1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月二十三日(火曜日)
午前十時四十一分開議
出席委員
委員長 吉川 久衛君
理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君
理事 塩川正十郎君 理事 古屋 亨君
理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君
理事 山口 鶴男君 理事 折小野良一君
青木 正久君 大村 襄治君
岡崎 英城君 亀山 孝一君
木野 晴夫君 塚田 徹君
渡海元三郎君 永山 忠則君
藤田 義光君 山口シヅエ君
太田 一夫君 河上 民雄君
三木 喜夫君 山本弥之助君
門司 亮君 大野 潔君
小濱 新次君
出席国務大臣
自 治 大 臣 赤澤 正道君
出席政府委員
自治政務次官 細田 吉藏君
自治省財政局長 細郷 道一君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 秋吉 良雄君
厚生省児童家庭
局企画課長 鈴木 猛君
専 門 員 越村安太郎君
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四月二十三日
委員辻寛一君、中尾栄一君及び野呂恭一君辞任
につき、その補欠として渡海元三郎君、塚田徹
君及び大村襄治君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
同日
委員大村襄治君、塚田徹君及び渡海元三郎君辞
任につき、その補欠として野呂恭一君、中尾栄
一君及び辻寛一君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
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本日の会議に付した案件
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第五一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/0
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001・吉川久衛
○吉川委員長 これより会議を開きます。
内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/1
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002・細谷治嘉
○細谷委員 大体質問も終末でありますから、具体的な若干の点について質問をしたいと思います。
厚生省見えておりますか。——それでは厚生省のほうはあと回しにします。
過日、山本委員の質問がありました際に、清掃費の単位費用の問題について、特に清掃関係の職員の数について、従来毎年一応計画しておる数字にアプローチの努力がなされてまいったのでありますけれども、今年は全くそれがなされておらない。清掃事業の改善の方策というのが全国市長会等で出されましたが、これは自治省の財政局の担当の方々もたくさんそのメンバーに入っていらっしゃる委員会であります。そこでできた数字となおかなりの開きがあるわけであります。これについて、今年は足踏みさして九十一名、四十二年と同様でありますけれども、今後一体どういう具体的な計画でこの清掃改善委員会の結論に近づこうとするのか、具体的にお答えいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/2
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003・細郷道一
○細郷政府委員 交付税の基礎となります標準団体につきましては九十一人でございます。清掃委員会は御承知のように百十二人、こういっておりますが、御承知のように清掃委員会で考えております十万団体は大体十二種地でございます。したがいまして九十一人でございますけれども、十二種地に直しますと、百十三・五人、こういうことに計算上はなります。そういう意味では需要を充足しているということがいえるかと思いますが、なお清掃委員会の答申の中にはそのほかの点もいろいろございますので、私どももできるだけ早くその答申の線に沿えるよう格段の努力をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/3
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004・細谷治嘉
○細谷委員 あと二十一、二名ですね。毎年七、八名から十名程度の改善を行なってきたわけですね。そうしますと、あとは二年か三年くらいで、おそくも三年くらいでこの線を実現すると理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/4
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005・細郷道一
○細郷政府委員 できるだけそういう方向で処理をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/5
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006・細谷治嘉
○細谷委員 大体二、三年でそういう線で処理をするということでありますから、その線を了承しておきたいと思います。
次に、人数はふえましても、これに関する作業員の給与というのが今度改正されまして二万四千二百九十九円であります。運転手が二万八千八百二十二円であります。そうしますと、この運転手なり作業員というものは高等学校を卒業したばかりの人ではありませんので、これでは安きに失するのではないか。実情に合わないのではないか。言ってみますと、超過負担の解消を叫んでおる自治省が、みずからのワクの中では地方団体に超過負担に類するものを強制しておる、こういうことになるのではないかと思います。これについてどう改善しようとするのか。たとえば今度、超過負担解消三カ年計画というものをやりますと、この給与の問題については号俸上の差があります。それを三カ年で所定の号俸に乗せていく、こういう考えが大体出ておるわけですね。これは実情に即しないわけですから、どういうふうに改善する御意思か、これはひとつ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/6
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007・細郷道一
○細郷政府委員 これは直接超過負担の対象事業ではございませんけれども、もう少しよく実態を調べて改善の方向で検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/7
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008・細谷治嘉
○細谷委員 対象ではありませんけれども、交付税の対象というのは、これは重要な基礎であります。ですから超過負担の解消を叫んでおる自治省が、実質的に、この種のはっきりしておる人件費等について、地方団体に超過負担をしいるようなことはやはりみずから改めなければならぬのじゃないかと私は思うのであります。こういう点で、作業員は、たいへんよごれたり、そして、夏などになりますとくさい、冬は寒い、そういう苛烈な条件の中において作業をしている人たちでありますから、しかもこれでは生活できないですよ。学校給食関係の調理員は一万七千八百六十八円、こういう給与で計算されておるのですから、問題があろうと私は思うのです。いますぐ、きょうこの段階でこれを改めて単位費用を直さなければどうのこうのということを、私は申し上げているわけではありません。やはり計画的に実態にアプローチするという努力が必要であろうと思うのであります。先ほども人数の点についてはおおむね三年程度でそういう線に近づける努力をするとお約束をいただいたのでありますが、これもそういう努力をすべきだと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/8
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009・細郷道一
○細郷政府委員 給与費の単価についてはなかなかむずかしい問題がございます。ことに交付税の需要単価で見る場合にどの程度に見たらよろしいか、実態をもちろん調べてみなければならぬと思いますが、実態にそのまま追随というわけにもまいりません。交付税制度の性質上あるべき額の何%というようなことも考えなければならぬと思いますが、いずれにいたしましても、この問題につきましてももう少しよく実態を見まして、財政事情の許す限り改善の努力をいたしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/9
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010・細谷治嘉
○細谷委員 実態に即応するように改善するということでありますから、ぜひそうしていただきたいと思います。
そこで、私が懸念いたしますのは、あるべき姿、実態に即応するあり方に給与を改定する、人員を充実していくということになりますと、あなたのほうですぐ始めることは、どうも金がかかってしようがないから、下請だ、こういう形に、特に自治省の財政局の指導方針というのは、何でもかんでも金で解決しちゃおうというような意識があるわけです。ですから、そういうふうに改善されても、表面上は、いや原則が直営でございます、必要があれば、条件があるところでは下請もよろしゅうございます、あるいは、一部下請もけっこうです、こういうふうに指導しておりますけれども、実際は地方団体にかなり強い圧力となってあらわれておることは、質問を通じて明らかになったところであります。でありますから、下請について、この種の清掃事業というのは、市の住民に非常に関係の深いものですね、北九州の問題、過日のニューヨークの清掃ストの問題、たいへん深刻な問題なんですね。そういうことでありますから、これはやはり自治体が責任を持つということが原則、直営が原則だ、こう私は思うのです。何が何でも下請はいかぬ、その一部分でもいかぬなんということを私はここで申し上げようとは思っておりませんけれども、たてまえ、原則というものは直営なんだということをひとつここでお約束できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/10
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011・細郷道一
○細郷政府委員 これは、むしろ所管の厚生省の考え方によると思いますが、私どもも、原則としては直営であるということは十分承知をいたしております。ただ、あまりそのことばに硬直的に左右されないように、いろいろ財政の状況もあるし、能率の状況もあるしいたしますから、住民サービスの低下を招くことのないような配慮のもとで委託ということを考えるように、こういうことを従来から指導いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/11
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012・細谷治嘉
○細谷委員 住民福祉が低下しないという大前提で、条件によってはそういう配慮もやむを得ない、こういう考えに立っているということでありますね。この点についてもう一度お尋ねしたい。
厚生省と自治省から出された数字、新しい清掃施設整備緊急措置法案の国庫補助のあり方について、片や百八十億円、これは四十三年度ベースの自治省の数字であります。片や二百七十八億五千七百万円、こういう数字が出ております。
〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕
一歩前進のために、こういう新しい法律ができた以上は、国のほうも努力しなければいかぬ、地方団体もむろん努力しなければいかぬ、こういうことでありますが、残念ながら、四十二年度から始まっているこの五カ年計画も、四十二年、四十三年というものは旧態依然たる補助率であります。ですから私は、厚生省の補助率の引き上げ、国の援助の強化ということはぜひやっていただかなければならぬと思うのであります。そういう点で、厚生省は、前向きの財政措置を講じようとしているわけでありますが、自治省は、厚生省と同様に、この実現のために努力をお約束できるかどうか。さらに、秋吉主計官に、大蔵省としてもそういう線で努力をいたしますという御答弁をいただきたいと思うのであります。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/12
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013・細郷道一
○細郷政府委員 単独事業と補助事業をどう分けるかということも、全体の負担の計算上は必要なことでございます。その辺をもう少し詰めてみませんと、実は、単純に補助率だけということにはなかなかならないと思います。ただ、清掃事業が都市におきましていま非常に重要であるということは、私どもも十分考えておりますので、そういったことも踏まえながら関係省とよく相談をしてまいりたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/13
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014・秋吉良雄
○秋吉説明員 御指摘の各種の問題につきましては、今後、関係各省間において、国、地方を通ずる財政事情等を勘案して十分検討なされるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/14
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015・細谷治嘉
○細谷委員 これはひとつ主管省が新しい法律をつくってこれを推進しよう、こういうことなんでありますが、残念なことには、第一年目、第二年目は従来の方式で参ったのでありますけれども、たいへん重要な問題でありますから、ひとつ大蔵省も、竿頭半歩を進めるくらいのことはぜひやっていただいて、そして、不十分ではありますけれども、厚生省の考えに基づく国の財政措置というものの強化も、ひとつぜひ実現していただきたいということを要望したいと思いますが、ちょうど大臣がいらっしゃっておりますから、対岸の火災じゃありませんので、大臣のお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/15
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016・赤澤正道
○赤澤国務大臣 住民の生活に、文化的と申すことばは当たらぬかもわかりませんが、密接な関係もあることでございますので、御指摘を待つまでもなく、前向きに検討を加え、かつ、いろいろな予算的な面におきましても要求もいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/16
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017・細谷治嘉
○細谷委員 これはこの程度にしまして、次に、地方公営企業関係の、主として再建団体についての給与の関係についてお尋ねしたいと思うのであります。
現在、再建企業というのは、自治省が認可したもので百五十五ございますね。そのうち幾つがいわゆる第八次ベースアップを実現したか、自治省としては了承を与えたか、実態をひとつ教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/17
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018・細郷道一
○細郷政府委員 百五十五のうち約百三十がやっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/18
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019・細谷治嘉
○細谷委員 百五十五のうち百三十、それは約ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/19
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020・細郷道一
○細郷政府委員 ちょうど手元にあります集計では百二十九になっておりますが、その後ちょっとふえているようでございますので、約百三十と申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/20
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021・細谷治嘉
○細谷委員 四月十四日の新聞紙の報ずるところによりますと、百五十五の再建企業のうち、百三十二企業は給与改定の認可をもらった、こういうふうに新聞に書いていますが、これは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/21
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022・細郷道一
○細郷政府委員 御承知のように、計画の範囲内で行なえるものがあるわけでございます。そこで、計画の範囲内で行なうことのできますものについての数字が、現在の段階でちょっと正確につかめておりませんが、計画を変更いたしたものははっきりわかっておりまして、これは十三でございますが、いま申し上げましたように、そういった計画のワク内で行ないますものを入れまして申し上げました数字が約百三十、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/22
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023・細谷治嘉
○細谷委員 新聞記事でありますから、正確は私は保証しませんけれども、四月十四日の日本経済新聞に出ておるのは、申し上げますと、百五十五のうち百三十二企業は給与改定を自治省は許可をした。その理由は、「給与水準などを考えると給与改定をせざるを得ない」「財源からみても特に支障はない」こういう二点が許可の理由になっておるようでありますが、自治省が難色を示しているものが残りの二十三企業、その二十三のうち、自治省が説得をして、改定を見送って、自治体自体も自治省の説得に応じたというのが三企業ある。しかし、残りの二十企業は、給与改定をぜひともしたい、しなければならぬ、こういうことだと新聞に書いてあります。きわめて合理的に、ぴしゃっと合う数字が出ておるのですが、どうですか、大体真相なんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/23
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024・細郷道一
○細郷政府委員 給与改定をやらないといっても、みずからやらないと考えているところもございますし、やりたいけれども、水準の高いこと、あるいは財源の関係でできないというところもございますので、すべてが自治省の承認云々にかかっているわけではございません。したがいまして、大体の見当としては、いまおっしゃったような数字のところへ勘定を持たれてもけっこうだと思いますが、正確な数字とは申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/24
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025・細谷治嘉
○細谷委員 私の新聞の数字を正確な記事とは言わない、自分のほうでは正確な数字を教えないで、これはおかしいじゃないですか。新聞記事の数字が正確ではないというならば、正確な数字はこうですということを、ここでぴしゃりと言っていただかなければ、どうにもなりませんよ。あんたのほうはふらふらじゃないの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/25
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026・細郷道一
○細郷政府委員 自分のほうでやらないものも数字にどう読むかという、私どものキャッチしてない部分も実はあるわけでございます。したがいましてそういうことを申し上げたわけでございますので、大体のところは、そういった見当で御理解を願ってけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/26
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027・細谷治嘉
○細谷委員 たいへん不満な答弁なんですが、私は大体この数字が正確だろうと思っております。
そこで、お尋ねをしたいのでございますけれども、三企業は自発的じゃなくて、自治省の説得で改定を見送ったというのですから、文字通り対話による説得か、圧力をかけた説得か、それは知りませんが、残りの二十企業というのは、どうしてもベースアップをやらなければならぬということでございますが、自治省はどうも、態度といたしましては、再建計画で定めたペース以上の合理化対策を実施する。再建計画は自分で承認しておいて、それよりももっと上回ったペースで合理化計画を進めさせるんだ。財政支出を極力圧縮するために、経営面に改善のきざしがない限り、職員のベアは認めないで、定期昇給のみにとどめるんだ。こういう基本方針だというのが、それよりも古い三月十九日付の新聞に載っております。新聞も日本経済新聞です。日本経済新聞というのは、あなたのほうはなかなか信用してないんですよ。日本経済新聞の記事は不正確だとよく言うのですけれども、しかし、不正確だと言うけれども、なかなか実態をつかんでおるですよ。こういう方針ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/27
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028・細郷道一
○細郷政府委員 給与改定に関しましては、すでにたびたび繰り返し申し上げておりますように、公営企業法の法律の基本の考え方にまず照らして現在の給与の状況を見る、そして、必要であるならば、財源の許す限りでこれを行なう、こういう基本的な考え方で指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/28
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029・細谷治嘉
○細谷委員 前に、この問題につきましてはケース・バイ・ケースでというのが大臣の御答弁でございました。せんだっての本委員会において、政務次官の答弁というのは、今日財政再建計画をつくって指導しておりますけれども、その一つの要素としての国庫補助の制度の拡充ということも実現せずにおる。さらには、公共性というのが一体どこまで公共性なのか、そういうようなことなどもなかなか実態は把握しにくい。さらには今日の社会経済情勢というのは、ただ単に一企業の努力のみでは解決できない。それ以上の大きな諸問題というのがあるのだ。そういう問題に目をおおておって、ただ一企業の努力で再建計画をつくってやってもほんとうの意味の再建計画というのはできないのだ。
〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕
そういう意味においては、現在の地方公営企業法そのものの実情に即した改正すらも検討しなければならぬのだ。こういう細田政務次官の答弁がこの委員会であったわけです。私もそのとおりだと思うのです。
そこで、ケース・バイ・ケースでありますけれども、地方公務員である以上は、しかも地公企法、地公企労法という形で労働基本権を与えられておる人たちの労働条件というのは、原則は団体交渉によってきめらるべき筋のものでありますから、前にも申し上げたように、それぞれの地方自治体、言ってみると、長と議会とが一丸となって、このベアはこの程度認むべきであるという形で再建計画の変更を求めてきた場合には、自治省はそれを審査して、原則としてはそれを認めてやるべきだ、こう私は思うのでありますけれども、先ほど申し上げましたように、二十企業につきましては、せんだって十一日の日に指定市の市長が五人そろっておたくへお伺いした際には、たいへん冷たい機械的な扱いであったと私は承っておるのでありますが、そうしますと、この答弁の精神とはいささか違っておるのじゃないですか。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/29
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030・細郷道一
○細郷政府委員 別に私は違っておるとは考えておりません。私どもも前の大臣がたびたび申し上げましたように、ケース・バイ・ケースの指導ということが非常に必要であろうと考えております。また、公営企業自体にいたしましても、よその各地の状況ということも参考にしたいという気持ちを強く持っておるようでございます。そういったような意味合いからいきましても、いろいろ相談に乗るということは必要なことだろうと思うし、われわれもできるだけそういうふうにいたしておるのでございます。ただ、いまお話しの例に出ました大都市の交通関係で、代表者たちが先般確かに見えました。見えました際に、冷たいかどうか、これはいろいろ人の見方と期待感の問題でございますので、何とも申し上げかねまするけれども、大都市交通の問題について、代表者の方々が非常に真剣にお考えになっている、これは全く私どもも感に打たれたわけであります。私どもも同様に、こういう立場にありながらも、どうやったら大都市交通を将来健全な発展をさしていくことができるだろうかというふうに実は考えておったのでございまして、そういう意味では全く冷たいどころか、非常に話はよく合ったわけでございます。
ただ、問題は、そういったいろいろな交通の生きていきますための環境をどういう場でどういう形でこれから整えていくかというようなことが非常にむずかしいのではないか、それについてはお互いに両者協力してやっていこうじゃないか、こういうことで別れたのでございます。別にその際にどうこうやかましい議論を展開したわけでは毛頭ございません。ただ、その際出ておりました八賃の問題につきましては、八賃をどうするかということについて、市長さん方は、他の部局との関係があって非常に立場がつらいということを強く訴えておられました。私もそういうお立場のあることはよくわかります。わかるのでありまするけれども、先ほど来申し上げておりますような、公営企業の長い目で見た健全性の維持ということのために、一体どういう順番でそういう企業を今後育てる方向を考えたらいいのか、これはお互いの命題として今後いこうじゃないか、こういうふうにして別れたのでございまして、別にそういう意味では私ここで申し上げておりますこととその際申し上げましたこととに違いはなかった、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/30
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031・細谷治嘉
○細谷委員 細郷さんはたいへんあたたかい気持ちで話してくれたそうですよ。ところが、自治省のビル全体は非常に冷ややかだったそうですよ。
そこで大臣、たとえば一つの交通局なら交通局というものがやっておりますと、ここには路面電車がある、バスがあるといたします。これは一貫経営しなければならぬわけですね。ところが、現在のバス料金というのはバスだけで、交通局全体じゃありません。都市交通全体じゃないのであります。いわんや社会全体の中に置かれておる都市交通という考えの中に立ってものごとを考えているのじゃなくて、都市交通の中にあるバスの部門だけの原価計算で料金をはじき出しておるわけでありますから、よそのほうにその利益というのがあったらば、たとえば現在の危機に瀕しておる路面電車をどう改善していくのか、こういうものと全く切り離された形で料金が決定されておるわけですね。こういうことでありますから、路面電車というのは自動車、バス等で走れなくなっておる、料金は予定どおりあがっていかない、計画どおりにあがっていかない。バスのほうはまあまあ収入があがっていっておる。その料金というのはバスだけで適正な採算ができる程度であって、よそのほうに回すなんということは全く考えない形で料金が運輸省で決定されておるわけですね。これでは全くにっちもさっちも動かぬという状態にあるわけでございます。したがって、こういう形ではほんとうの意味の再建ということはできません。あるいは都市交通の実態に合って構造を改善していこうということもできないのであります。そういうことでありますから、そういうしわ寄せを、あげて料金の値上げと、それから労働条件の切り下げに押しつけてくるというのは、私は不当であろうと思うのであります。そういう実態を踏まえて、やはり労働条件というのは地公労法で保障されておる基本権であり、それは団体交渉によってきめていくという筋合いのものでありますから、やはりこれは冷たいものじゃなくて、そういう基本というのは自治省は守ってやらなければならぬ、そのためにこそ行政局もあり公務員部もできたわけですから、そういう形で配慮していただきたいと思うのでありますが、ひとつ大臣の基本姿勢をお尋ねいたしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/31
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032・赤澤正道
○赤澤国務大臣 そういう事情を十分承知の上で、なかなか申す段階ではございませんけれども、御指摘のような、ちょっと見ると不合理な点がやはりあると私も考えております。しかし大都市の交通は、やはり根本的に考え直さなければならぬ時期に来ておる。来ておると言いながら、交通安全その他に追いまくられて、そういった根本的な対策がまだ進みかねておることは、私ども全く残念に思っておるところでございます。
しかし、公営企業の場合は、やはり事業自体の公共性と、それから事業は企業であるという面から来る独立採算性と、これをどの程度どういうところで調和させるかということは非常にむずかしい問題でありまして、赤字が出るからそれを一般財源で埋めろ、繰り述べろというわけにはなかなかいかない。しかし、この労働基本権だとか、あるいはその地域地域の平均賃金的なものは十分考える。それすらも償うことのできない場合には、やはりこれは根本からいろいろ考えてみなければならぬ問題がある。そういうことの中に、いまバスだけ切り離してやるのはおかしいじゃないかとおっしゃることはもちろん言えると思います。これはいつも言いますとおりに、公営企業もやはりその株主は地域住民でございますし、その代表として使用者側もあれば、また議会もあるわけでございまするので、労使ともそこはよく話し合って問題点を解決するということは当然のことであると私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/32
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033・細谷治嘉
○細谷委員 労使よく話し合って、結論が出たならば自治省はこれを尊重していく、こういう大臣のお気持ちだろうと思う。そういうふうに了解いたしておきたいと思います。
そこで、財政局長にお尋ねしたいのですが、社会労働委員会でたいへん問題になりました北九州市の例でありますけれども、やはり給食等は医療の一還なのでありますから、これは直営でやらなければならぬ、下請はだめだ、もしやるとすれば最低限公益法人でなければならないのだ、しかし、たてまえはあくまでも直営なんだ、こういうことが厚生大臣の基本的な態度として打ち出されたわけです。ところが、北九州市は、その原則すらも現在は満たしてないんですよ。全くの私人に下請さしておるんですよ。そうして私もこの前言ったように、そういう厚生大臣の意向に沿わないような下請をやっておるところに、あなたのところのなけなしの借りかえ債の二十億円のうち十二億円も、六割強の借りかえ債をやるということについては、どうも少し自治省は第三者的に三千幾つかの地方公共団体を一視同仁の形でながめておられるのじゃないか、こういう気がしてならないのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/33
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034・細郷道一
○細郷政府委員 北九病院問題につきましては、すでに御承知のとおり、いろいろな経緯があったわけでございますが、厚生省と申しますか、いわゆる関係の主管庁におきまして指導の方針を示したわけでございます。したがいまして、私どもは原則的にはそういった指導の方針に従うべきであろう、こう考えます。しかしながら、それはあくまでも原則でございまして、いま企業体自身が非常な病気におかされておるといったような、全くやむを得ないような事情の場合には、やはりいろいろな面で非常的な手段も、法の許す範囲内でとらざるを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、私どもは、それぞれの団体の、それぞれの企業体の実情に合った方向でそれぞれ指導をしてまいりたい、かように思っております。
なお、借りかえ債は御承知のとおり北九州の水道事業に対してやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/34
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035・細谷治嘉
○細谷委員 いまの財政局長の答弁にはたいへんな意味の内容を含んでいるんですよ。厚生大臣が示した原則は直営であります。もしどうしてもいかない場合には、最低の場合でも公益法人だ、こう言っているわけです。それが許される範囲であって、企業が困っているのならそれ以外の、厚生大臣の示した以外のことをやっていいということなら、困ったらどろぼうしてもいいということに通じますよ。そんなばかなことはありませんよ。どんなに困ろうと、医療法で定められた、職安法で定められたものにのっとって厚生大臣が示した原則、それにのっとらなければならぬのであって、そのワクからはずれて、それが困っておるからです、企業が病人だからですということでは、これはだめですよ。いまの答えは取り消していただかぬと、どんなことをやってもいいということになりますからね。大臣、そういうことになってまいりますからね。実は、県知事が中に入りまして、三月三十一日で二百五十五名の首を切っちゃったわけです。ですから、公益法人をつくるにも期間がかかりますから、知事の保証のもとに、その期間の間は私人に下請をさせてくれというような形になっているんだそうです。私はこれも違法だと思うのですよ。違法だと思います。しかし、それをいまのようなことでやりますと、何をやってもいいということになりますから、これはたいへんな問題ですから、自治省としての基本的な態度をひとつ示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/35
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036・細郷道一
○細郷政府委員 御承知のように、厚生省の示しております考え方は、第一が原則的に直営、それから、下請にする場合でも公益法人にすることが望ましいという考え方でございます。したがいまして、望ましいというのを、どの程度個々の実態に当てはめるかということは、やはり個々の団体の判断であろうと思うわけでございます。場所によりましては、公益法人で適当なものがないという場合もあり得ましょうしいたしますものですから、私は先ほどのようなことを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/36
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037・細谷治嘉
○細谷委員 もう時間がありませんから……。原則はとにかく直営だ、そうでない場合でも公益法人が望ましいというのを、あなたはまた変な解釈をしているわけだ。厚生大臣の答弁はそうじゃないんですよ。あくまでも原則は直営であって、どうしてもいかぬ場合には最低限公益法人以外にない、こういう趣旨の答弁なんです。ですから、例外として公益法人が望ましい、その例外がまたたくさんあるのだ、こういうことではないのでありますから、ひとつその理解を誤らないようにお願いしたいと思います。
最後にひとつ大臣にお願いしたいのでありますけれども、せんだって私は申し上げたのでありますけれども、単純労務者と地方公営企業に従事する企業職員の間には、不利益処分についての提訴等について法律上不公平な取り扱いがなされておる。せんだって鎌田さんは北九州の例をあげて、これは分限の問題でありますから対抗する手段がないのであります、こういう分限に限ってものを申しているのですけれども、法律的に分限の——首切りとかなんとかは別にいたしまして、不利益な問題が出た場合に地方労働委員会等に提訴した場合に、議会が受け付けなければこれはもうだめなんですね。しかし地方公営企業の職員はそれが排除されておるのですから、法律上これはどうしても不公平な扱いになっているわけです。これは法律を制定する間という形になって、言ってみますと暫定的な形になっておるのですが、少なくとも法律上の形態は、単純労務者も企業職員も公平な立場、そして救済の道があけられておる、こういう方途を講ずべきだと思うのでありますが、ひとつ大臣の答弁を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/37
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038・赤澤正道
○赤澤国務大臣 単純労務者は実際は企業職員並みに扱われておると申しますか、それに準ずる形になっておりますので、特に不公平とは思わない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/38
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039・細谷治嘉
○細谷委員 不公平とは思わないといったって、地方自治法の九十六条の十一号では、公営企業職員は排除されておるのですから、これは問題がありますよ、大臣。それは財政局長の答弁では、専門家ではないわけですから、よく検討してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/39
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040・赤澤正道
○赤澤国務大臣 さらに検討をしてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/40
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041・細谷治嘉
○細谷委員 厚生省に、時間がありませんからまとめてお聞きします。
実は私は、二、三の市について調べてみたわけですけれども、保育所の措置費についての国庫負担は八割でありますけれども、従来はその八割に対しておおよそ九八、九%程度の国庫負担が行なわれたわけでありますから、言ってみますと七九%くらいの国庫負担になっておったわけです。ところが、今度おたくのほうから、ことしはこれが最初にして最後でありますよということをはっきりと伝えていただいた金というのは大体七二%くらいにしか当たっていないのであります。そうなりますと、これはたいへんなことなのであります。従来はおたくのほうは、それは措置費が乱発されないように十分気をつけての予算配当と思いますけれども、一次の配当、二次の配当、三次の配当という形で、年間を通じては九八、九%になっておったというわけであります、私の調べたところでは。ところが、今回は一次だけ、二次、三次がないというのでありますからたいへんなことでございます。ことしはおたくのほうはその点についてはたいへん努力をして、予算もふえているし、絶対そういうことが起こらないようにすると言ってはおりますけれども、地方団体はこれはたいへんなことで、いまてんやわんやになっております。これについて、少なくとも今年度は重点を置いている仕事なんだから、例年の国庫負担率を下回るようなことは絶対ありませんと、こういうことをひとつここではっきりお約束していただかなければならぬと思うのであります。お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/41
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042・鈴木猛
○鈴木説明員 ただいま先生の御質問には、おそらく四十三年度の特に保育所の措置費の交付予定額についての御質問であろうかと思います。
実は、四十三年度につきましては、先生も御存じのいわゆる総合予算主義といいますか、補正なし予算というのが大前提でございまして、そういうようななてまえもございますので、まあ措置費の予定額というものを一応各府県に示しておきませんと、非常な大赤字を生ずるというような事態も予想されますので、実は初めてそういう交付予定額というものを各府県に示したのでございます。その額の割合が従来の実際上の精算割合、これが先生御指摘のように七九%程度に実額としてはなっております。今回の交付予定額がそれよりも大幅に下回っている、そこに問題があるのじゃないかということでございますけれども、厚生省といたしましては、児童福祉法の規定に基づきまして適正な措置を行なった、それに要する費用につきましては、今後ともその費用の国庫負担については努力をしていくつもりでございます。またそうなければならないと思っておるのでございます。しかしながら、交付予定額、これは特に府県によりましては保育事情の非常に進んだところもございます。ことばが適当ではございませんけれども、中には一部全村保育といって本来保育所に措置すべからざる児童が措置されている、本来のあり方としてはそういうような子供については私的契約児として入所するのが適当でございますけれども、そういうのが一部入っておるのが実情でございます。そのような事情をいろいろ勘案いたしまして、措置が適当に行なわれている前提でございますれば、当然本来の措置費の八割負担という線で精算をするつもりでございます。
以上のような事情でございますので、結果的には先生御指摘のような方向でなると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/42
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043・細谷治嘉
○細谷委員 心配要らぬということでありますね。そういうことを確認いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/43
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044・吉川久衛
○吉川委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/44
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045・門司亮
○門司委員 私はこの機会に、これはきわめて幼稚な質問であって当を得ないと思っておりますけれども、法案自身についてひとつ聞いておきたいことがあります。
政府も地方の自治体に対する特別の借金については、元利を政府が見てあげるという方法をとっておることもあります。今度の交付税の中にもそれが含まれておる。しかし、国と地方との間で今度の四百五十億の問題はそういうことがどこにも書いてないように私は見受けられる。ただ四百五十億を向こうにやるだけで、大蔵省から出ておる原案を見てみても、こちらを見てみても、何にも書いてない。ただあと三年に均等して百五十億ずつ返すのだということが書いてある。その間の事情はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/45
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046・細郷道一
○細郷政府委員 附則の六項で、法定の額から四百五十億円を控除した額がことしの交付税の総額であるという趣旨のことが書いてございまして、七項では四十四年度から四十六年度までの各年度に限ってそれぞれ法定の額に百五十億を加算した額とする、こういう例外規定を設けてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/46
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047・門司亮
○門司委員 私は、それで聞くわけです。今度の法律はそれだけしか書いてない。ところが、地方に貸し出す場合は元利は国が見てやるんだというようなことがちゃんとつけ加えてある。一時は貸しつけているのだが、元利を全部国が見てやるんだ。しかし、今度の九十億もそうじゃないですか。地方に出している金もそうだと思う。国から地方に出す場合は、そういう元利を国が見てやるのだという何かばかに恩恵のようなことが書いてあって、地方から国に貸すときは何も書いてなくて、ただいかにもあたりまえのような法律の構成というものが一体いいか悪いかということなんですね。私はこの辺に、国として少し考えなければならぬ次元が実際あるのじゃないかと思う。地方に国が出すときには、元利はおれのほうが見てやるんだというような、特別債というようなことを書いておいて、今度は地方から国へ出す場合は、そんなことは一切書かないでこれだけ出してやる、あとは年賦でこれだけ返すのだというようなこと、こういうものの考え方自身に、私は実は法律の内容についても少し問題がありはしないかと考える。しかし、こういう議論をいつまでも長くやっておっても時間の関係上あれですので、私はこれ以上聞きませんが、その辺はやはり地方の自治体の気持ちというものは、われわれが審議する場合の考え方というものについては非常に不満があるということだけはひとつ了承してもらいたい。
その次に、地方の公共団体に対する交付税の配分についてのものの考え方ですが、これもまとめてひとつ聞いておきたいと思います。
交付税が最初配付税であったときのいきさつから考えると同時に、シャウプ勧告を読んでみると、特別交付金については一〇%を見ておりましたね。そういう勧告をしておることは、勧告書にそう書いてあるから間違いないと思うが、これがいまの六%にずっと下げてきたというのには、私はいろいろの原因があると思う。しかしそれはそれとしておいて、いまの地方自治体の現状というものが、いまの交付税の配付の方法でよろしいかどうかということについて私には最近かなり疑問が出てきた。したがって、それについてこの機会に考え方を明らかにできればひとつしておいていただきたいと思います。
それは、今日の都市の類型といいますか、がだんだん変わりつつあるということでございます。そして、その内容、いわゆる財政需要の内容というものがだんだん変わりつつあるということであります。かりにいま、ごく卑近ないろいろのものを調べてみましても、大体人口五万以下の都市というのは財政需要が横ばいのような形をずっと示してきておるということは事実だと私は思う。ところが、十万以上の都市になってまいりますと、これは発展過程の都市と言い得るのであって、これから先二十万になり三十万になる都市というものを考えてまいりますと、人口増が非常に目立ってきておって、したがって財政需要は非常に大きな幅で毎年伸びつつある。ことにはなはだしいのは、先ほどからお話しになっておる大都市の人口増というものは、実際はどうにもならないほど財政需要がふえてきておる。これについて自治省のいまの算定方式というものが一体追いついているかどうかということであります。
これはごく簡単に申し上げてまいりますと、御承知のように人口が一万人ふえれば小学校が一つ必要になる。大体二万人から二万五千人ふえれば中学校をどうしても建てなければならぬ。これに基づいて、府県は対応していかなければ高等学校の問題が片づかない。したがって、こういう形で急速に人口のふえておりますところは、単に外形から見たいまの交付税のあり方、いろいろ議論されておりますけれども、現在ある姿で実際は配付されておる。したがって、あるべき姿というものはこの配付の基準にはちっともなっておらない。そこに私は問題があるのじゃないかと思う。だからこういう各自治体の現状というものをもう少しはっきり把握する必要がありはしないか。
逆に今度は、きょうは私は詳しい数字についてはここで申し上げる時間はございませんので申し上げませんが、地方のいわゆる過疎地域といわれておる人口の減っているところ等についても、いろいろな問題が今日かもし出されておる。したがって、この辺で交付税の算定の基準になるものを変える必要がありはしないか。それから、自治省もこういう問題について、やはり十分実態、態様を見る必要がありはしないか、これをいままで怠っておったことが、今日大都市の赤字団体に転落せざるを得ない一つの大きな原因ではないかということが考えられる。これは各都市に言えることであります。黒字の団体がふえたとかふえないとか、地方の財政は好転しているなんということを言っておられますけれども、地方の財政が好転しているわけでもなんでもないのです。それは自治省のいままでの、あるいは大蔵省のいままでの計算方式による計算の結果が、そういうものに出ておるのであって、実情には全く即していないということが私は言えると思うのです。したがって、そういうことから考えてまいりますと、当然この辺でひとつ地方の公共団体の規模別の分類による交付税の配付の基準というものを定める時期がきているのではないかというふうに考えられるのですが、そういう考え方はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/47
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048・細郷道一
○細郷政府委員 市町村分は、いま御承知のように標準団体で十万を基礎にして全団体の需要の測定をいたしておるわけでございます。お話しの点は、おそらく、すみやかに類型別にでも分けて標準団体の数を設定をして、需要の算定をしたほうが実態に合うのじゃないか、こういうような議論かと思うのでございます。その点につきましては、実は私どももいろいろ検討いたしておるのでございますが、まだ結論を得ておりません。ただ、この分類のしかたがいろいろむずかしい点があろうと思います。人口が同じでありましても、態様が違うというようなこともございます。
そこで、いまちょうど手元に持っております数字で大都市、都市、町村という分類でこの三十六年以後の推移を見てみますと、交付税の需要額の伸びと決算の伸びというものはおおむね並行をいたしておるのでございます。そういう意味合いにおきましては、ある程度実態の推移をとらえておるということは言えるのではないかと思います。しかしながら、なおその現実なるものが財源がないために十分なことができていないといったような団体もあろうかと思うのでございまして、そういったものをどういうふうに交付税の中に取り込んでいくか、特に投資的事業のような動態的な経費についてどう取り込んでいくかということについては、なお、私どもも一そうのくふうを必要とする、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/48
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049・門司亮
○門司委員 これは大臣にひとつ聞いておいていただきたいことですけれども、いま何か答弁があったようですが、実態は私はそういうものじゃない。今日の地方の情勢を一応見ていただけばはっきりわかりますけれども、いまちょっと学校の例を言いましたけれども、これは好むと好まざるとにかかわらず、都市の計画性があればまた別なんですよ。しかし市町村の計画とは全く別の形でだんだん発展していることは事実であります。そして、その市町村の思わざるところと言うと多少語弊はあるかもしれませんが、都市計画と何らの関係なく人口がどんどんふえておる、住宅がどんどんふえておる、いやが上にもそこには施設をやらないわけにはいかない、こういう無秩序なふえ方が結局今日のような状態になってきているのではないか。だから、私は自治省がほんとうに行政的にやろうとすれば、一つはそういう全く秩序のないような都市発展過程というものをどう制約していって秩序のあるものにしていくかということ、そうすれば、財政の問題等についても、そこからおのずから開けてくる道が私は出てくると思う。しかし、現状のように、ほとんど秩序のない状態で発展過程にある都市の財政というものは、一体どうすればいいかということ、私はそういう点についてはひとつほんとうに真剣にこの交付税の問題と関連して考えていただきませんと、交付税がせっかく財源調整の大きな役割りを演ずることになっておるにもかかわらず、実態に沿っておらないという現実の姿が出てくると思う。したがって、これは単に交付税の問題だけではございません。これはこまかく計算をして、一体どういう形であるべきかというようなことを考えると、非常に問題がありますけれども、最近の都市の緊急整備を必要とするというようなことは、財源的に見ましても、ほんとうに爆発的と言っていいほど多くの財政需要が出てきております。しかもそれは、さっき言いました無秩序に発展していく今日の都市行政のあり方であります。したがって、単にこれは交付税の問題だけではなくて、こういうことから考えてまいりますと、これを抑制するということは非常に困難でしょうけれども、もう少し何とか秩序のある関係にぜひ持っていってもらいたい。これには厚生省も関係いたしましょうし、建設省も関係いたしましょうし、かなり関係するところがあろうかと思います。こういう点について、大臣、どういうお考えですか。この際、はっきりしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/49
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050・赤澤正道
○赤澤国務大臣 御指摘のとおり、最近人口の移動が激しくて、無秩序とも言えるまでの発展を遂げる個所もあるし、また反面、人口が異常に急減して土着の人々が非常に困っておる現象なども起こっております。ですから、御案内のとおりに交付税面でもいろいろな補正をやっております。九種類にものぼるような補正、中には人口急増補正とか、財政力補正とかいろいろやっておりますけれども、まだまだそういうことでは間に合わぬような状態が、特殊な地帯には出ておることは御指摘のとおりであります。ですから、国土の均衡ある発展をいたしますためには、やはり根本的な政策の樹立が必要でありますし、これは自治省だけで考えて解決できる問題ではありませんし、現状ではやはりそういう無秩序に発展するところのあとを追っかけておるというのが真相であると思います。ですから、われわれといたしましては、そういう地帯はおのずからその原因もあるわけですから、まず都市計画の確立につとめるとか、あるいは財政需要の実態の把握につとめるとか、あるいは自治省といたしましては、前から地方中堅都市の構想を持っておるわけでございますが、こういうすべての計画の上に立って措置いたしませんと、御指摘のような問題を解決することにはなかなかいかない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/50
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051・門司亮
○門司委員 これは建設省が発表しておりますよ。御存じかと思いますが、建設省の発表を見ますと、昭和六十年に大体日本の総人口が一億一千六百万人になるであろうということを発表しておる。そうして都市の形態はどういうことになるかというと、昭和四十年に大体四千七百万の市街地人口と目されておったものが二倍強になりはしないか、ここに大体九千万人以上集められるだろうということが報告せられております。数字からいえば、九千三百万人と書いてある。これは建設省の発表ですよ。そうなってまいりますと、市街地は非常に広くなって、四十年の四千六百平方キロメートルから一万二千五百平方キロメートルということになり、大体いまの地域の三倍になる、こういう形で日本の都市というものが進行しておる。しかもその進行は、これはもう何といったところで、東京あるいは大阪その他のいまの大都市圏を中心にしてどんどん広がっていく。集中するから、その周囲の拡散せざる得なくなってくる地域がだんだん広がってくる。だから、人口比よりもむしろ地域の広さのほうが大きくなってあらわれてくる。そこにどうしても財政需要の問題が非常に大きな問題として浮かび上がってくる。したがって、それらの問題に対処していかなければならない。だからいま大臣のお話にも、建設省もと言っておりますが、建設省はすでにこういうことを言っておるので、これに対して自治省はどう対処しようとしておるか、これを大きな前段としてある程度押えていくのには、交付財源をもう少し考えていく必要がありはしないか。
したがって、最後に一応聞いておきたいと思いますことは、いま交付税がことしは余ったから四百五十億貸すという不届きなこと——大臣はおこるかもしれませんが、きわめて不本意なことをされておりますが、私はいまの交付税率は、いわゆる百分の三十二よりもふやすような形をいまからとっていかなければ、この都市の発展過程というものに追っつかなくなりはしないか、こういうような気がするのですが、それに対する大臣のお考えをひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/51
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052・赤澤正道
○赤澤国務大臣 四百五十億がまた出てまいりますけれども、あれはわれわれは、貸借関係でないということをたびたび申し上げている。それをどうしても貸借関係だとおっしゃるものですから、そこからいろいろな議論が生まれてくるわけでございますが、私どもは貸借じゃないと考えております。このことだけは申し上げておきたいと思います。
後段ですけれども、私、どうも現状の問題は、放置いたしました場合には、言うまでもなく、人口の流動が激しいわけですから、やっぱり都会地に無秩序に移ってくる、これは認めざるを得ませんし、現状は建設省も把握しておられます。また、将来、ほっといたらこうなるであろうという見通しもおのずからつくわけでございます。そのためには、やはり政府全体といたしましては、産業の分散、また人口の分散ということに重点をかけていま諸政策を行ないつつあるところでございますが、まだそれが出発間もないわけでございますから、実を結ぶところまで至っておりません。先ほど私どもの地方中堅都市のこともちょっと申し上げましたけれども、とにかく無秩序な大都会への人口の流入、集中というものを何とか抑制しなければ、単に財政措置だけであとを追っかけていくというようなことだけでは、ものの解決にはならぬと思います。しかし、いま門司先生の御指摘の最後の点ですね、つまり、こういう事態が起こっておるのに、交付税率というものを三二%どまりのことでは措置できぬのじゃないか、むしろこういうものは、将来に向かって現実を踏まえて、税率を伸ばすとか、いろいろ積極的にやるべきであろうというお考え方につきましては、私も全く同感を覚えるわけでございます。確かに、地方団体では、この面で非常に窮地に立っておるところもあるわけでございますので、前向きの解決をはかりたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/52
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053・門司亮
○門司委員 あと一つだけですが、先ほどからいろいろ問題になっております地方自治体の公営企業はもとより、一般会計に対するいわゆる起債に対する問題ですけれども、これは自治省のほうから出た資料であって、私のところで調べた資料と言えば言えるものですが、これは自治省でよくこの実情は把握しておられますが、こまかい数字は私はきょうは申し上げませんけれども、四十一年度末の公債といいますか、起債の総額は、大体普通会計で一兆六千九百十一億あるわけですね。それから、公営企業関係で一兆七千九百四十億、公営事業会計で十二億、全部合わせると、これが三兆四千八百六十五億という数字になる。このほかにまだ四千五百三億三千万円という、財政の例の債務負担行為が別にあるわけでございます。それから、もう一つあるのは、これは額はわかりません。わからないが、会計年度の支出の中にあらわれてまいります数字を見てみますと、一時借り入れ金の利息が七十二億というのが決算額の中に出てきます。しかし、これは一時借り入れ金でありますから、一体どれだけ借り入れているかということはよくわからない。わからないが、七十二億の利息を払っておるということでありますから、かなりの額にのぼろうかと思います。こういうものが私は全体の借金だと考えておる。ところが、その中でわれわれが問題にいたしておりますものを調べてみますと、いわゆる六分五厘の利息——普通、政府の資金が六分五厘ということはよくいわれておるのでありますが、六分五厘の利息以上のものが一体どのくらいあるかというと、七分六厘というのが普通会計で四千百二十五億です。それから、公営企業関係で六千二百六十六億、公営事業関係で約一億。ところが、その上のランクになっておる八分までの利息というのが、普通会計で二百七十二億、公営企業関係で二千百三十億。八分以上というのが、一般会計で七十八億、公営企業関係では三百十一億、これを六分五厘以上のものを全部総計いたしてまいりますと、一兆三千百八十三億という数字になる。三兆四千八百六十五億の全体の起債額の中から、一兆三千百八十三億円というのが六分五厘以上の金利で払っておる。その中で八分以上というのが、いま申し上げましたような数字になっておる。これではほんとうに地方の財政というものが窮屈になるにきまっておる。私は、この交付税の問題では、こういう点がどうしても考えないわけにはいかない。地方の自治体が困っておれば起債を認可してやるんだというようなことで、何か財政法違反のようなことを平気で言われるのですね。財政法には、起債は当分の間許可するとあるけれども、本来は自由にできるようにちゃんと書いてある。どうも日本の当分というのは長いのでありまして、戦後二十何年間当分の間で続いていますから、いかにも許可をしてあげるんだというような、政府の権力作用だというようなことにわれわれは考えている。自由であるべきものが政府の権力作用によってこういう抑制を受けている。にもかかわらず、実態を見てみるとこういう姿であって、これでは地方の自治体が一体どういう形で財政の立て直しがなし得られるかということであります。
そこでこの機会に、数字だけでよろしゅうございますから、もう約束の時間になりますので、この辺でやめなければなりませんが、数字だけ要求をいたしておきたいと思いますことは、いま申し上げました六分五厘以上の利息、これは公営企業関係にはいろいろありましょうが、これらの問題を、一兆三千百八十三億という数字を、もし全部が六分五厘の利息だとして勘定することにすれば、一体どのくらい地方の自治体に財政的のプラスがあるかということが一つであります。したがって、これについて資料を出していただきたいと思います。
それから、もう一つの問題でここで明確にしておきたいと思いますことは、先ほどからいろいろ問題になっております例の水道の問題ですが、人口が非常にふえておりまして、そうしてほとんど全部が井戸にたよらないで水道によるということです。これは簡易水道をはじめ全体がそういうことが言えるかと思いますので、そういうふうに水道が非常に普及しなければならないときに、御承知のように、日本の水道の実態をごく概略を見てみますと、これも水道白書を読めばこういうことを書いておるのでありますが、水道白書の中にはちゃんと、取水費が一番高いのが秋田県の男鹿市であって、十トン当たり七百四十円、一番安いのが長野県の岡谷であって十トン当たり五十円、この大きな取水費の開きというものが一体そのまま認められてよろしいかどうかということである。私は、少なくとも国は、水道はどうしてもやらなければならないこと、国民が全部水を飲まなければならないことはわかっておるのであるから、したがって、今日、地方自治体の公共料金の値上げということが大きな問題になっております。それらの問題は、おおよその基準をきめて、それ以上の取水のための費用を出しておるような公営企業については、私は、いまよりも一そう特別な財政援助をする必要があるのではないか。ここまでくれば、もうこれは公営企業ということは独立採算制ではなくて、ある意味における社会保障の意味がここに強く出てきてもいいのじゃないかというような気がするのです。そうしなければ、いつまでたったって日本の水道というものは完全にならないし、同時に、公共料金の値上げというものがめちゃくちゃに行なわれる。東京を見てごらんなさい。取水費が一トン当たり三十六円でしょう。売っているのが二十八円、その差額はずっと赤字になって、現在百二十億の赤字を持っている。どうしてもこういうことが出てくる。国民の負担能力と原価との開きが結局不必要に摩擦を起こさせておる。水道料金の値上げに摩擦を起こさせておる、こういう結果が出ておる。こういうふうに見てまいりますと、どうしてもやはり国民の負担能力というものを考えてくれば、そこに社会保障の意味が私は介在してもちっともふしぎじゃない。そうすると、いま申し上げたように、大体二十円以上の取水費をかけているところについては、国がめんどうを見る必要がある。
ここでついでに申し上げておきますが、水道をずっと調べてみますと、大体借金が八〇%なんですね。ほんとうの意味の自己資金は二〇%しかない。八〇%はさっき申し上げましたような高い利息の金を借りてやっておるところに無理がある。だから、こういうものを緩和することのためには、いま申し上げましたように、水道についてはひとつ一定の線を引いて、それより以上の取水費のかかっているところについては、国が何らかの財政の援助をする、あるいは利息を非常に安くしてあげるというような形ができないものかどうか。これが解決しない限りは、日本の水道の料金の問題はいつまでたっても解決しないと思う。その辺の大臣のお考えをこの質問の最後に聞かしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/53
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054・赤澤正道
○赤澤国務大臣 非常に取水費が高いとどうしても料金にはね返ってまいりますので、できるだけ軽減したいという考え方から、借りかえ債に乗りかえたりなどしておりまするけれども、とてもそういうことでは追っつかぬことは私も認めます。それからまた、現在のものよりも私ども心配いたしておりますことは、これから人口の大きな移動に備えて、水源もないところへたくさん集中しますと、今度は他県のたいへんなところから水をとってこなければならないと予想される地域などもございますので、あわせて水の確保ということは大切な政治の項目でもありまするので、御指摘のような問題につきましては十分前向きに検討いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/54
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055・門司亮
○門司委員 財政局長、資料を提出なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/55
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056・細郷道一
○細郷政府委員 資料は提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/56
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057・門司亮
○門司委員 それから、約束の時間より二、三分過ぎましたけれども、資料をもう一つ頼みたいのは、これは公にしておいていただきたいと思いますのは、各府県並びに市町村の一般収入と借金の表が各府県別、市町村別にわかるならひとつ出してもらいたい。どの市がどれくらいの収入で、どれだけ大きな借金をしているか、これは交付税の算定の中にこういうものをある程度入れる必要がありはしないかと考えている。できたら、それを出しておいてください、非常にむずかしいことかもしれないが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/57
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058・細郷道一
○細郷政府委員 各団体別のはちょっと作業がたいへんでございますから、せめてグループ別くらいで、なるべく御期待に近いものを出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/58
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059・吉川久衛
○吉川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/59
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060・吉川久衛
○吉川委員長 これより地方交付税法の一部を改正する法律案を討論に付します。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/60
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061・河上民雄
○河上委員 私は日本社会党を代表して、内閣提出、地方交付税法の一部を改正する法律案に反対いたすものであります。以下その理由を述べます。
まず第一は、いわゆる四百五十億の取り扱いであります。今回の措置においては、地方交付税及び譲与税配付金特別会計から四百五十億円国の一般会計に貸し付けを強要し、一方、地方団体の資金運用部資金による地方債のうち約二百五十億を繰り上げ償還し、その資金を交付税及び譲与税配付金特別会計で借り入れて地方交付税に加算して地方団体に交付することになっております。これは地方自治体が政府に金を貸してみたり、借りたり、わけのわからない芝居を演じているにひとしいものであります。しかも実際には、地方交付税の削減を策したものでありまして、かつ地方財政は豊かであるかのごとき幻想を振りまく危険な措置であります。これは地方財政の危機、財政需要の増高する実態から見て許しがたいことであり、かつ将来の地方財政にとって大きな禍根を残したものとして、重大な警告を発せざるを得ません。
第二は、今回の地方交付税改正のうち、最も注目され、最も緊急に要請されている過疎地域対策や過密地域対策については、その基準財政需要額の増額は、わずか二百一億円の後進地域対策と、百億円という少額の過密地域対策にすぎないのであります。これでは、とうてい財政需要を満たすことはできないことは明らかであります。たとえば、現在大都市が財政的な危機に瀕していることは大方の認めるところでありますが、これは、これまで税財政制度の改革、地方独立財源の充実を怠ってきた政府にその責任があることは明白でありまして、特に六大指定都市については、地方自治法上府県並みの事務を移譲しながら、その財源について基準財政需要額の算定に十分見ていないことは、かねて指摘されてきたところでありますが、これは早急に是正されねばならないと考えるものであります。
第三点として、特別事業債の償還計画(交付団体分)を政令にゆだねている点であります。これは本来国が処置すべきものでありまして、その元利償還については国が明確に保障すべきものであります。これは本委員会で再三にわたり約束されているところであり、これを政令にゆだねるがごときは不届きしごくであると考えます。われわれは、これを法律に規定すべきであると主張するものであります。
第四点は、今回の交付税が給与改定について補正を行なわないという原則をとっている点であります。国は、米価、公務員賃金について補正予算を組まないという、いわゆる総合予算主義をとり、地方もこれに協力するというたてまえをとっております。予備費は、災害を含めわずか七百五十億しか用意しておりません。予想される人事院勧告を地方公務員に適用した場合に要する経費がこれを上回ったとき、一体どうするつもりでありましょうか。要するに、今回の措置は国のいわゆる所得政策に協力するものではないか。
第五点は、地方公営企業への扱い方であります。地方公営企業は独立採算制のワクのもとで累年赤字に苦しんでおります。その赤字解消の抜本的方策には見るべきものがなく、その重圧は、受益者負担の名のもとに住民の肩の上にしわ寄せされております。地方公営企業においても、民間大企業への過大なサービスが政策的配慮の名のもとに行なわれ、住民への配慮はそれに比してきわめて薄く、公営企業の公共性はますます無視されていることを指摘せざるを得ません。今回の地方交付税法は、その点について何らの改善も見られないのであります。
第六点は、地方自治体の本来の業務たるべき業務を、特定業務の名のもとに民間委託の傾向が顕著になりつつある点であります。その傾向は、社会福祉事業、清掃のごとき国民生活に深い関係を持つ分野において特に著しいのであります。具体的には、社会福祉事業団または民営への移行という措置が、簡素化、能率化の名のもとに、自治省の指導のもとに進行していることは遺憾であります。これは要するに安上がりを策したものでありまして、住民サービスの低下をもたらすものとして、われわれは厳重な警告を発するものであります。
以上のような理由によりまして、今回の地方交付税法の一部を改正する法律案に対しわれわれは反対し、その討論といたすものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/61
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062・吉川久衛
○吉川委員長 折小野良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/62
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063・折小野良一
○折小野委員 ただいま議題となっております地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、私は民社党を代表いたしまして、反対の立場から討論をいたしたいと思います。(拍手)
簡単に申し上げます。交付税制度が、今日地方の財源といたしまして非常に重要な位置を占めてまいりました。また、地方におきましても、非常にこれに対して期待をいたしております。ところが、この制度の運用が、その範囲内におきまして精妙巧緻になっていけばいくほど実態に即さなくなってきつつある。現実との間の差をますます大きく開いていきつつある。こういうことを私ども見ざるを得ないわけでございまして、こういう点からいたしまして、私どもは、現状にきわめて大きく隔たってきつつある交付税制度、特に今回のこの改正に対しまして反対をせざるを得ないわけであります。
その具体的な事例について二、三申し上げますと、今日都市化が非常に進行いたしてまいっておりますわが国の自治体におきまして、過密対策というのは一つの重要な施策でございます。しかもその進行はきわめて早い。これに対しまして財政措置が追っついていかない。したがって、過密に伴ういろいろな社会問題を惹起している。これが現在の地方団体の実態でございます。こういう面に対しまして、交付税制度がもっと現実に即応した有機的な機能を発揮する、こういうことが期待されるわけでございますが、現実におきましてはなかなかその期待に応ぜられないというのが実情でございます。こういうような点につきましても、もっともっと有機的な機能が発揮されるように考慮さるべきである、かように私どもは考えます。
その反面には過疎問題というのがあります。これもまた関係区域におきましては非常に重要な問題でございます。今日過疎地帯の地方団体におきましては、すでに行政の機能をも失いつつある、これが現状でございます。したがって、過疎は過疎を生むというような形におきまして地方の荒廃を招来しておるというのが現状でございます。こういうような面に対しましても、この交付税法におきまして考えられております過疎対策は、決して十分であるということは申せないのであります。もちろん交付税だけが過疎対策のすべてではございません。しかしながら、特に交付税を中心にした過疎地域の行政の機能を回復するということは今日きわめて重要な施策であろう、かように考えます。こういう面につきまして、今回の改正はその機能を十分発揮し得ていない、かように私どもは考えます。
また、今日地方団体がいろいろな事業を実施するにあたりまして、用地というものが非常に大きな問題になってまいっております。これは現実の問題であります。この点につきましては、国の土地対策、なかんずく地価対策というものが十分行なわれていないということに一番大きな原因があるわけでございます。しかし、それぞれの地方団体がいろいろな事業をやるにあたって非常に困っておる用地、これに対する財源、こういうものに対する十分な配慮というものがこの交付税制度の中においてとられていない、こういう点もまた地方団体の行政の実態に即しない一つの理由でもあるというふうに私どもは考えております。こういうような点を中心にした実態に即する機能の発揮ということを心から期待をしたいわけでございます。
特に、先ほど来出ております四百五十億の貸し付けの問題でございます。大臣は、これは貸し付けではない、貸借関係と考えるからいろいろ問題があるのだとおっしゃいます。といたしますならば、これは実質的には交付税率三二%の切り下げだ、こういうふうに申して差しつかえないわけでございます。現在の地方団体の財政の実態からいたしますならば、むしろ将来にわたりましてこの三二%の税率を引き上げてもらいたい、これが切なる願いであろうと私どもは考えるわけでございます。借りたり返したり、あるいは借りたものを返すためにまた借りたり、こういうような交付税制度の本来の機能に即しないようないろいろな操作をあまりにもやられるということは、適当じゃないんじゃなかろうか。むしろ今日におきまして、この交付税制度というものを、政府の立場においてあまりにもいじり過ぎる、あまりにももてあそび過ぎる、こういうふうに私どもは感ずるわけでございます。
そういうような点におきまして、今回のこの改正に対しまして反対せざるを得ないわけでございます。将来にわたりましては、交付税制度の本来の財政調整的な役割りというものをもっと十分に果たしていただけるよう、機能的な面の充実につきまして一そうの御配慮をお願いをいたしたいわけでございます。
以上、簡単に理由を申し上げまして、反対討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/63
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064・吉川久衛
○吉川委員長 小濱新次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/64
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065・小濱新次
○小濱委員 私は、公明党を代表して、地方交付税法の一部を改正する法律案に対して反対の意見を表明するものであります。(拍手)
その第一の理由は、今回地方交付税から国の一般会計へ四百五十億円貸し付けたことであります。最近、地方財政の収支じりのみをとらえて、地方財政は好転したとの論をなすものがありますが、これは事象の一片のみをとらえたもので、地方財政の収支は借金によってかろうじてささえられているにすぎず、その上地方財政には住民福祉の面において行なうべき緊急の仕事が山積しておるのであります。
その二、三の例をあげてみますると、大都市周辺の市町村においては、人口の過密化に伴い、学校、公営住宅等の建設を至急に行なわなければならないにもかかわらず、これらの施設整備に要する市町村の負担はあまりにも多く、市町村財政を著しく圧迫しているのであります。また、地方道の整備は国道に比して著しく立ちおくれ、地方団体はこれらの整備に要する財源の捻出に苦慮いたしておるのであります。さらに、工業の発展により、各地にコンビナート工場が建設されておりますが、その消火施設等はあまりにも貧弱であり、一たび火災が発生した場合には大災害を引き起こす事態が予想されるのであります。これらの施設等は早急に整備しなければならないのであります。
その他地方団体において住民福祉のために行なうべき事業がたくさんあるにもかかわらず、今回の貸し付け措置は全く納得がいかないのであります。
第二は、国と同一基調により地方の公共事業を抑制したことであります。これは景気抑制という国のフィスカルポリシーに協力するものと思われますが、地方自治の使命、役割りに照らし合わせてみても、このような方針は不適当であると考えるものであります。
第三は、災害債の繰り上げ償還を基準財政需要額に算入したことでありますが、これは交付税の恩恵を受けない不交付団体とのつり合いから考えて不合理であると考えるものでございます。
第四は、毎年人事院勧告が出されるのが通例となっており、今年もおそらく勧告が予想されますが、これを地方公務員に適用した場合の給与改定費のうち交付団体分として五百六十億円を計上しておりますが、これを上回った場合の措置が考えられていないことであります。
以上の点につきまして、今回の地方交付税法の一部を改正する法律案に対して公明党は反対するものであります。
以上であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/65
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066・吉川久衛
○吉川委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/66
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067・吉川久衛
○吉川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/67
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068・吉川久衛
○吉川委員長 この際、大石八治君、山口鶴男君、折小野良一君及び小濱新次君から、四派共同をもって、ただいま可決いたしました地方交付税法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
この際、本動議を議題とし、その趣旨の説明を求めます。大石八治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/68
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069・大石八治
○大石(八)委員 私はこの際、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表し、地方交付税法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。
案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。
地方交付税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、地方財政の現状にかんがみ、左の諸点に留意すべきである。
一、地方債については政府資金の充実をはかるとともに、地方公営企業における国庫補助制度を拡充し、借換債を拡大するほか、公営企業金融公庫については出資金を大幅に増額する等その機能の充実強化に努めること。
二、人口の急増に伴ない、文教施設の増設を必要とする市町村に対し、その実態に応ずる財源措置を講ずること。
三、地方交付税の配分については、市町村の財政需要を動態的に把握し、その実態に適応するよう努めること。
四、基地所在またはこれに類する市町村における財政需要を考慮して、必要な財源措置を講ずること。
五、学校、道路等における国および都道府県の負担を市町村または住民に転嫁しないよう必要な法的措置を強化すること。
右決議する。
以上であります。何とぞ皆さまの御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/69
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070・吉川久衛
○吉川委員長 本動議について採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/70
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071・吉川久衛
○吉川委員長 起立総員。よって、大石八治君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、赤澤自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。赤澤自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/71
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072・赤澤正道
○赤澤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を尊重して善処いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/72
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073・吉川久衛
○吉川委員長 おはかりいたします。
ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/73
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074・吉川久衛
○吉川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/74
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075・吉川久衛
○吉川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804720X02419680423/75
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