1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月二十六日(金曜日)
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議事日程 第二十一号
昭和四十三年四月二十六日
午後二時開議
第一 刑事補償法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
第二 公海に関する条約の実施に伴う海底電線
等の損壊行為の処罰に関する法律案(内閣提
出)
第三 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
第四 清掃施設整備緊急措置法案(内閣提出)
第五 船員保険法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
第六 競馬法の一部を改正する法律案(坂村吉
正君外四名提出)
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○本日の会議に付した案件
政治資金規正法改正問題に関する緊急質問(西
宮弘君提出)
政治資金規正法改正に関する緊急質問(岡本富
夫君提出)
日程第一 刑事補償法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
日程第二 公海に関する条約の実施に伴う海底
電線等の損壊行為の処罰に関する法律案(内
閣提出)
日程第三 下級裁判所の設立及び管轄区域に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提
出)
日程第四 清掃施設整備緊急措置法案(内閣提
出)
日程第五 船員保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
社会保険労務士法案(社会労働委員長提出)
日程第六 競馬法の一部を改正する法律案(坂
村吉正君外四名提出)
運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出)
午後二時十五分開議
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001・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。
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政治資金規正法改正問題に関する緊急質問(西宮弘君提出)
政治資金規正法改正に関する緊急質問(岡本富夫君提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/1
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002・山村新治郎
○山村新治郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
この際、西宮弘君提出、政治資金規正法改正問題に関する緊急質問、及び岡本富夫君提出、政治資金規正法改正に関する緊急質問を順次許可されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/2
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003・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 山村新治郎君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/3
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004・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
まず、西宮弘君提出、政治資金規正法改正問題に関する緊急質問を許可いたします。西宮弘君。
〔西宮弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/4
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005・西宮弘
○西宮弘君 私は、政治資金規正法に関連いたしまして、日本社会党を代表して緊急質問をいたしたいと存じます。(拍手)
まず、佐藤総理にお尋ねいたしますが、一体きょうは何月何日でございましょうか。佐藤総理はカレンダーをお持ちでございましょうか。けさの新聞によりますると、まだ自民党内でこの問題についての意見の調整が最終的についておらないということでありまするが、この期に及んでこのていたらく、まさに春日遅々、ひねもすのたりのたりかな、まことにのどかな風景でございます。(拍手)この国会の会期がいつ終わりになるかは、たぶん佐藤総理も御承知だと思うのでありまするが、これでは、どう考えてみても、本気で取り組んでいるとは思われないのであります。第一、佐藤総理が自民党の責任者に、この問題はこの国会に提案すべきであると指示されたのは、わずか四日前の二十二日ではありませんか。要するに、このままほおかぶりをしておったのでは参議院選挙に不利だというので、とにかく出すだけは出して世間をごまかそう、こういう魂胆であるということは、すべての新聞が報道いたしておりますが、(拍手)私もそのとおりだと合点をいたすのであります。
去る昭和四十一年の秋、この問題を審議会に佐藤総理が諮問いたしましたその当初から、あまりにもしばしば、かつあまりにも明白に、総理は答申を尊重し、早期提案、早期成立を国民の前に約束をしてこられました。しかるに、その総理の数々の言明は、もののみごとに裏切られてまいったのであります。新聞、雑誌などを含めて、世上いろいろと取りざたされておりますので、いっそのこと直接御本人に伺ったほうがはっきりするかと思いまするので、一言お尋ねをいたしますが、佐藤総理は、一体舌は何枚お持ちなのでございましょうか。(拍手)二枚舌、三枚舌、四枚舌などといろいろな学説が分かれておるのでございます。私は、日本の科学の権威のためにも明らかにしたいと思います。
佐藤総理、失礼とは思いながら、あえて私がこのことをお尋ねするゆえんのものは、この問題に関して、佐藤総理の言明と行動とがあまりにもかけ離れているからであります。(拍手)心ある国民のすべてが激しく憤激いたしておりまするのは、当然過ぎるほど当然であります。かつて審議会の特別委員長をいたしておりました島田武夫氏は、政府はぺてん師の集まりのように感ずると新聞に書いております。さらに、私がここに持ってまいりました「新評」という雑誌には、あるテレビ番組で、日本一のうそつきはだれですかという街頭録音をとったところ、佐藤榮作という答えが圧倒的に多かったと書いておるのでございます。(拍手)これは佐藤総理の政治全体についての国民の感情だと思いまするけれども、とりわけ政治資金に関しては、国民の気持ちはまさにそのことばのとおりだと思います。
だから、私の質問の第一は、まことにプリミティブな質問ではありまするけれども、佐藤総理はぺてん師だ、天下の大うそつきだと言われても、あえてこれを否定されないのであるかどうか、もしそのとおりだと肯定されるならば何をかいわんや、私は、これ以上の質問を必要といたしません。しかし、おそらくは、何とか陳弁これつとめるでありましょうから、念のために私は次の質問を続行いたします。(拍手)
質問の第二は、この政治資金の問題を、佐藤総理は重大問題だとお考えであるか、あるいはそれとも金の問題のごときは枝葉末節だとお考えであるかどうか。私がことさらにこのことをお尋ねいたしまするのは、佐藤内閣の閣僚それがしは、佐藤派の派閥から二千九百万円受け取っておるということで、この前の参議院で指摘されました際に、新聞記者に対して、この種の問題については、どうのこうの言うのはやぼだ、こう答えているからであります。これは現に、佐藤内閣の有力閣僚として、このひな壇の上に厳然として——きょうはおりません。厳然として控えておるのでありまするが、これによっても、佐藤内閣の本質はすでに明らかだと思うのであります。(拍手)この金の問題、銭の問題を論ずるがごときは、やぼの骨頂だとお考えであるかどうか。
次に、質問の第三は、現行規正法の生命ともいうべき公開の原則が、まさに危殆に瀕しておるのでありまするが、これに対する総理の御見解を伺いたい。
まず、一、二の例を御紹介いたしましょう。少し話は古くなりまするが、昨年一月の総選挙の際、自民党は、候補者一人一人に対して、二百万の公認料と百万の貸し付け金と称する金を交付されました。このことは、総計三百二十七名の名を連ねて、自民党本部から自治省に届け出をしてあるのであります。私は、試みに、これを受け取った側で、いかように処理、報告をしておるかを知りたいために、全国各都道府県に提出されました収支報告書を取り寄せてみたのであります。ところが、当選されました現職議員二百五十名の分が、私の手元に届いたのでありまするが、その中で、この自民党本部から自治省に報告したとおりに、正直に、正確に報告した人は、たった二人しかないのであります。(拍手)もっとも、形式はやや違いまするけれども、おそらく同じ内容のことを意味するだろうと思うものを推定いたしますると、これを加えて二十五名でございます。二百五十名中の二十五名、わずかに一割にしか当たらないのであります。
次に、佐藤派のやり方には、こういう例もございます。すなわち、昭和四十一年上期までは、交際費の支出先は「料飲業」、「飲食業」などと明瞭に記入されておりました。ところが、たまたま黒い霧が問題になりますると、同年下期からは、「料飲業」などという表示は一切姿を消してしまいました。しかし、しさいに点検いたしますると、その支出先は依然として料亭、バー、キャバレーのたぐいであります。なぜこのような子供だましみたいな小細工を弄さなければならないでありましょうか。佐藤派が他の派閥を圧して巨大な金を集め、これを派閥の内外にばらまいておりますることは申すまでもありませんが、それゆえに朝日新聞は、金でかちとられた権力はそれを維持するために金を要する、わが国の総理の地位が金で左右され、金で維持されているといっても言い過ぎでないことを収支報告書——この政治資金の収支報告書でありますが、は物語っていると述べているのであります。
さらに派閥の自治省に提出した報告書によりますると、一人当たり数千万というばく大な金がかなりな人数に支給されておりまするので、前の国会で私がこのことを追及いたしましたところ、今回はいずれも何某ほか、何某ほかと書いて、何某以外の者にも手渡されたことを明らかにしております。つまり何某一人でせしめてしまったのではないということを言いたいのでありましょうが、それならそのほかとはだれをさすのか、だれとだれとでこの大金を山分けしたのか、一切秘密に付されておるのであります。同時に、その金の出どころについて、佐藤派の場合は、その出所が明らかなのはわずかに一%にすぎず、残り九九%以上は全く秘密のベールに包まれていると、先般参議院でも論議されているのであります。一体、政治資金は善意の寄付だから、これを制限するのはおかしい、こういう意見が絶えず自民党筋から放送されておるのであります。しかし、もしもほんとうにそのとおりならば、なぜ堂々と天下に公表しないのでありまするか。(拍手)
自民党の政治資金を集める団体、国民協会の責任者は、読売新聞の問いに答えて、「国民協会の内容は一切申し上げられません、医者が患者の容体をやたらに発表しないと同じように、私どもは献金内容を外部に漏らさないのであります」、このように答えておるのであります。このことばを聞いて、政治資金とは、善意の寄付、善意の浄財などというイメージがどうして起こり得るでありましょうか。
佐藤総理、この巨大な金をやみからやみに動かすそのやり方が世道人心に及ぼす影響は、けだし甚大だといわなければなりません。(拍手)昨今、相次ぐ汚職、贈収賄等のよって来たるところ、その根源は、実にこのような政治の最高責任者の政治姿勢にあるものと断ぜざるを得ません。(拍手)
この新聞をごらんください。かつて総理が綱紀粛正について役人たちに訓示をいたしましたところ、「ほんとうにやれますか」という大見出しで朝日新聞は疑問を投げかけておるのであります。つまり、佐藤総理のお説教などはくすぐったくて聞いていられないと、せせら笑っている姿であります。あえて総理の御見解を伺います。
質問の第四は、金に群がる政治家の姿勢についてであります。近くは、日通の事件に関し、使途不明の金のうちの相当部分が、政治家の手に渡っているのではないかと懸念されております。あるいは日本大学の問題においてさえも、同様のうわさが流れております。私がそう申し上げただけで、お心当たりの方があるのではありませんか。日本大学の外郭団体に日本会なるものがありまして、重要なる役割りを果たしておりますが、この日本会の総裁は佐藤榮作氏であります。佐藤さんはみずからこの会に出席をして、「私はこの会の総裁であることを自由民主党の総裁であること以上に光栄に存じております」とあいさつをいたしまして、たいへんな熱の入れようなのであります。もしそれ、学生諸君の血のにじむような月謝や入学金などが政治資金等に投入されていると万一いたしまするならば、その罪はまことに深く、かつ重いといわなければなりません。(拍手)
先年私は、熱帯地方を旅行いたしまして、死んだ動物の肉を争って無数のハゲタカが群がり集まっている姿を見て、さながらこの世の地獄を見る思いがいたしました。今日、金に群がる保守党政治家の姿は、失礼ながらこのハゲタカの群れを連想させるのであります。(拍手)しかも、ことしは、日本の総理、総裁の地位を争う重大なる時期を迎えようとしております。またしてもかつてのように、凄惨苛烈な黄金戦が展開されるのではないかと憂慮いたしますのは、あにただ私一人だけではないと存じます。(拍手)
先般、わが党の議員は、政策論争の過程において用語が不適当なるゆえをもって、国会の品位を汚すものとして懲戒処分を受けました。だがしかし、真に国会の品位を傷つけ、国民の政治不信を招くものは、この金に群がる政治家の姿ではないでしょうか。政治に信頼と期待を寄せることのできなくなった若い学生諸君が、現状否認の強い行動に突っ走ろうとする気持ちが私にはわかるような感じがいたします。これについて総理のお考えをお尋ねいたします。
質問の第五は、いわゆる構造汚職についてであります。すなわち、金は政治献金として合法的に受け取り、合法的に届け出をしたとしても、それがために政治全体がそのスポンサーの利益のために傾いてしまうということが最もおそるべきことであります。(拍手)たとえば、昨年の選挙を目前にいたしまして、自民党は経団連に対して定額の寄付、会費の増額及び二十億の選挙資金を要求いたしました。これに対して経団連は、株式配当に対する分離課税の優遇措置の期限延長を要請いたしました。この二つがりっぱに取引されたいきさつ、ギブ・アンド・テイクのいきさつは、当時の毎日新聞に克明に報道されておるのであります。(拍手)
およそ、財界が時の権力者に政治献金をいたしますることは、その対価がねらいであること申すまでもありません。かつて造船疑獄に連座いたしましたある財界人は、「一銭を争う財界人が見返りのない政治献金などをすることはあり得ない、もしそんな献金をしたら財界人としては失格だ」、このように述べておるのであります。まさに理の当然だといわなければなりません。本来は金をもうけることを使命とするこれらの企業体が、どぶに捨てるつもりで政治献金をするはずがないくらいのことは、三歳の童子といえどもわかる理屈であります。税制、補助金、金融、請負契約、許可、認可など、あらゆるものが取引されるのであります。いまの自民党のように、選挙はもちろんのこと、ふだんの政治活動一切がっさい財界まるがかえであるところに最もおそるべき問題がひそんでおるのであります。(拍手)このように完全に財界に癒着した政治構造に対して、総理は何らの反省も、何らの感想もお持ちではありませんか。
以上、私の質問は、
第一、総理はぺてん師、天下の大うそつきだと言われて差しつかえがないのかどうか。
第二、政治資金を論ずることはやぼの骨頂だとお考えかどうか。
第三、政治資金公開の原則は死滅に瀕しております。もちろん、これはひとり佐藤派だけの問題ではありませんが、佐藤派においてその傾向が顕著だといわれておりますが、御所見を賜わりたい。あわせてこの秘密主義が世道人心に及ぼす影響。
第四に、金に群がる政治姿勢について。
第五、いわゆる構造汚職について。
要するに、これらの問題点がチェックできるような制度の改正でなければ、政治資金規正法を改正する意味は全くありません。少なくとも答申の線を最低限度として、その実現を私どもはひたすらにこいねがっておるのであります。ところが、今日伝えられる自民党内の議論のごときは、全くふざけ切った、国民をばかにするのもいいかげんにしてくれというのが、国民一般の偽らざる気持ちだと思います。
私は、自治大臣にお尋ねいたしますが、第一、寄付限度額を引き上げるのかどうか。第二、派閥、個人への寄付を別ワクにするのかどうか。第三、会費はいままでどおり非公開でも差しつかえないものとして葬ってしまうのかどうか。問題を三つにしぼりましたので、この点についてはあくまでも具体的に、詳細に、明確にお答えをいただきたいと存じます。
佐藤総理、選挙に金がかかる、政治には金がかかると口ぐせのように言われまするが、なぜそのようなばく大な金がかかるのか、どこにその金を使うのか、これは国民すべてが抱くどうしても納得のいかない素朴な疑問だと思います。佐藤総理は、ぜひともこの点を明確に、具体的にお示し願いたいと存じます。
佐藤総理の言行不一致は、この政治資金規正法の取り扱いをめぐってすでに国民の常識となってしまいました。これほどまでに自民党内で金の問題に執着が強いならば、総理は、たとえば小骨一本抜きませんなどとのきれいごとを言わなければよかったのでございます。しかし、すでに過ぎたことは何ともいたし方がありませんので、せめてこれから先でも、総理は、いつ、どこで何を聞かれても、私は白紙です、私は白紙ですとだけお答えになれば無難だと思うのであります。(拍手)したがいまして、私の質問に対しても、また責任ある確固たるお考えをお持ちでないならば、同様の御答弁で全部白紙だと答弁されましてもやむを得ません。ただそのかわり、ていさいよくその場だけをごまかしてお茶を濁そうというようなやり方だけは絶対にやめてほしいとつけ加えまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/5
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006・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) この際、暫時休憩いたします。
午後三時四十三分休憩
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午後六時八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/6
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007・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
西宮君の緊急質問に対する答弁を求めます。内閣総理大臣佐藤榮作君。
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/7
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008・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
私並びにわが自由民主党に対していろいろ御批判いただきましたが、しかし、私並びにわが自由民主党は、国民のために政治に真剣に取り組んでおるのでありまして、国民大多数の方はこれをよく理解し、私どもはその支持を得ておる、かように思いますので、この機会にはっきり態度を申し上げておきます。(拍手)
政治資金の問題は、これは政治の枝葉末節の問題ではございません。これこそは政治の基本的姿勢につながるものでございます。そういう意味で、私はこの政治資金の問題と真剣に取り組むつもりであります。かような意味から、前国会におきましても、この政治資金規正法案を提案いたしたのであります。しかしながら、まことに残念なことには、申すまでもなく、この政治資金規正法案は、いろいろの選挙制度の問題や、あるいは政治、選挙等とも関連がありますので、前国会におきましては論議がまとまることができませんで、ついに成立を見ることができなかったのであります。まことに私は遺憾に思っております。今回はぜひ一歩でも前進して、そうして、ぜひとも成案を得るようにせっかく努力中であります。すなわち、前国会の審議の経緯にもかんがみ、答申の精神を生かしつつ、一歩でも前進できる実現可能な案を得るために、調整を急いでおる次第であります。したがいまして、会期も終わりに近づいておりますので、成案を得次第、急ぎ国会に提案をいたしますから、十分その際には御審議をいただきたいと思います。
また、政治活動や選挙運動に金がかかるのは、これは当然なことでございますが、その金は浄財でなければならないこと、また、使い方も、十分注意いたしまして、不当に金のかかることは避けるべきであります。しかし、現行の選挙制度は、党本位でなく個人中心であるために金もかかるのでございますから、これを、かからないような方向で、十分検討してまいるつもりであります。
お尋ねの公開の原則は、これは私は貫きたい、かように思っております。
以上お答えいたします。(拍手)
〔国務大臣赤澤正道君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/8
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009・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) お答えいたします。
政治資金規正法の立案についての態度と申しますか、全体の考え方は、ただいま総理が申しましたとおりでございます。ただ、この前の国会での審議の経過は、議論がまとまりませんで、非常に苦渋をなめたわけでございますが、われわれといたしましては、答申の精神を生かしながら、一歩でも前進できる実現可能な案を得るために、目下鋭意調整中でございます。
案の内容につきましては、いろいろ意見もございますので、目下その調整に努力しておりますが、会社、労働組合その他の団体の献金の限度につきましても、分相応の範囲内で、弾力的な要素を加味する合理的な基準を検討したいと考えております。世間に、法人の損金算入限度額の考え方を導入するなどという話も出ておりますが、議論の過程ではありましたけれども、それは私どものとらざるところでございます。
次に、政党とその他の政治団体との間の政治献金の取り扱いについてですが、これも、総理がいま触れられました現在のような金のかかる同士打ちの選挙制度のもとにおきましては、やはりある程度弾力的な配慮が必要であると考えざるを得ません。いわゆる会費名義の寄付につきましては、基本的にはいわゆる公開の原則の方向で処理することが適当と考え、目下鋭意調整に努力をいたしております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/9
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010・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 次に、岡本富夫君提出、政治資金規正法改正に関する緊急質問を許可いたします。岡本富夫君。
〔岡本富夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/10
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011・岡本富夫
○岡本富夫君 私は、公明党を代表して、緊急審議を要する政治資金規正法の改正に関して、総理大臣並びに関係大臣に対して質問をまじめに行ないます。したがいまして、最初に申し上げたいことは、熱意があれば、検討中と、そういうような逃げ口上でなくして、はっきりと答弁をいただきたいと思うのであります。
さて、この法案の改正は、今国会提出予定法案の中でも最も重要な法案であり、政界浄化を願う国民大衆は、この法案の正しい改正と、早期成立を大きな期待をもって注目しているのであります。ところが、政府・自民党は、今国会の提出にあたっては、成立できるものでなければならない、そういうような理由で、改正案の検討はもっぱら自民党の党内調整にまかしてきたのであります。しかも、そのためにいたずらに日時を延ばし、こういうような現在のような姿になった。これは、まさに政府の自主性なき姿であり、その責任は重大といわなければならないのであります。
今国会は、七月に参議院選挙が実施されるため、実質的な審議期間はあとわずかしかないのであります。しかるに、いまだ政府案の提出がなされていないという実情は、全く国民軽視の姿ではないでしょうか。腐敗、汚職の渦はいつ果てるともなく続き、特に、一昨年以来の一連の黒い霧事件の続発によって、政治資金の規正を叫ぶ声は、世論となって大きな盛り上がりを示してきたのであります。この腐敗政治を浄化するためには、まず政治権力と金との結びつきをガラス張りにせよという国民の声は、いまや天の声として政府・自民党に集中しているではありませんか。
わが公明党は、昭和三十七年以来、参議院に政治資金規正法及び公職選挙法の改正案を提出し、その病根を取り除くべきことを主張してまいりました。
すなわち、政治献金は個人に限り、会社、法人、団体等の寄付は一切禁止し、また個人の寄付の限度額も年間二十万円にとめるべきであるという趣旨のものであります。これは、会社、法人、その他の団体からの大口献金を禁止することによって、利権の反対給付を遮断して、政治資金の公明化、大衆化をはかろうとするものであります。
さらに、政党の政治活動のための費用は、党費によってまかなう方向を与えようとしたものなのであります。これは、すでに七年前、第一次選挙制度審議会において、政治資金は党員の負担する党費及び党を支持する個人の献金する浄財によってまかなうべきである、したがって、会社、団体の政治献金は一切禁止すべきであると答申された精神と全く合致するものであります。
昨年の第五次選挙制度審議会は、第一次答申より大幅な緩和を示したとは申しながら、寄付は個人に限る旨を条件としているのであります。したがって、あくまでもその目ざすところは、政治資金は個人に限るべしという精神であることは間違いないのであります。
そこで、総理にお伺いしたい。この公明党の主張、また選挙制度審議会の精神は、政府の考えておる政治資金規正法の改正案にどのように生かそうとしておるのか、それとも、これを全く無視しようとしておるのか、明確にお答え願いたいのであります。
さて、第五次選挙制度審議会は、政治資金のあり方については、他の選挙制度全般の改正に先だって解決すべきであると全員が認め、他の選挙制度改正と全く切り離して、当面、緊急に措置すべき事項と答申されたのであります。
国民の目が、佐藤政権の政治不信になってあらわれることを最もおそれたのか、佐藤総理は、みずからの責任において、答申の尊重と改正案の成立について、巧みなことばをもって堂々と公約しているのであります。すなわち、昨年の三月、衆議院予算委員会において、「答申が出れば、率直に、謙虚な態度で立法化し、また法制化して、国会に審議をお願いする」と発言し、答申を受け取った後の記者会見でも、「答申は十分に尊重し、勇断をもって実現に努力する、政治資金の規正は国民の至上命令であり、大骨はもちろん、小骨一本も抜くようなことはできるものではない」と、こう言明しておるのであります。ところが、その後、答申よりも後退した政府案を、さらに自民党はさんざんに骨抜きにして、廃案にしてしまったではありませんか。そのあと、九月二日の記者会見でも、「政治資金問題については、国民にほんとうに申しわけないと考えておる、十分反省している、しかし、政治は現実である、骨抜きの批判は受けるであろうが、現状を一歩でも前進させるため、次の通常国会に再び改正案を提出したい」と、再び公約したのであります。しかし、特別国会において廃案にしたその改正案を、審議期間の不足を理由に、また提出しなかったのであります。そして、総理が公約した現五十八国会を迎えて、なおかつ初めは二月中旬あるいは二月一ぱい、あるいは三月中旬あるいは三月末と、次々と引き延ばし、きょうは四月二十六日と、今日に及んでもいまだ提出されていないのであります。
以上のように、佐藤総理の発言は終始一貫国民を裏切り、同時に、一国の総理として、また与党の党首としてのリーダーシップに非常にはなはだしく欠けると、国民は大きな失望をしているのであります。(拍手)この点、総理はどのように考えられるか。また、はたして自民党総裁として、改正案の成立のためにリーダーシップを発揮せられるのか、納得のいく答弁を願いたいのであります。
次に、赤澤自治大臣にお伺いいたします。
自治大臣は、昨年十二月まで選挙制度審議会の特別委員として政治資金規正のぶちこわしに全力をあげてこられました。しかし、皮肉にも今度は所管大臣として立案を急がせる立場になっているわけであります。昨年の十一月には政党への献金を無制限にし、税務署や選挙管理委員会に申告したものはすべて無税にすることを発表して世論のごうごうたる非難を浴び、さらに、自治大臣就任早々「政治資金の改正は通常国会へは提出しない」などの暴言を吐いて、これまた世論の一斉攻撃を受けたのであります。今通常国会に入っていまだ提出されない裏には、自治大臣のこのような熱意のない考え方が原因となっていると思わざるを得ない。忌憚のない意見を伺いたいと思うのであります。
党利党略のみを考え、答申の骨抜きをはかり、改正案の国会提出をおくらせている間に、政治献金にまつわる事件が相次いで起こっております。
すなわち、大阪タクシー協会から多額の政治献金が政界に流れ、その結果、LPガス課税法案が一業者のためにねじ曲げられてしまったという大阪タクシー汚職事件は、現職及び前国会議員の逮捕という結果となり、またもや政治家に対する国民の不信を一段と高めたのであります。
また、現在世間を騒がしております日通事件についても、政治献金にまつわるどす黒い疑惑があり、一部では約五億円のリベートが政界に流れたのではないかと報道されているのではありませんか。すなわち、三十七年の参議院選直前に対山社へ三十万円、三十八年衆議院選直前には国政研究会五十万円、睦政会五百万円、対山社三十万円、四十年参議院選では国民協会五百万円、新生政治経済研究会三十万円、政治経済外交研究会三十万円、さらに四十二年衆議院選直前には新生政治経済研究会へ二十万円、勝和会へ二十万円が献金されているのであります。日通が特別の利益を伴う契約の当時者であることは論をまたない。これは明らかに公選法第百九十九条、政治資金規正法二十二条に違反する行為であります。
総理自身、こうした行為は慎むべきである、そういう意見を持っているではありませんか。もう一時のがれの公約でなく、一国の総理として具体的な責任のある答弁を望んで、以下何点かにわたってお伺いいたします。
まず第一に、一体改正案の提出は閣議でいつ決定したのか、いつ提案するのか、審議日数が全く少なくなった今時点において、ただ、今国会に提出するというような抽象的な答弁ではなくして、何月何日に提出すると明確にお答え願いたい。
質問の第二点は、法人会費の公開についてであります。現行法がざる法たる第一にあげられるものは、この法人会費の非公開であります。本来これらの会費は、公開の原則に照らして、寄付と見なして公開すべきでありますが、現状は政治資金が会費という名のもとに、国民の目の届かないところで、やみからやみへと取引されている。これが汚職の温床となっていることは、国民周知の事実であります。したがって、直ちに公開するかどうか、明確にお答えいただきたい。
第三に、政治献金を隠れみのにして悪行をほしいままにする堕落ぶりは、目に余るものがあります。こうした腐敗に対して、政界浄化の名のもとに断固たる処置をとり、政治不信の一掃に立ち上がるべきであります。国民は、わけのわからない官報を読まされているだけで、その実体を見きわめることはできないし、また自治省でもあいまいな届け出に対して何の監査権もない、罰則を適用するにも、その正確を期することができない等では、何の規制か理解に苦しむものであります。主務官庁の監査権について厳然たる態度で臨むべきであると思うが、国民にはっきりと答弁を願いたいのであります。
第四に、法人等の寄付の限度を答申の二千万円よりもはるかにこして、一億円以上の巨額を自民党では決定している。乱脈きわまる法人献金は全く無制限の青天井にひとしいものとなっている。自民党総裁としてなぜここまで拡大しなければならないのか、総理の真意を明らかにしていただきたいのであります。
最後に、政府・自民党の政治資金規正に対する優柔不断な態度は、みずから墓穴を掘るものであるということを警告するものであります。かりそめにも、政府・自民党に政界浄化を願う心があるとするならば、総裁としてどのような改正案を用意されているか、国民を納得させるためにも、細目にわたり、こまかく明確に答えていただきたい。
さらに、国民大衆の声に謙虚に耳を傾け、審議会答申に基づく公明、社会、民社、三党共同改正案を取り上げ、これを今国会ですみやかに成立させるべきであると要望して、私の質問を終わります。以上。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/11
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012・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
政治資金規正法の改正につきましては、今日も私の考えに変わりはございません。したがいまして、できるだけ早く成案を得べく努力してまいりました。近く成案を得られる見込みでございますので、提案をいたしました上は、どうか審議を通じまして論議されて、そして、それを明らかにしていただきたいと思います。何月何日に提案するかというお話でございますが、これは先ほどもお答えいたしましたように、ただいま調整段階でございます。
その他の内容について私にお尋ねでございますが、これらは赤澤大臣からお聞き取りいただきたい。(拍手)
〔国務大臣赤澤正道君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/12
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013・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) お答えいたします。
私が選挙制度審議会の委員として、答申のぶちこわしに努力したようなことをおっしゃいますけれども、とんでもない間違いでして、速記録をお読みになっての発言かどうか存じませんが、たいへん迷惑をいたします。よく速記をお読みになっての御発言を願います。(拍手)政治資金の規正のしかたには、やり方がいろいろあるわけでございまして、ただいまいただいておる答申が一つではない。しかしながら、私どもは、先ほど総理も言っておられまするけれども、政治全体が姿勢を正しますためには、やはり今日の段階では、政治のための資金、これを規正する必要があると思えばこそ、私どももこうしていろいろ成案を得る努力をいたしておるわけでございます。
大体、なぜこんなに金が政治にかかるのかということですけれども、これは御案内のとおりに、世界に例のない同士打ちの選挙をやるということが大きな原因であることは、みな指摘している。一選挙区に一人立てていらっしゃる政党はまだいいのです。しかしこっちのように、一つの選挙区に三人、五人立ててやっておるものは、やはり政治活動にも選挙運動にもむだな費用がかかる。ですから、われわれといたしましては、こういう金のかからぬ、同士打ちをしないという選挙制度をまずやろうじゃないかと申しましても、これにはからだを張って反対なさるという向きがある。(拍手、発言する者あり)私は、こういうことでは、ほんとうに国の将来を憂え、議会政治を守るために、また政党政治を守るために、清潔な資金を使ってやろうじゃないかと申しましても、なかなかうまくいかぬ原因の一つはここにあるということを、ひとつお考えを願いたいと思います。(拍手)やはり世界どの国も小選挙区でやっておるわけでございまするから、日本も将来はこういったことに踏み切るというぐらいな考え方がありませんと、政界の粛正というものはなかなかおぼつかないような気がいたします。
そこで、資金規正法の問題ですけれども、先般来不祥事件が起こりましたことは、まことに残念しごくでございます。しかし、これは最終は、政治家がみなおのおのの立場というものに対して十分な自覚があれば、こういうことは起こるはずはありませんけれども、はなはだ遺憾な状態でございます。そのために、いまの制度改正、区制改正などとは切り離してでも、総理は、まず資金の問題に手をつけて、そしてその面からも姿勢を正せということを強く私ども担当者に要求をしておられるわけでございます。
この政治資金の規正は、方向は、言うまでもなく、公開の原則を守っていくということでございます。先ほど西宮さんにお答えいたしましたとおりに、原則はそういう方向で行くべきであることはもちろんでもございまするし、また、それぞれ相手の会社の資本金の千分の二・五などという答申をいただいておりまするけれども、もっとわかりやすく段階を設けてやったほうがいいのじゃないでしょうかということをいま検討しておる。そのことは先ほどもちょっと申しましたが、ああいう法人の損金算入限度などというものを導入いたしますと、とかく誤解も起きまするので、そういうことはいたしませんということを、先ほど申しておきました。やはり政治の姿勢を正すための資金を規正いたしますためには、原則と申しますか、ルールはあるわけでございまするので、こういったいろいろな点は踏み違えないように、しかも、何と申しましても、提案のおくれておりますゆえんのものは、政党政治は、御案内のとおりに、この線からこっちの皆さんが御了承くださいませんと、実際は成案をつくった形にいたしましても成立しないわけでございます。(発言する者あり)ですから、私どもは与党の方々といまいろいろ調整をしておるわけでございまするので、少し時間がかかっておりますけれども、その点は御了承をお願いいたしまして、近く成案を得まして提出いたしまして、皆さま方に十分御審議をいただきたいと考えております。(拍手)
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日程第一 刑事補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 公海に関する条約の実施に伴う海底電線等の損壊行為の処罰に関する法律案(内閣提出)
日程第三 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/13
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014・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 日程第一、刑事補償法の一部を改正する法律案、日程第二、公海に関する条約の実施に伴う海底電線等の損壊行為の処罰に関する法律案、日程第三、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/14
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015・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。法務委員長永田亮一君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔永田亮一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/15
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016・永田亮一
○永田亮一君 ただいま議題となりました三法案について、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、刑事補償法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、最近における経済事情にかんがみ、刑事補償法の規定による補償金の算定の基準となる金額を、未決の抑留もしくは拘禁または自由刑の執行等による身体の拘束を受けていた場合については、拘束一日につき六百円以上千三百円以下に、また死刑の執行を受けた場合については、三百万円に引き上げるというものであります。
本案は、三月二十二日当委員会に付託され、二十六日提案理由の説明を聴取し、自来参考人の意見を聞く等、慎重審議を行ない、四月二十五日、質疑を終了し、討論なく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、公海に関する条約の実施に伴う海底電線等の損壊行為の処罰に関する法律案について申し上げます。
本案は、公海に関する条約の実施に伴い、故意または過失により、公海にある海底電信線保護万国連合条約による海底電信線を除く海底電線、海底パイプラインまたは海底高圧電線を損壊して、電気通信、石油もしくは可燃性天然ガスの輸送または送電を妨害した者並びにこれらを妨害しようとした者に対する罰則を設ける等の措置を講じようとするものであります。
本案は、三月二十二日当委員会に付託され、二十六日提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、四月二十五日、質疑を終了し、討論なく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
最後に、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、土地の状況、交通の利便等にかんがみ、簡易裁判所の名称、所在地及び管轄区域を変更しようとするものであり、その内容は、相川簡易裁判所の名称及び所在地を変更し、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の別表について、所要の整理を行なおうとするものであります。
本案は、四月九日当委員会に付託され、十六日提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、二十五日、質疑を終了し、討論なく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/16
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017・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 三案を一括して採決いたします。
三案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/17
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018・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、三案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第四 清掃施設整備緊急措置法案(内閣提出)
日程第五 船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
社会保険労務士法案(社会労働委員長提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/18
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019・山村新治郎
○山村新治郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
この際、日程第四及び第五とともに、社会労働委員長提出、社会保険労務士法案は、委員会の審査を省略して三案を一括議題となし、委員長の報告及び趣旨弁明を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/19
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020・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 山村新治郎君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/20
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021・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
日程第四、清掃施設整備緊急措置法案、日程第五、船員保険法の一部を改正する法律案、社会保険労務士法案、右三案を一括して議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/21
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022・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。社会労働委員長八田貞義君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔八田貞義君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/22
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023・八田貞義
○八田貞義君 ただいま議題となりました二法案につきまして、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げますとともに、社会保険労務士法案の趣旨弁明を申し上げます。
まず、清掃施設整備緊急措置法案について申し上げます。
その内容は、
第一に、厚生大臣は、新たに四十二年度を初年度とするし尿処理五カ年計画及びごみ処理施設整備五カ年計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないものとし、さらに経済企画庁長官及び建設大臣と所要の協議を行なうものとすること。
第二に、政府はこの五カ年計画の実施に必要な措置を講じ、また、地方公共団体もこれに即して清掃施設等の整備につとめなければならないものとすること。
第三に、生活環境施設整備緊急措置法を廃止いたすこと
等であります。
本法案は、去る二月十五日本委員会に付託され、昨二十五日の委員会において、質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。
次に、船員保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、陸上の労働者についての失業保険及び労働者災害補償保険との均衡をはかりますため、失業保険金の日額は、失業保険金の算定基礎となっております標準報酬日額の六割に相当する金額を基準として、厚生大臣が社会保険審議会の意見を聞いて定めますとともに、職務上の事由による障害年金及び障害手当金の障害等級表を改めること等であります。
本案は、二月十九日本委員会に付託となり、昨二十五日、質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
次に、社会保険労務士法案について申し上げます。
労働社会保険関係の事務は、経営者のため的確に処理する必要があるだけでなく、労働者の権利の確保にも関係するものでありますので、国家が一定の資格者について試験を行ない、その合格者に対し免許を与え、その業務の適正をはかるため、社会保険労務士制度を定めるものであります。
そのおもなる内容を申し上げますと、
第一に、社会保険労務士とは、主務大臣の免許を受け、社会保険労務士の名称を用いて、労働社会保険諸法令に基づく申請書、届出書、報告書等の書類の作成及び労働社会保険に関する事項について相談、指導を行なう者をいうことといたしました。
第二に、社会保険労務士試験に合格した者及び弁護士は、社会保険労務士となる資格を有するものとし、社会保険労務士試験の受験資格は一定の学歴または経験を有する者とすることといたしました。
第三に、他人の求めに応じ報酬を得て、社会保険労務士の事務を業として行なう社会保険労務士は、あらかじめ氏名その他の事項を主務大臣に届け出ることとし、また社会保険労務士でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、労働社会保険諸法令に基づく書類作成の事務を業として行なってはならないことといたしました。ただし、他の法律に別段の定めがある場合、及び税理士、公認会計士等がその業務に付随して行なう場合には、その制限に触れないこと等であります。
何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/23
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024・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) これより採決に入ります。
まず、日程第四につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/24
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025・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、日程第五につき採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/25
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026・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、社会保険労務士法案につき採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/26
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027・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。
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日程第六 競馬法の一部を改正する法律案(坂村吉正君外四名提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/27
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028・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 日程第六、競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/28
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029・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事坂村吉正君。
—————————————
〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔坂村吉正君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/29
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030・坂村吉正
○坂村吉正君 ただいま議題となりました坂村吉正外四名提出、競馬法の一部を改正する法律案について、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、昭和三十七年競馬法の一部を改正する法律の附則第七条に規定する市町村で、経過措置期間の経過により、本年四月一日以降競馬を施行できなくなった市町村につき、その収入の激変を緩和するため、都道府県の開催する競馬の収益の一部を、三カ年間に限りこれら市町村に交付することができるよう措置いたしますとともに、東京都の特別区につきましては、その特殊性にかんがみ、地方競馬場の存在する特別区以外の特別区につき、当分の間、競馬場の存在する市町村とみなして、地方競馬の施行権を与えることといたしたものであります。
本案は、四月二十三日提出され、四月二十四日提案理由の説明を聴取し、二十五日、民主社会党委員から、右の三カ年間を一カ年短縮して二カ年間とする修正案が提出され、採決の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/30
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031・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/31
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032・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
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運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/32
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033・山村新治郎
○山村新治郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
この際、内閣提出、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/33
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034・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 山村新治郎君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/34
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035・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/35
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036・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長三池信君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔三池信君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/36
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037・三池信
○三池信君 ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、港湾審議会の所掌事務のうち、港湾運送事業の合理化に関する重要事項を調査審議することができる期限を、昭和四十五年三月三十一日までとしようとするものであります。
本案は、二月十日本委員会に付託、三月五日提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、本二十六日、質疑を終了、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/37
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038・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/38
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039・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02919680426/39
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040・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後六時五十分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
法 務 大 臣 赤間 文三君
農 林 大 臣 西村 直己君
運 輸 大 臣 中曽根康弘君
労 働 大 臣 小川 平二君
自 治 大 臣 赤澤 正道君
出席政府委員
内閣法制局第三
部長 荒井 勇君
厚生政務次官 谷垣 專一君
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