1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月五日(金曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 吉川 久衛君
理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君
理事 塩川正十郎君 理事 古屋 亨君
理事 細谷 治嘉君 理事 折小野良一君
青木 正久君 亀山 孝一君
木野 晴夫君 辻 寛一君
中尾 栄一君 永山 忠則君
藤田 義光君 山口シヅエ君
太田 一夫君 河上 民雄君
中谷 鉄也君 畑 和君
三木 喜夫君 山本弥之助君
門司 亮君 沖本 泰幸君
小濱 新次君 林 百郎君
出席国務大臣
自 治 大 臣
国家公安委員会
委員長 赤澤 正道君
出席政府委員
警察庁警備局長 川島 広守君
厚生省社会局長 今村 譲君
自治政務次官 細田 吉藏君
自治省財政局長 細郷 道一君
委員外の出席者
法務省刑事局公
安課長 豊島英次郎君
大蔵省主計局主
計官 秋吉 良雄君
厚生省児童家庭
局母子福祉課長 岩佐キクイ君
専 門 員 越村安太郎君
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三月二十八日
委員伊東隆治君が死去された。
四月五日
委員井岡大治君、依田圭吾君及び小濱新次君辞
任につき、その補欠として畑和君、中谷鉄也君
及び沖本泰幸君が議長の指名で委員に選任され
た。
同日
委員中谷鉄也君及び畑和君辞任につき、その補
欠として依田圭吾君及び井岡大治君が議長の指
名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第五一号)
警察に関する件(四・一王子闘争に関する問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/0
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001・吉川久衛
○吉川委員長 これより会議を開きます。
内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。山本弥之助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/1
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002・山本弥之助
○山本(弥)委員 昭和四十三年度の予算編成に関連いたしまして、地方交付税をめぐりまして自治、大蔵両大臣の話し合いの結果、覚書の成立によりまして、四百五十億を国へ貸す、また地方債の二百五十億の繰り上げ償還、その資金を特別会計で借り入れるというふうな非常に込み入った考え方で決定をしたようでありますが、このことは国と地方との将来の財源配分といった問題にも関連を持ちますので、その経緯につきましてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/2
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003・赤澤正道
○赤澤国務大臣 今年度の地方交付税は、御案内のとおりに、四百五十億円を減額いたしましたことにつきまして、いろいろ御議論があるのでございますけれども、その減額とさらに二百五十億円、これは過年度の災害債をある年限までのものを切りまして、一応繰り上げ償還して財源に充てるということ、いま一つは、特別事業債の分としまして九十億円を計上して、合わせて一兆一千百十三億円ですか、ということにいたしておりますが、ただいま申しましたこの三点につきましは、いろいろいままで審議の過程を通じて御議論がありまして、たびたび申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/3
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004・山本弥之助
○山本(弥)委員 簡潔に、どうしてこういうむずかしい操作をなすったか、一言でけっこうでございますからお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/4
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005・赤澤正道
○赤澤国務大臣 一言と言われるとなかなかむずかしいですけれども、事の起こりは、例の出世払いと俗に言われた四百五十億円に端を発しておるわけでございまして、やはり国の内外を取り巻く経済状態が非常に悪くて、政府も御案内のような政策をとったわけでございまするので、地方財政のほうだけ知らぬ顔というわけにまいらぬ面もありまして、それに即応するということで四百五十億円減額はしましたが、しかしそれだけではやはりこの行政需要を十分にまかなうわけにまいりませんので、いろいろ検討いたしました結果、この災害債の古いものは非常に不均衡でありまして、ぼつぼつ整理の時期にもなっておる。だから財政を健全化するためにもこれを一応繰り上げ償還して、またこれを有効な方面へ新しく——ひもつきということでは決してありません。実はこれを新しく使っていくということは、地方財政の内容を健全化する一つの方向である。そのためにはやはり一応この特別会計、全部これは国の資金でございますから、そこへ一応返した形で、それをまた交付税に繰り入れる。決して複雑ではございませんので、私はむしろこの財政の内容を健全化する方向でこの道を選んだと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/5
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006・山本弥之助
○山本(弥)委員 将来の地方財政の財源を留保しておく、あるいは国の財政硬直化に協力をするということに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/6
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007・赤澤正道
○赤澤国務大臣 財政の硬直化に協力するということには考えておりませんけれども、御案内のとおりに、非常に抑制された予算を国が組んでおりまするので、やはり国の政策に反するわけにもまいりませんし、これは地方財政法でもそういう方向を示しておるわけでございまするので、われわれといたしましては、それに即応したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/7
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008・山本弥之助
○山本(弥)委員 国の財政硬直化に協力する方向ではないというふうな御答弁でございますが、結果において私どもも国の財政硬直化に協力しておるというふうに考えられるわけであります。大臣のこの委員会における所信表明を見ますと、「地方行政のあり方は、その質と量の両面において大きな変貌を遂げつつあります。私は、このように変貌する地方行政の現実に対処し、社会経済的諸条件の変動に即応するため、すみやかに適切な措置を講じ、地方自治の伸展と国民福祉の向上に万全を期してまいる」こういうふうな表明がなされたわけでありますが、一応大きな前提としての表明といたしましては、私ども当然このとおりでありまして、これは大臣みずから言っておられるように、これに即応するためにすみやかに適切な措置をどう講じていくかということが基本であろうかと思うのであります。先ほどの御答弁によりますと、必ずしも国の財政硬直化に協力したのではないというふうなお話がございましたが、いろいろ覚書の経緯につきましては、過去においての経緯等にかんがみまして、自治省の苦心、苦労というものも私よく了承できるわけであります。しかし国の大きな政策としての景気の調節、あるいは突如として予算編成で出てまいりました国の財政硬直化という問題は、私ども従来の国の政策の誤りがそこに集積されたというふうに考えておるわけでありますが、地方財政は、地方自治法が施行になりましてから、いわば制度が先行いたしまして、財政は硬直の連続でありまして、たいていの団体が、府県、市町村を通じまして、再建または再建団体の指定を受けて再建整備をせざるを得ない、国にめんどうを見てもらわなければならないという地方自治本来の趣旨と違った方向で推移をしておることは、大臣も十分御承知だと思うのであります。したがって、私は、今回の多少の地方税の伸び、あるいは交付税の伸び、これも来年はどう変化するか、国の経済情勢の変化によりまして変わってくる財源でありますから、どうなるかわからぬわけであります。多少ゆとりがついて、地方自治体がこれにどう対処するかというときに、さらにこの財源を国に貸すというあり方は、地方財政の実態を十分把握していない考え方ではなかろうか、かように考えております。過去におきましても、三十年の初めごろだったと思うのであります。私どもは、府県、市町村を問わず財源の窮乏から、結束して大会を開いて、国の交付税の増額をはかったというような経緯もあるわけでありますが、常に財源を配慮をしないということで来ておるわけでありまして、その意味からいくと、私は、今回の交付税でとりましたこの覚書の措置は、これらの情勢を全く無視して、あまりにも国の財政硬直化に即応しておる。いわば従来の域を脱しない、依然として国の従属的地位に地方財政を置くというたてまえが貫かれておる。たとえば先ほどの起債の繰り上げ償還、しかも交付税に余裕があるからといって、これを交付税で見る。しかも地方公共団体は、本来その財政の配分の不合理から、起債ということは当然財源の中で繰り込まれてきておるわけであります。これらを今回は思い切って減額をしておる。そういうことによって、地方財政を国の財政より以上に圧迫しようとしておるという印象を強く受けるのでありますが、大臣の御見解をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/8
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009・赤澤正道
○赤澤国務大臣 四百五十億円を減額して、さらに次年度以降百五十億円ずつ国のほうで増額してもらうということは、帳面づらを見ますと、返してもらうということは貸したからじゃないかという議論になりやすいですけれども、私どもは考え方が根本的に違うのでございまして、かといって、地方財政が好転したから国に貸すとか、あるいは特に減額するとかいうことではない。やはり国のほうで抑制型の予算を組みましたということは、公共事業がそれだけ押えられたということでもございますし、公共事業が押えられたなら、それだけの分を単独事業でどんどんやったらいいじゃないかということも成り立ちます。それは、地方は行政需要は無限と言っていいくらいあるわけでありますし、また公共施設等は不十分なことはよくわかっておりますが、国の大きな立場での財政経済政策と地方財政は、私は関係ないという考え方に立っておりますけれども、やはり先ほど申しましたように、内外を取り巻く経済情勢を踏まえて国自体が非常に苦慮しておる際に、これには地方財政も協力するという立場がありませんと、国民全体の問題ですから、そういうことでいろいろ協議をいたしまして、私どもはこの措置に踏み切ったわけでございます。ただ減額した、しっぱなしでは困りますので、次年度以降の一つの保障として、そういう百五十億円三カ年にわたって国で増額してもらうということを法律上明確にいたしましたゆえんのものは、これは裏には例の出世払いの証文云々ということもございましたけれども、これはいまはないものと一応してもらって、そうして事業の繰り延べと申しますか、一応次年度へ若干のものを繰り越して、そして国が、単に財政硬直化ということでなくて、内外の経済情勢が非常にきびしい、困っておりますので、地方財政といたしましてもその面に若干の考慮をした、こういう立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/9
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010・山本弥之助
○山本(弥)委員 国の財政の硬直化は、それに対してどう打開するかということについての十分の努力が足らない、私はかように思います。一例を申し上げれば、大臣の兼務の所管でありますけれども、治安の関係の警察官の六千人増員、それから自衛隊にいたしましても増員並びに施設の整備、これらをむしろ積極的にやっておる。その他、これらを中心とする施設費の節約といいますか、そういうことによって国の財政の考えておる公債を減らすことが可能であると私ども考えるわけであります。ですから、国としても当然それらの配慮ということに対する努力が欠けておるにもかかわらず、地方財政は——地方自治体を私から申し上げることは釈迦に説法でございますけれども、本来国は大きな経済、財政の調整といいますか、公債を発行することに踏み切った時代のフィスカルポリシー等もございましょうけれども、地方財政は本来地域の開発とか、あるいは社会福祉ということに重点が置かれておるので、過去におきましても、大臣御承知のとおり、経済の成長に夢を追って地方公共団体は、国に協力することによってあるいは財政に大きな破綻を来たしてまいった市町村も相当あるわけであります。いわば本来の使命が国の政策によっておくれておる。社会保障も社会福祉も地域開発もおくれてきておる。そういう状態の中に、今回の財源に多少ゆとりがあるとするならば、それらは当然地方の自治体の充実に振り向けるべきである。国の財政の硬直化なり景気の抑制方策というものは、国の内部で、国債発行にいたしましてもあるいは経費の配分にいたしましても考慮すべきものがあるにもかかわらず、安易に地方財政の面で地方団体にしわ寄せをするという方策、このことにつきましては筋が通らぬのじゃないか。自治大臣並びに自治省はもう少し国との折衝において、それらの地方自治体の現実の上に立って御努力を願わなければならぬと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/10
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011・赤澤正道
○赤澤国務大臣 全く御指摘のとおりでございまして、国が法令だとかあるいは予算、補助金政策等を通じて地方行政に多く介入してくるのをいかにして断ち切るかということにつきましては、種々肝胆を砕いて努力をしております。しかし、反面、いま国が直面しております大きな問題は、円の価値をどうして維持していくか、いま通貨政策の面でも非常に大きな問題が起こっておることは皆さま御承知のとおりでございまして、国の予算だって地方の予算だって、これは金の問題でございますから、やはり国のほうでこういう予算措置をとっておりますその理由に地方財政面が全然顧慮しないということでは、やはり国民全体の利益をはかるゆえんではないということもありますので、御指摘のとおりに、国がフィスカルポリシーをとるにせよ何にせよ、こういうことのはね返りが地方財政にくることは私どもとしては最も好まぬところでございますけれども、今回に限って特にこういう措置をとらざるを得なかったということは、やはり国が当面しておりますこういう緊急事態を乗り切るためには地方財政の面でも多少協力をせざるを得なかった。さらに行政需要の中でも、いかに倹約しなければならぬ時代になっても、非常に急いでやらなければならぬものがあるし、多少待たしてもいいものもあるし、いろいろ事業によって内容は違うわけでございますので、そういった点は十分勘案いたしまして地方財政計画が立ててあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/11
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012・山本弥之助
○山本(弥)委員 私は、国の経済情勢が内外ともに非常にきびしい状態に地方公共団体がどう対処するか、国と相協力してこれに対処していくということについて意見を述べるわけじゃありません。ただ従来の国の財政と地方公共団体の財政との関連において、地方公共団体の本来の使命を果たし得ないような状態で推移してきた今日、そういうきびしい経済情勢に対処するしかたにおいて地方公共団体に重点を置いた協力をしいられるということは、過去のあり方から考えても、もっときびしくしていいのではないか。国のあり方に吟味する余地が相当残されているのではないか。最終の国の予算の決定する段階におきましても、いろいろな政策的なことが行なわれたわけであります。一々こまかいことは申し上げませんけれども、国自身の財政面からの経済の対応のしかた、これがある程度まで地方公共団体に対するよりは甘過ぎる。その協力のしかたにおいて地方公共団体の実態に立った財政配慮がなさるべきである、かように考えておるわけであります。でありますので、その意味においての協力のしかたにおいての地方財政に対する配慮というものが願わしい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/12
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013・赤澤正道
○赤澤国務大臣 基本的な考え方は、先ほども申しましたとおり、山本さんの御指摘のおとりだと私どもは考えております。財政の硬直化ということを申しますならば、国も硬直しておりますけれども、それ以上に地方も硬直しておるわけでございまして、結局、そういう考え方に立って今回四百五十億円の配慮をしたわけではなくて、それに先行する、国が当面しております財政の、つまり円価値の維持その他いろんな諸般の情勢、去年ポンドの平価の切り下げから始まりまして、いろんな大きな変化が国際的に起こっておる、そういうことも踏まえて、地方財政だけ横を向いておるわけにはまいりませんので、こういう措置をとったというふうにお考え願いたいし、またそういう措置をとりました中にも、たとえば過密過疎対策の交付税の配分であるとか、あるいは長期計画に沿うた住民の生活福祉の向上のための、たとえば道路、河川、港湾、下水、こういったものについてはずいぶん重点をこれに向けて、そして住民が御満足といかぬまでも、とにかくそういう面で地方のいろんな事業の進行がにぶるといったようなことのないように十分配慮しておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/13
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014・山本弥之助
○山本(弥)委員 同じような答弁しかお聞かせ願えないのでありますけれども、私の申し上げたいのは協力のしかたの問題なんですね。いままで苦しんでおる地方団体の地方財政に、国の財政が苦しくなったという名目で、さらにそれに重点をかけるというあり方が地方自治の芽を一そうつみ取ってしまう。ですから、協力のしかたにおいて国がもっと配慮すべきである、その点は自治省において相当がんばっていただかなければいかぬということが言いたいわけなんです。しかも今日、限本的な、行政事務の配分にいたしましても財源の配分にいたしましても、すでに多年にわたりまして各方面の、地方制度調査会にいたしましても、臨時行政調査会にいたしましても、答申が出されて、国と地方との協力する体制において不合理であるということについては指摘しておるわけであります。その指摘に対する根本的な問題の解決なくして、しかもこういう国の将来の経済情勢の見誤りといいますか、そういうことから急に財政硬直化ということで、より以上に地方公共団体に圧力をかける。地方自治の伸長と国民福祉の向上に万全を期するということを力強く言われる大臣にしては、国の肩を持ち過ぎる。いわば危局に立った地方財政にさらに圧力をかけるような地方財政計画をつくられるということはどうかということを申し上げたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/14
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015・赤澤正道
○赤澤国務大臣 国のほうはいままでと同じ財政政策で、地方にだけ負担をかけたということに私ども考えておりませんので、予算編成の過程を通じまして、私たちは地方財政に多少でもそういったしわ寄せがくるということを排撃するためにずいぶん戦ったわけでございます。しかし国のほうも、ただいま申し上げましたとおりに、公共事業その他大きく抑制いたしまして、相当自粛しておりますし、その金額というものは単に四百五十億程度のことではございませんで、国のほうも抑制型の予算で、ずいぶんいろいろなものを押えてきておりまするので、私ども、その実態を見て、何がしかの協力はしなければならぬという考え方に立ったわけでございます。ただ、地方財政に多少しわを寄せて国の財政硬直化の防波堤にしようなどといったら、絶対に私どもはそういうことは受け入れない決意は持っておりましたけれども、今度はそういう考え方でこれだけの減額に踏み切ったという心境でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/15
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016・山本弥之助
○山本(弥)委員 しかも地方行政の実態は、府県、市町村を通じまして、大臣も一言言われたように、過密過疎問題のみならず、これは大きく変貌しておるわけですね。たとえば工業都市におきましても、あるいは鉱山都市におきましても、産炭地をはじめ鉱山の所在の都市は衰亡しておるわけであります。また、工業都市におきましても、企業の適地と採算のための配置転換によって、これはその企業に依存しておる都市ほど衰退の徴候がはっきりしてきておる。そういうふうに、単に過密過疎の問題のみならず、都市そのものも経済政策の変更によりまして大きく盛衰がある。これにどう対処するかという大きな内部的な財源配分の問題等もからんでおるわけでありまして、私は全体的に地方財政と国の財政をどう配分するかという問題、これは過渡的に、今回のような地方行政にきびしく当たり、内部操作に相当苦労をしなければならぬという現実に対応できないのじゃないかというふうなことすら考えるわけでありまして、いわば地方財政全体として、国との関連において非常に大きな問題が残されておる。公共団体内部において解決をしなければならない、いわば内部の財源配分について考慮しなければならない問題をかかえておる。これは大臣の言われるように、すみやかに適切な措置をとらなければいかぬ。私は内部の調整の前提として、国と地方との財源配分についての配慮、当面根本的な制度がなされないならば、昭和四十三年度みたいな重要な時期における前提としての措置、これに確固たる姿勢で臨まなければならぬ、こういうふうに考えるわけですが、将来の根本的な事務の配分なり税財政につきまして早急に着手し、これを断行されるというお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/16
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017・赤澤正道
○赤澤国務大臣 交付税率をきめます際に、いつでも長い間議論し尽くした形がございまするけれども、税の配分、国と地方との配分を補完するという意味での交付税の率ですね、これは先ほど申しましたように、地方のいろいろな行政事情というものは無限といっていいくらいあるわけですが、財源には一応限りがある。しかし今日までずっと交付税の率というものを伸ばすことに努力してまいりまして、やっと三二%まで達しましたが、まだそれで満足しておるわけではございませんので、地方制度調査会その他に諮問いたしまして、今日の苦境を訴え、もっと合理的な配分方法というものをいろいろ御検討願っておるわけでございます。こういったことは社会、経済の情勢の変化に対応する対策につきまして、いろいろそういった御指摘のような点につきまして、調査会に諮問もしておりますし、次々にいろいろな結論が出されてくることと思います。しかし全体としては、先ほど申しましたように、全然国が、世界経済の一環として日本の国の財政が当面しております問題というものは無視してしまうというわけにまいりませんので、やはりことしに限ってほんの特例措置として、こういったあれに踏み切ったというふうにお考えをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/17
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018・山本弥之助
○山本(弥)委員 いまの事務の再配分、これに関連する財源の配分に関連して調査会等で検討しておられるということでありますが、私はこれは早急に結論を出すべき問題だと思うのであります。両三年ということばがはやっておるわけでありますけれども、大臣の心組みとしてはどういうことなんですか。調査会の答申がなければ、いつまでもこういう不自然な状態に置かれておるわけでありまして、私は早急に結論を出して決定すべきである、こう考えるわけでありますが、御決意を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/18
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019・赤澤正道
○赤澤国務大臣 財源配分に先立って、当然行政事務の再配分をやらなければなりませんので、財政問題に先行してこれにいま全部の努力を傾注しておる段階でございまして、昨日細谷先生からの東京都の問題についての御指摘もありまして、答申をよく熟読いたしましたところ、いろいろな議論もあるけれども、まず行政事務の再配分に着手して早く結論を出せ、こういう御答申をいただいておったわけでございます。
ただいま山本先生の御指摘のような問題も一日もゆるがせにできません。まず行政事務の再配分につきましては、行政局で鋭意努力もいたしておりますし、また調査会のほうにおきましても、いろいろ御検討願っておる最中でございますので、これはやはり一日も早くという考え方を私たち持っております。ただ、いつこれが終わるかということにつきまして、いますぐ日限を切ってはちょっと申し上げかねまするけれども、全精力をそこに傾注いたしておりますので、その点は御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/19
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020・吉川久衛
○吉川委員長 細谷治嘉君の関連質問を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/20
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021・細谷治嘉
○細谷委員 関連で簡単にお尋ねしたいのですが、いまも一月十八日の覚書に関連する点が質疑されておるのでありますけれども、この点について私が心配していることがありますからお尋ねしておきたい。
秋吉さん、数日前の新聞に、三月二十八日で四十二年度の税収見込みを大蔵省がはじき出したわけですね。それによりますと、所得税は好調であるけれども、景気調整の浸透を反映して法人税、酒税、物品税などが見通しを下回って、税収全体としては補正後見積もりを百億円ないし二百億円程度下回る見通しが強い、こういうことです。四月二日の新聞を読みますと、二月末の租税収入というのを見ますと、所得税は前年度を〇・四%上回っておるのですけれども、法人税は〇・八%、酒税において四・九%前年度より落ちておる。全体としては〇・八%落ちておるわけですよ。そうなってまいりますと、四十二年度の交付税に穴があいてくるのではないか。かりに二百億としますと、六、七十億円の交付税の穴があいてくる心配があるわけですね。これはいかがなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/21
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022・秋吉良雄
○秋吉説明員 はなはだ不勉強で申しわけないのですが、ただいまの御指摘の内容について私まだつぶさに検討をしておりませんが、御指摘のようなことでございますと、今後どうなるかについて十分関心を持って見守らなくてはいけないのでございますが、もしそういうことの数字で推移して穴があくということであれば——三税がもし予定よりか下回ることになれば、三税に伴う交付税は当然それだけ下回ってくるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/22
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023・細谷治嘉
○細谷委員 新聞の、大蔵の二十八日の見通し、これは十二月決算の法人がおくれておりますから、明確でないということを断わってありますけれども、二月末の租税収入実績というのを見ますと、前年比〇・八%落ちておるわけです。しかもこれは法人税が〇・八%、酒税が四・九%も落ちておるわけですから、私はどうも四十二年度の交付税に六、七十億円程度の穴があくのではないか、こういう心配をひしひしと感じております。そうなった場合に、大臣、どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/23
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024・秋吉良雄
○秋吉説明員 先生御指摘のように、その推定がどのようになるかということはまだ未確定段階だろうと思いますが、かりに御指摘のように三税が減収になるということになれば、それは御指摘のように地方交付税法に基づきまして、翌々年度精算されるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/24
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025・細谷治嘉
○細谷委員 この場合は翌々年度の三角になるわけですね。四十四年度の三角として出てくる。それは財政局長確認できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/25
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026・細郷道一
○細郷政府委員 翌々年度に精算増減ができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/26
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027・細谷治嘉
○細谷委員 そうなりますね。そこで続いてお尋ねします。これは推定だということで、秋吉さん、私はこれ以上深追いしない。しかしもっと重要な問題がある。現在審議中の交付税総額、これはもう現に酒税が四十七億円穴があいたわけです。四月実施が五月実施になるわけですね。四十七億円の三二%というのはもうこの予算の中で現実に確実に穴があいたわけです。これはどういうふうに処理いたすつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/27
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028・秋吉良雄
○秋吉説明員 私から答弁させていただきますが、まだ酒税がどのような形でいつ実施になるかということは、私つぶさにはわかりませんけれども、かりに実施時期がおくれたといたしましても、所得、法人の伸びがどうなるかという点の考慮もあろうかと思います。したがいまして、所得、法人がカバーするようであれば、御指摘のような御心配はないかと思います。しかしカバーできないような状況であれば、それは、先ほど申し上げましたように、地方交付税法に基づきまして翌々年度精算という制度が動くということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/28
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029・細谷治嘉
○細谷委員 そういう答弁をされますと開き直らなければならぬわけです。今度酒税は五千五百三十三億円というものが国税三税の交付税総額の基数になっておるわけですね。これは十二カ月分の収入でしょう。明らかに四月は値上がりせぬわけですよ。まだ酒税関係の法律は国会の本会議で議決されておりませんね。きのう税四法は通りましたけれども、税二法は通ってないのですよ。大蔵は五月一日実施ということでやるわけですよ。言ってみますと、値上がりによる増収分は十二分の十一になったということです。四月は特に花見ですからよけい酒も売れるでしょう。そうなってまいりますと、年間全体としてあるいはふえるかもしれませんと言うけれども、われわれは国会で審議しているわけですから、基数の変化がありますと交付税総額も直してもらわなければいかぬ。予算はいま参議院に回っておりますから衆議院では手が届きませんけれども、本来ならこれは直さなければいかぬです。法律が四月一日を予想しておったものが五月一日に確実になるわけですからね。ですから、秋吉さん、いまのような答弁されますと、私も開き直って、それはあなただめですよ、これは十二分の十一にしてもらわなければいかぬわけです。
その辺の問題がありますが、それと同時に、これは明らかに交付税も穴があいてきておるわけですね。五千五百三十三億円引く四十七億円ということになるわけです。したがって、三二%かけますと全体がずっと変わってくるのです。大臣、これをどうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/29
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030・赤澤正道
○赤澤国務大臣 一番もとになる税法がいまだに大蔵委員会でひっかかっておるということはたいへん残念ですけれども、しかしながら、そういう落ち込みがあったからといってそのままにいたすことはできませんので、ただいま大蔵当局の申しますように、補正を組まぬといたしまするならば、次の次の年度で精算する中に当然入るもの、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/30
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031・細谷治嘉
○細谷委員 いまのような答弁をかつて二、三年前に予算委員会でわずか五億円の問題を大蔵大臣が答弁して、そのくらいは年間通じてカバーできますということを答弁して、たいへんな問題になって、数字を訂正したということがあるわけですよ。大臣、この数字は直さなければ、確かに酒の税の問題はまだ衆議院を通っておりませんけれども、大蔵委員会の大勢はもう五月一日に修正するということは確定的なんですよ。この問題は、これはこの審議を通じて、重大な問題として残しておきます。
そこでもう一つ、関連でありますからあまり問い詰めませんが、大臣、覚書四百八十二億円というのが昭和四十年度に行なわれて、例の裏取引の覚書というのが、当時の福田大蔵大臣と永山自治大臣との間で、法律とは別の覚書があったわけですね。それを大臣御苦労なすって解決して一月十八日の覚書ということになったわけです。私は端的に申し上げまして、いまのような、すでに四十七億円落ち込んでおる、しかも四十二年度の後半の税が、前年のぐあいからするとずっと減って、現実に補正に組んだ額が百億円か二百億円程度へっこむ、こういう状況、それから今後、国際経済情勢がきびしくなっておる今日の情勢、こういうものから見まして私は気になったものですから、四十年の前の年の三十九年度のいわゆる地方財政計画にあらわれた歳入構造というもの、それから四十三年度の前年四十二年と四十三年というものの歳入構造というものを比較してみたんですよ。参考までに申し上げますと、地方税が三十九年は二二%です。四十二年も地方税はちょうど二二%なんです。地方交付税はどうだったかといいますと、三十九年のときは一五・四%でした。四十二年度は一九・五%です。地方債だけが変わっておるわけです。三十九年のときは前年比三割程度伸びておるのです。四十二年のときは特別事業債の関係がありまして二割。逆に引っ込んでおる。四十年のときは二五%伸びておりますけれども、四十三年度は一・七%。歳入全体としては、三十九年と四十二年、それから四十一年と四十三年というものを比べてみますと、前者がそれぞれ一九・二、一五・四%、後者が一五・一、一七・五%、こういうことで地方債の構成を除く以外はきわめて類似しているわけです。
さらにその深刻さは、四十年の当初にはすでに景気が上向きにあったわけですけれども、今年はこれからわっと下降だろう。しかもドル、ポンドの危機というきびしい状況でありますから、しかも税収というものはまあ目一ぱい今度は組んでおるわけですから、四十年度に起きました五百十数億円、精算されまして四百八十二億円という大きな穴、これを埋めて裏取引の覚書が行なわれたわけですが、ことしもまたぞろここに組んでおります交付税がたいへん大きな穴があくのではないか。すでにもう酒税は減っておるわけですから。はっきりしているのでから。そのほかには法人税とか、まあ所得税は別として、法人税等はかなり減るのではないか。こういうことがきびしい国際経済環境の中で予想されておりますから、へたをしますと四十年のようなたいへん大きな交付税の穴があくのではないか。これは先ほどの酒の税とは違って確定していません。たいへん大きな穴があく。そうなってまいりますと、またぞろ四十年度のようなああいう覚書みたいのが——解消したはずでありますけれども、またぞろ何らの措置をしなければならぬという事態がかなりのプロバビリティをもって予想されるのではないかと私は思っておりますが、そういう可能性、私が心配しておる可能性を大臣は心配しているのか、そうなった場合に一体どうするのか、重要な点でありますから、これをひとつ大臣にお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/31
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032・赤澤正道
○赤澤国務大臣 御指摘の憂慮というものは当然私ども持っておるわけでありまして、これは今年度の見通しですけれども、私は景気がどんどん好転していくとは考えておりません。御指摘のとおりに、やはりことしの下期は常識的には下降していくのではないか。こういうことは当然税収入にも響いてまいるわけでございます。しかし先ほど申し上げましたように、そういう落ち込みがありましても、やはりその際は翌々年度に調整の道も開かれておりまするし、それから大体平素の財政の執行の上で、ある程度の調節はきくというふうにも考えております。
それから、いまの四百五十億円のことに関連してですけれども、やはり将来の保障の意味で、繰り延べの意味もありまして、こういうふうに百五十億円ずつは少なくとも三年間は増額するということは、当然計算の中に入っておるわけでございまするので、まあ景気の急激な変動がない限りは、私は大体乗り切れるというふうに考えます。つまり地方団体にそう迷惑をかけることはないだろう、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/32
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033・細谷治嘉
○細谷委員 いまの大臣のは、たいへんイージーな答弁でありまして、これはへたをしますと、四十年度は五百十二億円ですか、それが精算して四百八十二億円という、たいへん大きな穴があいたわけです。ことしもへたをしますと、数百億円の穴があいてきますよ、目一ぱい組んでおるのですから。ことしはいいのだと言っていますけれども、そう簡単にはいかないと思う。これが数百億円の穴があくということになりますと、これはもう大臣、いまのような答弁では、地方はとてもたいへんなことになります。酒税の確定した減、それを交付税が受けて減らないものだと思って、数字をそのまま審議するということがいいか悪いか、たいへんな問題があります。四十年の二の舞いをやる可能性が、今度の交付税の基礎に、一兆一千億の中に含まれておるということを、ひとつこの際指摘して、たいへん重要な問題でありますから、いまの大臣の答弁では満足できませんので、問題はあとに残して、その辺を指摘するだけにとどめておきます。関連質問でありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/33
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034・山本弥之助
○山本(弥)委員 きょうは時間の関係もありますし、厚生省からもお見えになっておりますので、ほかの問題をあと回しにいたしまして、自治大臣が非常に力を入れておられる行政の簡素化の問題についてお聞きいたします。
地方団体の行政簡素化につきましては、これはもうすでに以前から実施しておるわけでありまして、市町村の窓口整備、機構の改革、あるいは出先機関の整備、それから府県におきましても地方事務所の統廃合、人員の削減、これは県職組あるいは市町村の職組との非常にきびしい話し合いにもかかわらず、すでに実施してまいっておるわけであります。それについて今回、国の行政簡素化に関連いたしまして、この点もあわせて地方にきびしく、さらに従来の人員整理、行政簡素化等に関連して要望し、しかも財政計画の中では、経費の節減あるいは実員との調整をはかられましたけれども、その中から一%の削減等いや応なしに強要しておるわけであります。行政簡素化に関連いたしまして、地方自治体の実態をどうお考えになりますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/34
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035・赤澤正道
○赤澤国務大臣 地方公共団体の内部の行政の簡素化につきましては、昨年以来たびたび通達も出しまして、地方団体でも非常な議論を行なっております。たとえば、地方団体にもそれぞれ出先機関があるからいろいろ複雑なことになっておるものが、次第に簡素化、合理化されてきております。むしろ現段階の問題は、地方公共団体の内部ということでなくて、法令、予算あるいは補助金政策によって国が多く地方行政に介入しておるということに問題点がありまするので、たまたまこの六月を期して国、地方を通ずる行政改革をやろうということに政府が踏み切りましたので、ちょうど好機到来でございますから、むしろこれを地方団体側でリードするという意味で、実はいろいろな案を立てておるわけでございます。その中にはいろいろなことが含まれておりまして、二重行政、二重監督的なものを排除するとか、むだだと思われるような傾向もありますので、国と重大な関係があるもの等も思い切って整理するとか、いろいろな案がありますが、それをいま全部さらけ出しますと、各省に関係がありまするので、いまから抵抗が始まってははなはだまずい。むしろわれわれといたしましては、中央のデスクプラン的なものでなくて、やはり地方公共団体に根をおろした真の叫びという形で行政改革を断行したいと考えておりますので、今度は新しいケースとして、それぞれ問題点を、むしろ地方公共団体のほうから指摘してもらいたいという手続をとってやる決意をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/35
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036・山本弥之助
○山本(弥)委員 中央の行政事務が地方公共団体に財源的にもいかに影響しておるかということは御承知だと思いますけれども、昨年の大臣の発言によりまして、一省一局削減等も出てまいりましたが、地方は合理的な機構の改革とか、あるいはその改革に即応した人員の配置転換その他を多年にわたって断行してきておるわけであります。中央は科学的な調査も何もしないで——本来一局削減ということは、局長が自分の所管している事務をどの範囲まで掌握できるかということが問題であって、事務の簡素化と関連があるかどうか、私は疑問を感ずるわけですが、どう簡素化をするか。ことに重要なことば、地方公共団体との関連において事務の簡素化をどうはかるか、いわば地方自治体の自治の推進をはかるという角度から簡素化をはかることが、国民に直接つながる問題ですから、より重要な問題だと思うのであります。それを一局削減というまことに非能率的——どうもいまの合理的な世の中に考えられないような体制、これが推進の糸口になるならばけっこうだと思うのであります。その際にも自治大臣も関係したのでしょうが、この決定には地方が努力しておるということは御承知だとは思いますけれども、このことについて地方もやるんだ——国は何らいままでやってこないで、一局削減を急に打ち出したかと思うと、地方が多年にわたって努力しておることに目をおおいまして、地方もこれに協力さすんだというような閣議決定、これは私ども納得できないのです。しかもその後の閣議決定で、三カ月を目途に事務の簡素化をはかるというふうな閣議決定もなされておるようであります。これは三カ月で実現できるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/36
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037・赤澤正道
○赤澤国務大臣 一省庁一局削減というのを行政簡素化の糸口という表現をいただいたわけですが、私どもそういう考え方で受け取ったわけです。ただ、自治省の場合は、本来ならば一局削減をする余地なんかないわけでございましたけれども、各省庁一局ということが総理の強い要請でもございましたので、一応これをのみましたのは、糸口だという考え方があるからですが、その反面、私どもとしては強い決意を持たざるを得なかった。と申しますことは、全く御指摘のとおり、いまや行政の簡素化、合理化ということは、国、地方を通じてうまずたゆまず努力をしなければならないけれども、いまや問題は、やはり国の地方行政に対する介入をいかにして排除するかということを通じて簡素化すべきである、行政改革をすべきであるとわれわれの立場から考えております。ですから、そういう改革の案を提示する段階になってきておりますが、それが、先ほど申しましたように、ほとんど各省庁にそれぞれ関係のあることでございますので、残念ながら大きな抵抗がある、これをどうして防ぐかということにいま知のうをしぼっておる段階でございますので、この点は特に皆さんの御協力をいただきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/37
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038・山本弥之助
○山本(弥)委員 この問題は自治省だけでも私はめんどうだと思うのであります。きょうの新聞を見ますと、行政管理庁で、現状では三カ月ではこれらの案の作成は各省から出そろわないのではないか、行政管理庁もこれに対して相当てこ入れをしなければならぬのではないかというような意味の記事が載っておりますけれども、行政管理庁の促進もまことにけっこうだと私は思います。ただ、問題は、自治省がこれを断行するということは、この地方自治体の事務の簡素化は、当然中央が隘路になっておることを打開し、必要な経費が地域住民のために使われるという体制を促進することになると私は考えます。自治省も、国と地方の事務の配分に関する、あるいは事務の簡素化等については憎まれ役になっていただいて、強力に推進願いたい、かように考えています。そうしていままでの地方公共団体の努力に、さらに地方公共団体にのみ先行して無理な事務の簡素化、地域住民の実情にそぐわないような事務の簡素化が行なわれることは、極力避けるという体制をとっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/38
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039・赤澤正道
○赤澤国務大臣 全く同感でございまして、むしろ自治省の決意があまり強いと見てとって、各省のほうでかなりたじたじしておるのではないかという感すら私どもは持っておるわけでございます。これを断行いたしますためには、やはり超党派の応援もいただかなければなりませんし、そういった意味では協力をお願いすると申したわけですけれども、やはり行政改革の中核は、地方公共団体からあがってくる声というものをすなおに受け取って、そうして国の各省にわたる行政というものも反省してもらわなければ実現が不可能であると思っておりますので、わが省としては、非常な意気込みと決意をもっていま案をつくっている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/39
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040・山本弥之助
○山本(弥)委員 昨年の次官通達の中にも、外郭団体の整理というようなことがありますけれどもも、これは公聴会のときにも私申し上げたわけですが、本来外郭団体というのは、地方自治体のゆがみがそのままあらわれておる。必要なものもあるかと思いますけれども、一つは地方財源の窮乏からくるそれをどう打開するかということの外郭団体、もう一つは、今日の地方行政のあり方が、住民のための地方自治ではなくて、国への陳情によって地方自治の足らざるのを補うという考え方からくる陳情団体、これが外郭団体です。その前の問題も、これを解消するということになれば、先ほど私が申し上げました、これを廃止せよ、廃止せよという事務的な重箱のすみをつつくようなことではなくて、基本的に国と地方との財源の配分をどう根本的に解決をつけるかということによって解決する。あとの問題も、これは言いたくないことですけれども、本来地方公共団体の必要性によって出てきたということよりも、国の縦割り行政によってその外郭団体ができる。その外郭団体の支部的存在として府県、市町村に外郭団体ができておる。いわば下からの行政ではなくて上からの行政が外郭団体をつくっておるわけです。一片の通牒でこの二つの問題を解決つけるということは、私は、通達としては誤った方向だ、むしろ基本的にそういう外郭団体を解消する方向で解決をつけなければ、今後の地方自治というのはますますゆがめられてくるのじゃないか、かように考えております。いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/40
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041・赤澤正道
○赤澤国務大臣 御指摘のような面も多分にあるのでございまして、ですから今度の私たちの案は、単に自治省でつくるという形じゃなくて、やはり地方公共団体三千有余の意見を、最大公約数を求めるという形で今度の行政改革の要求をしたい、私はかように考えております。その中には当然そういうものも含まれるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/41
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042・山本弥之助
○山本(弥)委員 いまの外郭団体の整理の問題は、地方公共団体の意見をお聞きになることはけっこうです。しかし、財政を握っておる自治省に対して地方の意見を反映するという体制は、今田の事態では、私はほんとうの声が聞けないと思う。それは、自治省が多年にわたって中央集権的なやり方をとっておる。ほんとうの意見を聞こうと思えば、相当勇断をもって、それこそ忌憚なく、何を言われても自治省はその団体のめんどうを見るのだという心がまえでおやりにならなければ、実効があがらない、私はかように考えます。しかも、私の申し上げましたような外郭団体の実態は、各省がよく御存じなわけです。各省がその心がまえになってこれに対処しなければ、これまた実効があがらないということを申し添えておきます。
そこで、いろいろ申し上げたいこと、また御質問申し上げたいこともあるわけでありますが、気になることは、財政上の経費の節減ということで、地方自治の本来の職務を後退させるような民間委託の問題の通達があるわけですね。これに対してどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/42
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043・赤澤正道
○赤澤国務大臣 事務の内容によっては民間に委託したほうが非常に能率があがるものも中にはあります。そういうものはやはりその道を開くということはあえてさしつかえないものである、行政というものは、国の行政であれ、地方の行政であれ、国民、地域住民のためにあるわけでございますので、やはり住民の意思がどこにあるかということをよく考えまして、そういった面から合理化、簡素化する意味で、それにふさわしい事務は民間に委託するということはあえてさしつかえない、決して無理に指導はいたしませんけれども、そういう方法もさしつかえないという判断に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/43
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044・山本弥之助
○山本(弥)委員 そういたしますと、民間委託は事務の合理化を行なう——たとえば府県におきましては、このごろ流行のように電子計算機の会社をつくりまして、いろんな計算事務を委託している。私はこれらはしんぼうできると思うのであります。しかし、自治省でお考えになっておるような、自治体が本来力を入れてやらなければならないものまで、これに右へならえをして、いわゆる経費の節減のための民間委託は、これは強要しないというお考えですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/44
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045・赤澤正道
○赤澤国務大臣 行政事務内容によりけりでございますが、しかし、いずれにいたしましても、行政事務の民間委託を強要するなどということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/45
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046・山本弥之助
○山本(弥)委員 たとえば、自治省でお考えになっておる病院の給食の民間委託、これはただいま社労で大問題になっておりますが、北九州市の財政の窮状、これはよくわかるわけです。これは私どもよく存じ上げておる助役さんの松浦さんが行っておられるようでありますけれども、相当思い切って行政の合理化をやっておられるわけです。私は財政の再建けっこうだと思うのです。これはあとで申し上げたいと思いますが、大都市の財源をどうするかということについても、きょうは時間がありませんので、いずれこの次に申し上げたいと思いますが、自治省におられた方が行かれて、本来のたてまえの大都市財政をどうするかということを、現実に助役として市長の補佐としてその実態を見きわめての考え方に立たなければならぬと思うのであります。それを簡単に、民間委託というふうな、自治体の本来の職務、しかも病院の給食というものは、医療措置と同じように重要な事務であるにもかかわらず、民間会社をつくってこれに委託する、これが、自治省から有力なのがそういうふうに出てまいりますと、それがあたかも当然なことである、地方行政で許されることであるということで、次から次に本来のそういう地方自治体のたてまえをくずしたあり方が右へならえすることを私はおそれるわけであります。これは厚生大臣は、直営であることが当然だ、その原則を貫く、やむを得ない場合は、暫定的に公益法人にこれを認めるというような発言をされておるようであります。これらにつきましてどういうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/46
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047・赤澤正道
○赤澤国務大臣 病院の給食が基本的な行政だということにつきましては、私もちょっと疑問を持つわけですけれども、病院にしてみれば、給食ということは医療の一環でございますから、医療水準を低下させないという観点に立てば、この問題だって軽々には扱えないことは言うまでもないことであります。しかし、医者が献立の調理から何から一々指示して直営でやるということにも疑問もありますし、やはり実態は直営ということで、医者の監督のもとに、ことに病人食、たとえば糖尿病とかあるいは腎臓が悪いというのは、それ相応の食事というものが計画されてあるわけでありますから、その患者の容体に応じて一々医者がやるということも一案ですけれども、大体、病人全体として食事について、たん白質が幾ら、何が幾らということが病気に大きな支障があるということでない限りは、直営ということでありましても、民間に委託してやっておるということも多いということを私は承知しておるわけであります。もちろん厚生大臣としては、基本的な考え方として、医療水準を絶対に低下させない、そのためには給食も医療の一環であるという考え方に立てば、厚生大臣の言うことが正しいと私も考えます。考えますけれども、やはり一応公共団体の全体の運営から申しました場合においては、民間に委託してもさしつかえない、医療水準の低下を来たさない場合には、そういう措置をとるということは、あながち不合理ではないという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/47
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048・山本弥之助
○山本(弥)委員 事医療に関係する問題は、やはりほんとうに患者の立場に立っての御判断が好ましいのであって、経費の節約ということのみで基本的な重要な問題を自治省が決定なさるということは、私は避けるべきであるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/48
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049・細郷道一
○細郷政府委員 北九州の問題につきましては、最近再建計画の実施要領の一環として給食業務の委託ということを考えておるわけでございます。それが医療法上あるいは職安法上違法であるか、違法であるとすれば、私どももちろんそんなものを許すべきものではないと考えております。この前も当委員会でいろいろ御議論がございました。よく関係省と打ち合わせた結果、違法ではないということであり、かつ委託の実施要領等につきましても、十分打ち合わせの上これを実施してまいりたい、かように考えております。もとより再建という非常事態でございまして、したがいまして、そのいろいろ打つ手は、あらゆる面で多少の無理があろうということは、これはやむを得ないことではなかろうか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/49
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050・山本弥之助
○山本(弥)委員 再建団体の立場から、先ほど大臣に申し上げましたように、再建ということも必要であるわけであります。しかし、その自治体のそういう再建団体になったという実態ですね。その実態を基本的に立て直すのだということを十分お考えになっての上での考え方をお持ちになることは必要だ。腰だめ的にいまの事態をどう切り抜けていくかということについては、先ほど申しましたように、合理化できる面と、合理化することがその自治体の地域住民との関係で、本来の職務を放棄することになるような再建計画は避けるべきである。大臣も同意見だという御答弁でありましたので、どうかそういう考え方で財政局も御指導願いたい。重ねて申し上げますが、自治省におられたいわば地方自治に関することについて練達の人が地方自治体の運営の衝に当たるという場合は、財政的見地ばかりじゃなくて、地方自治の本旨といいますか、これを考えておやり願いたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/50
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051・細郷道一
○細郷政府委員 おっしゃるとおり、地方自治体の運営にあたっては、あくまでも住民の福祉ということを基本に考えなければいけないと思います。しかし、住民の福祉は、医療の水準を向上させるということももちろん一つの要望でございますが、同時に、その経営が健全であるということも、私はやはり住民の要望だろうと思うのであります。北九州の病院の場合で見ますと、これはいままで幾つかの市が合併をしたという経緯もございまして、少なくともこれを経理の面で見ますならば、あるいは経営の面で見ますならば、是正さるべきものが非常にたくさんあるわけでございまして、それらにつきまして再建計画を立てることによって、将来の北九州における健全性を確保していきたい、こういうふうに指導していくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/51
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052・山本弥之助
○山本(弥)委員 民間委託の問題につきましていろいろ申し上げたいことがあるのでありますが、保育所の経営について民間委託はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/52
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053・細郷道一
○細郷政府委員 私どもはできるだけ民間委託のくふうもしなさい、こういう指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/53
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054・山本弥之助
○山本(弥)委員 厚生省お見えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/54
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055・吉川久衛
○吉川委員長 見えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/55
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056・山本弥之助
○山本(弥)委員 ただいまの自治省の民間委託もやむを得ない、もともと保育所は民間でも経営いたしておるわけでございますが、これにつきまして、市町村経営の保育所を将来民間に委託するということについての御見解をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/56
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057・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。実は保育所は局が違うのでございますが、同じような問題が社会施設全部にありますので、私からお答え申し上げたいと思います。
保育所の最近の実態は、公立が七千二百ぐらいで民間が四千二百ぐらいということで、七、四ぐらいの比率でやっております。数字から申しますならば、公立でやりますものは財源的にも非常にしっかりしておりますわけで、民営はかなり財源が苦しいということで、公立でやってもらいたいという気持ちでございます。しかし、非常につらい点は、地元で非常にニードが出てまいりまして、どんどんつくってくれ、それがやはり公立の場合における定数条例とかなんとかいう問題で、どうしてもそれがひっかかって動けない。だから何か、普通の民間とは違いますが、法人をつくってやったらどうか、それしか打開の道がないというような話も、よく厚生省のほうにも泣きついてまいります。できるだけ市町村中心でやってくれということは指導はいたしておりますけれども、なかなかすぐにつくれぬ。定員がふえない、人がふえないというふうな問題でしょっちゅう現地と県を入れてやりますけれども、問題の解決に苦労している、こういうふうな状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/57
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058・山本弥之助
○山本(弥)委員 従来保育所は民間の社会事業として出てきたわけでありまして、ただ保育所の必要は、今日都市農村を問わず非常な地域住民の熱望があるために、民間の保育所がそれに対応できない場合に、市町村がこれを経営してきたわけなんですね。ところが、最近は民間での正式の保育所というのはだんだん困難になって、公立でなければならぬという趨勢になっていると私は思うのでありますが、ただいまちょっと聞き漏らしたのですが、公立と私立の比率はどういうようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/58
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059・今村譲
○今村政府委員 保育所につきましては、公立が七、民間が四、戦前のいわゆる託児所というのはほとんど民間でございました。終戦後、ことに最近に至りまして、民間社会施設が資金がなかなか集まらないというので、公立がどんどんふえております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/59
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060・山本弥之助
○山本(弥)委員 従来の民間での経営が困難なために、保育所が地域住民の需要に応じかねるということで公共団体は保育所を設置したわけなんです。ということは、いまの御答弁でもはっきりしておるわけなんですが、そのことは、公立の保育所を民間に委託して保育所としての経営が可能であるとお考えになりましょうかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/60
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061・今村譲
○今村政府委員 これは実はいろいろなケースがございますが、委託する場合には、公立で出しておったと同じようないわゆる人件費あるいは事業費というものを委託費として民間に出すということでございますので、財源的にはどちらも同じです。ただ問題は、定数とか人とかに縛られないという問題が違っているので、経費そのものは同じだというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/61
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062・山本弥之助
○山本(弥)委員 きわめてあいまいな御答弁なんですけれども、保育所が民間で経営が困難になった。そのために保育所の需要が出てきておる。それに対して市町村が公立の保育所をつくって要望にこたえる。その趨勢からいいますと、民間に委託することによっていままでと同じような経営ができるということはどういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/62
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063・今村譲
○今村政府委員 こういうことでございます。養老院でも保育所でも、社会福祉事業は国と県で一定の基準をつくりまして、県からそれぞれの施設に、保育所でいえば月々定員に応じて何万円というふうに出します。その八割は国が持ち、県や市が二割持つということでありまして、それは民間であれ、公立であれ、同じ措置費が出る……(「定員オーバーさせなければやっていけぬよ」と呼ぶ者あり)そういうふうなことです。ただ問題は、公立の場合には、財政的に現実に国や県がきめた措置基準よりもオーバーしていろいろ財源を予算に組むという事例が非常に多うございます。したがって、それが全部規定どおりというかっこうになるか、あるいは従来どおりに委託費という形式で、経営の主体は変えましたけれども、その施設に委託費を流してくれるということになるか、これはいろいろニュアンスはありますけれども、公立、私立とも措置費は同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/63
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064・山本弥之助
○山本(弥)委員 措置費の問題じゃないのじゃないですか。自治省が保育所を民間に委託するということは、公立の保育所を経営するよりも経費が節減できるという財政上の見地で民間委託すべきである。能率があがり、しかも安あがりで、無理な金を使わないでいいから、民間委託すべきである。経費の節減ができないのに民間委託する必要はないでしょう。経費の節減が必要であるから民間委託する。ただ、公立よりも能率があがる、もっとりっぱな保育ができるということがあるならば別問題です。しかし、一に財政上の問題で、公立の保育所じゃ金がかかり過ぎる、市町村もたいへんなんだ、だから民間に委託せいという財源上の問題から出ておるのじゃないかと私は思うのです。そうしますと、本来の保育からいいますと、そこに大きな欠陥が出ても、安あがりの保育所経営をやるべきだということに基礎が置かれておる、こう思うのでございますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/64
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065・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。
実は自治省に屈伏しているわけではございません。私どものほうに経営主体の変更をしたいという申し出のときには、いつも問題になりますのは、新規施設をつくるなんというときに、定数の増加が非常にむずかしいということが問題でありまして、私どものほうとしましては公立が望ましいということに指導はいたしておりますが、たとえばある市において移管するような場合でも、従来の市が出しておった、あるいは町が出しておったものについては、人件費やいろいろな措置費全部をひっくるめて急激にダウンしていく、市のほうはぬくぬくしておるというふうなものは困る、そんな条件はないように指導しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/65
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066・山本弥之助
○山本(弥)委員 どうも趣旨がわかりませんですね。なぜそういう指導をなさるのですか。民間に委託する場合に、保母さん方の待遇が悪くならぬように、保母さんが定員を欠けて苦しい過剰労働をしないようにというような指導をすることが、民間に委託してあり得るかどうか、直接仕事を担当しておられる課長さんにお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/66
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067・岩佐キクイ
○岩佐説明員 ただいまの問題でございますけれども、いまおっしゃいますように、明らかに保育内容が低下する、単なる安上がりを目的として、市町村が設置いたしました保育所を民間に委託をするという場合であれば、これは反対いたしまして、適当でないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/67
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068・山本弥之助
○山本(弥)委員 民間の保育所の経営難ということはおわかりでございましょうか。課長さんにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/68
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069・岩佐キクイ
○岩佐説明員 民間の保育所におきましては、なるべく経営難を来たさないようにいろいろな点で指導はいたしておるわけでございますけれども、ただ実際的には、たとえば給与等の問題におきまして、公立と民間で差があることは私どものほうでも承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/69
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070・山本弥之助
○山本(弥)委員 民間の保育所が十分な保育所の機能を営めるような厚生省の助成なり指導ということが私は必要だと思うのです。しかし、公立の保育所が今日保育所としての使命を果たすためには、児童一人当たり一万円から二万円年間負担をしているわけなんですね。そのことによって保育所がその市民なり町民のためにやれるわけなんですが、こういう負担があるから、保育所の必要があっても貧弱町村には保育所を十分設立することができない。このことは保育所の建設費にも問題があるわけです。これは超過負担の一例でありますけれども、建設できないような補助金を予算に計上されまして、それの何倍とかかる。何倍どころではなくて、ほとんど補助金をもらったということでないような建設費であるわけであります。しかし、建設費よりもむしろりっぱな保育のできる保育所の運営になるわけであります。私、民間の保育所が今日いかに苦労しておるかということもよく存じておりますし、また英断をもって保育所の定員を低下して、民間保育所に対して措置費を出すという、百カ所ですけれども、こういう英断をなすったということもよくわかるわけであります。しかし、公立の保育所というような、そういう趨勢の中で、私は、厚生省としても、民間に委託して、従来苦境にある民間保育所と同じようなことに、まあ賛成ではないけれども、もし保育に支障がなければやむを得ないという態度は、私は非常に厚生省としては——今日児童手当も出さなければいかぬという大臣の公約がございますね、しかしそれもいつ実現できるかわからぬ、そういうときに、四十三年度の国の予算を見ましても、社会福祉の予算は相当後退している。そういう中に、追い打ちをかけるように、公立の保育所も民間にいわゆる行政事務の合理化という名前で行なわれようという事態に当面して、厚生省はひとつ確たる方針を持って臨んでいただきたい。いろんな施設もございます。重度心身障害児の問題もございますし、精薄児の問題もございますし、いろいろ児童福祉については先進国に負けないような前進をしなければならぬと思うわけでありますが、特にいままで非常に社会情勢の変化において、これは大都市でもそうなんですが、農村でもそうなんです。そういうときに、いままでとり来たった保育所の公立の経営を民間に委託するということについては、相当吟味をして確たる方針を持って臨んでいただきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/70
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071・吉川久衛
○吉川委員長 細谷治嘉君の関連質問を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/71
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072・細谷治嘉
○細谷委員 関連して、お答えをされる前にお尋ねしたい。
児童措置費というのは国庫負担が八割ですね。そうでしょう。実際に公立の保育所の場合で、かなり手出し、いわゆる超過負担がありますよ。あなたのほうで全国的に公立の保育所の実質的な国庫の負担というのは八割から相当低くなっていると思う。私の経験では大体五〇%ぐらいにしかなっていないと思う。したがって、八割であるはずが、三割くらい手出しをしているわけです。そこに厚生省ができるだけ公立でやってほしいといいながら、自治省が積極的に民間に委託しよというのは、その経費を浮かしてほかに使いたいからですよ。ですからまっこうから対立しているわけです。私がお尋ねしたいのは、あなたのほうで公立の実際の児童措置費に対する国庫負担というのは何%になっているのか、これもひとつあわせてお答えいただきたい。民間で委託を受けたら、損をしてはやれないのですから、必ずもうけておらなければ、少なくともとんとん以上でなければやれないわけですから……。それをお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/72
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073・岩佐キクイ
○岩佐説明員 先ほどの山本先生の問題に先にお答えさせていただきます。
民間の保育所が公立に比べて一万円から二万円ぐらい不足しているではないかという点につきましては、私のほうでは承知をいたしておらないわけでございます。したがいまして、今後なおその問題については実態を調べてみたいと思っておるわけでございますが、いまの措置費の問題につきまして申し上げてみますと、四十三年度の予算におきましては、支弁総額が四百六十一億四千二百万円になるわけでございますが、そのうち徴収金が百九十一億三千百万円でございます。御承知のように児童福祉施設の運営につきましては、その施設の最低基準を維持をいたしますために措置費が支弁されるわけでございますが、たてまえといたしましてそこに入所いたします者が支払う形をとっておるわけでございます。ところが、そこに入所をしております者の家庭の経済的な実情によりまして払い得ない場合には全免あるいは一部免除があるのは御承知のとおりでございます。そこでそういう徴収金を差し引きました残りが二百七十億一千百万円でございまして、その十分の八、要するに国の義務負担と考えられますものが二百十六億一千六百万円でございます。そこで国は十分の八支払うと言っておりながら、これでは十分の八にならないじゃないかということでございますが、大体私どものほうではいまの援護率というものは規定いたしておりませんけれども、国が実際に出しますものは六割をちょっとこえているというふうに考えておるわけでございます。
それから、そのような安上がり保育を民間に委託するということにつきましては、厚生省といたしまして、財政的な理由だけを考えるということではなしに、子供のしあわせ、児童福祉を中心に考えておるわけでございます。したがいまして、そのような理由だけで民間に委託をしたいというものに対しましては、適当でないというふうに行政指導をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/73
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074・山本弥之助
○山本(弥)委員 時間ですので、残りをこの次にお願いしたいと思います。まだたくさん問題がありますのでそう願いたいと思います。
それから、自治省にお願いしたいのですが、大臣が記者会見で発表せられました行政改革案でございますか、それをお配り願いたい。いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/74
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075・赤澤正道
○赤澤国務大臣 大体自治省で作業を進めておりますので、新聞社の皆さんが、この段階で出せと、こういうことでございました。しかし、先ほど申し上げましたように、いまの案をこまかく出しますと抵抗が非常に多いと思うものですから、大体の大筋だけを各社の方々に記者会見で出したわけでございまして、いますぐ内容を出すことはお許しをお願いしたい。この間も、公式に中身を言ったわけではございませんので、かなり詳しく中身まで御記入になった新聞社もございますけれども、筋をちょっと申しただけであって、具体的なことにつきましては実は公式には触れておらぬわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/75
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076・山本弥之助
○山本(弥)委員 新聞に出ておりますのは大体真実に近いと了解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/76
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077・赤澤正道
○赤澤国務大臣 方向につきましては、ちゃんと各社の方々に一緒に申しましたので、これは間違いありません。間違いありませんけれども、自治省がたとえばこういう行政はどう処理すべきだといったような項目にあれこれが当てはまるということは、これはなかなか新聞社の皆さんも頭がいいですから、大体これだろうというようなことでお書きになったものもありますけれども、そういうことは公式にはまだ申しておりません。ですから、ここに提出するということも、もうしばらくでございますからごしんぼうをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/77
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078・山本弥之助
○山本(弥)委員 三カ月というのはいつが期限になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/78
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079・赤澤正道
○赤澤国務大臣 大体六月末に一斉に各省出そろったもので行政改革本部で扱おうということになっております。しかし、先ほど申しましたように、やはり自治省案というものを中心に考えていただきませんと、なかなかはかどらぬと考えております。ですから、自治省として早目に発表いたしたいと思っておりますが、その時期は、五月に入りましてから、先ほど申しましたように地方公共団体の意見等も聴取をいたしまして、そしてその後に、なるべく早い機会に発表いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/79
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080・山本弥之助
○山本(弥)委員 交付税の配分についての重要な問題が残っておりますので、質問を保留いたします。
なお、厚生省に、保育所に関して、僻地保育所とか児童館とか、それから民間の保育所等相当あるようでございますので、これは一覧表でけっこうでございますから、そういうものをまとめて、数だとか機能だとか、それらをお願いいたしたいと思います。
きょう厚生省に関係する質問を終わりたいと思いましたけれども、予定の関係がございますので、この次もう一度わずらわしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
委員長さん、そういうことにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/80
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081・吉川久衛
○吉川委員長 速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/81
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082・吉川久衛
○吉川委員長 速記を始めて。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/82
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083・吉川久衛
○吉川委員長 警察に関する件について調査を進めます。
四・一王子闘争に関する問題について質疑の申し出がありますので、これを許します。畑和君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/83
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084・畑和
○畑委員 私は、今月の一日の晩、正確には二日の早朝でありますが、例の王子の野戦病院設置に対する反対のデモに関連をいたしまして、市民の一人があのデモのまっただ中におきまして、傷ついて、そのまま病院に運ばれて、二日の午前十時五分に息を引き取られたというような事件が報道をされておりますが、その問題に関連をいたしまして、それを中心として国家公安委員長あるいは警察庁長官、さらに法務省当局に対して若干の質問を試みたいと思うのでございます。
あの王子の野戦病院設置反対のデモは、非常にひんぱんに回数を重ねて今月までまいっております。その動向というものは非常に憂慮すべきものがあるように私も考えておるわけであります。だんだんと学生あるいはまた警察、その対立関係が激化するとともに、最近におきまして、非常な大きな、顕著な傾向でありますけれども、群集が、これに参加をする、こういうような傾向が非常に見えておりまして、今度の場合も、その犠牲者が群集の一人であったということについて特異的でございました。しかも、最近の一連の反戦デモについては、かつて羽田におきまして山崎君という学生がなくなりました。また続いて今度、二人目の犠牲者、こういうことになるわけであります。しかし、山崎君の場合におきましても、結局、真相というものはまだ明らかにされておらぬ。しかも、それの犯人であろうということで捜査をされておりました少年某氏も、結局証拠がないということなのか、そのまま起訴にも何にもなっておらぬというようなことです。しかも、その死因は何であるかということについて、いろいろ捜査当局あるいは検察当局の発表、そういったものがいろいろ変わっておる。こういうような事態がすでに前にあるわけでございます。今度の場合につきましても、それがどういう原因によって死に至ったか、傷をしてさらに死に至ったかということについていまだ明瞭でございません。いろいろ新聞等の報ずるところによると、転倒したとかというようなことが当局の口によって語られておるようでありますけれども、われわれはまだこれを信ずるわけにまいりません。ともかく、ああした事件の際でのとうとい犠牲でありますから、これらの真相を究明をするというような立場で、実はきょうは質問をいたすのです。決してわれわれが予断を持って云々したりというようなことはない。そういう立場で、ひとつできるだけ真相に近づきたい、こういう努力のための質問だ、こういうふうに受け取ってもらいたいと思います。
そこで、最初にお伺いいたしたいのは、この事件の犠牲者の榎本重之さんという方が機動隊の何名かの人たち、警察官の何名かの人たちに自動車によって運ばれて石川病院に零時五十五分に連れ込まれて手当を受けた、こういう話でございますけれども、その前後の模様のうち、捜査当局、警察当局において知り得た程度のことをまず申していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/84
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085・川島広守
○川島(広)政府委員 ただいまお尋ねございました四月一日におきます王子のいわゆる病院反対のデモ、この一連の中でとうとい人命がなくなられたわけでございまして、はなはだお気の毒にたえない次第でございます。
ただいまお尋ねの点でございますが、このデモは七時四十分ごろから柳田公園を中心にして三派系全学連が主でございますけれども、デモが行なわれまして、事案が起こりましたのはおおむね午前零時を過ぎました時刻でございます。当時の概略を申し上げますと、午前零時二十分ごろから、場所は、飛鳥山公園がございましてあすこのところに飛鳥山の橋がございますが、三差路のところを中心にして起こった事案でございます。当時はデモ隊おおむ三百から四百程度のものが飛鳥山公園の三差路付近にたむろいたしまして、盛んに警察の機動隊に対しまして投石をするという事案がずっと継続をしておったわけでございます。これに対しまして機動隊の二個隊でございますが、第四機動隊と第五機動隊のおおむね六百名がここでこれを押して規制をいたしたわけでございます。規制のしかたは、デモ隊がこの三差路のところに蝟集をして明治通りを池袋方面に向かって投石などの抵抗を行ない、これに対し明治通りのほうから機動隊がデモ隊の規制に当たったわけでございます。三差路からおおむね二百メートル程度明治通りの池袋のほうに北簡易裁判所がございますけれども、その地点で、デモの規制をする機動隊のほうは、池袋のほうに背を向けて、投石が非常に激しいものでございますので、前面にいわゆる防石網を五張り張り、その背後に等身大の大だてを二十個程度出しまして、そうしてデモの方向にからだを向け、後退しながら規制をする、こういうようなことであったわけでございます。
午前の零時三十七分ごろでございますけれども、いわゆる北区滝野川の二丁目八番地の板倉という表具店の前の明治通りの中央通り、ちょうどセンターラインの付近に一人の方が頭を飛鳥山方面に向け、足を池袋方面に向けられて倒れておる、それを機動隊員が発見をいたしまして、隊員三名で直ちに一そのときはまだデモが前面五十メートルぐらいのところにおるわけでございまして、投石が続いておるわけでございますから、そのところで中央からうしろの安全地帯のわきのほうまでそのからだを運びまして、そこで救急車を呼んだわけでございます。そして、おおむね零時五十分ごろに、なかなか救急車が参らぬものでございますから、そこに来合わせました自家用車を呼びとめまして、それに積んでこの地点から明治通りを池袋のほうに向かって約一・五キロメートルのところにあります、この附近では最も大きな昔からあります有名な病院でございますけれども、石川病院に隊員二人でそれを積んで収容したというのが、いま先生がおっしゃいました零時五十五分、石川病院に遺体といいますか、まだ遺体でございませんが、脈もございましたし、生きておられたわけでございますが、そして直ちに治療、こういうような経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/85
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086・畑和
○畑委員 そうしますと、機動隊のほうと群衆のほうとで押しつ押されつ、こうやっておったということの間に発見をしたということですけれども、機動隊と群衆との閲は、接触はその当時はなかったのですか、あったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/86
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087・川島広守
○川島(広)政府委員 先ほども申しましように、非常に激しい投石でございまして、機動隊といわゆるデモ群衆との距離は二十メートル以内にはなっておりません。そして、したがって絶えず二十メートルの間隔をもちまして規制をいたしておったわけでございますから、全然、一度も接触いたしておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/87
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088・畑和
○畑委員 大体の状況は、そういう状況とも見れないこともないと思うのです。私も実は現地に行って、いろいろあの辺の事情を聞いてまいったのでありまして、いいかげんではいかぬと思いまして、実はあの翌日、すなわち二日目の夜たまたまあそこへほかの仲間の人たちと一緒に参りまして、あの近所の話を聞き込み等をいたしてまいりました。大体の話はいまの局長の話のようでありますけれども、ただ、やはり二、三警官との間でやり合っておった、警官が相当警棒等で規制をしておった、まあ逃げおくれたような人ですか、そういうことも実は私聞いてまいったのです。総体としては局長の言われるような形です。ところが、ときどきそういうふうで、そういう事態も見受けられた、こういう証言も得てきておるのですが、いずれにいたしましても、ただ榎本さんが転倒したのかどうか知らぬけれども、とにかくひっくり返っておったところを警察官が発見して収容した、こういうことになるようでありますけれども、これはあれですか、そうすると、そうした倒れたところを見たという人は、いまだ警察庁のほうの調査ではわかりませんか。それをさがそうとしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/88
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089・川島広守
○川島(広)政府委員 現在傷害致死容疑事案としてせっかく捜査中でございます。現在までのところ、倒れられたその瞬間を見ておられる方を含めまして、三名の方について参考人になっていただいて、調書もいまとっておる。すでにきのうとりましたが、その目撃者の方々のお話を総合して申し上げますと、榎本さんはいま申しましたデモの先頭部分においでになったことは一致しております。機動隊が、いま申しましたように、最短距離でおおむね二十メートルでございますが、榎本さんがお倒れになられたその瞬間の距離間隔は五十メートル程度でございます。これについては目撃者のお話も総合して一致しておるようでございます。一番先頭に立っておられたことは間違いないようでございます。
それから、ついででございますけれども、いま先生が御指摘のようなことでございますが、この機動隊は全然警棒を使っておりません。抜いてもおりません。御参考までに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/89
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090・畑和
○畑委員 そうすると、そのデモの群衆の先頭に立っておった、そうして倒れたというのはどういうことなのか、ちょっと想像がつかないのですが、まん中ごろにいたら何かどこかに触れて、もみ合ってひっくり返ったということもあり得るのだけれども、先頭におって、それが今度は機動隊のほうか、警察官のほうが攻勢に出て押すということになると、一番うしろになるというような関係にあることは間違いない。そうすると、一番うしろにいた人がどんなふうで、池袋のほうへ足を向けて飛鳥山のほうへ頭を向けてうしろにひっくり返ったか、こういうことが想像がつかない。うしろから押されたということになるのか、その群衆が前進をするときにうしろから押されたというのか、そういうことでもないと、ちょっとこれは想像がつかないのだけれども、その辺はまだわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/90
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091・川島広守
○川島(広)政府委員 解剖の結果につきましては、鑑定書の内容を詳細承知しておりませんので、正確には申し上げられないわけでございますけれども、病院の解剖に立ち会いました警察官もおります。それから石川医院の副院長が当夜いろいろ診察に当たられたわけでありますが、解剖の結果のあれでも明らかでございますけれども、相当量の酒をお飲みになっておられたことは、数字ではっきり出ておるわけでございます。先ほど申しましたように、確かに先生おっしゃるとおりに先頭部分にもおられた。一番先頭におられたということではなくて、先頭部分の一団の中におられたということでございます。したがいまして、これからの捜査の焦点はそこにしぼって、どういうふうな状況下において——ぱたんと倒れられたということは目撃者があるんでございます。突然ばたっと倒れられた、こういうふうな参考人の供述もございますので、それを中心にして捜査を進めている現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/91
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092・畑和
○畑委員 その目撃者というのは、この近くの人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/92
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093・川島広守
○川島(広)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/93
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094・畑和
○畑委員 それで解剖の結果でありますけれども、その解剖の結果の大体のところはわかりましょうね。どんな部位に傷があったか、傷の程度、そういったこと、それから受傷から死亡までの時間、こういったことがおわかりかどうか。ほかに外傷として何かあったかどうか、致命傷となったのはどこなのか、こういう点等をひとつわかる限り答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/94
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095・川島広守
○川島(広)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、遺体の解剖は四月二日、翌日の午後五時二十分から東大の法医学教室において山沢博士執刀のもとに行なわれたわけでございますが、これに立ち合いました警視庁の係官の報告でございますけれども、その結果では、左の後頭部強打に、よる硬脳膜下及びクモ膜下出血死というのが所見のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/95
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096・畑和
○畑委員 その後頭部というのはどの辺だろうか、その辺がちょっと……。その部位によっても、転倒によるものか、あるいはそうでない外部の衝撃かといったようにだいぶ違うと思う。とにかく、でんとひっくり返るのだから、一番おでこのところでなくてはならぬと思うのですが、その辺の部位が承知したいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/96
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097・川島広守
○川島(広)政府委員 正確に申しますと、まん中からやや左寄りでございますけれども、ちょうどそのまん中のところが平らなところにばっと当たった。これは私もしろうとでございますけれども、報告によりますと、頭の重みが平面に強打した、こういうふうな所見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/97
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098・畑和
○畑委員 これはだいぶもう転倒によるものだといったふうに想像されるような答弁ですけれども、間違いないですか。警察の発表がいつも非常に早過ぎて、しかもそれがときどき変わるということは、この前の山崎さん事件でもわれわれ承知しておるので、その辺がどういうことなのか。そういった転倒の場合と外部の衝撃によるもの、こういった区別等については、専門家の解剖の結果の鑑定の報告書を見なければはっきりしたことは言えないと思いますけれども、そういったことによって起きた傷であるということが言い切れるかどうか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/98
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099・川島広守
○川島(広)政府委員 ただいまお尋ねのとおりに、鑑定結果を見ませんことには、正確な内容は私の立場からお答えするわけにはまいらぬわけでございますが、先ほども触れましたように、所見の中では、水平面に強打した。したがって後頭部がそのまま水平面にぴちゃっと密着するというようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/99
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100・畑和
○畑委員 そうすると、解剖に立ち会った警察官がその医者の所見を聞いたところによると、水平面のかたいものにぴたっと当たってできた傷だ、それによる脳内出血だ、こういうふうなことを言われたわけですね。そうですね。
いずれにしましても、われわれはその真相を究明すること以外にないので、また私らのほうも、はたしてほかに目撃者があるかないかといったようなことも、引き続いてわれわれの立場で調査を続けたいと思います。警察のほうでそう言われても、まだまだわれわれもそれをそのとおりであろうというふうに早計に決断するわけには必ずしもまいりませんけれども、ともかく一名犠牲者が出たのですから、それは慎重に扱わなければならぬと思うのです。
ところで、これは倒れておったところはどの辺だったでしょうか。私らの調査では、足立屋といううちの前あたりだった、こういうのです。それでそれを筋向かの池袋寄りのほうの泉屋さんというところまで運んでおった。ところが、しばらくそのまま放置してあったので、近所の人があのままでは死んでしまうじゃないかというようなことで文句を言っていって、その結果さらにまた次の池袋寄り、簡易裁判所の前のほうですか、そこの公衆便所のところまで、四人くらいで両手を持ち両足を持って行ったというような証言がされておる。最初の発見現場から泉屋というところまでは、そんなに大人数でなくて、引きずるようにして持っていった、こういうような話をしております。それから公衆便所のところまでは四人くらいで両手と両足を持って行った、こういうふうに申しておりますけれども、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/100
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101・川島広守
○川島(広)政府委員 先ほどもお答えいたしたとおりでございますが、滝野川の二丁目八番地の板倉表具店というのがあるわけでございますが、その前の道路の中央部に倒れておられたわけです。そこで、先ほど申しましたように、投石が非常に激しゅうございますから、また機動隊が前に規制に出たわけです。その規制のときに、まん中に倒れておられたのでこれをそばに、歩道のほうに移しまして、そして機動隊が前に出て規制をしたわけです。そしてまた一たんずっとあとずさりに下がってきていたわけです。下がってきたときに、先ほど申しましたように、三名で今度は、清水という酒屋さんがあるのでございますけれども、そこの近くの、倒れられた地点から約百五十メートルくらい池袋のほうへ下がったところでございますが、そこへからだを運びまして、そこで実は救急車の手配をしたわけであります。ところが、救急車がなかなか参りませんものですから、先ほどお話しいたしましたように、通りがかりの自家用車の運転手さんにお頼みして、それが五十分ごろですが、単に積んで石川病院に運んだ、こういうことであります。したがって、先ほども申し上げましたように、中央部から歩道のほうに移していったことは御指摘のとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/101
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102・畑和
○畑委員 ちょっとこまかいようだけれども、車道の中央部から歩道へ運び、そこにしばらく置いておいて、次にまた公衆便所のところまで運んだ、私どもの調査によるとそうなんですが、そういった二段モーションになっていることは間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/102
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103・川島広守
○川島(広)政府委員 御指摘のとおりであります。石が非常に雨あられと飛んできておる状態でございますから、そういうことにせざるを得なかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/103
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104・畑和
○畑委員 そういう死体——死体じゃないまだ死体になってないのだが、そういった病院の処置について、非常に忙しい、しかもそうした投石等があるというような状況でのことで、無理ないところがあるかもしらぬけれども、こうして結局翌日には、その日のうちに死ぬ、こういうような結果が招来されるような、意識不明になっておる。病院のそれに対する処置としては、ちょっと私適切を欠いておるのじゃないかというような感じがいたすのです。これは別に返答を求めません。
それから、さらに病院のほうへ運ばれた後、病院もたいした処置をしていないように伺ってきておるのですけれども、その辺は、警察ではどう見ていますか。ただ酸素吸入をしたぐらいのところで、普通の交通事故でもあったら、もう意識不明で頭をやられているようなことが大体わかっておるというときには、それ相当の、やはりレントゲンをとったり、あるいはさらにそれをまた脳外科のほうに移したり、もし設備でもなかったりなんかしたら、よそへ移すとか、そういったような適切な措置が講じられればあるいは助かったかもしらぬというようなことも想像されるのですけれども、その辺について、いろいろあの日にたくさん入院をしたりなんかしたような関係もあろうかと思うけれども、その辺の処置が重病患者と軽傷患者との差が、もう少し重病のものはもっと適切な処置を講じるように、病院のほうに警察も常日ごろ連絡をするというようなことが必要ではないか、私はかように思うのですが、その辺どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/104
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105・川島広守
○川島(広)政府委員 榎本さんが倒れられておられましたのを発見をいたしました隊員のとっさの判断では、これはもう重体である、と申しますのは、口からあわを吹いておられましたし、いわゆる両眼の瞳孔がもう開いておられたということで、これはたいへんだというので、いま申しましたような処置をしたわけでございます。直ちに病院に——石川病院と申しますのは救急病院の指定の、あの辺では最も大きな病院でございますし、外科関係というのは特に名の通った病院です。また、これ以外に大きな病院もないわけでございます。そこで、さっそく病院に入院をさしたわけでございますが、病院のほうでもさっそくに脈搏をはかり、いろいろ処置をおとりになっておられます。当時脈搏を調べますと七十二になっております。意識は全然ない。それから瞼反射と申しますか、まばたきでございますが、これは非常に衰弱しておるということ。それから、先ほど申しましたように、後頭部の挫傷が一カ所ある。これについては外部からの外科的な治療を直ちに施す。加えまして、いまお話しもございましたが、酸素吸入及び輸液二千CCのいわゆる点滴を直ちに施しておるわけでございます。これは、当直の医者がいま申しましたような処置をとっておるわけであります。こういうふうになっております。翌日の朝、午前八時ごろでございますけれども、副院長がまた再診をされたわけでございますが、呼吸困難で瞳孔が散乱して、瞼反射がなくなっている。その事態が、午前八時過ぎちょっとの状態でございますが、このときにも、いま申しましたような点滴もずっと続けておりましたし、酸素吸入もずっと続けておりました。こういうようなことで、医者としましてはもちろん十全の処置をとったわけでございます。こういうように病院からの報告を受けておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/105
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106・畑和
○畑委員 この日の、この時間、当時の騒ぎ、これには全学連の連中はいたのですか、いないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/106
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107・川島広守
○川島(広)政府委員 これはもう学生が中へかなり入っております。おおむね三分の一くらいはもう入っておったようであります。警察官に追われますと、王子の話からちょっとずれますけれども、最近の全学連の動き方は、機動隊の姿が見えますと、機動隊に接しますとぱっとデモの中に散開していく、そうして背後から石を投げる、こういうふうな戦術をとっておるわけでございます。その場合にも、いま申しましたように、中にやはり混入して、そうして盛んに石を投げる、そういうふうな次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/107
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108・畑和
○畑委員 私が聞いたところによると、また新聞などの報道によりましても、全学連は十二時七分かの終電車ということで、それで解散をして帰った。そのあと群集がまだ続いて、いま言った明治通りのほうに、警察庁の言われるような、そういう三差路のところがらの投石等をやったというふうに聞いておるのですが、いまあなたの答弁だと、三分の一くらいは中に潜入したというのだが、ヘルメットなどほとんどみなかぶってないというようなことから想像して、ヘルメットをどこかへ捨てちゃえば別だけれども、そういうことはないのじゃないですか。群集の中にもいろいろありましょう。しかし、全学連の学生としては、もう解散して帰ったあとだというふうではないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/108
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109・川島広守
○川島(広)政府委員 目に見える形の上から見ますと、いま先生が御指摘のとおりなんです。あの場合は、御指摘のとおりに午前零時を前後にしまして、いわゆる三派全学連の派閥別、グループ別に動いておりましたのが、それぞれ帰ったわけでございますけれども、繰り返しになりますが、最近の学生の行き方は、あらかじめヘルメットなんかかぶっておらないで、これが背後におって扇動すると申しましょうか、あるいは投石をする、そういうふうな別動隊といいますか、そういうものと学生とが巧みに、たとえば石を割ります場合にも、背後から石をとって道路に投げつけて、それを学生のほうに投げてやるというふうな最近の戦術を彼らはとっておるわけでございまして、学生があらかじめヘルメットを一切かぶらないで、そういうふうなデモの中にまぎれるというか、デモをアジる、こういうようなことでございますから、私どものほうも、背後にいろいろ警察官も入っておりますので、その報告を詳細に検討して分析いたしますと、いま申しましたように、おおむね三分の一程度の学生の別動隊がおるというふうに判断をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/109
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110・畑和
○畑委員 今度の警備のやり方の問題ですけれども、王子の野戦病院の近くは非常に人家の密集地帯でありまして、道もいろいろなふうに通じておるというようなことで、警備そのものが非常にやりにくいというようなことは私も想像できるところです。ほかの場所と違いまして、ああいう地点はそういうことが非常に多いと思うのです。大体野戦病院をあそこに置くこと自体が御承知のようにもう常識に反するわけで、それに対する反対闘争が激しくなるのはこれはあたりまえです。しかし、警察は警備をやらなければならないという立場にあるわけでありますけれども、警備のやり方の拙劣さ——私は専門家じゃないのだけれども、あまりなまいきなことを言っては悪いが、警備というものは、あの辺はなかなかむずかしいだろうけれども、そうした警備のやり方はよほど考えてやらぬと、かえってその拙劣さが混乱を招く。そうするとあせる。それと学生のほうの当たり、あるいは群集のほうから警官への罵声が飛ぶ。そうすると、それに対する憎しみ、こういったようなものがどっと一度にわいて、過剰警備というようなことになるのではないか。そういう過剰警備をやると群集がまた学生に同情する。またさらに群集の怒りを買う。そうして群集の暴力ということになるというような現象が起きているのではないか。それがますますエスカレートしておるのが最近の状況だというふうに私は思う。そういう点で私はお互いに交互作用だと思うのですが、その点ひとつ警備のやり方をもう少し考えて、そうした必要以上の激突をやらぬようにしたらどうだ。たとえば警備関係におきましても、王子の野戦病院のあそこでただ守るというようなことにすればいいので、あまり先に前進基地を置き過ぎてやると、音無川だったり、あるいは王子のところの交差点の交番だったり、あるいは区役所のところだったり、あの交番のところだったりということで、あっちこっちで激突が繰り返される、こういうことになるというような感じがするわけです。したがって、そういう点はないかということ、なかなかそうだという返事もないかもわからぬけれども、私はそういうことでますます騒ぎを拡大するというような懸念を持ったのです。その辺警備局長どう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/110
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111・川島広守
○川島(広)政府委員 ただいま御指摘のとおりに、王子病院を中心といたしましたあの付近の立地条件、連檐家屋の非常に密集した地域でございまするし、しかも地形は、御案内のとおりになだらかな坂がございましたり、あるいはまた橋がございましたり、川がございましたり、そういうようなことで、警備実施をいたします場合に非常に困難な場所であることは、ただいま御指摘のとおりでございます。したがいまして、在来の集会はいわゆる柳田公園を中心にして行なわれて、そこからあの王子道路を進行し、王子新道を横に行って病院の中に突っ込もう、中に突っ込んで病院を占拠するのだというのが学生のデモの主たる目的でございます。そうなってまいりますので、警備の基本的な考え方といたしましては、王子新道から中に入れない。それ以上中に参りますと、いずれにしても、いま御指摘がありましたように、細い小路が密集をいたしまして、どの道に規制をいたしましても、路地の中に逃げ込む。そうすると、一般の付近の住民の方々の民家にも、従来もそうでございますけれども、たいへんな被害をかけざるを得ない、こういうような地理的条件に相なっておるわけでございます。そうでございますので、従来もそうでございましたが、いま御指摘もございましたように、あの幅員の広い、十五メートルか十七メートルのあの道路のところで一応の規制をしてまいらぬことには、付近の一般の方々に対する被害が避けられませんので、今後とも基本的にはその辺を中心として規制をしてまいらなければならない。そういうきわめて困難な地理的条件があることはただいま御指摘のとおりだ、こういうふうに考えておる次第でございます。
ただ、いまも御指摘になりましたけれども、いわゆるここに出てまいっておりますやじ馬と申しましょうか、この数は、日によっても違うのでございますけれども、この日はおおむね最高時三千五百程度のやじ馬になっておるわけでございます。その中には、先ほどお答えいたしましたので重複いたしますから省略いたしますけれども、必ずしもあの付近の住民の方々ではない、神奈川県とか、埼玉県とか、そういう遠くから来ておる人たちも、逮捕者の中にははっきり出ておるわけでございます。そういうようなことでございまして、警備の重点といたしましては、あくまでも付近の住民の方々に御迷惑をかけない、それから、ただいま申しました学生といわゆるやじ馬というものを分離する。ただ問題は、繰り返しになりますけれども、そのやじ馬の中に学生の別働隊ないしは意識的に警察官の活動を牽制しよう、あるいは妨害しようというふうな意図を持った者が相当数入っておるということ、これはもう従来の経験に徴してきわめて明白でございますので、この辺が今後とも警備をやってまいります上に実は非常に困難な条件がそこにひそんでおる、これはもうお話しのとおりでございます。今後ともただいま申しましたような方針で、迷惑をかけないことを中心にして警備方針を組んでまいりたい、こう存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/111
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112・畑和
○畑委員 警備局長のいまの話によると、結局全学連たちの同じ別働隊というような、中に入って扇動したり、あるいはそのほかにやじ馬というような連中で、必ずしもその地域の人ではない、こういう話なんですけれども、それもあなたの言われるところもありましょうかと思います。と同時にまた、やはり地域の人が相当入っておる。しかも地域の人でなくても、あの辺を通りかかった人たちが、やはり警察官と学連との衝突を見ておって、しかもそれが規制された場合に無差別にやられるものだから、それに対する反感が非常に強いんじゃないか、こういうことを憂えるのですが、現に私のほうの党の関係の都議あるいは区議等にも聞いてみたのでありますけれども、規制するときに非常にむちゃくちゃに、夢中になって警察官がやるらしい。それで学連だか、あるいは反戦青年委員会だか、群衆だか、そういうことの区別がつかずにむちゃくちゃにやる。こういうことがさらに次の抵抗を誘発する、こういうことになっておるというふうに聞いておるのです。局長の言われる点も一部もっともだろうけれども、しかし、あなたのほうのやり方ですね、統制ある指揮官の警備のやり方、指揮、それと隊員の自制というか、そういったことは非常に必要じゃないか。やはり警察の規制の範囲というのは限度があるので、それを越えてはならぬわけです。警察官職務執行法の第五条の制止ということによってやっているのだと思う。それから武器の使用という点については、第七条の武器はピストルだけらしいけれども、あなたのほうで出しておる例の拳銃等その他警棒の使用の規範というのを見ますと、警棒もいわゆるピストルにかわるべきものだということで、規制の条件が拳銃と同じことになっている。そういう点をもう少し考えてみて、警職法にのっとった行動をせぬといかぬ。そういった警棒の過剰使用というようなことが私は大いに問題じゃないかと思う。これは社会新報なんだけれども、その日の写真らしいのですが、これなんか見ましても、振り上げておるんだね、頭をかかえてこうやっているのに。学生らとおぼしき者が二人ばかりおるけれども、まわりじゅうから警棒でまさにやらんとしておる。こういうところを見ると、おまわりさんのほうはとにかく装備をちゃんとしている。片方は帽子をかぶっていない者もある。それで頭からやられてはかなわない。とにかく相当頭をやられている連中が多い。実は私、調査に行ったところが、ちょうど学連が追悼デモというのをやっておった。警察官は一人も来ていない。非常に静穏だった。警察官がいないと静穏なんだ。学連はとにかく権力の集中である警察が相手なんだから、連中は野戦病院を守る警察を目標にしておる。そういうことになるからそういうことになるが、とにかくその晩は非常にデモを整然としてやっていた。ところが、そのわきを、先ほど言われた群衆がぞろぞろ行くんだ。全く私もこれは異常だと思ったのです。これはたいへんなことだと思ったんだけれども、その日は学連も、追悼デモだからというので、群衆にきょうは警察に投石をするのをやめろと言ったそうだが、新聞にも書いてあるが、そうすると、そのあとで欲求不満というか、警察に投石を盛んにして、窓ガラスを全部割っちゃった。こういうことがあとでわかりましたけれども、私は先に引き揚げましたけれども、そういうことで、私も異常だと思いました。しかもそれが黙々と、何もしゃべらずに、両側の舗道を学生のデモ隊と一緒について歩くんだね。それが、デモが今度はこっちへ帰ってくるということになると、ああまた同じ人だ、見た人だ、見た人だというわけだ。おびただしい数だ。こういうことを現に私は見てまいりました。これは異常な事態である。ただ単なるデモ規制ということだけではなく、もう少し研究しなけばいかぬ、こういうふうにも考えました。しかし、いずれにしろ、野戦病院にどいてもらうのが一番先決で、とにかく政府のほうでさっぱりやっておらない、それに対するもどかしさ、こういうものがあるので、そういったことがこういうふうになると思うのですが、国家公安委員長、総指揮官として、最近のデモの、特に王子デモの質的変化というか、そういった変化が私は非常に見えると思う。いま言った意識分子が潜入するという点もあろうけれども、それだけで治安対策を講ずると、私はまた失敗じゃないか、かように思うのです。王子野戦病院の移転ということがまず第一だと思うけれども、区議会も都議会も盛んに決議をしてもさっぱりだ、ちっとも政府のほうから申し入れがないということが、司令官と会ったらわかった。こういうことで、美濃部知事も動き出したようだけれども、ともかくあんな町のまん中に野戦病院があるということ、私はそれが騒動のもとだと思う。その辺と関連して、警備対策についてひとつ長官の御意見を聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/112
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113・赤澤正道
○赤澤国務大臣 私は警察を指揮する立場にないことは先生御承知のとおりでございますが、しかしながら、常に国家公安委員会でこの事態を御判断願って、それを政府にも伝え、また政府の考え方も公安委員会に伝えておるわけでございまして、公安委員会を背景といたしましていろいろな発言もしてきております。
しかし、最近の三派系全学連の動きというものは、畑先生もよく御承知でございますから、やはりきょうも前提として、きわめて憂慮しておるがということばを前置きになさっての御質疑でございました。憂慮しておるのは、私は全国民だと思うのです。あそこに米軍の病院を開設するということにつきましての議論は、私は所管も違いますので、ここで私見は申し述べたくありませんけれども、しかしながら、あの暴力学生集団というものは、最近はもう、佐世保であれ、羽田であれ、三里塚であれ、何か事があればそこへ行って同じ行動を繰り返しておる。ですから、この王子米軍病院の問題も好個の題目になったのではないかと思います。しかし私は、畑先生よく御理解いただいておるはずだと思いますが、警察の立場というものはまことにむずかしい立場でございまして、アメリカあたりでも、たいへん警察は困っておるようですが、アメリカの学者でレイモンド・モンボイスという人が書いたものにこういうことが書かれている。警察は、対立する意見のいずれにも属するものであってはならないとはいえ、その対立に巻き込まれざるを得ない。警察は中立でなければならないのはいうまでもないが、対立する双方のとげに刺されざるを得ない、警察は苦悩する社会の目に見える象徴であるということをいっております。これは、警察の立場というものも御賢察願わなければいけないのでございまして、腹では十分御承知いただいておると思う。何も好きこのんで、ああして石をぶつけられながらああいういやな仕事をやっておるのではなくて、現にああいうものがありますと、平和な市民生活を害するということになれば、やはり職責上、当然警察としては、職務に忠実である限り、出動して規制をしなければならぬことは言うまでもないところでございます。今度の事件も、私は、はなはだ遺憾に思いまして、実は畑先生と同じく、私もすぐ現地へ行ってみたのです。やっている最中に私も行ってみたいけれども、私が出動するということは非常にまずいのでして、部内が極力つかまえて離さないものですから行きませんが、少なくとも死者が出ましたから、私はすぐ行ってみました。状況も、私は私なりによく現地で聞きまして、よく承知もしております。それから、あのころびましたことも、普通酔っぱらいがころんだからといって、こぶは出るかもわからぬけれども、頭に穴のあくころび方をするとは一体どういうことかと気になりまして、この点はずいぶんせんさくしてみました。いま石川病院の解剖の所見がちょっと御議論になりましたが、警備局長の説明では、所見は、平面に頭をぶつけた——投石によるものでもなく、こん棒によるものでもない、それは鑑識課長が立ち会ってそういう見解であったということでございますので、私はそれを信じております。また、目撃者などもいろいろありますが、目撃者ということにつきまして、この前予算委員会で、私も九段の宿舎におりますから、法政大学から飯田橋駅までのあれはよく知っております、と申し上げたら、君は見たかというから見ませんでした、見ない者にものが言えるのかということでございますが、御案内のように十何年ずっとあそこに住んでおれば十何軒の軒並みの商店などは顔なじみでございまして、当時どうだった、と言ったら、いや、実は、ということだったわけです。それを申し上げると、だれが言ったか、出てきて証人に立つかということになりますと御迷惑をかけると思って申し上げませんでしたけれども、私は私なりに心配して、あのときの様相というものは調べてみました。今度もそういった意味で調べてみましたが、私は、気の毒な死に方をなさったものだと思って、たいへん同情はしておりますけれども、そのとき行ってみましたら、ポスターなどに、虐殺という文句や機動隊だとか警察とか出ておるわけなんで、これは責められるほうでは、虐殺と言われようが、何と言われようがかまわぬとは言い条、あまりこういうことが度が過ぎると国民を誤るのではないか。また、虐殺したかどうかということも、まだこれからいろいろ司法当局でも検討もあるでありましょうし、また羽田で不幸な目にあわれました山崎君ですか、これあたりも、当時警察がそばにいないときにああいう事故が起こったわけですから、過失致死になるのでしょうが、だれがやったかということが問題になるのです。警察ではなかったということははっきりしているのですが、やはり何か若い人たちは、勇ましいから、警察が虐殺したということを盛んに言っておるようでございます。しかしながら、いまモンボイスという人が嘆いておりますことばにあるとおり、どうも警察は出かけさえずればたたかれるという立場にある。どっちを向いてもとげが刺さるという立場にある。現代社会の目に見える苦悩の象徴であるということばは、私はまさに名言であると思っております。ですから、そこのところはよほど御賢察願って、やはり暴力というものは何であれ否定しなければならないのだ。理屈は何であれ、暴力はいかぬのだ。この王子病院の問題であれ、三里塚の土地買収問題であれ、これはいろいろ議論があろうと思います。しかし、それを常に暴力をふるう、これはいかぬ。しかも、実は少し長くなるようでありますけれども、この間、おとといでしたか、夜十一時ごろにある人が私のところに参りまして、いま法政大学の横を通ったら、学生がたくさん角材を持ち込んで加工の最中です、これをほっておきますか。——これは目撃者ですね。しかし、じゃあといって、いまどうなっているかといったら、その角材がどこかに運ばれて隠されておって、そんなことがあったのかと言われたら何もならぬ。これなども、現在の状態からいいますと、明らかに凶器として使われる意図を持って運び込まれておることは歴然としております。何も法政大学はいま改築中ではありませんし、そんなたるきみたいな木材がたくさん必要だということは考えられぬわけです。こういうことを良識で判断して、学生諸君も、ああいう革命だ何だと言っておりますけれども、なかなかああいう若い諸君の考え方でやられるわけでありませんから、みんなで暴力だけはやめようじゃないかというくらいの呼びかけをやって、そうしてその上で、いろいろな、空港の土地買収であれ、王子病院であれ、こういった問題の検討をやるべきだ。それを混同しますと何か焦点がぼけるという気がしまして、警察だけが何か悪い立場に立ってしまうようになるのでございますから、これは畑先生は法律家でもありますから、そこらのところは百も千も御津知の上での御発言であることは承知しておりますけれども、警察の立場というものをよく党内でも御説明いただいて、御理解をいただきたいものである、かように私は切望いたすものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/113
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114・畑和
○畑委員 だいぶ長い説教を受けちゃったのだが、それはあなたの言われることはわかるのです。ただしかし、私が言いたいのは、警察の行動規範というものはきまっているのだ。警察法があり、さらにまた警察官職務執行法、それから先ほどの拳銃その他警棒の使用規範といったものがある。そういった規範があるのだから、警察はしょせん悪い役目なんだ。それを自覚してもらって——警察の立場はぼくもわかりますよ。だけれども、そこを厳格に法規を守ってやってもらいたいということ。同時に、警察官の警棒使用その他についての過剰警備というか、場合によっては違法警備になるが、そうした暴力もまた暴力だと私は言いたいのです。ですから、暴力でやってきたからまた暴力でやり返すということだけは、できるだけ自制してもらって、警備の目的を達するようにできないかということです。私も三派全学連の行動形態そのものには賛成できない。ただ反戦ということではわれわれは一致しているのだが、そのやり方について、われわれとちょっと違うところが大いにあるわけです。ともかく、これは佐藤政府の姿勢の問題にも結局関連してくるわけだ。そういうことで、もどかしさということもあって、その辺は理解できないでもないけれども、ああいう行動形態には私らも賛成できない。だけれども、先ほど言ったとおり、警察官も少し自制してもらって、めちゃくちゃにやるようなことをしてもらいたくない。しかし、日本人同士、若い者同士が血を出し合うということは私はいいことではないと思うのです。これは何とかしなければいかぬと思うのでありますが、そういう点について国家公安委員長のお話はよくわかりましたが、その点もひとつ私の希望として、隷下に徹底してもらいたいと思うのです。
それからもう一つ、大臣が退席されるので、最後に一つお聞きしておきます。
最近新聞を見ますと、こういった新しい事態に対して騒乱罪を適用しよう、いわゆる騒擾罪を適用しようという企図があるようであります。最近の騒ぎが少し大きくなりつつあるというようなことからでありましょう。また、破防法を適用するということが前からずいぶん問題になっておりますけれども、このこと自体が実際に実効があるかないかというような問題、一握りの全学連に対して伝家の宝刀を抜くということもおとなげないといったようなこともあるだろうし、自民党内でも意見が二つに分かれておるように聞いている。そういう点もありましょうが、おそらくその中間的な立場で考えられて騒乱罪を適用しようということの考えがあるようでありますけれども、この騒乱罪は、御承知のように構成要件が非常に簡単でありますから、したがって私、それだけに若干乱用のおそれがないかということでわれわれの立場で心配をいたしておる。しかもこのやり方なら、兇器準備集合罪でやられたと同じように一網打尽にやり得るんだといったような理由づけというか、あれもあるんじゃなかろうかというような気もするわけでありまして、この辺について最高機関で相談をされておるという話も聞いておるのでありますが、大臣、それから法務省のほうにその辺のことをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/114
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115・赤澤正道
○赤澤国務大臣 最近騒擾罪ということばがちらほら出てまいりますが、騒擾罪というのは、言うまでもなく警察が要件を満たした場合に騒擾罪で検挙するということでありまして、警察は言うまでもなく中立でありまして、私ども警察を指示する立場にはないわけでございます。ですから、政府が騒擾罪適用云々と言うはずもないし、もし言ったとしたら私はおかしいと思う。破防法は、これは別です。しかし騒擾罪の場合は、政府は警察を直に指揮はできないわけでございます。しかし、政府も国民も全部騒擾罪というものについて議論をすることはこれは自由でございますから、それはどんな議論がされても差しつかえはないと私は思うけれども、政府がこれに踏み切るとか、あるいは適用するということは、私は正しくないと思っております。しかし、様子を見ておると、三派系全学連のほうでは、もう騒擾罪適用の要件を自分たちのほうでみなそろえようとしてあせって努力しておるとしか考えられない。これでもまだ適用しないか、これだけ要件をそろえたぞといわんばかりの行動に出ておることを、私はたいへん残念としておるわけでございます。しかし、政府が姿勢として騒擾罪に踏み切ったなどということはございませんので、そのことは御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/115
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116・豊島英次郎
○豊島説明員 ただいま国家公安委員長から答弁がありましたように、法務省といたしましても、法務省として騒擾罪を適用すべきであるとか適用すべきでないとかいった議論はすべきものでないというふうに考えております。ただ、われわれの現場であります検察庁におきましては、事態の状況に応じまして、騒擾罪を適用するといった事態もあり得るのではないかというふうに考えております。
なお、われわれといたしまして、もちろん戦後十一ばかり騒擾罪を適用されたケースがあるわけでございますけれども、それらについての一般的な、あるいは研究的な知識というものは持ち合わせておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/116
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117・畑和
○畑委員 法務省としては、政府ですからそうでしょう。国家公安委員長もまた国務大臣として政府ですから、そういう返事になると思います。正式にはもっぱら検察庁と警察庁だと思う。警察庁もそういう立場で立件をするのでしょうから、どうしても材料を見つけて、ただ見つけるわけではないから、それをどういうふうに最終的に起訴段階に持っていって罪名をつけるかは検察庁の段階だが、その前に立件をする関係でどうしても罪名をつける、こういう点で警察庁と最高検察庁のほうの関係で協議をするということがあり得る。新聞に何かそんなふうな記事も見えたのですけれども、それでは警察庁長官のほうの代理としての警備局長、その辺はどうですか。どんなふうに聞いておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/117
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118・川島広守
○川島(広)政府委員 この問題につきましては、国家公安委員長もお答えになりましたけれども、警察といたしましては、従来もそうでございましたが、現行法令を十分活用して、この事態の鎮圧ないしは検挙ということをはかってまいることは、われわれ警察の責務でございます。そういう意味合いで、従来から検察当局ともこれまでたびたび緊密な連絡をとりなどら、今後の予想され得る事態に対してどのような法令をどのように活用していくかということについては、ふだんから十分に検討しております。したがいまして、いまの騒乱罪の問題等につきましても、当然これを含めまして十分に検討の要あるもの、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/118
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119・畑和
○畑委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/119
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120・吉川久衛
○吉川委員長 次回は、来たる九日火曜日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X01819680405/120
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