1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月十六日(火曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 足立 篤郎君
理事 鹿野 彦吉君 理事 草野一郎平君
理事 熊谷 義雄君 理事 坂村 吉正君
理事 森田重次郎君 理事 石田 宥全君
理事 角屋堅次郎君 理事 稲富 稜人君
小澤 太郎君 小山 長規君
佐々木秀世君 齋藤 邦吉君
白浜 仁吉君 田澤 吉郎君
田中 正巳君 丹羽 兵助君
長谷川四郎君 本名 武君
伊賀 定盛君 工藤 良平君
兒玉 末男君 佐々栄三郎君
柴田 健治君 西宮 弘君
美濃 政市君 森 義視君
中村 時雄君 斎藤 実君
出席国務大臣
農 林 大 臣 西村 直己君
出席政府委員
農林政務次官 安倍晋太郎君
農林大臣官房長 桧垣徳太郎君
農林省農林経済
局長 大和田啓気君
農林省園芸局長 黒河内 修君
委員外の出席者
農林漁業金融公
庫総裁 大澤 融君
専 門 員 松任谷健太郎君
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四月十一日
委員工藤良平君辞任につき、その補欠として井
上普方君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員井上普方君辞任につき、その補欠として工
藤良平君が議長の指名で委員に選任された。
同月十二日
委員三ツ林弥太郎君及び柴田健治君辞任につ
き、その補欠として稻葉修君及び石橋政嗣君が
議長の指名で委員に選任された。
同日
委員稻葉修君及び石橋政嗣君辞任につき、その
補欠として三ツ林弥太郎君及び柴田健治君が議
長の指名で委員に選任された。
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四月十二日
農業振興地域の整備に関する法律案(内閣提出
第一〇一号)
同月十日
農林漁業金融公庫総合資金制度の運用に関する
請願(坂村吉正君紹介)(第三七五七号)
同(山口敏夫君紹介)(第三七五八号)
同外一件(和爾俊二郎君紹介)(第三七五九
号)
同(砂田重民君紹介)(第三七六〇号)
同(始関伊平君紹介)(第三七七〇号)
同(渡海元三郎君紹介)(第三七七一号)
同(小川平二君紹介)(第三八三三号)
同(綱島正興君紹介)(第三八八七号)
同(野呂恭一君紹介)(第三八八八号)
同(福田篤泰君紹介)(第三八八九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会申し入れに関する件
農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の
一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/0
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001・足立篤郎
○足立委員長 これより会議を開きます。
農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鹿野彦吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/1
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002・鹿野彦吉
○鹿野委員 農林漁業金融公庫法の改正に対して、簡単に大臣に質問いたしたいと思います。
今回の公庫法の改正については、過日の参考人のいろいろな意見の中にもあったわけですが、総合金融制度並びに農業の近代化というものをおもなる目標といたしておりますが、総合金融制度の観点からいたしまして、今後の農政のあり方について、保護農政あるいはまた金融農政というようなことに参考人が分けて意見を述べられておったわけでございますが、日本の農政の今後の根本的なあり方について、非常にいろいろとむずかしい問題があると思うのですが、まず最初に、現在の貿易の自由化という世界的な大勢に際して、農産物に対して、いつごろまで自由化をしないでやっていけるかというお見通しを大臣としては持っておられるか、こうしたことをひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/2
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003・西村直己
○西村国務大臣 ただいま農産物関係では、御存じのとおり非自由化品目が七十七品目、それが自由化を簡単にできるかどうか、こういう問題でありますが、私どもとしては、その中の重要なものにつきましては、自由化としては考えられないものでございまして、それぞれの施策を通して農業として育成をしてまいりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/3
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004・鹿野彦吉
○鹿野委員 自由化を考えられない。しかし世界的な情勢からいって、いつの日にかはやはり自由化をせざるを得ないというところに追い込まれるのじゃないかと思いますが、こうしたことについて、大臣はどういう見通しを持っておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/4
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005・西村直己
○西村国務大臣 鹿野先生おっしゃるように、御存じのとおり自由化の問題それからもう一つは低開発国、発展途上国のいわゆる一次産品の問題がございます。ここいらに国際環境として日本農業にきびしく迫ってくるものがあることは事実でございまして、これはこれなりに私どもは正しい認識を持っていなければいけない。したがって、自由化品目外のものにつきましても、これを国内的にどうしてもがんばってまいるために自由化を解かないでいくべきものと、それから情勢に応じては、長い間においては多少国際競争に耐えるという観点から自由化に近づけていくもの、こういうものはそれぞれあろうと思います。
要は、結局は日本農業全体を向上させまして、やはり何といっても日本の貿易全体を伸ばし、世界経済の中における日本経済というものを発展させていく。それが、ひいては農業所得あるいは農業従事者の福祉を向上することにもなるので、やはりそういった完全なシャットというだけにとどまっていないで、絶えず発展の方向を見詰めながら、われわれとしては施策なり金融なりをやってまいる必要はあろうと思います。結局は、国際競争力に耐えるようにわれわれとしては努力してまいる、こういうところに重点を置いてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/5
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006・鹿野彦吉
○鹿野委員 大臣の御説ごもっともです。ただ問題としては、そうした国際的な要請だけでなく、ただいまの大臣の御説にもあったように、後進国の農産物に対するところの対策というような問題もあわせて考えて、日本は少なくとも東南アジアなどの後進国よりも、いわゆる先進国としての立場を今後とも堅持していかなければならないわけでございます。これに対しては、日本全体としての生産性を非常に高めていかなければならないというような状態なのですが、国内問題としても、日本がここ数年、一応外見上非常なる発展の過程を通ってまいりましたけれども、今日また財政の硬直化というようなことから引き締めをせざるを得ない。引き締めをした後に、またある適当な機会にカンフル注射をやって、これをまた一時的に緩和をしていかなければならないというような、カンフル注射と引き締めとを繰り返していかなければならないというこうした過程にあって、財政の硬直化を招くところの一番の要因は、いろいろあるけれども、国民のいろいろの業種別の中においては、いわゆる公務員と農業者が、生産性の向上に見合わないで所得が上がっていきつつある、こういうことに一つの見方があると思うのです。そういう点からも、この際農政の立場からすれば、やはり生産性を非常に上げていくということに重点を置かれなければならないと思うのです。
ところが、従来ややもすると日本の農政は、経営反別において広域経営は不可能だというような考え方に立たれておったわけですけれども、現在の状態からいたしますと、最も寒冷地帯で恵まれない土地といわれるところの北海道の農民の所得と、東北とかあるいは南九州などというようなところの農業者の所得というものを比較検討いたしますときに、これはもう実は予想外の結果が数字の面においてもあらわれておるわけでございます。過日も農政局長に私は要求いたしまして、資料が私のところに届いておりますが、こうしたものから見ても、恵まれない北海道の農業者が比較的恵まれておる。これは経営反別が多いというこから結果するわけでございます。そういう点からすると、将来の日本の農政のあり方というものは、やはり内地の各地域におきましても、経営反別を積極的にふやすというようなことを推進していかなければならないと思うのでございますが、これについても私はいろいろな考え方があると思うのだけれども、国有林野を完全に活用するというようなことが考えられなければならないわけであって、こうした点について大臣の所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/6
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007・西村直己
○西村国務大臣 確かに農民の所得は上がってはまいっておりますが、鹿野さんおっしゃるように、その中には価格が上がってきている面が一つはあると思います。もちろん、生産性の向上もあることはあるのであります。しかし、われわれの期待するところは、ただ価格上昇があるからといって所得が伸びるようではいかぬので、やはり生産性向上、そうなると規模の拡大、いわゆる近代化の結果生産性が上がって、それによって所得が拡大しておる。お説のように、北海道などは比較的大型経営規模を持っておりますから、農業自体としての所得が大きいということは御指摘のとおりでございます。
そこで、それに対する対策としていろいろな方法がございましょう。農業生産基盤の整備、技術の開発であるとか機械化等の資本装備、またそのほかに価格の問題もございましょうし、流通の問題、構造改善、いろいろございましょうが、同時にあわせまして国有林野等に対しましてもこれが活用をはかっていくということも、当然考えられなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/7
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008・鹿野彦吉
○鹿野委員 私がこの話をあえて大臣の前に出しますのは、そこにおる農林省の各官僚の諸君にもとくと考えてもらいたいからこの話を出しておるわけですが、農林省の役人は最も優秀な人々ですけれども、ややもすると、やはり考え方が非常に小さくなり過ぎるという点があると思いますので、日本の現状からいたしまして、日本農業は保護政策をとっていかなければだめなんだという考え方を一応捨てる必要がある。もちろん、農業者の所得が他産業に先行するくらいの所得がなければ、また、あるまでの間は保護政策をやめるわけにはいかないこと当然ですが、一日も早くそうした状態から切り抜けていくということが、日本経済全体にとっても非常に必要なことだ、こういうふうな考えを私は常日ごろ持っておる。ことに今回は、西村農林大臣はいままでいろいろと政策の点において造詣の深い方でありますし、また現実的には総理大臣とも特に別懇の間であり、西村農政の推進は、いわゆる佐藤農政を直ちに実現するということの可能性も持った立場におられる方でございますから、そういう点で、この際このとき非常なる決意を持って農政の根本に触れて、そうして少しでも従来の歩み方のテンポを速めてもらいたい。
そのためには、ただいま申しましたように国有林という問題があるわけですが、国有林は確かに林野庁の人々によって適正に管理はされておるけれども、しかし、これを一たび民間に全部開放することによって活用するときに、日本経済に及ぼすところの影響というものは非常に大きなものがあるんじゃないかと考えるわけでございます。そういうような国有林を開放して活用することによって、現在の農業者の経営反別を非常にふやしていくその際、私は申し上げておきたいのですが、時価で払い下げるなんというけちなことを考えたならば絶対にこうしたことは実現できませんので、無償で払い下げるくらいの考え方を持って農業者の経営反別の拡大化を推進する、こういうような決意を持っていただきたいと思うのですが、農林大臣にひとつ所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/8
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009・西村直己
○西村国務大臣 御存じのとおり、現在国有林につきましては、御関係の方々が非常に御熱心に、これを国民経済また日本農政のために生かして使え、こういう御熱望がございます。そこで政府におきましても、今般の国会におきましても、国有林野の活用に関する法律案なるものを御審議願うべく提案はいたしておるのでございます。
そこで私どもとしては、もちろん国有林は国土保全また林業生産増進の面からそれぞれの目的を持って今日までの経緯はたどっておりますけれども、同時にまた、国民経済のため、農業の近代化のため、あるいは規模拡大のため、あるいは草地造成等々のために活用できる向きは、私どもとしては、この法律案が御審議の上成立いたしますれば、その線をひとつ基盤としてやってまいりたい。同時に、生産基盤のうちで土地の問題でございますが、耕地を拡大せよ、まさにこれは近代化の大きな前提でございます。そのために、一つは農地の流動化として農地法の改正案も、構造改善の一環として今国会で皆さんの御審議なり御批判を賜わりたく出しておるような現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/9
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010・鹿野彦吉
○鹿野委員 確かに農地法の改正法案も農林省が出されておるし、一歩一歩そうした方向に向いておりますことも了承いたすものです。ただそうしたテンポが、この農政問題を解決するにはあまりにもおそ過ぎる。また来たるべき時期には、米価の生産者の値段の問題も大きな社会問題として出てくるわけでございましょう。そうしたことを毎年毎年繰り返していくという観点からいたしまして、農業構造改善をいたすにしても、いままでのように、何らの経営規模の拡大なくして構造改善を、機械化を進めることによってかえって機械化貧乏の現象をつくり上げるというようなことをいたしたことに思いを十分寄せていただいて、決意を新たにして、いままでのようなことを繰り返し繰り返ししていくのだということでなく、ひとつ基本的な対策を立てていただきたい。
私は、かつて池田内閣総理大臣が、農業の規模拡大のために農業者の間引きなどというようなことを発言して各方面の攻撃を受けて、そうしてさたやみになった歴史を考えるときに、あのときは農業者を少なくするというねらいは非常によかったけれども、しかし、ここからはみ出されたところの農業者の対策を考えないでやったところに問題があるわけでございますから、すなわち、この農業の経営規模の拡大の線からはみ出されるところの農業者を不幸にしないように、よりしあわせにするという対策を十分考えることによってのみ、こうした基本的な政策が実現するわけでございますので、こうした点に十分注意を払っていただいて、農林大臣には思い切った西村農政を推進していただきたい。ことに国有林の活用の問題などについては、けちな考え方じゃなくて、非常に大きな考え方を持っていただきたいということを要望いたし、大臣は十一時までということでございますので、一応御希望を申し上げまして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/10
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011・足立篤郎
○足立委員長 柴田健治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/11
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012・柴田健治
○柴田委員 農林漁業金融公庫法の改正に伴って、先般は大臣に要点を御質問申し上げたのですが、この改正について、今度は国税庁にきめのこまかい点で数点、経済局長また園芸局長にお尋ねをしたいと思います。
今度の総合資金制度の貸し付け対象というものは、重点は畜産と果樹ということが表面に強く出ておるわけです。畜産のほうは大体輪郭がわかるわけで、乳牛か和牛か養豚か養鶏かというように、大体大家畜、中家畜という方向でいくわけですけれども、果樹のほうについてはどういうものを特に重点に取り上げて対象にするのか、その点がまだ十分理解できないのです。果樹といっても種類がたくさんあるわけですが、特にいままでの果樹農業振興特別措置法、あの法律に基づいておる果樹を対象に取り上げて貸し付けをしていくのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/12
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013・黒河内修
○黒河内(修)政府委員 このたびの総合資金制度のうちで、果樹は具体的にどういうようなものが対象になるか、こういうお尋ねだと思いますけれども、一般的に申しますと、農林漁業金融公庫のうちで土地取得資金でございますとか、土地改良それから果樹園改善資金、それからら主務大臣の指定施設の資金といったように、いろいろな施設資金のうちで個人を対象に、個別経営の改善を対象にするということで必要な範囲のものを今度貸し付ける、こういうふうに考えておるわけです。
具体的に申しますと、まず果樹園の園地を拡大するための土地取得資金がございます。それからそれについての果樹の植栽資金があります。それから植えた果樹の育成資金がございます。あるいは畑かん等を行ないます場合の土地改良資金が考えられます。そのほか、今度は農作業用の機械器具といたしましては、あるいはトラクターでございますとかそのアタッチメント、それから病虫害の防除機具、その他いろいろな最近の新しい機械器具等で、個別経営として必要なものについては対象になります。
それから建物施設関係につきましては、農機具の格納庫であるとか、防風牆とか、水源施設であるとか、いろいろそういうふうな各種のものが一般的に考えられております。
〔委員長退席、鹿野委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/13
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014・柴田健治
○柴田委員 昨年、果樹保険制度の試験的な発足をしたわけですが、その後の成果と欠陥、そういうものをわれわれがまだ十分知り尽くしていないので、この果樹保険と今度の果樹の総合資金融資について、将来どういうかみ合わせをするのか、そういう点は何も関係ないのか、その点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/14
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015・大和田啓気
○大和田政府委員 前回の通常国会で、果樹保険の臨時措置法の成立を見たわけでございますが、ことし、四十三年度から実は実施にかかっておるわけでございます。ただいま県庁あるいは県の農業共済組合連合会等々が果樹農家と接触をして、それぞれミカンあるいはナツミカン、リンゴ等六種類の果樹について農家の大体の意向を取りまとめて、近く具体的に発足をいたすわけでございますが、実施の県数は実数にいたしまして大体三十五でございます。面積はまだしかとはつかまえられないわけでございますが、大体一万五千ヘクタール程度というふうに考えております。
それで、それは果樹保険の試験実施でございますから、行く行くは当然果樹農家の経営安定ということに直接全国規模でかかるわけでございますけれども、ただいまのところは一部について試験実施ということでございますから、特に果樹保険の試験実施と総合資金の貸し出しとをからめるというふうには、まだ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/15
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016・柴田健治
○柴田委員 基本的には農業基本法を生かすということが一応考えられるのですけれども、自立経営の育成を主体としての今度の融資制度、これが関連性がある。自立経営の育成の原則からいって果樹の場合、日本列島は御承知のように北から南とあるわけですが、その地方における特殊的な果樹、またその経営の面積、その他資金の必要な、施設資金であろうと運転資金であろうと、その資金の度合いというものが多少違っていると思う。もう一つは、平地でやる場合と、また高冷地でやる場合と、準高冷地でやる場合と、いろいろとその地形によって違うと思うのです。そういう場合に、東京なら東京で、机上論で一律に基準をきめてやるというなら、これは非常な矛盾が出てくると思うのです。その地方地方の特殊事情に合わして貸し付けの限度というものを、八百万を三カ年で貸せるのなら、その限度内におけるいろいろな弾力性がなければ、これは借りるほうからいうと非常にありがたくない制度になってくる、こういう気もするわけですが、何かその基準を立てられるのですか。そういう点はお考えがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/16
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017・大和田啓気
○大和田政府委員 今度の総合施設資金の融資対象農家として基本的に一番大事な点は、将来自立経営農家といいますか、とにかく農業でりっぱに生活できる農家になる意欲と確実性があることというのが根本でございます。それは、所得の面その他で若干の推定はもちろんいたしております。したがいまして全国一律に、たとえば果樹、ミカンであれば二町何反だというようなことで、あるいは稲作であれば四町何反だというようなことで、そういう形できめることは私はいたさないつもりでございます。自立経営農家になるためのおおむねの標準的なものをお示しして、大体県ごとに、あるいは県によりましては地帯ごとにおおむね——私ども中央で考えると、自立経営農家というのははなはだ抽象的な観念でございますけれども、村へ入っていけば、この程度の経営をやれば農業でりっぱに食えるということは、きわめて現実、具体的な問題として農家の頭に、あるいは村の指導者の頭にもあるわけでございますから、いわば生きたそういう基準というもので処理してまいって、全国一律の基準というようなことで、上から下に押しつけるというようなことはいたさないつもりでおります。それは、弾力的といえばきわめて弾力的に運営をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/17
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018・柴田健治
○柴田委員 果樹保険でいま取り上げておる品目と、それから果樹振興法による果樹、そういう品目によってそれだけに焦点をしぼるということですが、人間の生活様式がだんだん変わってきておることは間違いないし、今後も変わらざるを得ない、また日本人の体質も国際的にならざるを得ないのではないか、こういう気もするわけですね。それで体質改善という方向から考えると、いろいろな果実が愛用されてくる。そういうことから考えれば、果樹保険で品目を示されておるだけの対象では恩恵が少なくなってくるのではないか、こういう考えもするわけであります。農家は気候なり風土、気象条件、そういう諸条件を考えて営農方式を変えざるを得ないのであります。その中で、ブドウならブドウだけをやるんだ、桃なら桃だけをやるんだ、リンゴならリンゴだけをやるんだというような、そういう限定された統一品目ですね、それで営農をやればいいんだけれども、それができない場合には、土地条件等を考えていろいろと総合的な果樹営農になってくるのではないかということも、一応考えてみなければならぬと思うのです。
その場合に、イチゴをやりたい。しかし、イチゴは果樹に入っていないのですね。メロン栽培も果樹に入っていない。いまメロンの愛用は非常に伸びている。メロンも果樹でない。イチゴも果樹でない。もう一つは花卉類ですが、いま花がはやっているわけですね。これだけ狭隘な土地で、自分のところの住宅団地でも花壇がつくれない、せめて買うてきていけ花でもしようか、花をながめようかという人間的な融和といいますか、そうした精神の慰めとして花を愛用する、鑑賞する、そういうので花卉栽培がいま非常に伸びているわけですね。それが、離島振興法とかそういう法の中でやっておる地域もありますけれども、花卉も見のがしてならない営農のある程度の役割りを果たすのではないか。こういうことを一つ一つ品目ごとに取り上げて考えた場合に、限定されて融資対象をきめられると、これまた範囲が非常に狭まってくるのではないか、こういう気がいたすわけですが、その点の解釈はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/18
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019・大和田啓気
○大和田政府委員 現在、果樹保険として取り上げております果樹は六種類でございます。御承知と思いますが、ミカン、ナツミカン、リンゴ、ナシ、ブドウ、桃という六種類でございますが、総合施設資金の融資対象農家の作物としては、別にこれにこだわらず、果樹保険をやっているもの以外はだめだというふうには考えておりません。またイチゴとかメロンその他いろいろなお話もございましたが、現在公庫から施設資金として貸せるものは貸すということで、現地の農家の実情に即して、何によって自立経営農家に達するかということを営農改善計画に即して検討するわけでございますから、あらかじめ、いわば予断をもって、こういう作物はだめだというふうには、私どもいたさないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/19
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020・柴田健治
○柴田委員 それから、この果樹の場合、担保の問題ですが、担保についてどういうお考えを持っておられるのですか。畜産の場合は大体見当がつくのですが、果樹の場合の担保方式は、何と何とを対象にするのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/20
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021・大和田啓気
○大和田政府委員 果樹は、日本の民法では土地と一体をなした不動産でございますから、果樹園の担保価額というのは、一般の農地に比べれば当然高いわけであります。したがって、植わっている立木といいますか、果樹は土地の一部として担保価値を持ちますし、それから建築物は、当然不動産として担保の対象になるわけでございますが、その他果樹園関係で、散粉器その他のいろいろな機械については、私ども今回農業動産信用法の政令の改正をいたしまして、現在の時点に即して農業機械を農業動産抵当の対象になり得るように改正をいたすつもりでございますから、機械の相当部分は、農業動産抵当として担保価値を生む。したがいまして、土地、その上に乗っている果樹、さらに不動産としての農舎その他あるいは農業機械としてのいろいろなもの、これらが総合的に物的担保の対象になるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/21
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022・柴田健治
○柴田委員 動産、不動産の概念はわかるのですけれども、要するに評価の問題、これは大きく違ってくると思うのです。機械でも建物でも——土地はその地方地方の標準価額があるからすぐわかると思うけれども、建物においては違ってくると思うことは、たとえば、もう毎年台風の常襲地帯のごときは、基礎工事やなにかで相当施設の経費というものが、坪当たりの建設単価というものが非常に高くなると思いますし、そういう災害地以外のところは、多少建設資金が安くなる。そういう場合に、災害地におけるそういう施設の担保の評価というもの、また貸し付けのワク、それから坪当たりの単価基準、そういうものはどうなんですか、考え方は。同じにやるのですか、変えていくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/22
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023・大和田啓気
○大和田政府委員 具体的な担保の評価の問題でございますが、一般に担保の評価は、土地につきましては時価の八割までとっておりますし、それから、建物等の不動産につきましても、再取得価額あるいは譲渡価額のおおむね八割を基準にして最近は担保にとっておるようでございます。したがいまして、災害地におきましても、あるいはその他の地帯におきましても、再取得価額ないし譲渡価額というのが当然基準になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/23
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024・柴田健治
○柴田委員 それから貸し付けの据え置き期間と償還期限というものは、果樹の品目によって幅が出てくるのか、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/24
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025・大和田啓気
○大和田政府委員 総合施設資金の据え置き期間は十年以内、償還期限は二十五年以内ということになっております。果樹は一般的に据え置き期間なり償還期限が長いものでございますが、当然果樹の種類によってこれらは違えるべきであろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/25
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026・柴田健治
○柴田委員 その場合に、災害との関係を考えなければならぬと思うのですね。こうした果樹の場合は、温室でブドウというような、マスカットのような温室栽培の果樹は別としても、それでも災害を受けるわけですけれども、ほとんどの果樹は普通の自然の気象条件の下で栽培するというのが多いわけですから、災害を考えなければならない。風水害であろうと火災であろうと、また干害であろうと、とにかく果樹の場合も災害を考えずして融資ということは考えられないと思います。たとえば三年目に、これから収穫があがる段階で干害にあう、風害によってみな倒木した、こういう場合に、借りておる農家からいうと目も当てられないということになるわけですね。丹精込めて三年たち五年たって、いよいよ収穫の段階に入るのに果樹が災害を受けた、そういう場合に、天災融資法だとかある程度の別ワクの融資制度がありますけれども、三カ年で八百万円、農家からいうとこうした膨大な金をかけてそれを借りて、災害を受けた場合にどうするのかという一つの不安が出てくるわけですね。だから、要するに一方では果樹保険制度をどんどん充実しなければならないだろうし、そうしたものを並行して進めていかないと、これは価値が少なくなってくる、こう思うのですね。災害の関係というものをどう取り組んでいくのか、その考え方を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/26
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027・大和田啓気
○大和田政府委員 御指摘のように災害に対しては、私ども果樹保険の本格実施のために今後努力いたすつもりでございますが、融資だけに限って申し上げますれば、いまのお話がありましたように、据え置き期間三年が過ぎてちょうど償還期に入るころ災害が出たというような場合は、これは当然据え置き期間の延長をしたり、あるいは、すでに償還が始まっておりますようなものにつきましては、中間据え置きをつくったりしてやっております。これは、ここ数年非常に災害が頻発をして、公庫のほうも事務的には相当なれておりますので、農家に御迷惑をかけることはないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/27
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028・柴田健治
○柴田委員 局長の答弁を聞いておると、何でもかんでも万全のように聞えるわけですよ。ところが、災害を受けておる実態を見れば毎年手おくれな処置だし、ほんとうに精神的、物質的の打撃というものは大きいわけです。特に、五十万円以下くらいの融資のワクならば、すぐ復旧というか再建というか、そういうものができる可能性が出てくる。ところが、五百万円も八百万円も借りてやって災害を受けるとなると、これはもうちょっとやそっとでは再建というものはなかなかできない。そういう場合に、それこそ倒産だ、もうやめだという場合に、その後の処置——先の先のことをお尋ねするのはまことに失礼なんだけれども、やはり予測のできないのが災害なんで、やめだという場合に、担保で土地をとっておる、機械もとっておるが、災害のために樹体が全滅になった、樹体に対する担保というものを何%見るか。それは貸すほうの考え方でしょうけれども、その前にどういう処置をとられるのか。やめてしまう、そういう場合にどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/28
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029・大和田啓気
○大和田政府委員 私いま、災害の場合に、公庫資金を貸してあるものを据え置き期間を延長したりあるいは中間据え置きをつくったりいたしますということを申し上げましたら、どうもそんなにうまくいってないようだというふうなお話がございましたが、私ども災害のたびによく公庫とも相談し、また公庫から実情も聞いておりますが、公庫に申請のあるものにつきましては、そんなに妙なといいますか、かたい取り扱いはいたしておりません。これは実情をお調べいただきまして、具体的なケースがありましたならばまたお話を伺いますけれども、そう公庫の扱い方は、いわば非常識なことはいたしておらないつもりでございます。
それから総合施設資金を相当額借りて、それがひどく災害にやられた場合の仮定の御質問でございますが、なかなかむずかしいことと思いますが、私ども、一つは天災融資もございますし、あるいは場合によりましては自作農維持の資金もございますし、また災害につきましては、一般の公庫からの主務大臣指定の施設についての災害資金もあるわけでございますが、災害によって非常に意気消沈した人をいろいろな形で勇気をもり立てて、もう一度農業に取り組んでもらうということが、やっぱりその地方地方における農業関係の指導者の責務ではないかというふうに考えております。どうしても農業をやめてもう都会へ出てしまうという人に対しましては、これはあるいは担保の換価の処置ということになるかもわかりませんけれども、せっかく総合資金を借りて相当大幅に農業をやろうという人たちでございますから、その再建につきましては、私どもも十分配慮をいたしていかなければならないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/29
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030・柴田健治
○柴田委員 それから、今度は貸し付けの人の問題になるのですが、担保は物件なんですが、人の場合に、畜産でも果樹でも農業をやっている年齢の問題が出てきますね。年齢がある程度基準になる。それから能力がなければならない。その次が技術。そういうことを考えて総合的に今度は人を対象に判断した場合に、年齢を大体どの程度のものを基準に考えるのか。能力というものは、今度協議会ができて、またコンサルタント方式でいろいろ営農指導、また技術指導、そういう考え方があるようでありますけれども、この制度ではたして十分把握できるのか、指導できるのか、そういう今度は人と人とのものの見方、考え方というものが多少変わってくる面もあるのですね。この人なら年齢も若いし、能力もあるし、技術もあるだろう、こう考えても、実際やらしたら、年は若いけれども、能力があまりないじゃないか、技術の点も研究心もないではないかという反比例的な逆現象が出てくる。年齢だけ、若さだけということも言えないと思うのですね。そういうことを考えた場合には、そういう点の基準というか大体の標準というか、そういうものの考え方があれば聞かしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/30
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031・大和田啓気
○大和田政府委員 融資対象農家の資格につきましては、先ほどから申し上げておりますように、あまり機械的にいたさないつもりでございますが、できるだけ若い人を対象とすることが、今後の農業を進める上に適当ではないかという観点から、経営主あるいは経営主でありませんあと取りのむすこであっても実質的に経営をやっているような人で、おおむね四十ぐらいまでということで一応の線を引けばいいのではないか。四十を一つでもこえればもうだめだというつもりはございませんけれども、二十年なり二十五年の長い償還期限を持ち、相当多額の融資でございますから、本人かあるいはあと取りで実質的に農業をやっている人が、四十前ということで一応線を引くことがよいのではないか。
なお能力、技術等につきましては、これは遠くからながめるというとおかしいですけれども、抽象的な判断ではなかなかきめにくいことでございますが、村で農業をやっている人たちでありますから、お互いに農協の人あるいは普及員その他の人が見れば、おのずとあの人ならだいじょうぶだという評価が、私は村では定まるものだというふうに思います。そこのところは、無理に試験をしたり、あるいは特別に批評し合ったりしなくても、あの人ならだいじょうぶだ、あの人なら農業をりっぱにやっていくということは、私はおのずと村ではわかっているのが現実ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/31
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032・柴田健治
○柴田委員 おのずからわかるという御意見、全くそういう面も出てくると思いますが、営農指導の第一線は、農業改良助長法に基づく改良普及員が、助言もし、援助もする、また技術指導もする、こういう実態的な相談をやる。けれども、現在の都道府県にある農業改良普及員は定員がきめられておる。年々ふえてないわけです。それから普及員の老齢化という問題が出てきています。それからいま出先機関の整理統合、行政の合理化という立場で、もうわれわれからいうと縮小されているのではないか。そういういろいろなことを考えた場合に、普及員が現行の制度の中でそれだけの能力を発揮する体制かどうかというと、一つも増員もしないし、まして技術研修の機会もあまりない。多少専門技術員としての員数はある。ところが、専門技術員の員数も、これまた都道府県では定員で押えられている。そういうことから考えた場合に、きめのこまかい指導なり判断というものができるのかどうか、こういう気がするのですが、自信がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/32
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033・大和田啓気
○大和田政府委員 経済局長からお答えするのはあるいは多少筋が違うかもわかりませんが、私もかつて普及員の行政をやっていた経験もございます。普及員については、いろいろの問題があることは確かでございますが、私どもが話している限りの普及員、あるいは県当局の決意といたしましては、普及事業を伸ばすためには、やはりその仕事の一部として、こういう個別農家の経営指導ということがうまくできなければ、普及事業としておかしいではないか、グループ活動あるいは部落活動というような、そういう集団的な活動だけではなくて、こういう個別農家の経営指導まで、ある場合には少し踏み込んでやっていくべきだという、いわば責任感と使命感といいますか、そういうことで、相当張り切って総合施設資金の問題に取り組もうとしておるようでございます。
〔鹿野委員長代理退席、委員長着席〕
総合施設資金を議論いたします過程といたしましては普及員に対するいろいろな批判的な立場から、何か別に農業コンサルタント制度というものを相当広範に各県に置いて、それで自立経営の育成ということの指導をやるほうがいいのではないかという議論も、実は相当あったわけでございますけれども、私は、普及員なりあるいは専門技術員なりの普及組織をうまく活用して、また普及員なり専門技術員なりにその気になってやってもらうことが、一番農家の経営改善のために役立つのではないかという考え方で、この問題に対処いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/33
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034・柴田健治
○柴田委員 金は貸してやって大いにがんばれという趣旨、そこまではわかるのですが、まず流通機構が十分とは言えない。完全に改善されたとは言えないし、その問題に関連して品種の改良、それから品種の統一ということ、それからまた規格の統一、それと容器の問題ですね。容器のいろいろな基準というものを考えてやらなければならぬ。輸送も考えなければならぬ。それを総合して、全部含めて、果樹の振興というものは全部われわれは関連があると思っておるのです。その場合に、そうした一方の基本的な問題は一つも明らかにしないで、ただ自立経営の育成という大義名分で、金を貸してやるから、やれ、これではなかなか飛びつきにくいと思うのですが、そういう上下の関連性の構想というものを明らかにする必要があると思うのです。そういう時期がきておると思うのですが、そういう点でお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/34
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035・黒河内修
○黒河内(修)政府委員 ただいま先生のお尋ねの果樹につきましての振興の基本方針と申しますのは、私どもといたしましては、御承知のように果樹農業振興特別措置法、あの法律によりまして昨年の三月三十一日に、一応昭和五十一年度を目標にいたしました長期的な一つの基本方針をつくったわけでございます。これはどういうことかと申しますと、大体三十九年度を基準年度にいたしまして、最近の果実の需要の動向、これらを国民所得その他の伸び、人口増等を勘案いたしまして、昭和五十一年度の需要量というものを大体算定いたしまして、それで果樹は、御承知のように永年作物でございますから、一たん植えてしまいますとあと自然に実がなるというようなことで、ある程度計画植栽をやっていきませんと、あるいは過剰生産といったようなおそれもありますから、たとえば、最近のミカンの植栽状況等によりますと、毎年全国で一万ヘクタール以上も実は植栽されておる。このままの推移でいきますと、ミカンについては相当オーバープロダクションのおそれもあるというようなことから、五十一年の大体需要量に見合った生産量を策定しまして、それに見合う植栽数量というようなものを、十三種類の果樹を種類別にきわめてございます。具体的な数字につきましては、また後ほど御説明申し上げてもいいと思います。
大体そういうことで、五十一年を目標とした需要量とそれから生産目標とか植栽目標というようなものを定めて、一応私どもとしてはそれによって、今度は各府県におきまして、都道府県の果樹農業振興計画というものを四十二年度中につくっていただきまして、もうまとまっておりますけれども、まだ全国集計ができておりませんが、それによって計画的に各県が年ごとに、今後五十一年までにどういう植栽計画を立てていくかというようなことで指導していきたいというふうに考えております。
なお、この基本方針におきましては、今後の果樹経営の近代的なあり方として、相当労力節減のできますような、機械の導入を中心とした共同作業によって、近代的な経営の目標といったようなものも示しておりますし、それから品質、規格等につきましても、ある程度今後改善すべき方向も、一応示しておるような次第でございます。今後は、御指摘の点もございますので、そういう点につきまして都道府県の果樹農業振興計画の樹立と相まって、地についた指導をわれわれとしてはしていきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/35
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036・柴田健治
○柴田委員 いま基本方針だけの説明を概略聞いたのですが、各都道府県の果樹農業振興計画は、ほぼもうどこでも終わっておると思うのです。各都道府県の果樹農業振興計画を一、二の県について見ても、まことに考え方が大ざっぱなんですよ。そういう大ざっぱなものを集約して農林省は農林省で計画を立てると、これはいよいよばらばらの形になってくるのではないかという一つの心配が出てくるわけで、そういう点はよく今後各都道府県とも連絡をとりながら、もっとほんとうに実現可能な振興計画を立ててもらいたい、こういう感じを持つわけです。ひとつ今後十分御検討願いたい、こう思います。
それから、われわれが一つふしぎに思うことは、経済局長、農業基本法ができて、それからまた農業近代化資金制度ができて、いろいろと専業農家、自立経営の育成だとこう叫んできて、それをやりながらも専業農家がだんだん少なくなってくる。農業の就労人口が減ってきて、いま日本の人口の一九・三%ですか、一億としてもう二千万を割ってくるということになると、これがこのままいくと、いま専業農家が一七・何%じゃないですか。一八%割っている。専業農家が二割をはるかに下がっておる。このままで今度総合融資制度をつくっても、はたして専業農家が現状でとどまるのかまだ減るのか、この点の見方なんですが、局長はどういう見方をしておられるのか、これが第一点。
それからもう一つ問題は、いままでの近代化資金でどれだけ成果があったのか、その実態を把握しておられたら——全国的に近代化資金をつくらなかったら専業農家が減っておるのだ、つくったためにこれだけに押えられておるのだ、こういうことが、逆な言い方をすれば出てくるのですけれども、どれだけの成果があったのかということを、ちょっと聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/36
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037・大和田啓気
○大和田政府委員 私は、これだけ高度成長を遂げている経済の中で、日本の農家がだんだん兼業農家になっていくということは一つのやむを得ない傾向であり、兼業農家がふえて兼業所得によって生活水準が上がることは、それはそれで非常にけっこうであろうと思います。ただ私、私見になって恐縮でございますけれども、私どもにとって一番大きな問題は、兼業農家がふえるということよりも、むしろたくましい農家といいますか、自立経営農家といいますか、とにかく農業でりっぱにやっていける生産力の高い農家が、どの程度確立されるかという問題であろうと思います。これは大体六百万の農家の中でございますから、その大部分が兼業農家として、兼業所得によって生活水準を高めるということはそのとおりです。しかし、そういう方向がいいのだというふうに言い切ってしまって、専業的な農家あるいは自立経営的な農家というものがほんの一握りになってしまっては、産業としての農業が崩壊するわけでございますから、数は百万でありますかあるいは八十万でありますか、そこのところは見る人によって違いましょうけれども、とにかく相当程度の農家が自立経営農家としてとどまることが、日本の農業にとって一番願わしいことであって、兼業農家がふえることは、私はそんなに農業にとって死活にかかわる問題ではないと思います。私どもが専業的ないい農家を、どうやって相当多数つくるかという問題であろうと思います。
それから、近代化資金によってどれだけ自立経営農家が生まれたかということ、これは作文ならばできるかと存じますけれども、なかなかむずかしい問題で判定はできませんが、ただ近代化資金で一戸当たりの融資額というのは、平均で大体三十万程度でございます。近代化資金は法令によりますれば、あるいは取り扱いによりますれば、一戸当たり二百万円が融資の限度でございますけれども、なかなかそういうふうには動かされておりませんで、限度一ぱいに借りておる農家も、私ども村へ行って、たまたま畜産農家あるいは果樹農家でございますが、平均すると三十万円で、これによって自立経営が生まれるかどうかということには、残念ながら私はならないと思います。ただ、それによって農業経営がある程度まで改善されたということは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/37
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038・柴田健治
○柴田委員 局長、一つの制度をつくったら、やはりその後の一年なり二年なり三年の間実態の把握をして、正確に成果と欠陥をつかんで、次のまた制度改正をやるのだということでないと、農民の側、借る側からいえば借りっぱなし、貸す側からいえば貸しっぱなしで、何のつながりもなければ、あとの営農指導も十分しないというやり方では、ほんとうに普通の個人の貸借関係に終わってしまう。今度の総合融資をやられる場合は、やはり貸した農家をあくまでも十分実態把握して次の営農に役立つような、そういう把握のしかたをやったらどうかという気がするわけです。たとえば、金を貸した者のグループを年に一回なら一回都道府県ごとに寄せて、体験談、実験談、そうして営農のいろいろな楽しみや苦しみを話し合う機会をつくらして、どこに矛盾があるのか、どこに成果が出てきたかということを、貸すほうも十分知る必要がある。それあってこそ営農指導というものができるのではないか。金は貸しっぱなしであとはめんどうも見ないし、意見も聞かない、また報告も受けない、また調査にも行かないというやり方、こういうことで農業が発展すると私は思いません。そういうきめのこまかい行政指導が行なわれていないということを私は指摘しておきたい。今度の総合融資制度をつくられる機会に、そういう点はぜひやっていただきたい。そしてわれわれにもそうした報告をまとめて資料を提出いただけば、われわれはまた大いに参考になると思うのです。次の農業問題、農政問題を論議する場合に、いろいろと論議の基礎的な資料になってくると思うのですが、その点は考えられますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/38
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039・大和田啓気
○大和田政府委員 総合資金は、近代化資金その他農業金融全体に対する反省の一つのあらわれだというふうにお考えいただいてけっこうだろうと思います。総合資金を借りた農家の経営がどうなるかということにつきましては、アフターケアを私ども十分いたしますけれども、いま御指摘がございました適当な形でその人たちを集めて、役所の連中も中に入って大いに話をすることは、私どもの仕事の参考にもなるし、各農家の今後の営農改善の役にも立つというふうなやり方は、ぜひやってみたいというふうな考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/39
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040・柴田健治
○柴田委員 もう一つ、果樹の場合考えなければならぬのは、いま公害がたくさん出るわけです。果樹農業の振興をはかるためには、その公害問題を忘れての指導というものはあり得ないと思うのです。この公害問題に対してどういう考え方で指導していくのか、またどう取り組んでいくのか、公害をどういう方法で排除していくのか、そういう点を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/40
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041・黒河内修
○黒河内(修)政府委員 公害問題につきましては果樹だけでどうのこうのということではなく、また農業だけの問題ではないと思います。要するに、公害対策基本法に伴う諸法律の制定の機運もございますし、これは何と申しますか、企業者側また地方公共団体、国という三者において、公害の防止あるいは公害の軽減というようなことについて、いろいろと施策を講ずることが一般的に必要だと思います。たとえば、先生のところの水島あたりで、だいぶイグサが公害にかかったという話がございます。果樹につきましても若干影響があると思いますけれども、私どもは今後果樹園の振興につきましては、農業振興地域といったようなああいう関係もありますし、特に新植といったような場合につきましては、そういう公害の危険のないような地域を選んでやっていただくとか、そういうような指導をしていく必要があるのではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/41
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042・柴田健治
○柴田委員 終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/42
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043・足立篤郎
○足立委員長 美濃政市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/43
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044・美濃政市
○美濃委員 私は残り数点について質問をいたしたいと思いますが、もうすでにだいぶ時間も経過しておりますので、できるだけ明快に答弁をしてもらって早く終わりたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
第一点は、県信連を受託機関とする、これはよろしいのでありますが、単協の規模、条件によっては、従来の土地取得資金やあるいはマル寒資金と同じように、制度上単協を事務取り扱い機関にする。これは単協の規模によって、規模の小さい農協は御趣旨のとおり信連直貸もよろしいと思うのですが、二本立てにする意思があるかどうか、これをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/44
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045・大和田啓気
○大和田政府委員 信連から融資をするというのをたてまえといたしますけれども、単協の大型化その他で単協がやることが適当な場合は、単協からも金が貸せるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/45
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046・美濃政市
○美濃委員 次に、過般の参考人の農林中央金庫の理事長も言っておられましたが、こういう大型の金を貸す過程で、家畜災害が危険であり心配である、こういう表現を参考人がしておりました。私もそのとおりだと思います。そこで、乳牛につきましては共済制度がありますから、その危険分散はできるわけですが、特に小家畜に共済がない。この小家畜の危険度は、一番おそろしいのは私は法定伝染病だと思います。鶏のニューカッスルそれから豚コレラです。ですから、やはりたん白食糧資源を確保する中で、少なくとも法定伝染病に対する共済制度を早期に確立するか、もう一つは法定伝染病に対する殺処分手当を引き上げるべきである。いまの殺処分手当ではどうにもならぬのでありまして、ほんとうに制度があるというだけでありまして、このどちらかを確立しないと、こういう資金制度によってコストの安い大型の生産開始がきわめて高い危険の中で行なわれる。その点はどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/46
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047・大和田啓気
○大和田政府委員 殺処分の問題は、また別の機会に畜産局長からお答えをいたすことにいたしまして、豚あるいは鶏の法定伝染病について共済を設けることを考えたらどうかというお尋ねでございますが、現在、豚及び鶏の共済制度について調査研究をいたしておる段階でございまして、いろいろむずかしい問題がありますが、やり方としては、法定伝染病に限ってやることが一つの方法ではあるまいかというふうに考えております。これは実は農家の保険需要の面に問題がございまして、法定伝染病だけではやりたくないという農家も、私どもの調査ではかなり出ておりますから、保険需要との関連において決定いたしたい。一般の事故、自然災害等までを加えて共済をするよりも、法定伝染病だけに限ってやりますことは比較的やりやすいという面がございます。それにいたしましても、詳細な被害統計がないと出発できませんけれども、一つのやり方であるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/47
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048・美濃政市
○美濃委員 殺処分手当につきましては、ここでいまどうするこうすると言っても時間の関係がありますから、これはこの制度に伴って十分判断ができる事項であると思いますので、ひとつ後刻、やはりこの制度とあわせて畜産局等と十分協議をするように、ここで要請をしておきます。
次に担保のあり方でありますが、前段に、希望があれば単協も受託機関にするという答弁の趣旨でございますから、それでよろしいと思うのですが、特に動産担保、これは動産信用法を改正して公庫を差し入れができるようになりますけれども、動産担保については更新をしなければなりませんから、借り入れ期間中に更新の必要性が非常に多くあるわけですから、受託金融機関が担保にとって公庫に対してはその写しを差し入れする、そうして、いわゆる受託金融機関がこの資金の善管義務の中で、信用力を低下しない範囲における正常な更新差しかえがスムーズにできる体制にしておきませんと、この前の質問でもちょっと申し上げましたが、私なりにいろいろ検討してみましたけれども、たとえば群で、全然何もつけないで群で抵当を入れるということも、法律上のいろいろなめんどうさもあるようであります。ですから正常な善管義務に基づく、担保力を低下しない範囲における正常な更新がスムーズにできる体制をとるべきであると思うが、この点のお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/48
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049・大和田啓気
○大和田政府委員 現在、農業動産信用法の政令を見直すことを検討いたしておりますが、公庫が農業動産を抵当としてとりますことも、これによって初めてのことでございますから、いまの御指摘の問題を含めて事務手続をどうするかということを、農林省、公庫において十分検討をいたすつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/49
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050・美濃政市
○美濃委員 次に市場資金のほうで二、三お尋ねをいたしたいと思いますが、従来、この種の資金は商工金融を通じて出ておったのであります。今回これを農林漁業公庫のいわゆる農林金融に持ってくること、これは原則として私は悪いという考え方で言っておるのではないのですが、農林金融に持ってくるには、やはり政府資金でありますから、何かこういう資金を出すことによって、少なくとも従来よりも農産物流通の市場改善の指導性を高めたいという意図はあると思うのです。その意図を、具体的にこまかくどうこうという質問はいたしませんが、どういう政策的な意図で、農林漁業金融公庫からこの金を出すということにしたのか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/50
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051・大和田啓気
○大和田政府委員 農林漁業金融公庫でございますから、原則として農林漁業者に対する融資であるわけでございまして、卸売市場あるいは卸売り人、仲買い人に対する融資をするためには、今回お願いしておりますような法律の改正も要るわけでございます。それで、私どもこの問題を検討いたしましたときに考えましたことは、農林漁業金融公庫といたしましてこれを適当とする理由は、かねて農林省といたしまして市場行政を相当熱意と力を尽くしてやってまいりましたことが一点。それから、市場あるいは卸、仲買いを強化することによって、ひいては農産物の流通の合理化また農業生産の合理化にもつながるという、そういう直接的な関係があるというこの二点からでございます。当然この資金を公庫に入れますにつきましては、いわば指導的な立場というものがございますわけで、まず地方市場の整備につきましては、これは前々申し上げましたように、中央卸売市場とほとんど同じ程度の生鮮食料品の取り扱いをやりながら、全国に約二千に近いほどの市場が乱立をいたしておりまして、農産物の送り手、生産者といたしましては、はなはだ地方市場に対してあきたらない点を持っておるわけでございます。
それで、かりに、地方市場をきらって中央卸売市場へ荷物がどんどん行くようになりますれば、まず転送の問題が起きましょうし、あるいは地方都市における生鮮食料品の流通が窮屈になるという問題があるわけでございますから、地方市場につきましては一定の方針、これは主として県が県全体の流通を考えての計画でございますが、それに基づいて融資を行ない、また、特に公設的な市場につきましては、助成をして市場を整備するというのが一つでございます。卸売り人あるいは仲買い人につきましても、当然それらの業務の近代化あるいは施設の強化を行なわなければ、最近における流通事情に即さないということから、これの近代化に踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/51
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052・美濃政市
○美濃委員 正常な流通改善をする意図に基づく指導性を考えておるということでありますが、その中で、過般の参考人からも意見が出ておりましたが、近代的な流通は、指定生産地域をいま進めておりますから、やはりこれを強化して計画出荷体制に持っていく。そうして、まず最初、たとえばバレイショであればなまで食用として出てくる。これらはでん粉用のバレイショの支持価格等から測定して、これは統調の調べでも生産費が出ておりますから、そういうものを基準にどうなければならぬかという——最近、イモでも異常に高いときがあります。また、市場形成がせり売り体制でありますから無計画出荷になって、その日の量によっては非常に安い価格でたたき売りをしてしまう。それかと思うと、それにこりて出荷が少ないときには異常な暴騰をする。こういうことでは、生産者のためにもならぬし、消費者のためにもなっていないと思うわけです。しかも貯蔵性もあるわけですから、無理にその日に売ってしまわなくてもいいわけでありますから、きわめて鮮度が落ちてその日のうちに処分しなければならぬようなものは、しばらくの間せり売りを続行するという面があっても、これはやむを得ぬと思いますけれども、しかし、そういうものからまず相対販売あるいは標準価格販売にしていけば、標準価格制をとっていけば、さらに進んで指定生産地域の計画生産と計画出荷体制を進めることによって、逐次そういう体制にかなりのものをのせられると思うのです。それが私は流通の近代化、合理化でなければならぬと思うのです。あの不正常なせり売りをもって、今後ともああいう流通のしかたが正しいという原則に立って生鮮食料品の流通を考えるということは、私は基本的に前進がないと思うのです。そういう点はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/52
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053・黒河内修
○黒河内(修)政府委員 私ども生産担当のほうといたしまして、いま先生からお話が出ましたように、野菜につきましての計画出荷につきましては、御承知のように、四大市場に対する主要野菜について、大体五年ぐらい先の需要見通しというものを公表いたしまして、たとえば、五年後の京浜市場には大体どの程度の各野菜別の需要があるか、こういうようなものをまず公表しまして、それに基づきまして主要野菜についての産地を指定いたしまして近代化計画をつくっていく。その中には、お話のように共同販売をするための選果機その他の共同出荷の近代化施設の導入というようなことをはかってやっております。
それから野菜の価格安定事業につきましては、いまの市場のあり方としては、お話のように入荷量が支配します。たくさん物が入ったときには暴落するというような需給機能でやっておるわけですから、それにつきましては、御承知のように野菜生産出荷安定資金協会を中心にいたしまして、暴落のときの価格安定の機能をやるというようなことを、一応制度的に確立しております。
なお、短期的な毎年毎年の各市場向けの各種の主要野菜の出荷調整につきましては、生産県、消費県、また関係団体、そしてブロック別あるいは県別あるいは全国というように、作付等につきまして協議会を持ち、そして計画出荷をするようにしております。
それから、最近は農林省といたしまして生鮮食料品の情報センターができましたから、今後ああいうものの活用によりまして、さらに正確な計画出荷をするように私どもとしては指導してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/53
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054・美濃政市
○美濃委員 特定品目、できやすい品目からせり売り方式をやめて、相対、価格表示販売制度をとるという考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/54
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055・大和田啓気
○大和田政府委員 いま御指摘の特定品目について、東京の卸売市場でも、幾つかの市場ではせり売りでない別の方法でやっておるわけです。たしか神田あるいは築地ではまだせり売りでやっております。東京における市場の取り扱いでも若干違います。私ども一がいにせり売りがいかぬというふうにも言えないと思いますけれども、完全に計画出荷が行なわれて値動きがないものにつきましては、できるだけせり売りでない方法を導入することが賢明ではないかという感じを持って、現在市場の関係者とも話を進めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/55
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056・美濃政市
○美濃委員 ただいま申し上げたような点につきまして、それぞれ計画化されておるようでありますから、ひとつできるだけ積極的に、前向にこの流通改善に取っ組んでいただきたいという希望を申し上げておきます。
あわせまして、これは今回の対象外でありますので、ここでちょっと触れておきますが、穀物取引所に上場されておるこの姿というものは、全く現物の流れが、即穀物の上場数量とは違うわけであります。あそこへ上場されて取引対象になるのが、ものによっては七割もギャンブルである。ああいう姿勢で、いわゆるアズキなど主食でないとしても、やはり国民の食糧になる農産物がああいう姿で流通されておるということは、非常に非近代的であると考えます。ですから、きょうはこの答弁は要りませんが、後日、一般事項の中でこの問題もひとつ取り上げてみたいと考えておりますので、十分検討していただきたいと思います。
以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/56
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057・足立篤郎
○足立委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/57
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058・足立篤郎
○足立委員長 速記を始めて。
角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/58
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059・角屋堅次郎
○角屋委員 先々週から爼上にのぼっております農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案については、本委員会においてそれぞれ関係委員の諸君から非常に綿密な論議がなされてまいりましたが、私もこれに関連をいたしまして、いずれ大臣がお見えになると思いますが、総括的な若干の質問をいたしたいと思います。
最初に、農林漁業金融公庫の総裁がいまお見えになっておりますので、大澤さんのほうに少しお伺いしたいと思います。
農林漁業金融公庫を通じての制度金融、この制度金融という場合は、広く解釈すれば、いますでにできております農業近代化資金、これは系統の金を利子補給をして、広くいえば制度金融として活用する、こういうたてまえをとっておるわけです。そのほかに地方自治団体の場合に、やはり利子補給、債務保証その他いろいろなことを通じてやるのも、広く見れば制度金融だ、こういう解釈もされておるわけですが、いずれにしてもいわゆる昭和二十七、八年ごろから、補助金政策から融資政策への農政の転換というふうなことがいわれて以降、農林漁業金融公庫というものが制度金融として今日まで継続しておるわけですけれども、実際に大澤さんが公庫総裁になって、政府資金による制度金融を運営してみて、公庫のいろいろ歴史的にできてきた、そしてこれから総合金融制度を新没しようとする、あるいは市場近代化のための資金も出そうとする、こういうことでやっていくわけですけれども、そういうことをやっていく過程でも、絶えず農林漁業者というか、その立場に立って、整理統合すべきものは整理統合して、農林漁業者が政府資金を借りる場合にはできるだけわかりやすい姿で——われわれ相当専門的にやっておる者でも、どんどん年とともに新しいものがふえてくる、そして従来のものが必ずしもその中で統合されていかないという形になって、こういうものを関係者に利用させようと思っても、書類をひもとかなければならぬという実感があるわけですね。だから本来ならば、かくかくの資格を持った農林漁業者は政府資金を借りることができる、畜産であれ果樹であれあるいは土地改良であれ、それはこういう資格の者ならば当然借りることができるというプランをみずから立てて、申し込みをすれば、その資格にさえ適確に合えば、迅速にそういうものは借りられるというふうな、もっと金融というものが——金融農政というようなことでえらい主役のような批判もあるわけですけれども、本来、農林漁業政策のバックボーンというものは全体的にあって、それを金融政策がささえるという役割りだと思うのですけれども、それやこれや考えてみると、制度金融というものは、役人が考える場合には、中心は制度金融に置いて、これをどんどん整備強化をしていこうという熱意のあまり、今日振り返ってみると、もう少し基本的に、第一線の農林漁業者の立場に立って考え直してみなければならぬのじゃないかという感じを持つわけですけれども、公庫総裁としては、それらの問題の今後の方針についてどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/59
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060・大澤融
○大澤説明員 おっしゃるように、私どものおあずかりしている金融制度は、一見複雑な印象を農林漁業者に与えるということはあろうかと思います。また、補助金行政から金融行政というようなことを言われましたように、補助金で出ておったものが金融に移り変わったというような歴史的な経過もございます。したがいまして、個別的な政策を補助金によってささえておったというものが、そのまま個別的な政策を実現するための補助金にプラス金融がついたというような形で公庫ができたと思うのです。そういうことがあるものですから、個々のいろいろな政策について、個別のいろいろな形の融資が残っているということだと思いますけれども、たしか三十九年だったかと思いますが、大幅な整理がされて今日に至っているわけですけれども、そういう歴史的な経過もあり、また現実的な農山漁村における資金需要というようなことを考えましても、個別的な資金需要というものもこれはあるわけです。
〔委員長退席、石田(宥)委員長代理着席〕
そういうものに対して対応することが必要な限りは、複雑な印象を与えますけれども、そういう制度として維持していかなければならない。
ですから整理統合と申しましても、非常に限度があると思うのです。と同時に、そういうことの反省もこれあり、先ほど局長も言っておられましたけれども、現実のいろいろな各種の資金を一緒に大きく借りたいという資金需要もあるということでこういう制度もできたわけです。といって、これ一本になっていいかというと、いま申し上げたように、個別の需要があるわけですから並存でいく。しかし、公庫資金の過去の歴史をながめましても、個別の資金のほかに、たとえば北海道ですとか、この間御審議をいただいた南九州ですとか、いわばそういう総合化された資金制度も徐々に生まれてきている。両者並行して今後もいくということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/60
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061・角屋堅次郎
○角屋委員 大臣がお見えになりましたので、大臣に若干御質問申し上げたいと思います。
先般、わが党の森委員からもお話が御質問としてあったわけですけれども、昭和二十七、八年ごろから、補助政策から融資政策への転換というふうなことが、農政上そういうふうに切り変わったということがよくいわれたわけです。そして今日、金融農政、ある意味ではそれは批判として出ておると思う。やはり大臣もそういうふうにお考えだと思いますけれども、本来、農林漁業政策というものが、現在及び将来を展望してきちっとそれぞれの時期に適したように樹立されていく、そしてそれを裏づけるものとして金融が働く、これが本来農林金融の果たすべき位置づけだというふうに私どもは思うわけであります。そういう点の政策が先決で、それにタイアップして金融がこれに裏づけられるということでなくて、今後の農政の基本的展望というのは必ずしも明確にならぬ中で、たとえば構造政策の基本方向という中で、金融が、これにタイアップするということで出てきたんだと思いますけれども、金融主役というそういう姿ではいけないんじゃないかというふうに、率直に言って思うわけであります。
それと、制度金融が生まれてから系統金融との関連をどう考えるかという問題が一つ重要な問題でございまして、われわれの内部でも、この問題を議論する過程でもいろいろ討議をしてみました。農業者の金は、本来系統に集まったものはやはり農業者に還元していくというたてまえから見て、十分な体制にない系統金融というものをもっと育成強化をして、これをやはり中心に据えて考えるべきであって、制度金融主役論というふうな今日の農業金融の中の印象というものは、もう少し是正をしていく必要があるんじゃないかという考え方もございますし、また、本来農林金融は、農業の実態から見て長期、低利の金融というものが強く要請される。それにこたえていくという前提に立つ場合には、系統金融の今日の現状の中では、ある程度中期の展望をしてみても、系統だけにたよるという条件にはむずかしいであろう。
そういうことを考えてみると、制度金融そのものも農業金融の中でそれなりの正当な評価をして、正しい位置づけをしなければならぬだろうというふうに、いろいろ議論としては存在をするわけであります。しかしいずれにしても、制度金融あるいは系統金融を含めて、今後の農林金融全体としての運営の問題としては、農林大臣として、こういう改正を契機にどういうふうに持っていこうとするのか。特に、その中で私のお聞きしたいポイントは、系統金融というものは、今日三兆六千五百億円というふうな資金量になったということを片柳さんが言っておりまして、そしてそれはもうすぐ五兆円をこすこともそう至難なことでないという段階にきておる現状を考えてみますと、系統金融というものを、これから農業者の要請にこたえるように農林省としてどう指導していくのか、誘導していくのかということも含めて、基本的な考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/61
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062・西村直己
○西村国務大臣 確かに歴史的に見まして、農林漁業金融公庫ができる以前、農業金融というものはきわめて弱かったと申しますか、制度金融としての公庫金融ができ、またそのころから、日本の農政にも転換があったことは事実だと思います。戦後の荒廃した農業を立て直すということから、少し前向きに変わっていくというようないろいろな要素が出てまいったんじゃないかと思います。
そこで、お説のように、農業に関する施策というものがなくて、金融が過去のいろいろな助成その他の体系の中で動いていく、個別的になり過ぎている、この点については、公庫総裁もそういう裏づけを言っておられたが、確かにおっしゃるようなそういうものが多少残っている。そういうものは、先般申し上げたように、漸次われわれとしては体系づけていく努力は、断じてやらなければならぬと思うのであります。
それからいま一つは、金融政策の場合におきまして、金融の位置づけということは、われわれは絶えず反省することはしなければなりません。特に農業におきましては、これは日本の農業の特質から申しましても、近代化あるいは経済性を入れることは大事でありますが、同時に助長と申しますか、政策というものと両々相まっていくということが必要で、それから、今度金融の性格は、おっしゃるとおり長期、低利ということでございます。
そこで、事柄を制度金融と系統金融にしぼってまいりました場合に、それぞれが独自の分野を持っていると私は考えております。片方は内部から蓄積されてきたもの、片方は政府の財政資金等を中心にしてきておるというものでございますから、目的も違えば性格も違う。そこで、内部から蓄積されたものはできるだけ内部管理をするということは当然のことで、その努力の方向にいかなければならぬ。そうしてその分野において量も大きいのでございますから、本来の使命を果たせるようにしていきたい。
ただ問題は、御存じのとおり資金コストの問題が一つあると思います。そこで近代化資金などにおきまして利子補給制度等をつくりまして、この量も漸時拡大をして、農民の各位にもかなり活用されておるように思いますが、われわれとしても、これからさらにまたこういうものを長期資金、低利資金として、制度資金の一角であると同時に系統資金の活用でもありますからやってまいりたい。同時に、この系統資金自体でも、言いかえますればいろいろ資金コストを下げるくふうというものをわれわれも検討し、また系統資金の内部におきましても、いろいろな御苦労を願う必要が徐々にあるのではないか、こんなふうな考え方でまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/62
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063・角屋堅次郎
○角屋委員 系統金融の問題について、たとえば東畑四郎さんあたりの所論を見てみますと、利子補給を政府から受けて、そうして制度金融的に活用するというふうなことを安易にやってはだめだ、農業者から集まった金は農業者の需要にこたえるように、できるだけ条件も整備してやるような、農業団体みずからの手による改革あるいは合理化というものが先決であるというふうなことをいっておるわけですけれども、そういう面では農林省が、系統を農業金融の中心に据えてやっていくというたてまえからいくならば、もっと相互に相談をしながら、系統の自主性も十分尊重しながら、そういう要請にこたえるための指導を強化する必要があるんじゃないかというふうに率直に思うわけです。農業近代化資金の法案の議論をしたときに周東農林大臣は、この農業近代化資金というのは恒久的なものではないのだ、農業団体自身が金融条件をみずからのくふうでよくしていく、そのいわば誘い水として農業近代化資金をつくったんだ、趣旨は、スタートはそうであるということを言っておるわけですね。ところが、現実には農業近代化資金というのは、一つの重要な地歩を占めておるわけですけれども、制度金融があり、そして系統金融があるという中で、系統自身のくふうあるいはそれに対する指導等を通じて、今日系統に対する批判がいろいろあるわけですが、その農業者の金は農業者に還元できる条件というものをもっと整備強化する努力が必要ではないか。こういう点については、一体どういうふうにやっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/63
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064・西村直己
○西村国務大臣 経済局長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/64
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065・大和田啓気
○大和田政府委員 私どもも機会あるごとに、信連あるいは単協の人たちに、金融のコストの引き下げの必要を言っておるわけでございます。非常に大ざっぱな観察でございますけれども、普通の単協で最近の経理の実績を見ますと、信用事業で大体五百万円程度の黒字をこしらえて、購買事業で若干の黒字をこしらえ、販売事業あるいは利用事業等々で赤をこしらえて、まあ二百万円程度の黒字を残すというのが大体の農協の姿でございます。しかし、だんだん購買、販売事業も環境がきびしくなりますし、また農協の職員の給与の引き上げの問題もあるわけでございますから、単協としての経理状況はだんだん悪くなる。信用事業に対する単協の期待は強くなる一方、また信用事業の面でも、最近こそ多少金融が引き締められておりますけれども、傾向としては、やはりここ二、三年と違ってゆるむ方向でございましょうから、信用事業に対する期待が強まると同時に、信用事業がなかなか窮屈になるわけでございますから、よほどの決意を持って信用事業の合理化、単協事業全体の合理化はもちろんでございますけれども、信用の面における合理化も必要であろうということを、私ども繰り返し繰り返し述べ、中金自体もその点については相当熱意を持って信連及び単協の指導に当たって、徐々に効果が出ておる。私どもこの点に関しては、ますます指導を強めなければならないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/65
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066・角屋堅次郎
○角屋委員 農林金融の現状というのを少し数字的に見てみますと、農家の預貯金が最近、この数年来年々二〇%程度の伸びを見せておって、四十一年度末の預貯金の残高が三兆八千億円、一農家当たり六十七万九千円という数字がデータであるわけです。今度は借りておるほうについては、四十一年度末で一兆八千億円、一農家当たり十八万二千円、こういう数字が一つあるわけです。結局農協に集まる、たとえば預貯金というものを一つ見てみましても、この中は、増加率で見ますと米代金が二八%を占める。あるいは都市周辺地域における土地売却代金が二一・四%を占める。あるいは兼業収入が二八・一%を占める。その他農林畜産物が二二・五%である。こういうことで、米の代金あるいは都市周辺地区における地価高騰によるところの農地の売却代金というのが非常に大きな比重を占めておる。このうちで、たとえば、ここではこういう機会ですから深く触れる気持ちはありませんけれども、今度の国会で大きな問題になったいわゆる食管問題、米価問題というふうなものの今後の取り扱いいかんによっては、やはりそういう問題がこの傾向に一つの大きなモメントを持ってくる。あるいは土地政策として地価の高騰をそのままに看過することはできない、全体としての地価対策を強化する必要があるというふうな関連からすれば、土地売却代金によるところのこういう増加率に対する寄与についても、これは今後の問題としては疑問を含んでくる。
そういうふうに見てくると、片柳さんがこの前、いま三兆六千五百億円のものを、もう一両年を待たずして五兆円も可能であると言っているが、そういうふうにいくのかどうかということは、これからの諸政策との関連でやはり変わってくるだろうというふうに思います。のみならず、農家の預貯金の地域分布を見てくると、いまのことからも言えるように、関東、東海、近畿というところの預貯金の全体的な比率あるいはそういうものの増加率というのが非常に高いわけですね。反面、農家が金を借りるという点から見ると、北海道、東北それから九州、それに次いで四国というふうなところが、借り入れるほうでは非常に高い。特に北海道は、農家の預貯金よりも借り入れのほうが大きいというデータも出ておるわけですね。これは御承知の、北海道におけるだいぶ前からの隔年に起こったりあるいは連続で起こったりする冷害等の影響が、そういうのに一つの大きな要因を与えておると思います。したがって、農林金融の地域的分布というものを考えてまいりますると、農業経営近代化のためにほしい農家に、制度金融なりあるいは系統金融なりで金をつぎ込んでいくという政策的な考え方からいっても、そういう全体的な、やはり農業の実態のみならず農家経済、農業経営の実態というものも十分判断をしながら、金融政策の指導というものがきめこまかくなされる必要が基本的にあるんじゃないかというふうに思うわけですが、それらの点について、ひとつお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/66
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067・大和田啓気
○大和田政府委員 これは、いま御指摘になりました数字で示すように、確かに地域別の農家の預貯金あるいは借り入れ金の態様が違うわけでございます。これは単協及び信連の経理の内容も、まさにそのとおりでございます。幸いに中金が全国的ないわば調整機能を果たしておるわけでございますから、私ども中金を通じて、足らない県に対して中金の金を回すということで全国的な調整をとっておるわけで、金融行政も地域の実態に即して行なわなければならないということは、お説のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/67
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068・角屋堅次郎
○角屋委員 農林大臣、系統金融の資金量は年とともに豊富になっている。それで農業近代化資金がいま現実に存在をしておるわけですけれども、利子補給を今後やる、そういう方法によって系統の活用というのは今後ともに続けるという考え方ですか。あるいは本来は、系統金融は系統本来の努力あるいは政府みずからの指導と相まって、系統の金は系統で使うというたてまえに立っているわけですか。系統の金を制度金融的に利子補給をしていくというようなところにウエートがあるのか。あるいは指導としては、系統の金は関係農業者自身で使うという、そういうところに指導の方針の強化を持っていくのか。その辺のところはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/68
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069・西村直己
○西村国務大臣 さしあたり、やはり全体としては、私は系統金融の資金コストを下げていく、こういう努力ははかりたのいでございますが、しかし一面におきまして、近代化資金というものを中心に、これは一種の制度金融的に利子補給をして使っているのでございますから、やはりまだ相当利子補給を続けていってもらって、そうして活用の柱にもしてまいりたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/69
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070・角屋堅次郎
○角屋委員 経済局長、系統金融の農業に使っておる比率、簡単な数字ですからひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/70
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071・大和田啓気
○大和田政府委員 四十一年度末、すなわち四十二年三月の数字で申し上げますと、農協の貯金が二兆八千三百七十九億円で、貸し付け金が一兆三千八百五十七億円でございますから、大体大ざっぱに申し上げて、農協段階で貯金の半分程度が貸し付けに回っておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/71
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072・角屋堅次郎
○角屋委員 単協段階から県の信連へ、県の信連からさらに農林中金へという三段階制のシステムにいまなっておりますが、特に農林中金あるいは信連の場合、系統外の融資というものに対する農林省の指導の考え方というのはどういうふうにしてやられるわけですか。これは、いまも数字は言われましたように、また東畑四郎氏もその批判の中で言っておるように、農業者の金というのは農業者に使っていくというのが本来のたてまえで出発したのに、コールに出すとか、あるいは関連産業で利ざやをかせぐとか、いろいろそういう方面がどんどん比重的に高くなっていって、本来農業者の要請にこたえるという点が、真剣に取り組まれておらぬ傾向がないとは言えない。もっと本来の姿に系統金融自身も返るべきではないかというふうなことを言っているわけですけれども、現状においてはこれはやむを得ないんだと言っていつまでもやっておると、農業金融本来の姿に返ることが遠い将来の問題になるんじゃないか。だから、いまのところはフィフティー・フィフティーの状態だと思いますが、それについてはそれなりの理由を言うでしょう。言うですけれども、そのことが、たとえば共和製糖グループのあの種問題を出すような一つの要因にもなるということである。農林漁業者の需要はきわめて旺盛であって、それの資金量としては相当豊富に持ちながら、これにこたえ得ないという点で、いわば正道でない、邪道であるべきそういう方面に、系統金融の金がいろいろ運営上使われておるという点を含めて、これからの指導としては、あるいは姿勢としては、それらの問題をどういうふうに持っていこうというのか。これは基本的な点ですから、大臣からひとつお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/72
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073・西村直己
○西村国務大臣 確かにおっしゃるように、系統金融が部外のコールその他に回って、いわゆる金利かせぎだけに終わる。こういうことでは、いわゆる単協から積み上げてくる農民の預貯金本来の使命というものが果たせない。これは世間でもよく論議されておる。そこで、できれば内部の還流、還元というものにウエートを置く、これはもう農業金融の本筋だと私は思います。
ただ、御存じのとおり預貯金と申しましても一般金融との関連もあります。したがって、全体の金利体系の中においての預貯金、もう一つは単位農協というものにおける経営の合理化、あるいははね返る資金コストの問題、もう一つは、系統資金の中にもいろいろな仕組みがありまして、いろいろなむずかしい議論が出ておる。批判は楽でございますが、実行していく場合には、いろいろな流れもございましょうし、歴史もございましょう。そういうような意味で私どもとしては、末端において、系統金融の中で借りるほうも借りられるように近づけていかないと、金利の関係で——その努力というものは基本に置いておく。言いかえれば、系統金融は系統金融へ還元させるというところにやはり基本は置きながら、いろいろな本質的な手は打っていかなければならぬ、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/73
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074・角屋堅次郎
○角屋委員 わかったようなわからぬような……。これは、三十六年段階以降、農林漁業金融公庫や近代化資金についていろいろ議論してきた経過を見ると、足鹿さんも北山さんも本委員会で、とにかく相当な余裕金があるのに、なおかつ農林中金が農林債券を発行して、そしてさらに資金量をふやすということはけしからぬじゃないか。中身を見てみると、関連産業だ系統外だというてそういうものを出しており、そして、関係農林漁業者の資金需要にこたえない。むしろ農林中金の状態からいくならば、農林債券を発行しなくてもいい現状ではないのか、公庫自身に債券発行を認めたらどうだという議論も、従来の速記録の中ではとどめられておるわけですね。それに対しては、いや、実は系統から中金に上がってくる金というのは、コストにしてみるとかれこれ八分ぐらいになっておる、しかし農林債券として、たとえば利つき債券あるいは割引債券というものを発行するようにすると、それよりも少し利率の低いところで募集ができる、それらを含めてコスト運営をしなければならぬので、というようなことで逃げておるわけですね。本来下から集まった金は下に還元していくという本筋を忘れて、コスト運営論というので本質的な議論にならないという、そういうところにとどまっておると思うのですね。
時間の関係もありまして、制度金融に入らなければならぬわけですけれども、私の言いたいことは、われわれとしても農林金融というのは、系統の資金量がどんどんふえてきたから、これはやはり農林漁業者が活用できる体系をもっとりっぱにつくり上げたい。現状としては、日本の金融全体の情勢の中で、農林金融だけを別建てで考えることはできないだろうけれども、しかし、それにしても本来の農林金融のあるべき姿に、農林省としてどう指導し誘導していくかという点を絶えずきっちり考えながら、関係団体の協力と相まってやっていく必要がある。その点では少し魂がきっちりしていないんじゃないか、率直に言ってこういう感じがするわけです。そういう点は、今後さらに系統を中心にした農林金融の正しいあり方という前提に立って、もっと綿密な検討とこれからの指導というものを打ち出すように、ひとつ考えてもらいたい、こういうふうに思うわけですが、大臣、いかがですか。
〔石田(宥)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/74
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075・西村直己
○西村国務大臣 系統金融は大きな分野でございまして、あるいは日本全体の金融の中においても、大きなものを占めていると私は思うのであります。したがって、これを全然切り離して考えるわけにもいきません。しかしながら、元来の使命、それから資金の性格、こういうものを考えてみますと、御説のとおり、本来農民の蓄積というものは農民に還元するという正しい姿に近づける、この基本というものは、農林省として、あるいは農政をあずかるものとして、不断に検討していかなければならぬと思います。ただ、事柄が金融であるだけに、そこにいわゆる急激な、ドラスティックな行き方をとって摩擦を起こすというだけではいけないのでありまして、やはり流れやすいような仕組みというものを検討していかなければならないのではないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/75
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076・角屋堅次郎
○角屋委員 冒頭に、制度金融と系統金融のそれぞれの受け持つべき役割りということをお尋ねしたわけですけれども、たとえば系統金融中心、あるいは系統金融一本ということを言うと、それは大蔵省が喜ぶ議論になる。今度は制度金融中心と言うと、これは農林省が大喜びだ。問題は、そういう見方でものを見るべきではないというふうに私は思っております。やはりあくまでも対象は農林漁業者ですから、それを対象にして、それに必要な農林金融を、農林漁業金融の性格である長期、低利とかいろいろな好条件の中で、いかに適切に与えていくかということを基本にしながら考えなければならぬと思う。しかも、その中でもやはり、先ほど来言っておるように、系統で相当な資金量を持ち、そうして現状から見ると問題点を持っておるだけに、系統本来の金融の姿に立ち返らせる、そういう形の指導と相まって、系統を中心にした農林金融の運営が今後発展をしていくような、そういうかまえで農林省自身はやる必要があるというふうに私は思っておるわけであります。
そこで、本改正案の関係もありますので、制度金融の問題に若干入りたいと思うわけであります。
制度金融問題で、今度総合融資制度あるいは卸売市場の近代化に関する新しい資金の創設問題が出たわけですけれども、これは公庫総裁というよりか、政策論ですから大臣でしょうが、農林漁業を対象に制度金融の中心を置いて、関連産業の新設という問題は、今後できるだけ農林漁業金融公庫の中では避けていきたいという方針なのか、農林漁業者を中心にして考えるけれども、関連産業でもし必要なものがあれば、今後ともそういうものについては加えていきたい、こういう考え方なのか、そういう点を今後の問題としてお伺いしておきたい。たとえばブドウ糖の問題であるとかなんとかいうふうに、公庫では中金と違って、関連産業というものについては限定されておる。今度市場の関係が出てきたわけですけれども、おそらく今後の問題として爼上にのぼってくるのは、農林水産関係の加工を中心にした問題等まで含めてやるかどうかという問題であろうかと思いますけれども、これからの制度金融の発展方向というもの、その基本的なかまえというものを大臣はどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/76
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077・西村直己
○西村国務大臣 制度金融の性格は、先ほどからの論議でわかるように系統金融とは違うのでありますが、基盤整備とか農業構造改善等政策的な必要性の高い分野の金融である。したがって、財政投融資のようなものを使うわけでありますし、融資条件もそれにふさわしいようにやっておるわけであります。ただ、それと関連産業との分野でありますが、もちろんわれわれとしては、基本はやはり制度金融でございますから、いまのような農林漁業の基盤を中心にしたものに中心を置かなければなりませんけれども、関連産業でも、どうしても政策上必要なもの、またそれでなければできないようなものについては、公庫資金についても便宜をはかってまいらなければならぬ、こういうような考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/77
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078・角屋堅次郎
○角屋委員 現状の農林漁業金融公庫資金の貸し付け内容は、四十三年度で一応計画としてみますというと、経営構造改善が四〇%、基盤整備は三五%、一般施設が一〇%、今度新設される卸売市場近代化が一%、経営維持安定が八%、災害が三%、予備三%というふうな内容の構成比であります。したがって、こういうところから今日の農林漁業金融公庫の貸し付けのウエートというものはあらわれておると思うのでありますが、その中で、今度新設される総合融資制度の問題に若干入ってお尋ねをしたいわけですけれども、ここでずいぶん多くの人々から綿密な論議がされてまいりましたので、再び繰り返す気持ちはございませ一が、いわゆる自立農家たらんとする候補農家に、一戸当たり大体八百万円の目標で、十年の据え置き期間は四分五厘、あとは五分ということで、二十五年の償還期間で総合融資をしていこう、これには近代化資金あるいはまた系統の金もタイアップした形でやっていこう、こういう構想のように承知をしておるわけであります。その場合に、従来からも議論されてまいりましたが、一体八百万といい、場合によっては一千万をこえてもよろしい、こういうふうな形で農家が融資を受ける場合に、一つ問題になるのは、担保力問題ということが問題になるわけです。
そこで、担保力問題については、今後の検討課題というものもございますし、また当面運営していく場合には、担保力については必ずしも一〇〇%主義というものはとらないのだろうと思いますけれども、運営の問題として、担保力の問題を現在はどういう考え方でいくのか、また担保力の強化のために、今日課題として残っておる問題については、どういう考え方で今後これを処理しようとしていくのかという点について、考え方をお聞きしておきたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/78
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079・西村直己
○西村国務大臣 総合資金の融資にあたって、この点が一つ問題になると思うのであります。それにつきまして、担保のとり方あるいは動産抵当制度の改正、こういったことにつきましていろいろくふうをこらして、農家が受けやすい体制をつくらなければならぬ、こういう点は当然われわれとしても努力をしなければならぬと思います。なお細部にわたりまして、局長から補足いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/79
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080・大和田啓気
○大和田政府委員 担保のとり方といたしましては、できるだけ弾力的に考えて、物的担保と人的担保をうまく組み合わせることが必要と思いますが、物的担保の力をつける意味で、いま大臣からお話がございましたような、農業動産抵当制度についての改善を考えておりますが、私は将来の方向といたしましては、ますます農家の資金需要が、果樹、畜産等々を中心として大きくなるわけでございますから、私どもの検討課題といたしましては、先般も申し上げましたように、家畜を群として担保にとることができるかできないか、あるいはいろいろな御意見としてありますように、土地、その上の施設、農機具、家畜等々を含めて農場財産抵当制度がはたして日本に導入できないものか等々、これは法律的な、学問的な問題でございますから、時間がかかると思いますけれども、私どもの今後の検討課題というふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/80
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081・角屋堅次郎
○角屋委員 公庫の総裁のほうが適当かと思いますけれども、最近の農林漁業金融公庫の延滞になったものはどういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/81
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082・大澤融
○大澤説明員 最近の数字といたしましては、四十一年度末の数字、つまり四十二の三月でございますが、延滞は、元金利息を寄せまして四十四億でございます。件数にいたしまして約三万件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/82
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083・角屋堅次郎
○角屋委員 さらにちょっとお聞きしたいのですけれども、例の三十六年のときに、法案審議の際に問題になっておりまして、これはその後どうなっておるかお聞きしたいのですが、復金からの持ち越し問題、特に漁船関係、李ラインにからむ問題等々については、その後どういうふうに処理されてきたか、例の承継した債権の残高問題ですね、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/83
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084・大和田啓気
○大和田政府委員 たしか三十九年のときでございますか、問題がございまして、そのときお答えをいたしました数字が、公庫の承継したものとして、復金関係分が十六億、産投関係分が五億、開銀関係分が四億九千万、それから中金関係の農林漁業金融復興関係分が六億七千万等々で、合計いたしまして三十三億ほどのものを承継いたしたわけでございますが、その後回収が相当進みまして、また多少償却したものがございますが、残高としては三千九百万程度というふうなところまで現在いっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/84
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085・角屋堅次郎
○角屋委員 あとの時間がありますから、公庫総裁にちょっと。私ども国会に出ておって、政府資金を借りたいというときにぶつかる問題が、前に借りておって、そうして本人の責めに帰さない土地改良その他の問題で、たとえば設計どおりいかなかったとかいろいろなことで返還が焦げつきになる。ところが、パイロット事業その他で新しい計画が出て、それはやりたい。しかし前の焦げつきがあるので、新しいものを借りようと思っても、これは個人じゃなしに全体で借りたいと思っても、それがてこになってなかなか借りられないという問題が現実に起こったりしてきて、私どもはそれについてまたお願いをするということが起こるわけですね。結局、公庫は金融機関ではあるけれども、農林漁業の金融機関であるという立場からすれば、その実態に即した処理というものは、やはり心がまえとして必要であろう。私ども同僚委員の中でも具体的に、ため池にたまるべき水がたまらなかった、そこで焦げつきになったというふうな問題を取り上げてやろうというプランが最初あったのだけれども、時間の関係上やめられましたが、そういう問題については、特に土地改良その他の問題についてしばしば起こって、それが焦げつきになって、新しいプランをやりたいけれども、それがひっかかってなかなかできない。それらの取り扱いは、どういう考え方で処理されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/85
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086・大澤融
○大澤説明員 私どもの考え方としましては、延滞を起こすとかその他不正なことがあったというような者に再び金を貸すというようなことは、原則としてはやらないわけでございますけれども、しかし、それを機械的に考えておるのではなくて、たとえば、新しい融資をするというようなことによって償還も促進されるというような問題もございますし、個々具体的なケースに従って判断をしてまいりまして、その辺は弾力的な処理をいたしたい、こう思っています。
ただ、注意しなければならないことは、私どもがお預かりしておる資金は、これすべて国民の税金の資金でございますから、回収がつかないような者にさらに金を貸すというようなことは避けなければならぬと思いますが、おっしゃる点、弾力的な配慮を払っていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/86
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087・角屋堅次郎
○角屋委員 最後に要望だけ申し上げて質問を終わらせていただきたいと思います。
時間の関係もありまして、多くの問題に触れることはできませんでしたけれども、私どもが言わんとする点は、農業金融の問題については、やはり本来農林漁業政策というものがきちっと立って、それに見合って金融が裏づけられる、いやしくも金融農政ということが強く言われるような形というものは避けながら、政策に伴って金融がこれにつくという指導で、今後とも政策全般の樹立ということに力をいたしていただきたいということと、先ほどから言っておりますように、制度金融は制度金融として今日役割りを持っているわけですけれども、系統金融の現状と問題点、それをどういうふうにしていくかということについて、系統自身の内部事情もあるかもしれませんけれども、農林省自身としても十分連携をとりながら、系統本来の金融の役割りが果たせるような方向での最善の努力を今後していってもらいたいということと、今後新しく新設される総合融資問題あるいは市場近代化問題というものと、従来から存在してきた既設の物別融資というふうなものと十分連携をとりながら、調和をとりながら、運営が円滑にいくように配慮を願いたいということを最後に希望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/87
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088・足立篤郎
○足立委員長 他に質疑の申し出もありませんので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/88
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089・足立篤郎
○足立委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/89
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090・足立篤郎
○足立委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/90
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091・足立篤郎
○足立委員長 この際、本案に対し、石田宥全君外三名より、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨説明を求めます。石田宥全君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/91
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092・石田宥全
○石田(宥)委員 数日来の審議の中で、その趣旨は明らかになっておりますので、案文だけを朗読いたしたいと思います。
農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、農業金融の将来あるべき方向につき、系統金融と制度金融が有機的な関連をもつべきものであることを認識し、両金融制度の本来あるべき分担を明確にして、農業金融制度の充実に力をいたすとともに、制度金融についても確固たる農林漁業の諸政策を樹て、これと調和のとれた金融体系を整備すべきである。
当面、左記事項につき、すみやかに検討を加え、その実現を図るべきである。
記
一、総合資金制度が包括融資制度であることにかんがみ、農業近代化資金及び運転資金についても公庫施設資金と一本化して貸付けられるようにするとともに、貸付条件の改善を図ること。
二、総合資金制度は、強い選別融資の性格をもつ制度であり、且つ、特殊な貸付決定の方式を採用していることにかんがみ、担保保証については、大巾な緩和を図ること。
なお、農業財団担保制度の研究を進めるとともに、農業動産抵当制度の改善等農業金融担保制度の整備を図ること。
三、総合資金の貸付に当たっては、単協育成を図る意味から単協の機能を充実し、都道府県信連の直貸方式のみでなく単協の転貸または事務取扱いができるよう努めること。
四、公庫は、資金貸付に当り、手続の簡素化、資金の弾力的運用及び事務の円滑化について適切な措置を講ずること。
五、中央及び地方の農畜水産物卸売市場の一貫した行政を強化するため、卸売市場法の制定等総合的な法制の整備を図ること。
六、中央卸売市場の卸売業者の転送については種種の弊害が生じている現状にかんがみ、これを除去するため、公正且つ、厳格なルールを確立し、これを遵守せしめること。
七、中央卸売市場の卸売業者の手数料、出荷奨励金等の改善を図るとともに、明朗、公正な市場運営を確保するためいやしくも市場内において不明朗、不公正な事態の起ることのないよう特に監督及び指導に万全を期すること。
八、中央卸売市場の仲買業者の整備資金に、仲買業者の統合に伴なう営業権取得資金を加えること。九、卸売市場整備資金の資金枠の確保及び貸付条件の緩和について改善を図ること。
十、生鮮食料品の規格、包装の標準化を進め、取引の簡素化を図り、迅速、且つ、合理的な運営を実現できるよう積極的な施策を講ずること。
右決議する。
以上でありますが、すみやかに御可決あらんことを要請いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/92
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093・足立篤郎
○足立委員長 以上で趣旨説明は終わりました。
別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。
石田宥全君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/93
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094・足立篤郎
○足立委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。西村農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/94
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095・西村直己
○西村国務大臣 ただいま決議いただきました附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重いたしまして、誠意をもって努力いたしてまいりたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/95
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096・足立篤郎
○足立委員長 おはかりいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/96
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097・足立篤郎
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/97
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098・足立篤郎
○足立委員長 この際、連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。
ただいま建設委員会で審査中の都市計画法案及び都市計画法施行法案の両案について、建設委員会に連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/98
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099・足立篤郎
○足立委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
なお、連合審査会開会の日時等につきましては、建設委員長と協議の上、公報をもってお知らせいたします。
次回は明十七日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X01319680416/99
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