1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月二十八日(木曜日)
午後零時四十一分開議
出席委員
委員長 吉川 久衛君
理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君
理事 塩川正十郎君 理事 古屋 亨君
理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君
理事 山口 鶴男君 理事 折小野良一君
青木 正久君 小笠 公韶君
亀山 孝一君 小宮山重四郎君
佐々木秀世君 辻 寛一君
永山 忠則君 野呂 恭一君
原田 憲君 山崎 巖君
河上 民雄君 三木 喜夫君
山本弥之助君 依田 圭五君
門司 亮君 大野 潔君
小濱 新次君 林 百郎君
出席国務大臣
自 治 大 臣 赤澤 正道君
出席政府委員
自治政務次官 細田 吉藏君
自治省税務局長 松島 五郎君
委員外の出席者
議 員 細谷 治嘉君
専 門 員 越村安太郎君
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三月二十八日
委員伊東隆治君、岡崎英城君、木野晴夫君、中
尾栄一君、藤田義光君及び山口シヅエ君辞任に
つき、その補欠として小宮山重四郎君、原田憲
君、佐々木秀世君、世耕政隆君、小笠公韶君及
び山崎巖君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員小笠公韶君、小宮山重四郎君、佐々木秀世
君、世耕政隆君、原田憲君、山崎巖君及び林百
郎君辞任につき、その補欠として藤田義光君、
伊東隆治君、木野晴夫君、中尾栄一君、岡崎英
城君、山口シヅエ君及び谷口善太郎君が議長の
指名で委員に選任された。
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三月二十六日
地方公務員の定年制法制化反対に関する請願外
一件(佐野憲治君紹介)(第三〇一九号)
同(枝村要作君紹介)(第三〇七五号)
同(小川新一郎君紹介)(第三〇七六号)
同(大橋敏雄君紹介)(第三〇七七号)
同(木原津與志君紹介)(第三〇七八号)
同(兒玉末男君紹介)(第三〇七九号)
同(鈴切康雄君紹介)(第三〇八〇号)
同(戸叶里子君紹介)(第三〇八一号)
同(中井徳次郎君紹介)(第三〇八二号)
同(原茂君紹介)(第三〇八三号)
同(広沢直樹君紹介)(第三〇八四号)
同(平等文成君紹介)(第三〇八五号)
同(伏木和雄君紹介)(第三〇八六号)
同(中谷鉄也君紹介)(第三一五二号)
同(西風勲君紹介)(第三一五三号)
同(太田一夫君紹介)(第三一六六号)
同(工藤良平君紹介)(第三一六七号)
同(佐々栄三郎君紹介)(第三一六八号)
同(田邊誠君紹介)(第三一六九号)
地方公務員の定年制反対等に関する請願(只松
祐治君紹介)(第三〇六九号)
同(楯兼次郎君紹介)(第三〇七〇号)
同(戸叶里子君紹介)(第三〇七一号)
同(堂森芳夫君紹介)(第三〇七二号)
同(中澤茂一君紹介)(第三〇七三号)
同(中嶋英夫君紹介)(第三一五四号)
社会保険等行政事務及び職員の地方自治体移管
に関する請願(枝村要作君紹介)(第三〇七四号)
特別区の区長公選に関する請願外一件(麻生良
方君紹介)(第三一七〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四五号)
地方公営企業法の一部を改正する法律案(太田
一夫君外七名提出、衆法第一五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/0
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001・吉川久衛
○吉川委員長 これより会議を開きます。
内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/1
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002・吉川久衛
○吉川委員長 この際、地方税法の一部を改正する法律案に対し、大石八治君から修正案が提出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/2
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003・吉川久衛
○吉川委員長 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大石八治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/3
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004・大石八治
○大石(八)委員 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、私は自由民主党を代表してその提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
案文はお手元に配付してありますので朗読は省略させていただきます。
修正の第一点は、市町村の固定資産税の税率に関し、自治大臣に届け出を要する場合について、政府原案に定めるものよりも、その届け出を要する場合をさらに限定することとし、その運用について一そうの慎重を期することとするものであります。
第二点は、国民健康保険税の仮徴収につきましては、前年度の国民健康保険税の額を当該年度の納期の数で除して得た額の範囲内で徴収することとなっておりました従来の制度に加えて、前年度の国民健康保険税の額のうち最後の納期にかかる額の範囲内で徴収することもできることとし、納税者の負担の変動の緩和と市町村の事務処理の簡素化をはかろうとするものであります。
以上が修正案の提案の理由及び内容の概要であります。
何とぞ皆さまの御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/4
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005・吉川久衛
○吉川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/5
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006・吉川久衛
○吉川委員長 これより地方税法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/6
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007・山口鶴男
○山口(鶴)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、内閣提出地方税法の一部を改正する法律案並びに自民党提出による修正案に反対をいたすものであります。以下私どもの態度について申し上げます。
まず、昭和四十三年度の税制改正の特徴は、財政の硬直化を口実とし、実質減税ゼロであるどころか、大衆、特に低所得者層への増税であることは明らかであります。すなわち、国税の減税一千五十億円を酒、たばこ、物品税の増税に求め、地方税では第五十五特別国会での附帯決議に基づき、やっと五人世帯給与所得者の課税最低限を五十三万円に引き上げたものの、他方、自動車取得税の創設をはかるなど大衆課税の増税を行なっておるのであります。
これまで住民税の課税最低限は長い間固定され、所得税を納めないのに住民税を納める人たちが七百万人にも及んでいることを考え、さらにまた、所得税が昭和四十五年百万円にまで課税最低限が引き上げられることを考慮いたしまするならば、また最近の相次ぐ物価上昇を考慮いたしまするならば、税負担はかえって増高している、こういう状況であります。
一方、大企業優遇の租税特別措置は相変わらず温存されております。さらにまた、今回地方税法第三百五十条の改正を行ない、電力資本の利益をはかるために、山村の自治体に自治大臣の指示権を行使するなどの改悪をあえて行なっておるのであります。
われわれはかかる税制改正の方向に反対し、昭和四十三年度の地方税は次のとおりに改革すべきであることを要求をいたします。
第一に、住民税の課税最低限を所得税に近づけることを目途に各種控除を引き上げるべきであります。
第二に、市町村民税の制限税率は一・二倍とし、道府県民税の比例税率をやめ、超過累進課税に復元すべきであると主張いたします。
第三に、法人税割りについては、国税の租税特別措置の影響を遮断すべきであると考えます。
第四に、事業税につきましては、完全給与制を採用するなど、事業主控除、専従者控除を引き上げるべきであると考えます。
第五に、大都市、特に指定市におきましては、都市の再開発など、財政需要はきわめて増高いたしております。しかるに現在の大都市の財政状況はきわめて貧窮をきわめているのであります。したがってわれわれは、法人税割りを増強し、さらに不動産取得税、料飲税の半分程度を指定市に移譲するなど、大都市の財源充実を強化すべきであると主張いたします。
第六に、消防施設税につきましては、市町村の目的税として保険会社から徴収すべきであると主張いたします。
第七に、揮発油税、石油ガス税につきましては、市町村を含めて地方に移譲し、地方道路財源、特に市町村の道路財源の充実強化をはかるべきであると主張いたします。したがって今回提案されておりまするような自動車取得税のようなこそくな手段による市町村の道路財源充実については、われわれは賛成することができません。
最後に、国民健康保険税でありまするけれども、三十万程度の所得層が、一世帯について一万円をこえる重税にあえいでいる状況であります。私たちは、課税方式を本文方式に統一し、低所得者層の税負担の軽減につとめるべきであることを主張いたしたいと思います。
以上、私たち社会党の考え方を申し述べたわけでありますが、すみやかに私どもが主張する方向に地方税を改正すべきであることを主張いたしますと同時に、今回提案されました政府案並びに修正案については反対である。以上の態度を申し上げて討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/7
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008・吉川久衛
○吉川委員長 折小野良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/8
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009・折小野良一
○折小野委員 私は民社党を代表いたしまして、特に自動車取得税の創設に反対する、こういう立場から、ただいま提案されております地方税法の一部改正並びにこれに伴う修正案に対しまして反対の討論をいたしたいと思います。
このたびの地方税法の改正におきまして、いわゆる新税の創設という形で自動車取得税というものが立案されてまいったわけでございます。この創設の過程について考えますと、私ども納得し得ないいろいろな問題を見るわけでございます。
たとえば、ことしは地方財政がわりあい裕福である、そういうような立場から、一方におきましては、国に対して実質的に四百五十億を貸し付ける、こういうような状態があるわけ町あります。そういう中におきまして、どうして新たな税を創設しなければならないか、こういうような面も当然考えられるわけであります。もちろん、道路の改修に対する地方自治体並びに国民の要望は高いのであります。これに対して、安易に新税の創設をもってこたえようとする、こういう点につきましても、私ども十分納得できないのであります。すなわち、この税の性格からいたしまして、道路財源としての即応性と申しますか、そういう面が十分でないという問題がございます。あるいは、自動車に対する課税にはいろいろのものがございまして、いわば二重課税のおそれ、こういう面もないではございません。こういう面から見ますと、新税の創設につきましては、より慎重であるべきであると私どもは考えますし、特に本年度の地方財政の状況の中におきまして、このような新税を創設されたということにつきましては、慎重を欠くのじゃないか、私どもはかように考えております。
また、自動車取得税の内容について申しましても、今日わが国の経済はきわめて困難な状況の中にあります。しかも、特にその中で輸出を振興しなければならない、そういうようなわが国の経済の中における戦略的な産業といたしまして、自動車産業というものをもっともっと私ども考えてまいらなければならない。そういうような情勢の中で、自動車産業の振興をはばむような形におけるこの税の創設というものは適当でないというふうに私ども考えますし、特に免税点の関連におきまして、中古車市場のいろいろな問題、こういう面が自動車産業の発展について一つのガンになるであろうということを考えますときに、免税点等についての考慮がより一そうなさるべきではなかったかということを感ずるわけであります。
また、今日の社会情勢からいたしまして、自動車を取得するということは、多くの国民の一つの夢でもあるわけです。もちろん、かといって高級車の普及というものを私ども考えているわけではございません。国民大衆が多少の努力をいたしますならば何とか手に入るような、そういうようなきわめて安い車、その多くは中古車等でございましょう、そういうものにまで課税をすることによって、国民大衆の夢を阻害する、こういう面も決して正しい税のあり方というふうには考えられないわけでございます。
また、現在の案では免税点十万円ということでございますが、これはいわばポンコツ車というような車でございましょう。そうしますと、こういう車に対してまで税がかかる。一つの車に対して三回も四回も税がかかるということは、決していいことではないと考えておりますし、また、そのことのために、そのような車の整備が阻害される、こういうことになってまいりますと、将来事故防止というような面からもいろいろな問題があるのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。
少なくとも、かつて法定外普通税として京都においてこの税が行なわれておりました。その当時におきましては、政府のある部分におきましては、これに対しては反対である、こういうような意見が強かったはずでございます。世に悪税の代表というふうにいわれておりました。それを政府が全国的に取り上げて、しかも免税点が三十万であったのをさらに十万にまで下げるということになりますと、さらに一そうの悪税になる、こういうふうに言っても差しつかえないのじゃないか、かように考えるわけでございます。
そういうような立場からいたしまして、私どもこの自動車取得税の創設については賛成をいたすわけにまいらないわけでございます。しかし、この問題につきましては、この委員会におきましてもいろいろ論議をされました。私ども、せめて将来におきまして、免税点、税率その他を含めまして、政府におかれましてもこれが是正方を特に要望いたすわけでございます。
以上、反対の理由を申し上げまして、反対討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/9
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010・吉川久衛
○吉川委員長 小濱新次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/10
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011・小濱新次
○小濱委員 私は公明党を代表して地方税法の一部を改正する法律案に対して反対の意見を表明するものであります。
その第一点といたしましては、今回の地方税法の中で、自動車取得税については、道路整備の目的財源としてとありますが、これは税金本来の趣旨から考えて不適当であると考えるものであります。しかもまた、自動車は国民全体にとってぜいたく品ではなく、現在では必需品の傾向にあり、この点から考えてもこれは大衆課税であるといわざるを得ないのであります。
なお、政府原案の自動車取得税においては、下肢等の不自由左身体障害者に対する非課税措置も講じられておりません。
第二点といたしましては、電気ガス税については、従来総理自身も悪税であると公言しておきながら、本法案では、一般家庭の電気ガス税においては、ガスだけわずかにその免税点を百円引き上げただけであり、電気についてはその措置が考えられないということであります。
第三点といたしましては、住民税と事業税において、青色申告者について専従者控除の免税点が十二万円より十七万円に引き上げられただけであり、これを所得税と比べたときに、所得税では全額経費と認めるいわゆる完全給与制の措置がとられているわけであります。青色申告者に対しては所得税並みの措置をすべきであると思うわけです。
第四点といたしましては、住民税の免税点については、所得税との差が三十万円もあり、その格差は相変わらず変わらないのが現状であります。この住民税の免税点も八十万円程度まで引き上げるべきだと主張するものであります。
第五点といたしましては、都市、特に指定都市の財源充実について、これまで衆参の地方行政委員会でたびたび決議が行なわれたにもかかわらず、本法案ではこれに対する特別の措置がなく、また、審議を通じても具体的対策が明らかにされなかったことはまことに残念であります。その他住民負担の軽減等、わが党の主張から遠く離れるものであります。
以上の理由により、今回の地方税法の一部を改正する法律案に対して反対し、討論といたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/11
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012・吉川久衛
○吉川委員長 林百郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/12
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013・林百郎
○林委員 私は日本共産党を代表して、ただいま議題になっております地方税法の一部を改正する法律案に対して反対いたします。その理由を以下述べます。
第一は、住民税において、個人住民税の控除を、給与所得者の標準世帯で約十万円ほど引き上げ、課税最低限度額を五十三万二千四十円にする等、あるいはその他の若干の減税の措置をとっておりますけれども、しかしそれが大衆課税的な性格であることは変わっておらないわけであります。これはすでに他の党の皆さんからも論及されておりますが、所得税の四十一年度納税義務者数が約千九百万人、ところが住民税所得割りの納税義務者数が約二千四百万人、実に五百万人も多く住民税所得割りを納めている人があるわけであります。所得税は納めなくてもいいのに住民税所得割りを納めている人が約五百万人あるという状態であります。
その次に、大蔵省の昭和四十二年度の減税案の資料によってみますと、標準世帯の年間基準生計費は六十三万七千円といわれております。物価騰貴の激しい今日、政府の見積もりによっても今年度約四・八%の物価が上がる。ただしこれは消費者米価の値上がり等を除いておるというわけであります。ところが、住民税が依然として生計費に食い込んでいる。そして重い負担を大衆にかけておるということは明らかだと思います。
また、教育扶助や住宅扶助等を含む最低生活保障水準の四十二年度の実績見込みと比較してみますと、生活保護の教育扶助や住宅扶助をもらっておる人は一般申告者の課税最低限度額よりも約七万円多くなっています。要するに、一般申告者の課税最低限度額は、生活保護を受けておる人よりも七万円も低いところへかかってきておるわけであります。生活保護を受けている者が一銭も税金を払わぬでもいいのに、それより七万円も低い所得の者が住民税を払わなければならないという矛盾があるのでありまして、若干の手直しがあったとはいえ、地方住民に対する住民税が大衆課税的な性格を強く持っておるということは否定できないと思います。
第二の問題は、国の財政硬直化対策に協力させるために、地方財政を圧迫して住民税の減税を押えて、そして一方では自動車取得税というような新しい、これも大衆課税的な性格を持った制度を設けたことであります。
四十一年度の都道府県決算を見ても明らかなように、たとえば東京都の七十五億円の赤字、四日市市などの工業地帯を持つ三重県の三億円の赤字、福岡県の六億七千万円の赤字、また、人件費をはじめ、公債費など義務的経費が非常に増大して、義務的経費が歳出総額の四六・九%、一般財源の五九・九%にもなっております。一方、地方道路その他住民生活に密接な地方単独事業をますます圧迫していることが実証されてきております。歳入構成を見ましても、一般財源が四八・七%で、総額の二分の一にも満たない。国の補助金とか地方債にたよらざるを得ないというのが地方自治体の財政の実情であります。
一方、地方公営企業会計の累積赤字を見てみましても、四十二年度までには約千二百億円に達したといわれております。これに加えて地方自治体は、超過負担の増大、地方債の異常な累積、約二兆八千億といわれておりますが、これの返済に悩んでおります。それにもかかわらず、国は、地方財政は楽になったと称して、四百五十億円の交付税の減額をはじめ、特別事業債の償還の繰り上げ等、地方財政を圧迫し、地方自治体と住民の犠牲において国の補正的な財政政策を押しつけてきておるわけでございます。
そういう立場から、地方税についても若干の手直しをしたにもかかわらず、四十三年度の税収は約四千億円も昨年度に比べて増収となります。これは、住民にとって、物価高と名目賃金の上昇による事情を勘案いたしますと、実質的な増税となっておるわけであります。
また、地方交付税も、国税三税の伸びによって、四百五十億を減額しても、前年度より二千百九十二億円増収ということになっております。一口に言って、大衆的な課税の方法によって収奪をすることによって、本年度の地方自治体の収入増加は約四千億円という数字が出ておりますけれども、支出のほうは前年度並みに極力押えております。たとえば公務員給与の引き上げを今年度並みにすでに押えて交付税の中に繰り込んである。さらに定員の一%削減を計画しておる。住民税の減税を押えて、生活保護や結核医療等の一般行政費の節減を強制している。そして住民の要求しておる単独事業を縮小して、財源に余裕があると称してこのたびの四百五十億の交付税の減額、起債の繰り上げ償還、公共用地の先行取得、料金の値上げを前提にした公営企業の合理化のための起債など、国の景気調整政策に地方財政を協力させるために、住民に対するいろいろの収奪、圧迫を強めておるわけでございます。このことが本法案の中にはっきりと繰り込まれておることを指摘せざるを得ないのであります。
第三には、住民に対するこのような税の収奪を強める一方、大きな資本家に対しては、それをさらに保護するための措置がとられておる。これは言うまでもなく、不動産取得税、固定資産税の改正の点であります。特に法第三百五十条の改正は、地方自治体の課税権を侵害し、国によって実質的に課税率を決定しようとするものであって、これは地方自治体と地方税法の本質を否定するものであると言わざるを得ません。地方税法は地方自治体の課税権に一定のワクをはめておるものにすぎずして、地方自治体はそのワクの中で税種の選択あるいは税率の決定等、それぞれの議会の議決を経て条例によって独自に行なうことができるのが原則であります。現在、地方税法は賦課徴収のすみずみまでこまかくきめられておりますので、地方議会が条例で独自の方法を打ち出す余地はほとんどないようにワクがはめられております。住民税について税率の累進度を高めようとしても、地方税法による標準税率をくずすことは認められておりません。また、私鉄や電力、炭鉱など、地域における大きな資本が不当に負担を軽減されているというような現状を改めるために税率を変えようとしても、これもまた税法で押えられております。
このような状態の中で、今回の法第三百五十条の改正は、このワクの中での地方自治権、非常に狭められた地方税法の中における地方自治権に対して、さらに国が介入をするものでありまして、これは地方自治体の財政自主権、地方自治権の侵害を一そう強めるものであると言わざるを得ないのであります。自民党の修正案を見ましても、この本質をいささかも改善するものでないといってよろしいと思います。
以上の理由によって、共産党は、このたびの地方税法の一部改正法律案に反対でありますが、これに対するわが党の対策をごくかいつまんで申しますと、一つは地方税の特権的左減税、免税を廃止すること。第二には、大資本家に対する地方税を高度累進制にすること。第三には、高級の道路だとか特定の港湾、工業用水などのための、主として大資本家の便宜をはかることを中心とした支出を押えて、住民の要求に基づく支出にそれを振り向けること。第四は、国の財政の民主化によって地方交付税交付金と国庫補助金の大幅な増額、支出方法の民主化をはかること。第五は、財政投融資と民間金融機関の資金を大量に住民の生活向上のため地方自治体に融資し使用すること。このような方法が、真に地方財政の民主化の道だと考えております。
以上の諸点によって、わが党は本案に反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/13
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014・吉川久衛
○吉川委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより採決いたします。
まず、本案に対する大石八治君提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/14
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015・吉川久衛
○吉川委員長 起立多数。よって、大石八治君提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/15
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016・吉川久衛
○吉川委員長 起立多数。よって、地方税法の一部を改正する法律案は、大石八治君提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/16
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017・吉川久衛
○吉川委員長 この際、和爾俊二郎君、細谷治嘉君、折小野良一君及び小濱新次君から、四派共同をもって、ただいま修正議決いたしました地方税法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
この際、本動議を議題とし、その趣旨の説明を求めます。和爾俊二郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/17
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018・和爾俊二郎
○和爾委員 私はこの際、住民負担の軽減、大都市の税源の充実等をはかるため、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表し、地方税法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。
案文の朗読により趣旨説明にかえさしていただきます。
地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、住民負担の軽減、大都市の税源充実等をはかるため、左の措置を講ずべきである。
一、住民税の課税最低限については、住民生活の実態、所得税の課税最低限の引上げ等を勘案し、引き続きその引上げに努めること。
なお、地方税における事業専従者控除については、所得税におけるいわゆる完全給与制の実施状況をも勘案しつつ、適切な措置を講ずること。
二、自動車取得税の免税点等について、検討を加え、とくに免税点については、明年度においてその引上げをはかること。
なお、下肢又は体幹が不自由であるため、身体障害者手帳又は戦傷病者手帳の交付を受けている者が自ら運転するために取得する自動車に係る自動車取得税については、都道府県において減免措置を講ずるよう適切な配慮をすること。
また、自動車取得税の市町村への交付にあたつては、人口密度、交通量等道路使用の実態を考慮して配分すること。
三、大都市については、その財政の実態にかんがみ、税源の充実を検討して明年度において具体化に努めること。
四、市町村の固定資産税の税率に関する自治大臣の指示については、その運用にあたって地方自治の干渉とならないよう慎重を期すること。
右決議する。
以上であります。何とぞ皆さまの御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/18
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019・吉川久衛
○吉川委員長 本動議について採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/19
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020・吉川久衛
○吉川委員長 起立総員。よって、和爾俊二郎君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、赤澤自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。赤澤自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/20
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021・赤澤正道
○赤澤国務大臣 ただいま御議決になりました事項はいずれも重要な事項でございますので、御趣旨を尊重いたしまして、引き続き検討を加え、善処いたしたいと存じます。ありがとうございました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/21
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022・吉川久衛
○吉川委員長 おはかりいたします。
ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/22
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023・吉川久衛
○吉川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/23
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024・吉川久衛
○吉川委員長 次に、太田一夫君外七名提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題とし、提出者から提案理由の説明を聴取いたします。細谷治嘉君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/24
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025・細谷治嘉
○細谷議員 ただいま議題となりました地方公営企業法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして、その理由を簡単に御説明いたしたいと思います。
地方公営企業は、現在依然として危機の状態にございますが、この赤字は昭和三十六、七年ごろから急激に増大をしてまいったものでございまして、その原因は政府の経済成長政策にあると申さなければなりません。
前回、一昨年の地方公営企業法の改正におきまして、独立採算制を原則としてその強化がはかられまして、そのために公営企業の公共性というものが無視されてまいっておるのでございます。
同時に、公営企業に従事する企業職員は、地方公務員でありながらその労働基本権を剥奪され、他方では給与は能率給だ、あるいは経営成績によるものだ、こういう名目で、その犠牲を強要されておるというような現状でございます。
昭和四十一年に改正されました公営企業法で、財政の再建ということが行なわれておるのでありますが、公営企業はその後も赤字額が増大してまいっておりまして、昭和四十二年度末の累積赤字は、おおよそ千五百億円をこえるものと見込まれておるのでございます。このことは、大体昭和三十六年以降年々三百億程度の赤字がふえてきたのでありますが、赤字の幅は一向縮小をしておらない、こういうことからもよくうかがえるのでございます。
こういうような現状認識に立ちまして、地方公営企業は、やはり公共性、地方の公営企業である、こういう立場を守り抜かなければならない、こういうことで、今回この法案を提出いたしたわけでございます。
この法案の柱は、大体四つございます。
第一の柱は、法適用事業の範囲を二つの種類に分けるということであります。第一の種類は、水道あるいは軌道、自動車運送、地方鉄道、ガス事業で、住民に直結する性格の事業でございます。第二の種類は、工業用水道、電気事業でありまして、住民に直接つながらないで、他の営利事業を通じて間接的につながっておる性格の事業でございます。したがって、第一の種類のものは独立採算制によらない、第二の種類のものは独立採算によるべきである、こういうふうに改正すべきであるというのが一つの柱でございます。
第二の柱は、企業会計の原則というもの、一般会計との関連、あるいは料金の改定ということが、いま申し上げました基本性格に基づいて当然改正されなければならない、こういうことになりまして、その改正を織り込んでおります。
第三は、この企業につとめておる職員の給与を決定する原則でございますが、現在の法律三十八条によりますと、職員の給与というのは、生計費、あるいは同一または類似の職種の国または地方あるいは民間事業の従事者の給与、並びに企業の経営の状況を勘案してきめる、こういうことになっておるのでありますけれども、事実は、生計費とかそういうものよりも、経営の状況ということですべてを決定していこう、あるいは同一または類似の職種、こういうことに基礎を置いて給与表の改悪ということが至るところの公営企業にあらわれておるというのが現況でございます。こういうために、公営企業に従事しておる企業職員は、地方公営企業の労働関係法に保障されておる団体交渉権なり地方公務員としての基本的な権利というのが実質上剥奪をされておる、こういう状況にございますので、国の企業に従事する職員に対する給与の決定の原則、こういうものと同一の原則によるべきだ、こういうことでこの現行法三十八条を改定したいと考えております。これが改定の第三の点でございます。
第四の点は、現在、御承知のように公営企業は年々大幅な料金の値上げをやっておるわけでありますけれども、依然として経営が好転を見せない。こういうことはやはりただ一企業のワク内だけでは解決できない大きな壁というものがあるわけでございます。したがって、企業が企業らしく地方公営企業としての公共性を守り抜いていくためには、どうしても国の積極的な利子の補給なり、あるいは元金についての手当て、あるいは国庫補助、こういうものが必要でございます。そこで、たとえば地下鉄等につきましては、別途地方の軌道についての国の補助についての法律案を出しておりますが、この法律の中では、水道については水道法四十四条を改正いたしまして、現在簡易水道にのみ行なわれております国の補助を一般水道にも拡大適用すべきである、こういうことで水道法四十四条を改正しよう、こういうことが第四の柱でございます。
第五の柱は、一昨年から財政再建を行なっておるのでありますけれども、その再建団体も利子と元金の返済でどうにもならない。自治省も言っておりますように、現在の再建計画というものは真の企業の再建計画ではない、こういうふうに考えられるのでございます。そこでひとつ、企業の赤字というのは、再建債が六百億ということでありますが、実質赤字は四十二年度末には千五百億円をこえる見込みでありますから、そういうもので四十二年度末で押えて、そして赤字については利子補給をして、利子の負担についての企業の負担の軽減をはかってやろう、元金につきましては、ある程度やはり元金の返済というものが非常に大きな負担になっておりますから、これをころがしていく、借りかえをしていく、こういう措置を講じてやらなければ現在の企業の危機を脱することはできない、こういうふうに考えまして、現行法四十八条、四十九条を現状に即するように改正すべきだ、こういうことでございます。
以上の五点が今度の改正案のおもな改正部分でございますが、これに要する経費は四十三年度におきまして約三百六十九億円と見込まれております。
以上が提案理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/25
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026・吉川久衛
○吉川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
地方財政に関する件の調査のため、地方財政計画及びその他地方税財政問題について、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/26
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027・吉川久衛
○吉川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
なお、日時、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/27
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028・吉川久衛
○吉川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、明二十九日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01419680328/28
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