1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月九日(火曜日)
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議事日程 第十六号
昭和四十三年四月九日
午後二時開議
第一 郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき
所に関する法律の一部を改正する法律案(内
閣提出)
第二 日本国とシンガポール共和国との間の千
九百六十七年九月二十一日の協定の締結につ
いて承認を求めるの件
第三 日本国とマレイシアとの間の千九百六十
七年九月二十一日の協定の締結について承認
を求めるの件
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○本日の会議に付した案件
新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案
(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
椎名通商産業大臣の中小企業基本法に基づく昭
和四十二年度年次報告及び昭和四十三年度中
小企業施策についての発言及び質疑
日程第一 郵便切手類売さばき所及び印紙売さ
ばき所に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出)
日程第二 日本国とシンガポール共和国との間
の千九百六十七年九月二十一日の協定の締結
について承認を求めるの件
日程第三 日本国とマレイシアとの間の千九百
六十七年九月二十一日の協定の締結について
承認を求めるの件
駐留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改正
する法律案(内閣提出)
午後二時六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/0
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001・小平久雄
○副議長(小平久雄君) これより会議を開きます。
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新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/1
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002・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 内閣提出、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。運輸大臣中曽根康弘君。
〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/2
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003・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
新東京国際空港は、将来における航空輸送需要の急激な増大と航空機の急速な進歩に対応できる国際空港として建設されるものでありますが、これが建設に当たる新東京国際空港公団においては、当面の最大の課題として空港用地の確保に全力をあげているところであります。
ところで、新空港の敷地予定地の一部は、国有地である下総御料牧場によって占められておりますので、その移転先として空港公団は、目下栃木県高根沢地区に新御料牧場を建設しており、その竣工後においてこれと下総御料牧場との建築交換を行ない、同牧場敷地を取得することといたしております。
しかし、下総御料牧場は新御料牧場より大きいため、この建築交換後において残地が生じますので、当該残地を空港公団に現物出資することによりこれを同公団に取得させ、もって新空港の建設に資することとする必要があります。
このため、空港公団に政府が土地または土地の定着物を追加して出資できることといたそうとするものであります。
以上がこの法律案の趣旨でございます。御審議のほどをお願いいたします。(拍手)
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新東京国際空港公団法の一部を改正する法律
案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/3
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004・小平久雄
○副議長(小平久雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。渡辺芳男君。
〔渡辺芳男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/4
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005・渡辺芳男
○渡辺芳男君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案及び同法により、これに関連して当面する諸問題について、佐藤総理並びに関係閣僚に対して若干の質問をいたします。
この改正案は、ただいまの趣旨説明によれば、きわめて簡単なものでありますが、政府並びに空港公団が新東京国際空港公団法に基づいて建設しようとしている千葉県成田市三里塚地区における国際空港の建設事業は、今日地元農民と住民の根強い反対のため、重大な障害に直面していると率直に認識しなければならぬと思うのであります。
そこで、まず、佐藤総理にお尋ねいたします。
昭和四十年六月二日に公布された新東京国際空港公団法の第二条によれば「新東京国際空港は、次の要件を備える公共用飛行場として、東京都の周辺の地域で政令で定める位置に設置するものとする。」とありまして、この飛行場の位置の決定は、今日の事態を考えるとき、私は最も重大な案件であることを痛感するものであります。(拍手)しかるに、政府は、航空審議会が昭和三十八年十二月十一日に答申案に示した浦安、霞ケ浦、富里などの新東京国際空港予定候補地のいずれもが地元住民の反対にあったため、これを断念し、この答申案の中に何らの候補予定地として明示されていなかった成田市三里塚地区を昭和四十一年七月四日の閣議で急遽決定し、翌五日に政令を公布するという、きわめて非民主的な行動をとったのであります。
この新国際空港の建設地の決定にあたっては、佐藤総理は友納千葉県知事との会談によってきめられたといわれています。私は、この決定は、その第一歩において重大な誤りをおかしていると思うのであります。すなわち、事前に地元関係住民との何らの話し合いも行なわれず、また、その意思も確かめることもなく、一方的にこれを押しつけたところに、今日の混乱状態を招いた重大な原因があると思うのであります。(拍手)私は、現地農民の土地への断ちがたい愛着と生活の依存心、そして将来に対する生活不安は、何としても無視することができないと思います。また周辺地域住民の騒音に対する将来の不安はぬぐい去ることができません。総理、あなたも御存じのように、数年後にはSST、つまり超音速機やジャンボ・ジェット機が飛ぶといわれています。現に空港の存在する羽田や伊丹やそして板付その他の空港にしても、見るべき騒音防止対策がとられていない事実でも明らかなように、まことに遺憾でありまして、現状では何ら期待することができないのであります。
佐藤総理、この新東京国際空港建設に反対する三里塚地区の現地農民と周辺地域の住民をいかにして説得できるか、その対策があれば、具体的にお示しを願いたいのであります。(拍手)
次に、新東京国際空港建設地選定については、気象や地質や排水等の自然条件を特に重視しなければならぬと考えます。私が申すまでもなく、およそ三里塚地域の気象条件はよくありません。また地質も関東ローム層に属し、飛行場に適しておらず、少なくとも滑走路に当たる予定地は数メートルも掘り起こさなければならぬといわれています。私はこれらの自然条件について、政府が何らの事前調査も行なわず、やみくもに決定したことは無責任だと思うのであります。(拍手)このことについて、佐藤総理の明確なお答えを願うものであります。
次に第三点として、新東京国際空港の規模について伺います。空港公団法第二条の一には、長期にわたって航空輸送需要に対応できるものであることを建設目的として明記されています。すでに明らかにされておりまするように、新空港のマスタープランによれば、この規模ではたしてその目的にふさわしい中心的な国際空港となり得るかどうかは、きわめて疑問であると思うのであります。航空政策研究会が、昨年四月、新空港の計画案には、かなりの疑問点が多いという注目すべき中間報告書を発表しています。それによれば、二本の滑走路のうち、B滑走路は二千五百メートルしかなく、大型ジェット機の発着はきわめて困難であること。もう一つのA滑走路は四千メートルあるが、将来の主要国際空港として、これが一本ではあまりにも貧弱であるというのであります。また、四百九十人乗りのジャンボ・ジェット機や超音速機が発着する新国際空港としては、敷地や規模が狭過きはしないか、これでは長期にわたって輸送需要に対応できるどころか、十年後には行き詰まるのではないかというのであります。このような批判に対して、つまり中途はんぱな新国際空港建設は、きわめて遺憾に思うが、総理はどのような考えで進めておられるか、その将来展望を明確にお示し願いたいのであります。(拍手)
次に、外務大臣にお尋ねいたします。
日米安保条約第六条及び地位協定第五条によれば、米国が軍事目的のため、日本の港、あるいは飛行場を使いたいと申し出があった場合、わが国は、その申し出にこたえ、これを提供しなければならないという義務があります。現に、羽田空港は、米本国と南ベトナムや沖繩との中継地として、MACチャーター機が毎月二百機以上も発着していますが、この安保条約が存在する限り、新東京国際空港の完成の暁に、米国からの使用の申し入れがあった場合、拒否することができるのか、できないのか、政府の確固たる方針について、明確なお答えを願いたいのであります。(拍手)
この際、付言してお尋ねいたしますが、羽田空港は、最近、飛行機の発着が多く、きわめてふくそうしてまいりました。そこへベトナム戦争の激化に伴ってMACチャーター機の発着が目立って多くなりました。外務大臣は、この際、空港の緩和と安全のために、MACチャーター機の発着を断わるか、または極端な制限をつけるための対米折衝を行なうべきだと思うが、その考えがあるかどうか、所信を伺いたいのであります。(拍手)
さらに第三点として、ブルー14問題についてお尋ねいたします。東京の西北部には、厚木、横田、立川の米空軍基地と自衛隊入間基地等の飛行場があるために、宇都宮上空から海上は大島上空に至るまで、ブルー14の記号で米空軍専用航空路となっており、この空は民間飛行機には使用できません。したがって、羽田空港の空の使用率は、半分の能力しかないといわれています。つまり、日米行政協定によって致命的な空の制限を受けているのであって、米空軍基地とこの空域の返還を要求することは、新空港問題とも関連して、今日きわめて重要な課題だと思われますが、この際、対米交渉を行なう意思があるかどうか、外務大臣の明確な答弁をいただきたいのであります。(拍手)
次に、運輸大臣にお尋ねいたします。
新東京国際空港建設問題が提起されてからすでに六年になります。この間、運輸大臣がかわること七人、航空局長が四人、また空港公団総裁もかわっているのでありますが、このように主管の責任者が目まぐるしくかわったのでは、建設事業の一貫した方針と進展を望むことはできないと思うのであります。運輸大臣は、今日までの経過にかんがみ、現在、三里塚地区に建設しようとしている新東京国際空港の建設の困難性について、どのように把握しているか、具体的にお伺いいたします。
第二点は、公団法の改正案の趣旨である現物出資は、国がどのような範囲のものが、どういう形式で出資されるのか、この際、明確にしていただきたいのであります。
最後に、佐藤総理及び所管の中曾根運輸大臣に要望いたします。
新東京国際空港建設に対する現地住民の根強い反対は、ついに、昨年十月十日に官憲との衝突を引き起こし、五十名にのぼる重軽傷者を出して以来、去る三月三十一日までに前後五回、ついに千名をこす流血の惨事が発生いたしております。まことに遺憾のきわみであります。
私は、この激突の中で一農民が訴えた悲痛な悩みを思い起こします。「この土地を手放すことになったら、どうしようかと考えます。いつも頭のすみにそのことがひっかかっています。新しい土地に移っても、つとめ人にはなれぬ。また人生のやり直しだと思うと、いても立ってもいられない。」と言っています。私は、これが現地の関係者の偽らざる共通の悩みだと思うのであります。
さらに、わが党は、従来から騒音防止に何らの有効的な対策がないことにかんがみ、新国際空港を内陸に建設すべきでないと考えているのであります。この際、政府は勇断をもって成田市三里塚地区の空港建設について、再検討されるように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/5
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006・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 渡辺君にお答えいたします。
新空港の位置を決定することは、御指摘のとおり、まことに重大な事柄でございます。したがいまして、この新空港、このこと自身が国家的な要請であると同時に、この決定をすることは、そう軽率であってはならない、かように思います。したがいまして、慎重にこの決定と取り組んだのでございます。したがいまして、ただいまお話のありましたとおり、知事と相談することももちろんでありますが、数回説明会を開いて、そうして地元住民の理解と協力を求めてまいったのであります。私は、それらの点におきまして、十分努力した、かように確信しております。その点では別に落ち度はない、かように思います。(発言する者あり)もう少しおとなしく聞いてください。
およそこの種の公共施設、これは、何と申しましても、地元住民の理解がなければ、その目的を達するものではございません。その点に重点を置きまして、説明会その他が行なわれたのでございます。ただいまは、数回にわたる騒ぎなぞ御披露になりました。各種の騒ぎが起こりましたことは、まことに私も残念に思います。しかし、今日は、地元住民の約九割の者がこの土地の譲渡について調印をいたしたのであります。(拍手)私は、九割の住民の支持を得ておる、かように考えておりますし、残りの方々に対しましても、いたずらに強権を使うというようなことをしないで、どこまでも説得をいたしまして、理解と協力を得るように、この上ともつとめるつもりでございます。(拍手)
さらに、この新空港は、これは小さいのではないか、かような御批判でございますが、私どもは、この新空港ができました際に提供するサービスは、一年間飛行機の発着が大体三万五千回くらいに見ております。しかし、この空港が全部できあがれば、年間に約二十六万回の発着ができる能力を持つのであります。したがいまして、できた上で直ちにこれが使えないようになる、かような状態ではございません。もちろん、これからの発展はすばらしいと思いますが、十分その需要にこたえ得る、かように思います。
さらに、この地域についての地質調査その他、ことに、ただいまも、この地域は関東ローム地帯に入っておる、そのローム地帯の調査は十分できているか、こういうような御指摘でありますが、風向き、気象、地質、十分調査の上でただいま工事を進行しておるのであります。
問題は、ただいま九割の方々の賛成は得ましたが、残る一割の方々の賛成を得なければ絶対にでき上がるものではございません。政府におきましては、この上ともこれらの方々について、十分説明を尽くし、万全の手を尽くしまして、そうして、ただいまの国家的な大事業、これをぜひとも完成したい、かように考えております。ただいま、以上のような決意ですべての準備を進めております。
また、渡辺君からは、もう一度検討したらどうか、こういうお話でございますが、この点は御要望ともとれましたが、政府におきましても、これらのことを十分考えまして、そうして最終的決定をいたしたのでありまして、今日さらにこの点について再検討をする考えはございません。したがいまして、国家的な大事業であるこの事業を完成さすために、地元住民の方々も積極的に御協力、御理解をいただくようにこの上とも私どもも努力いたしますが、どうかよろしくお願いをいたします。(拍手)
〔国務大臣椎名悦三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/6
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007・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 新空港ができた場合に、地位協定五条の関係から米軍から使用を申し入れられた場合に、これを拒否するか、それとも受け入れるのかという御質問のようでございますが、地位協定第五条一項は、米軍機が施設区域以外の日本の空港に出入する条約上の権利を米側に認めておるのであります。したがって、米軍機の出入を全面的に禁止するというようなことは、条約上できないということになっております。拒否いたしません。しかし政府は、新空港を、地位協定第二条によって米軍施設として提供するような考えはない。また第五条による出入についても、必要であると認めれば、いつでも日米の合同委員会を通じて所要の調整を行なうことができるのでございますから、民間空港としての機能に支障を来たさしめるようなことはありません。
ブルー14を撤廃できないかという御質問でございますが、航空法第三十七条の規定によりブルー14を改廃する権限は運輸大臣に属しております。しかし、ブルー14上の大部分の空域は米軍に提供されておる。横田、厚木及び立川並びに防衛庁が使用している入間川の各飛行場の進入、出発経路として使用されておるのでありますから、これらの飛行場が存続される限り、かりに航空路ブルー14を廃止しても、東京西部の空域の状態は実質的にはほとんど変わらない。したがって、航空路ブルー14を廃止するのは適当でないと考えております。
現在の羽田空港の米軍による使用状況はどうであるかという御質問でございましたが、羽田空港を使用する米軍関係の航空機の数は、昭和四十一年におきましては、米軍機四十七機、MACチャーター機千三百六十九機、四十二年においては、米軍機三十一機、MACチャーター機二千二百二十六機、また本年は、三月まで米軍機五機、MACチャーター機六百十機であります。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/7
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008・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 新空港の敷地の決定、建設につきまして、地元に御迷惑をおかけいたしておりまして、たいへん恐縮に存じております。しかしながら、四月六日条件四派との間に九〇%ばかりの土地の売り渡し覚え書きの調印が行なわれまして、この点に関しましては、千葉県、成田市、地元の関係者各位の御協力に心から感謝申し上げる次第であります。(拍手)
なおまた、反対派の方々が一〇%ばかり残っておりますが、条件派と同じようにいささかも差別せずに、平等の取り扱いをいたしまして、誠心誠意話し合いをしたいと存じております。なお、先般調印の際に、条件派の皆さん方からも、反対派の皆さん方を差別せずに平等にやってくれというお話がございまして、非常に感銘した次第でございます。
なおまた、環境の整備、生活の問題、騒音対、策、転業等につきましても万全の措置を行ないまして、親身になってお世話を申し上げたいと思っております。
現物出資のところは、下総の御料牧場の百ヘクタールの土地でございまして、それ以外はございません。
なお、成田の新空港は、現在考えられる東京周辺の最適地でありまして、変更する意思はございません。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/8
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009・小平久雄
○副議長(小平久雄君) これにて質疑は終了いたしました。
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椎名通商産業大臣の中小企業基本法に基づく昭和四十二年度年次報告及び昭和四十三年度中小企業施策についての発言発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/9
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010・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 通商産業大臣から、中小企業基本法に基づく昭和四十二年度年次報告及び昭和四十三年度中小企業施策について発言を求められております。これを許します。通商産業大臣椎名悦三郎君。
〔国務大臣椎名悦三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/10
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011・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 中小企業基本法第八条に基づきまして、先般政府が国会に提出いたしました昭和四十二年度中小企業の動向に関する年次報告及び昭和四十三年度において講じようとする中小企業施策の概要を御説明いたします。
御承知のように、四十一年に回復から上昇に向かったわが国経済の基調は、四十二年においても引き続き上昇過程をたどり、中小企業の生産流通活動は活発化し、設備投資も旺盛に行なわれました。この間、労働力需給は逼迫の度を増し、中小企業の賃金も引き続き上昇しましたが、事業活動が活発であったため、収益はかなり好転しております。しかし、中小企業をめぐる経済環境の変動が目まぐるしいだけに、これに十分適応できない企業もあって、景気上昇にもかかわらず、企業倒産は増加しております。
一方長期的に見ますと、人手不足と賃金上昇は、これまで豊富な労働力に依存してきた中小企業の経営に大きな問題を投げかけており、また、技術進歩や大量生産、大量消費の進展などの環境変化に対して、中小企業者の一そうの適応努力が必要となっております。
また、国際環境も大きく変動しており、特にわが国中小企業製品と発展途上国製品との競合が激化してきていますが、現在問題となっている特恵関税制度が実現すれば、この傾向はさらに拍車をかけられることとなるでありましょう。さらに、資本取引の自由化の進展に伴い、わが国の中小企業も欧米企業との一そうきびしい競争に直面するものと予想されます。
政府といたしましては、このような状況に対処して、四十二年度においては、協業化、共同化を中心とした中小企業の構造改善を推進するとともに、設備、技術、経営、労働面における中小企業の体質強化及び金融、税制面その他中小企業をめぐる事業環境の整備に重点を置いて施策を講じました。その際、経営基盤の弱い小規模企業の体質改善には、特にきめのこまかい配慮を払っております。
四十三年度においては、前述したようなきびしい経済環境の変化の中で中小企業が自主的に最大限の努力を行ない、その近代化をはかっていくために、中小企業の体質強化と構造改善のための諸施策を一そう強力に推進することとしておりますが、一方、四十三年に入って、さらに強化された景気調整策によって中小企業の近代化努力が阻害されないよう、中小企業金融についても特段の配慮を行なっております。
まず第一に、協業化、共同化を中心とする中小企業の構造改善を一そう強力に推進するため、中小企業振興事業団の業務を拡充するほか、業界がその自主性と責任に基づき構造改善計画を策定する場合には、中小企業振興事業団資金等の優先的確保、高率割り増し償却制度の適用を行なうとともに、協業化推進のための組織である協業組合についてその設立を推進することといたしております。
第二に、中小企業の経営管理の合理化、技術水準の向上をはかるため、全国各都道府県に総合指導所を設置するとともに、国、都道府県、中小企業者が一体となってこれに当たるよう体制を整備いたします。
第三に、中小企業における労働力の確保とその質の向上、従業員の福祉の増進等のための労働対策を推進するほか、中小企業に対する需要の増大に資するため、輸出の振興及び官公需受注機会の確保をはかることといたしております。
また、中小企業団体の組織に関する法律等の適正な運用により、過当競争の防止をはかるほか、下請企業については、下請代金支払遅延等防止法の運用強化と下請振興協会の活用により、下請取引の適正化と受注の確保につとめる所存であります。
第四に、小規模企業対策につきましては、経営改善普及事業を充実するため、これを担当する商工会、商工会議所の指導員等の待遇改善を行なってその資質の向上につとめるとともに、設備近代化資金及び、信用補完制度等の活用を通じ、設備の近代化と金融の円滑化をはかることといたしております。
また、小規模企業共済制度の普及につとめるほか、地方税における家族専従者控除の引き上げ等により税負担の軽減をはかる所存であります。
第五に、流通部門の近代化のため、中小企業振興事業団による助成を強化するとともに、国民金融公庫等に流通近代化のための特別貸し付け制度を創設することといたしております。
第六に、資本取引の自由化に対処して中小企業に対する情報サービスを強化するため、日本貿易振興会及び中小企業振興事業団の体制を整備することといたしております。
第七に、金融引き締め措置が中小企業にしわ寄せされるのを防止するとともに、中小企業の近代化、企業体質の強化をはかるためには、中小企業に対する資金の円滑な供給を確保することが緊要でありますが、このため、政府関係中小企業金融三機関に対する財政資金を大幅に投入し、貸付規模の拡大をはかるとともに、信用補完制度を整備して民間資金による中小企業向け融資の増加をはかる所存であります。
以上のほか、中小企業の近代化を促進するため、税制面においても諸制度の延長、改善等を行なうこととしております。
以上、昭和四十二年度中小企業の動向に関する年次報告及び昭和四十三年度において講じようとする中小企業施策につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
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中小企業基本法に基づく昭和四十二年度年次報告及び昭和四十三年度中小企業施策についての発言に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/11
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012・小平久雄
○副議長(小平久雄君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。古川喜一君。
〔古川喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/12
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013・古川喜一
○古川喜一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、昭和四十二年度中小企業の動向に関する年次報告について、総理並びに関係大臣に質問をいたしたいと思います。
最近の中小企業をめぐる環境は、まことにきびしいものがあります。年次報告でも指摘しておりますように、四十一年から四十二年にかけての景気の回復、上昇にもかかわらず、中小企業の倒産は、四十一年の六千百八十七件を上回る八千二百六十九件と、高水準を記録し、さらに、本年一月七百四件、二月九百二十六件、三月千百九十六件と、記録を更新しつつあります。いま申し上げました倒産件数は、負債額一千万円以上の倒産でありまして、負債額一千万円以下の倒産を調査いたすならば、膨大な倒産数になると思うのであります。この実態は、少数の例外を除き、今日いまなお、大多数の中小企業は深刻な経営難に脅かされ、倒産の危機にさらされているということであります。
これに対して白書は、短期的には、金融引き締め措置の影響が問題だと述べ、長期的には、わが国中小企業の規模が小さい上に、数が多いことや、資金調達力の弱さ、技術水準の低さ、また技術革新、需要構造の変化、労働力不足の進行など、中小企業を取り巻く環境の変化、さらに今後は、発展途上国の追い上げや、資本取引の自由化など、経済の国際化が進展するにつれ、経済環境は中小企業にとってますますきびしくなると指摘して、たいへんだ、たいへんだといっているが、しかし、政府がこれからとろうとしている施策には、何らの新鮮味も感じられないのであります。(拍手)従来から進めてきた協業化、共同化を中心とする構造改善の推進、技術開発の強化、金融の増大をあげているにすぎないのであります。
私は、今日このような中小企業の事態を招いている最大の原因は、一貫して大企業に奉仕してきた歴代自民党内閣の政策の欠陥であるといわざるを得ないのであります。(拍手)過当競争、大企業の中小企業分野への進出、労働力不足などの構造的な企業倒産の要因が、今後さらに大きく作用することを考えると、いまこそ中小企業の政策を、根本的に再検討しなければならない段階に来ていると思うのであります。(拍手)
そこで、佐藤総理に伺いますが、わが国のきびしい中小企業の環境を、どのように理解をしておられるのか。また、わが国の中小企業は、いま発展途上国の追い上げと、資本の自由化による欧米先進国企業の進出による競争の激化という、いわゆる南と北からのはさみ打ちを受けて、国際化時代のきびしい試練に立ち向かおうとしております。発展途上国の追い上げを一そう加速化するものとして、工業製品に対する特恵関税供与の問題があります。特恵関税が実現し、そのきまり方いかんによって、発展途上国と競合する度合いの大きいわが国が、大きな影響をこうむることは明らかであります。しかも、特恵の影響を受けると予想される業界は、ほとんどが輸出依存度の高い中小企業でありまして、業種によっては産地ぐるみの打撃を受けて、社会問題にもなりかねない場合も予想されます。さらに、アメリカの輸入課徴金が、発展途上国製品への適用免除という形で実施されると、わが国にとっては、特恵供与が直ちに始まるにひとしい影響を受けることになります。資本の自由化、発展途上国の追い上げ、特恵供与、輸入課徴金など、国際化時代を迎える中小企業に対し、その具体的な対策と、中小企業の位置づけ、さらに将来どうあるべきだと考えておられるか、明らかにしていただきたいと思うのであります。
次に、白書は、中小企業の協業化、共同化施策を推進するとともに、業種転換についても考えるべきだと指摘しているが、現実には政府のいう施策に逆行した動きを見せております。すなわち、中小企業は年々ふえているのであります。白書の付表によれば、昭和三十八年に比べ、鉱業を除き、建設業は四万二千、製造業は四万九千、卸、小売業は十一万九千、金融保険業は二千四百、不動産業は一万四千、運輸通信業は七千二百、電気ガス水道業は五千、サービス業は六万七千と、毎年十万に近い企業がふえておるのであります。これが中小企業の乱立となり、これが過当競争の原因となっておるのであります。政府の小規模企業対策並びに適規模の指導がどう進められているのか、お尋ねいたします。
また、中小企業の乱立、過当競争の防止ということを、どう考えておられるのか。この対策がしっかりしてないと、政府のいう重要な中小企業対策の一つである協業化、共同化は、単なるお題目にすぎず、何の期待もできないのであります。政府の対策を承りたい。
次に、中小企業の資本装備率は、三十二年度から四十一年度までに約二・九倍に上昇して、大企業の伸びを上回ったが、その水準は依然として大企業の約四分の一という低さであります。今後とも資本装備率の向上により、近代化を促進し、その生産性の向上をはかることの必要性は、だれしも認めるところであります。しかし、ここに幾つかの問題があります。その一つとして、一例を建設業にとって申し上げますが、政府のいう設備近代化にこたえて、現在では中小建設業といえども数千万円もする機械設備を導入し、近代化の促進をしてまいっておりますが、景気引き締めや、公共投資一部繰り延べの影響などで、結果的には倒産をする。また、国なり地方公共団体が中小建設業者の立場を考え、計画的に発注を行なえば、倒産を避けられるものも、こうした思いやりに欠けているために倒産をするという例もあります。これらに対し過大な設備投資や採算を無視した事業の拡張であり、放漫経営であり、政治の手の届かない、企業の責任であると片づけられているのであります。近代化された企業の育成に対してどう考えておられるのか、承りたいのであります。(拍手)
その二として金融の問題があります。きびしい環境を認識すればするほど、新事態に対応する資本装備率の向上が必要であります。それには長期的でかつ低利な資金の供給が行なわれなければなりません。政府は、中小企業の金融機関として、中小企業振興事業団の構造改善事業の貸し出し、政府関係中小企業金融三機関があり、信用保証協会、あるいは中小企業信用保険公庫を通ずる信用補完制度を整備して、民間資金の中小企業向け貸し出しをはかるということでありましょうが、政府関係金融機関の貸し出しは、中小企業の実際借り入れ額の八・九%にしかすぎないのであります。これでは全事業所四百二十万といわれる中小企業者の資金を満たすことはとうていできません。そこでやむなく融通手形や高利金融の利用となり、果ては倒産ということになりますと、これは近代化を急ぐあまり、自己資本力を顧みず、高利の借り入れ金によって設備投資を行なったからであるという報告がされてくるのであります。今日、低金利で長期の資金供給体制が整っておるならば、倒産が相当減っておることは間違いありません。
さらに、最近の経済情勢の中小企業に及ぼす影響は非常に重大であります。すでに金融機関からの借り入れもむずかしくなり、常に問題になる大企業の代金支払いの遅延など、支払い条件の悪化という不健全なる要因によって倒産している中小企業もふえております。今後金融倒産の危機をどう乗り越えるか、大きな問題であります。
このような状態で政策が樹立されないならば、大企業と中小企業との差は開くばかりであります。一体政府は中小企業政策のどこに重点を置いているのか。中小企業基本法には何とうたってあるか。大企業と中小企業との格差を是正し、経済の二重構造を解消するとうたっているではありませんか。(拍手)中小企業の資本装備率の向上について、具体的な対策を詳しく承りたいのであります。
なお、中小企業関係への長期の金融、金融ワクの拡大などについても考え方を明らかにしていただきたいと思うのであります。
次に、中小企業にとって労働力の不足、特に若年労働者、技能労働者を中心とした労働力の不足と賃金の上昇は、従来、豊富、低廉な労働力と賃金で発展してきた中小企業に深刻な影響を与えております。この労働力不足は、今後ますます悪化していくだろうと考えられますが、政府は、中小企業の労働力確保にどういう対策を持っておられるのか。政府の政策によって物価は値上がりをする、増税は行なわれる、結果として賃金も上がらざるを得ないとすれば、大企業との賃金格差はさらに開いていく。これではますます中小企業の労働力確保がむずかしくなるばかりです。この問題は政府の責任であります。
わが日本社会党は、全国全産業一律最低賃金制の制定を強く要請してまいりましたが、政府はこれを取り上げようとはしておりません。最賃制が実施されれば、それだけの賃金の支払われない企業は、企業として成り立たないから、そういう弱小企業は生まれてきません。企業として発足させるためには、最低賃金を支払うための企業努力が必要であり、その努力によって大企業との賃金格差も縮まることになろうかと思うが、どう考えられますか。労働需給逼迫時に際し、若年労働者、技能労働者確保の対策を承りたいと思うのであります。(拍手)
次に、昭和四十二年度の中小企業白書の特徴は、国際化時代を迎えた中小企業といえると思うのであります。しかし、いま一つ見のがすことのできないのは、企業の倒産であります。冒頭に申し上げましたように、年々倒産件数は常に記録更新の激増ぶりを示しております。政府は倒産要因について、景気変動による循環的要因として、過当競争、大企業の中小企業分野への進出、労働力不足などの点をあげ、一方では、倒産企業の多くは、こうした構造的要因だけでなく、融通手形や高利金融の利用、採算を無視した事業の拡張、放漫経営といった企業内部の経営力の欠陥に由来するところありと指摘しておりますが、はたしてそうでありましょうか。国民金融公庫の調査によりますと、企業内責任より企業外要因によるものが九〇%と、ほとんどを占めていることが報告されております。政府は、倒産の背景を徹底的に調査し、分析をやるべきであります。第四十七国会本会議におきまして、中小企業危機打開に関する決議がなされ、中小企業倒産の実態調査を行なうべきであると決定されているのでありますが、どの程度の調査が行なわれているのでありましょうか。今後は負債額一千万円以下の零細企業の倒産を調査し、さらに、倒産後の追跡、追及も徹底して行なうべきであると思うが、これに対する所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/13
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014・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 古川君にお答えいたします。
今日、中小企業の置かれている環境は、御指摘のとおり、まことにきびしいものがあります。その環境はきびしいが、中小企業が産業経済界において果たしておる役割り、これはまことに大であります。また今後も、中小企業にうんと働いてもらわなければならない、かように私は確信しております。
この今日の困難な状態はどこから来ているか。これは白書も指摘しておりますし、また先ほど来、古川君も御指摘になりましたとおり、労働力の逼迫あるいは開発途上国との競争、ことに特恵関税などは大きい問題になるでありましょう。さらには、また資本の自由化、その意味におきましては、ただいままたアメリカの輸入課徴金の問題等々幾多の困難を招くような条件がございます。これらのものに対して、それぞれの対策もございますが、基本的には、中小企業が近代化を進めること、そうしてその体質の改善をはかること、これはもう政府がかねてから指摘し、一貫してこの大事なことを施策として取り上げてまいっております。この意味において、何もやっておらないと皆さん方がいわれますが、しかし、税制や金融の措置について、さらにまた、事業内容の指導や組合結成等について、政府がこの中小企業対策として取り組んでおることは、皆さん方がよく御承知でございます。私は、この点をさらにさらに進めて、そうして、中小企業がりっぱなその地位を確保するように、この上とも努力してまいるつもりでございます。(拍手)
〔国務大臣椎名悦三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/14
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015・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 中小企業の企業数が年々増加して、これが過当競争となり、その他のいろいろな混乱の重大なる原因をつくっておるという御指摘は、そのとおりでございます。これに対する対策といたしましては、やはり何と申しましても、協業化、共同化、そしてまた技術の向上促進等をいたしまして、体質を改善する、これを強化するということに結局なるわけであります。それからまた、業界ぐるみのスクラップ・アンド・ビルド、業種ぐるみの構造改善、これも逐次その効果をあげておりますので、繊維については行なっておりますが、その他の業種についてもこういう方法を進めてまいりたいと存じます。
資本装備の向上ということを言われておりましたが、ただむやみに資本をかけて、そして設備投資を進めるということは、やはり実情に即したやり方でないと消化し切れない、そういったような点がございますので、企業の力に見合って投資率を上げていくということにしたいと思うのであります。政府といたしましても、十分に需要の動向を考えて、計画的な投資を行なうように指導をしてまいりたいと存じております。これがために、政府系の金融機関による融資あるいは中小企業振興事業団というようなものによって、その組織化、近代化を進めてまいりたいと考えております。
それから、需要面の安定した確保ということも重要でありますので、たびたび申し上げておりますとおり、官公需のあっせんをいたしまして、安定した、計画的な仕事ができるように指導してまいりたいと考えております。
中小企業の金融につきましては、昨年度下期において大幅な財投の追加を行ないました。四十三年度におきましても、全般的には財投の計画がなかなか苦しいのでありますけれども、中小企業に対しましては特段の配慮を行なっておる次第でございます。今後の経済界の動向いかんによっては、さらに弾力的な運用を考えてまいりたいと存じます。
それから、倒産件数が非常に多い、なかなか衰えを見せておりません。これはいろいろな原因に帰着するわけでございますが、これらの問題に関しましては、地方通産局を中心にして、大蔵省の出先機関、日本銀行の支店、三者一体となって、緊密な連絡をとり、中小企業問題の全般に対して情報を交換し、対策を協議してまいる、そういう道が今回開けたのでございますが、今後、これらの協議機関を十分に活用してまいりたいと存じます。
労働力不足の問題については、労働大臣からお話があると思います。
最後に、倒産の実態調査についてお尋ねがございましたが、中小企業庁では、倒産対策樹立の参考とするために、昭和四十一年度から、各通産局あるいは政府系の中小企業金融機関等を通じまして、倒産の原因の分析に主眼を置いた状況調査を実施してまいったのでありますが、四十三年度からは、御指摘のように、対象件数を拡張いたしまして、さらにまた、倒産後約六カ月を経たものについて追跡調査を行ないまして、そしてこれに対する対策がはたして誤っていなかったかどうかというような点を十分に反省して、調査を進めてまいりたいと存じます。(拍手)
〔国務大臣小川平二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/15
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016・小川平二
○国務大臣(小川平二君) わが国の規模別賃金格差が近年逐次縮小してきておることは御承知のとおりでございます。最低賃金制につきましては、その間において、極力推進、普及につとめてまいりました結果、今日では、適用を受ける労働者は、全中小企業労働者の三分の一に当たりまする約六百十万人でございます。重点対象業種につきましては、そのほとんど全部が適用を受けておるのでございまして、これが賃金の改善、賃金格差の解消に現実に役立っておるのでございます。今回最低賃金審議会の答申に基づきまして、業者間協定方式を廃止することを中心とする改正法案を提出して御審議いただいておるのでございますが、同審議会といたしましては、御指摘のありました全国全産業一律の最低賃金制をも含めて、最低賃金制の今後のあり方について検討を続けておりますので、その結果を見て対処したいと考えております。
中小企業の労働力不足に対処いたしまするためには、根本的には、中小企業の近代化を進めて、生産性を高めていくことが必要でございます。これとともに、労働力確保の面におきましては、労働条件、労働環境を含めまして、全体として中小企業の職場を魅力ある職場たらしめることが必要でございますから、このためには、特に、立ちおくれておりまする福祉施設の充実、雇用促進事業団の融資等を通じてこの充実につとめております。さらに、また、労働条件、労務管理等につきましては、中小企業の各種団体に助成をいたしまして、その正しいあり方の指導につとめるとともに、ただいま御指摘のありました最低賃金制の実効ある推進にもつとめておる次第でございます。さらにまた、集団求人方式等についても、今後ますます助成を強めてまいる方針でございます。
技能労働者の不足がいよいよ深刻になってきております事態にかんがみまして、公共職業訓練を一そう強化いたしまするとともに、中小企業については、中小企業の事業主が共同して行ないまする職業訓練に対しまする援助、助成をこれからますます強化していく方針でございます。さらに、今後一般的に若年労働力の供給が減少いたしてまいりますことにかんがみまして、職場の実情、作業の内容等に対応をして、中高年層あるいは婦人あるいは身体障害者の雇用を促進していく考えでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/16
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017・小平久雄
○副議長(小平久雄君) これにて質疑は終了いかしました。
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日程第一 郵便切手類売さばき所及び印紙売
さばき所に関する法律の一部を改正する法
律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/17
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018・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 日程第一、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/18
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019・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。逓信委員長古川丈吉君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔古川丈吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/19
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020・古川丈吉
○古川丈吉君 ただいま議題となりました郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案に関し、逓信委員会における審査の経過と結果とを御報告いたします。
まず、本案の内容を申し上げますと、現在売りさばき手数料の料率が買い受け月額十万円をこえ百万円以下の金額に対しては一律に百分の一一五となっているのを、十万円をこえ二十万円以下のものは百分の二・五、二十万円をこえ五十万円以下のものは百分の二、五十万円をこえ百万円以下のものは百分の一・五の三段階に改めようとするものであります。
逓信委員会においては、二月十九日本案の付託を受けて以来慎重審議を重ねたのでありますが、四月五日質疑を終了、次いで委員小渕恵三君より、施行期日等の修正を内容とする自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党四党共同提案にかかる修正案が提出され、修正部分及び修正部分を除く原案についてそれぞれ採決を行ないましたところ、いずれも全会一致をもってこれを可決、よって、本案は修正議決を見た次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/20
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021・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/21
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022・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
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日程第二 日本国とシンガポール共和国との間の千九百六十七年九月二十一日の協定の締結について承認を求めるの件
日程第三 日本国とマレイシアとの間の千九百六十七年九月二十一日の協定の締結について承認を求めるの件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/22
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023・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 日程第二、日本国とシンガポール共和国との間の千九百六十七年九月二十一日の協定の締結について承認を求めるの件、日程第三、日本国とマレイシアとの間の千九百六十七年九月二十一日の協定の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/23
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024・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。外務委員長秋田大助君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔秋田大助君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/24
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025・秋田大助
○秋田大助君 ただいま議題となりました二案件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
政府は、第二次大戦中のシンガポール及びマレイシア地域占領中に生じた不幸な事件に関する問題を解決するため、シンガポール共和国及びマレイシアと交渉を行なっておりましたが、交渉が妥結いたしましたので、この二協定はそれぞれ昭和四十二年九月二十一日署名されたのであります。
この二協定のおもな内容は、まずシンガポールとの協定におきましては、同国の経済開発に資するため、わが国より同国に対し、二千五百万シンガポール・ドルに相当する二十九億四千万三千円の価値を有する日本国の生産物及び日本人の役務を、原則として三年間にわたって無償で供与することを定めるとともに、第二次大戦に起因するすべての問題が完全かつ最終的に解決されたことを定めております。
また、マレイシアとの協定におきましては、同国との間の経済協力を促進するため、わが国より同国に対し、二千五百万マレイシア・ドルに相当する二十九億四千万三千円の価値を有する日本国の生産物及び日本人の役務を、原則として三年間にわたって無償で供与すること、並びにこの供与される生産物及び役務は、主として外航用新造貨物船の建造に充てられることを定めるとともに、第二次大戦中の不幸な事件から生ずるすべての問題が完全かつ最終的に解決されたことを定めております。
本二案件は、二月二十九日外務委員会に付託されましたので、政府から提案理由の説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。
かくて、四月五日、本二案件についての質疑を終了し、討論を省略して採決を行ないましたところ、本二案件はそれぞれ多数をもって承認すべきものと議決いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/25
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026・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 両件を一括して採決いたします。
両件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/26
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027・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、両件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
————◇—————
駐留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改
正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/27
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028・山村新治郎
○山村新治郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
この際、内閣提出、駐留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/28
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029・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 山村新治郎君の動議に御異議ありませんが。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/29
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030・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
駐留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/30
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031・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。社会労働委員長八田貞義君。
—————————————
〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔八田貞義君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/31
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032・八田貞義
○八田貞義君 ただいま議題となりました駐留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、駐留軍関係離職者の再就職の促進及びその生活の安定をはかるため、並びに労働者の能力に適応する雇用を促進するため、所要の措置を講ずるもので、そのおもな内容は次のとおりであります。
第一に、雇用促進事業団の援護業務を拡充し、駐留軍関係離職者の再就職の促進及びその生活の安定に関し、必要な業務を行なうこと
第二に、駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期間を五年間延長すること
第三に、雇用促進事業団は、従来の業務のほか、労働者の就職の援助に関し必要な業務を行なうこと等であります。
本案は、去る二月二十八日本委員会に付託となり、本日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/32
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033・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/33
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034・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/34
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035・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 本日は、これにて散会いたします。
午後三時十九分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
外務大臣臨時
代理
通商産業大臣 椎名悦三郎君
運 輸 大 臣 中曽根康弘君
郵 政 大 臣 小林 武治君
労 働 大 臣 小川 平二君
出席政府委員
中小企業庁次長 沖田 守君
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02219680409/35
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