1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月十八日(木曜日)
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議事日程 第十八号
昭和四十三年四月十八日
午後二時開議
第一 旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定
に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
提出)
第二 総理府設置法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
第三 公海に関する条約の締結について承認を
求めるの件
第四 領海及び接続水域に関する条約の締結に
ついて承認を求めるの件
第五 公職選挙法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
第六 中小企業金融制度の整備改善のための相
互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法
律案(内閣提出)
第七 金融機関の合併及び転換に関する法律案
(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
議員請暇の件
防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法
律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
日程第一 旧執達吏規則に基づく恩給の年額の
改定に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出)
日程第二 総理府設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
日程第三 公海に関する条約の締結について承
認を求めるの件
日程第四 領海及び接続水域に関する条約の締
結について承認を求めるの件
日程第五 公職選挙法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
日程第六 中小企業金融制度の整備改善のため
の相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
日程第七 金融機関の合併及び転換に関する法
律案(内閣提出)
午後二時十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/0
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001・小平久雄
○副議長(小平久雄君) これより会議を開きます。
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議員請暇の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/1
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002・小平久雄
○副議長(小平久雄君) おはかりいたします。
議員岡田利春君及び同多賀谷真稔君から、海外旅行のため、四月二十四日から五月七日まで十四日間請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/2
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003・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
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防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/3
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004・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 内閣提出、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣増田甲子七君。
〔国務大臣増田甲子七君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/4
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005・増田甲子七
○国務大臣(増田甲子七君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。
これは、海上自衛隊の自衛官を八百三十人増加するための改正でございまして、その増員は、艦艇の増加に伴い必要となる人員並びに航空関係の部隊及び後方支援部隊等の充実のため必要な人員でございます。
次に、自衛隊法の一部改正について御説明申し上げます。
現在、海上自衛隊の航空集団は、司令部及び航空群から成ることとされておりますが、この改正は、航空集団の編成に航空群以外の所要の部隊を直轄部隊として加えることができるようにするものでございまして、これは、海上自衛隊の航空関係の部隊の任務遂行の円滑をはかるためでございます。
以上が防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
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防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する
法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/5
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006・小平久雄
○副議長(小平久雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。木原実君。
〔木原実君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/6
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007・木原実
○木原実君 私は、日本社会党を代表し、ただいま趣旨説明のありました防衛二法案に関して、総理並びに関係閣僚に質問を行ないたいと存じます。
まず佐藤総理に申し上げたい。総理、あなたは昨年十一月、ジョンソン米大統領との会談を終えて帰国され、国民に対して、日本の防衛力の強化、みずから国を守る気概の必要なことを強調されました。それからの数カ月、防衛をめぐる論議と、内外の激しい動きの中で、多数国民は、あなたの防衛に対する姿勢、日本の安全保障にかかわるあなたの考え方に対して、あらためて深い疑惑と不信の念を強めているのであります。(拍手)あなたの防衛意識の高揚の主張、あなたの防衛企図は何に基づき、何を目ざそうとするのか、いまだに明らかではありません。防衛について、あなたは国民の前に常に真実を語っていないのであります。ただ明らかなことは、佐藤内閣のもとにおけるわが国防衛力の強化が、アメリカのアジア政策と、その軍事的企図に沿って進められ、しかも、アメリカの軍事政策は、いまやベトナムにおいて、アジアにおいて、重大な破綻を迎えているという事実でございます。
総理、日本の防衛政策は、日本の安全保障の問題とからんで、そのあり方が根本から問い直されようといたしております。国民の運命をゆだねるかぎは、もはやアメリカと結ぶ力の政策の中にはないことを、しかと申し上げておきたいと思うのであります。
私は総理にお尋ねをいたしたい。
第一に、総理は、ベトナム戦争が転機を見せ始めた今日においても、昨年秋の日米合意の方針を踏まえて、日本の防衛力の強化の必要をなお主張されるのでございますか。もし、従来の方針に変わりがないとするならば、その根拠となる情勢と、防衛政策上の具体的措置を明らかにしてほしいのであります。(拍手)
およそ一国の軍事をはかるのに、国の当面する情勢を明らかにせず、対応すべき勢力の動静を示さず、ただ国民に防衛の急務を強調する、これは、まさに国民の目をふさいで馬車馬のごとく走れというにひとしいのであります。おろかな独善的政治家の主張といわなければなりません。(拍手)わが国をめぐる現下の情勢は、あらためてわが国民が武装を強化しなければならないという情勢というものはどういう状況なのでございますか、お示しを願いたいのであります。
第二に、アメリカのベトナム政策に合意と協力を表明された佐藤・ジョンソン会談の共同声明なるものは、いまやわが国民にとっては悲劇的な文書になろうといたしております。
総理は、先般、アメリカの北爆を支持したことはない、少なくとも戦闘行為を支持したことはないと、本院において御答弁をなさいました。しかし、「一文銭は鳴らず」ということばをもって、いち早くアメリカの北爆を認められたのは、総理、あなた御自身ではなかったのですか。共同声明にいうベトナム政策は、いわゆるアメリカによる平和が、戦闘行為を除いていないこともまた明らかであります。
あなたは、あらためて北爆を含むアメリカのベトナム政策を支持したのは誤りだった、少なくとも独立国日本の総理大臣としては短見であったと、率直に表明される御意思と御決意をお持ちになりませんか。そのような反省を抜きにして、新たな和平のために日本が何ごとかをなし得る条件はないと思うが、いかがでございましょう。
あわせて、外務大臣にお伺いをいたしたい。アメリカと北ベトナムとの交渉の前途について、日本政府としての見通しと、和平実現のために、日本政府がこれから先何をなそうとしておるのか、方針をお聞かせ願いたいのであります。
第三に、総理は、ジョンソン米大統領との会談において、中国の脅威ということを指摘し、合意をされております。核兵器開発の途上にある中国が、アメリカとともに日本にとっても脅威であるといわれておりますけれども、今日もなおその見解を繰り返されますか。日本国民がいま防衛意識の高揚につとめなければならないというのは、この核中国の脅威と関係があるのですかないのですか、承りたいのであります。
およそ一国の増強を続ける軍事力が、抽象的、一般的に存在するなどということはあり得ないことであります。それはどこまでも相対的な力としてしか存在しないのであります。もし中国がわが国にとって脅威であると判断されるのであれば、わが国の増強される軍事力は、アメリカと結んで当然この脅威に対抗するものを含むと断ぜざるを得ないのであります。総理の企図される防衛力の強化、国を守る気概というものは、総理が確認された中国の脅威に対処するものであると受け取ってよろしいですか、いかがですか。
私は、特にこの際、総理並びに政府関係閣僚各位に申し上げたいのでありますけれども、一体中国が脅威であるとするならば、これまでその脅威を解くために、あなた方はどのような努力をしてきたというのですか。民間有識者の血の出るような中国との交流や、平和的努力に対して、これに水をさし、妨害と抑圧を加えることはあっても、政府がみずから中国との間に友好平和の道をたずねようとしたことが一度でもございますか。何もないではありませんか。
いまや中国は、アジアの大国として存在しております。中国の動向が、アジアの平和にとっても、世界の平和にとっても、欠くことのできない影響力を持っていることも、また明らかであります。それなのに、平和を願う日本国民を代表する政府が、いたずらに中国の脅威を内外に説くだけで能事終われりとするのは、みずから求めて隣国中国に対抗し、挑戦しようとするだけの姿勢ではありませんか。戦後二十三年、政経分離も十三年、七億の中国人民との間には、いまだに講和も結ばれておらず、国交もなく、いわば太平洋の彼方のアメリカとともに、日本政府は、重たい鉄のとびらを閉ざしたままの鎖国の状態をつくり上げているだけではありませんか。このような状態で中国の脅威のみを説くというのは、日本政府がみずから平和への意思を捨てて、国民を鉄のとびらの中に閉じ込めたまま、戦意の高揚をあおり立てるにひとしいやり方であります。一体それはだれの利益のためでありますか。
わが国の安全保障は、日米安保条約を前提に存在するというのは、あなた方政府のふだんの言い分でありますけれども、この安保条約自体が、日本を中国との敵対への道にかり立ててきたのではないですか。政府のいわゆる中国の脅威の何であるかを、この際明らかにしてもらいたい。政府に、もし中国に対する非軍事的な友好への方策があるならば、どんな小さなことでも、あわせて明らかにしてほしいのであります。その方策も努力もなくして、中国の脅威を説き、わが国防衛力の強化に走るというのは、無責任きわまる好戦主義と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
次に第四に、政府がこれまで明らかにされた核政策なるものは、不可解、かつ、きわめて危険なものといわざるを得ません。総理は、口を開けば、日本はアメリカの核のかさに入って、アメリカの核抑止力に依拠して安全を保持するのだと言われる。一体日本は、いつからアメリカの核のかさに入ったのであるか。現行安保条約のもとで日本が核攻撃を受けた場合、アメリカは核兵器をもってこれに対抗するという、しかとした約束が成り立っておるのでありますか。
核の抑止力は、言うまでもなく、相互抑止力であります。アメリカが、自国への報復核攻撃があることを前提に、なおかつ日本への核攻撃はアメリカの核によって守ると約束をしたのですか。アメリカの核のかさは、何よりもアメリカ国民の安全と利益のためにあるのであります。一国による核のかさの威力と神話は、すでに信頼性の裏打ちがないというのが、専門家の常識であります。
いまこそ必要なことは、アメリカの核による平和ではなくて、また軍事力のブロックにたよる安全ではなくて、敵対に対する中立、相互互恵の自主共存の確立、平和のための国民の団結、核軍縮の徹底など、政治的、道義的努力による以外に、真に日本の安全を求める道はないと思うのでありますけれども、総理の御見解を承りたいのであります。(拍手)
第五に、日本の防衛力、日本の自衛隊は、発足以来すでに十八年であります。国民の疑問と憲法違反の告発をよそに、その軍事力としての質と量、年々そのために投じられる国費の大きさは、それぞれ世界で十本の指に数えられる強大な存在となっているのであります。しかも、自衛隊十八年の歴史は、拡大に次ぐ拡大の歴史であります。これまでも、しばしば自衛力の限界について論議が重ねられましたが、政府の主張はおおむね抽象に過ぎ、事実は歯どめのない軍備拡大の歴史でありました。
民主主義国家における軍備は、拡大には縮小の歯どめがあり、拡大計画には縮小の計画が伴って、軍備による国民の負担と被害を救うのが常道であります。軍事力は状況に即して常に規制され、管理され、縮小への手段を持たねば、兵器それ自体の論理によっても、無際限の拡大への道を急ぐのであります。歯どめのない軍備拡大の悲劇が、戦前の帝国軍隊の姿であったことを想起していただきたいのであります。
私は、この際、政府が政府部内に自律性の強い機関を設け、自衛隊そのものの縮小計画を常に準備し、人員、兵器、装備、配置あるいは編制、費用の縮減をはかり、そのための規制と管理の機能を強めるべきだと思うが、国防会議議長としての総理の御見解を承りたいのであります。
次に、軍縮について外務大臣にお尋ねをいたしたい。
政府はジュネーブ十八カ国軍縮委員会に参加の意向を表明されておりますが、軍縮委員会参加のための働きかけと、その見通しはどうでありますか。また参加を働きかけるにあたって、核拡散防止条約を含めて、わが国は現在どのような主張と方策を用意しているのか、明らかにしていただきたいのであります。
大蔵大臣と防衛庁長官に伺いたい。
防衛庁本年度の予算は四千億をこえ、しかも第三次防衛力整備計画によって、さらに長期にわたって多額の予算上のワク組みが設定されております。しかも、三次防二年度に当たる本年度は、財政の硬直化とその打開が強く問題とされ、政府予算は各分野において著しく規制を受け、公務員の縮小や合理化、国民の当然受けるべきサービスも多く削減される反面、間接税や公共料金の引き上げなどによって、国民の犠牲と負担もまた著しいものがあるのであります。このような状況の中で、ひとり防衛部門が先取りされた予算のワク組みの中で、軍備の拡大を進めるというのは、他の分野との対比においても、国民感情の上からいっても、はなはだ奇異であるといわなければなりません。軍備は、それ自体が国民の犠牲の上に立つ浪費部門であります。私は、むしろ国民とともにありたいと称する自衛隊のためにとらないところであります。この際、三次防の不急部門を削減ないし縮小し、防衛予算の執行にあたっては、相当程度の削減ないし繰り延べを行なわしめるべきだと思いますけれども、蔵相並びに長官の御見解を承りたいのであります。(拍手)
あわせて、明年度以降、景気の好不況にかかわらず増大する防衛予算について、再検討を加える努力をすべきであると思いますけれども、いかがでございましょうか、御見解をお示しを願いたいのであります。
さらに防衛庁長官、すでに本国会においても鋭くその一部が指摘されましたように、防衛庁内の規律の退廃、道義の腐敗は目に余るものがあります。自由民主党、しかも佐藤派出身の歴代防衛庁長官のもとで、伏魔殿と公然と指さされる防衛庁内の腐敗、堕落は、まさに植民地軍隊の末期的症状にも似たものがあるのであります。(拍手)私は、産業、軍事及び政界の一部を結ぶ、いわゆる産、軍、政一体の結びつきが防衛庁の腐敗を日常的なものとし、かりにも一国の軍事を特定の政治家や企業の利益によって壟断する体制を生み出していると思うのであります。そのような事態は、これから先、軍備の拡大に比例して、わが国の政治をさらに深く毒するであろうことをおそれるのであります。長官は、このような事態に対して、どのような措置を講じ、あるいは講じられようとしておるのか、方針をお示しを願いたいのであります。
最後に、沖繩のB52の撤去、東京の王子野戦病院及び新島射爆場の設置要求に対する政府の見解をお伺いいたしたい。
嘉手納基地におけるB52の移駐に伴う現地の不安は依然強く、その撤去を求める声はきわめて深刻なものがあります。政府はアメリカ側に対して、どのような形で撤去を求めているのでありますか。同じく王子野戦病院、新島射爆場については、現地住民はもとより、東京都、区、村あげて反対をいたしておるのでありますけれども、王子野戦病院は一方的に設置と移駐が行なわれ、新島また防衛庁によって受け入れの意向が示されております。
一体、政府には、これらの設置に反対する住民や自治体の切実な声が届いていないのでありますか。アメリカ当局と、はたしてどの程度の折衝を行なっておるのでありますか。王子野戦病院の再移転の可能性はありますか、どうでしょう。新島射爆場は、どんな反対があっても、アメリカの意向に従うのですか、態度を明らかにしていただきたいのであります。
以上、総理並びに各閣僚の明快な答弁を要求いたしまして、質問を終わりたいと思います。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/7
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008・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 木原君にお答えいたします。
国防の基本政策を変える考えはないかというお尋ねでございますが、御承知のように、わが国の基本政策は、日米安保体制のもとにおきまして、わが国も、みずからの国力、国情に応じ、有効な防衛力を整備いたしまして、侵略を未然に防止して、わが国の安全を確保するという考え方でございます。したがいまして、この考え方をただいま検討、さらに変えるというような考え方はございません。また、ベトナムに和平がまいりまして——ジョンソン大統領の声明があった、そういうことがありましても、今日、私どもはこの基本的な考え方を変えるつもりはございません。
ベトナムの和平につきましては、一日も早く和平が実現することを心から念願いたしております。私どもはしばしばこのことを率直に申しました。ただいま、米国の北爆を支持したではないか、間違っていたということを国民にあやまったらどうだ、こういうような御意見が述べられましたが、私どもは、和平をこそ心から願い、個々の戦闘行為についての是非を云々したことはないはずであります。したがいまして、どこまでも和平が招来するように、この上とも、いませっかくその緒についた、これを見守り、さらに育てていく、こういうことでありたいと思います。
さらに私どもが心配をいたしますのは、幾らベトナムに和平がまいりましても、ただいまは国際的に随時、随所におきまして、紛争がございます。この紛争に巻き込まれないように、私どももちろん注意しなければなりませんが、この紛争が日本に波及しないという、そういうような保証はただいまのところございません。こういう意味から、あらゆる場合におきまして、わが国の安全を確保する、これが政府に課せられた責任だ、かように思います。いわゆる、昔からいっておりますように、「備えあらば憂いなし」、こういう観点に立ちまして、私どもは自衛力の増強整備をはかっておる次第であります。この点は、国民の皆さん方はよく御了承いただいておるところであります。
次に、中共の核開発について言及されました。中共の核開発が直ちに日本の安全保障に影響がある、かようなことは私申したことはございません。しかし、唯一の原爆の被爆国であるわが国といたしましては、中共を含めたあらゆる国々が、核兵器を開発することに対しまして、強く反対して今日までもまいっております。したがいまして、爆発の実験をすれば、そのたびに私どもは、われわれ国民の意思を率直に表明いたしまして、この事柄をやめるようにということを、しばしば声明してまいったのであります。この点は、社会党の諸君も私どもと同じだろうと思います。私は、この意味におきまして、ただいま、核兵器拡散防止条約、これが一日も早くでき上がり、中共もまたこれに加入することを心から期待するものでありまして、世界の平和のためにこれが役立つことを心から念願いたしております。
わが国の政府、日本が、敵視政策をとっておるというようなことはございません。また、日米安全保障条約は、わが国への侵略に対して、侵略を未然に防止するというような抑止力、それはございますが、いわゆる敵視政策ではない。日米安全保障条約を、その意味におきまして正しく評価、認識していただきたいと思います。
私は、核時代といえども、一国の防衛はその国民が最大の努力を払うという、世界の普遍の原則に変わりはない、かように思いますので、国の安全保障に関する責任はみずからが負わねばならない、このことは言をまたないところであります。しかし、現実的な問題として、一国のみで安全を確保することは不可能であり、各国とも集団安全保障により、安全確保の政策をとっておる次第でありますので、そこで私は、日米安全保障条約の意義を正当に評価し、かつ、みずからの防衛努力とともに、日米安全保障条約を堅持する考え方でございます。
核攻撃に対して、いつからアメリカがこれを防いでくれる、防護してくれるという約束ができたかということでありますが、私が一昨年ワシントンに参りました際に、ジョンソン大統領が私に対して、アメリカは安全保障条約によって、いかなる攻撃からも日本を守る義務があると、はっきり実は申しております。このことによりまして、御了承をいただきたいと思います。
また、国防会議の議長として、第三次防計画を再検討する考えはないかというお尋ねでございますが、ただいま私どもは、三次防計画を再検討する考えはございません。これを忠実に実行することこそ、わが国の安全を確保する道だ、かように私は考えておる次第でございます。(拍手)
〔国務大臣三木武夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/8
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009・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 木原君の私に対する第一の御質問は、ベトナム戦争の見通しについて述べよということでございますが、御承知のように、まだ本格的話し合いでない、予備会談の場所について、アメリカとハノイとの折衝が続けられておる段階でございます。したがって、この段階でベトナム戦争の見通しを述べることが困難であることは、木原君も御承知くださると思います。ただしかし、われわれとしては、せっかく生まれてきた和平への糸口でありますから、これ以外に方法はない、したがって、この糸口を冷却せしめることなく、アメリカも、ハノイも、せっかく生まれてきた平和へのこの糸口を冷却せしめないで、忍耐強く和平達成の努力を続けられることを望むとともに、いよいよこの会談が本格的な会談になったときには、ベトナム戦争はきわめて複雑な内容を持った戦争でありますから、日本としても、この機会にベトナムに長続きのする平和が達成できるように、諸外国とも緊密な連絡をとりながら、この和平会談の成功のために、外交は全力をあげたいと思っております。
第二点について、十八カ国軍縮委員会に対する日本の参加を申し入れしたかということでありますが、私は、直接ラスク長官にもあるいはソ連のグロムイコ外相にも、数回にわたって、日本が軍縮に持っておる関心と軍縮委員会に加入をしたいということを申し述べたのでございます。これはアメリカ、ソ連ばかりの意向でもきまりませんから、将来、国連の場において、いろいろ話し合うことが必要でありますが、われわれとしては、軍縮委員会に日本も参加するように努力をしたいと思っております。
ことに、核兵器の全面廃棄、核兵器絶滅ということを念願とする日本として、どうしても、核兵器の全廃に至るまでの間には、軍縮という過程を経なければなりませんので、軍縮に対しては、日本は重大な関心を持っておる国であることは申すまでもないのでございます。したがって、外務省においても、一昨年から軍縮室というのを置いて、軍縮をわが国としてどのようにして推進していくかということを研究、検討せしめておりますが、この機構では十分だとは思っておりません。機構も人間も拡充して、日本が軍縮に対して、日本の役割りを果たすような努力をしたいと考えております。
お答えをいたします。(拍手)
〔国務大臣増田甲子七君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/9
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010・増田甲子七
○国務大臣(増田甲子七君) 国防に関する基本方針その他防衛庁のあり方、自衛隊のあり方等につきましては、総理の言明されたとおりでございます。
そこで、防衛費の問題でございまするが、防衛費は、お説のごとく、四百十一億円ふえたことは事実でございまするが、総予算対比は、昨年に比べて〇・五%削減いたしたわけでございます。これは、防衛庁も自衛隊も財政硬直化打開の方針に協力申し上げるという意味合いから、絶対額といたしましてはふえておりまするが、相対額といたしましては、総予算対比は昨年は七・七%でございます。本年は七・二五%であることを、木原さんにおいても御了解願いたいと思います。
それから、規律の振粛をはかれ、お説のとおりでございまして、規律の振粛をはかりまして——何と申しましても、自衛隊は国家、国民の自衛隊である、これはお説のとおり、私もきびしく考えておる次第でございます。防衛庁ないし自衛隊は、圧倒的多数の者は、清く正しく一生懸命に仕事をいたしております。そこで、ごく少数の者が規律を曲げるというようなことがございましても、大多数の方の名誉にも響きまするから、その名誉を維持するためにも、また国家、国民の自衛隊という存在たらしめるためにも、総理大臣の意を受けまして、不肖私、規律の振粛につきましては、きびしい態度で臨んでおる次第でございます。
その次に、王子病院のことでございまするが、これは内閣総理大臣の方針がございまして——付近の住民に非常に損害をかけておるということは事実でございます。付近住民に迷惑をかけないように、できるだけの配慮をいたしておりまするが、何と申しましても、現実の問題といたしまして、早急には解決できないわけでございまして、代替地を得ました場合には、私ども、駐留軍の司令官に対しまして、責任を持って、その代替地へ行くようにと、やはり逃げ道をつくっておきませんと、ものごとは解決できませんから、そういう方面から、具体的な問題を考えておる次第でございます。
その次に、新島のことでございまするが、新島の射爆場は、昭和四十一年の六月に日米共同声明がございまして、新島の射爆場が適当であると思われる、その技術的の回答を求めておったわけでございまするが、最近、アメリカの空軍から技術的の回答がもたらされたわけでございます。どういうふうにして設置するか、私どもといたしましては、できる限り地元並びに関係諸機関の御同意と御協力を得て、しかる後にこれを設置せんとするものでございます。(拍手)
〔国務大臣水田三喜男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/10
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011・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) お答えいたします。
第三次防計画は、国の財政、経済力の伸長に応じて、国の他の施策との調和をはかって実施するものとされております。したがって、各年度ごとの予算もあらかじめ固定的にきめられておるわけではございません。そのときどきの財政事情を勘案して決定されるということになっておりますので、したがって、財政の弾力性の保持という観点から、この計画を手直しすべきものというふうには考えておりません。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/11
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012・小平久雄
○副議長(小平久雄君) これにて質疑は終了いかしました。
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日程第一 旧執達吏規則に基づく恩給の年額
の改定に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/12
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013・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 日程第一、旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/13
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014・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。法務委員長永田亮一君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔永田亮一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/14
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015・永田亮一
○永田亮一君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、一般の公務員の恩給の増額に伴い、執行吏の恩給についても、一般の公務員の恩給の増額の例に準じてこれを増額するとともに、将来、さらに一般の公務員の恩給の年額が改定された場合、これにならって、執行吏の恩給の年額も、別段の措置を講ずることなく当然改定されることにしようとするものであります。
法務委員会におきましては、三月二十六日政府より提案理由の説明を聴取した後、参考人から意見を聞くなど、慎重審議を行ない、四月十六日、質疑を終了、討論なく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/15
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016・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/16
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017・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第二 総理府設置法の一部を改正する法
律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/17
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018・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 日程第二、総理府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/18
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019・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長三池信君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔三池信君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/19
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020・三池信
○三池信君 ただいま議題となりました総理府設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案の要旨は、
第一に、日本政府南方連絡事務所の所掌事務の一部を改め、沖繩におけるアメリカ合衆国の政府機関と協議することができるようにし、これに伴い、同事務所の名称を、日本政府沖繩事務所と改めること
第二に、設置期限の経過した同和対策協議会を再び設置し、その設置期限を昭和四十五年三月三十一日までとすること等であります。
本案は、三月十三日本委員会に付託、四月三日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、四月十六日、質疑を終了、討論もなく、直ちに採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/20
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021・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/21
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022・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第三 公海に関する条約の締結について承認を求めるの件
日程第四 領海及び接続水域に関する条約の締結について承認を求めるの件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/22
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023・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 日程第三、公海に関する条約の締結について承認を求めるの件、日程第四、領海及び接続水域に関する条約の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/23
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024・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。外務委員長秋田大助君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
〔秋田大助君登壇〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/24
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025・秋田大助
○秋田大助君 ただいま議題となりました二案件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
従来、公海及び領海の制度は、国際慣行によって規律されてまいりましたが、近時、各国によりその明文の規範の作成が強く望まれるに至りました。このような国際的機運を背景に、国際法の法典化の一環として、国際連合の主催のもとに一九五八年ジュネーブで開催された海洋法に関する全権会議においてこれらの二条約が採択されたのであります。
まず、公海に関する条約のおもな内容を申し上げます。
公海は、すべての国民に開放され、いかなる国もその主権のもとに置くことができないこと、船舶は原則として公海においてその国の排他的管轄権に服すること、すべての国は可能な限り海賊行為の抑止に協力すること、及び外国船舶が沿岸国の法令に違反する行為を行なった場合は、中断されない限り公海においても追跡することができること等について規定いたしております。
次に、領海及び接続水域に関する条約のおもな内容を申し上げます。
領海の幅を測定するための基線は、海岸の低潮線とすること。すべての国の船舶は領海において沿岸国の平和、秩序または安全を害しない限り無害通航権を有すること、及び沿岸国が接続水域において行なうことのできる規制等について規定いたしております。なお、領海の幅については、海洋法に関する全権会議で合意が成立しなかったため、これらについての規定は設けられておりません。
以上二案件は、二月二十七日本委員会に付託されましたので、政府から提案理由の説明を聞き、質疑を行ないましたが、特に、領海及び接続水域に関する条約のうち無害通航権につきましては、本委員会を代表いたしまして、小泉純也君より次の三点について、外務大臣に対し条約上の解釈の確認を求める質問が行なわれました。
すなわち、「一、外国軍艦の領海の通航については、第十六条4にいうところの公海の一部分と公海の他の部分または外国の領海との間における国際航行に使用される海峡の場合を除き、政府は事前通告制度を考慮すること。二、ポラリス潜水艦その他類似の常時核装備を有する外国軍艦のわが領海の通航は、第十四条4にいうところの沿岸国の平和、秩序または安全を害しない無害通航とは認めない。したがって、原則としてこれを許可しない権利を有する。三、本条約は戦時には適用されない。」
これに対し、外務大臣から、「第一点については、事前通告制度を実施するよう考慮する。第二点については、ポラリス潜水艦その他核兵器を常備している軍艦の航行は、無害通航とは考えない。原則としてこれを許可しない権利を留保したい。第三点については、この条約は戦時には適用されない条約であると考える。」旨の答弁がありました。
詳細は会議録により御了承を願います。
かくて、四月十七日、本二案件について質疑を終了し、討論を省略して採決を行ないましたるところ、公海に関する条約は全会一致をもって承認すべきものと決し、領海及び接続水域に関する条約は多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。
右、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/25
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026・小平久雄
○副議長(小平久雄君) これより採決に入ります。
まず、日程第三につき採決いたします。本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/26
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027・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
次に、日程第四につき採決いたします。
本件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/27
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028・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
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日程第五 公職選挙法の一部を改正する法律
案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/28
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029・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 日程第五、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/29
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030・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。公職選挙法改正に関する調査特別委員会理事渡海元三郎君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔渡海元三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/30
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031・渡海元三郎
○渡海元三郎君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、公職選挙法改正に関する調査特別委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
本案のおもな内容は次のとおりであります。
第一に、選挙人名簿の登録は、毎年三月、六月、九月及び十二月の四回定時に行なうものとし、これに伴い、住所移転者についての表示の抹消の期間を六カ月に短縮するものとすること。
第二に、ポスター掲示場に掲示する選挙運動用ポスターと個人演説会告知用ポスターはあわせて作成し、掲示することができるものとすること。
第三は、立ち会い演説会においては、公職の候補者は他の候補者の代理演説をすることができないものとすること。
第四は、確認団体のポスターは、参議院議員の選挙においても衆議院議員の選挙におけると同様、所属候補者の選挙運動のために使用することができるものとすること。
なお、この法律は、昭和四十三年六月一日から施行することといたしております。ただし、選挙人名簿にかかる改正規定以外の改正規定は、公布の日から施行し、参議院議員の選挙については、施行日以後初めて行なわれる通常選挙から、その他の選挙については、施行日から起算して三カ日を経過した日から適用することといたしております。
以上が本案のおもな内容であります。
本案は、四月十二日本特別委員会に付託され、昨十七日、赤澤自治大臣より提案理由の説明を聴取し、質疑を行ない、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/31
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032・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/32
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033・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第六 中小企業金融制度の整備改善のた
めの相互銀行法、信用金庫法等の一部を改
正する法律案(内閣提出)
日程第七 金融機関の合併及び転換に関する
法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/33
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034・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 日程第六、中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案、日程第七、金融機関の合併及び転換に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/34
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035・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長田村元君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔田村元君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/35
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036・田村元
○田村元君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、中小企業金融の円滑化をはかり、金融の効率化を促進するため、相互銀行、信用金庫及び信用協同組合について、それぞれの法律の一部を次により改正しようとするものであります。
すなわち、第一は、相互銀行法についての改正でありますが、まず、相互銀行の融資対象を、主として、従業員数が三百人以下または資本金が政令で定める金額以下の中小企業者とすることとし、中小企業金融の専門機関たる性格を明確にすることとしております。
次に、最低資本の額を現行の十倍に引き上げ、これに三年の経過期間を置くこととするほか、営業区域の廃止等、所要の規定の整備を行なうこととしております。
第二は、信用金庫法についての改正でありますが、まず信用金庫の会員となり得る事業者の範囲について、現行の従業員基準のほか、新たに資本金基準を設け、このいずれか一方を満たせばよいこととしております。
次に、金庫の出資の総額の最低限度を現行の十倍に引き上げ、相互銀行と同様、これに三年の経過期間を置くこととしております。
また、内国為替取引及び有価証券の払い込み金の受け入れ等の付随業務を会員以外の者についても行ない得ることとし、あわせて政令で定めるところにより、会員以外の者に対しても融資を行ない得ることとしております。このほか、会員一人当たりの出資の最低限度を定め、一会員に対する貸し付け等を自己資本の二〇%以内に制限し、総代制度を改善する等、所要の規定の整備を行なうこととしております。
第三は、信用協同組合についての改正でありますが、まず、信用協同組合について、組合員のためにする内国為替取引及び有価証券の払い込み金の受け入れ等の付随業務を新たに行ない得ることとし、また、信用事業を行なう連合会について、その会員である信用協同組合の組合員に対する貸し付け等を加えることとしております。
次に、信用協同組合の出資の総額の最低限度を現行の四倍または五倍に引き上げ、やはりこれに三年の経過期間を置くこととしております。このほか一組合員に対する貸し付け等を自己資本の二〇%以内に制限する等、所要の規定の整備を行なうこととしております。
本案につきましては、昨四月十七日、質疑を終了し、直ちに討論に入りましたところ、大村襄治君は自由民主党を代表し、また広沢賢一君は日本社会党を代表して、いずれも本案に賛成の旨を述べられました。
続いて採決いたしましたところ、全会一致をもって本案は原案のとおり可決となりました。
なお、本案に対しては、金子一平君外三十八名提出の自民、社会、民社、公明四党共同提案にかかる附帯決議を付することに決しました。
附帯決議の内容は、借り入れ側中小企業の必要とする低利にして豊富な資金を供給するよう指導すべきこと、信用保証の拡充、政府関係公庫資金ワクの拡大、利子の引き下げその他融資条件の改善等必要な措置を行なうべきこと、競争原理の導入を急ぐあまり、規模の小さい専門機関の営業分野が不当に侵されないように配慮すること、代理業務の範囲の拡大をはかり経営の安定に資すること、預金者保護の措置を講ずべきこと、という趣旨のものであります。
次に、金融機関の合併及び転換に関する法律案について申し上げます。
この法律案は、金融機関相互間に適正な競争原理を導入し、金融の効率化をはかるため、次により、従来規定のなかった異種の金融機関相互間の合併及び転換について、法律上その道を開こうとするものであります。すなわち、
第一は、普通銀行、相互銀行、信用金庫及び信用協同組合は、大蔵大臣の認可を受けて、相互間において合併または転換を行なうことができることとしております。
なお、大蔵大臣が認可をしようとするときは、一定の基準に適合するかどうかを審査しなければならないこととするとともに、その審査にあたっては、同種の金融機関相互間の合併を妨げることのないよう配慮しなければならないこととしております。
第二は、合併または転換に反対する銀行の株主等については、株式買取請求権または支払請求権を認め、また、信用金庫の会員または信用協同組合の組合員については、持分払戻し請求権を認め、これら利害関係者の利益を保護することとしております。
また、合併または転換を行なう金融機関の債権者の利益を保護するためには、債権者の異議申し立ての制度を設けることとしております。
第三は、合併または転換前の金融機関の業務のうち、合併または転換後の金融機関が法令上行なうことができなくなったものについては、合併または転換後でも一定期間継続することができることとしております。
本案につきましては、昨四月十七日、質疑を終了し、直ちに討論に入りましたところ、大村襄治君は自由民主党を代表して本案に賛成の旨を、また広沢賢一君は日本社会党を代表して本案に反対の旨を、それぞれ述べられました。
続いて採決いたしましたところ、多数をもって本案は原案のとおり可決となりました。
なお、本案に対しては、金子一平君外二十六名提出の自民、民社、公明三党共同提案にかかる附帯決議を付することに決しました。
附帯決議の内容は、
本法の推進にあたり、特に人員整理、労働条件の引下げ、差別待遇等を行なうことのないように、労使間において自主的に決定せしめるとともに合併及び転換に際して、中小金融機関にもっぱら依存していた中小零細企業者が、不利益をこうむる結果を招来しないよう特に配慮すべきである。
というものであります。
なお、以上両法案に対する附帯決議については、水田大蔵大臣より、十分御趣旨を尊重して善処する旨の発言がありました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/36
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037・小平久雄
○副議長(小平久雄君) これより採決に入ります。
まず、日程第六につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/37
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038・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、日程第七につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/38
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039・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/39
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040・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 本日は、これにて散会いたします。
午後三時六分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
法 務 大 臣 赤間 文三君
外 務 大 臣 三木 武夫君
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
自 治 大 臣 赤澤 正道君
国 務 大 臣 田中 龍夫君
国 務 大 臣 増田甲子七君
出席政府委員
内閣法制局長官 高辻 正巳君
防衛庁長官官房
長 島田 豊君
防衛施設庁長官 山上 信重君
防衛施設庁施設
部長 鐘江 士郎君
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02519680418/40
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