1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月十五日(金曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 吉川 久衛君
理事 大石 八治君 理事 奧野 誠亮君
理事 塩川正十郎君 理事 古屋 亨君
理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君
理事 山口 鶴男君 理事 折小野良一君
青木 正久君 亀山 孝一君
木野 晴夫君 辻 寛一君
中尾 栄一君 永山 忠則君
野呂 恭一君 藤田 義光君
山口シヅエ君 太田 一夫君
河上 民雄君 三木 喜夫君
山本弥之助君 門司 亮君
小濱 新次君
出席政府委員
大蔵省主計局次
長 相沢 英之君
自治政務次官 細田 吉藏君
自治省税務局長 松島 五郎君
委員外の出席者
専 門 員 越村安太郎君
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三月十五日
委員林百郎君辞任につき、その補欠として谷口
善太郎君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/0
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001・吉川久衛
○吉川委員長 これより会議を開きます。
内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大石八治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/1
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002・大石八治
○大石(八)委員 今度の地方税法の改正で、住民税減税ということをやる予定になっているわけであります。住民税減税ということはだいぶ長く言われてきたことで、多少はちびちびとやってきたわけですが、今度かなり、ある意味では本格的な減税というところに入って、最低限を十万円上げようということになり、都道府県及び市町村で合計七百億くらいの減税という措置をとることになるわけでありますが、従来はその減税をする場合にいわゆる財源補てんという問題を、特別の措置をとりながら補てんをする形をとってきたわけであります。今度の場合は、住民税減税をしながらそういう特別の措置はとらないでいこうという形でございます。この点は、ある意味ではいわゆる地方団体の自主的なたてまえということに見えるわけでございます。しかし一面から見れば、従来減税をしながら財源補てんをするというのは、地方団体の財政をそのことによって特に傷つけないという考え方があってやられた措置だろうと思います。今度はそれを変えまして、具体的にそれに特別の措置をしないで現在踏み切っておられると思うのであります。こういうふうな考え方になりました経緯、また今後の問題もあると私は思いますが、その点についての自治省の考え方をお聞きいたしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/2
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003・松島五郎
○松島政府委員 御指摘のとおり、今回の住民税減税はかなり大幅なものではございますけれども、特別国から従来のように減収補てんの措置を求めないで実施することにいたしております。当初この問題を考えるにあたりましては、地方財政に及ぼす影響の大きいことも考えまして、私どもといたしましても何らかの補てん措置を講ずる必要があるのではないかということでいろいろと検討もし、関係の方面とも折衝をしてまいったのでございます。しかし国の財政は御承知のような状況でございますし、一方住民税減税はどうしても実施しなければならない情勢とも考えます。幸いにして地方税収入におきましても相当額の増収もございます。そういった事情をかれこれ考えまして、この際は減税補てんというものなしで住民税の減税を実施しようということに踏み切ったわけでございます。
今後こういうような問題についてどうするかというお尋ねでございますけれども、やはりこういう問題はそのときそのときの国、地方を通ずる財政事情を考慮しながらやっていかなければなりませんので、今回のような措置が今後もそのまま続けられるというふうには必ずしも考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/3
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004・大石八治
○大石(八)委員 そうすると、今度の場合も大蔵当局との間には、やはり減税補てんの何らかの措置をすることがいいのではないかという折衝はされたわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/4
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005・松島五郎
○松島政府委員 地方財政全体の問題の一環として、そういうことも考慮して折衝いたしてまいりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/5
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006・大石八治
○大石(八)委員 その場合に、結局ことしの場合の国の財政の硬直化という問題と、たまたま四十三年度に限って地方税の伸びがかなり見込まれる、そういう点で、ことし限りの考え方というふうに考えていいわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/6
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007・松島五郎
○松島政府委員 地方財政の問題につきましては、税の減税、増税等も含めまして、やはりそのときそのときの国、地方を通ずる財政事情を全体として判断をしながら対処していかなければならないと思うのでございます。今回は、先ほど申し上げましたような事情で、地方財政の範囲内において減税をするということをいたしたわけでございますが、今後の問題につきましては、一般的には地方財政には大きな減税を自前でやっていくという余裕はないものと私どもも考えておりますので、今回のことを必ずしも前例とするというような考え方はとっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/7
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008・大石八治
○大石(八)委員 これはこの間の大臣の所信表明に対して質問があったことと関連があるわけでありますが、交付税を国に貸せるという形に見える問題、それから今度の減税補てんについては特別な措置をしないという姿が、何となく地方財政というものは非常によくなってきているという印象を与えがちだと私は思うのです。地方財政自体というものは、今日の累積の赤字なり公債の発行額なり考えれば、すでに前々から非常に硬直化に入っているわけであります。国の財政の構成と比べてみて非常に悪いわけでありますから、その一、二年の弾力性というような問題で地方財政全体がいいのだという印象を受けることは、またそういうことが認識づけられることは非常に私は問題だと思うのであります。ただ国にたよるだけということを私は言うつもりではありませんけれども、PRといいますか、認識をさせることが大事だと思うのですが、その点についてはお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/8
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009・松島五郎
○松島政府委員 御指摘のとおりでございますので、今後とも御趣旨に沿って努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/9
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010・大石八治
○大石(八)委員 それから住民税自体のことについてお伺いしたいと思うのですが、ことし十万円程度の引き上げをして五十三万何千円というのが課税最低限になるわけでありますが、同時に、実は国税のほうで昭和四十五年までに百万円を所得税の課税最低限にしたいということがかなり政府の目途になっておると思うのです。このことはすでに政府の公約だと思いますので、今後の経過の中で、これをそう簡単に私はくずせないというふうに思うわけであります。特別な事態というものが起きてくればその点はわかりませんが、経過的に考えれば、ことしの財政硬直化の中でも、その一年度というものを踏み切っているわけであります。したがって、この住民税の問題というのは、所得税との比較において実質的に負担がたいへんだという二つの点で住民税減税がいわれてきたわけであります。今日そういう世論にささえられて、地方団体の財政が必ずしも楽でないのにこの点を踏み切ったわけでありますが、逆に、この一つが出てくると今度は所得税のほうが次々に進められる段階において、たとえば四十四年度においては特に熾烈な減税ということの要求が出てこなくても、もうその翌年あたりになれば所得税との比較において住民税減税という声は当然出てくると思うのです。もちろん住民税と所得税の性格というものは違うということは十分私ども承知しております。必ずしも性格の同じものではないということはわかりますけれども、しかし同時にいわゆる住民税減税の問題は出てくるというふうに考えられる。税調その他等についてもまだこの問題には触れておりませんけれども、しかし自治省当局とすれば当然そういう問題について、まあ覚悟といいますか、方向づけを自分たちも考えていかなければならぬことだと思いますが、これらの住民税減税を将来においてどう考えるかという点について、少し考え方を明らかにしておいていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/10
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011・松島五郎
○松島政府委員 所得税と住民税と性格が違うというお話がございましたが、私どももそのように考えております。したがいまして、所得税の課税最低限が引き上げられたから、いわばそれに比例的な形で住民税の課税最低限を引き上げていかなければならないものであるというふうに必ずしもお考えにならなければならないというものではないと思いますけれども、しかしまた御指摘にもございましたように、国民負担の面から申しますと、やはり所得税について減税があるのになぜ住民税は減税しないのかという声は強いわけでございます。したがいまして、お話にありますような今後の所得税の減税、課税最低限の引き上げというものと関連して、住民税の課税最低限をどうしていくかという問題は将来にもわたって残る問題でございます。私どもはいま、所得税のように、この段階で何年度にどの程度を目標にするということを掲げますことは、地方財政が御承知のとおりきわめて流動的な状態にございますので、明確にいたすことはいまの段階ではできませんけれども、しかし気持ちといたしましては、やはり所得税の課税最低限を引き上げていかなければならないという、それと同じような社会的要請というものを背景にして住民税も考えていかなければならないものであるというふうに思うのでございまして、そういう点から、今後ともこの問題についてはできるだけ地方財政の事情も考えながら軽減、合理化を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/11
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012・大石八治
○大石(八)委員 その場合のことになるわけでありますが、実はきのう門司委員からいろいろ意見が出されておるわけでありますが、実は国と地方団体、また地方団体同士の府県と市町村との間の財源の再配分という問題があるわけであります。これは逆に、この事務配分というものが明確にされなければ本格的な財源配分はできないという議論もあります。また税調なりあるいは行政調査会なりいろいろなところで、そういう専務配分なり財源調整の問題というのは前からずいぶん言われているわけですけれども、実際的にはそれはそのとおりの形では進んでいない。私もまた、いま直ちにこの問題が、幾らそのことを言ったからといってばちっと割り切れるようにはならないと思うのです。しかし、ならないからといって全体的に何も手をつけないという問題は、事態の動きというものに対して全く手を打たないということになるわけで、これはそういう本格的な再配分ということを考えなくても、できるものからいく。しかも全体的には地方団体、市町村等の財政の問題が非常に窮屈になってきているという点は、あなたのほうで出してくる資料によって明らかでありますから、そういうことも考えて具体的に検討し、進まれるべきであろうと思うのであります。具体的にどこをどうするかということについては、それぞれ専門的にぜひお考えになっていただかなければならぬが、少なくともできるところから手をつけていくというふうにお考え願わなければならぬじゃないかというふうに思います。私は、例としていいかどうかは別としましても、たとえば住民税について考える場合にも、一体住民税という性格の全く同じ税金、それが府県にもあり市町村にもあるということは、一体そういう税があるのだろうか。異なる団体が、全く同じ税目、同じ性格のもの、同じ名称のものをかけているということが、長い習慣になっているから何でもないような気がいたしますけれども、しかし、同じ名目の税が二つの団体で同じようにかけられているということは非常にふしぎに思うわけであります。そういう意味で、いま都道府県から住民税をとたんに一切なくせとは申しませんけれども、そういう点について、きのうもいろいろな意味でお話がありましたとおり、いわゆる弾力性という問題がまだ都道府県にはある、市町村のほうにはない。またある意味では、そういう安定性の税金は市町村のものだという言い方もありますけれども、たとえば都道府県の住民税と市町村の住民税との間に、あるいは三カ年計画とか何カ年計画で、いわゆる市町村に移譲するというような形も考えていく、そういう中で、また減税の問題、住民税減税を考えていったらどうかというふうにも感じます。その場合はまた国税と都道府県税との間で、所得税の一部移譲というような問題もあると思うのですが、しかしそういう部分的なことも、とにかく具体的に手をつけていく、税調なりのような全く事務再配分と税源の再配分という、基本的に少しあきらめかけちゃっているのか、その辺わかりませんが、あそこまで本格的なことをやろうとしてもなかなかむずかしいとすれば、そういう段階で少しずつ入っていってもいいのじゃないかというふうに私は考えますけれども、その点についてお考えを伺いたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/12
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013・松島五郎
○松島政府委員 市町村税制の問題で特に問題になっておりますのは、大都市税制の問題でございます。大都市にもっと税源を与えるべきだということが強くいわれておるわけでございまして、それについて段階的にでも考えるべきではないかという御指摘でございますが、私どもも大都市の今日の財政需要の実態を検討しながら、できるだけのことをしたいということで努力をしているつもりでございます。大都市の財政において今日一番多くの経費を要しておりますのは、何と申しましてもやはり道路整備の関係の経費でございます。そういうことから、軽油引取税の指定県と指定都市との間の配分につきましても、できるだけ大都市の交通事情というものを反映した配分ができますように、配分の方法につきましてもしばしば検討を加えてまいりまして、かなり大都市に傾斜的に軽油引き取り税が交付されるような措置を講じてきておるのでございます。また、今回提案を申し上げております自動車取得税にいたしましても、市町村、特に都市に対して道路目的財源を付与しようという趣旨でございまして、大都市につきましては、府県が徴収いたしましたものの七割のほかに、七割は一般の市町村と同じように交付されるわけでございますけれども、さらにそのほかに、残りました三割につきましても県と大都市との間で再配分をして、大都市に交付するような措置も講ずることにいたしておるのでございます。このように、私どもといたしましては、当面考えられる問題についてはできるだけの措置を講じようと努力をいたしておりますけれども、まだ不十分でありますことは私どももよく承知いたしておりますので、引き続き努力をいたしたいと思います。ただ、県民税を市町村民税に移すというような具体的な御提案がございましたけれども、一つの税目を全部にわたって県の収入にするか、市町村の収入にするかという問題になりますと、やはり税制全体の体系を考えてまいらなければならない面がございますので、これらの問題につきましては引き続き検討を加えていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/13
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014・大石八治
○大石(八)委員 自動車税のことはまた自動車税のことでお願い申し上げますが、それは指定都市の場合はいわゆる県道なり国道を管理している部分があるのですから、それは一般の配分と別にそこだけ上のせするというようなことは当然であって、もう技術的に当然そうなるわけです。ただ、自動車税というものを創設することは、いままでの経緯から考えて、市町村にいわゆる特定財源がないからこれをやるのであって、そのことももちろん市町村の財源の補給になりますけれども、そういうことでなしに、もう少し府県間及び国と地方との関係というもので調整を私は考えていいのじゃないかと思うのです。ですから、たとえば去年あたり住民税の減税をしてみても、市町村のほうの部分を減税しても、自動的に県民税のほうがふえていきますから、しかもいま切符が一枚だというようなところもありまして、われわれは、減税したといわれても、一枚の切符の合計額の数字が市町村民とすれば税金なので、減税という感じも具体的にはあまり出てこないのです。そういう意味で、私は前々から、全く性格の同じ住民税というものを府県と市町村と両方でかけるということについては、もう検討をしていいのじゃないだろうかと思っている。それは単に市町村にやりっぱなしで、府県のほうはどうでもいいというつもりはありません。したがって、いわゆる税源の再配分を国の中で一部分調整をするという問題もあろうと思うのです。しかし、同じ税金を両方で取っている、地方の別の団体が取っているという点は、何としても——経過はもちろんあると思うのです。経過はあると思いますけれども、そういうことをいつまでも一体やっていっていいのかどうかという感じが私はどうもしているわけであります。そういう意味で、自動車取得税等だけでなしに、ひとつ税源の再配分を事務的にもう少し考える考え方はないか、そこらをもう少し積極的にやってみていこうという考えはないかを少しお伺いしたい。私は、きのうの同僚門司議員の質問に対しても、何となくそれらの問題に手をつけることをおっくうがっているという印象をどうしても受けます。税金に手をつけることはむずかしいことでありましょうけれども、しかし私は先ほどちょっと前提を申し上げましたとおりに、住民税減税というものは今度出したからといってこれで済むものではない。達観的に考えれば、いわゆる所得税減税と関連して、百万円ということをやっているわけですから、何としてもその声を押えるということはできない。そういうことを考えていくと、もうそういうことに準備をしていかなければいけないのであるというふうに私は考えますので、そこらについてもう少し自治省としての取っ組む意図というものを積極的に考えていただきたいと思うのですが、重ねてその点をお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/14
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015・松島五郎
○松島政府委員 市町村の税源を強化していくことの必要でありますことは申し上げるまでもないことでございますが、その場合に考えなければならない問題が幾つかございますが、その一つの問題として、きのうも門司先生からのお話にもございましたように、一口に市町村と申しておりますけれども、今日の市町村の実態は非常に変わってきております。人口がどんどん集まってきて、そのために年々追加的な財政需要が大きくなってきているところ、そういういわば発展しつつあるところと申しますか、動きつつあるところに対して、どういう税源を与えたならば財政需要を充足することができるかという問題が一つあろうと思います。そういうふうになりますと、かりに新しい税、あるいは現在ある地方税のうちから市町村に府県からさいて渡すといたしましても、どういう税金がそれに匹敵するかという点から考えていくべきであろうと思いますが、そうなりますと、今日の状態から申しますと、どうしても経済の活動あるいは消費生活活動というようなものに密着したような税金というもののほうがそういう団体に与えるには適当であるというふうにいえるのではないか、こういうふうに思います。そういう点から申しますと、御指摘のありました住民税というような税よりは、むしろ酒税でありますとか、あるいは法人に対する税でありますとか、そういったものを市町村に与えるほうがいいのだという議論も成り立つわけでございます。しかしながら、法人に対する税ということになりますと、法人税ありあるいは法人事業税というようなものがあるわけでございますけれども、それではそれをどういうふうに大都市に与えるかということになりますと、法律技術的な問題としていろいろむずかしい面がございます。ことに現在分割という制度がございまして、法人としては幾つかの支店、工場を持っておりましても、本社で計算いたしましたものを従業員数等によって案分をするわけでありますから、その案分された分のある部分についてだけ税率が高いとか低いとかいうようなふうに税法上できるかどうかというような問題もございます。そういった面で私どもいろいろ検討はいたしておりますけれども、結論をまだ得ていないという段階でございます。
それから、いま申し上げましたように、市町村の形が非常に変わってまいりましたので、全部の市町村を通じて財源を与えるというような行き方がはたしてできるのだろうかという問題もございます。この問題は非常にむずかしい問題でございまして、私どももいろいろ検討しておりますけれども、このように激しく市町村の形が変わってまいりますと、全部の市町村を通じてそれぞれの市町村が十分な財源を得るような税制を考えることはなかなかむずかしいというふうに現在の段階では考えているのでございます。そういったことをいろいろ検討しておる段階でございまして、まだ結論が得られませんので、まことにお答えも要領を得ない状況でございますけれども、事柄の緊急性と申しますか、そういったことについては私どもも十分考えているところでございますので、引き続き検討を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/15
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016・大石八治
○大石(八)委員 またちょっと門司さんの感じのようになってきたわけですが、むずかしいことを——私は何もそんなことはないと言うつもりもないし、それから市町村間の流動というものも、非常に膨張していくところ、そうでないところとか、性格的にそれぞれバランスが別だということも十分わかります。一つの税目でそういうものを、ぴっしゃり充てるような税目を考えろということを私は言っているわけじゃないわけです。少しでも地方団体に対して財源が与えられるようなことを考えなさいよ。実際にそういうことでは埋まり切れないから交付税の制度もあるわけなんですから。その税目一発で一切の財政需要に応ずるような税制をすぐさがしなさいということを要求しているわけではないわけですよ。ですから、そういうことにだけとらわれていれば、そんな魔術のような税金は出てきっこないわけなんです。ですから、地方団体にもう少し財源付与をこの中でできないか、いまの税調のように、本格的に事務配分をしてそれに見合うような税金といったところで、これだってまた財政需要というものをやっていくときに、一発のような、そんな税金なんて私は出てくるものじゃないと思うのです。それはそれで、またそれを待っていてもできないわけですから、何としても地方団体にもう少し税源を中央から与える方法、それから市町村と府県間でできる方法という問題を積極的にやっていただきたい。それで埋まるわけではないので、交付税の制度というものもあるわけですから。それも、私がさっき言ったとおり、住民税減税という問題は、おそらくここ一回でとまるものじゃない。来年はたとえばそういうものがなくても、片一方の所得税がどんどん出ていけば、当然大きな要求として出てくるわけですから、そういうものに対して、自治省としては財源上の問題としてもう準備体制に入っていいと私は思う。そういう気持ちをもう少し強く持っていってもらいたいというふうに考えるので、もう一回そこをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/16
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017・松島五郎
○松島政府委員 市町村の税源を強化していかなければならないということは御指摘のとおりでございまして、私どももそういう方向に沿って努力をしているつもりでございます。何度も申し上げますが、今回お願いをしております自動車取得税も全くそういう考え方を基礎にして立案をいたしたつもりでございます。ただ府県税と市町村税との間でどうしていくかという問題になりますと、府県の財政収入中に占めます府県税の割合は、昭和三十年ごろからずっと三〇%台でございます。台と申しますか三〇%を前後している程度でございまして、歳入構成のうちにおいて府県税の収入割合がそれほど高くなっているわけではございません。市町村税のほうは、歳入構成割合のほうでだんだん下がってきているという現状でございます。と申しますことは、結局府県税が伸び過ぎているということでなくて、市町村税が伸び悩んでいるという事実を物語っているわけでございます。そこで、市町村税を強化していきますために第一番目に考えなければならないことは、府県税から市町村税へ移すということももちろん場合によっては必要でありましょうけれども、しかし、それにも増して市町村税そのものをどうやって強化していくかという問題が第一でなければならぬと思うのでございます。そういう点から、自動車取得税というものも大部分を市町村に交付するというような形で考えているわけでございます。そういうことでございますので、今後とも市町村税の強化については努力をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/17
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018・大石八治
○大石(八)委員 もう繰り返すことはやめますけれども、私は、府県と市町村の間で再配分をしろと言っているだけじゃない、国と地方団体の間のいわゆる調整というものをできないか、そしてまた府県と市町村の間でできないかと言っているわけですから、その点は重ねてひとつ強い私の気持ちとして申し上げたいと思うわけであります。
それから自動車取得税についてお聞きしたいわけでありますが、最初、市町村に道路目的財源がないということで、自治省として、こういう不均衡なといいますか片手落その態度というものはよくないという考え方で、市町村にも道路財源を与えようということをやられてきたことは私どもわかるわけであります。従来でいいますと、ガソリン税、いわゆる国税の道路目的税を分割しろという形で問題が出てきておったと思うのです。今度自動車の取得に関連して、それを目的財源として府県と市町村に配分するということになったのですが、このガソリン税から、つまり国の税源の配分ということでなしに自動車取得税ということになりました経緯について少しお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/18
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019・松島五郎
○松島政府委員 御承知のとおり、昨年の予算編成にあたりましては、国税のガソリン税のうち一キロリットル当たり千円を市町村に道路譲与税という形で委譲すべきであるということで予算要求いたしたのであります。しかし、これにつきましては関係各省との話が意見の一致を見るに至りませんで、結局予算編成の過程におきましては、臨時財政交付金ということで二十五億円を市町村に交付するということで終わったわけでございます。その後引き続き私どもといたしましては、市町村の道路目的財源をどうやったならば充実することができるかということについて検討を続けてきたのでございます。この間、道路整備五カ年計画の改定がございまして、国の事業費も——もちろん地方公共団体もそうでございますが、国の事業費も大幅にふえてまいりました。そういうような事情から、国の既定の財源をさいて地方に譲与するということはなかなか困難であるという状態になってまいりました。
そこで、従来道路計画の改定が行なわれます場合には、燃料課税の引き上げを行ないまして、それによって増加財源に対応してきたわけでございますので、私どもも、揮発油税あるいは軽油引取税について税率の引き上げを行ない、その一部分を市町村に交付するというような案を立てて、関係の方面とも折衝を続けてまいりました。しかし、こういう揮発油税とかあるいは軽油引取税というような燃料課税を引き上げることは、現在これらの燃料課税がかなり高い税率になっている、その上にさらに引き上げることは適当でないという意見もございました。また他面、そういう燃料課税の引き上げをいたしますと直ちに輸送コストに響く、それがひいては物価問題に及ぶというようなことから、適当でないという意見もございました。そういったことから、燃料課税を引き上げて、その一部を市町村に交付するという形で市町村に道路目的財源を与えるということができないような見通しとなりましたので、それでは自動車の取得に対する税を設けて、それを市町村に交付するというような形でこの問題を解決いたしたい、かようなことで自動車取得税を新設することといたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/19
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020・大石八治
○大石(八)委員 経緯についてはわかったわけでありますが、大体この自動車取得税というのがことしは六月ごろからということで、まあ四百億には達しませんけれども、税額でその程度の見当をつけているようですが、この税額の将来の見通しといいますか、それはどんなふうに考えておりますか。つまり、そちらにそういう資料があるかどうか知りませんけれども、ことしを一〇〇とすれば平年度化した場合に——平年度を一〇〇としてもいいと思うのですが、それが一体どの程度まで伸びていくのか。これは経済界の好況、下況にも関係あると思いますが、どの程度まで伸びていくという考え方でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/20
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021・松島五郎
○松島政府委員 自動車取得税は本年度は四百億弱でございます。これは七月から実施する予定にいたしておりますのでそういうことになっておりますが、かりにこれを四月から年間実施いたしたといたしますと五百五十五億の見込みでございます。これは昭和四十三年度をかりに一年間やったとした場合の見込みでございますが、来年度はもちろん一年間で、昭和四十四年度は四月からになるわけでございますが、それに大体一五%程度の伸びを見込んで私どもは予定をいたしております。自後大体一五%程度の伸びを続けていくのではないだろうかというふうに見ております。ただ御承知のとおり、自動車の保有台数が現在すでに一千万台にのぼっておりますので、この自動車の増加が従来のような勢いで今後もどんどん続くかどうかという点につきましては、見方によっていろいろ御議論もあろうと思いますが、ここ数年の間は大体一五%程度の伸びを示すのではないだろうか、かように考えております。その結果、私どもの試算いたしたところによりますと、今後四年間、すなわち第五次道路整備計画期間中におきます自動車取得税の収入見込み額は二千五百億円程度になるものと見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/21
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022・大石八治
○大石(八)委員 それは全体で二千五百億ですか、五カ年間で二千五百億ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/22
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023・松島五郎
○松島政府委員 道路整備五カ年計画は四十二年度を起点にいたしておりますので、四十三年度以降四カ年間で二千五百億と見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/23
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024・大石八治
○大石(八)委員 それは合計ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/24
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025・松島五郎
○松島政府委員 合計です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/25
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026・大石八治
○大石(八)委員 そこでちょっとお伺いしたいのですが、今度の新道路五カ年計画で考えております国道、地方道について、国道の場合の事業費に対するいわゆる目的財源の充当率といったようなものも出ていると思いますが、それは府県の場合いわゆる移譲されるものもありますし、その充当率はどうなのか。それから、年次計画がまだできていないようでありますからわかりませんけれども、市町村に対する、このいま二千五百億と言いましたけれども、そういった場合の充当率はどのくらいになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/26
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027・松島五郎
○松島政府委員 道路整備五カ年計画の事業費の内訳につきましては、ただいま建設省が作業をいたしておりまして、近く決定になる運びでございますけれども、まだ最終的な決定を見ておりませんので、私どものほうで一応従来の実績等を基礎として推計をしたもので申し上げさせていただきたいと思います。
私どもの推計したところによりますと、国の場合では、大体国の負担します道路事業費に対して七八%強の充当率になるのではないか。それから地方団体の場合は、府県、市町村を合わせまして、地方団体に対して大体六〇%程度の充当率になるのではないか。それから市町村の分は、これは全くの推計でございまして、昭和四十年度の道路統計年報によって府県分と市町村分の事業費が、実績が出ておりますので、その実績によって、かりに新しい計画も同じ比率で配分されるものと仮定をいたしますと、それに対する自動車取得税の収入見込み額の割合は二四%程度になるものと見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/27
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028・大石八治
○大石(八)委員 その二四%というのは市町村の場合ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/28
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029・松島五郎
○松島政府委員 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/29
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030・大石八治
○大石(八)委員 実はお伺いしたいのは、市町村と府県との関係の問題を充当率充当率というけれども、国のほうの場合でいえばある程度のプランを持って、そうしてそれに対して大体充当率が幾ら、こうなるわけなんです。府県もある程度はそういう面も私はあると思う。しかし市町村の場合の充当率というのは、いままでつまり税源を何にも与えていない。その中で市町村が道路整備をやってきた実績というものと、府県とあるいは国との関係を比べて、そういう税源が何にもない段階でこれをやらしてきたその実績に対しで実はおそらくこの二四%ということになるわけで、だから私は道路五カ年計画というものの市町村の整備計画というものは一体どういうことなんだろうか。従来の市町村道の整備の実績というものに対して、それが一体新五カ年計画であるかどうかにも非常に疑問を実は持っているわけですけれども、従来の実績上に出す充当率ですから、国のほうで事業計画を立てての七八%とかなんかと比べれば、実質的には非常にひどいものなんだろうと思うのです。ですから私は、いわゆる市町村に道路財源を付与する問題をこれから考える場合に、一体この税源の上昇率はどのくらいかという問題もありますし、ある程度になれば上昇率は下がってきて、そうして買いかえ分だけになっていく、税金としてはある程度コンスタントな税金になると思うのですが、どうもこれだけが——これからの市町村道の整備計画に対しいわゆる府県に譲与される分あるいは国の分と比べると非常に比率は下がってきて、非常に格差のあるものではないかと思うのです。そういう意味で、今後のことになるわけでありますが、市町村道に対する税源の付与、道路の税源の付与というものを一応この一種類をもってやっていっていいのか、あるいはプロパンガスの問題とかいろいろありますけれども、もう少し将来についての気持ち、構想というところまではいかないかもしれませんが、構想がおありでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/30
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031・松島五郎
○松島政府委員 御承知のとおり道路の整備が国道から府県道へ、府県道から市町村道へとだんだん重点が移行しつつある現状でございます。したがいまして、市町村道の整備という問題は今後ともますます緊急性を持ってくるものと考えておりますので、私どもといたしましては、今後とも市町村道の道路財源の充実を重点的に考えてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/31
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032・大石八治
○大石(八)委員 私はその点は、こういう感じも持って言っているわけです。今度の自動車取得税の三%というような問題について、三%は高いとか低いとか、高い低いは別としまして、いや、二%でも自治省が考えている財源については充足できるのだ、つまり所要財源であるのだが、何にもはっきりしないけれどもそうすれば金ができるという、それに対して、二%でも上昇率が伸びるからいいのだという、そういう一つの段階が私はあったように思うのです。しかし実際はわれわれの考えることは、整備をする目標に対してこの問題を考えなければならぬわけであります。どういうように整備するかということが主体になるわけでございますから、そこらの点について、私は二四%なんといったって、おそらくこれは実質的には市町村の意欲に比べれば一〇%くらいではないかというくらいに思うわけでありますけれども、もう少し将来についての安定的な、しかも実際に役立つ財源ということでさらにひとつ考えてみていただきたいと思うわけであります。その点についてもう一回ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/32
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033・松島五郎
○松島政府委員 御指摘の点につきましては、私どもも今後とも努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/33
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034・大石八治
○大石(八)委員 最後に国鉄納付金のことでちょっとお伺いしたいわけですが、国鉄納付金問題が予算編成の過程でいろいろ話題になったことは私どもも承知しているわけであります。国鉄納付金の制度というのは、その他の公社五現業、国有林その他、そういうものとの関連において当然一つの市町村に納付をしていただかなければならぬ問題だと私どもは思っています。個々の中のものについて、これは一体対象であるかないかというようなことについては別といたしましても、税制それ自体とすれば実は存続さるべきものだと思っておるわけであります。ただその後、国鉄納付金の問題が予算編成の最後の段階まで話題になってきたようでありますが、最終の閣議かその後の閣議か知りませんけれども、国鉄納付金制度についてさらに検討するか何か、そこらのことはことばも記憶がさだかではありませんけれども、国鉄納付金については国鉄財政との関係においてさらに検討するというような意味の話し合いがされたように新聞等で私は記憶があるわけであります。簡単にいえば、われわれは国鉄の事情もわかりますが、それは納付金を廃止することによって問題を解決するのではなくて、国の財政投融資というものがもっと積極的にされて解決さるべき方向のものだとは思いますけれども、それらの点について、閣議で国鉄納付金をひとつ再検討していってみようというような感じの新聞記事がありましたので、詳細はどうなっておるのか、少しお伺いをいたしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/34
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035・松島五郎
○松島政府委員 閣議で国鉄納付金の問題についてさらに検討をしてもらいたいというようなお話があったということを私どもも聞いております。ただ、それが閣議という場でお話があったのか、あるいは運輸大臣から自治大臣に特別にお話があったのか、私どもその辺の詳細は存じておりませんけれども、ともかく国鉄とお話し合いをしてもらいたいということを私は大臣から承っております。そこで私どもも国鉄当局といろいろお話し合いをいたしております。しかし、このお話し合いをするということは、私ども仕事をやります者としては、いろいろ話をしたいというのを聞く必要はないということを申し上げるべきものではございませんので、お話をいたしておりますけれども、そのことが国鉄納付金を廃止するとかあるいはどうするとかという問題を直接含むものであるとは私ども必ずしも考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/35
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036・大石八治
○大石(八)委員 何だかどういう話をするのか中身がそれではわからなくなってしまいますけれども、中身のことについて、専門的に皆さんが検討されることは検討していただいていいと思うのです。いまのものは、私は実務もわかりませんし、詳細なことはわかりませんから、中身がどうであるかということについてはさらに検討するところもあるのかもしれませんが、廃止か廃止でないかという問題について見れば、それだけが廃止されるということは考えられないことだと私は思う。内容的な検討等あろうと思う。しかし逆に、今度の経過を考えてみると、私はかなり財政当局、大蔵省の感じ方というものがこういうふうな問題になってきた一つの要素でもあるというふうに観測をするわけであります。したがって問題は、われわれの考え方でいえば、国鉄と共同して、問題の解決の方向はそういうところではなくて、もっと別の方向に考えらるべきものだというふうに思っておるわけであります。それらの点について、もう一度自治省の気持ちを聞かしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/36
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037・松島五郎
○松島政府委員 私ども、国鉄財政の問題につきましては、御指摘のように国と国鉄との間においてまず解決さるべき問題であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/37
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038・大石八治
○大石(八)委員 以上で私の質問を終わります。ただ、全体を通していろいろと問題点がありますが、とにかく前進をするということにさらに意欲的に取っ組んでいただくことを心から実は期待をしますし、熱願をしますから、どうぞひとつ自治省当局もしっかりやっていただきたいと思うわけです。最後に政務次官の御決意のほどを伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/38
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039・細田吉藏
○細田政府委員 私、予算分科のほうへ参っておりまして、途中からおくれてまいりまして、たいへん失礼をいたしました。したがって、初めのはうは御意見を拝聴する機会がなかったわけでございますが、特に市町村税の強化という点につきましては、先ほど税務局長からも申し上げましたが、私どもとしまして、今後より真剣にこれについては取り組まなければならぬ、かように存じております。また自動車取得税が市町村の分につきまして事業計画に比して率が非常に低い、これは私ども大いに考えていかなければならぬ問題でありますが、何しろこれまで、四十二年度は二十五億といったような間に合わせ的なものでございまして、今年度初めてこういう特定の財源を付与するわけでございます。しかしこれにとどまってはならないと思います。また今後は、特に市町村道の問題がいままでよりはより大きな問題になろうかと思います。この点につきましても、先ほど局長がお答えいたしましたが、十分考えていかなければならぬと思っております。
なお国鉄納付金のことについてお話がございましたが、これも税務局長がお答えいたしましたとおり、国鉄財政の問題は国鉄財政、しかも、一般会計との問題あるいは財政投融資との問題という面で解決せらるべきが本筋であると私どもはかたく考えておるのでございます。先ほど局長がお答えしましたが、運輸大臣からお話がございましたのは、私の承知しております限りでは、閣議の席ではございません。閣議の前かあとに、大臣に、この問題についてはとにかく両省と申しますか、運輸省対自治省で話をしてみてくれぬかという話があったということを大臣から承っておるのでございます。私自身が実はこの制度創設の際に国有鉄道の監督官をいたしておった者でございまして、この制度につきまして廃止するということは適当でないと私は考えております。たいへんお答えにならぬようなことでございますが、お説のように決意を新たにして、税制全般についてやってまいりたい、かように思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/39
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040・吉川久衛
○吉川委員長 山本弥之助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/40
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041・山本弥之助
○山本(弥)委員 ただいま大石委員からすでにお尋ねになっておった問題でありますが、本年度予算編成におきまして、政府は財政硬直化という口実のもとに、当然国民負担の軽減をすべきでありますにもかかわらず、減税ゼロという予算編成をしたわけでありますが、しかも減税ゼロではなくて、むしろ物価の上昇というふうなことを考えますと、増税に相なっておるわけであります。しかも大蔵大臣は、税負担を国、地方を通じて減税をするというような発言によりまして、負担の軽減を、地方財政ことに市町村財政にしわ寄せをしておるという印象を受けるわけであります。この点につきまして自治省では十分御承知のことだと思うのでありますが、地方財政は、従来から公共団体の質量ともに行政需要が上昇いたしまして、これの財源措置をどうするかということについて非常に悩んでまいってきたわけでありまして、いわば地方自治法施行以来慢性的な財政硬直化の状態で推移をいたしておるわけであります。今回の地方税法の改正によりまして、国民負担の軽減という意味におきましての減税は当然でございますけれども、地方財政のみにしわ寄せをするような、いわば減収補てんがなされていないというような状況のもとに行なわれたということにつきまして、自治省ではどういうふうにお考えになっておりますか、お聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/41
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042・松島五郎
○松島政府委員 先ほど大石先生の御質問にもお答えを申し上げましたように、私どもといたしましては、今回の減税が相当大幅なものでありますことから、地方財政、特に市町村財政に及ぼす影響も大きいことを考えまして、何とか減収の補てん措置を講じたいというので努力をしてまいりました。しかし、御案内のような国の財政の状況下におきまして、それについて特別の減収補てんを求めるということがきわめて困難な状態でございます。そこで、減収補てんがなければ住民税の減税をやらないのか、あるいは減収補てんがなくてもやるのかという、いわば二者択一に立ったわけでありまして、私どもは従来の経緯から申しまして、また来年度の地方財政に関する限り税収入の増収もかなり期待できることから、この際は減収補てんなしでも住民税の減税は実施すべきであるという結論に達したわけでございまして、御指摘のとおり地方財政がきわめてまだ困難な中に、減収補てんなしで減税を実施いたしますことにはいろいろ問題のあることは私どもも承知をしておりますが、この際はやはり減税を優先すべきであるという考え方に立って行なったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/42
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043・山本弥之助
○山本(弥)委員 自治省におかれては、昨年の大蔵省の予算編成時期におきまして、「最近の地方財政の状況について」というふうなものを十月五日に発表いたしておりますが、その要綱によりますと、減収補てんにつきましては相当強く要求をされておる。四十三年度多少の増収ということがあっても、これは現象の一端である。地方財政の収支は借金によって従来まかなってきたんだ。しかも一方では行政需要が非常に増高している。当然住民のためにしなければならない行政需要も、これを削減せざるを得ないんだというようなたてまえで臨んでおるわけでありますが、私は、財政の好転は、自治省側もお認めになっておられるように、これは一時的な現象であって、予算編成時期においての折衝ではなくて、当然この減収補てんということについて強く主張すべきであったのではないか、かように思いますが、政務次官どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/43
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044・細田吉藏
○細田政府委員 先ほどの御質疑とも関連をいたしましてお答え申し上げたいと思いますが、今度の国、地方を通ずる予算の中で、市町村財政にしわ寄せをしておるのではないか、たとえば四百五十億というふうなものを国に貸せるとか、あるいは住民税の減税の補てんがないとかいうようなことの御指摘だと存じます。私どもといたしましては、地方財政が決して楽になって好転をしているというふうには——好転はいたしているかもしれませんが、しかし赤字は膨大なものを、借金をまだかかえているわけでございますので、決して楽な状況になっているというふうな認識はいたしておりません。ただ国の財政との関係におきまして、非常に長い時間折衝をいたしました結果がこのような状況になった。この結果に対する御批判は私どもお受けしなければならぬと思うのでございますが、しかしわれわれの気持ちといたしましては、住民税の減税に対しても補てんの措置を実は最初第一段階では強く要求いたしたわけでございますが、残念ながら国の予算との関係、国、地方を通ずる予算の編成というような過程において認められなかった、こういう実情でございまして、たいへんその点は遺憾に存じておりますし、今後地方財政がどうなるかというような点につきましては、景気抑制をいたしておりまして、私は先を非常に楽観的に見ていいかどうかという点につきましては、むしろ非常にそういう点は警戒すべきではないか、ただいまのおことばにもございましたが、そういうふうに考えておりますので、今後の問題といたしましては、私どもやはりほんとうに健全な地方財政の確立を目ざして努力しなければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/44
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045・山本弥之助
○山本(弥)委員 私は国の財政における財政硬直化という問題、これは税収の伸びが乏しいという意味の財政硬直化ということでございますが、国税の税収の内容につきましては全然考慮をしていない。いわば現行の税制を守りながら減税を行ない、一方で酒税あるいはたばこの値上げを行なって、消費税でこれを補う。国の場合は、私どもの考えでは、法人税に一例をとりましても、当然いままでの租税特別措置法の改正、利子配当の分離課税の廃止等一連の措置をとることによって税収の確保をはかることができる、地方税の減税におきましては、ほとんどそういうふうな操作によっての減収の補てんをすることができない、こういう事態にあるわけでありまして、地方税と国税との関連におきましての自治省の立場はきわめて私は重要だと思うのであります。しかも四十三年度の税制改正に関する答申等も「地方財源の確保に適切な考慮を払いつつ住民税の課税最低限の引上げ」をあげている。国税の場合の内容はほとんど答申どおりなんです。しかも重要な「地方財源の確保に適切な考慮を払いつつ住民税の課税最低限の引上げ等」考えるということについては、この重要なことについて、自治省が大蔵省の折衝におきまして、地方公共団体の過去における財政問題の根本的解決を等閑に付してきた責めばかりではなく、当然十分折衝すべき問題についても、この答申の肝心なところを主張なさらぬということにつきましては、私ども地方公共団体の側に立ちまして非常に不満を感ずるわけです。もう一度政務次官のお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/45
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046・松島五郎
○松島政府委員 税制調査会の答申に、地方財源の確保をはかりつつということばがございますことは御指摘のとおりでございます。私どもはこのことばは、その当時起こっておりましたいろいろな地方財政に対する問題、たとえばよくいわれます出世払いの問題でございますとかあるいは道路財源充実の問題でございますとか、そういった問題を前提にいたしまして地方財源の確保をはかりながら減税をやるべきだという御趣旨であるというふうに考えているのでございます。私どもも、減税補てんの問題はもちろんのこと、その他の面におきましても、答申に掲げられておりますような地方財源の確保をはかるということについては努力をしてきたつもりでございますが、御指摘のとおり、減税補てんの問題につきましては、先ほども申し上げましたように、国、地方全体を通ずる今日の財政事情のもとにおいて補てんができなかったということは、まことに遺憾に存ずるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/46
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047・山本弥之助
○山本(弥)委員 地方財政の問題につきまして、こういうふうに地方財政についての、また地方税制についての基本的な問題の答申を——国の財政の高度成長に伴うひずみからくる、あるいは政策自体の破綻からくる問題を地方財政にしわ寄せをさせる、しかもそれらにつきまして十分配慮をしないというようなことにつきましては、今後十分御努力を願いたいと存じております。地方制度調査会等におきましても、従来、地方公共団体の財政問題につきましては、根本的に行政事務の配分ということとのかね合いにおいて財政問題も考えていくというふうなことを答申に相なっておるわけでありますが、これらにつきまして自治省としてどの程度の熱意を持って取っ組んでこられたのか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/47
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048・細田吉藏
○細田政府委員 実はもう御承知のように、国の行政機構の改革、行政機構の簡素化という問題は、現内閣としましては大きく取り上げているわけでございます。地方もこれに準じて行政機構の簡素化、改革をやれ、こういうことになっているわけでございますが、特に私どものほうの赤津大臣も私も強くいま考えておりますことは、ただ人を減らせ、課を減らせと申しましても、これはなかなか地方はそう簡単にまいらない問題がたくさんあると思います。そこで、地方制度調査会の御意向にもございますような点を私どもとしましてはもっと根本的な問題として取り上げまして、いま法律なり政令なり国の施策によって地方にいろんな仕事がいってやらされておるわけでございますが、こういう問題について一ぺん総点検と申しますか、洗い直そう、そして関係の各省に対しまして、いま地方で仕事をしておりますようなものについて、これについてはもうおやめいただいたらどうだろうか、やり方をお変えいただいたらどうだろうか、こういうことを全部実は洗いざらいさらいまして、各省に私どものほうから申し入れをしたいと思っております。その作業を実は近くまとめ上げる段階までまいっておりまして、行政局を中心にいろいろやらせておるわけでございます。実はまだ中身を申し上げるまでに至っておりませんけれども、そういうわけでございまして、私どもはそういった本格的な取り組みにおける行政機構改革、行政の簡素化、こういうものをやってまいりたい。大臣も特に力を入れてこの問題と取り組んでおるわけでございます。近くそういう問題について当委員会にも申し上げることができるようになるのじゃなかろうか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/48
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049・山本弥之助
○山本(弥)委員 ただいま政務次官のお答えになりました点、われわれ同感でございますが、今日、国の行政簡素化あるいは行政事務の合理化とかいうことが強調されますと、それと符節を合わしたように、地方公共団体の行政の簡素化あるいは行政の合理化というようなことが叫ばれておるわけでございます。私どもの申し上げたいのは、これはすでに地方制度調査会の答申にもございますが、今日の国、地方の事務配分については、市町村を優先にして、でき得る限り市町村のなし得る事務は市町村におろしていく、さらに地域的な広域的な行政は府県、国は極力地方自治体のなし得ない行政に関与するということを徹底的にやるべきだということが答申がなされておるわけでございます。ただいまの行政簡素化にいたしましても、国と相協力することは当然でございますけれども、国の行政簡素化は、ある意味におきましては末端市町村の行政事務の増高充実というようなことに関連をするわけでありまして、私は、一省庁一局削減等の問題も、いかに行政事務を地方公共団体との関連においてここに配分するかという観点において考慮すべき問題であり、そのことによって地方公共団体の事務をさらにどう充実するか、それに対する財源をどう考えてやるかということで解決をしなければならない、かように考えておるわけでありまして、地方公共団体の自主財源の税制面については、地方公共団体に対して不信の念を持ち国の財政を優先的に考える大蔵省との折衝においては、自治省はそういう面におきましても常に十分配慮すべきであると考えますが、いかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/49
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050・細田吉藏
○細田政府委員 国の行政機構簡素化によって地方がむしろ仕事がふえるのじゃないか、そういうものもあろうと思います。私が先ほど申し上げましたのは、国からの仕事をやらせておるそのもとをやめることによってやはり減る、こういう両方の面があろうかと思います。地方がやることが適当であるものは地方にやらせる、これはもう御趣旨のとおり、そういう考え方で進めていかなければならぬと思います。そういったようないわばふえる要素、減る要素等がございます。そういう点について実情に即した地方の行政機構を確立し、またそれの財源は当然われわれとして十分な配慮をいたさなければならぬ、かように考えておる次第でございまして、御趣旨のとおりかと私ども思います。またそういう方向で私ども考えていかなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/50
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051・山本弥之助
○山本(弥)委員 戦後の国と地方との実際の歳出規模は、国一に対しまして地方が二であるわけでありますが、税源の配分は、国が七、地方が三ということになっておるわけであります。いわば自主財源を地方公共団体にどう確保させるかという問題になるわけでございますが、この自主財源の確保を国との関連において今後どう対処していかれるか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/51
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052・松島五郎
○松島政府委員 御指摘のとおり、税として直接国民に負担していただいておりますものは、地方団体の場合は、国と地方を通ずる税負担のうちの約三割でございますけれども、地方団体が直接支出をしております経費の段階では、地方団体のほうと国の場合が反対になっておるというような状態でございまして、そこに明らかに、支出する経費と徴収される税とのアンバランスがあるわけでございます。もちろん地方団体が全部税でもってまかなうということにつきましては、財源の経済発展の不均衡というような問題もございまして、地方交付税等によって調整していかなければならない面もございますけれども、しかし何と申しましてもこのように財源の配分が片寄っておりますことは不適当なことでございまして、私どもはかねてからこの是正について努力をしてきたつもりでございます。(「さっぱり是正されてないじゃないか」と呼ぶ者あり)結局その方法として考えられますものは、国が地方団体に出しております経費のうち、いわゆる国庫補助金というような形で出しておりますものをできるだけ整理をして、それにかわるべき財源として、地方団体が税を直接徴収するというようないわゆる税源の移譲をしていかなければならないわけでございまして、この点につきましては、いま、さっぱり前進してないというお話もございましたが、私どもも努力しているつもりではございますけれども、全く前進のあとがないことに、実は内心焦慮をいたしておるものでございまして、できるだけそういうことを解決すべく今後とも努力を続けていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/52
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053・山本弥之助
○山本(弥)委員 その点、まことに心もとない御答弁のようでありますが、ぜひ真剣に取り組んでいただきたい。予算折衝の過程における当面の国の税制と地方公共団体の税制をどう対処してどういうふうにするかというような目先の問題ではなくて、そういう基本的な問題に真剣に取り組んでいただきたい。交付税の配分をどうするかというような、地方公共団体がお百度を踏むような今日の地方自治体の実態ではなくて、すでに二十年あまり経過いたしております今日の自治体がほんとうに地方自治の姿をとり得るためには、そういう当面の問題のみではなくて、地方制度調査会あるいは地方税制調査会等におきまして、積極的に自治省がそういう方向に向かっての立案、計画をせられて提案願うというふうにお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/53
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054・細田吉藏
○細田政府委員 地方税制の二十年あまりの状況をずっと振り返ってみますと、まあ貧乏ひまなしといいましょうか何といいましょうか、応急的な対策だけに終始しておったような感がないわけではございません。おっしゃいまするような事務の配分の問題、それから税源の配分の問題、本格的に取り組まなければならぬような時期に参っておると私ども考えております。今後そういう点につきまして一そう、省をあげて勉強をいたしたいと思っておりますので、御支援をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/54
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055・山本弥之助
○山本(弥)委員 先ほど大石委員も触れられたのでありますが、地方自治体の当面する問題は、過疎、過密の問題であります。地方自治体がすべて、府県あるいは市町村を通じまして、自治体としてのシビルミニアムを確保できるかどうかという重要な問題に私は当面していると思うのであります。これらの問題につきましてはいろいろ金融の面だとかあるいはその他の補助金、負担金の問題でいろいろ講ぜられておるようでありますが、私は税制の面におきましても、この問題の根本的な解決を促進しなければならない、かように考えておるわけであります。自治省当局は、税制の面で、過疎、過密の問題にどう取り組んでいくかという今後の方針をお聞かせ願いたいと思います。先ほどお聞きいたしましたけれども、十分了解のできないような御答弁でございました。重ねてお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/55
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056・松島五郎
○松島政府委員 先ほどもお話がございましたが、やはり今後市町村税制を考えてまいります場合に、市町村を全く同じような概念でくくって考えていくことは困難になってきておるように私どもは感じております。
まず過密地帯といわれますところ、人口の急増しておりますところは、財政需要も年々増高しておりますし、また、それがきわめて流動的であるという点を考えてまいりますと、そこに考えらるべき税制というものも、現在のような静態的な税制でなくて、もっとそういう動いていく事態に即応し得るような税制でなくちゃならぬのではないだろうかというふうに考えておるのでございます。具体的にそれでは税種としてどういうものがそれに当たるのかということになりますと、やはり法人企業に対します税でありますとか、あるいは消費生活等に対します税でありますとかというようなものを考えていかなきゃならないのではなかろうかという感じを持っております。
それから過疎地帯に対しまして、人口がどんどん減っていくようなところでは、先ほども申し上げましたように、どういう税制を考えましても、なかなか税収でもって十分まかなっていくということはできない状態でございまして、私どもが昨年かに調べました二、三の過疎地帯の市町村をとってみましても、三十五年から四十年までの五年間に税収入が一%しかふえないというところもございます。そういうようなところにつきましては、今回提案をいたしておりますような住民税の減税等をいたしますと、減ることはあってもふえることはないという状態でございます。そうかといって、新しい税金を考えたからといって、そういうところに税がふえていくということも期待できないわけでございまして、したがいまして、そういう市町村については税制として考えるか、あるいはむしろ交付税制度の運用という面で考えるか、そこのところの考え方をこれからは区分けして問題を考えていかなければならぬのじゃないかというようなことを考えているわけでございます。具体的にそれではさらに突っ込んでどうするかという問題については、いまだ結論を持ってはおりませんけれども、考え方としてはそういうような方向で考えていくべきではなかろうかというように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/56
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057・山本弥之助
○山本(弥)委員 過去におきましてもそうであったと思うのでありますが、私、昨年の本会議におきまして、佐藤総理から直接過疎、過密の問題が重要な問題である、これに対して積極的に早急に対処するんだという発言があり、赤澤大臣の所信表明の中にも、過密、過疎の問題に積極的に取り組んでいくという発言があるわけでありますが、姿勢はなかなか積極的に取り組むというお話でありますが、事務的には税務局長もまだ具体的に考えていないというふうな状況は非常に私心細く感ずるわけであります。少なくともこれらの問題につきましては暫定的にも早急に取り組むべきである、成案を得べきではないか、かように考えております。お話しのとおり、私は今日の過密都市の問題は、自主財源を暫定的に確保してやる、過疎地帯の大きな問題は、今日出かせぎ等によって都市に流出する、残された過重な労働力が老人あるいは婦女子にかかっております。そのために大きく問題になっておりますのは、医療保障の問題から出てまいります国民健康保険税の問題であります。私は、大都市における財源の付与、過疎地帯における国民健康保険税の解決、これに早急に取り組むべきではないか、かように考えております。いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/57
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058・松島五郎
○松島政府委員 御指摘のとおり、過疎地帯におきましては人口の老齢化あるいは婦女子が多いというような状況になってきております。そこに国民健康保険税の問題は、非常に重い負担であるという声は非常に高いわけでございます。また国民健康保険税は、年々医療費の増高とともに負担が重くなってきていることも事実でございます。そこで私どもとしましては、国民健康保険税につきましては、一定の所得の方以下の方にはできるだけ減税をしていくような方向で努力をしてきておりまして、毎年若干ずつの減税幅の引き上げをしてきておるわけでございます。この点につきましては、今回の住民税の改正の問題とも相まちまして、さらに厚生省とも連絡をとり、努力をいたしてまいりたいと思っております。
それから過密地帯の問題につきましては、昨日来いろいろ御指摘のございますように、何と申しましても大都市に対して自主財源である税源をいかにして与えるかということが重要な問題でございます。これは御指摘のとおり私どもは当面努力していかなければならない最大の目標であるというふうに考えております。
もう一つ、東京とか大阪とか大都市の周辺に急激に人口が集まってきている都市がございます。そういったところの税制というものもまた考えていかなければならぬ問題であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。特にそういう地域におきましては、人口の流入流出が非常に激しい状態でございまして、これも私どもの調べたところによりますと、一年間に転入転出合わせまして三十数%というところがございます。一年間のうちに出たり入ったりする人でそこの人口の三分の一ぐらいが入れかわっているという状態でございます。こういうような激しい人の動きというものを考えましたときに、現在のようにしばしば指摘されます静態的な市町村税制というものではたして適合していけるのかどうかという問題があるわけでございまして、この点につきましても、私どもといたしましては、適切な解決方法というものについて何らかの解決点を見出したいという点で検討いたしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/58
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059・山本弥之助
○山本(弥)委員 国民健康保険税あるいは都市財源につきましてはあとで御質問いたすことにいたしまして、大蔵省からお見えになっておりますのでお聞きいたしたいと思いますが、四十一年の税制調査会の中間答申として、住民税は地方団体の基幹的税目で重要な地位を占めるものであるので、所得税と住民税を通ずる総合負担を考慮して適切な税源配分を検討すべきであるというふうな答申がなされておるわけであります。今回の地方税改正によりまして、住民税の課税最低限の引き上げが行なわれたわけでございますが、これによりまして相当の減収に相なるわけであります。これらの答申に対しましてどういうふうなお考え、またどういうふうな検討を進めておられるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/59
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060・相沢英之
○相沢政府委員 四十三年度におきましては、ただいまお話のございましたとおり、住民税につきましての課税最低限の引き上げその他で、これは四十二年度の所得税の給与所得控除引き上げに伴う減収を含めてでございますが、約七百億円程度の減税額が予定されます。この減収に対しまして国としてどういうような措置をとるかという問題でございますが、従来も住民税その他の地方税の減税の際に、その減収に対しましてどのような措置をとるかという問題があったわけであります。過去の取り扱いではその減収補てんの措置を、ほかのたとえばたばこ消費税の税率の引き上げで補てんしたこともございますし、それから歳入欠陥補てん債というものを出しまして元利補給の措置を講じたこともございますし、それからまた何も措置とらなかったこともあるわけでございます。
それではどういうふうな場合にそのような措置を講ずるかという点につきましては、これは国、地方の財政事情を勘案してきめるべき問題であろうと存じます。四十三年度におきましては、決して地方にそれほどのゆとりがあるということを申し上げるわけではございませんが、国の財政事情との関連において見ますと、地方住民税の減収は地方団体の交付税あるいは地方税の増収によってまかなっていかなければならないような事情にありましたので、いわば自前で減税を行なうということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/60
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061・山本弥之助
○山本(弥)委員 先ほども申し上げましたが、主計官から満足する回答をいただけないと私は思うのでありますが、国の税収につきましては所得税の減税をいたしたわけであります。これを間接税で補っていくというたてまえをとっております。地方税ではそういう減税措置に対して他の税源でこれを補完するということができない。しかも自然増収は当然いままで抑制しておった行政需要に充当する、それでもなお足らないというのが地方財政の現状であるわけでありますので、私のお聞きしたいのは、そういう減税をしなければならぬということについて、国の所得税も重要である、地方の住民税も重要である、その際に総合負担をどう考えていくかということで税源を配分すべきだという、いわば所得税から住民税のほうにどう税源を移譲するかということについてお考えになっておるかどうかということを、この際お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/61
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062・相沢英之
○相沢政府委員 税源の移譲を含めます国、地方の税源の再配分の問題につきましては、これは地方制度調査会におきましても国、地方の行政事務の再配分の問題等ともからめて検討をするというような話になっております。この国、地方の行政事務の再配分の問題に関しましては、さきに地方制度調査会から一応の考え方が示されておりますが、その事務の再配分に関連いたしまして国、地方の財源問題をどのように考えるかという点につきましては、今後地方制度調査会におきましても検討されるということになっております。これは私が申し上げるまでもなく、単に税源をどう配分するかということだけでは考えられないので、当然その前提として、国、地方の行政事務の配分が現在のままでいいかどうか、あるいはこれをどう変えるか、あるいはそういう行政事務の配分を前提にしてどのように税源の配分を考えるかということになるわけでありますので、こういう地方制度調査会その他におきます検討を待って大蔵省としても検討するという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/62
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063・山本弥之助
○山本(弥)委員 大蔵省の計算によりましても、現在の最低生計費というのは六十三万七千円だと記憶いたしておりますが、今回の課税最低限の引き上げというのは五十三万で、住民税に関しましては生計費までいかない課税最低限である。早晩これをどの程度まで引き上げるかということは今後の検討に待つといたしましても、考慮しなければならぬというふうに私は考えますが、ただいまの答弁は、事務の再配分に関連いたしまして、所得税の関連においてその点を総合的に検討するというお考えなのですか。もう一度はっきりお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/63
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064・相沢英之
○相沢政府委員 ちょっと私のことばが足らない点があったかと存じますが、もちろん税制の問題といたしましては単に国、地方の税源の配分という方向だけではなくて、やはり税制といたしまして所得税と住民税との間において税負担の割合と申しますか、それをどう考えるかという問題があるわけであります。いまお話しの所得税の課税最低限と住民税の課税最低限というものがアンバランスであって、住民税の課税最低限を引き上げなければならないということが要望されておる、そういう税制自体としての住民税の減税というその要請に対しまして当然配慮があるわけでありますが、そういう配慮を加えました場合に生ずる減収に対してどのように対処するかという点につきましては、これはやはり国と地方との行政事務の配分あるいは国、地方の税源の模様というようなものを勘案して決定すべきものであると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/64
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065・山本弥之助
○山本(弥)委員 この程度に質問をとどめますけれども、私は今日の課税最低限は、所得税も住民税も生計費に課税せずという原則を貫く限りにおいては同額であるべきだという考え方を持っておるわけでありまして、この答申につきましては、将来所得税につきましてはもっと基本的に、荒っぽい議論になりますけれども、所得税の課税対象を引き上げまして地方住民税の充実をはかるという意味におきまして操作をするというような配慮が好ましいのではないかという考え方を持っておるわけでありますが、時間の関係もございますので、いずれまたの機会に御質問したいと思います。
この機会に、先ほどの過密対策における財源の関係でありますけれども、今日六大都市といわれておる都市が交付税を交付されておるという実態に、実は私非常に驚いておるわけでありますが、本来大都市は、基本的な税制が合理的に確立するならば、大都市における交付税は当然交付にならないような交付税の仕組みをしなければならぬ。交付税の本質にもとっているというような交付の配分になっておる、こういうふうな印象を受けるのでありますが、政務次官いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/65
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066・細田吉藏
○細田政府委員 現行の交付税法の趣旨にもとっておるというふうには実は考えません。しかし、きわめて端的に考えまして確かにおかしいと思います。ですからこういう点につきましては、先ほど税務局長もお答えいたしましたが、税制の措置、過密対策としての税の措置ということで考えるのが本筋であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/66
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067・山本弥之助
○山本(弥)委員 自治省からいただきました資料を見ましても、今日六大都市とその六大都市所在の府県との財政を見ますと、歳入中に占める割合を見ましても、東京を別といたしまして、神奈川県では歳入中に自主財源の占めておる割合が五四%、横浜市が四五%、愛知県は五五%であるけれども名古屋は四九%、京都は府が四六%に対して京都市は四二%、大阪は五五%に四二%、兵庫以下もそのとおりであります。こういうふうに六大都市の自主財源の歳入に占める割合がその府県よりも少ない。あるいは交付税を見ましても、東京、神奈川、愛知、大阪は交付税は交付をされていない。しかし私ども意外に感じますのは、横浜市、名古屋、京都、大阪というのは交付税がだんだんふえる傾向にある。しかも京都市は一〇・六%、こういう状況になっておりますし、起債にいたしましても、六大都市のほうが府県よりも起債の占める比率が高い、こういう、実態になっておるわけであります。市町村、府県との関係におきましては、ある程度府県は交付税を中心に、あるいは市町村は自主財源を中心というたてまえが地方公共団体の市町村、府県のあるべき姿である。府県、市町村ともに地方自治体としての自主財源の確保ということは私ども念願するところでありますけれども、このたてまえがこういうふうに変わってまいりまして、六大都市が交付税によってその財政を維持していくということがいかに税体系におきまして矛盾をし、今後矛盾を増大していくか、こういうような趨勢が考えられますので、早急にこれに対処しなければならぬ、かように私どもは考えるわけであります。したがいまして、住民税の法人税割り等も、この際六大都市の自主財源を臨時特例的に措置するというたてまえで配慮しなければならぬのじゃないか。それでなければ過密問題は解決しない、こういうふうに私は考えますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/67
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068・松島五郎
○松島政府委員 御指摘の問題でございますが、六大都市だけ法人税割りをふやすということになりますと、そのふやし方をどういう形でやるのかという問題をあわせて考えなければならぬと思います。六大都市の分だけプラスアルファで、すなわち法人の負担においてふやすのかどうかという問題が第一番目に考えられると思います。プラスアルファで法人分を六大都市についてふやすということになりますと、ふやす側の地方公共団体としてはそれで財源が得られるわけでございますけれども、負担する側の法人としては、なぜ六大都市だけそこに重い負担をしなければならないのかという点が裏づけられなければならないと思います。そういうことになりますと、法人に対する負担というものはそもそもいかにあるべきかという問題とあわせて検討をしていかなければならない問題であろうと思います。また、次の考え方としまして、府県の法人税割りを市に移すというようなことも考えられるわけでございますけれども、その場合に六大都市だけでいいのか、あるいはそもそも法人税割りの配分を県、市町村全体を通じて変えるのかというような問題も考えなければならぬと思います。そういう問題として考えます場合には、府県、市町村の間の財源配分のあり方自体として全体を検討してみなければならぬ問題になるわけであります。私どももそういう点はいろいろ検討はいたしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、まだ結論は出ていないという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/68
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069・山本弥之助
○山本(弥)委員 私は、いろいろ問題を根本的に解決するという税制上のことを考えますと、当面の六大都市の過密問題の対策というものは立たないというふうな感じがいたします。かりに、これも自治省の資料でございますが、超過負担の問題もあとでお聞きいたしたいと思うのでありますが、私は六大都市における中小企業の課税につきまして、いわば法人税割りにいたしましても、超過の負担をするということは中小企業対策として懸念されるのではないかという考え方を持っておったわけでありますが、現実にこのおたくの資料の四三ページでございますが、都道府県の超過課税というものはどこにもございません。しかし市町村の超過課税の状況は、所得割りにおきましても、人口五万以上五十万未満の市におきましては三一%、人口五万未満の市は五八・四%というような超過税率を適用しております。これは市民税の所得割りでございますが、法人税になりますと、これは五十万以上の市はほとんど——どこか知りませんけれども、二市超過税率を適用いたしておるわけでありますが、これはおそらく六大都市以外の五十万以上の都市だろうと思います。
人口五万以上五十万未満の市になりますと、標準税率を適用しておる市は四二・六%、超過税率を適用しておるのは五七・四%、人口五万のいわば中小企業の町、これらは八五・八%という大半が法人税割りの超過税率を適用しておるわけであります。町村におきましても、零細企業といわれるところにおきましても、四四・六%が超過税率を適用しておる。これらの実態を見ますると今日人口集中の集積の利益を享受しておる大都市における法人税割り、これにつきまして、腰だめ的に超過税率あるいは標準税率の改正を行ないまして自主財源を確保し、それらの大都市に回る交付税を過疎地帯に傾斜的に配分するという配慮が好ましいのではないか。(組谷委員「それが本質だ」と呼ぶ)細谷委員の言われるように交付税の本質であり、しかも大都市の過密問題を早急に解決する有力な財源になる。すでに今日、高度成長の影響を受けない中小企業をかかえておる中小都市におきましては、それらに超過税率を適用することによって市町村税を維持しておるというのが実態であるわけでありまして、私は早急に、むしろそれらの地域よりも集積の利益を享受しておる大都市
において超過税率を適用する、あるいは暫定的に標準税率の改定を行なうということはきわめて緊要であり、必要なことであるというふうに考えますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/69
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070・松島五郎
○松島政府委員 資料につきましては御指摘のとおりでございます。超過税率を中小都市において適用しておる。それではなぜ、大都市においても超過税率を定めることができるのに、大都市においては超過税率を取っていないのか、こういう問題も考えられるわけでございます。大都市において超過税率を地方団体がきめることができないというたてまえにはなっておりませんので、大都市においても、財政事情が超過税率を必要とするならば超過税率を定めることもできるわけであります。したがいまして、そういう観点から申しますと、いまこの際標準税率を全体として上げるのがいいのかどうかという点については、なお検討の余地があるのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/70
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071・山本弥之助
○山本(弥)委員 自治省はよく市町村の行政に対しましては、大都市における再建整備にいたしましても、あるいは相当な都市が再建整備をいたしますのに、再建に対しましては非常に強い指導をなさるわけであります。いわば地方自治体が自主性をそこなうような御指導をなさるわけであります。大都市の積極的な指導については、なぜこういう超過税率をどんどんやれ、場合によっては標準税率を上げてやるぞ、そのことによって今日最も重要な問題になっておる過密対策をなぜ積極的に前向きの方向で解決をなさる御指導をなさらないのですか。政務次官にお聞きいたしたいと思います。どういう方針でお臨みになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/71
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072・細田吉藏
○細田政府委員 先ほど六大都市とそれぞれの所在する県との比較についてお話がございました。私どもも承知しておるところでございます。起債等も非常に六大都市は多いわけでございます。これは申し上げるまでもなく、人口の急激な増加に伴って財政の需要が急激にふくらんでまいった、これに対処しておる姿が今日こういう形になっておると思います。したがいまして過密対策としての必要性から申しますると、おっしゃるとおりであると私ども思っております。なぜこれができないのかというところは、私どもはもっと掘り下げて考えなければならぬと思います。これらの点につきましては、ただいま税務局長も申し上げましたが、われわれとしましては真剣に取り組んでまいらなければならぬ問題である、いろいろな角度から十分貴重な御意見でございますので、検討してまいらなければならぬ、かように思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/72
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073・山本弥之助
○山本(弥)委員 私どもは過密、過疎の問題は、過密対策に追われて過疎問題がお留守になるという不安を感じております。したがいましてこういう税源の問題につきましては、いま政務次官から、積極的におやりになるという御意見が出ましたが、そのお約束どおり積極的にこの問題を早急に解決づけるという御努力を願いたいと思います。
時間の関係もございますので後刻に延ばすことにいたしまして、一言この機会に、私どもは府県税を市町村に委譲せいという意味ではなくて、両方の団体が健全になることを念願するものでありますが、今日の府県民税の百五十万を限度として二%−四%という課税方式、これらについて、市町村の住民税よりも段階を少なくすることはいいといたしまして、多少ゆるやかな累進課税ということをお考えになっておるのかどうかということが一点。
もう一点、今日府県の住民税にいたしましても、市町村の住民税にいたしましても、均等割りを課しておるわけでありますが、この均等割りを課する必要性があるのかどうか。これを全廃すべきではないかというふうに私は考えますが、この二点につきまして御答弁いただきまして、残りの質問は後刻いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/73
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074・松島五郎
○松島政府委員 県民税について累進度をもっと強めてはどうかというお尋ねでございますが、私ども、住民税のあり方について税制調査会等でもいろいろ御検討をいただいておりますが、住民税は所得税と性格が違うのだから、むしろ現在の市町村民税の累進性を緩和すべきであるという御意見がございました。いわば住民税というものは所得税のように所得町分配ということを強くその機能のうらに持つという性質のものでないので、累進性をもっと緩和したらどうかという御意見があるわけであります。しかし住民税、市町村民税の累進性の緩和につきましては、市町村の税収に与える影響というものもございまして、なかなかそれに踏み切れないような状態でございます。ただいま御提案の問題はむしろ逆に、県民税の累進性を高めろ、こういうお話でございますけれども、いま申し上げましたように、住民税全体について累進性を低めるべきであるという意見もあるところでございますので、この問題については、いまここでそういう方向をとることは困難であるというふうに考えます。
なお、均等割りを廃止してはどうかというお尋ねでございますが、課税最低限を今回十万円程度給与所得者について引き上げるということになりましたが、現在の市町村の住民税の課税所得を、非常に荒い分け方ではございますが、町村と都市、大都市、こういうふうに分けてみますと、一人当たり平均の課税所得が昭和四十年度で、若干資料は古いのでございますけれども、市町村は二十三万円程度でございます。それから都市が三十五万円程度で、大都市が四十五万円程度でございます。したがいまして課税最低限を一律に引き上げますと、その与える影響というのは町村に一番大きく響いてくるということになるわけでございます。そういう点から申しますと、今後課税最低限をさらに引き上げるべきであると私ども考えておりますけれども、それをやっていけばいくほど、町村におきます住民税の納税義務者というものが急激に減少してくるということが予想されるわけでございます。そういった事態において、住民税の均等割りをどう考えていったらいいのかという問題が出てくるわけでございまして、やはり住民として幾ばくかの税を負担していただくということが必要だと私は思いますし、そういう観点からいえば、むしろ住民税の均等割りというものは今後とも存続すべきものではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/74
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075・山本弥之助
○山本(弥)委員 今日、均等割りにつきましては、徴税費の関係におきましても私どもは当然これは廃止すべきである。住民が応益負担をするという観念はもう均等割りには当たらないということで、これは十分検討を願いたいと思っております。
それからもう一点恐縮ですが、先ほど大都市に関連いたしまして申し上げた中都市、小都市等における住民税、そのうちには所得割り、法人税割り、また固定資産税、すべて超過税率を適用して、かろうじて市町村の財政をまかなっておる町村が相当数占めておるわけでございます。これらの超過税率適用についてはどういうふうに御指導せられるか、今後の方針を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/75
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076・松島五郎
○松島政府委員 標準税率の定めがございまして、財政上特別の事情がある場合には超過税率というものを取ることができるというのが現在のたてまえでございます。したがいまして、私どもとしましては、原則的には標準税率によって財政がまかなわれるようにしていかなければならないし、また市町村においてもそういうふうに努力をしていかなければならぬと考えております。で、超過税率は、しかしながら自治団体でありますから、ある年に特別な財政需要が起きたというときにはやはりそれをまかなえるような税制上の弾力性が必要であるということで設けられておるわけでございまして、超過税率が慢性化するあるいは固定化するということは、標準税率制度のたてまえからいっても適当でないと考えておりますので、私どもは、一方においてはそういうことが起きないような財政対策を講じながら、一方においては税制の面でそういうことのないように指導していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/76
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077・山本弥之助
○山本(弥)委員 では次の機会にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/77
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078・吉川久衛
○吉川委員長 次回は来たる十九日火曜日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X00919680315/78
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