1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月七日(火曜日)
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昭和四十三年五月七日
午後二時 本会議
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○本日の会議に付した案件
西村農林大臣の林業基本法に基づく昭和四十二
年度年次報告及び昭和四十三年度林業施策に
ついて並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和
四十二年度年次報告及び昭和四十三年度沿岸
漁業等の施策についての発言及び質疑
沖繩地域における産業の振興開発等のための琉
球政府に対する資金の貸付けに関する特別措
置法案(内閣提出)
午後二時十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/0
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001・小平久雄
○副議長(小平久雄君) これより会議を開きます。
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西村農林大臣の林業基本法に基づく昭和四十
二年度年次報告及び昭和四十三年度林業施策について並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和四十二年度年次報告及び昭和四十三年度沿岸漁業等の施策についての発言発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/1
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002・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 農林大臣から、林業基本法に基づく昭和四十二年度年次報告及び昭和四十三年度林業施策について、また、沿岸漁業等振興法に基づく昭和四十二年度年次報告及び昭和四十三年度沿岸漁業等の施策について発言を求められております。これを許します。農林大臣西村直己君。
〔国務大臣西村直己君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/2
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003・西村直己
○国務大臣(西村直己君) 昭和四十二年度林業の動向に関する年次報告及び昭和四十三年度において講じようとする林業施策につきまして、その概要を御説明いたします。
まず、この年次報告に述べております林業の動向について申し上げます。
四十一年における木材需要は、建築需要の増加等により、きわめて旺盛でありましたが、国内における木材生産は若干の増加にとどまり、外材輸入量が大幅に増加をいたしました。このような事情から、木材価格もかなりの上昇をいたしたのであります。この木材価格の上昇に伴い、四十一年度の林業所得は著しく増加いたしました。
また、毎年の造林面積は減少傾向を示しておりますが、各県における公社造林の進展など、新しい動きも見られ、さらに、林道はまだ十分とはいえませんが、逐次整備されつつあります。
一方、林業経営の動向について見ますと、林業機械の導入など、林業生産技術の進展が見られますが、私有林経営の規模は零細なものがきわめて多く、経営基盤が脆弱である等、林業構造の一そうの改善が必要な状況にあります。林業従事者の動向につきましては、山村農民の流出が著しく、林業労働力の不足が目立っております。
次に、林業に関して講じた施策でありますが、これは、最近、特に四十一年度以降において、政府が林業振興上実施したおもな施策を述べたものであります。
最後に、昭和四十三年度において講じようとする林業施策の概要について申し上げます。
政府といたしましては、近年における林業の動向等にかんがみ、林業基本法の趣旨に従い、所要の諸施策を講ずることといたしております。特に木材需給の安定を期するため、外材輸入の適正円滑化と相まって、森林施業の合理化、計画化を推進するとともに、林道の整備拡充、造林の推進等の施策を講じ、もって国内の林業生産の増大及び生産性の向上をはかることといたしております。
また、林業構造改善等のため、林業構造改善事業、入会林野整備事業等の推進をはかるとともに、国有林野の積極的な活用のための施策を講じ、あわせて山村労働力の流出に対処して、林業従事者の養成、確保等の施策を充実することといたしております。
さらに、近年の経済成長、災害発生の実情に対処し、森林の国土保全機能の確保をはかるため、治山事業の拡充実施等の施策を推進することといたしております。
以上、昭和四十二年度林業の動向に関する年次報告及び昭和四十三年度において講じようとする林業施策について、その概要を説明いたしました次第であります。
次に、先般国会に提出いたしました昭和四十二年度漁業の動向に関する年次報告及び昭和四十三年度において沿岸漁業等について講じようとする施策につきまして、その概要を御説明いたします。
まず、昭和四十二年度漁業の動向に関する報告について申し上げます。この年次報告は、第一部、漁業の動向に関する報告書と、第二部、沿岸漁業等について講じた施策とに分かれております。
水産物の最近の需給状況を見ますと、昭和四十一年の漁業生産量はこれまでの最高を記録いたしましたものの、その需要は、国民所得水準の上昇とともに増大しており、生産の伸びを上回る傾向にあります。このような需給の動向を背景といたしまして、水産物の輸入は、高級魚介類を中心として増加しており、四十一年にはこれまでの最高となっております。また、水産物の価格は、生産地ではかなり上昇いたしましたが、消費者価格は、四十年中の上昇率が高率であったことや、冷凍品の供給量が増加したこと等により、上昇率は小幅の上昇にとどまりました。
次に、漁業経営体数及び就業者数について申しますと、いずれも近年その減少傾向が鈍化いたしております。すなわち、経営体数は前年と同水準でありますが、その内訳を見ますと、業種により増減が見られ、経営体全体の構成が変化しつつあります。また、漁業就業者数も昨年よりわずかに減少いたしましたが、引き続き高齢化、女子化の傾向が進んでおります。
また、沿岸漁家の平均所得は、近年上昇の傾向にあり、四十一年には都市勤労者世帯の所得と均衡するに至りましたが、これを一人当たり所得で見れば、都市勤労者に比べるとまだかなり低位にあるのであります。
中小漁業経営におきましては、業種、階層により経営の好、不調がありますが、収益性は、趨勢としてはほぼ安定した推移を見せております。また、雇用者の賃金水準はかなり上昇しておりますが、労働環境にはなお改善の余地が多く残されております。
以上が第一部の概要であります。
第二部は、このような漁業の動向の中で政府が沿岸漁業等について講じた施策を述べたものであります。
最後に、昭和四十三年度において沿岸漁業等について講じようとする施策は、以上のような漁業の動向を考慮いたしまして、政府が昭和四十三年度において講じようとする施策を明らかにしたものであります。その大要は、新漁場の開発等水産資源の維持増大、漁港等漁業の生産基盤の整備、沿岸漁業及び中小漁業の近代化に重点を置いて諸施策の推進をはかることにいたしております。
以上、昭和四十二年度漁業の動向に関する年次報告及び昭和四十三年度において沿岸漁業等について講じようとする施策についての概要を説明いたした次第であります。(拍手)
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林業基本法に基づく昭和四十二年度年次報告及び昭和四十三年度林業施策について並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和四十二年度年次報告及び昭和四十三年度沿岸漁業等の施策についての発言に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/3
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004・小平久雄
○副議長(小平久雄君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。柴田健治君。
〔柴田健治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/4
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005・柴田健治
○柴田健治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま報告されました昭和四十二年度の林業の動向に関する年次報告及び昭和四十三年度において講じようとする林業施策に関して、総理大臣をはじめ関係各大臣に対して質問を行なわんとするものであります。(拍手)
今回の年次報告は、前年度に比べて、形式的ではあるが、分析においても数字的にも克明に述べられており、報告書としては整備されてきているように見られるのであります。しかし、現在の林業の動向を分析すると同時に将来の林業のビジョンを浮き彫りにし、それに向かって新しい構想に基づく林業施策を確立する努力を、国民の前に示すという意欲が全くないことを冒頭に強く指摘しておきたいのであります。
そこで、まず最初に総理大臣にお尋ねいたします。
わが国の林政の基本目標は、林業基本法の趣旨に従い、森林資源に関する基本計画及び重要な林産物の需給に関する長期の見通しの策定、林業が産業として自立するための基盤整備、林業構造改善事業の実施等、関連する諸施策を講じながら、国民経済における林業の地位を高めることにあるのであります。しかるに、国土の七割近く山林原野を持ちながら、国内生産は停滞し、国際収支が赤字だといいながら、無計画、無秩序な外材の輸入を行ない、そして木材価格が暴騰するなど、およそ政府の予期せざる現象が次々とあらわれており、年を追って林業の地位は低下の一途をたどっております。日本経済の急激な変化と将来の発展を思うたとき、これらの実情を現在の林業施策にどのように受けとめ、今後どのように推進しようとするのか、総理の所信を明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
次に、国有林野の活用法案についてお尋ねいたします。
最近、わが国の経済の動向と社会情勢の推移に伴い、国有林野に対する諸要請は一段と高まり、特に農林業の構造改善に活用せよとの声があることは、私たちもよく知っております。しかしながら、池田元総理は、国有林野の活用は、払い下げ方式による払い下げをしないとの所信を明らかにし、佐藤総理は、本院において二回にわたり、農林業の構造改善のために活用するとの見解を明らかにしているところであり、国有林野は現行の法規でも農林業の構造改善に十分活用できるのであります。また、今国会に提案されている農業振興地域の整備に関する法律案の第二十二条第二項に、農業振興地域の農業の振興に資するための国有林野の積極的活用をはかることが規定されておりますが、政府当局の説明によれば、国有林野の活用法案がなくとも、現行制度の中で十分活用できると聞き及んでおるのであります。なぜわざわざ別途に国有林野の活用法案を提出したのか、全く当局の真意が理解できないのであります。
この法案は、国有林野を農林業の構造改善に利用するという美名のもとに、過去にあったような黒い霧の温床をみずからつくり、国民を欺くものではないかと私たちは疑わざるを得ないのであります。賢明な佐藤総理としては、国民が疑問を持つような国有林野の活用法案は、良心に従って撤回すべきである、これを強く要望するとともに、総理の所信を伺いたい。(拍手)
万一、国有林野の活用法案を撤回できないとするならば、佐藤総理に警告を申し上げたい。
およそ、山を治め水を治めるとは、古きことばであり、また新しきことばであることを、政治家は十分知らなければならないと思うのであります。しかるに、一方では無制限に外材を輸入し、国内の木材価格を圧迫し、流通を混乱させ、物価の高騰を招き、国民生活に多大の悪影響を与え、歴史ある国有林野制度を破壊し、さらに山林原野を崩壊と荒廃に導くがごときことは断じて許されないのであります。山を治める資格のない者は、これまた国を治める資格がなく、佐藤総理は直ちに政権の座をおりるべきであり、ここに強く反省を求めるものであります。(拍手)
次に、農林大臣及び通産大臣にお尋ねいたします。
林業基本法第十条により昭和四十一年四月閣議決定した「森林資源に関する基本計画並びに重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」を公表しておりますが、この需給計画は今後五十年先の見通しでありながら、わずか一年にして大幅に狂ってきているのであります。この見通しによれば、昭和五十年において自給率が最低となり、需要の三割程度の外材輸入を必要とすることになっておりますが、年次報告によれば、すでに四十一年度において自給率は七〇%を割り、四十二年度の外材輸入量は四〇%近くの比重を占めているともいわれております。十年先の見通しが一年目にして早くも狂ってしまうとは、見通しがまことに甘かったのか、無責任な計画であったのか、もっと信頼性のある計画を立て直す必要があると思うが、農林大臣の所見を伺いたい。
このような自給率の低下を見た原因を分析すると、昭和四十一年上半期にとられた景気刺激政策によって、民間設備投資を中心とした木材需要が大幅に増大したことが考えられます。しかし、見のがしてはならないのは、供給面において、需要に対応すべき国産材の生産が依然として停滞していることであります。年とともに伸展するわが国経済の中にあって、このように林業だけがそれに追いつけないのみか停滞する現状は、まことに残念であります。政府は、いまや画期的な抜本的対策を実施すべきときに直面していると考えられるが、農林大臣の所信を伺いたい。
また、需給のギャップを埋めるためには、必然的に外材輸入の増大にたよらざるを得ない現状であり、昭和四十二年の外材輸入量は、全供給量の四〇%近くの約十億ドルとなっていることは御承知のとおりであります。わが国の林野率は六八%で、世界の平均林野率の三二%を大幅に上回り、世界有数の森林国でありながら、世界最高の丸太輸入国となっております。政府は、従来、国会において、外材輸入は国内生産の補足的役割りを果たすものであると答弁してきたにもかかわらず、輸入量は大きく増大し、外材は木材需給上重要な地位を占めてきており、もはや補足的なものとはいえないのであります。
ところが、輸入相手国に目を転ずれば、ラワン材輸入については、主産地であるフィリピンにおいて、森林資源の保護と自国の木材工業育成の観点から丸太の輸出制限問題が起きており、米材についても、その大半を占めるアメリカの北西部の太平洋岸において、中小製材工場の保護のため丸太輸出制限運動が起こっており、さらにソ連材についても、日ソ新五カ年貿易協定以後、ソ連側は製材品の輸出を強く要望していると聞いておるのであります。
今後、丸太の輸入が減少し、製材加工品の輸入が増大すれば、国内の供給構造に変化を生じ、中小製材工場の倒産を招くおそれがあると思われるが、これに対する対策はどうか。いずれにしても、外材輸入に対する確固たる考え方を持って積極的な対策を講じなければ、将来に禍根を残すことになると思うが、通産大臣と農林大臣の所見を伺いたいのであります。(拍手)
次に、木材価格と住宅建設計画について、経済企画庁長官と建設大臣にお尋ねいたします。
従来、やや安定的に推移してきた木材価格が、四十年以降、外材輸入の増大にもかかわらず、高騰を続けており、卸売り物価上昇の大きな原因となっております。特に、国内産の素材に至っては、昭和三十五年に比べ五割以上の値上がりを来たしております。勤労大衆が自分の住宅を持ちたいと熱望しているときに、このように木材価格が暴騰することは、土地価格の高騰と相まって、ますます国民の夢を、また願いを破ることになるものであります。これに対して、経済企画庁長官の所見と、あわせて建設大臣に、住宅建設計画に重大な影響があるかないか、お尋ねをいたすものであります。
次に、大蔵大臣にお尋ねいたします。
林業生産の停滞ないし後退の最大の原因は、生産基盤の整備が非常におくれていることにあるのであります。これは、要するに、予算の裏づけが少ないため山村振興法も十分生かされず、林道の整備、林業の構造改善も十分行なわれず、しかも、森林資源の基本計画策定の年に人工造林の面積が減少するがごときは、一にかかって予算の不足に原因するものであると考えざるを得ないのであります。国の財政投資計画が十分でないといわざるを得ません。今年度の林野庁の一般会計予算総額はわずか五百億円に過ぎず、これで、いままでおくれている日本林業の再建ができると思っているのか。これに対する見解を伺いたいのであります。
なお、造林事業は、国、地方公共団体及び林家の協力によって推進されるのであって、今後の拡大造林、団地造林等を推し進めるために造林単価の引き上げを断行すべきと思うが、大蔵大臣の見解をお尋ねいたします。
また、造林事業を推進するためには、その中核となる機関が必要であります。幸い、近年、各都道府県に造林公社の設立を見、全国で三十二の造林公社ができていることは、将来に希望が持てると考えられます。しかし、この公社を育て、健全な公社としてその目的と役割りを果たさせるためには、融資造林も補助造林も、全面的に事業資金の確保と、公社職員の身分の保障、林家の固定資産税の減税等を十分考慮する必要があると思うが、農林大臣の見解を伺いたいのであります。
次に、林業従事者の所得の向上と労働力の確保について、関係大臣にお尋ねをいたします。
池田内閣以来、高度経済成長政策によって、各産業間の所得格差、地域格差及び個人の所得格差が生じたことは、御承知のとおりであります。水は低いほうに流れ、人は賃金の高いほうに流れることは、これは原則であります。このために、山村地帯の人口が流出し、若者たちを都市に追いやり、林家の中堅層は出かせぎに出、その結果、山村地帯の労働力は低下し、しかも老齢化と婦女子化を招く。このような事情に対し、林業労働者に対する社会保障施策の不備等、佐藤内閣の無策により、農山村の疲弊を招来し、国民経済の中における林業の地位を低下させたことは、はなはだ残念でなりません。このような本質的な問題を解決しない限り、日本林業の発展は望めないと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
先般、十五年、二十年も林業労働者として働いた人たちに対し、永年勤続の表彰を林野庁長官がされましたが、表彰された人たちは、「表彰状では食べていけません、もっと実のある待遇をしてください」と、涙を流して表彰状を林野庁長官に返したと新聞報道が伝えたことは、私たちは忘れることができません。近年、都市の勤労者の賃金と、山林労働者、特に日給制の林業労働者の賃金の格差は大きく開いてきております。しかも、雇用の差別、給与の差別、身分上の差別を政府が現状のまま続けるとするならば、繁栄の底の貧困は深まり、将来大きな社会問題になるおそれなしといえないのであります。日本もアメリカと同様に、黒人問題のように、形を変えた社会問題になることを強く指摘するものであります。これらの問題を解決するために、国有林、民有林を問わず、林業労働者の労働組合の組織率を高め、完全な通年雇用に切りかえ、林業労働者の身分保障を確立すべきであります。
労働大臣にお尋ねいたします。現在、労働省には雇用安定計画があるのか、なければ計画を立てる必要があると思われるが、見解を伺いたい。そして、雇用安定計画の策定にあたっては、林業労働者を全部特殊技能者として職種の位置づけをすべきであると思うのであります。
林業基本法においても、就業促進、雇用の安定、労働条件の改善、社会保障の拡充等必要な施策を政府は責任を持って講ずべきであると明確にしているのであります。そのためには、労災保険、失業保険、健康保険、厚生年金等社会保障制度の確立と、林業労働者に対する適用の拡大が必要と思うが、この点についてどのように考えているのか、農林大臣、厚生大臣、労働大臣の所信を伺いたいのであります。
次に、災害対策について、農林大臣及び建設大臣にお尋ねいたします。
近年、山林災害が異常な発生を見ていることは、御承知のとおりであります。多発する各種の山林災害に対して、政府にはどのような抜本的対策の構想があるのか。風水害、雪害、病虫害、火災等が起きれば、そのつど政府は天災論一辺倒で国民の目をごまかしているのであります。社会開発の進展に対応し、国民経済と国民生活を安定させるためには、災害対策に最善の努力をしなければならないと思うのであります。しかるに、災害の予防対策も災害復旧対策も十分とはいえないのであります。今回、政府は治山治水緊急措置法の一部を改正し、新たな構想のもとに五カ年計画を策定し、事業を推進するといわれるが、建設省と農林省は十分調整ができているのか、また事業は完全にできるのか。なお、今年度の予算で調査費が計上されている林業災害補償制度の構想はどうなっているのか、農林大臣の見解を伺いたいのであります。
最後に、山林火災について自治大臣にお尋ねいたします。
近年、山林火災の発生件数は増大し、森林資源が焼失し、その損害額はばく大であり、また山地の荒廃を招き、まことに憂慮にたえないものがあります。各種災害のうち、火災に対する対策は零にひとしく、政治の谷間になっている感が強いのであります。資源の確保と保護対策は政府の責任であります。山林火災の予防と防遏対策は、国が地方公共団体と連携して取り組む必要があると考えられます。これらの問題を解決するために、財政措置を含めて、基本構想を明確にしていただきたいのであります。担当大臣である自治大臣の見解を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/5
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006・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 柴田君にお答えいたします。
私へのお尋ねは、林業の基本政策、これが第一点、第二点は国有林野の活用の問題でございました。
御承知のように、経済の発展に伴いまして、最近は木材の需要が急激に増大してまいりました。わが国の林業の状態は奥地林道の不足、さらにまた労働力の不足等から、この需要に十分こたえることができない。そのために外材を輸入する、かような状態になっております。それは御指摘のとおりであります。そこで、私どもはこの際、林業基本法の定むるところに従いまして、さらにその施策を強力に遂行していく必要があるのであります。申すまでもなく、林業基本法では、その生産政策、構造対策、さらにまた労働対策等を克明に指示しております。それを強力に実施することによりまして、木材の総生産を需要に対応するように引き上げるとともに、林業就業者の地位を高めるようにこの上ともして、ただいま御指摘になりましたように、産業としての林業、これを確立していかなければならない、かように思います。
第二の国有林野の活用の問題であります。御指摘になりましたように、国有林野は地方によりましてたいへん差がございます。東北地方の林野は大部分国有林野だ、かような状態であります。こういうような地域におきましては、農林業の構造改善のためにも、また農山村地域の開発のためにも、積極的に国有林野を活用していかなければならないと思います。(拍手)私が申し上げるまでもなく、林業基本法の第四条では、すでにその方向を定めております。その趣旨にのっとりまして、この活用の内容をさらに具体化する。同時にまた、活用する場合に、国としての基本的態度を明確にする、こういう意味でただいま国有林野活用法案を提案して、御審議をいただいておる次第でございます。地域的にずいぶん差等がございますから、中国地方の状態から国有林野をお考えにならないで、東北地方の実態に合うように、どうかこの活用法案を御審議願いたいと思います。(拍手)
〔国務大臣西村直己君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/6
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007・西村直己
○国務大臣(西村直己君) まず第一は長期見通し、これは四十一年につくりましたものでございますが、五十カ年の見通しであります。長期の見通しでありまして、したがって、現在の時点では食い違いを生じておる。その点はおっしゃるとおりでございますが、これは経済が急激に伸びましたのと、それから素材生産が停滞ぎみである、この点にギャップが出たことは事実でございます。ただ、これはきわめて長期の見通しでございますし、制定しましてから二年しかたっておりませんので、いましばらくこの状況をよく慎重に検討した上で、改定案等については今後考えてみたいと思います。
それから、需要は増大したけれども、国内生産は停滞しておる、自給率は下がっておる、抜本対策をどうするのだ、これにつきましては、ただいま基本的には総理からもお話がございましたが、われわれといたしましては、林業基本法に基づきまして、何と申しましても生産の増強にウエートを大きく入れたいと思います。そして生産性の向上、したがって、そのためには奥地林道の開設等については極力今後も力を入れると同時に、林業経営、特に民有林の経営は規模が零細であり、基盤が脆弱でありますので、これに対する近代化等々を進めてまいると同時に、林業労働力対策というものがお説のように大事でございますので、これに対しましても大いに努力を払ってまいりたい。要するに、各般の林業政策を総合的に実施してまいりたいと思います。
第三は、丸太の問題でありまして、これは丸太が入ってこない、減ってきて、そうして製材品が入ってくる、中小企業に影響を与えはせぬか。確かにそれぞれの相手国の事情によりまして、丸太製品のみでなく、製材品が入ってくる。したがって、これに対しましては、国内製材業の体質改善は所管の通産大臣等の御関係もありますが、近代化促進というものをわれわれやらなければならぬと同時に、製材輸入に対しましても再製材ができるような大割り材と申しますか、そういうものをできるだけ輸入するような形で、国内の製材業に影響することを少なからしめるようにも輸入の面で努力を払ってまいりたいと思います。
次に、造林公社の問題にお触れになりましたが、確かに最近二十数府県で造林公社をつくって、大いに造林をやっていただいておる。これはわれわれとしては健全に育成したいと思っておるのであります。ただ問題は、これの資金の問題であろうと思うのでありまして、できるだけその資金の確保については、——何と申しましても造林の仕事は、長期かつ低利を要するのでありますから、この資金面の確保につきましては、今後とも、関係方面とも十分連携をとりながら、この政策の推進をはかってまいりたい。同時に、公社の職員の身分の問題もございますので、これらも社会保障制度を含めまして遺憾のないように都道府県知事に指導を加えてまいりたいと思います。
それから、林業労働者全体に対する社会保障制度の確立でございますが、これは関係大臣からも触れられると思いますが、現在のところ、民間林業労働者に対します社会保障制度の適用につきましては、労災保険を除きましては、強制適用または当然適用から除外されておる。失業保険、厚生年金あるいは健保であります。それから通年の雇用形態が少ないということ、保険料負担に対するところの業者が零細である、こういうような諸事情があります。したがって、各種制度の庇護を受けてないという点はそのとおりでありますが、しかし、林業労働の質を向上すると同時に確保することは、われわれの大事な責任でもありますので、私どもといたしましては、関係事業者に対しましても十分この点の啓蒙指導、同時に業界のいわゆる基盤の強化と申しますか、それからもう一つは作業の通年になるような仕組みをするとか、あるいは森林組合の労務班を進めて、安定した労務組織の結成、こういう林業経営自体の基盤育成、こういうものとあわせてこの社会保障というものを考えてまいりたいと思います。
次に、山が災害で荒れているのに対してどうするのだというような御趣旨の御質問であります。これは、御存じのとおり、新しい治山五カ年計画というものを国会で法律を兼ねまして御審議を願っておるのでありますが、特に一番問題になりますのは、都市周辺の開発地域におきまする集落等の災害予防、これは非常に大事なことでありますので、重点的に災害予防につきましては注意をしてまいりたい。と同時に、保安林の機能というものにつきましては、十分その維持増進をはかって、改良事業を進めてまいる。そうしてこれらを中心に新しく四十三年度を初年度とする治山五カ年計画を策定いたしまして、治山事業を進めてまいりたいと思うのであります。
これで特に建設省との関係でございますが、もちろん治山事業と治水事業、特に砂防事業とは密接な関係がございます。したがって、従来も密接にこれは連携をとるように、人事交流等をはかってまいっておるのでありますが、新五カ年計画の策定にあたりましては、特に事前に十分な計画調整を行なうとともに、水系一貫、こういうような考え方で治山治水の総合的効果があがるようにつとめてまいる所存でございます。
以上、要点を申し上げました。(拍手)
〔国務大臣小川平二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/7
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008・小川平二
○国務大臣(小川平二君) お答えいたします。
林業におきましては、作業の季節性、あるいはまた民間林業におきましては零細規模の経営が多いということのために、労働者の雇用がきわめて不安定な現状でございますから、農林省と連携をとって雇用の安定につとめております。国有林につきましては、直営直用を原則といたしまして、各種の事業の組み合わせによって雇用期間の長期化をはかること等を検討いたしまして、雇用の安定につとめることといたしております。民有林につきましては、農林省が林業労働力対策を実施しておりますが、協力いたしまして、これを拡充強化し、都道府県ごとに林業労働力連絡会議を通じまして、情報の交換を行なうほか、市町村とも連携いたしまして、林業労働の需給調整につとめることといたしております。当面、林業労働者の雇用安定のための年次計画的なものはございませんけれども、今後も以上の方向で雇用の安定をはかっていく所存でございます。
林業労働者がその技能にふさわしい適正な処遇を受けるということは、もとより望ましいことでありますから、労働省といたしましては、林業労働者の雇用安定対策とあわせまして、待遇を改善し、社会的経済的な地位を高めてまいりますよう、関係機関とも連携の上、努力してまいりたいと存じます。
それから、林業については、性質上、季節性が強い、また雇用関係、賃金支払い関係等の明確ならざるものが多いために、失業保険においては当然適用となっておりません。しかし、林業労働者に対しましても、その事業が季節性をある程度克服しており、はっきりした雇用関係を持っておるものにつきましては任意加入を認めて、逐次適用の拡大をはかっているところでございます。労災保険の適用につきましては、常時労働者を使用している事業または年間延べ三百人以上の労働者を使用する事業は、すべて強制適用事業といたしております。
なお、中小企業退職金共済制度の普及をはかりますことは、労働者一般の福祉の向上をはかる上で大切なことでございます。林業労働者につきましても、雇用の形態が日雇い形式のものが多いのでございますけれども、極力加入の促進につとめております。
以上申し上げました諸制度におきまする給付の内容の改善については、これから先も十分慎重に検討を進めてまいりたいと存じます。(拍手)
〔国務大臣園田直君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/8
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009・園田直
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
林業は非適用業種であって、ただいまのところ任意適用になっておりまするが、御意見のとおりに、これを被用者保険に完全適用するということにつきましては、林業が短期間で季節的事業であること、または林業労務者等の雇用形態が明確でなくて、請負的なものが多い、こういうこと等もありまして、技術面から困難な面もありまするが、幸い、医療保険につきましては抜本制度の改正を検討しておりまするし、年金保険につきましては明年度の再計算期に検討いたしまするので、この機会に十分検討する所存でございます。(拍手)
〔国務大臣保利茂君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/9
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010・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 木材事情が住宅建設の非常に大きな妨げになりはしないかという御懸念でございますが、住宅建設に占めまする木材費の割合は、木造家屋で二六%、耐火建築で五%程度であります。近年、新材料の利用ないしは不燃化建築物等の普及で、総体的には年々減少してまいっておりますから、政府が考えておりまする住宅建設を遂行してまいります上には、そう不安は感じていないわけでございます。
次に、治水五カ年計画の実施にあたりましては、先ほど農林大臣からもお答えになりましたように、特に砂防事業につきましては、計画の策定、実施の事前に両省の間で十分打ち合わせをいたしまして、万遺憾なきを期する所存でございます。(拍手)
〔国務大臣赤澤正道君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/10
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011・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 森林火災の原因は、理論的には自然発火もありましょうけれども、実際は大部分たばこの吸いがら、また、たき火のあと始末にあるわけでございます。林野においての火気取り扱いの注意につきましては、積極的な広報、また火災発生のおそれがある気象時では、火の使用の制限並びに警戒態勢をとるなどの、出火防止対策について指導はいたしております。
警防対策としては、迅速な通報連絡の確保、消火活動に必要な資機材の整備なども指導しております。また、これに対処するため、多数の消防要員の計画的な出動、また指揮体制の確立などをはかる必要がありますので、市町村消防計画、地域防災計画にこれを盛り込んで、関係機関との連携のもとに対処するように、今後とも十分指導していきたいと考えております。また、林野庁との間でも、こういったことにつきましては、研究会を持って検討は重ねております。
財政措置についてのお尋ねでございますが、昨年度から携帯無線を各消防分団に備えつけますように、交付税上の措置を行ないましたほかに、関係市町村に対しましては小型動力ポンプの補助金を配分いたしまして、重点的に考えていくようにいたしております。(拍手)
〔国務大臣水田三喜男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/11
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012・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 林業関係の予算についてのお尋ねでございましたが、もっぱら民有林関係の公共事業費についての御指摘ではないかと考えます。
表面的に、確かに昨年の予算に比べて増加しておりませんが、これは本年度から制度が変わったためでございまして、従来は森林公団に一般会計を通じて出資が行なわれておりましたが、今度は国有林事業の特別会計から直接に出資するということになりましたので、この出資分を除いて比較いたしますと、昨年度の予算に対して約八%の伸びでございまして、公共事業全般の伸びを上回っているという状態でございます。
さらに、内容から見ますと、林業生産の基盤である林道の拡充をはかったこと、構造改善の推進を行なっていること、それから最近の災害にかんがみまして、治山事業を強化しておるということを考えますというと、林業に対する予算は、私は後退していないというふうに考えております。
それから、林業についての単価の問題でございますが、本年度は労務費一二・七%、苗木代は九・三%の引き上げを行なって、山林所有者が造林ができるように配慮したつもりでございます。(拍手)
〔国務大臣椎名悦三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/12
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013・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 丸太の輸出をだんだん減らして、製材をして、そしてわがほうに輸出するという情勢にありまして、これに対しては農林大臣から具体策が述べられましたが、私は、日本の中小企業の製材業、これがまあいわば追い上げられておる、これがあくまでなわ張りを守る意味において拮抗をしていくということもさることながら、基本的にはやはり、近代化あるいは構造改革、そして日本の中小の製材業のあり方をもっと向上させるということが必要である、かように考える次第であります。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/13
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014・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 現在国産原木の卸売り価格は、昭和四十年ごろの四割五分高ぐらいになっております。輸入は、昨年でおそらく十億ドルをこえたと推定されますし、これは石数にいたしますと、国内の総需要のほぼ四割でございますから、この問題も放置できない現状であると考えております。
それで、農林省はもちろんでございますけれども、施策がかなり各省に広くわたっておりますので、港湾とか植物防疫とか輸入政策とか、私どものほうでも物価担当官、それに各省から集まってもらいまして、木材部会というのを設けまして、すでに対策を総合的に検討し始めておるわけであります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/14
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015・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 佐々栄三郎君。
〔佐々栄三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/15
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016・佐々栄三郎
○佐々栄三郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま御説明のありましたいわゆる漁業白書等に対し、沿岸漁業、中小漁業、国際漁業の三つに分けて質問いたしたいと思うのであります。(拍手)
まず第一は、沿岸漁業についてであります。
わが国の沿岸漁業は、経営体数からいって、実に全漁業者の九割六分を占めるおびただしい人々がこれに従事いたしておるのであります。そこで、この領域における漁獲高が漸次減少ないしは停滞的であることも一つの問題でありますけれども、私がこの白書において特に注目をいたしましたのは、これに従事する人々が、いまどの程度の所得を保障され、どのような暮らしをしているかという点であります。けだし、政治の終局目標は、それが人間生活の向上にどのように寄与したかという問題に帰着するからであります。
白書は、これについて、沿岸漁業の漁家所得は人口五万人以上の都市勤労者所得の所得水準を上回ったとしるしております。そこには、かつて沿岸漁業の危機が叫ばれた当時の危機意識はなく、むしろ多分に楽観ムードがただよっているようにさえ思われるのであります。はたしてそうか。まずこの数字の中には、近時増加の傾向を示しておる兼業化による所得と、経済的基盤を異にする養殖漁業の所得、さらに不安定な最近の魚価の値上がりが含まれておることを見落としてはなりません。
しかも、白書は、これをさらに分析いたしまして、この漁家所得を世帯員一人当たりにしてみると、それは都市勤労者の七割五分、さらに就業者一人当たりで見ると、都市勤労者の五割八分、つまり半分程度にしかならないことを正直に告白いたしておるのであります。自己の資本と、自己の危険負担の上に立つ独立企業体としての沿岸漁業者が、このようなみじめな生活しか営むことができないということが問題なのであります。白書がいわんとするところが、それでも以前よりはよくなったのだというにありといたしますならば、以前と現在とを含めて、沿岸漁業者をこのような慢性的窮乏のもとに放置して、てん然として恥じない政治権力に対して、その責任を問わざるを得ないのであります。
しかも、こうした慢性的窮乏の上に沿岸漁民はいまや二つの方面から致命的な攻撃を受けておるのであります。その一つは、工場化のための海面の埋め立てや、船舶の油、工場、下水等からの汚水によって、あたら好漁揚が次々と奪われておる問題であり、その二は、都市産業への青壮年労働力の流出、すなわち沿岸漁業の老人化、女子化の問題であります。
そこで、以上を総括して次のことをお尋ねいたしたいと思います。
一つは、現在沿岸漁業に従事しておる四十代以上の労働力が漁業労働力として役に立たなくなったとき、沿岸漁業は一体どうなるかという問題であります。また、この段階において水産庁が目標といたしております沿岸漁業の技術体系の高度化や合理化がはたして可能かどうかという問題であります。
二つには、政府は沿岸漁業政策を経済政策一般の中でどのように位置づけておるかという問題であります。経済の高度成長のためには、沿岸漁業はいつまでも以上のような低い生活水準に満足をし、また公害や漁場の喪失等による手痛い犠牲を甘受しなければならないのかどうかということであります。
なお私はこの際、沿岸内水漁業が当面する二、三の問題について、以下御所見を承りたいと思うのであります。
第一は、阿賀野川事件についてであります。政府は、この事件についても、水俣病、イタイイタイ病等、従来の公害に対処してきた態度と同じように、国民不在の企業第一主義の立場を貫こうとしておるように見受けられるのであります。総理がこの問題に最終的にどのような裁断を下すかは、公害の不安におののく全国の国民がひとしく刮目いたしておるところであります。(拍手)この際、総理の御見解を率直に表明していただきたいと思うのであります。
第二は、海上交通法案についてであります。この法案は、人間優先をたてまえとする陸上交通法規の逆を行く、企業優先、強いもの勝ちの海上交通規制であります。そのために、瀬戸内海その他関係水域の漁民から猛然たる反撃が行なわれたことは御承知のとおりでございます。政府は、本法案の提出は今国会はこれを見送ったようでありまするが、それは関係漁民の訴えをすなおに受け取った上での撤回か、あるいは参議院選挙への影響を考えて、次の国会まで提案を延期したにすぎないのか、この際明らかにしていただきたいのであります。
第三は、漁港整備計画についてであります。漁港整備は第一次、第二次はもちろん、いま行なわれておりまする第三次計画の進捗状況を見ましても、陸上における社会資本投下の状況と比べて雲泥の差があるように思われるのであります。政府はこれをどのように考えておるのか、承りたいと思うのであります。
第四は、総理が昨年の総選挙におきまして公約をいたしました農民年金は、漁民をもその対象とするかどうかということであります。
沿岸漁業につきまして、以上のことをお尋ねいたしたいと思うのであります。
次にお尋ねいたしたいのは、中小漁業についてであります。
歴代自民党内閣が、国内政策においては大企業中心の政治、外交政策においては対米追随外交を行なってきたことは周知の事実であります。そして、沿岸漁業はまさしく自民党内閣の大企業中心政治の受難者であり、中小漁業、特に近海、沖合い漁業は、疑いもなく対米追随外交の犠牲者であると申してもよいと思うのであります。自民党内閣の対米追随外交によってわが国の近海漁業が受けた激しい一撃としてわれわれの記憶になまなましいものは、かの日韓漁業協定でありました。だが、これより早く、わが国の近海漁業は、日米安全保障条約に基づく地位協定と吉田内閣以来のなしくずし再軍備によって、合計三十海域、一万八千平方キロにわたる広大な漁業水域を、主としてアメリカの海、空軍と一部自衛隊の射爆場、演習場として奪われたまま今日に至っておることを忘れてはならないのであります。(拍手)かつての倉石農林大臣は、「ばかばかしい憲法」とか、「軍艦や大砲を持たねば」と放言をし、また増田防衛庁長官は、「日本海の漁民保護のために自衛艦の出動もあり得る」と言ったのでありますが、日本海に出漁中の漁船の網を切ったり、これを取り囲んで脅かしたのは、ほかならぬこの人たちの好きなアメリカの第七艦隊であったことを忘れてはならないのであります。(拍手)
これは過去の問題ではなく、現在の問題であります。一昨日の朝日新聞はこういう記事を載せております。すなわち、「再び日本海にアメリカの空母、駆逐艦などが入る可能性が出てきたので、海上保安庁は、日本海で操業する漁船保護のため、隠岐島海域の特別哨戒を再開することになった」、このように報道いたしておるのであります。対米追随外交が日本の近海漁業にどのような被害を与えておるかは、これ以上私が言うまでもないと思うのであります。ジョンソン大統領の和平声明以後、世界の情勢は、佐藤総理やその閣僚の石頭ぶりをあざ笑いつつ、いまや急角度に転換をいたしておるのであります。この際、これらの海域を本来の権利者である漁民の手に返す方向へ政府の姿勢を転換すべきであると思うがどうか。
またこれに関連する問題として、新島への米軍射爆場の移転について、政府は、地元及びこの周辺海域に出漁する十県、三千隻にのぼる漁民の悲願を聞き入れ、アメリカの要求を拒絶すべきだと思うがどうか、総理並びに防衛庁長官の見解を承りたいと思うのであります。
中小漁業は、いま、漁獲高、経営状況ともに頭打ちの状況であります。そして、そこに働く漁業労働者の賃金その他の労働条件も、白書の多分に修飾的な記述にもかかわらず、その実態は依然として前近代的であります。そして、それが疾病、災害、海難事故発生の最大の原因となっていることも従来と同様であります。政府はこれにいかに対処しようとしているか、あわせてお伺いをいたしたいのであります。
最後に、国際漁業についてお尋ねをいたします。
まず、日ソ漁業条約についてであります。日ソ間の漁業交渉は、カニ漁業、サケ・マス漁業につき、例によって相互不信のあと味悪い思いを残しながら、一応の妥結を見たのでありますが、こうした相互不信をなくし、日ソ漁業関係をすっきりさせるためには、この際すでに期限の切れた日ソ漁業条約の改定に踏み切ることが大切であり、その時期が来ていると思うのでありまするがどうか。
第二は、インドネシアとの漁業関係であります。五月五日の新聞は、インドネシア海域への出漁を自粛していたわが国のマグロ漁船が、日本・インドネシア間の外交交渉での解決が見込み薄であることを理由として、強行出漁の挙に出ようとしている旨を報じているのであります。この海域での漁業で生計を立てていた中小漁業としては、よくよくせっぱ詰まった上での決意といわなければなりません。そこで、この際、インドネシアとの漁業交渉の進行状況と今後の見通しを承りたいのであります。特に私は、この漁業交渉は、この国が佐藤内閣に要求している援助と何らかの関連があるように思うのでありますが、事実はどうか。
また、インドネシアは、一面援助を要求するとともに、他面この海域へ出漁するわが国の漁船から入漁料を徴収する意図を持ち、しかもこの二つの問題にも何らかの関連があるように聞くのであります。これらの問題をこの際明らかにしていただきたいのであります。
第三は、日本は国際漁業について、領海三海里、公海自由の原則に立っており、またこの原則は、わが国漁業の特殊性からいって、従来ある程度の妥当性を持っておったのであります。しかしながら、今日の状況を見まするのに、一方では、日本の沖合いにソ連、韓国の漁船が出没し、他方では、日本の遠洋漁業に対する規制がますます強化されておる現状からいって、この際、このような新事態に対応できる基本的態度を再検討すべき時期に来ておるのではないかと思うのでありますが、これに対する御見解を承りたいと思うのであります。
国際漁業については、以上の三点をお伺いいたしたいと思います。
以上で私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/16
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017・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
沿岸漁業は、やや数字がちょっと私どもの持っている数字と違いますが、総生産量の三分の一、また漁業就業者といたしましてはその七割を占めておる。これが沿岸漁業の提供しておるその就業の場所でございます。したがいまして、この総漁獲量、動物性たん白資源を確保する、維持することと同時に、また、この就業者の生活、その地位を向上さすということ、これは私どもに課せられたたいへん重要なる仕事だと思います。したがって、いままでも近代化をはかるとか合理化をはかるとか、こういう点に力を入れてまいりました。御指摘になりましたように、あるいは養殖をするとかあるいは人工ふ化をするとか、さらにまた魚礁を人工的につくるとか等々でいろいろの手を尽くしておりますが、なかなか思うようにはいかないのが現状でございます。しかし、この上とも、実情に即したように、われわれは、この問題と取り組まなければならない、政府に課せられた重要なる課題だ、かように私は考えております。
次にお尋ねになりましたいわゆる沿岸漁民を、農民年金が制定されるときにはいかにするかというお尋ねでございますが、ただいま農民年金の問題について、関係省でそれぞれ打ち合わせ中でございます。この関係省の間で検討がまとまりました上で、その検討とにらみ合わせた上で、この沿岸漁民の扱い方もきめていく、かようにいたしたいと思います。
次に、米海軍からわが国の漁業を守れ、こういうお話でございますが、政府は、あらゆる努力をいたしまして、わが国漁業の保護に万全を期する決意でございます。
次に、阿賀野川事件についてのお尋ねがございましたが、ただいまちょうど各関係省の調査を取りまとめる段階になっております。したがいまして、科学技術庁を中心にいたしまして関係省とただいま取りまとめ中、かように御了承いただきたいと思います。
その他の部分につきましては、それぞれ他の大臣から答弁いたさせますから、お聞き取りをいただきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣西村直己君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/17
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018・西村直己
○国務大臣(西村直己君) 沿岸漁業の中で、沿岸漁業が振興されてない、かつは老齢化していくじゃないか、こういう問題でございます。総理からもお話がございましたが、特に沿岸漁業だけではありませんが、沿岸漁業に対して私どもは近代化を進める。それには漁業近代化資金制度を早急に興していきたいと、ただいま調査を進めております。
それから、老齢化の問題は、御指摘のような傾向が確かにあります。そこで、これに対する労働力を省くような無動力漁船の動力化であるとか、省力設備の機械導入、こういうふうないろいろな方法をとると同時に、後継者育成、いわゆる優秀な後継者、労働力の確保というのは、やはり農業と同じように大事な問題でございます。そこで、これに対しましても、学校教育あるいは専門の技術教育等の研修、これらの充実をはかると同時に、あわせまして、漁村の生活環境の整備、こういうものと一体的に問題を取り上げてまいりたいと思うのでございます。
それから、第三次の漁港整備計画からあわせて今後の見通しでございますが、三十八年から四十五年まで八カ年にわたる漁港整備計画が、四十三年度で大体六六%ぐらいの進捗率になっておりまして、他のいわゆる経済のいろいろな公共事業費から比べると、必ずしも私は十分であるとは思っておりません。そこで、ただいま第四次と申しますか、続いて新しい整備計画を——従来のは年数もたっておりますので、現在の漁業情勢にあわせまして、漁港整備の計画というものをいずれつくりたいという意味で検討を続けておるのであります。
それから沖合いと申しますか、中小漁業の振興につきましては、昨年振興法をつくっていただきました。そこで昨年は、すでにこの法律に基づきまして、近代化のいろいろな金融上あるいは税制上の特例措置を講じていただいておるのでありまして、昨年度は以西底びき網漁業とカツオ・マグロ漁業の二業種を指定した。それから今年度は、新たにまき網漁業を指定業種に追加して、三業種合わせまして六十二億円の公庫資金の融資を行なっており、今後もこれを拡大、充実いたしてまいりたいと思っております。
それから、漁船乗り組み員の労働条件の改善、これは関係大臣から——特に二十トン以上の漁船につきましては船員法の適用があるわけでありますが、一般に漁船乗り組み員の労働条件、環境が悪いではないか、これにつきましては、賃金であるとか居住環境の改善は加えられておりますけれども、まだ十分でない点がございます。したがって、今後とも賃金体系の合理化、それから労働条件の改善あるいは居住、労働環境の改善につとめてまいるつもりでございます。
それから、国際漁業で、これは外務大臣のほうから中心のお答えがあると思いますが、私のほうから触れておきますが、日ソ漁業につきまして先般妥結は見たのであります。御存じのとおり、漁業条約が十年の年期で四十一年十二月で一応満了しておりますが、その後は一応いずれかの国が廃棄しない限りは続くという状態で今日まで継続いたしておりまして、これの基本的な考え方につきましては、北太平洋のサケ・マスの漁業の秩序とそれから資源の維持ということに貢献していることは、日ソ両国政府ともこの点は意見は一致しているのであります。ただ問題は、必ずしもこの基本的な考え方だけで安定してない、満足してない部分も両国間にあることは事実でございます。そこで、私どものほうといたしましても、日ソ両国が安定しながらこの資源を活用し得るということは、これは当然であるし、同時にわが国の立場では、十分そのわが国の国益が確保できるというたてまえから、今後あるいは改定やなんかのような問題が起こってくる場合には、十分検討を加えながら、関係の外務省、外務大臣等と御一緒に、十分研究を加えてまいりたいという考えを持っております。
それからもう一つ、インドネシアの漁業交渉は、経緯は外務大臣のほうからお話をいただくわけでありますが、特にこのうちで入漁料が話になっているじゃないかという点につきまして、ちょっと一言申し上げておきます。内水宣言であるとか専管水域を一方の国が一方的にやられるということは、私どものほうはこれは受け入れておりません。これは国際関係の上から見ましても認められる問題ではありませんが、そういうものをたな上げしまして、現実的な問題の解決としまして、何らか妥当な方法で、相手方と、あるいは第三国がやっているような形もよく見まして、その国その国を考えながら、処理をしていく場合に、こういった一つの寄港料であるとか、何かそういう方法をとったらどうかというのが一つの交渉の題目になっておるのでありまして、しかもこれは政府と政府の間である程度の方向がついた場合に、日本の民間とそれからあちらの政府との間の話し合いになるわけでありまして、必ずしもこれが全部の例になるというわけでもなし、また入漁料というような意味のものでもない、あくまでも現実的な漁業の安定のための打開方法の一つというふうに私のほうは考えながら、外務省を通して円満な妥結が一日も早くできるように期待をいたしておるのであります。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/18
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019・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 沿岸漁業の漁船乗り組み員の待遇改善を要することは御指摘のとおりであります。そこで、昭和三十七年以来、労働条件の改善あるいは労働環境の改善のための措置要綱をつくりまして、指導しております。
労働条件の問題では、歩合制の改善、休日休暇の設定、長期雇用契約への切りかえ、船内食料の改善等が眼目であります。それから環境の問題では、安全基準の問題、居室基準の改革、船内衛生、これらの問題につきまして、基準を指示して改革をやっております。なお、漁船の船主がわりあいに近代化されていない欠点がありますので、労務管理講習会等を開きまして、法令あるいは取り扱いの改革についていろいろ啓蒙しております。
海上交通法案につきましては、漁業補償との問題の調整がまだつきません。これがつきましたら、できるだけ早期に国会に提出する方針でございます。(拍手)
〔国務大臣増田甲子七君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/19
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020・増田甲子七
○国務大臣(増田甲子七君) 佐々さんにお答えいたします。
米軍使用海域を返還させる考えはないか、米軍に対する提供海域は、わが国の安全を守るために駐留する米海空軍の演習等のために必要なものでございまして、お説のごとく、不必要なものは整理するにやぶさかではございませんが、必要なものはこれを提供するということでございます。しこういたしまして、制限を受ける漁業者に対しましては、お説のごとく、できる限り適切なる補償その他の措置を講じたいと思っております。
なお、新島射爆場の設置計画でございまするが、これは原子力センターのございます付近にある水戸の射爆場の代替施設といたしまして、数年間調査研究した結果、新島以外に適当な候補地がない、こういうことにいまのところ相なっておりまするが、関係漁民、地元その他関係者と協力一致いたしまして、御同意を得た上、適切なる措置をとって、これを設置いたしたい。もちろん御指摘のごとく、民生安定につきましても、極力努力をしてまいる所存でございます。(拍手)
〔国務大臣三木武夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/20
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021・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 佐々君の御質問にお答えいたします。
日ソ漁業条約、これは改定をしたらどうかというお話であります。一昨年に、十年の期限は切れておるわけですけれども、両国が破棄の通告をいたしませんから、今日まで有効に存続をしておるものであります。われわれとしても漁業の資源が確保されて、継続的な漁業が今後行なえる、また北西太平洋において多年つちかったわれわれの漁業の利益が確保される、こういうことで、日ソ双方に安定した新しい漁業協定ができるならば、これは好ましいと思います。そういうことで目下検討をいたしておる最中でございます。
インドネシアについては、農林大臣からも御説明がありましたように、これは漁業の基地であるとかその他の便宜、この供与を受けるために一定の料金を支払うということで、入漁料とこういう形の性質のものではない。また経済援助と直接の関連を持っておるものではない。目下、この漁業交渉の話が進んでおりますので、大体話は煮詰まってきておるのであります。したがって、この漁業の協定は将来において話し合いがつくもの、こういう見通しを持っておるものでございます。
また日本の三海里という領海、これをもう一ぺん再検討してみたらどうかというお話でございました。日本のような海洋国家として公海自由の原則あるいは公海漁業の自由、まあこれをひっくるめてのこの原則というものは、国際法上確立した基本原則で、これは尊重しなければならぬと思っております。しかし、佐々君の御指摘のように、最近では領海の拡大あるいは漁業の管轄権の範囲を拡大するという世界的傾向のあることは事実でございます。したがって、われわれとしても、国際的に一致した合意が達成できるならばこれを再検討するにやぶさかではございません。しかし、いまだ世界的な合意には達しておりませんので、三海里というこの領海の幅員の基本的立場を変革する考えは持ってないのでございます。しかし、漁業の問題については、三海里以上の漁業の専管区域を拡大する傾向にありますから、それは原則を認めたというのではなくして、実際的な問題として、特殊事情等も考慮して現実的な処理をしておるのでありますが、そのことが、三海里という日本の持っておる領海の幅員の基本的原則を変更しておるものではないと、御承知おきを願いたいのでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/21
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022・小平久雄
○副議長(小平久雄君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————
沖繩地域における産業の振興開発等のための
琉球政府に対する資金の貸付けに関する特
別措置法案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/22
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023・山村新治郎
○山村新治郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
この際、内閣提出、沖繩地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/23
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024・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 山村新治郎君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/24
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025・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。
沖繩地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/25
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026・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。沖繩及び北方問題等に関する特別委員長床次徳二君。
—————————————
〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔床次徳二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/26
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027・床次徳二
○床次徳二君 ただいま議題となりました沖繩地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法案につきまして、沖繩及び北方問題等に関する特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、沖繩が復帰するまでの間における沖繩に対する経済援助の一環として、国が琉球政府に長期資金を貸し付けることにより、同地域における産業の振興開発及びその住民の福祉の向上に寄与することを目的といたしております。
これらの目的を達成するために、資金運用部資金及び簡易生命保険及び郵便年金特別会計の積立金を資金運用部資金法第七条第一項及び簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律第三条第一項の規定にかかわらず、琉球政府に対し貸し付けることができるようにいたしております。
貸し付けの方法といたしては、これらの資金を琉球政府に貸し付け、さらに、琉球政府は、政令で定める琉球政府の特別会計または政府関係金融機関等に貸し付けることといたしております。また、その貸し付けによって資金運用部資金等に損失が生じた場合には、予算の範囲内において一般会計から補てんすることといたしております。
なお、本案は本年七月一日から施行することといたしております。
以上が本案の要旨であります。
本案は、四月四日本特別委員会に付託され、四月九日田中総理府総務長官より提案理由の説明を聴取し、以後慎重に審査を進めてまいりましたが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
かくて、四月二十五日質疑を終了し、本日採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
なお、本案に対し、鯨岡兵輔君外三名提出による自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の共同提案にかかる附帯決議を付することに決しました。
その内容は、政府は、本法施行にあたり、沖繩経済の基地依存体質を改善する長期経済計画の樹立を急ぐとともに、経済援助は、財政援助を拡大し、融資については、条件その他特別の配慮を行なうべきであるとするものであります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/27
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028・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/28
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029・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は、委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/29
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030・小平久雄
○副議長(小平久雄君) 本日は、これにて散会いたします。
午後三時四十二分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
外 務 大 臣 三木 武夫君
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
厚 生 大 臣 園田 直君
農 林 大 臣 西村 直己君
通商産業大臣 椎名悦三郎君
運 輸 大 臣 中曽根康弘君
労 働 大 臣 小川 平二君
建 設 大 臣 保利 茂君
自 治 大 臣 赤澤 正道君
国 務 大 臣 田中 龍夫君
国 務 大 臣 鍋島 直紹君
国 務 大 臣 増田甲子七君
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
出席政府委員
防衛施設庁長官 山上 信重君
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X03019680507/30
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