1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月九日(火曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 三池 信君
理事 井原 岸高君 理事 上村千一郎君
理事 塚田 徹君 理事 松澤 雄藏君
理事 大出 俊君 理事 木原 実君
理事 受田 新吉君
赤城 宗徳君 内海 英男君
桂木 鉄夫君 菊池 義郎君
佐藤 文生君 塩谷 一夫君
淡谷 悠藏君 浜田 光人君
安井 吉典君 米内山義一郎君
伊藤惣助丸君 鈴切 康雄君
出席国務大臣
国 務 大 臣
(総理府総務長
官) 田中 龍夫君
出席政府委員
人事院総裁 佐藤 達夫君
人事院事務総局
給与局長 尾崎 朝夷君
人事院事務総局
職員局長 島 四男雄君
総理府総務副長
官 八木 徹雄君
総理府人事局長 栗山 廉平君
委員外の出席者
専 門 員 茨木 純一君
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四月八日
公務員の賃金抑制及び定員削減反対等に関する
請願(長谷川正三君紹介)(第三四三〇号)
同(山本政弘君紹介)(第三四三一号)
同(川上貫一君紹介)(第三四七四号)
同(田代文久君紹介)(第三四七五号)
同(谷口善太郎君紹介)(第三四七六号)
同外一件(松本善明君紹介)(第三四七七号)
同(川上貫一君紹介)(第三五一九号)
同(田代文久君紹介)(第三五二〇号)
同(谷口善太郎君紹介)(第三五二一号)
同(林百郎君紹介)(第三五二二号)
同(松本善明君紹介)(第三五二三号)
同(広瀬秀吉君紹介)(第三六四六号)
旧軍人恩給に関する請願(佐藤洋之助君紹介)
(第三五一八号)
国及び地方公共団体建設関係職員に現場手当支
給に関する請願(福永一臣君紹介)(第三五二
四号)
同(正示啓次郎君紹介)(第三六四五号)
日本国領土の明示に関する請願(志賀健次郎君
紹介)(第三五八四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案
(内閣提出第五七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/0
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001・三池信
○三池委員長 これより会議を開きます。
この際、参考人招致の件についておはかりいたします。恩給法等の一部を改正する法律案の審査の際、前恩給審議会会長新居善太郎君を参考人として招致いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/1
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002・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。
なお、招致の日時については委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/2
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003・三池信
○三池委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/3
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004・三池信
○三池委員長 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。前回に引き続き質疑を行ないます。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/4
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005・大出俊
○大出委員 前回、一時間半程度の質疑をさしていただきまして、その趣旨はおそらくおわかりいただいていると思いますので、締めくくりという意味で、実は総裁お見えになっておりますので、簡単に御質問申し上げておきたいわけでございます。
実は先般、このなつかしい人事院の古い書籍——堀込さんの国家公務員災害補償法解説を出しまして当時私も官公労事務局長をやっていた時代でありますので、昔を懐古した意味での質問をしたのでありますが、その趣旨は一般の労災関係、つまり労働者災害補償保険法でございますね、ここで手直しが行なわれ、あるいは基準法の規則改正が行なわれたりいたしまして人事院のほろから要望をした、だから法律を出しましたという考え方では困るのじゃないか、むしろ人事院の側が、労災のほうが直ったから云々でなしに、団交権も何もない公務員の諸君を相手にしておるわけですから、ひとつ積極的にこの点はそうおやりになっておられるという御答弁でしたけれども、なお一そうひとつ健康管理の問題から、いつも病気が起こってしまってから規則改正という形に持っていくのではなくて、もっと早く対策を立てて職業病的なものをなくすということが必要なんじゃないか、こういう実は趣旨の意見を申し上げたわけでありまして、これも実は御了解をいただきましたので多くは触れません。ただし、ここでどうしても総裁に御回答いただきたいと思っておりますのは、この災害補償法ができる一番最初に、本来ならば労働省に所管をしてもらって、そこでひとつ特別会計の中に命を入れて一本で労働者の災害補償というものはやるべきだという案を当時の人事院が公務員法に基づきましておつくりになった時代がある。それがいろいろな論議の結果として幾つかに分かれた。だから一番大もとはやはり人事院にある。権限の問題はさておきまして、そこで現在ながめてみますと、特に現在国会職員の公務上の災害に対する補償に関する件という別な規制が一つある。それから裁判所の場合の裁判所職員臨時措置法という法律がある。これは二十六年の十二月六日にできた法律でありますが、この堀込さんの趣旨によりますと、一番最後に、多岐に分かれていて、特別職が別になったということはいささかもって筋が通らぬのでやがてこれは直るだろう、こういう書き方をされておるのだけれども直らない。だから、やはりこれも人事院の側がもう少し気をつかっていただきたいという考え方なんです。特に、実施機関が各省に分かれておりまして、異議申請があった場合の審査機関が人事院、こうなっておるけれども、最高裁のごときは事務総長さんが実施機関の責任者になっておって、異議申請があった場合の審査機関の責任者である。あわせて兼ね持つということは、一ぺんそこで却下したものに異議申請があった。また認めたとなるとていさいが整わないというふうな問題もあって、調べてみて特にひど過ぎる。そこで、これが国会で問題になったときに、この議事録を読みますと、人事院がということが最高裁長官代理者の御答弁の趣旨になっておる。やはり人事院に引っかかる、こういうことなんです。そこで、そこらをもう少し御配慮いただけないかという気がいたすわけでございますが、総裁ひとつお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/5
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006・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 御指摘の点は相当これは重大問題に関連してくると思います。これはあに災害補償ばかりでなしに、給与の問題しかり、あるいは公平審理の問題しかり、やはり同じような仕事をやっておる人でありながら、たまたま特別職として区分されておりますために、国会の皆さんあるいは裁判所の皆さんというものが準用とか、よるとかいう形で、まともには立法の適用を受けていらっしゃらないという点は確かに私は問題点だと思う。また、しかしなぜそうなったかについては、賢明なる大出委員十分御承知の上ですから申し上げませんけれども、私どもの立場として、しからば侵略戦争をおっ始めるかというところまではちょっと、私のほうとしてはまだ慎重にかまえなければいけないだろう。国会あたりでりっぱに処置していただければたいへんけっこうだなという希望は持ちますけれども、私どものほうからそれを働きかけるつもりはちょっとございません。これは控えたほうがいいと思うのであります。ただし、問題点は問題点として、もう一つ労災関係との関連にもちょっとお触れになりましたが、これも災害補償法の二十三条でしたか、何か労働基準法などとの、これは実施の上ですけれども、実施の上の点において大いに均衡をとりつつやれというようなことがうたってありまして、おそらく立法そのものについては均衡をとってやるという含みがそこにあるんじゃないかと思います。したがって、そうこれも積極的にこちらからあちらを引きずろうというところまで気がまえを見せることは、現在の立法から申しますといかがかと思いますけれども、しかしこれまた御承知のとおりに公務の特殊性というものに目をつけまして、できるだけのことはそこに調整を加えつつ努力を重ねておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/6
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007・大出俊
○大出委員 どうも総裁、多年の経験に基づくうんちく豊富な頭脳でございますから、みごとに逆襲をされたかっこうでございますけれども、実は、昔、法制局長官佐藤何がしという人がいまして、このお方がお書きになった書物の中に「法律のミステーク」などというのがございましてね、たまたまミステークもあるわけでございまして、そのことをいま取り立てても、時に法制局長官などという方は、もう少しそこらのミステークのないように御配慮いただかなければならぬ職責もございますので、それをいまさら取り立ててもしかたがない。だからミステークであるかないかの判定をここで下すわけにもまいりません、立法府でございますから。そういう意味で私はそのことには触れたくないということを申し上げて、現に起こっている病気である限りは、これが十条に基づく五十六種類の職業病にランクされていなくても、直接職業に起因するのだということである限りは救えるはずだ。労災の適用範囲の方々の中でも、そういう認定が行なわれている方々が何人もいる。こういう現実があるわけです。特にお医者さんというのは学問的には正しいけれども、職場とのつながりについては弱いわけであります。ところが職場の実施機関その他のほうにおられる方になると、職場のつながりはわかるけれども、学問的な医術には弱い、こういう関係がありますので、職業病であるという認定を、たとえて言えば書痙までは認めているけれども、腱鞘炎であるとか、あるいは斜角筋症候群だとか頸肩腕症候群だとかいうものについては、学説がいろいろあるそうであります。それでそこまで踏み込めないとすれば、その手前で救う方法を考えてもいいのではないか。人事院は質問があればお答えできる立場にあるということなのですね。ならば質問をさせますからお答えをいただきたいと申し上げたいくらいな気持ちなのです。これもくらいな気持ちと申し上げておきますけれども、したがって侵略戦争云々を起こす前に、そうではなしに、中心は、いまある姿のままでやれる方法はあるのかないのかという点をお考えをいただきたいということなのです。だから十日の日に、担当の最高裁の給与課長さんが出張からお帰りになる。その上の人事局長さんもお見えになる。ただ、この席にということになると、出たいけれども、旧来、法務と予算、決算の委員会しか出ていないという慣例を改めることに困難があるので、法務委員会なら法務委員会で御質問をいただければお答えをいたしますと言っているわけで、そこらを御勘案いただきまして、ここで、前に申し上げましたけれども、一言申し上げておきますと、最高裁の長官代理の方が答弁をされている中に、人事院という問題が出てきているわけです。言っている方は最高裁判所長官代理矢崎さんという方です。この方がいまの職業病と言われるものについて、頸肩腕症候群、斜角筋症候群とか、あるいは腱鞘炎というふうなものについて質問に答えて、人事院規則で職業病というものを五十六種類あげているが、残念ながらここに入っていないというわけです。したがってこれはあがっておれば、反証がない限りは公務災害というふうに認められるのだけれども、あがっていないから、確かに問題はあるのだけれども、結論を出せないでいるのだ、こういう意味の答弁をしているわけです。しかもこの根拠になる臨時措置法は、これはあくまでも臨時措置法なのです。何しろ昭和の初めから、初めからといっても二十何年ですけれども、二十六年の十二月から現在まで臨時措置法である、これがいまだに臨時でございますということは筋が通らぬでしょう。だからそうなると、この中で、人事院総裁を最高裁判所長官に読みかえるとか、全部読みかえ方式です。しかもこれは実施機関と審査機関が一緒である、そういうことなのですから、そういう意味では規則の面で職業病に取り上げていただきたいというのが本旨なんだけれども、それを言うと、事がなかなか多岐にわたるので、その手前で、この現状をひとつ総裁の御判断で、最高裁の方々は私のところにはお見えになりますので、したがって、人事院のほうにものを言っていただくようにしたいと思っておりますけれども、その際は、人事院でそこらの関係をつまびらかにしていただけば向こうのほうでも前向きで処理のしようが出てくる。しかも、予算をながめてみると、四割くらい余っているのです。それも筋の通らぬことでございますから、そういうふうにひとつお取り運びいただけないかという実は気持ちだったわけです。
それで、健康管理のための健康診断で問診した結果、八割の方が苦痛を訴えておられる。したがって、当初八十二名そういったどこか悪いという方が出てきまして、それをずっと二回目やったときには七十五名しか来ませんが、八十二名から七十五名の差というのは、裁判が開かれておってソクタイプの方々はそこに行っておって出られなかったということです。しぼっていきまして、なおかつ合計三十何名の方が残っておるわけです。そういう現実、私も直接お目にかかって話してみた。この前も話をしましたけれども、家に帰ってふろに入ろうと手を入れたらちょうどいいというので飛び込んだら飛び上がるほど熱かった、右側の腕が全然感覚がない。そういう状態の方々が何人もいるわけです。それはこの前申し上げましたけれども、国会の速記をとっておられる方々にも——いま、この前にもおいでになるわけですけれども、実はいろいろ承ってもみたわけですが、向こうはソクタイプ、しかも時間の交代がきわめて長い。長いのは六時間書きっぱなし、打ちっぱなしということです。そこにやはり問題があるわけです。集中的に裁判所にその種の病気が多過ぎるということは、学術的にどういう理論が一方成り立つにしても、何かそこに原因がなければならぬことであります。そこのところをひとつお耳におとめをいただいて、先ほどの話はわかりますけれども、だから法律の、ミステークだとは申し上げませんから、そういう意味でひとつ御配慮をいただきたい、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/7
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008・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 裁判所の書記官の方々の事情はよそながら——正確に申せばよそながら伺っておるわけであります。確かに問題であろうと思います。私どものおあずかりしておる分野においてそういうケースがあって、——これは職員局長からお答えしたかどうか知りませんが、私の記憶では具体的個々の問題としては公務災害として認定したものがあったと思います。ただ、いまお話しになりました個々の認定ではだめなんで、職業病として規則にはっきり出したらどうかということがお趣旨のように思いますけれども、これはかつて林野の関係でチェンソーの問題が相当長く問題にされておりまして、現実には個々の認定である程度処置しておったのでありますが、さて職業病的に規則で法定するということになりますと、これはまた相当こまかい、それこそ先ほどお話しのようにお医者さんあたりの意見を十分聞きませんと、踏み切れないことでございますので、少しおくれて指定したと思います。いまの腱鞘炎の問題もおそらくそれに似たような面があるのじゃないか。私どもは問題の重要性は十分認識しておりますから、行く行くいまのお示しのように職業病として指定できるという確信ができますればそういうふうにしていいのじゃないか、そういうふうに、一口で言えば前向きの姿勢で問題と取り組んでまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/8
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009・大出俊
○大出委員 わかりました。
先般こまかい質問をずっと、国会で速記をおやりになっておる皆さん、あるいは裁判所の方々、その歴史的なもの、あるいはその他の分野のキーパンチャー、その他の方々にも触れていろいろ申し上げておりますので、これ以上申しませんけれども、しかし、国会は別の規定がありまして、議運などというある意味では便利なものがありまして、特にミステークがあっても議運のほうで処理してしまうということができるわけであります。ある意味では裁判所は特殊部落でございまして、なかなかそういうわけにいかない。そういう意味でお願いしておるわけです。
税関関係の職員なんかの中でも腱鞘炎というような問題等で異議申請あるいは審査を人事院にお願いしているのもありまして、そちらからも実はいろいろな意見が、私が先般質問した関係でおそまきながらだいぶ出てまいりまして、実は申し上げたい点もあるのでありますが、これやりますとまた一時間か二時間かかりますので、その点は別な機会にまたひとつ申し上げることにさせていただきたい、こう思っているのですが、どうかひとつ、世の中が変わってまいりましたので、仕事の面でも多岐にわたる細分化が行なわれておりますし、逆な面では極端に人か足りないという面が出てきておりますし、そういう中に過度な労働があるセクションに集中することが出てまいりますから、そこにこの種の問題が多くなり過ぎる、こういうことでございますので、ぜひひとついまの御答弁にありましたように前向きでお考えをいただきたい。規則にあげられない間だからといって救えないというのでは不合理でございまして、個々の問題としてそれは取り上げていただいて、職業との結びつき、関連をひとつ取り上げていただいて処理ができるようにお進めいただきたい。このことを最後にお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/9
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010・三池信
○三池委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/10
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011・受田新吉
○受田委員 この法律の改正案につきましてまず確かめておきたいことは、社会情勢の変化というものに伴う措置をお取り上げになっておられるわけでございまするが、神経並びに精神障害の扱い方が、社会事情の変化に伴うという理由をどこへお取り上げになっておられるのか、簡単に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/11
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012・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 非常に大きなお尋ねでございますけれども、まあ今回の改正に関連して思いつきますのは、たとえば三十八年十一月の三池炭鉱の爆発事故というようなものは、同じようなことは昔はあまりなかったと思います。あるいはもっと典型的なのはむち打ち症というようなもの、これも最近になって非常に注目を浴びておるわけで、昔からあったのが注目を浴びるようになったのか、近ごろになってそれが起こったのか知りませんが、とにかく問題意識として近ごろあがってきた、そういうことは申し上げられると思います。たとえば、そういうことが基本的な一つの動機になっておると申し上げてよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/12
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013・受田新吉
○受田委員 まあ文明の進歩とともに公務災害というものが非常な緻密な複雑な関係で起こってくることはよくわかります。ただ、いま御指摘になったむち打ち症のごときもの、ちょっと具体的にお尋ねしますが、むち打ち症が公務執行の上に起こった災害と見る場合もあるし、また法律の中身にあります第三者の行為——公務執行中でない場合に起こることもある。そういうものはみな一律に社会事情の変化ということで片づけるわけにいかなくて、たとえば第三者の行為であった場合の損害賠償請求権は、その者に払った場合にはその権利を国が取得するという規定もあるようでございますけれども、もう一つ最近のような、犯罪が至るところに伏在しておるというときに、民間協力者として犯人逮捕などに協力した場合にやられた、災害を受けた、こういう場合の措置なども一緒に御検討しておられると思うのですが、どういうふうに検討しておられるか、御答弁願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/13
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014・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 当然のことでありますけれども、これは公務員の場合の災害、しかも公務に基因するということを非常に強調してそれを取り扱っておりますために、いまのたとえばむち打ち症の場合といえども、そういう症状は起こりましても、公務員が自分の遊びで出かけていってこういう被害を受けたという場合は、この法律の問題にならないわけです。これは公務執行に関連して起こった、そうしてまたその関連において第三者からの賠償があったときにこれをどう扱うかというようなことが主眼でありまして、したがいまして、いまの最後にお尋ねがありました一般の人の場合は、これは私どもの所管しております災害補償法とは別の分野の問題であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/14
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015・受田新吉
○受田委員 民間協力者で犯人逮捕に協力したような場合、公務に全然関連がないという場合と、何らかの関係でこの本人の行為が公務につながってくるような場合とがあると私は思うのです。公務員の職務の内容等で、そうした場合が起こってくると思うのですが、公務に基因するかしないか、その限界はどこで相談をし、きめられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/15
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016・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 一般職の公務員がその公務を行なうにあたって、公務に因果関係を持って被害を受けた、その場合の補償をどうするかということがこの法律のたてまえになっておりまして、そういうときには、ある出先の人が公務執行に基因して被害を受けたという場合には、一応所轄の官庁が認定をして、公務上か公務外か、それからそこにありまするどの程度のクラス、何級になるかということを認定をして、そこで実施をするわけであります。ただ、重要性を持ちますものについては、その実施をする際に、あらかじめ人事院の職員局のほうへ意見を聞いた上でやる場合もございますけれども、たてまえは所管庁がその責任においてやる。ところが、今度は補償を受けたほうの側から不服がある。この補償は少ない、あるいはまた公務上であると信ずるのにかかわらず、公務外と認定されたというような場合の不服を、今度は人事院にまた提訴してまいります。その不服は正式にわれわれのほうで受理いたしまして、事こまかに専門家のお医者さんの意見も十分聞きまして、そうして原認定が間違っておれば、それを是正をする、流れ的にいえば、そういうことになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/16
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017・受田新吉
○受田委員 傷痍軍人で恩給法の増加恩給の適用を受け、あるいは傷病年金の恩恵に浴する人々が国家公務員となって災害を加重した場合、その場合に、前の発病あるいは傷害が基因すると見られる場合は恩給法の適用になり、またそれに関係なく新しく災害を受けたならば、別途この法律の適用を受けるという形になるのかどうか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/17
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018・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 だんだん精密なお話になってきまして、多少自信がありませんけれども、率直に申し上げれば、いまの傷痍軍人時代の問題と、公務員にその人がなって、公務執行によって被害を受けたという場合は、これは一口に言えば全然別の問題だろうと思います。したがって、現実に公務員が公務執行に基因して被害を受けた、その被害の原因がもっぱら大部分公務との因果関係によって起こったのか、何か前に下地があって、その下地がむしろ主であって、公務による刺激というものはむしろ弱いというような場合は、これはほんとうの相当因果関係が非常に弱い、したがって公務上とは判断できないという場面もございますけれども、それは非常にまれな例で、ことに傷痍軍人との関係においてそういうことが起こることは、私はまれだと思う。普通われわれが扱っているので一番困るのは、脳溢血あるいは心臓疾患、平素そういう点にからだの欠陥をお持ちになっておって、その方がおそらくうちにおられても発病されたであろう、たまたま役所に来ておられたときに発病されたという場合には、公務との因果関係は非常に薄い、そういう判断があるわけです。そういう意味で、いまの現状を傷痍軍人との関係に援用いたしますれば、先ほどお答えしたようなことで、要するに、いま被害を受けた、そのときの公務との相当因果関係ということをあくまでもわれわれとしては追及していく、それに尽きるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/18
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019・受田新吉
○受田委員 傷痍軍人が、これも公務に従事されて災害を受けられた方でありますが、その障害の等級は七項症、四款症という制度ができております。これと、援護法による準軍属等を含めた障害の等級は、別途階等が狭められた形で制度ができておる。これには、一から七までを年金にし、また八から十四までを一時金にしておるという制度ができておる。同じ公務に従事されて災害を受けられた方にこの差等がある理由を御説明願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/19
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020・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 過去の戦争その他による被害の問題と、われわれがこの公務員災害補償法で扱っております現実の公務員が公務によって被害を受けた場合ということと、そのままパラレルに比べていいものかどうか、これは先ほど申しましたように、はなはだ自信のないところであります。私どもとしては、現実の横の諸制度を見渡して、たとえば労働基準法あるいは労災保険法というもの、その他の社会保障制度というものとにらみ合わせて、その間の調整をむしろ第一に考えていく、こういうことに尽きるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/20
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021・受田新吉
○受田委員 等級をつくるときは、人事院がその災害の程度を診断するということになっておる。これは、傷痍軍人の場合など、内部疾患というものを最近非常に重視してきて、その内部疾患のある皆さんが一階級ないし三階級まで上がっているのがある。そういう内部疾患を持った者が公務に従事したためにその内部疾患が進行して症度が高くなるという場合が私は現実に起こると思うのです。そういう場合の因果関係というものは、ちゃんと人事院できめておかれなければいけない、そして症状等差委員会というのを設けて、その国家の公務に従事した国家公務員である傷痍軍人の症状は、そこに選ばれた人々による合議の結論として答えが出ておるが、いまこの公務員の災害の度合いというものは、人事院は、どこでだれがどういう形でこれを合議あるいは単独でおきめになっておるのか。念の入った症状等差委員会の結論で、それがもとでこうした等級がつけられるのと、人事院が人事院規則で等級をつけるのと、どこかに、私、ちょっとその間における調査の緻密度において人事院のほうに欠けている点がありはしないかと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/21
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022・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 問題は、等級の区分の問題もありましょうけれども、現実の具体的の事件が起こった場合に、それがどの等級に当たるか、あるいは公務上か公務外かということが当面の問題になるわけであります。先ほど申しましたように、最も典型的な形を言いますと、補償を受けた本人が、あるいは補償をけられた本人が、自分は公務上だと思うのにかかわらず公務外という所管庁の認定を受けた、人事院で再審査してくれといって持ってくる、あるいはまた、これでは満足しない、もっと高い等級のものであるはずだということで、審査を請求してくるわけであります。これは最も慎重に、あるいは公平審理に準ずるような慎重な手続でわれわれとしてはやっておるわけで、先ほど触れました専門のお医者さんを数人あらかじめお願いしてあるわけであります。部内にも委員会をつくって、それらの方々の意見も加えて委員会で一応審査をし、判定をする、そしてそれをさらに人事院会議に持ち上げて、私どももみずからその事実を逐一聞きまして、そして最終的な判定をする。多くの事件については、この職員局の厚生課の陣容というのは、非常に人数が少ないのでありますけれども、たとえば木材の伐採の現場で事故が起こったというふうな場合には、どんな山奥にまでも泊まり込みでわれわれの職員が現場に行って、そうして関係者の意見を十分調査して帰ってきておる、それほど慎重にやっておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/22
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023・受田新吉
○受田委員 その調査の過程における委員会の構成というのはどういう形のものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/23
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024・島四男雄
○島政府委員 これは人事院に健康専門委員十六名を設けておりまして、健康専門委員の意見をそのつどわずらわして判断をきめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/24
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025・受田新吉
○受田委員 その健康専門委員の選出の方法、そのバランスを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/25
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026・島四男雄
○島政府委員 その構成でどういうバランスをとってきめているかということでございますが、医学的な各科にまたがって、それぞれ専門家を選出しております。たとえば内科、外科、整形外科、脳神経外科とか、あるいは労働医学専門家とか等ございますが、そういう医学的にいろいろの分野の権威のある方々十六名を健康専門委員として委嘱をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/26
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027・受田新吉
○受田委員 これは退職年金の勧告権を持つ人事院としても、あわせて退職者のそうした恩給法及び共済年金関係法等のうちで、災害に関する部分についても、終始両方にらみ合わせた答えを出せるように努力していただかなければならぬ、人事院は勧告権を持っておるのだから。そういう意味で、恩給法と比較してどうとかというような意味ではなくて——事実比較検討する責任は私はあると思うのです。特に傷痍軍人の場合など、片眼が光を受くる程度がまことに薄い、分別に非常に困難なものが今度項症から款症に引き下げられておる。これは症状等差委員会においてそういう答えが出ておる。これらはやはり人事院としても個々に十分比較検討して、一般公務員の災害の片眼を失明に近いところに持っていったのとどうこうというようなぐらいのにらみ合わせば終始検討されておると思うのですが、そういう専門委員会で何かそういうものも一緒に検討しておるのかどうか。また症状等差委員会との関係、そこに参加しておられる委員の中で両方へ出席しておられる人があるかどうか、委員の名前となにとで御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/27
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028・島四男雄
○島政府委員 これは内部的に検討しているわけでございまして、ただいまの他のその種の委員会等の委員を兼ねているという方はおりません。したがって、そういう方々で構成する委員会と直接の連絡はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/28
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029・受田新吉
○受田委員 そこで、同じ公務に従事しながら等級が違う格づけをされておるというような現象が起こってくると思うのです。これは国家公務員の災害というものは、労働基準関係、船員保険関係等他の類似のものとの比較に重点を置いて、そうした過去の公務員の比較には重点を置かぬという答えになっておるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/29
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030・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 過去のものといえども、似たような、共通の性格を持っておる面は、これはございますから、われわれとしては常に関心を持って注視を怠らない、これは申し上げられます。しかし、当面のわれわれの仕事としては、いまおことばにありました、先ほども私が申しましたように、やはり横の諸制度との関連たとえば、労災との関連というものは、条文自身にも二十何条かでうたわれておりますが、相当この制度自身が重視しております。したがって当面はやはりそっちのほうとの調整、調和ということを考えておる、これは正直に申し上げましてそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/30
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031・受田新吉
○受田委員 これは恩給法の二条ノ二の中へある程度のスライド的規定をもって年金の改定を企図する条項が盛られ、それが国家公務員共済組合法等へも波及し、またこの法律にも類似の条項が今度入っておる。おそらく、今度恩給審議会において答申書を出した、それに伴う改正措置がされるならば、みんな類似の改正がされると私は思うのです、この規定は。「著しい変動」というような文句がどういう形になるかが問題ですけれども、そうすると、これはやはり一貫した流れが、過去の公務員、現在の公務員、横の連絡、そこに及んで、むしろ国家公務員を根っこにして他がこれに従うような形になるべきであって、民間給与を調査するのが根本であるから、民間をならうのが国家公務員だというような行き方でこの災害の問題を考えては困る。災害の問題は給与と違うのだから、そのけがをした者に対する処遇は民間にまねるべきでなくて、国家公務員が前進した基本的な規定を設けて、他はこれにならえというところへいかなければいけない。災害というのは思わざるところに起こっておるのである。したがってこれは、民間給与との比較で、民間に基礎を置いて公務員の給与をきめるような形のものとは逆に、今度は災害の場合は国家公務員を基本にして、他はこれにならえという意気込みが私は要ると思うのですが、総裁いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/31
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032・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 意見込みとしては、まことにおっしゃるとおり、その程度の意気込みは持つべきだろうと思います。ただこれにならえというのはちょっとどうかと思いますけれども、しかし、いまおことばにありましたように、第一、民間の従業員の人々と公務員の人々と仕事が違うわけでありますから、公務員は公務員として特殊性をやはり持っておる。そういう意味で、必ずしも右へならえだけで通すべきものではないということは、これは当然のことでありますし、私どもも、先ほどもちょっと触れましたようにその努力は十分やっておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/32
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033・受田新吉
○受田委員 この法律の第二条、人事院の権限の中に責任規定が書いてあります。その百万の中にも書いてあるとおり、人事院は、この法律の施行に関して完全に実施されることの責任を持つと書いてある。完全に実施されておるかどうか。たとえば第二十二条の福祉施設の規定、その三号のリハビリテーションに関する施設は、つい先年改正案でこれが通ったばかりでございますが、改正案で通ったばかりだから、まだ実施の実態が明らかでないというようなことは、これは許されないのでございますが、この福祉施設などについても完全な実施の責任を果たしているかどうか。人事院は実施は各官庁にこれをゆだねておるけれども、しかしながらその完全実施の責任は人事院にあるとここではっきりうたってあるのですが、この福祉施設などの実施について、その福祉施設を利用せんとする人々に、完全に希望を満たすような形になっておるのか。たとえば、リハビリテーションの施設におきましても、要望者はたくさんあるのに、限られた人しかこの利用ができないというようなことになっておるのか。もし後者であるとするならば、完全実施の責任を果たしていない、人事院は職務怠慢であるということになるのだが、たとえば、その福祉施設の実施状況を御説明願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/33
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034・島四男雄
○島政府委員 ただいま御質問の福祉施設につきまして、人事院がその完全な責めを果たしていないのじゃないか、こういうように御質問でございますが、もちろん私のほうとしては、各省の実際にやっております実施状況というものにつきまして絶えず報告を求め、また監査等をしております。それから、各省の災害補償の担当官を常時——常時といってはあれですが、ときどき集めまして、横の連絡をとっております。
ところで、この福祉施設の問題でございますが、たとえば、ただいまお話にございましたリハビリテーションの問題でございますが、実際問題としまして、どの程度の件数があったかといいますと、四十一年としましては、わずか一件でございます。というのは、リハビリテーションといいましても、いわゆる医学的なリハビリテーションと職業的なリハビリテーションとがあろうかと思いますが、医学的なリハビリテーションは、療養補償によって一応まかなわれておる。ところが職業的なリハビリテーションについて福祉施設の意味があるわけでございますが、非常に少ないという事情はどういうところにあるかといいますと、一つは公務の場合には、民間に比べまして非常に重度障害が少ないということが原因だと思います。それから、やはり公務部内の特殊性といいますか、比較的あたたかい気持ちを持って職場にいつまでもつけておくということから、概してリハビリテーションについて、必ずしも民間ほど十分行なわれていないという事情はございますが、私どもとしては、この法の趣旨というものは十分各省に御説明し、またその実施状況については注意を怠らないようにつとめておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/34
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035・受田新吉
○受田委員 また同様の規定の中に、「休養又は療養に関する施設」があるわけです。これなど、希望者をどの程度満たしているか。また、今度新しく精神病、神経障害を大いに優遇されるような規定が設けられておるわけですけれども、その精神障害者の療養に対して必要な治療ができるように施設が満ちているのかどうか。
〔委員長退席、松澤委員長代理着席〕
一般民間の同じ災害を受けた人々と比べて、どこかに公務員というものは、従来国家をバックにしているだけに優遇されておると思うのでございますけれども、いま福祉施設の他の条項の義肢、義足、装具、補装具というようなものの完全支給がされ、またそれが修理されるのも自由に切りかえができ、取りかえができ、負担はなくて済む、こういうようなのが完全にいっておるのかどうかお答え願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/35
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036・島四男雄
○島政府委員 たとえばいまお話にございました補装具の問題でございますが、現在これは厚生省の委託機関、全国に約三百五十ほどございますが、ここに一応つくらしております。その補装具そのものは、一応人事院のきめました価格で購入できることになっております。
それで、実際それについて人事院が検査などしているかどうかということでございますが、これは専門的な機関の処方によってこの補装具の支給が行なわれておりますので、補装具をつけた後も実地の訓練等を経ることによりまして、その質の確保は十分はかられておる、こういうふうに考えております。
それから、補装具をつけましてから三年以内の修理とかあるいは再支給は、人事院規則の定めるところによりまして自由に行なえることになっております。
それから、補装具は、各省の被災職員の申請を承認することによりまして支給できるものでありまして、特に特段の複雑な手続は要しない。したがって、その辺の補給も十分はかられて万全が期せられておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/36
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037・受田新吉
○受田委員 人事局長は、各省のこの法律の実施に関する連絡調整の任に当たっておられると思うのでございますが、その実施を監視するための行政措置をどのような方法で扱っておられるか、局長から御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/37
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038・栗山廉平
○栗山政府委員 国家公務員の災害補償の実施につきましては人事院が一応専管しておられますので、先生がいまおっしゃいまするようなことは当方では扱っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/38
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039・受田新吉
○受田委員 各省庁がこの法律の実施をそれぞれの責任でやっておる。それを人事院が最終責任を持ってやる。その過程における各省の連絡調整というものは、やはり実施上の過程の責任が人事局長にないものではないと私は思うのです。人事局は全然それにタッチしないで、この国家公務員災害補償の適用について無責任ということになるかどうか、これは行政上の責任者として御答弁願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/39
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040・栗山廉平
○栗山政府委員 お答え申し上げます。
立法その他運用上のことについて、各省の総対的な御意見といったようなものにつきましては人事課長会議等でよく話が出まするので、それにつきましては、その意見の調整等のことにつきまして人事局が取りまとめをしまして、人事院のほうに連絡申し上げるというようなことはいたしておるわけでございまするが、個々の実施の具体的な問題につきましての調整その他につきましては人事院にお願いを申し上げておる、こういうのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/40
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041・受田新吉
○受田委員 私は、人事院の機能をもってして各省庁のこの運用実施面におけるしさいな連絡調整をはかるということは、人事院というそのものが各省にただ単に規定の上の権限を持つだけであって、にらみのきかぬ役所でございますから——これは政府機関としては全く独立している。そういう意味で、法律を出される総理府がやはりそういう運用実施面の実際の働きをしてもらって、答えは人事院がすかっとやる。しかしその過程は、総理府が各省の連絡調整の責任者としてその調整の責めを果たす。こういう形でないと実際の運用というものはこれはいけないんじゃないですかね。これは人事院総裁、各省庁のこの法律の適用がりっぱに行なわれておるかどうかを終始あなたの役所だけでよう足りると思うかどうか、総理府の人事局の協力は求めなくてもいいと判断しておるのかどうか、御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/41
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042・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 私どもは、人事局に権限があるかどうか、権威あるお答えをすべき立場ではありませんけれども、この法律の二条ですか、先ほど受田委員のおあげになったあの条文から見て、われわれはよそのお助けを得るまでもなく、われわれの責任において十分この完全実施につとめるべきだという決意を持って臨んでおります。先ほどにらみのきかぬというようなおことばがちょっとあっていささか気になるのでありますが、にらみのきかぬということは絶対ないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/42
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043・受田新吉
○受田委員 これは、人事院の権能はあまりにも高尚である、かように申し上げるとよろしいと思うのでございますが、実際はやはり総務長官を主軸とした総理府が、この人事院の規則をりっぱに実施できるように人事院にお手伝いをする責任があるのです。これは実際に各省庁に人事院が出かけて、いろいろな災害に対する実施上の監督を終始はかるほどの陣容が整うておるわけでもない。七百人足らずの職員で、まだもっと大事な任務をかかえておるという立場になっておるわけであるから、この災害に対する問題は、非常にこまかい心づかいが要ると思うのです、たとえば施設などにしても。それは各省庁が十分責任をとっていき、人事院はただ単に最後に答えを出す責任をとるというところぐらいまで行かないと、とてもこの通用の妙を得ることはできない、かように私は考えます。
いま局長は、人事課長会議などにおいて、この問題もあわせて連絡調整の責任を——これは責任がある。法律々出す責任のある役所です。それを人事院だけにこれをまかせて、総理府はおかまいなしというような形のものであっては、無責任行政責任者としか私は言えません。はっきりここで双方が十分力を尽くして、人事院の使命達成のために、総理府が十分御協力してあげるという態勢を持ってしかるべきで、人事院は総理府の力を借りるまでもなく、われわれのほうでやると、えらいけんまくで言われましたけれども、人事院だけではこの使命の遂行は不十分な結果に終わる。総理府の御協力を得ながらやるという形で、法律責任は人事院にある、しかしその過程における協力は総理府に求めるという、そういう気持ちを人事院総裁はお持ちにならぬと、ちょっとあなたの仕事はできぬと思うが、人事院で単独でやれると最後まで固執されるかどうか、御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/43
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044・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 先ほど、にらみのきかぬとおっしゃったものですから、ついこっちもことばが勇み足になったわけなんでありまして、よそからお手伝いいただくのをやめてくださいというような、そんな不遜な気持ちは持っておりません。お手伝いいただければそれにこしたことはないの
であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/44
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045・受田新吉
○受田委員 手伝いがあってものうてもよろしいんだ。総理府たいへんなめられて、人事院総裁に聞かされたようなかっこうでございますが、総務長官、あなたのほうは公務員のしあわせを守るための大事な役所でございます。したがって、あなたのお人柄をもってしても、公務員が公務の災害を受けた不幸な状況になれば、総理府みずからも、この法律の実施について、その運用において十分遺憾なきを期せられるように、各省に叱吃激励の任を全うせられることを希望したいのですが、長官としての御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/45
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046・田中龍夫
○田中国務大臣 人事院の機能を十二分に発揮していただけますように、われわれは大いに御協力を申し上げなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/46
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047・受田新吉
○受田委員 ここで、最近の社会情勢の変化で、新しい災害の状況が発生したということでございますが、精神障害などもその一つです。そこで、この優遇措置を今度とられた精神障害者あるいは精神異常者——異常者に発展する場合もある。神経障害、こういう皆さんを収容する施設は完ぺきであるのかどうか。公務員を含み、また民間の人々も一緒に合わせまして、精神医学の進歩の過程において、それを収容し、治療に当たらしめる施設というものは完ぺきであるかどうか。特に今度の改正のポイントでございますだけに、私、懸念する事項もございますので、お答えを願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/47
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048・島四男雄
○島政府委員 精神障害者を収容するベッドがわが国全体で約二十万ベッドございますが、公務員だけについて申しますれば、その施設の収容能力は十分ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/48
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049・受田新吉
○受田委員 公務員だけのベッドのワクがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/49
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050・島四男雄
○島政府委員 いまの私のお答え、若干誤解があると思いますが、確かに公務員だけのワクというものはございません。ございませんが、いままでの私どものやっておりました運用面からいたしますと、その病院施設が不十分、あるいはその施設が足りないためにそういうものを十分収容できなかったということは、経験的にはございませんし、おそらく今後もそのためにそういう方々に御迷惑をかけるということはまずない、このように確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/50
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051・受田新吉
○受田委員 公務員の精神障害者を収容する病院は国公立病院に限るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/51
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052・島四男雄
○島政府委員 病院は特に限られておりません。どこの病院でもけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/52
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053・受田新吉
○受田委員 そうすると、公務員であるがゆえの特権を持って、民間の入院を希望する人を排除していっておるから、満ち足りた感じになっておられるんじゃないかと私は懸念する。これは総合的な問題としてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/53
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054・島四男雄
○島政府委員 そのような特権的な優遇措置というものは公務員に特にはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/54
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055・受田新吉
○受田委員 民間における入院患者は非常に多数を占めて、なかなか施設が足りなくて困っておるときに、公務員だけは満ち足りているという現象が起こっているのはどういう理由か、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/55
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056・島四男雄
○島政府委員 実は民間人を含めて全体のわが国の精神障害者の対策ということになりますと、非常に問題が大きくなりますし、また私どものお答えできる限界を越えている問題でございますが、確かに公務員だけが特にそういう精神病棟に優先的に入れるということにはなっておりません。なっておりませんが、いままでのこの種の方々を収容する施設が特に不足しているというふうには私どもは考えておらない、こう申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/56
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057・受田新吉
○受田委員 精神障害者もしくは精神異常者の入院についてはばく大な経費を必要として、そのために一家が破滅におちいっているという現象が社会の各所に見られている。これはゆゆしい社会問題である。そういうときに、重症身心障害者あるいは精神障害者とかいうような皆さんの問題を救うためには、精神衛生法その他の法律の完備、病院の施設拡充——障害者を含めて約百万の該当者があるといわれているときに、二十万ほどベッドがあってそれで満ち足りておる。いかにも楽観をしておられるけれども、その受ける負担と、そうして完全治療をなし得ない不幸な運命に置かれている民間の人々があることを思うと、公務員の場合は満ち足りているというその安易なお気持ちというものは、私自身としてはなはだ釈然としないものがあるのです。それは総合的な対策として、人事院が今度新しい法律改正の中に織り込まれた。これを実施する上に十分他との権衡を保ち、その負担の問題も一緒に考えていかなければならない。精神障害を受けた方々の経費は、どのような場合でも全部国費をもってまかなっておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/57
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058・島四男雄
○島政府委員 公務員の場合、通例は共済組合でまかなっておりますが、公務上の場合は公務災害のほうでその費用をまかなっておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/58
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059・受田新吉
○受田委員 これは非常に長期にわたった患者にはばく大な経費負担が要るわけです。それは今度退職後も、それがなおり切るまでめんどうを見るようになっておるのか。八十になろうと九十になろうと、一代めんどうを見るようになっておるのかどうか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/59
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060・島四男雄
○島政府委員 退職後までその制度の恩恵を受けるものではございません。したがって、退職いたしますれば一般の社会保障制度に待つほかない、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/60
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061・受田新吉
○受田委員 公務に従って精神障害者になって、退職後は民間人として異常な負担を受けるものに切りかえられるというと、その不安はたいへんなものとなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/61
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062・島四男雄
○島政府委員 公務上の場合は、たとえば一級から七級までに相当するような場合には年金が支払われることになっておりますので、ただいまの場合は一般の公務外の原因による精神障害という場合について申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/62
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063・受田新吉
○受田委員 分類して御説明を願わなければならぬ、混同して御説明になると問題が起こります。
それでは、最後にひとつ、社会情勢の変遷に伴う大事な問題の一つに特殊機械を使う職員の問題がある。その一例として統計局のキーパンチャーなどあげることができると思うのでございますが、その騒音、そして非常に狭い場所での勤務における精神的な圧力あるいは生理期における神経、精神への異常な波及、こういうような問題をかかえている職種の障害というものが、事実統計の上にきわめて明瞭に出てきておる。こういう際に何らかの措置を、たとえばそれが公務災害の適用を受けなくても事実非常に危険な勤務をして障害を受ける一歩手前まできておるというような勤務をする人々に対して何らかの俸給手当上の措置を必要とすると思っておるのでございますが、人事院として、この一例を、いま統計局の一角で苦労しておるキーパンチャーの場合にこれをとったのでございますけれども、総裁、これは特殊勤務手当制度というものもある。三十二の中に加えられるかどうかという航空管制官などの問題もよく似かようてはおります。同時に調整関係の手当制度というものを別途考えられる、何かの便宜的な措置をとってあげるべきだと私終始考えてまいったのでございますが、この機会に、この法律に関係のある問題として人事院総裁から配慮されたおことばを賜わりたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/63
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064・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 たいへん適切なお尋ねのように思います。キーパンチャーの問題はここ数年来特にクローズアップされてまいりました。したがいまして、私どももその実態について非常に注目をしてまいっております。三、四年前になりますか、職員が現場に出かけまして勤務の状況あるいは執務環境というようなことを見て回る、あるいはまた個々のパンチャーの人々と面接をして要望等のアンケートをとったということもございます。そういう意味で、非常にこれは新しいだけにわれわれとしてはよほど注目をしていかなければならぬ問題だということを考えておるわけでありますけれども、ただ問題は、一つ手前に——お金をあげさえすればいいというような問題でもない。まず執務環境といいますか、勤務環境、これはわれわれ一番最初にそこに着目したわけです。それで、だいぶ努力いたしまして、近ごろではそういう辺に多少留意されつつあるわけで、よくなってきておるとは思いますけれども、なお私どもとしてはそっちのほうにも十分力を注がなければいくまい。つい最近、ほんのこの間でありますけれども、ひとつ規則を改正いたしましてキーパンチャーの関係の障害防止の内容をも取り入れたわけでございますけれども、それだけの心配りをしております。いまお話の給与をどうするかという問題、まことに問題点としては私は一つのポイントであろうと思いますけれども、まだ新しい職業であるせいかどうか知りませんけれども、私ども、民間の場合をもずっと注視してまいっております。まだいまのところでは、タイピストの人々とキーパンチャーの人々と大体民間では同じ給与上の扱いをされておるわけです。したがいまして、これはまあ国が率先してやればいいじゃないかというおことばが出てくるかもしれませんけれども、私どもとしてはまだ新しい職業形態でもありますし、民間がそうだというところから申しまして、もう少し給与上の措置については見詰めてまいりたい、先ほど申しましたような勤務環境、執務条件の改善ということはどんどんやっていきますが、給与の問題となるとまた影響するところが少なくありませんし、これは慎重なかまえで見詰めていきたい、決して関心を持たないわけではないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/64
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065・受田新吉
○受田委員 私は人事院並びに政府で、ごく限られた人数でありましても、キーパンチャーの執務をする職員というものについては、やはり国が最高の研究ができる、調査ができる立場にある。民間の場合には、対象者がごくわずかでありまするから、とかく片すみに追いやられる危険がある。国の場合は大所高所から判断ができる、検討ができるのでございますから、こうした特殊の勤務、特殊の職種については特にいまの環境整備をりっぱにやって、その弊害を少なくするような措置をとる、これも一方法。しかし、おおむねこういうところで勤務する皆さんは若い女性が多い、前途ある青春をこういう勤務のためにむなしゅうする危険も起こっておる。そうした可憐な女性たちの執務する職場というものに、国家がみずからの権能をもって、愛情を込めて、ひとつ民間ではぽつりぽつりしかないので、その給与問題などあまり考えてくれぬが、国家は大所高所から研究できるのだ、そういう意味で、こういう職種についてだけは、民間というよりも、少なくとも民間に先行するしゃんとしたものがほしいと私は思うのです。この際、いま申し上げた意味で民間給与を前提にするからという意味ではなくて、かかる特殊の職種はむしろ国家が基準をきめるほうがいいという考えを私は持っておりますので、特別にその点を御配慮を仰ぎたいと思います。よろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/65
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066・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 御趣旨は十分わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/66
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067・受田新吉
○受田委員 いま一つ。おしまいに、この遺族補償の規定の中に、子または孫の場合は十八歳となっており、恩給法は二十歳となっておる。同じ国家の公務に従事して、恩給法のほうは二十歳の年齢を適用しているが、国家公務員災害補償のほうは、その遺族補償は十八歳で切られておる。その差は二歳で非常に縮まっておるように見えるけれども、これは実に大事な問題である。民法第三条では「満二十年ヲ以テ成年トス」となっている。ほかの類似の社会保障関係の法律が十八歳となっておるというので、十八歳とされたのではないかと思うのですが、国家公務員の退職者である場合には二十歳、現職者の場合には十八歳、かような区別をされた理由をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/67
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068・島四男雄
○島政府委員 確かに二歳の差があることは事実でございますが、災害補償制度は法律の規定にもございますように、労災保険制度であるとかあるいは共済組合制度であるとか、そういった国の社会保障制度との均衡を考慮して定めるということになっておりますので、確かに恩給制度とのそういった差はございますが、これはあくまでも制度のたてまえの相違によるもの、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/68
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069・受田新吉
○受田委員 制度のたてまえ、社会保障制度の適用の範囲に入るのだという御判断でございますが、これは一般の年金のほうは二十歳になり、災害の部分は十八歳になる、この分類を私は適当でないと思う。少なくとも国家公務員の公務上の災害を受けた場合、たとえば旧軍人で申し上げますならば、公務扶助料というものは災害を受けて増加恩給をいただいた軍人がなくなっても、二十歳でその分を合わせてもらっておるわけです。ところが現職の公務員のほうは一方は十八歳で、年金のほうは二十歳、二本立てになっておる理屈はちょっと解せない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/69
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070・島四男雄
○島政府委員 その考え方はあくまでも遺族の稼得能力といいますか、実際に自分でかせいで所得を得る能力があるかどうかという判断からきておるのだと思います。たとえば、扶養手当の問題になりますと、たしか子供が十八歳以上になった場合には扶養手当はもらえないという現在の公務員給与のたてまえになっておりますが、それもやはり同じような考えで、十八歳をこえた場合にはある程度自分でかせげるということからこういうような制限がある、かように承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/70
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071・受田新吉
○受田委員 それはちょっと判断の基準としてはまずいのです。十八歳になったらかせげるからといっても、しかし十八歳になれば大学へいく学生だって十人に一人くらいはいるでしょう。四年制へでもいくと二十二歳まで、また十八歳から二十歳までの間には浪人する者もおれば、満十八に達したというのは高等学校の途中で達しておるのだ、そういうようなことからいえば、高等学校を卒業するまでに満十八歳から一年近くたつ者もおるわけなんですね。そういうものを計算すると、十八歳になったら働けるのだからという基準は合わないわけです。それとは別に一方未成年として社会では成年に達せざる者として扱いを受けておるのだから、したがって二十歳までを、特に国家の公務に従って災害を受けたという場合には、二十歳をもってするというのが筋が通る。これは退職者の場合がそうなっておるのだし、現職者の場合もそうであってしかるべきだと思うのですが、総務長官、これはあなたに御判断いただくのはたいへんむずかしい問題ですし、これは政策的見地からの問題でございますね。これは人事院というものでなくして、大体国家の公務に従った者に対しては旧恩給法のたてまえというものが新旧を通じて一貫して採用されてしかるべきものである。有形無形の国家への奉仕をして何らほかに得るところがない。私企業に関係したらみんな処分される。日通の社長のようなのは大でたらめをやって別荘を別のほうへつくっておいて、ぜいたくざんまいをしておっても、これは公務員でないから何ら公務上の問題は起こってこぬが、国家公務員は何らのもうけ仕事ができぬような形になっておるのに、せめて本人が公務災害で死んだような場合に、遺族には二十歳ぐらいまでは、子供がせめて大学を卒業する手前までは、二歳ぐらいは出して上げても、他の民間人だって、国家公務員の場合はがまんしてくれますよ。私はそう思うのです。これはむずかしいことを総務長官にお尋ねするようだからお答えがなくてもいいでしょう。しかしこのことは私の信念だけ申し上げて、政策的見地からあなたにお答え願うのはよしましょう。御苦労さまでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/71
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072・松澤雄藏
○松澤委員長代理 鈴切康雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/72
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073・鈴切康雄
○鈴切委員 民間企業においては、災害補償制度は労災法が適用されているが、炭鉱災害やその他の例に見られるごとく労災法の補償とは別に団体交渉権によって会社が被災者に弔慰金を支給する場合が多いし、またそのとおりになっておると思うのです。しかし公務員の場合は災害補償法に規定する補償のみで、その災害形態に応じて別途他の手当てがされる道は制度上、法制上全然考えられていない。労災法と災害補償法はその給付水準が同様であるので、公務員は民間の労働者と比較して民間の最低の補償のみしか受けていないことになるわけです。先ほど受田同僚議員から、すなわち災害においては、民間給与との比較で給与をきめるような形でなくして、国家公務員の災害補償にならうべきだという前向きの意見が出されたのは、私はそういうところにあるのではないかと思うのです。
そこで、公務員の団体交渉権、争議権を否定した代償としての人事院が設立されているとすれば、このような点について人事院はどのようにお考えになっておるか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/73
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074・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 一つの問題点であると思います。いまおことばにありましたように、民間の従業員は団体交渉権を持っておりますけれども、公務員はそれを持っておらぬということがこの立法のあり方に当然つながってくることであろうと思います。ただ、その点から民間の場合を見ますと、これは強い組合もありましょうし、弱い組合もありましょう。これをほうっておいた暁においては最下限というものがどこまで下へいくかということも当てがつかないわけでありますから、したがって、おそらく労働基準法なり労災保険法あたりではその辺の基準を示す意味で一律の制度をつくっておる。そして率直なことばでいえば下のほうの保障をしているということも言えると思います。したがってまた、団体交渉の結果その上積みとしての有利な制度ができる可能性があるわけで、また現にあるわけです。公務員の場合はいまの労災保険法等と歩調を合わしてたてまえとしてはできております。しかしながら、その運用なりあるいは制度のあり方について私どものいつも考えておるのは、いま申し上げましたように、民間の場合は団体協約によってさらに上までいき得る、公務員の場合はくぎづけの形になっておるという事実だけは十分にらみながら、それは非常によ過ぎる扱いをするわけにはまいりませんけれども、そういう事実は事実として見ながら、公務員にまた適当な、公務員としての仕事の性格上の違いもありますから、そういう点に着目してまず事に臨んでおるというふうに申し上げるのが一番率直だろうと思います。大災害の場合になってきますと、またちょっといまのお話よりも異常な場合になってまいりますから、これまでも災害補償法系統のことでまかなうべきものであるかどうか、それまた法律の限界が私はあると思います。別個の見舞い金的な扱いにまつべき部分が多いのではないかと考えますが、とりあえず国の制度的な問題から申しますと、御承知のように国の施設そのものに瑕疵があって災害を生じた場合、これは国を相手として損害賠償の請求の道があるわけです。国が賠償責任を持つことは御承知であります。共済制度の上からはそういう異常災害に基づく災害給付というものがございまして、それだけ手当てをしているということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/74
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075・鈴切康雄
○鈴切委員 いま佐藤人事院総裁は、そういう点を考えたときに公務員の給与は確かに民間との給与比較によってきめるけれども、この災害の問題においては格差があるという事実は一応お認めになったような発言をされたわけでありますが、そういうことでありますれば、将来この点を考慮して何らかやはり法の改正をしなくてはならないのではないか、またそれを考慮しなくてはならないのではないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/75
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076・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 その点は用心をしながら申し上げなければならないと思うのでございまして、いつも私は民間との格差、民間との対照ということを申し上げております。ことに給与の場合についてたびたびそのことを申し上げておるわけでございます。しかし給与の場合についてみましても、別に大会社の最も給与の高い会社と比べるわけではございませんので、百人、五十人というような規模のものからずっと上をとってその水準を求めておるわけでございますから、その考え方はやはりあらゆる場合について基本的にはこれを堅持してまいりませんと、やはり納税大衆の人々はこれをどう見るかという点も勘案しなければならない。したがいまして、災害補償法の関係におきましても、先ほど申し上げましたような気持ちをもって臨んではおりますけれども、これを露骨にずっと法律そのものの基準を上げていくということは、これまた相当慎重にかつ用心をしなければならないことだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/76
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077・鈴切康雄
○鈴切委員 国家公務員災害補償法では遺族年金を受けることができる遺族は、公務員によって生計を維持していた者とか、他に父母は五十五歳以上とか幾つかの制限がなされているわけであります。また特別職の自衛隊員もこの法律の準用を受けておるわけでありますが、実は私のところにこのような手紙がたくさん参っております。
これは去る四十二年八月三十一日に北海道支笏湖におけるレンジャー水泳訓練ですね、非常に波が高くて、しかも潮流の激しい、とうてい訓練のできないような場所において訓練をした結果、四人の人が殉職をされた。そして、その中の一人の父からも手紙が来ております。
〔松澤委員長代理退席、委員長着席〕
また、さらに、昭和四十一年の八月二十七日に、群馬県の北群馬郡におきまして、装甲車が農道から四・五メートル下に転落をいたしまして、そして通信士として同乗をした一人が転落して、これまたなくなっております。こういうことで非常に気の毒な御家庭の方々から、どうしても災害補償の支払いわずか七十九万二千円あるいは八十万円くらいでは承服できないという意味の手紙が来ているわけであります。ところがこの問題は、父母が別に職業を持ち、本人によって生計を維持していないとの理由から一時金の補償しか受けていないわけであります。そしてさらに、そのおとうさんが、このような文面で私のところへよこしております。この人は、師団長に会いまして、そしてその師団長が言ったことですが、このおとうさんは、なくなったことについて「一生殉職を有意義にするために年金が欲しいと申し上げました。ところが、生前勤務中本人の送金で家族が生活している場合のみ遺族年金が受給されるとのことも其の折承りましたが、其の折にはいまだ父母も健康にて仕事が出来、其の必要がなくとも、年とともに仕事も出来なくなることは当然です。其の折には必要が生じますが、年金がなくてははなはだ心淋しいことでございます。私も現在六十二才です。あと二、三年もしますと仕事も出来ないでしょう。将来を楽しみにしていました愚息でしたが、真面目に危険もかえりみず命令に従い殉職した息また其の親が一番可愛想と考へています。又此の後私と同様な方々も出ませう。何卒公務に専念出来るようそのような法律になりますよう御願い申し上げます。」こういう意味の切々たるお手紙が来ているわけであります。もし父母が老齢に達し、職業に従事できなくなったときは、遺族年金が支払われるかというと、そのような制度がないけれども、人事院総裁と総務長官、その点についてどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/77
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078・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 一応私からお答えさせていただきたいと思います。終局問題は非常に気の毒なケースであるわけであります。四十一年でありましたか、この年金制度をここで入れていただきますときにも、われわれとしては議論はしたのでございます。しかし、やはり十八歳、五十五歳の問題と、それから父母が生活上の稼働をしておるかどうかという問題は、他の制度との勘案においても、やはりこれはこれとして調子を合わせられないだろうかということからこういう形の法律となって成立したということと私は思っております。確かに問題は問題でございますけれども、これは今後の検討の問題と考えるべきではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/78
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079・田中龍夫
○田中国務大臣 ただいまお話しの災害補償制度の改善につきまして、従来ともに人事院の御意見を尊重し、またお申し出によりまして改善をはかってきたような次第でございます。御指摘のような問題につきましても、今後人事院の調査研究の結果を待ちまして、われわれといたしましては御協力も申し上げ、また改善しなければならぬ、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/79
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080・鈴切康雄
○鈴切委員 いま申し上げましたとおり、一時金の額は、いわゆる平均給与日額の約千日分であります。この自衛隊の場合は約八十万円前後というものでありますが、これらの隊員がもし町で自動車事故にあった場合、自動車損害賠償保障法によって、当時で百五十万、現在ならば三百万円が補償されるようになっております。こう考えると、この法律は公務災害に対する十分な補償をしていると私は思えない。聞くところによりますと、公務員が公務中自動車事故による災害を受けた場合には、ほとんど加害者の補償によって、結果的に国は実質的な災害補償をしなくても済む場合が多いといわれていますけれども、事実はそうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/80
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081・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 自動車賠償法からの関係は、やはりそういうことになるのじゃないかと思いますけれども、要するに先ほど来のおことばと、これは一連の問題だと思います。先ほどもございましたように、ほかの社会保障制度との横のつながりがありますものですから、私どもだけが先に立って飛び出すわけにもいきませんけれども、しかし横の制度との関連をも十分考慮しながら、やはり私どもとしては誠実に検討をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/81
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082・鈴切康雄
○鈴切委員 佐藤内閣は非常にかさということばを好むのでありますけれども、結局はこの場合においては、自賠償のかさに隠れた国家災害補償というような関係になるのではないかと思うのですが、この現在三百万円ということは、要するに千日分で、一日約三千円です。三千円ということは、考えてみますと、九万円の給料取りということですね。高位高官でしたら確かに三百万の範囲以上に、あるいはそれを自賠償以上に払わなければならないかもわからないのですが、九万円という給料を取っているとなれば、大体どういう程度の人でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/82
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083・島四男雄
○島政府委員 公務員の場合ですと、課長の中堅どころ、大体そのぐらいかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/83
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084・鈴切康雄
○鈴切委員 課長の中堅どころが約九万円ぐらい——そのとおりだと思うのですが、そうしますと、国家公務員の課長とそれからそれ以下の人たちの比率は、大体どれぐらいになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/84
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085・尾崎朝夷
○尾崎政府委員 行政職俸給表の適用者は、約二十四万おるわけでございますが、課長級以上で約四千名でございまして、約二%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/85
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086・鈴切康雄
○鈴切委員 そこで佐藤人事院総裁、そういうふうに二十四万人の数の中にわずか四千名、二%、それが要するに自賠償の現在三百万をこすところの、国家公務員災害補償法の適用がまた加わるものでありますけれども、結局その以下の、約二十三万何千人というものはすべて自賠償のかさの中に入ってしまうということになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/86
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087・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 そういう点につきましても、先ほど触れましたように、十分いまのおことばを心にとめて、善処してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/87
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088・鈴切康雄
○鈴切委員 最後に、いまもお話ししましたので、そこで人間尊重を佐藤総理は特に言われております。働いている公務員が専念して公務に従事できる体制にはたしてなっているかどうか。また災害補償法も使用者負担の保険であるという考え方から見るならば、当然将来このことを考えていかなければならないという考え方に私は立っているわけでありますが、その点について最後に人事院総裁並びに総務長官にお伺いして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/88
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089・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 基本的な心がまえとしては、私は御同感に存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/89
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090・田中龍夫
○田中国務大臣 人事院の御調査なり御意見に従いまして、われわれとしましては本法のいろいろな今後の改正も改善もいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/90
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091・三池信
○三池委員長 これにて質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/91
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092・三池信
○三池委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。
国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/92
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093・三池信
○三池委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会の報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/93
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094・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。
次回は、来たる十二日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01119680409/94
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