1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月二十三日(火曜日)
午後三時四十八分開議
出席委員
委員長 八百板 正君
理事 砂田 重民君 理事 竹内 黎一君
理事 唐橋 東君 理事 武部 文君
理事 和田 耕作君
青木 正久君 佐藤 文生君
坂村 吉正君 中山 マサ君
広川シズエ君 山下 元利君
伊賀 定盛君 村山 喜一君
有島 重武君
出席政府委員
公正取引委員会
事務局長 柿沼幸一郎君
経済企画庁国民
生活局長 八塚 陽介君
大蔵省銀行局長 澄田 智君
厚生省社会局長 今村 譲君
委員外の出席者
公正取引委員会
事務局取引部景
品表示課長 伊従 寛君
経済企画庁国民
生活局参事官 小島 英敏君
経済企画庁国民
生活局消費者行
政課長 岩田 幸基君
厚生省環境衛生
局環境衛生課長 赤穴 博君
厚生省環境衛生
局食品衛生課長 野津 聖君
厚生省環境衛生
局乳肉衛生課長 神林 三男君
厚生省薬務局薬
事課長 野海 勝視君
農林省農林経済
局消費経済課長 森実 孝郎君
通商産業省企業
局次長 下山 佳雄君
通商産業省企業
局消費経済課長 谷村 昭一君
国民金融公庫総
裁 河野 通一君
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四月十八日
公共料金の値上げ反対等に関する請願(川上貫
一君紹介)(第四二六一号)
同(田代文久君紹介)(第四二六二号)
同(谷口善太郎君紹介)(第四二六三号)
同(林百郎君紹介)(第四二六四号)
同(松本善明君紹介)(第四二六五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
消費者保護基本法案(砂田重民君外二十四名提
出、衆法第二一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/0
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001・八百板正
○八百板委員長 これより会議を開きます。
消費者保護基本法案を議題とし、審査を進めます。
前回に引き続き質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/1
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002・村山喜一
○村山(喜)委員 まず初めに八塚さんに、消費者金融という問題は最近非常に大きく叫ばれてまいりました。あなたのところの消費者行政課というところでも、小内進一君あたりが「消費者金融の概要」というものを「消費者行政」の中で取り上げておいでになるようでございます。それもちょっと拝見をいたしましたし、それから私が資料としてここに集めましたのは住友銀行の「経済月報」、それから「金融論講座」、それに富士銀行の調査部の「調査時評」、それから雑誌「金融」の二月号、こういうようなものからただしてまいりたいと思うのですが、消費者金融の、特に賦払い信用販売と物価との関係ですね、これは関係があると考えますが、どういうふうにお考えになっておるかということをあなたにお尋ねしたいのです。
そこで、その前に、一体消費者金融という概念規定は内閣において統一されているのかどうか、この点についてもそれぞれ所管省からお尋ねいたしたいのですが、消費者信用並びに消費者金融という概念はどういうふうに確定づけておいでになるのか、その点もあわせてお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/2
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003・八塚陽介
○八塚政府委員 後段のほうでございますが、私も、正直に申しまして金融関係については十分な知識がないものでございますから、内閣と申しますか、政府においてどういう概念でやっておるか等につきましては、大蔵省あるいは通産省等からお答えいただいたほうが適切ではないかということで、後段の点につきましては私あまり的確なことを申し上げられないので、御了承を得たいと思います。
前段の消費者金融と物価との関係でございますが、物価と申しますより、むしろ具体的には消費者物価の現状のような値上がり傾向、これにつきまして問題になろうかと思います。もちろん理論的にはいろいろな物価上昇の原因であるわけでございますが、とにかく物価の値上がりの一つの重要な要素としては、需要の強調と申しますか、需要面からの問題があるわけでございまして、その需要といいますのは、そういう消費者の購買、そのためには現在の所得からの購買のみならず、そういう金融を得て物を購買するという点においては、もちろん関係があるわけでございます。ただ、御承知のように、日本の場合には、一般的にまだそれほど消費者金融というものが欧米諸国のように大きな量的なものになっておりませんので、たとえば物価のために、あるいは国際収支の観点からというようなことで金融引き締め等が問題になります場合も、特に消費者金融というものが大きな役割りを果たすというふうな状況にはなっておりません。ただ今後、現在のような生活様式というものが進みますならば、今後におきましては消費者金融という問題は、そういう財政政策上あるいは物価政策上の一つのかぎになるとは思いますが、現在の段階ではそれほど大きなウエートにはまだなっていないのではないかというふうに考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/3
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004・村山喜一
○村山(喜)委員 通産省見えていますね。——現在信用販売の貸し倒れというのがどれぐらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/4
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005・下山佳雄
○下山説明員 十分に把握いたしてはおりませんけれども、おおむね一、二%ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/5
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006・村山喜一
○村山(喜)委員 これは取引量の一、二%ですか、件数の一、二%ですか、金額にして一、二%ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/6
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007・下山佳雄
○下山説明員 金額にしての一、二%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/7
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008・村山喜一
○村山(喜)委員 そうすると、その一、二%の相当額は幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/8
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009・下山佳雄
○下山説明員 割賦販売の金額を幾らと見るかということでございますが、全体といたしましては、これは事業者に対する割賦販売も含めまして、小売り段階の割賦販売の売り上げ高は大体二兆円程度、それから消費者に対する賦払い信用新規供与額が一兆円程度、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/9
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010・村山喜一
○村山(喜)委員 これは消費者金融実施状況一覧という、「金融」という雑誌のことしの二月号に出ているのですが、割賦販売業者等向け運転資金貸し出し、これを見てみますと、全国銀行、それに信託銀行、長期信用銀行、相互銀行、こういうようなところから貸し出されている金額が出ておりますが、あなた方のほうでは幾らというふうに押えておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/10
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011・下山佳雄
○下山説明員 お手元の資料がよくわかりませんが、私どものものによりますと、九千百二億という数字が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/11
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012・村山喜一
○村山(喜)委員 それに対して、これはそういうような業界に対して貸し出している運転資金ですが、消費者金融の残高推移を見ていった場合に、これはどれぐらいになっているわけですか。資料はどういうようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/12
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013・下山佳雄
○下山説明員 残高としては、二千三百億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/13
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014・村山喜一
○村山(喜)委員 それはいつの資料ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/14
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015・下山佳雄
○下山説明員 四十二年の十二月末の日銀の調べでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/15
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016・村山喜一
○村山(喜)委員 それの内訳はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/16
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017・下山佳雄
○下山説明員 消費財サービス購入資金として八百六十八億円、住宅資金として千四百七十二億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/17
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018・村山喜一
○村山(喜)委員 それの金融機関別のものがわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/18
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019・下山佳雄
○下山説明員 これは都市銀行として五百七十一億、地方銀行が一千億でございますが、信託銀行、長期信用銀行、信託勘定三百二十三億、相互銀行四百三十五億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/19
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020・村山喜一
○村山(喜)委員 それはローン別にわかっておりますね。その傾向は、たとえば消費財については都市銀行、あるいは住宅については地方銀行とか、そういうようなのはわかっておりますか。ウエートです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/20
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021・下山佳雄
○下山説明員 大体の傾向といたしましては、たとえば乗用車、電化製品等につきましては都市銀行、地方銀行が主でございます。それに対しまして住宅資金のほうは、地方銀行が一番でございまして、それから相互銀行、信託銀行が並び、都市銀行がちょっと落ちている、こんな感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/21
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022・村山喜一
○村山(喜)委員 その二千三百億の中には、信用金庫などが入っておりますか入っておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/22
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023・下山佳雄
○下山説明員 入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/23
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024・村山喜一
○村山(喜)委員 これは大蔵省が来てから私は詰めてまいりますが、昨年の九月末における消費者金融の構成割合を見てまいりますと、信用金庫、相互銀行、そういうようなものまで含めまして三千八百二十二億円でございます。そこで、二千三百億というのは、都市銀行なりあるいは長期信用銀行等の数字であろうと思うのです。そのほかにまだ信用組合とかその他もあるとすれば、まだこれよりもふえていく。それから業者向けの割賦業者関係の分も、これは一兆円をすでにこえているのじゃなかろうかというふうに推定をされるわけです。
そこで、こういうような問題について、私はふしぎでならない問題がございます。というのは、サラ金業者といわれている町の金融業者から、月九分くらいの高利の金を借りますね。そういうような高利の金を借りまして、現金を入手して、そうして秋葉原に行って、即金で売る電化製品、カラーテレビを買います。それと、こういうようないわゆる長期月賦支払い、頭金を三分の一ぐらい入れて二年間ぐらいで支払いをするのと比べてみると、現金で買ったほうがたとえ高利の資金を出しましても安く手に入る。昨年の十二月でございましたか、八塚さん覚えておいでになると思うのだが、据えつけ料まで入れて十万円で十六インチのカラーテレビ、これは一流メーカー品ですが、これが手に入る。ところが、それを月賦で、私のところなんかで一つのチェーン組織の商店から買いますと十六万円、本体だけで十六万円ですよ。その据えつけ料まで入れたら十七万円から十八万円。これは上野松坂屋で売っておったのですから間違いございません。現金で買ったら十万円で手に入る。ところが、それを月賦で買ったら十八万円で手に入る。こういうような問題は、物価の政策の中においてやはり考えていかなければならない問題点を含んでいるのだと私は思うのですよ。そういうような問題について、消費者金融というサイドから物価問題を洗い直してみる必要があると国民生活局ではお考えになっておりませんかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/24
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025・八塚陽介
○八塚政府委員 ただいま村山先生の御指摘になりました問題については、正直に申しまして、私どもそういう角度からあまり深く突っ込んで検討いたしておりませんでした。私どもとしては、そういう点が、いろいろ生産の構造なり流通の段階における構造的な問題あるいは消費者の態度の問題等、各方面からの問題点をきわめて象徴的に出しておる現象であろうかと存じますので、当初申し上げましたように、従来あまりそういう観点からは深く検討はいたしておりませんでしたが、今後検討すべき問題として勉強いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/25
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026・村山喜一
○村山(喜)委員 時代は三C時代だという時代を迎えまして、いまの消費者金融の実績を見てまいりますと、消費財関係、耐久消費財を中心にして、乗用車と電化製品、これが中心で約半分ぐらい占めているようです。そして最近長期の——これははたして消費者金融というサイドの中に入れていいのかどうか、人によって定義、範疇が異なりますが、住宅の購入、建築のために供与される信用というものは、通常五年以下の短期、中期の信用を消費者金融というのはさすのだから、これは入れるべきでないという説もありますけれども、広く消費者金融という問題を考えた場合には住宅等に対するところの信用供与という問題も当然出てくるわけで、そうなってくると、やはりこの問題については、国民生活の中において占める割合というのはきわめて大きい。特にそういうような割賦業者等に貸し付けている運転資金が一兆円をこえるという時代、そして消費者個人に対する金融がすでに四千億という時代を迎えてきた、こういうような状態の中にあって、いまのような状態で金融機関もそのままの姿でいいということは、私は言えないと思うのです。特にこれから何をなすべきかという問題をやはり考えていかなければ、消費者の生活というものも守れませんし、そして正常な流通機能という問題も働かないと思うのでありますが、その点について大蔵省としては、これらの消費者金融という問題をどういう角度からどの程度までいまの段階において把握され、そして将来の方向というものは、こういうような面においてやらなきやならぬという指導原理というものをお持ちであろうかと思うのですが、澄田さん、あなたのほうから、御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/26
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027・澄田智
○澄田政府委員 ただいまのお話の消費者金融の現状等についてでございますが、まだ消費者金融のウエートとしては、アメリカ等に対しては相当おくれている、そういうことは事実でございますが、しかし、わが国においても、いまお話しのように、消費者に対する直接の金融あるいは割賦販売業者、チケット発行団体等に対する金融機関の金融というようなものは、このところ急速にふえてきております。こういうような金融の今後のあり方等にも関連して、いまちょうど金融制度調査会におきましては、今国会で御審議願っております中小企業金融制度の答申が出たすぐあと、引き続きまして一般の民間の金融機関に対する特別委員会を設けまして、普通銀行等のあり方について検討しておりますが、その中の非常に大きな課題といたしまして、消費者金融とかあるいは住宅金融等の、そういった今後大いに伸びていくのであろう金融の分野についてどう考えるか、従来の産業金融中心で、そうしてその面の資金需要が圧倒的に大きかったというような状態は、今後逐次金融をめぐる環境が変わってまいりまして、相対的には産業金融のウエートというのが少しずつ低下をしてくる、企業の設備資金その他の資金需要も、自己金融力によってまかなわれる割合が高くなってくる、こういうような状態において、一方、いまもお話がありましたような消費者金融の重要性というものが非常に増してきて、消費者の立場から見ても望ましいような形でそういう金融が行なわれていくように、これは産業金融との間の関係等からいっても金融機関もそういう金融をやれるような形、そしてそういう資金需要に応じ得るような金融機関の制度面、あるいは個々の金融機関の経営面等で、どういうふうな形でそういった需要に応ずる量及び質の金融を供給できるかという問題を、一つの大きな課題として取り上げることにいたしておるわけであります。いままでのところ、今後の金融をめぐる環境の見通しというような検討をいたしまして、その中でも、外国の趨勢等から見て、今後日本における消費者金融というもののウエートは非常に高まるであろうというような一般的な認識のもとに、今後その問題の検討をいたしてまいりたい、かように存じておるところでございます。いままでの段階においては、何といってもむしろ非常に追われて、そうしてそういう金融面が逐次出てきてはおりますが、何としてもまだこの領域についてはこれからということでございますので、十分そういう点を検討してまいりたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/27
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028・村山喜一
○村山(喜)委員 今日の銀行の消費者金融の中身を見てまいりますると、先ほども具体的に数字が出てまいりましたように、純然たる消費者金融というのが一%程度、それに対して、月賦販売業者に対する運転資金まで含めましてこれが三%ないし五%程度という額でございますから、歴史がもちろん浅いし、それから産業金融を中心にするそういうような状態で今日まで推移してきましたから、消費者金融というのは、これからの政策課題になってくることはおっしゃるとおりだと思う。これはアメリカが三〇%、イギリス二〇%というウェートから考えてまいりますると、確かに日本の場合には、まだそこまで歴史的な発展過程に至っていないと思うのです。思いますが、これからはやはり、いまお話しのように、そういうような方向に向かっていくことは間違いない。したがって、それに対して一体どこが責任を持ってそういうような問題の処理に当たらなければならないかという問題を、やはり考えるべき段階に来ているのではないか。まあ銀行の消費者金融というのは、これは大蔵省の銀行局のほうでやられるわけでしょうが、また通産省は通産省で、割賦販売業者に対する割賦販売規制法等が今度の国会に提案をされておるわけでありますから、そういうような面からは業界に対する指導はなされるであろう。しかし、これは国民生活という問題から考えたら、経済企画庁でこの問題は国民生活局を中心に対処を願わなければならない問題だと思うのです。
そういうような問題を考えてまいりますると、これを調整をするのはどこでおやりになるのですか。この点を明確にしておかないと、それぞれのサイドにおいて金融機関は大蔵省、それから割賦販売業者は、これは幾らか消費者を保護するという立場においては今度の法案の中にも取り入れてありますが、そういうような業者サイドに立つほうは通産省、そして今度は、生活という問題を考えた場合には国民生活局、こういうようになるだろうと思うのですが、そういうような点からは、これらを調整する機関というのはどこがどのようにしてやるということを取りきめてございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/28
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029・八塚陽介
○八塚政府委員 いまお話がありましたし、政府のほうからもいろいろお答えを申し上げましたように、現在の段階までは、いろいろな問題を実際問題として含んではおると思いますけれども、消費者金融についての行政は始まったばかりでございますので、はっきり申し上げまして、文書にいたしましてもあるいは口約束にいたしましても、特に協定等というようなことではやっておりません。ただ、私ども、いまのお話で触発されて考えることでございますが、私どもの立場からいいますと、消費者金融というのは、これはある面では非常に不必要なものあるいは必ずしも堅実であるというような生活態度を助長しない面もあるかと思いますが、一方では、当然今後の経済生活に対応して、いい意味の消費水準の上昇ということが必要になってまいりますので、それに対しては適切な消費者金融の制度が整えられておるということが必要でございます。そういう意味におきまして、私どもの立場といたしましては、今後とも特定の立場を押しつけるというようなことはもちろんまずいことでございまして、堅実でかつやや長期的な生活設計に基づいて、そうして適切に消費者金融を利用していくというために、いろいろな角度から、押しつけるという意味ではなくて、消費者教育というようなものを今後進めてまいる。一方、具体的に今後とも消費者金融の問題について、あるいは金融機関のサイドから、あるいは割賦販売業者のサイド等から問題が起こりますならば、私どもといたしましても、私どもの役所の立場においてそれぞれ発言もすれば、場合によっては調整、調節をしていくというふうにやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/29
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030・村山喜一
○村山(喜)委員 今後やはり私は、国民生活局は消費者というサイドからこの問題をひとつ十分に検討してもらいたいと思うのです。というのは、いままで消費者金融というのを見ておりますると、提携方式と非提携方式とございます。この非提携方式の中には無担保の金融のものもございます。ところが金利の面では、年六%のアドオン方式の約日歩二銭八厘ぐらいのものが消費財を中心にする金利なんです。それが長期の分になってまいりますると、月利あるのは年利に直しまして大体二銭五厘から二銭七厘、あるいは住宅金融の場合などは二銭五厘あたりでローンが行なわれておった。一体この程度がはたして妥当なものであるのかどうかという問題点もございますが、問題は、やはり大量生産、大量消費の時代を迎えてきたわけですから、その中において考えていかなければならない側面が大体三つあると私は思います。
三つの側面というのは、第一に信用調査機関というものの整備であります。それから保険制度の確立、これが第一の問題点ではなかろうかと思うのです。第二の問題点は、消費者の啓蒙、教育の推進という問題。これが第二になされなければならない点である。第三は、いま申し上げましたように、金利の引き下げとサービスの向上という問題が、この消費者金融を囲む問題としては残っていると思うのであります。これからやらなければならない問題点だと思います。それらの内容の詳しいことについてはもう申し上げたくございませんが、いまお伺いしていますと、それぞれのサイドにおけるものはあるけれども、この問題を総合的に、統一的に把握した政府としての方針なりというものは、私もいろいろ文献をあさってみましたのが、残念ながらございません。ということは、いまも八塚さんがお話しになりましたように、まだこれをどこでどういうふうにして調整をしようというものも、残念ながらないということを言われたとおりだろうと思うのであります。この問題については、これからそういうような大型消費の時代を迎えてくるのでございますから、当然あらゆる面を検討して、消費者保護という立場を貫いていただきたいという点をこの際要望申し上げておきたいと思います。
そこで、私はわざわざお忙しい河野国民金融公庫総裁にお出ましをいただいたわけでありますが、いま政府金融機関というものが、民間の金融機関の補完的な任務を持ちながら、いろいろな中小企業対策の点について、乏しい財政資金をもとにしながら運営をやっていただいておることは、御承知のとおりでございます。今日のように中小企業の倒産件数がふえてくればふえてくるほど、そしてまた、金融の引き締めが強くなれば強くなるほど、それらの政府金融機関に依存をする度合いというのですか、窓口に殺倒する割合も増加の一途をたどっていると思うのであります。しかし、考えてみますと、中小企業金融公庫なり、あるいは国民金融公庫なり、あるいは商工中金なり、それぞれ取り扱いの内容は違っているとはいえ、同じような中小企業を対象にやっていらっしゃるわけです。そこで、この際やはりそういうふうな公的金融機関の場合でも、消費者金融という問題を政府の金融機関あたりでも——これから急にやれといっても資金量は足らないわけでございますから、急にはできないにしても、澄田銀行局長もおいででございますが、そういうような庶民金融機関的な、いわゆる個人の消費に金融の道をつける、信用を供与する、それは将来、それの返還を確実にやっていくというような方向でやるべき段階がそろそろ来ているのじゃないか、こういうように考えるわけです。それを考えてみますと、全国各地に広範な支店を持って、そして国民的なといいますか、非常に小さな生業資金的なものに結合しております現在の国民金融公庫を中心に、消費者金融というものの道を公的金融機関においても切り開いていくというような構想を持ちながら、民間の消費者金融の発展段階等、あわせ考えながら将来対処していくという方向の検討にそろそろ入るという段階にあると私は思うのですが、そういうようなのを始められる意思というものはないかどうか。そしてまた澄田さん、あなたは金融制度調査会にいま金融制度のあり方の問題、消費者金融の問題をお出しになったのですが、これは民間の金融機関はいかにあるべきかということでやられているのだと思うのです。私は、いま次元を別にした意味において、国民金融公庫というもの、公的な意味においてそういうようなものをこれからやるのだという課題を与えて、大蔵省あたりでも研究を願ったらいかがなものかと思うのですが、そういうようなものに対する御両者の御意見をこの際お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/30
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031・河野通一
○河野説明員 村山さん御案内のように、いま私どもの法律制度の中では事業資金を貸すということになっていまして、ただ例外的に、これは特別の法律ができておりまして、恩給担保の貸し付けについては消費者に対する消費金融もやれるようになっております。現在、恩給担保貸し付けのうちの六、七〇%は消費金融だと思います。しかし、これは御案内のように限られたものでありますので、一般的には事業資金であって、消費者に対する消費金融はやらないというのがたてまえであります。
しからば、今後、国民金融公庫としては、一体この問題についてはどういうふうに考えていったらいいかという点でありますが、先ほど銀行局長からもお話しがありましたように、実は私も金融制度調査会に関係いたしておりまして、一般的な金融制度の問題としては、これは消費者金融あるいは住宅金融というもののウエートがだんだん大きくなってき、しかも金融政策の運営の一つのやり方としても、消費者信用に対する規制あるいはこれを指導するやり方によって、金融政策の手段としての効果もだんだん出てくるということで、一般金融としては当然そういった問題のウエートがだんだん大になってまいると思いますけれども、現在の財政資金というものが量的に非常に制限されてくる一方で、私どもの取り扱っております事業資金に対する需要がいま当面非常に強いのは、これは景気の情勢その他によるのでありましょうが、基調的にどうしてもその需要に応じ切れないような状態になっております。そういう際に、一体その事業資金に回すべき財政資金をさいて消費者に対する金融に充てることがいいかどうか、そのプライオリティーの問題としては相当慎重に考えていかなければならないのではないか。私どもが消費者金融を扱うことのよしあしについては、私はこれは当然研究しなければならないと思っておりますし、今後もそういうことは前向きには研究いたしてまいりたいと思いますけれども、いまの財政資金の状況から見て、事業資金をさいて消費者金融に回すことがはたして国の政策としていいか悪いか。これはおそらく私が申し上げるよりも、むしろ大蔵省の銀行局長あたりの御答弁のほうがいいかと思いますけれども、どうもまだ財政資金をさいてそちらへ回すのには、その時期には来てないのじゃないかというような感じが私はいたしてならないのであります。そういう点はもう少しこれからの推移を十分に検討いたさなければならぬと思いますけれども、目下のところにおいてはどうもそういう感じがいたしてなりません。そういう意味におきまして、私どもとしては、やはり私どもの使命を十分に達成していきますためには、まず小口の事業資金に対する強い需要にできるだけ応ずるようにしていくことが第一歩である。このほうが一応のめどがついて、だんだん資金的にも余裕ができたという段階において初めてそういった問題に取り組む段階ではないか。非常に大ざっぱな、ばく然としたお答えになって申しわけありませんが、ただいまのところはこのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/31
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032・澄田智
○澄田政府委員 消費者金融につきまして、当然これからの金融のあり方として、制度なりあるいはその制度の内容等についてもどういうふうな考え方でやっていくべきかということは、先ほども申し上げましたように、民間金融機関のあり方として、民間金融機関がまずどういうふうな姿勢で取り組むべきであるかという検討に入っておるわけでございますが、いま国民金融公庫の総裁から申し上げたことと結局同じことになるわけでございますが、今後の消費者金融の将来というものも考え、また日本より先に進んでおります国々の消費者金融の姿というものを見た場合におきましても、これは消費者金融という中にもいろいろございますし、耐久消費財とかあるいは住宅であるとか——住宅の面は、御承知のとおり住宅公庫というような制度もあるわけでございますが、自動車と耐久消費財等を中心といたします消費者金融、こういった面の問題は、やはり今後大いに発展するであろうという発展の場合の資金量等を入れて考えてみましても、これは民間金融機関がどういうふうにしてスムーズに、消費者のためから見て望ましいような金融ができるようになっていくかという、あくまでも民間金融機関が主体であり、そしてまた、そういう形で諸外国でも発達をしてきておるわけでありますので、限られた財政資金という点もあわせ考えて、これはあくまでやはり民間金融機関が主体である、こう考えるわけでございます。広い意味の消費者金融の中に入ります生活資金的な金融については、恩給担保貸し付けあるいはそのほかの国債等の担保貸し付け等、非常に限られた範囲で現在も国民金融公庫からそういう資金が出されているわけでありますが、そういった面の消費者金融というものは、政府金融機関のあり方の問題として、今後なお常に前向きで検討していかなければならない問題ではなかろうか、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/32
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033・村山喜一
○村山(喜)委員 河野総裁、これでお帰りをいただいてけっこうでございますが、ただ、国民金融公庫と「国民」という名前が冠せられる以上は、いわゆる企業者でなければ国民じゃない、恩給受給者でなければ国民でない、それは私はおかしいと思うのですがね。名前からいいまして、消費者も国民の一人であることは間違いがないのです。将来得べき収入を基礎にしまして信用を供与していく、もちろんそれには確実な担保とかあるいはその他の保証物件を必要とするでありましょうが、そういうような意味において、公的にも住宅公庫みたいなものと同じような形において利用すべきものが、これからつくられていくのが至当ではないか。そうでないと、あまりにもいままで企業のサイドばかり重視してきた日本の経済が、今日のようなゆがみを生じたことは事実ですから。確かに、おっしゃるように、今日においても零細な中小企業者の資金需要というものが非常に多くて、いまでもワクが足らない状態にある中では、それは無理であろうと思うのです。無理であるけれども、これは将来に目を向けていただいて、そういうような時代が必ず来なければうそだし、また来ると私は思うのです。その場合にあわてることがないように、いまからやはり研究をしていただくのが至当ではなかろうかと思いますので、ひとつ政策課題として今後大いに検討していただくことを要望いたしまして、あなたに対する質問は終わります。
そこで、先ほど澄田さんからお話がございました住宅公庫等の場合を考えてみますと、新築の家を建てるのに一戸当たり大体七十五万円くらいしか貸してくれないのですね。どんないなかでも、これでは骨組みしかできないような状況なんです。だから、銀行の住宅ローンなどは五百万円というようなものがありまして、最近においては一千万円のローンがあるのですね。そういうふうになっている状況の中では、全体の要求を満たしていく意味において、そういうふうなところで頭を押えなければとても金が足らないということはわかりますけれども、公的な措置として住宅政策を国が推進していくのであるならば、一件当たりの融資金額をもっと引き上げる措置をとらなければ、公的機関が住宅に対する貸し付け政策をやっておりますということは言えないと私は思うのです。だから、実情に合うように、逐次一割ぐらいずつ、あるいは二割ぐらいですか、建設費の単価の上昇に見合う分くらいは引き上げておいでになるようでありますけれども、これもやはり近い将来において私は再検討されてしかるべきではないかと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/33
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034・澄田智
○澄田政府委員 この問題は、常に御指摘を受ける問題の一つでございますが、その場合に戸数の問題と、それからいまお触れになった単価の問題と、限度を資金の何割ぐらいまで貸すか、こういう問題との関連になるわけでありまして、住宅事情等も、とにかく最も内輪に見積もっても少しずつ生活の内容を向上していくということで、単価、面積等も逐次引き上げていく必要があるということは、まことに私どもも痛感をいたしておるわけでございますが、一方、戸数の要求も非常に強い。その両方のかね合いということになって、個々の貸し付けの金額がどうしても低いところに押えられるという結果になっているわけであります。はなはだ残念なわけでございますが、この点は、できる限りやはり今後とも引き上げる努力をすべきことであろうと思うわけであります。いたずらに戸数をふやすということで一件当たりが非常に小さい金額になるということは、かえって目的を達しないという場合も十分考えられるわけでありますので、前からの問題でございますが、今後ともこの点は十分検討してまいりたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/34
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035・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、現在行なわれている消費者金融の態様といいますか、そういうものを私も整理してみたのでございます。これは通産省と大蔵省のほうが担当になるかと思いますが、預金を担保とする銀行のクレジットカード、あるいはファミリーローンとかパーソナルローン、デパート、月賦販売業者と結びついて行なわれているローン、第二には、専門店会のチケット販売、月賦販売による信用担保のもの、あるいは三番目には、ミシン、電気業界等に見られるような一定額の積み立て金、頭金によって販売し、残金を月賦で返済をさせる、それから四番目には、自動車メーカーが販売会社の信用保証をして、銀行が信用供与を行ない、消費者が月賦で返済をするもの、それから五番目に、住宅ローンに見られるように、不動産会社が銀行と提携をして、利用者が月賦で返済をするもの、こういうような形態のものがいろいろあるわけです。それらの中から、私がこの際通産省にお尋ねしておきたいのは、一体現在の信用調査機関というものがどういうふうな状態になっておるのか、これについてどのような状況であるとあなた方は把握しておいでになるか、説明を願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/35
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036・谷村昭一
○谷村説明員 いまの件でございますが、通産省の認可いたしました財団法人日本割賦協会というのがございまして、この日本割賦協会はいわゆる割賦業者の集まった団体でございますが、その中に信用情報交換所というものがございます。そこでいまの消費者の信用調査を実施いたしておりまして、まだ非常に初期の段階で東京地区のみでございますが、通産省といたしましては、その信用情報交換所を拡大強化してまいりまして、消費者信用の調査を実施してまいりたいと思って、これについていろいろ助成策も考えてまいりたいと考えておる段階でございますが、まだそういう意味では非常に初歩的な段階と申し上げたほうがいいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/36
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037・村山喜一
○村山(喜)委員 この日本割賦協会、これは機能を発揮しているんですか。昨年、同協会が、自転車振興会からの補助金をもらってヨーロッパの割賦事業調査団を派遣しましたね。その調査団を派遣したけれども、一体派遣をされた団員がレポートを出しましたか。その実際に行った人が書いたんですか。そしていまどれくらいの信用調査のカードを集めておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/37
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038・谷村昭一
○谷村説明員 昨年参りましたヨーロッパの調査団につきましては、行きました者が報告書をまとめております。これは非常にりっぱな報告書でございまして、実はきょうそういう御質問があるということをわれわれ知らなかったものでございますので報告書を持ってまいりませんでしたが、ヨーロッパの事情等につきましては相当詳しく調べた報告書ができておりますので、御必要でしたらあとで提出させていただきたいと思います。
なお、現在集めておりますカードでございますが、いまの消費者信用につきましてのやり方は、いわゆるブラック——ブラックということばがいいか悪いかわかりませんが、過去に消費者の中で賦払い金の滞納をしたとか、そういうような事故のあったものの名前を集めておる段階でございますが、これがようやく十万件程度現在集まっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/38
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039・村山喜一
○村山(喜)委員 十万件ぐらいでは信用調査をしたとは言えないわけですよ。非常に微々たる数だ。ブラックリストを集めるにしても、もっと徹底した調査をやらなければならないのにもかかわらず、いまの信用販売の現状を見てみると、これは商品別、メーカー別にてんでんばらばらのやつをやって、消費者の信用調査を行ないながら貸し付けをやって回収を行なっておるのだけれども、貸し倒れがどんどん生まれているという状態もあるわけでしょう。だから、そういうようなことを考えてまいりますと、これは非常にむだです。しかも割り高になる。だから、それに関連もして、今度はまた、それだけの貸し倒れみたいなものが出るのですから、コストも物価の中に織り込んでいく。先ほど、一%ないし二%は、そのようなことで不渡りのような状態が生まれておるということをおっしゃった。まさにそのとおりです。一%ないし二%は商品の価格の中にこれを織り込んでやらなければ、そういうような危険性が出るんですね。それだけ物価が上がるという形にならざるを得ないわけですね。そういうような問題を考えてまいりますと、これは単に日本割賦協会にまかせるべき仕事なのか。それは委託業務としてやられておるのですか、それとも補助金を渡して、君たちは信用販売というものをこれから伸ばしていかなくてはならないから、君たちの団体で適当にやりなさい、こういうような形でおやりになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/39
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040・谷村昭一
○谷村説明員 現在の段階では協会の自主的な事業としてやっておるわけでありますが、やり方等につきましては、通産省に相談がございまして、いろいろわれわれの考えも申し上げておるわけでありますが、事業の性格自体としては、民間の自主的事業でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/40
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041・村山喜一
○村山(喜)委員 澄田さん、昨年一年の間に、一万四千数百件の中小企業の倒産がございましたね。金額で約三千九百九十九億と新聞は報道しておったようです。約四千億。それらを考えてまいりますと、金融機関、銀行がこれに関与してないはずはありませんね。そういうような不良の倒産状況になったものには、いろいろ理由もありましょう。銀行取引停止を食らってつぶれるのもあるわけです。だから、銀行がそれぞれブラックリストをつくろうと思ったら、銀行が協力しようと思ったら、五十万や六十万のブラックリストを用意することは可能だと私は思うのですが、そういうようなものを、通産省の信用販売の信用調査というようなものと合わせながら軌道に乗せるという考え方は、あなたはお持ちになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/41
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042・澄田智
○澄田政府委員 銀行の場合は、御承知のとおり、不渡りになりました場合には割賦金融機関に不渡り処分をいたしますと通知をしておるわけでございまして、そういうような形になったものについては、これは手形交換所で全部まとめていくというような制度がございますので、その範囲においてはわりあい資料を集めやすいわけでございます。ただ、いまお話しの、あるいは私が十分に理解をしていないで間違っておるかもしれませんが、消費者信用、消費者金融という場合の消費者というようなものの信用ということになりますと、これは従来銀行が信用調査をしておる、あるいは手形の不渡り処分になったものについてのリストがあるというような、そういう範囲ではカバーし切れないのではないか、かように思うわけでございます。もちろん銀行のいままでのそういった調査というのは、これは信用のあれでいえば産業金融、産業金融のその面の取引先の調査というようなものになるわけでございますので、そういう点から見まして、いまお話しの点はなお検討と申しますか、ちょっとここで積極的にお答えをするにはもうちょっと調べてみないとわからない点もあるわけでございますが、いずれにしても、金融機関としても、先ほど来お話に出ておりますような消費者金融というウエートが将来高まってまいる、その中には割賦販売等のそういった業者、そういう事業者に対する金融もあれば、もちろん消費者に対する直接金融もあるわけでございますので、将来は金融機関としてもそういう信用調査、そういったものを整備し、そしてそういう方法も十分開発していかなければならないわけでありますので、将来の問題としては御指摘のようなことも検討する問題ではないか、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/42
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043・村山喜一
○村山(喜)委員 もう時間もそろそろございませんので、これでやめますが、アメリカにおいては小口融資法という法律がある、金融機関が直接の貸し付けでなくても、そういうような専門の金融機関が住まれて、それが消費者金融の道をつけておるわけですね。しかも低利の資金が消費者に供与されておる。日本の場合には、預金を持っている者についてはいろいろなローンが行なわれる。しかし、民間の場合でも、信用力のないものについては全然資金を供与するはずはありませんし、そういう中において消費者金融というものがいかにあるべきかという問題は、これはきわめて大きな今後の政策問題だと思うのです。御承知のように、スウェーデンでは一九六一年に大蔵大臣が調査委員会をつくりまして、六六年に白書が提出されるまでに世界じゅうの学者や権威者に委嘱をして研究をさせ、現在の制度をつくっておるというような実績等もあるやに聞くのであります。そういうような点から見ましても、今後の消費者の生活という面における大きなウエートを占めるわけでございますから、これは特に大蔵省もそうでございますが、経済企画庁の国民生活局としましても十分これらの点については検討を願いたい。特に消費者金融の取り扱い銀行の状態を見てみると、自動車から住宅から電化製品、ピアノ、教育、電話、一般資金その他金融機関別の数字をずっと拾い上げてみますと、都銀が十三のうち十二、地銀が六十三のうち六十一、信託銀行は七つのうち七つ、それから長銀は三つのうち二つ、それから相互銀行は七十二のうち六十三、信用金庫は五百二十三のうち四百九十五、こういうような数字が出されているように、ほとんどの金融機関が、これから取り組もうという姿勢の中で取り扱っていることは間違いない事実であります。その中身等についても、融資額あるいは融資条件、担保、返済期間、方法、金利、保証料、取り扱い地区、いろいろな要素がローンの概要の中に入っておることも事実でございますので、そういうような点についても、これは金融制度調査会で検討していただくのはけっこうなことでございますが、やはり専門的な構想の中において将来の問題の展望をはっきりさせながらやっていただかないと、現在でも、消費者金融とは何ぞやということが内閣の統一的な見解として十分にわれわれに示されてないような状態の中では、これは困るのでございます。これは研究課題として私はおいておきたいと思いますが、しかし、ここに消費者基本法が生まれる場合においては、やはりそういうような問題も、この中において将来の政策課題として考える場合には、基本的に問題として取り上げて論議すべきではないかという気がいたしましたので、この問題を質問をいたしたようなわけでございます。そういうような意味において、これは担当の大臣がお見えにならないのはまことに残念でございますけれども、それをまとめて八塚さんのほうからでも、今後の決意をひとつさらに明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/43
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044・八塚陽介
○八塚政府委員 だんだんに御指摘があったわけでございますが、消費者金融の問題は、確かに国民生活という面からきわめて重要でございますし、今後ますます重要性を増してくると思います。反面、消費者金融の問題は、金融制度の問題であり、あるいは産業——産業と申しますか、生産あるいは流通の各段階における問題でもございますので、きわめて多方面にわたっておると思います。私どもの立場におきまして、国民生活ないし消費者保護というような立場におきまして、多方面にわたっておる関係各省と十分連絡をとりまして、御趣旨に沿うように今後検討を進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/44
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045・村山喜一
○村山(喜)委員 澄田さん、あなたのほうでは最近クレジットカード・ユニオン、これが非常にふえておるわけです。これは金融機関の別会社のような形でやっている向きも相当あるようでございますので、これらに対する内容の調査、指導、こういうような面についても格段の努力を要請いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/45
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046・八百板正
○八百板委員長 武部文君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/46
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047・武部文
○武部委員 このたび私どもが提案をいたしました消費者保護基本法案の第十七条に、消費者の組織化ということを私どもはうたったわけであります。この第十七条は、「国は、消費者がその消費生活の安定及び向上を図るための健全かつ自主的な組織活動が促進されるよう必要な施策を講ずるものとする。」こういう第十七条を設けたわけであります。したがって、これに関連をして、これから特に生活協同組合の問題について政府の見解を求めたいと思います。
そこで、最初に、四十二年三月十三日閣議決定、「経済社会発展計画に関する件」という、新中期五カ年計画というものが決定をされておるわけであります。その中に具体的に指摘をしておる項目で「消費者保護および消費者教育の推進」の中に、「消費生活協同組合等民間の消費者組織の効果的発展をはかる方向で適切な措置を検討する。」という項目が、一項明記をされておるわけであります。自来一年余りを経過をしておるわけでありますが、この発展計画に従って政府としてはどのような具体的な措置をおとりになったのか、まずそれをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/47
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048・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。
この閣議決定といいますか、五月、六月の予算編成ではいろいろなものを出しました。たとえば生活協同組合そのものの振興という点におきましては、例の都道府県を通ずる貸し付けというふうなものの予算も、現在千三百万でございますけれども相当大きなもの、それから協同組合連合会、これに対するいろんな助成措置というものを出しましたが、御承知のように、財政的な、要するに総合予算主義とかあるいは硬直化というふうな問題で新規はほとんど入れないというかっこうで、申しわけない次第でございますけれども、従来どおり都道府県の貸し付け金というのは横ばい程度で入っておるという状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/48
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049・武部文
○武部委員 四十三年度の予算を見ると、あなたがいまおっしゃったように、新規のものはほとんど見るべきものがない。したがって、政府としてこの経済社会発展計画に関する五カ年計画の指摘について何ら積極的な政策が見られない、私はそう思うのです。したがって、あなた方としては、生活協同組合について積極的にこれを育成するという意思がおありなのかどうか、その点をまず……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/49
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050・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。
これは生活協同組合ばかりじゃなしに、たとえばいろんな日常生活用品のテストの問題、それのモニターの制度の問題、いろいろ予算要求としては夢も交えて出したわけでありますが、結果においては前年どおりの予算ということであります。ただ、私どもそれであきらめているわけではありません。具体的に生活協同組合の推進と申しましても、事実上は、いろんな講習会あるいは指導者の養成というふうな非常に事務的な問題になるものですから、新規としては非常に芽を出しにくい、こういう状況でございますが、そろそろまた予算時期にも入りますので、心機一転していろんなものを考えたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/50
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051・武部文
○武部委員 それならば具体的にお聞きをいたしますが、現在制度的に認められておる各種の協同組合、たとえば医療生協あるいは共済生協、農協とか、そういうような協同組合主義という立場に立つならば、あなた方は共通な立場に立って、その基盤の上で運営されるというふうに考えてよろしいですか。たくさんあるけれども、大体みな同じ基盤の上に立ってそれは運営されるべきものだというふうに私は理解したいのですが、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/51
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052・今村譲
○今村政府委員 大体協同組合というのは、みんな小さな企業あるいは農民というふうなものが集まって大きな力を出そう、あるいは生活の合理化、あるいは企業経営の合理化をやろうということでございますから、基本的には同じような系列のものだと思います。ただ、生活協同組合というのは、生産活動あるいは企業活動とは違いまして、第二条にありますようにロッチデール原則ということで、いわゆる生活の改善向上だというので、そこにおのずから若干の違いは出てくるんじゃないか。農協にしましても中小企業にいたしましても、いわば企業の防衛あるいは前進という意味も含まれておりますので、やはり生活協同組合という点では若干ニュアンスが違ってくる。しかし、基本的には同じようなものじゃないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/52
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053・武部文
○武部委員 そういたしますと、いまの段階で消費生活協同組合というものがきわ立って特殊な取り扱いを受けておる。私はこれから具体的な例をあげますが、そういう点について、各種の協同組合は、そういう立場からあなたの御答弁を受け取るとするならば、現行法の中で特に消費生活協同組合というものがきわ立ってそういう差別を受けておることについては、抜本的に法の改正なりそういうことについての用意があるというふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/53
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054・今村譲
○今村政府委員 御趣旨非常にばく然とした大きな問題でありますが、たとえば農協、それから中小企業というふうなものとの差ということで、一番はっきりしておりますのが員外利用の問題、あるいは都道府県地域生協でありますが、都道府県の範囲に限るとかいうふうな問題、それから税法の問題につきましても、例の留保全の二分の一損金算入というものも認められてはおりますが、最高限度が頭打ちになっておるというふうな問題、これはいろいろございますが、これにつきましては私どもとしましても全力をあげて今後とも打開の道を見つけていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/54
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055・武部文
○武部委員 いま具体的な二、三のお話を言われました。私のほうから具体的にお聞きします。
現在の消費生活協同組合法では、都道府県のワクに限定しておりますね。現在の経済圏がこのワク内からはみ出ておる、こういう現実の場面に立つならば、当然この第二条の法文というものは改正すべきだというふうに思いますが、それについてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/55
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056・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。
それは何も生協ばかりとは限りませんで、たとえば東京でいいますれば首都圏とか、あるいは近畿圏とか、ものすごい都市の人口集中ということで、厚生省関係のいろんな営業関係なり衛生関係なりにしても、機動的に能率的にやるようには直さなければならぬという問題が相当ございます。その中で、やはり生活協同組合におきましても一都道府県というのが非常に窮屈になってきておる、こういう実態は私どもも感じております。ただ問題は、これは普通の企業とは違いまして、やはりその地域地域のコミュニティーといいますか生活共同体というふうな限定があって、その上に立っていろんな活動をするのだということがありますので、二十四年の法制定当時におきましては都道府県を境界とするというふうなかっこうで、一組合が全国をのし回るというふうなのはあまり思わしくない、むしろそれは生活共同体の基盤を無視するものではないかというふうな御議論が国会ですらもありまして、都道府県単位ということになったのでありますが、おっしゃいますように、ことに東京、大阪、名古屋、そういう大都市圏につきましては、これは法制的にも地方自治法の関係もあると思いますが、根本的に考え直さなければならぬ時期に来ているのではないか。ただ生協法だけが、そこですぽっと飛び出せるものかどうかというふうな問題も一つございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/56
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057・武部文
○武部委員 大体の方向はわかりました。
それでは時間の関係で次に移ります。
員外利用のことをいまもちょっとおっしゃっておったと思いますが、員外利用を禁止しておるわけでありますね。そこで、農協あるいは農業協同組合、あるいは中小企業協同組合、こういうものについては二割を限度に員外利用を認めておりますね。そういう点から見ると、先ほど言うように差があるわけです。したがって、こういうような二割を限度とした程度に員外利用を認める、こういう点についての考え方はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/57
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058・今村譲
○今村政府委員 この辺から非常にむずかしい私どもの悩んでおります問題に入りますが、この生協法ができる当時、私も担当の衝におりまして、最初はそうむずかしい条件——現在ありますような十二条の三項だけしかありません。したがって四項、五項、六項というふうな非常に厳密なむずかしいものはなかったのでありますけれども、その後いろいろ中小企業との競合その他生協自身の活動の内容、いろいろありまして、いろいろむずかしい条件が国会で議論された上でついたわけでありますが、私どもとしましては、やはりこの三項にあります「但し、当該行政庁の許可を得た場合は、この限りでない。」その辺の運用で相当のものはいけるのではないか。これは専売品の問題にしましてもあるいは米の問題にしましても、いろいろの員外利用というようなものを認めるという方針でやっておりますが、ただ、だれでもかまわぬ、二割ならいいんだというふうな問題は、やはり農協あるいは中小企業の特殊性と生活協同組合の特殊性を考えますと、一気に割り切りにくいというので、その辺は、実は私ども迷っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/58
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059・武部文
○武部委員 私は、いまあなたの答弁ではちょっと満足しません。少し見解を異にいたします。しかし、現実にこの十二条の第三項ですね、ただし書きの中で、そういうような方向に向かって検討するということならば、またあらためてこれは論議することはできると思うのです。したがって、私どもとしては、二割を限度として認めておる他の協同組合があるのに、生活協同組合だけをそのらち外に置くということについては納得いかない。したがって、二割以上にしろと言っておるのじゃないのですから、せめて同列に取り扱う必要があるのじゃないかということを指摘するわけですから、その方向でひとつ御検討をいただきたい。
次に、自己資金の問題ですが、この間も和田委員のほうから、日本において消費生活協同組合が発展しない原因はどこにあるのか、こういう質問をあなたにしておりましたね。日本における生活協同組合が発展しない原因は、いろいろたくさんあろうと思うのです。しかし、現実には自己資金が十分でない、こういう点にも私は大きな原因があると思うのであります。したがって、そういう点については、ほかの協同組合、特に農業協同組合、そういう法律については資金の充実がわりあい認められておるという点で、同様に取り扱う必要があるのじゃないかと思うのですが、この点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/59
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060・今村譲
○今村政府委員 これは直接的には、先生、例の一千万円頭打ちの問題、租税特別措置法の問題を前提としてお話しだと思いますが、その前に、やはり生活協同組合の実際の日常の生活合理化というのが非常に魅力あるものならば、どんどん組合員もふえ、組織もふえるというかっこうになるだろうと思いますけれども、その辺の日本の特殊事情、この前申し上げましたように、中小企業が非常に多くてひしめき合っておる。その中において、生活協同組合のほうがはるかに能率がいいんだ、組合員のほうが有利であるというふうな経済的な条件を出すということは非常にむずかしい状況にある。その辺、いわゆる組合員の伸び、それから出資金の伸び、その辺が思うようにいかないという組合員側の一つの事情、組合側の事情もあるかと思います。
先ほどの、例の租税特別措置法の問題につきましても、三十五年までは農協それから中小企業、同じように特典を受けておりました。三十六年からすぱっと全部切られて、三十九年に農協と中小企業協同組合がまた復活したという状況のときに、生活協同組合だけは、まあいろんな問題が重なりましてうまくいかない。昨年やっと一千万という前提をつけた上で復活をしたということでございます。これは私どもとしては、できるだけ上のほうに上げてもらいたい、あるいは、農協、中小企業と同じようなかっこうで、そういう限度を設けないでいただきたい、こういうふうな気持ちでおったわけでございますけれども、その当時、とにかく農協、中小企業と同じように入れてもらうということが先決だというので、やむを得ず一千万というふうな仕組みになったものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/60
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061・武部文
○武部委員 いまお触れになったその租税特別措置ですね、これは、積み立て金の損金算入の問題ですね。いまおっしゃったように、いろいろ農協なり商工組合、森林組合、こうしたもののいろんな経緯も承知いたしております。この一千万円というのは、四十年三月の参議院大蔵委員会の四党共同提案によって、決議でこれは行なわれたものでありますね。そういう点で、現在、出資金一千万円以下の組合にだけ認められる。現実に一千万円という金額ですね、いま日本にある生活協同組合で現実に影響のある組合、ここではもう一千万円というようなことでは何ら影響がないのですよ。したがって、同様に差別をなくすべきじゃないか、こういう点を私どもは考えるわけですが、もう一回この点について、厚生省の具体的な今後の方針をひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/61
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062・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。
いまの出資金一千万円以上、以下というふうに分けて見ますと、連合会を除きまして、出資金一千万円以下というのは全体の八七・九%、大体八八%、それから一千万円以上というのは一一・四%ということでございます。したがって、九割近くが一千万円以下ということでございます。ただ問題になりますのは、どんどんと損金算入の剰余金を積み立てていけるというふうな力のあるものは、むしろ一千万円以上のグループに入っておるということが問題だと思います。私どもは、率直に申し上げますならば、一千万円という限定がつくのは今後いろいろむずかしい問題があるので、あるいはこれを一年見送ってもう一ぺん手直ししたほうがいいのかという気持ちすらもいたしましたけれども、ただ、三十六年以降生協だけが取り残されたという状況で、この際やはりどうしてもそういう特別措置法の仲間入りをせなければならぬという気持ちもありましたので、一千万円ということを、これは国会でおきめになったことでございますけれども、やむを得ない、こういうふうに思っておるわけですが、これはやはりもっと上のほうまで上げていただきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/62
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063・武部文
○武部委員 おっしゃるように、一一・四%というその数字の中にある組合こそが、現実に影響のある組合なんですよ。えらい悪いけれども、八七・九%なんというのはたいして影響がないのですよ。そういう大事なところが一千万円というワクで押えられておる。これを何とか改正してもらいたい。そういう意向でひとつ進んでもらわなければならぬ。いまあなたの答弁を聞いておりますと、大体そういう意向があるようですから、ぜひひとつそういう努力をしてもらいたいと思います。
それから、次は、組合員の資格の問題、これはいま個人に限定しておるようですが、この問題は、農業協同組合法等にいうところの団体加入の制度ですね、したがって、この法文でいきますと、第十四条、法人加入の禁止の条文になりますね。「法人は、組合員となることができない。」この十四条、組合員の資格の第十四条を改正する意思はおありじゃないか、その点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/63
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064・今村譲
○今村政府委員 これは実は日協連のほうからもいろいろな事情を聞いておりますが、私としましては、いまの段階で別なことを考えています。というのは、ロッチデール原則、これは第二条にございます。これは、「一定の地域又は職域による人と人との結合」でなければならぬ。それから、「組合員の生活の文化的経済的改善向上を図ることのみを目的とする」ものでなければならない。生活協同組合というのは、普通その辺の株式会社じゃございませんで、やはり人と人との触れ合いという基礎の上に立った生活だ、いわゆるロッチデール原則になると思います。その辺、法人でもどんどん入れてしまえという議論は、これは根本的に法のたてまえの問題じゃないかという気がするわけであります。具体的に私も詳しく、なぜ法人を入れなければならないかということの分析はまだ進めておりませんけれども、たとえば火災共済で生協の建物を入れたいとか、あるいは中小企業の法人組織の会社を入れたいとか、いろいろ御要望があるようでございます。しかし、その辺になりますと、第二条とまっ正面にぶつかるのじゃないかという気がいたしますので、これは私ども、どう考えるべきか、非常に迷っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/64
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065・武部文
○武部委員 迷っておるといっても、ちょっとこれは困るのですがね。それで、私どもは、そういう団体加入、いわゆる法人の加入というものが必要じゃないかと思う。あなたがいまおっしゃったように、二条との関係、確かにおっしゃられればこの二条との関係は出てきますね。そういう点等はありますが、そういう強い要望があることは御存じですか。生活協同組合の連合会あたりから、特にそういう点についての要望があるということについては御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/65
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066・今村譲
○今村政府委員 私は、それほど強い生活協同組合の必死の要望であるというほどには受け取っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/66
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067・武部文
○武部委員 必死でないかもしれぬけれども、必死ということばはたいへんなことばだが、そういうことばじゃないかもしれぬが、そういう意向がかねてからあるということについて御存じでしょう。だから、そういうことについては、二条との関係もあって、検討していただけることはいただけますね、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/67
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068・今村譲
○今村政府委員 個々の事例を協同組合の関係の人からもよく聞いてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/68
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069・武部文
○武部委員 次は、法文第十一条です。「同種の事業を行う他の者と同等の便益を受けることを妨げられない」したがって、生活協同組合はほかの協同組合と同様に、何ら差別をされるべきじゃない、こういう十一条の条文になっております。ところが、現実にそういう条文があるにかかわらず、さっきもちょっとおっしゃったと思うのですが、十二条の第四項に関係するわけですが、たとえば私どもが昨年、物価委員会で視察を灘生協に行ないました。その際に、米、酒、そういうものの販売がどうしても許可にならない、こういう点についての話が灘生協のほうからあったわけでございます。その根拠は、この十二条の四項の中にあるように、おそらくこの法文に基づいて関係各省が通達や運用面でそういう不正をしていると思うのです。「中小小売商の事業活動に影響を及ぼし、その利益を著しく害するおそれがあると認めるときは、同項但書の許可をしてはならない。」この項目をおそらく準用して、私からいえば悪用してそういうことをしているように思うのですが、厚生省としてはこの第十一条の法律のたてまえからいって、生活協同組合が、たとえば酒であるとか、米であるとか、たばこであるとか、塩とか、医薬品とか、そういうものの取り扱いが現実に阻害をされておるという事実をどのように判断をしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/69
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070・今村譲
○今村政府委員 これは、たとえば医薬品販売というのは、一つの法律がございまして、別個の許認可の条項になっております。たばこでも同じような問題があります。それで個々に申し上げますと、具体的には大体変な制約というものはつけないんだというたてまえになっております。
これは、医薬品の販売については知事の許可が薬事法によって要るのですが、それは厚生省で定める設備とか薬剤師がおるという状況であれば、ほかの人々と同じように対象になるということで、特別に生協であるからといって差別をしておるわけではない。
それから、たばこの小売りについても、専売公社の関係はありますけれども、指定については特別に差別はしないんだ、ただその場合に、知事さんの員外利用、これはだれでも売れるということで員外利用をとってくれという、こういう条件がつきます。これは私ども、この法制定当時から、こういう酒、たばこ、それから塩とかいうふうな専売品、それから米とかにつきましては、員外利用を許すようにしてくれというふうな知事のいわゆる行政の基準というものを出してございますので、県のほうでいろいろ行き違いがあるかもしれませんが、筋としましては、そういうふうなものは認めてやってくれということにしてございます。
それから酒類については、これも酒税法に基づきまして税務署長の免許でありますけれども、これは少し渋いのですが、設立の趣旨から見て、販売先が原則としてその構成員に特定されている法人である場合は、当分の間免許しない取り扱いになっておる。要するに、生協というものは特定の組合員だけなんだ、こういうふうなものについては非常に渋いような方針をとっております。しかし、実際にはその付近は大半が生協の地域であり、それからその付近に油類小売り業者がない、購入に不便であるというふうな状況が見られる場合には許可すべきであるという国税局長あての国税庁長官通知というのも出ております。これは日にちはちょっと忘れましたが、そういう趣旨で出ております。
それから、米の問題につきましては差別は何もしておりませんが、実質上古い登録業者で手一ぱいでございまして、新規の登録はほとんどしないというふうな実態になっておるようでございます。ただ、生協なるがゆえに差別をするということはないんだ、こういうことでございます。
それから、塩の小売りにつきましても特に差別はない。これは知事さんのほうから、員外利用をとったというふうなものをつけてくれ、こういう条件が出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/70
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071・武部文
○武部委員 いまおっしゃった医薬品とかたばことか、そういうものは一応わかります。問題は酒だったんですよ。やはり灘生協で言われたのはそうでした。あなたは、税務署は渋いとおっしゃったけれども、全く渋くて問題にならぬ。ナシのつぶてなんですね、申請してから。いつまでたってもやらぬ。国税庁や何かの裏面の圧力がかかっておるんじゃないかと思われるくらいなんですよ、聞いてみると。したがって、法の十一条の精神からいうならば、そういう差別はしてはならぬのですよ。しかし、現実にそういうものが起きておる。したがって、私は、いま灘の生協の例を申し上げましたが、現実に税務署長が許可をしないのですよ、いつまでたっても。御承知のように、あそこはたいへんな大きなところですからね。これが扱うか扱わないかということは、たいへん大きな影響を与えるのです。したがって、あなたがおっしゃったことが事実とするならば、もう即刻国税庁とそういう点について協議をなさって、そういう差別をしないようにやっていただきたい。よろしゅうございますね。
次に、厚生年金の融資の問題です。——あと二つばかりです。年金福祉事業団法施行令第一条の規定によりますと、余裕金の運用について、その融資対象から生協の購買事業の施設がはずされております。このことについて、きょうもちょっと申し上げたように、いままで生活協同組合の発展がたいへん阻害をされておる一つの大きな原因だと私は思うのです。そういう面から考えると、中小企業基本法に基づいて中小企業近代化の資金が出る。あるいは農業基本法に基づいて農協が相当の資金を得る。こういうように、基本法に基づいてそれぞれのそうした資金の対策がなされておる。にもかかわらず、こうした年金福祉事業団法施行令の第一条のそういう扱い方によって購買事業施設、これの融資が閉ざされておる、こういう点について、厚生省のほうではどういうお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/71
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072・今村譲
○今村政府委員 実は、これは主管が年金局のほうでございますので、来る前に十分打ち合わせをしてまいったのでありますが、その前に、一般的には、年金福祉事業団から、四十年は十二億、四十一年は三億四千万、四十二年は二十億というふうに、住宅、それから療養施設、それから職員厚生施設というふうに出ております。
問題は、例の店舗でありますけれども、これは一つには、年金福祉事業団の会社、工場、いろいろな住宅とか、資金量の問題があるというのが一つと、それからもう一つ、これは現在、年金福祉事業団でやっておりますのは、被保険者のいわゆる福利厚生ということに還元するのだという意味で老人施設とか、療養とか、体育、教養文化、給食、それから農山漁村あたりでは共同洗たくとか炊事というようなことまでは、いっておりますが、いわゆる販売のための施設、そこまで踏み切りますと、中小企業者も、たとえばこれは国民年金に入っておりますし、その辺の中小企業の店舗の改造とか、その辺の割り切りがいろいろありますものですから、そういう、ことばは悪いですけれども、営業施設とか生産施設とかいうものまでには踏み切れないのじゃないかという心配も原局では相当持っておるのであります。一つには資金量がまだ不十分でございますし、その辺がありますので、今後年金局のほうといろいろ相談をしていきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/72
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073・武部文
○武部委員 このことはたいへん重要なんですよ。あなたがおっしゃるように、いろいろな障害があるかと思うのですが、生協事業の中心は購買事業なんです。購買施設なんです。そうして、おっしゃるように休養施設とか、そういうようなことについて融資しておるのですけれども、現実には、むしろ資金還元の対象としては、そういう購買施設のほうが私は確実だと思うのです。そういう意味からいって、確かに年金福祉事業団の関係ですが、監督官庁である厚生省としては、対象について抜本的に改正をする、そういうお考えがあなた方にあるのかないのかはたいへん重要なんで、あなた方、監督官庁としてそういう意思がおありになるかどうか、それをお伺いしてみたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/73
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074・今村譲
○今村政府委員 これは前向きの姿勢で関係部局とよく相談をいたしたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/74
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075・武部文
○武部委員 これで終わりますが、私が申し上げたかったのは、生協法のいろいろの過去の経過を聞いてみますと、昭和二十三年に法令が公布になってからもう二十年たっておりますね。その間に抜本的な改正があったのは二十九年で、以後ほとんど改正らしきものはないのですよ。それできょうは、私は五つ、六つの点を取り上げて質問をしたわけでありますが、員外利用の問題にしても資金の問題にしても、その他先ほどから申し上げるような具体的な例を申し上げてもおわかりになるように、この生活協同組合法については、相当に法改正なりあるいは行政指導の面で改正をしていかなければならぬ面があるように思います。特に申し上げるように、私どもは神戸の灘の生協を見学をし、具体的にそういう担当の人たちからいろいろな話を聞いて、二十年の歴史の中でこの法律というものも、改正すべき点についてはもうそろそろ——二十年もたっているのですから、特に生活協同組合というものが、行き悩みになっておる伸び悩みになっているという点については、いろいろ原因があるように思いました。したがって、消費者保護基本法案をつくる場合に、さっき申し上げた十七条の精神に基づいて、ぜひひとつ生協法、特に消費生活協同組合法の法律の内容について御検討いただきたい。私どもも、これから機会を見て具体的に皆さんと折衝したいと思いますが、きょうはその点だけ申し上げておきたいと思います。最後にひとつ御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/75
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076・今村譲
○今村政府委員 お話しのように、実は私二十三年ごろからこれにタッチして、灘にもしょっちゅう行っておったわけですけれども、法改正に手をつけたのは一回か二回くらいしかございませんで、非常に不十分だというふうに思っております。ただ、生活協同組合の運動そのものについても、もう少し経済合理性にしぼって進みませんと、非常にいろいろな立場があって、すぐつぶれる組合というのが、二十五、六年、二十七、八年、たくさんあったわけです。その辺についても、協同組合の中央の本山である日協連ともよく相談いたしまして、必要な法改正についてはじみちに積み上げていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/76
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077・武部文
○武部委員 私は、きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/77
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078・八百板正
○八百板委員長 砂田重民君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/78
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079・砂田重民
○砂田委員 私は、十五日の委員会で食品衛生法のことをいろいろこまかく伺ったのですが、さっそく食品衛生法の見直し、再検討を前向きに厚生省は取り組んでいただいているようでございまして、まことにありがたいことであります。
前回質問いたしましたときに、食品でありますとか添加物あるいは容器、包装等のことは大体話を伺ったのですが、食品衛生法の中の営業の関係のことを落としておりましたので、その残りをきわめて簡単に伺っておきたいと思うのです。
第一点は、現行法の営業の許可対象業種が三十二業種ありますね。この三十二業種について、これを整理する必要を考えておられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/79
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080・野津聖
○野津説明員 お答えいたします。
御指摘のように、現在三十二業種につきまして、特に衛生上の必要がある、あるいは食品衛生上の必要があるということで営業許可の制度がとられているわけでございますが、業種の内容を見てまいりますと、ものによりましては六十数万軒の業者があるものもあれば、あるいは非常に少なくて全国で六軒しかないというような業種もあるわけでございます。またこの分類の方法自体にもいろいろ問題がございまして、どの業種に入れたがいいのかというようなことも、常に私ども検討の材料になっているところでございます。この問題につきましては、必要のないものにつきましては当然廃止いたしたい、また必要のあるものについては、許可対象にするというふうな方向で検討していくことにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/80
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081・砂田重民
○砂田委員 次に、現行法では施設基準をきめておられて、その施設基準に合ったものに対して営業許可をしておられますね。その許可をしたその後は施設監視をやっておられる。しかし、その施設というものは人間が使って動かしていくのですから——人間が使った場合のことをあまり考慮されていない。そういったような静的な状態にある施設だけでいいかどうか。それからあわせて、従業員の健康管理の問題などが当然この施設管理にからんでくることでありますから、こういった問題について現行法をどう見直そうとしておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/81
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082・野津聖
○野津説明員 御指摘のとおり、現在は施設基準に合っておりました場合には、これに営業の許可を与えるというふうな状態になっておるわけでございまして、その後の運営の問題につきましては、監視と指導というような方向によりまして衛生的な食品がつくられるようなことを考えているわけでございますが、やはり食品というものを製造しておりますというふうな、国民の生活に直接響く、あるいは健康に直接響く問題でございますので、営業者に対しまして、この業務の重要性あるいは社会的な責任の重さというものを十分認識させることが必要であるのではないかと思っております。その線におきまして、運営上の問題につきましては、営業者に対しまして一つの措置基準というふうなものを規定いたしまして、その措置基準の中で営業者が責任を持って運営するというふうな方法をとってまいりたいと思っておりますし、また、従業員の健康管理の問題につきましても、この措置基準の中で営業者に対する責任というふうな形で持っていくようなことを現在検討しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/82
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083・砂田重民
○砂田委員 食品衛生管理者という制度がありますね。この食品衛生管理者の資格要件——この前のときには食品衛生監視員の資格要件のことでいろいろ伺ったのですが、食品衛生管理者、これもまたなかなかむずかしい資格要件が規定されておるのだけれども、これを一ぺん再検討してごらんになるお気持ちはありませんか。それが一点。
それから、この食品衛生管理者という制度のもう少し効果的な運用が考えられないものであろうか、こういう点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/83
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084・野津聖
○野津説明員 現在食品衛生管理者の制度を取り入れておりまして、その必置の義務を営業者に課しているわけでございますが、現在の対象といたしましては、五つの営業種目につきまして必置の状態を持っておるわけでございます。ただ、この食品衛生管理者は営業者の中におりまして、安全で衛生的な食品を製造していくというための非常に重い責任を持っているわけでございまして、現在のところ食品衛生監視員と同じような資格要件を定めてあるわけでございます。ただ、その職責の内容から見まして、やはりそれだけの資格要件というものは堅持しませんと、安全で衛生的な食品というものが、あるいは添加物というものが、消費者の手に渡らないのではないかというふうなことも考えられるわけでございます。ただ、今後の方向といたしましては、こういうふうに業界におきまして、みずから安全で衛生的な食品を消費者の手に渡すというふうな一つの自覚を持っていただきたいという観点から出発いたしまして、できるだけ多くの業種に食品衛生管理者の制度を持たせるようにいたしまして、業界自体の自主規制というものも強化していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/84
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085・砂田重民
○砂田委員 食品衛生管理者の必置業種を拡大していくという方向でぜひ考えていただきたいと思います。
それから、現行食品衛生法全体を見ますと、何かアメリカ連邦法を翻釈してまねたような感じがしてならない。昭和二十二年に制定された食品衛生法という観念が私どもにもありますから、何かそういう気持ちがしてならない。アメリカの州というものを意識して、その州法があることを前提にしての連邦法——この前の委員会で私が伺った兵庫県の生活科学センターで発見された英国製のイチゴに有毒色素が使われていた。あの事件なんかの取り扱いについても、現行食品衛生法に触れている人はだれ一人いない。食品衛生法に定められたとおりに行なわれているのだけれども、何か府県に与える権限は中途はんぱ、国がやらなければならない責任体制また中途はんぱ、そういう点に、私は、この食品衛生法がアメリカの法律を焼き直してつくったのではないかというふうな感じがしてならない。そういった意味から、現在のわが国の政府、地方公共団体というもののあり方に何かそぐわないような気がするのです。食品衛生法の全面的な改正と取り組むんだという姿勢をせっかくとっていただいたことですから、この機会に、こういう点も十分考慮しながら食品衛生法を見直していっていただきたい。これはぜひ要望しておきたいのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/85
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086・野津聖
○野津説明員 現行の食品衛生法におきましては、厚生大臣及び都道府県知事の責任というものが明確にされているわけでございますけれども、ただ、都道府県知事に委任しました部分が非常に大きなウエートを占めているわけでございます。したがいまして、各都道府県間の財政的、あるいはその規模的な問題というものの差が、実際にこの食品衛生行政の個々の部分に反映してくることはやむを得ないような状態も見られておるわけでございます。ただ、食品衛生法二十六条に国庫補助の規定がございます。これは現在の段階では死文化いたしておりまして、政令がなくなっておりまして、ただ法文上は国庫補助の規定が残っておるわけでございますが、その点から見ましても、できるだけ弱い都道府県には国のほうから援助していくようなことを、もう一ぺん抱き起こしてみることも必要ではないかというふうに考えておりまして、そういうふうに検討いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/86
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087・砂田重民
○砂田委員 最後に一点だけ。
いま御答弁をいただいたような方向で営業についての食品衛生管理、そういうものの営業者に対する措置基準等もつくっていくということになりますと、中には非常に零細な企業もあることでありますから、こういう基準を守っていけるだけの施設、管理その他、そういったことをやっていくについての制度的な金融などという措置は、十分うらはらに確立していっていただかなければ、規制の方法はきめたけれども、とてもそれは守れないんだということであれば死んだ法律になってしまいますから、そういう制度をあわせて十分考慮していっていただきたい、これをお願いをいたしておきまして、私は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/87
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088・八百板正
○八百板委員長 有島重武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/88
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089・有島重武
○有島委員 消費者保護基本法の提出によりまして、従来の行政一般が、新しい消費者保護という立場から見直されているわけでございますが、本日私の質問によってその細目の質問は一応終了することになりますが、ただいまも砂田委員のほうから、法の運用ないしはその事後のことなどにつきましてお尋ねがあったようでございます。私も、厚生省関係の行政の態度について、特にきょうは全般的には言いませんが、薬事法だとか環営法を取り上げまして、その運用のしかたがやや厳密さを欠いている点があるのじゃないか、それから、事後の処置で消極的な点があるのじゃないか、こういった点について少しお尋ねしたいと思うのです。
厚生省といいますから国民の厚生を名としておるわけでありますけれども、かえって業者とのなれ合い行政にならされているような印象を国民が受けている、これは重大なことだと思いますので、大体四つくらいの項目にわたって、なるべく時間を短くしてお尋ねします。
初めに、これは新聞の記事に出ておりましたのですが、化粧品等のメーカー八社に対しまして、レモン何とか、レモン乳液だとか、アストリンゼンとか、この名で市販されている化粧品の表示が薬事法に抵触するからという理由で、これが処置を受けた、回収されたという話でございますけれども、これはほんとうに回収なさったのでしょうか、そのことをまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/89
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090・野海勝視
○野海説明員 レモン化粧品の問題は実は監視課長の所管でございまして、私、直接所管しておりませんけれども、八社に対しましては回収を指示いたしまして、回収をやっておる、やったというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/90
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091・有島重武
○有島委員 これはやっておる、やった、少し違うのでございまして、その辺は、きょうは来ていらっしゃらないけれども、できればお伝えください。
それからこの罰則でございますけれども、薬事法に明示されている罰則を適用してやったのかどうか、そういったことについてもそちらではわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/91
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092・野海勝視
○野海説明員 私、現時点においては、あるいは多少間違ったことを申し上げるかもわかりませんが、昨年のたしか八月にこのレモン入りの化粧液の問題が出まして、化粧品業界では、レモンが入っていないにかかわらず天然のレモンが入っておるような表示をしておるようなものについては、直していこうという自粛基準をつくったわけでございます。その後若干の期間を過ぎまして、なお、そういう化粧品があるということで、八社に対しまして、これは薬事法に規定されております。消費者に誤解を与えるおそれのある旨の表示の規定の違反として問題とし、回収の指示をしたということでございます。薬事法違反ということで取り上げられたと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/92
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093・有島重武
○有島委員 これは昨年の八月にすでに問題になっていたわけでございます。ことしに入りまして、これは商工委員会だったと思いますけれども、私どものほうの近江委員からこの質問をしたはずでございます。それで八社に対して、これは回収になりましたけれども、罰則を適用してきちっとそれを処置しているというのではなしに、ただ回収を指示した、何か非常に弱い態度であるように思います。近江委員がそのとき公取のほうに示したのは七つばかり持ってきたのです。新聞に出ておりましたのは八つでございます。そういたしますと、まだまだこのほかにもあるはずなんですけれども、これ以外の他社のことは一体どうなったのか、全部調べ上、げた上で一つの処置をとっておるのかどうか、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/93
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094・野海勝視
○野海説明員 八社以外のものにつきましても、確かに表示の上で問題があるものがあるということを聞いております。それにつきましては、県を通じまして薬事監視上の問題として取り締まる、問題があるものについては八社のものと同様に回収の措置をとらせるように指示しております。それから業界に対しても、八社以外にもあるものについては直すように、業界全体の問題として指導しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/94
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095・有島重武
○有島委員 そうした指導は去年八月に、もうなさっているわけですね。それが実施されていかない。実施されていかないのを見落としていらっしゃるといいますか、これなんか見ましても、レモンパーマが出ているわけですね。日本でもわれわれの目にも見えるわけです。それで業界全般にこれを禁止するというような通達は新聞には出ておりませんで、八社のこの八品目に限ってこれを回収するように指示したというふうに新聞には出ておりましたが、それは誤報ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/95
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096・野海勝視
○野海説明員 八社以外のものにつきましても、同様に、レモン入りという表示について問題のあるものについては、県に対して回収の措置をとるように指示をいたしております。
それから、先ほど先生ちょっとお触れになっておったのですが、この問題につきましては、確かに先生のおっしゃるような手ぬるいというような問題にあるかもしれませんけれども、これにつきまして、実は従来比較的そういうものがたくさんあって、しかも直接的な実害はないということで、従来比較的そういう面の監視を十分やっていなかったというわれわれのほうにも問題がございます。そこで昨年の中ごろから手をつけてやってきた問題でございまして、当初やはりそういう比較的広い範囲で行なわれており、かつ、その点については従来あまり監視の目を、あまり厳重な態度をとっていなかったという問題はございます。そういう経過もございますので、当面やはり指導的な立場でやっていって、ある程度の期間を過ぎて、なおかつ、そういう誤解を生ずるような表示を続ける場合には、これはもちろん薬事法上の——先生のおっしゃるのは、行政処分とか薬事法上の罰則の適用という面でおっしゃっておると思いますけれども、それはやはりある程度の期間を経過しましたならばそういう強い態度で臨むべきだろう、私、直接の所管課長ではございませんけれども、そういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/96
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097・有島重武
○有島委員 公取のほうの御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/97
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098・伊従寛
○伊従説明員 化粧品の不当表示の問題につきましては、いま数件につきまして調査中でございますが、この調査と並びまして、業界のほうで、この際こういうふうな表示の問題については、姿勢を正して公正競争規約をつくりたいというふうな申し入れもございますので、この動きとにらみ合わせながら調査を進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/98
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099・有島重武
○有島委員 わかりました。公正競争規約によって業界全般にわたって大きくやはりこれを考えていっていただきたい、そう思います。
それから、いまのレモンの話とはちょっとずれるのですけれども、それと関連いたしまして、ここにはレモンパーマというものが出ておりました。コールドパーマの液につきまして、少し伺っておきたい。現在使用されております二浴式のコールドパーマ液はいつごろ許可されておったか、どういう実験データによってこれが許可されたのか、その辺の事情を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/99
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100・野海勝視
○野海説明員 この二浴式のコールド・パーマネント・ウエーブ液は、昭和二十五年ごろから化粧品として製造を認めたものでございます。そして昭和三十五年に薬事法の全面改正がございまして、それに伴いまして、医薬部外品に指定したということでございます。したがいまして、これは三十六年以前は化粧品という形で許可されております。実は制度的に申しますと、昭和三十二年以前は、化粧品につきましては、個々の品目ごとについての許可という制度になっておりませんで、製造業あるいは輸入販売業の登録をとれば、個々の品目については、化粧品についてはどの化粧品でも製造できる、輸入できるという仕組みでございまして、製造業の登録制度をとっておった次第でございます。したがいまして、個々の化粧品についてのチェックは三十二年以前については行なわれておりません。そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/100
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101・有島重武
○有島委員 これは医薬部外品になったわけでございますね。医薬部外品になったというのはどういう理由なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/101
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102・野海勝視
○野海説明員 昭和三十五年に薬事法の全面改正を行ないまして、そのときに、それ以前の薬事法にありました、医薬品及び化粧品以外であって、たとえば、具体的に申しますと、仁丹のような口中清涼剤であるとか、あるいは天花粉のようなあせもの防止のものであるとか、そういったような、医薬品としての治療、予防目的も持っておらないし、また化粧品としても、化粧品の定義にも当てはまらない、しかしながら、医薬品なり化粧品に非常に類似の性格を持っており、かつ、それに似たような規制を行なう必要があるというようなものについて、医薬部外品という制度を新しくつくったわけでございます。このコールドパーマ液は、その医薬部外品にまさに入るべきものだろうということで、従来は化粧品の範疇に入っておったものを医薬部外品に移した、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/102
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103・有島重武
○有島委員 非常にうまい言い方みたいなんですけれども、からだに一つの影響を及ぼす、そういったおそれがあるから医薬部外品になさったのじゃないのですか、いまおあげになったものも。だから、どういう根拠で医薬部外品にしたかという問題でございますが、からだに影響を及ぼす度合いが大きい、健康に影響を及ぼすおそれが大きい、そういったことがきめ手になっているのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/103
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104・野海勝視
○野海説明員 医薬部外品も、法律上作用が緩和でなければならないということになっております。たとえば医薬品の中には相当作用の強いものもございますが、作用の強いものは、医薬部外品としても適当でない、医薬部外品の定義には当てはまらないということでございます。先ほど申し上げましたように、これは新法による化粧品の定義からしまして、普通の化粧品のような使用方法ではございません。化粧品の定義にはぴたりと当てはまらないということ、しかも、医薬品あるいは化粧品と類似の規制をする必要があるということで、医薬部外品に持っていったわけでございます。
それから先ほどの、コールドパーマネント用剤はある程度人体に対して有害作用があるのじゃないかという点でございますが、確かにこのコールドパーマ用剤は、使用方法、使用量等を誤った場合、あるいは特に特異体質の人が使ったような場合に皮膚に障害を生ずるというような場合がございます。そういったものにつきましては、三十一年だったと思いますけれども、コールド・パーマネント・ウエーブ用剤基準というものを制定いたしまして、この基準に合うようにということで品質の確保をはかっております。それからもう一つは、その後、この使用方法を誤らないために、コールドパーマ用剤について、メーカーに一定の取り扱い上の注意事項を表示させるという指導も行なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/104
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105・有島重武
○有島委員 私の聞きましたところによりますと、このコールドパーマの液については、チオグリコール酸ですか、これは非常に毒性のあるものである、それで、その使用がアメリカでは一九四六年に全面的に禁止されておる、そういうふうに聞いているのですが、そちらではそういった事実を御存じの上でやっていらっしゃるのか、御存じないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/105
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106・野海勝視
○野海説明員 いま御指摘のような事実につきましては、私のほうは聞いておりません。
それから、このパーマネントウエーブ用剤につきましては、薬事審議会に専門の調査会を置きまして、薬理とか毒性につきまして専門の学者でいろいろ審議検討していただいておりますけれども、その調査会の専門医学者の間からもそういうことを聞いたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/106
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107・有島重武
○有島委員 これは髪の毛をやわらかにして溶かしていく作用があるわけですね。それで皮膚に浸透していく力が強い。それで、これはポリオなんかを培養するときにも使ったりなんかして、いろいろなおそれが考えられている。これの使用法を誤ってはげになってしまった女の人なんか、幾つか新聞の報道にもありました。それで、その濃度について、アメリカのほうでもって許可をしたときの濃度というのは大体五・五%ですか、までというふうに聞いております。日本の許容濃度、それはどのくらいになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/107
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108・野海勝視
○野海説明員 チオグリコール酸の含有量は、この基準では二%から七%となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/108
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109・有島重武
○有島委員 こうした、厚生省なんかも一つの警告を発しながら使用を許可しなければならないようなものがある。こういうことに対して、さらに毒性のないものでこういうものを開拓できないかというような前向きの姿勢があってもいいと思いますけれども、これについては、そういったあぶない性質を持っておるもの以外には、これしかないのでしょうか。コールドパーマの液としてこれ以外のものは見当たらない、あるいは発見されておらない、許可されておらない、その点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/109
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110・野海勝視
○野海説明員 確かに二浴式の従来のコールドパ一マ用剤は、使用方法を誤った場合、あるいは体質によりましては若干の副障害あるいは毛髪を弱めるということもございますけれども、これは正しい使い方をする限り問題ない。また、特典体質の人については確かに使わないほうが好ましいのですが、そういった面については相当詳細な注意書きをつけせさておりまして、それを守って使う限り問題がないと思います。それから、かりに多少皮膚に付着するようなことがあっても、それほど重大な障害を生ずるようなことはないだろうというふうに考えております。
それから、従来のような二浴式のパーマ用液以外に何かないかという御質問でございますけれども、これにつきましては、実は若干われわれのほうに製造許可の申請が出ておるものもございます。しかしながら、従来のものと比較しまして、パーマ効果の点あるいは皮膚、毛髪等に対する作用の面で、従来のものよりもすぐれておるというようなものは、現在のところまだあらわれておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/110
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111・有島重武
○有島委員 私の聞きましたところでは、いまのチオグリコール酸の三%以下でもってこれが十分処理できるというような液がかなり前から開発されておった、特許もすでにとってあった、そういうようなのが、これは新聞記事でもって私ども見たわけでありますけれども、ずいぶん長い間許可になっていない、そういうようなこともありました。それで、もう自由に競争させていくという立場から見ても、現在よりもかりに危険度の低いものがあるならば、いまおっしゃったのはコールドパーマをやっていく上に効果が多いか少ないかというようなことまで立ち入って言われたようでございますけれども、それは自由な競争にまかしていくほうがいいのではないか、そのほうが一そういろいろな技術が進んでいく方向を促進するのではないか、そう思うわけでございますけれども、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/111
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112・野海勝視
○野海説明員 従来の二浴式以外にも新しい方式で申請があったものがございますけれども、これにつきましては、実は当初申請がありまして後に十分な資料がついておらなかったものですから、衛生試験所等においていろいろ試験をしてみたわけでございますけれども、毛髪の強度を弱めるという点に一つ難点がございまして、それで許可にならなかったわけでございますが、その後処方を若干改めまして申請がありまして、それにつきましては薬事審議会でいろいろ審議をし、かつ、衛生試験所においていろいろな試験をしました結果、毛髪損傷の程度は比較的少なくなった、従来の二浴式のものとさほど変わらないという結果が出ておりまして、審議会の答申もございまして、その答申に基づいて現在作業中であるというものがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/112
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113・有島重武
○有島委員 これは、こうしたコールドパーマの一つの問題に限らず、そうした認可がかえって技術の開発を妨げる方向に行くのは、これは非常に望ましくないように思います。それから、かなり危険であるものはどうにかならないものかというふうに、前向きに踏み出すことが今後は必要なんじゃないか、そういうふうに思います。
それから、いまのパーマの料金の問題でございますけれども、これは一回かけるのにパーマの液を何ミリリットルくらい使うのか。私は八十ミリリットルというふうに聞いているわけなんです。大体原価が十五円ぐらいだ。それで、パーマ屋に聞いてみますと、大体五十円くらいだろうと言われております。それで、実際にパーマ料金は最近どんどんウナギ登りにのぼっておりまして、これは御婦人方の嘆きの種でございますが、同じ店でもって千五百円、千七百円、二千円、二千五百円、五段階ぐらいにいろいろ値段ができておる。これは当然サービスの面でも多少の違いがあるのでしょうけれども、環境衛生という立場から見て、この使っている液そのもの質がそれほど大きな差があるかどうか。たとえば二百円、三百円の液の差があるかどうか。原価が大体十五円とされておるものですね。そういった点についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/113
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114・赤穴博
○赤穴説明員 ただいまの有島委員の御質問、一回の液の使用料はどのくらいか、あるいは原価はどのくらいかということにつきましては、私現在手元に資料を持っておりませんので、御説明いたしかねるわけでございます。
ただ、パーマネント料金、美容の料金等がどのような経過になっておるかということを若干御説明申し上げますと、ここ数年来、確かにこれらの料金は上昇を続けております。小売り物価統計調査を東京都について見ますと、三十六年から毎年数%ずつ上がっておりまして、四十一年度で千百十二円、四十二年には千百六十六円となっております。ただ、このようなパーマネント料金につきましては、人件費の上昇の料金に占める割合が非常に多いわけでございます。と申しますのは、このような人的なサービスを基本にいたします美容業におきましては、生産性の向上ということによって賃金のコストアップを吸収いたしかねるわけでございます。われわれも、多少のところはやむを得ないと感じております。ちなみに、三十六年から三十九年にかけて、従業者の賃金の上昇率が約五六%になっておりますが、この間の料金の上昇率は四割というふうに、賃金の上昇率よりも若干下回った料金の上がり方になっておるというところからも、必ずしも全面的に賃金の上昇を料金の値上げに転嫁しているという実態ではなかろうと思います。しかしながら、料金が必要以上に上がるということは、料金の個々の……(有島委員「そうじゃないんだ、聞いているのは料金格差の問題だ」と呼ぶ)格差の問題につきましては、総合コールドパーマネントであるとか、セットつきコールドパーマネントであるとか、いろいろサービスの内容についてかなり差がございますので、そこで若干差があることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/114
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115・有島重武
○有島委員 その料金格差が非常に開いているわけなんです。多いところは、二千円以上も格差が開いております。それで、環境衛生という立場から見まして、これはおもにかける薬ということに重点があるのじゃないかと思うわけでありますけれども、そういった点でも、薬の上ではそれほどの値段の差はないはずである。そして、サービスの値の開き方についても、そういったことまで立ち入って環境衛生法が規制していくべきなのかどうか。そこら辺のところを私は非常に疑問に思うわけなんでございます。それで、環境衛生法といいますと、本来は、不衛生なことを排除するということが趣旨だと思うのでございますけれども、これは料金についての問題がかなり大幅に入っておる。こうしたことについて、これは公取のほうに伺いたいのでございますけれども、環境衛生法というのは、独禁法の一つの適用除外例として受け取ることもできるのじゃないか。その点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/115
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116・柿沼幸一郎
○柿沼政府委員 ある意味で独禁法の適用除外の意味を持っておるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/116
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117・有島重武
○有島委員 そのある意味でというのは、どの辺ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/117
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118・柿沼幸一郎
○柿沼政府委員 独占禁止法は、原則として共同行為を禁止しておりますけれども、中小企業の協同組合のほうにつきましては、ある程度カルテル行為についての例外規定を設けております。環境衛生法の適用の対象になっております業者というのは中小企業者だという意味、それから環境衛生法が制定になりました法律の目的等に照らしまして、独占禁止法の若干の例外になっておるというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/118
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119・有島重武
○有島委員 そういたしますと、中小企業団体法がございますね。環営法で規制している面は、この中小企業団体法によっても規則できる範囲じゃないかと思うのでございますけれども、その辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/119
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120・柿沼幸一郎
○柿沼政府委員 現在、中小企業団体法の適用除外のしかたと環営法の適用除外のしかたには、若干違いがございます。その辺は、やはり実情に即してそういうふうになっておる面が多いのではないかと了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/120
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121・有島重武
○有島委員 公取さんの御意見でそうなんですか。重複しているまま——これはいまこまかく言う時間がありませんけれども、独禁法そのものが、あっちでもこっちでも除外例がたくさんあって、しろうと目には非常にわかりにくくなっておる。これは、除外例は除外例として一つに固めてしまって、それで独禁法というのは一つのほんとうに私的独占を禁止するのだ、そういうふうにすっきりしたほうがいいのじゃないか、そのように考えますけれども、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/121
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122・柿沼幸一郎
○柿沼政府委員 私ども独占禁止法を運用しておる当事者といたしましては、お説のとおりだと存じます。ただ、独占禁止法を施行いたしましてから現在までのいろいろな沿革なり、それぞれの業界の実情もございまして、現在相当複雑な適用除外の規定のあることもまた事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/122
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123・有島重武
○有島委員 その業界のいろいろな実情、それが問題だと思うのです。そういうことになりますと、今後もどんどん複雑化して、複雑化するということはあいまい化していくことに通ずると思うのです。それで、そのことを消費者保護という立場からも一ぺん検討されたらいいのじゃないか、このように要望いたします。
ちょっと環営法からはずれましたけれども、また環営法にもどりますと、床屋の値段の上がり方なんかも、ほとんど同じ地域が同時期に上がっていくわけでございます。前のときには、組合の申し合わせによりこうこう上がったというような表示が出ておりましたけれども、このごろは、聞いてみますと、そういうことは表示はされていないけれども、床屋のおやじをつかまえて「上がったね。」と言うと、やはり「これは組合の申し合わせがありましてね。」という答えがみな返ってくるわけですね。それは一種のやみの価格協定であるというふうに思われますけれども、こうした環営法本来の不衛生を排除するという、これが一番の重点であるべきだと思うのです。そういうことから少し逸脱しているのじゃないか。したがって、これは何か業者とのなれ合いの上でもって運営されているのじゃないかという印象を非常に強く受ける。環営法については、やはりもう一ぺん検討していただきたいと思います。
それから、同じくこれも最近の新聞に出ておりましたが、動くスーパーというのですね。移動販売車の問題でございますが、これは、わが党の広沢委員の質問に坊前厚生大臣がお答えになっていることなんですけれども、昭和四十二年の三月でございます。「食肉販売の移動販売車によって販売をするということは、これは価格を引き下げる上に非常に資するところが多いと思います。さような意味におきまして、厚生省といたしましては、この移動販売車のいろいろな衛生設備等の条件がございますけれども、その条件を緩和をしていこう、こういうふうに考えておりまして、」それで、「三月三日付で自動車による食品の移動販売に関する取り扱い要領についてすでにそういう通達をいたしたような次第でございます。」こういうことがありましたが、これが一年間も放置されてあった。それで現実にはなかなか許可してもらえない。本省のほうではそうなっておるのに、地方のほうではそれがなかなか許可をされない。これについてやはり事後措置といいますか、ほんとうにいいものであればどんどん進めていくという姿勢が欠けておるのではないか、そういうふうに思われるのでございますけれども、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/123
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124・神林三男
○神林説明員 本省としては、基本的な態度として、ああいうものは公衆衛生の立場から見て問題がなければ許可しろという方針で、全国へ局長の通達を出しておるわけでございます。一部府県で、私たちの聞くところによりますと、何かまだ県の規則を変えてないというところがあるやに聞き及んでおりますから、できるだけ、そういう府県に対しましては、至急規則を改正いたしまして新しい事態に即応できるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/124
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125・有島重武
○有島委員 こうした問題を通しまして、最初に申し上げましたように、一つの通達を出した、あるいは回収の指示をしたと言われるけれども、そのやり方を見ておりますと、やはり一つのゼスチュアにとどまっておるような、非常にあいまいな印象を強く受けます。今後の消費者保護の行政につきまして、これからいろいろ御検討をいただくわけでございますけれども、その運用と事後処置について、それからまた、将来の消費者保護のあるべき方向に向かって積極的な一つの態度を今後示していただきたい、そう要望して私の頼問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/125
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126・八百板正
○八百板委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は明後二十五日、木曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後六時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805063X00919680423/126
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