1. 会議録本文
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000・会議録情報
本国会召集日(昭和四十二年十二月二十七日)(
水曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
の通りである。
委員長 大坪 保雄君
理事 井原 岸高君 理事 大竹 太郎君
理事 田中伊三次君 理事 高橋 英吉君
理事 濱野 清吾君 理事 加藤 勘十君
理事 横山 利秋君 理事 岡沢 完治君
瀬戸山三男君 田中 角榮君
千葉 三郎君 中尾 栄一君
中垣 國男君 中村 梅吉君
馬場 元治君 藤波 孝生君
村上 勇君 森 清君
山口シヅエ君 山手 滿男君
井岡 大治君 神近 市子君
高田 富之君 松前 重義君
三宅 正一君 佐々木良作君
山田 太郎君 松本 善明君
松野 幸泰君
昭和四十三年一月二十七日
大坪保雄君委員長辞任につき、その補欠として
永田亮一君が議院において、委員長に選任され
た。
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昭和四十三年二月二十七日(火曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 永田 亮一君
理事 大竹 太郎君 理事 田中伊三次君
理事 高橋 英吉君 理事 中垣 國男君
理事 濱野 清吾君 理事 猪俣 浩三君
千葉 三郎君 中馬 辰猪君
中村 梅吉君 村上 勇君
河野 密君 中谷 鉄也君
岡沢 完治君 山田 太郎君
林 百郎君
出席国務大臣
法 務 大 臣 赤間 文三君
出席政府委員
内閣総理大臣官
房陸上交通安全
調査室長 宮崎 清文君
法務政務次官 進藤 一馬君
法務大臣官房経
理部長 辻 辰三郎君
法務省刑事局長 川井 英良君
委員外の出席者
警察庁交通局運
転免許課長 西川 芳雄君
法務大臣官房秘
書課長 安原 美穂君
最高裁判所事務
総局経理局長 岩野 徹君
最高裁判所事務
総局民事局長 菅野 啓蔵君
専 門 員 福山 忠義君
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一月八日
委員井岡大治君、加藤勘十君、高田富之君、松
前重義君、三宅正一君及び横山利秋君辞任につ
き、その補欠として河野密君、岡田春夫君、猪
俣浩三君、堂森芳夫君、成田知巳君及び佐々木
更三君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十日
委員松本善明君辞任につき、その補欠として谷
口善太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
委員森清君辞任につき、その補欠として永田亮
一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
委員井原岸高君及び大坪保雄君辞任につき、そ
の補欠として南條徳男君及び綱島正興君が議長
の指名で委員に選任された。
同月二十九日
委員岡沢完治君辞任につき、その補欠として西
村榮一君が議長の指名で委員に選任された。
同月三十一日
委員南條徳男君及び藤波孝生君辞任につき、そ
の補欠として福田赳夫君及び竹下登君が議長の
指名で委員に選任された。
二月二日
委員山口シヅエ君辞任につき、その補欠として
中馬辰猪君が議長の指名で委員に選任された。
同月五日
委員中尾栄一君辞任につき、その補欠として渡
海元三郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月八日
委員谷口善太郎君辞任につき、その補欠として
林百郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十四日
委員竹下登君辞任につき、その補欠として河本
敏夫君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
委員岡田春夫君及び西村榮一君辞任につき、そ
の補欠として中谷鉄也君及び岡沢完治君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員中谷鉄也君及び岡沢完治君辞任につき、そ
の補欠として岡田春夫君及び西村榮一君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
理事加藤勘十君及び横山利秋君一月八日委員辞
任につき、その補欠として猪俣浩三君及び神近
市子君が理事に当選した。
同日
理事井原岸高君一月二十七日委員辞任につき、
その補欠として中垣國男君が理事に当選した。
同日
理事岡沢完治君一月二十九日委員辞任につき、
その補欠として佐々木良作君が理事に当選し
た。
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昭和四十二年十二月二十七日
刑法の一部を改正する法律案(内閣提出、第五
十五回国会閣法第九四号)
昭和四十三年二月二十六日
死刑の確定判決を受けた者に対する再審の臨時
特例に関する法律案(神近市子君外七名提出、
衆法第三号)
は本委員会に付託された。
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二月二日
不動産登記法の運用に関する陳情書
(第一〇四号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
国政調査承認要求に関する件
刑法の一部を改正する法律案(内閣提出、第五
十五回国会閣法第九四号)
裁判所の司法行政に関する件
法務行政及び検察行政に関する件
国内治安及び人権擁護に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/0
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001・永田亮一
○永田委員長 これより会議を開きます。
この際、一言ごあいさつを申し上げます。
このたびはからずも私が本委員会の委員長に就任することになりましたが、身に余る光栄と存じておる次第でございます。本委員会は、今国会、刑法の一部改正案をはじめ、諸法案の審査を行ない、あわせてわが国における司法制度のあり方等についても調査を行なうきわめて重要なる委員会であると存じます。私は本委員会は初めてでございますが、本委員会には練達たんのうなる委員の方々が多いようでございますので、各位の御協力によりまして、円満なる委員会の運営をはかり、もって所期の目的達成に全力を傾注してまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願いいたします。
簡単ではございますが、一言ごあいさつを申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/1
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002・永田亮一
○永田委員長 まず、理事の補欠選任の件についておはかりいたします。
去る一月八日、理事加藤勘十君、理事横山利秋君、一月二十七日、理事井原岸高君、一月二十九日、理事岡沢完治君の委員辞任に伴い、理事が四名欠員となっております。
その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/2
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003・永田亮一
○永田委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、
中垣 國男君 猪俣 浩三君
神近 市子君 佐々木良作君を理事に指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/3
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004・永田亮一
○永田委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。
すなわち、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政等の適正を期するため、今会期中において、
一、裁判所の司法行政に関する事項
二、法務行政及び検察行政に関する事項
三、国内治安及び人権擁護に関する事項以上の各事項につきまして、小委員会の設置、関係各方面よりの説明聴取及び資料の要求等の方法によりまして、国政調査を行なうこととし、規則の定むるところにより、議長の承認を求めることにいたしたいと存じます。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/4
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005・永田亮一
○永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/5
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006・永田亮一
○永田委員長 次に、国会法第七十二条の規定による最高裁判所の長官またはその指定する代理者の出席説明に関する件についておはかりいたします。
今会期中におきまして、本委員会の審査または調査に関し、最高裁判所の長官またはその指定する代理者から出席説明の要求がありました場合、その承認に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/6
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007・永田亮一
○永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/7
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008・永田亮一
○永田委員長 次に、第五十五回国会、内閣提出、刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/8
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009・永田亮一
○永田委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。大竹太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/9
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010・大竹太郎
○大竹委員 御承知のように、この刑法の改正は非常に以前から国会にかかって、一時廃案になり、また継続審議になって今日に至っておるわけでありまして、実は、私、最初からこの問題について、それぞれ質疑を行なってまいりましたので、記憶をたどって、なるたけ重複をしないように疑義をただしたいと思うわけであります。
それで、第一にお尋ねいたしたいのでありますが、たしか前回の国会だと思いますが、この刑法の二百十一条の改正の必要性についての政府の説明をお聞きいたしますと、最近非常に自動車がふえ、事故がふえ、しかも酔っぱらい運転その他の悪質な事故が非常に増加しているから、緊急にこの改正を必要とするという御説明がございまして、いまほどお聞きいたしました提案理由の説明の中にも、そうあるわけであります。そういうようなことで、たしか前回には、こういうように自動車の事故についてこの法律の改正が必要であるならば、むしろ道交法の改正によって事故を起こした者の責任を加重するように考えられないかということが、非常に問題になったように思うわけであります。しかし、申し上げるまでもなく、本条はあえて自動車の運転者の責任のみを追及する趣旨のものではないのでありまして、最近の南海電鉄の事故一つを見てもわかりますように、他の交通機関、たとえば汽車、電車または航空機あるいは船舶というようなものの事故を考えました場合には、酔っぱらい運転というような悪質な事故は、これらの交通機関にそうしばしばあるものだとは思いませんけれども、一たん事故が起きたならば、この被害、死傷する人間の数というようなものをひとつ考えてみましても、これは自動車以上のものがあることは申し上げるまでもないわけであります。そういうような面から見まして、自動車以外の交通機関の事故の性質、ことに最近における傾向、そしてこれに対する量刑の傾向というようなものについて、御説明いただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/10
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011・川井英良
○川井政府委員 刑法二百十一条の規定は、申し上げるまでもないことでございますけれども、ただいまの御質問の中にも御指摘がございましたように、この事故を起こした者を刑罰に処するということのほかに、刑法にこれが規定されておるという意味は、やはり人命尊重と申しましょうか、人の生命、身体に危険のあるような業務に従事する者については、通常の人よりもさらによけいの注意義務が必要である、こういうことが宣明されている、こういうように思うわけでございますので、御指摘のように、この改正をお願いいたしました動機とその必要性は、最近の主として交通事故の激増、悪質化ということにあるわけでございますけれども、改正が行なわれました上におきましては、交通関係以外の状態のものにつきましても、人の生命、身体に影響のあるような業務につきましては、この法律の適用があることは申し上げるまでもないことでございます。
そこで、ただいま御質問がございました交通事故、自動車による交通事故以外にもいろいろな事犯があるはずではないか、こういうことでございます。数においては自動車の事故ほどに必ずしも多くございませんけれども、それ以外のものにおきましても、ことに最近重大な事故が発生しております。たとえば、自動車以外にも、まず列車とか電車の事故がやはり問題になると思います。飛行機などの事故におきましても同様でございます。それから船舶の衝突、沈没の事故というふうなものにおきましても、この規定の適用を見る場合があるわけでございます。それから炭鉱などにおきましても、最近ことに爆発等の事故が続出しておりますけれども、このようなものにつきましても、過去におきましてこの法律が適用になった重大な事故がございます。また、炭鉱以外におきましても、最近多くの爆発事故が発生いたしております。さらに医療過誤の事故。先般この法務委員会でも御指摘がございました、女性の乳ぶさの整形事故をめぐって重大な事故が発生いたしまして、やはり業務上過失事故の疑いで捜査処理中のものもございます。その他保護過誤の事故、あるいは拳銃を持っておる者とかあるいは猟銃を持っておる者がその暴発によって他人の生命に危害を加えたというような、そういう暴発事故につきましても、この法律が適用になっております。その他中毒の事故でありますとか、あるいは土木関係の事故でありますとかいうふうな、たくさんの事故が一応収録されております。
具体的にその中からごく一、二のものを拾って御説明申し上げますと、たとえば列車事故におきましては、これも御記憶に新しいところでございますが、四十二年の四月一日、南海電車の事故が発生いたしましたことは、御承知のとおりでございます。当時の急行電車の運転士に重大な過失があるということで、昨年の十二月の二十六日に業務上過失致死傷という罪名をもって公判請求がなされて、目下裁判所で審理中の事故がございます。それから同じく昨年七月二十四日に発生いたしました同様南海電車の事故につきましては、本年の二月五日に同じ罪名をもって公判請求がなされております。
それから炭鉱の事故を一つ申し上げますと、四十年の二月二十二日に北海道の夕張炭鉱で発火事故がございまして、六十二人が死亡し、十七人が重軽傷を負ったという事故がございます。四十二年の八月十四日に業務上過失致死傷等の罪名をもって公判請求がなされて、目下裁判所で審理中でございます。
それから四十二年の七月二十七日に、これは警察官の事故でございますが、職務上所持しておる拳銃の中に実弾が入っておることを失念いたしまして、居合わせた知人に対して引きがねを引いたということのために、それが暴発をいたしまして相手を死亡せしめたという事故がございます。これは四十二年の十二月二日にすでに判決がございまして、禁錮二年の実刑が確定をいたしております。この事故も業務上過失致死傷の事項をもって処理されておるわけでございます。
このような事故、ごく最近五カ年間に起きました事故を取り急ぎ一応収録いたしたものができ上がっておりますので、後刻参考といたしまして配付を申し上げたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/11
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012・大竹太郎
○大竹委員 その資料を配付していただいて、それを拝見した上でまた御質問をいたしたいと思うわけでありますが、ただ、ここで最近の新聞を見て非常に感じたことがございますので、これについてお聞きしたいと思うのです。いまほどちょっとお触れになったように、交通関係以外の事故でも、最近は、非常に重大だと思うのでありますが、たとえばこの間、新幹線に爆薬をしかけた少年がつかまったわけでありますが、あの事件を見ますと、ああいうような少年が容易にダイナマイトを手に入れることができたということ、それからまた、この間の問題になりました朝鮮人の金何がしがダイナマイトを非常にたくさん持ってあそこへ立てこもったというようなこと、そういうようなことを考えてみますと、ああいうものの保管責任者と申しますか、そういう者の過失、たとえば新幹線の事案、幸いにしてあれは死傷者はなかったのでありますけれども、たとえば死傷者が出たというような場合、一体ああいうようなものは保管義務者との間の因果関係、そしてそれの責任追及というところまでいきますかどうですか。それでないと——あとからもまたそれに関した御質問もしたいと思うのでありますが、そこまでいかないと、なかなか保管者が気をつけないような気もしてならないのでありますが、それらの点についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/12
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013・川井英良
○川井政府委員 ダイナマイト等の人の生命に危険を与えるおそれのある物品の管理、保管につきましては、御承知のように、それぞれの特別法におきまして一応の手当てがなされているところでございます。ところが、最近またきわめて重大なそういうものを中心としての事故が発生しているわけでございますが、これらにつきましては、いずれも御承知のように故意犯でございますので、それは故意犯としてのそれぞれの責任が追及されることになると思います。それに関連いたしまして、そのような者にそういう危険な物品を安易に売り渡したというふうな事例があるわけだと思いますけれども、それらの点につきましては、それぞれの取り締まり法規のもとにおいての責任が追及されることになると思います。ただ、その責任の追及のしかたが、あるいは法規の不備のために最近の国民感情に沿わないような点があるのではないかというふうな一面の心配も持っておるところでございまして、きわめて非公式なことでございますけれども、最近の事案の続出にかんがみまして、関係官庁と連絡をとりまして、その辺のところの検討も始めているところでございます。
つけ加えて申し上げますと、交通事故につきまして、過労運転が原因になって重大な事故が発生したというものにつきましては、その雇用に関係のある責任者につきましても、現行法のたてまえのもとにおいてできる限りの責任を追及するというたてまえをとりまして、労働基準法ないしは道路運送法等の規定を活用いたしまして、その面の向きにつきましても、責任のある者につきましては最大限の責任を追及するという措置を、最近とりつつあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/13
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014・大竹太郎
○大竹委員 いまお答えがございましたので、それに関連してさらにお聞きしたいと思いますが、たとえば自動車のいわゆる酔っぱらい運転でありますが、この酔っぱらい運転の責任、もちろん運転する人間は、酒を飲めば事故を起こすかもしれないということをある意味において知っていながら酒を飲む。しかも事故を起こしてしまうというところに私は大きな責任があると思うのでありますが、そういう面から言いますと、酒を飲ませれば事故を起こすかもしれないということを認識していながら、運転者に酒をしい、あえて飲ませたというような者の責任を考えてみますと、私はほとんどこれは同罪として処罰してもいいんじゃないかというくらいに思うのでありますが、現行の規定を調べてみますと、どうもただ酒を飲んで運転したという道交法の適用しかないように思うのであります。そういたしますと、そういう面から見ますと、酔っぱらって運転をして事故を起こした人間の責任と、酒をあえて言えば無理に飲ませた人間の責任というものの差異というものは、あり過ぎるのじゃないか。私は、このぐらい交通事故が問題になってきた場合においては、無理に酒を飲ましたというような事案については、事故を起こした人間と同じ共犯の関係において処罰してもいい、そういうように法律を改正してもいいぐらいに思うのでありますが、それらの点についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/14
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015・川井英良
○川井政府委員 酒を飲んで車を運転するという、はなはだしく常識を逸した行動につきまして、被害者はもとよりのこと、国民全体といたしましても、割り切れないものを感ずるわけでございます。そこで酒を飲んで事故を起こした人自身につきましては、刑罰法令の分野におきましていろいろまた処置が容易にとれるわけでございますが、御指摘のような、車を運転することが十分わかっている状況にあって、あえてその運転者が酒を飲むということをとめなかったり、ないしはそれに酒を提供するというような行為が、結果において重大な事故を発生したというふうな場合が多いわけでございます。したがいまして、そういうふうな者に酒を提供するというふうな者について何らか的確な処置、できれば刑罰法令が及ぶような考え方はないのか、こういうふうな御質問の御趣旨のように拝聴したわけでございます。確かに、具体的な事情によりましては、その酒を提供したときの状況、並びにその酒を要求した者の日常の性質なり性格あるいは業務の状況というふうなものからいきまして、道交法に規定しております酒酔い運転についての責任を追及することは可能な場合があると思います。ただ、その場合に、その酒酔いの結果起こした過失事故につきまして、そこまで刑法上の責任を追及することができるかどうかという点につきましては——具体的なケースごとに私どもいろいろ研究を実は若干のものを持った経験があるわけでございますけれども、その点まで責任が追及できるかどうかという点につきましては、刑法の分野においてはなかなか困難なものがあるように思うわけでございまして、道交法についての刑事責任以外に刑罰法令でもってそこまで責任を追及するということが妥当かどうかという点につきましては、なお研究の余地があろうかと思っております。でき得れば、もっと別な国民的な大きな自覚とでも申しましょうか、そういうふうな面から、およそ車を運転する者については、酒食を提供するということが非常に重大な社会悪なんだというふうな本人の自覚なりというものが、自然そういうふうな行為をなくするというふうな形ができれば適当な方法ではなかろうかと思っております。
なお、過失犯につきまして共犯例というふうなものの考え方はどうだ、こういうふうな御質問の中に御趣旨も含まれていたように思うわけでございますが、御承知のように、刑法にいうところの共犯例は、やはりその犯罪の意思を共同にするということから出発しておりますので、過失犯は結局事前に刑法の要求するような意思がない場合に発生するということから考えまして、原則論といたしましては、過失罪について共犯例の適用を認めるということは、刑法の原則としては非常に困難なものがあるように思うわけでございます。ただ、過去の事例といたしまして、いろいろ特別法がございまして、メチルアルコールなんかが戦後非常に市場にはんらんいたしまして、そのために失明とか死亡するというような事故が発生いたしました際に、有毒物についての特別取り締まり令をつくりまして、その中に特別な一種の過失犯例的な類刑を設けまして、その際に出ました当時の裁判例の中には、あるいは過失犯に共犯例を認めるものではなかろうかと法学上考えられるようなものも、一、二過去にはあったわけでございますけれども、そうでない、一般の形の過失犯につきまして、刑法総則の認めております共犯例をそのものずばりで適用するということについては、なお問題点があるように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/15
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016・大竹太郎
○大竹委員 いまの学問上のいわゆる通説と申しますか、ということについては私も知らぬわけではないのでありますが、ただ何となしに考えられることは、たとえば運転者に酒を飲ませれば事故を起こすかもしれないということを知っていながらあえて酒を飲ませるというようなことだといたしますならば、ちょうど刑法でいわれる間接正犯のようなことに私はなるんじゃないかとさえ思うのであります。その過失の原因をつくったということからいたしますと、何といいますか、もちろん犯意——お互いに合意をしてやるという共犯関係はないにいたしましても、別な面から、私は起きたことについて責任を負わしてもいいんじゃないかというふうに考えられてならないのでありますが、その点についてはどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/16
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017・川井英良
○川井政府委員 ものごとを考える気持の面でたいへんよく御質問の趣旨が私理解できると思うわけでございますが、画一的に人の行為に適用がある刑法という非常にかたい法律の解釈といたしまして、御趣旨のように、刑法にはほかの法律とまた一風変わった一つの大きな原則、それは立法並びに解釈の原則でございますけれども、なるべく厳格に趣旨を解釈していくというふうなたてまえもございますので、そういうふうな観点から考えてみまして、これは一つの想定でございますけれども、二人なら二人でもって一緒に運転に従事する者が酒を飲んだ。その二人が一緒に一台の車に同乗いたしまして、そのうちの一人がまず運転をしてやっていた。それから途中で疲れたということで今度は別の一人がそれを運転して進んでいったというときに、二番目の者が運転しておったときにたまたま大きな事故を発生してしまったというふうな場合に、たまたま二番目の者だけに過失の責任があって、最初の一緒に酒を飲んで一緒に車を運転してどこかへ行こうということで乗っておったその同乗者については、全然過失の責任を認めることができないものかどうかというような例を一つ想定して考えてみますと、御質問の趣旨がよくわかるような気がするわけでございますが、その場合におきましても、厳格な解釈によりますと、やはり二番目の人だけに過失の責任があるわけでありまして、同乗しておった、最初に運転しておった人にまでその事故の過失の責任を問うことは、なかなか困難ではないかというふうに思うわけでございますが、酒を飲んでめいていして運転しておったということが、その事故の一番の主要な過失の原因となったものであるというふうな事実認定が証拠によって明確になり、先ほど申し上げましたような事情がまた証拠によって明らかになるということになりますと、その場合にもう一人の人の責任も追及することはできないだろうかというようなことにつきまして、私ども部内におきまして、この法案をここでお願いしたときからいろいろ研究中でございますけれども、まだそこまではっきり自信を持って積極説を打ち立てて、その場合に、もう一人の最初の運転者にも過失の責任を負わせることができるというところまで割り切るところまでまだ進んでいないわけでございますが、実はその辺のところのいろいろな具体的な事例も考えまして、いろいろな角度から最近新しい過失事犯についての刑法理論の新しい適用というふうな面から検討中でございますので、御了承を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/17
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018・大竹太郎
○大竹委員 大体わかりましたが、しかし、先ほどもちょっとお話がございましたように、最近はよほど運転している者には酒を飲ましてはいけない、飲ませないようにしようということで、そこらの飲み屋その他でもある程度気をつけているようでありますが、しかし、また一面からいうと、非常に不都合だと思うことは、最近新しい国道なんかができますと、ドライブインなんかが至るところに出ておりますが、おそらくどこのドライブインでも酒を売っていないドライブインは私はないと思うのでありまして、こういうような面から見ますと、ここに室長も見えておりますけれども、ああいうものは、せめて酒なんかを置かぬような監督指導というようなものはできないものでしょうか。また現にやっていらっしゃるのでしょうか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/18
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019・宮崎清文
○宮崎(清)政府委員 御指摘のように、最近非常にドライブインがふえまして、大体ドライブインは、御承知のように普通飲食店営業の許可を受けておりますので、ある程度の酒類の販売が可能でございます。したがって、これは法律的に見ますと、当然酒を売るということになるわけでございまして、そこにドライバーがそこで酒を飲んで酒気帯び運転をするということがあるわけでございます。ただ問題は、その場合にドライバーに対して酒を売ることを禁止することが可能かどうかということでありまして、これはなかなか慎重に検討しなければならぬと思いますが、行政指導といたしましては、なるべくドライバーには酒を飲ませるな、売るなというふうなことは、一応やっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/19
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020・大竹太郎
○大竹委員 次に、別なことでありますが、最近新聞を見ますと、この一年間ばかり実施しておられた、運転免許の試験を受けるときに精神異常者でないという医者の診断書をつけて出すという規則になっておったのを、この三月一日ですか、からおやめになるということが新聞に出ております。実はこの改正が国会にかかりました一番最初のときだったと思うのですが、私から御設問をいたしまして、運転免許を持っておる者の中で、相当精神的に欠陥のある人間が、それがわからずに免許をとり、そして運転をやっているうちに事故を起こすものが非常に多い。何とか免許をやる前に精神的な異常を検査するべきじゃないか、簡単にやる方法はないかということを御質問をいたしたと思っております。それでそのときには、何とか考えておりますというような御返事があって、こういうことに——あえて私の質問によってなったとは申しませんけれども、そういうようなことからいろいろお考えになって医者の診断書をつけるということもおやりになったかと思うのでありますが、しかしまたこれをお始めになったについて、また私は、たしかこの前の国会だと思うのでありますが、御質問をしたのでありますけれども、どうも医者その他の意見を聞いてみると、簡単に診断といいますか、見るだけじゃ、これはなかなかよくわからぬ。ことに免許を受ける人間が多いし、医者は少ない。たしか別に精神科のお医者さんでなくてもいいというような制度でもあったようでありますが、そういうようなことで、いろいろその診断書をもらった人間の話を聞きますと、ただ住所と名前と年を聞くだけで、どこもぐあい悪くないか、そうかというようなことでその診断書を出す程度のもので、あれじゃとてもわかるはずはないというような話も、実は聞いておったわけであります。はたせるかな、お医者さんのほうでも、どうもああいうようなことでは責任を持てない。また、行った人間の話を聞きますと、たしか五百円か六百円でその診断書を出す、そういうようなことでは、とても精神のほんとうの鑑定はできないということであります。そういうようなことで今度おやめになったと思うのでありますが、しかし私は、やはりとこまでも——現在の事故をいろいろ見ておりますと、事故を起こさぬやつは起こさないし、起こすやつは始終起こしているというような面から見まして、医学の上からいって精神異常者といえるかどうかは別といたしまして、何か精神的に欠陥のある人間じゃないかなというような気がしてならならいのでありまして、そういうようなものについては、やはり免許をやる前にできるだけひとつこれを鑑別する方法がないか、それに向かって努力していただきたいというふうにお願いをいたすわけでありますが、一年間やってみて、これじゃどうもうまくないということでおやめになったのだと思いますけれども、この一年間おやりになった実績がどうであったかということをお聞きいたしたいと思いますと同時に、これをおやめになって、それにかわるべき何かをお考えになっていらっしゃるかどうかということを、あわせてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/20
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021・西川芳雄
○西川説明員 ただいま御質問がございました点についてお答え申し上げます。まず第一に、実績でございますが、御承知のように、昨年四月一日から行ないましたが、昨年の九月三十日までの六カ月間の実績を調査してみましたところ、医者の診断によりまして、受験する際、あるいは三年に一ぺん更新があります際にやはり診断書を出すことになっておりますが、更新の際、これを合計いたしまして二十六名排除いたしております。これはお医者さんが受験者なりを見て、これは精神病であるということで精神病であるという診断書が出て、その診断書を申請のときにつけてまいったということで排除したものが二十一名おりますが、そのほかに、診断書は出ておりませんけれども、見たお医者さんが、この人間は精神病である、近く免許を受けに行く、あるいは更新に行くということで試験場に通報などがございまして、警察でもって見ておりましたら、確かに申請に参ったということから拒否をいたしましたのが三名おります。そのほかに、直接受験には参りませんでしたけれども、やはりお医者さんが見て精神病であるということを試験場に言ってきたので、待っておったが、やはり御本人が精神病であるといわれたのでは免許が取れないなということで断念したものが二名ございまして、合計二十六名が診断をしたお医者さんの力によって排除されているということでございます。
それから、同じく排除されたものではございますけれども、診断したお医者さん自体は、この人は異常がない、精神病ではないという診断書を出しておりまして、それがそのままであれば、当然ほかの試験に合格すれば免許が出るわけでございますけれども、たまたま、ほかのお医者さんであるとかその他の人から、あの人は試験を受けるらしい、免許を書きかえるらしいが、しかし精神病ですよと言ってきた。要するに、見たお医者さんは精神病でないという診断書を出したけれども、精神病院のお医者さんであるとかあるいは職場の上司であるとか、そういう人が、あの人は精神病ですよと言ってきたので、よく調べてみたら、なるほど精神病であったというような意味で排除したものが十九名ございます。これらを合計いたしますと、半年間の成績でございますけれども、一応四十五名という人間が排除されたという結果になっております。
ところが他面、この制度のやはり一つの問題点であると思いますけれども、四十二年の四月一日から十二月三十一日までのことでございますけれども、精神病者による交通事故が九十件ほど起きておりますが、その中で五件の事故は、診断書制度が施行されてから免許を取った人または更新の書きかえをした人による事故でございます。したがいまして、こういう人たちは、試験を受けるときあるいは書きかえるときには、当然お医者さんから精神病ではないという診断書が添付されておって、したがって、免許の書きかえなり免許を受けた、こういうものでございますが、しかし、四件はてんかん、一人はアルコール中毒ということで、具体的にどうも診断書では排除できなかったものが出てきておるわけでございます。ただいま申しました五件というのは事故が起こった場合でございますが、そのほかに、警察で交通違反で取り調べをしたとか、あるいは受験手続中にてんかんを起こして倒れたというような例などもございまして、昨年診断書制度施行後、六人の者が、精神病でないという診断書であったけれども、調べてみたら実際は精神病であるということがはっきりしたものが出てきております。そういう意味で、診断書制度添付以来、異常がないという診断書をもらっておるもののうちで実際には精神病であったというものが、事故で発見されたものが五件と、それ以外の事由で発見されたものが六件と、それから先ほど申し上げたようにほかの方々からの御連絡で発見したもの十九件、こういう実情が出てきておるわけでございます。
そこで私どもは、この制度については、もちろん一部の学者の方々の御反対とか、あるいは実際に診断を受けられた受験者の人たちから、先ほど先生の御指摘のような、あまりに簡単であるので、どうも何となく納得できないというお話もあったわけですが、実績を検討いたしました結果、もちろん先ほど来申し上げたような効果もございますけれども、しかしまた診断書が形式に流れておるという意味で欠点もある。この効果と欠点を比較考量したときに、欠点を補うに余りある効果があるというふうには判断もできないということから、年間約七百七十万人の人が四月一日以降現在まで診断書をもらっておる、もらわなければならないということを考えまして、この際、多くの受験者に経済的な負担あるいは時間をかけておるわけですが、そういうふうなことを考えた場合に、思い切ってこの制度は廃止しようということで廃止をしたということでございます。
そこで、次に御質問がございましたように、それでは今後どうするんだということでございますが、私どもも、精神病者が運転免許を持って車を運転するということを排除しなければならぬという重要性は、いまも変わりがないわけでございます。そこでやめるだけではございませんで、今後も大いにこういうことは努力しなければいけないと思いますが、まず第一に、新たに免許を取ろうとする人あるいは三年ごとに書きかえをする人について、しからばどういう手があるだろうかということでいろいろ検討もし、専門学者の御意見も聞いたんですが、結論的には、やはり大量な受験者あるいは書きかえの人たちを簡易に発見する方法は、現在学問的にもどうもむずかしい、ないということでございますし、私ども自体も、診断書以外に何かの方法がないかということでいろいろなことを検討いたしましたが、どうも的確なものがないので、的確な方法を将来発見するということでこの問題については努力をしていきたい。具体的には専門の学者の御協力を得ながら、一つはペーパーテストでもって精神病容疑者というものが抽出される方法があるかないか、そういうものをつくっていただけるように学者の御協力を仰ぎたいし、それからいま厚生省と科学警察研究所で共同研究をいたしておりますが、てんかんを簡易に発見する方法、これは少し研究が進んでおりますが、これをさらに研究をいたすことによって受験する場合などでてんかんを簡易に発見できるということにもなり得るかと思いますが、こういうような検査方法の研究開発に努力をしていかなければいけない、こういうふうにしたいと思っております。
それから第二に、現に免許を受けている者の中から精神病者等を発見する問題につきまして、私どもは今後積極的にこれを進めていきたい。特に先ほど先生から御指摘がございましたように、特異な事故を起こす者、それから事故をわりあい何回もするというような者、こういう者こそ私どもはしっかり見なければいけないという意味で、これらの人に対しまして、これもまた科学警察研究所で現在開発中でございますけれども、一定のチェックリストというものを用いまして、それによって特異な事故を起こした人とか、あるいは事故を何回も起こすような人間につきましては、特別によく観察をして、そしてこのチェックリストで採点をして、やはりたくさん該当する項目があるという者につきましては、現在の道交法に臨時に適性検査を行なうという根拠規定がございますので、これに基づきまして精神神経専門のお医者さんの診断を受けさせるように今後懸命の努力をしていきたい、これが第二の今後やるべき対策であるというふうに考えております。
さらに第三の問題といたしましては、これもまた先生の御指摘にございましたが、精神病の周辺といいますか、精神病とは病気でないという意味で少し違いますけれども、性格的に運転に不適格な者も、現におられるわけでございます。違反を何回も繰り返すという連中でございます。雑なことばで言えば、性質的に少しそそっかしい人間であるとか、あるいはどうも運動の正確性という点で粗雑であるとかいうふうな性格の人がおって、そういう人が違反なんかを何回もやるし、また事故も何回も起こすということが見られるわけでございます。そこで、こういう性格的に運転に不向きな者につきまして、私どもはそれをよく検査をして、そしてできるならばそういう人たちに対しまして免許から排除するということが一番いいと思うのでございますが、これにつきましては、率直に申し上げて、現在しからばどのような性格、素質というものが運転適性の点から一番いけないのかという点、またそういうある一定の素質がいけないとするならば、それをどういう検査で発見するかという問題について、これまた率直に申し上げまして、日本の現在の学問の現状では、これが結論である、これが権威のある方法であるというような点が、確立をしておらない現状でございます。私どもは、この機会にさらに日本心理学会あるいは日本応用心理学会、それから一部は日本精神神経学会にも関係がございますので、そこに早急にそういう問題についての諮問をいたしまして、これの検査方法の研究開発について御協力を得たいというふうに考えております。しかし、なおこの問題は国会でもたびたび御指導を得ておるように、私どもも、科学警察研究所を中心にいたしまして、この検査方法の開発に努力をいたしております。そして現在ペーパーテストで大体確率七〇%程度のものを研究の結果つくり上げておりますので、各県警察本部で違反を起こした者に対して指導、矯正するための講習を行なっておりますから、この機会に、そういう人たちにこれを使って、その結果出てくる、たとえば注意力が足りないとかあるいはそそっかしいとかいうことがあれば、それを御本人に申し上げて、自後慎重に運転するように自覚をしていただくという指導、助言、こういうものも実際やってきておりますが、これをさらに今後拡大をしていきたいということ。それからいまのはペーパーテストでございますけれども、そのほかに本人の性格なり運動力等を見る器械がございますので、こういう器械も各県整備をいたしておりますので、違反を起こした者の指導、矯正の機会にさらに積極的に活用して、結果を御本人に申し上げて、指導、助言をしていきたい。それから違反をしなくても、運転適性という問題でございますので、この機会にさらに運転手を雇用しておる雇用者に、警察にはこういう機械器具あるいはテストがあるので、これを大いに活用することによって運転者の事故を減らすことができるならばけっこうなことでございますので、警察に御相談をいただくという相談業務も、この機会にさらに活発にやりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/21
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022・大竹太郎
○大竹委員 詳細は御答弁があったのでございますが、いまのお話をお聞きいたしておりますと、とにかく数の上においても非常に多いというようなこと、また医者の数もそれに応ずるには非常に少ないというようなことで、免許をやる前に判別するということは、手数ばかりかかってそれほど効果はないというお話、したがって、運転免許を持っておる者に主力を置いてやりたいというようなお話でありますが、しかし、運転免許を持っておる者についてやるということは、結局事故を起こした者について詳細に検討するということになりがちでありまして、いつも申し上げますように事故を起こしてからでは私はおそいと思うので、やはり免許をやるときに判別すべきだと思うのでございます。ただ、私の気のついたことは、簡単な方法で、この人間は運転だけはやるべきじゃないというのならいいのですが、精神異常者だというようなレッテルを張ってしまうというのは、これはなかなか人権問題等もあって簡単にやるべきではないと思いますが、運転不適格だということで、怪しいものにはもうやらぬというくらいな気持ちでおやりになっても、こういうように交通事犯が問題になっているときとしては、しかも医者も少ないしなかなか金もかかるというようなことから見て、いわゆる精神異常者というよりも、運転不適格者ということで大ざっぱにでも事前におやりになって、ある程度そこで区分けをされるべきじゃないか、こう思うのでありまして、これらについてはさらに御研究をいただきたいと思います。もちろん現在運転者であり、しかも重大な事故を起こしたというような者については、特に巖重に鑑別をされ、こういう時代になっては、相当の事故を起こすような、精神病者といわれないにしても、精神的にどうも欠陥があるという者からは、免許証を取り上げるということでいいんじゃないかと私は思われるわけであります。学問的にそうはっきりされる必要はないんじゃないかというふうにも思われてならないのでありますが、それらについては、さらに御研究をいただきたいと思います。
次に、最近事故に対する被害者の損害賠償、慰謝料について非常に問題になっております。たとえば、最近の新聞には、損害賠償、慰謝料の金額は裁判所でも最近は非常に高く見積もられることになる一面、せっかく判決を得たけれども、加害者の会社が破産してしまう、また、加害者は無一文だというようなことで、せっかく判決までいただいたけれども、一文にもならないで弱っている。また一面、今度は加害者の側では、非常に高い損害賠償の負担をしなければならぬので、本人もそれを苦にして自殺してしまった。家族もそれに同情して自殺してしまったというような事案も、新聞に出ております。そういうようなことからいたしまして、何とかこれを国家的に、基金というようなものを設定して、そういう被害者、またはある意味においては加害者も救済する道がないかどうかということが問題になっておりますが、まず第一に、もちろん加害者がわかっている場合にはいいのでありますが、いわゆるひき逃げというようなことで加害者のわかっていない場合でも、いまの自賠法の規定からいいますと三百万円ですか、それについては賠償を受けられると思うのでありますが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/22
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023・宮崎清文
○宮崎(清)政府委員 ひき逃げ事件につきましては、御指摘のように自賠責の保障勘定から、死亡した事故でございますと、最高三百万まで支給されることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/23
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024・大竹太郎
○大竹委員 それから、たしかいまの制度では、いわゆるナンバープレートをつけて走っている自動車は全部いまの適用を受けると思うのでありますが、これをもぐって、この自賠法に入っていない自動車というものは、現状において人身事故その他を起こす可能性がありますか、ございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/24
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025・宮崎清文
○宮崎(清)政府委員 御指摘のナンバープレートを持っていない自動車は、登録をしないで事実上運行の用に供する自動車であると思われますが、この自動車は、もちろん台数から申しますと非常に少ないはずでございます。ただその事故率は、ちょっと私手元にデータを持っておりませんが、かりにこういうような自動車が事故を起こしました場合も、同様に保障事業のほうで手当てをいたすことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/25
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026・大竹太郎
○大竹委員 たしか私の知っている範囲では、自動車教習所の中で教習用に供している自動車はナンバープレートはないと思いますが、ああいう自動車がもし外へ出て事故を起こしたような場合には、いまおっしゃったように、やはりそれでも三百万円だけは被害者はもらわれるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/26
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027・宮崎清文
○宮崎(清)政府委員 保険にかかっていない自動車の事故につきましては、先ほど申し上げましたように自賠責の保障事業として給付をいたすことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/27
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028・大竹太郎
○大竹委員 そういたしますと、たとえば新聞で一千万円の判決をもらったけれども、加害者のほうが雲隠れしたとか、いや会社が破産したとかということで云々というのは、その三百万円はもらうけれども、それ以上の分についてもらえないということなのでありますか。その点はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/28
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029・宮崎清文
○宮崎(清)政府委員 原則といたしまして、裁判所で給付判決がありました額と、それから自賠責によって支給されます額の差額が取れなかったことと理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/29
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030・大竹太郎
○大竹委員 それで、先ほどもちょっと触れましたように、何とか国その他で考えられないかということで、最近各自治団体、たとえば市——私、いまここでちょっと持っておりますのは、埼玉県の川口市が四十一年から実施しているというのでありますが、これはもちろん市民の希望者でありましょうが、一人一日一円、年に三百六十五円かけると、それに入っている者は死んだ場合には五十万円、それから傷害の場合はその程度に応じて最高十万円の範囲で支払うという、共済制度とでもいいますか、そういうものをつくった。これは実は私はまだ調べてみませんが、私の郷里の近くの新井市というところでも、これに似たことを最近やったというようなことを地方紙で見ております。こういうことを見ますと、私はやはりこの保険のたてまえからいえば、市でやるよりも県でやり、そして国でこういうことをやれば、掛け金も安ければ、いわゆる保険金額も高くし得ると思うのでありますが、これらについてどうお考えになるか。何か外国ではすでにやっているところもあるというようなことも聞いておりますが、これらについてお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/30
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031・宮崎清文
○宮崎(清)政府委員 最初に、ただいま御指摘のございました市の共済の実態を簡単に申し上げます。
最初に始めましたのがいま御指摘の川口市でございまして、これはことしの一月一日現在でございますが、一応統計上は全国で百八の市がそういう制度を設けておるようでございますが、その後もだいぶふえておりまして、ごく最近におきます数は、後ほどまた調査いたしまして御報告申し上げます。
そこで、なぜそういう制度が起こったかということでございますが、御承知のように、現在の自賠責に基づきます強制保険の限度額は、昨年八月一日から死亡事故につきまして三百万まで上がったわけでございます。それ以前は五十万、百万、百五十万ということでございまして、損害賠償の額としては必ずしも十分でなかったわけでございます。その結果被害者の方が非常に困られるというようなことから、市におきましてそういう制度を設けたわけでございまして、御指摘のように、本筋から申しますと、強制保険の限度額がもっと上がり、かつすべての自動車の保有者、運転者が任意保険等に加入しておりますとそういうことは必要がないわけでございますが、現状におきましては、先生御指摘のように、まだ力が十分でございませんので、現在政府といたしましては、一方におきまして強制保険の限度額を今後段階的に上げることを検討いたしまするとともに、任意保険の普及を何とかもっとはかりまして、一応市町村等がそういう共済によらなくても被害者に十分な損害賠償が得られるような方向に持っていくべく努力いたしております。ただ、現実の問題といたしましては、まだそこまでいっておりませんので、こういう制度も被害者保護の点で十分意味があると思われますので、関係省庁ともいろいろ相談いたしまして、当面は市の共済制度につきましていろいろ指導してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/31
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032・大竹太郎
○大竹委員 自動車の所有者がみずから進んで損害保険にたくさん入ってくれれば一番いいわけでありますが、ただ、私ちょっと聞いたのでありますが、保険会社によりましては、百五十万といっていましたか、三百万といっていましたか、それ以上はどうも自動車保険はおっかないからかんべんしてくれとかいってなかなか——これは私は一つの保険会社であって、たとえば一つの保険会社がそういっても、幾つも保険会社はあるのですから、ほかには三百万入れるのだと思いますが、そういうような事実がございますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/32
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033・宮崎清文
○宮崎(清)政府委員 最近新聞等で若干、保険会社が任意保険の契約を渋ったとか、あるいは代理店のほうでこれを拒否したというような記事がございますので、ただいま実態を調査中でございます。的確な事実はまだ私のほうで必ずしもわかっておりませんものですから、そういうことがないように、今後関係省庁と連絡をとりまして指導いたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/33
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034・大竹太郎
○大竹委員 いままでは二百十一条のことでございましたが、最後に四十五条でありますが、この提案理由の説明書、これは何年も前のものだからこういうことになっておるのだと思いますけれども、ここに数字が出ておりまして、「昭和三十九年に全国第一審裁判所において罰金以下の刑の告知を受けた人員は、四百万人余にのぼるのであります。」云々と、こう書いてあります。これは提案理由の説明を特に変更される必要もないかと思いますけれども、これは昭和三十九年の資料でありますので、四百万人というのはその後もっと多くなっているのじゃないかと思いますから、この際、あれでしたら訂正をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/34
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035・川井英良
○川井政府委員 四十年度の統計が、四百五十万余りということに相なっております。四十三年でございますので、もう少し新しいものと思いましたが、司法統計は最近ようやく四十年度がまとまった段階でございますので、四十年度で御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/35
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036・大竹太郎
○大竹委員 きょうの質問はこの程度にいたしまして、資料その他をいただきましたので、これをまた見ました上で質問することもあるかと思いますが、その節はお許しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/36
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037・永田亮一
○永田委員長 濱野清吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/37
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038・濱野清吾
○濱野委員 ちょっと刑事局長に……。
われわれがちょうだいした刑法改正の法律案についての資料、これは事件の判決のあったものだけの資料統計だと思いますが、そこでひとつ、この中にあるかどうかわかりませんけれども、こういうことの資料をもしあればお示し願いたい。医者が誤診によって傷害致死を起こしたケース、これは最近どのくらいあるか。たとえば診断を誤って、適切な処置をとらずに、むしろ逆な処置をとった、このことによって健康に重大な障害が起きた、あるいはそれが死に至らしめるというようなことが、これは過去に何回か問題になったに違いないと思いますが、今度の刑法改正の面は、その点も当然に規律されるに違いない。そのケース、これは裁判によって判決がおりたものでなくてもいいので、警察、検察庁で問題になったのだけでもいいのです。それから薬剤師が調剤を誤って傷害を与え、死に至らしめた、これも世間ではないわけではない。この二つはこの刑法改正に当然関連があるはずですが、それがやがて審議中に問題になるかもしれません。ですから、それらの資料がありましたら、特別に提出してもらいたい。委員長、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/38
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039・川井英良
○川井政府委員 医者の関係と薬剤師の関係につきまして、最近五カ年間における中の分から二、三拾い出したものを、きょう配付いたしました「最近における人災事故事例」の三十九ページと四十ページに四例ほど、私のほうの手元で一応わかったものを収録いたしておきました。これは医者の事例は非常に少ないのでありますけれども、過去もう少し古い部分から現在調査中でございますので、薬剤師と両方に分けまして、もう少し過去にさかのぼりまして事例を収録して、資料として御提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/39
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040・濱野清吾
○濱野委員 この摘出した事例はわかりますけれども、これは相当数あるはずなんです。なお、こういう業務でありますから、これを法律的な問題にすることは、世間ではむしろ少ない状態にあるわけです。ですから、こういう法律改正などができ、そうした問題もどんどん表に出てくる——私の推測でありますが、お医者さんも過失傷害事件を起こすことが相当数あると思います。最近医学が発達したといわれておりますが、その反面、お医者さんの業務上の注意義務を怠ったことによる誤診、調剤、手術等も相当あると思います。もちろんそのような手術の是非論も世の中には多いはずでありますが、そのような過失傷害事件もこの改正によって相当影響があるし、いい結果が出るであろう、こういうことを期待しておる立場から、問題になった一、二の例ばかりでなしに、数字がありましたならば、資料をひとつ御提出願いたい。それだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/40
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041・永田亮一
○永田委員長 ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/41
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042・永田亮一
○永田委員長 それじゃ速記を始めてください。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/42
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043・永田亮一
○永田委員長 次に、裁判所の司法行政に関する件、法務行政及び検察行政に関する件、並びに国内治安及び人権擁護に関する件について調査を進めます。
この際、赤間法務大臣から法務行政等、当面する諸問題について説明を聴取いたします。赤間法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/43
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044・赤間文三
○赤間国務大臣 委員の皆さま方には、平素から法務行政の諸問題につきまして種々御尽力いただいておりますことに対しまして、この機会に厚く感謝を申し上げる次第でございます。
本日は、今年初めての法務委員会でありますので、法務大臣として私が日ごろ考えておりますことを申し上げたいと思います。
私は、法務大臣に就任して以来、一貫して法秩序の維持と国民の権利擁護のため努力をしてまいったのでございますが、今後もこの重要な責務の遂行に全力を傾けたい所存であります。このような見地から当面重要と考えております二、三の点について申し述べたいと思います。
第一は、治安対策についてであります。国内の治安情勢は、表面は一応平静に推移するかのようでありますが、その底流にはきわめて流動的なものがありまして、諸情勢の変化によっては、暴力行為あるいは社会秩序破壊行為に至るような事態が発生が予想せられますので、このような違法行為に対しましては、厳正な取り締まりをいたす考えであります。
第二は、綱紀の粛正についてであります。この点は、私が就任にあたりまして当委員会で申し述べたところでありますが、国政に携わる者の綱紀の弛緩は、国政に対する国民の信頼を失わせ、民主政治の基盤を危うくするものと考えます。私は、最近の情勢にかんがみ、このような立場から、公務員の汚職事犯につきましては、特に厳正な態度をもって臨みたいと考えておる次第でございます。
第三は、特に国民の権利の擁護に関係の深い事柄についてであります。その一は、国民の人権擁護についてであります。御承知のように法務省は、人権侵犯事件の調査、人権相談など国民の基本的人権擁護に関する諸事項を所管いたしておりますが、今年は、御承知のとおり国際人権年にもあたりますので、ますますこの方面の活動を充実してまいりたいと考えております。その二は民事行政事務についてであります。最近の経済規模の拡大等に基づき登記の需要が著しく増大している情勢にかんがみまして、国民の経済活動及び公共事業の促進に応ずることができるよう、登記行政に有効適切な施策を講じ、これを推進して国民の期待にこたえたいと考えます。
第四は、提出法案についてであります。前国会に引き続き、当委員会で御審議いただくこととなっております刑法の一部を改正する法律案につきましては、交通事情の現況にかんがみ、その成立が緊急に要望されているものと考えます。私といたしましては、ぜひとも今国会におきまして成立をはかりたい所存でございますので、どうか皆さま方にはひとつ何とぞ御協力をいただきまして、これが成立するように御尽力をお願い申し上げます。
そのほか、当省関係といたしまして、刑事補償法の一部を改正する法律案をはじめ合計七件の法案提出を予定いたしておりますが、皆さま方の慎重な御審議によりまして、すみやかに成立をはかりたい所存でございます。
なお、その他にも民法、商法、刑法などの所管の法律につきまして、当省内で改正の要否を検討いたしておりまして、これらについても成案を得次第御審議をわずらわしたいと存じておりますので、何ぶんともよろしくお願い申し上げる次第でございます。
最後に、法務行政全般の充実強化をはかるための予算につきましては、できる限りの措置を講じてまいりたいと考えておりますが、この点につきましてもよろしくお願い申し上げます。
以上、はなはだ簡単でございますが、私の所信の一端を申し述べました。委員の皆さま方の格別の御協力を重ねてお願い申し上げまして、私のごあいさつにかえる次第でございます。ありがとうございました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/44
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045・永田亮一
○永田委員長 次に、昭和四十三年度法務省関係予算及び裁判所関係予算の概要について、政府及び裁判所当局からそれぞれ説明を聞くことにいたします。辻経理部長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/45
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046・辻辰三郎
○辻政府委員 お手元にお配りいたしました「昭和四十三年度予算について」という冊子に基づきまして、説明させていただきます。
昭和四十三年度法務省所管予算の内容について、概要を御説明申し上げます。
昭和四十三年度の予定経費要求額は、七百三十四億二千二百三十一万六千円でありまして、これを前年度の補正後予算額六百九十億六千三百二十八万三千円に比較いたしますと、四十三億五千九百三万三千円の増額となっております。増減額分の内訳を大別いたしますと、人件費三十五億六千九百十六万六千円、一般事務費九億一千三百七十二万円が増額となっておりますが、営繕施設費につきましては、一億四千四百三十七万七千円の減額となっております。
まず、増員について申し上げますと、第一に、公判審理——これには公安労働事件の公判審理を含んでおりますが、公判審理の迅速適正化をはかるため、検事十人、検察事務官十人が増員となっております。東京ほか主要都市検察庁における公判立会体制を確立して、公判審理の迅速・適正化に資するためのものであります。
第二に、自動車等による業務上過失致死傷事件の増加に対処し、事件処理の円滑適正化をはかるため、副検事二十人が増員となっております。
第三に、犯罪により害をこうむった者等が直接検察官に対して行なう告訴・告発にかかる事案の処理の適正・迅速化をはかるため、検察事務官四十八人が増員となっております。この種事案の処理を迅速・適正化することにより、被害者の救済をはかるよう検察機能を充実しようとするものであります。
第四に、法務局において事務官二百人が増員となっております。登記事件は経済規模の拡大に伴い増加し、処理の能率化をもってしても、職員の事務負担量を著しく増大せしめておりますので、登記事務の迅速・適正化をはかる観点から行なわれたものであります。
第五に、刑務所において看守百人が増員となっております。これは、いわゆる暴力団関係収容者の増加に伴い、所内における衆情が凶悪粗暴化する傾向にありますので、保安警備の充実をはかり、あわせて適正な勤務体制の実現をはかろうとするものであります。
第六に、非行青少年対策を充実する観点から関係職員五十人が増員となっております。その内容は、一、少年院の教化活動の充実のため教官二十人、二、少年鑑別所観護活動の充実のため教官十人、三、保護観察所の観察機能の充実のため保護観察官二十人でありまして、犯罪を犯した青少年の健全な社会復帰を強力に推進しようとするためのものであります。
第七に、近時、国際交流の活発化に伴い増加しつつある出入国審査業務の適正、迅速化をはかるため、地方入国管理官署において、入国審査官二十七人、舟艇要員として入国警備官三人が増員となっております。なお港出張所五カ所の新設に伴い、入国審査官五人、入国警備官五人が増員となっておりますが、これは、大村入国者収容所における収容人員の減少に伴い職員十人が減員されましたので、これを組みかえ充当することとされております。
増員の内容は以上のとおりでありますが、御承知のとおり、本年七月一日より交通反則通告制度が実施され、区検察庁において取り扱う道路交通法違反事件数の減少が見込まれますので、これに伴い検察事務官七十八人が減員され、また、昭和四十二年十二月十五日閣議決定に基づく昭和四十三年度の計画定員縮減分として二百八十九人が減員されておりますので、所管全体といたしましては、差し引き百一人の定員増加となるわけであります。
次に、一般事務費について御説明申し上げますが、きびしい財政事情にかかわらず、旅費類五千百十一万五千円、庁費類三億三千百十二万九千円、収容者食糧費、弁償金等その他の類五億三千百四十七万六千円が増額となっております。
法務省におきましては、昭和四十三年度予算の主要事項を、治安対策の充実強化、非行青少年対策の充実強化、登記事務処理の適正化等法務行政の充実、施設の整備として取りまとめておりますので、これらの主要事項を中心に御説明申し上げたいと存じます。
第一の治安対策の充実強化につきましては、さきに申し上げました検事等百八十八人の増員及び関係職員の人件費を含めて八十九億三千六百十五万五千円を計上し、前年度に比して六億三千百七十五万四千円の増額となっております。これにより組織暴力、公安事犯、交通事件等に対処して適切な検察権を行使し、矯正施設被収容者の衆情の安定と健全な社会復帰をはかり、不法出入国者の取り締まり体制を充実し、破壊活動調査機能を充実して法秩序の確立に万全を期することといたしております。
その増額分について申し上げますと、まず、検察庁関係としては、一億八千七百九十万四千円が増額されておりますが、その中には直接検察活動に必要な検察費一千六百一万八千円、自動車等による業務上過失致死傷事件処理の適正をはかるための現場検証用器材等五百四十万三千円、並びにいわゆる告訴告発事件処理の適正をはかるための参考図書費四十五万六千円等が含まれております。
次に、矯正関係としては、一億七千五百六十四万九千円が増額されておりますが、その中にはいわゆる暴力団関係被収容者の分散拘禁旅費等百九十六万四千円等が含まれております。
次に、公安調査庁関係としては、二億七千二百九十四万二千円が増額となっておりますが、その中には調査活動費六千七百九十万円の増額が含まれております。
なお、入国管理関係としては、四百七十四万一千円が減額となっておりますが、これは入国者収容所等の収容人員一日平均八十人減、これは四百三十人から三百五十人への減でありますが、その減に伴い収容経費が減額となったためであります。
第二に、非行青少年対策の充実強化につきましては、さきに申し上げました少年院教官等五十人
の増員及び関係職員の人件費並びに収容総経費を含めて百七億二千九百二十二万円を計上し、前年度に比して五億九千六百一万六千円の増額となっております。これにより粗暴化、集団化している青少年犯罪に対処する検察体制の充実をはかり、少年院、少年鑑別所の機能を人的、物的に整備し、同時に青少年に対する保護観察機能を強化して罪を犯した者の更正と再犯の防止をはかることといたしております。
その増額分について申し上げますと、まず検察庁関係としては、一億四千百三十九万八千円が増額されておりますが、その中には、検察取り締まり経費(検察費)七百八十八万三千円等が含まれております。
次に、少年院関係としては、一億九千三百八十三万二千円が増額されておりますが、その中には、初等少年院収容教育未修了者の教育充実をはかるための指導謝金、教科書購入費百五万四千円、収容護送旅費、日用品、菜代、この菜代は、被収容者一人一日当たり一円九十三銭の増となっておりますが、菜代等収容経費三千百六十五万四千円等の増額分が含まれております。
次に、少年鑑別所関係としては、七千五百六十三万円が増額されておりますが、その中には護送旅費三百七十四万三千円、鑑別旅費六十六万六千円、日用品、菜代、この菜代は、被収容者一人一日当たり二円二銭の増となっておりまますが、菜代等収容経費九百七万円等が含まれております。
次に、保護関係としては、一億八千五百十五万六千円が増額されておりますが、その中には、保護観察の充実をはかるため稚内等五カ所に保護観察官を駐在させるための所要経費百十四万三千円、保護司活動の充実をはかるための新任保護司研修経費五百五十五万八千円、保護司実費弁償金及び更生保護会委託費の単価引き上げのための所要経費五千二百五十万三千円、この保護司実費弁償金の補導費一人一カ月当たり八百円ないし五百五十円を八百五十円ないし五百七十円に、更生保護会委託費の食事付宿泊費一人一日当たり二百五十六円六銭を二百八十九円三十五銭に、宿泊費八十七円五十四銭を九十八円九十二銭に、事務費百十六円九銭を百五十円にそれぞれ改定しております。保護観察を強化するための専門図書購入費、面接用備品等庁費四百六十八万六千円等が含まれております。
第三に、法務行政の充実につきましては、まず、登記事務処理の適正化でありますが、さきに申し上げました事務官二百人の増員及び関係職員の人件費を含めて七十七億八千二百九万五千円を計上し、六億八千九百八十二万円の増額となっております。これにより経済規模の拡大、公共事業の活発化等に伴う登記事件の増加に対処して、事務処理の適正、迅速化に一そうの改善をはかることといたしております。その増額のおもなものは、登記諸費、すなわち、法務局、地方法務局において登記、台帳等の事務を処理するために要する経費一億七百九十二万七千円、この内訳は、登記登録旅費六百三十六万円、庁費一億百五十六万七千円でございます。登記、台帳付属地図の整備経費千百七万円、事務処理能率化をはかるための超高速度複写機等庁費二百七万三千円、不動産登記薄粗悪用紙改製等に要する旅費・庁費(賃金等)として二百八十五万四千円、登記簿一元化・商業法人登記用紙改製に必要な庁費等八百六十四万七千円、不動産登記簿の表示をメートル法表示に書きかえるために必要な職員旅費四十九万七千円、庁費千五百五十九万三千円等であります。
次に、基本的人権擁護の伸長でありますが、千四百六十四万七千円の増額となっております。そのおもなものは、人権侵犯事件調査の強化をはかるための調査旅費等六十八万七千円、人権擁護委員実費弁償金年一人当たり平均三千八百円、これは約五・五%増に当たりますが、としての百八十一万五千円、貧困者の訴訟救助を充実するための法律扶助協会補助金五百万円等であります。
次に、刑務所等収容者処遇の改善でありますが、十五億三千五十二万六千円の増額となっております。そのおもなものは、刑務所作業賞与金の支給計算高を一〇%引き上げるための四千三百二十六万八千円、歯科医招聘謝金等二百三十五万円、被収容者に支給する日用品、医療薬、及び泊まり込み作業場生活備品、分類資材、寒冷地用採暖器具、浄化槽清掃料等の収容諸費、収容人員一日平均六万五千人としての千人減に伴う減額を含めまして、この収容諸費千七百九十五万九千円等であります。
なお、被収容者食糧費につきましては、昨年度の米価改定に伴う増額分と、菜代の単価引き上げに必要な経費として五千七百五十九万三千円、これは被収容者一人一日当たり一円五十銭ないし一円九十三銭の増でありますが、この五千七百五十九万三千円が増額となっております。
次に、出入国審査業務の充実でありますが、一億九千二百四十七万四千円の増額となっております。そのおもなものは、近時増加する出入国審査業務及び在留資格審査事務の適正充実をはかるため、港審査等旅費九十九万二千円、出入国審査費三百三万四千円等であります。また、港出張所を大阪府堺市堺港出張所等五カ所に新設し、迅速適正な処理をはかることとしております。
なお、外国人登録事務経費につきまして、昭和四十三年度は、外国人登録法に基づく在日外国人の登録証明書の大量切りかえを行なう年度に当たりますので、これに要する経費として職員旅費三十五万八千円、登録諸用紙印刷費等庁費三千万二千円、外国人登録事務委託費六千二万七千円合計九千三十八万七千円が新たに計上されております。
次に、その他の事項経費のうち増額となったおもなものについて申し上げますと、
一、本年六月ごろに実施を予定されております参議院議員の選挙に際し、適正な検察権を行使する必要がありますので、これに要する経費として旅費・庁費等八千七百八万九千円が計上されております。
二、刑務所作業費につきましては、原材料費が相当額増額されましたほか、金属・印刷等の作業を充実するための機械器具の更新費・作業付帯経費等合わせて一億六百三十八万五千円が増額となっております。
三、訟務費、訟務局、法務局、地方法務局において、国を当事者とする民事、行政事件等の訴訟事務を処理するために要する経費でありますが、この訟務費につきましては、諸謝金八十万円、訟務旅費二百十四万四千円、庁費類百七万二千円、保証金五百万円、計九百一万六千円が増額となっております。
以上が、一般事務費の増額となったおもなものであります。
第四の施設の整備につきましては、本年度は官庁施設費はこれを圧縮しようとする政府の方針が貫かれたのでありますが、当省関係施設の特殊性が特に考慮されました結果、前年に比し減額となりましたのは、検察庁、法務局等庁舎の新営費について五千三百主十三万六千円、刑務所少年院等収容施設の新営整備等施設費について五千五百六十三万八千円、不動産購入費につき二千万円にとどまったのであります。
なお、法務局出張所の整備につきましては、前年度同様三十七庁の新営が認められており、岡山、旭川刑務所特別取得費七億二千六百五十九万七千円が計上されております。
以上で、法務省所管歳出予算予定経費要求の概要について御説明いたしました。
終わりに、当省主管歳入予算について一言御説明いたします。
昭和四十三年度法務省主管歳入予算額は二百八十八億七千十四万二千円でありまして、前年度補正後予算額三百六十七億七千四百七十七万六千円に比較いたしますと、七十九億四百六十三万四千円の減額となっております。
これは、刑務作業収入等において、過去の実績等を基礎として二億五千七百十九万二千円の増額となっておりますが、他方、本年七月以降実施されます交通反則通告制度の施行に伴い、検察庁で取り扱う罰金及び科料が八十一億六千百八十二万六千円減額となることによるものであります。
以上をもって、法務省関係昭和四十三年度予算についての説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/46
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047・永田亮一
○永田委員長 岩野経理局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/47
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048・岩野徹
○岩野最高裁判所長官代理者 昭和四十三年度裁判所所管予定経費要求額について、説明申し上げます。
第一に、昭和四十三年度裁判所所管予定経費要求額の総額は、三百七十七億八千百九十五万四千円でありまして、これを前年度予算額三百六十億四千六百四十二万三千円に比較いたしますと、差し引き十七億三千五百五十三万一千円の増加になっております。
これは、人件費において十七億七千九百万円、その他司法行政事務を行なうために必要な旅費、庁費等において九千三十五万一千円が増加したのに対し、営繕費において一億三百二十三万八千円、裁判費において三千五十八万二千円が減少した結果であります。
第二は、昭和四十三年度予定経費要求額のうちおもな事項について説明申し上げます。
まず、裁判事務の迅速適正化に必要な経費、高等裁判所の事件を迅速に処理するため、判事九人、裁判所書記官九人の増員に要する人件費として二千二百五十九万九千円、借地借家非訟事件を適正に処理するため、判事三人、簡易裁判所判事二人、裁判所書記官六人の増員に要する人件費として一千九十四万八千円、交通事件を迅速適正に処理するため、簡易裁判所における交通事件、略式事件でありますが、の処理体制の強化に要する経費として簡易裁判所判事五人、裁判所書記官五人の増員に要する人件費七百三十九万八千円、裁判官、家庭裁判所調査官、調停委員の交通問題に関する研究に要する経費として四百五十七万三千円、家庭裁判所の調査機能を充実するため、家庭裁判所調査官二十人の増員に要する人件費として一千百六十四万二千円、合計五千七百十六万円が計上されました。
次に、強制執行の機構の確立に必要な経費であります。
執行官法の趣旨に即した強制執行の機構を確立するに必要な経費として、会計機構の充実に要する経費、裁判所事務官(歳入歳出外現金出納官吏補助職員)二十人の増員に要する人件費五百三十五万五千円、執行関係事務査察旅費二百四十三万二千円、帳簿、調書の作成等に要する経費二百一万六千円、執行官旅費三百九十万四千円合計一千三百七十万七千円が計上されました。次は、裁判運営の近代化および職場環境の整備充実に必要な経費として、下級裁判所裁判官研究庁費一億七千六十二万九千円、裁判資料の整備に要する経費一億一千二百九十三万六千円、裁判および司法行政の運営に必要な器具等の整備に要する経費七千三百四十三万三千円、庁舎の管理および維持等に必要な経費、庁舎管理等要員三十人の増員に要する人件費七百二十二万五千円庁舎維持経費七百九十六万三千円合計三億七千二百十八万六千円が計上されました。
次は、営繕に必要な経費であります。
最高裁判所庁舎新営に要する経費として、設計の公募に要する経費を含む営繕事務費七百七十一万八千円、敷地買収のための不動産購入費六億五千万円、下級裁判所庁舎新営、増築等に要する経費として、裁判所庁舎の継続工事十六庁舎、新規工事十五庁舎の新営工事費及び営繕事務費二十七億一千四百六十一万五千円、執務体制確立(宅調廃止)に伴う施設の整備等に要する経費五億三千五百十万八千円、合計三十九億七百四十四万一千円が計上されました。
次は、裁判に必要な経費であります。
国選弁護人の報酬、証人、調停委員等の日当、その他裁判に直接必要な旅費、庁費等として二十二億九千三百八十九万六千円が計上されました。なお、この経費には、国選弁護人の報酬を約七・九%増額するに必要な経費として二千七百三万二千円、国選弁護人等の日当の現行の単価七百円を八百円に、証人等の日当の現行の単価五百五十円を六百円にそれぞれ増額するに必要な経費として一千三百六万八千円、刑事補償金を約四〇%増額するに必要な経費として百七十七万六千円、計四千百八十七万六千円が含まれております。
なお、増員関係について補足いたしますと、交通事件の通告制度等の関係から、形式的には増員百九名となっておりますが、実質、裁判所の職員の純増分は二十五名になります。その結果、裁判官及び書記官等の二十五名の増員が、法改正をお願いする人数になるはずでございます。
なお、お手元に、裁判所所管使途別分類表、それから昭和四十三年度裁判所予算要求額内訳と裁判所の営繕に必要な経費要求額の一覧表を差し上げておきました。
以上でございます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/48
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049・永田亮一
○永田委員長 次に、今国会法務省関係の提出予定法案の概要について、説明を求めます。安原秘書課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/49
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050・安原美穂
○安原説明員 今国会提出予定法案について、概略を御説明申し上げます。
すでに、今朝来御審議をいただいております、継続案件として刑法の一部を改正する法律案のあることは御承知のとおりでありますが、そのほかに今国会に新たに提出する予定の法案は、お手元に差し上げております一覧表でごらんのとおり、七件でございまして、そのうち、米じるしのある二件が予算関係法案でございます。
順序に従いまして要旨を申し上げしますと、第一は、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案でございまして、これは裁判の適正迅速化ということをはかるための増員でございまして、判事につきましては十二人、裁判官以外のいわゆる書記官等の裁判所職員につきまして十三人の増員をしようとするものでありまして、本日あたり当委員会に付託になっているものと思います。
次は、法務省設置法の一部を改正する法律案でございまして、その第一点は、旭川刑務所が現在市街地にございまするが、施設が老朽化いたしましたので、これを建て直すにあたりまして、この際、旭川市の発展をはかるという点から、付近の上川郡東鷹栖村に旭川刑務所を建てかえて移転しようとするものであります。
その第二点は、最近の外国人の出入国の増加に伴いまして、入国管理事務所の出張所を全国で五カ所増設しようとするものでありまして、その場所は、愛知県西春日井郡豊山村にある名古屋空港、それから大阪の堺港、高知の高知港、広島の福山港、それから鳥取県の境港に、入国管理事務所の出張所を増設しようとするものであります。
第三点は、形式的な改正でございまして、愛知少年院が現在あります愛知県西加茂郡猿投町が豊田市になりましたため、その位置の表示を変えようとするものであります。
次は、訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案でございまして、現在、鑑定人につきましては、日当は七百円が最上限でございまするが、これを千円に、それから証人につきましては、その日当の上限が千円であるところを千二百円に、経済事情の変動に伴いまして増額しようとするものであります。
次は、旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律の一部を改正する法律案でございまして、これは御案内のとおり、一般の公務員の普通恩給が増額になりましたのにスライドいたしまして、旧執達吏規則に基づく執行吏の恩給の年額を同じくベースアップするという改正でございます。
その次は、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案でございまして、その内容は、現在、佐渡の相川にあります相川簡易裁判所が施設が古くなりましたので、建てかえをするにあたり、相川という場所が佐渡の西のほうに片寄っておりますので、交通の利便から、島の中心である佐和田に簡易裁判所の位置を変更しようとするものであります。
そのほかに、最近の市町村の廃置分合に伴いまして、この法律の別表の管轄区域の整備を行なう形式的な改正でございます。
次に、刑事補償法の一部を改正する法律案でございますが、これは御承知のとおり、未決の抑留、拘禁を受けた、あるいは裁判が確定して自由刑の執行を受けたという者について、後にそれが無罪ということがわかりました場合に、日額をきめまして損害の補償をするというのが、この法律の重要な内容をなしておるのでございますが、その日額が現在のところ、四百円から千円となっておりますのを、やはり経済事情の変動に伴いまして、六百円から千三百円に範囲を上げるというものであり、もう一つの改正点は、いままでその例はございませんけれども、死刑の執行を受けてしまったが、あとで無罪であることがわかったというような場合におきまして、損害の補償は、百万円の範囲で行なうのを原則とし、さらに、例外として、損害が百万円をこえる場合には、百万円をプラスいたしまして、合計二百万円の範囲で補償するということになっておりますのを、原則として三百万円の範囲で補償する。例外として、これをこえる損害がありました場合には、さらに三百万円をプラスして、合計六百万円の範囲で損害の補償をするというふうに金額を改正しようとするものであります。
最後は、公海に関する条約等の実施に伴う刑事特別法案でございまして、これは、一九六〇年の九月三十日に発効いたしました公海に関する条約にわが国が加入するに際しまして、関係国内立法として義務づけられております海底電線、パイプライン、海底高圧電線等に対する損壊行為に対する罰則を定めようとするものであります。
以上が、今国会の提出予定法案でございまして、最後に、法務省設置法の一部を改正する法律案でございますけれども、いわゆる一局削減等の本省機構の合理化、簡素化の関係で、官房長の設置等も含めましての法務省設置法の改正は、備考にも書いてございますように、行政機構の簡素化等のための総理府設置法等の一部を改正する法律案として各省の分と一緒にこの法律案の中に含まれていることを、念のために申し添えておきます。
以上で提出予定法案の概略を御説明いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/50
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051・永田亮一
○永田委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。
次回は、来たる二十九日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X00119680227/51
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