1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月二十七日(土曜日)
午前十時九分開議
出席委員
委員長 三池 信君
理事 井原 岸高君 理事 浦野 幸男君
理事 塚田 徹君 理事 藤尾 正行君
理事 松澤 雄藏君 理事 大出 俊君
理事 受田 新吉君
内海 英男君 桂木 鉄夫君
佐藤 文生君 塩谷 一夫君
藤波 孝生君 武部 文君
浜田 光人君 伊藤惣助丸君
鈴切 康雄君
出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
厚 生 大 臣 園田 直君
自 治 大 臣 赤澤 正道君
国 務 大 臣
(行政管理庁長
官) 木村 武雄君
出席政府委員
行政管理庁行政
管理局長 大国 彰君
文部大臣官房長 岩間英太郎君
文部省文化局長 安達 健二君
文部省管理局長 村山 松雄君
文化財保護委員
会事務局長 福原 匡彦君
厚生大臣官房長 戸澤 政方君
厚生省国立公園
局長 網野 智君
委員外の出席者
専 門 員 茨木 純一君
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本日の会議に付した案件
行政機構の簡素化等のための総理府設置法等の
一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/0
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001・三池信
○三池委員長 これより会議を開きます。
行政機構の簡素化等のための総理府設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/1
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002・大出俊
○大出委員 総理が昨年十一月にアメリカにおいでになるとき、帰ってくるまでに各省は一局削減の答案を書いて出せ、平たく言えばこういうことを言っておいでになった。陰の話では、どなたかに言われてこれはいいというようにお考えになったとかいろいろ話はありますけれども、それはともかくとして、そのとき総理自身は——今日行政機構の簡素化に関する法案が出ておりますが、実は中を見ると、局が部になって局長さんが部長、こうなっている。中には官房長などをふやそうというものが飛び出してきた。結果的には、ながめてみて、金は一銭も減らない、人も一人も減らない、こういうことになっているわけでありますけれども、総理が当初そうおっしゃったときに、今日機構の縮小にもつながらないし、予算の削減にもならないということをあらかじめ御存じで、各省一局削減の答案を書け、こうおっしゃったわけでございますか。そのお答えいかんによって質問が違いますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/2
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003・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私も、実は長いこと官僚をやっておりました人間でございます。官僚機構のいいところもわかりますが、悪いところもどうも二、三目につく。そこで、思い切ってこういうものをひとつ変えていこう、こういうことであります、御承知のように、どんどん局、部、公社、公団等はふえてきております。過去において、どうもあまり整理されておらない。しかし、法律そのものにしても、法律を一つ出せば必ず人間をふやす。目的を達した法律ならば定員が減るべきだが、それも減らない。こういうことを考えると、やはり思い切って機構の簡素化をはかり、在来の仕事のしぶりを変えていくということはどうしてもやらなければならない。それこそ国民の期待するものではないか、かように思うのであります。臨時行政調査会等が答申したのも、実はそういうことなんです。今日のいわゆる、こういう出血整理、そんなことのできないことは、だれもよく知っております。しかしながら、出血整理をし、ただいまのような行政の簡素化なり、国民の負担の軽減をはかるのがわれわれの仕事だ、かように実は思ったのです。ずいぶん乱暴な話なんで、一省一局理屈抜きに整理しろ、こんな理屈のない話はないじゃないか、そういう御批判のあることは当然だと思います。しかし、官僚機構に育った者から見ると、全部圧縮するんだ、それでない限り、なかなか話はできるものじゃありません。各大臣ともこういう問題と真剣に取り組んでおるかというと、大臣は考えても、その下の事務次官以下各局長みんな抵抗します。こういうことです。ある一省について特例を設ければ、必ず他の場合も特例を——原則はなるほど一省一局整理だけれども、私のところは特例だ、そういう話になると、こういうものはできるものではありません。ことに事務当局の心理状態を一番よく知っておるのは私自身だと思います。だから、ずいぶん乱暴な、理屈に合わないことを無理やりにした。したがって、そういう御批判は私も甘んじて受けます。しかし、これはどうしてもやらなければならない。そして相当の期間をかけてやっていこう。現にごらんなさい。ことしは新しくふやすというものは出ていないでしょう。新しく公社、公団をつくりたいという要望がずいぶんありましたが、そういうものも押えられた。消極的な意味の効果は十分あがっておる。さらに、三年間に、いまねらっておるそういう方向の内容の整理をやはりこれからやらなければならない。かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/3
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004・大出俊
○大出委員 いまの御答弁によると、理屈はない、ということですね。とにかく一局切れ、こう言った。結果的に、ある意味のショック療法で、ふやすというところがなくなったと言うのですけれども、ふやすというところをなくすだけなら、佐藤総理ほどの人がおられるのだから、ふやしてはいけないと言えば、ふやしようがない、これはいい。あえて、それを一局削減というふうに出した。しかも、それは理屈がない、理由はないと言う。理由がないということは、日本語で書くと無理というのですから、各省大臣にすれば、これはまことに無理だとみんな言う。
私は、まず四人の大臣に質問した。大臣が十八人くらいおられるから、まだ十四人くらい質問しなければなりませんが、まず総理府総務長官は、総理は施政方針演説において青少年局をつくれとおっしゃって、四十一年にできた、これをなくすのは一体どういうわけだと言ったら、いや決してないがしろにしたのではなくて、拡充強化いたしました、というわけですね。青少年対策本部という八条機関をつくって、総理を本部長にして、しかも、いまの青少年局長は横すべりで次長になる、これが拡充強化だという。それならば、簡素化に関する法律と書いてあるけれども、簡素化を取り消して、拡充に関する法律に直しなさい、と言うと、いや、簡にして素で、中身は拡充してあると言う。八方破れといえば八方破れ、天衣無縫といえば天衣無縫、これはまことに話にならない、理屈にならない、議論にならない。そういうばかげたことを言わざるを得なくなっておる。そうかと思うと、自治大臣の赤澤さんに承ってみたら、赤澤さんは何と言うかというと、自治省には四局しかない、行政をやっている局、税務をやっている局、財政をやっている局、選挙の局、これしかない、四つしかない局を一局減らせといっても減らせるものではない、国民はどう思うかということもある、どうしてもだめだと言って最後まで了承しなかったけれども、お隣にいる木村さんが、総理がおっしゃるのだから、どうしても減らせということで、まことにふんまんやるかたなしで選挙局にしぼった、だから、大出さん御指摘のとおり、との時点で、選挙の制度、あるいは政治資金規制法等を手がける選挙局をなくしたということは、確かに国民に対して非常に大きな不安を与えることになると認めますと言う、これは非常にごりっぱだと思うのですよ。これは率直に認めておられる。つまり、理屈がない、無理だからそういうことになる。
それから、もう一人法務大臣に聞いてみたら、こともあろうに、これは法務省が苦慮した結果、やむを得ず訟務局に落ちつきましたと言う。そこで、それじゃ、あなたは一省一局削減に賛成じゃないのですかと言ったら、あわてて、いや、総理がおっしゃるのですから大賛成だと言う。理屈なんか考えたのでは行政機構の縮小はできないのだから進んで協力をいたしましたという御答弁なんです。ここでも、理屈ではございませんと言う。これまた、理屈じゃないでは議論にならない。しかも、総理の御発意で安全衛生局をおつくりになったのは昨年の八月でしょう。これに対して小川労働大臣は何とおっしゃっているかというと、私もたいへん弱ったと言う。産業災害で、一日に二十人も労災の面から届け出てくる死人等がある、重大な局だから何とかしなければならぬと思ったけれども、この際やむを得なかったと言う。かつて早川前労働大臣が、これだけ労働災害がどんどんふえる、佐藤内閣は人命尊重をたてまえにしておる、だとすると、部ということよりも、局にして、国会に出ても、局長ということで所見を述べるということが全体の士気が非常に鼓舞されて、行政部門が伸びていく、現実そうだということでお認めいただきたいと、この席でお述べになった話を持ち出したら、小川さんはさすがにきわめて正直に、そうだと思います、だから、部にしても、士気が阻喪しないように全力をあげますという御答弁なんですね。すると問題は、予算の縮小にも、機構の縮小にもつながらない。総理が一局消滅と言ったけれども、決して機構の削減にもつながっていないし、金の削減にもつながっていない。ただ、国民一般に何かそれらしい努力を総理がしたという印象だけが与えられているという形では、行政機構というものを理論的に考えていくならば、このくらい筋の通らない、このくらい大山鳴動してネズミ一匹も出ない議論というものはないですよ。こんなばかげたことはないと思うのですが、あなたは、おやりになって、結果的にどういう効果があるとお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/4
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005・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 大出君とこれはひとつ懇談したいのですが、いまの行政機構がこれでよろしいとはおそらくお考えにならぬと思う。私は、大出君がいまの状態でいいんだ、かような考え方からただいまのような御議論をなさるなら、これは全然立場が違うんですからお話をいたしません。しかし、おそらく現在の機構そのものがよくないのだ、もっと簡素化できるんだ、仕事のしぶりは変えるべきだ、こういうお考えでいらっしゃるなら、ここに私はくふうがあるんじゃないか、かように思います。私どもは、とにかくいまの状態はよくない、もっと簡素化すべきだ。それで、ただいま二、三の大臣の所感を言われました。私は、そういう局の少ない省あたりが非常な無理までして一局を減らしておる、これこそはその熱意を賞揚すべきものだ。むしろ、これはたいへん困っているんだ、こういう実情を十分考えろ、こうおっしゃる前に、行政簡素化についての熱意を高く評価する。だからこそ初めてできる。さらに、いま考えております法律の整理だとか欠員不補充あるいは総合的な定員制度等々を考えていけば、これは長期的な構想ではありますけれども、三年間にある程度人的にも数は減らし得る。だから、そういうものをやっぱり考えていかないと——ただ、この一省一局減、ここに無理があるんだ、その無理をどうだ、こういうことだけで理屈を並べるよりも、やっぱり自分で描いていらっしゃる行政機構はかくあるべし、こういうものを社会党も持っていらっしゃると思う。そういうものから、それを実現するのにはどうしたらいいか、こういう意味でやっぱりものごとを考えるべきだ、これが私は必要なんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/5
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006・大出俊
○大出委員 そういうふうに言っていただいたほうが、私のほうもものが言いやすいのです。実は私は、木村さんとこの論議をしようと思ったのですが、あんまりしちめんどくさい質問はしないでもらいたいと木村さんはおっしゃるし、だから私もなるべく避けてきました。総理がそういう気持ちならば、私もこれはやりようがある。ただ単に、理屈のないところで蛮勇をおふるいになるということでは筋が通らないし、国民に説得力を持たない。だから私もいまのような言い方をしたのです。私は三つばかり申し上げたいことがあるんです。
一つは、行政組織あるいは行政機構ということばを使います。行政学なんというのは、新しい学問のようでありますが、多少人ということがからんでいる意味でものを言えば行政組織でしょう。行政機構、行政組織、いずれも結論は同じことばでしょう。そこで、この近代化なりあるいは複雑化する社会機構一般の中でこれをどう合理的なものにするかという議論が方々にあります。では、この中心的な目標は何だということなんですが、一番大きな問題というのは、やっぱり行政の民主化だと思うのです。間違いない、行政の民主化だと思う。
それからもう一つは、行政というものがどんどん専門化していく、そういう必然性を持っているのですね。これが二番目だと思うのです。だから、非常に景気が悪くなるということになると、最近の情勢としては、財界もあるいは世間一般も政策面で国にたよろうとする。これは非常に専門化されているからです。
もう一つは、この二つを前提にすれば、いやでも応でも行政機構の大量化ということに発展をするわけです。それを、内閣というものは憲法六十五条に従って行政権を持っておられるのだから、どう調整をするかというところが私は問題の焦点だと思っている。どんどん行政機構が広がっていく、これは私はあたりまえだと思っているのです。佐藤総理が行政の責任者で、何とかその政治意思を国民全般に及ぼそうとすれば、いやでも応でも行政機構というものは複雑化し、大量化していきますから、これは当然ですよ。
そこで、先般総理が二つの問題を提起された。一つは青少年局、一つは安全衛生局、これは時宜を得た当然なことだと私は思っている。つまり、行政分野の中で一つの部門を急速に伸ばそうとするならば、省をつくるか局をつくるか、そういう形をとらなければ伸びないのですから、青少年局をつくろうということで、四十一年におつくりになった。四十二年の青少年白書というのは、読んでみて前年とうんと違う。都市化現象というものをとらえて、その中における青少年対策等はどうあるべきかという青写真をつくって、きわめて克明な指摘をしています。その間、現青少年局長は非常な意欲を持って進めてこられたという感じが明確に出ています。その意味で、私は成功していると思う。もう一つ、安全衛生局にしても、士気を鼓舞するという言い方をしたけれども、非常に一生懸命になって安全衛生局にやってこられた。その部門の行政というものは伸びつつある。その意味では、総理のねらいは間違ってはいない。これは筋が通っているからです。ところが、今度総理が一局削減と言ったらどこにしわが寄ったかというと、せっかくその行政部門を伸ばした青少年局がなくなったり、これから伸びようとする安全衛生局がなくなってしまう。だから私は、それは無理でしょうと言っている。単に局長を部長に変えたということはたいした意味はない、一般的にそう言うけれども、実は大きな意味がある。局長とは何だという一つの明確な解明をされていないでしょう。だから簡単に考えがちだけれども、局をつくったり局長をつくったということは、その行政部門が非常に伸びていくということなんですから、そういう意味では、これは簡単なことじゃないですよ。そうでしょう。それを今度のようなやり方で、せっかく伸びようとする青少年局だとか、せっかく自分で育てようとお考えになって——去年の八月じゃないですか、そこにしわが寄るなどという形を持ち出すことはマイナスじゃないだろうかという指摘を私はしたい。
三番目に、最後ですけれども——言いたいことは山ほどあるけれども、時間がないから前向きでものを申し上げます。いまの行政機構をながめてみて、これは理屈はよけい言いませんが、諸外国にも例のあることで、日本にも臨時行政調査会がございます、いまなくなりましたが。あそこでも、あるいは有名な英国のホールデン報告を読んでみましたが——ホールデン委員会というのは第一次大戦後できて、現在のイギリスの行政機構というものはその基準に基づいて改革されて今日まで進んできている。国際的に非常に大きな反響を持っている。それらのものを見ても、全部行政の上における理論と筋が整然と立っている。基準が立てられている。その基準に従って減らすところは減らし、変えるところは変えている。局なんというものは、局長を部長にしたって、こんなことは意味がないが、一つの縦の行政機関の中におけるこことこことここは、こういう筋立てで減らす。政治意思を佐藤さんが国民に及ぼそうとするそれに支障のないように、そして、しかも効率的に行政が行なわれるように、大量化するものをコントロールする。そのためにはこことこことここなんだという、そういう筋立てをして、理論を立てて、説得力を持たして、その上で政治的蛮勇をおふるいになるという筋でなければ、私どもに対する説得力もないし、議論がかみ合わない。私が赤澤さんに質問しましたら、赤澤さんは、あなたと同じ考えだと言われた。これでは議論が発展しないでしょう。田中総務長官は無邪気で天衣無縫、八方破れだ。法案が出てきて、簡素化とは何だと言ったら、簡にして素、中身は拡充強化でございます、と言った。こういうことでは議論にならぬでしょう。そうでしょう。だから私は、そこを理屈がないと言う。理屈がないということは、日本語で書くと無理というのですよ。それじゃ、論議はかみ合わない。機構改革のための全体の意思を結集することにならない、こういうことを考えるから、先ほどから申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/6
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007・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 いまの行政組織、これが人につながり、これが近代化される、民主化また専門化される、こういうこともおわかりだが、同時に、効率的でなければいかぬ。専門家ということは効率的だということだと思う。そこで、局でなければ仕事ができないという、その考え方がおかしいのです。局には四課以上なければならないとか、二部以上なければならないとか、そんな考え方がおかしい。だから、その考え方も全部切りかえなければ——これはちょっと漫談めいたことを申してたいへん恐縮ですが、一体役所じゃだれが一番えらいのかという話がある。大臣が一番えらいと思ったから大臣に頼んだ。そうしたら大臣は次官を呼んだ、次官は局長を呼んだ、局長は課長を呼んだ、そして係を呼んだ。やはり一番係がえらいのかと思った。ところが、そうじゃない。係で起案したら、だんだん上に行って、課長や局長や大臣。それで、やはり大臣が一番えらいのだと思ったら、そうじゃなくて、きょうはタイピストがいないから指令書は出せないという話だった。やはり一番えらいのはタイピストだった、こういう話を実はするのです。私は、行政組織はずいぶん長い間になっているものですから、簡素化といっても、ほんとうに効率的なものができていない、こういうところへメスを入れるのが私どものねらいなんです。だから、いまおっしゃるように、時節柄これは民主化されなければならない、同時に、専門化されなければならない。だけれども、民主化、専門化が膨大な機構を持つようになって効率化を失ったら、これはたいへんなことだと思う。だから、そこいらに私どもがいま大出君と話をしましても共通点があるだろう、かように私思います。そういう意味から、在来の考え方をひとつ改正しよう、これが今回のメスでございます。御了承いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/7
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008・大出俊
○大出委員 いまのお話よくわかるのですが、これは何しろ佐藤さんだけが官僚出身じゃないんであって、総理がとにかく若き逓信大臣のころに、私は全逓の青年部長で、やたら総理にかみついたりしたんですから、私も官庁育ちで、官庁の専門学校を出てきたんです。そうでしょう。そこで問題は、下のほうからものを見るか、上のほうからものを見るか、見方はいろいろありますよ。ありますが、やはりこれは私自身も何とかしなければならぬと考えている、同感です、同じ考えです。だから、行政機構を簡素化する、賛成なんです。これはだれもそうです。ここにおられる方ほとんど全部そうだと思う。思うのだけれども、これにはやっぱり一つの筋立てがなければならぬと申し上げているんですよ。いまおっしゃった中に、各官庁の機能があります。ホールデン委員会の報告なんか機能主義に立っていると学者が説いておりますが、あるいは特定階層を対象にするという学説もあるし、特定地域を対象にするという行政の理屈もあります。しかし、ありますけれども、いまの日本の各官庁をながめてみて、この間大きな問題になった公害基本法ができて、あとの実施法で厚生省と通産省の大きな争い、大気汚染防止法なんというので大騒ぎになって、許可制というのを届け出制に変える官僚の大論争があった。なわ張り争いですよ、言うならば。ところがホールデン委員会が出している中身から見ると、権限が錯綜して、どっちだどっちだというものは、本来行政の筋の中ではあるべきじゃない、だから、なるべく権限は重複をさせない、そして、そこできめられたことについては他の官庁は介入しない、この原則を立てなければ、限りなく行政組織というものが広がる、こういう報告をしておりますよ、一例ですけれども。そうだとすると、いまの通産省と厚生省の公害基本法の立法をめぐっての争いなんてものは、まさにそのとおり。厚生省が公害基本法案をつくったら、とたんに、権限が一つでも半かげでも機構上あるから大騒ぎを起こす。そうでしょう。そうだとすると、そういった機能に基づく各省のあり方というものは、末端までどうなければならぬか、やっぱり基準は一つ立てていただいて——そういうことに気がついた時期があったんだけれども、また何年かすると、いつの間にか思わざる方向に発展しちゃっているんですから、その基準を一つ立てて、立ち返ってそれらのものは整備して、効率的なという意味における全体の機構の縮小を考えていく。そのことは局長をなくすことでもなければ、局長を部長にすることでもなければ、部長を局長にすることでもない。しかし、その中で特徴的に一つの部門を伸ばそうとすれば、局長をつくらざるを得ない場合もある。あってもいいと思うのですよ。決してそれを否定すべきじゃない。それが青少年局長であり、安全衛生局長であったんでしょうから。ところがあなたは、そんなこと、局でなくてもいいとさっきおっしゃったけれども、一方では一生懸命、防衛庁を防衛省にしたいというようなことを言う。なぜかというと、省にすれば防衛部門というのは間違いなく伸びるからですよ。機構というものはそういう相関関係を持っているからですよ。それを御存じの佐藤さんが、簡単に、局でなくても部でもいい、部長でいい、そういうことを無理に言う。筋が通らぬことをおっしゃっちゃいかぬ。そう軽々しく局長、部長を考えちゃいかぬですよ。それは次官をおやりになった佐藤さんらしくないですよ。お取り消しいただきたい。そんなに簡単に考えられたら、各省の局長や部長が困っちゃうですよ。だから、理屈を立てていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/8
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009・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 いまの各省の共管という問題、こういうものをなくしよう、これはたいへんけっこうなことだ、また、そうなくてはいけないと思います。したがって、その例に、いまの観光行政だとかあるいは公害問題だとか等々出された、こういう問題がこれからの問題だと思います。こういう問題をそれではなぜいま目くじら立てて議論しているのか、これはもう官僚機構の在来からのものの考え方がそこに固まっている。何か一つあれば、どうしてもそれに自分たちも口ばしを出さなければならぬ。あるところで一カ所でまとめて、そしてそこで仕事をしてくれということには、どうしても納得ができない。それには、こういうものはやっぱり変えなければならぬ。だから、いま大出君も各省間の問題について御議論なさいました。重大なる書類に一体いま判こがどのくらいつかれておるか、こんなものは、同じ省内の問題なら、やっぱり起案者が全責任を持ってきめていくような、そういうものがあっていいんでしょう。そのためにどれだけ能率を阻害しているかわからない。こんなことにやはりメスを入れなければならぬ。だから、いろいろ御批判がございますが、まずひとつ思い切ったショック療法によって、政府はいま出しておる法案に、やはり三年計画という一つの目標を置いているのですから、なるほど、今回のこの対策だけでは十分じゃないじゃないか、こうは言われますが、全体をひとつ御理解いただくと、政府はやはり簡素化、効率化について積極的に取り組んでおる。だからこそ、赤澤君にしても苦しい思いをしながら簡素化の誠意を示した、こういうように評価を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/9
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010・大出俊
○大出委員 時間の関係がありますから結論めいたことを申し上げますが、私もいま申し上げたとおり官庁育ちの一人ですから、長年何回かの行政整理の問題にぶつかって、ここにいる塚田さんのおとうさんが郵政大臣で行政管理庁長官を御兼任の時代に、三割削減——ちょうどいま三カ年で五%ですか、言っておりますが、同じようなことをぽんとほうり上げた。すべてショック療法に類する。ところがショック療法という形をとったものは、ほとんど実を結ばず雲散霧消してしまっているという現実がある。臨時行政調査会なるものがなぜ成功しているかというと、一つ一つの行政の相関関係を含めてメスが全部入れられて、相当な時間をかけて論議をして、学者その他を含めて相当調査をやって、しかも膨大な資料があって、その上でものを言っているから説得力を持つのですよ。太田薫という当時の総評議長が六人委員会に入って、太田委員会をつくって蛮勇をふるった。蛮勇じゃない、私は彼のところの副議長で、並んで仕事をしていたのですから、蛮勇じゃない。彼はたいへんな勉強家で、世の動きは知り抜いている。調べ尽くしている。だから官庁組合が太田議長のところに、何でそういうことを言うんだと言っていけば、おまえさんのところの機構はこうなってこうなってこうなってこうなんだ、権限はこうじゃないか、こんなところを切らぬではだめじゃないかと言う。そう言われると、てめえのところの組合のてっぺんの議長だけれども、しようがない。つまり、それだけの時間をかけて調査と検討をした上に立って、理論の組み立て、これを全部持って説得をするから、うんと言うのですよ。そうでしょう。だから、いままでショック療法というところで実を結んだものはない。ショック療法は、そのときには官僚諸君は黙っているけれども、陰では必ず反発をする。反発をしたときに皆さんの側に理論がなければ、それでおしまいになる。そうでしょう。だから理屈を好まない、理論のやりとりを好まない長官じゃ困る。やっぱりそこはもっとかみ合う議論をしていただく努力をされて、行政管理庁は、ショック療法の裏づけに、調査をした結果に基づく理論構成をして、一つの基準をきめる努力をして、専門化するものは効率的に、また大量化するものを効率的に押える。それはどことどことどこがポイントなんだというところまでいかなければ、単なるショック療法ではものが片づきませんよ。だから、単なるショック療法だけでは、せっかく伸びようとする行政の意欲なり仕組みなんというものの芽をつんでしまうだけで、機構は縮小されない、金は減らない。国民一般には、何か大きなことを総理がやったように受け取らせるということだけで——これは言い過ぎだけれども、それだけでは、私はいまの総理の提案はマイナスではないか。だから、いまの御発言にもありましたが、とにかく、荒療治をやったんだという気分でおられたのでは困ると私は思うんです。そこから先の、行政管理庁の長官あるいは総理は、臨調の諸君が努力したより以上の努力を重ねて、もっと万全な理論づけをして、その理論の上に立って総理がもう一ぺん蛮勇をふるうという気にならなければ、行政機構の縮小なり定員の縮小なりに結びついていかない、説得力がないということを私は申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/10
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011・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 いまのお話は、私もよくわからないではございません。私も、いたずらに宣伝するつもりで渡米前にこういうことを申したわけではございません。実は渡米前にいろいろの経済事情その他を聞き、また官庁の問題もいろいろくふうし、これをやることが将来の立て直しに有望だ、実はかように考えたので、そういう意味で十分の素地ができていた。しかし、ただいま言われるように非常なショック療法的なものに見える。しかし、木村君のところでいろいろ整理してくれている、いわゆる三カ年計画そのものとあわせてお考えになると、初めてこれが生きる、ショック療法ばかりじゃない。さらにこれに積み重ねができて、皆さん方のお力もお知恵も拝借して、もっと整備できれば、さらにりっぱなものができると考える。ぜひそういうものにしていくのが私のつとめだ、かように私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/11
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012・大出俊
○大出委員 私は、法案審議を云々するだけじゃないので、総理に最後に一言だけ申し上げて終わりたいと思うのです。
いま三年計画、定員の話、人の話をされましたが、私は別に一局削減というようなものは通したって通さなくたってこれだけでは意味がないと思っていますから、その点についてはこだわりませんけれども、ただ問題は、やはり旧来の筋立てというものがある。かつて定員法を分解をいたしまして各省設置法の中に定員を入れたときには、それなりに理屈があった。行政の機構の中にある各職をとらえて、そこに恒常的に人が必要だという恒常的な職員という定義をつけた。機構があってポストがあるとそこに人が必要になってくる、しかも、長期にわたっている、だからそれは職員だという位置づけをする、それを勘定していけば定員は何名というのが出てくる、そういう相関関係は御存じのとおりで、総理も百も承知のことでしょう。旧定員法を解体して設置法に入れているわけです。今度のやり方を見ると、そういった旧来の理論というものは全部どこかにいって、設置法から定員だけ抜いてしまって、めんどうくさいから、国家行政組織法の中の各行政機関の職の職員の定数は、法律でいっているものだけうしろのほうへ持っていって削除する、そういうむちゃくちゃな、まるきり理屈も何もないことをおやりになったのでは、通そうとするほうが無理です。だから、そういうことだけやろうとしないで、それに先んじて、もっと国民を説得し得る理論的な筋立てをちゃんとつくって、これを国民の皆さんにも理解させる努力をされて、その上でこうするのだというところで蛮勇をふるっていただかぬといかぬ。根回しもないところに、突如として、ある日突然に総理は、アメリカに出発するにあたって、何を思ったか、気がついたか、一局削減だ、帰ってくるまで答案を書けと言って行った。世の中はびっくりして、さてできるのだろうかと思った。これは容易にできないし、先ほどお話しのように三カ年計画は逆になっているから、慎重に御研究をいただいて、こういうものだということを青写真をお出しいただいて、その上で一局削減をするならする、定員を減らすなら減らすということをお出しいただけば、私どもは十分それにこたえて論議いたしますから、ぜひそういうふうにお願いしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/12
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013・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 別にお答えしなくてもいいかと思うのですが、実は政府は、全部のものを総合的に計画を立てて御審議をいただいておるのです。ただいま言われたように、ショック療法だけ出してやっているわけじゃないので、どうかひとつ全体をよくごらん願いたい。これは私が申し上げるまでもなく、いまはコンピューターの時代だといわれています。あるいはまた、事務の処理のしかたも、ファイルのしかたによってはいかようにもなる。郵政あたりでも、スタンプを押すようなものはいまはみんな機械を使ってやっているという時期で、よほど変わってきている。だからそういう際に、官庁事務の処理が在来の形だけではなしに、どうもそこらにある程度の変化はあったと私は思います。しかし、もっと時代に相応するためには、まだまだ思い切って改革しなきゃならない。私は、みんなしてそういうことをやろうとすればいい知恵が出ると思う。在来のからに閉じこもっておれば、こんな楽なことはありません。しかしながら、このからを突き破って初めてりっぱな行政ができるんじゃないかと思いますので、どうか一部のショック療法的なものだけをごらんにならないで、ひとつ全体をごらんになるようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/13
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014・大出俊
○大出委員 私の質問に対し、各大臣が一々、理屈はないのです、理屈はないのですと答えるのですが、理屈はないということでは質問も論議もできないでしょう。そこは言論の府ですから、出てきている法案は、国民の皆さんに、これはどういう理屈で通したのだとか、どういう理屈で廃案にしたのだということを言わなきゃならない。ところが、皆さんのほうから理屈はないと言うんです。質問してもないと言う。理屈はないのだけれども通しましたというわけにはいかないのです。日本語は、重ねて申し上げますが、理屈はないと書いて無理と言います。無理と書いて理屈はないというのですから、そうすると、いまそこに理屈はないのだけれども通せということを言われることが無理なんです。だから、そこのところをやはりひとつお考えいただいて、今後の問題ですけれども、かみ合う議論になっていって、その論争が前向きで——大量化し、国民的な規模で伸びる行政機構を、おっしゃるように機械化の世の中ですからコンピューターその他を入れてもけっこうですが、どうコントロールしていくか、それも金が要りますから、そういう方向での議論がかみ合うように、今後ぜひひとつショック療法と言わずに理論立てのあるものをお出しいただきたい。この点を最後につけ加えまして終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/14
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015・三池信
○三池委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/15
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016・受田新吉
○受田委員 臨時行政調査会は総理大臣と同じお名前の会長が中心になられて苦心惨たんの結果、日本の行政機構の大きな展望に立つ対策をお出しになっておられるわけです。この臨時行政調査会の答申の扱いとこのたびの行政の簡素化能率化措置法案との関係を御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/16
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017・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 臨調でいろいろ答申をしておりますが、具体的な精神を生かして今回の御審議をいただいておる、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/17
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018・受田新吉
○受田委員 この臨調の答申には基本的な大事な問題を数々掲げて、具体的な対策を要求しております。木村行政管理庁長官は、このたびのこの改正措置をやらなければ臨時行政調査会の答申の大事な問題の処理もできないのであって、これをやらない限りは行政の簡素化というものは本物にならぬのだという前提で訴えておられるわけでございます。
そこで、私は総理大臣にお聞きしたい。臨調の答申には、基本的に内閣の強大なる指導力を期待しておる。総理大臣が中心になって、その中に行政の重大な欠陥である総合調整、責任体制、そういうものを大いに推進するための機能として内閣府、そうしてその内閣府には、先般お出しになられたような軽い意味の補佐官でなくて、重大な総合調整の責任を持つ内閣補佐官を総理大臣のブレーンとして採用すべきである、その下に、行政管理、人事、行政監察等の機能を強大に発揮する総務庁機関を置き、さらにその総務庁と別個に置く、こういうような意見を述べておるわけでございまして、佐藤総理大臣としては、長期にわたってすでに首班として内閣を率いておられるわけでございまするが、この四年間のとうとい経験を生かされて、このあたりで内閣の強大な指導力を発揮する体制を先に敷いていく必要はなかったか。
それからもう一つは、臨調の答申の中には、具体的に、たとえば、このたび労働省の安全衛生局を廃止する法案が出ておるのでございまするが、逆に労働省においては、まず生命を大事にする人権尊重という意味から、労働災害の防止というところには部局の強化をむしろ逆にうたっており、その臨時行政調査会の答申のほうの労働省で指摘しておった一番力を入れようとするほうをはずしておる。これはまことに片手落ちになっておる。また、青少年局のような将来を背負う青少年を大事にする問題については局を廃止しておる。こういうような、いささか臨調の答申とは逆の方向に行っておる面がある。思いつきのような一局削減という全く形式的なところに重きを置かれて、大事な問題が抜けておるような印象を受けるのでございますが、総理大臣の、行政簡素化については一局削減という、一応この程度をやろうというお気持ちは私もよくわかるのです。官僚出身であられただけに、官僚の弊害も佐藤さんはよくお知りになっておられるだけに、いまのような判こが多過ぎるとかいう行政事務の複雑さなども御自身でよくおわかりいただいておるだけに、局を整理すれば何とかなるのだというすなおなお気持ちは私にはよくわかるのです。けれども、総理としては、そういう場当たりではなくして、基本のいま私が提案したような問題をやるべきではないか。木村さんもまた、総理の意図がどこにあるか十分確かめないまま、一局削減というから一つずつ局を減らせばいいというので、形式主義で人員は一つも減らさないで局が部に変わっておるというかっこうだけで一局削減をやって事足れりとされるような御提案をされたのじゃないかと思うのですが、総理、基本問題をお忘れになって末端に走ったというそしりを免れない今回の提案とお気づきになりませんか。御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/18
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019・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 いろいろ問題がございますが、そういう場合にどちらを前後にするか、どちらを先にするか、こういう問題はそういう観点にひとつ考えていただきたい。
内閣補佐官の問題は、昨年もずいぶん議論いたしました。なかなかこれはうまくいかない、日本の国情にはすぐマッチするとも思えない、そこらに一つ難点があります。アメリカはたいへん成功したようだけど、どうも日本でこれがはたして成功するかどうか、それはひとつ考えなければならない。
それから、いまの青少年局や安全衛生局を整理した、ここまで実は私は目を通さなかった、各省の大臣に実はまかせた。そうすると各省大臣はどういうように処置するか、そのうちでおそらく自分であんばいをしてこれを一番当省としては整理する、そういう方向だ、こういうことできめたのだと思います。先ほど来大出君が御指摘になりましたように、青少年問題や安全衛生の問題はたいへんな問題であります。事柄が人命に関し、また次代をになう青少年問題である、かように考えれば、それぞれの重要性はもちろんあります。しかしその答えが気に食わなかったようですが、重要視、重大視しているということで、これを無視したり、軽視したりするというものではない、この点だけは御了承いただきたい、かように思います。むしろ安全衛生局などはもっと変わったような意味におきましても、整備するものは整備する必要があるのかもわからない、かように私は中身としては思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/19
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020・受田新吉
○受田委員 いま二つの指摘したものは臨調の答申と逆な方向に整理されているということを私は伺っているわけです。この点、総理は、そこまでは自分は考えなかった、それは木村にまかせたのだというお話のようでございますが、木村さんはこの臨調の答申が労働省の中の行政改革では安全衛生、災害防止を重点に部局を大いに強化しようという、この問題はお忘れになっておられた。……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/20
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021・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 これは木村君にまかせたということじゃなしに、労働大臣と木村君との間で話ができた、所管大臣がきめることだ、かように申しておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/21
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022・受田新吉
○受田委員 所管大臣がきめても最終的には行管長官が法案を出されておるのですが、私は臨調の答申というものはやはり重視して、そういう具体的措置についてもその線でお考え願わなければいけないのが、逆の方向へいっていることを私は非常に残念に思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/22
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023・木村武雄
○木村(武)国務大臣 臨調答申は、私も長官になりますと熟読玩味してみました。十六項目でありますけれども、まことにりっぱなものだ、私といたしましては、ただ一つだけ自分では非常に疑問のものがありましたけれども、それ以外のものはすべてりっぱなものだ、生かしてみたい、こういうように自分は考えたのであります。それができ上がりましたのは昭和三十九年の九月、つくってなぜこれを実行しなかったのかということを聞いてみたのです。それから確めてもみたのであります。ところがそこが問題点なんであります。自分がそういうものをつくる場合に参画しないものに対しては協力しない、それは非常に困るのであります。そうでありますから、やはり臨調答申を生かそうとすれば、何としても全体の共同作業というものが先に立つのだということ、私自身が探りを入れまして体験したのであります。それで、三年計画案というものは臨調答申を生かすことを前提にして共同といいますか、共同作業、こういうことにしたのであります。生かしてみたいからそれをやったのであります。いま受田委員も御指摘のとおりに、臨調答申では労災や青少年というのは拡大すべし、重要視すべし、こういっておりながら、さて省庁だけで相談させますとそういう結果が出てくる、そういうところにちぐはぐがあるのであります。それをちぐはぐだからといってそのままにしておくと政治になりませんから、両方を生かしながら一体どうしてりっぱなものをつくろうかという点で苦慮いたしておる次第なのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/23
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024・受田新吉
○受田委員 すなおに答申と違った答えが出たことを申しておられるわけでございますが、佐藤さんはすでに四年近く総理をやっておられる。したがってあなた御自身が非常に御苦労されておることを私、よく知っている。これは国会と内閣との関係、また政党と内閣との関係、その間の調整で非常に苦労をしている、法案が渋滞したり、つまらぬところで時間がかかり、けんかをやる、こういうようなことで行政運営に非常に支障が起こっている。それから大臣御自身が出なければいつも委員会が開かれないということで、行政各部の長官がいないので各省庁の仕事が国会開会中は渋滞する。こういうようないろいろな支障がある。そのうちに、大臣がおらぬ管理体制が確立せぬから、したがって汚職事件が続発して、この責任体制が不明朗なままでわいろをどんどん取り上げるようなお役人が続出しておる。それが民間に入り、公団に起こり、いまや汚職天国のような観を呈するようになっている。これは非常に私は残念だと思うのです。したがって、国会と内閣との関係を円滑にし、また内閣は、たとえば自民党の各派閥との調整の上に強大な指導力を総理が持っていただいて、国会との関係は各党との話し合いを中心にして円滑にいくというならば、西欧民主主義諸国家のような実に円滑な国会の運営ができると私は思うので、そのようにひとつ行政機能の拡充強化をはかり、また簡素化、能率化をはかり、両面を生かす責任者として総理大臣の責任が非常に重大だと思うのでございますが、具体的にその点でお尋ねをします。
総理はこの機会に、総理のあまりの繁忙さを防止するために内閣法に規定してある副総理、内閣総理大臣代理を置いて、あなたにかわって国会との折衝、党内との折衝、行政各部との調整をはからせて、あなたの重荷を幾ぶん軽くする。ジョンソン大統領のもとに副大統領があり、各国ともそうした副総理格の者を置いて行政運営の能率化をはかられておるのですが、総理大臣の行政運営の能率化をはかるために、このあたりで吉田さんの先例にならってひとつ副総理をお置きになってはいかがか、非常にこれは大事なことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/24
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025・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 たいへん私の立場に御同情をいただきまして、同じ選挙区の受田君、私に対しても同情、理解がある、こういうように思いますが、ただいまたいへん元気でございますので、ただいまのような御心配のないようにお願いします。副総理の問題については、これは置こうとすれば置ける状態でございますから、この点では必要に応じまして私どもが処置する、おまかせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/25
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026・受田新吉
○受田委員 私は、同時にこの共管事項のある仕事については、閣内閣僚会議、すなわちインナーキャビネット制度というものを採用する。たとえば観光行政——これは観光局を廃止している。国立公園局を廃止している。国立公園局は自然景観を守るという側でありますから、観光部門は施設のほうだけに限られる。通産省の近代的な産業施設を観光の対象にするとか、建設省の自然港及び大きな橋梁、こういうものも観光資源になってくる。そして文部省の大事な文化財を建設省の道路建設のために破壊しなければならないという問題が起こっているようなときに、その総合調整は総理大臣がおやりになる責任があると私は思うのです。そういうような観光行政の、これから前向きの国策としてのこれを、大事な局を二つまで廃止しておるという、こういう状態を見るときに、総理府の中に単なる閣議決定の機関としての観光政策審議会という連絡会議のようなものがあるだけでなく、二つの大事な部局をなくしておる。この際に観光行政の一元化という問題もあわせてお考えになるような、そういう問題を閣内閣僚会議とあわせてどうお考えになるか御答弁願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/26
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027・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 どうもインナーキャビネットという制度は私はあまり適当でないと考えております。大臣によりまして何か格が違うように思われて、これはたいへん迷惑で、このインナーキャビネットの制度は考えません。
また大出君が先ほど言っておられる共管というものを整理しなければならない、これはもう私もさように考えております。やや関係があるからといって、いまの観光行政——まあ公園を主にするのか観光を主にするのか、そこで考え方もいろいろ変わります。あるいは文化財を中心にするかで変わりますが、とにかくいまの観光行政の一元化——今回ショック療法をやったとおっしゃるのですけれども、蛮勇をふるう次の課題ではないだろうか、かように私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/27
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028・受田新吉
○受田委員 特にこの人事管理体制を確立するため、いま総理府に人事局がある。各省間の人事のアンバランス、その待遇差、公務員試験に合格した者だけがエスカレート式に昇進していって、四十歳から四十五歳くらいで局長になってやめなければならぬ。五十五くらいまでは勤務してもらう大事な人が四十五歳でやめてしまうような現象が起こっておる。一方において、官学と私学との間のバランスがくずれて、力のある関係もあるけれども、試験制度だけでいけば東大がほとんど大半を占めるような官僚機構になっている。したがって、官学の三倍もある私学出身者も、たとえば公務員試験でいまの二倍、三倍を採用して、合格さして、その中から人材を選抜するということになれば、そういうもののアンバランスがある程度ゆるやかになる。そして、エスカレート式の、早く四十歳くらいから局長になって、もう四十五歳でやめなきゃならぬということをなくするためには、ただ試験のマル・バツだけで人間がきまることでなくして、本人の努力を十分認めて、希望ある公務員をどんどんつくっていくようにすれば、汚職も、またいろんな腐敗堕落も防止できると私は思うのです。希望の持てる公務員をつくらせるという意味で、いまの登用制度というものの中には欠陥がないか、お答え願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/28
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029・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私は、人事局で各省の間の均衡のとれること、また一ぺんきまったら、その役所だけで、他に行かない。いわゆる、大蔵省ならば終始大蔵省、あるいは郵政省なら終始郵政省、こういうことでは実際にうまくはいかない、かように思うから、人事局がそういう意味のあんばいをすることも——一つの欠陥はございますよ。たとえば、いまの防衛庁みたいに寄せ集め人事で、必ずしも最優秀の者は来ない、そういう欠陥はございますけれども、とにかく人事局で、各省に片寄らせないこと、それからもう一つは、いま官立、私立の学校のお話が出ておりましたが、われわれの時代とは変わって、よほどそのような点は改善された、私はかように思いますが、いまなお特別に、まだ学校閥というものがあれば、これはさらにメスを入れて、平等な扱い方をする、この上とも努力をいたします。この点では、具体的に十分注意をいたしたいと思います。
それからもう一つのマル・バツの試験制度というものは、これは一体どうなのか、ずいぶん疑問はございますけれども、いま、みんなマル・バツになっておるようですから、そういうことでやらざるを得ない。そしてまた、一たん採用された者が、途中で試験を受けて、それによって資格が変わるということ、これはいかがなものでしょうか。それは団体自身で、その人を適材適所に見ていくほうがむしろいいんじゃないだろうか、あるいは地方自治体等においても、一応五年ばかり勤務したところでもう一ぺん試験する、それがマル・バツの試験だ、このことがはたしていいか悪いか、私はもうちょっと研究さしてもらいたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/29
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030・受田新吉
○受田委員 この人事管理の体制を確立する意味で、いま総理は、人事局に各省間の人事の交流等の仕事をやらしておるということでありまするし、それをさらにもう一歩強化して、試験制度の改善、試験委員を各方面から公平にとること、官私の区別をできるだけ緩和すること、それから、エスカレート式に順調にいく人と順調にいかない人との間の差がひど過ぎることを調整して、能力、能率主義でいく人事管理体制というのも含めた、総理府の強大な人事管理をやっていただくならば、公務員の不平不満も非常に少なくなるし、わいろをとって生活費を補うような悪い印象もなくなる。私は、その点で、ひとつ公務員の勤務の厳正——大臣から一係員に至るまでの勤務の厳正と腐敗堕落の行政、汚職を絶滅するための意欲を、総理から、どういうなにを持っておいでるか、ひとつお答えを願いたいし、時間がないので、もう一つ一緒にお答えを願います。あわせてもう一つ、追加いたします。
私がいまさっき申し上げた国会と内閣の関係、そしてまた内閣と党の関係、党を握る関係からいうと、党内派閥の解消の問題、国会対行政府の問題、また地方自治体との問に大幅な行政事務の委任をやって、判こを少なくして、大衆にサービスする方策、お役人のところへ行くと、何日も何日も——一日じゅうでなくて、幾日もかかってお願いした書類の印をもらうというような、民衆へのサービスがいかにも冷酷だという問題もある。役人は国民にいばっておる、したがって役人は国会でいじめられる、国会議員は役人にいばる、またわれわれは国民に最敬礼する、こういう因果関係というようなものをもっときちんと何とかしなければいかぬ、ひとつ役人のいばり、つまり行政事務の渋滞、民衆への不親切、これをなくするために、総理、あなたが官僚御出身であるがゆえに弊害をよく知っておられるのですから、ひとつこのあたりで、四年近く首班として御苦労されておる機会に、対国会、対内閣、対地方行政、対民衆の対策で何らかの名案をお持ちであるならば、腐敗堕落の汚職絶滅の方案とあわせて御答弁をいただき、総理大臣の強大な指導力を大いに激励を申し上げて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/30
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031・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 いま管理機構、行政機構、これが直ちに汚職を生むというだいぶ論理の飛躍があると思いました。これは別のものとして、とにかくいま汚職という問題が至るところにある。それはたいへん私も残念に思っております。ことに内閣総理大臣として、最高の責任者、あらゆる場合に、これは汚職絶滅を要求されるその立場にありますので、ことに決算委員会などにおきましても、たいへん強く汚職絶滅を言われておる。まあ、そのつど同じことを申して、たいへん恐縮なんですが、私は、いま各人の責任の所在が明確になること、服務紀律が厳正に守られること、同時にまた内部監察、そういう制度の徹底——行管などもそういう仕事をいたしますけれども、さらに自分自身でやる。だんだんそういう意味の信賞必罰等の問題もございます。しかしやはり何といっても、公務員は、全体に奉仕するという、そういう気持ちで、その倫理観に徹しないと、汚職の問題はつきまとうのじゃないか。ただいまも御指摘になりますように、日本では昔からどろぼうにも三分の理ということがある、そういう意味で、汚職をしたことについても、あるいは月給が安いからとか——それならみんな汚職するのかというと、そうでもないのですから、いわゆるどろぼうにも三分の理の、そのほうじゃないかと思うのですが、そういうものがございますから、その辺をもっと倫理観をはっきり立てる、これは絶対に必要だろうと思います。とにかく私も、この上とも汚職の絶滅に努力いたしますけれども、しかし公務員ばかりを責めてもいかない、これは社会風潮そのものにこういう問題が浸透しておる、そういうところにあると思います。公務員が言われ、また政治家がいろいろ批判されるのは、やっぱり公務員あるいは政治家というものが、国民の師表とまでは申しませんけれども、一番明るい場所にいる、そういうたてまえから、そういう場所にいる者は、特に気をつけるべきであろう、かように私は思います。
それから国会と内閣の問題ですが、これは一応三権分立ができておりますから、これでいいはずなんですが、どうもしかし行政府、立法府、その両者がお互いにかみ合って、そこにせつ然と区別がなかなかできないのじゃないか、かように思います。そこでもう一つ考えるのは、私どもいま国会中、これは皆さん方は国会を通じて働かれるのは当然でありますが、内閣のほうの行政府は、国会開会中だというと、ほとんど行政事務がストップのように、各省大臣はみんなここへ引っぱってこられる。先ほど言われる政務次官もさらに次官——事務次官だけ残っておりましょうが、各局長等が政府委員としてみんな出ている。これは私たいへんな問題だと思います。
これを英国流の国会制度、内閣制度、米国流の国会制度、内閣制度、こう見ると、どうも日本の国会はときに両国の一番悪いところだけとっているんじゃないだろうかと思わざるを得ないようなものがあります。アメリカの場合はあまり国会に大臣は出ていかない、ときどき証言はするけれども。そうして立法そのものも国会においてやっている。ところが英国の場合はこれと違って、やはり内閣の連中が出ていく。しかし審議の模様を見ると対立はどこにもない。これはたいへん長い間の歴史が対立を解消さしたんだと思う。あの審議の模様は皆さん方もごらんになっただろうと思いますが、議論は議論、だが非常に激するようなことはないように私は思う。お互いにあの演壇で卓をたたいてはいかぬとかあるいはこの線から出てはいかぬとかなかなかよく守られている。こういうことがございますが、しかしイギリス流の悪いところというのは、みんな大臣をくぎづけにすることなんです。それをやられておる。そうして米国式の問題で悪いところといえば、今度は立法から行政にまでみんなタッチする。ここらに問題があるんじゃないだろうか、かように思います。
これは私非常に率直な言い方をいたしますので、これについては御批判もあり、またこの説に必ずしも御賛成ではないだろうと思いますけれども、しかし大筋はそういうように思います。これらの問題はこれからだんだん変わっていく問題だろうと思います。
その次に派閥の問題に触れられましたが、自由民主党の派閥は、これはひとつ私どもにまかしていただいて、それぞれの党にそれぞれの問題がおありのようですから、それぞれの党もどうか派閥の問題がないようになさるように、それを皆さん方のそれぞれの立場の党にお願いをしたらいいかと思います。
それからもう一つは、最後に、国民にサービスしろと言われる。これは先ほど大出君も、これからは行政が民主化することだ、こういうことではっきり方向を示しておられます。私はそのとおりだと思うのですが、そこで国民にサービスする場合に地方に移譲しろと言われた。地方に移譲というのはどういう意味なのか。いま一つの問題になっておるのは、各省が地方に出先機関を持っている。この出先機関は困るからひとつ整理しろ。この出先機関は地方自治体とどうも重複する、こういう考え方が言われておる。ところで今度はそれじゃ地方自治体にまかすのかというと、これにはいろいろ条件があり、これは大出君指摘の専門化するという、そういう問題もありましてなかなかうまくいかない。これはもうことばだけでは一応国民にサービスする、その方向はわかりますが、実際問題としてどういうようにしたらいいのか。いま私が申し上げたいのは、この地方自治体というものをもっと強化する、そういう意味の行財政の再分配の問題が一つあります。地方出先機関はなるべく整理する、そういう方向にいまなっておる、かように思いますが、これは方向だけの問題です。ただいま言われました民主化の方向、それをどういうふうに具体化すればいいか、これはいますぐの問題でもありませんがひとつ御検討おき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/31
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032・三池信
○三池委員長 鈴切康雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/32
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033・鈴切康雄
○鈴切委員 きょうは一省一局削減について問題がしぼられておりますし、問題点があまりにもはっきりしておりますので、論議が重複する点もあろうと思いますけれども、その点は了承していただきたいと思います。
行政機構の簡素化及び能率化という観点から、総理はみずから一省一局削減としてのショック療法を打ち出されました。局の所掌事務そのものの整理を含んでいないので、簡素化あるいは能率化がはかられるということは、どういう理由からでありましょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/33
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034・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 これは早い話が、まず判こが一つ減るということですね。共管事項、お互いに合議しなくとも済むだろう、こういうことでございますから非常にはっきりしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/34
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035・鈴切康雄
○鈴切委員 総理が、要するに行政改革はこれからだ。前向きの姿勢を示されるとするならば、当然具体的に行政機構の簡素化の腹案かあるいは計画がなくてはならないと思うわけですが、どういう構想を持っておられるか、その点を具体的にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/35
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036・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 具体的には、各省大臣にそういう点を研究するようにちゃんと指示しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/36
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037・鈴切康雄
○鈴切委員 総理は、行政機構改革の推進の基礎資料をつくるために、全省庁の機構、人員配置など総点検をするよう指示されましたけれども、その点検の内容はどのようにされておるか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/37
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038・木村武雄
○木村(武)国務大臣 行政管理庁は管理庁の立場に立って総点検をやっております。それとは別に各省庁は各省庁で、どうしたならば自分の担当しておる行政の簡素、能率化をはかることができるかという具体案は、六月三十日までに出してもらいたい、こういうことを指示いたしております。それを全部突き合わせまして、八月一ぱいに具体案を作成する計画であります。それができ上がらないうちは、いまだ作業中でありまするから、残念ながら具体案を御提示申し上げることができないのでありまするが、八月一ぱい過ぎますると具体案を御提示申し上げることができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/38
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039・鈴切康雄
○鈴切委員 三十九年の七月に部から昇格しました厚生省の国立公園局、昨年の八月総理裁断でようやく設置されたばかりの労働省の労働安全衛生局の削減は、これは朝令暮改だとも思われるようなやり方であります。行政機構の部局は、規模の大小にもかかわらず、国民生活への奉仕と行政需要を勘案されなければならないのに、法務省あるいは郵政省あるいは自治省、経済企画庁、科学技術庁と小規模部局に一省一局削減がしわ寄せされておるように感ずるのであります。職員の士気を弱めるような不合理な削減のしかたをするのについて、私にはよく理解できないわけでありますけれども、総理の考えは何に基づいてやられておるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/39
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040・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 先ほどから安全衛生局や国立公園局、青少年局等々の話が出ておりますが、これは私が各大臣に、その省庁において整理するとすればどういうものをするのかということで、大臣にまかしたわけであります。これは先ほど木村行管長官の答えでひとつ御了承いただきたいと思います。
また、ただいまのような問題がいろいろございますが、そういうことを言わないで、いまの状態において一番行政に悪影響なしに整理ができるもの、そういうものを各省で考えろ、こういうことでございます。したがいまして、局の規模の小さいとか大きいとかいう、こういうことも一つあるだろうと思いますし、また今後の持って行き方もいろいろあるだろう、かように思います。これらはみな各省大臣にまかしてあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/40
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041・鈴切康雄
○鈴切委員 いま各省大臣に一切をまかしてあるとは言うけれども、しょせんは、チェックするところは行政管理庁であり、最終的には総理だと思うわけであります。そういう意味において、いろいろの問題点がある、そのことについて、具体的にどのように検討されたか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/41
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042・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 鈴切君にお答えいたします。
もちろんそうでございますから私の責任だ、かように御了承いただきたい。ただいまの報告を行管長官から十分受けまして、それでいいだろう、またこれをきめます場合には、閣議も開きまして、閣議決定をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/42
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043・鈴切康雄
○鈴切委員 行政管理庁長官が一局削減すらできないようでは行政改革なんかできないと答弁されたことがあります。一局削減の法案が、かりにいろいろな問題で不成立であった場合行政改革が不可能になるという考え方は私は非常におかしいと思うのでありますけれども、その点については総理はどのようにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/43
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044・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 ただいませっかく御審議を願っている法案ができないのですから、政府自身が授権されない、そういう結果になる、だから政府はやれない、かように実は申したのだと思います。だから、私どもは政府が単独でやれることなら、これはもう政府の責任においてやります。しかし、ただいま法案を審議していただいている国会で、政府に対して授権をしてくれなければ、政府が幾らやろうといったってやれないことだ、それこそたいへんな問題で、国会無視になります。軽視じゃない、無視になりますから、これはたいへんなことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/44
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045・鈴切康雄
○鈴切委員 しかしこの問題は、一つは何か責任を、国会のほうにげたを預けたような感じを受けるわけであります。そしてしかも、行政改革ができないということに対して、これが通らなければほかのほうは全部お手あげだというような感じを受けるわけでありますけれども、総理はそういうふうな行政改革の姿勢でおられるかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/45
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046・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私は国会の審議をお願いし、国会の議決をお願いしております。公明党は絶対反対だとおっしゃるなら何をか申しません。公明党にもぜひ賛成してもらいたいと思います。けれども、それは御都合もおありでしょう。しかし、これは絶対反対だといっても、決はとらないと、政府に権限を与えるか与えないかという国会意思が明確になりませんから、それだけはお願いしたい、かように申し上げます。これは別に責任を転嫁しているわけじゃありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/46
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047・鈴切康雄
○鈴切委員 公明党は行政改革の推進については決して反対するものではありません。しかし、この一省一局削減にはあまりにも問題点がある。その時点においてのいろいろの論議をいまかわしているわけであります。これ以後の問題については総理はどのような姿勢、また具体的に出されるかということは、今後の総理の姿勢いかんにかかっていると思うわけであります。公団、公社、特殊法人、補助金あるいは許認可事務の整理のほうが財政硬直化是正のためにははるかに効果があるのではないか、早く言うならば、一省一局削減の美名に隠れて、むしろおろそかになっているのではないか、そういうふうに私は非常に心配をするわけであります。今後の整理の具体的方針の内容をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/47
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048・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 いま鈴切君の御指摘になりましたように、少額補助金の整理もやっております。また許認可の整理もやっておる。このほうもさらに力を入れて、もっと民間に移すべきものは移していい、かように私は思います。また公社、公団等の整理統合もやっております。これは全体を並行してやるべき事柄だと思います。ことに許認可の整理に御熱心なこと、私はたいへん敬意を表します。この辺がやはり行政のいままでの処理のしかた、これにメスを入れることだ、かように思いますので、そういう意味でこれはぜひやっていく。
それからいま申しますように、一局廃止についてはいろいろ御議論があるようです。先ほど来三党とも、社会党や民社党も必ずしも御賛成ではないだろうと思いますけれども、しかし私は政府の責任におきましてこの法案を出しておりますから、政府の責任をひとつ解除していただくように、この委員会におきましてもぜひ採決をお願いしたいし、そうしてその決によって私どもは行動する、かように責任をとるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/48
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049・鈴切康雄
○鈴切委員 公社、公団並びに特殊法人及び補助金、許認可事務というものについては、何か政府は思いつきのような感じで、そのつどそのつどやっているように感ずるわけでありますけれども、これについては私はかなり恒久的な、三年あるいは五年とかいうようなそういう長期間の一つの構想のもとにすべてを行なわなければならない問題ではないかと思うのですが、そういう点についての御構想がありやいなや、またその御構想があればどういうふうにやられるのか、その点お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/49
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050・木村武雄
○木村(武)国務大臣 許認可の問題でありまするが、これは行政監理委員会及び臨調で調査したものがあります。その調査したものに基づきまして、逐次これを取り上げまして、一々解決する方針をとっておりまするから、根拠があってこれはやっております。
それから公社、公団の整理も同様でありまして、管理庁で調査いたしましたものに基づきまして、これも逐次やっておりまするから、根拠があってやっております。
補助金の整理の問題は非常に大きな問題でありまして、これを一括してどういうように取り扱うかという問題は、現在もやっておりまするが、われわれは問題全部と取り組みまして、三カ年の間に補助金の全体の問題をどうするかということを取り扱う方針をいま計画中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/50
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051・鈴切康雄
○鈴切委員 先ほどもお話がありました総理府本府の内部部局である青少年局が国家行政組織法第八条の機関になる。青少年対策本部となり、青少年局の所掌事務がそっくり同本部に移り、その本部長には総理大臣が当たり、副本部長には総務長官が、そうして同次長が新設されることになっております。総理が本部長となってやることは、私は、一局削減の名前に隠れて、かえってそれを複雑化、強化させるものであって、これが機構の簡素化、能率化にはたしてなるだろうかということを危惧するものであります。府の所掌事務というものは、すべて内部部局におさまるわけであります。所掌事務の規定のしかたが、青少年局と青対本部と全く同じであるとするならば、八条機関というものはどういうことになるのでしょうか。その定義についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/51
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052・大国彰
○大国政府委員 八条機関と申しますのは、非常に広い範囲の機関を包含しておるわけでございます。国の行政機構設置の中で、内部部局並びに地方支分部局を除きました機関全部がほとんどこれに入るというような形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/52
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053・鈴切康雄
○鈴切委員 かつて総理は、みずから激務の中で、内閣補佐官というブレーンを新設しようとされたこともあるように伺っております。本部長となることがはたして実際に総理としてやれるものであるか。かえって複雑、非能率化させるようなものではないか、かように思うわけでありますけれども、その点について総理の御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/53
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054・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 内閣補佐官の話は、先ほど受田君に申しました。それで御了承いただきたい。
また、私の仕事はたいへん多い、したがって本部長がはたしてできるか、こういうことですが、しかし、いいスタッフがたくさんおりますからだいじょうぶです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/54
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055・鈴切康雄
○鈴切委員 総理は先ほど、局だ部だととらわれるということは非常におかしいのじゃないか、そうして、しかも機構の効率化、民主化が推進されなければと言われましたけれども、局を設置するときは、必ずといっていいくらい責任態勢の確立という理由で設置されているわけであります。所掌事務そのものが変わらないで、中二階的な存在をたくさんつくって、はたして機構の簡素化、能率化、民主化、効率化と言えるかどうか、その点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/55
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056・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 局を設置するときに説明している理由はいろいろあります。そうして、それが昨年であった、それを直ちに今度整理する、これはもうあまりにも早過ぎる転換じゃないかというおしかり、これはもう当然だと思います。私もこういうことがあってはならないものだと思います。しかし、各省庁の模様から見ると、設置のときの将来の目標は一つあっただろうと思いますが、しかしいざ現状においてどの局を整理するかとなりますと、一番影響の少ないものが考えられる、こういう意味で新設のものが考えられたのだろうと思います。
私は、今回一局整理ということを申しておりますが、しかし必要なものは、これはやはりつくらなければならない。また、必要なものはどんどん拡大してもいかなければならない。しかし同時に片一方の、もう目的を達したとか法律自身も変わってきたとか、こういうようなものが整理されていかない。ここに一つの問題があるのですから、両者を均衡がとれたように取り扱っていく、これが行政官庁として心がけなければならぬことだ、かように実は思っておるのです。これではずいぶん乱暴だという言い方もありますから、その御批判は甘んじて受けますけれども、ここらに政府の行政府としての責任が明らかにあるわけでありまして、この法案が成立したからといって、公明党が通したのだと、かように申すわけじゃありません。どうかその辺は御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/56
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057・鈴切康雄
○鈴切委員 最後に、一省一局削除はどこまでもショック療法であって、私も、いま総理からいろいろお話を聞きながら、この時点については大きな問題もかかえていると、そのように思うわけであります。総理の一省庁一局削減の指示以後において、行政監理委員会では行政改革についての意見書も提出しております。総理は答申、意見書ともに、どのように具体化されるか、今後のその姿勢について、最後にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/57
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058・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 行政機構というものは、短期間の間に全部でき上がるというものではありません。これはよほど忍耐強くこの問題と取り組む、そしてこれはおそらくいつで終止符が打たれるというものではなくて、行政機構の簡素化という基本的な態度に取り組んでいくことが必要なのだ、かように私は思っております。したがいまして、個々の行為についての御批判はいろいろあろうと思いますが、総体としての方向なりその動き方、これをひとつ御理解いただいて、さらに政府を鞭撻していただくということをぜひお願いしたいと思うのです。先ほど来社会党や民主社会党からもお話が出ておりましたが、私は、たいへん、私どもの考え方について、これはぜひ取り入れていかなければならないものもある、非常に示唆に富んだお尋ねを聞きました。私はやはり行政府の一つの態度の問題だと思いますので、これだけでもう済んだんだ、こういうことではない、かように私は理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/58
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059・三池信
○三池委員長 大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/59
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060・大出俊
○大出委員 例の一局削減につきまして、厚生省としてはどういう経過で国立公園局の廃止に踏み切られたわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/60
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061・園田直
○園田国務大臣 国立公園行政は、国民の保健、休養等に資するために、資源その他を温存をするという意味でございまして、御承知のとおり、国民が公害と相まって、保健、休養のための場所を求めることは逐次増大をしてきております。また一面には、開発によって自然というものが逐次おかされていく。そういうわけで、業務はますます増大し、その任務はきわめて高いものでありますから、三十九年に御相談をして局に設置を見たわけでありまして、今後ともその任務は増大すると考えておるところでありますが、一方、先ほど総理から言われたとおり、国民の行政改革に対する要望、行政機構の簡素化に対する熱意は非常に高いものがありまして、年々とらえてまいりましたが、この実績が上がっていない。したがって、断じて行政の改革の推進をやるのだという姿勢を示すための第一歩として、ショック療法としてその方針を示されましたので、他の局と比して規模が小さい今日、政府の方針に従って、局を部にしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/61
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062・大出俊
○大出委員 実は三十九年の七月にこの委員会で論議いたしました。私も当時論議に参画をした一人でございますが、いま大臣がお話しでございましたように、確かに国民の保健、休養などということについては、都市化現象の激しい中で、特に非常に多くの問題をかかえるようになった。したがって、あのときに相当強い厚生省の皆さんの御発言がありまして、私どももいろいろ検討いたしましたが、なるほどもっともだ、むしろ積極的にこれは協力をしていかなければならぬという気持ちで認めたわけなんです。それだけに、どうもショック療法ということばがいま出ましたが、かと言って、日も浅い、しかもそれによって皆さんが士気を鼓舞されて、これからひとつやろうという意欲を持ちつつある、あるいは持ち始めているというときに、しかもこの局は二百八名という人員をかかえているわけですね。厚生省の中でいいますと、まだまだ少ないのは幾つもあるわけですが、各局のうちでは非常に規模の大きな局に今日なってきているわけです。そこのところをどうも削減をするということ自体が納得がいかない、こういう気持ちなんであります。そこで、管理課、計画課、休養施設課と三つに分かれておるわけでありまして、大体これの現在の仕事の量等含めまして、どんな仕事をどんなぐあいにいまやっておられますか。概括でけっこうでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/62
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063・園田直
○園田国務大臣 局長から御答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/63
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064・網野智
○網野政府委員 概略申し上げますと、国立公園の区域の中にいろいろ建物、ホテルなんかを建てたい、こういう場合に許可を受けるわけです。ホテル以外の、たとえば家屋を建てたい、こういうときには、その許可をやっているのが管理課で、管理課が大体庶務的なことをいろいろやっております。それから国立公園の区域の指定とか、あるいは公園計画を立てる、こういうことは計画課でやっております。それから休養施設課におきましては、国民宿舎あるいは国民休暇村のいろいろな指導をやっております。大体こういったことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/64
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065・大出俊
○大出委員 この局を廃止をするわけでありますけれども、課の編成その他は変わるところは特別にないわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/65
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066・戸澤政方
○戸澤政府委員 局を官房に移しまして部にいたしまして、課の編成等は変えない予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/66
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067・大出俊
○大出委員 そうすると、大臣に承りたいのですが、この面の行政簡素化というのは何が一体簡素化されたことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/67
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068・園田直
○園田国務大臣 国立公園局の使命の重大なことは消えたわけではございません。ただし政府の方針は、そういう大きな方針を示されましたので、その方針に沿うべくこのような措置をとったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/68
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069・大出俊
○大出委員 どうもずばりお答えにならぬようでありますが、私は、何が簡素化されて機構的に何が縮小されたかということを承っておるのであります。なぜならば、ここに出されております法案は、行政機構の簡素化と書いてあります。してみると、この簡素化という名に値する簡素化がなければならぬ。ところが、局長さんがなくなったことは事実でありましょうが、官房のほうに部ができる限りは、部長さんができることになるのだろうと思うのでありますが、いまの機構からいきますと、局長さんが一人おいでになって、あとは管理課長さん、計画課長さん、休養施設課長さんと、こうなっておるのですね。次長制度もこの中にはないようであります。部長制度もないようであります。そうすると、局長さんがなくなって、官房のほうに部ができて部長さんができるわけでありますから、人の面ではこれは減りません。したがって、局というものが部になったというだけのことになると考えていいじゃないかと思うのですが、そうかどうかということと、そういうことになると、これをもって麗々と簡素化というに至っては、どうも理由が薄弱な感じがするのでありますが、そこらはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/69
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070・園田直
○園田国務大臣 数が減ってないことは御指摘のとおりでございます。私のほうではあくまで公園局というものは、だんだんに仕事がふえてくると思う。しかしながら、政府の方針は、国民の要望にこたえて行政改革を断じてやるのだという姿勢を示す第一歩でありますから、総理や長官からも答弁がありましたとおり、今度の一省一局削減のねらいとするところは、大勇をふるって若干の矛盾を捨てて踏み出すということでありまして、今後は治政のほうを重点にして適時適切にやられるのだと考えてその方針に従い、このような無理ができたことは御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/70
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071・大出俊
○大出委員 たいへんどうも適時適切な御答弁でございました。
無理ができたということになりますと、御無理は承知の上ということになりますので、これから先、無理を承知で質問をするということになる。そうなると、これはまことにどうも妙なことになるわけであります。総理に申し上げたのですが、理屈がないというふうに書きますと日本語では無理ということになるわけでありまして、無理なんだけれども審議をしろという無理を、また皆さんがおっしゃるわけでありまして、まことに言論の府、頭をかかえていることになるわけでございます。
そこで、厚生大臣のお立場でお考えになって、今回の政府の方針でございますが、十一月に総理がお出かけになるときに、一局削減をやれとある日突然にものを言った。帰ってくるまでに答案を書いておけということになって、木村さんが中に入りまして、総理が言ったのだからと、にしきの御旗を立てて、いやだいやだと言われる各省大臣をついに一局削減に踏み切らせたということになるわけですね。いまだにどうも、各省の担当に当たられる皆さん並びに大臣は、いままで私が御質問申し上げた限りの方々は、どなたも納得をしていないのであります。そうだとすると、人は一つも減らない、これはいま大臣もお認めのとおりであります。局長が部長になったという程度の改革でありまして、中には、付随して官房長をつくってくれなんというかってなことを言う人も出てまいりましたし、中には、総理府の青少年局のように、実はたいへん大切な仕事でございますから拡充強化でございますと言う方もおいでになりましたり、妙なことになっておるのでありますが、これはやはり何か効果があるというふうに厚生大臣お考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/71
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072・園田直
○園田国務大臣 私は、総理並びに行政管理庁長官がなされた真意というものは十分了解をしておりまして、一つの大きな意味があると考えております。それは、私の局では、先ほど正直に申しましたとおりに相当無理をしておりまするが、政府全般としてながめた場合には削減ができておるわけでございまして、むしろそれよりも、政府部内、国民に対して断じて行政改革を実行に移すのだという姿勢を示し、決意を披瀝して、その第一歩を踏み出したということについて、私は大きな政治的な意味があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/72
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073・大出俊
○大出委員 第一歩を踏み出す方法というのは、何も局を部に直すということだけではないわけでありまして、局を部に直したから第一歩を踏み出したということだとすると、これもずいぶんお粗末な話でありまして、そんなことでもしなければ踏み出せなかったか、行政管理庁はそれなら要らないじゃないかということになるわけでありまして、いままで行政管理庁が長年存在したのでありますから、そのたびに、あるときには何割削減というショック療法めいたことをいつも言ってまいりまして、ショック療法というのは必ず消えてしまったというわけであります。
臨調答申というものが、先ほども総理に申しましたが、相当に実際に調べて、現地を調べて、理論を戦わせて、理論構成をして、国民ないしは官僚諸君も含めて説得力を持つ中身を持っているから、多少なりともあの中で進む方向を向いているということなんであります。
ところが、どうもこれは、理屈も何もない、無理なんだということで、理屈はないのだけれども審議してくれと言われてみても、これはまことにどうも理屈のないものを審議をするくらい審議のしようのないものはないのであります。閣内においでになる園田さんのことでございますから、別のことを言うわけにはまさかいかぬわけでございますし、おまけにお隣に行政管理庁の長官もおいでなわけですから、無理な論議をしろとおっしゃるのですけれども、無理な質問のほうは御遠慮を申し上げます。
そこで私は、行政改革の一つの筋は、さっきもこれは総理に申しましたから、前段、長いものの言い方はいたしませんが、これは憲法六十五条にございますように、行政権というものは内閣が持っているわけでありますから、そういたしますと、その内閣の一つの政治意思というものを国民全体に及ぼしていこうとする努力、これをおやりになるわけであります。そうすると、行政機構というものは、国民全体的な規模で広がっていくのは理の当然でございまして、これは自然の成り行きであります。そのことによって国民は行政の民主化というものを感じて生活をしていくことになるわけでありますから、ただ、その広がっていく自然の成り行きを、どういうふうに自主調整をして、これをコントロールしていくかというところに、行政管理庁の役割りもあり、行政管理というものの意味があると思っているわけであります。
特に、その中で、局長とは何ぞやといったときに、いま明確な筋立てがないのですね。局長とは何だ。いろいろなところに局長さんがおるのでありますが、はっきりしない。それから、行政の機能という面で各省間をどういうふうに考えていくかということになりますと、ここにも定見がないわけであります。見ておりますと、やたらどうも各省がぶつかり合って、めんどうくさいものは審議会をつくってしまえばいいのだということになる。審議会が二百六十三くらいになっているはずです。減らせ減らせと臨調が答申しているのに、どんどんふえる。最近調べてみると、総理府なんか、青少年局をなくす努力をしているかたわらで三つも審議会がふえちゃった。二百六十三になっちゃっている。
いまはおやめになっておりますが、前の竹下官房副長官に聞いてみたところ、官房副長官の仕事は何だと言ったら——彼は私の友人ですけれども、審議会を片っ端から飛び歩いていると官房副長官の仕事は終わってしまうのだよ。いまの世の中というものは、そういうばかげたことになっているわけですね。したがって、やはりそこらの責任の所在、各省でいろいろぶつかり合うと、審議会、総理府所管、総務長官何にもしない、これでは困る。
そういう意味で、やはり一つの大きな筋は、行政機能という観点からものを考えて、権限の重複というもの、共管というものは、極力断ち切っていかないと、そこにばかり勢力がかかり、行政的に人がふやされたり、機構が伸ばされたり、ここでひとつおれのほうもこういうものをつくっておかないとものが言えないのだなんということができてくる。第二次大戦後の英国の行政機構というものを抜本的に変える必要があるという意味で、ホールデン委員会というものができて報告が出ているわけであります。それが近代英国の行政機構の一つの基準になっております。
この中身をずっと読んでいきますと、はっきり書いてありますことは、各行政機関の共管、権限争い、こういうものはもうぴしっと政治的に断ち切らなければだめだということなんですね。だから、できるだけこっちの省に与えた権限はこっちにも半かけを与えておくというようなことはすべきでないというきびしい報告内容です。英国政府はその趣旨に従ってずいぶんそれ以後努力してきております。これは国際的に認められているところです。そして、そのきめられた権限というものに対しては、忠実に責任の所在を明らかにして守っていく。責任を持っていく。その場合に、他の行政機関からこっちの与えられた権限を持っておる機関に対して一切介入しないという原則を確立をする。これをどう骨が折れても、無理があっても、やり抜かなければ、行政機構というものを一つの基準をきめて進めていくわけにはまいらないというところがポイントなのですね。そうすると、この点はどうしてもこれから先考えていただかなければならぬ。
そこで実は、特に先ほど私一例をあげて、公害問題をめぐってのつい最近の大気汚染防止法等をめぐる問題について、総理にも注意を喚起申し上げたわけでありますが、同感の意を表しておられました。本来、公害の基本法をおつくりになるとき、前に坊厚生大臣のときに、私ここで基本法が閣議決定をされるたしか前の日だったと思いますが、長時間、なぜこの公害基本法というものが、厚生省案ができてからここまで骨抜きになって、産業サイドのものの考え方のほうに近寄ってしまったかというところを御質問申し上げた経緯がありまして、翌日の新聞などにも載っておりましたが、そのことをいまさら振り返ってもう一ぺん申し上げてもいたし方ないと思うのでありますけれども、今回の大気汚染防止法その他をめぐる最後の通産省と厚生省の担当の方のやりとりというふうなものを読んでみまして、何ともどうもがまんがならぬ感じがする。国民不在、なわ張り争いだけが残っている。しかも基本法に基づく実施法というものが前に進まない。何とか許可制に持っていこうという立案をされたのが届け出制になってしまっているというふうなこと、ここらあたりを、私は特にこれは厚生省にすべて権限を与えるべきである、預けるべきである。もしそこで問題があるとすれば、総理なら総理が直接、他の省が介入するのではなくて、大臣の意見を聞いて、てっぺんでものを言うべきである。そういう筋合いだと思っているわけでありまして、ここらあたりの経過を踏まえてどういうふうにお感じになっておるかという点を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/73
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074・園田直
○園田国務大臣 ただいま重大な社会問題になっておりまする公害、しかもそれは非常なスピードを要求しております。しかしながら、これに対応する公害の行政組織は必ずしも十分ではなくて非常に弱い。弱いという点は、私のほうから申しますると、環境衛生局の中に公害部をさきに新設いたしましたが、人手が足りないという点ばかりでなく、御指摘のとおりに、法案の成立の過程を見ましても、法案をつくる場合に、各方面の意見を聞くことは当然ではありまするが、それがやはり共管であるとか、あるいはいままでの習慣、惰性、こういうものから二つの法案がようやく国会末期の今日になって提案できるということは、率直にこれは反省をしなければならぬ問題である。しかも一番大事な紛争処理その他の問題はまだ成案さえできない。そこで、こういう時期に、過渡期としては、御承知のとおりに中央公害審議会を設けまして、その中に幹事会その他をつくりまして、厚生省が中心になって円滑にやろうとする組織はつくっておりまするものの、御指摘のような点が非常に多い。したがって、行政改革の推進というのは、むしろいま御指摘のとおりに費用を減らすということは従属的な問題であって、実際はどのように強力に行政を推進していくかということが重点でなければならぬ、私もさように考えております。したがいまして、特に公害の問題では、ほかの政策と違って、単に各省の所管する事項のぶつかり合いがあるばかりでなく、折衝しました機会に一番苦労しましたことは、公害というものに対する基本的な心がまえが各省が違うところであります。私のほうは、人間の生命と健康を守るということが公害の主目的であるということについて、他の省ではそれぞれ所管される自分の業態というものから、それが一つの規制を受けないようにしようという観点がやっぱりあるようでありまして、私は、今後は企業も、ありとあらゆる行政も、人間の生命と健康という大きなワク内においてやらるべきであると考えておりますが、そのような基本的の姿勢から調整をしていく必要があるので、非常に困難を感ずるところでありまして、これはやはり公害行政の一元化という方向に向かって前進をしなければ、その成果をあげる意味においても、あるいは長官がねらわれる簡素化という意味においても、なかなか困難ではないか。
なおまた、私が長官や総理にお願いしたいところは、行政の簡素化をされる場合には、削ることも大事ではありますが、それに見合うべきさらによい少数のものを先につくっておいて、あるいは並行して削る。たとえば私が一番感じますことは、国会でいろいろ御質問を受けまして各省でそれぞれ統計調査をやっておるわけであります。統計調査は今後の近代行政の基本でありますから、これの重要なことは論ずるまでもありません。しかしながら、総理府でやった調査、私のほうでやった調査、あちらでやった調査が、それぞれ食い違いをいたしておる。これは目的が違うことからでもありますが、これを一本にしぼって、もっと近代化された、電子計算機を十分に備えた一つの庁、あるいは何か膨大なものをつくって、各省の調査機能をこれにひっくるめるとかいうようなことで、一例でございますが、一方にそのような近代的な将来の行政に備えるものをつくると同時に、一方は削る、こういうふうにやっていただけたらと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/74
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075・大出俊
○大出委員 この複雑化する行政機構、これは先ほど申し上げたような理由で、当然、自然の成り行きなんです。そうでなければ国民の需要は満たせないわけですから、あたりまえのことで、そこに、一つの閣議できめたこと、つまり政策的意思決定というものを国民の間に徹底さしていこうとすれば、それだけ機構は複雑化するのでありますから、それをどういうふうにコントロールするかという先ほどの点に戻りますけれども、これはきのうもこの席で運輸大臣を相手にいろいろ論争したのですが、自動車の番号登録なんかにいたしましても、コンピューターシステムをとるということで、五カ年計画で運輸省は進めてきているのですね。やがて全国どの県で問題が起こっても、一連番号で一ぺんでわかるということになると思うのであります。私の出身が電電公社あるいは郵政省のほうの出身でございますが、電電の分野なんかでは、第三の通信なんというデータ通信が出てきております。あるいはミリ波通信に進もうという段階で、たいへんなものです。そうすると、そういったものを行政機構の中に持ち込んで悪いことは一つもない。これは、何も防衛庁だけがECCM論争をしているのではないわけでありまして、そんなところにそういうものを持ってこなくたって、行政機構の中に持ち込むことはできる。ところが、そういう意味のことをお考えにならないで、実はもとに戻りますが、一局削減ばかり言って、それが第一歩だと言ってみても、私はなかなか問題の解決にならないという気がするのであります。
特に、いま大臣の仰せのとおりに、公害という問題については、行政的にはまさに一元化をする緊急、喫緊のポイントになっているという気がするわけであります。これはばい煙規制法なんかの内容を前に厚生大臣に一ぺん御質問したこともありますが、この都市講座の公害編にずいぶん詳しく書いてありますが、私は横浜の出身でございますけれども、横浜なんかでも、あそこに電源開発の一号機、二号機ができる段階で、私の党の市長でございますけれども、実はずいぶん学者を集めて公害規制に関する横浜方式なんというものをつくり上げて、ないお金をずいぶんかけて実験もし、学者の頭もしぼっていただき、産業関係の皆さんにも御納得をいただく努力をし、一つの契約めいたものまでこしらえて進めてきているわけであります。実はこの過程で、ある方面から、何で大出さん早くやってもらえないのだということを、政府関係の方から、私が横浜の出身なるがゆえに言われたこともあるのでありますが、ものの考え方が根本的に違うのだなという感じをそのときに受けたわけであります。全国の自治体から、いま横浜方式について見学、調査にずいぶんたくさんの人がきております。私は、ここまでくると、国の行政面では、公害関係の行政は、何がどうであってもまず一元化する。意見は聞くべきだが、最終的に決定をする権限は担当の省、ここに一切預けるべきであるという考え方なんです。だから、たとえば大気汚染防止法をめぐりましても、最後の通産省折衝をおやりになった担当の方が厚生省へお帰りになって、ここの新聞にありますけれども、いすにどっかりすわってがっくりして、何とえらい巻き返しかというので力を落とされたというようなことが書いてあります。だから、厚生省の側としては、やはり大気を汚染するその施設の許可制ということでずいぶんがんばったんだろうと思うんですね。ところが、どうも巻き返されて届け出制に変わってしまったということなんです。だから、そこはぜひひとつ行政管理庁あたりもお力を入れていただいて、そういうところこそ国民に一番必要なことなんですから、権限を一本化していっていただく。そうして、でき得べくんばそこから先——厚生省段階でこのセクションの人の数を見ましても、公害部というのは三十人かそこらでしょう。これでやれるものじゃないですね。経済企画庁なんかでも、かつて中西さんが物価対策なんかやっておったところは、ふえても全部で四十七人だなんてことになっているわけです。そういうところにこれしか人がいない。そこもひとつお考えをいただいて、各省が調査する金があるんならば、全部厚生省に一元化するくらいのこともお考えいただいて、人の充足もはかる。その上で、さらにこまかい点は立地条件等もありますから、自治体の力を相当に取り入れていかないと、ほんとうの意味のこまかな規制方向が出てこない、こういうふうに思うわけでございまして、各自治体の方々の意見の中でも、もう少してっぺんで許可制なら許可制という一つの基準をきめて自治体におろしてもらいたい。そうすれば、許可しないぞという権限がここにあるわけでありますから、自治体と産業施設、産業サイドの方との話し合いも進む。だからぜひそうしてもらいたい。横浜なんかの場合でも、あるいは許可制であったとすれば、もう少し明確にてっぺんで権限があったとすれば、またそれなりにやりようがある。ところが、そういうことがはっきりしませんと、どうしても自治体が苦労をする。しかも、むしろ旗立てて押しかけられて一番往生するのは自治体なんですね。厚生省まで押しかけるといったって、たくさんの人は集まりませんが、そこらが横浜なら横浜の磯子の埋め立て地にこういうものができるということになると、連日それこそ何十何百という方々が、しまいには何千という方々が、公園に集まって大会を開いちゃうわけですからね。それをまともに受けるのは自治体なんです。だから、そういう点を十分考えて、もう少しきめこまかに公害対策の行政の面の整え方というものに御配慮を賜わりたいという気がするのでありますが、そこらの点、末端の自治体も含めて、もう一ぺん大臣から、どう考えたらいいかということをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/75
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076・園田直
○園田国務大臣 先ほども申し上げましたが、ただいまの御指摘の御意見のように検討してそういうふうに改善をしていかなければ、公害の実績がなかなかあがらないと考えておりますので、その方面に努力をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/76
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077・大出俊
○大出委員 排気ガスの規制なんかにつきましても同様なことが言えるんですが、運輸省の段階で、どうも厚生省には技術者がいない、こんなことさえわからないのか、厚生省案なんていうものはとという声が出てくるようなことにしておいたんではいけないと思うんですね。だから、たとえばそういった排気ガスの問題について何が一体ポイントであるかというのは、学者を集めればわかるわけですから、そこで技術者が必要であるとするならば、そういう方々のポストもひとつつくって、そういう点はそのように前向きで進んでいただくということにしていただかなければならぬ。そうなれば、片方にあるそれに類するところは、権限はこっちに集中するからこっちは削減する、こういう手を打っていけばいいわけでして、そういう筋書きの上に、ほんとうを言えば私は総理の言うような蛮勇をふるっていただきたい。筋をひとつ立てていただいて、その筋をどうしても通すのだという意味の蛮勇をふるっていただく。いかに反発が出ても、その反発は国民の前に必ずくずれていくことになる。そうしていただかないと私はまずいと思う。いまの一局削減のように、理屈は初めからないのでございますがというような言い方、無理は承知でございましてという言い方では、私は議論がかみ合わないと思う。したがって、国民に対する説得力に欠ける。だから蛮勇をふるわないで、ある日突然に思いついたという意味にとれる、羽田発何時何十分というので、総理は一局削減の草案をおれが帰ってくるまでに書いておけと言って行っちゃった、一体これはどうなるのかという世の中の騒ぎになっては説得力に欠けますから、ぜひひとつそういうふうにお考えいただきたいと思うのであります。時間がきょうはきのうの分が二省残っておりまして、きょうじゅうに何とかいたしません限りは、これは上げるも下げるも取り扱いのしようがございません。一局削減などというものは、行政改革に似て非なるものでありまして、人は減らない、予算はなくならない、局長という方は部長で存在するとか、それは指定職乙の局長さんもおいでになるかもしれぬ。あるいは一等級の方もおいでになるかもしれぬ。名前は、ポストは変わったかもしれないけれども、同じ等級の人が同じところに存在したのでは、これは金は減りっこないのです。そういういまの状態というものなんですけれども、しかし何とかこれは煮て食うとか焼いて食うかしないことには、国会もこれではいつまでたってもらちがあきません。
あと大臣が十四、五人残っておられますが、そういう意味できょうはこの辺でやめておきますので、どうかいまの点は、公害に関する限り、ひとつ長官もどうぞ前向きでお取り組みをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/77
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078・木村武雄
○木村(武)国務大臣 公害対策だけでなくて一元化しなければならないのがたくさんあるわけです。それをどうしてやるかということで苦労しておるのであります。それで先ほども申し上げましたとおり、全体が作業に参加してもらうという体制をとらないとできないのですよ。それですから、各省庁に独自の草案を出してくださいということで、六月一ぱいまでの期間に全部各省庁から出てきたものを見まして、重なるものは全部重ねてみて、そして一元化を考えたい。そして一元化にも協力してもらうようにしたい、こういう考えで取り組んでおりますから、方向は同じなんでございます。
ただ、大出さんもおっしゃったように、最初に大きな具体策を持って、それを国民に掲げて、そして政府が説得するということが一番大切だったかもしれませんけれども、いまだにおそきに失しているとは思っておりませんし、八月一ぱいまでの間に出しますが、そういう具体策をつくる中で私の一番心配しておるものは、行政機構、行政官だけを相手にしておると、間々間違う危険があるということを私の体験から感ずるのであります。そうして皆さんの御意見を聞いておりますと、非常に参考になるのであります。おせじでも何でもありません。私、委員会で一番参考になっております意見は太田君の意見なんであります。そういうものを全部勘案いたしまして、そうしてりっぱな、喜ばれる、あなたのおっしゃる民主化した行政機構の改革をやりたい、こういう考えで取り組んでおるのであります。考えは全く同じでありますけれども、どうかいろいろなお話を出してください。できることならば会議の中に参加してもらったら私は非常に幸いだと思います。行政機構は一党一派のものではありません。国民のものでありますから、どうかもう少し参加してください。そうして、こうしたらどうか、ああしたらどうかと言っていただけたらありがたいと思っております。
〔委員長退席、松澤委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/78
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079・大出俊
○大出委員 一局削減の議論に入りましてから長官とものを言い合ったのはこれが初めてでありまして、ものを聞かずにおりましたが、全部論議をした一番最後にものを言いたいと思っておりましたけれども、いまたまたま御発言が出ましたから申し上げておくのですが、長官は官僚出身でない大臣でございます。総理が先ほどおっしゃっていたように、総理も運輸省におられた官僚出身でございます。ところが、いまのお話の中にあったわけですけれども、いろいろな意見を聞いているとそう簡単にいかないと言う。だから、おそらく一局削減というようなことを出したのでしょうけれども、ところが、ある面ではいまの官僚組織というのは、全く理屈も何もない、ともかく一局削減だと言ったということで、そうですがと言っちゃいないんですね。逆に言えば、官僚組織というのはそんなに弱いことないんですよ。この弱くない官僚組織はけっこう理屈に弱い面も出てくるわけだ。わかっているだけに、痛いところをつかれるとやはり痛いでしょう。厚生省の皆さんというのは、大臣や次官よりはよほど行政の末端まで詳しい。そうでしょう。そうすると、そこを逆に勉強されて、こうではないかと言われれば、それは痛いところは痛い、むだなものはむだなものなんです。削減しろと言われればそうかというところが出てくるに違いない。臨調の答申というものがあれだけ勉強して出されたところに文句を言っている面もたくさんありますが、なるほどという面も今度は逆に一ぱいある。だから、行政管理庁がものを考えるのなら、理論的な筋道を立て、しかも実際を知り、そういう面でひとつものを出していただきたい。そうすれば各官庁の各ベテランが知恵をしぼって、反論をしてくるなり、長官を呼んでくるなり、ますます百家争鳴になる、あるいは百花斉放になるのです。ところが、問答無用だ、とにかく理由はないのだけれども、一局削減してこいと言われた大臣だって困りますよ。自分のところに帰って、官僚の者に、とにかく一局削減するのだ。どういう理由なのだ。理由はないのだ、とにかく一局減らせ。これではベテランの、手がけた、頭のある官僚の皆さんが、とにかくいろいろ意見を出そうにも全然出しようがないのです。理由はないのだ、とにかく一局を減らせばいいのだ、そうすればどれにしようかということになってしまう。そういうことでやったのでは、ほんとうに前に進まないと思いますので、ぜひひとつ、この先行きの問題としては、できるだけ緻密に、きめこまかく、いまの行政というものを分析をされて、臨調があれだけの資料をつくっているのですから、それを立体的に形あるものにして、そしてこれを皆さんにぶつけて、たくさんの反論があれば聞こうという態度で、やはり時間をかけなければ、これは煮詰まるところが煮詰まらぬと思うのです。だから、その努力をしないと、一局削減をやったけれども、中身は一つも減らないで、またぼつぼつふえていくということにしかならない、こう思いますから、ぜひひとつそういうことで御努力を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/79
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080・木村武雄
○木村(武)国務大臣 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/80
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081・松澤雄藏
○松澤委員長代理 鈴切君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/81
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082・鈴切康雄
○鈴切委員 三十九年の四月一日、厚生省は設置法によりまして、国立公園局の前身である大臣官房の国立公園部を独立させましたが、当時の提案された理由についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/82
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083・戸澤政方
○戸澤政府委員 三十九年に国立公園部を局に昇格する際の提案の理由でございますが、要旨は大体先ほど大臣からお話しいたしましたとおりでございますが、国民生活の水準も向上してまいり、レジャーの増大、そういったことに伴いまして、国立公園等の自然の中にそういう保健活動あるいはレクリエーションを求めるという要望が非常に高まってまいりました。一方、この国民的資産ともいうべき自然は、いろいろ商業主義の犠牲となって荒らされる面が多うございます。そういうものを保護しまして、ほんとうに国民の保健の向上のために役立つような施設をつくり環境を整えるということが必要である。そのためにはこれに対する行政の責任体制を明確にして、一そうこの方面の行政を推進していく必要があるということでもって局への昇格をお願いしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/83
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084・鈴切康雄
○鈴切委員 一省一局削減の先ほどの総理のショック療法で、至上命令ともいうべき各省への御通達があったわけでありますが、それについて大臣は、おそらくいろいろ検討もされ、考慮され、そしてついに国立公園局を格下げをするという最終的な判断をされたわけでありますけれども、その経緯と、なお、大臣が決意をされた理由についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/84
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085・園田直
○園田国務大臣 先ほど申し上げましたとおりに、国立公園局の任務なりこれの業務については、公害と相まって国民の保健、休養を求める欲望というのは非常に大きくなっております。と同時に、また逆に、開発によって自然の風景というものがややもするとこわされるおそれがありますので、国立公園局の持つ使命というものはますます大きくなるとは考えております。しかしながら、一方、政府のほうで考えられました一省一局削減というものは、行政改革をやるという決意と実行を内外に示すものでありますから、第一歩としては政治的に非常に価値があるものだと判断して、総理及び行政管理庁長官の御指図に従ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/85
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086・鈴切康雄
○鈴切委員 厚生省の中にも局があります。その局の中で、比較対照して厚生大臣がそのことについて断を下されたというのは、どういう根拠に基づいて断を下されたのですか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/86
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087・園田直
○園田国務大臣 他のそれぞれの局と公園局との任務を考えまして、私の省では今日局を削減するには困る問題が非常に多い。したがって、課及び人員等が一番この局が少のうございますので、やむを得ず国立公園局を最後に選んだわけであります。表によりますと、国立公園局は二百八名になっておりますけれども、これは現場の職員がおりますから、実際の定員は他の局に比べて少ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/87
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088・鈴切康雄
○鈴切委員 いま厚生大臣が言われました、要するに格下げの理由の問題については、そう簡単な理由で、昭和三十九年四月一日に設置されたばかりの法律を廃止するということは、国民はこれは朝令暮改ではないかというように思いもし、そのそしりを免れないと思うわけであります。民主化、効率化を考え、将来のことまで考えた上でなくてはならないのではないかと私は思うのであります。設置法の提案理由にもあったとおり、国民の生活水準の向上と、自然のもとで過ごす人々の数が近年著しく増加し、このような事情と、国民の健康で文化的な生活を保障するため、自然の景観を保護するとともに、利用の増進と健全なレクリエーションを推進するための行政はますます重要の度を加えておると、大いなる期待を寄せられてきた。この国立公園局の職員の定数が少ないとか、事務量が少ないとか、課の数が少ないということは、初めから当然わかっていたはずであります。国立公園局ができて、実績があがらなかったためにこれがやり玉に上がったのでありましょうか。私は、もうすでにわかっていながら、しかもこれから重要な、将来性のあるものを格下げにしたということについてどうも理解ができないわけでありますが、その点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/88
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089・園田直
○園田国務大臣 国立公園局は、局長以下所管の職務に邁進をして、事務が推進していないということはございません。むしろ事務的においても、予算的においても、拡大をした手当てをしなければならぬと考えておりますが、そのほかは公衆衛生局、環境衛生局、医務局、薬務局をはじめとして直接人命に影響する局でございまして、国立公園局もまた先ほど申し上げましたとおり、きわめて大事ではありますが、他の局に比べますとここへポイントを定めざるを得なかった、こういうふうに御了解を願えればけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/89
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090・鈴切康雄
○鈴切委員 今度の新島の射爆場移転の問題についても、あそこには伊豆七島国立公園という非常に大きな問題が存在しているわけであります。国立公園の美観をそこない、自然の保護をむざんにも踏みにじる射爆場に対して、厚生省では、いままで全然伊豆七島に対するところの射爆場の見解を明らかにしていませんけれども、具体的にはどのようなことであるか御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/90
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091・園田直
○園田国務大臣 新島は、御指摘のとおり特別の景観を持つ火山列島でありまして、自然公園法から伊豆七島の一部として富士箱根伊豆国立公園の中に編入してございます。そこで、この新島へ射爆場をつくるということは、調べてみますと、閣議で、日にちは忘れましたが、一年か二年前に出されているようでありますが、私のほうで直接聞きましたのは、新聞に発表になった前日の夕方に新島に射爆場を設けたいからよろしくという文書が来ただけであります。したがって、具体的な計画やその他承っておりませんので、私が最後の態度を示すわけにはまいりませんけれども、少なくともあそこへ発射場ができるときさえも問題があったことであって、今度は射撃をされるほうでありますから、第一に場所がどういう場所を選ぶのか、あるいは地域がどういう地域なのか、面積がどうなのか。たとえばこの国立公園の中には特別保護地区を選定してございます。特別保護地区とは、他に例を見ないような特殊な風景、あるいは火山等の自然科学的な特質を持っているところでございますが、それがなくなるものか、こういうことも詳細に見ないとわかりませんけれども、少なくとも国立公園を射爆場にされるということは、簡単にいっても全然目的が違うわけでありまして、一方は、国を守るためとはいいながら、人殺しの練習、一方は、国立公園というのは、国民が平和に、しかも健康で過ごせるための一つの土台石でありますから、本来の目的から全く相反するわけであります。したがいまして、十分検討しなければならぬと思いますが、種々問題がありますので、私は新聞を見た翌日、厚生省としては賛成しかねるという意味のことを態度発表しておいたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/91
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092・鈴切康雄
○鈴切委員 日本においては非常に景勝が多いといわれておりますけれども、この伊豆七島の国立公園は、東京から言うならば全く手近な広大な場所であると同時に、非常に自然に富んだ場所であります。東京は、御存じのとおりこのようにしてどんよりとした公害におおわれている。その都民がいこいの場所を求めるということについては、まことに重要な場所だと思うわけであります。その点について厚生省としては、四月十日にすでに防衛庁としてはその発表をしているわけでありますけれども、その後の厚生省対の話し合いはどのようになっているかという問題、もう一つは、この国立公園の新島という存在は非常に大切だと私は思うのですが、厚生大臣は新島に行かれたことがおありであるかどうか、その上においてのいろいろの判断であるか、その点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/92
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093・園田直
○園田国務大臣 先ほど申し上げましたことは、四十一年の六月でございました。なお、新島に行ったことはございません。そこで私は、大体の計画なりその他が防衛庁から示されれば、直接自分が向こうへ行きましてしさいに検討したいと考えておりますが、とりあえず防衛庁長官には、国立公園を指定されるということは問題がある、次に、新島というのはまた特殊な島であるから、これについても異論があるので、一方的に決定されては困るという意味のことを申し入れしてございます。同じ政府部内でございますから、防衛庁長官のほうも、具体的にすぐ詳細相談するからということで、その後はまだ何ら具体的なことは相談がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/93
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094・鈴切康雄
○鈴切委員 厚生省の立場から言えば当然そうなくちゃならないと思うわけであります。自然公園法においては、自然の保護と利用をはかるのが目的でありますし、その目的と射爆場の設置というものはまことに異質的な存在であるわけであります。射爆場という特異性にかんがみて、自然の保護と利用をはかることができないのは当然であります。自然公園法の精神に反する結果となり、両方はとうてい存在できないということはいま厚生大臣が言われたとおりで、私もそのとおりだと思うわけであります。
そこで、私は実際に新島へ行ってまいりました。自然公園法においては、自然の保護と利用をはかるのがその目的でありますし、計画によると、いまの試射場は七十七万平米だが、新射爆場の広さは百九十八万平米で、水戸射爆場の六分の一となり、試射場北側の大峯山、丹後山、向山の一部を削り、また海岸から高さ九十メートルのがけを二十五メートルまで削り、非常に起伏が多い表面を地ならしをする。この土量は約一千万立方メートルにも及ぶと、そのようにいわれております。また、防衛庁が削り取ろうとしている白ママ層地域は、日本でも唯一の景観と学問的価値を保有し、国の特別保護地区に指定されております。また、島民はその抗火石によって生活を営んでいるわけでありますが、この自然保護に重大な影響を及ぼす試射場に対して、厚生省としては当然自然公園審議会の答申を必要とすると思うけれども、射爆場に対して今後防衛庁と話し合いの点においては、さらにさらにいま厚生大臣が言われた態度を強く表明されていくかどうか、その点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/94
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095・園田直
○園田国務大臣 自然の景観、風景を保護する私の所管から、当然私の所見は述べるつもりでございます。また、同じ政府部内でございますから、いろいろ相談があって、もしこれに賛成する場合には、私だけでは賛成できませんので、審議会の意見も承るのが当然であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/95
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096・鈴切康雄
○鈴切委員 以上でけっこうです。
〔松澤委員長代理退席、藤尾委員長代理着
席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/96
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097・藤尾正行
○藤尾委員長代理 大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/97
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098・大出俊
○大出委員 けさほど来、総理に、一局削減をめぐる今回の行政機構簡素化に関する法案につきましての基本的なお考えを承ってまいったわけであります。そこで、文部省という分野で今回文化局をなくされて文化財保護委員会などとの統合をはかるという形に変わっていくようでございます。そこに至る経過並びに考え方を簡単でけっこうでございますからお聞かせを賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/98
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099・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 御承知のように、一局削減という政府の方針でいろいろ作業をいたしたわけでございますが、文部省の今回の案は、私から申せば急に思いついた案ではないのです。多少私も経験がございますので、前大臣のころにおきめになった方針でございますが、私の経験から申しまして、日本の文化行政を進めていく上から申しますと、御承知のように省内に文化局というものもございます。それから、古いものに対するいわゆる文化財保護というもので外局として保護委員会もございます。この二つが別々にあるということは、文化行政を一体的に進めていくという上から申しますと、何かやはりもの足りないものがある。むしろ一つにしまして、古いものの保存ということもやりますと同時に、それを踏んまえて、新しい文化の創造に向かって進んでいくという姿勢のもとでやったほうがいいのじゃないかということが一つと、それからまた、文化財保護の問題等になりますと、最近いろいろ問題が各地に社会の変動に従いまして起こっております。こういう問題を的確に判断して、そして処理していくためには、いわゆる文化財保護委員会というような形では思うようにまいらない。また、文化行政はこれから開拓していかなければならぬ問題でございます。そういう点を考えて、これはどうも一緒にしたほうがいいのじゃないかという考え方を私もしておったわけであります。前の大臣もそのような方針で案をお立てになり、今回私もそれに従いまして御提案を申し上げて御審議を願う、こういうことになっておるわけでございます。御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/99
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100・大出俊
○大出委員 三十八年当時、大臣がその当時の文部大臣でおられるときに、ILO特別委員会その他で何回か御質問を申し上げた経過もございます。文部行政に古い経験をお持ちであることは百も承知でございまして、今回の一局削減という中で、ほかの省は知らず、この二つの省は、あらかじめ考えておったものをこの一局削減の線に乗せた、こういうふうに私考えております。たとえば農林省なんかも、蚕糸園芸局なんというものはもともとそういうものの考え方がありました。また、皆さんの場合もそういう考え方があって、通る通らぬにかかわらず、人は先に動いているのじゃないかという気が実はするのでありますが、それはともかくといたしまして、これをながめてみますと、文化局はいまのところ七十人ですね。おまけに文化財保護委員会のほうは五百四十六名おられる。これは外局でございましょうが、したがって、そっちへ七十名持っていくというものの考え方だと思います。
ただ、ここで念のために伺っておきたいのでありますけれども、今日の文化局は、中身をながめてみますと文化課、芸術課、国語課、著作権課、国際文化課、宗務課、こういう課がございます。ここでやっております仕事の面と、特に文化財保護委員会関係のほうの仕事の面とで競合するとか、非常に密接な関係があるとかという部門が特にございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/100
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101・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 政府委員からひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/101
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102・安達健二
○安達政府委員 たとえば所轄機関について見ますと、美術に関しましては国立の近代美術館とそれから国立の西洋美術館と二つございます。一方、文化財保護委員会の所管といたしまして国立博物館というのがございます。これらの美術の展示の施設におきましては、明治のものになりますと、近代美術というようなものもある程度は博物館に所蔵されておるというような関係もございます。それからもう一つ、国立劇場というのが設けられまして、主として古典的な芸能を保存するということでございますが、同時に、国立劇場ができまして、現在の新劇等も事実上利用されておるというような関係がございます。それからもう一つ、文化財保護委員会で無形文化財の保存ということをやっておるわけでございますが、その中で、古典芸能の、たとえば浄瑠璃とかそういうようなものは、同時に現代にも生きておりまして、そういう表彰等につきましては文化局のほうでやる。一方、保存の面では、重要無形文化財の指定というようなことで文化財保護委員会でやる。あるいはまた、伝統工芸の面におきましても、同様な関係で伝統的な工芸と現代工芸とが事実上は同じような人がやっておる、こういうような共管関係がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/102
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103・大出俊
○大出委員 もう一つ承っておきたいことがございます。それは私も実はこの方面は全くしろうとでございまして、たまたま今回の問題がありまして、よくここでは文化財保護に関しまして受田先生が質問するので聞いておるわけなんですけれども、この文化財保護法というもののおい立ちその他は一ぺん調べてみる必要があるという気がいたしまして、ずいぶん古い書物なんですが、昭和二十五年の文化財保護法詳説なるものを少し当たってみたんですけれども、これは法隆寺の焼失問題その他をめぐって急にあのころに問題が世上取り上げられまして、何かこういう法律をつくる必要があるのじゃないかという議論の中からでき上がったような経過があるようでございます。そこで、いまお話しの、この文化財保護というものは大体どんなようなものがあるのだろうかということが当時議論されております。参議院の文教委員長の山本勇造さんの委員会報告書なんかもここに載っておりますが、ここに三つあげられているわけであります。いまちょっとお話の中にございましたが、ただこの詳説を半分くらい読んでみまして気がつくのは、先ほど大臣のお話に出ましたが、どうもここまでくると、現行法というものをもう少し考え直さなければいかぬのじゃないかという面が幾つかあるのであります。そこらについての検討のようなことは最近においておやりになったことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/103
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104・福原匡彦
○福原政府委員 ただいま先生のおっしゃいますように、文化財保護委員会ができましたのは法隆寺の焼失というのが一番直接的な契機になっております。その当時におきまして、文部省の内部におきましてもそういう機運が動いていたかと存じます。いまの詳説の中にもございますが、技術的な面は国立博物館でございまして、事務的な面を文部省の文化課でございますかが担当していたというような状態でございまして、何とかこれを一貫したものにしたいというときに、国会の諸先生のお骨折りもございまして、この文化財保護法ができ上がったように伺っているわけでございます。で、その後数度の改正が行なわれております。特に大きい改正が三度ございましたけれども、最近に至りましてまた国土開発が非常に進んでまいりまして、現在の規制が弱いのではないかという見地から、これについて事務的な検討は怠らずにやっているつもりでございます。ただ、国土開発と文化財保護の調整につきましては、なかなか文化財保護委員会だけで考えて一方的にきめ得る問題でもございません。これは各省との調整その他ございますので、まだ政府提案としてその面からの改正を提案するに至っておりません。これについてはさらに検討を加えて、時期を見て改正についても私どもは提案する時期があろうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/104
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105・大出俊
○大出委員 専門担当の皆さんのほうで、そこに一つの視点を当てられて御検討いただいておるというのであれば、私がこれをおい立ちから少し読んでみて気がつく程度のことはおそらく気がつかれて検討されておるのだと思いますので、きょうは委員長が、まあ土曜日のことでもあり、あまりほかでやっている委員会もありませんので、できればなるべく早く打ち上げたいというお考えのようでございますので、御協力を申し上げる意味で、中身を実は何点か議論をしようと思っておりましたが遠慮いたします。
私、このおい立ちの中でひとつ気がつきますのは、議論の中にもありますけれども、日本という国は古い文化財が、さっきお話が出ました三つばかり、無形文化財等含めてあるのでありますけれども、非常にたくさん残っておる国だというものの見方ですね、私もあるいはそうだろうと思うのでありますが、外国を何回も歩いておりますから、ずいぶん方々を私も見てまいりましたが、確かに日本には日本らしい古いものがたくさん残っておる。その点では諸外国に劣らない。だがしかし、非常に劣っているものがあるというんです。それは何かといったら、機構の面で、権限の面では、どこまでそれを行政的に徹底した管理をし保護をするかという問題、この点が非常に欠けているということと、あわせてその裏づけになる金という面で、どんどん古い文化財がむしばまれていくことに気がつきながら、どうにも手の下しようがないという状態が至るところに見える。だから、日本はそれだけたくさん残っているのだから、規制の面で徹底的なことを考える必要があるということと、あわせて裏づけになる予算、財源というものも、思い切って投入する必要があるのではないかという意見を何人かの人が述べていますね。今日、これができた二十何年のころから見て、大臣いまおっしゃるように、ずいぶん世の中は変わってきているわけであります。大改正のあったことも確かに間違いありませんけれども、かといって、じゃ中身はどうかというと、よくこの席でも別なところで出てくるわけでありますけれども、一体何しているんだという意見が出てくるのですね。つまりそれは、もっと強力な規制が必要ではないか、保護が必要ではないかということと、もう少し国が予算、財源の面で見るべきではないかという主張に要約されるわけです。金のほうの問題は、やはり政治力が伴いませんとできません。したがって、そこらのところを、大臣、これは多くを申し上げたくないので中身を省略して結論めいたことを言っているのでありますが、このあたりでもう少し、世の中にこういうものがこういうことになっているのだという、よく仏像なんかにいたしましても週刊誌が取り上げたりしていますが、日本の法律というのはどこにあるのだというようなことを書いてありますが、そういう点をひとつ思い切ってPRをする方法を考えていただいて、あわせてひとつ審議をする場所においても呼びかけていただいて、もう少し全体としてこれが前に進むような形を考える必要があるのじゃないか。このでき上がりの私どものまだ若かりし時代の論議を見まして、前の方々がこんなにたいへん微に入り細にわたった論議をしているのかという気がするものですから、私どももあわせて責任を感じるものですから、そういう気に実はなったのですけれども、大臣の当面そういう検討の上に立つ政治的なお立場でのお考えを聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/105
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106・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 遺憾ながら同感の意を表せざるを得ないのが今日の実情であろうかと存じます。
ただ、ここ十年ばかりの間に、文化財の保護の仕事もかなり進んではきたと思いますけれども、その方面に特に関心をお持ちの方からごらんになりますと、一体何をしているのか、こう言われてもしかたのないようなもどかしい思いをなさっている方もたくさんいらっしゃるだろうと思います。できるだけそういう点につきまして、確かに材料はたくさんあるのでありますから、それを十分調査の上で仕分けをしまして、保存すべきものは保存していくというふうなことを、もっとてきぱきとやっていかなければならぬと思います。同時に、裏づけとなる予算の点も、私が最初に文部大臣をやりましたころに比べれば、おかげさまでだいぶふえているとは思いますけれども、もっともっとやらなければいかぬということは私も痛感いたしております。今度の改組ということでありますが、それをもって直ちにどうというわけにはまいりませんけれども、この種の行政を進めていく上には、このような形をとっていったほうがいいのじゃないかという考えのもとにやっておりますが、現実はいままであるものをただ二つ一緒にしたという程度のことでございますけれども、役所の組織、機構等についても、さらに今後検討を加えたい。同時に、おっしゃったような方向に向かって文部大臣としましてももっと近づいて進めていかなければならぬ、このように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/106
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107・大出俊
○大出委員 私は総理のおっしゃった、かつまた、行管が進めておられる一局削減そのものには、にわかに賛成ができない立場なんですよ。これは大臣も閣内においでになる一人でございますから、簡単に申し上げておいたほうがいいと思うのでありますが、世の中はだいぶ複雑多岐にわたる、これはあたりまえでありまして、そうすると、憲法の六十五条にいわれるとおりに、行政権というものは内閣にございますから、政治的意思決定をされて、政治的な意思を国民全体あまねく及ぶようにしようとすれば、当然行政機構というものは複雑になり、多岐にわたるわけでありますから、つまりそれは行政の民主化という意味で必要なことなんですね。あわせて各分野が組織と分業という意味からますます専門化して、景気が悪くなるということになると、国の財政政策にたよるというところまで専門化されていると思うのですよ。ところが、これをどこかでコントロールしなければならない。自主調整をしなければならぬということもまた事実でございまして、そのためには近代的な、科学的な知識を導入するということも必要でしょうし、政治的に押えることも必要でしょう。そういう意味では機構の縮小も簡素化も十分理解をしているわけでありますが、ただ何の理屈もなくて、ある日突然に、総理が羽田を出発するときに、各省一局ずつ縮小しておけ、帰ってくるまでにその答案を出しておけということになると、これはどうも、一体それはどういうわけなんだということになる。いやショック療法だと言われてみても、なかなかこれは歴史があって行政組織というものはでき上がっていますから、したがって、そう大根菜っぱを切るようなわけにはいかないわけであります。特に、返すやいばが、総理みずからが本会議で青少年対策を強調されておつくりになった青少年局がなくなってしまってみたり、昨年の八月でございましたが、これまたしきりに力説をされて、産業災害というものを人命尊重というたてまえでなくさなければならぬというので、労働省に安全衛生局をこしらえたわけですね。時の早川さんがこの席上で、ここへ部長が出てきて答弁するのと局長ということで答弁をするのとでは違うのですということから始まって、非常に士気を鼓舞することになるということで私どもは認めたわけです。これは、理屈を言えば、理論的に言えば、行政の中の一つの部門を思い切って伸ばそうとすれば、その部門を、部であるものを局にするとか省をつくるとかいうことをすれば、それが伸びていくことは国際的には通説でありますから、そういう意味では総理が青少年局をつくることも、あるいは安全衛生局をおつくりになったことも、これは臨調答申という面からいっても時宜を得ていたわけであります。ところが今回、突然に一局削減と言ったはいいけれども、御自分で力説してつくられた安全衛生局がなくなったり青少年局がなくなってしまったりということになるとすると、それで、どういうわけですかと言えば、理屈はないのだ、ショック療法だということでは、理屈がないものをここで幾ら論議をしようといったって、これは論議のしようがないのです。
したがって、そういう意味では私はあまり賛成できないのでありますけれども、この文化庁というふうなものは、これはやはりいままでにそうすべきであったのだという気がぼくはするのでありまして、その意味でこれを機会に——いま申し上げたように行政というものは、一つの形をつくることによってその部門が思い切って伸びるということでなければならぬ、そういう運営が行なわれなければならぬ。だから要らないものは思い切ってやめさせなければならぬという反面があるのでありますから、そういう意味でせっかくのこの機会に、思い切ってこういった意味の行政はお伸ばしいただかなければならぬだろうという気がするのであります。ぜひひとつそういうことで、いまの一局削減の筋というものは、私は将来に向かってもう少し行政の理論的な裏づけがほしい。たとえば、いまも厚生大臣と質疑をしておったのですけれども、いま各省の間に共管事項が多過ぎるわけですね。公害問題一つつかまえてみても、大気汚染防止法なんというものが、せっかく所管の厚生省で許可制にして出そうとすれば、通産省から横やりが入って、最終合議の結果は届け出に変わるということになると、しかもその間にたいへんな精力とたいへんな時間がかかっていて、国民がどこかに置いていかれているということになる。
そこで、私は、先ほど申し上げたように、第一次大戦後の英国が、ホールデン委員会なるものをつくって、ホールデン報告というものを世の中に出して、相当な論議を呼んで、これが今日の英国の行政機構の一つの基準になっていますね。その中でも、各省の共管は非常に強力に断ち切れていっているわけですね。だから一つの行政というものはできるだけ一つの省にまとめろ。これは行政の機能説あるいは機能主義に立っているのでしょうけれども、一つの省にまとめて、その責任をその省に預けろ、預けた以上はほかから介入すべきでないというたてまえ、これを貫くべきだというものの考え方ですね。これは一例ですけれども、そういった意味の一つの筋道を立てて、理詰めにやはり機構というものを改革をしていくということでないと、歴代の管理庁長官が大なたを振り上げて蛮勇をふるった言い方をぽんぽんされようが、それがいつも雲散霧消するというのは、そのうしろに確たる基準、確たる理論がないというところに——官僚の皆さん、そんなに弱くはないのでありまして、蛮勇をふるってみても、そのときには黙っていますけれども、あとになってみれば、いつの間にかふえているということになるのであります。そういう意味では、全体からでは大臣からも御協力をいただきたいと思うのであります。当面の文部省に関する問題としては、私はそういうとらえ方をいたしまして、ぜひひとつその意味で御尽力をいただきたい、こう思うわけであります。
そこで、二つだけ当面の問題を承っておきたいことがあるのであります。一つは、この席で取り上げることがいいか悪いかという点もございますが、実は筑波研究学園都市建設という問題がございます。この筑波学園都市建設問題をめぐりましては、ずいぶん各省にまたがりますので、さて一体どこに置かれているのかということで調べますと、総理府でございます。総務長官に先般私から連絡を入れまして、総理府の問題審議のときに、この問題は多岐にわたるけれども、お集まりをいただいて、一ぺん総合的にかつ立体的に論議をしてみる必要があるのじゃないか。たくさんあるものの中から、こっちがぶすぶす、あっちがぶすぶす、水の問題はこうなっておる、商工関係はこうなっておるとか、建設関係はこうだとか、これは運輸省だって気象関係があるのだからこうだとかいうことになっているわけですね。おさまりつかぬじゃないか。大風に灰をまいたようなことを言ったって、どこに飛んでいってしまうかわからぬということを総務長官にものを言ったことがある。そうすると、ごかんべんを願いたいというのですね。総理府はさっぱりわからぬというのですね。では一体、あなたのほうがごかんべんを願いたいというならそれでもいいけれども、どこへしりを持っていけばいいのかと言ったら、事務局、事務局は実質的には建設省でございます。ところが、建設省でございますなんだが、建設省のほうでも、文教だとか云々だとか言われたのでは、これまたさっぱりわからぬ。土地の買収ということで公団なんかといろいろ話し合って苦労している段階でございましてというわけですね。それならいよいよこれは各部門部門に、その部門ごとの御意見を承る以外にちょっと手がない、こういう気が実はいたしまして、しかも当面差し迫った問題をお控えのところでもありますので、簡単にひとつ御所見を承っておきたいと思うのであります。
そこで、東京教育大学でございますけれども、ここに、学内でずっと論争をされてまいりました文学部教授会の審議経過報告であるとか、あるいは将来計画の経過報告であるとか、幾つか資料がございまして、ざっと目を通してみたわけであります。ところが、この中身はなかなか複雑でございまして、必ずしも意見が一致はしていない。しかし、ある部門の方々は、何とか進めたい、こういう気持ちが強くここに出ています。その中では、激越なことばで反対の態度を明らかにしている文学部の部門の方々に、ずいぶんどうも、私どもが読んでみてもがまんのならぬようなことも言いまくっている。まあずいぶん好きかってなことを言ったもんだということがこの中にございます。名前があがって、言ったことばが一々書いてあります。ありますが、ここでそれを取り上げてもいたしかたございません。
私がここでお願いをしたいと思っておりますのは、まとまらないからといって、国の行政の面からする強力な行政権というものを背景にして、反対だなどと言っているのはというようなことで、悪くとればおどかしをかけるような形のもの、さらに悪くとれば、あいくちを突きつけるような、善意に解釈すれば、それとなく小当たりに、将来あなたのためになりませんよというようなことを言うなどということが行なわれるということは、この民主主義をたてまえとする世の中に、しかも教育大学という分野でございますから、極力これは避けなければいけないという気が実はするのであります。そういう意味で、まとまらぬけれども、しかし行政力でこれを移すのだというようなことをお考えになられると私は困ると思っております。なるべく時間をかけて、反対は反対なりの理屈があるのでありますから、それも十分お聞きをいただき、くみ取っていただいて、あくまでもひとつ納得し合うというところにものごとを持っていく必要があると思っております。しかも反対の理由の中には、とんでもないところに行ってしまうのですから、学生というものをどう考えるかというと、学生さんもこれ確かに学園にいるわけでありますが、社会人の一人、社会を構成する一人ですから、そうすると、そういった環境の変化がはたして学生のためになるだろうか。町の中にあっていろいろな方々に接触をするという場所にある、そういう中で学問をしていくということと、それから、広いからいい、環境がいいからいいというだけで向こうへ持っていったということと、将来の教育ということを考えたら、プラス、マイナスがどう出てくるのだろうかという点を相当こまかくついて検討されているのです。その面で片っ方の方は反対と言うのです。そんなところに持っていったのじゃ、教育上あまりよくないんじゃないかということ、これも一つの理論だと思います。だから、そういう意味のきわめて学究的なまじめな議論をしておられます。それだけに私はなおのことそうあるべきだ、時間をかけてその議論を尽くさせるべきである、こう思うのですね。そういう意味で、この際ひとつ大臣に、その辺、行政力で移すなどということを表に出さるべきではないと思っておりますが、いかがなものかという点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/107
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108・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 私も最近の事情がどうなっておりますかつまびらかにいたしておりませんが、基本的なものの考え方として申し上げたいと思います。
筑波のいわゆる学園都市に大学を移すという問題については、一方的に文部省でやろうとは思っておりません。大体東京教育大学が問題になっておりますのも、教育大学の側の意向というものもあって移るという話が進んできた、このように思っております。強制疎開みたいなことはやるつもりはもちろんないわけでございますが、ただ、あそこの場所にあのままの姿でおりましては、あの大学の拡充整備ということが困難である。土地を選ぶとすれば、せっかく用意しておるところだからそこに行ったらどうかというふうなことで話が進んできたと思うのであります。その間いろいろ議論があるということも承っております。おっしゃったように、ことにいわゆる大学でございます。大学につきましては、御承知のように文部大臣はまる腰みたいなものであります。権力的なあれでものを言うつもりはございませんが、十分な納得と理解のもとに将来のために積極的に考えてほしいというような気持ちでおるということでございまして、あまり御心配いただかぬようにお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/108
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109・大出俊
○大出委員 これはさきの文部大臣剱木さんの時代に、私も剱木さんに何べんもここで御質問しておりますし、剱木さんが文部次官でおられた時代から存じ上げておりますが、国会でも山崎始男さんなどが質問をいたしまして、大学の意思統一ができるように、そして無理はしない、そういう意味の御発言も実はありました。それから一学部が反対をしているというふうな学校の中の事情、その場合にその学部を強引に押え込んでしまって——いま強制疎開しないとおっしゃいましたが、それで尽きておるのでありますけれども、そういうことでもこれまた困るわけでございますので、これまた文教委員会等でいろいろ取り上げた時代があるようでありますが、大学の中でいろいろな経緯がありまして、幾つかの部が賛成されたが、この部はどうしても反対だ、まだ議論が続いておるという場合に、その結論に注目はしても、だから行政的にどうというのじゃなくて、どういう結論が出るかを少し時間をかけてながめて、どういう答えになるかということを待ってその上でひとつ考えさせてもらいたい、こういう意味の剱木さんの御答弁もあるわけであります。これはくどいようでありますけれども、一学部がなおいろいろ反対意見をお持ちになっておっても、大学の自治ということも一つ前提になりますし、ぜひひとつ答えが皆さんの中で出てくるところまで見ていてあげていただきたい、こういうふうに思うのでありますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/109
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110・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 大体の考え方は私もそのとおりだと思います。問題は、一学部がかりにある考え方を固執するというふうなことがあった場合に、それを無視してかってなことを言ってはまずいということはよくわかっておるが、同時に、固執するほうの側も、やはり大学全体のためにいろいろ考えていくというふうな柔軟的な態度でお互いに相談する、それを文部省が見守っておる、こういうふうな態度でありたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/110
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111・大出俊
○大出委員 相当な方々のお集まりですから、それなりの議論があってしかるべきだし、あることが当然でございましょうし、それが理由なき反対だということならばまた別でありますが、私もこれを読ませていただきましたが、おのおの相当な理由があります。したがって、ぜひいまのお話しのような柔軟な態度をお持ちいただきたい、こう思っておるわけであります。
そこで、具体的計画、これは大臣から御答弁いただかぬでけっこうでございますけれども、この機会にちょっと承っておきたいのでありますが、文部省の管理局計画課の方々、あるいは教育施設部の整備班の方々等がおそらく担当なんだろうと思うのでありますが、文部関係の計画というものは、いまどんなふうなぐあいになっておるか、長く時間をおかけいただかぬでけっこうでございますから、概略のところを簡単にひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/111
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112・村山松雄
○村山政府委員 文部省関係といたしましては、一応やむを得ない場合には変更することがあるという条件のもとに、東京教育大学ほか二、三の機関を移転予定機関として推進本部のほうに申し入れてございます。そこで四十年度以来調査費がついておりまして調査を続行中でございます。現地調査あるいは地質の調査あるいは敷地造成の基本的な計画のための調査などをやっておるわけでありまして、この調査を四十四年度まで継続いたしたい。そこまでで教育大学における将来計画委員会の審議などをつき合わせまして、具体的なプランができますれば、四十五年度から具体的に移転を開始いたしたい、大ざっぱに言って大体こういう見当で進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/112
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113・大出俊
○大出委員 いまのお話にありましたやむを得ない場合には断わることもあるということでございましたが、これは念のために承っておきたいのですが、去年の十二月でございますが、栗山監理官という方が、教育大学はいずれ断わるかもしれない、こういうことをおっしゃった時代があるように載っております。それから昨年の七月二十一日の文教委員会で、時の文部大臣が、大学の意見が一致していないで移転させることは、文部省が大学の自治を侵すことになるからしない、こう言っている。栗山さんの発言というのはこんなことを受けての御発言のようでございまして、つまりいまのお話の断わることもあるという意味は、この栗山監理官が言っておられるようなことと軌を一にするいまの御答弁でございますか。
〔藤尾委員長代理退席、松澤委員長代理着
席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/113
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114・村山松雄
○村山政府委員 私が申し上げましたのは、移転予定機関が昭和四十二年九月五日に一応閣議了解がなされておるわけでありまして、これは予定でございますから、そういう意味でやむを得ない事情で変更する場合があるというようなことで閣議了解になっておるわけでございます。栗山監理官の発言は、私承知しておりませんけれども、直接これとは関連はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/114
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115・大出俊
○大出委員 どうもたまたま同じことばの言い回しが出てまいりましたので、言う気はなかったのですけれども、出てきたのでちょっといま聞いてみたという程度でございますが、おっしゃる意味はわかりました。
そこで、学校の先生の側ですね、教員の確保といいますか、そういうふうな面で学校側の計画がおありなんじゃないかと思います。そこらのところはどういうぐあいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/115
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116・村山松雄
○村山政府委員 教員の確保という御質問の趣旨がちょっと明確につかみかねますが、大学が移転するというようなことになりますと、申すまでもなく、単に学校の施設を建てて移ればいいということじゃなしに、教員、学生の生活の問題も当然付随して起こるわけでありますから、私どもといたしましては、そういう諸般の計画、何と申しますか、研究学園都市の都市化の全体計画の進行とにらみ合わせながら、教育大学の職員、学生のための住居計画なども文部省としてできることは考えつつ移転の具体的計画を進めていきたい、こういうぐあいに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/116
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117・大出俊
○大出委員 これは行政管理庁あるいは人事院の給与局長などというところに関係があるのですけれども、私がいま申し上げた意味は、学校の先生が向こうに移るとなりますと、いまの都市手当なんというものは職場中心主義でございますから、これは私の専門の一つなんですけれども、したがってやはりそこらの関連も明らかにしなければならぬと思います。そうすると、行きたくても、学校の先生はちょっと給与がダウンするということになりますと、考えなければならぬという面も出てくる。そういうようなこと等がありますし、いまの宿舎の問題もございましょう。生活に直接関係がございますから、そういうような面を含めて実は質問したのでありますが、そこらのところは一体——これはほんとうは皆さんに聞くのではなくて、実は人事院なり担当のところに聞かなければいかぬことになるのでありますが、もし皆さんのほうで見当がついておりましたらお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/117
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118・村山松雄
○村山政府委員 研究学園都市に越される諸機関に勤務する職員の給与問題、特に地域差に起因する給与の問題につきましては、これは各省庁共通の問題でありまして、移転する機関をかかえておる省庁といたしましては、当然、東京より待遇が悪くならないことを希望するわけでございまして、そういう取り計らいができるだけできるように人事院に申し入れてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/118
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119・大出俊
○大出委員 官署指定という方法もございますから、普通にやれば違法でございますけれども、自治体なんかで見てみますと、大体地域給なんというものは、あるいは暫定手当の場合でもそうなんですが、先生にくっついて動いているわけですね。これは違法だと騒いだってしようがない。ぼくら黙っているわけです。文部省は特にそういうことをやっておられるわけですから、まずまあ間違いないのだろうと思うのですけれども、そこらのところも、ひとつできれば早目に明らかにしておくことが必要ではないかという気がする。
それから、これでおしまいでございますが、これは調査費が九百十五万、四十年から四十二年ですね。素粒子のほうの四十二年度予算の五億何千万というものがありますが、これもお宅のほうとの関係なのではないかと思うのですけれども、これらの予算関係のほうはどういうふうにお使いになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/119
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120・村山松雄
○村山政府委員 管理局といたしましては、先ほど申し上げましたように四十年度以来主として土地条件の調査というような意味合いで調査費をちょうだいしておりまして、現地調査、場合によっては地質調査、それから基本的な水道ですとか、あるいは文部省の割り当てを受ける区域内の道路計画だとか、そういうことのための調査をやっています。
素粒子研究所の問題は、実はこれが新設をされれば研究学園都市に持っていきたい、こういう考え方で、あわせて調査もやっております。ただ、御指摘の五億円何がしの問題はそういう意味の調査ではなくて、素粒子研の内容をなすところの大型加速器ができるかどうかの実験のための費用というぐあいに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/120
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121・大出俊
○大出委員 大臣、最後に一つ承りたいことがあるのですが、私が実は困っていることなんですが、定員法のほうに二千七百名ほど大学の先生を組んでおります。ところが、これはどうも私どもとしては賛成ができがたいのであります。これは何も文部省関係の二千七百名をさしているのじゃございません。ございませんが、本来各省設置法で出てくべきものが、どうも一本にまとまって、ぐあいの悪い国家行政組織法のほうはどっか端のほうにくっつけて、各行政機関の職員の定数は法律で定めるなんというのは、ぐあいが悪いものですから削ってしまう。こういうやらずぶったくりみたいなことを考えておられるので、これはそう簡単に通すわけにいかないと思うのであります。もっとも皆さんが強行採決をおやりになるというなら、それは話は別であります。多勢に無勢、いたしかたないのであります。だがしかし、そういうこともまさかおやりにならぬだろうという前提に立ちますと、心配なのは、では一体二千七百名の学校の先生、これをどうするんだという問題になってくる。ここで島根の国立農業学校だとか、あるいは福岡にございます芸術工科学校だとかいうふうなところもございますので、学生さんは入ってきたが先生がいないというと、これもまことに困ったことでありまして、それらが当面どうなっているかというようなことも心配でありますから、その辺のことがひとつ。
それから、そこから先、私も学校の先生はどうしても必要なんだとおっしゃられれば、それはそのとおりでありまして、それだけはひとつ別途通せ、こうおっしゃられれば、もちろん御協力するにやぶさかでないのであります。ところが、どうも一方、どっかのほうの委員会で何もかも通らぬからというので——学校関係の三法がございます。教特法だとか、あるいは外国人学校法だとか各種学校がちょっとくっついております。あるいは教頭さんの地位の問題だとかある。ところが、こちらのほうで、妙な何でも通すのだというようなことになってきますと、なかなか国会というのは各委員会ごとに動いているようで、全体がからんでまいりますので、そうするとこれは二千七百名いないままにこの国会終わってしまったというようなことになりかねない。そうすると、文部大臣の責任あるお立場を聞いておきませんと、私どもどう協力すべきかについての腹がまえができないことになります。おまえさん、担当委員会にいて学校の先生をどうしてくれるんだというようなことを言われても、私も非常に困る。波穏やか、風立たぬままでこの国会終わっていくんだとすれば、私は何がどう間違っても、別な形であっても、どこかにつけてでも二千七百名を通さなければならぬと思っておりますけれども、そこらのところが心配でございますので、たいへん聞きにくいことを聞いて恐縮でございますが、差しつかえない範囲内でできれば御答弁を賜わりたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/121
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122・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 聞きにくいこととおっしゃいましたが、私は非常にお答えしにくい問題でございます。政府としましては、御承知のような案でもって御審議をお願いし、ぜひ成立を期しておるわけでございまして、いまの段階で別の考え方があるのかないのかというようなことを申し上げる段階でもない。やはり木村長官を中心にいたしまして、ぜひとも成立さしていただきたいということをお願い申し上げたいのでございます。ただ、御指摘にもありましたように、ほかの定員がどうのこうのというわけではございませんが、大学の定員増の問題は、大学としては非常に切実な問題であり、教育に支障を来たす問題でもございますので、私どもとしましては、何とかしてこの目的だけは達成するために、極力努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/122
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123・大出俊
○大出委員 国会で審議をいたしておりますから、行政長官でございますから、大臣のお立場でとやかく申せる筋合いではないことは承知なんでございますが、ただ、事教育に関する委員会でもございますので、そこでなみなみならぬ審議のしかたが行なわれるということになりますと、そのことはどうもあまり感心したものでもございませんし、ある意味では、そこまでいかざるを得ないような法案をお出しになった大臣という立場で、審議そのものには責任はございませんが、与野党全く相反する意見でにっちもさっちもいかないということを御承知で法案をお出しになったという意味では、立場が違いますからですが、私の立場からすると、どうも責任の一端が大臣におありになるように思うわけでありまして、変則的になった国会でございますから、大臣からはいかんともしがたいことではありましょうけれども、いま御答弁いただいた点を、最終的にスムーズにいかなる形であろうと考えなければならぬと思っている私どもからすれば、願わくは教育に関する委員会のほうが妙な審議のしかたになってまいりませんように、最悪の場合でも少し先のほうにやっていただければ、その間に処理をしてしまいたいと思っておるわけであります。これは行管長官は耳をふさいでいただければいいので、片づけるものは片づけなければ責任上困るわけでありまして、そういうふうに思っておるのです。党の有力な灘尾さんのことでございますので、大臣という立場で御答弁をいただくつもりもありませんけれども、できれば陰ながら御尽力いただけないものか、これは私の心配であり危惧でございますので、申し添えまして質問を終わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/123
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124・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/124
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125・松澤雄藏
○松澤委員長代理 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/125
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126・受田新吉
○受田委員 文部省関係の行政簡素化の法案における改革は、文化局と文化財保護委員会を一括して文化庁を設置するということであります。いま灘尾大臣は、この構想は前の大臣から持っていたので、いまさら行管が言おうと言うまいと、まことにえたりかしこし、わが意を得たる案であった、行政の簡素化の問題の前にわれわれは考えておった、前の大臣も考えておったという御答弁と思いますが、さよう了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/126
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127・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 私自身が、文部省のいわゆる文化行政を進めていくという上から申しまして、文化財保護委員会がいわば文化財の保護をやっておるわけでございますけれども、そのほかの文化行政と切り離して、別々な機構でもってやることはいかがであろうか、これはむしろ一緒にしてものを考えたほうがいいのではないかという考え方を、私の経験上実は持っておったわけでございます。今回の一局削減の問題に際しまして、前大臣のもとでこのような計画をお立てになってこれを進められたわけでございます。私も心から共鳴をいたしておるところであります。そういう意味におきまして、いま急に始まった構想ではないというふうに私自身は心得ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/127
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128・受田新吉
○受田委員 行管長官、文部大臣は今度の機構改革の上では何らの痛痒を感じなかった、俗なことばで言えば、へのかっぱでもないということに当たる意味を申された。省によってはえらい難渋したところもあるし、また文部省のように、もう御相談にあたってオーケーとあざやかに応諾をされる役所もあったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/128
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129・木村武雄
○木村(武)国務大臣 そのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/129
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130・受田新吉
○受田委員 行管長官、そうするとこれはえたりかしこしで、御要望を受け入れる役所は、まだ何かほかのほうで手をつける必要があったと思うのです。これはもう当然やることを受け入れる体制だったのだから、つまりこれは庁になっておるのだから、まだほかにあると思う。文化財保護委員会というのは、特別職の委員長がおって、四人の委員がおって、いささか上品な機関に見えたが、今度は文化庁という外局になって、一般職の指定職の甲ぐらいの人が長官になって、いばる役所になるという懸念がある。文化財保護委員会というと、何だかやわらかみがあって、文化財を守るのにまことにいい機関であったと私は思っておったところが、文化庁という指揮監督権が一般職の長官によってえらいきびしくやられる印象を受ける。これは私はまぎれもない事実だと思うのです。
文化財保護委員会にかつて委員長として前文部大臣の高橋誠一郎先生がおられたことがあったですね。あの先生がおられたときに、まことにいい委員長を迎えて、二十五年にできた法律で、日本の国宝、重要文化財、史跡名勝天然記念物、新しくそのとき誕生した民俗資料というようなものも出てくる、それへもってきて無形文化財があらわれてくる、まことにおつな改革で、文化性の高い委員会として、国民期待の上にこれは出てきたものです。それが文化庁というようなきびしい印象を受ける役所の中に入ることで、私は何だか角ばった感じがして、まるみがとれて四角になった、あるいは三角になったような印象を受けるのです。これは文化財保護委員会のすでに二十年に近い歴史と伝統が生まれて、それが国民に植えつけられておる。文化財保護委員会といえばそのままずばり国宝、重要文化財等を守ってくれる機関であるという印象を受けてきたわけです。文部省の機構改革については、その他の問題として手をつけなければいけなかったですな。ついでにと言ってもいいけれども、一局削減という結果に事実問題としてはならない印象を受ける。文部大臣御自身が前から考えておった、各省の間ではいろいろそういう何があったと思うのです。
ちょっとここで聞きますが、木村長官、この場当たり的な思いつきのような印象を受ける一局削減に続いて、臨調の答申に基づく本格的な行政改革は、来年度はやるのかどうか、それをまずお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/130
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131・木村武雄
○木村(武)国務大臣 本年度中に具体案をつくり上げます。そして本年度できるものは本年度やりまするが、本年度のものは小さな問題ですので、大きな問題は来年度から着手するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/131
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132・受田新吉
○受田委員 来年度から大きな問題に手をつける、次の通常国会にはその大きな行政改革案を出すということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/132
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133・木村武雄
○木村(武)国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/133
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134・受田新吉
○受田委員 そうしますと、大きな改革案を出すときに、これを一緒におやりになればよかったような印象がある。これは、いまにして思えば、長官の脳裏を去来する感懐は、これを含めてすかっとした大きな問題を来年提案したいな、ややこしいことになったわい、そういう感懐が浮かび出ておるのじゃないかと思います。あなたのようなかつての内閣委員長でもあり、親愛なる先輩として申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/134
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135・木村武雄
○木村(武)国務大臣 いま受田委員から、文化財保護委員会ができました経過における国民の感触、そういうものをお聞きいたしますと、非常にごもっともだと思います。もう半月くらい前に聞いておったならば私非常に迷ったろうと思いますが、そのときには迷わなかったのです。いまではやはりいろいろな気持ちが錯綜いたしておりますから、受田委員のおっしゃいますようなことは必ず生きてくるであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/135
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136・受田新吉
○受田委員 私は、厳密に申し上げまするならば、文化財委員会あるいは文化委員会とかいう委員会規模にして、いま文化局が持っているものをそこへ持っていく。たとえば芸術にしても、国宝にしても、著作権にしても、あるいは宗教の問題にしても、そういう委員会の機構の中に入れたほうが非常にやわらかみがあっていいと思うのです。だから、文化庁というと非常に角ばった印象受けるので、文化財委員会あるいは文化委員会、こういう形のものですんなりした機構をつくっていただくほうがよかったと私は思うのです。文部大臣も、それは別に文化庁でなくて文化委員会という、いまの文化財保護委員会のようなものを広めた意味でもよかったわけですね。それはどちらでもよかったと私思うのですが、国務大臣いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/136
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137・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 その前に、先ほどえたりかしこしというふうな御表現がございましたので、もしかってを許されるならば、もっともっと機構としては考えなければならぬ点があると思うのでございまして、決して今回ただ両方を一緒にしたというふうなことで文化行政について満足している、こういうものではないと私思います。そのようにひとつ御了解をいただきたいと思います。
なお、従来の文化財保護委員会というものは、確かにあの姿において大きな役割りを果たしてこられたと思うのであります。また、文化財というものに対する国民の関心も非常に高まってきた、おかげさまでその方面に対する施策も漸次進んでまいっておることは事実であります。ああいう姿でやられましたことに対する長所は確かにあるのであります。あるのでありますが、また一面におきまして、今日の変動の激しい時代において、文化財をいかにして守っていくか、あるいは文化行政をいかにして進めていくかというふうな点から考えますと、いわゆる行政委員会的な委員会では必ずしも適当でない、いわば行政を強力に進めていく、こういう意味から申しますと、必ずしも適当な組織ではない。そこで、今回の案におきましては、一面においてそういう行政の効率を高めていく、時代の要請に応じた文化行政を積極的に進めていくというかまえをつくりますと同時に、文化財の保護というような大事な問題につきましては、やはりいままでと同様に、りっぱな識見のある方によって御相談を願う、また、文部大臣にしろ、文化庁の長官にしろ、その重要問題についてはぜひその関門をくぐらなければ仕事ができない、これだけの強力な審議会を設けまして、従来のような役割りをりっぱに果たしていただきたい、こういうような考え方をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/137
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138・受田新吉
○受田委員 大臣は、行政委員会的性格のものは必ずしも妙味がないということでしたが、私自身は、より高度のものをいま考えているのですが、文部省という、奈良時代にできた式部、治部、文部、兵部、大蔵、宮内という二官八省時代の名前がそのまま用いられている。非常に旧時代的な文部です。その文部という役所は、できれば、地方に教育委員会ができておる、それと同じように、中央文教委員会とか、中央教育委員会というような形のものをつくって、教育委員会的な性格にする。そこで事務当局ができ、その中央教育委員会を担当する国務大臣がおって、その国務大臣が地方教育委員会を含む中央教育委員会というものを財政的その他において担当する。こういう形のほうが、教育の世界というものが非常にやわらかくて——そうしてその教育委員会を担当する国務大臣は政党の代表でもよろしい。これは灘尾先生でよろしいが、その中央の、文部省にあたる行政委員会の性格の役所の長になる人は、無党派で非常に純粋な立場の人が、そこの中央の教育行政委員会の責任者になっていく、こういう形のものを日本の国は持っていくべきである、私はそういう一つの構想を持っておる。そこに教育の中立性というものを事前に守り、そして政党内閣による担当国務大臣がおって、そこにおける政治責任のほうは担当国務大臣が負う、こういう形をとるべきではないか。私たちが内閣をとったとしたならば、つまりそういう教育の中立性——教育の世界に文部大臣が終始政党の色彩を濃厚に出していく、そうして組合と終始対立激化していく、この教育の世界に著しい対立を生んでいるということは、私はほんとうに嘆かわしいことだと思うのです。せめて教育の世界だけは、かわいい子供たちを守り、そうして教育、文化を守るその世界は、文部大臣と日教組がにらみ合いをする場でなくて、ともに教育を育て教育を守る場に切りかえる、その意味ではいま私が提案したような構想は確かに味があると思いますが、御答弁を聞く必要はありません、感覚が違うのでありますから。だから、そういう姿が、いずれの内閣ができても、そういう中央教育委員会というものは何ものにも支配されない、しかし政治的には予算的措置あるいは文教政策等で、その内閣の色彩がある程度取り入れられるが、その内閣が交代しても、文教の世界は厳として純粋であるというふうに私たちは期待したい。かつて、私、文部大臣は党籍のない方のほうがいいのではないかという提案をしたこともあり、文部大臣をやられる間は、衆議院議長が党籍を離脱されると同様に、文部大臣は一応党籍を離脱していくという形をとられるほうが、内閣の雅量を示す上において適当である、これは終始考えてきておったものですから、そういう前提でいまから私は質問をするわけです。そういう非常にすなおな気持ちで文部の世界を見ていきたいのですから……。
そこで、文化財保護委員会が国宝に指定されあるいは重要文化財に指定された中に皇室財産があるかないか、あれば幾つあるかをお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/138
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139・福原匡彦
○福原政府委員 皇室財産につきましては、原則として宮内庁において注意深く保存されますので、国宝、重要文化財には指定をしないことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/139
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140・受田新吉
○受田委員 江戸城その他京都の二条離宮等を含めた広い意味で皇室財産には一件もないかどうか、部分的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/140
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141・福原匡彦
○福原政府委員 受田先生御指摘のように、若干部分的にはあろうかと存じますが、ちょっといま数字を持ってきておりませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/141
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142・受田新吉
○受田委員 これは皇室財産といえども、国宝に指定されるものもあるし、これはすべきです。それを破壊したときにはやはりこの法律の適用をしなければならない。私は、イタリアという国が、なかなか重要文化財を守る国であって、特に重要な歴史的な遺跡を破壊した者は死刑に処するという、刑罰としては最高のものを科してまで国の遺産を守り続けておる。これは死刑の刑罰があるわけです。そのくらいにしておるが、ここの法律では、最高五年以下の懲役あるいは十万円以下の罰金とやってある。こういう国民が期待し守ろうとしておる大事な国宝をおかすものについての罰則などはもう少しきびしくして、そうしてこれは文部行政の中で、祖先の遺産を子孫に継承するという意味できびしく守っていかなければならない。ところが、最近国宝を持ち出したり、国宝の一部がどこかへ隠れたりする事件がちょいちょい出ておるのを御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/142
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143・福原匡彦
○福原政府委員 ただいま先生おっしゃいました現在の文化財保護法において罰則が現在の時点においてはややゆるくなっているのじゃないか、この点は先ほど大出先生にお答えいたしましたように、私ども今後文化財保護法改正のときには、そういった面は十分気をつけてまいりたい、こういうふうに考えております。
それから、国宝、重要文化財等が文化財保護委員会の目の届かないところで動いているということにつきましては、私ども厳重に調査をいたしまして、これは所有権が動くことについて現在、法の定めで特別な処置はいたしておりませんけれども、それについて、所有権を動かすときに文化財保護委員会に一たん申し出ることになっております。それを申し出ずに動かした場合につきましては、私ども、専門家のほうを通じまして、できるだけあとを追跡いたしまして、正式の手続にかけるように指導はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/143
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144・松澤雄藏
○松澤委員長代理 受田君に一言申し上げますが、文部大臣の予定の時間になっておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/144
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145・受田新吉
○受田委員 大臣だけにお答え願いたいことがございます。大臣、後ほど事務当局へ残ったのを質問しますが、国家の大事な宝を、建設行政などの面から移動したり、あるいはこわしたりしなければならないようなとき、あるいは古跡の発掘等でそこへ道路をつくったりするというときに、これは文部大臣としても十分その間の連絡調整をはかっていかなければならぬ。国の建設が大事か、文化財が大事かという判断のときに、文部大臣の責任が非常に重大になるわけですが、そういうときの文部大臣の判断の中に、両方、つまり、たとえば建設行政の責任者である建設大臣と話し合いをしなければならぬということが現実に起こりますね。そのときに、お二人で意見が合わぬときには、どっちが勝ったとか負けたとかということになるわけです。そのときにより高い機関があって、その裁決をするという形に持っていったほうが、たとえば総理大臣をその処理の最高責任者として規定するということは必要があるかないかです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/145
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146・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 重要な問題につきまして各省間の意見が違う、こういうふうな場合におきましては、もちろんお互いに同じ内閣の閣僚でございますから話し合いをする余地は十分ございますし、また各省間の調整がつかない場合には、内閣総理大臣の手元においてこれを調整もしていただけることになっていると思いますので、結局お互いにけんかのしっぱなしというふうなことで終わるべきはずのものじゃございません。内閣全体として調整の道は講ぜられるものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/146
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147・受田新吉
○受田委員 いまの問題は各省の共管ということが出てくるのですね。それは閣議で御相談され、そうして最後には総理がきめるということに事実問題としてなっていくわけですね。さよう理解して、重要ないまの重要文化財の場合など、それが最終的に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/147
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148・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 国政の重要な問題について、各省間に意見の調整がなかなかつかないというふうな場合、それを調整していただくのは総理大臣のお役目だろうと私は思っております。格別、特別な機関——内閣が最高の機関じゃなかろうか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/148
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149・受田新吉
○受田委員 最高の機関であることはわかっています。しかし、その権限は両方の大臣にあるというときに、その権限争いの処理を総理がやるというような形が実質的にとられておるというお話でありますけれども、そういう問題のときに、何らかの規定をする必要はないかということをいま提案しておるのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/149
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150・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 いま私の申し上げましたようなことにつきましては、特別の規定を新たに設けなくても、現在の内閣の制度の中でそのことが行なわれるものと考えておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/150
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151・受田新吉
○受田委員 それでは続いて、文化局の所管の国語問題、国語審議会があって、そこで一応当用漢字というものが規定されておる。ところが、最近の大学の入学試験の答案、あるいは学生の答案などを見ても——どこにそういう原因があったのか、国語のちゃんとした規定がないばかりに、ひらがなを用いたり、かたかなを用いたり、うそ字を書いたりするように、国民の国語生活は非常に乱れておる。これは国語審議会はどういう審査をしておるのか。文部省は国語教育を、国民の用いる国語をどういう方向に持っていくべきか。戦前の国語教育と戦後の国語教育との間には、非常に常用性を強くし過ぎたために、いいかげんな文字を用い、乱れた使用があって、きょうも新聞に出ておったのですが、大学生の書いた文字の中にはどう読んでいいかわからぬような幼稚なものがたくさん出ておると嘆いておる大学教授が一文を草しておった。こういうようなことで、文部省は、国語教育に対してどういう目標を持っておるのか、お答え願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/151
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152・安達健二
○安達政府委員 戦後、国語の問題を中心といたしまして、むずかしい漢字を使用するということに伴って、むしろ逆にそのむずかしい漢字を使うことによって正確な表現をないがしろにしておるのではないか、あるいはむずかしい漢字を使用するために、さらによりたくさん勉強しなければならないことができなくなっておる、そういうようなこと、並びにわれわれの伝達の方法をなるべく簡単にする、こういうような基本的な考え方に立ちまして、政府も漢字の使用を少なくする、こういう方針のもとに、ただいま御指摘のございましたように、当用漢字表というものが定められ、そして、それによって新聞等の協力も得て現在までに至っておるところでございます。ただ、いま御指摘になりました国語教育の問題について見ますと、必ずしも漢字の制限をしたからそれによってでたらめな漢字を使うようになった、あるいは、ひらがなとかたかなを混在するということになったこととは直接結びつかないと思うのでございますけれども、考え方として漢字を大事にする、そういう精神が、漢字制限という逆の面からやや薄れたことも一つの事実だろう、こういうように考えるのでございます。
国語審議会は一昨年第八期と申しますか、八回目の任期の更新をいたしたわけでございます。その際、従来の国語政策について再検討をする、こういうことで文部大臣から現在定められておりますところの当用漢字表とか、あるいは送りがな、かなづかいというような問題について再検討をしていただくように諮問をいたしまして、現在その諮問にこたえて審議していただいておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/152
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153・受田新吉
○受田委員 これはできるだけ急いだ措置が必要だと思います。
それから最後に、行管は文部省に非常に関係が深いと思うのですけれども、総理府の青少年局の職員は、文部省から行った職員がどれだけおるのか、比率の上からお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/153
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154・大国彰
○大国政府委員 いまその調査はございませんのでお答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/154
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155・岩間英太郎
○岩間政府委員 局長以下四名と記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/155
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156・受田新吉
○受田委員 文部省から局長が出ておる。局長以下四名。四名は管理職でありますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/156
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157・岩間英太郎
○岩間政府委員 局長のほかは一人が管理職でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/157
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158・受田新吉
○受田委員 そこで、文部省から出た局長はまたやがて文部省へ事実帰ってこられる。現実に文部省の出先機関のようなのが青少年局なんです。したがって、この青少年局というのは文部省抜きには考えることができない。もう文部省が主軸でできている局であるといっても過言でない、こういうことになる。国立青年の家はどこが管理しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/158
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159・岩間英太郎
○岩間政府委員 文部省社会教育局でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/159
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160・受田新吉
○受田委員 この青年の家というものに寄せられる青年たちが公平な立場でそこで研修をしていく、政党的な色彩がなくて、もうほんとうの人材がいくというような形でなければ、また青年を一党一派の具にするような、前途のある青年を一党一派の手先にするような形で文部省の機関がこの運営をされては困る。この点も十分含まれて、政治的な色彩が若人の世界にこれを利用する形で食い込まないように、行政の責任者としては、常に公正な立場で日本の将来を背負う青年をひきいる、今度の青少年対策本部ができても、そういう形にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/160
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161・木村武雄
○木村(武)国務大臣 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/161
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162・松澤雄藏
○松澤委員長代理 鈴切康雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/162
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163・鈴切康雄
○鈴切委員 まず、始める前に、きょうは自治大臣が最後でございまして、時間もさほどとらせないと思いますから、よろしくお願いします。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/163
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164・松澤雄藏
○松澤委員長代理 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/164
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165・鈴切康雄
○鈴切委員 行政機構の簡素化、能率化という観点から、総理が一省一局削減としてのショック療法を打ち出しましたけれども、自治省は四局しか事実ないわけです。しかも、国民には密接した局だけに、その成り行きが非常に注目されておったのでございますけれども、こともあろうに選挙局を部に格下げして行政局に統合することをきめられました。この大胆な判断にいささかこちらがショックするような思いでありますが、そのいきさつについて……。
〔松澤委員長代理退席、三池委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/165
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166・赤澤正道
○赤澤国務大臣 今回の一省庁一局削減につきまして、それぞれ関係全部の省庁から大臣が出てきて立場を述べたと思いますが、総理が、去年の秋外遊される前にそういう構想を出されまして、私まだそのときは自治省におりませんでしたけれども、たいへんだなという印象を持って聞いておったわけです。しかし、その後私国務大臣をお引き受けいたしまして、いよいよ実際化することになりました際に、私が非常に強く反対いたしましたゆえんのものは、四局のうちで、やっぱり行政局、財政局、税務局、これは各局のバランスの上から言いましても、事務内容から申しましても、とうていつぶせる性質のものではございませんので、勢い補助体である選挙局を選ばざるを得ないはめにおちいった。ところが、選挙局というのは、御案内のとおり議会政治、民主政治の一つの基盤をつくる選挙というものを所管しておる大事な局でございますし、やはりこういうものは、一つの看板は大事でもあるし、これが将来ともさらに拡大されていく姿が望ましいと考えておったものですから、たいへん困ったわけです。ここにおられる行管の長官には立場をくれぐれも述べまして、ひとつ自治省だけはかんべんしてくれぬかと言いましたけれども、赤澤君、総理大臣が一つの行政改革に対する意欲的な施策を打ち出す前提として、これをきっかけにするというたいへん強い御決意であるので、しかも各省庁とも、それぞれ文句はあるけれども、全部漏れなくということになっているから、何とかひとつしんぼうしてくれと、何べん言ったってこの長官は同じことを言われる。私、総理にも苦衷を述べたわけですけれども、なかなかそういきませんでした。しかし、一たんきまったからには、私もやはり内閣を構成する一員でございますので、泣きごとは言わないつもりです。そこで、やはり格下げということになるかもしれませんけれども、しかし、何も人員削減をするわけでもございませんし、局を構成しておった諸君にはたいへん気の毒だけれども、しかし格段の努力をして、さらに倍旧の信頼を得られるようにひとつ御努力願いたいということを言うつもりでおるわけでございます。何も私好きこのんで選挙局を部に下げるわけではございませんので、そこの苦衷というものはお聞き取り願いたい。それから先のことは行管の長官のほうへお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/166
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167・鈴切康雄
○鈴切委員 いま大臣からいろいろお話を伺っていますと、どの省庁も全部やるのだ、一省に限って特別の扱いはできないという行政管理庁の御意向であったので、たいへん残念であるけれども一局削減をせざるを得なかったと言われる本心は、選挙局は削減の対象からはずしてもらいたかった、そういう御内意であるか、さもなくば、選挙局は歴史も長いし、まさか出してもその対象外になると、そのように期待をされておったのですか、どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/167
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168・赤澤正道
○赤澤国務大臣 両方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/168
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169・鈴切康雄
○鈴切委員 私は、いずれにしても、自治省といえば選挙局、これはもうイメージであります。そのイメージを、一つは選挙局を格下げをするという、たとえそれが四局であろうとも格下げをするという、そういう姿勢自体に私は問題があると思う。むしろこの問題だけは何が何でも自治大臣は、からだを張ってもこの問題は阻止をすべきが、私は大臣としての骨のある行き方ではないかと思うのです。そういう姿勢がないから、世間で言われるように、政治資金規正法等については骨を抜かれてしまって、すっかり骨なしになってしまっているんじゃないか、そのように言われているんじゃないかと私は思うのですが、大臣はどのようにお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/169
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170・赤澤正道
○赤澤国務大臣 あなたがいまお述べになったことと寸分違わぬことを木村長官に述べたわけでございます。その結果でございまするので、そのところはそういうふうに御理解をお願いいたします。
それから政治資金規正法につきまして、私は何もふまじめな考え方を持っているわけではございませんので、きのうの本会議でも、何か私が最初からぶちこわしにかかっていたような御発言をなさった向きもありますけれども、どの政党からも、みなそれぞれ審議に加わっておられました。ですから私がこの審議の期間どういう発言をしたかということは、克明に知っておられるはずでございますので、あまりそういうことは——あなたの党からも、名前をここで申し上げるまでもなく出て知っておられるわけですから、一体赤澤委員はどういう立場でどういう発言をしたかということをお聞きになって、それでおまえはけしからぬとおっしゃるのならば、私は甘んじて受けますけれども、それを確かめないでそういう御質問をいただくのは、私としてはどうも納得がいかなかった、こういういきさつもございます。ただ政治資金規制というのは、やり方は幾らでも方法はある。私はもっと最善と考えられる方法を幾つも持っておりますけれども、その議論をいたしましたが、お取り上げにならないで、あの答申が出ました。しかも総理も、あの答申を忠実に尊重いたします、こう言っておられますので、これも一つのやり方には違いないわけですから、私もやはり答申の線をくずさないで、そうしてこの法案をまとめたい、かように考えて努力しております。近く提案いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/170
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171・鈴切康雄
○鈴切委員 そこで赤澤自治大臣、あなたがそのような思いで残したかった選挙局を削減されたことに対して、有権者の増加は目をみはるものがあります。それから永久選挙人名簿の年四回の登録という問題も今度行なわれるわけであります。それから、いま言われましたように、政治資金規正法改正案とますます重要視される選挙局を格下げして、はたしてあなたは自信を持ってこの処理ができるとお思いでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/171
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172・赤澤正道
○赤澤国務大臣 先ほども申しましたように、ひとつ倍旧の努力をしてほしいという要請は、当然所管大臣としていたすわけでございますが、しかし先ほどから申し上げますとおりに、やはり看板というものもものによっては必要ですから、何か看板が少し字が小さくなったとか色が薄れるという姿はよくないと思うのです。ですから私は、そのことを行管の長官にも繰り返し繰り返し言いましたけれども、なかなか微力であったか何か、通じなかったわけでございます。しかしながら、一たんこうときめましたからには、先ほども申しましたように、国民には絶対に御迷惑をかけぬという自信もありますし、強い決意も持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/172
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173・鈴切康雄
○鈴切委員 過日、行政管理庁長官が、行政改革は形式的なものでなく、あくまでも民主化の方向でなければならないと答弁しておりますが、自治大臣が、いわゆる最も国民と密接なる選挙局を削減したことは、はたして民主化への方向に前進をしたとでも思われておられるのでしょうか、その点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/173
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174・赤澤正道
○赤澤国務大臣 民主化という問題はちょっとわかりませんけれども、大体、行政改革をやるということは、政府だけではなくして、全国民の熱望であるはずです。しかし、いままで諮問機関からいろいろ答申をいただきながら、まだそれが実行できておりません。これをとにかく日の目を見させようという総理のお気持ちは読み取れるわけでございまして、自治省といたしましても、何も選挙局を部にして能事終われりというわけではございません。最近発表いたしまするけれども、相当大幅なきつい行政改革の試案を持っておりまして、これもあわせてやりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/174
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175・鈴切康雄
○鈴切委員 大臣は、選挙局を部にしたからといってそれで事務が停滞することはないというようなお考え方ですね。そうしますと、選挙局が部に格下げをするということになりますと、ちょうどそれは中二階的な存在の部になる。責任体制があいまいになるという懸念はあると私は思うのですが、その点についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/175
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176・赤澤正道
○赤澤国務大臣 看板が多少色が薄れるという受け取り方をされたらたいへん残念だと思っておりますが、仕事の内容に至りましてはそう御心配いただくことはないと思います。選挙局と申しましても選挙の執行を自分でやるわけではありませんので、ここでやっております事務の内容というものは、制度に関する問題でございます。いまの選挙局は粒よりの秀才がそろっておりますので、大体これで無能な者を何千人集めたよりさらにいいという考え方に私は立っておりまするので、選挙局本来の事務を遂行する上においてそう大きな支障はない、看板が色が薄れたことはたいへん残念だということは、ここではっきり申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/176
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177・鈴切康雄
○鈴切委員 その看板の薄れるということに私は問題があると思うのです。それは部と局との関係は何かということになってくるのです。行政組織上部と局とが並列されるということはあり得ないし、局の中にあると局長が責任者で、選挙局は格下げされ、いままでとは当然考え方も見方も違ってくるのではないかと思うのです。すなわち、責任体制の不明化は、幾ら大臣が、一生懸命やるとか、前に進むとか、同じにやるとか言われても、結局は結論はそこに落ちつくのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/177
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178・赤澤正道
○赤澤国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおりでございます。私はかりに選挙局が部になりましたからといって、そのために事務の内容が低下する、また、国民に御心配、御迷惑がかかるということは絶対にいたしません。しかし、内心たいへん残念に思っていることは、先ほどからるる申し上げておるところでございまして、これにつきまして私、行管の長官とはずいぶんやり合ったわけでございますけれども、御理解が十分いただけなかった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/178
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179・鈴切康雄
○鈴切委員 いま自治大臣は近いうちにと、そのように言われた。その政治資金規正法改正案はいつ国会に提出するつもりでありますか、具体的にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/179
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180・赤澤正道
○赤澤国務大臣 私どもの党の、俗に四役と言っておりますが、その四役といまの瞬間まで最終の取りまとめ案を検討しておったわけでございまして、おもな問題点はほとんど煮詰まってきております。法案のほうもあらかたの準備はできております。しかし、私のほうも、いまの状態から見て大体この線は自民党としてはのむべきである、また、各党の皆さんも、このくらいはひとつしんぼうしていただかなければならぬという腹づもりはありますけれども、それを早々と私のほうで出しますと、何といっても可決して通していただく政党はどうしても重点が自民党にかかるものでございますから、そのほうの御理解を得たいと思って今日までいろいろ折衝をしてまいっておったわけでございます。大体そのほうの形にめどがつきますれば、もう日ならずして提案の運びになります。大体のめどは、要綱は連休までにまとめ上げてしまって——法案化して出すのはまだ最終閣議の決定も経なければなりませんけれども、連休明けには出せる運びになる、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/180
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181・鈴切康雄
○鈴切委員 いま大臣が言われたことばの中に、自民党云々という話がありましたけれども、自民党だけでこの問題を審議されるべき問題ではないと思います。いずれにしても、国民の多くが期待をしておる問題でありますゆえに、過日の特別国会でも、政府のほうから政治資金規正法の改正案が出ましたけれども、与党自民党の反対ということで成立しなかったといういきさつがあります。今度も世論へのゼスチュアとして、当然審議日数、時間が足りないということで、成立する可能性のないような出し方をするのではないかといううわさをされている。そういう懸念があるわけですが、その点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/181
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182・赤澤正道
○赤澤国務大臣 おっしゃるような形でこの国会だけお茶を濁そうというならきわめてわけはないのでして、それは答申をまるまる写したものを出しておいて審議未了でほうってしまえばいいわけです。そんな不誠実なことではなく、やはり一応、今国会でけりがつかなくとも、継続審議してでも、早い国会で終止符を打ちたいという気持ちがあればこそいろいろ苦労をしておるわけでございます。何と申しましても議会政治と申しますものは政党政治ですし、政党政治でありますからには、どうしても多数党の意向というものを無視するわけにはいかない。かといって、世論が許さないものを、最大公約数でまとまったからといってそれを出すわけにもいきません。そこで政府としては、政府の一つの腹がまえもあるけれども、やはり党のほうでよく問題点というものを議論していただいて、最終段階でさらに政府との折衝、調整段階を経て提案する。どの政党が政局を担当なさっても同じことでございます。かといって、自民党の案を決して押しつけようというわけではなく、十分審議して、審議の過程でまた世論はいろいろの反響を呼ぶと思うし、そういう過程を経て成立するのが当然だと思いますので、いま多少おくれぎみになっておりますが、この点はぜひ御容赦をいただかなければどうにもならぬ、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/182
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183・鈴切康雄
○鈴切委員 そればかりでなしに、非常に内容的にも大きな問題があるというふうに各所で予想されていますし、またうわさをされております。そういう点について自治大臣がかなり煮詰まった姿にもう来たんだ、もう書いている段階だ、ただし閣議で決定されないうちは、その全面を発表することはちょっとというふうなニュアンスでありますけれども、その煮詰まった姿において、いま心配されている会社の寄付の最高限度とか、派閥への寄付制限、会費名義の寄付扱い、罰則の適用という、その四点について支障のない最高限度までお話しを願いたいと思います。
まず、会社の寄付の最高限度について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/183
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184・赤澤正道
○赤澤国務大臣 寄付の最高限度は——金銭のことは皆さん興味をお持ちになるものですから、ことにマスコミが、取材にたいへん御熱心でして、いろいろな議論が出ると、それを——その時点ではあるわけです。確かに間違いではない。けれども、たとえば法人の損金算入限度額までいいじゃないかという議論が一つ出ると、あくる日の新聞を見ると、それがちゃんと三億七千万円というふうなことに出てくる。それからまた、派閥と個人を別にしようとすると、今度は七億何千万円。法律に損金限度までは寄付しなければならないということを入れるわけじゃありませんけれども、新聞をよく見ますと、理論的にはちょっと小さく書いて七億……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/184
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185・鈴切康雄
○鈴切委員 新聞のことはいいから、いま大臣のお話では、煮詰まってできているんですから、その最高限度をお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/185
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186・赤澤正道
○赤澤国務大臣 最高限度というのはまだここでは申し上げられないわけでございます。しかし、最近新聞をお読みになって大体御判断がつきますように、いま新聞面にあらわれておる金額というのは大体それに近いということぐらいは申し上げられますけれども、しかしこれも、単に頭をぽんとつくるというだけじゃなくして、合理的な段階性を考えておるわけでございまして、幾らまでということをきめたからといって、そこまで寄付しなければならぬ責任はちっともないというわけでございます。
それから、派閥への寄付制限については、私ども基本的には、政党というものは将来にわたって育成していくべきものである、しかし、派閥、個人というものは、いま選挙制度がこういう中途はんぱなものであるために、自然発生的に出てきたものと私たちは考えておるわけでございます。しかし、現行選挙制度が続いている限りにおいてはこれは無視はできません。しかしながら、政党と肩をそろえるということはきわめて不合理でございますので、この点につきましては、政党よりは低いという額が適切ではないかと考えております。
それから、会費名義、これもやはり公開の原則が中心でございますので、原則的にはそういう方向をとりたいと考えております。
それから、罰則は、要綱ができませんと、罰則だけ先につくって要綱というわけにまいりませんので、これは一番おくれますから、その辺は御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/186
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187・鈴切康雄
○鈴切委員 最後ですが、いずれにしても、答申から一歩後退した政府案が特別国会に出され、今度は大骨、小骨を抜くためにまた骨を折って、大幅に後退を余儀なくされるであろうという見方を、大方の国民はしておるわけであります。こんなことで金と政界、そして政界と財界の黒い霧は一向に晴れないことは目に見えて明らかであります。暗黒政治に終止符を打つためにも、政治資金規正法を強化すべきであるということを提言いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/187
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188・三池信
○三池委員長 次回は、来たる五月七日午前十時より理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804889X01919680427/188
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