1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十三年四月十八日(木曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 八百板 正君
理事 砂田 重民君 理事 竹内 黎一君
理事 武部 文君 理事 和田 耕作君
青木 正久君 木野 晴夫君
坂村 吉正君 中山 マサ君
広川シズエ君 伊賀 定盛君
村山 喜一君 有島 重武君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 山田 精一君
公正取引委員会
事務局長 柿沼幸一郎君
行政管理庁行政
監察局長 諸永 直君
経済企画庁国民
生活局長 八塚 陽介君
委員外の出席者
公正取引委員会
事務局取引部景
品表示課長 伊従 寛君
行政管理庁行政
管理局管理官 中塩 達也君
経済企画庁国民
生活局参事官 小島 英敏君
経済企画庁国民
生活局消費者行
政課長 岩田 幸基君
厚生省環境衛生
局食品衛生課長 野津 聖君
厚生省環境衛生
局乳肉衛生課長 神林 三男君
厚生省環境衛生
局食品化学課長 小高 愛親君
農林省農林経済
局消費経済課長 森実 孝郎君
通商産業省企業
局消費経済課長 谷村 昭一君
—————————————
本日の会議に付した案件
消費者保護基本法案(砂田重民君外二十四名提
出、衆法第二一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/0
-
001・八百板正
○八百板委員長 これより会議を開きます。
消費者保護基本法案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/1
-
002・武部文
○武部委員 公取の委員長にこの際、八幡、富士製鉄の合併問題について、この機会にちょっとお伺いしたいと思います。
新聞で大々的に取り上げられまして、非常に大きな問題が起きておりますが、八幡製鉄と富士製鉄との合併問題について、公正取引委員会がどのような判定をするかということがたいへん注目の的であります。したがって、この問題について公正取引委員長はただいまどういう御見解をお持ちなのか、それをひとつ最初にお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/2
-
003・山田精一
○山田政府委員 ただいま御指摘のございました八幡、富士両製鉄会社の合併の問題は、私も新聞で昨日見ました程度でございまして、合併当事者から、何が目的で合併をいたしたいのか、また合併いたしますとどういう効果があり、また関係業界にどういう影響があるかというようなことについて、何もまだ聞いておりません。むろん申すまでもなく、ことにあの業界は基礎物資のことでもございますから、もしもそういうような申し出がございました場合には、十分慎重に、また厳正に判断をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/3
-
004・武部文
○武部委員 この問題については、民社、公明からそれぞれまたあとで関連をして御発言があるようですから、そのこともひとつお含みいただきまして、続いてこのことについてお伺いいたしたいと思います。
具体的に聞いておらないというお話でございましたが、少なくともこの八幡、富士製鉄の合併問題というものは突如として起きたものではないのでありまして、そういう機運があったことはすでに私ども自身もある程度承知をしておった。しかし、現実に具体的にそのようなことが社長の談話等になってあらわれたということは、確かに、おっしゃるように私どもも新聞で知ったわけであります。これはあとで申し上げますが、少なくともこうした問題が、特にビール業界等の具体的な例を見てもわかるように、非常に大きな影響を与える。したがって、これに対する公正取引委員会のいわゆる独禁法に基づく基本的な考え方というものは、私は明らかであろうと思うのです。したがって、慎重に検討するとおっしゃるけれども、私は、以下具体的なことについて、この際なお重ねて委員長の見解を承りたいのであります。
八幡製鉄の社長は、世論に聞くということを談話で言っておられますね。世論と申しましても、独占禁止法は一般の国民にとってはとても理解をしにくい。ほとんどの国民が独占禁止法というものを理解しておるとは思えません。そういう意味で公取の意見というものが世論の指導の面においては非常に大きな力がある、私はそういうふうに理解をすることができると思うのです。
去る昭和四十一年の朝日麦酒とサッポロビールの合併問題が起きたときに、公正取引委員会はこれについて発言をされました。その発言が実際の指導力になって、この朝日麦酒とサッポロビールの合併は自主的に取りやめになった、そういう経過があるのであります。それは委員長の御承知のとおりだろうと思います。このように公正取引委員会の発言自体が非常に大きな世論指導になってあらわれている。私どもは、そういう点で公正取引委員会の発言というものが非常に大きい、このように理解をしておったわけであります。
そこで、この際ひとつお伺いいたしたいのは、サッポロと朝日とがかりに合併した場合に、市場の独占率、そういうものは合併することによってどういうふうになるとその当時お考えになったでしょう。その点をちょっとお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/4
-
005・山田精一
○山田政府委員 朝日、サッポロの問題のございましたときには私は役所におりませんでしたので、その辺の詳細を存じておらないわけでございますが、当時十二分に検討いたしました結果、もしも両社が合併するならば、当該取引分野において競争の実質的制限になるおそれがきわめて濃厚であるという判断に到達したものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/5
-
006・武部文
○武部委員 そうすると、これと比べて八幡と富士製鉄との合併問題は、どう違うというふうに御判断でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/6
-
007・山田精一
○山田政府委員 結局判断の基準は、一定の取引分野における競争の実質的制限になるかいなかということに尽きると思います。ただ、これを分解ふえんいたしますれば、合併当時、会社のシェアでございますとか、あるいは同業競争会社との競争関係、それから需要者の側との関係、また代替品との関係、その他もろもろの要素を考え合わせなければならないと思いますので、その辺を十分検討いたしました結果判断をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/7
-
008・武部文
○武部委員 私は、市場の独占率、占拠率においては、朝日麦酒とサッポロビ−ルとのあの当時の公取の考え方と、今回の八幡、富士製鉄との合併の考え方にそう根本的な大きな差があるとは思えない、また思うのがおかしいと思う。そういう意味で今回の問題については、いろいろ新聞等での話が出ておりますけれども、少なくとも当委員会で公取の委員長としての発言を私どもは期待しておるわけであります。あとでまたちょっと申し上げますが、この際ひとつお聞きしたいのは、一般物価の上昇率、それと特に銑鉄、はがね、そういうものの上昇率についてはどんな比率になっておるといま公取ではお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/8
-
009・山田精一
○山田政府委員 まだその点は調べておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/9
-
010・武部文
○武部委員 卑近な例ですが、昔から米一升にかま一丁ということばがいわれておった、わけですね。ところが、現在では米一升かま一丁ではない、米二升かま一丁ということなんですよ。ということは、鉄の値段が下がっていないことは、このたとえ一つとってみてもはっきりしょうと思うのです。鉄の値段というものは下がっていない。米一升かま一丁が倍の比率になって、いまは米二升かま一丁というようなことさえいわれるわけですね。そういう点を考えると、この八幡、富士の合併というものがもしかりに実現するとするならば、独占率というものは非常に高くなってくるという点について、おそらくこの事実が明らかになるにつれて、国民の側でも独禁法に基づくいろいろな見解が出てくると思うのです。
私がきょうこの機会にお尋ねしたいのは、いろいろ新聞には、公取の動きが注目されるとかどうだとか、委員長がどこでどんなことを言っておられるとかいうことが出ております。しかし、公式なこうした国会の発言の場所ではないわけですから、ほかの党の方からも質問があるそうですからあと譲りますが、この機会にこの問題について、もう一回はっきりとした態度をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/10
-
011・山田精一
○山田政府委員 私のほうは、御承知のように行政委員会の組織をとっておりますので、私個人の見解でもってものごとがきまるわけではございません。委員会で付議いたしまして、思想統一をいたさなければ見解は確定しないわけでございます。ただいまの段階におきましては、私といたしましては十分慎重に、事柄の重要性にかんがみまして十分慎重に、厳正に検討をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/11
-
012・武部文
○武部委員 慎重に、厳正に、慎重にということでありまして、もうそれ以上のことをどうも追及できぬわけでありますが、それではこの問題については公取の正式な見解をあらためて承る機会を早急にお持ちいただきたいと思いますので、私のこの問題についての質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/12
-
013・有島重武
○有島委員 関連して。ただいまの武部委員の質問に関連いたしまして、私も二、三質問をしたいと思います。
ただいまお話しのありましたように、正式に届け出があれば応ずるというようなこと、これは確かに形式上はそうであろうと思いますけれども、実質的な取り調べということは、すでにそれ以前に始まっているわけであると思うのです。これは早々にお始めになるかどうか、そのことについてお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/13
-
014・山田精一
○山田政府委員 鉄鋼業界につきましては、従来からも独禁法上の問題があるわけでありまして、調査をいたしております。したがいまして、それをさらに十分に調査をいたしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/14
-
015・有島重武
○有島委員 これは実質的に競争制限になるということは明らかなわけでございますね。いままでよりも競争の制限は、実質的には強化されてしまうということは明らかなことでございますね。それで、山田委員長が就任になりましたときのおことばに、大メーカーによる管理価格は、景気の引き締めや不況の際も下がらないため、世界的に問題になっており、この面から独禁法の価値が再認識されてきた、今後この管理価格を最大の問題として取り組んでいく方針である、産業界、消費者も独禁法が経済生活の一つの核であるということを理解してもらいたい、そういうふうに言われております。
それで、この前のビール会社の話、いま出ましたけれども、製紙会社の王子、本州、十條でございますか、これもお調べになっている最中というお話でございますけれども、そうした調べの中間的な報告というものを御発表になってはどうか。これは公取が一言言いますと影響力が大きいから、慎重の上に慎重を重ねてなさるということもあると思いますけれども、いままで調べた中間的なものはこうである、そういうことを、いたずらに疑心暗鬼になる中に一つの方向づけとして御発表になってはいかがですか、こう思うわけでありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/15
-
016・山田精一
○山田政府委員 ただいま御指摘のございました私の就任当初に発表いたしました考え、今日でも少しも変わっておりません。
それから、両社が合併すると、当然に競争も実質的制限になるではないかというお話がございましたが、これはやはり同業者との競争関係その他を総合的に判断いたしませんと、ただ機械的に、合併すればすぐ競争の実質的制限になる、かようには言えないかと存じます。その辺は十分検討をいたし、判断をいたしたいと考えます。
それから、中間で何か発表したらどうかというお話でございましたが、たとえが悪いかもしれませんけれども、私どもの役所は一種の裁判所に類するような機能をいたしております。したがって、原告側、被告側、関係の方面の陳述を十分聴取いたしました上でございますればある程度の判断はできるかと思いますけれども、裁判官の側から途中で、これは原告のほうが有利とか、被告のほうが有利とかということを軽々に申すわけにはまいらないかと考えておるわけです。たとえは悪いかもしれませんけれども、さような考えでございます。関係方面の意見も聞き、また取引の実情、競争関係等を十分調査いたしました上で、ある結論に到達することはあり得ると思いますけれども、いまにわかに中間でもって御報告申し上げるかどうかということは、ちょっと申し上げかねるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/16
-
017・有島重武
○有島委員 と申しますのは、事がどんどん進んだ上でもって合併の申請がいった、これは引き下げるわけにはいかないというような状態でもってそちらの正式な審議が始まったということになりますと、この段階に来てしまえば、業者側にとってもあるいは国民経済の上から見ても、かえって合併したほうが得であるという、そういう情勢を形成しつついま進んでいるに違いない、これはだれでも判断すると思うのです。それでは公取の意味がなくなってしまうのではないか。現在の段階でもって、できるだけ諸要素を勘案した上で、あらかじめ業界にとってはこれこれの影響がある、もう一面は、国民経済の上からはこれこれの影響がある、そういうような客観情勢と申しますか、これだけの影響はあるのだということは発表できる問題ではないかと思うのでございます。それが一つ。
もう一つは、こうした大きな企業形態、これはもう国力というようなものにもつながってくるような大きな問題でございます。これについての調査、判定については公取だけの内部の判断でやっていくのか、あるいは審議会のようなものですね、あるスタッフを使って一つの判断をやっていくようなこともあるのか、その点も伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/17
-
018・山田精一
○山田政府委員 前段のお尋ねの、当事者からもしも事前に相談がございまして、私どもが十分と判断する資料ができまして判断がつきましたときには、なるべく早目に指導いたしたいとは考えております。
それから、何か審議会をつくってというおことばでございましたが、これは必要に応じまして公聴会を開くことがあり得るわけでございます。たとえば以前の三菱三重工の合併の場合には公聴会を開きました。かようなルートを通じ各方面の御意見を伺ってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/18
-
019・有島重武
○有島委員 最後に一つ。いずれにせよこうした問題が進んでいくことは、独占禁止法の適用範囲がだんだん狭まる方向にいっているということは言えると思うのです。それで、これはちょっと言いにくい話でございますけれども、小さい企業体にはわりあいと楽な判断ができるけれども、大きい企業体になりますと、それはさっきもろもろの判断とおっしゃいましたが、そのもろもろの中に、やはり多少国民経済ということの判断の要素も、入るか入らないか、すれすれのような一つの業界の圧力といいますか、そういったものも国民の側としては心配しているわけでございます。それで願わくは、ほんとうに大きく国民経済の先の先までを見通した判断を公正にやっていただきたい、そう願うわけでございます。
以上をもって関連質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/19
-
020・山田精一
○山田政府委員 ただいまの前段のお話の、独禁法の範囲が狭まっていくとは私ども考えておりませんで、かような場合に独禁法が適正な判断を行なうという意味において、独禁法の存在意義が十分あるように考えております。
なお、後段御指摘の点につきましては、私どもは、厳正中立な立場で大局から判断をいたすつもりでおりますことを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/20
-
021・八百板正
○八百板委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。和田耕作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/21
-
022・和田耕作
○和田委員 公取委員長に御質問いたします。
いまの八幡、富士の合併の問題なんですけれども、八幡の稲山社長は有名なミスターカルテルといわれている人で、公正取引委員会の独禁法に対してかなり根本的な批判を持っているのです。この方が今度富士と合併するというので、先ほど武部委員が言ったように、世論に聞きたいというような発言をなさっているわけですね。これは公取委員長がおっしゃったように、形だけの形式的な議論だけでは片づかない段階に来ているのではないかと私は思うのです。したがって、この問題を公取委員長として処理なさる場合の基準を、どこに置かれておるのかということについて御質問したいと思うのです。
先ほど公正な競争条件を阻害するというのが一つの基準になるとおっしゃったのですが、たとえばもっと具体的に今度の合併の場合に、八幡、富士が合併すれば大体三五%ぐらいのシェアになると思いますけれども、この三五%というものが、その点から見れば公正な取引、自由競争を阻害するものだという判断が成り立つかどうか、これは八幡、富士を離れまして、三五%というシェアをどういうように判断なさるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/22
-
023・山田精一
○山田政府委員 これは、イギリスの独禁法では三〇%というものを目安にいたしまして、三〇%をこえます場合には特別の裁判所に付託いたすということになっております。日本では何十%という規定はないわけでございまして、一応私どもといたしましては、三〇%をこします場合には警戒ラインというような意味で十分検討をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。シェアの数字だけで直ちに機械的にこれが競争の実質的制限になるかどうか、シェアだけからは判断できないように思いますので、諸般の情勢、同業者との競争の力関係、また需要者との関係、代替品との関係、また輸入の状況がどうなっておるか、そういうような点を総合いたしまして、先ほど申し上げましたような競争の実質的制限になるかどうか、かような判断をいたしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/23
-
024・和田耕作
○和田委員 まあイギリスの場合は、たとえばあの独禁法を制定した戦後の労働党政府、この場合は重要産業を国有化するという重要な一つの制約があるわけですから、したがって、三〇%というシェアが目安になるというのもわかると思うのです。日本にはそういうものはないですね。重要産業を国有化するという、そういう考えは、少なくとも政府のほうにはない。そういう場合に、つまり三〇%という意味は、もう一つの基準としてはその物資がいわゆる重要物資といいますか、重要産業、基礎産業、こういうふうな産業のものであるか、あるいは一般の大衆の直接の消費財であるか、こういうことも一つの目安になると思いますけれども、この点はどういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/24
-
025・山田精一
○山田政府委員 基礎産業でございます場合と、それからもうほんの消費財でございます場合とは、程度の差があるように思います。今回の件につきましては、基礎産業でございますから、特に慎重に、厳正に判断をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/25
-
026・和田耕作
○和田委員 つまり基礎産業であるから特に慎重にとおっしゃる意味は、厳重にという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/26
-
027・山田精一
○山田政府委員 慎重に、厳正に判断をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/27
-
028・和田耕作
○和田委員 そのいまの意味はいいですが、つまり一般の消費物資よりはもっときびしく取り締まっていくという意味ですか、あるいはその他の条件を考えるという意味なのか、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/28
-
029・山田精一
○山田政府委員 消費財にもいろいろございますけれども、もしも消費財が、消費者がただ使ってしまうだけでございましてほかの商品に何らの影響も及ぼさないような場合と、鉄鋼のごとく基本材となり、あるいは建設材となり、あるいは生産材となって非常に多くの産業に影響を及ぼします場合とは、判断の程度は異なるかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/29
-
030・和田耕作
○和田委員 きょうは別の問題ですから他の機会に譲りたいと思いますけれども、私は、これは非常に重要な問題を含んでおると思う。先ほど申し上げた独禁法という問題の運用についてもそうですけれども、現在の日本の価格政策を考える場合にも重要な一つの関連を持っておる。と申しますのは、つまり現に寡占が成立しているわけです。あるいは寡占価格も成立している。これを自由な競争によってチェックできる方法がないというのが現状じゃないか。公取委員長は、重要産業になればなるほどやると言うのだけれども、実際その方法がないということですね。しかも重要物資というものは、たとえば労働党の話でもこれは国有化するという考え方が一つある。ということは、産業がずっと集中していく必然性があるわけですね。またある程度の正しい集中であれば、国民生活あるいは産業にも効果があるという考えがあるから、集中そのものをチェックしないで、集中したものを国有化していこうという考え方がある。そういう点で消費物資とは違ったやり方が必要なわけです。
私は、ここで重要産業の国有化というものが正しいものとも思っていないし、それが能率的なものだとも思わない。しかし、重要産業である場合、国際競争力からいっても、産業の原材料の重要なものといってもある一つの合理的な、集中的な生産が行なわれなければならない、それが自然の一つの傾向だということは、これはいなめない。とすれば、そういう傾向そのものをチェックして無理に自由な価格競争というものを存続するということにしたほうがいいのか、あるいは集中させたものを合理的な行政のチェックの対象にして正しい価格協定をつくらせたほうがいいのか、こういう問題に直面しておると思う、実際問題として。いろいろなそういう理由もあると思うけれども、そういうことだけに、当然公取委員長もそういう問題をお考えになっておると思いますけれども、そういう問題を含めてこの問題に対して回答を出していただきたいと私は思う。つまり、基準として、先ほどの競争の問題が一つと、重要物資あるいは他の基礎産業とかあるいは一般の消費産業とかそういう問題、そのほかにいろいろあれがあると思いますけれども、特にそういう問題を考えていただきたい。
要するに、自由な競争条件をつくるという名のもとで、できもしないことを、あるいはうわべだけのことに終わることに集中しておるというのではなくて、できないものはできるような他の方法でもってチェックしていく、一般の国民の生活関係のある消費物資については、適正にきびしく競争条件ができるように処置していく、そういう考え方をする段階に来ておるのではないか、こういうことを申し上げたいと思うのです。どうも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/30
-
031・武部文
○武部委員 それでは、引き続いて基本法の精神にのっとって関係法をどう改正するかという点について各省の御意見を承りたいのでありますが、まず最初に、不当景品類及び不当表示防止法について公取の見解を承りたいのであります。
この条文の第二条に、定義として、「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に附随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であって、公正取引委員会が指定するものをいう。」こういう条文が第二条の定義の中にあります。そこで、私がお尋ねをいたしたいのは、「附随して」とありますが、この場合に、購入を全く条件としないものがこの中に入っておるのか入っていないのか、これをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/31
-
032・山田精一
○山田政府委員 購入に「附随して」ということばが使ってございますが、これは条件とするよりはかなり広いものと私どもは理解をいたしております。最近、御承知のように、かなり附随の線にすれすれな、脱法ではないかと思われるような景品類を散見いたしておりますので、その点をさらに明確にいたしたいと考えまして、検討をいたしております段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/32
-
033・武部文
○武部委員 いま聞きますと、この「附随して」という解釈は非常に微妙のようでございますね。したがって、条件よりも広いものと理解をしておる、すれすれのものがあるということをおっしゃるので、私はこれからひとつお伺いをいたしたいのでありますが、クイズですね。近ごろの夕刊はほとんど何分の一かは広告ですが、その中に——さっきからどうしても見つからぬのですが、明星ラーメンではカラーテレビ五百台、ここにある。ペプシは懸賞五百万円ですね。それからくじで自動車が当たる。それからルームクーラーとか、これを見ても、これは三十万円、これは自動車、こういったものは一体いまあなたがおっしゃった第二条第一項の「附随して」とある——これは購入を条件としてないものですね。別に明星ラーメンを買ったりペプシを買ったりしなくたって、はがきを出せばいいのですから、そういうものはいまおっしゃった第二条第一項の「附随して」というこの中に該当いたしましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/33
-
034・山田精一
○山田政府委員 ただいま御指摘になりましたのは、まだその広告を全文拝見しておりませんからよくわかりませんが、ただいま伺いましただけでは付随にならないのではないかと考えますが、なかなか微妙なケースがございまして、クイズの一問についてわからなかった場合には当該商品の中に印刷してあるマークを一つ張りますとそれで正解になるとか、さようなかなり購入をいたしたほうが有利であるようなものがございますので、その辺の問題の規制について検討をいたしております段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/34
-
035・武部文
○武部委員 おっしゃるように、これは非常にすれすれをやっているのですね。これを読んでみますと、たとえばペプシの五百万円のクイズですが、応募用紙というものが非常に微妙なんです。この応募用紙はこのマークのお店でどうぞと書いてあるのですよ。このお店でどうぞということは、ペプシを買わなくったっていいということなんですね。ぺプシを買えば応募用紙をやるぞとは書いていない。ところが、この応募用紙はこのマークのお店でどうぞということは、そこへ行かなければこの紙をもらえないわけでしょう。この紙だけくれということにならぬでしょう。そうすると必然的に買う。これはまことにすれすれな、あとのほうにございます不当な顧客誘引の全く逸脱行為だと思うのです。ですから、こういう点を考えると、あなたのほうのおつくりになっておる防止法のこれではやはり取り締まれない。もう消費者というものはこれにだまされて、新聞社の方にはえらい悪いけれども、たいへんな広告なんです。とにかく明星ラーメン何とかといってよく出ますけれども、五百台テレビが当たるということになれば、やはり応募してみようかということになる。そうすれば明星ラーメンということを頭の中に浮かべる。それをねらっているのですから、これはいまのこの法律ではもう取り締まれないと思う。したがって、不当な顧客誘引ということを取り締まるために、消費者保護の立場から法律を改正する意思が当然おありだと思うが、その点について公取委員長の見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/35
-
036・山田精一
○山田政府委員 このごろの若い消費者はなかなかドライなものでございますから、当該商品を買いませんで用紙だけをくれというケースがずいぶんあるようにも私は聞いておるのでございますが、そのようなすれすれのところは決して好ましいことではございません。十分検討いたしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/36
-
037・武部文
○武部委員 そうすると、大体好ましくないとおっしゃっているから、そうして現実にはこういうものはたくさん出ておるわけですから、この点については公正取引委員会としては、私がさっきから何べんも言うように不当な顧客誘引だと思われるような、そういう点が取り締まれるようにひとつぜひ前向きで御検討いただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
きょうは時間の関係で、ほかの方もいらっしゃるようでありますので、私は次に、厚生省に最初お伺いをいたしたいと思います。
残留農薬の点やあるいは抗生物質その他の点について、添加物の中にいろいろ問題がたくさん出ておる。きょうの新聞にも写真で出ておりますね。奥さん方がいろいろゴボウや何か並べてやっておられましたね。ああいう問題が毎日のように出ておるのです。したがって、先般も委員会で申し上げましたが、四十一年八月四日の「国民生活審議会意見第五号」の中の「食品添加物」の中に、はっきりと国民生活審議会では問題を提起して、同時に要望事項を出しておられる。それを先般も申し上げましたけれども、現在のWHOの報告あるいは諸外国の試験研究の結果で、使用不可とされていながらわが国では指定の取り消しが行なわれていない、わが国でも禁止する方針を堅持してその推進をはかれという国民生活審議会の答申が出ておるわけです。
先日お聞きいたしますと、WHOで十五の農薬が禁止をされておるにもかかわらず、先般の厚生省のあの発表によりますと、五農薬、四食品、こういうことが出ております。WHOでは十五の農薬が禁止された、こういう答弁がございましたが、この国民生活審議会の答申の線に沿って、農薬その他有害食品、外国で禁止されたそういうものをこれから逐次厚生省としては禁止をしていく、そういう方向で現在取り組んでおられるように理解してよろしいかどうか、その点お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/37
-
038・小高愛親
○小高説明員 農薬の話でございますが、これはWHOとFAOの合同委員会で一日摂取許容量というものを設定したものが十五あるということでございまして、残留農薬許容量を今後設定いたしてまいりますときには、このWHOの摂取許容量というものを基本として考えていきたいと考えております。したがって、これらの報告されております農薬につきましては、そういったいわゆる食品における残留許容量というものを逐次設定いたしていくつもりであります。
それから、その他の添加物等につきましても、このような国際機関における勧告あるいは報告というものはその意見を尊重いたしまして、その趣旨でもって今後整理をしていく。そのような報告をもとにいたしまして、現在そういう作業を従来から続けておりますし、今後も続けていくつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/38
-
039・武部文
○武部委員 その点は一応お聞きしておくことにいたします。
そこで先を急ぎますが、ちょっと話はこまかいようですが、食品衛生法の第五条に、疾病にかかった獣畜の肉類の販売の禁止というのがございますね。そしてこの疾病にかかった獣畜というのは、「省令を以て定める疾病にかかり、」ということになっておるわけです。これではどうも、いまの日本の現状の中でいささか問題点があるように思うのです。そこでこれをはっきりと、屠殺以外の方法によって死亡した獣畜、こういうふうに直すというような意思はございませんか、厚生省のほうで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/39
-
040・神林三男
○神林説明員 ただいまの点は、実はと畜場法のほうに関連がございまして、現在と畜場法のほうで一応病気の指定をしておるわけでございます。そして、それとこれと合わせてございまして、なお将来両方合わせたものにつきましていろいろ、疾病もどういう疾病がいいとか——いいというのはございませんが、悪いほうの疾病について検討はしてみたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/40
-
041・武部文
○武部委員 わかりました。
それでは次の第十四条、製品検査、これにもやはり問題点があるのです。いろいろ調べてみますと。したがって、私どもがこれを調べた結果によると、検査を行なうべき食品、添加物、器具及び容器包装等は、検査を条件として販売を許可されておるわけですね。にもかかわらず、全国の達成率はわずか二四%、こういう数字を聞くわけです。したがって、私どもが主張したいのは、検査のないものは販売しちゃならぬ、こういうふうにはっきりと明文化したほうが、消費者保護の立場からいうと妥当ではないか。検査のないものの販売を許さない、こういうふうにはっきりすれば、いまの二四%というようなことにはならぬように思うのですが、厚生省の見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/41
-
042・野津聖
○野津説明員 現在の十四条にございます製品検査の対象になっておりますのは、主として添加物になっておるわけでございます。厚生大臣及び都道府県知事が製品検査を行なうという形になっておるわけでございますが、これは一般食品につきまして製品検査を行ないますということになりますと、一般食品の性格上非常にむずかしい問題が出てくるのではないか。ですから、比較的安定しております食品添加物、いわゆる化学物質につきましては製品検査を行ないまして、その検査を行ないました結果によりまして標示をし、そうしてその標示がないもの、すなわち製品検査を受けていないものは販売することができない、こういうふうな規定になっておるわけでございますので、今後いわゆる変質等のおそれがないようなもの、主として食品添加物あるいは容器包装になるかと思いますけれども、その分については、製品検査の対象を拡大していくような方向で検討いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/42
-
043・武部文
○武部委員 この間お聞きいたしました第二十五条、食品衛生調査会、この中に委員及び臨時委員は食品、添加物、器具または容器包装に関する事業に従事する者、こういうことになっておりますね。これは業者ですね。これは消費者ということは考えていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/43
-
044・野津聖
○野津説明員 現在、食品衛生調査会のおもな業務といたしましては、厚生大臣の諮問に応じまして、食中毒の防止あるいは食品添加物公定書の作成その他重要事項の調査審議を行なうということになっておりまして、その委員の構成は、御指摘ございましたように、関係行政庁の官吏、吏員、あるいは食品、添加物、容器包装などの事業に従事する者、そのほか学識経験者ということになっておるわけでございます。それで、実態といたしましては、消費者の代表の方を学識経験者という形で現在は参加していただきまして、食品衛生調査会の任務を十分遂行していただくような態勢をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/44
-
045・武部文
○武部委員 現実問題として入れているとおっしゃるわけですね。ところが、いろいろ条文を見たりしておりますと、食品関係業界人ということのほうが主であって、消費者というものは主ではない、従であるというような形になる傾向が非常に私は強いと思うのです。したがって、何回も申し上げる必要はありませんが、いまたいへん大きな問題になっておるわけでありますから、消費者代表が一名でも多くこういうところに正式に参加できるように——ただ単に学識経験者ということではなしに、消費者というものが正式に参加できるようにひとつ考慮を願いたい、こういうふうに思います。
それから、この食品衛生調査会というのは、不衛生な食品、そういうものについての調査が主であって、不良食品というものについては、あまりやったあれがございませんね。したがって、食品衛生調査会というものの性格、その中に現在出回っておる、いろいろ問題を起こしておる不良食品、そういうものについて、具体的にこの調査会が調査をするように性格を変えていこうという意思はないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/45
-
046・野津聖
○野津説明員 初め御指摘ございました消費者代表を正式に食品衛生調査会の委員として入れるということにつきましては、前向きの形で検討していきたいと思っております。
それから、あとで御指摘ございました不良食品の調査の問題でございますが、不良食品の調査と申しましても、不良食品そのものに対しまする定義の問題が残ってくるかと思います。そこで、現在私ども考えておりますいわゆる不良食品と申しますのは、将来の食品衛生法の再検討の時期に詰めていきたいと思っておる問題でございますけれども、いわゆる定められました製品規格に反しておるもの、あるいは定められた標示をしていないものというふうなものを一応不良食品というふうに考えていきたいと思っております。したがいまして、それらの製品規格に合わないもの、あるいは標示に違反しておるものというふうなものが、食品衛生調査会の立場で、非常に食品衛生の問題としまして重要なものであるということでございましたら、これは積極的に厚生大臣から諮問をいたしまして、そうして調査をしていただくということになってくるかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/46
-
047・武部文
○武部委員 その点はわかりましたから、これで終わります。
もとへ戻りまして食品衛生法の第一条ですね。「この法律は、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。」という法律ですね、この食品衛生法は。これを見ると、一般消費者という概念は薄れておるのです。したがって、この第一条の目的の中に、一般消費者の利益を保障するというような精神を入れることが必要ではないか、そういう論議がありますが、どうでしょうか。これは砂田委員のほうからもあったように思いますが、重ねて申しわけありませんが、ちょっと御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/47
-
048・野津聖
○野津説明員 御指摘ございました現在の食品衛生法の場合には、その目的といたしまして、飲食物に起因する衛生上の危害を防止し、公衆衛生の向上に寄与するということになっておるわけでございますが、今回御提案になられました消費者保護基本法の精神の中にございます生命、身体あるいは財産に及ぼす危害の防止、あるいは計量の適正化、あるいは規格の適正化、あるいは表示の適正化というふうなこの四つの柱によりまして、いろいろ私どもも検討いたしておるわけでございますが、現在の厚生省設置法の関係から見ました場合に、厚生省は、国民の保健ということが一つの業務となっておるわけでございます。それからまた、一般的に消費者と申しましても、厚生省の立場から考えます場合は国民すべてが消費者である、こういうふうな考え方を持っておるわけでございまして、したがいまして、私どもの考えといたしましては、この食品が国民生活に及ぼす影響は非常に大きな問題がございますので、国民の食生活に関しまして、安全であり、あるいは衛生的であるということを一つの目的として持っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/48
-
049・武部文
○武部委員 どうもあまりいい答弁じゃないので気に入りませんけれども、これはしかたがないですから……。
厚生省に最後に一つだけお伺いいたします。
先日の当委員会で、私は輸入食品の監視の問題についていろいろお伺いをいたしました。その際に、現在横浜その他十の港で監視員が十九名おるというお話がございました。扱う件数は十二万件、しかし、現実にこれは許可でなくして届け出だから、そういう点で検査をしておるのだという話でございましたが、実際にこの内容を見ますと、かりに検査をしたパーセンテージが横浜をとってみても二%ですけれども、二%検査をして、九百十七件中五分の一は有害食品だった例がありますね。輸入食品では九百十七件中二百二十三件が有害食品だったと出ておるのです。そうなってくると、十二万件のものが一年間に日本の十の港で入ってくるのに、そのうちわずかに七千件程度しか調べられないというようなことでは問題にならぬと思うのです。したがって、定員状況をいろいろ聞いてみると、まことにお粗末で、砂田委員の説明によれば、四十三年度で、羽田でたった一人増員が認められたというようなことであります。したがって、きょうちょっとお伺いをいたしたいのは、この十九人というものは、三十九年から四十三年と、この五年間に一体何人くらいふえてこうなったのか、それから要求される人員は一体どのくらいなのか、どのくらいあれば大体この港で輸入食品の監視ができるというふうに厚生省はお考えになっておるのか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/49
-
050・野津聖
○野津説明員 食品衛生の駐在官の増員の状況でございますが、昭和三十九年度には二名を要求いたしまして、一名増員になっております。昭和四十年度には、これは事務官からの定員振りかえが一名ございまして、実質的に一名増員になっておるわけでございます。これは、要求はいたしておりません。それから四十一年度には八名要求いたしまして、三名増員になっております。昭和四十二年度では四名増員要求いたしまして、増員はゼロでございます。昭和四十三年度に九名要求いたしまして、増員が一名。合計いたしますと、過去五年間に二十三名要求いたしまして、五名の増員と、一名の定員の振りかえという形になっているわけでございます。そうしまして、現在特に収去検査をいたしております対象は、いろいろ問題があるというものに重点的にやっておりますわけでございます。したがいまして、非常に違反率というものが高い結果が出ておるわけではございます。しかし、現在の状況をさらに伸ばしていきますためには、国内のいろいろ収去検査の結果などから見た場合に、少なくとも輸入されてまいります食品の三〇%は検査をすべきではないか、私どもこういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、三〇%までこの検査をいたすということを条件として、さらに将来輸入される食品というものはふえてくるかと思いますけれども、一応ふえないというふうな考え方で計算いたしますし、また現在食品衛生監視員が駐在という形でございまして、事務所の形態をとっておりませんし、また検査設備なども十分ないわけでありますが、そういうふうな事務所の形態をとり、さらに検査設備なども充実させるというふうなことを条件に入れまして検討いたしてみますと、現在のままではなくて、それだけの周囲の状況が整備されたということを考えてみましたら、少なくとも百名の食品衛生監視に従事する職員が要るということが試算されているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/50
-
051・武部文
○武部委員 そうすると、現在の輸入食品の監視の状況は現実から見ると六%程度しか行なわれていない、少なくとも三〇%にしたい、そのためには百名程度の監視員が要るんだ、こういうことでございますね。
それから、これも先般の答弁ではっきりいたしましたが、各地の保健所に配置されている食品衛生監視員数は五千九十八人という発表がございました。これはほかの仕事もするわけですが、専任は何人くらいおるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/51
-
052・野津聖
○野津説明員 先ほど申し上げました数字は国の食品衛生監視員を含めての数字でございますが、現在都道府県に属しております食品衛生監視員の数は五千五十八名でございます。したがいまして、この五千五十八名のうち、専任の食品衛生監視員は八百四十七名でございます。残りの四千二百十一名が兼任という状態をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/52
-
053・武部文
○武部委員 国民生活審議会の答申でも、このことに触れておりますね。そうしてこの間の答弁によりますと、現在全部合わせて二百三、四十万カ所がこの食品を取り扱っておる個所である、こういうことでありますが、現実にいまの八百四十七名その他の兼任の人等もやっておる食品の監視、指導、そういうものが、政令で定められた回数の二割しかやっていない、こういうことが明らかになっておるわけですね。したがって、不良食品やいろいろな問題がたくさん出ておる原因が、ここにあるように思います。したがって、厚生省としては、専任の八百四十七名という監視員は、一体どのくらいあれば政令で定められた基準回数というものを守っていくことができるのだというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/53
-
054・野津聖
○野津説明員 現在、地方交付税で算定されておりまして、百七十万人の標準団体に、食品衛生監視員だけでございますと三十七名という形になっております。それを全国にいわゆる人口割りに伸ばしてみますと、食品衛生監視員は全国で二千三百三十一名という計算が出てくるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように専任者は八百四十七名、こういう形になっていると思うのでございますが、将来の問題といたしまして、いわゆる検査施設の強化、あるいは検査を指定します検査機関に委託することができるとか、あるいは保健所の整備、それから業界側といたしましての食品衛生管理者の制度をふやしてまいりますとか、あるいは食品衛生指導員の制度を強化してまいりますとかいうふうないろいろな監視体制の整備、あるいは業界の自主規制の整備というふうなものを考えてみまして、その上に立ちました場合には、現在専任といたしまして交付税の対象の計算になっておりますこの二千三百三十名というものから計算いたしますと、約四千名ないし五千名の専任の食品衛生監視員が必要ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/54
-
055・武部文
○武部委員 それでは次に農林省、JASの関係についても、いろいろ先般来話がございまして、農林省からいろいろ答弁がございましたが、私きょうは二つ、三つだけにとどめておきます。
農林物資規格法の目的の中に、取引の公正、使用、消費の合理化がうたわれておりますね。しかし、このJASのあれには、消費者の保護と利益ということはうたわれていないわけですね。したがって、この目的を改正する意思がおありでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/55
-
056・森実孝郎
○森実説明員 先生御指摘のように、現在の農林物資規格法では、品質の改善、生産の合理化と並んで、消費の合理化という問題がうたわれております。しかし、いわば一つの予定調和的な考え方でつくられた法制であることはいなめないと思います。私ども、現在JAS制度全般の検討を準備中でございますが、明らかにJASマークが消費者の商品購入のガイダンスのような役割りを果たすというふうな点に着目して、いまの御指摘のような点を十分考慮して制度の改正を検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/56
-
057・武部文
○武部委員 次に、JASの調査会、この中は、お聞きいたしますと農産林産部会、加工食品部会、水産部会ですか、三つの部会に分かれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/57
-
058・森実孝郎
○森実説明員 現在部会は四つに分かれておりまして、農産部会、林産部会、水産部会と加工食品部会でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/58
-
059・武部文
○武部委員 農産部会、林産部会、水産部会、加工食品部会、この四つですね。それで、この中に消費者の代表は入っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/59
-
060・森実孝郎
○森実説明員 一番消費者に関係が深く、かつ業務のウエートも高い加工食品部会に、現在消費者団体の代表として三名の方に参加をしていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/60
-
061・武部文
○武部委員 四つのうち、加工食品部会の中にだけ入っておるわけですね。それで、私どもが主張したいのは、この農産、林産、水産各部会に消費者の代表を加える必要があるのではないかと思うのですが、そのことについてはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/61
-
062・森実孝郎
○森実説明員 私ども考えますに、林産部会は、これはいわば建材とかいうような資本財の比重が高いわけでございまして少し問題があるかと思いますが、農産部会、水産部会については、直接消費者に購入されます商品の比重がかなり高いので検討したいと思います。ただ、私どもといたしましては、ことしからこれ以外に総合部会のような部会を設けまして、全体的に規格とか表示の問題をレビューしたいと思っております。そこにむしろ消費者団体の代表の方、その他消費者の意見を反映する方の参加を確保したい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/62
-
063・武部文
○武部委員 総合部会ですね。
農林省にもう一つ。中央卸売市場法について、この第一条の開設者は都市のみに限定されておりますね。都道府県や県市町村の連合体では中央卸売り市場というのはできない。それで人口十五万以上ということになっておりますね。したがって、十四万あってもこれはだめなんですね。そういう点から、この第一条の条文を変えて、都道府県または県市町村の連合体というような形で、一つの市では確かに十三万とか十二万でできないが、ごく近接に都市があった、それと隣合った、そうした場合に、連合体という形で中央卸売り市場というものを設ける意思は農林省にはないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/63
-
064・森実孝郎
○森実説明員 ただいまの武部委員の御質問の点は、いろいろな問題の御指摘があるわけでございますが、まず第一に、現行の中央卸売市場法がどうなっているかという問題でございます。これは確かに、人口十五万以上の都市及びその隣接区域に開設することになっておりますが、開設者は当該十五万以上の都市だけではなくて、地方公共団体一般、つまり都道府県、また場合によっては一部事務組合等も開設権を認められておるというたてまえになっております。
ただ、問題は、むしろ人口十五万以下の都市の卸売り市場の整備をどうはかるかという問題であろうと思います。かような意味で、先般の当物価対策特別委員会の御決議もあり、また昨年、私どもも審議会を開きまして答申を受けております。この方向に沿いまして、本年度から公設の大規模の市場については、地方市場であっても中央市場に準ずる補助を行なうということで予算を計上しております。また、これ以外に民営の市場の問題につきましては、現在国会で法案を審議中でございますが、長期低利融資を行なうということで融資制度の創設をはかったわけでございます。中央卸売り市場の制度の問題につきましては、地方市場の制度の問題とあわせて、この夏以降、多少時間はかかると思いますが、総合的な検討に着手する予定でおります。この過程で、先生いま御指摘の広域な流通圏を持った市場について、自治体相互の連携を制度化する問題並びにこれに対応した財政負担区分の原則を確立する問題は、最も主要な課題の一つとして検討いたしたいということで、すでに非公式に中央卸売市場審議会にも御提案を申し上げておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/64
-
065・武部文
○武部委員 はい、わかりました。
次に、経済企画庁のほうに。この消費者基本法の制定に伴って、従来から当委員会でいろいろ商品テストといった問題についてたくさんな事例をあげての発言もあったりして、この消費者基本法ができれば、テストを中心としたところのセンターというようなものをつくりたいという意向が非公式にも流れておるようであります。先般の通産省の発表によりますと、四十三年度に新規で三千三百万円の商品テスト網整備の予算が通ったら、全国で五つの地域に商品テスト機関を設けたいというようなことでございました。まあ三千三百万円でどの程度の——特に東京の工業品検査所には商品テスト室を設けるということになっていますから、これを見ますと、大体通産省のやるのは工業品の検査がおもだというふうに理解ができるわけですね。経済企画庁のほうは、私どもがかねがね指摘している神戸の生活科学センターのような商品テスト、そういうふうなものをおそらくお考えであろうし、われわれもそうしたものが全国的につくられることを希望しておるわけです。したがって、各省ばらばらで、通産省は工業の製品の検査所をつくる、いや農林省は農林物資だとかそういうことをやっておったのでは、これこそ各省ばらばらなテスト網になる、機関になるというふうな危惧を非常に私は持っておるわけです。で、先日あれを見ますと、五つの地区がまだきまっていないようにもとれるわけですね。あがっておる都市はここに八つありますけれども、そのうち五つの地区に設けるのだということをいっておりますが、そういう点を考えると、むしろ経済企画庁なりがこの基本法の制定を待って音頭をとって、見本的なものを来年度なら来年度に東京、大阪あるいは神戸とか北九州とかいうところにつくって、そして総合的なテストセンターというものをつくる。そういうことのほうが必要じゃないかと思うのですが、どういう構想をお持ちでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/65
-
066・八塚陽介
○八塚政府委員 ただいま武部先生のお話しになりましたように、通産省では本年度からそういう構想ですでに予算を要求し、お認めいただいた段階でございます。その仕事の必要性と申しますか、あるいはなるべく早くそういう事業に本来着手すべきであったという点から言いまして、おしろ消費者行政にとっては、そのこと自体は非常な一つの進歩だろうというふうに考えておるわけでございます。お話がありましたように、私どものほうでは、かねがね先生方の御督励と申しますか、お話もございましたし、現に実物のいわばパイロット的な施設も兵庫県等ではできておるわけでございますから、そういう点についての検討を従来ともある程度進めてまいっておりましたが、もちろん今回の消費者保護基本法の制定を契機に、より具体的にその点についての構想をまとめなければならないというふうに考えております。
ただ、しからばそういうものをまとめていく過程で、すでにことし具体的に出発する通産省の施策がじゃまになるかということについては、私ども必ずしもそういうふうには考えていないので、いずれそういうセンター的なものを考えます場合も、やはり関係各省のそれぞれの機能、あるいは力と申しますか、そういうものをうまく利用すると言うと、関係各省何と言いますかあれですが、利用し、調整しながらやっていかないと、きわめて多岐にわたる消費者行政は、一つのところだけで全部を引き受けるということはなかなかできないので、かえってそういう総合的な調整をやっていくほうがうまくいくのではないか。そういうことで、必ずしも今年出発いたします通産省の構想というものはマイナスではなくて、むしろそういう形で将来総合的に進められていく中の一環として、十分考え得るのではないかというふうに思っておるわけでございます。現在の段階では、別に通産省と具体的にどうしようというようなことで打ち合わせするほど、私どもの構想もまだ熟しておりませんけれども、消費者行政ということについては、関係各省とも非常に柔軟な姿勢を従来ともとっておられますので、今後も十分そういう方向で考えるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/66
-
067・武部文
○武部委員 それでは、時間の関係で最後に公正取引委員会に伺います。
ときどき、地方の非常ないなかで、公正取引委員会が上げ底だとか何とかかんとかというようなことを摘発いたしますね。たとえば、パーマの協定料金は独禁法違反だとかいうようなことをよく見ます。ああいうのは、公正取引委員会はどういう方法で取り上げておられるのでしょうか。たとえば投書によってやるとか、あるいは皆さんのほうから何か地方駐在の方が出向いていってそういうものをおやりになるのか、その点をちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/67
-
068・山田精一
○山田政府委員 ただいまの件は、大きく分けますと二つございまして、一つのほうは、ただいまお話しのございました申告によるものでございます。利害関係者とかあるいは一般の消費者等から、投書または口頭で申告がございまして私どもが調査をいたします場合と、それから職権で探知をいたします場合とございます。職権の中にも、たとえば、ただいま御指摘のございましたみやげ品等は、時に応じましてみやげ品の試買会というようなこともいたすものでございますから、その際に発見されるものもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/68
-
069・武部文
○武部委員 四十三年度の公正取引委員会の人員増の要求と実現人員、これをちょっとお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/69
-
070・柿沼幸一郎
○柿沼政府委員 四十三年度におきます定員の要求は七十三名でございます。それに対しまして増員数は八名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/70
-
071・武部文
○武部委員 七十三名で増員は八名とおっしゃったけれども、これは凍結の定員が入っているんじゃないですか。そうすると現実には五名ですね。それで、実は前々から当委員会でも、やれ牛乳審判がどうだ、松下審判がどうだ、ソニーがどうだとか、二年かかっても結論が出ぬじゃないかとか、いろんな話が出ておるのです。公正取引委員会の機構が充実しないからこのような審判のおくれもあるんだとか、あるいは審判委員の皆さんの人員不足もこの中にありはしないかというようなことも、いろいろ問題になっておったところであります。七十三名の公取の要求に対して、わずかに実人員は五名しかふえていない、こういう現実。過去の例をずっととってみても、大体この程度しかふえておりませんね。八名とか十一名くらいのときもございます。
そこで、出先機関ですが、高松ですか、去年ふえたように思いますが、普通全国で、近畿とか中国とか、十の行政区域に分かれておるわけですが、そのうちで大体幾つ公正取引委員会の出先機関がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/71
-
072・柿沼幸一郎
○柿沼政府委員 ただいま地方事務所のございますのは、地方通産局のあるブロックに相当する分でございまして、七カ所でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/72
-
073・武部文
○武部委員 わかりました。
そこで、いま行管がお見えになっておりますが、私は三つの都道府県の地方行政監察局に参りまして、一日行政相談というような書類を見せていただきました。非常に膨大なものが、特に国民生活に重要な行政相談がたくさん出ておりました。その項目を拾ってみると、当然公取がタッチすべきものがたくさんあるように実は見受けました。ところが、公取の陣容というものは、さっきおっしゃるように通産局のある七カ所しかない。総体の人員も非常に少ない。各都道府県にはもちろん公取の地方事務所はないわけですね。いろいろと行政監察局のほうの御意見を聞くと、むしろ公正取引委員会の出先のような、またそれと類したような仕事を自分たちはしておるんだというような話もたくさん出ております。当然これは公正取引委員会に持っていって出せば、独禁法なりその他の問題にこれは抵触するんだがというようなことをおっしゃるけれども、現実には役所間のつながりというものは一つもないようですね。したがって、公正取引委員会の陣容というものは、七十数名要求したってわずかに五名か六名しかふえないという現状でもって、公正取引委員会が独禁法の番人としての責任を果たすためには、地方の行政監察局との間に、いま私が申し上げたような行政相談、そういうものを通じて一つのつながりを持つ必要がありはしないかということを、私北海道にも行ってみましたし、いろいろ見てそういう点を考えたのですが、何か公正取引委員会の機構の問題について抜本的にお考えのことはないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/73
-
074・山田精一
○山田政府委員 地方の事務所、まことに仰せのとおり手薄でございますので、所在の各出先官庁との間の緊密な連絡を保つように、私しばしば繰り返して指示をいたしております。したがいまして、現状ではまだ十分ではございませんが、逐次その方向で進んでまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/74
-
075・武部文
○武部委員 これで終わりますが、特に公正取引委員会としては、審判の遅延は、もちろん審判技術の問題もあるでしょうが、これだけたくさんどんどん出てきて、審判の人員も足らないという点も確かにあると思うのです。したがって、公正取引委員会が摘発をするけれども、一向に結果が出ないじゃないか、こういう点から公取に対する信頼も薄らいでくるようにも思うのです。審判の状況を見ると、二年かかったってまだ出ないというようなことになってくるのですが、審判委員の増員ということについてはお考えになってはいないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/75
-
076・山田精一
○山田政府委員 将来情勢がそれを必要といたしまする場合には、増員をいたしたいと存じております。ただ、ただいま御指摘のございました、公取が取り上げても一向結論が出ないではないかというお話でございましたが、今日統計を持ってきてはおりませんが、私どもが取り上げまして、勧告をいたしまして、それがそのまま受諾されて処理されておりますケースは非常にたくさんございます。先方が受諾しなかった場合に審判にかかるわけでございまして、審判手続を経ますのはほんの例外であるということをどうぞ御了解いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/76
-
077・武部文
○武部委員 そう言われるともう一つお聞きしなければならない。去年の牛乳ですよ。何べん言ってもまた牛乳が出るのですが、これはどうなっておりましょうか。いつごろ結論が出ましょうか。また牛乳が上がろうとしているのですよ。あのときは、たしか四月一日から問題になって、皆さんのほうがたしか六月ごろ摘発された。もう一年です。そうしたらまた上がろうとしている。それがいまだに結論が出ない。これはどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/77
-
078・山田精一
○山田政府委員 たびたび牛乳の御指摘でまことに恐縮でございますが、もうほとんど審判は最後の段階に入っておりますので、今度はそう遠からず決着がつくものと期待をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/78
-
079・武部文
○武部委員 メーカーはもう不問ですか。牛乳メーカーはあきらめられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/79
-
080・山田精一
○山田政府委員 まだ決定をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/80
-
081・武部文
○武部委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/81
-
082・八百板正
○八百板委員長 有島重武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/82
-
083・有島重武
○有島委員 初めに、国民生活局長にお願いしたいと思います。
ちょっと前の話でございますけれども、読売新聞の投書欄にこんなようなのがあったのです。「ウソつきの消費者行政」というのです。これは東京の大田区の主婦の方からのものでありますが、「四十三年度は、国民の生活に奉仕する経済の実現をめざして」と政府は言っておきながら、消費者保護関係の予算増額はほとんど認めていません。通産省が要求していたハカリの認識を高める消費者教育関係費や消費者モニター拡充費、また消費者の保護と物価の監視役である公取委の増員も認めなかったというのですから理解に苦しむばかりです。しかも通産省が音頭をとり、政府の補助金を受けて消費者にかわってウソつき商品のテストをしたり、苦情相談の受け付けやメーカーにもの申す役割を果たすために設立された日本消費者協会では、政府の補助金があまりに少なく、また増大する運営費や人件費をくめんできずに行き詰まっていると聞きます。まして非営利が使命のはずの協会が、苦しまぎれにテストの対象である財界やメーカーから資金援助を受けているというにいたっては、もはや存在の意義を失っています。これではウソつき消費者行政以外のなにものでもありません。こういった記事が出ておったわけでございますけれども、これは記事から見ますとかなり突っ込んだいろいろなことを知っておりますから、消費者団体に属して何か研究もかなり進んでいる特殊な人かもしれません。けれども、国民全体としては、やはり今度の消費者保護基本法に対する反響などを見ましても非常に危惧の念を持っているんじゃないか、そんなふうに思いますので、初めに、では具体的にどういう努力をしているかという問題でございます。いままでもしていたかという問題でございますが、消費者保護のための諮問機関として、いままでただ一つ権威のあった国民生活審議会の消費者保護部会というのがございましたね。これは昭和四十二年度に何回開かれておったか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/83
-
084・八塚陽介
○八塚政府委員 何回ということは、いずれ調べましてお答え申し上げますが、ちょうど国民生活審議会全体といたしまして、一つはいわゆる二十年後の国民生活のビジョン、あるいは消費者に関する答申というものを、四十一年の末にそれぞれお出しになったわけでございます。四十二年度は、むしろそういう基本的な答申が二つ出ましたので、四十二年度におきましてはそれをもう一つふえんをして、一般にわかりやすくする仕事であるそういうもののアフターケアをしようということで、端的に申しますならば、四十二年の十月ごろまでで大体一段落をしたわけでございます。そういたしまして、御承知かと思いますが、四十二年の終わりに新しく会長等の改選もございまして、四十三年の一月から再発足をいたすということで、一方国民生活審議会の中では調査部会、これはどちらかといいますと従来のいわばビジョンのほうの部会ということでございますが、もう一個消費者保護部会というものを新しくつくりまして、現在、四十二年一月以降は約三回程度やっております。
具体的に消費者保護部会ではどういうことを御論議願っておるかと申しますと、まず第一は、従来の答申にあったことに対しまして、国のほうでどういうことをやってきたかという実績の御説明、あるいは現在の消費者行政のいわば概略のレビューというようなことをやっております。今後どういうふうに持っていくかということでございますが、第三回はかなりの程度フリーディスカッションをしていただきまして、今後どういうふうに持っていくかということにつきましては、消費者保護基本法がおそらく近いうちにでき上がりますので、この法律を受けて私どものほうはこういう考え方でやっていきたいということに対する、いろいろな御論議を願おうという段取りにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/84
-
085・有島重武
○有島委員 ことしになってからはやや動き出したというお話のほうがクローズアップされてしまいましたが、去年はほとんど何もなさらなかったというような実情であったように思います。それで、もう消費者の問題というのは次々に山積みにされていたはずであるのに動いていなかったということについて、これはだれも非常に不審に思っていたんじゃないかと思うのでございます。
それで、いま問題になっております基本法についても、そこでもって今度は審議していかれるというお話を承ったわけでございますが、これは念のために言うのですけれども、そうした組織がありながらストップをしておったそこには、いろいろなところの多少の圧力があったのじゃないかというようなことを心配している向きもございます。そうした点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/85
-
086・八塚陽介
○八塚政府委員 消費者保護基本法が成立いたしましたならば、国といたしまして非常にはっきりした消費者保護行政の、あるいは政策の姿勢ができ上がるわけでございますので、それを審議会で御検討いただくということではなくて、審議会でそういう精神に基づいてどういうことをやっていけば具体的にいいかということを御検討願おう、ということでございます。
それから、ちょっとさっきの、なぜしばらく休んだかという事情について、私も直接体験をいたしておりませんけれども、一番考えられることは、先ほども申し上げましたように、答申がございまして、委員の方からひとつ一段落したのでこの際メンバーをかえてもらいたいというようなお話があり、あとのメンバーの方の選定等に若干手間どっておりまして、たまたましばらく休んだかっこうになっただけでございまして、この行政に関連して何がしかの反対的な圧力があったということは、少なくとも昨年十一月に私いまの局長になりましてからは一回もございませんことから類推いたしますと、それ以前にもそういうことは全くなかったのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/86
-
087・有島重武
○有島委員 そういたしますと、いままたお集まりが始まったわけでありますけれども、その一番主要な諮問事項と申しますか、それはどういうことになっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/87
-
088・八塚陽介
○八塚政府委員 実は正直に申し上げまして、消費者保護基本法が昨年の暮れごろから各党間で御検討をいただいておる、そこでそれが形をなしてくるまでは、むしろ行政のほうで諮問事項をあらかじめきめて、そして諮問をするというのは少し時間的にどうだろうかということを考えまして、私どもは、先ほど申し上げましたように一月以降数回やったわけでございますが、むしろ実績の報告なり検討ということでまあやってきたわけでございます。したがいまして、この基本法ができました暁に、先ほども申しましたように、いわば姿勢が確立したわけでございます。
それからまた、この基本法の具体化の場合にいろいろな問題が出てくるわけでございます。これはもう国会でいろいろ御審議を願っておる過程の中からも浮き出しておると思います。そういうものを十分勉強いたしましてそうして適切な諮問をしたいということで、むしろこの基本法の成立とのいわば時間的な調整ということで、いまのところまだどういう諮問をするかということを具体的に確定はいたしておりません。しかし、この基本法の中で何が問題であろうかと審議会に聞きながら、諮問しながらやっていくのにはどの問題が必要であろうかというようなことで、きめてまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/88
-
089・有島重武
○有島委員 わかりました。
それから、日本消費者協会のことでございますけれども、これは所属が、財団法人になっておりますけれども、監督は通産省でやっているように思います。こうしたいろいろな商品を、全部消費者の側の立場に立って、あるいは政府と消費者との中間的な存在としてやっておるそういう一つの機構が、一つの省庁の監督下にあるというようなことが好ましいことかどうか、その点についての御意見はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/89
-
090・八塚陽介
○八塚政府委員 お話しになりましたように、現在の消費者協会は通産省で所管をされております。しかし、実際の仕事は、通産省の関係の物資に関する仕事と、農林省関係の物資の仕事もやっておるわけでございます。ただ、行政機構として私ども考えます場合に、何といいますか、どこの省の所管であるからなかなかどうこう——実際問題としてそういう問題がある場合もございますけれども、私ども現在の消費者協会を見ております限りでは、特に通産省が具体的に御監督になっておるからということによる何がしかの実際上の弊害というのは、あまり感じておりません。かたがた、消費者協会のほうも、もちろん通産省のいろいろな御指示を十分受けてやっておられると思いますが、企画庁のほうへもかなりいわば密接に連絡をされてきておりますので、いろいろ形式的にはあるいは御議論がおありかと思いますが、実際問題として、特に所管がどうこうということによる具体的な欠陥というようなものをまだ私ども感じてはいない、こういうふうに思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/90
-
091・谷村昭一
○谷村説明員 消費者協会の性格といたしまして、これは本来、自主的な民間の消費者団体の集まりであるというたてまえをとっておりまして、たまたま補助金を通産省が多額に出しておるということでございまして、実際上の運営につきましても、これは農林省からも補助金が出ておりますし、企画庁からも補助金が出ております。各省間の連絡につきましては、連絡協議会という場を設けまして、これは通産省が補助金の額その他では確かに一番大きいし、それから認可のときは通産省が認可いたしたような経緯はございますが、通産省だけの団体ということを考えておるわけではございませんで、やはり自主的な消費者運動の中核体としてわれわれは期待しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/91
-
092・有島重武
○有島委員 これも新聞に出ていたことでございますけれども、農林省の委託でもってジャムの商品テストをやった。その結果が芳しくないので、業界に不利なデータの発表はしないというような——それでまあ、農林省からの圧力がかかったというようなことが、これは新聞に出ておりました。これは私が自分で調べたんじゃないので、記事の限りのことでございますけれども、こういうことがある。これが事実であるとすると、どうしてこんなことを役所がするのかと非常に国民全般としては疑いを持っておる。そういうことがございます。農林省のほうから御説明いただきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/92
-
093・森実孝郎
○森実説明員 ただいま有島委員から御質疑がございましたのは、おそらく一昨年の十二月の朝日新聞に出た記事のことをおっしゃっているのではないかと思います。私、担当者としましてはっきり申し上げますが、特に圧力をかけたとかなんとかいう事実は全くございません。そのことは新聞にも話してあります。ただ問題は、発表形式の問題なり発表方法について技術的に詰める点を話し合っていたことを、一部新聞がそういうふうに理解されたのではないかと思っております。そういう事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/93
-
094・有島重武
○有島委員 通産省にしても農林省にしても、生産省といわれておりますそういうところの影響が非常に強い状態に置かれているということは、大体国民の側として初めから少しあぶないのじゃないかと思われているところで、たまたまそういうことがあれば大きく喧伝されるようなことがあって、それは結局消費者にとってもあまりいいことではないと思うわけであります。それで、もう少し客観性のあると申しますか、企画庁なら企画庁というようなところに、あるいはそれを監視するという立場からいえば行管なら行管というところに、これを所属させてしまったほうがいいのではないかというような意見もあるのでございますけれども、そういった点についてはどうでしょうか。再検討の余地があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/94
-
095・八塚陽介
○八塚政府委員 私どもは国民生活局という局でございますので、確かに、先生がおっしゃいますように、局としては比較的国民生活的観点を強く強調できるところでございますが、しかし、逆に一方各省が、それでは消費者的立場というものについて、従来の生産省的、生産者的サイドでのみものを考えているかどうかということについては、私は実はかなり楽観論でございまして、各省ともそれぞれのつかさあるいはそれぞれの担当局においては、世に喧伝されておるほど消費者保護という観点について実は理解がないことはないので、たいへんまあ、このごろそういう思想というものは政府の各省にかなりな程度に——十分とは決して申しませんけれども、かなりな程度に普及してきておる。そういう意味におきまして、やはりそれぞれ物資について、あるいはその生産について所管しておられるところがそれなりの発言をされるということは、逆に効果的な、消費者保護を進めていく場合にそれなりに十分意味があるのじゃないか。そういう意味におきまして、私は、消費者協会というものをいわば一元的に経済企画庁のみの団体というふうにするということは、少し問題があるのではないかというふうに考えるわけであります。
それからまた、一方消費者協会自体がそういうふうに生産者のいわば圧力を受けるという点について、世評がそういうふうにだんだんなってまいりますと、実はそれ自体の存在理由というものがなくなってくるわけでございますが、消費者協会のあり方として、やはりできるだけ客観的、中立的にふるまわなければ、もう意味がないのじゃないかというところへ追い込まれると思います。そういう意味において、おのずからそういう問題に対する対処のしかたというものも、消費者協会において十分心得ておられるというふうに考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/95
-
096・有島重武
○有島委員 結論は何を一番言っていらっしゃるのか、ちょっとよくわかりにくい話で困っているんですけれども、中立的な立場にしっかり立ったほうがよろしいのか——そのことはよろしいというようなお話でございましたね。けれども、現在のでもそれほど困らない、そういうふうなことですか。ちょっとそれをはっきりしておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/96
-
097・八塚陽介
○八塚政府委員 中立的、客観的立場に立たなければいけない団体だ、あるいは機能を持っておる団体だ、これは確かに私申し上げました。それから、その消費者協会が中立的立場を堅持して仕事をやっていくときに、それを所管する役所として、必ずしも企画庁のみに所管されなくてもそういうことは可能ではないかというふうに申し上げたのでございます。逆に申し上げますと、農林省なり通産省というものを、消費者行政という立場から、少しことばはどぎついのですが、性悪と見るか性善と見るかということについては、過去においてはある程度性悪というふうな見方もあったと思いますが、そういうふうにきめつけてしまうと、むしろ消費者保護行政というものはかえってうまくいかないんじゃないか、性善説でもっていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/97
-
098・八百板正
○八百板委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。砂田重民君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/98
-
099・砂田重民
○砂田委員 いま有島委員から日本消費者協会のテストの問題が出たので、関連して伺っておきたいと思うのですが、一昨年の新聞の記事で、ジャムの甘味料ですか、これは日本消費者協会がやっているテストのやり方だとか、JASで規格、基準がきまっていてもそれを分析試験をするやり方だとか、そういうものが明確になっていないものがまだたくさんあるから、そういう問題が起こってくるのじゃないか。たとえば天然のハチみつなんというのは、われわれしろうとの消費者には、はたして糖みつが入っているのか、水あめが入っているのか、純粋なハチみつなのか、非常にわかりにくい問題なんだけれども、純粋なハチみつであるかどうかということをどうやって分析すれば正しい答えが出てくるかというような、分析方法の決定的なやり方がきまってないところでそういう問題が起こるのじゃないかと思うのです。どうでしょう、そういうことは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/99
-
100・森実孝郎
○森実説明員 問題になりましたジャムの問題は、たとえば一つの例で申し上げますと、私どもの品質管理の観点からいうと、一定の標準容量というものがあるわけでございます。プラスもマイナスも、できるだけ小さい幅で分布しているということが一番理想的でございます。ただ、非常にプリミティブなものの考え方で見ますと、中にたくさん入っていればいるほどいいというふうな見方もあるわけです。いま砂田委員からも御指摘がございましたように、そういうふうに消費テストをした場合の評価の基準というものが、率直に言って必ずしもまだ確立されていない問題がある。技術的に考えるかどうか、ごく常識的に考えるかどうかが必ずしも一致しない場合もあるわけであります。
それから、いまハチみつの問題の御指摘がございましたが、率直に申し上げますと、いまのところハチみつには人工添加糖をまぜてあるものがかなり市販されていることは事実だろうと思います。しかしながら、ハチみつ自体が添加糖でございますので、実はいまの能率的な分析方法としては、これを区分する技術的な体系が確立されておりません。そういう意味で、商品テスト自体も、私どもが取り扱っております食品の問題につきましては、なお客観的な技術的判断の基準を整備する問題、それからもう一つは検定方法を確立する問題、この二つの問題があることは事実だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/100
-
101・砂田重民
○砂田委員 そういう検定方法というか、検査方法というものを確立しておかないと、日本消費者協会が検査して答えを出す、業界は業界でまた違う検査をやって違う答えが出る、そういうところにトラブルが出てくるのは好ましくない。いま森実課長が言われたように、そういった検査方法基準をひとつ確立をしていただきたい。特に消費者の意向の強いものから順にひとつ進めていっていただきたい、これをお願いしておきます。
それから、いま日本消費者協会のことが問題になりましたけれども、どこの役所の所管だとか、どこの役所の監督だとか、そういうことばを使って何か御議論があったようですが、これはたいへんな間違いだと思う。日本消費者協会というものは比較テストをやっているので、ナショナルの何がどうだ、サンヨーの何がどうだ、日立の何がどうだ、そういう商品テストをやるのですから、行政がそこまで立ち入るべきでは絶対ないと思う。あれはどこまでも民間消費者団体の自主的な商品テストであるということで、はっきり確立させておかなければいけない。商品の比較テストまで行政は断じて立ち入るべきじゃないと思いますので、監督とか、どこの役所の所管だとか、そういう考え方は絶対にするべきではないと思う。非常に好ましいことではありますから、公正なそういう比較テストができるように補助金を増大していくことは大賛成ですけれども、監督下に置くとか、どこの役所の所管下に置くというような考え方だけは絶対にしていただきたくない。そういうふうにひとつお願いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/101
-
102・八塚陽介
○八塚政府委員 私、たいへんことばが足りませんで、いま砂田先生から御指摘があったわけでございますが、確かに、監視、鑑別のテストと違いまして、比較のテストというのはいわば役所的立場でやるべき、あるいはやるのにふさわしいテストではございません。この点は、今後その他のことを考えていく場合にもいろいろ十分に考慮に入れていかなければならないことだと思っております。
それから、たまたま監督という非常に不熟なことばを使いましたが先ほど通産省の谷村君のほうから話がありましたように、積極的に立ち入ってこういう結果を出せとか、あるいはこういう結果はおかしいじゃないかというようなことを言う、そのつもりで申したのではなくて、認可をするとか、あるいは補助金を出した、その補助金がうまく使われておるかとか、あるいは消費者協会がいろいろ運営上問題があるので相談に乗ってくれといわれたときに相談に乗るというような意味で、私ども、たまたまはなはだ適当でなかった監督ということばを使ったのでございますが、いま重ねてそういう御注意がございましたから、消費者協会に対する行政庁の態度というものは十分気をつけてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/102
-
103・有島重武
○有島委員 商品テストの問題はあとからまたやろうと思っておったのですが、話がたまたまそっちにまいりましたので、ここで少し伺ってみたいと思います。
商品テストと一がいに申しますけれども、これはやはり幾つかの見方の相違が出てくるのは当然ではないか、そのように私どもは考えておるわけでございます。それで、各官庁でもって自分のところの規格に合っているか、さっき森実さんが言われましたけれども、プラス、マイナスがどの程度の幅になっているかとか、そういったものと、それからもう一つは、日本に一つしかないから名前を出しますけれども、「暮しの手帖」でやっておりますような、純粋に使いやすいかどうかというような——規格に合っていようがいまいが、非常に使いやすい、実用的である、そのような観点からのみなされておる商品テストと、それからいま話に出ました消費者協会の場合なんかその中間的な印象を受けていますけれども、それからもう一つは業界でもって自分からやっておるテスト、そういうように、テストを初めから立場をはっきりしていくべきじゃないかというような意見があるのでございますけれども、そういった点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/103
-
104・八塚陽介
○八塚政府委員 いま御指摘がありましたように、いわゆる商品テストの中に、大別いたしまして、要するにその成分がきめられたとおりであるか、あるいはそういう規格に合っておるかというテストと、それからいわば消費者として使いやすいか、あるいは安くていいか、いろいろいわゆる商品としてのテストと二つあろうかと思います。端的に申しますと、役所的立場でテストができるのは前者のほうであろうと思います。これは当然物理的あるいは化学的にいくことでございます。それからまた、やや使いやすいということに着目いたしましても、特定の商品種類については、この社の製品はこういうあれがあるとかないとかという、いろいろな分解したアイテムについては、あるいはある程度やれるかと思いますけれども、それを総合して、消費者にとって使いやすいかどうかということは、それはなかなか役所的立場で価値判断するのは困難であろう。ところが、一方消費者のほうは、当然にそういう規格なり何なりはあるにしても、なおかつ実際に物を買うときにどれがいいんだろうかということで、少し極端に言えば、後者のほうについて商品テストというものを期待するだろうと思います。その点につきましては、やはりいわゆる役所ではなくて、ある程度そういうことについて思い切ってものが言えるという立場の団体なり、そういうものがやっていくということが適当であろうというふうに考えておるわけでございます。ですから、今後ともテストの問題は総合的に、あるいは各省の問題としてそれぞれいろいろな部門で出てまいると思いますが、その観念の整理というものははっきりして、対処しなければいけないのじゃないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/104
-
105・有島重武
○有島委員 それからもう一点、いま砂田委員のほうから出ました基準の問題でございます。あるいはその方法と申しますか、これは表示の問題とまた関連してくると思うのでございます。これは過日砂田さんのほうからアイスクリームの問題が出ておりました。脂肪分の多いもの、少ないもの、これがあながちいけないとかいいとかということよりも、これはこういう性質の品物であるという、それを消費者のほうの選択にまかせる余地を幅広く持たせていくということが、さらに合理的ではないかというようなお話がございました。私どもそれに非常に賛成でございます。それで、いまはその表示することばがやや少ないのではないか。これは今度公取委員長に対しての御質問になりますけれども、そうした表示の種類と申しますか、どんどん科学技術が発達しており、それはいろいろな品目が出てくる。いろいろ中間的なものが出てくる。非常に判別しにくいものが出てくる。それがこの間は、牛かんに対してニューコンビーフが、馬肉とはっきり書くことになったと言いますけれども、これもまたセンスのない話でございまして、また新しい名前をつけるのならつけてもいいと思うのです。馬肉と言うときついから、いままでもさくらと言っていたのだろうと思いますけれども、やはり馬肉と書かれたことによって消費者のほうでは何となく感じが悪いと言う。消費者は大体合理的というよりもムードで動かされますから、これは馬肉が非常に栄養的に悪いものであるかというと、そうでもないわけでございます。そういった影響から考えますと、もう少し表示ということの多様性、ところが今度非常に多様になれば何もわからなくなってしまう、その辺のかね合いですね。こうした系列の中のこういったものであるというようなこと、これは抜本的に考え直さなければいけないのじゃないかと思いますけれども、その点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/105
-
106・山田精一
○山田政府委員 御指摘の表示につきましては、いろいろ問題もございます。私どもは、第一義的には、業界における公正競争規約でもってなるべく適切な表示をさせるようにいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。一例を申し上げますと、たとえば先ごろ認定をいたしました公正競争規約の中に人造真珠の業界のがございましたけれども、これはやはりはっきりと人造真珠または人工真珠と書くということに公正競争規約で定めてもらいましたわけでございます。そのほかに、いろいろ業界ではシェルパールであるとか、そのほかちょっと忘れましたが、ハイカラな表示もあったわけでございますが、そういうような表示をかってに用いられますと、消費者にとりましてはわかりませんわけでございますから、人造真珠または人工真珠に限定をいたしました。業界でさらに研究をいたしました結果、別な表示をしなければならないような事情が発生した場合には、私どもの役所の認定を経た上できめなければならない、こういうふうにしておるわけでございます。なるべく御趣旨に沿うようにいたしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/106
-
107・有島重武
○有島委員 ただいま根本的に考えたらいいということを申し上げましたけれども、それと並列して暫定処置ということがどうしても必要だと思うのです。これはまた公取さんは慎重に慎重を重ねて、五年先じゃ困るわけですね。一番簡単に行なわれることは、アメリカなんかもそうらしいですけれども、イミテーションである、これだけでもずいぶん違うんじゃないかと思うんです。さっきもジャムのことがございましたけれども、イチゴジャムというものはこういうものであると一度きめたら、それからはみ出たものはイミテーションという一つの中に入れておいて、それがまた非常に一つの商品価値を独立して用いるような状態になったと見定めをつけて、さらにまた新しい名前を許していくということになると思うんですけれども、その暫定処置ということも、その単純化ですね、これは非常に大切じゃないかと思うわけでございます。これはひっくるめまして、もう一ぺん八塚さんに伺いますけれども、さっきまだ諮問すべき項目がはっきりしておらないというお話がございましたけれども、消費者保護の問題でかなりこれは大きい問題じゃないか。いろいろなことを申されましても、商品テストが厳正に行なわれ、しかも行なわれた結果が消費者のほうに役に立つというような状態にならなければ、幾ら基本法の中でもっていろいろ言っておりますけれども、これは大部分が意味を失ってしまうようなことになるんじゃないか。商品テストの種々の問題については、これは総合的に考えていっていただきたい。これは一つの提言でござますけれども、いまの諮問のあれ、きまってないとおっしゃいましたけれども、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/107
-
108・八塚陽介
○八塚政府委員 私、先ほど申し上げましたように、消費保護基本法及びそれに関連いたします国会の御論議を背景にして、諮問を考えたいと思っておるわけでございますので、ただいまお話しになりましたようなことも、諮問をどうするかというときに十分検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/108
-
109・有島重武
○有島委員 それでは次に、苦情処置の問題につきまして、これも初めに企画庁のほうの御意見を伺っておきますけれども、苦情処理の問題あるいは相談の問題、これは消費者行政の実質的な効果からいきますとかなり重要なものじゃないかと思いますが、その重要性についての御所見を先に承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/109
-
110・八塚陽介
○八塚政府委員 あらゆる経済行為と申しますかの一番最終的な接点は、いわば商品の、消費物資の売買であります。そこで、いろいろな苦情があるということは、結局大きな意味の経済の回転に実は最終的に欠陥がある、あるいはそういう表現であろうかと思いますので、苦情処理というのは、生産者、流通業者といういわゆる経済人と、消費者といういわば生活人との接点でございますので、ここの処理をうまくやっていくということは非常に必要なことだ。ただ現実は、もう御承知のように、必ずしも日本の場合にはその苦情処理についてあまり組織的な体制がとれておりません。そういう意味で、今後こういう法律の成立を契機にして、そういう点についてのいろいろな対策を特段に進めていかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/110
-
111・有島重武
○有島委員 現在までの苦情処理の状況でございますね、そのアウトラインを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/111
-
112・八塚陽介
○八塚政府委員 苦情処理、これも範囲が広いわけでございますが、行政上の苦情処理といたしましては、ここに行政管理庁もおいでになりますが、行政管理庁のやっておられます行政苦情相談員というような制度等がございます。それから通産省でも、消費生活改善苦情処理制度ということで窓口を——これは末端へまいりますと消費生活改善監視員であるとか、あるいは通産局の商工課等、あるいは本省の段階は、これは消費者にとってはやや距離が遠いかと思いますが、消費経済課等でやっておられるわけでございますが、ただ、一番普遍的に制度を持っておりますのは——普遍的と申しますか、もう少し消費者に近いところでやっておりますのは県の段階でございますが、全府県すべてそういう窓口が必ずしもできておるというふうにはまだなっておりませんで、一応三十六県がそういう苦情処理ということでの窓口を開いておるということでございます。あと、この基本法にあります。元来もっと組織的にやってもらわなければならない業界としては非常に少ないのが残念でございますが、全日本広告協議会であるとか日本化学繊維協会などはやっておるのでございます。苦情処理ということにうまく適合はしないと思いますが、むしろ積極的に苦情を言うというようなことについては、もちろん例のいろいろな消費者団体等が御活動になっておられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/112
-
113・有島重武
○有島委員 初めにお話しのございました行政苦情処理のことについて伺いますが、これは各省庁にわたって、すでに苦情相談担当者というのがきまっておるというふうに伺っております。これは昭和四十一年の四月一日現在の表を私いま持っておるわけでございますが、いままでの実績といいますか、問題点と申しますか、そういったことについてお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/113
-
114・諸永直
○諸永政府委員 ただいま先生のおっしゃったとおりでございますが、各省の苦情担当者の設置は見ておりますが、専任者というものが非常に少のうございまして、相当兼務者でやっておる。そこで、各省の苦情処理窓口としては、まだこれから相当機能を強化する必要があるのではなかろうかというふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/114
-
115・有島重武
○有島委員 強化する必要がある。いままでの実績という点では、それほど見るべきものがないということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/115
-
116・諸永直
○諸永政府委員 実績は、各苦情担当の窓口に来ております苦情の件数は大体つかんでおりますけれども、各省庁あるいはその出先機関で直接業務を担当しております玄関に苦情が持ち込まれておりまして、その内容は、苦情担当者もあるいは行管のほうも、実は非常につかみにくいものでございますので把握しておりませんが、苦情担当者のところに来ている件数というのは、案外そう多くないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/116
-
117・有島重武
○有島委員 この苦情処理、特に行政苦情処理の問題でございますが、これは民間の苦情を行政の上に反映していく、それでよかった。一つ一つのことがあると思いますけれども、一面には、こういったところからこれだけの苦情が出ておるんだということを認識することが、これが監視の一つの有力な手がかりになるのではないか、大きく行政に発言していく非常に客観性を持っているデータになるのではないかと思われます。ですから、これはどうにかして集まってきた苦情を収集したほうがいいのではないかと思うわけでございます。
それからもう一面、これも新聞記事でございますけれども、これは毎日新聞の記事でございますが、公害に関しまして苦情を申し出たことがあるかないか、これについて六九%まではないというわけですね。それで三一%の人が苦情を申し出ておる。あとは泣き寝入りの状態でいるわけであります。第二番目に、どこに申し出たかという問題です。これは大阪だと思いますけれども、市の公聴部に行ったのが三〇%、衛生局に行ったのが一三%、区役所に行ったのが二七%、公害対策部に行った、これはなしですね。保健所に行った、これが二三%、それから警察に行ったのが二〇%ある。あるいは地元の市会議員だとか、あるいは加害者とおぼしき工場なり何なりに直接文句を言っていった、そういうのがわずかにあるようでありますけれども、これで見ますと、大体区役所や市役所に行けばどうにかなるだろうと思っている。こういった気持ちはわかりますね。もう一つは、とんでもないというので頭にきて警察に行った。それから保健所に行った。これは奥さんたちは平素保健所につながりがあるから、一番言いやすい状態で行ったんだと思いますけれども、こうした公害ということ、これは一般消費生活から考えますとずいぶん範囲が狭い話でございますけれども、これでもどこに行っていいんだかちっともわからない、戸惑っておる姿があると思うのであります。
この結果でございますけれども、この中ですぐ解決したというのが一〇%あります。それから、いつまでたっても解決しない、言いっぱなし、聞きっぱなしでそのままになっているのが二〇%あります。解決はしないけれども調査だけはしてくれた、これは三〇%あります。それから、一応解決したけれども解決するまでに時間が長くかかり過ぎた、そういうのが三〇%ございます。なお、苦情を申し出ないのはなぜかと申しますと、どうせ申し出てもむだだというのがこの中に三九%もあった、そういう結果が出ております。
それで、われわれとしては一番身近なところに申し込む。申し込めば、申し込まれた人は相当能力がないと直ちに答えることはできない、動くこともできない。でありましょうけれども、その人が、窓口がさらにそれではちょっと問い合わせてみましょうという問い合わせ先を持っていれば、これは電話で済むことでございますから、一応の答えがすぐに出ることが多いのじゃないか、そういうように思うわけでございます。われわれ市民相談などを実際にやってみまして、私たちが受けてすぐ電話をすれば、どんどんこれは動き出すということはたくさん経験しているわけでございます。これは約束さえできておれば非常にスムーズにいくのじゃないか、そういうふうに思うのでございますけれども、こういうものは時間的にもすばやく、それから単能的な窓口ではなくて、そこにいる人は専門的に、これは一番建設方面には明るい人だ、いろいろあってもよろしいのですけれども、その人がしっかりした問い合わせ先を持っている、すぐに答えられる、そういった問い合わせをひとつ確立なさったならばいかがかと思うのですが、そういったことは考慮していただけないだろうかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/117
-
118・中塩達也
○中塩説明員 行政苦情相談の窓口は各省ばらばらになっておりますが、それらの連絡組織といたしまして、現在中央では、各省庁行政苦情相談連絡協議会というのが設けられております。また地方でも、国の出先機関及び地方公共団体等が集まりまして、同様の協議会をつくりまして連絡を密にいたしておるところでございます。しかし、先生の申されますように、行政組織のことをよく御存じない国民の方が、どこへ苦情を申し出ても直ちにそれに対応できるような組織というものは、行政苦情の処理のために非常に望ましいものでありますので、今後そのような能率的な連絡組織というものについて研究をさせていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/118
-
119・有島重武
○有島委員 今後十分研究していただきたいし、それから研究ばかりじゃなく実施を急いでいただきたいように思いますけれども、協議会といいますと、ときどき集まってきて協議する、結果を検討するということになると思うのです。いま言っているのは、もう協議じゃなくて一つの連絡所でございますね、そういったものだと思うのです。それで、東京都でやっておりますのは、各省庁の代表の方が来てくださってその場でもってどんどん解決して、その出先の方が問題が大きくなれば自分の本省に連絡をとってやっておる、それはたいへんけっこうでありますけれども、どこでもここでもすぐにそうやろうと思っても、これは人が足りないのだと思うのですよ。いま申しておりますのは、そういったものがたとえば東京都なら東京都に一カ所あれば、兵庫なら兵庫にそういうものが一カ所あれば、どこの府県からでもあそこに行けば何か答えを出してくれるに違いない、これはやろうと思えばあしたからでもできる問題じゃないかと思うのです。電話番号帳を一通り配ればいいのだから。そういうようなことを速急になさったほうがいいのじゃないか。そうすると、いままで潜在的には何か言おうと思っていたのだけれども全然言わなかった人たちにも、相当いいアイデアを持っていらっしゃる方も多いと思うのです。そういった人たちの声もどんどん上がってくるのじゃないか、それが大切なことじゃないかと思います。
それからもう一つは、チェックの問題でございます。原課のほうでもって処理したものは報告なしでもってとまっておる、そういうことでございますけれども、通産省の苦情処理は非常に模範的にやっていらっしゃるというお話を伺っておりますけれども、通産省のほうの苦情処理のチェックの状態はどうでしょうか。
〔委員長退席、武部委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/119
-
120・谷村昭一
○谷村説明員 通産省の苦情処理制度でございますが、これは先ほどお話に出ました消費生活改善監視員というものが、本年度から七百名でございます。そのほか県の通産局の商工課、それから本省で受け付けておるわけでございますが、大体年間、文書によりまして四百件から五百件程度の苦情がございます。これにつきましては、個別に私の名前で回答を出すことにいたしておるわけでございます。同時に、一般的な問題につきましてはそれ相応の何らかの処置をとらなければなりません。たとえば、先日来お話がございましたLMSのサイズを統一してくれというような苦情は、これは一般的な別の手段で解決しなければなりませんので、そういう点はそういう方向で解決したいと思うというようなことで、個別に文書で回答を出しておるわけでございます。このほかに、役所以外では、先ほどの消費者協会でやはり苦情受付窓口を地方に百カ所ぐらい持っておりまして、ここで受け付けました苦情も、必要があれば通産省のほうに上がってくることになっておるわけでございます。
大体以上のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/120
-
121・有島重武
○有島委員 それで私が想像いたしますのに、いま言われた年間四百から五百というのは処理の件数でございますね。申し込んだけれども処理はしてないというものはその数のうちに入ってないのだと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/121
-
122・谷村昭一
○谷村説明員 いまも申し上げましたように、処理は全部いたしております。たとえば、これはすぐには解決できないけれども、将来こういう方向でやりたいとか、何からの形で返事を出しておるわけでございます。そういう意味では、文書で来ましたものにはすべて返事を出しておるとお考えいただいていいと思います。ただ、その返事を出しましても、先ほどのLMSの例のように具体的な解決をはかったものもあれば、ないものももちろんあると思いますが、できるだけそういう形で、これはこういうわけですぐには実施できないけれども、将来はやりたいとか、そういうような方向で回答を出しておりますので、いま申しましたのは、そういう形ですべて何らかの返答を出しているというふうに御了解いただけばいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/122
-
123・有島重武
○有島委員 受付件数と処理件数というのはおのずから変わると思うのです。もう一つは、せっかく言ってきたけれども、これは通産の問題じゃないからといって断わってしまった件数もばかにならないと思うのです。そのほうがむしろ多いかもわからない、そのように私は想像いたします。
それで、行管に戻りますけれども、苦情申し出のチェックのしかたについての一つのとらえ方、データの書き方といいますか、何かそれほど複雑にならないで、しかもどんな苦情でも一応そこに記載することができる、そういうようなものをお考えになってはどうか。いま通産だけでも全国に三百ほどあるわけですね。消費生活改善監視員まで入れますと、これは五百余の窓口になるわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/123
-
124・谷村昭一
○谷村説明員 いま申し上げましたのは、消費生活改善監視員の数はいままでは五百名でございましたが、本年度から七百名になっております。したがって七百名と、そのほかに八つの通産局の商工課がそれぞれ窓口になっております。それから私のところと、そのほか消費者協会におきまして百カ所の受付窓口を持っておるということでございますので、それを数えますと八百ちょっとという感じになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/124
-
125・有島重武
○有島委員 そうすると、八百の窓口を持っておる。その一つ一つは力がそれほど強くはない。けれども、いろいろな意見を吸収する能力は全部持っているわけであります。そうしたものを電算機にかけられるような状態になっておれば、何かカード処理ができれば、それこそ民主主義の模範みたいに、みんなの思っていることをそのとおりとにかくキャッチすることができる、そういうことをひとつ御検討になったらいかがかと思うのでございますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/125
-
126・諸永直
○諸永政府委員 先生の御意見、非常に教えられるところがございます。いままでの状態から、出先機関のものもわれわれのほうではなかなかつかめませんし、それから特に県、市町村等のものも、また各省別にこれを分類するということも非常に困難でございまして、非常にいい御意見でございますので、幸い私のほうで幹事役をやっています各省庁の苦情連絡の協議会がございますので、次回の協議会までにひとつ研究いたしまして、おはかりして実現するように検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/126
-
127・有島重武
○有島委員 それではそのことも研究していただくことにしまして……。それは行政管理庁のお仕事というのが、ほかと比べればわりあい単純化された問題が来るであろうし、それからもう一面には、どの省庁にもいろいろな関連が一番広いような立場におありになって、一つのそういった連絡組織の模範になるのじゃないかと思われますので、よろしく前向きに御検討いただきたい、そう思うわけでございます。御都合がおありになるようですから、行管はけっこうでございます。
いまの問題につきまして農林省に伺いたいのですけれども、農林関係に関する限り、食品なら食品に関する限り、いま行管に申し上げたような体制を組むことは可能でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/127
-
128・森実孝郎
○森実説明員 いま御指摘がございました問題でございますが、私ども結局、苦情処理の問題と、それから不良な食品とか不当表示の取り締まりというのは、現実の行政としては、やはり連続的に把握して行なうべき性格のものではないだろうかというふうに現実的に考えております。
そこで、まず一つは、行政に対する苦情処理という問題、それから、たとえば先ほども議題になりました不当な表示の問題とかあるいは商品の評価の問題そういった問題について、やはりそういった調査の能力あるいは現実の地域住民との密着ということから考えまして、やはり自治体というものに大幅に協力していただくということが一つの基本ではないかと思います。それを受けまして国の行政機関で、それぞれの職務担当に応じまして処理をするということが必要なのじゃないだろうか。たとえば、いま私どもが検討しておりますのは、JASのマークがついている不良品とか、あるいは最近ちょっと一部議論が出ておりますJASにまぎらわしいような表示のしかたをしておる商品とか、不当表示の食品とか、そういったものについてはそういった調査なりあるいは消費者からの文句があれば、それを自治体なりあるいは国の出先にでもできるだけ多く持ってきていただいて、それを受けてさらにそれぞれの試験研究機関とかテスト機関に持ってきて、結果を確認した上で処理したいと思います。それからまた、具体的な商品に結びついた問題でなくても、一般的な行政に対する批判というようなものについても、やはりそういった自治体の担当者あるいは国の出先機関に意見の反映をはかる。そういう点で、いま申し上げましたように、先ほども議論になりました商品テストの問題表示の問題、それから行政の苦情処理というふうな問題——苦情処理と表示というような問題とを結びつけて検討したいというふうに思っております。苦情処理の窓口という問題と、たとえば先ほどからも議論になっておりますような不良な食品の調査をやるとか、役所が能動的に、アクチブに働きかけて、たとえば市販品を買い上げて調査をする、そういったような過程と苦情処理の消極的な意味での窓口というものを、広い意味での調査機関として、現実に自治体とかあるいは食糧事務所その他の地方に分布しております国の窓口を活用する、こういうふうな形で考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/128
-
129・有島重武
○有島委員 いま伺っておりますのは、大体地方の公共団体の出先機関へ集まってくるわけですね、苦情というものが、それが全部一ぺん本省の一カ所に集まるのですか。それともばらばらに各局に地方局から問い合わせが来るのですか、その点を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/129
-
130・森実孝郎
○森実説明員 これはたとえば苦情が具体的に出た場合、苦情処理といっても様態が非常にたくさんあるわけです。そこで私ども、たとえばいま具体的に検討しております例で申し上げますと、この食品の表示が適当であるかどうか、この食品の原材料はどうかということを調べてほしい、あるいはこういうものを表示してほしいというような、ある程度類型的に把握できるようなものを、それぞれ役所の担当部局をきめておきまして、そこに通報させるというほうがかえってスピーディーなのではないか。そういう意味では私ども現実に検討しておりますが、今年多少予算も計上しておりますし、実施したいと思っておりますのは、自治体の協力も得て、全国に十カ所ございます輸出品検査所の機構を使って、文句があった商品についての調査とかテストをやり、すぐその結果を回答するという仕組みを考えております。しかし、類型的に把握できないようなものについては、各自治体と地方農政局なり何なりの担当窓口をきめておきまして、それを定期的に回収して各局ごとにそれに対する回答を準備させる。こういうように、やはり現実的には一カ所に集中して処理させる場合と、すぐきめられた組織に反映させてそれを解決してまいるという、この二通りに分かれてきていいのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/130
-
131・有島重武
○有島委員 これは新聞社なんかですと、いろんな名前のもの、連絡局というようなものがありますね。新聞社の中でもいろんな役目が分かれておって、いろいろ雑多なものが入ってくると、その入ってきたものはとにかく一ぺん連絡局を通る。それであそこに出そう、ここに出そう——自分の分野のものが自分のところに入ってきた場合でも、やはりそこを一ぺん通してやる。するとある場合には、ここの関係があるからこっちにも連絡するというようなことで、これは新聞社の能率を非常に高めていると思うのです。それから企業形態が大きくなれば、当然そういうような頭脳的な働きは今後ますます必要になるのじゃないかと思うのでございます。けれども、いまこちらの質問はそういうような機構、どんなものでも苦情ならここに持ってこい、持ってきさえすれば一発だ、それから自分でもって判断できるものでも一発ここを通せ、そういうような機構というものがあったほうがいいのじゃないかと思われるのですが、そういった点について御意見はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/131
-
132・森実孝郎
○森実説明員 確かに、御指摘のような点もあるかと思います。ただ、私ども現実に行政をやっておりまして、行政に持ち込まれます苦情というものについては非常にバリエーションがございます。それを非常に専門的な知識で判断しなければならぬし、タイミングを要するものもございます。特に経済行政をやっておりますと、当事者間の争訟に類するようなものを役所に持ち込むというようなケースがある。あるいはある種の政治的不満が特定のものに結びついてくるものがあるというふうに、非常にバリエーションがございます。つまり機械的に把握ができるような画一的な苦情処理ではないだろうと思います。むしろ私どもといたしましては、機械的に処理できるような苦情に対する態様は、ある程度統一的に把握することもデータとしては必要と思いますが、スピーディーに処理できるように、そういう連係、連絡のしかたを具体的にきめておいたほうがいいのではないか。それ以外のそういう類型的に把握できない、特に政策に類するようなものについては、むしろいま申し上げたようにある特定の窓口をきめて、あるいは地方農政局できめる、各局がそれぞれきめておいてそれぞれ受けるという形にしておいたほうがいいのではないかという問題がある。どこの所管に属するかという問題は、実はその省だけの問題ではございませんので、各省にも非常にまたがってくることもある。その点、十分御留意願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/132
-
133・有島重武
○有島委員 そうすると、ある類型的なものについてはそのルートが定まっておる。それから非常に難解な複雑なものについては、これは大体どこに入るのですか。そういう複雑なものは官房か何かに入るのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/133
-
134・森実孝郎
○森実説明員 大体、現実にはいまルートが二つあると思います。一つは、本省に直接参りまして官房で調整している場合が一つ、それからもう一つ、地方の農政局でプールいたしまして、本省にそれぞれの分担に応じて官房を通して通報してくる、二つのケースがあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/134
-
135・有島重武
○有島委員 省の構成の本来的な意味からいえば、それは全部官房の仕事になるわけですね。いま申したような連絡局的な話というのは、あらゆるところの関連するものは全部そこでチェックされているはずである。それからまた、いろいろ連絡が、事前にせよ事後にせよ、そういうことになっているたてまえかとも思いますけれども、それが必ずしも官房そのものはそういう連絡局的なすばやさでもって働いているとは思えないのですけれども、今後の消費者行政ということを考えますと、そういったようなことも考えていただけたらいいのじゃないか、そう思うわけであります。これはお答えはけっこうです。
今度は厚生省ですが、さっきもちょっと話が出ましたけれども、保健所は庶民にとって非常に密接なところであると思うのです。保健所でもって苦情の受付というようなこともやっていただいたら非常に能率があがるのじゃないかと思われるのでございますが、そういったようなことについてのお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/135
-
136・野津聖
○野津説明員 御指摘のように、保健所は、全国の都道府県あるいは政令によって設置されておりまして、約八百三十カ所ございます。地域の保健の中心ということで、非常に活動しているわけでございます。特に食品衛生なら食品衛生という立場に立ちましても、これも非常に地域の保健というものと結びついた立場ではそういう機能を持つべきであると思います。現在は、国民の保健に関しますことのいろいろな指導及びそれに関するいろいろな事業を行なうということは保健所法でもきめられているわけでございますが、一応現実の問題としては、相当に苦情処理機関としての立場をとっているのではないかと思うわけでございますが、国民の一つの相談機関として活躍していきますし、また今後ともそういうふうに活躍さしていく必要がある、そういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/136
-
137・有島重武
○有島委員 この問題につきましても、やはり来た苦情をチェックしていく、それでもって中央で統計がとれる状態にするということがありますと、これはずいぶん役に立ってくるのではないかと思います。保健所ではなくて、保育所なんかでもずいぶん来ると思います。ただこの場合は、あくまでも苦情、ぐち話というようなことでは困るという判定はおのずからあると思うのでございますけれども、そういうような活動を消費者保護という立場からはぜひお願いしたいと思うのでございます。これはお願いにとどめておきます。
時間が来てしまったので、いまの苦情処理の問題は大体この辺でとどめますけれども、最後に、企画庁のほうでもって、いまいろいろな話がございましたけれども、この苦情処理の能率化といいますか、総合化といいますか、これも非常に大きい要素になると思うのです。一つには、これが行政指導の上にも響きますし、ある程度苦情のデータというものが公表されますと、これは業者の自主規制ということにすぐつながる問題ではないかと思うのです。消費者側としてもいま非常に複雑であって、自分のほしいものが、はたしてこれがほんとうにほしいものであるかどうかということは自信がない。そういうことがいまあるわけですけれども、同時に、行政側のほうも非常に複雑でつかみにくいということがあると思うのです。業者としても連帯感に立ちにくいということがあると思います。こうしたことについては、それこそ共通の悩みである一つの連帯感を持って進めていかれる問題であると思いますので、この方向につきましても先ほどの諮問の内容の中にはひとつ入れていただきたい、そう思うわけでございます。お答えいただいて、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/137
-
138・八塚陽介
○八塚政府委員 確かに、先ほど来お話がございましたように、苦情自体がきわめて単純な、端的なものからいろいろ複雑な要素を含みながらの苦情があり、一方それを受けるほうも、それに対応して仕分けるということも、現在の段階では必ずしもなかなかうまくいっていない。しかし、いずれにいたしましても、やはりお話がありましたように、みながそれぞれの立場においてこれをうまくやる、処理することはどうしたらできるだろうかということで悩んでおるような問題でございまして、かたがた、ある意味ではかなり技術的な処理と申しますか、技術的な検討が可能であるところもわりに多い部門だと思います。なかなかむずかしい問題でございますが、一方きわめて必要な問題であるということは私どもも十分わかりましたので、今後諮問との関係は、先ほど申し上げましたようなことで関係各省とも連絡をとりながら検討を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/138
-
139・有島重武
○有島委員 では、私の質問はあと残っておりますけれども、次の機会に保留させていただきまして、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/139
-
140・武部文
○武部委員長代理 砂田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/140
-
141・砂田重民
○砂田委員 時間もありませんが、ちょうど農林、厚生両省がおられますので伺っておきたいと思うのですが、WHOとFAOとOECDで、農産食品の国際規格を定めていこうという作業が何年がかりかで長期的な作業が行なわれつつある。日本からもこれに参加しておられて各省行っておられると思いますので、どういうような方向でそれが動いていっておるか、そういうものが一つ一つ決定されていったならば、この国際規格と国内規格との関連がどういうふうになっていくか、そういうようなことを厚生省、農林省から伺っておきたいと思います。公正取引委員会もこれに参加しておられましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/141
-
142・森実孝郎
○森実説明員 先生も御指摘のように、現在FAO、WHO、それに部分的にはOECDが参加いたしまして、国際規格の取りきめの作業をいたしております。この内容は、大ざっぱに申しますと二つございまして、たとえば、これは厚生省が主として担当しておられますが、食品衛生の問題とか、商品表示とか、一般的事項をグループに分けて検討することになっております。それから、具体的に果実かん詰めであるとか、あるいは魚のかん詰めであるとか、ジュースであるとかいうふうに、具体的な商品ごとの規格をきめるという形で議論が、そういった一般的事項の幾つかの部分及び具体的な商品ごとの幾つかのグループに分かれまして作業部会が進んでおります。大体十段階まで進みますと、それぞれの規格が固められて、あらためて各国の同意を求めた上でそれがコーデックスとして収録されるという仕組みになっておりまして、各品目の作業の進捗状況は実はまちまちでございまして、本年度で言うならば、すでに八段階というような最終的な段階に近いものもあり、また三段階程度のものもあります。最終的な取りまとめまでにはまだ二、三年かかるのではないかと思います。そのコーデックスの効力につきましては、これを受諾した各国を具体的に拘束するという拘束力がございますが、その拘束力の内容につきましては、つまりその規格を受諾した国が当該規格に合致している商品の流通を妨げてはならない。端的に申しますと、それよりももっときつい規格で流通規制をしてはならないということが一つの法律上の効果でございます。つまり受諾した場合は、より以上、もっとシビアな規格をつくってそれと合致してないものは売ってはならないとか、輸入制限とか、流通規制になるような結果のことはしてはならない、そういう形での法律的な効果がございます。
それから受諾の様態につきましても、経過期間とか、一部受諾というような条付つき受諾が認められております。
それから規格の内容は、そういった表示原則等についても強制力、いま申し上げたような受諾によって法的な拘束力を発生するものと、そうではない一般的な訓示規定的なものとに分かれておりまして、いわゆる法律制度としての拘束力が強いという性格のものではないだろうと思います。ただ、関係各省、科学技術庁が中心になって協議しているわけでございますが、私どもとしても、それが基本的にはやはり国際的な規模での流通の能率化に貢献することが大きいという観点から、できるだけやはり日本の独自の主張を入れながら、その規格は事情が許す限りは受諾していくべきであろうということで、私どもの意見の反映にあらゆる会合を通じて努力しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/142
-
143・神林三男
○神林説明員 ただいま農林省の申し上げたように、厚生省といたしましても、できるだけ、そういうものがきまり次第それを尊重してやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/143
-
144・柿沼幸一郎
○柿沼政府委員 公正取引委員会といたしましては、表示の問題でこのことに関係いたしております。国際会議には昨年から参加させていただいております。わが国の消費物資の国際的取引の増大に伴いまして、やはり国際的な標準、基準というものを実質協定や何かの中に取り入れていく上にも非常に参考になる。積極的に参加していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/144
-
145・砂田重民
○砂田委員 ありがとうございました。受諾する方向で検討をしていくとなると、いろいろな問題がたくさん出てくるだろうと思いますから、これはまた日を改めて伺うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/145
-
146・武部文
○武部委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。
午後一時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00819680418/146
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。