1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月九日(火曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 永田 亮一君
理事 大竹 太郎君 理事 田中伊三次君
理事 高橋 英吉君 理事 中垣 國男君
理事 濱野 清吾君 理事 猪俣 浩三君
理事 神近 市子君
鍛冶 良作君 瀬戸山三男君
千葉 三郎君 中馬 辰猪君
馬場 元治君 横山 利秋君
成田 知巳君 山田 太郎君
委員外の出席者
法務大臣官房司
法法制調査部長 川島 一郎君
最高裁判所事務
総局民事局長 菅野 啓蔵君
参 考 人
(執 行 官
日本執行官連盟
会長) 長田 公麿君
参 考 人
(執 行 官
日本執行官連盟
副会長) 平山宗一郎君
参 考 人
(執 行 官
日本執行官連盟
関東支部長) 関 信雄君
専 門 員 福山 忠義君
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四月九日
委員岡田春夫君辞任につき、その補欠として横
山利秋君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員横山利秋君辞任につき、その補欠として岡
田春夫君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関す
る法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八
六号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/0
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001・永田亮一
○永田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
本日、本案の審査のため、参考人として日本執行官連盟会長長田公麿君、日本執行官連盟副会長平山宗一郎君、日本執行官連盟関東支部長関信雄君の御出席をいただいております。
参考人各位には、御多忙中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。
これより本案について質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大竹太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/1
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002・大竹太郎
○大竹委員 お三人見えておられるようでありますが、主として会長さんにお尋ねを申し上げますので、何か会長さんのお答えで足らないところがあった場合には、ほかの方からお話を承りたいと思います。
まず第一にお尋ねを申し上げたいことは、日本執行官連盟というこの団体についてでありますが、構成員はどういう人たちであるか、またどういう目的を持っておるか、またこの目的達成のためにどういう事業を行なっておられるか、おそらく規約にそれぞれあるのだろうと思いますが、承知いたしておりませんので、規約に基づいてひとつ簡単にまずお聞きをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/2
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003・長田公麿
○長田参考人 お答えいたします。日本執行官連盟は、全国の執行官約三百五十名をもって昭和三十八年一月十五日に設立せられたものであります。その目的は執行官制度の改善、会員の品位、識見の向上と相互の親睦と福祉の増進をはかることを目的とする執行官の任意的団体であります。具体的活動といたしましては、毎年定時総会を東京に招集いたしまして、地方から代表者を呼びましていろいろの事案を協議いたしますとともに、各地に対して常に本部からいろいろの情報なり指示なりをいたしておる次第であります。
なお、まことにおそれ入りますが、この席を拝借いたしまして、最近起こりました東京地方裁判所執行官の不祥事件について、一言おわびを申し上げたいと存じますので、お許しを願いたいと思う次第であります。
最近、同職者の中から涜職という忌まわしい犯罪の嫌疑の逮捕者二名を出しまして、目下検察当局において取り調べ中で、いまだ犯罪の具体的内容は確知し得ないのではありまするが、右のような不祥事を惹起して社会一般の執行に対する疑惑と不信を招き、ひいては裁判所に対する信用を傷つけ、威信の失墜はなはだしき原因となることに思いをいたしまして、私ども職を奉ずるものとして、その責任の重大なることを感じ、衷心から、ざんきにたえない次第でございます。ことに、日本執行官連盟といたしましては、多年にわたる最大の関心事であった制度改革が、皆さま方の御努力により近代的な理想的制度への移行として、法律の改正により名も執行官と改められ、裁判所における正義実現の最終段階を担当する重要な官職であることが対世間的に明らかにされたそのやさきに、右のような不祥事件を起こしたことに対しまして、道義的責任の上に立って深くその責任の重大なるを感じ、まずもって謝罪すると同時に、連盟会長以下東京の役員一同連袂辞職を申し出た次第でございます。
今回の不祥事件を契機といたしまして、執行官一同互いに戒め合い、外部からの誘惑の手を差し伸べようにもそのすきがないよう、当局の監察、指示と相まって、一そうきびしい職場の空気を醸成し、職務の改善に努力を尽くす考えでございます。何とぞ御寛恕を賜わりますよう懇願いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/3
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004・大竹太郎
○大竹委員 いまのお答えについてさらに二、三お聞きしたいのでありますが、三百五十人の執行官が入っている任意の団体だ、こうおっしゃったようでありますが、もちろん執行官でおやめになる人もあるだろうし、新しくお入りになる方もあると思うのですが、任意とおっしゃっても、連盟には全執行官が、おやめになった方はもちろん脱退されるのでありましょうが、新たに執行官におなりになった方は当然連盟にお入りになるようなことになっているのですか。任意ですから、執行官になっても入らぬでいいということになっておるのですか。その辺どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/4
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005・長田公麿
○長田参考人 お答えいたします。任意的でございまして、新たに執行官になりましたお方にはこちらから勧誘いたしておりまして、大体は入っていただいておりまするが、どうかすると入らないでもよくはないかというようなお方もありまして、一、二名いま入っておらないお方があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/5
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006・大竹太郎
○大竹委員 次に、やっていらっしゃるいろいろの事業についてさっき具体的にお答えになったことは、年に一回の定時総会をやっておる云々、こういうお話でございましたが、そのほかは特に目立ったお仕事はやっていらっしゃらないのでありますか。そのほかのことをもう少し具体的におっしゃっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/6
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007・長田公麿
○長田参考人 規定からいきますと、定時総会というものは年一回でございますが、必要に応じまして随時理事会というものを招集いたしまして、各地からの理事を集めております。なお、支部におきましては、毎年支部総会を開いております。その支部総会にあたりましては、本部から役員がそちらへ出向きまして、いろいろと懇談いたしまして、事務の改善そのほかの仕事につきまして相談しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/7
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008・大竹太郎
○大竹委員 次に、きょうは関東支部長さんがお見えになっておるわけでございますが、全国で支部は幾つ、どことどこになっておるのか、その点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/8
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009・関信雄
○関参考人 お答えいたします。各高裁所在地に支部がありますので、したがって八つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/9
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010・大竹太郎
○大竹委員 それでは時間がございませんので簡単にお聞きしたいと思うのでありますが、先ほど会長さんのほうから、この間の東京地裁の管内で起こりました不祥事件についてお話がございましたが、御承知のように、先般の法律改正によりまして、いままで非常に問題になっておりました金銭の取り扱いその他については、役所のほうでこれを管理保管をするというような制度になったこと、また執達吏役場がいままでは裁判所の外にあったものを裁判所の構内に設置するとか、いろいろ監督の面も強化されたわけでありますが、それにもかかわらず、先ほどのお話のような不祥事件が起きたということ、こういうわけでありまして、あの法律の制定にあたりまして関与いたした一人といたしまして、非常に残念に思いますと同時に、もちろんあの制定のときにおきましても、まだこの法律が十分でないというような意見も多々あった点等から考えまして、今度の事件はもちろん捜査中でございますので、こまかい点はわからない点もあるわけでございますけれども、これらの不祥事件が起きた原因に――もちろんこれはいろいろあると思うわけでありますが、法律的に、執行官法をこういう点でもっと直していただきたい、こういうふうにしたならばこういう不祥事件は起こらぬのではないかという御意見その他がおありでありますならば、この際お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/10
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011・長田公麿
○長田参考人 ただいまの御質問にお答えいたしたいと思いますが、ただまことに申しわけないと申し上げるほかに道はございません。御承知のとおり、これは人の問題でありまして、いかにわれわれが自粛自戒しようと言いましても、外で起こる事案でございまして、もちろんわれわれ監督することはできませんし、今後はますますかようなことのないように自粛自戒していこうというよりほかにちょっと道はないかと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/11
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012・大竹太郎
○大竹委員 そうすると、いまのお答えだと、法律の欠陥その他ではなくて、一口に言えば、本人の良心にまつよりほかにない、そういうお答えだと思うのであります。しかし、もちろんこの連盟としてはいわゆる監督の権限がおありになるわけではないと思いますし、ことに現場における監督というようなものはおできにならないと思うのであります。また、この制度の上において、裁判所の監督その他、これは人員の問題その他でなかなかうまくいかない面もあるかとも思うのでありますが、現場における監督というようなもの、いままで裁判所あたりでほっておいたものをもう少し厳重にやれば、法規の上においてもそういう制度にしたならば、絶滅することはできないにしても、こういう案件をもっと少なくし得るのじゃないかという意見も、私どもの間に出ておるわけでありますが、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/12
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013・長田公麿
○長田参考人 先生のお話はまことにごもっともでありまして、われわれ一同今後十分研究いたしまして、先生の御趣旨に沿うようにいたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/13
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014・大竹太郎
○大竹委員 それで、いまほどは法規の問題でありますが、やはり連盟自体としても、自粛自戒、お互いに相戒めるということも私は非常に必要だと思うのでありまして、私はこの執行官連盟の内部のことは先ほどつまらぬことまでお聞きしたくらい何もわからぬのでありますが、たとえば弁護士会なんかでは、たしか綱紀委員というようなものをつくって、いろいろな問題を取り上げてこの委員会にかけて、懲罰に付するとかいうこともやっているのでありまして、やはり連盟としてそういうこともお考えになることが必要でないかと思うのでありますが、いまはそういう組織といいますか、そういうことはやっていらっしゃらぬのでありますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/14
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015・長田公麿
○長田参考人 ただいまの先生のお話のような委員会はまだわれわれ設けておりませんが、こういう事案がたび重なってきますると非常に遺憾でございますので、全国の連盟の理事を集めまして、早急に検討いたしまして、先生の御趣旨に沿いたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/15
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016・大竹太郎
○大竹委員 次に、同じようなことでありますが、この執行官法をつくったときに、綱紀の問題とあわせて、そう申しては非常に失礼でありますけれども、あの当時の執行官の方々は相当年配の方が非常に多いというようなことからいたしまして、仕事のほうも、何といいますか、経験とか悪くいえば惰性でやっているというような面もある。したがって、研修その他については、もちろん裁判所その他においても将来大いに考えていかなければ、執行官の素質というものがよくならないという問題も論議されたわけでありますが、綱紀の問題もさることながら、やはりあわせて研修とでも申しますか、そういう面については、連盟として何かお考えになっておりますか。また、現在やっておられますか。ひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/16
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017・長田公麿
○長田参考人 研修の問題につきましては、最高裁判所のほうでお手当ていただいておりまして、実際昨年は全国の執行官を三十名ほど集めまして研修をいたしたこともございますし、なお毎年一回あるいは二回くらい――二回のときもございましたが、二回くらい各高裁ブロックにおきまして事務協議会を開催いたしまして、その際、上司からの御訓示やあるいはそのほかの民事局あたりのお方からのいろいろの問題に対する回答というものを受けております。ただ、執行官連盟といたしましては、予算もありませんで、また研修するといたしましてもどういうようにしていいかわかりませんですが、結局いまは最高裁判所におまかせしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/17
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018・大竹太郎
○大竹委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/18
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019・永田亮一
○永田委員長 横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/19
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020・横山利秋
○横山委員 参考人の皆さんにまずもって申し上げておきたいと思うのでありますが、私ども与野党とも、理事会におきまして、今回の不祥事件についてはまことに遺憾の意を表示したわけであります。本委員会は、歴年この執行制度の問題を取り上げまして、御存じのとおり、あるときにはきわめて強硬な改善の附帯決議も付しましたし、また同時に、それが執行官制度の社会的地位を向上して皆さんの仕事がやりやすいようにと、私どもとしては少なくとも最善の努力をしてきたつもりでございます。それにもかかわりませず、ごく一部の者とはいえこのような不祥事件ができましたことは、私どものいわば善意から考えましても、まことに残念でしかたがないのであります。しかし、この一部の人のために大多数のまじめにやっておられる執行官の皆さんを誹謗する気持ちは、もちろんございません。しかし、天の声と申しますべきこの機会に、重ねてもう一度この問題を取り上げまして、今後かかることのないように最善を尽くさなければならぬし、皆さんもまたそういう責任があろう、こう考えておりますので、以下申し上げますことは、きわめて端的に、恐縮な質問でありますけれども、お答えを願いたいと思います。
先ほど予算が連盟は乏しいとおっしゃいました。あなた方が使用していらっしゃる諸君、従業員の労働組合の組合費は、大体どのくらいでございますか。あなた方が連盟に会費として納入されておる会費は、どのくらいでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/20
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021・長田公麿
○長田参考人 まことにおそれ入りますが、連盟の事務は副会長がほとんど専心でやっておりますので、平山副会長からお答えしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/21
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022・平山宗一郎
○平山参考人 お答えいたします。連盟会費でございますが、設立当時は連盟の会費が、本部の会費と、それから先ほど関参考人から申し上げましたように各高裁ブロックごとに支部を置いて、それから各地裁の管内ごとに分会を置いております、それで会員は分会費と支部の会費と本部の会費と三色を納められておりますが、そのうち本部関係だけ申し上げます。各支部のことは、模様を聞きますと、各支部によってたいへん違うようでございまして、月額四、五百円ぐらいから千円ぐらいまでのようでございます。本部の会費としましては、最初設立当時にはたしてこれが結成できるかどうかということを非常に危ぶみました関係もありまして、月額にしまして三百円ということにきめまして、設立以来そのままになっておりまして、もちろんそれでは不足でございますので、やはり東京あたりで実際に、補助というと変でございますけれども、支出を負担をいたしましていままでやってまいりました。しかし、それではとうてい最近まかない切れませんので、せんだって各支部長の会議で増額を、倍額ないし三倍額という案を立てまして、いずれこれは総会を開いた上でないときまりませんが、大体そのくらいの腹づもりで進んでおります。
それから東京執行官連盟の従業員の労働組合の会費でございますが、これは月額五百円ぐらいのことを聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/22
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023・横山利秋
○横山委員 私の承知しておる限りでは、皆さんが使っておる諸君の労働組合の組合費よりも、連盟の会費のほうが安いのではないかという感じを受けているのであります。私の御質問いたします趣旨は、根本的には執行官連盟というものが、法案の改正によって社会的地位を持ち、切磋琢磨して、監督官庁のあまりきつい監督なくして自律ができる、そして社会的品位をみずから助けていくということを私どもは期待しておるのであります。その期待にまだ沿っていないのではないか。まだまだ従業員よりも皆さんのほうが収入は多いはずでありますから、その意味ではひとつ社会的要請にこたえまして、まずみずから予算制度を確立される必要があろう、こういう意味合いでお伺いをしたのであります。同時に、しかしそれは最高裁にもお伺いしたい点であります。聞くところによりますと、研修制度は一回ですか、おやりになったそうであります。前の質問と矛盾はいたしますけれども、少なくとも執行官制度は同時に監督官庁の権限を強めたということが言えると思うのであります。それにもかかわりませず、一体その指導監督の面における予算というものは、どのくらい増加しておるか、何を実際したのか、その点を伺いたいと思います。主として研修制度について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/23
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024・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 主として研修制度につきましてお答えをいたしますが、お説のとおり、執行官法施行後に初めて正規の中央研修をいたしたわけであります。引き続きまして本年度もその研修をやる予定でおります。予定と申しますのは、ただいま御審議中の予算がほんとうにいただけますれば、本年度にもその中央研修が可能になるわけであります。その規模は、新任の執行官を対象といたしまして、書記官研修所におきまして約十日にわたりまして研修を行なうつもりでございます。そのほか、先ほど長田執行官からお話がございましたように、各高裁ブロックごとにおきまして執行官の事務協議会を開きまして、いろいろ事務処理上のことのみならず、執行官としての心がけその他につきましての協議会を開催しておるわけでございます。なおその際、執行官監督者の協議会もあわせて行なっておりまして、さようなことになりましたのは、執行官法施行後その体制が強化されたということを申し上げることができると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/24
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025・横山利秋
○横山委員 第二番目の御質問は、関東支部長の関さんにお伺いしたいのですが、私ども先般審議をいたしました際に、執行官の執務の円滑化という意味におきまして、執行官代理も危害を受ける場合があるからということで問題を提起したわけですが、その後、私の承知しておりますのは、日中善隣会館ですか、あの騒動がございまして、おそらくどなたかここへおいでになったと思います。天下を騒がした大騒動でありますが、執行官の執務につきまして危険を感ずるような場合、あるいはそれで被害を受けた場合には、先般の政府の答弁におきましては、塩野さんが、国家公務員災害補償法の準用ということが考えられる、積極的に検討を進めたいということを言うておられるのでありますが、その後どうなりましたか。危害を加えられる、あるいは危険な場合の実態の例、並びにそれに伴っていまどういう改善がされたかという点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/25
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026・関信雄
○関参考人 お尋ねでございますが、このほうは平山執行官がやっておりますので、かわってお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/26
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027・平山宗一郎
○平山参考人 平山からお答え申し上げますが、事実上の危害の実例、危害と申しますよりも、あるいは労働法でいっております業務上の負傷、疾病、そういうものもございますが、御承知のとおり、私どもで雇っております職務代行者、もとのいわゆる執行吏代理、それから事務員、これらの者で労働三法による労働組合を結成いたしておりまして、使用者でございます執行官との間に労働協約を締結してございます。それらの従業員に対する危害あるいは職務上の負傷、疾病、そういうものにつきましては、労働三法によりますほかに、協約で特に定めまして、かつて、これは危害ではございませんで、外に出て交通事故で仕事中に死亡した者がございますが、そういう者に対しましては、規定によります死亡の遺族補償でありますとかしまして、さらに規定にはございませんけれども、当時執行吏役場と申しておりましたが、役場葬というようなことで一切のお世話をした、こういうことがございます。それからわれわれ執行官側でございますが、執行官に対しまするいわゆる災害の補償、これは一般公務員に準じた災害補償法の適用がある、こういうように解釈されてございます。実例といたしましては、もう数年前でございますが、ある執行官が、最初に当たりました執行事件が多少複雑性がありまして、あるいはその事件が終わって次の事件までにいく間何か悩んでおったような感じがあるのでありますが、その間に踏切に差しかかって、しかも信号機のある踏切で電車にひかれてなくなった、こういう者がございまして、これに対しまして、これは職務上の死亡、こう認定されまして、その補償金は約三十数万をいただいた……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/27
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028・横山利秋
○横山委員 だれが出したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/28
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029・平山宗一郎
○平山参考人 これは政府のほうからいただきました。それだけで、そのほかには何もございません。実例を一応申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/29
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030・横山利秋
○横山委員 菅野さんにお伺いしたいのですが、執行官及び代理並びに職員が、業務上の執行の過程でそういう危害を受けた、身体を損傷したという場合には、どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/30
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031・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 執行官につきましては国家公務員災害補償法の適用があるということになりますので、その法律による補償が受けられるわけであります。代理は執行官が雇用しておる、雇用関係に基づいて使っておる人でありますので、これは遺憾ながら国家公務員というわけにはまいらない。したがいまして、ただいま申し上げました災害補償法の適用はない。事務員も同じ関係でございます。こういう制度があるということがおかしいではないかということで、執行官法によりまして廃止になった。ただ暫定的に、新しい任用はしないけれども、現在おるいわゆる昔の執行代理、ただいまの臨時職務代行者というものが、百九十二名ほど全国に残っているわけでございます。事務員もまだ残っておるのでございます。ただ、この人に対する国家の災害補償法の適用がございませんので、普通の雇用関係におけるいろいろの労働法規等の適用で現在はまかなわれておる。その点は不十分であるという御指摘になりますれば、そういう状況にあるということは申し上げなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/31
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032・横山利秋
○横山委員 国家権力の発動として、国家が執行宮にそれを命令し、そうして執行官が業務多忙のために代理にその執行を委任する、代理はその意味において国家権力を忠実に実行する、実行する過程においてそういう危害を受けたということであるならば、私は少なくとも代理を含む執行の責任に当たる者に対しては、何らかの補償を国家がさるべきが当然ではないか。法以前に、常識的に私は考えられることではないかと思うわけです。この点は検討をぜひお願いをいたしたいと思う。
その次には、附帯決議で、今回のような汚職が発生をする要素になっておるものに環境の問題があるということは、つとに指摘を何回もしてきたところであります。さかのぼれば三十九年の六月の国会、四十年の三月の国会、四十一年の六月の国会、ともども環境整備について指摘をしてまいりました。要するに、私は、実はきのうちょっと時間がありましたので、名古屋の執行官事務所をつぶさに見てまいりました。たいへん名古屋においては改善されておると私は思っておる。立ち会い人だとかあるいは暴力団とかの介在をする余地をなからしめる雰囲気をつくることが、どうしても必要だと思うのであります。その点について、全国的に環境整備はどのくらい進んだのでありましょうか。国会の決議はどの程度実行されたのでありましょうか、最高裁に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/32
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033・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、環境の整備ということは執行官制度の改善のために非常に必要な点であるというふうに考えておりまして、執行官法施行以来、その点につきましてどの程度のことができたかということにつきまして御報告いたしますと、執行官室の増築または改築いたしましたものが、函館地裁ほか十五庁ほどございます。それから名古屋のように非常に環境が悪かった部屋を他の部屋に振りかえて、多少いい部屋のほうに移したというふうなところが、福井地裁ほか十四庁ほどございます。それから幸いに新庁舎ができるという機会に執行官室を整備いたしたものが、水戸地裁ほか十一庁ほどございます。その他専属の競売場を設けたものも、全国で若干ございます。そのほか、小さいことではございますが、本年度の予算がもし認められることになりますと、全国の裁判所の執行官室に記録保管用の金属製のロッカーというようなものも整備いたしまして、漸次執行官の執務環境の改善をはかってまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/33
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034・横山利秋
○横山委員 何としてもこの環境整備が私は大事なことだと思うのです。居は気を移すといいますけれども、先般法務委員がそろって東京の執行官の詰め所を拝見をいたしました。まるっきりビルの中の谷間にバラックが存在しておる。ああいう環境のもとでは、不正が行なわれやすい、不正の温床になる。名古屋のように、地下室で全くまっ暗なところでやっておるのと、整然とした事務所でやっておるのとでは、人間の感覚が違ってくると私は思うのです。だから、環境の整備には思い切った手段を使うことがぜひ必要である、これはとくと注意を喚起しておきたいと思うのであります。
その次に、長田さんにお伺いしたいのでありますが、申すまでもなく、ここは国会であります。先ほどきわめて重要な発言をされました。何か先ほどのお話では、今回の責任をとって辞意を表明しておるというようなお話であります。私は執行官連盟の内部組織は知りませんけれども、責任をお感じになるのはいいにいたしましても、全国の執行官の皆さんがどういうふうにお考えになっておるのか、あるいは一体この事態をどう改善するのかという前提が、まず必要なのではないか。自分の同僚が悪いことをしたから連盟会長をやめるというのは、いささか良心が先行したか知りませんけれども、やや順序が逆ではないかと思うのであります。私は、この見解に対して御回答を得ようとは思いません。と言いますのは、ここは国会でございますし、おやめになるかどうかは連盟自体の問題でございますから、ここで議事録に何回もお残しになることはよくないことだと思います。だから、私の忠言として、なすべきことが別にあろうという忠言をひとつ頭に置いていただきたい。
そこで私の質問は、今回の事例にかんがみまして、執行官連盟として今後かかることのないようにするにはどうしたらいいのかという前向きの御感想なり、あるいは政府並びに国会に対してこうしてもらいたいということがおありになりましたら、どうぞ率直にこの際言うていただきたいのであります。これは長田さんばかりでなく、平山さん、関さんにもそういう御意見がございましたら、率直に一ぺん言うていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/34
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035・長田公麿
○長田参考人 ただいまの横山先生のお説はまことにありがたい次第でありまして、今後の処置につきましては、同僚と十分検討いたしてきめたいと思っております。
なお、最高裁判所その他に対する希望とかというものは、平山、関両者とも協議しておりませんが、至急どういうことを進言すべきか、協議の上でお答えしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/35
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036・平山宗一郎
○平山参考人 ただいまの長田会長が連盟に対して辞意を申し出たということについてでございますが、私も副会長で同じような立場にございます。実際に連盟のことについて多少力を入れてまいったのですが、その連盟の本部は東京にある。そうして、私各地の支部の総会に臨みまして、常にこの自粛のことについては強調してまいったのでございますが、そういう関係の中から、このひざ元から今度のような不祥事件を出した。まことに申しわけないという気持ちからでございまして、もちろんやめてしまえばあとはどうでもよろしい、こういう考えは毛頭ございません。それで一応申し出ましたけれども、さらに連盟のある首脳の方に寄っていただいて、善後措置についてこれから今週の終わり時分に十分協議をいたしたい、こういうふうに考えておりまして、これを機会にして連盟から離れてしまう、そういうような気持ちはございません。ただ、こういうことを動機といたしまして、さらに一そう全会員の自粛をはかるためには、具体的にどうすればよいかということを近いうちにさらに練り直してみる、こういう考えでございます。
それから連盟として政府ないし国会に対して注文はないかという、非常にありがたいおことばでございます。感謝にたえない次第でございますが、御承知のように、執行官は、東京などは相当人数がおりますけれども、多くのところは一名ないし二名、しかもその事件は外へ行って扱わなくてはならないというようなことから、時間の余裕がございません。たとえば連盟の会議を開きますについても、本来の職務を放てきしてその会議のほうに力を入れるということもできません。そういう制約がありますので、実はおもな運営について具体的なこともできない。事務の改善あるいは検討にいたしましても、あの研修のほかに書面によって各地からも問い合わせが参ります。この事務の研究は、お互いの往復によって相当やっております。その程度で、要は人数が少ないために連絡の方法に困っておる。これはお願いいたしましてもなかなかむずかしい問題だと思いますので、これらについて何かまた多少の余裕でもできる方法がありましたならば、さらに落ちついて仕事ができるのではないか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/36
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037・関信雄
○関参考人 私からも、一応今度の不祥事件につきまして、連盟の本来の目的に反した、しかも地元からそういう不祥事件が発生したということにつきまして、道義的な責任を感じておる、役職員といたしまして名分を立てるという意味で辞職を申し出た、かような次第でございます。もちろん本来の連盟の趣旨、目的であるところの品位、識見の向上ということについては、さらに一そうきびしくこれをやっていかなければならぬという自覚を持っておる次第でございます。したがって、この際執行官一同、現制度下においては、精神的な戒めと自覚、認識ということがさらに大事であるということでございまして、まずもって私たちはお互いにこの事件を契機といたしまして、外部からの誘惑の手を差し伸べることができないように、そのすきのないように、大いに当局の監察と相まって、一そうきびしい職場の空気を醸成する覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/37
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038・横山利秋
○横山委員 ちょっとほかのことで伺いますが、長田さんは、今回この委員会へ出ております法案について、最高裁ないしは法務省から御説明を受けられたのですか。御連絡を事前にされておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/38
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039・長田公麿
○長田参考人 ただいまの今回の法案は、国会から参考人として出頭せよという御通知がございまして、その翌日御書面をいただきました。その御書面の中に今度の法案がありまして、初めてそのときに承知した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/39
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040・横山利秋
○横山委員 最高裁並びに法務省に注文があるのですが、私はあまり触れたくないと思ったのですけれども、お三人がそういうことをおっしゃる。うっかりすると連盟が崩壊するおそれがある。私が承知している限りにおきましても、好きこのんで役員をやり、そしてむずかしい国会へ出てきていろいろ叱責を受けるということを好んでやる人はない。しかも、年配の方が非常に全国的に多いのであります。そういうような状況であれば、最高裁としても、もっと連盟が自主的に切磋琢磨し得るような環境づくりをしてやらなければいかぬのではないか、私はいまふっと思って聞いたのでありますが、一つの連盟に関する法案をつくるときに、どうして一体あなた方は連盟に相談をしてやらないのか。この法案それ自身は、別に重要な法案ではないのです。それは私もわかっている。わかっていますけれども、こういうところに最高裁の連盟に対する接触の度合い、育成強化の気持ち、そういうものが足らないのではないか。これは行き違いがあったかもしれませんよ。あったかもしれませんけれども、一例にしかすぎませんけれども、もう少し最高裁として監督指導と同時に、連盟が健全に発展するような、予算的なりあるいは接触なり、そういうことを考えなければだめではないかと考えるのでありますが、いかがなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/40
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041・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 法律制定のことは直接には法務省の御担当であろうと思いますけれども、したがいまして、今回の旧執達吏の恩給法の改正につきまして、どういう手続でやるかということにつきましては、主として法務省の御担当のことであろうと思いますが、考えますのに、今度の執行官の恩給に関することは、内容的に御承知のとおり一般の公務員のベースアップに合わせるという法案でございますので、特に執行官の意見を聞くという必要性を認められなかったのではないかというふうに思うのでございますが、先般の執行官法の改正というときには、これは制度の改正でございまして、執行官の地位、身分等にも影響してくる事柄でございますので、私どもこの制定を法務省にお願いするにつきまして、もちろん執行官の意見を聞き、そうして裁判所としての意見を法務省のほうに伝えているのでございます。どういう段階でどういう形でということは、法律をつくる手続の上でいろいろの問題があるわけでございます。しかし、執行官法制定の際には、事柄が重要でございましたので、執行官の意見は聞いているわけでございます。
私ども執行官連盟というものをどういうふうに見ているかという点につきまして、これは先生の御意見に反するかもしれませんけれども、率直に私どもが執行官連盟というものをどういうふうに見ているかということにつきまして、御答弁を申し上げたいと思います。執行官連盟は、長田会長からお話がありましたように、いわゆる任意団体、しかも法人格というものを持っていない。任意団体という意味は、先ほども長田会長からお話がありましたように、必ずしも全員をという趣旨で設立されたものでないという意味の任意という意味もありましょうが、もう一つの意味は、法律に基づいてと申しますか、法規の基礎があってできた団体というわけではなくて、いわば連盟の目的にも書いてございますように、親睦団体、それでその間においていろいろ制度等のことにつきましても話し合って、それを裁判所に進言してくれる、私どもに進言してくれる。その意見の中には、私どもも耳を傾けて大いに参考にするものもあるわけでございます。しかし、それはいわば法律的、制度的なものではない。それで、これを育てていくかどうかということになりますと、実は一つのそういう執行官制度としてのあり方もあろうかと思います。これの一番進んでいるのは、むしろフランスではないかと思うのであります。これは執行官連盟といいますか、執行官の組合というものが相当の実力を持っておりまして、そこがすべての執行についてのむしろ責任を持っている。それはそれでけっこうな制度であろうと思います。しかしながら、この執行官法のねらいは、むしろ従来の執行吏役場という制度をやめて裁判所の中に取り入れるということにしたわけでございまして、実は横山委員がおっしゃっているような趣旨から申しますれば、そういう点では違った方向に歩んでおるということは申し上げられるのではないかと思います。これはやはり国によりましてその事情がございます。フランスあたりでは、非常に執行官の数も多いわけで、それを育て得る社会的基盤がある、経済的な基盤があるというふうに見ておる。したがいまして、その組合というものも、相当の経済的な基礎も持っておって、それが実質的に執行制度というものを運用しておる。もちろん手数料制で、事務員等も相当に雇っているという方向に進んでおる。それも一つの行き方であろうと思いますが、現在の日本は、官法を境といたしまして、それとむしろ逆の方向に進んでいるということが申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/41
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042・横山利秋
○横山委員 あなたの意見はわかりました。しかし、そうであるとするならば、そういう方向であるとするならば、今回の責任は、執行官連盟の皆さんが良心的に責任をとってわしはやめるということは、何の意味もないわけで、むしろあなたが責任をとってやめるのだということのほうが、筋が通る。
〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
それからもう一つは、そういうことを私どももかって国会で主張した。主張したけれども、さて、それなら完全に国家公務員にみんなしてしまうかという点については、あなたのほうが絶対に踏み切られない。常に毎年毎年この問題は暫定措置として、根本的解決にはもう少し研究さしてくれ、もう少し研究さしてくれというままに、じんぜん目をむなしゅうしておるというのが実情なんです。だから、そういうことならそういうことのように、あなたのほうも百尺竿頭一歩を進めて、執行官制度を国家公務員に全面的に組み入れてしまう、みんな給料取りにしてしまう、国家機構のもとに全部組み入れるという方向でものを言い、それに対して責任をとってもらわなければ困る。もう一つは、かりにそうだとしても、行政運用上、現在ある執行官連盟に対して、もうそのものは何も意味がないから、もう何もいろいろ接触する必要もないし、育成強化する必要もないということは、決して順当な行政運営のやり方ではないと思う。あなたもそうは思っていらっしゃらないと思いますけれども、いま中間的な状況にあって、現に執行官連盟が存在し、任意団体であろうと何であろうと、この組織というものが、執行官制度に対して有効な役割りができる。それによって何らの弊害はない。むしろ、それを健全に育てることによって有効な役割りができるということを、あなたは考えなければうそですよ。しまいのほうであなたの意図は少しわかったのですが、初めのほうの発言は、きわめて冷淡に聞こえまして、非常に残念でした。最後のあなたの発言である、国家制度に全部組み入れるというのであるならば、もっとテンポを早くしてもらわなければ困る。そういう点を、私は皮肉を含めて政府側に忠言したい。
同僚諸君の質問もございますので、私はこれで終わりたいと思いますけれども、重ねて各位に申し上げておきたいと思います。積年執行官制度については委員会で討議をしておるにかかわらず、このような事態はまことに遺憾であります。遺憾であるからこそ、政府側も、執行官連盟側も、十分この際折り目をつけていただきたい。私は、決して全般の人がそうだとは言わない。言わないけれども、これだけわれわれが努力しているにもかかわらず、法律を改正したにかかわらず、この法律改正の前後を通じて一部の非行があったということは、まことに遺憾きわまることであります。ですから、この機会に、連盟側も、最高裁、法務省側も、根本的な問題はもちろんでありますが、当面ちょっとしたことであっても、十分折り目をつけてもらいたい。そういうことを強く要望いたしまして、私の質問を終わりにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/42
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043・猪俣浩三
○猪俣委員 関連して一言。いま、同僚の質問で明らかになりましたが、執達吏制度当時は非常に弊害があった。そういうことで執行官制度になったと思うのですが、だから、われわれも、執行官というものは純然たる国家公務員にすべきであるという意見を持っているのです。これは、判決が幾ら出ましても、実際に実行をするのは執行官なんでありますから、これはたいへんな役目だと思うのです。ただし、それが請負制度みたいになっているというところに、いままで非常に弊害があったわけです。
そこでお尋ねいたしたいことは、この執行官に対して、最高裁はどういうふうな実際の監督行政をやっておられるのであるか、法務省関係はどうなっておるのであるか。執行官の地位が非常に不明確であるために、監督行政がはっきりしておらない。そこで、監督行政の第一次の監督者は一体だれであって、最高の監督者はだれなのか。実際どういうふうに指導監督をしているのであるか。いま連盟との関係はわかりましたが、これは別に法的人格は持っておらない。とすれば、監督官庁としては明らかな法律的な連関はないと思いますが、この執行官に対する監督行政について、ひとつ説明願いたいのです。法務省も関係があるとすれば、法務省からも、川島部長も来ておられるから、御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/43
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044・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 執行官制度の改正におきまして、一つの重要な点は、監督体制の強化にあったわけであります。御承知のとおり、旧執達吏規則のもとにおきましては、その監督体制というものは、その際の監督規定にございましたように、執達吏の任命権者であるところの地方裁判所が、監督者といたしまして査察官を指名いたしまして、その査察官が補助を使いまして年一回ないし二回の査察を行なっておったわけでございまして、いわば定期的な監察であったわけでございますが、執行官法でその点が改正せられまして、執行官の監督者は地方裁判所であるということは、その任命権者が地方裁判所であるという関係で変わってはおりませんけれども、監督者である地方裁判所、もう少し具体的に言いますと、地方裁判所の裁判官会議というものが監督官――査察官にかわりまして監督官というものを指名いたし、その監督官というものが、単なる補助者ではなくて、補佐官というものを用いまして、定期的に行なう査察はもちろん、執行官の執務態勢につきまして常時監督をするという体制になったわけでございます。その点で一つの進歩があったわけでございますが、本来、監督の完ぺきを期するためには、単に監督官が横から見ているという体制では実は不十分でございまして、いわば、執行官の上官、上司というような制度ができて、そしてそれが常に執務を通じて監督するということによって完ぺきが期せられるわけでございましょうが、そうなりますと、それはいわゆる公務員、完全な俸給制の公務員制度というものに通じるわけでございます。それがまあ前回の執行官法の制定のおりに非常な御議論がありました。完全な公務員制の執行官制度にするか、あるいは手数料制度を残すかということで、結局は、現状の状態というところから、いま直ちに完全な公務員制度に踏み切ることはできないとして、手数料制の執行官が残るということになったわけでございますが、その際、私どもは、単に先ほど申し上げましたいわば監察制度を強化するということでは不十分である。しかし、完全な公務員制度をとり得ないとするならば、それにかわるものとして、たとえば従来、執行官の不正事件でときどき問題になりました保管金、手数料等の横領というような不明朗な事件が起きないために、会計を裁判所に取り入れるという制度を執行官法がきめたわけでございまして、これによりまして、この執行官の会計のガラス張りということになったわけでございます。そういう面で、会計の面に対する監督が、執行官法によりまして飛躍的に強化されたということが申し上げられると同時に、実はこの会計制度の裁判所の取り入れということは、それによりまして、どういう事件で、どういう手続で、どういう売得金が入ったか、あるいはどういう手数料請求権が発生したかということを事こまかく記録を通じて裁判所が見得るという体制になったわけでございますので、これは上司がいて事件を監督していくという制度ではございませんけれども、単に横から監察をするというだけにとどまりませんで、各個の事件を通じて監督し得るという制度に変わった。そういう意味におきまして、法の改正前と改正後とでは、監督体制は大いに整備されたというふうに私どもは見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/44
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045・川島一郎
○川島説明員 執行官は裁判所の職員でございますので、執行官に対する監督とか指導は裁判所のほうで行なっておられるわけでございます。法務省といたしましては、執行官制度の調査とか研究、そういった事項を所管いたしております。その結果、執行官に関する法律などを国会に提出いたしますような場合には、裁判所と御相談をいたしまして、法務省の所管の法律案として国会へ提出するというふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/45
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046・猪俣浩三
○猪俣委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/46
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047・大竹太郎
○大竹委員長代理 山田太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/47
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048・山田太郎
○山田(太)委員 このたびのこの法案自体にはたいした問題はないとはいいながら、ちょうどこの審議の最中にまたまた執行官の汚職事件が出てきた。しかも、次々と新聞紙上等もにぎわすようになってきたということは、先ほど参考人の方からも、自粛自戒、あるいは連盟会長の責任をとって職を退く等々のお話もありましたが、何といいましても、国民の裁判所、ことに、裁判官に対しての信頼というものは、非常に大きな信頼を抱いております。その中にあって、執行官のこの汚職は、何といっても裁判所の権威をそこなわし、また、国民の失望をも大きく招いてきております、そこで、この当委員会においてもいろいろ審議がなされておるわけでございますが、何としても裁判所の権威を取り戻すためにも、この執行官の汚職事件の絶滅は、全国民の要望するところであろうと思います。
そこで、先ほど来先輩、同僚委員からの質問も多々あって、了解した事項もありますが、そこで、具体的に二、三の問題をお伺いしたいと思います。
先ほどちょっと話がありましたが、この執行官法の制定のときに、附帯決議案にも、俸給制度のことが述べられております。また、今国会においても、また五十五国会においても、菅野民事局長から、執行官を俸給制度にするということは理想でもあり、好ましいことでもあるという御答弁もあります。そこで、俸給制度にすれば直ちに執行官の資質が向上するというふうに直結するとは、私も思ってはおりません。しかし、改善するための大きな一助にはなる。たとえば、じゃ、裁判官を手数料制にしたらということを考えてみても、これは噴飯ものにすぎないことでございます。そこで、執行官の俸給制に対してどのような見解を持っていらっしゃるか、御意見を持っていらっしゃるか、その点について参考人の方、会長さんなりあるいはその他の方でもけっこうですから、ひとつ御意見をお伺いしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/48
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049・平山宗一郎
○平山参考人 お答え申し上げます。手数料制度の是非につきましては、私ども各方面からいろいろの御意見を伺っておるわけでございますが、執行官の立場からいたしますれば、取り扱い事件の多い執行官は手数料制を支持するでございましょうし、また、少ない執行官は俸給制を望む、これはそういうことになりますのもやむを得ないというか、手数料制という事情から、そういうことになると思います。ただ、手数料制の困りますところは、事件が非常に少ないところの執行官は、その手数料によっては実際に事務上の運営ができないというような事情があります。ただ御承知のとおり、その事件少数の執行官に対しましては、国庫補助がございます。それによって救済されておりますけれども、この国庫補助金の基準額が、私ども考えておりますよりも非常に低い。しかも新法後に多少増額されましたけれども、それに格差があるわけでございます。つまり新法によって採用された者については、つい先日基準額が変わりましたが、七十何万、それから従来の執行吏から執行官になった者、これはその半額以下、三十万そこそこなんであります。そうしてその従来の執行官の数は現在ではまだ非常に多いわけでございます。そういたしますと、月額二、三万の収入、最低額、これは補助金でございますから、まるまるいただくのではございませんので、手数料額がその金額に達してない場合には、その金額まで国庫から補助する、こういうたてまえでございますので、これは事件の非常に少ないところはこの補助金程度ではやっていけないという声を、私ども連盟の会のときにしばしばお聞きするわけでございます。もし手数料制がさらに維持されるものといたしますれば、この国庫補助金の格差というものの是正をぜひお願いしたい、こういうことを全国会員が願っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/49
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050・山田太郎
○山田(太)委員 先ほどからも、監督を強化といいますか、汚職を防止するためにも、純然たる国家公務員として監督できやすいようにする、そのためにも当然俸給制度にしたほうが監督がしやすい、汚職を防ぐことができる大きな一助にもなるというお話もあったのは御承知と思いますが、したがって、先ほどのお答えをいただきました中に、そのためには金額についての問題があるというお話でございました。したがって、その金額が適当な金額であるならば、俸給制に反対するものではないという御意見と承っていいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/50
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051・平山宗一郎
○平山参考人 これにつきましては、現職にあります私ども執行吏時代から、各地の会合の際に現職者から意見を求めておるのでございますけれども、大体におきまして俸給制を支持するというものは全会員の、これは決をとったわけではございませんが、約三分の一ぐらいではないか。やはり手数料制を支持する声のほうが多かったのです。これは二、三年前でございますけれども、その後特別に聞いておりません。と申しますのは、最初申し上げましたように、やはり職務とは違いますけれども、処遇の問題になりますと、やはり生活を考えますものですから、いずれにしても生活が安定するということを第一に考える、こういうところからそのような結果が出たものだ、かように見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/51
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052・山田太郎
○山田(太)委員 生活の安定あるいは生活を維持するということを考えるというのは、やはり俸給制をとられておる国家公務員においても、これは当然同じことだと思います。ただあに執行官のみならんやと言いたいところでございます。そこで二、三年前にみんなの意見を聞いてみたということでございますが、その三分の二の方は俸給制に賛成しなかったというところは、その生活のことを考えるがゆえにというお話も含めて、俸給制にしたならばいまよりもはるかに収入が減ってくるからだ、三分の二の方は現在のままのほうがはるかに収入がいいから、俸給制に反対するのだというふうに解していいでしょうか。ここでもう一ぺんつけ加えさせていただきますが、汚職を防ぐ意味においても、当然俸給制のほうが監督しやすいといういまのお話も含めて、答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/52
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053・平山宗一郎
○平山参考人 御質問のとおりでございまして、と申しますのは、俸給制にいたしましても、具体的に申し上げますと、どの程度の処遇をしてもらえるだろうかということに非常に危惧の念があるのではないか。当時この新法前には、執行吏の地位というものは裁判所職員のうちでも非常に下位に置かれておりまして、そういうところから、かりに俸給制になっても、とうてい満足するような俸給をいただけないというような――憶測ではございますけれども、当時の情勢から申しましてとうてい多くを期待し得ないというような不安があるいは原因ではなかったか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/53
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054・山田太郎
○山田(太)委員 では、ぶしつけなことをお尋ねして恐縮ではございますが、いまの執行官の方々で最高の収入といいますか、おそらく憶測になるとは思いますが、その点はどのような収入でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/54
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055・長田公麿
○長田参考人 いまの御質問は全国的のものでございましょうと思いますが、連盟といたしましてはその統計を徐々に集めてはおりますが、現在まだ全部の集計ができておりませんので、全国的に不明でございます。最近にだんだんと調査したいと思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/55
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056・山田太郎
○山田(太)委員 御答弁によりますと不明であるということでございますが、裁判所の方に答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/56
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057・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 私どものほうで調査いたしましたところによりますと、手数料収入は、四十二年度で平均百八十六万になっております。それから最高のところでは五百万をこえるところもございますし、最低のところでは、年の収入が十万というところがあるわけであります。ただ、ここで御注意いただきたいのは、これは手数料収入でございますが、執行官は、先ほど横山委員のお問いに対して答えておりますとおり、自分だけでこの収入が全部そのとおりの実質収入になるわけでございません。つまり執行官代理を雇ったり、事務員を雇ったりしている、その人件費がかかっているところがあるわけでございまして、非常に収入が多いところは、その半ばは人件費として一たん入ったものからまた吐き出すという関係になっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/57
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058・山田太郎
○山田(太)委員 いまの民事局長の御答弁でわかりますように、同じ執行官でありながらも、仕事の数とかあるいは内容とかはともかくとしても、非常に収入がアンバランスであるということ、これは事実であるということも明瞭になっておるわけです。その点についてどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/58
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059・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 この点が、制度の問題といたしまして非常にむずかしい点なのでございます。執行官はどうあるべきかといういろいろの青写真と申しますか、理想像は描けるわけでございますけれども、現実の問題として、地方によって人も違いますし、事件の数も違う、収入も違う、そこで一律的な制度というものを運用していかなければならないということのむずかしさがあるわけでございます。それで、それを補う制度といたしまして、いわゆる代行書記官の制度が一つございます。これは収入が非常に少ないところでは、執行官になってもらいたいと申しましても、なり手はありません。たとえば離島であるとか、そういうところでございます。こういうところにつきましては、裁判所の書記官が執行官の仕事をするわけでございます。これは完全な公務員ということができるわけでございます。ですから、そういうところでは、手数料制の執行官、こういうふうに申し上げておりますけれども、現実において公務員制度の執行官というものが、その必要に応じて、また適当であるというところにおきましては、置かれておるわけでございます。
それからさらにまた、いわゆる国庫補助金の制度というものは、そういうアンバランスを補うために生まれた制度でございまして、これは不十分ではございますけれども、不十分ながらやはりそういうところの手当てをするための制度として、国庫補助金制度、手数料が一定の額に達しない執行官に対しましては国が補助をするという制度ができておりまして、手数料制の執行官制度であるということは原則としては申し上げられるわけでありますけれども、実際の運用の形としては、こまかくいろいろ手当てをしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/59
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060・山田太郎
○山田(太)委員 そういたしますと、いまの離島であるとか、へんぴのところであるとかというところの話は了解できますが、この執行官法の手数料制度そのものは、ある意味においては執行官を――ある意味においてはですよ、執行官を極端に保護するための執行官法である、手数料制度であると、逆の立場からいわれてもしようがないと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/60
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061・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 俸給制、手数料制、おのおの利害得失がございますが、監督の面のみから申せば俸給制のほうがややすぐれておる。俸給制をとりましても、やはり問題は人でございますので、いい人でなければ、俸給制の役人の中にもやはり汚職というものがあるわけでございます。俸給制をとったからといって、汚職は出なくなるというふうには、直ちには申し上げかねると思います。ただしかし、そのほうが監督体制としてはやや完備しておるということは、申し上げられるということになろうかと思うわけでございます。
なぜそれでは俸給制をとらないのかということは、この俸給制にも欠陥があるわけでございます。それは、やはり手数料制ならば、働けば働くだけの収入があるわけでございますので、そうでない制度になりますと、やはり人間のことでございますから、能率は下がるのじゃないかという点が
一つございます。それも、不十分な待遇ではとうてい能率のあがる執行官というものを充員していくという見通しが立たないわけであります。執行官の仕事というものは非常に困難な仕事でございますので、それをあえてやろうという人に対しましては、相当な報酬というものが必要なわけでございます。これをたとえば百八十万の収入というところに公務員制度で格づけいたしますと、公務員としては非常に上級なものに格づけいたさないと、下級の裁判官よりも高くしませんと、ならないというような状況も出てまいりまして、現実の問題としてむずかしいわけでございます。しかし、今度地方の非常にひまなところへ行きますと、非常なひまなところでそれだけの報酬を出すということは、これはまたその点に問題があろう
かと思います。事は執行官というものの仕事のむずかしさ、人を得ることのむずかしさ、それとともに、地方地方による状況のアンバランスという、そういういろいろなむずかしい点を含んでおりまして、いまにわかに俸給制に踏み切るということのむずかしさがあるという点を、御了解いただければ幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/61
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062・山田太郎
○山田(太)委員 この問題は、やはりポイントをきめた考え方をしないと、間違った結論が出てくると思います。何をポイントとするかというと、裁判所の権威を保つということ、したがって執行官の汚職を根絶するということが、まず第一番のポイントでないと、国民はその考え方に納得できないのは当然ではないかと思います。汚職を根絶するということが一番のポイントであり、問題点でなければならぬ。それは、何ものにもましてそれが最優先さるべきものだと思いますが、俸給制度等もやはりそこによって考えられてしかるべきであり、それは監督のしやすい面においても少しでもプラスになるならば、そのほうに前進する。ただ理想であって、それはできないことだときめるよりも、前向きでそれを検討するほうがより司法権を確立する上においても大きなプラスになるというところから、前向きに検討するという点を要望しておきたいと思います。
そこで、俸給制度の問題については一応きょうはこれぐらいにいたしまして、次に執行官の資質を向上するという立場から、執行官の任免についてお伺いしてきょうの質問を終わりたいと思います。こまかいことでございますが、しかし大切なことだと思います。執行官臨時職務代行者から執行官の任命を受けた者が約三十数名いるということを聞いております。この方たちは、執行吏の職務の修習の許可を受けた者が六カ月以上執行吏の職務を修習した後、試験――試験とは口述試験だそうでございますが、試験に合格したときと聞いております。その執行吏の修習の許可とは、何を基準にしてその修習の許可が与えられるようになっておりますか。やはり任免の問題が資質のほうにも大きな影響を与えると思いますので、許可の基準をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/62
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063・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 旧制度のもとにおける執行吏代理の制度、ただいまの臨時職務代行者、この制度というものは、制度としては執行官法の制定によりまして廃止になったわけでございます。新しく臨時職務代行者というものが今後任命されるということはなくなったわけでございますけれども、ただ、従来臨時職務代行者でありました者がその職を失うということでは困るというわけで、従来すでに臨時職務代行者になっていた人は、その職務を新法施行後も認めていくということが、執行官法の規則で経過的に認められているわけでございます。そういう人たちの今度は執行官になる道を閉ざしてしまってはこれもまた気の毒であるということで、それもやはり経過措置といたしまして、執行官法施行六カ月前にすでに執行官の事務の修習を命ぜられた者は、いわゆる新執行官の資格として任命されるわけにいかないけれども、旧執行官の資格、つまり行政職の七等級職という格づけをされた執行官として任命されるということは、ただいまもあり得るわけでございまして、そういう執行官が、執行官法施行後三十四名あるということでございます。
この採用するにつきましての基準というものは法律上別に定められておりませんけれども、地方裁判所が任命権者でございまして、地方裁判所が執行官としての職務にふさわしいというふうに認めた者をもって執行官に任命するわけでございます。現実の問題といたしましては、旧執行官は七等級相当であったわけでございまして、そういう格づけとして任命されるわけでございますから、七等級相当という学力ないし社会的経験、これを試験いたしますにつきましては、いろいろ法律上の試験、主として執行手続に関する法律上の問題、それから人物試験というものを行ないまして、執行官を地方裁判所が採用するという制度になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/63
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064・山田太郎
○山田(太)委員 基準というものは特別きめられてはいない。したがって、その裁判所の判定にゆだねられておる状況であるということになりますと、その執行官が汚職を起こしたような場合、基準のきめられていない執行官というものが誕生しておるわけですから、その汚職の責任はだれがどのようにしてとるようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/64
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065・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 法律上あるいは規則上定めがないということで申し上げましたので、その点はことばが足りなかったかと思いますが、要するに、旧執達吏規則あるいは任命規則のもとにおきましては、地方裁判所が任命権者であって、地方裁判所が執行官として採用するかしないかという認定をするわけでございますので、地方裁判所が認定のためにどういう準則をつくるかということは、その地方裁判所の責任においてつくるわけでございます。現実におきまして、地方裁判所がそういう準則をつくっておる。それは先ほど申しましたように、旧執行官につきましては七等級相当でございますから、七等級相当というものを認定し得るにふさわしい基準、準則というものを定めておるわけでございます。全国的な統一された基準はないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/65
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066・山田太郎
○山田(太)委員 私のお聞きしたいのは、一般公務員の場合、自分の責任範囲の公務員が汚職等なりあるいはその他不始末をした場合には、それぞれ懲戒なり訓告なりいろいろな責任をとるようになっておりますが、この執行官が汚職等を起こした場合に、だれがどのような責任をとっていくようになっておるか、それをお聞きしたいわけです。また、事実どのような責任ある処分がいままでなされてきたか。また、今回の汚職にあたってどのような処分をしていくのか、それについてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/66
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067・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 裁判所が執行官を監督しているわけでございますから、監督につきましての責任というものはあるわけでございます。それでどういう順序の責任になるかということになりますと、先ほど監督体制につきましてお話し申し上げましたように、直接の責任は地方裁判所から任命された監督者、それからその上にはその監督者を指名した裁判所、裁判官会議ということになるわけでございます。そしてまた、裁判官会議を主宰する所長なら所長というものも責任があるわけでございますし、制度的には私どもも責任があるわけでございます。それで従来は、と申しますのは、執行官法制定以前は、執行官はやはり裁判所の職員でありましたが、やや裁判所の外にあるというような形になっておった。執行吏役場というものをつくりまして、そこで働く人というようなことになっておりましたので、やや裁判所から離れておるという関係にある。したがって、監督責任というものも、普通の監督責任よりもやや軽かった。しかし、その際でも裁判所の監督者が懲戒を受けたという事例もございまするし、執行官法制定後は監督者の責任というものはさらに強化されたということが申し上げられると思いまするので、今回の事件につきましては、まだ事件も調査中でございますので、具体的にどういう措置になるかということは申し上げる段階ではないと思いまするけれども、やはり監督の責任というものは免れないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/67
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068・山田太郎
○山田(太)委員 いま途中ちょっと聞き取れないところがありましたので、懲戒処分を受けた――だれが、いつ、どのような事件に対して懲戒処分を受けたのか、それを具体的に一点お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/68
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069・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 ただいま全部の資料を持ってまいりませんでしたので、記憶にあります一つの事例だけを申し上げますが、執行官法制定前の昭和四十一年であったかと思いますが、大阪に起きました横領事件につきまして、大阪の地方裁判所長が高等裁判所の長官から懲戒を受けたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/69
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070・山田太郎
○山田(太)委員 執行官法制定後はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/70
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071・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 まだ例はございません。懲戒をしたという例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/71
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072・山田太郎
○山田(太)委員 それは非常に大切な問題だと思います。私の調査した範囲内だけでも、執行官法制定前とそれから執行官法制定後と具体的な事例も集めてはありますが、やはり監督官あるいは監督補佐官の制度で現行行なっておるならば、責任体制というもの、また処置の体制というものも、当然はっきり国民の前にも明示されなければ、また執行官の汚職の問題を責任を持って防止していこうという態勢も生まれないと思います。明確な処置をやっていくというふうにやってもらいたいと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/72
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073・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 執行官法施行後の事件につきましても、この監督責任の程度その他につきまして調査の上、しかるべく処置をとるべきであろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/73
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074・山田太郎
○山田(太)委員 それは当然だと思います。
そこで、先ほどの菅野民事局長の御答弁にあったと思いますが、この執行官の執行状況、監督官あるいは監督補佐官が監察をする、それについて参考人の方にお伺いいたしますが、これできょうは最後にしたいと思いますから、具体的にことしに入ってどのように監察を受けたのか、当然御存じだと思いますから、具体的に――ただ抽象的な話でなしに、具体的にどのように、回を追ってどのようなときにどうやられたか、どう監察を受けたか、それを教えてもらいたいと思います。どなたでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/74
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075・長田公麿
○長田参考人 お答えいたします。これは東京の例でございまするが、従来から年必ず二回ずつ査察を受けております。六月と十二月でございます。(山田(太)委員「具体的に」と呼ぶ)具体的に六月と十二月に査察を受けております。(山田(太)委員「場所はどこで、どういうふうに」と呼ぶ)それは向こうから監督官、監督補佐官というものが六、七名こちらに参りまして、二日にわたりまして帳簿、金銭それから記録、全部のものにわたりまして調査をいたしております。その査察の結果をこちらに、こういう点が悪いとかという御指示をいただきまして改革しておる次第であります。
それから、ことしになりましてからでも監督補佐官が常に執行官室に一週間に一、二度見て回っておりまして、いろいろ見たところによりまして指示を受けておる次第であります。まず、その視察をさらに強化したいという裁判所の御意見のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/75
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076・山田太郎
○山田(太)委員 具体的にと申し上げましたのはことばが足りなかったと思いますが、競売の場所とかそのようなところで査察を受けたことがあるかどうかも、あわせてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/76
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077・長田公麿
○長田参考人 不動産競売場も常に査察を受けておりまして、その執行官の競売状態を視察されております。それでその結果がどうかということにつきまして御報告を受けるわけでございますが、現在不動産競売場は非常に明朗化しておりまして、お小言をちょうだいするような状況が一つもないということに私は聞いておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/77
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078・山田太郎
○山田(太)委員 不動産競売場のことでございますか。その他のことはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/78
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079・長田公麿
○長田参考人 御承知の動産競売は現場で行なわれ、各債務者の方の現場で行なわれるのでありますが、不動産は執行官に付属しております競売場で行なわれております。その競売場のお話を申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/79
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080・山田太郎
○山田(太)委員 動産の競売の場合は、どのように行なわれておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/80
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081・長田公麿
○長田参考人 現場における動産の競売につきましては、ほとんど査察というものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/81
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082・山田太郎
○山田(太)委員 ここに、大切な監督のミスの点や汚職等の起こる大きな原因もあると思います。この点について最後に民事局長から答弁を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/82
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083・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 動産競売の現場あるいは差し押えの現場というものは、所々に散らばっておるわけでございます。これを査察しろということは非常に困難でありますと同時に、これは債権債務者その他関係人大ぜい集まっておるところでありまして、そういうところに執行の事務上からいえば第三者である監督者というものが顔を出すということに、当事者の疑惑を招くおそれがあるという困難な点もございます。監督の面からだけで申しますると、一々執行官のあとをついて回るということも考えられないわけではありませんけれども、そこまで執行官を信用できないということになれば、これは執行官制度自体の崩壊であろう、私どもは、そんなふうには執行官を見ておりません。しかし、現場においてどういうことが行なわれておるかということにつきまして、全然無関心ではございません。いろいろの情報を集めるとか、そういうことで実はやっておるわけでございまして、ときたま現場に行くというようなことは考えてもいいかと思いますが、そういうことは、ほんのまれな例としてはやってはおりますけれども、常時そういうことをやるということにつきましては、いろいろの影響というものを考えまして、現在すぐやるということにはちゅうちょいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/83
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084・山田太郎
○山田(太)委員 この前も具体的な例を一、二申し上げたと思いますけれども、いま民事局長のおっしゃったように、現状では、ある意味においては執行官制度は崩壊の危殆に瀕していると言っても過言ではないと思います。また、事実事件になっていく汚職事件等は、ある意味においては氷山の一角であります。そこで、いまの監督官制度あるいは監督補佐官制度というものは、いまの参考人の御答弁にもありましたように、執行官と債権者――多くの場合高利貸し等もその中におりますが、債務者である国民が相当不当な処遇を受けておる例も多々あるわけです。汚職を根絶しよう、あるいは監察を執行しようという意図がありながら、その動産の競落の現場をただの一度ものぞかないなどということは、裁判所の監督の怠慢であると言われてもしようがないと思います。そこまで執行官を疑いたくないという気持ちはわからないものでもありませんし、また、執行官の方方が全部資質が悪い人だと言っている意味でもありませんが、汚職を根絶しようという立場において、司法制度を確立し、権威を高めていくという意味においても、この点は当然もっと考えられてしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/84
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085・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 その点は私どもも常に検討をしておるところでございまして、今後もさらに有効であってしかも弊害のない、そういう方法があるとすれば、これを検討することにやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/85
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086・山田太郎
○山田(太)委員 私の申し上げたことがよくわからなかったように思いますが、動産の競落の現場に対しての監督不行き届きの点は、どのようにして是正するかという点をお伺いしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/86
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087・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 その方法について検討をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/87
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088・山田太郎
○山田(太)委員 それではこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/88
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089・大竹太郎
○大竹委員長代理 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
参考人各位には、御多用中のところ、貴重な御意見をお述べいただき、本案審査に御協力を賜わりまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
次回は、明後十一日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805206X01919680409/89
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