1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月二十六日(金曜日)
午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 三池 信君
理事 井原 岸高君 理事 浦野 幸男君
理事 塚田 徹君 理事 藤尾 正行君
理事 松澤 雄藏君 理事 大出 俊君
理事 木原 実君 理事 受田 新吉君
赤城 宗徳君 荒舩清十郎君
内海 英男君 桂木 鉄夫君
菊池 義郎君 塩谷 一夫君
野呂 恭一君 武部 文君
華山 親義君 浜田 光人君
伊藤惣助丸君 鈴切 康雄君
出席国務大臣
法 務 大 臣 赤間 文三君
運 輸 大 臣 中曽根康弘君
労 働 大 臣 小川 平二君
国 務 大 臣
(行政管理庁長
官) 木村 武雄君
出席政府委員
行政管理庁行政
管理局長 大国 彰君
法務大臣官房経
理部長 辻 辰三郎君
法務大臣官房司
法法制調査部長 川島 一郎君
法務省訟務局長
事務取扱 上田 明信君
運輸大臣官房長 町田 直君
運輸省船員局長 河毛 一郎君
運輸省航空局長 澤 雄次君
労働省安全衛生
局長 大野雄二郎君
委員外の出席者
法務省民事局第
五課長 田代 有嗣君
法務省入国管理
局次長 笛吹 亨三君
専 門 員 茨木 純一君
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四月二十五日
労働省安全衛生局存置に関する陳情書外三十四
件
(第二一六号)
憲法改正に関する陳情書
(第二一七号)
同
(第三〇二号)
米軍等の海上実弾射撃訓練に関する陳情書
(第二一八号)
自治省選挙局存置に関する陳情書
(第二九八号)
恩給の不均衡是正に関する陳情書
(第二九九号)
同和対策審議会答申の完全実施等に関する陳情
書(第三〇〇号)
同和対策特別措置法の早期制定に関する陳情書
(第三〇一号)
靖国神社国家護持の立法化反対に関する陳情書
(第三〇三号)
一世一元制法制化に関する陳情書
(第三〇四号)
は本委員会に参考送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一八号)
行政機構の簡素化等のための総理府設置法等の
一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/0
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001・三池信
○三池委員長 これより会議を開きます。
運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。木原実君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/1
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002・木原実
○木原(実)委員 昨日も成田空港の問題等につきまして同僚委員から質問がございましたけれども、どうも私も三里塚に建設を進めておる新東京国際空港については、どう詰めましても疑問を解消することができないわけです。そこで、きょうは運輸大臣にひとつとくと承りたいことがあるわけですが、大臣は国際空港というものを一体どういうふうにお考えですか。成田に建設しようとする国際空港の基本的な性格というものは一体どういうものですか、ひとつ御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/2
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003・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 一つには、将来あらわれてくる大型航空機、たとえばSST、コンコルド等の使用に十分たえるということ、それから東京との距離が大体自動車で一時間以内、つまり六十キロ以内前後とするということ、それから従来の航空路、たとえばブルー14というようなものと摩擦を起こさないものであること、それから地形、気象その他飛行条件に適する適格性を有するということ等々の条件であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/3
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004・木原実
○木原(実)委員 従来も承った御発言なんでございますけれども、きのうお話が出ましたように、どうもそれだけでは、私どもは三里塚につくる何か必然性がない、大臣がいまおっしゃった前提になるものが欠けているのじゃないかという気がするわけです。と申しますのは、確かに新しい機種の就航の問題、それから羽田の限界、そういうものを踏まえて長期にわたって使用にたえるもの、こういうふうに最初にはおっしゃいました。それから第二番目には、自動車で一時間という東京との距離の問題、あるいは空域の問題、地形、気象というふうな問題が出ました。そうしますと、私は第一の問題にこだわるわけですけれども、一体長期にわたって使用にたえるというと、SSTやコンコルドの就航の問題等が考えられるわけです。しかし、それにしては規模、性格というものが、三里塚の場合はきわめてあいまいなのではないか、こういう気がするわけです。と申しますのは、四千メートル一本、横風用、それから二千五百メートルの補助滑走路、こういう規模のものは、どう見ましても国際的にはC級線です。そうしますと、私どもの考え方では、少なくともこれから日本に建設する国際空港というものは、やはり長期の航空政策のビジョンの上に立って、将来おそらく中国とも、あるいはシベリアとも、あるいは近隣の諸国とももっと積極的に航空路の開発も行なわれるであろう、あるいはまた貨物輸送の非常な増強もあるだろう、旅客の激増もあるだろう、こういうものを考えた場合には、やはり一つにはアジアのターミナルとしての基本的な性格を持たなければならないのじゃないか。そういう観点から見ますと、これはもうしばしば指摘されておりますように、成田にかりに現在の規模で建設をされましても、これは供用を開始しまして、おそらく、私どもの計算では大体七、八年で限界がくるのではないか、十年くらいで大体限界がくるのではないか、こういうことが指摘されておるわけであります。そういう限界がきわめて明らかである。そういう、言ってみれば限界の明らかなものに対して、きのうは拡張もしない、こういう御言及もありました。そうなりますと、一体十年先、十五年先あるいは二十年先、それから将来の日本の航空事業の発展、こういうものを十分に踏まえて成田に空港をおつくりになろうとしておるのか。それとも、羽田も限界がきた、SST等の就航の時期も迫っておる、こういうようなことで、きのう、まあまあという程度だという御発言もございましたけれども、とりあえず三里塚につくって、そして間に合わせに何かやるんだ、こういうお考えなのか。何かたいへん中途はんぱな印象を受けるのですが、その点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/4
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005・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 きのう申し上げましたように、九十点ではないが、八十点である、完全な理想的なものではないけれども、当面考えられるものとしてはあそこが一番適当である、そういう考えをもって選んだわけでございます。大体年間二十六、七万回くらいまでの使用にたえる目標でありまして、大体供用開始のころでも年間三万五千回くらい、つまり国際大型線だけでありますから、そうなりますと、かなりの余裕があるわけであります。私は十年はおろか、もっと相当長期間にわたってそれは使用できるものであると考えております。
なお、国際飛行場については、関西方面にやはり国際飛行場をつくれという非常に強い要望がございまして、現在の伊丹はもう狭小になっておるわけです。それから北海道あたりにも国際飛行場をつくれという要望がありまして、この点についても政府間で考えを協議しているわけであります。やはりアメリカでもシカゴ、ニューヨーク、ワシントン、みんな国際飛行場を持っておりますように、日本も一カ所だけということではないのでありまして、おそらく中国関係が復活すれば、大阪とかあるいは北九州の飛行場が中国関係になるでしょうし、あるいは北海道方面ができれば、スカンジナビアとかそのほかに北海道が使われるかもしれません。そういう情勢をよく考えていきますと、成田は現在の規模で相当長期間にわたって使える、またそれが好ましい、そういうように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/5
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006・木原実
○木原(実)委員 たいへん失礼でございますけれども、どうも運輸大臣、空港の問題はあまり御勉強じゃないのではないでしょうか。SSTが就航する段階以降の国際空港というものは、世界で大体五、六カ所もあれば足りるというのが通説じゃないかというふうに私は聞いておるわけなんです。つまり、日本にはSSTクラスというものの就航できる一つのセンターになる国際空港が一つある。たとえば先年来日をいたしました国連の調査団のワイズマンという人の報告によりますと、SST空港は国土の中心に一カ所が適当である、こういうような言明も日本で残されているわけです。ですから、東京近郊にもある、北海道にもある、大阪にもある、そうなりますと、国内にその程度の大きな規模の国際空港が三つも四つもあるということは、かえって何か混乱を招くのじゃないか、あるいは国費の二重投資、三重投資にもなるのじゃないか。そうではなくて、必要な国際空港というのは、国の中心部に一つ大きなのがどかっとあって、あとはそれとの関連のかね合いにおいて必要な適当な飛行場がある、こういうことが望ましいのじゃないでしょうか。そうしませんと、たとえば日本の代表的な航空会社である日航なら日航にしましても、たいへんな二重投資、三重投資になる、こういう面もあります。それからまた、国際的な面からいきましても、いろいろな不便、その他受け入れ体制からいいましても、そういうような国際空港が、たとえば日本の中に三つも四つもあるということではかえっていろいろなロスがある。ですから、その辺の性格づけも案外どうもきちっとしてないのじゃないかと思います。私どもの考え方では、つまり日本の中心になる国際空港、それから将来はアジアのセンターになり得るような国際空港、そういうどかっと大きなものをこの際つくるということが必要なのではないか。それとの関連であるいは大阪便、北海道便、そういうものに関連をする飛行場が必要だということは十分にわかるわけですけれども、その辺の性格づけがどうもあいまいだから、大臣おっしゃるように、とりあえず成田には四千メートル一本でもいいからつくっておこう、同じような規模のものを大阪につくるのだ、これでは、新幹線が通ったから新大阪駅をつくりましょう、こういう程度のお考えで、どうも非常に心もとないと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/6
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007・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 いまそういうことをみんなおっしゃっていますけれども、これから五年たち十年たてば、必ず関西からシカゴ行きをひとつつくれとか、あるいは北海道からスカンジナビア行き、ロンドン行きをつくれとか出てくるのですよ。人間の知恵というのは不可知の要素があって、欲望は無限です。そういう点から見ても、そういう余地は十分あるし、それが文明に貢献するとも思っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/7
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008・木原実
○木原(実)委員 この辺の論争をやりますと時間を食いますので、あらためてやりたいと思いますけれども、私は、国の中心に相当大規模なA級の国際空港を一つつくるということが、さしあたっても、それから、比較的長期の空港政策上のビジョンの上からいっても必要なんじゃないか。それから関西方面の需要は確かにございます。それならば、関西側からも利用できるような地位を設定するべきじゃないか、こういう考えも持つわけです。
この辺については、あとでもう少し触れたいと思いますけれども、もう一つ、どうしてもわからないのは、東京からの距離の問題ですね。自動車で一時間ですけれども、三里塚に一時間じゃ行きませんよ。道路計画がいろいろあることは私も承知いたしております。私は千葉県の市川に住んでおりますけれども、市川から三里塚まで、いまの状態ですと一時間半ですから、これは地理的距離じゃなくて時間的距離というふうに、あるいは自動車によらない、そういうふうに考えてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/8
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009・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 建設省とも相談しまして、東京湾に沿って弾丸道路の非常に高速、大幅のものをつくろうという計画でいま検討しておりますし、大体六十六キロでありますから、八十キロで行っても一時間以内には着くわけです。そういう関係で、大体一時間以内で都心へ到達できるという確信を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/9
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010・木原実
○木原(実)委員 この計画も私聞いておりますけれども、大体それができましても、日本の自動車の構造その他いろいろなことから考え合わせまして、必ず一時間四、五十分はかかると思わなければなりません。しかし、それにはこだわりません。この問題は自動車輸送ということが基本でしょうけれども、地理的な距離よりも時間的な距離というふうに解釈したいのですが、それではまずいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/10
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011・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 時間的な距離という点も十分考えるべきであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/11
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012・木原実
○木原(実)委員 成田の問題につきましては、私は基本的な欠陥が他にもたくさんあると思います。これは、大臣もいろいろな委員会でわれわれの同僚議員から質問の形その他でお聞きになっているところですが、土地の収用の問題等につきましても、おおむね八割八分の農民諸君が土地の売買契約に同意をなさった、こういう段階ですけれども、土地の問題については、将来非常に懸念を残しております。それから土地だけの問題ではございません。道路の問題が出ましたけれども、道路建設に伴う土地の取得の問題、水の問題、パイプラインの問題、その他の問題につきましても非常に成田については抵抗が多い。それから何よりも、きのうも羽田の騒音の問題が出ましたけれども、音の問題は解決しませんよ、いかがですか。何か周辺地区に対する騒音対策についてきめ手になるものをお持ちでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/12
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013・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 大型の飛行機に対する誤解が非常にまだ残っていると思うのです。SST、コンコルドともに大体DC8よりも音が大きくない。それが製作者のほうの証明でありまして、大体沖繩にあるB52なんかをすぐ連想するのでありますが、ああいう戦闘機、爆撃機という軍事用の飛行機は爆弾をたくさん積んで相当エンジンを吹かして出かける。民間の航空機と概念が違うのです。ああいう戦闘機とかなんかの場合には、出動するときにものすごくエンジンを吹かして飛んでいくものですから、相当の騒音がありますけれども、SST、コンコルドにつきましてはDC8以上にはならない。そういうことでありますから、現在の羽田のことを連想してみても、成田のほうがはるかに広いところでもあるし、それほど心配することはない。ただ一つの問題は、例の超音速に変わるときの爆音でございますが、これは大体一万五千メートルぐらいに上がってからそういう飛行状態に移るので、大体札幌ぐらいまで行っている距離になります。それは太平洋のほうに出てきてからその爆音が出るわけでありますから、したがって陸上部面については心配はない。着陸するときは、向こうで遷音速に下げて海面におりてきてからやるわけでありますから、これも衝撃音の心配はない。そういう意味もございまして、成田は適地であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/13
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014・木原実
○木原(実)委員 いま大臣の楽観的なお話を聞きましたけれども、音の問題につきましては、私は昭和三十七年から、私の住んでおります市川の浦安沖に運輸省のほうで最初に国際空港をどうだろうという話が持ち上がったころから、実は音の問題については私どももずいぶん苦労して調べたり、聞いたり、あちこち見て歩いております。大臣のいまのようなおことばでございましたら、これはとてものことでは地元の諸君の説得はできません。それからまた、現にきのうも質問がございました羽田周辺での音の対策の問題、伊丹周辺での音の対策の問題、これはゼロですよ。去年御存じのように法案が出ました。あの法案自体もしりが抜けているわけですから、あれでは実質的な対策にならぬわけです。
そこで大臣に伺いしますけれども、SSTが就航する段階で、内陸にはSSTのような飛行機は飛ばないという法律をつくろうという国々があるということを御存じでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/14
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015・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 よく存じませんが、あるいはそういう国があるかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/15
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016・木原実
○木原(実)委員 超音速の時代を迎えて、音の問題については、これは世界的に悩んでいるわけです。アメリカのような立地条件の豊かな国におきましても、御存じのように海の中にコンクリートの島をつくって、そこでこの飛行機を飛ばそう、こういう技術の開発が行なわれているという新聞の報道等も拝見をいたしました。そういうことでありますと、音の対策の問題というのは、これは技術的にはどうもやはり対策の立てようがない。そういう飛行機を就航させる飛行場をつくる場合には、第一には騒音の問題、土地の取得の問題、そういうものが前提になって住民対策というものが先に立ちませんと、とにかくこの程度の飛行場をつくるということは、地元に対してはたいへんに迷惑をかけることだ。ところがどうも、私どもの地方もそうですけれども、運輸省にいたしましても、その辺に鉄道を敷いて、駅ができて地元が発展するのだから地元は喜べ、こういうお考え方がいまでも強いのではないかと思う。成田の空港に賛成している与党の議員さんたちの話を聞きましても、これで地元が発展するんだ、いままでは道路もとてもこない、開発もおくれていた、飛行場がくるから発展するんだ、飛行場はとてもいいんですよ、そういう考え方が非常に強いのではないかと思う。しかし、そうではないのです。飛行場ができるということは、大なり小なり、日本のように過密地帯では、住民に非常に迷惑をかける。なるほどその地帯に道路につくかもしれぬけれども、その地帯の発展は阻害されるのだ、こういう観点で考えてもらわなければ困る。そうなると、最後まで残るのは音の問題です。音の問題を消すには、少なくとも半分は海で消す以外にないい。離着陸のときに音の問題がどうということがありましたけれども、これについては、私ども詳細なデータを持っております。時間がないので申し上げられませんけれども、音の問題については、成田だけの問題ではございません。運輸省は住民対策がほんとうにおくれておりますよ。成田の問題があれだけ紛糾しておりますのも、一にかかって、土地の取得についても、音についても、ほんとうにいままでの政府の対策がゼロだからだと思うのです。むしろ、恩恵的に飛行場をつくってやろうというお考えがあったと思うのですが、それではいかぬと思うのです。騒音被害というものは世界的な風潮でもあるし、現に非常に深刻な問題でありますから、そういう観点からしまして、私どもは、内陸につくるということについては、何とかして転換の方法をまずはかってもらわないと、あの辺はたいへん人口がまばらだと言っておりますけれども、あそこは、千葉県の内湾の工場地帯の発展が成田にも及んでおります。それからまた、鹿島灘の開発が進んでくるということになりますと、あの辺はたいへん将来性のある、唯一の内陸の豊かな土地になってくるわけでありますから、そういう意味では、飛行場をつくることによって開発のことを考えていただかなくても、私ども地元の代議士としてはけっこうだと思う。そういう観点から言うと、音の対策についての考え方がどうも不十分なような感じがいたします。いま大臣がおっしゃいましたけれども、成田の音については、それ以上の対策はお持ちでないわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/16
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017・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 空港の設定につきまして、地元の皆さんにいろいろ御迷惑をおかけしておることは、まことに恐縮にたえないところでございます。音の問題につきましても、いろいろ御心配の向きもあると思いまして、われわれといたしましては、万全の措置を講ずるように今後も努力してまいります。特に、芝山地区の皆さんには非常に御迷惑をおかけするということでもありますから、いろいろな施設あるいは対策等についても、今後、政府はもとより、知事さんその他とも連携をとりまして、最善の努力を尽くしていくつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/17
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018・木原実
○木原(実)委員 いままでいろいろ議論してきましたけれども、議論をしましても、大臣のいまの御発言を含めまして、新しいものが何もないわけなんです。
それでお伺いをいたしたいわけでありますけれども、先般の参議院の予算委員会で、静岡県の小笠の問題に何かちょっとお触れになったように聞いておりますが、小笠地区の問題というのはどういうことか、お調べになったわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/18
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019・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 小笠の候補地について、私も資料を拝見いたしましたが、小笠は不適格であると考えておりまして、小笠に移転する考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/19
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020・木原実
○木原(実)委員 不適格だという条件を幾つかあげてくださいませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/20
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021・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 まず第一は、相当な土量を動かさなければならない。大体二億五千万立米くらい動かさなければならない。これは相当な大工事でありまして、期間的にも相当な年月がかかるし、費用もずいぶんかかる。第二に、浜松の航空自衛隊と航路が重複いたしまして、浜松の航空自衛隊が移転されない限りはきわめてむずかしい。それにグリーン4という東海道ラインの航空路にぶつかるという面もございます。それから東京からの距離が、新幹線を利用しなければならない、あるいは東名道路を利用するということになりますが、それにしても、成田から比べればかなり不便でありますから、そういういろいろな条件を考えてみまして不適格であると考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/21
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022・木原実
○木原(実)委員 これは大事な問題でございますけれども、航空局長、小笠の問題はお調べになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/22
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023・澤雄次
○澤政府委員 小笠の地元の一部の方からこの話が参りましたので、航空局でも技術者を派遣いたしまして詳細に調査いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/23
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024・木原実
○木原(実)委員 調査とおっしゃいますけれども、調査資料を出せますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/24
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025・澤雄次
○澤政府委員 調査いたしました資料はお出しできます。お出しできますし、ただいまここで御説明できることもございますが、よろしければ御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/25
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026・木原実
○木原(実)委員 きょうはあまり時間がないので残念なんですけれども、これは資料としてお出しいただきたいと思うのです。これはたいへんなんですけれども、いま大臣のおっしゃいました土量の問題その他を含めまして、反論の資料を実は整えております。これは結論から申し上げますと、成田と小笠ということになれば、私は積極的に小笠地区を推進したい。これは、われわれが成田に反対だからということでなくて、地元の反対のことも含めて、ともかく、ずいぶん苦心をしてたどりついた理想案に近いところが小笠だ、こういう見解を私どもはいま強く持っているわけです。そういうことから、大臣が冒頭から結論をお出しになりまして、だめだということですけれども、大臣、あれだけの適地はございませんよ。いまだめだとおっしゃることは、政府自身が、将来にわたって御自分の仕事を狭めていくことになると思う。成田のことにこだわって小笠はだめだというような御弁明は、できることならば慎んでいただきたい。瀬戸内海に橋をかけるのにも、四通りも五通りも技術的に可能性のあるものを出した。最終的にそれを政治的に判断しているじゃないですか。これだけの国際空港をつくるというのに、一体どれだけの事前の調査が行なわれたか。きのうも局長は、全国的な規模で何カ所かお調べになったということでありますけれども、これはきわめてずさんな調査ですよ。これは、三里塚に来たいきさつから見ましても明白なんです。ですから、たいへんな国費を使って、たいへんな犠牲を払って、しかも将来性のある国際空港をつくろうというならば、いまからでもA案、B案、C案というように、少なくとも三通りくらいの案を出して、これでどうだというくらいのことを示していただかないと、とてものことではないが、これはどこへ持っていっても解決のつかない問題にぶつかるわけです。そういう配慮がなしに——ともかく、これは私は大臣に申し上げたいのですけれども、私は、なくなられた河野一郎さんにお目にかかって、空港の問題について談じたことがありましたが、河野さんはたいへん見識のある方でした。何で東京の近くにこんなものをつくらなくちゃならぬのか、静岡のほうにもあるじゃないか、大阪のほうにだってあるじゃないか、全国的な規模で調べてみたらどうだという御発言をなさったのは河野さんです。それを受けて、当時の運輸省の方々が調査なさったと思うのでありますけれども、その調査の内容というものは、われわれが聞いている範囲では、どうも初めから方面を予定して何か基準をつくったような感じがするのです。ですから、空港を設定する条件のあるところ、可能性のあるところというものは、いまからでも十分な調査をして、そして、将来の問題も含めて検討をする、こういうことは、事業推進の上からいっても、国民に対する納得の上からいっても大事なことだ、こういうふうに考えるのですけれども、いかがでございましょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/26
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027・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 成田にかわる国際空港として小笠は不適格でありますから、成田をやめて小笠に移るという考えはありません。しかし、それだけ広大な土地があるということは貴重なことでありますから、地元の住民の皆さんからのいろいろな御希望があれば、その点は考慮して、将来いろいろな部面に使えれば使うという余裕をもって心がけておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/27
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028・木原実
○木原(実)委員 成田にかわって小笠ということではだめだ、これはそうでしょう。私はこういう公式の席で、私どもは成田に反対しておるわけですから、成田はだめだから、小笠に変えなさい、こういうふうに申し上げても、お立場上それはおっしゃらないのはわかります。ですから、私はお願いがあるわけでございますけれども、お互いにこれだけの長期にわたって飛行場問題について、私なんかほんとうに苦労いたしました、地元の者もずいぶん苦労いたしております、しかしこの苦労の中からやはり本格的な航空政策のビジョンを打ち立て、その中で最も必要な国際空港というものを将来にわたって建設をしていくのだ、こういう一つのビジョンをお持ちになって、あらためて小笠なら小笠地区というものを、はたして空港適地として不適格なのかどうなのか、観点を変えて御検討をいただき、お調べになっていただく、このゆとりはございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/28
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029・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 御趣旨を尊重いたしまして、そのように心がけてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/29
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030・木原実
○木原(実)委員 若干申し上げておかなくてはならぬと思うのでございますけれども、いま土量の問題が出ました。これはおそらく局長のほうからのあれがあったと思いますけれども、お互いしろうと同士で、大臣、申し上げないけれども、土量がどうのこうのということはやってもあまり意味のないことだと思うのです。これは私も聞いてきたことなんですけれども、土量の問題については、大臣もおそらくそうおっしゃるだろうと思って、ちゃんとした資料があるわけです。
しかも、もう一つ申し上げておきたい。小笠の問題につきましては、自民党の与党でずいぶんやっていらっしゃる方がおられます。これは佐藤さんが内閣をとって政治生命をかけてやっておるのに、与党の中から、佐藤派の中からがたがたするんじゃない、早い話が、そういうことで表に出られない方もいらっしゃるように聞いております。しかし私どもが日本の政治的なことを離れまして、専門家、技術家、もう一つ言いますと航空審議会の委員の先生方に、プライベートにということでお話を聞きますと、小笠ですよ。成田については技術的な興味はないと言っていますよ。名前を申し上げるのは、これははばかりますけれども。それからまた、直接運輸省、政府の声のかかっていらっしゃらない、たとえば音響学の日本的な権威の方は、音の問題については、小笠は——少し私もまた聞きですから恐縮でございますけれども、たとえば成田の場合は滑走路平面とそれから居住、どこの飛行場でも大体そうですけれども、同じ平面に住宅なら住宅がある場合には、たとえば百ホンなら百ホンの音の場合でも心理的な威圧感というものが違うというのです。ところが、政府に音の問題についていろいろな答申をなさっておる音響学の学者の人たちは、その部分はあまり答申してないというのです。測定をして、百ホンでございます、だいじょうぶでございます、こういう答申をするというのです。ところが、さらに音響による心理的な威圧感、こういうものについては必ずしも十分に報告されていない、こういうお話を承っております。小笠の場合には偶然かどうかわかりませんけれども、台地でございますから、海に六キロ、そこで一段落つくわけです。百三十ないし百五十の海抜がございますから、そうなると、段がつきますと、同じ百ホンでもこの段の下に住んでおる人たちに対しては、心理的な威圧感というのが相当に緩和される。そういうたいへん詳しい測定の資料などもございます。そういうものが必ずしも政府に反映していないわけです。日本の持っておる誇るべき飛行場なり、航空政策なり、航空技術なり、あるいはそれに関連をする専門家の声が必ずしも政府の中に入っていない。いままで運輸省御用の学者の方々や専門家の方々が必要な答申をなさっております。しかしそれを上回るもっときちっとしたものが入っていない。これはたいへんなことですよ。これはひとつ、私は政治家としての中曽根さんに期待をするところが大きいですから、そういう声を聞いて、ついでに申し上げますと、河野さんの意思を生かしていただきたいのですよ。とんでもない飛行場をあなた方は成田につくろうとしている。ひとつ御感想を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/30
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031・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 運輸省にいろいろ答申していただいた専門家の御意見も、私は権威のあるりっぱなものであると思います。また、いま木原さんがおっしゃった御意見もまたりっぱな権威のあるものであろうと私は思います。ただ、見解の相違というものもございましょうし、あるいは学問の質の相違というものもあるかもしれません。しかし、小笠につきましてそういういろいろ貴重な御意見があることは、私もよく勉強いたしまして、その点は偏見なしにいろいろの御意見を拝聴して、そして将来小笠を持ち出す場合があれば十分役立たせようと考えることにはやぶさかでございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/31
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032・木原実
○木原委員 たいへん前進的なお話を承ったのですけれども、ともかく非常に国際的に航空資本の競争が激化いたしておりまして、必然的に日本も巻き込まれてくるわけです。中国にも北京の近郊に非常に大規模な、いわゆる国際空港というのですか、飛行場ができた、あるいは上海の近郊にも、土地柄でございますから、たいへん大規模な飛行場ができたというふうにも承っております。言ってみれば五年先、十年先にはこれと競争しなくてはならぬわけです。成田の四千メートル一本の滑走路では競争できないのですよ。日本にはいろいろな条件で、土地取得とか困難な問題が多いのですけれども、それでも日本の太平洋ベルト地帯の中心の中に、いまの成田の規模の少なくとも倍の土地がもうきょうすぐにでもその気になれば取得できるわけです。四千メートルの滑走路が三本並行して取れる。しかもその敷地の中にある農家の戸数は二十一戸、うち十八戸の方々はそういうことであればいまでも引き揚げますという約束ができておる。
工事の問題につきましては、日本のおそらく代表的な数社の民間の技術者の方々が比較的長期にわたって現地を調査した。土質の問題についても、成田は御案内のように関東ローム層、しかも成田ローム層というものはその中でも質が悪い。成田の場合、年間の雨量からいきますと大体年間の稼働日数は百五十日しかない。一日雨が降ると二日工事を休まなければならない。ですから、いまから工事にかかりましても一方では万博をやっているのですから——公団きょう呼んでおりませんけれども、四十六年までに工期が間に合うかどうか成田の場合は心配ですよ。あの関東ローム層で足をとられるので、突貫工事をやれば、それだけ費用がかかるわけです。いまだに工事計画もできていないわけです。しかし小笠の場合はそれに比べれば土質は岩盤で堅固である。土量の問題がいま出ましたけれども、ここは海抜百三十メートル削るのか百五十メートル削るのか、いろいろな計算のしかたもありますが、成田に比べて大体倍の敷地ということになりますから、土量が多いのはわかりますけれども、費用についていえばとんとんですよ。
それからまた、きょう時間がありませんから聞きませんけれども、いまだに成田の工事の計画全体についての予算の概算みたいなものを、われわれは明らかにしてもらうことができない。ともかく安上がりだ、音の問題が解決をする、都市問題が解決をする、つまり住民の問題が第一に解決をするということは、われわれのような政治家にとりまして最も歓迎すべきことなのだ。しかもかなり広大な、大臣のおっしゃる理想的な飛行場ができる地域があるというわけです。
ただ管制上の問題があります。管制上の問題は浜松の自衛隊司令官、制服を脱ぎましたら管制はだいじょうぶですよと言うわけです。制服を着ておれば政府の立場でありますから、なかなか言えない。これはもう政府の部内でも——そう言っちゃ悪いけれども、管制の問題は心配要りませんと言うのです。だから公式に言う場合とプライベートに言う場合は違う。しかし人間はプライベートのときが本心で確かであります。管制問題はいろいろそうは言いましてもあるでしょう。しかし、これだけの国際空港をつくるのならば、政府部内で調整ができないはずはない。私ども内閣委員会で防衛庁のことをやりますけれども、防衛庁に言わせましたら、いま三次防が進んでおりますけれども、三次防から四次防にかけてはあの浜松の訓練基地の位置というのは相対的に低下していくわけですから、管制上の問題はそんなに困難な問題ではない。国民の受ける被害に比べれば、政府部内で調整のできることは十分に調整ができると思うのです。距離の問題についても何か大型ヘリコプターのようなものを成田から飛ばすような案も新聞等に見えておりますけれども、時間的な問題ということに限れば、これは二百二十キロですからちょっと小笠からでは自動車で一時間で来いということはなかなか無理と思うけれども、しかしながら新幹線なりあるいは汽車の中で何か車内通関みたいなこともやるようなことを考えることも含めまして、汽車の利用ということも考えられるし、それから大型のヘリコプターを飛ばすという案が何か日航等にあるようですけれども、そういうものが開発されるとすれば、それらの問題は解決つくわけです。それからまた貨物輸送——将来は人間の輸送よりも国際的な貨物輸送が国際空路の非常に大きなウエートを占めるということになりますと、むしろ成田よりも太平洋ベルト地帯の関西方面の需要を含めた中心部に置くほうが立地条件としていいんじゃないか。
だいぶPRになりましたけれども、ともかくマイナス点も確かにあるでしょう。ありますけれども、少なくとも成田に比べてこれだけいいところがあるわけです。だからこれが去年の六月に出ておれば成田で血を見ないで済んだ、こう言っている政府関係の方々もいるわけです。たいへん失礼ですけれども佐藤内閣の有力閣僚の中でも、それは君、このほうがいいよとおっしゃっている方がいるわけなんですから、そこまで考えているんならここで成田をあきらめなさい、小笠にかわりなさいと私がいま申し上げても返ってくるお答えはきまっておりますから言いませんけれども、しかしながら十分に考慮していただきたい。正しい政策を、お互いに国民の犠牲を最小限度にとどめて、将来性のある空港をつくるという御決断は、あなたのような大臣でないとこれはできないのですよ。どうですか。あなたがおやりになるということなら社会党はあげて協力しますよ。国民的な合意ということもあるわけですから。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/32
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033・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 御協力はまことにありがたいと思いますが、われわれは成田のほうがはるかに適当でありますので成田のほうにどうぞ御協力をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/33
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034・木原実
○木原(実)委員 これは大臣、局長もいらっしゃいますけれども、いまメンツにこだわり過ぎているのですよ。何でつくるんだといったらこれはメンツだけですよ。これは局長もずいぶん御苦労なさったことは私も知っていますよ。政治家にキャッチボールされて富里から霞ケ浦、三里塚、少し政治家も踊り過ぎた。いろいろあるのですよ。これは裏の話。それだから局長にしましてもともかく富里の半分でもいいから——へたなことをすればとんでもないことになるという気持ちはわかっているのですよ。しかしいい政策をつくろうじゃないですか。私たちも三派全学連と一緒になりましておまわりさんとけんかしているのが能じゃないのですから、どうです。ほんとうに協力しますよ。
私は太平洋ベルト地帯の中に中曽根空港という名前をつけて、中曽根さんの代に世界に誇るケネディ空港に匹敵するものをつくりたい。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/34
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035・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 非常な御熱意を拝聴いたしまして、しかも非常に党派にとらわれないでおやりになっていただくというお気持ちは非常に感銘いたしました。そのお気持ちはぜひわれわれも尊重していきたいと思いますが、成田につきましては先ほど申し上げましたような確信でやっておりますので、その点はぜひ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/35
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036・木原実
○木原(実)委員 どうもうしろに局長がいたり航空局の皆さんがいるものだから、やはりふだんの苦労を知っているものだから言いにくいのでしょうが、これは大臣あらためてとくとやります。もうお互いにメンツを捨てようじゃないですか。
それから、百姓にこれから二人、三人と死人が出てごらんなさい、政治家としてはほんとうに腹切りものですよ。これでもなおやる。それはお役人の立場はわかりますよ。これを政治家の手に渡したらどんなことになるかわからぬという心配がありますから、これは何とかやらぬことには羽田だって万ぱいでどうにもならぬという気持ちはわかりますよ。わかりますけれども、これは役人の立場です。中曽根さん、あなたはお役人じゃないのだから、ともかく自民党の将来を背負う政治家じゃないですか。日本を代表する世界的な飛行場をつくるというのは、あなたの代をおいて以外にないと思う。大橋さんもずいぶん御苦労なさった。大橋さんも一生懸命勉強なさっておりました。ですからこういうことで問答いたしまして、いろいろなことにつきましては失礼ながら中曽根さんよりもよく御存じでございましたけれども、やはりちょっとこういう議論は——私はあなたを政治家と見込んでこういう議論をしているわけなんです。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/36
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037・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 お見込みをいただきましてまことにありがとうございます。成田につきましてはいまのようなことでありますが、小笠につきましても先ほど申し上げましたようにいろいろ御意見も拝聴いたしまして、将来活用する道があるかどうか。あるならば十分考慮に入れて処理していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/37
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038・木原実
○木原(実)委員 たいへんありがたい御言明をいただいたのですが、たいへんどうも運輸省のふところの中を探るようですけれども、何か空港整備事業調査費が少し残っていますね。あれを使って調査しませんかどうですか。私は大臣のお供をして一緒に参りますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/38
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039・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 成田さえやらしていただけるならば調査するのにやぶさかでございません。ただそっちばかり調査すると、肝心の成田を捨てたんじゃないかという無用な誤解を与えることを私らはおそれておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/39
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040・木原実
○木原(実)委員 ここで成田のことを、私が聞きもしないのに何で大臣は御答弁なさるのかわからないのですよ。それはここで言いましても、大臣がそういうお答えしかできないのはわかっております。ですからそれはあまり言わないでください。しかし小笠という問題は非常に大きな問題を含んでおる、こういうことを御確認をいただきたい。それならば、そこまで言うならば少し金も入れて調べてみようじゃないか。それじゃ、社会党協力してくれるねとおっしゃっていただきたいのですよ。それならば、本格的な空港をつくるならば私たちは一生懸命協力をいたしましょう、こういうことを申し上げているのですから、成田はそのあとの問題ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/40
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041・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、政府・与党は成田を専心完成させることに邁進しておるのであります。したがいまして、その点について御了承と御協力をいただけるならば、小笠についても十分考慮することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/41
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042・木原実
○木原(実)委員 私は地元の千葉県の三里塚空港反対の共闘会議の議長でございます。社会党の三里塚には飛行場をつくらせないという会議の事務局長をいたしております。それで私に協力をしろというのはこれまたたいへん無理なことなんです。ですからそれはもうお互いに言わぬこと。ただ、小笠という問題については将来性が非常にあるし、これは日本的な規模で考えなくてはならぬ。ほんとうにいいところだから、お互いにいままでのことにはとらわれないで、そのことは別にして、小笠の問題について多少の御検討をいただきたい。このことを申し上げているわけですが、これはひとつ御了承いただきたいと思うのです。そうしないとお互いに成田にこだわって何かやっておりますと合意の線は出ませんから、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/42
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043・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/43
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044・木原実
○木原(実)委員 ありがとうございました。
冒頭申し上げましたように、私どもは成田には非常に疑問を持っております。ですからこれは私どもの立場で、政府はともかくもおやりになるというし、私どもはどうしても、どういう面から見てもこれは不可能でもあるし、やるべきではない、こういう見解でございますから、成田の問題については私どもの主張を大いに繰り返していきたいと思います。しかし小笠の問題につきましてはいろいろな問題にとらわれないでぜひ御検討いただきたい。そのことが日本の航空事業の将来にとって必ず明るい何かをもたらすであろう、こういう確信を抱いております。そのことについては、はばかりながら私どもも協力をいたします。私どもは飛行場の問題については政府のあれに振り回されましてたいへん苦労いたしましたから、せめて政治に携わる者として、苦労の一端をそういうところに生かしたい、こういう気持ちを持っておりますから、その点はひとつ大臣との間に確約をいたします。大臣の御確認をいただきましたので、私どももできるだけ小笠を将来性のある飛行場として確立をするようにつとめてまいりたい、このように考えておりますから、その節はよろしくお願いをいたしたいと思います。
いろいろと申したいことがあるわけでございますけれども、時間がございません。これで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/44
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045・浜田光人
○浜田委員 関連して。大臣に、この機会でありますから、船員問題について所見を伺いたいと思います。
昨年本席で大橋運輸大臣に指摘もいたした事柄でありますが、LSTの船員は、船員でありながら運輸省の管理監督といいますか、それに従わない。そして軍の船に乗せられておる、こういう点があるのですが、それは当時も議論したのですが、少なくとも外国の軍用船に乗せる船員でありますから、むしろ技術の優秀な、りっぱな船員を乗せることが国際的にもいいことであるし、やらなければならぬ事柄だと思います。ところが、それがなかなかチェックができないというようなかっこうで、極端にいえば非常にお粗末な、船にも乗ったことのない、いわば陸上でいろいろな不正を働いた、前科のあるような人をどんどん乗せておる。それでは私は、幾ら皆さんが日米協力だといわれてもうまくいかぬゆえんではなかろうかと思うのです。ところが反面、国内で全国六万からの小さい漁船の船員には、今度は小型操縦士の免許を持たなければ、二カ年間の猶予期間はございますが、観光等には出てはいかぬ、波の静かな瀬戸内海でもそういうことをやってはいかぬというような通牒を運輸省は昨年の秋に出されたわけなんです。ところが、これは経過措置もございまして、そういう漁船は、運用の面で、しばらく取らなくてもいい、こういう通牒を当時出しておられるものでありますから、したがって、そのときは経験だけでもらえた免許が今日では試験を受けなければもらえないというような事態が起きておるわけです。教育して資格も与えたり船員手帳も持たせてりっぱな船員を乗せなければならないところはなかなかやらないけれども、非常に零細な、今日六十にも七十にもなって字も書けないような漁船員に対しては免許を取らなければ漁業をやってはいけない、あるいは観光に人を乗せてはいけない、こういうことになるのですね。非常に矛盾があるようですが、こまかい点については局長も来ておられますから局長に聞きますが、そういう零細な諸君に対しては将来どういう取り扱いをされる御意思があるか、所信を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/45
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046・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 船舶職員法によりまして遊漁船についてもやはり小型操縦士の免許が必要のよしであります。しかし、法律はそうでありますが、実際は釣り舟その他で相当数量の遊漁船が出回って、しかも無免許の人が相当おるという実情は無視できない情勢だと思いますが、そういう点で講習とかあるいは試験実施方法等についても検討をして、試験方法等についても便宜実情に即した方法で試験方法を考えてやって、できるだけ小型船舶操縦士の免許を取得させて漸進的、現実的に解決する考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/46
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047・浜田光人
○浜田委員 もう一点、例の海上交通法の件ですが、これは内閣の行政改革なり機構改革なりあるいは総定員制の問題に関連して、あの交通法をかりに制定するといたしますと、ただ制定して特別区域を設定して、それだけではいかぬと思うのです。当然それにはいろいろ取り締まりも関連してくる。そうすると、なおさら取り締まり船にせよあるいは職員にせよ、こういうものを確保しなければならぬと思うのです。そういう点で、いま出ておるところの機構改革の問題なり総定員制で、よりこの職員を減らそうとしておるときに逆行するように思うのですが、この法案は、どうしても大臣は保安庁に命じて提案される意思があるかどうか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/47
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048・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 漁業権の問題を至急に調整いたしまして、できるだけ早い機会に国会に提出したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/48
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049・浜田光人
○浜田委員 今国会には出される御意思があるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/49
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050・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 本国会に提出することは無理のようでありますから、提出はいたさない方針です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/50
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051・浜田光人
○浜田委員 それでは船員局長は午後の私の質問時間に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/51
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052・三池信
○三池委員長 これにて質疑は終了しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/52
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053・三池信
○三池委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。
運輸省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/53
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054・三池信
○三池委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/54
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055・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/55
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056・三池信
○三池委員長 次に、行政機構の簡素化等のための総理府設置法等の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/56
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057・大出俊
○大出委員 法務省は、今度の機構簡素化の法律によりまして、どういうことになさろうというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/57
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058・赤間文三
○赤間国務大臣 法務省は、一省一局の削減に従いまして、まず経理部を廃しまして官房長を置くというのが一つの骨子であります。もう一つの骨子は、訟務局を廃しまして訟務部にする、こういうことが骨子になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/58
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059・大出俊
○大出委員 いまのお話の訟務局及び経理部を廃止して、訟務部及び大臣官房に官房長を置く、こういうわけですね。
そこで、訟務局というのは旧来一課、二課、三課とあるようでありますが、これを分けてみまして、どういうふうなことをやっておりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/59
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060・赤間文三
○赤間国務大臣 訟務局は、御承知のように国に対する訴訟をまとめて法務省がかわってやってやる、それが非常に能率的でもありますので、各省の訴訟を一手に引き受けて訟務局がやる、こういうふうなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/60
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061・大出俊
○大出委員 たとえば大蔵省の国有財産局、各地方の財務局あたりが国有財産等をめぐって訴えを起こしたような場合に、法務省と相談の上訟務局が中心になってやってあげる、こういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/61
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062・上田明信
○上田(明)政府委員 お答えいたします。
訟務局は、大体国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律に書いてありますような事項をやるわけでありますが、ただいま御指摘の国有財産関係で訴訟になる、そういうものが原告であれ被告であれ、私のほうで訴訟は実施いたします。その前にどうするかということの御相談を受ける場合があります。私のほうとしては一応司法的な解釈をいたしまして、訴訟になる前に解決するような場合もございます。そういう仕事をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/62
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063・大出俊
○大出委員 私も何回かそういうことを手がけたことがございまして、たとえば、国有財産を旧軍がある時代に買収して、といっても当時は軍の時代ですから、ほんとうに形式的に金を払うようなものですけれども、それでも私の財産を軍が当時買いました。ところがどういういきさつか登記をされていない。それが昭和三十七年くらいになりまして、当時売った会社のある人が自分の名義でこの土地を登記した。ところが旧軍時代でありまして資料はいまなかなか乏しいというようなことで、しかもこれが道路用地になっているというわけであります。ところで、賠償請求をするという国有財産局の考え方は、それでは話が違うではないかということで私は問題を提起いたしまして、結果的に裁判を起こすことになりましたが、末端で相談するといまさら公判維持が困難であるということで、法務省の御見解によってもなかなかこれはむずかしい。しかし、話の筋が末端ではわからぬと思いましてだんだん上に上げましたら、上のほうでは公判維持はできるから裁判ができる、それまでにこれまた相当な時間がかかる。訟務局の仕事は、ものを持ち出してみましても、それから先ずいぶん時間がかかる、おいそれと問題は片づかない、こういうことに今日なっているのですね。いま、一つの例をあげたのですが、これは訴訟を起こすことになって、皆さんのほうで手続をとっておりますし、大臣の時間がありませんから中身を詳しく申し上げることを差し控えたわけであります。そうでなければ私も法務省の皆さんに少し言い分もありまして、いつかここで大臣にきめのこまか過ぎる質問をしたことがありますが、ああいう話になりますとこれまた切りがありませんので、いま大ざっぱに申し上げたわけです。
私がいま申し上げたい点は、訟務局の仕事は表にあらわれませんけれども、ずいぶん大事な仕事をおやりになっている、こういうふうに私は理解をしておりますので、この訟務局をそう簡単に廃止をしていいものかどうか、もっと事件の解決促進を急いでいただきたいと、私どもあるいは知っている方々は思っているのだろうと思います。それがどうも何か局という一つの制度があまりたいした理由があるようにも思えぬのに部になる、しかも官房に訟務部をつくるということになると、もう少し拡大をして仕事を急いでいただかなければいかぬところに、何となく与える印象は縮小することになってくるというところがどうも解せないわけであります。念のために承りたいのですが、これは第一課、二課、三課、四課、五課、六課と六課まであるわけですが、どういう担当、どういう分け方になっておりますか、簡単にちょっと述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/63
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064・上田明信
○上田(明)政府委員 大体専門化しておりまして、一課は国有財産系統、二課は国が被告になる、債務者の場合、普通の場合でいえば国家賠償なんかは二課でやっております。三課、四課は行政訴訟をやっております。五課、六課は税金でございます。五課は税金の賦課で、六課は税金の徴収のほうをやっております。大体そういう区分けでそれぞれ専門的にその分野を研究していただきまして仕事をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/64
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065・大出俊
○大出委員 国家賠償法などに基づく賠償請求なんかも、一般の国民の方々からすればなかなかやりにくいですね、相手は国ですから。したがって、これも私したことがありますけれども、もう少し親切な立場をおとりいただかないと泣き寝入りのようなかっこうになってしまうという事例がたくさんあります。これは一々ながめてみましても、行政訴訟にしてもそうでございますが、ある意味の先決問題としてやらなければならぬ場合もありますし、これまた非常に時間がかかるわけでありますが、何とかもっとこれを早める方法はないのかという気持ちさえ強いのであります。この一課、二課、三課、四課、五課、六課の人の配置はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/65
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066・上田明信
○上田(明)政府委員 現在のところ一課について大体検事二名、事務官四、五名を置いております。平均して大体そのくらいになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/66
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067・大出俊
○大出委員 これは訟務局全体で五十九人ですから、たいした人員がいるはずはないわけであります。これは六課に等分して割りましても、せいぜい七、八名くらいのことにしかならぬのじゃないかと思うわけであります。むしろこれは、国民一般の側からいわせれば、もう少し早めるという意味を含めて、決着をつけるのを急ぐという意味を含めて充実をすべきではないかと逆に思っておるわけであります。そこのところでどうも、局制度をやめて官房の部にするという、これは一体どういう理由があるのですか。長年こういうふうになっていたわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/67
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068・赤間文三
○赤間国務大臣 この点につきましては非常に苦慮をいたしまして、とにかく一省で一局減らすという御方針がきまりましたので、法務省もこの方針に進んでいきまして、いかなる局を減らすかということにずいぶん長い間、あれを減らすかこれを減らすかと苦心さんたんいたしまして、落ちついたところがこの訟務局を部にしていく。そして、いまお話しのような点は非常にごもっともでございますので、訟務部になりますれば幾ぶんかは下の法務局に移せる仕事もあるのじゃないか。法務局に移せる仕事はある点まで移して、訟務部でやる仕事とよく連絡をとりまして、能率を下げぬのみならず、むしろいまのお話しのようにできるだけ能率をあげて早くいくようにしたい。訴訟一般については、お述べのように非常におくれますので、これをひとつ絶対におくれぬように、しかも能率的にやっていくということに特段のくふうをこれについてはやろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/68
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069・大出俊
○大出委員 どうもいまの大臣の御答弁によりますと、一局削減といわれるので、これはまあしようがないのだがということでたいへんな苦慮をされたということのようでございますが、苦心さんたんをして、これをどうしようかというので御相談の結果落ちつくところが、どうしても何でもかんでも一局やめろというのだからしようがないということで、それが訟務局に落ちついた、いまこういう意味のお話でしたけれども、この一局削減というのは私は質問しにくくてしようがないのですよ。この間自治省の赤澤大臣に私この席で、何でまた選挙を前にして、しかも国民一般は内情はよくわかりませんけれども、政治資金規正法なんというものもさっぱり出てこない。一体どうしておるのだ、第五次選挙制度審議会の答申もあったのに。かと思うと、小選挙区制度なんていう騒いでいる制度の問題だって自治省の選挙局なんだけれども、これもはっきりしない。しかも参議院選挙もくるじゃないかというときに、選挙局がなくなってしまうという。しかも全国の選挙管理委員会連合会がこぞってまっこうから反対だなどという陳情がやたらそこら横行している世の中に、国民に与える影響もあるじゃないかと私が言ったら、大出さん、私はあなたと全く同じ考え方だと言うのです。こんな選挙局を廃止するのはもってのほかだ。自治省には四局しかないのだ。ほかのほうは何としても廃止しようがない。そうなると選挙局しか廃止のしようがあるところはない。だから、隣にすわっている木村行政管理庁長官にも、こんなむちゃくちゃなことはないじゃないか、困るじゃないかと言ったら、何でもかんでも総理が言うんだからそうしろ、話はわけはわからぬというわけです。しようがないから私は涙をのんで選挙局を廃止することにいたしました。絶対反対なんです。大出さんと全く同じ御意見なんです。こう言うわけです。意見が違えば論議になるのだけれども、おまえの言うとおりだと一々言われたのでは論議にならぬ。いまも大臣が言われるごとく、私が心配するように、訟務局はもっと能率をあげて急がなければならぬというような局だ。しかし何としても廃止せよと言われればしようがないというのでいろいろ苦慮したけれども、どうもやはり訟務局に落ちついた、こういうことなんですね。そうすると、私の心配とこれまた軌を一にする。そうなると、いよいよ一局削減というものは一体どうなんだということになる。総理がアメリカへ行くときに、各省に答案を書いておけと言って行っちゃったから、しようがないというのでは、ずいぶん変な話だ。機構というものは行政組織ですから、やはり組織論もあるわけでして、筋道も理屈も全くなしに、とにかくしようがないから局をやめました、それを私どもに審議せよという。ここまで言えば、総理に言わなければいけませんけれども、この席で、これは理屈がないものを審議せよとおっしゃるのかと私は反論したいわけですね、皆さんのほうに理屈はないのだから。言論の府だというわけですけれども、理屈がないのにべらべらしゃべるわけにいかぬ。黙ってにらめっこしたって話にならぬから、ものを言っているわけですけれども、全く理由がないものを何でまた——これは苦慮するのはあたりまえですよ、理屈がないのだから。これは弱ったことだと思うのですが、どうですか大臣、一局削減というものは取り下げることにしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/69
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070・赤間文三
○赤間国務大臣 お理屈はよくわかるのでございまして、合理的に言えば、減らせるところは減らし、減らせぬところは減らさない。でありますが、この簡素化と申します行政改革というものは、普通の仕事と違いまして、やはり無理であろうと何であろうと思い切ってやらなければこれができない。合理性を言うなら、行政簡素化はできる仕事だと私は考えております。そういう点で、私は総理の一省一局削減にはもう非常に進んで賛成をしている。
そこで、私といたしましては、訟務局はいま言いましたように部に減らす。しかも仕事は多いし、速力は早めなければならぬというような状態にありますので、そこでくふうをいたしまして——大体本事件につきましては千四十件くらい取り扱っておるのであります。このうち、その約二割にあたります二百件くらいの事件は法務局に移せる。こういうことを研究をいたしまして、二割は法務局へ移して、そしてやるならば、速力を落すのではなくて、なお創意くふうと努力によって、部になっても能率を下げないのみならず、ひとつもっと欲を言うと、ピッチを上げていこう、こういうような考え方でいたしておりますので、やはり私は行政簡素化とか人減らしは思い切ってやらなければいかないのじゃないかという感じがいたします。やはり人を減らしたり簡素化は、もう今日思い切ってやらなければいかぬ。しかし、これは一々合理的にやっていたらなかなか容易ならぬ難事業で、ふやすのは楽であるが減らすのは困るというようなこと、そういうような考えがありますので、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/70
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071・大出俊
○大出委員 法務大臣と名がついている方が、合理的にやることはうまくないから、これは不合理でやる、そういうことを言ってはいけませんよ。それにおまけに、思い切ってやらなければできない、合理性を考えてはできない、したがって進んで賛成した。人減らし、機構改革に進んで賛成しておいて、ついでに便乗して官房長をふやそう、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/71
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072・赤間文三
○赤間国務大臣 御承知のように、どうも法務省にだけ官房長がありませんので、非常な不便利を考え、能率の点から言いまして、これはぜひひとつ能率増進という意味からお願いをしたいと考えております。
それで、昔はやはり法務省の仕事はみんな独立性が強いから、官房なんかなくともいいのじゃないかというような考えではなかったかと想像しておりますが、どうも仕事が複雑になりまして、やはりなかなか各局間の連絡も要りますし、それから官房というのがあって官房長がないと非常に能率が悪い。こういうことで、私はぜひこれはひとつふやしていただきたい、そういうことでお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/72
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073・大出俊
○大出委員 妙なことを承るわけですが、昔は独立しておる各部門だから官房長は要らないではないかといってやってきた、しかし近年非常に複雑になった、しかも官房というものがあるのだから官房長を置くのだ、こういうのですけれども、大臣、去年この委員会で、各省に官房長があるのだけれども、法務省だけ官房長がないのだが、これはどうして置かないのだ、能率増進だの官房という名があるのだから、うまくないのじゃないかと言ったら、法務省の皆さんは何と答えたかというと、長年官房長がなくてやってまいりました、非常にうまくいっております、これがわが法務省の特徴でございます、実はこういう答弁でございましたね。そうすると、これはわずかの間に、去年からことしにかけまして急に複雑になったり、あるいはまた能率増進がうまくなくなったり、豹変をしたことになるのですね。これは、大臣、理屈がないというのだから、私はここで理屈を述べていただきたくないのですけれども、どうも言っていることが一々筋が通らぬという気がするわけであります。いま何か答弁の資料をうしろからお届けになったようでありますから、あらためてひとつ御答弁いただいたほうがいいのではないかと思いますけれども、どうもあんまりころころ変わると、そこらじゅう不合理だらけになってしまいますから、もう一ぺん、ひとつかっちり御答弁をいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/73
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074・赤間文三
○赤間国務大臣 この点は非常に研究をいたしたのでございます。官房長を置かないでも何とかやっていけるというふうに申し上げた時代は、各部局間のそれぞれの関連性が比較的に薄いというような考えがもとになっておったのではないか。連絡調整の必要が必ずしも強くないように当時考えられておったのが、この理由であろうと考えます。しかしながら時勢が推移しまして法務省の所管事務が複雑化してきたのに伴いまして、これに対処して法務行政をより有効適切ならしめるためには、法務省の仕事の総合的な企画を立てていく。また大臣官房各部課及び各省内の各局間の連絡調整機能を強化していかなければ完全な仕事がやりにくい。あわせまして、大臣、次官を助けていくというような仕事もなかなか多くなりましたし、それから法務省を代表して対外折衝に当たるというようなことにつきましても、たいぶ変わってきたのでございます。
それで最近におきましては、ぜひともひとつ皆さまにお願いを申し上げて、積極的に官房長を設置することが時宜に適しておるのではなかろうか。しかしこれを置くということはいろいろな議論もありましょうから、できるだけ節約のできるところは節約をしていく。たとえば、さきに申し上げましたように経理部を廃止する、なおまた訟務局のような大事なところも部に下げて、そして官房長を置いていただきたい、これを置いてもらうためにまたいろいろと節約のできるところは最大限の節約をいたしましてお願いをしていこう、こういうふうな仕組みに考えておりますので御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/74
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075・大出俊
○大出委員 大臣、つながりがありまして、私も五年目の内閣委員ですが、これは常に法務省設置法の改正案など出てきましていろいろ質問してきたのですけれども、官房長がないというのは皆さんのほうはお困りになりませんか、普通国会対策なんていっても官房長がおやりになっているのだし、各省それぞれ出すのは官房長だし、官房長という仕事をする人がいなければ困るじゃないかとこちら側が水を向けても、皆さんのほうは終始一貫官房長がないのが法務省の特色だ、非常にうまくいっております、こういうことでいままできたわけです。それを何も、ここで偉い人を少し減らそうという世の中に、長年、これはわが法務省の特色でございまして非常にうまくいっておりますということで、うまくいっておるものを、人を減らせという世の中に、官房長をつくりますと何もいま出してこぬでもいいじゃないか。長年うまくいっておるものを何も、去年あたりから急にお変わりになったわけじゃないでしょう。法務省も去年あたりできたわけでもない。あなた理屈はないと言うけれども、もうちょっとうまい答弁はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/75
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076・赤間文三
○赤間国務大臣 調査部長から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/76
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077・川島一郎
○川島(一)政府委員 先ほど大出先生がお話しになりました点につきまして、ちょっと私のほうから補足的に説明をさせていただきたいと思います。
まず昨年当委員会で官房長の設置について議論があったかどうかの点でございますが、議事録によりますと昨年はございませんで、第四十八回の国会、これは昭和四十年の二月でございますが、このときに受田先生から、官房長の点について設置する意思がないかどうかという点についての御質問がございました。それに対して当時の高橋法務大臣がお答えになっておられますが、その御答弁の趣旨は、官房長を置く点についてはいろいろ検討をしておる。これは機構の新設ということになるので、現在の内閣の方針なども考えて慎重に検討しておる、こういう趣旨の答弁をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/77
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078・大出俊
○大出委員 あれですよ。私は何もこの委員会をここでとめようと思って質問しておるのじゃないですから、何とか筋が通ればいいのです。高橋さんはおからだも悪かった時代だからずいぶん歯切れの悪い答弁をここでいたしましたよ、さんざん問い詰められて。問い詰められて最後にそうなったのですけれども、そこだけ取り上げておっしゃるならそれも筋でしょう、この席としては。その議事録はここにありますが、私のほうで広げて言ってもしょうがありませんけれども、何とかかっこうのつくことにしてくださいよ。法務省があまり筋の通らぬことばかり言っておったのでは事法務省と名がついておるのですからうまくない。そうすると、長年検討してきたけれども、政府のほうで機構をふやすことについてどうも押えがちだからと思って遠慮しながら検討してきた。大臣が言ったように、だいぶ複雑になってきたし、非能率の面もある。だからこの際、一局削減というところに出すのはぐあい悪いけれども、今度法律は一つですからね。各省設置法じゃないから、通る段になれば一緒に通ってしまうから、ちょうどぐあいがいいから官房長を入れておけ、こういうことになったのじゃないかというふうに理解をいたしまして……。
ところでひとつ、ここから先は実は総理に言わなければなりませんので、各省いろいろ質問していますが、全部総括して、法務大臣はこう言いましたよ、自治大臣はこう言いましたよ、総理府総務長官はこう言いましたよと言わなければなりませんから、それで聞いているわけですから、そういう意味でお答えをいただきたい。
経理部長さんというのはいままで何をやっていましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/78
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079・辻辰三郎
○辻政府委員 お答えいたします。
経理部の所掌事務でございますが、いわゆる法務省の関係の予算案の作成に関する事務、予算の執行に関する事務、決算に関する事務、会計関係の監査に関する事務、それから一括いたしまして法務省関係の営繕関係の事務がございます。そのほか職員の厚生に関する事務、共済に関する事務、もとよりまた本省関係の歳入であるとか支出であるとか、こういう本省の会計に関する事務、これらいわゆる会計事務を総括して所掌いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/79
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080・大出俊
○大出委員 今度はこの官房経理部は廃止をするわけですね。そうすると、いま官房経理部は三百三十五人おりますね。これは廃止になるわけですね。そうでしょう。これを読みますと、「法務省につきましては、訟務局及び大臣官房経理部を廃止し、」とある。そうすると、廃止したあとはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/80
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081・辻辰三郎
○辻政府委員 経理部という部が廃止されるわけでございまして、改組されますように予定されておりますのは、経理部の所掌事務が、会計課とそのほか営繕管理官、それから厚生管理官という、政令職による組織に改組される、かような予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/81
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082・大出俊
○大出委員 いまおっしゃったことちょっと聞き取れなかったのですが、経理課を置くのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/82
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083・辻辰三郎
○辻政府委員 会計課を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/83
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084・大出俊
○大出委員 これは営繕管理課といったって、いま管理課と営繕課と二つあるんでしょう。それを今度一緒にして営繕管理課というのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/84
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085・辻辰三郎
○辻政府委員 現在経理部の下に三課ございます。一つが主計課、一つが管理課、一つが営繕課でございます。この営繕課のうちの大部分が営繕管理官という職のもとに入りまして、それから厚生課の一部が厚生管理官というところに入りまして、残りが会計課というところに入っていく、かような事務の分配がえを予定いたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/85
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086・大出俊
○大出委員 厚生課というのはないですね。主計課じゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/86
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087・辻辰三郎
○辻政府委員 管理課でございます。主計課、管理課、営繕課と現在は三課になっておるわけです。この管理課が厚生管理官という新たな政令職のもとにその一部が編入されていく、かように予定しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/87
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088・大出俊
○大出委員 そうすると、これは大臣官房というものは、官房長が経理部長にかわるような形になるのですね。いままで経理部長というのは官房長の代役みたいなことをやっておったのでしょう。現にそういう説明をいままでしておられますよ、皆さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/88
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089・辻辰三郎
○辻政府委員 現在御承知のように法務省の官房は二部二課制になっておりまして、部は経理部と調査部、課が秘書課と人事課ということになりまして、それぞれ所掌事務に関しましていわば官房長的な仕事をしておったというのが実情であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/89
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090・大出俊
○大出委員 いまはこれは経理部があって、だから当然経理部長さんがいるわけですね。その経理部に管理課、主計課、営繕課があるわけですね。そうして官房があるのですから当然これは秘書課があって人事課があるわけですね。
〔委員長退席、松澤委員長代理着席〕
それから司法法制調査部、これは六十六人いますね。ここに部長さんがおって、参事官がおって、そして司法法制課と調査統計課、こういうことになっているわけですね。このほかに調査官というのがありますね。これは今度は一括——この機構は課の行ったり来たりはありましょうけれども、経理部長さんがなくなったあとにすわるのは官房長、こういうことですね、大づかみに言うと。それだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/90
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091・辻辰三郎
○辻政府委員 官職の問題といたしますと、経理部長が廃止され官房長が新設される、かようなことに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/91
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092・大出俊
○大出委員 とにかく大臣が十二時半までというお話でございましたので、民社党の皆さんも公明党の方々も御質問があるようでございます。実はもう少し詰めたい問題をかかえてはおりますけれども、受田さんの時間も時間でございますから、昼までに時間がないと思いますから……。
とにかく大臣がおっしゃるのは、思い切ってやらなければできない。合理性を考えていてはだめなんだということで、積極的に賛成をした。だがしかし、官房長をふやしてもらいたいのだ、こういうまことに御都合のいいお話で、あまり筋の通った話じゃありませんが、後のほうで筋を合わせておりますから、この辺でかっこうはついたということにいたしまして、あとまた総理のほうに質問いたします。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/92
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093・松澤雄藏
○松澤委員長代理 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/93
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094・受田新吉
○受田委員 法務省に対する質問は、先般設置法の改正案のときに申し上げておりますので、これに関連して一局削減の法案につきましても一言お尋ねをさせていただきたいと思います。
ここで一つ課題を投げかけて、当時お答えがフィフティー・フィフティーという御答弁をいただいている問題、それはポ政令である入国管理令を国辱的名称の「令」を改めて、独立国家としてき然たる態度を示す法律として出入国管理法を制定すべしという私の多年の主張を、五分五分の線で今国会に提案の準備をしつつあると中川さんから御答弁を賜わったわけでございますが、いまや連休を前にして国会の会期は一カ月足らずしか残っていないという状況におきまして、この日本的な出入国管理法の法律案提出の見通しをあらためてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/94
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095・赤間文三
○赤間国務大臣 昭和四十二年の六月九日に、法務省内に出入国管理令改正準備会を設けまして、改正作業の促進に努力をしてまいったのでありまして、いまお述べいただきましたように、なるべくこの国会に出す予定で準備をしておりましたが、まだ一部の事務が残っておりますので、はなはだ残念でございますが、今国会では提出が困難じゃないか、かように考えておりますが、できるだけ早く出したいという気は変わりないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/95
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096・受田新吉
○受田委員 困難である、しかしできるだけ早く出したいという、その因果関係をあらためて御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/96
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097・赤間文三
○赤間国務大臣 今国会には提出が困難であろうと思いまするが、次の機会に必ずひとつ提出したい、かような気持ちでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/97
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098・受田新吉
○受田委員 困難ということは、困難でない場合もあるということを含むので、今国会は見送りと決定したというのかどうか。困難となれば、見送りがきまったという意味でなくして、むずかしい、しかし、出す場合もあるという意味に解釈できるわけです。その内容を明らかにしていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/98
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099・赤間文三
○赤間国務大臣 申し上げますが、はなはだ残念でございますが、今国会には期日の関係、それから事務の関係等で見送らなければならないのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/99
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100・受田新吉
○受田委員 私、この問題は、すでに長期にわたって繰り返し提案をして、当局の誠意ある答弁を賜わっている問題でありまして、戦後二十三年という日月をけみしておる時点において、ポ政令の出入国管理令なるものが残っている。その他関連のものが幾つかある。ほかにもよく似たものがあるのですけれども、しかし、出入国管理令のほうは、こうした外国との関係が密接になればなるほど、独立法として、新しい形態もこれに取り入れて、すかっとしたものをお出しいただくときにきておると思うのです。あんまりゆっくりお考えになっておるうちに、また参議院の選挙のあとの臨時国会、また通常国会が引き続き行なわれて、うやむやになる危険がある。やはり長い国会でこれを提案せぬといけないのですが、いまのお話によると、臨時国会でやろうとするのか、通常国会でやろうとするのか、見通しはどっちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/100
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101・赤間文三
○赤間国務大臣 私のほうとしましては、できるだけ早くやりたいという考えは持っておりますが、ただそれが臨時国会に出せるかどうか、いままだちょっとわかりません。少なくとも通常国会には間違いなく出るということだけは、これははっきり申し上げておくことができると思います。とにかく法務省としては、できるだけ早くやりたいという一念は持っておりますので、その線で進んでいきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/101
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102・受田新吉
○受田委員 いま作業を進めておられる骨子で、従来の出入国管理令のほかに新たに採用しようという規定はどういう問題が入っておるのか。構想を承ることは当然であると思いますので、御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/102
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103・赤間文三
○赤間国務大臣 簡単に申し上げますと、何といいましても、国際関係から日本に来る外人も非常に多くなりましたし、出入国の数もふえましたので、短期の旅行者については、私は国際旅行の容易化、こういうことを一つのねらいに考えております。日本に行き来がわりあい簡単になるように簡素化をはかっていく。これが一つのねらいでございます。
もう一つのねらいは、日本におる外国人の、何と申しますか、管理についても、いまよりもっと合理化して、うまいぐあいにできるような方法を講じていこう、現在考えておりますのは、この二つの点を主としていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/103
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104・受田新吉
○受田委員 非常にいいところへ着目しておるようです。これは海外との間でしばしば交流関係を持っておる船員の皆さん方にしても、この点については、最初に指摘された短期間の扱いに対する要望も非常に強いわけなんです。そういう意味で、同時に国内で一々きびしい手続で、国内旅行を制限するようなことも排除しなければならない。こんなのは急いでやるべきですよ。別にあまりむずかしいところはないと私は思うのですがね。そんなに困難な作業でもないと思うのですけれども、私としても早期にこれを解決していただきたい。
それから、もう一つ法務省として考えていただくべきことがある。それは、法制局に責任転嫁をされる傾向があることですが、戦前の古い法律の文章、この文章は、刑法などはもうまことに典型的な、漢文調の難解な語句を用いて、かたかなで、濁点を排除しているという調子の法律がたくさんある。これを私、指摘申し上げて、早くこれを近代的なかなづかいによって国民に理解される文章に改めるべきである。民法のごときは、親族編、相続編は新型、その他は旧型となっておる。恩給法などは、この委員会でしばしばやる間にそれが起こっておるわけですね。これについて、責任はどこにあるかということがどうも明らかにされていない。一体法務省がやるのですか、法制局がやるのですか、どっちがやるようになっておるのですか、ちょっと御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/104
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105・赤間文三
○赤間国務大臣 いまの御趣旨は、私も非常に賛成でありますが、もとはやはり法務省に関するのは法務省が原案をつくって、法制局と打ち合わせることになると思います。やっぱりもとは、法務省に関するものは法務省、そして法制局の了解を得る、こういうふうになる、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/105
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106・受田新吉
○受田委員 法務省に関する法律にそれが最も多いわけです。商法などは、ほかの省に属しておるといっても、訴訟関係は法務省に属するということになりますから、法務省はそれをどう扱っておるのですか。ちょっとどなたか担当者、どういうふうにしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/106
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107・川島一郎
○川島(一)政府委員 ただいま仰せの、文体を現代文に改めるというための作業は、現在特に行なっておりません。ただ、民法、民事訴訟法、非常に古い法律でございますので、その改正につきましては、目下法制審議会で検討いたしております。この改正をする場合に、いまどういう文体を使うかということは、まだその審議が終わった上で検討されることだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/107
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108・受田新吉
○受田委員 法務省設置法の中にこの法制審議会というのがあるのですが、そこで、これはもう当然、前からとっくに作業を進めていなければならないのに、それを一向に作業を進めておらぬという御答弁ですね。作業を進めておらぬ。大臣、これは法制審議会で並行的に審査してもらうことも抜けておるようだし、その答申を待ってやろうというようなお気持ちだが、国民生活の中に法律の文章というのは非常に大事な規定であって、これをいまから、法制審議会で答申が出てからこれへかかろうなどと、のんびりかまえておるような筋合いではないと思う。いかがでございましょうか、赤間先生。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/108
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109・赤間文三
○赤間国務大臣 前向きの姿勢で、とくとひとつ研究をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/109
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110・受田新吉
○受田委員 前向きの姿勢、まことにあいまいなことであります。それはそれとして、私はひとつ法務省に言っておきます。
それからもう一つ、この法務省設置法の中に、今度訟務局をおやめになることについて、私、この前ちょっと触れたのですが、訟務局は次長を置いておる。ほかの局は参事官を置いておる。この参事官と次長の制度の置き方はどういうお考えであり、その次長を置いている大事な局をやめていくということと、参事官等を置いておる局を残しておるという関係、参事官と次長はどっちが高い地位にあるのか、権限関係でひとつそのほうからお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/110
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111・上田明信
○上田(明)政府委員 お答えをいたします。
いま御指摘のとおり、訟務局は局長、次長、六課、こういう構成になっておりますが、今度局を部に格下げということになりますと、部の次長というのもおかしいので、次長にかわる人を大体官房参事官というふうにいま考えられて、この参事官というものが置かれているわけであります。だから、もし下がるという意味なら、おそらく——必ずしも明確でないのですけれども、局長が部長に下がり、次長が官房参事官に下がるという形になるだろうと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/111
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112・受田新吉
○受田委員 そうすると、局長が部長をおやりになる、それから、次長が参事官をおやりになる、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/112
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113・上田明信
○上田(明)政府委員 結論的に言えばそういうことになるだろうと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/113
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114・受田新吉
○受田委員 これはなかなかおもしろい御答弁をいただいた。行政官のほうでは、そういうことで理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/114
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115・大国彰
○大国政府委員 お答えいたします。
局長がそのまま部長の職に格下げになるということではなしに、局がなくなりましたので、その仕事を統括する新しい部長ができた、こういうふうな考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/115
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116・受田新吉
○受田委員 その新しい部長になるのは、局長という理解でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/116
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117・上田明信
○上田(明)政府委員 事務の取り扱う内容が大体そういうことになるだろうと思います。形式的にどういうことになるか、私、よく存じませんが、事務内容としては、現在局長が扱っているものを部長が扱う、それから、次長が扱っておるものは大半は官房参事官が扱うということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/117
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118・受田新吉
○受田委員 それはちょっとおかしいんじゃないですか。そういうお考えであると、局がそのまま残ったような形のもので、局長がやった仕事を部長がやり、次長のやった仕事を参事官がやる。まあその地位にある人が部長になり参事官になれば、降等の承認が要るわけなんです。そういうことが事実可能なのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/118
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119・上田明信
○上田(明)政府委員 私の説明のしかたがまずかったと思いますけれども、現在の局長の地位にある人がそのまま部長になるという意味で申し上げたわけじゃございません。人間はあるいはかわるかもしれませんし、そういう意味じゃなくて、仕事の内容面から見まして、局長がいまやっておるような仕事を部長がやることになるだろうし、次長がいまやっているようなことは官房参事官がやることになるだろう。内容的なことを申しましたので、具体的な人のことは、これは別個の問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/119
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120・受田新吉
○受田委員 これはちょっと問題があると思うのです。部としてこの部はどこへ属する部になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/120
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121・上田明信
○上田(明)政府委員 官房に属することになることが予定されております。官房の部になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/121
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122・受田新吉
○受田委員 官房の部になる場合に、これは局長と同じ職務内容を持つものであって、ただ、局長のポストを部長にするだけという、形の変化だけということなのですか。一局削減というのはそういう形のものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/122
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123・川島一郎
○川島(一)政府委員 たとえて申しますと、訟務局がなくなりまして、その仕事を今度は官房の部で行なうということになりますので、従来局長がやっておりました仕事は部長が扱うことになるだろう、こういう趣旨で言われたわけでございますが、しかし、実際別な実態から申しますと、訟務局というものはここでなくなりまして、その残されました事務を扱う機関として官房に訟務部というものができるわけであります。これは官房長の支配下に入るわけでございます。したがって、官房長のもとに訟務部長が置かれ、そして訟務部長がその事務を統括する、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/123
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124・受田新吉
○受田委員 それでは局長代理の方の御答弁は間違っているわけですね。いまお話しのようなかっこうで、官房長の下に部があるということになるならば、現在の局長に当たる責任者は官房長ということになるわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/124
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125・上田明信
○上田(明)政府委員 そういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/125
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126・受田新吉
○受田委員 したがって、部長が局長の職権を行なうようなものでなくして、局長相当格は官房長である。局長相当格の決裁をする責任者は官房長がやる。だから、一つずつ事務的処理の段階が下がるということなんです。こういう理解をしていいんじゃないかと私は思うのですが、ひとつそういうことで御了解を願う——願うんじゃなくて、そうでなければならない。そうすると、結局この仕事というのは、処理の段階は一階級降等する、こういうことになるわけです。官房長の職務がそれだけふえるということになるわけであります。
そこで大臣、次長を置く局と参事官を置く局とどちらに重きが置かれておると御判断になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/126
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127・赤間文三
○赤間国務大臣 これは次長と参事官と、どちらが重い格になるかということは一がいにお答えがしにくいのじゃないかと私は考えております。前からずっと次長があったようなところは次長がおるし、どちらが上とか下とか、どうとかいうことは、ケース・バイ・ケースに論じなければいけないのじゃないか、かように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/127
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128・受田新吉
○受田委員 その局の仕事の複雑さ、困難さというような場合に、次長を置いておると私は理解しているんだが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/128
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129・川島一郎
○川島(一)政府委員 仰せのとおりだと思います。要するに、いろいろ局によって仕事の性質が異なるわけでございますが、その局の仕事によりましては、局長がみずから関与しなければならない事務が非常に多いという場合がございます。その場合に、課長では足りない、しかし局長では忙し過ぎるという場合に、次長を置いて局長を補佐する、こういう関係が出てくるのではないかと思いますす。
それから、先ほど、次長と参事官とどちらが上かというような趣旨のお尋ねがございましたが、次長の場合には、これは法律できめられております法律職でございます。それから参事官は、これは政令できめられます。その点が違いますけれども、実際に参事官の中にも、課長相当の参事官もございますし、次長に匹敵する程度の参事官というものもございます。一がいには言えないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/129
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130・受田新吉
○受田委員 そういうところが非常にあいまいで、行管はその統制をとらなければならない。課長相当の参事官もおれば部長相当の参事官もおるというような、職務執行上の地位というものが名前とつながっていない。これは行管として、参事官という名称を用いるものはたとえば次長相当格とか、こういうことをはっきりまとめていかれる、そのくらいのことは行管として、各省にわたるこの職務権限の明確化をはかる措置が要ると思うのですが、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/130
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131・木村武雄
○木村(武)国務大臣 ごもっともでございます。それはやるようにしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/131
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132・受田新吉
○受田委員 やるようにするとおっしゃる。それは、かつて課長をやめて、課をなくした時代があるのですよ。そういうときに参事官というポストに課長を置いておいた。便宜的な、行政機構の簡素化、能率化の際におけるやり方が、かつて河野さんのときにやられた。そういう制度が今日悪用されたようなかっこうになっておるものが整理されているということですが、したがって次長を置く局というのは、非常に大事な局である。いま大出委員も指摘されたとおり、私もそう思っておるのです。この点は、思いつきでどこかを減らさなければならぬという点において、実にあいまいもことして、場当たり的な措置をされた。訟務局が一番仕事が簡単で、大臣官房へ持っていってもいいのだというような、実に便宜的な措置を今度の改革でされておるという印象を受けることをここで指摘しておきます。
おしまいに赤間大臣、一言お答えを願いたいのですが、出入国管理の問題ですけれども、北鮮に帰りたい人々がすでに長期にわたってその日を待ちわびておるのです。モスクワ会談及びコロンボ会談において、日赤の尽力による帰還協定が効力を失って後における扱いがはっきりしないために、依然として日本に一万五千人の帰還申請者が残っておる。すでに帰還協定が効力を失ってから二百五十人かしらの人をあちらに帰しておる事実があるわけです。帰れるという期待を持って、コロンボ会議の成り行きを見ておったあちらへ帰りたい人々が相当数待機しておるということも、これは北鮮の意思として表明されておるのですが、こういう帰りたい人は、さっさとお帰りいただく、人道問題の解決から何らかの措置をおとりになるべきじゃないかと思うのですが、これは非常に当面する大事な問題だと思いまするので、大臣の御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/132
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133・赤間文三
○赤間国務大臣 北鮮に帰還したいということで、まだ帰っていない人が一万五千人ばかりおるのであります。この間のコロンボの会議で、だいぶんあれで成功するのじゃないかというので、私は期待をしておりましたが、何かのあれで成功しなかったのでございます。この問題は、あくまでも政治とかそういうことでなくて、人道的な立場からひとつ厚生省、外務省等とも十分打ち合わせをいたしまして、何とかこれが実現できるように一そう努力をしていきたい、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/133
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134・受田新吉
○受田委員 もう一つ、先月の二十七日に羽田を強制的にスタートせしめられた柳文卿君という日本に来た学生がおる。これは前日午後四時に収容をされて、翌日九時には羽田をスタートせしめられた。前に林君という学生が帰るときには、地裁にその執行停止の申請を出しまして、羽田を立つ前にスタートを中止せしめられた事件があるわけですが、このたびもまた柳君から同様の申請を地裁にしておったけれども、羽田を出るときに、法務省としては執行——帰させられることを停止する措置に耳を傾けなかったと承っておるが、事実であるかどうか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/134
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135・赤間文三
○赤間国務大臣 裁判所から何の通知も参らなかったうちに本人を台湾に送ったというのが事実でございます。本人を飛行機で台湾に帰したあとに裁判所からの通知があった、こういうふうな実際の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/135
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136・受田新吉
○受田委員 まあこれは政治犯不引き渡しの国際慣例もあることでありますから……。明らかに柳君は、政治犯と見られておるわけです。ところが、台湾政府は、この柳君を帰すことについて、日本政府との間に何らかの取引があったという流説があるわけですが、それはあったかなかったかお答えを願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/136
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137・赤間文三
○赤間国務大臣 私、別に取引があったということは聞いておりません。ただ台湾独立運動という政治運動をやっておる人間を台湾に帰して、それが生命、身体に危害を受けるようなことがあると好ましくないという見地で、この点は入管のほうでも十分注意をいたしておりまして、台湾の出先である外交関係の人と打ち合わせをしております。独立運動をやっておったがゆえをもって、台湾に帰ったときに迫害を受けることは絶対にないということをはっきり申してくれたのでございますが、口頭だけではぐあいが悪い、そういうことは大事なことだから、ひとつその旨を書面でよこせというので、文書を入管のほうにとっております。
それからなお、昨年の十二月に独立運動をしておる男を帰したのでありますが、その者からも、いま家族と一緒に生活しておる、日本における間にはいろいろお世話になったという手紙も来ておりまするので、身の危害は大体ない、こういう考えのもとに送り帰したような結果でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/137
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138・受田新吉
○受田委員 そういう文書の交換ということは外務省がやる筋ではないか、法務省だけで措置していいものかどうか、この文書の手続上の問題についてお答え願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/138
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139・赤間文三
○赤間国務大臣 これはいわゆる日本と台湾との友好関係をもとにした文書でございまして、念のためにわれわれは文書をとったのでありまして、外交上のどういう協定になるとかどうとか、そういうものではなくて、要するに迫害を加えるのか加えぬのかという、われわれの信念を固めるのにその文書が必要であったからとったということなんであります。約束をし、文書まで出して帰した人間に万一のことがあったときには、それがまたわれわれが向こうと話をするのに非常に役立つし、そういうことがないためにとったのでありますので、別に外務省のとる文書とは意味が違う、かようにわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/139
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140・受田新吉
○受田委員 犯罪人引渡法という法律の適用をしたのかどうか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/140
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141・赤間文三
○赤間国務大臣 別にそういう法律を適用してではございません。政治的な人を帰すときには、まずその人が帰って生命の迫害を受けるかどうかということを第一に考えております。迫害を受ける危険があると一切帰さない。それから第二番目には、日本の国益ということも考えてケース・バイ・ケースでやっておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/141
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142・受田新吉
○受田委員 あなたは参議院で御苦労いただくのですから、私もう一言、二言で終わりますが、大臣という仕事がえらいものであるということを大臣になられて特にお考えだと思うのです。この問題は、赤間先生、向こうが生命に危害を加えぬという文書をくれたときに、台湾から日本に来て麻薬取締法違反をやった犯人を日本が収容しているのを帰しましょうというふうな話を一緒にしたかどうか、そういうこととの関係はみじんもないかどうかをお答え願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/142
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143・赤間文三
○赤間国務大臣 そういう関係は一切私承知をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/143
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144・受田新吉
○受田委員 そこで、この柳君があちらへ帰る前に、前日の四時から翌日のスタートの九時まで、あっという間ですね、彼には奥さんが日本におる、その奥さんと別れを告げることもできずして急に退去せしめられたという。こんなにまで差し迫って、前日の四時に収容して翌日九時に飛行機で送り出すという、こんなにあっというような形をとらなければならなかったのかどうか。もっとゆとりを持って、せめて奥さんと別れを告げる一晩ぐらいの余裕を与えてあげる愛情がなぜなかったのか、お答えを願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/144
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145・赤間文三
○赤間国務大臣 大体もう退去をするはずになっておる人は、原則としましてなるべく早く帰ってもらう、こういう方針をとっております。ただ、いまお話しになりましたように、奥さんとちょっと話をする機会なんかはやはり与えてやったほうがいいと私は考えておりますが、原則としては、退去のきまった人はなるべく早く送り届ける、そういう方針を大体ずっととっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/145
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146・笛吹亨三
○笛吹説明員 ちょっと補足的に御説明申し上げます。
いま柳文卿につきまして日本に妻君がいた、その妻君に何の通知もしないで送還したとおっしゃったのでございまするが、私たちが柳文卿を送還するまでの調査によりますると、日本に妻君がいたという事実はわからなかったわけでございます。彼は全然そのことは——自分の家族として日本におる者はだれもない、自分の家族は全部台湾におるのだという彼の供述でございましたので、彼の家族がこちらにおるということは、私たちのほうでは全然存じておりませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/146
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147・受田新吉
○受田委員 入管としては家族がおることを知らなかったということでございます。それならそれで本人の言い方が悪かったということになるわけでございますが、現実に奥さんが日本に残っております。前日の午後四時に収容して翌日九時に急いでやるというようなことは、ちょうど死刑囚の死刑を執行する場合に、おまえをいまから殺すのだというのを直前に通告して、そうして十三階段を登らすわけです。これは教戒師によって教戒をするゆとりがわずかに残される程度に死刑囚は通告を受けて、間もなく生命を断たれるという行き方によく似通うたような感じがするわけです。
特に政治犯という形になると、向こうへ行って生命の安全を保障しますというような文書を取りつけたら政治犯を帰すというような行き方になると、これは非常に危険になる。少なくとも向こうからねらわれておる人間であることは、はっきりしておるのだから、政治犯不引き渡しの国際慣例からいっても、ある程度のゆとりをもってこれを渡すようにしないと、向こうが、引き受けました、生命の保障をしますと言う。これがもし生命の保障をしなかったら、あとから抗議するといったって、殺してしまわれたらもうおしまいなんです。これは政治犯として向こうがにらんでいる者は、政治犯不引き渡し国際慣例を尊重した国内の措置というものが要ると私は思うのです。特に独立運動などをやって、蒋介石先生はこれを非常にきらっている、大陸反攻を目ざしておられる。私たちが見るときに、台湾ははっきり申し上げて、一つの中国、一つの台湾、あの台湾はもう大陸反攻をやめて、あそこが国連の場で認められて、一つの国家として成り立っていくのがしあわせだと思うのです。あそこは極楽島のような島です。そういう運動をする者は蒋介石がこれを政治犯として、あの老骨にむちうってやっておるということについては、わが国も警戒をしなければならぬ。
私は、何應欽将軍とはしばしば会談をやっておる。個人的にも非常に懇意な、台湾へ寄ると、何應欽将軍と二人だけで三時間でも四時間でも話す間柄である。大陸反攻というようなあり方について、この政治的な犯罪を犯したということについては、何應欽将軍にしても、これを戻してくれというような、その御本人たちの間にはそんな気持ちがないのだが、やっかいな末端の連中がそういうことをやるに違いない。生命の危険にさらされることがたとえ文書を交換しても、あるというときには、日本は犯罪者不引き渡しという原則を貫いていただくべきだと思うんだが、これは台湾といえども決して安全な生命の保障ができるとは言いがたいと私思うので、文書ぐらいで安心などと——文書というのはどういうことを書いて、どういう文書だったか、これは秘密文書ですか、公開していい文書ですか、ちょっとお答えいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/147
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148・笛吹亨三
○笛吹説明員 別に秘密文書でもございません。内容につきましては、ちょっといま文書を持ってきておりませんので正確は期せられませんですが、台湾の独立運動のようなそういう政治的な運動を日本で行なった者が台湾へ帰っていった場合に、何らその生命、身体について迫害するような処罰は加えない、こういう趣旨のものでございます。また、それは先生そうおっしゃいますけれども、非常に外交的な、国家の政府の出先機関の大使がわざわざ来てそういうように言っておりまするし、文書も公文書として出しておりますもので、それは信用できるものだと私は考えておるわけでございます。
それから、その文書でもまだ不安じゃないかというお考えのようでございますけれども、事実柳文卿が帰りまして、向こうで親のもとに帰されておるわけなんであります。したがいまして、これは迫害を加えられるというおそれはございませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/148
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149・受田新吉
○受田委員 それはそれとして、今後やはり政治犯としてにらまれている者の生命の危険は確かにあるわけです。ひとつ大臣お心おき願って、今後、時間的な余裕を与えること、同時に、犯罪者としてにらまれておる人は、そのような文書を交換して帰すようなことをしないで、政治犯というらく印を押されている以上は、できるだけいま申し上げた国際慣例を尊重していただく方向で一応擁護してあげる。そうしなければ、これは殺されたらあとの祭りということになる危険を私は多分に感じておることを御忠告申し上げておきますす。
いま一つだけ、事務当局でけっこうですが、韓国人のあるいは台湾人の日本へ帰化したいという者に対して、戦前からおった人々の帰化は永居住権を持った者として認めるのかどうか、韓国と台湾の間に扱いの相違があるのかどうか、これをひとつお答え願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/149
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150・田代有嗣
○田代説明員 外国人の帰化につきましては、国籍法上、一般外国人と日本人の妻であるとか、あるいは養子になった者であるとかいうものにつきまして差別が設けられておりまして、後者につきましては若干条件がゆるやかになっております。法律上はそのようになっておりますが、現在の帰化事務の取り扱いといたしましては、戦前からいる在日朝鮮人であるとかいう方に対しましては、その方が元日本人であったという事情を十分考慮しまして、その方々の意思、利益等を十分考慮しまして、できる限り許可をするという方針でやっております。在日台湾人につきましては、国籍法上朝鮮と違う点がございます。といいますのは、あらかじめ向こうの国籍を喪失していただきませんと帰化条件を満たさないことになりますので、その点だけが違うことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/150
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151・受田新吉
○受田委員 いま現に帰化手続を完了しつつある数が一年間にどのくらいの割合であるのか、数字をちょっとお示し願いたい。申請も。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/151
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152・田代有嗣
○田代説明員 こまかい数字は年度によって違いますけれども、おおよそ最近は五千名前後の者が帰化許可になりまして、そのほとんど大部分は朝鮮の方でございます。帰化申請数は六、七千。若干上回りますが、その分は不許可ということになるわけでございます。そういう数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/152
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153・受田新吉
○受田委員 台湾、いわゆる中国の国籍を持つ者が日本へ帰化したいというときは、現実に中国政府が国籍離脱の手続を完了しないと帰化できないはずですね。事実問題として中国・台湾がその手続をしてくれておりますですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/153
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154・田代有嗣
○田代説明員 その点は中国の問題でございますが、一応従来の帰化事務を処理してわかっていることを申し上げますと、大体向こうのほうでは、男であれば兵役年齢が四十五歳でございまして、それを過ぎませんと、男であると喪失許可を出さないようでございます。女であれば二十歳以上であれば事情によっては出すということのようでございます。それから、二十歳未満の者は原則として出さないという向こうの法律の規定になっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/154
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155・受田新吉
○受田委員 現実に台湾・中国からその手続で帰化する人がどのくらいの数字になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/155
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156・田代有嗣
○田代説明員 去年が五百八十九名になっております。おととしが七百五十三名になっております。その前が五百三十二名、こういうような数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/156
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157・受田新吉
○受田委員 ただ、ここで私憂えるのは、いまの台湾独立を考える皆さんの場合は日本へ帰化できないと私思うのです。それはあちらから国籍離脱証明してくれない。そうなりませんかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/157
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158・田代有嗣
○田代説明員 結論といたしましては、そのような結果になる事例が多いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/158
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159・受田新吉
○受田委員 日本にいまおる独立運動の参加者は、事実問題として日本を愛しておっても帰化できない、かように了解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/159
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160・田代有嗣
○田代説明員 事案によりまして、事実を調べませんとわかりませんが、大体そういうことになる事例が多いだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/160
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161・受田新吉
○受田委員 これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/161
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162・松澤雄藏
○松澤委員長代理 浜田光人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/162
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163・浜田光人
○浜田委員 大臣にまず質問いたしますが、私たちもこの一局削減、いろいろと機構改革等に御協力申し上げることはやぶさかじゃないのです。当然不急不要な機構とか、そういうものは整理されることはあたりまえでしょうし、私たち社会党だって、それらに対しては御協力申し上げる意思であります。ところが、今回の労働省の安全衛生局というものは、御案内のように、昨年この委員会でずいぶん議論して、絶対これは必要だからぜひお願いいたします、ということでわれわれも二日間にわたって議論、討論して、まこと日本の産業災害を防止する、あるいは人命尊重するためにはと、こういうので、自民党、社会党、すべてが御協力申し上げて議決したこの安全衛生局なんです。それを今回またまた廃止する、こういう提案なんですね。これでは私たちが皆さん方に何かごまかされた、もっと謙虚に考えるならば、私たちの国会の審議がずさんであったというように見られる。そういう点から考えて、どうしても今回のこの議案提出は納得がいかない。
そこで、まずお伺いいたしますが、今日の労働災害の現状は、いろいろな資料にも出ておりますが、大体どのくらいの員数で、どのくらいの額に達しておるのか、そういう点について御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/163
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164・小川平二
○小川国務大臣 労働災害発生の状況でございますが、昭和三十三年以来二回にわたりまして、産業災害防止五カ年計画を推進いたしてまいりました結果、発生率において半減するという相当の成績を示しております。ただ最近におきましては、災害の発生率並びに発生の件数ともにこれが鈍化していく傾向が出ておるわけでございます。ことに死亡者は年間六千名以上という状態が続いておる。職業性の疾病につきましては、把握し得た限りでは大体二万件前後の発生を見ておるという状況でございます。
なお、数字につきましては安全衛生局長からお耳に入れることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/164
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165・大野雄二郎
○大野政府委員 発生状況の概況は、ただいま大臣から申し上げたとおりでございます。四十二年はまだ完全に集計が終わっておりませんが、四十一年におきましては死亡六千三百三、休業八日以上約四十万、一日以上六十八万。簡単に申し上げますと、日曜日を除きまして死亡者は毎日二十人、八日以上の負傷者が千二百人、一日以上の負傷者が二千数百人、こういう数字でございます。これは労働基準法に基づきますところの傷病報告に基づいたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/165
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166・浜田光人
○浜田委員 いま数について御説明いただきましたが、大体年間の休業一日以上の人たちあるいは死傷者、こういうものを含めまして経済損失はどのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/166
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167・大野雄二郎
○大野政府委員 この経済損失の推計につきましては、いろいろございますが、従来やっておりますところの推計によりますと、四十一年におきましては大体三千億円というぐあいに推算いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/167
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168・浜田光人
○浜田委員 さらに、そういう産業労働者の私傷病ですね。これらを加えますとトータルどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/168
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169・大野雄二郎
○大野政府委員 私傷病を加えました経済的損失についての推計はございません。ただ、労働基準法に基づきますところの健康診断、これによって疾病発見率というのは六・三%、こういうふうにいっております。それから私病に基づきますところの欠勤率は大体二%程度、こういうふうに推算されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/169
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170・浜田光人
○浜田委員 そういたしますと、そういう私傷病の休業者の賃金損失、それはどのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/170
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171・大野雄二郎
○大野政府委員 賃金損失を考えます場合には、社会保険との差額ということに一般的には相なると思います。ただ、その場合に、労働協約等によりましてその差額補給が行なわれておるところがございます。それについては私ども全面的に把握しておりませんので、計上しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/171
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172・浜田光人
○浜田委員 普通社会保険で傷病手当をもらっても六〇%ですね。そうすると、該当労働者とすれば四〇%は完全に損だ、こういうことになるでしょう。ですから、員数が出れば四〇%のものはすぐ出ますね。それらがいろいろずっと関連するのですね。手当やそういうものにずっと波及するわけですから、俗に年間四千億の損失だ、このようにもいわれておるのですね。そういうような労働者諸君の賃金損失、さらに経済的な損失、これらを含めますと実にばく大な損失だと思うのですよ。しかも人命尊重ということが政府の大きな柱ですね。さらに公害あるいは交通死傷者、これらと並んだ三つが最大の柱だと思うのですが、あえてそういう担当局を廃止しても——大臣は高度な政治判断によって、政治使命によってこれを廃止するのだと本会議でも答弁しておられますが、そうすると、佐藤内閣の人命を尊重するという最大の政策はどうなるのでしょう。そういう点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/172
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173・小川平二
○小川国務大臣 人命尊重がこの内閣の政策の大きな柱でありますことは仰せのとおりでございます。また、ただいまお耳に入れました労働災害の最近の発生状況、あるいはまた今後技術革新に伴いまして新たな職業病がますますふえてくるに違いないという見通し、あるいはまた最近におきまする若年労働者の逼迫、それが災害増加の要因となる可能性がある。かような観点からいたしまして、これから先ますます安全衛生行政の質を高め、内容を充実していかなければならないという要請が強まっておる時期だと考えております。しかるにもかかわらず、これを廃止いたしましたのは、いまおことばにございましたように、高度の政治的判断に従いまして、いずれかの一局を削減しなければならない、かような選択に立たされたわけでございます。労働省が、御承知のように発足いたしましてまだ日が浅い若い官庁でございます。各部局がいずれも労働行政の非常に大切な一翼をになっておるわけでございます。その間で選択を行なう、甲乙をつけるということが実は非常にむずかしい問題であったわけでございます。安全衛生局は、これは仕事はもともと基準局の中で行なわれておったのであります。こういう関係がございますので、廃止いたした後において行政の継承が容易である。いずれの局を廃止した場合に容易に従来の行政が継承できるであろうか、こういう判断のもとに安全衛生局を廃止いたしまして、これをもともとどおり基準局に戻すほかはない。いろいろ苦慮いたしました結果、ぎりぎり決着の結論といたしましてかような判断を下さざるを得なかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/173
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174・浜田光人
○浜田委員 問題が小さくなるかもわかりませんけれども、早川大臣はかってここの委員会で、「局設置を契機といたしまして専門に局長ができれば、人命尊重という立場で……いろいろな面を含めまして検討し、また、来年度からは」——昨年の答弁ですよ。「第二次の産業災害防止計画が実施されるわけでございます、」だからぜひこれは必要なんです、こう言っておるのですよ。さらにこういうことを言っておる。「局長と部長というのは、」——こまかい質問をすると時間がありませんからね。「大臣と政務次官ほど違うのですね。局長は、政府委員ということで国会にも堂々と」出ている。さらに「局というものに昇格したということは、労働省の職員の士気をたいへんふるい立たせておるわけでございます。」こうなっておるのです。そうすると、局へ昇格しなければ——いまのような、次の第二次の産業災害防止計画もこうするのです、そして局長ができることによって非常に士気も上がって国民にこたえるゆえんだ、こう言っておる。これは局がなくなるのですからおそらく局長はおらなくなると思うのです。局はなくして局長だけおるわけにいかぬのですが、どうなるのです。いまあなたはそういうことはないと言われるかもしれんけれども、大臣はかわっても、当然そういうことになっておるので、これからの小川大臣がほんとうに労働省が真に国民にこたえるような省にしてやっていこう、特に産業災害等については、さっき言ったように、ばく大な経済損害あるいは労働者の賃金損害等がある、これを救済していこう、こういう意気込みで労働省に乗り込んでこられたろうと思うのだけれども、あなたが大臣になって、こういうことになってはどうにもならぬと思うのです。省内のそういう点、それからいま、早くある省よりかできたばかりの省のほうが非常に継承しやすいのだ、こう言われるけれども、こうやってこそ局内の士気が上がってやっていけるんだ、こう私たちに答弁して、そして、まことそれならといって議決しているのです。今度それと逆なことを議決しなければいかぬようになるのですが、どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/174
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175・小川平二
○小川国務大臣 安全衛生局を発足させました当時の経緯については、先ほども御指摘があったとおりでございます。また、当時早川労働大臣が表明いたしましたことは、私記録等は読んでおりませんけれども、おそらくそのとおりであったと存じます。この点につきましては、私がここでいろいろつべこべ陳弁を申し上げる余地はないのでございまして、発足させたばかりのものを日ならずして廃止する、これは朝令暮改ではないか、さような御批判を賜わりますれば、これまた甘んじて受けなければならないと存じております。さらにまた、いまおことばにありましたように、かようなことになりますと、大切な時期に大切な仕事に携わらなければならない人たちの、ともすれば士気を阻喪しがちな結果にもなろうかと存じます。私といたしましては、さようなことがないように鼓舞激励いたしまして、局が廃止されました後においても、安全衛生行政の質が低下いたしませんように、あとう限り行政能率の向上に努力をいたしまして対処してまいりたい、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/175
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176・浜田光人
○浜田委員 新しく来られた大臣を責めるわけじゃないのですが、われわれ議決機関としての国会が、ここで二日間も討議して、その結果に基づいたこの新しい局を、本年直ちに不必要だということは認められるわけがない。しかも早川大臣は、当時、おそきに失しているんだ、こう言っている。死傷者はたいへんな数でございます。そういう観点から、今回局を設置いたすことになったわけですが、おそきに失するほど大きな問題でございます、こう言っているのだ。これを私たちが、たとえ与党の自民党の諸君だって——昨年ここで議決された方がおられる。塚田理事さんもおられる。そういう人たちが、日ならずしてこの国会で、廃止してもよろしいとは絶対言いはせぬのだ。
そこで、木村大臣にお聞きしますが、総理が昨年十一月にアメリカに行く前に、一局削減をやれと言ったから、いわゆる画一的に無差別的に各省が一局だけ削減するという、こういうことをして、さっきの議論から見ても、真の行政改革になり国民にこたえることだと思われますか。まさか、どこでもいいから、とにかく一局削減せい、これでは私は真の行政改革にならぬと思うのです。いまさら私が言わなくても、ああして分厚いものが出ておりますね、行管なりあるいは調査会なり、ずうっとこの書類を寝ずして読んでみた。それがそういうことで真の国民にこたえるゆえんじゃないと私は思うのですが、元締めのあなたは、どういうような総理の指示により各省に出されたのか、そういう点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/176
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177・木村武雄
○木村(武)国務大臣 一省庁一局削減だけで行政改革が終わったならば、あなたのおっしゃるとおりになると思います。しかしこれは総理もさきに国会で答弁されておりますとおり、行政改革の発端であって、そして根本的な改革は今後三年間にわたって行なうのだということを言っておられまするが、そのとおりでありまして、私も主管大臣として今後の根本的な行政改革にいま取り組んでおる最中でございます。ただ、この一省庁一局削減だけをお取り上げになって、これだけで御批判なさいますと、浜田委員のおっしゃるとおりだと思います。しかし、ただ単にこの一省庁一局削減という問題すらも解決できないということであったならば、行政改革の根本問題と取り組むなんということは、とうていできなくなってしまう。とりあえずこの問題を解決しようと思って取り組んでおる次第であります。
いままで必要があってできた局であります。しかも、その必要の度合いは、前の大臣の早川君も説明されましたとおりに、非常に強度なものだったと私も判断いたしまするし、それであればこそ、国会もこれを通されたのだと思っております。その必要の度合い、必要の限度は今日はより以上拡大されておると私思っております。それだけに担当の小川大臣は非常に内部でどうしようかこうしようかと思って苦慮されたのだと私は思います。その結果、この局を一応廃止しよう、こういう態度をおとりになったと思いまするが、私、小川労働大臣とこの問題についていろいろ話し合いをいたしましたし、それから外部からいろいろなお話も承ったものでありまするが、局がもとの古巣に返りまして部になったとしても、小川労働大臣であったならば、少しもその質において、その量において、減少されるようなことはないだろう。むしろそれだけに、縮小するという立場に立って非常に大きな使命感を抱かれたことに私は全く敬意を払っておりまするから、浜田委員が御心配になりますることは非常にごもっともであります。私はその御心配になることばは、もっともっと労働省のお役人の人々に徹底させてみたい、聞かせてみたいと思っております。それを体して、そして労働省のお役人の人々が大きな使命感の中に生きてもらったならば非常に幸いだと思っておりまするし、それだけの機能は十二分に果たせる労働省である、それだけの能力は持っておいでになる労働大臣である、こう思っておりまするから、どうか浜田委員はいまのおことばをもっともっと徹底せしめてくださるように私はお願い申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/177
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178・浜田光人
○浜田委員 木村大臣は、その隣に小川大臣がおられるものだから、よりこれの推進のために持ち上げてみたりいろいろしておられますが、私は小川大臣は、むしろあなたがそばでそう言われることが苦しくてたまらぬだろうと思っているのですよ。いくら持ち上げられても、それはなんと言いますか、小川大臣の識見、手腕というよりか、この安全衛生局というものが国家国民の全般的な要求、要望、世論の上にでき上がっておるその声を体して、私たちは昨年、当委員会でずいぶん議論してやってきたことであります。だから、あなたがいま言われるようなことになると、議決機関、国会というものはどっちへ向いておるのか、どこにあるのか、その意識すらも薄らいでくるようであります。むしろ私たちは軽率のそしりを受けることになろうかと思うのですよ。さらに私は、局ができるとかなんとかいうようなことで労働省の全員の士気が上がるとか下がるとかいうような、そういう機械的なものではないと思うのですが、それは早川前大臣も答弁しておるように、それだけふるい立たせたのを、また朝令暮改でこういうことになったのでは、残った局も残った職員も、これは労働省はどういうことになるのだろうか、こういうことになると、士気というものはぐっと落ちるのですよ。落ちるということは、行政水準が落ちることだと思う。ですから、私はさっき申し上げましたように、ほんとうに行政改革をやるのだったならば、不急不要な局や課は廃止する、あるいは外郭団体のようないろいろな不正をよく起こす、ああいうものをすみやかに整理するべきですよ。どんどん賛成しますよ。そして高級官僚が天下りするような外郭団体をどんどんつくるべきではない。ところが、なかなかそういうことについては、百八の中から昨年の本委員会で二つですか、やった程度で、むしろ不急不要なそういう問題については、どんどん野党も協力しますから、そこらにメスを入れてもらう、こういうことをやってもらわなければいかぬと思う。しかるに、国民のこういう要求、要望をいとも簡単にやられたのでは、幾ら木村大臣が職員諸君によく了解させてくれと言われても、それこそ本末転倒ですよ。それはまあ大臣のそういう意見はお聞きしますが、私はそういう問題ではないと思うわけです。
そこでこれだけの産業災害、あるいは産業労働者の死者あるいは傷病者、あるいは一般の公務負傷、こういうものを含めますと、ずいぶんおるし、さらに労働省が扱っておりますのは三千万近い、二千八百万人以上であるといわれているのですね。ところが、通産省で鉱山保安局を廃止しようという話もちょっと聞いたのですが、その保安局というのは、一体どのくらいのそういう人を扱っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/178
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179・大野雄二郎
○大野政府委員 二十三万人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/179
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180・浜田光人
○浜田委員 そうすると、労働省の安全衛生局の扱っておるのは、どのくらいの人員ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/180
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181・大野雄二郎
○大野政府委員 大体二千八百万でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/181
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182・浜田光人
○浜田委員 そういたしますと、百倍以上の人を対象に安全衛生局は行政をやっていっているわけですね。
そこで木村大臣に聞くのですが、通産省の鉱山保安局が二十三万人を対象にして局を持っているのに、この安全衛生局は百倍以上の対象者を持ち、かつまた、一般の経済の面から見ても、損失ももっとひどい、たいへんなものになるわけですね。こういう点はどのようにお考えになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/182
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183・木村武雄
○木村(武)国務大臣 今度の一省庁一局削減は、行政管理庁がどの局を廃止せい、どの局を存置せよというような内部干渉は少しもしておりません。みんな各省庁におまかせいたしました。そして各省庁からでき上がってきたものを、いわば事務的に認知しただけでありまして、鉱山保安局と安全衛生局とを比較対照して云々というような処置はこっちでは講じておりませんけれども、各省庁では、それだけ十二分に内部でいろろいろなことを検討いたされまして、そして万全の処置を講ぜられたものと私は確信いたしておりまするので、二十何万人とか二千八百万とかいうようなものはあまり対象にならないんじゃなかろうかと思っております。ただ、小川労働大臣を目の前でほめたことは云々とおっしゃいましたけれども、私は目の前におられたからほめたのではない。この人は親子二代の政治家であって、おとうさんもりっぱな政治家でありましたし、御令息もりっぱな政治家でありまするから、必ず他の人々に率先垂範してりっぱな業績をお残しくださるだろう、こういう判断をやったのでありますからして、決して目の前におられたからほめたのではないのであります。その点は私は御期待申し上げておるのであります。
ただ、先ほども申し上げたとおりに、私のほうは内部干渉は少しもいたしません。全部内部でお取りまとめになって、そのためには非常に苦労されるだろうと思います。私は、今度この問題を担当いたしまして切に感じましたことは、やはり要らなくなった局でも、使い古したものは捨てたくないものです。いわんや、必要なものはより以上愛着があるんだろうと思います。そういう点で御苦心なさったということだけは高く評価いたしております。それだけに検討されました関係上、万全の対策をおとりくださるものだ、こういうふうに確信を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/183
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184・浜田光人
○浜田委員 木村長官、よくわかりますがね。あなたが大先輩とし、かつまた佐藤総理の全くの直系として、それだけの思いやりがあるならば、小川労働大臣が、むしろ労働行政を勇敢にこれから部下を督励してやれるような立場にする、やらすようにする、これが必要だと思うのです。しかるに、先ほど申し上げたようないろいろな検討をずっとしてみると、安全衛生局という仕事は、より拡大していくことはあなたもさっき言われましたね。そういうものをなくするというような方向では、これは、あなたが愛せられる小川大臣を殺すことになろうかと思うのです。そういう意味では、いま言われたとおり、やはりおだてか何かにしかとれないのです。真に思われたようにはとれない。
それは別として、そこで、あなたは、行管として各省の内政干渉はせぬとおっしゃる。むろんだろうと思います。そこで、産業災害、交通事故、公害災害、この三つはやはり社会開発の大きな柱ですね。行管としては、むしろこういうものを一つにまとめて、ほんとうにそれをぐっと元締めでやれるような機構をつくるべきじゃなかろうかと思いますが、そういう点についての御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/184
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185・木村武雄
○木村(武)国務大臣 ごもっともであります。私は、労働行政が非常に必要でありますることは十分認めております。
それで、今後の三カ年計画の中では、大体使命の終わったようなものは思い切って縮小いたしまして、行政需要の多くなったものは思い切って拡大してみよう、こういう考えで、三年計画案をいま立案中でありまして、労働省のほうから提出される、労働行政はかくあらねばならないというりっぱなものをつくっていただくように私どものほうでもたのんでおります。根本的な改革の中で、いま浜田さんのおっしゃいましたことを織り込んで実現してみたいと思っております。そういう要望も非常に強くなっておりまするし、今度のやつは、何せ、舗装工事前の小さなでこぼこのようなものをちょこちょこっと手入れしているような程度で、ほんとうの舗装工事は三年後にでき上がりますから、三年後に思い切って御批判くださったならば、これは非常に有益だと思いますが、いまの一省一局削減というようなことをとらえて御批判なさいますと、答弁なさる大臣も非常にお困りになるし、私も困るのであります。だから、どうか長い目で見てくださるように——あなたのいまの御主張はごもっともであります。必ずそれは織り込むつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/185
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186・浜田光人
○浜田委員 時間がきたようでありますが、さっき木村委員長官も言われたように、これは本来、根本的に本来転倒していると思うのですよ。戦後の歴代の内閣はむろんずっと行政改革に手をつけておりますが、ちょっとつけてはやけどをして引っ込める。そしてまた新しくキャッチフレーズみたいなものを出してやるからこういうことになるのだろうと思う。そこで今度は思い切ってやるのだといって、総理命令でやられるのでしょうが、ほんとうに機構改革をやるのならば、不急不要なものを全部チェックして、そして、各省が一局を必ず廃止せいというのではなくして、ほんとうに全般的な——国民はそれを要求しているのです。それを要望しているのです。各省で、必ずしも一局を廃止しなくてもいい省もあるでしょう。ところが、あるいは二つ廃止し、あるいはさっき申し上げたようなたくさんの外郭団体を整理すれば国民の税金が安くて済むようなところ、そういうところを根本的にやられるのであればいいけれども、とにかく一局削減、こうやられているから、さっき言われるようないろいろな矛盾点が出てくるし、また、大臣も困られるということになるのです。だから、ここらは、今回は手直しの舗装だというのではなくて、少なくとも機構なんですから——それは道路ならば確かに、あなたが言われるように、ちょっとここを舗装しておけば済むということもあるでしょう。それで喜ぶでしょう。ただ、機構をいじり、そして、いま言ったような行政水準が低下するようなことをしたら逆になるのです。道路は、一部を舗装しても人は喜ぶし、逆にはならないのですから、それで済む。だから、同じような次元ではもののとらえ方はできないと思うのです。いずれにせよ、明日総理が出るそうですから、総理に、根本的な行政改革の考え方ということからこういう問題もお聞きしますが、昨年われわれが慎重に検討して、そして、必要であるという観点で議決したこの安全衛生局を廃止するというようなことは、真剣にまじめに二日間も討議したわれわれの立場からいっても、この際はそう簡単に賛成はできぬ。みずから軽率のそしりを受けることになります。しばしば申し上げますが、私たちは、拡大しつつある機構などを、そういうことでたらめな拡大をしてはいかぬ、不急不要のものに対しては何とかここでひとつ整理しようという、そういう方向ではほんとうに賛成なんですよ。反対しやしません。
そういうことで、時間がすでに一時半になりまして、前の運輸省の質疑が残っておりますから、大臣はけっこうですから……。
そこで、運輸大臣への午前中の質疑の続行に入らしていただきますが、まず船員局長に、さっきの運輸大臣の答弁は、いわゆるそういう零細な人々に対する免許の取得の方法については実情に合った措置を構じたい、こういう要旨の答弁だったと思うわけですが、具体的にどういう方法でやっていくのか。しばしば申し上げますが、かつて経過措置を認めたときに、あなたたちがその指示さえ出さなければ、あの人たちはいとも簡単に小型操縦士の免許がとれておったのですから、そのハンディを今後どう埋めていかれるか、それらを含めて御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/186
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187・河毛一郎
○河毛政府委員 船舶職員法の遊漁船の免許の関係でございますが、先生も御承知のとおり、これにはいろいろのいきさつがございます。私どもも、今朝大臣からお答えがございましたように、この種小型操縦士の試験につきましては、できる限り現状に即し、また、実情に即するように取り計らうつもりでございます。また、現在もそのように行なっておるつもりでございます。
もう少し具体的に申し上げますと、現在、小型操縦士の試験につきましては、具体的な問題を百三十五問公開いたしております。これは役所が公示をしておるわけでございます。したがって、試験は必ずこの百三十五問の中から出される、こういうことが第一点でございます。
それから第二点といたしまして、具体的な試験につきましては、この百三十五問のうちから十問を選択しましてそれを出題しておる、こういうことでございます。
そこで、問題を公開いたしておりますので、その解答も、養成機関等を通じて、受験者によく理解できるような、非常に親切なものができ上がっております。したがいまして、小型船の操縦士の受験者は、このような解答書をみずから勉強するなり、あるいは大部分の場合は、職員養成協会その他これらの方々に必要な知識なり指導を行なう機関がございますので、この機関による講習会を開催いたしまして、その講習のあとで試験を行なう、このようなことを行なっております。ただ、実際問題といたしまして、このことは一般の海技試験から見るときわめてきめのこまかいやり方をやっておるわけでございます。
なお、やはり受験者の現状から見ますと、必ずしも十分に読み書きができないというような実情もございますので、そのときどきの実情に応じましては、筆記ではございませんで口述で、先ほど申し上げました問題を出しましてお答えを願うということをやっておる次第でございます。その結果でございますが、ただいまのところ、大体受験者の九〇%以上の人が合格しておるという実情でございます。しかし、けさほどの御質問もございますし、また、大臣のお答えの趣旨に沿いましても、さらに私どものほうといたしましては、より実情に合った方式というものを検討いたしまして、この間の試験あるいは免許に遺憾のないように期してまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/187
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188・浜田光人
○浜田委員 たいへん御配慮されたような答弁でありますが、さっきも申し上げましたように、かつて三十五年にあなたたちが、当分の間この観光漁業に携わる人たちは操縦士免許をとらぬでもいいというような指示を出しておられるから、将来にわたって要らないんだなという感じをその人たちは持っておったのです。だからその人たちからいえば、そういう指示さえ出してくれなければ——経験年数はみんなあるのですから、講習さえ受ければみんなとれる人なのです。悲しいことには、もう六十にも七十にもなっておる漁師の方たちというものは、いま試験というとなかなか受からない人たちです。字も書けない人もおります。それは口述でやると言われる。ところが、あなたも経験があろうかと思いますが、自分が答案用紙に書くならまだ非常に頭も回転しますが、試験官と面と向かったときというのは、そうでなくても上がるのに、上がってしまってなかなか頭というものは回転するものではないんですよ。だから、口述試験といったらいいように思われるかもしれないけれども、実際問題としては逆なんです。ですから、過去の経過措置からいって、私たちは、むしろいまそういう経験年数等のある人には講習等をやって文句なしに小型操縦士の免許は出すべきだと主張したいが、しかしそれはいろいろ法規上の問題もあろうかと思いますので、まず現地での試験はやることと、そうして試験の方法はむしろ公開をしていると言われますが、百三十何問のあの問題集を私も見ましたが、私も頭が悪いからかもしれませんが、なかなかそれは頭に入るものではない。しかもそれはどこから出るかわからぬし、そしてまた解答を書くということで、さっき言ったように口述試験は非常にハンディがありますから、実際書くとすると、字が書けないような人は、その字を書くだけでもたいへんなんです。そこで、あれだけ交通事故の多い自動車運転者の試験でもマル・バツにしておるのだから、こういう年寄りや、かつての経過措置の点も考えて、何とかマル・バツくらいの方法は将来考える必要があると思うのですが、そういう点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/188
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189・河毛一郎
○河毛政府委員 試験方法の問題でございますがが、ただいま申し上げましたように、できるだけ実情に即するように私も、従来の経緯もございますので、努力しておるわけでございます。ただいま先生からお話しのございましたマル・バツと申しますか択一式と申しますか、このような試験方法は、一つの試験方法といたしましてわが国でも採用されている方法でございますが、その話は別にいたしまして、特に海技従事者の丙なり小型の場合に、われわれが試験結果を検討いたしてみますと、問題の意味を取り違えているというような場合が非常に多いわけでございます。そこで、そういった経験からみまして、択一式ということはいまとっておりませんが、これが取り入れられる可能性があるかどうかということを考えます前に、相当検討しなければいかぬ問題があるのではないか。まず、現在の場合は問題をはっきり公開いたしておりますが、択一式の場合にはその性質上問題を公開するということが非常にむずかしくなるのではないか、こういうふうに考えます。したがって、私どもの経験からいいますと、むしろいまのような口述試験で、試験官によく徹底をいたしまして行なうほうが、かえって結果がいいのではなかろうかというふうに現在のところは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/189
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190・大出俊
○大出委員 関連して。いまの点ですが、これは私のところでも大きな問題になっていまして、いずれどこかでもう少し詰めてやりたいと思っていたところなんですが、釣り船などをやっている、つまり小型船舶に入りますが、これは浜田君が言っているように、そういう方々は、それこそ何十年もやっているのですから、そうすると、いまさら免許などということになる筋合いのものじゃないと思ってやってきた。ところが、だんだん世の中が変わってきて、試験を受けなければならぬ。ところが、釣り船センターに何十軒か釣り船屋さんがあって、横浜のまん中に、そういうところに私ども骨を折ってつくってあげた。横浜の特殊事情でどんどん発展しますから、したがって、何とかその方々の生きる道をということで、相当、市にも県にも骨を折らせてつくった。そこに集中的に集まっている釣り船屋さんに、お客さんも東京から一ぱい来る。ところが、この釣り船センターの会長さんをやっている人が、自分で長年やっていた経験で船を動かしていたのです。若い人は端から免許をとってしまうのです。ろくに、ほんとうに商売にならぬような人でも試験だけは受かっちゃう。ところが、ほんとうに経験があって、間違いがなくて安心のできる人が取れない。だから、いまここに診療エックス線技師法改正法案が出ていますが、これにしてもそうですが、またあと衛生検査技師法、これもそうですけれども、いま町の開業医のお医者さんに、医師の国家試験をあらためて受けてみると言ったら、全部が全部受かるかというと、受からぬということになる。いま診療エックス線をやっている技術者の諸君も、都道府県知事免許がなくなって、今度三年制になって、大臣免許になる。特例講習をやっても試験がなかなか受からない。しょうがない、現実やむを得ない。そうだとすると、まして釣り船などをやっている人、こういう人がいまお話しの程度の試験で受かるはずであるとお考えになること自体が無理があると思うのです。だから、こういう方々については、やはり長年の経験を持ってやってきた実績を認めて、何らかの形でやはり資格を与えるような方向にもっていっていただきませんと、将来その免許がなければ営業ができないということになれば、生活権にかかる。しかも、非常に人望もあり技量もすぐれていて、たくさんの同業の諸君に立てられて会長をやっている人たちが、そっちのほうになると頭が回転をしない、こういうことなんですから、そこらのところは、大型船舶じゃないのですから、長年の経験がものをいう業種なんですから、そういう意味ではこれは別な角度から認めてあげる。実際に一緒に乗ってやるぐらいなことをして、どの程度の技量があるかぐらいのことはすぐわかるのですから。天気がちょっと変わればどっちから風が吹いてくるぐらい、この方々はわかる。とてもじゃないけれども若い人にはわからない。わからないほうが免許がすぐ取れちゃう。こんなばかな話はない。おやじさん、きょうはどんなあんばいだんべえと、免許を取っておるのが一々聞いて出て行く。教えている先生のほうは頭を回転さして字なんて書いたことないというので、人の前で口をきいたことがないというのだから、そこへ試験官が口頭試問するなんていっても、人の前で口をきいたことがないのだから、ものを言えというほうが無理。そこらのところは、長年日本の習慣でそうなっているのですから、やはり皆さんのほうで割り切って、身の立つ方法を考えていただかぬと、何べん受けても受からない。受かった連中は、受かっていながら年じゅうそのおやじさんに教わっているのですから、そういう点をひとつおくみ取りいただきたい。これは関連ですからやめますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/190
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191・河毛一郎
○河毛政府委員 ただいま実情につきましていろいろお話がございまして、確かに大出先生がお話しになっておられますような実情があると存じております。そこで私どものほうも先ほどから申し上げましたように、問題を特定し、かつ公表するなり、あるいは口述試験の場合、特にそういった方々がそういう雰囲気に非常におなれになっていないというようなことも前々から承知いたしておりますので、特に試験官につきましては、その辺を注意いたしております。そこで最近四十三年に四月中に約一千人受験者がございました。そのうち九百七十人が合格いたしております。したがって、大出先生いまおっしゃいましたような事例は確かにあると思いますが、一般的に申し上げますと、この試験の合格率は非常によくなっております。これは、しかし平均的な数字でございますので、具体的に場所によりましては、たとえば八〇%程度のものもある、あるいは非常にいいところは一〇〇%のものもある、こういうことでございます。
そこで今後試験のやり方につきましては、先ほどおっしゃいましたような点ももちろん頭に入れまして、実情に即するようにわれわれ研究を続けてまいります。またこの措置は大体来年までは、たとえばいま免許を取っておられない方が商売ができなくなるということのないように十分配慮いたしておりますので、当面そのような御心配はないかと存じます。それからまた、来年になりまして、その結果によりましてはまた特段の措置を考えるということにいたしまして、いずれにいたしましても、御質問の御趣旨に十分沿えるように私も努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/191
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192・大出俊
○大出委員 特段の措置と言うのですけれども、おそらく、どうも何回受けても、いつもふるえちゃったり口をききそこなったりしておるのですから、これはやはりそういう生活を長年してきた方々は、どうしてもそれが抜けないのです。だから、その特段の措置なんですけれども、ほんとうにわかっているのか、いないのか、そういうあらたまったことでなくて、雑談をしてみれば、何だって知っておるのですね。だから、そこらのところを、いわく特段の措置の中でどう消化するかということを考えていただきたいと思うのです。そこのところを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/192
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193・浜田光人
○浜田委員 それでは時間もありませんから……。いま盛んに九二%だとか九四%だとか言われるが、それは講習の過程でもうあかんわいと言って下がる人がたくさんおるから、受けた数と通った数を見るとそんなになるのだ。そういうものを入れると、私のところなんかでも、悪いときは六十何%、いいときでも八十何%。それもだいぶ下がった人がおってですよ。受けた人だけをあなたら拾い上げておるが、それらをよく実情を把握してみなければいかぬ。だから協会等に対しても、これは協会のことはぼくは触れまいと思うのだが、実際は零細なぼくらのところで月に一万二千円取る漁師といったらもういいほうです。ところが夜間講習をどうしてもやらなければ、この人たちは収入が少なくなるという。観光漁業というものは大体今月の下旬からせいぜい十一月までですね。あとはやれない。それがまた、その期間やるとしたなら、夜間講習は少なくとも十五日はやらなければいけない、その間収入もない、 こうなる。それで講習を受けてみると、どうにもならぬからといって、みずから下がらなければいかぬような状態。だから、そういう実情をよく把握して、ほんとうにそういう人々の生活権を奪うことのないように、その対策を現地海運局や協会ともよく話し合って、そうして最悪、最低のところでもマル・バツくらいなことはひとつ考えていただきたいことを強く要望して、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/193
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194・松澤雄藏
○松澤委員長代理 本会議散会後、直ちに開会することとし、休憩いたします。
午後一時五十分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01819680426/194
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