぎるといいますか、課税権を広げるような形で制定するのが普通でございますので、そこでどうしても租税条約というものをつくって、お互いの国内法を調整するということが必要になると思います。国内法をつくった以上、他国としてこれに対して文句は言えない。平等な規定であれば、差別をしてない税法であれば、これはどうにも文句は本来言えないはずでございます。したがって、韓国の場合も課税の内容がかなりきつ過ぎる。あるいは実際の課税の際に所得の認定などをやっておりますが、その認定はできるだけ排除して実査をやってもらう、実際の帳簿調査をやって、実際に基づいて課税をしていくのが適正ではないかというような交渉を、条約を締結するまでの間にもいろいろ進めておりまして、韓国側も了承いたしまして、この三月にはかなりの数の商社について実査と申しますか、帳簿の検査をした上で決定をいたしまして、それに基づいて認定課税の率等も引き下げるという努力をいたしております。
しかし、いま申されたような卸売り商を適用するかどうかといったような問題とか、こういう問題につきましては、かなり国内法を調整する意味で租税条約をつくっていくということが必要ではないかと思うので、その点から再三私どもとしては、租税条約の締結を急いでいる、何回も督促をしながら先方の出方を待っているわけでございますが、何しろ韓国はまだどこの国とも租税条約を結んだ経験がないわけであります。そのために課税当局としてもかなりティミッドでありまして、こちらもいわばじっくり腰を据えて交渉していくよりしようがないのじゃなかろうか、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/134
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135・村山喜一
○村山(喜)委員 あれは韓国の法廷に持ち出されてトラブルが起こって、たしか六二、三年度分ですか、課税を言い渡されて、それに商社が従ったことがありましたね。十八億のほうはその後どうなったんですか。これは話がついたんですか、つかないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/135
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136・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 すでに課税になった分につきましては、認定その他課税内容について確定をいたしておりますが、その後の課税につきましては、認定率が三分の一ぐらいに下がっておりまして、実際に近い、なお高いかもしれませんが、かなり緩和した課税をお願いしてまいっておりますし、そのうちの数商社については実際の所得計算をやって、実際のところに基づいて課税をやっております。その分について、その課税された結果を所得率として計算いたしますとなお低いので、より今後実査の社数をふやしていくようにということで、いろいろ交渉を進めております。先方もその方向で努力をいたしておりますので、今後かなり改善されるものと私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/136
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137・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、韓国との間の見通しはいつごろになる見通しでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/137
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138・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいまのところ、先方と外交ルートでいろいろ折衝いたしておりますが、八月の日韓閣僚会議には重要なポイントをきめて、それに基づいて早急に条約を固めたいというのが先方の意向で、かなり当方のペースに近くなってまいっておりますが、その前にできるだけ予備交渉を進めるように、現在いろいろと申し入れをしている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/138
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139・村山喜一
○村山(喜)委員 フィリピンの国会では、マニラにある日本商社に対しまして、日本とフィリピンとの間の通商航海条約の批准ができていない中において商社活動をするとはけしからぬという問題、たしかマニラの市長がそれを禁止した、そういうような記事等が出ておるわけですが、フィリピンの国会がなぜ通商航海条約の批准に難色を示しているか、その後あの問題はどういうような発展の方向をたどっているのか、ひとつ説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/139
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140・金沢正雄
○金沢説明員 フィリピンにつきまして、お尋ねの点は二点伺ったと思いますが、通商航海条約の批准の問題につきましては、この条約は一九六〇年に署名をされまして、わが国におきましてはその翌年の六一年に批准をされたわけでございますが、フィリピンはその後ずっと批准をしていないわけでございます。これにつきましては、通商航海条約というものはフィリピンはほかの国とはどこも結んではおりませんので、そういう初めての通商航海条約を結ぶということに対する不安な気持ちというものがやはりありまして、特に日本の実業界の進出によってフィリピンの経済が脅かされないか、こういう心配があるものでございますから、そこで、現大統領が就任いたしましてそのあとで、そういうふうな日本の、あるいは日本に限りませんで、外国の企業が進出してきてもフィリピンの企業が何ら悪影響を受けないような、いわばその保護のための国内法をつくりまして、それがフィリピンの議会を通った暁に日比通商航海条約を批准しよう、こういうことにフィリピン政府できめたわけであります。これは国内産業保護のための六法案がありまして、そのうちの三法案は昨年までにフィリピンの議会を通過しておりますが、残りの三法案はまだ通過していない、こういう状況でございます。フィリピンの議会は通常一月の初めに会期が始まりまして本年五月の十六日に会期が終わったわけでございますが、これはその後また会期が延長されております。それで、その延長された会期において残りの三法案が可決されますれば通商航海条約の批准という、そういう運びにもなるのじゃないかと思っております。そういうわけで現在は通商航海条約は批准はされておりません。
それから、第二の御質問のマニラの市長の許可取り消しの問題でございます。これにつきましては、マニラの市長が日本の商社の事業活動に対する許可を取り消したということは、これはフィリピンの法律に違反するという意見がフィリピンの法務大臣からマルコス大統領に提出されたようでございます。それに従いまして、マルコス大統領はマニラの市長のとった行政措置を取り消す、こういう方向に出る、それによって問題は一応解決される、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/140
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141・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、その見通しとしてはマルコス大統領の取り消し処分によって解決する、こういうふうに見て間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/141
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142・金沢正雄
○金沢説明員 そう見て間違いないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/142
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143・村山喜一
○村山(喜)委員 この問題に関連をいたしまして、オーストラリアのいわゆる日本の日産、トヨタ自動車等のダンピング輸出の問題に関連をいたしまして、日本の国内価格とFOB価格との開きがあり過ぎるので、それについての価格を引き上げて日本に完成車を輸出させるべきだ、こういうような申し入れがあって、日本側はこれに対してまあしかたがなかろうということで折り合いがついた。ところが、そういうふうになっていくと、日本の国の完成車の輸出は非常に困難になる、だから現地における組み立て方式といいますか、そういうような形で豪州との間の貿易は進めなければならないであろう、こういうようなこと等が新聞等で伝えられております。これらの問題は、私はやはり豪州と日本との貿易の今日の状態を考えてまいりますると、日本の輸出量のほうが少なくて豪州から入れるほうが非常に多いわけですね。八対三の割合です。八億ドルもオーストラリアから購入をし、日本は三億ドルしか輸出していないのに、向こうのほうからそういうような形で言われて、そして日本のほうがそれに従っていった。こういうことになってまいりますると、これは日本の国内の商取引の実態というものもさることながら、それによって今後いろいろな面における影響が出てくるのではなかろうかと思うのでありますが、これについてはその他の国に対する影響というものは出てこないのかどうかですね。
これらの問題に関連をいたしまして、この関税とそれから輸入諸掛かりと合わせてそれが一つのコストになるわけですが、それによって販売をする、それから生まれる利益というものに対して国内法において課税する。そういうような場合に、この関税を一〇%引き上げさせるというようなことを認めた場合には、勢い私は租税との関係、利潤に対して課税が国内法においてなされるわけでありますから、そういうようなものに関係をしてくると思うのでありますが、それらの問題と、いまオーストラリアとの間における租税条約を進めておいでになりますその問題との関連性は一体どういうふうになっているのであろうか、その点について説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/143
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144・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この問題はいずれあとから説明があるかと思うのですが、むしろ高くされることによって輸出が困難になるかどうかという問題でございますけれども、租税条約自体としてはそういう形で所得が得られようが、またそうでない場合でも課税問題についてはそう大差はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/144
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145・村山喜一
○村山(喜)委員 こういうようなことがあるのじゃないですか、吉國さん。いままでは完成車を輸出をしていた。そこで日産なりあるいはトヨタなりの現地における支店なり出張所なり販売店というものが商社活動をしておった。そこから得られる当該国における所得に対して課税がされておった。ところが、今度はそういうような形でなしに、オーストラリアのいわゆる自動車の国産化計画というものにのっとって、現地における組み立てを中心にする販売方式というものに切りかえていく。そうなれば現地における合弁会社というのですか、そのような形、現地法人というものが生まれてくる。したがって、その現地法人に対して課税をしていくという方式において変わってくるわけでしょう。そのような形になったら、そこにはやはり租税条約上との関係が当然出てくるのじゃないですか。そういうような面から私はお尋ねをしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/145
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146・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 企業進出の形として、完成品の輸出という形で商社活動をするか、あるいは先方に現地企業をつくって生産活動をするか、これはそれぞれ企業の選択の問題であると思いますが、その結果として、課税関係は、前の場合であればオーストラリア源泉の所得は商業上の利得という形になりますが、あとの形になりますと、その現地企業からの日本に対する投資所得の形になる。現地企業としては現地で工業所得が生ずるという形になってまいります。その場合、国の取り分がどうなるかという問題になりますと、どの程度の内地に対する配当をするか、あるいは利子に対する支払いをするかでいろいろ違ってまいると思いますので、その点どちらが国に対していいかという点はちょっとわかりかねますけれども、企業の形態としてはそれぞれ得失があるのじゃなかろうかという感じがいたしますが、ただ仰せのとおり、そういうことをやって一方的な選択をしいられることはやはりそこに問題があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/146
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147・村山喜一
○村山(喜)委員 この自動車輸出の問題は通産省の問題だろうと思いますので、そちらのほうからひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/147
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148・荘清
○荘説明員 まず、今回の豪州向けの自動車の問題につきまして、豪州政府の基本的な態度について申し上げたいと思いますが、会議の劈頭にも豪州政府の関税省の責任者が日本側のメーカーに対しまして述べたところでございますが、豪州政府としては、日本が豪州に対して乗用車のダンピングをしておるというふうなことを考えておるわけては毛頭ないということをはっきり申しております。それから、いわんや日本の乗用車をうんと価格を引き上げさせて豪州から締め出そう、そういうような考えで今回の会合を要請したわけでは毛頭ないということも申しております。
それで、豪州政府としても、ただいま先生から御指摘のございましたとおり、日本が豪州から見まして最大の輸出国になっておりまして、片や日本からの豪州の輸入は相対的に少のうございまして片貿易になっておるし、日豪の貿易関係というものは豪州にとって切っても切れない関係にあるということは先方もよく認識しておりまして、今回の話し合いもそういう立場に立って、日豪の友好関係というものをあくまで尊重しながら行ないたいということを冒頭に申し述べた次第でございます。
ただ、豪州政府としては、豪州に入ってまいります商品について豪州の関税法の規定がございまして、非常にむずかしい規定があるわけでございますが、その規定の解釈、運用の問題として、現在の日本からの乗用車の輸出価格というものがその法律にぴったりいっておるだろうかどうかという点が若干問題だと思うので、その点についてお互いによく事情を述べ合って、双方互いに納得のいく線を求めるように話し合いをしてもらいたいと思うのだが、協力してもらえないか、こういう姿勢でございまして、日本側の業界もそういう意味の話し合いならばこれは応ぜざるを得ないであろう、応じてもよかろうということで会議に入ったという、そういう次第でございます。
それから結果におきましては、新聞等にも報ぜられたと思いますが、ある程度日本の乗用車のFOB価格の引き上げを日本側の手で業界が自主的に行なうという形で実行されることになってまいったわけでございますが、第三国にこれが悪影響を与えないかという点につきましては、日本の輸出価格がこれこれの車はこれだけの値段になっておる、これがどれだけ上がるのだというふうな立ち入ったことは豪州政府としても今後とも一切外には出さない、たとえ外国から今度の会談の模様について詳しい問い合わせがあっても、これは日本と豪州との間の話し合いだ、友好的な話し合いで解決したことだから、そういうことは第三国に責任を持って絶対に言わないということも約束しております。したがいまして、いままでのところ、第三国市場におきまして、何か日本の乗用車の価格問題について新しく政府とか国内業界等で問題が取り上げられておるという要素は全然ないようでございます。したがいまして、第三国向けの輸出について何か影響が出てくるということはまずまず心配ないのではあるまいか、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/148
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149・村山喜一
○村山(喜)委員 今日、日本の商慣習というものと向こうの販売形態というものが違っておるというところから生じた問題だと私は思うのであります。そこで私たちも、いまメーカーがディーラーに対しまして販売奨励金という形で資金援助あるいは経営援助、金融のめんどうから何からすべてを見ているという形の中で、卸売り価格と小売り価格との間に三割くらいの開きがある。そういうような形で最終末端の消費者が自動車を購入せざるを得ないような形態というものは、これは正常な姿ではないと思うのであります。割賦販売規制法の強化等がはかられる中で、やはり日本の商慣習というものを国際的なものに合わせていかなければならないことを一面においてこの問題が教えているものだと私は思うわけです。
それと、いま私が自動車の問題をなぜ取り上げたかといいますと、デンマークとの間における現地法人関係を見てみると、トヨタ自動車の駐在員事務所というようなものがデンマークにあるということですね。そういうようなことでデンマークのほうにも日本の自動車がこれから相当輸出をされる。そういうような現地法人に対する課税の問題等にも関連をしてまいりますので、この関税価格、FOB価格を一〇%引き上げて輸出をするという形をとったということが、他の国に対する影響があらわれてくるのではないかという点も心配をいたしましたので私はお尋ねをしたわけですが、やはり現在の輸出入の状態から見てまいりますと、どうも日本側の腰が弱いのではないかという印象をぬぐい切れないと思うのです。まあ、他に影響は与えない見通しだということでございますから、これ以上は追及をいたしませんけれども、しかし、これらの問題については今後においても起こり得る問題だと思いますので、一日も早くそういうような近代的なシステムに流通構造というものを変えていただきたい、この点を要望申し上げておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/149
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150・本田早苗
○本田説明員 ただいま村山先生から国内の自動車の現金正価と実際の取引価格において問題があるのではないか。具体的には、販売奨励金その他中古車の下取り等の点でいろいろ実態的に現金正価と離れた価格の取引があるのではないか、こういう点について是正を要するのではないかという御指摘であろうと思いますが、この点につきましては、御指摘のとおり今後の取引につきましても注意を要する点だと思いますので、至急われわれとしては検討いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/150
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151・村山喜一
○村山(喜)委員 これは吉國主税局長にお聞きしますが、イギリスで利潤税が創設される、あるいはEECの国々で国境税、あるいはアメリカでは輸入課徴金、こういうような問題が税制の上から出てきた場合に、租税条約というものは改正——それに対する影響というものは出てこないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/151
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152・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この租税条約自身が、所得に対する二重課税の排除の条約、それからアメリカとの間では相続税に関する条約があります。そういう関係でございますので、輸入課徴金とかあるいはいわゆるボーダー・タックス・アジャストメントという問題は直接は入ってまいりませんが、イギリスの利潤税の場合は、現在日本が結んでおります条約の中にイギリスが前の制度をとっておりますことを前提とした規定がございます。それにつきましては、将来法人税率等が改正になった場合には条約の改定の交渉をするという条項が入っておりますので、これは改正をする必要があるわけでございます。その点についての打ち合わせは先般イギリスとの間に行なってまいりました。いずれ確定的な条約の形で改正が行なわれるということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/152
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153・村山喜一
○村山(喜)委員 このたびのデンマークとの条約実施に伴います法律の中身は、これはOECDのモデル条約をもとにして、そして古いものをノルウェーのような新しく締結したものに変えていくのだ、こういうようなことで内容的には問題はないと私たちも思うのでありますが、この経済協力、国際的な経済活動というそれを盛り上げていくという立場において、所得に対する国際的な二重課税を防止するという立場が租税条約の基本だろうと思うのです。ということは、それだけ貿易の拡大という問題と結びついている。ということになってまいりますと、そこには企業の進出なりあるいは資本の進出という問題が当然出てくる。この日本とデンマークとの協定を結ぶことによって、今後どういうようなメリットが、日本の国あるいはデンマークの国において期待できるか。そういうような点はどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/153
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154・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 このデンマークと日本との関係は、御承知のとおり貿易額は日本、デンマーク、それぞれそれほど大きい額では現在ございません。進出企業にいたしましてもまだ数が少ないというような状況でございますが、日本とデンマークと条約を結びましたのはかなり早い時期です。北欧三国はわりにほかの国ともよく結んでおるものでございますから、早い時期に結んだという関係で、今度の改定は御承知のとおり主として投資の課税につきまして、利子、配当、それから特許権の使用料といったようなものの源泉税率を引き下げるということにいたしておるわけでございますが、実際にこれによる課税の軽減というのはごくわずか、数千万程度でございますので、これによって直ちに非常に大きな影響があるとは考えておりませんが、今後ヨーロッパ諸国の残った国々と条約を結びます場合に、こういう体系をいたしておきますことがOECD諸国との間の条約締結には非常に便利になるという点が一つの大きなメリットではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/154
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155・村山喜一
○村山(喜)委員 デンマークのいわゆる税法がどういうようになっているものか、私はつまびらかにいたしませんが、日本のいわゆる税法に比べて高いのですか、低いのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/155
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156・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 所得税としては日本のほうがやや高いのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/156
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157・村山喜一
○村山(喜)委員 しかしながら、老齢年金拠出金とかあるいは教会税とか、そういうような特殊な税といいますか、社会保障税というようなものまで入れた場合にはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/157
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158・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 全体の租税としては、デンマークのほうが負担率は高いわけでございますけれども、所得税系統に組み入れられるものをいろいろ考えてみましても、大体日本より高いといえないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/158
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159・村山喜一
○村山(喜)委員 私がそれをお尋ねをいたしますのは、源泉地国のほうで高い場合には、控除方式をとった場合には軽減税率の設定が必要になってくるわけでしょう。そういうような関係からお尋ねをしているわけですが、そういうようなのは別に関係ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/159
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160・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 基本的には二重課税防止の場合、日本の税法では、先方で課税された税額と、その対象になった所得に対して日本の税法を適用した税額とのいずれか低いほうをとることになっておりますが、そういう意味では、先生おっしゃるように、日本における一般税率が低いところは先方の税率を改定する必要が生ずる。しかし、投資所得、たとえば利子配当、著作権、特許権の使用料ということになりますと、これはどこの国でも大体源泉課税をやっておりますので、投資所得に対して課税になる。それに対してコストがあった場合には、たとえ二割の課税であっても、コストが七割かかっておりますと、二割の課税というのは実際は三〇%に対する二〇%でございますから、七〇%近い税率になってしまうわけです。できるだけこういう源泉徴収税率はお互いに引き下げ合うことが、最終的な二重課税を防ぐ一番大きな道でございますので、その点から申しますと、これは条約でやらないとできない問題でございます。一般的な税率は低くても、投資所得にかかる源泉徴収税率についてはこういう規定が必要であろうかと思いますので、デンマークの場合でも、その点の日本の税法とデンマークの税法との関係を見ましても、やはりこの条約が二重課税排除として必要な部面が大きいということがいえると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/160
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161・村山喜一
○村山(喜)委員 大臣もそろそろ見えますのでやめますが、ここではっきりしておきたいのは、海外勤務者の場合等の課税の問題でありますが、日本の法律によると、いわゆる居住者というのは、日本に住所を持ち、一年以上の居所を持つ個人、並びに日本に本店を持つ内国法人、これが居住者、そうでないものをいわゆる非居住者、こういうふうに区分していますね。それの区分は世界的に、日本のそういうような区分方式と同じような方式で、しかもその解釈というものは統一してあるわけですか。デンマークとの間はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/161
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162・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この居住者の概念規定はやはり国によってかなり差がございます。たとえばデンマークの場合でございますと、法人の居住者を決定するのは管理支配の場所があるという前提をとっております。日本の場合は形式的に本店形式でございます。そこで、条約の場合はこれを調整いたしまして、管理支配の場所があって、本店が日本であるという場合には、それは日本で居住者として扱うというような調整をはかっておりまして、租税条約では、そういう場合お互いに話がつけば一本の条約上で概念規定をつくってしまいまして、調整できないときには、二重居住者については場合によっては二重課税が排除できない結果になる場合もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/162
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163・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、私は最後にお尋ねしておきたいのは、いまデンマークの場合には管理技術上、企業が実質的な管理を行なっている場所の属する国においての課税という方式を考えている。ところが日本の場合には、その企業が居住者である国のみが課税をするという原則の上に立っておるわけでしょう。そのことが海運及び航空機所得についても同じような考え方ですね。このような立場からいって、OECDのモデル条約によるとデンマーク方式だ。日本の場合にはそれから少しはずれている。その間における不都合という問題は今度の協定の中には出ておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/163
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164・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 デンマークの場合は本来管理支配主義でございますけれども、条約の上では本店主義を採用したということで、こちらの線に沿っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/164
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165・村山喜一
○村山(喜)委員 最後に、大蔵大臣においでいただきましたのでお伺いいたします。
いま、デンマークとの協定の問題は、いろいろ質疑応答を取りかわしたところでございます。租税条約の締結状況をわれわれが資料としてもらいましたのを見ますと、現実にこの条約が締結をされて、すでに発効済みのものはわずかに十六カ国という状況で、ベルギーとセイロンの場合にはまだ発効していないわけでありますが、いま日本と韓国との間、あるいはフィリピンなり中華民国、オーストラリア等との間における条約の交渉が進められておるようであります。しかしながら、相手もあることでございますので、なかなか早急にいかないというような事情等もあるようでございますし、開発途上国等については、いわゆる資本の自由化等を迎えまして、先進国との間にはいろいろなトラブルがある。そういう中におきまして、日本の国益というものを伸ばしていかなければならないとした場合には、よほどこれから拍車をかけていきませんと、世界で百十七ですか国もあるのに、十六しかまだ締結されていない。日本の国が貿易立国という立場から進めていく際において、十分な保護が得られないのではないかというような問題を指摘をしたわけであります。そういうような点から、ひとつ大蔵大臣とされましても、ぜひこれらの問題についてはもっと精力的に取り組んでいただきたいということを要望申し上げたいと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/165
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166・水田三喜男
○水田国務大臣 極力条約の締結をしたいと考え、努力しておるところでございますが、開発途上国は、実際問題として税制が確立していないばかりでなくて、交渉する相手の税の専門家というものが非常に少ない。ある国のごときは、いまよその国とやっておるので手一ぱいで、その国とのあれが終わったら、初めてその人たちを日本との交渉に当てられるというぐらい非常に専門家が少ないというような、いろいろな制約がございましておくれておりますが、できるだけ促進することに努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/166
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167・毛利松平
○毛利委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/167
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168・毛利松平
○毛利委員長代理 本案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/168
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169・毛利松平
○毛利委員長代理 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/169
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170・毛利松平
○毛利委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/170
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171・毛利松平
○毛利委員長代理 次回は、明二十二日水曜日、午前十時十五分理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X03419680521/171
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