1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月九日(火曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 足立 篤郎君
理事 鹿野 彦吉君 理事 熊谷 義雄君
理事 坂村 吉正君 理事 森田重次郎君
理事 石田 宥全君 理事 角屋堅次郎君
小沢佐重喜君 小澤 太郎君
小山 長規君 佐々木秀世君
齋藤 邦吉君 田澤 吉郎君
田中 正巳君 中村 寅太君
丹羽 兵助君 本名 武君
三ツ林弥太郎君 湊 徹郎君
粟山 秀君 赤路 友藏君
伊賀 定盛君 工藤 良平君
兒玉 末男君 柴田 健治君
西宮 弘君 美濃 政市君
森 義視君 中村 時雄君
樋上 新一君
出席国務大臣
農 林 大 臣 西村 直己君
出席政府委員
公正取引委員会
事務局長 柿沼幸一郎君
科学技術庁資源
局長 鈴木 春夫君
農林政務次官 安倍晋太郎君
農林省農林経済
局長 大和田啓気君
委員外の出席者
食糧庁業務第二
部長 荒勝 巌君
専 門 員 松任谷健太郎君
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四月五日
委員齋藤邦吉君、田澤吉郎君、田中正巳君、三
ツ林弥太郎君、粟山秀君及び柴田健治君辞任に
つき、その補欠として橋本登美三郎君、藤山愛
一郎君、宇都宮徳馬君、周東英雄君、池田正之
輔君及び依田圭五君が議長の指名で委員に選任
された。
同日
委員池田正之輔君、宇都宮徳馬君、周東英雄君、
橋本登美三郎君、藤山愛一郎君及び依田圭五君
辞任につき、その補欠として粟山秀君、田中正
巳君、三ツ林弥太郎君、齋藤邦吉君、田澤吉郎
君及び柴田健治君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
同月九日
委員赤路友藏君及び柴田健治君辞任につき、そ
の補欠として柳田秀一君及び渡辺芳男君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員柳田秀一君及び渡辺芳男君辞任につき、そ
の補欠として赤路友藏君及び柴田健治君が議長
の指名で委員に選任された。
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四月八日
農林漁業金融公庫総合資金制度の運用に関する
請願(荒舩清十郎君紹介)(第三六八〇号)
同(上村千一郎君紹介)(第三六八一号)
同(臼井莊一君紹介)(第三六八二号)
同(加藤六月君紹介)(第三六八三号)
同(中垣國男君紹介)(第三六八四号)
同(中村寅太君紹介)(第三六八五号)
同(橋本龍太郎君紹介)(第三六八六号)
同外一件(古川丈吉君紹介)(第三六八七号)
同(森下國雄君紹介)(第三六八八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の
一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/0
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001・足立篤郎
○足立委員長 これより会議を開きます。
農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西宮弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/1
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002・西宮弘
○西宮委員 私、前回に主として大臣にお尋ねをいたしまして、もう少し大臣にお尋ねをしたいと思う問題があったわけですが、議事の都合で中断をいたしましたので、あらためて別な機会にやらしてもらいたいということを、委員長を通して保留しておりましたので、このことをまず冒頭にお断わりをしておきたいと思うのです。別に政務次官だから不足だというのではありませんけれども、そういうことでこの前中断をしておりますので、そのことをあらかじめお断わりをして質問に入りたいと思います。したがって、ぜひ大臣の御答弁を得たいと思う問題がありますので、それはあと回しにいたしましてお尋ねをしたいと思います。
まず、今度の新しい総合施設資金制度は、その最も大きな特徴と見られるのは、選別主義というのを非常に強く打ち出してきているという点にあると思うわけです。したがって、この点について政務次官のお考えをお尋ねしたいと思いますが、こういう選別主義を前面に強く押し出してきたというのは、どういうところにその根拠があるのかということであります。つまり、要するにこれによって自立経営の可能になる農家をつくり出すのだということで、非常に選考範囲が厳重になるわけですね。そういう点で、いわゆる選別融資という性格がかってないほど強いものになってきたという点に、今度の制度の最大の特徴があると思うのですが、これを打ち出してきた理由をお尋ねしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/2
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003・安倍晋太郎
○安倍政府委員 いまの先生のお尋ねのように、今回の総合資金制度は、一応おっしゃるような選別主義的な立場に立って融資をするということであります。これは、融資をするわけですから、やはり選択をして、そうして成長可能な農家といいますか、いい農家を中心にして資金を融通していくということにならなければならないと私どもは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/3
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004・足立篤郎
○足立委員長 角屋堅次郎君より資料要求について発言があります。これを許します。角屋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/4
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005・角屋堅次郎
○角屋委員 西宮委員の質疑の途中でございますが、けさの理事会で私、少しくお話を申し上げておいたのでありますが、この機会に、農林漁業金融公庫法の一部改正の審議に重要な関係がありますので、資料要求をいたしておきたいと思います。
それは、農林漁業金融公庫の制度金融、それから農林中金の系統金融、二つの問題を含めてでございますが、御承知の共和製糖グループの問題が発生いたしました際に、農林漁業金融公庫あるいは農林中金の双方にまたがって、不正融資問題というものが大きな政治問題になったことは御承知のとおりでございます。したがって、やはりこういう制度金融あるいは系統金融の問題を含めて議論をしなければならぬ本委員会といたしましては、それらの問題について、やはり誤りのない方向を樹立するということが、非常に重要なことだと考えておるわけでございます。
まず、資料要求の第一は、農林漁業金融公庫並びに系統の農林中金の、最近時の十年間の関連産業に対するところの融資の総額、あるいはどういうところに個別的に融資をしておるかという融資対象に対するところの名称と融資内容、融資金額、こういうふうなものの一覧表を添えて、できれば、明日参考人を招致するまでにでも資料として提示願いたいと思うわけです。
それからもう一つは、先ほども申し上げました共和製糖グループの事件については、あの事件発生以降、農林漁業金融公庫あるいはまた農林中金としても、再びああいう不正融資のないようにということでそれぞれ対策を樹立し、その後の指導に当たられておられたのですが、共和製糖グループ問題についての公庫並びに中金としての事件の内容、それからその後の経過、今後そういうことの再び発生しないための対策、具体的な内容も含めて、これも資料として提示願いたい、こういうふうに考えておるわけでありますので、この二つを資料要求として申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/5
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006・足立篤郎
○足立委員長 ただいまの要求は、あすまでに準備できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/6
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007・大和田啓気
○大和田政府委員 あすまでに準備をいたすつもりです。ただ、二つ御要求のうちの第一の関連融資の問題でございますが、これは公庫、中金ともできるだけ詳細に業種別の数字を出すつもりですが、個々の会社に対する融資は、ひとつ御容赦をいただきたいと思います。そのかわり、業種別の資料は詳細に提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/7
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008・角屋堅次郎
○角屋委員 これは、取り扱いをどうするかということは、またそれはあるかもしれませんけれども、業種別というのでは、その実態を必ずしも明らかにすることはできませんので、やはり具体的に内容まで含めて資料として提示願いたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/8
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009・大和田啓気
○大和田政府委員 とにかくあす資料を提出いたします。内容につきましては、後刻委員長とも御相談申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/9
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010・角屋堅次郎
○角屋委員 委員長と相談してと言うけれども、これは委員会として御了承を得て要求するという形をとるわけですから、われわれ理事を含めて相談を願わないと、資料が出てきてから、これは話が違うということになってはいけませんから、その辺の相談については、委員長だけでなしに、与野党の理事を含めて相談を願うような手続をとってもらいたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/10
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011・足立篤郎
○足立委員長 それでは角屋君に申し上げますが、金融機関としてのいろいろな事情もあると思いますから、後刻理事会で取り計らいを相談いたしたいと思います。
それでは西宮君、質問をお続け下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/11
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012・西宮弘
○西宮委員 ただいま政務次官は、金を貸すからには、借りた者がいい農家になるように考えるのは当然だという話でありますが、私は必ずしもそう思わない。本来の金融という立場、いわゆる俗にいう金融ベースという考え方からすれば、貸した金が返されるかどうか、償還の見通しが立つかどうかということが最大の問題だと思うのです。そうして、そういう償還能力があるかどうかという判断に立って、あとは公平な貸し出しをするというのが、むしろ金融の原則だと思うのです。その際に、特に借りた農家が、いわゆる自立経営農家になるかどうかというようなことを、その融資の条件として厳重に査定をしていかなければならぬということは、本来の金融ベース、本来の金融のあり方の中にはないのじゃないかと思う。
ところが今回は、その自立農家にするのだ、こういうことのきわめて限定された目的のもとに貸し出しをする、こういう点について、かってなかったそういう大方針を明らかにしたわけです。ですから、その点においては、従来の金融と根本的に相違をしていると考えるわけですが、それではまず、私のそういう認識が間違っているかどうかという点をお尋ねしたいと思います。つまり、これはそういう意味において根本的な性格の変更であるかどうかという点について、御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/12
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013・大和田啓気
○大和田政府委員 先ほどの政務次官のお答えで尽きていると思いますが、なお若干補足させていただきたいと思います。
農業金融でございますから、特に制度金融でございますから、融資をする場合に、一定の基準に基づいて融資をするのは当然でございます。そういう意味で、私は金融である以上、ある意味で選別が行なわれるのはまた当然であろうと思います。公庫の資金で土地取得資金、あるいは畜産経営拡大資金、果樹園経営改善資金等々、すべて一つの基準に基づいて融資をしているわけでございます。この総合施設資金につきましては、自立経営になることが確実と見込まれる農家に貸すということでございますから、そういう立場からの選別が、またおのずから行なわれるわけでございます。
ただ問題は、将来の問題として、確実に自立経営になる見込みがあるということ以外には、私どもはそうやかましい条件はできるだけつけたくないというふうに考えております。要するに、そこに到達できる能力なりあるいは条件があればそれで足りるのであって、たとえば、現在もうすでに相当大きな農業をやっていなければいけないというようなことは、私どもは申さないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/13
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014・西宮弘
○西宮委員 これ以上繰り返しませんけれども、いわゆる制度金融あるいは一般の民間の金融でもそうだと思いますが、ある程度の選別が行なわれるということは、これはむしろ自然だと思うのです。それはあり得ることだと思うのだが、特に今度の場合は、その選別主義というようなものを全面的に押し出してきたというところに、従来の制度と根本的な大きな相違がある、こういうふうに私どもは考えるのでありまして、その点から問題が派生していきますので、特にその点を強調してお尋ねしたわけです。
それでは次にお尋ねいたしますが、この自立経営の基準をどこに求めるか、こういう点であります。この点については、たとえば都道府県ごとに融資協議会をつくって、そこで判定するということになっているわけですが、その際は一定の基準を示しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/14
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015・大和田啓気
○大和田政府委員 私ども自立経営と申しましても、要するに、農業で十分生活ができる農家ということでございますから、そう特別にむずかしい条件をつけるつもりはございません。農業白書等の示すところによりますれば、最近の時点では、農業所得がおおむね九十万円を少しこえるようなところでありますが、それで賃金等々の伸びを頭に置きまして、今後五年、十年先を考えますと、農業所得百二、三十万円ないし百七、八十万円程度の農家であれば、農業所得で生活できるというふうに言えるのではないかと思います。したがいまして、全国的な規模としては、私ども一応形式的な、稲作ではどのくらいか、果樹ではどのくらいかというものは参考には持っておりますけれども、それを各県に押しつけるつもりは毛頭ございません。府県府県の事情により、また多少県の中の地域によりましても、現実に村へおりていきますと、この村では、あるいはこの地帯では、稲作ならこの程度の面積があれば十分にやっていける、あるいは果樹についてはどうか、畜産についてはどうかという大体の目安があるわけでございますから、それを県ごとに、できれば営農目標的なものをつくって、それをもって審査の参考にはいたしますけれども、これも、営農目標からちょっとでもはずれればだめだというふうに、私ども毛頭考えるつもりはございません。大体五年、十年後とにかく農業者として十分やっていけるという農業に達成できるという計画であれば、十分であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/15
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016・西宮弘
○西宮委員 そういう基準というか、目安というか、それはどういう方法で公示をしますか。たとえば政令できめるとか、そういうことはどうなんです、手続は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/16
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017・大和田啓気
○大和田政府委員 これは私ども、法案が成立して、県とも十分話し合いに入りますときに、全国的に見ればおおむねこの程度であろうけれども、各県の具体的な実情に合わしてつくってくれという趣旨で話をする程度で、これを政令に書いたり、あるいは省令に書いたりして、かたく縛るつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/17
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018・西宮弘
○西宮委員 私は、それは政令、省令でないにしても、あるいは要綱なり指導方針なり、そういうことできまるんだろうと思うのだが、そういう案があるなら、ぜひこれを示してもらいたいと思うのですがね。あるいは先ほどの資料要求とあわせて、これもひとつぜひ御提示を願いたいと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/18
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019・大和田啓気
○大和田政府委員 私どもの頭に置いておりますことは、たとえば、稲作でありますれば四ヘクタール少し程度、果樹でございますれば、たとえばミカンの成園でいえば二ヘクタールを少しこえる程度等々の、大体の目安は持っておりますけれども、これをすぐ、絶対このとおりであるというふうにかたく考えてはおりませんので、まだ計画として御提出するほどのものには熟しておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/19
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020・西宮弘
○西宮委員 もちろん、それで金縛りに縛ってしまうという筋合いのものではないと思うのです。しかし、少なくとも国が一つの政策としてこれを打ち出したからには、やはりいまお話しのような基準が当然あってしかるべきだ。たとえば、従来の近代化資金などでも、各都道府県によってかなりこの選別のしかたが違っているわけです。しかし、もちろん地域別にあるいは部門別にいろいろ異同があるというのは、ある程度までこれは当然だと思うけれども、近代化資金の例などを見ると、かなり、恣意的と言うと語弊があるかもしれませんけれども、とにかくかなりそういう点におけるアンバランスがあると思うのです。だから、これはやはりある程度その矯正をしていかなければならぬ、正していかなければならぬと思うのですね。だから、その意味においては、いま局長が口頭で言われたようなことを、やはり一つの目安として当然将来は示すんでしょう。むろん、それでかたく固定してしまうというものではないでしょうけれども、一応の目安として、めどとして示すんでしょうから、それはぜひこの際私どもに教えてもらいたいと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/20
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021・大和田啓気
○大和田政府委員 私が考えますのは、国全体を通して抽象的な営農目標を設定することについては、いろいろ問題があるわけですけれども、現地へ行って農家と話をし、あるいは村の指導者と話をすれば、ここではこの程度の農業をやれば十分にやっていけるというものは、具体的な形であるわけでございます。私ども、それを積み上げるのが一番いいので、上から一つの水準をおろして、これにかかずらって、具体的な設計が十分うまく、弾力的なものができないということであってはまずいというふうに考えております。したがいまして、県の人たちと話し合います場合にも、私どもの大体の目安は申し上げるわけでございますが、これによって、これに基づいてというふうには主張はいたさないつもりでございます。そういうように非常にふわっとしたものとして、もしも御要望がございますれば、私ども簡単なものを出すことについては依存はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/21
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022・西宮弘
○西宮委員 それでは、ぜひそのことをお願いしたいと思います。私がそのことをやかましく言う理由は、むろんそれが固定的なもので、少しでもそれからはずれちゃいかぬというものではないと思います。思いますけれども、やはりそれを明らかにしないと、結局、自立農家の選定はあげて金融機関にまかせる、こういうことになると、いわば自立農家の育成という問題は、金融機関の責任にかかってしまう。あるいは別な表現をすれば、自立農家という基準がきわめてあいまいなまま、いわば今回の金融機関、要するに農林漁業金融公庫でありますが、これが試験台に供される、こういうことになる懸念があるのですよ。ですから、これはやはり国が国の政策として打ち出したからには、やはりそういう基準を明確にし、したがってこれに伴う責任を明らかにする、こういうことが必要だと思う。そうでないと、従来唱えられておった自立農家というものは、この金融制度を通して、それでいわば試験をしてみるのだ、その結果として自立農家の基準が生まれてくるのだ、こういうことであっては、全に本末転倒だと思うので、このことをやかましく言っておるわけです。その点、私の考えで間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/22
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023・大和田啓気
○大和田政府委員 私が申し上げたのも、大体そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/23
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024・西宮弘
○西宮委員 それでは、各都道府県に設けられる融資協議会が決定をするということになるわけですけれども、そういうやり方は、金融機関の場合には、リスクの所在を不明確にする、責任の所在を不明確にする、こういう懸念があると思うのだが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/24
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025・大和田啓気
○大和田政府委員 融資の最終的な決定は、当然金融機関でございます。これは金融機関のリスクにおいて融資するわけでございます。ただ、自立経営をつくるといいますか、とにかく農業で生活していこうという人たちが営農設計をつくって、そこで融資をしてくれというふうに言ってくるわけでございますから、行政の立場で、あるいは県が中に入って、それについてある種の評価をすることも私は必要であろうと思います。したがって、県の助言、意見を聞きながら、金融機関が最終的にきめるということで、まず私はいいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/25
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026・西宮弘
○西宮委員 この融資は一回限りの融資ではなしに、数年間継続すると思うのですね。そういうことになると、なかなか責任の所在ということが——途中で思わない事故に遭遇するということも当然予想されるので、とにかくそういう責任の所在ということを明らかにしておかなければならぬと思うわけですが、たとえば、国あるいは地方自治体というものは、この制度についてはどういう責任を負いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/26
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027・大和田啓気
○大和田政府委員 まず、この総合施設資金の融資は、私は、三年なり四年なりの相当長い間にわたって金が出る性質のものであって、一回限りで金が出るというものではないだろうというふうに思います。予算上の考え方としては、三年間にわたって融資をするというふうに一応設計いたしておりますけれども、三年が二年で済むか、あるいは四年、五年になるか、それは実情に合わせてきめたらよかろうというふうに思います。したがいまして、融資の協議会では、全体の営農設計をにらんでそして融資をして、その後、事情に特別な変化が起こらない限りは、その融資の計画に従ってだんだん金が貸されるということでございます。先ほど申しましたように、融資の直接の責任は公庫なりあるいは信連なりの融資機関でございまして、これに対して国は、当然全体の行政的な立場でこのことを考え、県は、具体的な農家の営農設計あるいは営農計画が十全であるかどうかについて助言をするという、そういう形で、責任を分担すると言うとおかしゅうございますけれども、適当な助言をいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/27
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028・西宮弘
○西宮委員 私のお尋ねしたのは、そういう適当な助言をしたりなどするから、あとで起こった事態について、そういう助言をしたりなどする人たちがどういう責任を負うか、こういうことなんです。もっと具体的に言えば、そういう苦い経験をたびたび重ねてきたわけですね。たとえば、いわゆる選択的拡大ということで、そういう政府の指導方針に踊って、その結果非常な苦境におちいった、こういう例が幾らでもあるわけですね、だから、今回はこれほど厳重に、あるいは融資懇談会その他を設けて融資を決定する、あるいはさらに、いまお話しのように公の機関が助言を与える、こういうことになっておって、しかも経済情勢の変化その他でいろいろな思わざる事故が起こったりした場合、そういうときに国や県はどういう責任を感ずるか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/28
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029・大和田啓気
○大和田政府委員 これは独立の農家が経営をいたすわけでございますから、国なり県なりがその経営の責任について全部めんどうを見るということは、なかなかできないわけでございますけれども、制度金融全体がある種の指導金融でありまして、農協の指導員あるいは普及員、専門技術員等は営農の遂行について適当な助言を与うべきものでありますけれども、特にこの総合施設資金につきましては、単に国なりあるいは公庫、信連等が融資をするだけで事足りるということではなくて、やはり事後のアフターケアといいますか、営農の指導が必要であろうと思います。
そのために公庫にも、数は多くございませんが農業コンサルタントを置いて——農業コンサルタントを置きましても数は知れたものでございますから、これが一々農家を回って指導するということは当然できませんし、またやることも不適当でございまして、現地の指導はやはり普及員なり専門技術員なり、あるいは場所によりましては農協の営農指導員なりが行なうのが適当でございますが、そういう営農指導組織を私どもフルに活用して、十分誤りのないような指導を、それも相当能力のある農家でありますから、手取り足取りということではございませんで、十分営農の遂行について相談に乗り、助言を与えていくというシステムを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/29
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030・西宮弘
○西宮委員 たとえば、政府の指導する選択的拡大というようなことで、その指導を忠実に守ってやったという農家が、その農家の責任でない、全く別個の理由で経営困難におちいるというようなことがあった場合には、私は、少し極端かもしれませんけれども、たとえば、国家賠償法等が適用されてしかるべきではないかと考えるほどなんです。今度のように、これはきわめてよりによったほんとうのえりすぐった農家なんですが、そういう厳重な、厳密な審査をして選定して、それに各種の機関がアドバイスをしながらやっていく、こういうことであれば、しかもその農家の責任に属さない理由によって経営困難におちいる、こういうことになった場合には、私は、国家賠償法等のそういう考え方が適用されてもいいのじゃないかというふうに考えるのですが、そういう点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/30
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031・大和田啓気
○大和田政府委員 今度の総合施設資金について考えております農家というのは、先ほども申しましたように、とにかく農業で十分生活できる農家ということであって、そんなに特別の農家というふうには私は思っておりません。これは申し上げるまでもないと思いますが、農業を産業と考え、農業を職業として選んだ農家が、自分の職業によって生活できるということはあたりまえのことでありまして、農業によって生活できる農家がきわめて特殊な農家であるというふうには、実は私は考えておらないわけでございます。したがいまして、何か特別の農家をこれでつくるのだという意識は、私は持っておりません。とにかく、農業で十分やっていける農家をつくるということだけでございます。それはいろいろな例でお話がございましたが、農業政策全体として、価格の問題あるいはその他の一般の助長行政の問題としてわれわれ十分この問題を受けとめ、また、先ほど申し上げましたように、営農指導について心を配るということであって、不測の事態が起こりました場合に、国家賠償法の責任でどうするということでは、まずないというふうに私は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/31
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032・西宮弘
○西宮委員 政務次官にも一言お尋ねをしておきたいと思いますが、局長が言うように、農業をやる人が農業で食っていくのだというのだから特殊なあれじゃない、それはわかります。しかし、これを選別するためには至れり尽くせりの措置を講ずるわけですよ。あるいはさらにコンサルタントまで置いてアフターケアをやる。こういうことで、非常に手の込んだ指導をするわけですね。それでなおかつ先般来の経済界の動揺等で問題が起こった。要するに、そういう農民の責任以外の原因で経営不振におちいるというようなことがあった際は、国家賠償法がそのまま適用されるかどうかは、これは法律解釈としてかなり無理があると思います。しかし、少なくともそういう考え方のもとに国が善処をする、そういう農家がつぶれてしまわないように善処をする、こういうことは絶対に必要だと思うのですが、そういう点についてどの程度に責任をお持ちになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/32
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033・安倍晋太郎
○安倍政府委員 いまの国家賠償法のいわゆる性格というものについては、私もよく存じておりませんけれども、いまおっしゃるような景気の動向、不況、そういったものによって総合資金を貸し付けた農家がやっていけなくなるというふうなこともあり得ると思うわけですけれども、経済局長がいままでるる説明をいたしましたように、この資金は特別な農家だけを中心にして貸し付けるということではないわけでありまして、もちろん、ただいまお話がありましたように一応選別的な立場に立って、自立経営を志向しあるいは選択的経営の拡大をはかるということを目標にしてこの資金制度は運営していくわけですけれども、しかし、その間に国あるいは公共団体がそれぞれの立場で十分指導をしていくわけでありますから、特別これによって、私どもは国あるいは公共団体に直接的な責任が起こるというふうには考えておりませんけれども、それはそれといたしまして、とにかく責任を持って指導していくわけですから、この資金が円満に運営されていって、そうして所期の目的が果たせるように、これは国あるいは公共団体としては十分な責任を持つ立場で指導していかなければならない、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/33
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034・西宮弘
○西宮委員 それでは、そのことを強く期待しておきたいと思います。とにかく今日まで非常に苦い経験を数多く重ねてきておりますから、そういうことのないようにくれぐれもお願いしておきたいと思います。
その次に、局長にお尋ねしますが、あるいは次官でもけっこうですけれども、この自立経営の基準は、従来唱えられておったのと同じかということを、私、前に大臣にお尋ねをして、そのとおりだという答弁を得たわけですが、例の農業基本法の十五条にある自立経営、これはあくまでも家族経営オンリーで考えているわけですね。そういう点について今度はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/34
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035・安倍晋太郎
○安倍政府委員 先ほど西宮先生おっしゃったように、大臣の答弁のとおりだと私は思っておりますけれども、家族経営が集まってのいわゆる自立経営といいますか、そういうものはもちろん融資の対象にすべきだと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/35
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036・西宮弘
○西宮委員 私のお尋ねはそれではなしに、つまり、いわゆる協業とか共同とかいうのじゃなしに、雇用労働力を経営の中に導入する、こういう考え方が、いま伝えられている、改正しようとしている農地法あるいはまた農協法、そういうものの中には、今度は家族経営だけでなしに、雇用労働力も相当導入していいのだ、こういう思想がかなり見えているわけです。ですから、その点に関連して私はこの点を特に明確にしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/36
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037・大和田啓気
○大和田政府委員 基本法十五条の自立経営と、今回私どもが総合資金で育成を目ざしております自立経営とは同じでございます。家族農業経営でございますけれども、若干の雇用労働者がありましても、それは一向差しつかえなく、全体として家族農業経営と呼ぶに値するものであればいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/37
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038・西宮弘
○西宮委員 さっき申し上げたように、たとえば農地法などは、かなり思想的に変わっていると思うのですよ、その雇用労働力あるいは農業外の資本を導入するというような考え方が。ですから、そういうことがあっては困るというのです。この農業基本法十五条はきわめて明確に、疑問の余地がないほど家族経営オンリーだという規定をしているわけですが、その純粋性をこわさないようにしてもらわなくちゃならぬ。
時間がなくなりますからさらに質問を続けますが、今度の二十億はどういうふうに配分をされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/38
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039・大和田啓気
○大和田政府委員 融資をいたしますときに、ものによりましては、たとえば、県別とかあるいは業種別に資金の配分をいたすこともあるわけでございますが、この総合資金につきましては、しばらく県あるいは現地からの要望を見ながら、それを受けて処理をするつもりで、業種別あるいは府県別の配分をいたすつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/39
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040・西宮弘
○西宮委員 それではその金額の配分は、たとえば最高、最低あるいは平均、そういう考え方なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/40
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041・大和田啓気
○大和田政府委員 融資額の限度といたしましては、大体八百万円を限度として考えております。融資率八割でございますから、一千万円の事業規模に対応する数字でございます。それからものによりまして、八百万円を多少オーバーするようなものがありましても、私どもそれは特認で差しつかえないということにいたしたいというふうに思います。下のほうの限度は特に考えておりませんけれども、たとえば、畜産経営拡大資金あるいは果樹園経営改善資金の限度額が二百五十万円でございますから、何かの事業をする場合に一般の公庫資金でめんどうを見られるようなものは、まずこの総合施設資金として不適当ではないかということで、おのずと下限がきまるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/41
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042・西宮弘
○西宮委員 八百万円というのは、今度の二十億の配分についてですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/42
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043・大和田啓気
○大和田政府委員 総合施設資金の一農家当たりの融資限度が、おおむね八百万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/43
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044・西宮弘
○西宮委員 つまり、ことしの二十億という意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/44
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045・大和田啓気
○大和田政府委員 二十億の一応の積算の根拠といたしましては、対象農家千戸でございますから、一農家当たり平均いたしますと二百万円でございます。事業費は、融資率八割で二百五十万円でございますから、それを三年間同額ずつ農家が借りるという想定でございますから、平均としては事業規模七百五十万円、融資規模六百万円の計算で一応予算の積算はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/45
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046・西宮弘
○西宮委員 私が一番初めに申し上げた、いわゆる選別主義と言ったのも、その千戸というようなことになると、これはほんとうにエリート中のエリートですね。全く宝くじに当たるようなたいへんな騒ぎだと思うんですけれども、こういうやり方にどれだけの積極的な意義があるのかということに、実は私ども疑問を持つんです。局長は、百姓は百姓でめしを食うんだ、きわめてあたりまえだと言うけれども、そういう農家を日本全国から一千戸ピックアップするということがどうしてできるか。つまり、甲乙丙丁という該当者があらわれたときに、どこでそういうふるい分けができるかということに非常に疑問を持つんだけれども、そういう点に不安はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/46
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047・大和田啓気
○大和田政府委員 農業金融といたしましては、公庫だけをとりましても、全体として千八百億ワクがございますが、これは土地改良、畜産、果樹等々、普通の資金需要についてはそれで十分まかなえるわけでありますから、総合施設資金にすぐいきたい、一般の公庫資金では需要がまかない切れないで、総合施設資金的な融資でなければ資金需要が満たされないというように考える農家というのは、そう急にふえることもないというふうに私は思います。また、先ほど申し上げましたけれども、アフターケアを相当綿密にやるといたしますと、この際人数をやたらに多くすることよりも、まず千戸程度で始めて、だんだんにこれをふやしていくということのほうが仕事としてはうまくいくのではないか。御指摘のように、千戸で一体何がどうできるんだということは、昭和四十三年度だけでいいますとあるいはそういう問題も起こるだろうと思いますけれども、私どもだんだん実態に沿いながら、この融資制度が農村でうまく運営されていくことを地道に見詰めながら少しずつふやしていき、それと同時に、一般の公庫資金というのも今後増加するわけでございますから、それらと両々相まって、農家の資金需要というものは十分満たされるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/47
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048・西宮弘
○西宮委員 昭和四十三年度だけで見るからそういう質問が出るんだと言われたけれども、少なくとも八百万にするためには、二百万ずつ四年間続けなくちゃならないわけですね。だから、その四年間は千戸以上にはふえないわけですよ。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/48
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049・大和田啓気
○大和田政府委員 そうではございませんで、終局の形で何戸になるかということを、いま申し上げる段階ではございませんけれども、千戸、二千戸、三千戸というふやし方もございましょうし、千戸、三千戸、五千戸というようなふやし方もございましょうし、四年間は、必ずしも千戸に金縛りするということではございません。だんだんに増加をいたしていくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/49
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050・西宮弘
○西宮委員 それはまたあとでお尋ねをしたいと思ったが、資金の量を、来年度以降ふやしていくということならもちろん可能だと思うけれども、二十億を限度として考えるということになれば、少なくともその四年間は千戸だ、こういうことにならざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/50
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051・大和田啓気
○大和田政府委員 二十億というのは昭和四十三年度、初年度の資金の量でございますから、四十四年度以降は当然もっとふやすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/51
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052・西宮弘
○西宮委員 その点はまたあとで、今後の計画についてはお尋ねをしましょう。いずれにしても、これはきわめて限られた農家しか恩典に浴さない、こういうことです。
ただ一つお尋ねしますが、さっき局長は答弁の中で、従来のほかの資金はそれとして活用するのだ、こういうことだったんだが、そうすると、総合資金を借りる農家がこの総合資金のほかに、あわせて従来の各個別の制度資金も借りられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/52
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053・大和田啓気
○大和田政府委員 公庫が施設資金として個人の農家に貸すものは、全部一まとめにして総合施設資金から融資するわけでございますから、総合施設資金を貸して、また同時に個別資金を貸すという事態は予想しておりません。私が申し上げましたのは、農家が、たとえば土地だけを買おうとか、あるいは乳牛だけをふやそうとする場合には、たとえば乳牛の施設、あるいは家畜導入でありますれば経営拡大資金で二百五十万円借りられるわけでございますから、これは別に総合資金といわないで、経営拡大資金で二百五十万円借りられますし、果樹の経営改善資金についても、二百五十万円を限度にして借りられるわけでございますから、相当な農家が農業を多少ふやすような場合でも、施設資金によらないでほかの資金が使える、そういうことを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/53
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054・西宮弘
○西宮委員 局長の答弁はあまりにもあたりまえだと思うのです。従来の、たとえば公庫資金としては千六百億あるわけですね。あるいは近代化資金が九百億あるわけですね。ですから、それは当然に従来の方針のとおりに貸し出しをされる。いわゆる、総合資金を借りる農家とは別個の農家にそういう資金が流れていく、これはあまりにも当然なことだと思う。それじゃ、とにかく総合資金を借りる農家は、個別資金はそれにプラスして借りることはあり得ない、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/54
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055・大和田啓気
○大和田政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/55
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056・西宮弘
○西宮委員 それでは次に、いわゆる運転資金との関係をお尋ねしたいと思うのだが、今日これが出るまでに、各種の審議会その他の提言等が行なわれているわけですが、それなどを見ても、総合資金と運転資金を有機的に活用するということを強調しているわけです。そのいわゆる有機的に活用するという点で、今度とられた措置は、信連にこの仕事をやらせるということ、それから融資協議会で決定するということ、それから保証制度を適用させるということ、こういう三点ではないかと思うのだが、どうですか、そのとおりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/56
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057・大和田啓気
○大和田政府委員 大体そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/57
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058・西宮弘
○西宮委員 私は、それだけでは、その両者をあわせて有機的に活用するというのには、きわめて不十分ではないかと考えるのだけれども、運転資金で活用できるものは、例の近代化資金の中の果樹植栽資金と畜産の育成資金、それだけですね。あとはもっぱら農協のプロパー資金になるわけですね。ですから、大部分が農協のプロパー資金ということになると思うのだが、もっぱらそういう系統資金を動員するということになると、なかなか困難ではないか。第一、今度の総合資金を貸すというのにあわせて農協のほうも——扱うのは信連段階でしょうが、そこで、それと相呼応して貸し出しをするということが、簡単にできるかどうかということにまず疑問を持つわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/58
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059・大和田啓気
○大和田政府委員 運転資金の問題は、総合施設資金を借りる農家にとっても、それほど系統からたくさんの金を借りないで済むというふうに私は考えております。これはなぜかと申しますと、公庫の資金と近代化資金とをあわせて、いま御指摘になりましたように家畜といいますか、乳牛等の育成資金あるいは果樹の育成資金がそこから出るわけでございますが、運転資金としては、たとえば肥料代でありますとか、農薬代でありますとか、あるいは場合によりまして雇用労賃でありますとか、額としてはそんなに大きくないというふうに私は思います。
ただ、額としてはそれほど大きなものではございませんけれども、私どもの手当てとしては、公庫から総合施設資金がかりに八百万円出たといたしましても、運転資金に事を欠いて、そのために農業がうまくいかないという事態が、あるいはないことはございませんから、そういう場合は主として系統資金でございますが、系統資金で貸してくれ——この系統資金につきましては、私ども何もやりませんでも、県ごとにあります農業信用基金協会の信用保証がございますが、今度御提案いたしております改正法律では、農業信用保証保険法を直しまして、運転資金を、県段階の農業信用基金協会の信用保証につけたものを農業信用保険制度の対象に持っていくという形で、そう心配をしないで貸せる、いわば用心のためにそういうことをやっておるわけで、私どもは、信連なりあるいはその他の金融機関がとても貸せないというほどの多額の運転資金が需要として生まれることは、まずないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/59
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060・西宮弘
○西宮委員 そう多額な運転資金は必要ないであろうというのだけれども、たとえば養鶏とか養豚とか、運転資金に対する依存度の非常に高い農業経営があるわけですね。こういうようなものは、なかなか容易でないと私は思うのですよ。その際に、二つの独立をした機関が貸し出しをするわけですから、たとえば、一方が貸しても一方は貸さぬという問題があったり、あるいはまた逆に、一方が貸したからこっちもおつき合いでやむを得ず貸さざるを得ないというようなことに追い込まれるというようなことがあったり、いろいろそういう点に不合理があります。さらに、一番大きな不合理は、運転資金のほうは、プロパー資金の場合は金利が高くて期間が短いという点にあるわけですね。これでは、いま現に行なわれているような金利等では、せっかくの政策が、ここで大きくその政策的な効果を薄められてしまう、こういう危険性が多分にあると思うのだけれども、その点に対する対策は何もないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/60
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061・大和田啓気
○大和田政府委員 総合施設資金及び近代化資金々除いては、運転資金は普通の系統の金融でございます。これは、私ども総合資金制度を考えます過程におきましては、意見として、たとえば運転資金と施設資金とあわせて公庫から貸してはどうかというような意見が出たり、あるいは系統から貸す運転資金について利子補給をすることがどうかということもあったわけでございますけれども、特に利子の問題につきましては、総合施設資金を、これだけ多額のものを相当長い償還期間で公庫から貸すということで、いわば相当有利さを、比較的大きく農業を営もうとする農家に与えるわけでございますから、それに加えて運転資金の利子を下げることは、そういう農家に対して、あまり有利さを与え過ぎるではないかという非難がどうも一方で起こるのではないかと思います。
そうしますと、系統の資金を貸す場合でも、公庫の資金を貸す場合でも、村の平和といいますか、何かしっくりいかない空気が村で起こるのではないかということを心配いたしたわけでございます。しかも、運転資金につきましては、先ほども申し上げましたように、それほど多額のものではございませんし、これは回転が速いわけでございますから、多少利子が高くてもどんどん回転していくわけでございますから、まず系統資金等につきましての運転資金は、何も国が特別に利子補給をして安くしないほうが、むしろこの制度全体の運用からいっていいのではないかという、そういう判断をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/61
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062・西宮弘
○西宮委員 さっき私は、非常に強い選別主義に立って、エリート中のエリートを選んだということをお尋ねしたときに、これはきわめてあたりまえの、普通の農家を対象にしているのだ、したがって、そういう問題はないという話だったが、いまの御答弁だと、そういうところにかえって他の農家から羨望される、そういうことで農村の平和を害するというような説明があって、その点はまことに矛盾をしていると思うのです。私はこういう制度を、何か特につくって一種のPRに使う、こういうところに魂胆があるのではないかという気がして、何もこんなものを無理してやらなくてもいいのではないかと思う。たとえば、いまの金利が安い云々というお話だったが、五分ないしは据え置き期間中は四分五厘ですね。その五分という金利は、いままでの制度金融からいったら、そうたいしてびっくりするほど安いものではないと思うのです。全部が五分になるから、たいしたことはないと思う。
時間がなくなりますから、簡単に事務的なことをお尋ねしたいと思いますが、それでは、この金は自立農家たらんとする者が借りられるわけですね。もうすでに自立農家になっている者、あるいはまたすでに借りている者が、この融資に切りかえるとか、そういうことはあり得ないのか、簡単にお答えをしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/62
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063・大和田啓気
○大和田政府委員 私のほうも簡単に御説明いたしますが、借りかえ資金にはこれは使いません。それから、すでに自立経営になっているような農家でも、この資金を借り受けることは可能であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/63
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064・西宮弘
○西宮委員 次は、コンサルタントのことをお尋ねしますが、これは融資の決定には参画をするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/64
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065・大和田啓気
○大和田政府委員 融資の決定には、直接参画いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/65
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066・西宮弘
○西宮委員 私は、いわゆるアフターケアをやるんだということであれば、やはり自分の意思がある程度反映した貸し出しをしているというのでないと熱意がわかないと思うけれども、これは完全にやりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/66
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067・大和田啓気
○大和田政府委員 現在考えております。公庫に置く農業コンサルタントは、初年度三名であります。相当技術水準のりっぱな、経営指導について一家言のある人を選ぶつもりでおります。このコンサルタントのおもな仕事は、やはり専門技術員あるいは普及員の経営指導のやり方についての指導であって、直接農家に対してコンサルタントが出張ってどうこうするというふうにはやはりやらないほうがいいのではないか。現在、とにかく農業改良普及員あるいは専門技術員の相当膨大な組織があるわけでございますが、この膨大な組織は、とにかく私どもとしてはいろいろ注文もありますし、また意見もありますけれども、この上にさらにもう一つ別の組織をつくるよりも、この専門技術員あるいは改良普及員の系統、それに場合によりましては当然農協の営農指導員がつくわけでございますけれども、こういう既存のシステムをうまく動かしていくということを考えることのほうがいいというのが、私の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/67
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068・西宮弘
○西宮委員 私も、その最後の説明は賛成です。最後の説明は賛成ですけれども、それではなぜわずかに三名のコンサルタントを置いて、そしてアフターケアをやるのだ。こういうことは全く宣伝だけじゃないか。全国に三名だけのコンサルタントを置いて、それでどうしてアフターケアができるのか。私は、アフターケアをやるんだなんという看板をかけるから、そういう無理がくるのだと思うのですね。むしろいま局長が言われたとおりに、既存のいろいろな指導機関があるのですから、それを十分に活用するということが、そのほうがより合理的あるいはより能率的だと思うのですね。特にアフターケアというようなことを言うから、無理して三人だけ置かなくてはならぬ、こういうことになるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/68
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069・大和田啓気
○大和田政府委員 三人のコンサルタントがアフターケアをするのではなくて、普及員なりあるいは専門技術員が主体になってアフターケアをやるわけであります。私は、こういう資金について当然アフターケアをやるべきであると思いますし、また、いままで農林漁業金融公庫にそういう専門家がいなかったことが、むしろ私はある意味で不十分であったと申しますか、至らなかったところで、農林漁業金融公庫としては、こういう問題がなくても、そういう面についてもっと目を開くことが望ましいわけであります。普及員なりあるいは専門技術員なりの指導を通じて農家のアフターケアをやるということでございまして、この三人でアフターケアをやるというふうには、私は申し上げておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/69
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070・西宮弘
○西宮委員 それでは、その三人のコンサルタントは何をやるのだと言いたいところなんですけれども、時間がありませんから、これはあとにいたします。
もう一つ、担保制度についてお尋ねをします。各種の審議会その他の提言も、担保制度の改善ということをみんなそれぞれうたっているわけですけれども、途中の研究としては、たとえば農業財団といったような、経営を一つの単位として担保の対象にするというような意味の研究等がなされたようですが、結局最後の結論で——時間の関係で私はこういうお尋ねをしたいと思いますが、従来、その担保は、債務不履行におちいったときにはどういうふうに処分されておったか、そういう実態をお聞きしたいと思うのですが、もしここでお答えが困難ならば、あとで資料ででもけっこうです。農業財団の場合には、担保にするのはいいけれども、処分することが非常に困難なわけですね。ですから、現実にどういう処分がなされているかということを、もう少し詳細に知りたいと思う。それじゃこれはあとで資料でお答えを願いましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/70
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071・大和田啓気
○大和田政府委員 資料で提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/71
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072・西宮弘
○西宮委員 それでは、お尋ねしたいこともたくさんあるのでありますが、時間が足りませんので残念ながらこの程度にいたしまして、最後に政務次官にお尋ねをしたいと思う。この点は、私は大臣にぜひともお尋ねしたい点なんですが、後刻大臣と御相談の上で答弁していただいてもけっこうだと思います。
それは、この総合資金というものに将来どういう展望をお持ちなのか。つまり、さっき局長が、今年の二十億は来年はふやすのだというお話で、おそらくそうなるだろうと思いますけれども、将来どの程度にこれを拡充をしていくのかということであります。さらに突っ込んで言うならば、たとえば、さっきも申し上げたように、公庫の資金は千六百億あるいは近代化資金は九百億というようなかなり膨大な額であるが、あるいは後継者育成資金でさえも、今回の総合資金よりは多いわけです。そういう中にあって、将来はどういうふうにこれを発展させていくのかという、将来の展望を聞かせてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/72
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073・安倍晋太郎
○安倍政府委員 将来の展望につきましては、いずれあとでまた大臣もお答えになると思いますけれども、御存じのように、いま千八百億の制度資金の中の二十億ということでございまして、この制度資金についても、漸次増額をしていきます。また、総合資金につきましても、ただいま局長がお答えをいたしましたように、初年度の経験に照らしてこれを漸次拡大していきますけれども、しかし、これでもって千八百億の、いま融資しておりますこの制度資金を、脅かすような状態には至らない程度に増額をしていかなければならない、そういう基本的な考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/73
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074・西宮弘
○西宮委員 従来の個別の公庫資金、これを減らして総合資金に振り向けていくという、そういう考え方はありませんか。従来の個別の公庫資金を切りかえていく、こういうことはやりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/74
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075・安倍晋太郎
○安倍政府委員 むしろ総合資金を漸次拡大していくという考え方には変わりありませんけれども、これでもって個別資金とか、あるいはその他一般資金を脅かすとか、その中に食い込んでしまうという考え方は、全然持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/75
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076・西宮弘
○西宮委員 私は、この点はぜひ大臣にもお尋ねをしたいと思うのです。つまり、冒頭から申し上げておるように、この総合資金は極端な選別主義に立っているわけですね。だから、その資金が大きくふえていって、重点がそっちに移っていくというようなことになりますと、かなり問題があると思うのです。そういう意味においてお尋ねをしたのですが、非常に大事な問題でもありますから、またあらためてお尋ねをしたいと思います。
私は、きわめて限られた人に、特定のごく少数の者に貸し出しをする、こういう制度ができるということは、もちろん、現在減りつつある農村人口に比べても、きわめてわずかなパーセンテージにしか当たりませんけれども、しかし、片や農村では非常な激しい人口の減少が行なわれている。こういう状態の中で、私は、将来の農村人口はどういう見通しを持つべきかというようなことも、ぜひお聞きをしたい点なんですが、これまた次の機会に大臣にお尋ねをしますから、よろしくお取り次ぎを願いたいと思うのです。
私は、時間がなくなりましたので、これで終わりにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/76
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077・足立篤郎
○足立委員長 美濃政市君。——前回保留されました質疑を続行していただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/77
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078・美濃政市
○美濃委員 前回、私は、こういう総合資金制度をつくっても、反面の対策として、総合的にこういう資金制度を活用して、安心して農業の経営拡大を農業者ができるような政策の裏づけも必要であるという点について申し上げたわけであります。そこで、この問題をちょっと整理をいたしまして、具体的な資金制度の二、三の質問をいたしたいと思います。
そこで、政務次官にお伺いをいたしますが、もう事情は、この前の委員会で国際的事情その他申し上げたわけですが、昭和四十三年度、本年度以降行なわれる価格政策についても、ある程度価格政策はやるという答弁だったわけです。この価格政策の基準を、最低であっても——この前申し上げたような国際状態、あるいはわが国の経済状態でございますから、総合パリティだけは、これは最低でも価格アップをしなければならぬ。そのほかに、各段階の農産物の自家労賃評価というものがばらばらであります。適正でないものがあるわけです。この適正については、今後そのつど検討、改善をはかるという、この二つをひとつその柱にしてもらわぬと、この前私が申し上げたように、この資金制度をつくっても、借りて拡大してよろしいのかどうか、当該農家はその点を非常に不安に思っているわけで、この点についての政務次官の御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/78
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079・安倍晋太郎
○安倍政府委員 前回の委員会でも美濃委員からお話がございましたが、これからの農業につきましては、構造政策あるいは生産政策はもちろんでございますが、価格政策もやはり大事な点でございまして、国際的な圧力の中で日本の農業を維持していくという点から見ましても、価格政策は大切であろうと思うわけです。そういう意味におきまして、いまおっしゃるような総合パリティの問題にしても、今後いろいろと、国際環境あるいは国内情勢に照らして、改善すべき点は改善をしていかなくてはならぬと私も思いますし、また、生産費のあり方等についても、ばらばらな点は、もちろん今日の価格決定の上においてあるわけでございますが、こういう点につきましても、実情に即して今後検討していかなければならない問題点であろうと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/79
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080・美濃政市
○美濃委員 ただいまの政務次官の答弁で、大体基本的な方向については了解ができるおけであります。
そこで、この際一つの問題に触れまして、さらに現在の状況についてお尋ねをいたします。
過般の質問で、今年度の保証乳価三%と私が申し上げたのは、政府原案が三%であったということでありまして、結果は、委員長の言われたようになったわけです。
そこで、明日告示されようとするてん菜の価格について、ただいまの政務次官の御答弁の趣旨が十分織り込まれたかどうか、これはもう期日が明日でございますから、現在の考え方を業務第二部長からお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/80
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081・荒勝巌
○荒勝説明員 お答えいたします。
ただいま御質問がありましたように、明日、十日じゅうに、四十三年度産のビートの値段につきまして政府は告示をいたしたいと思って、ただいま準備中でございます。われわれといたしましては、糖価安定法に基づく行政措置でございますので、その法律に基づく政令等の従来の手続によりまして、また、その従来の慣行を重んじつつ、政令に基づくパリティを基準といたしまして、その他もろもろの経済事情あるいは競合作物の価格のきめ方等を勘案して定めてまいりたいと思いますが、ただいまの時点で、政府原案というか、政府案というものが、まだ十分煮詰まっておりませんので、この一両日大いに努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/81
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082・美濃政市
○美濃委員 日にちが明日に迫っておるわけですが、いつもこういう時点で、告示直前までただいまのような答弁をこの委員会で繰り返されておるわけです。これからの問題もあることでありますが、やはりこういう明日に控えた時点においては、最終のこまかい決定数字までは及ばぬでも、ただいまの政務次官答弁の考え方について、おおよそその方向に進んでおるかどうか。いわゆる総合パリティは十分勘案されておるのかどうか。まだこれから勘案しようと思うという時期ではないと思うが、少なくとも今度の告示しようとする価格対策の中には、総合パリティ指数だけは十分入っておりますか。家族労賃その他は、他の作物との関連なんかで最終検討したい、こういうことですか。いまの答弁では、明日に控えておるのに、何かこれから十日も二十日も先のような話ですが、いつもそうですか、もうその点はかなり煮詰まっておるはずですから、政務次官答弁の趣旨に合致するような御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/82
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083・荒勝巌
○荒勝説明員 われわれといたしましても、ビート生産の再生産がそこなわれないということは、最大の条件といたしまして十分いま検討しておりますが、御存じのように、政府側といたしまして、過去二、三年来定めてまいりましたビートの値段につきましては、ある程度合理的なものだとわれわれとしては考えておりまして、その結果北海道のビートにつきましては、年々着実に生産も伸びておりますので、大体その線に沿って値段をきめますれば、あまり大きな悪影響はないものと考えておりますが、現在の時点において、何円くらいというふうな価格のきめ方は、まだお答えできないのが残念でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/83
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084・美濃政市
○美濃委員 私も、何円くらいと聞いたのではないのです。これは法案の審議中ですから、もう一回だけにしますが、総合パリティは完全に入れなければならぬわけでありまして、その点を聞いておるわけであります。総合パリティの指数は価格アップとして確保しておりますと答えれば、これだけでいいわけです。他のこまかい問題はいいわけです。何円何十銭までどうこうということは、いま聞いておるわけではないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/84
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085・荒勝巌
○荒勝説明員 御存じのように、政府のきめております政令の手続によりまして——総合パリティそのものを直ちにストレートでいただくのではなくて、政令の定めるところによりまして、一応ビートにつきましては、作付期間を分母に置きまして、具体的には四月−十月を置きまして、その二月末パリティの一番最近時指数を分子に置きまして、それによりまして計算を立てることになっております。ただし、政府側の考え方といたしましては、パリティのみをもって値段をきめることにはいたしておりませんで、先ほども申し上げましたように、再生産をそこなわないように、その他の競合作物の価格体系と大きなひずみを生じないようにということでセーブいたしておりまして、むしろこの一、二年は、政令で定められたパリティ価格よりも、政府の最終決定の告示価格は、多少とも上回るような形になっておるような次第でございます。また、そういう線をわれわれとしては極力努力してまいりたいというのが、ただいまの検討段階だということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/85
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086・美濃政市
○美濃委員 この問題で、政務次官に私の意見を申し上げておきます。
業務第二部長はこのように答弁しておりますけれども、この総合パリティはやはり上昇、アップの確保をしなければ生産性は後退する。さらに家族労賃についても、昨年の決定を見ていただけばわかるわけでありますが、農産物の支持価格の体系の家族労賃の評価は最低の部類であります。こういう点を十分加味して、ただいま御答弁のありましたような趣旨に合致するように御努力をいただきたいという希望を申し上げておきます。
次に、資金制度についてお伺いをいたしますが、まず第一に、先ほども西宮委員の質疑を聞いておりましたが、基本資金と運転資金との関係でありますが、この経営改善をする目標によりましては、たとえば導入資金より——まあこの資金の用途は、果樹、畜産に多くのウエートが置かれると私も判断をいたしますが、この場合導入資金よりも運転資金を多く必要とする。たとえば、鶏の多羽飼育をするにしても、初生びなを導入して育雛をして産卵に向かうということになれば、導入に要する経費は少ないのでありまして、産卵に持っていくまでの飼育経費というのはばく大であります。肉牛にしても乳牛にしても、子牛を買って、育成をして牛乳生産なりあるいは肉需要に対して販売をするまでの期間の、これは買う時期と導入する状態によりまして、導入価格よりも運転資金という、いわゆる飼育経費のほうが何倍にもなる。そうして回転が早いといいますけれども、もちろんそれは設備よりも回転が早いですが、農業というものの取り組みは、たとえば肉牛等であれば、運転資金はかなりの年月の固定化を必要とするわけです。そういうこともあるから、今度のいわゆる信用保証保険法の改正によりまして、それを保険体制に入れるということについては、これは異議はないわけですが、ただそれにしても、導入資金がそういう性格を持っておりますから、導入資金をどの時点で見るか。たとえば、初生びなを入れて多羽飼育をやるという場合、単に初生びなだけで見るのか、あるいは初生びなを飼うにしても、これはかなりの経費がかかるから、六十日びなを基準に融資をする、あるいは乳牛であれ肉牛であれ、その導入資金の基準は、たとえば乳牛であれば十二カ月ないし十八カ月を対象とする、その間の育成経費は、たとえばその状態よりも導入条件によって、もちろんそれ以下の月数のものを飼った場合でも、いわゆる基本資金でその期間の状態に持っていくことができるように考えるかどうか、これをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/86
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087・大和田啓気
○大和田政府委員 具体的な経営についての御質問でございますが、私ども中央で一つ一つこまかく、いつの段階からというふうには指導いたしませんで、むしろ現地でそれぞれ営農計画を立てて、その営農計画に基づいて金融機関が審査するわけでございますから、具体的な営農計画の中で、どこで運転資金が必要になってくるか、そこで幾ら手当てをするかということは、営農計画を審議するときの問題として、むしろ具体的に解決したほうがいいのではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/87
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088・美濃政市
○美濃委員 次に、今回の融資条件ですが、従来制度金融を、私どもは通例物別融資と言っているわけですが、それを選別融資に切りかえる、こういうふうに私どもは考えるわけであります。その中で、従来の融資条件が画一的で、この種の融資申請をいたしますと、画一的な融資条件に縛られまして、実際に経営改善をしたいという条件が満たされない。この度合いは、大体その融資を入れようとする経営改善計画との関連もございますけれども、私も実際こういうことをやっておるわけですが、その中で最低でも二〇%、実際にやりたい希望と条件とは食い違っておる。それから、はなはだしいときは三〇%ぐらい食い違っている。従来、制度金融の融資条件というものは、やはり総合的に判断をしてつくられておりますから、全然的がはずれてしまっておるというふうには解釈していない。ただ、地域条件やあるいは生産条件の違うものを、やはり全国画一的な一つのものさしで統一しようとするところに無理がある、こういうふうに判断をしておるわけです。今回この選別融資体系にして、大型の資金を貸すというのですが、たとえば規模の小さい、従来の畜産経営であれば二百五十万限度の融資、こういうことであれば、したがってその経営構造も混合経営か、もしくは専業体系であっても、融資部分というものは少ないわけですが、こういう大型融資をするようになると、一〇%実際にやらなければならない条件、融資制度の基準、その基準に合致しなければ貸さぬというのでありますから、借りようとすれば、どうしても実際の経営計画をゆがめて、その融資条件に合うように計画を持っていく。そうして融資条件に合わない計画というものは、二〇%ずれておれば、生産性は八〇%しか向上しないわけです。これでは、大型融資になればなるほど、一〇%、二〇%の狂いも大きいわけであります。これが混合経営か、あるいは畜産であっても、副業的な他の所得部分が大きくて、その畜産経営が当該農家の経営の比率の五〇%であり、他の五〇%は畜産以外の経営が合わさっておるという場合は、一〇%、二〇%狂っても、償還能力にそう大きく響かぬわけです。ところが、こういう大型融資でほんとうの専業のものをやった場合、一〇%、二〇%の狂いというものは、大きく償還体制に響いてくる、こうなるわけです。こういう点を非常に心配するわけですが、従来はそれがあったわけです。その状態についてお尋ねいたします。私のいま申し上げている状態はないか、一〇〇%地域条件に合致して現在までの融資が行なわれてきたと判断しておるか、それともそういう面があったというふうに判断をしておるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/88
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089・大和田啓気
○大和田政府委員 公庫の融資につきましては、私ども、いままでずいぶん努力して改善してまいったのでありますけれども、資金をほんとうに必要とする農家に的確に資金が行っているかどうかについては、いろいろ御意見があることは事実であります。したがいまして、私ども今回御提案いたしております総合施設資金も、それに対する改善の一つの方法でございますから、いままで融資が一〇〇%うまくいっていて、何も問題はなかったというふうに申し上げるつもりはございません。
なお、よけいなことでございますが、いままでの公庫の融資は物別融資で、今回の総合施設資金は選別融資だというふうには私は考えておりませんで、従来の融資がかりに物別融資と呼ぶにふさわしいといたしますれば、今回の融資は、いわば経営融資でありまして、選別融資というふうには——物別融資対選別融資というふうには、私は考えておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/89
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090・美濃政市
○美濃委員 そこで、先ほども質疑が行なわれておりましたが、この体制は、金融機関の発想に基づいて審査が行なわれるという体制が強まるというふうに判断をするわけですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/90
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091・大和田啓気
○大和田政府委員 融資の最終的な責任は、当然金融機関でございますから、貸すか貸さないかという判断は、私は最後はやっぱり金融機関がとるべきだと思います。ただ、こういう農業で十分やっていける農家をつくる一つの政策金融でございますから、行政庁としての意見、あるいは現地の事情を一番よく知っている農協が、これに参加するということはあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/91
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092・美濃政市
○美濃委員 そういたしますと、従来の弊害は除いて、できるだけ実情に合うように、いわゆるコンサルタント制度をとるとしても、これは少数の人でありますから、いろいろ公庫金融全体の全国事情とか基本的な融資条件、こういうものがあるとしても、いわゆる経営能力の診断だとか具体的なものは、地域の実情に合った審査事項をもって、従来のいわゆる硬直性を是正するという考え方で制度を進めていくというふうに解釈していいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/92
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093・大和田啓気
○大和田政府委員 毎々申し上げておりますように、農林省で一定の基準をつくって、それを下まで、ことばは悪いですけれども、押しつけて、現地の事情を無視するというつもりは毛頭ございません。私はむしろ、今度の総合資金制度も、現地といいますか、農村で相当農業を大きく一生懸命やろうとしても、いまの制度ではどうしてももの足らないという人たちの希望をかなえるための制度でございますから、押しつけるというようなことは毛頭考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/93
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094・足立篤郎
○足立委員長 ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/94
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095・足立篤郎
○足立委員長 では速記を始めて。
石田宥全君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/95
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096・石田宥全
○石田(宥)委員 私は、この間参考人を呼んでいろいろ意見の聴取をいたしました中央卸売市場法を中心として、要点だけをかいつまんでお伺いをしたいと思いますので、答弁のほうも簡潔にひとつお願いしたいと思います。
特に農林大臣に出席を求めましたのは、中央卸売市場というものが、物価問題特別委員会などでも非常に注目をされておりまするし、さらにまた三十七年の四月には、河野さんが農林大臣の時分に、中央卸売市場は国営にしなければならないという意見を発表しておるのです。それから三十八年の七月には池田総理大臣が、中央卸売市場は必要がないという無用論を発表されておるのです。問題があらゆる角度から論議の対象になっておるにもかかわらず、当委員会においては、ここのところしばらくこれが論議にのぼらなかったわけでありまして、この間参考人を呼んで、いろいろな角度から意見を伺ったわけであります。そういうわけでありますから、農林大臣直接おわかりになるところはひとつ御答弁をいただきたいし、また、専門的なことでおわかりにならない点は、お聞きおきを願って、一度築地の市場ぐらいはごらんになった上でひとつじっくりお考えを願いたい、そういう趣旨で御出席を願ったわけでありますから、そのおつもりで御答弁を願いたいと思います。
本論に入ります前に、科学技術庁の資源局長に伺いたいと思いますが、コールドチェーンについては、もう実験の段階が終わって実用段階に入ったといわれておるわけでありますが、この問題は、中央卸売市場法との関連が非常に大きいと思われますので、これについて、市場に出回る、たとえば東京都を中心といたしましての生鮮食料品の中で、コールドチェーンが実用化して、総出荷量の三分の一または四分の一程度になると見込まれるのは、おおよそ何年ぐらい後であるか、このお見通しを伺いたいと思う。
それから同時に、コールドチェーンによることによって、価格が安定するということは考えられるけれども、平均して価格が高くなるのではないかということが考えられるが、どうか。
それからもう一つは、中央卸売市場などにこれを上場するかどうか。もっと別のルートでこれは流れるのではないかということも考えておるので、この点は中央卸売市場法と密接な関係がございますので、まず前提として承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/96
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097・鈴木春夫
○鈴木(春)政府委員 コールドチェーンにつきましては、昨年度、一昨年度二カ年にわたりまして、技術的な側面を主に実験をしておったわけであります。昨年度末で一応の計画は済みましたが、なお二、三追加すべきものがございますので、これは本年度引き続き事例実験を継続するものもございます。従来の二年間の実験によりまして、コールドチェーンの流通の間に起こる技術的な問題点はどうであるかというような点は、ある程度解明できまして、実用に耐え得るような状況であるということも確認できたわけでございます。しかし、これは程度問題でございまして、より以上今後進歩しなければならぬ面もあることは御承知のとおりでございます。しかし、いままでこの二年間実験した結果を使っていけば、実用に相当程度、ほとんどそれで間に合うということが大部分判明しております。
そういうような状況でコールドチェーンは進展しておるのでございますが、科学技術庁で取り上げておりますのは、コールドチェーンを実際行なう間に起こる技術的な問題をおもに解明しておるのでございまして、これの経済性の面、あるいは事業としてどういうチェーンを形成したならば成り立っていくかというようなことは、なお今後に残された問題でございます。それで本年度からは農林省のほうへお願いをいたしまして、これの経済的の面を引き続き御検討いただくというふうになっております。
なお、御質問の第一の点でございますが、どの程度東京の市場でこのコールドチェーンの生鮮食料品が出回るかという点につきましては、先ほどから申し上げたとおり、そういった数量的な問題、これはまだ具体的にはつかんでおりません。しかしながら、科学技術庁としましては、このコールドチェーンを取り上げる場合にどういうような役割りがあるか、どの程度東京近辺でコールドチェーンが役に立つか、そういった点は総合調査として検討中でございますが、まだ十分な答えが出ておりません。これからの進歩の度合いによりまして、いろいろ変化もあると思いますが、現実には、やはり事業を御担当になっている農林省のほうでおつかみいただくよりほかにしようがないというふうに考えております。
第二点の、コールドチェーンを採用した場合には、平均して値段が高くなるのではないかというような御質問でございますが、これにつきましては、コールドチェーンは原則的にはそういうことはないはずだというふうに一応考えます。しかしながら、個々の事例によりまして、やり方によっては高くなる場合もあろうかと思います。しかしながら、コールドチェーンを使うことによりましてむだがなくなるというような点、あるいは非常に能率があがるという点、そういうものでカバーしていけば、決して値段が高くなるというようなことではないと考えます。事実欧米におきましても、コールドチェーンが現実に扱われておるところを見ましても、これは経済的に、一般の生鮮食料品と並列して十分成り立つものだというふうな前提で考えております。
それから、市場に上場されるかどうかという問題でございますが、これも具体的な問題でございまして、当庁でそこまで考えるというのは、所管上別でございますので、これは農林省のほうでお考えになっておるというように理解しておりますので、ひとつさよう御承知いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/97
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098・石田宥全
○石田(宥)委員 これは経済局長に伺いますが、コールドチェーンということになるとルールが変わってきて、市場には出さないで消費者のほうに回るということになるのじゃないか、こう思うのです。その点はどうでしょうか。
それから、いまお答えになった中で、欧米諸国云々という話がありますが、これはヨーロッパ諸国、アメリカなどの、一週間に一日買い出しに行って、あとは一週間分冷蔵庫へ入れておくという生活慣習のあるところと、日本のように毎日でも売りにも来る、買い出しにも行くというようなところとは、基本的な条件が違うのじゃないかということもわれわれは考えているわけですが、ひとつ所見を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/98
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099・大和田啓気
○大和田政府委員 主として青果物について申し上げます。
私は、コールドチェーンは現在のところまだ試験段階でございますが、将来の展望としても、日本の消費生活の中にコールドチェーンによる青果物が、非常に大量に入ってくる可能性はわりあい少ないのではないかというふうに思います。これは、何もいまの消費者の購買の態度が永久に変わらないということでもございませんけれども、小売り店の施設を含めてコールドチェーンが相当大量に行き渡るためには、社会的な投資も必要でございますし、コールドチェーンをやることによって、安く出回っている野菜に対抗するようなことが、はたして可能であるかどうかという問題もございます。私は、コールドチェーンはいまよりはもっと伸びると思いますけれども、将来それが非常に大量になるというふうに考えることは、まず適当ではあるまいというふうに考えております。
しかし、いずれにしろ相当程度出回ることは間違いございません。その場合に、中央卸売市場を通るかどうか、中央卸売市場とコールドチェーンに乗る青果物との関係がどうなるかという問題になるわけでございますが、コールドチェーンでやってきましたものを、普通の常温のもとでせりにかけるということは、これは必ずしも適当でございませんから、冷蔵庫に入れて、たとえば見本取引ということがうまくいけば、見本取引という形で、あるいはせりに乗る可能性も出てくるでしょうが、コールドチェーンに乗せることによりまして、相当価格の安定、出荷の安定が期せられると思います。
そこで、まず卸売り人としては、買い付けという形で荷物を引いてくる場合が相当ふえはしないか。いまのような完全な委託販売ではなくて、買い付けによって荷物を引いてきはしないか。その場合に、買い付けによりましてもとにかく市場を経由することは間違いございませんから、かりに、どこか大きな資本によって野菜がコールド化されて、それが小売りに直送されるということも、万一の可能性として考えられないことではありませんが、現在中央卸売市場が営んでおります大量販売、あるいは代金決済の確実さ、そういう点から、かりにコールドチェーンに乗りましても、やはり中央卸売市場は相当経由するのではないか。そこから漏れるものが多少出てくるかもしれませんけれども、大数観察としては、中央卸売市場がコールド化されたものを扱うことになるのではないか、そういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/99
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100・石田宥全
○石田(宥)委員 市場の本質的な問題、いま局長の答弁の中でも言われたのでありますが、見本的な取り扱いとか買い付けとかいうことばが出ておる。この間、東京中央卸売市場の土屋場長にも御意見を伺ったのでありますが、中央卸売市場法の中に卸売り人という表現があるが、これは荷受け機関であって、生産者の代表として市場にこれを出荷する、こういう性格でなければならないと実は考えておる。ところが、この間も申し上げましたように、生鮮食料品のうち青果物は、相当程度、九〇%も委託取引になっておるからよろしいのでありますけれども、水産物になりますと六〇%以上が買い付け取引、それからその他二〇%はさし値、こういうことになっておる。
一体市場というものは、出荷者があって、それで陳列をして、そこで仲買い人が評価をして、価格の適正を期するという役割りを果たして、それを分荷して、そしてそこにまた仲買い人が金融措置をやって、四十八時間以内に卸売り人のほうに決済をするような措置をやるということが、この中央卸売市場の機能でなければならない。ところが、その買い付けをしてしまったもので、かってにほかへ回したり、あるいはさし値をしておいて、値段はこれ以下には売らない。ことに、実情を見ると、大水産会社の荷物などがほとんどさし値になる。そうすると、しかたがないからさし値の高いものでやはりせって買ってしまう。そうすると、沿岸漁業などの小口のものが買いたたかれる、こういうのが実態のようです。ですから、さし値をするとか買い付けをして、卸売り人がかってに処理するということ、同時にまた転送をする——転送は、この間も話をするように、場長の承認で転送ができる。ところがその転送の承認は、甲の市場へという承認を受けながら、実は乙の市場に回しておる。あるいは丙の市場に回しておる。こういうことは市場を乱るもはなはだしいものであって、市場的性格を失わしめる原因ではないか。一体なぜそういう取引を認めておるのか、中央卸売市場法の趣旨に反するような紊乱した市場運営が行なわれておるではないか、こう思うのです。これは大臣、常識的なことでありますからおわかりだと思うのでありますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/100
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101・西村直己
○西村国務大臣 経済局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/101
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102・大和田啓気
○大和田政府委員 まず、水産物等について、買い付けが相当多いことは事実でございますが、六割というのはちょっと多過ぎるので、大体四割程度ではないかというふうに思います。これは、買い付けと申しましても加工品でありますとか、高級品、輸入品、あるいはその他買い付けしても差しつかえないようなものについては、私どもいま各市場を督励して、ルールをつくって、そのルールに基づいてやるように指導をいたしております。
それから転送の問題も、現在、各市場長を何回か呼びまして、市場によっては、たとえば名古屋等すでにルールができておるところもございますし、東京では、現在せっかく検討中のようでございますが、転送等、これは申し上げますとなかなか時間がかかるので省略をいたしますが、経済的な必要によってやむを得ず起こるものがございますけれども、それを無秩序、無制限に放置いたしますと、中央卸売市場の実際の機能をそこなうことにもなりますので、これらについてはやはり一定のルールをつくって、そのルールに基づいて適確に運用したいというふうに考えて、せっかく各市場を督励しておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/102
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103・石田宥全
○石田(宥)委員 さし値とかあるいは買い付けというようなものは、まともなものではない、こういう判断でその対策を立てておられる、努力しておられる、こういうことですか。この間土屋場長もそういう意味のことを言っておりましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/103
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104・大和田啓気
○大和田政府委員 私は、さし値といいましても、これは生産者の意向を尊重することもまた必要でございますから、ある場合にはさし値も必要であろうと思います。さし値、買い付け、転送等等、すべてけしからぬということではなくて、経済的に見てやむを得ないものもまたあるわけでございますから、やはり一定のルールに乗って、ルールにはずれたものは、それこそけしからぬということで処置すべきものであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/104
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105・石田宥全
○石田(宥)委員 突き詰めていけば、そういうことになろうかと思うのでございますが、やはり原則は原則で、市場法の趣旨に従って、やるべきで、今日の状態というものは私は紊乱しているじゃないか、こう考える。ことに転送などは、市場長の承認だけでかってなことをやるということには弊害があるので、やはり市場長を中心にして複数の協議機関のようなものがあって、同時にまたそれを甲の市場へ回すというような場合には、甲の市場へ行ったか行かないかを確かめ、甲の市場へ持っていくといって承認をとりながら、乙の市場へ持っていったり、丙の市場へ持っていったりすれば、非常に混乱が起こるというか、価格を故意に引き上げるような作用をすることになると思うので、これは、場長も検討したい、検討中だという答弁をしておりますが、この点などは、ぜひひとつ配慮を願いたいと思います。
そこで、これは局長も大臣も聞いておってもらいたいのですが、中央卸売市場法は農林省の所管で、農林省が指導監督の責めに任じておるけれども、開設者は東京都だから、農林省の思うとおりにいかない場合が非常に多いということですね。これは河野さんが国営にするとおっしゃったのは、農林省の指導監督が行き届かないというか、いろいろなことを指示しても全く聞き入れない。たとえば、芝浦の肉畜市場などでそでの下取引がずっと行なわれておる。それをやめなさい、せりまたは入札にしなさいと言っても全然耳を傾けない、そういうところから、河野さんは国営論をやられたと思うのですが、この間児玉委員がちょっと指摘いたしました江東市場の葛飾分場の卸売り人増員の問題ですが、この問題なども、土屋場長も慎重に検討いたしますと言っている。ところが、農林省ではちゃんと二回にわたって、「墨田青果の葛飾分場入場問題は市場法以前の問題であって入場を云々する前に解決せねばならない問題が放置されていることに先ず留意すべきである。」という文書を出している。農林省はそういうふうに警告をして、ルールを乱してはならないと言っておるが、東京都は言うことを聞かない。何年たっても言うことを聞かない。この間土屋場長は、慎重に検討いたしますと言っているが、何のことかわからない。経済局長はおわかりになったか知らぬけれども、われわれにはさっぱりわからない。そういうふうに農林省の指導監督というものに全く耳を傾けないような態度、ここに私は一つ問題があると思うのです。
そこで、この点はひとつ大臣よくお聞きになりまして、やはりもう少し根本的にこれは検討を要する問題であろうと思います。五百万人の東京都民の時代にできた市場で、いま一千万人の東京都になっても、同じそこの市場でやるということの不合理さと、それから、ここで東京都民をまかなうところの市場だったのが、今度集散市場で、東京へ持ってきたものを近県にばらまかれるような状態になった現在では、はたして東京都にまかしておくということが妥当であるかどうか。これは大きな政治問題ではありますが、市場というものが非常に都民の生活の上に、ことに消費者物価の上に及ぼす影響が大きいとするならば、私は、やはりここらあたりで再検討をしなければならない時期に来ておるのではないか、こう考えるので、これについてはひとつ西村大臣から、基本的な御意見を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/105
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106・西村直己
○西村国務大臣 お話しだいぶ承りましたが、生鮮食料品の中央卸売市場の将来の方向と申しますか、この使命でございますが、生鮮食料品の生産、流通、消費、この環境が、いまおっしゃるように相当変わってきておる、内容も変わってきておることは事実でございます。いわゆる消費の状況も変わってきておれば、需給の関係も変わってきておる。また都市そのものの構成がかなり変わってきて、環境が変わってきておりますが、しかし、本来の使命というものは、御存じのとおり生産者あるいは消費者の間にあって、一つの公益的な使命を果たしている、いわゆる取引の価格形成の場である。この使命というものはもっとよく生かしてまいる、この使命というものは変わりがない、私はそういう認識を持っているわけであります。
そこで、中央卸売市場が結局具体的にどういうふうになっていくかといえば、消費者に対しまして適当な品物を、適当な量で、適正な価格で供給する、おそらくこういうところに中心がなくてはいけないのじゃないかと思います。そこで、中央卸売市場は、私も深くは存じておらないのでありますが、法律が制定後かなり古い。したがって、この変化には即し得ない面があるということは事実でございます。改正につきましても、審議会等を設けていろいろと研究をされ、いろいろな意見も出ておるということは、われわれとしても中央卸売市場法について検討はしていかなければならないということは考えております。しかし、本来の使命というものについてそう大きな変化があるのではない。またその法律ができる、あるいは改正の将来に向かっての成案が得られるまでの間にも、現実に消費者なりあるいは生産者にしても、妥当な値段で売買してもらわなければならぬ。その間における、先ほどもお話のありましたような、いわゆる公正なルールというものをあくまでも立てるということを中心に置きながら、それから農林省に監督権が実際にないじゃないかという面が、あるいは法制的に不備な面があるかもしれませんが、同時に現在の法でも努力してやってまいるということ、これは日々のことでございますからやってまいるかたわら、前向きに卸売市場法の検討というものは準備をしていかなければならない、こういうような考えでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/106
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107・石田宥全
○石田(宥)委員 経済局長に伺いますが、従来長い間、農林省は、単複の問題ですが、単一制が正しいのだ、こういう主張をやっておられましたし、ルールを守った取引が行なわれておれば、運営が正しく行なわれておれば、私どもも単一制が正しいと思っておる。けれども、先ほど来お話がありましたような、いろいろなルールを乱るようなものが多くなってくると、これはやはり問題があろうかと思うのでありますが、基本的にはやはり単一制を主張しておられるのか、あるいは単一制というものはやれないというふうにお考えになっておるのか、承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/107
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108・大和田啓気
○大和田政府委員 卸売り人の単複論は、戦前来の大問題でございますが、私どもの現在の行政の考え方を申し上げますと、私は、これは独禁法との関係が一つ当然ございますが、趣旨としては単数のほうが望ましいというふうに考えます。これは各卸売り人の経営分析等をいたしますと、ある時点、ある規模以上と以下とでだいぶ経営の内容も違ってまいるわけでございますが、卸売り人の経営が弱いと、生産者、消費者に当然迷惑がかかるわけです。そういう趣旨から申しまして、またせりで売られるということから、一般の企業に比べれば、独占禁止法関係の制約がよほど少ないというふうに私は思います。
ただ、現実は独禁法の運用の問題がございますことと、それからそれぞれの中央卸売市場が開設されますときに、あまり単数にこだわりまして、業者の収容が十分いかない。二つならば業者が全部収容できるけれども、一つにするために業者が取り残されるところが相当出てくるということが、現実の問題としてあるわけでございますから、考え方といたしましては、単数であることが望ましい。これには当然独禁法との関係も考慮しての上でございますが、単数であることが望ましいけれども、それを無理に強行することによって収容漏れができたり、あるいはかえってそこに混乱が起きたりするようなことのないように、多少そこは弾力的に、単数が望ましいけれども、二つ程度の少数の複数であれば、それもまたけっこうであろう、そういうやや弾力的な態度を最近示しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/108
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109・石田宥全
○石田(宥)委員 公取の柿沼事務局長に伺いますが、金沢の市場で、これは独禁法違反の疑いで審判が行なわれておるわけでありますが、いま私の質問をお聞きになっておわかりだと思うのでありますが、運営がよろしきを得るならば、私は、やはりいま経済局長が答弁されたように、単数制が合理的なものではないか、妥当なものではないかと思う。私も長い間市場の問題はずっと研究しておりますが、そういうふうに考えております。金沢の市場を独禁法違反としていま審判に付された理由、それから今後の市場に対する単複の問題についての考え方というものを、簡潔に要点だけをひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/109
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110・柿沼幸一郎
○柿沼政府委員 中央卸売市場におきます卸売り人のあり方につきまして、公正取引委員会の基本的立場といたしましては、その場合におきましても、やはり適正な競争条件が導入されておることが望ましいという立場に立っておりますので、どちらかと申しますと、複数制が好ましいというような立場からものを見る場合が多いわけでございます。
金沢の市場の問題につきましては、これは審判中の事件でございますので、審判の結論に待ちたいと思うわけでございますけれども、いかなる場合にも複数が望ましいかと申しますと、そうも言えない場合があろうかと思われます。経済の実情に応じまして、競争条件の維持という観点と、実際の中央卸売市場の役割りという立場から見まして、いずれがメリットが多とかという点についてこの問題は運用されていくのが妥当ではないかというふうに、現在は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/110
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111・石田宥全
○石田(宥)委員 そういたしますと、これはケース・バイ・ケースで、独禁法違反の疑いがある場合とそうでない場合と、単なる形式的な単複という問題じゃなくてお考えになる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/111
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112・柿沼幸一郎
○柿沼政府委員 形式的に単一市場が望ましいという行政方針で押されます場合に、やはり好ましくない事態が起こってくる場合があり得るわけでございまして、そういう意味から、競争条件の保持というような観点も常に忘れてはならないと思うわけでございますが、いずれかの結論を出すかというのは、具体的な事例におきます具体的な妥当性に基づいて行なわれるのが適当ではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/112
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113・石田宥全
○石田(宥)委員 この問題は、もう少しやりたいのでありますけれども、時間がございませんから、次に、最近一部に卸売り人の手数料の問題がまたささやかれておるようであります。昭和三十八年に卸売り人の手数料を下げたのでありますが、下げた分は、半分は出荷奨励金を減らし、半分は仲買いに対する交付金というものを減らして、卸売り人は全然、被害と言ってはおかしいのですけれども、経済的影響を受けなかったわけでありますから、卸売り人の手数料を下げるということは、結局消費者価格を引き下げる要因になるのではないかと考えられておったようでありますけれども、事実はこれに反して、かえって出荷者のほうの奨励金は削減されるから、生産者には悪い影響を与える、消費者にも悪い影響を与える、こういうことに終わったようでありますが、いままたそういう議論が行なわれておるようでありますが、農林省はどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/113
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114・西村直己
○西村国務大臣 先に農林経済局長にやってもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/114
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115・大和田啓気
○大和田政府委員 三十八年の九月でございますけれども、手数料を御指摘のように下げましたが、下げた分だけ買参交付金なりあるいは出荷奨励金なりで操作して、卸売りに全然マイナスがなかったということではございません。それはそれなりに卸の経営にとっては相当きつかったわけでございます。その後の経済状態の推移によりまして、手数料の問題が論議の対象になっておることも事実でございます。私ども卸売り業者の経営の内容を相当克明に調査しておりますが、青果につきましては、ここ二、三年多少よくなってまいりましたことは事実でございます。水産につきましては、横ばいというよりむしろ多少悪くなっている面もあるようであります。青果につきましても、現在の段階では、私ども手数料をもう一度切り下げることはどうも少し無理ではないかという判断をいたしております。
ただ、御指摘のように生産者のための出荷奨励金につきましては、これは三十八年の七月の閣議決定以来相当制約をいたしておるわけでございますから、卸売り人の経営が多少よくなりましたことにあわせて、出荷奨励金を再検討するように、現在作業をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/115
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116・石田宥全
○石田(宥)委員 これもこまかな問題たくさんありますけれども、きょうはあらためて質問いたしません。
そこで、今度の政府の予算措置についての説明を承りますと、大体施設費に対して公庫から資金をお出しになる。三十億あがっておる。ところが、数年前から仲買い人の大型化ということが、市場の合理化の上に大きな役割りを果たすのではないかということで、だいぶ論議の対象になってまいりました。その仲買い人の大型化ということの予算は、どうも説明では入っておらないようでありますが、もちろん施設についても、あんな狭いところで、ああいうごった返すような状態の中でいいとは私は考えておりません。大阪の東部市場のような、ボタン式のせり機械というようなものも必要でしょうし、また、あそこへ手車を入れて特に混雑をひどくするというようなことでなくて、あれはベルトコンベアか何かで処理をするということも考えなければならないと思います。それはそれでお考えだと思いますけれども、仲買い人の大型化のために予算措置が行なわれなかったのではないか、こう思うのですが、これについてどうお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/116
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117・大和田啓気
○大和田政府委員 仲買い人の施設といっても、現在の段階では、それほどたいしたことはございません。仲買い人の大型化を考える場合、当然営業権の譲渡という問題が出てくるわけでございますので、私ども、今度の三十億をつけました卸売近代化資金の中の仲買い人施設の関係の資金の中には——施設というのは、物的、人的施設でございますから、無体財産権としての営業権も含むというつもりで、現在関係当局と折衝中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/117
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118・石田宥全
○石田(宥)委員 これはぜひひとつ両々相まって、前向きで進めていただかなければならないと思いますので、特にこれは要請しておきます。
それから小売り関係では、国民金融公庫から百三十億の予算措置が行なわれたわけでありますが、何といっても、やはり中央卸売市場法というものは農林省所管であるのに、金融の窓口を国民金融公庫に回されたということはちょっと納得がいかないのです。卸、仲買い、それから市場そのものについては農林省が予算措置をやっているけれども、小売り関係はこれとつながっておるにもかかわらず、国民金融公庫というところへ切り離して予算措置をされたということはどういう理由によるのか、事情を承っておきたい。
それからなお、農林省は生鮮食料品に関しては、やはり従来農林省所管の分については、農林省が相当発言権を持っていなければならないと思うのですが、それらの関係も承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/118
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119・西村直己
○西村国務大臣 これは国民金融公庫につけないで、百三十億の特ワクを農林省自体が持てば一番いいんじゃないか、それも一つの御意見だと思います。ただ、いろいろな国の金融制度のあり方で末端の、ことに小売り、こういったものにつきましては、従来のずっと長い経緯から、国民金融公庫というものは庶民金融の第一線として相当幅広く、また巨大な資金量を持っておる。その中に、例の特利特ワクの条件でもって持っていく。したがって、これは十分両大臣が連絡し合って運用して間違いない。いわゆる生鮮食料品の消費の面においても、これで十分生きてまいるつもりで、現在国民金融公庫に運用をまかせるという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/119
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120・石田宥全
○石田(宥)委員 時間が参りましたから、この程度にいたしたいと思いますけれども、最後に、ことし初めて行なわれた公庫融資でありますから、この三十億というものにこだわる気持ちは私にもございませんが、農林省としても中央卸売市場あるいは地方卸売市場というものの果たすべき役割りの重大性にかんがみて、今後相当やはり資金ワクを拡大しなければならないと思っております。これはひとつ大臣にお伺いをいたしたいと思いますし、同時に、その利率の八分五厘というものもいささかどうも高過ぎるのではないか。これは、実際一年なりおやりになったあとでお考えになるおつもりかもしれませんけれども、これはもう少し検討の余地があるように思われますので、あわせてひとつ御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/120
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121・西村直己
○西村国務大臣 市場のほうのいわゆる近代化のためにつくりましたワクは、本年度が初めてであります。したがって、将来に向かってこれは増ワクしたいということは当然のことでございます。
それから同時に、国民金融公庫の小売りの面もついでにお話を申し上げておきますが、これ自体も、将来の問題としては増ワクは当然考えております。
それから、公庫資金のほうのワクの今度は内容の条件につきましても、いまお説のように、われわれとしてはことしもしこの予算等で御承認願えればやってみて、それらを勘案しながらさらに条件の緩和と申しますか、改善をはかってまいるという努力はやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/121
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122・石田宥全
○石田(宥)委員 最後に、先般も土屋場長に伺ったわけでありますが、定価売りやかん詰めのようなものを、全然持ち込んではいけないとは私は考えておりませんけれども、かん詰めのようなものを、あの狭い狭いという市場へことさらに持ち込まなければならない理由はないのではないか。あるいは冷凍品にしても、もう定価売りで定価がきまっておるもの、それを市場へ持ち込まなければならないということについては、どうも疑問に思われる。ですからこれについては、どうもいまの市場法では仲買い人が場外でセールスができない、場外で買い付けができない、こういうような事情があってあそこへ持ち込むのだ、こういわれておるのでありますが、もし現在の法律的な制約があって場外セールスができないということであるならば、これは必ずしも私は法律の改正でなくとも、行政的な政省令なりあるいは市場条例なり何かでそういう道が開けるのではないか、こう考えておるわけです。そうすると、かなり市場の運営が合理的に行なわれることになるのではないか、こう思いますが、何かこれについては多少検討されておるようにも聞いておるのでありますけれども、できれば早急にそういう道を開いていただきたいと思います。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/122
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123・西村直己
○西村国務大臣 経済局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/123
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124・大和田啓気
○大和田政府委員 かん詰めその他のものを中央卸売市場で扱いますことは、実は一つは小売り商の立場の問題もございます。要するに、一つの市場に行って全部自分の店で売るものがほしいという、小売り店で総合食品化が行なわれておるのと同じような要求がございます。それから具体的に、そのためにある特定の市場が非常に込んで何とも始末に負えないという場合は、これはやはりそういう観点から私は整理することが至当であると思います。
それから、さらに仲買い人の場外セールスの問題が御意見としてございましたが、これは私どもいま検討中でございますが、なかなかむずかしい問題がございます。仲買い人の場外セールスを認めたら卸売り人の場外セールスをどうするとか、いろいろむずかしい問題もございますけれども、とにかく、私ども現在いろいろ研究中の段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/124
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125・石田宥全
○石田(宥)委員 いまの問題、かん詰めだとかそれから冷凍ものでもう定価売りというようなものは、見本的にそこへ出してそこで取引をする、そうして実際の荷物は場外で処理するということは、私は可能であろうと思うので、それに伴うところのいろいろな法制上の問題があるならば、これはぜひ御検討願って、合理的な取引のルールを乱さないような方向で御検討を願いたいと思うのです。
それであわせてお尋ねしたいのですが、大阪では東部市場がボタン式で非常に合理的に、百人以上おっても全部ボタン一つ押せばそこへちゃんと価格が出るという式になっておる。ところが、東京では一体計画があるのかないのか、私、実は最近承っておらないわけですけれども、せんだって神田委員が、何かせりというものが非近代的じゃないかという質問をしておったようでありますが、そういうような点で、今日の科学技術の進んだ段階で、せり売りというようなことについては、私はやはり検討の余地が十分あるのではないか、こう考えております。農林省として、あるいは東京都との間において、そういう問題についてどの程度に話し合いが行なわれておるか承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/125
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126・大和田啓気
○大和田政府委員 東京都の築地の市場で、すでに青果、水産について、せりの機械化のための施設が入っております。ただ、東部市場のように固定ぜり——これは相当スペースを要するものでございますから、残念ながら東京都の築地にしろ神田にしろ、固定ぜりを入れるだけのスペースはないわけで、したがいまして、固定ぜりの施設にかえて移動ぜりの施設をやっておるわけで、東京都もこの点については非常に熱心で、くふう、研究をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/126
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127・石田宥全
○石田(宥)委員 これで質問を終わりますが、先ほど来大臣お聞きになっていらっしゃるとおりで、都民の生活と直接非常に関係のある生鮮食料品の取引の市場の運営が、必ずしも合理的にルールが守られておらないという実情はおわかりになったと思う。同時に、それを合理化し近代化する上において、やはり相当の予算措置が必要であることは、これは言うまでもございません。せっかく事務当局でいま検討されておるそうでありますから、これは積極的に大臣のほうでその意見をお聞きになって、ひとつ前向きで対策を講じていただきたい。御要望を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/127
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128・西村直己
○西村国務大臣 長く申し上げませんが、市場の使命というものが非常に大きなものを持っておるということはよく存じております。また、消費者と申しますか、国民が市場の近代化については非常に強い関心を持っておりますので、われわれも極力努力してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/128
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129・足立篤郎
○足立委員長 次回は明十日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01119680409/129
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